平成二十二年度各会計決算特別委員会第二分科会速記録第三号

平成二十三年十月十九日(水曜日)
第十委員会室
   午後一時開議
 出席委員 十名
委員長山加 朱美君
副委員長高倉 良生君
副委員長くまき美奈子君
山内れい子君
佐藤 由美君
遠藤  守君
笹本ひさし君
神林  茂君
服部ゆくお君
古賀 俊昭君

 欠席委員 なし

 出席説明員
教育庁教育長大原 正行君
次長庄司 貞夫君
理事高野 敬三君
総務部長松山 英幸君
都立学校教育部長直原  裕君
地域教育支援部長谷島 明彦君
指導部長坂本 和良君
人事部長岡崎 義隆君
福利厚生部長前田  哲君
教育政策担当部長中島  毅君
特別支援教育推進担当部長廣瀬 丈久君
人事企画担当部長白川  敦君

本日の会議に付した事件
平成二十二年度東京都各会計歳入歳出決算の認定について
教育庁関係
・平成二十二年度東京都一般会計決算(質疑)

○山加委員長 ただいまから平成二十二年度各会計決算特別委員会第二分科会を開会いたします。
 本日から四日間にわたり、本分科会所管局の決算に対する局別質疑を行ってまいります。
 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、教育庁関係の決算に対する質疑を行います。
 これより教育庁関係に入ります。
 決算の審査を行います。
 平成二十二年度東京都一般会計決算中、教育庁所管分を議題といたします。
 本件につきましては、既に説明を聴取しておりますので、直ちに質疑を行います。
 発言を願います。

○笹本委員 それでは、幾つか質問させていただきたいと思います。
 初めに、都立高校改革について、主に改革の部分では、先ごろ都立高校白書というのが出ていますが、それに沿っていうならば、都立高校の現状と課題という部分に寄せて質問させていただきたいと思います。
 ちょっと前になりますが、二月十八日の都知事の記者会見においてこのような発言があったので、ご存じかと思いますが、一部紹介をさせていただきます。
 都立高校改革に対する所感を求められたことに対して、知事は、都立人気がちょっと出てきたというのは、教育改革が進んだというよりも、授業料が安いからだよ。私は就任した時に、中曽根さん、元内閣総理大臣から、非常にいいメッセージをもらって、これだけのことをやれよといわれたんだけれど、ただ一つできなかったのは、教育を破壊的に改革しろといわれたけれど、これはなかなかできなかったですな。時間もかかるのと、教育委員は、みんなそれぞれ熱意を持ってやってくれたけれども、いろいろな手かせ足かせがありましてと。そしてここで、都立高校は決してよくなっていませんというふうに断言をされて、以下に続くというような発言がありました。
 そういうことがあったんですが、ことしの四月、王子総合高校が開校して、ずっとこの間進めてきた新しいタイプの高校の設置などによって、都立高校改革推進計画というのはすべて終了したということでございます。
 そんな中で、この記者会見にあるように、破壊的教育改革を知事は実現できなかったということもかねてよりいっていると。そして、今後、教育改革にさらに意欲を持って取り組むということをしているんですが、ここで質問なんですが、東京都教育委員会は、これまでずっとやってきた、平成九年からですか、都立高校改革の成果、どのように認識をされているのか、お願いしたいと思います。

○直原都立学校教育部長 都教育委員会では、これまでの都立高校改革推進計画の成果を検証し、これをもとに、都立高校全体についてその現状と課題を明らかにするため、都立高校白書をまとめ、本年九月に公表したところでございます。
 その白書で明らかにしたとおり、これまでの都立高校改革の成果としましては、大学進学実績の向上や、中途退学者、進路未決定者の減少などの点で成果が上がっていると考えております。
 その一方で、減少したとはいえ、同じ年に入学した全日制高校の生徒約四万人のうち、二千人以上が中途退学しているという事実の存在など、今後取り組むべき課題もあると認識しております。

○笹本委員 今後取り組むべき課題というのは、先ごろから話が出ている都立高校白書なんかにも随所に書かれていて、その中でも、今お話がありましたように、約四万人の高校生の中でも毎年二千人以上が中退しているということなどは、大きな課題だなというふうに感じるわけでございます。
 二つ目なんですが、高校改革によって、教育委員会は、いわゆる新しいタイプの高校として、伝統的な学校でしょうね、進学指導重点校やエンカレッジスクールなどと、いろんなタイプの学校を設置してきたわけです。こうした取り組みは生徒の多様化に対応するということだと思いますが、時の要請というか、ニーズというか、一方では難関国立大学や難関大学を目指す生徒さん、一方では、中学の内容がほとんど理解できないということで、もう一回学び直すというような学校もあるということで、生徒間の学力格差が大変大きくなっているのかなということがうかがえると思いますが、生徒間の大きな学力格差に対してどのように認識をされていますか。

○直原都立学校教育部長 都教育委員会では、都立高校改革推進計画によりまして、多様な生徒に弾力的に対応するため教育条件の整備を図ってまいりました。このため、生徒一人一人の能力を最大限に伸ばすことができるよう、多様なニーズにこたえることができる新しいタイプの高校として、進学指導重点校やエンカレッジスクールなどを指定してまいりました。
 その結果としまして、進学指導重点校の大学進学実績の向上や、エンカレッジスクールでの中途退学者、進路未決定者の減少といった生徒の状況に応じた成果が上がっているもので、生徒はそれぞれの能力、適性に応じて着実に成長しているものと考えております。

○笹本委員 恐らく私が思うに、知事と教育長との認識に差はないと思うんですが、先ほどの記者会見の続いた部分を少し紹介します。一部の学校を仕分けすることで、学区制を廃したことで、一番成績が上がったのは日比谷高校というけれど、もともと受験校なんで、それを目指して集まるから、先生もなれたもんだけれども、もっと、ほかの中レベルというか、その学校に行ってみると、学校は荒廃したままです。中くらいだといわれる学校へ行っても、授業中に先生の話を聞いている学生は、本当に一握りしかいません。あとは、みんな勝手なことをやっている。先生が生徒を追い出せばいいけれど、それもできない、先生は。今一番、本当に苦労しているのは、心ある先生とお医者さんだと思います。そういう点で、少しずつ改革は進んでいるようだけれども、国民全体が本気になって、中でも政府がその気になってやらなければ、とてもだめだ、というふうな発言をこのときにされているんです。
 今の答弁、認識が知事と教育長と違うということはないと私は思いますけれども、それぞれの特性ある学校に応じていろいろな課題があり、つまずいた原因や解決が、小学校や中学校のときからもなされないままで来てしまったとかということがやっぱりあるのかなと、それが中退の原因になったりしているのかなというふうに感じるわけです。
 エンカレッジスクールも、当然その使命というものがあると思いますので、そこらを常に見失わないように、教育改革というものは不断の努力でやっていくことかなというふうに思うわけです。
 第三回定例会の都議会民主党の代表質問においても、教育長は新たな都立高校改革推進計画を策定すると明言されました。都立高校には、白書にもあったように、生徒の基礎的、基本的学力や目的意識の不足など、生徒育成に向け多くの課題があるということでございます。
 東京都教育委員会はこれまで、生徒の多様性に対応した弾力的な教育を目指してきたということを聞いておりますし、この白書の中にも書いてあるわけですが、今後の都立高校改革推進計画はどのようなことを目指して取り組んでいくかということについて、お伺いしたいと思います。

○直原都立学校教育部長 これまでの都立高校改革推進計画の策定後、平成十八年に教育基本法が改正され、公共の精神に基づき、主体的に社会の形成に参画し、その発展に寄与する態度を養うことなどが教育の目標に盛り込まれたことを踏まえまして、平成二十一年に学習指導要領も改訂されました。また、近年の日本における社会経済状況の変化や若者の意識の変化などから、都立高校において我が国の次代を担う人材の育成が重要になっております。
 このため、都教育委員会は、新しい都立高校改革推進計画を策定し、学校の設置目的に応じた育成すべき生徒像を明確にした上で、社会の要請にこたえ、社会の中で真に自立することができる人間の育成に取り組んでまいります。

○笹本委員 今答弁にありましたけれど、都立高校白書に、私、非常に注目するところがあるなと思って、ちょっと読んでみます。
 教育に対する国民や都民の期待という項目のところなんですが、その最後の方です。教育には、社会の要請にこたえ、さまざまな分野において将来の日本社会を牽引するリーダーを育成するとともに、すべての生徒が個性や適性に応じ自分の能力を最大限に発揮して、社会の中で真に自立することができるように育てていくことが求められていく、ということで、今答弁にあったように、次代の担い手を都立高校でどのように育てていくかということになって、まさに日本のリーダーをということが書いてあるんですが、私、ちょっとおもしろいことに気づきまして、二〇〇一年からこの十年で七人の総理大臣が、一人以外はよくかわるんですが、七人のうち、小泉さんは県立の横須賀高校なんですけど、前政権では三名が私学に行って、今の政権になってから小石川高校、小山台高校で、都立の卒業生が日本のリーダーになっているということで、ある意味では、これはこれで、かつての都立高校の教育というものが日本のリーダーをつくったのかなというふうに勝手に思っておりますが、今の野田首相は船橋ということでございます。それはそれでいろんな評価はあるとは思いますけれども、今後の都立高校改革に期待をするというのが一番いいのかなというふうに思います。
 続きまして、次の質問に入りたいと思います。
 政権交代をして二年ぐらい、いろんな評価がある中で、目玉の一つである公立高校の実質無償化についてお伺いをするわけでございます。
 約四割ぐらいの高校生が公立に行っているというふうに認識をしているんですが、いろんな政策に対する評価はあるんですが、公立高校の無償化については、私が肌で感じる感じとしては、押しなべて保護者の方からはいい評価をもらっているというふうに認識をしているんですが、これに対してどのような認識をお持ちでしょうか。

○直原都立学校教育部長 授業料の不徴収制度につきましては、家庭の状況にかかわらず、すべての意思ある高校生等が安心して勉学に打ち込める社会をつくるため、国の費用により公立高等学校の授業料を無償化するとともに、国立、私立高校等の生徒の授業料に充てる高等学校等就学支援金を創設し、家庭の教育費の負担を軽減する制度として、平成二十二年度より導入されたものでございます。
 この授業料の不徴収制度の導入によりまして、これまで授業料の減額、免除を受けていた生活保護世帯及びそれに準ずる世帯以外についても、高等学校の就学に係る保護者の経済的負担軽減が図られたというふうに認識しております。
 都教育委員会におきましては、このような状況を受け、今後とも、都立高校に対する生徒、保護者の期待にこたえられるよう、教育内容の一層の充実に取り組んでまいります。

○笹本委員 冒頭の知事の発言は、教育改革が進んだというよりも、授業料が安いから都立に人気が出たんじゃないかという趣旨の発言がありましたけど、それからいうと、この政策は余り評価されないのかなというふうには思いますが、しかし、たまたま私ごとですが、友人の息子さんは、ずっと野球をやっていました、小学生から。ことし、早稲田実業と日比谷高校に合格をしたんです。江戸川区の小岩という東側ですから、国分寺まで通うのは大変だけど、甲子園に出られる可能性を考えたら、僕は早実に行くのかなというふうに思ったんだけれども、楽ではないと思いますけど、都立高校に行って、そこで甲子園を目指すということを僕にもいってくれて、まだ高校一年生ですけれども、日比谷高校に入学をしたというような、こういう生徒には、今後、日本を担うような人材になってほしいなというふうに思うわけです。
 この政策は、いろんな評価はあっても、やはりこれを大きく実のあるものにしていくということも、国民としての努力なのかなと、期待にこたえていくということなのかなと思いますので、今後も特徴ある都立高校改革ということにもつながっていくのかなというふうに思います。
 それから次は、都立高校における外国人生徒の受け入れについて伺います。同様の質問が過去に出ておりますが、改めてお伺いをするものです。
 先日、都議会民主党の中でも、北区にあります飛鳥高校、それから、中学でありますけど、墨田区の文花中学、そして私のご当地であります江戸川区の小松川二中、墨田の文花と江戸川の小松川二中は夜間学級です。そこに行ったりしました。
 そして、飛鳥高校では、外国人選抜で入学した高校生の日本語の授業を見させていただき、夜間学級においては、さまざまな理由で中学校を卒業できなかった、あるいは日本に来て、日本語が余り、ほとんど話せないような人も含めて勉強しているという状況を見たわけです。
 都立高校では、在京外国人生徒対象枠というのを設けて受け入れてきておりますが、応募倍率は大変高く、受検する前からあきらめてしまう人も多いというふうに聞くわけでございます。また、在京外国人生徒対象の募集枠というものは決して広くなく、不足しているということも伺いますし、平成二十四年度以降、都立高校における在京外国人生徒対象の枠を拡大すべきだと思います。
 先ほどいった飛鳥高校にしても、あと国際高校なんていう大変レベルの高い高校もありますけれども、私が意図して質問しているのは、英語圏よりもアジア圏の、中国語であったり、あるいはフィリピン語であったり、いろんな背景で日本に来ているという生徒たちの都立高校での受け入れということをイメージしながら質問しておりますので、よろしくお願いしたいと思います。

○直原都立学校教育部長 東京が国際都市としての地位をより高めていくためには、在京外国人生徒に対して、高等学校教育の機会の提供など教育環境の整備が求められております。このため、平成二十四年度入学者選抜から、都立田柄高等学校におきまして、在京外国人生徒対象に十八人の募集枠を新たに設置することといたしました。
 今後は、中学校における日本語指導が必要な在京外国人生徒数の動向や、新たに設置する都立田柄高等学校を含めた三校の入学者選抜の応募状況等を勘案しまして、募集枠のあり方について検討を進めてまいります。

○笹本委員 今度田柄高校が新たにということだと思います。北区の飛鳥高校、田柄高校は練馬区ということで、比較的城北地区というような印象でございます。できれば、私は隅田川から東側の地区なんですけれども、地区の偏在というのも、今後もぜひ検討していく課題かなというふうに思います。
 続いて、在京外国人生徒対象の選抜に応募することができる生徒は、外国籍を持つ者と規定されており、何らかの事情により日本国籍のみしか持つことができず、日本語を母語としない生徒の場合には、在京外国人生徒対象の選抜への応募ができません。このような場合の取り扱い、要は、日本国籍でありながら、親の婚姻等の事情により、日本語が全く話せない、あるいはほとんど話せない日本国籍の生徒に対してはどうするかということでございます。お願いします。

○直原都立学校教育部長 都教育委員会では、日本語に十分習熟していないが、学習意欲や能力がある外国籍の生徒に対し、高校において学ぶ機会を保障するため、在京外国人生徒対象枠を設置しております。そのため、現在、在京外国人生徒対象の選抜においては、応募資格を外国籍を持つ者と規定しており、日本国籍のみを持つ者は対象としておりません。
 しかしながら、それぞれの国が定めている国籍法はさまざまでございまして、例えば父親の国籍を優先する国の場合、この国の国籍を持つ母と日本国籍を持つ父との間に生まれた子は、日本国籍だけしか取得することができません。このような国で生まれた子どもは、外国で長く生活していても外国籍を持っていないことから、在京外国人生徒対象の選抜に応募できないため、今後、その応募資格の扱いについて検討してまいります。

○笹本委員 これは急がれることだと思いますので、ぜひそこは前向きに、何らかの手だてをしていただきたいと思います。
 また、ちょっとつけ加えますと、今、受検のとき、受検の母語というのが、恐らく日本語あるいは英語に限っていると思います。先ほどいいましたように、今かなりの割合で中国、フィリピンということで、日本語、英語、フィリピンの人は英語を話せると思いますけれども、上手な人もいるとは思いますけれども、そういう部分も課題があるのかなというふうに思っております。多文化共生とかということを随分いわれて久しいわけですけれども、ぜひここは前向きに、いろいろ課題を解決していきたいと思います。
 続いて、これも三十年ぶりに大きく変わった学級編制について、三十五人学級についてお伺いをいたしたいと思います。
 三十年ぶりに学級編制標準が改正され、ことしからですか、小学校第一学年において三十五人編制が実施をされました。国においては、文部科学省の平成二十四年度概算要求に小学校第二学年の三十五人編制実施分の経費が計上されており、今後、順次、三十五人学級編制が導入されていくものというふうに思うわけです。
 この三十五人学級の編制の推進に対する東京都の教育委員会の見解を聞きたいのですが、過去からは、いろんな経緯というか、いろんな政治的な流れはあったと思いますけれども、政権交代によってこれも変わった部分だというふうに思っておりますので、そこらも考慮しながら質問させていただきました。

○谷島地域教育支援部長 都内の公立小学校においては、一年生から二年生への進級に際して約九割の学校がクラスがえを行っていないことから、仮に来年度から二年生の三十五人編制が実施されなかった場合には、三十五人編制の一年生は、進級に伴い改めてクラスがえを行う必要が生じるなど、学校現場に混乱を来すことが懸念されます。
 このため、都教育委員会は本年七月、国に対して、平成二十四年度に小学校二年生において一年生と同様に三十五人編制を実施するよう提案要求を行いました。したがって、今般の文部科学省の概算要求は、都教育委員会の意見を踏まえたものと認識しております。
 都教育委員会としては、今後とも、学級編制に関する国における検討や法改正の動向を踏まえて、適切に対応してまいります。

○笹本委員 今答弁にありました、私もそう思いたいんです、恐らく東京都の教育委員会の意見を踏まえて、国も、文部科学省もそういうふうにいったのかなと思います。
 それはともかく、小一ギャップだとか小一プロブレムと、いろんなことがいわれております。しかし、先ほど来、高校の話もしておりますけれども、早期のつまずきだとか学習のいろんなトラブルを少しでも早く発見をしてあげる。そして、習熟度や学習到達に格差を生じさせないということは、これはやはり重要なことかなというふうに思います。
 当然、学級の人数が少なくなれば、教師とのコミュニケーションあるいは接触はふえるというふうに考えるのが自然だと思います。当然、目配りもふえると思います。一方で、少人数指導に対する学習効果というものも、これはもう当然認識をされていることで、少人数学級は少人数学級としての使命もあると思いますし、三十五人学級との相乗的な教育効果を期待するというのが普通なのかなというふうに思います。
 今後、どういうふうな形に三十五人学級が進んでいくのかなという部分はあるとは思いますが、ぜひ当事者の子どもたちにとって少しでも、いろんなギャップとか問題を生じさせないことが重要なのかなというふうに思います。
 最後は、特別支援教育、特別支援学校についての質問をさせていただきます。
 ことしの三月に、江戸川特別支援学校の寄宿舎が閉舎をされましたが、その後の児童と生徒の状況についてお伺いします。
 といいますのは、通学困難ということに限って寄宿舎を設けているということに変わってきたかとは思うんですけれども、保護者の中には、入学をする際に東京都から、卒業まで寄宿舎を保障します、寄宿舎で過ごすことができますよといわれながらも、いろんな事情によって、結果的にはその約束が果たされなかった保護者も中にいるという状況があります。そういう中で、その後の状況について心配をしているわけなんですけれども、お伺いをしたいと思います。

○廣瀬特別支援教育推進担当部長 江戸川特別支援学校の寄宿舎に平成二十三年三月まで入舎していた高等部二年生までの児童生徒は、福祉的サポートを利用しながら、全員、現在も江戸川特別支援学校で学んでおります。
 学校におきましては、寄宿舎閉舎後も、日常的に旧入舎生及びその家庭の個別の状況把握に努め、必要に応じて、地元自治体等の協力を得て、支援策の検討や福祉的サポートの利用支援を行ってきております。
 今後も、児童生徒や保護者が不安なく通学を継続できるよう、状況の把握と必要な支援の検討等を行ってまいります。

○笹本委員 福祉的サポートというのを私は考えてみたんですけど、恐らくこれは介助員だとかヘルパーなどによって、私が具体的にお会いしてきた人は、三階建てのコーポのようなアパートのようなところに住んでて、子どもさんが重症の障害があって歩くことができない。母子家庭なんですけれども、三階から一階までおろすということは母親にはできずに、五十キロ以上あって、それを朝夕毎日繰り返すということが大変だということで、何とか寄宿舎に月曜日から金曜日は入れたいということはかねがねいっていたんですけれども、福祉的なサポートを利用しながら、今、学校に従来どおり通って、そして今答弁ありましたけど、すべての人が寄宿舎閉舎後も通っているということを聞くと、安心する反面、自治体だったり、あるいは民間のいろんな善意の人だったりということで、サポートを利用しながら通っているということですので、通学困難ということですからやむを得ないとは思いますけれども、ぜひここらもずっと見守っていかなくてはならないなと思います。
 それで、今話をした江戸川特別支援学校も該当していくとは思いますけれども、今後、特別支援学校の併置化というのが、合併というんですか、統合、併置化が進んでいくと思いますが、保護者が安心して子どもさんを通わせることができる教育的な条件整備ということについてお伺いをしたいと思います。

○廣瀬特別支援教育推進担当部長 それぞれの障害種別における教育の専門性を十分確保できる環境を整備してまいります。施設設備についても、それぞれの教育部門ごとに普通教室を適切に確保するとともに、児童生徒の動線を区別し、安全を確保いたします。その上で、障害が重複する児童生徒に対しては、両部門の専門性の高い教員や施設設備等を有効に活用し、就学相談や入学相談の充実、障害の種類や程度に即した個に応じた指導を充実させてまいります。
 また、人材の有効活用を図るため、校務分掌や教職員の業務分担など、効果的な学校経営のあり方について検討を進めてまいります。

○笹本委員 繰り返しになりますが、特別支援学校にお子さんを通わせる保護者の方に安心していただけるということは大変重要だと思います。第三回定例会でも事件案としてありました江戸川特別支援学校においての修学旅行時における誤嚥事故などというのがあると、やはりまた保護者の方はいろんな部分で心配をする。あるいは複数の学校が一緒になった場合、そういう意見も一部あったようですが、養護教諭の先生の配置だとか人員だとかということを心配されたり、そこで今おっしゃっていただいたように、人材の有効活用ということで、看護師の方の役割だとか、養護教諭の方はどこまで何をするんだとかということをきっちりと業務分担して、それを効果的な学校経営につなげていくということが、保護者の安心にもつながるし、特別支援学校の併置化がうまくいくというか、理解されていくのではないかというふうに感じております。
 以上で質問を終わります。

○神林委員 私は、中学校の武道必修化への対応について何点か質問させていただきます。
 平成二十二年度の東京都の一般会計決算説明書、これでございますね。これの八七ページに、(35)、新教育課程への対応と、こういう事項がございます。執行率が五〇・八%ということで、ちょっと心配な部分もありまして、その中で私は、中身の部分をしっかりその辺で精査したいと思っておりまして、中学校においては平成二十四年度から新教育課程が完全実施となりまして、保健体育の授業では、来年度からすべての生徒が武道を学習することになっていると、この辺について二、三お聞きしていきます。
 私は、実は大田区の柔道会の顧問をやっておりまして、先日、大田区の柔道会で、中学校の武道必修化に対応して、大田区の中学校教員を対象とした指導者研修会というものを開催しておりました。私も当然伺わさせていただきまして、残念ながらでございますけれども、そうやって熱意を持って参加していただいた中学校の教員も、生徒を指導するのに十分な技能はもとより、基本的な心得とか武道の精神性を理解しているとはいいがたい状況でございました。こうした教員が来年度から武道の指導を行うとなれば、生徒が、礼に始まり礼に終わるという我が国固有の伝統文化を正しく学び、安全に武道を学習できるものなのかなということで、いささかの不安を抱いているところでございます。
 そこで、都教育委員会は、中学校における武道の必修化に向けてこれまでどのような取り組みを行ってきたのか、まずお伺いさせていただきます。

○坂本指導部長 武道必修化の目的は、生徒が武道の学習を通じて我が国固有の伝統と文化により一層触れることにより、我が国の伝統的な考え方や行動の仕方を十分に理解することにあります。
 このため、都教育委員会は、学校における新学習指導要領が円滑に実施できますよう、平成二十一年度には、学校体育実技指導者講習会の開催や生徒用の武道実技に関する視聴覚教材の作成、配布を行ってまいりました。
 平成二十二年度は、柔道、剣道、相撲などの武道について、中学生の発達段階に即した学習指導計画等を中心にした指導事例集を作成いたしまして、中学校の保健体育科教員全員に配布したところでございます。

○神林委員 今ご答弁いただきましたとおり、生徒用の視聴覚の教材ですとか教員向けの指導事例集など、そういう準備は円滑に進んでいるなという気は大変いたすんですけども、問題は中身ということになるわけでございます。
 私は、本来の武道の目的は、格闘的なけいこを行う中にあっても、互いに精神と身体を鍛え合う、相手を尊重するという礼の精神を大切にし、授業や部活動のみならず、日常生活でも礼法を正しく行えるようにすることが本来の目的であるというふうに考えております。ぜひ中学生が授業の中でこうした武道の持つ精神性に触れることができるよう、教員の指導をしっかりと行っていただきたいと、ここでまずひとつ要望をしておきます。
 また、その点については後で触れますが、一方、武道では、柔道着や剣道の防具のように特有の用具が必要となりますし、我が国固有の伝統と文化に触れるとすれば、柔道場や剣道場で授業が行われることが望ましいと考えております。都立高校はほとんどの学校で武道場が設置されておりますけれども、都内の中学校は十分でないとも聞いております。
 そこで、中学校の柔道場や剣道場などの武道場の設置状況はどのようになっているのか、伺います。

○谷島地域教育支援部長 平成二十二年五月一日現在の数値でございますが、都内区市町村立中学校六百二十四校中百九十校に武道場が設置されており、設置率は三〇・四%となっております。

○神林委員 今、三〇・四%というお話を聞きましたけれども、私ども現場でいろいろ見聞きしたりお話を聞いている中では、現実的にはほとんど使用されていなかったりとか、あるいはほかの目的で転用されていると、こういう例も随分見聞きするわけでございまして、現実的には設置率、実質の使用率という意味ではもっと低いのかと思っております。
 中学校における武道場の設置は、今後の大きな課題としてぜひ取り組んでいただくように、ここで要望させていただきます。
 そして、先ほどもお話ししましたとおり、そのこと以上に大切なことというのは、指導の充実によって武道の必修化の本来の目的を達成することでございます。武道の指導には、他の運動種目に比べ専門的な知識や技能が求められております。大田区の指導者研修会のように、都内の中学校では武道の実践経験や指導の経験がない教員も少なからずいると聞いております。
 来年度からはすべての中学校で武道の授業が行われることになっておりますけれども、都内中学校の教員は武道の指導経験についてどのような現状にあるのか、伺います。

○坂本指導部長 都教育委員会が平成二十一年度に実施いたしました学校における武道及びダンスの指導に関する調査によりますと、都内公立中学校六百二十四校中五百七十八校において、既に武道の授業が実施されており、実施種目としては、柔道が七八%、剣道が一六%、相撲が五・四%でございました。
 教員の武道の指導経験に関しましては、中学校の保健体育科教員千四百七十四人のうち、武道の指導経験のある教員の割合は、柔道で六三%、剣道で三一%、相撲で八%という結果でございました。また、段位を有する教員の割合は、柔道が四〇%、剣道が一四%、相撲が一%という結果でございました。

○神林委員 今、数値、皆さんもお聞きしていただいてわかると思いますけど、教えるんですよね。教えるからにはやはりそれなりのものを持っていなければ、本来の目的を超えて教えることはできないわけでございまして、今聞いた数字の中でも、最も大きいといわれる柔道ですら六三%という結果でございまして、新教育課程の完全実施を目前に控えているわけです。すべての中学校において武道の必修化の本来の目的を達成することが本当にできるのかなということで、実は心配でなりません。
 そこで、こういう現況の中で、どう見ても専門的な指導のできる教員が少ないという現状に今あるわけですから、それを補完するという意味で、地域の専門家などを活用して指導体制の整備を一層進めていくことも、これは不可欠になってくるのかなと考えております。いいかえれば、指導体制の整備を進めるためには、地域の柔道会のように関係する武道団体と連携して、専門的な指導力を有する指導者などの外部人材を確保し、連携を図って活用していくということが極めて重要なこととなると考えております。
 そこで、外部の武道専門家などを授業に活用することについて、東京都教育委員会の所見を伺います。

○坂本指導部長 学校の授業におきましては、教員が生徒の指導を行うことが基本でございます。しかし、地域の有段者など外部の武道専門家の力を活用することは、武道の指導をより充実する上で極めて有効な方法であると考えております。
 都教育委員会は、柔道や剣道の競技団体等と武道専門家の活用について協議を進めており、平成二十二年度からは、地域の競技団体の協力のもと、外部指導員を活用する武道、ダンスモデル事業を実施しまして、指定校において実践的な授業モデルづくりを進めております。
 今後、これらの成果をすべての公立中学校に普及啓発いたしますとともに、区市町村教育委員会と武道団体等との連携を一層強化し、外部の武道専門家を活用するなどの工夫により、授業の充実を図るよう働きかけを行ってまいります。

○神林委員 今ご答弁で、しっかりやっていただけるということでございますので、中学校の教員が指導できない場合には、これは当然のことですけど、地元の区市町村あるいは地域の武道団体との連携によって、実技に加えて、武道本来の持つ厳しさや礼法も正しく学習できるように、ぜひ一層の努力をお願いしたいと存じます。
 これまで都教育委員会は、視聴覚教材、それから指導事例集、モデル事業に取り組まれてきましたけれども、最終的には、一人一人の教員自身が身をもって武道の経験を重ね、生徒への指導を行うことが大切でございます。
 またもう一つ、しかも武道の場合は、当然危険を伴うため、安全な指導方法について熟知していくことも必要となってまいります。
 そこで、今後どのように、教員自身の指導力の向上、これが一番大切なことですから、これを図るのか、改めて伺います。

○坂本指導部長 武道の指導には、他の運動種目に比べ、より専門的な知識、技能や経験が必要であり、教員は、危険を防止し、生徒の不安を取り除くなど安全に授業を進めることにより、生徒が武道のよさや特性に触れ、武道本来の持つ精神性を理解することができるよう、指導力の向上を図ることが大切でございます。
 これまで、都教育委員会は武道の実技講習会を実施してまいりましたが、希望者に対する短期間の講習であったため、すべての保健体育科教員が一定の水準の知識、技能を身につけるには至らないなどの課題がございました。
 このため、都教育委員会では、教員が初段レベルの知識、技能や指導力を身につけることができますよう、指導事例集を活用することにより、これまでの学校体育実技指導者講習会を充実させてまいります。
 さらに、区市町村教育委員会とも連携を図りまして、すべての教員が適切に武道の指導を行うことができるよう教員研修の充実に努め、教員の指導力の向上を図ってまいります。

○神林委員 今まで申し上げてきましたように、中学校における武道の必修化への対応については、やはり現場での成果がしっかりと上がるように、ぜひよろしくお願いいたします。
 一方、新教育課程完全実施を目前に、現状と課題も明らかになってまいりました。ぜひ我が国の伝統と文化を尊重するという中学校武道必修化本来の目的が形骸化しないように、引き続き取り組みを推進していただきたいと思っております。
 それから、これは要望になるんですけれども、現状、大田区なんかもいい例だと思うんですけれども、従来、十一カ所柔道場があったわけでございますけれども、指導者の高齢化ですとか道場経営の厳しさから、現在は三カ所になっております。地域の専門的な指導者が減少すれば、武道の振興はもとより学校への協力もおぼつかなくなるわけでございます。
 これは一例でございますけれども、統廃合しているような小中学校の体育館を都教育委員会が武道の拠点として整備するとか、さまざまな手法を用いまして、何とか地域の武道専門家が活躍できる場を確保するということも非常に大切なことでございます。特に、武道の道場が少なくなってきている地域では、武道の拠点となる施設整備などの新たな手だてを講じる必要があるんではないかというふうにも考えているわけでございます。
 地域の中に武道館を設置することができれば、これはいろいろな効用があるわけでございますが、畳の会場となれば他の伝統文化にも有効活用もできます。そしてさらに、今、大きな課題となっております災害発生時には、避難場所や防災拠点としても有効に活用することができるわけです。床の上よりもやはり畳の上ということに日本人の場合はなると思います。このように、地域の中にもある武道館は、単に武道のけいこ場だけではなく、他の日本文化や防災の視点からも、地域に根差していくものと考えております。
 しかし、学校教育以外の目的となれば、所管する部局はさまざまにわたるものであり、ましてや区立施設なのか都立施設なのかといった設置者の問題も生じてくるわけでございます。さまざまな難しい問題があるのは十分わかっておりますけれども、そうした壁を乗り越えていかないと、いつまでたっても、我が国固有の文化である武道の振興にはつながるわけがございません。
 そこで、都教育委員会にはぜひその主体となって、関係部局や市町村に働きかけを行ったり、これまでの発想を変えて、さまざまな垣根を超えた取り組みを検討するなど、積極的な武道振興策を講じることを切にお願いいたしまして、私の質問を終わります。

○遠藤委員 私からは、過日ご説明いただきました平成二十二年度決算概要に基づきまして、公立小学校の教育管理職、すなわち校長先生ですとか副校長の負担軽減について、これが第一点、そして、二点目として特別支援学校における医療的ケアについて、そして三点目、最後に、東京都が指定する文化財建造物の保存について、この三点にわたって質問をさせていただきたいと思います。
 初めは、公立小中学校の教育管理職の負担の軽減についてでございます。
 このテーマについては、本決算の対象であります平成二十二年三月三日の本会議一般質問で、私も言及をさせていただいたテーマであります。これについて、都教委は我々東京都議会公明党の提案を受けて、これも同じ平成二十二年でありますけれども、十月に公立小中学校における業務処理調査研究事業を行いました。難しい字面ですけれども、要するに学校の教育管理職がどれだけ今忙しいかということを現場レベルで調査すると、こうした中身であります。
 その結果は、既にことしの二月に公表されておりますけれども、多忙といわれる公立小中学校の主に副校長さんが、その業務実態がどのようなものであるか、改めてご答弁いただきたいと思います。

○岡崎人事部長 都教育委員会は、平成二十二年に小中学校の副校長を中心に勤務時間や業務内容を調査したところです。
 その結果、勤務時間については、副校長の平日の残業時間は、小学校では平均約四時間、中学校では平均約三時間となっておりまして、残業が恒常化している実態が明らかとなりました。また、小学校では九割程度の、中学校では八割程度の副校長が、土日のいずれかに出勤をしておりました。
 業務内容につきましては、文書の管理、配布などの学校運営に係る業務や教育委員会からの調査など事務的な仕事が多く、これらの仕事を平日だけではこなし切れず、土日出勤をして処理しているという実態が明らかになったところでございます。

○遠藤委員 今答弁いただきましたけれども、副校長先生、大変忙しいということがデータで明らかになったと思います。実際、私どもも土日になりますと地域に出ますけれども、行く先々で必ずこうした管理職の先生方に出会います。
 また、昨日、私は朝、駅でマイクを持っていろいろいっているんですけども、七時前に私が駅に行った、そのときには地元の副校長さん、登校をされておりました。まさに学校の一日の準備のために早朝から出てこられて、残業も副校長先生、小学校では四時間以上で、土日出勤と、めちゃめちゃ忙しいなと、このようなことがデータでも明らかになったと思います。
 今回の調査結果を受けて、それでは都教委としてどう対応、改善につなげていくのか、調査結果を踏まえて対応をご答弁いただきたいと思います。

○岡崎人事部長 この調査では次の四点の課題が明らかとなりました。一点目は学校内における教職員間の役割分担が不明確であること、二点目は業務の進め方の改善が必要であること、三点目に仕事に必要なスキルを向上する仕組みが整っていないこと、四点目として教職員の意欲を高める取り組みが必要であることでございます。
 これらの課題を解決していくために、現在、小中学校二十校におきましてさまざまなモデル事業を行っておりますが、その主要な取り組みとして経営支援部の設置がございます。
 この経営支援部は、主幹教諭、事務職員等を構成員とする副校長直轄の学校運営の統括組織でありまして、校務の横断的調整を組織で担いまして、これまで副校長に集中していた業務の受け皿となるものです。この組織の設置によりまして、副校長はよりリーダーシップを発揮しやすい環境を整備できると考えております。
 現在、こうしたモデル校におけるさまざまな取り組みの成果を検証しているところでありまして、年度内に実効性のある校務改善策を取りまとめた上で、組織的かつ効率的な校務運営を目指す取り組みを全公立小中学校に広めてまいります。

○遠藤委員 答弁ありましたとおり、冒頭申し上げましたとおり、二十二年三月の本会議の一般質問、これで私は具体的に、こうした副校長をサポートするための人的または組織的なサポートとして仮称スクールアシスタント、こういうものをつくるべきであると提案をいたしました。今答弁いただいた経営支援部と名称こそ違うものの、ここでの提案が具体的に産声を上げたものと一定の評価をしたいと思います。
 モデル事業ということで、今後、その成果について引き続き十分検証していくと思いますが、くれぐれも、今の答弁で、この組織の設置によって副校長がよりリーダーシップを発揮しやすい環境を整備できると考えていると、このようにありました。ですけれども、弊害として、新たな組織とか新たな人を配置すると、その仕事でまた管理職が忙しくなるという、こういうことも十分に考えられますので、そうした愚かな取り組みにならないように、都教委として十分の目配りと配慮を強く要望して、次の質問に移らせていただきます。
 二点目は、特別支援学校における医療的ケア、いわゆる医ケアについてであります。
 この問題についても、平成二十二年三月の文教委員会で取り上げさせてもらいました。そのときは、肢体不自由特別支援学校でのみ行われております常勤及び非常勤看護師による医療的ケア、医ケアを他の障害種別の特別支援学校でも実施されるよう体制を拡充すべきであると、このような提案をいたしました。
 ところで、この九月は、私たち都議会公明党、また他の会派の皆さん、それぞれ一緒でありますけれども、平成二十四年度の都の予算要求をさまざまな団体から受けるわけでありますけれども、その中で、お子さんを肢体不自由特別支援学校に通わせている父母の方から次のようなご指摘を受けました。
 その方いわく、この息子さんが通っている学校内の常勤の看護師の中には、この医療的ケア、医ケアをしない看護師もいると、いいかえるならば、すべて非常勤の看護師によって医ケアが行われていると、どうなっているんだと、こういう指摘でありました。
 まず、この指摘について都教委はどう答えますでしょうか。

○廣瀬特別支援教育推進担当部長 都教育委員会が定める医療的ケア実施要綱では、常勤看護師を医療的ケアの実施者として位置づけてございます。また、平成十八年度からは、都立肢体不自由特別支援学校への非常勤看護師の導入、配置を行いまして、実施体制の整備に努めております。常勤者と非常勤者の資格、技能に差はなく、安全かつ円滑な医療的ケアの実施に努めているところです。
 大規模な都立肢体不自由特別支援学校では、十数名の非常勤看護師が配置されている学校もあります。非常勤看護師が行う医療的ケアの全体調整や実施の管理等を行う立場の者が必要でございます。そのため、学校によっては、専門的な知識、経験を有する常勤看護師が校内における医療的ケア全体の進行を把握、管理する役割を担っている場合もございます。
 都教育委員会としては、今回の指摘を踏まえまして、各学校における医療的ケアの実施状況をより具体的に把握し、常勤看護師と非常勤看護師の連携のもと、安全かつ円滑な医療的ケアを実施できるよう、学校に対して必要な支援、助言を行ってまいります。

○遠藤委員 答弁では、特に大規模校ではこの看護師さんの人数が多いんで、常勤の方が全体の調整、取りまとめをしていると、こういう説明だったと思います。しかしながら、そこにお子さんを通わせている保護者の方、またご当人から見れば、常勤であろうと非常勤であろうと、みずからの生命を維持してくださっていると、こうした事態には変わりがないですので、答弁の最後にありました、今回の指摘を踏まえてしっかりと連携を強めていくということでありますので、ぜひ積極的にやっていただきたいと思います。
 次いで、この肢体不自由特別支援学校における医ケアは、平成二年度以降、都教委が国に先駆けて取り組み、現在に至っていると、このように承知しております。
 ここに来て、社会福祉士及び介護福祉士法の一部改正、法改正がありまして、特別支援学校における医ケアのあり方に大きな変化が起こるということでございます。
 そこで、今回の法改正の概要とこの法改正に対する都教委の評価、そして特別支援学校への影響について、この三点についてお答えいただきたいと思います。

○廣瀬特別支援教育推進担当部長 今回の改正では、平成二十四年度より、一定の研修を受けた介護職員等が、医師や看護師との連携体制が確保されている等の条件のもとで、たんの吸引等の医療行為を実施できることとなり、特別支援学校や教員もその実施機関、実施者として位置づけられることになりました。
 今回の法改正は、障害が重い児童生徒の教育条件の整備に向けて、都教育委員会が国に先駆けて取り組んできた医療的ケアの実施体制の充実に関する諸施策の成果を踏まえたものであるというふうに考えております。
 法改正後は、教員に対する一定の講習と実地研修が義務づけられることになり、これまで以上に確かな知識と技術による医療的ケアを実施できるようになると考えております。
 こうしたことから、都教育委員会では本年度中に、医師や看護師、学校関係者等で構成する医療的ケア運営協議会を開催し、新たな制度に円滑に移行できるよう、実施要綱の見直しや効率的な研修の実施体制、方法の検討など、必要な対応を行ってまいります。

○遠藤委員 法改正に基づく新たな取り組みが現場で来年四月から始まるということでありました。今答弁ありましたとおり、その準備段階として医療的ケア運営協議会と、こういうものを設置して、関係機関はその準備に万全を期していくかと思います。福祉保健局とも連携が必要かと思いますので、いずれにしても、新たな制度取り組みの導入によって現場が混乱することなく、そして何より、この改正によって事故等々がもたらされるということが決して決してないように、万全の準備、備えをして、来年からの作業に進んでいただきたいと要望しておきます。
 最後に、都指定の文化財建造物の保存について質問させていただきます。
 この問題については、平成二十年の予特で、文化財の保存と活用のために策定された保存活用計画について私は取り上げました。
 なぜこの問題を取り上げたかというと、この質問の直前に、韓国の南大門という、これは国の文化財でありましたけれども、国宝ですね、それが放火魔によって放火をされたと、こういう衝撃的なニュースがありまして、一体都の文化財はどうなっているんだろうという素朴な気持ちが起こりましていろいろと調べたのが、平成二十年の予特でこの質問をさせていただいたきっかけでございました。
 以来、事あるごとにこの進捗状況について、主に文教委員会で繰り返し取り上げさせていただきましたが、年もたっておりますので、改めて現在の進捗状況について質問させていただきたいと思います。
 当時、都指定の文化財建造物は五十九件でありました。そのうち、保存活用計画が策定されているものはたった二件という寒々しい状況にありました。
 このため、この保存管理計画の策定スピードを速めていくためには、これは基本的には文化庁が保存活用計画というものを定めて、それに基づいてそれぞれの所有者がつくっていくわけでありますけれども、この文化庁が定めている計画の策定の指針なるものが余りにも精緻で広範囲な内容であるため、これに従っていたのでは計画策定の促進は難しい。そこで、平成二十年の予特では、文化財の保存と活用、この二つに最低限必要な事項に特化したいわゆる東京モデルをつくった上で、この計画策定を加速させるべきであるというのが私の提案の主題でございました。
 この提案に対して、石原知事はこんなことをいっております。都独自の簡略な効果的な最低限の保存を担保できる、そういう規則というものをつくるべきだ、このように知事は答弁をしました。当時の中村教育長はこう述べております。国の定める計画内容のすべてではなく、まずその一部分である保存管理計画と防災計画のみを策定するなど、簡略化した文化財保存活用計画の策定も可能なものにしていく、知事のおっしゃっていることと教育長がおっしゃっていること、当然同じであります。
 今回の東日本大震災でも貴重な文化財が消失したというニュースもございました。東京においても首都直下型大地震がいつ起きてもおかしくないという、このような報道もある中で、都の文化財の保存のために適切な策を講じていくのはまさに時間との戦いと、このようにいっても過言ではないと思います。
 そこで、当時から三年が経過をいたしました。予特でのやりとり以降のこの問題に対する都教委の取り組み状況について、報告を求めたいと思います。

○谷島地域教育支援部長 現在、都指定文化財の建造物、先生のご質問のときよりも一件ふえまして六十件ございますが、その多くは神社仏閣、個人住宅等でございまして、建造物本来の目的に沿った使用がなされているもので、長い歴史の中でその保存、利用方法のノウハウが蓄積されております。
 このため、保存管理計画の策定に当たりましては、都指定の建造物の中で、現在の利用実態がその建造物本来の目的となっていないもの、例えば一般の都民の方に広く公開するといった使用を行っているものを対象に優先的に策定することといたしました。
 そのような優先的な計画策定の必要性が高い建造物は、現在八件ございますが、このうち、ご質問のあった平成二十年の予算特別委員会当時は二件でございますが、それ以降、平成二十一年に一件、平成二十二年に二件を策定し、現在策定中の二件を含めますと、合計七件の保存活用計画を策定またはそれに着手しているところでございます。
 策定しております七件のうち、三件の保存活用計画の内容につきましては、委員のご指摘も踏まえまして、策定に要する時間を短縮するため、個々の文化財の保存と管理に必要な事項に精選した計画としております。
 また、文化財の地震への備えも喫緊の課題であることから、都教育委員会では独自に耐震等基礎診断調査も実施しておりまして、今後の計画策定ともあわせて着実な文化財の保護に努めてまいります。

○遠藤委員 予特で取り上げさせていただいて以来、七件、今やっているということであります。この数字が早いと見るか遅いと見るか、これについては申し述べません。
 実際、この三年間の中で保存活用計画を進めていただいた中に、旧前田侯爵家駒場本邸(洋館)、この保存管理計画を事前に見せていただきました。
 大変分厚い資料でありますけれども、この中には、保存管理の基本方針として、前田侯爵邸が最も栄えた昭和初期、すなわち昭和十二年から十六年ごろ、この姿を保存管理していくという明確な基本方針を定めた上で、その上で、例えば洋館の天井ですとか、窓枠ですとか、大理石が張られた階段だとか、その階段の手すりだとか、シャンデリアだとか、カーテンボックスだとか、両開き戸などなど、実に細部に至るまで、現在の状況や、また、それそのものが保存年代のものなのか、それとも後に改修されたものなのか等々、今後の保存に関する指針を事細かくこの中で書かれております。これさえあれば、どの部分を改変していいのか、またどの部分は手をつけてはいけないと、文化的価値が極めて高いので保存しておかなければならないのかがわかる内容になっております。
 内容を見ますと、保存活用計画の策定には極めて高度な専門性が強く求められるなど、作業が遅々として進まない理由もわからなくもありません。しかし、都として文化財の保存を行っていくには、こうした計画の速やかな策定は不可欠であろうと思っております。
 そこで、最後に、この問題に対する、すなわち東京都が指定をした文化財建造物の保存に対する大原教育長の見解を求めます。

○大原教育長 文化財は、長い歴史の中で生まれ、はぐくまれ、今日まで守り伝えられてきた都民共通の貴重な財産であり、都民の文化的活動の向上に資するものとして、さらに東京の都市としての価値を高めていくものとして、極めて有効な活用を図っていくべきものと考えております。
 このため、委員ご指摘の保存管理計画の策定は極めて重要でございまして、その策定に当たりましては、文化庁の定める指針を精査した上で、保存管理や防災の事項に絞る等、優先度の高い事項を先行させつつ、個々の文化財の実態に合致した必要かつ効果的な計画の策定に取り組み、都指定文化財の保護に努めてまいります。

○遠藤委員 この三年間で都教委が力を入れていただいたということが明らかになりました。しかしながら、まだまだ道半ばでありますので、このテーマについては引き続き関心を持って、時に応じて取り上げていくことを申し上げて、質問を終わります。ありがとうございました。

○山内委員 幾つか質問させていただきます。
 まず、都立学校における専門医派遣事業です。
 教育委員会が二〇〇四年度に策定した都立学校における健康づくり推進計画では、心の健康づくり、性教育、エイズ教育の推進の必要性が示されました。教職員の研修会や生徒、保護者への講演会など心の健康についての普及啓発を行い、生徒の性に関する健康課題の改善、解決を図るため、学校に産婦人科医を派遣し、養護教諭を初め教職員の支援等を行ってまいりました。
 今年度からは、都立学校における専門医派遣事業として、精神科医と産婦人科医の派遣を実施していると聞いております。
 まず初めに、精神科医派遣についてお伺いをいたします。
 二〇〇三年、都立高校に実施した調査によると、心の健康にかかわる問題を抱える生徒が把握されている学校の割合は、不登校で六六・四%、精神疾患及び心身症で六五・一%、自傷行為四九%、摂食障害三八%もあり、学校における心の健康問題は特別な問題ではなく、どこの学校においても対応が必要だとしています。
 また、心の健康問題から青少年の自殺につながる場合もあり、二〇〇三年、東京都の人口動態傾向によると、特に十五歳から十九歳では、不慮の事故を上回り、自殺が死因の第一位となっています。それ以降、残念ながら調査は行われておりませんけれども、心の健康が問題にされている今日、改めて実態調査をし、取り組んでいくことが必要と考えます。
 昨年六月、東京都医学研究機構評議員会において、心の健康プロジェクト、若者の心の病の早期支援、精神病早期介入のエビデンス確立に向けてという研究成果の報告を伺いました。それには、精神疾患の二分の一が十四歳までに、四分の三が二十四歳までに発症、統合失調症に罹患している成人の四割は、既に十一歳時点で幻覚、妄想様の症状を体験、思春期の幻覚、妄想様の症状が十五年後の統合失調症を強く予測、思春期に強い幻覚、妄想様の症状を体験している子どもの九〇%が十五年後に無就労、ひきこもりの問題を抱えているという報告でした。また、中学生、高校生、大学生二万九千六百名の調査報告もされ、精神疾患に対して早期段階に注目し、予防、早期介入が重要だというご指摘がありました。
 そこでまず、今年度から実施している都立学校における専門医派遣事業の精神科医の派遣の目的と取り組みについて、お伺いいたします。

○直原都立学校教育部長 精神科医派遣に係る都立学校における専門医派遣事業では、東京都医師会や都内の病院、大学などから紹介された精神科医を都立高等学校等に派遣し、担任教諭や養護教諭などに対し、精神保健に関する講演や具体的なケースに対する助言を行っているほか、具体的ケースに学校が組織的に対応できるよう、校内連携の援助を行っております。

○山内委員 今年度の実施状況と実施内容、成果と課題等をお伺いいたします。

○直原都立学校教育部長 平成二十二年度は、精神科医を五十二校に延べ百五十八回派遣いたしました。その内容としましては、個別相談を六十一回、事例検討を三十九回、研修会を四十六回などを実施しております。
 学校からは、心の健康に関する知識や理解が深まった、校内の連携が深まったなどの感想が寄せられております。
 一方、思春期に対応可能な精神科医の確保などが課題であるというふうに考えてございます。

○山内委員 心の健康に関する知識や理解を深めるには、心の病に対しての誤解や偏見を改善することが重要です。以前、都立松沢病院の先生から、二〇〇九年、三重県の中学校で、卒業前の中学三年生に心の病気の理解についての講演をしたところ、医師たちが心配したよりも、生徒たちは非常に新鮮に、そういう病気があるんだということを素直に偏見なく、スムーズに理解したというお話を伺いました。その後、実際に受診しようかと迷っていた生徒が受診に行ったというケースも出てきたそうです。若者の心の病の早期支援には、当事者である生徒たちへの学習が重要であり、効果があるということがとてもわかりました。
 そこで、外部講師による講演会の実施について、都の見解を伺います。

○直原都立学校教育部長 専門的な立場からのアドバイスが有効であるため、東京都医師会などから紹介されました外部の専門医を学校に派遣しているところでございます。

○山内委員 ただいま数字は出てこなかったんですけれども、生徒を対象にした講演会は、現実には二〇一〇年度、八校しか実施していないというお話も伺っております。
 十四万人を超える都立高等学校の生徒の心の健康を図るためには、入学前後や学期末、学年末などの時期も工夫するなどして、ひきこもりや若者の自殺などの軽減を図っていかなくてはなりません。
 精神障害を持つ子どもの家族会からも、少しでも早く気づき、対応ができていたら重度化しなくても済む、たくさんの子どもたちに心の病について知ってもらいたいという要望が多く寄せられており、もっと積極的に早期支援を進めていくように要望いたします。
 次に、産婦人科医派遣事業についてお伺いをいたします。
 性教育や性感染症については、養護教諭が日常的に生徒に接し、さまざまなケースに直面しながら相談活動に奔走しています。こうした養護教諭の活動とともに、産婦人科医等専門家との連携も重要です。
 そこで、今年度から実施している都立学校における専門医派遣事業の産婦人科医派遣の目的と取り組みについて、お伺いをいたします。

○直原都立学校教育部長 産婦人科医派遣に係る都立学校における専門医派遣事業では、東京産婦人科医会から紹介されました産婦人科医を都立高等学校等に派遣しまして、養護教諭を初めとする教職員や生徒などに対し、産婦人科領域に関する講演などを行っているところでございます。

○山内委員 今年度の実績状況と実施内容、成果と課題等についてお伺いいたします。

○直原都立学校教育部長 平成二十二年度は、産婦人科医を七校に延べ十八回派遣いたしました。その内容としましては、講演会を十五回、講演会の事前研修などを実施いたしました。
 学校からは、日ごろの指導では及ばない内容まで理解を深めさせることができたなどの感想が寄せられております。

○山内委員 こうした精神科医、産婦人科医の派遣事業は、継続している学校では信頼関係も深まり、地域の関係諸機関との連携も構築されているようですけれども、なかなか外部の専門医を招くことには抵抗がある学校も多いと聞いております。工夫が必要かと思われます。
 そこで、事業の利用の募り方についてお伺いをいたします。

○直原都立学校教育部長 年度当初に、都立の高等学校、中学校、中等教育学校に対しまして都立学校における専門医派遣事業について通知をし、専門医派遣を希望する学校は利用計画書を提出することとしております。

○山内委員 先日、世田谷区で、都立高校の養護教諭の先生方から報告をお聞きする機会がありました。さまざまな相談活動の中で、子どもたちが他人の目を気にし過ぎたり、周りの大人に振り回されたり、メディアの影響を受け過ぎたりして、なかなか自己肯定感を持てずにいるとのことでした。自分を大切にすること、自分を好きになることを伝えていかなければならないことを痛感し、性教育というのは、生きる力への援助になるような思春期講座を高校三年間で系統立て、実践しているとお伺いいたしました。
 その思春期講座の中で、高校生から発信するデートDV防止啓発DVD製作の話が持ち上がり、昨年完成したとのことでした。製作に参加した生徒やDVDを見た生徒たちは、講座を受けて、こういうことがDVなのだと改めてわかった、他人事のように思っていたが、とても身近にあるものなんだと感じた、また、こういう講座をもっといろいろな学校でやった方がDVを受けている人もいない人も自覚して、ちゃんとしたつき合いができると思うという率直な感想が寄せられたということです。
 だれもがかけがえのない大切な存在であるという自己肯定感を育て、自分も相手も尊重する対等なコミュニケーションを身につけることが、性教育には必要だと思います。
 心の健康、性教育というのは、生徒に最も近い養護教諭とともに、専門医派遣事業のさらなる拡大を要望したいと思っております。
 次に、特別支援学校に関する肢体不自由児童生徒の通学負担軽減についてお伺いしたいと思います。
 東京都教育委員会では、特別支援教育推進計画に沿って、特別支援学校に付設されている寄宿舎が閉舎されています。計画では、二〇〇四年度十一カ所あった寄宿舎を二〇一五年度までに五カ所に再編するとしており、その理由として、交通手段の発達やスクールバスの整備などによって、対象となる通学困難な児童生徒が減ってきたことを挙げております。二〇一〇年度においても江戸川特別支援学校の寄宿舎が閉舎いたしました。
 寄宿舎の再編整備を進めるに当たっては、通学時間の軽減を図ることが前提であり、通学区域の広い肢体不自由特別支援学校においては特に必要です。肢体不自由の児童生徒にとっては、スクールバスに乗っている時間が長時間にわたると、子どもたちの心身や教育活動などに与える影響も大きいため、改善を図ることが課題になっております。
 都のスクールバス乗車時間の目標、そして二〇一〇年度におけるスクールバスの実態について、お伺いしたいと思います。

○廣瀬特別支援教育推進担当部長 特別支援教育推進計画策定時における目標は、平成二十七年度までに平均乗車時間を六十分とするものでございます。平成十六年度に計画を策定した際の平均乗車時間は七十二分でございました。新たな肢体不自由特別支援学校の開校やスクールバスの増車により、平成二十二年度における平均乗車時間は六十四分となってございます。

○山内委員 乗車時間の短い子どもはそれほど負担がないと思われますが、長い子どもの負担は大変であり、平均時間だけではその実態がわかりません。
 一番長時間のコースの子どもの所要時間は何分で何人ですか。また、乗車時間三十分ごとの児童生徒の数をお示しください。

○廣瀬特別支援教育推進担当部長 平成二十二年度におけるバス乗車の最長時間は九十分で、児童生徒数は三名でございます。
 乗車時間ごとの人数については、三十分以内は五百九十八名、三十一分から六十分以内は九百七十四名、六十一分から九十分以内は三百十五名でございました。

○山内委員 六十一分から九十分乗車している子どもが三百十五人もいるということがわかりました。
 目標の平均乗車時間六十分に向けて、コースをふやすなどとしているとも聞いておりますが、二〇〇九年度、二〇一〇年度について、バスの増車数と内容を伺います。

○廣瀬特別支援教育推進担当部長 二十一年度には十一台、二十二年度には八台増車いたしました。
 増車に当たっては、特に長いコースを有している学校に優先的に配車し、乗車時間を軽減してございます。配車の際には、学校の要望やコースの状況等に応じてバスの型式や大きさなどに配慮してございます。増車によりまして、平均乗車時間が二十一年度は四分、二十二年度は一分短縮されました。

○山内委員 スクールバスについては、乗務員と添乗員が障害を理解し、配慮して運行することが必要です。例えば肢体不自由児の保護者の方からは、長時間同じ姿勢をとっていると負担が大きいため、体位を変えてほしいという要望が寄せられておりますし、バスの中で動き回る子どもに対しては、その子に配慮しながら安全を確保する必要があります。さまざまな障害に応じて適切な対応をすることが大切なのです。
 スクールバスの運行に当たって、乗務員の資質の確保についてお伺いいたします。

○廣瀬特別支援教育推進担当部長 乗務員がスクールバス車内における安全に配慮することが必要でございます。平成二十二年度から、バス会社に対する仕様の中で乗務員業務に関する条項を盛り込み、特別支援学校における乗務員業務についての理解啓発を行っております。
 スクールバス配車のある各特別支援学校において、業者及び乗務員に対し、障害特性の理解や人権に対する配慮等を含めた研修や講習会を行い、乗務員の質の向上を図っているところです。

○山内委員 今後の東京都のスクールバスの取り組みについて、お伺いしたいと思います。

○廣瀬特別支援教育推進担当部長 スクールバスを安全に運行するため、業者や乗務員に対し、障害者や特別支援学校についての理解啓発や研修等の充実に引き続き努めてまいります。
 乗車時間については、増車やバスコースの工夫等を一層推進し、目標に向けて取り組んでまいります。

○山内委員 先ほどのご答弁で、乗車時間を短縮する努力をなさっていることは理解いたしますが、東京の朝夕の道路事情から考えると、時間を短縮することはなかなか大変です。平均時間だけでは見えない実態があることも事実だと思います。
 今回の質疑で、六十一分から九十分乗車している子どもの数は、繰り返しになりますが三百十五人、一番早い子は、七時前には既にバス停でバスを待っていなければなりません。そうした長時間乗車する子どもにぜひ目を向けていただきたいと思います。
 子どもの負担を解消するという意味で、スクールバスだけでない方法も活用できるのではないでしょうか。例えば福祉タクシーや福祉有償運送の移動サービスなど、地域の資源を活用することもできると考えます。今後も検討していただくよう要望したいと思います。
 また、スクールバスの運行については、乗務員の体制や安全確保のために、乗務員が障害を理解し、対応できるような研修などの充実を求めます。
 では次に、基本的生活習慣の確立を目指した生活訓練の場についてお伺いいたします。
 都教育委員会は、特別支援学校の生徒に基本的な生活習慣や集団生活におけるマナーを習得させるためには、自立活動の指導や日常生活の指導を充実させるとともに、寄宿舎や生活訓練室を活用した校内宿泊や、移動教室などの校外宿泊のあり方を工夫する必要があるという認識を示しています。寄宿舎が果たしてきた生活訓練の役割は重要で、特別支援学校の中で実施していく必要があります。
 そこで、基本的生活習慣の確立を目指した生活訓練の実施状況はどのようなものか、伺います。

○廣瀬特別支援教育推進担当部長 現在、特別支援学校においては、基本的生活習慣や集団生活におけるマナーの確立を目指した日常生活の指導を、一人一人の児童生徒の障害の程度に応じて計画的、継続的に実施しております。
 生活訓練室を活用して校内宿泊や、移動教室等の事前指導、事後指導を学校の実情に応じて行っているほか、平成十九年度に事業を開始した長期休業期間中の寄宿舎を活用した自立生活訓練は、毎年度、工夫を重ね、内容も充実してきているところでございます。

○山内委員 生活訓練の重要性については、教育委員会でも認識しているものと思います。
 生活訓練を充実させるための今後の取り組みについてお伺いをいたします。

○廣瀬特別支援教育推進担当部長 今後とも、寄宿舎の有無にかかわらず、すべての特別支援学校において、基本的生活習慣の確立を目指した指導が充実するよう、生活訓練の取り組みを継続して行ってまいります。

○山内委員 寄宿舎の再編に当たっては、寄宿舎が果たしてきた通学困難の解消と生活訓練の場という役割を代替すること。また、福祉分野での家族支援もあわせて、障害のある子どもたちがどんな境遇、環境にあっても教育が受けられることを大前提に施策を進めるよう、これまでも求めてきました。
 二〇一〇年度には特別支援教育推進計画の第三次実施計画が出され、その中で五カ所に再編することが改めて示されています。さまざまな事情を抱える子どもたちの一人一人に寄り添い、きめ細かく対応できるよう重ねて要望し、質問を終わります。

○高倉委員 学校教育のICT化について最初に質問いたします。
 私ども都議会公明党は、遠藤守議員らが先頭に立ちまして、都立学校のICT化の推進を繰り返し提案してまいりましたけれども、それを受けて都教育委員会では、ICT教育に積極的に取り組んできているということについて評価をいたしたいと思います。
 そこでまず、ICT教育の基盤となる情報機器の設置状況について明らかにしていただきたいと思います。あわせて、将来に向けたICT基盤のあり方についても見解を求めたいと思います。

○直原都立学校教育部長 都教育委員会では、教員がICT機器を活用し、よくわかる授業を展開できるよう、都立学校ICT計画により、平成二十年度からの二カ年で、校内LANなどネットワークを整備するとともに、電子情報ボード等の教育用ICT機器や障害種別に応じた障害支援機器の配備を行い、授業においてICT機器の活用を図ってまいりました。
 さらに、校務情報のICT化を推進し、教員の負担軽減を図るため、平成二十一年度に、教員一人一台のTAIMS端末を配備し、校務処理の効率化や教材作成に活用しております。
 今後も、機器の更新時期をとらえて、最新の情報技術の動向を視野に入れた機器を整備し、学校現場の実態を踏まえ、教育の成果を十分に上げられる基盤づくりに努めてまいります。

○高倉委員 ハード面の機器整備と同時に重要になってくるのが、どういった学習内容を情報として蓄積し、活用していくかということであると思います。
 電子情報というのは、どこからでもアクセスできる場所にその情報を蓄積しておけば、いつでもどこでも、たやすく活用できるといったところにメリットがあると私は思っております。検索も迅速にできますので、大量に蓄積をしていくことも可能であります。
 都立学校に設置をされた情報機器で活用できる電子コンテンツにつきまして、平成二十二年度の蓄積状況と今後の方向性について、答弁を求めます。

○坂本指導部長 都教育委員会は、平成二十一年度から都立学校用の学習コンテンツを開発いたしまして、平成二十二年度末までに約九百蓄積いたしました。平成二十三年度末までに、さらに約千四百開発いたしまして蓄積する予定でございます。
 今後は、都立学校教員が蓄積されている学習コンテンツを改作して追加蓄積をしたり、オリジナルの学習コンテンツを自作したりするなどして、量的充実を図ってまいります。
 また、その中からすぐれたものを表彰する学習コンテンツコンテストを継続いたしまして、質的向上も図ってまいります。

○高倉委員 今答弁がありました学習コンテンツの数ですけれども、一つが、授業一時間当たりに活用できるものであるというふうにお聞きをしておりますけれども、このコンテンツの作成は、国の緊急雇用の対策などを活用して実施しているというふうにも聞いておりますけれども、そうした対策が終了した後のことも十分に検討しておいてほしいと思っております。
 この情報機器があれば、いつでも、どこからでも簡単に必要な学習コンテンツを見ることができるわけでありますけれども、この利点を生かせば、いろいろな状況にも応用が可能と考えております。在学中の生徒の中には、病気やけがなどによって、やむなく長く学校を休む生徒もいると聞いております。療養が第一ではありますけれども、学習のおくれが生じないよう必要な配慮を行っていくことも大変に重要であります。
 その一つとして、生徒自身のICT機器の活用が有効であると考えますけれども、答弁を求めます。

○坂本指導部長 児童生徒が欠席した場合、病気やけがの状況に応じて、学校は学級の様子を伝えたり、自学自習教材を自宅や病院に届けたりしております。
 病気やけがをしているときは治療が第一でありますが、状況によっては自宅等での学習が可能な場合もございます。そのような場合の自習教材として学習コンテンツを用いることは、有効な支援の一つであると考えております。
 現在、蓄積されている学習コンテンツの中には、教員が授業で活用する提示型と、児童生徒がインターネットを利用することで自宅等での学習にも活用できる自習型がございます。今後も、自習型の学習コンテンツの活用につきまして、研修の機会等をとらえて周知してまいります。

○高倉委員 教員に対して、ICTにとどまらず、教育活動にかかわるさまざまな研修というのが実施をされていると思います。研修の効果については、生身の人間同士が直接顔を合わせて行う、いわゆる集合研修にまさるものはないというふうにも思いますけれども、一方で、時間の制約あるいは移動時間、また交通費といった経費、こういったことも考えますと、より効率的に実施する方法を検討することも必要ではないかと思います。
 いつでも、どこでもという情報化の利点を考えれば、研修の内容というものを蓄積しておいて、教員は時間や場所の制約を受けることなくその活用をすることによって、経費の節減にもつながっていくのではないかと思います。また、ある会場の研修を同時に配信して視聴するというようなことも可能であると思います。教員の研修を効率的に行うために、ネットワークを活用した形態も考えられると思いますけれども、答弁を求めます。

○坂本指導部長 都教育委員会は、ICTに関する研修を実施する際、研修会場とデータセンターをネットワークで結び、データのやりとりをしながら、実際にICT機器を活用した指導方法や教材開発等に関する研修を行っております。そのため、研修終了後も、教員の中には、所属校においてネットワーク経由で研修資料を活用し、授業改善に役立てている者もおります。
 今後も、集合研修で行うべき内容と所属校でできる内容を勘案しまして、ネットワークを活用した効率的な研修方法を研究してまいります。

○高倉委員 次に、防災教育について質問いたします。
 本決算年度の年度末の三月十一日に発生しました大震災では、子どもたちが助かった学校の事例、あるいは学校ではありませんけれども、帰宅困難者対策として注目すべき対応をとった東京ディズニーランドの例、こういったものがいろいろと紹介されております。いずれも、ふだんから繰り返し防災時の訓練を行ってきたということが、いざというときに生かされたものであります。
 都立学校は、多くの生徒たちが遠くからも通ってきているところでありまして、災害時には帰宅困難の避難者を一時的に受け入れるような施設にもなっております。教職員も生徒もさまざまな観点から防災時の対応などを身につけておく必要があると思いますが、まず都立高校における平成二十二年度の防災教育の取り組み状況について、簡潔な説明を求めたいと思います。

○坂本指導部長 都教育委員会では、生徒に危険を予測し回避する能力と、他者や社会の安全に貢献できる資質や能力を育てるため、平成二十年度に都独自の安全教育指導資料である安全教育プログラムを開発し、実践事例等を毎年更新しております。
 平成二十二年度においては、安全教育推進校として指定した都立高校で、地震を想定した災害発生時の放水訓練や救命活動等の防災教育の授業を公開し、その指導事例を全教員に紹介してまいりました。
 また、東京都独自の防災副読本「地震と安全」を都立高校の一年生のときに全員に配布いたしまして、首都直下地震を想定した避難行動や、防災時のボランティア活動の必要性などについて、継続的に学ばせるよう学校を指導してまいりました。

○高倉委員 生徒たちの命を守るために、災害においては、初動時、最初のときの対応が極めて重要であるというふうに思います。
 生徒たちが在校時に大震災が発生をした場合、どう安全を確保していくことになっているのか、このことについて答弁を求めたいと思います。

○直原都立学校教育部長 在校時に大震災が発災した場合には、安全が確認されるまで児童生徒を保護することとし、毛布のほか、三日分の食料、飲料水を備蓄しております。
 また、電力供給等のライフラインが機能しなくなった場合を想定しまして、今後、自家用発電機など備蓄品の拡充を図ってまいります。

○高倉委員 今、備蓄に関するご答弁があったと思いますけれども、さらに私は、特に子どもさんたちが学校にいるときには、保護者の方々が大変心配して学校にどんどん連絡をしてくる、しかしながら震災のときは連絡がとれない、こういった情報の伝達の問題等々もあると思いますので、この辺はぜひ大きな課題として検討を進めていっていただきたいということを要望しておきます。
 災害のときに、学校の教職員は的確な対応の指揮をとるべき役割を担っていると思います。防災に関するしっかりとしたノウハウを身につけておくことは不可欠であると思います。このことは学校の防災教育を進める上でも重要なことであります。各学校にそうした指導者を養成していくということも必要であると思います。
 平成二十二年度のこうした取り組みと今後の方針について、答弁をお願いいたします。

○坂本指導部長 都教育委員会では、学校における安全教育を推進する指導者を養成する目的で、平成二十二年度に公立学校教員を対象とした学校安全教室指導者講習会を開催いたしました。本講習会では、消防署と学校とが連携した防災教育の事例紹介、地震発生のメカニズムや地震予知の現状等に関する講演等、防災教育を推進する上で必要となる研修を実施しまして、計千四百七十二名が参加いたしました。
 平成二十三年度は、東日本大震災を踏まえまして、これまでの希望制の参加ではなく、全公立学校から一名以上、本講習会に参加することとしたため、計二千三百二名が参加いたしました。
 今後とも、本講習会を活用して防災対応能力を高める教育の中核となる教員を養成いたしまして、各学校における防災教育を推進してまいります。

○高倉委員 私は先般、兵庫県の県立舞子高校という高校を視察してまいりました。阪神・淡路大震災の後、この学校には全国でも珍しい環境防災科という学科が設けられまして、独自につくり上げたカリキュラムで防災リーダーとなるべき人材を育成しておりました。私どもと時を同じくして教育長も視察をされたようでありますけれども、防災対策を進める上で、それを担う人材の育成は不可欠の取り組みであり、私は、こうした舞子高校の例は大変に参考になるものだというふうに考えます。
 災害への備えは、首都東京の喫緊の課題となっておりますけれども、その中で、防災リーダーとして活躍する人材を養成することは大事だと思います。都立高校においても、災害発生時に貢献できる人材を育てる取り組みを進めるべきと考えますけれども、都教委の見解を求めます。

○坂本指導部長 これまでも、指導資料、安全教育プログラムや、今年度すべての都立高校生に配布いたしました防災副読本「地震と安全」に、災害発生時に高校生としてできる救命活動や、避難所等が設置された際に高校生に期待される社会貢献活動等に関する実践事例等を掲載いたしまして、高校生の地域の防災活動に参画する意欲や態度の育成にも取り組んでまいりました。
 また、都教育委員会が本年七月に実施しました都立高校生意識調査によりますと、約六割の生徒がボランティアなどの社会貢献活動を行いたいという意欲を持っていることが明らかになっております。
 都教育委員会では、このような生徒の実態や、今般の東日本大震災を踏まえまして、地域と連携した避難訓練、防災訓練を実施するなど、都立高校の防災教育がより実践的な内容となるよう改善を図ることによりまして、災害時に、まず自分の命を守り、次に身近な人を助け、さらに地域に貢献できる人材を育てる防災教育を進めてまいります。

○高倉委員 次に、自転車について質問させていただきます。
 最近は、環境にも優しい乗り物として自転車が注目をされていて、一つのブームにもなっているのではないかと思います。そうした一方で、自転車による大きな事故というものが急増しているのではないかと思いますし、また、自転車に乗る人のマナーといったものも、今、そのあり方が指摘をされているわけであります。
 都立高校でも、自転車を使って通学をする生徒が多いというふうに聞いておりますけれども、平成二十二年度に都立高校生の自転車事故は何件あったのか。また、前年度との比較でふえているのかどうか、これを明らかにしていただきたいと思います。

○直原都立学校教育部長 平成二十二年度の中等教育学校後期課程を含む都立高等学校生徒の自転車交通事故でございますが、百四十件報告を受けております。うち、学校管理下である登下校時の事故は百三十一件でございました。
 平成二十一年度の自転車交通事故は八十五件であり、うち、学校管理下の事故は七十四件でございました。自転車交通事故全体で比較いたしますと、平成二十二年度は前年度に比べ五十五件増加しております。

○高倉委員 今、平成二十二年度の状況を答弁していただいたわけですけれども、百四十件ということで、前年度に比べても五十五件の増加があったということで、これは極めて重大な問題といいますか、はらんでいるような気がいたします。
 本当に、安全対策というものをきちっとしていかなければならないというふうに考えておりますけれども、自転車に関する安全教育ということについての平成二十二年度における都立学校の実践事例について、説明をいただきたいと思います。

○坂本指導部長 安全教育プログラム平成二十二年度版には、高校生を対象とした自転車安全教育の実践事例を掲載しております。例えば、スタントマンを活用し、交通事故を再現するスケアードストレートという体験型自転車交通安全教室の実践事例では、傘を差したまま片手で自転車を運転して車と衝突したり、左折したトラックの後輪に巻き込まれたりするスタントマンの演技を見ることで、生徒は自転車を正しく運転する大切さを実感し、自転車の安全な運転に対する意識を向上させております。
 また、交通事故の遺族を学校に招いた交通安全講話の実践事例では、交通事故の悲惨さや家族の悲しみを直接聞くことで、生徒は命の大切さを実感し、被害者にも加害者にもならないよう、自転車乗車マナーを向上させております。

○高倉委員 今ご答弁にありましたスケアードストレート、体験型の自転車交通安全教室の実践事例が報告されました。大変好評であるというふうに聞いております。ただ、予算が限られているために、この実施回数というのが限定的であるというような状況がありますので、ぜひさらに拡充するような方向も考えていただきたいと思います。
 先ほど申し上げましたように、最近は自転車に関する事故が急増しております。先ほどご答弁にもあったとおり、高校生が通学途上で遭っている事故、これも急増しているということであります。自転車を使う生徒には、基本的なマナーや交通法規をしっかりと理解してもらい、またそれを守るように教育をする必要があると思います。
 都立高校生の自転車事故をなくすための今後の取り組みについて、見解を求めます。

○坂本指導部長 近年、高校生の自転車による事故が増加していることから、都立高校における自転車交通安全教育を一層充実する必要がございます。
 そこで、東京都安全教育推進校による自転車交通安全学習の研究授業を公開したり、警視庁の担当者による自転車実技研修を取り入れた交通安全研究協議会を開催したりすることで、教員の指導力の向上に取り組んでおります。
 さらに、毎月開催されております校長連絡会、副校長連絡会で、自転車による事故の発生状況及び指導のポイントを周知いたしまして、各学校が自転車交通安全教育に組織的に取り組むよう指導、助言を行ってまいります。
 都教育委員会は、今後もこうした取り組みを通しまして、都立高校生の自転車による事故をなくすために、各学校における安全教育の改善、充実を図ってまいります。

○高倉委員 今ご答弁をいただきまして、都立高校生の自転車による事故をなくすためのさまざまな取り組みを進めていくというお話があって、これはぜひ強化をしていただきたいと思います。
 きょうの毎日新聞を見ますと、埼玉医科大学の国際医療センターの研究グループというのが、本日、都内で、日本救急医学会総会・学術集会というところで、自転車乗用中のヘルメットの着用について、その必要性を報告しているという報道がありました。この報告によりますと、頭のけがが半数以上を占めている、しかも、重い症状を負った全員がヘルメットをかぶっていなかったと、このようなことが報告されているという報道であります。自転車の事故をなくすための取り組みと、万一事故に遭ってしまったときのけがの度合いを、より重大でなくするというか、そうしたことで、今紹介したのはヘルメットの話でありまして、特に小中学生のヘルメットの重要性ということが報告されているそうですけれども、高校生ぐらいになって、高校生がヘルメットをかぶるのかどうかといったこともあるかもわかりませんが、そうしたことにもぜひ関心を向けていただいて、今後の取り組みを考えていただきたいと思います。
 最後に、都立学校の読書活動について質問をさせていただきます。
 私ども都議会公明党は、これまでも学校における読書活動の充実を訴えてまいりました。読書はすべての言語活動の基盤でありまして、生涯を通じて教養や価値観、感性等を身につけるために、極めて重要なものであると考えております。
 これはずっと以前、私が視察をしたことでありますけれども、ある自治体で、休み時間に学校図書室に行きましたところ、その中が生徒でいっぱいになっていたと、こういったような事例を見てきたことがありますし、またある県では、県の教育委員に、図書館学の権威の先生と地元の大手の書店の関係者、この人たちを選任しまして、読書活動を強力に進めているような事例もありました。
 読書離れが叫ばれて久しいわけでありますけれども、今後、読書の重要性が増していくことはあっても減ることはないと思います。
 都立学校では、生徒たちが活字に触れる機会がふえるよう、さまざまな取り組みをしていると思いますけれども、平成二十二年度の都立学校における読書活動の現状について、お伺いいたします。

○坂本指導部長 読書活動とは、本を読むことに加え、新聞、雑誌を読んだり、何かを調べるために資料を読んだりすることを含む学習活動でございます。
 現在、都立学校では、国語や地理、歴史、総合的な学習の時間等におきまして、読書活動を取り入れた授業を展開しております。
 平成二十二年度学校図書館の現状に関する調査結果によりますと、都立高等学校では、全体の六割程度の学校が必読書や推薦書のコーナーを設け、生徒が多様な本に接するよう工夫を行っております。また、都立特別支援学校では、全体の六割以上の学校が、教師や生徒による読み聞かせを実施しております。

○高倉委員 今ご答弁にあったような都立学校における読書活動の現状を踏まえて、都教育委員会は今年度どのような取り組みをされているのか、最後にお伺いしたいと思います。

○坂本指導部長 新学習指導要領では、各教科等で言語活動を充実することが求められていることから、都教育委員会では、猪瀬副知事をリーダーとした言葉の力再生プロジェクトと連携し、平成二十三年度から言語能力向上推進事業を開始いたしました。
 現在、推進校である都立学校十五校は、読書活動と書くことに関する学習活動を中心に据えて研究を進めております。具体的には、学校図書館を活用した調べ学習、意見の異なる者同士が根拠資料をもとに行う討論、同じ本を読んで意見等を述べ合う学習活動等を行いまして、読書活動を通して生徒の言語能力を向上させております。
 今後も、都教育委員会は、本事業の成果を検証いたしまして、活字に親しむ学校づくりの支援を通して読書活動を充実させてまいります。

○山加委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑は、これをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○山加委員長 異議なしと認め、本件に対する質疑は終了いたしました。
 以上で教育庁関係を終わります。
 これをもちまして本日の分科会を閉会いたします。
   午後三時五分散会

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