平成二十二年度各会計決算特別委員会第三分科会速記録第三号

平成二十三年十月十九日(水曜日)
第九委員会室
   午後一時開議
 出席委員 十名
委員長長橋 桂一君
副委員長三宅 正彦君
副委員長いのつめまさみ君
加藤 雅之君
桜井 浩之君
畔上三和子君
高木 けい君
田の上いくこ君
松下 玲子君
今村 るか君

 欠席委員 なし

 出席説明員
中央卸売市場市場長中西  充君
管理部長塩見 清仁君
事業部長横山  宏君
新市場整備部長宮良  眞君
市場政策担当部長江藤  巧君
移転支援担当部長森本 博行君
新市場事業計画担当部長野口 毅水君
新市場事業推進担当部長志村 昌孝君
基盤整備担当部長加藤 直宣君
施設整備担当部長久保田浩二君
環境局局長大野 輝之君
次長藤原 正久君
環境政策部長紺野 秀之君
環境政策担当部長吉村 憲彦君
都市エネルギー推進担当部長坂巻政一郎君
都市地球環境部長和賀井克夫君
環境都市づくり担当部長山本  明君
環境改善部長中村  豊君
環境改善技術担当部長島田 光正君
自動車公害対策部長高橋 英次君
自然環境部長高橋 宏樹君
緑施策推進担当部長谷上  裕君
廃棄物対策部長木村 尊彦君
調整担当部長スーパーエコタウン担当部長兼務谷川 哲男君

本日の会議に付した事件
平成二十二年度東京都各会計歳入歳出決算の認定について
中央卸売市場関係
・平成二十二年度東京都と場会計決算(質疑)
環境局関係
・平成二十二年度東京都一般会計決算(質疑)

○長橋委員長 ただいまから平成二十二年度各会計決算特別委員会第三分科会を開会いたします。
 本日から四日間にわたり、本分科会の所管局の決算に対する局別質疑を行ってまいります。
 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、中央卸売市場及び環境局関係の決算に対する質疑を行います。
 これより中央卸売市場関係に入ります。
 決算の審査を行います。
 平成二十二年度東京都と場会計決算を議題といたします。
 本件につきましては既に説明を聴取しておりますので、直ちに質疑を行います。
 発言を願います。

○高木委員 私から、と場会計の決算についての質問をさせていただきます。
 まず、今回かかっております二十二年度の決算の中で、と場の施設整備費の予算執行率が若干低いかなという印象を持っております。全体の二十二年度予算の中で執行率の平均値をとってみても、やはりと場会計予算の執行率が低いんですね。施設整備の部分が低いんですね。これは、どういう理由でこういうふうに低くなったのか、このことについて教えていただきたいと思います。

○江藤市場政策担当部長 施設整備費の執行残額は約七千五百万円でございまして、このうち、契約差金が約一千七百万円、実績による残が約五千八百万円でございます。
 この実績による残は、BSE対策のために予定していた工事などを精査し、と室の昇降作業台の改修工事などを見直したためによるものでございます。

○高木委員 芝浦と場の歴史は皆さんに語るまでもないんですが、明治初期に英国など、欧米の大使館の需要にこたえるために、築地など六カ所に設置されたと畜場を衛生面の確保そして流通の公正化を目的に芝浦に集約した、そういう歴史的経緯がある。
 と場においては、その性質上、衛生環境に特段の配慮をする必要があって、良好な施設環境を確保するために、業界からもさまざまな要望が出ているというふうに思います。
 私たち都議会自民党も、それぞれの業界からいろんなご要望をいただくんですが、この芝浦のと場そして食肉市場からも、毎年かなり多くのご要望をちょうだいしているわけです。その業界要望にこたえて良質、良好な施設環境を整備していくためには、やっぱりその限られた予算をしっかりと有効に執行していくということが、私は必要だというふうに思うんです。
 そこで、この限られた予算を適切にそして有効に執行していくための中央卸売市場のご見解をお伺いしたいと思います。

○江藤市場政策担当部長 芝浦と場につきましては、食肉市場業界からも、衛生対策や環境対策などさまざまな要望が出されており、都といたしましても、芝浦と場の施設環境を良好に保つことは重要だと認識してございます。
 このため、これまでも市場業界と調整を行いながら、大動物係留所の拡張や内臓処理室大洗い場の改修など、必要な対策を行ってまいりました。
 今後も予算の執行に当たっては、業界の要望も踏まえ、衛生対策や環境対策など、必要な整備を的確に行ってまいります。

○高木委員 今、既に述べましたけれども、芝浦と場は歴史的な明治初期からの経緯があって、現在でも都心部である品川駅前という特殊な立地条件の中にあるわけです。
 生鮮食料品全般の卸売市場の経由率が長期的には低下している。卸売市場を取り巻く流通環境は厳しさを増す状況の中で、それはこの食肉についても例外ではないと思うんですね。現に、輸入品や卸売商社と産地との直接取引が増加するなどしておりまして、芝浦と場も食肉市場を経由する割合が相対的に減少しているという事実があると思います。
 しかしながら、こうした厳しい環境にあっても、依然として、この芝浦と場は、全国各地から集められた高品質な和牛に代表される豊かさとバラエティーに富んだ都民の食生活を支えるという役割を担っておりますし、また、最大の消費地東京に隣接している、東京のど真ん中といってもいいんでしょうかね、そこにあるというこの施設の果たす役割というのは大変意義が大きいというふうに思っています。
 また、もう一つ申し上げると、芝浦と場は全国の取引規模でもナンバーワンということで、ナンバーワンの食肉市場と併設をされている、そのと畜された枝肉がすべて食肉市場に上場されるなど、卸売市場と一体となってその機能を果たしていることや食肉市場が大動物について全国の建て値市場となっている、ここはやっぱり重要なところだと思いますね。東京のこの市場が全国の肉の価格を決めているということですから、この重要性というのはやっぱり非常に高いと思っています。中央卸売市場が芝浦と場を設置している意義はまさにそういうところにあるんだろうと思っておりまして、そこに私たちも実は注目をしているわけです。だからこそ、中央卸売市場として、芝浦と場の運営や整備をやっぱりきちっとやっておかなければいけないだろうということを、改めて申し上げておきたいと思うんです。
 ところで、芝浦と場や食肉市場の整備や運営に当たっては、都民の食の安全を守るという観点からも、徹底した衛生対策の実施が求められていることを、常に留意をしていただきたいというように思います。この点について、芝浦と場、食肉市場における衛生対策の状況というのはどのようになっているんでしょうか。

○江藤市場政策担当部長 芝浦と場では、BSEやO157などに対応するため、適切な衛生対策を講じております。
 まず、BSEに対しましては、脊髄などの特定部位の確実な除去のため、脊髄吸引装置をと畜解体ラインの中に設置するなどの対策を行っております。加えて、O157などに対しましては、と畜解体の各工程において消毒漕を設置し、一頭ごとにナイフ消毒を行うなどの対策を行っております。
 さらに、食肉市場においては、と畜解体された枝肉の急速冷蔵を行うなど、解体後から市場外への搬出するまでの一貫したコールドチェーンを構築しており、現在改築工事を進めている市場棟においても、防鼠防虫対策や入退場口の保清設備設置など、本年度中の竣工を目指し、各種の衛生対策を適切に進めております。
 また、市場関係業者の日々の業務における品質、衛生管理も重要であることから、都と市場関係業者がそれぞれ安全品質管理者を設置するとともに、業者みずからが品質管理マニュアルを策定するなど、市場の品質衛生管理水準の向上に努めております。

○高木委員 芝浦と場や卸売市場の運営や整備をしていくに当たっては、今おっしゃられたように、食の安全・安心を担保する上で品質管理、衛生管理の視点からの対策が重要であるということを改めて感じたわけであります。しかし、もっと広い視野で卸売市場に求められている機能を検証していくなど、さまざまな観点からそのあり方を考えることも必要だというふうに思います。
 最後に申し上げますが、今後も都民の豊かな食生活を下支えしていく上で、芝浦と場をどのように整備し運営をしていくのか。同時に、芝浦と場と一体で運営されている食肉市場、さらには他の市場に関しても、その衛生管理やより広い視点に立った今後のあり方について、中央卸売市場の開設者として、ぜひこれは考えていっていただきたいなというふうに思っています。
 例えば衛生という観点からいうと、食品加工の工場などはISOとか、あるいはHACCPとか、ある意味で国際基準というんでしょうかね、世界に認められたそういう基準というものが一つあって、市場にはだからそういうものが基本的にはないんだろうとは思いますが、しかし衛生基準という観点からいうと、やっぱり何か内外にアピールができる、そういう基準というのが必要なんだろうなと思っているんです。
 私は実は、非常にこないだいい勉強したなと思ったんですけれども、震災の関係で青森県の八戸に行ったんですよ。八戸の漁港に津波の被害の状況の調査に行ったときに、実はここも津波の被害が非常に大きかったんですよといわれたところが、これから八戸市が開設をしようとしていた、漁港から直接魚をそこにおろして、漁港なんだけれども、そこに要するに加工工場を併設しているという施設がありましてね、それがたまたま三月十一日の津波被害で壊れてしまったんだけれど、三月二十六日にはもうオープンするという直前に壊れてしまったんですよ。いろいろ話を聞いたら、この魚を加工する、直接魚を搬入できる工場はすべてHACCP対応になっているんで、実はここで加工された魚はそのまま航空便でヨーロッパに持っていけるようになっているんだということを教えていただいた。
 つまり何をいいたいかというと、地方の漁港ですら今そういうふうになっているわけですよ。その地方の漁港が、今度は、東京がぼやぼやしているうちにですよ、そういうことをどんどんやり始めて、世界に通用する流通のシステムの元のところをですね、つまり食品が、海から魚が上がってくるところをそこでやられてどんどん送り出されたら、市場外流通も含めて、東京に物が集まってくるということも含めて、東京の市場もこれはうかうかしていられないだろうなということを向こうの担当者にも申し上げたら、地方としては実はそこがつけ目なんですよって話をしているわけですよ。東京がそういう状況であるうちに地方でそういうふうに整備をしてしまえば当然そうなりますよね、地方はそこがビジネスチャンスなんですよといっているんです。
 だから東京でもしっかりと衛生管理をして、HACCPでもいいですし、あるいはISOでもいいですけれども、とにかく世界が認める基準の中でやっぱり生きていくということを、一つ考えの中に入れておいていただきたいなというふうに思っています。
 その直後に、残念ながら東京の市場を見てみますと、なかなかそういう水準にまでは今のところ行き渡っていない。今回は芝浦のと場の関係をこの質疑の中でしておりますけれども、それは押しなべて東京の中央卸売市場全体の課題であって、やはりそういう一つの目標に向かって皆さんに努力していただきたいなと思っています。
 もう一ついいますと、例えば茨城県はいばらきハサップという制度をつくって、これはちょっと市場とはまた別次元かもしれませんが、茨城県が認めた要するに衛生基準、そういうものでこれから全国展開をする、全国の中での競争に勝ち抜いていこうということをやっていますよね、これは例えば水戸納豆だとか、いろんな商品を私も見ましたけれども、すべて茨城県がいばらきハサップという認証をつけて市場に送り出している、それが一つのブランドになっている。ですから、こういうことをこの東京の中央卸売市場が全国に向けて、あるいは全世界に向けてやっていくということは、私は必要なんだろうなと思いますので、ぜひそういう高度の次元の衛生管理というのをもう一度考えていただきたいというふうに思っています。
 この点についても含めて、衛生という観点から、市場長の意気込みや決意をぜひお伺いさせていただきたいと思います。

○中西中央卸売市場長 芝浦と場は、全国各地から牛や豚などが生体で搬入され、都民の豊かな食生活を支えております。その役割を的確に果たしていくためには、運営面や施設整備などにおいて必要な対策をとっていくことが重要でございます。
 また、東京電力福島第一原子力発電所の事故によります牛肉の放射能汚染問題や牛肉の生食を原因とした食中毒の発生などを契機として、安全・安心な生鮮食料品を求める消費者の志向はかつてないほど高まっております。こうした状況の中で、芝浦と場や食肉市場など、卸売市場を開設する中央卸売市場としても、品質衛生管理などの一層の充実について、日々の業務や必要な施設整備を通じて、その質を一層高めていかなければならないと考えております。
 芝浦と場、食肉市場を含む卸売市場全体のあり方、将来像を考えていく上でも、品質衛生管理の高度化は、ご指摘のとおり極めて重要でございます。今後整備していく豊洲新市場が、これまでにない高度な品質衛生管理施設を計画していることを初めといたしまして、食の安全・安心への消費者ニーズにこたえる取り組み等、それぞれの市場の特徴を生かしながら着実に進めていくことにより、卸売市場の総合力を発揮し、都民生活の安定向上に貢献していく決意でございます。

○高木委員 ぜひ、今の市場長の決意を、これからの市場政策に生かしていただきたいと思います。特に今後、芝浦もそうですけれども、中央卸売市場としては豊洲の問題もあるし、そういう意味では、全体として東京の市場から出ていく食品については、どこへ行っても恥ずかしくないし、どこへ出してもそれは、やっぱり東京の物は安全だね、東京の物は安全でおいしいね、こういわれるような市場をぜひおつくりいただきたいと思っています。
 肉の関係でいえば、じゃあ、例えばですよ、今の食肉市場から出てくる肉について、これを例えば、じゃ外国に持っていくと。外国に輸出をするということが、今の段階ではなかなかできないと思うんですね。ですからそれは、東京の食肉市場から出たものはもうフリーパスですよ、オーケーと、これは外国に持っていっても全然オーケーですよというぐらいのレベルにぜひ高めていただきたいということを要望して、私の質問とさせていただきたいと思います。

○長橋委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、ご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○長橋委員長 以上で中央卸売市場関係を終わります。

○長橋委員長 これより環境局関係に入ります。
 初めに、過日の分科会において紹介できませんでした幹部職員について、環境局長から紹介があります。

○大野環境局長 去る十月十二日の当分科会を公務により欠席させていただいておりました幹部職員をご紹介させていただきます。
 環境局次長の藤原正久でございます。自然環境部長の高橋宏樹でございます。
 どうぞよろしくお願い申し上げます。
   〔理事者あいさつ〕

○長橋委員長 紹介は終わりました。

○長橋委員長 決算の審査を行います。
 平成二十二年度東京都一般会計決算中、環境局所管分を議題といたします。
 本件につきましては、既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○紺野環境政策部長 去る十月十二日の当分科会でご要求いただきました資料につきましてご説明申し上げます。お手元の平成二十二年度各会計決算特別委員会第三分科会資料をごらんください。
 表紙をおめくり願います。右側の目次にありますとおり四項目ございます。
 まず、一ページをお開き願います。1、都内の二酸化炭素排出量の部門別推移過去五年分でございます。
 平成十七年度から平成二十一年度までの各年度における産業、家庭、業務、運輸及びその他の各部門の二酸化炭素排出量を記載しております。
 二ページをお開き願います。2、緑地保全地域における公有化予算、決算額、面積及び管理予算の推移でございます。
 平成十三年度から平成二十二年度までの各年度における公有化の予算額、決算額及び面積並びに管理費予算額を記載しております。
 三ページをお開き願います。3、二酸化窒素及び浮遊粒子状物質の環境基準達成状況の推移でございます。
 (1)の二酸化窒素及び(2)の浮遊粒子状物質、それぞれの表におきまして、上段に一般環境大気測定局、下段に自動車排出ガス測定局における過去五年間の測定局数、環境基準達成局数及び達成率の状況を記載しております。
 四ページをお開き願います。4、二酸化窒素及び浮遊粒子状物質濃度の全国上位十局の推移でございます。
 (1)、二酸化窒素につきまして、過去五年間の各年度における全国の測定局の年平均値上位十局の推移を記載しております。
 五ページをお開き願います。(2)、浮遊粒子状物質につきまして同様に記載しております。
 以上、簡単ではございますが、説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○長橋委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めて、これより本件に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○田の上委員 人が営む経済活動の中で、化学物質の存在は不可欠でありますが、同時にさまざまな物質が健康に及ぼす影響も大きいものです。環境局は、土壌汚染対策法及び都民の健康と安全を確保する環境に関する条例に基づき手続を行うとともに、東京都民の安全・安心を取り巻く環境を監視しているともいえます。
 本日は土壌汚染対策法に基づく調査並びに手続を中心に質問をさせていただきます。
 まずは、昨年四月に施行された土壌汚染対策法の改正に当たり、どのように環境確保条例等が改正されたのかを教えてください。

○島田環境改善技術担当部長 環境確保条例につきましては、改正は行っておりませんが、土壌汚染対策法の改正内容を踏まえ、条例の施行規則及び条例に基づく土壌汚染対策指針を平成二十二年三月に改正しております。
 施行規則につきましては、汚染土壌の搬出及び搬出先での処理の方法について、各届け出書に記載させるよう改正しております。
 土壌汚染対策指針につきましては、土壌汚染状況調査について、汚染のおそれが生じた場所が地中にある場合の土壌採取の方法に関して、法との整合を図ったことなど、また、法の基準に準じた運搬や処理の方法を行うこと及び汚染土壌の管理票を交付することについて明記したこと、法による要措置区域等の指定を受けた場合に、条例の手続を一部簡略化できる特例を追加したことといった点につきまして、改正を行っております。

○田の上委員 一通りご答弁をいただきました。
 環境確保条例では土地利用の履歴等調査を初め、汚染状況調査については、有害物質の使用、排出の状況を調査し、その結果把握した有害物質を対象として土壌汚染の調査を行うとされています。操業由来に当たる物質を対象とするということでございますが、環境局では同業種の他の事例を見ながら、対象物質の指導助言をすることがあるのでしょうか。

○島田環境改善技術担当部長 調査の対象となる有害物質につきましては、事業者が行う汚染状況調査の前に届け出される土地利用の履歴等調査届出書の審査におきまして、業種ごとの典型的な使用物質を参考にするなど、汚染のおそれのある有害物質について的確に把握されているか確認を行い、必要に応じて指導助言を行っております。

○田の上委員 調査の前の段階で必要であれば指導助言をするということでございますね。
 別の局の事例になりますが、豊洲新市場予定地では、他のガス工場において二十種類以上の物質を調べているにもかかわらず、七物質のみを対象物質にしているのですが、これも環境局さんのチェックを経ているということだと思います。
 次に、土壌汚染対策法の第十四条ですが、土地の所有者等は自主的に土地の有害物質による汚染状況を調査した結果、指定基準に適合しないと思料するときは、都道府県知事に対し、当該土地について要措置区域等に指定することを申請することができるとされています。
 平成二十一年四月に環境委員会で参考人として招かれた社団法人土壌環境センターの方が、全体の土壌汚染調査の件数の八〇%から九〇%が自主的な調査が行われているというふうにおっしゃっていますが、環境局は自主的な調査をするケースがどれくらいあると認識しているんでしょうか。

○島田環境改善技術担当部長 法第十四条の指定の申請につきましては、昨年度の土壌汚染対策法の改正の中で追加された項目でございます。
 自主的な調査を契機とした法第十四条の指定の申請は、平成二十二年度においては一件となっております。
 自主的な調査は、民間事業者間の土地の売買等を契機に行われることが多く、その実態を正確に把握することは難しいと認識しております。先生のご質問の中でも出ましたが、社団法人土壌環境センターの調査結果によると、平成二十二年度の全国の調査事例におきまして、法や条例に基づかない自主調査が八五%となっております。

○田の上委員 民間事業者間の場合は実態を正確に把握することが困難ということをおっしゃっておりました。また、土壌環境センターの調べでは八五%ということで、申請にまで至るケースは少ないのかもしれませんけれども、土地売買に際してはかなり多くの方々が汚染に対して敏感になっているということのあらわれの数字かと思っております。
 土地改変における所有者の不安というものはとても大きく、土壌汚染の処理後の利用と不動産価値というものを考えると、盛り土や封じ込め対策では指定区域の解除ができないこともあるため、完全除去を目指し掘削除去が多いとも、先ほどの土壌環境センターの方がおっしゃっておりました。掘削をし、新たな土壌を入れかえするケースについて、環境局ではどのように把握をしているのでしょうか。

○島田環境改善技術担当部長 都内におきましては、対策を実施した事例のうち、約九割が掘削除去となっております。この掘削除去を含め、土壌汚染対策につきましては、法、条例とも対策実施者から提出された計画書で事前に確認をしております。その後、完了報告により、対策が的確に実施されたかについて確認を行っております。

○田の上委員 事例では約九割とのことで、かなり多いのだということがわかりました。
 土壌汚染対策法の第十六条では、要措置区域及び形質変更時要届出区域内の土地の汚染土壌を区域外に搬出しようとする際の届け出について記載がされており、容易に汚染土壌が搬出されないようにする、つまり搬出によって汚染が拡散されないように規制をしたものであります。残土処分場や埋立地における不適正事例が顕在化しており、掘削除去が増加していることを踏まえ、不適正な処理を防止するために規定されたものでございますが、搬出土壌について環境局はどのように把握をしているのでしょうか。届出件数、汚染土壌管理票の保存の義務等についての監視を含めてお答えいただければと思います。

○島田環境改善技術担当部長 要措置区域等からの汚染土壌の搬出状況につきましては、法第十六条第一項の規定に基づく、汚染土壌の区域外搬出届出書の内容を審査することにより把握しております。
 届け出件数は、平成二十二年度、五十二件でございました。
 また、汚染土壌管理票の交付につきましては、措置完了報告書により確認をしております。
 なお、汚染土壌管理票につきましては、法の規定に基づき、管理票交付者が保存し、都から必要に応じ報告を求めることができることとなっております。

○田の上委員 非常に大切なことでございますので、ぜひしっかりと監視をしていただきたいと思います。
 土壌汚染対策法では、土壌汚染の摂取経路があり健康被害が生じるおそれがあるため措置が必要な要措置区域と、土壌汚染の摂取経路がなく健康被害が生じるおそれがないため汚染の除去等の措置が不要な形質変更時要届出区域という二種類がございます。いずれも土壌汚染状況調査報告書が提出されると思いますが、環境局では調査がどのように行われたのかを確認する仕組みがあるのでしょうか。

○島田環境改善技術担当部長 国は土壌汚染対策法の改正に伴い、実務に従事する地方公共団体及び事業者が、法に基づく調査及び措置を行うに当たって参考となる手引といたしまして、ガイドラインを作成しております。
 土壌汚染対策法に基づき、事業者から土壌汚染状況調査の結果が報告された場合、このガイドラインをもとに、調査対象地の汚染のおそれの把握、試料採取等を行う区画の選定、試料採取等の実施及び調査結果の評価などが適切に行われているかどうか審査しております。

○田の上委員 国のガイドラインを手引として行っていくということでございました。汚染対策はまず調査結果があってのことでございますので、汚染のおそれがあるのにもかかわらず、調査不足や見逃しになることがないよう審査をお願いしたいと思います。
 次に、詳細調査でございます。
 詳細調査は、第一種特定有害物質については、基準不適合土壌が存在する平面範囲及び深さを把握することを、第二種及び第三特定有害物質については、基準不適合土壌が存在する深さを把握することを主な目的としています。基準不適合土壌の範囲を把握する調査と不透水層の位置を把握する調査、また、汚染の土壌等の措置の実施に伴い、法第十四条を申請した場合の要措置区域等の解除を目的とした調査については、指定調査機関が実施することが望ましいとされています。さまざまな側面で指定調査機関における信頼度が高くなってきているわけですが、この指定調査機関における監視というものはどのように行われているのでしょうか。

○島田環境改善技術担当部長 指定調査機関の指定制度は、土壌汚染対策法に基づく制度でございます。このため、指定調査機関に対する必要な監督は国において行われることとなります。
 指定調査機関が行う土壌汚染状況調査等の方法が適当でないときは、法に基づき、改善命令を出すことが可能であり、これに従わない場合は指定を取り消すことができます。また、監督の実効性を担保するため、都道府県が指定調査機関についての不適正な事例を発見した場合は、国へ連絡することになっております。
 このほか、都といたしましては、指定調査機関を含めた事業者等に対し、届け出の窓口におきまして随時必要な指導を行うとともに、例年開催しております土壌汚染処理技術フォーラムや土壌汚染対策セミナーにおきまして、条例や法の規定等について普及啓発を行っており、指定調査機関のさらなる信頼性の向上に努めてまいります。

○田の上委員 指定調査機関もたくさんございます。不適正な事例を発見するというのは、やはり都道府県であったり現場に近い部分が多いと思いますので、ぜひしっかりとお願いをいたします。
 汚染の除去がきちんと行われた場合、当然にその後要措置区域、形質変更時要届出区域を解除するという運びになります。汚染対策後、測定回数三回以上、期間二年間のモニタリングで、地下水汚染が生じていない状態が続いているという結果が出れば、要措置区域等の解除につながりますが、環境局に届け出があったもので、実際にこの解除ができなかった事例というのはあるのでしょうか。

○島田環境改善技術担当部長 地下水汚染が既に生じていた場合の地下水のモニタリングは、土壌汚染の除去を行った後に二年間地下水の汚染が生じていないことを確認するものであります。
 法が施行された平成十五年から平成二十二年度末までに、都内において地下水のモニタリングにより区域指定の解除を目指した事例は十八件ございました。このうち十七件につきましては区域指定が解除されております。
 また、残り一件につきましては、モニタリングは完了しておりますが、事業者の事務的な都合によりまして措置完了報告書が提出されていない状況にございます。

○田の上委員 一件は事業者のご都合で措置完了報告書が提出されていないとのことでございました。もし万が一、二年間のモニタリングで指定解除ができなかった場合、事業者は解除のために何を行うのでしょうか、教えてください。

○島田環境改善技術担当部長 既に地下水汚染が生じている場合の解除の要件は、汚染の除去と、その後二年間地下水基準を達成していることであります。土壌汚染の除去を行ったにもかかわらず、地下水基準が達成できない事例におきまして、事業者がさらに区域の解除を目指す場合は、まず、地下水基準が達成できない原因について究明し、次に、その原因を解消するための対策を実施することが考えられます。対策実施の後、地下水基準を達成していることを確認し、二年間のモニタリングを行うことになります。

○田の上委員 さらに解除を目指す場合は再度の二年間のモニタリングを実施するということかと思います。
 土壌汚染対策法の届け出の場合は、ガソリンスタンドであるとかクリーニング店などの事例も多いと聞いております。指定解除は汚染の程度もあると思います。先ほどのご答弁から、東京都の場合は余り解除できなかった事例というのがないようですが、社団法人土壌環境センターへ問い合わせをしたところ、二年間のモニタリングで基準をクリアできなかった事例というのは珍しいことではなくて、対策としては、汚染原因を突きとめるための調査や原因物質の除去工事をするということでございました。
 モニタリングの目的が汚染の除去の確認ということであれば、二年後に生じる再調査及び対策は想定しなければならないということだと思います。それでは、モニタリングの際の採水が適正に行われたかどうかはどのように確認をするのでしょうか。

○島田環境改善技術担当部長 区域が指定された十七件の地下水のモニタリングにつきましては、採水の方法や井戸の設置の仕方を示した国のガイドラインに基づき、指定調査機関により実施されております。
 モニタリングにおける地下水の採取や分析等につきましては、実施日時や位置、採水方法等が記載された措置完了報告書の記載内容や計量証明書等により、適正に行われているかを確認しております。

○田の上委員 まずは汚染対策において浄化ができていることが第一でありますが、モニタリングの採水で間違ったものを計測してしまいますと、結果が異なってしまいますので、確認をさせていただきました。
 地下水で満ちて砂層等の透水性がよい地層を、簡単にいうと帯水層と呼びますが、帯水層の底面の汚染の調査ではどのような物質が対象になるのでしょうか。

○島田環境改善技術担当部長 改正法におきましては、表層土壌ガス調査の結果、第一種特定有害物質に指定されている揮発性有機化合物が検出された場合、深度十メートルまたは帯水層の底面まで、ボーリングにより土壌汚染状況調査を行うことになっております。
 なお、先ほどすみません、私は十七件につきまして、区域指定という形だけお答えしておりますが、区域指定が解除された十七件でございます。訂正させていただきます。

○田の上委員 ただいまのご答弁で、揮発性有機化合物である第一種特定有害物質を対象とするということでございました。これもさっきの操業由来の物質を調査対象物質としたものに、どれだけ第一種特定有害物質が含まれているかによって、物質の種類が限られてくることと思います。
 それでは、その揮発性の第一不特定有害物質を対象とした調査深度についてお伺いいたします。十メートル以浅の帯水層の底面で調査をとめた事例はどれくらいあるのでしょうか。

○島田環境改善技術担当部長 法が施行されました平成十五年から平成二十二年度末までに、揮発性有機化合物により指定された案件のうち約三割の十二件が、十メートルよりも浅い帯水層の底面でとめている事例に該当しております。

○田の上委員 帯水層の底面自体が浅かったという事例かと思います。
 それでは帯水層の底面、すなわち不透水層の上端の部分というのはどのように確認をされているのでしょうか。

○島田環境改善技術担当部長 土壌汚染状況調査に係る帯水層の底面の位置につきましては、既存のボーリング柱状図がある場合、この図より確認が可能であります。また、土壌汚染状況調査時のボーリング調査によりましても、この位置の確認が可能でございます。

○田の上委員 そうしますと、基本的には土壌汚染対策法の届け出の際、深度方向の調査で柱状図が添付されているので、それで確認していくということですね。
 粘土層またはシルト層五十センチ以上が連続していることという条件はどのように確認をされているのでしょうか。地層ですのでさまざまなケースが考えられますが、帯水層の底面についてどのように判断されるのかを含めてお答えをいただければと思います。

○島田環境改善技術担当部長 難透水層の連続性や五十センチ以上の厚さを有するということにつきましても、既存のボーリング柱状図、あるいは土壌汚染状況調査時のボーリング調査により確認することが可能であります。既存の柱状図が存在しない場合は、土壌汚染状況調査のボーリングにおいて五十センチ以上の層厚を確認することとなります。
 先ほどお答えしました十二件につきましては、既存のボーリング柱状図、または土壌汚染状況調査時のボーリング調査によりまして、難透水層が確認されております。

○田の上委員 難透水層の連続性や五十センチ厚ということにおいても、国のガイドラインに従ってしっかりと確認をしていくということですね。ぜひこれからもしっかりとチェックをしていっていただきたいと思います。
 土壌汚染対策法十二条一項には、形質変更時要届出区域内における土地の形質の変更の届け出及び計画変更命令が規定されていますが、届け出をしなくてもよい適用除外では、一、通常の管理行為、軽易な行為その他の行為であって、環境省令で定めるもの、二、形質変更時要届出区域が指定された際既に着手していた行為、三、非常災害のために必要な応急措置として行う行為とありますが、それぞれどのような事例があるのでしょうかお伺いいたします。

○島田環境改善技術担当部長 法第十二条の一号に該当する行為としましては、低木植栽の植えかえや工事用の仮設の塀の設置などの軽易な行為が想定されます。二号に該当する行為としましては、指定前に着手されたボーリング調査などの行為があります。三号に該当する行為としましては、地震など非常災害により、緊急的に行われる行為などが考えられますが、現在、都での実例はございません。

○田の上委員 ご説明いただきわかりました。一号は植栽や仮設の塀ということで、地中深くではなく地上における軽易な行為ということでよろしいですね。当たり前のことではございますが、確認をした内容をどの事業者に対しても公平、公正に審査をしていただき、厳しいチェックをしていただきたいと要望いたします。
 昨年四月に土壌汚染対策法が改正されたのは、現状課題によるものでございました。先ほどの質問の中でも申し上げましたが、法に基づかない自主的な調査による土壌汚染の発覚がふえたこと、掘削除去が選択されることが多くなったこと、搬出された汚染土壌の不適正な処理などがもたらす汚染拡散などが当たります。
 土壌汚染を把握するための制度の拡充は、土地取引などの遅延や費用負担の課題もございますが、環境確保のための最低限の調査であり、安全のための処理を求めるものでございます。
 都民の健康がかかっている環境局において、引き続き監視の手をゆるめることのないよう主張とお願いを申し上げまして、質問を終わらせていただきます。

○高木委員 私からは、環境局に関する質疑、大きく分けて三つの項目で質問をさせていただきます。
 まず最初に、世界遺産小笠原諸島の保全についてということでお伺いしたいと思います。
 去る十月十四日に父島で開催された小笠原諸島世界自然遺産登録記念式典、我が党からは三宅議員が出席をいたしまして、皆さんにも大変お世話になりました。ありがとうございました。関係者の皆さんや島民の方々と世界遺産登録をお祝いしてきたということで、すばらしい機会だったというふうに報告を受けております。
 一方で遺産登録は、小笠原の自然を世界共通の財産として、将来にわたって保全をしていく義務を負うことにほかならないわけでございまして、相当な努力と覚悟が必要だということだと思います。
 小笠原諸島は、島の発生以来一度も大陸とつながったことのない海洋島であって、海を隔ててたどり着いた生き物だけで生態系が構成され、独自の進化を遂げてきたという経緯があるわけであります。これらの生物は、厳しい種間競争を生き抜いてきたわけではなくて、他の生態系から外来種というのが入ってしまうと、そのバランスが容易に崩れてしまう、そういうもろさを持っていると思っています。こうしたことから、小笠原の自然遺産を保全していくためには、外来種対策が最大の課題と考えています。
 平成二十二年度決算書の世界自然遺産登録推進事業の中に外来種対策というのがありますが、二十二年度までに小笠原諸島でどのような外来種対策を実施してきたのかお伺いします。

○高橋自然環境部長 小笠原の固有生物を保全していくためには、これらの生存に影響を及ぼす外来生物の除去を進めるとともに、新たな外来種が侵入しないよう水際で防ぐことが重要でございます。
 これまで植生の破壊や固有生物に影響を及ぼすノヤギやノネコの排除のほか、ノヤギを根絶した無人島でのギンネムの排除など、外来種対策を実施してまいりました。また陸産貝類、いわゆるカタツムリを食べるプラナリアが父島で発見されていることから、父島から母島へ渡航する際に、都レンジャーによる靴底の洗浄の指導を行い、母島への拡大を防止してまいりました。

○高木委員 同じく、先日の登録記念式典において、遺産登録にご尽力をされました団体に知事賞が贈られたということでございます。私も、この貢献をされた団体の表彰者のリストを見ておりますと、大変多くの方々の努力があった。殊に地元の団体の協力があればこそ、小笠原の自然が守られるんだなと改めて感じました。
 例えば、いろんな団体がありますけれども、ノネコ対策については、地元と東京都獣医師会が非常に一生懸命やられてきたという経緯を私たちも聞いておりますし、獣医師会からも直接お話を伺っておりますが、ノネコを捕獲してそれを殺さないで、要するに外来種対策をしている。捕獲したノネコを東京まで持ってきて、それを病気や何かを検査し治療して、飼いならして、また飼っていただくための里親さんを探して、そのノネコをこちらで育てる。東京で育てているというようなことも含めて、こういうことを、すごく、ユネスコの調査員からも大変高い評価を受けたということを漏れ聞いておりますが、そういう本当に地道な活動がなければ、その小笠原の自然は守られないんだなというように思いました。
 地元の団体は、外来種の駆除やエコツーリズムの推進に、今、いってみれば具体的にどのように関与されたのか、幾つか事例も含めてお伺いしたいと思います。

○高橋自然環境部長 小笠原の自然を守るためには、外来種対策を初め、エコツーリズムの推進、観光客への普及啓発が不可欠でございます。
 ノネコやノヤギの排除、ギンネムの伐採などの外来種対策、南島などへのエコツーリズムの推進、観光客への普及啓発に尽力されてきた十の団体に、このほど環境賞が授与されました。
 なお、昨年七月にユネスコの諮問機関による現地調査が行われた際、調査員からは、保全活動への地域住民の参画のレベルの高さは称賛に値するとのコメントが示されております。

○高木委員 繰り返しになりますけれども、先ほど遺産登録に尽力をされた団体のことに多少触れましたが、こうした団体の多くが地元にあって初めてその小笠原の自然が守られてきています。小笠原の自然を守る人々がこの島で生活をすること、生活ができることというのも、これも必要、重要だと思っています。
 島の基幹産業は何といっても観光ですから、今後増加すると見込まれる観光客に対応しながら、自然を守り島を活性化していくことが不可欠であると思っています。特に、自然の保全と観光の両立を図るエコツーリズムが、今後ますますその重要性を増してくるものと考えられます。
 エコツーリズムの根幹をなす東京都認定のガイドの数、資質の向上について、現状どのようになっているのかお伺いしたいと思います。

○高橋自然環境部長 南島及び母島の石門に入るには、東京都認定ガイドの同行が義務づけられており、一日に利用できる人数やガイドが引率できる人数、利用ルート等も定められております。
 現在、二百五十九名のガイドが認定されており、小笠原村の人口の約十人に一人が認定ガイドということになります。新規登録及び二年に一度の更新に当たりましては、専門知識や技術に関する講習を実施して、資質の向上を図っております。

○高木委員 世界自然遺産に登録されるということは、冒頭に申し上げましたように大変大きな責務というか、人類共通の財産なんだということで、それを守っていく責務もあるわけですから、そういう意味でガイドの皆さんの資質の向上とか、このエコツーリズムのあり方というものは、ぜひ今後とも一生懸命努力をしていただきたいというふうに思っています。
 要は小笠原の自然を末永く保全していくこと、それにかかわる人々も含めて、地元の人たちも含めて共存共栄というか、その名前に、世界自然遺産にふさわしい小笠原であってほしいと思いますし、そういうことを東京都環境局がサポートしていく、後押しをしていくということにぜひ力を惜しまずに、予算も含めて力を惜しまずに、人類共通の財産が東京にあるということが、これはやっぱりすばらしいことですから、ぜひそういった努力をこれからも続けていただきたいと思っております。
 次の質問に移らせていただきます。
 波の力を利用した波力発電について、一点だけお伺いさせていただきたいと思います。
 東京都の呼びかけによって設置されました産学官による波力発電検討会の昨年三月の報告に基づきまして、昨年度、民間事業者によって波の状況の調査が実施されまして、神津島海域が実証実験可能な海域として把握されたと聞きました。
 一方で、国においては、海洋エネルギー技術の研究開発支援が本年度から開始される予定でありまして、神津島海域を調査した事業者が、この制度の活用による実証実験の実施を目指しているとも聞いております。
 この波力発電のような新たな可能性を期待させる技術の実用化は着実に進めるべきだと私も思っておりまして、今後、島の海域が活用される予定のために、島の生活産業に大きな影響を与える可能性があるわけです。その実態を踏まえて、住民や関係者とよく調整をしながら実証実験を進めるべきだというふうに思っています。
 そこで、波力発電の実証実験に向けた現在の進捗状況、そして今後の都の波力発電に関する取り組みについて伺います。

○和賀井都市地球環境部長 波力発電につきましては、一昨年七月の検討会立ち上げ以来、事業者を中心に、地元関係者などと連携しながら、実用化に向けた検討、調整が進められてきております。
 実証実験に向けました現在の進捗状況でございますが、神津島海域を調査した事業者の提案が、先日国の海洋エネルギー技術の研究開発支援事業として採択されたところでございます。今後の実用化に向けて大きな第一歩を踏み出したものと認識してございます。
 都は、事業者や地元関係者と引き続き連携しまして、実験の進捗状況を的確に把握するとともに、必要な協力を行いながら、我が国におけます海洋エネルギー開発の実現に貢献をしてまいります。

○高木委員 先ほど申し上げたように、こういうことというのは、できる限り、予算の限りもあるんでしょうけれども、新しい技術の開発ですからどんどんどんどんやっていったほうがいいと思うんですね。今まさに電力の関係については、原子力発電所の問題もありますし、その代替エネルギー、自然エネルギーをどうやって開発し、それを実用化していくかということは必要なことですから、積極的にぜひ進めていただきたいというふうに思っています。
 ただ一方で、冒頭に申し上げたように島の皆さんの生活もあって、特に海の上を使うわけですから、そうすると多分主に漁業の方々にいろいろな影響が出てこないとも限らない。漏れ聞いたところによりますと、伊豆諸島のどこかでこの実験をやるということを考えたときに、あるところではちょっと勘弁してほしいんだと、なかなか漁業者のご理解が得られなかったというような事例もあるやに聞いております。
 ですから、神津島のこの近海でやっていただくということが、非常に、そこでやらせていただけるということでご理解をいただいたことは、大変ありがたいことでありますから、ぜひそういう意味では、神津島の関係者に対する手厚い配慮を環境局の方も考えていただきたい。いろんなことを意見交換をしながら、少なくともですね、ご迷惑にならないように、そして将来の可能性についてぜひ前向きに検討すべく、頑張っていただきたいということでございます。
 次の質問をさせていただきます。
 学校の校庭の芝生化にあわせた壁面緑化のことについてお伺いしたいと思います。
 都は、平成十九年度から本格的に校庭の芝生化を推進しております。校庭の芝生化をすることは、東京を緑あふれる都市へと再生する重要な施策であると思います。
 私はこの校庭芝生化、現在公立の小中学校で二百二十八校、三十一ヘクタールという面積が芝生化をされたというふうに聞いているんですが、この校庭の芝生化について区市町村や学校などの関係者に聞いてみますと、維持管理の負担感が重いという話も実は聞いています。しかし一方で、その芝生化の意義というのは、非常にたくさんありまして、都市の緑化にとって大きな面積が確保できますから、大変重要だということで、子どもたちの校庭で遊ぶ時間が長くなるとかいろんなメリットもある。したがいまして子どもたちの体力の向上にも大きな効果を生み出すというようなよい面もあるということで、なかなか、整備するための予算や負担感とその効果というものが、いろいろ考え方があるんだろうというふうに思っています。
 ところで、東京都は校庭の芝生化と組み合わせて、校舎の壁面緑化をする場合に区市町村に補助を行っています。私は公立小学校における壁面緑化の推進という観点に絞って今回はご質問させていただくんですが、平成十九年度から校庭の芝生化とあわせて壁面緑化に取り組んできたその意義を教えていただきたいと思います。

○高橋自然環境部長 都内の公立小中学校は、校庭に樹木や花壇などが整備され、地域における緑の拠点となっております。こうした学校の緑は、周辺の公園や街路樹などとあわせて、都市化が進んだ東京において緑の連続性を確保できる場となっております。こうした学校施設の特性に着目して、都では、平成十九年度から校庭の芝生化とあわせて区市町村が行う公立小中学校の校舎などの壁面緑化を支援し、緑化を推進しております。

○高木委員 続いて、校庭の芝生化にあわせて壁面緑化を行っている公立小中学校の芝生化の実績についていかがですか。

○高橋自然環境部長 都では、公立小中学校における緑化を推進するため、校庭の芝生化にあわせて建物の壁面を緑化する際に区市町村への補助を行っております。壁面緑化はヒートアイランドの緩和や夏場の体感温度の低減という省エネルギー、さらに都市景観の向上といった効果もございます。
 これまでに、都内十六の公立小中学校において、都の補助を受け、校庭の芝生化とあわせて校舎などの壁面緑化を実施しております。

○高木委員 冒頭に、公立小中学校の校庭を芝生化した学校数、公立小中学校二百二十八校ということを申し上げておりますが、ただいまの答弁の中では、壁面緑化に取り組んだところは都内十六ということなんですね。二百二十八校が芝生化をしていて、壁面緑化に取り組んだところがそのうちの十六だという理解だと私は思っていますが、ここにやっぱりかなり落差を感じるんですよ。芝生化もいい、壁面もいいんですよ。つまり全体として東京都の緑をふやしていくという政策の一環ですから、それは壁面もあり芝生化もありで、両方ともいいことなんですね。
 ところが、私はかつて本会議の質問の中でも取り上げましたけれども、この芝生化と壁面緑化がセットである必要性というのがどこかにあるのだろうか。つまり、緑をふやすという意味では芝生化もいいですよ、壁面もいいですよということで、何もセットじゃなくてもいいんではないかというふうに私は思っているんですよ。
 で、その質問を最後にまたしますが、その前に、もう一方で、東京都が推進している壁面緑化の取り組みの中で緑のカーテンってありますよね。その緑のカーテンとこの今やっている学校の壁面緑化というのは、どこがどういうふうに違うんでしょうか。

○高橋自然環境部長 いわゆる緑のカーテンは、プランターや植木鉢などを活用して、主に建物の一階部分の壁面を植物で植栽する簡易なものでございます。
 一方、現在都が校庭の芝生化とあわせて補助しております壁面緑化は、植物へのかん水装置などを備え、建物の屋上階までの壁面を植物で植栽するものでございます。
 緑のカーテンは、区市町村が単独で取り組むことができる簡易な壁面緑化であり、都が補助を行っております壁面緑化は、装置や緑化面積等の規模が大きいものでございます。

○高木委員 壁面緑化と今のご説明の緑のカーテン、違いについてはよくわかりましたけども、緑をふやすという意味では同じ試みというか、方向性は一緒。ですから、私は、余り事業としてどれがどれというふうに分けることは、行政的には必要なことなんだろうと思いますけれども、全体として都の緑をふやしていくために、補助制度を含めてもっといろいろな柔軟性のある政策展開をした方がいいんだろうなと思って、あえて実はことしのこの決算委員会の中で、この話題を出させていただいたんです。
 私はこの壁面緑化については、校庭芝生化とずっとセットでやってきましたけれども、そろそろ政策をもう一段ギアチェンジをしていく時期に来たんじゃないかなと思います。つまり、今まで進めてきた壁面緑化と校庭芝生化がセットの補助制度というのは、やっぱりそれぞれ、そろそろ単独の補助制度に切りかえていくべきじゃないかな。つまり、全体としては東京の緑をふやしていくんだと、校庭の芝生化もいい、そして壁面もいい、あるいは緑のカーテンもそうでしょう、そういう小さいものも含めてですね。いろいろなことがあって、東京の緑が全体としてふえましたよということが、まさに今必要になってくるんだろうと思いますから、補助制度の中で、芝生化、壁面緑化、セットでなければだめですよというんだとすれば、この進みぐあいが、先ほど申し上げたように二百二十八校に対して十六校しかまだやっていないということの問題も含めて、私はちょっと進みぐあいがまた遅くなってしまうんじゃないかなという懸念があるんで、そういう思いを持っているわけなんです。
 ですから、東京都は積極的に区市町村をこれからも支援をしながら、公立小中学校の壁面緑化を推進していくべきである、それは芝生化と別枠でね、私は補助制度も組み上げていくべきなんではないかなというふうに思います。今、なかなかはっきりしたことをいえる段階じゃないんだろうと思いますが、思いとしては、私は全体として東京の緑がふえていくということに対して、環境局がその仕組みをつくっていく、その仕組みをつくっていくときに、どうしたらこれが進んでいくんだろうかということをもう一度ぜひ考えていただきたい。そういうことでございますから、ぜひその点についてお願いしたいと思います。何か答弁があればどうぞ。

○高橋自然環境部長 公立小中学校におきましては、芝生化とあわせて壁面緑化に取り組む区市町村や学校が徐々にふえてきている状況にございます。
 公立小中学校における壁面緑化は、先ほどご説明申し上げましたヒートアイランドの緩和や省エネルギーなどの環境面の効果だけではなく、壁面緑化に使われるアサガオなどを利用した学習など、子どもたちの教育面にも広く活用され得る取り組みでございます。
 都では今後、区市町村や学校現場の状況やニーズを的確にとらえ、環境のため、子どもたちのために、校舎などの壁面緑化の支援について検討を進めてまいりたいと存じます。

○高木委員 私はこの芝生化の事業、それから壁面緑化あるいは緑のカーテン、この緑の関係については、実は個人的に非常に興味がございまして、いろんなところを視察をしたりしてまいりまして、今までもね。例えば、東京とは全然環境が違うというか、制度も違う、補助制度も違うのかもしれませんが、大阪の有名な味原小学校を視察させていただいたり、あるいは壁面の関係でいうと兵庫県の西宮市役所の壁面緑化、こういうところを見せていただいたりして、いろいろ話を聞いてきたんですね。
 例えば芝生化でいうと、大阪の味原小学校なんかはまさに通年芝生で、要するに夏芝、冬芝の植えかえも含めて全部PTAの人たち、学校関係者がやっていらっしゃる。それはもう釈迦に説法ですが、夏芝は多年草、冬芝は一年草ですから、冬芝の場合は毎年種をまかなきゃいけない。種が発芽をして、そして芝生のような形になるまでに、大体三週間、二週間から三週間といっていましたけれども、養生の期間がかかる。その間、やっぱり校庭にも入れない。校庭に入れないということになれば、子どもたちをどこかで遊ばせなきゃいけない。活動も別のところに行かなきゃいけないということで、この芝生化の事業ってすごくいいんですしすばらしいことなんだけども、やはりそういう意味ではハードルの高い事業の一つだなというふうに感じてきたんですよ。
 それをずっと東京都がやってきたこと、今までのことも含めて見てくると、やっぱり学校の負担感というのはかなり高くて、だからこそ一部を芝生化をしたり、だからこそ、全部を全面芝生ではなくて一部人工芝生を残してやったりとか、今までもいろんな工夫があったと思いますね。だからこういう工夫をしながらこれからも進めていただきたいんだが、いただきたいんだけれども少なくとも、そのハードルの高いことを全部押しつけるんではなくて、緑がふえるという全体のバランスの中でこの事業に取り組んでいただきたいし、緑をふやすという目標に向かってぜひご尽力いただきますようにお願いを申し上げておきたいと思います。
 以上でございます。

○加藤委員 私からは、決算説明書四〇ページにあります緑の新施策の推進に関する事業につきまして、まず最初に何点か質問をしていきたいと思います。
 八百万強の予算を執行して緑の指標調査等を行ったとありますけれども、この緑の指標調査とはどのような調査なのかまず伺います。

○谷上緑施策推進担当部長 平成二十二年度に実施した緑の指標調査につきましては、平成二十年のみどり率の数値の精査を行うとともに、その増減要因を把握する調査を行ったものでございます。みどり率の把握は五年に一度行っており、前回のみどり率は平成十五年にその値を把握いたしました。

○加藤委員 今、みどり率という指標のお話が出たんですけれども、一般的にこの緑の指標としては緑被率、そういうことで示されることが多いと思うんですけれども、なぜ都が緑被率ではなくてみどり率を指標としているのか伺います。

○谷上緑施策推進担当部長 緑被率とは、緑が地表を覆う部分が地域全体に占める割合をいい、一方、みどり率は、緑被率に公園区域と水面を加えた面積が地域全体に占める割合、これを加えたものをいいます。
 緑には、生物の生存基盤、潤いや安らぎ、防災、都市環境の改善という多面的な機能があります。こうした多面的な機能は、樹林や草地などの緑に覆われた地表だけではなく、緑に覆われていない部分も含めた公園全体や河川等の水面においても発揮されています。このため、都では、公園内の緑に覆われていない部分や河川などの水面の面積も加えた指標であるみどり率を採用しています。

○加藤委員 都内の緑の現状や変化というものを定期的に調査するということは、施策の効果を把握する上で大変重要な取り組みであります。
 そこで、直近の平成二十年のみどり率と過去からの推移について伺うとともに、この数値が、本年九月に環境局が公表した東京の環境二〇一一、ここに持ってきていますけれども、この東京の環境二〇一一で初めて明らかになったことから、この数値の把握に時間が要したのはなぜなのかということを伺います。

○谷上緑施策推進担当部長 平成二十年のみどり率ですが、区部で一九・六%、多摩部で六七・四%、島しょ部を除く都内全域では五〇・七%となっています。
 一方、平成十五年のみどり率は、区部で二〇・〇%、多摩部で六九・八%、都内全域で五二・四%となっており、平成十五年から五年間の変化を見ますと、区部でほぼ横ばいとなっておりますが、多摩では約二ポイントの減と減少傾向が続いております。
 みどり率の把握に時間を要した理由ですが、みどり率の調査ではデジタル航空写真を使用していますが、緑を解析、抽出した結果をもとに、緑色の屋根を除く補正や建物の陰に隠れた緑の補正など、さまざまな補正を施しています。補正後は、目視による判読で最終確認を行い、みどり率を確認しているため、時間を要しました。
 なお、十五年のみどり率はこれまで暫定値でしたが、同様の理由により、今回補正を行い、確定値としています。

○加藤委員 ただいまの答弁で、かなり詳細な調査をやっているということがわかりました。非常に精密というか、時間がかかるやり方だなと思うんですけれども、では、平成二十二年度の調査で把握した緑の増減要因については、どのような分析結果となっているのか伺います。

○谷上緑施策推進担当部長 区部、多摩部ともに公園緑地等は増加していますが、それ以上に、特に多摩部では、宅地造成など開発による樹林、草地、原野や農用地が減少している結果でした。

○加藤委員 これまでの答弁で、区部は横ばい、多摩は減少傾向が続いているということですけれども、都市においてその緑の果たす機能ですね、これは大変重要であると思います。区部では都市開発が行われているにもかかわらず、以前より緑が増加した、そういう印象がありますけれども、これまでにどのような取り組みを行ってきたのか伺います。

○谷上緑施策推進担当部長 都は、新たな緑の創出に向け、平成十九年度から緑の東京十年プロジェクトを展開し、この中では、海の森や都市公園の整備、街路樹の倍増、校庭芝生化などの取り組みを進め、平成二十二年度までの四年間で街路樹を十九万本ふやすとともに、四百二十七・三ヘクタールの新たな緑を創出いたしました。
 また、緑の東京募金や緑のボランティア活動、普及啓発活動などを通じた緑のムーブメントを推進し、都民、企業の意識を緑に向け、社会全体で緑の創出行動に結びつけております。
 なお、平成二十年のみどり率には、ただいまご説明いたしました緑の東京十年プロジェクトの成果がほとんど反映されておりません。今後みどり率の改善につながると考えております。

○加藤委員 ただいま緑の東京十年プロジェクトを展開するとの多角的な取り組みについて答弁をいただきました。
 一方、多摩部では開発により緑が減少しているとのことですが、住宅環境の整備ということを考えますと、開発行為というものをすべてとめてしまうということは現実的ではありません。そこで、今後は生物多様性の保全、ヒートアイランド現象の緩和、防災面での効果など、緑の質ですね、緑の質に配慮し、さまざまな視点からの評価も加えながら、緑施策を推進していくべきと考えます。都の見解を伺います。

○谷上緑施策推進担当部長 都は、これまでも開発許可制度において緑化基準の強化を行うとともに、大規模な開発案件では、民間事業者の指導において希少種の生息環境や周辺緑地との緑の連続性への配慮など、より質の高い緑の確保を進めております。
 今後は、今回明らかになったみどり率も踏まえるとともに、多様な生き物が生息しやすい環境を整えていくことや、緑の蒸散作用によるヒートアイランド現象の緩和、火災の延焼防止や都市水害の軽減を初めとする防災面での効果など、緑の持つ多面的な機能を十二分に発揮できるよう、新たな緑施策の方向性を今年度中に取りまとめてまいります。

○加藤委員 水と緑に囲まれた都市空間を再生し、魅力あふれる先進都市東京の構築に向けて、来年度の事業にも反映をさせていただきたいと思います。
 それでは次に、同じこの決算書四〇ページにカラス対策事業とあるんですけども、四千八百万円ぐらいですかね、これについて質問をいたします。
 東京都は、石原知事が就任しました平成十三年度からカラス対策に取り組んでいます。私の地元の墨田区においても、特に皮革油脂産業の集まる東墨田地域では、カラスの産卵期にカラスに威嚇されたとか、早朝鳴き声がうるさいなどの声をよく聞きます。
 生き物を対象に行うため、大変な事業であるということは十分認識していますが、改めてこれまでの取り組みを伺います。特に、墨田区における現状の説明をお願いします。

○高橋自然環境部長 カラス対策事業につきましては、平成十三年度から、捕獲トラップによるカラスの捕獲とカラスのえさを断つためのごみ対策の二つを柱として、都と区、市が連携して進めてきております。
 都は、捕獲トラップによる捕獲を主に行っており、平成二十二年度は約一万七千四百羽を捕獲いたしました。これまでに延べで約十四万羽のカラスを捕獲してまいりました。
 この結果、平成十三年度の事業開始時には三万六千四百羽であった生息数は、平成二十二年には二万八百羽と大きく減少しております。
 なお、墨田区における取り組みでございますが、区にご協力をいただきまして、東墨田二丁目にある木下川小学校跡地に捕獲トラップを二基設置いたしまして、カラスの捕獲を進めております。
 都といたしましては、今後とも引き続き着実に対応を進めてまいります。

○加藤委員 二十二年度、約一万七千四百羽の捕獲を行ったという説明がありましたけれども、これは平成十五年度に次いで二番目に多い捕獲数だというように思います。手を抜くとすぐまた元に戻ってしまいますので、今後も引き続き区市と協力しながら、対策の継続をお願いしたいというふうに思います。
 また、東墨田地域には未利用の都有地も結構ありますので、今後、こうした都有地の一時活用策なども検討をしていただくよう要望いたしまして、質問を終わります。

○畔上委員 資料作成ありがとうございました。私からも、緑の拡大についてとそれから波力発電について伺いたいと思います。
 申すまでもなく、地球温暖化に係るCO2の吸収源としての役割、それから生物多様性の確保、クールアイランドへの貢献、景観そして雨水の透水機能など、緑の果たす役割というのは非常に重要であるということはいうまでもないわけですが、先ほどのご答弁で平成二十年のみどり率のお話がありましたが、その説明の際に五年ごとということでありました。ということは、平成二十二年度のみどり率というのは二十年の確定値だという理解でよろしいんでしょうか。

○谷上緑施策推進担当部長 先ほどお答えしましたとおり、最新のみどり率は平成二十年、これは確定値でございます。区部が一九・六%、多摩部が六七・四%、都内全域で五〇・七%となっております。

○畔上委員 これまでずっと十五年の暫定値でいってきたんですが、暫定値は二四%だったわけですね。確定したのは二〇%ということなんですけれども。
 きょう初めてそのデータが示されたわけなんですけれども、当初公表した暫定値と確定値の違いは何かということで、先ほどのご説明では、デジタル航空写真を使用して精密になったんだとというお話だったんですが、ことしの三月の環境・建設委員会のたしか議事録を読んだときには、また暫定値でのお話だったわけですね。ということは、直近に二〇年の確定値が出たということなんでしょうか。

○谷上緑施策推進担当部長 平成二十年のみどり率の発表とあわせまして、平成十五年のみどり率につきましても、暫定値から確定値に変更しております。

○畔上委員 つまり、ことしの三月までは暫定値でいろいろ説明がされてきたのですね。ここにきて、きょう初めて確定値になったというご説明があったわけですね。それはいつ変わったのかということなんです。

○谷上緑施策推進担当部長 今回公表いたしました平成二十年のみどり率につきましては、ことしの九月に発表いたしました東京の環境二〇一一の中で明記してございます。その際、平成十五年のみどり率につきましても、暫定値を確定値に変えてございます。

○畔上委員 じゃ、ことしの九月ということですね。わかりました。
 先ほどのお話では、みどり率が多摩部では減っているけれども、その理由は宅地化などによるものだというご説明がありました。その多摩丘陵とか武蔵野の雑木林などですね、宅地林は結局相続のたびに売却をされていく、宅地化されてきてしまった、それを食いとどめない限り、緑はどんどん減少していくわけですよね。
 この間、局としてもご努力されているとは思いますが、緑の基本となる森林、それから里山や農地、そういったものがほとんど民有地という中で、どうやって緑を守っていくのか、どうやって緑を拡大していくのかということを考えたときに、公有化などを環境局としては取り組まれているわけですけれども、公園をふやしたりするのは建設局でありますし、また固定資産税の問題でいえば財務局でありますし、また、まちづくりという観点で見ますと都市整備局ということになるわけで、そういう意味では、今の東京の緑が減っているという現状を、やはり私はオール都庁の認識にしていく、また都民の全体の共通認識にしていくということが、非常に大事だというふうに思います。
 そういう点ではぜひ、そうした視点で環境局がもっとみどり率の減少を、警鐘を乱打していただきたいなと、これは要望しておきたいと思います。
 加藤委員からも緑被率とみどり率の違いの質問があって、それにお答えがあったんですけれども、私がどうも納得いかないのは、やはり緑被率がみどり率と算出根拠を変えたことによって、今まで緑被率に入っていなかった河川の面積、それから、公園の中で緑に覆われていない、そういう面積も加わったということでありますから、それはどう考えても、この間減少している緑を少しでも多く見せるための水増しというふうに考えてしまうんですけれども、河川の水面などまでみどり率に加えた、その理由をもう一度ご答弁いただきたいと思います。

○谷上緑施策推進担当部長 水面などをみどり率に加えた理由でございますが、緑には生物の生存基盤、潤い、安らぎ、防災、都市環境の改善という多面的な機能がございます。先ほど申し上げましたとおり、こうした多面的な機能は樹林や草地などの緑に覆われた地表だけではなく、緑に覆われていない部分も含めた公園全体や河川などの水面においても発揮されてございます。このため、このような部分につきましても面積に加えまして、みどり率という指標を用いてございます。

○畔上委員 確かに、水は人々の心に潤いをもたらす、それはそのとおりだと思いますし、また緑と相まって生物の多様性をつくり出すというものであることは、そのとおりだというふうに思いますが、しかしですね、やっぱり緑は河川などの水面と違って、先ほどのお話にもありましたように、ほっとけば結局開発などにさらされて失われてしまうわけですね。
 環境局自身の緑の保全の取り組みのほとんどが樹林の整備や保全緑地の公有化、先ほどあった校庭の芝生化などですね。水面の保全じゃなくて、結局まさに緑地の保全やその拡大を事業として進めていらっしゃる。そのことにも私はあらわれているんだというふうに思います。ほとんど増減のない河川まで含めてみどり率とすることは、やっぱり緑をどうふやすかというその目標をあいまいにして、目的意識的な取り組みを弱めてしまうんじゃないかというふうに思います。そういう点では、私は以前のようにきちんと緑被率で緑をふやしていくという姿勢が必要だと思いますし、そのことは強く改善を求めたいと思います。
 具体的なちょっとお話なんですが、屋上緑化の問題で、実行プログラム二〇一〇では、三年間で百ヘクタールの緑を創出させるというふうになっていましたが、二十二年度の実績はどうだったんでしょうか。

○高橋自然環境部長 都では、都市における緑化を推進するために、自然保護条例に基づく緑化計画書制度等によりまして、屋上等の緑化を推進しております。平成二十二年度の屋上等の緑化実績は約十一・二ヘクタールとなっております。

○畔上委員 その前の年も十五ヘクタールということで、大体この間の実績を見ましても、三年間で百ヘクタールに到達するにはさらなる対策が必要なんじゃないかというふうに思っております。
 この屋上緑化の指導ですけれども、既に区市で独自に助成制度を行っている自治体というのは二十自治体あるわけですね。そういう意味では一定の前進もあるわけですけれども、私は住まいの屋上緑化への助成なども都が積極的に行っていただきたいなと思います。これは要望しておきたいと思います。
 またあわせて、都が現在実施しています屋上緑化指導というのは大切なことなんですけれども、しかしながら民間への指導の場合は、容積率の緩和などのボーナスをつけている、これは結局その分CO2がふえて、排出量をふやすことになるわけですから、やっぱり私は環境を守る立場で厳しく、そういう点では指導していただきたいなというふうに思います。
 次に、校庭の芝生化についてです。
 先ほども高木委員の方から、維持管理が非常に大変で負担があるんだというお話がありました。実は私の地元の地域の小学校でも芝生化をしたんですけれども、たまたまPTAの中で本当に熱心なお父さんたちが何人かいらっしゃって、手入れをよくしてくださって、何とか維持をしているというのが実態でありまして、本当にその点の維持管理の問題というのは、今後の大きな課題の一つだなというふうに私も認識しています。
 ただ、やっぱり校庭の芝生化は、先ほど来お話があるように非常に重要な施策だとも思っています。二十二年度の到達、これは何ヘクタールになっているんでしょうか。

○高橋自然環境部長 平成二十二年度末現在、公立小中学校二百二十八校のほか、都立学校などを含めますと、四百七十二カ所で合計五十三・三ヘクタールの面積の校庭を芝生化しております。

○畔上委員 「十年後の東京」計画では三百ヘクタールが目標というふうになっているわけで、これをどうクリアしていくのか、なかなか、今五十三・三ヘクタールというお話でしたが、これどうクリアするおつもりでしょうか。公立小中学校、都立学校、それから私立学校、それぞれの内訳で目標と到達のための対策をお聞かせください。

○高橋自然環境部長 校庭の芝生化事業の目標につきましては、「十年後の東京」への実行プログラム二〇一一では、平成二十三年度から二十五年度の三カ年間で、公立小中学校は三百四十五校、面積五十ヘクタール、都立学校は約三十校、約八ヘクタール、私立学校は十八校などとなっております。
 都では、芝生化のための工事費や専門的維持管理経費等を補助するとともに、芝生の専門家を学校に派遣するなど、区市町村や学校を支援することにより、校庭の芝生化を推進してまいります。

○畔上委員 これだけでは目標に達せないということがわかったわけですが、例えば私立学校の場合ですね、補助がなければ芝生化は独自の経費ではなかなか難しいんですというお話も伺っています。そういう中で、東京都も全額補助にしたわけですけれども、その補助はあくまでもモデル事業ということで全額補助しているわけですから、全体に広がらないのが現状だというふうに思います。
 先ほども十八校というお話だったんですけれども、私学の場合は幼稚園から高校まで合わせますと千校近くあるわけです。そういう点では、やっぱり都が補助対象の拡大を図るとか、しっかりとイニシアチブを発揮していただいて取り組んでいただきたいなと思います。
 次に、保全地域の公有化の問題です。
 保全地域の公有化の実績が、二十二年度実績は、予算に対して決算額で見ますと七四%ということでありましたが、今後の見通しはどうなんでしょうか。

○高橋自然環境部長 都では自然の保護と回復を図るため、自然保護条例に基づき、貴重な自然地を保全地域として指定しております。
 保全地域の公有化は、保全地域内の土地の所有者が受ける強い利用制限に対する補償制度であり、土地所有者からの申し出に基づき都が買い入れるものでございます。
 これまで都では、土地所有者から申し出があった場合には、相続税納付の緊急性などの諸条件を勘案しまして、速やかに手続を進めており、必要な予算を措置し公有化を進めてきております。

○畔上委員 都内の市長会からも、来年度予算要望でもこの問題出ておりますよね。東京都の市長会環境部からの要望を見ますと、多摩川沿いの崖線樹林についての都による指定と公有化、それから、市としての保存樹林地などの保全に対する補助制度の創設、これもぜひ行ってほしいということが市長会からも要望されております。そういう点では、ぜひこうした要望にこたえて、積極的にこたえていただきたいということを申し上げておきたいと思います。
 そもそも、東京都として緑の倍増計画というのが以前ありました。身近な緑を倍増させる計画で、公園は二倍に、それから樹木数は一億本から二億本にという計画であったのに、それがあいまいになってきているわけですね。その計画にはこういうふうに書いてありました。東京は成長過程の中で、必要な緑を余りにも粗末にしてきた。東京都の都市政策も含めて総括して、保全緑地や生産緑地、それから保安林の拡大などを具体的にしてきたわけですね。
 石原都政になってから、百メートルを超えるビルは一体幾ら建ったのかなということで調べたんですが、二百四十棟ふえているんです。その床面積、延べ床面積ですけれども、これを計算しますと二千百四十七万六千四百平米にも上るんですね。この床面積からどれくらい一年間でCO2が排出されるのか。中には大学とか住宅などの用途もありますが、これを事務所として計算してみました。そうしますと約二百十万トンになるんです。
 これらを吸収するのに必要な緑の面積は、じゃあ、一体幾らになるのかということで計算してみようと思いましたら、林野庁のホームページで、大まかなCO2吸収量の目安として、一ヘクタール当たり、杉であれば一年間に一トンから三トン程度、広葉樹であれば一年間に一トン前後だと考えられるというふうに書いてありました。ですから、広葉樹林でいえば約二百十万ヘクタール前後、それから杉林でいえば七十一万から二百十万ヘクタールの土地が必要になるわけですね。これは東京の面積でいえば三倍から十倍という物すごい量になってしまうわけです。
 もちろんすべて更地に建てられたわけでありませんから、中には古いビルの分だけCO2排出量が減ったり、それから、単位当たりのCO2の排出量は大幅に改善させたというビルもあると思うんです。だから単純にはそうはいえないかと思いますけれども、しかし東京のCO2の排出量の推移の特徴として、業務部門のCO2の排出量の増加が著しいこと、その原因が事務所ビルの床面積の増加にあることは、環境局の二十二年度の事務事業概要でも認められているところなわけです。
 緑をふやそうと、本当に環境局の皆さんも一生懸命ご努力されている一方で、東京一極集中を加速させて、それをはるかに上回るようなCO2の排出量をふやしている、これでは、本来の緑あふれる東京にするという緑倍増計画とはいえないというふうに私は思います。
 緑をふやして、本当に子どもたちにきれいな空気と、少しでも地球環境の改善をしたものを子どもたちに引き継いでいく。そのためには、やっぱりこうした一極集中の都市のあり方そのものを抜本的に見直すべきだと私は思いますし、そのためには、ぜひ環境局が大きなイニシアチブを発揮していただいて、緑の保全や拡大を強く主張していただきたいなというふうに思っております。そのことは強く要望して、次の質問に移りたいと思います。
 波力発電の導入なんですが、波があればどこでも発電できる海洋発電の活用というのは、私も急がれていると思います。先ほど高木委員からも波力発電の研究会の立ち上げで、報告書と提言が出されたというお話もありました。これを受けて二十二年度、都としてどのようなことを行ったのかまず伺います。

○和賀井都市地球環境部長 昨年度は、昨年三月にまとめました波力発電検討会の報告に基づきまして、民間事業者によって波況調査が実施され、実証実験可能な海域が把握されたところでございます。
 また、都は、国への提案要求において、波力発電を国のエネルギー政策として法的に位置づけ、開発導入に取り組むことを求めております。

○畔上委員 私も積極的に活用していただきたいと思いますが、都として波力発電の可能性、これをどう見ているのかお示しください。

○和賀井都市地球環境部長 国土を海洋に囲まれました我が国では、海洋エネルギーに恵まれております。波力発電につきましては、今後の技術開発ですとか、地元島民等の理解を得るなど、克服すべき課題も多うございますが、高いポテンシャルを有するものと考えております。

○畔上委員 波力発電の研究や実験というのは、九〇年代後半までは結構盛んに行われていたということなんですが、ここ十年、ほとんど進んでいなかったというふうに伺っています。
 ブイ型の波力の発電は、十キロメートル四方で五百万キロワット程度の発電施設規模を持つそうですけれども、それがこの設備費用を二兆円として、耐用年数を三十年とすると、一キロワット当たりのコストというのは五十円程度になるそうなんですね。十万キロワットを超えるような普及段階になると、一キロワット当たりのコストは二十五円ぐらいになるだろうと考えていられるそうです。
 波力発電の適地というのは、実は洋上風力発電の適地でもある場合が少なくないと見られていまして、波力と洋上風力とを組み合わせたもの、これでは海底ケーブルや関連施設の共用で、さらにコストダウンの可能性もあるというふうにいわれています。
 先ほど漁業との関連というお話もありましたが、そうした不安がある一方、発電設備を漁礁効果にもあわせ持つものとして設計すれば、漁業権の設定も視野に入れることが可能だとそういった研究結果もあるんですね。ですから、私は水産業の活性化とこれを一体に取り組んで、実証実験の支援などを抜本的に強めて、波力発電を広げるということを提案したいと思うんですがいかがでしょうか。

○和賀井都市地球環境部長 先ほどもご答弁いたしましたが、昨年度波況調査を実施しました事業者が、国の支援の活用によります実証実験の開始を今年度予定してございます。都はこの実験の進捗状況を的確に把握するとともに、波力発電の実用化に向け必要な協力を行ってまいります。

○畔上委員 繰り返しになるかもしれませんが、水産業とのね、私は活性化と一体との、そういった取り組みも非常に有意義じゃないかという意味でちょっとお話をさせていただいたんですけれども、やはり今、原発依存から脱原発の政治的決断が求められていると思いますし、また自然エネルギーというのは、五十四基あります今の原発の四十倍の潜在能力を持っているという点では、やはり私は自然エネルギーを大いに活用していただきたいと思いますし、その研究開発を進めていただきたいと思っています。
 同時に、やっぱり日本は世界に冠たる海洋国でありますから、海からのエネルギーを分けてもらう、こういう方法をぜひ促進していただきたいということを申し述べまして、質問を終わりたいと思います。

○長橋委員長 この際、議事の都合により、おおむね十分間休憩いたします。
   午後二時五十二分休憩

   午後三時六分開議

○長橋委員長 休憩前に引き続き分科会を開きます。
 質疑を続行いたします。
 発言を願います。

○今村委員 それでは、私の方からも、本年六月パリのユネスコ本部で開催された世界遺産委員会において、東京から、本土から一千キロ離れた、ボニンブルーの海と、誕生以来四千八百万年、一度も大陸とつながっていない奇跡の命をつなぐといわれる小笠原諸島が、日本で四番目の世界遺産として登録が決定されました。
 そこでまず、小笠原の生態系が世界遺産登録に至ったことについて、東京都はどのような事業を行ってきたのか伺います。

○高橋自然環境部長 小笠原の自然を保全するためには、外来種対策、エコツーリズムの推進、観光客への普及啓発が大切でございます。
 東京都では、媒島や婿島におきましてノヤギの排除を行い、これまでに無人島での根絶に成功しております。また、平成十四年度からは、南島と母島の石門におきまして認定ガイドの同行や利用ルート、時間を制限する東京版エコツーリズムを推進しております。さらに、平成十六年度、東京都レンジャーを配置して、観光客への利用マナーの普及啓発を行ってまいりました。

○今村委員 世界遺産登録にとって大変重要であった小笠原諸島の生態系を保全するためには、外来種対策が重要であるということが、今の答弁でもわかりますけれども、平成二十二年度の外来種対策事業費について、予算と決算及び執行率、そしてまた具体的な取り組みについてお聞きいたします。

○高橋自然環境部長 平成二十二年度の外来種対策に関する予算と決算及び執行についてでございますが、国の補助事業費と都の単独事業費を合計した予算額が約二億二千八百万円であり、これに対する決算額は二億二千七百万円で、執行率は九九%となっております。
 植生の衰退や固有生物の生存を脅かすノヤギについて、平成九年度、媒島において排除を開始し、これまでに無人島でのノヤギ根絶の成果を得るとともに、ノヤギ根絶後の外来植物排除を実施しております。さらに、平成二十二年度からは父島におけるノヤギ駆除に取り組んでおります。また、外来種の父島から母島への拡散や新たな外来種の持ち込みを防ぐために、港での都レンジャーによる監視や指導などを実施しております。

○今村委員 予算の執行率が九九%ということでありますけれども、しっかりと中身が充実したものになっていくこと、そして雇用にもつながることだと思いますけれども、限られた予算ではありますけれども、その中身が適正であるということもしっかりと監督しながら、これからも努めていただきたいというふうに思います。
 それでは次に、外来種対策において、観光客などの移動による外来種を持ち込ませないための対策が重要であると考えますけれども、そのためには、東京都が認定をしております都レンジャーの果たす役割がこれまで以上に大きなものになると考えます。これまでの都レンジャーの配置状況と業務内容を伺います。

○高橋自然環境部長 小笠原国立公園には国のレンジャーが設置されていなかったため、国に先駆け、平成十六年、父島に三名、平成十八年、母島に三名の東京都レンジャーを配置して現在に至っております。
 主な業務は、観光客への利用マナーの普及啓発、不法行為の監視、自然環境の継続的監視、観光業者への指導等でございます。

○今村委員 都のレンジャーがその業務を円滑に遂行するには、都レンジャーの育成が重要であると考えますけれども、これまで都はどのような取り組みを行ってきたのか伺います。

○高橋自然環境部長 都レンジャーの採用に当たりましては、動植物と自然環境について基礎的な知識や自然保護活動の経験を有するとともに、山岳地域を巡回するのに十分な体力を有する人材を全国から募集しております。
 採用時に、地方公務員法、自然保護法や安全管理、ガイド技術などの研修を行っております。その後もOJTや多摩地域の現場での研修を実施し、資質の向上や視野の拡大を図っております。

○今村委員 レンジャーには、今の答弁にあったとおり、動物や植物に関して高度な専門知識や技術を備えた人がいらっしゃいます。五年間の限られた任務でありますけれども、地元の人たちのネットワークも形成されていると思います。退職をされるということにいずれなるわけでありますけれども、その皆さんの人脈が次の職場やそしてまた地域の中で生かされて、結果として東京都や小笠原にとってプラスになるように、ぜひ、そのレンジャーの退職後、なかなか難しいかもしれませんけれども、しっかりと働いて都のプラスになるような、そんな努力もぜひしていただきたいというふうに要望して、次の質問に移りたいと思います。
 保全地域制度についてお伺いをいたしますけれども、都は自然保護条例に基づき、自然の保護と回復を図るため、貴重な自然を有する丘陵地や緑地などを保全地域として指定しています。保全地域には自然環境、森林環境、里山、歴史環境、緑地の五種類があり、それぞれの属性に応じた保全計画に基づき管理がされています。
 保全地域に指定されると、建築物の新築等について強い利用制限を受けることとなりますが、そのため、その補償制度として、土地所有者からの申し出に基づき都が土地を買い入れる公有化の制度が定められています。
 また、保全地域においては、地域住民、企業のボランティアによる保全活動や子どもたちの環境学習の場としても利用されて生かされております。
 そこで、保全地域の指定状況及び公有化の状況について改めて伺います。

○高橋自然環境部長 都では平成二十二年度までに、丘陵地や緑地等四十八カ所、約七百五十一ヘクタールの面積の緑地を保全地域に指定しております。二十二年度につきましては、八王子市暁町を新たな保全地域として指定いたしました。
 また、公有化につきましては、所有者から買い取り請求のあった土地の買い取りを順次行ってきており、二十二年度までに保全地域指定面積の約八二%を公有化しております。

○今村委員 さて、都内には保全地域に指定されているところ以外にも、まだ貴重な緑が残る丘陵地や緑地があります。
 都は以前、私の地元でもあります町田市を初めとした多摩地域の谷戸の調査として、自然環境についての調査を行ったとも聞いております。
 町田市では、一般に里山と呼んでおります丘陵地、ここを谷戸山といって、谷戸の重要性を市民に広報をしておりますけれども、緑の保全について、地元自治体を初め地域の住民から、こうした東京都の取り組みに期待をする声も大きいところがあります。
 そこで、保全地域の今後の指定のあり方について伺います。

○高橋自然環境部長 現在、丘陵地や緑地として残る緑の中には、生態系の保全など、さまざまな観点から貴重なものがございます。区市町村におきましては、住宅地に残る樹林など、住民の方々に身近な地域の緑を保全する取り組みを進めております。
 一方、都は自然環境保全に関し、広域的な立場から、多摩地域の自然環境調査を行うなど、緑の質について実態調査を進めるとともに、地域における緑の連続性も考慮し、里山などの質の高い緑について保全地域の指定を行ってきております。
 今後も都は、貴重な自然の保護と回復を図るために、区市町村と役割分担をしながら、広域的な視点に立ち、保全地域制度を運用してまいります。

○今村委員 次に、その保全地域の中での活動、企業によるボランティア活動として東京グリーンシップアクションがありますけれども、これについてお伺いいたします。
 この事業は平成十五年度から開始されたと聞いておりますけれども、その後の推移、さらには二十二年度の実施状況についてまずお伺いいたします。

○高橋自然環境部長 東京グリーンシップアクションは、企業やNPOと連携して、保全地域において間伐などの保全活動を行う取り組みでございます。
 事業開始時には、一つの保全地域で一つの企業が三回活動していただけでございますが、実施地域、参加企業、実施回数は年々増加し、平成二十二年度は十の保全地域で三十二の企業や団体が、延べ五十九回保全活動を実施しております。

○今村委員 ただいまの説明で、参加する企業なども年々ふえているということがわかりました。単に東京都だけが管理していくのではなくて、多くの企業や民間、市民、そして子どもから高齢者までが参加をするということは大変有意義であるというふうに考えます。参加する企業などがふえていけば、今度は企業側から東京グリーンシップアクションに対する意見や要望もふえてくるというふうに考えられますけれども、参加する企業からの意見や要望にはどのようなものがあったのかお伺いいたします。

○高橋自然環境部長 東京グリーンシップアクションに参加を希望する企業などから、都に対して事業に関するさまざまな意見や要望が寄せられております。
 昨年度事業を実施した企業からの意見としては、社員及びその家族に楽しみながら環境保全の大切さを学んでもらえる体験型学習の機会を提供できたというご意見や環境団体などが主催する既存の環境プログラムではなく、自社向けの独自のプログラムを体験することができてよかったなどのご意見が寄せられております。
 また、昨年度の要望といたしましては、新入社員に研修として保全活動をさせたいという要望や一日だけの単発の保全活動ではなく一年を通して継続的に保全活動に参加したいなどのご要望が都に寄せられております。

○今村委員 せっかくですから、協力をしていただいている企業からの意見は積極的に取り入れるとともに、さらに多くの企業や民間の皆さんのご協力をいただけるように努力していただきたいというふうに思っております。
 そして、先ほども申し上げましたけれども、税金だけではなくて企業の力、そしてまた市民の力などを合わせて、ぜひ多くの保全地域の指定、そして植栽の管理、植生の管理、こういったものが進むよう要望して質問を終わります。

○桜井委員 それでは、私の方からはPCBについて質問をさせていただきたいと思います。
 まず、過去に、PCBは絶縁性にすぐれた性質があり、トランスやコンデンサーなど、電気機器に絶縁油として多く利用されてきたと思います。しかしながら、昭和四十三年のカネミ油症事件をきっかけに、PCBの毒性が大きな社会問題となり、使用が禁止されたということは承知のことだと思いますが、この絶縁油に含まれるPCBには高濃度のものと微量のものがあるわけでありますけれど、高濃度PCBについて伺わせていただきたいと思います。
 国は、高濃度PCB廃棄物を処理する体制を整備するために、日本環境安全事業株式会社、いわゆるJESCOを設立し、日本全国に五つの事業所を設置しておりますが、その一つが東京の臨海部にあるわけであります。五つの事業所ではそれぞれの地域で高濃度PCBを処理しているわけでありますが、この処理が進んでいないというふうに聞いておりますし、また私の地元の事業者からも、この処分に関して多くの要望をいただいているわけなんですが、そこで、JESCOにおけるPCB処理の進捗状況について、まずお伺いしたいと思います。

○谷川調整担当部長 平成二十二年度末までのJESCO全五事業所の処理状況についてでございますが、トランスについては三六・一%、コンデンサーについては二九・三%でございます。
 東京事業所におきましては、トランスが二五・一%、コンデンサーが十六・一%となっております。
 東京事業所では、平成十七年、稼働当初の漏えい事故による施設の停止が現在の処理状況に影響しております。事故後、都の指導により安全操業が行われておりますが、トランス、コンデンサーなどは大きさ、構造が多種多様でありまして、全国的にも当初の想定どおりに処理が進まず、それがおくれの原因となっております。

○桜井委員 ただいまの答弁にもありましたが、全国のトランス、コンデンサーのPCB廃棄物処理の進捗率が三割程度ということでありますが、平成十三年に施行されたPCB特別措置法では、PCBを処理する期限を平成二十八年七月までというふうにしているわけであります。施行後十年ほど経過をしておりますが、現段階で三割ということになりますと、この期限までにすべてのPCBの処理が終了できるのかどうか、これは非常に疑問視するところなんですが、そこで都の見解をお伺いしたいというふうに思います。

○谷川調整担当部長 PCB特別措置法の附則に、法律の施行後十年を経過した場合において、この法律の施行の状況について検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずることが規定されております。ことしがその十年目に当たりますが、本年十月、国におきまして専門家による検討委員会が設置され、適正処理の推進、処理の見通しなどについて検討が開始されたところでございます。都もオブザーバーとして参加しておりまして、必要な意見を述べてまいります。

○桜井委員 PCB対策は国の法律に即して現在行われているわけなんですが、問題なのは、このPCBの処理がおくれれば、トランスやコンデンサーなどを保管している工場主、またビルのオーナーなどの方々が長期にわたる保管を強いられるわけでありますので、長期間に伴う機器の劣化による漏えいなども、大変心配をされるところであります。
 高濃度PCBを使用した機器は、昭和四十七年に製造販売が禁止されておりますが、それから既にもう四十年近くたっているわけであります。トランスやコンデンサーが金属製品とはいえ、長期劣化が気になるわけでありますので、東京都としてはどのようにこれに対して対応しているのかお伺いいたしたいと思います。

○谷川調整担当部長 都では、毎年すべての保管事業者に対しまして、文書で保管状況の報告の提出を求めております。保管方法について図示したチェックシートを配布するなど、具体的な周知を行いまして、機器の劣化による漏えい防止に努めております。
 なお、漏えいなどの緊急性のあるものにつきましては、JESCOにおいて優先的に処理を行っているところでございます。
 また、JESCOでは本年七月から、中小企業者が保管するPCB廃棄物の受け入れ枠をふやしまして処理を促進しております。
 都といたしましても、処理の進捗に向けまして、中小企業者に対しまして積極的に周知をしてまいります。

○桜井委員 それでは、次に微量PCBについてお伺いをしたいと思います。
 微量PCBについては、平成十四年に、PCBを意図的に使用していない電気機器の絶縁油にも微量のPCBが混入しているということが判明しましたが、このためにトランスの製造番号などではこのPCBが入っているかどうかというのが判断できないわけであります。
 こういう状況の中、分析を行わないと含有の有無がわからないということで、平成二十二年度から、国のグリーンニューディール基金を活用して、都が分析費用の補助を開始したというふうに聞いておりますが、この分析の結果、どのくらいの割合でPCBが含まれていたのかお伺いしたいと思います。

○谷川調整担当部長 平成二十二年度につきまして、六百三十二台の分析補助を行った結果、百十五台、約一八%のものに〇・五ppmを超えるPCBが含まれていることが判明いたしました。これらの機器はPCB廃棄物として、法令により適正に処理する必要がございます。

○桜井委員 ただいまの答弁ですね、適正に処理をするということが必要ということでありますけれど、微量PCBは低濃度である一方、全国に大量にあることから、高濃度PCBを処理するJESCOでは処理できないということであるわけです。
 そこで、この微量PCBの処理施設の整備が、現状どのようになっているのかお伺いしたいと思います。

○谷川調整担当部長 微量PCBの処理は、国が平成二十一年に創設いたしました無害化処理認定制度などにより、民間処理業者が認定を受けまして、焼却等による処理を行うこととされております。
 現在、全国で五施設が認定等を受けておりまして、都内では、都が東京臨海リサイクルパワーに対し、認定の申請に必要な焼却実証試験や設備改善について指導を行いまして、本年六月に国から認定を受け、十月から処理が開始されました。
 微量PCBの処理につきましては、安全に処理するため、通常の絶縁油より処理費が高くなることから、都では独自に本年九月より、微量PCBを保有している中小企業等を対象に、処理費の助成を開始したところでございます。

○桜井委員 このPCBの処理は当然、安全が第一であるというように思います。しかしながら、保管が長期化すればするほど、先ほど申し上げましたが、保管している方々の負担が増加するとともに、漏えい等による汚染環境のリスクも高まることから、これは本当に早急に処理を進めなければならないというふうに考えるわけであります。
 また、地震等そういう災害においても、建物の保管場所の崩壊とか、そういう物自体にどういう影響があるかわからないわけでありますが、やはり東京都としても、国に対して課題の解決に向けた提言を積極的に行っていただきたい。また、PCBの処理促進についてこれからも引き続き努力をされるよう、強く要望して質問を終わらさせていただきます。

○いのつめ委員 決算説明書の三七ページの自動車公害監察員の管理運営では、七千九百万円の予算を執行し、取り締まり指導を行っています。
 このうち、事業者に対して環境確保条例上の義務遵守事項についての指導を行ったとありますが、その中のアイドリングストップ指導についてお伺いいたします。
 まず、都には駐車場等も含め、年間何件のアイドリングストップに関する苦情相談が寄せられているのでしょうか。

○高橋自動車公害対策部長 アイドリングストップに関する苦情相談の件数についてでございますが、平成二十二年度の集計では苦情数が五十四件、このうち駐車場におけるアイドリングの苦情数は九件でございました。

○いのつめ委員 管理人の方がいる駐車場では、管理人の方がその場でアイドリングをとめていただくように呼びかけをするなどしているわけでございまして、九件というのはなかなかいい成績かなというふうにも思っておりますが、管理人の方がいる駐車場ばかりではありません。ここのところはやはり無人の駐車場もふえています。管理人のいない駐車場も含めたアイドリングストップの周知については、どのような啓発を行っているのかお聞かせください。

○高橋自動車公害対策部長 アイドリングストップに関する周知でございますが、環境確保条例に基づきまして、二十台以上の駐車場設置者には、区市へ指定作業場としての届け出義務がございます。都は区市と連携をとりまして、この届け出の際に、アイドリングストップの看板を設置するよう指導を行っております。
 また、駐車場設置者に限らず、駐車場の利用者でございます運輸業界等にリーフレットを活用し、周知を図っております。
 なお、駐車場等での苦情につきましては、対象車両のナンバー等で使用者や事業者が特定できれば、電話や現場における注意指導を行っております。

○いのつめ委員 平成十三年四月から施行した都民の健康と安全を確保する環境に関する条例に、アイドリングストップの遵守義務を義務づけています。約十年前ですが、当初は私も駐車場でポスターや看板を見た記憶があるんですが、十年経て、最近では少し目につかなくなっているのかなという思いがしています。
 また、タクシーのドライバーなどは、路上駐車をして休憩しているときにエンジンをとめてないというような声が寄せられています。加えて、ことしのような猛暑になれば、駐車場等でアイドリングする自動車もふえ、ヒートアイランドにもつながると思います。
 今後とも、アイドリングストップについて適切な普及啓発と指導をお願いいたします。
 近年、まちの中に増加傾向にありますコインパーキングは、自動車利用者の利便性や周辺商店街の集客力向上など、地域の活性化に一定の効果を上げていると思います。一方で、コンクリートと機械設備のみからなる無人管理のコインパーキングは、市街地に無機質、無味乾燥な空間を生み出し、都市景観としても問題がないとはいえません。夏場の照り返しによるヒートアイランド化にも影響を与えています。
 私が九州を視察したときに路面電車の軌道緑化の事例を見ましたが、見た者の心に潤いや安らぎをもたらし、景観上も美しく、周辺の気温上昇を抑制する効果もあり、大変すばらしい取り組みと感銘いたしました。このような取り組みを都内の有料駐車場にも広げていくことが重要だと考えます。
 そこで、駐車場の緑化について、都はこれまでどのような取り組みを行ってきたのかお伺いいたします。

○谷上緑施策推進担当部長 都はヒートアイランド対策の一環として、平成十九年度に、都の施設と未利用の都有地の二カ所で駐車場緑化の実証実験を行いました。その後、平成二十一年度に駐車場緑化のガイドラインを作成し、ヒートアイランド現象の緩和など環境面の効果や、利用者の快適性を向上させる経済面の効果など、駐車場緑化の多面的な効果をわかりやすく示しております。
 都はこのガイドラインを活用し、平成二十二年度に民間事業者向けの説明会を開催するなど、駐車場緑化の普及啓発に取り組んでいるところです。

○いのつめ委員 駐車場緑化を進めていくに当たっての課題をどのように認識しているのか重ねてお伺いいたします。

○谷上緑施策推進担当部長 駐車場緑化の取り組みを民間事業者に促すには、駐車場緑化を通じて得られる効果をわかりやすく示すとともに、実効性の高い取り組み事例を広く紹介していくことが重要であると考えております。
 また、平成十九年度に行った実証実験の結果によりますと、駐車区画を芝生化した事例の場合、タイヤの踏圧によるすり切れやエンジンの熱による枯れが生じたことから、例えば車輪の間のみを芝生化し、範囲を限定するなどの工夫が必要であると認識しております。

○いのつめ委員 全体的な緑化が難しいようであれば、私は、浸透性の舗装でもいいのではないかと思います。一部木を植えていただいて、路面というか、面は浸透性舗装であれば、吸水性もありますし、少し照り返しも和らぐのではないかと思います。この浸透性舗装の助成などは道路保全公社の担当でして、環境局の担当ではないんですが、こういった対策も環境対策にはなるのではないかと思っています。
 新宿区を初めとする人口密集市街地における緑化を推進するには、コインパーキングなどの小さな土地にも着目した取り組みが不可欠だと思います。
 今後は、区市町村、業界団体との連携も図りながら、さまざまな機会をとらえて、先ほどのガイドラインを含め、実効性の高い取り組み事例の普及啓発に努めていただきたいとお願いいたします。
 また、大規模駐車場の緑化は、都市水害の軽減を図る上で重要な取り組みの一つであると考えます。
 都は一定規模以上の新たな駐車場の建設工事に対しても、自然保護条例に基づき、一定割合の緑地面積の確保を義務づけています。しかしながら、大半の駐車場は緑地面積の確保が義務づけられていません。義務づけられる開発行為の面積に満たないため、事実上規制の網がかかっていません。開発行為では安価な駐車場設置に走りがちです。自然をなくして開発するのであれば、一定の緑化を義務づけるべきだと思います。
 そこで、面積要件を厳しくするなど、現行の自然保護条例に基づく規制を強化すべきと考えますが見解をお伺いいたします。

○谷上緑施策推進担当部長 自然保護条例に基づく開発許可制度は、自然地を含む一定規模以上の開発行為に対し、対象区域において一定割合の緑地面積の確保を義務づける制度でありまして、ご指摘の駐車場建設工事も対象となってございます。また、自然地を含まない場合におきましても、一定規模以上の開発行為に対しましては、事業者に緑化計画書の提出を義務づけ、新たな緑の創出を誘導しているところです。
 都は、先ほど答弁いたしました駐車場緑化の取り組みに加え、緑の東京十年プロジェクトにより、屋上緑化、壁面緑化など、あらゆる工夫による都市空間の緑化を推進しております。まずはこのような取り組みを引き続き推進していくことにより、民間事業者による新たな緑の創出を誘導していきます。
 なお、現時点で面積要件の引き下げなど、自然保護条例の改正を行う予定はございません。

○いのつめ委員 面積要件の引き下げを行う予定はないというふうにご答弁いただきました。残念ですが、緑化の網がかかる開発の面積は一千平米以上です。自然をなくして開発行為を行うという開発行為すべてが私は悪いとは思いませんけれども、やはり自然をなくして人為的なものに取りかえるんであれば、なお一層その自然を配慮した緑を多くするとか、いろいろなことを対策を講じて、やはり一定規模の自然保護を考えた開発にならなければ、私はいけないと思っています。
 そして、特に二十三区では自然を壊しての開発行為、千平米以上というのはなかなか最近ではないかと思いますけれども、都市部における再開発行為に当たっては、この千平米という面積の網すらないというのが事実でございまして、これでは、いつまでたっても都心の緑をふやすのはおくれてしまうんではないかというふうに私は考えています。
 ぜひとも環境局は、緑をふやすんだぞという気概を持って、さまざまな取り組みを行っていただきたいとお願いをして、質問を終わらせていただきます。

○谷上緑施策推進担当部長 済みません、一点だけ先生に。
 先ほど再開発行為に関しまして一定の義務づけがないということ、ございますけれど、面積要件がかなえば義務づけがございますので、その点を一応訂正させていただきたいと思います。

○長橋委員長 補足説明ね。いいですか。--ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○長橋委員長 異議なしと認め、本件に対する質疑は終了いたしました。
 以上で環境局関係を終わります。
 これをもちまして本日の分科会を閉会いたします。
   午後三時四十三分散会

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