委員長 | 高橋 信博君 |
副委員長 | 伊藤こういち君 |
副委員長 | 尾崎 大介君 |
畔上三和子君 | |
斉藤やすひろ君 | |
田中たけし君 | |
鈴木あきまさ君 | |
滝沢 景一君 | |
岡田眞理子君 | |
馬場 裕子君 |
欠席委員 なし
出席説明員病院経営本部 | 本部長 | 塚田 祐次君 |
経営企画部長 | 和賀井克夫君 | |
サービス推進部長 | 中野 透君 | |
経営戦略・再編整備担当部長 | 齊藤 和弥君 | |
福祉保健局 | 局長 | 川澄 俊文君 |
次長 | 梶原 洋君 | |
技監 | 前田 秀雄君 | |
総務部長 | 中川原米俊君 | |
指導監査部長 | 高原 俊幸君 | |
医療政策部長 | 浜 佳葉子君 | |
保健政策部長 | 高橋 郁美君 | |
生活福祉部長 | 小林 秀樹君 | |
高齢社会対策部長 | 中山 政昭君 | |
少子社会対策部長 | 桃原慎一郎君 | |
障害者施策推進部長 | 山岸 徳男君 | |
健康安全部長 | 中谷 肇一君 | |
企画担当部長 | 篠原 敏幸君 | |
事業調整担当部長 | 萱場 明子君 | |
医療改革推進担当部長 | 笹井 敬子君 | |
医療政策担当部長 | 小林 幸男君 | |
地域保健担当部長 | 松浦 慎司君 | |
生活支援担当部長 | 市川郁美子君 | |
施設調整担当部長 | 枦山日出男君 | |
事業推進担当部長 | 廣瀬 豊君 | |
障害者医療担当部長 | 熊谷 直樹君 | |
食品医薬品安全担当部長 | 鈴木 達夫君 | |
感染症危機管理担当部長 | 清古 愛弓君 |
本日の会議に付した事件
平成二十三年度東京都各会計歳入歳出決算の認定について
病院経営本部関係
・平成二十三年度東京都一般会計決算(質疑)
福祉保健局関係
・平成二十三年度東京都一般会計決算(質疑)
・平成二十三年度東京都母子福祉貸付資金会計決算(質疑)
・平成二十三年度東京都心身障害者扶養年金会計決算(質疑)
○高橋委員長 ただいまから平成二十三年度各会計決算特別委員会第二分科会を開会いたします。
本日は、お手元配布の会議日程のとおり、病院経営本部及び福祉保健局関係の決算に対する質疑を行います。
これより病院経営本部関係に入ります。
決算の審査を行います。
平成二十三年度東京都一般会計決算中、病院経営本部所管分を議題といたします。
本件につきましては既に説明を聴取しておりますので、直ちに質疑を行います。
発言を願います。
○田中委員 病院経営本部が所管いたしております公益財団法人東京都保健医療公社にかかわる平成二十三年度一般会計決算に関しまして、何点か質問させていただきます。
東京都保健医療公社は、現在六つの公社病院と、がん検診センターを運営しておりますが、公社病院は、財団法人設立時には東部地域病院と多摩南部地域病院の二病院だったものが、その後、石原知事が提唱した都立病院改革の中で、都立病院が果たすべき役割として、広域基幹病院、センター的機能病院と位置づけ、それまで都立病院であった大久保病院、多摩北部医療センター、荏原病院、豊島病院が公社に移管され、地域に密着し、医療連携を推進する地域病院として運営されております。
公社病院の運営については、一般会計から運営費補助金が支出されておりますが、この一般会計の収支とは別に、公社病院としての収支状況が明らかにならないと、その内容がよく見えてきません。そのため、まず公社病院の収支状況、一般会計から支出されている運営費補助金の額、医業収支比率はどのようになっているのかにつきまして、平成二十二年度との対比も含め、お伺いをいたします。
○和賀井経営企画部長 平成二十三年度の公社病院の全体収支は、運営費補助金を除きます収益が三百八十四億一千万円、支出が四百四十億七千万円、運営費補助金が五十九億三千万円でございました。平成二十二年度の全体収支は、運営費補助金を除きます収益が三百六十五億二千万円、支出が四百三十億二千万円、運営費補助金が六十六億三千万円でございました。
二十三年度と二十二年度を比較いたしますと、収益が約十九億円増加しておりますが、費用は十億五千万円の増加にとどまりまして、その結果、運営費補助金は約七億円減少してございます。
医業収支比率は、平成二十三年度が八六・六%となっておりまして、平成二十二年度の八四・三%と比較して二・三ポイントの改善となってございます。
○田中委員 ただいまご答弁いただきましたように、病院の収支はさらに改善が進んだということでございました。また、一般会計からの補助金の額も減少しており、これは各病院での経営努力が実を結んだ結果ではないかと思っております。
具体的には、ではどのような理由から、あるいはどのようなご努力によって、これら数値が達成されたと考えていらっしゃるのか、お伺いをいたします。
○和賀井経営企画部長 収入は約十九億円増加しておりますけれども、その主な理由は入院患者の増でございまして、平成二十三年六月に一部未開棟となっておりました豊島病院の一般病棟を開棟したことや、各病院において患者数の増加に努めたことによりまして、約十四億円の増加となっております。また、小児入院医療管理料や精神科救急入院料など、診療報酬上の施設基準を新たに取得することにより約二億円、外来患者の増加等により約一億円の増加となっております。
一方、費用面では、職員充足等によりまして給与費が約十億円増加し、また修繕費等も増加いたしましたが、委託料、材料費等で約一億円の節減ができ、十億五千万円の増加にとどまったものでございます。
概括的に申し上げますと、患者数がふえたことによる増収が人件費の増加を上回り、良好な決算に結びついたものと考えております。
○田中委員 平成二十三年度の経営向上は、主に豊島病院の一般病棟の開棟などによる患者数の増加によるものであるということでございましたが、また、病院の施設や人材を都民のために有効活用するという観点からも望ましいことであったのではないかと思っております。経営の改善は、病院にとって常に考えていかなければならない課題でありまして、引き続きましての努力を継続していただきたいと思います。
さて、収支の面では良好であったということでありますが、もう一つ重要なポイントがあるかと思います。
公社病院は、医療連携のシステム化を推進するべく設立されたとのことでありますが、この医療連携は、都民が適切な医療機関で医療を受けるため、また、限られた医療資源を有効に活用するために非常に重要な制度であります。公社病院には、さまざまな地域の診療所、民間病院、大学病院などと密接に連携する体制を構築していくことが求められており、地域医療支援病院として承認を受けております。
地域医療支援病院の承認要件として、紹介率、逆紹介率がありますが、他の医療機関からの紹介や、公社病院から他の医療機関への逆紹介の数値を、平成二十二年度との対比でお伺いしたいと思います。
○和賀井経営企画部長 平成二十三年度の紹介患者数は約五万九千人でございまして、平成二十二年度とほぼ数の上では同数でございます。紹介率で比較しますと、平成二十三年度が六八・八%、二十二年度が七〇・二%でございまして、一・四ポイントの減となっております。
また、逆紹介の患者数は約一万九千人で、平成二十二年度とこれも数の上ではほぼ同等でございます。ただ、逆紹介率で比較いたしますと、平成二十三年度が五六・七%、二十二年度が五九・六%でございまして、二・九ポイントの減となっております。
○田中委員 紹介率は、公社病院へ紹介された患者数と救急患者数の合計を初診患者数で割って計算されますが、紹介者の実数としてはほぼ同じレベルを保ちながらも、率としては若干下がっているとのことでありました。
同様に、逆紹介率は、公社から他の病院へ紹介した患者数を初診患者数で割ったものでありますけれど、実数はほぼ変わらない一方で、率が若干下がっております。実数が低下していないということであれば、すぐに医療連携が後退しているとはいえないと思いますが、初診患者数の増加に対して、紹介患者数、逆紹介患者数が伸びていないという結果について、公社病院は、ある意味重く受けとめる必要もあろうと思っております。
医療連携を推進していくためには、地域の医療機関との日ごろからの連絡協力体制をいかに密接に行っていくかが重要であると思います。医療連携を推進していく病院としてどのような努力をしているのか、お伺いをいたします。
○和賀井経営企画部長 各病院におきまして、地域の医師会の代表の方や市町村の行政関係者などが入りました運営協議会を開催するほか、医師会等の会員の皆様には、病院の医師のプロフィールの冊子、特色ある医療や症例についてのパンフレットを定期的に送付をしてございます。また、病院の医師が専門領域につきまして地域の医師を対象に講演を行いまして、症例検討会に参加いただくなど、病院の医師と地域の医師が可能な限り直接接することができる機会を数多く設定しているところでございます。
さらに、地域の医療機関に院長等が直接出向きまして連携協力の依頼をするとともに、地域の医療機関のニーズや要望の把握に努めてございます。
なお、各病院は周辺地域の医療機関の情報や紹介件数の把握、結果報告の発行状況などを管理できます地域医療連携システムというものを持っておりまして、円滑な医療連携のために活用しているところでございます。
○田中委員 各公社病院でも、確かにさまざまな努力をされているというお話でございました。引き続いてのご尽力をお願いしたいと思いますが、医療連携には、いわゆる特効薬があるわけではなく、今お話のあったような地道な活動を毎日のように継続的に取り組んでいくことが必要であろうと思っております。紹介率や逆紹介率が低下することのないように、これまで以上に積極的に取り組んでいただきたいと思っております。
さて、連携ということでは、相手方はほとんどが地域の民間医療機関ということになろうと思いますけれども、公社病院にとっての、いわゆる兄弟病院ともいうべき都立病院との連携も重要であろうと思っております。都立病院との連携についてはどのように取り組んでいらっしゃるのか、お伺いいたします。
○和賀井経営企画部長 公社病院と都立病院の具体的な連携の事例といたしましては、例えば、都立病院の多摩総合医療センターのERを受診され入院となりました患者さんで、地域的にも、これは公社病院ですが、多摩北部医療センターに近い患者さんの場合は、その状態によりましては、翌日、公社病院の多摩北部医療センターに転院してもらって入院治療を行うなど、両病院が協力して医療提供を行っている例がございます。
また、都立病院と公社病院の医師が共同で症例検討会を開催いたしましたり、東京医師アカデミーに所属しますシニアレジデントが、都立病院、公社病院の枠を超えてレジデントとしての研さんを積むなど、人材育成の面でも連携を行ってございます。
○田中委員 行政的医療を担う都立病院と、地域医療の連携システムの中心となる公社病院がお互いに連携協力していけば、両病院で相当な数の病床規模にもなるため、都内の医療提供体制にとっても大きな力を発揮するものと思っております。引き続き、ぜひとも積極的な連携、また協力体制を継続していただきたいと思います。
ひところの深刻な医師不足、看護師不足からは一息ついたような状況ではありますが、まだまだ医療人材の確保は厳しい状況にあります。増加する救急医療への対応、入院が長期化しがちな高齢者への対応など、医療提供にはさまざまな課題が山積をしております。こうした状況の中で、今後、公社病院としてどのような方向性を目指し進んでいこうとしているのか、改めてお伺いをいたします。
○和賀井経営企画部長 東京都保健医療公社では、公社の進むべき方向性を明確にするために、平成十七年度から公社活性化プランを作成してございます。平成二十三年度末には、第三次の計画としまして、平成二十四年度から二十八年度までの五カ年を対象期間とした公社活性化プランⅢを策定したところでございます。
ここでは、公社の役割を医療で地域を支えると表現し、救急医療やがん医療の充実を図るとともに、地域医療ニーズに対応した特色ある医療の提供や、在宅医療の支援も視野に入れました連携体制の構築などを掲げてございます。この公社活性化プランⅢを基本に、公社病院を地域の中核病院として運営するとともに、それぞれの病院が医療連携を柱として地域医療の確保に努めているところでございます。さらに、今後策定されます予定の都立病院の次期計画ですとか、あるいは東京都保健医療計画における方向性も見据えながら、地域医療の充実に取り組んでまいります。
○田中委員 ぜひともよろしくお願いをいたします。
公社病院は、形としては民間病院であるために、不断の経営改善を続ける必要がありますが、一方で、一般会計からの多額の補助金を受け入れており、公的な医療機関としての性格もあります。こうしたことを踏まえ、医療連携を推進しつつ地域の医療機関を支援する病院として、その機能を十分に発揮していただくことが強く求められております。ぜひともそのことを十分に認識をしていただき、さらなる、またより一層のご尽力をいただくことを強く願いまして、私の質問を終わります。
○斉藤委員 私の方からは、病院経営本部が所管する平成二十三年度一般会計決算に関しまして何点か質問いたしますが、この決算委員会では、東京都保健医療公社に対する補助金等についての執行状況の確認、検証がメーンとなります。
私は、地元であります目黒に隣接した大田区にある荏原病院にフォーカスをいたしまして、幾つか質疑をさせていただきたいと思います。
都立病院改革の出発点であります都立病院改革マスタープランの策定から十年たった現在におきまして、この公社化の目的である地域医療のシステム化、これがどれだけ進んでいるかという観点で質問させていただきます。
荏原病院は、各委員もご存じのように、平成六年に新たな建物が都立病院として整備されまして、その後、都立病院改革の中で地域密着型病院、今、田中委員からもお話ございましたが、地域密着型病院として平成十八年四月に都から公社に運営が移管されました。もともと医療資源が不足していた東部地域病院や多摩南部地域病院においてはともかくとして、大病院が比較的多い都市部におきまして、この公社病院の医療連携はなかなか難しいのではないかと予測しておられた方も多いと思いますが、その後、地域医療支援病院として認定されたと伺っております。
まず初めに、東部地域病院、多摩南部地域病院、荏原病院の平成二十三年度の紹介率をお伺いしますとともに、地域医療支援病院として認定された年度もあわせてお答えいただきたいと思います。
○和賀井経営企画部長 平成二十三年度の紹介率でございますけれども、東部地域病院が八四・六%、多摩南部地域病院が八八・四%、荏原病院が六二・〇%となってございます。また、地域医療支援病院として認定されましたのは、東部地域病院と多摩南部地域病院は、この制度が開始されました平成十年でございまして、荏原病院は平成二十一年でございます。
○斉藤委員 今の数字をお伺いしますと、荏原病院も、時間的には新しい認定なんですけれども、一定のレベルには達していると思いますけれども、やはり設立時から地域医療のシステム化を目指していた東部地域病院あるいは多摩南部地域病院と同様にはなかなかいかないという、そういうご苦労も感じる数字でございます。
しかしながら、都立病院時代と比較しまして、むしろ努力の成果があらわれている数字ではないかというふうにも、また読み取れるわけでございます。重要なことは、それぞれの病院が位置する地域に適した医療連携体制を構築していくことでありまして、そのためにどのような活動が必要であるのかを考えていく、実践していくことが重要であると思います。
私がさまざまな場所で地域の方々からご相談を受けた内容を整理いたしますと、例えば急性期の医療を受けた後にリハビリが必要な場合など、大変ご家族の方もご苦労されているようでございます。脳卒中のケースの場合は、荏原病院ではどのように対応しているのかをお伺いしたいと思います。
○和賀井経営企画部長 荏原病院の中で脳卒中センターというものを標榜いたしまして、神経内科を中心に、脳神経外科と連携をしながら二十四時間の救急診療体制をとっているところでございます。また、脳卒中の専門病床を持ちまして、発症早期に有効な血栓溶解療法いわゆるt-PA治療にも対応しているところでございます。
リハビリテーション医療には、入院直後からリハビリテーション科がかかわりまして、早期の集中的なリハビリテーションを行ってございます。リハビリテーションには主に亜急性期病棟で対応しておりますが、長期にわたりリハビリテーションを必要とする患者には、医療連携により適切な施設をご紹介してございます。
○斉藤委員 荏原病院での治療及びリハビリテーションに関しまして、今のお話でわかりました。こうした早期の治療に都立病院時代から培ってきた専門性の高い医療で対応していくことは非常に大切だと思います。ぜひ引き続きご努力いただきたいと思うところでございます。
一方、地域医療支援病院としての荏原病院は、ただいまご答弁にございましたリハビリテーションを長期に継続していかなきゃならないような患者の皆様の転院先の医療機関に対しましても、何らかの支援を行っていく必要があるのではないかと思います。地域全体を見渡しまして、民間の医療機関等を支え、地域の医療の水準を高めていくという役割を公社病院は担っているはずであります。そのような観点から、荏原病院ではどのような取り組みをしているのかをお伺いしたいと思います。
○和賀井経営企画部長 荏原病院では、脳卒中医療連携推進事業を行っておりまして、近隣病院の医師、地区の医師会、地元区をメンバーとします幹事会を設置し、都民向けの公開講座を開催いたしますとともに、地域連携クリティカルパスの活用促進策等について検討を行っております。
また、地域リハビリテーション支援センターをも運営しておりまして、地域におけますリハビリテーションスタッフ、ケアマネジャーへの研修、症例検討会、家族会への協力、リハビリテーション医療機関のマップの作成など、地域のリハビリテーション医療の充実に向けた活動に取り組んでおります。
○斉藤委員 ただいまのご答弁でご紹介されましたけれども、地域連携クリティカルパス、これは利用された方からは大変にありがたいというお話を、ほかのケースで伺っておりますので、この検討を引き続きぜひお願いしたいと思います。どうなっていくかわからない急性期の段階から、先取りして、今後どうなっていくかということを見据えてそれぞれ連携をしていくことが、とても家族の方にとっては心強いということでございますので、ぜひ荏原病院でもその役割を担っていただきたいと思うわけでございます。
病院としての治療はもちろんのことでございますが、地域医療を支える活動こそ、公社が運営する公的な病院の役割であると思いますし、また地域医療支援病院として果たすべき役割であると思うわけであります。こうした活動によりまして、これをより積極的に取り組むことで、地域医療のレベルアップを図り、住民、都民が安心して医療を受けられるようにすることが重要であると思います。
今後、高齢者がさらに増加し、リハビリテーションの充実、在宅支援や介護保険とのかかわりなど、こういったものがふえてくると思いますけれども、今後、病院としてどのようにそういったものを進めようとしているのかをお伺いしたいと思います。
○和賀井経営企画部長 今後とも引き続きまして院内の脳卒中センターの効果的な運用を行いますとともに、退院、転院時には、病院のメディカルソーシャルワーカーが持っております地域の医療や福祉の情報を駆使しながら、患者の状態に適しました医療施設や地域包括支援センター等をご紹介してまいります。
また、在宅での療養に移行する場合には、病院のスタッフと地域のケアマネジャーや訪問看護師とのカンファレンスを行うなど、きめ細やかな対応に努めてまいります。
なお、地域リハビリテーション支援センターの連絡会委員には、介護保険にかかわりますケアマネジャーも参加しておりますので、今後とも近隣の病院や医師会の委員とともに、地域におけます患者のリハビリテーションの充実に向けた検討を重ねてまいります。
○斉藤委員 ありがとうございます。
医療連携のシステム化と、言葉でいうのは大変簡単でございますけれども、実際には一朝一夕ではできるわけではないと、このように思うわけでございます。福祉施策との連携、受け入れ施設の不足など、さまざまな課題が山積しているのではないかと想像されるわけです。
こうした課題を解決していくには、患者の皆様をめぐる医療、福祉、生活を支えるさまざまな関係者の協力体制が不可欠であると思います。地域を支える公社病院として、その一翼を担うべく、ぜひより一層の努力を続けていただきたいとご要望いたしまして、私の質問を終わります。
○高橋委員長 ほかに発言がなければ、お諮りをいたします。
本件に対する質疑は、これをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○高橋委員長 異議なしと認め、本件に対する質疑は終了いたしました。
以上で病院経営本部関係を終わります。
○高橋委員長 それでは、これより福祉保健局関係に入ります。
決算の審査を行います。
平成二十三年度東京都一般会計決算中、福祉保健局所管分、平成二十三年度東京都母子福祉貸付資金会計決算及び平成二十三年度東京都心身障害者扶養年金会計決算を一括して議題といたします。
本件につきましては、いずれも既に説明を聴取しております。
その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
資料について理事者の説明を求めます。
○中川原総務部長 過日の分科会でご要求のありました資料につきまして、お手元の平成二十三年度各会計決算特別委員会第二分科会要求資料にまとめてございますので、ご説明申し上げます。
資料は、目次にございますように全部で六項目となっております。
それでは、順を追ってご説明させていただきます。
一ページをお開き願います。福祉保健費の予算及び決算の推移といたしまして、平成十四年度から二十三年度までの福祉保健費の予算現額、決算額及びそれぞれの一般会計に占める割合などについて記載してございます。
二ページをお開き願います。福祉保健局予算・決算額の推移(一般会計)といたしまして、区分ごとに平成十九年度から二十三年度までの福祉保健局の予算現額及び決算額を記載してございます。
三ページをごらん願います。シルバーパス発行状況の推移といたしまして、平成十八年度から二十三年度までの費用別発行実績数、七十歳以上人口及び割合を記載してございます。
四ページをお開き願います。平成二十三年度における福祉保健区市町村包括補助事業の補助額といたしまして、五つの包括補助事業の平成二十三年度の区市町村ごとの補助額につきまして、五ページにかけて記載してございます。
六ページをお開き願います。区市町村地域生活支援事業の実施状況といたしまして、事業ごとの実施区市町村数を記載してございます。
七ページをごらん願います。平成二十三年度における待機児童解消区市町村支援事業の実施状況といたしまして、待機児童解消区市町村支援事業の事業内容ごとに、実施区市町村数を記載してございます。
以上、簡単ではございますが、ご要求のありました資料につきましてご説明申し上げました。よろしくお願い申し上げます。
○高橋委員長 説明は終わりました。
ただいまの資料を含め、これより本件に対する質疑を行います。
発言を願います。
○尾崎委員 私からは、児童虐待について何点か質問させていただきたいと思います。
僕は、ことしの予算特別委員会でも、この児童虐待について質問をさせていただきましたけれども、最近のニュースを見ていても、本当にこれだけよくまた起きるものだなと思うくらい、また最近も広島で悲惨な児童虐待の事件が起きましたが、そのときは、ちょっとまだ本年度の件数等々は出ていなかったので、まずその辺からお聞きをさせていただきたいんですけれども、この平成二十三年度の東京都の児童相談所における児童虐待対応件数というものから、まずお聞きをさせていただきたいと思います。
○桃原少子社会対策部長 都内十一カ所にございます児童相談所が虐待の疑いで相談を受理して対応した件数でございますが、平成二十一年度が三千三百三十九件、平成二十二年度が四千四百五十件、平成二十三年度が四千五百五十九件となってございます。
○尾崎委員 これは通告件数も含めてだと思うんですけれども、なかなか虐待事件というのは減らないわけで、今のご答弁にもありましたけど、これを見ても、平成二十一年度が三千三百件で、二十三年度が四千五百件というと、一年飛ばしでも千件ぐらいふえているんですよね。これは、通告件数がふえること自体は別に僕は悪いことではないというとちょっと語弊がありますけれども、通告件数がふえるというのは、潜在化しているこの件数がふえるということでありますから、私はそれに対しては悪いとは思わないんですけれども、問題は、やっぱり通告件数に対して対応をしていく体制というのをどう強化をしていくかというところが重要だと思うんです。
これは福祉保健局で出している、東京都で出している児童相談所のしおりという資料ですけれども、これを見ると、平成十五年度から厚生労働省報告例の変更により、調査の結果虐待非該当となった件数も算入することということで、かなりこの通告件数自体はふえているんですよね。
通告件数がふえて、例えば十件のうち七件が誤報であったり非虐待であっても、徒労に終わるケースはあるとは思うんですけれども、これはアメリカのケースなんかを見ても、実際行って非虐待であったと認められても、残りの二割が本当に虐待が行われていて、そこで救われる命があれば、僕は本当にそれは少しでもそういう体制を強化していくべきだなと思うんです。
そこでちょっとお聞きしたいんですが、通告をする際に、いろいろなところから通告あるいは報告というのはあると思うんですけれども、どこからの通告が一番多いのか、お伺いをしたいと思います。
○桃原少子社会対策部長 平成二十三年度の虐待相談の件数を通告の経路別で見ますと、一番多いのは近隣、知人からの通告で、一千六百八十六件と全体の約四割を占めてございます。
都では、これまで児童虐待の早期発見に向けまして都民への普及啓発を進めるほか、近年重大な虐待事件が大きく報道されたこともあり、社会全体の関心が高まったことで、多くの通告につながったものと考えてございます。
○尾崎委員 今お話にもありましたけれども、さっきの児童相談所のしおりを見ても、警察等というのは二十一年度だと二百八十三件で、二十二年度約三百七十件、三百五十九件と、そんなにふえる推移はないんですけれども、これで見て一番多くなっているなと思うのは、子ども家庭支援センターと、あと医療機関からの通告がふえているというのが、かいま見えるんです。
やっぱり虐待を通報する側としては、例えば警察に一一〇番をして、もしそれが間違っていたりしたら、ちょっと警察に相談するのはどうかなというような思いがあって、ためらわれちゃったりする部分があると思うんですけれども、その反面、医療機関だとか子ども家庭支援センターからの通告がふえているということは、これはいいことというか、子ども家庭支援センターと医療機関での通告件数がふえていることに対して、どういう印象を福祉保健局として持っていて--僕なんかからいわせてもらうと、せっかくそういうところから通告件数が多いんだから、やっぱりその通告件数が多いところを重点的に強化をしていくべきだと思うんです。
そこでちょっと聞きたいのが、過去三年間の医療機関からの通告件数の推移とその特徴というのをお伺いしたいんです。
○桃原少子社会対策部長 医療機関からの通告でございますが、平成二十一年度の百八件が、平成二十三年度は二百五件と約二倍になってございます。医療機関からの通告の中には、重篤な身体的虐待が疑われるケースも少なくない状況となってございます。
○尾崎委員 とすると、やっぱり今申し上げた医療機関と子ども家庭支援センター、こことの連携を強化していくことによって、対応をうまくしていくことができると僕は思うんですけれども、子ども家庭支援センターの話はちょっと私も前に予特でやったのでいいんですけれども、今回、医療機関が児童虐待に的確に対応できるようにと。
僕なんかの感覚としては、自分の子どもを児童虐待している親が、なかなか病院に連れていったりするものかなと。それだけ子どものことを考えているんだったら、例えば医者に連れていかない親御さんも、まだまだそういう部分は潜在的にもいらっしゃるでしょうし、本当に重篤な、非常に重体のような状態になって連れていくというケースもあるんでしょうけれども、医療機関でそういうのが発覚をしたときに、どのような連携を今この局としてとっているのか、お伺いをしたいと思います。
○桃原少子社会対策部長 医療機関から虐待の通告があった場合、児童相談所は児童の状況を確認し、医療機関と連携いたしまして、児童の安全を速やかに確保する必要がございます。
都では、病院が児童虐待を発見した場合に適切な連携が図られるよう、院内における虐待対策委員会の設置を促進するため、平成十九年度から医療機関における虐待対応力強化事業を実施しております。この事業では、あわせまして医療機関が児童虐待を早期に発見できるよう、平成十九年度から医療従事者向けの研修、二十二年度からは地域の医師会、歯科医師会を通じた診療所の医師を対象とした研修を実施しております。
○尾崎委員 今ご答弁でありましたけど、病院が児童虐待に適切に対応できるよう院内虐待対策委員会も設けたりして、そことはいろいろと連携をとっているという話なんですけれども、僕がいいたいのは、通告件数があって、医療機関の中での連携というのはとっているんでしょうけど、医療機関に、まずどういうふうな通告をふやして--ふやしていくかというのはちょっと語弊があるかもしれないんですけれども、せっかく医療機関と子ども家庭支援センターが、この統計だけで見ると、二十二年度と二十三年度、通告件数が多いわけですから、やっぱりここに都民としては通報や通告というのがしやすいと。
多分、この傾向というのは今後変わらないと思うんです。通告、通報件数がどんどんふえていって、そうすると、先ほども申し上げましたけれども、児童福祉司の人数、こういったものが、対応できる人数がその通告件数に対してやっぱり比例してふえていかないと、通告件数はふえたけれども、対応する人数が少ないということになれば、これは厚生労働省か何かの調査でも前に出ていましたけど、大体、児童福祉司が対応できる平均的な人数というのは十人から二十人ぐらいといわれているみたいでありますけれど、東京都の場合というのは、ちょっとこの統計を見ると、一人当たりの相談件数が二十五、六人になってしまっていると。
そうすると、オーバーワークになっちゃっている可能性があるので、やっぱり児童福祉司の数をふやしていくという体制拡充をとらなくちゃいけないと私は思うんですけれども、どう取り組みをされているのか、お伺いをさせていただきたいと思います。
○桃原少子社会対策部長 児童福祉司の定数でございますが、児童虐待防止法が施行された平成十二年度は百六名であったものが、その後順次増員を図りまして、平成二十三年度の定数は、前年に対して十一名増の百八十三名としております。
また、平成二十年度には、児童福祉司に対してスーパーバイズを行う児童福祉相談専門課長一名を新たに配置し、二十二年度には、これをさらに一名増員を図るなど、体制の充実を進めてきております。さらに二十四年度でございますが、児童心理司の定数を十一名増、六十五名としたほか、警察官OB、保健師資格を有する非常勤職員などの配置も進めております。
○尾崎委員 結果的に見ると増員をしてきているということなんですけれども、将来的に見て、この間の広島の事件で、十一歳の女の子が親御さんにゴルフクラブでめった打ちにされて死んじゃったと、こうした事件がありましたけれども、この子の場合のケースというのは、もう皆さんもご案内のとおりだと思いますけど、一回養護施設に引き取られて、それを帰してしまって殺されちゃったと。そういう刃こぼれみたいなケースが、やっぱりオーバーワークになっている児童福祉司がいると、そういうケースが起こらないとも限らないわけだと僕は思うんですね。
虐待をするような親というのは、かなり変わっているというか、異常な親が多いんでしょうけど、例えば福祉大学を出て福祉保健局あるいは児童相談所に勤めて、大学出の若い人たち、まだ二十三歳ぐらいの子たちが、そうしたモンスターペアレントみたいな人たちと交渉だとかいろいろすぐできるとも思わないので、やっぱり十年先、二十年先を見据えて、今のうちから若い人たちも含めて増員を図っていかないと、特に団塊の世代がどんどんどんどんと退職をして、ベテランの方たちがいなくなってしまうと、この対応というものがなかなかすることができないと思うので、今のうちからぜひそういう取り組みを行っていただきたいと思います。
先ほどちょっと広島の話をしましたけど、子どもが児童養護施設に預けられて、それで帰してしまった場合、こういったときに、この広島の場合はそういう悲惨な事件に結びついちゃったんですけれども、東京都の場合、子どもを家庭に戻した際、親が虐待を繰り返さないようにするための対応というのをとっていると思うんですけど、ちょっとお伺いをしたいと思います。
○桃原少子社会対策部長 子どもが施設などから家庭に復帰した後も虐待が再発しないよう、それぞれの児童相談所では、児童福祉司が面接や家庭訪問を重ねまして家庭環境を把握し、親子関係の修復や生活改善に向けた助言指導を行っております。あわせまして、地域における見守りや相談など親に対して必要な支援を適切に行うため、地域の子ども家庭支援センターなど関係機関と連携を図りまして、対応しております。
また、中央児童相談所でございます児童相談センターでは、親子関係の修復に向けましたグループカウンセリングの手法を用いたプログラムなども実施しております。
○尾崎委員 ぜひとも児童相談所の増員の拡充というのは今後も引き続き取り組んでいただきたいと思います。
里親の乳児委託について、最後にお聞きをしたいんですけれども、東京都では、乳児院への委託というのが多いようでありますが、乳児院と里親に委託する割合でいくと、東京都はやっぱり乳児院が圧倒的に多いんですけれども、この乳児の措置についてどういうふうにお考えがあるのか、お伺いをしたいと思います。
○廣瀬事業推進担当部長 乳幼児期の早い段階から特定の大人との愛着関係を築くことは重要でありまして、社会的養護を必要とする子どもについては、できる限り家庭的な環境のもとで養育されることが望ましいことから、養育家庭などの家庭的養護を推進しているところでございます。次世代育成支援計画東京都行動計画でも、家庭的養護の推進を目標としておりまして、今後とも都としては家庭的養護の推進に努めてまいりたいと存じます。
○尾崎委員 そこで、数字的なあれなんですけど、乳児期における里親委託を進めるために、東京都は乳児委託研修というのを実施していると思うんですけど、この実施状況と、あと二十三年度の乳児期の里親委託件数、これをあわせてお願いします。
○廣瀬事業推進担当部長 先ほどもお答えしましたとおり、乳幼児期の早い段階から特定の大人との愛着関係を築くことは重要でありまして、社会的養護を必要とする子どもにとって、可能な限り早期に里親に委託することが望ましいところでございます。
このことから、先ほどお話がありましたとおり、平成二十年度から都では乳児委託研修を実施し、乳児を受け入れる里親を育成しております。乳児委託研修では、健康管理や事故防止など乳児の養育に関する知識や理解を深めるためのカリキュラムが組まれており、平成二十三年度におきましては、十六家庭が受講しているところでございます。
○尾崎委員 東京都でも、子どもを乳児のときに乳児院に入れるよりは、やっぱり里親委託をした方がいいという考えは東京都も持っていると思うんですけれども、実際ゼロ歳から一歳ぐらいまでの間で、乳児院なんかだと何人かの先生だとかそういう人たちが相手をするわけで、できれば里親でマン・ツー・マンで育てていくことが、私はやっぱり望ましいと思っております。
もちろんそれに対しては、杉並のようなああいう悲惨な事件もありましたから、里親のしっかりしたチェックというのは必要だと思うんですけれども、乳児期における里親委託というのが、今のお話だとなかなか進んでいない状況だと思うんですけど、ぜひその理由と今後の取り組みについてお伺いをしたいと思います。
○廣瀬事業推進担当部長 平成二十三年度におきまして里親との交流を始めた児童のうち、一歳未満の乳児の実績は一人でございます。一歳で委託された、誕生日を越えて委託された児童は十四人の状況にございます。
先ほどお話がございましたとおり、里親への委託に当たっては、まず、親権者の承諾を得ることが前提となっておりまして、その上で、委託する子どもが安心して生活を送れるよう里親と交流を重ねるなど丁寧に対応していくことがございます。このため、一歳未満からの交流を行った場合でも、一歳児に委託になる場合が多いところでございます。
都といたしましては、今後とも乳児委託研修を実施いたしまして受け入れ家庭をふやすとともに、できる限り乳幼児の早い段階から里親委託をできるよう、子どもや親権者、里親の状況をきめ細かく把握するなど、引き続き適切に取り組みを進めてまいりたいと存じます。
○尾崎委員 ぜひ進めていただきたいと思います。本当は、里親だとかそういったものがなくなる社会が一番望ましいんでしょうけど、今現在、そういった悲惨な状況が現実的にある中で、せっかくこうやって里親研修制度というものを東京都でも行っているわけでありますから、ぜひ推進をしていただくことを最後にお願いを申し上げまして、質問を終わります。
○田中委員 私は、平成二十三年度執行された事業のうちの保育事業につきまして、何点かお伺いをしていきたいと存じます。
本年四月の待機児童数、これは七千二百五十七人であったと伺っております。昨年度から二年連続して減少したとはいえ、依然として高い水準が続いており、待機児童の解消が急務であると認識をしております。
石原知事の就任以前、長引く不況の影響を受け、出産後すぐに働かざるを得ない女性がふえたり、出産、育児だけではなく、仕事も続けるという女性のライフスタイルの変化などから保育ニーズが高まる一方で、都内において認可保育所の設置基準を満たすことが大変困難であるために、認可保育所をふやすことが難しく、需要に対して供給が対応し切れていないために、これまで待機児童がふえてまいりました。
そのため、石原知事就任後、知事の英断により都独自の基準を設け、認証保育所を新たに開設し、保育ニーズを満たす中、待機児童の解消を行ってまいりました。
そこで、これまで都では待機児童解消に向け、認可保育所だけでなく、大都市の保育ニーズに対応した認証保育所の推進など保育サービスの拡充に努めておりますが、待機児童解消に向けた取り組みの実績についてお伺いをいたします。
○桃原少子社会対策部長 都は、保育サービス需要の増加に対応するため、国の安心こども基金の活用に加えまして、都独自に区市町村や施設整備を行う事業者の負担を軽減するなどの取り組みによりまして、平成二十三年度は認可保育所を五千三百十四人分、認証保育所を二千四十八人分ふやすなど、施設定員合計で七千八百六十三人分整備を行っております。その結果、実際に保育サービスを利用できる児童数は、前年度に比べまして一万二百十九人と大幅に増加をいたしまして、これにより待機児童数は五百九十八人減少をしております。
一方、就学前児童人口の増加や景気低迷等の影響によりまして、保育ニーズの増加は依然として続いております。平成二十四年度からは、これまでの取り組みをさらに進め、ニーズを踏まえた多様な保育サービスを拡充することによりまして、三カ年で保育サービスを二万四千人分増加する予定でございます。
○田中委員 ただいまご答弁いただきましたように、平成二十三年度におきまして、認可保育所及び認証保育所、合わせまして約八千人分の定員が増加されたと。そしてその結果として、平成二十四年度ですが、待機児童数が約六百人減少したということでございました。これまでの待機児童解消に向けた都の取り組みに対しましては、評価していきたいと思っております。
しかし、まだまだ長引く不況の影響を受け、家計を支えていくために仕事を始めるお母さん方がふえており、保育所に対するニーズがまだまだ増加傾向にあります。引き続いてのご尽力を強く要望いたします。
特に、不況の影響から、出産後すぐに働かざるを得ない女性がふえているなど、待機児童の約九割はゼロ歳児から二歳児が占めているといわれております。ゼロ歳児保育や延長保育など、大都市特有の保育ニーズに的確に対応する認証保育所の拡充は、待機児童対策としても大変重要であると考えております。認証保育所の実績についてお伺いをいたします。
○桃原少子社会対策部長 認証保育所の平成二十三年度の定員増でございますが、二千四十八人と三年連続いたしまして二千人台を超えておりまして、広く都民の信頼を得て、着実に実績を伸ばしております。また、その内訳を見ますと、七割が特に待機児童の集中するゼロ歳児から二歳児となっておりまして、ご指摘のとおり待機児対策として大変重要なこととなっております。
認証保育所は、ゼロ歳児から二歳までの低年齢児の定員を五割以上に設定することを事業者に義務づけるなど、認可保育所だけではこたえ切れない保育ニーズに柔軟に対応するものといたしまして、都の保育施策に不可欠なものでございまして、引き続き拡充に向けた取り組みを実施してまいります。
○田中委員 ただいまご答弁いただきましたように、認証保育所の平成二十三年度定員増が二千四十八人、三年連続して二千人台を超えているということでありまして、その結果として、一番ニーズの高いゼロ歳児から二歳児のお子さんをしっかりとお預かりする体制ができているということでございまして、認証保育所を初めとするこの設置に対してのご尽力を評価いたしますし、また、認証保育所を初めとする多様な保育サービスの拡充に向けた都の取り組みについても高く評価をしていきたいと思います。
しかし、少子化のもと、定員をふやしても待機児童がなくならないのは、広範な潜在需要が定員の増加により顕在化するためだともいわれております。潜在的な保育ニーズにも対応するため、引き続き保育サービスの拡充が必要であり、新たな保育所の増設が必要だと思っております。
大都市特有の悩みとして、都内での保育所を設置する土地の確保は大変困難ということもあります。そこで、都では、未利用の都有地を認可保育所用地として貸し付ける事業を実施しておりますが、さらにこれに加えて、民間が所有する土地の活用も促進すべきと我が党はこれまでも提案してまいりました。土地の確保に向けた支援策の実績についてお伺いをいたします。
○桃原少子社会対策部長 都は、地価の高い都市部における保育所の整備を推進するため、社会福祉施設を対象としております未利用地の都有地を減額して貸し付ける事業を、平成二十年度から保育所にも拡大をしておりまして、平成二十三年度におきましては一件、事業者を決定しております。
加えまして、民間が所有する土地についても有効活用を促進するため、保育所用地の定期借地に要する費用への補助も実施をいたしておりまして、平成二十三年度におきましては二件、補助を実施しております。
○田中委員 今ご答弁いただきましたように、平成二十三年度の実績として都有地の貸し付けが一件、保育所にあったと、また民間所有の定期借地に要する費用補助が二件あったということでありまして、今後も待機児童解消に向け積極的に活用していただきたいと思っております。
定期借地権を利用した土地の賃借への支援については、補助対象となる契約期間が長く、貸す側も借りる側も双方とも使いにくいという声も伺っております。ことしの三月の予算特別委員会でも、我が党の質疑を受けまして、都は今年度から契約期間を、これまでの五十年以上の定期借地から、十年以上から五十年未満の事業用定期借地まで対象を広げ、事業者がより活用しやすくなるよう事業の改善を行ったとのご答弁もいただいておりますが、今後、事業の周知も含め積極的に活用していただきたいと思っております。よろしくお願いいたします。
待機児童解消に向け、保育施設の整備もさることながら、一方で、整備した施設の安全確保も重要であります。我が党は、かねてより保育施設の耐震化について強く求めてまいりましたが、東日本大震災を踏まえ、耐震化の重要度や緊急度は、より一層高まったものと思っております。
しかしながら、保育の現場からは、運営しながら改修することの難しさについての声も多く伺っております。そこで、保育施設の耐震化に向けた実績と課題についてお伺いをいたします。
○桃原少子社会対策部長 保育施設は、自力での避難が困難な乳幼児が利用する施設でございまして、利用者の安心・安全の確保がとりわけ重要でございます。
そこで、都は、保育施設の耐震診断や耐震改修に係る費用の一部を独自に補助いたしまして、区市町村への働きかけを行ってまいりました。平成二十三年度の補助件数について見ますと、耐震診断が四十三件、耐震改修十件でございまして、前年度に比べまして二倍以上に増加をしている状況でございます。
一方、保育施設は、改修工事の間、ご指摘のとおり休園することができないため、仮設施設設備が必要とされる場合があるなど、中には、園庭が狭いなど運営しながらの改修が困難なケースもございます。こうした事例に適切に対応するため、今年度から新たに建てかえ等に必要な仮設施設の整備費や仮設施設を整備する際の代替地の賃借料についても、補助対象とすることとしております。
○田中委員 平成二十三年度の耐震診断、耐震改修の補助件数が前年度より二倍になったということで、大変保育施設を運営する方々の意識も高いんだと思っておりますが、一方で、運営しながらの対応は困難であるといった中での仮設施設の整備費の補助や仮設施設整備の代替地の賃借料の補助といったものをぜひ有効に活用していただいて、保育施設が一刻も早く耐震化整備されることを強く願うと同時にまた、ご対応方よろしくお願いをしたいと思います。
また、災害発生時には、東京都帰宅困難者対策条例に基づき従業員の一斉帰宅が抑制されるため、保護者が迎えに来られるまで、保育所等においては児童の安全確保が義務づけられております。
我が党は、東日本大震災の後直ちに、緊急対策として、保育施設における大規模災害への備えを進めるよう都に要望をいたしてまいりました。これを受けまして、都としてはどのような支援を行っているのか、改めてお伺いをいたします。
○桃原少子社会対策部長 都は昨年度、保育施設における飲料水や非常食の購入など防災対策等に要する経費につきまして、包括補助制度を活用し区市町村を通じた支援を行ってまいりました。緊急対策として年度途中から実施したにもかかわらず、五十三の区市町が利用しておりまして、保育施設における防災対策の推進が図られているものと考えております。
大規模災害への備えをさらに強化し、子どもたちが安心・安全に過ごすことのできる環境を整備するため、今年度も引き続き支援を行い、安全確保に向けた取り組みの一層の充実を図ってまいります。
○田中委員 次代を担う大切なお子さんを預かる以上は、大規模災害の発生が予測される中、保育施設においてのハード面、そしてソフト面、両面からの安全対策は非常に重要であると強く思っております。都においては、より一層積極的な取り組みをお願いしたいと存じます。
また、冒頭から申し上げているように、待機児童解消に向け大きな成果を上げてきた認証保育所を、ぜひ国の制度に位置づけ、財政措置を講じるよう、改めて国に対しても引き続き強く求めていただきたいと思いますし、また我々都議会自民党としても、認証保育所制度を推進していく立場からも、積極的に国にも働きかけをしていきたいと思います。そしてその結果として、真の少子化対策を実現していきたいと、改めて決意を述べさせていただいて、私の質問を終わります。
○伊藤委員 それでは、私からも平成二十三年度各会計決算特別委員会、福祉保健局分の質問をさせていただきます。
平成二十三年度といえば、三・一一東日本大震災からの復旧、そして復興、これの元年というべき年度でございました。この東日本大震災、そしてまた福島第一原発事故に対して、都は真っ先に被災者の救出、救護、そしてまた復旧、復興のために全力で当たってくださいました。そしてまた同時に、東京都の防災力の強化にも全力で取り組んでいただいたというふうに認識をしております。私はこの中から、福祉保健局が行った被災地への支援、そしてまた東京都民の生命を守る取り組みについて、何点か質問してまいりたいというふうに思います。
まず初めに、東日本大震災における東京都が派遣をした、こころのケアチームの派遣について伺いたいと思います。
被災者に対する心のケアについては、平成七年の阪神・淡路大震災を契機にその重要性が認識をされまして、新潟県中越地震やその後の中越沖地震、さらには岩手・宮城内陸地震の際にも、都はこころのケアチームを派遣しております。そして、未曾有の災害となったこのたびの東日本大震災においては、長期間にわたって、また数多くのチームを岩手県の陸前高田市に派遣をし、被災者に対する心のケアを実施いたしました。
そこでまず、このこころのケアチームについて、派遣実績とそしてまた活動内容について伺いたいと思います。
○熊谷障害者医療担当部長 都は、厚生労働省及び岩手県の依頼により、平成二十三年三月二十三日から平成二十四年三月三十日まで、東京都こころのケアチームを陸前高田市に派遣いたしました。都立の精神保健福祉センターや都立病院、東京都保健医療公社病院に加え、東京都医師会及び東京精神科病院協会のご協力により十一の民間病院にもご参加いただき、医師、保健師、看護師、精神保健福祉士などの多職種のチームを合計六十二班、三百九十九人派遣いたしました。
被災地におきましては、他の自治体からの応援による保健師チームや地元の社会福祉法人などと連携し、避難所などを訪問して被災者の相談を受けるほか、心のケア外来として外来診療も実施いたしました。特に陸前高田市は、市職員の三分の一が死亡もしくは行方不明という状況にあり、市の職員などの支援者側の負担や疲労が大変大きかったことから、現地の要請を受け、ストレスチェックやカウンセリングなども実施いたしました。
平成二十四年三月三十日、岩手県で立ち上げました地域こころのケアセンターへ引き継ぎを行い、東京都こころのケアチームの派遣による支援を終了いたしました。
○伊藤委員 私は、都議会公明党の被災地調査団の一員として、同じく岩手県の陸前高田市に昨年の五月に行ってまいりました。そのときに陸前高田を見て、本当に唖然といたしました。津波の破壊力、一瞬にして、今まで栄えていたまちが消えてしまったという状況を目の当たりにしたのと同時に、一方で、上を見上げると、沿岸線の上の方の高台に三十世帯あるいは四十世帯ぐらいの部落が幾つも残っておりました。その高台の上に上っていくと、ほとんどが高齢者の方々のこうした部落でございまして、家は残ったものの、すべてのライフラインが途絶えたまま二カ月、三カ月、そして半年近くたっている状況も目の当たりにしたところでございます。
そのうちのあるお宅をお訪ねして、高齢者の方といろいろ、都がやるべき支援について、さまざまお話をさせていただいたときに、この高齢者の方は、しばらくの間ほとんど口を開きませんでした。しかし、一時間ぐらいいろんな話をしているうちに、この高齢者の方がやっと口を開いた。その内容というのが、あのときと、三・一一のあの地震のときの、津波のときのことを話し出されました。つい一時間ほど前まで一緒にお茶を飲んでいたお友達が、自分の目の前で真っ黒な水にのみ込まれていきながら、引き潮にさらわれていく。そのときに手を振りながら見えなくなっていってしまった。このことが、自分の心から何日たっても離れない、そして苦しいんだということを、涙ながらにこの高齢者の方は語っておられました。
東京都が派遣をしたこころのケアチーム、こうした方々は、本当にこの目に見えない被災者の方々の心の傷を支えに行ってくださったんだと思いましたけれども、改めて尊敬の念をお伝えしておきたいと思います。
このようなこころのケアチームの被災地への派遣とともに、都が被災をした際には、災害時の都民の心の健康を守る観点から、都民の心のケアに対する取り組みも重要であると思います。被災地における東京都こころのケアチームの今回の支援活動の経験を生かしていくことが、私は今後必要だというふうに思います。都が被災をした際の都民に対する心のケアへの対応について、都の取り組みについて伺いたいと思います。
○熊谷障害者医療担当部長 このたびの東京都地域防災計画の修正素案におきまして、避難所などにおける保健衛生対策の一つとして、心のケアに対する取り組みを位置づけております。
この中で、都は、災害時における精神疾患患者への対応として、都立病院及び民間精神科医療機関との協力による医療提供体制の確保に努めていくとしております。また、避難所などにおいて被災住民が精神疾患を発症したり症状が急変した場合に対応するため、都は巡回精神相談チームを編成し、区市町村の保健活動班と連携を図りながら、避難所などに派遣いたします。さらに、区市町村と連携し、被災住民のPTSD、心的外傷後ストレス障害も視野に入れまして相談窓口を設置するなど、メンタルヘルスケアの体制整備も図り、被災の状況に即して活動してまいることとしております。
災害発生時には、このような取り組みのもと、東日本大震災での東京都こころのケアチームの活動経験も踏まえまして、被災者に対する支援を行ってまいります。
○伊藤委員 ぜひともこのこころのケアチーム、首都直下地震に備えましても万全を期していただきたい。そしてまた、東京都がこれまで蓄積してきた経験とノウハウ、そして技術を、ぜひとも全国に発信をしていただきたい、このように要望したいと思います。
続けて、昨年の東日本大震災によりまして、そしてまた福島第一原発事故によりまして、東京都民も計画停電の実施など都民生活にも大きな影響が及びました。山形県の尾花沢市では、昨年の四月七日に、東日本大震災の余震と思われる地震の発生後に停電が起こりまして、人工呼吸器と酸素濃縮装置を使用中の患者が亡くなってしまうという事故も発生をいたしました。このような事故の発生によって、在宅で人工呼吸器を使用していらっしゃる患者の方々、またご家族の方々は大変に不安な思いをされたことと思います。
都内で実施された計画停電では、幸い死亡事故は発生をしなかったわけでありますけれども、このような事態の発生を未然に防止すべく、都は昨年度、在宅療養患者緊急時対応支援事業を実施いたしました。
そこで、まず、昨年度実施をいたしました在宅療養患者緊急時対応支援事業の概要について伺いたいと思います。
○笹井医療改革推進担当部長 東日本大震災以降、電力不足が懸念されたことから、在宅で人工呼吸器を使用されている患者の方の停電時における安全確保を図るため、東京緊急対策二〇一一として、平成二十三年七月から在宅療養患者緊急時対応支援事業を実施することとし、一億八千三百万円の追加補正を行いました。
本事業の内容は、在宅で人工呼吸器を使用されている患者の方に対して、非常用バッテリーや自家発電装置、蘇生バッグ、足踏み式吸引器などを、医療機関を通じ無償で貸与するものでございます。
○伊藤委員 本事業によりまして、在宅で人工呼吸器を使用している患者の安全確保を確実に図るのと同時に、患者や、あるいはご家族の不安を少しでも和らげることができたかどうかが重要でございます。
そこで、この在宅療養患者緊急時対応支援事業の実績と成果について伺いたいと思います。
○笹井医療改革推進担当部長 昨年度は、非常用バッテリーを七百八十五名、自家発電装置を百九十九名、蘇生バッグを五百一名、吸引器を五百五十五名、合計で八百十名、希望されたすべての患者の方に対する対応を実施し、その執行済額は二億二千万円でございました。
またあわせて、都は昨年十一月、人工呼吸器用の予備電源等を診療報酬の対象とするよう、国に提案要求を行いました。その結果、本年四月の診療報酬改定において、人工呼吸器本体とあわせて使用する非常用バッテリーや蘇生バッグも診療報酬に含まれることとなりました。
○伊藤委員 今回、都が、みずから在宅で人工呼吸器を使用している患者の安全確保に取り組んで、国をも動かしてきたということは高く評価したいと思います。
また、一方では、実際に災害が発生をした場合に、人工呼吸器を使用している患者が避難するのは簡単なことではありません。移動時における支援者の確保など、まだ多くの課題があり、ふだんから災害に備えて準備を進めておくことが重要であると思います。
私は先日、在宅で人工呼吸器をして懸命に生きていらっしゃる患者さん、そしてまた、それを支えているお母さんにお会いをしてまいりました。そのお母さんからは、ぜひともこういう在宅で人工呼吸器をつけている方々の家に直接上がって、私たち議員や、あるいは福祉関係の仕事をされている方々は、実際にその現場を見てほしいということをお母さんはおっしゃっていました。
そのときにおっしゃっていたことのもう一つは、この機械のおかげで命をつないでいくことができるけれども、いざ災害が起きたときには、やはりこの心配はどこまでも消えない、こんなお話もされておりました。
そこで、都は本年三月、在宅人工呼吸器使用者災害時支援指針を策定し、区市町村や関係者が災害時に適切に使用できるよう、患者のリストを作成することや患者の所在地をハザードマップに記載することなどを示しております。また、人工呼吸器を使用している患者は、個々の状況に配慮した支援が必要であることから、災害時個別支援計画の必要性を示し、その作成を区市町村に促しております。
そこで、災害時個別支援計画とは具体的にどういうものなのか、また、計画作成に向けて都はどのように支援をしているのか、伺いたいと思います。
○高橋保健政策部長 この災害時個別支援計画ですけれども、患者や家族が個別の状況に応じて災害時に適切な行動がとれるように、区市町村が事前に準備し作成していくものでございまして、具体的には停電時に電源を確保する方法や避難の方法、関係者の連絡先などについて記載することとしております。
都は区市町村に対しまして、人工呼吸器使用者の個別計画の作成に向けた関係者によるケース検討会や研修会などに要する経費につきまして、包括補助による財政的支援を行うほか、難病医療専門医による助言や指導といった技術的支援により、取り組みを促しております。
○伊藤委員 先ほども、あるご家庭のお話をいたしましたけれども、人工呼吸器を在宅でつけていらっしゃる患者さん、またご家族、本当に災害時、心配だと思います。この個別支援計画によって、患者や、またご家族の方々はようやく安心して暮らすことができるというふうに思います。ぜひとも今後も、都は区市町村の計画作成に対する支援を着実に進めていただきたいとお願いをしたいと思います。
続きまして、高齢者の住まいについて何点か質問させていただきます。
現在、都内で特別養護老人ホーム入所を希望している方々は約四万三千人おります。高齢者の住まいは、まだまだ不足しているといわざるを得ないと思います。
都内の高齢者人口は今後もふえ続けることは確実でありまして、平成三十七年度には団塊の世代が後期高齢者に到達することになります。特別養護老人ホーム等の高齢者の住まいは、今後も一層の整備が期待されております。都は、特別養護老人ホームの整備を進めておりますけれども、平成二十三年度までの特別養護老人ホームの整備状況と今後の計画について、まず伺いたいと思います。
○中山高齢社会対策部長 特別養護老人ホームの整備についてでございますが、都は、保険者である区市町村が地域の介護ニーズを踏まえて算定したサービス見込み量に基づいて、計画的に整備を進めております。整備を促進するために、整備の進まない地域における補助額を一・五倍に加算するほか、都有地を初めとする公有地の活用や定期借地権の一時金に対する補助などを行っております。
平成二十三年度末では、都全体の利用者見込み数四万八十四人に対しまして、定員数は四百二十八カ所、三万八千三百二十五人、達成率は九五・六%となっておりまして、おおむね計画どおりに必要な施設整備が進んでいると考えております。
本年三月に策定いたしました第五期東京都高齢者保健福祉計画では、平成二十六年度末までに四万五千五百十六人のサービス量を確保するとしておりまして、今後とも引き続き多様な手法を活用しながら整備促進に努めてまいります。
○伊藤委員 平成二十一年三月には、群馬県の未届け有料老人ホームのたまゆらで発生した火災では、都内の利用者が多数犠牲となり、この事故を契機に、都は、要介護度が比較的低い高齢者が低い料金で利用できる住まいの整備を国に働きかけました。その結果、平成二十二年四月に新たに都市型軽費老人ホームが創設され、平成二十三年四月には、都内初の都市型軽費老人ホームが開設されました。このような比較的低い料金で利用できる高齢者向けの住まいのニーズは高く、今後も一層の整備が必要と思います。
そこで、都市型軽費老人ホームについて、都の取り組みとこれまでの整備状況について伺いたいと思います。
○中山高齢社会対策部長 都市型軽費老人ホームは、お話にありましたたまゆらの火災事故を契機に、平成二十二年度に制度が創設され、都として整備に取り組んでいるものでございます。
都市型軽費老人ホームは、要介護度が比較的低い低所得の高齢者も利用できる施設として、居室面積や職員配置基準を緩和し、大都市東京でも設置が進む仕組みとしております。都は整備を促進するために、国の交付金に加え、国と同額の加算措置を講じているほか、みずから建物を整備し、運営事業者に賃貸する土地所有者への補助や都有地の活用など、独自の取り組みを実施しております。
これまでの整備実績でございますが、本年十月一日現在で既に開設しているものが十三カ所、定員二百十一名ございます。現在、整備を進めているものが十二カ所、百九十九人でございまして、その十二カ所のうちの四カ所、八十人定員分が本年度末までに開設する予定となっております。
○伊藤委員 ただいま答弁いただきましたように、都市型軽費老人ホームは、高齢者が入居しやすいよう施設要件等を緩和して、利用料の軽減に結びつけているということは承知をしております。
しかし、それでもまだ利用料が高いという声が多く上がっております。例えば年金だけで生活している高齢者の中には、将来の住まいに不安を持っている方も多くいらっしゃいます。高齢者の方が少しでも低い利用料で安心して入居することができる住まいの確保は、区市が率先して取り組むべき課題でありますけれども、都も積極的に応援をしていくべきと考えます。
都市型軽費老人ホームの整備促進に当たり、都として高齢者の負担に配慮した工夫がさらに必要と考えますけれども、都の取り組みについて伺いたいと思います。
○中山高齢社会対策部長 都市型軽費老人ホームの運営に当たりましては、事業者が提供する生活相談等のサービス費用につきまして、利用者の収入に応じた補助を行う仕組みとしてございます。また、都有地の減額貸付や特別養護老人ホーム等との合築により土地の有効活用を図るなど、多様な手法により事業者の施設整備コストの負担軽減を図っております。このことが利用者の負担軽減につながっているものと考えております。
今後とも、都は、要介護度が比較的低い低所得の高齢者も利用できる施設として都市型軽費老人ホームの整備に積極的に取り組むよう、区市に対し継続的に働きかけてまいります。
○伊藤委員 ぜひとも高齢者の方々の安心の住まい、これを推進していただきたいと要望して、次の質問に移ります。
次に、待機児童について伺います。
ことしの四月現在で東京都の待機児童は七千二百五十七人と、前年に比べて五百九十八人減少しておりますけれども、依然として高い水準が続いております。私の地元の品川区も聞いてまいりましたけれども、本年の四月の時点で待機児童が五十人、しかし、年度途中の九月現在でいうと実質三百人程度ということで、この年度の途中、本当になかなか保育園に入れない、こういう声が私たち議員のところに多く届いてまいります。
リーマンショック以降、景気低迷が続く中、子どもを預けて働きたいと思っている保護者の方はたくさんいらっしゃいまして、また、今後ますますふえてくると思います。特にパートタイムで働いている方々からは、保育園になかなか入れない、利用できないという声を多く聞くところであります。就労形態がさまざま多様化が進む中、待機児童の保護者のうち、就労状況はどうなっているのか、まず伺いたいと思います。
○桃原少子社会対策部長 平成二十四年四月現在、待機児童七千二百五十七人の保護者の方々の状況でございますが、フルタイムで就労中の方は全体の三五%でございますが、一方、パートタイムで仕事をされている方、また仕事を探している方などは六五%となってございます。
○伊藤委員 ご答弁いただいたとおり、待機児童の保護者の大部分はパートや求職者が占めているということでございましたけれども、認可保育所への入所は、フルタイムの労働者の方々の子どもさんが優先をされるために、パートタイムや求職者の子どもさんは、なかなか預けたくても預けることができません。
また一方では、一時保育という緊急で利用できる保育サービスを利用することがありますけれども、その都度利用申し込みをしなければならない。そしてまた、この一時保育では安定した就労というのは困難であります。また、都内の一時保育の利用料金は、平均して一日約三千円といわれておりまして、認可保育所に比べて割高なために、継続的な利用は経済的負担としても大きくなります。お母さんの中には、短時間、せっかくパートタイムで働いても、そのお金が全部この一時保育のお金で消えてしまうという声も聞いております。
国が行うパートタイム労働者を対象とした定期の保育サービスもありますけれども、実施場所が原則認可保育所とされておりまして、設備や人員基準が厳しく、なかなか広がらないという現状がございます。
そこで、都議会公明党はこれまで、認可保育所を利用しにくいパートタイム労働者や求職者などの保育需要にしっかりと都が対応していただきたいということを求めてまいりましたけれども、都がこれまで独自に実施している取り組みについて伺いたいと思います。
○桃原少子社会対策部長 都は、保護者の多様な働き方に応じた保育サービスを提供するため、平成二十二年度より、パートタイム労働者のニーズに対応した都独自のサービスである定期利用保育事業を開始しております。この事業は国の制度を拡充いたしまして、認可保育所に加えまして、認証保育所、家庭的保育などの空きスペース、また空き定員の利用、さらに空き店舗の活用などによる実施など、活用の幅を広げております。
また、一時保育と異なりまして継続した利用を可能としたほか、利用料金につきましても認可保育所と均衡した料金設定とすることで、パートタイムで働いている方々にとっても安心して利用できるような制度としております。
○伊藤委員 都独自の定期利用保育事業を推進しているということでございました。国の制度をさらに拡充をして、場所の問題、あるいは料金設定の問題、こうしたこともしっかりと課題解決を図りながら、パートタイムあるいは求職者、こうした方々を支援しているということについては、高く評価をしておきたいと思います。
ぜひこの事業を今後とも広げていくべきと考えますけれども、昨年度の実績と、また現在明らかになっている課題があれば伺いたいと思います。
○桃原少子社会対策部長 平成二十二年度の実績でございますが、二区市五カ所、延べ三千九百五十九人の利用実績でございまして、区市町村に対する運営費の補助額は約一千百万円となっております。これに対しまして平成二十三年度におきましては、十二区市五十九カ所で実施をいたしまして、延べ六万二千百八十三名の方々が利用されました。区市町村に対する運営費の補助額は約一億五千四百万円となっておりまして、利用実績に応じて大幅に増加をしております。
課題でございますけれども、利用はこのように着実に拡大はしておりますけれども、事業開始後間もないこともございまして、実施地域をさらに拡大をすることが課題となってございます。このため、未実施の区市町村に対して先行事例を紹介するなど、事業の実施を強く働きかけるとともに、既に実施をしている区市町村に対しましても、住民の方々への周知に努めるよう促してまいります。
○伊藤委員 ただいま二十二年、そしてまた二十三年の実績を伺いました。この予算額についても、また利用者についても、利用人数についても延べ約四千人から、二十三年度には六万二千人ということで十五倍、たった一年間で十五倍にも利用者がふえているということでありますので、この保育の定期利用については、これからもさらにニーズがたくさんあると思いますので、ぜひとも周知をしていただくのと同時に、全都的にこの制度が広がるように一層区市に働きかけていただきたい、このように思います。
次に、児童虐待対策について伺いたいと思います。
先ほども質疑がありましたけれども、児童虐待に関する報道が後を絶ちません。都議会公明党は、これまで折々にこの児童虐待対策について質問をさせていただき、また提案もさせていただいてまいりましたけれども、とりわけ平成二十二年に起こった都内の死亡事故の際、また、同年夏の大阪での大変に痛ましい、ネグレクトによる死亡事故の際に、児童虐待への対応を強化すべきと強く主張してまいりました。
都においても、その後、児童相談所の体制強化や、区市町村において児童虐待への対応を担っている子ども家庭支援センターの体制強化を進めてきましたけれども、特に平成二十三年度に新規事業として虐待対策コーディネーターの配置に取り組みをされました。
そこで、まず初めに、その事業の概要と二十三年度における実績について伺いたいと思います。
○桃原少子社会対策部長 都では、住民に最も身近な児童家庭相談の窓口でございます区市町村の子ども家庭支援センターの虐待対応機能を強化するために、平成二十三年度から虐待対策コーディネーターを区市町村に配置する補助を開始しております。この虐待対策コーディネーターは、子ども家庭支援センターにおきまして、個々の事案の対応などにおいて総合調整機能を果たすとともに、児童相談所を初めとする学校や保健センターなど関係機関との連携を強化する役割を担っております。平成二十三年度におきます実施自治体は、十六区市となってございます。
○伊藤委員 住民に最も近いところで虐待対策コーディネーターを配置したということでありまして、私は、それはすばらしいことだと思います。
そこで、これによって得られた具体的な成果はどうだったのか、伺いたいと思います。
○桃原少子社会対策部長 この事業の具体的な成果でございますが、まず、児童相談所との関係におきましては、虐待対策コーディネーターが子ども家庭支援センターにおける窓口機能を的確に果たすことによりまして、個々の事案の対応についての分担や引き継ぎ、支援方針などの決定などについて、より円滑な調整が可能となっております。
また、区市町村、地域におきましては、保健所、保健センターや学校などの地域の関係機関との間で日常的に密接な関係づくりを行うことによりまして、支援を必要とする子どもや家庭に関する情報の共有化が速やかに図られるようになっております。
これらのことから、虐待対策コーディネーターの配置は、要支援家庭、支援を要する家庭にかかわる関係機関との連携調整機能の中核を担う人材として、その役割を的確に果たしていると考えております。
○伊藤委員 私は過日、先駆的にこの虐待対策コーディネーターを配置した子ども家庭支援センターを視察させていただきました。そこには、子育て支援のエキスパートの職員の方がその任に当たっておられまして、私が何よりも感じたのは、そのコーディネーターの方の情熱というか、絶対に私の前からは虐待は起こさせない、こういう強い情熱を持って、その任につかれていたことが大変に印象的でございました。
虐待、これを防止するのには、何といっても早期発見が重要でございます。子ども家庭支援センターにおいて児童虐待に対応している職員のスキルアップ、この力量をつけていくということが、私は何よりも重要だと思いますし、どんなに人数をふやしても、今申し上げた方のように、本当に自分の前から、また自分の地域から絶対に虐待は出さないという情熱を持った、こうした人材を育成していくことが重要であると思いますけれども、その観点について、都の取り組みについて伺いたいと思います。
○桃原少子社会対策部長 都では、虐待対策コーディネーターを初めとする子ども家庭支援センターの職員の育成を図るため、虐待対応に関する区市町村の役割についての基礎的な研修を行うほか、ロールプレーなどを取り入れました実践的な研修に至るまで、多岐にわたる研修を実施しております。
さらに、区市町村から一年間程度の期間をもちまして派遣の研修生を児童相談所の方に受け入れまして、児童福祉司とともに実際にケース対応を行う中、家庭訪問や面接などを通じまして、ケースワークの実務について習得する機会を設けてございます。平成二十三年度におきましては、六区から七名の受け入れを行っております。
○伊藤委員 まだ始まったばかりでありますけれども、私の感想では、この六区七人は少ないなというふうに思います。今後、都は区市へこれまで以上に積極的に呼びかけていただきたいというふうに思うのと同時に、この重要な児童虐待対策について、六区七人ということでありますけれども、恐らく職員を出す区市の方に、やはり苦労があるんだろうなというふうに思います。
子ども家庭支援センターは区市の職員が配置をされておりまして、その現場から約一年、都の児童相談所の方に研修に行くわけですから、一人分のブランクがあくわけでありまして、この職員一人分のブランクがあくということは、区市にとって非常にやっぱり負担が多いというふうに思います。今後、都として、区市がそういう人材を、研修が受けやすくなるように何らかの人的支援、さまざまな支援があると思いますけれども、そうしたことも考えていただきたいというふうに思います。
この児童虐待につきましては、未然に防止することが何よりも重要であると思いますけれども、そのためには、すべての家庭が安心して子育てできる環境づくりが大切であります。子どもたちの命を守るためには、在宅で子育てをしている家庭を含めて、すべての家庭への支援を一層充実すべきと考えますけれども、所見を伺います。
○桃原少子社会対策部長 児童虐待を未然に防ぐためにも、地域で子育てをしているすべての家庭に対する支援が重要でございます。区市町村では、子ども家庭支援センターにおいて総合的な相談に応じているほか、子育てひろばにおける育児相談や、保護者が病気や育児疲れなどの際に子どもをお預かりするショートステイ、家庭への育児支援ヘルパーの派遣など、在宅の子育て家庭を支援する多様な取り組みを実施しております。
都は、地域の実情に応じて、区市町村が行うこうした取り組みに対して、包括補助事業によって支援をしております。
○伊藤委員 福祉保健局におきましては、どうか未来の宝でございます子どもたちが、虐待に遭ったり、不幸な目に遭ったり、あるいは事件や事故に巻き込まれるというようなことがないように、全力を挙げて社会全体で子どもたちを守っていただきたい、このことを要望して、質問を終わります。
○高橋委員長 この際、議事の都合により、おおむね十分間休憩いたします。
午後二時四十一分休憩
午後二時五十一分開議
○高橋委員長 休憩前に引き続き分科会を開きます。
質疑を続行いたします。
発言を願います。
○畔上委員 資料の作成、ありがとうございました。
私からも、大綱三点伺いたいと思います。
まず、重度心身障害児者の在宅支援についてです。
東京都は、都内の重度心身障害児者の推計を四千三百人とされています。そして、そのうち施設入所者が千三百人、在宅が三千人。在宅のうち、特別支援学校が約千人、そして通所利用が四百五十人、訪問が四百五十人であるということであります。つまり、重症心身障害児者の約千百人の在宅の方たちが訪問も通所も利用されていない。まさに、家族の力だけで在宅療養、日常生活を送っているということになるわけですね。こうした重度の心身障害児者の日々の生活の実態をしっかりと把握していただく、そのことで支援体制の課題も明らかになりますし、また、適切な対策も講ずることができるんだというふうに思います。
そこで伺いますが、二〇一一年度、在宅の重症心身障害児者の生活実態や要望をどのような方法で把握されたのか、まず伺います。
○山岸障害者施策推進部長 都は、通所事業や訪問看護事業など重症心身障害児者施策を進めており、その中で、事業者等を通じて重症心身障害児者の生活実態を把握してまいりました。また、社会福祉法人全国重症心身障害児(者)を守る会など関係団体とは定期的に意見交換を行っておりまして、さまざまなご要望などを伺っております。
○畔上委員 事業者や関係団体と意見交換をされて実態を把握するということそのものは、私は非常に大事なことだというふうに思うんです。
しかし、地域の医療や福祉の資源、これによっても実態はさまざまでありますし、また、重症心身障害児者の方の年齢や家族構成によっても要求は違ってくるわけです。まして何も利用されていない、家族だけで介助しながら暮らしている人たちが、先ほどもお話しあったようにいるわけです。
我が国では、医療の進歩によって多くの子どもたちの命が助かるようになって、新生児の救命率が世界一といわれております。しかし、それは一方で、人工呼吸器や経管栄養などの医療機器が日常的に必要になっている重症の子どもたち、また重度の障害児の急増につながっているわけです。
ところが、国も東京都も、重症心身障害児の実数も把握されていないし、また家族だけで介助している方々の介助の状況はどうかということも、どう支援が必要なのかということも調査をされていないということであります。こうした実態調査、せめて実数の調査ぐらいは行うべきじゃないでしょうか。
○山岸障害者施策推進部長 先ほどもお答え申し上げましたように、重症心身障害児者の生活実態、ご要望につきましては、関係団体等を通じて意見交換等で把握しております。お話のございました実数等につきましては、必要に応じて対応してまいりたいと考えております。
○畔上委員 ぜひ実数を把握していただいて、また実態も調査していただきたいと思います。
先日、重度の心身障害児のお母さん方とお会いしました。あるお母さん、こうおっしゃっていたんですね。医療は進歩しているけれども、大変重症な子ども、また障害の重い子どもたちの日常を支える仕組みが追いついていないんだと。家族が必死に頑張って、こうした子どもたちの育ちを守っているのが実態なんだと思いますと、こうおっしゃっていました。
昨年は、障害児の母親が突然死をされて、残された障害児も亡くなるという痛ましい事件も起こりました。孤独死が大きな社会問題にもなっておりますけれども、必要な支援を講ずるために、在宅の重度心身障害児者の全世帯の訪問調査を強く求めたいと思います。
具体的に幾つか伺いたいと思うんです。通所施設の昨年度の利用実績についてです。
私の活動地域であります江東区の場合でいえば、重度心身障害児者の通所施設は東部療育センターと区立の福祉園なんですが、今後通所施設に本当に入れるんだろうかという不安の声が区役所にも届いているところです。江東区には墨東特別支援学校もありまして、今後通所施設を利用する重度の心身障害児者はふえていくことは明らかなわけです。
そこで伺いますが、通所施設の役割と現状、これをどう認識されていますか。
○山岸障害者施策推進部長 重症心身障害児者通所事業は、重症心身障害児者の日中活動の場を確保し、必要な療育を行うものでございまして、在宅の重症心身障害児者が地域の中で安心して生活し続けるための重要なサービスでございます。
都は、障害者の地域移行・安心生活支援三か年プランにより、重症心身障害児者通所施設を整備する事業者に対しまして整備費の事業者負担を軽減するなど、通所施設の整備の促進に取り組んでおります。また、平成二十二年度からは、高い看護技術を持った看護師を受け入れ促進員として配置する事業を実施するなど、医療ニーズの高い在宅の重症心身障害児者の積極的な受け入れの促進を図っているところでございます。
○畔上委員 促進員の配置、それから通所施設の設置促進、こういった取り組みそのものは大変重要な取り組みだというふうに思います。しかし、その取り組みを本当に抜本的に強化拡充していかないと、やはり追いついていかないんだというふうに思うんですね。
例えば、東部療育センターの通所で申し上げますと、年々利用者がふえて、週五日通っていた人は週四日になり、今は三日になったと。新しく通所する人は、二日に最初から減らされてしまったと伺っています。
重度心身障害児の場合は、週五日が体力的に無理だという方がいるのは当然なわけですけれども、そのことはあるわけですけれども、しかし、できるだけ通所施設に通うことによって、毎日同じ時間に起きて、そして体を動かしてという生活リズムをつくることが大事なんだというふうに思います。この生活リズムを崩さずに、しかも専門スタッフが療育に当たれる、こういう通所施設は、本人の生活にとっても、また家族の方々にとっても大変重要な役割を果たしているんだというふうに思います。
しかしながら、本人の体の都合じゃなくて、通所施設の不足から、現場としてやむなく基本の通園日数を減らさざるを得ない、そういう相談をせざるを得ないという現状があるわけですから、家族の方々からは、地域的な配慮も含めて実態をよく調査して、通所施設を増設してほしいんだという声が上がっています。ぜひその声にこたえるべきだと思いますが、通所施設で昨年度何カ所、何人分ふえたんでしょうか。
○山岸障害者施策推進部長 平成二十三年度に開設いたしました通所施設は四カ所、定員四十五人でございます。既存の施設の定員変更分を含めますと、五十一人の定員増が図られております。その結果、平成二十三年度末時点、通所施設は二十九カ所、定員四百七十三人となっております。
なお、先ほどの通所の利用日数についてでございますけれども、東部療育センターでは、利用者の体調不良等による当日欠席も多いことから、ご家族のご希望や実際の利用実績をもとに日数を決定しております。二十三年度につきましては、日数が減した方は、ご本人の身体状況への配慮や、あるいは通所の場合には二カ所の施設を併用されていらっしゃる方もおいでになりますので、施設間の調整等を行った結果であると聞いておりまして、逆に、身体状況の改善等によりまして、前年度より利用日数が増になった方もおいでになりますので、付言をさせていただきます。
○畔上委員 実際に、本人の体調ではなく減になった方もいると伺っています。
ただ、今お話がありましたように八分の七の施設補助、これがやっぱり私は、昨年度大きく実績をつくったというのは、その施設補助が大きな役割を果たしたんだろうというふうに思っています。しかし、現状から見れば、やはり足りないというのが実態だと思うんですね。
都自身が立てた目標からいえばどうかといえば、二〇〇九年から三年間で百五人の目標だった。その目標に対して、今のご説明で、その前の年を足しますと七十三人なわけです。目標からいっても七割ということなわけですね。
都内の特別支援学校に在籍している重度、重複の障害児、本当にふえています。毎年のようにこの間、重度の心身障害児、子どもたちが高等部を卒業しております。今後の通所の利用者は一段とふえるということも明らかなわけです。そういう点で、私は、東京都が通所施設の増設のために本格的に力を入れなければ間に合わないんだというふうに思います。施設整備の補助の継続と抜本的な拡充を求めたいと思います。
同時に、本年度から重症心身障害者の通所、これは生活介護の障害福祉サービスとなりましたが、重症心身という障害の特性を配慮してしっかりとした医療ケア、また送迎手段の確保も引き続きできるように支援をしていただきたいと、これもあわせて申し上げておきたいと思います。
次に、短期入所についてです。
短期入所施設は、利用実績は、資料では昨年度に対象ベッドを四床ふやしているということです。しかし、短期入所はやはりいっぱいで、二カ月から三カ月は待たなければ入れない、緊急時に対応できない、親戚のお葬式にも参列できない、こういった切実な声が寄せられております。
東京都障害福祉計画、三カ年計画の短期入所の昨年度の達成目標は、これは重度心身障害者だけじゃなくて、障害者全体という目標になっているわけですが、その目標では、昨年度までに二百十人分ふやす計画でしたが、やはり七割の到達にとどまっているというふうに伺っています。今後さらに三年間で二百十人分を確保するという目標からいえば、相当の頑張りが必要であるというふうに思います。
介助をしている家族は、短期入所施設に入れなかった、そのために、腰を痛めているにもかかわらず介助を続けざるを得なかったと。また、ある保護者の方は、お父さんが急に亡くなったと。そして緊急一時保護をお願いしたら、事前に予約してくださいといわれたと。お父さんが亡くなることなんて、最初からわからないですよといって怒っていらっしゃいました。
呼吸器をつけた入所者など、施設側も重度化、また重症化によって、短期入所を減らさざるを得ないと、こういった深刻な事態も生まれているわけです。重度心身障害児者の短期入所についてどう認識されて、ふやすためにどう取り組んでいるのか、そのことを伺います。
○山岸障害者施策推進部長 短期入所は、介護者の病気や家族の都合等により、一時的に家庭での療育が困難になった児童等を入所させまして、医学的管理のもとに必要な介護を行うものでございまして、重症心身障害児者やその家族の在宅での暮らしを支えるサービスであると認識をしております。
都では、重症心身障害児者の方が利用できる短期入所の病床を、平成二十三年度末時点で十三施設百四床分確保しております。短期入所の受け入れ体制を整備するには、看護師の確保が重要であることから、平成二十一年度から看護師の確保、定着を図る看護師確保緊急対策事業を実施いたしまして、研修制度の充実等による看護職員のキャリア開発の支援等を行っております。
また、平成二十二年度からは、特に医療ニーズが高い重症心身障害児者の積極的な受け入れの促進を図るため、高い看護技術を持った看護師を受け入れ促進員として配置をしているところでございます。
○畔上委員 医療ニーズの高い重症心身障害児の受け入れの枠をふやすご努力をされているというのは、今伺ってわかったわけですが、やはり施設をふやすということのためにも、ぜひ努力をしていただきたいと思うんです。
重度心身障害児者の短期入所の目標と計画そのものがやっぱりないということが、私は問題だと思うんです。この目標と計画をしっかりと持っていただきたいと思います。そして、緊急一時保護にも対応できるように、ぜひお願いしたいと思います。
この重度心身障害児者の最後に、入所施設について伺います。
昨年度末の重度心身障害児者の入所希望の待機者数、教えてください。
○山岸障害者施策推進部長 児童相談所で把握しております重症心身障害児施設待機者は、平成二十三年度末で六百五十一人となっております。
○畔上委員 東京都障害福祉計画では、二〇一一年度までの計画では、入所施設について、施設のあり方の検討として、今年度からの計画でも、施設のあり方の検討を引き続き行うと。具体策が全くありません。入所施設についても、二十三区、また多摩地域とも増設を進める必要があると思いますが、どう対応するんでしょうか。
○山岸障害者施策推進部長 都は現在、障害を持った方が障害の種別にかかわらず、またどんなに障害が重くても、必要なサービスを利用しながら希望する地域で安心して暮らせる社会の実現を目指しております。こうしたことから、さきにお答えした通所事業、短期入所事業のほか、家庭に看護師を派遣し、看護技術の指導や療育相談などを行う重症心身障害児在宅療育支援事業を実施し、在宅サービスの充実を図ることが重要だと考えております。
○畔上委員 在宅サービスの充実は、もちろん大事なことだというふうに思います。しかしながら、入所施設を拡充する、これはもう私は待ったなしの課題だというふうに思います。
個人的なことを申し上げてあれなんですが、私は議員になる前は障害者の施設で働いていました。家族の方、とりわけ母親は、自分の体を酷使して、本当に介助している姿を目の当たりにしてきました。自分が亡くなる前の日にこの子が亡くなってほしい、そうお話しされた方もいましたけれども、高齢になってもぎりぎりまで家庭で、また親が介助していかなければいけない、介助していくしかない、こういう実態なわけです。
高齢化と重症化の中で、ご本人と家族による暮らしが、まさに薄氷を踏む思いで日々営まれていることを踏まえていただきたいと思います。そして、重度心身障害者のケアホームや、また入所施設を早急に整備していただきたいと思います。
府中療育センターの改築は、家族会の意見を尊重しつつ、急いでほしいと思います。そして、府中療育センター改築後の入所施設整備計画、これを必ずつくっていただきたいと思います。そのことを強く求めて、次の質問に移ります。
学童保育事業についてです。
まず伺いますが、東京全体でのことし五月一日現在の学童保育の待機児数、教えてください。
○桃原少子社会対策部長 学童クラブにおきましては、保育所と異なりまして、制度上、定員に係る明確な定めはございません。ただし、適正規模確保の観点から定員を設けている区市町村におきましては、学童クラブの申し込みをしながら利用できなかった児童、いわゆる待機児童というものが存在をいたします。国はその数について調査を実施しておりまして、それによりますと、平成二十四年五月一日現在、都内におきます待機児童数は一千四百四人となっております。
○畔上委員 それだけの子どもたちが入れなかったというわけですが、学童保育希望がふえているにもかかわらず、必要に応じた学童保育の増設が行われてこなかったために生じている待機なわけですね。
一方で、待機児を出さないようにと、区市町村の中には学童保育を大規模化させているケースが多々見られるわけですが、ことし五月一日現在の一クラス七十一人以上になっているところ、これは都内に何クラブあるか伺います。
○桃原少子社会対策部長 本年五月一日現在、都内の学童クラブ一千七百十七のうち、登録児童数が七十一名以上のクラブは百七十一となってございます。
○畔上委員 実は江東区では、待機児をなくすためと、二〇〇六年に条例改正が行われまして、育成室の面積を一人当たり一・五平米で割り出した受け入れ可能数に変更しちゃったんですね。そのために待機児はゼロというふうになったんですけれども、育成室に七十人、八十人、中には百人を超える子どもたちが生活する学童クラブが生まれてしまいました。大規模学童クラブの中では子どもたちが密集していて、手が当たったとか、足を踏まれたなどのささいなことでトラブルが発生して、落ちついて宿題に取り組んだり、ほっとくつろいだりすることができなくなっていると、こういった声も伺っています。
待機児解消も、大規模化の解消も、やはり学童クラブを増設することによって解決すべき問題だというふうに思います。昨年度、何カ所の学童クラブ整備に対して補助を行ったのか、伺いたいと思います。
○桃原少子社会対策部長 平成二十三年度におきましては、三区四市、計十一クラブに対しまして補助を実施しております。
○畔上委員 今回の決算で学童クラブの整備費補助を見ますと、予算規模は十九カ所の二億七千二百三十八万四千円、不用額が一億一千七百四十九万一千円と、執行率五六・九%の十一カ所というふうになっております。その理由をお示しください。
○桃原少子社会対策部長 予算の見積もりに当たりましては、毎年、その前年夏に区市町村に対しまして翌年度に行う施設整備に関する調査を行っており、これに基づいて行っております。決算の規模が予算規模よりも減少したことにつきましては、予算執行の段階で区市町村における予定変更、事情変更等がございまして、申請に至らなかったものでございます。
○畔上委員 その予定の変更の内容にもよると思うんですけれども、予定の変更というのはあり得ることだと思いますが、今の整備状況では、学童クラブの登録者数を見ますと、一昨年八万四千三十二人から、ことしの登録数を見ますと五百九十五人しかふえていないと。待機児も千四百四人もいる状態だということであります。
手を挙げたのにできなかった自治体があったとすれば、これはどんな補助が拡充されたらできるのか、やっぱりそういう理由をしっかり把握していただいて今後に生かしていただかなければ、待機児解消に結びつけられないというふうに思います。きちんと東京都として、その理由を把握していただきたいというふうに思います。
次に、都型の学童クラブについてなんですが、都型学童クラブは、現在何カ所で実施をされているのか伺います。
○桃原少子社会対策部長 平成二十三年度におきます都型学童クラブの実績は、十八区市百四十一カ所となってございます。
○畔上委員 都型学童クラブは夜七時までということなので、時間延長で助かった人もいるのも事実です。しかし、都型学童の場合は民営施設のみ補助対象としているという問題があります。これは、私は問題だというふうに思うんですね。
例えば、ある都型学童クラブでは、時間延長がされたにもかかわらず、アルバイトが一人ふえただけなので、子どもの様子を打ち合わせできなくて、保育に支障が出ているなどの声も上がっております。また、多摩地域では、公設公営の学童保育クラブを民営化する動きも加速しているというふうに伺っています。安易な民営化は、子どもの最善の利益を保障する行政の責務を放棄しかねない、なりかねないと思います。
一年間を通して見ますと、学童保育クラブにいる時間というのは、実は学校生活を送っている時間とほぼ同じ時間いるわけで、子どもの成長発達にとって大変重要な役割を果たしているわけです。核家族化や貧困の広がり、こういったことで本当に子育てに困難を抱える家庭が少なくない、こういう現在、一層重要な役割を果たしていると思います。
にもかかわらず、民営の学童クラブでは、指導員の身分保障が不十分なために、将来的な生活不安から働き続けられないということで、保育の安定にも支障をもたらしているところも生まれているということであります。
つまり、学童保育の質のよしあしを決めるのは、私は保育時間だけじゃなくて、指導員の仕事の質、保育内容の質だというふうに思います。都型学童クラブの実態、これをしっかり把握していただきたいと思いますし、また同時に、公立学童クラブにも補助を対象にするようにしていただきたいと思います。そして、子どもたちの放課後の生活の場として役割が果たせるように、常勤指導員の複数配置、学童保育の大規模化及び定員超過の改善を求めたいと思います。
この学童の最後に、国の放課後子どもプランでは、学童保育と放課後子ども教室、この推進を一体的あるいは連携して運営する考え方が示されております。しかし、学童クラブと放課後子ども教室推進事業、これは役割も目的も、そして機能も異なる事業なわけです。どう連携していくかということは、私はさまざまな検討が必要だろうというふうに思いますが、既に学童クラブを放課後子ども教室、全児童対策に踏襲させてしまって、学童保育の専用スペースをなくしてしまったとか、職員を削ったとか、そういう形で保育が安定的に行われていないという問題も発生しています。
各区市町村に対しまして、学童保育の本来の機能、役割を果たせる学童保育事業を行うよう、しっかりと働きかけていただくことと、学童保育の増設のための施設整備補助を拡充するよう求めたいと思いますが、いかがでしょうか。
○桃原少子社会対策部長 学童クラブは、保護者が就労などによりまして昼間家庭にいない場合、小学校などに通う子どもたちに遊びや生活の場を提供し、その健全な育成を図る事業でございます。都は、従来から学童クラブの登録児童数の増加が図られるよう、区市町村を訪問し取り組みを働きかけるとともに、整備費や運営費に対しまして、さまざまな補助事業によりまして支援を実施してきておりまして、これまでどおり、こうした区市町村の取り組みを支援してまいります。
また、お話のありました放課後における子どもの、学童クラブなどの取り組みでございますけれども、こちらにつきましては、子どもたちの安全で健やかな活動場所の確保に関しまして、区市町村がそれぞれの地域の実情を踏まえて進めているというふうに承知をしております。また、都型学童クラブにつきましては、その要件につきまして指導員に保育士の有資格者の配置などを義務づけておりまして、その質の担保を図っているところでございます。
○畔上委員 都型学童は、今、常勤を配置していると、義務づけているというお話でしたが、一人なわけですね。ですから、やっぱり複数配置をきちんとやっていただきたいということであります。
訪問などを行って、区市町村に取り組みを働きかけることは大変重要なことだというふうに思います。学童クラブの役割、機能についての認識、引き続きの支援には、専用のスペースと専任の指導員が必要であるという、この考え方は厚労省も明確にしているわけです。子どもたちが安全に、そして安心して継続した毎日の生活ができて、ハンディキャップのある子どもたちを含めて、異年齢の子どもたちが仲間と一緒に育ち合える、そういう学童保育の充実のための補助拡充、これを強く求めたいと思います。
また、そのためにも、児童一人当たりの面積、指導員一人当たりの児童数などについて、都として学童クラブの設置運営基準、これを設定していただきたいと思います。少なくとも、先ほど都型学童のお話がありましたけれども、職員の常勤は一人ということであります。国の定めた放課後児童クラブのガイドライン、これは二人以上というふうになっているわけですから、そのガイドラインの水準まで引き上げることを求めまして、次の質問に移りたいと思います。
最後に、保育の待機児童対策についてです。
学童保育と同様に、待機児対策が待ったなしとなっているのが保育園なわけです。私のところにも保育園の相談がいろいろありますが、例えば民間企業で働く方だったんですが、十一月に育児休暇が終わるということなんですが、保育園に申し込みはもう既に前からしていましたが、どこも入る見通しがないと。このままでは働き続けられないということで、認証保育所の見学を六月ぐらいからずっと始めて、ここならと思ったところに申し込んでいるけれども、認証保育所も順番が来るかどうか全く見通しがないと。このままでは仕事に復帰できないという相談でした。
一つは、職場にご本人がお願いをして職場復帰を数カ月間延長していただきました。あとは、二人で片っ端から認証に電話をかけてみました。私も一緒に電話をかけてみました。しかし、八月の時点であきのある認証はありませんでした。先々の予約の人のキャンセル待ち。今、東京で出産し、子育てしながら保育園を探すのは本当に大変なわけです。
私自身、産休明けで公立保育園に入れなくて、無認可の保育園にタクシーで毎日通い続けたという経験もありますが、二十数年たっても保育園探しに苦労しているというのは変わらない、二十数年たってもその苦労が変わらないと。安心して預けられる、そういう保育園の増設、これは本当に総力を挙げていただきたいと切に思います。
先ほど新定義の待機児数のお話がありました。そこで伺いますが、ことし四月一日付の保育待機児童数の旧定義、この旧定義では何人だったのか、その総数と年齢別の人数を伺います。
○桃原少子社会対策部長 保育所の待機児童数の定義でございますが、平成十三年度以前の旧定義と平成十四年度以降の新定義とがございます。旧定義は、認可保育所の入所申込者数から入所の児童数を差し引いた数でございます。新定義は、旧定義の人数からさらに認証保育所や家庭的保育など、地方公共団体における単独施策において保育されている児童を差し引いた数でございます。
お尋ねの平成二十四年四月の旧定義の待機児童でございますが、合計で一万九千八百二十八名、内訳は、ゼロ歳児四千百五十六人、一歳児八千八百三十七名、二歳児四千四百四十一名、三歳児千七百二十六名、四歳児以上の児童が六百六十八名となっております。
○畔上委員 つまり旧定義の待機児の中でも、ゼロ歳から二歳の低年齢児が九割を占めているということですね。そして、今の待機児の人数を伺いますと、やはり認可保育園に入りたいと希望している旧定義の待機児が依然として多いわけです。それはなぜだと考えますか。
○桃原少子社会対策部長 就学前の児童人口の増加や景気低迷などの影響によりまして保育ニーズが増加しておりまして、認可保育所についても入所申込者が増加しているということでございます。
なお、現在、区市町村は、これらの保育ニーズを踏まえまして、認証保育所を初めとする多様な保育サービスを拡充しておりまして、多くの方々が利用されてございます。保育サービスの必要量を正確に把握する上で、そうした方々を除いた数を待機児童とする新定義が平成十四年度からこの間、用いられてございまして、既に十年以上経過をしてございます。旧定義は、こうした多様な保育サービスの利用をされている方を一斉考慮せず、認可保育所のみを保育ニーズの受け皿とするものでございまして、現時点で旧定義で保育ニーズについて把握をすることは適切でないものと考えてございます。
○畔上委員 認証保育所に入っていても、認可保育園を希望する人も多いなというふうに実感しております。その理由は、一つは保育環境、そしてもう一つは保育料です。先ほども保育料の問題、お話がありました。地域的な状況もありますけれども、認可保育園の場合、今はフルタイム常勤でも入るのがなかなか難しい。そういう中で、自営業者の方などは認可保育園に本当に入れない、なかなか入れない。収入に応じての保育料設定の認可保育園に入れないと、一律の高い保育料の認証保育園に、生活が厳しくても入らざるを得ないという問題があって、認可保育園希望が多い、これも事実だと思います。
同時に、私は、保育環境、保育内容から認可保育園を選択する家庭は多いと思います。今、地域の児童遊園などは、午前中、園庭のない認証保育園同士で場所の奪い合いになっている状況で、ある認証の園長は、たくさん遊ばせてあげたいけれども、安全な遊び場所を確保するために大変苦労しているとおっしゃっていました。
保護者が、伸び伸びと子どもを育てたい、せめて園庭ぐらいある、空間の余裕のある保育園に入れたい、そう願うのは私は当然だというふうに思います。
本当に問題だと私が思っているのは、厚労省が保育園の最低基準を引き下げて、園庭がなくてもいいというふうにしてしまったことなんですが、しかし、そうはいっても今の現状の認可保育園、とりわけ公立保育園はほとんど園庭があって、こうした保育内容、保育環境を見て、やっぱり認可保育園に入れたいと、そう思う保護者が多いんだというふうに思います。
東京都の保育基準の条例改正については、二〇一二年の、ことしの三月十九日の大山議員の質疑で申し上げましたので、私はここで繰り返すことはいたしませんが、待機児の解消をする上で、やっぱり大事なのは、本当に保育水準をちゃんと守って、そしてどう現在の切実な保育要求にこたえていくのかということだというふうに思うんです。
東京都として、昨年度は待機児解消区市町村支援事業、それから認可保育所設置促進のための事業、こういうご努力をされている、このことは承知しておりますが、私は一層のこうした補助の継続と拡充、これを求めたいと思います。認可保育園の増設が、やはり基本となるべきだと考えますけど、どうでしょう。
○桃原少子社会対策部長 地域における保育サービスの提供体制は、保育の実施主体である区市町村が、認可保育所に限らず、認証保育所、認定こども園、家庭的保育など、地域のさまざまな保育資源をすべて活用して確保していくべきものと考えてございます。
都は、独自に区市町村や施設整備を行う事業者の負担を軽減するなどの取り組みによりまして、今後とも保育を必要とする方々がニーズに応じて利用できるよう、多様な保育サービスの拡充を図ってまいります。
○畔上委員 さまざまな保育資源、多様なサービスの活用とおっしゃいますが、私は、親の願いは本当に多様なのかと。もちろん、病児保育、それから一時保育など多様な保育要求、多様な保育体制、これは必要だというふうに思います。また、認可保育園だけで今の待機児をすべて解消できるわけではない、そういう現状があるわけですから、それも、そういう現実を踏まえていくことも大事です。
しかし、親の働き方は多様であっても、安心して預けられる質のいい保育を、そういう願いは、私は一緒だと思います。一様だと思います。そして、人的な条件や物的な条件の格差が大きいことを、多様化などといって合理化してはならないというふうに思います。すべての子どもたちの保育を保障する、保育を受ける権利を保障する、そういう立場からすると、多様化でごまかすというのは許せないことだというふうに思います。
保育サービス拡充緊急三カ年事業で、東京都は認可保育園整備の目標数を明らかにしておりました。しかし、現在の五カ年保育計画では、認可保育園整備の目標が示されておりません。なぜなんでしょうか。
○桃原少子社会対策部長 保育の実施主体である区市町村におきましては、先ほどもご答弁申し上げたとおり、地域の実情に応じまして、認可保育所に限らず、認証保育所、認定こども園、家庭的保育など多様な保育サービスの拡充に取り組んでおります。東京都保育計画は、こうした区市町村の取り組みによりまして、総体として待機児童解消を図ることを目的としてございます。したがいまして、施設種別ごとの目標値は設定していないということでございます。
○畔上委員 保育サービス拡充緊急三カ年事業だって、区市町村の取り組みを支援するものだったんじゃないですか。私たちが二〇一〇年の春に全区市町村を対象に行った認可保育園の待機児調査、各区や市から東京都に対する要望は何ですかというふうに伺ったら、待機児解消区市町村支援事業の継続、公立保育園への改築補助の要望、こうした要望がたくさん上がっておりました。
例えば、ある市ではこういっています。認可保育所を中心に待機児解消を図っていくことと我が市はしておりますと。認可保育園の新設や建てかえを実施するには、事業者負担を軽減することが非常に有効と考えますので、待機児童解消区市町村支援事業のさらなる充実をお願いします。
また、ある自治体はこういっています。認可保育所のうち公立保育所については、国の三位一体改革の一環として、平成十六年度から建設費及び運営費が一般財源化されました、このことは、特に地方交付税不交付団体である市にとっては非常に大きな財政負担を強いられており、待機児童解消のための認可保育所整備に重大な支障を来しています、つきましては、財政措置について、公立保育所設置状況と待機児童などの各団体の実情による配分方式に見直すなど、配慮を国に働きかけてください。
また、ある自治体では、公立保育園の整備についても財政的支援をぜひお願いしたい、このようにいっております。
都として、こうした要望、区市町村の要望をしっかりと受けとめていただいて、認可保育所整備に総力を挙げることが大きな役割なんだというふうに思います。私は、改めてしっかりと認可保育園を幾つつくるのかということを東京都としても目標数をきちんと示していただきたいと思います。
学童保育クラブもそうですけれども、保育というのは、やはり人件費の比重が高い労働集約的な事業なわけです。営利を目的とした株式会社が利益と質を同時に実現することが、そもそも困難なわけです。保育企業で働いている保育士の方々なども、本当に子どもの健やかな成長のために頑張っています。しかしながら、その労働条件は大変厳しいものがあります。人件費を削り、保育の質を大胆に切り下げてもいい、こういう政策をとらない限り、企業の進出は拡大されないはずなんです。
保育者の保育技術や知識、それから経験が積み重ねられてこそ、都の貴重な保育水準の財産として私は継承できるんだと思います。そのことを申し上げて、私の質問を終わりたいと思います。
○斉藤委員 私の方からは、初めに、成年後見制度について質問をしてみたいと思います。
平成十二年に介護保険制度が導入される際に、福祉サービスが措置から契約へ変わったことから、認知症高齢者や知的障害者、精神障害者など判断能力が低下した方でも、適切に契約を締結し、安心して暮らせるよう、本人を保護し支援する制度として、成年後見制度が誕生したわけでございます。
平成十二年、十年たって最初の年が平成二十三年度であったわけでございますけれども、この成年後見制度、契約を締結するためには、ぜひこれを利用していただくことが必要であるわけでございます。現在、高齢化の進展に伴いまして認知症高齢者が大変増加する中で、成年後見制度の重要性が、いやにも増しているところでございます。
そこで、まず、都内における成年後見制度の活用、この取り組みと実績についてお伺いをしたいと思います。
○小林生活福祉部長 都は、区市町村における成年後見制度の利用を促進する体制の整備を支援するため、平成十七年度から、成年後見活用あんしん生活創造事業を実施してございます。本事業では、後見活動の支援を行う成年後見制度推進機関を設置する区市町村に対しまして財政支援を行いますとともに、都みずからも、実務を担当する区市町村及び推進機関の職員を対象とした研修や困難事例についての助言、後見人等候補者の養成などを実施してございます。その結果、平成二十四年四月一日現在、四十七の区市におきまして成年後見制度推進機関が設置されています。
また、都内における成年後見制度の申し立て件数は着実に増加しておりまして、平成十二年から平成二十三年までの累計は三万四千四百六十二件となってございます。
○斉藤委員 ただいまお話がございました申し立て件数、十一年間の累計で、都として三万四千四百六十二、この数字をどう見るかということでございますが、毎年、事実上だんだんふえているのは事実でございますけれども、実感といたしましても、まだまだ利用者が少ないのではないかという評価、認識が正しいのではないかと私は思います。
この制度がなかなかそう簡単に利用できない背景、さまざま理由があると思われますけれども、制度自体の認知度が低い、これはPRが必要でございますが、認知度が低いことや、専門職の後見人を立てた場合に費用がかかる。弁護士や司法書士、こういった方々が専門職後見人になることがありますけれども、費用がかかる点、また、成年後見になった際の選挙権が失われる、喪失される、こういった利用者の権利制限の問題などが背景にあるのではないかと指摘されているところであります。今後、ひとり暮らしの高齢者や認知症高齢者等の増加が見込まれることを考慮いたしますれば、十分に活用されているとはいえないと、このように思うわけでございます。
そこで、制度の活用をさらに促進するためには、区市町村における取り組みの一層の推進が必要であると考えますけれども、都としての所見をお伺いしたいと思います。
○小林生活福祉部長 成年後見活用あんしん生活創造事業の開始から七年が経過いたしまして、先ほど申し上げましたとおり、都内では成年後見制度推進機関を設置運営する自治体数や、区市町村長による申し立てを初めとする申し立て件数も着実に増加してございます。
その一方で、地域ごとの実績を見ますと、活用が進んでいる地域とそうでない地域との差が生じておりまして、いまだ十分とはいえない状況がございます。今後、成年後見制度の活用促進を図っていくためには、申し立ての支援、後見人等の紹介、市民後見人の養成、貢献活動の支援などを一体的に実施することが有効であり、そのためには区市町村が中心となりまして、地域のニーズに対応した取り組みを推進していくことが重要でございます。
○斉藤委員 ただいまのご答弁で、区市町村の取り組みという表現でございましたけれども、実施主体は区市町村が中心になりますけれども、いまだ十分とはいえない状況という認識を共有させていただいたわけでございます。
ただいまご紹介があった市民後見人の養成、こういったものが非常に注目されているわけでございます。私も、制度の活用を促進するためには、とりわけ親族や弁護士などの専門職以外の後見人の担い手であります市民後見人の養成に係る取り組みが重要だと考えます。これまでの都の取り組みをお伺いしたいと思います。
○小林生活福祉部長 後見人等候補者の養成につきましては、現在、区市町村が推薦する都民を対象に、都が後見業務に関する基礎講習を実施いたしまして、その修了者に対して、区市町村の成年後見制度推進機関が実習活動の支援等を実施しているところでございます。
このほか、都は区市町村が独自に実施する後見人の養成事業につきましても支援をしておりまして、その実績は五区市となってございます。今後、さらに養成事業を推進するには、区市町村が地域の実情に応じて制度の活用促進に取り組むことが重要であると考えてございます。
このため、現在、区市町村職員や学識経験者等から構成する検討会を設置いたしまして、市民後見人養成のあり方について検討を行っておりまして、その結果を踏まえ、区市町村による取り組みが一層促進されるよう支援してまいります。
○斉藤委員 ただいまご紹介ございましたけれども、この検討会、今後さらに推進するための検討を行っているというお話がございました。後見人等候補者の養成に係る検討会という名称だと思いますけれども、検討の具体化、またこれについては、ほかの委員会等でも質疑が進むと思います。
いずれにしましても、現在、さまざまなやる気のある方をいかに発掘するかということも重要でございまして、各区市町村によって取り組みの勢いが違う。世田谷区などは独自でこういった養成制度をつくっておられますし、確実にその成果が上がっているというふうに伺っております。
お金の問題だけではないのではないかと。義務感でやるのでなくて、やはりみずからが本当に役に立ちたいという方を、どのようにこの人材を発掘してとらまえていくのかという視点が、とても私はこの制度では重要ではないかと思っているわけです。
例えば、みずから、キャリアを終えられた、特に男性の高齢者の中には、社会人として経理や法律等に関するスキルがある方も多数おられまして、市民後見人の選任を進めていく上では、このような方の選任を積極的に進めていくとか、一方で、年齢は確かにみずからが高齢者なんですけれども、成年後見人等の選任には至らなくても、区市町村における制度の普及促進に一生懸命取り組んで参加しようという、そういった高齢者もおられます。福祉の現場における活躍の場を提供するなど、さまざまな場の創出も必要であるということを提言し、今回はこの質問、提言をして、質問を次に移りたいと思います。
次に、若年性認知症についてお伺いをいたします。
国において公表されました認知症高齢者数の推計では、平成二十四年は三百五万人で、平成十五年の推計値と比べて約一・四倍と急増しております。都内では、何らかの認知症の症状を有する人は約三十三万人おられますけれども、このうち六十五歳未満で発症する若年性認知症の方、都内で約四千人と推計されているところであります。高齢者の認知症と比較して数が大変少ないために、支援のノウハウが蓄積されにくい一方で、働き盛りの方がそういった認知症の状況になるわけでございますので、働き盛りで発症するため、高齢者の認知症とは違った深刻な問題が存在いたします。
若年性認知症の方やその家族は、相談する相手もなく孤立した状態の中で、介護保険制度を初めとする支援制度を十分に利用できず、活用できず、深刻な経済的負担や心理的負担を抱えながら生活をするケースも多いと伺います。これまで都議会公明党は、こうした若年性認知症の方々や家族に対する支援の必要性を、都議会本会議の場などでたび重ねて主張してまいりました。
こうした状況を踏まえまして、今まで高齢者の認知症の方と比較いたしまして、これまで余り光が当たってこなかった若年性認知症の方々やその家族のご相談を、ワンストップで受け付ける若年性認知症総合支援センターを全国で初めて、ことしの五月に開設されたことは、画期的な取り組みとして高く評価したいと思います。私の地元目黒区に開設をいただきました。私の家のすぐ裏でございます。非常に注目しております。
そこで、まず確認のためにお伺いしますけれども、若年性認知症の支援につきまして、認知症高齢者の支援との違いはどんなところにあるのでしょうか、お伺いします。
○中山高齢社会対策部長 若年性認知症は、いわゆる現役世代に発症するものでございまして、会社や家庭における社会的な役割を失い、失業に伴う経済的ダメージや心理的ダメージを受けることも多いものでございます。そのため、医療や介護のサービスだけでなく、就労継続支援や障害福祉サービスなど、多分野にわたる制度を活用して生活全般を支援する視点が必要であります。
また、主な介護の担い手であります配偶者は、仕事や家事、育児など介護以外の役割を担っているため、高齢者の場合と比較して介護の負担が大きいものがございます。その結果、一人で負担を抱え込むことにより、心身の不安定な状態になるケースも多いことから、介護者を初めとした家族への支援も重要な課題となっております。
このように、若年性認知症の方と認知症高齢者の支援には違いがございますが、若年性認知症の方に対する理解不足から、相談機関で十分なアセスメントができていなかったり、多分野にわたる支援が必要であるにもかかわらず相談機関が相互に連携していないなど、これまで十分な支援体制がとれてこなかったのが現状であるといえます。
○斉藤委員 ただいまご答弁にもございましたが、若年性認知症の皆様がご利用できる支援制度は、介護保険以外でも障害福祉サービスなど多岐にわたっているわけです。例えば地域包括支援センターは、介護保険以外の制度をよくご存じない方もおられる。こういったように、既存の相談窓口では、ほかの機関が所管する制度の紹介が十分に受けられないこともあるようです。医療機関から地域の相談窓口を紹介されることが少ないために、医療機関の診断から相当期間がたった後、ようやっと介護サービスへつながったという事例もあると、私はセンターに行ってお伺いをいたしました。本人だけでなく、家族介護者の負担も大変大きく、そのサポートも重要ということでございます。
こうしたことから、都は、平成二十一年度から二十三年度にかけまして、若年性認知症の方や家族の相談をマネジメントするためのモデル事業を実施し、施策化に向けた検証を行っています。都がモデル事業に取り組んだ経緯とその実績とあわせて、本格実施した五月以降の状況についてお伺いをしたいと思います。
○中山高齢社会対策部長 若年性認知症の支援に対する課題の解決に向けて、都は、認知症対策推進会議の議論を経て、平成二十一年度から二十三年度にかけて若年性認知症の相談をマネジメントするモデル事業をNPO法人を活用して実施いたしました。モデル事業では、若年性認知症に十分な知識を有する作業療法士などを支援コーディネーターとして相談窓口に配置いたしました。
このモデル事業期間中、さまざまな相談が寄せられましたが、そのうち、総合的なマネジメント支援を行いました二十五人の方につきましては、介護や障害福祉など必要なサービス利用につながりました。また、家族介護者一人一人が抱える事情についてもお聞きし、心理的な負担などを軽減するための支援も行ったところでございます。
こうしたモデル事業の成果を踏まえまして、ワンストップで相談を受け、必要なサービスに早期につなげる窓口として、本年五月からは若年性認知症総合支援センターを新たに開設しました。現在までに都内全域から約百十名の若年性認知症の方に係る相談をお受けしておりまして、相談の対応に当たっては、個々の実情に応じて地域包括支援センターや医療機関、居宅介護支援事業所など関係機関とも緊密な連携を図っておるところでございます。
○斉藤委員 ありがとうございます。新たに開設した若年性認知症総合支援センターの相談実績も着実にふえてきているようでございます。
若年性認知症の方と家族が地域で安心して暮らしていくためには、広域的に相談を受け付ける若年性認知症総合支援センターと区市町村、地域包括支援センター、医療機関、介護事業所などのそうした連携の取り組みが必要でございます。そのためには、センターの活動を広く地域に周知する必要がございます。この点に関しましては、都議会公明党として、本年の第一回予算特別委員会で、同僚議員がPRの重要性を訴えさせていただいております。
都はこれまでも、センター開設に合わせその業務や連絡先を記載したリーフレットを作成し、地域包括支援センターや区市町村の窓口、医師会や認知症疾患医療センター、家族会などに配布をいたしまして、関係者の理解促進を図るとともに、東京都の認知症専門のポータルサイトである、とうきょう認知症ナビに掲載するなど、さまざまな媒体を通じて都民や事業者等へPRを進めております。ぜひ今後とも、こうした取り組みを積極的に進めていく必要があると思います。
また、現在、若年性認知症総合支援センターは区部に一カ所、目黒区にあるだけでございます。都内全域をカバーしていますけれども、今後は相談者の動向や相談内容、支援の効果などの検証を十分に行うとともに、必要な人材育成などにも取り組み、より多くの若年性認知症の方々や家族のニーズにこたえていくように要望して、次の質問に移りたいと思います。
次は、放射能に関する情報発信についてでございます。
昨年の福島第一原子力発電所の事故により、放射能汚染の都民への健康影響が懸念されてきました。これは平成二十三年度、大変大きな問題であったわけですが、我が党は、平成二十三年第二回定例会の代表質問で、モニタリング調査の強化などを強く求めてまいりました。
これを受けて、都は、原発事故以来、都民の安全・安心を確保するために、環境中の放射線量や食品の検査などさまざまなモニタリングを行いまして、公表してまいりましたが、改めて放射能に関するモニタリングと情報発信について、都の取り組みをお伺いしたいと思います。
○中谷健康安全部長 都は、原発事故以来、状況が刻々と変化する中、モニタリングポストを八カ所にふやすなど、環境中の放射線量の測定体制や食品の検査体制を整備いたしまして、ホームページにおいて測定結果などの最新データを公表してまいりました。
具体的には、事故後速やかに空間放射線量や水道水などの測定結果を公表するとともに、広域的な状況を把握するため、都内百カ所において空間放射線量を測定いたしました。また、食品については、国の仕組みに基づきまして、生産地において農産物等の放射性物質の検査が行われておりますが、都はこれに加えまして、都内に流通する食品のモニタリング検査や、芝浦と場での牛肉の全頭検査を実施しております。
さらに、学校や保育所を所管する区市町村を支援するために、給食用食材の検査を実施しております。これらの検査結果を公表しております健康安全研究センターのホームページのアクセス件数は、これまでに一億二千万件を超えております。今後とも、放射能に関するこうしたモニタリングを継続し、測定結果の迅速な公表に努めてまいります。
○斉藤委員 ホームページのアクセス件数が一億二千万を超えていたと。人口、一人必ずアクセスした数に相当いたします。最近は、大分そういったアクセス数も落ちついてきているようでございますが、大変な関心でございました。
現在、環境中の放射線量は原発事故発生以前のレベルに落ちついております。食品に関しましては、生産、流通の各段階で安全確保に向けた検査体制が構築されているというお話でございました。平成二十四年四月からは、より一層食品の安全と安心を確保するために、事故後の緊急的な対応としてではなくて、長期的な視点から新たな基準値を国も設定したところでございます。
一昨日、芝浦と場で基準値を超える牛肉が見つかったとの報道がございました。発表がございました。まさに昨年の十二月から行っている全頭検査がしっかりと機能している、こういった結果でもありまして、都内への流通を水際で阻止することができたということでございます。
さらに、今回の原発事故による都民への放射線量に係る情報提供のあり方をめぐりましては、できるだけ迅速に正確に情報提供を行うべきだと一貫して主張してまいりました。
情報の公開に当たりましては、情報提供によってパニックが起こることを恐れて、情報を出さなかったなどということはあってはならないと考えます。そこで、都は、都民みずからが放射能に関する理解を深められるよう、わかりやすい情報の提供が必要だと考えますけれども、その取り組みについてお伺いをします。
○中谷健康安全部長 都は、先ほど申し上げました各種モニタリングの測定結果を公表してまいりましたけれども、そのほかに専用の電話相談窓口を設置いたしまして、これまでに約七千件を超える問い合わせに対応しております。それとともに、都民の関心が高い事項につきましてデータ等を用いまして解説するなど、わかりやすいQアンドAを健康安全研究センターのホームページで掲載をしております。
また、昨年度は放射能に関するシンポジウムを二回開催いたしまして、約七百名が参加するとともに、教員向け研修会を開催いたしまして、約一千九百名が参加いたしました。今後とも、ホームページでの迅速な測定結果の公表に加えまして、電話相談やシンポジウムの開催などを通じまして、都民に対しましてきめ細かな情報提供に努めてまいります。
○斉藤委員 七千件の電話相談を受けられた方々には本当に感謝したいと思いますし、また、その電話相談によって安心した方も多数おられるのは事実でございます。また、発災当初から本当に日々成長していく、発展していくホームページ、大変なご努力に私は敬意を表したいと思います。
シンポジウムには私も参加させていただきましたし、また、教員の勉強、研修の提案も我が党の提案でございました。都には、引き続き迅速かつわかりやすい情報提供をお願いしたいと思います。
また、都民の安心・安全に関しましては、その情報を活用する都民の側の力、情報リテラシーといいますか、都民の側の、例えば危機管理教育や情報活用能力を向上させる努力もまた求められるというふうに思います。自助、公助、共助といいますけれども、この情報を一つとりましても、みずからの判断ですぐに避難できる方は、いち早い情報が欲しい。しかし、移動したくてもできないような方々、危険な状況の中にも家族をさらさなければいけないということで苦悩している方々に対する公助、これがまさしく議会であり、都の重要な職務になるというふうに思いますので、こういった都民と協働しての情報のあり方の研究もぜひお願いをしてまいりたいと思います。
最後のテーマになりますけれども、児童養護施設に入所する児童の学力の支援について質問をします。
我が党は、昨年の定例会一般質問などを通じまして、入所児童の学力向上のためには、民間団体などと積極的に連携し、学習支援に取り組むべきだと主張してまいりました。都は昨年、児童養護施設等対象者へのアンケート調査結果をまとめましたけれども、これらのことを踏まえまして、実際に行った取り組みについてお伺いしたいと思います。
○廣瀬事業推進担当部長 児童養護施設に入所している児童は、虐待を受けるなど、それまでの養育環境により、学習習慣や基礎的な学力が身についていない場合も少なくございません。昨年取りまとめました施設等の対象者へのアンケート調査の中でも、高校や大学への進学率は相対的に低く、入所中から学習や進学の支援を行うことの重要性が改めて明らかになったところでございます。
都はこれまでも、児童の自立に向けまして、NPOや企業などの協力を得て施設における学習支援や進学支援などを行うなど、児童の状況に合わせた支援を行ってきたところでございます。これらの取り組みをさらに進めるため、自立支援コーディネーターを独自に配置する準備を行い、今年度から実施しているところでございます。
○斉藤委員 質問は以上でございますけれども、自立支援コーディネーターを今年度から実施しているということのお話がございました。大変にその努力、しっかりサポートしていきたいと思っております。児童虐待等、いろんな理由があって施設に入られた方、みずからの理由じゃなくて、ご両親の事情などで入っている方々の状況もあるわけですけれども、そういった、ある面では大変不幸な環境の連鎖から脱却するためには、みずから力をつけて--これは教育が極めて重要でございます。就労支援とともに、学習支援は極めて重要ということを改めて認識をさせていただいております。今後、都の粘り強い支援を要望いたしまして、私の質問を終わります。
○高橋委員長 ほかに発言がなければ、お諮りをいたします。
本件に対する質疑は、いずれもこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○高橋委員長 異議なしと認め、本件に対する質疑は、いずれも終了いたしました。
以上で福祉保健局関係を終わります。
これをもちまして本日の分科会を閉会いたします。
午後四時一分散会
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