平成二十三年度各会計決算特別委員会第一分科会速記録第六号

平成二十四年十月二十四日(水曜日)
第十一委員会室
   午後一時開議
 出席委員 十名
委員長泉谷つよし君
副委員長早坂 義弘君
副委員長吉田 信夫君
菅  東一君
くりした善行君
しのづか元君
宇田川聡史君
吉倉 正美君
野上 純子君
原田  大君

 欠席委員 なし

 出席説明員
議会局局長産形  稔君
管理部長鈴木 省五君
議事部長別宮 浩志君
調査部長森山 寛司君
収用委員会事務局局長醍醐 勇司君
財務局局長中井 敬三君
経理部長櫻井  務君
契約調整担当部長石井 正明君
主計部長武市  敬君
財産運用部長奥田 信之君
利活用調整担当部長岩瀬 和春君
建築保全部長末菅 辰雄君
技術管理担当部長室木 眞則君
庁舎運営担当部長間庭  修君

本日の会議に付した事件
平成二十三年度東京都各会計歳入歳出決算の認定について
議会局関係
・平成二十三年度東京都一般会計決算(質疑)
収用委員会事務局関係
・平成二十三年度東京都一般会計決算(質疑)
財務局関係
・平成二十三年度東京都一般会計決算(質疑)
・平成二十三年度東京都用地会計決算(質疑)
・平成二十三年度東京都公債費会計決算(質疑)

○泉谷委員長 ただいまから平成二十三年度各会計決算特別委員会第一分科会を開会いたします。
 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、議会局、収用委員会事務局及び財務局関係の決算に対する質疑を行います。
 これより議会局関係に入ります。
 決算の審査を行います。
 平成二十三年度東京都一般会計決算中、議会局所管分を議題といたします。
 本件については、既に説明を聴取しておりますので、直ちに質疑を行います。
 発言を願います。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕

○泉谷委員長 発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○泉谷委員長 異議なしと認め、本件に対する質疑は終了いたしました。
 以上で議会局関係を終わります。

○泉谷委員長 これより収用委員会事務局関係に入ります。
 決算の審査を行います。
 平成二十三年度東京都一般会計決算中、収用委員会事務局所管分を議題といたします。
 本件については、既に説明を聴取しておりますので、直ちに質疑を行います。
 発言を願います。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕

○泉谷委員長 発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○泉谷委員長 異議なしと認め、本件に対する質疑は終了いたしました。
 以上で収用委員会事務局関係を終わります。

○泉谷委員長 これより財務局関係に入ります。
 決算の審査を行います。
 平成二十三年度東京都一般会計決算中、財務局所管分、平成二十三年度東京都用地会計決算及び平成二十三年度東京都公債費会計決算を一括して議題といたします。
 本件については、いずれも既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、要求委員と理事者との調整の結果、取り下げられておりますので、直ちに質疑を行います。
 発言を願います。

○しのづか委員 私からは、都有財産の活用及び都有施設の維持更新についてお伺いをいたします。
 都では、平成十八年度に新しい公会計制度が導入され、決算審査に当たっては財務諸表が作成されております。従来の計算では、財務諸表でいうキャッシュ・フロー計算書で示されている現金の動きしか見えなかったわけでありますが、新たに貸借対照表と行政コスト計算書が作成され、ストック情報である資産の残高が示されるようになりました。
 財務諸表の固定資産の内訳として計上されている行政財産は、一般的には、道路、河川、都営住宅などの都市インフラや、行政庁舎や福祉、そして学校教育施設など、都民への行政サービスを提供する建物などとその敷地である土地が計上されており、財務局の行政財産には、都庁舎のほか合同庁舎などで約一千百三十億円が計上されております。
 一方、普通財産には、各局が実施している事業での役割を終えて、行政目的に利用されていない土地を中心に約二千六百四十億円が計上されておりまして、こうした都有地は、原則として財務局が管理して利活用を行う、そういうことになっております。
 この普通財産である都有地は、行政目的に利用されていない未利用の都有地ともいえるわけでありまして、仮に、こうした都有地が文字どおり全く利用されていないのだとすると、都民の貴重な財産が都民の役に立っていないということになります。
 そこで、まず、財務局が所管をする普通財産である都有地、いわゆる未利用都有地がどのくらいあり、どのような状態で保有しているのか、利活用に課題があるとすればどのような点なのか、お伺いいたします。

○奥田財産運用部長 平成二十三年度末現在で財務局が所管いたします普通財産のうち、保有財産全体で約四百六十万平米、六百八十件ございます。この中には、八丈小島約百六十二万平米を含みますけれども、離島や、保全緑地等の保有自体を目的といたします管理目的都有地が含まれておりまして、これらは三百五十三件、約二百六十万平方メートルで、全体の半分強を占めてございます。
 お尋ねの、いわゆる未利用都有地に当たるものは、こうした管理目的都有地を除いたものでございまして、全体の約半分弱の三百二十七件、面積では二百万平方メートル弱でございます。
 なお、この未利用都有地の中には、既に庁内各局や区市町村での再利用、売却が予定されておりますが、建てかえなどで実際に利用するまでには一定の時間が必要になることから、一時的に財務局が保有しているものも含まれてございます。
 面積別に申し上げますと、一万平米以上の大規模な都有地は二十四件ございます。一方、五百平米未満で二百五件、そのうち百平米未満であると百二件ございまして、比較的小規模な土地が多く、こうした都有地の利活用が課題となってございます。

○しのづか委員 財務局の普通財産には、今お答えにありましたとおり、無人島や緑地など、保有自体が目的であって、もともと利活用することが想定されていない財産があるということで、すべてが未利用地ではないということはわかりました。しかし、それでも財務局が保有をする都有地の半分は未利用地でありまして、面積としてなお二百万平米も保有されているということです。
 都市インフラや施設の整備のためには土地を確保する必要がありますが、新たに取得をするだけではなく、こうした既に取得をして未利用となっている都有地を、整備する施設の性質や役割を踏まえて適切に手当てをしていくことが重要であると考えております。
 そこで、財務局は、施設整備等に不可欠な都有地に関して、全庁的な立場から各局に対して総合調整を行う権限を有しておりますが、調整に当たっての基本的な考え方についてお伺いいたします。

○奥田財産運用部長 都有地は、都民から負託を受けた貴重な財産でございます。所期の行政目的を果たして用途廃止された都有地などの財産は速やかに次の用途に供することが、財産価値を最大限に発揮させる上で重要と認識しているところでございます。
 そのため、財務局では、新たな利活用財産を早期に抽出するため、毎年、各局に対しまして未利用地調査を実施し、数年先までの建てかえや施設廃止などの見込みを把握してございます。各局から普通財産として引き継いだ土地は、未利用地調査によりまして把握した結果を踏まえ、全庁的視点から各局間の建てかえ時期などの調整を図りまして、行政用途として円滑かつ効果的に再活用できるよう総合調整を行っているところでございます。
 また、都におきまして、将来にわたり活用見込みのない都有地につきましては、まず地元区市町村が取得を希望する場合は区市町村へ売却を行い、希望がない場合に、一般競争入札等により民間企業へ売却することを原則としているところでございます。

○しのづか委員 行政施設の設置や建てかえについては、地域的な配置バランスや建てかえの時期の違いなど、さまざまな条件を調整する必要がありまして、一口に総合調整といっても難しい面は多いと思います。
 しかし、都有地はもともと行政目的のために取得されたものである以上、できる限り、お答えにありましたとおり、地元区市町村での活用も含めた行政目的での再利用や利活用を図ることがまず優先されるべきであると思います。民間への売却というものは最後に考えることだと考えます。ただいまご答弁いただいた都の基本方針も、そうした私の考えとほぼ同じでありまして、その姿勢は今後とも堅持していっていただきたいと思います。
 私は、平成二十二年第三回定例会の一般質問におきまして、都の未利用地について、区市町村への貸し付けも含めて積極的に暫定活用を進めるべきことを提言させていただきました。
 その際も申し上げましたが、土地は使ってこそ価値があるもので、未利用のままでは何の価値も生み出さないと思います。それどころか、草刈りなどの管理経費がかかりまして持ち出しになるということで、民間であれば、さらにそこに租税負担まで負うことになります。
 基本的に土地は限りある資源でありまして、利用可能な土地を未利用のまま放置することは、保有している都だけではなく、社会全体としてもマイナスになります。東京都や区市町村で将来的にも利用予定がない都有地については、民間に売却したり貸し付けることで、都財政への貢献だけでなく、限られた資源である土地を民間部門で有効活用してもらうことになり、これも社会全体としてプラスになります。
 繰り返しになりますが、都有地は都民から負託された貴重な財産であります。都や区市町村が利用しない小規模で不要な土地は速やかに売却処分を行うとともに、売却や庁内での本格的な活用方法が決まるまでの間も、むだに遊ばせておくのではなく、可能な限り有効活用を図っていく必要があります。
 そこで、未利用都有地の具体的な総合調整や利活用の実績についてお伺いをいたします。

○奥田財産運用部長 平成二十三年度末の未利用都有地の利活用実績でございますけれども、庁内各局に引き続き再活用することとした都有地は三十件、将来にわたり都での利用が見込まれないため売却した都有地は六十五件、うち十一件は区市町村等からの要望に基づき売却いたしました。
 二十四年度当初の未利用都有地は三百二十七件となるわけでございますが、このうち、都における利用予定がなく、既に売却した都有地は九件、今年度または来年度早期の売却に向けて準備を進めている都有地は二十八件ございます。
 また、庁内各局での再利用、区市町村への売却や貸し付けが決まっていても、先ほど申しましたとおり、実際の利用までに一定の期間がかかることから、その間は駐車場や公共工事の資材置き場などの用途で一時貸付を行ってございまして、二十四年度当初の未利用都有地三百二十七件のうち百二十一件で、こうした一時貸付による暫定利用を行っているところでございます。
 所管がえや売却、短期的な一時貸付などによりまして、未利用都有地の約五割について何らかの形で利活用を図っているところでございますが、残りにつきましては、山林地や狭小な不整形地、傾斜地などが多く、売却、暫定利用ともに利活用が困難という実態でございます。

○しのづか委員 今、それぞれ数字を挙げてお答えをいただきましたが、一口に未利用都有地とはいっても、全く利活用していない土地ということではなく、短期間の貸し付けなどによる暫定利用を図るなど、地道な取り組みを行っていることはわかりました。
 未利用都有地の中には、狭小で地形が悪い土地、市街地から離れた山の中の土地など、利活用に向いていない土地もあるとのことで、実際の利活用に当たっては苦労も多いと思いますが、そうした条件の悪い土地であっても、さらなる利活用に向けて、引き続き知恵を絞って、工夫を重ねて取り組んでいただきたいと思います。
 さて、なかなか利活用が難しい都有地がある反面、都心部や駅に近い中心市街地の大規模な都有地は、一たん売却してしまいますと、将来、都の事業のために必要になることがあっても、恐らく二度と取得できず、結果として都民に必要な施策を進めることが難しくなる、そういうことが考えられます。
 こうした将来的に価値の高い都有地は、当面利用予定がないからといって、一時的な収入を得るために単純に売却してしまうということは、都民にとってはかえって損失になりかねず、都有地の利活用方法としては適切とはいえないと思います。
 民間にとって経済的利用価値が高い都有地は、貸し付けでも十分に需要があるはずでありまして、利活用方法としては売却より適切だと私は考えております。
 また、都有地が都民の財産であること、そもそも公共的な目的に使うべき土地であることを踏まえれば、都有地の貸し付けに当たっては、一般競争入札で単純に金額の高い事業者を選定するということではなく、都の施策の推進や地元区市町村のまちづくりに資する条件を付して、施策に積極的に協力する事業者に対して都有地を貸し付けるべきであります。
 財務局は、平成十九年度に今後の財産利活用の指針を策定しまして、今、私が申し上げました施策に連動した貸し付けなども含めて、さまざまな手法で財産利活用などを推進していくとされております。
 そこで、この指針の取り組み状況と、これまでの成果をお伺いいたします。

○奥田財産運用部長 財務局では、ただいまお話ありましたとおり、今後の財産利活用の指針を策定いたしまして、それまでの売却と管理を中心とした財産利活用に加えまして、保有しつつ、民間の活力も取り入れながら利活用し、経済的価値だけでなく、都の施策にも貢献する財産利活用を図っていくことといたしました。
 基本的な方針といたしまして、第一に、民間の力を生かした施策連動型の財産利活用の推進、第二に、コスト感覚を持った各局の主体的な財産利活用の推進、第三に、財産価値の保全と向上の三つを、財産利活用の柱として定めているところでございます。
 こうした方針に基づきまして、都心地域や各地域の中心市街地にある大規模用地につきましては、将来の行政需要、土地を一たん処分した場合の再入手の可能性など、それぞれの土地の状況を検討し、民間の事業ニーズに合う都有地につきましては、売却ではなく、定期借地による中長期の貸し付けを実施しているところでございます。
 施策連動型の財産利活用につきましては、財務局と施策を所管する各局とが連携し、高齢者や障害者などに対する施策に関する施設整備を促進する、いわゆる福祉インフラ整備事業や、私立学校の耐震改修を支援する事業などを立ち上げ、施策条件を付して都有地の貸し付けを実施してきたところでございます。
 また、計画的な改築、改修による財産価値の保全、向上を図るため、主要施設十カ年維持更新計画に基づきまして、庁舎の建てかえに当たって、都有地の有効活用や都民サービスの向上の視点から、財務局の総合調整機能を生かして、同じ地域内に分散しております都有施設の合同化や、国や区の施設との合築などを進めているところでございます。
 今後とも、都有地の持つ財産価値を最大限に発揮させるよう、財務局と各局が一体となりまして、財産の適切な管理とより効果的な利活用に取り組んでまいります。

○しのづか委員 今ご答弁いただきましたように、財務局は各局と連携、協力をして、公有財産の適切な管理と利活用を推進していくよう、財産管理の総合調整部門として、引き続きその役割をきちんと果たしていってもらいたいと要望しておきます。
 ところで、この指針でも触れられておりますが、平成十九年三月施行の地方自治法改正によって、行政財産の貸付範囲が拡大されました。既に行政目的を持って使用されている庁舎などの行政財産は、公的な用途を最優先しなければなりませんが、その中で余剰部分が発生するのであれば、そこを民間に貸し付けるなど創意工夫を行い、貸付収入を確保するということも重要と考えます。
 そこで、地方自治法改正により可能となった行政財産の余剰部分の貸し付けの状況と今後の取り組みの方向性について、お伺いいたします。

○奥田財産運用部長 平成十九年三月施行の地方自治法改正によりまして、行政財産の貸付範囲が拡大され、庁舎等の床や敷地など、行政財産の余裕スペースにつきまして、市場性を取り入れた活用が可能となりました。
 都では、平成十九年六月、全国で初めてとなりましたが、都税事務所駐車場を民間事業者にコインパーキングとして貸し付けるということを行って以来、荷さばき可能な有料時間貸付駐車場や緑化条件つき自動販売機の設置など、行政財産の余剰部分について有効活用してまいりました。
 平成二十三年度は、都庁舎内のコンビニエンスストアを行政財産の使用許可から貸し付けに切りかえることで、財産収入の一層の確保を図ったところでございます。
 行政財産として本来の利用用途を前提としつつ、今後も、利活用の導入事例やノウハウの提供などによりまして各局を支援しながら、余剰スペースの利活用を促進してまいります。

○しのづか委員 都が保有する土地や建物は、公共のために使われることがまず一番でありますが、その上で、しばらくの間使われないスペースがあるというなら、暫定的な活用方法を工夫するなど、都民にとってむだのない、生きた使い方をすべきであります。
 そこで、都有施設をむだなく戦略的に使っていくことを考えていく際に重要な視点となるのが、施設の計画的な維持保全であります。
 そこで、先般公表された年次財務報告書を見ると、一般歳出における投資的経費は七千七百六十一億円となっておりまして、平成二十二年度と比較をすると四・七%の増となっております。主な使い道の一つであります主要施設十カ年維持更新計画、これについてお伺いいたします。
 都有施設を計画的に維持保全していくということは、都民の大切な財産を預かる上で重要な取り組みであると考えます。都では、平成二十一年に主要施設十カ年維持更新計画を策定して、都有施設の整備に取り組んでおりますが、まず、この計画の考え方をお伺いいたします。

○末菅建築保全部長 主要施設十カ年維持更新計画は、都民に質の高いサービスを提供していくため、計画的な改築、改修などにより施設の維持更新を進めていくものでございます。
 計画におきましては、第一に、安全・安心の確保と環境負荷の低減、第二に、将来コストの縮減と利便性の確保、第三に、都有財産の効率的、効果的な活用、この三つの観点から施設整備を行っていくこととしてございます。
 対象施設でございますが、おおむね築三十五年を経過している延べ床面積三千平方メートル以上の施設につきましては、老朽化が進行し、近年の建物と比べ基本的性能が低いことから、改築を含めた維持更新を、また、おおむね築十年を経過している延べ床面積一万平方メートル以上の施設につきましては、良質の資産として残していくため、設備機器の改修を中心に検討しております。

○しのづか委員 築三十五年を超えるものについては、改築を含め、維持更新手法を検討するということでしたが、建築物は、適切な予防保全を行うことにより、長寿命化を図ることができるのではないかと私は思います。
 私自身、建設業に携わっていた経験から--私の地元である多摩市では、多摩ニュータウンを抱える地域特性から、公共施設の数、延べ床面積ともに都内トップクラスでありまして、しかも施設の更新の時期が、まちを開いたのが同時に集中してしまったことで、ちょうどお金がかかる時期が集中してしまうということから、多摩市ストックマネジメント計画を、東京都よりもちょっと早いんですが、平成十九年に策定しまして、公共施設の長期耐用化、延命化を図って、予防保全の視点で、施設の適切な維持保全を財政面からも計画的に進行管理しております。
 一概に築年数で判断するのではなく、劣化調査により必要な部位を特定してコストを縮減することや、予算要求時の技術的視点の導入も必要であると考えますが、その点について見解をお伺いいたします。

○末菅建築保全部長 施設の維持更新手法の検討に当たりましては、所管局において行いました対象施設の劣化度調査などを参考にいたしました劣化状況や建物の特性などを踏まえ、建物の長寿命化、環境負荷の低減など整備効果を比較考量し、単に所要経費のみによらない総合的な見地から、改築や改修など最も適切な手法を選択してございます。
 さらに、予算要求時におきましても、技術的な見地から改築、改修等の計画を検討した施設整備計画書を作成し、事業実施に向けての課題の整理やコスト縮減などの所見を付し、予算部局とも連携し、調整を図っているところでございます。

○しのづか委員 今お答えありましたように、予算の調整段階から技術的な関与を行っていくことは、むだな経費削減の観点からも重要な取り組みであると思います。しっかりやってもらいたいと思います。
 さらに、効率的な保全の実施に当たっては、施設の保全情報の管理、これが重要と考えます。既に設置されております保全データベースを最大限活用しまして、財務局のみならず、実際に施設管理をしている各局と連携した保全情報の管理に取り組むことも、将来コストの縮減に向けては必要だと考えます。
 そこで、主要施設十カ年維持更新計画、これは平成二十一年度から平成三十年度までを三期に分けて実施されておりまして、この決算期に当たる平成二十三年度は第Ⅰ期の最終年度であります。二十一年度から二十三年度までの取り組み状況についてお伺いをいたします。

○末菅建築保全部長 平成二十三年度で第Ⅰ期が終わったわけでございますが、この第Ⅰ期について、各局からの回答によれば、予定されてございます案件によっては、用地の確保や近隣との調整などの理由によりまして、着手に至るまでに若干時間を要しているものがあると聞いてございます。こうした一部の事業につきましてスケジュールの変更がございますものの、全体といたしましては、おおむね順調に推移していると認識してございます。

○しのづか委員 今ご答弁にあったように、おおむね順調なんだけれども、まだ未着手のところもあるということでした。
 各局の事業との見合い、度合いをきちんと調整しながら進めていくということでありますから、なかなか難しい面もあるかと思いますが、この計画を見ると、おおむね三年ごとに見直すというふうに最後のところになっておりまして、私は、必ず三年で見直す必要があるというふうには思っていないんですが、事業の進捗状況を精査していく中で、次の取り組みに生かすべきではないかと思います。
 さらに、昨年発生した東日本大震災の影響などは、まさに社会状況の急激な変化でありまして、都も、「二〇二〇年の東京」を初め、昨年策定された東京都防災対応指針においても、被害想定の見直し、そして、そこからさらに地域防災計画の修正などに着手をしております。都民の安全・安心の確保の視点からも、都有施設の耐震化の早期完了に向けた取り組みも重要であると申し上げておきます。
 こうした状況を踏まえれば、ここでⅠ期を振り返って総括して、今後どのように計画を進めていくのか考えることも必要ではないかと考えますが、見解をお伺いいたします。

○末菅建築保全部長 本計画におきましては、警察署などの都民の安全・安心を守るための拠点となる施設と、特別支援学校などの都民サービスを提供していく上で必要な施設、この二つの用途及び特性に分類整理をして、整備の対象としてございます。こうした対象施設は、震災後さらに高まりました、耐震性などの安全・安心への要求についても対応できているものと認識をしてございます。今年度も、四施設につきまして、耐震化を前倒しして実施しているところでございます。
 また、省エネ対応につきましても、東日本大震災後の二〇一一年七月に策定いたしました、最新の省エネ設備や多彩な再生可能エネルギー設備などを盛り込みました省エネ・再エネ東京仕様を適用して取り組んでいるところでございます。
 さらに、事業実施に向けましては、先ほども述べましたように、予算要求時の施設整備計画書の作成段階におきまして、事業環境や財政状況などを考慮して、きめ細やかに調整し、適時適切に維持保全を実施するよう努めているところでございます。
 今後とも、各施設の劣化状況や行政需要などを精査しながら、施設の維持更新を実施してまいります。

○しのづか委員 既に対応は盛り込まれているという答弁でありましたが、予算の調整を行い、技術的な方針を所管する財務局といたしましては、これまでの取り組みを真摯な立場でもう一度よく確認をして、今後に向けて生かしていくべきであると考えております。
 都が保有する土地や建物は、都民のため、計画的にむだなく有効活用されてこそ、その役割を十分に発揮しているといえます。これを可能にするのが、各局の土地や建物の利用計画を相互に調整しながら、改修、改築の際の機能集約や合築を戦略的に推進していく機能であります。
 財務局は、各局を俯瞰し、専門的な立場から都有財産の有効活用と施設の維持更新計画を相互に連動させて、一層効率的、効果的な方向へと誘導していくべきであると考えます。
 引き続き、各局への総合調整、技術的支援を積極的に行い、都の財産の利活用を一層推進していくことを希望いたしまして、私の質疑を終わりたいと思います。ありがとうございました。

○宇田川委員 私からは、都庁舎の維持管理について質疑を進めてまいりたいと思っております。
 都庁舎は、首都を支える行政活動や議会活動の中枢でありますと同時に、都民サービス提供の拠点でもあるわけでございます。また、災害時に防災拠点として継続的に機能を維持することが求められている施設でもあり、極めて重要な機能を有すると考えております。さらに、東日本大震災において、防災センターであるとともに、帰宅困難者の受け入れにも重要な役割を発揮してまいりました。
 この庁舎が良好な状況で維持管理されていることは、危機管理の面からも重要でありまして、適切な維持管理が求められております。とりわけ、大規模改修を控えて、どのように機能を維持更新していくか。また、東日本大震災を踏まえた電力不足対策や長周期地震動対策など、さまざまな課題があることもまた事実であります。
 このことから、財政委員会において、私のたっての希望でありましたが、本年四月に本庁舎の視察を行ったところであります。その視察も踏まえて、平成二十三年度決算から、庁舎の維持管理について何点かお伺いをさせていただきます。
 初めにお尋ねをしたいのは、一般会計決算説明資料の五一ページにあったんですが、これを見て素朴な疑問を持ったんですけれども、営繕費の中で、翌年度繰越額、かなり大きな額なんですが、四億六千万円余りが記載をされておりますが、その内容と理由についてお答えをお願いいたします。

○間庭庁舎運営担当部長 東日本大震災の影響によりまして夏季の電力不足が懸念され、不測の事態に対応する必要がございまして、第一本庁舎非常用発電機設備改修工事におきまして、平成二十三年七月から九月までの三カ月間、発電機を稼働できる状況を保つために、発電機の撤去工事をこの間延期したものでございます。このため、竣工時期を当初予定の平成二十四年三月から六月に変更いたしまして、所要の経費を繰り越したものでございます。

○宇田川委員 昨年、東日本大震災があったわけでございますが、その後、電力不足が大変問題となっておりました。この電力不足への対応として、夏場に非常用発電機を稼働できる状態にしておく、そうした必要があったということであります。
 ところで、委員会視察では、本庁舎とあわせて、東京ガスの子会社であるエネルギーアドバンスにも行ってまいりました。その際、庁舎の防災機能強化のため、電力の多元化を図り、エネルギーアドバンスからの電力供給について、緊急対策を受けて検討を行い、事業を開始したと聞いております。この取り組みの状況がどうなっているのかをお伺いいたします。

○間庭庁舎運営担当部長 エネルギーアドバンス社からの電力の供給事業につきましては、委員からご指摘をいただきましたとおり、電力確保に関するリスク分散のため、電力の多元化を進めて、都庁舎の防災機能を強化するものでございます。
 取り組み状況につきましては、電気の受給に関する基本的事項に関して合意をいたしまして、現在、受給電力の電気料金等の詳細な内容につきまして協議を行っているところでございます。また、電力の受給に伴う庁舎内の工事につきましては、本年六月に発注し、順調に進んでおりまして、十二月中に電力の受給を開始する予定となってございます。

○宇田川委員 電力を多元化することは、ぜひやるべきだと思っております。東電のさまざまなことに対して、我々自民党も提言を繰り返してまいりまして、しかし、いまだに納得している状況じゃないんですが、電力問題、エネルギー全体は、環境とか知事本の話になるんだと思うんですが、ぜひ都庁全体でお考えをいただいて、都民のためにもなる施策に取り組んでいただきたいと思っております。
 さて、今回の決算は震災後の対策に係るものが多くありまして、都庁舎においても、大震災を見据えた備えを着実に強化していることだと思っております。幾つかの決算をもとにして、維持管理に係る数字の確認をこれからしていきたいと思っております。
 本庁舎における清掃及び建物設備管理の委託経費について、新宿への移転後におけるピークの時期とその金額について、また、平成二十三年度の決算額について、あわせてお伺いをいたします。

○間庭庁舎運営担当部長 清掃委託経費につきましては、決算額で、平成七年度がピークで十六億八百万円、平成二十三年度は四億五千万円でございます。また、建物設備管理委託経費につきましては、平成四年度がピークで十一億九千四百万円、平成二十三年度が五億六千二百万円でございます。
 これらの委託経費の減少の理由は、仕様内容の精査や競争入札の結果によるものと考えてございます。

○宇田川委員 ただいまのご答弁によりますと、庁舎完成後、清掃委託に係る経費は三割弱となってきております。その理由については、さまざま聞くところによると、仕様の内容を見直したと、こう聞いておりまして、私の方で調べさせていただきましたが、室内清掃は一日一回、毎日から三日に一回、三分の一、ガラス定期清掃は年に十二回から年に四回、これも三分の一、床のワックスがけ等は年に十二回から年に三回と、四分の一、こういう仕様に変化をされたということであります。
 かなり大きな仕様の変化だと思っているんですが、過去の清掃が多過ぎたのか、今が少な過ぎるのか、ちょっと私にはよくわからないんですけれども、答弁は求めませんけれども、私も二十代のころは二日ぐらい徹夜しても平気でしたけど、五十近くなってくると薬を飲まなきゃやっていかれないとか--やっぱり建物も同じで、年を繰り返した方が手をかける必要があるんじゃないかなと、私はそう思っているんですが、いずれにしても、適切な仕様が業者にとって基本となるものだと考えております。だとすれば、発注に当たっては、良好な維持管理と効率性を十分に勘案した仕様を作成することを十分に意識するべきではないでしょうか。
 これらの委託経費について、最近の予算額に対する決算額の割合、いわゆる執行率についてはどのようになっているのか、お伺いをさせていただきます。

○間庭庁舎運営担当部長 清掃委託の執行率につきましては、過去五年間で見ますと六割から七割程度でございます。また、建物設備管理委託につきましては、年によってばらつきがございますが、八割から九割で推移してございます。

○宇田川委員 これまで清掃や建物の管理委託について、さまざま伺ってきたわけですが、建築物を良好な状態で維持管理していくためには、計画的に修繕を行っていくことが必要であることはいうまでもありません。先ほど、しのづか委員からも、そういうお話がございました。
 本庁舎の修繕計画について、どのような内容になっているのか、経費をどう見積もってきたのかを伺います。

○間庭庁舎運営担当部長 都庁舎につきましては、平成三年四月の開庁後、計画的に保全計画を策定してきておりまして、詳細な長期計画につきましては平成十年に策定いたしまして、計画期間は二十年を見込み、経費は一千百億円程度としておりました。
 現在の都庁舎の設備更新等に関する方針は、新たに平成二十一年に策定したものでございまして、単なる現状機能の維持だけではなく、地球環境対策など社会的な要請へも取り組んだものでございまして、平成二十一年度から三十年度までの計画で、経費は七百八十億円を見込んでおります。
 また、東日本大震災の教訓を踏まえまして、防災拠点機能の強化を図るため、長周期地震動対策などもあわせて実施してまいります。

○宇田川委員 先ほどの答弁に、委託費が十六億八百万円から四億五千万円と推移していると。三割弱の水準まで来ていると、こういうお話がありました。
 委託における契約額というのも、私は、適正な価格というものが当然あると思っています。それが、今いった適正な価格が予定価格とイコールなんだと私は思っています。過当な競争によって、また、経費を必要以上に圧縮することによって、日常の管理が十分に行えず、結果として、今お話のあった大規模修繕などで高額化するおそれもあるのかなと、完全否定はできないんだと思いますけれども、関連性はあるんだと思っておりますが、そうしたことにはやっぱり一定のバランスを求めることになるんだと思っています。
 都は、計画的に修繕を行い、ライフサイクルコストを縮減していく考え方に立って検討を繰り返しているはずでございます。日常の維持管理のあり方についても、十分な検討を行っていくべきだと私は考えます。
 委託契約において、品質の確保は大変重要であります。もちろん、不良不適格業者の排除も必要でございます。これは保守管理の委託に限らず、他の工事における入札案件や物品でもまた同じことであります。
 工事案件においては、我々、財務局にはさまざま提言を続けてまいりましたが、それを受けて、いろんな改革を行っていただいて、よりよい制度につくり上げてきたと、このことについては感謝を申し上げますが、だとすれば、委託についても、例えば、総合評価方式を適用することなど、検討すべきだと思っております。
 さらに、委託が適切に行われるために、日常の履行確認を行っているわけでありますが、確認方法や事業者の指導についても不断に改善するなど、こうしたもののあり方もしっかり検討してほしいと思っております。第三者評価なども一つのやり方だと私は考えております。
 ほかにも、さきの定例会でも質問の中でやりましたが、災害協定における実効性の担保とそれに対するインセンティブの与え方、障害者雇用推進のあり方などなど、さまざまな検証、検討を加えていただきたいと思っております。こうしたことは、発注者としての責任だと私は思っています。
 さまざまお話をしてきたわけでございますが、庁舎の維持管理について局のお考えがあるようなら、お尋ねをいたします。

○中井財務局長 庁舎は、委員ご指摘のとおり、行政活動、議会活動の場として、また、都民サービス提供の場として、なくてはならないものであり、こうした日々の活動を円滑に行っていく上で、庁舎を適正に維持管理していくことは大変重要なことだと認識をしております。こうしたことから、庁舎の維持管理契約は、適正に履行され、しっかりと品質管理が図られなければならないものでございます。
 このため、建物維持管理に必要な経費は、内容に応じて人件費や物価動向などを総合的に勘案しつつ、所要額を見積もってきておりますし、加えて、日々履行状況を確認し、必要な指示を行うことにより、適正な履行の確保にも努めているところでございます。
 また、委員の方からお話もございましたように、庁舎にはさまざまな機能があり、また、さまざまなかかわりがあるということも、そのとおりでございまして、こうしたことを踏まえますと、委託契約における総合評価方式の検討などを行っていくことも重要な課題と認識をしているところでございます。
 今後とも、契約の適切な履行を確保していくとともに、契約制度のさらなる検討や、庁舎の計画的な保全なども含め、庁舎の適切な維持管理に組織を挙げてしっかりと取り組んでまいります。

○宇田川委員 安ければよいということは一切ないと、我々はそう考えております。必要に応じて経費をかけることは、極めて当然なことだとも思っております。これはなぜなら、直接的、間接的な行政サービスにつながることにほかならないからであります。
 コスト意識を持つことは、もちろん大切なことだと認識をしています。知事の肝いりで始まった新公会計制度は、そうした意味においても大きな成果でありまして、都政を一段高みに引き上げたと私は思っています。こうした東京都全体のご努力には敬意をあらわす次第であります。
 予算編成や財政運営においても適正化が図られ、財務局のご尽力も大変な評価に当たると私は思っております。
 今後とも、バランスがいい都政運営に期待をさせていただきます。
 以上です。

○野上委員 まず、二十三年度の普通会計決算における歳入についてお伺いをいたします。
 都の歳入の根幹をなす都税収入の決算は四兆一千四百九十八億円、約四兆千五百億円でございました。四年連続で減収になったとはいえ、この税収の規模をもって、東京は非常に裕福であると、他県の議員からも、うらやましがられているところでございます。
 しかし、都は、都区財政調整制度により税収の一定割合が機械的に特別区へ配分されるという、他県とは大きく異なる財政制度を持っていることなどを踏まえれば、単純に税収規模をもって判断することが適当ではないことは明らかでございます。
 税収を見る上で、こうした機械的に流出する部分を除いて、都が実際に使える税収がどれぐらいあるのか、いいかえれば、天引き後の手取りがどれぐらいあるのかという視点で収入をとらえることが重要ではないかと思っております。
 財務局の公表資料によれば、この手取りを実質的な都税収入としてあらわしているようですけれども、そこで、まず確認のために、実質的な都税収入の定義についてご説明願います。

○武市主計部長 東京都では、都税収入の総額に地方譲与税を加えた額から、法令に基づいて都税の一定割合を区市町村に交付することが定められている部分を差し引いた額につきまして、それを実質的な都税収入というふうに把握をしてございます。
 その区市町村に交付するものにつきましては、私ども、税連動経費というふうに呼んでおりまして、そこには特別区財政調整交付金、地方消費税交付金、利子割交付金などが含まれております。

○野上委員 都税収入の推移はよく話題になりますが、この実質的な都税収入の推移についても気になるところがあります。見かけ上の税収等が同じでも、手取りである実質的な都税収入が異なるということもあるのではないでしょうか。
 そこで、二十三年度と税収等が大体同じであった年とを比較して、実質的な都税収入に差が出ているのか、お伺いいたします。また、それが税収等に占める割合の変化についても、あわせてお答え願います。

○武市主計部長 平成二十三年度と都税収入等の額がほぼ同水準でありました平成九年度とを比較いたしますと、実質的な都税収入は、二十三年度が三兆二千五百二十七億円であるのに対しまして、九年度は三兆四千九百五十三億円と、二十三年度の方が二千四百二十六億円少ない状況にございます。
 また、税収等に占める実質的な都税収入の割合は、二十三年度が七五%であるのに対しまして、九年度は八一%でありまして、二十三年度の方が六ポイント低いという状況でございます。

○野上委員 二十三年度は、九年度とほぼ同水準の税収等にもかかわらず、実質的な都税収入は、九年度よりも約二千四百億円少ないということです。
 では、二十三年度と九年度とを比べたときに、実質的な都税収入にこのように大きな差が出ている要因について、お伺いいたします。

○武市主計部長 実質的な都税収入に差が出ている主な要因といたしましては、地方消費税交付金の創設でございますとか、特別区財政調整交付金におけます都区間の財源配分割合の変更というものが挙げられます。
 まず、地方消費税交付金についてでございますが、こちらは、地方消費税の二分の一を区市町村に交付するもので、平成九年度に地方消費税とともに創設されたものでございます。
 また、特別区財政調整交付金につきましては、東京都が徴収した調整三税の特別区へ配分する割合が、九年度には四四%であったものが、十二年度に都区制度改革などに伴いまして五二%となりまして、さらに十九年度には、三位一体改革の影響への対応などによりまして、五五%へと引き上げられたところでございます。
 こうした要因によりまして、税連動経費の割合が年々高まってきておりまして、その結果、都税収入が同じ水準でありましても、実際に使える実質的な都税収入が少なくなっていると、そういう状況でございます。

○野上委員 一見、税収等が同程度に見えても、区市町村に機械的に配分する金額が大きくなっているために、実際に都が使える税収等は、昔に比べて非常に少なくなっていることがわかりました。
 財政には、いついかなるときも、都民の負託にこたえる施策を支えていく役割が求められます。しかしながら、昨今の景気動向を見ると、先行きは一層不透明になっており、税収動向も予断を許さないと思っております。
 これまで、都債の発行をふやしたり、基金を取り崩したりして財源を確保してきたわけですが、いつまでもこうした対応を続けられるわけではありません。こうした中にあって、私は、さらなる税の徴収努力が必要なのはいうまでもないことですが、小さな積み重ねではありますが、税以外の収入を確保していくことも重要になってくるのではないかと思います。こうした視点に立って、都有財産の利活用についてお伺いいたします。
 財務局には、土地や建物などの売却や貸し付けによる財産収入があり、都の貴重な財源の一つとなっております。
 平成二十三年度決算を拝見いたしますと、財産貸付収入が約三十六億円、不動産売り払い収入が約五十七億円で、この二つを合わせた土地、建物などの財産の利活用による収入の合計は、約九十三億円に上っております。
 先ほど、しのづか委員からも都有地の利活用について質疑がありましたけれども、都民共通の財産である都有地の利活用について、私からも何点かお伺いしたいと思っております。
 都が保有する土地や建物は、庁舎や学校、施設などを建設し、それにより都民にサービスを提供するために利用するものであって、民間への売却や貸し付けなどは本来の利活用の姿ではないと思っております。都税収入が四年連続で減少し、財政状況が厳しいとはいえ、将来、都民のサービスに必要な都有地まで売却してしまうのではなく、都有地については、将来を見据えて選別し、見きわめた上で利活用することが必要と考えております。そうした選別の結果、都としても将来も利用の見込みがない、余りにも小規模な都有地は売却や貸し付けを進めて、都民サービスのための貴重な財源として活用していただきたいと思っております。
 実際に民間へ売却とか貸し付けする際は、原則としては一般競争入札となっておりまして、財務局のホームページに入札予定を掲示するそうですが、小規模な都有地の場合、物件として余り注目されないため、なかなか借り手、買い手がつかず、未利用都有地のまま残ってしまうこともあります。私の地元区でも未利用の都有地が散見されますが、こうしたことも原因があるのだと思っております。
 こうした都有地の売却などを促進するためには、より多数の事業者や個人の目につくように、財務局のホームページだけではなく、例えば、不動産情報提供会社と連携したPR活動を行うとか、あるいは現地に看板を設置するなど、そういったいろいろな手だてが有効なのではないかと思っております。多少経費はかかるとしても、売却見込みがあると判断される都有地は、こうした方法について検討することをお願いしておきます。
 一方、都で直接利用する予定のない都有地でも、ある程度の面積があり、民間での需要が期待される土地については、公共の用地であることを考えますと、競争入札による単純な売却よりも、都の施策と連動して都有地を貸し付ける取り組みを進めていくことが重要だと思っております。
 例えば、高齢者や障害者などの福祉施設については、区市町村は介護保険や障害福祉計画等でサービス提供体制を確保していく必要がありますが、東京は土地の価格が余りにも高いので、必要とする地域の土地の確保が難しくて、なかなか整備が進まないことも多いと聞いております。
 こうした状況を踏まえて、財務局が、福祉施策全体を所管する福祉保健局、実際の福祉サービス提供の責任を担う区市町村と連携をして進めている、都有地活用による地域の福祉インフラ整備事業は、都有地の活用と福祉施設の整備推進が一体となった、いわば一石二鳥といえる有効な利活用方法ではないかと思います。
 この地域の福祉インフラ整備事業による、都有地の二十三年度及びこれまでの合計の貸付実績についてお伺いいたします。

○奥田財産運用部長 都有地活用によります地域の福祉インフラ整備事業は、今お話にありましたとおり、福祉保健局と連携いたしまして、区市町村と協議の上で、民間の事業者を公募し、不足している福祉サービス提供施設の設置を進めるため、都有地を五〇%減額して貸し付ける仕組みでございます。
 この事業によります二十三年度の都有地の貸付実績ですが、六件、約九千二百平米で、整備施設の内訳は、高齢者施設四件、障害者施設一件、保育所一件でございます。
 また、二十四年三月末までの都有地の貸付実績の合計ですが、十四件、約一万四千三百平方メートルで、整備施設の内訳は、高齢者施設十件、障害者施設三件、保育所一件でございます。
 さらに、事業者が既に決定されておりまして、二十四年度以降に貸し付けを予定している都有地は、現時点で十件でございます。

○野上委員 数多い都有地の一部でありますけれども、これだけの都有地が福祉施策のために活用されていることは高く評価したいと思っております。同じ貸し付けであっても、競争入札によって民間に貸し付ければ、もっとたくさん財産収入が確保できたはずですが、こうした政策的な使い方の方が、より望ましい財産利活用の姿だと思います。
 未利用都有地は、面積も土地の用途制限も千差万別であり、すべての未利用都有地でこうした施策連動の貸し付けができるわけではないでしょうけれども、条件が整えば、こうした取り組みをさらに拡大していくべきだと思います。
 こうした施策連動型の財産利活用の今後の取り組みについてお伺いいたします。

○奥田財産運用部長 都有地は、都民から負託された貴重な財産でございます。都民サービスの向上など都施策の充実のために活用していく、こうした施策連動型の財産利活用の取り組みは重要と認識しております。
 福祉インフラ整備事業につきましても、当初は対象施設を高齢者や障害者施設に限定しておりましたが、福祉保健局や区市町村からの要望を踏まえまして、保育所を対象として追加したところでございます。
 また、従来は区市町村からの要望があったときに貸付対象の都有地を提示しておりましたが、区市町村からの要望がなくとも、貸付対象の都有地を事前に提示することとするなど、区市町村が使いやすく、また、都も積極的に貸し付けを進められるよう、不断に改善を図ってきたところでございます。
 福祉インフラ整備事業以外にも、私立学校の耐震改修を支援するための都有地貸し付け、また、都市緑化推進の観点から緑化条件つき貸し付け、環境配慮型住宅普及のための住宅展示場設置など、土地の所在地、面積、形、用途制限など個別的要素を踏まえまして、さまざまな工夫を凝らした未利用都有地の利活用を実施してきたところでございます。
 今後とも、全庁横断的会議として設置しております都有財産利活用推進会議の場などを利用いたしまして、各局との情報共有など連携を引き続き強化するとともに、財務局が持つ財産利活用のノウハウと各局の施策提案を生かし、都有地の公共性を踏まえた施策連動型の都有地貸し付けについて、さらに取り組みを強化してまいります。

○野上委員 都民のための貴重な公共用地ということで、こうした施策に連動した形で、利活用を引き続き積極的に進めていただき、また、財産収入という形で、厳しい状況にある都財政の貴重な財源として確保を図っていただくことをお願いいたしまして、質問を終わります。

○吉田委員 私からは、財政の現状と財政運営について及び委託契約について、質問させていただきます。
 実は、昨年もこの第一分科会でお伺いいたしましたけれども、改めて、昨年度の決算の結果、都の財政状況がどのようになっているのか、その現状のもとで財政運営をどのように進めようとしているのか、そういう立場から何点かお伺いいたします。
 今もお話がありましたけれども、まず都税の状況です。
 昨年度の都税収入及びそのうちでの法人二税のそれぞれの税収額と前年度との増減額、そして、今後の財政環境について、どのように認識をしているのか、まずお答えをお願いいたします。

○武市主計部長 平成二十三年度決算におけます都税収入は四兆一千四百九十八億円で、前年度に比べまして四百四億円、一%減少しております。また、法人二税は一兆二千三百三十九億円で、前年度に比べまして百二十二億円、一%減少しておりまして、どちらも四年連続での減少となっております。
 経済情勢でございますが、直近の月例経済報告では、世界景気の減速等に伴い、景気判断が下方修正されまして、先行きにつきましても、対外経済環境をめぐる不確実性の高まりなど、さまざまな下振れリスクを抱えており、予断を許さない状況となってございます。
 こうしたことから見ましても、引き続き厳しい財政環境が続くものと認識しております。

○吉田委員 一昨年度は前年度比六百五十九億円、一・五%、そして、昨年度は前年度比四百四億円、一・〇%と、五年連続の減収が続いており、今年度も非常に予断を許さない状況だというふうに思います。かつ、今、財政環境をめぐる認識についてお話がありましたけれども、引き続き厳しい財政環境が予想されるだけに、私は、財政運営のあり方について、かなり抜本的な検討が避けられないのではないかというふうに思います。
 そうした中で、基金の活用は極めて貴重で、避けられない面がありますけれども、これについても、いつまでも依存できるという状況にはないと思います。
 基金の状況について、活用可能な主な基金としては、財政調整基金と社会資本等整備基金の二つだと思いますが、この両基金合わせた、昨年度及び過去三年平均の取り崩し額、その結果、昨年度の残高及び今年度予算で予定されている予定額と予定残高について、ご答弁をお願いいたします。

○武市主計部長 まず、平成二十三年度決算におけます財政調整基金と社会資本等整備基金の取り崩しの合計額でございますが、その額は九百六十三億円でございまして、二十一年度から二十三年度までの三カ年の平均では九百五十六億円となっております。
 続きまして、この二つの基金の二十三年度末の残高でございますが、合計いたしまして六千九百二十三億円でございます。
 また、二十四年度、今年度の取り崩し予定額は二千二百四十四億円でございまして、その結果、残高の見込みは四千八百億円となっております。

○吉田委員 予算上の今年度予定残高は四千八百億円と、実際上は執行残等で抑制するということになるんでしょうけれども、毎年、この間の約一千億円の活用が継続されれば、五年程度ということも見込まれるという状況だと思います。
 そこで、基金の活用について、財務局としてどのような考えで対応していくのか、ご答弁をお願いいたします。

○武市主計部長 都税収入の多くを占めます法人二税は、景気変動の影響を受けやすく、また、東京都は地方交付税の不交付団体でありまして、国の財源に頼ることができない不安定な歳入構造のもとで、自主財源をベースに財政運営を行っていかなければならないというのが、東京都のある意味宿命でございます。
 そうした中で、安定的かつ計画的な財政運営を可能とするための年度間の財政調整機能を持つものが基金でありまして、財源に余裕があるときは基金に積み立て、逆に不足するときには、それを取り崩しまして財源を確保するという、基金は都の財政運営を安定化させる上で大変重要な役割を果たしております。
 この先も厳しい財政環境が続くことが見込まれる中、都政の役割を安定的、継続的に果たしていくために、一つには、むだをなくし、施策の効率性や実効性を向上させるという都庁の自己改革を緩めることなく続けるとともに、その上で、基金を適切に活用することにより、施策の展開に必要な財源を確保していくことが重要だと考えております。

○吉田委員 今、活用可能な基金の残高が五千億円を切りかねないという事態になっており、他方、暮らしや防災の新たなニーズが高まるだけに、私は、オリンピック等開催準備基金というものは、やはり都民施策全般に活用できるように見直していくということは避けられないことだというふうに思います。同時に、基金に、長期にわたって多額に依存できないという状況だけに、歳出と歳入の両面にわたって、従来の財政運営について抜本的な見直しを図っていくということについても、改めて強調しておきたいと思います。
 例えば、今年度から、外環道について本格的な財政投入が行われましたけれども、二〇二〇年までに外環道の地下本体を完成させる、そしてその大半が国道事業ということになったようですから、四分の一の都負担がはね返りますと、年間平均でいえば、外環道だけで新たに三百億円からの財政投入ということも予想される事態です。
 他方、先ほど話がありましたが、既存施設の維持更新、さらに耐震強化などという、もう文字どおり最優先の絶対的な課題というものに対応していかなければならないというふうに思います。
 そうした点で伺いますが、先ほども議論がありましたが、都の主要施設の維持更新に関しての十カ年計画を立てて取り組んでいますが、計画事業費の見込み総額と現在の実施状況について、改めてご答弁をお願いいたします。

○末菅建築保全部長 主要施設十カ年維持更新計画は、平成二十一年度から平成三十年度までの都有施設の維持更新計画をまとめたものでございます。
 計画期間の概算事業費は約八千三百億円を予定してございます。
 実施状況、これを予算ベースで見ますと、全体を三期に分けた一期分でございます平成二十三年度までが約二千五百億円、今年度、平成二十四年度分として約一千億円となってございます。

○吉田委員 執行額をお伺いしたかったんですが、それは出ないということで予算額の説明でしたが、見込み総額八千三百億円、三カ年の予算額の積み重ねだと三千五百億円ですか。残る六年間で四千八百億円、年間約八百億円は、少なくともこの主要施設の維持更新だけで投入していかなければならない。もちろん、これはさらに増額する可能性もあると思います。
 その上に、東日本大震災を受けて、耐震化ということが、ますます都政にとっての重要課題ということになってまいりました。これも、新たな被害想定と地域防災計画の見直しによって、どの程度の必要額が計上されるかということは今後の課題ですが、少なくとも、昨年の実行プログラムで三カ年計画が出されましたが、その第一の施策である震災対策に集中的に取り組むための三カ年事業費六千五百七十八億円、さらに、第二の自助、共助の力を最大限に生かす取り組みで一千八百二十六億円、三カ年でこれだけで八千四百四億円ということになりますし、これは、新たな被害想定等によってさらに拡大をするということになると思います。
 この点で、昨年の各会計決算の委員会の全局質疑のときに、私は、東部低地帯の河川堤防がいまだに六十キロ以上にわたって耐震化されていないということについて質問いたしましたところ、技監は、財源確保をいかにしていくかということが極めて重要というふうに答弁されたことが極めて印象的でした。
 そこで伺いますけれども、住宅の耐震化、不燃化への支援、あるいは都市施設の耐震化等防災対策は、財政運営の上でも最優先課題として対応することが当然問われていると思いますけれども、どのようにお考えでしょうか。

○武市主計部長 東京都は、これまでも、首都東京の防災力強化を重要な課題と位置づけまして、木造住宅密集地域の不燃化、耐震化、公共建築物の耐震化など、災害に強い都市づくりの推進に向けまして、的確に財源を振り向けております。
 今後とも、財政の健全性に十分留意しながら、高度な防災都市の実現を目指してまいりますし、また、それに限らず、ハード、ソフト両面にわたり、必要な施策に対しまして財源を振り向け、都政の諸課題に積極的に取り組んでまいります。

○吉田委員 さらに、東京でも高齢者人口の比率は既に二〇%を超え、さらに増加するとともに、とりわけ、ひとり暮らし高齢者の増加ということも、東京の特徴としてあります。それだけに、高齢者対策に必要な予算などの上昇を確保することは基本的な責務であり、困窮化する都民生活支援の拡充も切実な課題となっています。
 それだけに、法人事業税取り上げの不当な措置の撤回などの歳入確保とともに、外環道を初めとする過大な投資の見直しは避けて通れないということを重ねて指摘しておきたいと思います。
 次に、先ほども話がありましたけれども、委託契約について若干質問をさせていただきます。
 私が伺いたいことを端的にいうと、入札の結果、基本的に最低価格を採用するということが地方自治法で定められていることは承知していますが、しかし、最低価格のみの判断によって、従来のサービス水準、あるいは都民サービスの後退を招くという懸念があり得ると思うんですけれども、この点はどのような対応になっているんでしょうか。

○石井契約調整担当部長 委託契約につきましては、適正なサービス水準を確保するため、必要な事項を明記した仕様書を作成し、業務を発注しております。また、業者の入札指名に当たりましては、履行能力を確認の上、行っているところでございます。
 さらに、日々の業務履行におきまして履行状況の確認を行うとともに、必要に応じて改善を指示するなどしておりまして、こうした方策によりまして、品質確保に適切に対応しております。

○吉田委員 委託業務の場合、建築などと違って、日々履行状況を確認し、必要に応じて是正することができるということの説明がありましたが、問題は、受注した業者が、実際にそうした日々の是正によって耐え得るだけの能力があるのかどうかということだというふうに思います。
 そこで伺いますけれども、一昨年度及び昨年度に行った委託契約で、契約締結後に履行不能というふうになった事例はなかったんでしょうか。

○櫻井経理部長 契約後、事業者をかえざるを得なくなった事例でございますけれども、財務局で契約締結をした委託契約におきまして、平成二十三年度に一件発生しております。この事例は、事業者が所管する行政庁から営業停止処分を受けまして、受託不能となったことから、契約の続行ができなくなったものでございます。

○吉田委員 あわせてお伺いしますけれども、昨年度に財務局が入札し、落札業者を決定した事業で、その後、執行が、履行が不能となったという事例があると思うんですが、この点はいかがですか。

○櫻井経理部長 今年度のお話でございますけれども、今年度の状況については、まだ年度途中でございますので、件数等をお答えする状況にはございませんが、受託者の履行能力の問題から契約継続が難しくなった、そうした事案があったというふうに認識してございます。

○吉田委員 これは既に他の委員会でも明らかになっていますが、平成二十四年二月二十二日に入札が行われ、したがって、昨年度入札が行われた東京都立広尾病院調理等業務委託に関してなんですけれども、次のようなことがありました。
 これは、答弁した部長の答弁をそのまま引用しますが、広尾病院では、本年四月一日から給食調理の委託業者が交代したため、開始直後におきまして、定時配膳の遅延や献立を変更するなど、一部食事の提供に混乱が生じ、病院職員が支援したことがございました、この業者から契約に関する辞退届の提出がございまして、四月末日の履行をもって契約を打ち切っております、五月一日より別の業者が受託し、現在、安定的に給食の提供を行っているところでございますと。
 もちろん事業としては今年度ですけれども、しかし、この入札を行い、落札業者を決定したのは、直接的には財務局の所管であり、昨年度行われたことです。ケース的には多くないかもしれませんけれども、こうしたこと、とりわけこの場合には、病院給食ということになったら、直接、いわば医療活動、治療活動と一体ということですから、その影響は非常に大きいものがあると思うんですけれども、こういう点についてはどうなんでしょう。やはり具体的な事実に基づいて検討などということはないんでしょうか。

○石井契約調整担当部長 委託契約におきましては、日々の業務履行におきまして、きちんと確認した上で、確実な履行の確保を図ることが原則というふうに考えております。
 仕様書どおりに履行ができない場合につきましては、発注局におきまして適宜改善を指示し、それでも履行確保されない場合につきましては契約解除を行うなど、適切な対応をしているところでございます。

○吉田委員 これも既に他の委員会では部長が答弁されているんですが、部長というのは直接の事業の担当部長ですけれども、次のように答弁がされています。契約方式の改善に向けまして、治療の一環として位置づけられます病院給食の重要性に十分配慮した、よりふさわしい調理業務委託の発注方式のあり方につきまして、既に関係局と検討を開始しているところでございますと。関係局になったら当然、財務局だと思うんです。財務局が入札、落札を決定するわけですから。
 こういう答弁がありましたけれども、私はやはり、そうした今回の事例も含めて検討が行われるべきだと思いますし、検討されているなら、ぜひそれを進めていただきたいというふうに思っております。
 次に、これも先ほどちょっと議論がありましたが、私どもにとって非常に身近な委託業務のことについてお伺いをさせていただきます。
 議会棟の清掃業務委託について伺いますが、平成二十年度と二十三年度で契約額がどのように推移をしているのか、ご答弁をお願いいたします。

○間庭庁舎運営担当部長 都議会議事堂の清掃委託契約につきます契約金額でございますが、平成二十年度は三千三十五万円、平成二十三年度は二千二百八十九万円でございます。

○吉田委員 三年間で二五%削減をされています。業務範囲がどういうふうになっているかをちょっと確認していませんけれども、業務がそんなに大幅に削減されたということはないと思います。
 当然、契約額の大幅な減少は、委託事業者の雇用環境の悪化につながりかねないというふうに思いますが、都としてはどのように認識しているのか、あるいは発注者である都として、委託事業者の雇用環境についてどのように考えていらっしゃるのか、ご答弁をお願いいたします。

○石井契約調整担当部長 業務委託に必要な経費につきましては、取引の実例価格、必要な数量、履行期間などをもとに、適切に予定価格を積算の上、業務の発注を行っております。
 契約金額につきましては、予定価格の範囲内において、公正な入札の結果、落札者となった相手と合意されたものであると認識しているところでございます。さらに、品質を確保するため、その都度、履行内容を確認し、適切な指導を行っております。
 雇用関係における労働条件などの雇用環境につきましては、労働基準法や最低賃金法などの労働法規に定められるとともに、各企業におきまして、労使間での交渉等で自主的に決定されるという法制度となってございます。これらの法令の遵守につきましては、契約約款に基づきまして受注者に義務づけているところでございます。

○吉田委員 もちろん、法令は遵守されているんでしょうけれども、業務内容が大きく変わらない中で二五%削減ということになれば、当然、働く方々の賃金、雇用環境などに大きな影響を及ぼしていることは、もう明らかだと思います。
 労使間で交渉で自主的に賃金が決まるかのようなお話がありましたけれども、それは、現実の問題としてはなかなか容易なことではないというふうに思います。それだけに、私は、発注者が、雇用者の賃金等が確保される、そういう雇用環境ということも視野に入れて発注すべきですし、そういう側面についても、きちんと見ておく必要があるというふうに思います。
 そうした意味でも、とりわけ東京都としての社会的責任という観点からも、こういう問題は検討されるべきだと思いますし、今、全国の自治体の中でも検討が始まり、また、一部実施が始まっていますけれども、公契約条例の制定ということも課題となっているのではないかということを述べまして、質問を終わります。

○くりした委員 私からは、土地信託事業についてお伺いをいたします。
 ご承知のとおり、都においては、バブル経済期を中心に幾つかの土地信託を開始し、近年、次々と契約満了を迎え、そしてまた、これから迎えることから、そのあり方について再び今、注目が集まっております。
 新宿モノリスを筆頭に五つの事業に取り組んでいただく中、バブルの崩壊、そしてその後の景気停滞も手伝って、計画当時の収入予測からすると、すべての事業においてかなりの苦戦を強いられているという状況でありましたが、そのうちの二つの施設について、契約満了に伴って、都においても、それぞれの契約について出口戦略を検討いただいて、そしてその末に、目標をより時勢に合わせて現実的な形に修正をしていっていただいたのかなというふうに思います。
 このたびは決算委員会でございますので、既に契約を更新した事業がその後どのように運営をされたのか、また、それを踏まえて、今後の戦略にどのように生かしていくのかという観点で質問させていただきたいと思います。
 まず、最初の契約更新、約二年前に信託契約を延長しました新宿モノリスにおける、契約延長後初年度となる平成二十三年度の配当実績と、そして、信託契約を延長する以前であった平成二十一年度及び二十二年度の配当実績について、お伺いをいたします。

○岩瀬利活用調整担当部長 新宿モノリスにつきましては、専門家の意見を踏まえ、不動産市況や建物の管理状況など、さまざまな視点から慎重な検討を行い、平成二十二年十一月より五年間、信託契約を延長してございます。
 信託契約を延長した初年度であります平成二十三年度における配当実績は、賃料や共益費などの収入が約四十二億五千万円、ビル管理に係る諸経費などの費用が約二十六億円、差し引き約十六億五千万円の収益を上げ、そのうち配当として約十四億五千二百万円が都の収入となってございます。
 信託契約を延長する以前の配当は、平成二十一年度が約十四億六百万円、平成二十二年度が約十四億一千五百万円でございまして、信託契約延長後においても、延長前に引き続き安定した収入となってございます。

○くりした委員 今のご答弁から、信託期間延長後においても以前とほぼ同等の配当を受けて、配当額としても都財政に貢献をしているといえると、そういった状態なのかなというふうに感じました。
 配当を確保していくためには、賃料収入をよりたくさん得るということは当然でありますが、コストの縮減努力というのも非常に重要になってくるわけであります。配当の割合を高めようとする余り、維持や修繕をないがしろにし過ぎてしまうと、先ほどの質問でもるるお話ございましたけれども、この場合は信託財産の価値そのものを下げてしまいかねないということもあるわけであります。
 単純に収益額が上がったかどうか、短期的な視点だけではなくて、修繕計画を含め、いかに資産を守り、長期的な収益を得ていくかという視点も大切なわけでありますが、平成二十四年度の事業計画はどのようになっているのか。特に建物、設備の修繕計画について、どのような計画が盛り込まれているのか、お伺いをいたします。

○岩瀬利活用調整担当部長 新宿モノリスの平成二十四年度の事業計画では、賃料や共益費などの収入が約四十七億円、ビル管理に係る諸経費などの費用が約三十三億円、そのうち、今お話しの修繕計画を踏まえた維持修繕経費として約十五億円を計上してございます。具体的には、火災報知機設備及び照明器具類の更新、ゴンドラ設備の更新並びに屋上防水補修などに必要な工事を計画的に行う予定でございます。
 なお、平成二十四年度の信託配当につきましては、平成二十三年度実績とほぼ同額の約十四億三千九百万円と見込んでございます。

○くりした委員 必要な工事や改修については、かつてと変わらないレベルでしっかりやっていただけるように予定を立てていただいていると、そういったお答えをいただいたのかと思います。
 新宿モノリスについては、五つの土地信託事業の中においては比較的運用状況も良好でありますので、これからも引き続き、長期的に安定した配当を得て、都財政に貢献を続けていけるように、都からもご注力を願いたいと思います。
 新宿モノリスが、当初の予測からは外れていますが、都財政に貢献をしている一方で、本年七月には、借入金の負債を抱えながら、やはり五年間、信託契約を延長した両国シティコアがございます。まだ契約延長して間もないことから、その実績は出ていないということでありますが、今年度の事業計画、とりわけ借入金の返済状況及びテナントの入居状況について、お伺いをいたします。

○岩瀬利活用調整担当部長 両国シティコアの平成二十四年度の事業計画でございますが、賃料などの収入が約十四億四千万円、ビル管理に係る諸経費などの費用が約九億八千万円、差し引き約四億六千万円の収益を上げ、そのうち借入金の返済として約四億五千万円、配当として五百万円を見込んでございます。
 また、オフィスビルに入居するテナントの入居状況でございますが、入居率でお示しいたしますと、平成二十四年一月一日現在が約九七%でございまして、平成二十四年九月末現在では一〇〇%となってございます。

○くりした委員 ありがとうございます。両国シティコアについては、オフィス棟と住民が住む居住棟を切り離して、オフィス棟で得る賃料収入をもって、十七億円あった借入金の負債を五年間で返済していくという、そういった計画で契約更新をしたかと思います。
 平成二十四年度の借入金の返済予定額は約四億五千万円と、これがもし予定どおり推移をして、そしてこういった形で毎年返済を続けていけば、五年を待たずに返済は可能になる見込みかと思います。
 負債を返済できるということは、一つの区切りになるというふうには思いますけれども、そもそもこの事業を始めたメーンの目的の一つとしては、やはり配当収入によって都民の財産をふやすということがあったわけであります。借入金の返済が終了していないことから、配当についてはここ数年、一年当たり約五百万円という、資産価値からすると非常に寂しい状況が続いていたわけでありますが、早くこの借入金返済を終え、より多くの配当を得て都財政に貢献することを、私も期待いたしております。
 また、両国シティコアに限らず、土地信託事業全般について、私もこれまで、さまざまな機会をとらえて申し上げさせていただいてまいりましたが、都が行う土地信託という資産運用方法自体が妥当であるかどうか、いわば出資者である都民から疑念を持たれないように、一刻も早い負債の解消に向けて、信託受託者や管理会社へのチェックをさらに強化していくことが重要であるというふうに考えておりますが、それについて、都のご見解をお伺いいたします。

○岩瀬利活用調整担当部長 契約延長後の土地信託契約書におきましても、従前と同様に、当該年度の事業実績報告及び翌年度の事業計画の報告を義務づけております。その中できめ細かなヒアリング等を実施し、信託全般の収支計画を検証していく過程におきまして、本件が位置する両国地域周辺での不動産市況の状況や、管理委託コストの動向などについてチェックしております。
 また、信託財産に関する調査及び監査についても規定しておりまして、必要に応じ、修繕計画の検証、緊急的工事の妥当性、OA機器等の更新計画など、資料もしくは報告を求めながらチェックを行ってきております。
 こうした取り組みを通じまして、土地信託事業として安定的な事業運営がなされるよう、今後とも適正な運営に努めてまいります。

○くりした委員 この土地信託事業について、私も事あるごとに局からもお話を伺いながらやってきましたけれども、事業についてお話を聞くと、事業運営自体は直接的には銀行がやっているということで、情報公開の面で限定的であったり、透明性の確保の面でなかなか難しい部分が存在をしているというふうに感じております。
 都民からすると、納めた税金をもとに、銀行が出してきた計画を都が是としてそれをやらせているというふうに、資産を運用しているということで、この銀行が行う事業に対して、やはり都がそれを選んだ責任も問われることは、私は、これは当然のことだというふうに思っております。銀行が責任者だからそれに任せると、そういうスタンスではなくて、都からも、今やっていただいているというお答えもいただきましたけれども、事業効率の検証や情報をできる限り公開するように、より力強く折衝を行っていっていただきたいと思っております。
 平成二十七年度にはコスモス青山、三つ目の土地信託が契約の満了を迎えます。土地信託の活用に当たっては、やはりそのメリットを踏まえるとともに、社会経済状況の見通しや他の土地の活用方法、さまざまあるわけでありますが、それらとの比較検討など、課題に対して、さまざまな視点から、どういったものを選んでいくか検討を進めていくべきだというふうに考えますが、コスモス青山の出口戦略を検討していく上での都の基本的な考えについて確認をして、私からの質問を終わらせていただきます。

○岩瀬利活用調整担当部長 信託期間満了後の取り扱いにつきましては、信託としての債権債務のほか、建物の資産評価等も含め、不動産鑑定士や弁護士など専門家の意見も聞きながら、信託財産の評価、検証を正確に行い、把握する必要がございます。
 その上で、コスモス青山としての事業特性や、青山という地域性も踏まえまして、社会経済状況や不動産市況の見通し、費用対効果など、さまざまな視点から総括、検証を行うとともに、受託銀行との協議を重ねながら、平成二十七年九月の信託契約満了時を見据え、検討を進めてまいります。

○菅委員 それでは、私の方からは、先般公表されました年次財務報告書をもとに、平成二十三年度の財政運営について幾つか質問をいたします。
 財政の役割として、毎年支出が必要になる経費、例えば、法令に基づいて支給される福祉関係の手当や職員の人件費といったものが代表的なものでありますが、そうした経常的な支出へきちっと対応すべき、このことは論をまちません。
 同時に、目まぐるしく変わる社会経済状況の中で、都民ニーズにしっかりとこたえていくためには、それに柔軟に対応していけるだけの財政のしなやかさを備えておくことが極めて重要だと、こういうふうに思います。
 こうした財政のしなやかさをはかる指標としてよく知られているものに、経常収支比率があります。財政学の本などによりますと、経常収支比率は八〇%ぐらいが理想の数値であると、こういうふうに記述されているものがありますが、今回の年次財務報告書によれば、都の経常収支比率は、リーマンショック前では八〇%台であったものが、ここ数年九〇%台半ばで推移し、二十三年度は九五・二%となっております。
 そこでまず、二十三年度の経常収支比率について、都はどのように評価しているのか、お尋ねをいたします。

○武市主計部長 経常収支比率は、税収などの経常的、基本的な収入に対する人件費、扶助費、公債費などの経常的、義務的な経費の割合を示すフローの指標でございます。
 平成二十三年度決算の経常収支比率は、分母を構成いたします都税収入が四年連続の減少となったことに加えまして、分子となる歳出につきまして、社会保障に関連する扶助費、補助費等が増加したことなどによりまして、前年度と比べ〇・七ポイント上昇し、引き続き九〇%を超える水準にございます。
 この比率は、お話にありましたとおり、財政の弾力性をあらわす代表的な指標でありますが、景気動向によりまして税収が大きく変動するという歳入構造を抱えております都財政におきましては、経常収支比率は景気の動向に左右されるという、そういう特徴を持っております。
 したがいまして、都財政の健全性を評価する際には、こうしたフローの情報だけではなく、基金残高や都債残高などのストック情報も含めて、総合的に判断する必要があると考えております。
 この年次財務報告書の中でお示しをしておりますとおり、財源として活用可能な基金残高は、二十三年度末で約一・一兆円確保しておりまして、また、都債残高につきましては約五・八兆円と、ピーク時であります十二年度と比較いたしまして一・九兆円の減少となっております。
 こうしたことを勘案いたしますと、二十三年度決算では、経常収支比率だけを見ると、財政の弾力性はやや低下しているものの、全体としては、都財政は引き続き健全な状態にあると考えております。

○菅委員 経常収支比率は、税収減などの影響により厳しい数値になっているものの、ストック情報などを踏まえて全体を俯瞰してみると、都財政は総じて健全性を保っている、こういう答弁でありました。
 単年度の現金の動きや一つの指標に目を奪われることなく、多面的に物事をとらえることが重要だということで、これは極めて大きな、大事な視点だと思います。そういう視点を踏まえつつ、次に、財務諸表の中から、キャッシュ・フロー計算書に基づき、幾つかお尋ねをいたします。
 今回注目すべきは、この報告書を作成して以来、初めて行政活動キャッシュ・フロー収支差額がマイナスに転じていることであります。
 そこで、行政活動キャッシュ・フロー収支差額がマイナスに転じている、その主な要因をお尋ねいたします。

○武市主計部長 行政活動キャッシュ・フロー収支差額は、一つには、毎年度の経常的な行政サービスに伴います行政サービス活動収支差額、もう一つは、固定資産の形成など後年度にも効果をもたらします社会資本整備等投資活動収支差額、この二つを合計したものでございます。
 その一点目の行政サービス活動収支差額につきましては、税収や国庫支出金など収入が減少する中、先ほど申し上げました社会保障に関連する扶助費、補助費等が増加したことなどによりまして、平成二十三年度は一千七百十六億円のプラスであるものの、その額は前年度に比べまして五百二十五億円少なくなっております。
 また、二点目の社会資本整備等投資活動収支差額は、基金繰入金などの収入が減少し、投資的経費や貸付金などの支出が増加したことなどによりまして、二千八億円のマイナスとなっておりまして、しかもそのマイナスの幅は、前年度に比べまして約千二百億円拡大をしております。
 その結果、行政サービス活動収支差額のプラスを社会資本整備等投資活動収支差額のマイナスが上回るということになりまして、その二つを合計いたしました行政活動キャッシュ・フロー収支差額は、二百九十二億円のマイナスに転じたものでございます。

○菅委員 それでは、この行政活動キャッシュ・フロー収支差額のマイナスをどのように評価しているのか、所見を伺います。

○武市主計部長 これは、民間企業を例に使いますと、民間企業が経営分析を行う際には、一般にフリー・キャッシュ・フローという概念が用いられておりまして、それは、営業活動で獲得したキャッシュ・フローから、設備投資などに回したキャッシュ・フローを差し引いたもので、お話しの行政活動キャッシュ・フロー収支差額に相当するものでございます。
 トヨタ自動車でございますとか、パナソニックといった我が国を代表する企業でも、時といたしましてフリー・キャッシュ・フローがマイナスになることがございますが、その要因は、売り上げの減少や事業の拡大に伴います設備投資の増加など外部環境の変化でございますとか、あるいは投資戦略によるものでございます。
 東京都の場合、委員お話しのとおり、年次財務報告書の作成を始めました平成十八年度から二十二年度決算までは、行政活動キャッシュ・フロー収支差額、いわゆる民間でいいますフリー・キャッシュ・フローは、一貫してプラスを維持し、それを活用いたしまして都債の償還を着実に進めるなど、財政の健全性をさらに高めるよう努力をしてまいりました。
 一方、二十三年度決算におきましては、先ほど申し上げたような要因で、行政活動キャッシュ・フロー収支差額がマイナスに転じてございますけれども、今後、長期的にマイナスが常態化することがなければ、民間企業でも一時的にはマイナスになっているのと同じように、単年度の収支差額がマイナスであったとしても問題はないものと考えております。

○菅委員 単年度の行政活動キャッシュ・フロー収支差額がマイナスである、そのこと自体は問題ないという答弁でありました。裏を返せば、マイナスがずっと続いてしまう状態になると、これは経営上も憂慮すべき状態ということであり、そうした事態を招かないことが重要だと思います。
 ピンポイントでの数字に一喜一憂するのではなく、中期あるいは長期の視点を持って、戦略的に財政運営に当たっていく必要があります。引き続き、事業評価による施策の見直しなど内部の努力を継続していただき、少子高齢化に伴う社会保障費の増大など、今後想定される歳出の増加にもしっかりと対応していただきたい、こう思います。
 さて、先ほどの答弁では、投資的経費が増加したということでありました。国が公共投資を減らしているこの間も、都は、投資的効果の高い公共事業を推進する予算を編成してまいりました。その結果は決算にもあらわれ、報告書の分析にもあるとおり、都の保有する建物やインフラなどの資産は、この報告書の作成を始めた十八年度から連続して増加しております。
 新聞などでは、この資産の増加をもって、都の財政運営が前向きにとらえられておりますが、実際のところ、営利を目的としない行政の決算として、これをどのように評価するかは、なかなか難しいところだと思います。
 そこで、インフラ資産を初めとする資産形成を、財政運営上どのようにとらえているのか、お伺いをいたします。

○武市主計部長 道路や橋梁、庁舎や文化施設など、東京都が形成する資産は、都民の利便性の向上や東京の活力の維持、ひいては国際競争力の向上などに寄与するものでありまして、厳しい財政環境の中にあっても着実に整備を推進していく必要があると考えております。
 一方で、資産を保有するということは、その価値を維持するための経費でございますとか、老朽化による将来の更新需要が発生するということに留意をする必要がございまして、例えば、更新の一つの目安となります減価償却累計額は、平成二十三年度末で三兆円を超える水準となっております。
 このため、私どもといたしましては、都債の発行余力など財政の対応力を引き続き堅持いたしまして今後の更新需要などに備えるとともに、資産の形成に際しましては、新たな公会計による発生主義の視点から、維持管理経費だけでなく将来の更新費用などを含めたコスト分析を一層活用するなど、多面的な検証を行うことが重要であると考えております。

○菅委員 ただいまご答弁いただきましたように、新たな資産を形成していく際には、施設整備などの初期費用などだけではなく、維持管理に係る経費など将来にわたるコストも含めて多面的に分析を行い、政策判断をしていただきたい、こういうふうに思います。
 今後必要になる資産の形成という点では、先ごろ公表された地域防災計画の修正素案には、橋梁の耐震化、津波、高潮対策などが盛り込まれているほか、老朽化した都有施設の維持更新についても着実に進めていかなければなりません。
 税収がこの先どうなるか、依然として不透明な状況にありますが、都政には、こうした防災への取り組みや社会資本ストックの更新、さらには、先ほど申し上げた少子高齢化への対応など、対応すべき課題が山積みでございます。
 こうした厳しい状況にあっても、引き続き社会経済状況の変化にもしなやかに対応し、都民の期待にこたえる財政運営を継続していただきたいと思うわけでありますが、この点について、最後に局長の見解を伺って、質問を終わります。

○中井財務局長 先ほど主計部長からも申し上げましたとおり、都財政は、景気変動の荒波がダイレクトに税収変動にはね返り、それがそのまま歳入の増減に結びつくという、特徴的あるいは宿命的といえるかもしれませんが、そういった財政構造にあるわけでございます。
 リーマンショックに端を発する、この間の大きな経済変動への対応や、東日本大震災を受けての緊急対策など、都がこれまで機を逸することなく着実にその使命を果たすことができたのは、こうした都財政の構造的特徴を前提として、財政再建を達成した後も、基金の充実や都債残高の圧縮といった財政の対応力、先ほど委員からのお言葉としてありました、しなやかさをたゆみなく培ってきたからにほかならないわけでございます。
 ご案内のとおり、現下の我が国の経済状況は、世界景気の減速などさまざまな下振れリスクを抱え、不確実性が高まっており、財政環境の先行きは明確に見通すことが困難な状況にあるわけでございます。
 しかしながら、こうした中にあっても、都民生活の直面するさまざまな課題への迅速果敢な対応や、東京のさらなる成長と発展を促す施策の推進などに、財政面から安定的かつ継続的にしっかりと対応していくことが、私ども財政当局に課された使命と認識をしてございます。
 そのため、都債や基金を計画的に活用することはもとより、事業評価など自己改革の取り組みを不断に継続することにより、今後の外部環境の大きな変化にも対応し得る強固な財政基盤を引き続き堅持し、都民の期待にこたえてまいる所存でございます。
 今後とも、組織を挙げて全力で取り組んでまいりますので、先生方の引き続きのご指導、ご支援をよろしくお願い申し上げます。

○泉谷委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑は、いずれもこれをもって終了したいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○泉谷委員長 異議なしと認め、本件に対する質疑はいずれも終了いたしました。
 以上で財務局関係を終わります。
 以上をもちまして第一分科会における決算の審査は終了いたしました。
 なお、本分科会の審査報告書については、分科会委員長において取りまとめの上、委員会委員長に提出いたしますので、ご了承願います。
 これをもちまして第一分科会を閉会いたします。
   午後二時五十六分散会

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