平成二十二年度各会計決算特別委員会第二分科会速記録第五号

平成二十三年十月二十四日(月曜日)
第十委員会室
   午後一時一分開議
 出席委員 十名
委員長山加 朱美君
副委員長高倉 良生君
副委員長くまき美奈子君
山内れい子君
佐藤 由美君
遠藤  守君
笹本ひさし君
神林  茂君
服部ゆくお君
古賀 俊昭君

 欠席委員 なし

 出席説明員
生活文化局局長井澤 勇治君
総務部長遠藤 雅彦君
広報広聴部長櫻井 和博君
都民生活部長飯塚美紀子君
消費生活部長藤井 秀之君
私学部長石井  玲君
文化振興部長関  雅広君
都政情報担当部長梅田 弘美君
男女平等参画担当部長菊地 俊夫君
文化施設改革担当部長北村 俊文君

本日の会議に付した事件
平成二十二年度東京都各会計歳入歳出決算の認定について
生活文化局関係
・平成二十二年度東京都一般会計決算(質疑)

○山加委員長 ただいまから平成二十二年度各会計決算特別委員会第二分科会を開会いたします。
 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、生活文化局関係の決算に対する質疑を行います。
 これより生活文化局関係に入ります。
 決算の審査を行います。
 平成二十二年度東京都一般会計決算中、生活文化局所管分を議題といたします。
 本件につきましては既に説明を聴取しておりますので、直ちに質疑を行います。
 発言を願います。

○佐藤委員 平成二十二年度の決算審議に当たって、社会情勢の変化に応じて必要な施策が展開され、執行される必要があるという観点から、消費者保護施策及びDV防止、市民の活動について質疑を行いたいと思います。
 平成二十二年度は、消費生活対策費として当初予算十八億八千百三十九万八千円、そして補正で一億六千七百万円計上され、十四億九千五百九十八万円余りの支出済みとなっているところです。
 まず、この平成二十二年度消費生活相談の特徴及び実績について伺います。

○藤井消費生活部長 平成二十二年度に都及び都内区市町村の消費生活センターに寄せられました相談件数は、十二万五千七百六件でございました。特徴といたしましては、六十歳以上の高齢者の相談件数が前年度に比べまして六・一%増の約三万五千件で過去最多となり、契約金額も相談全体の平均額に比べて高額となっております。また、相談内容では公社債など金融商品に関する相談が前年度の約三・八倍と急増しておりまして、このうち約八割が高齢者の相談という状況になっております。

○佐藤委員 まさに判断能力が衰えて、また生活上の心配など、高齢者の方々の弱みにつけ込む相談が増加をしているということが顕著になっているといえます。
 一つ、高齢者の方から受けましたご相談の事例があります。ひとり暮らしの八十代の女性でございました。マンションを自宅を所有をしています。お兄様は他県に在住していて九十歳というご高齢で、おいごさんもそのお兄さんと一緒に暮らしてはいるんですけれども、ふだんやりとりをしているわけではないので、ご本人に何かあったとき、万が一のことがあったとしても迷惑はかけてはならないとお考えでいらっしゃいました。そうした中で、自分が病気になったときとかの入院手続を行ったりとか、あるいは死亡の際に葬儀であったり、あるいは片づけを行うというNPO法人が出している広告を見つけまして、預託金とともに年間数千円ということを見つけ、これは自分が見つけていた、探していたものだという思いで契約をしました。生前、生きている間に入院のときの病院の身元引受保証とか、そういった事務委任、あるいは何か判断能力、行為能力が衰えたときには任意後見もできるような形の契約、あるいは死後における葬儀、残存の家財の片づけであったり、自宅については、ご自身としては希望するところに遺贈したいという思いがありましたので、そういった執行記載をした遺言についての公正証書としても作成をされました。
 年に一回その広報誌が送られてくるという形で数年が経過をする中で、あるときその年間の費用を引き上げるという内容とともに、自宅については自分たちの団体に寄附をしてくれないかというようなお話も出てきた。また、年一回の広報誌ということなんですけれども、顔合わせ会というような会合がありまして、そこに出かけていったときに、ちょっと異様な雰囲気もあったということで、その団体に対してすごく不信感を募らせまして、この段階でいろんなつてがありまして私ご相談を伺いまして、最初にご本人からのお問い合わせは、本当にこの団体は大丈夫なのでしょうかというお話でした。ご本人としては、一人でも最期をしっかりと自分の思い、意思に基づいて片づけをしたい、それを助力してくれるそのサービスを提供してくれるというこの団体に信頼を寄せたいという思いもありつつ、ちょっとこれではいけないんじゃないかという、そういった錯綜した思いでご相談にお見えになりました。
 本当に多様な生き方、ひとり暮らしというさまざまな事情のもとで、そういう形で暮らしている方々、そしてそれぞれが多様なサービス提供者、今ある中で当事者が選択をしていける、どういったサービスを受け取るのか、そうした選択ができるということがこの社会の豊かさの源であるというふうに考えておりますけれども、その選択、選ぶ自由というのは放置される中にあるのではなくて、消費者であれば消費者が十分な情報を獲得できる環境をつくると同時に、多様な主体が、会社、企業であれ、NPOであれ、悪質な主体はその市場等から退場をさせて健全な市場を確保するということが大前提であると思いますし、これを支えていくのが政府の役割であるということはいうまでもないところだと思います。
 こうしたNPOや株式会社など、サービス提供の主体の形態にかかわらず、取り締まりの対象として悪質事業者を市場から排除すべきと考えますが、その対策についてどのように情報を収集の上、どのように取り組んできたか、伺います。

○藤井消費生活部長 都は、多発、深刻化している消費者被害を防止するため、特定商取引法や消費生活条例に基づきまして、委員のご質問にございましたNPOや株式会社といった法人格の形態にかかわらず、不適正な取引行為を行っている事業者に対しまして、その実態を調査し、行政処分や違反の是正勧告を行っております。処分に当たりましては、都内の消費生活センターに寄せられる相談情報の中から法令に違反している疑いがある事例を抽出し、実際に被害を受けた消費者のご協力を得まして、事実関係を明らかにするための聴取を行うとともに、事業者からの聴取や立入調査により必要な情報を収集しています。平成二十二年度は五十八件の立入調査を行いまして、処分等により三十六件の事業者名公表を行ったところでございます。

○佐藤委員 まさに本当にサービスの提供者は、企業に限らず、NPO法人もあります。NPOは、株式会社でいう株主への利益配分に相当するような出資者に対しての利益配分をしないという意味で非営利なのであって、収益事業はできることは周知のとおりであります。また一方で、NPOを身にまとって、こういった取引ばかりではなくて不適正を働くものもある中で、ぜひともNPOの設立認証にかかわる指導監督権限による規制も含めて、複合的な取り組みを持って、悪質な主体を市場から排除して、健全な環境をつくり出して、人々が安心して必要なサービスを選択できる環境を不断に支えていっていただきたいと思います。
 こうした悪質な主体を排除するための取り組みを進めると同時に、処分の可能性がありながらも、現在調査中であったりとか、そういった主体は、今もなおこういった行為を繰り返している状況が続いています。いち早く苦情が重なっている団体などの情報について都民に還元をして、注意喚起を図っていくべきと考えております。
 被害の拡大や未然防止を図るために、消費生活相談に寄せられた悪質事業者に関する情報について、消費者に対して提供する取り組みを伺いたいと思います。

○藤井消費生活部長 悪質事業者に対して行政処分等を行った場合には事業者名を公表するとともに、勧誘方法等の手口や実際の事例を紹介いたしまして、都民が同様な事業者の被害に遭わないように注意喚起を行っております。また、同種の被害相談が急増しているような場合には、その手口や事例を紹介する緊急消費者被害情報を発信いたしまして、被害の拡大防止を図っています。さらに、特に被害に遭いやすい高齢者や若者向けには被害防止キャンペーンを実施いたしまして、さまざまな媒体を活用した情報提供を集中して行うなど、きめ細かい対策を講じております。

○佐藤委員 ぜひとも具体的な情報を少しでも早く都民に提供していただければと思います。今回の場合は、ご本人がどの相談機関に問い合わせても回答としては出てこなかったために、私自身、ちょっと独自のルートから情報を集めて対応をいたしました。ご本人において、この契約を継続するか解約をするか。また、この主体に、ここの問題になっている団体にかわる同じようなサービスを提供する適切な主体はどこにいるのかといったことも含めて、判断となる情報が手元になかったというのは大変大きな問題でありました。
 さて、こういった本件ご相談一つとっても、高齢のおひとり暮らしの方が抱えている課題、また財産管理、あるいはNPO法人の適正な活動の確保など、さまざまな施策を絡めて対応していく必要があることは明らかです。消費生活相談に寄せられる社会における実態、課題など、貴重な情報を共有をして、各局連携をした消費者保護の取り組みに結びつけることが必要と考えますが、見解を伺います。

○藤井消費生活部長 消費生活センターに寄せられる相談情報には、旅行業法や宅地建物取引業法など、各局が所管する法令にかかわるものもございます。不適正な行為を行う事業者に対しましては、あらゆる法令を駆使して取り締まりを強化していくことが重要であると考えております。このため、関係部局が情報を共有し、連携して対応するため、事案ごとに特別対策班を設置し、取り組みを行っているところでございます。
 例えば、トラブルが多発したにもかかわらず規制する法令がない留学あっせん業につきまして、旅行業法を所管する産業労働局と連携いたしまして、悪質な事業者に対して消費生活条例により指導を行うとともに、条例では規制できない項目につきまして、国に対して改善要望を提出いたしました。今後も引き続き庁内各局と連携いたしまして、積極的な消費者保護に取り組んでまいります。

○佐藤委員 ぜひとも寄せられる相談、個別の紛争を解決に導くという目的を達成すると同時に、こうした一つ一つの相談の中にある制度上の課題など、貴重な情報、この側面をぜひ生かしていただいて、庁内での連絡体制を整備する、あるいはそうした取り組みをもって、都全体で共有して、施策立案に生かす取り組みも進めていただきたいと思います。このことを求めまして、次の質問に移りたいと思います。
 さて、平成二十二年度には、自治体が本来住民にとって非常に重要な行政分野であるにもかかわらず、なかなか今まで光が当たってこなかった分野、自治体が取り組むべき分野でありながら光が当たってこなかった分野として、地方消費者行政、DV対策・自殺予防等の弱者対策・自立支援、知の地域づくりという三つ、この分野に改めて光を当てるとして、住民生活に光をそそぐ交付金が実施されております。平成二十二年度末定例会でも、東京都としても補正予算が組まれているところです。
 先ほどのように、悪質なNPOがある一方で、DVの防止法の制定、あるいは見直し、法改正には、長年DV被害者の、被害当事者の支援を続けてきた民間の団体、NPOの尽力があったことは周知のとおりです。長年、DVの被害当事者が自分の置かれている状況を認知できずにいた中で、DVなのだと気づいて当事者が声を上げられる仕組みを整えたことは大きなことであって、そして今、当事者の安全の確保、生活の再生、そして子どもも含めた生き延びた被害当事者の心身の回復に向けた体制の拡充が求められているところだと思います。
 一方で、こうした支援を続けるNPOほか民間支援団体は資金的にも厳しくて常勤職員も置けず、事業を伸長させることが困難な状況にあります。都として、公共サービスを支えるこうした民間団体を支えていくことは、社会が必要とするニーズにきめ細かく対応していくためにも不可欠と考えます。
 こうした観点から配偶者暴力の防止や被害者支援施策を安定的に継続させるために、配偶者暴力の防止や被害者支援に取り組む民間団体に対して、平成二十二年度にはどのような支援を行ったのか伺います。また、住民生活に光をそそぐ交付金、光交付金について東京都として補正予算が組まれているところですが、この光交付金を活用した民間団体への支援についても見解を伺います。

○菊地男女平等参画担当部長 平成二十二年度においては、民間団体等の自主的な活動を支援するため、被害者及び子どもへの各種支援事業やシェルターなど被害者支援施設の安全対策の強化等の取り組みに対し、事業費など経費の一部を助成しており、七団体に対し、合計二百二十四万円の助成を行いました。また、民間団体における人材育成を支援するため、専門アドバイザーの派遣等の取り組みも行っており、平成二十二年度には延べ十六人を七団体に対し派遣いたしました。
 国の平成二十二年度補正予算で創設した住民生活に光をそそぐ交付金については、配偶者暴力対策に活用することができます。都においては平成二十二年度に基金を積み立て、平成二十三年度及び二十四年度の二年間にわたって活用する予定であり、現在、その使途を検討しているところです。

○佐藤委員 民間団体への補助というと、委託事業の事業費という形が多いところですが、民間団体はその実施を支える事務管理費がないことで活動に支障が出ている現状にもかんがみて施策を打ち出していただきたいと思います。
 また、今手元には都の総務局の方で取りまとめました二十二年度実施された光交付金、市区町村での執行状況の一覧が手元にあります。二十三区三十七市町村が執行した中で、DV対策に係る事業の実施は十五の市区村にすぎず、全部で百五十七事業が挙げられている中で、DVに係る対策は十八事業にしかすぎません。ほとんどが図書の購入に充てられているところです。
 都が二十二年度に基金として積んだこの住民生活に光をそそぐ交付金の活用について、この交付金が地方消費者行政や、あるいはDV対策、児童虐待、自殺予防、児童養護施設、犯罪被害者支援、更生保護関連施策、あるいは定住外国人に対する支援などが列挙されている弱者対策、自立支援といったこれまで光が当てられなかった、当てられてこなかった分野への交付金であって、この趣旨、自分の立場を強く主張しがたい人、弱い立場の人、こうした人への支援に即して活用されることを改めて強く求めておきたいと思います。
 こうした基金の活用をしながら、今後一層DV対策をさらに量的にも質的にも拡充していく必要があると考えます。
 DV、ドメスチックバイオレンスの根絶に向けては、それがどういうことなのか普及啓発をしていくことは重要であって、特に若い世代やその周りにいる方たちへの働きかけを強化していく必要があります。DVは、ただ単に男女、そういった性別のジェンダーばかりではなくて、本当に人と人との尊厳を傷つけてしまう、そうした支配関係の中にあるということは、本当に理解をしていただきたいと思います。
 一方で、一人一人、そうした被害当事者がそれまでの状況から脱して、安全を確保しつつ、自分の尊厳を取り戻して生活を再生していくためには、回復の各段階に応じて多くの機関が連携していくことが不可欠ですし、また同時にさまざまな社会資源が必要とされる中で、市区町村の取り組みを一層促進させる必要があります。そのために、都は働きかけをしていかなければならないと考えます。また、DVにさらされた環境で生き延びた子どもの心身の回復に向けたケアなどを充実していくことが不可欠です。今後の取り組みについて見解を伺います。

○菊地男女平等参画担当部長 配偶者暴力対策の推進に当たっては、暴力の未然防止のための取り組みと被害者への支援をあわせて行っていくことが不可欠であります。配偶者暴力の未然防止のためには、幅広い層への普及啓発を図る必要があります。特に、若年層における交際相手からの暴力については、近年、相談件数が増加傾向にあることから、これに対する取り組みを強化することが重要であります。
 このため都は、交際相手からの暴力についてわかりやすく解説したカードを作成し、平成二十二年度には、都内の大学を中心に約十二万枚配布いたしました。また、被害者への支援のためには、関係機関との連携が重要であります。
 区市町村への支援についてでありますが、配偶者暴力対策においては、被害者の生活再建までの長期にわたる支援を視野に入れる必要があり、身近な地域における支援の必要性が高まっています。都は、区市町村における配偶者暴力対策の充実を図るため、基本計画の策定や人材育成の支援等を行っております。
 また、被害者の子どもへの支援については、被害者の受ける暴力を見た子どもも心理的外傷を受ける場合が多いことから、民間団体との連携により、東京ウィメンズプラザにおいて子どもの心の傷の回復を支援するプログラムを実施しております。今後とも、関係機関と連携して配偶者暴力対策を推進してまいります。

○佐藤委員 ぜひとも光交付金の積まれた基金も活用しながら、関係機関、民間団体との連携のもとで取り組みを拡充していただきたいと思います。
 例えば、若年層における交際相手からの暴力、いわゆるデートDVについては、カードの配布のみならず、教育委員会と連携をしながら、例えば、高校の授業で養護教諭が出前講座を、団体と連携をして出前講座を実施する学校もありますが、こうした踏み込んだ取り組みを広げていくこと。あるいは子どもの回復に向けては、児童相談所との連携のもとで、児童相談所に保護されて、親子が分離されている家族の支援に向けた取り組みの改善を行うことも求められると思いますし、さらに被害当事者に対する支援とあわせて、加害者の更生に向けた取り組みも進めていく必要があります。多年にわたって取り組みを続けてきた民間団体の知見を反映させながら、事業の内容、規模を不断に見直して、取り組みを拡充していただきたいと思います。このことを改めて求めまして質疑を終わります。

○服部委員 私からは、私学助成について、地域の底力再生事業について、また文化振興についてを質問させていただきます。
 平成二十二年度の一般会計決算説明書によりますと、生活文化局の支出済額、これは千九百六十二億円、うち学務費は千七百二十八億円で構成比は八八・一%になります。もとより私学は、建学の精神と独自の教育理念を持って、歴史と伝統のもと多くの人材を輩出して、東京都の公教育において大変重要な役割を担っています。そのため、都議会自民党は、私学助成の基幹的補助であります経常費補助、安全対策、省エネ設備等の導入、保護者負担の軽減などを一貫して取り組んでまいりました。今回は、私立学校における校舎等の耐震化について伺わせていただきます。
 東日本大震災の発生を受け、改めて建物耐震化の必要が指摘されていますが、国は私立学校の耐震化支援にかかわる予算、これは十分に確保しておりません。また、補助制度も補助率の低さ、対象となる設置者が限られている。こういったことで私立学校の耐震化の促進に向けた施策を十分に行ってこなかった、これが現状であります。
 例えば、耐震化工事に対する補助率は、原則対象経費の三分の一、最大でも二分の一にとどまっています。都議会自民党は、大震災以前から子どもたちの安全を確保する上で学校施設の耐震化を早急に図ることが最重要課題ととらえて、私立学校への支援策の実施を積極的に進めてきました。我が党の提言を受け、都は都単独の補助を積極的に実施してきましたが、具体的に私立学校の耐震化に対し、どのような支援を行ってきたのか。また、平成二十二年度における実績について、まずお伺いをいたします。

○石井私学部長 都では、私立学校に学ぶ児童生徒の安心・安全のため、平成十五年度から耐震診断、耐震補強工事に対する補助を実施しております。現在では、専修、各種学校も含めたすべての学種を対象とした補助制度とし、耐震改築工事も補助対象に加え、さらに補助率も最大で対象経費の五分の四とするなど制度の充実を図ってまいりました。平成二十二年度の実績では、二百二十七校における耐震診断及び耐震化工事に対する補助を実施し、普及啓発事業等を含む私立学校安全対策促進事業費補助の交付額は、七十七億六千百万余円となり、前年度に比べ約三十六億円の増となっております。

○服部委員 前年度に比べて着実に予算額も、これは決算ですが、増加をしているということですけれども、東京都の公教育において私学というのは大変重要な役割を果たしている。この認識は共通でありますけれども、国を待たずに補助制度の充実を図ってきた、こういう東京都の先駆的な取り組み、これは高く評価をさせていただきます。こうした取り組みの結果、私立学校における耐震化は現在どの程度進んでいるのか、状況をお伺いいたします。

○石井私学部長 本年四月一日現在の都内私立学校全体の耐震化率は約七八%となり、補助制度導入前の平成十四年度末の約五三%から約二五ポイント向上をいたしました。

○服部委員 今ご答弁ありましたように、本年四月一日現在の都内の私立学校全体の耐震化率、約七八%ということで、着実に耐震化が進んできていることはわかりますけれども、首都直下地震、あるいは東海、東南海、南海連動地震など、新たな地震の発生が危惧されており、耐震化の対策は急務といえます。将来を担う子どもたちの生命を守るためにも、さらなる耐震化の促進が求められています。耐震化対策への緊急性、これが増している中で、これから今後どのように都は取り組みを進めていくのか、お答えください。

○石井私学部長 東日本大震災の発生を受け、都は緊急対策を策定し、これまでにも増して早急な私立学校の耐震化が必要との観点から、本年第二定例会において補正予算を編成いたしました。補正予算では、今年度当初に予定していた耐震化工事の補助対象校数を拡大するとともに、新たに建築士を学校現場へ派遣して簡易耐震診断を実施し、耐震化の方法等をアドバイスするなど、耐震化計画の策定と実施を支援することといたしました。
 今後は、これまでも行ってきた耐震診断、耐震改修工事特別相談会に加え、この新しい制度を活用し、一層の私立学校の耐震化を進めてまいります。

○服部委員 十分な予算の確保だけではなくて、今ありましたけれども、専門家を派遣する、そういうことで学校が耐震化を進めやすい環境をつくる、こういう取り組みに対しては大いに期待をしています。学校の耐震化工事は、生徒の学習に支障がないよう、計画的に進めていく必要があり、耐震化の完了までには、これは時間を要するものであります。こうした状況を踏まえて、行政の予算は、これは単年度主義ということですけれども、耐震診断、耐震化計画の策定、耐震化工事の実施、これは複数年にわたる取り組みになるわけですから、継続的に支援をしていく、こういうことが非常に重要だと思います。引き続き我が党としても積極的に私立学校の耐震化に取り組んでいきますので、これからもぜひ耐震化の促進に努めていただきたい、これは強く要望しておきます。
 それと、次の質問に移りますが、私立幼稚園の奨励特別補助、このことについて伺います。
 現在、幼稚園の保護者負担の軽減策としては、国と都、区市町村の補助制度がありますが、民主党政権になり、国の幼稚園就園奨励費補助、この補助単価が子ども手当の創設を前提に見直されてしまいました。ここで国の補助制度が予算編成の過程でどのように見直しをされたのか、改めて確認する意味でお伺いいたします。

○石井私学部長 国の幼稚園就園奨励費補助は、区市町村が保護者の所得状況に応じて保育料等を軽減する場合に、その経費の一部を補助する制度でございます。国における平成二十二年度予算の当初概算要求では、補助対象となる四つの区分の所得階層のすべてで補助単価を約六%引き上げることとなっておりました。ところが、政権交代後、子ども手当の支給を踏まえ、低所得者への給付の重点化を図るとの理由から、対象園児の約七割を占める最大の階層で補助単価の減額が行われました。これにより、当該階層においては、補助単価が三割減額され、保護者にとって年間一万八千六百円という大きな負担増となりました。

○服部委員 今の答弁、皆さん、各委員の先生方もお聞きになったと思いますけどね、民主党政権のこの就園奨励費一部縮減、これはまさに暴挙ですよ。こういった対象家庭の約七割ですよ、七割が不当な負担増を強いられているんです。都内の幼稚園では、九割以上の幼児が私立幼稚園に通い、私立幼稚園は幼児教育の中核的な存在として大きな役割を果たしてきました。当時、私立幼稚園の保護者からの切実な要望もいただきましたし、さらに東京都私立幼稚園連合会からは、何とか保護者の負担を増大しないよう強い要望が寄せられました。国のこの制度改革、制度の改悪ですね。これは私立幼稚園の実情を全く理解をしていない、保護者に対して負担の押しつけ、これは看過できないものであります。本来、これは国の責任で保護者負担を軽減すべきでありますが、都議会自民党は都に対して激変緩和措置を要望しました。その結果、都独自の就園奨励特別補助が創設されたわけですが、都のこの補助制度を導入した考え方、そして決算の平成二十二年度の実績、これについて伺います。

○石井私学部長 都は国の制度変更に対し、すべての階層区分において補助単価を減額しないことを緊急要望するとともに、緊急的、臨時的措置として、都独自の特別補助を創設し、激変緩和を図ったところでございます。国の制度変更により負担増となった世帯に対し、負担増額の三分の二に相当する年額一万二千四百円を補助することとし、平成二十二年度には約四万二千件、五億三百万余円を補助いたしました。

○服部委員 今伺ったように、とにかく一部の階層にしわ寄せをする、これはとんでもないことだと思います。子ども手当にせよ、あるいは就園奨励費補助の見直しにせよ、今回の民主党政権の一方的な制度変更、これは地方に負担を押しつけ、そして混乱させ、そして多くの保護者の不安をあおることになりました。そうした状況の中で、都議会自民党の緊急要望にこたえて、五億三百万円の就園奨励特別補助が都において実施をされ、保護者負担増の抑制を図ることができ、保護者も大変喜んでおります。
 もちろん、本来国の責任で負担増の解消を図るべきものであり、今後とも国に対し強く是正を求めてゆかなければなりません。民主党政権の私学振興施策のほころび、こういったものは現場感覚を全く欠いた制度設計に基づくものといわざるを得ません。我が党は責任ある政党として、我々地方議会の議会人として国のいいなりにならず、現場の実態を踏まえた真に子どもたちのことを考え、私学振興のために引き続き最大限努力していくことを改めて表明をしておきます。
 次は、地域の底力再生事業助成。この事業について、平成二十二年度の実績についてお伺いをするその前に、町会、自治会について、ちょっと述べさせていただきます。
 町会の沿革。これは、明治から大正期にかけて相次いで結成をされて、向こう三軒両隣がお互いに支え合う隣保組織として活動してきましたが、昭和二十二年にGHQによって解散させられました。しかし、町会は自発的に名称や形態を変えて、すぐに復活をするんですが、地域に根づいた活動を続けてきました。
 平成三年、地方自治法の改正により、町会、自治会などが地縁による団体として法律上に明確に規定をされて、現在都内における地縁による団体、町会、自治会等は八千八百六十五の団体があります。浅草の浅草寺の伝法院、ここへ参りますと、畳一畳よりもっと大きな額が掲げられていますけれども、そこには当時の東京市長である後藤新平翁の書で、こう書いてありますね。人のお世話にならぬよう、人のお世話をするよう、そして、報いを求めぬよう、大正時代ですが、奉仕の精神、この真髄を私は示しているものだと思います。町会や自治会の皆さんが奉仕の精神でまちの安心・安全のために、地域のために尽くしてきた役割、これは本当に大きなものがあります。そのため都議会自民党は、町会・自治会等振興議員連盟を立ち上げて、町会が有料で借りている町会事務所等の敷地及び家屋の固定資産税、都市計画税の五割減額、これを実現しましたし、これから質問に入りますが、地域の底力再生事業を提唱して、平成十九年、これは実現し、これまで多くの町会、自治会に活用され、成果を上げてきました。
 また本事業は、今般の東日本大震災の中で地域のきずなが再認識され、地域の共助の強化にもつながり、まことに時宜を得た事業であります。
 そこで、まず平成二十二年度の実績について伺います。

○飯塚都民生活部長 平成二十二年度の実績でございますが、町会、自治会への助成件数は百三十四件であり、予算額一億円に対し、助成金額は約五千九百万円でございました。また、事業区分ごとの内訳としては、スポーツ振興や伝統文化などを通じて地域の交流促進を図る分野別モデル事業が六十九件、約四千万円、町会、自治会がNPOや大学などの他団体と協働して地域力の向上を図る他団体との協働事業が六十件、約一千五百万円等となってございました。

○服部委員 本事業は、平成十九年度からモデル事業として取り組まれてきましたが、平成二十二年度に実施された事業では、どのような特徴やあるいは成果があったのか、伺います。

○飯塚都民生活部長 二十二年度は、本事業実施四年目となりました。これまでの事業を通じて蓄積されたノウハウが活用され、例えば、台東区における谷中の史跡めぐりや地域ゆかりの芸術文化に触れる催しを通じた地域交流促進事業を初め、地域力の向上に効果的な事例が数多く実施されるようになりました。また、昨年度から本事業を活用した実績のある町会、自治会がさらにレベルアップを図り、他の地域のモデルとなるような取り組みを行う場合には、その取り組みを地域力向上モデル事例として位置づけ、新たに助成対象に加えることといたしました。これにより、青少年部の創設により、次世代の町会の担い手を育成する町会組織力強化事業や写真冊子の作成を通じ、当時の状況を高齢者が子どもたちに語り継ぐ世代間交流促進事業など、町会、自治会の活性化に成果を上げたモデル事例が二十一件実施されました。

○服部委員 台東区もしっかり取り組んでおりまして、いろいろそれぞれ工夫凝らして、町会の皆さんがこのモデル事業を活用させていただいて、地域の連帯を図ろうということで、私も非常にこれは有効だと思いますが、本事業については今ご説明ありましたように、年々内容が充実をしてきています。ただいまのご報告のように、ほかの町会とか、あるいは自治会の参考になる非常によい事例がふえているようであります。今後もこうした事例をさらに広げていただきたいんですが、先ほど平成二十二年度の助成金額について答弁ありましたけれども、予算に対する執行率ですね、これが六割弱ということで、これは実績としてかなり低いというんですが、気になりますが、この点を前年度の決算の執行率の状況を踏まえて、どのように改善を図っているのか、まだ年度途中でありますけれども、その状況を伺います。

○飯塚都民生活部長 先ほどお答えいたしました地域力向上モデル事例をホームページで公開していますほか、これまで各町会、自治会で実施され、効果を上げた事例をわかりやすい事例集にした冊子を配布しております。また、職員が直接町会、自治会に出向いて説明会を実施するなどの取り組みを行いまして、制度の普及に努めております。
 この結果、本年第一回から第三回までの申請件数が百八十二件となり、既に昨年度実績である百三十四件を大幅に上回る状況となっております。

○服部委員 かねてから都議会自民党は、地域力の向上、これはもちろんですが、それに伴って相互の連帯、まちの活性化、こういったものにも図るために、町会や自治会の活動に対する支援の重要性について都に要望をしてまいりました。その要望を真摯に受けとめていただき取り組んだ結果が今年度の実績につながったものと、これは評価をさせていただきます。
 今般の東日本大震災では、地域の共助、この大切さが改めて認識をされ、我が党にも地域の担い手である町会、自治会の重要性を改めて痛感をしたと、そういった声が数多く寄せられています。今後もこの事業を通して、町会、自治会が地域の課題に主体的に取り組んでいけるよう、都においてもさらに改善を重ねていただくよう、これは要望をいたします。
 さて、東京大茶会、昨、あるいは一昨日と浜離宮恩賜庭園で東京都華道茶道連盟のご協力をいただいて、ことしも盛大に開催をされました。初日はあいにくの雨でしたけれども、初めて高校生による野点、これが企画をされて、緊張した面持ちでお手前を披露したり、あるいは外国人のため英語の解説つきの野点、また邦楽の演奏など、江戸東京の文化、これを紹介するものとして、毎年好評を博しております。
 そこで、これまでの都の文化振興の取り組みについて、近年の推移と、ほかの道府県と比べてどうなのか、まず決算額でお示しください。

○関文化振興部長 都の文化振興費をこの五年の決算額で見ますと、平成十七年度は約六十億円でございましたが、平成二十二年度は改修費も含めて約百二十九億円となっており、大幅に増加をしております。また、文化庁の資料によりますと、平成二十一年度の決算では、芸術文化事業費の都道府県支出額は全国で約六百五十五億円でございました。それに対して、東京都の支出額は約百十億円となっておりまして、全国の約六分の一と、非常に大きな割合を占めております。

○服部委員 いろいろ尺度というのはあるんでしょうが、都がほかの道府県に比べて、多くの予算を確保して力を入れて文化振興に取り組んでいる、このことは評価をいたします。
 文化というのは、集客、あるいは誘客にもつながって、そしてそれが観光とまた産業に寄与するということです。都の文化施設は、開設以来、東京都美術館は八十五年、東京文化会館は五十年が経過するなど、東京の歴史とともに歩んできました。
 決算説明書にありますが、庭園美術館、それから写真美術館、江戸東京博物館、現代美術館など多くの方が観覧し、特色を生かして魅力ある事業に取り組み、努力をされています。
 そこで、現在、大規模改修が進められています東京都美術館についてですが、入場者の状況なども含めて東京都美術館の特色、これについて伺います。

○北村文化施設改革担当部長 東京都美術館は、海外からの著名な作品などによります大規模な企画展が開催されるとともに、院展、二科展などの美術団体が開催いたします公募展の殿堂といたしまして都民に親しまれております。
 平成二十二年度から大規模改修で休館しているため、平成二十一年度の数字でご説明いたしますが、年間入場者数は企画展が八十三万人、公募展が百四十一万人、合計二百二十四万人であり、都立文化施設では最も多くの来館者がある施設でございます。
 公募展での利用団体数は二百六十一団体であり、多くの美術団体が参加できる美術館でもございます。
 このように、多くの方々に良質の芸術文化に触れる機会を確保するとともに、文化をつくろうという人にも場を提供していることが東京都美術館の特色でございます。

○服部委員 東京都美術館は、企画展、公募展合わせて、今ご説明ありましたように年間二百万人を超えるという多くの来場者、参加者を集めています。
 都の美術館は、建築家の前川國男作品でありますけれども、この前川建築を生かしながら、来年のリニューアルオープンする東京都美術館の改修のポイントといいますか、それについてお答えください。

○北村文化施設改革担当部長 今回の改修は、多くの都民に親しまれております東京都美術館をより快適に利用していただけますよう平成二十二年度から工事に着手し、二十四年四月のリニューアルオープンに向けて取り組んでいるところでございます。
 改修のポイントは、老朽化した施設の更新を行うとともに、企画棟では大規模な展覧会の開催に適した天井高やスペースの確保、休憩場の設置、公募棟では、照明や空調の改善で鑑賞環境の向上を図ることにございます。
 また、バリアフリーのさらなる充実を図り、正面入り口での動線には、エレベーター、エスカレーターを設置し、企画棟にはエスカレーターを設置いたします。
 さらに、館内でより豊かな時間を過ごしていただけますよう、レストランや情報コーナーも充実させ、来館者の利便性、快適性の向上を図ってまいります。

○服部委員 今来館者の利便性、あるいは快適性を向上させる、これは来館者にとって大変大事なことだと思います。
 来春開館する予定の東京都美術館ですが、その前身の東京府美術館がただ一人の篤志家の寄附金で建てられたと。これは余り知られていません。佐藤慶太郎翁がその人で、常設の美術館が日本にないことを憂いて、大正時代です。建設費として、当時百万円、現在では三十数億円を東京府に寄附をされ、そして大正十五年に開館したものです。この寄附がなければ東京府美術館はありませんでした。北九州市若松の炭鉱経営で財をなし、石炭の神様と尊敬され、その後も農業支援のため、福岡農士学校の支援、駿河台に佐藤新興生活館の建設など社会事業、あるいは奉仕活動に生涯をささげられました。
 最後の質問になるわけですが、この佐藤慶太郎翁の人となりを知ることは大変重要なことだと思います。ここに、佐藤慶太郎伝というのがありますが、この本は東京都美術館、また都の現代美術館の学芸員として勤務をされ、現在、筑波大学教授としてご活躍中の斉藤泰嘉先生が上梓されたものです。
 それでは、本文中の断想録、この一部を読ませていただきたいと思います。
 私は--佐藤慶太郎はですね。貧しい家、貧家に生まれ、親戚の補助を得て明治法律学校に学んだ。だが、病身であったため、ほとんど半分を病気で暮らし、やっと卒業だけはした。そして、番頭生活から出発して、他日金銭を持って人類社会に奉仕しようと決心をした。忘れもせぬ明治二十五年、私の二十五歳のときである。そのころ、カーネギーの伝記を読み、彼が糸巻き小僧の幼時、その収入の十分の一を慈善事業にささげたことを知って、生涯消えぬ感動を与えられた。
 そのように佐藤は述べておるわけであります。
 この東京都美術館の改修に当たって、佐藤慶太郎翁の功績、これをたたえ、また現在ございますが、朝倉文夫制作のブロンズ像、胸像の設置、あるいはメモリアルサロン。そして何よりも、この佐藤慶太郎翁の精神、これを都民に広くを知ってもらい、伝えていくことが私は東京都の責務と考えますが、これはぜひ局長にご答弁をいただきたい。

○井澤生活文化局長 大正十五年の開館以来、東京都美術館は長年広く都民に親しまれてまいりましたけれども、その歴史は佐藤慶太郎氏の存在抜きには語れないと考えております。
 佐藤慶太郎翁は、九州の炭鉱王としまして、富んだまま死ぬのは人間の恥である。今お話のありましたカーネギーの言葉を一生の信条といたしまして、東京都美術館の建設のために、その全財産の半分を寄附していただいたと聞いております。
 先日、同じくもう一つ、翁が寄附をして建設された別府市の美術館、小さいものでありますけれども、のぞく機会がございました。翁の肖像画と、その横に顕彰する一文が掲げてございました。
 今回のリニューアルを機に、都民の皆さんに佐藤翁の偉大なご功績を知っていただくことは、これは大変意義のあることだと考えております。新しい美術館に歴史の息吹を吹き込んでいきますためにも所蔵している胸像や資料を美術館を訪れる多くの方々に見ていただくなど、その奉仕精神を広く伝えていく工夫をしていきたいと考えております。

○服部委員 ただいま生活文化局長から本当に貴重なといいますか、佐藤慶太郎翁の功績というのは十分把握、理解をしていただいた上でのご答弁、本当にありがとうございます。
 文化のあるべき姿、これは江戸や東京、あるいは日本が築き上げてきた歴史や伝統は十分に尊重しつつ、その上で新しい要素をつけ加えていくことだと思います。もとを忘れず、温故知新という言葉があるように、東京都美術館においても佐藤慶太郎翁の功績をしっかりと伝えることにより、今回のリニューアルがよりよい文化芸術を都民に発信し、新しい歴史を開いていくことを、これを期待いたしまして質問を終わります。ありがとうございました。

○遠藤委員 それでは、私からも質問させていただきます。
 冒頭、今改めて服部先生から東京都美術館の歴史というものをお教えいただきました。私も東京都美術館については何度か取り上げてまいりましたけれども、今服部委員からご紹介いただいたお話というのは、不肖にも存じ上げませんでした。すばらしい歴史があるものだということを痛感させていただきまして、本当にご紹介いただいてありがとうございました。
 今局長から、しっかり服部委員の提案を踏まえてやっていくということで答弁ありましたけれども、私たち、公明党というと語弊があるかもしれませんけれども、少なくとも私遠藤は今の服部委員のご意見にも全面的に賛同いたしますので、こちらからもバックアップをさせていただきたいと、このように思っております。
 それで、特にあえて連携をとったわけではもちろんありませんが、私からもまず東京都美術館について質問させていただきたいと思います。平成二十二年度、先日ご説明いただきました決算の概要、これを踏まえてでございます。
 先ほど来、部長からご答弁ありましたとおり、いよいよ来年四月に東京都美術館リニューアルオープンということであります。二十二年度を含むこれまでのこの工事の取り組みと、いよいよ来年四月に向けてということで、残り半年となったわけでありますけれども、残り半年に向けてのこの準備のスケジュール、最終段階を迎えていると思います。今後の予定をご答弁いただければと思います。

○北村文化施設改革担当部長 改修中の東京都美術館の建物は、竣工以来三十年以上が経過し、施設や設備の老朽化が進んだことから、平成二十二年四月から大規模改修に着手いたしました。
 まず建物の一部を解体いたしまして、増改築を進めますとともに、設備の更新やエレベーター、エスカレーターの設置などを行ってまいりました。工事は予定どおり進んでおり、現在、内装など仕上げの最終段階を迎えております。今後は、外構やサイン工事等を実施し、平成二十四年四月に公募展示室等をリニューアルオープンするとともに、夏には残りの企画展示室をオープンする予定でございます。

○遠藤委員 準備は滞りなく進んでいて、来年四月を目指して、まず四月からは公募展、そして夏からは企画展と、この二段構えでスタートすると、こうした答弁だと思います。
 ところで、この東京都美術館、先ほど部長の答弁にもありましたけれども、機能は大きく分けて二つ。一つが国内外のすばらしい展示品を、この美術品を展示する企画展、そしてもう一つは、広く都民一般からその作品を募る公募展、この二つを開催すると、こういうことであります。
 この後者の公募展につきましては、私は平成二十年のこの決算特別委員会、多分同じ第二分科会だったと思いましたけれども、提案をさせていただきました。どんな中身かというと、この東京都美術館、公立美術館で行われる公募展である以上、参加団体が毎年偏ることがないように、この四月のリニューアルに合わせて公募展の募集のルールを変えるべきであると、こういう提案でございました。
 当時は、毎年のようにほぼ使っている団体、これを優先使用団体と、たしかそういう名称だったと思います。この団体がほぼ数多くのパーセンテージを毎年この展示会で使っていました。残るわずかな枠を目指して多くの団体が、抽せん団体ということで残りのわずかを競って抽せんをするという、私からいわせれば、いささか偏ったルールがあるということで、それは変えるべきだという提案をいたしました。
 先ほど来の質疑でもありましたとおり、この美術館、設計を手がけたのは、故前川國男さんであります。この精神をしっかりと残して、躯体も残して新しい美術館に建てかえたということでありましたけれども、この前川先生が東京都美術館をつくるに当たって、設計するに当たって、何を一番大事にしたかというと平等性という、広くすべて、平等性ですね。これ一番大事にしたということで、その意味でその精神を具現化するために、この公募展の展示場というものは広さも同じ、容積も同じ、このような形でリニューアル前のこの展示室はつくられていたと、こういうことであります。そうした点も踏まえて、このルール変更を求めたわけであります。
 今、局長のお隣に座っている藤井部長が当時この改革担当の部長として、この新しいルール決め、変更をしてリーダーシップとっていただいたわけでありますけれども、このルール変更、ポイントはどこにあったか。そして、この新しいルールを適用した結果、これは二十四年の四月からスタートするわけでありますけれども、どのような変化、成果があらわれたのか、お伺いします。

○北村文化施設改革担当部長 公募展示室の使用につきましては、これまでは長期継続的に利用していた団体が優先して使用できる仕組みでございましたが、今回このルールを改めることといたしました。
 お尋ねの変更のポイントの一つ目は、明確な基準に基づき、外部有識者から成る審査委員会が公正に審査を行うことでございます。審査基準を、創造活動を促進、支援し、すそ野の拡大を図る、団体活性化への取り組み等といたしましたことから、各団体が公募展のあり方を見直す機会となりました。これによりまして、若手の作家の発掘、育成を図る企画や鑑賞者とのコミュニケーションを図る企画など、従来にはない魅力的な公募展が期待できます。
 ポイントの二つ目でございますけれども、審査結果に応じて継続的に使用できる年限を限定し、約六十団体につきましては毎年、残りの約二百団体につきましては五年に一度改めて審査することといたしました。このことによりまして、新規参入の可能性が増加いたしました。

○遠藤委員 大体毎年二百六十団体ぐらい受け入れているということで、そのうち六十団体は毎年入れかわる。そして、残りの二百団体については五年を一区切りとして、また改めると、審査をし直すと、こうした答弁だったと思います。新しい角度、若者の発掘、育成並びに鑑賞者とのコミュニケーションを図る、こういう企画も新たな視点で盛り込んでいただいたということであります。とりあえず、今のところは満足でありますので、しっかりとこのルールに基づいて運営を進めていただきたいと、このように思います。
 二点目は、東京都交響楽団、この助成事業とその関連についてであります。
 東京都交響楽団は、申すまでもなく昭和四十年の設立以来四十六年、間もなく半世紀になりますけれども、我が国日本を代表する公設オーケストラとして、東京の文化発展に大きく寄与してまいりました。
 さらに、今般の三・一一大震災を受けまして、被災者の皆さんを何とか勇気づけたいという思いで、私たち都議会公明党の提案を受け、この東京都交響楽団、被災地の皆さんに励ましの音楽を奏でていただいたわけであります。そのほかたくさんの大きな歴史、実績を残しております。
 また、組織の改革にも鋭意取り組まれておりまして、平成十六年度から、かねがね平成二十年度までを計画期間とする、いわゆる中期ビジョン、これを策定いたしまして、主に三つの柱で取り組んできたようであります。一つが経営の自立、二つに人事給与制度の抜本改革、三つに高い演奏水準等都民の期待にこたえる交響楽団、この三つを柱として中期ビジョンを策定し、その取り組みを平成二十年度まで取り組んできたわけであります。
 この計画期間、今申し上げましたとおり平成二十年度で終わっておりますけれども、その取り組みというものは当然二十一年、二十二年、そして現在まで続いているわけであります。
 そこで、この平成二十二年度における、さっき申し上げました三つの柱の第一であります経営の自立、すなわち、都からの補助金の増額がどう変わったのか、また国からの補助金、または民間からの寄附金の増減等、さらには最も大切だと思いますけれども、内部努力、すなわち経費の節減努力等々、この経営の自立、どのように進んだのか、答弁を求めます。

○関文化振興部長 東京都交響楽団は、経営の自立に向けた取り組みを着実に行ってまいりました。例えば、今お話にありました国庫補助金につきましては、演奏事業について企画面で工夫を行うなどの努力の結果、平成二十二年度には約一億五千万円の文化庁補助金を受けることができました。この額は、国内オーケストラの中で最も高い水準となっております。
 企業協賛金や個人からの寄附金の確保などにも積極的に取り組んでおり、その収入額は約一千六百万円となっております。また、職員の賞与の五〇%減額や各種手当の見直しなど、管理経費の削減にも努めてまいりました。
 これらの取り組みによりまして、平成十六年度には三七・一%でありました自己収支比率は、平成二十二年度には四五・二%となり、改善が図られております。こうした都響みずからの経営改善努力の結果、都からの補助金につきましても、平成十六年度の約十三億四千万円から平成二十二年度には十億五千万円となっております。

○遠藤委員 自己収支比率が三七・一であったものを四五・二ということで上げました。もう補助金もいろんなところから、国を持ってき、民間から寄附を募りということで、大分経営の自立に当たって、大なたの努力をしたなということがわかりました。
 一方で、東京のこの音楽文化を支えているのは、いうまでもなく、都響ばかりでなく、民間のオーケストラ団体もあるわけであります。これらの民間運営のオーケストラ団体は歴史的に見ても、また演奏技術においても、都響と互角か、人によっては、それ以上のものだと、このように指摘をする声もあるわけであります。
 ところが、いずれのこの民間のオーケストラ、民間運営のオーケストラ団体も最大の悩みは、いうまでもなく、運営資金の確保、捻出であるわけであります。過日も、都の来年度予算編成に向けた団体ヒアリングを受けましたけれども、ご出席いただいた都の四団体の首脳の皆さん、口をそろえて財政が厳しいと、このようにおっしゃっておりました。
 そこで、都はこうした民間運営のオーケストラ団体の活動実態、とりわけ、その運営費の工面について実態を把握をしておりますでしょうか、答弁を求めます。

○関文化振興部長 都内の民間オーケストラは、高い演奏技術によりまして、都民にすぐれた音楽体験を提供するなど、都響とともに東京の音楽文化をはぐくむ担い手であるというふうに認識をしてございます。ただし、各楽団の運営につきましては、企業等のスポンサーとかかわりが深いような団体もございますし、また自治体等と提携が多いものなど、さまざまな状況にあると思っております。
 日本オーケストラ連盟の資料によりますと、都内の民間オーケストラのうち、大口スポンサーがない五団体の平成二十二年度の事業実績を見させていただきますと、総支出に占める演奏収入の割合は、おおむね七割から八割ぐらいというふうになっておりまして、近年、こうした状況は続いていると聞いております。
 厳しい経済環境の中におきましても、民間のオーケストラは質の高い演奏を通じまして、安定的な演奏収入を確保するとともに、国からの補助金、民間からの協賛金を得るなど、さまざまな経営努力を行いながら演奏活動を継続していると、このように認識をしております。

○遠藤委員 それでは、こうした民間のオーケストラに対する都の支援、これまでどのようなものがあったか、ご答弁をいただきたいと思います。

○関文化振興部長 都はこれまでも、都民芸術フェスティバルにより、都内八楽団の公演を支援してまいりましたほか、東京都芸術文化発信事業助成でも海外公演などに助成をしております。
 また、共催事業もあわせて行っておりまして、日本オーケストラ連盟とともに、子どもたちと芸術家の出あう街事業を実施しております。
 また、東京都歴史文化財団のフレッシュ名曲コンサート事業でも、都内オーケストラの公演を平成二十二年度で申しますと、二十九回行っております。
 都は、これらの事業を通じまして、民間オーケストラのすぐれた活動を支援しております。

○遠藤委員 今、答弁の中で都内八団体の公演、さまざまな形から支援しているという答弁がありました。都内八団体というのは、改めて紹介しますけれども、この都内八団体の中には、もちろん都響も入っております、これで一つ減る。そして、NHK交響楽団、NHKがバックであります、これで一つ減る。そしてもう一つ、読売日本交響楽団、これで一つ減る。八引く三、五つ。残りの五つが、いわゆる民間運営のオーケストラであるわけであります。今、種々答弁がありましたこうした民間も含めて、このオーケストラが演奏するチャンス、舞台はさまざま提供していますよと、こういう答弁であったと思います。しかしながら、私はこうした舞台を整えるということも大事でありますけれども、本質的には何らかの形で、それがたとえわずかであっても、何らかの財政支援を行うべきであると思っております。答弁を求めます。

○関文化振興部長 数多くのオーケストラが存在をし、それがお互いに切磋琢磨をしながら演奏を競い合う中で、すぐれた音楽が生み出されている。これが東京における音楽文化の魅力の一つになっているというふうに思っております。
 こうした魅力をさらに高めていくためには、民間のオーケストラが経営の自立性を維持しながら、より集客力の高い取り組みを展開していくことが重要だと考えております。
 民間オーケストラに対しまして、その運営に直接的な財政支援というのは難しいと思いますが、今後とも演奏機会の提供を通じて、民間オーケストラと連携しながら、東京における音楽文化の振興を図ってまいります。

○遠藤委員 今、答弁ありました直接的な財政支援は難しいと、だけれども、今後とも東京都と民間オーケストラで連携してやっていくといっています。私がいいたいのは、連携してやっていただくのは、それはもちろん結構なんですけれども、連携するにも、このオーケストラの団体の皆さんが存続をして、そして十分な演奏の技術があればこそ連携して取り組みができるんで、そのためにも何らかの支援は必要だと、この点を改めて申し上げまして、私の質問を終わります。ありがとうございました。

○山内委員 幾つか私からも質問させていただきます。
 まず消費者行政について伺います。消費生活相談の実施は、東京都から市区町村にシフトしています。身近な地域に相談機能を持つことは都民にとって望ましいことですが、相談から解決に結びつけるためには、東京都の支援が欠かせません。都は、相談機能を充実するため、バックアップする機能としてどのようなことを実施しているのでしょうか。また、市区町村の相談員の資質を向上させるためにどのような取り組みを行っているのか、二〇一〇年度の取り組みをお伺いいたします。

○藤井消費生活部長 都の消費生活総合センターは、高度専門性と規模のメリットを生かし、区市町村の相談窓口では処理が困難な相談事案に対応しつつ、そのノウハウを区市町村に提供するというセンター・オブ・センターズとしての役割を果たしております。
 具体的には、区市町村の消費生活センターに対しまして、相談に関する情報や事業者情報のほか、相談処理マニュアルを提供するとともに、困難事案の処理方法を示すなど、さまざまな支援を実施しております。また、相談員の資質の向上など、人材育成を図るため、新任研修を初め、最新の消費者問題に関する研修を実施しており、平成二十二年度は、これらの研修を十一回開催いたしました。

○山内委員 住民にとって身近な区市町村で相談できることは大変重要で、消費生活相談窓口の充実強化は、今後も進めていただきたいと思います。
 近年、若者の相談件数は減少傾向にありますが、高齢者の相談が増加し、二〇一〇年度は約三万五千件と過去最多になりました。とりわけ、金融商品に関する相談がふえていますが、その対応についてお伺いいたします。

○藤井消費生活部長 高齢者の金融商品に関する相談は、高齢者本人が商品の内容をよく理解しないまま契約する事例が多く、適切な相談対応や被害防止に向けた注意喚起が重要であります。金融商品に関する相談につきまして、知識の豊富な専門の相談員を配置して対応するとともに、日ごろから、ホームページや消費生活に関する情報誌、東京くらしねっとによりまして高齢者をねらった悪質な勧誘による消費者被害について情報提供を行っております。
 平成二十二年度には、未公開株や海外商品先物取引などのトラブル事例につきまして注意喚起を実施いたしました。
 また、主に高齢者を対象に金融商品取引を巧みに勧誘する悪質な事業者に対しまして、平成二十二年度は八件の処分や指導を行ったところでございます。先週には、高齢者をターゲットに誇大な広告で海外投資を勧誘していた事業者に対して、三カ月の業務停止を命じるなど、取り締まりを強化しているところでございます。

○山内委員 高齢者の平均契約金額は、三百二十二万円で相談全体の百九十六万円と比較して、より高額になっています。先日、東京都が発表した高齢者被害特別相談の実施結果についても、平均年齢が七十二・七歳で、最高年齢は何と九十五歳、平均契約金額が六百二十七・五万円で、一千万円以上の契約が十四件、四千五百万円を支払った人もいると書いてありました。また、国民生活センターが出している消費生活年報を見ますと、利殖商法の相談件数が年々ふえています。契約当事者は六十歳以上の無職の人が多く、男性の平均契約金額は六百五十五万円と金額も高額です。こうした被害を防ぐため、高齢者に対する普及啓発などは大変重要です。今後ともぜひ力を入れてほしいと思います。
 それに加えまして、ひとり暮らしの高齢者や情報媒体に接する機会の少ない高齢者もいて、情報がきちんと届かない場合もあります。このような現状を考えると、周辺の人たちが見守るなど、本人に情報が届くようにするために工夫も必要だと考えます。どのような取り組みを行っているのか、お伺いいたします。

○藤井消費生活部長 高齢者の被害を早期に発見し、見守りを強化するため、民生委員やホームヘルパーの方などが高齢者被害を通報できる高齢消費者見守りホットラインを設置いたしまして、専門知識を有した相談員により、きめ細かな相談対応を行っております。また、被害を未然に防止するため、高齢者本人だけでなく、高齢者を見守る方々を対象に、消費者問題に詳しい講師が地域に出向いて、悪質事業者の手口をわかりやすく解説する出前講座等を実施しております。
 さらに、昨年は被害防止のポイントや見守りの重要性につきまして具体的な情報を提供するためDVDを作成し、区市町村等関係機関へ配布するなど、高齢者を見守る方々への普及啓発も行っております。

○山内委員 都民の消費生活に関する相談事業も大切ですが、危害を未然に防止するための商品改善や制度改善も重要です。都は消防庁や業界団体を交えた協議会で使い捨てライターの安全対策について検討し、子どもが簡単に点火できないようにするチャイルドレジスタンス対策を提案しました。その結果、業界がまず動き、国も制度をつくって、ことし九月からチャイルドレジスタンス機能のついていないライターは販売が禁止されました。重要な取り組みと評価するものです。
 このような子どもの安全対策を初め、生活の中で気づいた危険を商品の改善につなげる取り組みに期待をいたしますが、商品等安全対策協議会の二〇一〇年度の提言と、これを受けた今後の取り組みについてお伺いいたします。

○藤井消費生活部長 日常生活に潜んでいる危害、危険に関する情報を掘り起こすため、平成二十二年度に行いましたヒヤリ・ハット体験調査の結果、子どもが誤ってのみ込んでしまう誤飲につきましては、たばこに次いで医薬品の危険性が高いことが明らかとなりました。この結果を踏まえて、商品等安全対策協議会におきまして、医薬品の誤飲について協議を重ね、あけ方の工夫がなされたチャイルドレジスタンス機能つきの容器の普及が重要であるとの提言がなされたところでございます。
 これを受け、都は現在薬剤師会等の協力を得まして、都内の一部の薬局にこうした容器を試験的に導入するモデル調査を行っているところでございまして、今後は調査の結果を踏まえ、その普及について検討してまいります。

○山内委員 都には消費生活相談を初め、ヒヤリ・ハット調査、また消費生活条例の申し出制度など、さまざまな情報が集まってきます。消費生活年報にも各地消費生活センターに寄せられた危害、危険情報や医療機関ネットワークに寄せられた危害情報が載っています。都は収集した情報をもとにして、危険を回避するための発信をするとともに、商品の改善にもつなげており、このような取り組みは非常に大切だと思っております。今後も都民からの情報にアンテナを張り、感度を磨いて商品改善や制度改善につなげていただくようお願いをいたします。
 次に、男女平等施策についてお伺いいたします。
 DV被害者の自立支援について伺います。
 都内のDVに関する相談件数は年々増加傾向を示しており、二〇〇九年度は三万五千件弱となっています。しかし、だれにも相談できずに苦しんでいる人も多く、命にかかわるような緊急事態が発生することもあることから、これまでも社会全体で認識の広がりと相談体制のさらなる充実を求めてきました。それと同時に、被害者が夫と離れて自立生活を始められるように支援することも重要な施策と考えます。
 そこで、DV被害者の自立支援について質問いたします。
 傷ついたDV被害者が立ち直り、自立生活を営めるようにするためには、さまざまな支援が必要です。まず暴力夫から逃げることから始まり、子どもがいる場合は、子どもとともに保護、その後自立に向けた準備をしていくことになります。都では、東京都配偶者暴力対策基本計画を策定し、自立支援のための体制整備を進めています。そのための具体的な取り組みはウィメンズプラザで実施していますが、二〇一〇年度における自立支援の取り組みについてお伺いいたします。

○菊地男女平等参画担当部長 配偶者暴力の被害者の自立支援においては、住宅や就業の確保、子どもの教育など、さまざまな問題への対応を支援していくことが重要であります。そのため、東京ウィメンズプラザでは、被害者の心理的サポートや就労、法律等の自立支援情報の提供を行う講座のほか、被害者の就労に役立つパソコン技術を学ぶ講座を開催しております。また、配偶者暴力が行われていた家庭で育った子どもを対象に、心の傷の回復を支援する講座を実施しております。平成二十二年度においては、これらの講座を合わせて七十四回実施したところであります。

○山内委員 DV被害者が心を立て直し自立生活をするには、住宅や仕事を見つける必要があります。福祉保健局や産業労働局との連携で職業訓練とその間の生活費を支援する制度、そして就労に結びつける取り組みも実施していると聞いておりますが、どのようにつないでいるのか、お伺いいたします。

○菊地男女平等参画担当部長 東京ウィメンズプラザでは、配偶者暴力に関する相談を受け付けており、被害者のニーズに応じたきめ細かい支援を行っております。具体的には、就労に向けた職業訓練や職業紹介については、都立職業能力開発センターやハローワークを、母子家庭を支援する給付金の利用などについては福祉事務所を紹介するなど、関係機関に適切につないでおります。今後とも関係機関との連携により、被害者が必要とする支援の提供に努めてまいります。

○山内委員 自立支援は、その人の生活全般にわたる総合的な支援と就労後の定着も含めて支援が必要です。そのためにも各局にわたる横断的な取り組みを要望いたします。
 次に、デートDVについてお伺いいたします。デートDVについては、認識が少しずつ広がってきていますが、とりわけ若い世代が気づかないまま被害者になっていることが多いようです。都では、啓発用のかわいいカードをつくり配布していますが、この配布も含めて二〇一〇年度啓発で取り組んだ事業についてお伺いいたします。

○菊地男女平等参画担当部長 交際相手からの暴力の防止は重要な課題と認識しており、都はかねてより、若年層からの相談を受ける立場にある中学、高校の教員等を対象として、交際相手からの暴力についての対応方法等に関する研修を実施しております。また、若年層向けにどのような行為が暴力に当たるのか、イラストを用いてわかりやすく解説するとともに、相談先を記載した携帯用のカードを作成し、区市町村のイベントや都内の大学、高校等で配布するなど、暴力防止のための啓発を実施しております。

○山内委員 DVは人権問題であることから、中学生や高校生もその知識を持つことが重要です。本人や親が気づかない場合で、周りの友人が気づくこともあり得ます。また、男女がともに知っておく必要もあります。
 養護教諭が認識を持って子どもたちに接する必要があります。養護教諭が子どもたちを対象とする講演会などを企画したとき、講師を派遣する仕組みはあるのか、お伺いいたします。

○菊地男女平等参画担当部長 東京ウィメンズプラザでは、若年層における交際相手からの暴力の防止に関する研修を実施してきており、区市町村や民間団体等からの依頼に応じて適任と思われる講師の紹介を行っているところであります。

○山内委員 デートDVの啓発イベントは、PTAでも実際に取り組まれています。講師の派遣や紹介を積極的に実施していただきたいと要望し、質問を終わります。ありがとうございました。

○高倉委員 二点質問をいたします。まず観光振興の視点からの文化施設の取り組みについてであります。
 東京には、歌舞伎など伝統的なものから若者に人気のある漫画やアニメまでバラエティー豊かな文化活動が行われているという大きな魅力があるわけであります。そうした東京の文化を楽しむために、海外から東京を訪れる観光客も多いと思います。こうした観光客がふえれば、日本人と異なる価値観を持つ外国人との交流もふえ、その結果、新しい文化が生まれていくきっかけとなるわけであります。それゆえに、これまで以上に観光の視点も取り入れて文化行政に取り組むことが必要だと思います。
 東京を訪れた外国人観光客が東京の文化に触れる場として都立の博物館、美術館の果たす役割は大きいと思います。決算説明書には、都立の博物館、美術館の延べ観覧者数が示されておりますけれども、ここ数カ年の外国人観光客の動向についてはどういった傾向があるのでしょうか、お伺いします。

○北村文化施設改革担当部長 来館者の多い都立の博物館、美術館におきまして、正確に外国人の数を把握するのは困難でございますが、外国人来館者は増加傾向にあると聞いております。
 例えば、外国人のツアー客が多い江戸東京博物館では、ボランティアガイドが外国語により展示の解説を行っておりますが、その外国人利用者は増加しております。

○高倉委員 私も都の文化施設を訪れたときに、ここ数年、特にアジア圏を中心に外国からの観光客がふえているというふうに感じております。外国人観光客にとって、日本は言葉の壁がある上に外国語の案内表示も少なく、まちを歩くのにもわかりづらいというイメージがあったわけであります。最近は、駅や観光地などは大分改善をされてきているというふうに思いますけれども、都立の文化施設においても外国人の方が気持ちよく利用できるようにすることは大切なことであると思います。
 そこでお伺いしますけれども、現在の博物館、美術館では、外国人観光客への対応としてどういった工夫を行っているのでしょうか。

○北村文化施設改革担当部長 都立文化施設では、各館の状況に応じまして、これまでも外国人対応を工夫してまいりました。館を訪れた方が利用しやすいように館内サイン、作品解説等に英語を併記するとともに、電話案内及び総合案内窓口に英語を話せるスタッフを配置しております。また、すべての館で英語版パンフレットを配置しておりますが、海外からの団体利用が多い江戸東京博物館では、中国語、ハングル、フランス語、ドイツ語、スペイン語のパンフレットを用意いたしますとともに、先ほど答弁いたしましたが、外国語によるボランティアガイドも実施しております。

○高倉委員 外国人観光客が来館をしたときの利便性向上のためにさまざまな工夫を行っているようであります。
 今答弁にありましたけれども、江戸東京博物館、これは多言語に対応しているようであります。すべての館でも、さらに十分な対応をされるように望みたいと思います。
 さらに必要なことは、外国人観光客をふやすために具体的に取り組んでいくことであります。今後、さらに東京の文化の魅力を海外に発信していくためには、より多くの外国人に都の博物館、美術館を訪れてもらうような戦略的な取り組みが必要だと思います。そのためには、例えば観光コースに都の文化施設を組み込むなど工夫すべきと思いますけれども、取り組みについて答弁を求めます。

○北村文化施設改革担当部長 都立文化施設により多くの外国人観光客を誘致するための取り組みといたしまして、海外旅行会社にツアーに組み込んでもらえるよう働きかけを行ったり、海外のプレスやアート関係者向けメールマガジンに展覧会情報を提供しております。こうしたことによりまして、海外旅行会社のパッケージツアーに都立文化施設が組み込まれるなどの成果が出ております。
 また、日本を訪れた外国人観光客向けには羽田空港の駅ホームに看板広告を設置しましたり、空港や都庁を初め、観光案内所や主要ホテル等に外国語パンフレットを置くなど、都立文化施設の魅力をアピールするよう努めております。

○高倉委員 外国の主要な都市には、その国の顔になるような大変著名、有名な文化施設があるわけであります。そこを訪れるためにその国を旅行するという人も多いわけでありまして、東京もさらにそうした魅力の発信に努めていただきたいと思っております。
 東日本大震災によって一時低迷をしていました外国人観光客もこのところ戻ってきているというふうにも聞いております。外国人のための利便性をさらに高めたり、都立文化施設の魅力を積極的にPRすることにより外国人観光客が一層ふえるよう、引き続き創意工夫に努めていただきたいと思います。
 次に、ネットを活用した都政情報の発信について質問をいたします。
 今回の大震災を契機に、災害発生時の交通情報など、公的機関からの信頼できる情報の迅速な提供を求める都民の声が高まっていると思います。その中でも、都政の情報を都民に迅速に知らせる上で、ホームページやツイッターといったインターネットを活用した情報発信がますます重要性を帯びてきていると思います。
 生活文化局の平成二十二年度一般会計決算説明書によりますと、東京都ホームページへのアクセス件数は、約一億六十四万件になっております。前年の平成二十一年度、これは約六千三百八十七万件でありますけれども、大幅に増加をしているわけであります。これは、三月十一日に発生をした大震災の影響がかなりあるんではないかなと思いますけれども、まずそのアクセス件数について、この東日本大震災による影響がどの程度あったのか、この点についてお伺いしたいと思います。

○櫻井広報広聴部長 東京都全体のホームページの入り口に当たります都庁総合ホームページへの平成二十二年度のアクセス件数は、東日本大震災が発生した三月について見ますと、約一千七百万件でございます。前年同月の約六百五十万件から一千万件余り増加しておりまして、おおむね二・六倍になっております。

○高倉委員 今のご答弁で三月のホームページへのアクセス件数が対前年で倍以上になっているということでありますが、これは公的機関のホームページによる情報が都民から非常に頼りにされるようになってきたということを物語っていると思います。本当に大事な情報をしっかりと発信をしていかなければならない、こういった責務が重くなってきているんだと思います。
 震災後、都は被災地、被災者への支援策や電力、放射線等に関する対応など、次々と進めてきたところでありまして、都民が都の動きに関する最新の情報をホームページから入手しようとしたことは、この数字にあらわれていると思います。それだけに、都のホームページには震災関連情報をわかりやすく都民に伝えるために、さまざまな緊急対応が求められたことと思います。
 そこで都は、震災以後、ホームページにどのような工夫を加え、震災関連情報発信のために活用してきたのか、答弁を求めます。

○櫻井広報広聴部長 都庁総合ホームページにおきましては、避難所や相談窓口の案内、節電の呼びかけ、放射線測定結果など、震災に関連するさまざまな情報を所管局との連携のもと特設ページを作成いたしまして、報道発表一覧やQアンドAなどという形で掲載をいたしました。また、ホームページ上の配置を工夫し、被災者や都民など利用者の特性に応じて情報を整理、集約することで利便性を高めますとともに、震災関連情報を発信するページのバナーを大きく表示し、利用者が震災に関する情報を得やすくするなどの改善を行ったところでございます。

○高倉委員 このたびの震災における発災直後の情報伝達手段としては、今ご答弁にもありましたホームページに加えまして、ツイッターといったような新たなメディアが効果を発揮をいたしました。これは、もうさまざまなところで報道されているとおりだと思います。
 生活文化局では、七月には情報発信を強化するために、このツイッターを開始をされております。アカウントは都庁広報と、ローマ字でいいますと、tochoアンダーバーkohoということで、七月から開始をして、都民生活にかかわるお知らせ、またイベント情報など都政情報を発信しているわけであります。
 このツイッターは、今後の災害時の情報発信にも大変役立つものと期待をしております。都として、ツイッターの運用を開始してから日もまだ浅いと思いますけれども、この間の運用状況、そして今後の活用方法について見解をお伺いします。

○櫻井広報広聴部長 ツイッターは、携帯端末からも容易にアクセスできることなどから、今回の震災をきっかけに広く普及が進みました。そこで、都の広報といたしましても、そうした特徴を生かし、情報提供体制の強化を図るため、七月にツイッターを開始したところでございます。現在、一万を超えるフォロワーに即時に情報が届いております。水道水の放射能測定結果や被災された方等を対象とする緊急就職支援窓口開設の案内など、案件によりましては、さらに内容を引用して広めるリツイートと、こういう仕組みを通じまして、二十万人を超える利用者に情報が届いているものもございます。
 また、九月に台風十五号が東京に接近し、交通機関の運行等にも大きな影響が出た際には、都営地下鉄の運行情報について交通局と連携をし、両局のツイッターを活用することで、都民に広く周知をすることができました。今後ともツイッターを都民への情報提供手段として活用いたしますとともに、庁内各局に対しても、その利用を働きかけてまいります。

○高倉委員 今台風十五号の接近時にツイッターを活用して、迅速に情報発信をされたというお話がありました。三・一一の教訓を生かした大きな成果だったのではないかと思います。
 きょう質問でホームページのお話を最初にさせていただきましたけれども、いわばホームページというのは、見に来てもらうというような、基本的にはそういうコンセプトの媒体だと思いますけれども、むしろ、都民が必要としているような情報を積極的に発信をしていけるような、そういったものについては本当にさらに積極的に使っていく必要があると思います。
 今リツイートというのを通じて二十万人に情報が届いたケースもあると、今七月にツイッターを開始して、フォローして、フォローって、つまり読んでいる人は一万人ということで、まだまだ私は少ないのかなと思いますけれども、これを読んでいる人の中に、たくさんの人に読んでもらっている人がいれば、リツイートという方法を使うと、何十万件も一遍にその情報が届いてしまうわけですね。猪瀬副知事もこのツイッターを利用して、盛んに震災のときには発信をしていたようでありますけれども、例えば、この猪瀬副知事が東京都のツイッターをリツイートすると、猪瀬副知事の読者は非常に多いわけでありまして、一遍にまたその情報が広がっていくわけですね。本当にいろんな環境を生かしながらやっていただきたいと思いますし、今後も、例えば電力の状況だとか、放射線の状況ですとか、あるいは被災地の支援とか、それに対する都民への協力の呼びかけですとか、あるいは東京都としての都民が一番関心がある自分たちの東京の防災対策とか、むしろそういったものを都のホームページに書いておくだけではなくて、積極的に発信をしていただきたいなと思います。
 また、震災が本当に私たちが住む東京で起こったときには、なかなか電話も通じなくなったりしてしまうわけでありますけども、例えばですが、もう本当に緊急時、発災直後は難しいかもしれませんけれども、民間のコールセンターなんていうサービスも今あって、そういったものは本当に使えないのかどうかというようなこともぜひ検討もしていただきたいなと思います。
 これからも都民にわかりやすく情報を伝えるという広報の役割を常に忘れずに、都の広報部門としての使命を果たすとともに、インターネットを初めとするさまざまなメディアの最新動向を踏まえながら、効果的な情報発信を進めていただきたいことを要望しまして、質問を終わります。

○山加委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑は、これをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○山加委員長 異議なしと認め、本件に対する質疑は終了いたしました。
 以上で生活文化局関係を終わります。
 これをもちまして本日の分科会を閉会いたします。
   午後二時五十一分散会

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