委員長 | 神野 吉弘君 |
副委員長 | 村上 英子君 |
副委員長 | 大津 浩子君 |
小林 健二君 | |
中屋 文孝君 | |
中山 信行君 | |
山口 拓君 | |
野上ゆきえ君 | |
吉田 信夫君 | |
田中たけし君 |
欠席委員 なし
出席説明員警視庁 | 警視総監 | 樋口 建史君 |
総務部長 | 室城 信之君 | |
警務部長 | 辻 義之君 | |
交通部長 | 鈴木 基久君 | |
警備部長 | 黒木 慶英君 | |
地域部長 | 蛭田 正則君 | |
公安部長 | 石川正一郎君 | |
刑事部長 | 吉田 尚正君 | |
生活安全部長 | 河合 潔君 | |
組織犯罪対策部長 | 毛利 徹也君 | |
総務部企画課長 | 渡邊劍三郎君 | |
総務部会計課長 | 松本 雅道君 | |
東京消防庁 | 消防総監 | 北村 吉男君 |
次長人事部長事務取扱 | 大江 秀敏君 | |
企画調整部長 | 高橋 淳君 | |
総務部長 | 佐藤 直記君 | |
警防部長 | 石井 義明君 | |
防災部長 | 伊藤 克巳君 | |
救急部長 | 荒井 伸幸君 | |
予防部長 | 有賀雄一郎君 | |
装備部長 | 小室 憲彦君 | |
企画調整部企画課長 | 阿出川 悟君 | |
企画調整部財務課長 | 高橋 直人君 | |
主税局 | 局長 | 新田 洋平君 |
総務部長 | 目黒 克昭君 | |
税制部長 | 田倉 英明君 | |
税制調査担当部長 | 小山 明子君 | |
調整担当部長 | 須藤 充男君 | |
課税部長 | 木村 芳生君 | |
資産税部長 | 阿南 威彦君 | |
徴収部長 | 宗田 友子君 | |
特別滞納整理担当部長 | 西海 哲洋君 |
本日の会議に付した事件
平成二十二年度東京都各会計歳入歳出決算の認定について
警視庁関係
・平成二十二年度東京都一般会計決算(質疑)
東京消防庁関係
・平成二十二年度東京都一般会計決算(質疑)
主税局関係
・平成二十二年度東京都一般会計決算(質疑)
・平成二十二年度東京都地方消費税清算会計決算(質疑)
○神野委員長 ただいまから平成二十二年度各会計決算特別委員会第一分科会を開会いたします。
本日は、お手元配布の会議日程のとおり、警視庁、東京消防庁及び主税局関係の決算に対する質疑を行います。
これより警視庁関係に入ります。
初めに、先般の人事異動に伴い、幹部職員の交代がありましたので、警視総監から紹介があります。
○樋口警視総監 先般の人事異動によりまして幹部の交代がございましたので、ご紹介申し上げます。
皆様方から向かいまして左手でございますが、刑事部長吉田尚正でございます。
よろしくお願いいたします。
〔理事者あいさつ〕
○神野委員長 紹介は終わりました。
○神野委員長 決算の審査を行います。
平成二十二年度東京都一般会計決算中、警視庁所管分を議題といたします。
本件については既に説明を聴取しておりますので、直ちに質疑を行います。
発言を願います。
〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○神野委員長 発言がなければ、お諮りいたします。
本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○神野委員長 異議なしと認め、本件に対する質疑は終了いたしました。
以上で警視庁関係を終わります。
○神野委員長 これより東京消防庁関係に入ります。
決算の審査を行います。
平成二十二年度東京都一般会計決算中、東京消防庁所管分を議題といたします。
本件については既に説明を聴取しておりますので、直ちに質疑を行います。
発言を願います。
○山口委員 それでは、幾つか質問、そして確認をさせていただきたいと思います。
東日本大震災におきまして、東京消防庁の皆様には、本当に各地で身を挺して、そして危険を顧みずにご苦労、ご活躍をされたことに心から敬意を表し、感謝を申し上げたいと思います。
この災害から多くのことを学び、そしてこの東京においても生かしていかなければいけないときを迎えている中で、震災が発生したとき、予防、準備、備えというものについて幾つかお伺いをしてまいりたいと思っております。
震災が発生をした場合、都民がけがをせず、次の行動である初期消火、避難などに速やかに移れるということは、被害の軽減にとって極めて重要だと考えます。
そのため、家庭や職場において、地震時におけるけがの発生の原因の一つである家具類の固定をしておくということが、都民一人一人が実施ができる極めて身近なところから、トータルの被害軽減につながる重要な対策ではないかと考えるところでありますが、今現在、家庭における家具類の固定の実施の状況と普及推進状況についてお伺いしたいと思います。
○伊藤防災部長 東京消防庁では、平成十五年に発生した宮城県北部を震源とする地震を契機に、都民に対し、家具転倒防止器具の取りつけ講習会や座談会を実施するとともに、映像、パンフレットを活用した広報を展開し、普及啓発を積極的に推進してきたところでございます。この結果、本年六月に実施した消防に関する世論調査では、家具類の固定の実施率は五三・六%となっております。
今後も、都の関係部局、区市町村及び関係業界と連携し、事業所を含めた転倒落下防止対策の普及に一層努めてまいります。
○山口委員 五三・六%、まだ半分ぐらいの家具の固定というのが進んでいないということでありますが、より一層ぜひこの普及に努めていただきまして、一人でも多くの方々が予防、また自分自身の身を守ることもさることながら、大きな防災という点でも意味があるんだということもお伝えをいただきながら、普及にお努めをいただきたいと思います。
次に、都民が応急手当ての知識や技術を習得するということは、急病や事故が発生をした場合の救命率の向上はもとより、震災などの大規模災害が発生した場合等における被害の軽減にとって非常に重要であると考えます。
東日本大震災の発生時には、都内においても多数の傷病者が発生をしており、首都直下地震発生時にはより大きな被害も想定をされるわけであります。そのような状況を考慮すれば、応急手当ての普及啓発に一層取り組むべきと考えます。
そこで、これまでの応急手当ての普及実績と今後の取り組みについてもお伺いしたいと思います。
○荒井救急部長 東京消防庁では、東日本大震災が発生し、また、今後、首都直下地震も懸念されることから、自助、共助に基づく救護力の強化がより一層重要であると認識しております。
応急手当ての普及につきましては、十五歳から六十九歳までの東京都の昼間人口の二〇%に当たる二百二十四万人を目標に、AEDを含めた心肺蘇生法などを学ぶ救命講習を実施しております。平成二十二年度には二十一万人に受講いただき、この目標に向かって着実に推進をしております。
本年九月には、救急医療の専門家などで構成される東京消防庁救急業務懇話会に対し、地域の救護力の強化や、応急手当てを不安なく実施する方法などについて諮問をしたところであり、これらの検討状況を踏まえ、さらなる応急手当ての普及啓発に努めてまいります。
○山口委員 もちろん、そういう場面に遭遇をしないことが一番望ましいわけでありますが、いざというときの、ご答弁にもあったように、不安がない準備、備えをしておくということは大変効果あることだと思いますので、引き続き普及啓発にお努めをいただければと思います。
さて、東日本大震災においては津波による被害が大きかったわけでありますが、東京において震災が発生した場合には、火災の発生に対する備えを忘れてはいけないと思います。
火災発生時においては、消火栓が活用できないことを想定して、東京においては防火水槽の整備を進められています。とりわけ木造密集地域において、火災の被害を軽減するためには、防火水槽を整備しておくことは大変重要な対策の一つであると考えます。
第二回定例会の代表質問において、我が党から、木造密集地域における出火防止対策について質問をしたところであり、東京の減災に向けて、防火水槽の整備についても言及されたところであります。
一方で、東京の市街地においては、こうした場所を確保することも困難な状況であることは、想像に難しくないところでありますが、震災時における防火水槽の整備についての考え方と、平成二十二年度の防火水槽の整備状況について、お伺いしておきたいと思います。
○伊藤防災部長 当庁では、平成二十二年度に、木造住宅密集地域を重点として耐震性防火水槽十九基を整備しております。防火水槽は、震災時における同時多発火災や市街地大火に対処できる消防水利として、延焼危険度に応じて百トンまたは四十トン級で設置しており、今後とも計画的に整備をしてまいります。
○山口委員 そして最後にもう一点伺いたいんですが、震災時の消火用水の確保のため、平成二十二年度補正予算においても深井戸を整備するとのことでありましたが、震災時に活用される深井戸の整備状況と整備の考え方についてもお伺いしたいと思います。
○伊藤防災部長 深井戸は、地下水をくみ上げることにより大量の消火用水が確保され、震災時の市街地大火への効果が期待できることから、今年度末までに計三基を整備することとしております。これらは、災害時における消火用水としての機能に加え、地域住民の生活用水にも転用可能であり、震災時に有効に活用できるものと考えております。
今後とも、延焼危険度が極めて高く、かつ防火水槽や自然水利の確保が困難な木造密集地域に対し整備してまいります。
○山口委員 消防庁の各位皆様が日々の災害に備え、そして、さまざまな場面を想定して準備、訓練、備えられていることは重々承知をいたしております。しかし、それと同時に、都民お一人お一人が、いかにこういった場面を想定し、準備、備えができるかということが大変重要だと思います。
どうか皆様の日々のご経験やご訓練を都民の皆様にも広くお伝えをいただいて、いざというときに不安なく対処、対応ができる啓蒙というものにお努めをいただきますよう引き続きお願い申し上げまして、私からの質問を終わります。
○神野委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○神野委員長 異議なしと認め、本件に対する質疑は終了いたしました。
以上で東京消防庁関係を終わります。
○神野委員長 これより主税局関係に入ります。
決算の審査を行います。
平成二十二年度東京都一般会計決算中、主税局所管分及び平成二十二年度東京都地方消費税清算会計決算を一括して議題といたします。
本件については、いずれも既に説明を聴取しております。
その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
資料について理事者の説明を求めます。
○目黒総務部長 先般の委員会におきまして要求のございました主税局関係の資料について、ご説明申し上げます。
恐れ入りますが、お手元の平成二十二年度各会計決算特別委員会第一分科会要求資料の一ページをお開きいただきたいと存じます。一ページの要求資料第1号、都税収入の推移についてご説明申し上げます。
この表は、平成十三年度から平成二十二年度までの都税収入の推移についてお示ししたものでございます。
次に、二ページの要求資料第2号、法人事業税の税率の推移についてご説明申し上げます。
この表は、昭和四十九年度以降の法人事業税の税率の推移についてお示ししたものでございます。
次に、三ページの要求資料第3号、法人二税の超過課税収入額の推移についてご説明申し上げます。
この表は、平成十五年度から平成二十二年度までの法人二税の超過課税収入額の推移についてお示ししたものでございます。
次に、四ページの要求資料第4号、上場株式等の配当及び譲渡益に対する軽減税率適用による個人都民税の影響額についてご説明申し上げます。
この表は、平成十五年度から平成二十二年度までの上場株式等の配当及び譲渡益に対する軽減税率適用による個人都民税の影響額をお示ししたものでございます。
要求のございました資料に関する説明は以上でございます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。
○神野委員長 説明は終わりました。
ただいまの資料を含め、これより本件に対する質疑を行います。
発言を願います。
○大津委員 少子高齢化は確実に進行しており、死亡数が出生数を上回る人口減による東京都の人口減少は明らかです。
国勢調査をもとにした知事本局の予測によりますと、二〇一五年ごろの千三百八万人をピークとして、二〇二〇年は千二百九十四万人、そして二〇二五年以降は、社会移動率が変わらないものとした参考推定として、二〇三〇年、千二百三十二万人と、東京都民の人口の推移は減少を示していきます。当然、人口の減少により、個人都民税等の税収も減少を示していくこととなります。
しかし、税を負担する人たちが生き生きと健康に安全に働き、幸せに暮らせる社会の基盤づくりをしてこそ、税の議論ができる意義があることを忘れてはならないと思います。重要なのは、税金の重みを感じ、一円のむだなく使うことと、国民から信頼を得られるように、決してむだなく使っていく姿勢を忘れてはならないことでもあります。
初めに、都税収入について伺います。
首都東京の大都市特有の財政需要と財政収入のバランスについて、厳しい財政状況が続くと見込まれる中で、都税収入のこれまでの推移はどのようになってきているのか、お伺いします。
○田倉税制部長 都の財政における収入の大宗を占める都税収入は、過去十年間の推移で申し上げますと、平成十四年度と十五年度は、ITバブルの崩壊により三兆円台まで落ち込み、低迷をいたしましたが、平成十六年度から上昇に転じ、以降、四年連続の増収となり、平成十九年度には五兆円を超えました。しかし、平成二十年度以降は、リーマンショックによる企業収益の急速な悪化で法人二税が大幅な減となったこと等により、三年連続の減となり、平成二十二年度は四兆一千四百八十五億円まで落ち込んだところでございます。
○大津委員 人口減少だけでなく、加えて天災や金融危機など歴史が繰り返してきたように、税収も安定的に入り続けると考えるにはリスクがあります。
直近の税収見込みは確実に主税局は積み上げていくと聞いておりますが、都税収入が三年連続の減となり、今後の税収動向が強く懸念される中で、税収の的確な見込みは極めて重要です。
平成二十二年度決算では、法人二税と個人都民税の減が大きいようですが、まず個人都民税について、税収見込みはどのような方法で行っていくのか、お伺いします。
○田倉税制部長 個人都民税の見込みに当たりましては、直近の税収実績に基づき、政府や民間シンクタンクによる経済予測の中から、税収と密接な関連を有するさまざまな経済指標等の動向を勘案しまして、算定をしておるところでございます。
特に、課税対象の中心となる個人所得につきましては、給与所得の状況や消費支出の伸び等を十分に考慮しまして、税額を算定しております。
○大津委員 続いて、都税収入の動向を最も大きく左右する法人二税についても、税収見込みはどのような方法で行っているのか、お伺いします。
○田倉税制部長 法人二税につきましては、主に前事業年度の企業所得に課税されることから、税収は景気動向の影響を強く受けてまいります。
税収の見込みに当たりましては、直近の税収実績をベースとしながら、特に税収と関連を持つ企業収益の伸びの予測値を指標としております。また、これに加えまして、大口法人の状況や、その年度の特殊要因も考慮して算定し、精度を高める努力をしております。
とりわけ、本年度におきましては、千年に一度といわれる東日本大震災による供給網の寸断や、原子力災害に伴う電力供給の制約を背景に、生産が低迷いたしました。さらに、過去最高値となった円高の輸出に与える影響等も加わり、企業収益が大幅に減少する一方、復興需要も見込まれております。こうした税収に大きな影響を与えるさまざまな要因を踏まえつつ、今後とも的確な税収見込みに努めてまいります。
○大津委員 厳しい財政状況が続いていく中で、税金を例えば有効に活用する方法として、目的と使い道がはっきりとしている東京都の独自に課税をする独自税制度や、大都市特有の政策柱を支える政策減税を推進すべきと考えます。
ちょうど九年前、平成十四年度に創設をされました都の独自税制度、宿泊税について、これまでの収入額の推移についてお伺いします。また、宿泊税はどのような使途に充てられてきているのかについても、お伺いをしたいと思います。
○田倉税制部長 宿泊税の収入の推移につきましては、初年度の十四年度は年度途中からの導入でありましたため約五億円、その後、平成十五年度から平成二十二年度までは、約十億円から十四億円の範囲で安定的に推移をしております。
また、宿泊税の税収は、産業労働局などの観光振興事業を所管する局が実施をしております都内施設の割引入場券つきウエルカムカードの作成、観光案内所の設置など、国際都市東京の魅力を高め、観光の振興を図る施策に要する費用に全額が充てられております。
○大津委員 観光都市東京を推進するための宿泊税でもあり、使用と目的がはっきりした税の一つかと考えております。
次に、税金のあり方、かけ方については、やはり弱者への配慮や貧富の格差拡大への対策や、公平、そして平等な税金のかけ方を検討していかなくてはなりません。
そこで、ことし中間答申を発表します東京都税制調査会の議論について伺っていきます。
東京都税制調査会において弱者への配慮の議論はどのようになされてきたのか、伺います。
○小山税制調査担当部長 東京都税制調査会におきましては、貧困や格差拡大への対策といたしまして、就労支援や生活保護等の社会保障や、公教育の充実など、公共サービスの拡充とあわせまして、税の役割の一つである所得の格差を是正する機能を高めていくことが必要としております。
昨年度の中間報告では、社会経済の活力を阻害しないよう配慮しつつ、高額所得者の個人所得課税において、給与所得控除に上限を設定するほか、株式売却益など金融取引等から得られる所得に対する課税のあり方について検討が必要としております。
○大津委員 今お話のございました貧困や格差拡大への対策、世代間の公平のほか、東京都税制調査会では、公平な税制についてどのような議論がなされたのかも、あわせて伺います。
○小山税制調査担当部長 東京都税制調査会では、社会経済構造の変化を受けまして、時代に即した負担の公平について次の提言を行っております。
第一に、地球温暖化等の環境問題が深刻化する中、環境負荷を抑制し、持続可能な発展を実現していくため、環境への負荷に応じた負担を求めていくこと。
第二に、社会経済の活力を高める観点から、企業活動を支えるインフラの整備、治安の維持、初等、高等教育による人材育成といった公共サービスの充実を図るため、引き続き企業に応分の負担を求めていくことでございます。
○大津委員 さまざまな議論がなされているということでもあります。
実は、昨年の二月に初めて海外視察に欧州を訪れさせていただいたことがございました。デンマークで十八年間在住をしている日本人の人に聞いた話ですけれども、なぜそんなに高い税金を払っていくのか、その気持ちを聞きましたところ、私たちは国を信頼していると。自分たちのために着服をしたり、またむだなものに使ったりせず、自分たちのことを考えて国の役人も地方自治体の職員も働いているので、国を信頼しているからこれだけ高い税金を預けられるのだと。そして、老後のいろんな介護や病気になったときの万が一のために、セーフティーネットとして高い税金を預けているけれども、自分たちが現役のときには病気にならずに健康に仕事をし、引退をしたら家族と幸せに暮らし、介護にもならず自力で生き生きと元気に働き、そして次の世代に継承していきたいのだと、そのような話をしていました。
そうしたときに、やはり一人一人が成熟をした国民、そして国家、そういう国であれば、おのずと税金の歳出というのは総合的に減っていくのではないかと感じました。その背景には、ヨーロッパでは全体的に教育が徹底されていたことでもあります。
デンマークの駅には改札機がありませんでした。ホームには切符検札機だけが置いてあり、切符を構内で購入した後は、自分で乗る駅とおりる駅を刻印する自己申告制であるにもかかわらず、きせる率は二%と極めて低かったのです。その二%の内訳を聞きましたら、ホームレス、麻薬患者、外国人等であり、いわゆるきせるという言葉も存在しない国でした。料金を払って乗るのは当たり前のことであるという道徳教育、しつけが幼少期から徹底をされていることが背景にありました。
犯罪の起きない国、事故のない社会、そして、消費を抑え堅実に生きていく社会生活を持続可能にしていくことが、国民一人一人が成熟をし、国が成熟をしていくということであり、その結果が、長い目で見て行政のコスト負担軽減を相当図ることが可能ではないかと思いました。
そういう意味で、税金を負担する世代が生き生きと働き、都民全員が安全かつ健康に暮らせる基盤づくりこそが、税制度検討の意義でありまして、こうした総合的な税の議論の場こそ、オール都庁で横ぐしを通すことが必要です。どのような議論をされてきたのか、またそれについての都の認識を伺います。
○小山税制調査担当部長 税制の検討に当たっての基本姿勢につきましては、財源を確保する視点とともに、目指すべき社会像の実現のために税制を活用するとの視点が重要でございます。
東京都税制調査会は、「十年後の東京」計画等にまとめられた都の目指すべき社会像を踏まえつつ、学識経験者、都議会議員、特別区長会や東京都市長会等の会長など多様な立場の方を構成員といたしまして、社会経済に対する幅広い識見を賜り、国、地方を通じた税制のあり方について検討を行っておりまして、これまで、少子高齢社会、所得格差の拡大や温暖化対策等、社会の抱える重要な政策課題を設定し、社会をあるべき方向へ動かしていくため、税制の側面からできることを提言いただいてまいりました。
主税局といたしましても、東京都税制調査会の答申を踏まえつつ、都の政策目標の実現を税制面から支援するため、事業局との連携を図っております。政策のあり方に係る事業局の検討会議に参画し、政策の動向を把握した上で、事業局と議論を重ねております。都が独自に実施している住宅の耐震化促進減免、中小企業者向け省エネ促進税制、次世代自動車の導入促進税制等の政策減税は、こうした過程から実現したものでございます。
○大津委員 大都市特有の重要政策を助けることのできる政策減税や首都東京の独自税等について、主税局はもっともっとメーンとなり事業局へ働きかけ、オール都庁として横ぐしを刺して大いに税の議論をしていくことが必要であり、実行していっていただきたいと思います。
終わります。
○中屋委員 まず、都税収入について何点かお伺いをしたいと思います。
平成二十二年度の都税収入は、前年度に比べますと、額にして一千三百八十二億円、率にして三・二%減の四兆一千四百八十五億円となっております。補正後の予算額についてはおおむね確保いたしまして、平成十六年度以降四兆円は超えておりますが、二十年度に五兆二千八百一億円であった都税収入が、二十一年度にはリーマンショックの影響などから約一兆円も下回り、過去最大の減収となったわけであります。二十二年度までに三年連続の減収となるなど、非常に厳しい状況にもあります。
世界経済もようやく立ち直りを見せ、我が国企業の収益の改善とともに、都税収入の回復も見えてきたやさきの三月に、東日本大震災による甚大、広範な被害が発生をいたしました。発生した時期が年度末であったことから、平成二十二年度の都税収入においては影響が少ないと思われますけれども、今申し上げましたとおり、都税収入は前年度よりも下がっております。
そこで、平成二十二年度の都税収入が減少した原因がどこにあるのか、伺います。
○田倉税制部長 平成二十二年度の都税収入の減少の主な要因は、法人二税と個人都民税の減収でございます。
このうち、法人二税につきましては、リーマンショック後の景気後退による影響や、法人事業税の暫定措置の全面実施等によりまして、税収が前年度決算比で一千六十三億円、七・九%の減となりました。また、個人都民税につきましても、依然として厳しい雇用、所得環境が継続し、個人所得が減少した影響によりまして、税収が前年度決算比で五百四十四億円、六・七%の減となりました。
○中屋委員 ただいまの答弁から、都税収入が減少した主な原因は法人二税の税収減であり、中でも法人事業税の暫定措置が要因となっていることがよくわかりました。
そこで、この暫定措置による都への影響が各年度どれくらいあったのか、お伺いいたします。
○田倉税制部長 法人事業税の暫定措置は、法人事業税の一部を地方法人特別税として国税化するとともに、この税収について、人口と従業員数を基準といたしまして都道府県に譲与するものでございまして、平成二十年十月以降に開始する事業年度から適用がされております。
都への影響額につきましては、国税化された地方法人特別税と地方に再配分される地方法人特別譲与税を相殺した額で申し上げますと、制度が導入された平成二十年度は、年度中にほとんどの企業の決算期が到来しないことから約二億円、また、実質初年度で年度の後半から本格的な影響が出てまいります平成二十一年度は一千三百四十九億円、影響が平年度化した平成二十二年度は一千八百五十三億円となっております。
○中屋委員 平年度化いたしました平成二十二年度では、暫定措置による都への影響額は約一千八百億円もの減収になることがわかりました。
それでは、平成二十三年度の見込みを含め、これまでの影響額を累積すると一体どれくらいになるのか、お伺いいたします。
○田倉税制部長 平成二十三年度における法人事業税の暫定措置による都への影響額は一千八百四十四億円の見込みでございます。また、平成二十年度から平成二十三年度見込みまでの累積額は、約五千四十八億円でございます。
○中屋委員 法人事業税の暫定措置による都への影響額は五千億円を超える膨大な額に上っており、到底容認できるものではありません。
そもそも法人事業税は、法人の事業活動と都道府県の公共サービスとの受益関係に基づく税であり、その税収を他の道府県に再配分すること自体、地方税の原則から逸脱した不合理なものであります。
現在の我が国の経済は、欧州の金融危機や世界的な株安、そして歴史的な円高などによって、大きな混迷に陥っております。先行きには海外経済の減速や長期化する円高等のリスクを抱えておりまして、景気の牽引役として期待される大地震の復興需要を考慮しても、なお都税収入の見通しは一段と厳しくなるものと考えております。
そのような状況の中、我々都議会自民党では、さきの第三回定例会代表質問において、法人事業税の暫定措置が首都東京の防災力強化に向けた取り組みを加速させていく上で大きな足かせとなっていること、国は税制の抜本改革に早急に取り組むこと、さらに、その前提として暫定措置を即時撤廃すべきであることを強く主張したところであります。
国においては、ことし六月三十日に社会保障と税の一体改革案がまとめられまして、税制抜本改革を進めることとしておりますけれども、今現在、議論の前提であるべき法人事業税の暫定措置の撤廃については、議論をした形跡すら見られません。
また、国は、東日本大震災からの復旧、復興の加速化を目指すといたしまして、第三次補正予算編成を進めており、そのための復興債の償還財源策として、地方税を含めた税制改正を議論しているということなんですが、ここでも肝心の法人事業税の暫定措置の即時撤廃に向けた動きは全く見られません。
今、国が何よりも先になすべきことは、石原知事が申し上げましたように、東京の金を東京に使うことができるように、直ちに法人事業税の暫定措置を撤廃することであると思います。地方税に復元するということが最も大事なことであります。
そこで、最後になりますけれども、法人事業税の暫定措置の即時撤廃に対する局長の思い、決意をお伺いしたいと思います。
○新田主税局長 委員お尋ねの法人事業税の暫定措置に関してでございますが、都の財源を一方的に奪います暫定措置につきましては、委員からもご指摘ございましたとおり、受益と負担という地方税の原則に反しますとともに、地方分権の流れにも逆行するものでありまして、地方自治を侵害する極めて不合理なものでございます。
これまでも、東京都といたしましては、国への提案要求や全国知事会での発言、あるいは新内閣への建言など、あらゆる機会や場面を通じまして即時撤廃を求めてまいりました。
さらに、今後、都におきましては、ただいま委員からもお話がありましたとおり、東京の防災力強化に向けた取り組みを加速させていく必要が東京都としてはございまして、その財源を確保するためにも、暫定措置の撤廃は直ちに行うべきと考えております。
引き続き都議会のお力もおかりしながら、暫定措置の即時撤廃を求めてまいりますとともに、地方分権の確立とあるべき地方税財政制度の実現に向けまして、関係局とも連携いたしまして、国に対しさらに強力に働きかけてまいる所存でございます。
○中山委員 ただいま中屋委員からありました法人事業税の暫定措置の撤廃につきましては、私も全く同感でございます。
この徴収事務は都でやっているんですよね。都でやっておきながらお金だけ持っていくというのは、とんでもない話でございまして、本当にこれは、復興の立て直しというのは長期的なものですから、始まる前にきちっとこの点については決着を国はつけるべきだというふうに思っております。
私からは、平成二十二年度の主税局関係の決算審査に当たりまして、都税の徴収努力の進展についてお伺いしたいと思います。
東京都では、平成七年度以降、滞納整理業務におきまして構造改革を実行してきた結果、徴収率は右肩上がりで飛躍的に上昇し、滞納繰越額も減少したと聞いております。
近年は、リーマンショックなど急激な経済環境の悪化があったわけですが、それを受け、都税の徴収率及び滞納繰越額はどのように推移してきたのか、改めて過去三カ年の状況をお伺いいたします。
○宗田徴収部長 都税の徴収率は、お話しのとおり、リーマンショック以降の世界的な景気後退が影響し、平成二十年度は、過去最高であった前年度から十三年ぶりに低下し、九七・四%でございました。平成二十一年度はさらに低下し、九六・八%でございましたが、平成二十二年度は同率の九六・八%と、徴収率の低下に歯どめをかけたところでございます。
一方、滞納繰越額は、平成二十年度は、前年度対比百六十億円増の五百八十九億円と急増したものの、徴収部門の総力を挙げて圧縮に取り組んだ結果、平成二十一年度は五百一億円、平成二十二年度は、過去最少となる四百九億円まで圧縮することができました。
○中山委員 圧倒的に多くの都民は、納税が現に健全な公共の福祉を支える礎となっていることだけでなく、次の社会を担う子どもたちの安心のためにも必要であることをわきまえ、苦しい経済事情の中にあっても納税に協力を惜しんでおりません。しかし、景気が悪化し、先行きも不安となれば、理由の是非はともかく、税の滞納もふえがちになるのではと推測されます。
しかし、そうであるからといって滞納を安易に許したり、滞納後の立て直しに真摯さが見られないケースを見逃したりしていては、苦しい経済事情にあっても税の徴収に進んで協力しようとする善良な都民の納税意欲すら失うことになりかねません。ましてや、日本はもともと貿易立国であります。人災、天災を含む震災被害などに加え、円高や世界的な景気後退の影響を受けて、都税の納税環境がますます悪化していることは明らかであります。このような中でも、主税局が滞納繰越額を過去最少に圧縮するという成果を上げた点を高く評価したいと思います。
都民の関心も高いと思いますので、この間どのような取り組みが行われてきたのか、具体的にお伺いしたいと思います。
○宗田徴収部長 この間の取り組みでございますが、滞納事案に早期に着手、強力な納税交渉を行うとともに、財産調査を徹底し、債権等の差し押さえや、滞納者の自動車に対しタイヤロックを行うなど、法の規定に基づき、迅速かつ的確な滞納整理を確実に実行してまいりました。
また、滞納期間が五年以上経過した長期事案や、滞納金額が五千万円を超える高額事案に重点を置いた取り組みを行い、必要な場合には、ちゅうちょなく捜索を実行いたしました。
さらに、滞納者が滞納処分を逃れるため、関係者に無償または低価格で財産を譲り渡すなど、財産隠しを行ったと認められる場合においては、その譲り受け人に対して課税、滞納処分を行うなどの取り組みも行いました。
○中山委員 あくまで私見でございますけれども、だれもが納税に参画できるし、また納税義務を負う仕組みというものは、普通の市民が政治に参加できる社会体制を維持するための前提条件となるものと考えております。
石原知事が指摘する我欲の蔓延ではありませんけれども、残念ながら、本来納税に伴うべき高貴な精神性は、我が国でも衰退の兆しが見え始めている。あるいはもともとそうした高貴な精神性を育て上げるチャンスをつかんでこなかったのかもしれません。
振り込め詐欺でお年寄りの貴重な貯金まで平気で奪い取るような昨今の社会情勢にあっては、徴収する側も、悪質な納税忌避に対しては、あえて心を鬼にして目を見開き、適切に対処すべきと考えます。その意味で、今のご答弁で紹介された取り組みについては評価したいと思います。
滞納繰越額を圧縮するために捜索を実施したとのことでございますが、捜索とはどのようなもので、どういった場合に行うのか、また平成二十二年度は何回実施されたのか、お伺いをいたします。
○宗田徴収部長 捜索でございますが、国税徴収法の規定に基づき、滞納者の居宅、事務所などにおいて、区市町村職員や警察官等の立ち会いのもと、差し押さえるべき財産の発見のために行う強制処分でございます。
滞納者が質問検査に応じないため財産の状況を明らかにできない場合や、金融機関や登記所、税務署に出向いて調査を行っても実態を把握できない場合に、やむを得ず行っているものでございます。
捜索の結果、財産が発見できれば、差し押さえ、公売という流れに進むこともできますが、捜索を端緒として滞納者が自主的に納税に応じるケースも多うございます。
都では、従来、捜索を余り行っておりませんでしたが、平成十八年度以降、捜索の日常化を合い言葉に積極的に取り組み、年間三百回を超える捜索を行っております。平成二十二年度の捜索回数は三百三十回でございます。
○中山委員 捜索は、あくまで他の方法では進捗が見られずやむを得ずに行うものであること、また、捜索の中で具体的な成果を上げるだけでなく、時として、捜索に取りかかる寸前で自発的な納税が実現する場合もあるなど、滞納整理上非常に有効な手段であることを理解いたしました。
それでは、捜索によって具体的にどのような成果が上げられているのか、お伺いをいたします。
○宗田徴収部長 これは一つの例でございますが、捜索において、五百万円を超える現金と高級バッグ二十八点を差し押さえた事案や、廊下に鏡があって、その裏に隠し部屋があったのですが、そこから一点一千万円を超える高級腕時計数点を発見し、差し押さえた事案がございました。
また、先ほど申し上げた捜索をきっかけに自主的納税に応じるケースとして、滞納者の親族が滞納金額全額を自発的に納税し、滞納の解消に結びついた事案もございました。
このように、捜索は滞納整理を進める手法として大変効果があると考えております。
○中山委員 捜索の実施回数が年三百回を超えているということは、大変なご努力だと思います。捜索という現場勝負を挑むために多くの準備が要るでありましょうし、必要な経験、知識、とりわけ度胸なんでしょうか、その習得も並み大抵ではないと思います。
都の主税局は、国の税機関とは異なり、税務畑の専門職員から構成されているわけではありません。職場内研修など主税局の現場主義の人材育成が効果を上げているからこその成果だと評価したいと思います。
その一方で、悪質、不誠実な滞納者に対し、捜索の実施など毅然とした対応を行っていくとともに、払いたくても払えない納税資力のない納税者に対しては、実情に即したきめ細やかな対応も行う必要があると考えます。
そうしたさまざまな配慮を必要とする都の滞納整理業務を通し、今後、主税局は、都税の徴収率の一層の向上に向けどのように取り組んでいかれるのか、お伺いをいたします。
○宗田徴収部長 徴収率向上の取り組みでございますが、まず、滞納の発生を未然に防止することが重要でございます。
都はこれまでも、コンビニ収納やインターネットバンキングを導入し、二十四時間三百六十五日納税可能な環境整備に取り組んでまいりました。また、今年度からは、自動車税のクレジット納税を開始したところであり、今後とも納税者の利便性向上に努めてまいります。
また、滞納が生じた場合には、早期に財産調査や納税交渉を行い、資産があるにもかかわらず納税に誠意のない滞納者に対しては、法の規定に基づき、差し押さえ、公売による換価などの滞納処分を毅然と行う一方、経営の悪化や失業などの理由により一時に納付することが困難な納税者に対しては、状況をよくお聞きした上で、分割納付や、徴収を一定期間猶予する徴収猶予制度を適用するなど、実情に応じたきめ細やかな対応をしてまいります。
こうした取り組みを通して、今後とも、税負担の公平性の確保と納税秩序の維持を図り、徴収率の向上に努めてまいります。
○中山委員 納税の話とは異なりますけれども、融資の返済の分野でも、返済が滞納し、分割納付を約束する場合がございます。金融機関の中には、分割納付を約束どおり履行していても、例えば支店長がかわったからということで急に方針が変わって、現状無理な取り立てを迫るケースも見聞きしてまいりました。
主税局が都議会公明党の具体的な提案を踏まえ、コンビニ納税やクレジット納税などの納税環境の改善に努力し、納税者の実情に応じたきめ細かい対応に努めている点を高く評価したいと思います。
ぜひ、悪質な者に対しては厳しく、景気悪化などやむを得ず滞納したものの納税意欲を持ち続ける納税者に対しては、その実情を十分に理解するという主税局の従来からの方針を今後も堅持していただきたいと思っております。
私が、つたない質問でございましたけれども、捜索について何回かお伺いさせていただいたのも、本当に専門職員の方ばかりじゃない中でそれだけのスキルを高めてきたということ、そしてまた、かといって何でも引きはがして税を取り立てるということじゃなくて、きめ細やかな配慮もしながら徴収に頑張っている中での、先ほどの法人事業税の暫定措置であるということで、本当に許せない思いがいたします。
最後に要望でございますけれども、徴収率の向上を導くためにも、さまざまな行政サービスや社会基盤を支える納税に積極的に取り組もうとする心を育てる納税教育の充実が重要であると思います。その意味で、税が行政サービスを支える仕組みを子どもたちに教えるとともに、我が国や各国の歴史なども参考に分析しながら、一般の、普通の人々が納税することのできる制度の実現、普及までの歩みを、納税教育を通し子どもたちに印象深く伝える点にも、一層のご努力を注いでいただくことをお願いして、質問を終わります。
○吉田委員 主税局の決算審査に当たりまして、税収の状況と税収確保策を中心に質問させていただきます。
既に、法人二税を初めとする税収の直近の推移及び法人事業税の一部国税化措置がどのような事態を招いているかということの質疑がありました。私も予定していましたが、重複した点は省いて進めていきたいと思います。
きょうの質疑でも明らかなとおり、都税収入の深刻な事態は、もちろん景気悪化の影響ということがバックにあることはいうまでもありませんが、同時に、国の税制改定の影響ということが極めて深刻だということが、法人事業税の一部国税化の影響額一つをとってみても浮き彫りになってきていると思います。両側面を見て、今後の対応策というものを検討することが必要ではないかなというふうに思っております。
この国の税制改定の影響という点で新たな問題について認識があったら、ご答弁をお願いしたいと思うんですけれども、それは、法人事業税の一部国税化の撤廃が全くいまだに触れられていないだけではなく、新たに法人税の実効税率の引き下げが準備をされております。この場合も、これに向けて東京都がさまざまな提案をしてきたことを私も承知しておりますけれども、現段階で推計すれば、都税収入にもまたこれが一定の影響額となって、減収となってはね返ってくることは明らかだと思うんですが、この影響額、もし答えることができたらお願いします。
○田倉税制部長 平成二十三年度税制改正法案では、課税ベースの拡大とともに、法人税の基本税率を三〇%から二五・五%に引き下げることとしております。
都税収入への影響につきましては、平年度ベースで、法人都民税の減収額は約四百二十四億円、課税ベースの拡大に伴う法人事業税の増収額は二百六億円で、差し引き二百十八億円の減収見込みでございます。
○吉田委員 もう一つ、本委員会に提出していただいた資料でもお示ししていただいておりますけれども、上場株式等の配当及び譲渡益に対する税率ですが、本来二〇%の税率であるにもかかわらず、この間、一〇%軽減が続いております。その結果の影響額が示されておりますが、本決算年度である二十二年度で見れば合わせて約百億円、平成十五年度からの八年間で見れば一千億円を超える減収となっておりますが、これも、本則では二〇%でありながら暫定措置として続いているものだと思うんですが、この今後の見込み等について、もし認識があったらご答弁をお願いしたいと思いますし、東京都としてどう対応されるのかも、お願いいたします。
○田倉税制部長 株式の配当割、譲渡所得割課税等のご質問でございますけれども、平成二十三年度の税制改正におきまして、景気回復に万全を期すためということで軽減税率を二年間延長し、平成二十六年一月から本則の税率にすることとされておるところでございます。
○吉田委員 景気の回復は、今、なかなか先が見込めない中で、国のこうした、いわば税制改定による東京都の減収という事態を打開していくということは、急務だというふうに思います。
そうした税収確保、課税自主権の行使をしていく上で、やはり今の都財政の状況や、東京都が首都機能を担うということで特別の財政負担が求められている、こうした状況について、国や他の道府県にも理解を得るということが重要だと思います。
とりわけ他の道府県からの理解を得るということは、国に対して闘っていく上でも非常に重要なことだと思いますが、こうした点でどのように取り組んでこられたのか、また取り組もうとしているのか、ご答弁をお願いいたします。
○田倉税制部長 都におきましては、法人事業税の暫定措置の導入前から、地方税の原則や地方分権改革に逆行する税制に対しまして、都の実情を訴える反論を繰り返し行ってまいりました。また、全国知事会等の場におきましても、直接、他の道府県に対しアピールを行ってまいりました。
さらに、昨年十月には、地方財政をめぐる最近の国の動きについてと題しましたリーフレットを作成し、都の膨大な財政需要とともに、暫定措置の即時撤廃を強く主張してきたところでございます。
○吉田委員 具体的にお伺いしますけれども、首都であるための負担、例えば首都機能確保のための警察体制などは、他の府県にない特別の人的配置をし、その人件費は東京都が基本的に負担をするということになっています、一部補てんがされているようですけれども。また、都心部に集中する官庁や国施設、さらに大使館等によって、入るべき固定資産税を徴収することができないという問題もあります。こうした状況を具体的に明らかにし、固定資産税にかわる収入確保策など、国に求めるのが当然だというふうに思いますが、こうした点でどのような取り組みをしてきたのかも、ご答弁をお願いいたします。
○田倉税制部長 官公庁など国の施設、大使館等の施設に対する固定資産税は、地方税法により非課税とされておるところでございます。
なお、東京都は国に対しまして、大使館、領事館等に対する非課税措置により減収となっている固定資産税、都市計画税相当分を補てんすることを要求しております。
○吉田委員 要求しているという話なんですけれども、首都機能に伴う国施設や大使館等の非課税となっている固定資産税相当額あるいは資産等については、具体的に調べたり、あるいはこれを国に示したりはしているんでしょうか。もし具体的にわかったらお教え願います。
○田倉税制部長 ご質問の、大使館等の施設に対する固定資産税及び都市計画税につきましては非課税となっているため、現時点における正確な施設の数及び施設等に課税した場合の税額につきましては、把握をしておりません。
なお、平成十二年度の財政委員会におきまして、財務局から、都内には百二十超の大使館等があり、免除されている税額は約三十億円であるとの答弁がなされております。
○吉田委員 一例が示されましたけども、これは極めて局部的な話でありますけれども、もちろん、都が首都であるということをもって投資が集中しているという議論もあります。恩恵を受けているという面も否定することはできないと思いますけれども、それ以上に、本来、首都機能の維持は国の責任が問われる分野であり、財政的責任も国が負うということは、当然要求すべきことだと思います。こうした点で、より具体的で説得力を持った要求なり展開をしていくことが求められているというふうに思います。
いずれにせよ、こうした状況の中で、都が都民施策のための財源を確保するためには、課税自主権の行使が求められているというふうに思います。この課税自主権の行使ということについて、東京都としての基本的な見解をお答えください。
○田倉税制部長 大都市特有の行政需要に的確に対応していくためには、安定的かつ十分な財源の確保が不可欠でありまして、そのための課税自主権の確立は重要であると認識をしております。
都はこれまでも、法人二税の超過課税など課税自主権を行使いたしまして、都税収入の確保に努めてきております。
○吉田委員 課税自主権の確保、行使は重要だという旨のご答弁がありました。
これまでの財政委員会の質疑、私、議事録で読ませていただきましたが、具体的な課題として、首都高速道路等への新たな課税、さらに、実施が始まってはおりますけれども、駅ナカ課税などの強化ということが議論はされておりますが、直ちにこれを新たに実施するという状況にはなっておりません。
そうした新たな分野も引き続き検討を進めると同時に、現時点で考え得るより具体的、現実的課題として、法人事業税の超過課税の限度額までの引き上げということは、より現実的な課題ではないかなというふうに思っております。
限度額と現在の課税額、そして、限度額まで税率を引き上げた場合の推計税収額について、お答えをお願いいたします。
○田倉税制部長 法人二税のうち、法人都民税の法人税割につきましては、既に制限税率により課税をしております。また、ご質問のございました法人事業税を制限税率で課税した場合の超過課税による増収額は、平成二十二年度決算見込みベースで約六百二十二億円となります。
○吉田委員 税率については資料にあったので、それを見ればわかるとおり、ほんのわずかな税率ではないかなと私は思うんですけれども、この法人事業税について限度額まで課税することを検討すべきだと思いますけれども、その場合、解決すべき課題、実施した場合の問題点など、どのように考えているのか、お答えください。
○田倉税制部長 超過課税の制限税率までの拡大には、景気が低迷している経済の状況や法人の国際競争力の維持、また国や地方の他の団体の税収に与える影響などの課題がございます。
○吉田委員 影響があるというお話ですけれども、例えば現実に、中小企業の税率は別にして、大企業などの普通法人税率で見れば、かつて四〇%台だったものが三〇%台に引き下げられ、今度は二五%台ということまで準備がされているわけです。しかもその一方、そうした中で、じゃあ取引先への条件や従業員の賃金が上がったかといえば、必ずしもそういうふうになっておりません。
これだけ国の税率が下がっている中で、私は、東京都が限度額まで上げても何ら大きな影響を与えるものでは決してないというふうに思いますし、しかも、お伺いしたいんですけれども、制限税率というものは、国がここまでの税率は妥当だというふうに判断して定めているのではないでしょうか。
また、他の地方団体等への影響ということもありますけれども、その影響も配慮して定めたのが制限税率ではないんでしょうか。それだったら、国が定めた税率どおり徴収するということをもって、何か重大な影響が出るとは考えにくいのではないかと思いますが、いかがでしょうか。
○田倉税制部長 制限税率による課税を行い、企業にさらなる税負担を求めた場合には、設備投資の減少、取引先やその従業員への影響など、経済全体に大きな影響を与えることも考えられますことから、慎重な対応が必要であると認識をしております。
○吉田委員 現実に、大もとの法人税が四〇%台から三〇%台へ、今度は二五%まで、実質五%の減税がされようとしているわけです。その中で、東京都が課税自主権を最低限である限度額まで行使をするいうことは、私は、東京都の税収確保の立場からすれば当然のことではないかと思いますし、しかも国の文書を見ても、他の団体の収入に大きな影響を及ぼす等の問題がないようにということで、現在の一・二倍ということを定めているということを明記されていることから見れば、何よりも現実的な、直ちに課税自主権を拡大する策としては、制限限度額までの徴税ということは大いに検討すべき課題だということを重ねて申し上げておきたいと思います。
最後に一点だけ、今も税の徴収の話がありましたけれども、もちろん悪質な、納税を忌避するというようなことを見逃すことがあってはならないことは当然のことだと思います。
都税収入の中でも、固定資産税の場合には、収入所得の影響、具体的には、さまざまな理由から収入が大幅に低下したとしても、固定資産税のかかる税は何ら変わることなく徴収が求められるという側面を持っています。それだけに特別の慎重な対応ということが必要だと思いますし、私たちのところにもそうした相談というものは行われておりますけれども、こうした固定資産税の徴収に当たって、経済的な特別の困難な状況に対してどのように対応されてきたのか、しようとしているのか、ご答弁をお願いいたします。
○宗田徴収部長 経済的理由等により、一時に固定資産税等を納付することが困難であるという納税者に対しては、状況をよくお聞きした上で、また、財産であるとか所得の状況をよく調査させていただいた上で、分割納付や徴収猶予制度を適用するなどの対応を行っております。
○吉田委員 ぜひご努力をお願いいたしまして、私の質問を終わります。
○神野委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
本件に対する質疑は、いずれもこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○神野委員長 異議なしと認め、本件に対する質疑はいずれも終了いたしました。
以上で主税局関係を終わります。
これをもちまして本日の分科会を閉会いたします。
午後二時十四分散会
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