平成二十三年度各会計決算特別委員会第三分科会速記録第三号

平成二十四年十月十七日(水曜日)
第九委員会室
   午後一時開議
 出席委員 十名
委員長高倉 良生君
副委員長鈴木 隆道君
副委員長西岡真一郎君
小宮あんり君
新井ともはる君
神野 吉弘君
鈴木 勝博君
西崎 光子君
藤井  一君
遠藤  衛君

 欠席委員 なし

 出席説明員
港湾局局長多羅尾光睦君
技監前田  宏君
総務部長黒田 祥之君
企画担当部長古谷ひろみ君
港湾経営部長笹川 文夫君
港湾経営改革担当部長野瀬 達昭君
臨海開発部長石原 清志君
開発調整担当部長大和田 元君
営業担当部長山口 祐一君
港湾整備部長石山 明久君
計画調整担当部長大釜 達夫君
離島港湾部長渡辺  滋君
島しょ・小笠原空港整備担当部長小幡 和輝君
都市整備局局長技監兼務飯尾  豊君
次長目黒 克昭君
技監安井 順一君
理事藤井 寛行君
理事田崎 輝夫君
総務部長浅川 英夫君
都市づくり政策部長町田 修二君
住宅政策推進部長細渕 順一君
都市基盤部長石川  進君
市街地整備部長鈴木 昭利君
市街地建築部長砂川 俊雄君
都営住宅経営部長瀧本 裕之君
企画担当部長佐藤 伸朗君
連絡調整担当部長黒川  亨君
景観・プロジェクト担当部長永島 恵子君
住宅政策担当部長香山  幹君
民間住宅施策推進担当部長笹沼 正一君
航空政策担当部長外かく環状道路担当部長兼務山下 幸俊君
防災都市づくり担当部長西倉 鉄也君
防災都市づくり調整担当部長加藤  隆君
多摩ニュータウン事業担当部長栗岡 祥一君
耐震化推進担当部長小野 幹雄君
経営改革担当部長桜井 政人君
再編利活用推進担当部長上野 雄一君
建設推進担当部長山田 雅史君
営繕担当部長妹尾 高行君

本日の会議に付した事件
平成二十三年度東京都各会計歳入歳出決算の認定について
港湾局関係
・平成二十三年度東京都一般会計決算(質疑)
都市整備局関係
・平成二十三年度東京都一般会計決算(質疑)
・平成二十三年度東京都都営住宅等事業会計決算(質疑)
・平成二十三年度東京都都営住宅等保証金会計決算(質疑)
・平成二十三年度東京都都市開発資金会計決算(質疑)
・平成二十三年度東京都多摩ニュータウン事業会計決算(質疑)
・平成二十三年度東京都臨海都市基盤整備事業会計決算(質疑)

○高倉委員長 ただいまから平成二十三年度各会計決算特別委員会第三分科会を開会いたします。
 本日から四日間にわたり、本分科会所管局の決算に対する局別質疑を行ってまいります。
 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、港湾局及び都市整備局関係の決算に対する質疑を行います。
 これより港湾局関係に入ります。
 決算の審査を行います。
 平成二十三年度東京都一般会計決算中、港湾局所管分を議題といたします。
 本件につきましては、既に説明を聴取しておりますので、直ちに質疑を行います。
 発言を願います。

○神野委員 それでは、私からは、東京港の貨物の集荷と渋滞対策について伺いたいと思います。
 我が国港湾の国際競争力強化のためには、東京港、川崎港、横浜港、三港連携のもと、さまざまな施策に取り組んでいく必要があると思っております。
 平成二十三年度一般会計決算説明書によりますと、港湾振興促進として約二億円の支出がなされ、私が調べたところ、この事業の中には、平成二十三年度から開始したとされる貨物集荷補助が計上されておりますが、取り組み状況について、まず何点か伺いたいと思います。
 初めに、この貨物集荷策の必要性についてご説明を願います。

○野瀬港湾経営改革担当部長 東京港は、国際コンテナ戦略港湾として、欧州航路や北米航路などの基幹航路を維持することが不可欠でございます。そのためには、利用者である船会社や荷主の選択を受け、取扱貨物量が多く、世界各港と結ぶさまざまな航路が集積していることが必要であります。
 このため、船会社や荷主に向けて、東京港の一層の利用を促すために、これまでもさまざまな貨物集荷策を実施してまいりました。このような集荷策の一つとして、コンテナ貨物集荷補助制度を実施しております。

○神野委員 それでは、今ご答弁にございました貨物集荷補助制度、これの二十三年度実績について伺いたいと思います。

○野瀬港湾経営改革担当部長 東京港では、平成二十三年十二月に東京港利用促進コンテナ貨物補助制度を開始しております。この制度は、東京港における外貿コンテナの取扱量をふやした船会社に対し、前年からの増加分について四十フィートコンテナ一つ当たり五千円を補助する制度でございます。
 平成二十三年度の実施期間は四カ月ではありますが、十四社に対して二万一千二百五十個、約一億六百万円の補助を実施いたしました。この補助につきましては、利用者から高い評価をいただくとともに、同期間の取扱量が前年に比べ約六%増加していることから、東京港の貨物集荷に一定の効果があったものと認識しております。

○神野委員 基幹航路を維持するためには、東京港に貨物の集荷が大変大事だということも理解をいたしました。
 ただ、補助金によって貨物集荷をしていても、この補助金が終了してしまうと、またもとの貨物取扱量に戻ってしまう懸念があるんじゃないかと思うんです。
 聞くところによると、韓国の釜山なんかは、国の強力なバックアップのもと、採算を度外視して大胆にターミナルのリース料を低減している、そんなようなことも仄聞いたします。
 大体、あの国はそれが常套手段なんですけれども、そういう採算を度外視してでも日本をたたきつぶそうという国と対抗していくに当たって、インセンティブを出して集荷を行っていくという取り組みをいつまで行っていくのか、日本としても、当然、兵糧が尽きてしまえば、そこまでの対抗ができなくなってしまうわけでありまして、どういう戦略を持ってこういう施策を続けていらっしゃるのかというのが非常に気になるところであります。
 そこでお伺いをするんですが、都は、この補助制度によって到達すべき目標点というものをどう考えていらっしゃるのか、それと今後の展開、これについてお伺いをしたいと思います。

○野瀬港湾経営改革担当部長 本補助制度の目指すところは、東京港への集荷を促進し、スケールメリットを発揮することで、コンテナ一個当たりのコストを下げ、そのことで国内外他港と比較してコスト面での優位を確保し、コンテナ貨物の定着を図ることでございます。したがって、東京港に貨物が集中する流れができるまでは、この制度を継続して実施してまいります。
 今後も、東京港の利用者のニーズを的確に把握しながら、コンテナ貨物集荷策を実施してまいります。

○神野委員 お話を伺っておりまして、東京港の発展には、貨物の集荷力の強化というのが至上命題であるということは理解をいたしました。
 今回、東京港と川崎港、それから横浜港、三港連携して、そういったさまざまな経済性というものを優位にしていこうという取り組みもあわせて進められているということでございますので、その辺あわせて総合的な形で貨物を集荷して、そして東京港の力というものをどんどん強くしていくという施策を行っていっていただきたいと思います。
 ただ、東京港への集荷が、これはうれしいことなんでしょうけれども、ふえればふえるほど、大井ふ頭を初めとするコンテナターミナル周辺での交通混雑が強まるという懸念も一方ではあるわけです。
 昨年といいますか、経済・港湾委員会で、私も地元のことなので、再三にわたって指摘をしてきたんですけれども、大井ふ頭周辺では、大型のコンテナトレーラーの渋滞で、一般車両が通行するに当たって大変危険な状態がずっと続いているんですね。バースのゲート待ち等のために、大型のコンテナトレーラーですから道をふさいで、急に車線を変更したり、あとは大きな道路との交差点なんかでも、コンテナトレーラーが渋滞していると見通しがきかなくて非常に危ない、そういった状況があります。
 東京港の発展もいいんですけれども、大井ふ頭なんかは一般車両も走っておりますので、この一般車両の安全走行を守る、このことも同時に考えていただきたいし、そのためには、長時間にわたるコンテナトレーラーのゲート待ちを解消して、本来の輸送の効率化というものも果たしていっていただかなければ、東京港の真の意味での競争力の強化というものがなし遂げられないと思います。
 そこでまず、昨年十二月から、コンテナターミナル周辺の交通混雑を緩和するためということで都が行っている早朝のゲートオープンの実証実験、これについてお伺いいたしますが、この実験の実績、そして効果等はどうなっているのか。最近の状況も含めてご報告をお願いしたいと思います。

○笹川港湾経営部長 都は、昨年十二月から、コンテナターミナルの業務開始時間を通常の八時三十分から一時間前倒しをする早朝ゲートオープン実証実験を開始いたしました。
 東京港の全コンテナターミナル十一ターミナルのうち、七ターミナルが実験に参加いたしまして、昨年十二月から本年二月までの三カ月間で、前倒しした一時間での利用件数は約一万三千件に達しました。
 荷主やトラック運送事業者から、輸送効率が向上したなどの好意的な意見が数多く寄せられるとともに、実験期間中における十七時以降のコンテナターミナルへのトラックの入場数が前年同期比で二六%減少するなど、一日のうちで最も混雑の激しい夕方の混雑を緩和する効果があったものと認識しております。
 こうしたことから、当初三カ月間であった実験期間を来年三月末までの十六カ月間に大幅に延長いたしました。三月以降の利用実績も好調で、本年八月末には、昨年十二月からの通算で約四万件の利用実績を達成したところでございます。

○神野委員 これは大変よい取り組みだと思います。コンテナの中で働いていらっしゃる方の労働時間ですとか、労働環境とのいろんな調整等もおありになって、なかなかご苦労されたという話も伺っております。ただ、そうはいってもですね、一つは輸送効率の向上、それが果たされれば大井ふ頭での安全対策というものにも、一石二鳥に寄与するものだと思いますので、今後とも精力的に進めていただきたいと思います。
 こうしたソフト面の取り組みも大変重要なんですけれども、私の、現地にも何回も行って見てきた考えでいいますと、東京港の交通混雑の根本的な原因というのは、やはりコンテナの貨物取扱量にコンテナターミナルや道路等の港湾インフラの整備が追いつかない、こういう非常に根本的な問題もあると思うんです。
 大井ふ頭というのは、ほかの国の港に比べても、どうしても敷地全体が狭いというか、これは日本の特有の事情なんでしょうけれども、ですから先ほど申し上げたように、一般車両とコンテナの車とが一緒になって道路を走るような、そんな状況も出てきてしまっているんですが、今の早朝ゲートオープン、こういった全体的なハード面の取り組みに関しても必要不可欠と考えるわけです。
 今後、都は、東京港の輸送効率化に向けて、どのようなハード面の取り組みを行っていかれるのか、お伺いしたいと思います。

○石山港湾整備部長 現在、東京港のコンテナ貨物取扱量に対応するため、中央防波堤外側地区において、コンテナバースを二バース整備しているところでございます。
 また、道路につきましては、本年二月に東京ゲートブリッジが開通し、これまで慢性的に混雑していた中央防波堤外側地区と青海地区とを結ぶ青海縦貫線の混雑が緩和されました。さらに、国道三五七号の東京港トンネル部や新木場交差点の立体化を早期に完成させ、物流化の効率を図ってまいります。
 今後とも、中央防波堤外側地区の新たなコンテナバースや臨港道路南北線の早期事業化を国に強く要望するなど、コンテナターミナルの機能強化や道路ネットワークの強化に取り組んでまいります。

○神野委員 輸送の効率化、あとは車両の安全性と全体的な、全域的な取り組みというものを行っていっていただきたいと思います。
 ちょっと会計が違うということだったので、あえて指摘はしなかったのですが、もう一つ、あわせてお考えいただきたいのは空コンテナの問題です。
 トレーラーをごらんになった方も多いかと思いますけれども、トレーラーが積んでいるコンテナというのは、中に荷物が入っているやつと入っていないやつがあるんですね。入っているのは実入りコンテナで、入っていないのは空コンテナというのだそうですけれども、各バースで空コンテナと実入りコンテナというのが混在している。要するに、荷物を積みに来たトラックも、荷主に荷物を送って、その空のコンテナを返しに来るトラックも、同じバースのゲートに並んでしまうということで、余計渋滞が延びているという状況があるんです。
 ですから、空のコンテナを収納する、いわゆるバンプールですとか、シャシープールだとか、こういったものを今後精力的に順次整備を図っていっていただければ、より大井ふ頭を初めとする渋滞対策に寄与していくんだと思います。
 いずれにしても、首都圏四千万人の生活と産業を支える重要な役割を東京港は担っているわけでありますから、コンテナターミナルの機能強化、そして東京港周辺の交通混雑の解消というものは喫緊の課題なんだと思います。
 引き続き、今後ともしっかりと対策を講じていただくことを強く要望して、質問を終わりたいと思います。

○小宮委員 まず、島しょ部の港湾整備事業について伺います。
 島しょの港は、島と本土を結ぶ結節点であり、島民の生活や島の産業を支える重要な役割を担っています。そのため、離島の港湾整備を進め、船舶の就航率を向上させることは非常に重要な課題であります。
 伊豆諸島各島においては、これまでも港湾整備を着実に進めており、就航率も向上してきていますが、厳しい気象条件や海洋の状況などもありますので、他県の離島と比べても十分とはいえない状況です。特に、利島、青ヶ島などの小離島においては、まだ就航率が低いのが現状であり、一層の整備が必要であると考えます。
 そこでまず、各島と本土を結ぶ大型客船の就航率はどうなっているのか伺います。

○渡辺離島港湾部長 各島と本土を結ぶ大型客船の就航率は、大島、三宅島、八丈島などの大きな離島においては、過去五年間の平均でおおむね九〇%を超えております。対して利島、御蔵島などの小さい離島は、過去五年間の平均で、利島が約八〇%、御蔵島が約六五%と低くなっております。また、青ヶ島については、直接本土から大型客船が就航しておらず、八丈島と結ぶ航路となっており、定期客船の就航率は約六〇%でございます。

○小宮委員 大きな離島の就航率もまだ十分とはいえないということですけれども、青ヶ島などの小さな離島は、より客船の就航率が低い状況にあります。冬場などは海が荒れて、何日も船が着かないことも多々あります。小さな離島の住民にとっては、生活の安定のためにも、就航率の向上は大きな課題となっています。
 そのため、小離島の就航率を上げるために、都はどのように港湾整備に取り組んでいるか伺います。

○渡辺離島港湾部長 都では、就航率向上のため、島の特性に合わせて港湾を整備しております。
 大島などの大離島では、風向きにより接岸する港をかえることができるよう、島の両岸に港を整備しております。
 一方、小離島では、地形などの条件により複数の港を整備することが難しいため、一つの港に二本の突堤を整備し、風向きにより接岸する岸壁をかえる、いわゆる一港二突堤方式を基本として整備しております。

○小宮委員 島によってさまざまな制約がある中で、島の特性に合わせて創意工夫をしながら、港湾の整備を進めていることはわかりました。
 小離島においては、欠航が何日も続くと、生活物資が欠乏するなど島民の生活や暮らしに大きな影響を与えることから、引き続き一層の整備促進を進めていただきたいと思います。
 そこで、これまで利島、御蔵島、青ヶ島において具体的にどのような港湾整備事業を実施したか伺います。

○渡辺離島港湾部長 これまで、就航率を向上させるため、各島の港で岸壁や防波堤などの整備を進めてきております。
 利島では、平成二十二年度に二突堤目が完成したところであり、現在、波浪の影響を受けやすいジェットフォイルの就航率の向上を図るため、防波堤の整備を行っております。
 御蔵島では、二本目の突堤の検討を進めるとともに、島民の産業や生活を支える小型船のための船だまりを整備しております。
 青ヶ島では、二本目の突堤となる護岸整備事業などを推進してございます。

○小宮委員 着実に整備を進めてくださっているのはわかりました。
 さて、離島の港湾整備事業は、その大部分が国からの補助を受けて整備を進めていると思います。離島の港湾整備事業に対する国の補助率は非常に高いものとなっており、これは、国が離島振興のための事業を積極的に支援する責務を負っていることのあらわれであると考えます。
 しかしながら、近年、国の公共事業にかかわる予算が削減されてきています。このような状況の中で、都としてはどのように対応していくのか伺います。

○渡辺離島港湾部長 離島航路は、島民の生活や島の活性化を支える生命線であり、風や波に強い港の整備は極めて重要な課題であると認識しております。
 港湾整備には長い年月がかかるため、今後も、地元町村とも連携し、継続中の事業が中断されることなく確実に実施できるよう、必要な予算確保を国へ強く働きかけながら、都としても、効率的な執行に努め、就航率の向上を目指す港湾整備に積極的に取り組んでまいります。

○小宮委員 離島は、我が国の領域及び排他的経済水域の保全や海洋資源の利用など、国家的役割を担っています。国は、引き続き積極的に国費を投入して港湾整備を促進するべきであり、これは国益にもかなうものであると考えます。
 島しょにおける港湾は、島民の生活と暮らしを支えることはもとより、我が国全体のことを考えても、大変重要なインフラ施設であると思います。今後も着実に整備が進むよう取り組んでいかれることを望みたいと思います。
 次に、東京港における国際競争力の強化について伺います。
 我が国では、海外から輸入される物資のほとんどが海上輸送に頼っており、経済のグローバル化が進む中、港の果たすべき役割はますます大きくなっています。
 東京港のコンテナ貨物取扱量を調べたところ、平成二十三年実績は四百十四万個で、十四年連続で日本一となっており、このことから、東京港は、都民の生活はもとより、首都圏全体の生活、そして産業を支える大変極めて重要な位置にあるといえます。
 ところで、近年はアジア諸港の躍進が著しく、過去十年の推移を見ると、東京港はその取扱量を倍増させているものの、中国などアジア諸港は、それをはるかに上回る勢いで取扱量を拡大させているため、相対的地位の低下が指摘されています。このままの状態が続くと、北米や欧州とつながる世界の主要航路、つまりは基幹航路から外れてしまい、物流コストの増加による物価の上昇など、首都圏全体の生活や産業に悪影響を与えると懸念されます。
 このような中、東京港は、平成二十二年八月、川崎港、横浜港とともに、京浜港として国際コンテナ戦略港湾に選定されるとともに、国際競争力の強化に向けた取り組みを進めています。
 平成二十三年度決算においては、関連する項目として、三港連携事業の実施一億七千二百万円などが計上されておりますが、これらの事業が東京港の国際競争力の強化にきちんとつながっていくよう、平成二十三年度の取り組み状況などについて何点か伺ってまいります。
 最初に、国際コンテナ戦略港湾に選定されて以降、国際競争力強化に向けてどのような取り組みを行ってこられたか伺います。

○野瀬港湾経営改革担当部長 国際競争力を強化し、基幹航路を堅持するためには、これを運航する船会社やその荷主に選択されるに値する魅力を維持向上させていくことが必要不可欠でございます。
 そのためには、利用コストが安く、サービス水準が高いことなどにより、貨物が集まる港であることが必要であるため、この実現に向けた取り組みを川崎港、横浜港との連携のもとで進めております。
 東京港としては、船会社を対象とした新たな貨物集荷補助制度の創設や東京港埠頭株式会社の営業体制の強化など、貨物集荷策やターミナルコストの低減を推し進めるとともに、京浜港内におけるコンテナ横持ち輸送の円滑化などの取り組みを実施しております。

○小宮委員 国際競争力の強化に向けて、さまざまな取り組みを進めていらっしゃることはわかりました。
 ところで、答弁の中では、船会社を対象とした新たな貨物集荷補助制度の創設とありました。これは、船会社に対し、コンテナ貨物を集めた実績について特典を与えることで、東京港の貨物集荷につなげていこうという仕組みであると理解いたします。このように補助金を直接出すことによる貨物集荷策は、一つの手段であるとは思いますが、日ごろから利用者に対して東京港の魅力をアピールしていくことも大切であると考えます。
 答弁では、東京港埠頭株式会社の営業体制を強化したとありましたが、具体的にはどのような取り組みを行っているのか伺います。

○野瀬港湾経営改革担当部長 先生ご指摘のとおり、利用者である船会社や荷主の選択を受ける港であり続けるためには、日ごろから地道な営業活動を行い、東京港の魅力を積極的にアピールしていくことが重要でございます。
 東京港埠頭株式会社では、平成二十三年四月に新たに営業本部を立ち上げ、主に荷主を中心とした営業活動を強化しております。具体的には、荷主や船会社への情報提供とマーケティング活動を行っており、利用者のさまざまな声を聞きながら、東京港のサービス改善につなげております。
 これまでの実績としては、東京港での取扱量が多い東日本を拠点とする荷主企業を中心にアプローチしており、電気、食品メーカーなど二百社を超える企業との意見交換を実施しております。

○小宮委員 昨年四月から精力的な営業活動を行っているということはわかりました。
 しかし、ここで大切なことは、利用者のニーズを具体的な施策に反映することであります。
 そこで、利用者への営業活動により、実際にどのような声を聞かれて、どのように施策に反映されてこられたのか、具体的に伺います。

○野瀬港湾経営改革担当部長 特に、東京港を利用する荷主からの声として多いものは、東京港のコンテナターミナルの周辺の混雑解消に向けた要望でございます。
 平成二十三年度には、これらの声を受け、一般道に滞留しているコンテナ運搬車両を大幅に減少させるため、中央防波堤地区において約三ヘクタールのコンテナ運搬車両待機場の整備に直ちに着手いたしました。また、全国初となったコンテナターミナルの早朝ゲートオープンの取り組みも、同様に利用者のニーズを具体化したものでございます。
 今後も、利用者の具体的な声を直接聞き、さらなるサービス向上につなげることで、東京港の利用を促進してまいります。

○小宮委員 貨物集荷に向けた営業活動については理解しました。
 ところで、貨物集荷に当たっての重要な視点として、国内貨物の輸出入における中継点として東京港を利用していただくことが大切であると考えます。
 京浜港の一員である東京港は、東日本の貨物をその対象としていますが、輸出入の中継点としての役割をきちんと果たすためには、国内輸送船による東日本の港からの輸送、つまりは内航船の輸送による活性化に力を入れていくことが必要であると考えます。
 その内航船による輸送の活性化に当たって、東京港ではどのような取り組みを行っているのか伺います。

○野瀬港湾経営改革担当部長 青森県八戸港や宮城県仙台塩釜港など、東日本諸港の背後には製造業の拠点が集中していることから、ここから発着する輸出入貨物を東京港に集約するため、東日本諸港と東京港を結ぶネットワークづくりが重要でございます。
 平成二十一年六月に八戸港と、二十三年一月に仙台塩釜港と連携協定を締結し、相互協力体制を構築しております。このうち、八戸港とは相互に内航船に係る入港料を免除しております。八戸港以外についても、本年度から入港料を免除し、内航船による輸送のさらなる活性化に取り組んでおります。

○小宮委員 基幹航路を堅持するために貨物集荷に取り組み、実際に成果を上げていることは評価いたします。
 しかし、現在の東京港のコンテナ処理能力は年間三百六十万個であると伺っており、年間四百万個を超えるコンテナ貨物を扱っている東京港の収容能力は、既に限界に達していると思います。一方で、世界的な船舶の大型化傾向に対応できるよう、十分な水深を持ったコンテナターミナルの整備も求められています。このような状況に対応するため、東京港の港湾機能の充実強化は待ったなしの状況であろうかと思います。
 そこで、東京港における港湾機能の充実強化に向けた取り組み状況について伺います。

○野瀬港湾経営改革担当部長 東京港では、コンテナ貨物量が右肩上がりに増加しており、その処理能力が限界に達しております。また、このことに加え、基幹航路を堅持するために貨物集荷に取り組んでいく必要があることから、港湾機能の充実強化が喫緊の課題となっております。さらに、ご指摘のとおり、世界的な船舶の大型化傾向にも対応できるよう、最大級のコンテナ船も受け入れ可能である係留施設の整備も必要でございます。
 東京港の処理能力の向上と船舶の大型化に対応するため、現在、中央防波堤外側地区にC1、C2コンテナターミナルの整備を進めており、平成二十五年度の完成を目指しております。このC1、C2コンテナターミナルの完成に合わせ、既存コンテナターミナルの借り受け者の協力をいただき、新規ターミナルへのシフトを行い、あいた部分を種地として大井や青海の既存ターミナルの再編整備を行うことで、さらなる処理能力の向上を目指してまいります。
 なお、C2ターミナルの沖合に計画されているC3ターミナルにつきましては、今年度は国の事業化が見送られておりますが、引き続き国に対し早期事業化を強く要望してまいります。

○小宮委員 これまでの取り組み状況についてはわかりました。東京港の機能強化に当たっては、港は大都市東京にとって重要なインフラであるという認識のもと、長期的な展望を持って、未来への投資をしっかりと行っていただきたいと思います。
 最後に、今後の東京港の振興に当たっての基本的な考え方を伺います。

○多羅尾港湾局長 東京港の振興に当たっての基本的な考え方でございますが、やはりまずは、世界経済、国際海運、さらには釜山港や上海港などライバル港の動向をしっかり把握して、十年から二十年先を見通した、しっかりとした戦略を構築することが大切だというふうに思っております。
 一方で、具体的な戦術という面におきましては、例えば、東京港は土地が狭いだとかいう、そういう東京港の現実、足元をしっかり見て、また、東京港を利用するお客様の声にもしっかり耳を傾けて、着実な取り組みを一歩ずつ進めていくことが大切というように考えております。
 具体的に申し上げれば、ハード面においては、今、委員ご指摘のとおり、未来への投資をしっかり行っていくために、中央防波堤外側コンテナターミナルの新規整備を継続していくとともに、大井、青海の既存のコンテナターミナルの再編や道路整備を進め、東京港の機能を確実に向上させてまいります。
 また、ソフト面におきましては、より効果的な貨物集荷策の実施やターミナルコストの低減など、東京港埠頭株式会社と一体となって、さらなるサービス向上に努めてまいります。
 これらの取り組みを行うことで、東京港の国際競争力をさらに高めて、首都圏四千万人の生活と産業、さらには東日本の経済を支える港としての責任を確実に果たしてまいりたいと考えております。

○小宮委員 東京港の国際競争力の強化は、都民生活の安定や産業の活性化のために必要不可欠であります。成長著しいアジア諸港を初めとする世界の港湾に取り残されることのないように、これまでの取り組みをきちんと継続していただくことに加えて、川崎港や横浜港との連携や役割分担など、大胆な発想による施策の展開や、あるいは、今、局長のお話にもありましたターミナル周辺の接続路の整備など、必要なインフラ整備への集中的な投資を強くお願いして、質問を終わります。

○藤井委員 初めに、小笠原諸島の港湾整備事業について伺います。
 小笠原は、東京から約一千キロ離れた、まさに自然に恵まれた、東洋のガラパゴスともいわれるすばらしいところであります。私も、都議会議員になってから九回ほど行かせていただきまして、この島のすばらしさというものを実感している一人でございます。青い海、透き通った水面、そしてまた、まさに天然のさまざまな動植物、また、日本にないといいますか、海外に行ったような、そういった雰囲気があふれているところでございます。
 その小笠原と本土を結ぶ交通網というのは、現在、「おがさわら丸」しかありません。その「おがさわら丸」が停泊をいたします二見港、この二見港は、島の人たちの生活やまた産業を支える重要な役割を担っているわけでございます。
 さらに、昨年の六月に、小笠原諸島は世界自然遺産に登録をされました。それ以来、観光客がふえ、現在も多くの観光客が訪れているというふうに聞いているわけでございます。
 そこでまず、小笠原諸島の玄関口であります二見港の課題、あるいは平成二十三年度の整備内容についてお伺いをいたします。

○渡辺離島港湾部長 小笠原諸島父島の二見港においては、「おがさわら丸」が着岸できる岸壁を昭和五十六年に、防波堤を昭和五十七年に整備してございます。これらの港湾施設は、長い年月を経て老朽化が進んでおり、岸壁や防波堤の改良工事を計画的に整備していくことが課題となっております。
 平成二十三年度におきましては、老朽化した防波堤の前側に新たな鋼管ぐいを打つことにより、防波堤の強度を増す改良工事を実施し、約一・七億円を執行いたしました。
 小笠原にとって最も重要な交通アクセスである「おがさわら丸」が安全に着岸できるよう、これからも港湾施設整備を進め、島の方々の生活を守るとともに、観光振興にも寄与してまいります。

○藤井委員 「おがさわら丸」は、この島と本土を結ぶ、まさに生命線ともいえる重要な機能を持っているわけですけれども、「おがさわら丸」が着岸いたします港湾施設をしっかりと整備するということは、非常に大事なことであると考えます。今後とも、安全性を高めるよう着実に進めていっていただきたいと思います。
 また、最近の動きといたしまして、小笠原諸島に寄港します国内クルーズ船というのがふえているというふうに聞いております。観光客にとって、世界自然遺産を体感するだけではなく、船旅そのものも楽しむことができるので、多くのクルーズ船が就航してきているのではないかと考えます。
 そこで、クルーズ船の寄港は、観光地として島のイメージアップにつながり、より一層、島の観光振興に寄与できると考えますが、小笠原諸島へのクルーズ船寄港のための港湾施設の対応についてお伺いをいたします。

○渡辺離島港湾部長 二見港は、一万トンクラスまでの貨客船を対象としてつくられており、それより大型のクルーズ船が岸壁に着くことは、船の長さや水深の問題もあり、難しいのが現状でございます。また、岸壁の延伸や新設はコスト面等の課題がございます。
 このため、「にっぽん丸」、「ふじ丸」、「ぱしふぃっくびいなす」などの二、三万トンクラスに対応する大型クルーズ船用のブイを岸壁から約八百メートル離れた港内に設置し、そのブイにクルーズ船を係留させ、船客は小さな連絡船に乗りかえて上陸しております。
 平成二十三年度の寄港実績は十四隻であり、二十四年度については、九月末までの半年間で既に十八隻が寄港しておりまして、確実に増加傾向にございます。

○藤井委員 ただいまありましたように、クルーズ船は年々大型化しているということでございます。また、国内最大級の「飛鳥Ⅱ」は五万トンクラスであり、こうした大きなクルーズ船が停泊できるような施設があれば、さらに観光客の呼び込みが期待できるわけでございます。
 世界自然遺産にも登録された小笠原が、今後ますます多くの観光客を集めていくことから、クルーズ船の寄港を呼び込む有利な環境ができているというふうに考えますが、そのため、より大型のクルーズ船に対応する施設を整備する必要があると考えますが、この点いかがでしょうか。

○渡辺離島港湾部長 近年のクルーズ船は大型化の傾向にあり、クルーズを楽しむ乗客数も増加しているため、小笠原においても大型クルーズ船への対応は必要であると認識しております。
 そのため、より大型の船に対応できるよう、ブイの間隔を広げるとともに、安定的につなぎとめることができる構造に改良することにより、「飛鳥Ⅱ」などの国内最大級の五万トンクラスのクルーズ船が停泊できるよう整備を検討しております。
 小笠原の世界自然遺産登録やクルーズ観光の増大など、新たな動きに的確に対応し、島の方々の生活を守るとともに、島の魅力を生かした観光振興の視点も取り入れ、港湾整備事業に全力で取り組んでまいります。

○藤井委員 小笠原の観光振興にとって、クルーズ船に対応する施設の整備、ぜひ進めていっていただきたいと思います。
 都議会公明党では、一昨年、小笠原に視察団を派遣しまして、小笠原の村民の皆様方の意向を聞き、また意見交換を行ってまいりました。東京から一千キロ離れた島、離島ですけれども、小笠原への交通アクセス、これが大変大きな課題でございまして、昭和四十三年の小笠原返還以来、村民の命を守る航空路の開設が悲願でした。
 私も、平成五年、初めて小笠原に視察団で行って以来、そのときから、島の人たちは何としても小笠原に航空路を開設してもらいたいということで、さまざまご要望をいただき、また都の方に働きかけてきたところでございます。
 航空路開設については、港湾局では、総務局から空港施設整備にかかわる技術的観点から委任を受けて委託調査を実施しているというふうに聞いております。そこで、この委託調査の件について伺います。
 まず、平成二十年度から平成二十三年度までの港湾局で行った小笠原航空路委託調査経費の推移はどのようになっているか伺います。

○小幡島しょ・小笠原空港整備担当部長 港湾局では、総務局から空港施設整備に係る技術的な面に関して執行委任を受けて調査を実施しております。
 平成二十年度から平成二十三年度までの委託契約額につきましては、平成二十年度は七千百八十万円、平成二十一年度は七千九十五万円、平成二十二年度は四千三百八十九万円、平成二十三年度は三千八百六十一万円となっております。

○藤井委員 ただいまご答弁ありましたように、平成二十年度の七千百八十万円から年々下がって、平成二十三年度が三千八百六十一万と、約半分近くになってきているんですけれども、年度によって契約額の金額にばらつきがあるとともに年々減少しておりますけれども、その理由は、何で減少しているのでしょうか。

○小幡島しょ・小笠原空港整備担当部長 港湾局では、平成二十年度から平成二十三年度まで、小笠原航空路の基本計画に関する調査、環境に関する調査、気象に関する調査を実施してまいりました。
 どのような内容の調査を実施するかは、その年によって異なりまして、平成二十年度と平成二十一年度につきましては、現地調査のある気象観測を実施したため、委託額が比較的高額になっております。

○藤井委員 年度によって金額にばらつきがあるというのは、調査内容によってということでございますが、それでは、平成二十三年度の委託調査の内容について、具体的にお伺いをいたします。

○小幡島しょ・小笠原空港整備担当部長 平成二十三年度は、小笠原航空路環境調査と小笠原航空路基本計画調査を実施いたしました。
 まず、環境調査では、環境影響評価手法の検討のほか、平成二十三年の東京都レッドリスト島しょ部版の改定に伴い追加されました種についての調査等を実施いたしました。
 航空路基本計画調査では、洲崎地区活用案、水上航空機案、硫黄島活用案の各案につきまして、就航機材や施設配置、規模等の技術的検討を実施いたしました。

○藤井委員 先ほど申しましたように、小笠原に航空路を開設することは、地元小笠原の村民の皆様の長年の悲願でございます。村民の中には、環境が大事だというようなことで航空路開設に反対する、そういった方もいることはいますけれども、実際に、世界遺産になって、多くの方、特に今後は海外の方にもどんどん小笠原に行っていただきたいと私は思うわけです。ただ、現在、交通網が船しかない、二十六時間半ですか、二十六時間近く船に乗っていかないと小笠原に着かない、それでは、なかなか、船に酔う方もいれば、やっぱり行きたいけれども行けないという方も多いと思います。
 そういう意味では、九州の屋久島なんかは、屋久杉、世界遺産になっておりますけれども、近くに飛行場があります。白神山地を初め、そういったところも飛行場があり行けるわけです。小笠原だけは、千キロ離れていて、自然を残すために飛行場がない方がいいんだというようなご意見もありますが、私はやはり、そういった多くの方に小笠原の自然、またすばらしさを知っていただくためにも、また、地元の村民の方がある程度自由に行き来ができるように……。
 小笠原では、基本的には、伊豆諸島の各島は高齢者が多くてお子さんが少ないという、いわゆる逆ピラミッドです。小笠原だけは違うんですね。小笠原はお年寄りが少なくて子どもが多いという実態があります。
 なぜそうなのか、いろいろ調べました。それは、小笠原では、お年寄りになって自分が病気したりすると、診療所はありますけれども、診療所でかかれる病気というのは限られています。ほとんどが本土に行って診てもらわなければいけないような場合がある。あるいは、小笠原で亡くなっても、すぐには親族は島に来てくれない。だったら、自分が元気なうちに自分の子どものところに、東京の子どものところに行こうということで、お年寄りがみんな小笠原から離れていっているんです。だからお年寄りが少ないんです。
 また逆に、小笠原のすばらしさ、これを若い人たちが、一度行ってみて、小笠原はいいなということでそこに住みついて、そこで地元の青年と結婚して、若い人たちが小笠原に住みついている、こういう実態がありますので、私は、それがいいとか悪いとかではなくて、基本的には、世界遺産となって、多くの人に見ていただくためにも、また小笠原のすばらしさを体感していただくためにも、早急に小笠原空港を整備する必要があるというふうに考えます。
 基本的にそれを決定するのは総務局だと、港湾局は総務局から執行委任を受けているということも重々承知しておりますけれども、ぜひ、こういった航空路開設について、課題はたくさんあると思いますが、港湾局としても技術的な支援をしっかりお願いしたいと思います。
 港湾局長の決意をお伺いしようと思いましたけれども、次にまいりたいと思います。
 次に、東京港の海岸保全施設の耐震対策についてお伺いいたします。
 東京港の臨海部には都市機能が集積しております。いざというときには浸水を食いとめる水門あるいは防潮堤等の海岸保全施設の整備が極めて重要であると考えます。
 平成二十三年第二回定例会において、我が党の代表質問で、これらの耐震対策を一層推進するよう訴えたところであります。都は、東京港の津波、高潮対策の強化に取り組むとのことでありましたが、平成二十三年度に行った都の取り組みについて、まず伺います。

○石山港湾整備部長 東日本大震災後、直ちに局内に地震、津波対策会議を設置し、高潮対策センターのあり方の検討や陸閘の操作体制及び災害時の通信手段の強化などに取り組んでまいりました。
 具体的には、陸閘の即時閉鎖を可能とする人員体制の強化や衛星携帯電話の配備などの対策を講じてまいりました。高潮対策センターにつきましては、二拠点化することとし、相互に水門の遠隔操作を可能とするなどバックアップ機能を強化してまいります。
 また、河川、海岸保全、下水道施設の関係局が連携して、技術検証委員会を昨年六月に設置し、水門や防潮堤の耐震対策のあり方など、ハード面を中心に検討を進めてまいりました。
 本年八月にこの委員会の提言を踏まえて、地震、津波に伴う水害対策に関する都の基本方針を策定したところでありまして、今後、さらなる対策の強化を図ってまいります。

○藤井委員 昨年起きました東日本大震災後は、さまざまな取り組みを行ってきたということでございますが、平成二十三年度は、水門の耐震対策など具体的にはどういう整備を実施したのか、この点について伺います。

○石山港湾整備部長 首都東京を第一線で守る既設の水門や外郭防潮堤につきましては、平成十八年度に策定した海岸保全施設の整備計画に基づき耐震対策等を実施してまいりました。
 平成二十三年度は、佃、汐留川、天王洲水門や豊洲、晴海、芝浦の外郭防潮堤等の整備を実施してまいりました。その結果、現行の整備計画に基づく十五カ所の水門のうち十一カ所について、外郭防潮堤は計画の全延長について、今年度中に対策が完了する予定でございます。
 今後は、先般、東京都防災会議から示された想定地震に対する耐震性の確認を進め、残る大田区の四水門も含め、対策強化に取り組んでまいります。

○藤井委員 東京港では、大田区以外の水門の耐震対策は進めたというご答弁でございましたが、私はこの問題、昨年もたしか代表質問等で取り上げたと思いますが、大田区の四つの水門、これは昭和四十年代に建設されたものでございまして、既にもう四十数年を超えているわけでございます。しかし、耐震対策が行われていないという状況でございます。
 昨年の六月、私は、四つの水門のうちの北前堀水門というところを実際見てまいりましたが、やはり四十数年の風雪を耐えた水門だけありまして、あちこちにひび割れ等々がありました。致命的なものではないからとは思いますけれども、そういう意味では、今ご答弁にありましたように、ほかの水門はすべて耐震対策をやり、そしてまた、江東区にあります中央のセンターからボタン一つで、高潮対策センターですか、私もそこを昨年見に行きましたけれども、いざ津波や高潮が来た場合、江東区の高潮対策センターから、画面で、どれだけ、どこに津波あるいは高潮が来ているかというのもわかるし、また、ボタン一つで水門が自動的におりて、津波や高潮から都民を守ることが実際できているわけです。そういったことに対しては大変評価をいたしますが、実際、四つの水門がいまだに耐震化されていないということについては、私どもは、早急に耐震対策並びに津波や高潮から都民を守る対策を行うべきだということを再三いってまいりました。
 地元大田区では、これらの水門周辺のまちづくりについて検討を進めておりまして、以前から、早期に耐震対策を推進してほしいという要望を受けております。また、遠隔操作の拠点となる高潮対策センターを二拠点化するという答弁がありましたが、大田区の水門だけ遠隔操作の対象にはなっていないのが現状であります。大田区民はどうなってもいいのでしょうか。部長、答えていただきたいと思います。
 そこに住む都民にとって、現在の状況を正しく把握しておくことは重要であります。そこで、大田区の水門の操作の現状と今後の対応について伺います。

○石山港湾整備部長 大田区の四カ所の水門については、日中は職員が常駐する呑川水門から、また、夜間休日は、近くの宿舎から職員がそれぞれの水門に行き、電動で水門の開閉操作を行っております。
 また、これらの水門のあり方の検討に当たっては、水域環境の保全や水域利用との調整、海辺の散策路の整備などの課題を含め、大田区と協議を行ってまいりました。その結果、南前堀水門については地元区と協議が調い、安全性の向上やまちづくりに資するよう、水門を廃止して防潮堤を整備していくことといたしました。
 また、残りの三水門についても、引き続き地元区と協議しながら、まちづくりとの整合や周辺環境への配慮など、総合的な視点から検討し、対応してまいります。

○藤井委員 現在、水門の開閉については、職員の方が水門に出向いて、電動で開閉を操作しているということでございます。日ごろからこういった仕事といいますか、大事な、まさに都民の生命を守る仕事に従事されている職員の方に、心から敬意を表したいと思います。
 しかし、昨年の三・一一のときに、大田区も津波が来ましたし、また、多摩川にも津波がありました。大田区の六郷水門というところがあります。これは東京都の管理ではないということですけれども、実際にその六郷水門では、この四水門と同じく、職員が遠くから来て水門を閉めることになっておりますが、何と来るのに半日かかったということでございます。それはなぜかというと、江東区の方から来るから、交通機関がストップすれば職員は来れません。この大田区の水門だって、職員の方、近くの宿舎からであればあれですけれども、実際に地震災害があったときに道路が閉鎖されて、職員の方が行きたくても行けない場合だってあると思うんです。
 ですから、東京、いわゆる直下型地震、北部地震は、いつ来てもおかしくないといわれているわけですが、あしたもし地震が来たときに、まさに地震でもってこの四十数年たった水門が壊れて、津波が東京湾二・二七メーターだとはいうけれども、その津波がもし押し寄せてきて被害が起きた場合に、部長、どうするのか、その点の対応についてお伺いいたします。

○石山港湾整備部長 市民の方々を守る防潮堤や水門については、大変重要な施設だと認識しておりますので、できるだけ速やかに整備の方向性を出して、進めていきたいというふうに考えております。

○藤井委員 南前堀水門については、都と地元大田区との努力によって防潮堤の整備をするという答弁がございました。水門から防潮堤に変わっても、しっかりと津波や高潮から安全に守れるというふうに思っておりますけれども、ほかの三カ所の水門についても早急に整備の方針を出して、しっかり取り組んでいただきたいと強く要望したいと思います。
 東日本大震災から一年半経過いたしました。この間、毎日のように災害に関する報道に触れて、都民はこれまで以上に不安を募らせております。私も地元を回らせていただきますと、やはり皆さんから出てくる話題は、本当に地震が来ても大丈夫だろうか、また大田区は東京湾に面していますので、津波から大丈夫ですかという、そういう不安の声を多数いただいております。だから、都民の生活や首都東京の都市機能を守るために、東京港の水門、防潮堤などの海岸保全施設の整備を都の最重要政策として取り組むべきだと、このように考えますが、東京港における地震、津波、高潮対策の今後の取り組みについて、都民の命を預かる港湾局長のご決意をお伺いいたします。

○多羅尾港湾局長 東京ほど都市機能が高度に集積しているエリアは、世界でもまれではないかと思っております。また、東京の沿岸部や低地帯には三百万人もの方々が生活しておられます。こうした地域が高潮や津波により一たび浸水すれば、甚大な被害に見舞われるおそれがございます。
 委員のお話にもございましたように、都民の生命、財産を守り、首都東京の中枢機能を確保するためには、東日本大震災の教訓を改めてかみしめまして、海岸保全施設の整備を徹底していくことが極めて重要と考えております。
 都は、これまで現行の整備計画に基づき、従来想定されていた首都直下地震等を対象として水門の耐震性の強化等に取り組んでまいりました。先般の東京都防災会議による新たな被害想定では、想定地震の規模が従前より大きくなるなど、施設の耐震性の強化が課題となっております。
 そのため、今後は、被害想定で示された最大級の地震に対する防潮堤等の耐震性の確認を進め、この結果を踏まえて現行の整備計画を年内に見直し、地震、津波、高潮対策に万全を期してまいります。
 なお、今、大田区の水門のお話がございました。確かに現在、手動で対応しなければいけない水門がございますが、従前からもちろん訓練は十分やってきたつもりでおりますが、三・一一以降、さらに訓練を充実し、万が一にも問題が起こることのないよう、最大限の努力をしております。

○高倉委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○高倉委員長 異議なしと認め、本件に対する質疑は終了いたしました。
 以上で港湾局関係を終わります。

○高倉委員長 これより都市整備局関係に入ります。
 決算の審査を行います。
 平成二十三年度東京都一般会計決算中、都市整備局所管分、平成二十三年度東京都都営住宅等事業会計決算、平成二十三年度東京都都営住宅等保証金会計決算、平成二十三年度東京都都市開発資金会計決算、平成二十三年度東京都多摩ニュータウン事業会計決算及び平成二十三年度東京都臨海都市基盤整備事業会計決算を一括して議題といたします。
 本件につきましては、いずれも既に説明を聴取しておりますので、直ちに質疑を行います。
 発言を願います。

○鈴木(勝)委員 私からも、都市整備局に対しまして幾つかの質問をさせていただきます。
 私は、議員になる前に民間企業で長らく働いておりまして、決算といいますと、常に経営者の立場で決算を行ってまいりました。そういう視点で決算を見てまいりますと、決算はまさに経営者にとりまして最大の責務であります。
 それはなぜかと申しますと、株主に対する責任、これは経営者は非常に重いものを背負っておりますけれども、その株主に対する責任は、決算を行うことによりその責務を果たします。そしてまた、社員に対しては、業績がすべてですから、ボーナス、給与は、決算によって決まるといっても過言ではございません。そして広くは、その企業の取引先や金融機関の評価も決算によって決まる、そういう意味では、決算は大変重要な業務報告になるわけでございます。
 都政においても、もちろん行政主体と企業は違いますが、税金を納めております都民の一人一人、これを株主に例えたり、あるいは行政サービスを受けます都民をお客さんだと考えれば、何よりも私は、知事を初めとしまして理事者の皆さんが、決算によって評価をされるべきではないのかなと思っているところでもございます。
 しかし現在は、予算の至上主義というのでしょうか、決算は総体的に予算よりは余り関心が示されていないところがございます。そこをこれからはしっかりと検討していかなければいけないのかなというふうにも思っているところでございます。
 平成二十三年度の予算編成においても、税収が一兆円近く落ち込んでいる中での予算編成がなされた。その中で、今後も日本の景気動向を見ますと厳しい状況が続いておりますから、この財源の中でどう都民の行政サービスを充実させていくのか。まさに貴重な都民の税金が正しく、効率よく、むだなく使われたかどうか、厳しい決算が行われる必要があろうかと思っております。
 そういう視点に立ちまして、今回の決算、都市整備局の事業の中で、三〇%の執行率に満たない事業も全部見させていただきましたが、二十一の事業が三〇%未満であったということでございます。
 例えば、都市整備局においては、ハードの工事費、この工事費は予算の金額が大変大きいものがたくさんありますが、そういった中で二十三年度の決算の中身を見てみますと、管轄の事業の中で中断、延期されている事例が幾つか見られました。
 都市づくりにかかわるさまざまな工事を行っておりますけれども、二十三年度の決算資料を見た中で、特に執行率が低いものの中におきまして、なぜその工事が当初予定どおりに執行できなかったのか、その原因をどのように分析しているのか、まずはその点について見解をお伺いします。

○浅川総務部長 工事の施工に当たりましては、まずその前提となります用地買収等に係る地権者との調整や、車線規制や搬入路等に係る交通管理者との調整、水道、ガス、電気などの事業者などとの調整を行う必要がございます。
 また、近隣の住民の方から工事の内容や施工方法などに対する要望がある場合には、できる限り丁寧な対応を行う必要がございます。
 さらに、当初設計では想定されていない地下埋設物などの支障物が発見された場合、対応方法の検討などに時間を要する場合がございます。
 これらの調整や検討は、工事を円滑、的確に進める上で必要不可欠でございまして、調整などに時間を要することもあるものと考えております。

○鈴木(勝)委員 今お話をいただきましたように、公共工事ですから、さまざまな原因がおありになるということは理解できます。
 しかし一方で、工事がストップするということは、都民が支払った税金が、用意したお金が、その期間、有効に使われていないということになりますから、その不用額というのは当然機会損失にもなると。ましてや、これだけ民間需要が大変厳しい状況でありますから、公共事業が一つでもとまれば民間の経済が落ちるということでもございます。
 また一方では、民間企業で、例えば工事の中断とか延期があれば、これはもう大変重大なことでございまして、ましてや不利益を相手にこうむらせれば損害賠償の問題にも発展すると。公共事業と民間の契約工事とは違うところはありますけれども、こういった工事の延期、中断は、ぜひとも避けていかなければならない重要なことだろうというふうに思っております。ぜひこの辺、一つ一つ、特に執行率の低いものは、検証を常に重ねていただきたいと思っております。
 そしてまた、工事の中断はできる限り生じないように、これからしっかりと検証させていただかなければいけないのでしょうが、定められた工期内に工事を完成させるために、今後どのように取り組んでいくのかを改めてお伺いしたいと思います。

○浅川総務部長 工事の中断などにより工事の進行におくれを生じさせないよう、さまざまな事態を想定しつつ、的確な準備をすることが重要であると認識しております。
 このため、これまでも、早い段階から関係者と事前調整を行うほか、工事予定箇所につきましては、図面やボーリングによる調査を行うなど、工期内に工事を完成させるための取り組みを推進してまいりました。
 今後とも、こうした取り組みを推進するとともに、工事がおくれないよう進行管理を徹底してまいります。

○鈴木(勝)委員 改めて決算資料を見させていただきますと、臨海都市の基盤関連街路整備事業、これが執行率二四・二%、晴海地区や豊洲地区の開発地区は、それぞれ二九・六%、一〇・六%でございます。
 工事がおくれるということは、先ほど申し上げたとおり、当初の予定どおりに施設が完成しない、あるいは工事の延期によって、それ以上にお金がまたかかるということでございますから、都民の税金財源が有効に使われるように、ぜひともご尽力、ご努力をお願いしたいというところでございます。
 さて、今は直轄事業としての工事について申し上げましたけれども、都市整備局ではソフトの面、こういった取り組み、例えば耐震改修促進事業を初め区や市を通して民間の取り組みを促す助成事業、これをたくさん実施しております。
 しかしながら、こうしたものの中にも執行率の低いものが散見されます。例えば緊急輸送道路の沿道建築物の耐震化事業、この執行率は一八・四%であります。首都直下型地震が来るおそれというのは非常に高まっている。ましてや今回の防災計画の見直しの素案の中でも、この首都直下型地震の被害が最大だといわれておりますが、まさにこういった事業は、都民の命と財産を守る取り組みとしましては最重要施策の一つであると思っております。この執行率では、都民の命、財産を守ることができるのかなと疑問に思うところでもございます。
 都は、緊急輸送道路の沿道建築物の耐震化事業に対して、どのように取り組みをされてこられたのか、見解をお伺いします。

○小野耐震化推進担当部長 都は、条例制定後、所有者が速やかに耐震診断に取り組めるよう、義務化に先立ち、区市町村と連携しまして、すべての対象建築物、約五千棟を対象として、個別訪問の実施や説明会の開催を行い、条例や助成制度の内容等について周知徹底してまいりました。
 また、本年の四月からは耐震診断の義務づけが施行されたことから、建築士の団体とも連携し、個々の所有者の事情に応じまして、さまざまな相談への対応や建築士のあっせんなどを行ってまいりました。

○鈴木(勝)委員 今お話をいただきましたように、かなりきめ細かな施策が施された。特に、今のお話の中にありましたけれども、緊急輸送道路の耐震事業についての耐震診断、これが非常に進んだという話でございます。申請件数が、平成二十三年度、この年は九十九件だったものが、今年度は千二百件を超えるところまで耐震診断が進んだということでもございますので、ぜひこれをどんどん進めていただきたい。
 ただ、耐震件数が大きく伸びた理由は、やはり条例で耐震診断を義務化したこと、これが、今お話に出ておりました対象となる五千の事業主体に対する非常に大きな効果があった一つの大きな理由だろうというふうに思っております。
 これから、耐震診断をしっかりした後に、これをどうやって沿道の耐震化に、真剣にとらえていくかということが重要になると思います。これはさまざまな会派から意見が出ておりましたけれども、しっかりとした耐震化そのものを実現できるように、都の独自の施策をこれからもぜひ盛り込んでいただいて、次の予算編成に組み込んでいっていただければというふうに思います。
 ところで、これと同じように、防災の一つの事業でございます耐震シェルター事業、これについて質問させていただきますが、これは、高齢者の安全と命を守る私自身は大変重要な施策であると思っておりましたが、なかなかこれも実績が上がっていないというふうにお伺いをしております。
 耐震シェルター事業の概要とここ数年の実績について、改めてお伺いいたします。

○小野耐震化推進担当部長 耐震シェルター事業につきましては、阪神・淡路大震災で多数の高齢者などが犠牲になっていることを踏まえ、住宅の倒壊から高齢者や障害者などの人命を守るために緊急に対応すべき施策として、耐震シェルターや防災ベッドの設置費用を助成するものでございます。
 制度を開始いたしました平成二十年度には二十五件の実績でございましたが、平成二十一年度と二十二年度はそれぞれ三件、平成二十三年度は十七件、執行率は〇・六%となっております。

○鈴木(勝)委員 今、答弁をいただきましたけれども、本当になかなか思うように執行率が伸びていかない事業の一つだということでございます。この数字だけ見てしまいますと、平成二十三年度は〇・六%の執行率でございますから、この四年間、毎年二億円の予算をとっていながらも、なかなか、これがどういうわけか、区市町村とともに、連携がうまく図られていない、この事業が進んでいないというところです。
 この理由というのは、さまざまおありになるとは思いますけれども、確かに高齢者本人、ご自身の意識、これも問題でありますし、なかなか周知が徹底しなかったといったこともあると思いますが、これについて今後どのように取り組まれていくのか、まずはお伺いいたします。

○小野耐震化推進担当部長 執行率を上げていくためには、耐震シェルター事業が積極的に利用されるよう、利用者、都民に対しまして、必要な情報について十分周知していくことが重要であると認識しております。
 このため、都では、耐震シェルターや防災ベッドの種類、特徴、助成制度の概要につきまして、パンフレットやホームページで紹介してまいりました。
 また、毎年一月と九月に開催しております耐震キャンペーンにおける展示や区市町村が開催するイベントでの巡回展示などを行いまして、実際に実物に触れられる機会も設けてまいりました。
 今後は、こうした周知や展示を積極的に行いますとともに、さらに区市町村とも連携しまして、町会や地域単位のきめ細かい周知、木造住宅の耐震診断や無料相談会の機会をとらえた案内など、創意工夫を行い、効果的なPRに努めてまいります。

○鈴木(勝)委員 今お話をいただきました制度の周知に関しては、ぜひお願いを申し上げたいと思います。
 足立区は、木造密集地域が大変多い場所でございまして、せんだっても地元の消防署長と話をしました。そのときに、一番最初の初期動作で何が重要か、まずは何で住民の命を守る制度がつくれるかというときに、耐震シェルター事業というのが非常に有効だというお話をされておりました。
 特に、阪神・淡路大震災の経験を受けて、実は住宅の倒壊と部屋の中にいたときの転倒によって多くの方が命を失ったという、これはもう明らかに結果で出ているところでございますので、そういう意味では、耐震シェルター事業をぜひどんどん進めていただきたいというふうに思っております。
 私もこの話をよくよく聞いてみると、二十万か三十万ぐらいの予算で、まずは最少の予算で命をしっかり救う。本当に効果が大きな事業なのではないかなというふうに思っております。せっかくこの予算、今まで四年間、随分ととられてきた中でこの執行率ということでございますので、しっかりと区とタイアップをもう一度させていただくなりなんなりしながら、進めていただければなと思います。
 足立区では、転倒防止にたしか二十万円の補助金を出すことを制度として設けておりますけれども、まだまだ足立区でも進んでいない状況で、これも区にしっかり働きかけをしてまいりたいなというところでもございます。
 また、先ほどの緊急輸送道路の沿道建築物の耐震化事業、耐震化の診断が一気に進んだのも、これは義務化をしたことによって耐震化の診断が進んだわけでございますが、こういう都の、命を守る優先順位の高い事業は、できるだけスピードを上げて執行ができるような何か工夫が制度的にされる必要があるのではないかなと、私自身は非常に強く実は思っておりまして、今回の耐震シェルターの事業も、もしこれが、初期動作の中でも特に災害弱者の命を守る上で非常に重要な施策であるならば、条例を制定するなり、あるいは区と一緒になって制度改革をするなり、そういったところで予算づけを制度と一緒にされること、これをぜひ強く要望していきたいというふうに思っております。
 最初、冒頭にお話ししましたけれども、財政状況は非常に逼迫しています。そういう意味では、都の行政サービスがどのように充実して向上していくのか、これはまさに、一年間の予算がどのように執行され、どういう行政サービスが行われたのか、この決算をしっかりと一つ一つ見ていただくこと。そしてまた、執行率の低いものは、なぜ執行率が低いのか、どこに原因があるのか、これはもう皆さん、十分事業の評価をされているとは思いますが、改めて、財政の厳しい中で、みずから予算をどのように使ったかということを分析していただきたい。そして、その分析の結果を次の予算にきっちりと反映していただくように、まさに行政のPDCAサイクルの基本をしっかりと行っていただきたいと思います。
 今回の都市整備局の決算を見てみますと、先ほどいいましたように、執行率が低い制度、見直しが必要なもの、これが実はたくさんございました。五〇%を切る執行率ということでいいますと、随分数が多かったというふうに認識をしております。
 そういう意味で、二十五年度の予算の中で抜本的に事業見直しを行ってもらいたいと考えておりますけれども、改めて局の認識を最後にお伺いいたします。

○浅川総務部長 予算要求に当たりましては、過去の不用額の分析を行い、実績を踏まえた単価や規模を設定するなど、適切な見直しを行っております。
 また、事業実施に伴う成果や執行状況についても検証を行い、創意工夫を凝らしながら、施策の実効性や効率性が上がるよう取り組んでおります。
 今後とも、適切な予算となるよう取り組んでまいります。

○鈴木(勝)委員 ぜひ、予算執行に当たりまして、先ほど申し上げたとおり、都市整備局は大変大きな予算を預かる、そしてまた都民の命や安全を守る事業がたくさんある局でもございます。ぜひとも、都民一人一人の命や財産を守る、そしてまた都民一人一人を、民間企業でいいますと株主あるいはお客様だと思って、最大の行政サービスが効率よく上げられるように、しっかりとご努力いただくことを改めてお願い申し上げまして、私の質問を終わります。

○小宮委員 まず、航空政策について伺います。
 先日、国内のシンクタンクが実施をした世界四十都市の総合ランキングにおいて、東京が昨年と同様、ロンドン、ニューヨーク、パリに次いで第四位であるとの報道がありました。この中で、東京は交通アクセスの分野では八位と、今後一層の課題解決が望まれる結果となっていることからも、東京、ひいては日本のさらなる国際競争力の強化のために、空港の機能強化が必須であると考えています。
 羽田空港については、平成二十二年に四本目の滑走路となるD滑走路の供用が開始をされ、同時に国際定期便が就航して、本格的な国際空港となりました。
 そこでまず、平成二十二年の羽田空港の再拡張以降、航空政策として都がどのような取り組みを行ってきたか、確認しておきます。

○山下航空政策担当部長外かく環状道路担当部長兼務 平成二十二年の羽田D滑走路の供用によりまして、羽田空港の再拡張は実現されましたが、首都圏の空港につきましては、近い将来、需要が供給を上回ることが予想されるため、今後も引き続き、首都圏の空港機能の強化に取り組むことが必要でございます。
 具体的には、羽田空港の空港容量に関する検討やビジネス航空の受け入れに関する検討、さらには横田空域に関する検討などの調査検討を行ってございます。これらの調査結果を活用しながら、国に対し、実現に向けた提案や協議等を行ってございます。

○小宮委員 空港機能の強化に向けた取り組みは引き続き行うことが必要です。このためにも、東京都において、首都圏の空港機能拡張に向けた調査を継続的に行っていると理解をいたしております。
 次に、国際化された羽田空港について、国際線がどのような都市に就航しているのか、現状を教えてください。

○山下航空政策担当部長外かく環状道路担当部長兼務 羽田空港の国際線につきましては、現在、昼間につきましては、ソウル、台北、上海等の近距離アジアに一日三十二便が就航しており、深夜早朝につきましては、ニューヨーク、ロンドンなどへの欧米路線や、シンガポール、バンコクなどへのアジア長距離路線が一日二十一便就航してございます。
 今後、平成二十五年度中には、昼間の国際線発着枠が年間三万回から六万回に倍増され、新たにパリやロンドンなどへの昼間の路線が就航する見込みでございます。

○小宮委員 昼間の国際線が三万回から六万回に倍増するということは、大変大きなインパクトであると思います。首都圏、さらには我が国全体の活力を高めるものというふうに認識しております。これらの羽田空港の再拡張及び国際化の成果というのは、これまでの都の積極的な働きかけによって実現をしたものと認識します。
 羽田空港の機能強化と国際化を推進していくために、今後、都はどのように取り組んでいくのか伺います。

○山下航空政策担当部長外かく環状道路担当部長兼務 羽田空港は、都心に近く、二十四時間利用できる空港でございまして、我が国の将来を左右する重要なインフラであるため、その機能を十二分に発揮させていくことが必要でございます。
 羽田空港のさらなる機能強化及び国際化につきましては、再拡張以降も国に働きかけてきた結果、発着枠の増加に対応する国際線旅客ターミナルの拡張工事が先月着手されるとともに、長距離国際線の大型化を可能とするC滑走路の延伸につきまして、供用開始時期の前倒しの方針が平成二十五年度概算要求によりまして明らかにされました。
 今後、都は、ビジネス航空の受け入れ体制の強化や羽田空港跡地の空港と密接に関連し、一体となった利用促進など、都心に近い羽田空港のその機能を十分発揮させ、より一層の機能強化とさらなる国際化が図られるよう国に働きかけてまいります。

○小宮委員 今後も引き続き、国際競争力強化のために、羽田空港の機能強化、国際化の推進に向けて取り組んでもらいたいと思います。
 次に、沿道一体整備事業について伺います。
 この事業は平成十六年度から進められており、延焼遮断帯の形成等によりまして、防災性の向上に寄与する大変重要な事業であると認識をしています。
 沿道一体整備事業は、道路整備にあわせて沿道のまちづくりを進めていくと聞いておりますけれども、初めにその詳細な事業内容について伺います。

○西倉防災都市づくり担当部長 沿道一体整備事業は、都市計画道路の整備にあわせまして、民間活力を誘導しつつ、残地を取り込んだ共同化や土地の交換分合など、さまざまな手法を活用いたしまして沿道のまちづくりを進め、合理的な土地利用を促進するとともに、建物の不燃化と延焼遮断帯の早期完成を図るものでございます。

○小宮委員 道路整備だけでなくて、あわせて沿道のまちづくりというものを一緒に進めていくというのは、地元の住民にとっても理解しやすいものですし、事業を推進する原動力ともなると考えます。
 そこで、まちづくりの具体的な取り組みについて、これまでの実績を教えてください。

○西倉防災都市づくり担当部長 沿道一体整備事業につきましては、目黒本町地区や十条地区、東池袋地区など五地区で事業を進めておりますけれども、これまで先行的に実施してきた東池袋地区や鐘ヶ淵地区におきまして、共同建てかえや協調建てかえが完了するなど、沿道まちづくりの成果が出てきております。
 また、すべての地区におきまして、沿道一体整備事業を契機に、都と区が連携して、地元の町会や商店会などに働きかけた結果、住民が中心となったまちづくり協議会が新たに結成されるなど、地域のまちづくりの機運が盛り上がってきております。
 平成二十三年度におきましては、目黒本町地区で、共同建てかえに向けて防災街区整備事業の準備組合が設立されるなど、まちづくりが具体的に進んでいる街区もございます。
 また、東池袋地区におきましては、まちづくり協議会の発意により、まちづくりフェスタを開催いたしまして、豊島区や下水道局、交通局、消防庁、新都市建設公社などとも協力いたしまして、防災に関するパネル展示やグッズの配布などを行い、地元の機運の醸成を図っているところでございます。

○小宮委員 沿道のまちづくりを進めていくためには、沿道住民の理解や主体的な取り組みが何よりも重要であると思います。ぜひ引き続いて区と連携をしながら、地元の機運の醸成に努めていただきたいと思います。
 東京の再生には、木造住宅密集地域の整備による災害に強いまちづくりが急務であります。これから新たに実施をする木密地域不燃化十年プロジェクトに合わせて、建物の不燃化と延焼遮断帯の整備を図る沿道一体整備事業も着実に進めていくことが必要です。
 そこで、今後どのように沿道一体整備事業を進めていこうとしているのか、見解を伺います。

○西倉防災都市づくり担当部長 現在、事業に着手している区間につきましては、引き続き、地元住民の理解と協力を得ながら、地元区と連携し、関係権利者の意向を十分踏まえ、合意形成に努めるとともに、土地の有効利用などに関する民間のノウハウを積極的に活用するなど、さまざまな方策を駆使し、沿道一体整備事業を推進してまいります。
 また、木密地域不燃化十年プロジェクトにおける特定整備路線として、既に選定している鐘ヶ淵地区の補助第一二〇号線の未着手区間や大山地区の補助第二六号線など新たに事業化を検討している区間につきましても、引き続き、地元区と連携を図りながら、早期の事業着手に向け、全力で取り組んでまいります。

○小宮委員 次に、耐震改修促進事業について伺います。
 首都東京の防災対策の中でも重要な課題の一つは、震災時における緊急輸送道路の確保であります。緊急輸送道路は、日常は幹線道路として多くの都民が利用するとともに、震災時には、救急活動や物資の輸送などに利用される都民の生命線であります。
 緊急輸送道路沿道建築物の耐震化については、平成二十三年三月十一日に条例が可決をされ、その後、都としてもさまざまな施策に取り組んできたと思います。
 そこで初めに、平成二十三年度における取り組みと今年度の進捗状況について伺います。

○小野耐震化推進担当部長 都は、条例制定後、所有者が速やかに耐震診断に取り組めるよう、義務化に先立ち、約五千棟を対象としまして、休日や夜間を含む個別訪問や説明会の開催を区市町村とも連携して行い、条例や助成制度の内容について周知徹底してまいりました。
 また、診断義務化が施行された本年の四月からは、建築士の団体とも連携し、個々の所有者の事情や建物の状況にも応じて、所有者からの具体的な相談への対応や建築士のあっせんなどを精力的に行ってまいりました。
 こうした取り組みの結果、平成二十四年度の助成件数につきましては、九月末時点の申請件数で、耐震診断が千二百三十四件、補強設計が四十七件、改修工事が二十五件と、平成二十三年度の実績に比べて大幅に伸びております。

○小宮委員 条例の制定や職員の皆さんのご努力の結果、助成申請件数が大きく伸びていることを評価したいと思います。年度後半も耐震化の取り組みを継続して、実績を伸ばしていくようお願いいたします。
 助成の窓口は区市町村ですが、年度末近くなると、助成申請をしても受け付けてもらえず、翌年度回しにされるのではないかという所有者の不安の声を聞きました。せっかく所有者が耐震診断を行う気持ちになり、準備が整ったのに、助成金の手続ができないとなると、その後の計画に支障を来すなど影響も少なくないと思います。
 そこで、年度末の助成金の手続について、都としてどのように対応しているのか伺います。

○小野耐震化推進担当部長 助成金の取り扱いにつきましては、同一の会計年度内に申請から受け取りまでの手続を一貫して行うことが原則であるため、年度末の申請では、診断や設計を終わらせ、年度内にすべての手続を完了することが難しく、翌年度回しで申請を受け付けることもございました。
 こうした状況を踏まえまして、一刻も早く耐震化を進める必要があることから、また、所有者の立場も考慮し、事前に事務処理をしておけば、複数の年度にまたがる場合でも助成金の手続が可能となるよう、昨年、国とも調整し、区市町村へ通知したところでございます。
 今年度につきましては、昨年度に増して申請件数が増加することが見込まれることから、年度末を迎えるに先立ちまして、区市町村との連絡会等の場を通じて、複数の年度にまたがる場合の助成金の取り扱いについて周知徹底してまいります。
 あわせまして、区市町村ごとの助成手続の進捗状況を的確に把握し、年度末の円滑かつ適切な事務処理に努めてまいります。

○小宮委員 会計年度というのは役所側の事情ですから、所有者がいつでも助成金を申請することができ、耐震化に安心して取り組めるようにご配慮をお願いしたいと思います。
 耐震診断については、条例で義務づけていますので、着実に進捗すると思いますが、建物の安全・安心を確保するためには、耐震診断の結果をもとに、改修や建てかえにしっかりとつなげていくことが重要です。
 私の選挙区の杉並区だけでも、条例の対象建物は約三百四十棟ありまして、その状況も、商業ビルから分譲マンションとさまざまです。
 今後、耐震化に向けてどのように取り組んでいくのか、最後に伺います。

○小野耐震化推進担当部長 設計、改修助成も、昨年度に比べて大きく増加しており、診断が進み、耐震性能が明らかになることによって、所有者の主体的な取り組みに結びついているものと考えております。
 一方、今後の進め方がわからない、相談できる専門家がいないといった所有者の声もございますことから、引き続き、丁寧な対応を行っていく必要があると認識しております。
 このため、耐震診断が完了した建物の所有者のもとを順次直接訪問するなど、きめ細かい対応を行い、診断結果や所有者の意向を踏まえながら、改修や建てかえに関する助言や助成制度の手続の案内などを丁寧に行ってまいります。
 さらに、この十月一日には、建設業の団体とも連携しまして、さまざまな改修工法や実績のある施工業者を紹介する新たな相談窓口を開設いたしました。
 都といたしましては、こうした窓口を紹介しますとともに、区市町村や関係団体ともより一層緊密に連携し、緊急輸送道路沿道建築物の耐震化に向けて積極的に取り組んでまいります。

○藤井委員 初めに、平成二十三年度決算のうち、都営住宅等事業会計の耐震改修事業について伺います。
 都営住宅は、都民の住宅セーフティーネットの柱として重要な役割を担っております。居住者の安心・安全を確保するためには耐震化を推進することが必要であります。また、都営住宅の耐震化の推進は、民間住宅等の耐震化を促進する上でも効果を発揮するものと考えているところでございます。
 我が党は、かねてより都に対し、都営住宅の耐震化の推進について要望を行ってきたところであります。こうした中で、都は、平成二十年三月に都営住宅耐震化整備プログラムを策定し、耐震化の推進に向けて取り組みを進めてまいりました。
 昨年三月に起きました東日本大震災に対し、我が党は、防災対策の一層の推進が必要であるとの観点から、都営住宅の耐震化をさらにスピードアップするよう都に要望してまいりました。また、さきの第二回定例会で、都営住宅耐震化整備プログラムを改定し、都営住宅の耐震化率一〇〇%を早期に達成するよう、我が党は都に求めたところであります。
 これに対しまして、都は、この七月に都営住宅耐震化整備プログラムの改定を行い、これまでの目標でありました平成二十七年度までに耐震化率を九〇%以上とするという目標に加えまして、平成三十二年度に耐震化率を一〇〇%にするという新たな目標を掲げ、都営住宅の耐震化を推進することにしたわけであります。
 こうした整備プログラムの改定については、大いに評価をいたしますし、また、これに携わりました関係者の皆様のご努力に敬意を表したいと思います。
 さて、平成二十三年度の決算審査に当たりまして、これまでの都営住宅の耐震化の状況について改めて確認をするとともに、都に対して都営住宅の着実な耐震化の推進を求める点から、何点か伺います。
 まず、これまでの都営住宅の耐震化の取り組みと進捗状況について、また、改定をいたしました整備プログラムにおける耐震改修の計画の概要について、お伺いをいたします。

○妹尾営繕担当部長 都営住宅の耐震化の取り組みとして、都は、平成二十年三月に策定した都営住宅耐震化整備プログラムに基づき、これまで、都営住宅の耐震診断を実施するとともに、約一万三千戸の耐震改修を実施してまいりました。
 この結果、平成二十三年度末時点で、都営住宅約二十六万二千戸のうち約十八万戸が耐震性を有することとなり、耐震化率は約六九%となってございます。
 改定した整備プログラムの計画としては、平成三十二年度に耐震化率一〇〇%を達成するため、今後、耐震化が必要な約八万二千戸のうち、建てかえ予定の住宅を除く約五万三千戸の耐震改修を実施することとして、年次計画を策定しております。

○藤井委員 ただいま答弁にありましたように、都営住宅では、平成二十三年度末時点で耐震化率は約七割というふうになっておりますが、平成三十二年度に耐震化率一〇〇%とするためには、今後、約五万三千戸の耐震改修が必要ということであります。事業量としてはかなりの量になりますけれども、今後、年次計画どおり耐震改修の設計や工事を着実に進められるかどうかが、目標を達成できるかどうかにかかってくるわけでございます。
 そこで、東京都には、耐震改修の年次計画を着実に執行する上で、一層の工夫というか、努力が求められると思いますが、今後の取り組みについてお伺いをしたいと思います。

○妹尾営繕担当部長 平成二十三年度は、耐震改修を行った住宅が約七千二百戸であったのに対しまして、平成二十四年度は、二十三年度の二倍以上となる約一万五千戸の耐震改修の実施を計画しております。
 この計画のとおりに執行するためには、耐震改修の設計や工事の進め方などに工夫を凝らし、より的確、効率的に実施することが必要でございます。
 このため、耐震改修工事の実施に当たっては、耐震壁、耐震ブレース、耐震スリットなど、各種の改修工法について、それぞれ設計内容の標準化を図るとともに、耐震改修が必要な住棟の診断結果の状況に応じて適切な工法を選択し、設計や工事を迅速かつ効率的に進めてまいります。
 また、個々の住棟の耐震改修の設計や工事を担当する東京都住宅供給公社と一層緊密に連携し、進行管理を的確に行いながら、耐震改修を着実に実施してまいります。

○藤井委員 今年度の耐震改修が昨年度の約二倍の業務量になるという答弁でございましたけれども、東京都においては、目標の達成に向けて工夫、努力を行いながら取り組んでいくとのことであり、ぜひこの取り組みをよろしくお願いしたいと思います。
 約二十六万戸ある都営住宅は、立地条件や規模、構造もさまざまであります。今後、目標の達成に向けてクリアすべき課題も多々あると思いますけれども、その中で、特に併存店舗つき住棟の耐震改修は、都営住宅の耐震化を進める上で大変大きな課題であると思います。耐震改修の費用負担について、住棟の区分所有者である店舗権利者の合意を得るのが難しいと聞いております。
 こうした併存店舗の耐震改修を行うためには、都として一層の取り組みが必要だと思いますが、併存店舗つき住棟の耐震改修について、これまでの都の取り組みと今後の対応についてお伺いをいたします。

○妹尾営繕担当部長 耐震改修を行う予定の都営住宅のうち、一階などに民間の権利者が区分所有する店舗が併設された併存店舗つき住棟は六十八棟でございます。
 これまで、併存店舗つき住棟の店舗権利者に対しては、耐震化の必要性や区分所有者としての責務について、できるだけ丁寧な説明を行い、耐震改修への協力を要請しております。
 今後、耐震改修を具体的に進めるに当たっては、店舗権利者の負担の少ない工法について検討を行うとともに、改修工事中の店舗の営業や仮移転などについて、店舗権利者からの相談にきめ細かく応じるなど、併存店舗つき住棟の耐震改修の推進に努めてまいります。

○藤井委員 今、答弁にありましたように、併存店舗つきの住棟の耐震改修に当たっては店舗権利者の協力が不可欠であり、こういった住棟の耐震改修ができるかどうかは、耐震化の目標を達成する上で大きなかぎになるというふうに思います。中でも、重要な課題であります緊急輸送道路沿道の耐震化を図るために、併存店舗つき住棟の耐震改修を重点的に進めることが必要であると考えます。
 我が党は、先日の第三回定例会の代表質問において、この点について都の取り組みを質問したところであります。これに対して都は、緊急輸送道路沿道の建築物にかかわる補助制度の適用について、地元区と調整を進めていくという答弁がありました。
 そこで、この緊急輸送道路沿道の併存店舗つき住棟への補助制度の適用について、具体的な都の取り組みについてお伺いをいたします。

○妹尾営繕担当部長 耐震改修を行う予定の都営住宅のうち、緊急輸送道路沿道の併存店舗つき住棟は十二棟でございます。これらの住棟につきましては、現在、店舗の内部調査及び基本設計を完了し、各店舗権利者と折衝を行っております。
 今後、耐震改修の実施設計を行いながら、併存店舗への補助制度の適用について、補助の実施主体である区と具体的な協議を進めてまいります。あわせて、店舗権利者に対し、補助の適用を前提とした費用負担について説明を行い、折衝を推進することにより、権利者の合意形成を図り、耐震改修工事を実施してまいります。

○藤井委員 緊急輸送道路における住棟の店舗権利者に対して、補助制度が適用できるように対応していただいて、耐震改修の推進をぜひ図っていただきたいと思います。
 都においては、こうした併存店舗つき住棟を含め、都営住宅について、平成二十七年度までに耐震化率を九〇%以上、平成三十二年度に耐震化率一〇〇%の目標を確実に達成できるように、ぜひ今後とも力強い取り組みを進めていただくことを要望し、次の質問に移ります。
 次に、新空港線、いわゆる蒲蒲線の整備について伺います。
 この新空港線、蒲蒲線は、京浜急行線と東急多摩川線の二つの蒲田駅を結ぶ路線であります。地元大田区では、蒲蒲線の早期実現を目指して、この路線の需要あるいは事業性について検討するために勉強会を設置しております。
 そこで、まず蒲蒲線の整備について、平成二十三年度の都の取り組みについて伺います。

○石川都市基盤部長 新空港線、いわゆる蒲蒲線は、国の運輸政策審議会答申第十八号におきまして、平成二十七年までに整備着手することが適当であると位置づけられております。
 大田区では、本路線の早期実現を目指して、平成十九年度に、お話のとおり、本路線の需要や事業性について検討するため、勉強会を設置しております。この勉強会を今までに十八回開催しており、平成二十一年八月から毎年、検討結果を調査の取りまとめとして区が公表しています。
 都は、平成二十三年度もこの勉強会にオブザーバーとして参加しており、その中で、本路線の概算事業費や需要、事業性のほか、整備の効果や今後の課題などを検討してきております。

○藤井委員 ただいまの答弁で、大田区が主催しております勉強会に都もオブザーバーとして参加しているということでございましたが、今までに、また現在検討されている蒲蒲線の計画の概要について、改めてお伺いいたします。

○石川都市基盤部長 これまでに大田区が公表した調査の取りまとめによりますと、東急多摩川線の東急蒲田駅手前から京浜急行空港線の大鳥居駅手前までの約三・一キロメートルを地下で結び、東急蒲田地下駅と京急蒲田駅付近に地下駅を新設する計画としております。
 また、京浜急行空港線と東急多摩川線の線路幅が違うことから、東急蒲田地下駅において同一ホームで乗りかえることとしております。

○藤井委員 蒲蒲線の整備については、私も毎日京浜急行を利用しておりますので、京急蒲田とJR蒲田、約八百メーター離れております。歩いて約十分ほどということでございますが、この蒲蒲線については、羽田空港が国際化をされ、年間七百万といわれる海外からのお客さんが羽田に着き、そして都心に向かうには、現在では、京浜急行を使って京急蒲田を通り、品川に行き、都心に行くか、あるいはモノレールで浜松町に行くかという、大体こういったことが多いわけですけれども、蒲蒲線につきましては、整備がされれば、羽田空港から京急蒲田、そして京急蒲田からJR蒲田がつなげられれば、東急線に乗り入れることができ、東急から渋谷に参ります。そして、渋谷から、現在、池袋まで東京メトロ副都心線がつながっておりますので、経由することによりまして、その路線であります目黒区、世田谷区、品川区、渋谷区、新宿区、そして豊島区、練馬区など、東京圏の西南部の地域に広域交通のネットワークが広がるわけでございます。羽田空港へのアクセス強化とともに、蒲田周辺地域を初めとしたまちづくりに大きく寄与するものと期待されているわけでございます。
 また、羽田空港の国際化が進展をいたしまして、先ほど小宮委員のいろいろご質問もあったとおり、今後も国際線の充実強化が図られる予定であります。そうした意味では、蒲蒲線の役割はますます大きくなるものと考えるわけでございます。
 こうしたことから、蒲蒲線は大田区のみならず東京西南部の利便性が向上する路線であり、羽田空港への輸送増強策の一つとして早急に整備すべきであると考えますが、この実現に向けて解決すべき課題について、お伺いをいたします。

○石川都市基盤部長 都といたしましては、本路線の一定の効果については理解しているところでございますが、一方で、多額の事業費や事業採算性の確保のほか、東急と京急の線路の幅が違うことなど、さまざまな課題があると認識しております。
 こうした具体的な課題につきまして、勉強会を通じて引き続き区と議論を重ねるなど、必要な対応を図ってまいります。

○藤井委員 ただいまのご答弁は、今までこの二、三年、都議会本会議あるいは委員会で議論してきて、何ら一歩も前進していない答弁でございます。その課題は、ただいま答弁にあったように、事業の採算性があるかどうかということだと思います。
 地元大田区が、独自のといいますか、それぞれ専門の事業者を通じて採算性等を調査して、その数字は出しているわけですけれども、東京都がそれに対して、採算性に疑問を持っているということが大きなネックかなと。あるいはまた、蒲蒲線の事業が、国の運輸政策審議会におきましてA2路線ということで、早急に取り組む路線ではないことも重々承知しておりますが、先ほどありましたように、羽田空港が国際化をされて、年間七百万から一千万の海外の方を迎えるに当たっては、早急に都心へ向かう交通アクセスを整備すべきであるというふうに考えているわけでございます。
 そういう意味におきましては、蒲蒲線の計画では、地下方式で整備をいたしますと、計画では約一千八十億円の予算がかかると。そのうちの約三分の一を東京都が補助する計画になっておりますので、天下の東京都といたしまして、三百億円の事業費については、何とか局長の決意があればひねり出せるのではないかと私は大変期待をしているわけでございます。
 局長に決意をと思っておりますが、急に聞くと局長も困るでしょうから、今後、さまざまな効果が期待されます蒲蒲線、国、大田区、事業者とともに、都が連携して早期にこれらの課題を解決していただきたいことを要望して、次の質問に移ります。
 次に、羽田空港跡地対策について伺います。
 羽田空港の跡地利用につきましては、現在、国と東京都、そして大田区、さらに隣の品川区で、三者協というのをつくりまして、その三者協で作成をいたしました羽田空港跡地利用基本計画がございます。
 この基本計画によりますと、羽田空港の跡地を三つのゾーンに区分して、第一ゾーンは約十一ヘクタールありますけれども、空港と市街地に近い立地を生かしまして、主に大田区が土地を取得する方向で検討をしているわけでございます。また、第二ゾーンは約五ヘクタールありますが、国際線地区に隣接することを生かした多摩川沿いの地域でございます。こういった羽田空港跡地につきまして、今後どういうものをつくるか、まさに多くの都民が期待をしながら見守っているところでございます。
 そこで、まず第一に、羽田空港跡地について、国と東京都の今までの取り組みについてお伺いをいたします。

○山下航空政策担当部長外かく環状道路担当部長兼務 羽田空港跡地につきましては、羽田空港の価値を最大限発揮させていく上で、空港と一体となった利用を図ることが重要でございます。
 都は、委員が先ほどお話しの国、東京都、地元区で構成する羽田空港移転問題協議会、いわゆる三者協におきまして事務局を担い、計画策定のための共同調査を実施するなど、跡地の活用の検討を進めてまいりました。
 平成二十二年には、同協議会におきまして、跡地の活用をどのように進めていくのかについての具体的な方向性を示す羽田空港跡地まちづくり推進計画を策定し、その後、跡地利用の具体化に向け、土地利用や基盤整備に関する調整を進めております。
 また、国につきましては、推進計画に基づき、多摩川の護岸の調査や第一ゾーンの環状八号線の移設工事などを実施し、この第一ゾーンの環状八号線につきましては、本年三月に移設が完了し、供用されてございます。

○藤井委員 ただいま答弁がありましたように、基盤施設の整備が動き出したということですけれども、それでは土地利用について確認の意味でお伺いをしたいと思います。
 この推進計画にあります第一ゾーン、そして第二ゾーン、それぞれのゾーンの計画についてお伺いをいたします。

○山下航空政策担当部長外かく環状道路担当部長兼務 推進計画におきまして、市街地に近接いたします第一ゾーンでは、国際空港に隣接する立地を生かし、首都東京の国際化と活性化に寄与する産業、文化交流機能を導入するとともに、多目的広場などを設置することとしております。
 また、国際線地区に隣接いたします第二ゾーンにつきましては、国際線旅客等の利便性の向上を図るための宿泊施設や複合業務施設などを導入し、国際線地区との補完的、一体的な土地利用を図ることとしております。
 これらのゾーンのまちづくりにつきましては、二〇二〇年、平成三十二年ころの概成を目指すこととしております。

○藤井委員 第二ゾーンは、ただいまありましたように、空港を利用する人のためのホテルなどの宿泊施設あるいは複合業務施設を導入するということでございます。この第二ゾーンは、多摩川沿いの長い水際線を生かした景観がすばらしいところであります。また、多摩川に面しているということで、親水ネットワークを形成することを計画では明らかにしているわけでございますが、今後、第二ゾーンの開発といいますか、推進についての取り組みについて伺います。

○山下航空政策担当部長外かく環状道路担当部長兼務 推進計画におきまして、第二ゾーンは、宿泊施設、複合業務施設等の整備、運営につきまして、民間事業者からの提案を公募するなど、民間の知恵と資金を最大限活用しつつ、定期借地等により土地利用を進めることとしてございます。

○藤井委員 羽田空港の跡地利用につきましては、これまで三者協において推進計画などを作成してきたわけですが、この推進計画の中で、羽田空港跡地まちづくり推進計画がありますが、この中で、最後にまちづくりの進め方としてですね、推進計画に基づき、国土交通省、東京都、大田区は、十分に連携を図りながら、施設の立地を促進するものとするというふうにうたっているわけです。
 今後、空港跡地のまちづくりの具体化を進めるに当たって、三者協の役割というのが大変重要だというふうに考えるわけですが、確認の意味で、私は、これから先ほど答弁にありました第一ゾーン、第二ゾーンの具体的な計画を進めるに当たって、三者協で協議をしながら進めていかなければならないと思うわけですが、なかなかこの三者協の開催状況が思わしくないという現状であります。
 今も、そういった意味で、この三者協が果たして、この推進計画をつくるまでの三者協なのか、それとも、これからまさに東京都が、今回、羽田空港跡地に国際会議場をつくるということで、今、そのことによって若干この計画がストップしているといいますか、そういう中で、今後とも、第一ゾーンに具体的に何をつくるか、第二ゾーンにどういうものを持ち込むか、こういったことを、三者協がしっかりと機能していくためには、事務局であります東京都の役割が重要であると、このように考えますが、この点についての考え方をお伺いいたします。

○山下航空政策担当部長外かく環状道路担当部長兼務 三者協につきましては、羽田空港移転に関し、国、東京都、地元区の三者が話し合いを進めるため設置されたものでございます。
 今後、新たに話し合いが必要な事項が生じた場合には、適宜、三者協を開催するなど、三者協の枠組みを活用しながら適切に対応してまいります。

○藤井委員 皆様ご承知のとおり、知事が羽田空港跡地に国際会議場をつくりたいというふうに発言をされました。それを受けて、東京都が第二回定例会で国際会議場の設置についても明らかにしたわけでございます。
 ご承知のとおり、国際会議場をつくる予定の第一ゾーンは、既に、平成二十二年十月に出した推進計画において、地元大田区が土地を取得して、そしてこの土地に産業交流施設や、あるいはいざというときの災害のときに地元区民が避難をする区民広場、あるいは羽田の歴史コーナー等々、産業交流施設、そしてまた展示場、こういったものをつくるというふうに既に計画を明らかにしていたわけでございます。そこに新たに東京都が国際会議場をつくると後から計画を出してきたために、私は、今この計画がストップしているというふうに思っております。
 そして今、東京都と大田区というか、東京都の中で、国際会議場をどうするか、どのぐらいの規模のものをつくるのか、設置主体はどこなのか、そしてまた地元大田区の計画とどう整合性を持つのか、特に都庁の中で検討しているというふうに聞いておりますが、いずれにいたしましても、国際会議場の概要が決まらなければ、この推進計画が、ほかが進まないという現状にあるわけでございます。
 後から出してきた計画で当初の計画がおくれているということについて、私は東京都の取り組みについて、だったらばもっと早く計画を出すべきだと。十年近く前、私は、この跡地利用計画について東京都としての案を出すべきだということを訴えました。その際、東京都は、都としての案はありませんと答えたわけでございます。さらにはまた、数年前、東京都に対しまして、第一ゾーン等の羽田空港の跡地を東京都が取得すべきではないかと訴えましたところ、東京都は取得することは考えないというふうに答弁をいたしました。
 このように、東京都として真剣に、事務局として、この跡地利用について都が率先して計画を立て、そして地元大田区や国との調整をすべきだというふうに考えますが、その点について局長の考えと、そして最後に、推進計画に示しているスケジュールを目指して、推進計画では二〇二〇年に計画を完結させるというふうになっておりますので、跡地のまちづくりを進める責任ある局長としてのご決意を伺います。

○飯尾都市整備局長 羽田空港でございますけれども、都心からの距離約十六キロメートルで、ほかの海外の大きな都市に比べても非常に近いところにございます。また、地元のご協力もいただきまして沖合展開を進めてきた関係で、面積も非常に広大でございまして、山手線の内側の面積の大体四分の一に当たります千五百ヘクタールぐらいの土地がございます。さらに、海に面したところにあるものですから二十四時間使えるという、これは首都圏の空港には非常に重要なインフラになっておりまして、東京都としましては、空港の沖合展開によって生じた跡地につきましても、国際化だとか機能強化というようなものにつながるような形で活用することが非常に重要だというふうに認識をしておりまして、その一環といたしまして、新たな国際線のターミナルというのは、跡地の中に東京都として提案して、ここに設置をしていただいたという経緯もございます。
 このような考えのもとで、これまで跡地のまちづくりについて、先ほど藤井委員からお話しあったとおり、三者協の事務局は東京都がずっと担ってきておりますので、この中で、さらにまた残された跡地になりますけれども、この跡地をどういうふうに活用していくのかということで、今までいろいろな取り組みをいたしまして、例えば、平成二十年に跡地利用の基本計画を定めまして、二十二年に推進計画というような形で、第一ゾーンというのは地元の大田区にとっても非常に重要な場所でございますので、地元大田区のいろいろなご意向も踏まえながら、まちづくりの推進計画というところまで持ってきたというふうに考えております。
 ご案内のとおり、推進計画では、二〇二〇年、平成三十二年ころにまちづくりを概成するという目標を定めてございますので、この目標の年次に向けまして、これまでにさらに増して、国あるいは地元大田区との調整を鋭意進めてまいりたいと、このように考えております。

○藤井委員 先ほど局長からもありましたように、二〇二〇年は、東京都として東京オリンピックの招致を目指して、我々も今、地元の皆様にお声をかけているところでございます。二〇二〇年にオリンピックがもし東京に決まった際には、同じ時期に空港跡地の利用においても、跡地にまちづくりがしっかりと形成されて、そして世界の人たちを迎える準備をしていきたいと私も思いますし、また、そのために局長を先頭に、都市整備局が跡地利用に対して積極的にさらに取り組まれるよう要望して、質問を終わります。

○西崎委員 私からは、まず住宅政策について伺いたいと思います。
 近年、東京都内でも空き家の問題が顕在化し、主に防災、防犯上の観点から、各自治体による空き家の調査や条例化が進められております。
 先日も、世田谷で、四十年を超える昭和の名作住宅がひっそりと姿を消しつつある状況を、何とか市民やNPOの人たちが協力して保存できないかと写真展を開き、広く働きかけている人たちのお話も伺いました。
 このような住宅に住み続けてあげることが大切だといわれていましたが、今後の人口減少とまちづくりを考えますと、新たな住宅開発を避け、ストックの活用へシフトするような誘導策が必要だと考えます。
 そこで、都では空き家調査を実施していませんが、国の調査や各自治体の調査から、どのような課題が明らかになり、ことし三月に策定されました住宅マスタープランに生かされているのか伺います。

○香山住宅政策担当部長 平成二十年に行われました住宅・土地統計調査によりますと、都内には、世帯数を一割以上上回る約七十五万戸の空き家が存在しております。
 防災上の問題や、少子高齢化に伴い多様化する都民の居住ニーズ等への対応のため、空き家を積極的に活用することは重要な課題であると認識しております。
 本年三月に策定いたしました住宅マスタープランにおきましては、空き家の活用促進に向けたモデル事業や既存住宅流通の活性化のための調査等を踏まえて、空き家活用の促進策を検討することといたしております。

○西崎委員 高齢者のみの世帯やひとり暮らしがふえています中で、高齢者の住宅確保は大きな課題となっております。
 都では、高齢者居住安定確保プランを策定し、高齢者向けの賃貸住宅を整備してまいりました。昨年四月の法改正に伴いまして、サービスつき高齢者向け住宅の登録制度が創設されました。これまで高齢者専用賃貸住宅だったものなどから、サービスつき住宅に変わったところも多いと考えられます。
 そこで、ケアつき賃貸住宅(東京モデル1)の平成二十三年度の進捗状況はどのようになっているのか。また、この中で高齢者向け住宅以外の既存ストックを活用したものはどのくらいあるのか、伺います。

○笹沼民間住宅施策推進担当部長 高齢者向けケアつき賃貸住宅(東京モデル1)につきましては、平成二十一年度から二十六年度までに約六千戸を供給することといたしております。
 平成二十三年度は新たに約千八百戸が供給されまして、平成二十一年度から二十三年度までの合計は約二千七百戸となっており、着実に整備が進んでおります。
 また、改修によりまして、高齢者向け住宅以外の既存ストックを高齢者向けケアつき賃貸住宅に活用した戸数は、平成二十三年度は二十戸でございます。

○西崎委員 高齢者居住安定確保プランでも、地域で高齢者を支える仕組みの構築が示されておりますけれども、高齢者の住まいを個別に確保するだけではなくて、地域全体のまちづくりやコミュニティという観点から住宅政策を考える必要があると思います。
 URの団地再生の取り組みが始まっているところもありますが、高齢者は高齢者、障害者は障害者ということではなくて、一緒になって生活できるソーシャルミックスを目指した誘導策を地域自治体と一緒に考えていくことが重要だと思います。
 公社住宅の建てかえに当たって、高齢者、子育て世代が隣接して居住する多世代共生の住宅づくりを進めているということですけれども、平成二十三年度、具体的に動き出したところはあるのか伺います。

○香山住宅政策担当部長 東京都住宅供給公社におきましては、建てかえに当たって、高齢者向け住宅等の併設を計画している板橋区向原住宅と世田谷区烏山住宅におきまして、平成二十三年度にそれぞれ提案を募り、運営事業者と設計事業者を選定いたしました。
 いずれの事業者からも、入居者や地域の高齢者が利用できる介護事業所や診療所、地域の子育て支援のための保育所の併設が提案されております。
 また、地域住民の交流を促進するため、コミュニティカフェを整備するとともに、自治会と協働したさまざまなイベントの開催なども検討しているところでございます。

○西崎委員 今お話がありましたように、公社住宅などの建てかえに当たっては、単に建物だけを新しく再生していくだけではなくて、ソーシャルミックスを目指した住まい方、あるいは地域のコミュニティの核となるような住まいのあり方など、施設整備など、今後の取り組みが大変重要だと考えておりますので、ぜひこのような取り組みを積極的に進めていただくよう要望いたします。
 次に、緑の保全について伺います。
 「十年後の東京」計画における水と緑の回廊で包まれた美しいまち東京を復活させる目標の実現に向けまして、特に減少傾向にあります民有地の既存の緑や、あらゆる都市空間への緑化等の課題に対して、都と区市町村が連携し、計画的に東京の緑を確保していくことを目的に、平成二十二年五月に緑確保の総合的な方策が策定されました。
 その中で、重点的に取り組むべきプロジェクトとして、既存の緑を一層確保するために、崖線の緑の保全などが挙げられております。崖線の緑は、都市の緑のネットワークや地域の景観形成上重要な役割を担っており、広域にわたって一体的に保全を推進する必要があります。
 私は地元が世田谷ですけれども、以前、国分寺崖線沿いの緑の保全に向けて、関係自治体や市民を集めてシンポジウムを開いたり、世田谷にはトラスト協会がありますけれども、世田谷トラスト協会を中心に啓発活動を行ったりしておりました。市民も関係自治体も保全に対しては意識が大変高く、意欲的だと思いました。
 そこで、崖線の緑を保全するための取り組み内容についてお聞かせください。

○町田都市づくり政策部長 崖線の緑は、市街地の中に残る貴重な緑でございます。これを保全するには、行政界を越えた一体的な取り組みが必要でございます。
 そこで、都は、平成二十一年度に、立川市など関係八市と多摩川由来の崖線の緑を保全する協議会を設置いたしまして、連携して緑の保全に取り組んでいるところでございます。
 平成二十三年度には、崖線をわかりやすく説明しました都民向けの冊子を作成するとともに、崖線の緑をテーマといたしましたシンポジウムやウオークラリーを開催いたしております。
 さらに、これらの取り組みを踏まえまして、崖線の緑の保全や活用を図るための手法や手順を示したガイドラインを作成しております。
 今後とも、このような取り組みをさらに積極的に進めまして、区市町村や都民とも協力し、崖線の貴重な緑の保全に努めてまいります。

○西崎委員 都市において良好な自然的環境を形成している緑地を指定して、良好な都市環境の形成を図るために、都市緑地法に基づきまして特別緑地保全地区を指定しております。この制度は、相続税の評価減や土地の買い取りに国の支援制度を適用できるなど、民有地の緑地を保全していくには有効だと考えております。
 そこで、特別緑地保全地区の指定促進のための取り組み内容と成果について伺います。

○町田都市づくり政策部長 特別緑地保全地区は、屋敷林や崖線などの民有地の緑を保全する都市計画の一つでございます。
 この区域内では、開発行為が許可をされない場合に、地権者は自治体に対しまして土地の買い取りを請求することができます。一方、自治体にもこれに応ずる義務が生ずるため、なかなか指定が進まず、結果として緑地の保全が担保されないという状況にございました。
 そこで、都は、平成二十二年度からの五年間、用地取得費の三分の一を上限とする国の補助に加えまして、都も三分の一を上限として区市町村に補助する制度を創設し、特別緑地保全地区の指定を推進することといたしました。
 昨年度は、八王子市の上川の里特別緑地保全地区など五カ所、合計約四十ヘクタールにつきまして、都は三億四千六百万円の補助を行い、国と合わせますと六億四千百万円の補助額となっております。
 制度創設以来の二カ年を合わせますと、延べ七カ所、合計約七十三ヘクタールにつきまして、都は五億四千万円の補助を行い、国と合わせ十億二千七百万円の補助額となっているところでございます。
 今後も、区市町村と連携いたしまして、特別緑地保全地区の拡大に取り組んでまいります。

○西崎委員 年々、世田谷でも緑が減少している状況にあると思います。崖線沿いの緑の保全並びに民有地の緑を、いろいろな手法を使ってぜひ保全に取り組んでいくことを要望いたします。
 最後に、総合治水流域対策についてお伺いしたいと思います。
 近年、ゲリラ豪雨と呼ばれる局地的な豪雨がふえております。最近、東京都内で起こっている水害は、内水はんらんによるものであり、東京の治水はこれに備えることが喫緊の課題です。
 都は、平成十九年八月に豪雨対策基本方針を策定いたしまして、河川、下水道の整備に加え、流域対策を進めることとしています。都は、流域対策を促進するために、雨水浸透施設の設置を流域対策の一つとして位置づけまして、個人住宅への浸透ますなどの雨水浸透施設の設置助成を行っている区市に対して、その費用の一部を補助する雨水流出抑制事業を行っていると聞いております。
 そこで、雨水流出抑制事業の内容と平成二十三年度の実績について、お聞かせください。

○石川都市基盤部長 雨水流出抑制事業は、豪雨対策基本方針で対策促進エリアとしている野川など七流域において、個人住宅への浸透ますなどの設置を促進するものでございまして、流域対策をより一層進めるために重要な事業でございます。
 この事業では、個人住宅を対象に、浸透施設の設置に対して助成を行っている区市に対し、一件当たり十一万円を限度に補助を行っております。平成二十三年度からは、既存の個人住宅に関し、これまで五百平方メートル未満に限定していた規模要件を廃止するなど、雨水浸透施設の整備促進に取り組んでおります。
 こうした取り組みもあり、平成二十三年度の実績としては、補助件数が約四百八十件、補助金の総額が約二千六百万円でございます。

○西崎委員 雨水浸透ますを設置する事業の促進には、流域に住んでいる方々の理解と協力が不可欠だと思います。
 そこで、個人住宅における雨水浸透施設の設置促進に向けた取り組みについて伺います。

○石川都市基盤部長 個人住宅への雨水浸透施設の設置を促進するには、都民の方々への普及活動を行うとともに、制度を一層充実させることが必要でございます。
 普及活動としては、関係区市に対し、雨水流出抑制事業費補助の説明会を開催し、事業の推進を図るよう要請を行っております。また、各区市においても、独自のパンフレットを作成したり、ホームページや広報紙を通じて住民への周知徹底に努めております。
 また、小学生向けの総合治水パンフレットやポスターを作成し、各自治体や学校に配布するとともに、治水施設の見学会等の機会をとらえて、参加者に浸透施設設置の重要性を訴えております。
 平成二十四年度からは、宅地が狭く、浸透ます等が設置できない個人住宅に対して、宅地から公共雨水浸透ますへ、直接排水管を接続する工事に対しても補助を適用できるようにする制度の充実を図ったところでございます。
 今後も、このような取り組みを進め、雨水流出抑制事業を積極的に推進することにより、安心・安全なまちづくりに取り組んでまいります。

○西崎委員 雨水浸透ますの一つ一つは大変小さいですけれども、数多く設置していくことによって治水対策として効果を発揮すると思います。それと同時に、雨水浸透は地下水涵養の観点からも重要だと考えます。
 今後とも積極的に進めることを要望いたしまして、私の質問を終わります。

○高倉委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑は、いずれもこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○高倉委員長 異議なしと認め、本件に対する質疑はいずれも終了いたしました。
 以上で都市整備局関係を終わります。
 これをもちまして本日の分科会を閉会いたします。
   午後三時三十四分散会

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