委員長 | 興津 秀憲君 |
副委員長 | 鈴木 隆道君 |
副委員長 | 中村ひろし君 |
遠藤 守君 | |
きたしろ勝彦君 | |
淺野 克彦君 | |
松葉多美子君 | |
三宅 正彦君 | |
たぞえ民夫君 | |
馬場 裕子君 |
欠席委員 なし
出席説明員議会局 | 局長 | 白石弥生子君 |
管理部長 | 前田 敏宣君 | |
議事部長 | 鈴木 省五君 | |
調査部長 | 森山 寛司君 | |
監査事務局 | 局長 | 三橋 昇君 |
監査担当部長 | 並木 勝市君 | |
収用委員会事務局 | 局長 | 藤井 芳弘君 |
主税局 | 局長 | 荒川 満君 |
総務部長 | 目黒 克昭君 | |
税制部長 | 田倉 英明君 | |
税制調査担当部長 | 山内 和久君 | |
調整担当部長 | 須藤 充男君 | |
課税部長 | 木村 芳生君 | |
資産税部長 | 堀内 宣好君 | |
徴収部長 | 宗田 友子君 | |
特別滞納整理担当部長 | 阿南 威彦君 |
本日の会議に付した事件
平成二十一年度東京都各会計歳入歳出決算の認定について
議会局関係
・平成二十一年度東京都一般会計決算(質疑)
監査事務局関係
・平成二十一年度東京都一般会計決算(質疑)
収用委員会事務局関係
・平成二十一年度東京都一般会計決算(質疑)
主税局関係
・平成二十一年度東京都一般会計決算(質疑)
・平成二十一年度東京都地方消費税清算会計決算(質疑)
○興津委員長 ただいまから平成二十一年度各会計決算特別委員会第一分科会を開会いたします。
本日は、お手元配布の会議日程のとおり、議会局、監査事務局、収用委員会事務局及び主税局関係の決算に対する質疑を行います。
それでは、これより議会局関係に入ります。
決算の審査を行います。
平成二十一年度東京都一般会計決算中、議会局所管分を議題といたします。
本件につきましては既に説明を聴取しております。
これより質疑を行います。
発言を願います。
〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○興津委員長 お諮りいたします。
本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと存じますが、これにご異議ございませんでしょうか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○興津委員長 異議なしと認め、本件に対する質疑は終了いたしました。
以上で議会局関係を終わります。
○興津委員長 それでは、ただいまより監査事務局関係に入ります。
決算の審査を行います。
平成二十一年度東京都一般会計決算中、監査事務局所管分を議題といたします。
本件につきましては既に説明を聴取しております。
これより質疑を行います。
発言を願います。
○中村委員 東京都が補助金を出している団体や委託している法人などが適切に事務を執行しているかというのは大変重要な問題だと認識しています。それらの団体に対する監査について伺いたいと思います。
東京都では、厳しい財政状況のもと、行財政改革が行われ、行政の役割が大きく変わってきました。かつては行政みずからが行っていた事業について、都の外郭団体である監理団体等や民間団体へのアウトソーシング化が進められてきました。これは、直接都が事業を行わないことをもって都政が縮小したと単純にとらえるのではなく、むしろ委託や指定管理、または補助などを通じて東京都がこれまでかかわってこなかった事業にまでかかわりが広がり、むしろ公の領域は拡大しているといえなくはありません。拡大された公の領域において使用されるお金も、もともとは都民の税金ですから、その適正な使用が担保されるためには、外部であるだけにきちんとチェックする仕組みが必要であり、当然のことながら監査の役割が重要になります。
先般ご説明いただいた決算概要では、監査事務局は財政援助団体等監査を実施しているとのことですが、そもそも財政援助団体等監査とはどういう監査なのか伺います。
○並木監査担当部長 財政援助団体等監査についてでございますが、これは地方自治法第百九十九条第七項により監査委員が行う監査であり、地方自治体が補助金等の財政援助を行っている団体や出資している団体、公の施設の指定管理者などを対象として実施するものでございます。実施に当たっては、毎年実施計画を策定して計画的に行っており、原則として一団体について二カ年の事業を対象に実施してございます。
○中村委員 補助団体や出資団体などを対象に毎年計画を立てて監査を実施しているとのことですが、平成二十一年にはどういう団体に監査に入り、結果はどうだったのか、監査の実績と主な指摘内容について伺います。
○並木監査担当部長 財政援助団体等監査の実施方法についてでございますが、補助金等交付団体に対しては交付額や過去の指摘等の実施、指摘等の状況などを勘案し、二年から五年の範囲内で一回、出資団体に対しては事業規模や都の出資比率等を勘案して二年から四年の範囲内で一回監査を実施することを目安としてございます。これに基づき、平成二十一年においては、学校法人、社会福祉法人等の補助金等交付団体については百六十三団体、監理団体等の出資団体については十五団体について監査を実施し、指摘事項三十八件、意見、要望事項三件があったことから、議会に報告の上、公表してございます。その主なものは、補助金の返還を求めるものや財産の帰属について明確な取り扱いを求めるものなどでございます。
○中村委員 選定基準に基づいて平成二十一年の監査実施団体を決定し、監査に入ったとのことです。しかし、最近でも国の会計検査院により発覚した国庫補助事業に係る事業費の不適正な経理事件を見ても、補助金の交付をめぐっては不正が働きやすいのではないでしょうか。また、都が多額の出資をしている団体の多くは監理団体でもあります。そこで、財政援助団体に対する監査について、もっと頻度を上げる必要があると考えますが、見解を伺います。
○並木監査担当部長 財政援助団体等監査の実施についてでございますが、地方自治法百九十九条において、各局の事務事業を見る定例監査が毎年一回以上期日を定めて監査しなければならないとされているのに対しまして、財政援助団体等監査は必要があると認めるときは監査できるとされており、その取り扱いが異なってございます。その中で年間を通じて、定例監査、工事監査、行政監査、決算審査に合わせて財政援助団体等監査を計画的、効率的に実施しており、人的、時間的な制約の中、可能な限りの監査を実施しているということでご理解を願います。
○中村委員 人的、時間的な制約があり、現在でも可能な限りの監査を実施しているとの答弁でした。確かに、予算や職員定数に限りがある中で頻度を上げることは難しいかもしれませんが、工夫を凝らして監査の充実に努めていただきたいと思います。また、補助団体や出資団体の適切な事務執行を確保するためには、一義的にはその団体を所管する局がしっかりとチェックをし、不正を見逃さないことが重要です。
そこで、財政援助団体を所管する局がその団体に対して行っている指導監督について、監査をどのように実施しているのか伺います。
○並木監査担当部長 財政援助団体を所管する局への監査についてでございますが、財政援助団体等監査において団体に問題があった場合には、その所管局の指導監督についてもあわせて監査を行い、問題があれば指摘や意見、要望を行っております。
平成二十一年監査におきましては、補助金の算定方法が統一的に行われていない事例につきまして、算定方法の統一と法人への周知の徹底等により適正に審査するよう所管局の指導監督について指摘を行った例などがございます。
○中村委員 財政援助団体を所管する局の指導監督状況についての監督監査をもっと充実してほしいと思います。また、先ほどの答弁の中で財政援助団体等監査の対象に委託業者が入っていませんでした。委託業者が監査の対象になっていないというのは、少々不思議な感じがします。都は行政改革により民間活力の導入や民間委託の拡大などを進め、従来、都が直接行っていた事務事業をアウトソーシングしてきました。都の事業であれば毎年必ず監査を行っているはずですが、外部委託化してしまえば外れてしまいます。外部委託化したものこそしっかりと監査でチェックすべきです。
そこで、委託業者に対する監査はどうなっているのか、また、各局が行う委託業者への指導監督について、監査をどのように実施をしているのか伺います。
○並木監査担当部長 委託業者に対する監査についてでございますが、地方自治法第百九十九条第七項で定める財政援助団体等監査においては一般の委託業者は対象とされておりませんが、委託契約は定例監査の対象であり、契約手続や履行の確保が適正であるかについて、局に対して監査を行っております。加えて、指定管理者が公の施設にかかわる管理を受託している場合や都の出資団体が都から受託して業務を行っているような場合は、それらの委託事業についても財政援助団体等監査の対象として監査を実施してございます。また、近年、局の事務事業を監理団体に移管し、一体的に局事業を推進するという状況が見られることから、平成二十一年行政監査の中で水道事業における監理団体の業務委託を対象に監査を実施したところでございます。
○中村委員 ご答弁ありがとうございました。今回、財政援助団体等監査について何点か質問をさせていただきました。現在、国においては総務省の地方行財政検討会議において監査制度の抜本的な見直しについて検討を行っています。そこでは財政援助団体等監査を見直し、首長みずからが内部統制として行うということも議論されているようです。しかし、都においては各局に対する定例監査と財政援助団体に対する監査とが相まって、初めて行政の事務執行全体を監査することができるのであって、財政援助団体等監査は独立した機関が行う必要があると考えます。
また、都議会民主党は行政改革プロジェクトチームを立ち上げ、その中に監理団体検証ワーキンググループを設置して、監理団体の検証を進めています。監理団体など都が補助金を出している団体や委託している法人等に対する監査がますます重要となってくることを申し上げて質問を終わります。
○興津委員長 ほかにございますか。--では、お諮りいたします。
本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと存じますが、これにご異議ございませんでしょうか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○興津委員長 異議なしと認め、本件に対する質疑は終了いたしました。
以上で監査事務局関係を終わります。
○興津委員長 それでは、ただいまより収用委員会事務局関係に入ります。
決算の審査を行います。
平成二十一年度東京都一般会計決算中、収用委員会事務局所管分を議題といたします。
本件につきましては既に説明を聴取しております。
これより質疑を行います。
発言を願います。
〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○興津委員長 お諮りいたします。
本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと存じますが、これにご異議ございませんでしょうか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○興津委員長 異議なしと認め、本件に対する質疑は終了いたしました。
以上で収用委員会事務局関係を終わります。
○興津委員長 それでは、ただいまより主税局関係に入ります。
決算の審査を行います。
平成二十一年度東京都一般会計決算中、主税局所管分及び平成二十一年度東京都地方消費税清算会計決算を一括して議題といたします。
本件につきましては、いずれも既に説明を聴取しております。
その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
資料について理事者の説明を求めます。
○目黒総務部長 先般の分科会におきまして要求のございました主税局関係の資料についてご説明申し上げます。
恐れ入りますが、お手元の平成二十一年度各会計決算特別委員会第一分科会要求資料の一ページをお開きいただきたいと存じます。
要求資料第1号、都税の滞納額と滞納件数の推移についてご説明申し上げます。
この表は、都税の滞納額と滞納件数の推移について、平成十七年度から二十一年度までの五年間の推移をお示ししたものでございます。
次に、二ページの要求資料第2号、東京都税制調査会中間報告における低所得者対策の概要(平成二十一年度)についてご説明申し上げます。
この資料は、平成二十一年度東京都税制調査会中間報告における低所得者対策に係る記述部分を要約したものでございます。
要求のございました資料に関する説明は以上でございます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。
○興津委員長 説明は終了いたしました。
ただいまの資料を含め、これより本件に対する質疑を行います。
発言を願います。
○淺野委員 私からは、この主税局の所管の中での決算につきまして幾つか質問させていただきますが、まず主税局は、おのずと税を集めていただく、それを管轄しているわけでありますけれども、今の都民、国民の目線を考えますと、税を集める、納めていただく、そういった中で、その使途についても、やはりそれが適切にかつむだなく使用されているかということが非常に厳しい目で見られている時代だと私は思っております。
そこで、主税局が所管をしている東京税務協会、ここが徴収に関してさまざまなPRを行ったり、あるいは各自治体、区市町村やあるいは他の都道府県を含めました自治体に対しても、税務に関するセミナー、研修等を行いながら、効率的でかつ納税者の意識に沿ったものをできるだけやっていこうという事業を展開しているとお聞きしております。そういったこの監理団体の事業についても、いろいろと今回調べさせていただきましたが、この税務協会の中を見ますと、中には先ほど申し上げました税務セミナーの中においても、一人しか受講者がいないのに開講してみたり、あるいは税務セミナーそのものが、一体どのぐらいの参加費の捻出についてどういった計算でやっているのかなどというところについては、なかなか説明が若干不透明といいますか、確定がはっきりと具体的に出てこない部分もあったかのように思いました。
そうした事業を考えると、やはり税を納めていただくことを実務として行っている主税局が所管している以上、他の監理団体よりもはるかに税を使うというか、歳出、使用、支出についてはより効率的であり、むだがないといった意思を持って進めているということが取り組まれるべきだと考えております。そうした事業につきまして、主税局として、よりきめ細やかな事業の実態の把握と、そしてその事業の効果がどのくらいあるのかといったことを踏まえた指導監督を行う必要があると考えておりますけれども、見解を伺います。
○目黒総務部長 東京税務協会に対しましては、各年度における団体の経営目標の策定とそれに基づいて設定した各種指標の評価等を通じて、団体のより効果的な運営を図ってきたところでございます。ただいまご指摘いただいた点も踏まえまして、今後さらに各事業の実績、状況を十分に把握して、的確な指導監督に努めてまいります。
○淺野委員 言葉だけでなく、税務協会というものが果たしている役割というものを常に認識した上で、その役割の中で本当に効率的な運営をしているんだと、他の監理団体よりもはるかにうちは一番効率的なんだといわれるぐらい取り組めるような指導監督をぜひお願いいたします。
また、その東京税務協会の中で税務行政の円滑な運営に寄与する、そういった目的の中で実務を中心とした各種研修、先ほどいった税務セミナー等を行っているということは述べさせていただきました。ここで大切なのは、税を納めていただく一般の都民の方々、あるいは法人も含めて、そういった方々に対して、技術的な、つまり効率的な徴収といったものの技能を上げていく、これは非常に大切なことではあるんですけれども、一方で、先ほど申し上げました税に対する意識というものが非常に厳しくなってきている、そういった中におきまして、納めていただく都民の方々の感情というか、そういったところまでを理解したような人材、税の徴収業務に当たる人材というのは、そこまでを意識すべきだと私は考えます。
一例を申し上げますと、例えばある県の県税事務所になりますと、にこにこしながら仕事をしようという運動をしていたことがあります。どういうことかというと、正直申し上げまして、憲法にたった三つしかない義務のうちの一つ、納税ということでありますが、国民側から見れば、やはりなかなか納めたくないという気持ちがあるのも一方では事実だと思います。
それがいいかどうかはともかくとして、その中で納めるという行動をとっていただく方々に対してはにこやかに、ある意味義務なんだからという発想ではなくて、納めていただいてありがとうございますというようなことが態度にあらわれるような、そういった取り組みをしている事務所もございました。都税事務所や何かもそういう取り組みをやっていく、あるいはそういうことが内部から自発的に意見として出されていくような、そういう人材が必要だと私は思います。
そういう意味で、この税務セミナー等におきまして、またそれを含めた人材育成という中では、技術的な、そういうセミナーだけではなくて、納税者の感覚、そういったものを職員の皆様も含めて伝えていく、あるいはわかってもらうような努力をしていく、そういったことも非常に重要であると思いますけれども、それについての見解を伺います。
○目黒総務部長 東京税務協会が実施しております各種研修につきましては、実務に携わる者として必要な専門知識や技術を付与することを主な目的として行っているところでございますが、当然のことながら、それら研修の中では税務職員としての心構えや納税者への説明責任の重要性といったことも含めた講義が行われているところでございます。今後とも、納税者の理解が得られる税務行政に資するような研修事業が適切に行われるよう、より一層的確な指導監督に努めてまいります。
○淺野委員 ぜひ喜んで納税をしていただけるような感覚が、また都民の皆様方にも理解していただけるような取り組みをこれからも期待したいところでございます。
次に、今回、この決算を見ましても、もう皆さん報道等でも出ていることですけれども、今、都税の収入は落ち込んできております。そして、これは全国的なものでもありますが、税収というのは景気の波にも影響を受け、その変動がどうしても出てきてしまうものでありますが、一方で徴収率、つまり額ではなくて率で考えますと、先ほども申し上げましたが、三つしかない義務のうちの一つですから、本来であればできるだけ一〇〇%に近づけていく、そういったような取り組みもやっていかなければならないと思います。
都は、これまで都内の各区市町村、協力関係を持ちながら税収の確保をするためにさまざまな努力を積み重ねてきた。そのことについては十分理解しているつもりではございます。その中でも、例えば滞納となった個人都民税、これにつきましては前年度以前から滞納が繰り越しをされている、いわゆる滞納繰越分でございますけれども、滞納繰越分については都道府県別の徴収率の中で平成二十一年度の全国順位が第二位であるということは、これは非常に高く評価していいものだと思います。これが、都がさまざまな指導あるいは協力関係を通して区市町村と一緒に取り組んできたあかしということで、職員の皆様方も胸を張っていいものだと思います。
しかし一方で、この個人都民税現年分、つまりその年に発生した住民税を納めていただくという意味で、現年徴収分につきましては、実はこの徴収率の全国順位というのが第四十三位、つまり全国で下から数えた方が早い場所にいるということはなかなか残念な結果ではないでしょうか。徴収率を上げるという取り組みは、確かにそんなに生易しいものではありません。しかし、そこにいいわけを設ける、例えば低所得者の方々がなかなか納めづらいという感覚、そこはわかります。しかし、制度として、高額納税者の方々も、あるいは高所得者の方も低所得者の方も国民としての三つの義務のうちの一つでありますから、さまざまな行政サービスを維持するためにも、これは理解をして納めていただかなければならない、そういったことがあるものだと。税というものはなかなか理解してもらうのは難しいですけれども、本当の意味で国民生活を下から支えるために必要不可欠なものでありますから、そこはこれからも上昇を努力していっていただかなければならないと思います。
ただ、これはこういった首都圏といった大都市、この大都市の特有の課題のようにも見受けられます。この全国順位の下の方にいるのも、やはり大都市圏が多くなってきてしまう、そういったことを考えますと、これはなかなか難しい課題であるかなという気もいたしますが、このことについてのご見解を伺いたいと思います。
○阿南特別滞納整理担当部長 委員ご指摘のとおり、個人都民税の賦課徴収をいたしております区市町村におきましても、いろいろな創意工夫を重ねるとともに、差し押さえを初めとする攻めの滞納整理の実践など懸命に努力しているところでございます。
こうした取り組みに対し、都といたしましても、これまでも区市町村から整理困難な事案を引き受けるといった対策とともに、一定期間職員を派遣して事案を処理させるなど、多様な支援を行ってきたところでございます。このように、都と区市町村は相互に役割分担をいたしまして取り組んでまいりましたが、経済環境の低迷には対抗することができず、平成二十一年度の個人都民税の徴収率は課税総額に占める割合の高い現年課税分の徴収率が九六・七%と比較的低調になっております。このため、全体といたしまして、前年度を〇・八ポイント下回る九二・八%ということになってございます。なお、滞納繰越分は三一・八%でございます。
現年課税分の滞納整理におきましては、対象も多いことから、文書や電話等による催告が中心となってまいります。都市化の進んだ地域ほど応じていただくことが難しく、納税意識は低くなりがちな傾向もございます。また、住民の流動性も高く、電話番号などの捕捉も困難になっております。今後とも、各自治体の徴収状況など区市町村に対しまして多様な情報の提供を強化いたしまして、現年課税分の徴収率の一層の向上を図ってまいる所存でございます。よろしくお願いいたします。
○淺野委員 先ほども申し上げましたとおり、滞納繰越分の処理というのが全国に、つまり今のお話に出てきた大都市として非常に困難な状況にある事例がたくさんあるといった中で徴収率、滞納繰越分については第二位まで持ってきたということは、実は非常に大きな意義のあることだと私は思います。ぜひその気概を持って、現年徴収分についても、これまで以上に各区市町村、そしてさまざまな首長さんも含めた人たちと一致協力をして皆さんに納めていただくように努力をしていただきますことをお願い申し上げまして、私からの質問を終わらせていただきます。
○三宅委員 先日の本分科会におきまして、平成二十一年度決算における法人事業税の暫定措置の影響額と財政面での対応策について伺いました。本日はこの暫定措置について、税制面から質問したいと思います。
先般、平成二十一年度決算における暫定措置の影響額は千三百四十九億円の減収になったと聞いておりますが、この暫定措置が創設された際、平成二十年度に見込んだ都の減収額は、平成二十一年度は二千八百億円、その後の平年度ベースでは三千億円と聞いております。そこで、当初見込んだ二千八百億円が一千三百億円に縮小した理由をお伺いします。
○田倉税制部長 法人事業税の暫定措置は、法人事業税の一部を分離いたしまして、国税である地方法人特別税を創設するとともに、その収入を人口及び従業者数を基準といたしまして都道府県に譲与する地方法人特別譲与税を創設するというものでございます。当初見込んだ減収額が縮小いたしました理由につきましては、リーマンショック以後の急激な景気悪化に伴い、企業収益が減収となったために国税として移譲される地方法人特別税のもとである法人事業税が大幅に減少したことによるものでございます。
○三宅委員 暫定措置は都道府県の地域間の財政力格差是正の観点から、税制の抜本的な改革において偏在性の少ない、小さい、地方税体系の構築が行われるまでの間の措置として創設されたものであると聞いています。本来、こうした地域間の財政力格差は地方交付税制度において調整が図られるべきものであります。暫定措置は受益と負担という地方税の原則に反していることはもとより、東京をねらい撃ちした課税自主権をも侵害するものであり、直ちに撤廃されるべきものであると思います。
そこで、平成二十一年度に都から国に持っていかれた地方法人特別税は各都道府県にどのように再配分されたか伺います。
○田倉税制部長 地方法人特別譲与税は、各都道府県の人口及び従業者数を基準といたしまして譲与されるものでございます。平成二十一年度決算における各都道府県への具体的な配分額につきましては明らかになっていないものの、平成二十二年度の地方財政計画におきましては、実質的に減収となる東京、愛知、大阪等を除く道府県の平均で約五十六億円、財政規模の小さい県では約二十五億円と聞いております。
○三宅委員 ただいまの暫定措置による配分額では都道府県間の財政力格差を是正される規模にはないと考えます。
そこで、次に国が地方税の原則を無視し、都を初めとする大都市の反対を押し切ってまで強行した暫定措置によって、都道府県間の財政力格差が解消されていないと考えるが、その点どのように思われますか、伺います。
○田倉税制部長 暫定措置の創設に当たりまして、地域間の税収に格差がある、中でも法人事業税の税収に格差があるということが論拠とされたところでございます。
そこで、平成二十年度の人口一人当たりの法人事業税収額が最少であった奈良県を例として見た場合、暫定措置が平年度化いたしました平成二十二年度の当初予算ベースでは、一人当たり一般財源は十七万四千八百四十一円で、その内訳に占める地方法人特別譲与税は八千六百七十一円でございまして、わずか五%が上積みされたにすぎないものとなっております。
このことからも明らかなように、効果の点から見ても暫定措置によって都道府県間の財政力格差が是正されるという主張は全くの誤りであるというふうに考えております。
○三宅委員 ただいまの答弁から暫定措置による格差是正はわずかであって、東京を初めとする大都市の財源がまさにねらい撃ちにされていることが明らかになりました。
そもそも地域での事業活動への行政サービスの対価として負担すべき法人事業税を法人が存在しない道府県へ再配分するという措置は、地方分権改革の流れに逆行する何物でもありません。都議会自民党は、このような不合理な暫定措置に首尾一貫反対の姿勢を貫いてきました。現在の地方の困窮は国が三位一体の改革の名のもと、地方交付税を削減した結果であり、大都市の財源を当てにした小手先の手法です。地方では、何ら問題の解決にはなりません。地方の財源不足は国がみずからの責任で解決すべき問題であります。
こうした観点から、最後に法人事業税の不合理な暫定措置の撤廃に向けた局長の決意を伺います。
○荒川主税局長 法人事業税の暫定措置に係る問題については、ただいま先生からいろいろご指摘があったことに尽きるわけでありますけれども、私から改めて、私の立場からご答弁申し上げたいと思います。
法人事業税は、国税の法人税とは違いまして地方自治体がみずからの地域に必要な行政サービスを賄うために受益と負担の原則に基づいて法人に課税、徴収する地方税でございまして、にもかかわらず、現在行われている法人事業税の一部国税化の暫定措置というのは、国会の法律によって決められたとはいえ、そうした地方自治の本旨そのものを否定しかねないものでございまして、また、国のあり方として、国がみずからなすべき地方自治体間の財源調整機能を東京を初めとする一部の地方自治体が肩がわりすると。まさにびほう策、取り繕いの策であるというふうに思います。
ましてや最近は、法人課税の実効税率引き下げの動きが追い打ちのようにございまして、今後の都税収入に対する影響が大きく懸念されているところでございます。このような暫定措置は即時撤廃されるべきでありまして、都はこれまで都議会と連携して、国に対して提案要求するとともに、全国知事会議などの場においても呼びかけを行い、特に神奈川、愛知、大阪とは四都府県による共同声明を出して国に強く要望してまいりました。
今後はさらに行動を強化しまして、都議会並びに都選出の国会議員の皆様と一層連結を密にしながら、さまざまなチャンネルを使いまして、国や全国自治体に働きかけを行い、一部国税化の即時撤廃と地方分権にふさわしい真の地方税財政制度の実現に向けて全力を挙げてまいります。
○三宅委員 ただいま局長から大変力強い答弁をいただきましたが、民主党政権は地域主権を政策の一丁目一番地に掲げたといいながら、平成二十二年度税制改正では、法人事業税の暫定措置について議論の俎上にすら上がらなかったと聞きます。そればかりか地方の意見を聞かず、法人課税実効税率引き下げなどの議論を先行させようとしており、地方主権の確立に不可欠な地方税財源の拡充という本質論が置き去りにされています。
国は責任を持って地方税を含めた税制の抜本的改革の全体像を示し、地方分権にふさわしい税体系を実現すべきであり、我が党はその実現のために全力を挙げることを申し上げて質問を終わります。
○たぞえ委員 それでは、主税局二十一年度決算について質問いたします。
二十一年度の都税歳入決算書によりますと、都民税のうち、個人都民税との調定額は八千百九十二億五千七百七十万円に対して、徴収額は七千九百十九億三千九百四十五万円、収入未済額は二百七十二億九百三十五万円となっており、滞納件数は三百二十九万件であります。きょう決算委員会に提出いただいた要求資料でも、二十一年度の都税全体の滞納額は千二百四十八億八千万円と、このように指摘がされています。また、この資料によりますと、平成十七年度以降、平成十九年度まで滞納額と滞納件数は減少傾向にありましたが、平成二十年度以降は増加に転じていると、このように資料では明記がされています。平成二十年度と二十一年度の滞納額、滞納件数の状況をまずお示しいただきたいと思います。
○宗田徴収部長 平成二十年度、二十一年度の滞納額、滞納件数でございますが、まず滞納額についてでございますが、平成二十年度の滞納額は約一千四百二億円でございまして、前年度に対して約二百三十三億円の増、二十一年度は約千二百四十八億円、前年度に対し、約百五十四億円の減となっております。
次に、滞納件数でございますが、平成二十年度は約百二十六万八千件、前年度に比べて約一万七千件の減、平成二十一年度は約百三十万四千件、前年度に比べて約三万六千件の増となっております。
○たぞえ委員 今部長からお話があった滞納というのは、本当に増加しているというのは深刻だというふうに思うんですね。納税義務者が納税ができないと。これは払う体力が小さくなっているということだと思います。この都財政をめぐる状況、厳しさが増していますけれども、これは税の徴収をつかさどる主税局の皆さんにとっても共通の認識だというふうに思います。しかし、これは自然災害ではありませんで、社会的な要因が働いていると。この現象があるということは、近年の状況でも明らかです。
東京都では、この滞納額が増加に転じている背景はどこにあるというふうに分析して考えておられるでしょうか。
○宗田徴収部長 平成二十年度に滞納額が大幅に増加してございますが、これは平成二十年秋の金融危機、いわゆるリーマンショックに端を発した世界的な景気後退により、企業収益が急速に悪化いたしました。このため、法人の大型滞納案件が数多く発生し、法人二税の滞納額が大幅に増加したことが主な要因であると考えております。
また、平成二十一年度に滞納件数が増加してございますが、その理由につきましては、固定資産税の滞納発生件数が増加していること、前年度からの滞納繰越件数が増加していることが主な要因であると考えております。
○たぞえ委員 今の答弁、私も局や部長さんの認識と一緒です。平成二十年には、アメリカの大手都市銀行の破綻を契機にして、世界の金融危機の影響を受けたこの日本の景気が一気に落ち込んだと。そして企業収益や設備投資の減少が過去最大になり、それに伴って雇用や所得の環境が急速に冷え込んで、これが今度はこの個人消費の低迷に一歩進んでいくと。まさに、自然現象ではなく社会的要因がこの背景にあるということは明らかなわけです。
この間、いろいろ雇用の問題や失業の問題などがクローズアップされていますが、全国で働く労働者の三人に一人、若者や女性は二人に一人がいわゆる非正規労働雇用で、その方々の年収は二百万円以下という、現代版のいわゆる貧困層が全国に拡大をしています。この日本経済の最大の問題というのは、十二年間にわたって国民の賃金が下がり続けているということだと思います。
先日、都の人事委員会が勧告を出しましたが、私、それの中を見て、あっ、こんなに公務員の皆さんの給料は小っちゃくなったのかな、民間とほぼ変わらない状況に、その額を並べていますけれども、民間の給与といえば、九七年の平均四百六十七万円が〇九年では四百六万、六十一万も減少、これがデフレをつくり、円高という困難をつくっていると思います。つまり、雇用不安が高まり失業者がふえ、賃金が下がった結果、個人消費が落ち込む。したがって、納税義務者がその体力を失ってきているというふうに思います。
昨年十一月に、都の生活文化スポーツ局の都民生活に関する世論調査が行われ発表されました。暮らし向きの変化について、苦しくなったが平成十二年では二八・五%が、今回の調査では四六・八%に増加をしています。苦しくなった理由として、営業不振や、給料や収益がふえない。これが二十年度三六・九%から五八・二%へとトップです。そして、このアンケートでは、さらに、これから暮らしはどうなりますかっていう質問に対して、苦しくなると答えた方が、平成十二年度調査は二六・九%に対して今回五〇%、二人に一人が将来暗いと、こういうふうにいっているわけです。そのために、二十一年度決算書に出てまいりますが、固定資産税や自動車税の滞納が増加して払いたくても払えない事態になっている。このような状況をどう主税局として対処していくのか、見解を伺います。
○宗田徴収部長 税務行政を進める上で都民の信頼と理解の確保は最も重要でございます。そのためには、適正公平な賦課徴収を確実に行っていくとともに、個々の納税者に応じたきめ細やかな対応を行うことが基本であると考えております。
滞納整理に当たっては、これまでも財産調査等により滞納者の状況をよく把握した上で、納税資力があるにもかかわらず納税に誠意の見られない滞納者に対しては、法の規定に基づき、毅然とした対応を行ってまいりました。
一方、企業業績の悪化や失業などの理由により納税資力がないと判断される場合には、徴収猶予や滞納処分の執行停止などの徴収緩和措置を適用してきたところでございます。今後とも適切に対応してまいります。
○たぞえ委員 ぜひ個々の納税者に応じたきめ細かな対応を基本に行っていただきたいと思います。私、多分答弁で処分だとか来るかなと思ったんですが、そんなことが中心になりますと、納税する方々は本当に納税の意欲をなくすというふうに思います。ぜひきめ細かな対応をしていただきたいと思うんです。
私は、その中でも高齢者の置かれている実態は、大変今深刻だと思っています。実は、私の家の近くに、今度URが分譲募集をしたんですね。私も間借りの住宅に住んでいますので見に行きましたら、高齢者という枠があるんで、何歳から高齢者だといったら六十から高齢だというんです。私も六十なんで高齢者ということになっちゃうんですけれども、しかし、それ以上の年齢の方にとってみても、今大変だと思うんですよ。
実は二十一年十月から公的年金の個人住民税の特別徴収が始まりました。どのような制度になったのか、紹介をいただきたいと思います。
○木村課税部長 公的年金等からの特別徴収制度の内容についてでございますが、公的年金を受給されている方で個人住民税を納税する義務のある方は、制度導入前は年四回、金融機関等に出向き、個人住民税を納付していただいていたところでございますが、平成二十一年十月から特別徴収制度の導入によりまして、年金を支給する年金保険者が年六回の年金支給時に個人住民税を公的年金から引き落とし、区市町村へ直接納入することとなったというものでございます。
○たぞえ委員 今ご説明のように、年金を支給する年金保険者が年六回の年金支給時に個人住民税を公的年金から引き落とすというものです。六十五歳以上の都民で公的年金等の収入金額が三百三十万円以下の場合、最低控除額は百二十万円ですから、その残りに対して課税されるということになるわけです。そして、さらに納める額は都民税で四%、区市町税で六%、合わせて一〇%。さらに、均等割額による都民税額が千円、区市町村税額が三千円、加算されます。この制度の対象になり、公的年金等から個人住民税を引き落とされた人数はどのような推移になっているんでしょうか。
○木村課税部長 公的年金等から個人住民税を引き落とされた方の人数ということでございますが、平成二十一年度の市町村税課税状況等の調等に従いますと、年金特別徴収に係る納税義務者数は東京都で約五十三万七千人でございます。
○たぞえ委員 約四年前の三月に、石原知事が個人都民税の軽減を記者会見で発表され、そして直ちにそれを撤回するという出来事がありました。このときに、減税措置を受ける都民は約六十万人というふうに知事はいわれたわけですが、おおよそこの五十三万七千人、これが公的年金から引かれた方々の推移だと思います。高齢者はこれとは別に、所得税は、百九十五万円から三百二十九万九千円までの所得者については控除額九万七千五百円を引いて、これに税率一律一〇%がかかってきます。ですから、住民税も国税も高齢者にとってみれば所得が低い中から納税しなきゃいけない。まさに、衣食住もかなり切り詰めて納税をしなきゃいけないというふうに立たされていると思います。国民年金の支給額というのは、私たちが若いころには食べていけると思ったんですが、今もう五万円程度ですから、もう家賃の半分も納められないという状況です。
こうしたもとで、東京都の税制調査会は〇九年十一月に中間報告を発表しましたが、報告は地方消費税引き上げを誘導するという問題を持ちつつ、大企業に応分の負担を求めること、税の所得再配分を盛り込むという内容でした。今、国会の様子を見ていますと、税金の逆進性がある消費税増税を推進する議論が盛んに行われています。十月七日の参議院本会議では民主党、自民党双方から、代表質問では大合唱で、自民党は、総理、消費税はどうされるのかと民主党首相に推進を迫りました。一方の民主党は、消費税にどのような見取り図をお持ちですかと。二〇一一年税制改正で一定の方向を打ち出すんですか、与野党協議をスタートさせるめどはついているのかと、このように自分の党の首相に畳みかけています。これに自民党議員から拍手が沸いて、いい質問だとやじが飛んだほどだと報道がされたわけです。
この背景には、消費税増税の方針を明記した自民党の財政健全化責任法案、これと消費税引き上げに道筋をつけるといわれている二〇一一年税制改正に向けた政府税制調査会の二つ、これが目の前にぶら下がっているわけです。東京都は、この動きに敏感に反応して、地方消費税とともに消費税の税率引き上げは不可欠である、一体的に議論は始めるべきだと、こういう旗振りも行っています。地方消費税は都税収入の頼みの綱だと、つい最近財務局はこういう見解も発表しました。
私は、貧困や所得格差が大きな問題になっているときに、増税議論は消費を冷え込ませ、経済の低迷を招くものであるということを改めてここで述べておきたいと思います。
そこで、政府が消費税の大増税の道を選択したとき、自治体として低所得者を守るべき対策や配慮はどうしても必要だと思いますが、都税調はどのような考えを持っていらっしゃるのか伺います。
○山内税制調査担当部長 平成二十一年度の東京都税制調査会の中間報告では、所得格差について、国民の所得格差が問題となっている、所得再分配ジニ係数、相対的貧困率等の統計で見ても所得格差は拡大しているとしています。その上で、貧困や格差は、社会保障、教育、就労支援など歳出により対応すべき問題であるとしつつも、税制面においても所得再分配機能を強化し、人々の負担の公平感を高めていくことが必要であるとしています。
○たぞえ委員 低所得者への配慮として、食料品などの生活必需品に対する軽減税率は一定の政策効果が期待できるということを今答弁で述べられましたが、今まさに社会情勢は、消費税増税に頼るのではなくて、食料品非課税など消費者の負担を軽減することを要求しているというふうに思います。
私、先日、まちで都民の声を聞いてきました。七十八歳の男性ですが、年金が月十万円ちょっとで妻と二人暮らしだと。自分は痛風と耳の病気で医療費がかさみ、ぎりぎりの生活をしている、これで税金が上がったらとても生活ができないと語っていたことは大変印象深いものでした。
都税調は二十三年中にも最終答申を出す予定だというふうに聞いていますが、国の税制改正も二十四年度に向けての方向で議論が始まっています。どちらも魂は増税の方向で一体に進んでいるということをいわざるを得ません。今、多くの都民の皆さんから、私の地元の世田谷区の住民の皆さんからもよく聞く言葉なんですが、まず働きたい人が働ける、保育園に預けたい人が預けられる、ケアを受けたい人が特養ホームに入れる、高校で学びたい人が学び続けられる、病気の人が病院に行ける、若者が将来に希望が持てる、聞いていて当たり前のことなんですが、このことが非常に切迫感を持って都民から語られてくるわけです。
都営住宅、何度申し込んでも入れない。高校に入ったんだけれども、授業料はゼロになったが、しかし、家計を助けるためにアルバイトして勉強する時間がないとか、特養ホーム、私の世田谷では待っている方は三千人です。私もそのうちにその一角に入るかもしれませんが、こういう声がどこでも共通してあるんだと思います。だからこそ、東京都は本来自治体のあるべき役割というのは、こういう人々をいかに救済し、この人々によい暮らしを、決して高いレベルということじゃなくて、当たり前の暮らしを提供するために、とりわけ低所得者や高齢者がこうやって希望を持って生きていける、そういう行政のシステムをつくることだというふうに思います。
政府が掲げる増税、それに相乗りして地方消費税の引き上げ、こういうスタンスでは、とても都民の暮らしは希望が見えてこないと思います。こういう点でも困難を抱える都民の暮らしを向上させる、こういう立場に立った行政を進めていただきたいということをお願いして終わります。
○中村委員 まず、最初の質問として都税収入について伺います。
一昨年、平成二十年八月のリーマンショック以降、景気状況が悪化をし、平成二十年度の決算は、当初予算で五兆五千九十七億円が最終決算では五兆二千八百一億円となりました。この年度は途中から景気が悪化したのでこの程度でしたが、昨年平成二十一年度は引き続き厳しい景気状況が通年で続いたこともあり、税収にも大きな影響を与えました。そのため、当初予算でも四兆七千五百七十七億円と大幅な減収でしたが、さらに三月に議決された最終補正では四兆二千五百三十二億円にまで下方修正されました。決算では最終的に四兆二千八百六十七億円と若干最終予算を上回ったものの、厳しい状況に変わりはありません。
そこで、まず、平成二十一年度の厳しい景気の状況が都税収入にどのような影響を与えたのか伺います。またあわせて、今後の税収の動向についても伺います。
○田倉税制部長 平成二十一年度の都税収入につきましては、企業収益の悪化及び地方法人特別税導入の影響により、法人二税が大幅に落ち込んだことなどから、前年度決算額に対しまして、過去最大の約一兆円の減収となりました。また、その他の税目につきましても、厳しい雇用情勢や景気後退に伴う所得の減少等の影響を受けまして、総じて減収となっておるところでございます。
次に、今後の税収の動向についてでございますが、平成二十二年度の都税収入につきましては、税収に占める割合の高い十一月の法人二税の中間申告の状況を見きわめる必要がございまして、現時点では確たることを申し上げることが可能な状況にはございませんが、しかしながら、急激な景気の下降局面で発生をいたしております多額の繰越欠損金による減収の影響なども踏まえますと、今後税収が大幅に好転することは期待できないものと考えております。
○中村委員 決算の資料によると徴収率が下がっていますが、その理由をお伺いします。また、都税事務所ごとの収納率も公表されていますが、差があるのはなぜでしょうか、伺います。
○田倉税制部長 平成二十一年度の都税の徴収率は、前年度の九七・四%から〇・六ポイント低下し、九六・八%となりました。これは第一には、雇用、所得環境の悪化に代表される厳しい景気の状況を反映したものと考えております。
なお、既に明らかになっている全国の平成二十一年度の道府県税徴収実績によりますと、全国平均の徴収率は、前年度と比較して〇・八ポイント低下をしております。また、都税のうちの道府県税分の徴収率は全国平均を〇・四ポイント上回っている状況でございます。
次に、都税事務所ごとの徴収率の差についてでございますけれども、各税目の特性によりまして徴収率には差が出てまいります。そうした前提で申し上げますと、いわゆる中心区の事務所では法人二税の税収の割合が高く、周辺区の事務所では固定資産税、都市計画税の税収の割合が高い傾向があるなど、都税事務所間で各税目の税収の構成比が異なること、このことが主な理由であるというふうに考えております。
○中村委員 次に、政策減税について伺います。
税については、その大枠を国が決めているため、都独自の税制というものを打ち出しにくくなっています。そうした中で、東京都では震災対策や地球温暖化対策などの重要政策について、事業局と協力して効果的と判断された場合に政策減税が行われています。
そこで、まず、平成二十年九月に導入が発表された耐震化促進税制について、適用を受ける見込み件数とその実績について伺います。
○田倉税制部長 耐震化促進のための減免措置の適用見込みにつきましては、平成十九年三月に都市整備局が策定した東京都耐震改修促進計画に基づきまして、平成二十七年に住宅の耐震化率の目標である九〇%を達成するための計画数をベースに試算をしております。減免見込み件数は、平年度ベースで建てかえが約二万六千件、耐震改修が約二万四千件でございます。減免見込み税額は、建てかえ及び耐震改修の合計で平年度ベースで約六十億円から七十億円程度でございます。実績につきましては、平成二十二年度定期課税時点での建てかえ適用件数が三千九十九件、耐震改修の適用件数が一千二百五十九件、減免税額は建てかえ及び耐震改修の合計で約四億六千万円となっております。
○中村委員 減税措置の適用見込みと比べて実績が低いようです。効果があると考えているのでしょうか、伺います。
○田倉税制部長 主税局といたしましては、東京都のホームページや「広報東京都」による広報活動を初めといたしまして、防災関係事業でのチラシの配布や関係団体の説明など、幅広く周知活動を行っているところでございます。当初の見込みと比べますと実績が低い理由といたしましては、耐震化に取り組むか否か、これは所有者の意思にゆだねられているところもございます。また、建てかえ及び耐震改修に際しまして、多額の費用がかかり、費用面での資金繰りの困難なことなどから、建物所有者の行動に結びつかないのではないかと考えておりますが、この税制は税を減免することによりまして、耐震化促進へのインセンティブとなるとともに、助成事業などとの相乗効果、アナウンスメント効果によって住宅の耐震化率の向上に寄与するものと認識をしておるところでございます。
○中村委員 さて、この耐震化促進税制が導入された際は、対象が二十三区限定であったことから、東京都市長会、町村会から緊急要望書が提出されました。そこでは市町村に影響を与える税制改正措置については、事前に十分な相談と調整を徹底すること等三項目について要望がなされましたが、私も多摩地域選出の議員として全く同感です。
そこで、多摩地域に影響を与える政策税制の創設については、事前に十分な相談を行うべきではないかと思いますが、見解を伺います。
○田倉税制部長 固定資産税及び都市計画税は市町村税でございますので、東京都は市町村に対する課税権を有しておらず、こうした制度的な限界がありますことから、耐震化促進税制は必然的に二十三区に限定したものとなったわけでございます。政策税制の創設につきましては、各市町村の課税自主権にゆだねざるを得ないというふうに考えております。
○中村委員 東京都では、組織を横断した地球温暖化対策が講じられて、主税局においても独自の環境税制を実施しています。このうち中小企業者が対象とされている省エネ促進税制が昨年度創設されていると思いますが、実績が低いと聞いています。そこで、その実績と減免申請が伸びない理由、制度導入の効果について伺います。
○田倉税制部長 法人事業税及び個人事業税の中小企業者向け省エネ促進税制は、一定の事業所におきまして特定の省エネルギー設備等を取得した場合に、その取得価格の半額につきまして一千万円を上限に、法人及び個人の事業税額の二分の一まで減免するものでございます。
法人事業税につきましては、平成二十二年の五月末から減免申請が始まっておりまして、平成二十一年度決算においては影響額はございませんが、二十二年九月末時点では二十三件の申請がございまして、減免申請額は約一千四百六十万円となっております。当初想定いたしました件数をかなり下回っておりますが、これは制度創設から間がないこと及びリーマンショック以降の景気低迷により、中小企業者が省エネルギー設備更新の余力が乏しくなっていることなどが理由として考えられております。また、効果といたしまして、本制度の実施が企業の自主的な省エネ努力へのインセンティブとなり、低炭素型都市の実現、地球温暖化対策の推進に寄与するものと考えております。
なお、個人事業税につきましては、平成二十三年八月の定期課税分から減免申請の受け付けを開始いたします。
○中村委員 ご答弁ありがとうございました。政策の目標達成そのものは、税の減免だけではなく、むしろ事業局による他の施策を含めた事業全体の取り組みによるところが大きいとはいえます。とはいえ、実施に踏み切った税制ですから、効果が上がるよう主税局としてもさらなる広報活動をお願いします。
なお、政策減税については、税の公平性から大変その導入は難しいものがありますが、今後も重要政策の実現のために、調査研究を行っていただきたいと思います。
以上で質問を終わります。
○興津委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
本件に対する質疑はこれをもって終了したいと存じますが、これにご異議ございませんでしょうか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○興津委員長 異議なしと認め、本件に対する質疑は終了いたしました。
以上で主税局関係を終わります。
これをもちまして本日の分科会を閉会いたします。
午後二時七分散会
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