平成二十一年度各会計決算特別委員会第一分科会速記録第五号

平成二十二年十月二十七日(水曜日)
第十一委員会室
   午後一時開議
 出席委員 十名
委員長興津 秀憲君
副委員長鈴木 隆道君
副委員長中村ひろし君
遠藤  守君
きたしろ勝彦君
淺野 克彦君
松葉多美子君
三宅 正彦君
たぞえ民夫君
馬場 裕子君

 欠席委員 なし

 出席説明員
警視庁警視総監池田 克彦君
総務部長種谷 良二君
警務部長辻  義之君
交通部長鈴木 基久君
警備部長久我 英一君
地域部長臼井 祐一君
公安部長青木 五郎君
刑事部長高綱 直良君
生活安全部長宮園 司史君
組織犯罪対策部長毛利 徹也君
総務部企画課長駒田 茂生君
総務部会計課長萩原 國男君
東京消防庁消防総監新井 雄治君
次長人事部長事務取扱北村 吉男君
企画調整部長大江 秀敏君
総務部長佐藤 直記君
警防部長佐藤 康雄君
防災部長伊藤 克巳君
救急部長荒井 伸幸君
予防部長有賀雄一郎君
装備部長石井 義明君
企画調整部企画課長徳留 壽一君
企画調整部財務課長土屋 雅義君
知事本局局長秋山 俊行君
儀典長高原 寿一君
次長理事兼務井澤 勇治君
理事小林  清君
総務部長大井 泰弘君
調整担当部長山中 康正君
地方分権推進部長松下 隆弘君
自治制度改革推進担当部長松浦 慎司君
外務部長中山 正雄君
国際共同事業担当部長長澤  徹君
基地対策部長市毛 良之君
横田基地共用化推進担当部長新美 大作君
政策部長野村 俊夫君
計画調整部長武市  敬君
計画調整担当部長瀬口 芳広君

本日の会議に付した事件
平成二十一年度東京都各会計歳入歳出決算の認定について
警視庁関係
・平成二十一年度東京都一般会計決算(質疑)
東京消防庁関係
・平成二十一年度東京都一般会計決算(質疑)
知事本局関係
・平成二十一年度東京都一般会計決算(質疑)

○興津委員長 ただいまから平成二十一年度各会計決算特別委員会第一分科会を開会いたします。
 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、警視庁、東京消防庁及び知事本局関係の決算に対する質疑を行います。
 これより警視庁関係に入ります。
 決算の審査を行います。
 平成二十一年度東京都一般会計決算中、警視庁所管分を議題といたします。
 本件につきましては、既に説明を聴取しております。
 これより質疑を行います。
 発言を願います。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕

○興津委員長 発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと存じますが、これにご異議ございませんでしょうか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○興津委員長 異議なしと認め、本件に対する質疑は終了いたしました。
 以上で警視庁関係を終わります。

○興津委員長 ただいまより東京消防庁関係に入ります。
 決算の審査を行います。
 平成二十一年度東京都一般会計決算中、東京消防庁所管分を議題といたします。
 本件につきましては、既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○北村次長 過日の第一分科会で要求のございました資料につきまして、お手元に配布してございます第一分科会要求資料に基づきましてご説明申し上げます。
 表紙をおめくりください。1、消防団用可搬ポンプの整備、更新状況でございます。
 消防団員が消火活動を行うため、各消防団の分団に可搬ポンプを配備しております。
 (1)、整備状況は、消防団用可搬ポンプの全体の整備台数を、消防団及び分団の数とともにお示ししてございますが、平成二十二年四月一日現在、九百九十台であります。
 (2)、更新状況は、平成十八年度から五カ年の更新台数でございまして、各年度ともに四十五台更新しております。
 続きまして、2、消防団員用防火服の更新状況でございます。
 消防団員用防火服は、平成十九年度から新型へ更新しております。防火服の生産能力などを考慮しながら、初年度は一千六百五十着、平成二十年度は一千六百七十七着、平成二十一年度には三千三十着を更新いたしました。本年度は三千三百九十着を更新する予定で、新型への更新数は、年度末までに合計九千七百四十七着となる予定でございます。
 最後に、3、救急車両数と救急技術認定者数の推移でございます。
 消防署所に配置してあります救急車両の数と、救急車に搭乗し救急隊員として活動できる資格を有する救急技術認定者の数につきまして、五年間の推移をお示ししてございます。
 各年度それぞれ四月一日における数値でありますが、平成二十一年度は、救急車両二百二十九台、救急技術認定者五千五百三十人で、本年四月一日では、救急車両二百三十一台、救急技術認定者五千五百九十五人であります。
 以上、雑駁ではございますが、資料の説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○興津委員長 説明は終了いたしました。
 ただいまの資料を含め、これより本件に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○淺野委員 常日ごろからの東京都民の安全を守る、そういった活動に本当に深く敬意を表したいと思います。(「本当にそう思っているのか」と呼ぶ者あり)本当に思っております。
 その活動の中で、さまざまなことを効率的に行わなければいけない。そういう活動を行うためにも、消防庁としても所管する監理団体であります東京都の現在は防災救急協会、この二十一年度決算時点では東京救急協会というものがありますけれども、そこにも幾つかの事業を委託して行っているところだと思いますが、総務局がいう監理団体は、財団法人は公益財団法人を目指すという話の中で、救急協会というのは、既に公益財団法人となっている団体であります。この団体、まさに消防庁という、都民全体の安全、また利益を守っているという形からいけば、所管する救急協会についても、その公益性の高さということが重要になってくるかと思いますが、まず、今現在の名前でいわせていただきますが、東京都の東京防災救急協会、この公益性について、消防庁としてどのように認識しているのかということについて伺いたいと思います。

○大江企画調整部長 公益財団法人東京防災救急協会は、都民が安心して暮らせる社会の実現を目指し、防火管理講習などによる防災業務関係者の育成や、心肺蘇生法の指導などの救命講習の実施を初め、防災思想の普及や防災行動力の向上に関する事業を展開しております。
 このことから、同協会は、行政を支援、補完する公益性の高い事業を行う団体であると認識しております。

○淺野委員 今お答えの中にありました防火管理講習あるいは救命救急の講習ということがありますけれども、私も先日、地元のお祭りに行きますと、そのお祭りの中にも消防団員の方がいらして、救急の指導というか、活動しておられました。消防庁が所管する消防隊員あるいは消防団の皆様方がさまざまな活動を行うためにも、本当であれば、都民みずからがまず第一に救急救命の知識、技術をある程度持っている。あるいはふだんから防災の意識があってその準備をしている、そういったことが一番効果が高い活動である。そういった意味で、防災救急協会というものがやっている活動というのは、私も非常に大切なことだと思います。であるからこそ、この防災救急協会がそういった活動にできるだけ人もお金も集中できるように、内部の運営というか、その部分については効率的に、かつ非常に透明性を持った形をとっていかなければならないというように思っております。
 先ほども申し上げましたが、二十一年度決算当時におきましては東京救急協会でありまして、合併しまして、今、東京防災救急協会ということになりましたが、合併した後でも、今現在、私が調べたところによりますと、機関誌も、防災指導協会が出したもの、救急協会が出したもの、それぞれがまだそのまま存続しているようでもあります。また、その契約の内容につきましても、この団体、特に救急協会が出していた機関誌につきましては、どうしてもそうしなければならないという理由になっていないように思う中で特命随意契約、印刷所を特定して行っているようであります。合併相手でありました防災指導協会の方は入札で行っていたわけでありますから、合併を機に、やはりこういった機関誌の発行について、できることであれば、透明性の確保という観点から見ても、入札制度にするか、あるいはどうしても特命にしなければいけないというのであれば、その理由がはっきりとわかる形で出すべきだと私は考えるわけであります。
 先ほど答弁していただきました公益性のある団体であるということであれば、なおさら効果、効率的な運営をしっかりとやるためにも、今、私が一例として申し上げました機関誌の発行なども含めまして、団体の効率的な運営、そういったことも所管する消防庁として指導監督をしっかりしていくべきだと考えますけれども、見解を伺いたいと思います。

○大江企画調整部長 公益財団法人東京防災救急協会は、本年十月一日に二つの団体が統合したものです。これを契機に、より公平性と透明性を確保した上で、都民に一層貢献できる事業運営を引き続き指導監督してまいります。

○淺野委員 まさにその指導監督、しっかりしていっていただきたいと思います。
 先ほど申し上げました公益財団法人になっている監理団体というのは、今現在ではそんなに数が多くなくて、今後、他の監理団体も公益財団法人を目指していくということになっております。消防庁自体も、もちろん非常に公益性の高い部署だと私は思っておりますけれども、監理団体も、公益財団法人同士で合併して、今現在も公益財団法人として活動しておりますので、その公益性が非常に都民にわかりやすい形になるようにやっていただくことが、他の監理団体がこれから公益財団法人をとるに当たっても、より指標となるというか、モデルとなるように頑張っていっていただきたい、そのことを私からの意見として申し上げさせていただきまして、質問を終わらせていただきます。

○たぞえ委員 私からも、消防庁の二〇〇九年度決算について伺います。
 決算書の五〇ページの、消防団活動ですが、予算現額三十一億六千六十六万円に対して支出済額は三十億二千百九十一万円で、不用額は一億三千八百七十四万円、執行率九五・六%と明記をしています。
 その中の経費の内訳ですが、消防団員の被服、活動用消耗品という説明欄を見ますと、支出済額が六億四千五百十九万円というふうに書かれておりますが、具体的には防火服の買い入れとこの状況のところに書いてありますが、この内容はどういうものなのか、まず説明いただきたいと思います。

○伊藤防災部長 これは消防団員の防火服でございまして、従来のものより安全性、活動性を高め、さらにはデザイン性にも配慮し、平成十九年度から新型防火服として整備しているものでございます。

○たぞえ委員 今ご説明あったように、新型の防火服は従来の防火服よりも安全性、活動性が高いという説明でありました。私は、十九年度の決算の審議の際にも、旧来型の防火服が、火災現場に行ったときに火の粉が落ちて、火の粉がついて燃えてしまったという事例も当時紹介をして、一刻も早く新型防火服への切りかえをと要求いたしまして、防災部長は計画的に行ってまいりますと、このように答弁がされました。
 先ほどの説明のように、この新型への切りかえは、平成十九年度から整備に入って、今年度含めて九千七百四十七着ということになります。二十年度、二十一年度で比べて倍の更新をしているという数字から見ても、大変評価できると思います。
 しかし、現在、一万五千二百二十八人の東京の消防団員全員への更新を図るためには、あと五千四百八十一人分の更新をしなければなりません。消防団員の皆さんが新型の防火服を着用して消火活動に当たられるよう、さらなる対応が必要です。そのための今後の整備についての見解を伺います。

○伊藤防災部長 新型防火服につきましては、お話しのとおり、今年度末までに九千七百四十七着を整備する予定であり、今後も、その生産能力等を考慮し、計画的に行ってまいります。

○たぞえ委員 一刻も早く更新できるように、よろしくお願いしたいと思います。
 次に、可搬ポンプ積載車についてです。
 積載車は、ポンプを運ぶ上で大変機動性を発揮しているものです。二十一年度末の整備台数はどういう状況でしょうか。

○伊藤防災部長 平成二十一年度末現在における可搬ポンプ積載車の整備台数は百六十台でございます。

○たぞえ委員 整備台数百六十台とのお話であります。
 しかし一方、団員さんがいつも運んでいる動力ポンプ、手で運ぶわけですが、このポンプは、五十八団、四百三十九分団に九百九十台配置されていると、先ほど要求資料でもご説明がありました。となりますと未整備は八百三十台ということになるわけです。
 火災発生時に出動する際に、小回りのきく小型の車を配置して、一刻も早く現場にたどり着く、このことは分団や団員さんからもぜひ一刻も早くと、このように声が出されておりますが、見解を伺いたいと思います。

○伊藤防災部長 可搬ポンプ積載車は、すぐれた機動性を有していることから、効果的な消防団活動を行う上で有効であると認識しております。
 配置につきましては、分団受け持ち区域の面積、震災時の消火活動困難度など、地域特性を考慮するとともに、分団本部施設の整備状況も踏まえ、順次計画的に進めてまいります。

○たぞえ委員 今、いつまでにという具体的な報告はなかったわけですが、積載車は、火災現場にいかに早く到着してその活動に従事するか、この点でも整備は欠かせません。
 しかし一方、確かに消防団本部に車が入るようなスペースがない、これは現実にあるわけです。したがって、商店会の空き店舗を活用するなども大いに検討していく必要があるのではないかと思います。
 この点で、地域住民の参加型消防活動、都市型の連携消火活動の構築が大変重要になってくると思います。東京のように狭隘な道路が多いまちの中では、今、大変機動力を発揮しているのがスタンドパイプというものです。ちょっと写真は小さいんですけれども、こういう一メートル足らずのスタンドパイプというものがありますが、これは地面の消火栓にパイプを接続すれば、水の圧力で取りつけたホースから放水ができると。ですから、エンジンをつけたポンプでなくても、肩に背負ってするするっと現場に行って、そして消火栓をあければ利用できるというものです。
 この写真にありますように、一セットになっているわけです。ホースが二本、それから筒先、スピンドルドライバー、消火栓のかぎ、そしてキャリーカート、これが一式でセットされている。大変活用が期待されているものです。
 これは平成十七年度から区市町村で分団に配布をしていますけども、自治体の財政でこれを負担するという仕組みになっています。
 私の住んでいる世田谷の成城警察の管内ですと、この面積が二十万平方メートルあるんです。十二万世帯、二十四万人が住んでいるまちですが、このエリアに七つの消防団分団が活動してます。大変広いために消火栓が二千七百カ所あるんですが、スタンドパイプは一個しかない。あとは全部、車で行って、いざというときには消火栓をあけて行動するということになるわけです。手近にパイプがないという、今そういう状況があります。火災発生だけではなくて、一般の住民も参加して防災活動を大いに協力し合えるという点でも欠かせないと思います。
 その点で、配備を促進する上で、区市町村お任せではなくて、消防庁として、地元自治体と連携してスタンドパイプの整備を支援できる、そういうことを検討する必要があると思いますが、いかがでしょうか。

○伊藤防災部長 お話しのスタンドパイプは、直接消火栓に接続し、水道の圧力で放水することができるもので、取り扱いが容易で、住民が行う初期消火に効果的な器具と認識をしております。
 東京消防庁では、住民指導用として各消防署に平成二十一年度から計画的に配置しており、地元消防団と連携し、自治体や町会の訓練等において、操作方法の指導を通じて普及に努めております。
 各自治体に対しては、スタンドパイプの有効性を説明し、地域防災力向上のため整備されるよう、今後とも働きかけを行ってまいります。

○たぞえ委員 先ほど紹介しましたように絶対数が少ないんですね。各消防署ごとに一本配置されておりますが、いざ使うとしても絶対量が少ない。これを各自治体に働きかけるだけではなくて、自治体に対する財政支援も含めて、消防団に消防庁として複数配置できるように、ぜひ今後の取り組みの検討をお願いしたいと思います。
 最後に、救急隊についてです。
 ことしの夏は、熱中症によって救急車で運ばれた人は、八月一日から八月二十六日までで千六百四十三人、そのうち高齢者、六十歳以上が七百八十九人でありました。この熱中症の症状で活躍したのが救急車なわけですが、都内の八十の消防署の警防課のもとに配置されているものと、消防分署と出張所に配置する。あわせて、先ほどの要求説明でもありましたように、二百三十一台、二百三十一隊三部体制で救急隊が配置されているというお話でありました。
 私は先日、地元の成城消防署と渋谷消防署の二つを訪ねて関係者からお話を聞いたんですが、渋谷署は、救急車両が二台、そして、ほかに五つの出張所が渋谷にありますので、合わせて七台救急車が配置をされております。三部体制で一台当たり九人、だから三人、三人、三人と。それが七台ですから六十三人の救急隊員がメンバーとして配置されています。しかし、六十三人が全員その日に消防署に出かけて勤務しているわけではなく、残りの二部と三部は非番だとかで署にはいないわけです。
 ところが、一たん消防署を出動しますと、機関員といわれる運転手さんは出っ放しになってしまう。大変過重な負担になってしまうと。また、急病ですとか休暇等で穴があいた場合には、消火隊の方から認定者が配置されるという、こういう仕組みになっているというお話でした。
 しかし、そうした事態というのはいつでも起こるわけでありまして、きょうは三人しかいない、一名が欠員ならば消火隊の方から臨時に配置される。全体のこまを動かすということになるわけです。
 しかし、下町の方では、事情によって四人体制をとっているところもあります。今後、定数の問題もありますけども、やはり過重労働にならないように、しかも勤務が通常の労働者と違って八時間じゃない。およそ二十四時間勤務するわけですから、そういう意味でも手厚い体制が必要だと思います。
 とりわけ渋谷消防署ですけども、三部体制で、一部にそれぞれ女性が一人ずつ配置されています。恵比寿の出張所でしたけれども、女性の隊員さんというのは、救急患者にとってみると大変好意的に対応ができるというんですね。決して男性は対応していないというのではなくて、例えば妊婦さんとか女性の方が運ばれる場合に、女性同士の会話というのは、やっぱりそれなりの親近感があるんでしょうね。ほかの署を見てみますと女性隊員の配置は大変少ないです。恵比寿の出張所のように、一部、二部、三部、それぞれ女性が一人ずついると。これは東京の人口構成から見ても、ぜひ女性の救急隊員を配置するということでも、今後ご検討いただきたいと思います。
 以上です。

○中村委員 都政における重要な課題として、救急搬送時間の短縮のための施策について伺います。
 都内では、一一九番通報から病院に引き継ぐまでの平均時間が全国の都道府県で最も長く、都政においても大きな課題になっています。救急搬送時間がかかってしまう要因は、搬送そのものよりも、病院の選定など医療の側に多くの課題があるんですが、実際にその搬送を行っている消防庁から現状を伺いたいと思います。
 東京消防庁では、データのとり方が、年度ではなく一月から十二月の歴年とのことですので、平成二十年と平成二十一年の救急搬送時間について伺います。
 また、東京消防庁は、救急医療の東京ルールにも福祉保健局や東京都医師会とともに取り組まれていますので、東京ルールの導入による効果について伺います。

○荒井救急部長 東京消防庁におけます平成二十一年に救急隊が覚知から医師に引き継ぐまでの医療機関収容に要した平均時間は五十分十二秒であり、平成二十年の四十七分四十八秒と比べ二分二十四秒増加しております。
 なお、医療機関到着までに要した平均時間では、平成二十一年が三十七分四十八秒であり、平成二十年の三十六分四十八秒と比べ一分増加をしております。
 東京ルール導入の効果についてでございますが、本事業の対象となる中等症以下の事案における救急隊の現場滞在時間を、東京ルール導入前後の一年間で比較をしますと、六十分以上の事案で現場滞在時間の平均値が減少しており、さらに、医療機関の選定に特に長時間を要した件数も減少しております。

○中村委員 東京ルールでは、急な発病やけがの際に救急車を呼ぶか病院に行くか迷った際、シャープ七一一九に電話をし、東京消防庁救急相談センターに相談することになっています。シャープ七一一九が広く利用されれば、何かあればすぐに救急車を呼ぶのではなく、本当に必要な場合に出動できるようになると期待されました。
 そこで、平成二十年と平成二十一年の救急相談センターの実績及び救急車の出動件数を伺います。

○荒井救急部長 東京消防庁救急相談センターの平成二十年の総受け付け件数は二十七万九千八十四件で、そのうち救急相談の件数は三万四千二百八件でありました。平成二十一年の総受け付け件数は三十一万三千九百八件、相談件数は五万二千九百四十件であり、それぞれ一二%、五五%伸びております。
 一方で、救急隊の出動件数は、平成二十年の六十五万三千二百六十件に比較し、平成二十一年は六十五万五千六百三十一件と〇・四%増加しておりますが、このうち搬送人員に占める軽症者の割合は、平成二十年の五八・三%から平成二十一年は五六・七%と、一・六ポイント減少しており、同センターは救急車の適正利用に効果を上げているところでございます。

○中村委員 一・六%の減少ということで、救急車の適正利用に効果が上がったということであればいいことだと思います。
 ただ、まだタクシーがわりに救急車を呼ぶようなケースが残念ながら起きていないとも限りません。そのために、緊急性がない場合には搬送しないという救急搬送トリアージを導入されています。
 そこで、平成二十一年の救急搬送トリアージの該当件数と、同意が得られずに搬送した件数について、また、そういったことで現場でトラブルがなかったのか伺います。

○荒井救急部長 救急現場におきまして、緊急性が認められないと判断された事案について、傷病者の同意を前提に不搬送とする救急搬送トリアージの平成二十一年の該当件数は二千三百四十件で、このうち、救急現場において傷病者の同意が得られず医療機関へ搬送した件数は四百二十八件、一八%であります。この中には、結果として搬送したものの、不搬送の説明や説得に時間を要した事案もございます。
 今後とも、本制度の運用につきまして広く都民に普及啓発し、推進を図ってまいります。

○中村委員 トリアージで二千三百四十件ということで、効果も出ているとは思いますけれども、まだまだ現場でのご苦労もあると思いますので、より広報や普及啓発に努めていただきたいと思います。
 最後に、救急搬送についての課題と改善について、どのように考えているのか伺います。

○荒井救急部長 救急搬送における課題は、救急車の適正利用の促進や救急活動の迅速化などであります。
 東京消防庁ではこれまで、救急車と同時に消防車を出動させるPA連携を初め、救急相談センターや救急搬送トリアージなどの施策を講じてまいりました。
 さらに、今年度は、救急医療の専門家などで構成される東京消防庁救急業務懇話会に対し、一一九番通報時における救急相談センターとの連携等について諮問し、検討いただいているところでございます。
 また、交差点において緊急車両を優先的に走行させる現場急行支援システム、通称FASTへの参画により、現場到着時間及び搬送時間の短縮を図ることとしております。
 これらの施策を通じまして、真に救急車を必要とする傷病者に対し迅速な対応を図り、救命効果の向上に努めてまいります。

○中村委員 ご答弁ありがとうございます。救急業務懇話会での議論や現場急行支援システムに期待したいと思います。
 患者の生命を守るべく、日夜ご尽力いただいていることに敬意を表したいと思います。今後も、少しでも早く救急搬送ができ、都民の生命が守られるよう引き続きの取り組みをお願いして、質問を終わります。

○馬場委員 私からは、消防団活動についてお伺いをさせていただきます。
 私の地元の熱心な団員の方から、ここ数年にわたって、幹部に説明を求めてもわからないと、納得ができないんだけれど、どういうことなのかというふうに質問を受けておりました。長期の出場が、お顔を見ない団員さんがいらっしゃって、チームとして消防団活動をしていく上で、連絡網も含めてですが、どうもうまくいかないと。どんなふうに団員さん同士でやっていったらいいかというようなことから出た、団をまとめていく、また仲間の中で出場されていない方があるということに対する、そういう納得のいかない思いから質問を受けておりました。
 それぞれ理由がきっとおありなんだろうということで、機会があったら私からもお尋ねさせていただきたいと思っておりましたところ、二十一年度の執行分の監査報告でしょうか、九月十三日に出されまして、そこの東京消防庁の中に、意見要望事項としてこのことに触れられておりました。そこが、私が懸念していたというか、質問を受けていたことと同じことですので、監査からの指摘とあわせてお尋ねをさせていただきたいと存じます。
 この監査の意見要望事項の初めのところに、消防団員の出場状況を把握し、出場を促すとともに、報酬の適切な執行について検討すべきものというふうにまず書かれております。以下内容、概略ですが、長期間一回の出場もない消防団員が多数認められ、それらの団員に対して非常勤職員としての報酬が全額支給されていたというふうに書かれております。
 そして、把握状況という表がついておりまして、把握ができた四消防署、四カ所について、二十七名、総額で百六十五万六千三百七十四円。一番長期なのは、最初に書かれております七年を超す方が一人と。ほかの方は二十年、二十一年からということでございます。そして、その表の欄外に注一として、上記以外のほかの消防署は、長期間出場のない消防団員の人数及び状況を把握していないというふうに監査では表記されております。
 こうした状況がなぜ起こってしまったのか。都の定例監査でこうしたことが指摘された、そのことについて、まずどういうご認識をお持ちなのか伺います。

○伊藤防災部長 消防団員は、生業を持ちながら地域の防災リーダーとして活躍されており、平常時はもとより、震災など大規模災害発生時の消防活動力として期待されております。
 お話しの消防団員の年額報酬につきましては、災害等に備えた待機に対する対価であるとともに、消防団活動全般の労苦に報いるためのものでもあるというふうに考えております。
 しかしながら、消防活動技術の維持向上を図る観点から、長期間活動実績のないことは憂慮される状況であり、消防団員には積極的に消防団活動に参加していただく必要があると認識しております。

○馬場委員 今ご答弁いただきましたように、防災リーダーとしてみずから団員になるという申し出があり、それぞれの自治体の区長の任命を受けて団員になられているという、そういう意味では地域でも大変期待をしている、また、仲間うちでもお一人お一人がそういうことに対しての自覚、また尊厳も持って活動されていると私も思いたいのですが、二つ目にお答えいただいた災害等に備えた待機に対する対価、それから消防団活動全般の労苦に報いるため。待機ですからいつどこにいらしてもいいわけなんですが、それではずっと待機していただいているということで、本当に団員としての資格というか、例えば、七年という方は極端な例かもしれませんが、一度も出場されないという状況の中で、本当に待機ということに、こちらの期待に、地域の皆さんや消防庁の皆さんの期待にこたえられる状況にあるのだろうかと、そういうことがやはり懸念をされます。
 また、最後にそのことを認められて、積極的に活動に参加していただく必要があるとご答弁いただきました。もうそれは本当にそのとおりなんですが、出てくださいという要望はしていらっしゃるというふうに思います。なぜなら、年間の行事予定等も含めて、きちんとそれは、招集の命というのがあるはずでございまして、その招集の命に対して出場されないということをどういうふうに受けとめたらいいのかというのが、皆さんにとっても、また私にとってもわからないところなんです。
 今回、監査で指摘をされたということも含めて、なぜこういうことが起きるのだろうかというのを私なりに考えているのですが、要は、何らかの理由があって出られないのであれば、それは団員として、チームのほかの皆さん、また職責ということもしっかり考えれば、自分の出られない理由をきちんと述べるなり、なぜ出場ができないかということをしっかりとお伝えすると。そしてまた、待機をしていて、いざというときにきちんと対応できるということであれば、少なくとも教育訓練なり年間の行動はされなければならない。それでなくても、団員として認められるという特別な理由がもし決められるのであれば、今申し上げたことも含めて、そういう意味では規定をきちんとすべきではないのかなというふうに考えました。
 監査で指摘をしている長期間というのも、監査でも長期間というふうになっていますが、ではこの長期間というのはどのぐらいの期間をあらわすのか、だれが判断をしてどうするのかというようなことも含めて--だれがどう判断してするというような規定もしくは基本的に、例えば一年とか二年とかという数字の規定になるのか、私にはどれがいいのかわかりませんが、少なくともこういうことが起きたということを考えますと、本来の条例や規則というところにこうしたしっかりとした、相互に、消防庁なり団長なりと団員との間にきちっとした認識がないから、こんなことになったのではないかというふうに思わざるを得ません。
 その意味で、出場実績のない消防団員に対して、それでは今後どのような対応をとっていかれるおつもりなのか、ご見解を伺います。

○伊藤防災部長 消防団活動の実績がない消防団員に対しては、消防団長を通じて、災害出場や教育訓練等への参加を積極的に促すとともに、消防団員を継続する意思の確認を行い、適切に対応してまいります。
 また、消防団員の生活環境や勤務実態に合わせた教育訓練の実施方法などについて、総合的に検討してまいります。

○馬場委員 それぞれよかれと思ってやっていらっしゃった今までのことを変えていくというのは大変なことだと思いますし、今現在、一年以上もこうした状況で支給を受けていらっしゃる方にその旨を、なぜそれがおかしいのかという、おかしいといっていいんでしょうかね、どういう任務なのかをご認識いただくというのは大切なことなんだけれど、それを現在頑張っている消防団の人に、団員や団長にそうしたことをこれからやっていただかなければならないというのも、大変残念なことのようにも思います。また、消防庁の皆さんがみずからやっていただくというのも本当に大変なことだと思います。
 今までそういうことですので、監査では、ほかのところは、四団以外は把握していないというふうに書かれておりますが、こういう計算はしていいかどうかわかりませんが、四団で二十七人、そうすると全体の、五十八団だと、この人数割でやっていいかどうかわかりませんが、四百三十九分団あるわけですから、もし一分団に一人そういう方がいらっしゃれば四百三十九人、それ以上であれば、やはり大変な数だと思います。
 少なくとも監査では把握できていないというふうにされていますが、このことはきちんとそういうルール、これからのルールを決めるためにも、今どういう状況なのかということをきちんと調査され、そしてその調査の状況に基づいて、ぜひとも改善方お願いしたいと思います。
 また、この質問をさせていただくに当たって、条例をいただいたりしたのですが、そもそも消防団の基本となる条例が昭和二十四年にできていて、その当初から消防団の定員が一万六千人というふうに書かれていて、この間、六十年間、一度もこのことを改正がないというか、これでいいのかどうか。
 この当時の消防団の役割と、それから今現在の役割も含めて、消防庁全体の役割がとても大きくなった。そういうことを考えて、その上で消防団として地域の役割、何をすればいいのか、何人ぐらいいたらいいのかということも含めて、これはそれぞれの自治体でというわけにはいかないというふうに思いますので、ぜひとも消防庁の方にこの機会に条例や規則の全面的な見直し、見直した結果一万六千人が必要だということであれば、それに基づいてぜひとも新入団員をお願いしなければなりません。
 どういう役割が必要なのかということが明確であれば、待機も含めてですが、明確であれば、それなりの仕事、生業を持っての参加ですから、それぞれがまた違う役割で参加できるかもしれないというふうに思っておりますので、ぜひとも消防団の今後の維持、それから地元からすると期待を担う消防団の活動が、しっかり団員すべての人に理解をいただきながら、積極的な活動、出場をお願いできる。そうした仕組みをつくるためにも、ぜひともこの機会にさまざまな観点からご検討いただけますよう強くお願いをして、質問を終わります。ありがとうございました。

○興津委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと存じますが、これにご異議ございませんでしょうか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○興津委員長 異議なしと認め、本件に対する質疑は終了いたしました。
 以上で東京消防庁関係を終わります。

○興津委員長 ただいまより知事本局関係に入ります。
 決算の審査を行います。
 平成二十一年度東京都一般会計決算中、知事本局所管分を議題といたします。
 本件につきましては、既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○大井総務部長 要求のございました資料につきまして、お手元の平成二十一年度各会計決算特別委員会第一分科会要求資料、これにより説明を申し上げます。
 一ページをお開きください。石原知事の海外出張の状況でございます。
 石原知事が就任いたしました平成十一年から平成二十一年までの出張先、期間、目的、参加人数及び費用を記載してございます。
 以上、簡単ではございますが、要求資料の説明とさせていただきます。ご審議のほどよろしくお願い申し上げます。

○興津委員長 説明は終了いたしました。
 ただいまの資料を含め、これより本件に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○淺野委員 私からは、知事本局決算中、政府、全国知事会等との連絡におきまして、四千五百万余円が支出されているわけでありますけれども、この中に含まれております八都県市--今は九都県市ですか--の首脳会議に関しまして質問をさせていただきたいと思います。
 そもそもこの九都県市首脳会議というのは、聞いたところによりますと、昭和五十四年七月に六都県市首脳会議として出発をしているということであります。その後、平成十三年に松沢知事などと一緒に首都圏連合という話も出てまいりまして、それ以降、特に一都三県の知事の間柄も親しいようでありまして、石原知事は、聞いたところによると、中ではお父さんのような存在だというふうにいわれたこともあったとも伺っております。
 そういった九都県市首脳会議というのが、今までの社会の情勢の変化の中で、広域的なさまざまな取り組みが必要となってくるに当たりまして、非常に有効な活動をしたとは思っておりますけれども、具体的に九都県市首脳会議におきまして、これまで都が、知事本局を中心に首都圏共通の課題に対して取り組みを進めてきたこと、どのような実績を上げてきたのかということについて伺いたいと思います。

○松下地方分権推進部長 九都県市首脳会議は、これまで災害対策や環境対策など、さまざまな取り組みを自治体間で連携して行い、成果を上げてまいりました。
 具体的には、災害時の帰宅困難者を支援するため、九都県市とコンビニエンスストア等が協定を締結し、こうした店舗が災害時帰宅支援ステーションとして、水や道路情報の提供を行うよう体制を整備しました。
 また、ディーゼル車規制により、国の基準を上回る、より厳しい排出基準を設定し、この排出基準を満たさないディーゼル車の一都三県での走行を禁止するなど、粒子状物質の排出削減に取り組みました。
 さらに、九都県市の中小企業の技術を広く売り込むため、合同の商談会を実施し、多数の企業の参加を得て、首都圏における産業の連携を強化してまいりました。こうした成果を上げてきております。

○淺野委員 今ご説明のありました取り組み、実績としても非常に評価はできるものだと私も思っております。
 ただ、もちろんこれで十分というわけではなくて、これからさらに連携を強化して取り組んでいかなければならない。特に、今の日本社会は人や物の流通の広域化といいますか、生活圏も広がっておりますし、何よりも都県境というのは地図上にあるだけでありますから、実際の生活上におきまして、そこに線が引いてあるわけではございません。都民が安心して暮らせる社会というのは、実は首都圏全体としていろいろ考えて取り組んでいった方がいいものも中にはあるように思います。
 例えば、介護の問題の話を伺いましても、東京都としては、一律の規格というか、国が定めた規格によって、大都市特有の課題ではあるでしょうけども、土地の値段が高いがために、整備を進めるのが難しいというような話もありました。一方で、各首都圏の他県の話を聞きますと、逆に、土地は結構あるんだけれども、なかなか財政的に厳しくて整備が進められないといったところもあります。
 もちろん東京都自体が、財政に物すごく余力があるとまでは申しませんが、少なくとも他県に比べて財政的に多少の余裕、これが出てきているということであれば、そこをお互いに補い合った取り組みというのもできるのではないでしょうか。
 また、今の財政の余力を生み出してきた公会計制度につきましても、知事は、公会計制度、こういったものを他の自治体でも取り組んでいってもらうように努力していくと。実際されているんだと思いますが、これから取り組む予定のところ、導入予定のところはどこかと聞きますと、大阪府や町田市といった名前が出てくるんですけれども、残念ながら、せっかく首脳会議をずっとやっているのに九都県市の名前は出てきておりません。こういったところも、むしろそこからぜひお願いをしていく。お願いはしているんでしょうが、実績として上げていくようなことも必要になってくるのではないでしょうか。
 あるいは救急体制におきましても、四十七都道府県の中で東京都だけが唯一、広域的に東京都全体を一体化した救急体制、救急車の体制を行っている。これはつまり医療圏ということを気にせずに、最も近い病院、最も早く運べる病院に運ぶんだということをやっているようですけれども、これが例えば首都圏全体で、つまり都県境のところで発生した事案におきましては、東京都で起きても、神奈川だったり、埼玉だったり、千葉だったりの方が近い、あるいはその逆というのもあり得るでしょうから、そういった取り組みもこれからやっていけるのではないでしょうか。
 つまり、九都県市首脳会議というのは、そういった首都圏の行政的な線引き、そこを超えて、より都民というか、国民全体が幸せになれる、そういった可能性を秘めているところでありますから、より戦略的に、そして主体的に、東京都はその中で話を進めていくべきだと思います。
 九都県市各自治体におきまして、それぞれの強み、弱みがあるわけですから、各自治体間の強み、弱みというものをお互いに理解し、そして連携した中で、それぞれのウイークポイント、弱点を補うような、そういう広域的な取り組みが今後必要となってくると思いますけれども、見解を伺いたいと思います。

○松下地方分権推進部長 九都県市首脳会議は、首都圏の地域活力を生かし、共同して広域的あるいは共通の行政課題に積極的に取り組むことを目的に活動しておるものでございます。
 これまでも、首脳会議のもとに設置しました行政分野ごとの委員会や部会、あるいは自治体間の人材交流などを通じまして、委員のお話がありました医療や公会計制度なども含めて、それぞれの地域の強みや弱みを生かしながら、幅広い行政課題について鋭意取り組んできているところでございます。
 今後も、各自治体の特色や実情を踏まえ、より一層連携強化を図りながら、実効性のある広域的な取り組みを進めてまいります。

○淺野委員 今お話をいただきました取り組み、まさに各県、都県境という、実際には存在しない、しかし現実的には壁があるというものであります。この庁内におきましても、各部局ごとというのは一応役割分担をしているわけでありますが、そこに線引きをしているのは、あくまで行政運営上の理屈でありまして、都民生活にとっては、そこの線引きというのは、実は今のような複雑な社会になればなるほど、必要のないものになってくることもあると思います。そこの間の調整をするのがまさに知事本局、そういった壁を超えて、先ほど申し上げました公会計制度などについても、これから全国に広げていくんだと、あるいは東京都から日本を変えていくんだという知事の発言があるのであれば、当然のことながら、その壁を超えた戦略、そして主体的な動きというのが必要になってくると思います。
 知事本局の職員の皆様方におかれましては、ぜひそういった部局間の壁を超えていくような戦略的な動きがとれる、その主体性をとっていけるという取り組みを期待したいと思います。ぜひともこれからもより一層の努力をお願いいたしまして、私からの質問を終わらせていただきます。

○きたしろ委員 私は、実行プログラムに関してお伺いをさせていただきます。
 実行プログラムは、いうまでもなく、平成十八年に策定されました「十年後の東京」計画に掲げた目標を確実に実現するためのアクションプランであります。その実施に当たっては、都議会自民党としても党を挙げてバックアップをしているところでございます。
 私自身の政治テーマとしては、水と緑の都、環境に優しいガーデンシティー東京をつくりたいという思いで政治活動をしております。
 そういう中で、平成二十一年度においては、この実行プログラム二〇〇九が実施されたわけですけれども、「十年後の東京」計画策定から三年目ということになるわけです。三年目で成果を気にするということは気が早いかもしれませんけれども、着実にその道程を歩んでいくことこそが大事だというふうに考えます。
 そこで、十年計画の約三分の一が過ぎたこの時点で、これまでの実績も踏まえて、「十年後の東京」計画の目標達成に向けた都の取り組みを総括してどのように考えるのか、お伺いをいたします。

○武市計画調整部長 「十年後の東京」は、成熟を遂げつつある東京がさらに機能的で魅力的な都市に生まれ変わるための都市戦略でございます。さまざまな分野で、東京の持つポテンシャルを存分に発揮しながら、より高いレベルでの成長を遂げるための政策展開の方向性を、水と緑でございますとか災害対策、さらには超高齢社会対策など、八つの目標を示しまして施策を展開しております。
 都では、平成十九年度に「十年後の東京」計画の目標を確実に達成するために、今お話しのございました三カ年のアクションプランとして実行プログラムを策定し、進行管理を行ってまいりました。
 また、平成二十年度以降、実行プログラムを毎年度改定しておりまして、新規性、先進性のある取り組みについては積極的に追加をするとともに、進捗が著しくない、芳しくない事業につきましては、事業の再構築などを行いまして、施策効果をより高めていくための創意工夫に取り組んでいるところであります。
 お話しのように、まだ現在、実績としては三年目でございますけれども、こうした取り組みを行うことによりまして、着実に成果を上げているものと考えておりまして、東京は、「十年後の東京」で示しました、さらに機能的で魅力ある都市に生まれ変わっていくものと考えております。

○きたしろ委員 まさに「十年後の東京」が実現されれば、すばらしい東京に生まれ変わってくるものだというふうに私も理解をいたしております。そういった意味で、ぜひそういうために努力をしていっていただきたいと思います。
 また、財政環境を見ても、これまで回復基調にあった都税収入は、平成十九年度の五兆五千億円をピークに減少に転じまして、平成二十一年度には過去最大の減収となると思います。非常に厳しい中にあっても、集中的、重点的に財源を配分し、着実に計画実現に向けての取り組みを進めているということは理解をしておりますし、また、評価をさせていただいております。
 しかし、一〇〇%を目指している救急医療機関の耐震化率が平成二十一年度末で六一%にとどまっているなど、一部で、十年後を見据えたときに目標達成が懸念される施策があるのも事実であります。そういった意味で、二十四時間、三百六十五日稼働している救急医療機関の耐震化は、多額の費用がかかるとか、工事に当たって仮移転が困難であるとか、さまざまな障害は想定されますけれども、いつ起こるかわからない地震に対して都民の生命を守るという意味からも、一〇〇%の耐震化は是が非でも達成しなければならないことだと思っております。
 今ご答弁いただいたように、こうしたものに対しては、さまざまな工夫を凝らしているとのことでもありますが、ぜひともしっかりとねじを巻いて事業を進捗していただきたいと思います。
 先般、策定方針が明らかにされた実行プログラム二〇一一でありますけれども、現在策定作業の最中と聞いております。こうした進捗状況の余り芳しくない事業については、しっかりとねじを巻いていただくことはもちろんですけれども、リーマンショック以降、なかなか立ち直れていない経済情勢の中、苦しんでいる中小企業、明るい展望が見出せていない雇用情勢など、現下の都民の不安にも的確にこたえていくことも必要ではないかと考えております。
 そこで、実行プログラム二〇一一策定に向けた知事本局長の決意をお伺いいたします。

○秋山知事本局長 実行プログラムでございますけども、これは「十年後の東京」計画を実現していくための具体的な道筋を示すということでございまして、三カ年のアクションプランという形で策定をしておりまして、とりわけ毎年これを改定していくということで、いわゆるローリング計画としての意味合いも大きく持っているというものでございます。
 内容は、例えば実行プログラム二〇一〇で見ていただきますと、都民生活の向上に直結する事業など二十六施策、三百六十四事業について、年次計画とともに到達目標も示して計画をしているところでございまして、その事業費総額も一・九兆円に及ぶという大変広範なものでございます。
 このような具体的な事業を規定した実施計画、これを改定していくということは、社会経済情勢の変化や新たな都民ニーズにこたえていくためにも欠かせないものだというふうに考えております。また、三百六十四の事業のうちのおおむね四分の一に当たる九十二事業が新規という形になっております。改定を契機として新たな施策を生み出す、また、既存の施策の再構築が進むということにもつながっていると思っております。
 きたしろ委員の方からねじを巻くというお話がございましたけども、この改定作業そのものがねじを巻く最大の機会の一つであるというふうにもとらえられると思っております。
 現在、実行プログラム二〇一一に向けた改定作業を行っております。その中では、各事業の進捗状況をこれまで以上に精査して検証していきたいと思っております。その上で、委員ご指摘のような昨今の社会経済情勢がもたらした課題につきましても積極的に対応をしてきたいと、そういう考えでございます。
 また、これに加えまして、本体の「十年後の東京」計画は二〇一六年の東京の姿を示したものでございまして、そういう面でいきますと、おおむね中盤、折り返し点に差しかかっているということでもございますので、将来に向けた政策展開の方向性などについても、同時に検討を行っているところでございます。
 今回の改定に当たりましては、ただいま答弁申し上げたようなさまざまな観点から見直しを行っているところでございますが、いずれの場合においても、都民の不安の解消が都政の原点であるというご指摘の基本認識に立って対応してまいりたいと思っております。

○きたしろ委員 ただいまの答弁で、実行プログラム二〇一一が、現下の都民の不安にこたえるとともに、将来を見据えた政策も展開していこうとしているということがよくわかりました。現下の厳しい経済状況の中でも投資的経費がふえているということにも、皆さん方の気持ちがこれに伝わっているのかなというふうにも理解はしております。
 都政が都民、国民のために何をなすのかということを考えたときに、やはりこれからの東京と日本は今よりもよくなるんだということを、都民、国民の皆さんに実感してもらうことが最も重要であると思います。救急、耐震化、中小企業支援、雇用の問題は、重ねてお願いをするところですけれども、しっかりやってもらいたいと思います。
 さらに、地球が怒り、異常気象も頻発する中で、温暖化対策でも都政は全国をリードすべき立場にあり、施策をより加速させるべきだと思います。
 局長の答弁では、積極的に新規事業を盛り込みながら実行プログラムを策定していくとのことなので、これに大いに期待して、私の質問を終わらせていただきます。

○遠藤委員 私からは、決算の資料をいただいたものの一〇ページに記載をされておりますアジア人材育成基金について、何点かお伺いさせていただきます。
 アジア人材育成基金につきましては、私は二〇〇八年三月十七日の総務委員会の質疑におきまして、知事本局に対し、その基金の醸成の目的等々を確認させていただきました。それに基づいて、まだ二年目でありますけれども、事業の進捗状況、成果、平成二十一年度中でありますけれども、それについて質疑をさせていただきたいと思っております。
 平成二十一年度につきましては、歳入である繰入金は約四百二十万円となっております。規模こそ四百二十万円ということで決して大きい額ではありませんけれども、後で申し上げますけれども、極めて重要な意義を持ったお金であると、このように思っております。
 知事本局にとどまらず各局分も含まれていると、このように聞いておりますけれども、まず、その内訳についてどのようになっているのか、ご説明いただきたいと思います。

○長澤国際共同事業担当部長 アジア人材育成基金からの繰入金の内訳についてでございますが、まず、首都大学東京が行います留学生の受け入れと高度研究の推進が約三億八千八百万円、次に、行政職員などの研修や都市問題解決に向けた共同研究などの人的交流の推進が約三千百万円、そして、アジア人材バンクの運営などのアジア諸都市との人的ネットワークの形成が約百五十万円で、三つの施策の合計が約四億二千万円となっております。

○遠藤委員 失礼しました。私が数字を読み違いしました。四億二千万ですね。ここで訂正させていただきます。今ご答弁いただきましたアジア人材育成基金ということで、大きい目的は三つあるということだと思います。一つが、首都大学東京に留学生を受け入れて高度な、先端的な研究を行う。二つ目が、アジアの行政職員を東京都に受け入れて、その研修を行い、それとあわせて大都市の課題解決に向けた共同研究を行う。そして三点目が、今申し上げた二つのことを通じて育成した人材の情報を登録管理するアジア人材バンク、これを設置して人的ネットワークを形成していくと、これがアジア人材育成基金の大きな三つの目的であると、このような認識であります。
 それでは、今説明がありました一点目の首都大学東京における留学生の受け入れと高度研究の推進について、二十一年度の成果についてご説明いただきたいと思います。

○長澤国際共同事業担当部長 アジアの大都市問題の解決やアジアの発展に資する高度研究は、首都大学東京からの申請課題に対して、原則として学識経験者で構成されます外部評価委員会で審査を行った上で、毎年の研究課題を決定しております。
 平成二十年度に航空機用新素材開発の研究を開始した後、平成二十一年度は、がんなどを早期に診断できるシステムの開発など二件の研究を開始し、合わせまして三件の研究を行っております。
 平成二十一年度末時点で、インドネシア、中国、ベトナムなどからの六名の留学生が高度研究に従事しております。首都大学東京で受け入れましたアジアからの留学生は、海外の学会などで研究論文を発表するとともに、専門誌に論文が掲載されるなど、着々と成果を上げております。
 また、高度研究の研究成果を評価するために、外部評価委員による年度評価を平成二十二年度から実施しております。

○遠藤委員 首都大学東京への留学につきましては、今お話がありましたインドネシア、中国、ベトナム等々の国々から、現地の大学で修士をとられた皆さんが博士課程に入ると、そして首都大学東京で先端的な研究をすると、そのように理解をしておりますけれども、首都大学東京への受け入れということで、一般的に行われている奨学金の支給や授業料免除のほかにも、住宅の確保や基礎研究費の支給、または就職や生活全般にきめ細やかに支援する、そのような相談体制等々もつくっているということで、これは非常に大事な取り組みであり、また、留学生の皆さんにとっても大きな支えになるものであると、改めて評価をさせていただきたいと思っております。
 留学生の支援については、私自身も深い感慨がございます。といいますのも、今、在日本の中華人民共和国大使であります程永華さんという方がいらっしゃいます。この方は、新中国から日本への留学生の第一期として、私の母校であります創価大学に学びました。卒業後、中国外交部に勤務をして、アジア局の副局長を経て、二〇〇三年から日本大使館で公使を務められて、二〇〇六年にマレーシア大使、そして二〇〇八年に韓国大使に就任をされ、本年二月、第十一代駐日大使として着任をいたしました。現在、日中の政治問題はもちろんのこと、経済、文化、そして教育等、多方面にわたりまして両国の友好交流に尽くされているということであります。
 このような観点から、今、首都大学東京で学んでいる研修生、留学生の皆さんは、まさしく現地に帰られてトップリーダーとして活躍することはもちろんのこと、日本とその国々との友好交流にも多大なる貢献をされる方であると思いますので、どうか東京都挙げて支援がさらに進むように要請をさせていただきたいと思います。
 次いで、先ほど申し上げました二点目の観点でありますけれども、人的交流の推進、東京都に行政職員を受け入れて研修を行ったり、都市問題解決に向けた共同研究等々を行う。これについて二十一年度の実績を答弁いただきたいと思います。

○長澤国際共同事業担当部長 アジア大都市ネットワーク21の共同事業において、まちづくりなど幅広い分野において研修事業を実施しております。
 平成二十一年度は、基金を活用した研修で、シンガポールやクアラルンプール、台北から十八名が参加いたしました。
 また、共同研究の関係では、アジア感染症対策プロジェクトにおいて、アジアで蔓延しています結核をテーマに、平成二十一年度から、ジャカルタなど参加各都市と共同して調査研究を開始したところでございます。
 研修や共同研究を通じまして、先進的な技術の取得や、知識や情報を相互に交換することによりまして、各都市の行政水準などの一層の向上に寄与したと考えております。

○遠藤委員 それでは最後に、三点目でありますアジア諸都市と東京との人的ネットワークの形成、すなわちアジア人材バンク、この平成二十一年度の取り組みについて答弁いただきたいと思います。

○長澤国際共同事業担当部長 アジア人材バンクにつきましては、平成二十年度に設置して以来、アジア大都市ネットワーク21の研修事業に参加した各種の行政職員や首都大学東京の留学生など、東京で学んだ人材の情報を登録しており、平成二十一年度では二百名以上の人材を登録し、現在は登録者が七百八十名を超えております。
 登録者には、アジア各都市の特徴的な施策などを紹介するウェブマガジン「アジア通信」を二カ月に一度定期的に発行し、帰国後も東京により親しみを持ってもらうとともに、登録者間の連携感をはぐくんでおります。
 また、資源リサイクルなど専門分野ごとにメーリングリストを設けまして、登録者のニーズに応じて、きめ細かく専門性の高い情報を提供しております。
 さらに、アジア人材バンクのホームページでは、各都市の基礎情報や研修で使用しました資料など、これまでアジア大都市ネットワーク21の活動の中で蓄積してまいりました情報をデータベースとして掲載し、活用を図っております。
 このような取り組みを通じまして、東京とアジア諸都市の優秀な人材のネットワークづくりが着実に進んでおります。

○遠藤委員 これで質問を終わりますけれども、東京都も含めて、自治体が行う国際協力、国際交流、国際貢献については、一般の納税者の方からいろんな疑問ですとか期待があると思います。疑問の中には、そもそも自治体は地域社会の経営主体でありますから、外国の地域の問題や、または国際社会の課題に取り組むよりも、むしろそれぞれの地域の運営とか問題解決に専念すべきで、また税金もそれに投入すべきであると、こういうのが自治体に対する一般的な期待や理解であろうと、このように思っております。
 しかしながら、自治体が国際貢献、協力をするということも、片や大変な国際的な流れの中で重要な位置づけを占めているということであります。
 私も関心があって、今、自治体における国際貢献、交流について少し学んでおりまして、今問題提起しました、なぜ自治体が国際協力、貢献というものを行うのかという観点については、ヨーロッパで生まれたCDIという、こうした考え方がその起源のようであります。
 CDIというのは略語でございまして、コミュニティベースド・デベロップメント・イニシアチブ、その頭文字をとってCDIと。日本語に訳すと地域主導型開発協力と、このような言葉であります。これはヨーロッパで生まれた理念、考え方であります。
 詳しくは時間の関係上省略しますけれども、このCDIという理念は、一九八五年から一九九二年、ヨーロッパで行われた一連の国際会議で確立をされた理念であるということであります。
 それまでの国際協力、貢献、交流等々は、主に、いわゆる富める北側の国が大変な状況にある南の国々へ一方的な支援を行うと、このような形でしたけれども、そのような一方的な援助、支援、交流、貢献ではなく、またさらに、南の国々の経済成長を優先するものではないという明確な理念のもとに、その上で、お互いに学び合いながら、地域的諸問題を地域から解決し、公正で持続可能な地域社会を実現するための地球的変革を目指すこと、これがCDIの理念であり、結論として、地域住民が主体となって、協力関係にある地域同士が学び合う、双方向の関係を築くことを協力の目的とするものであると、このような理念がありました。近年の日本の国際協力、これは自治体間の国際協力でありますけれども、これも明らかにCDIの理念に基づいて行われていると、このように理解をしております。
 しかしながら、今申し上げましたCDIの理念というのは、あくまでも、その策定に中心的にかかわったのは国レベルの話であります。
 以上、るる述べさせていただきましたけれども、ヨーロッパでは、今申し上げました自治体レベルの国際貢献ですとか、または相互交流ですとか、こうしたものは、戦後処理の一環としてスタートして、それを経て、先ほど申し上げました一九八〇年代後半から九〇年代前半にかけて、地域同士の交流をさらに深めていこう、協力を深めていこうということで理念が深まった、このような歴史があるようであります。
 翻ってアジアに目を転ずれば、このような自治体間の交流またはお互い学び合うという、こうした仕組みというのは、これまでなかったわけであります。そうした意味で、今後ますます東京都が音頭をとりましたアジア人材育成基金、またはそれに関連する取り組みというのは、大変な実験であると同時に期待も大きい取り組みだと思います。ぜひ、アジアにおける自治体間の模範となるような成果を残すべく、残された八年間という、基金の取り崩し十年間で、二年経過したわけなんで、八年でありますけれども、大いなる成果を発揮していただきたい、このことを要望いたしまして、質問を終わります。ありがとうございました。

○たぞえ委員 知事本局の二十一年度決算について伺います。
 まず、いただいております決算書ですけれども、決算書の一六ページの(4)、政策の立案として、予算現額は一億三千三百十七万四千円、このように明記をしています。ところが、当初予算の同じ項目では、政策立案等として九千九百万円しか計上していません。しかも知事本局の説明によると、当初予算の方には報道機関との連絡四千五百万円も含まれていたそうなので、これを除くと、決算書に対応する当初予算の政策の立案は五千四百万円にしかすぎません。つまり、予算書、そして決算書までに、予算は八千万円も増額し、二・五倍膨れ上がったことになります。なぜこのようなことが起こるんでしょうか。

○大井総務部長 当初の予算と決算時の予算額の差についてでございますが、これは主に、今回の場合は知事の海外出張に伴う経費増、これに弾力的に対応したものでございます。

○たぞえ委員 知事の海外出張で八千万円もふえたのに、決算書には全くそのことが書かれていません。当初予算では、「十年後の東京」の実現に向けた施策の企画立案、こういう項目がありますが、一億八千七百万円計上していますが、決算での予算現額は七千七百三十六万円と、これも違った数字になっています。こっちは一億一千万円も減額になっているわけです。いつの間にか半分以下に減らされてしまったわけですが、どこに流用したんでしょうか。

○大井総務部長 今、流用というふうにお尋ねがありました。これは決算のときにこの数字が出てきておりますけれども、これは議決の予算の項目を大きく変えているものではなくて、通常の事業運営の中で行われる弾力的な執行というものでございます。
 「十年後の東京」の企画立案に係る事務事業の経費として計上した予算でございますけれど、これを政策の立案、それから都市外交の推進、これに必要な経費として、弾力的に執行したものでございます。
 具体的にいいますと、例えば、今ほど申し上げた知事の海外出張のほかに、仁川世界都市祝典というのが平成二十一年八月七日から十月二十五日に行われました。これは、世界の各国から百以上の都市が参加をして、七百万人以上の来場者が予想されるということで、東京をPRする絶好の機会として急遽参加を決めようということで、こうした経費に使用したものでございます。

○たぞえ委員 そのようにいわれましたが、いわれたようなことがこの決算書には記載がないわけです。
 東京都財務局長が監修した都財政用語事典というのがあります。改めてこれを読んでみました。こう書いています。決算は、予算の執行の事実をありのままに示すことにより、予算の見積もりに遺漏がなかったか、財政の健全性の原則により、かつ議会の議決に従って執行されたかを実績によって検討するために調製される資料であると、こう局長はいって、我々はこれは議会からいただいた、勉強する大切な本です。
 今、部長がいわれたように、その時々のことで予算の数字が大きく変わると、この事典からいうとどうなのか、知事本局の決算書はその要件を十分に満たしているのかということを指摘せざるを得ません。
 結局、知事の海外出張のお金が不足して一億円程度の予算が流用、転用されたという、そういうことでありますが、知事の海外出張について、知事本局での当初予算は幾らだったんですか。

○大井総務部長 都市外交の推進、それからアジア大都市ネットワーク21総会、これに係る経費といたしまして、平成二十一年度当初予算では三千五百四十万四千円でございます。

○たぞえ委員 それでは、知事の海外出張で二十一年度の実際の費用、決算額は全体で幾らだったでしょう。

○大井総務部長 当分科会で要求のございました資料、その中に、26から31、ここに記載してございます。平成二十一年度の海外出張経費の合計、これは他局の支出分も含めてこの資料に載せてございますが、合わせて一億四千九百四十二万円でございます。

○たぞえ委員 当初予算に対して一億一千万円以上も知事の海外出張は超過をしたと。全く予算の制約を超え、いわばやりたい放題、使いたい放題ではないでしょうか。
 それで、「十年後の東京」の項目から流用したということでありますが、職員なら予算の範囲でしか出張できないのに、当初予算を超える費用について、知事の出張だからといってこういうことが許されるんでしょうか。どうですか。

○大井総務部長 予算の流用のご指摘でございますが、これは重ねて、先ほども申し上げましたように、いわゆる予算の大項目を入れかえるというそうした議会でお決めになった予算の項目を変える、そんなものではなくて、通常の運営を円滑に図るための弾力的な執行、運用でございます。
 したがって、これは知事だからというわけではなくて、必要があれば職員についても同様の対応を行うこととしております。そういう意味では、先ほどの仁川の中では職員の経費がたくさん入ってございます。

○たぞえ委員 というと、適正だということですか。

○大井総務部長 もとより適正に執行しております。

○たぞえ委員 私は、予算執行上重大な問題があると思います。予算を大幅に超え、流転用までした理由は成り立っておりません。
 先ほどの答弁では、知事本局は局の性格上、即座に対応すべきことがあると、また不測の事態に対応しなければならないことがある、そういうときのために流転用するという話でありますが、予算の流転用が行われた知事の海外出張はどの案件ですか。

○大井総務部長 予算の弾力的な執行をしたものについてでございますけれど、これもこの分科会に提出をしました要求資料に、27から30までに記載してあるローザンヌでの立候補都市ブリーフィング、シンガポールでのアジアオリンピック評議会総会、ベルリンでの第十二回世界陸上競技大会の視察と、コペンハーゲンでの第百二十一回IOC総会、この四件でございます。

○たぞえ委員 そのうち、〇九年度当初予算作成段階で決まっていなかった海外出張は、どの事案でしょうか。

○大井総務部長 決まっていなかった海外出張ということで、今ほどご答弁を申し上げた四件でございます。

○たぞえ委員 そうしますと、予算策定段階から決まっていたというわけでありますが、先ほど、即座に対応か不測の事態のために予算を流用することがあると、こういうふうに答弁されましたが、最初から決まっていたのに、知事の海外出張予算を結局小さく見せるために、予算を過少に計上していたんではないでしょうか。
 次に聞きますが、「十年後の東京」の実現に向けた施策の企画立案の問題です。
 この予算原案内示の概要では、この項目の主な内容は実行プログラムの策定だというふうにされています。決算書の方を見ると、実際に使ったのも、実行プログラムの策定の事務費四千四百二十九万円、印刷費百六十三万円、合計四千五百九十三万円のみです。当初予算額一億八千七百万円のわずか二五%にすぎません。だから、知事の豪華といわれている海外出張の穴埋めに一億一千万円も流用することができたわけです。
 「十年後の東京」は初めから過大な予算措置だったということになるんじゃないでしょうか。最初から知事の海外出張に流用するつもりだったのではないか。どうですか。

○大井総務部長 当然、予算を策定する場合に、必要な事務事業について吟味をして、その上で組み立てております。
 今ほど、知事の海外出張は先に決まっていたんじゃないかというふうにおっしゃられましたけれども、オリンピックの総会でありますとか、IOCの総会でありますとか、あるいはローザンヌでの立候補都市のブリーフィングでありますとか、事項は決まっていたんですけれども、予算の編成時においては知事の参加が決定されているものではありませんでした。そうしたことから、いろいろ持てる予算の中での適正、弾力的な執行ということで、実施をしたところでございます。

○たぞえ委員 いろいろ今いわれましたが、決算書に見る実行プログラムの事務費と印刷費にしか使われていないということは事実なんです。結局、大幅に余るように実行プログラムの予算が組まれている。自治法で議決された予算は流用が禁止されていますが、それにとどまらず、東京都の予算事務規則では、目節についても流用は原則禁止とされ、歳出予算の執行上やむを得ない場合によってこれを認めているだけです。今回の流用はその要件を満たしているとはいえません。
 知事の海外出張のために新しく予算をつくる、かかった費用はあらかじめ大幅に余るようにつくっているのが「十年後の東京」からもあらわれています。知事の海外出張やり放題、使いたい放題、こういう仕組みが知事本局の中にあるのではないでしょうか。
 このような予算編成の仕組みならば、知事の海外出張の節約の観点などは働くはずがありません。実際私が、さきのオリンピック・パラリンピック招致特別委員会でIOC総会への豪華出張について取り上げました。このときに都側は、業務委託としてJTBとあらかじめ調整を行っていることを認めました。
 この出張では、白黒プリンターのレンタル料が何と四十四万八千円もした。買った方がはるかに安い、このようにいわれました。フルカラープリンターのレンタル料よりも五万円も白黒の方が高い、こういう不思議な逆転現象までも起こっていたわけです。
 それから、平成二十年度になりますが、知事は、北京オリンピックで一泊二十四万円の超豪華スイートルームに泊まったわけです。
 私は、このような豪華出張を引き起こす予算編成の構造上のゆがみをまず改めること。そして、現在置かれている都民の苦しみの姿、状況に心をはせて、知事の海外出張の節約の努力を今後の取り組みでは行うべきであるということを主張して、質問を終わります。

○中村委員 知事本局が担当している「十年後の東京」について質問します。
 「十年後の東京」は、平成十八年に政策展開の方向性を都市戦略として発表されたとのことです。その翌年、十九年度以降、施策の進捗状況を随時点検しながら、毎年度、実行プログラムが改定されていると記載されています。
 そこで、まずは実行プログラムの事業について、平成二十一年度の主な実績について伺います。

○武市計画調整部長 実行プログラムの平成二十一年度におけます主な事業のうち、一つには、新型インフルエンザ対策では、都民の生命と健康を守る保健医療体制の整備を進めることとしておりまして、二十一年度におきまして、タミフル、リレンザといった抗インフルエンザウイルス薬を新たに百万人分ずつ備蓄いたしまして、合計六百万人分を備蓄したほか、医療従事者向けの個人防護具を都独自に三百四十万人分備蓄しております。さらに、受け入れ医療機関を四十六カ所指定するなど、医療体制の整備を進めております。
 また、公立小中学校の一〇〇%耐震化に向けましては、目標を当初の二十七年度から二十四年度に三年前倒しすることといたしまして、助成制度を充実した結果、二十一年度単年度で一気に一一ポイント進捗いたしまして、二十一年度末で八八%に達しております。

○中村委員 具体的な成果があった実績について伺いましたが、事業の内容を一概に同じ指標でははかりにくいのは承知しつつも、全体の項目で何%達成したかなどの指標を明らかにしたり、達成できた事業、過程にある事業、おくれている事業などを一覧に示していただけるとわかりやすいかと思います。
 さて、「十年後の東京」への実行プログラム二〇一〇の策定においては、その過程において、区市町村、住民の意見を反映させることが必要ですが、それらの声をどのように得て作成されたのか伺います。

○武市計画調整部長 「十年後の東京」への実行プログラム二〇一〇の策定に当たりましては、まず、あらかじめ都内全区市町村に対しまして意向調査を行いまして、意見、要望を受け付け、必要に応じてヒアリングを行ったところであります。
 また、都民からの意見を反映するため、世論調査及びインターネット都政モニターアンケートを活用いたしまして、「十年後の東京」の実現に向けた都の取り組みについて、幅広く意識調査を行っております。
 なお、こうした区市町村、都民の方々からどのようなご意見があり、それをどのようにプログラムの中で反映したかにつきましては、冊子の巻末に資料として掲載しているところでございます。

○中村委員 全市区町村からは意見を受けているとのことでしたが、都民については、世論調査や都政モニターアンケートからの調査とのことです。都政の重要な計画ですから、広報などで積極的に意見募集するのが望ましいかと思います。
 さて、実行プログラムは都全体の基本計画的な位置づけにありますが、掲載された事業の総事業費は掲載されていますが、都政全体の財源についてはなぜ触れていないのでしょうか。経常業務を圧迫するようなことはないのでしょうか、伺います。

○武市計画調整部長 先ほどきたしろ委員へのご答弁の中で申し上げましたが、実行プログラムは、「十年後の東京」の確実な実現に向けました三カ年のアクションプランとして策定をしております。
 この中で、財政的な取り扱いといたしましては、その策定方針の中で優先的に予算措置をするということを定めております。財政当局とも十分な連携を図りながら策定をしておりまして、実行プログラム二〇一〇で申し上げますと、二十六施策、三百六十四事業に及びます幅広い分野にわたりまして、多様な事業を展開しているところでございます。

○中村委員 一昨年のリーマンショック以来の景気の悪化が大幅な税収減になってしまいましたが、財政を見据えながらの進捗管理が重要になります。
 実行プログラム事業のおくれ、計画変更などは、PDCAサイクルの中でどのように反映をされているでしょうか、伺います。

○武市計画調整部長 実行プログラムは、平成十九年度に策定いたしました実行プログラム二〇〇八以降、各施策の進捗状況などを随時点検、検証した上で、毎年度改定をしております。したがいまして、事業のおくれでございますとか計画の変更などが生じた場合には、この改定作業の中で検証をすることとしております。施策の見直しでございますとか施策の再構築、こうしたことを通じまして、「十年後の東京」の確実な実施に向けた実行プログラムということで策定をしてまいります。
 PDCAサイクルの中で申し上げますと、私ども、検証をする作業がPDCAのC、チェックに当たると考えておりまして、その翌年度に向けて改定を行うことが、PDCAの中ではA、アクションであると考えております。

○中村委員 ぜひ事業の進捗と成果の検証を行い、その結果も公表していただきたいと思います。また、毎年度改定するわけですが、新規に追加される事業は比較的容易にわかるんですが、終了や廃止した事業については、二年分を並べて見比べなければわかりません。わかりやすいような表示の工夫もお願いします。
 さて、実行プログラム事業の中には、各局の個別の事業計画や既定計画に従ったものもあると思います。しかし、それらを取りまとめるだけではなく、実行プログラム改定の中で見直す必要があるものについては、トップの政策スタッフとして、全庁的な視点から知事本局がリーダーシップを発揮していくべきだと考えますが、見解を伺います。

○武市計画調整部長 計画を策定したり改定する場合には、当然ではございますが、目標の達成に向けまして、真に実効性が上がるものというふうにしていくべきでございます。その中で、今回の実行プログラムの改定に当たりましては、既定の計画の策定当時とどのような情勢の変化があったのかということでございますとか、どのようにすればより効果が上がるような施策になっていくのか、そういったことをしっかり検証しながら、私ども改定を行っているつもりでございます。
 そうした検証作業の中で、見直すべきと判断した事業につきましては、各局とも調整を行った上で事業の見直しを行っておりまして、知事本局としましては、今後とも、局横断的な取り組みなどを積極的に進めたり、各局との橋渡しをしていくなど、全庁的な視点に立って総合調整機能を発揮してまいります。

○中村委員 行政計画である以上、ある程度長期のスパンを見通したビジョンに向けた実行プログラムであることは理解しますが、そもそも長期ビジョンも、知事の選挙時のマニフェストを実現するものであるはずです。したがって、都民から信任を受けた任期中の実行プログラムとすべきではないかと思いますが、所見を伺います。

○武市計画調整部長 「十年後の東京」でございますが、これは目標の達成年度を二〇一六年ということで私ども定めてございます。その二〇一六年に向けまして、都市インフラの整備でございますとか、環境、安全、文化、観光あるいは産業など、さまざまな分野でより高いレベルの成長を遂げていく東京の姿と、それに向けました政策展開の方向性をこの中で示してございます。
 これもこれまで申し上げてございますが、実行プログラムはそれを具体化していくための三カ年のアクションプランでございまして、これを策定、実施していくことで、都の事業施策、事業展開を内外に明らかにいたしまして、都庁全体の行財政運営を先導しております。
 これまで、「十年後の東京」計画の実現に向けまして、進捗状況でございますとか成果を検証しながら、実行プログラムを毎年度改定してございますが、今後も、社会情勢の変化などをとらえて、最新の状況を取り入れた上で施策を推進していくということが、行政としての責務であろうと私ども考えてございます。
 先ほどのPDCAサイクルの中で申し上げますと、目標年次でございます二〇一六年に向けましてPDCAを繰り返しやっていくと。途中で終わらせることなく継続をさせていくためにも、毎年度改定は必要であろうというふうに考えてございます。

○中村委員 マニフェストについては、選挙後の先行の是非をめぐって議論が分かれるところでありますが、都民からの信託を実現させる上で重要なものであることは間違いがありません。
 都政において大切なのは、都民の信託を受けた知事と議会が議論し、都民の声を行政に反映させることです。政策の提案の過程おいてはボトムアップも大切ですが、いわゆる官主導から民主導の政治を実現するためには、側近政治にならないよう留意はしつつも、主権者の意思を受けた政治家はトップダウンで政策を示すことが大切です。長期計画と知事のマニフェストと任期との整合性をどのようにとっていくかは、だれがなるにせよ、次の都政においての大きなテーマになると予想されますので、今から調査研究をしていただきたいと思います。
 最後に、「十年後の東京」計画の目標実現に向けて、施策あるいは事業によっては複数の局が連携すべきものでありますが、そうした場合、トップの政策スタッフである知事本局が主導で連携を図るべきと考えます。そうした取り組みを通じて縦割り行政を変革していくべきと考えますが、見解を伺います。

○武市計画調整部長 私ども知事本局は、これまでも、カーボンマイナス都市づくりでございますとか、緑の都市づくり、少子化対策など、全庁的な視点から総合的な対策が求められております課題でございますとか、「十年後の東京」の確実な実現に向けて、複数の局の協力、連携、そういったものを図りながら進めていく必要がある、そういった場合には、私どもが主導いたしまして、局横断的に都庁全体で政策展開を進めております。
 そうした取り組みの効果もございまして、各局におけます局を超えた連携を図るため、垣根というんでしょうか、意識というのは、これまでよりも低くなってきているのかなというふうに感じているところでございます。行政に限らずに、組織が大きくなればなるほど縦割りの弊害というものが目立ってくるわけでございますけれども、知事のトップマネジメントの補佐機能を担う知事本局といたしましては、そうした縦割り行政と指摘されることなく、各局が最大限の力を発揮できるように、総合的な調整を図ってまいります。

○中村委員 ご答弁ありがとうございました。
 都政の責任は知事にあるのですから、局間で調整がつかない場合に、どちらも手を出さないという状況は本来あり得ないはずです。トップマネジメントの補佐機能を担う知事本局が局間を調整して、縦割り行政の弊害をなくすことに努めていただくことを要望して、質問を終わります。

○興津委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと存じますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○興津委員長 異議なしと認め、本件に対する質疑は終了いたしました。
 以上で知事本局関係を終わります。
 これをもちまして本日の分科会を閉会いたします。
   午後二時五十五分散会

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