平成二十一年度各会計決算特別委員会第一分科会速記録第六号

平成二十二年十月二十九日(金曜日)
第十一委員会室
   午後一時開議
 出席委員 十名
委員長興津 秀憲君
副委員長鈴木 隆道君
副委員長中村ひろし君
遠藤  守君
きたしろ勝彦君
淺野 克彦君
松葉多美子君
三宅 正彦君
たぞえ民夫君
馬場 裕子君

 欠席委員 なし

 出席説明員
選挙管理委員会事務局局長宮川 雄司君
人事委員会事務局局長多羅尾光睦君
任用公平部長大村 雅一君
試験部長鈴木 隆夫君
審査担当部長小澤 達郎君
総務局局長比留間英人君
危機管理監加藤 英夫君
理事塚田 祐次君
総務部長醍醐 勇司君
訟務担当部長和久井孝太郎君
行政改革推進部長土渕  裕君
情報システム部長高橋 宏樹君
首都大学支援部長宮本  哲君
人事部長中嶋 正宏君
労務担当部長内藤  淳君
主席監察員清宮眞知子君
行政部長岸本 良一君
多摩島しょ振興担当部長高木 真一君
区市町村制度担当部長堤  雅史君
事業調整担当部長榎本 雅人君
総合防災部長中村 長年君
企画調整担当部長細渕 順一君
統計部長三田村みどり君
人権部長荒井  浩君

本日の会議に付した事件
平成二十一年度東京都各会計歳入歳出決算の認定について
選挙管理委員会事務局関係
・平成二十一年度東京都一般会計決算(質疑)
人事委員会事務局関係
・平成二十一年度東京都一般会計決算(質疑)
総務局関係
・平成二十一年度東京都一般会計決算(質疑)
・平成二十一年度東京都特別区財政調整会計決算(質疑)
・平成二十一年度東京都小笠原諸島生活再建資金会計決算(質疑)

○興津委員長 ただいまから平成二十一年度各会計決算特別委員会第一分科会を開会いたします。
 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、選挙管理委員会事務局、人事委員会事務局及び総務局関係の決算に対する質疑を行います。
 これより選挙管理委員会事務局関係に入ります。
 決算の審査を行います。
 平成二十一年度東京都一般会計決算中、選挙管理委員会事務局所管分を議題といたします。
 本件につきましては、既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○宮川選挙管理委員会事務局長 去る十月十三日に当委員会からご要求のございました資料のご説明を申し上げます。
 お手元の参議院議員選挙における区市町村別投票立会人数の推移の表紙をお開き願います。
 この表は、平成九年に公職選挙法が改正され、一投票所における投票立会人の定足数が三人から二人に変更される、その前の平成七年の参議院議員選挙から平成十九年の同選挙までの区市町村別の投票立会人数の推移につきましてお示しをしたものでございます。
 よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○興津委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含め、これより本件に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○中村委員 それでは、投票率の向上に向けての取り組みについて質問します。
 昨年行われた都議会議員選挙における世代別の投票率を見ると、二十代前半の投票率が三〇%でした。この数字は、最も高い投票率を示す六十代後半の約七五%に比べ、その半分にも満たない数字です。しかも、他の世代と比較しても最も低い数字となっています。
 人口が減少傾向にある若年層において、その世代の投票率が低いということは、若い人たちの意見がますます政治に反映されにくいことになってしまいます。こうした状況が今後も続くとなれば、東京の将来にとって、ひいては日本の将来にとってもゆゆしき問題となってしまいます。
 昨年度の決算でも、八ページ目に若年層啓発事業が載っていますが、その執行率を見ると八二・三%と低いといえます。
 そこでまず、都選管の取り組みに問題ないのか、この執行率が低い理由について伺います。

○宮川選挙管理委員会事務局長 中村副委員長のご質問にお答え申し上げます。
 決算数値に見ます若年層啓発事業の不用額につきましては、ただいまのご指摘にもありますように、予算額の二割近くになっております。が、そのほとんどが契約差金によるものでございます。例えば都内の中学三年生向けにつくりました選挙学習用冊子の版下の作成や印刷、あるいは東京都明るい選挙ポスターコンクール参加記念品の作製などにおきまして、入札の結果それぞれ百万円を超える差金が生じております。
 平成二十一年度に計画しておりました事業につきましては、経費の節減に努めつつ、すべて滞りなく実施をしたところでございます。

○中村委員 執行率が低い理由についてはわかりました。
 事業そのものには影響していないということですが、それでは、具体的にどのような取り組みを行ったのか、その主な事業についての説明をお願いします。

○宮川選挙管理委員会事務局長 若年層に対する啓発事業では、初めて選挙権を得る新成人と将来有権者となる児童生徒に力点を置いて、各種の取り組みを実施したところでございます。
 その主なところをご紹介させていただきますと、まず新成人には、一人一人が東京の未来を考えようという趣旨の冊子を作成いたしまして、都内で行われました成人式の参加者に区市町村の選管を通じて配布をいたしました。
 次に、都内在住在学の児童や生徒を対象に明るい選挙ポスターコンクールを実施いたしまして、このコンクールの入選作品などを展示する展示会を区部と市部において開催するとともに、「ゆりかもめ」と多摩都市モノレールを使いまして、列車内に作品を展示するギャラリー列車を仕立てて運行をいたしました。
 また、選挙に関する知識と興味を深めてもらうため、選挙学習用冊子を都内の中学三年生全員を対象に十二万部つくり、配布をいたしました。
 さらに、啓発用のオリジナル附せん紙をつくり、啓発事業のイベント会場等で来場者全員に配布をしております。

○中村委員 二十一年度の事業を実施してみて、何か改善すべき点や課題はなかったのでしょうか。例えば中学生、高校生を対象とする事業であれば、東京都教育委員会との連携も重要であると考えますが、あわせて伺います。

○宮川選挙管理委員会事務局長 平成二十一年度の事業を振り返ってみますと、まず、中学三年生を対象に配布いたしました選挙学習用の冊子につきましては、その内容や挿絵をもう少しレベルを上げても十分理解してもらえたのではないかと。また、絵や文字の大きさを工夫して、もっと見やすくできたのではないかといった反省がございました。加えまして、ポスターコンクールにおける高校生の応募割合が低いということ、ギャラリー列車も、区部において、特に北部地域が手薄であることなどが見直しの課題となりました。
 お尋ねの東京都教育委員会との連携につきましては、中村副委員長のおっしゃるように、私どもも重要であると認識をしております。これまでも選挙学習用冊子の学校の授業での積極的な活用や、ポスターコンクールに対する後援をお願いすることなどを通じまして、関係を深めてきております。
 例えば選挙学習用冊子が授業で使用されている学校の割合が、平成二十一年度のアンケート調査によりますと、前年度を九・三ポイント上回る五六・七%となっておりまして、これも連携の成果と受けとめております。

○中村委員 それでは、それらの改善すべき点や課題について、今年度の事業の実施においてはどのように生かされているのか、伺います。

○宮川選挙管理委員会事務局長 まず、選挙学習用の冊子につきましては、挿入する絵、使用する文字などを、デザイナーなど専門家のアドバイスを得ながら、中学三年生が手にとり、読みやすい工夫を加えますとともに、内容も充実させる方向で冊子全体を見直し、改訂版を作成、配布をいたしました。
 次に、ポスターコンクールにつきましては、高校生の応募意欲がわくよう、募集チラシのデザインについて、高校生の目にもかなう美術的要素を加味し、応募要領もよりわかりやすい記載に改めて配布をしたところでございます。
 その結果、今年度のポスターコンクールでございますが、九月十日に募集を締め切りまして、応募総数が一万七千六百二十一点、これは前年度に比べて千二百点近い増加となりました。ただ、そのうち高校生の応募はまだまだ少のうございます。そうはいっても四百九十七点が寄せられまして、これも、過去最高でございました昨年の四百十八点を二割上回る増加となっております。
 なお、ギャラリー列車の区部北部におけます運行につきましては、新たに都電荒川線に二両仕立てまして、三月下旬に、都知事選挙のPRも兼ねる形で実施をする予定でございます。

○中村委員 来春は統一地方選挙、とりわけ都知事選挙も控えております。将来の東京都がこれからも住みよい魅力的な都市であり続けるためにも、若い人たちの投票率を上げることが重要であると考えます。
 最後に、この点について東京都選挙管理委員会としての取り組みを伺って、私の質問を終わりにします。

○宮川選挙管理委員会事務局長 啓発事業が若年層の投票率を上げる要因となるためには、多くの若者の目にとまること、そしてその感性に訴えかけるものであること、啓発イベントなどさまざまな事業に若者自身がかかわりを持つことなどが重要と考えております。
 来春の都知事選挙に向けたキャッチコピーが先日決まりましたが、若者のセンスにマッチした作品を選定するため、今回は選考委員を全員二十代の有権者で構成をいたしました。また、若者が応募しやすいように、従来の郵便はがきやファクスに加えて、ホームページの応募専用ホームや携帯電話からの応募サイトを開設いたしました。
 その結果、応募総数は、これまで最高であった平成十五年の都知事選のときの二倍以上の四千三百件を超えた数が集まりました。これを年代別で応募者数を見ますと、最も多いのが二十代でございまして、この二十代も、実は前回は応募割合が全体の五%という最も低い層でございました。それが今回は二〇%へと大幅に増加をしたわけでございます。
 こうした実績も踏まえながら、今後の選挙の周知につきましても、多くの若者の目にとまるよう、若者の利用率の高いインターネットのホームページやコンビニのレジ画面、若者が多く集まる地域の街頭や駅構内、列車内のディスプレーなど、さまざまなビジュアル媒体を積極的に活用する計画でございます。
 今後とも、若い有権者がより多く投票所へと足を運ぶよう、区市町村選管を初め関係機関と連携をして、事業結果を検証し、改善を加えながら、効果的に啓発事業を推進していく考えでございます。

○興津委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了したいと存じますが、これにご異議ございませんでしょうか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○興津委員長 異議なしと認め、本件に対する質疑は終了いたしました。
 以上で選挙管理委員会事務局関係を終わります。

○興津委員長 これより人事委員会事務局関係に入ります。
 決算の審査を行います。
 平成二十一年度東京都一般会計決算中、人事委員会事務局所管分を議題といたします。
 本件につきましては、既に説明を聴取しております。
 これより質疑を行います。
 発言を願います。

○淺野委員 私からは、人事委員会、特にその中でも、非常に大きな仕事の一つであります人事委員会勧告、いわゆる人勧についてのことを少しお伺いしたいと思いますが、例年、ことしも含めてですけども、人事委員会勧告というのが出されまして、ことしについても、民間給与との差を見て給与を下げましょうという勧告が出されております。もちろんそれ以外にもいろいろありますけれども。
 ただ、これを見ると、多少の差はあるとは思いますが、国だとか、あるいは他の自治体を見ましても、大体似たような勧告の中身になってしまっているように思います。これは、聞いたところによると、ことしだけでなく、過去数年さかのぼってみても、大体どこの団体もバランスをとったような形になっている。そういう状況が続いているようでありますけれども、国の人事院勧告とほとんど同じものを他の自治体が採用しているのであれば、人事委員会として勧告を行っているという意義がないだろうと。各自治体ごと置かれた状況も違いますし、努力している中身も違います。東京都も他の自治体に先駆けてやっているような改革もたくさんあるわけですけれども、その中で、勧告で出てくるときは全くそれが考慮されているのかどうかもわからないような、大体同じような数字で出てきてしまうという状況は、正直いって、独自に人事委員会が勧告している意義がないのではないかという疑問が生まれてきてしまうと思います。
 できれば、地方分権が叫ばれている時代でもありますから、国に安易に追随したりすることなく、独自にさまざまな指標をもって判断して勧告を行うべきだと思います。そこについて、給与の勧告につきまして人事院と横並びではなくていわゆる東京都の実態に応じて、取り組んできたことに応じて、独自の調査、判断に基づいて行うべきだと考えているんですけれども、今までどのようにして取り組んできたのかということについて伺いたいと思います。

○大村任用公平部長 職員の給与の決定につきましては、地方公務員法第二十四条第三項というのがございまして、そこで、職員の給与は、生計費並びに国及び他の地方公共団体並びに民間事業の従事者の給与その他の事情を考慮して定めなければならないというふうに定められてございます。
 これに基づきまして、給与勧告におけます公務と民間の給与を比べる公民較差というのを出す作業をしているわけでございますけれども、これに当たりましては、それぞれの公共団体が独自に調べるのではなく、人事院と東京都も含めました全国の人事委員会が、調査基準や調査方法の違いによる差が生じないように、同一の基準を用いまして共同で民間給与の実態調査を行うことで、調査結果の信頼性を高めることとしているものでございます。
 各団体の給与勧告につきましては、こうして実施いたしました民間給与の調査の結果を踏まえまして、厳しい経済状況のもとで、現在、各地域においても民間の賃金水準は低下しているという傾向をそれぞれが正確に把握し、適切に反映したものであるというふうに理解してございます。
 一方で、公民較差やなんかを調べました後、各人事委員会が勧告する給料表や諸手当につきましては、多くの地方公共団体では、国の人事院の勧告した国の給料表をベースにして作成している中で、東京都人事委員会につきましては、都の任用制度、職級構成などの実態を踏まえました独自の給料表をつくってまいりました。そして、都道府県ではこうした独自の給料表を作成しているのは東京都だけでございます。
 東京都では、給料表の改定に当たりまして、公民較差の解消とともに年功的な昇給の仕組みを改めまして、職責や業績を反映させるため、高齢層の昇給を抑制し若年層の昇給を確保しますいわゆる昇給カーブのフラット化、また、職責に応じた給与水準の確保に取り組んでおりますが、国の給料表構造に依存しない独自の給料表であるからこそ、都の実態に合わせて効果的にこれまで見直しを進めることができましたし、着実に成果が上がっているところというふうに考えてございます。

○淺野委員 今ご答弁の中にあったとおり、独自の給料表というのを東京都は実はつくっているんだと。これはもちろん急激につくり変えるわけにいかないものですから、これまでの長年の取り組みの中で少しずつ少しずつ変えてきたところが、今現在の非常に独自のものになっているということについては、これは高く評価していいものだというふうには思います。
 しかし、国だとか、あるいは他の自治体というものを見ますと、やはり地域の事情、あるいは財政状況は、それぞれ置かれている環境が異なるわけでありまして、職員の給与決定についても、国とか他の団体と均衡をとるような措置をするということが果たして正しいのかということについては、私自身は疑問を感じるわけであります。
 一例を申し上げますと、例えばこの十年ぐらいの中を見てきても、公務員の改革だ、あるいは定数の削減だというような話が出てきますけれども、国の中でも人件費が高いから下げようという議論は出ますが、別に一人一人の給与を下げるだけではなくて、全体としての定数を削減していくという話も当然やっていくわけであります。
 しかし、国の方を見てみますと、国自体は表向きの数字が減っているように見えても、それは郵政事業の公社化であったりとか、職員として扱わなくなった部分が減っているというようなものがありまして、実態的にはそんなに大きくこの十年で減っているというわけではありません。
 しかし一方で、他の自治体、いわゆる地方の自治体というのは、職員定数の削減というのはどこも取り組んできているわけでありまして、この十年で、平均ですけれども、およそ一割ぐらいの削減が進んでいると。
 東京都についても、事前に参考の資料をいただいておりますが、職員数も、清掃局が外れていったというところの分もありますけれども、それを仮に除いたとしても、大きく一万人近く、一般行政職といわれる中でも、およそ十年前の平成十一年当時から見ますと、約一万人ぐらいは減っているという状況であります。もともとが三万人ぐらいですから、一割どころか三〇%近くのカットを実現しているというわけであります。
 実際には、ではその分、仕事が減るかというと減るわけじゃありませんので、中にいる職員の方々が効率的な運営、そして各部局を通して、あるいはさまざまなシステムの改革をしながら、サービスの質を落とさずに少ない人数で回していくんだということを実現してきた結果ではないのかなと私は思いますけれども、そういったことに取り組んでいても、結局人事委員会勧告が出るときには横並びのように、給与を下げましょうというような話が出てきたのでは、確かに自治法に定められている最少のコストで最大限の効果を上げるんだと。そして、公僕たる志を持って取り組むんだという言葉があったとしても、どんなに頑張っても、社会情勢とか他の団体との横並びの中で職員の給与が削減されていくという話であれば、じゃあ努力はどこに評価されるんだというような疑問が出てきてしまうのではないかなという気がいたします。
 この給与制度の、あるいは任用制度の調査研究にも、この二十一年度予算中でも三千万弱のお金を使って、もちろんこれは給与の金額実態調査等も含めた金額ではあると思いますが、少なくとも給与制度あるいは任用制度といったものを調査研究していくということでも予算がついているわけでありますから、法律の定めやさまざまな規則があって、難しいところは当然あるとは思いますけれど、その中で、より職員の方々のモチベーションが上がるような給与のあり方、あるいは勧告のあり方というのを出していくべきじゃないかなという気がいたします。
 また、場合によっては国に対しても、これは我々も協力していきたいと思いますが、地方自治法の中で、地方分権を進める中で、国は国でやりなさいと、地方は地方でさまざまな事情を考慮して、人事委員会やなんかが勧告を出しますよというような法改正も必要になってくるのではないかなという気はいたします。
 当然、下げるなといっているわけではありません。もちろん公民較差というのがありますから、下げちゃいかぬとはいいませんけれども、ただ、努力が反映される、そういったものになっていかなければいけないと思っております。
 頑張っている職員の処遇を確保して、職員のモチベーションを高めていかなければいけない。そういった人事制度に関する第三者機関であります人事委員会でありますから、制度を運用する総務局人事部とともに、どのようにこれを取り組んできて、そして今後どのようにしていくのか、そういったことについての見解を伺いたいと思います。

○大村任用公平部長 職員のモチベーションの関係でございますけれども、人事委員会ではこれまでも、任命権者とともに、職責、能力、業績をより一層反映した給与制度へと転換を図り、努力し成果を上げた職員に的確にこたえることができる人事給与制度の実現に向けて取り組んできたところでございます。
 具体的には、最近では、平成十七年度から給与構造、制度改革に取り組んでおりまして、年功的な給与上昇の抑制、職務、職責に応じた給料表構造への転換、昇給や特別給--ボーナスでございますが--に対する業績の適切な反映などを着実に進めてきたところでございます。
 今月七日に行いましたことしの給与勧告におきましても、給料につきましては、先ほど申し上げたとおり、職責に応じた昇給カーブのフラット化に努めますとともに、特別給につきましても、業績が反映される勤勉手当の割合をさらに引き上げるよう勧告し、職責や業績の給与への反映をさらに進めることとしてございます。
 今後も、任命権者とともに、これまで取り組んでまいりました職責、能力、業績を重視した仕組みをさらに徹底しまして、職員の努力や成果により一層こたえていくことができる人事給与制度の構築に努めてまいりたいというふうに考えてございます。

○淺野委員 はっきり申し上げまして、今の政治状況あるいは社会情勢の中でいいますと、何か知りませんが、役所の人だったり、場合によっては議会だったりを悪者扱いすると非常に人気が出るような社会風潮も見受けられるときがありますけれども、私はそれが決して正しいものであるとは思いません。いろんな政党も、当然我が民主党も含めて、そういうことをやる人たちも出ているように見えますけれども、一番大切なのは、そういった悪者をつくって批判し続けることではなくて、どうやったら一番いい制度がつくれるのかを考えることだと私は思います。
 はっきりいわせてもらえば、民間事業であろうが公務員であろうが、働きぶりに応じてきちんと処遇をされていて、いい仕事をすれば自分の給与も含めてちゃんとした評価がされる、そういった社会をどうつくっていくのか。そして、民間の方々も含めて、公務員に対して給与を下げろ、下げろという話ではなくて、その給与に見合った仕事をちゃんとしてもらう。私は、成果指標の導入などもいわせていただいておりますけれども、そういう制度をつくっていく必要があると思います。
 一つだけ参考にいわせていただきます。民間におけるコスト削減、トヨタもいっとき、毎年四千億円程度のコスト削減をずっとし続けてまいりましたが、この肝は、例えばコピー用紙の裏を使ったりだとか、電気を小まめに消すなんていう細かいことではなくて、職員の人たち自身が、コストを削減することによって自分たちにさらなるメリットが生まれるという認識のもとに、さまざまな分野で努力し、意識の中に常にコストを削減するという意識を持って取り組むと。そういった姿勢をつくるためにも、安易に給与でどうにかしようという話にならないようにしていただきたい。
 私は、そのようなことをこれから先も、関係各局であります、特に総務局と連携しまして、一層の制度改革、よりよいものを、特に東京都から発信できるようなモデルがつくられていくことを強く望みまして、私からの質問を終わらせていただきます。

○興津委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと存じますが、これにご異議ございませんでしょうか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○興津委員長 異議なしと認め、本件に対する質疑は終了いたしました。
 以上で人事委員会事務局関係を終わります。

○興津委員長 これより総務局関係に入ります。
 決算の審査を行います。
 平成二十一年度東京都一般会計決算中、総務局所管分、平成二十一年度東京都特別区財政調整会計決算及び平成二十一年度東京都小笠原諸島生活再建資金会計決算を一括して議題といたします。
 本件につきましては、いずれも既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○醍醐総務部長 去る十月八日の当分科会におきまして要求のございました資料につきましてご説明申し上げます。
 恐れ入りますが、お手元の平成二十一年度各会計決算特別委員会第一分科会要求資料をごらんください。
 一枚お開きいただきますと、市町村総合交付金の推移でございます。
 平成十八年度から二十一年度までの市町村総合交付金につきまして、配分項目別、事業区分別の交付額の推移を掲げてございます。
 以上、簡単ではございますが、説明を終わります。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○興津委員長 説明は終了いたしました。
 ただいまの資料を含め、これより本件に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○中村委員 初めに、文書事務について質問します。
 昨年度、知事から提案された条例は百十七件ありました。条例案の策定に当たっては、都独自の政策的な視点で審査することが非常に重要ですが、総務局はどうかかわっているのか伺います。

○醍醐総務部長 総務局と条例とのかかわりでございますが、まず、個々の条例案につきましては、その具体的な内容につきまして、所管局が作成をしました案を総務局において法規的観点から審査をしているところでございます。その際、政策法務的な視点に立つことが重要であると認識をしておるところでございます。
 このことを踏まえまして、総務局におきましては、平成十九年度に政策法務に関する相談支援を行う組織を拡充いたしまして、個々の条例の制定、改正に当たり、総務局として、施策の実効性を確保するための仕組みづくりなど、法的な課題整理のための指導、助言を各局に対し行っておるところでございます。

○中村委員 昨今、自治体における政策法務能力の強化が叫ばれていますが、都も、その能力が発揮された独自条例の制定を進めていくべきと考えます。
 もちろん条例の制定を決定するのは議会ですが、提出権は議会と知事にあります。しかし、予算提出権は知事にしかないので、予算の裏づけと一体となった条例を知事は制定できます。都の重要な施策について、行政計画があるので十分だとして条例化しない場合がありますが、条例には都民への周知の効果もありますし、首長や行政の責務なども定めるなど、計画ではできない意義があります。政策法務の組織も拡充されたことですので、今後積極的な取り組みをお願いします。
 ところで、都は、規制条例のみならず、いわゆる給付条例と位置づけられる施策も数多く展開しています。こうした都民への給付を伴う施策については、現在、各局において要綱を根拠にしている例が多いようです。こうした施策にあっても条例を根拠にすべきとの考え方もあるようですが、見解を伺います。

○醍醐総務部長 まず、住民に義務を課したり権利を制限する場合、そういった場合と異なりまして給付を伴う施策につきましては、地方自治法上の解釈によりますと、法律で定められている場合を除き、必ずしも条例を根拠とする必要はないとされております。
 したがいまして、給付を伴う個々の施策を条例または規則、また、先生ご指摘の要綱など、どの立法形式により規定するかは、その事業の継続性ですとか制度の弾力的運営など、各施策の具体的な内容から個別に検討すべきものと考えておるところでございます。

○中村委員 私の問題意識としては、給付などの場合は、条例であれば、都民の代表である議会が議論し、また、そのことを通じて都民が意見を出し、都民への周知が図れるということがあると思います。また、要綱の場合だと、例規集といった条例、規則のデータベースにも掲載されず、現在、積極的に都民に公開されていないこともあります。要綱の内容をあらかじめ公開しておけば、都民は申請を検討する際の判断の目安にもなり、制度に関する単純な問い合わせや無用なトラブルも減ると思います。
 要綱の公開についての認識をお伺いします。

○醍醐総務部長 要綱に基づく施策につきましては、これは当然のことではございますが、各局におきまして、利用者に対する制度内容の幅広い周知に努めているところでございます。
 根拠となる要綱の公開につきましては、その手法も含め各局の判断にゆだねているところでございます。
 ただ、総務局といたしましては、行政手続の透明性、公平性を図る観点から、要綱の公開というのは重要であるというふうに認識をしておるところでございまして、これまでも、各局からの相談の機会などをとらえまして、公開について助言をしてきたところでございます。
 今後とも、庁内の連絡調整会議などを通じまして、公開につきまして関係局に働きかけていきたいと存じます。

○中村委員 要綱を根拠としている施策をすべて条例化するのは難しいということは、理解できなくはないんですが、少なくとも制定した要綱については公表することを徹底すべきと考えます。例えば、告示形式で必ず公表するルールをつくる方法もあるということを提案して、次の質問に移りたいと思います。
 次に、総務局の監理団体である財団法人東京都島しょ振興公社について質問します。
 島しょ振興公社の基本財産は、東京都の出資が十八億円余、島しょの町村が二十一億円余、合計四十億円になっています。これは、他の監理団体と比較すると大変大きな金額です。また、平成二十一年度の総務局の決算では、島しょ振興公社から総務局へ貸付金五億七千万円の返還金が歳入され、総務局から島しょ振興公社への貸付金五億六千万円が歳出になっています。貸付金の残高は二十二億六千万円もの金額にもなっています。
 そこで、島しょ振興公社は、これら基本財産と貸付金をどのように事業に活用しているのか伺います。

○高木多摩島しょ振興担当部長 島しょ振興公社の基本財産は、その運用益を公社の行います各種事業の財源とするために、都と島しょ町村が拠出したものです。しかし、金利の低迷により、基本財産の運用だけでは十分な利息収入が得られないため、それに加えまして都から毎年一定額を公社に貸し付け、その運用益を事業の財源に充てております。
 これら基本財産と貸付金の利息収入をもちまして、島しょ地域の特産品の展示販売や島の魅力をPRする広報宣伝事業、ヘリコミューターの運航支援など、伊豆諸島、小笠原諸島の産業、観光などの振興に資する事業に幅広く展開しております。

○中村委員 島しょ振興公社は、島しょ地域の振興のためにさまざまな事業を行っています。離島間を結ぶヘリコミューター事業には東京都から四億二千万円の補助金が支払われています。島しょ振興公社自体には、そのほかにも二千万円の運営費補助がなされています。
 東京都は、監理団体であるこの公社にどのような役割を期待しているのでしょうか、伺います。

○高木多摩島しょ振興担当部長 島しょ振興公社は、寄附行為第三条の規定にあるとおり、伊豆諸島及び小笠原諸島地域の活性化を図るため、地域の産業、観光業の振興に関する事業を行うことによりまして、島しょ地域の振興と豊かな地域社会の形成に寄与することを目的として設立されております。
 この公社設立目的に従い、小離島を中心とします島民の生活路線の確保に向けたヘリコミューターの運航支援や、アンテナショップ、東京愛らんどの運営など、各種事業を実施することにより、島しょ地域の振興を図る上で重要な役割を担っており、今後ともその役割を十分に果たしていくことを期待しております。

○中村委員 島しょ振興公社の基本財産は、先ほども述べましたが、都の公益法人の中でも突出して大きな金額です。公社が自立的で健全な経営を行っているかどうかきちんとチェックをしていく必要があります。また、島しょ振興という役割を十分に果たしているかどうかの検証も重要です。
 そこで、島しょ振興公社の所管局として、今後、経営状況や事業内容の検証をどのように行っていくのか伺います。

○高木多摩島しょ振興担当部長 都はこれまでも、監理団体の経営目標評価制度によりまして、島しょ振興公社の収支の状況や特産品の販売高などの項目につきまして、それぞれ目標を設定し、それらの成果について検証を行ってまいりました。
 現在、島しょ振興公社では、多くの他の団体と同様に公益財団法人への移行を目指しており、公益認定による社会的信用を得て、一層充実した事業展開を行えるよう取り組んでおります。
 今後とも、島しょ振興公社の設立趣旨を十分に踏まえ、民間的経営手法や、都と島しょ九町村の共同実施によりますスケールメリットを活用し、島しょ地域の振興と豊かな地域社会の形成にこれまで以上に寄与するよう、指導、監督を行ってまいります。

○中村委員 都政において島しょ振興については重要な課題であり、今後もしっかりと取り組んでいただきたいと思います。
 その一翼を、都と島しょの町村が出資をした島しょ振興公社に担っていただいているのですが、都民の大きな資産を預けているので、その運営管理が透明で公正であることをしっかりと監督するとともに、設立目的の島しょ振興について、十分な成果が出せているかも指導していくことが大切であると思います。引き続きの取り組みをお願いして、次の質問に移ります。
 次に、監理団体について何点か伺います。
 監理団体については、都議会民主党も常なる改革を求めてきました。
 そこでまず、昨年度の監理団体改革の成果について伺います。

○土渕行政改革推進部長 監理団体は、行政支援、補完機能を発揮する都政の重要なパートナーであり、都民からの信頼を得られるよう不断の改革を行っていくことが必要であると認識しております。
 そのため、監理団体改革については、団体の統廃合、都の財政支出や都派遣職員数の削減、役員退職金の廃止、役員報酬の引き下げ、経営目標の達成度評価や中期経営計画の策定など、さまざまな取り組みを積極的に進めてまいりました。
 昨年度につきましても、これまでの改革の取り組みの上に立って、個別の課題について対応を行ってきました。具体的には、経営の透明性の向上に関して、経営情報の公開の範囲を拡充し、新たに人件費等の状況、外部監査の結果、役員として都OBを選任した場合の都退職時の職名について公表することを定め、実施しております。

○中村委員 私自身は、都政の変化の中で都自身が行うのではなく、外部への委託などを行った方がよい事業もあるのですが、完全な民間よりも公の立場にある監理団体が担うことが適している場面もあると思っています。監理団体の存在そのものは否定しませんが、公の側面があるのですから、透明性と公平性が強く求められ、そのことが存在のための必須条件となります。
 そこで、二つの観点から伺いたいと思います。
 都の監理団体であるからには、透明性を都民に訴えていくことが必要ですが、この努力が果たして十分といえるのでしょうか。今後、監理団体の透明性をどう高めていくのか伺います。

○土渕行政改革推進部長 都は、本年九月に東京都監理団体活用方針を作成し、都民サービス向上のため監理団体を積極的に活用していくとともに、都民への説明責任を高めるため、経営の透明性を一層向上させるなどの改革に取り組んでおります。
 具体的には、監理団体の締結する契約につきましては、現行の公表基準を見直し、都から特命で受託した事業等にかかわる契約については二百五十万円以上としました。また、事業評価を充実し、都が監理団体に委託している事業について、事業効果や効率性のみならず、団体がその事業を実施する妥当性等についても精査を行っています。
 今後とも、監理団体が都民に一層貢献していくために、不断の改革に取り組んでまいります。

○中村委員 確かに徐々に取り組んできてはいますが、より一層の透明性の向上への取り組みが必要です。公表基準を変えたことは前進だと思いますが、都から特命で受託した事業等にかかわる契約だけでなく、自主事業であっても情報の公開をすることを求めたいと思います。
 さて、先般、東京都道路整備保全公社から都に対して十億円の寄附がありましたが、今回の寄附は、昨年度の包括外部監査で、将来の使途が明確でない特定資産について指摘を受けたことがきっかけになったと考えます。まだまだ都民の目から見てわかりにくい面があります。
 そこで、積立金等について、他の団体には同様なことはなかったのか伺います。

○土渕行政改革推進部長 監理団体は、これまでも、具体的な使途を定めて計画的に基金を積み立て、着実な事業実施に活用してきました。また、新たなニーズへの柔軟な対応等のために一定の余剰資産を有することも、健全な経営のためには不可欠であります。新たな公益法人制度においても、公益法人が公益目的事業を行うために必要な財産を保有することや、不測の事態等に備えるために、公益目的事業費一年分相当額まで、使途の定まっていない財産を保有することは認められています。
 このような観点から、包括外部監査の指摘があった時点で、すべての監理団体について基金、積立金等の調査を実施し、道路整備保全公社以外は、保有限度額を超えるおそれがないことを確認しております。

○中村委員 今後も一層の的確な指導に努めるべきだと思います。
 都の監理団体は、通常の民間企業と異なり、公的な側面が強い団体です。そのため、透明性に加えて公正性が要求されます。例えば、事業を展開するには当然人材が必要ですが、そのありようについて都民に疑念を持たれないよう公正性を高めるべきです。
 多くの監理団体では、そのトップに都の局長級などで退職した方々が就任しています。こうした現象は、都民から見ればまさに天下りであり、都民の信頼を失うということにつながっていると考えます。
 そこで、なぜ監理団体の役員に都のOBが必要なのか、都の見解を伺います。

○中嶋人事部長 監理団体は、都の事業を支援、補完する重要な機能を持っており、都政の重要なパートナーでございます。このような監理団体が事業運営を行っていくために、都政に関する知識、経験を有する都を退職した幹部職員を活用することは、各団体の適切な運営に寄与するものと考え、都はこれまでも、株主や出資者としての立場から適材を推薦してまいりました。
 とりわけ監理団体等の意思決定にかかわる役員につきましては、都政とのより密接な連携を保ちつつ、団体の自主性、経営責任の明確化を図るという両方の観点から、都政で重責を担った局長級や重要、困難な職責を果たした部長級の退職幹部職員を推薦しております。
 こうしたことから、退職した都幹部職員の監理団体における活用は、今後とも必要であると考えております。

○中村委員 現在、中高年の雇用状況が大変厳しい中、退職金はなくても雇用が確保されて、しかもそれが単なる雇用ではなく、団体の役員という処遇が与えられれば、都民の理解を得ることはなかなか難しいかと思います。都民の不信感や疑念を招かないような取り組みをしていくべきことは、繰り返し主張します。
 最後に、監理団体について別の側面から質問します。
 監理団体は、都という公の事業を担っていただくわけですから、監理団体の事業を担う職員一人一人の意識の持ち方の面でも課題があると考えます。職員が公務員ということではないにしても、公に携わっているという意識を持ちながら、事業能力を高めていくことが重要です。
 そこで、監理団体の従業員の公共的意識の醸成も含めて、団体の人材育成についてどのように考えるのか伺います。

○土渕行政改革推進部長 監理団体において、固有職員の高齢化や都派遣職員の削減などの厳しい状況が続く中、団体が引き続き良質なサービスを提供していくためには、優秀な固有職員の育成が必要と考えております。
 このため、各団体では、業務に関連する知識や技術を習得するための研修に取り組むとともに、人材育成方針の策定や、若手の職員を対象とした都などへの長期派遣研修など、人材の育成に力を入れております。
 都といたしましても、首都大学東京と連携した経営改革研修の実施など、東京都の行政を支援、補完する監理団体の職員として求められるスキルアップを図るための支援を行っております。
 こうした取り組みを通じて、今後とも、職員が団体の事業推進に当たって能力を遺憾なく発揮し、都民サービスの向上に貢献できるよう、引き続き必要な支援を行ってまいります。

○中村委員 監理団体全体としての透明性、公正性、公共性の取り組み状況について伺いましたが、まだ取り組みは道半ばといわざるを得ません。
 繰り返しますが、都政の改革の中で、監理団体の存在そのものを否定するものではありませんが、それには、透明性と公平性と公共性が確保されて初めて都民の理解が得られ、存在し得るものですから、今後のしっかりとした指導、監督の取り組みを要望して、質問を終わります。

○鈴木委員 それでは、私から区市町村の振興についてお伺いをいたしたいと思います。
 東京は、一口に東京といっても、区部から西多摩、島しょ地域に至るまで、それぞれに多様な地域性を持ち、それぞれに多様な課題を抱えている。こうした地域ニーズを踏まえ、それぞれの課題を解決に導いてこそ、大都市東京の発展と住民福祉のより一層の向上につながるものであるというふうに確信をいたします。
 また、こうした認識の中で、我が都議会自民党は、地域の声に真摯に耳を傾け、行政側に予算化等提起をし、また、その住民の声を反映させることで、成熟を遂げつつある東京の今日の発展に大きく貢献をしてきたと自負しているところでもあります。
 二十一年度決算では、八百億円余が区市町村振興のために、また、約八千六百億円余が特別区財政調整のための交付金として支出をされています。
 そこで、これだけの規模の財政投入がなされていることを踏まえ、何点かお伺いをしたいと思います。
 まず、特別区についてお伺いをしたいと思います。
 特別区の区域は、人口や企業が高度に集積するとともに、市街地が連担しており、住民自治の実現のみならず、大都市としての一体性、統一性を確保していくことが大変重要なことであると思います。こうしたことから、我が国で唯一の都区制度が設けられているわけであり、都と区の役割分担のもとで、東京の活力と魅力をさらに高めていく必要があるというふうに考えます。
 一方、区部の中でも、業務機能が集中している区、また多くの人口を抱えている区、私の地元目黒のように住機能と業務機能が混在する区と、さまざまな状態を呈しており、地域特性のみならず人口規模や財政状況においても、その置かれている状況は大変異なっているといっても過言ではないと思います。
 生活圏、経済圏も拡大しつつある中で、区域をまたがる、より広域的な行政需要への対応も求められており、区境を越えると行政サービスが大きく異なるというような事態は避けなければならないと、これは至極当然のことと本来は考えるべきでありますが、意外や意外、私も区におりましたが、お互いの区で区の政策を主張するが余りに、区境のことを忘れて、それぞれの区が独自性のある独自の政策をやるということに終始している点も、ないとはいえない部分もあるということです。
 しかし、税財政面で見ると、特別区相互間には税源の著しい偏在が存在をしています。大都市地域の中で、人口規模や地域特性が大きく異なる特別区が、基礎的自治体として自主性、自律性を発揮して、住民サービスを向上していくためには、特別区相互間の財源の均衡化が不可欠であります。特別区財政調整交付金はその調整に大きな役割を果たしているといっても、これも過言ではない。
 そこでまず、特別区財政制度の持つ意義と、そのことをどのように考えるのか、見解を伺いたいと思います。

○岸本行政部長 都区財政調整制度は、都が大都市地域における行政の一体性及び統一性を確保するとともに、特別区がひとしくその行うべき事務を遂行することができるよう、市町村税の一部を都税として賦課徴収し、その一定割合を区に交付する制度でございます。
 これにより、都と特別区、そして特別区相互間の財源の均衡化を図るとともに、特別区の行政の自主的かつ計画的な運営を確保しておりまして、上下水道や消防など都がみずから行う事務と相まって、区部における行政サービスの充実が果たされてきたものと考えております。
 なお、特別区の交付に当たりましては、区との協議により定めたルールに基づいて、各区の需要と収入を的確に算定し、区間の調整を行っております。

○鈴木委員 財政調整交付金は、特別区の歳入総額の約四分の一を占める重要な財源であり、適正な算定に努めてもらいたいと思います。後ほどちょっと申し上げます。
 次に、都市計画交付金について伺いたいと思います。
 現下の停滞する経済を活性化し、我が国の活路を開くには、首都東京の社会資本整備は欠かすことができない。二十一世紀にふさわしい成熟した都市である東京を実現するためには、緑の創出や安全・安心な交通ネットワークの実現が求められており、特別区が行うインフラ整備、とりわけ都市計画事業の重要性は、ますます高まっているといっていいと思います。
 そこで、特別区の都市計画事業を後押しするために設けられている都市計画交付金がどのような役割を果たしてきたのかを改めて伺います。

○岸本行政部長 特別区都市計画交付金は、特別区におけます道路や公園整備等の都市計画事業の円滑な促進を図ることを目的として、区が負担する事業費の一定割合を交付するものでございます。
 都はこれまで、市街地再開発事業における再開発組合等への助成や、都市計画公園整備事業の対象面積の緩和など、交付対象事業の拡大を図りますとともに、過去十年間で交付金の総額を六十億円増額するなど、制度の充実に努めてまいりました。
 平成二十一年度におきましては、都市計画道路七十四事業、都市計画公園二十三事業など、合計百四十二事業に対して計百九十億円を交付しております。
 この制度により、区道や区立公園など地域住民に身近な公共施設整備のみならず、鉄道の連続立体交差や市街地再開発など、広く都市インフラの整備の推進に寄与してきたものと認識しております。

○鈴木委員 特別区は、十年前の都区制度改革で基礎的自治体に位置づけられ、より広範に地域の事務を担い、みずからの責任で住民サービスを効率的に行っていくことが求められています。都においても、特別区がその役割を十二分に果たせるよう、引き続きしっかりと対応していただきたいと思います。
 また、特別区との関係では、都区のあり方検討委員会において、今後の都区のあり方について根本的かつ発展的な検討が続けられています。大都市東京における自治のあり方を都区みずからが定めていくという意義を都区双方が十分に認識し、東京の実態に即し、なおかつ都民サービスの向上に資する結論が導かれるよう、しっかりとした議論を要望しておきたいと思います。
 ただ、先ほど最初にも質問した財政調整の件でありますが、答弁の中で、協議により定めたルールに基づいて、各区の需要と収入を的確に算定し、区間の調整を行っているというふうに答弁があったわけですが、私が十五年前か区議会議長をしていたとき、議長会でもいいましたが、実際にこれが果たして公平かというと、そうではない。なぜかというと一つ欠けている点があります。それは、港区とか目黒区の百万円と下町の百万円とでは、同じ課題においても実際にはそうではないという価値観、要するにそのときの費用の面とか、計算すると違ってくる部分というのがかなり出てくるわけです。
 ですから、財調制度そのものをもう一回本当に考え直す時期が来ていることも、あわせて私は意見として申し上げておかないと、これは一般質問でもいっていますので、都区のあり方そのものもそうですね。私は合区論者ですから、今の二十三区でいることが果たしていいのかということも踏まえて、真剣に制度を見直す中できちっとした、より公平で公正な本当の意味での財調制度を新たな時代を迎えるためにつくるべきだと、つくり上げていくことも、都と区でしっかりと区長さんたちとの議論をしていただきたいと思います。
 区側にいましたから、私は区側の意見はほとんどよくわかります。しかし、区側も区側でかなり勝手なことをいっているわけですから、勝手なことをいっていることに対しては、きちっと都側がいって、東京を首都としてつくり上げていく都区間の、今いった財政調整制度というようなものを、新たな道、新たなそういうところへ展開をしていくということも、十分に考えてもらいたいということをあわせて申し上げておきたいと思います。
 次に、多摩島しょ地域への財政支援についてお伺いをいたします。
 市町村の円滑な行財政運営に大きく寄与する市町村総合交付金は、平成十八年度にそれまでの振興調整交付金を統合して創設をされましたが、その予算額は、自由民主党が拡充を強く求めてきた結果と思いますが、年々増加をして、二十二年度には四百三十五億円となり、過去最高額を更新してきたところでもあります。
 市長会、町村会からの要望にもあるとおり、市町村の総合交付金に対する期待は大変大きなものがあります。一方で、市町村財政を取り巻く状況を考えると、高齢化社会への対応や少子化対策などの扶助費が増加するなど、引き続き経常的な経費の負担が高まっています。加えて、景気低迷の影響により地方税が減少するなど、各市町村は歳入面でも厳しい現状にあると思います。
 そうした厳しい状況の中、市町村財政に対する総合的な支援制度である市町村総合交付金に期待される役割は、ますます大きなものになってきているというふうに考えます。
 そこで、この市町村総合交付金の今日までの成果についての認識を改めて伺います。

○岸本行政部長 市町村総合交付金は、市町村に対する包括的な財源補完制度として、自主性、自立性の向上に資するとともに、地域の振興を図り、市町村の行政水準の向上と住民福祉の増進を図ることを目的とするものでございます。
 平成二十一年度には、市町村の要望も取り入れながら、近隣自治体間での図書館の相互利用などの広域連携の取り組みや、建築確認などの事務権限拡大の取り組みを支援できるよう制度の改善を行いますとともに、都内の全市町村に対し、過去最高額となる四百二十五億円を交付しております。
 総合交付金を活用した財政支援により、各市町村の安定的な行財政運営に寄与するとともに、人事給与制度の改善など、行財政改革の取り組みの促進が図られました。また、市町村が実施する道路、学校などの公共施設整備や、地域の特性を踏まえたまちづくり事業に資するなど、大きな成果があったものと考えております。
 今後とも、市町村の実情を踏まえ、より効果的かつきめ細やかな財政支援を行えますよう、制度の的確な運用に努めてまいります。

○鈴木委員 総合交付金は、市町村にとって行財政運営を支援する財源補完制度として重要な役割を担っています。また、その運用についても、市町村の実情に合わせた使い勝手のよい制度ともなっており、高く評価をするものでもあります。都議会自民党としても、より一層の拡充に向けた支援をぜひお願いしていきたいと思います。
 さて、次に、とりわけ財政状況の厳しい伊豆諸島、小笠原諸島に対する島しょ振興についてお伺いをいたします。
 島しょ地域は、太平洋上に点在する島々から成り、豊かな自然や生物資源が多く残された、東京にとっての貴重な財産であることはもとより、我が国排他的経済水域の三八%を占める広大な地域を擁した、国益上最も重要な役割を担っている地域でもあります。
 一方で、この地域は、台風や冬の強い季節風、平たん地が少ないなどの厳しい自然環境にもあります。
 我が都議会自由民主党は、これまで島しょ地域の遠隔性や重要性をかんがみ、島民生活の安定や福祉の向上、観光を軸とした産業振興など、島しょ地域の振興に積極的に取り組んでまいりました。また、生活環境は大きく改善もしてきたと思います。しかしながら、島民生活の安定と向上のためには、まだまだ課題も多く残されているのが現状であるという認識であります。
 そこで、島しょ地域に対する都の取り組みについて見解を伺います。

○高木多摩島しょ振興担当部長 東京の島しょ地域は、本土から隔絶した外海離島であることから、ご指摘のとおり、台風や冬の強い季節風などにより、道路や港湾施設の損壊や船舶、航空機の欠航のリスクが高いなど、島民生活の安定を図る上で厳しい地理的条件のもとに置かれております。加えて、人口減少や高齢化の傾向が本土より高い割合で進展していますことから、後継者不足による産業の低迷や島の活力の停滞など、多くの課題がございます。
 このように厳しい自然的、社会的状況にありましては、都によるさまざまな支援が不可欠でありますことから、都はこれまで、町村の意見を十分踏まえ、東京都離島振興計画や小笠原諸島振興開発計画を策定し、観光、交通、情報通信及び防災など、島しょ地域の振興、発展に取り組んでまいりました。
 今後とも、島しょ町村と連携し、観光を初めとします産業振興や、港湾、道路、防災などの基盤整備などにより、島民生活の安定と向上を図ってまいります。

○鈴木委員 今、質疑をしてきたように、都による財政支援というものが区市町村の振興に与える影響というものは非常に大きい。そして、それだけの成果を上げてきたことは事実だというふうに思います。しかし、都の姿勢として、区市町村の、そこに住む住民の皆さんの意見を十分に聞き入れて、その上で適正にその意見をきちっと体系化して、財政として、またそれをある程度、各区市町村との連携のもとに支出をしていく。そしてそれを点検していくということが、これから、なお、しなければならない、また、努力をしていくということの必要性を改めて感じるところでもありますので、よろしくお願いをしたいと思います。
 さて、国は先般、地域主権戦略大綱を発表いたしました。権限移譲など地域のあり方を、我々自治の当事者の意向を確認することをせず一方的に押しつけようとしているように感じられます。国が画一的な枠組みや関与を通じて地方を縛る枠組みは、もはや時代には全くそぐわないといわざるを得ません。
 例えば、大気汚染対策や温暖化対策などの課題を前に、国が有効な解決策を提示できず手をこまねいている間に、東京は周辺自治体と連携して、九都県市の枠組みを駆使しながらこれらの課題に積極的に取り組んできたことも事実であります。これはまさに新しい課題解決のモデルを全国に示したものといえるものであり、強いリーダーシップを持つ石原知事がいたからこそできる、東京の画期的な取り組みといっても過言ではないと思います。
 今後、社会が成熟していくにつれて、行政ニーズも多様化、複雑化が進み、広域的な課題のみならず、地域の課題もますます深刻になっていくように思います。本格的な高齢化社会に突入しつつある今日、とりわけ東京は高齢者の数が群を抜いています。待機児童の問題などに象徴されるように、子育て環境の課題も顕在化しています。また、住民生活を支える都市インフラの老朽化も大きな課題として今後のしかかってまいります。
 こうした課題は、大都市東京ゆえに先鋭化しているものであり、国の一律的なシステムの中で対応するのではなく、地域の実情をよく知る東京みずからが、しっかりとその責任を果たしていくべきであるともいえます。
 今後は、都財政も厳しい状況が続くことが懸念されていますが、都は、こうした課題に果敢に取り組み、都民福祉の一層の向上はもとより、地方自治のトップランナーとして、地域課題の解決についても全国の模範とならなければならない。また、国に対していうべきことははっきりというという決断を持った政治命題に対しての対応をしていくことが必要だと思います。
 東京は、このような責任を果たしていくためには、都のみならず、同じく自治体の担い手であり、パートナーである区市町村との連携を強化していくこと、また、区市町村がそれぞれの責務を地域でしっかり果たしていけるような後押しをしていくことが、都には求められていると私は考えます。
 そこで、最後に伺いますが、区市町村の振興についての局長の決意を伺います。

○比留間総務局長 東京は、人材、企業などの高度な集積を有する、まさに国力の源泉でありまして、地方自治の牽引役でもございます。この集積の力を生かし、時には国に先んじてさまざまな課題を迅速かつ効果的に解決し、東京のみならず、首都圏全体、日本全体の発展を強力に推し進めていくことは、東京の責務でございます。
 こうした責務を果たすためには、大気汚染を初めとする広域的な課題に対しては、都と周辺自治体との広域連携により、その解決を図ることが重要でございまして、同様に、大都市東京に先鋭的にあらわれる諸課題につきましては、東京の自治を担う都と区市町村が連携して取り組むことが重要でございます。
 区市町村は、基礎的自治体として、住民に身近な行政サービスがより充実するようそれぞれ努力を重ねており、都は、広域自治体として、東京全体の活力を維持、向上させる役割を担いつつ、区市町村の振興に向けて、財政面を初めとするさまざまな支援を行ってまいりました。東京の区市町村は、大都市部から島しょ地域まで、他に類を見ないほど人口や財政規模に大きな差異があり、その地域性も実に多様でございます。
 今後とも、都はこうした区市町村の状況にきめ細かく配慮しつつ、実効性のある支援を行い、東京のさらなる発展と都民福祉の向上に向けて、より一層区市町村の振興に努めてまいります。

○鈴木委員 まことにいい局長答弁をいただいたわけですが、私は、今まさに答弁なさったように、東京がさらなる発展をするためには、区市町村との本当の意味でのきずなを強くすることだと思っています。
 地方主権ということがいわれていますが、私は地方主権という言葉は余り好きじゃないので、地方分権といいますが、本来、分権社会を担っていくためには、今いったそこに住む住民自治がしっかりし、その声が区市町村から都に上がると。そこに住む一人一人の、国民、都民、区民とのきずなが、行政側が本当につながっていくということだと思いますし、そのきずなの意味というのは、そのことの中に心というものが入っているというふうに思いますし、そういうような心の通った都政を実現するためには、我々都議会自民党は、ここにいらっしゃるほかの会派の方とお互いに力を合わせて、これからも区市町村の振興に取り組む努力をさせていただくことのお誓いを申し上げさせていただいて、質問を終わります。

○遠藤委員 今、局長の方から、日本における東京の位置づけ、すなわち国力の源泉であると、このような端的な一言がございました。まさに私も全く同感であります。その首都東京を担う私たち二元代表制の議会と、そして都の職員の皆さん、執行側の皆さん、これからますます役割は重要だなと、このように今の質疑を聞いて感じておりました。
 今回の決算説明書中、四二ページに職員の皆さんの研修費について論及がございます。中でも私は、きょうは、職員の皆さんの海外研修について、人事部長を中心に質問させていただきたいと思います。
 いうまでもなく、職員の海外研修は、都の財政難を理由として平成九年度中に中止されました。しかし、平成二十年度に再開をされまして、今回の決算のターゲットとなっております二十一年度は、再開後二年目となるわけであります。
 そこでまず、二十年度という時期に海外研修を再開した理由について、お伺いをしたいと思います。

○中嶋人事部長 東京都におきましては、平成十八年三月、東京都職員人材育成基本方針を策定し、OJT、職場外研修、自己啓発という職員研修の三本柱を充実させることで、人材育成機能を強化してまいりました。一方で、近年、横田基地対策やアジア大都市ネットワーク21、さらには東京の水道技術や運営ノウハウを活用した国際貢献ビジネスなど、国際的な交渉能力が職員に求められる時代になってまいりました。また、環境対策などグローバルな政策立案能力も職員に求められてまいります。
 こうした状況を踏まえまして、組織ニーズに対応した能力を付与するための職場外研修の一つとして、平成二十年度より海外研修を再開したものでございます。

○遠藤委員 考え方はわかりました。
 それでは具体的に、いかなるプログラムで、どのような規模で実施をしてきたのか、答弁をいただきたいと思います。

○中嶋人事部長 平成二十年度に海外研修を再開するに当たりましては、政策課題プログラムと大学院派遣プログラムの二つのコースを設けました。
 政策課題プログラムは、都政の課題につきまして、海外の行政機関等において最大三カ月間調査研究を行い、その結果を都の施策に反映させるものであります。研修のテーマは各局からの提案を受けたもので、喫緊の政策課題や重要課題などの中から海外での調査研究が役立つものを選定しております。これらのテーマにつきましては、研修生は、事前の調査研究計画の作成から帰国後の報告に至るまで、すべて研修生個人がみずから企画し、実行するものでございます。
 一方、大学院派遣プログラムは、米国ワシントンDCのジョージタウン大学公共政策大学院におきまして、公共政策の専門知識と、外国の専門家などと議論できるレベルのコミュニケーション能力を身につけさせるものでございます。このプログラムは、大学院の既存のカリキュラムの中で公共政策の学位を取得させる一年コースと、大学院と都が連携して特別に編成した都職員向けのカリキュラムにより、即戦力を早期育成する三カ月コースの二種類から成ってございます。
 次に研修実績ですが、研修生は、管理職候補者を初めとしまして、今後の都政を担う若手中堅の職員から選抜しておりまして、平成二十一年度におきましては、政策課題プログラムに八名、大学院派遣プログラムの一年コースに一名、三カ月コースに六名を派遣しております。

○遠藤委員 ありがとうございました。二つのパターンがあると。一つは政策課題ごとの調査研究をする政策課題プログラムと、もう一つは、アメリカのワシントンのジョージタウン大学で、比較的長期にわたって研修をする大学院派遣プログラムと、この二つがあるということでありました。
 私も事前に、まず、政策課題プログラムはどんなメニューでやっているのかということで一覧をいただきました。二十一年度は、国際的な文化芸術フェスティバルの実態調査、これはエディンバラ、イギリスですとか、または欧州諸国の公共住宅政策について、ロンドン、グラスゴー、コペンハーゲン等々、さらには都市開発における行政と民間の協働役割分担について、さらには官民連携のあり方について、PPPで実現する私たちの住みたい都市等々、平成二十一年度はこのような中身でありました。
 さらに、二十年度については、例えばイギリス、ロンドンのドックランズ再開発、これは大変に有名な開発ですけれども、この調査。さらには成熟都市における都市空間デザイン、最先端のこうした取り組みだと思いますけれども、ロンドン、バーミンガム、パリ、バルセロナで研修と。さらに企業会計手法による行財政運営の実態調査、これもロンドン、メルボルン、シドニー、キャンベラ等々、非常に魅力的な内容になっていることを実感いたします。
 今のお話では、平成二十一年度は十五名、そして、答弁にはございませんでしたけれども、平成二十年度は十六名の方が、先ほどの大学の大学院等の研修とあわせて参加されているということで、二十年度、二十一年度ということで、それぞれ十五名前後の方々が毎年行かれているんだなということであります。
 質問三つ目に入りますけれども、最後になりますけれども、公費による研修であれば、都政への還元が当然のことながら不可欠であります。その点がどのように担保されているのか、お伺いをいたします。

○中嶋人事部長 都におきましては、海外研修の都政への還元として、研修終了後、報告書の提出のほか、全職員を対象とした報告会におきまして発表を行うことを研修生に義務づけております。
 さらに、研修終了後の配置に関しましては、研修成果を最大限活用できる部署に重点的に配置しております。例えば政策課題プログラムにおきましては、都の文化政策推進に関連しまして、海外の世界的文化芸術フェスティバルに関する調査研究を行った職員について、研修終了後、生活文化局の文化振興部においてイベント企画を担当し、その調査内容を活用しております。
 また、大学院派遣を終了した研修生につきましては、知事本局の外務部や基地対策部、それに環境局の都市地球環境部を初めとする国際渉外を行う部署へ配置しまして、即戦力として研修成果を発揮させるよう努めております。
 なお、都では、海外研修により学位を取得した職員が、その後、研修成果を都政に還元することなく早期に離職してしまうことを抑止することを目的としまして、職員の大学院派遣研修費用の償還に関する条例を平成二十年十二月に策定し、研修終了後五年以内に離職した場合、その年数に応じまして、派遣研修にかかった授業料、旅費などを都に償還させる措置を講じております。

○遠藤委員 それぞれ研修の成果が的確に、帰られた後の人事または仕事に反映されているということがわかりました。さらに、私も不覚ながら知らなかったんですけれども、勉強してほかに行ってしまう、こうしたことを予防するために、もしそのようなことがあった場合にはしっかり公金を取り返すと、こうした制度もしているということで、これは非常に重要であると思いました。
 しっかりと、した投資を回収できるのであれば、長期的視点に立って、たとえ財政難が訪れようとも継続をしていくべきだということを要望いたします。
 さらに、これは私の個人の意見ですけれども、二十年度は十六名、二十一年度は十五名の派遣ですけれども、先ほど来、冒頭申し上げましたとおり、都の職員の皆さん、首都公務員ですので、ますますスキルをアップしていただいて、それを還元していただくというのは重要なことだと思いますので、ぜひこの辺の規模の拡大をすべきであると、このように提案をしたいと思います。
 さらに、今、種々議論をしてきました、海外研修を通じて高度な知識を特定の職員に付与することも大事でありますけれども、私はその一方で、もっと根本的な、首都公務員として身につけておくべき知識やスキルを幅広く職員に付与する研修も、それと並んで重要であると、このように思っております。
 先ほど、中村副委員長の議論でも一部言及がありましたけれども、私は、政策法務、この研修が非常に重要であると、このように認識しております。
 皆さんの前であれですけれども、政策法務は、一言でいうと政策の形成や実現のための法的な業務であると、このようにいえると思います。自主的に条例や規則などをつくったり、法令を自主的に解釈、執行、運用することでもあります。職員の皆さんが日ごろの仕事の中の課題を解決していくためにも必要不可欠な能力であると思いますし、海外研修で、今話がありましたけれども、都政課題を調査研究して、その結果を具体的な施策に反映する場合でも、最終的にはこうした能力が不可欠であるわけであります。
 都のような二元代表制と違いますけれども、議院内閣制の国において内閣法制局という組織があります、ご案内のとおり。この内閣法制局は、情報が最新かどうかわかりませんけれども、たしか三十名ぐらいのメンバーで構成をされております。この内閣法制局の権威が、また信頼が担保されているゆえんというのは、内閣法制局が設立以来今日まで、たった一度たりとも、法制局を通った法令が最高裁で違憲判決を受けたことがないと、ここに内閣法制局の権威というか、信頼の根本があると、このようにいわれているわけであります。
 今後、何よりも地方分権改革が進みまして、地方公共団体に自己決定が求められるようになり、その重要度は今後ますます増していくわけでありますので、こうした政策法務の研修もさらに充実をしていっていただきたい、このように思います。
 戻りますけれども、先ほどの海外研修について、帰られた皆さん、人事部長からも答弁いただきましたけれども、多角的な角度からその研修の成果をまとめて報告書を出されております。
 さまざまな感想がありますけれども、ある方は、本当にすばらしい三カ月間で、日本にいては得られないものがありました、行って勉強しないとわからないようなことが絶対にあるので、それが三カ月の中で得られたことは、自分のこれからの生き方や価値観にも大きな影響を与えてくれるので、すばらしい体験だったと思います、このような後日談を載せております。
 しかしながら、その一方で、この報告書には課題も散見されます。例えば、研修スタートまでに三カ月間ぐらいあると安心したけれども、準備期間はあっという間に過ぎて焦ってしまったと。三カ月しかなかったということであります。
 別の方は、最初は二カ月半も準備期間があると思っておりましたけれども、一通のメールを送るにも、いただいた資料を読むにも、相当な時間がかかる上、訪問したいところも日々ふえていくため、気ばかり焦っているうちに準備の時間が過ぎてしまった、このようなこと。さらに、渡航が決定した後、全くつてのない中で、白紙の状態から訪問予定先にアポイントメントをとる、これがなかなか大変だったと、このような声がありました。
 ぜひこの研修を充実するに当たって、ディテールですけれども、この辺も配慮した上での研修がとり行われるようにしていただきたいと思います。
 最後になります。改めて、いずれにしても人材育成は短期になし遂げられるものではないわけであります。海外研修を通じた高度な専門的知識の付与の観点、そして、今、政策法務のことを申し上げました。こうした政策形成の土台となるべき基礎的なスキルの向上、この二点から、都政を支えるプロ職員の育成に粘り強く取り組まれ、もって都政課題に迅速かつ的確に対応する執行体制を構築していただきたいこと、また、それについては我が党公明党も全面的にご支援申し上げることをお誓いし、私の質問とさせていただきます。ありがとうございました。

○たぞえ委員 それでは、私も総務局二十一年度決算について質問したいと思います。
 平成二十一年度総務局決算書のうち、きょう私が取り上げたいのは公立大学法人首都大学東京の支援費についてであります。何点か伺います。
 都の二十一年度支援費、決算書の八五ページから記載がされておりますが、予算現額は二百十五億一千六百万円に対して、不用額は十億三千三百六十万円、執行率九五・二%という実績でした。
 予算の執行にかかわって、まず、経済的な理由などによって授業料の納付が困難になったという学生への支援についてです。
 首都大学東京には、経済的理由などによって授業料の納付が困難な場合、授業料を減額または免除する制度、いわゆる減免制度というのがありますが、平成二十一年度までの五年間の各年度の減免人数の推移をまずお示しいただきたいと思います。

○宮本首都大学支援部長 首都大学東京において、平成十七年度から平成二十一年度までの五年間で減免制度を利用した各年度の学生数の推移は、平成十七年度が一千三百四十六人、平成十八年度が一千二百九十九人、平成十九年度が一千二百九十六人、平成二十年度が一千三百二十九人、平成二十一年度が一千五百三十八人でございます。

○たぞえ委員 減免を受けている学生は、今答弁されたように、平成二十年度から二十一年度にかけて急増しているわけです。
 同じく経済的理由などによって、前期、後期、各期の授業料の一括納付が困難な場合、前期と後期ごとの授業料を、いわば二回に分けて納めるものを三回に分割納入する、こういう制度としての分納制度もあります。
 そこで聞きますが、平成二十年度と二十一年度の各年度の分納人数はどういう状況でしょうか。

○宮本首都大学支援部長 首都大学東京において、平成二十年度と平成二十一年度に分納制度を利用した学生数は、平成二十年度が百十人、平成二十一年度が百四十九人でございます。

○たぞえ委員 減免制度、分納制度とも、制度を利用せざるを得ない学生が増加しているというふうに、この数値から見て明らかだと思います。
 こうした学生が置かれている経済的実情や増加の原因について、まずどう認識されているのか。また、この問題で、学生生活を支援する取り組みを充実させるために、法人に対する支援をどのように進めていこうとお考えでしょうか。

○宮本首都大学支援部長 減免制度または分納制度を利用する学生が増加しておりますが、これは、昨今の経済情勢の悪化を受けて世帯収入が減少するなど、経済的な影響が首都大学に在籍している学生にも及んでいるものと認識しております。また、大学が、学内掲示板への掲示による周知のほか、大学ホームページへの掲載や入学ガイダンスでの周知など、あらゆる機会を活用して、学生に対して積極的な減免制度の周知に努めたことも、増加の一因であると考えております。
 都としては、本年六月に議会の議決を経て法人に対して示した中期目標においても、学生に対する経済支援を行うことを求めており、中期目標期間における法人の所要経費等を勘案して、運営費交付金を措置しているところでございます。

○たぞえ委員 在学中の学生の本業である勉学に支障を来さないよう、支援は引き続き必要だと思います。
 しかし、学費の軽減を受けるためには山ほどの書類を提出することになっているんですね。例えば申請者全員が提出するものとして、まず申請書があります。それから、本人を含めて生計を一にしている者全員の住民票、生計を一にしている者全員分の健康保険被保険者証、それから課税収入のある人全員の所得証明書、無職者がいる場合は雇用保険の受給証、さらには該当者の場合には生活保護受給証明、在学証明書、障害者手帳の写し、介護保険被保険者証、医師の診断書、被災証明書と、これだけ出すわけですよ。これらの書類を提出するには、実家に手配をしたり、平日に学校を休んで関係機関に出向かなきゃいけない。時間もお金も必要です。お金のない学生がお金を用意しなければならない、時間もかかる、まさにダブルパンチであります。
 私は、こういう状況を見ると、交付のための手数料の補助制度が必要だというふうに思います。提案しますが、いかがですか。

○宮本首都大学支援部長 法人の具体的な運営につきましては、独立行政法人制度の趣旨から、法人が自主的、自律的に判断をして行うべきものでございまして、学生支援に関する新たな制度の導入など個別の取り組みに関することは、法人が判断していくものと考えております。

○たぞえ委員 新しい提案ですから、ぜひ法人に伝えていただきたいと思います。
 次に、学生の就職についてです。
 世界的不況の影響を受けて、卒業予定者に氷河期の再来という就職難が襲いかかり、就職内定率は過去最低、史上最悪になるのではないかと懸念されています。
 この十月、三鷹市で開かれた就職活動座談会に参加した都内の四年生の男子学生ですが、こういっています。四十社の説明会に申し込んで二十社の会社独自の応募用紙を出したと。面接まで行けたのは十社、最終面接まで行った会社はあったけれども、内定はどこからもなかったと、まさに疲れ切った表情で述べていました。
 また、別の学生は、そうした活動のため卒論どころではないとつらさを語って、就職を希望しても一度も就職試験も受けられず。
 就職も進学もせず進路未定になった、こういう学生が全国で八万七千人、全国での就職率は六〇%です。まさに超氷河期といわれる深刻な事態が突き進んでいると、このように思います。
 学校を卒業した若者の社会人の第一歩が失業者という社会でいいのか、この基本認識について、公立大学法人への支援を所管している局なのであえてお尋ねをするわけですが、今の学生の就職難についての見解を伺いたいと思います。

○宮本首都大学支援部長 就職希望者が必ずしも全員就職できない状況につきましては、残念に思っております。
 きめ細かな就職支援につきましては、都が法人に対して示している中期目標においても、学生支援に関する目標の一つとして掲げており、法人においては、就職カウンセラーによる就職相談のほか、各種のガイダンスや講座などを通じて、学生に対する就職支援に努めているところでございます。

○たぞえ委員 毎日コミュニケーションズのことしの八月の調査によりますと、来年、二〇一一年春の大学卒業予定者の内定率は全体で五四・五%ということで、男女いずれも半々前後にすぎず、とりわけ女子学生は厳しい状況に置かれています。
 我が日本共産党は、この十月に都内の私立大学と懇談をしました。ここでは、近年、安定していた金融機関に就職が決まっていたけれども、ことしは大手の銀行でも半分など経済悪化の影響がある、こういうお話でした。
 そこで聞きますが、首都大学東京では、二十一年度末に卒業を控え、就職を希望していた学生は何人か、また実際に就職した学生は何人か、その数値をお示しいただきたいと思います。

○宮本首都大学支援部長 首都大学東京において、平成二十二年三月に卒業した学部生のうち、就職を希望した学生数は八百八名でございます。
 平成二十二年五月一日現在、そのうち七百七十二名が就職を決定しております。就職率にすると九五・五%でございます。

○たぞえ委員 卒業はしたけれども、足元を見たら、アルバイト職や派遣社員、期間の限られた社員に落ちついていたとか、アルバイトやパートで当面つないで正社員を目指そうという、そういうところに落ちついた人もいるでしょうし、いろいろな卒業後の状況があると思います。首都大学東京を卒業しても、落ちついたら雇用の不安定な非正規雇用では、将来の安定的な生活の希望も見出すことはできません。
 新卒者の求人が減少しているのは、景気の悪化だけではなくて、派遣や請負などの非正規雇用の拡大が根本にあります。大手企業は生産も収益も回復しつつありますけれども、回復しても、使い捨てにできる派遣や期間社員などの非正規雇用の復活で、正社員を本当にふやそうとしていないんです。こんなことが続く限り、新卒の就職難も抜本的な解決はできないんじゃないでしょうか。
 公立大学法人を持つ自治体である東京都として、日本の雇用のあり方を、非正規から正規雇用へ道を開けるよう企業に働きかけることが必要であるということを申し上げたいと思います。
 そこで、三月に卒業した学生が五月ごろまでに大学に自主的な申告を行っていますけれども、自分が卒業後どういう職種についたのか、また正規や非正規などの就職先の身分はどういう状況なのか、大学としてこれをどう把握されているでしょうか。

○宮本首都大学支援部長 大学が学生に対して配布しております進路届においては、職種、雇用形態を記入する欄も用意してございます。ただ、この欄は自主申告であることもあり、記入しない学生も多いため、正確な数は把握しておりません。
 しかし、就職相談やカウンセリングの結果からは、非正規雇用は少ないと判断していると聞いております。

○たぞえ委員 卒業前の就職相談やカウンセリングでは少ないと判断しているというお話でしたけど、実際に卒業して就職してみたら様子が変わっていたというケースもあるかと思います。これはやっぱり追跡調査する必要があると思います。
 卒業を目の前にして、結局就職への糸口もつかず、再挑戦に向けて留年するケースが増加の一途を、全国的にもふえているという指摘があります。それはなぜかと聞きますと、一たび大学を卒業してしまいますと既卒、もう卒業生になってしまって、企業への就職の扉が閉ざされるということなんです。いわば既卒不利は否定しようもない事実になっています。したがって、四年生が現在の三年生の就職活動に加わる。いわば留年を覚悟して、十二年度卒業予定者として就職活動に再挑戦するしかない。こういう運命を負わされています。
 都内のある私立大学では、留年者は、三年前の約四百八十人が、ことしは七百五十人と五割以上の伸びを見せています。関西のある私立大学でも、昨年、〇九年の一千七百三十九人が、ことしは二千二百四十五人と一気に三割もふえています。
 首都大学では、留年者の推移、十九年度、二十年度、二十一年度、どのような状況なんでしょうか。

○宮本首都大学支援部長 首都大学東京の学部生における留年者数でございますが、平成十九年度で三百人、平成二十年度で三百二十三人、平成二十一年度で三百八十七人でございます。

○たぞえ委員 これらの留年した学生さんは、留年すると再び四年生という学籍を持つわけです。しかし、卒業資格にふさわしい単位は全部取得しておりまして、改めて四年生になったけども単位をとる必要はないわけです。
 関西学院大学など少なくない大学では、卒業延期制度を大学として創設して、就職難のために留年せざるを得ない学生には、一年間に限って、家計の急変に対応する全免とか半免の減免制度--授業料の制度じゃなくて、授業料を減免する、そういう新制度を創設して対応しています。
 首都大学東京でも、このような全国の各大学の取り組みに学んで、未就職の留年学生減免制度を創設できるよう法人に提案して、実現に向けて支援したらいかがでしょうか。

○宮本首都大学支援部長 法人の具体的な運営につきましては、独立行政法人制度の趣旨から、法人が自主的、自律的に判断して行うべきものでございます。減免制度の運用につきましても、法人が判断していくものと考えております。

○たぞえ委員 法人の判断にゆだねるということでありますが、私は、あわせて法人に紹介をしたいのは大学としての就職活動の支援なんです。
 この十月四日、NHKの朝のニュースで都内の帝京大学の就職支援の取り組みが紹介されまして、私もその画面を見ました。厳しい就職環境に対応して支援を行っているという報道でしたので注目をしたわけです。
 早速、我が共産党都議団は帝京大学にお訪ねして話を聞きました。その取り組みは、これまで有料で配布をしていた履歴書の用紙を無料で配布することで学生との接触の機会をふやしたという取り組みなんです。また、全学生の連絡先を大学として把握する。携帯電話でも自宅の電話でも連絡をとれる、そういうものを把握して、そして、就職活動をやっている学生に電話をして、今どうですか、どんなぐあいですか、こうやって対応をし、そして保護者の方にも、就職ガイドブックを大学として作成して、これを家庭に送る。親にも就職活動への理解を深めてもらう、そういう取り組みがこの大学で行われていたわけです。
 また、大学構内で企業の説明会も実施をしておりまして、このような学生への支援もあって、この大学は一人一人が手のひらに乗ったと。どの学生が今就職活動が困難なのか、つまずいているのか、挫折をするような苦しみを持っているのか、そういう心ある対応をされているというお話だったわけです。
 私はもう一つ申し上げなきゃいけない問題は、大学三年生から就職活動に追われる、面接とぶつかって教育実習も受けられない、こういう就職活動の早期化、そして三年生から四年生卒業までの大学の約半分の期間を就職活動に充てなきゃいけない、この問題です。専攻や卒論、卒研のテーマも決まらない時期に内々定を出すなど、専門性も生かせない就職活動は、学生を受け入れる企業にとっても大きなリスクがあるのではないでしょうか。
 この問題でも、私ども共産党都議団が首都大学東京の教授と懇談した機会にも、先生からお話がありました。三年生になると学生の出席が減ってゼミが成り立たない。いよいよこれから専門的な勉強に進んでいこうという時期にそれができなくなるのは大変もったいない話だとお話をされていました。
 また、私ども日本共産党が静岡大学の学長とも懇談した際にも、学長から、学生が三年生から就職活動しているのは異常だ、安心して学ぶことができない環境になっていると、このように述べられて、この学長さんは、文部科学省に学問に打ち込める環境をと陳情したというお話でした。
 就職活動が学業を妨げることのないように、公立大学がある自治体である東京都として社会にも働きかけていく必要があると思います。そのためにも、会社説明会やエントリーシートの受け付け、面接の開始日などで社会的なルールをつくっていくこと。そして企業、大学当局、学生、教職員代表、自治体で構成する機関の設置を呼びかけたらどうでしょうか。また、運用状況を監視できるよう法人に検討を求めたらいかがか、こういうことを提案したいと思います。
 きょう、決算の質疑で議会としてこういう意見があったということをぜひ法人に紹介していただきたい、このことをお願いして、質問を終わります。

○興津委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑は、いずれもこれをもって終了いたしたいと存じますが、これにご異議ございませんでしょうか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○興津委員長 異議なしと認め、本件に対する質疑はいずれも終了いたしました。
 以上で総務局関係を終わります。
 以上をもちまして第一分科会における決算の審査は終了いたしました。
 なお、本分科会の審査報告書につきましては、分科会委員長において取りまとめの上、委員会委員長に提出いたしますので、ご了承願います。
 これをもちまして第一分科会を閉会いたします。
   午後二時五十分散会

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