委員長 | 高倉 良生君 |
副委員長 | 鈴木 隆道君 |
副委員長 | 西岡真一郎君 |
小宮あんり君 | |
新井ともはる君 | |
神野 吉弘君 | |
鈴木 勝博君 | |
西崎 光子君 | |
藤井 一君 | |
遠藤 衛君 |
欠席委員 なし
出席説明員中央卸売市場 | 市場長 | 塚本 直之君 |
管理部長 | 塩見 清仁君 | |
事業部長 | 横山 宏君 | |
新市場整備部長 | 志村 昌孝君 | |
市場政策担当部長 | 江藤 巧君 | |
企画調整担当部長 | 森本 博行君 | |
移転支援担当部長 | 高木 良明君 | |
新市場事業計画担当部長 | 加藤 仁君 | |
新市場事業推進担当部長 | 日浦 憲造君 | |
基盤整備担当部長 | 加藤 直宣君 | |
施設整備担当部長 | 久保田浩二君 | |
環境局 | 局長 | 大野 輝之君 |
次長 | 紺野 秀之君 | |
環境政策部長 | 吉村 憲彦君 | |
環境政策担当部長 | 松下 明男君 | |
都市エネルギー推進担当部長 | 久原 京子君 | |
都市地球環境部長 | 山本 明君 | |
環境都市づくり担当部長 | 谷上 裕君 | |
環境改善部長 | 中村 豊君 | |
環境改善技術担当部長 | 島田 光正君 | |
自動車公害対策部長 | 山内 和久君 | |
自然環境部長 | 高橋 宏樹君 | |
緑施策推進担当部長 | 臼井 郁夫君 | |
廃棄物対策部長 | 木村 尊彦君 | |
調整担当部長スーパーエコタウン担当部長兼務 | 山根 修一君 |
本日の会議に付した事件
平成二十三年度東京都各会計歳入歳出決算の認定について
中央卸売市場関係
・平成二十三年度東京都と場会計決算(質疑)
環境局関係
・平成二十三年度東京都一般会計決算(質疑)
○高倉委員長 ただいまから平成二十三年度各会計決算特別委員会第三分科会を開会いたします。
本日は、お手元配布の会議日程のとおり、中央卸売市場及び環境局関係の決算に対する質疑を行います。
これより中央卸売市場関係に入ります。
決算の審査を行います。
平成二十三年度東京都と場会計決算を議題といたします。
本件につきましては既に説明を聴取しておりますので、直ちに質疑を行います。
発言を願います。
〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○高倉委員長 発言がなければ、お諮りいたします。
本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○高倉委員長 異議なしと認め、本件に対する質疑は終了いたしました。
以上で中央卸売市場関係を終わります。
○高倉委員長 これより環境局関係に入ります。
決算の審査を行います。
平成二十三年度東京都一般会計決算中、環境局所管分を議題といたします。
本件につきましては、既に説明を聴取しておりますので、直ちに質疑を行います。
発言を願います。
○新井委員 東京都は、これまで大規模事業者に対するキャップ・アンド・トレード制度の構築や太陽光発電を初めとする再生可能エネルギーの普及拡大の取り組みなど、先駆的に気候変動対策に取り組んできています。
そこで、平成二十三年度に実施した温暖化対策の推進に関して、節電の取り組み状況について何点か質問いたします。
昨年は、東日本大震災発生に伴い、東京電力管内では電力の供給力が大幅に低下し、電力不足が懸念される事態となりましたが、多くの都民や事業者の協力により、昨年の夏の最大電力量は、平成二十二年の約六千万キロワットと比べ、一千万キロワット削減され、電力不足は回避されました。
しかし、震災後は効率の低い老朽化した火力発電所の稼働に伴い、CO2が増加することが見込まれることから、電気の使い方を見直すとともに温暖化対策を積極的に進めていかなければなりません。
都は、昨年五月に東京都電力対策緊急プログラムを策定し、都内事業所に節電対策を働きかけましたが、この中で、これまでの温暖化対策をどのように生かして取り組んだのか伺います。
○山本都市地球環境部長 都は、平成二十二年度から大規模事業所に対するキャップ・アンド・トレード制度や中小規模事業所に対する地球温暖化対策報告書制度などの地球温暖化対策を実施してまいりましたが、昨年は、これらの制度を活用いたしまして節電の対策を推進したものでございます。具体的には、大規模事業所に対しましては、これまでの温暖化対策で培ってまいりましたノウハウを活用して、節電重点十対策を取りまとめまして、ビルオーナーとテナント事業者向けの節電セミナーや省エネ専門家による節電アドバイスを実施したところでございます。
また、中小規模事業所に対しましては、無料省エネ診断や区市町村と連携した省エネ節電セミナーを開催するとともに、これまで連携して地球温暖化対策に取り組んでまいりました東京法人会連合会などの事業者団体とのネットワークを生かしまして、中小規模事業者において取り組みやすい対策であります照明の間引きなどの節電対策の働きかけを行ったところでございます。
○新井委員 昨年の夏は電気事業法第二十七条による使用制限もあり、エレベーターの停止や工場の操業時間の変更など、一部に負担の大きい節電対策も実施されました。こうした昨年の経験を生かして、都は、本年五月、東京都省エネ・エネルギーマネジメント推進方針を発表し、無理なく長続きできる賢い節電を推進しています。
今夏は、都民、事業者ともに昨年に比べ無理なく節電を推進することができたと思いますが、事業者の節電の取り組みやその定着の状況について、都はどのようにとらえているのかお伺いします。
○山本都市地球環境部長 まず、昨年の節電対策についてでございますが、事業者のこれまでにない取り組みとして特徴的なことは、オフィスビルなどで震災前は七百五十ルクス程度だった照明照度が震災後は大半が五百ルクス以下に見直されたことでございます。
冷房需要の少なくなった昨年秋の電力使用におきましても、最大需要が平成二十二年と比べまして約四百万キロワット削減されており、これは大規模な発電所四つ分に相当するものでございますけれども、こうした照明照度の見直しなどの電気の使い方の見直しが定着してきていることがうかがえるというふうに思っております。また、この夏の節電におきましても、多くの事業者から震災後に見直した照明照度は余り戻っていないとの声が寄せられておりまして、ことしの七月、八月の最大電力は平均で平成二十二年度の実績を約八百八十万キロワット下回り、一七%減となっております。
こうしたことから都といたしましては、照明照度などの電気の使い方の見直しが定着してきているというふうに考えてございます。
今後とも、無理なく長続きできる賢い節電の定着を図りながら、低炭素で快適性と防災力を兼ね備えたスマートエネルギー都市の実現を目指して取り組んでまいります。
○新井委員 事業者が無理なく長続きできる節電対策を定着させていただきたいと思います。
ところで、都における電力消費量の約三分の一は家庭部門が占めていますので、家庭での省エネ、節電の取り組みも非常に重要であると思います。
そこで都は、家庭向けの省エネ、節電対策として、昨年度はどのような事業を実施したのかお伺いします。
○山本都市地球環境部長 都は、平成二十一年度から家庭部門の地球温暖化対策といたしまして、家庭からの申し込みに基づいて省エネ診断を行う家庭の省エネ診断員制度を実施してまいりました。
昨年度は、家庭における節電行動の徹底を図るため、この省エネ診断員制度を活用いたしまして、家庭の節電アドバイザー事業を開始したところでございます。この事業では、家庭での節電をわかりやすく示したパンフレットを作成いたしまして、節電アドバイザーが家庭に戸別訪問を行うなどにより、節電対策のアドバイスを実施してまいりました。
昨年度は、都が認定いたしました五千七百人のアドバイザーが約五十二万件の家庭を訪問するとともに、講習会等において約二万五千人を対象としたアドバイス活動を実施したところでございます。
○新井委員 かなり多くの家庭が、節電アドバイザーのアドバイスを受けたのではないかと思います。こうした成果を生かし、さらに幅広く都民に活用してもらうことが大切だと考えますが、都はどのように取り組んでいるのかお伺いします。
○山本都市地球環境部長 家庭の省エネ、節電を促進するためには、都民に対して情報提供を行う機会を拡大することが重要だというふうに思ってございます。このため、小学校などの都民にとって身近な場所で開催される講習会やイベント、商店街、自治会等への節電アドバイザーの派遣を拡大するなど、アドバイス活動の強化を図っているところでございます。
今後とも、都民のニーズに合った活用しやすい家庭の省エネ、節電対策を幅広く進めてまいります。
○新井委員 中小企業や家庭部門の節電対策を進めていくには、地域に密着した事業を行うことができる市区町村と連携することも効果的です。地球温暖化対策等推進のための市区町村補助制度は、市区町村独自の取り組みを支援するもので、多くの自治体が活用したと聞いています。
例えば、私の地元日野市では、市民一人一人に日ごろの生活の中で、すぐできる省エネをみずから宣言し実行するふだん着でCO2をへらそう宣言事業をこの補助制度を活用して実施してきました。今では、市の四割近くに当たる三万世帯が取り組むなど、市民の皆さんの意識は高まり、大きな節電効果を生み出したのでないかと評価しています。
日野市だけでなく、都内全体でさまざまな事業に取り組まれていますが、都は、この補助制度の実績と成果をどのようにとらえているのかお伺いします。
○松下環境政策担当部長 地球温暖化対策等推進のための区市町村補助制度は、各区市町村の地域特性に応じた地球温暖化対策、緑の創出、保全のために必要な取り組み及び波及効果の高い先進的な取り組みを支援することで、都内における地球温暖化対策等の一層の推進を図るため、平成二十一年度から二十三年度に実施いたしました。
地域特性を踏まえながら各区市町村との連携を図り、事業化を積極的に支援した結果、二十三年度は五十二の区市町村が活用し、延べ二百六十九事業に取り組まれ、地元事業者団体、環境団体、市民団体等と連携した独自の節電対策が行われるなどの成果がございました。
また、制度を開始した二十一年度から、年々区市町村の取り組みが活発化したことは、区市町村が先駆的な環境対策に主体的に取り組む機運を高める一歩になったと考えております。
○新井委員 都は、これまで取り組んできた温暖化対策や事業者、市区町村との連携を有効に活用して、昨年、都内事業者や家庭における節電を進めてきたわけですが、その中で取り組まれた照明の間引きなどの照明照度の見直しは、大きな支障なく取り組むことができる効果の大きいものです。
また、現在は東京電力の電気料金の値上げもあり、こうした面からも節電の重要性や上手な節電の仕方に対するニーズは高まっていると思います。
こうしたことから、無理なく続けられる賢い節電の定着に向け、都の温暖化対策を活用した節電の取り組みを期待して、質問を終わりにします。
○鈴木(隆)委員 私からは、三点にわたって質問をしていきたいと思います。
まず最初は、世界自然遺産の小笠原諸島についてお伺いをいたしたいと思います。
小笠原諸島は、平成二十三年六月に世界自然遺産に登録をされました。小笠原諸島は、島の誕生以来一度も大陸とつながったことのない海洋島であります。偶然に島にたどり着いた生物が小笠原の気候の中で独自に進化し、多くの固有種が生育、生息する特異な生態系を有していると聞いております。
小笠原諸島は、陸産貝類、いわゆるカタツムリや固有植物の割合が高い特異な生態系が評価され、世界自然遺産として登録されたわけであります。
小笠原の固有種を保全していくためには、これらの生存に影響を及ぼす、特に外来種の除去を進めるとともに、新たな外来種の侵入を防ぐ取り組みが重要であると考えます。
都は、長年取り組んできた外来種対策が小笠原の生態系の保全に有効で、こうした努力が小笠原諸島の世界自然遺産登録につながったと考えます。
都が行ってきた外来種対策について、平成二十三年度の取り組み状況と成果について、お伺いをしたいと思います。
○高橋自然環境部長 都は、これまで植生の破壊や固有の鳥類に影響を及ぼす野ヤギや野猫の排除に取り組んでまいりました。
野ヤギについては、平成二十三年度に弟島で根絶した結果、無人島の野ヤギはすべて根絶いたしました。野ヤギが残る父島では、排除作業二年目の平成二十三年度に約七百頭を排除いたしました。
野猫については、地元行政機関やNPOなど島民の方々と協力体制をとり、平成二十三年度には約七十頭の野猫を捕獲いたしました。捕獲した野猫は本土に移送し、東京都獣医師会所属の動物病院により飼い猫として飼いならした上、飼い主を探す取り組みを実施しております。
なお、野猫が減った結果、アカガシラカラスバトの目撃情報が増加し、最近は父島の市街地内の公園でも、その姿を観察できるようになっております。
また、小笠原固有のカタツムリを食べる外来種のプラナリアが泥に紛れて拡散しないよう父島にございます母島行きの乗船場において、靴底洗浄場所の拡充を図るなど、平成二十三年度も外来種対策を強化しております。
○鈴木(隆)委員 世界遺産登録の実現において、都が外来種対策に積極的に取り組んできたことを改めて認識いたしますが、今答弁の中にありましたように、東京都の獣医師会の先生方が非常にご努力をして、我々もともにこの二、三年、お互いに研究したり意見交換をして、小笠原に対してのそういう支援、または今いったことを努力してきたという経緯の中で、非常に先生方がね、努力していただいて、都の方も積極的にそれにかかわっていただいたことには感謝を申し上げたいと思います。
昨年十月に小笠原父島で行われました世界自然遺産登録記念式典では、地域ぐるみで小笠原の自然環境を保全してきた小笠原村のNPOや観光協会、農業や漁業の協同組合などの地域連絡会議の構成団体と今いいました東京都獣医師会が石原知事より東京都環境賞を贈呈されたわけであります。
このような小笠原に生活する人々や、さまざまな団体の地道な取り組みの一つ一つの積み重ねがあってこその世界遺産だと、改めて認識しているところでもあります。その取り組みに東京都環境賞を贈呈したことは、東京都の感謝の気持ちが伝わり、小笠原の自然環境の保全にかかわってきた多くの方々のまさに励みになったというふうに思います。
先ほど外来種対策について伺いましたが、生態系の保全のためには小笠原諸島にしか生息していない固有種の保護増殖に向けた直接的な取り組みも重要であります。
そこで、都が行っている固有種の保全事業について、平成二十三年度の取り組み状況と成果についてお伺いをいたします。
○高橋自然環境部長 小笠原諸島の生態系の保全のため、絶滅が目前に迫っている固有種に対しては、その保護増殖への取り組みも必要でございます。国の天然記念物のチョウであるオガサワラシジミは外来種のトカゲの捕食により激減し、母島の一部にわずかしか生息せず、絶滅が危惧されております。
都は、母島島内でのオガサワラシジミ保全施設の整備に向け、平成二十三年度に予定地の植生調査などを開始しました。同様に天然記念物となっているオガサワラオオコウモリも、現在は、父島の一カ所しか集団ねぐらを確認できないほど減少しております。
この個体群の保全を図るため、平成二十三年度に行動調査に着手しました。
その他固有植物種については、東京都レンジャーが日常の巡回業務を通じて、生育個体数や開花、結実状況などを調査し、関係機関との情報を共有化しております。
○鈴木(隆)委員 今答弁にありましたように、オガサワラシジミまたはオガサワラオオコウモリ等、今後対応をしっかりしていかなければ絶滅してしまうということでありますので、予算をつけるところはつけて、守るべきところはしっかり守っていくということをお願いしたいと思います。
特に、東京都レンジャーの皆さんが非常に頑張ってやっているということも聞いていますので、連携をとって、やはりできることは都みずからやっていく、余りけちなことはいわないでしっかりとして、世界遺産に登録したわけですから対応していくことを強く望みたいというふうに思います。
小笠原諸島の生態系保全のため、こうした固有種の保護増殖の取り組みの効果が実を結ぶように改めて期待を申し上げたいというふうに思います。
ところで、世界遺産登録後でありますが、小笠原を訪れる観光客の方々が大変ふえていると。特に、クルーズ船によって訪れる方が急増しているということでありました。先日、実は公明党の藤井先生からも、この小笠原の振興、空港問題から、いろいろ、るる触れられて、やはりいろいろな問題等もこれから起こり得る可能性もあると。しかし、それに知恵を出していこうという意見を、藤井先生から貴重な質疑があったわけであります。そういうようなことを踏まえて、やはり観光客がふえるということ、それは島の振興にとっても非常にいいことでありますので、そのことはもうすばらしいし、それに対する対策も十分打ってもらうと。しかし、それに伴って、自然への影響も出てくるおそれがあるというのは当然考えられるべきだというふうに思います。
ですから、小笠原といえば、例えば、ホエールウオッチングやダイビング、それから南島観光など、海に目が行きがちでありますが、実は小笠原特有の乾性低木林等を観察するために森に入っていくような、それぞれが自分の好きな、ある程度小笠原に対して非常に調べられて、こういうところを見てみたいとか、こういうところでいろんなものを、自分自身が小笠原体験してみたいということを考えているような観光客の方が非常にふえているというふうにも聞いています。小笠原の森には、世界自然遺産の価値を有するものが非常にあるわけですが、裏返しにいえば、非常に脆弱な生態系であって、そういう生態系が残っているということも知っていなければならないというふうに思います。
訪れる観光客の方が小笠原の自然環境のすばらしさや遺産価値に関する理解を深めてもらうと。また、外来種対策や希少種の保全にみずから参画をしてもらうようなことも含めて対応していくことが非常に大切だというふうに思います。
そのためには、父島に小笠原のビジターセンターが整備されています。観光客の方が世界自然遺産の価値を知り、その保全への取り組みを理解する上でビジターセンターが果たしていく普及啓発活動は最重要なことと考えます。
そこで、ビジターセンターの平成二十三年度の取り組み状況と成果について、改めてお伺いをしたいと思います。
○高橋自然環境部長 小笠原ビジターセンターは、小笠原を訪れる方々に世界自然遺産とのつき合い方を知っていただく大切な場所でございます。小笠原ビジターセンターは、小笠原の自然だけでなく、歴史や文化を紹介する施設として昭和六十三年に開設しました。
平成二十三年度からは、これまでの業務委託に変えて指定管理者制度を導入し、民間のノウハウを取り入れたビジターセンターの管理運営を開始しました。平成二十三年度の年間入館者数は約一万九千人で、前年度に比べ約五割近く増加しました。年間七十六回の自然教室や講習会を実施し、約二千人の方が参加しておられます。
平成二十四年七月に行われた指定管理者の評価委員会でも、平成二十三年度の実績について世界自然遺産のゲートウエーとしての役割を担う施設として、幅広い情報提供及びイベントやプログラムの実施が行われたと評価されました。
○鈴木(隆)委員 今まさに答弁でいわれた世界自然遺産のゲートウエーとしての役割を担う施設として幅広い情報提供を行い、イベントやプログラムの実施が行われたと。このことを高く評価したと。また、我々もこのことを聞いて、行った方々から非常に感銘を覚えるような体験をしたという話を聞いたりして、非常にうれしく思うところがありますので、この世界遺産、小笠原における自然保護と小笠原のビジネスセンターの取り組みが着実に行われているということを改めて認識させていただいたということであるというふうに思います。
世界遺産登録という一つの目的を我々は達したわけでありますが、登録された世界遺産の保全状況を六年ごとに世界遺産委員会へ報告する必要があると聞いています。アジア太平洋地域の報告は二〇一八年に予定されています。登録だけで満足せずに、小笠原諸島の自然を損なうことなく、次世代に引き継いでいくよう都がこれまで同様に、またこれまで以上に外来種対策から固有種保全にリーダーシップを発揮して、先ほどもいいましたが、予算面でも余りけちけちしないで、少し思い切った予算も組みながら、我々が期待している、または全日本の国民が期待しているような小笠原振興策を含めた小笠原自然遺産に対する対応を、私は、都は率先して、離島対策も含めてやるべきだということをいわせていただきたいというふうに思います。そして、観光客や島民への普及啓発活動を精力的に行うこともあわせて要望して、次の質問に移りたいというふうに思います。
続きまして、次はエネルギーマネジメントの推進、取り組みについて伺いたいというふうに思います。
エネルギーマネジメントは、電力等のエネルギー需要の見える化を図りながら、エネルギーのピーク時間帯における使用抑制(ピークカット)または使用時間の変更(ピークシフト)により、地域における電力需要の最適化を図る仕組みであります。このエネルギーマネジメントを都市づくりの中に取り込み、広域的に展開していくことで電力使用の平準化と、特に低炭素化を実現できるだけでなく、電力を使用する需要家に最大使用電力の削減による電気料金の節減、電気事業者には、発電所等への設備投資の抑制というメリットを生むことが可能となったわけであります。
都は、昨年度、我が党の要請に応じ、東京の経済活力の源泉であるオフィスビル集積地域を対象に、地域エネルギーマネジメントシステムの構築に向けた調査を実施いたしました。本調査は、東日本大震災の逼迫する電力需給に対する企業の不安を払拭し、アジアヘッドクオーター特区として、また本社機能の立地場所としての東京のプレゼンスを高める上で重要な調査と認識しておりますが、改めて、本調査のねらいをお伺いいたします。
○松下環境政策担当部長 本調査は、我が国を代表するオフィスビルの高度集積地域である大手町・丸の内・有楽町地区をモデル街区と設定し、電力や熱供給等のエネルギー源の多重化による防災力の強化を図ることに加え、エネルギー利用の効率化、低炭素化を実現する地域エネルギーマネジメントシステムの構築を目指すものでございます。
丸の内ビル三棟分に当たる延べ床面積五十万平方メートル相当の大規模再開発エリアにおけるエネルギー需要を想定し、系統電力に加え、自立分散型電源である高効率なコージェネレーション設備を導入して、電気、熱を一体的に供給する場合の環境性、経済性の検証を行いました。
加えて、再生可能エネルギーの導入拡大の可能性を検討するとともに、テナント事業者と連携した需給逼迫時における需給調整、いわゆるデマンドレスポンスの効果の試算を行いました。
本調査を通じ、エネルギー利用効率が高く、低炭素な事業活動を可能にするとともに、災害時にも日本のダイナモとして機能する堅牢なエネルギー供給能力を備えた地域エネルギーマネジメントの事業モデルを構築していくものでございます。
○鈴木(隆)委員 コージェネレーション設備を導入し、電気、熱の双方を供給することでありますが、この場合、一般に電気と熱のバランスをどのように図るかが重要な課題となるというふうに思います。
本調査では、この点をどのように考慮して検討を行い、コージェネレーション設備の導入による環境性、経済性の検証をどのように行ったのかお伺いいたします。
○松下環境政策担当部長 本調査では、排熱をむだなく活用することを主眼に置き、系統電力を併用しつつ、エリア内の電力需要の五割を自前で賄うという想定のもとで、コージェネレーション設備の運転パターンを設定し、環境性、経済性の検証を実施いたしました。
その結果、系統電力のみを利用する場合に比べ、コージェネレーション設備の効率的な活用により、年間約一〇%程度の一次エネルギー消費量の削減効果があるほか、約七から八%のCO2削減効果があることがわかりました。
加えて、コストについても設備導入に係る初期投資の大きさが課題となるものの、ランニングコストについては、現行の電気、ガス単価により試算した場合、年間約六%低減する結果となるなど、コージェネレーション設備の優位性が示されました。
○鈴木(隆)委員 コージェネレーション設備の優位性が示されたという答弁で、それはわかるわけでありますが、それでは、電力の需給の逼迫時における需給調整、いわゆるデマンドレスポンスについては、どのような検証を行い、どの程度の効果を上げられる結果となったのかを改めて伺います。
○松下環境政策担当部長 デマンドレスポンスは、電力需給が逼迫した場合に、各ビルに需要量の調整を依頼し、まずは共用部分の機器を優先的に制御するとともに、あらかじめテナントと協議した対応メニューにより、テナント専用部の照明、空調等の制御を実施する仕組みでございます。
本調査では、最大電力に比べ、共用部の実績として約四%、専用部の実績として約七%、合わせて約一一%のピークカット効果が得られるとの試算となりました。
このことからデマンドレスポンスは、需給逼迫時における効果的な需給制御の手段となり得る仕組みであることがわかりました。
○鈴木(隆)委員 わかりました。
それでは、本調査の検証結果から、地域エネルギーマネジメントの事業モデルを構築する上での基礎的なデータを得ることができたと思いますが、本調査結果を踏まえ、今年度以降どのような取り組みを進めていくのか具体的に伺います。
○松下環境政策担当部長 昨年度の調査の成果を踏まえ、今年度も地域エネルギーマネジメントの事業モデルの構築に向け調査を実施しているところでございます。
まず、コージェネレーション設備については、排熱の利用効率を最大限に高める観点から、電気、熱の最適なバランスを実現できる設備規模を想定しつつ、災害時における街区全体の事業継続性を確保するという視点を加え、非常用発電機の能力と合わせた街区全体の適正容量の検討をいたします。
また、デマンドレスポンスについては、テナントとビルオーナーの連携を深め、対策メニューの高度化を図るため、テナントの取り組みに対するインセンティブ付与のあり方についても検討いたします。
加えて、系統電力も含む外部からの電力の調達、コージェネレーション設備による電力と熱の双方の供給、テナントと一体となったデマンドレスポンス等のエネルギー需給の最適制御の三つの機能を担う地域エネルギーマネジメントの運営主体のあり方についても、具体的な事業モデルの構築に向けて検討してまいります。
○鈴木(隆)委員 るる具体的に少し聞きましたが、地域エネルギーマネジメントの実現というのは、年間に数時間しかないピーク時の電力需要に対し、発電所の整備による供給量の拡大で対応するという、我が国のこれまでの電力供給の基本概念を改め、低炭素で災害にも強い効率的なエネルギー利用のあり方を示す新たな取り組みであるというふうに思います。
実際に機能する事業モデルの構築を非常に強く要望して、この質問を終わりたいというふうに思います。
続きまして、東京の環境技術を生かした国際貢献について、お伺いをいたしたいと思います。
今、アジア地域の新興国また途上国では、環境技術や環境政策に対するニーズが非常に高まっております。
また、これらの課題を解決するための技術やビジネスが世界的に進展し、特に低炭素化にかかわる環境ビジネスは、経済を牽引する成長分野となっています。というよりも、むしろ成長分野に、もっと強力にしていかなければならないということだと私は思います。
一方、東京都は、ごみ問題や自動車排ガス問題等を乗り越えてきた経験があるほか、近年は地球温暖化対策や省エネ対策に他に先駆けて取り組み、これに対応してきた東京の企業には世界に冠たる環境技術があるということを確信しています。
都はアジア諸国のニーズにこたえ、東京のすぐれた環境技術を活用した国際貢献をさらに進めるべきと考えます。
そこで、環境局は、環境における国際連携の推進として、昨年度、都の先進的な施策を発信し、他の都市と連携を行ったとのことでありますが、どのような取り組みを行ったのかを具体的に二十三年度の実績でお伺いをしたいと思います。
○谷上環境都市づくり担当部長 都は、都における先駆的な環境政策と都内企業のすぐれた環境技術を世界に発信し、世界の都市の環境政策に貢献することを目指して、国際環境協力を進めているところです。
平成二十三年度は、廃棄物分野では、北京市やバンコクに職員を派遣し、廃棄物処理技術研修を実施しました。また、東京の廃棄物処理を紹介するDVDを作成し、二十以上の都市に送付して、東京都の取り組みをアピールいたしました。
気候変動分野では、C40、UNEP、OECD等の国際機関や天津、香港、高雄市等の依頼に応じて、昨年度十六件の国際会議等に参加し、キャップ・アンド・トレード制度等との気候変動対策や民間の省エネ建築技術等を紹介いたしました。
また、排出量取引制度の導入や建築物の省エネの推進を検討しているアジア諸都市は、都のキャップ・アンド・トレード制度や建築物対策に強い関心を寄せておりまして、シンガポール、マレーシア、中国、台湾等の諸都市が、都のキャップ・アンド・トレード制度等のヒアリングに来訪しております。
○鈴木(隆)委員 今答えがあったように、シンガポール、マレーシア、中国、台湾の諸都市の方々が訪ねてきている。私も台湾のね、東京でいったら知事本局長、財務局長になるのかな、これを兼ねている人と会いました。東京に来て、それで、知事本局そちらもまた財務の方との説明も、すべて、東京の十年計画等をするということで、東京の十年先の計画がありますが、あれと同じものをつくろうということで、また新たな取り組みも、台湾台北市が今やってるということで動いていると聞いております。そういうようなところでもこの環境問題に対して、非常に東京に期待しているところがあるということであろうかというふうに思います。
アジア諸都市の東京のキャップ・アンド・トレード制度や建築物対策に関心を寄せているとのことでありますが、経済成長に伴い、都市が急成長しているアジア諸都市では、ビルや住宅等の建設が急ピッチで進んでおります。都市のエネルギー消費量の急増は避けられない状況であります。
これらアジア諸都市では、建築物の省エネを進め、いかに低炭素都市を実現するかが極めて重要な課題になると思われます。
この分野に先行し取り組んできた東京は、こうしたアジア諸都市の低炭素化に貢献することが可能であると思いますが、見解をお伺いいたします。
○谷上環境都市づくり担当部長 急増する建築物が旧来のエネルギー性能のまま建設され、将来にわたりCO2排出が固定化されることにつきましては、世界銀行やIEA、国際エネルギー機関なども懸念しており、都市の建築物のCO2排出削減は喫緊の課題だと指摘しています。
都の建築物環境計画書制度やキャップ・アンド・トレード制度は、建築物の省エネの取り組みを促し、CO2排出量を削減する制度であり、建築物からのCO2排出対策を要するアジア諸都市には有効な施策であります。
シンガポールは、都のキャップ・アンド・トレード制度のヒアリング調査のため都を来訪しており、今後も制度検討のための情報交換を望んでいます。
台湾の高雄市も排出量取引の導入を検討しており、これまで数度高雄市へ招かれ、制度説明を行いました。
また、中国では、多くの都市で低炭素都市づくりに取り組んでいるほか、地方レベルでの排出量取引制度を早ければ二〇一三年にも導入する計画で、パイロット自治体に指定された二省五都市が制度設計を進めていますが、都は、上海市等四都市から依頼を受け、キャップ・アンド・トレードの制度づくりに協力しております。
都は、こうしたアジア諸都市からの要請に積極的にこたえ、キャップ・アンド・トレード等の政策ノウハウを提供し、建築物から排出されるCO2の削減を推進し、アジア諸都市の低炭素化に貢献していく考えです。
○鈴木(隆)委員 今るる報告をいただいたわけでありますが、非常に都市間を通して東京が各都市と連携をとってやっている、これは、もう環境局だけではなくして、上下水道、交通局も含め、アジア大都市ネットワークの中で非常に貢献をしているという、まさにその姿だというふうに思います。
都はこれまで、国際会議等で東京の取り組みを発信してきましたが、今後は、これを東京の環境関連企業のビジネスチャンスにつなげていくことが重要だというふうに考えます。
アジア諸都市の低炭素化の実現により、世界の気候変動問題に貢献すると同時に、東京の環境関連企業のビジネス機会の拡大にもつながるような国際協力を目指すべきであります。そのためにすぐれた環境技術を有する企業と連携した国際協力を進めることが必要と考えますが、都はどのように民間との連携を進めていくのかを改めて伺います。
○谷上環境都市づくり担当部長 都は、国際会議や国際見本市などの機会に、都内企業の発信の場を設けるなどして、企業の海外展開を支援する取り組みを進めています。
例えば、昨年十一月、都は、香港グリーンビルディング協会の要請を受け、東京の低炭素政策とグリーンビルを紹介するワークショップを民間と連携して香港で開催しましたが、東京の民間ディベロッパーがグリーンビルの開発、運営についてアピールを行いました。
また、ことし七月にはアジア大都市ネットワーク21シンガポール総会に合わせて世界都市サミットエキスポが開催されましたが、東京の低炭素ビルの建設会社やごみ焼却灰をセメントに再利用するエコセメントメーカーが都の依頼に基づき出展を行いました。
都は、今後も、こうした省エネ関連企業や廃棄物関連企業の海外展開につながる機会の確保に協力し、アジア地域へのビジネス進出を支援していきます。
○鈴木(隆)委員 二十一世紀は都市の世紀であるといわれております。まさに都市は気候変動問題のかぎを握っています。我々の未来は、都市の低炭素化を実現できるかにかかっているといっても過言ではないというふうに思います。それゆえに世界の都市が互いに知恵と経験を共有し、低炭素都市づくりで協力していくことが重要であるというふうに思います。
実は、この問題がオリンピック招致に非常に大きな意味合いを持っています。これはアジア大都市ネットワーク、こことは局がちょっと違うところになりますが、アジア大都市ネットワークは、私は予算委員会でもいっていますが、東京が非常に多くの各都市と連携して、それぞれの都市に貢献し交流をしていることに対しては、アジア諸国から非常に東京に対する絶賛の声が上がっているといってもいいと思う。誇りを持っても私はいいと思います。
そのことを東京がもう少し発信をしたらいいんだよね。きょうも今そうですが、環境局がこれだけやっていることを都民、国民にもっと改めてアピールをして知らせるべきです。それで、都市東京が持っている技術を世界に発信して貢献してると。そして、これからもそういう協力関係をつくって、アジアの今いった発展、または平和に寄与していくんだというようなことをいっていただかないと、実はオリンピック招致の国際プロモーションでIOC委員から票をもらうというところにはつながっていかないんですね。
ですから、余り謙虚にこうやってますではなくして、思い切って、東京というのはこれだけのことをやってるんだと誇りを持って都の職員の人たちにもいってもらいたいし、我々議員も東京はこれだけの役割を担ってるし、これからも世界の諸都市と連携をとっていくと。尖閣の問題があろうと、中国と実は今、まだ向こうの方が日本の技術を本当に欲しがってるという点は各地方自治体にはすごくありますよ。上下水道、ごみの問題、環境問題、特に向こうはそれがもう本当に喫緊の課題として対応したいということをいってるわけでありますから、やはり国はだめでも東京が果たすべきアジアでの役割、都市間での役割というようなものが非常にあると思いますから、その辺の誇りを持って、ぜひ環境局の方々にも、これから、公費でどんどん行ってもらっていいからさ、どんどん行って向こうの人と話し合って、本当にアジア諸国と心をつないでいく、きずなをつくっていく、そういうことを努力してもらいたいと思います。
以上を踏まえて、世界の低炭素の都市づくりのどのように先導していくのか、改めて局長の決意を伺って質問を終えたいと思います。
○大野環境局長 今お話をいただいたように、世界の気候変動対策の中では、都市が非常に大事な役割を果たしていると思っております。
毎年十二月に、気候変動の枠組みを話し合うCOPという会議が開かれるわけですが、昨年十二月はCOP17が開かれました。本来は、京都議定書の後の新しい国際的枠組みをつくるはずだったんですが、これが二〇一五年以降に引き延ばされてしまいました。何とか京都議定書の延長だけは決まったわけでございますけれども、なかなかまだ先行きが見えないという状況でございます。
こういうふうに国家間の交渉がなかなか進まない中で国連でございますとか世界銀行というような国際機関は、都市が先行して対策に取り組むということで、非常に期待が高まっております。
ちなみに、世界銀行は、都市は気候変動問題におけるキーアクターであるというふうにいっておりまして、お話のように東京の取り組みを紹介したケーススタディーのレポートでも発表してつくっていただいております。
東京都はこれまで、こうした取り組みを進めまして、省エネのための設備更新やグリーンビル建設などの低炭素ビジネスにも成功してきております。これはCO2削減や低炭素化が経済成長の妨げになるのではなくて、むしろ環境と経済の両立が可能であるということを示しておると思っております。
東京が低炭素都市づくりのモデルを世界の都市に発信し、都市レベルで環境と経済の両立を促進していくことは非常に大きな意味があると思っております。
こうした観点から、今後ともキャップ・アンド・トレード制度等、民間の低炭素投資を引き出す施策を積極的に推進し、またそれを大いに世界にアピールしまして、世界の低炭素都市づくりを先導してまいりたい、このように思っております。
○藤井委員 初めに、水銀対策について伺います。
平成二十三年第一回定例会の代表質問で、我が党は水銀廃棄物の回収、処理対策について質問をいたしました。
水銀は、環境中に放出されますと食物連鎖による生物濃縮等で環境リスクが拡大するといわれております。特に、水銀を含む製品の使用量、廃棄量ともに多い東京では、製造、販売、処理の各分野において先導的な対策が必要であります。
我が党の質問に答えて、局長から早急に水銀に関する専門家、区市町村、製造事業者など、さまざまな関係者で構成する検討会を立ち上げる、そして、代替製品への転換や水銀を含む製品の回収、適正処理について、積極的な役割を都が果たしていくという答弁がありました。
そこで伺いたいと思います。平成二十三年度において、都は、水銀対策に関して、どのような製品を対象に具体的にどう検討し、取り組みの方向をまとめたのか伺います。
○木村廃棄物対策部長 平成二十三年五月に、都は、水銀の環境への排出防止を目的に学識経験者、区市町村、製造事業者、処理業者の代表で構成します検討会を設置し、七回の協議を経て、本年二月に検討会の取りまとめを発表いたしました。
今回の検討の対象は、広く使用されており、破損すると水銀が飛散するために、回収の一層の強化と適切な廃棄が必要な水銀血圧計や水銀体温計、蛍光灯や水銀灯及びボタン電池といたしました。これらで国内の水銀使用量の約七割を占めております。
検討会の取りまとめでは、第一に水銀使用製品の製造抑制と水銀使用量の削減、第二に水銀を使用しない代替品への使用転換、第三に水銀廃棄物の回収の徹底、第四に回収後の水銀の適正処分という四つの取り組みの方向を示しました。
○藤井委員 我が国は、ピーク時の一九六四年には年間約二千五百トンの水銀需要があったそうですけれども、近年は十トン以下に減少しているというふうにいわれております。しかし、まだまだ私たちの身近な生活の中で水銀製品はさまざまに使用されているのが現状であります。
今回、我が党の質問に答えて、都が水銀にかかわる関係者を網羅的に集めて精力的に協議を進め、国に先んじて検討結果を取りまとめられたことに大いに評価をしたいと思います。
次に、検討会で取りまとめた対策と現状について伺いたいと思います。
先ほど答弁がありました四つの取り組みの方向は、一点目と二点目が製造から使用までの、いわば上流側の取り組みであります。三点目と四点目が廃棄とその後の管理という、いわば下流側の取り組みというふうに定義をいたしますと、最初に上流側の取り組みについて伺いたいと思います。
水銀製品の製造抑制と使用量削減及び代替品への使用転換という観点から、今回の東京都の取りまとめの具体的な内容それから現在の進捗状況、これについて伺います。
○木村廃棄物対策部長 水銀血圧計や水銀体温計につきましては、日本医療機器産業連合会に、電子式血圧計の販売促進を要請しております。
また、昨年十二月の日本看護学校協議会の会合に出席いたしまして、実習で使用する血圧計を水銀を使っていない電子式血圧計やアネロイド血圧計へ転換するよう要請しております。
都立の看護学校では、本年四月までに、血圧計をすべて電子式血圧計やアネロイド血圧計に転換いたしました。
さらに、都の職員の健康診断で水銀血圧計を使わないよう各局と調整をしております。
次に、蛍光灯や水銀灯についてでございますが、日本電球工業会が蛍光灯の水銀封入量の低減や蛍光灯、水銀灯にかわるLED照明の普及拡大を進めております。
都の施設では、国に先駆け、本年四月から東京都グリーン購入ガイドにおいて、水銀封入量を一本当たり一〇ミリグラムから七ミリグラムへ低減した蛍光灯のみを使用するよう義務づけております。
今後とも関係業界と連携を密にして、水銀使用量の削減及び代替品の使用転換に取り組んでまいります。
○藤井委員 次に、下流側の取り組みについてですが、水銀廃棄物の回収の徹底、さらにその後の適正処分という観点からはどのような取り組みをまとめられているのか。その具体的な内容と現在の進捗状況はいかがでしょうか。
○木村廃棄物対策部長 都は、都内にあります約六百の病院に対しまして、毎年度水銀血圧計及び水銀体温計の使用状況と廃棄量の報告を求めることとしております。
東京都医師会では都の取り組みに呼応いたしまして、本年九月にすべての地区医師会に呼びかけ、水銀血圧計及び水銀体温計の自主回収事業を実施し、一カ月で一千個以上の水銀血圧計を回収し、適正に処理をいたしました。
蛍光灯の回収につきましては、多摩地域ではすべての市町村が分別回収を行っているのに対し、二十三区では七区にとどまっているため、都は、区部での蛍光灯の分別回収の拡大につきまして、二十三区に要請し、現在協議を進めております。
ボタン電池につきましては、電池工業会が実施しております回収事業について、都は、区市町村に対し、ごみの出し方パンフレットなどで都民へ周知するよう働きかけております。
さらに、電池工業会では、水銀を含むボタン電池を使わざるを得ない補聴器の販売店における回収の拡大を進めております。
水銀廃棄物回収後の処分における取り組みといたしましては、都は、ことし五月にすべての産業廃棄物処理業者一万三千社に対しまして、水銀を含む廃棄物については水銀を回収できる処分業者で処理するよう文書で依頼しております。
○藤井委員 ただいまご答弁ありましたように、都は、この水銀対策について具体的にさまざまな対策を講じてるということがよくわかりました。こういったことを、先ほどの鈴木副委員長ではありませんが、都の取り組みについて、もっと積極的にPR、徹底をしたらいいのかなというふうに思います。
そこで、東京都の検討会には、全国的な組織の代表の方も参加していると聞いております。都の取り組みは全国に影響を及ぼすということが期待されてるわけですが、関係事業者との良好なパートナーシップのもとに施策を推進していくことを要望したいと思います。
今、地球的な規模での水銀のリスク削減を目的といたしました水銀条約の検討が続いてるという中で、都が先導的な取り組みをまとめたことは大変意義のあることだと思います。
環境先進都市である都は、このような取り組みを、条約制定に向け検討を進めている国に対して強く働きかけ、国をむしろリードをしていくべきと考えますが、この点についてのお考えをお伺いしたいと思います。
○木村廃棄物対策部長 現在、水銀条約の制定に向けまして、製品における水銀使用の削減、水銀の大気への排出抑制、水銀廃棄物の適正処理などについて各国の間で協議が進んでおり、来年、平成二十五年の秋には条約が採択される見込みと聞いております。
今回、都が示した四つの取り組みの方向は、条約の内容を先取りした取り組みでございます。
国では、国内法の整備に向け検討会を設けております。都は、この検討会にメンバーとして参加をしております。都は、国に対しまして、教職員の健康診断での使用を水銀血圧計に限っております学校保健安全法施行規則を改正すること、来年施行されます小型電子機器リサイクル法では、電子式血圧計のみが回収の対象になっていることから水銀血圧計についても回収、処理システムを整備すること、また、今後水銀の再利用が制限されることから、回収後の水銀の長期的かつ安全な管理方法について調査、検討を進めることなどについて国に提案しております。
今後とも、都は、大消費地並びに環境先進都市といたしまして、地球的規模の観点から国、区市町村、関係事業者と連携しながら、水銀の環境への排出防止に取り組んでまいります。
○藤井委員 いうまでもなく、水銀は環境や人体に有害であります。水銀の再使用という循環の輪を断ち切っていくために、関係者の皆様の今後の一層の活躍を期待したいと思いますので、よろしくお願いいたします。
次に、再生可能エネルギーについて伺いたいと思います。
東京都は、キャップ・アンド・トレードなど先駆的な地球温暖化対策を実施していますが、再生可能エネルギーについても積極的に施策を展開しております。平成二十三年度は、太陽光発電を中心とした住宅用創エネルギー機器の導入支援事業を実施したところであります。
その中で太陽光発電については、一キロワット当たり十万円という全国的に見ても最高水準の補助事業を平成二十一年度から開始しております。ちなみに、この補助について見ますと、補助金額のモデルケースとして、三キロワットの太陽光発電システムを購入しようとする場合、東京都の補助金は三十万円、三キロですから三十万、それに対して国の補助金は約十万円というふうになってるそうです、このチラシかパンフレットを見ますと。
また、太陽熱利用システムを導入をしたいと都民が思った場合、モデルケースの補助金額について見ますと、東京都が四十二万円を補助するわけですが、大体太陽熱利用システムの全部の金額が八十万から百万ということですので、設置の負担が約半分になるということで、大変手厚い補助をしているのが東京都であるということであります。
このように東京都が補助事業を開始して以来、ここ数年で全国的にも太陽光発電の普及が進んでいると。例えば、昨年度には住宅用太陽光発電の導入件数が百万件を突破したということで、日本の太陽光発電市場は大いに活性化をしているといえると思います。
そこで、都が補助事業を立ち上げるに至った経緯及びその後の全国的な取り組みの経過についてお伺いをいたします。
○谷上環境都市づくり担当部長 かつて世界一を誇った日本の太陽光発電市場ですが、平成十七年度に国の補助打ち切りに伴い低迷状態に陥ったことに危機感を覚え、都は、いち早く、平成十九年三月に関係事業者や学識経験者などに呼びかけて、太陽エネルギー利用拡大会議を設置しました。
この会議を通じて、都は、市場の活性化を図り、課題である設置コストを低減するため、平成二十一年度からの補助事業開始に向けまして、平成二十年八月に総額九十億円に上る予算を発表いたしました。
その後、全国的な取り組みとして平成二十一年一月に国の補助が三年ぶりに復活するとともに、十一月には現在の固定価格買い取り制度のいわば前進である余剰電力の買い取り制度が導入されました。
○藤井委員 停滞する太陽光発電市場の活性化に向けて、都は、国に先駆けて補助事業を開始したということでございますので、今後ともさらに先導していただきたいと思います。
次に、平成二十三年度までの具体的な成果はどうだったのか、この点について伺います。
○谷上環境都市づくり担当部長 都内の住宅用太陽光発電の導入量は、補助開始前の平成二十年度が月平均約四百二十キロワットであったのに対し、平成二十三年度は月平均約四千二百キロワットとなり、約十倍に導入速度を加速しました。また、国の補助制度の復活や余剰電力の買い取り制度により、全国的にも太陽光発電の普及は飛躍的に拡大し、一キロワット当たりの設置コストは、都の補助開始前の平成二十年度に七十万円を超えていたのが、現状では五十万円を切るまでに至っています。
都が打ち出した施策は、国の支援策を誘導することで太陽光発電の全国的な普及拡大につながり、課題であった設置コストの低減に大きく貢献してまいりました。
○藤井委員 今答弁にありましたように、東京都の先駆的な施策が国における全国的な取り組みを引き出したと。それがまた東京都における普及拡大につながるという、そういう効果が発揮されたといえるわけでございまして、局長を先頭にいたしました都の関係者の皆様のご努力に対し敬意を表したいと思います。
昨年度までで補助開始前に比べ約十倍の導入速度を加速してきたということでございますが、今年度の最新の状況と今後のさらなる普及に向けての課題について、どういうものがあるかお伺いをいたします。
○谷上環境都市づくり担当部長 今年度上半期の都内の住宅用太陽光発電の導入量は、月平均約四千五百キロワットとなっており、昨年度の月平均約四千二百キロワットをさらに上回っております。
今後のさらなる普及に向けて、住宅用についてはアフターケアや相談窓口の充実など、太陽光発電に関する理解を促進して、安心して設置できる仕組みの構築が必要であり、また今後の大きな伸びが期待される事業用の太陽光発電につきましては、全量買い取り制度のメリットを活用した新たなビジネスモデルの構築が必要と考えております。
○藤井委員 現在のように、太陽光パネルの価格が下がってきており、家電の量販店に並ぶようになって、テレビのCMでも盛んに放映されております。
そういった意味で、一般家庭でも手に届きやすくなったというのは、都のこれまでの取り組みが大きな効果を出してるというふうに思うわけでございます。
都の太陽エネルギー補助事業を開始した当時と比べれば、数年前のこととはいえ、大変大きな隔世の感を禁じ得ません。太陽光発電の普及は今後ますます加速し、設置コストはさらに低減していくことが期待されるわけですが、七月から固定価格買い取り制度が開始をされるなど、太陽光発電をめぐる状況は大きく変化しております。
今後の普及促進に当たって、先ほどの答弁にありましたとおり、住宅用のみならず、大きな伸びが期待できます事業用の太陽光発電も含めて、コスト以外の面で、さらに工夫を凝らした先進的な取り組みが必要と考えます。
引き続き、都が先駆的に施策を構築し、再生可能エネルギーのさらなる普及拡大の成果を上げていくことを期待したいと思います。
そこで、この再生可能エネルギーを初め、エネルギー政策に大変情熱を持って取り組んでこられました局長の決意をお伺いしたいと思います。
○大野環境局長 今ご質疑をいただきましたように、東京都の先駆的な取り組みと固定価格買い取り制度の導入によりまして、再生可能エネルギーの導入の機運が高まっておりまして、ようやく我が国も本格的な再生可能エネルギーの導入拡大期に入ったというふうに思っております。
新聞などでも毎日のように報道されておりますが、最近ではいろんな業種から新たにこの再生可能エネルギーの普及の分野に、次々に参入してきておるという状況でございます。都としても、これまでの成果に満足することなく、さらに拡大が必要だと考えておりまして、この前も本会議でご質疑ございましたが、建物が集まっているという東京の特性を生かす屋根貸し事業をぜひ拡大していきたいと思っておりまして、つい最近まで募集をしまして、大分応募もありましたので、間もなく発表できると思いますが、これも進めてまいりたいと思っております。
こういうふうに太陽光発電の方は、かなり普及のスピードが上がってきたわけでございますが、もう一つ、太陽熱というのがございます。先ほどご質疑にもございました平成十九年に東京都が太陽エネルギーの利用拡大会議をやったときには、太陽光発電と太陽熱を二つやったんですけれども、太陽光発電の方はかなりブレークしてきたわけでありますが、太陽熱の方はなかなか立ち上がりが相当苦労してまいりました。ただ、昨年度から新たに集合住宅をつくる場合、補助するような新しい制度を始めておりまして、ようやく次々と太陽熱をつけたマンションができるというふうな動きがきておりますので、ぜひこうした成果も積極的に発信しまして、太陽熱の方も大きく普及してまいりたいと思ってます。
いずれにしましても、今後とも再生可能エネルギーのさらなる普及拡大に向けて全力で取り組んでまいりたいと、このように思っております。
○西崎委員 私からは、まず廃棄物の埋立処分について伺います。
本年二月に改定されました廃棄物等の埋立処分計画が発表されました。この計画は、平成二十四年度から平成三十八年度までの十五年間となっておりまして、都が管理する中央防波堤外側埋立処分場及び新海面処分場における廃棄物、土砂、しゅんせつ土のリサイクル施策や今後十五年間の埋立量を取りまとめたものです。
この計画には、昨年の三月の東日本大震災と、それによる原子力発電所の事故に伴う放射能汚染の影響が盛り込まれています。放射能汚染により、浄水場の発生土や下水処理汚泥はリサイクルができなくなり、埋め立てをせざるを得ない状況が続いていると聞いております。
また、電力が逼迫することにより、ごみの焼却灰の溶融も一部は行われず、焼却灰のまま埋め立てられております。
そこで、まずお伺いしますが、都の処分場での震災前の平成二十二年度の埋立量と震災発生後の二十三年度の埋立量は、どのくらいの変化があったのか伺います。
○木村廃棄物対策部長 まず浄水場の発生土につきましては、これまで九九%リサイクルしておりましたが、放射能の影響によりましてリサイクルが中断したため、平成二十二年度の埋立量〇・一万トンに対しまして、二十三年度は八万トンに増加いたしました。
下水汚泥焼却灰は七〇%リサイクルしておりましたが、こちらも放射能の影響によりリサイクルが中断したため、二十二年度の四万トンに対し、二十三年度は八万トンに増加しております。
一般廃棄物は、電力逼迫により灰溶融を一部取りやめたため、平成二十二年度の三十六万トンに対し、二十三年度は四十二万トンに増加しております。
これらに産業廃棄物と覆土材を加えますと、廃棄物系全体の埋立量は、平成二十二年度の六十七万トンから二十三年度は八十万トンと十三万トンの増、率にすると一九%増加をいたしております。
ただし、これは二月に策定いたしました廃棄物等の埋立処分計画で予測した増加の範囲内におさまっております。
なお、水道局及び下水道局では、リサイクル業者が定める安全基準に適合次第、リサイクルを再開できるよう業者と調整をしております。
○西崎委員 日々埋立地の形は変わっていると聞いておりますけれども、今お話がありましたように、六十七万トンから平成二十三年度は八十万トンにふえて、十三万トンの増ということですけれども、これは計画の範囲内におさまっているというのは、わかりました。
汚泥や焼却灰の放射能レベルは少しずつ下がっているようですけれども、安心・安全確保のためには、長期間監視を続けていく必要があると思います。
次に、処分場に新たに埋め立てられているものとして、昨年十一月から受け入れを始めました岩手、宮城両県の災害廃棄物があります。先月の第三回定例会でのお話ですと、今年度末までに十三万トンを受け入れるとのことですけれども、これに対し、都の埋立量はどのくらいになるのか伺います。
○木村廃棄物対策部長 受け入れております災害廃棄物のうち、可燃性廃棄物は清掃工場で焼却しており、埋め立てする焼却灰は受け入れ量の十分の一になります。
混合廃棄物の状態で受け入れたものは民間の処理施設で選別し、一割がリサイクルされ、五割の可燃物は焼却後、その灰を埋め立て、四割の不燃物は破砕後、埋め立てます。
したがいまして、今年度末までの受け入れ予定量十三万トンに対して、都の埋立処分場で埋め立てる量は約三万トンになります。
廃棄物等の埋立処分計画では、災害廃棄物埋立処分量は、平成二十四年度と二十五年度の二年間で八万トンとしておりまして、三万トンは、この計画におさまる範囲で推移しております。
引き続き、受け入れる災害廃棄物については、リサイクルと減量に努め、適正に埋立処分してまいります。
○西崎委員 原発事故による埋立量の増加と災害廃棄物の受け入れによる埋立量の増加について伺いました。どちらの増加分も廃棄物等の埋立処理計画に盛り込まれているということですが、改めて原発事故の影響の大きさを感じます。
原子力発電所は一たび事故を起こせば、二百キロメートル以上離れた東京にも放射性物質が降り注ぎ、大気や川や土だけではなく、私たちが出すごみや下水も放射能に汚染されてしまいます。それによる埋立量の増加が大きいということです。
埋立処分場の延命化が必要な中で、各区ではごみを減らすための取り組みが行われていますが、より一層の努力が必要だと思います。都は広域自治体として、リユース、リサイクルを積極的に支援し、ごみ減量のための仕組みを率先してつくっていくことを要望します。
次に、アスベスト対策について伺います。
昨年の大震災により解体する建物が多いため、アスベストの飛散のおそれが指摘されております。都は早くからアスベスト対策に取り組んできていましたが、二〇〇五年には大きな社会問題となり、国でも規制強化などの対策がとられ、アスベスト製品の製造や使用は禁止されました。しかし、今ある多くの建築物には、吹きつけアスベストなどが使用されており、今後これら建築物の解体がピークを迎えることになり、アスベスト対策は引き続き重要です。東京は建物が非常に密集していることもありまして、解体現場でのアスベスト飛散への不安を感じる人が多いのも当然です。
そこで、現在建築物の解体時のアスベストの飛散防止について、どのような指導が行われているのか伺います。
○中村環境改善部長 大気汚染防止法及び都の環境確保条例に基づきまして、アスベスト含有建築物の解体工事等を施工する者は、作業内容につきまして事前に届け出を行うこととなっております。加えまして、都条例では独自に工事現場周辺のアスベスト濃度測定の義務づけなどを規定してございます。
これら法や条例による規制指導は、区部では二十三区が、多摩地域では建築物の延べ面積の大きさによりまして都と市で分担するなど、都と区市で連携しながら、届け出時だけでなく解体等の現場でもアスベストの飛散防止措置が適切に行われるように指導しております。
また、都は、建築物の所有者等がアスベストの除去等を行う際に活用できるよう、アスベスト飛散防止対策マニュアルを初め各種マニュアルを作成し公表しております。
これらのマニュアルは区市の職員にも活用されておりまして、さらに都は区市職員に対しまして、毎年開催している担当者連絡会議で必要な情報の提供を行うとともに、実務者説明会で技術レベルの向上を図ってございます。
引き続き区市と連携しながら、建築物解体時のアスベストの飛散防止に努めてまいります。
○西崎委員 解体する建築物について、環境局ではマニュアルをつくって、区市や事業者への支援を行っているということですので、今後とも一層指導を徹底してほしいと思います。
二〇〇五年以来、国交省では毎年民間建築物の吹きつけアスベストについて調査を実施しております。ことし三月の調査の報告書によれば、千平米以上の建物で吹きつけアスベストが露出しているものは都内に千八百三十二あるとされております。しかし、二万九千余りある調査対象の建築物のうち、報告が出されていない建物がまだ一万一千以上ありまして、なかなか実態の把握には至っていない状況だと思います。
今後とも、都として各局と連携して把握するように要望いたします。
一方、東京都は都内最大の事業者として、みずからが所有する数多くの建築物について、解体時等に適正に除却等の対策を行う必要があります。
都として、これらにどのように対応しているのか、伺います。
○中村環境改善部長 都は、全庁的な取り組みといたしまして、これまで都有施設のアスベスト使用状況を調査し、安全対策を推進してきてございます。
平成十七年度からは、調査対象となる建材を拡大してアスベスト含有建材の使用実態の把握及び対策状況等の進行管理を行うためのフォロー調査を実施してございます。
また平成十九年度からは、国内で使用が判明したトレモライト等についての再点検を実施しております。
全都有施設の調査及び再点検は平成二十二年度で終了いたしまして、これまで三百九十七施設におきまして吹きつけアスベストの使用を確認してございます。
これらの施設について、対策の優先度に応じまして三段階にランク分けを行い、このうち、速やかに除去等の措置が必要とされる一ランクに該当する三十一施設につきましては、すべて必要な対策を終了してございます。
また、現状では飛散のおそれはないものの、なるべく早いうちに対策を行うべき二ランク、定期的な点検を行い、改修工事等の機会をとらえて対策を実施すべき三ランクの施設につきましても、順次対策を進めることにしております。
今後も二ランク及び三ランクの施設の対策状況を引き続き確認しながら、各都有施設におきまして、解体、改修時に適切な対応を行ってまいります。
○西崎委員 現在でもアスベストが解体前の調査の段階で見つかっていることもありまして、その前にはもちろんきちんと対策をとって作業していただいていると思います。そして、これは建物の所管局が実施することですけれども、近隣の住民や利用者への周知もしっかり実施することが必要だと思います。
都の建築物が都民の共有財産であり、また不特定多数の人が利用することを考えますと、建物にあるアスベストの適正な対策は非常に重要だと思いますので、今後とも徹底して対応されるようお願いいたします。
次に、節電の取り組みについて伺います。
節電の取り組みなどについては、もう既に何人かの委員からお話がありましたけれども、昨年の夏は東日本大震災の発生の影響で東京電力管内で電力不足が懸念され、都民、事業者とも緊急節電対策に努めました。特に、電気の大口需要家に対しては、電力使用制限令が発令され、各事業者は経済活動を維持しながら夏のピークカットに取り組まなければなりませんでした。
都は、昨年の五月、電力対策緊急プログラムを策定し、事業者や都民に節電対策を促しました。結果としては、計画停電は回避されましたけれども、都内の大規模事業者における節電の取り組みのうち、評価できる取り組みはどのようなものがあったのか。また、そうした取り組みの普及を図ることが重要だと思いますが、ことしの夏の節電に生かすためにどのように取り組んだのか、お聞かせください。
○山本都市地球環境部長 都は、大規模事業所向けのキャップ・アンド・トレード制度など地球温暖化対策を実施してまいりましたが、この制度の対象事業所の多くは電気使用制限の対象となっており、これまで取り組んできました温暖化対策の経験を生かし、比較的スムーズに節電対策を実行できたところが多くございました。
例えば、あるオフィスビルでは、温暖化対策のノウハウを生かして三十数項目にわたる節電対策を、取り組みやすさと効果の大きさの順にリスト化をしまして、二〇%削減を目標に、計画的に比較的無理なく大幅削減を達成した事例がございます。
また、ある商業ビルでは、ビル管理責任者がみずから百件近い店舗を回りまして、各店舗の電気の使用状況や全館の取り組み状況を節電カルテとして見える化し、それぞれ店舗の実情に応じた節電方法を提案するなど、きめ細かい対応を図ることで、全館一体となった節電につなげた事例などがございます。
都は、こうした成果をことしの夏の節電に生かすとともに、無理なく長続きできる賢い節電の定着に向け、優良事例をわかりやすくホームページで公表するとともに、省エネ節電セミナーで取り組み事例の発表を行ったところでございます。
○西崎委員 大規模事業所では円滑に節電がされたということですけれども、都内にはテナントビルも多く、入居しているテナントの協力がないと、なかなか節電が進みにくいのではないかと思います。
特に、テナントビルにおける節電の取り組み状況についてお聞かせください。
○山本都市地球環境部長 テナントビルの省エネ対策では、オーナーとテナントの協力が不可欠でございます。
このため、キャップ・アンド・トレード制度では、すべてのテナント事業者に対し、オーナーの削減対策に協力する義務を課すとともに、大規模なテナント事業者に対しましては、みずから削減対策を実施することを義務づけてございます。
こうしたことによりまして、制度開始後、ほとんどのテナントビルにおきまして、ビルオーナーとテナント事業者が協力して省エネに取り組むための協議会が設置されてございます。
ビルオーナーからは、こうしたテナントとオーナーの協力体制が昨年の夏の節電に大いに役立ったという声をいただいておりまして、都が実施しましたアンケート調査によりますと、昨年の夏は八割以上のテナントビルでテナント事業者がビルオーナーに対し節電対策を提案し、みずから積極的に取り組んだことがわかってまいりました。
都は、今後も節電にも効果のあるキャップ・アンド・トレード制度を初めとする地球温暖化対策を着実に実施いたしまして、賢い節電の定着を図り、スマートエネルギー都市の実現を目指してまいります。
○西崎委員 ことしの夏は、震災後二回目の夏を迎えることもありまして、事業者、都民もかなり節電に対する意識は高く、取り組みも広がってきていると思います。
今後も、引き続き東京都を中心に取り組んでいくことを要望いたしまして、質問を終わります。
○高倉委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○高倉委員長 異議なしと認め、本件に対する質疑は終了いたしました。
以上で環境局関係を終わります。
これをもちまして本日の分科会を閉会いたします。
午後二時二十六分散会
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