平成二十一年度各会計決算特別委員会第二分科会速記録第四号

平成二十二年十月二十五日(月曜日)
第十委員会室
   午後一時開議
 出席委員 十名
委員長菅  東一君
副委員長上野 和彦君
副委員長小沢 昌也君
野田かずさ君
栗林のり子君
柳ヶ瀬裕文君
大島よしえ君
山田 忠昭君
伊藤まさき君
門脇ふみよし君

 欠席委員 なし

 出席説明員
生活文化局局長並木 一夫君
総務部長遠藤 雅彦君
広報広聴部長櫻井 和博君
都民生活部長飯塚美紀子君
消費生活部長小笠原広樹君
私学部長石井  玲君
文化振興部長桃原慎一郎君
都政情報担当部長高橋  博君
男女平等参画担当部長萩原まき子君
文化施設改革担当部長藤井 秀之君

本日の会議に付した事件
平成二十一年度東京都各会計歳入歳出決算の認定について
生活文化局関係
・平成二十一年度東京都一般会計決算(質疑)

○菅委員長 ただいまから平成二十一年度各会計決算特別委員会第二分科会を開会いたします。
 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、生活文化局関係の決算に対する質疑を行います。
 これより生活文化局関係に入ります。
 決算の審査を行います。
 平成二十一年度東京都一般会計決算中、生活文化局所管分を議題といたします。
 本件につきましては既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○遠藤総務部長 去る十月八日の当分科会におきまして要求のありました資料につきまして、ご説明を申し上げます。
 お手元に配布の平成二十一年度各会計決算特別委員会第二分科会要求資料をごらんいただきたいと思います。
 表紙をおめくり願います。目次に記載のとおり、十件の資料がございます。
 それでは、一ページをお開き願います。1、東京ウィメンズプラザ相談件数の推移でございます。
 平成十七年度から平成二十一年度までの過去五年間において、東京ウィメンズプラザに寄せられた相談件数につきまして、配偶者暴力相談とその他の相談の区分ごとに記載してございます。また、男性のための悩み相談に寄せられました相談件数につきまして、合計欄の括弧内に内数として記載をさせていただいております。
 引き続きまして、二ページをお開き願います。2、消費生活相談員数・相談件数の推移及び相談の特徴でございます。
 平成十七年度から平成二十一年度までの過去五年間について、東京都消費生活総合センター及び各区市町村の消費生活相談員数及び相談件数の推移、並びに各年度における相談内容の特徴につきまして、それぞれ記載をしております。
 三ページをお開き願います。都立文化施設等に係る予算及び決算の推移でございます。
 表の左側に記載している施設ごとに、平成十八年度から平成二十一年度までの予算現額及び決算額、並びに平成二十二年度の当初予算額を記載してあります。
 四ページをお開き願います。4、都立文化施設等の職種別職員数の推移でございます。
 表の左側に記載している施設ごとに、平成十八年度から平成二十二年度までのそれぞれ四月一日時点における常勤職員数について、雇用形態別及び職種別に区分して記載しております。
 五ページをお開き願います。5、文化振興施策に係る予算及び決算の推移でございます。
 表の左側に記載の区分ごとに、平成十八年度から平成二十一年度までの予算現額及び決算額、並びに平成二十二年度の当初予算額を記載しております。なお、備考欄には、当該事業区分に係る主な事業をそれぞれ記載しております。
 六ページをお開き願います。都民芸術フェスティバル等の予算及び決算の推移でございます。
 表の左側に記載している事業ごとに、平成十八年度から平成二十一年度までの予算現額及び決算額、並びに平成二十二年度の当初予算額を記載しております。
 七ページをお開き願います。私立学校の耐震化の状況でございます。
 平成二十二年四月一日現在の都内私立学校の耐震化の状況について、表の左側に区分した学種ごとに、全棟数と耐震性のある棟数、その割合である耐震化率を記載してあります。
 八ページをお開き願います。8、私立学校経常費補助決算の推移でございます。
 平成十七年度から平成二十一年度までの過去五年間について、経常費補助の決算の推移を表の左側の区分ごとに記載してございます。
 九ページをお開き願います。9、東京都育英資金一般貸付の規模の推移でございます。
 平成十七年度から平成二十一年度までの過去五年間について、(1)に貸付の計画額及び実績額の推移を、(2)に、表の左側の区分ごとに貸付人員数の推移をそれぞれ記載しております。
 なお、平成十七年度以降は、新規の貸付事務を財団法人東京都私学財団に移管しておりますが、表中の括弧内の数値は、移管前に都が貸し付けを開始し、修業年限まで都が直接貸し付けを行っていたものを内数で記載したものでございます。
 一〇ページをお開き願います。10、私立学校経常費補助における授業料減免補助実績の推移でございます。
 都は、家計状況の急変などの理由により、私立学校が生徒の授業料を減免した場合には、私立学校経常費補助の中で、学校に対して減免額の一部を補助しております。この補助の実績について、表の左側に記載の学種ごとに、平成十七年度から平成二十一年度までの過去五年間における補助校数及び補助額の推移を記載しております。
 以上、簡単ではございますが、要求のありました資料の説明を終わらせていただきます。よろしくお願い申し上げます。

○菅委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めまして、これより本件に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○柳ヶ瀬委員 それでは、私の方から幾つか質問させていただきたいと思いますけれども、今回は、東京都の美術館やホールの運営管理のあり方について、質問をしてまいりたいと思います。
 この間、松井課長には、一緒に施設の方に視察にご同行いただきまして、本当にありがとうございました。また、この土日にも江戸東京博物館等々見てまいりました。
 あの江戸東京博物館というのはすごい建物ですね。私、行ってびっくりしたんですけれども。あれだけの吹き抜けがある建物というのは、なかなかぜいたくなつくりだなということで、私、初めて行ったんですけれども、これは昔建てられた建物ということで、今であれば、これは相当な批判を受けたりするような建物になっているのかなということもちらっと感じたということで、感想として述べさせていただきたいと思いますが、東京都が所管している、生活文化局が所管している文化施設が、現状八施設あるということを確認しております。この八施設について、その運営体制がどのようになっているのか。また、その体制をとるようになった経緯について、まずお聞かせいただきたいと思います。

○藤井文化施設改革担当部長 生活文化局所管の八つの文化施設のうち、条例により設置されている六施設につきましては、平成二十一年度から八年間の指定管理者を選定したところでございます。
 そのうち、江戸東京博物館、写真美術館、現代美術館、東京文化会館、この四施設につきましては、東京都歴史文化財団と民間企業の共同事業体が公募により選定されたところでございます。東京都美術館と東京芸術劇場の二施設につきましては、指定管理期間中に大規模改修があるため、非公募により同財団が引き続き単独で管理運営を行っているところでございます。
 このほかの生活文化局が所管する文化施設といたしましては、東京都庭園美術館とトーキョーワンダーサイトがございますが、同財団が都の補助を受け、管理運営を行っているところでございます。

○柳ヶ瀬委員 今のご説明のとおり、この八つの施設はともにこの公益財団法人東京都歴史文化財団の方で運営をしているということだと思います。
 これ単純に、この八つの施設すべてがこの財団が運営しているということについて、公募の結果ということもあるのでしょうけれども、すべて歴文財団が運営しているということで、私、ちょっと疑問を幾つか感じました。その上での質問をさせていただきたいというふうに思います。
 そこで、まず指定管理の目的は幾つかあると思いますけれども、この歴文財団が指定管理を受けたことによってどのような効果があったのか。コストの効率化とか、そういった部分でどのようなメリットがあったのかということについてお答えいただければと思います。

○藤井文化施設改革担当部長 文化施設におきまして、質の高い展覧会や公演などを実現するために、収蔵品の管理、専門的調査研究、また舞台設備の高度な運用の確保を行うなど、基本的な機能を確保することが、管理運営を行う上で前提となっております。その上で、限られた財源で最大限の効果を上げるということが求められているところでございます。
 歴史文化財団におきましては、指定管理制度の特性を生かしまして、複数年契約などの柔軟な契約制度や、弾力的な人事制度による適時適切な専門人材の確保などによりまして、効率化を図っているところでございます。

○柳ヶ瀬委員 ありがとうございます。
 幾つかの効果があるということなんですけれども、私はその中でコスト削減というものが、この歴文財団が指定管理になることによってどこまで進んできたのかという点に着目をして、文化施設の清掃委託事業について調べてまいりました。
 これは調べてみると、それぞれの美術館、文化会館、芸術劇場で、清掃事業の委託先というのはそれぞれ異なっているんですね。例えば、写真美術館であれば日本シティビルサービス、現代美術館であれば株式会社協栄、東京都美術館であれば株式会社サンアメニティということで、それぞれの美術館で清掃の委託先が違っているという現状があります。
 私はこれを見てどうなのかなというふうに思ったんですけれども、普通であれば、ベストパートナーである清掃会社を、歴史文化財団が全部委託をしているわけですから、ベストパートナーとなる信頼のある清掃委託企業というのを選定して、そこに可能な限り任せていくと。でもパワーとして不足してしまうということであれば、ほかの企業も考えるというようなことがあると思うんですけれども、このように全館違う業者に委託しているという現状は、どうしてこのようになったのか。いかがでしょうか。

○藤井文化施設改革担当部長 清掃業務委託につきましては、美術館や博物館とホールなど、館の特性によりまして委託の内容がそれぞれ異なっております。そういった理由から、歴史文化財団では全館一括契約という方式をとらずに、個々の館ごとにその特性に応じた契約をするという形態をとっております。
 また、各館、清掃業務のみではなく、警備業務ですとか監視業務、受付業務も含めまして日常の業務も一括してやるということが館の運営に適しているというふうに考えまして、このような方式をとっているところでございます。

○柳ヶ瀬委員 そこで、違った委託先をそれぞれ、メリットがあるから、館ごとに選んでいるということなんですけれども、この委託の費用に注目をしてみると、例えば、現代美術館では清掃委託費が約三千六百万、東京都美術館は六千七百万なんですね。延べ床面積であるとか、構造的にはほとんど変わらない。約三万平米超ですか、という同じぐらいの規模の建物で、清掃委託費が約二倍ぐらい、三千万という違いですけれども、約二倍ぐらい違っている。単価にしてみると、平米単価が現代美術館の場合は千七十四円、東京都美術館の場合は二千百十一円ということで、約二倍になっているということがございました。この点についてはどのようにとらえていらっしゃるか。

○藤井文化施設改革担当部長 現代美術館と東京都美術館は、お話のとおり、建築上の延べ床面積には差がございませんが、重点的に清掃を行わなければならない展示室の面積や開館日数、それから来館者数などの相違によりまして、清掃頻度などの委託内容が異なっておりまして、延べ床面積で割った平米単価に直しますと差が生じるものでございます。

○柳ヶ瀬委員 ちょっとどうなのかなというご答弁ですけれども、人数によって異なるということは、私は余りないのかなというふうに思っています。つまり、委託内容の違いであったりとか、単価の違いというものが二倍ということになってあらわれていると思うんですね。
 これは歴史文化財団が、同じくこの二つのところに委託をしているわけです。歴史文化財団が委託をしているんです。つまり、コストがこれだけ違うということは、歴史文化財団はわかってるはずなんですね。ですから、当然低く清掃委託ができるところに合わせて、ほかのところも委託を変えてみたりとか、そういったことも可能性としてはあると思うんですけれども、これからこういった、単価がそれぞれ各館違うんですけれども、一緒に発注をする、各館一緒に発注する、まとめて発注するといったようなスケールメリットを生かした展開というのはいかがお考えなのか。その点について。

○藤井文化施設改革担当部長 先ほどの委員のご質問に、私の説明がちょっと不足したかと思いますので、つけ加えさせていただきますと、清掃を行わなければならない展示室の面積という部分でございますが、例えば東京都美術館の毎日清掃する面積というところが、現代美術館と比べますと倍以上の面積があると。これは主にエントランスホールに大きな差があるかと思いますが、東京都美術館の場合は多くの来場者もございます関係ですとか、それから公募団体が頻繁に展示を変えているというようなところもございまして、毎日清掃にしているといったところで、面積が多いというあたりが一つの要素として考えられております。
 そういった観点からも、館の特性というところで、スケールメリットというご指摘もございましたが、現状では各館ごとの特性に応じた契約ができるようにということで、今の契約形態ということを続けていくというふうに、財団の方では考えているというふうに聞いております。

○柳ヶ瀬委員 これは、せっかくすべての館を歴史文化財団が指定管理としてやっているわけですから、よく業者の選定については考えていただきたいというふうに思うんですね。
 それで、今、現代美術館と東京都美術館だけの話をしたんですけれども、ほかの美術館にも顕著な差が見られるんです、委託費においては。今のは倍程度というところを取り上げましたけれども、ほかの美術館、また芸術劇場系のホールに関しても、内容が異なる、展示室の広さが違うというのが、さっき主な根拠だということをおっしゃいましたけれども、全然違っているわけですね。細かい見積もりの方もいただきましたけれども、その委託する内容も全然違っているわけですよ。
 私は同じ歴史文化財団というところが指定管理として受けながら、それぞれの館がかなり単独的な行動をしているんではないかと。横の連携というものが非常になされてないんではないかということが問題なのかなというふうに感じました。その点についてはいかがでしょう。

○藤井文化施設改革担当部長 財団法人東京都歴史文化財団におきましては、契約事務に関するさまざまな諸規定がございます。その諸規定を各館ごとに遵守しながら契約をしているということで、内容的なそういった経費の節約等についての意識というものは、財団が事務局の方で徹底されているというふうに考えております。

○柳ヶ瀬委員 お答えいただきましてありがとうございます。
 これは今、清掃委託ということだけを私は取り上げて調べてみたんですけれども、ほかの、例えばチケットを売ったりするチケットサービスに関しても、館によって全然違っているわけですね、運営が。それで、この企業が内容、また金額の面でベストであるというのであれば、そこを使っていくというのはある意味当然のことであって、そのことをしっかりと、これは歴史文化財団が全館管理しているということですから、展開をしていただきたい、検証していただきたいというふうに思います。
 それから、指定管理の目的ということで幾つかあるということですが、民間のノウハウを活用していくということが大事であろうと思います。そこで、各館ごとに、各展示館によって目標人数、来場目標者数というものを設定していると思いますが、その目標人数をどのように設定しているのかということ、また、その目標人数を達成するために、どのようなマーケティング戦略をつくっているのかということについて、お聞かせいただければと思います。

○藤井文化施設改革担当部長 展覧会ごとの目標人員の設定でございますが、各館の特性により異なりますけれども、展覧会のテーマやジャンルなどが類似する過去の展覧会の実勢や、取り上げる作家や作品の注目などを総合的に勘案した上で設定しているところでございます。
 また、どのような戦略を立てているかという問いでございますが、メディア媒体を利用しました広報戦略の実施、ターゲットとなる客層が愛読する専門誌などへの広告掲載、観光客や修学旅行の誘致を図るための旅行業界や学校への働きかけなど、館の特性や展覧会の性質に応じまして、それぞれ最適な取り組みを行っているところでございます。

○柳ヶ瀬委員 それが余り感じられないんですね。
 その一つとして、各館では無料招待券というものを配布しています。この江戸東京博物館の特別展の無料招待券の枚数というものを確認してまいりました。それによれば、昨年度、手塚治虫展だと三万六千枚、写楽四万一千枚、よみがえる浮世絵四万枚、生け花三万五千枚、龍馬伝は三万五千枚ということになっているんですね。
 まず、私が見て非常に驚いたのは、これだけの無料招待券が、これは印刷枚数ということなんですけれども、ただこれによって入場者数が二万人を超えているところもありますから、かなりの部分が配布されているんだろうということが想像できるんですけれども、これだけの無料招待券を配布していることが、このマーケティング戦略上どうなんだろうというのをまず思いました。例えば生け花では、無料招待券が三万五千枚で、全入場者数が三万五千人なんですね。この無料招待券の枚数の妥当性についてどのように考えているのか。またその無料招待券の配布先、この妥当性がどこまであるのかということ。この点についてお聞かせいただければと思います。

○藤井文化施設改革担当部長 招待券の配布は、広告宣伝効果が上がりますよう、展覧会の内容や想定される客層に応じて、キーパーソンなどに重点的に配布することとしておりまして、これを踏まえまして、適切に枚数を決定しているところでございます。
 今お話がありました、例えば生け花展でございますが、実際に作成した招待券が全部配布されているという状態ではございませんし、また無料招待券による入場者数というのは、三万五千の総入場者のうち一万人ぐらいということでございますので、それによる波及効果というもので、ほかの方々をお誘いいただきながら、こういった生け花にも理解を持っていただくというような趣旨から、効率的に配布されていると、このように考えております。

○柳ヶ瀬委員 時間がないので終わりにしたいんですけれども、今の生け花の話は私はおかしいと思うんですよ。これ全入場者数が三万五千人に対して、無料招待券を三万五千枚配っている。その三分の一程度が無料招待券による入場者数ということになっているんですね。
 波及効果というのは確かにあると思います。波及効果というのはある。そのための無料招待券だということはわかるんですけれども、この数の妥当性が本当にあるのかどうかということなんですね。つまり、三分の一の方がこの無料招待券で入場しているということなんです。無料招待券をもうちょっと、例えば絞ることによって、これは逆にこの入場者数に占める売り上げの割合ですよね。売り上げとなりますけれども、ふえることがあるんではないか。
 この枚数を私は問題にしたいのは、マーケティング戦略がしっかりないんじゃないかということをいいたいんです。目標の人数があって、そのためにはどこまで無料招待券を配って、そのターゲットごとにどれだけ選定された配布先というものを選んでいるのかということ、これをよく考えてやっていただきたい。それが、現状はどの展示会においても三万五千枚程度といった枚数を配布していることから、私は心配に思ったということなんですね。ぜひこの点についても、よく検証するように指導をしていただきたいというふうに思います。
 ただ、民間ノウハウを活用していくという点では、私はこういったPRの側面では、ちょっと歴史文化財団は弱いのかなというふうには感じながらも、例えば企画立案という点に関しては、非常に頑張っているところもあるというふうに思います。
 現代美術館に視察に行ったときに、現代美術館の長谷川さん。皆さんよくご存じだと思いますけれども、長谷川祐子さんという方にご案内いただきました。非常に熱い情熱をもって、いい企画展示をしていくんだという思いを、私、切々と話を受けまして、視察時間が非常に延びてしまったんですけれども、このような優秀な人材を獲得できたというのは、多分民間ノウハウの活用という意味では成功した一部分なのかなというふうに思います。
 この美術館の運営では、多分こういったいい企画をするということと、いいPRをしていくという情報発信、その二つが必要で、ただ、今いい企画をするというのは、こういった人を活用することによって大分できてきている。ただ、そのいい内容をしっかりとお伝えしていくということも必要なんだろうと思いますので、ぜひこの点について検証していただきたいというふうに思います。
 時間がなくなってまいりましたけれども、ことしの九月に総務局が策定した東京都監理団体活用方針の中では、文化施設として、都立文化施設における芸術文化の創造発信拠点化として機能強化をしていくんだと、都の文化施策の具現化をこの歴史文化財団に担わせるんだということが書かれています。これはことしの九月に総務局が出した方針なんですけれども。
 私は二十八年に、今度次の指定管理の公募があると思うんですね。ただ、その一方で、都はこの歴史文化財団に都立文化施設の運営を担わせるんだというようなことをいっている。この二つは矛盾するんではないかと思うんですが、その点についてはいかがでしょうか。

○藤井文化施設改革担当部長 一点だけ、先ほどのご質問のところで、配布枚数と印刷枚数の点だけ、ちょっと私の答弁で伝えられなかった点があると思いまして、一言だけ申し上げますと、印刷部数の方は展覧会ごとに目標数値は高く設定して取り組んでおりますので、その中で一定の数を毎年印刷、展覧会ごとにしているということで、配布枚数とは必ずしも一致してないというところだけはご理解いただければと思います。途中で戦略的に配付をするということです。
 今お話がありました、総務局策定の監理団体活用方針との関係でございますが、総務局が出しました方針の中でも、団体の存在意義という点につきましては、これまで都立文化施設において培ってきた専門性やノウハウを活用した事業展開などといった点、こういった点を重視していくということがございます。歴史文化財団につきましては、これまで高い専門性を有するすぐれた人材を確保してきたりですとか、それから、それを生かしたかなり斬新的な企画展を開くなど、そういったノウハウを生かすという点で、非常に指定管理者としてふさわしい団体の活動をしてきていると、このように考えているところでございます。

○柳ヶ瀬委員 私はそういうことを聞いたわけではなくて、二十八年度には、今の歴史文化財団が指定管理という期間が終わるわけですね。それからどうしていこうというふうに、今すぐにいえるものではありませんけれども、考えているのかということなんです。それは一方では、この総務局の方で、都立文化施設に関してはこの歴史文化財団がやっていくんだというようなことを出しているわけですね、方針として。それは矛盾してませんかということをいっているわけなんですけれども、どうでしょうか。

○藤井文化施設改革担当部長 指定管理制度の問題でございますが、今お話ありましたとおり、総務局が出しております東京都全体の方針につきまして、現在の指定管理者について公募を行ったところでございます。
 一方で昨年、知事の附属機関でございます東京芸術文化評議会におきまして、文化施設の事業を充実させ、安定的かつ発展的に運営していくための指定管理制度の運用方法の見直しというものの提言がなされているところでございます。現在、提言を踏まえた検討を行っているところでございまして、次回の選定につきましては、その結果に基づいて実施したいというふうに考えております。

○柳ヶ瀬委員 もう時間がなくなりましたので、終わりにしたいと思うんですけれども、これから監理団体のあり方についてはよく検討されていくということだと思います。ただ、私がこの歴史文化財団を見て思ったのは、ただ施設の維持管理とか貸し付けをやっているだけでは、東京都、また歴史文化財団がやっている意味はないんですね。いかにこの東京を文化都市として成長させていくかという、情報発信を担えるかどうか、その機能をどこまでつけられるかどうかということが、多分この歴史文化財団の意義そのものにかかわってくるんだろうというふうに思います。ですから、これからもそこの部分にしっかりと注目をして、検証していきたいというふうに思います。
 私たち都議会民主党も、隣におりますこの伊藤まさきさんを中心とした監理団体検証チームを立ち上げて、しっかりとこの監理団体のあり方をこれから考えていこうということをやっておりますので、今後も検証していきたいというふうに思いますので、どうかよろしくお願いしたいということを申し上げて、私の質問を終わります。

○山田委員 それでは質問をさせていただきますが、生活文化局の皆様には、都民生活の向上、発展のために、日々事業展開を積極的に取り組まれておりまして、心から皆様のご尽力に敬意を表するところでもございます。きょうは二十一年度の決算に関係いたしまして、何点か質問させていただきますけれども、よろしくご答弁をいただければと思います。
 まず、私学助成についてお尋ねをいたしたいと思います。
 現在、円高基調の変化が見られない中、自動車などの主要産業が海外に流出するというニュースが連日のように報道されております。そして、今後の国内経済や雇用の改善にますます不透明感が増していることで、多くの若者たちが自分の将来に明るい希望を抱けない。そのような社会経済状況ではないかと思います。今、その報道の中でも、本日為替レートをトヨタは八十円に設定するという、そういうことによって、しかしながら、雇用を守るためにはなるべく海外に生産拠点を出さないよう努力するというような、そんな報道もございましたけれども、今まさに若者が雇用に不安を持っている、そんなときだと思います。
 しかしこういう時代だからこそ、私は、自分の意思で自分の道を切り開いていくことができる、日本の未来を託せる人材を育てることが教育に求められていると思います。その担い手として、私立学校は建学の精神と独自の教育理念のもと、子どもたちの個性に応じた教育を実践してきておりまして、学校教育における欠かすことのできない存在であると私は思っております。日本の私学はこれまでも、今の日本の礎となった人材を数え切れないほど輩出をしておりまして、今後もその重要な役割を担っていくものと考えております。
 そこで、まず東京都における私立学校の位置づけについて、都はどのように認識しているのかをお伺いいたします。

○石井私学部長 東京では、私立学校に通う生徒が高等学校で約六割、義務教育である中学校でも約三割、幼稚園に至っては九割以上となっております。私学の建学の精神に基づく特色ある教育が、多くの保護者や児童生徒から期待と信頼を寄せられている結果であり、私立学校が都の公教育において、大変重要な役割を担っていると考えております。

○山田委員 東京の公教育を担う私立学校がその重要な役割を果たすためには、やはり安定した経営基盤のもとに教育を提供できるようにすることとか、保護者が安心して子どもたちを通学させられるようにすることなどが、私は必要であり、そのためにもしっかりとした支援を行うことが必要であると思います。だからこそ、平成二十一年度の決算においても、千三百八十六億円余という大変大きな額が、私立学校へ助成費として執行されているということでございます。
 そこで、都におきます私学助成の全体像を確認する意味で、私学助成の具体的な内容についてお尋ねいたします。

○石井私学部長 都は、私立学校の教育条件の維持向上、児童生徒等の就学上の経済的負担の軽減などを目的として、私学への助成事業を行っております。
 都における私学助成事業の一つ目の柱は学校助成で、二十一年度決算では千二百四十五億余円でございます。私学助成の基幹的補助である経常費補助に代表される、学校の経常的経費に対する補助のほか、校舎等の耐震化を初めとする安全対策や、省エネ設備等の導入などの施設設備整備に対する補助がございます。
 二つ目の柱は、保護者の経済的負担の軽減、奨学等を目的とした保護者負担軽減に関する助成でございまして、八十五億余円でございます。
 このほか、教育研究費補助など五十四億余円があり、その時々のニーズに即した多岐にわたる私学助成を実施しております。

○山田委員 今、助成内容についてのご説明いただきましたけれども、基幹的補助であります経常費補助を中心に、さまざまなニーズに応じた補助制度を実施していただいておりまして、私学振興の推進を図っているということが改めてわかりました。
 いずれの補助制度も、やっぱりそれぞれ重要なものと考えますが、とりわけ多くの子どもたちが通学する私立学校では、防犯対策や健康衛生対策などの安全対策が最重要課題であると考えます。我が党では、私立学校におきます安全対策を推進すべく、これまでも防犯カメラの設置やAEDの導入、あるいは麻しん緊急対策などへの助成制度の創設、拡充に取り組んできたところでありますが、特に校舎などの耐震化については、子どもたちの生命に直接かかわることでありますので、補助制度の充実を積極的に推し進めてきたところでもあります。
 そこでお伺いいたしますけれども、これまで東京都では、私立学校における耐震化に対し、具体的にどのような取り組みを行ってきたのかお伺いいたします。

○石井私学部長 私立学校における耐震化は、児童生徒等の安全を確保するために非常に重要であり、都はこれまでも補助制度の充実に努めてまいりました。
 平成十五年度から、私立学校における耐震化に対する補助を実施し、当初は学校法人の幼稚園、小学校、中学校、高等学校における耐震補強工事、及び簡易耐震診断に対する補助のみが対象でございましたが、早急に耐震化を進める必要があることから、十九年度に個人立等の幼稚園、専修、各種学校を含む全学種に対象を拡大いたしました。二十一年度には、倒壊の危険性が高い校舎等の耐震化工事に対する補助率を、これまでの三分の二から五分の四まで引き上げ、制度の充実を図ったところでございます。

○山田委員 これまで我が党の主張を受けていただいて、耐震診断あるいは耐震補強工事、さらには耐震化を目的とする建てかえ工事も対象事業とするとともに、補助率も高い水準の制度とするなど、補助制度の充実を図っていることを、我が党は高く評価いたしたいと思います。やはり子どもたちの命を第一に考えれば、一刻でも早い耐震化の実現が必要であると思いますし、そのためにも、学校が活用しやすいような補助制度の見直しを図っていくことも必要だと思います。
 見直しを図った結果、非常に充実した内容になっていると考えますけれども、見直しによりどのような効果があったのか、耐震化率がどのように向上したのか、お伺いいたします。

○石井私学部長 補助制度導入前の、平成十四年度末における都内私立学校全体の耐震化率は約五三%でございましたが、本年四月一日時点では全体で約七三%となっており、約二〇ポイントの上昇が見られました。特に、小中学校では約六三%から約八六%へと大幅に上昇しており、補助制度の導入及び内容の充実が耐震化促進に大きく寄与したものと考えております。

○山田委員 東京都の施策によりまして、今も説明ありましたように、全体で約七三%ということで、約二〇%のポイントの上昇ということでありますが、私立学校の耐震が進んでいるということでありますけれども、しかし、まだまだ耐震化が実現されていない学校が数多く存在しているのも事実であります。学校の事情によりまして、なかなか耐震化に踏み出せないところもあると思いますけれども、地震がいつ来るかわからない。どのような形で襲ってくるかわからないという以上、一校一校、着実に耐震化に取り組む学校をふやしていくことが必要であると思います。学校に対して根気強く耐震化の必要を訴えていくとともに、私立学校を着実に支援していくことが必要と考えますけれども、都の見解をお尋ねいたします。

○石井私学部長 私立学校の耐震化推進は、日本の将来を担う児童生徒の生命を守るためにも、非常に重要な施策であると考えております。
 都では、普及啓発事業を通じて、各私立学校に耐震化の必要性に対する理解を深める取り組みを行っております。また、補助制度につきましては、より私立学校が活用しやすいよう制度を改善してまいりました。例えば、学校運営への影響を少なくするために、耐震改築工事を複数年度の工期に分けて行うものも対象とするなどの工夫を講じております。
 耐震化は大きな決断を伴うもので、各学校にとっては大事業でございます。都としても負担を軽減するための総合的な支援を図ってきており、今後とも各校の状況に応じてきめ細かく対応していくなど、私立学校の耐震化推進に努めてまいります。

○山田委員 耐震化の推進には継続的な取り組みが重要でありまして、今後ともぜひ力強い支援をお願いいたしたいと思います。
 今の日本全体に立ち込めております暗雲を取り払いまして、明るい未来を切り開いていくためにも、次世代を担う子どもたちが安心して教育を受けられる環境をつくることこそが、我々の使命であると考えております。それだけに、その一翼を担う私立学校における教育は非常に重要な役割を担っていると考えております。私どもも私立学校の声に耳を傾けまして、都に対しても提言あるいは要望を積極的にしていきたいと思いますので、引き続き、私学振興に積極的に取り組んでいただきたいということを申し上げまして、この質問は終わりたいと思います。
 次に、地域の底力再生事業について、何点かお尋ねをいたしたいと思います。
 今、少子高齢化が進んだ今日、自助、共助、公助のバランスがとれた地域づくりが求められております。我が自由民主党では、共助の最大の担い手であります町会、あるいは自治会とともに、地域の課題解決を図るために、平成十七年度に町会・自治会等振興議員連盟を立ち上げまして、意見交換を行ってきたところであります。
 地域の底力再生事業助成は、我が党が地域力向上の必要性を提言して、平成十九年度、東京都の重点事業として実現できたものであります。この助成事業を活用して、町会、自治会はさまざまな事業を展開していると思いますが、それについてお伺いいたします。
 まず第一に、子どもの安全・安心確保の問題であります。
 昨今、児童虐待や、あるいは子どもへの犯罪など、子どもに関する社会不安が増大しておりまして、こうした問題に対して町会、自治会では積極的に取り組んでいることと思いますが、そこでお伺いいたしますけれども、子どもの健全な育成を進める取り組みに対して、地域の底力再生事業助成がどう活用されているのか、その事例がありましたらご説明いただきたいと思います。

○飯塚都民生活部長 子どもの見守り等に対する助成でございますが、平成十九年度は十九件、二十年度は八件、二十一年度は七件でございます。
 事業例としましては、育児経験豊富な町会の方が親の育児相談、一時預かりなどの育児支援を行っている事例や、地域センターを活用して子どもの安心・安全な遊び場を提供するなどの事例がございます。

○山田委員 それと同様に、先般大きな社会問題となりました高齢者の所在不明など、家族や地域社会から孤立した高齢者の存在が、地域社会の大きな課題となっております。高齢者を見守ることも、子どもの見守りと同様に町会、自治会としても大変大事な取り組みであると思いますけれども、地域の底力再生事業助成が高齢者の見守りにどう活用された事例があるのか、それについてもお伺いをいたします。

○飯塚都民生活部長 高齢者の見守り等に関する助成でございますが、平成十九年度は八件、二十年度は十三件、二十一年度は十九件でございます。
 事業例といたしましては、災害時要援護者台帳を整備し、高齢者宅を訪問して安否を確認するなどの事例や、救急医療に役立てるよう、高齢者の医療情報が記載された住民カードの作成事業例などがございます。

○山田委員 今ご説明いただきましたけれども、子どもや高齢者を支える取り組みに地域の底力再生事業助成が活用されているということは、大変喜ばしいことと思います。
 しかしながら、この助成事業は、個別の課題に対する取り組みを支援するだけにとどまるものではないと思います。地域におけるさまざまな事業を通じて、地域のコミュニティ全体を活性化させる、どのような社会の変化にも対応して、自分たちで問題を解決できるような地域の力を取り戻すことにこそ、私は意味があると思っております。
 そこでお伺いいたしますけれども、助成事業を活用した町会、自治会の活動が、こうした地域活性化にどのような効果があったのか、お伺いいたします。

○飯塚都民生活部長 この助成制度を活用して、町会、自治会が夏祭りなど、住民が参加しやすい事業を実施した結果、これまで地域に関心の薄かった若者を初め、住民同士の交流が活発になったという報告や、外国人がふえた地域で、外国人に日本の文化を紹介する事業を実施した結果、外国人と地域住民との交流が促進されたという事例などが都に数多く寄せられております。
 このように、本事業の活用により多様な活動が展開され、地域の活性化に大きな成果が上がったものと認識しております。

○山田委員 町会、自治会がこのような助成を活用して、地域の再生に頑張って、その成果が出ていることに対しては大変うれしく思っております。我が党も一致団結をいたしまして、この助成の積極的な活用を地域にPRをしているところでもございますが、まだまだ、この助成事業を活用していない町会あるいは自治会も数多くございますし、都内各地で地域力が向上するように、都としても申請しやすいような工夫に、より積極的に取り組んでいただきまして、さらにこの助成事業が活用できますよう、それが促進できますように要請をしていきたいと思います。
 次に、文化行政についてお尋ねをいたしたいと思いますが、東京文化発信プロジェクトについてまずお尋ねをいたします。
 東京には伝統と最先端とが織りなします、魅力的な文化が存在しております。東京の文化面での国際的プレゼンスを今後ともさらに高めていくためには、世界に東京の文化的な魅力を知ってもらうことが不可欠だと思います。都は海外に向けて東京の文化の発信力を強化し、都立文化施設を文化芸術の創造と発信の拠点として有効に活用していくべきであると思います。
 そこで、都の文化施策の重要な柱として、歴史文化財団が平成二十年度から展開いたしております、東京文化発信プロジェクトの実施状況と、東京都の文化施設の運営状況についてお伺いいたしたいと思います。
 東京都では、「十年後の東京」において、東京から世界へ、新たな文化の創造発信への取り組みを施策として掲げておりまして、平成二十年度には東京文化発信プロジェクトを開始いたしております。
 世界における東京のプレゼンスを確立するために、舞台芸術、美術、音楽、伝統芸能などのさまざまな分野で戦略的な文化事業を展開することは、将来に向けて非常に重要なことでありますので、私は継続的に注目していきたいと思っておりますが、そこでまず、二十一年度の東京文化発信プロジェクトの主な成果と、新たな取り組みについてお伺いいたします。

○桃原文化振興部長 東京文化発信プロジェクトの平成二十一年度におきます主な成果でございますが、国際的な演劇フェスティバルであるフェスティバル東京は、六万人を超える来場者を集め、作品的にも国際的な演出家が参加し、国際共同制作を積極的に行うなど、世界的に見ても専門性の高いフェスティバルに成長してきております。また、六本木アートナイトは延べ七十万人という観覧者数を数え、イベントとしての注目度も高く、大きな反響を呼び成功をおさめております。
 新規事業といたしましては、伝統芸能分野において、東京発・伝統WA感動と銘打ったフェスティバルを立ち上げまして、邦楽、日本舞踊、民俗芸能、落語など多彩な公演を実施いたしました。
 文化発信プロジェクトの各事業が都民の皆様に浸透し、発信力を高めつつあるものと認識しております。

○山田委員 東京の文化の中で、私はとりわけ伝統文化の継承と発展が重要であると認識いたしておりますので、ぜひ力を入れて取り組んでいただきたいと思います。
 それで、次に伝統芸能についてお尋ねいたしますけれども、世界に向けた日本の文化の発信という意味では、クールジャパンといわれるように、アニメとかゲームとか、デザインやファッションなど、最新の文化がもてはやされておりますが、その一方で日本の伝統文化への関心も依然として高く、伝統文化を外国の方々にアピールすることは、東京の魅力をより一層高める大きな力となると思います。東京文化発信プロジェクトでは、平成二十一年度から新たに、東京発・伝統WA感動という伝統芸能フェスティバルを立ち上げたということでございますが、どのようなねらいで事業を実施して、どのような成果が上がったのかをお伺いいたします。

○桃原文化振興部長 委員ご指摘のとおり、東京は日本における伝統芸能の一大集積地でございます。東京発・伝統WA感動は、日本の伝統芸能の魅力を内外に発信し、伝統芸能の活性化と普及を図る目的で実施しているものでございます。
 具体的には、中核となる事業でございます邦楽コンサート、こちらでは、東京にちなんだ古典の名曲を鑑賞していただくとともに、著名な作詞家、作曲家に新曲を委嘱して発表いたしました。また、邦楽及び日本舞踊公演におきましては、流派を超えた演者を集めるとともに、ベテランだけではなく、実力のある若手を積極的に起用するよう努めております。さらに、夏休みには邦楽入門コンサートを開催し、一流の演者が解説と演奏を行う事業の実施や、邦楽器の体験コーナーの設置を行うほか、日本舞踊公演において親子向けの特別イベントを開催するなど、親子が参加しやすい工夫を行っております。
 これらの取り組みを通じて、さまざまな伝統芸能分野の実演家が一堂に会し、質の高い公演を行うとともに、だれでも気軽に楽しめる伝統芸能フェスティバルが実現できたものと考えております。

○山田委員 ぜひ、伝統文化の継承と発展が着実に行われますように、引き続き努力をしていただきたいと思います。
 それでは最後に、東京都の文化施設についてお尋ねをいたしたいと思います。先ほども委員から東京都歴史文化財団についての、運営等についてのご質問がございました。私もそこに関連するかと思いますけれども、よろしくご答弁をいただきたいと思います。
 文化施設の運営については、都は、江戸東京の歴史と文化に接することのできる江戸東京博物館や、写真や映像に焦点を当てました写真美術館など、大規模な特徴のある文化施設を数多く運営いたしております。これらの文化施設が単なる箱物ではなく、都民が良質な芸術文化に接する機会となり、世界に向けた文化の発信拠点となるためには、芸術文化に関する専門性を持った者が運営することは、私は当然必要だと思いますし、大事な不可欠なことであると思っております。
 東京都では現在、平成二十一年度から八年間、東京都歴史文化財団が指定管理者として選任されております。昨年度、東京都歴史文化財団が上げました具体的な成果はどのようなものがあるのか、お伺いをいたします。

○藤井文化施設改革担当部長 東京都歴史文化財団は、東京の文化行政を支援補完する団体として、都立文化施設における歴史的資料や芸術作品の収集管理、調査研究や創造発信など、専門性を生かした特徴ある事業を展開し、東京における芸術文化の発展に寄与しているところでございます。
 新しい取り組みにつきましても大変意欲的でございまして、現代美術館におきましては、従来の美術作品という枠にとらわれず、アニメや漫画作家を取り上げた展覧会や、ファッションデザイナーと建築家がデザインした展覧会といった斬新な企画で、美術界からの評価も高いところでございます。
 写真美術館では、都の文化施策と連携いたしまして、東京文化発信プロジェクトの一環として恵比寿映像祭を立ち上げるなど、多様化する映像文化にスポットを当てた取り組みを行っているところでございます。
 また、東京芸術劇場におきましては、演劇界の第一人者を芸術監督に据えまして、単にホールを貸し出す施設から質の高い舞台技術を発信する劇場に生まれ変わってきているところでございます。

○山田委員 今のご説明をいただきまして、都の文化施設のよりよい運営のために、歴史文化財団は十分に成果を上げているということはよくわかりました。今後とも、歴史文化財団を活用いたしまして、より一層文化施設を安定的に運営していただく、当然財団としての効率的な運営ということはあろうかと思いますけれども、安定的に運営をしていただきたいと思っております。
 これまでのやりとりをお聞きしていく中で、オリンピック招致を契機といたしまして開始されました東京文化発信プロジェクトが、文化の面での東京の存在感を示す基礎を築いているということ、また、都の文化政策のもう一つの基盤であります文化施設については、指定管理者であります東京歴史文化財団が、その専門性をより一層発揮しつつあることがご説明でよくわかりました。
 これらの取り組みについて評価するものでありますけれども、世界の大都市も文化を都市戦略の柱としておりますし、ますます競争が激化する中にあって、これまでの取り組みの質をさらに高める、そして、文化首都東京を実現させるべきだと思いますけれども、局長の決意をお伺いいたしまして、私の質問を終わりたいと思います。

○並木生活文化局長 東京における今後の文化振興についてでございますけれども、東京には高度な政治経済的機能を有するともに、先ほど来、山田委員がご指摘したとおり、江戸時代から続きます歴史や伝統芸能、それからアニメ、映画など、メディアアートまで、世界に比類なき多様性と質の高い文化が集積してございます。都といたしましては、歴史文化財団と連携いたしまして、こうした東京の持つ文化資源を最大限に活用しながら、東京文化発信プロジェクトを実施し、東京の文化的価値を世界に向けましてアピールしてまいりました。おかげさまで高い評価も受けてございます。
 また、都立文化施設につきましては、この間、歴史文化財団の努力もございまして、自主事業の強化や、東京文化発信プロジェクト事業の実施などにより、創造発信機能の強化を図り、東京の文化施策の中核を担う存在となってございます。
 今後、都といたしましては、歴史文化財団とさらに連携を図るとともに、寄せられる意見につきましては耳を傾け、必要な支援を行い、東京が文字どおり文化都市となるよう、これらの施策の積極的な展開に努めてまいります。引き続きどうぞよろしくお願いします。

○栗林委員 それでは、私の方からは、広報広聴に関係することから伺わせていただきます。
 都民と都政をつなぐパイプ役でもあり、都政の入り口にも当たるというのがこの広報広聴ではないかと思いますが、決算説明書も四三ページにございますが、ここで二十一年度広報広聴費に関する支出済額というものが出ておりまして、約二十五億円強でございますか、なっております。都政広報のほかに、情報公開事務と、都民の声の事業、またホームページのアクセス数も六千四百万件ということで、テレビ、ラジオの番組も八番組、広報東京都の制作など、さまざまな取り組みを掲げて実績を上げているということも、ここからわかります。
 こうした事業に取り組むことと同時に、やはり迅速に都政の情報を知らせるということも、都民の多様な声を集約して、そして都政に反映させるという、よりよいコミュニケーションづくりに役立つものと考えます。やっぱり目指すべきは、都政と都民の関係を築くことではないかと思います。
 そこで、都民の皆様から毎日のようにさまざまなご意見、ご要望、またクレーム等々、たくさん寄せられると思うんですけれども、まず平成二十一年度における実績を伺わせてください。

○櫻井広報広聴部長 都民からの都政に対する意見や要望等は、総合窓口である都民の声課と、各局が設けている窓口とにおいてそれぞれ受け付けております。その手段はメール、ファクス、郵送、電話、来訪と多岐にわたっておりまして、平成二十一年度に受け付けた総件数は約十五万八千件でございます。

○栗林委員 都に寄せられる、年間十五万件ということで、都民の意見、そういう要望は実に幅広くさまざまなものがあると思いますけれども、やはりこの声というものは都政運営にとって大変貴重な宝だと思います。これらを都政に生かしていく、活用されていってこその意見であり、声でなければいけないと思いますので、そこでこの寄せられた意見、さまざまな要望、苦情等々あるかと思いますが、こういったことが都政運営にどう生かされていっているんでしょうか。どういう仕組みがそこにあるんでしょうか。伺います。

○櫻井広報広聴部長 都民の声課及び各局の窓口は、寄せられた意見や要望を速やかに関係する部署に伝達し、それぞれの所管においてそれらを事業に役立てていく、こういう仕組みとなっております。また、各所管が具体的な改善や取り組みを行った事例につきましては、都への提言や要望等に関する月例報告や、年次報告に掲載をいたしまして、広く都民の方々にお知らせをいたしますとともに、庁内に周知をし、都政運営に生かしているところでございます。

○栗林委員 都民の皆様から考えると、意見や要望がそうした形で生かされているということは、大変にうれしいことにつながると思うんですが、具体的な例として、こういった声がこういった制度に結びつきましたとか、こういった形になりましたとか、具体例があったら教えていただきたいと思います。

○櫻井広報広聴部長 都民の声課に寄せられました意見や要望が各局の事業に生かされた事例といたしまして、それぞれの局から報告されたものの中から、二件ほど紹介をさせていただきます。
 まず、庁舎の設備等に関して改善要望のあった事例でございます。視覚障害者用の音声誘導装置に、音声案内が聞こえにくいなどのふぐあいが生じているものがあること、庁舎内の案内板表示がわかりづらいこと等の指摘を受けました。このため、直ちに音声誘導装置の修理を行うとともに、案内板等のサイン表示については、今後予定されている庁舎の設備更新工事に向けた設計の中で、ユニバーサルデザインの考え方に基づいた見直しを検討しているというものでございます。
 二件目は、公園でジョギングをする際のマナーについて要望のあった事例でございます。道幅いっぱいに広がって走ること、散歩している人にぶつかること等の指摘を受けました。このため、公園管理者が利用者の方々と対策を検討する話し合いの場を設けまして、ジョギングのマナーについて理解をいただきますとともに、園内に掲示を行う等により、マナーアップに努めているというものでございます。

○栗林委員 ありがとうございます。何かけさの番組だったと思いますけれども、やはり皇居でジョギングする人が大変ふえたので、マナーをつくってそういったルールを決めたというニュースで出ましたけれども、そういった一つ一つ、東京都が取り組むことによって、いろんなところへの波及効果もあると思いますので、やはりそういう一人の声を大事にしているという姿勢を基本に、どんどん取り組んでいただきたいと思いますけれども、やはりこうした都民にとって、一人の声が、自分の声が、要望が伝わって形となっていくということは、大変都政との距離が縮まってくることになり、信頼関係が生まれる第一歩になってくるかと思います。こうした都への要望窓口の存在を含めて、都政に関するさまざまな情報が、広く、もうとにかく広く、一人でも多くの都民に周知されることが重要ではないかと思います。
 そこで次に、都の広報のうち、一番大きく主要な取り組みが「広報東京都」ではないかと思います。これは最も一般的な広報手段として、新聞の折り込みに入れられて、折り込まれて配布されているというふうに聞いておりますけれども、この「広報東京都」は、都政の本当に基本的な情報が網羅されて、すべてそこにおさまっております。都民にとって有効な広報紙であると思いますので、待ち望んでいる方も多くいらっしゃいます。しかし最近では、やはり高齢になるにつれ、だんだん目も不自由になってきて、新聞の購読をやめたという声も伺うことがございます。購読をやめた結果折り込みがなくなるわけですから、「広報東京都」が届かなくなり、読めなくなったという声も伺います。
 そこで、平成二十一年度に「広報東京都」、これは折り込み以外にもどのように、ほかの手段としてどのような配布をされたのか伺います。

○櫻井広報広聴部長 「広報東京都」の発行部数は、平成二十一年度下半期、一回当たり四百三十五万部であり、配布方法は主に新聞折り込みによっております。新聞折り込み以外にも、高齢者など新聞をとらない方々にも配慮をいたしまして、区市町村、福祉事務所、保健所、警察署、郵便局などの公共窓口や、都営地下鉄の駅、都や区の図書館等でも配布をいたしております。

○栗林委員 さまざまな手段を使いながら、一人でも多くの高齢者の方たちに、新聞をおとりでない方たちにも届くような、さらに配慮工夫も引き続きしていただきたいと思います。やはり高齢化社会となって、ひとり暮らしのお年寄りもふえてまいります。やはり情報は貴重でございます。ぜひそういった取り組みも一層力を入れていただきたいと思います。
 また、それとは反対に若い世代の方ですね。余り都政には関心も高くはなく、でも最近は広報紙にいろんな相談窓口、手続等々もお知らせがございますので、やはりそういった若い世代にも、この「広報東京都」は広めていく必要があると思います。こういう若い世代、新聞も購読されない、そういう世代に対して、パソコンとか携帯電話、こういったことを活用して情報収集する方が若い世代にはふえております。そこで、そうした若い世代に対してはどのような工夫をされているのか伺います。

○櫻井広報広聴部長 都の総合ホームページ上では、紙面と同じ内容のウェブ「広報東京都」を作成いたしまして、活字版の配布に合わせて公開をいたしますとともに、最新の詳細情報については関連のホームページへのリンクを設定するなど、ホームページの特性を生かした利便性の向上を図っております。また、携帯電話でも見ることができるよう、東京都庁公式モバイルにも掲載をいたしまして、身近な携帯電話においても紙面と遜色のない情報を入手できるようにしております。

○栗林委員 いろいろな工夫もしていただいていますけれども、常にどんどん進化していきます、こういう情報通信技術というものはどんどん進化しておりますので、今後とも若い世帯だけではなくて、高齢者の方とか、また障害のある方、そういう方たちにとってもさまざまな情報が行き渡るような工夫を、ぜひ開発をしたり普及をしていっていただきたいと思います。
 やはり今、全国的には三万人以上の方が、無縁社会という中で亡くなっていくという、そういう現状を考えたときに、都会はもっと深刻ではないかと思います。地域とも交流をしない、人とも余り交流もしないという方たちにとっては、やはりその人にとって必要な情報を届けてあげるのが、こういう広報の一番大きな役割ではないかと思いますので、どうかこの情報を一千三百万人のお一人お一人に届け、またその方たちからの声を聞くという、そういった気持ちで取り組んでいただきたいと思います。
 初めにも申し上げましたけれども、広報広聴というのは、都民と都政をつなぐ重要な役割を果たしております。今後ともさらなる改善を重ねながら、都民と都政の重要なコミュニケーションの円滑に努めていただくことを要望させていただきます。
 次に、先ほど山田委員の方からも触れられておりましたけれども、文化芸術に関してお伺いいたします。
 決算説明書では五二ページになりますけれども、ここにあります六番目のヘブンアーチスト事業と文化芸術発信事業助成、このあたりからちょっとお伺いさせていただきます。
 文化芸術関係は、二〇〇〇年以降、国も文化芸術振興基本法ですか、法律ができたり、それに伴って各区市町村、自治体も条例がどんどんできてきましたけれども、調べていただいたところ、何と東京都は昭和五十八年ですか、昭和五十八年に東京都文化振興条例というものがつくられて、そして平成十八年には都の芸術文化評議会ですか、これがつくられていたということで、非常に先駆けて取り組んでいってくださっているんだなというふうに思いました。
 私の方からは、先ほど東京文化発信プロジェクトの事業に触れられていましたが、その中でも子ども対象、ここに関連して伺わせていただきます。
 平成二十年度から、世界の主要都市と競い合えるような芸術文化の創造発信ということで、文化芸術を通し子どもたちの育成を目的とする、東京文化発信プロジェクトを展開しておりますけれども、小さいころから本物の芸術に触れて、心を豊かに感性をはぐくむということは、非常に子どもたちの成長にとって重要であります。東京文化発信プロジェクトには、キッズ伝統芸能体験ですか、こういうのとか、またパフォーマンスキッズ・トーキョーとか、ミュージック&リズムスTOKYO KIDSとか、非常にメニューもたくさん用意されておりまして、伝統芸能だけではなく、ダンスや演劇、また音楽といったさまざまな分野において、一流の芸術家の指導のもとでおけいこやワークショップを重ねて発表に至るというプログラムが実施されております。平成二十一年度は、二十年度からの事業ですので、二年目を迎えた本プロジェクトですけれども、どんな成果があったか初めに確認させていただきます。

○桃原文化振興部長 三つの事業の事業実績等についてお答えを申し上げます。
 まず、キッズ伝統芸能体験でございますが、約半年間にわたり二十回を超えるけいこを経た上で、その成果をひのき舞台で発表する事業でございます。二十一年度はコースの内容として、能楽、日本舞踊、筝曲のほかに、長唄三味線を加えて実施いたしました。
 次に、パフォーマンスキッズ・トーキョーでございますが、ダンスや演劇のプロのアーチストを学校やホールに派遣し、そこでワークショップを行い、子どもたちが主役のオリジナル作品を創作、発表する事業でございます。二十一年度は実施会場を公共ホール、学校ともに倍増し、計十四カ所で実施し、さらに、日ごろこうした芸術活動に触れる機会の少ない島しょ部にも導入することといたしまして、三宅島、神津島の二島で実施しております。
 次に、ミュージック&リズムスTOKYO KIDSでございますが、竹を使って子どもたちが自分で楽器をつくり、音楽を生み出すワークショップを重ね、その成果をプロの音楽家とともに発表する事業でございます。二十一年度はワークショップ会場を、高尾の森に加えまして二十三区内にも新設し、二カ所で実施をいたしました。
 これらの結果でございますが、三つの事業合計で参加者数が、二十年度の約八百人から、二十一年度におきましては約千二百人に増加しております。この事業の規模の拡大に伴いまして、経費につきましては、二十年度の八千八百万余円から、二十一年度は一億二千五百万余円となっております。

○栗林委員 事業の規模も拡大して、参加するお子さんもふえてきているという方向で、二年間の事業、継続実施してどのような効果があったか、また参加者の、この事業に参加されたお子さんたちの声とか、そういった声も含めて認識を伺います。

○桃原文化振興部長 事業に参加した子どもたちの保護者や教育現場からは、何事にも積極的になった、人前でも堂々と自分を表現できるようになった、子どもたちの秘めた可能性を引き出してくれたなどの評価をいただくなど、子どもたちの自発性や創造性を引き出す効果があったということに加えまして、特に伝統芸能体験におきましては、子どもたちばかりでなく、家庭内での伝統芸能に対する興味関心が高まったとのご感想をいただくなど、副次的な効果も生んでいるところでございます。
 さらに、事業に参加したアーチストの側からも、演劇のワークショップの中では子どもたちからインスピレーションを受けたであるとか、伝統芸能では、一つの目標に向かって指導することを通じて、ほかの流派の指導者とさまざまな交流ができたなどの評価もいただいております。多様なジャンルの一流のアーチストと子どもたちがじかに触れ合い、時間や体験を共有することは、子どもたちの感性を豊かにするとともに、アーチストの側も刺激を受けるという相乗効果を生み出したものと認識しています。

○栗林委員 子どもを指導する芸術家にとっても、双方にメリットがあるという、大変すばらしい取り組みではないかと思います。豊かな感性や創造力をはぐくむ、こういったことをもっともっと積極的にやっていただきたいと思いますけれども、やはり都がやれる地域や数には限界がありますし限られております。そこで、今回の事業と同じような成果を上げられるように、その他の地域とか学校とか、また同様の事業ができるような、そういった取り組みも必要と思いますけれども、いかがでしょうか。

○桃原文化振興部長 都が実施しておりますこれらの子ども向け事業と同様の成果が上げられるよう、地域や学校にノウハウを広めていくことは大変重要なことであると認識しております。
 現在実施している事業は、今後、さまざまな方面で実施を想定する、子ども向け事業のモデルとなるべく行っているものでございまして、今後、地域のホールや学校関係者に呼びかけまして、実際に事業をご見学いただいたり、これまでに蓄積されたノウハウを紹介する実施記録を作成し広く配布するなど、成果の普及拡大に努めてまいります。このことによって、子ども向けの同種の事業が多様な主体により実施されることを促進いたしまして、子どもが芸術に触れる機会の拡充を図ってまいります。

○栗林委員 ぜひお願いします。
 私の地元世田谷でも中学生を対象に、才能の芽をはぐくむ教育ということで、日野皓正とドリームジャズバンドというので、四月から練習を始めて八月には見事な演奏をして、応募者が毎年多数という、非常に、親、地域の方も感動させるような事業をしておりますが、でもこれも教育委員会、教育関係の事業なんですね。ですから、文化とか教育庁、また障害を持ったお子さんたちの福祉関係とか、そういった他機関との連携というのも、今後ぜひ強めて幅を広げていただきたいと思います。
 済みません、だんだん時間がなくなってきましたので、ちょっと早口で申し上げますけども、次にヘブンアーチスト、これに関して伺います。
 このヘブンアーチスト事業は平成十四年に事業を開始されて、ことしで何と九年目を迎えていますけれども、ライセンス制度で非常に事業も安定してきて、アーチストのレベルも高くなり、都民の評価も高くなっていると思います。何かヘブンアーチストというだけで格がついたというか、そのくらいの認識に来ているんじゃないかなと思いますが、この事業、九年たっていますが、どのぐらいの登録アーチスト、また活動場所がふえたのか伺います。

○桃原文化振興部長 まず、登録アーチスト数でございますが、平成十四年の第一回は百五十四組だったものが、直近の平成二十二年九月現在では三百五十二組となっております。
 次に、活動場所でございますが、都立公園や駅などの日常活動場所は、当初十三施設二十カ所であったものが、現在では四十九施設六十五カ所に増加をしております。
 また、事業の普及啓発のために都が主催するイベントといたしまして、上野公園でのヘブンアーチスト東京を初め、丸の内、秋葉原、銀座、新宿、三軒茶屋、渋谷と順次拡大をしております。

○栗林委員 最後になりますけれども、ぜひこのヘブンアーチスト活動が、本当に東京じゅうにどんどん広がっていっていただければいいと思いますけれども、今後の取り組みはどのように考えていらっしゃいますか。

○桃原文化振興部長 ヘブンアーチストは地域イベントに活用することなどにより、地域文化の活性化に資するものと考えております。そこで、平成二十一年度には、ヘブンアーチストの活動の様子を動画で紹介するDVDを作成いたしまして、区市町村を初め、商工会議所、観光関連事業者など関係機関に配布をしております。今後とも、都内各地で積極的にご活用いただけるよう、活用事例を積極的にPRするなど、地域への働きかけを強めてまいります。

○栗林委員 ありがとうございました。やはり経済が厳しいときほど、こういった文化芸術で心を豊かにするということが大事だと思います。政策としてもっともっと進めていただきたいということを要望し、質問を終わります。

○大島委員 たくさんの資料をつくっていただきましてありがとうございます。活用しながら質問をさせていただきます。
 先日、私、私学振興拡充支部大会というのが江戸東京博物館で開かれて、伊藤先生も行かれたんですけど、各党がここに参加をしてまして、私立学校では独自の教育方針と豊かな校風で特色ある教育を行っているということや、教育の機会均等、それから学校選択の自由は国民の権利だ、こういう高い自覚と誇りを持った発言が相次いでいました。そこでも強く要請されました私学振興について、最初に伺います。
 都内の私立高校に通う生徒は、二〇〇九年五月現在で全体の五六・四%、私立幼稚園に通う園児は九一・八%を占めています。二〇〇五年度の国民生活白書によれば、一人の子どもが大学を卒業するまでにかかる教育費は五百二十八万円と試算されておりますが、ある保険会社が行った試算では、学校教育費、それから給食費、塾代、こういったものなどもろもろ含めますと、一千三百四十五万円から四千四百二十四万円もかかるというふうにいわれています。これを見たときに、本当にお金がなければ希望する教育も受けることができないのかなというような、今の日本の教育の現実が見えてきたように思いました。
 こうした中で東京都も、私立学校の教育条件の維持、向上、そして保護者の負担軽減、経営の健全化、こういったものを図るためにさまざまな助成を行ってきています。私立学校の経常費補助は、都が実施している標準的運営方式では、公立学校の決算値を基礎として算出しておりますが、経常経費の二分の一補助を達成しているといっても実態には合っていません。実質的に五〇%を達成していくことが必要だと考えます。
 二〇〇九年度から私立幼稚園の経常費補助は、実態に合わせるために算出方法を改善したと聞きましたが、私立学校についても、同様に実態に合わせる改善を行うことが必要だと思いますが、見解を伺います。

○石井私学部長 私立幼稚園の経常費補助につきましては、二十一年度から新たに人件費に諸手当を算入し、より実態に近い積算方法に改善を図ったところでございます。小中高等学校の経常費補助につきましては、公立学校における人件費の実績値をもとに経費を算出しており、既に諸手当分が算入されているため、同様の見直しの必要はございません。

○大島委員 二〇〇八年度の数字で恐縮ですが、例えば高校の場合、生徒一人当たりの教育費の消費的支出というのは、都立の場合百四万円、私立では百十三万円と、いずれにしても百万円以上かかるというわけです。一方、私立高校の補助金は生徒一人当たり三十八万七千八百一円ですから、やはりもう少し工夫できる部分はあるように思います。
 私立高校や幼稚園に補助する経常経費、経常費補助、これはいただいた資料を見ましても、二〇〇九年度決算では、前年に比べて全体で九十三億一千五百万円ふえていて、年々増加しているということを見ると、公立の決算値がふえているということもありますけれども、私学に学ぶ家庭の負担軽減、それから学校経営の健全化に努力しているということはわかります。
 二〇〇九年度決算では執行率一〇〇%となっているんですが、不足する事態はなかったのかお聞きします。

○石井私学部長 高等学校及び幼稚園における経常費補助につきましては、どの高校または幼稚園に対してもルールどおり補助しており、助成費予算に不足を生じることはありませんでした。

○大島委員 当初予算額をちょっと見てみましたら、それがふえていて、実際に現在の予算との関係で一〇〇%になっているので、不足する事態というのが途中であったのかなとちょっと心配したんですけれども、全体としてやりくりができたというふうに理解しました。
 次に、保護者の負担の軽減についてお聞きしたいと思います。
 私立高等学校に在学する生徒の保護者に対しては、授業料を軽減するということも非常に重要です。授業料、それから入学金などの諸経費は、学校ごとに独自に決定していますので、一律ということではありませんが、都内の私立高校の初年度の納付金について、東京都の調査では平均で八十七万四千五百八十五円、授業料の平均額は四十二万二千七百二十四円、授業料以外でも四十五万円もかかります。国の就学支援金と都の特別奨学金を入れても、例えば年収五百万円の世帯では、授業料だけでも自己負担は二十万円を超えてしまいます。公立高校の授業料が無償化となったことはとてもよかったんですが、私立高校も無償化にしていかなければ教育の機会均等を保障できないと思いますが、見解を伺います。

○石井私学部長 国は、公立高等学校に係る授業料の不徴収及び高等学校等就学支援金の支給に関する法律を制定し、公立高校を無償化するとともに、公立高等学校以外の高等学校等の生徒に就学支援金を支給することとしたものでございます。
 都は国の就学支援金に加え、経常費補助などのほか、所得に応じて特別奨学金や育英資金などの幅広い施策を総合的に活用し、保護者負担の軽減を図っております。

○大島委員 就学支援金や特別奨学金を活用して、生活保護を受けている世帯の授業料は平均授業料までは無償になった。これは大きな前進だと思います。
 生活保護は受けていないんだけれども、実際には生活保護基準以下で暮らしているという低所得者の世帯もかなりあるんですね。せめて、こうした低所得世帯の子どもたちの授業料も無償になるように、国の就学支援金の所得等による制限の基準に合わせて、住民税均等割のみまで特別奨学金の助成額の増額をしていくことを強く求めておきます。
 国の就学支援金にあわせて、全国でも減免制度の見直しが行われました。我が党は、授業料については無償にすべきという考えを持っていますが、年収五百万円以下の授業料を無償にしている自治体はどのくらいあるのか伺います。

○石井私学部長 平成二十二年度の私立高校生への授業料減免補助制度の状況につきまして、文部科学省が各都道府県に行った調査によりますと、年収五百万円程度までの授業料を全額免除相当としているのは三県でございます。

○大島委員 ことし四月の都道府県担当者会議に出された資料を、私いただいたんですけれども、今年度全額免除相当の支援を行うとしている都道府県数は、年収五百万円程度以下は、今ご答弁ありましたように三自治体なんですが、三百五十万円程度が免除となるのは十三自治体、そして先ほど要望しました住民税均等割以下の世帯、年収換算を行いますとおよそ二百五十万円程度となりますが、ここまで全額免除相当の支援をしている自治体は三十七道府県と、全体の八割に上るんですね。全国の流れというのは高校授業料の無償化じゃないかというふうに思います。ぜひ東京都としても、低所得世帯への無償化を検討してくださいますように重ねて要望しておきます。あわせて、五百万円の世帯を無償にしているところも三県あるということですから、公私格差をなくして教育の機会均等を保障するために、東京都でも三百五十万とか五百万とか、こういう程度の方たちも無償化の流れに引き上げてくださいますようにお願いをしておきます。
 次に、私立学校が、家計状況の急変といったことで生徒の授業料を免除した場合、学校に対して補助する授業料減免制度、これが経常費補助の中に設けてあります。その補助率を二〇〇九年度から、これまでの三分の二を五分の四に引き上げました。また二〇〇九年度から、減免制度を整備している学校に対して定額補助も行ったと聞いているんですが、いただいた資料を見ますと、高校の実績は四校ふえているだけなんですね。補助額は八百七十二万六千円増額となっておりますが、小中学校は逆に減少しているんです。余り伸びていないようなんですけども、その原因はどこにあると思うか伺います。

○石井私学部長 授業料減免に関する特別補助は、前年度の実績に基づき行う補助のため、制度の見直しの影響は、実質的には二十二年度以降の補助実績に反映されるものと考えております。

○大島委員 そうすると、二十一年度の決算には反映されなくても、来年度、二十二年度の決算には反映されるということで、ここの伸びが大きくなるということも期待をしておきたいと思います。今、実際に不況の中で大変な思いをしていて、授業料が払えなくて中退しなければならないという子どもたちも結構いるんですよね。ですからそういう意味で、ぜひよろしくお願いいたします。
 本来はこうした制度を利用しなくても学び続けることができるというのが、一番いいと思うんです。でも、昨今のこの厳しい状況では、困難は続くだろうなというふうに思います。学校もいろんな制度がありまして、これが重なって、事務手続も非常に煩雑で、事務量もふえて大変だという声もあるんですね。東京都はこうした事務費の補助もぜひ行っていただきたいと思います。未来を担う子どもたちの希望の芽を摘み取ることがないように、制度の紹介なども行って、広く活用できるようにしてくださることを求めておきます。
 次に、育英資金の事業についてお伺いいたします。
 この東京都の育英資金も、家計の急変によって就学困難となった場合、特別募集ということで、学年とか時期を問わずに申請を受け付けています。年度途中から貸し付けを受けた件数はどの程度あるのでしょうか。

○石井私学部長 平成二十一年度の特別募集の実績は七十一人でございます。

○大島委員 厳しい経済状況を反映してか、資料によりますと、高校、高専については貸付額、貸付人員ともにふえています。年度中途から貸し付けを受けられた方も七十一人ということで、大変な状況にあるんだなということはわかります。
 育英資金などの貸付の制度というのは結局借金なんですよね。だから、これ返済しなければならない。今、若者の失業率が一七・七%、それから高校卒業後の就職も大変厳しい状況になっています。大学生など四年制の大学を卒業しても五人に一人は就職できないというような、こういう状況も今あるわけなんですね。ですから、育英資金というのを借りて、高校時代から借金を抱えて、返済義務を負うということになるわけです。
 我が党はこれまでも返済不要な奨学金の条例を提案してきましたけれども、こうした厳しい社会経済状況のときだからこそ、給付型の奨学金制度を創設するように強く求めておきます。
 この私学振興関連の最後に、希望者全員に高校進学を保障するという立場からお伺いしたいと思います。
 ことしの入試は、経済状況の悪化などから、授業料の安い都立高校への入試の希望者がふえました。全日制はもちろん、定時制も満杯状況で、三月末の定時制の二次募集で、三百十五人もの不合格者が出るという事態になりました。全日制高校の進学率も、計画は九六%ですが、実際、実績は九一・五五%にとどまりました。私立への入学者が用意されている受け入れ枠に比べて、四千人以上少なかったためです。
 この事態を受けまして、来年の入試では、都立高校の受け入れ枠を緊急対応枠として百六十人ふやすということが、八月末の公私連絡協議会で合意されました。当事者である生徒や保護者から見れば、高校に行きたいのに行けないという状況は本当にせつないものがあります。どうしたら計画進学率を達成できるのか。どんな対策が求められているのか。生活文化局と教育委員会、私学関係者などが力を合わせて対策をとり、事態を打開する必要があります。
 二〇〇三年に東京都は、私立学校等における教育に関する都民の意識調査を実施、発表いたしました。これは世帯の収入や、高校入学の選択基準、高校教育への期待、現状の都の私学助成事業に対する認識や、今後の私学助成の方向性などについて、都民がどのように考えているのかを調査したものです。
 こうした調査は、今後の私立高校等に対する私学助成のあり方を初め、計画進学率達成のための施策の検討にも重要な資料になると考えます。こうした調査について、東京都はどのように評価をしていますか。また、調査から八年経過していますので、項目は現時点にふさわしく変更する必要もあると思いますが、こうした調査を改めて行うべきではないかと考えますが、見解を伺います。

○石井私学部長 まず認識ですが、平成十五年当時の、私立高等学校等における教育に関する都民の意識や実態が一定程度あらわれているものと認識しております。現時点において同様の調査を行う予定はございません。

○大島委員 平成十五年当時の都民の意識のあらわれだということですよね。今、公立高校の授業料が不徴収になったことで、公私格差は無限大に広がったと、先日の私学振興大会の中でもいわれました。この間、さまざまな状況に変化もありますし、私学教育の発展のために必要な支援も、都民の教育を受ける権利を保障するために必要な支援も、八年前と同じではないと思います。子どもたちの高校進学の願いをかなえるためにも、今後の私学に対する施策の充実のためにも、ぜひ検討していただきたいと思います。
 また、どうしたら希望者全員入学が実現できるのか。都民参加で議論を深めていただくことを要望いたしておきます。
 次に、一年契約の教員採用の問題についてお伺いします。
 都内の私立学校で一年契約で教職員を採用し、例えばクラス担任を持たせるなど、雇用期間の定めのない、いわば終身雇用の正規の先生と同じような教育を担わせる学校が広がっていると聞いています。この年契約教職員の数は把握しておりますでしょうか。

○石井私学部長 私立学校における教員採用につきましては、各学校法人が法令等を遵守し、みずからの運営方針に基づいて自主的に判断するものであり、教員数について雇用形態別の把握は行っておりません。

○大島委員 それでは、年契約の教員の場合も、私立学校の経常費補助の算出に当たっては、本務職員として扱っているんでしょうか、お伺いをいたします。

○石井私学部長 経常費補助の算出に当たりましては、当該学校法人と正規の教員として雇用関係があるなどの要件を満たしている者を、年契約であるか否かにかかわらず本務教職員として扱っております。

○大島委員 子どもたちの教育をするという、こういう重要な職責を担う教員が、最初から一年ないし数年で職場を去らざるを得ない、こういう採用になれば、その方の意欲もそがれますし、経験の蓄積とか、研修などによる中長期的な資質向上の取り組みが不十分になるなどの課題も指摘されております。
 さらに、この一年ごとの採用を繰り返すわけですから、いつも最初と同じで給料も上がらないんですね。不安定な雇用が続きます。来年続いて雇用できるかどうかわからないということですから。こうした教員を正規雇用の職員として採用するように誘導すべきではないかと考えますが、いかがでしょうか。

○石井私学部長 私立学校における教員採用につきましては、各学校法人が法令等を遵守し、みずからの運営方針に基づいて自主的に判断するものでございます。

○大島委員 私学行政の教育条件整備を担当している局としては、教育条件の悪化につながるような教員の雇用形態について、実態を把握するということが必要だと思います。そして、低賃金とか不安定な雇用にしなくても済むようにするにはどうしたらよいかなど、学校とも話し合う必要があるということを指摘しておきます。
 次に、私立学校の耐震化、それから地デジ化についてお伺いをいたします。
 先ほどもご答弁ありましたが、二〇〇九年度から個人立も含めて耐震化対策として、耐震診断や補強工事に対する補助率を、従来の三分の二から五分の四に引き上げました。しかし、この決算説明書の六〇ページを見てみますと、私立学校安全対策促進事業費補助の執行率が七三・九%にとどまっています。二〇一三年度末までに、私立の小中学校の耐震化率一〇〇%の目標を掲げておりますけれども、この耐震化の進捗状況についてお聞きいたします。

○石井私学部長 本年六月に都が実施いたしました耐震化状況調査では、本年四月一日時点の都内私立小中学校における耐震化率は約八六%となっており、補助制度開始前の平成十四年度末の約六三%から二三ポイント上昇しております。

○大島委員 平成十四年度末から比較すると二三ポイント上昇したということで、大分進んできているようなんですけれども、いただいた資料によりますと、二〇〇九年度末の耐震化率は、小学校で八七・二%、中学校で八五・二%に到達しておりますけども、二〇〇九年度中には小学校で二・四%、中学校で二・八%改善されただけなんですね。先ほどいいましたように執行率も低いんですけれども。
 幼稚園と高校というのを見ますと、これは二〇一三年度までに、お聞きしますと九〇%に到達するというのが目標だということで、一〇%差があるんですけれども、それでも幼稚園で六七・五%、高等学校で七五・四%という到達なんです。こういう状況を見てみますと、やっぱり目標を達成させるために、学校の要望にもきめ細かく対応して、執行実績を上げるために積極的に取り組んでいただきたいと思います。
 次に、地上デジタル化の問題なんですが、これも来年七月地上デジタル化による整備ということで、これも急がれておりますが、整備費補助の執行率が四・七%と、これ大変低いんですね。三億五千二百五十二万七千円の不用額を出しています。どのような理由があったのかをお伺いしたいと思います。

○石井私学部長 地上デジタルテレビ整備費補助につきましては、当初、都単独事業として実施を予定しておりましたが、年度途中において、国が経済危機対策に関する補正予算で補助制度を創設したため、補助対象や執行方法について、国の制度との整理が必要となりました。しかしその後、政権交代により国の経済危機対策が見直されることとなり、補正予算の執行が凍結されました。このような状況から、補助制度の内容を確定し実施する時期が遅くなったため、執行率が上がらなかったものと考えております。

○大島委員 今のご答弁では、都単独で予定していたんだけれども、国が後でそういう制度をつくるから、その調整に手間取って周知がおくれたということですが、それにしても四・七%というのはほとんど実績が上がっていないという感じがするんですよね。
 それで、来年七月でデジタル放送に切りかえということですが、今、補助金の申請の時期をもう少し延長してもらえないかという声も実際にあるわけなんです。そういう点でも、ぜひきめ細やかな対応をしていただきたいというふうに要望しておきます。
 次に、消費者行政、消費者センターについてお伺いをいたします。
 東京都は、平成二十年度から二十四年度までの五カ年計画で、消費関連施策を計画的、総合的に推進していくための基本指針というものを策定しております。高齢者や若者などをねらう悪質商法の撲滅や、待ちから攻めの情報収集など、積極的な緊急対策を掲げております。こうした緊急対策の取り組みの現状について伺います。

○小笠原消費生活部長 都は、平成二十年に改定いたしました東京都消費生活基本計画の中で、悪質商法から都民を守り、商品、サービスに関する消費者の不安を払拭するため、四つの緊急対策を定めて取り組んでおります。
 まず、高齢者、若者をねらう悪質商法の撲滅といたしまして、不当な取引行為を行う事業者に対し、昨年度二十八件の行政処分を行いました。
 次に、待ちから攻めへの情報収集と発信といたしまして、都民一万二千人を対象としたヒヤリハット体験の調査に基づきまして、身の回りの危険について都民に注意喚起をしております。
 また、東京都消費生活総合センターにつきましては、相談員の増員、専門性向上のための研修の充実など、機能強化を図っております。さらに、特定商取引法等に基づいて、行政処分を行う上で改善を要する法制度につきまして、国に改正整備を働きかけております。

○大島委員 積極的な取り組みが開始されているというように感じております。
 都の消費者行政活性化基金というのは、国の交付金七億円を受けて総額十二億円とし、基金を活用する事業期間が二十一年度から二十三年度までの三年間とされています。こうした基金活用で強化した事業、及びその効果はどのようなものでしょうか。

○小笠原消費生活部長 消費者行政活性化基金を活用した事業のうち、区市町村におきましては、相談日数の増加や相談時間の延長、相談コーナーの改修などに活用され、各消費生活センターの機能が強化されております。また、区市町村ごとにそれぞれ工夫を凝らした多様な啓発事業が展開されております。
 一方、都におきましては、広域的に取り組むことによる効果が高い事業や、区市町村の消費生活行政を支援する事業を実施しております。具体的には、区市町村の相談員を含む研修の充実や、美容、医療など、その時々社会問題となっているテーマを選定した特別相談などを行っております。基金を活用したこうした事業の展開によりまして、都内の消費生活行政は、一層充実が図られております。

○大島委員 いただいた資料を見ますと、相談件数はほぼ横ばいという状況なんですけれども、相談の内容というところを見ますと、特に高齢者の相談件数が三万件を超えて過去最高になっていると。昨今の経済情勢を反映してか、未公開株などの株に関する相談が急増しているなど、新たな知識も要求される事例が多いと推測されます。
 消費生活相談員数も、二〇〇九年度には三十四名から四十人に増員されて強化されております。消費生活相談員の増員がこうした相談活動を進める上でのかなめとなっていることはいうまでもありません。
 区市町村は身近な消費生活相談に対応し、東京都は、消費者相談のうち高度専門的な相談に対応するといいますが、相談員が実は常勤職員ではなくて非常勤だと聞いています。一日八時間、月十六日の勤務ということですが、土曜日も相談窓口を開設するようになったということを見ましても、区市町村も含め、消費生活センターの機能を強化する上でも正規職員とすべきだと思いますけれども、見解を伺います。

○小笠原消費生活部長 複雑多様化する消費者相談に的確に対応し、都民の消費者トラブルの解決を図っていくため、消費生活相談員には、特定商取引法などの法律や商品、サービスに関する専門的な知識、消費者問題に関する豊富な経験、交渉力が求められます。社会状況に応じて変化する相談需要に適切に対応して、こうした人材を確保するため、専務的非常勤職員として任用することが適当であると考えております。

○大島委員 それだけ重要な人なのに、どうして専務的非常勤の任用が適当なのかわからないですけれどもね。
 これだけ複雑に、また多様になっている消費生活相談に対応して、本当に専門的な知識と豊富な経験、それから交渉力、これも求められているという職にあるわけですね。その方が、任用期間が一年以内で四回に限り更新ができるという雇用条件というのは、どうも納得できないんですね。せっかくその方が蓄積された能力、これを都民のために発揮するということを中断してしまうんじゃないかというふうに思うからです。改めて正規職員にすることを求めておきます。
 消費者問題を解決していくためにも、二〇〇二年に消費生活相談センターに統合された多摩消費生活センターの相談機能、これを再開してほしいという要望も強まっています。また、相談窓口の日曜開設や、平日の相談時間の延長も強い要望となっています。消費生活総合センターが、センターオブセンターとして、多摩センターや区市町村の相談窓口を支援強化することも強く求めておきたいと思います。
 最後に、男女平等の関係についてお聞きいたします。
 二〇〇〇年四月から施行されました東京都男女平等参画基本条例の前文には、東京が今後も活力ある都市として発展するためには、家庭生活においても、社会生活においても、男女を問わず一人一人にその個性と能力を十分に発揮する機会が確保されていることが重要であると書かれています。
 男女平等参画施策の推進を図り、女性の意見を東京都のさまざまな施策に取り入れるためにも、都の審議会等への女性委員の登用が重要です。現在、東京都における審議会など附属機関の数、及び女性委員の割合はどうなっているのかお伺いします。

○萩原男女平等参画担当部長 平成二十一年四月一日現在、女性委員の任用率の算定対象としている審議会等の数は百八十五、女性委員の任用率は二〇・四%となっております。

○大島委員 女性の登用が低い理由はなぜでしょうか。また、今後どのように改善していくのかお伺いをいたします。

○萩原男女平等参画担当部長 女性委員の任用率が目標値の三五%に達していないことについては、団体から推薦される委員の多くが男性であること、専門分野によっては、女性の学識経験者そのものがいまだ少ないことなどが理由として考えられます。
 任用率向上のため、各局への協力要請や、目標値未達成の審議会の所管課長を対象とした研修など、さまざまな取り組みを行っており、女性委員の参画の必要性の理解は進んできております。今後とも、女性委員の任用促進に向け、継続的に各局に働きかけてまいります。

○大島委員 三五%の目標に対して二〇・四%ということなので、少しずつは進んできているという答弁なんですけれどもね。ぜひ一層進めていただきたいなというふうに思っています。
 実は最新のデータでは、全国の平均が三三・一%、都内の区市町村の平均も約三〇%なんですね。だから、東京都は特におくれた状況になっているわけです。同時に、東京がおくれていることがどうしてわかるかというと、こういった調査を毎年しているからなんですね。調査を積み重ねているということは、男女平等の推進の上で大変重要なことです。ぜひ都民に現状を示して、機運を高めて、公募委員なども積極的に採用するような仕組みもつくって、二〇一一年度までに三五%の目標達成をお願いしたいなと思っております。
 次に、男女平等参画基本条例の第四章には、性別による権利侵害の禁止が書かれております。第十四条には、家庭内等において、配偶者等に対する身体的または精神的な苦痛を著しく与える暴力的行為は行ってはならないと書かれています。
 いただいた資料によりますと、東京ウィメンズプラザの相談件数のうち、配偶者の暴力、いわゆるDVということでしょうか、この配偶者の暴力は二〇〇八年度まではほぼ横ばい状況だったんですけれども、二〇〇九年度は六千三百八十七件と、前年度に比べて千五百六十二件、三二%もふえてしまいました。この相談件数がふえた理由は何かお伺いいたします。

○萩原男女平等参画担当部長 配偶者暴力に関する相談の件数が増加した理由としては、さまざまな要因が考えられますが、配偶者暴力に対する社会的認知の向上、相談窓口の周知の拡大、関係機関との連携の強化などが影響していると考えております。

○大島委員 DVとはどんなものなのかという認知度が上がることによって、自分もDVの被害者かもしれないと自覚する女性がふえてきたんじゃないかというふうに思っています。どうすればいいのかなと考え始めたときに、適切に対応してもらえる窓口が身近なところにあるということが非常に重要なんですね。配偶者暴力対策充実のために、区市町村との連携強化も求められておりますが、区市町村における基本計画の策定や、支援センター設置などはどのようになっているのか、お伺いします。

○萩原男女平等参画担当部長 平成二十二年八月現在、区市町村の配偶者暴力対策基本計画については、策定済みが十二、現在策定中が十五、今後検討予定が十二となっております。配偶者暴力相談支援センター機能整備については、整備済みが一、検討中が二、今後検討予定が十五であると報告を受けております。

○大島委員 区市町村や関係機関との連携強化に向けての、具体的な取り組みはどうなっているでしょうか。

○萩原男女平等参画担当部長 配偶者暴力対策の推進において、関係機関との連携は重要であり、都は日ごろから区市町村や警察を初めとする関係機関と密接に連携しながら、被害者支援に取り組んでおります。
 平成十九年度には、東京都配偶者暴力対策ネットワーク会議を設置し、区市町村、警視庁、東京都医師会、民間支援団体のほか、裁判所、検察庁など、司法機関の参加も得て連携強化に努めております。区市町村においても、地域における関係機関の連携強化に努めており、平成二十一年八月現在、二十六区市が配偶者暴力についての連携会議を設置していると報告を受けております。

○大島委員 この関係機関のネットワークが本当に広がっているというのを感じるんですよね。警視庁とか医師会とか裁判所とか検察庁、こういったところまで広がっているということは、本当にうれしいなというふうに思います。
 私のところにも、DVの相談というのは結構あるんですよね。自分が本当にDVなのかどうかということも含めての相談なんですけれども、こうした取り組みの前進というのを感じます。一昔前といったら何ですが、十年以上前ですと、警察なんかは夫婦げんかじゃないのなんていわれて、もうそのままで全然やってくれなかったというのが、今では生活安全課なんかで取り組んでいると、相談に乗ってくれるというんですね。ですからそういう意味では、こうした前進というのに積極的に取り組んでいただいているということは、本当にありがたいなというふうに思います。
 東京都は二〇〇九年三月に、配偶者暴力対策基本計画を改定いたしまして、計画の期間は二〇〇九年度からの三カ年ということです。
 この計画改定に当たって、配偶者暴力被害の実態や、支援にかかわる関係機関の現状等を把握するための調査を行いました。実際に被害を受けたことがあり、現在も支援を受けながら自立生活を送っている人が、今後行政に充実してほしいという支援は、相談窓口の明確化や子育てに関する支援、就労などを含む支援が挙げられておりました。区市町村への支援とともに、被害者への支援を一層充実させていただくことを心からお願いいたしまして、私の質問を終わります。ありがとうございました。

○菅委員長 この際、議事の都合により、おおむね二十分間休憩いたします。
   午後三時七分休憩

   午後三時二十九分開議

○菅委員長 それでは、休憩前に引き続き分科会を開きます。
 質疑を続行いたします。
 発言を願います。

○門脇委員 都民の情操を高めるために、芸術性が高く、そして公共性のある交響楽団を有することは、私自身非常に、まず冒頭、意義があると思っております。
 この質問をするに当たって、まず局といろいろ調整をしていたんですけれども、日本の中の交響楽団で大きいところはどういったところがあるのかなという話をしていましたところ、私は余りクラシックとかオーケストラとか、それほど縁のある趣味はありませんけれども、多分NHK交響楽団、それから読売、正式名は読売日本交響楽団というんですかね。それと東京都交響楽団であろうといいましたら、局の方がよくわかりましたねと。何かうれしいような、そうでないような感じがしましたけれども。
 きょうはそのいわゆるビッグスリーとか、あるいは御三家と呼ばれているうちの一つでございます、財政監理団体の東京都交響楽団のことについて、簡潔に幾つか質問をいたします。
 東京都交響楽団は、定期演奏会を初めとした多彩な活動に取り組む一方で、平成十七年度より楽員を、楽団員といっても楽員といってもいいんでしょうけれども、終身雇用から有期雇用に切りかえる契約楽員制度を導入し、そして年俸制を実施するなど、経営改革に取り組んできたと聞いております。
 当時の、これはインターネットの記事でございますけれども、実際にこの制度が都から提案されたのは二〇〇三年の今ごろの時期であると。この提案は有期契約制度導入に当たり、まず楽員、楽団員全員を解雇する。その後楽員の能力によって雇用し、査定によって年棒決定。この際知事は、もちろん石原慎太郎知事でありますけれども、外郭団体への補助金を一律三割カットを強行し、オーケストラへの補助金も当時十四億円から十億円に削減した上で、さらに楽員への有期雇用契約制度、先ほど申しましたけれども提案したと。そのときにあわせて、同時に退職金制度の廃止も行っているようであります。
 私もかつて労働組合の専従者を務めておりましたけれども、このことだけ見ると、これは大変なことだったんだろうなと。もちろん私、当時はまだ区議会議員でございましたけれども、いろいろ交渉でご苦労されたということもお聞きいたしております。今ある局の責任者になっていらっしゃる方が事務局長でいらっしゃって、大変ご苦労をされて、多分その後、またその上の方が出てきてユニオンと直接交渉とか--まあいいでしょう、それはいいんですけれども、大変なご苦労をされたということはお聞きいたしております。
 まず全体を把握するために、平成二十一年度、当該決算年度でございますけれども、決算額は東京都全体の一般会計決算額のどのぐらいになっているのか、お伺いをいたします。

○桃原文化振興部長 平成二十一年度決算におきます文化振興費でございますが、百二十二億四千万余円となっておりまして、東京都の一般会計決算総額に占める割合は約〇・一九%となっています。

○門脇委員 〇・二%まで。〇・一九%と随分少ないと思います。
 よくいわれることですけれども、我が国における文化に関する予算というのは、いわゆる先進諸国というか、欧米の国に比べて少ないということはいわれていますけれども、改めてお聞きすると本当に少ない。もともと東京都の場合は、普通会計というか一般会計の分母が非常に大きいですから、このパーセントは出ても先ほどいったような金額にはなるんですけれども、少なくとも多い金額ではないと思います。
 次に、以降、都響と略させていただきますが、平成二十一年度の収入額と支出額、それぞれ主な内訳について簡潔にお知らせください。

○桃原文化振興部長 平成二十一年度東京都交響楽団一般会計決算における総収入は二十億七千万余円となっております。
 主な内訳といたしましては、東京都からの補助金が十億五千万、入場料収入や依頼公演における出演料収入など、演奏事業収入が七億二千万余円、文化庁からの補助金が一億七千万余円となっております。
 一方、総支出といたしましては二十億四千万余円となっておりますが、内訳といたしましては、楽員及び事務職員の人件費が九億八千万余円、指揮者などの出演者に対する報酬、演奏会の会場となるホールの使用料などの演奏事業支出が五億五千万余円、楽団の運営に必要な事務機器賃借料や事務用品購入費などの管理事務費が一億三千万余円などとなっております。

○門脇委員 ありがとうございました。
 都の補助金の額についてはいろんな考え方があると思いますけれども、都の補助金、それから国、国といっても文化庁だけのようですけれども、そういった補助金があるにせよ、今のお答えですと少なくとも収入が支出を超えており、その部分で見ると、健全な財務体質かなということは理解ができますし、これは先ほど私が申し上げた、かなり厳しい労使交渉も含めて、おやりになった改革の成果だと思いますので、一般的に監理団体とは、この都響の場合は少し違っているのかなという気もしますね。
 知事も二〇〇五年三月の都議会で、こんなことをいっているんですね。都民のためのオーケストラを育てる決意を聞かれ、ちょっとどの方が質問したかわかりませんが、都響は独立した形態として、能力主義による契約楽員制度の導入を行い、経営改革をすることは必要であると答えていらっしゃる。そのとおりだと思いますけれども。
 ちなみに、その結果、大体ですけれども、新しい制度が導入されてから、楽員の、これは首席とか副首席はちょっと別のようですけれども、一般の楽員、九十名程度だと思いますけれども、大体年俸が百万円ぐらいは下がったようであります。確かに、その改革というものはある程度なし遂げられたと思いますけれども、やはり楽員の皆さんにとって、年俸とはいえ百万下がるというのは、結構大変なことだったのではないかなという気はします。
 次に、少し細かく収支についてお伺いしますが、定期演奏会は、都響にとって最も価値の問われる公演であると思います。一般的に、これはどこの交響楽団、オーケストラでも同様でしょう。その収支についてお答えいただきたいと思いますし、また入場者数がホールの、箱物ですね、箱の全体の席数に占める、この割合の入場者率でよろしいでしょうか、についてお示しをいただきたいと思います。

○桃原文化振興部長 演奏会の主な収入である入場料収入は、入場者率やチケットの価格などにより左右されますため、公演により一定ではございませんが、平成二十一年度におきます典型的な定期演奏会の公演収支を例にとりますと、約百万円、支出が収入を上回っております。
 コンサートは会場の座席数が限られておりますことから、一公演当たりの総入場料収入には一定の限度がございます。一方で、質の高い演奏を確保するため、指揮者やソリストなど、出演者の招聘費用などに一定の経費が必要となることから、一般的にオーケストラの定期演奏会は赤字傾向になるものと聞いております。
 また、定期演奏会における入場者率でございますが、各公演の平均は約七八%となっております。

○門脇委員 平均の入場者率が七割を超えて八割近くになっているということは、都響の人気度というか、実力度というか、それの一定のあらわれではないかと思います。
 ただ、やっぱりオーケストラというのは大変だと思いますね。例えば、プレーヤーとしての比較ですから、一概にそういうことがいえるかどうかわからないんですけれども、野球とかサッカーは、両チーム合わせてせいぜい四十人か五十人ぐらいでしょう。その一方、会場は何万人の会場でできるわけですね、試合が。ところが交響楽団ということになると、例えば、歌手や四、五人のグループでも、四、五人でやって東京ドームとか、あるいは日本武道館とか、そういう一万人、あるいは、今ドームですと五万人ぐらい入るんですかね。片や、オーケストラの場合は大体百人前後ぐらいで、せいぜい、どうでしょう、僕、サントリーホールって行ったことないんですけれども、まあ千五百人から、大きな箱でも三千人ぐらい。三千人入るというところはなかなかないんじゃないかと思うんだ。そうすると、やっぱりその部分での厳しさというのはあると思います。
 次の質問に移りますけれども、もうけといっては言葉に語弊がありますけれども、収入が同時に少し少ないようにも感じるんですけれども、チケット代はどのようになっているのか、これも簡潔にお答えいただきたいと思います。

○桃原文化振興部長 チケット代でございますが、公演によってそれぞれ差がございますこと、また、座席の種類によっても幾らか分かれておりますために、一概にお答えするのは難しい面もございますが、都響の定期演奏会を例にとりますと、おおむね千八百円程度から六千五百円程度の範囲となっております。

○門脇委員 ありがとうございます。
 私も少し調べたというほどの話ではないんですけれども、冒頭申しましたN響や読売の演奏会では、一万円程度のチケットもあるようです。
 都響のチケット代を安くして、都民に文化、情操というものを提供していただくことはとても大切なことだと思います。しかし、定期演奏会のチケットの収入が限られているとすると、民間企業や他の自治体からの依頼を受けて行う公演での演奏料収入というもの、これ依頼公演会というんですかね、貴重な収入源になると思います。
 そこで、昨年度、当該年度ですか、他の団体等から依頼を受けて行った公演は何回あったのか、あるいは主な依頼団体を、とりあえず回数の多かった順に、幾つかをお示しをいただきたいと思います。

○桃原文化振興部長 芸術団体や企業などからの依頼公演につきましては、平成二十一年度において合計三十六回行っております。主な依頼団体でございますけれども、東京都歴史文化財団、川崎市や山口市などの全国の市の文化振興財団、東京二期会などとなっています。

○門脇委員 また出てきましたね、歴史文化財団が、ここで。この中には年間四回の東京都議会の依頼公演も--答えはいいですけれども、入っているのかなと思います。
 それで、先ほどからも質疑の中で出ております、この東京都歴史文化財団の依頼公演、今、回数の多い順番にいっていただきましたけれども、具体的な内容についてお教えいただきたいと思います。

○桃原文化振興部長 東京都歴史文化財団からの依頼公演でございますが、東京文化会館が主催する夏休み子ども音楽会や、東京音楽コンクール優勝者コンサートなどの事業での演奏、また、オリンピック招致を契機として開始された、東京文化発信プロジェクトの一環で実施しておりますハーモニーツアーでございます。
 ハーモニーツアーは東京の音楽文化を発信し広げていくため、日本各地や海外での公演を行ったものでございます。二十年度は国内で計十二公演、二十一年度は国内で五公演のほか、今後ますます重要となってまいりますアジア地域との交流を深めるため、ソウル、シンガポールの二カ所での海外公演を行っております。

○門脇委員 オリンピックに関してのハーモニーツアーということが出てまいりましたけれども、そこだけちょっと具体的にお伺いしておきましょうか。
 ハーモニーツアー実施に伴う収入の総額はどのくらいで、オリンピックなくなっちゃいましたから、継続ということはないとは思いますが、念のため今後の予定についてお伺いいたします。

○桃原文化振興部長 ハーモニーツアーの実施に伴います収入額は二億円となっております。
 なお、文化発信プロジェクトにおける音楽事業につきましては、より効果的な事業展開に向けて再構築を行うこととしておりまして、ハーモニーツアーとしては今年度限りで終了することとなっております。

○門脇委員 先ほど、東京都からの補助金について金額をご提示していただきましたけれども、それとの比較で見ると二億円というのは、決して都響にとって、あるいは楽員の皆さんにとって、少ない金額ではないと思います。
 きょうはもちろん、私個人はオリンピック招致の立場でございましたけれども、ハーモニーツアーの是非についてはまた別の機会に、多分同僚議員がやってもらえると思います。
 大きな打撃というか影響力があって、ただ、先ほどいった二〇〇五年の大改革のときに、そうはいってもということで、激変緩和措置のようなものも講じられたんだと思いますけれども、楽団や、楽団というか都響や楽員の皆さんにとって、より一層経営努力を、これからも生活文化局としてやっていただくというのは当然のことではないかと思いますね。経営努力をさらに強めていただきたい。同時に、必要な支援はそれはそれとして、冒頭から申し上げている、都響のもともと置かれている存在目的というか、それに照らし合わせれば、やはり削ればいいというものではないと思うんですね。その辺の考えもあわせてお伺いいたします。
 それともう一つ、それで、そういうことですよね、努力が必要、必要な努力というか、必要だということですけれども、そこで考えると、経営安定化をこれからするためには、いろんな方法があると思います。ただ、繰り返して申し上げているように、この都響というのはほかの監理団体と違って、歴史が五年前に非常に大きな改革をやったということもありますんで、安定化させるためには、頻繁に演奏会に来ていただくサポーターというかリピーターというか、そういうお客様を確保するということが不可欠である。これはそんなに多分、そちらとこちらで認識が違わないと思いますけれども。このような観客の確保についてどのような取り組みを行っているのか、お伺いをいたします。

○桃原文化振興部長 経営の安定のために観客を確保していくためには、まず質の高い演奏を行うことが第一でございまして、演奏技術の高い楽員の確保など、水準のさらなる向上に日々努めております。
 その上で、さらに具体的な取り組みといたしましては、定期演奏会、プロムナードコンサート、東京芸術劇場シリーズなど自主公演につきまして、それぞれ年間の公演を楽しむことができる会員制度を設けております。二十一年度におきましては、六千人を超える会員の方々にご登録をいただいております。
 また、より多くの青少年が生の演奏に触れることができるよう、企業、団体の方々からご協賛いただきまして、都響ヤングシートを設置いたしまして、公演への招待を行っております。二十一年度におきましては、約四百人の青少年の方々が来場しております。

○門脇委員 認識はそう異ならないというか、同じだと思いますけれども、やっぱり、特に中学生、高校生に質のよい、これは実はクラシックだけではないんですけれどもね、日本の伝統文化も同様なんですけれども、きょうは都響のことを聞いておりますので、その演奏を聞いてもらって将来のファンになってもらうということは重要であると思います。
 利益の先送りではないんですけれども、やはり廉価な価格でその学生に来てもらって、ファンになってもらって、大人になったら通常の料金でしっかり聞いてもらうと。しかもリピーターになってもらうと、あるいは個人のサポーターになってもらうということは非常に重要だと思いますね。特に、若者への配慮ということが、今いったように一層重要になってまいると思います。
 質問としてはこれ最後ですけれども、今後、今申し上げた、特に中高生のために一層の配慮をすることを、今までもおやりになってきたとは思いますけれども、検討することが必要ではないかと思うし、そのことによって、やはり生活文化局のもとにぶら下がっている東京都交響楽団というものが、監理団体をスリムにしていくということもとっても重要ではありますけれども、やはり文化、情操という部分でしっかりやっているんだということを示していくと。もちろん経営努力も必要ですけれども、そんなふうに思いますので、その辺の予定についてお伺いいたします。

○桃原文化振興部長 青少年に音楽と触れ合う機会を提供する取り組みといたしましては、これまで都内の小中学校を対象として年間六十回以上実施しております音楽鑑賞教室や、小中高生が都響の楽員から直接演奏指導をうけ、楽団とともに演奏を披露するジョイントコンサート、さらに、都響の指揮者が楽員とともに都内の小中学校を訪問して、授業を行うマエストロ・ビジットなど、多様な取り組みを行ってきたところでございます。先ほど答弁申し上げた、都響ヤングシートによる公演の招待などとあわせまして、今後も青少年が音楽に身近に触れることができる事業に積極的に取り組んでまいります。

○門脇委員 先ほど申しましたように、文化の普及とか、それから科学の発展などは、申し上げるまでもありませんが、すぐに結論、結果が出るものではありません。都響に限ったことではありませんけれども、この芸術性も、聴衆である都民、必ずしも都民だけでありませんけれども、成熟した関係というものができなければ発展はないと思います。
 今後、都響が都民を中心として誇れる楽団に成長して、そして音楽を愛する人口がふえることを願っております。同時に、先ほど山田委員からも大変的を突いた質問をされておりましたけれども、クラシックだけではなくて、あるいは都響が監理団体だからだけではなくて、日本の伝統文化についてのサポート、例えば能とか狂言とか、いろいろな分野でおやりになっていることはわかりますけれども、そのサポートをさらに強くしていただくことをお願いして、質問を終わります。ありがとうございました。

○伊藤委員 まず公益法人制度改革について、お聞かせいただきたいと思います。
 この制度改革は、国におきまして平成十三年以降、着実に準備を進めてきたことであります。目的としては、民間非営利部門の活動の健全な発展を促進し、民による公益の増進に寄与するとともに、主務官庁の裁量権に基づく許可の不明瞭性等の、従来の公益法人制度の問題点を解決することと。たしかKSD事件に端を発してこの議論になったというふうに聞いておりますけれども、平成二十年十二月一日に新制度が施行されておりますけれども、今回の決算審査の対象である平成二十一年度の新制度移行への取り組み状況がどのようになっているのか、お伺いいたします。

○飯塚都民生活部長 公益法人改革では、特例民法法人と称される従来の公益法人、財団法人や社団法人は、二十五年十一月末までに移行申請を行うこととなっております。
 そうした中で、都の二十一年度の取り組みでございますが、平成二十一年度におきましては、シルバー人材センターや博物館、美術館などの業種別に説明会を開催し、公益法人制度改革の内容を周知するとともに、申請に向けた情報提供を積極的に実施いたしました。また、四十九の法人から申請があり、二十九法人に対し、公益認定などを行いました。

○伊藤委員 都が所管をする特例民法法人は、もう既にホームページに全部見えますけれども、本当にいろんな種類の団体があって、東京都知事所管のものと、教育委員会所管のもの、二種類ある。今回、この取り組みについては生活文化局が一元窓口となってやっていくということでありますけれども、その数は平成二十一年十二月現在で八百十七法人あると伺っております。
 初年度というか、初めの取り組みで四十九法人から申請があって、二十九法人申請等を出したということは、出だしとしては恐らく好調なのかなというふうに思いますけれども、先ほどの答弁にもありましたように、平成二十五年十一月までには新制度への移行申請、これが求められておりますけれども、都ではどのような取り組みを行っていこうとしているのか、お伺いいたします。

○飯塚都民生活部長 これまでの説明会や相談対応といった取り組みに加え、まだ申請に向けた問い合わせ等がない法人に対しまして、早期移行を促す文書を送付したところでございます。平成二十五年十一月の移行申請期限まであと三年となることから、今後も移行の促進に努めてまいります。

○伊藤委員 先ほどもいったように本当に多様な団体があって、財政の規模であるとか人的な体制、これも全くばらばらなんで、かなり大変な業務を、これからまた皆さんには丁寧にやっていただきたいなというふうに思いますし、公益認定を受けるということになりますと税制の優遇がつくと、さらに、会計についても複式簿記でやらなければいけないということで、かなり事務手続に専門的な知見が必要になってくるというふうに考えております。国では、指定をして、弁護士であるとか行政書士さん、専門家に委託をしてある程度やっていただいているようでありますけれども、都では弁護士や行政書士、公認会計士などの専門家との連携というのは、どのようになっているのでしょうか。

○飯塚都民生活部長 委員ご指摘のとおり、移行申請に当たっては、財務などについて公益法人制度に特有の基準を満たす必要があり、専門性が求められております。そうしたことで、法人の中には法務や財務の専門家の助言を得ながら準備を進めているところもございます。都では、そうした法人側の専門家と丁寧にやりとりをし、移行申請につなげております。
 一方、専門家と相談していない法人の役職員についても、認定基準や会計基準などについて理解を深めてもらうため、説明会などを通じ、法務や財務に関する知識向上のために、きめ細かな指導、支援を行っているところでございます。

○伊藤委員 残り三年ですね。公益認定をとるにしても一般になるにしても、十分にご理解をいただいて、この制度を活用して、この目的にあるように、やっぱりいろんな団体が、役所だけじゃなくて、公的な役割を多様な団体が担っていけるように、東京都としてもぜひとも支援していただければと、このように思います。
 続きまして、先ほど山田委員の質疑にもありましたけれども、地域の底力再生事業助成についてお伺いしたいと思います。
 先ほどのやりとりにもありましたように、平成十九年からこの事業を導入しているわけでありますけれども、いろんな、都市化が進んでコミュニティ機能が低下してしまっていると、その一方で地域にはいろんな課題があると、その解決のために、住民相互の共助を推進する事業に対して東京都が助成金を交付している事業でありますけれども、平成二十一年度の実績はどのようになっているのかお伺いいたします。

○飯塚都民生活部長 平成二十一年度実績でございますが、助成件数は百八十二件であり、事業別では、分野別モデル事業百二十四件、地域の課題へのチャレンジ事業十八件、他団体との協働事業三十六件、地域ふれあい・たすけあい強化事業四件となっております。なお、助成金額は九千三百五十五万二千円となっております。

○伊藤委員 たしか、これは一億円の予算でやっているとお伺いしていますが、執行率からいっても、ほぼ予算額、見積もりと同様の予算を執行していただいておりますけれども、この平成二十一年度では新たに分野別モデル事業というものを新設しているようですけれども、そのねらいと効果についてお伺いいたします。

○飯塚都民生活部長 平成二十一年度からは助成メニューをふやし、一層の活用を促進することをねらいとして、スポーツ振興、伝統文化、国際交流、市民活動の四分野で構成される分野別モデル事業を新たに設け、先ほどお答えしましたように百二十四件もの実績が上がったところでございます。

○伊藤委員 申請してくる団体に対して、より申請しやすくしていただいたというふうに思いますけれども、この事業はあくまでも自治体や町会というものを窓口にしていますけれども、先ほどの答弁にもありましたように、例えばPTAであるとか、NPOであるとか、ここには大学ということもありますけれども、いろんな団体と自治会が連携をすることを想定して、助成金が仕組みとして成り立っているわけでありますけれども、やっぱり高齢化が進んできて、町会、自治会の皆さん方が、簡略な書類ではありますけれども、この書類をまたつくって申請をして、さらに報告をするということはなかなかおっくうだという意見も一方であります。しかし、これだけの事業実績もありますから、恐らく連携先のPTAであるとか、NPOであるとか、そういったところに、町会を窓口にしていただければこういう事業ができますよというPRをしていただくと、恐らく大幅にこの実績が伸びるのではないかというふうに私は思っておりますけれども、都の今までの取り組みなどについてお伺いいたしたいと思います。

○飯塚都民生活部長 地域の底力再生事業助成は、地域の担い手である町会、自治会が実施する、地域力向上に資する活動に助成するものでございます。東京都町会連合会や区市町村などの会合において、町会自治会がPTAなど他の団体と連携して実施する事業は、他団体との協働事業で申請できることを説明しております。その結果、平成二十一年度、PTAなど他団体と連携した事業が多数助成を受けているところでございます。

○伊藤委員 実際にPTAとの連携事業三十七件、この年度であったということでありますけれども、恐らく、先ほどもいったように、もっとうまくPRしていくと、いろんなアイデアが出てくるのではないかというふうに思いますので、ぜひとも積極的に、これからもPRをしていただければというふうに思います。
 最後に、この助成事業が開始されてから、助成を受けた事業を都ではどのように周知しているでしょうか。お伺いいたします。

○飯塚都民生活部長 事業開始からこれまで助成を受けた事業につきましては、事業開始の平成十九年度から、東京都のホームページで公開いたしているところでございます。

○伊藤委員 ホームページを見ると、どういう団体がどういう活動をやったかということがわかりやすくなっておりますし、このガイドラインの中にも書いていただいているわけでありますけれども、地域の課題というものは、子育てであったりとか、安全対策であったりとか、福祉の分野であったりとか、いろんな課題があります。とてもではないけれども、一年で、たった一回のイベントをやっただけでは、当然でありますけれども課題は解決いたしません。あくまでもこの事業は、まず取っかかりをつけるために、それぞれの団体が協力をしていただくために、まず、じゃ東京都が助成金を出しましょうということでつくられているとは思うんですけれども、これからはこの大変な課題に対して、活動の継続性といったものに対しても支援をしていただきたいというふうに思いますし、この目的としては先駆的な取り組みということもうたわれているわけでありますが、十年も二十年もやって、果たしてどれぐらいの先駆的な取り組みが出てくるのかということも、やっぱり問題意識として持っていただきながら、今から継続して、この事業を使って地域のさまざまな課題を除去できる、私は非常に有力な手段だというふうに思っておりますので、今後、時代の変化に応じて、そうした変化に応じてこの制度も変えていくということも、ぜひとも今から検討していただきたいとお願いいたしまして、質問を終わりといたします。

○菅委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑は、これをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○菅委員長 異議なしと認め、本件に対する質疑は終了いたしました。
 以上で生活文化局関係を終わります。
 これをもちまして本日の分科会を閉会いたします。
   午後四時六分散会

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