平成二十二年度各会計決算特別委員会第二分科会速記録第四号

平成二十三年十月二十一日(金曜日)
第十委員会室
   午後一時開議
 出席委員 十名
委員長山加 朱美君
副委員長高倉 良生君
副委員長くまき美奈子君
山内れい子君
佐藤 由美君
遠藤  守君
笹本ひさし君
神林  茂君
服部ゆくお君
古賀 俊昭君

 欠席委員 なし

 出席説明員
スポーツ振興局局長細井  優君
理事産形  稔君
総務部長安藤 英二君
スポーツ事業部長板垣 一典君
スポーツ施設担当部長施設計画担当部長兼務佐野 克彦君
スポーツ祭東京推進部長川合  純君
大会運営担当部長早崎 道晴君
招致推進部長松永 竜太君
病院経営本部本部長川澄 俊文君
経営企画部長藤田 裕司君
サービス推進部長別宮 浩志君
経営戦略・再編整備担当部長齊藤 和弥君

本日の会議に付した事件
平成二十二年度東京都各会計歳入歳出決算の認定について
スポーツ振興局関係
・平成二十二年度東京都一般会計決算(質疑)
病院経営本部関係
・平成二十二年度東京都一般会計決算(質疑)

○山加委員長 ただいまから平成二十二年度各会計決算特別委員会第二分科会を開会いたします。
 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、スポーツ振興局及び病院経営本部関係の決算に対する質疑を行います。
 これよりスポーツ振興局関係に入ります。
 決算の審査を行います。
 平成二十二年度東京都一般会計決算中、スポーツ振興局所管分を議題といたします。
 本件につきましては既に説明を聴取しておりますので、直ちに質疑を行います。
 発言を願います。

○神林委員 それでは、スポーツ祭東京二〇一三について伺います。
 皆さんもご存じのとおり、スポーツ祭東京二〇一三は、平成二十五年九月二十八日の国民体育大会の開会から、十月十四日の全国障害者スポーツ大会の閉会まで十七日間を会期として、一つの祭典として開催されます。
 国民体育大会は、広く国民の間にスポーツを普及し国民の健康増進と体力の向上を図り、あわせて地方スポーツの振興と地方文化の発展に寄与する国内最大のスポーツの祭典でございます。また、全国障害者スポーツ大会は、スポーツの楽しさを体験するとともに、国民の障害に対する理解を深め、障害者の社会参加を進めることを目的に行われております。
 平成二十二年度におきましても、さまざまな取り組みが進められておりますけれども、決算審査に当たり、まず初めに、これらの両大会を一つの祭典として開催する意義について伺います。

○川合スポーツ祭東京推進部長 これまで、国民体育大会と全国障害者スポーツ大会は別々の大会として行われております。
 スポーツ祭東京二〇一三におきましては、障害のある方が国体のデモンストレーションとしてのスポーツ行事に参加することや、障害のない方が全国障害者スポーツ大会にさまざまな形で参加することなど、両大会が相互に支え合う仕組みをつくることとしております。
 このように二つの大会を一つの祭典として実施することにより、障害のあるなしにかかわらず、スポーツを楽しむことができる社会を実現する契機となることを目指しております。

○神林委員 ただいまご答弁いただきましたように、国民体育大会と全国障害者スポーツ大会を一つの祭典として開催することは、他県にない新しい取り組みでございまして、これら両大会を通じて、障害のある人とない人の連帯の輪が広がることを、大いに私は期待しております。
 また、国体に参加する青少年にとっては、健康増進と体力向上を図るとともに、障害に対する理解を深めるよい機会ともなると考えることから、将来を担う青少年の健全育成の観点からも大いに評価するものであり、ぜひ成功させていただきたいと考えております。
 そこで、スポーツ祭東京二〇一三の成功はもとより、スポーツ祭東京二〇一三が終わった後のさらなるスポーツ振興のためにも、施設の整備は重要でございます。国体と全国障害者スポーツ大会を一つの祭典として開催するということから、施設整備を進めるに当たっては、障害のある方への配慮も重要な課題と考えますが、どのように取り組んでいられるのか、お伺いいたします。

○川合スポーツ祭東京推進部長 スポーツ祭東京二〇一三の施設整備に当たりましては、障害のある方への配慮が重要であると考えております。このため、競技会場やその周辺のユニバーサルデザイン化を進め、だれもが観戦しやすい環境の整備を目指すこととしております。
 具体的には、車いすで利用できる車いす用観覧席や、だれもが利用しやすい多目的トイレの設置、階段の手すりや段差へのスロープの設置など、福祉のまちづくりにつながるような整備につきましても財政支援の対象に加えるなど、きめ細かい対応に努めております。

○神林委員 障害のある方も競技の観戦が可能となる、だれもが快適に利用できる会場づくりを進めていただきたいと思います。そして今回の取り組みを一過性のものに終わらせることなく、今後のまちづくりにも生かしていただきたいと、強く要望させていただきます。
 さらに、施設整備に関連して伺いますけれども、平成二十二年度一般会計決算説明書を見ると、国民体育大会競技施設整備補助は、二十二年度に九億円強の支出がなされており、着実に整備が進んでいることと思いますが、これまでの整備状況を伺います。

○川合スポーツ祭東京推進部長 都は、国体の会場となる競技施設の整備促進を図り、あわせて都におけるスポーツ環境の整備に資するため、平成二十年度から各区市町村の競技施設整備事業に対する財政支援を行っております。
 施設整備の対象となる六十八施設のうち、二十二年度末までに二十四施設の整備に着手しており、そのうち九施設の整備を完了したところでございます。今後とも、計画的に施設整備を進めてまいります。

○神林委員 昨今、スポーツ施設整備を進めることがむだですとかという向きもあるようでございます。別に豪華にしろというわけじゃなくて、その施設をより快適に使いやすくすることで、どれだけの多くの青少年や障害者が、どれだけまた多くの都民が喜びや感動を享受することができるのか、こういう考えもしっかりと持っていただきたいと思っております。また、スポーツ祭東京二〇一三の開催を契機としたスポーツ施設の整備は、地元市区町村も期待を寄せているところでございますので、引き続きしっかりと取り組んでもらいたいと思います。
 ところで、昨年の第三回定例会の我が党の質問に対して、大会愛称、スローガン、マスコットキャラクターを大会のシンボルとして活用して、積極的な広報活動を展開するとご答弁をいただいております。大会の開催に向けては、ハード面の競技施設の整備とあわせ、今後さらなる開催機運の盛り上げが重要でございます。そこで、これまでに広報PR活動としてどのような取り組みをしてきたのか、お伺いいたします。

○川合スポーツ祭東京推進部長 大会機運の盛り上げには、まず都民の方々に広く大会を知っていただくことが重要でございます。
 都は、平成二十二年七月の国体の開催決定にあわせまして、公募により大会愛称、スローガン、マスコットキャラクターを決定し、同年十二月には、マスコットキャラクターの愛称を、ゆりーとといたしました。そして、ゆりーとを活用したホームページのリニューアルや、大会の魅力を紹介する広報誌の発行、ゆりーとの着ぐるみを活用したイベントでの広報活動など、PR活動に努めてまいりました。
 今後とも、市区町村や関係団体と連携しながら、広報活動を一層充実し、さらなる大会の周知を図ってまいります。

○神林委員 今、種々さまざまな広報PR活動をご説明いただきましたけれども、私、やっぱりマスメディアへの対応、これをしっかり、より一層周知を図るという意味では、ぜひ活用していただきたいと思いますので、要望させていただきたいと存じます。
 また、ただいま広報活動を一層充実させることを答弁いただきましたけれども、私の地元の大田区では、ちょっと寂しいんですが、京浜南運河でカヌースプリント競技が行われる予定であるということは聞いておるんですけれども、大会関係者を除く区民はほとんど知らないというのが現況でございます。このように、区部においてはいまだ盛り上がっていないというのが印象でございます。
 大会を成功させるためには、多摩・島しょ地域はもとより、東京全域で盛り上げていくことが重要だと考えております。そのためには、大会に関係する人たちだけじゃなくて多くの都民を巻き込んでいくことが必要ではないかと考えております。
 例えばの例でございますけれども、競技会の開催にあわせて会場周辺で伝統行事や楽器の演奏などを披露するとか、直接スポーツをする人以外の方にもいろいろな形で積極的に大会に携わっていただくことができると考えております。
 そこで、スポーツ祭東京二〇一三を盛り上げ成功に導くため、今後、都民の参画をどのように進めていくのか伺います。

○川合スポーツ祭東京推進部長 スポーツ祭東京二〇一三を盛り上げるためには、広く都民に大会を知ってもらうとともに、都民みずから大会に参画していただくことが重要でございます。
 このため、市区町村や関係団体と連携しながら、会場周辺を都民の方が栽培した花で彩っていただくなど、都民の具体的な活動例をわかりやすい形で提示するとともに、より多くの都民、地域団体、学校、企業がボランティアとして大会に参加できるよう、募集、登録、研修の仕組みづくりを進めるなどして、都民の大会への参画を促してまいります。

○神林委員 今まで質問してきたことをちょっとまとめさせて、意見として述べさせていただきますと、平成二十五年のスポーツ祭東京二〇一三の開催は、単なる競技会の開催にとどまらず、多摩・島しょの豊かな自然や歴史、文化、観光資源など、東京の魅力を全国にアピールする絶好の機会となるわけでございます。今後、全国から参加する選手、監督を初めとする大会参加者はもとより、さまざまな形で大会にかかわる都民にとっても、東京ならではの心に残る大会とすべく、今後とも開催準備に取り組んでほしいと考えております。そして、スポーツ祭東京二〇一三にかかわるこうした取り組みを、これからのまちづくり、それからオリンピック・パラリンピックの招致につなげていくためにも、今後とも継続していくことが重要であることを申し上げまして、私の質問を終わります。

○高倉委員 まず、地域スポーツの振興についてお伺いしたいと思います。
 スポーツ振興を図っていくためには、都民が身近な地域において日常的にスポーツに取り組んでいけるようにしていくことが重要であると思います。都民全体がスポーツに取り組み、スポーツムーブメントが高まっていくことが、オリンピック・パラリンピック招致にもつながっていくのではないかと考えます。
 私は平成十九年の予算特別委員会において、地域スポーツクラブに対する都の取り組みについて質問をいたしました。都からは、地域スポーツクラブの設立は生涯スポーツ社会の実現に欠くことのできないものであり、その設立に向けて積極的に支援していくといった答弁をいただいたところであります。本日は、その後の地域スポーツクラブの状況についてお聞きしたいと思います。
 まず、都内における平成二十二年度末現在の、地域スポーツクラブの設立数について明らかにしていただきたいと思います。

○板垣スポーツ事業部長 都内における地域スポーツクラブは、平成十八年度末現在、二十二区市町村で四十五クラブでございましたが、二十二年度末では、三十八区市町村で八十八クラブとなっており、クラブ数でほぼ倍増してございます。
 地域別では、区部が十九区四十八クラブ、市町村部では十九市町村四十クラブが設立されてございます。

○高倉委員 クラブ数はこの四年間でほぼ倍増しているという、今答弁でありました。それらのクラブでは具体的にどういった活動が行われているのか、その活動の状況または事例についてお伺いいたします。

○板垣スポーツ事業部長 平成二十二年七月に都内地域スポーツクラブを対象に実施いたしましたアンケート調査によりますと、会員の内訳は小学生が最も多く、全体の三分の一を占めるなど、十八歳未満が全体の約四五%となってございます。一方、六十歳以上の会員は約二〇%でございます。
 活動種目としてはバドミントンが最も多く、続いて卓球、健康体操、フットサルなどが多くのクラブで実施されておりまして、半数を超えるクラブが十以上の種目を実施してございます。このほかに、地元商店街やプロサッカーチームの協力を得て、少年サッカーの交流会や太極拳、社交ダンスの体験教室など、千人を超える地域の方々が参加する規模でイベントを開催したクラブや、あるいはチームでごみを拾い、その質と量を競い合うスポーツごみ拾いを行って、地域の環境問題に取り組んでいるクラブなど、地域の活性化に貢献する事例も見られるようになってきてございます。

○高倉委員 今、種々いろいろな事例の紹介がありました。スポーツごみ拾いというんでしょうか、こんなことも行われているようでありまして、地域スポーツクラブが地域の活性化に貢献している、こういったこともよくわかりました。
 この地域スポーツクラブが設立されたことによって、地域でどういった効果があらわれてきているのかについて、改めてご答弁を求めます。

○板垣スポーツ事業部長 先ほど申し上げたアンケート調査によりますと、クラブの設立によって地域住民間の交流が活性化したという回答が七二・六%ございました。そのほかにも半数以上のクラブで、世代を超えた交流が生まれた、地域住民のスポーツ参加機会がふえたなどの効果が実感されてございます。

○高倉委員 設立されたクラブでは、さまざまな効果が実感されてきているといった答弁を今いただきました。こうした地域スポーツクラブの活発な活動が都内全域に拡大をしていくということが重要でありまして、都としてもさらに積極的な支援を行っていく必要があるのではないかなと思います。
 一方で、まだクラブが設立されてない市区町村もあるようでありますけれども、そうした地区が幾つあるのか、明らかにしていただきたいと思います。また、都として地域スポーツクラブの設立、育成をどう支援しているのか答弁を求めます。

○板垣スポーツ事業部長 平成二十三年九月末時点におきましては、四区、十一市、九町村、合計二十四区市町村がクラブ未設置となってございます。
 都は、財団法人東京都スポーツ文化事業団に設置しております東京都広域スポーツセンターなどと連携をいたしまして、このような未設置地域における地域スポーツクラブの設立支援とともに、既に設立されているクラブの育成支援を行ってございます。
 具体的には、設立支援といたしまして、クラブ設立を担う人材を養成するための講習会を行いますとともに、情報提供や相談に応じる支援アドバイザーが地域を訪問するなど、未設置地区における地域スポーツクラブの設立を促進しております。
 また、育成支援といたしましては、一般都民を対象にクラブの会員拡大に資する体験教室やスポーツイベントなどの活動経費を補助する都民参加事業や、日常活動の中にトップアスリートなどの専門的な指導者を派遣いたします指導者派遣事業を行ってございます。あわせて、クラブが都立学校施設を活用できるよう、東京都教育庁と調整を図りまして、活動場所の確保を支援してございます。
 今後ともこうした取り組みを通じて、都民のだれもが身近にスポーツに親しめる環境を整備し、スポーツ都市東京の実現を目指してまいります。

○高倉委員 この地域スポーツクラブの未設置の自治体がまだ二十四あるということでありまして、ただ、積極的に取り組んでいるのではないかなということは、今答弁でわかりましたけれども、先ほどいろんな事例を紹介していた中に、小学生を初めとして、子どもたち、また若い人たちがかなり積極的に参加されている一方で、高齢の方々もいろんな形でここにかかわって、スポーツを楽しまれているということでありまして、ぜひ、地域におけるスポーツ振興を進めていく上からも、さらに積極的な支援をお願いしたいというふうに思います。
 次に、国際スポーツ競技大会についてお伺いいたします。
 七月に行われましたFIFA女子ワールドカップで、ワールドカップのドイツ大会において、なでしこジャパンの優勝の、この興奮は私も大変記憶に新しいところであります。
 東京においても、今月、世界体操選手権が東京体育館で開催をされました。世界のトップの選手たちが東京に集い、超人的ともいえるわざを競い合う、そういった様子は、まさに手に汗を握る緊迫感があり、大いに盛り上がったと思います。特に、内村航平選手が前人未踏の個人総合三連覇を達成した瞬間は、日本じゅうが歓喜し感動したのではないかと思います。
 スポーツには、このように人々を感動させる大変大きな力があると思います。そこで改めて、国際的なスポーツ競技大会が東京で開催される意義や効果についてお伺いしたいと思います。

○板垣スポーツ事業部長 国際的なスポーツ競技大会は世界じゅうから注目され、競技力の向上や国際親善に役立つばかりではなく、青少年を初め多くの人々のスポーツに対する関心を高め、夢と希望を与えてくれます。また、大規模な国際スポーツ競技大会を開催することにより、東京が持つスポーツイベントの運営能力を世界に示すこととなり、首都東京のプレゼンスを高める効果がございます。さらに、東京の持つ魅力を広く世界に発信する絶好の機会となり、観光客の誘致など、大きな経済効果も期待できるものと考えております。
 都は、平成二十年に策定いたしました東京都スポーツ振興基本計画におきまして、このようなさまざまな面で効果がある国際的なスポーツ大会等の積極的誘致を目標の一つと掲げ、積極的に取り組んでいるところでございます。

○高倉委員 今ご答弁にありましたように、国際的なスポーツ競技大会というのは本当にさまざまな意味で、東京にとってもメリットがあるんではないかなと私も思います。そこで、この東京において、この決算の年度であります平成二十二年度に、主にどのような国際スポーツ競技大会が開催されたのか、ご答弁をお願いいたします。

○板垣スポーツ事業部長 都内ではさまざまな種目の国際スポーツ競技大会が開催されております。平成二十二年度には、世界柔道選手権東京大会やFINA競泳ワールドカップ東京を初め、ヨネックスオープンジャパンバドミントンや、女子バレーボール世界選手権、楽天ジャパンオープンテニスチャンピオンシップスなど、都に後援等の申請がなされたものだけでも約二十の大会が開催されております。

○高倉委員 今、たくさんの大会が二十二年度にも開催をされたということがわかりました。東京で一つでも多くの、トップアスリートの方々が集うような大きな大会、これが行われるということが、東京におけるスポーツのすそ野を広げていく上でも、本当に大きな意義を持っているんではないかなと思います。そういった意味で、こういった国際スポーツの競技大会、これに対して東京都が具体的にこういうような支援を行っているんですよということを、さらに広く周知をして、本当にできる限り、東京でこうした国際スポーツ大会を開催できるように推進していただきたいと思います。
 そこで、それらの国際スポーツ競技大会に対して、都としてどういうふうにかかわっているのか、また今後の取り組みについてもあわせて答弁を求めたいと思います。

○板垣スポーツ事業部長 都は、大会の目的及び内容に公共性があり、都のスポーツ施策の推進に寄与するなど、一定の基準を満たす大会につきましては、大会主催者からの申請に基づきまして、後援名義の使用を承認してございます。
 また、特に国際的に認知された大会で、都のスポーツ振興施策に大きく寄与し、スポーツ都市東京を国際的にアピールできる大会につきましては、都が共催者となって大会開催を支援しております。
 平成二十二年度につきましては、先ほど申し上げた世界柔道選手権と競泳ワールドカップについて共催をいたしまして、大会開催経費の一部を負担してございます。
 こうした共催大会におきましては、都民を招待するとともに、通常では見ることのできない競技会場のバックヤードをアスリートの案内で見学するツアーや、都内のジュニア選手に対する技術指導教室の開催などの都民還元事業を実施してございます。
 今後とも、後援や共催など、さまざまな手法によりまして、国際スポーツ競技大会の開催に積極的に取り組んでまいります。

○高倉委員 こうした国際スポーツ大会が都内で数多く開催をされることが、二〇二〇年のオリンピック・パラリンピックの招致にもつながっていくことになると思います。また、都民のスポーツのすそ野を広げるためにも、これまでにも増して積極的に取り組んでいただきたいと思います。
 また、先ほど都民還元事業の取り組みについて答弁もありました。東京では、私も出場したことがありますけれども、東京マラソンといった大変に人気の高いイベントもあるわけであります。本当にこうしたスポーツを通じて、東京が大変私は元気になっていくと思いますし、また一方でこうした、今都民還元事業のお話がありましたけれども、被災地の方を積極的にお招きをして、こういった事業でも活用していくような取り組みをしていくことによって、被災地を応援していくことにもつながっていくんではないかなと思います。ぜひそういったことも、十分にまた検討もしていただいて進めていただきたいことを要望いたしまして、質問を終わります。

○山内委員 私からも質問させていただきます。
 まず、障害者のスポーツ振興について伺いたいと思います。
 東京都は、スポーツ振興基本計画において、都民のだれもが、いつでも、どこでも、いつまでもスポーツを楽しめる社会を基本理念としています。また、競技スポーツばかりではなく、それぞれの年齢、興味、目的などに応じて、生涯スポーツを楽しむことができることもうたっております。しかし、障害者の方からは、行動範囲が限られるため、どこでも、いつでもというわけにはいかず、スポーツを楽しむという機会が非常に少ないという声が寄せられております。
 そこで、障害者のスポーツ振興に対して東京都がどのように取り組んでいるか、現状を伺っていきたいと思います。
 まず、昨年七月のスポーツ振興局の立ち上げに伴い、福祉保健局からも事業が移管されてきているとのことですが、決算の説明書に記載されている障害者施策推進費について、どのような事業を行ったのか、内容をお伺いいたします。

○板垣スポーツ事業部長 都は、スポーツ振興局の設置によりまして、これまで福祉保健局で実施しておりました障害者スポーツ事業についても、スポーツ振興局で所管をすることといたしました。
 福祉保健局から移管された事業といたしましては、東京都障害者スポーツ大会の開催がございます。この大会は、障害者がスポーツを通じてみずからの体力の維持増進及び社会参加や相互交流を促進させるとともに、都民の障害者に対する理解を深めることを目的として開催してございます。
 また、この大会で選考された選手を、国内最大の障害者スポーツの祭典でございます全国障害者スポーツ大会へ東京都選手団として派遣しており、その経費を負担してございます。

○山内委員 障害者のスポーツ大会に関する経費ということですけれども、大会の開催にとどまらず、障害のある方々が日常的にスポーツに取り組めるようにしていくことも重要です。障害者のふだんのスポーツに対する支援状況について伺います。

○板垣スポーツ事業部長 二十三年四月から当局に移管されました東京都障害者スポーツセンター事業の中では、水中運動やボッチャ教室などのスポーツ教室を開催いたしますとともに、障害者がより身近な地域でスポーツに親しむことができますよう、学校や民間福祉施設等でスポーツ教室や講習会などを開催する地域振興事業を実施してございます。
 また、地域の日常的なスポーツ活動の場である地域スポーツクラブの中には、障害者も会員として参加し活動しているクラブや、障害者との交流を実施しているクラブもございます。
 都は今後とも、地域スポーツクラブの設立育成を支援し、障害者も含めた、だれもが身近な地域でスポーツを楽しめる環境づくりを行ってまいります。

○山内委員 障害者の方々は地域スポーツクラブの活動にどのように参加しているのか、事例をお伺いしたいと思います。

○板垣スポーツ事業部長 地域スポーツクラブの活動に障害者の方々が参加している事例でございますが、体育大生の指導のもと、障害のある子どもたちを中心に、ティーボールという、とまっているボールを打つ野球なんですけれども、こうした競技とか、ランニング、ダンスなど、楽しく身体を動かす活動を行っているクラブや、障害者も参加できる触れ合いトランポリン教室を開催しているクラブなどがございます。
 都内の地域スポーツクラブのうち、十九のクラブが平成二十二年度に障害を持つ方との活動を行っており、こうした動きは次第にふえつつございます。

○山内委員 地域スポーツクラブが出てきているとはいえ、実際に活動する場所を確保することは難しく、継続的に開催していくことが難しいという話も聞いております。立ち上げのための支援だけではなく、運用していくための支援も必要だと考えております。
 次に、障害者の日常的なスポーツ活動を支援するためには、障害者スポーツの拠点となる施設が重要です。東京都障害者スポーツセンターの二〇一〇年度の事業実績と課題についてお伺いします。

○佐野スポーツ施設担当部長施設計画担当部長兼務 都内の障害者スポーツの拠点施設といたしまして、区部には東京都障害者総合スポーツセンターが、多摩には東京都多摩障害者スポーツセンターが設置されておりまして、両センターは今年度よりスポーツ振興局へ移管されたものであります。
 平成二十二年度の利用者数は、障害者総合スポーツセンターが十九万八千九百五十五人であり、多摩障害者スポーツセンターが十五万八千七百九十六人でありました。
 両センターでは、医師や理学療法士などが健康管理や運動内容等の相談に応じる健康スポーツ相談や、利用者のニーズやレベルに応じたスポーツ教室、さらには障害者スポーツの普及とセンターのPRを目的とした地域振興事業等を実施いたしました。
 両センターの利用者数は、平成二十二年度は施設の改修工事や震災の影響によりまして、前年度比で、区部では一万八千人程度、多摩では一万三千人程度減少いたしております。しかし、両センターの利用者数はこれまで年々増加する傾向にございまして、今後とも、利用者の目的やニーズに応じたきめ細かな支援を行い、利用者数増と障害者スポーツの普及振興に努めてまいります。

○山内委員 二〇一〇年度の障害者スポーツセンターの利用者数は減少したとのことですが、災害時、一時期センターを閉鎖していたということもわかりました。その閉鎖の期間中、障害者の方々が代替の施設を探したそうですが、場所を確保するのが非常に難しかったそうです。地域の小中学校の体育館を借りようとしても、車いすでは床が傷むからと断られたり、土足厳禁のところに入るのは気が引ける、公共施設のプールは障害者にとって温度が低い、更衣室が障害者仕様になっていない、浮き輪の持ち込みができないなど、気持ちよく使える場所の確保は厳しいようです。
 障害のある方々は、いつでも、どこでも、スポーツを楽しめるというわけにはいきません。障害者の方たちが気軽に使える場というものが非常に必要だということが思い知らされます。
 企業の厚生施設は減少傾向にあるようですが、障害者や地域の人たちに開放することを支援したり、特別支援学校など都立学校の施設を開放したり、既存施設の活用をすることで、身近なところでスポーツを楽しめるように工夫し、だれもが、いつでも、どこでも、いつまでも、スポーツを楽しめるようになるよう、東京都も障害者のスポーツの充実を図っていくように要望いたします。
 次に、東京都障害者スポーツセンターの耐震化、防災計画についてお伺いいたします。
 東京都障害者スポーツセンターでは、三月の震災の影響により利用者が減少したとのことですが、利用者の安全を確保することは施設管理者の責務です。そこで、障害者スポーツセンターの耐震化の状況はどうなっているのか、お伺いいたします。

○佐野スポーツ施設担当部長施設計画担当部長兼務 建物の耐震化につきましては、昭和五十六年の新耐震基準に適合しているか否かが重要な指標となりますけれども、障害者総合スポーツセンターは、昭和六十一年に竣工いたしまして、また多摩障害者スポーツセンターは昭和五十九年に竣工しております。したがいまして、両センターとも、昭和五十六年の新耐震基準に適合した建物であります。

○山内委員 災害発生時には、利用者を迅速に安全な場所に誘導する必要がありますが、障害者の避難誘導に当たっては、さまざまな配慮が必要であると考えます。災害時の施設の安全対策はどうなっているのか、例えば防災計画などは作成しているのか伺います。

○佐野スポーツ施設担当部長施設計画担当部長兼務 多くの方が利用する建物では、防火防災管理のために必要な事項を消防計画に定めることが消防法により規定されており、障害者総合スポーツセンター及び多摩障害者スポーツセンターとも、消防計画を策定しております。
 両センターは、障害者が利用する施設でありますことから、災害発生時に迅速な行動をとることが困難であったり、また、判断に支援が必要となる方がいる場合があるなど、さまざまな事例を想定した上で災害に備える必要があります。そのため、両センターでは自衛消防隊を設置し、災害時に備えた施設の自主点検などを行うほか、利用者が参加した避難訓練を年一回実施し、避難誘導路の周知を図るとともに、利用者に対する職員の誘導方法の確認をするなど、障害者へ配慮した対策を講じております。

○山内委員 私の地元の利用者の方々も避難訓練に参加していると聞いております。十一月に策定される防災対応指針のもと、防災計画を策定し災害対策を充実するよう要望いたします。
 障害者スポーツセンターは、地域の多くの障害者が利用する施設です。これまで災害発生時に地域の障害者の避難所として活用できるよう、地元自治体とも話し合いを重ねてきた経緯があると聞いております。三月十一日の東日本大震災を教訓に、ぜひとも検討していただきたいと要望いたします。
 また、災害時に限らず、宿泊施設は利用される方が多いようですが、一人で動ける人を対象につくられ、介護用の手すりのついたベッドがない、医療用リフトがないなど、使い勝手の悪さも指摘されております。意見箱の設置や年一回のアンケートなど、利用者の声を聞く姿勢は評価いたしますが、そこに寄せられた課題の解決に向けて取り組んでいただけることを要望して、私からの質問を終わります。

○山加委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○山加委員長 異議なしと認め、本件に対する質疑は終了いたしました。
 以上でスポーツ振興局関係を終わります。

○山加委員長 これより病院経営本部関係に入ります。
 決算の審査を行います。
 平成二十二年度東京都一般会計決算中、病院経営本部所管分を議題といたします。
 本件につきましては既に説明を聴取しておりますので、直ちに質疑を行います。
 発言を願います。

○くまき委員 平成二十二年度東京都一般会計決算における病院経営本部の地域病院等の運営に関連して、まず板橋区の豊島病院についてお伺いいたします。
 分科会で説明いただきましたのは公社全体の数字でしたので、まず、豊島病院の平成二十二年度の収支、運営費補助金の状況を、前年度との比較でご説明願いたいと思います。

○藤田経営企画部長 平成二十二年度の豊島病院の決算は、補助金を除く収益が六十九億六千万円、支出が八十六億二千万円であり、運営費補助金が十六億六千万円となっております。
 平成二十一年度の決算は、補助金を除く収益が六十億三千万円、支出が八十二億四千万円であり、運営費補助金が二十二億円でございました。したがいまして、比較いたしますと、収益が九億三千万円の増加、支出が三億八千万円の増加、補助金は五億四千万円の減少となってございます。

○くまき委員 収益が九億三千万円と大幅に伸び、運営費補助金も減少させることができたとのことで、経営的には昨年よりかなり向上したとの答弁であったというふうに理解をいたします。
 経営向上のため、病院としてのさまざまな努力がおありだったというふうに思いますが、このような決算を出せたことに関して、その要因をどのように分析しているのか伺います。

○藤田経営企画部長 運用病床の増加により、入院患者が増加いたしましたこと、看護師の確保に努め、七対一入院基本料の施設基準を取得し、患者一人当たりの診療単価が増加したこと、地域医療支援病院として認定を受け、地域医療支援病院加算を取得できたこと等により、収益の大幅な増加を図ることができました。
 看護師の確保により人件費も増加するなど、費用も増加いたしましたけれども、その増加を上回る収益を確保することができたため、補助金を減少させることができたものと考えております。

○くまき委員 病院が力を入れた看護師の確保努力が実を結び、それが収益の向上につながったということで、患者様と病院の双方にメリットがあったものというふうに思います。それについては評価をさせていただきます。
 ただし、豊島病院には、まだ開いていない病棟の課題があったように思われます。豊島病院は平成十一年に開設し、平成十二年に二次開設まで行われましたが、都立病院の再編整備計画の中で第三次開設が停止され、平成二十一年度に都から保健医療公社に移管された際にも、二病棟が未開棟でありました。その後も看護師の確保の問題、新型インフルエンザ対策のための病棟改修の影響で、なかなか一般病棟のフルオープンができなかったと伺っております。
 せっかくの施設をあけておけば非効率的であり、また、地域のニーズにも十分にこたえていけないのではないかとの懸念もございます。今、運用病床の増加という答弁がございましたが、病棟の状況がどのようになっているのか確認をさせていただきたいと思います。

○藤田経営企画部長 平成二十二年度当初におきましては、二病棟が未開設でございましたが、その後、看護師を確保いたしまして、平成二十二年六月には一病棟を開設いたしました。残りの一病棟につきましては、平成二十二年度は新型インフルエンザに対応する緊急対応病床確保のための工事を行っており、平成二十三年六月の段階で開設をいたしました。その結果、現在は一般病棟の全面開設に至っている状況にございます。

○くまき委員 平成十一年の新病院開設時から初めて一般病棟が全部開設したということで、その努力は評価したいと存じます。これから病棟を最大限に活用しながら、地域医療を担っていただきたいと思います。
 また、先ほどの答弁の中で、地域医療支援病院として認められたとの話がありましたが、施設基準が認められたのも、地域医療連携の充実に向けてこれまで取り組んできた成果であると考えます。今後もさらに市町村や地域の医師会、地域医療機関との連携を進めながら、よい医療の提供に努めていただきたいというふうに思います。
 さて、次に、東部地域病院についても若干触れさせていただきます。
 現在、国のがん対策推進基本計画に基づき、都においても東京都がん対策推進計画を策定し、地域がん連携拠点病院の整備、東京都独自の東京都認定がん診療病院の認定を行ってきていますが、葛飾、足立、荒川といった区東北部医療圏には、地域がん連携拠点病院、東京都認定がん診療病院が一カ所もありません。そのため、葛飾区の区議会からも、東部地域病院におけるがん対策の充実を求めた意見書が出されています。
 その関連でお伺いいたしますが、平成二十二年度における東部地域病院のがん患者の数はどうなっていますでしょうか。

○藤田経営企画部長 東部地域病院のがん疾患患者数でございますけれども、昨年、平成二十二年十月二十日に実施いたしましたワンデー調査の結果では、当日の全入院患者二百十九名のうち、がん疾患患者数が八十四名ということで、約四割という状況になってございます。

○くまき委員 ただいま答弁いただきましたように、がんの患者さんは非常に多数に上っており、また高齢化に伴い、今後もさらに増加していく可能性が高いと考えられます。
 この区東北部地域において、がん医療のより一層の充実が必要であると考えますが、東部地域病院としてどのように対応していくのか伺います。

○藤田経営企画部長 東部地域病院は内視鏡治療に多くの実績を有しており、がん医療におきましても内視鏡による外科的治療を推進しているところでございます。また、抗がん剤を使用した化学療法につきましても、平成二十一年度に外来化学療法室を整備し、平成二十二年度は月約九十件の実績を上げてきております。
 今後も、これまでの実績や経験を生かしながら、さらに、がん医療の充実に努めてまいります。

○くまき委員 東部地域病院には放射線治療に必要なリニアック装置がないなど、ハード面での課題もあるように聞いております。地域がん連携拠点病院や東京都認定がん診療病院になるには、越えなければならない幾つものハードルがあるようでございます。しかし、医療が不足している地域において活躍していただくことこそ、地域病院の役割であると考えます。東部地域病院には都民の大きな期待が寄せられていることを十分認識をいただいて、がん医療の充実に向けてぜひ努力し続けていっていただきたいと存じます。このことを強く要望いたしまして、私の質問を終わります。

○古賀委員 私は、財団法人東京都保健医療公社が運営する七病院等の一層の経営体質向上、経営改善に向けての公社病院の経営面について、質問を行います。
 今補助金のお話がありました。公社病院というのは都立病院ではないんですけれども、しかし公益性を有する病院ということで、公営企業法の適用は受けないけれども、東京都から、一般会計からの補助金を受けて運営されているという、そういう一つの大きな特徴を持った病院ということがいえます。都立病院の場合には、公営企業法でいうところの不採算部門を見る負担金と、それから、災害等の緊急時に対応するための、本来は出すことがあってはいけない補助金ということが、公営企業法で出されることが決まっているんですけれども、この公社が運営する病院については、そういった規定の適用を受けないということですので、決算等を通して、どのような根拠、あるいは目的を持って補助金が出され使われているかという視点を持って見なければいけないというふうに思います。
 今、豊島病院の補助金、十六億程度の金額が出されているという、運営費補助のお話がありましたけれども、実際は運営費補助以外にもかなり多額の補助金が、この七病院等には支出されているわけで、総額は、この決算書を見ますと百六十三億円を超えているわけです。この税金が投入されている公社病院が今、体質として極めて健康なのか、あるいは健康維持に多少注意を要するのか、はたまた、もっと体力向上等に努めなければならないのか、そういった見方というものが非常に大切であるというふうに思います。
 先日の分科会で、公社病院の補助金について説明も受けました。しかし、その補助金だけでその実態を、今申し上げたような金額だけでつかむことはできないわけです。幾つかの病院の経営指標をもとに、医業収益はどうなのか、あるいはかかっている費用はどうであるのか、人件費はどのくらい支出しているのか、そういった収支にわたる分析が当然必要になってくるわけです。
 まず、平成二十二年度の公社病院の収支状況について、平成二十一年度との対比を示していただきたいというふうに思います。まず、病院経営上最も重要な指標といわれております医業収支比率、これは医業費用に占める医業収益の割合を示すものでありますけれども、平成二十一年度との対比を示してください。

○藤田経営企画部長 平成二十二年度の公社病院全体の収支でございますが、運営費補助金を除きます収益が三百六十五億二千万円、支出が四百三十億二千万円、運営費補助金が六十六億三千万円でございました。
 これに対しまして平成二十一年度の全体収支でございますが、運営費補助金を除きます収益が三百三十二億八千万円、支出が四百十八億七千万円、運営費補助金が八十六億円でございました。収益の大幅な伸びが費用の増加を上回りまして、運営費補助金を約二十億円減少させることができたものでございます。
 お尋ねの医業収支比率につきましては、平成二十二年度が八四・三%、平成二十一年度が七九・一%でございましたので、五・二ポイントの改善ということでございます。

○古賀委員 今お話があった医業収支比率というのは、病院の経営構造を示す最も基本的かつ重要な指標ということで、病院が順調に安定した経営、運営を行うためには、当然この比率が一〇〇%以上に維持されることが必要なんですね。割合が低いということは経営体質がそれだけ硬直化しているということであります。
 全体の収支を見たところでは、今のお話のように平成二十二年度の決算は、前年度に比較して向上したということは間違いないわけです。向上したことはもちろん私ども評価をいたしますけれども、それはどのような原因によるものなのか。例えば、患者数がふえたのか、診療体制をより充実させたのか、またはむだを省いて費用を節減したのか、そういうことを分析する必要が当然ございます。分析することによって、さらに今後の補助金等の支出を減らすことも可能になってくるわけです。
 この議会に提案された決算の内容について、全体としてどのように分析しているかお聞かせください。

○藤田経営企画部長 先ほどのご答弁と若干かぶる部分もございますが、収入は前年度に比較しまして約三十二億伸びてございます。その増加の内容を分析いたしますと、入院、外来患者の増加によるものが約七億六千万円、看護師確保による七対一入院基本料、医師事務作業補助体制加算、あるいは地域支援病院入院診療加算等の施設基準の取得によりまして増加いたしましたものが二十一億二千万円でございます。また、診療報酬改定による検査料の増加等で、二億一千万円の増加となってございます。
 一方、費用でございますけれども、前年度に比較いたしまして約十一億円増加をしております。その内訳を見ますと、職員の充足等による人件費の増加で七億二千万円の増、材料費、経費で三億六千万円の増となってございます。
 全体的に申し上げますと、診療報酬上の施設基準取得等による大幅な収益増が、人件費の増加を大きく上回りました結果、良好な決算に結びついたというふうに考えてございます。

○古賀委員 今のご答弁では、いろんな要因があるという中で、良好な決算になったのは診療報酬制度が変わったことによって、それに沿った形で診療体制をとったことによって経営の向上につながったということです。
 病院の経営努力は重要なポイントでありますけれども、今の看護師の確保あるいは医療連携の推進など、努力の結果が、これも収益としてあらわれたことは私もよくわかります。紹介率が向上すれば、それだけ医療連携が進んだということになるわけで、当然、これは収支に影響してきます。しかし、見方を変えれば、患者数の増、診療内容の充実といった面での改善が十分に行えたかどうかということになると、これは課題がまだあるというふうに私は思います。ぜひこの点の努力は引き続き行ってもらいたいというふうに思うわけです。
 経営努力というのは、危機に陥って、今のギリシャみたいにどうしようもなくなって何かやろうと思っても、全くうまくいかないわけです。だから日々一歩一歩着実に、入院患者は、外来はどうだったのか、その数はどうか、診療単価の問題、それから新たに来院した患者数はどうなのか、先ほどの医業収支比率など、また経常収支比率とか、そういったものを把握しながら、今の公社病院ではどのような課題があるのかということを絶えず見きわめておくことが必要なわけです。そういった課題に対して解決策をどうするのかという知恵を絞るのが、病院経営本部ということになるわけです。
 今後のことを考えれば、公社病院について、経営状況について、どのように今、把握をしながら経営体質の向上に取り組み、それを成果に結びつけようとしているのか、取り組みをひとつ示してください。

○藤田経営企画部長 各病院におきましては、入院、外来患者数を日々確認いたしまして、特に入院患者数につきましては病棟別に把握し、病床利用の効率化を図り、利用率の向上を目指しているところでございます。
 また、診療単価や新入院患者数、新来患者数、平均在院日数、救急患者受け入れ数等につきましては、月ごとに把握いたしまして、その動向を速やかに分析いたしますとともに、対策を検討し、具体的な改善努力を行っているところでございます。
 さらに、こうした経営手法を院内の経営委員会において検討するほか、経営状況について、委員長が各科の責任者へのヒアリングを直接行うなど、幹部職員を中心に経営意識の醸成を図っているところでございます。

○古賀委員 世の中もそうですけれども、病院も経済状況等、環境、そういったものに影響を受けながら、絶えず動いているわけですね。ですから、油断をし手綱を緩めれば、必ず経営は悪化いたします。それは必定です。ぜひ今後もこうした活動を、今おっしゃったようなことをきめ細かく対応しながら続けて、不断の経営向上努力というものを間断なくやってもらいたいというふうに思います。
 これまで、補助金のことなど財政、お金に関する質疑を行ってまいりましたけれども、それ以外の点を一つ確認しておきたいというように思います。
 今は患者の意識もかなり変わってまいりました。先ほど患者様とおっしゃったんですけど、今は病院でも患者様と、自分が様呼ばわりされ、いわれてえっと思って最初は抵抗を感じたんですけれども、最近はそれは当たり前かなというふうに思ってまいりました。それだけ、患者の側もいろいろな要求を病院の方にいっているわけです。
 いろんな病院を選ぶ指標というものも、最近いろいろ出てきているんですね。入院患者死亡率とか、それから手術中、術後の死亡率とか、こういった数字がきちんともう病院ごとに出ていまして、この病院はどの程度の水準の医療ができるのか、はたまたできないのかということを、患者自身が判断するようになってきているわけです。つまり質の高い医療を求めているということであります。そのために、患者が公社病院を評価をする、肯定的に評価をする、経営向上を図るために患者の満足度を向上させる。それから医療事故ですね。医療事故を防ぐような体制強化というものも当然重要になってくるわけです。
 こういった病院のさまざまな活動が総体的に進められていく必要がある。公社病院において、収支にかかわる、先ほどの補助金等の課題とはまた別に、そういった患者を視野に置いた視点から病院の運営を行っていくということが非常に大事だし、そういった指標も、現に今申し上げたようなものも含めてあるわけですけれども、その公社病院が今使っている指標のようなものがあれば、教えてもらいたいと思います。

○藤田経営企画部長 委員ご指摘のとおり、病院の収支面だけでの管理では、昨今の厳しい医療環境の中で、患者の方々に選ばれる病院として生き残っていくことは難しくなってきているのは事実でございます。そのため、病院の医療提供にかかわりますさまざまな院内の活動が適切に行われているかどうかということを、総体的に確認していくということも非常に重要になってきておるというふうに思っております。
 公社病院におきましては、先ほどのご答弁で若干申し上げました、診療単価や平均在院日数などの収支に関する指標のほかに、患者満足度や医療安全管理研修の受講率、あるいは看護師の定着率など、重要な院内活動を数値化いたしまして目標管理を行っているところでございます。このような指標によりまして、経営基盤の強化、地域医療連携の推進、患者中心の医療、あるいは質の高い医療人材の育成という複数の視点から院内活動をとらえまして、総合的に経営の向上を目指しているところでございます。

○古賀委員 今のご答弁にありましたように、さまざまな指標というものがあるわけで、公社病院の基本方針でも、決算の概要等に触れられておりましたけれども、地域住民が必要とする保健医療サービスの提供を行うということでありますので、地域の中核病院として、地域医療連携の一層の推進に努めていくことが重要であります。ぜひ今のような指標も十二分に活用して、適切な運営を行ってもらいたいというふうに思います。
 その目的を達成するために、公社病院というのは建物は東京都が提供しているわけですね。ですから減価償却がないわけです。一般会計からも先ほど申しましたように、百六十三億五千万円余の補助金が出ているわけでありますので、こうした今の現状に安住することなく、常に経営体質改善の意識を持って、費用対効果、それから収支状況を常に考えながら経営を行ってもらいたいと思います。
 最後に、公社病院を管理する病院経営本部として、公社病院の運営を今後どのように進めるのか、また、経営指導、監督をどのように行っていくのかお伺いをいたします。

○藤田経営企画部長 財団法人東京都保健医療公社で運営いたしております公社病院は、地域医療機関との医療機能の連携を進めることにより、地域医療のシステム化を推進するとともに、地域の中核病院として地域住民の生命と健康を守ることを目的といたしてございます。この目的を達成するためにも、委員先ほど来お話しの財政基盤の確立と、自律的経営の促進を図っていく必要があり、この考え方は、保健医療公社で策定しております公社活性化プランⅡとなりますが、これにおいても、経営の重要な四つの視点のうちの一つとして掲げられているところでございます。
 病院経営本部といたしましては、公社活性化プランⅡにございます経営改善策が着実に実行されるよう、保健医療公社の活動について適切な進行管理を行いますとともに、経営向上のために必要な支援を行ってまいります。さらに、公社という経営形態のメリットを最大限に生かしながら経営向上を図りまして、地域医療機関との密接な連携関係をさらに充実させつつ、質の高い医療を都民に提供していけるよう、引き続き本部として適切に指導していく所存でございます。

○古賀委員 最後に意見を申し上げておきます。
 各公社病院それぞれの、例えば医業収支比率等を見ますとばらつきがあるんですね。先ほどご答弁がありました全体の病院の平均では、例えば医業収支比率については八四・三%ということで、前年度より改善しております。これは一〇〇%以上が望ましいということを先ほど申し上げました。一〇〇%に近い数字を出しているところもあるんですね。東部地域病院は、平均すると九三・二%ですけれども、例えば昨年の四月は一〇四・八%、五月は一〇三・六%、七月も一〇三%を超えて、八月も一〇四%を超えています。九月も一〇一%、十一月も一〇五%、また、ことしに入って二月も一〇三・一%ということで、望ましい数字を既に、月ごとに見ると出しているわけです。
 ただ、東部地域病院以外のところを見ますと、低いのは多摩北部医療センター七七・八%、豊島病院七九・六%。これをトータルして八四・三%ということですので、それぞれの病院には個別のさまざまな課題があると思いますので、この点、月ごとに見ると東部地域病院がよくやっている月もあるわけですので、こういった指標も十分に活用してもらいたいというふうに思うわけです。
 それから、私は今触れなかったんですけれども、もう一つ、病院の健康状態を示す病院経営指標で、給与費比率というのがあるんですね。医業収益に対する給与費の割合を示しているわけです。
 病院の職員の数が適切か否か判断する指標ということになるわけですけれども、一般的にどんな病院もそうですけれども、経費で一番かかるのは職員の給与なわけです。ですから、適切かどうか、常に人件費比率、給与費比率というものも見てもらいたいというふうに思います。高い病院は配置に問題がある。あるいは手当等に問題があるという課題が必ずあるわけでありますので、この医業収益、医業収入に対する給与費比率というものも、ぜひ重視してもらいたいということをつけ加えておきます。これは大体五〇%台が適切というふうにいわれておりまして、五五%以下でなければ、たしか起債の許可もおりないというふうに私、以前聞いたような気がいたしますので、五〇%台をひとつ努力目標に、経営改善に取り組んでもらいたいと思います。
 各病院ごとにこの給与費比率を見ますと、東部地域病院は五六・三%、大体まあまあのところにあるわけですけれども、多摩南部地域病院が六〇・六%、大久保病院が六三・三%、一番高いのが多摩北部医療センターの七二・二%、荏原病院六二・四%、平均すると六四・三%ということですから、この給与費比率についてもまだまだ取り組む余地があるのではないかというふうに私、思います。
 そのほかにもさまざまな指標があるわけですね。先ほどの患者満足度とか、紹介率、逆紹介率、それから病床利用率。この病床利用率も非常に重要な指標で、運用する病床数を百とした場合、患者使用がどの程度行われているかということで、これは平均が八一%ですけれども、低い病院もある。それから未収金率。患者個人が払う調定額に対して、収入が病院に入ってきていないということでの未収金率、これもやはり放置できない問題だと思います。一番未収金率の高いのが大久保病院、群を抜いて高い、五・四%ということで、病院平均で二・二%ですから、その倍の率がここに出ています。未収金の問題も取り組んでもらいたいというふうに思います。
 それから、先ほど新たな指標ということで示してくださいましたけれども、新卒看護師定着率、新卒採用した看護師さんが年度内いたかどうかということで、これは平成二十一年度から採用された、目標を設定したものですけれども、病院の平均が八六・六%ですけれども、中には一〇〇%という病院が二つあるんですが、極めて低いのが大久保病院、七〇・八%。なぜ大久保病院にこれだけの課題があるのかということは、やはり健康診断をして、よく病状を確かめて治療する必要があるというふうに思います。
 病院経営についての、いろいろ今後の、引き続き質の高い医療を提供していくということで、そういう決意も示されました。ぜひ気を緩めずに経営改善、さらに良質な医療を提供するように努力していただくことをお願いして、質問を終わります。

○高倉委員 病院の事業継続について質問をいたしたいと思います。
 平成二十二年度末の三月十一日に発生しました東日本大震災では、病院や診療所などの医療機関自体が被災しまして、被災地の医療供給体制は一時的に壊滅状態になったわけであります。
 八月に私は総務委員会の被災地視察で、宮城県石巻市や南三陸町などに行きましたけれども、津波でいまだ壊滅したままになっている病院の様子が目に強く焼きついております。津波の被害を免れた病院や他の自治体からの救護活動により、何とか医療体制を確保できるようになったというふうに聞いております。東京都からも継続的に多くの医療救護班が派遣されまして、公社病院からも派遣があったというふうに聞いております。
 そこでまず、東日本大震災の被災地に対する平成二十二年度の公社病院からの医療救護班の派遣実績について、答弁を求めます。

○藤田経営企画部長 平成二十二年度中には、公社病院職員から成る医療救護班を合計四班十四人、宮城県気仙沼市及び岩手県陸前高田市へ派遣をいたしました。また、加えて申し上げますと、今年度に入りましてからも、五月までに八班二十六人を派遣しているところでございます。

○高倉委員 今、たくさんの方々が派遣されたということの答弁がありました。医療救護班として派遣をされた職員の方々も、そしてその派遣職員の業務をかわって担当した病院の職員の方々も、この間、大変なご苦労をされたことと思います。改めて心より敬意を表したいと思います。
 しかし、派遣された方々の現場での活動というものは、これは非常に貴重なものであります。この体験を今後の東京の震災対策にもぜひ反映をさせて、十分に役立てていくことが大切だと思います。そのためには若干の時間も必要ではありますけれども、ぜひ積極的に取り組んでほしいと思います。
 そこで、平成二十二年度の震災前の時点で結構ですけれども、万一東京で大震災が発生した場合に、公社病院としてどう対応することになっているのか、明らかにしていただきたいと思います。

○藤田経営企画部長 各公社病院におきましては、災害時の初期対応に関するマニュアルを整備いたしておりまして、災害に備えているところでございます。
 病院では、災害発生時にはそのマニュアルに沿って被害状況の把握、災害対策本部の設置、必要部署への連絡などを行いまして、何よりも病院内の患者さんやそのご家族の安全をまず確保いたしまして、適切な対応を行いますとともに、被災者に対する救護活動を実施するということになってございます。

○高倉委員 今、災害時の初期対応に関するマニュアルについてのお話がありました。
 確かに、災害時に当たっては初期対応が極めて大事であって、この点についてはマニュアルがあって、そしてそれに従って対応していくということだと思います。ただ、この場合の初期というのは非常に限られた期間でありまして、被災者の方々も含めて、あるいは一般の通常の病院にかかる必要がある方々も含めて、さらにその後、長い間もう本当に必要な対応をしていかなければならない状況があると思います。
 災害やテロなどの緊急事態に遭遇した際に、その被害を最小限にとどめながら事業を継続し、また早期復旧を進めるために、緊急時の事業継続のための方策を取り決めておく事業継続計画、BCPの重要性が、今回の震災を機に改めて再認識をされていると思います。
 私ども都議会公明党はこれまで、緊急時にも都政を継続して実施するための継続計画をしっかりと策定するよう、さまざまな角度から提案を続けてまいりました。昨年は新型インフルエンザが発生した場合のBCPが作成されております。
 災害発生時の病院のBCPにつきましては、これまで作成した例というものを余り聞いたことがないわけでありますが、しかし、災害時に多数の傷病者が発生し、速やかな治療が必要になることは容易に想定をされるわけであります。また、被害の内容次第では、被災者が長期にわたって医療を必要とする、こういったケースも考えられると思います。
 先ほど答弁をいただきました発災時の初期対応が重要であることはいうまでもありませんけれども、発災後一定期間が経過した後も、継続的に医療を提供していくための事業継続計画、BCPが必要であるというふうに考えますけれども、見解をお伺いしたいと思います。

○藤田経営企画部長 病院における事業継続計画、いわゆるBCPでございますけれども、発災後もその災害の状況に応じて継続的な医療を提供していくために、大変重要なものであるというふうに考えてございます。
 具体的には、職員の確保が困難な場合の対応や、被災者の受け入れ体制の確保のような、災害時に新たに発生する業務への対応などを想定に入れましたBCPを策定していくことが必要であると考えております。
 病院経営本部におきましては、今年度、都の緊急対策の一つといたしまして、病院BCPを都立病院で策定してまいります。
 今後の公社における取り組みでございますけれども、年内に策定が予定されております東京都の防災対応指針や、今後策定を予定しております、ただいま申し上げました都立病院のBCP、これらを参考にしながら、公社病院においてもBCPを策定していくこととしております。

○高倉委員 首都直下地震などの大災害、大震災は、いつ襲ってきてもおかしくない状況にあるわけでありまして、ぜひともこの公社病院のBCPにつきましても、一刻も早く策定をするように取り組んでいただくよう、強く要望しておきたいと思います。
 最後に、患者サービスについて一点だけお伺いをしておきます。
 公社病院につきましては、例えばクレジットカードによる診療費の支払い、こういったことが可能になっております。一時的にお金がないときにクレジットカードを使える。また、あるいは視覚障害者の方、病院の窓口で見せられるものは、実際読めないわけでありますけれども、そういった視覚障害者のために音声コードというのを活用して、薬の説明書にその音声コードを印字して、そして音声で聞こえるようにする。こういったサービスも既に行われているということで、患者の方々への利便性の向上、障害者への適切な対応として高く評価をしたいと思います。
 この音声コードにつきましては、読み上げるための専用の機器が必要なわけであります。ところが、ことしの春ごろからですけれども、一般の、普通の携帯電話の一部の機種で、この音声コードを附属している普通の携帯電話のカメラで撮影して、そして読み取って音声を聞くことができる。こういうような携帯電話が既に発売が始まっております。これは本当に幅広い活用が可能になってきていると思いまして、この音声コードについては、国のねんきん定期便の封筒とか、あるいは被災地向けの冊子にも積極的に活用されているわけであります。
 目が不自由な場合に、この音声コードを、携帯電話を使った場合にでも撮影しづらいということはもう容易に想定されるわけでありますけれども、これに対して、携帯電話をセットして、その下に音声コードを差し込むと、正確に音声コードを撮影して読み取れる、非常に簡便な機器、補助器具というんでしょうか、こういったものも出ているわけであります。
 音声コードを使えば、先ほどの薬の説明書のほかにも医療費の明細書、あるいは請求書といったものも視覚障害者の方々が音声で内容を知ることができるようになるわけであります。最近は、こうした技術開発が急速に進みまして、さまざまな新たなサービスが可能になってきております。こうした技術を取り入れつつ、さらなるサービスの向上に取り組んでいただきたいと思いますけれども、この点についての答弁を求めます。

○藤田経営企画部長 副委員長ご指摘のとおり、現在のITを初めとします昨今の技術開発は急速に進んでございまして、こういった新たな技術を活用したさまざまなサービスも、日進月歩で生まれてきているところでございます。
 病院経営本部といたしましては、開発された新たな技術が病院におけます医療サービスや患者サービスの向上につながるというものでございますれば、普及の度合いや費用対効果等を検証しつつ、活用していきたいというふうに考えてございます。

○山内委員 震災対策について、先ほどとちょっと重なるところがございますが、お伺いさせていただきます。
 三月十一日、東日本大震災は東京でも多くの帰宅困難者が出るなど、さまざまな課題や教訓を残しました。予測される大地震に備えて対策が求められますが、これまでも地域防災計画に基づいて震災対策が進められてきました。
 病院の震災対策は、地震が起こったとき、病院の中にいる患者や職員への対応とともに、地域住民への対応としてけが人や病人をどう受け入れるのかなど、両方考える必要があります。公社の病院は、どれも東京都災害拠点病院に位置づけられており、震災の際には大変重要な役割を担うこととなるため、東日本大震災以前に取り組んできたことを確認して対策を考えることが重要です。
 そこで、特に災害時の事業継続、BCPと防災計画について、防災訓練について、二〇一〇年度までの取り組みと課題について伺います。

○藤田経営企画部長 公社病院は、委員お話しのとおり、東京都の災害拠点病院に指定されてございまして、災害時においても病院機能を維持し、災害時の医療活動を展開することを責務としてございますため、発災時の緊急対応マニュアルを整備し、災害に備えているところでございます。
 防災訓練につきましては、災害時における入院患者の救護及び避難誘導訓練や、各地域で実施しております自衛消防審査会への参加、あるいは多数傷病者受け入れ訓練などが、日ごろから実施されているところでございます。
 今後につきましては、東日本大震災の教訓を生かしながら、訓練内容をさらに充実させるとともに、年内に策定予定の東京都の防災対応指針、こういったものを基礎に置きながら、発災時以降も継続的に病院運営を行い、災害時の傷病者に的確に対応するための事業継続計画、いわゆるBCPを策定していく予定となってございます。

○山内委員 今後、BCPの計画も策定し、防災訓練もなされていくものと思います。その際、地域での役割という観点から、地元自治体を初めとする地域との連携が必要です。地域の意見を入れて策定していくように要望いたします。
 次に、多摩北部医療センターについてお伺いいたします。
 多摩北部医療センターは、北多摩北部地域における拠点病院です。全体の患者数は伸びていませんが、その中で小児科の患者が非常に多くなっています。清瀬小児病院がなくなり、小児救急を初めとして、この地域の小児科として重要な病院となっているのです。
 そこで、小児科の二〇一〇年度の実績及び課題をお伺いいたします。

○藤田経営企画部長 多摩北部医療センターの小児科では、平成二十一年度に四名でありました常勤医師を平成二十二年度に六名に増員をいたしまして、診療体制の強化を図っております。
 その結果、平成二十二年度におけます多摩北部医療センター小児科の入院患者数は、延べ七千五百三十二人、一日当たりにいたしますと二十・六人でございます。また、平成二十一年度と比較いたしまして、延べ二千十九人の増、一日当たり五・五人の増となっている状況でございます。
 また、小児の救急患者数は七千七百五人で、前年度と比較いたしまして、八百三十五人の増となっております。
 今後とも、多摩地域の拠点であります小児総合医療センターと連携をしながら、小児医療の充実に寄与してまいります。

○山内委員 小児医療については、清瀬小児病院閉院に伴って、地域の住民が非常に心配しているところです。資料を見ても、他の公社病院に比べて患者数が大変多く、病床数もふえたため、清瀬小児の代替としての役割を果たしていることがうかがえます。医師や看護師の確保も努力しているようですが、今後とも確保に努め、ほかの病院とも連携して進めていきますようお願いを申し上げます。
 公社病院では、それぞれ地域連携を行っています。地域の自治体や医師会と連携することで、その地域の病院として住民への浸透を図ることもできます。紹介予約や逆紹介、医療従事者などへの研修、運営協議会など、さまざまな事業を実施していると聞いております。
 では、多摩北部医療センターについて、地域の自治体や医師会との連携で実施されているものの中で、二〇一〇年度における運営協議会の成果と課題をお伺いいたします。

○藤田経営企画部長 多摩北部医療センター運営協議会は、院長の諮問機関といたしまして、学識経験者、都及び地区医師会、関係市並びに病院幹部等で構成されておりまして、病院の運営、地域連携事業のあり方などにつきまして審議をいたしております。その際、委員各位からインターネット予約システムの利用状況や、救急医療の東京ルールにおける多摩北部医療センターの役割などについて多岐にわたるご意見をいただいておりまして、病院運営の参考にさせていただいているところでございます。今後とも、こうした場を通じまして、地域のニーズを十分に踏まえつつ、医療サービスの充実に努めてまいります。

○山内委員 運営協議会での情報交換は、地域のニーズをつかみ病院運営に生かしていくためのいい材料だと思います。
 議論の概要を見ますと、地域ニーズに関することのほか、多摩北部医療センターのアピールやPRについても意見が出ています。また、地域医療の議論では、自宅で医療や介護が受けられる仕組みづくりが求められています。病院を退院して在宅で暮らすようになったとき、地元のかかりつけ医とつないだり、介護と医療をつなぐことが必要です。現在も地域連携で進めている返送、逆紹介は、在宅医療の推進に資するものとして期待をしております。
 こうした観点からも、運営協議会の議論を生かすとともに、病院利用者や地域住民の意見を取り入れて、地域に根差した拠点病院として充実するよう要望いたしまして、私の質問を終わります。

○神林委員 私は、大田区にございます荏原病院に着目して、何点か質問させていただきたいと思います。
 荏原病院は、都立病院から公社に移管されたのが平成十八年四月であり、既に五年が経過いたしました。この移管は、医療連携体制を強化して、より地域に密着した病院として運営することを目的としたものでございます。
 医療連携については、新たに病院にかかった患者のうち、診療所などから紹介された患者がどのくらいいるのかを示す紹介率や、救急などで病院に来院した患者を診療所などへ紹介した患者がどれくらいいるのかを示す逆紹介率が重要な指標となります。
 そこで、決算の審議に当たりまして、医療連携の重要な指標である紹介率及び逆紹介率について、移管された当初と平成二十二年度でどのように変化したのか、その実績数字をまずお伺いいたします。

○藤田経営企画部長 平成十八年度の紹介率は五五・五%、逆紹介率は五〇・三%でございました。これに対しまして、平成二十二年度では紹介率が六五・五%と大幅に向上いたしておりまして、逆紹介率も五二・〇%ということで上昇しているところでございます。
 平成二十一年十月には、地域医療支援病院としての認定も受けまして、地域医療の充実に努めているところでございます。

○神林委員 今ご答弁にありましたとおり、ある意味地域の医療の核でもありますので、着実に上がっているということで評価をさせていただきたいと存じます。
 地域医療充実のために有効な工夫として、平成二十二年十一月に、荏原病院では亜急性期病床を設置したと聞いております。
 移管後の荏原病院が重点医療として掲げてきたものの一つに、脳血管疾患医療がございます。脳血管疾患は、今後ますます高齢化が進む中で患者の増加が見込まれる一方、心筋梗塞などの心疾患と比較して、死亡率は低いものの後遺症が残りやすく、長期のリハビリなどが求められております。その結果、手術などの急性期の治療が終わった患者さんが病院側から転院を迫られ、行き場に困っているといった事例を、私どもしばしば耳にいたします。
 こうした問題を解決する手段の一つとして、亜急性期病床を設置したということでございますが、この亜急性期病床について、どういった病床で、地域の医療に対しどのような効果が見込まれるのか、伺います。

○藤田経営企画部長 荏原病院では、亜急性期病床を四十床設置しております。この病床は、急性期治療を経過した患者さんや、在宅あるいは介護施設等からの患者さんであって、症状の急性増悪をいたしました患者さん等を受け入れいたしまして、在宅復帰を支援するための病床でございます。
 この病床を運営するに当たりましては、退院患者のうち、在宅復帰する患者の割合が六割以上であること、また、在宅復帰支援を担当する職員が配置されていること等が条件となっておりまして、九十日を限度といたしまして、病室単位で亜急性期入院医療管理料を算定できる仕組みとなってございます。
 この病床は、急性期病院と地域の医療機関、あるいは在宅医療との橋渡しを期待されている病床でございまして、荏原病院がこれまでも力を入れてまいりました脳血管疾患医療、リハビリテーション医療との連携により、切れ目のない最適な医療を患者さんに提供することが可能となっているという機能を持ったものでございます。

○神林委員 そこで気になるのが、どの程度具体的に使われているということですね。ですから、開設後の亜急性期病床の稼働状況はどんなものなのか、お聞きいたします。

○藤田経営企画部長 亜急性期病床の病床利用率でございますけれども、設置いたしました昨年十一月以来、順次利用率を上げておりまして、二十二年度の末、平成二十三年の三月でございますが、この一カ月の病床利用率は八四・六%に達しておりまして、おおむね順調に推移しているというふうに考えてございます。

○神林委員 今お聞きしまして、順調に運用されているなということでございますけれども、地域の住民の方々の話を聞きますと、病院から在宅への移行、病院から施設への移転が難しいケースが大変多いということを、皆さんもお聞きになっていると思いますけれども、よくお聞きいたします。在宅で世話をする人がいないとか、介護を必要とする方が入れる施設が少なくてなかなか入所できないなど、病院での治療を終えた後の患者の生活をどのように支えていくのかが、重大な問題ということになると思います。
 地域で医療や介護を必要とする方々を支えるためには、地域のかかりつけ医の皆さんが大きな役割を果たしており、日夜ご苦労されているが、そうしたかかりつけ医の皆さんの活動を支援する仕組みも必要となってまいります。例えば、夜間、休日に対応可能な訪問介護や訪問看護、往診医師のための検査センターなどがあれば、もっと在宅医療、在宅介護の質を向上させることができると思います。また、高齢者のニーズに合った救急というものが考えられていてもいいのではないかという意見もいただいております。
 こうした課題も検討し、地域での在宅療養、在宅介護を充実させ、病院から在宅へ切れ目のない適切なケアを行っていくことが必要でございます。もちろん、これは病院を初め診療所、保健所、地域包括支援センターなど、地域のさまざまな医療福祉関連の関係者が連携協力していかなければならない問題でございますが、そこで、病院としては在宅復帰や転院などにどのように対応しているのか伺います。

○藤田経営企画部長 医療面につきましては、医師や看護師が相談をお受けいたしまして、適宜、指導助言を行っております。
 また、病院には社会福祉士が配置されておりまして、患者さんが退院する際の相談を受け、患者、家族の状況も踏まえながら地域包括支援センター等との橋渡しも行っております。
 病院といたしましては、退院時にはこうしたきめ細かな対応を行いますとともに、急変時には救急受け入れを行うなど、病院の機能を生かした役割を果たしていっているところでございます。

○神林委員 現場では本当にそれぞれの患者さんの病状ですとか、ご家庭の環境、それから財政の状況など、本当に千差万別で大変苦労して困惑しているわけでございます。ぜひ病院としても引き続き、在宅復帰や転院の際には丁寧な対応を行っていただくとともに、ほかの医療機関や保健所、地域包括支援センターなどさまざまな機関とも連携しながら、地域住民の医療福祉を支えるネットワークづくりにも協力していただきたいと思います。
 さて、荏原病院は平成十九年に、一時医師不足により産科医による分娩ができなくなるという状況になりました。その際に、助産師外来や院内助産所を設置して何とか分娩に対応してまいりました。その後、産科医の確保ができるようになり、医師による分娩も復活したと聞いておりますが、荏原病院の産科の取り組みと現状について伺います。

○藤田経営企画部長 荏原病院の産科では、常勤医師四名と非常勤医師を確保することによりまして、平成二十一年十月から医師による分娩を再開いたしまして、現時点におきましても引き続き受け入れ体制を確保してございます。医師不足の際に開始いたしました助産師外来につきましても継続的に行っておりまして、助産師が外来から入院まで継続的にかかわりますことで、妊婦との信頼関係を築き、安全かつ安心して産んでいただくことができるように対応しているところでございます。
 平成二十一年十月に再開いたしました際には、分娩数は月十数件から二十件程度でございましたが、平成二十二年度には月二十数件、二十件を超えてまいりまして、今年度に入りましてからは月四十件に達する月も出てきている状況でございます。

○神林委員 つい先日、厚生労働省の全国的な医療施設調査の結果が発表されましたけれども、その調査では小児科、産婦人科を掲げる病院は十七年連続で減少しているとのことでございます。この問題は解決したわけではございませんで、ますます厳しい状況になってくるわけでございますので、ぜひ長期的な展望も含めて、これからも検討を進めていただくことを要望してまいります。
 さらに、荏原病院が重点としているがん医療や脳血管疾患医療にも力を注いでいただいて、地域の医療機関や近隣の大学病院とも密接な連携をとりながら、地域医療の充実に向けて、より一層、これからもご努力いただきますことをお願い申し上げまして、私の質問を終わります。

○遠藤委員 私からも、公社病院の医療の提供の体制、特に救急医療、そして精神科の医療、この二つ及び患者並びに家族に対する公社病院の接遇について、三点にわたってご質問したいと思います。
 質問の前に今、神林委員からのご質問に対してご答弁ありました荏原の助産師外来、これはちょっと年月は忘れましたけれども、本会議だか委員会で私、提案させていただいて、今非常に好調だということをお伺いしました。これは、たしか葛飾の赤十字病院で先駆的にやっていた事例を私たち公明党が参考にさせていただいて、この医師不足がある中、ぜひ公社でも導入してもらいたい、こういう要望にこたえて直ちにしていただいた体制で、大変に喜ばれている、また医師不足を解消する取り組みとして成果を上げているということを今の質疑で明らかにしていただきました。まず、心から敬意を表する次第でございます。
 質問に入ります。
 一点目、公社病院における救急搬送についてであります。
 我々現場を回っていますと、またニュース、報道に、忘れたころに必ず--必ずというとあれですけれども、救急車の現場到着から病院搬送まで何時間かかったとか、何件も受け入れられなかった、こういうようなことが忘れたころに報道されます。また耳に入ってきます。
 東京都は、二十四時間三百六十五日急患を受け入れるという東京ルールを、二年前にスタートいたしましたけれども、この二年間、やはり何件かでありますけれども、そういう声が耳に入り、また繰り返しになりますけれども、報道もなされております。
 そこで、この報道というのが特に耳に入ってくるのは、休日とか夜間ですね。この救急の搬送、相当厳しいよという声が入ってまいります。そこで、平成二十二年度の公社病院における休日、夜間の救急の受け入れ体制の実績について、実態と実績についてお伺いしたいと思います。

○藤田経営企画部長 まず、実績から申し上げますと、平成二十二年度、公社病院全体では約一万六千件、一日当たり四十四件の救急搬送の受け入れを行っております。休日、夜間につきましてはそのうち約一万一千件、一日当たり約三十件でございまして、救急搬送受け入れ全体のほぼ七割ということになってございます。
 受け入れ体制についてでございますが、病院により少しずつ違いがございますけれども、例えば委員の地元の荏原病院の場合を例に挙げますと、九つの診療科の医師が当直をしておりまして、救急搬送の連絡があった際には、当直医師が患者の症状、該当診療科の状況、またオペ室の状況等を勘案いたしまして、受け入れの可否を判断しているところでございます。
 公社病院は、お話しのとおり救急医療を重点医療としておりまして、救急搬送の依頼は原則として受け入れる方針で臨んでいるところでございますが、当該診療科の医師が入院患者の急変に対応中などの場合につきましては、お受けできない場合も実態としてはございますのが事実でございます。

○遠藤委員 今、荏原の事例で答弁いただきましたけれども、毎日それぞれ診療科が違う九人の医師が当直をされていると。しかしながら、その方が全員、急患に備えてスタンバっている、専任でスタンバっているということではなくて、もちろんかけ持ちで、入院患者さん等と対応しているということであります。改めて公社としては、救急搬送の依頼は原則として受け入れる方針で臨んでいるということで、繰り返しになりますけれども、休日、夜間、公社全体で一万一千件と、年間受け入れているということであります。
 質疑の前にちょっと担当の方とやりとりをして、一万一千件受け入れている、その陰で、じゃあ何件くらいお断り申し上げているんだということを事前にお伺いしたところ、そうしたデータはとっていないのか、直ちには報告できない、こんなお話がございました。
 やはり私は、一万一千件も受け入れられているということは評価いたしますけれども、こうした受け入れていない、受け入れられない数がどれだけあるのか、また要因はどこにあるのかということを、やはり病院の現場でその数を一つ一つ、またとってくれというと、それどころじゃない、現場は死に物狂いでやっているんだと、そういう声もあると思いますけれども、一歩この後段にある皆さん方であれば、それをうまく工夫して、そこがどういった要因があって受け入れられないのかということを、改めて冷静になって見詰めていくということは大事な観点になると思いますので、これについてはぜひ要望したいと思います。
 また、この東京ルールの検証については、我が会派としても重大な関心を持っておりますので、引き続き厚生委員会等の場でも、また、このデータは消防庁にも密接にかかわる話ということで聞いておりますので、福祉保健局並びに消防庁からもちょっと調査をかけて、関心を持って見詰めていきたい、このように思っております。
 次いで、精神科医療についてであります。これはまた公社すべての病院になると話が広がりますので、私の地元の荏原に絞ってお伺いしたいと思います。
 この不安定な昨今の経済情勢から、近年精神科を受診する都民が大変多くなってきているというのは、私たちまち場を回っていてもよく耳にして入ってきます。現に、きょう午前中別件で、福祉保健局さんといろいろと意見交換をしていたところ、実はこれは平成二十年度のデータでありますけれども、都民における精神疾患患者数は三十一万一千人、約三十一万人、都民で精神で病まれている方がいらっしゃるという、こうしたデータをいただきました。年齢構成は三十五歳から五十四歳、これぐらいの年齢層の方が最もこの病に苦しまれている、こうしたデータでありました。
 こうした精神の患者さんは、一度完治したように見えても、何かの縁でまた再発をしたり、また地域で長期間--地域でといってもお宅ですね、ご自宅で長期間にわたって療養されている患者さんもいらっしゃるわけでありますけれども、特に私の地元、荏原を含む城南地域は、精神医療の提供体制は他と比べていささか脆弱ではないか、このようなお声も患者、家族、関係者から入ってきております。
 そこで実態がどうなのかということで、荏原病院における二十二年度における、こうした精神の疾患の患者さんの受け入れの実績及びこうした問題について、病院経営本部としてどう課題を認識されているのか、答弁を求めたいと思います。

○藤田経営企画部長 荏原病院は、開放病床三十床を持っておりまして、平成二十二年度には一日当たり二十八人の入院患者、六十四人の外来患者に対して対応してまいりました。
 入院患者の主な疾病でございますが、統合失調症、睡眠障害、認知症等でございます。
 委員お話しのように、荏原病院を取り巻く現状でございますけれども、大田区、品川区、目黒区、世田谷区といいました荏原病院近隣四区で精神科を有する病院には、いわゆる閉鎖病棟が多くございます。また、増加しておりますいわゆるビル診療所と称されるものにつきましては、時間外診療が行われないというようなことが、実情がございまして、荏原病院は、開放病棟に適した患者さんの受け入れや、比較的軽症の精神科救急患者さんへの対応ができる病院として、重要な役割を担っていると考えております。
 荏原病院の精神科は、病棟における治療はもちろん、地域の診療所、病院、保健施設、福祉施設等のネットワークの調整役として活動し、地域の精神科医療の充実に大きな力を発揮しているというふうに考えております。

○遠藤委員 ところで、来年度も含めまして、我々都議会各会派には、毎年の都の予算編成に当たりまして、各種団体の方からさまざまなご意見が寄せられます。本年度もこの精神疾患患者を家族に持つ団体の皆さんからお訴え等を聞きました。一つ一つお伺いすると、もう三十分や四十分では聞き足りない、いい足りないご意見、ご要望等ばかりであります。私たちも誠心誠意こうしたお声にお答えしていきたいと思っておりますけれども、公社病院として、こうした患者、家族の皆さんの生の声をこれまで具体的にどうとらえて、今後どのようにその声に対応していこうと考えているのか、答弁を求めます。

○藤田経営企画部長 精神科の医療提供体制につきましては、精神科救急や精神科合併症救急医療などの充実を図ってほしいといったご要望を、病院経営本部としてもいただいているところでございます。
 公社病院では、これまで豊島病院で精神科救急医療を、また、豊島病院と荏原病院で精神科合併症救急医療を実施するなど、都の精神科医療の提供体制に協力してまいりました。今後とも、公社病院として、精神科の診療を適切に行いますとともに、精神科医療に関する都の施策にも可能な限り協力いたしまして、精神科医療の充実に取り組んでまいります。

○遠藤委員 本当にいろいろやっていただいているんですね、公社も、また都立病院でも。
 ただ、これもきょう午前中、福保さんとのやりとりで見せてもらった資料なんですけれども、手元にあるのは精神科の通院医療費の支払い状況ということで、この通院医療費の公費負担の支払い件数がどれだけ増加をしているのか、また、その支払い金額がどれだけ増加をしているのかというデータであります。母数となっているのが平成十三年であります。平成十三年から始まって、十四、十五、十六、十七、十八、十九、二十、二十一と、残念ながら二十二は出ていないんですけれども、この通院医療費の公費負担のまず件数でありますけれども、平成十三年は約百四十五万件ありました。
 しかし、直近の平成二十一年度は、この支払い件数は二百四十六万件ということで、約百万件ふえております。それに伴って、その支払い金額でありますけれども、平成十三年度は約百二十二億円、そして八年後の平成二十一年度は百九十五億円ということで、約七十億円ふえているということで、ちょっと数字の見方が正しいかどうかあれですけれども、単純に見ると、通院の医療費だけで支払い件数も百万件、金額にすると七十億円ふえているということでありますので、当然これだけではなくて入院もありということで、この精神疾患を患っている患者さん、またはその家族の皆さんのお困りの様子というのは、多分ここにあらわれているんだろうなと思います。
 そこで、さっき答弁ありましたとおり、やはり何でもかんでも病院でというわけにはいかないので、あるときには病院で、あるときには在宅で、あるときには施設で等々と、このネットワーク調整機能をどう図るのかということであると思うんですね。
 これについてはやっぱり、荏原がこのネットワーク機能をしっかりと果たしていくということでありますので、またぜひ、これまでもしっかりやっていただいていると思いますけれども、ネットワーク調整機能としての荏原の役割を大いに期待をさせていただいて、最後の質問に入らせていただきたいと思います。
 患者、家族に対する接遇の質問であります。
 現在、公社病院においては、病院関係者が患者、家族に対する、接する際の規範ともいうべきものとして、患者権利憲章という文章が掲げられております。私も荏原で、私の家族もいろんな形でお世話になっていますので、病院の一階のたしかだれもが見えるところに大きく掲げられておりますけれども、こうした患者権利憲章をつくったり、また、インフォームド・コンセントの普及とあわせて、患者家族に対する接遇は、私はかつての公立病院と比べると格段に向上したと、このように思っております。また、それを実感しております。
 しかし、その反面、最近残念な話を聞きました。とある公社病院を救急利用をした家族、ご主人が患者で入った、それに付き添った奥様から直接聞いたお話ですけれども、当直の担当医から極めて配慮に欠ける発言を聞いたと、涙を流して私に訴えておりました。武士の情けでありますので、具体的な病院名、ドクター名も私は承知しておりますけれども、ここでは述べません。
 患者、家族に対する病院関係者の接遇について、公社としてどのように取り組んできたのか、また、病院経営本部としてそれに対してどう指導してきたのか、お伺いしたいと思います。

○藤田経営企画部長 公社病院では、例年全職員を対象にいたしまして、接遇研修を実施するとともに、患者満足度アンケートを実施して、インフォームド・コンセントに関する患者さんの意見を把握し、現場に生かすよう努めているところでございます。
 また、苦情やご意見につきましては、サービス向上委員会等で検討いたしまして、病院運営の改善に努めております。
 本部といたしましても、患者サービスの向上を図るため、患者満足度アンケートを使用した目標管理を徹底させるとともに、直接本部に入ります苦情、ご意見等につきましては、公社にフィードバックをいたしまして、適切な対応を促しているところでございますが、今後とも、こういった患者様に対する接遇に関しましては、本部の方も公社と一体となりまして、改善、向上に努めてまいりたいというふうに考えてございます。

○遠藤委員 こうした不適切な言動をする人はごく一部であろうかと思います。大半の医師または看護師、または事務職の方々は本当に誠心誠意、患者、家族に対して献身的に尽くして、ヒューマンな対応をしていただいていると、このように思いますし、また現実にそうであります。こうした一部の者のせいで当該病院全体、また、ひいては公社病院全体が、何か色眼鏡で見られるというのは大きな損失であるし、ふだん努力をされている多くの方々にとって極めて残念なことであります。ぜひ病院任せに--今、部長から、本部としてもしっかりこの辺のところはチェックをかけていくと、このような答弁ありましたけれども、引き続き公社に対する指導助言をしていただきたい、このことを強く強く要望して、私の質問を終わります。ありがとうございました。

○山加委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○山加委員長 異議なしと認め、本件に対する質疑は終了いたしました。
 以上で病院経営本部関係を終わります。
 これをもちまして本日の分科会を閉会いたします。
   午後三時四分散会

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