平成二十三年度各会計決算特別委員会第一分科会速記録第三号

平成二十四年十月十七日(水曜日)
第十一委員会室
   午後一時開議
 出席委員 十名
委員長泉谷つよし君
副委員長早坂 義弘君
副委員長吉田 信夫君
菅  東一君
くりした善行君
しのづか元君
宇田川聡史君
吉倉 正美君
野上 純子君
原田  大君

 欠席委員 なし

 出席説明員
会計管理局局長松田 芳和君
管理部長土渕  裕君
警察・消防出納部長丸山和喜夫君
会計制度担当部長副島  建君
選挙管理委員会事務局局長影山 竹夫君
青少年・治安対策本部本部長樋口 眞人君
総合対策部長中村 長年君
青少年対策担当部長山中 康正君
治安対策担当部長五十嵐 誠君
知事本局局長前田 信弘君
儀典長伊藤 秀樹君
次長長谷川 明君
理事雜賀  真君
理事大井 泰弘君
総務部長藤田 裕司君
地方分権推進部長潮田  勉君
自治制度改革推進担当部長樋口 正勝君
国際共同事業担当部長熊谷 克三君
基地対策部長新美 大作君
横田基地共用化推進担当部長筧   直君
政策部長池田 俊明君
政策担当部長調整担当部長兼務鈴木  勝君
尖閣諸島調整担当部長坂巻政一郎君
投資政策部長松下 隆弘君
計画調整担当部長秀嶋 善雄君
総合特区推進部長瀬口 芳広君

本日の会議に付した事件
平成二十三年度東京都各会計歳入歳出決算の認定について
会計管理局関係
・平成二十三年度東京都一般会計決算(質疑)
選挙管理委員会事務局関係
・平成二十三年度東京都一般会計決算(質疑)
青少年・治安対策本部関係
・平成二十三年度東京都一般会計決算(質疑)
知事本局関係
・平成二十三年度東京都一般会計決算(質疑)

○泉谷委員長 ただいまから平成二十三年度各会計決算特別委員会第一分科会を開会いたします。
 本日から四日間にわたり、本分科会所管局の決算に対する質疑を行ってまいります。
 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、会計管理局、選挙管理委員会事務局、青少年・治安対策本部及び知事本局関係の決算に対する質疑を行います。
 これより会計管理局関係に入ります。
 決算の審査を行います。
 平成二十三年度東京都一般会計決算中、会計管理局所管分を議題といたします。
 本件については既に説明を聴取しておりますので、直ちに質疑を行います。
 発言を願います。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕

○泉谷委員長 発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○泉谷委員長 異議なしと認め、本件に対する質疑は終了いたしました。
 以上で会計管理局関係を終わります。

○泉谷委員長 これより選挙管理委員会事務局関係に入ります。
 決算の審査を行います。
 平成二十三年度東京都一般会計決算中、選挙管理委員会事務局所管分を議題といたします。
 本件については既に説明を聴取しておりますので、直ちに質疑を行います。
 発言を願います。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕

○泉谷委員長 発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○泉谷委員長 異議なしと認め、本件に対する質疑は終了いたしました。
 以上で選挙管理委員会事務局関係を終わります。

○泉谷委員長 これより青少年・治安対策本部関係に入ります。
 決算の審査を行います。
 平成二十三年度東京都一般会計決算中、青少年・治安対策本部所管分を議題といたします。
 本件については、既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、要求委員と理事者との調整の結果、取り下げられておりますので、直ちに質疑を行います。
 発言を願います。

○しのづか委員 それでは、私からは、交通安全対策についてお伺いします。
 青少年・治安対策本部は、交通安全対策として、交通安全対策の総合調整、交通安全の普及啓発、自転車総合対策の推進、ITSを活用した交通対策など、都内の交通安全にかかわる施策の総合推進役としての機能を発揮されていると認識しております。
 しかしながら、先日いただいた決算説明書を見ると、平成二十三年度においては、交通安全対策全体で執行率が四二・九%ということで、当初予算額の半分以下の執行状況であります。
 中でも、集中的な渋滞対策については、予算現額五億二千八十七万一千二百七十五円に対し一億八千九百四万三千七十八円と、執行率三六・三%、不用額が三億三千百八十二万八千百九十七円と、実に六割以上の予算が消化されていない状況であります。この不用額の内訳と未執行の原因について、まずお伺いをいたします。

○五十嵐治安対策担当部長 不用額の内訳についてでございますが、警視庁に執行委任した予算につきましては一億九千七百二十五万五千円でございまして、当本部、都市整備局、環境局及び建設局の四局の予算につきましては、合計で一億三千四百五十七万四千円でございます。
 最も額の大きい警視庁における不用額につきましては、平成二十三年三月に発生した東日本大震災を受けた震災対策補正予算による信号機のLED化の実施等を優先的に実施したことなどによるものと聞いております。

○しのづか委員 今のお答えで、去年、平成二十三年度は、東日本大震災、予期せぬ災害が発生したため、さまざま、事業の優先度が変わったということで、その原因はわかりましたが、気になるのは、今年度以降、交通安全対策、特に集中的な渋滞対策は進んでいるのかということであります。今年度以降の予算執行の見通しをお伺いいたします。

○五十嵐治安対策担当部長 混雑時における東京都区部の自動車平均旅行速度は、海外の主要都市と比較いたしまして、依然として低い水準にございます。こうしたことから、渋滞対策は引き続き重要であると認識しております。
 今年度、例えば、警視庁において実施する予定の事業につきましては、当本部から働きかけを行いました結果、この九月までに需要予測信号及び交通情報板の整備について契約を終了していると聞いております。こうしたことから、今年度の執行につきましては順調に推移しているものと認識しております。
 当本部といたしましては、今後とも適切な予算執行が行われるよう、関係各局及び関係機関との連携を図ってまいります。

○しのづか委員 今お答えいただきまして、今年度は順調に執行されているということでした。
 渋滞の解消は、交通安全のためだけでなく、効率的で円滑な物流の確保といった観点からも、さらなる取り組みが求められると思います。
 実は私、今年度だけではなく、経年的にちょっと決算資料を見させていただいた中で、平成二十二年度以前のこの事業の予算の執行率、これも決して高い状況ではないというのは認識しております。関係各局の渋滞解消に向けた決意と、さらなる取り組みが必要だと考えております。青少年・治安対策本部が中心となって、ハイパースムーズ作戦に全力を挙げてもらいたいと思っております。
 次に、交通安全対策の中でも、自転車の安全利用の対策についてお伺いいたします。
 平成二十三年度の予算執行状況を、まずお伺いいたします。

○五十嵐治安対策担当部長 自転車の安全利用対策につきまして、平成二十三年度の予算額は二千九百十五万円でございます。
 このうち、自転車安全利用TOKYOキャンペーンでは、都内の幼稚園、保育所の園児や保護者、小学校、中学校、高校の児童生徒に向けまして、啓発用リーフレット二百十四万五千部を作成し、学校や区市町村等を通じて配布いたしました。
 また、自転車事故が多い二十代から三十代を主なターゲットとした啓発活動といたしまして、JR東日本の電車内映像広告などを活用し、広報、啓発用映像を放映いたしました。
 さらに、平成二十一年の東京都道路交通規則の改正により利用が認められました幼児二人同乗用自転車の普及と安全利用の促進を図るため、幼児の保護者を対象とした自転車安全教室を八回開催いたしました。
 これらの取り組みを着実に実施し、決算額は二千四百八十四万五千円、執行率は八三・三%でございました。

○しのづか委員 二十三年度の取り組みについては、ほぼ予定されていた事業を消化されたのかなと思います。しかし、これから自転車の安全利用条例など、取り組みを強化されると聞いておりますので、もう少し、全体の額ではなく、取り組みの内容そのものを拡充していただきたいなと思っております。
 安全利用については、普及啓発も大切でありますけれども、ルールやマナーを習得するための具体的な取り組みも必要であると思います。青少年・治安対策本部では今年度から、自動車シミュレーターを活用した安全教室も行っているということでしたので、来年度以降も、関係機関と連携して、こうした具体的な取り組みを拡充してもらいたいと思います。
 第三回定例会では、自転車の安全で適正な利用のための条例を早期に提案していただけるとお聞きしました。自転車の安全利用を徹底するためには、当然、条例を制定するだけではだめで、これまで以上に関係機関による具体的な取り組みと連携の強化が求められます。
 この自転車対策にせよ、先ほど聞いた渋滞対策にせよ、交通安全対策には、青少年・治安対策本部だけでなく、警視庁、建設局、都市整備局、教育庁など多くの関係局がありまして、ある種、縦割りの弊害のようなものが出ているのではないかと、そのようにも思います。
 青少年・治安対策本部には、それら関係局の司令塔的な役割をぜひ果たしてもらいたいと思っておりますが、権限や予算の問題もあると思います。少なくとも調整機能、これを最大限発揮していただいて、扇のかなめとなって施策を引っ張っていってもらいたいと思います。
 さきの総務委員会でも、私は自転車問題についての同様の質問をいたしましたが、最後に改めて、交通安全対策全般における関係各局、関係機関との連携の強化について所見をお伺いして、終わります。

○五十嵐治安対策担当部長 近年は減少傾向にあるとはいえ、都内では年間二百人以上の方が交通事故でお亡くなりになっておりまして、依然として厳しい状況でございます。
 悲惨な交通事故を一件でも減らし、究極的には事故のない社会を実現するためには、社会全体での交通安全教育の推進、自転車を安全に利用できる走行空間の整備、取り締まりや交通規制も含めた適切な交通管理の実施などの取り組みが不可欠でございます。
 当本部といたしましては、引き続き、警視庁を初めとした関係各局や区市町村などの関係機関と緊密に連携し、これらの交通安全対策を一体的かつ総合的に推進すべく、全力で取り組んでまいります。

○早坂委員 それでは、集中的な渋滞対策について伺います。
 この対策は、平成二十年度からハイパースムーズ作戦と銘打ってスタートした事業で、東京都、警視庁、東京国道事務所が連携し、既存の道路空間を活用した、即効性のある渋滞対策を行おうとするものであります。
 ハイパースムーズ作戦は、これまでの交差点を中心とした点の対策から、渋滞を路線区間単位でとらえる線の対策へと新たな展開を図るとともに、インテリジェント・トランスポート・システムズ、ITS技術を導入しながら、交通流の円滑化を図る事業であります。
 青少年・治安対策本部は、警視庁など関係機関にまたがる対策を取りまとめ、局横断的に事業を進めてきておりますが、改めてハイパースムーズ作戦の対策の内容について伺います。

○五十嵐治安対策担当部長 ハイパースムーズ作戦の対策の内容といたしましては、路線区間を特定して実施する対策と、路線区間を特定しないで、対象路線区間全体を対象として実施する対策の二種類がございます。
 路線区間を特定して実施する対策といたしましては、交差点の五、六百メートル手前に設置した感知器の情報をもとに、交差点に到着する交通流を予測して信号制御を行う需要予測信号制御の導入、ルート別の混雑状況や所要時間を表示する交通情報板の設置、信号待ちをする車両が右左折レーンを越えて、直進車両が速度低下を起こすことを防止するための右左折レーンの導入等の道路改良などがございます。
 また、路線区間を特定せず、対象路線区間全体を対象として実施する対策といたしましては、路上における荷さばき行為を抑制するため、駐車場事業者の協力を得て行う荷さばき可能駐車場の設置や、乗客待ちのタクシー待機列に起因する渋滞を解消する客待ちタクシー対策、ドライバーへの普及啓発等がございます。

○早坂委員 それでは、平成二十三年度の対策路線、対策内容とその効果についてお伺いいたします。

○五十嵐治安対策担当部長 平成二十三年度は、環七通り対策といたしまして、需要予測信号制御の導入、交通情報板の設置を行いました。また、目白通りで需要予測信号制御の導入、甲州街道及び環八通りで道路施設の改善を行いました。このほか、青梅街道、昭和通り対策として、交通情報板の設置を行いました。
 対策の効果につきましては、このハイパースムーズ作戦は、平成二十年度から二十七年度までの八年間の事業でございまして、最終年度である二十七年度において、事業対象である三十路線区間全体として、ピーク時の旅行時間を三〇%削減するという目標を設定してございます。この目標に対しまして、前期四年間が経過した時点で一二・三%の削減という結果が得られております。

○早坂委員 八年間で三〇%の削減目標に対して、前期四年間で一二・三%を達成したということであり、着実に進んでいるということが理解できました。
 ところで、これまでの答弁にあった需要予測信号制御などは、ITS技術、インテリジェント・トランスポート・システムズを活用して、交通渋滞の解消を図る施策であります。こうした対策については、世界にも発信していくことが大事だと考えます。
 来年十月には東京でITS世界会議が行われます。このITS世界会議の内容について伺います。

○五十嵐治安対策担当部長 ITS世界会議とは、アジア太平洋、ヨーロッパ、アメリカ、この三つの地域の持ち回りで毎年開催されるものでございまして、世界のITSに関係する政府、関係機関、民間企業等が一堂に会し、研究発表や技術紹介等を行う会議でございます。
 日本におきましては、一九九五年の横浜、二〇〇四年の名古屋に続きまして、来年の東京が三回目の開催となります。
 ITS世界会議東京二〇一三は、来年十月十四日から十八日にかけて、東京ビッグサイトを主会場といたしまして、ITSにかかわる最先端の研究開発や政策に関する多数の発表、講演や展示、デモンストレーション等が実施される予定でございます。

○早坂委員 それでは、ITS世界会議東京開催に向けた、これまでの準備状況について伺います。

○五十嵐治安対策担当部長 平成二十二年十月に、ITS世界会議東京二〇一三の日本組織委員会が設立され、都も開催都市としてこの組織委員会に参加し、東京会議の準備を進めております。
 日本組織委員会では、既に開催基本計画や開催概要を策定、決定し、現在、来年の東京会議に向けて、都民参加の企画等を検討しているところでございます。
 都は、来年の世界会議開催都市として、平成二十二年の韓国・釜山、二十三年のアメリカ・オーランドに続き、ことし、オーストリア・ウィーンで行われる世界会議に参加し、東京会議のPR活動を実施することを予定しております。

○早坂委員 ITS世界会議を活用した、東京都の最先端技術のアピールによる東京の国際的存在感の向上を目指すとともに、最先端技術の活用を通じ、今後もしっかりと渋滞対策を進めていってもらいたいと思います。
 本部長のご決意をお伺いいたします。

○樋口青少年・治安対策本部長 ITSは、ハイパースムーズ作戦で導入した需要予測信号制御を初め、ETCやカーナビゲーション等、広く社会に受け入れられ、効果を上げております。今後も、交通事故の削減や震災時の交通対策など、さまざまな交通問題の解決に寄与できる可能性がございます。
 ITS世界会議は、こうした世界最先端の東京のITS技術を世界に発信できる絶好の機会であるとともに、最先端技術を支える次世代の人材の育成や、都内の企業のビジネス交流を促進する観点からも重要な会議であると認識しております。
 今後も、ITS世界会議を契機に、さまざまな関係機関との連携を一層強化しながら、ITSを活用した、より高度な渋滞対策を推進し、安全で円滑な東京の交通社会の実現に向け、努力してまいります。

○吉倉委員 私からも、青少年・治安対策本部から過日報告のありました一般会計決算説明書中、一五ページにある集中的な渋滞対策について質問いたします。
 東京の慢性的な交通渋滞は、都民の日常生活や企業活動に時間的、経済的損失を与えるだけではなく、環境悪化の要因ともなっており、渋滞緩和は喫緊の課題であります。
 我が党は、一昨年度の決算特別委員会で対象路線の公表や事業の事後検証を行うことを求め、青少年・治安対策本部からは、できる限り情報を公表する方向で検討するとの答弁がありました。このたび、ハイパースムーズ作戦の中間のまとめを出されましたが、我が党の主張にどのように対応したのか、お伺いいたします。

○五十嵐治安対策担当部長 ハイパースムーズ作戦は、平成二十年度から二十七年度までの八年間にわたる事業でございまして、昨年度をもって前期の四年間が経過したため、このたび、それまでの成果を中間のまとめとして公表したものでございます。
 この事業は、都区部の渋滞の状況を踏まえ、渋滞距離が長い路線を事業対象路線として選定してございます。
 中間のまとめにおきましては、その三十路線を公表するとともに、路線ごとにピーク時旅行時間及び渋滞長、交通量を示す走行台キロについて事後検証を行い、事業の透明性の確保を図ったところでございます。

○吉倉委員 答弁をいただきましたとおり、中間のまとめで我が党の要望に対応したことを評価いたします。その結果を受けて、青少年・治安対策本部として、この渋滞対策の意義についてどのように考えているのか、改めて伺います。

○五十嵐治安対策担当部長 渋滞を解消するためには、道路の容量を拡大する道路整備が重要でございますが、三環状道路の整備等、都全体で取り組む道路整備とあわせて、ハイパースムーズ作戦のような既存の道路空間を活用した即効性のある手法も渋滞解消に効果があるものと改めて認識いたしました。
 ハイパースムーズ作戦のこうした事業効果をさらに高めていくために、今後も中間のまとめの結果を生かしながら、関係各局及び関係機関と連携して事業を推進してまいります。

○吉倉委員 本事業が重要な事業であることはわかりましたが、対策の効果を早期に得るためにも、予算執行率を高めることが大切であると考えております。
 中間のまとめによりますと、前半四年間の取り組みで対象路線区間全体のピーク時旅行時間が一二・三%減少したと報告されており、その事業効果は高いものと評価しております。しかし、執行率が高ければ、さらに効果が顕著だったはずであり、今後はさらに執行率を高めるための努力をすべきと考えております。
 一方、こうした事業全体での効果も重要ですけれども、都民にとっては、日ごろ、かかわりを持つ個別路線での効果を期待するところが大きいわけであります。
 そこで、私もよく利用し、駐車車両が多いと感じております靖国通り、京葉道路における対策とその効果について伺います。

○五十嵐治安対策担当部長 靖国通り、京葉道路につきましては、平成二十年度から二十一年度にかけて、需要予測信号制御の導入、交通情報板の設置を行いました。その効果につきましては、墨田区緑三丁目から千代田区専大前の区間において、上り線のピーク時旅行時間が平成十九年度比で三六・二%減少、下り線のピーク時旅行時間が同じく五・三%減少いたしました。

○吉倉委員 私の地元新宿区には、ハイパースムーズ作戦の対象路線である甲州街道があります。中間のまとめによれば、甲州街道での上り、下りとも、ピーク時旅行時間の渋滞が他の路線よりも緩和されております。この甲州街道における具体的な取り組みと効果について伺います。

○五十嵐治安対策担当部長 甲州街道につきましては、平成二十二年度に、交通状況に対応した最適な信号秒数を設定する信号調整や交通情報板の設置を実施したほか、直進車両の速度低下を回避するため、右折レーンの延伸を行いました。その効果につきましては、杉並区上高井戸一丁目から新宿区新宿四丁目の区間において、上り線のピーク時旅行時間が平成十九年度比で一五・一%減少、下り線のピーク時旅行時間が同じく一八・二%減少いたしました。

○吉倉委員 東京の渋滞対策をさらに進めるためには、ハイパースムーズ作戦とあわせて、ドライバーや都民に適切な駐車場の利用や、あるいは公共交通機関の利用などの協力をいただくための普及啓発を行うことが重要であると考えております。普及啓発についての都の取り組みを伺います。

○五十嵐治安対策担当部長 渋滞の解消は、行政の取り組みだけではなく、ドライバーや都民の協力なしには決して実現することができないものと考えております。このため、普及啓発の取り組みは重要と認識しております。
 そのため、平成二十三年度は、ドライバーや都民に渋滞解消への協力を呼びかけることを目的といたしまして、一度に多くの人にアピールできるPRイベントの実施や、チラシ、リーフレットの作成、配布、ラジオ、新聞などマスメディアを活用した普及啓発を行いました。
 今後もドライバーや都民の協力を得られるよう、例えば、運転中のドライバーにとって身近な機器であるAMラジオを活用するなど、よりきめ細やかな手法を講じ、普及啓発に取り組んでまいります。

○吉倉委員 ご答弁いただきました。
 今回、中間のまとめで示されたピーク時の旅行時間の減少は、都民にとって実感できるものになっているというふうに思います。青少年・治安対策本部が中心となって実施されておりますハイパースムーズ作戦は、即効性のある渋滞対策事業であります。
 これからも、各局及び関係機関と緊密に連携し、事業効果が早期に発揮できるよう適切に事業を推進していただきたい、このことをお願いをして、質問を終わります。

○吉田委員 私は、若年者の自立支援の大きな課題である、ひきこもり対策についてお伺いいたします。
 私は、本決算年度の当初予算の審議においても、ひきこもり対策について質問いたしましたが、本決算年度は前年度までの委託事業が終了し、補助事業に移行した初年度になっていると思います。それだけに、昨年度の取り組みが事業の拡大、発展につながっているのかどうか、また、ひきこもり対策をめぐる新たな知見や動向に対応しているのかどうかということについてお伺いいたします。
 若年者のひきこもりの現状は、国の調査でも、厚生労働省調査では約二十六万人、内閣府の調査では、広義でとらえた場合ですけれども、約七十万人と報告されています。東京都では、二〇〇七年、平成十九年に調査をしていますが、その結果、二万五千人と発表されています。なお、回答傾向は実際より低いと推定されており、この数値は、あくまでも下限値と説明され、実態はこれ以上と判断し、対応することが求められていると思います。
 また、国をめぐる動向では、二〇〇九年度、平成二十一年度、ひきこもり対策推進事業がスタートし、翌年には、ひきこもりの評価・支援に関するガイドラインが公表され、さらに、子ども・若者育成支援推進法が施行されるなどの新たな動きがありました。
 こうした中で、都のひきこもり対策の到達、現状について、まずお伺いをしたいと思います。
 ひきこもり対策として、都は主にサポートネットによる相談事業、NPO法人を対象とした支援プログラム普及・定着事業、区市町村の体制整備事業などを実施しておりますけれども、決算年度である二十三年度時点での到達について、相談登録件数、延べ相談件数、都内NPO法人等の数及び登録団体数、そして、自立支援体制を整備した区市町村について、まずご説明をお願いいたします。

○山中青少年対策担当部長 都では、まず平成十六年度から、東京都ひきこもりサポートネットを運営しております。ひきこもりに悩む本人や家族等からのインターネットや電話による相談に対応しているところでございます。平成二十三年度の新規相談登録件数は千四百七十四件、延べ相談件数は五千六百三十三件でございます。
 また、NPO法人についてでございますが、平成十九年度に実施した若年者自立支援団体実態調査において、若年者の自立支援を実施していると確認された都内のNPO法人は五十九団体でございました。
 そして、都では、平成二十年度から三年間実施した東京都若者社会参加応援ネット、コンパスでの支援プログラムの検証を踏まえ、民間支援団体を育成し、ふやしていくことを目的に、平成二十三年度から普及、定着事業を実施しております。二十三年度は、当事業で運営する登録制度に九団体が参加いたしました。
 さらに、区市町村に関しては、平成二十年度から三年間実施した東京都ひきこもりセーフティーネットモデル事業の検証を踏まえ、平成二十三年度から、区市町村における若者の自立等支援体制整備事業を実施しております。二十三年度は四自治体がこの事業を活用したところでございます。

○吉田委員 もちろん、努力はされていると認識していますけれども、今ご答弁のとおり、区市町村の支援体制事業でいえば、昨年度は四自治体と。もちろん、それ以外が取り組んでいないというわけではないでしょうから、実態的には、もっと取り組みはあるとは思いますけれども、いずれにしても、事態の深刻さからすれば一層の取り組みが必要だというふうに思います。
 それで、区市町村への事業の拡大、普及に関してお伺いしますが、国は二〇〇九年度、平成二十一年度から、都道府県と政令市に対し、第一次相談窓口機能を有するセンター整備事業を始めました。そして、一千万円以内で二分の一の補助事業を実施するということが行われました。重要なことだと思いますが、東京都が広域自治体としての機能を担うことは重要ですけれども、より身近に相談支援が受けられる体制を促進するためには、少なくとも区市の単位にひきこもり地域支援センターの整備を促進する必要があると思いますし、そのためにも、そうしたことが促進できるよう、国に求めていくべきではないかと思いますが、この点いかがでしょうか。

○山中青少年対策担当部長 ひきこもり地域支援センターのような相談窓口は、住民に身近な区市に設置されてこそ、その機能が発揮されると考えております。
 そこで、都では国に対して、区市町村をひきこもり対策推進事業の実施主体として位置づけ、区市町村が同センターの設置等のひきこもり対策を推進できるよう要望しているところでございます。

○吉田委員 今答弁がありましたけれども、本当になかなか相談をすること自身が、ちゅうちょをされるような方が現実にいらっしゃるだけに、できるだけ身近なところで相談と支援の体制を組むということが、この取り組みでは特段重要だと思います。そうした点では、今答弁がありました。
 しかし、先ほどの昨年度の取り組みの紹介の中で、東京都の支援体制整備事業でいえば四自治体にとどまっていると。国に働きかけることは極めて重要だと思いますが、それだったら、都として、より区市町村に対する支援を、国待ちではなく強化する必要があると思います。
 ただ、区市町村に対して、それまでのモデル事業から補助事業に昨年度から移管しましたが、予算上は、昨年度は二自治体という計上になっていると認識していますが、なぜ二自治体なのか。予算上も、もっと拡大すべきではないかと思いますが、いかがでしょうか。

○山中青少年対策担当部長 東京都では、平成二十年度から二十二年度まで実施いたしました東京都ひきこもりセーフティーネットモデル事業の成果を踏まえまして、区市町村が地域事情に応じて関係部門との連携体制を構築して、ひきこもり等の若者の支援に取り組む場合に補助金を交付する、区市町村における若者の自立等支援体制整備事業を平成二十三年度から開始いたしました。
 予算上は二自治体相当分として見積もっておりますけれども、区市町村から提出された事業計画が補助金の交付目的等に照らして適切であれば、予算の範囲内で選定しており、二十三年度は四自治体を選定したところでございます。

○吉田委員 あくまでも区市町村から手が挙がるかどうかという側面はありますけれども、しかし、今のご答弁のように、そうはいっても予算の範囲内ということがあります。しかも、これから質問いたしますけれども、一年限りという補助制度なわけですよね。それだと、区市町村もなかなか手が挙げにくいんではないかということが推測されます。予算枠の問題と同時に、都の補助事業の補助金が一年限りということをやはり是正を、改めて、一定期間継続的に支援を進めていくことが必要だと思うんですが、なぜこれ、一年というふうにしているのか、ご答弁をお願いいたします。

○山中青少年対策担当部長 区市町村が若者の自立支援に取り組むに当たりまして、庁内のさまざまな関係部門や民間支援団体との連携体制の構築等が必要となります。区市町村に必ずしも十分なノウハウがない場合もございます。
 そこで、区市町村が新たに、あるいは既存事業を拡充して支援体制整備に着手することとを後押しするために、単年度の財政支援を行うとともに、都内全区市町村の関係部署の職員を対象とした情報交換会を毎年開催しております。
 本事業の取り組み状況を共有する機会を、そういう形で提供しているところでございます。

○吉田委員 もちろん、情報交換等を支援することは必要なことだと思いますけれども、私も、今年度、この補助事業を受けた自治体にお邪魔して話を聞きましたけれども、やはり、ぜひ単年度ではなく継続してほしいという要望がありましたし、国の制度では少なくとも単年度ではなく継続の補助が出ているわけですから、同趣旨のものを行うに当たって、この点については要望にとどめますけれども、ぜひ今後の課題として検討していただきたいというふうに思います。
 区市町村だけではありません。NPO法人の役割は極めて重要だというふうに思いますけれども、ただ、介護施策や、あるいは障害、あるいは医療などの施策と違って、この分野の取り組みに対しての公的な支援の仕組みというのは、いまだ確立されていないんではないんでしょうか。それだけに、NPOの事業がさらに拡大をするという点でも、公的な支援策というのは必要だと思います。ただ、このNPOの支援も、昨年度からスタートしましたけれども、モデル事業は一定、三年度でしたが、これも一年と。これも、やはり私は、なぜなのかという疑問が率直に起きるんですが、いかがでしょうか。

○山中青少年対策担当部長 都は、ひきこもり支援を行うNPO法人等を育成するため、ひきこもり等の若者支援プログラム普及・定着事業として、支援プログラムに沿って支援を行う団体を登録するとともに、登録制度参加団体をサポートする事業を実施しております。
 この事業では、参加団体が登録を目指して支援の実施体制を確立するための経費を単年度助成するほか、登録団体となった後も、団体の規模や特性に応じて、技術面、運営面における助言や指導、弁護士等の専門家に相談できる機会の提供など、きめ細かいサポートを継続的に提供しているところでございます。

○吉田委員 今も述べましたけれども、ひきこもり対策に取り組むNPO法人等は障害者施策や介護施策と違って、社会的な支援の仕組みというのは、いまだ確立されていません。しかし、実際上は専門性を持ち、継続的に取り組むという点では、このNPO法人等の役割というものは、かけがえのない存在だと私は思います。
 この点は、区市町村の事業の拡大と一体なんですけれども、区市町村の事業が拡大し、その区市町村がNPOに委託をすれば、NPOは一定の公的支援を受けて公的な仕事が拡大できると。しかし、それ自身もまだ十分な広がりを見せていないということになれば、区市町村に対する支援拡充と同時に、やっぱりNPO団体そのものに対しても、東京都としての支援の拡充というのは不可避ではないかというふうに痛感をいたします。
 そこで、事業の普及拡大のためには、やはり予算措置というのが私はもう決定的だというふうに思います。先ほどもいったように、私は、昨年度の予算のときにも取り上げましたけれども、決算上でひきこもり対策の決算はふえているのか、減っているのか。モデル事業を始めた四年前と比較しての、東京都としてのひきこもり対策の決算額の推移を、ご説明をお願いいたします。

○山中青少年対策担当部長 平成二十年度のひきこもり対策の決算額は一億三千五百四十七万一千円、平成二十一年度は一億三千七百七十三万八千円、平成二十二年度は一億四千五十四万九千円でございます。平成二十三年度は、NPO法人等及び区市町村の支援それぞれについて新たな事業を開始いたしまして、決算額は八千四百五十二万五千円でございます。

○吉田委員 今ご答弁ありましたけれども、決算上の数字だけを見ると、一昨年度は約一億四千万から、昨年度が約八千五百万と。率にすると六〇・七%まで、現実には後退していると。もちろん、これだけですべてを見ることは適当でないかもしれませんけれども、しかし同時に、現実の決算額というのは重く受けとめる必要があると思いますし、この点での都の姿勢というものが問われているんではないか。普及促進のために、適切な予算措置の拡大を強く要求しておきたいと思います。
 次に、具体的な活動内容について若干お聞きをしておきたいというふうに思います。
 その一つは、アウトリーチ支援についてです。
 国も二年前に発表したガイドラインで、家庭への訪問を行うアウトリーチ型支援をタイミングよく開始するということが位置づけられ、そして、支援センターの要件にも入ったと認識しています。
 都としては、こうしたアウトリーチ支援について、どのように認識をしているのでしょうか。また、今、都及び区市町村でのアウトリーチ支援の状況というのはどのようになっているか、ご答弁をお願いいたします。

○山中青少年対策担当部長 ひきこもり状態の若者は、自宅から外に出ていくことに抵抗を感じる場合が多いため、相談員が本人の自宅を訪問し、相談に応じながら信頼関係を構築し、支援機関の紹介や外出の促しなどを行う訪問相談は、効果が期待される支援形態と考えられます。
 そこで、都では、この訪問相談支援を、平成二十二年度に確立したひきこもり等の若者支援プログラムを構成する三つのプログラムの一つとして位置づけております。そして、支援プログラムに沿ってひきこもり支援を行う団体を登録、サポートする制度を通じて、訪問相談支援を担うことができる団体を育成しております。
 一方、二十三年度に補助事業を活用した自治体の中には、相談体制を強化し、相談者の状況に応じて訪問支援を実施した例がございます。

○吉田委員 今もご説明ありましたけれども、アウトリーチ支援というのは、非常にますます重要になっているというふうに思いますし、それをどう促進していくのかということが問われていると思います。
 先日、杉並区にお邪魔して話を聞きましたけれども、杉並区はまだそこまで至っておりません。もちろん、そうはいっても、民間のNPO団体等が自主活動、独自活動として展開をしていると。しかし、一例ですけれども、その場合、この訪問相談活動の費用が約一万円という事例を聞きました。やはりもっと安くというか、無料で気軽に相談を受けてもらうということが必要だというふうに思います。そういう点では、NPO任せだけではなく、より負担を少なく、あるいは無料でこうしたことが受けられるという支援策が必要だと思うんですが、いかがでしょうか。

○山中青少年対策担当部長 都では、区市町村における若者の自立等支援体制整備事業により、都が登録した民間支援団体と連携して体制整備に取り組む区市町村への補助を実施しているところでございます。この補助事業を活用する区市町村においては、登録団体に事業を委託することなどにより、住民が支援を受ける際の負担の軽減を図っております。
 今後も、これらの民間支援団体と区市町村との連携、協働により、ひきこもりの本人や、その家族が安心して支援を受けられる環境が整備されるよう取り組んでまいります。

○吉田委員 次に、医療分野で、ひきこもり外来についてお伺いをいたします。
 関係団体の資料を読んでおりましたら、精神科医師が十年間で外来したひきこもり者二百十人のうち、外来診療を通じて百七十四人の社会参加をかち取ることができたということが紹介され、紹介されている医師の方は、ひきこもりは人材の宝庫ということまで述べています。そうした専門医の役割というのは非常に重要になっていると思いますが、この点での認識と東京都としての対応はどうなっているのかお答えください。

○山中青少年対策担当部長 ひきこもりの若者が、その障害や疾患の状態により医療を必要とする場合には、適切な医療機関で診療を受けられること、そして、ひきこもり支援に関し豊富な経験を持つ医師の存在が重要となります。
 そこで、都では、そのような精神科医を講師として、ひきこもりの問題を抱える家族向け講演会を開催しております。また、登録制度に参加する民間支援団体へのサポートの一環として、団体の支援員がひきこもりの若者の支援計画を検討する際に、精神科医など専門家に相談できる機会を設け、対象者の状況に応じて、医療を含めた適切な支援が提供されるよう仕組みを整備しております。

○吉田委員 次に、早期の対応、あるいは、ひきこもりの長期化を防ぐという努力というのは非常に重要だと思いますが、そうした努力をしたとしても、同時に、現実には長期化、あるいは高齢化、さらに重篤化ということへの対応も求められていると思います。長期重篤者で生活機能に困難を有する人への対策の現状というのは、どういうふうになっているかも、あわせてお伺いいたします。

○山中青少年対策担当部長 当本部では、ひきこもりの問題を抱える若者やその家族の早期発見、早期対応に向けた支援体制が地域で整備されるよう取り組んでおります。
 一方で、ひきこもり状態が長期にわたった結果、医療や福祉の面での支援が必要になった場合は、それぞれ該当する施策により対応することとしております。

○吉田委員 該当する施策で対応するというのは当然のことなんですけれども、果たして的確に対応できるのかどうかということも私自身としては疑問が残り、この点は私自身もよく勉強していきたいなというふうに思っております。
 何点か相談、質問をさせていただきましたが、最後に、やはりひきこもり対策は、青少年行政、精神医療、福祉的就労、就労支援など、さまざまな総合的な対策なしに、これを的確に進めることはできないというふうに思います。
 それだけに、もちろん、これまでも努力はあるとは思いますけれども、全庁的な連絡、協力体制ということが重要だと思いますけれども、この現状及び今後どのように進めていくのか、ご答弁をお願いいたします。

○山中青少年対策担当部長 ひきこもりの若者の支援に当たりまして、青少年部門だけでなく、精神保健、福祉、教育、就労等、さまざまな部門が連携することが必要でございます。
 そこで、都では、これらの関係部門も参加する、ひきこもりに係る連絡調整会議を設置し、ひきこもりに係る相談機関の実務的な情報共有を図っております。
 今後も、この会議等を活用して、庁内の関係部門との連携を進めてまいります。

○吉田委員 区市町村に対するこの事業の普及促進、あるいはNPO団体に対する支援の強化、そして総合的な取り組みの強化を、改めて重ねてお願いいたしまして、私の質問を終わります。

○くりした委員 私からは、まず青少年育成総合対策に関連して質問させていただきます。
 青少年・治安対策本部においては、次代を担う青少年が能力や個性を十分に発揮し、社会の一員としての役割を果たすことができるよう、青少年を取り巻く環境の変化に対応しつつ、行政を初めとして、家庭、学校、地域社会等が協働、連携して、青少年の自立性と社会性を育成するための条件を整備していくことを目的として、さまざまな事業に当たっていただいております。
 そこでまず、平成二十三年度決算における青少年育成総合対策の決算額についてお伺いをいたします。

○山中青少年対策担当部長 平成二十三年度における青少年育成総合対策の推進の決算額は、二億九千五十六万七千円となっております。その内訳といたしまして、若年者自立支援が一億五千三百九十万三千円、子ども応援協議会事業等が九千八百九十五万九千円、青少年施策の企画調整が三千七百七十万五千円となっております。

○くりした委員 全体で約三億円ということと、その内訳についてお答えをいただきました。
 まず、お答えをいただいた中の青少年施策の企画調整に関連した、青少年健全育成条例等の運用に関連した取り組みについて、数点確認をさせていただきたいと思います。
 都は、青少年の健全な育成を図るために、東京都青少年の健全な育成に関する条例を定め、青少年の生活環境の整備及び青少年の福祉を阻害するおそれのある行為の防止に向けて、さまざまな事業を展開いただいているのは既にご承知のとおりであります。この青少年健全育成条例を遵守するために、都は、十八歳未満の青少年が、午後十一時から翌日午前四時までに映画館、ボウリング場、カラオケボックス、漫画喫茶、インターネットカフェ等の施設に立ち入らないように、これらの施設に対して立入調査や指導に当たっていただいておりますけれども、まず、これらの施設が都内にそれぞれどれだけの数、存在をしているのか、また、昨年度、立入調査が行われた施設は幾つあったのか、お伺いをいたします。

○山中青少年対策担当部長 立入調査の対象施設のうち、映画館は約二百八十店舗、ボウリング場は約五十店舗、カラオケボックスは約七百五十店舗、漫画喫茶、インターネットカフェは約四百店舗となっております。
 そのうち、昨年度の立入調査の実績は、ボウリング場が七件、カラオケボックスが十七件、漫画喫茶、インターネットカフェが三十六件ありました。

○くりした委員 今お伺いをしたような施設は、多くはチェーン展開をされております。それらについては、比較的、条例の遵守状況についても信頼できるというのは確かであると思いますが、具体的にどのような施設に立入調査をしたのか、その対象についてお伺いをしたところ、チェーン店や小規模なものも、特に区別は行っていないというふうにお伺いをいたしました。全体の数からすると、先ほどお答えをいただいた数は、映画館、ボウリング場では全体の約二%、カラオケボックスも約二%。一番多い漫画喫茶、インターネットカフェでも全体の約九%しか立入調査を行っていないということでありますので、この調査の数は、条例の遵守を徹底するという目的の達成に向けて、果たして足りているのかどうかといえば、私は少し心もとないところがあるのではないかというふうに感じます。ぜひいま一度精査の上、調査の母数をふやすことも検討していただきたいと思います。
 また、これらの都内遊戯施設における立入調査の際には、青少年の健全な育成というゴールに向けて、課題抽出のために幾つかの調査を同時に行っていただいていると思います。具体的には、遅い時刻に十八歳未満の青少年の入場を制限しているということを、その施設内にしっかりと掲示をされているか否か。また、施設が自発的に年齢確認を実施しているかどうか。漫画喫茶、インターネットカフェにおいては、インターネット設備にフィルタリング機能が導入されているか等の調査をしていただいていると思います。
 その中において、漫画喫茶、インターネットカフェにおけるフィルタリング機能の導入については、平成二十二年度で、十五件中十二件の施設が導入をしておらず、そして、二十三年度においても十八件中十四件が導入をしていないということが明らかになっております。
 このフィルタリング導入済み店舗が、全体から見てむしろ少ないという状況に対して、都は今後どのように対応しようとしているのか、お伺いをいたします。

○山中青少年対策担当部長 インターネットカフェを青少年が利用する場合は、都条例で店舗経営者にフィルタリングソフトを利用した機器などを提供する努力義務を規定しております。立入調査の結果によりますと、小規模のネットカフェなどでは、まだ十分にフィルタリングを利用した機器が普及していないのは事実でございます。都といたしましては、ネットカフェにおけるフィルタリングが広く普及されるよう、業界団体を通じて引き続き働きかけていくとともに、業界団体に所属しないネットカフェについては、個別に立入調査を着実に実施し、より一層の指導に取り組んでまいります。

○くりした委員 より一層の指導に向けて取り組んでいただけるとのことでありました。コスト等が余分にかかるなど、事業者側から見ても導入に向けての障壁が存在をしていることは確かでありますが、これらの施設は、例えば、十年前に比べて非常に一般的になってきておりまして、都民の生活にも溶け込んできているように感じております。児童等に対しては、これらの施設においても抜け穴とならないように一層の配慮をお願いして、次の質問に移らせていただきます。
 同じく青少年育成総合対策として、若年者の自立支援に向けて、さまざまな取り組みを行っていただいていると思います。平成二十三年度においては、その若者の自立支援に向けた活動に費やした決算総額が、先ほどのご答弁によれば、約一億五千万円であったわけでありますが、今回はその中の相談窓口事業、ひきこもりサポートネット及び東京都若者総合相談、若ナビについて幾つか質問させていただきます。
 これらの二事業においては、それぞれ現在、若者、若年者を中心に広まる社会問題、ひきこもりや非社会的行動への対策として、電話、メールを中心とした窓口を設置することによって、未然に若者たちがそういった状況に巻き込まれるのを防ぐという試みであるというふうに認識をしております。それぞれインターネット上にも特設ページが設置されておりまして、それを見れば、都民の方々からも使い方がわかるようになっております。
 まず、それら二つの事業につき、平成二十三年度の決算額、事業の委託先、また、委託先を選定した方法についてお伺いをいたします。

○山中青少年対策担当部長 まず、東京都ひきこもりサポートネットにつきましては、平成二十三年度の決算額が二千三百二十八万九千円、委託先は国立大学法人東京学芸大学でございます。一方、東京都若者総合相談、若ナビは、決算額が四千三百四十三万円、委託先は社会福祉法人いのちの電話でございます。委託先の選定方法は、両事業とも特命随意契約でございます。

○くりした委員 ひきこもりサポートネットは約二千三百万円、若ナビについては約四千三百万円ということでありました。また、本件は委託事業ということで、先ほどご答弁をいただいた団体が、実際には、窓口業務を行う人員等を確保しながら、都民に対するサービスの提供に当たっているということでありました。
 ひきこもりサポートネットについては、平成十六年度に始まった事業で、二十三年度の相談件数が、電話相談が延べ約三千八百件、そしてメール相談が延べ約千百件。若ナビについては、平成二十一年度から始まった比較的新しい事業で、二十三年度の電話相談件数が約六千二百件、メール相談が延べ約千二百件というふうに伺っています。また、それぞれ特命随意契約で委託業者を選定しているということでありますが、それぞれの事業における特命理由についてお伺いをいたします。

○山中青少年対策担当部長 東京都ひきこもりサポートネットにつきましては、相談事業及び相談事例を活用した、ひきこもり支援に関する調査研究を委託しております。そのため、相談事業を安定的に運営し、相談支援の経験を持つ質の高い相談員が確保できることに加えまして、ひきこもりの要因や段階的、連続的支援の有効性等につき調査研究を行うに当たり、ひきこもり支援を専門とする研究者が中心となり、心理学、学校教育、社会学等の関連分野の専門家との密接な連携体制をとることができることを理由に委託先を選定いたしました。
 一方、若ナビの相談事業では、目的が明確でない相談から自殺などの深刻な相談まで、若者からのさまざまな悩みや相談に適切に対応できる経験と能力が必要となります。
 そこで、多岐にわたる相談に適切に対応できる十分な相談実績と能力、そして電話やメールなどの多様な相談方法につき、豊富な経験を有していることを要件としております。
 さらに、組織運営の安定性や関係機関との円滑な連携体制を構築、維持できることを理由に委託先を選定いたしました。

○くりした委員 それぞれ、お答えの中では、相談事業の安定的な運営、ひきこもりサポートネットについては、ひきこもりに対する専門的な知見、そして若ナビ相談事業については、多岐にわたる相談に対応できる幅広い守備範囲を持っている、また、それぞれ関係機関との連携が円滑に行われるということが要件である、これらを満たすのがそれぞれの委託先業者であったというふうに、今お答えをいただいたのかなというふうに思います。
 これらの両事業において、平成二十三年度においては、確かに先ほどおっしゃっていただいたような、それぞれの事業者が委託を受けて取り組んでおりましたけれども、二十四年度は、両事業において委託先が変更になったというふうに伺っております。知識や経験の蓄積の必要なこういった事業においては、できる限り、同一の適正な事業者が事業を担うことによって、サービスの品質確保や既存のサービス利用者に対して継続した対応ができるよう配慮を行うべきであったというふうに考えますが、平成二十三年度を最後に新たな委託先に変更となってしまったのはなぜか、また、平成二十四年度についても特命随意契約によって委託先を選定したと聞いておりますが、平成二十四年度の特命理由についてもお伺いをいたします。

○山中青少年対策担当部長 委託先変更の理由でございますが、両事業とも、平成二十三年度の委託先団体から事業の受託継続が困難であるとの申し出があり、変更に至ったものでございます。両事業とも、相談業務における専門性を確保し、相談対応の質を維持するため、二十四年度も特命随意契約により選定しております。
 まず、ひきこもりサポートネットにつきましては、心理学の専門家を中心とする質の高い人材を安定的に確保できることに加え、人間の発達段階に応じた心理分析に関する調査研究を、関連分野の研究者と連携して行う体制が確立されていることなどの要件を満たしているため、国立大学法人お茶の水女子大学に委託いたしました。
 また、若ナビにつきましては、相談事業を安定的に運営できる体制があるほか、専門機関との連携のもと、幅広い相談に適切に対応できるノウハウを持ち、相談員の確保は可能であること、さらに、国の相談事業の受託などを通じて、電話相談に加え、メール相談においても多様な相談に対応する実績を有するに至ったことなどにより、社団法人日本産業カウンセラー協会に委託いたしました。

○くりした委員 お答えをいただいた中で細かな表現の違いはあったかもしれませんが、平成二十三年度の特命理由と、さほど大きな変更はなかったのかなというふうに思います。であれば、そもそもこれらの事業が特命随意契約で行われなければならなかったのかどうかということについても疑問がわいてまいります。
 それぞれの事業については、ホームページ等々含め、私も可能な限り確認をさせていただいてきましたけれども、ひきこもりサポートネットについては、これは一定の専門性という意味で説得力を受けましたけれども、若ナビについては、私も拝見をさせていただきましたが、専門性といった意味では、例えば、ホームページにおいては、相談員の方々の記述を見ていると、よく、いい表現をすると、やわらかくて敷居が低いと、相談しやすいといった雰囲気かもしれませんけれども、しかし、個人的には、東京都が公営で行うサービスとしては若干やわらか過ぎて心もとないという印象も正直受けたというところがございます。これについては、職員の方にも、皆さんにも、改めてご確認をいただきたいと思います。
 先ほどご答弁にありましたとおり、ひきこもりサポートネットについては約二千三百万円、そして、若ナビについては約四千三百万円の費用がかかっております。電話、メール、対面での相談を合わせると、大体、一件当たりの対応コストとしては約五千円がかかっているという計算になります。これを高いととるか、安いととるかというのは評価が分かれるところであると思います。
 相談窓口事業については、形のあるものを具体的に生み出しているわけではありませんので、事業の費用対効果を検証することが特に難しいという特徴があるわけでありますが、これらの相談窓口事業については、委託をしているとはいえ、東京都はとりわけ注意深くサービスの品質を確認するとともに、厳しいコスト感覚を持って、不断の検証を行っていく必要があると考えております。
 最後に都の見解をお伺いをして、私の質問を終わらせていただきます。

○山中青少年対策担当部長 都におきましては、ひきこもりサポートネット、若ナビの両事業の委託先団体から、毎月、業務実績及び経理状況の報告を受け、委託事業が適切かつ効率的に運営されているかを確認しております。また、相談室で毎月実施されます相談事例の検討会などに都の職員が立ち会うことにより、日常的な相談対応や相談員の状況等を把握しております。
 今後も委託先団体と緊密に連絡をとりながら業務遂行状況を把握するとともに、相談員への研修などによる相談対応の質の向上、さらに多くの相談者に利用される効果的な事業実施に取り組んでまいります。

○野上委員 最近怖いと感じた事件の一つが、遠隔操作ウイルスのことでございます。悪質なメールが自分のパソコンから発信されるという、この遠隔操作ウイルスに巻き込まれた人々は、身に覚えのない犯罪を突きつけられて逮捕され、警察からも信じてもらえない。この絶望感がどれほどのものだったか、そう思うと、心が痛みます。何日も勾留をされ、会社からも世間からも白い目で見られ、中には犯罪を認めてしまう人もいたということです。一人の人間の人生を変えてしまうような出来事だと感じてしまいます。内容も、人々を恐怖に陥れるような爆破予告であったり、大量殺人等の犯行予告だったりしますと、大事なイベントなども中止になったり、多大な損害をこうむります。また、子どもを巻き込んだ情報だと、親御さんもパニックになったりいたします。
 相当、ネットの高い能力を持った人が、外国経由のサーバーで愉快犯ともいうべき犯罪を繰り広げております。これは、ここにいる私たちを含めて、だれもが巻き込まれてもおかしくないと感じております。
 また、子どもたちの世界でも成り済まし等の課題がありまして、先日もネットいじめに巻き込まれた内容を見せていただきました。
 教室に行くと、クラスの雰囲気がおかしい、どうしたんだろう、何があったんだろうと。何人かの仲のいい友達がそっと教えてくれた内容を聞いて、ネットを開いてみて、初めて自分が書いた覚えのない記載が、内容のことが載っていると。大変ショッキングなことで、本人も学校にもしばらく行きたくないと。保護者の方も悩み、子どもさんも相当精神的に傷ついていたということがあります。今現在、抹消してほしいという依頼をしているんですけど、なかなか消すことができないということで、そうしたさまざまなトラブルが、子どもの世界でも、青少年の世界でもあるわけでございます。
 この相談窓口として、東京都は、東京こどもネット・ケータイヘルプデスク、愛称はこたエールということを実施しておりますけれども、平成二十三年度の決算額は約二千二百九十万円ということでございますが、この相談件数及びその内容について、まず最初にお伺いいたします。

○山中青少年対策担当部長 平成二十三年度における東京こどもネット・ケータイヘルプデスク、愛称こたエールでございますけれども、全相談件数が千四百六十二件でございました。主な相談内容は、架空請求四百五十一件、迷惑メール百七件、誹謗中傷、ネットいじめなど八十件となっております。

○野上委員 誹謗中傷、ネットいじめの内容に関して、私はちょっと詳しくいろいろ聞きたいと思っておりましたけれども、この内容に関しては、それほど激しいものではないという認識をされていらっしゃるようなので、ここはちょっと省略をさせていただきます。
 ネット、携帯の普及に伴いまして、今後ますます青少年が関係するトラブルが増加するものと考えます。こたエールは、青少年や保護者にとって、さらに有意義な相談窓口として機能していくことが期待されると思いますけれども、そのことについての所見をお伺いいたします。

○山中青少年対策担当部長 こたエールの普及啓発に引き続き工夫を凝らして努めていくとともに、蓄積された有益な情報を広く社会に還元してまいります。
 例えば、過去の相談事例を積み重ねて、インターネット、携帯電話のトラブルに遭遇した際に行うべき具体的な対応例をまとめ、インターネット、携帯電話の家庭でのルールづくりを主なテーマとした出前講演会などで、保護者などに啓発をしてまいります。
 また、架空請求などで悪質な事業者につきましては、警視庁や関係各局に情報提供を行い、連携して取り組んでまいります。

○野上委員 この出前講座というのは、保護者への対応として大変大事なことだと思っております。また、悪質な事業者に対して、警視庁、あるいは関係各局への情報提供というのは、すばらしい取り組みの一つであると感じております。
 例えば、消費行政を扱っている生活文化局とか、教育庁、警視庁、そういう局の横ぐしを刺しながら、局の連携という観点では大変大事な取り組みではないかと思っております。
 私も、平成十四年の、かなり前になりますけれども、十年前ですけれども、一番最初に第三回定例会の一般質問でフィルタリングについて質問をさせていただきました。そのとき、平成十四年当時では、東京都の小中高公立学校に関しては、インターネットと接続しているのが、まだ九四%。一〇〇%に達していない状況でございました。ただ、まだそういうネットの有害情報というのがそれほど認識されていなかった時代でしたので、その中に、自殺の仕方とか、爆弾のつくり方とか、暴力とか、あるいは性に関するさまざまな有害情報があふれているということを、なかなか親も認識していないような状況があったことは確かなんですけれども、このインターネットを活用して、子どもたちが、調べ学習というんですか、さまざまな情報を収集して勉強していくということは、教育の一環としては非常に大事なことだと考えております。
 そこで、例えば、薬物とか犯罪などに関してのネット上の有害情報について、青少年に触れさせたくないためのフィルタリングなんですけれども、まだ活用割合は高くないということで、掲示板など必要なサイトが見れなくなるのでフィルタリングを外してほしいといった子どもの要望に親が応じてしまうことも多いと思っております。
 このフィルタリングの活用率をアップさせるための取り組みについてお伺いいたします。

○山中青少年対策担当部長 フィルタリングにつきましては、例えば、子どもの要望に応じて親が安易に外さないよう、フィルタリング解除の手続を厳格にするよう条例改正したところでございます。加えて、フィルタリングの有効性とともに、フィルタリングを解除する場合は、子どもの携帯電話の使用について保護者が使用状況を把握し、監督することが必要であることを普及啓発してまいります。
 また、携帯電話会社と意見交換を行い、店頭においても、フィルタリング装着について、さらに積極的に勧奨に努めるよう、携帯電話会社に働きかけてまいります。

○野上委員 もう一つ相談とかで多いのが、子どもが携帯を使用して音楽のダウンロードなどをして、有料のサイトから高額な利用料金の請求に至ることもあります。この金額が、なまじっか大変大きな金額で、生活を脅かしているというような問題も多々ございますけれども、こうした問題に対する所見についてお伺いいたします。

○山中青少年対策担当部長 青少年のインターネット、携帯電話の使用につきましては、親子が話し合いを通じて各家庭でルールづくりを行い、青少年の自制心を養うことが何より肝要と考えております。
 都では、インターネット、携帯電話の家庭でのルールづくりのため、ファミリeルール講座や出前講演会などを通じて、各家庭への支援を行っております。
 今後とも、家庭でのルールづくりの重要性を広く訴えていくとともに、ファミリeルール講座などにつきましても、スマートフォンなどの普及による新たな問題にも対応するよう、内容の充実に努めてまいります。

○野上委員 長男をいじめによる自殺で亡くした方の手記なんですけれども、いつでも子どもと連絡をとりたいという自分の都合から、子ども、息子さんにも携帯を持たせたと。それは、同級生からこの息子に対して数十回に及ぶ恐喝を仲立ちする凶器となったと。携帯電話が凶器となったと。当初は子どもの安全を守るために持たせた携帯電話が子どもを追い詰めてしまったということも書いていらっしゃいます。
 今、スマートフォンですね、急速に発達をしておりますけれども、なかなかこのフィルタリングの点でも、今までのようにはスムーズにいかないということもいわれるのではないかと思っております。フィルタリングも、ちょっと本に書いてあったんですけれども、携帯電話会社が健全と認定をしたサイトだけを見られるようにしたホワイトリスト方式というのと、それから第三者機関、これはフィルタリングソフト提携社会が有害と判断したサイトを見られなくするブラックリスト方式と、二つの方式に分かれているということなんですけれども、スマートフォンに関しては、いろいろなアプリを自由に取り込むことができるということで、そのフィルタリングも、これからは非常に難しいのではないかというふうに思っております。
 もう一つ大事なのは、子どもが被害者になるというばかりではなく、子どもが被害者になるというケースを想定した対応は一面的なもので、携帯やネットは相手の顔が見えないので、子どもが逆に加害者にもなってしまうという面もございます。
 そういった意味で、ネチケットというんですか、これからさらに青少年・治安対策本部が力を入れてくださる出前講座等の今後の取り組みに対して期待を申し上げて、質問を終わります。

○泉谷委員長 発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○泉谷委員長 異議なしと認め、本件に対する質疑は終了いたしました。
 以上で青少年・治安対策本部関係を終わります。

○泉谷委員長 これより知事本局関係に入ります。
 初めに、過日の分科会で紹介できませんでした幹部職員について、知事本局長から紹介があります。

○前田知事本局長 公務のため、過日の分科会を欠席いたしました幹部職員をご紹介申し上げます。
 尖閣諸島・特命担当理事の大井泰弘でございます。国際共同事業担当部長の熊谷克三でございます。
 なお、本日、外務部長の櫻井和博、計画調整部長の澤章につきましては、公務、所用のため、この分科会を欠席いたしております。
 どうぞよろしくお願いいたします。
   〔理事者あいさつ〕

○泉谷委員長 紹介は終わりました。

○泉谷委員長 決算の審査を行います。
 平成二十三年度東京都一般会計決算中、知事本局所管分を議題といたします。
 本件については、既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、要求委員と理事者との調整の結果、取り下げられておりますので、直ちに質疑を行います。
 発言をお願いします。

○原田委員 それでは、私からは、決算の歳出のうち計画に関する部分についてお伺いしたいと思います。
 いただきましたこの決算の資料のうち、知事本局費、管理費の支出の内訳の中で、「十年後の東京」の実現に向けた施策の企画・立案という題名の部分がありまして、「十年後の東京」のということなんですが、そこで行われている事業はといいますと、「二〇二〇年の東京」への実行プログラム二〇一二の策定や印刷等といったような形で記載されているわけでございます。
 そこでまず、最初に確認のためにお伺いをいたしたいと思いますけれども、「十年後の東京」計画の目標年次であります二〇一六年を待たずに、「二〇二〇年の東京」計画、この策定に取り組むことになった理由について、改めてお伺いをいたします。

○秀嶋計画調整担当部長 昨年度に「二〇二〇年の東京」計画を策定した理由は、主に次の二点でございます。
 一点目は、都がこれまで都政運営の基本方針としてきた「十年後の東京」計画が、策定から五年目を迎え、計画期間の半ばに差しかかったことでございます。
 二点目は、東日本大震災によって、防災など新たな課題が浮き彫りになる中で、都政を取り巻く環境が大きく変化したことでございます。
 こうした状況を踏まえ、「十年後の東京」計画の理念、基本的な考え方を着実に継承し、計画を充実強化するとともに、東日本大震災後の新たな社会経済状況に対して中長期的な視点から的確に対応し、日本の再生と東京のさらなる進化を実現するための新たな都市戦略として、「二〇二〇年の東京」計画を策定したものでございます。

○原田委員 いろいろと状況の変化等もあってというようなこともございました。柔軟に時代の変化等に合わせて計画を更新していくと、さらによいものにしていくというようなことについての意義は認めるところでございますけれども、その一方で、計画終了期間を待たずに、途中で計画が別の形のものになっていくということになりますと、終了時に目指していたその目標、これを達成できたのかどうなのかと。達成するための努力はどうだったのかといったことについて、場合によっては疑問の念が出てきたりというようなことも考えられるわけでございます。
 そうした意味におきますと、今回「二〇二〇年の東京」ということで、新しく装いを変えて計画をつくっていただいたわけでございますけれども、ここに掲げられている二〇二〇年の姿、この目標について、ただ計画をつくったとき以上に、しっかりと目標を達成していくんだといったような強い意思を示すということも必要なのではないかなというふうに思うわけでございます。
 特に、今回の目標の立て方として、例えば、木密地域不燃化十年プロジェクトで、この主要な都市計画道路の整備率一〇〇%と、とにかく十年以内で全部やるんだと。あるいは、耐震化にしても一〇〇%と、もう全部やるんだといったような意欲的な目標の立て方がされております。これは、五十だったものを六十にするとかいったような、ちょっとふやすというような形ではなくて、本当に全部やるというようなことでございますので、こうしたものが本当に二〇二〇年のときに全部やれるような体制で取り組みが進められるのか、途中で放棄されたりはしないだろうかといったようなことに関して、もし何か疑問が差し挟まれたときに、東京都としてはきちんと全部やるんだといい切れるような部分というのが必要になってくるのではないかなというふうに思うわけでございます。
 その際に、当然、都だけでできる部分と、それから事業によっては市区町村の協力を得ることが必要でありましたり、あるいは民間の事業者とともに取り組む、あるいは民間の事業者の自発的な行動を促すことが必要になってくるといったような、いってみれば、外部要因とでもいいましょうか、そうしたことに左右されるような部分もあるわけでございまして、そういったものも踏まえた上で、きちんとこの計画の進行管理をしていかなければいけないということになってくるんだろうなというふうに思います。
 そこで、お伺いしますけれども、この計画の目標の完成に向けて、どのように計画の進行管理をされているのかお伺いいたします。

○秀嶋計画調整担当部長 「二〇二〇年の東京」計画で掲げた目標の達成に向けまして、これまでの「十年後の東京」計画と同様に、三年後の到達目標と三カ年の事業展開を明らかにしたアクションプランでございます実行プログラムを策定することとしております。
 実行プログラムは、毎年度、これまでの取り組みや新たな施策展開について検証を加えながら改定を行うことで、都政を取り巻くさまざまな社会状況の変化に迅速に対応しつつ、計画的かつ効率的に「二〇二〇年の東京」計画で掲げた目標の確実な達成に向けた施策が展開されるよう取り組んでおるところでございます。

○原田委員 ぜひ、これまでも精力的に取り組んでいただいていると思いますが、先ほど申し上げたような点も踏まえて、より一層進められるように取り組んでいただければなというふうに思う次第でございます。
 検証をいろいろとされているかと思いますけれども、例えば、現在、財務局で行われているような事務事業評価でありますと、まとまった形で公表されているわけでございますが、知事本局の中で、この実行プログラムの改定等に際しまして行われている検証法については、そういったものがございませんので、そこの部分について少しお伺いしておきたいと思うわけでございます。
 特に、先ほど申し上げた、財務局の行っている事務事業評価との違いを大ぶりで申し上げますと、知事本局がこのプログラムの中で進めている事業というのは、どちらかというと、定型的な事業をより効率的に行うというよりは、全く新しいものに関して、どれだけ新しい成果が得られるかといったような観点で進められているものも多いのではないかなというふうに思うわけでございます。そうした観点に立ちますと、やはりどれだけの成果が得られるのかといったことに着目した知事本局なりのやり方というのをきっとお持ちなんだと思いますし、この決算の書面に出ている数字とのかかわりでいえば、効率的にただ事業を執行すればいいものに関しては、執行率に関しては、例えば、一定の成果がきちんと確保されているのであれば、執行率が低い方が効率的に予算を節約して事業ができたということにもなるかもしれませんけれども、成果の方が新しいものということで、必ずしも連動しないものであるとすれば、執行率が高いものに関しても、本当はそこで打ちどめになってしまっていて、もっと取り組んでいれば、もっとできたんではないかといったような見方ができるといったようなこともあるかもしれません。見方というものは、やはり新しいプロジェクトをやっていこうという中では、一つの見方だけでは見られないんだろうなというふうに思うわけでございます。
 そこで、お伺いしますけれども、効率的な事業執行を行っていくということは当然のことではあろうかと思いますけれども、こういったことを担保しながらも、成果をきちんと確保していくというようなやり方をやっていくということが最重要だと考えるところでございます。知事本局では、どのような考え方のもと、どのような検証を行っているのかお伺いをいたします。

○秀嶋計画調整担当部長 長期計画に掲げた目標を確実に達成していくためには、施策の進捗状況を随時点検し、その結果を新たな目標設定、事業展開に反映するとともに、社会状況の変化を踏まえた施策を展開していくことが重要であると認識しております。このため、検証作業においては、すべての実行プログラム事業について、事業所管局が前年度の実績の精査を徹底した上で目標達成に向けた課題等を知事本局に提示することとし、これに基づき、社会状況の変化も踏まえながら、定量的、定性的な分析を行っているところでございます。
 この検証作業は、決算状況を踏まえた費用対効果の視点も盛り込んだ形で事業改善に向けた検証結果を事業所管局に提示することで、質、量ともに高いレベルで目標達成を実現し得る、効率的かつ効果的な翌年度の実行プログラム事業案の作成を促しているところでございます。

○原田委員 恐らく、継続的に所管局ともいろいろとやりとりをしながら、この作業を進めていただいていると。その中で、よりよい事業の実施に向けて、さまざまな取り組みがされておるんだと思いますけれども、こうした検証結果を、検証結果だけにとどめずに具体的に実現をしていくためには、この検証結果をきちんと予算に反映していくと、次年度以降の計画に反映していくことも大切でございますけれども、予算にもきちんと反映していくというところも当然大切なわけでございます。
 そこでお伺いしますけれども、この検証結果の予算への反映については、財務当局とどのような調整を行っているのかお伺いいたします。

○秀嶋計画調整担当部長 各局から提出された翌年度の実行プログラム事業案については、現状の課題を踏まえた内容や経費の見積もりとなっているか等を精査し、財務局と十分な意見交換を行うなど、検証結果が予算要求に適切に反映されるよう取り組んでおるところでございます。
 実行プログラムの策定と予算編成は密接不可分な関係にあるため、発表に至るまで知事本局と財務局が適宜情報交換を行いながら、今後の年次目標の設定や事業展開のあり方などを体系立てて整理し、限られた財源を効果的に計上した実行プログラムとなるよう調整を図っているところでございます。

○原田委員 適宜情報交換を行いながら取り組んでいらっしゃるということで、この予算との連動というところについても意を用いられているとは思います。ただ、その中で、計画の側からいいますと、予算を作成する過程においては削減する部分というのも当然あるでしょうし、逆に集中投資をしてふやしていかなければいけない部分というのもあるかと思います。そういった部分について、例えば、減らされる当事者の側からしますと、こういうことを次年度以降やっていくんだということが何らかの形で明示されていると、こういうところに集中投資をすることによって、二〇二〇年なり、将来の東京がこれだけよくなるんだといったようなことが明示されていると、それが予算を削減する場合においても納得して、それを東京都全体のこととして取り組んでいくということにつながっていくんではないかなというふうに思いますので、そうした意味で、これまで以上に、どういった姿を見せていくんだという部分で、知事本局の方でもより積極的に打ち出していただければなと思うところでございます。
 その過程で、この検証の結果というのは、随時やりとりされているわけでしょうし、なかなかこれだけを取り出して一つのものとして公表するというのは難しいかもわかりませんけれども、こうしたやりとりというのは、まさに都政をどのようによくしていこうかという情報の宝庫でありますし、政策的な、意思決定権者の参考に資する重要な資料であると思いますので、こうした情報がきちんと活用されるような方策というのも、ぜひ今後検討していただきたいと思います。
 本日は決算ですので、そこの部分については、そう申し上げておくにとどめておきますけれども、今回の決算の状況というものを、また皆さんの方でも、より一層評価されて、これまで以上にこの計画、わかりやすい計画、そして働く人も、そして住んでいる人も、こういう東京になってよかったなと思えるような計画の改善に向けて取り組んでいただくことを祈念いたしまして、私からの質問を終わらせていただきます。

○早坂委員 石原知事が提唱し、スタートしましたアジア大都市ネットワーク21は、ことし、モンゴルのウランバートル市、そしてロシアのトムスク州が会員都市として加盟し、新たなステージに入りました。昨年は、アジア大都市ネットワーク21が発足してから十年、その節目の年の総会をソウルで開催し、大規模な都市災害に備えた防災対策の強化について検討を進めていくことに合意をいたしました。
 アジア大都市ネットワーク21の仕組みには、魅力的な点が幾つもあります。その一つは、アジア諸都市の単なる友好交流ではなく、危機管理や廃棄物対策、人材育成など、都市が抱える共通の課題の解決に向けた共同事業を進めるという実際的なネットワークであるという点です。そのため、都市間の交流が、事業を担当する実務担当者や専門家を中心に、非常に具体的かつ緊密なものとなっております。これは従来の友好親善型の交流と大きく異なるものであります。
 もう一つ、大きな魅力は、各都市の知事や市長など首長が、年に一回、総会の場で直接対面し、真摯な議論や政策対話を重ねていることです。国家間の外交が、さまざまな要因や、ちょっとしたきっかけでぎくしゃくしやすい中にあっても、大都市の首長同士がしっかりと結びついていることが国同士の関係にもよい影響を及ぼすという大きな影響があると考えます。
 さらに、総会での議論や意見交換を通じ、大都市の課題や解決策に対する意識、アイデアの提案という新たな政策として見える形に進化していくという効果もあるのではないかと思います。
 そこで、アジア大都市ネットワーク21加盟、加入の大都市の首長が一堂に会する総会において、これまでどのような議論が行われ、具体的にどのような成果があったのか、お伺いいたします。

○熊谷国際共同事業担当部長 アジア大都市ネットワーク21は、毎年一回、会員都市の持ち回りにより総会を開催し、これまでSARS対策、地球温暖化問題、洪水対策、持続可能な観光政策など、その時々においてアジアが直面する喫緊の政策課題をテーマに、知事や市長など首長間での議論を深めてまいりました。
 例えば、平成十六年度開催のジャカルタ総会では、アジア大都市の感染症対策と連携をテーマとして討議が行われ、そこでの議論が契機となって、新たにアジア感染症対策プロジェクトが共同事業として立ち上がるという成果が生まれました。このプロジェクトでは、既に新型インフルエンザなどの発生状況や症例について都市間での情報を共有するネットワークを構築し、アジアにおける感染症対策の強化に貢献をしております。
 また、平成二十二年度開催の東京総会においては、産業の振興と新技術の開発などの発表をもとに、ネットワークの新たな展開に向けた議論が行われた結果、会員都市の産業や技術を相互に紹介する具体的な機会を設定するなど、会員都市間の企業等の経済交流を促進していくことを内容とする東京宣言が採択され、都市間の経済交流に向けた新たな取り組みが開始される契機となったところでございます。

○早坂委員 今お話にありました東京総会で提起された企業などの経済交流については、特に重要なアプローチだと思います。
 ヨーロッパを初め、世界経済が低迷する中、アジアはいまだ堅調な経済成長を続けており、アジア大都市ネットワーク21の枠組みを活用して、会員都市の企業のすぐれた技術や製品を紹介し合い、交流を深める取り組みは、ネットワークの将来を見据えた場合、非常に先見の明があると考えます。
 東京宣言を踏まえた企業などの経済交流について、昨年度どのように取り組まれたのかお伺いいたします。

○熊谷国際共同事業担当部長 東京宣言を踏まえまして、昨年度、早速ソウルと東京において、会員都市間の企業等の経済交流を実施いたしました。
 まず、ソウル総会と連動し、ソウル市内で開催された低炭素グリーン成長博覧会に、アジア大都市ネットワーク21アジアゾーンを設置いたしました。東京を含むアジアの五カ国から、すぐれた環境技術を持つ十六の企業、団体が出展し、地元韓国の企業との交流を図っております。この見本市に、日本を初めとする海外の企業が出展したのは初めてでございまして、東京のブースを中心に、連日盛況を呈したところでございます。
 また、東京では、東京ビッグサイトで開催された産業交流展二〇一一にアジアゾーンを設けましたが、六カ国、計約三十の企業、団体の出展を得て、アジア進出を検討する東京の企業との間で活発なビジネス相談が行われました。
 今後とも、毎年の総会と連動させるなど、実施方法に工夫を凝らしながら、会員都市の産業や技術、有望な企業を紹介する機会を設定し、都市間の経済交流を促進してまいります。

○早坂委員 総会における首長同士の議論が契機となり、民間企業を巻き込んだ交流が具体的にスタートしているとのことでありました。東京総会での議論は官民の連携を重視し、企業に加え、住民など多様な主体の活力を取り込むことを提起しています。企業だけでなく、会員都市の住民、とりわけ次世代を担う青少年の交流は、アジアの将来にわたる発展のために必要であると考えます。
 そこで、アジア大都市ネットワーク21などの枠組みを活用した青少年の交流について、取り組み状況を伺います。

○熊谷国際共同事業担当部長 アジア大都市ネットワーク21の共同事業の一つに、アジアの若者の交流がございまして、平成二十年度から東京が幹事都市となって、ジュニアスポーツアジア交流大会を開催しております。毎年、アジアの各都市から柔道、バドミントンのジュニア選手を迎え、競技会や都内の学校訪問などを実施し、アジアの将来を担う若者の育成や交流を通した相互理解の促進を図ってきたところでございます。
 また、ネットワーク事業と連動して、平成二十一年度から首都大学東京にアジア人材育成基金を活用した留学生の受け入れを開始いたしました。アジアの大都市問題の解決やアジアの発展に資する高度な研究への従事を通し、将来、アジアの各分野を先導するようなすぐれた人材の育成を進めており、昨年度、第一号の博士課程修了者が誕生するなど、成果を上げてきております。
 いずれの事業も、将来にわたり、東京とアジアのかけ橋になるような人材の育成に資することが期待されており、今後とも関係局と連携しながら、着実に推進してまいります。

○早坂委員 ここまでアジアの大都市の首長や行政の実務担当者に加え、民間企業や市民、青少年や学生をも巻き込み、都市間の交流や協力が大いに活性化されていることをお伺いいたしました。大変有益な取り組みだと思います。
 アジア大都市ネットワーク21が進めているさまざまな主体を巻き込んだ交流こそ、アジアの発展、ひいては平和に大きく寄与するものと確信します。
 このアジア大都市ネットワーク21設立後十年以上に及ぶこれまでの取り組みを踏まえ、今後、アジア大都市ネットワーク21事業をどのように充実させていくのか、局長のご所見をお伺いいたします。

○前田知事本局長 東京都は石原知事のもとで、これまでの儀礼的、形式的な国際交流を改め、アジアの首都及び大都市が、共通する課題の解決に共同で取り組み、その成果をアジアの発展につなげていくことを目的に、今から十一年前の平成十三年、アジア大都市ネットワーク21を設立いたしました。以来、環境問題、危機管理、感染症対策、観光キャンペーン、人材育成など幅広い分野の共同事業に各都市の担当部門と協力して取り組み、具体的な成果を上げるなど、着実に実績を積み重ねてまいりました。
 一方、経済のグローバル化や地球温暖化の進展など、アジアが直面する課題がますます高度化、複雑化する中、行政レベルのみの連携により、効果的な解決を図ることは困難になってきていると考えます。
 こうした状況を受けまして、首長同士の政策対話や共同事業の充実に向けた議論を契機に、企業間の経済交流や青少年の交流を開始するなど、ネットワークにおける官民の連携も進めてまいりました。
 アジア大都市ネットワークの会員都市は、それぞれその国が、その国の政治、経済、教育、研究等の機能が集積した中枢都市であるとともに、そこに多くの市民が暮らし、憩う生活都市でもございます。
 こうした都市間のネットワークの強みを生かしまして、今後は首長や行政部門に加えまして、企業や研究者、住民、学生など多様な主体による重層的な交流をさらに展開しながら、共同事業等をより効果的に推進いたしまして、経済成長と環境の両立などの困難な課題に取り組み、アジアの繁栄と発展に一層貢献してまいりたい、このように考えております。

○早坂委員 お話のあったこれまでの取り組みに加えて、今後は人権、あるいは平和といった分野でも、価値観の共有や、そのための取り組みがなされることを期待いたします。
 終わります。

○泉谷委員長 この際、議事の都合により、おおむね十分間休憩いたします。
   午後二時五十分休憩

   午後三時一分開議

○泉谷委員長 休憩前に引き続き分科会を開きます。
 質疑を続行いたします。
 発言を願います。

○吉倉委員 私からも、アジア大都市ネットワーク21につきまして何点か質問いたします。
 これまで、アジア大都市ネットワーク21は、アジアの大都市が直面する課題解決に向けて、航空機の開発促進や危機管理、あるいは感染症対策、観光キャンペーンなど幅広い分野の共同事業に各都市と連携協力して取り組み、実績を積み重ねてこられました。最近、残念なことに、日本の重要なカウンターパートであるアジア地域の一部の国々との関係が不安定な状況にあることから、各都市との連携協力への影響が危惧されております。
 しかし、こうしたときだからこそ、都市と都市とのネットワークであるアジア大都市ネットワーク21の役割は重要であると考えております。とりわけ、東日本大震災以後、危機管理の面でのアジア地域での連携は不可欠であります。
 そこで、昨年度のアジア大都市ネットワーク21の危機管理の分野での取り組みについて伺います。

○熊谷国際共同事業担当部長 アジア大都市ネットワーク21では、共同事業として危機管理ネットワークを立ち上げ、危機管理に関する国際会議の開催、アジア各都市との連絡網の設置などを通して、アジアにおける危機管理能力の向上を図ってまいりました。昨年度は、東日本大震災やタイの大洪水の発生を受け、大規模災害の経験を踏まえた対応能力の向上に重点を置いて取り組みを進めております。
 例えば、昨年九月にソウルで開催された第九回アジア危機管理会議においては、東京から東日本大震災への対応と教訓について発表し、この未曾有の経験をアジア大都市と共有する契機といたしました。また、危機管理ネットワーク連絡網の運用の面では、バンコクの洪水に関する情報が直ちに各都市に提供され、危機管理の専門家間で共有されるとともに、最終的には東京からバンコクへの見舞金や飲料水の提供といった支援策につながるなど、危機発生時における連絡網の有効活用を図ったところでございます。

○吉倉委員 答弁にありましたとおり、かつて経験したことのない東日本大震災やタイの大洪水など、この未曾有の経験や教訓をアジア各都市と共有することは、大変有効であるというふうに考えております。その意味で、国際会議を通した経験の共有や、連絡網を活用した災害状況の情報連絡など、アジア各都市との協力体制が構築されていることは、大変心強いことだというふうに考えております。
 さらにいえば、実際に災害が発生した際に機動的に対応できる人的能力やチームワークなどの向上も重要であります。危機管理ネットワークでは、現場で実務に携わる人材の育成に取り組んでいると聞いております。
 そこで、このような危機管理ネットワークにおける人材育成の昨年度の取り組みについて伺います。

○熊谷国際共同事業担当部長 アジアにおける危機管理の人材育成の取り組みとして、毎年、東京都総合防災訓練に海外から救助隊を招聘し、合同の訓練を行っております。
 昨年度は、これまでで最大となる四都市、すなわち、ソウル、シンガポール、台北、台北に隣接する新北市から計二十一名の救助隊員が参加し、東日本大震災での対応を踏まえ、倒壊家屋からの救出を想定した合同訓練を実施し、東京消防庁の救助隊との連携を深めました。加えて、昨年度、初めて大規模災害対策研修を実施し、バンコク、クアラルンプール、マニラ、新北から、消防、医療など危機管理に携わる八名の専門家の参加を得て、福島第一原子力発電所で放水活動に従事したハイパーレスキュー部隊司令による講義や意見交換を行い、震災対応の経験やノウハウを共有したところでございます。

○吉倉委員 ご答弁いただきまして、危機管理の面での連携強化を進めるとともに、人材育成の面でも貢献する取り組みを行っていることがよくわかりました。危機管理の面だけではなく、アジアの大都市の人材を育成することは重要な課題であります。将来、アジアの各分野を先導していく人材のきずなを築き、交流を通じてその知見や経験を共有することは、ネットワークの強化に大いに役立つものと考えております。
 そこで、東京におけるアジア地域の人材育成の取り組みと、これまでの実績について伺いたいと思います。

○熊谷国際共同事業担当部長 アジア大都市ネットワーク21の共同事業の一つに、職員能力向上プログラムがあり、アジア各都市の行政職員や専門家を対象とした研修事業を実施しております。水道技術、総合的な交通計画、資源リサイクルなど、十の研修プログラムを設け、このうち東京は八つのプログラムを担当しております。
 各分野の先進的な事例やノウハウを学んでもらい、実務専門能力の充実を図ることを通じ、各都市の行政水準の向上に寄与することを目指しており、昨年度は、東京のプログラムに、バンコク、デリー、クアラルンプール、ジャカルタ、マニラなどから計三十一名が参加いたしました。事業開始以降、現在までの実績といたしましては、平成二十四年九月末時点で、東京の研修プログラムに、アジア各都市から延べ三百六十七名の行政職員、専門家が参加しております。
 このように、東京が有する幅広い分野でのすぐれた技術や最新の知見を提供することを通して、アジア各都市の人材の育成や専門能力の向上に寄与してまいりました。

○吉倉委員 アジア大都市ネットワーク21の枠組みを活用し、東京が有する技術、知見をアジア各都市に提供することは、今後のアジア各都市と良好な関係を築いていくためには重要な取り組みであります。
 一方で、今後も継続してアジア地域の課題に取り組み、アジア地域全体として成果を上げていくためには、東京が与えるだけではなく、他のアジア各都市から学ぶことも必要であります。
 そこで、東京以外のアジア各都市から学んでいる事例について伺いたいと思います。

○熊谷国際共同事業担当部長 職員能力向上プログラムでは、東京だけでなく、他の会員都市も研修プログラムを実施しており、これまで延べ約百十名が参加しております。
 具体的には、シンガポールが、救助隊員を育成するための都市における捜索救助研修を、クアラルンプールが、都市に関するさまざまな課題を取り扱う都市整備マネジメント研修を実施しており、東京はこれまでに、東京消防庁、環境局、都市整備局、建設局から十五名の職員をこれらの研修に派遣し、有用な知見や技術を学んできたところでございます。
 また、昨年度は観光戦略研修を企画し、建設局と産業労働局から四名の職員を観光先進都市であるシンガポールに派遣し、動物園、水族館の運営手法、MICEなどの観光施策を学んでもらいました。
 もとより、アジア大都市ネットワーク21の総会や共同事業別会議は、その時々の課題に応じたテーマに基づき、各都市の最新の取り組みやベストプラクティスを相互に紹介する場でもあり、これまで東京も各都市から新たな知見や情報を得てまいりました。
 今後も、さまざまな機会をとらえて、東京が有する技術や知見をアジア各都市に提供しつつ、各都市からも学ぶ機会を設け、アジア地域全体の人材の育成に貢献してまいります。

○吉倉委員 答弁をお聞きしまして、東京がアジア地域の人材育成に多大な貢献をしているだけではなく、また、他の都市も積極的にアジア地域の人材育成に取り組んでいることがよくわかりました。また、アジア各都市が共同して、危機管理に総合的に取り組んでいることも確認ができました。
 ことし六月には、第十回アジア危機管理会議がバンコクで開催されたと伺いました。昨年、大洪水に見舞われた都市での開催は大変有意義であり、バンコクの経験や得られた知見から、参加した各都市は大いに学ぶところがあったことと思います。
 このような取り組みは地道ではありますけれども、各都市のネットワークの強化、さらにアジア地域全体の課題解決のための礎となるものと考えております。東京だけではなく、アジア各都市全体が、アジア地域の危機管理能力の向上に引き続き取り組んでいただきたい。また、これらの取り組みを、今後、都市間の国際協力のさらなる進展につなげていただくことを期待いたしまして、質問を終わります。

○吉田委員 知事本局の事務事業の第一に、都の行財政の基本的な計画及び総合調整に関することが挙げられています。
 昨年は十二月に、都としての基本計画といえると思いますが、「二〇二〇年の東京」が策定されました。その内容については、これまで我が党として質疑を行ってきましたが、本委員会では、策定に当たって都民や区市町村の意見や要望がどのように反映されたのか、都としての決定はどのように行われたのかということを中心に質疑をいたします。
 一定の長期計画をもって、施策を継続的、総合的に促進することは重要です。内容的には、深刻さを増す都民の暮らし、雇用、中小企業の経営に対し、都としてどう対策をとるのか、さらに、切迫する地震から、都民の生命、財産をどう守るのかが問われていたと思います。
 しかし、第一回定例会の代表質問でも私は指摘をしました。発表された「二〇二〇年の東京」は、アジアヘッドクオーター特区に示されるように、外国企業の東京誘致によって東京をアジアの司令塔にすることが新たに強調され、さらに、二〇二〇年オリンピック招致をてこに外環道を十年間で整備するなど、大型開発をさらに加速させようとするものとなっています。また、防災対策について掲げられていますけれども、都民の生命、財産を守る上で重要な課題である住宅の耐震化や不燃化をどう進めていくのかという点では、極めて不十分だといわざるを得ません。こうした内容に関してなんですが、果たして都民、自治体の意見、要望がどのように生かされているのかということが、改めて疑問として浮かばざるを得ません。
 まず、お伺いいたしますけれども、「二〇二〇年の東京」及び実行プログラムの策定に当たって、都民、自治体の意見、要望を反映させるためにどのような取り組みが行われたのか。その結果、どれだけの意見が寄せられたのか。どれだけの自治体から意見が寄せられたのか。また、自治体との意見交換会はどの程度実施されたのか、ご答弁をお願いいたします。

○秀嶋計画調整担当部長 「二〇二〇年の東京」計画及び「二〇二〇年の東京」への実行プログラム二〇一二の策定に当たっては、都民や区市町村からの意見、要望を幅広く集約し、計画策定の参考にするため、都民に対しては、世論調査やインターネット都政モニターアンケートを通じて意見収集を行ったところでございます。また、区市町村に関しては、都内の全区市町村に対して意向調査を実施し、希望する区市町村と意見交換を実施したところでございます。その結果、三十四区市町村から合計五百六十二件のご意見をいただきまして、希望がありました五区市と意見交換を実施したところでございます。

○吉田委員 幅広くというお答えがありましたけれども、区市町村で意見、要望等が提出された自治体数は、今のご答弁だと三十四区市町村ということですね。いうまでもありませんが、東京は二十三区、二十六市、十三町村だと思います。したがって、都下の自治体数は六十二区市町村です。
 しかしながら、そもそも意見を寄せた自治体が三十四区市町村にとどまっていると。約半数にとどまっているということですね。これは、なぜ半数近い自治体が何ら意見、要望を出さなかったのかということを皆さん方に聞いても、答えることができないかもしれませんが、事態としては深刻ではないでしょうか。こういう事態をもって、真に区市町村の要望が反映されたというふうに果たしていえるのかというふうに思いますし、さらに、意見交換会については、これは希望があったらしてくださいというふうに行われたということを私も承知していますが、それに対しても、こたえたのがわずか五区市にとどまっているということも、現実としては深刻ではないかなというふうに思いますし、やはりこの現実は、今後の課題として重く受けとめておく必要があるのではないかというふうに思います。
 次に、寄せられた意見等の内容と、それが計画にどのように反映されたのかについて伺いたいと思います。
 「二〇二〇年の東京」では、末尾に、区市町村から五百六十二件の意見、要望が寄せられたと記載され、その主な内容と、それがどのように施策に反映されたかが掲載をされています。
 しかし、見る限り、表現が極めて一般的、抽象的で非常にわかりにくい。例えば、防災対策、震災対策では、具体的に区市町村からどのような施策の強化や支援強化の要望があったのか、また、少子高齢対策でも、どのような具体的な要望があったのか、非常にわかりにくい記載となっているといわざるを得ません。この点について、具体的な中身について紹介してください。

○秀嶋計画調整担当部長 要望内容につきましては、抽象的なものから具体的なものまでさまざまございまして、都民にもわかりやすいよう、代表的なものを抽出して掲載しているところでございます。
 震災対策について、具体的な例を申し上げますと、耐震化や不燃化施策のさらなる推進を初め、地域防災組織の育成による自助、共助の推進、帰宅困難者対策としての一時避難施設や備蓄の確保などの要望がございました。また、少子高齢化対策の面におきましては、多様な保育サービス提供に向けた支援の充実、子育てと仕事の両立のための雇用条件の整備、高齢者の安心な暮らしを地域全体で支える仕組みの構築、元気な高齢者の雇用体制の充実などの要望が寄せられたところでございます。

○吉田委員 何をもって代表的といえるのかという問題があると思うんですが、さらに具体的にお伺いいたします。
 防災対策では六項目の要望が紹介され、それぞれどのように反映されているかが、ページを記載して紹介されています。しかし、疑問なのは、この限りで見ると、住宅の耐震化への支援や個々の住宅の不燃化への支援についての記載はなく、都が重視をしている緊急輸送道路沿道建築物等の耐震化ということが紹介されているにとどまっています。
 しかし、私たちが実施をした区市町村に対するアンケート調査では、その中で、住宅耐震改修助成の、例えば対象地域を拡大してほしいというふうな要望は、多くの区から出されていました。そういう要望というのは、今回の調査の中ではなかったんでしょうか。お答えください。

○秀嶋計画調整担当部長 住宅の耐震化に対する助成の対象については、不燃化の整備地域以外にも拡大を求める要望はございました。

○吉田委員 東京の防災対策の中でも、住宅の耐震化、とりわけ木造住宅の耐震化をどれだけ進めるかというのは非常に重要課題だと私は思います。ところが、残念ながら東京都の制度は、先日の防災対策特別委員会でも取り上げましたが、地域が限定されているだけではなく、特定の道路幅に面しているという要件があるために、多くの区から、そういう対象をもっと拡大してほしいという要望が出されているわけですよね。今お伺いしたら、記載はされていませんけれども、実はそういう要望があったんだということが確認をされました。
 私は、これこそ東京の防災対策にとっても重要で代表的な要望であり、そういうものがあったんだったら、なぜ記載をするだけではなく、具体的な施策に反映されなかったのかと。具体的な施策について項目はありますけれども、全くそうしたことについては触れられていなくて、従来型にとどまっていると。そういうことで、果たして本当に区市町村に意見を聞いて、それを反映したといえるのかと。意見をいっても反映されないならば、先ほどの話ではないですけれども、東京都に意見をいってもしようがないということになるのではないでしょうか。そのことを強く指摘しておきたいというふうに思います。
 さらに、都民からの要望についても伺います。
 「二〇二〇年の東京」及び実行プログラム策定に向けてモニターアンケートを行ったということが、先ほども話があったと思いますが、その中では「十年後の東京」が掲げた八項目の重要性について、特に重要なものについて回答を求めるという設問がありましたが、その結果はどうだったのか、ご紹介をお願いいたします。

○秀嶋計画調整担当部長 平成二十三年度第五回インターネット都政モニターアンケートにおいて、「十年後の東京」計画で掲げた八つの目標について、特に重要なものと思うものを三つまで選択してもらったところ、次のような結果になりました。
 災害に強い都市をつくり、首都東京の信用を高める、七四・七%、世界に先駆けて超高齢社会の都市モデルを創造する、四九・一%、水と緑の回廊で包まれた、美しいまち東京を復活させる、四六・八%、世界で最も環境負荷の少ない都市を実現する、三五・三%、意欲あるだれもがチャレンジできる社会を創出する、三一・一%、三環状道路により東京が生まれ変わる、二五・七%、都市の魅力や産業力で東京のプレゼンスを確立する、一九・八%、スポーツを通じて次代を担う子どもたちに夢を与える、七・九%。
 以上でございます。

○吉田委員 そうすると、「二〇二〇」の中でも重視をしている三環状道路の整備促進という項目についていえば、都民のモニターアンケートでは八項目中第六位、二五・七%という結果になっているわけですよね。極めて低い評価ということになったわけですが、こういう結果をどう受けとめて、策定に反映されたんでしょうか。

○秀嶋計画調整担当部長 目標の重要度につきましては、経年で調査しておるところでございまして、都民の意識、関心度を把握しているところでございます。
 例えば、今回の調査結果では、災害に強い都市をつくり、首都東京の信用を高めるが、前年度の五三・二%から七四・七%と大きく増加しておりまして、東日本大震災により都民の防災意識が向上していることがうかがえるところでございます。
 当局としては、「二〇二〇年の東京」計画に掲げた八つの目標すべてが重要であると考えておるところでございまして、この調査項目の結果のみで施策の重点化を決めるのは妥当でないと考えておるところでございます。引き続き、都民の意識、関心度の推移について注視してまいりたいと考えております。

○吉田委員 この結果のみで判断するのは妥当ではないといわれますけれども、実はこうした傾向というのは共通して出されているんじゃないですか。同じこの都民モニターの中で、二〇一一で掲げた取り組みの中から重要と思うものを出してくださいという旨の設問がありますよね。正確にいえば、「十年後の東京」への実行プログラム二〇一一では、三カ年の主な取り組みとして次のような施策・事業を展開しています。あなたの関心のあるものを次の中から幾つでも選んでくださいという項目がありますが、この中でも三環状道路の整備は、何と二十一位という極めて低いランクに位置しています。さらに、これは経年的に行っている都民の世論調査の、たしか昨年度の中でも、やはりこうした環状道路の整備に対しての要望というのは総体的には極めて低いというもので、決して何か一回だけでこれが示されているからどうなんだというふうに、私は聞いているわけではありません。
 ただ、いずれにしても、都民の意見を反映させるためにといって調査をしながら、結果的にこのような数値が出ても、あくまでも東京都の方針どおりで作成しているというのが実態だということを、私は指摘せざるを得ないと思います。「二〇二〇」とあわせて発表された実行プログラムの三カ年の事業費を見れば、三環状や港湾整備などの分野で三四%、他方、高く要望されている高齢者対策ではわずか四・二%という、民意に反する結果であるということも指摘をしておきたいというふうに思います。
 さらに、事前に意見、要望を聞くというのは当然のことなんですけれども、真に都民の要望を反映した長期計画にするという点で見れば、素案を発表し、パブリックコメントを実施するということの方が、より民意が反映されたものとして充実するのではないかと思うんですが、この点はどのような認識で対応されたんでしょうか。

○秀嶋計画調整担当部長 「二〇二〇年の東京」計画策定に当たっては、計画策定の参考にするため、都民生活に関する世論調査やインターネット都政モニターアンケートを活用して、都民から意見や要望を幅広く集約したところでございます。

○吉田委員 先ほどもいいましたけれども、要望を出したとしても、それが果たしてどう反映されているのかという点で見れば、私は、パブリックコメントを行うというのが、今、流れだと思います。
 しかも、例えば、地域防災計画の修正に当たっては、修正素案が出されて、パブリックコメントが約一カ月にわたって行われて、その上に立って東京都は検討して、十月、十一月に修正を確定するという手続をしています。地域防災計画も極めて重要な計画ですけれども、二〇二〇年の長期計画ということになれば、それ以上に重要性というのは高いというふうにいうこともできる。にもかかわらず、パブリックコメントを行わないというのは、民意を反映するという点で背を向けるものだというふうに思います。
 最後に、この「二〇二〇年の東京」の全庁的な意思決定というのは、どのような手続で行われたのかについてお伺いをいたします。

○秀嶋計画調整担当部長 全庁的な調整を経た上で、事案決定規程に基づき、知事の決裁を得ているところでございます。

○吉田委員 手続を経てということは強調されましたが、具体的にはどこでどのように決定されたのかを、もう少しわかりやすく説明していただけませんか。

○秀嶋計画調整担当部長 四人の全副知事に対してまず説明を行い、了解を得た上で、決裁規程に基づいて、知事の決裁を得て決定しているところでございます。

○吉田委員 そうすると、何か会議等で議決をしたというものではないわけですよね。副知事の了承を得て、知事に上げて、知事が了承のサインをしたのかどうかわかりませんが、そうすると、こういうものは、私はてっきり政策会議で議論をし、決定するという手続をとるものかと思っていたんですが、そういうことは行われていないわけですね。行わなくても構わないわけですか。

○藤田総務部長 ただいまお話しの政策会議につきましては、都政にかかわる重要な事項につきまして、知事、副知事などの特別職等で議論を行い、最高方針や重要施策等を審議、策定する場でございます。会議は非公開としておりまして、内容につきましてはお答えをできる性質のものではございません。ご理解を賜りたいと思います。

○吉田委員 私は、改めて、東京都政策会議等の設置及び運営に関する規則というのを読ませていただきました。その中で、政策会議に付議する事案は次のとおりとすると。一、都政運営の基本方針、二、基本的な構想及び計画、三、組織、人事、定数及び財政に関する基本事項等々が挙げられています。
 そうすると、この「二〇二〇年の東京」というのは、基本的な構想及び計画ではありませんか。これは、政策会議に付議する事案ということになるんじゃないんですか。なぜこれを経ていないんですか。おかしいじゃないですか。

○藤田総務部長 先ほど来お話のございます政策会議では、繰り返しになりますが、都政の重要事項等について幅広く議論を行っております。会議は非公開でなされておりますので、政策会議への付議の有無につきましても、お答えは差し控えさせていただきたいと存じます。
 ただ、いずれにいたしましても、「二〇二〇年の東京」計画につきましては、政策会議を含みます、さまざまな議論、それから調整等を踏まえ、最終的には都民の負託を受けた知事が決定したものでございます。

○吉田委員 不透明な、非公開であるから中身についてはいえないと、付議されたか否かもいえないというお話だったんですけれども、実は、政策会議は昨年度、十四回開かれていますね。私は、その開催日時を調べてみました。そうしますと、この「二〇二〇年」が発表されたのが十二月の、ちょっと日付がわかりませんけれども、それに近い政策会議の日を調べますと十一月四日ですね。その後、いつ開かれたかというと、十二月は丸々開かれていなくて、一月四日に開かれていると。
 したがって、途中経過はわかりませんけれども、少なくとも「二〇二〇年の東京」が素案として確定した段階では、政策会議そのものが開かれていないということを判断せざるを得ません。そうすると、わざわざ、先ほども紹介しましたが、政策会議に付議する事案はということで基本的な構想及び計画ということを位置づけていながら、この全庁的な政策会議では、非常に重要な長期計画、総合計画である「二〇二〇年の東京」は、審議、議決もされていないと。副知事と知事のところを回せばそれでいいんだということで、果たして私は、長期計画の審議や決定のあり方として、それ自身も極めて疑問を感じざるを得ないということを強く指摘して、もし何か局長以下、ご発言があれば承りますけれども、非常に疑問を感ずるということを強く述べておきたいと思います。

○藤田総務部長 先ほど来、繰り返しになりますけれども、政策会議につきましては非公開とさせていただいている関係から、付議の有無、審議内容についても差し控えさせていただいておるところでございますが、先ほど来申し上げておりますとおり、「二〇二〇年の東京」計画につきましては、政策会議を含む、さまざまな議論、調整等を踏まえて策定してございます。

○吉田委員 私は、やっぱり政策会議の規則そのものからも逸脱しているということはもちろんですけれども、「二〇二〇年の東京」という非常に重要な施策であるがゆえに、やはり全庁的な議論、全庁的な意思決定ということは明確に行われるべきだし、それがされていないという点では、執行そのものも極めて疑問を感じざるを得ないということを指摘しておきたいと思います。

○野上委員 私の方でも、「二〇二〇年の東京」について質問をいたします。
 都はこれまで、「十年後の東京」計画に基づき、環境、都市インフラ、福祉、産業など、さまざまな分野で政策を展開してきましたが、昨年の十二月に計画を改定し、新たに「二〇二〇年の東京」計画を策定した理由については先ほど質疑がございましたので、私の方からは、まず最初に、東日本大震災後の大きな状況の変化を踏まえて、本計画の中で特に充実強化した内容についてお伺いいたします。

○秀嶋計画調整担当部長 本計画では、防災対策とエネルギー政策を大きな柱に据えるとともに、その他の環境、都市インフラ、産業、福祉、教育、スポーツの目標についても、これまでの取り組み状況や課題を十分に検証し、二〇二〇年に向けた新たな目標と先進的な政策展開を示したところでございます。

○野上委員 中長期的な視点で今後の都政を考えたときに、防災やエネルギーの確保、足元の危機に的確に対応することも大事だし、また、少子高齢化の進行など、大きな人口構造の変化への対応も着実に行っていかなければならないと思います。特に、団塊の世代がことしから六十五歳に到達し始めるなど、東京の高齢化は急速に進んでおります。
 そこで、この「二〇二〇年の東京」計画では、この高齢化の現状をどうとらえているのかお伺いいたします。

○秀嶋計画調整担当部長 人口動態は、将来の社会経済環境を規定する重要な要素の一つでございますので、「二〇二〇年の東京」計画の策定に当たっては、平成二十二年国勢調査などをもとに、社会動向等を踏まえて新たな人口推計を実施したところでございます。
 今回の人口推計の結果の主なポイントといたしましては、まず、人口総数については当面増加し、二〇二〇年に千三百三十五万人程度に達するまで増加することが見込まれるが、これをピークに減少に転ずるものと推測されること。また、六十五歳以上の老年人口につきましては、今後もふえ続け、二〇二〇年には三百二十一万人に達し、東京に住む四人に一人が高齢者となると推測されること。さらに、ひとり暮らしの高齢者も急増し、二〇二〇年には八十万人を超え、高齢者の四人に一人がひとり暮らしになることが見込まれることでございます。
 このように、これまで経験したことのない超高齢社会が到来するため、「二〇二〇年の東京」計画においては、少子高齢社会における都市モデルを構築し、世界に範を示すという目標を、八つの目標の一つに据えたところでございます。

○野上委員 少子高齢化が叫ばれて久しいわけでございますけれども、近い将来、東京にも前例のない高齢社会が訪れるとのことでございます。高齢者が急激に増加する中で、高齢者が地域の中でどのような生活を送れるのかが、今後の都市のあり方を左右するといっても過言ではございません。
 そこで、「二〇二〇年の東京」計画では、この超高齢社会を見据えて、どのような着眼点で、どのような政策を展開するのかお伺いいたします。

○秀嶋計画調整担当部長 本計画では、高齢化が急速に進展し、ひとり暮らしの高齢者等が増加することから、高齢者が地域の中で安心を実感できる社会を構築することを目指しております。このため、すべての区市町村で地域の実情に応じた高齢者見守りネットワークを構築するとともに、高齢者の地域生活を支える総合的なサービス提供体制づくりを推進してまいります。
 また、要介護高齢者の増加だけではなく、健康で活動意欲のある高齢者も増加することを踏まえ、高齢者の雇用や社会参加を促進することも目標に掲げております。このため、地域に密着した高齢者の就業支援を強化するとともに、地域活動への参加や社会交流を支援してまいります。

○野上委員 社会的に孤立しやすいひとり暮らしの高齢者等を見守り、適切な支援にいち早くつなげていくことが、今後の超高齢社会におけるセーフティーネットとして非常に重要であります。また、元気な高齢者に活動の場を提供していくことも、生きがいを実感できる社会を実現していく上で不可欠でもあります。
 「二〇二〇年の東京」計画で掲げた、このような高齢者の多様なニーズに対応した社会システムを構築していくためには、東京都だけではなく、区市町村や民間事業者、都民など、多くの主体の総力を結集していかなければなりません。都が区市町村と連携して先進的な取り組みを展開するとともに、行政以外の多くの主体が具体的に行動を起こすよう、都市モデルを広く発信することを要望して、質問を終わります。

○泉谷委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○泉谷委員長 異議なしと認め、本件に対する質疑は終了いたしました。
 以上で知事本局関係を終わります。
 これをもちまして本日の分科会を閉会いたします。
   午後三時四十三分散会

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