平成二十二年度各会計決算特別委員会第一分科会速記録第四号

平成二十三年十月二十一日(金曜日)
第十一委員会室
   午後一時開議
 出席委員 十名
委員長神野 吉弘君
副委員長村上 英子君
副委員長大津 浩子君
小林 健二君
中屋 文孝君
中山 信行君
山口  拓君
野上ゆきえ君
吉田 信夫君
田中たけし君

 欠席委員 なし

 出席説明員
議会局局長三橋  昇君
管理部長前田 敏宣君
議事部長鈴木 省五君
調査部長森山 寛司君
収用委員会事務局局長細野 友希君
人事委員会事務局局長多羅尾光睦君
任用公平部長大村 雅一君
試験部長鈴木 隆夫君
審査担当部長小澤 達郎君
財務局局長安藤 立美君
経理部長櫻井  務君
契約調整担当部長石井 正明君
主計部長武市  敬君
財産運用部長奥田 信之君
利活用調整担当部長岩瀬 和春君
建築保全部長末菅 辰雄君
技術管理担当部長室木 眞則君
庁舎運営担当部長藤森 教悦君

本日の会議に付した事件
平成二十二年度東京都各会計歳入歳出決算の認定について
議会局関係
・平成二十二年度東京都一般会計決算(質疑)
収用委員会事務局関係
・平成二十二年度東京都一般会計決算(質疑)
人事委員会事務局関係
・平成二十二年度東京都一般会計決算(質疑)
財務局関係
・平成二十二年度東京都一般会計決算(質疑)
・平成二十二年度東京都用地会計決算(質疑)
・平成二十二年度東京都公債費会計決算(質疑)

○神野委員長 ただいまから平成二十二年度各会計決算特別委員会第一分科会を開会いたします。
 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、議会局、収用委員会事務局、人事委員会事務局及び財務局関係の決算に対する質疑を行います。
 これより議会局関係に入ります。
 決算の審査を行います。
 平成二十二年度東京都一般会計決算中、議会局所管分を議題といたします。
 本件については既に説明を聴取しておりますので、直ちに質疑を行います。
 発言を願います。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕

○神野委員長 発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○神野委員長 異議なしと認め、本件に対する質疑は終了いたしました。
 以上で議会局関係を終わります。

○神野委員長 これより収用委員会事務局関係に入ります。
 決算の審査を行います。
 平成二十二年度東京都一般会計決算中、収用委員会事務局所管分を議題といたします。
 本件については既に説明を聴取しておりますので、直ちに質疑を行います。
 発言を願います。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕

○神野委員長 発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○神野委員長 異議なしと認め、本件に対する質疑は終了いたしました。
 以上で収用委員会事務局関係を終わります。

○神野委員長 これより人事委員会事務局関係に入ります。
 決算の審査を行います。
 平成二十二年度東京都一般会計決算中、人事委員会事務局所管分を議題といたします。
 本件については既に説明を聴取しておりますので、直ちに質疑を行います。
 発言を願います。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕

○神野委員長 発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○神野委員長 異議なしと認め、本件に対する質疑は終了いたしました。
 以上で人事委員会事務局関係を終わります。

○神野委員長 これより財務局関係に入ります。
 決算の審査を行います。
 平成二十二年度東京都一般会計決算中、財務局所管分、平成二十二年度東京都用地会計決算及び平成二十二年度東京都公債費会計決算を一括して議題といたします。
 本件については、いずれも既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布をしてあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○櫻井経理部長 それでは、先日の分科会におきまして要求のございました資料につきまして、ご説明を申し上げます。
 恐れ入りますが、お手元の平成二十二年度各会計決算特別委員会第一分科会要求資料をごらんください。
 最初にまず、表紙をおめくりください。
 今回要求のございました資料は、目次に記載してございますとおり四件でございます。
 一枚おめくりをいただきまして、要求資料第1号でございます。性質別歳出の推移をごらんください。平成十一年度から二十二年度までの十二年間における普通会計決算の性質別歳出の推移をお示ししたものでございます。
 また、次のページをお開き願いたいと存じます。次のページは、要求資料第2号、各種基金の年度別推移でございます。平成十一年度から二十二年度までの十二年間における各種基金の決算額の推移をお示ししたものでございます。
 さらに、もう一枚おめくりをいただきたいと思います。要求資料第3号、都債発行額及び都債現在高の推移でございます。平成十一年度から二十二年度までの十二年間における都債発行額及び都債現在高の推移をお示ししたものでございます。
 さらに、次のページをお開き願いたいと存じます。要求資料第4号、目的別普通建設事業費の推移でございます。平成十一年度、平成十七年度及び平成二十二年度の各年度におきます目的別普通建設事業費をお示ししたものでございます。
 説明は以上でございます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○神野委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含め、これより本件に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○野上委員 東京都一般会計決算説明書に記載の都庁本庁舎等の維持管理費に関連して質問させていただきます。
 本庁舎等の維持管理費は、庁舎の維持補修事務と本庁舎の整備保全で構成されており、このうち庁舎の維持補修事務の費用を日常の清掃や設備の保守管理、工事、修繕等に充てて、本庁舎の円滑な維持管理が行われているとお聞きしております。この予算について、三月の東日本大震災を一つの材料に伺っていきたいと思います。
 三月の東日本大震災では、震源地から遠く離れたこの東京においても大きな影響を与えました。東京及びその近郊においても建物に被害が生じ、残念ながら人的な被害が発生した事例もありました。
 この都庁舎においても幾つかの被害が発生しております。私や、あるいは当日、この本庁舎におりました議員も、地震発生当日、最初の地震がおさまった時点で敷地内を見て回り、議会議事堂と第一本庁舎の間の十一号街路下において、天井ルーバーが幾つか落ちたり、ぶら下がっていたりしたのを記憶しています。
 東京においても震度五強と、今までにないような大きな地震でありました。このような大きな地震でしたが、都庁舎における被害はどのような状況だったのか、改めて伺います。

○藤森庁舎運営担当部長 本年三月十一日に発生いたしました地震につきましては、その後の余震を含め、都庁舎におきましては構造体や外壁等の損傷などはなく、人的な被害並びに業務に支障を来すような被害はございませんでした。
 被害として確認している主なものを申し上げますと、まず第二本庁舎三十三階体育室、都議会議事堂六階空調機械室、第一本庁舎八階機械室内における漏水がございました。次に、地震管制によりエレベーターの全基が停止いたしましたが、利用者の閉じ込めなどの事故はございませんでした。次に、第一本庁舎と都民広場の間の十一号街路下の天井ルーバーの一部脱落がございました。その他、事務室や廊下の天井ボード、壁パネルの脱落、防火戸の破損がございました。
 これらにつきましては、順次必要な処置を実施してきたところでございます。

○野上委員 幸い人的な被害はなかったということであり、都庁舎の安全性が確認でき、少し安心したところでございますが、物理的な被害が生じたということは事実でございます。これらを順次処置しているとのことですが、当然これには費用がかかってくることと思います。復旧等に要する費用はどの程度見込んでいるのか、次に伺います。

○藤森庁舎運営担当部長 今回の被害の復旧に向けまして、現在までに必要な補修等の対応を実施してきたところでございます。具体的には、天井ボードや壁パネルのずれ、脱落などのうち、補修内容が軽微なものにつきましては、建物管理の委託業務の中で、業務の一環として手直しなどの対応を行ってまいりました。また、専門業者の対応が必要なものにつきましては、補修工事の発注により対応しているところでございます。
 これら今回の地震に伴う補修工事費用は、平成二十二年度及び二十三年度執行分を合わせて、おおむね五千万円でございます。

○野上委員 今回の地震は発生が三月十一日であり、年度末であったことから、予算上は想定していなかったものと思われます。この費用の手当てについてはどのように対応するのでしょうか、伺います。

○藤森庁舎運営担当部長 都庁舎につきましては、大規模工事のほか、突発的なものや軽微な補修工事に対応する予算を当初予算として計上してございます。このため、今回の地震に伴う補修工事につきましては、平成二十二年度分は既定の予算で対応いたしました。また、平成二十三年度分についても同様に対応することといたしております。

○野上委員 この復旧に要する費用というのが、予算の手当ても問題なく行われている、また金額も、地震の大きさに比べると大きくないと思われる程度で、都庁舎の耐震性についての信頼感が確認されたと考えます。
 ことしの五月に発表された都庁舎における長周期地震動への取り組みによると、今後都庁舎の整備更新にあわせて、長周期地震動対策を講じるとのことですので、都庁舎の耐震性の信頼感はさらに増すものと期待されます。都庁舎の防災機能等の確保のためにも、この長周期地震動対策をしっかりと着実に実現していただきたいと思います。
 さて、補修工事の内容に戻りますが、今回の被害部分の復旧において、単に常態を復元するだけの工事であれば、今回と同程度の地震が発生した際には、再度同じような状況が生じることが想定されます。今回は幸い人的な被害が生じていませんでしたが、最悪を想定すると、地震に強い常態に改善することが求められます。
 建物内については、長周期地震動対策により、より揺れが小さくなることで、被害発生の軽減につながることが考えられますが、建物外、例えば冒頭に触れました議会議事堂と第一本庁舎の間の十一号街路下の天井ルーバーについては、何らかの対策が必要と考えます。再度地震が発生しても被害が生じないよう、改善対策は講じるのか伺います。

○藤森庁舎運営担当部長 今回の被害の復旧におきましては、利用者の安全確保の観点から、再発防止策を講じながら補修を行っていくことが必要と認識してございます。
 天井ルーバーにつきましては、今回の地震で設置以来初めて脱落したものでございます。これは、今回の地震による揺れが大きく、ルーバーの端部を支える照明器具のカバー部分の寸法が、揺れによるルーバーの揺れ幅よりも小さかったため生じたものでございます。このため、今回の復旧に当たりましては、単に外れたり危険防止のために取り外したルーバーをもとに戻すだけでなく、ルーバーの外れていない部分を含めて、すべての照明器具において、カバー部分の寸法を大きくするための補強部材を取りつけることといたしました。これにより、再度地震が発生した場合でも、ルーバーが脱落するような状況は防止できるものと考えております。

○野上委員 建物やそれに付随するハード的な内容については確認してまいりましたが、最後にソフト面での内容について触れたいと思います。
 今回の地震においては、エレベーターの停止に伴い、都庁舎内にいた来庁者についてもさまざまなことがあったと伺っております。ある新聞によると、展望室にいた観光客は、地震の揺れに対しては意外にも冷静な様子であったが、避難については、都庁職員の誘導により、階段で四十五階から一階まで歩いておりた結果、平時の避難訓練では二十分程度でたどり着くところを、百四十人余りの全員がおり切ったのは、地震発生から三時間余りたった午後六時ごろであったとのことであります。
 このように、想定とは異なるような状況が生じるのが非常時の常です。想定外であるといって片づけることは簡単ですが、経験で得た内容を積み重ね、少しでも想定外の範囲を小さくし、次に備えることが重要であると考えます。
 そこで、都庁舎を預かる立場として、今回の経験を踏まえ、ソフト面での今後の対応についての所見を伺います。

○藤森庁舎運営担当部長 都庁舎の管理運営におきましては、来庁者を含めた利用者の安全性の確保を最優先にすべきと考えております。
 現在都庁舎の管理運営につきましては、警備などの庁内管理を担う総務局と、施設の使用や設備管理などの庁舎管理を担う財務局とが協力して行っております。
 地震発生時の非常時におきましては、まず総務局が来庁者の避難誘導等を行い、設備に関する被害が発生した局面におきましては、財務局が協力しながら対応することとしております。今回の展望室の来庁者の避難誘導や帰宅困難者の受け入れ等につきましても、総務局と緊密な連絡調整を行いながら、共同して対応したものでございます。
 今回の地震の経験を踏まえまして、今後は職員のみならず、委託業者の協力を求めながら、設備面での被害等の一層の迅速な把握に努めるとともに、関係局との緊密な連携のもとに、来庁者の安全確保に努めてまいります。

○野上委員 都庁舎については、今後、設備更新についても本格化する時期になってまいります。都庁舎は設備更新等に関する方針でうたわれているとおり、首都を支える行政の中心であるとともに、災害時の防災拠点としての重要な機能を担うなど、東京の顔というべき都民共有の貴重な財産です。この設備更新により防災機能の強化や省エネルギー化を図るなど、都庁舎の機能をより充実できるとのことでありますので、これを着実に進めていただきたいと思います。
 また、日常の維持管理は目立つものではありませんが、庁舎を運営していく上で縁の下の力持ち的な、なくてはならない重要な役割を果たしているものです。今後も、来庁者などに直接、あるいは行政の中枢として、都民に間接的に良好なサービスを提供できるよう、庁舎の維持管理を円滑に行っていただくことを要望いたしまして、私からの質問を終わります。

○田中委員 平成二十二年度普通会計決算についてお伺いいたします。
 先般公表されました年次財務報告書によれば、二十二年度決算では、都税収入が三年連続で減となる中で、歳出の精査などを行い所要の財源を確保したことにより、実質収支は平成二十年度から引き続き、ほぼ均衡したとのことでありました。
 ところが先ごろ、あるマスコミの記事で、都の実質単年度収支は赤字になっているという、気になる報道を目にいたしました。実質収支は均衡する一方、実質単年度収支は赤字ということで、これはどのような状況なのか、なかなか一般の都民の方が理解するのも難しいだろうと思っております。
 そこで、実質収支と実質単年度収支の違いと、近年の実質単年度収支の推移について、まずお伺いいたします。

○武市主計部長 まず、実質収支と実質単年度収支の違いでございますけれども、決算の収支の中では何種類も決算収支というのがございまして、なかなかわかりにくいという、そういう部分がございます。
 その中でまず、一番単純に歳入の決算から歳出の決算を差し引いた形式収支というものがございまして、その形式収支から翌年度へ繰り越すべき財源を差し引いたものが実質収支となってまいります。
 それは例えば、天候不順などの影響を受けまして、工事が翌年度にずれ込んでしまった場合などに、その該当する工事に相当する部分の財源も翌年度に回すということで、その財源を形式収支から控除いたしまして、その控除した残りのものが実質収支となってまいりまして、この実質収支が、自治体の決算の中で黒字、赤字を判断する一番一般的な指標、この実質収支の額がいわゆる黒字、赤字の額となってまいります。
 一方で、実質単年度収支でございますが、こうしたその実質収支をもとといたしまして、さらに、例えば財政調整基金への積み立てといったような、幾つかの要素を加えたり控除したりした収支でございまして、その財政調整基金の取り崩しなどがなければ、実際、単年度の実質的な収支はどのような結果になったかというものを示すものでございます。
 ここ五年間の実質単年度収支の推移を見ますと、平成十八年度、十九年度は好調な都税収入をもとに財政調整基金の積み立てを行ったために、一千億円を超える黒字となっておりました。その後、景気後退による都税収入の大幅な減少などを受けまして、財政調整基金を、これは積み立てとは逆に取り崩しをしたために、平成二十年度からは三年連続で赤字となっております。

○田中委員 ありがとうございました。
 実質収支はほぼ均衡しておりますが、都税収入の減少分を主に財政調整基金の取り崩しで補ったために、実質単年度収支は三年連続で赤字になっているということでありました。
 東京都がこのような状況であれば、財政状況が厳しいといわれている他の道府県の実質単年度収支がどういう状況になっているのか、その点が気になるところでございます。
 そこで、他の道府県の直近の実質単年度収支の状況はどういう状況なのか、お伺いいたします。

○武市主計部長 東京都を除く他の道府県の平成二十一年度の決算を見ますと、実質単年度収支が赤字となっている団体は十団体でございます。また、先般発表されました平成二十二年度決算の速報値を見ますと、こちらはまだ速報値の段階でございますので、個々の団体ごとの数値は出ていないという状況でございますけれども、道府県全体では、地方税が五千百億円の減収となっている中で、実質単年度収支を見ますと、二十一年度の七百十九億円の黒字から二十二年度は大幅に改善をいたしまして、四千億円の黒字となってございます。

○田中委員 今ご答弁いただきましたが、平成二十二年度決算の速報値によりますと、他の道府県の地方税収入は、東京都と同様に引き続き減収となっているということで、依然厳しい財政環境にあるということでありましたが、一方、実質単年度収支は、前年度が七百十九億円から大幅に改善をし、四千億円の黒字を計上したということでありました。
 また、平成二十一年度決算の状況についても、十団体がというようなご答弁もありましたが、この年はいわゆるリーマンショックの影響などにより、都税収入が前年度よりも一兆円も減となるなど、全国的にもかつてないほど税収が大変厳しかった年でありました。この二十一年度では、多くの道府県の実質単年度収支が、十団体は赤字であったということでありますが、その多くは黒字を計上したということだろうと思います。
 地方財政が大変厳しいといわれているにもかかわらず、この実質単年度収支では、道府県の多くが黒字を計上し、東京都は赤字ということでありますが、先ほども触れました一部マスコミ報道にあるように、東京都の実質単年度収支が赤字だということだけが強調されますと、東京都の財政は大丈夫なのかと心配する方もいらっしゃるかと思います。
 そこで、都は、実質単年度収支が赤字ということをどのように評価をされているのか、お伺いいたします。

○武市主計部長 この実質単年度収支は、財政調整基金に関連して申し上げますと、財政調整基金を積み立てをしますと黒字の方向に働きまして、反対に取り崩しを行いますと赤字の方向に働いてまいります。
 この東京都以外の他の道府県の場合、前年度よりも税収が落ち込みますと、基本的には税収が落ち込んだ分は地方交付税により補てんされるというのが大きな原則というのでしょうか、ルールになっておりまして、それでもなお財源が不足すると財政調整基金を使ったりするということがあるのかなと思っておりまして、税収の変動が実質単年度収支に与える影響というものは、東京都よりも小さいであろうというふうに考えております。
 その東京都でございますけれども、地方交付税の不交付団体でございますので、その一方で毎年のように税収が大きく変動する中にありましては、安定的、継続的に行政サービスを提供していくためには、税収が好調なときには基金に積み増しを行い、逆に減収になったときには基金を取り崩すといったような、計画的な財政運営を行うということが非常に重要になってまいります。
 委員からお話がございましたとおり、二十二年度の決算では、実質収支はほぼ均衡しているものの、実質単年度収支は赤字というふうになっておりますが、これは東京都の場合には、税収が減少となる中で、施策の実施に必要な財源として財政調整基金を活用したというあかしでもございまして、実質単年度収支が黒字赤字ということ自体に一喜一憂すべきものではないのかなというふうに考えております。
 また、これ、若干数字のマジック的な部分もございまして、財源不足へ対応するという場合には、私ども都債というのもいろいろ活用をしておりますけれども、この実質単年度収支には都債の発行額というのは反映しないというようなルールになってございまして、仮に、基金のかわりに都債を大量に発行することによって財源を確保した場合には、実質単年度収支には影響しないということになってまいります。
 私どもとしましては、肝心なことは、複合的、総合的な物の見方なり分析をすることかなと考えておりまして、都財政の健全性の評価に当たりましては、この収支のようなフローの情報に加えまして、取り崩した後で基金の残高がなおどれぐらい残っているのかというようなことでございますとか、あるいは都債の残高が現在どのような状況にあるのかといったような、ストックの情報も含めましてトータルで判断していくことが重要であると考えてございます。

○田中委員 大変よくわかりました。私も同意見でございまして、実施単年度収支はまさにフローの指標であります。この実質単年度収支が黒字である、赤字であるという、これだけをもって財政の健全性を見るというものではないんだろうと思っております。むしろ、この間の実質単年度収支には、交付税に頼ることができず自立的な財政運営を行わなければならない宿命を負っている東京都が、税収の変動を基金や都債の活用により対応してきたという、財政運営の工夫や努力がよくあらわれているということができるんじゃないかと思っております。
 交付税により手厚く守られている他の道府県とは大きく異なる財政構造を持つ東京都では、財政調整基金のような、財源として活用可能な基金の持つ意義は極めて重く、また大きなものがあります。非常時においても、都政運営を安定的に継続的に行っていくという責任のある対応ができるように、基金の活用と残高の維持には細心の注意を払う必要もあろうかと思います。
 そこで、二十二年度は厳しい財政環境に直面していたことから、財源として活用可能な基金の取り崩し額が財政運営上のポイントになるんだろうと思いますが、その取り崩しの状況についてお伺いいたします。

○武市主計部長 平成二十二年度は、お話もいただきましたように、税収減という厳しい財政環境が続く中にありまして、私どもは財源確保の手段として、これまで積み立ててきた基金を活用してございます。具体的には、社会資本等整備基金などの特定目的基金を取り崩すとともに、財政調整基金については二百三十四億円、法人事業税国税化対策特別基金は、その全額の七十四億円を取り崩ししたところでございます。
 なお、この基金の活用に当たりましては、その残高の確保にも十分に配慮いたしまして、予算編成はもとより、予算の執行の段階におきましても、事業評価の取り組みでございますとか、不用額の精査などを徹底することによりまして、活用可能な基金全体の取り崩し額を千七百十七億円にとどめたところでございます。

○田中委員 これまで都は、事務事業評価を継続的に実施し、見直しを行ってきているために、いわゆるむだというものは極めて少ないんだろうと思っておりますが、さらに厳しく、また精査した事務事業評価を行い、不用額のいわゆる精査を行うなど、さまざまな取り組みや工夫により、基金取り崩し額の圧縮に努めてこられた大きな成果で、取り崩し額が千七百十七億円でとどまっているんだろうというふうな理解をしております。
 ただいまの答弁によれば、法人事業税国税化対策特別基金は全額取り崩したとのことでありました。さきの第三回定例会の我が党の代表質問でも明らかになったように、この不合理きわまりない暫定措置は、平成二十三年度末が法律上の期限となっております。今後も建築物の耐震化や木造住宅密集地域の改善など、大震災を受けて改めて明らかになった課題への対応には多額の財源が必要になろうかと思われます。これら東京都の防災力を向上させていくためにも、暫定措置の撤廃は不可欠であります。ともに国に対して強く、この対応は求めていきたいというふうに思っております。
 また、この暫定措置の影響に加え、都税収入に大きな影響を及ぼす我が国の景気動向は、復興需要が期待されるものの、依然として回復の勢いは弱く、この間、国のもたつきもあり、復興の道筋がはっきりと見えてきておりません。加えて急激な円高や、ギリシャ財政危機に端を発する主にヨーロッパ圏内においての政府債務問題、いわゆるソブリンリスクが深刻化をきわめる中、海外景気の後退により、その先行きは極めて不透明な状況にあります。ですので、やはり当面の財政運営においても基金の重要度は増すものと考えているところであります。
 平成二十二年度決算の都税収入は四兆二千億円弱ということで、過去を振り返れば、石原知事就任直後の平成十年度決算がこれとほぼ同水準であったと認識をしておりますが、石原知事就任時と比べて、財源として利用可能な基金残高はどのような状況にあったのか、平成に入ってからの残高の動向も交えて、ご説明いただきたいと思います。

○武市主計部長 財源として活用可能な基金残高の推移でございますけれども、この基金残高、最初のピークであります平成元年度末の時点では、総額では一兆五百九十億円ほどございました。その後、バブル経済崩壊による税収の減少への対応などといたしまして、基金の積極的な活用を行ってきましたことから、石原知事の就任時点と重なります平成十一年度末の時点では、基金残高は全体で八百六十九億円、特に財政調整基金の残高は十五億円と、ほとんど底をつく危機的な状況にございました。
 その後、二次にわたる財政再建の取り組みなどを通じまして、歳入歳出を徹底して見直すとともに、財政再建達成して以降の税収が好調な時期には、積極的に基金を積み立ててきました結果、平成二十年度末の時点での残高は一兆五千億円台となっておりました。
 平成二十一年度以降、税収が大きく落ち込んでまいりまして、これまで積み立ててきた基金も取り崩しをしてまいりましたが、計画的な取り崩しを行っておりまして、平成二十二年度末の残高は依然として一・二兆円を確保してございまして、都財政の健全性は維持されているものと考えております。

○田中委員 ただいまのご答弁にもありましたように、鈴木都政三期目の平成元年度には一兆円を超える基金残高があったものが、バブル経済の崩壊とその後の平成不況により税収が低迷する中、その後の青島都政でも抜本的な対策がとられることなく、基金の取り崩しが進み、わずか十年で底をついてしまったということでありました。
 そのような中でバトンを受け継いだ石原知事は、最優先課題として財政再建に断固たる決意を持って取り組んでこられました。基金が枯渇するという危機的な状況を、石原知事の力強い、強力なリーダーシップのもと、財政再建の取り組みにより全庁一丸となって乗り越え、この間着実に基金を積み立ててこられ、財政を健全化されてきたということは、大変、大いに評価されるべきものだろうと思っております。
 また、リーマンショック後の一兆円を超える大幅な税収減への適切な対応、東日本大震災という未曾有の災害への迅速な対応、これらを可能にしたものは、基金を初めとする財政対応力であり、まさにこれまでの堅実な財政運営のたまものと高く評価すべきだと思っております。
 これまでの質疑において、実質単年度収支はここ数年赤字となってはいますが、税収が大きく変動する中、歳出の精査を徹底し、基金取り崩し額を最小限にとどめ残高を確保するなど、財政運営の工夫により難局を乗り越えられたことがよく理解できました。しかしながら、先ほども申し上げた東京の防災力強化は当然のこと、高齢者の増加に伴う社会保障費の増など、都が対応すべき財政需要は今後も増大していくことが見込まれます。こうした将来の財政需要に適時適切に対応していくためには、いうまでもなく基金は都債と並び重要な財源となるはずでございます。今後、税収の大幅な改善を見込むことは難しいと思いますが、引き続き基金をうまく活用しながら財政のかじ取りを行うことが求められるのではないでしょうか。
 そこで、今後の財政運営における基金活用の考え方について、局長にご見解をお伺いいたします。

○安藤財務局長 委員お話しのとおり、都財政にとりましては、基金をどう活用していくかということが財政運営でのかなめであるというふうに思っております。これは、都が地方交付税の不交付団体であるということを前提にいたしまして、税収変動という荒波にさらされるリスクが非常に高い中にあっても、やはり安定的、継続的に行政サービスを提供していかなければならないということが、都財政にとっても宿命的な課題であるというふうに思っているからでありますが、そのためにも、ほかの自治体と比べても基金の活用というのは一層重要な意味を持っているというふうに思っております。
 もちろん、基金を計画的に活用する前提として、地道ではありますが、事業評価の取り組みなど自己改革の努力を続けていかなければならないことはいうまでもないことでありますけれども、しかし、最近の経済情勢を見てみますと、内閣府が発表いたしました十月の月例経済報告では下方修正されました。非常に厳しい状況にあると思いますが、この先を見ましても、委員からも言及がありましたが、欧州の金融不安とか歴史的な円高が与える影響など、多くの下振れリスクも存在するというふうにされておりまして、正直なところ、税収の大幅な改善というのは考えにくい状況に置かれているというふうに思っております。
 こうした中にありますけれども、都民や中小企業の方々が直面している危機への迅速な対応、あるいは震災を機に高度な防災力を備えた首都東京の実現という、こういった継続的に取り組むべき課題を財政面からしっかり支えていくということが、私ども財務局に課された責務であるというふうに思っております。そのためにも、これから予算編成が本格化してまいりますけれども、これまで培ってまいりました基金を初めといたします財政の対応力を、できる限り計画的に活用しますとともに、将来にわたっても、それをできる限り堅持していくということが重要だというふうに思っております。
 引き続き、堅実な財政運営に努めてまいりたいと思います。

○田中委員 どうもありがとうございました。
 これまでの間、税収が大変上がっているときに、基金を積まずにすべてその税収分を使うことが都民サービスの向上につながるんだなどという主張をする会派もございましたけれども、今改めてこの時期を見ておりますと、もしそのようなことをしてしまったならばどういう状況になったのか、大変不安に感ずるところでございますし、改めて石原知事の先見性、また財政再建の取り組みに対する成果を大いに評価すべきなんだろうと思います。
 平成二十四年度の税収も大変厳しい状況が予測される中、引き続き安定的な、また継続的な都政運営が行えるよう、堅実な財政運営にぜひお努めいただきますように期待をいたしまして、質問を終わります。ありがとうございました。

○中山委員 私は大きく二点、契約制度改革と都有地の有効活用についてお伺いします。
 財務局は平成二十一年度から、公共工事に関する入札契約制度改革に取り組んでこられました。安藤局長のもと、その改革の歩みはいよいよ本格的に、さらに社会的にも有意義な形で、着実に実を結んでいくものと期待しております。
 本決算審査におきましては、入札契約制度改革の取り組みの効果がどのようなものであり、また今後の課題はどのようなものであるのかについて、質疑を通して明らかにしてまいりたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
 まず、予定価格九億円以上の規模の大きい工事、いわゆる議会付議案件の工事における平成二十二年度の落札率についてお伺いいたします。

○石井契約調整担当部長 平成二十二年度の落札率につきましては、二十一年度の秋からの特別重点調査を実施したことによりまして、過度な低価格入札が減少し、落札率は七〇%台を中心に、幅はございますが、平均すれば約七五%となっております。

○中山委員 ただいまは、平成二十二年度の議会付議案件の平均落札率は、特別重点調査を導入したことにより、過度な低入札が減って平均では約七五%であるとのご答弁でございました。特別重点調査の実施により、一定の抑制効果が発揮されているものと評価したいと思います。
 そこで今、特別重点調査のお話がございましたが、それ以外の取り組みでは具体に何をやってこられたのか。これまでの契約制度の改革の取り組み、特に平成二十二年度においては、新たにどのような取り組みを行われたのかお伺いいたします。

○石井契約調整担当部長 都は、平成二十一年に定めました公共工事に関する入札契約制度改革の実施方針に基づき、公共調達の基本的要請である透明性の高い公平公正な手続のもとで、品質確保を中心とした入札制度改革を進めてまいりました。
 先ほど答弁いたしました低入札価格調査に特別重点調査を導入するなど、過度な低入札の抑制や、最低制限価格等の算定式について市場実態に即した水準に改善するとともに、上限を撤廃いたしました。また、総合評価方式の適用案件を拡大し、技術力を持っている者が適切な価格で受注できる環境を整備し、公共調達に求められる品質の確保を図っております。平成二十二年度には新たに、技術実績評価型総合評価方式の試行を開始したところでございます。

○中山委員 平成二十二年度においても、平成二十一年度に続いて、さらに手綱を緩めることなく、契約制度改革への取り組みを強化されていることを評価したいと思います。
 ところで、予定価格の公表制度が実施される中で、かつては、お話しのとおり、最低制限価格こそ公表されていないものの、その上限額がパーセンテージという形で公表されていました。そのことにより、一種の目安として、最低制限価格制度のもとでの落札率が予想されやすくなっていたため、結果として同一額の落札が重なり、くじ引きになることが多かったと伺っております。
 そこで、先ほどご答弁のありました、最低制限価格の上限額の撤廃という制度改革に財務局が取り組まれたことにより、どのような効果が得られているのかをお伺いいたします。

○石井契約調整担当部長 最低制限価格制度につきましては、平成二十二年一月から制度を改正し、上限を撤廃したことによりまして、くじ引きの発生が減少しております。くじ引きの発生率は、平成二十一年度は、制度改革以前の十二月までの公表分までで約一一・四%でございます。これに対して、平成二十二年度は約二・七%となり、一定の効果がございました。

○中山委員 くじ引きの発生率が減少するなど、制度改革によりまして一定の成果がもたらされているということを評価したいと思います。
 ところで、冒頭、二十二年度の工事契約の平均落札率が七五%という答弁をちょうだいしましたが、これは恐らく案件別の落札率の数値を合計して案件数で割って得た平均値であり、金額ベースで計算するとまた違った数値になるものと思います。ただ、いずれにしても、二十二年度の工事契約案件の予定価格は公表されておりますので、恐らく先ほどの数値などを参考に考えますと、落差金の合計は三百億円を超えるものと試算しております。
 もっとも、この落差金はそのままどこかに残存しているような性質のものではなく、その大半は、二十二年度中にも既に新たな財源として柔軟に有効活用されるなど、都政をめぐる突発事態にも適切に対処できる裏づけとなっているなと思っております。これはこれで、法人二税が国に不当に召し上げられている中にあっては、都民サービスの水準を落とさないための都政運営に必要な貴重な財源として立派に生かされているわけであります。
 最少経費で最大の効果は、地方自治法第二条第十四項で定められた、地方財政運営の基本のルールであり、より少ない金額で応札する者を契約者とすること自体は正しい判断と思います。しかし一方で、低入札の広がりが都民、都内企業の経済にもたらしかねない悪影響にもきちんと目を向けているからこそ、都として、過度な低入札を防ぐための取り組みを実施されてきたのだと思います。
 そうした中、所定の価格以下の応札は落札者としない、あるいはそうした応札の乱発を抑制するための制度としては、最低制限価格制度のほかに低入札価格調査制度が設けられています。低入札価格調査制度では、議会付議案件のような大きな工事が対象となりますが、先ほどのご答弁では、工事の落札率は七〇%台が中心ということでございました。そうした大規模な工事案件においては、なぜ最低制限価格制度ではなく低入札価格調査制度が適用されるのかという点ですが、大規模工事ではある意味、創意工夫が凝らしやすく、スケールメリット的な効果なども発揮され、工事契約金額の削減を図ることのできる余地が大きいということは、私も理解しております。しかし、低価格入札は今もなお後を絶たず、今後もその多発が続く状況にあります。そうした状況が続けば、受注者の経営の体力が奪われ、結果として将来にわたって工事の品質が確保できなくなるおそれがあるのではと心配しております。
 その意味でお伺いします。都は今後も、都の契約における競争性の維持を考慮しながら、工事内容の品質確保の観点からも、過度な低価格入札に対しては、これを防ぐ手だてを強化していくべきと考えますが、都の見解をお伺いしたいと思います。

○石井契約調整担当部長 公共調達における契約制度は、納税者の負担のもとに行われることから、透明性、競争性、品質確保の三つの社会的要請のバランスが求められております。こうした要請を踏まえて、市場環境にも迅速にかつ適切にこたえていくことが命題でございます。
 都は、総合評価方式の拡大などにより、適切な価格で受注できる環境整備をしてまいります。今後とも入札契約制度改革の実施方針に基づき、着実に制度改革に取り組み、適切な価格と良好な品質の両立という契約制度を目指してまいります。

○中山委員 都議会公明党は、災害時の支援や災害に強いまちづくりを進めていく上で、建設業の技術水準の確保が必要であると考えています。過度なダンピング競争は、建設業の体力を消耗させ、衰退を招くのみならず、公共工事の品質低下や将来の担い手不足を引き起こす可能性もあります。したがって、低価格入札制度の厳格化や最低制限価格を適用する案件の拡充などの対策が必要と考えており、低入札対策の研究を進めていくことを強く求めたいと思います。これがひいては公共施設や都民サービスを向上させ、経済の活性化にもつながるものと考えます。
 余談になるかもしれませんが、政府と自治体の借入総額は、二〇一一年度末には一千兆円を超えるといわれております。どの国であれ、その国の先行きを分析する各国政府は、国としての負債額の大きさそのものよりも、その負債を返済できるかどうかの方に着目しています。その意味では、その国の国民の購買力の動向が重要になりますが、その大事な指標が国民一人当たりのGDPであります。その国民一人当たりのGDPが、一九九三年の時点での世界第二位から、二〇一〇年はやや前年に比べて持ち直しても世界十六位であり、急落後の停滞が続いています。もちろん経済指標はこれがすべてではありませんけれども、日本経済の失墜はだれの目から見ても明らかであり、東日本大震災による津波や原発の被害以上に、その後の国の震災対応のおくれと混乱は、日本没落までのタイムリミットを一気に早めてしまったとする見方さえもたらしています。
 こうした中、我が党は、福祉を守るためにも、次の世代を担う子どもたちの未来を開くためにも、東京発の日本経済の建て直しが不可欠と、今回の代表質問でも、総合特区申請を活用した東京の都市構造の再生、産業空洞化の脱却のための提案を行いました。この意味では、これからも財務局に対しては、都税収入の有効活用と、都財政の健全性を高い次元に保つための行政改革の促進をお願いするとともに、今後はさらにそれに加えて、都民、都内企業の経済を潤わせ、都税収入を自然増へと導く点でも、貢献度の高い行政改革をお願いしたいと考えております。その意味で、入札制度改革においても、従来からの座標軸にかなう取り組みだけに終始することなく、新たな価値観にも対応した新展開にも踏み出していかれますことを要望して、次の質問に移ります。
 次に、都有地の利活用についての質問です。
 我が党が今回の代表質問を通じ、どういった危機感から、世界の厳しい都市間競争に打ち勝つための東京の活力向上の必要性を訴えたのかは先ほども触れました。その意味で、東日本大震災の発生を踏まえ、防災性の向上や交通渋滞の解消、緑化の推進などの都政の喫緊の課題解決に向けた施策を、都有地を活用し着実に実施していくことも、首都東京の活力向上に直結するものと考えております。したがって、都庁各局がみずからの担う施策の推進に必要な戦略を十分に練ることに加えて、都財産の総合調整権を持ち、またみずからも都有地を保有、活用している財務局が、各局と密接な連携を図り、都内に点在する都有地を各局の施策推進のために有効活用していくことが必要であります。
 例えば、都営住宅の建てかえにより不要になった都有地を、都の出先事務所の仮設用地として活用するなど、一つの局内で一定の役割を終了した土地であっても、全庁的な視点から別の局で使用するというケースも出てくるはずと考えます。こうした調整を、財産の総合調整を行う財務局が核となって行うことで、都政の喫緊の課題解決という即効性のある必要な施策に対し、積極的に都有地を利活用していくことができるわけであります。その意味で、都有地財産の持つ役割、また財務局の持つ役割というものは、都政の中で非常に大きな意義を持ちます。
 そこで、今回の決算審査の場で、都有財産の利活用は具体的にどのように行われ、どのように都の施策に貢献してきたのかを改めて確認したいと思います。
 まず、ある局で一定の役割を終了した都有地について、都はこれまでどのように創意工夫を凝らし、全庁的な視点で利活用を図ってきたのかをお伺いいたします。

○奥田財産運用部長 都有地は都民から負託された貴重な財産でありますから、都民サービス向上など、都施策の充実のために活用していくことが必要と考えております。
 特に近年では、都政の喫緊の課題を解決するために、民間事業者の力を生かした施策連動型の財産活用を実施しております。具体的には、特別養護老人ホームなどの福祉インフラ整備、私学耐震化改修支援などのために、都有地を五〇%減額し、民間事業者に貸し付けたところでございます。
 福祉インフラ整備は、福祉保健局が主体となりまして、各市町村と協議の上、民間の借り受け者を公募するものでございまして、地域に点在する都有地を有効に活用することで、高齢者向け、障害者向け、あるいは認可保育所といった福祉施策の整備を促進するものでございます。
 また、私学耐震化改修支援でございますが、生活文化局が主体となりまして、耐震改修期間の仮設校舎等の敷地や、建てかえに伴って一時的に使用できなくなるグラウンドの機能を、都有地を活用いたしますことで代替し、校舎等の耐震改修を促進するものでございます。
 今後とも、各局との密接な連携のもと、引き続き都施策を有効かつ効果的に推進できるよう、積極的に都有地を有効活用してまいります。

○中山委員 都民サービスの一層の向上という観点から、財務局が局間の壁を超えて、都有地という財産の面から、各局の施策を強力にバックアップしていることがよく理解できました。
 しかし、ご答弁のありました福祉保健局や生活文化局のように、所管局から要望として出されてくる都有地活用の対象とならず、結果として、財務局でやむを得ず保有し続けている都有地もまだ数多くあると聞きます。また、同一局内で管理している都有地であっても、次の施策を実施するまでの間、あるいは施設を建てかえるまでの間は、その局の中で使用されないまま保有が続けられている事例もあるようです。
 土地というものは、そのまま置いておくだけでは何の価値も生み出しません。逆に管理経費がかかってしまうだけであります。とりわけ保有される土地が大規模であれば、都内に残された貴重なまとまった土地ということになります。将来都の施策に活用するまでの間においては、むだに放置せず、収益向上も視野に入れつつ暫定的な活用を行っていく必要があると考えます。
 都が権利を保有したまま暫定活用するということは、具体的には、民間事業者等に土地を貸し付けていくことになると思います。貸し付けに当たっては、単に収益性だけに着目するのではなく、都施策に資する何らかの条件を付して、間接的な形で各局の都施策に貢献することが大変重要と考えます。
 そこでお伺いいたします。当面、都の施策で活用予定のない大規模な都有地についても、都施策に資する形で、一定期間の暫定活用に取り組んでいくべきと考えますが、所見をお伺いいたします。

○奥田財産運用部長 財産を保有する上では、財産価値を最大限に発揮することが必要でございます。特に、当面活用予定のない大規模な都有地につきましては、これまでに都施策に資する条件を付した上で、事業用定期借地権を設定した貸し付けや、五年間程度の貸し付けなどの暫定活用を実施しているところでございます。
 具体的には、貸し付けに当たりまして、条例で定められた敷地の二〇%という緑化基準を上回る三〇%の緑化を義務化した事例、太陽光発電など環境に配慮した住宅を普及させるためのPRを目的とした住宅展示場を設置した事例など、さまざまな創意工夫によりまして、都施策に貢献できる都有地の暫定活用を行っているところでございます。
 今後も、都施策運営への貢献という観点から、財産価値の最大限の発揮に向け、一層の財産利活用を推進してまいります。

○中山委員 今のご答弁でありましたとおり、大規模な都有地の活用につきましては、さまざまな工夫により、都施策の推進にも随分と貢献されていると感じております。
 他方、都内にはこうした大規模な都有地だけでなく、小規模の都有地も各所に点在しております。こうした小規模の都有地は、大規模な都有地と比較すると、面積や形状、あるいは所在によって活用が難しいものもあると思います。しかし、いずれにしても都民の貴重な財産であることには変わりはありません。だからこそ、小規模の都有地についても、大規模な都有地と同じように、都施策の推進に貢献できるよう、しばらくの間であってもしっかりと有効活用を図っていくべきと考えます。
 そこでお伺いします。こうした小規模の都有地についても、都施策に配慮した形で利活用を図っていくべきと考えますが、所見をお伺いいたします。

○奥田財産運用部長 都有地は、都民の貴重な財産でございますことから、土地の規模や所在にかかわらず、可能な限り暫定活用を図るなど、財産の最大限の有効活用が必要でございます。
 これまでに都は、小規模の都有地につきまして、一年から五年程度の暫定活用といたしまして、主に駐車場などを目的に民間事業者に貸し付けを行っているところでございます。その中では、都施策への貢献という観点から、緑化条件を付した緑化駐車場、駅や主要道路の放置二輪車対策としての二輪駐車場、あるいは貨物荷さばきスペースを確保した駐車場などを設置しているところでございます。
 今後とも、都有財産の一層の有効活用に向け、引き続き積極的に、暫定利活用に取り組んでまいります。

○中山委員 都有地の活用に向け、大規模な土地だけでなく、小規模の土地にも目配りして、積極的に都施策に貢献しているという状況をお聞きし、都有財産の活用についてしっかりやっていただいているという印象を受けております。
 都有地を遊ばせずに、民間事業者等に活用してもらうということは、都施策への貢献はもちろん、都財政への貢献ともなり、非常にメリットが大きいものであります。引き続き積極的な暫定活用への取り組みを期待したいと思います。
 改めて申し上げますが、この建物が密集する都内においても、残された都有地は非常に貴重なものであります。さまざまな都市計画案件とかがありますが、それは地価の高い東京の発展余力というものを広げていくために、土地をいかにしてある面で、利活用という面から可能性を広げていくか、そのご努力だと思うんです。その財務局が持っていらっしゃる都有地の活用というのは、非常に大事なその視点として役に立つと思います。
 これら貴重な都有地を都施策に貢献、積極的に有効活用することで、都政の喫緊の課題解決に向けた施策の充実など、さらなる行政サービス向上を図っていくことが可能となります。引き続き財務局は、各局との連携のもと、より一層の創意工夫を凝らし、収益性だけでなく都施策への貢献という観点から、財産の価値を最大限引き出せるような財産利活用を行っていくようにしていただきたいと思います。都の財産利活用への今後の大きな期待を込めまして、私の質問を終わらせていただきます。

○吉田委員 それでは決算の審査に当たりまして、都財政の状況について質問させていただきます。
 先ほどからも既に議論がありますけれども、都税収入の低下が懸念はされておりますけれども、高齢化の急速な進展や、引き続き少子化対策、さらに東日本大震災を受けて都の防災対策の抜本的強化など、財政投入の拡充も新たに求められていると思います。それだけに、財政運営をどのように進めていくのか、検討が求められていると思います。そうした視点で、昨年度決算を中心に、都財政の状況について、何点かお伺いさせていただきます。
 初めに、都税収入と財政環境について伺います。
 税収、とりわけ法人二税が連続的に減少しておりますけれども、本決算年度の状況及び今後の財政環境についてどのように認識をされているか、お願いいたします。

○武市主計部長 平成二十二年度決算におけます都税収入は四兆一千九百一億円で、前年度に比べまして六百五十九億円、一・五%減少しております。
 また、法人二税は一兆二千四百六十億円で、前年度に比べまして一千六十三億円、七・九%の減少となっておりまして、どちらも三年連続での減少となっており、二十年秋のリーマンショックの影響から抜け出せないような状況にございました。
 一方、現下の経済情勢でございますが、先ほど局長の方からも答弁いたしておりますが、直近の月例経済報告では景気判断が下方修正されまして、この先を見ましても、震災の影響に加えまして、海外での景気や円高の動向など、下振れするリスクの存在が懸念されております。とりわけ欧州での金融危機や、タイで拡大を続けます洪水被害などは予断を許さない状況にあるのかなと思っております。こうしたことから見ましても、非常に厳しい財政環境に置かれていると考えております。

○吉田委員 非常に厳しい財政環境との認識が示されました。しかも、こうした景気の影響だけではなく、法人事業税の一部国税化は暫定措置でありながら、現時点で廃止の見通しは立っておりません。それどころか、現野田内閣が進める法人税の減税が実行されれば、平年度で二百億円を超える新たな税収減ということも見込まれるというふうに、私は聞いております。こうした中で、いかに都としての行政サービスを守り拡充するのかという点での新たな工夫が求められていると思います。
 次に、財政環境とともに都財政の状況について伺っていきたいと思います。
 先ほどからもお話がありましたが、税収が低下する中で近年、社会資本等整備基金、さらに財政調整基金の取り崩しが行われております。
 そこで、この二つの基金について、三年間の平均での取り崩し額及び今年度予算での取り崩し見込み額についてお答えください。

○武市主計部長 まず、社会資本等整備基金の平成二十年度から二十二年度までにおきます三年間の取り崩し額は、平均いたしまして三百六十三億円となっております。また、今年度当初予算では四百九十九億円、六月の補正予算では五十五億円をそれぞれ取り崩すこととしております。
 また、財政調整基金につきましては、同様に直近三カ年の平均取り崩し額は四百八億円でございまして、今年度当初予算では千四百五十八億円、六月補正予算では六百五十億円を取り崩すこととしております。

○吉田委員 続いて、残高についてご答弁をお願いしたいと思います。
 本委員会で提出していただきました資料を見ても明らかなとおり、三年前の平成二十年度末の残高は、財政調整基金が五千四百五十八億円、社会資本等整備基金が三千九百六十億円ということで、合計で九千四百十八億円ありました。
 そこで、今年度予定額を取り崩した場合の財政調整基金、そして社会資本等整備基金の残高は幾ら見込まれるのか、ご答弁をお願いいたします。

○武市主計部長 まず財政調整基金でございますが、二十三年度末での残高見込みは二千六百三十七億円でございます。一方、社会資本等整備基金は二千六百四十二億円と見込んでおります。

○吉田委員 合計すると、残高が二つの基金で五千二百七十九億円ということになりますから、三年間で二つの基金で合わせて約四千百億円余の取り崩しが行われる。率にすると半分近い四四%が減少したというふうに計算できると思います。
 さらに資料にあるように、基金残高で大きいのは、使途が制約をされている減債基金、これは一般的な活用はできませんけれども、さらに東京オリンピック・パラリンピック開催準備基金が四千億円余だというふうに思います。
 そこで、まず確認をしたいんですけれども、この五輪開催準備基金についてですが、これは条例上では開催準備基金となっていますが、あくまでも開催に関する施設の整備等が目的であると同時に、開催が決定しない限り手をつけることができないという制約にあるというふうに思いますが、ご答弁お願いいたします。

○武市主計部長 東京オリンピック・パラリンピック開催準備基金は、条例によりまして、オリンピック・パラリンピック開催に関連する社会資本等の整備に要する資金に充てるための基金と位置づけられておりまして、ご質問のとおり、東京オリンピック・パラリンピックの開催が決まってから取り崩すことになる基金でございます。

○吉田委員 そうすると、財務局はこの五輪開催準備基金も含めて活用可能な基金というふうに認識されていると思うんですけれども、実際上は、オリンピック開催が確定しない限り取り崩すことができないということになります。
 そうすると、実際に活用可能な基金ということになると、これまで説明していただいた社会資本等整備基金及び財政調整基金というのが主にならざるを得ないと思うんですが、この五輪開催準備基金を除いた場合の活用可能基金の、本決算年度残高及び今年度末の見込み残高についてお答えください。

○武市主計部長 東京都では、年度間の財源を調整いたしたり、今後の財政需要に備えるために積み立てている基金を財源として活用可能な基金と位置づけておりまして、その残高は、二十二年度末の時点では一兆二千百二十億円でございます。また、二十三年度末の時点では九千三百六十二億円と見込んでございます。そこから東京オリンピック・パラリンピック開催準備基金を除いた場合には、二十三年度末の時点になりますと、残高見込み額五千二百四十億円となってまいります。

○吉田委員 済みません、二十二年度末もその同じ数字で。

○武市主計部長 失礼いたしました。二十二年度末におきましては八千三十一億円、それが二十三年度末になりますと五千二百四十億円となってまいります。

○吉田委員 これはあくまでも五輪開催準備基金を除いて今ご答弁をいただきましたし、また、あくまでも、今年度末がどうなるかはまだ見込みの段階ですから、確定的にいうことは適切ではないと承知をした上でいわせていただきますけれども、そうすると、一年間で残高の減少が八千三十一億円から五千二百四十億円、二千七百億円余も減少するということになって、残高が五千二百四十億円ということになれば、仮にの話ですけれども、今年度と同額の規模で基金の取り崩しが進められるというふうに活用した場合には、二年程度で基金が底をつくということもいわざるを得ないことだというふうに思います。
 しかも、五輪開催基金の場合は、先ほどご答弁があったように、開催が決まらない限り手をつけることができない。活用可能であったとしても。しかも、例えば招致が否決をされても、二〇一六年から今度の二〇二〇年にあるように、引き続き立候補するんだという表明をした場合にはまた使うことができないという、極めて制約の高いものだというふうに思います。
 こういうことになれば、先ほど局長は基金の活用は財政運営のかなめだというふうにいわれましたけれども、改めて今日の状況に立って、この基金条例のあり方も含めて、五輪基金について検討が求められると思うんですけれども、どのようにお考えでしょうか。

○武市主計部長 先ほども申し上げましたとおり、この東京オリンピック・パラリンピック開催準備基金は、オリンピック・パラリンピック開催に関連する社会資本等の整備に要する資金に充てるための基金と条例で位置づけられておりまして、他の目的のために処分することはできないということになっております。
 したがいまして、この基金は現在の財政状況、経済環境とは切り離して考えるべき性格のものでありますし、またつけ加えて申し上げますと、この基金を取り崩さなくても、必要な都民サービスというのは提供できるものと考えておりまして、現時点におきましては、東京オリンピック・パラリンピック開催準備基金に手をつけないことが財政規律を維持することになると考えております。

○吉田委員 私はやはり、基金の条例を変えてでも都民施策のために活用できるようにすることが、現段階では求められているのではないかというふうに考えます。
 もちろん、歳入の確保という点で見れば、法人事業税の一部国税化というこの不当な措置を撤廃させていくこと、さらに、例えば、これは主税局で議論することになりますけれども、超過課税についてもまだ制限税率まで使われておりません。そうしたことの検討、さらに、東京都の場合には、首都機能を担いながらそれにふさわしい財政措置がされていないという問題の改善など、そうした努力も含めて、歳入の確保に努めるべきだと思います。しかし、こうしたことは直ちに実行できるという状況ではありませんので、私は五輪基金の活用についても検討課題だというふうに指摘をしておきたいと思います。
 他方、歳出についても若干質疑をさせていただきます。
 冒頭述べたとおり、高齢化あるいは少子化対応がますます重要になっているだけではなく、防災対策の抜本的な強化という新たな課題が、都政に求められているというふうに思いますし、さらに、既に進められておりますが、都立施設が一斉に更新時期を迎え、そのための支出も避けがたいという状況だと思います。こうした全体状況を踏まえて、財源の確保の強化とともに、歳出についての見直しということも大きな検討課題だと思います。
 そこで、その一つであります都立施設の更新について、主要施設十カ年維持更新計画に取り組んでいるというふうに承知していますが、この実施状況と、今後の歳出額の見込みはどの程度となっているのか、ご答弁をお願いいたします。

○末菅建築保全部長 主要施設十カ年維持更新計画でございますが、平成二十一年度から平成三十年度までの十カ年にわたる都有施設の維持更新計画でございまして、計画の着実な推進を図るため、計画期間をおおむね三年ごとの三期に分割してございます。
 この計画の第一期でございます平成二十一年度から二十三年度までの実施状況は、二十三年度予算ベースで見ますと、約二千五百億円となっております。また、今後七年間の概算事業費につきましては、五千八百億円程度でございます。

○吉田委員 今後七年間で五千八百億円というふうにご答弁がありました。単純に年平均だと八百二十九億円ということになります。
 なお、私の記憶ではたしか、来年度からの三カ年計画の支出計画は、年平均で一千億円になっていたのではないかなというふうに思います。こうしたことも、これは避けがたい支出として確保しなければなりません。
 さらに重大なことは、防災対策の抜本的な強化だと思います。東日本大震災の結果、防災対策の抜本的な強化が求められており、そのために相当の新たな財政支出を見込まなければならないと思いますが、こうした点について、現時点でどのように認識をされているのか、ご答弁をお願いします。

○武市主計部長 東日本大震災は、首都としての防災力の向上、大都市における環境エネルギー戦略の必要性など、新たな課題を浮き彫りにいたしました。こうした課題解決に向けた取り組みは、今後の都政にとって大きな柱になるものと認識をしております。
 既に本年五月には、都としてまず着手すべきことにつきまして、東京緊急対策二〇一一として明らかにし、必要な予算措置を講じることとしたところでございます。
 今後の取り組みとしましては、現在、総務局が取りまとめております東京都防災対応指針の中で、今後の防災対策の方向性をお示しし、その内容を新しい長期ビジョンとその実行プログラムの中に盛り込むとともに、来年度予算の中でも必要な予算措置を行ってまいります。

○吉田委員 もちろん、現時点でどのぐらいかというようなことは答弁できないのは承知しておりますけれども、相当の増額が求められているというふうに思います。新たな液状化対策、津波対策、建物の耐震化助成を初め、ハード、ソフトの対応が求められています。
 ちなみに、金額的にどうかと思って当たってみたら、これは主計部長が知事本局のときに策定された現実行プログラムを見ると、耐震化事業の総額で三カ年で三千七百二十億円ということが見込まれておりますけれども、これを大幅に増額せざるを得ないことは明らかだというふうに思います。
 また、その一例として、例えば防災対策ということで、この夏に発表された都立公園の整備案を見ますと、区部では私の杉並の高井戸公園と、それと練馬城址公園の二つの都立公園を十年間かけて整備をするということが打ち出されました。この二つの公園だけで、延べ面積が三十万平米、この間の用地買収費の実績その他を見ると、少なくとも用地買収費だけで、この二つの公園で一千億に及ぶのではないかと私は推計しますし、さらに、としまえんの場合には営業補償という支出もあり得るということを説明を受けましたけれども、この事業一つを見ただけでも、今までにない莫大な財政投入ということになると思います。
 私はこういう状況の中で、やはり投資的経費の総額そのものと同時にあり方ですね。これもやはり検討することが避けがたいところに、財政状況からいっても、今の都政の置かれた役割から、責任からいってもあるのではないかなというふうに思います。
 投資的経費は、予算的にいえば七年連続で増加をして、今年度予算では八千四百億円超が紹介されましたし、私たちは、経常経費に入っている首都高への支出などの投資的性格を含めれば、約一兆円に及ぶものだというふうに思っております。私たちは、投資的経費の中でも生活密着型投資は重視、拡充すべきですし、この資料で出された普通建設事業費の推移の中でも、かつて住宅費は一六%の比率を占めておりましたが、今七%台。その一方、都市計画費の構成が三九・四%というふうに、大きな比重を占めております。
 そこでお伺いいたしますけれども、投資的経費について、生活密着型あるいは避けがたい施設の維持更新、さらに都民の命と財産を守る防災対策などを優先することに抜本的に見直して、不要不急の大規模開発などについては見直しをするというのが不可避なところにいると思いますけれども、ご答弁をお願いいたします。

○武市主計部長 私どもといたしましては、これまで進めてきた事業につきまして、不要不急なものがあったとは考えてはおりません。
 例えば三環状道路の整備でございますとか、羽田空港の再拡張など大きな都市基盤の整備は、道路の混雑や空港、港湾機能の脆弱性といったような、東京が抱える弱点を克服するものでありまして、都民の利便性の向上につながるだけでなく、東京の潜在力を引き出して国際競争力を高め、熾烈な都市間競争を勝ち抜いていく上で不可欠な取り組みであると考えております。
 投資的経費には、骨格幹線道路の整備や鉄道の連続立体交差事業など、規模の大きなものから、歩道の整備や中小河川の改修など、比較的規模が小さく身近なものまで多岐にわたりますが、いずれもが大事な事業でありまして、財政の健全性に十分留意しながら、今後とも着実に進めていく必要があると考えております。

○吉田委員 認識はそれぞれ結構でございますけれども、現実的に、財政環境が率直にいって厳しいということは明確な事実だと思います。そうした中で、経常的な都民への行政サービスの確保ということは、私は最優先で行われるべきだと思いますし、また、投資的な経費の中で防災対策など最優先で取り組むということになれば、おのずと、これまでの財政投入のあり方について見直しをするということは避けがたいことではないかということを、改めて申し述べまして、私の質問を終わります。

○神野委員長 この際、議事の都合により休憩いたします。
   午後二時二十九分休憩

   午後二時四十二分開議

○神野委員長 休憩前に引き続き分科会を開きます。
 質疑を続行いたします。
 発言を願います。

○山口委員 平成二十二年度の決算審査に当たり、まず財務局の所管分について、何点か質問をさせていただきたいと思います。
 質問がたびたび出ております、この二十二年度の議会案件における低入札価格調査、まずこれについて、実施の状況を伺いたいと思います。

○石井契約調整担当部長 平成二十二年度は、議会案件三十六件中三十一件で、低入札価格調査を実施いたしました。

○山口委員 議会案件三十六件あるわけでありますが、三十一件で低入札価格調査を実施したとのことでありましたが、まだまだ低入札は減っていないと感じるわけでありますが、入札契約制度改革の取り組みが足りないのではないでしょうか、お伺いします。

○石井契約調整担当部長 低入札価格調査を実施いたしました三十一件のうち、二十二件の案件につきましては、特別重点調査の対象となっております。
 特別重点調査は、一般管理費等の割合が入札価格の五%を下回った場合に原則として落札者としないなど、通常の低入札価格調査に比べ、一段と厳しい調査基準を設けております。
 この結果、二十二件につきましては、最低価格での入札者を落札者としなかったことから、入札契約制度改革の取り組みの成果があったものと認識しております。

○山口委員 この二十二件については、最低価格での入札者が落札できなかったということでありますが、この制度が一定の機能を果たしているという点では、これは評価はできると思います。しかし、視点を変えて見てみると、低価格での入札が続いているというのは、これは事実としてあらわれているわけであります。
 財務局として、この現状をどのようにご認識をされていて、今後どのように対応していくおつもりなのか伺いたいと思います。

○石井契約調整担当部長 特別重点調査の導入により、過度な低入札には一定の歯どめがかかっているものと認識しております。一方で、長引く不況を背景に低価格での入札が減っていないことも事実でございます。
 公共調達につきましては、納税者である都民の負担により実施されていることから、透明性、競争性、品質確保という三つの社会的要請のバランスを確保した仕組みづくりをしていくことが重要でございます。低価格入札に対しましては、低入札価格調査を厳正に行い、対処していくとともに、総合評価方式の適用拡大も進めながら、価格と品質のバランスのとれた調達を行ってまいります。

○山口委員 価格と品質のバランスの取れた調達を行っていくということでありましたが、公共調達には環境や福祉などさまざまな社会的要請にこたえていく役割もあるのではないかと思います。
 こうした政策目的を実現していくためにも、その取り組みについてはどのようにしておられるのか、現状を伺いたいと思います。

○石井契約調整担当部長 公共調達に求められます透明性、競争性、品質確保の社会的要請を踏まえつつ、企業の環境保護の取り組みなどの社会貢献について、自発的な取り組みを誘導していくことは、政策を実現するための手法の一つと認識しております。
 ただし、契約の目的や内容に直接関係のない政策目的を評価項目に設定する場合には、受注者の自由な経済活動を制約したり、受注機会の確保に大きな影響を及ぼさないよう、十分な配慮が必要でございます。
 こうした観点も踏まえ、今年度から、環境への配慮実績や障害者雇用の実績などを評価した総合評価方式の試行を開始したところでございます。今後も契約制度に求められる透明性、競争性、品質確保の社会的要請にこたえつつ、よりよい公共調達の仕組みを目指してまいります。

○山口委員 今お話をしたように、入札そのものが、発注者側である皆様と受注者側となる業者の皆さんとの間で、双方が納得をして入札に臨めているかというと、先ほどお話をしたように、今回の三十六件のうち三十一件の調査、うち二十二件が特別重点調査の対象となったということに、私はあらわれているのではないかと思います。今後、どのように入札契約制度そのものが改革をされていくかということが、大きな指針になっていくとも思うんですが、しっかりと制度の見直しが、これは急務だと私は思っておりますので、ぜひ慎重に、かつ皆さんの積極的な努力によって改革を進めていただくように要望しておきたいと思います。
 続いて、土地信託についてお伺いさせていただきたいと思います。
 都では、これまで五つの土地信託を実施して、新宿モノリスを筆頭に順次、信託契約の満了を迎えつつあるわけであります。
 昨年十一月に信託の満了を迎えた新宿モノリスについては、今後も十分に収益性が見込めるということから、五年間信託契約を延長して、平成二十二年度の決算においても、配当収入は十四億三千万円となっているわけであります。
 そこで、新宿モノリスの次に信託の満了を迎える両国シティコアについて何点か伺いたいと思います。まず、この両国シティコアの契約満了はいつでしょうか、お伺いします。

○岩瀬利活用調整担当部長 平成二十四年七月二十八日をもって土地信託契約が満了となります。

○山口委員 かなり期間が迫ってきているわけであります。この両国シティコアの、これまでの信託配当は一体幾らだったのでしょうか。また、この平成二十二年度の信託配当はどのようになっているでしょうか、お伺いします。

○岩瀬利活用調整担当部長 これまでの信託配当は約六億三千九百万円でございまして、平成二十二年度における信託配当収入は五百二十五万九千余円となってございます。

○山口委員 新宿モノリスのある西新宿とこの両国では、当然土地柄や信託ビルの大きさなど、同じ土俵での比較考量はできないとしても、両国シティコアはかなりこれは苦戦を強いられていると評価せざるを得ないのではないかと思うんですが、この両国シティコアの当初の予想配当というのはどれぐらいで換算していたんでしょうか、お伺いします。

○岩瀬利活用調整担当部長 当初の予想配当は二十年間合計で八十三億円でございます。

○山口委員 つまりですよ、今の答弁にあったように、当初の予想配当は八十三億円で、配当の実績は約六億円、つまりその割合というのはたったの七・七%にしか及んでいないわけであります。この数字の上では、なかなかというか、かなり厳しい経営状況であるというのが私自身の正直な感想であります。
 では、財務局は、どうしてこのようなことが起こってしまったのか、また、それについて都はどのような認識をお持ちになられているのか、お伺いしたいと思います。

○岩瀬利活用調整担当部長 この土地信託は昭和六十三年、バブル景気のさなかに計画をされたものでございまして、当初予定していた計画と実績とが大きく乖離してしまいました。
 信託配当が当初の予想と比較し大幅に減額となっている主たる要因は、当時土地価格が一貫して上昇を続けており、バブル経済の崩壊により土地神話は崩れ、収入源であるテナント賃料が大幅に下落していくことを想定し得なかった、このように認識してございます。

○山口委員 いずれにいたしましても、この信託契約の満期まで残された期間は、残された時間ですね、もう。残りわずか、ごくわずかでありまして、また、この借入金の完済も厳しい状況であると聞いているところであります。
 新宿モノリスと比較すると、配当の実績が異なるだけではなく、建物やテナントの状況も異なっているわけであります。両国シティコアについては、モノリスと同じように単純に信託を継続するわけにはこれはいかないでしょう。現在、鋭意検討を進めているところであるとは思いますが、現時点における両国シティコアの契約満了後の方向性についてお伺いしたいと思います。

○岩瀬利活用調整担当部長 信託満了後の検討に当たりましては、都民住宅を併設しているなど、両国シティコアの特殊性を踏まえまして、これまでの事業の評価、検証を行い、不動産鑑定士や弁護士など専門家の意見も聞きながら、関係局とも連携をし、さまざまな観点から可能性を追求し、その具体的な検討を進めているところでございます。

○山口委員 もう限られた期間は数カ月というところまで差し迫ってきているわけであります。残された期間が短いこともさることながら、銀行や関係局とも一丸となって、都民のだれもが納得ができるベストな対応策を一刻も早く示していただくことを強く要望して、次の質問に移らせていただきたいと思います。
 次は、都有財産の利活用についてもお伺いしたいと思います。
 過去十年間を振り返りますと、二次にわたる財政再建推進の期間中には、財産面からは、不用財産を積極的に売却する方針のもと、平成十二年度から十八年度までの間で二千百億円に上る財産の売却を行ってこられたわけであります。
 確かに、当時はこれだけの収入を得ることで、財政再建には多大なる貢献をしてきたと思いますが、それ以降、時代の流れは急速に変化をしてきているわけであります。平成十八年ごろには、経済状況の持ち直しに伴い東京の地価も上向きとなりました。財産制度の面でいえば、都として、平成十九年度には行政財産を民間事業者にも貸し付けられる制度、平成二十年度には事業用定期借地の設定期間の拡大を、それぞれ法改正を受けた形で導入し、より有効活用がしやすい状況をつくってきたところであります。さらに直近では東日本大震災の発生により、その緊急対応のために都有財産を有効に活用しており、また、その後の防災対策のために、都有地を有効に活用していこうという動きもあります。
 こうした直近までの状況変化を考慮すると、今や当面利用予定のない都有財産は、単純に売却により収益を得るために使うのではなく、ストックをして、こうした災害時の緊急対策など、都の諸施策を推進していくために使用することが、最も私は効果的であり、都民のニーズに最も合致しているのではないかと考えます。
 そこで、都有地の財産利活用について、都としての今現在の考え方を改めてお伺いしたいと思います。

○奥田財産運用部長 都有地は都民から負託された貴重な財産でございまして、特に都心部の土地など、手放すと二度と手に入らないであろうと思われるものもございます。そのため、都では既に、単に売却のみを促進するのではなく、都施策に活用するために保有していくべき財産を選別するなど、必要に応じて土地のストックを確保しているところでございます。
 こうした土地を都民ニーズの多様化や災害時の緊急使用等に活用することで、財産の価値を最大限発揮させ、都政の喫緊の課題解決を図るべきものと考えているところでございます。今後とも、行政サービス向上のため、土地ストックを最大限有効に活用してまいります。

○山口委員 売却一辺倒ではなくて、都が施策を行っていく上で必要な土地はストックとして残す方向であるということがわかり、合致ができるということでは安心をいたしました。
 ところで、質のよい土地ストックを確保するためには、各局が一定の施策としての活用を終えた都有地について、財務局ができるだけ早く引き継ぎ、次の都施策のために有効活用していく必要があると思います。
 しかし、我が党の前財政委員会理事の中谷議員の答弁にもありましたが、ある局で一定の用途を終えた都有地をそのまま局が抱えていて、なかなか他局の行政用途に使用できないケースというのがあるということがわかりました。これではせっかくの貴重な都有地が宝の持ちぐされになってしまい、結果的に都民のために有効活用されていないということになってしまうわけであります。こうした状況を打破していくために、財務局においては、各局で一定の用途を終えた都有地をできる限り早く引き継ぐよう、取り組みを強化していく必要があると考えます。
 そこで、各局で一定の用途を終えた都有地につき、財務局への引き継ぎがなかなか進まない理由は一体何なんでしょうか。また、それを解決するために、現在どのような取り組みを行い、今後どうされていくおつもりか、あわせてお伺いしたいと思います。

○奥田財産運用部長 財産価値を最大限発揮して行政サービスに役立てていくためには、所期の行政目的を終了した財産につきまして、速やかに次の用途に供することが必要でございます。
 財務局におきましては毎年、各局の未利用地調査を行いまして、新たな利活用の対象となる財産を早期に抽出しているところでございます。しかしながら、各局の実態を見ますと、土地境界の未確定、地下埋設物除去の必要性、また専門的知識や経験のあるスタッフの不足などから、引き継ぎに時間を要することが多いことが見られることもまた事実でございます。
 そこで、各局での測量、境界確定等の実務に対しまして、財務局が、その蓄積したノウハウや技術力を生かした支援を行いまして、引き継ぎを促進しているところでございます。さらに、境界が未確定な土地につきましても、一定の整理がついたものにつきましては、財務局が積極的に引き継ぎを受けているところでございます。
 今後とも、財務局から積極的に各局の支援を行うことで引き継ぎを促進するなど、財産の総合調整機能を十分に発揮してまいります。

○山口委員 手続の実務について、詳細を伺ってきたわけでありますが、土地を完全にきれいにすることを各局に任せっきりにすることなく、財務局が積極的に次の用途に活用できる財産をつくり出しているということはよくわかりました。
 緊急かつ重要な行政需要にいつでも活用できる土地ストック確保のため、このような取り組みというのは今後もぜひ積極的に続けていただきたいと思います。
 さらにその上で、災害対策を初め、さまざまな緊急用途に迅速に対応するためには、日ごろから土地の所在や現況を常に把握しておき、土地の価値を最大限発揮できる準備を行っていく必要があると思います。
 特に、災害時には一時的に資材置き場やごみ、瓦れき置き場、地域の救援活動の拠点、都民の一時避難、居住場所、物資運搬車両や機材の置き場など、多岐にわたって使える場所が緊急的に必要になるわけであります。そのため、災害対応等の新たな土地ニーズへの対応のため、土地ストックをより多く確保しておくことも重要であり、そのための取り組みを強化していかなければいけないわけであります。
 そこで、日ごろから財産状況をどのように把握をし、災害対応等行政サービスの一層の向上に向けての準備を行われているのでしょうか。また、その上で、土地ストックをより多く確保しておくため、今後どのように取り組んでいくおつもりか、お伺いしたいと思います。

○奥田財産運用部長 災害時には、それぞれ必要な目的に向けまして候補地を絞り込むなど、全庁的観点から調整いたしまして、都有地をより有効に活用することが必要でございます。
 こうした緊急ニーズに迅速に対応できますよう、土地の所在や面積などが即時に検索できる財産情報システムを常に最新データに更新するとともに、常日ごろから都有地の現地確認を行うことで実態を的確に把握し、有効活用に向け着実に準備しているところでございます。こうした準備が東日本大震災の際にも、一時避難施設などで活用可能な都有地を抽出し、情報提供をしたという実績につながったところでございます。
 さらに、今回の震災を契機とした新たな土地ニーズにも柔軟に対応していく必要があるため、各局と一層綿密に将来の施設活用等に係る情報交換を行い、未利用地の引き継ぎを推進してまいります。

○山口委員 これまでの質疑を通じまして、災害時の緊急ニーズへの対応など一層の行政サービス向上のために、土地ストックを確保して活用に向けた準備をしっかりと行っているということで、理解はできました。
 私が申し上げているように、土地を売り払うことから所有し活用することへのシフトが、都の実態として行われていることは評価するべきと私は考えます。現状に満足をすることなく、常にこうした意識を持ち続けて、今後も、特に財務局の果たす役割は大きいと思われますので、都有財産の利活用に積極的に取り組んでいただきたいと強く要望して、質疑を終わります。

○小林委員 私からは、公共工事発注における中小企業の受注について、何点かお伺いさせていただきます。
 いうまでもなく、依然として厳しい経済状況が続く中、都内の中小企業の方々は非常に厳しい経営環境に置かれております。私も中小企業の皆様とお会いするたびに、大変なご苦労をされて経営のかじをとっておられるお声をたくさんちょうだいをいたしております。そのような中、公共工事の発注に当たり、中小企業の受注機会の拡大は重要な施策であります。
 そこでまず初めに、平成二十二年度の都からの中小企業への発注件数は、工事全体件数のうちどのくらいの割合を占めているのか、お伺いします。

○石井契約調整担当部長 平成二十二年度の中小企業への工事発注件数の割合は約八六%であり、この十年間八割以上の水準を維持しているところでございます。

○小林委員 都ではかねてから、官公需における中小企業者の受注機会を確保することを、契約事務執行上における重要な施策と位置づけていますが、今ご答弁にもありましたように、全発注件数の八六%を中小企業が受注、また、この十年間も八割以上の水準を維持しているとのことですので、都としても積極的なご努力をいただいているというふうに思います。
 そこで、改めてではありますが、中小企業の受注確保について、都の講じている対策について確認させていただきます。

○石井契約調整担当部長 都は、中小企業の受注確保を図るため、官公需についての中小企業者の受注確保に関する法律の趣旨を踏まえ、価格面、数量面、工事面等から、経済的、技術的合理性に配慮しつつ、分離分割発注に積極的に取り組んでいるところでございます。

○小林委員 ありがとうございます。
 日本を支え、また東京を支えている中小企業が主体的に受注ができるよう、分離分割発注に引き続き積極的に取り組んでいただきたいと思います。
 しかしながら一方で、長引く景気の低迷から民間建設需要が冷え込んでおり、全国的に公共調達に頼らざるを得ない状況の中、建設事業者の受注競争は厳しさを増しており、低価格入札が多いと聞いております。発注件数が増加しても、低価格入札ばかりでは、経営基盤の脆弱な中小企業にとっては苦しい状況となりますし、さらに、価格競争のみでは工事品質の確保が不十分となる懸念があります。
 先ほどの中山委員の質問のご答弁にもありましたが、都では平成二十一年に公共工事に関する入札契約制度改革の実施方針を定めましたが、その一つの柱として、総合評価方式の適用拡大を図っていると聞いております。
 そこで、都としてはどの程度まで総合評価の拡大を考えているのか、また平成二十二年度の総合評価の実施状況について、その前年度との比較も含めてお伺いいたします。

○石井契約調整担当部長 総合評価方式につきましては、平成二十四年度に全競争入札案件の約二割を目標に導入を図ることを目指しております。総合評価方式の実施状況につきましては、平成二十一年度は、全入札案件に対しまして約六・三%でございましたが、平成二十二年度は大幅に増加しまして、約一〇・五%となっております。

○小林委員 今、ご答弁にもありましたように、平成二十一年度から実施状況は大幅に増加しているとのことですので、この提言を受けた成果が大きく反映をされていると思います。
 品質確保の観点からも、総合評価の導入は大事な視点であると思いますので、さらなる総合評価の拡大にご努力をいただきたいと思います。
 最後になりますが、中小企業は下請に入っていることが多いですが、大型案件で低価格入札が続く中で、下請企業にしわ寄せが来ているとの声もお聞きします。このような状態に対して都はどのような対応をしているのか、最後にお伺いいたします。

○石井契約調整担当部長 都では、労働基準法や建設業法を初めとした法令遵守を契約書に義務づけるとともに、下請契約の適正化、代金支払いの迅速化などについて、建設業団体に要請をしております。
 また、公共調達の品質確保に向け、入札制度改革に積極的に取り組む中で、低入札価格調査制度を導入し、調査対象者から安全管理、材料の仕様、労務単価等について詳細に確認するほか、必要に応じ現場点検を実施し、下請人との契約状況等の確認をしているところでございます。

○小林委員 先ほども申し上げましたが、都が定めた公共工事に関する入札契約制度改革の実施方針の中では、きょう質問させていただいた低入札価格や総合評価方式の視点のほかにも、最低制限価格制度の適正化や一般競争入札の拡大等にも言及をされております。
 現在の建設業を取り巻く状況は大変に厳しいものがありますが、建設業界を活性化し、中小企業が元気になることが、停滞した経済を打破する大きなかぎであると思います。入札制度改革の着実な目標の達成はもちろん、元請業者、下請業者を含め、現場の声をしっかり受けとめたきめ細かな中小企業への対応を、これからも継続的に行っていただくよう要望しまして、私の質問を終わります。ありがとうございます。

○神野委員長 発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑はいずれもこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○神野委員長 異議なしと認め、本件に対する質疑はいずれも終了いたしました。
 以上で財務局関係を終わります。
 これをもちまして本日の分科会を閉会いたします。
   午後三時十分散会

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