平成二十三年度各会計決算特別委員会第二分科会速記録第五号

平成二十四年十月二十二日(月曜日)
第十委員会室
   午後一時開議
 出席委員 十名
委員長高橋 信博君
副委員長伊藤こういち君
副委員長尾崎 大介君
畔上三和子君
斉藤やすひろ君
田中たけし君
鈴木あきまさ君
滝沢 景一君
岡田眞理子君
馬場 裕子君

 欠席委員 なし

 出席説明員
教育庁教育長比留間英人君
次長庄司 貞夫君
理事高野 敬三君
総務部長松山 英幸君
都立学校教育部長直原  裕君
地域教育支援部長谷島 明彦君
指導部長坂本 和良君
人事部長岡崎 義隆君
福利厚生部長前田  哲君
教育政策担当部長白川  敦君
特別支援教育推進担当部長廣瀬 丈久君
人事企画担当部長加藤 裕之君

本日の会議に付した事件
平成二十三年度東京都各会計歳入歳出決算の認定について
教育庁関係
・平成二十三年度東京都一般会計決算(質疑)

○高橋委員長 ただいまから平成二十三年度各会計決算特別委員会第二分科会を開会いたします。
 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、教育庁関係の決算に対する質疑を行います。
 これより教育庁関係に入ります。
 決算の審査を行います。
 平成二十三年度東京都一般会計決算中、教育庁所管分を議題といたします。
 本件につきましては、既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○松山総務部長 去る十月十日の当分科会で要求のございました資料についてご説明申し上げます。
 お手元の平成二十三年度各会計決算特別委員会第二分科会要求資料の目次をお開き願います。
 今回要求のございました資料は十六件でございます。
 それでは、一ページをお開き願います。1、都立高校の授業料徴収対象者及び減免状況(平成二十三年度)でございます。
 授業料徴収の対象者となる場合がある生徒のうち、傷病の療養等により無償化の対象とした生徒と、都の制度により授業料の免除または減額となった生徒の人数について区分ごとに記載してございます。
 二ページをお開き願います。2、特別支援学校(肢体・知的)の外部専門家及び外部人材の導入人数及びそれに伴う教職員定数削減数、各校の導入年度でございます。
 外部専門家及び外部人材の導入状況とそれに対応する教職員定数の削減数について、対象職種、人数及び学校数を記載してございます。また、各校における導入年度を記載してございます。
 三ページをごらんください。3、平成二十四年度都立特別支援学校の保有普通教室の状況でございます。
 平成二十四年五月一日現在、都立特別支援学校で保有している普通教室の数について、障害種別、学校別に記載してございます。
 四ページをお開き願います。4、都立学校の教職員定数配当基準の主な推移(平成十二年度から平成二十四年度まで)でございます。
 このページから六ページにかけまして、都立高校全日制、定時制及び都立特別支援学校の定数配当基準の主な推移と、平成二十四年度の教職員定数の配当基準について記載してございます。
 七ページをお開き願います。5、教育管理職選考、主幹教諭選考、主任教諭選考の合格予定者数、受験者数、合格者数の推移でございます。
 平成十五年度から平成二十四年度における選考年度別の合格予定者数等の実績について、選考区分ごとに記載してございます。
 八ページをお開き願います。6、東京都公立学校教員採用者数の推移(平成二十年度から平成二十四年度まで)でございます。
 東京都公立学校教員の採用者数について、年度別に記載してございます。
 九ページをごらんください。7、都立高校における日本語教育が必要な生徒の受入状況及び教職員の配置状況でございます。
 海外帰国生徒、引き揚げ生徒など日本語教育が必要な生徒の受け入れ状況と配置教員数について、入学者選抜の年度別に記載してございます。また、日本語指導が必要な外国人生徒数について年度別に記載してございます。
 一〇ページをお開き願います。8、都立高校図書室の司書の配置状況と司書業務が民間委託されている学校でございます。
 平成二十一年度から平成二十四年度における司書の配置状況について記載してございます。また、民間委託されている学校について、学校名と学校数を記載してございます。
 一一ページをごらんください。9、平成二十四年度における国の標準を下回る学級編制の実施状況でございます。
 このページから次の一二ページにかけまして、各都道府県における実施状況について記載してございます。
 一三ページをお開き願います。10、東京都公立小中学校児童生徒の就学援助受給者の推移でございます。
 平成十四年度から平成二十三年度における就学援助を受けた児童生徒数及び受給率の推移について、要保護、準要保護の別に記載してございます。
 一四ページをお開き願います。11、平成二十四年度小中学校へのスクールカウンセラーの区市町村別配置状況でございます。
 平成二十四年度における区市町村別の学校数とスクールカウンセラーの配置数について、区部、市部、町村部の別、小中学校別に記載してございます。
 一五ページをごらんください。12、区市町村別小中学校普通教室の冷房設備設置状況でございます。
 平成二十三年度末における普通教室の冷房設備の設置校数、設置率について、小中学校別、区部、市町村部の別に記載してございます。
 一六ページをお開き願います。13、都立高校及び都立特別支援学校教員の在校年数別人数と平均在校年数でございます。
 このページから一八ページにかけまして、都立高校等の教員の在校年数別の人数と平均在校年数について、職層別、職種別に記載してございます。
 一九ページをお開き願います。14、小中学校の事務職員の定数、正規職員数、再任用職員数でございます。
 平成二十三年四月一日現在における事務職員の定数等について、小中学校別に記載してございます。
 二〇ページをお開き願います。15、就学援助の対象となっている児童生徒数が多い学校に対する事務職員の配置でございます。
 就学援助の対象となっている児童生徒数が百人以上で、その学校の生徒数に対する割合が二五%以上の学校数と事務職員の配置について、小中学校別、一人配置、二人配置の別に記載してございます。
 二一ページをごらんください。16、栄養職員と栄養教諭の定数及び配置状況(小学校、中学校、高等学校、特別支援学校)でございます。
 平成二十三年四月一日現在における栄養職員及び栄養教諭の定数及び配置状況について、校種ごとに記載してございます。
 以上、簡単ではございますが、要求のございました資料の説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどをお願い申し上げます。

○高橋委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めまして、これより本件に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○岡田委員 私からは、児童生徒の安全の観点から何点か質問させていただきます。
 まず、平成二十三年度の決算説明書に、地域ぐるみの学校安全体制整備推進事業の記載がありますが、これはどのような事業なのでしょうか、その内容と取り組みをお伺いいたします。

○谷島地域教育支援部長 地域ぐるみの学校安全体制整備事業は、学校や通学路における子どもの安全確保を図るため、地域全体で子どもの安全を見守る体制の整備を目的として、平成十七年度から開始されました。現在、スクールガードリーダーによる学校の巡回指導や学校安全ボランティア養成講習会の開催などの経費を補助しており、平成二十三年度におきましては、十八区市が本事業を実施しているところでございます。

○岡田委員 私も学校現場で働いていたころに、子どもたちの学校安全体制として、子どもたちと一緒に安全マップというのをつくり、校内だけではなく、子どもたちの通学路や遊ぶ箇所などを見て回りまして、そしてそういった地図をつくったことが思い出されましたけれども、子どもたちのいつも遊んでいる場所などは、何でもないように思えるようなところでも、結構安全面から見てみますと、道路から死角になっている場所があったり、騒音がひどく、万が一、いざというときに大きな声を出しても声が届かない場所があったり、また公園内で物陰になっているところや人通りの少ないところなど、かなり危険が潜んでいる箇所があるのだなということを感じましたし、そういった箇所が見つかりました。学校内だけではなく、そうした地域の子どもたちが立ち寄りそうなあらゆる場所を点検しておくことは重要なことだなということをかねがね思っております。
 二〇〇一年に大阪の池田小学校で事件が起きたあの後などは、学校への出入りや来校者のチェックなど非常に厳しくやっていたんですけれども、やはり時間がたってきますと、そういったところが気が緩んでいるのではないかなという、危機感の緩みがちな学校も見られたりしております。
 また、最近では考えられないような犯罪も起こったりしておりますし、この地域ぐるみの学校安全体制整備推進事業では、スクールガードリーダーという巡回指導がなされているということですけれども、この具体的な中身について教えてください。

○谷島地域教育支援部長 スクールガードリーダーは、防犯の専門家や警察OBなど、防犯等に関して一定の知識や経験を持つ方に担っていただいておりまして、区市町村教育委員会が委嘱しております。主な活動は、学校施設や通学路の巡回調査、学校ボランティアに対する巡回ポイントの指導助言などでございます。
 区市町村教育委員会からは、スクールガードリーダーによる専門的視点からの指導助言によって、子どもの見守り活動に対する意識の向上が図られた、子どもたちの安全・安心なまちづくりについて情報交換することができ、有意義であるなどの報告を受けております。

○岡田委員 こうした警察のOBの方が、スクールガードリーダーとして学校で巡回指導などしてくださることがわかりました。また、私も学校の近辺、まちの中でも見かけるんですけれども「ただいま巡回中」などといった、お母さん方の自転車のかごにそういうのが張ってあったりする、そうした自転車を見ますと、こういう方たちが見守りをしてくださっているんだなということもわかったりいたします。
 また、現役のお巡りさんですと、学校内に制服姿のまま入って来ていただいてしまうと、非常にいろいろな部分で子どもも大人も身構えてしまいますけれども、OBの方が、こうした専門の方が任に当たってくだされば、やはり安全のために非常に有効な手段であるなというふうに思われます。
 学校内の安全というのは、教職員だけの手では回り切れません。保護者や地域の方々のご協力も大事ですけれども、やはり専門の防犯を熟知した方が協力してくださるということは非常に心強いものだと思います。
 ただ、常日ごろ、このスクールガードリーダーという方は学校の中、そして学校の近くにいるわけではありませんから、そういった意味では、それぞれの学校での安全体制の強化というのはしっかりしていかなくてはならないんだなと思います。
 さて、児童や生徒の安全が脅かされるのは、近年では、インターネットサイトの利用に起因するものが増加していると聞いております。教育庁では、これら情報モラル教育に関して、これまでどのような取り組みをされてきたでしょうか、教えてください。

○坂本指導部長 ことし二月に、都内公立学校の児童生徒一万八千五百九十一人から回答を得たインターネット、携帯電話利用に関する実態調査では、パソコンや携帯電話を利用している児童生徒の六人に一人が何らかのトラブルを経験しており、前年の調査結果よりやや増加しております。
 都教育委員会は、これまでも教員研修の実施、指導資料やリーフレットの配布、サイバー犯罪対策シンポジウムの開催などを通しまして、各学校における情報モラル教育に関する取り組みを支援してまいりました。また、今年度は、すべての都立学校及び希望する区市町村立小中学校百十五校に情報教育の専門家を派遣し、新たに作成した情報モラル啓発DVDを活用したICT活用講座を実施しております。

○岡田委員 ありがとうございました。
 たしかきのうの新聞にも内閣府の方で調査したIT関係のこうした人権侵害の問題なども出ていました。その中で障害者とか、それから小学生など、そうしたやはり事件が多く起きているというような情報も出ていたと思われます。次々に新たな犯罪も生まれてくるこうした世の中ですから、ぜひ子どもたちの安全対策を万全に整えて取り組んでいただきたいと思います。
 さて、核家族化が問題視されるようになってから久しいですけれども、兄弟のいない児童や少ない児童にとって、年長のお兄さん、お姉さんとの触れ合いというのが非常に貴重なものだと思われます。
 昨年の東日本大震災のときも、中学生が小学生を避難誘導して助かったといったニュースもございました。私は、子どもたちの年長の立場にある高校生が小学生と触れ合うことは、小さい者、弱い者に対する思いやりや気遣い、また責任感や指導力なども育成できる大変よい機会だと思っております。
 かつて都立高校生が、近隣小学校児童の下校時の安全を守る活動に取り組んでいるという記事を平成十八年の「とうきょうの教育」の中で読みました。東京都教育委員会が学校、家庭、地域の社会全体で子どもを見守り、育成する取り組みとして、都立高校生による小学校児童の安全対策への支援事業を実施することに決定したという内容でした。これは非常に高く評価すべき事柄であると思いました。
 都立高校生と小学校児童が平素から交流を行うことは、児童の安全を確保する上でも有効であると考えております。
 そこで伺います。都立高校において高校生と小学校児童との交流にかかわる現状についてお伺いいたします。

○坂本指導部長 都立高校では、教科「奉仕」や部活動、学校行事などを通して、高校生が小学生との交流を行っております。具体的には、教科「奉仕」の時間に、高校生が小学校に出向き、授業中の学習補助、休み時間や放課後に児童と一緒に遊ぶ活動、下校の見守りなどを行っております。また、サッカー部や吹奏楽部の生徒が、希望する児童に対して、パスなどの基本技術や、楽器演奏に関する指導を行うなどしております。さらに、近隣の小学生を文化祭に招待し、ものづくり体験をさせたり、近隣の小学校との合同防災訓練で児童の避難の援助をしたりしております。

○岡田委員 非常にいい取り組みをされているということで高く評価しますので、今後とも、この都立高校生と小学校児童の交流は、安全面だけに限らずいろいろな面での、教育基盤の醸成につながるものでありますから、ぜひこれからも発展させていっていただきたいと思います。
 以上で質問を終わります。

○鈴木委員 私からは、非常に多忙をきわめる副校長の負担軽減について質問をさせていただきたいと思っております。この内容につきましては、昨年の二〇一一年三月一日の文教委員会で、我が党の村上英子現政調会長が、校務改善ということで質問をさせていただいております。その校務改善の報告書について聞きながら、また、人事部長さんから、経営支援部という新しい組織を立ち上げるんだというようなことをお伺いしております。それから半年がたっているわけでございますが、その辺も踏まえまして私から質問をさせていただきたいと、このように考えております。
 実は、私も四年ほど前に、自分の子どもの小学校で、PTA会長のなり手がいないということで頼まれまして、一年間PTA会長をさせていただいたことがあります。本当に一PTAとして、運動会や入学式や卒業式に出席をしているときは、正直いって、校長先生や副校長先生の、ふだん行っている仕事ぶりというのが十分わからなかった。ところが、PTA会長で週に二度三度行く、これはPTA会長というのも大変忙しい仕事なんですけれども、行かざるを得なくなりまして、校長先生や副校長先生といろいろと接する機会が多くなって、その中でも非常に、副校長の仕事の多忙さ、本当に驚くほどでした。
 夏休みはラジオ体操が六時半からあるわけなんですが、その当時の教頭先生は蔵前から私の大森まで通ってきていたんですけれども、昔と違って一夏ということじゃありませんけれども、十五日ですけれども、ラジオ体操まで、本当に毎日来る。私は、来なくていいよと、そんなことまでしていたら、夏休みは夏休みであなたのご家庭もあるんだろうから、それからやるべきことがあるから、もうラジオ体操には来なくていいと、そのようにお話をさせていただいたんですけれども、とにかく大変だという現状がわかりました。
 それで、今も申し上げましたように、副校長が多忙でなかなか本来業務にまで手が回らない。朝早くから出勤して、学校を出るときは職員の中で一番最後なんだと、これはもう私もそのような姿を見てまいりました。
 昨今、教育管理職のなり手、担い手がなかなか出てこないというのも、このような多忙さを教員の皆さんが目の当たりにしているからではないかというふうに思っております。
 そこで、まず、きょうのいただいた資料の七ページにも出ておりますけれども、過去五年間の教育管理職選考試験の倍率、この辺についてお伺いをしたいと思っております。

○岡崎人事部長 教育管理職選考は三種類、A、B、Cとございまして、A選考、これは若手を対象とする選考ですが、平成十九年度は一・四倍、平成二十年度から二十三年度まではいずれも一・三倍でございました。B選考は中堅を対象としております。平成十九年度は二・〇倍、二十年度一・五倍、二十一年度一・六倍、二十二年度一・三倍、二十三年度一・二倍となっております。またベテランを対象としたC選考、これは平成十九、二十年度が一・〇倍、二十一年度が一・一倍、平成二十二年度が一・二倍、二十三年度一・一倍と、非常に低倍率で推移しております。

○鈴木委員 今、A選考、B選考、C選考ということで、七ページにもこの選考が、どのような年齢層でやられているのかというのは書いてございますので、委員の皆さんも見ていただければおわかりになろうかと思いますが、今、指導部長の答弁にもあるように、横ばいということなんですが、むしろ過去五年間で、場合によっては倍率が下がっているというような現状にあるわけです。
 東京都教育委員会はこうした課題に対応するため、本年三月、小中学校の校務改善推進プランを策定をして、各区市町村、教育委員会や、公立小中学校の校務を効率的に運営するためのさまざまな方策を提案しているというふうにお伺いをしております。事前に意見交換をしたときにも、こういった資料もいただきました。副校長から始めようということで、こういったパンフレットもつくりながら、副校長のやりがいということを、それぞれの副校長先生からご意見を伺ってパンフレットにまとめ、あるいは給与面の改善も、昨今では、主幹教諭から副校長になると、私もここで見せていただいて、大分よくなってきているんだなと。やはりこれは給与面でもきちっと待遇されていないと、仕事は多くて給料が大して変わらないというんじゃ、正直いってやってられないというところもあるかと思いまして、こういう面でも改善されてきている。私はそういうような、ぜひ校長を補佐して、学校のマネジメントに参画をしてくださいというような周知というものも、近年、積極的になされているということも改めて知ることができました。そんな中で、この校務改善の、改めて現在の状況についてご説明をいただきたいと思います。

○岡崎人事部長 お話の小中学校の校務改善推進プランは、都教育委員会が示した、小中学校において進めるべき校務の見直しの指針でございます。その中でも中心的な施策となります経営支援部の設置などにつきましては、本年四月から公立小中学校約二千校のうち、約二百三十校が実施したところでございます。
 都教育委員会は、五月には、全都における校務改善の取り組みの進捗状況や改善策の効果の検証を行うために、校長、副校長、事務職員、区市町村教育委員会などの代表者で構成する校務改善推進会議を設置いたしました。この会議では、経営支援部設置校のうち、特に先進的な取り組みを行っている校長等からの報告や、都教育委員会が収集した情報をもとに、さまざまな立場の委員が議論を重ね、校務改善の取り組みの成果を現在検証しているところでございます。

○鈴木委員 現在は、校務改善推進会議でさまざまな先進的な取り組みの事例を収集をして調査を行っているということを今お伺いをしてわかりました。本格実施してからまだ半年余りということで、学校現場では試行錯誤しながら、この校務改善にようやく着手した段階ではないかといえると思います。
 そこで、現在までに各学校からどのような声が寄せられているのか、お伺いいたします。

○岡崎人事部長 校務改善を推進している学校では、経営支援部を設置して教職員の役割分担を明確化することによりまして、副校長への業務の集中が緩和されます。副校長が教職員の人材育成や地域連携の強化などの本来業務に一層力を注げるようになったと聞いております。
 本年六月にアンケートを実施いたしまして、その中でも幾つかの声があります。例えば、役割分担を明確化することで、教職員の意識を変えることができ、副校長がやらざるを得なくなっていた分担が不明確な業務、こういったものも教職員全体で分担できるようになったという声です。さらには、経営支援部の設置により、これまで以上に校務を横断的に調整することができるようになったという声、さらに、事務職員や業務職員も経営支援部の構成員として校務運営に参画することで、学校全体を見渡した校務運営ができるようになったなどといった声が寄せられてございます。

○鈴木委員 この校務改善に取り組んでいる、私地元の大田区では、大田区立馬込第二小学校と大田区立西六郷小学校ということで、私もちょっと現場の副校長先生にも教育委員会を通じてお伺いをしてみたんです。まだ半年ということですから、大きな効果は見えていませんというような話もされているんですけれども、実際に学校現場では、いじめ問題や学力向上など各種課題などがふえ続ける一方で、その対応に非常に追われているんだと。また、日常的な、国、東京都などからの複雑な調査報告業務や課題、いじめ問題などに付随する調査報告業務が多数あり、繁忙の一つであることは紛れもない事実だと思いますと。事務等の総量が増加している現状を考えた場合、副校長等の負担軽減は難しく、その解決には専任支援員などの人的配置が必要であると考えます、こういうような生の声を聞いてまいりました。実際にさまざまな問題が起きているので、それに対して、国に対して、そして都教委に対しての調査に答えるだけでも大変なんだ、こういうことを副校長はいっているわけですね。
 少しずつ前進しているということは今わかりました。学校現場の本音として副校長は、多忙で猫の手もかりたい状況で、副校長の多忙化の解消のためには、学校に二名の副校長を配置するということが理想であるとの声も聞きます。しかしながら、現在の都内には、公立小中学校が約二千校ある中で、副校長を二名配置するとなれば、教育管理職はさらに二千人増員する必要があるわけで、私としても、なかなかこれは難しいのではないかなあというふうにも思います。私が教育長だったら、一挙にやろうかというふうにもいいたいところだけど、現実的にはなかなか難しいんじゃないかなというふうにも思いますが、そこで、私は退職された校長先生や副校長先生をもう少し積極的に活用してはいかがかと思うんですが、この点、都教委はどのようにお考えになっているのかお伺いします。

○岡崎人事部長 ご指摘のとおり、副校長を支える人材として、学校運営の経験を有する教育管理職のOBを配置することは極めて有効であると考えます。現在多くの教育管理職OBが非常勤教員として公立小中学校に配置されております。教育管理職のOBが配置された学校の現在の副校長は、特定の仕事を任せることができて負担が大いに軽減されたとか、適時に適切なアドバイスを受け早期に問題解決を図ることができたといった声を寄せております。しかし、いまだ管理職OBを小中学校全校に配置することは数的にできておりません。今後、定年退職者等を対象とした退職準備講習会を初めあらゆる機会をとらえまして、校務改善に携わることの重要性をPRするなどにより、管理職OBを確保し、非常勤教員として積極的に配置してまいります。

○鈴木委員 今お伺いしたように、この非常勤職員を積極的に配置をして活用していくということが非常に効果を上げていくんだろうなというふうに実感をしております。
 この非常勤職員は、週四十時間ですか、お仕事をされるということですが、十一時間までは授業を受け持つことができるんだと。経験豊かな校長、副校長をされて退職された方は、授業の準備にもさほど時間がかからないと思いますし、それ以外の時間は副校長のサポートをしていただくということは非常に有効なんじゃないかなというふうに考えております。
 これまでのお話をお聞きして、学校現場の変化の兆しを感じております。とりわけ経営支援部が中心となり、学校が組織的に校務を行い、効率的に学校運営を行っていけば、学校現場は大きく変化をしていくのではないかと思っております。
 現在、二百校余りが経営支援部を設置して校務改善に取り組んでいるとのことですが、東京の小中学校が全体で取り組めば、東京の教育も大きく変わるのではないかと期待をしております。一日も早い全校への拡大に向けた都教委の意気込みというものをぜひお伺いさせていただきたいと思います。

○岡崎人事部長 ご指摘の経営支援部の設置を初めとする校務改善運動の普及のためには、有効な取り組みを区市町村教育委員会や各学校に積極的に周知していく必要があると考えております。そのため、校務改善に関する情報を掲載した校務改善ニュースを発行し、公立小中学校の全教職員にメールで配布しております。また、今月、都教育委員会のホームページに校務改善の情報を一覧できる専用のコーナーを新たに設けました。教職員に周知を図っているところでございます。さらに、新たに十一月を校務改善月間と位置づけまして、一校一改善運動や校務改善に関するPRを集中して実施する予定でございます。
 都教育委員会はこうした取り組みにより、校務改善の意義や効果を区市町村教育委員会、各学校に積極的に伝え、組織的かつ効率的な校務運営を目指すこの取り組みを全公立小中学校に広めてまいります。

○鈴木委員 今お伺いしましたように、このPRというものを効果的に積極的にぜひ教職員に本当にわかるようにPRをしていただきたいというふうに思っております。
 副校長の負担軽減は、本当に喫緊の課題なんだと思うんですよ。日々さまざまな問題が現場では起きてくるわけですから、校長、副校長をサポートする体制というものを学校の中でしっかりつくり上げて、これを機能させていかなければいけないというふうに、ぜひその辺の取り組みについてしっかりと取り組んでいただきたいと思っております。
 校務改善の推進により一日も早く、副校長が本来行うべき仕事に力が注げるよう進めてほしいと考えております。例えば、若手教員を直接教育したり、子どもたちと積極的に触れ合うことによって、学校運営の中心的役割を担う副校長が、より生き生きと仕事ができればと思っております。そして、教員も、教育管理職の仕事ぶりを見て、管理職を目指す教員が少しでもふえてもらえれば、このように期待をするところでございます。
 以上で私の質問を終わらせていただきます。

○伊藤委員 昨今の深刻化するいじめや児童虐待の問題、そして通学路で相次いだ交通事故は、決して看過することはできません。かけがえのない子どもたちの未来と命を守っていくことは、私たち大人の責務であります。そして、子どもたちが伸び伸びと学べる安全・安心の教育環境を整える責務を担っているのが都教育庁であり教育委員会であります。
 滋賀県大津市の中学生のいじめ自殺問題を受けて、文部科学省が本年夏に行った、いじめ緊急調査によれば、ことし四月以降の小中高校でのいじめの認知件数は約七万五千件にも上りました。そしてまた同省は、毎年いじめ調査を行っており、昨年度は一年間で七万件だったということから、ことしは約数カ月でこれを超えたことになるわけであります。これは、ことしに入って急にいじめが増加をしたのではなくて、今回の問題を受けて、これまで見逃されていたいじめが浮き彫りになったことが明らかであります。そこでまず私からは、都内における平成二十三年度の公立小中学校の児童生徒のいじめ、また暴力行為、そして、不登校の状況について伺いたいと思います。

○坂本指導部長 平成二十三年度における児童生徒の問題行動等の実態についての調査結果によりますと、平成二十三年度のいじめの認知件数は、平成二十二年度と比較しまして、小学校は二百六十二件増加の二千四百二十三件、中学校は六十六件増加の二千百九十五件となっております。また、暴力行為につきましては、小学校は八十二件増加の二百四十八件、中学校は三百九件減少の二千八十七件となっております。また、不登校児童生徒につきましては、小学校は七十九人増の二千十五人、中学校は百七十七人減の六千八百一人となっております。

○伊藤委員 二十二年度と比較した二十三年度の実態についてはよくわかりました。
 いずれにしても、いじめや不登校などで、都内の多くの子どもたちが苦しみ、またつらい思いをしている実態があることは事実であります。そこで、学校と都教委は、いじめの把握について、常に最大限の努力をする必要があると考えますけれども、都の見解を伺いたいと思います。

○坂本指導部長 いじめはどの学校でも、どの学級でも起こるものという認識のもと、児童生徒のわずかな変化も見逃さず、早期発見、早期対応に努めることが大切であります。
 都教育委員会は、ことし七月に、都独自のいじめの実態把握のための緊急調査を、都内すべての公立学校を対象に実施しまして、いじめと認知したものに加え、いじめの疑いがある事例までを含めて一万一千五百七件把握いたしました。各学校では、児童生徒にアンケートや面談を実施するなど、調査の内容や方法を工夫して、いじめの実態把握に努めるとともに、把握したいじめに関する情報を教員相互で確認、共有化いたしました。このことは、教員一人一人のいじめに対する意識を高めたことにつながったと考えております。
 今後とも、児童生徒や保護者から積極的に情報を収集し、いじめの未然防止、早期発見に努めますとともに、把握した案件すべてに対応することを各学校に徹底するなど、区市町村教育委員会と一体となって、いじめの問題の解決を図ってまいります。

○伊藤委員 二十二年度、そして二十三年度のいじめ実態調査では、公立の小中学校合わせて、いずれも約四千五百件であった。そしてまた、今答弁いただいたように、本年の七月に行った緊急調査では一万一千五百七件だった。たった四カ月で、これまでの一年間の二倍以上の数になっております。この一万一千五百七件というのは、小中学校に加えて高校と特別支援学校の数も含めた数ということでありますけれども、いずれにしても、物すごい数が浮き彫りになったということであります。
 先ほど申し上げましたけれども、ことしに入って何も急にいじめが増加をしたのではなくて、これまで見逃されていたいじめが浮き彫りになったということが明らかだということを、私たちは肝に銘じなければいけません。
 先ほどの答弁に、いじめと認知したものに加え、いじめの疑いがある事案までも含めてとありましたけれども、私のところには、子どもや保護者の方々からは、学校に相談しても、学校がいじめそのものを、いじめの疑いも何も受けとめてくれないという声が複数届いております。つまり私は、一万一千五百七件という数字だけ聞いても驚きでありますけれども、実態はそれ以上にいじめが存在しているということをぜひともわかっていただきたいと思います。
 その中の一つの事案は、まるで学校裏サイトのようになってしまったインターネットの掲示板に、本人ではないだれかが被害者の名前を使って、いわゆる成り済ましで、人の誹謗中傷を書き込んでいる実態があります。私も読みました。かなりひどいです。成り済まされた本人にとっては大変な迷惑であり、恐ろしいことだと思います。
 都は、都議会公明党の提案を受けて、ネット監視を委託して実施をしておりますけれども、平成二十三年度のネット監視の実態について、どのような内容がどのくらいあったのか、またその対応について伺いたいと思います。

○坂本指導部長 平成二十三年度一年間における学校非公式サイト等の監視によって検出されました不適切な書き込みは、都内公立学校全体で一万一千四百三十八件ございました。不適切な書き込みの内訳は、自分自身の個人情報公開が七〇・五%に当たります八千五十九件、飲酒、喫煙等の不適切行為が一八・二%に当たります二千七十八件、他人の個人情報公開が九・二%に当たります千四十九件、悪口や悪意のある書き込み等の誹謗中傷が二%に当たります二百三十四件などとなっております。
 ネット上で検出された不適切な書き込みすべてに対しまして、サイト運営者に削除要請を行うとともに、当該校や当該校を管轄します区市町村教育委員会に情報提供いたしまして、速やかな対応と指導の経過について報告するよう指導しているところでございます。

○伊藤委員 つい先日のニュース報道でも、遠隔操作によって成り済まし脅迫メールによって、何の罪もない方々が誤認逮捕されてしまっているとの大変ショッキングな事件が発生をしております。殺人や、あるいは自殺強要などの明らかな、こうした不適切な書き込みに加えて、ネット上の成り済ましは犯罪につながりかねないと私は思います。こうした事案についても、警察等と連携して取り組む必要があると思いますけれども、都としてどのように取り組んでいるのか、伺いたいと思います。

○坂本指導部長 都教育委員会では、学校非公式サイト等の監視によりまして、緊急性、事件性の高い事案が検出された場合は、直ちに警察等に通報するとともに、当該校や関係教育委員会、警察等と連携して問題解決を図ることとしております。また、警視庁、青少年・治安対策本部等と協力しまして、公開授業及びシンポジウムを毎年開催しまして、サイバー犯罪から児童生徒を守るための取り組みを推進しております。
 さらに、有害情報から子どもを守るための対策検討委員会では、青少年・治安対策本部、区市町村教育委員会、PTA協議会等との関係機関とともに、児童生徒をインターネットや携帯電話を介した有害情報から守るための具体的な方策について検討しております。
 今後も、児童生徒がネット上の犯罪等に巻き込まれることのないよう、警察等関係機関と一層連携協力してまいります。

○伊藤委員 何度も申し上げておりますけれども、緊急性あるいは事件性の高い事案、また都が認識している不適切な事案以外にも、成り済まし等による書き込みによって傷ついている子どもが現実いるわけであります。都は、厳然と対処するとともに、削除要請をするなど、厳とした姿勢を示していただきたいと強く要望しておきたいと思います。
 次に、数年前にもいじめが社会問題として浮き彫りになった際に、都は二十四時間子どもや保護者からの相談を受けられる体制をつくりました。その際に設置した東京都いじめ相談ホットラインについて、これまでの実績と、相談者にどのような対応をしてきたのかを伺いたいと思います。

○坂本指導部長 東京都教育相談センターでは、平成十九年二月から、二十四時間対応の東京都いじめ相談ホットラインを開設いたしまして、都内の国公私立の児童生徒やその保護者、都民からいじめに関する相談を受けております。平成二十三年度は、千四百二件の相談を受けまして、その主な相談内容は、からかい、悪口が最も多く、次いで、嫌がらせ行為、暴力、仲間外れ、言葉による脅し、集団による無視の順になっております。
 いじめ相談ホットラインでは、相談者の話を聞きながら、心のケアや解決への道筋をアドバイスしております。都教育相談センターは、寄せられた相談内容に応じまして、区市町村教育委員会等を通じて学校に情報提供いたしますとともに、その対応が適切に行われているか把握しまして、問題解決に向けた支援を行っております。

○伊藤委員 東京都いじめ相談ホットラインについては、平成十九年の開設時からこれまでにいじめに悩む子どもやその保護者に寄り添い、いじめられているつらさや苦しさ、悲しみなどを受けとめるなど、対応してきたということでございました。また、都内の公立学校だけでなく国立、とりわけ、私立学校の児童生徒やその保護者などからも、いじめに関する相談を受けてくださっていると、この意義は私は大変に大きいと思います。しかし、今年度はこれまで以上にいじめの問題が大きな社会問題となるとともに、学校に相談できずに悩んでいる。また、先ほど申し上げたとおり、受けとめてもらえない子どもや保護者がいる実態を踏まえれば、今まで以上に、東京都いじめ相談ホットラインの周知が求められていると思います。そこで、東京都いじめ相談ホットラインの連絡先の周知をどのように図ってきたのかを伺いたいと思います。

○坂本指導部長 いじめや心の悩みを相談できる場を周知するために、毎年四月、九月、一月に、公立小中学校の全児童生徒に対して、東京都いじめ相談ホットラインを含めた相談機関の連絡先一覧を配布しております。また、児童生徒が日常的に携帯して、必要なとき、いつでも相談できるよう、東京都いじめ相談ホットラインの電話番号を記載いたしました相談窓口紹介カードを、毎年、都内すべての国公私立学校の小学校一年生、五年生、中学校一年生、高校一年生に配布しております。今年度は、いじめに関して相談できる機関の周知を徹底するため、すべての学年の児童生徒に行き渡るよう、相談窓口紹介カードを十月下旬に追加配布する予定でございます。
 今後も、相談窓口紹介カードの配布のみならず、都教育委員会のホームページや広報誌なども活用いたしまして、一層の周知に努めてまいります。

○伊藤委員 本日この質問に立たせていただくに当たって私も、周りの小学生、中学生、高校生にこのカードを持っているかいと聞いてまいりました。うちの子どもにも聞きましたけれども、持っていないという返事が返ってまいりました。中にはカードを見せれば、見たような気もするけれども、どこへいったかわからない、何年か前にもらったような気もするけれど、持っていない、こんな状況でありました。
 今後ともいじめ相談の一層の充実とともに、東京都いじめ相談ホットラインの連絡先が表記されている相談窓口紹介カードを、国公私立を問わず、都内の全児童生徒に配布をしていただきたい、このように思います。
 そしてまた、このいじめの問題が浮き彫りになってくるというのは、いつも数年たつと、またそういえば、またそういえばというふうに出てまいります。十九年当時でありますけれども、このカードは、その年にすべての子どもたちに配布をしたはずであります。それがいつの間にか、配布対象が小学校一年生、五年生、そして中学校一年生、高校一年生に配布をしているという状況になっておりました。私は、このカードについては、全学年のすべての子どもたちに毎年配布をして、しっかり持っているかということを確認をするぐらいのつもりで取り組んでいただきたいということを要望したいと思います。
 次に、地域ぐるみの学校安全体制整備推進事業について質問をしたいと思います。
 本年四月以降、児童が通学時に交通事故に巻き込まれる悲惨な事件が相次いでいることを踏まえ、都議会公明党は第二回定例会で、学校における登下校時の総合的な安全対策が進められるよう、都は、区市町村と連携して対策を講じるよう提案をいたしました。これに対し、都教育委員会からは、地域社会全体で子どもの安全を見守る体制を整備する事業である地域ぐるみの学校安全体制整備推進事業について、区市町村の活用を促すとの回答をいただきました。しかし、この事業を活用しているのは現在十八区市にとどまっていると聞いておりまして、本事業の趣旨について市町村の理解が進んでいないのではないかと懸念をしております。そこで、地域ぐるみの学校安全体制整備推進事業が発足した経緯と、事業の仕組みを確認の意味で、また二十三年度決算実績も含めて伺いたいと思います。

○谷島地域教育支援部長 地域ぐるみの学校安全体制整備推進事業は、平成十七年に発生しました大阪府寝屋川市での教職員殺傷事件を契機とし、地域全体で、児童の安全を見守る体制を整備することにより、通学時の児童の犯罪被害を防止することを目的として、平成十七年度から開始された区市町村に対する補助事業でございます。
 補助対象は、学校安全ボランティアによる見守り活動など、学校と地域との連携により、校内や通学路における児童の安全確保を図るための取り組みに用いられる消耗品購入や保険料などに要する経費でございます。全事業のうち、国が三分の一、都が三分の一それぞれ負担しておりまして、平成二十三年度の補助総額は五百三十七万円でございます。

○伊藤委員 東日本大震災の教訓や、通学時の交通事故が相次いでいることを踏まえると、登下校時に発生する自然災害や交通事故から児童を守ることについても、その重要性が高まっております。
 ただいまご答弁をいただいたように、開始当初は、犯罪被害の防止を目的としていたとのことでありますけれども、実際本事業は、登下校時の児童を取り巻くさまざまな危険への対策に活用できる総合対策の事業であり、区市町村の創意工夫が十分に生かされるものと認識をしております。
 そこで、区市町村において、この事業を活用して平成二十三年度は主にどのような取り組みがされてきたのか、具体的な実績を伺いたいと思います。

○谷島地域教育支援部長 ご指摘のとおり、児童が登下校する際には、犯罪のほかにも、地震や台風などの自然災害や、危険運転による交通事故などのさまざまな危険があり、これらから児童を守ることは極めて重要でございます。
 このため、区市町村教育委員会では、この事業を活用して、平成二十三年度は、主に学校安全ボランティアに対する講習会を行い、交通安全の視点を含めた地域安全マップの作成、地震発生時の児童の見守り及び安全確保についての学習など、地域の実情に沿ったさまざまな取り組みを行っているところでございます。

○伊藤委員 私の地元の品川区内の小学校では、下校途中に災害が発生したという想定で、過日、防災訓練を実施をしておりました。この防災訓練に取り組むに当たって、私がすごいなと思ったのは、この学校の校長先生みずからが地域の商店街や、あるいは町会役員のところへ、こういうちょっと変わったというか今までなかった訓練をやるんですと、どうか地域で協力してくださいということを地域を歩き回って、そして地域のボランティアの方々の協力をいただいて、その中で、校門を出た児童が、災害時には学校に引き返すという、こういう実践的な訓練を行いました。学校が地域と連携をして、災害時に児童を見守る、非常にすばらしい訓練であると私は思います。こうした取り組みこそ、地域ぐるみのこの事業を活用すれば、今後も学校と地域が連携をして、継続的に児童の安全対策を講じていけるのではないかと思います。
 そこで都は、より多くの学校、地域において、この事業が幅広く活用されるよう区市町村に促していくべきであると思いますけれども、見解を伺いたいと思います。

○谷島地域教育支援部長 都教育委員会は、平成十九年度から毎年度、地域ぐるみの学校安全体制整備推進事業につきまして、区市における防犯を中心とした、すぐれた取り組み事例を報告書にまとめ、区市町村に対して情報提供してまいりました。
 今後、都教育委員会は、この事業を活用している区市における防犯以外の事例も含めた総合的な取り組みを報告書に掲載し広く周知することにより、この事業の実績のない区市町村においても幅広く活用されるよう促してまいります。

○伊藤委員 ぜひとも、児童生徒の安全確保のために、こうした地域ぐるみの取り組みを推進していただきたい、このように要望したいと思います。
 次に、私は、体験や交流活動が比較的に少ない、障害のある児童生徒にとっては貴重な放課後の居場所が必要であると繰り返し提案をしてまいりました。そして、今後は、この特別支援学校において、放課後子ども教室を広めていく必要があると考えております。
 都では平成二十年、二十一年度のモデル事業を経て、平成二十二年度から二十三年度にかけて、国庫補助制度を活用した放課後子ども教室推進事業と、そしてまた、都費で行う放課後等活動支援推進事業とをあわせて実施していると聞いておりますけれども、まず、その取り組み状況について伺いたいと思います。

○谷島地域教育支援部長 特別支援学校における放課後子ども教室は、特別支援学校の児童生徒が放課後等に多くの人々と交流し、さまざまな体験をすることで、自立と社会参加を促す事業でございます。
 放課後子ども教室におきまして、障害種別に応じた支援等を行うためには、保護者、地域住民、ボランティアなどによる活動を安定的に実施できる体制を築く必要がございます。都教育委員会は、支援体制が整ったところから順次、本格実施となる国庫補助事業の放課後子ども教室推進事業を実施しており、実施校数は、初年度の平成二十二年度には二校、二十三年度は新たに二校が加わって四校でございました。
 支援体制が十分に整っていないところにつきましては、本格実施に向けた体制づくりを進めるため、放課後等活動支援推進事業を実施しており、実施校数は、初年度の平成二十二年度には六校、二十三年度は継続三校、新規三校で、計六校でございました。

○伊藤委員 着実に推進していただいているということがよくわかりました。
 そこで、これまでの取り組みの中で、参加している子どもたちがどのように変化してきたのか、また、保護者にとってはどのようなメリットがあったのか、そしてまた、実施校や保護者、ボランティアなどから、どのような意見が出ているのか、伺いたいと思います。

○谷島地域教育支援部長 実施校の教員や保護者、ボランティアなどからの聞き取りやアンケートによりますと、子どもたちの変化につきましては、子ども同士の活動の機会がふえ、ルールやマナーを学び合える経験ができたり、外部の人々と接することが刺激となり、生き生きとしてきた。保護者につきましては、支援活動への参加を通し、相談や支え合う関係ができたり、活動の必要性を実感し、さらなる活動への原動力となっている。ボランティア等の支援者につきましては、活動中に、子どもたちが学校や家庭では見せない豊かな表情をしたり、開始当初から比較すると、驚くほどの成長を見せたりすることが、自分たちの活動継続の励みとなっている。このような声が上がっているところでございます。

○伊藤委員 特別支援学校における放課後の居場所づくりは、先生方や地域のボランティアの方々など、大変なご苦労もあることと思います。しかしながら、何よりも障害がある子どもたちが、笑顔で伸び伸びと交流できる居場所が、これからも各地に広がっていくことを大いに期待をしております。
 前にも申し上げましたけれども、障害のない健常なお子さんたちは、学校が終わって放課後になれば、自分の行きたいところに行って、駄菓子屋に行ったりとか、公園で遊んだりとか、塾に行ったりとかいろんな活動をするわけであります。しかし一方では、この特別支援学校に通う子どもさんたち、学校が終わると、バスで送っていただいて自宅に戻る、そして家の中でずっと過ごす、学校との往復がほとんどであります。こうしたお子さんたちに、社会教育の場を、居場所をつくっていくという、この活動は、私は大変に意義のあることだと思います。そこで、この当該事業について、都の今後の取り組みについて伺いたいと思います。

○谷島地域教育支援部長 平成二十四年度の放課後子ども教室推進事業は、継続の四校と新規一校を加え五校で実施しております。
 放課後等活動支援推進事業は、本格実施に移行した一校を除き、継続五校、新規三校の八校で実施しておりまして、双方とも毎年増加しております。
 今後とも、学校や保護者等のニーズを踏まえ、実施校同士の情報交換の機会を設けることにより、活動内容の充実を図るとともに、未実施校には、実施校の取り組みを紹介するなど支援を重ねてまいります。

○伊藤委員 私からは、最後に被災地支援に関連して何点か質問をしたいと思います。
 東日本大震災で甚大な被害を受けた福島県では、原子力発電所事故により、多くの住民が避難をし、多数の子どもたちが県外に転校をいたしました。都内においても多くの福島の子どもたちを受け入れていただいているところでございます。
 このため、福島県では、昨年夏の小中学校の教員採用試験が中止となり、福島県の教員を目指していた地元大学生等の夢が閉ざされました。このような中で、都が、将来福島県の教員に戻ることを前提に小学校の教員を採用したことは、大変に意義のある取り組みであったと私は思います。
 そこで、平成二十三年度に都がこのような支援を行うに至った経緯と、採用実績について伺いたいと思います。

○岡崎人事部長 原子力発電所事故などの影響によりまして、福島県内の多くの児童生徒が県外への転出を余儀なくされました。教員数が過剰となりましたため、福島県教育委員会は、昨年夏の小中学校の教員採用選考を見送ることを決めたものでございます。
 そこで、昨年六月に都教育委員会が県教育委員会に赴きまして、採用選考での支援を打診いたしましたところ、都の選考で、将来福島県の教員となり得る前途有望な人材を県にかわって採用してほしいという依頼がございました。これを受けまして、都教育委員会は、県教育委員会と協定を結び、冬に実施する都の二回目の教員採用選考におきまして、将来福島県の採用を希望する者を、特別枠を設けて、都の小学校教員として採用することとしたものでございます。
 選考の結果五十人が合格しました。大学院進学者や辞退者がおりましたので、これらを除き現在四十五人が都の教員として活躍してございます。これらの教員は、五年後には福島県の教員として戻る予定となっております。

○伊藤委員 特別枠によりまして、将来福島県の教員となることを希望し都に採用された教員は、現在都においてどのように児童の指導に当たっているのか、また、将来福島県の教員となることを踏まえ、都はどのように教員の育成を図っていくのか、伺いたいと思います。

○岡崎人事部長 特別枠で採用した教員は、現在、都内の小学校において学級担任として児童の指導に当たっております。さらに、東日本大震災の体験を踏まえ、郷土の大切さや、人間関係の重要性などを教育活動全体の中で児童に伝えております。
 また今月、福島市内で現地研修というものを開催いたしました。県教育委員会幹部職員による講義や、小学校への訪問を実施いたしました。研修に参加し、困難な状況の中で熱心に授業に取り組む児童の姿を見た教員たちからは、改めてふるさとへの熱い思いのこもった言葉を聞くことができました。
 都教育委員会では、この教員たちが将来福島に戻ったときに即戦力となれるよう、都の初任教員として若手教員育成研修などにより資質、能力の向上を図っているところです。今後とも、県教育委員会と連携いたしまして、県の教育施策や、児童の実態を理解するための研修なども継続的に実施し、福島の教育復興の視点に立った計画的な人材育成に取り組んでまいります。

○伊藤委員 東日本大震災発災直後から、都は、直ちに被災地に現地事務所を開設し復旧復興を支えてこられました。そして本格的な復興を支援するため、都は、この九月からは、技術系の職員を採用して現地に派遣をしております。被災地が復興を果たすためには、物資、またお金による支援も確かに重要でありますけれども、都は、これに加えて、人材派遣や、あるいは人材育成による具体的な支援にも取り組んでおります。とりわけ、教員の派遣や、このたびの福島特別枠教員採用については、若い教育の担い手の夢をつなぎとめた都の英断であり、やがては、これからも原発事故によって大変な苦労を強いられる、福島の子どもたちのために、この若き先生たちが存分に活躍し成長されることを心から期待をするものであります。
 以上で私の質問を終わります。

○畔上委員 資料の作成、ありがとうございました。
 私はまず、学校の冷房化についてから伺います。
 都内の小中学校の冷房化の二〇一一年度の実績と、今年度の見通しについてまず伺います。

○谷島地域教育支援部長 平成二十三年度末現在、都内小中学校の普通教室の冷房化率は、区部が一〇〇%、市町村部が六〇・六%でございまして、都内全体で八五・八%でございます。
 都は、市町村立小中学校の普通教室の冷房化を推進するため、今年度まで補助を行うこととしており、各市町村は、今年度中の完了を目指して冷房化に取り組んでいるところでございます。

○畔上委員 今のご説明ですと、市町村部が六〇・六%ということですが、いただきました資料を見ますと、市町村立の小学校二百二十九校、中学校が四十五校未設置ということであります。残されている都内の小中学校の普通教室は、今年度中の完了を目指しているという今ご答弁だったんですが、今年度中にすべての学校ができる見通しがあるんでしょうか、市町村立の小中学校の冷房化への補助の継続を求めたいと思いますが、いかがですか。

○谷島地域教育支援部長 市町村立小中学校の普通教室の冷房化につきましては、各市町村が今年度中の完了を目指し取り組んでいるところでございまして、都教育委員会としては、この取り組みを支援しております。

○畔上委員 今の段階では何校残るか見通しがはっきりしないかもしれませんが、決算の資料を見ますと、緊急支援特別事業の執行率は八七・七%、不用額が二億六千六百七万円と出ているわけです。
 私は、ある市の担当者の方に電話で伺ってみました。そしたら限られた財政の中で、耐震化を優先せざるを得なかったと、その市の担当者の方はおっしゃっていました。しかし、普通教室の冷房化は、子どもたちの熱中症対策として、しっかりやらなきゃいけない課題なわけです。だからこそ、市長会が来年度の重点要望として補助の継続、これを求めているのだというふうに思います。冷房化の支援の継続を求めたいと思います。
 同時に、特別教室の冷房化への財政支援も検討してはいかがかと思いますが、どうでしょう。

○谷島地域教育支援部長 現在、各市町村は、小中学校の普通教室の冷房化に取り組んでいるところでございまして、都教育委員会としてはこの取り組みを支援しているところでございます。

○畔上委員 現在はそうでありますけれども、特別教室の冷房化も各自治体から出ているわけです。あわせて冷房化の支援を求めたいと思います。
 また、都立高校、都立特別支援学校の特別教室の冷房化の状況を示してください。

○直原都立学校教育部長 都立学校の特別教室のうち冷房化する教室は、防音性が求められたり、熱を発するICT機器が設置されている部屋としております。具体的には、図書室、音楽室、視聴覚教室、パソコン室、LL室などであり、これまで計画的に冷房化を行い、整備を完了しております。また、特別支援学校については、これらに加え、生活訓練室と多目的室、さらに、肢体不自由特別支援学校及び病弱特別支援学校におきましては、全室の冷房化を行っております。

○畔上委員 今、整備完了というお話だったわけですが、東京都の公立高等学校PTA連合会が、都立高校百八十三校にアンケートを実施したデータがあるんですが、それを見ますと、そのアンケートでは、夏の空調状況は、授業などに支障の出ない満足な状態だったかという、こういう問いがあるんですね。これに対して、五十三校が満足とはいえないと答えています。理由として一番多かったのが、特別教室に冷房設備がないというふうに書いてありました。中には冷房設備が古いという声もありました。冷房を設置してほしい場所はという問いに対しては、理科の実験室、調理室、美術室などの特別教室が上位を占めておりました。
 こうした要望を踏まえて都立高校、都立特別支援学校のすべての特別教室の冷房化促進、また老朽化している空調の改善を求めたいと思います。二〇一一年度の都立特別支援学校の体育館の冷房化の状況を伺います。

○直原都立学校教育部長 肢体不自由特別支援学校の体育館につきまして、冷房化を行っているところでございます。

○畔上委員 肢体不自由は冷房化しているということですが、知的や視覚障害、聴覚障害の学校はしていないということですね。しかし、これらの障害児の学校でも、重複障害などによって、体温調節が難しい児童生徒がふえていたりして、冷房化してほしいという要望が上がっております。肢体不自由でない特別支援学校の体育館も冷房化していただくように強く要望したいと思います。特にその中でも、都立高校や都立特別支援学校において、改築や増築によって風が通らなくなってしまった。また近隣との関係で窓が開けられない。こういった教室や体育館です。こうしたところには早急に設置することを求めますが、いかがでしょうか。

○直原都立学校教育部長 冷房化対象外の特別教室や体育館につきましても、従前から、教室の配置や周辺環境など、配慮すべき事情がある場合には、冷房化の必要性を個別に判断し適切に対応しております。

○畔上委員 例えば、知視の併置校になりました久我山青光学園、ここでは併置校校舎に改築する際に、子どもたちの安全確保のためということで、旧久我山盲学校の体育館の西側に通路を設けたために、風通しに使用していた窓が覆われる形となりました。そのために体育館の温度が上昇して、体温調節が難しい生徒に支障を来しているという声を伺っています。
 また大型の送風機、これを便宜的に使用されているということも伺っていますが、送風機の音が、聴覚や触覚に頼らざるを得ない視覚障害者にとっては、言葉や気配、それから方向を示す音源などを察知することが難しいなどの問題も起きているんだということを伺っております。ぜひ、必要な冷房設備は、やはり早急に設置していただきたい、改善していただきたい、これは要望しておきたいと思います。
 次に、少人数学級と中一ギャップ対策について伺います。
 二〇一一年度は教育現場からも、また、国民からも切望されていました少人数学級が、国の制度として、小一の三十五人学級という形でスタートしたわけです。少人数学級の目的と、昨年度の実績についてまず伺います。

○谷島地域教育支援部長 国は、公立義務教育諸学校の学級編制及び教職員定数の標準に関する法律の改正に当たり、小学校第一学年の三十五人以下学級の実施は、新学習指導要領の円滑な実施や、いじめ等の学校教育上の課題に適切に対応し、教員が子どもと向き合う時間の確保を図ることにより、質の高い義務教育を実現することを目的とするとしております。
 改正法の施行に伴う東京都学級編制基準の改正日の時点で、三十五人基準で算定いたしますと、百八十六学級の増が必要でございましたが、このうち実際に学級増を行った学校は七十五校でございました。残りの百十一校につきましては学級増を行わず、配当された教員を、チームティーチング等に活用いたしました。

○畔上委員 TT加配が百十一校と多かったのは、他県のように独自に四月実施にしないで、国の法律が成立したのがちょうど震災の関係で四月にずれ込んだわけですね。この確定をしてから初めて五月から東京の場合はスタートさせたと。そのために、もう五月になっちゃったから、今さらクラス替えはできないとあきらめた学校も多かったためだと思います。それでも実施した学校からは、三十五人学級になって八十人の二クラスが二十六人と二十七人のクラスの三クラスになって、本当に子どもに目が行き届いてよかったという声などが上がっているわけですね。
 二〇一一年の八月に全国連合小学校長会のアンケートでは、学級担任からは、学習意欲が向上した、きめ細かい指導が充実した、保護者からは、先生はきめ細かに対応してくれるようになっている、子どもは勉強が好きになったなどの学習指導と生徒指導両面にわたって大きな効果があったという結果が出ていると文科省の検討委員会は評価をしております。
 全国的な先進に見る評価の中には、いじめが減少したというものも示されておりました。この点については、都は、どう評価されているのか伺います。

○坂本指導部長 いじめにつきましては、学級や学校の内外を問わず、部活動や学校外の生活などさまざまな場面で生じる場合もあり、私どもが把握している範囲では、学級規模の大小といじめの発生件数との相関を直接示すデータはありませんので、今の段階で言及することはできないと考えております。

○畔上委員 もちろん、いじめの解決には、いじめをここまで深刻にした社会や教育のあり方の問題まで掘り下げなければいけない問題だと、単純な問題ではないと思っています。
 同時に、文科省では、山形県は少人数学級の導入後、不登校やいじめが減少したと注目しているんですね。ほかにも、子ども同士のトラブル、けんかが減ったと現場の多くの教員が評価しているという報告も載っています。学級の人数が減ることで、子どもたち自身も伸び伸びするということもあるんでしょうけれども、子どもたち一人一人に目の行き届いた指導を行うことができるようになるということだと思います。
 生徒と先生が向き合う時間をどうつくり出すかということを真剣に考えての私は評価だというふうに思いますので、やはりその評価を受けとめる必要があると思います。四十人学級に固執しないで、こうした全国の評価、現場の声をしっかりと把握して、都の施策にも前向きに、ぜひ生かしていただきたいと思います。
 昨年度は、中一ギャップ対策で、都独自の対策ですね、これで三十八人が実行されたわけですけれども、具体的な対象校と学級編制を変えたクラスとTT加配をした学校数、教えてください。

○岡崎人事部長 中一ギャップを予防、解決するための教員加配の対象校は九十四校で、このうち学級規模の縮小に活用した学校が六十三校、チームティーチングなどに活用した学校は三十一校となっております。

○畔上委員 この中一ギャップ対策についても都は効果検証をされているわけですね。三月に、平成二十三年度小一問題、中一ギャップの予防、解決のための教員加配にかかわる効果検証に関する報告書、これが出ておりますが、そこでは学級規模の縮小、TT加配のそれぞれを選択した場合、それぞれどうだったと評価しているのでしょうか。

○坂本指導部長 都教育委員会が教員加配の効果を検証するために、平成二十三年度に実施しました中学校への調査結果によりますと、学級規模の縮小を選択した学校も、チームティーチングによる活用を選択した学校も、この制度に対して、肯定的な意見を回答しておりました。

○畔上委員 その現場の声を受けて、都の教育庁としてどう評価されているのかを伺いたいと思います。

○坂本指導部長 ただいまの教員加配の効果を検証する報告書によりますと、学級規模の縮小及びチームティーチングによる活用のいずれの場合におきましても、教員を加配することは生徒の学校生活の改善に効果があったと考えております。

○畔上委員 大変重要なご答弁だと思います。
 こうした検証結果を受けて、学級規模の縮小も、TTの活用も教育的な効果が認められたわけですね。
 ちなみに同じ報告書の中では、小一プロブレムについても書いてありました。ここにはこう書いてあります。学級規模縮小選択校及びTTなど選択校のそれぞれにおいて、ともに効果が期待できることは明らかであるとしています。学級規模の縮小、すなわち少人数学級が教育に効果があるということが都教委の実践、そして、効果検証でも明らかになったわけですね。しかも、効果検証を詳しく見ますと、小一、中一だけの課題とは思えないようなところでも改善をしているわけです。こうしたことをぜひ前向きにとらえていただいて、少人数学級を推進していただきたいと思います。
 来年度の文科省の概算要求は、少人数学級については都道府県判断で、五年から七年かけて小中全学年での実施というものであります。都は、来年度の実施学年をどうするかはまだ検討中ということでありますけれども、国待ちの姿勢じゃなくて、都としても、早期に少人数学級、この実施をしていただきたいと強く求めたいと思います。
 特に中一ギャップの加配は今年度で終了になるわけですが、効果があるということが明らかになったわけですから、来年度以降も継続、充実すること。そして、やはり小学校三年生以上、中学二年生以上も少人数学級の要求は大変強いわけですから、対象学年も思い切って拡大、拡充することを重ねて求めて、次の質問に移りたいと思います。
 次は、特別支援学校のスクールバスについてです。
 保護者の皆さんからは、以前は安心して乗せていたけれども、最近は運転手や添乗員がころころかわって不安だ。なれないのか、時間に間に合わないなどの問題が発生しているので、安心して乗せられるスクールバスにしてほしい。六十分以上は子どもたちに負担だ。必要な台数を確保してほしい。こういった要望が寄せられているところであります。
 調べてみますと、一九九九年には三十二億六千万円だったスクールバスの予算は、年々引き下げられておりまして、二〇〇五年度には二十四億九千万円になっています。この間、特別支援学校の児童生徒数がふえてきているわけで、さすがにその後の予算はふえてきて、昨年度は二十八億六千万になっております。
 では、決算ではどうかということですが、二〇〇五年度及び二〇一一年度のスクールバスの決算額、コース数、対象児童生徒数を教えてください。

○廣瀬特別支援教育推進担当部長 平成十七年度については、決算額は約二十四億二千五百万円、コース数は二百コース、対象児童生徒数が四千百九十三人でございます。平成二十三年度については、決算額は約二十五億六千万円、コース数は二百七十八コース、対象児童生徒数は五千百五十三人でございます。

○畔上委員 スクールバスを利用する生徒は千人ふえた、コースもふえた。しかし、実際のスクールバスの費用、決算額、これはほとんど変わらないということですね。
 これを一コース当たりに換算してみましたら、昨年度は約九百二十万円、二〇〇五年度は約千二百十二万円、一コースに係る経費は二百九十二万円も下がっているんです。これはもちろん車体を障害に合わせた仕様に改造する費用だとか燃料費も含まれているわけですが、こうした費用はそうそう下げられませんよね。ですから、結局人件費が削られるのではないか。人がころころかわるというのは、そのためじゃないかと大変心配になるわけです。
 実際、バス会社で働いている方に伺ってみましたが、運転手も添乗員も正社員ではなく、非正規の雇用に置きかわってきている。大型二種免許を持って人の命を預かる仕事をしているのに、時給も安く、不安定なので、つらい。仕事に誇りが持てるような働き方ではなくなっているというお話も伺いました。また、以前は複数年度での契約で、何年も同じ方が乗務してくれて、保護者や子どもたちとの信頼関係をつくることができたわけですが、今は、そもそもバス会社が新規参入以外は一年契約ということになっております。
 そこで伺いますが、二〇一〇年度と二〇一一年度とでバスの事業者が交代した学校数とバスの台数、同様に、二〇一一年度と二〇一二年度とでバスの事業者が交代した学校数とバスの台数、これを教えてください。

○廣瀬特別支援教育推進担当部長 平成二十二年度と平成二十三年度とでは、バス事業者が交代した学校数は三十五校、バスの台数は七十九台でございます。平成二十三年度と平成二十四年度とで、バス事業者が交代した学校数は四十一校、バスの台数は九十五台でございます。

○畔上委員 スクールバスのある学校は四十六校です。そのうち三十五校、四十一校ということですから、ほとんどの学校で毎年業者が入れかわる。一校に複数の業者が入っていたりしていますから、必ずしも全部入れかわるわけではないとしても、バスの台数でも、三分の一が入れかわっているということでありますね。年度ごと、また、年度途中で運転手や添乗員がかわれば、一から子どもたちの特性を理解してもらって、障害を理解してもらって信頼関係をつくっていかなければならないわけです。毎年こんなにかわっているのでは、保護者の皆さんが不安になるのも、私は当然だというふうに思います。
 保護者からは、一部のスクールバス会社の質が余りにも低い。同じコースで、年間何人もの運転手が交代する会社があって運行が安定していない。バス停を飛ばす、バスコースの間違いをするなどの問題が起きているなどなど声を伺っております。こうした保護者の皆さんの声を聞いていらっしゃるでしょうか。また聞いているとしたら、どう対応したのか、伺います。

○廣瀬特別支援教育推進担当部長 保護者からは、PTA要望などでスクールバスに関するご意見を聞いております。これまでもバス会社との契約に関する仕様書において、安全管理に関する規定を盛り込み、各特別支援学校が、バス会社及び乗務員に対し、安全管理のための講習会や定期打ち合わせなどを行うとともに、バス会社が乗務員に対する研修訓練を行うことなどを定めてございます。さらに今年度は、学校ごとに、保護者等から出された要望や課題等についてバス会社に検討及び回答するよう義務づけるなどの対応を図っております。

○畔上委員 今年度から保護者の要望や課題をバス会社に伝えて、学校と保護者に回答する仕組みをつくったということは前進なわけですが、しかし、もう半年以上たっていますが、まだPTAにはそうした仕組みができたことは伝えられておりません。きちんと都の教育庁として、そうした仕組みを、各学校のPTAに周知徹底して、懇談会開催を義務づけるべきじゃないでしょうか、伺います。

○廣瀬特別支援教育推進担当部長 課題等の改善が図られるよう、実態を踏まえて対応してまいります。

○畔上委員 保護者からは、バス会社と学校、PTAの三者の話し合いの場をつくってほしいと要望が強く上がっているわけです。そういう点では、そうした懇談会開催ということで、早急な開催をぜひ求めたいと思います。
 また、スクールバスの運転手さんや添乗員が、原則として年度途中で交代しないような契約にすべきだと思いますけれども、その点はいかがでしょうか。

○廣瀬特別支援教育推進担当部長 先ほど答弁した取り組みを実施することによりまして、スクールバスの安全、確実な運行を担保しているところでございます。

○畔上委員 契約書には明記できないということですね。
 しかし、物品を運ぶ委託契約じゃないわけですよ、子どもたちを乗せるバスなわけです。本当にそういう点では、子どもの命がかかっているわけですから、交代しないような契約にすべきだというふうに思います。
 それでは、契約会社の交代時なども含めて、運転者が交代するときには、当該のバスコースに次の運転手が乗車して実地研修を行うような契約にすべきだと思いますけれども、いかがでしょうか。

○廣瀬特別支援教育推進担当部長 スクールバスの運行により児童生徒を安全に登下校させるという契約の目的を達成するため、当然に必要な措置を受託者に対し求めております。本年度はさらに仕様書に、乗務員の変更時に、業務内容を確実に引き継ぐことについての条項を加えるなどの対応をいたしました。

○畔上委員 仕様書を改善したということは一歩前進だと思いますが、書類や地図の上だけでなく、やはり実地研修も実施して確実に引き継げるようにしていただきたいと思います。
 また同じ業者の中でも、乗務員が変更になるときだけではなく、業者が変わっても、三月のうちに前の業者のバスに同乗するなどして、きちんと引き継いでいただくことを要望したいと思います。
 また乗務員の研修は、現在は学校の責任で行うこととなっております。安全の確保や障害児の理解、人権尊重など、どの学校にも共通する基本的な研修は、学校ごとだけではなくて、やはり都教委が責任を持って実施することを求めますが、いかがですか。

○廣瀬特別支援教育推進担当部長 都教育委員会は、乗務員業務遵守事項、スクールバス運行の手引など運行会社乗務員用に、安全の確保や人権尊重等、スクールバスの運行に当たって留意すべきことについて明示するとともに、これらを活用した研修が効果的に実施されるよう指示しております。

○畔上委員 ただでさえ忙しい学校任せにするのではなくて、やはり指示するだけじゃなくて、ぜひ教育庁としても、研修の実施の状況の把握と、それから都教委主催の研修も実施していただきたいと思います。
 保護者の皆さんからは、スクールバスの質を担保する評価制度を設けてほしいという要望が出されております。それは、この間、スクールバス契約を取り過ぎて自社バスが足りなくなって、他社のバスがリリーフ運行をしたり、それから契約解除によって年度途中で業者が変わったりと、結局、その負担というのは子どもたちにかかってきているからなんですね。子どもたちの障害を理解して、介助も一人一人違いますし、一定の専門性が求められているわけですから、もちろん研修も大事です。それと同時に、やっぱり人が変わらない、安定性、継続性、これが求められているんだと思います。そのことをしっかりと踏まえて、評価制度についてもぜひ検討していただきたいと、これは要望したいと思います。
 最後の質問になりますが、小中学校の事務職員についてです。
 作成していただいた資料によりますと、小中学校の事務職員の定数は、小学校が千三百二十四人、中学校が六百三十九人、計千九百六十三人ということです。そのうち正規職員数は千六百三十六人と、八三%となっておりました。再任用職員の活用を否定するわけではありませんけれども、労働日数が正規に比べて少ないわけですから、やはり現場の大変さはあるんだと思うんですね。そして、年度初めであるにもかかわらず、定数が満たされずに臨時職員で対応している学校があるという状況なわけです。
 そして次の資料ですが、国の標準では、就学援助の対象となっている児童生徒数が百人以上で、その学校の生徒数に対する割合が二五%以上の小中学校は、事務職員を二人以上配置するというふうになっていますが、小中合わせて千九百三十九校のうち四百九十校が本来二人配置すべきなのに、二人配置しているのはわずか二十五校、四百六十五校が一人配置というふうになっていることが、いただいた資料でわかりました。
 そこで伺いますが、義務標準定数法第九条の四号に規定されています、いわゆる就学援助補正、これを四百六十五校も配置していないというのはなぜなのでしょうか。

○岡崎人事部長 小中学校の事務職員につきましては、平成十一年度に策定した財政再建推進プランに基づく全庁的な定数適正化方針ほか、教職員定数を取り巻く厳しい状況の中で必要な配置の見直しに取り組んでまいりました。
 一方で、教員につきましては、小中学校の特別支援学級への加配や、島しょ加配、小一問題、中一ギャップ加配など、東京の教育水準の維持向上のため、都独自の取り組みを着実に進めてきております。
 なお、事務職員定数の削減に当たりましては、臨時職員を配置できるよう措置しているところでございます。

○畔上委員 今のご答弁を伺っていますと、厳しい人員抑制、削減の中で、教員を維持するために事務職員の配置を削っているんだということだと思います。
 先ほども、管理職の多忙の中で、非常勤職員の配置等のお話もありましたが、決算でも明らかなように、東京の場合、子どもはふえているのに、教育庁の予算は年々どんどん減らされていると、私はこの根本を正すことが第一に必要なことなんだと思います。
 教員も、それから事務職員も、いわゆる学校にかかわる教職員、東京の学校教育にとって大変大事な職員、こういった方たちは、やはり必要な人員はきちんと配置すると、これが当然のことだと思います。
 学校事務職員の役割というのは、私はこの間ますます大きくなっているというふうに思います。東京でも格差と貧困の問題が深刻化する中で、ある学校では就学援助を受けている生徒が全生徒の実に五一・八%、二人に一人までになりました。きょう、ちょうど東京新聞に報道が出ていましたけれども、一九九七年度の約十二万人だった受給者は、東京の場合一・五倍に増加していると報道されていました。
 資料によりますと、都内全体では、昨年度、十八万五千七百人の子どもたちが、就学援助を受給しているわけですね。この一人一人の子どもたちの学ぶ権利を支えて就学援助の事務を行っているのが事務職員なわけです。また、教員の皆さんと話し合って、有効なお金の使い方をすることによって、保護者の負担をいかに減らすか、知恵と工夫をめぐらせているのも事務職員なわけです。
 例えば、総合学習に使うファイル、これは、各家庭で買ってもらおうということになっていたものを、公費負担で支出できるんじゃないかと、いろいろ調べて改善したり、それから学校の危険箇所をチェックして対策を打ってくれる。こうして対策をしてくれるので本当に助かるというお話も聞いています。まさに学校事務のプロとして子どもたちが安心して通える学校づくり、安全な学校づくり、ここに大きな力を発揮しているんだと思いますが、今日における事務職員の役割についての認識を伺います。

○岡崎人事部長 学校教育法第三十七条及び第四十九条において、小中学校には事務職員を置かなければならないとされております。学校事務職員は、学校の予算、決算、教職員の給与、福利厚生、調査報告や文書管理など広範な役割を担っていると認識しております。

○畔上委員 学校運営の広範にわたって重要な役割を担っているということですね。ましてや先ほどお話ししたように、貧困の拡大、またさまざまな困難を抱えた家庭の子どもたちがふえているわけです。就学援助加配や大規模校加配など、少なくとも国基準どおりに配置することが、教職員の負担軽減や、地域との関係をつくること、それから子どもや保護者を支援することなどにつながって、子どもたちの豊かな教育を保障することになるんじゃないかと考えますけれども、いかがですか。

○岡崎人事部長 教職員定数につきましては、都を取り巻く財政状況が極めて厳しい中、さまざまな工夫により都独自の教員加配を維持、拡充しながら、教育水準の向上に努めてきたところでございます。
 また、現在、多くの小中学校において校務改善に取り組んでいるところでございまして、組織的な校務運営の推進やIT機器の活用、行政と学校の事務分担の見直しなどにより、業務の効率化を推進しているところです。
 今後とも区市町村教育委員会と連携しながら、教職員が組織的かつ効率的に仕事が進められるよう、さまざまな観点から校務を見直し、東京の教育のさらなる向上に努めてまいります。

○畔上委員 今ご答弁の中で業務負担の軽減、子どもと向き合う時間とおっしゃいましたが、都立高校の先生なんですけれども、伺ったお話ですけれども、都は、学校経営支援センターをつくりましたよね。その分、学校の事務職員を減らして、教材の購入も中心的にはセンターで行うようになりました。それと、以前は一度購入したものであれば、その学校の地元の業者さんに、また同じものをお願いしますというふうに頼めば済んでいた。ところが、一々先生や職員がカタログを見て、型番を調べてパソコン入力してと、かえって手間がかかるようになったという声も伺っているんです。これは都立高校のことですけれども、小中学校でも、本当に子どもたちのためになって、学校教職員が子どもたちとの関係で、もっと力を発揮できる改善は何なのか、よく考えていただきたいなというふうに思います。
 先ほど、鈴木委員のご質問に対するご答弁の中で、現在、校務改善を検証しているところだというご答弁がありましたが、検証するに当たっては、やはり学校現場のさまざまな声ですね、よく聞くべきだというふうに思いますが、その点はいかがですか。

○岡崎人事部長 校務改善を進めるに当たりましては、区市町村教育委員会、関係者が入りました校務改善推進会議を開催しておりまして、その中で、さまざまな意見を各方面から酌み取るようにしております。また、都教委に対しても随時意見を寄せられるような案内をホームページに掲載してございますので、さまざまな意見を活用しながら校務改善を進めていきたいというふうに考えます。

○畔上委員 とりわけ現場で働く教職員の皆さんのさまざまな声をしっかり聞いていただきたいと思います。
 私は、東京の教育の向上のためにも、定数どおりの人員を配置することと、定数の拡充こそ必要なんだということを申し上げたいと思います。
 これは、都の社会福祉協議会が中心になってつくった、「拝啓中三のあなたへ」というパンフなんですけれども、お金の都合で高校進学をあきらめてしまったり、それから、親に気兼ねして塾に行こうということをあきらめてしまったり、私学をあきらめてしまう、そういう子どもたちが今たくさんいる中で、子どもたちに、経済的な支援、こういうのもあるんだよと、だからあきらめないで、高校進学しようねといったいろんな資料が載っているパンフレットなんです。とっても子どもたちにわかりやすい、いい資料だなというふうに思って見ているんですけれども、この資料をつくるに当たって、中学校の事務職員の方たちも協力してほしいという要請があって参加されたようですが、やはり私はこれを読んだときに、本当にプロの知恵が散りばめられていて、とても大事なパンフだなというふうに思いました。
 このパンフづくりに携わったある事務職員の方にお話を聞いたんですが、教員や保護者と一緒に学校をこれまでもつくってきた。学校事務は、まさに人と人とをつなげる職ですというふうにおっしゃったことが深く印象に残っております。
 子どもたちの学校現場にとって本当に必要な教員、そして事務職員も、そして教職員、さまざまな職員の方がいらっしゃいます。そうした教職員をきちんと配置する。やはり私は先ほど予算のお話もいたしましたけれども、その教育庁の構えが必要だし、議会自身もその構えが問われているんだというふうに思います。定数の措置と定数の拡充を強く求めまして、私の質問を終わります。

○滝沢委員 それでは、私から質問させていただきたいと思います。
 東京都教育委員会は平成九年に、長期計画である都立高校改革推進計画とあわせて第一次実施計画を策定し、それ以降は平成十一年に第二次実施計画を、平成十四年に第一次、第二次実施計画を踏まえて都立高校改革推進計画、新たな実施計画を策定し高校改革に取り組んできました。そして、平成二十三年度に新たな都立高校改革推進計画を策定し、今後、平成三十三年度までの十年間の改革計画を示しています。
 そこで、定時制高校の状況についてお伺いをいたします。
 今まで取り組んできた高校改革により、八王子市では四校あった定時制高校が、八王子拓真高校の一校になりましたが、二十四年度の入学選抜で八王子拓真高校の受検状況はどうであったのか、お伺いをしたいと思います。

○直原都立学校教育部長 都立八王子拓真高等学校における平成二十四年度入学者選抜の受検状況は、二月二十三日に実施した分割前期募集では、普通科募集人員九十六人に対し二百二十四人が受検し、受検倍率は二・三三倍でございました。また、同日実施した、小中学校で不登校を経験した生徒などを対象としたチャレンジ枠におきましては、募集人員六十人に対し百二人が受検し、受検倍率は一・七〇倍でございました。三月九日に実施した分割後期募集におきましては、募集人員百四十四人に対し二百七十六人が受検し、受検倍率は一・九二倍でございました。

○滝沢委員 今ご答弁をいただきましたけれども、受検倍率が二倍を超えているということですね。あと一・七〇倍、一・九二倍ということで二倍近い倍率ということになりました。
 さらに、そこでお伺いをしていきたいと思うんですけれども、都立南多摩高校の定時制の閉課程式に私も出席をいたしましたけれども、最後の卒業生の言葉で、交通の便がよい定時制高校がなくなるのは、これからのこの高校を希望する人たちにとって残念であるという旨の最後の卒業生の言葉がございました。仕事をして学校に通うのに条件がいい場所にあったからこそ南多摩高校を希望し入学したのに、その学校がなくなり、これからそういった身近な学ぶ機会がなくなる後輩への入学希望ができないということをとても残念がっていました。
 そこで、八王子市内に住み、都立定時制高校で学んでいる生徒は何人いて、そのうち、八王子市以外の定時制高校に通学している生徒は何人いるのか伺います。

○直原都立学校教育部長 八王子市内に住み、多摩地域の都立定時制高校に通学している生徒は、平成二十四年五月一日現在七百七十六人であり、このうち二百三十九人が、八王子市以外の定時制高校に通学しております。

○滝沢委員 今ご答弁いただきましたように、八王子市内から二百三十九人の児童生徒が八王子以外の、例えば立川とか町田の定時制高校に通っているという現状が明らかになったわけでございまして、平成三十三年度までに高校改革ということで、今後取り組んでいくということでございますけれども、八王子には四校あった定時制高校が八王子拓真の一校になった。それで八王子市外に通う生徒が二百三十九人もいるということで、勉強しながら仕事をしながら、そして、今度、通学の時間もふえてしまったという現状をぜひかんがみていただきまして、今後の高校改革の一つに取り組んでいただきたいなというふうに思います。やはり点在して、いろいろ形に見る面も必要でしょうけれども、入学を希望する、身近な定時制で学びたいという子どもたちの教育機会を失ってしまわないように、ぜひ今後ともご努力をいただきたいというふうに思います。
 次は、教員の人材教育についてお伺いをしていきたいと思います。
 団塊の世代に当たる、経験豊かな教員が大量に退職する時期を迎えられ、質の高い教育を提供していくには教員の指導力向上がどのように取り組まれ、子どもたちの指導に十分な時間を確保できないといった教員の多忙感も指摘されています。若手教員が急速に増加しているということもあります。早く一人前に育てて質の高い教育を提供していくためには、教員の指導力向上に一層力を注いでいかなければなりません。そこで、東京都教育委員会は若手教員の育成について現在どのように取り組んでいるのか、お伺いをいたします。

○岡崎人事部長 都教育委員会では近年、三千人規模の教員を採用しておりますことから、若手教員の育成が喫緊の課題であると認識しておりまして、都独自の施策をさまざま進めてまいりました。具体的には、理科や体育の実践的指導力を養成する講座を採用前の段階で実施したり、新規大学卒業者がベテラン教員とペアで学級担任を行う学級経営研修を設けたりしております。また、採用後三年間の若手教員育成研修終了直後から、指導力向上や学校リーダー養成を目的とした東京教師道場や教育研究員制度に参加させるなど、若手教員の指導力の向上に力を入れてまいりました。今後は区市町村とも連携し、将来、学校の核となり得る人材を都教育委員会が選抜し、重点的に育てるとともに、教員の自主的な研究活動を活性化することなどによりまして、互いに切磋琢磨する組織風土を培い、若手教員の人材育成に積極的に取り組んでまいります。

○滝沢委員 大量に退職するということで、今度は逆に、大量に教員を採用するということになりましたので、その若手をぜひいろんな施策において指導しているということでございますけれども、積極的に指導力、そして教員として一人前になるように今後もお願いしたいと思うとともに、区市町村との連携、自主的な研究の課題もいろいろあると思いますけれども、今後とも本当に積極的に人材の育成に取り組んでいただきたいと思います。
 次に、日本語指導を必要とする外国人児童生徒も増加しております。平成二十三年度において日本語指導が必要な外国人児童生徒への指導を充実させるための都教育委員会の取り組みについてお伺いをいたします。

○坂本指導部長 都教育委員会は、平成二十二年度から都立学校における日本語指導外部人材活用事業を導入いたしまして、外国人児童生徒の日本語の習得状況に応じて、教師の発言を訳したり、放課後に学習の補充をしたりするなど、きめ細かな個別の支援を行っております。また、外国人児童生徒が日本語を学ぶためのテキスト「たのしいがっこう」を、中国語や英語など二十二の言語ごとに作成いたしましてホームページに掲載し、各学校が必要に応じて活用できるようにもしております。さらに、平成二十三年度には、教員向け指導資料である日本語指導ハンドブックを作成、配布いたしまして、その活用を図っているところでございます。
 今後ともこうした外部人材や教材等の活用を促進することで、外国人児童生徒の個別の状況に応じた指導を一層充実させていきます。

○滝沢委員 ぜひ、人材の活用事業も取り組んでいるということでございますけれども、教材の更新等も含めて、今後も、外国人児童生徒に対する日本語の指導、充実をお願いしたいと思います。
 次に、教育の質の向上、教育環境の整備を推進する上で、外部人材の教育活動への積極的な活用をすべきだと考えますけれども、都教育委員会における外部人材の活用事例をお伺いしたいと思います。

○岡崎人事部長 学校の教育力を高めるためには、さまざまな分野のすぐれた外部人材を積極的に登用し、教員と外部人材が連携しながら、それぞれの専門性を発揮させることが有効でございます。都教育委員会では、従来から、日本の伝統文化や語学の指導に当たり、知識、技能、経験を有するすぐれた外部人材を市民講師として活用してまいりました。また最近では、肢体不自由特別支援学校において、児童生徒の障害の重度重複化、多様化に対応するため、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、心理などの外部の専門家を採用し、専門的かつきめ細かな自立活動の指導を行っておるところでございます。また、各学校が外部人材を探す負担を軽減するために、都教育委員会が多種多様な外部人材を広域的に確保して、学校のニーズに対応した人材をマッチングさせる仕組みである教育庁人材バンクを設置いたしました。平成二十三年度は、学校からの求めに応じて約三千四百人を紹介しております。今後とも、児童生徒への教育効果をより一層高めるため、外部人材を積極的に活用してまいります。

○滝沢委員 人材マッチングさせる仕組みをつくられた中で、三千四百人を紹介したということですので、今後も連携を密にしていただきたいと思います。
 次に、小中学校の副校長等の多忙感や、それに伴う管理職不足等を解消するために、都教育委員会は、小中学校の校務改善推進プランを策定しました。このプランでは、各学校に経営支援部を設置するとともに、校務の役割分担の明確化を促しておりますが、その効果はどうであったのか、また副校長を支援する人材配置の効果検証はどうであったのか、お伺いをしたいと思います。

○岡崎人事部長 小中学校の校務改善推進プランで提案している経営支援部は、主幹教諭、事務職員や非常勤教員等を構成員とする副校長直轄の組織でありまして、副校長に集中していた業務を構成員で分担する機能と、校務を横断的に調整する機能をあわせ持つ常設の組織でございます。この組織を設置した学校では、副校長がよりリーダーシップを発揮しやすくなっていると聞いてございます。また、校務分掌の役割分担を明確化することによりまして、これまで副校長へ集中しがちであった役割分担が不明確な業務、これが分散されまして、副校長が教員の人材育成など、本来管理職として行うべき業務に一層力を注げるようになっております。
 さらに、副校長を支援する人材として教育管理職経験者、学校事務職員経験者、行政事務経験者、地域住民の四類型の人員をモデル事業の中で配置してその効果を検証いたしました。その結果、教育管理職経験者と学校事務職員経験者の配置効果が高いとする声が多くございました。

○滝沢委員 そういった状況を踏まえまして次の質問をしたいと思うんですけれども、教員のメンタルヘルス対策についてお伺いをしていきたいと思います。
 先ほど多忙感という形での質問をさせていただきましたけれども、副校長と他の教職員の精神疾患による病気休職者の数についてお伺いいたします。

○岡崎人事部長 平成二十三年度における精神疾患による病気休職者数は、副校長が十九名、その他の教員が五百一名でございました。

○滝沢委員 副校長の多忙感が叫ばれる中、十九名の方が精神疾患、休職中だということで、ほかの教員も五百九名という数がいるということです。そういった中で、東京都の教員の勤務実態をどのように把握されているのかお伺いをいたします。

○岡崎人事部長 都教育委員会では、平成二十年三月に発表した教育管理職等の任用育成のあり方検討委員会第二次報告、これを取りまとめる中で、副校長、主幹教諭や主要な校務主任を対象とした都独自の職務実態調査を実施いたしました。その結果、教員の残業が勤務日のみならず、週休日等においても常態化している現状が明らかとなり、調査報告書の作成、外部との折衝、対応、会議や打ち合わせの多さなどが要因として挙げられたところでございます。また、副校長の約九〇%、主幹教諭の約七五%が職務に対して多忙感を抱いているというアンケート結果も示されました。
 こうした状況を解決するために、平成二十二年度から二カ年にわたり、小中学校の校務改善に向けた大規模な現場調査を実施いたしました。副校長を中心に、業務時間や内容の詳細な調査を行い、校長、それから主幹教諭及び事務職員からもヒアリングを行い、校務をより効率的に実施していくためのさまざまな施策を検討いたしました。その後、検討策をモデル校において実地に各施策の検証を行った上で、お話しさせていただきました経営支援部の設置や校務の役割分担の明確化を推進することなどを主要な内容とする小中学校の校務改善推進プランを本年三月に取りまとめたところでございます。

○滝沢委員 その分担なり役割なりが少しずつ進んで、子どもたちに向き合える時間ができるといいというふうに思いますので、今後もご尽力のほどお願いしたいと思いますけれども、教員が授業とその準備に集中できる体制をつくる、事務職員を初めとしたスタッフ職の充実に対応できるとの方針でいらっしゃるのか、あるいはメンタルヘルスを受けて職場復帰を積極的に行っていくことを重視するのかをお伺いいたします。

○岡崎人事部長 校務改善は、教職員がより組織的に校務を行い、効率的な学校運営体制を構築することで、教職員全体で、さらなる教育の拡充を図っていくための不断の取り組みでございます。校務改善推進プランで示している経営支援部の設置や役割分担の明確化、調査報告の縮減の取り組み、ITを活用した業務の効率化、行政と学校の役割分担の見直し、非常勤や外部人材の活用などを都内全小中学校で推進し、区市町村教育委員会とも連携しながら、教員が組織的かつ効率的に仕事ができる環境をつくってまいります。
 あわせまして、精神疾患による休職につきましては、早期の相談などにより未然防止を図るとともに、休職中の教員に対しても、教員の状況に応じた職場復帰訓練をリワークプラザ東京において行うなど支援を充実してまいります。

○滝沢委員 ぜひ少しずつ進めていただきたいと思います。
 次に、公立の小中学校等の耐震化支援についてお伺いをしたいと思いますけれども、二十三年度は東日本の大震災がありました。父兄の方々やその親族の方々も公立の小中学校等の耐震化の進捗状況については、少しずつ認識をしていると思いますけれども、その進捗状況についてお伺いいたします。

○谷島地域教育支援部長 都内の公立小中学校等の平成二十三年度末の耐震化率は、九六・七%でございます。都教育委員会は引き続き、学校施設の耐震化を着実に推進するよう、区市町村教育委員会を支援してまいります。

○滝沢委員 九六・七%ということですけれども、やはり震災の後でしたから、自分の孫のところは大丈夫なのかといういろいろ不安がありますけれども、今後も一〇〇%に向けて耐震化は進めていただきたいと思います。
 次に、私の一般質問で実現をしていただきました公立の小中学校の普通科教室の冷房化についてお伺いいたしますけれども、二十三年は、震災の後、また原発事故等がございました。市町村立の小中学校の普通科教室の冷房化の進捗状況についてお伺いいたします。

○谷島地域教育支援部長 平成二十三年度末現在、都内市町村立小中学校六百九十六校中四百二十二校の普通教室が冷房化されており、その比率は六〇・六%でございます。

○滝沢委員 二十三年度は震災もあったりとか原発もあったりとか工事を請け負う会社がなかったりとかいろいろ事情があると思います。これに、市町村によっては今後も事業を継続してほしい、もしくは、少し待ってほしいということもありますので、今後もぜひ柔軟な対応をしていただきたいと思います。
 都の公立の小中学校は、修学旅行を初め移動教室、社会科見学等で、校外で活動を行う場合、行き先によっては放射能に対して不安を持つ保護者も多いと思われます。東京都教育委員会は、学校がこのような学校外での活動を行うに当たり、そういった影響についてどのように考えているのか、お伺いいたします。

○谷島地域教育支援部長 都教育委員会は、修学旅行等の校外活動を行う際には、実施主体である区市町村教育委員会や学校が直接現地に問い合わせるなど、状況を十分に把握し、児童生徒の安全確保に万全を期しているものと認識しております。

○滝沢委員 二十三年度は地震でしたりとか原発事故等がありまして混乱があったと思いますけれども、放射能については今後もいろんな情報がありまして、やはり不安感でしたりとか、その風評被害にならないような形で的確な情報確認もぜひ今後ともお願いいたしまして私の質問を終わります。

○高橋委員長 この際、議事の都合によりまして、おおむね十分間休憩いたします。
   午後三時十三分休憩

   午後三時二十五分開議

○高橋委員長 休憩前に引き続きまして分科会を開きます。
 質疑を続行いたします。
 発言を願います。

○斉藤委員 私の方からは、まず中高一貫教育校についてお伺いをしたいと思います。
 都立の中高一貫校は、十二歳からの新しい進路として注目を浴びております。
 十月十二日付の日経新聞に、都立一貫校の志願者数、これがふえて人気が広がっているという内容の記事がございました。ことしの中高一貫校の入学時の倍率が六倍から八倍、保護者や生徒の期待の高さが反映されておりまして、都の教育委員会は、都民の期待にこたえていく必要があると考えます。
 都立の中高一貫校は、小石川や両国などの伝統ある都立高校を改編し、平成十八年度から平成二十二年度まで十校を開校してまいりました。中高一貫校は、高校入試がなく、六年間、学生生活を同じ学校で送ることができます。また、中学生と高校生が一緒に企画し、運営していく文化祭や体育祭などの学校行事がありますので、今の子どもに不足しがちな学年の異なる集団による交流、活動を経験する機会も多くなりまして、社会性を養うという点でも、中高一貫校はよい面があると思います。
 こうした中高一貫教育の仕組みのよさを生かし、都教育委員会はどのような教育を目指しているのかを初めにお伺いをいたします。

○直原都立学校教育部長 都立中高一貫教育校は、使命感、倫理感、社会貢献意識、我が国と郷土に対する愛着と誇りなど、日本人として持つべき資質を備え、社会のさまざまな場面、分野で信頼されるリーダーとなり得る人間の育成を目指しております。
 このため、各校では、生徒が六年間継続した学校生活を通して、学校行事や部活動などにより、同級生はもとより先輩、後輩と交流し、互いに切磋琢磨する機会を設け、豊かな人間性と社会性をはぐくんでおります。
 また、教養教育を重視した特色ある教育活動により、生徒の個性や創造性を伸ばしております。具体的には、母体となる高等学校の伝統や地域の特色を生かして、日本の伝統文化理解教育、理数教育、国際理解教育など、文化と自然、社会について深く学ばせる教育活動に取り組んでおります。

○斉藤委員 さまざまな教養教育を重視した特色ある教育活動など、さまざまな挑戦をされているということはわかりましたが、十月十九日に大変うれしいニュースが飛び込んでまいりました。各委員もご存じだと思うんですが、都立小石川中等学校の生徒さんが、非常に権威のあるポーランドの国際論文コンクール、ノーベル物理学者の第一歩といわれているようですが、こういった賞を受賞されたということでございます。
 この小石川中等学校は、まさに理数教育の伝統校として大変有名でございますが、国のスーパーサイエンスハイスクール指定校でもございますけども、こういった姿勢は、中高一貫になる前から、そういった特色を有している学校と伺っております。都立中高一貫校となっても、その母体となっている高等学校の伝統を生かしまして、各学校、特色ある教育活動が行われていくというのは、とてもよい試みであると思うわけでございます。
 都立中高一貫校は、昨年の春の白鴎に続きまして、ことしは桜修館、小石川、両国の三校が加わりまして、四校で卒業生を送り出しました。
 大学の合格状況を見ますと、東京大学などの難関大学に合格している実績は、都立中高一貫教育校の大きな実績と、これは内外ともにたたえられているわけでございますけども、各マスコミも、都立中高一貫校の躍進ぶりを大きく取り上げているところでございます。
 最近の「エコノミスト」も、このように中高一貫校、本当にお得なということを書いてありますが、特色としては、都立の中高一貫校が私学と並んで大変顕著な成績を上げているという、実績を上げているということの紹介でございました。
 しかし、これを拝見しまして、受験、進学のみクローズアップされることで、学校は、昨年度の実績よりも今年度の実を上げようとしまして、進学対策中心の授業になってしまってはならないのではないかと、ちょっと認識をしているわけでございます。決して進学塾のような学校になってしまってはならないと、そのようなことはないと思いますけども、そういったこともちょっと気がかりでございます。
 各校は、伝統ある母体となる高等学校がありまして、母体校は、人格形成に必要な特色ある学校行事や部活動を行っております。社会のさまざまな分野で信頼されるリーダーとなり得る人間教育を目指している中高一貫校におきましても、このことを継続していく重要な価値があると思います。
 そのためには、例えばですが、同窓会や保護者の意向を学校経営に生かすことが考えられるわけでございます。進学実績が上がっているからこそ、そういった今であるからこそ、人格形成に役立ってきた伝統を大切にしていく趣旨で、同窓会などの意向を学校経営に反映できるようにするべきと考えますけども、所見を伺います。

○直原都立学校教育部長 都立中高一貫教育校では、母体校から受け継がれた特色ある学校行事や部活動が行われ、教育効果を上げております。例えば、文化祭における演劇活動が伝統的に盛んな学校では、後期課程の生徒によるレベルの高い演技を前期課程の生徒が見て、夢や希望を抱き、向上心や団結力を高めて、学校生活を送れるようになっております。
 このような母体校のよき伝統を引き継ぎ、発展させる上で、同窓会や保護者の方々の意見を学校経営に生かすことが有益であることから、現在、各校の学校運営連絡協議会に同窓会及び保護者代表の方に参加いただいております。
 今後も、中高一貫教育校各校が、教育活動全体を通じて、将来、社会のリーダーとなり得る人間を育成するよう、適切に指導してまいります。

○斉藤委員 進学に偏重し、画一な学校になることはないと、そのように思っておりますし、そうしていかなきゃならないと思いますが、ぜひともより一層すばらしい中高一貫校となりますように、各校の母体校の伝統を生かして、それぞれの生徒の可能性や潜在力を存分に引き出していただきたいと思います。
 また、このような高校生の意識調査、都立高校生意識調査をちょっと拝見したんですが、例えば、社会貢献などしたいという気持ちがあっても経験をしたことがないという、こういった潜在的なやる気ですとか、あるいは最近非常に話題になっていますけども、内向きな姿というか、海外に留学したいということに対しては、大変消極的な意識の結果も出ているようですけれども、こういった点につきましては、大切な時期でございますので、ぜひとも学校の現場で、そういった生徒の可能性、潜在力を引き出すご努力もお願いしたいと思うものでございます。
 続きまして、次はものづくり教育についてお伺いしたいと思います。
 先月までNHKで放送されました朝の連続ドラマ「梅ちゃん先生」のだんなさんは、大田区内で営む旋盤工場で働きまして、ドラマの中ではございますが、新幹線の部品を製作する、そういった実演をするようなシーンがございました。戦後、日本の復興の一シーンとして、日本人、庶民の復興に対する心意気を感じまして、感動した一シーンでもございましたが、このようなものづくりには、私たちの生活を豊かにするだけでなく、人を感動させる力が内在していると思います。
 工業高校の生徒の皆様には、ものづくりの喜びを知っていただきまして、みずからが学んでいる学習に誇りを持っていただきたいと思うものでございます。
 こちらも報道で知ったんですけれども、大変うれしいニュースでございます。日本学生科学賞、第五十六回の伝統のある科学賞ですが、都大会の審査が行われた結果、都の代表として、中央審査にこれから進むんですが、都立葛西工業高校の二年生の生徒の方が最優秀賞に輝いているという報道がございました。こういったすばらしい高校生がいる都立の工業高校でございます。
 また、昨年度でございますが、都立工業高校では、総合工科高校の生徒が、トルコで開催されましたロボカップジュニア世界大会に出場したほか、多摩科学技術高校の生徒が高校生ものづくりコンテスト全国大会で優勝する、こういったすばらしい実績を上げたと伺っております。生徒にとっては大きな自信になったのではないかと思うわけでございます。
 戦後、終戦後の「梅ちゃん先生」の時代から、ものづくりの技術は革新的に進展している今日でございますが、現在、アジア諸国の台頭や欧州の通貨危機、さらには東日本大震災の影響などを受けまして、日本のものづくり産業は、まさしく正念場を迎えているところであります。
 とりわけ、中小のものづくりの企業、会社におきましては、即戦力となる人材の確保、早期の人材育成が喫緊の課題となっています。ものをつくる喜びを知った意欲のある若者が、今の時代に必要な技術、技能を身につけ、日本のものづくりを支える人材となっていくことが、とても期待されるところでございます。
 都立工業高校では、デュアルシステムという、企業と学校が連携して人材を育成する、そういったプログラムを導入しております。企業にとっては企業の後継者となれる人材を確保しまして、生徒にとりましては、企業の現場で実践的な技能を身につけ、就職を目指すことができるシステムだと伺っております。
 そこで、デュアルシステムのこれまでの成果についてお伺いをしたいと思います。

○直原都立学校教育部長 平成十六年度に開校した六郷工科高校デュアルシステム科では、これまで二百社を超える地元企業の協力のもと、デュアルシステムを展開し、卒業生の半数以上、就職した生徒の約八割が、就業訓練先の協力企業に就職する実績を上げております。
 これを踏まえ、二十三年度から葛西工業高校及び多摩工業高校で、二十四年度から北豊島工業高校及び田無工業高校におきまして、希望する工業科の生徒を対象にデュアルシステムを拡大し、将来の就職に向けて生徒の職業意識をはぐくみ、企業の生きた技術、技能を習得するため、協力企業における就業訓練のプログラムを開始いたしました。
 今後、関係機関と連携を図りながら、協力企業を開拓するなどして、五つの工業高校におけるデュアルシステムをより一層実効ある取り組みとしてまいります。

○斉藤委員 平成十六年度の六郷工科高校で始まったデュアルシステムでございますけども、地元企業のご理解とご協力のもとに実績を着実に上げまして、また、他の四つの工業高校においても同様の取り組みが始まったことは、大変喜ばしく、期待されるところでございます。
 昨年度、都教育委員会が都立高校生の就職先の企業に対して行ったアンケートによりますと、工業高校の生徒を今後も採用したいと考える企業は多く、工業高校に寄せる企業の期待は、依然として大きいことがうかがえるデータがございます。
 一方で、都内の高校生の求人件数は四年連続で減少しておりまして、高校生にとって依然として厳しい就職環境となっていると思います。今こそ、工業高校におきまして、工業高校だからこそできる人づくりを一層推進していくことが必要になっていると考えますけれども、所見を伺います。

○直原都立学校教育部長 日本のものづくり産業を支える人材を育成し、技術を継承し、発展させていくためにも、工業高校の果たすべき役割は重要でございます。
 このため、これまで工業高校では、ものづくりに必要な基礎的、基本的な能力及び態度を習得させるとともに、企業の熟練技能者等から専門的な技術、技能を学ぶ実習や、技能の習得を目的としたインターンシップなどの取り組みを行ってまいりました。
 今後、工業高校生に対する企業の期待とニーズを踏まえ、生徒が在学中に身につけるべき技術、技能の水準を示した上で、生徒に将来の明確な目標を持たせ、必要となる実践的な技術、技能の習得や有用な資格の取得を支援し、生徒の進路実現を図ってまいります。

○斉藤委員 工業高校に入学される生徒の皆様は、入学直後から卒業するに至るまで、いろいろ気持ちの中に変化が非常に大きい、そういった特徴のある高校時代じゃないかというふうに推測されます。
 例えば、都立工業高等学校に関するアンケート調査、これは、二十一年二月の実施のものでございますが、工業高校のPR活動について、もっと希望者が増加するようにPRが必要なんじゃないかという話もございます。工業高校といいますと、比較的最初の志望校ではなくて、受験に非常にご苦労された方が進学しているイメージが定着してしまっているんじゃないかと。実際は決してそうではないわけでございまして、そういったものづくりの工業高校でしかできない、すばらしい環境が学校にたくさん備わっているわけでありますので、こういったイメージアップも必要じゃないかと思いますし、また、女子が進学したくなるような工業高校があってもいいじゃないかというようなお声も出ております。さまざまなそういったお声なども参考にしながら、工業高校をもっともっとPRもしていきたいと、このように考えている一人でございます。
 先生にさまざまなことを教えていただきまして、また入学後、仲間と切磋琢磨をし、いち早く社会に出て、ものづくりの現場で汗をかいて、非常に充実した人生を送っている先輩方に出会いまして、そういった目的意識を持ちながら、自己の可能性に気づいていく方も多いのではないかと、このように思います。
 工業高校は、私立学校にはなかなかできない学びの場です。生徒の能力を引き出して、人づくりをする学校であり続けていただきたいし、また応援をしっかりしてまいりたいと思います。
 次の質問に移ります。
 次に、特別支援教育についてでありますけども、都議会公明党ではこれまでも、知的障害が軽い生徒を対象とした職業学科の増設や、民間企業及び公的機関と関連した職業教育、就労支援の必要性など、知的障害の生徒の皆さんの企業就職を目指す取り組みを推進することの重要性を取り上げてまいりました。
 知的障害の生徒の皆さんの企業への就労は、生徒の皆さん本人の自己実現を図るばかりでなく、父、母、保護者の皆様にとっても、我が子の将来に明るい希望が持てるものでありまして、都立知的障害特別支援学校の教育環境や就労支援体制の整備、職業教育の充実などに対する生徒や保護者の皆様の期待は大変に大きいものがございます。
 こうした期待にこたえるために、都教育委員会は、東京都特別支援教育推進計画の第一次、第二次実施計画に基づきまして、知的障害が軽い生徒を対象とした高等部職業科の設置や就労支援体制の整備などを進められまして、知的障害のある生徒の皆さんの企業への就労を支援しておられます。
 そこで、これまでの都立知的障害特別支援学校におけます生徒の企業への就労に向けた都教育委員会の取り組みの成果について、お伺いしたいと思います。

○廣瀬特別支援教育推進担当部長 企業就労を目指す知的障害のある生徒の希望を実現するためには、一人一人の能力の伸長と適性に応じた実習先、就労先の確保が重要でございます。
 このため、都教育委員会は、民間企業関係者等との連携を図り、各特別支援学校における清掃や接客などに関する職業教育の充実に取り組んでまいりました。
 また、個々の生徒の能力、適性に応じた実習先、就労先を確保するために、就労支援に関する連絡会を設け、全特別支援学校と連携した企業開拓を行い、生徒の希望の実現に向けた支援体制を構築してきました。
 これらの取り組みにより、特別支援教育推進計画第一次実施計画を策定した平成十六年度に三〇%であった知的障害特別支援学校就労率は、平成二十三年度末の各学校からの報告では、四一%を超えるまでになっております。

○斉藤委員 ただいまご答弁ございましたように、都立知的障害特別支援学校の企業就労率は四〇%を超えたということでございます。平成二十二年度の全国平均の約二七%を大きく上回る、そういった成果を上げられておるということでございます。これは、都教育委員会と各学校における企業への就労を目指した職業教育や就労支援の成果であると、このように高く評価をしております。
 都議会公明党としましては、知的障害の生徒本人や保護者、都民の期待にこたえていくためにも、引き続き企業への就労を推進していくべきであると考えます。
 そこで、知的障害の生徒の皆様の企業への就労を一層推進するためには、都立知的障害特別支援学校における職業教育の充実が今後もさらに必要になると考えますけども、所見を伺います。

○坂本指導部長 都立知的障害特別支援学校において、職業的自立を目指した教育を充実していくことは、知的障害が軽度の生徒はもとより、中重度の生徒にとっても、将来の自立と社会参加を図る上で重要であります。
 そのため、都教育委員会は、都立知的障害特別支援学校高等部におきまして、職業に関する教科等に重点を置きますとともに、モデル校を指定しまして、生徒の職業能力の開発に向けた研究を進めております。
 今後とも、都教育委員会は、こうした取り組みの成果につきまして、指導資料の作成や実践報告会の実施等を通じて、すべての知的障害特別支援学校に普及いたしまして、企業への就労を目指した職業教育の充実に努めてまいります。

○斉藤委員 東京都特別支援教育推進計画第三次実施計画では、第一次、第二次実施計画におきまして設置計画されている五校に加えて、高等部職業科を新たに増設することが述べられています。保護者の皆様の中には、身近な地域に職業学科の設置を望む声がございます。第三次実施計画におきまして、地域バランスに配慮した増設、これが計画されていることは、こうした保護者の皆様の声にもこたえるものでございます。計画の早期実現を期待しております。
 次に、在宅訪問教育を受けている児童生徒の通学に関してお伺いをしていきたいと思います。
 障害が重い、さまざまな医療的ケアが常時必要であるなどの理由によりまして、通学が困難な児童生徒の教育につきましては、自宅などに都立肢体不自由特別支援学校の教員がみずから訪問いたしまして、個々の児童生徒の実態に応じた教育が行われております。
 私も、先日、大変重度の障害を持った親子の姿を拝見しましたけども、本当に二十四時間、医療的な機器による看護が必要なお子様が就学期を迎えておられました。大変な状況でございます。
 さきの第四回定例会代表質問で、都議会公明党は、都立肢体不自由特別支援学校の在宅訪問教育を受けている児童生徒の保護者には、できれば通学をさせたい、挑戦したいと、そういう願いがあることを取り上げさせていただきました。
 その際、保護者の通学に関する意向を把握し、区市町村との連携を踏まえた通学手段の確保への取り組みの必要性について、教育庁の見解を伺ったわけでございます。その際、ご答弁としまして、今後、一人一人の医療ケアの種類や程度、保護者の意向を把握して、区市町村との連携のあり方などを含めて総合的に検討していく旨ご答弁がありました。
 そこで、このことにつきまして、その後把握された通学に関する保護者の意向と、また通学手段の確保に向けた取り組みに関する見解をお伺いしたいと思います。

○廣瀬特別支援教育推進担当部長 都教育委員会では、都立肢体不自由特別支援学校を通じ、在宅訪問教育を受けている児童生徒の保護者の通学についての意向を把握いたしました。保護者は、通学して教育を受けることを願いながらも、健康面、体力面での負担が大きい、感染症にかかる危険が高い、医療機器がありベッドから離れられない等の理由から、通学することは困難であると考えていることがわかりました。
 これまでも、健康、体力が改善し、通学が可能になった児童生徒については、各学校において、児童生徒の実態に応じ、スクールバスの試乗や地域の移動支援の活用を検討してまいりました。都教育委員会としても、より児童生徒に負担の少ない通学方法を見出すための丁寧な相談を行うよう、各学校を指導助言しているところです。

○斉藤委員 教育庁のご努力については、今、確認ができました。
 決して教育庁だけでこの問題、こういった困った方の問題を解決することは、なかなか難しいこともよく認識しております。区市町村の移動支援などの連携なども、口でいうほど簡単ではない、大変難しい問題があることも十分わかっておるわけでございますが、大事なことは、そういったご家庭に対して学校側が一歩踏み込んで、お気持ちに寄り添うような形で、できるだけご希望に沿った形での教育を行っていただく姿勢、そういった気持ちの通い合いも大事だと思っております。
 質問は以上でございますけども、結びになりますけども、在宅訪問教育を受けていても、児童生徒の保護者は、通学させたいという思いがありながらも、実際には、健康面や体力面で現実的には困難があるということについて、大変悩んでいる姿があるということを、今ここで確認をさせていただきましたし、それに対する教育庁の取り組みも伺いました。このように、児童生徒の教育を充実させるためにも、今後一層、在宅訪問教育が充実されることを期待してやみません。
 また、健康や体力の改善が図られ、通学手段がないために通学できないなどのことが今後ないように、都教育委員会は、各学校との連携を密にしまして、保護者の相談に丁寧に対応するよう重ねてお願いいたしまして、私の質問を終えたいと思います。

○尾崎委員 私からは、まず最初に精神疾患による教員の離職率についてお伺いをしたいと思います。
 文部科学省の学校教員統計調査によりますと、精神疾患で休職をする公立小学校の教職員は、二〇一〇年には十年前の二倍、五千人近くに上っておりまして、地方自治体の予算にも大変深刻なダメージを与えているわけであります。
 東京都で見ますと、教師の年齢別に見ても、若年から高年まで、東京は全国平均をすべて上回っている状況でありまして、特に、私の聞いた話によりますと、若い教員の方々、こういった方々は、もちろん崇高な理念を持って教職につくという方もいらっしゃるんでしょうけれども、他方、夏休み等々もあるし、楽な職場なんじゃないかというような感覚で入ってきたところで、現実と理想のギャップでうつ病になってしまうケースなども多いのではないかと思われるわけでございます。
 そこでお伺いしたいんですけれども、精神疾患による病気休職者の状況とメンタルヘルス対策についてお伺いをいたします。

○前田福利厚生部長 東京都におけるうつ病などの精神疾患による病気休職者数の割合は、全国平均よりも高くなっておりますけれども、採用直後の若い教員を含めて、教員が精神疾患により病気休職に入る理由はさまざまでございます。
 精神疾患は、本人の自覚がないままに重篤化することが多いことから、早期自覚、早期対処を基本とした教員のメンタルヘルス対策を行うことが重要であり、都教育委員会としては、こうした休職の未然防止を図る観点から、土日相談、臨床心理士の講師派遣、初任者や副校長昇任者に対するカウンセリングなどを実施しております。
 さらに、平成二十三年度から、心の病を早期に自覚させ、医療機関等への受診、相談を促すストレス検査を全教職員を対象として実施し、メンタルヘルス対策の充実を図ったところでございます。
 都教育委員会では、今後ともメンタルヘルス対策に積極的に取り組んでまいります。

○尾崎委員 全国平均よりも精神疾患の出現率が多くなっているということは、これはいろんな、さまざまな理由が考えられると思うんですけれども、やっぱり東京は人口も多いですし、一般的な都市化現象という側面もあるでしょうし、それとは違って東京都の教育環境、もしかしたらそういったところに要因もあるのかもしれないということもあるので、ぜひストレステスト、そういったものも含めて要因を突きとめて、離職率の減少に努めていただきたいと思います。
 続いて、先ほども何人かの先生方がご質問されていましたけれども、いじめ対策についてお伺いをしたいと思います。
 東京都教育委員会は、九月にいじめの実態把握のための緊急調査の結果というものを公表されましたけれども、それによると、ことしの四月から七月にかけて、都内の公立学校において認知されたいじめの件数は、先ほども伊藤先生の質問に出ましたように、一万件を超える、そういったデータが出ているようでありますけれども、いじめは、どんな状況でも、どんな学校でも起こり得るというのは、非常によくわかるんですけれども、教員の先生方は、子どもたちの様子の変化を見逃さないように努力されているということも、よく理解をしております。
 ただ、学校だけじゃなくて、保護者あるいは地域を含めた取り組みが重要と考えているんですけれども、平成二十三年度の都内公立小中学校の児童生徒のいじめの状況と、またさらに、保護者や地域社会と連携をした都教育委員会の対応について、お伺いをしたいと思います。

○坂本指導部長 平成二十三年度における児童生徒の問題行動等の実態についての調査結果によりますと、平成二十三年度のいじめの認知件数は、平成二十二年度と比較しまして、小学校は二百六十二件増加の二千四百二十三件、中学校は六十六件増加の二千百九十五件となっております。
 都教育委員会は、平成二十三年度から、教員と一緒に家庭訪問等を行い、児童生徒やその保護者からの相談にこたえる家庭と子どもの支援員制度を開始いたしまして、いじめを初めとする問題行動等の解決に取り組んでおります。
 また、本年九月には、いじめ問題に対する児童生徒や保護者、地域社会等の意識を一層高めるため、いじめ防止のためのシンポジウムを開催いたしました。

○尾崎委員 小学校のいじめと中学校のいじめというのは、もちろん原因も、あるいは年齢によっても、いろいろとその動機とかも違ってくると思いますし、いじめのやり方といったらちょっと語弊がありますけれども、いじめの仕方というのもさまざまだと思うんですけれども、その対処法、きめ細かい対応が今本当に求められているんだと思います。
 今ご答弁にもあったんですけれども、東京都で、都民ホールか何かでいじめのシンポジウムを開催されたということで、ちょうど私も先日、地元の青年会議所に私も登録をしておりまして、地元でもそうしたいじめに対しての取り組みをしていこうじゃないかということで、でもなかなか、いじめをされている子たちに話を聞くというのも非常に至難なことでありまして、また逆に、いじめをしている子たちに聞くというのも、これも至難のことでありまして、そういうのを浮かび上がらせてしまうと、いじめられる側が、今度は逆にいじめていた側がすぐに逆転してしまうような、そういった現象も本当に見受けられるということで、現代のこの状況の中では--私は今、三十八歳で、僕はそのときにはいじめたこともないですし、いじめられたこともないので、よくわからないんですけど、そういった状況の中で、今のいじめというものは、さっきの学校裏サイトですか、こういった、昔ではちょっと考えられなかったようないじめもあるわけでありまして、本当にきめ細かい対応が必要だと思っております。
 大変でしょうけど、地域や保護者の方々ともいろいろと協議をしていただいて、東京都でのいじめというものを本当に一件でも減らすような努力をしていただきたいと思うところであります。
 続いて、児童生徒の学力向上を図るための取り組みについて、お伺いをさせていただきたいと思いますけれども、よく、学力と貧困の関係ということで巷間話をされるときがありますけれども、東京都の教育委員会に聞いたら、オーソライズされたデータはない、統計をとっていないということで、正式なデータというのはちょっとわからないんですけれども、この話の根幹は、家庭的背景が学力に大きな影響を及ぼしていくと。階層が上位になればなるほど勉強時間がふえるというようなデータがあるわけであります。これは行政でやっているものではないですけれども、そういった状況の中で、児童生徒の学力向上には、教師の指導技術の向上というテクニカルな面も大事だと思うんですけれども、もっと根源的なところでの学力向上、要因というものも、やっぱり取り組みをしていかなくてはいけないと思うところであります。
 そうしたところで、児童生徒の生活習慣の改善を図るなどの取り組みも必要と考えますけれども、所見をお伺いいたします。

○坂本指導部長 児童生徒の学習意欲を喚起し、学力向上を図るためには、教員の指導力を高めるとともに、基本的な生活習慣や家庭での学習習慣を確立していくことが不可欠であります。
 都や国の学力調査の結果によりましても、規則正しい生活を送ったり、計画的な家庭学習の習慣を身につけたりしている児童生徒の平均正答率は、そうでない児童生徒よりも高いことが明らかになっております。そのため、都教育委員会は、各学校における授業改善を推進いたしますとともに、家庭学習の重要性や生活習慣の改善等について家庭に働きかけ、協力を求めております。
 今後とも、これらの取り組みを充実させますことで、児童生徒の学ぶ意欲を高め、確かな学力の定着と伸長を図ってまいります。

○尾崎委員 次に、東京の学校見学バスツアー、これは教員の確保策の一つとして行われているものでありますけれども、これについてお伺いをしたいと思います。
 二〇一一年度の東京都小学校試験の競争率というのは三・七倍となっておりますが、ことしはかなり上向いたということでありますけれども、通常、競争倍率が三倍を割ると、優秀な人材は選べないという話も聞くわけであります。
 こういった状況で、東京都でも、より優秀な教員の確保のために、地方からの受験者数の拡大をうたって、東京の学校見学バスツアーというものを過去三回実施をしたり、また秋田、高知、大分と協定を結んで、その確保にも努めておられるということも聞いております。
 まず最初に、教員採用選考のPRとして、学校見学バスツアーを実施されている事業の目的とこれまでの実績について、お伺いをしたいと思います。

○岡崎人事部長 都教育委員会は、平成二十年度から、地方在住の学生を対象に教員採用選考の受験先を絞り始める十二月から二月、この時期にかけまして学校見学バスツアーを実施しております。
 この事業の目的は、東京の公立学校を見学、体験して実地に児童生徒に接するとともに、地方出身の現職の若手教員と東京における教員生活について親しく懇談することで、東京の学校への理解を一層深め、都への受験を促すことでございます。
 平成二十三年度の参加者は二百三十三名でございまして、日帰りコース三回のほか、新たに設けた宿泊コースも一回実施いたしました。この宿泊コースでは、東京都教職員研修センターにおいて実際に行われた初任者研修のプログラムを参加者に模擬体験してもらうなどの工夫を図りました。今年度は、小学校の一日の流れをつかめるよう、午前、午後を通じてじっくり体験してもらうコースも新たに設定する予定でございます。
 こうしたさまざまな工夫を凝らして、学校見学バスツアーを充実させ、地方からの優秀な受験者の確保に努めてまいります。

○尾崎委員 では、この学校見学バスツアーによって、教員採用選考の受験者をふやす上でどのような効果があったのか、そしてまた今後どのように受験者の確保を図っていくのか、お伺いをいたします。

○岡崎人事部長 昨年度のバスツアーの参加者へのアンケートでは、東京の生徒に対するイメージが百八十度変わったであるとか、すてきな教職員がたくさんいて、絶対に東京都の先生になりたいと思ったといった意見が多く寄せられておりまして、東京の学校のイメージアップに大きな効果があったと考えてございます。
 優秀で意欲に満ちた教員志望者を全国から確保するため、バスツアーのほかにも、さまざまな取り組みを継続的に行っていくことが重要でございます。
 このため、採用選考の実施に当たりましては、首都圏だけでなく、地方の優秀な人材に受験を促すため、東京のほか、仙台、神戸、福岡の三つの地方会場で第一次選考を行っております。
 また、全国の大学生に受験を促すため、都教育委員会の職員が各地の教員養成大学を訪問し、説明会を開催したり、現職若手教員を教員採用ナビと称して出身大学に派遣するなど、大学との連携を強化しております。
 今後とも、こうした取り組みを積極的に進めまして、一人でも多くの優秀な受験者の確保に努めてまいりたいと思います。

○尾崎委員 ぜひ競争率が上がるように努めていただきたいと思うんですけど、これはやっぱり、さっきから質問が出ておりますいじめの対策の問題だとか、こういうことにもすべて通じてくることなんじゃないかなと思います。教育者の育成というか、修練というか、こういったものは、医師不足でお医者さんをすぐ即戦力でふやすためには、やっぱり五年から十年の期間が必要だったり、あるいは児童虐待の児童福祉司は、ベテランになるには五年、十年かかるのと一緒で、やっぱり教育者も、大学を卒業してすぐ即戦力として、ベテランと同じような対応ができるかといったら、決してそうではないわけでありまして、何年かのそうした修練期間を設けていかなくてはならないと思っています。
 そのためには、五年後、十年後を見据えたときに、今から人材の確保というものを真剣に考えておかないと、ますます今の東京の教育環境を取り巻く状況というのは、悪化をしかねないことも考えられますので、ぜひ競争率を、競争率を上げればいいというわけでもないですけれども、まず競争率を上げて、本当に優秀な人材の確保に努めていただきたいとお願いを申し上げまして、質問を終わります。

○馬場委員 それでは、平成二十三年度の主要施策につきまして何点かお尋ねしてまいります。最後の質問者となりました。何点か質問が重複するかと思いますが、お許しいただきたいと存じます。
 まず、家庭と子どもの支援員制度についてからお尋ねをしてまいります。
 子どもへの虐待やいじめなどの報道があるたびに、さまざまな取り組みの必要性が叫ばれております。一方、見えないところでの発生は数字としてとらえられず、加害、被害の経験は多くの方がお持ちのことと思います。家庭での問題は、親からの加害の連鎖のために犯罪との認識が持ちにくいこと、日常化してしまうことなどだと思っております。
 子どもが安心して育つ環境を守るためには、学校、家庭、地域の連携により、地域とともに育てる教育が求められていると私も思っております。
 都教委では、学校生活において課題の見られる児童生徒やその保護者へ適切に対応するため、民生児童委員等の地域の人材が教員と家庭を訪問し、児童生徒や家庭の状況に応じた支援を行うとともに、専門的助言を行うスーパーバイザー等を学校に配置するなどして、学校を拠点とした家庭教育への支援を展開していくと、二十三年度新規事業、家庭と子どもの支援員制度を導入されました。
 この制度のねらいと、家庭と子どもの支援員の役割、施策の取り組み状況について伺います。

○坂本指導部長 都教育委員会は、平成二十三年度から、不登校やいじめ、暴力行為など、学校生活における課題を抱えた児童生徒への対応とともに、その保護者への支援を行うため、家庭と子どもの支援員を配置しております。
 家庭と子どもの支援員は、教員とともに家庭訪問等を行い、児童生徒と保護者の悩みに寄り添いながら、課題解決に向けての相談のきっかけづくりや、学校と家庭のパイプ役を担っておりまして、平成二十三年度は、小学校四十九校、中学校八十一校に配置いたしました。
 さらに、対応が困難なケースに対しましては、学校が精神科医や臨床心理士などの専門家をスーパーバイザーとして活用できるようにもしております。
 今後とも、こうした家庭と子どもの支援員など、外部人材等を活用した児童生徒の健全育成を推進してまいります。

○馬場委員 地域の人材は、地域で育つ子どもを見てきたという身近な近隣住民であるということ、これはある意味、子どもにとっても、また近隣の皆さんにとっても、本来のその子どもの姿を見ているということは、そういう意味では大変力強い支援の人材になるかなと思う一方で、近いだけに、個人情報、家庭と家庭の問題等、難しい面もあるかと、その点は心配もございます。
 各区市町村が、課題が見られる児童生徒、保護者に早く臨機応変に対応できるためには、学校と家庭の連携推進会議、地域とともに育てるという、みんなでよく子どもを見て一緒に育てていこうという、そういう会議を設置することによって、事業に協力していただける人材の円滑な確保ができるよう、事業の周知に取り組まれたいというふうに思って、次の質問に移ります。
 次に、新人育成教員の配置について伺ってまいります。
 近年、教員の大量退職と少子化傾向はとまらず、小規模な小中学校に新任の教員が赴任し、すぐに担任のクラスを持たなければならない状況が続いています。
 東京都教育委員会が平成二十二年度から実施している学級経営研修は、採用直後から学級担任となる小学校において、社会人経験のない新規大学卒業者を研修生とし、退職した再任用短時間勤務教員を新人育成教員として配置する事業です。ペアで学級を担任する実践的なこの研修は、期待どおりの成果を上げていると聞きますが、研修の実施には新人育成教員の確保が必要不可欠です。
 そこで、事業開始から現在までの新人育成教員の配置実績について、まず伺います。

○岡崎人事部長 平成二十二年度から開始した学級経営研修は、経験豊富な退職教員の力を活用しまして、大学を卒業したばかりで社会人経験のない小学校の新規採用教員の学級担任とペアを組ませて、新人の資質能力の向上を図るために実施しているものでございます。
 新規採用教員を指導する新人育成教員は、定年退職後、再任用短時間勤務を希望し、人材の育成に能力を発揮できる教員を充てております。この新人育成教員は、計画的に拡大を図っておるところでございまして、平成二十二年度は八十七人、二十三年度は百四十七人、平成二十四年度は二百人を配置しております。

○馬場委員 平成二十二年度より始めて、八十七人、百四十七人、そして今年度は二百人でよろしいでしょうか、これまで配置できたとのことですが、都では、教員の初任者研修対象者数について、平成二十年では二千九百九十四人、二十一年では三千五百十九人、二十二年三千三百三十八人、二十三年三千三百七十三人と、大量採用状況が続く中、今後しばらくの間、社会人経験のない新規の大学卒業者を多数採用することになると予想されます。
 そのことを踏まえ、最終的には何人の新人育成教員を配置する予定なのか、また配置の拡大に向けてどのように取り組まれているのか、お伺いをいたします。

○岡崎人事部長 新規採用者のうち、大学卒業の直後に都の教員として採用され、小学校の学級担任となる者、こうした者は、現在、年間五百人程度で推移をしておりまして、この全員に対して新人育成教員を配置したいと考えております。早急に、指導力があり、人材育成能力のある退職者を確保していくことが重要でございます。
 都教育委員会はこれまで、退職予定者に対して、募集リーフレットの配布や退職準備セミナーでのPR活動を行うほか、都内の全小学校の校長を一堂に集め、学級経営研修の効果的な実践事例を紹介し、人材確保を働きかけました。
 また、本年六月には、区市町村教育委員会が推薦した百人を超える新たな新人育成教員の候補者を集めまして、仕事の内容ややりがいについて、現職の新人育成教員や研修生を交えたパネルディスカッションを行ったところです。
 今後とも、区市町村教育委員会と連携いたしまして、新人育成教員の配置のさらなる拡大を図ってまいります。

○馬場委員 大量採用された新人は、一年間の初任者研修というのが義務づけられていると伺っております。都教委は、今のお話の新人育成教員のほかに、一年間の初任者研修を初任から三年目までの若手教員等に対して拡大をし、東京都の教員として求められる力を確実に身につけるため、各学校で行うパソコンを活用した三年間の研修体系、研修シラバス自己診断ソフトを独自に開発されました。ことしは、最終年、三年目で完成したというふうに伺っております。今後は、この研修ソフトなどの実施と成果が問われるということになると思います。
 子どもは日々成長し、学校現場は生きており、日々変化しているものとのご認識を持っていただいて、まず子どもと向き合うことの大切さを教員研修の第一の目的として、さらなる取り組みをされるよう強く要望して、次の質問に移ります。
 次に、小中学校の校務改善推進プランの策定についてお伺いをしていきます。
 都の小中学校では、学習指導面はもとより、体力の向上、いじめや不登校への対応、地域との連携強化など、多種多様な課題を抱えています。
 都教委が平成十九年に実施した副校長、主幹教諭の職務等に関するアンケート調査において、副校長等が調査の回答や報告書の作成等の業務に追われ、副校長の約九〇%、主幹教諭の約七五%が多忙感を抱き、学校経営に力を十分注げない実態が明らかとなりました。
 都教委は、こうした学校を取り巻くさまざまな課題に的確に対応していくためには、一層の校務の改善が必要と認識され、二十二年度には管理職及び事務職員からヒアリングを行い、二十三年度には校務改善検討会議を設置し、検討された上、校務改善を進めていくための指針となる小中学校の校務改善推進プランを策定されました。
 都議会民主党にも、校長会、副校長会、教育管理職会など教育関係の方々より、ここ数年は、特に校務の多忙化解消への要望が強く寄せられております。
 都教委は、校務改善を推進することで、なぜ教職員が子どもと向き合える時間が十分確保できると考えておられるのか伺います。

○岡崎人事部長 校務も、教職員一人一人が果たすべき重要な職務でございまして、とりわけ主幹教諭は、公務を整理する立場であることが学校教育法にも明記されてございます。
 校務改善は、教職員がより組織的に校務を行い、効率的な学校運営体制を構築することで、教職員全体でさらなる教育の充実を図っていくための取り組みでございます。
 校務改善推進プランでは、例えば、仕事の前さばきをする経営支援部の設置や、教職員の役割分担の明確化、非常勤や外部人材の活用、調査や報告の縮減の取り組み、IT機器の積極的な活用、校務のマニュアル化や引き継ぎ書の作成など、業務の効率化や省力化を推進する施策として提案しています。
 また、人材育成による個々の教員のスキルアップや、行政と学校の役割分担の見直し、学校の経営方針や情報の共有化なども有効であると考えております。
 こうした取り組みによりまして、教職員が組織的かつ効率的に仕事が進められるようになると考えておりまして、区市町村教育委員会と連携しながら、都内全小中学校で校務改善を推進してまいります。

○馬場委員 小中学校の校務改善推進プランは、三月に発表された後、四月から本格実施がされております。先ほども質問がございましたが、現在までの取り組み状況についてお伺いいたします。

○岡崎人事部長 小中学校校務改善推進プランの中でも、中心的な施策となります経営支援部の設置につきましては、本年四月から、公立小中学校約二千校のうち、約二百三十校で設置されました。また、五月には、校長、副校長、事務職員、区市町村教育委員会などの代表者で構成いたします校務改善推進会議を設置しまして、現在、さまざまな校務改善の取り組みの進捗状況の把握や改善策の効果の検証を行っているところでございます。
 今後、校務改善を広く普及させるためには、各学校における効果的な取り組みを区市町村教育委員会や各学校に周知していく必要があると考えておりまして、このため、都教育委員会では、校務改善に関するさまざまな情報を掲載した校務改善ニュースを教員一人一人に発行いたしまして、公立小中学校の全教員にメールで配布するなどによりまして、校務改善の普及啓発を積極的に行っているところでございます。

○馬場委員 ありがとうございました。
 ご答弁いただきました。先ほどからも何人かの委員さんからもご質問がありました。この報告書、私は何かすとんと落ちないのは、このたびの校務改善推進プランというのは、報告書の前書きにあるとおり、副校長の多忙化を解消することを目的につくられた。調査をし、ヒアリングをし、副校長の校務の多忙化について対応されている。しかし、一方での、教職員が子どもと向き合える時間を確保するための施策等は、どうも全体の報告書の中から見えてこない、そんな思いでございます。なぜなら、教員への実態調査がなされていないまま、教員も管理職とともに校務分掌の対象になっているからです。教員の多忙化には余り触れられておりません。
 子どもと一番向き合える時間を確保したいのは教員です。学校教育法では、教員は、授業をつかさどることが本務とされ、一日の勤務時間の大半が授業時間に充てられております。教員が担う授業時数について触れられず校務の分掌が行われていることに、何か不十分さを感じます。
 一方、教育基本法では、管理職は校務を分掌することができるとされていますが、真に必要な校務とはどんなものでしょうか。どんなものを指すのでしょうか。授業に付随する校務と学校経営に関する校務など、分掌により校務が整理されているでしょうか。教員の側から見ると、校務の振り分け、副校長からほかの職務への振り分けに思えてなりません。校務分掌の役割を終えた後にしか子どもと向き合える時間は得られないのではないかと危惧をされます。
 主幹や主任も教員であり、授業時数を減らさなければ、多くの校務分掌を担うことはできないのではないかと思います。経営専任主幹は授業時数を今後減らせるのでしょうか。子どもと向き合える時間をつくるには、教員しかできない校務のみ分掌すべきと考えます。まず教員の勤務実態を把握するために勤務実態調査をし、その上で再度の分掌の見直しをすべきと考えます。この分掌の見直しを求めて、次の質問に移ります。
 次に、教員のメンタルヘルス対策について伺ってまいります。
 先ほどから何人かの委員さんから出ておりました。問題を抱えたり、多忙な教員が陥るのがメンタルな疾患です。休職者の多くを占め、再休職や長期休職の方へ、これまでもその支援体制について要望してまいりましたが、二十三年度より、全教職員を対象に、定期健診と同時にストレス検査を本格実施したとのことですが、その実施状況についてお伺いをいたします。

○前田福利厚生部長 うつ病などの精神疾患は、本人の自覚がないままに放置しておくと重篤化することが多いことから、心の病の自覚を促すストレス検査は、早期自覚、早期対処を実現するための重要なメンタルヘルスの対策事業でございます。
 都教育委員会では、平成二十三年度から全教職員を対象にストレス検査を実施したところ、受診率は四六%でございました。土日相談等のメンタルヘルスに係る相談数がふえていることから、ストレス検査の実施が教職員の早期自覚、早期対処につながっているものと考えております。

○馬場委員 受診率四六%ということですが、今後、受診というものをそれぞれの皆さんがどう考えて対応するかということも一つあるかと思いますが、事前に、自分がどういう状況なのかというのを知るということも大事なことだというふうに思っておりますので、ぜひその辺を、知らないで過ごすより、わかると、自分が自覚をすること、認識をすることの一つだというふうに考えて受診をされるよう、努めていただきたいと思います。
 また、精神疾患により休職をされた教員が円滑に職場復帰ができるよう、復帰に向けたプログラムを作成し、復職を支援するためのリワークプラザ東京において、職場復帰訓練支援機関の運営をなさっておられます。リワークプラザ東京の運営、事業実施状況についてお伺いをいたします。

○前田福利厚生部長 リワークプラザ東京では、臨床心理士や経験豊富な校長OB等の復職アドバイザーが連携して、教員の状況に合わせた個別の復帰プログラムの作成や、段階に応じた学校訪問による指導助言を行うなど、教員の円滑な職場復帰に向けた支援を行っております。また、復職した後も、学校へのフォロー訪問などを行い、必要な支援に努めているところでございます。
 なお、平成二十三年度中の職場復帰訓練参加申込者は百五十二名であり、そのうち三月末時点で、精神科医等の面接を経て訓練を開始した者は百二十五名、訓練を開始したこの百二十五名のうち復職した者は七十七名、病状により訓練を中止した者は二十八名、退職者は四名であり、引き続き訓練を継続した者は十六名でございます。

○馬場委員 職場復帰は、基本的に以前に勤務していた職場となります。復職アドバイザーによる学校訪問や、校長初め学校関係者によるフォローアップなど、精神疾患の原因に配慮した対応が求められると思います。学校にいるときに疾患をして、そこへまた戻るというような状況になります。
 その意味では、管理職研修を十分行っていただき、だれが、いつ陥っても支えられる職場環境をつくることが再発防止となり、ひいては、子どものいじめや不登校への早期発見に役立つというふうに考えます。職場復帰について、再疾患にかからないように、ぜひとも十分な管理職研修、そして再発防止策をお願いしておきます。
 最後に、外部人材の教育活動への積極的な活用についてお伺いをいたします。
 先日の都議会第三回定例会で、学校教育に直接かかわる業務への外部人材活用について、その事業内容に十分適した資格要件を設定し、履行内容の質の確保に細心の注意を払うことを要望させていただきました。本日は、二点にわたり具体的にお伺いをしていきます。
 都立肢体不自由児特別支援学校では、教員の業務、指導体制を見直し、教員の役割を明確にすることで、児童生徒の教育を充実させるために、平成二十一年度から介護の専門家の導入を図ってきておられます。試行導入段階では、外部の介護事業者に依頼をし、介護職員の紹介を受けていましたが、平成二十三年度の本格導入以降は、専務的非常勤職員として、都教育委員会が直接募集し、採用する形態に変更したと伺っております。
 そのような経緯で、試行導入段階での方式を変更し、専務的非常勤職員という位置づけにされたのはどういう理由からでしょうか、お伺いいたします。

○廣瀬特別支援教育推進担当部長 平成二十一年度からの試行導入では、介護事業者から紹介を受けた介護職員に業務を委嘱しておりましたが、児童生徒の健康と安全を確保するためには、教員と介護職員が一体となって業務を行う必要があり、指揮命令系統を明確にする必要がございました。
 そこで、平成二十三年度からは、都教育委員会が専務的非常勤職員として直接採用し、介護職員を各校長の指揮命令下に置くことといたしました。

○馬場委員 本年六月、宮城県立の特別支援学校におきまして、給食の時間中に児童が食物を誤嚥し、のどに詰まらせる事故が発生しました。文部科学省からは、障害のある幼児、児童生徒の給食その他の摂取を伴う指導に当たっての安全確保の徹底について、指導の留意点などの通知が出されています。
 万一の事故への対応については、あらかじめ医師その他の専門家の指導助言を受け、教職員間で確認し、共有するとともに、外部職員とも十分な連携体制をつくって教育に当たるよう望んでおります。
 次に、都立高校では、業務委託による図書館運営を導入したと聞いております。図書館管理業務委託の現状と業務委託を導入した考え方について伺います。

○直原都立学校教育部長 都立高校の図書館管理業務に委託方式を導入いたしましたが、これは、管理業務の内容が、校長の直接の指揮命令によらず、仕様書に基づく業務指示により、受託者が単独で行えることによるものでございます。
 この委託方式は、平成二十三年度に十九校、平成二十四年度に四十校で導入しております。
 委託に当たりましては、司書資格を有する従事者を配置するよう委託仕様書に規定し、司書業務の質の確保を図っております。業務委託の導入によりまして、開館日数、開館時間が拡大して、学校図書館の利便性が向上し、生徒の読書活動支援に効果を上げております。

○馬場委員 意見を申し上げたいと思います。
 外部人材は、本当に多種多様の方に学校教育現場で子どもたちの教育にともに当たっていただくという大変重要な仕事だというふうに思っております。
 その意味で、外部人材との雇用関係、委託関係につきましては、これは学校だけでない、社会全体での仕組みというものもあり、学校独自でなかなかできないというふうには思いますが、基本的に学校という場が、先ほども申し上げましたように、子どもと直接かかわる部分ということを十分ご認識をいただいて、例えば業務委託という形は、図書館であれば、直接指揮命令が学校側でできなくても、それはそれでこの業務については問題がない。しかし、その前に申し上げました特別支援学校等では、やはりうまくいかなかったというようなことがあると思います。
 さまざまな外部人材を、きちんと契約をし、雇用し、学校というところで、ともに安心して働いていただくためには、まだまだ試行錯誤的なことが続くかとは思いますが、十分に考慮し、基本的には学校の運営に万全を期していただきたい。事故のないように、そして教育が少しでも充実するようにということを心から願ってやみません。
 以上で質問を終わります。

○高橋委員長 ほかに発言がなければ、お諮りをいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○高橋委員長 異議なしと認め、本件に対する質疑は終了いたしました。
 以上で教育庁関係を終わります。
 これをもちまして本日の分科会を閉会いたします。
   午後四時三十七分散会

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