平成二十一年度各会計決算特別委員会第三分科会速記録第四号

平成二十二年十月二十五日(月曜日)
第九委員会室
   午後一時開議
 出席委員 十名
委員長谷村 孝彦君
副委員長田中  健君
副委員長石森たかゆき君
山崎 一輝君
山内れい子君
関口 太一君
たきぐち学君
しのづか元君
橘  正剛君
高橋 信博君

 欠席委員 なし

 出席説明員
中央卸売市場市場長岡田  至君
管理部長塩見 清仁君
事業部長横山  宏君
市場政策担当部長大朏 秀次君
調整担当部長森本 博行君
新市場担当部長野口 一紀君
新市場事業推進担当部長志村 昌孝君
新市場建設技術担当部長砂川 俊雄君
環境局局長大野 輝之君
次長森  浩志君
環境政策部長紺野 秀之君
環境政策担当部長吉村 憲彦君
都市地球環境部長和賀井克夫君
環境都市づくり担当部長山本  明君
環境改善部長山越 伸子君
環境改善技術担当部長中村  豊君
自動車公害対策部長高橋 英次君
自然環境部長長谷川 均君
緑施策推進担当部長鈴木 秀章君
緑化募金担当部長福田 良行君
廃棄物対策部長木村 尊彦君
調整担当部長スーパーエコタウン担当部長兼務谷川 哲男君

本日の会議に付した事件
平成二十一年度東京都各会計歳入歳出決算の認定について
中央卸売市場関係
・平成二十一年度東京都と場会計決算(質疑)
環境局関係
・平成二十一年度東京都一般会計決算(質疑)

○谷村委員長 ただいまから平成二十一年度各会計決算特別委員会第三分科会を開会いたします。
 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、中央卸売市場及び環境局関係の決算に対する質疑を行います。
 これより中央卸売市場関係に入ります。
 初めに、理事者の欠席について申し上げます。
 新市場建設調整担当部長は、公務のため、本日の分科会に出席できない旨の申し出がありました。ご了承願います。
 決算の審査を行います。
 平成二十一年度東京都と場会計決算を議題といたします。
 本件につきましては既に説明を聴取しておりますので、直ちに質疑を行います。
 発言を願います。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕

○谷村委員長 ご発言なければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○谷村委員長 異議なしと認め、本件に対する質疑は終了いたしました。
 以上で中央卸売市場関係を終わります。

○谷村委員長 これより環境局関係に入ります。
 決算の審査を行います。
 平成二十一年度東京都一般会計決算中、環境局所管分を議題といたします。
 本件につきましては既に説明を聴取しておりますので、直ちに質疑を行います。
 発言を願います。

○関口委員 私からは、環境局所管にかかわる決算、事業についていろいろとお尋ねしていきたいと思います。
 東京都環境局は、多くの地球温暖化対策にかかわる事業を展開しておりますが、平成二十一年度の決算書の中にある区市町村向けの補助事業、各区市町村が行う地球温暖化対策事業に、東京都が中身を精査した上で十割あるいは二分の一の補助をするという事業でございますが、まず、そもそもこの当該事業、平成二十一年度からスタートした三カ年計画の事業と伺っておりますが、当該事業の目的について冒頭にお尋ねしたいと思います。

○吉村環境政策担当部長 地球温暖化対策等推進のための区市町村の取り組み促進制度でございますが、本補助制度は、区市町村に対する補助を通じまして、地域特性に応じた地球温暖化対策及び緑の保全のために必要な取り組みを促進することで、都内における地球温暖化対策等の一層の推進を図ることを目的として創設したものでございます。

○関口委員 都内における地球温暖化対策の一層の推進を図るということを目的とされているということでありますが、もちろん目的について、だれもが異論を挟む余地はないと思いますが、事業の中身について少し議論をさせていただきたいと思っております。
 平成二十一年度の当初予算額が十八億円であったのに対し、決算額は半分の九億円、執行率が半分となっております。そのため、今年度二十二年度はその執行率を上げるために、局の方々みずからが区市町村に出向いて、この事業は必要ですよと、やりましょうよと営業努力をしていると聞いております。
 なぜ執行率が半分になったかについては、いろいろな分析が必要であろうかと思いますが、数字を見れば半分だったということは、そもそも区市町村にとって、この補助事業は必要がなかったんじゃないか、こうとも分析することも可能なわけであります。区市町村にとって政策ニーズは乏しいけれども、局としては立てた予算、何としてでも消化しなくちゃいけないから区市町村までわざわざ出向く。そして、何とかこの事業に参画してもらおうと区市町村に働きかける。そういう側面から見てみますと、この十八億円の予算、あるいは昨年度の決算額九億円、これは何のための事業であったのかとも感じるわけです。執行率が半分になった、いろいろな分析が必要であろうかと思いますが、局はこのことについてどうお考えになっているのか、見解をお尋ねします。

○吉村環境政策担当部長 二十一年度は、本補助制度の創設初年度という状況の中でござましたので、各区市町村において対応する予算が用意されていなかったことなどが要因となり、事業化が難しかった面があろうというふうに考えてございます。
 一方、各区市町村の実施する地球温暖化対策等を積極的に都が支援するということ自体は大きな意義があり、ニーズもあるというふうに考えてございます。

○関口委員 今の理由は、二十一年度は当初年度だったから、区市町村も準備をしていなかったから云々という話もありますが、別に二十一年三月末に急にどおんとこの事業が始まると区市町村にPRしたわけでもないと思いますから、当然二十年度内に、東京都はこうしたスキームを考えていますから、来年度四月に向けていろいろと区市町村と連携してきましょうと、この補助を有効に使って環境エコ対策をやっていきましょうという周知はあってしかるべきだし、三月三十一日末日に都議会の予算が通ったから、いきなりこのスタート、周知がそこからになったから予算執行準備できなかった、予算が準備できなかった、そう聞こえたのは私だけじゃないと思いますが、そもそも半分になったというのは、そういう意味でいろんな分析が必要なんだというふうに私はまず申し上げているんです。
 そして、当該事業の目的は地球温暖化対策の促進、これを区市町村にも働きかけていくということですが、私が一抹の懸念を抱いているのは、東京都は予算執行することが目的化になっていないかという点。もちろん、この都の補助制度を利用して区市町村が行う環境事業の効果、そのすべてを否定するわけでありません。しかし、一年目の執行率が半分で、ことしはそれを一〇〇%にするために、局の担当者が区市町村までわざわざ出向いているということなどを聞くと、予算消化が第一の目的となって、事業の意義、効果が見えにくいものまで都の補助対象にしていこうというような動きが出てくるんじゃないか、そこを私は懸念をするわけです。
 そこで、この事業をより見えやすく、さらに効果的にしていくために、例えば区市町村の事業に対しては、この事業を都の補助をもらってやったら、これぐらいのCO2が削減できますよと、そうしたCO2削減効果を明記することを補助要件にしていくなど、その効果が区民や市民、都民に見えやすいようにするように、そんな制度設計をしていくということも私は提案していきたいと思っているんですけれども、この私の考え方についての局の見解を求めます。

○吉村環境政策担当部長 CO2削減効果の前に、先ほど予算編成の話がございましたけれども、私ども、二十一年度予算の原案発表の時点から各区市町村にはいろいろ精力的に回って準備をしておりましたけれども、区市町村側も予算編成というスケジュールがございますので、我々が回る段階においては、概要が各区市町村においてもう固まっていて、今さら、ちょっとことしは厳しいよというお話があったので、結果として二十一年度各区市町村において予算が準備されなかったということがあることはご説明させていただきたいと思います。
 CO2削減効果の件でございますが、この補助制度の目的は、区市町村が主体となって実施する地球温暖化対策等を支援し、取り組みを促進するものでございます。補助した事業で、確かにCO2そのものを減らすことも重要でございますが、それ以上に、先駆性を持った事業や波及効果を期待できる事業など今後の展開を重要視しておりまして、当該事業を契機として、各区市町村での地球温暖化対策等の広がりを促進させるということを目的としておりますので、そういった事業を各区市町村にお願いして回っているところでございます。

○関口委員 その制度設計のスキームの時期の問題が、区市町村への二十年度内の説明の時期にも大いに影響して、予算執行がなかなか見込みどおりいかなかったというようなことの答弁を、私は求めておりませんでしたけれども、していただいたわけでありますが、それも一つの理由だと。それも一つの理由だけれども、いろんな分析が必要だろうと私は申し上げているわけであって、それも一つで、それ全部否定しているわけじゃない。それも一つの理由だし、ほかにもいろんな半分になっている理由、分析が必要じゃないかということを、私は建設的な議論を申し上げているわけです。その点をまず強く申し上げておきます。
 それで、CO2削減効果については、例えばいろんな省エネ対策の勉強会とか講習会とか、そうしたことも区市町村で行われているというふうに聞いておりますが、この補助事業を使って。この省エネの議論をする中で、都民にとっては、あるいは区民にとっては、その講習にしても何にしても、ご家庭でこういうことをすればこれぐらい年間の電気消費量も減り、あなたのご家庭のコストも減り、それがCO2、年間、一般のご家庭でこれぐらい、数トンCO2が削減される、こういうことをすれば、これぐらいは削減できますよとか、そうしたものがあれば、より一都民としても省エネに対する動きを加速させやすい。私自身がそう思いますから、私自身がそう感じるから、一つの提案として、CO2削減効果というものを一つの要件として、この補助事業をより効果的にしたらどうかと私は提案をしているわけであります。
 次に、そこでこの都の事業、補助事業でありますが、同じこの平成二十一年度の決算書には、国の事業、地域グリーンニューディール基金による区市町村補助事業というものも載っておりまして、平成二十一年度には約十二億円の決算額が明記されております。都の事業も、同じく区市町村への環境事業の補助。そうした面で、都の事業と今私が申し上げた国のこのニューディール云々基金、いわば重複しているような感覚を私は持つわけでありますが、都のこのスキームと国のスキームのすみ分けをどう我々は理解をしたらいいのか、そのすみ分けについてお尋ねします。

○吉村環境政策担当部長 今ご質問の環境省の実施したグリーンニューディール基金事業は、国が緊急経済対策として平成二十一年度の補正予算により創設した事業でございます。これは、環境分野の公共投資を源泉に地域経済を活性化させようという趣旨というふうに私ども理解しております。その結果、国に採択された事業を見てみますと、主に公共施設の改修などのいわゆるハード系の公共投資などの経済的効果の高いものを対象としております。
 一方、先ほども述べましたとおり、都の行う区市町村補助制度でございますが、国より先の平成二十一年度の当初予算で事業化したものでございますが、この事業名が示すとおり、区市町村における地球温暖化対策等の取り組みを広げる効果を期待した事業でございます。この制度を活用して事業を実施していただくことによりまして、これを契機に、地域の住民の方々の中に地球温暖化対策に対する認識を深めていただいて、より地球に優しい行動を選択していただくとか、区市町村の職員の方々にも地球温暖化対策等の新しい政策や事業を企画する能力のレベルアップ、あるいはノウハウを取得していただきたいとの趣旨で行っている事業でございます。
 したがいまして、区市町村の行う事業に対する補助であるという、外形的には確かに類似している点もご指摘されましたが、おのおののコンセプトや事業の目的、また、この事業を実施して得られる効果は異なっているということで、すみ分けをさせていただいております。

○関口委員 今のご答弁を整理すると、国の事業はいわゆるハード系だと、都の事業は意識醸成、都民の意識喚起、波及効果、これを一つ目的としている。つまり効果が、目標としている事業の効果、これが異なるんだということでございます。それは一つ、景気対策的なハード事業と都の意識的な醸成を図る事業と、そういう意味ではすみ分けができているのかなと感じるわけでもありますが、一方で私の地元の世田谷区では、この事業を利用してコミュニティサイクルという、電動的なコミュニティサイクルの事業を行ったと聞いております。太陽光電池云々を自転車に有効に活用して区内を自由に回れるようにしようと、その意味でCO2削減効果も図れるんだと、こういう事業だったと地元の人間から聞いております。太陽光を集めて自転車のエネルギーに変えていくという意味では、そういう仕組み、機器は、私などからすると、先ほど国の事業はこうだといわれているハード系にも類するものだと私なんかは認識をするわけでありますが、先ほど、いろいろこの間の皆さん方の議論の中では、世田谷区は国にこの申請をしたかどうかわからないけれども、都に申請があったから、都の判断の中で十割の補助を行ったということであります。
 この世田谷区の事業については、年間でCO2が幾ら削減効果があるんだというようなことも、区民には見えるような形で政策目標が提示されていたようでありますけれども、ハード系、意識醸成のすみ分けとか、CO2削減効果がどうだこうだとか、こうした決算書を眺めてみますと重複している面が、私が今指摘したような問題点とか意識とか感覚とか、こういうのが私にとっては見えてくるわけでありまして、その意味で都の事業を、いや、これは国とは全然違うんだと、国は国でこれは景気対策でやっているだけで、都はこういう哲学を持ってやっているんだということであれば、なおさら都と国との事業の差別化を図るためのいろんな工夫、一工夫があってしかるべきだと私なんかは思っているわけです。
 その工夫の一つとして、先ほど、例えばCO2削減効果を目に見える形にすれば、都民、区民、市民が非常にわかりやすく、その区市町村がやる事業に参画しやすいんじゃないかと、こんなことをひとつ提案をさせていただいた。意識を変えて、地域の人たちに意識を波及させていくという意味では、お隣にはないですが、これをやったらCO2がこれだけ年間削減されるんだってとか、そういう話のネタにもつながりやすいわけであって、こうした一工夫があってしかるべきなんじゃないかと私は先ほど提案をさせていただいたわけです。
 この事業、三カ年計画ということは平成二十三年度まで、来年度が最終年度になろうかと思います。今、最終年度に向けてのさまざまな取り組みも行っていると思いますが、最終年度が、この都の事業、十八億、十九億をかけるような事業でありますから、その事業がより効果的になるような一工夫を期待したいと思っておりますが、局の見解をお尋ねします。

○吉村環境政策担当部長 繰り返しになりますが、私どもは、各区市町村において今までなかなか取り組んでいただけなかった地球環境に対する取り組みを促進していただくということを積極的に訴えながら、この事業を進めていただきたいと思っておりますので、ご提案の件も含めまして、今後、よりこの事業が発展的に皆様にご活用いただけるように頑張っていきたいというふうに考えてございます。

○関口委員 最終年度の二十三年度に向けて一層の効果ある取り組みを期待をしたいと思います。
 次に、省エネアドバイザー活動という事業について議論をさせていただきたいと思っているんですけれども、決算書三三ページに載っている事業です。省エネアドバイザー活動の推進、この事業がどういうものであるのか、まずご説明をいただきたいと思います。

○和賀井都市地球環境部長 家庭の省エネ診断員制度は、CO2排出総量の削減に向けては家庭部門におけます対策も重要であることから、日常の事業活動の中で個々のご家庭と接点を有しておりますエネルギー事業者などと連携しまして、省エネに関する認識が必ずしも十分ではない一般のご家庭にも省エネについての認識を高めていただき、身近な場でのCO2削減の取り組みを促すため実施しているものでございます。
 具体的には、省エネ診断員がご家庭の中に実際に入りまして、家庭内にあります設備機器を確認した上で、より効率のいい設備機器にかえることですとか、例えば冷蔵庫ですと、設置場所によって消費電力が異なりますので、そういったようなことを個々のご家庭に応じた具体的なアドバイスをすることによりまして、省エネの効果を導こうというものでございます。

○関口委員 この省エネアドバイザー事業は、省エネアドバイザーさんが各家庭に訪問して、いろいろ各家庭の電気製品の使い方、より効率的な使い方をアドバイスをする。もちろん、それによってその家庭の電気、ガス使用量が削減されれば、CO2削減、環境エコ対策にもつながるということになろうかと、その点については私も理解をいたします。
 一方、都民に気づきを与えると先ほどご答弁ありましたが、都民に気づきを与える省エネ診断員、この方々は一体平成二十一年度には何人登録されたのか。そして実際、都民の家庭に出向いてアドバイスをした件数は平成二十一年度ではどれぐらいあるのか、実数をお答えいただきたいと思います。

○和賀井都市地球環境部長 省エネ診断員の登録人数でございますが、今六十五名でございます。昨年度の実績でございますけれども、昨年度は、ことしの三月一日から診断受け付けを開始しまして、年度末までの一カ月間の実績しかございませんで、三十六件の診断実績がございます。一カ月しかなかった理由でございますけれども、平成二十一年度は、診断員を統括します団体の募集ですとか、申込団体の審査、登録、公表、それから診断員に対します研修など、実際に省エネ診断を行うための事前準備を行ってきたために、実際の受け付け期間が三月の一カ月となったものでございます。

○関口委員 もろもろの準備があったため、この事業を、都民に対するサービスがスタートできたのが本年の三月からだと。一カ月間でこのアドバイザーさんが三十六軒の家庭を訪問されましたということであります。
 それでは、平成二十二年度、今年度はやもう十月、半年を過ぎておりますが、今年度はこれまで何件の実績があったでしょうか。

○和賀井都市地球環境部長 現時点で我々の方で把握をしております平成二十二年度の第一・四半期の数字なんですけれども、そちらの方の実績は四十六件でございます。

○関口委員 第一・四半期で四十六件ということは、第一・四半期ということは四月、五月、六月、三カ月ということでよろしいですよね。三カ月で四十六件。三カ月で四十六件、これを平均で年間に換算すれは、四十六件掛ける四で、百六十、百七十、百八十件、年間でそれぐらいの件数になるんだなとイメージできるわけですが、年間百七十件、百八十件のアドバイザーの家庭訪問の件数と、一方で、この事業にかかっている経費は年間で約一千三百六十万円と決算書にも出ております。アドバイザーが家庭に訪問することの実数、実績、そしてこの一千三百六十万円という経費。
 しかもいろいろ伺ってみますと、この省エネアドバイザーのサービスを受けられる都民が極めて限定されておりまして、例えば私、世田谷区に住んでおりますが、世田谷区に住んでいる私は、残念ながらこの省エネサービスを受けることができないんです。世田谷区がここに入っていないということと、この一つの、協力をしてくれている統括団体の団員に私がなっていないから、パルシステム東京というところの私が組合員じゃないから、このサービスを残念ながら受けることができません。恐らく二十三区の中では、杉並区と練馬区はこの組合員じゃなくても受けられるそうですけれども、それ以外は二十一区の区民でこの組合員になっていない方は、何とこのアドバイザーのサービスを受けることができないということになるんですね。一千三百六十万円かけて、年間、恐らく二百件弱、第一・四半期で今年度は四十六件。しかも穴がたくさんあいている。受けられない方々、受けられない都民がたくさんいるということを勘案すれば、あれっと、この事業を一千三百六十万かけてやる意義というのが本当にあるのかなと、こう私は感じるわけですけれども、この点についての局の見解をお尋ねします。

○和賀井都市地球環境部長 本事業は、先ほどの繰り返しになりますけれども、これまで省エネに対する認識が必ずしも十分でなかった一般家庭において、省エネに対して、日常生活を通しまして認識を深めていただく点で効果は高いものだというふうには考えております。
 さらに、都のこういう制度をきっかけに、国においても来年度に向け本事業に類似しました環境コンシェルジュという制度の導入検討を始めておりまして、また複数の区からも、みずから自分たちの区で類似制度の実施に向けて、問い合わせを何件か受けているところでもございます。このように都の先駆的な取り組みが呼び水になり、各方面に広がりを見せ始めてきたところでございます。今後とも省エネ診断員を統括していますエネルギー事業者等々積極的な取り組みを促し、地道なCO2削減に取り組んでまいりたいというふうに考えてございます。

○関口委員 その呼び水になって国が事業を始めるだとか、区市町村が同じような事業を始めようとすることにつながる、そのことはそれは確かにあるんでしょうけれども、とはいえ一千三百六十万円かけてこの事業をこういうやり方でやるというのは、費用対効果ということを勘案すればいかがなものかなと感じずには私はいられません。
 しかも、練馬区、杉並区民しか、この組合員を除けばこのサービスを二十三区では受けられないという状況。しかも、この省エネ診断員というサービスがあるということを恐らくどれぐらいの都民が知っているんだろうなとすら感じるわけですし、さらに、今診断員が六十五名いるというお話ですけれども、これを一体何人にすれば、より都民にこのサービスを行き渡らせることができるのかというふうにお尋ねすると、そういう目標値は余りないんですというような議論になってくる。目標を二百人にしたらいいのか、三百人にしたらいいのか、そういうことすら、いわゆるその目標値を立てずにこの事業を推し進めているということ自体、いかがなものかなといわざるを得ないわけであります。
 さあ、少し議論を進めますが、この一千三百ウン十万の事業を請け負っているのが、都の監理団体である環境整備公社なんですよね。委託総額が千三百三十万円、その内訳が、統括団体の募集業務などに二百八十万、PR用ホームページやこうしたリーフレット作成業務に四百三十万、先ほど六十五名の省エネ診断員の研修に四百万、あるいは地域家電の研修、家電店への研修業務に百六十万ということになっているんです。
 一方で、その一千三百六十万の予算の中の一つに、こうしたハンドブックをつくるという事業もあります。平成二十一年度はこれを五千部つくって三十万四千五百円の経費と聞いています。安いなと私は感じました。このハンドブック見てみると、イラストや絵がふんだんに取り入れられていますし、先ほど私がずっと申し上げているように、家庭でのちょっとした取り組みがこれぐらいのCO2削減効果につながるんですよと、CO2はこれぐらい下がって、あなた方の電気、水道、ガス代金はこれぐらい削減されますよというような表もあったり、非常にこれは私はわかりやすいなと思った。五千冊に三十万四千五百円。一方、この事業全部に一千三百三十万円。こうしたお金の使い方を見ていると、例えば診断員業務に一千三百三十万円かけるのであれば、これをもっと増刷するとか、いろんなほかに、一千三百三十万円の使い方ってあってしかるべきだと思うわけであります。
 この診断員業務、環境整備公社が請け負っている委託事業ですが、その費用対効果を考えれば、あるいは練馬と杉並の区、組合員を除けば、このサービスを、私、関口も受けることができないというような状況等々を勘案すれば、その事業を全部否定しようとは思いませんけれども、一千三百三十万円のお金の使い方をもっと有効的に、効果的に、より環境エコ意識醸成につなげることができるんじゃないかと。お金の投資先を、使い方を少し--少しじゃなく根本的に、この一千三百三十万円のお金の使い方、税金の使い方を根本的に変えるというような見直し、これが必要じゃないのかなと私は感じますが、局の見解をお尋ねします。

○和賀井都市地球環境部長 一千三百万余りの費用がかかっているというお話ですけれども、先ほど先生からも若干ご紹介がありましたが、この経費の中には、地域の家電店と連携した温暖化の対策の推進、これは省エネ診断員とは直接関係ない事業でございますが、そういうものも含まれております。また、本事業の立ち上げに要した費用も含んでおりますので、その辺はご理解いただければというふうに思っております。
 また、地域が限定されているじゃないかというお話ですけれども、こちらは包括委託をしておりますエネルギー事業者の展開の計画によるものということでございますので、この辺もご理解いただければというふうに思っております。
 なお、本事業については、既に今年度から、より多くのご家庭に対しまして、省エネに関します知見ですとか、あるいは手法を周知できるように、本事業で作成いたしました先ほどのパンフレット、ハンドブックですね、こちらを増刷いたしまして、一般販売を開始するとともに、家庭対策に前向きな区市町村とも連携して都民への内容周知を図るなど、家庭におきますより効果的な削減に向けて取り組んできているところでございます。
 一般のご家庭では、必ずしもCO2排出ですとか省エネに対する知見が豊富ではないため、診断員とフェース・ツー・フェースでコミュニケーションをとって、みずからの家庭に即した個別具体的な省エネに関するアドバイスを受けるということは、単にパンフレットを通してだけの知見にはとどまらない効果があるんじゃないかというふうに考えてございます。
 いずれにいたしましても、都は、本事業にかかわらず省エネ対策、気候変動対策について、事業展開をより効果的にできるよう不断の検討を行ってまいります。

○関口委員 さっきの一千三百三十万円の中には、地域の家電への研修業務もあると。それは、でも一千三百万強のうち百六十万円の話でありますから、お金の使い方としてどうなのかなということを感じるわけでありますし、六十五名の診断員が家庭に出向いて、フェース・ツー・フェースでお話しすることによる効果を、それは私も否定しません。否定しません。でも、それは六十五名で、しかも受けられない地域もあって、それをどう考えているのか見えないわけですよ。しかも、診断員を何名にする目標値すら見えてこない。じゃ、同じ一千三百万強使うんだったら、違う使い方にしたらいいんじゃないかと私は提案をしているわけです、税金ですから。
 しかも、このハンドブックは極めてよくできていると思うんですね。今年度増刷をしたという話もありましたが、昨年二十一年度は五千冊、今年度も五千冊ですから、この分の印刷経費の三十万の予算を一千三百数十万のところからとって、こっちにぐっとふやしたというようなことでもない。こうしたことを考えれば、お金の使い方について、せっかくこれだけ多くの方々が環境局にはいらっしゃるわけですから、優秀な方もたくさんいらっしゃるわけですから、その皆さん方の知恵をもっともっと使っていただいて、お金の使い方を変えて、より効果を上げられるような政策に転換をしていくということが私は必要だなと、今回この決算審議の準備をしていて感じたわけですけれども、この省エネアドバイザー活動事業について、私が申し上げたことについて、局の責任者である局長はどう考えるか、お尋ねしたいと思います。

○大野環境局長 東京都は温暖化対策をいろいろとやっておりまして、一番力を入れているのが、東京で一番排出分のウエートが大きい業務、産業部門でございます。ここは、ご承知のように大規模事業所にはキャップ・アンド・トレードを導入し、中小規模事業所には報告制度を開始したということでございます。
 やはり難しいのは、四分の一ぐらいは家庭部門が占めているわけでございますが、ここはご承知のように六百万世帯ぐらいあるわけですから、なかなかこの六百万世帯を対象に、どういうふうにやったら一番効果的な施策がとれるかということは検討、知恵を要するところだと思います。どう考えましても、東京都が直接この六百万世帯を相手にできるわけはないわけでありまして、そうすると一つのルートは、やはり区市町村と一緒にやっていくというルートが一つ、これは今までもやってきたし、これからもやっていきます。
 もう一つ、我々が工夫をしましたのは、もう一つのルートとして、エネルギー事業者とか生協とか、日常の業務の中で接点を持っている事業者さん、この方々の力を活用できないかというふうに考えたわけです。それを考えて開始をしたのがこの事業ということでございます。これは、こういうエネルギー事業者を統括団体にして家庭に入っていっていただくというのは、日本で初めての取り組みであります。ですから、なかなかまだどういうふうに組んだら本当に効果が上がるという、試行錯誤の点もあります。ですから、なかなか当初我々が思っていたようにはうまくいっていないわけでございますが、しかしそれでも東京都がこの取り組みを開始したことによって、国の方でもコンシェルジュが始まったりとか、それからもう一つのルートである区市町村の方でやってもらうということに関しても、先ほど部長が答弁しましたように取り組みが進められておりますので、そういう意味では十分に、まだまだ件数はいっておりませんけれども、そういう二つのルートを使って、家庭部門というなかなか働きかけが難しい部門に進めていこうという点では、効果が上がってきているのではないかと思っております。
 家庭部門をどうやっていくか、いろいろと知恵も要ると思いますし、必ずしも一つの手法には我々拘泥するつもりはございませんけれども、そういう意味では、必ずしもその件数というだけの意味ではなくて、大きな意味があった事業ではないかと思っております。

○関口委員 六百万世帯へのアプローチの仕方で区市町村を巻き込むのと、もう一つの新たなスキームを考えると、そのことについては私も別に否定しないし、それがより効果的になってくれればいいなと納税者としても感じるわけなんですけれども、平成二十一年度、で二年、四半期の数字を見た段階の途中経過を見て、いろいろ私なりに見つけた課題を提案させていただいて、今後この事業を続けていく、続けていかないはあろうかと思いますけれども、一つの大きな、私の指摘した課題を大いに参考にしていただいて取り組んでいただきたいと思っておりますが、その六百万世帯へのアプローチについての方法で、環境学習について少しお尋ねしたいと思います。
 環境局は、平成二十年度から環境学習に関する小学校教職員向けの研修会を開催しており、平成二十年度は九回、二十一年度は十回と、それぞれ二百名を超える規模であったと聞いております。子どものころからの環境学習がいかに効果的であるのかは多くの方々が認めることでもありますし、環境学習といえば、シンガポールを私は思い浮かべます。私も区議時代にシンガポールに出向きましたが、子どもに対する徹底した環境教育が、国の、地域の環境政策全体の基礎となって、基盤となって、シンガポールのまち並みは、ごみがほとんどないという世界に誇る景観を保っております。東京都も世界に誇る環境都市を標榜していることから、環境教育をどうとらえるのかは極めて重要な議論であると認識をしております。
 しかし、そうした環境局としての教職員向け環境研修会の取り組みが、今年度は前年度に比較して半分以下に縮小されてきておりますが、その理由についてお尋ねします。

○吉村環境政策担当部長 環境局では、学校教育の現場において総合的に環境に関する授業を実施できるリーダー的人材を育成する目的で、小学校の教職員を対象とした環境教育の実践的な研修を平成二十年度から実施してまいりました。研修会の開催回数と参加者の推移は、今少しお話がありましたが、平成二十年度は九回の開催で二百二十七名、二十一年度は十回で二百十一名の教職員の皆様にご参加いただいております。平成二十二年度は、これまで四回研修会を開催いたしまして、百五名の参加をいただいております。
 開催規模のお話ですが、厳しい財政状況の中にありまして、東京都教育委員会が環境カリキュラムを開発したことなど、こうしたことをかんがみまして、より効率的な実施ということで見直したものでございます。

○関口委員 厳しい財政状況も勘案して、回数を十回から四回に減らしたんだという一つの理由が述べられました。そうした財政環境の厳しさを局が痛感をしているのであれば、なおさら先ほどの省エネアドバイザー事業とか、もっともっと効果的な使い方をしていただきたいと補足としてつけ加えておきますが、今環境局として、子どもたちの環境学習について、若干今減らしている状況ですが、子どもたちの環境学習の必要性をどう考えているんですか、お尋ねします。

○吉村環境政策担当部長 地球温暖化を初めとしたさまざまな環境問題の解決のためには、都民一人一人の主体的な取り組みが不可欠でございます。三つ子の魂百までの言葉ではございませんが、とりわけ次代を担う子どもたちの環境問題の現状や課題に対する意識をはぐくむことが重要と考えてございます。そのため学校教育の現場において、教員が地球温暖化の現状などの幅広い知識を習得した上で、環境教育を展開していただくことが必要というふうに認識しております。

○関口委員 環境局として、子どもへの環境教育の必要性は十二分に認識をしているということでありまして、そこはもちろん私も同感であります。長い目で見たときに最も効果が高いのは子どもへの教育であろうと、だれもが考えることであると思います。だからこそ、環境について多くの子どもたちが学べる状況づくりが必要なんです。局が環境学習を真剣に考えるのであれば、例えば現在はプログラムに含まれていない教育庁の教職員向け研修プログラムに、この環境教育という正式な枠をつくってもらって、より多くの教職員が環境学習のノウハウを習得する機会をつくっていく工夫があってしかるべきだと考えます。局と教育庁の連携についての見解をお尋ねします。

○吉村環境政策担当部長 東京都教育委員会では、平成二十一年度に小中学校向けの先ほどご説明しました環境教育カリキュラムを独自に開発し、平成二十一年度末に各学校に配布しております。その後、二十二年度から二十三年度の二カ年にかけまして、都内公立小中学校三校を環境教育実践推進校として指定し、このカリキュラムを活用した教育を現在実施しているところでございます。また、東京都教職員研修センターが実施している専門性向上研修において、人権教育や生活指導、健康教育などとともに、環境教育もテーマとして設定しており、教員の指導力の標準的な底上げを図っております。こうした東京都教育委員会の取り組みは、東京の教育行政をつかさどる役割として、都全体を見据えた教育内容の一定レベルの水準化を図るものというふうに理解しております。
 一方、私ども環境局が実施している研修会事業は、より環境教育に意欲と関心を持つ教員の方々を対象といたしまして、実際に授業を行うこととなる校庭を使用して開催しております。そうした学校の現場において学習手法の先進的な一つを紹介することによりまして、具体的、効果的な手法を実践的に習得することが可能となり、より一層児童がみずから気づき、考え、行動するなどの活動に結びつくものというふうに考えてございます。
 いずれにいたしましても、教職員を対象とした環境教育の研修実施に当たりましては、今後とも東京都教育委員会と連携し、学校における環境学習の充実を図ってまいります。

○関口委員 教職員研修センターが、現在、人権教育や生活指導云々と同じように、社会一般常識について、環境についての研修も行っているというふうなことでありますが、それは社会一般の常識を学ぶというレベルにすぎないとも聞いております。しかも、現在、教育庁がモデル校を指定して環境教育の効果等々をやっているということでありますが、モデル終了後、試行期間が終了後、本格的に環境教育を教育庁が導入していく予定があるのかという確認も含めて、環境局と教育庁の連携強化がさらに必要であろうかと感じます。
 しかも、先ほど六百万世帯へのアプローチという話がありましたけれども、六百万世帯へのアプローチのもう一つの切り口として、例えば小学校、中学校の子どもたちの教育から、ひとつ切り口として入っていくということも大いに効果的に考えられるわけでありまして、そこは教育庁の腰が重いのであれば、環境局が環境教育の重要性をより認識しているのであれば、教育庁を主導するぐらいの、こういう形で環境教育をやったらどうかと、うちにはこれだけノウハウあるよ、しかも六十五名の診断員もいるよというような話をして、どんどん、どんどん引っ張っていくというような取り組みも大いに私は期待をしているところでありますから、今後の環境教育についての環境局の取り組みを注視してまいりたいと思いますので、ぜひとも頑張っていただきたいと思います。
 最後に、緑のムーブメント展開事業についてお尋ねします。
 この緑のムーブメント展開事業というのは、緑の募金を集める目的で行っている事業と聞いております。十八年度か十九年度からスタートして、もう既に六億を超える募金があったと聞いておりますが、その募金を集めていく際にいろんなPRを行います。チラシをつくったり、いろんなPRを行いますが、その一つ、局がホームページを、この緑の募金を集める専用のホームページを局は作成しておりますが、その更新、維持管理費用として、平成二十一年度には約二百二十五万円が計上されております。二百二十五万円、年間そのホームページの運営管理で。いろいろその運営管理について細かく聞いていきますと、更新、新たにこういう人が募金してくれましたよとか、そうした更新が月二回行われると。月二回更新業務、年二十四回の更新業務で、このホームページの維持管理費用に年間二百二十五万円は、私一個人としても高いかなというふうに感じるわけであります。この当該業務の契約状況についてお尋ねします。

○鈴木緑施策推進担当部長 緑の東京募金に広く寄附を募り、都民に緑のムーブメントを起こしていく上で、ホームページは重要な広報手段でございます。このホームページには、今お話のありました月二回の更新業務に加えまして、通常の閲覧のみのホームページにはない、寄附者の利便性を向上させるためのクレジットカード決済機能が付加されております。このほかに、二十一年度は海外向けクレジットカード決済機能、携帯電話閲覧用サイト及び携帯電話用クレジットカード決済機能を新設いたしました。このため、二百二十五万円を支出したものでございます。いずれにしましても、経費につきましては不断の検証が必要でございまして、今後とも契約更新の機会をとらえて縮減に努めてまいります。

○谷村委員長 速記をとめてください。
   〔速記中止〕

○谷村委員長 速記を再開してください。

○関口委員 今、二百二十五万円の中身についての説明がありました。月二回の更新業務、そして、もちろん私もその募金システムは、それは局がオリジナルでつくったシステムじゃなくて、あるところがつくっているシステムをレンタル、お借りしているというような状況も認識をしております。一般的に、私の聞いたところによると、そうしたホームページ維持管理業務については、もう少し安い値段でできるんじゃないかという意見も聞いておりますから、先ほどご答弁にあったように、経営の不断の見直しというのをやっていくんだというご答弁でございましたから、より広いところに、実際どれぐらいなんていう市場調査も含めて、二百二十五万円といっても税金でありますから、一円でも安く同じ業務ができるようなところがあれば、そこと積極的に契約を結んでいくとか、そういう取り組みを大いに期待をしまして、若干時間がオーバーして失礼いたしましたが、私、関口の質問といたします。
 以上です。

○高橋委員 それでは、私の方からは五点、五項目に絞らせていただきまして質問をさせていただきます。
 まず、玉川上水、野火止用水、千川上水などの清流復活関連施設の更新についてお尋ねをいたします。
 私は、快適な水辺環境は、潤いと安らぎを与えてくれる空間として大変重要であると認識しております。しかし、東京では急速な都市化の進展によりまして、湧水の枯渇や河川の流量減少など、良好な水辺環境が減ってきております。東京都は、心の安らぐ水辺環境づくりを目指して、昭和五十九年に野火止用水、昭和六十一年に玉川上水、平成元年に千川上水へ、下水を高度処理した再生水を放流する清流復活事業を実施し、身近に親しめる水辺空間をよみがえらせました。復活した水辺空間は、私の地元であります小平市などの流域住民はもとより、四季折々に水辺を散策される都民など多くの方々に、東京に残された貴重な水辺空間として定着し、長きにわたり喜ばれております。今後とも清流が途絶えることがないよう、施設を適切に管理し事業を運営していくことが必要であると考えております。
 そこで、二点について伺います。
 まず、清流の復活から二十年以上が経過したことから、施設の老朽化が進んでいると考えられます。これらの清流は、貴重な水辺空間として流域の地域住民に定着しており、これを次世代に確実に継承していくためには、施設の適切な管理が不可欠であります。関連施設の更新について、平成二十一年度に約一億円を費やしているようですが、どのような対応をしたのか、まず伺います。

○長谷川自然環境部長 玉川上水等清流復活事業は、流れが途絶えました野火止用水、玉川上水及び千川上水に清流を取り戻し、水辺環境の回復を図る事業でございます。この事業は、環境局と下水道局とが連携いたしまして実施しております。また、老朽化の進んだ施設の整備更新等につきましても、両局で協議を行いながら計画的に対応しております。
 お尋ねの平成二十一年度の実施内容につきましては、流域下水道本部多摩川上流水再生センターから野火止用水、玉川上水及び千川上水に高度処理水を送水するための導水ポンプについて、設置から二十年以上が経過しておりましたため老朽化が進んでいましたので、交換工事を行ったものでございます。

○高橋委員 この玉川上水等清流復活事業は、環境局と下水道局とが施設の更新整備や事業の実施について連携して進めているとのことですが、事業の実施に当たっては、関係する流域自治体や地域住民への配慮が大切であると思います。そこで、今回の施設の更新整備についてどのように対応したのか伺います。

○長谷川自然環境部長 このたびの導水ポンプの交換工事に当たりましては、高度処理水の送水を一時的に停止する必要があったために、下水道局と連携しながら、事前に地域の状況に応じて小平市など流域の自治体に説明をまず行いました。また、住民の方々に不安が生じることがないように十分に周知した上で、送水量を段階的に減らすなど、そこに生息する魚などにも配慮し、工事を実施したところでございます。今後とも都民に潤いと安らぎを与えてくれるこの清流が途絶えることがないよう、関係局及び流域自治体と連携して適切な事業実施に努めてまいります。

○高橋委員 今後とも清流が途絶えることがないよう、関係局及び流域自治体と連携して適切な事業実施に努めていくとのことですが、これらの清流は都民の貴重な水辺空間ですので、確実に次世代に継承してほしいと思います。
 それでは、二項目めに入りたいと思います。次に、多摩地域の緑の保全、保全緑化の公有化についてお尋ねをいたします。
 多摩地域においては、キンランなどの希少植物がある雑木林や里山が多く残されております。また、歴史環境保全地域である玉川上水には、小金井桜のように江戸時代からの歴史を伝える貴重な自然があります。現在、東京都では、こうした良好な自然を保全するため、自然保護条例による保全地域の指定を行っております。私は、この保全地域によって、貴重な緑を将来にわたって残すことができていると考えております。
 ところで、決算説明書の四六ページを見ますと、保全緑地の公有化という取り組みがあります。この公有化の趣旨について改めて伺います。

○長谷川自然環境部長 都では、自然保護条例に基づき、自然の保護と回復を図るため保全地域の指定を行っております。この保全地域においては、良好な自然を守るため、建築物その他の工作物の新築、宅地の造成、木竹の伐採などの行為を制限しております。こうした土地利用の制限の代償といたしまして、相続等があった場合、民有地の所有者の方からの土地買い入れの申し出に対して、都による買い入れを義務づけております。このように、自然豊かな樹林地などを都が買い入れて長期的に保全地域として残し、次世代に伝えていくことが公有化の趣旨でございます。

○高橋委員 自然豊かな樹林地などを東京都が買い入れて長期的に保全地域として残して、次世代に伝えていくことが公有化の趣旨であるということですが、平成二十一年度の公有化予算の執行状況及びこれまでの実績について伺います。

○長谷川自然環境部長 お尋ねの昨年度の保全地域の公有化につきましては、九カ所の保全地域で合計約三ヘクタールを取得いたしまして、決算額は約十二億九千七百万円となっております。また、保全地域の制度が発足いたしました昭和四十七年度から平成二十一年度末までの実績につきましては、保全地域の指定面積が約七百四十八ヘクタール、そのうち公有化されているのは約六百十五ヘクタールでございます。

○高橋委員 ただいま公有化の実績について答弁がありましたが、多摩地域に残された雑木林や里山を保全していくためには、公有化も含めて、保全地域は良好な自然を守っていくために大変有効な仕組みであると思います。この保全地域によって、どのように多摩地域の自然を守っていくのか伺います。

○長谷川自然環境部長 都は、多摩地域の平地部に残されました貴重な緑や歴史的遺産と一体となった自然が存在する玉川上水や野火止用水など、これまで保全地域制度を活用しまして四十七カ所の指定を行っております。指定した後は、ボランティアによる保全管理や、地域の緑の実態をよく知る地元自治体に維持管理をお願いするなど連携を図って、多摩地域の豊かな自然を守る取り組みを進めております。今後とも都は地元自治体と連携しながら、保全地域制度を活用し、武蔵野の面影を残す貴重な雑木林など多摩地域に残る良好な自然を保全してまいります。

○高橋委員 多摩地域の自然を次世代に残していくために、保全地域の活用などを通じて、引き続き良好な緑の保全に取り組んでいただきたいと思います。
 次に、校庭の芝生化事業についてお尋ねをいたします。
 東京都では平成十九年度以降、校庭の芝生化事業を進めております。校庭を芝生化することは、東京を緑あふれる都市へ再生する重要な施策です。またあわせて、子どもたちへの教育効果や外で遊ぶ子どもの増加、学校を核とした地域の連携強化など、さまざまな効果があります。そのため私は、東京都として積極的に取り組むべき施策であると考えております。そこで、これまでの芝生化の実績はどうなっているのか伺います。

○長谷川自然環境部長 校庭の芝生化は、都市の緑化にとって大きな役割が期待できるとともに、校庭で遊ぶ時間が長くなることから、子どもたちの体力向上にも効果を生み出すものと考えております。
 お尋ねのこれまでの校庭芝生化の実績につきましては、平成二十一年度末現在、公立の小中学校百七十五校のほか、都立学校などを含めると三百四十二カ所で合計三十八・四ヘクタールの面積の校庭を芝生化しております。

○高橋委員 平成十九年度以降、校庭の芝生化が進んできていることはわかりましたが、まだまだ多くの公立の小中学校では芝生の校庭とはなっておりません。校庭の芝生化を進めてきましたが、どのような課題があったのか伺います。

○長谷川自然環境部長 芝生化を進める上での課題でございますが、まず都心などを中心に、校庭の面積は狭いが芝生化をしたい、一たん芝生化をしたがさらに芝生の面積を拡大したいといった要望がございました。次に、芝生のよさを実際に体験してみないとわからない、芝刈りなどの維持管理に手間がかかるという声もございました。こうしたさまざまな学校現場のニーズに合わせて、きめ細かく対応することが求められておりました。また、小中学校の校庭は児童生徒の教育施設として、同時に地域の方々の生涯学習のための施設としても利用されております。
 そのため、芝生化に当たりましては、こうした学校現場や地域の方々を初め、学校の教職員、区市町村の教育委員会など、多くの関係者の理解と協力を得ることが必要であるという課題がございました。

○高橋委員 芝生化を進めていくためには、学校現場の状況に応じた対応をしなければならないという課題があることがわかりました。校庭の芝生化は、環境面だけではなく、子どもたちのためにも大変効果の高い施策です。東京都のこれまでの取り組みを踏まえ、昨年度どのように課題解決を図り、芝生化を進めてきたのか伺います。

○長谷川自然環境部長 東京都では、昨年度から公立小中学校の学校現場の要望を踏まえまして、小規模な面積の校庭でも芝生化できるよう面積要件を引き下げるとともに、二度目の芝生化を補助対象にするなど、制度の拡充を図りました。また、芝生を貸し出して芝生のよさを実際に体験していただく芝生出前講座など、新たな取り組みを開始いたしました。これまでにも学校現場へ専門家の派遣や、地域で管理を行う芝生リーダーの養成、それから区市町村や学校関係者の理解を深めていただくための芝生に関する情報提供、芝生化の周知のためのイベント実施などに取り組んでまいりました。
 芝生化した学校では、芝生化していない学校に比べますと、素足で駆け回ったり逆立ちや側転をしたりするなど子どもたちの遊びの種類がふえ、積極的に体を動かす子どもたちが多くなったと聞いております。これからも環境のため、子どもたちのために、学校現場のニーズを的確にとらえて芝生化実現のためのさまざまな施策を継続的に行って、芝生化を着実に進めてまいります。

○高橋委員 昨年度、小規模な面積の校庭でも芝生化ができるように面積要件の緩和や芝生出前講座を実施するなど制度の拡充を図った、そして学校現場への専門家の派遣や芝生リーダーの養成、芝生化の周知のためのイベント実施など取り組みを行ってきたとのことでございますが、校庭芝生化は、環境局としても今後積極的に取り組むべき重点施策だと思いますので、推進方よろしくお願いします。
 次に、都バスへのバイオディーゼル燃料の導入促進事業についてお尋ねをいたします。
 バイオディーゼル燃料の使用時に排出される二酸化炭素は、もともと空気中にあった二酸化炭素を植物が光合成で吸収したものなので、温室効果ガスとして扱わないこととされております。地球温暖化対策の観点からは、バイオディーゼル燃料の利用促進が望まれるものの、植物油脂由来の燃料ならではの課題もあると聞いております。国は、この課題に対応して、平成十九年三月に法律でバイオディーゼル燃料の規格化を行い、規格に合ったバイオディーゼル燃料を五%まで軽油に混入することを認めました。これがいわゆるB5燃料と呼ばれるもので、東京都は規格ができた平成十九年度から平成二十年度まで、都バスの練馬車庫と新宿車庫に所属する六十五台でB5燃料の実証走行を行っております。平成二十一年度における都バスへのバイオディーゼル燃料の導入促進事業の実施状況はどのようなものだったか伺います。

○高橋自動車公害対策部長 バイオディーゼル燃料を五%混入いたしましたいわゆるB5燃料の実証走行は、平成十九年度から二十年度までパーム油を原料としたものを使用しておりましたので、平成二十一年度には廃食用油を原料としたB5燃料を七月から二月までに渋谷車庫に所属する二十四台の都バスに導入し、実証走行を行いました。そして、ことし三月には、過去三年間の成果を踏まえまして、B5燃料を使いこなすノウハウをまとめた、BDF燃料利用に当たってという冊子を取りまとめました。

○高橋委員 法律の規格に従ったものであっても、いわゆるB5燃料を使いこなすためにノウハウが必要であったというのは、国の設けた規格だけでは不十分であったことを都バスでの実証走行を通じて明らかにしたということで、極めて意義深いものと思います。既に平成十九年度の実証走行において、一部のB5燃料が冬季に固まるなどのトラブルがあったと発表されておりますが、ことし三月に取りまとめましたノウハウ集には、そういったトラブルを防ぎ、B5燃料を使いこなすための課題が明らかにされていることと思います。バイオディーゼル燃料を五%混入した、いわゆるB5燃料を使いこなすための主な課題は何だったのか伺います。

○高橋自動車公害対策部長 いわゆるB5燃料ならではのトラブルの原因となる特徴は、主に二つございます。第一は、軽油よりも早く酸化して燃料中に不純物ができてしまうことであり、第二は、寒い時期に固まって燃料詰まりを起こしやすいということでございます。酸化対策といたしましては、燃料タンクへの水の混入の防止が、また燃料詰まり対策といたしましては、燃料の状況に応じた薬剤の添加や日常の車両点検の強化が必要となります。

○高橋委員 ただいまの答弁で、いわゆるB5燃料を使いこなすために、燃料タンクへの水の混入を防ぐことや、寒い時期の車両点検を強化することなどがユーザーにとって重要であることがわかりました。燃料の状態に応じた薬剤の添加というのは、燃料供給事業者じゃないと難しいとは思いますが、信頼できる事業者から購入するということなら、ユーザーにとってもできることと思います。国が定めた規格に適合した燃料を、東京都が明らかにした酸化対策や燃料詰まり対策を行って適切に管理すれば、いわゆるB5燃料は安心して使える燃料だということだと思います。
 しかし、中小規模事業者も多い一般の民間バス事業者にとって、いわゆるB5燃料を使いこなすことは、まだハードルが高いのではないでしょうか。バイオディーゼル燃料の利用が地球温暖化対策の観点からも重要である中で、本格的普及に向けてどのような対策を東京都は進めていくのか伺います。

○高橋自動車公害対策部長 ユーザーに対して特に求められます車両点検の強化につきましては、バス事業者にとって日常業務ではありますが、いわゆるB5燃料を使いこなす上で重要であることを踏まえ、さらなる周知に努めてまいります。
 燃料の状態に応じた薬剤の添加などの対策につきましては、主に燃料供給事業者が中心となって取り組むべき事項であることから、今後とも都のまとめたノウハウを燃料供給事業者に対して特に力を入れて周知し、一般使用者がB5燃料を安心して利用できる環境を整備してまいります。
 なお、今年度につきましては、いわゆるB5燃料と異なり、原料の油を水素化処理した新たなバイオディーゼル燃料を都バスで用いる実証走行をしておりまして、こうした新たな燃料を活用することも含め、今後も幅広くバイオ燃料の普及に向けて取り組んでまいります。

○高橋委員 今後も幅広くバイオ燃料の普及に向けて取り組んでいくという決意がありましたが、地球温暖化対策の観点からも積極的な施策の展開を要望しておきます。
 最後に、平成二十一年度に新たに創設されました地球温暖化対策等推進のための区市町村の取り組み促進制度、いわゆる区市町村補助についてお尋ねをいたします。
 局の説明では、各区市町村においては地域特性を生かしたさまざまな取り組みが展開されたとのことであります。先ほど若干、本事業の目的と取り違えた質問がありましたが、この事業の真の目的は、区市町村においてCO2を単にこの事業のみで減らすということではなく、これを契機として地球温暖化等の取り組みを継続的に根づかせること、取り組みを推進することにあります。この補助制度には、提案プロジェクトと選択メニュー事業とが設定されているということでございますが、区市町村の独自の発想による提案プロジェクトとして特色ある取り組み事例など、平成二十一年度の実績について伺います。

○吉村環境政策担当部長 平成二十一年度の実績でございますが、提案プロジェクトについては二十四自治体が、東京都が補助メニューを示します選択メニュー事業につきましては二十七自治体、重複している部分を除きますと全体で三十八の区市町村、約六割強の自治体にご活用いただきました。
 また、提案プロジェクトにおいて特色ある取り組み事例といたしましては、千代田区と荒川区では自治体側が電気自動車と急速充電器などを用意し、民間事業者と連携して実施するカーシェアリング事業、多摩市では市民団体や大学などと連携して、省エネ相談や省エネモデル事業を実施する家庭におけるCO2削減対策事業、檜原村と奥多摩町では、地域の間伐材を温浴施設のバイオマスボイラーや家庭用ストーブでの燃料、いわゆる木質バイオマスなどとして有効利用するための地域の自然エネルギーの利用促進事業など、こうした事業が挙げられます。

○高橋委員 千代田区、荒川区、多摩市、檜原村、奥多摩町など三十八の区市町村が活用したということでありますが、逆にいえば、一方では、残りの二十四の区市町村では活用されなかったということがいえます。さらには、先ほどの質疑にもありましたが、数字を見てみると、執行率は半分程度という状況です。平成二十一年度にスタートしたばかりの事業でやむを得ない面はありますが、スタートダッシュに出おくれた感は否めません。各区市町村での取り組みが進まない要因は何か、また、それに対して東京都はその後どのように対応しているのか伺います。

○吉村環境政策担当部長 各区市町村での取り組みが進まない要因でございますが、区市町村の担当者へのヒアリングによりますと、各区市町村では地球環境分野での事業構築ノウハウの蓄積がいまだ十分でないこと、また、地球環境分野を担当する職員の育成が追いついていないといったお話がございました。こうした状況を受けまして、東京都といたしましては、私どもが蓄積しておりますノウハウや情報を積極的に提供し、個別に各区市町村の担当者との意見交換や相談などを、私どもの職員が直接区市町村に出向いて、そういったことをしながら、きめ細かく対応させていただいております。また、事業実例を課題として取り上げた勉強会を開催し、積極的な意見交換の場の提供も行って、今後とも区市町村の取り組みを促してまいります。

○高橋委員 各区市町村の事業提案の状況に応じて丁寧に対応されてきたということは、今の答弁でわかりました。私は、提案プロジェクトのような取り組みは、他の自治体に波及して東京都全体のレベルアップにつながるものと考えておりまして、平成二十二年度、二十三年度の積極的な展開に大いに期待をしているところであります。ぜひとも頑張っていただきたいなと思っております。
 最後に、少し厳しい意見をいわせてもらいます。
 本事業は、三カ年の時限事業であり、平成二十三年度で終了するとの説明がありました。各区市町村としては、やっと軌道に乗ったところで東京都からの補助金がなくなってしまうのでは、なかなか取り組みづらいという面は否めないと思います。こうした区市町村における事業の継続性という点で課題があるということを指摘しておきますが、私は、この事業は平成二十一年度から二十三年度までの三カ年の時限事業ではなく、その先も継続して区市町村に支援をすべき事業であると思います。
 以上、私の意見を申し上げまして質問を終わります。

○橘委員 私の方からは、環境関係の研究、それから気候変動の適応状況調査、そして中小規模事業所の温暖化対策、太陽熱の利用拡大の四項目に関して、二十一年度の予算執行を中心に質問いたします。
 まず、東京都環境科学研究所が実施しております環境施策に関する調査研究について質問いたします。
 まず、この二十一年度に実施されました調査研究について、この研究所におかれまして研究した主な研究事業の概要と、それから環境局の施策の中でこの成果がどのように反映され、生かされているのか伺います。

○吉村環境政策担当部長 環境科学研究所は、環境行政と密接に関連した課題を中心に研究に取り組み、これまでもディーゼル規制を実施するために不可欠なDPFの実用化段階の実証を行うなど、都の施策展開を支えてまいりました。平成二十一年度に実施した調査研究を、具体例をご紹介させていただきますと、マテリアルフローに関する研究においては、レアメタルを含む小型家電の排出実態やレアメタルの含有状況を把握いたしました。今後のリサイクルシステムの構築にその調査のデータを活用しているところでございます。
 また、大気中の微小粒子に関する調査研究におきましては、都内における微小粒子状物質、PM二・五の現状把握、発生源の解明や効果的な対応検討のための基礎資料として活用しているところでございます。

○橘委員 今の答弁にありましたレアメタルの小型家電、これに関する排出実態、それを踏まえたリサイクルシステムの構築という、そういう調査を行っているということでございましたけれども、詳しくもうちょっと教えてもらえますか。その実態がどういう現状なのか、そしてどういう対策を講じていくのか、その辺をもう少し詳しく説明をお願いします。

○吉村環境政策担当部長 レアメタルでございますが、希少金属ということで携帯電話とか小さいゲーム機なんかに含有しておりますが、こういったものがどういう機器にどの程度含まれているかということを調べませんと、有効な、効果的なリサイクルのシステムというのが構築できません。その結果を受けまして、東京都では区や市と連携いたしまして携帯電話の回収ルートを実験的につくりまして、その中からレアメタルなどの回収のシステムをつくるための検証実施などをしております。

○橘委員 この研究所が調査研究を実施するに当たって求められるのは、ある程度長期的な研究であるとか、それから継続して調査していくという、そういったことが求められるわけでありまして、民間ではなかなかできないこと、これをやっていくというのがこの研究所の一つの使命であろうかと思います。そういった意味で、これを都民にやはり理解していただく。私、中身をお聞きしましたところ、非常に大事な研究、調査をなさっておりますので、都民に理解をされていくような、そういった取り組みも必要じゃないかと私は感じております。
 まず、今も答弁ございましたけれども、この研究所では、ディーゼル車排出ガス規制の推進に果たした役割は非常に大きいと思います。とかくニュースで伝えられるディーゼル車規制をやったと、現実、成果だけがクローズアップされますけれども、そこまで持っていくためには、この研究機関でやった実証であるとか、そういった研究は非常に大きな役割を果たしたなと私は見ておりまして、大事な部門であると思います。
 ところが、一方でこの調査研究機関というのは、税収が厳しくなりますと、真っ先に予算が削られるという傾向にございます。ところが、決算をずっと見てみますと、この研究の予算というのは、二十一年度もわずかながら伸びておりますし、そしてまた傾向性としてはずっと微増傾向をたどっておりまして、やはりこの予算のつけ方を見ても、環境部門で取り組んでいらっしゃる環境局の見識がこれにも少しあらわれているなと私は評価したいと思います。
 ところで、この都の環境科学研究所は平成十九年度から財団法人東京都環境整備公社に移管されておりまして、財団の特性を生かした運営を行うことが求められているわけでございます。そこで、研究の充実の観点から、具体的にこの財団においてはどのように取り組んでいるのか伺います。

○吉村環境政策担当部長 環境科学研究所では、都民ニーズに応じた研究をこれまで以上に機動的かつ効率的に実施させ、公的試験研究機関としてさらに発展させるため、平成十九年度に東京都から財団法人環境整備公社に移管いたしました。公社が運営するメリットを生かして、大学や民間企業との共同研究も含めまして、年度途中からの外部資金献金を受け入れるなど研究費の拡充、確保に積極的に取り組んでいるところでございます。また人材活用につきましても、任期つき研究員など専門性の高い人材を活用し、さらに効果的に研究を実施してまいります。

○橘委員 この財団になってからのメリットというのは、やはり外との連携が自由に図れるようになったということ、それから研究費の拡充も工夫ができるようになったという、そういった大きなメリットがある。今もそういう答弁がございましたけれども、これを大いに生かしていくべきだと思います。これからの環境行政を考える上で、この研究開発というのは非常に大事な部門になってまいりますので、国に任せるというよりも、地方自治体が推進していく、それに刺激を受けて国がやらなきゃならないという、そういった体制も大事だと思いますので、この予算の充実、研究の人材の確保、こういった面にもさらに力を入れていただきたいことを要望しておきます。
 次に、現在、環境局が進めております気候変動における適応状況調査について質問いたします。
 平成十九年に出されたIPCCの第四次報告書で示されているように、今後、気温上昇は地球全体として避けられない状況になっているという分析がなされておりました。これによって海水面の上昇や猛暑日の増加など、温暖化はさまざまな分野に影響を及ぼすと考えられておりまして、温暖化への適応は非常に重要であると思います。これまで温暖化対策といいますと、いかにCO2の排出を削減するか、それから対策をどう講じるか、対症療法的なものでありましたけれども、これからは今までの緩和策から、今度は適応策、ある程度被害は、また変化はやむを得ない、それに対してどう対応して被害を少なくするのか、そして人間生活への影響を少なくするのか、そういった適応策というのが大事であるというのが、今の世界の潮流となっているようであります。
 そうした状況を踏まえまして、我が党は平成十九年の第四回定例会で、これからは適応策というのが大事であるという観点から提案をいたしまして、特に、水害であるとか感染症であるとか作物への影響であるとか、そういった分野の適応策を東京がまず率先してやるべきじゃないでしょうかと、そういった観点から質問をさせていただきました。そしてまたそれには、各分野にわたっておりますので、ただ単に環境局だけが取り組むんではなくて、その関係する局が都庁全体で連携をとりながらやっていくことが大事だと思いますという提案をさせていただきました。
 そういう観点から、平成二十一年度の決算説明書を見てみますと、気候変動における適応状況調査では五千八百二十万円余の支出を行っておりますけれども、まず、この調査の内容について伺います。

○吉村環境政策担当部長 東京都は、長期的な適応策の検討、実施の基礎資料を得るため、平成二十一年度から二十三年度の三カ年で、国立環境研究所など関係機関と連携して、国の最新の気候変動予測をもとにいたしました将来の東京都への温暖化の影響評価に関する調査を実施しているところでございます。

○橘委員 平成二十一年度の予算がこの調査では二億円であるのに対して、執行額が今申し上げましたように五千八百二十万円余となっております。かなり執行率としては低いわけですが、この理由について伺います。

○吉村環境政策担当部長 二十一年度の予算では、当初、都の単独、単年度の委託事業として、既存の研究成果をもとに気候変動の影響調査を二億円をかけて実施することを想定して、それで二億円の予算となっているところでございます。その後、文部科学省からIPCC第五次報告書に向けた、より精密度の高い気候予測のプロジェクトでございます二十一世紀気候変動予測革新プログラム、こういうのがございまして、こういったことを文部科学省の方で進めておりまして、その成果を東京都の調査に活用してもらいたいというようなお話がございました。こうした革新プログラムを含む国の最新の知見と成果を活用する方が、東京都単独で調査を行うよりも効果的と判断いたしまして、二十一年度の途中の段階で調査体制を変更いたしました。
 具体的には、平成二十一年度から二十三年度の三カ年で、文部科学省、環境省、国土交通省、国立環境研究所、海洋研究開発機構との共同研究を行うこととし、東京都が研究費として国立環境研究所に対し負担金を支出するということにいたしました。二十一年度は三カ年の調査の初年度に当たりまして、気候変動に関する最新の科学的知見の整理や、防災や健康などの分野別の影響評価を行うシミュレーションモデルの開発準備など次年度以降の本格的な影響評価を行えるよう当初の計画を変更したため、予算額を下回る執行額というふうになりました。

○橘委員 この予算額を下回る執行額というのは、これは裏を返せば、国がようやく対策に乗り出したという、そういったことのあらわれであると思います。そういう面で、予算は予定額を下回る執行となったわけですけれども、こういったことが今後は、国が本格的に乗り出してきた、そしてまた新たな適応策も講じ始めてきたという状況になると、東京都が考えている、想定している事業、また研究、こういったものがまた順次変更になっていくこともあると思います。それをとにかく早くキャッチして、執行をしない、下回るということがないように、次から次へと新たな分野を先手、先手で打っていって、執行面で効果的な予算執行をやっていく、そして適応策を充実させていく、適応策が講じられるような研究を進めていくということが大事であろうと思いますので、そういった考え方もこれから十分留意していっていただきたいと思います。
 ところで、この適応状況調査が行われているわけですけれども、今後この成果というのはどのように進めていくのか、この辺について伺いたいと思います。

○吉村環境政策担当部長 今年度は、国立環境研究所など関係機関と連携しながら、気温上昇や降水量の変化など東京都内の気候変動や、水資源、防災、健康など気候変動がもたらす影響を分野ごとに予測するシミュレーションモデルを作成いたします。来年度二十三年度は、作成したモデルを活用いたしましてシミュレーションを行い、気候変動予測とそれに伴う分野別の影響評価を行います。調査の実施に当たりましては、国やそうした関係機関との連携はもとより、カーボンマイナス推進本部のもとに設置されております温暖化適応に関する調査分析チームを活用いたしまして、知事本局及び関係局からの協力も得ながら、東京都一丸となって円滑な調査の実施に努めていきたいというふうに考えてございます。

○橘委員 この温暖化対策については、言葉だけが先行するんではなくて、やはり着実な緩和策と同時に、この適応策というのが着実に実行されていかなければできないと思いますので、これは関心を持ってこれからも見ていきたいと思いますので、よろしくお願いします。
 次に、中小規模事業所の温暖化対策について伺います。
 東京都は、温室効果ガスの排出量を二〇二〇年までに二〇〇〇年比で二五%削減する目標を掲げて取り組みを進めておるわけです。都内には約六十九万の事業所が存在し、業務、産業部門の約六割のCO2を中小規模事業所から排出しているのが実態であります。温暖化対策を効果的に推進するには、この中小規模事業所への対策が重要であることはいうまでもありません。
 このような中で、東京都は平成二十年度から財団法人東京都環境整備公社に東京都地球温暖化防止活動推進センターを設置して、区市町村と連携をしたり、また団体と連携したりして研修会、そういったものをやっておりますけれども、この中で無料の省エネ診断を行うというのが注目されております。この中小規模事業所向けの温暖化対策に関しまして、二十一年度に都が実施した省エネ診断といったような取り組みについて、実施状況と効果について伺います。

○山本環境都市づくり担当部長 昨年度、東京都地球温暖化防止活動推進センターが実施いたしました省エネルギー研修については二十二回でございます。また、省エネ診断につきましては三百八十三件でございます。この省エネルギー診断につきましては、その結果を集計いたしますと、平均で光熱水費の削減額が年間で百七十八万円、CO2の削減量が年間で三十四トン、CO2の削減率につきましては一四・六%という結果になってございます。この三十四トンという削減量につきましては、都内の一般家庭の約十世帯分の年間排出量に相当してございます。このように、中小規模事業所のCO2削減ポテンシャルは大きいものと考えております。
 また、省エネルギー研修につきましては、昨年度区市からのご要望をいただきまして、新たに十の区市で開催をいたしております。また、六つの区市につきましてもご要望いただきまして、年に二回の開催を行ったという状況でございます。

○橘委員 この無料の省エネ診断については、二十一年度の予算執行が十分とはいえないような状況でありましたけれども、どういう課題があったのかという点と、また今後、この省エネ診断を含めて中小規模の事業所対策を一層推進していくためには、二十一年度の予算執行を踏まえましてどのような取り組みをされていくのか伺います。

○山本環境都市づくり担当部長 省エネ診断の普及についての課題でございますが、対象の中小規模事業所の多くは、みずからのエネルギー使用量をしっかりと把握できないため、具体的な省エネルギー行動に結びつくきっかけがないところにございます。そこで、エネルギー使用量を容易に把握でき、温暖化対策のきっかけづくりとなる地球温暖化対策報告書制度を本年四月から開始しております。
 この制度と省エネルギー診断につきましては、東京商工会議所や東京法人会連合会といった中小企業団体がホームページで紹介しております。こうした団体との連携によりまして、今年度の省エネ診断の申し込みにつきましては既に五百五十件を超えて、昨年度の実績を大きく上回っている状況にございます。今後ともこうした関係団体と連携強化を図りまして、中小規模事業所の温暖化対策を積極的に進めてまいります。

○橘委員 この省エネ診断については、テレビで私たまたま見たんですけれども、配管でしたでしょうか、パイプでしたでしょうか、熱を遮断する材料、これが薄いとか、これによって熱が放射されているとか、細かな点でチェックをされているその様子がテレビで放映されまして、私は、なるほど診断というのはこういうふうにやるのかということを映像で拝見いたしました。そのことを、こういうのを東京都で取り組んでいるから大事ですよということで知り合いの中小企業の方に申し上げましたら、うちで取り組んだってたかが知れているだろうと、我が社と地球温暖化とは直接結びつかないという、そういった反応が返ってきました。
 けれども、そうした診断をすることによって、小さな積み重ねではあるけれども、これが大きな大きなCO2排出削減に結びついていく、こういうのを私も感じましたので、どうか事業所の方々にはそういう意義というものを、映像を通しながら、またお話を通しながら徹底していくことが大事かと思いますので、これも力を入れて取り組んでいただきたいと思います。
 最後に、太陽熱の利用拡大について質問いたします。
 東京都は、太陽光発電や太陽熱利用の利用拡大を目指しまして、平成二十一年度から大規模な補助事業を行っております。太陽光発電については、都の取り組み等が功を奏しまして飛躍的な利用拡大につながったと聞いておりますけれども、太陽熱については、平成二十一年度の補助申請件数が百八十二件でありまして、依然として伸び悩んでいるのが現状であるようです。こうした中で、太陽熱利用の促進に関する都の見解を伺います。

○和賀井都市地球環境部長 まず、太陽光発電についてでございますが、都内では機器の導入件数が従来のおよそ五倍に伸びただけでなく、この都の取り組みが契機となりまして全国的にも利用が拡大し、二倍強の伸びを示してございます。都の取り組み実績を見ましても、平成二十一年度は七千四百九十三件と、当初想定していました規模に近い実績を上げているのが現状でございます。
 一方、ご質問の太陽熱機器は市場が低迷しておりまして、補助制度を導入しました平成二十一年度においても申請数が伸び悩んでございます。太陽熱の利用は太陽光発電と比べ認知度が低く、これまでのところ技術開発や価格低下が進まないことなどを背景に、新たな需要拡大に結びついてこなかったのが現状でございます。
 しかしながら、太陽熱機器はエネルギー変換効率が太陽光発電よりも約三倍程度高く、都内の小さな屋根にも設置可能であるため、家庭におけますCO2削減に有効な設備だと考えてございます。最近では、エネルギー事業者や機器メーカーの技術開発も積極的になりまして、エネルギー事業者を中心としましたソーラーエネルギー利用推進フォーラムの設立、太陽熱利用の普及に向けた具体的な取り組みも進んでございます。
 また、都は、大規模建築物の新築に当たりまして、事業者へ太陽エネルギーの導入検討義務を課すとともに、国に対しても昨年度から本格的な補助制度の創設を提案してまいりました。さらに、都有施設の新築、改修におきましても、優先して太陽熱機器を導入する指針も定めておりまして、本年度も環境科学研究所や駐在所への導入が進められているところでございます。都は、こうした率先的な取り組み等によりまして太陽熱利用の認知度を高め、太陽熱普及に向けた取り組みを継続的に進めてまいります。

○橘委員 太陽熱利用の認知度を高める、これがやっぱりこれからのポイントになるかと思いますので、これをきちっと推進する施策を具体的にしていただきたいということを要望いたしまして、質問を終わります。

○谷村委員長 この際、議事の都合によりおおむね十分間休憩いたします。
   午後二時四十二分休憩

   午後二時五十五分開議

○谷村委員長 休憩前に引き続き分科会を開きます。
 質疑を続行いたします。
 発言を願います。

○山内委員 それでは、私からも三点ほどお伺いさせていただきます。
 まず、リスクコミュニケーションに関連いたしましてお伺いいたします。
 私たちの日常生活は、人間がつくり出した化学物質抜きには考えられなくなってきております。しかし、化学物質は便利な生活を支える一方で、時には健康や生態系に有害な影響を及ぼすことも事実です。ことし八月に内閣府が公表いたしました身近にある化学物質に関する世論調査では、化学物質という言葉の印象について、危ないものと回答した人が六九・七%、農薬、殺虫剤、防虫剤などに含まれている化学物質に関心があると答えた人が六一・九%、乾電池や蛍光灯などの有害な化学物質を含むごみをなるべく分別して捨てていると答えた人が五九%となっておりました。日常生活で消費、使用している生活用品に含まれている化学物質の有害性や、どのような化学物質が含まれているのかに関心の高さがうかがわれております。市民は、便利な生活と環境リスクは表裏一体であり、そのリスクを日常的、恒常的に背負っていることに気づいているし、知りたいとも思っているのです。
 これまで環境リスクは、事故や紛争が起きたときなどにクローズアップされてまいりました。市民の関心や疑問を受けて、事故や紛争のあるなしにかかわらず、日常的に市民と事業者と行政がリスクについて議論をする場が重要だと考えます。東京都では、五、六年前から毎年リスクコミュニケーション推進セミナー等を開催し、十九年度からは実際にモデル事業を始めました。セミナー等を重ねて実際にモデル事業を開始したことは、評価したいと思います。そこで、幾つか質問をさせていただきたいと思います。
 東京都では、十九年度から日野市を対象にリスクコミュニケーション推進地域モデル事業を行ってきましたが、都がモデル事業を始めた意義と、対象地域として日野市を選定した理由についてお伺いいたします。

○中村環境改善技術担当部長 化学物質による環境リスクを低減するためには、化学物質に関する正確な情報を事業者、住民、行政が共有し、相互に意思疎通を図り、化学物質の環境への排出を抑制していく取り組みが重要でございます。このため都は、専門家等で構成する化学物質対策検討会での検討結果などを踏まえまして、都内のさまざまな地域で活用できるモデルを構築するために、リスクコミュニケーション推進地域モデル事業を行うことといたしまして、平成十九年度から日野市の一部地域で実施いたしました。
 対象地域につきましては、モデル事業を円滑に進められるよう、その地域の事業者が住民との対話の実績があることや、住民による環境配慮の活動が進められている地域であることなどを考慮して検討を進めまして、地元自治体の協力参加が得られたことから、日野市の一部地域を選定したものでございます。

○山内委員 日野市におけるモデル事業は、二十一年度で一通り終了したと聞いております。モデル事業の実施結果と、そこで得られた課題についてお伺いします。

○中村環境改善技術担当部長 日野市におけるモデル事業では、地域の大気環境の調査や、事業者、住民別に事前の学習会などを行った後、事業者と住民、行政などが集まりまして意見交換を行っております。これらにより、化学物質による環境リスク等につきまして共通の認識を持つなど一定の成果を得ることができたと考えております。
 このモデル事業を通じて得られた課題といたしましては、地域の住民に対して、使用している化学物質に関する情報提供の経験のない事業者の不安を取り除く必要があることや、参加する住民の方々の化学物質に関する理解を深め、皆さんが議論の輪に加われるようにする必要があることなどがわかっております。

○山内委員 日野市のモデル事業で得られた結果をどのような形で現在の事業展開へとつなげているのか、見解をお伺いいたします。

○中村環境改善技術担当部長 日野市におけるモデル事業で得られた課題を踏まえまして、現在進めておりますモデル事業では、事業者向け学習会の中で、地域住民とのコミュニケーションのとり方につきまして事例研究を行うこととするとともに、住民向け学習会の内容をさらにわかりやすいものに工夫することとしております。このように、これまで得られたノウハウを有効に活用しながら、モデル事業を進めているところでございます。

○山内委員 リスクコミュニケーションは、一般市民や事業者にとって、とても地味で微妙だと思います。リスクに対して意見交換し、合意形成を図ることは非常に難しいことですが、都の取り組みについては評価するものです。都はもっと現場に向き合って、情報公開のもと真摯に現場の声を拾い、根気よく丁寧にリスクコミュニケーションを図っていただきたいと思います。日野市のモデル事業については、今後、日野市民のリスクコミュニケーションの芽をさらに伸ばすとともに、また、ほかの自治体にもこの取り組みを進めるように要望いたします。
 次に、太陽エネルギーの飛躍的な利用拡大についてお伺いしたいと思います。
 東京都は、太陽光発電及び太陽熱利用を、家庭部門において特にポテンシャルの高い再生可能エネルギーと位置づけています。太陽エネルギー導入拡大プロジェクトを推進し、二十年度から二十二年度までの三カ年のアクションプランをつくり、二十一年度は二万世帯を目標としておりました。そこで、太陽エネルギーの飛躍的な利用拡大に向けた二十一年度の太陽光発電と太陽熱利用の補助申請数をお伺いいたします。

○和賀井都市地球環境部長 二十一年度の申請受け付け数は、太陽光発電機器が七千四百九十三件、太陽熱利用機器が百八十二件となってございます。

○山内委員 環境局が普及に対して積極的なことは伺っておりますが、残念ながら目標の二万件には及ばなかったと思います。自宅への設置を考えている方から、実際に補助金がおりるまで時間がかかるのでちゅうちょしているという話も聞きます。補助金交付までにかかる時間のことも、消費者にとって二の足を踏ませている要因のように思います。申請受け付けから補助金交付まで多くの時間を要するのはなぜかお伺いいたします。

○和賀井都市地球環境部長 都の補助事業は、単に補助金を交付するだけではなく、家庭で自家消費されます太陽エネルギーの環境価値を十年間にわたり都が譲り受けることを条件に交付しているものでございます。東京都地球温暖化防止活動推進センターが設置者から補助申請を受け付け、書類審査と並行して環境価値の認証等に係る申請手続も行ってございます。環境価値の認証を受け付けております国の外郭団体であるグリーンエネルギー認証センターは、こうした申請案件の一つ一つについて、環境価値を生み出すに適した設備が導入されていることの確認を行ってございます。このグリーンエネルギー認証センターの平成二十一年度の取扱件数が、前年の平成二十年度と比べまして都の補助事業分が加わったことで約六倍程度に増加しまして、これらの審査に時間を要することから、補助金交付にも一定の時間を要しているものと考えております。

○山内委員 太陽光発電は、今やしゅんともいえるのか、各メーカーがこぞってPRをしております。すべて電気として使用でき、また、買い取り制度の導入で余った電気を買い取ってもらうことができるようになったため、とてもお買い得感、お得感があるのだろうと思います。
 それに比べまして太陽熱利用は地味なのか、百八十二件と寂しい数字です。昔は、夏、たらいを路地や庭先のひなたに出しておいて、水を温めて行水をするという光景もありました。幼児用のプールの水を温めるのも太陽熱の利用の一つで、単純で親しみのあるものだと私は思っております。家計という視点から見ても、家庭における光熱費の支出額の三分の一を給湯が占めるという報告もありますし、太陽熱利用はもっと伸びてもいいはずだと思います。そこで、太陽熱利用システムの伸びが停滞していることに対する東京都の見解をお伺いします。

○和賀井都市地球環境部長 太陽光発電につきましては、先ほどお答えしましたとおり、おおむね想定していました件数に近づいてきており、都の取り組みを契機として、全国的にも利用が拡大してきているところでございます。
 一方、太陽熱利用機器は依然として認知度が低く、設置が進んでいないのが現状でございます。しかしながら、狭小住宅が多い東京では、太陽光発電よりも太陽熱利用システムの方が導入しやすいという利点もある上、太陽熱利用機器はエネルギー変換効率が高く、普遍的に存在します再生可能エネルギーとして、家庭におけるCO2削減に関し大きなポテンシャルを秘めていると考えております。

○山内委員 東京の戸建て住宅には太陽熱利用の方が導入しやすいとのことですけれども、太陽熱利用システムを拡大するためにはどのような方策を実施しているのでしょうか。

○和賀井都市地球環境部長 都は、区市町村や関連企業と連携しました太陽エネルギー見本市を開催するとともに、各種セミナーなどあらゆる機会を通じて、太陽熱利用の有効性や補助制度等の周知を図っております。見本市は、都民に太陽エネルギー利用機器についての理解を深めていただく上で効果的でございまして、平成二十一年度は延べ三十五回開催し、今年度もそれ以上の開催を予定してございます。こうした普及啓発等の取り組みによりまして太陽熱機器の認知度を高め、太陽熱利用拡大を進めてまいります。

○山内委員 周知を図っていくとのことですが、単に、太陽熱利用はエネルギー変換効率が高く、設備費用が比較的安価で費用対効果の面でも有効といわれても、消費者には理解しにくいところがあります。
 例えば太陽光発電を設置する場合と太陽熱利用を設置する場合の設置費用、補助金の違い、設置面積の違い、設置後の環境負荷削減効果、メリット、デメリット等を消費者が比較検討できるような工夫をしていただけると、自分の家の経済状況や立地条件に合わせて選ぶことができ、もっと利用が進むのではないかと考えます。また、福祉施設などの熱需要の多い施設に太陽熱利用を促進していくように働きかけていただきたいと思います。
 それでは最後に、大型鳥獣であるツキノワグマとニホンジカの生息状況などと自然についてお伺いしたいと思います。
 現在、名古屋市で生物多様性条約第十回締約国会議が開催されまして、生き物や生態系に対する関心が高まっています。東京の奥多摩にもツキノワグマやニホンジカなど大型な野生動物が生息しています。ツキノワグマは、本年公表された東京都レッドリストに絶滅危惧Ⅰ類に指定されていて、保護が求められています。
 しかし、このところニュースをにぎわしているように、全国的にツキノワグマが人里におりてきて人を襲う事件が多く発生しております。ツキノワグマのえさとなるドングリが少ないために、えさを求めて里におりてきているともいわれております。他方、ニホンジカがふえ過ぎ、食害により生態系が乱されたり、土砂の流出などが起きてもいます。
 こうした現象は、自然環境の変化だけでなく、例えば入山した際に食べ物を放置し、クマがその味を覚えて、人間はおいしいものを持っていると学習し、クマが人を襲い、田畑を荒らす事態を招いたのではないか。あるいは、人工林による広葉樹林の消失なども動物の生育環境の変化に影響を与えていると考えられます。生態系のバランスが維持され、野生動物と人間が共存できる施策が必要だと思います。
 東京都では、平成二十一年度にツキノワグマ生息調査を実施したと聞いております。また、平成二十年の環境基本計画では、ツキノワグマについて、今後、生息状況の実態把握に努めるとともに、当面の狩猟捕獲を禁止するとあり、既にツキノワグマは禁猟だそうです。そこで、これまでのツキノワグマに関する取り組みと現在の生息状況についてお伺いいたします。

○長谷川自然環境部長 都では、平成二十年四月一日から、これまで狩猟可能であったツキノワグマについて、絶滅の危機を早急に回復するため捕獲禁止にいたしました。捕獲禁止にはしておりますけれども、人間の生命、安全を第一に考えておりますので、人間を襲ったクマや襲うおそれのあるクマについては、有害鳥獣として捕獲の許可を市町村に出しており、必要があれば捕獲もできるようにしております。この有害鳥獣の捕獲実績につきましては、昨年はゼロですが、ことしはこれまでに二頭でございます。また、クマの生息状況については、生息状況調査と有害捕獲の実績などから数十頭であると推測しております。

○山内委員 推測とはいえ数十頭というお答えに、驚きとともに、まだ森は生きていると少しほっといたしました。
 次に、ツキノワグマに次ぐ大型動物であるニホンジカについて伺います。
 平成二十一年度もシカ被害対策についてさまざまな取り組みが行われたと聞いております。また、環境基本計画には、ニホンジカの保護管理として、その生息数を適正にコントロールする必要があるとありますけれども、どんな取り組みを行ったのか伺います。

○長谷川自然環境部長 都では、人間とシカが共存できる豊かな森づくりを目指し、シカ保護管理計画に基づき、捕獲を初めとするさまざまな対策を講じております。その結果、シカ保護管理計画を初めて策定いたしました平成十七年に比べると、シカの個体数は減少傾向にございます。科学的、計画的な保護管理の強化を図る観点からシカ保護管理計画を策定し、著しく増加したシカの捕獲とともに、植物の生息状況を把握する植生調査などのモニタリング調査を実施しております。このモニタリング調査や捕獲の結果等を踏まえまして適正な捕獲目標数を定め、シカを捕獲し過ぎないようにしております。

○山内委員 日本列島のゾーニングに、奥山、里山、人里という区域分けがあります。この三つのゾーニングですみ分け、食い分けをしていくことが、生物がともに生きるための原点なのだそうです。人間は里で暮らし、里山という緩衝地帯を置いたために、動物たちは奥山に閉じこもっていれば安心、里山に出ると危ないよということを知っていて、それで共生が成り立っていたというのです。
 しかし、人間の開発の雑さが自然環境の変化等を引き起こし、すみ分け、食い分けのバランスをゆがめてきてしまいました。しかも里山も放置され、荒廃して、野生生物が暮らす森と人里とを隔てる緩衝帯の役割を果たせなくなってきてしまいました。そのために、クマの出没やシカの食害が起きているとも考えられます。環境基本計画の自然の生態系を守るというところには、ツキノワグマは個体数の減少が危惧されていることからとか、シカの生息数が著しく増加しと書かれておりますが、そうなってしまった原因にもっと踏み込んで、自然の森の再生を進めていただきたいと要望いたしまして、私の質問を終わらせていただきます。

○たきぐち委員 私からは、大きく二点にわたりまして質問させていただきます。
 環境確保条例におきまして、平成十五年十月にディーゼル車規制を開始して以来、都は運送事業者に対して、車両の購入に当たっての融資あっせんなどさまざまな支援策を実施し、規制への対応を促進してきました。今回の決算書にある粒子状物質減少装置の装着促進もその方策であり、現在、都内登録のディーゼル貨物自動車の多くがこの補助によって対応を図ってきました。この補助制度は今年度で終了すると伺っていますが、装置の装着促進補助について平成二十一年度の実績と、制度開始以来補助を行った台数の累計について伺います。

○高橋自動車公害対策部長 本補助制度は、ディーゼル車規制の開始に先立ち平成十三年度から実施しているものでございます。平成二十一年度の補助実績は四千百五十七台でございまして、平成十三年度の補助制度開始以来、平成二十一年度までの累計の補助実績は約八万台でした。

○たきぐち委員 累計の補助実績が約八万台ということでございました。都の補助と事業者の努力が相まって、都内の登録車両の多くが規制に対応し、その結果、粒子状物質は、都内のどの測定地点においても五年連続で環境基準を達成しており、都内の大気環境の改善に一定の効果があったものと認識をしております。
 ただ、これまでの環境基準は、粒径が十マイクロメートル以下のSPMが対象であり、粒径二・五マイクロメートル以下の微小粒子状物質、PM二・五は対象となっておりません。PM二・五は、呼吸時に気管を通り抜けて気管支や肺まで達することから、肺がんや循環器疾患の原因になるとされており、欧米と比べて日本における対応のおくれが指摘をされてきましたが、昨年の九月、環境省は欧米と同レベルの環境基準を設定し、総合対策費も盛り込まれたところでございます。都では、このPM二・五に関しては、大気中の測定や発生源調査等を行いながら、今後の方向性を検討していると聞いておりますが、大気環境のさらなる改善に向けて、施策を講じていただきたいと思います。
 さて、地球温暖化を防止するため、運輸部門におけるCO2の削減が求められています。都は、二〇二〇年までにCO2排出量を二〇〇〇年比で二五%削減する目標を掲げており、運輸部門においては、二〇〇〇年比四〇%程度の削減を目指しています。しかし、運輸部門においてCO2を削減していくことは容易なことではなく、運送業など事業者の協力が不可欠であり、車両の買いかえなどの支援を実施していく必要があると考えております。そこで、低公害、低燃費な車両への代替を促進するため、今まで実施してきた主な支援策は何か伺います。

○高橋自動車公害対策部長 中小企業者を対象として、従来から低公害車に対する融資あっせんを行ってまいりましたが、平成二十年度から新たに低燃費車についても融資あっせんの対象とし、利子補給や信用保証料の補助を行ってきました。また、路線バス事業者に対してはCNGバスの購入補助などを行ってまいりましたが、平成二十年度からは新たにハイブリッドバスを購入する際の経費の一部補助制度を設けております。

○たきぐち委員 今ご答弁にありました支援策、融資あっせんや購入補助、これの二十一年度実績について、事業者数と台数について伺います。また、CNGバスについては、特にコミュニティバスへの補助がどれぐらいあったのか伺います。

○高橋自動車公害対策部長 平成二十一年度の支援策の実績でございます。融資あっせんにつきましては七十一事業者、百台でした。CNGバスへの補助につきましては一事業者、七台であり、結果としましてすべてコミュニティバスでした。ハイブリッドバスへの補助につきましては三事業者、四十六台でございました。

○たきぐち委員 事業者にとりましては、厳しい経済情勢下で経営判断をしていくわけでありますが、CNGバスへの融資については、結果的にすべてがコミュニティバスということでありました。最近、基礎自治体でコミュニティバスの導入が進んでおりまして、事業者の同じ自治体間では、運行の連携も図られているところでもあります。私の地元の荒川区でも、平成十七年にコミュニティバス「さくら」の運行が開始をされ、二十年度には二つ目の路線が開通をし、さらに路線拡大への要望が区民から高まっているという状況でございます。こうしたコミュニティバスは、地域の足としてだけでなく、地域振興や福祉の観点など、さらなる活用が期待をされておりまして、引き続きの支援をお願いしたいと思います。
 また、自動車メーカーも電気自動車やプラグインハイブリッド車など次世代自動車の技術開発と実用化に努めています。今後は、貨物自動車だけでなく、次世代自動車の買いかえ促進につながる支援策が重要です。経済動向と技術開発や市場化の動向を見ながら、適切な支援策を講じることを都に対して要望をいたします。
 運輸部門におけるCO2削減には、低燃費な車を普及させるのと同様に、低燃費な運転であるエコドライブの普及も大切です。二十一年度決算では、エコドライブの普及啓発及び映像記録型エコドライブ支援機器導入のために約一億円の補助を実施しています。エコドライブ講習で指導している、ある運送会社の方の話では、アイドリングストップや五秒間で時速二十キロメートルにゆっくり発進するゆっくり発進によって、燃料消費の抑制がデータに示されるということでございます。事業者においては、コスト削減のために会社を挙げてエコドライブに取り組む動きがありますが、個人の取り組みとしてのエコドライブを普及するにはまだ時間がかかると考えております。そこで、エコドライブに向けて、事業者と個人のそれぞれに対して行った取り組みの内容と実績及び効果はどのようなものだったのか、また今後、どのような取り組みを行っていくのか伺います。

○高橋自動車公害対策部長 エコドライブに関してでございますが、まず事業者に対しては、平成十九年度から映像記録型エコドライブ支援機器の導入補助を行いまして、平成二十一年度には二千余台の導入実績がございました。次に個人に対しましては、区市町村が実施するエコドライブ講習会の運営などの支援を行い、平成二十一年度は十区市で二百五名の受講がありました。またこれに関し、都は、東京都エコドライブインストラクター用の指導マニュアルを作成して指導者の育成を進めるとともに、受講者用のテキストを作成し、配布いたしました。今後、事業者に対しましては、社内普及用の教育ツールを作成、配布し、また個人に対しましては、区市町村が実施するエコドライブ講習会の運営の支援を行ってまいります。

○たきぐち委員 ドライバーの意識を変えるには時間がかかると思いますが、区市町村と連携を図りながら、地道に、そして効果的に普及促進を図っていただきたいと思います。運輸部門におけるCO2削減に向けた低燃費な車と低燃費な運転に関する取り組みを伺いました。
 そこで最後に、低CO2なバイオ燃料について言及をしたいと思います。
 個人向けには、都内で幾つかのガソリンスタンドでバイオガソリンが販売されていますが、トラックやバス向けのバイオディーゼル燃料は一般には市販をされていません。バイオディーゼル燃料の普及に向けては、まだ多くの課題が残っていると思いますが、平成二十一年度には、これに関して廃食用油回収システム等に関する調査、検討を行っています。そこで、この調査、検討では、どのような調査を行い、どのような効果が、結果が得られたのか伺います。

○高橋自動車公害対策部長 バイオディーゼル燃料の原料として廃食用油等の都市の未利用エネルギーが期待されますが、本調査では普及に必要な量の原料調達に関する調査を行いました。その結果、一カ所で安定的に大量の回収が可能な事業系の廃食用油につきましては既にリサイクルルートが確立していること、リサイクルルートが未確立な一般家庭からの廃食用油については、一部の区市町村の取り組みが見られるものの、回収量を十分に確保するためには回収ルートの再構築が必要なことなどの課題があることが明らかになりました。

○たきぐち委員 バイオディーゼル燃料に関しましては、先ほどのご答弁でも品質の問題や回収ルートの再構築など課題があるということです。加えて、軽油引取税の課税対象となるか否かといった問題もあるかと思います。今後も課題の解決に向けて取り組んでいただきたいと要望して、次の質問に移ります。
 校庭の芝生化について伺います。先ほども校庭の芝生化につきましては質疑がありましたので、重複をしないように具体的な取り組みについて伺いたいと思います。
 校庭の芝生化は、「十年後の東京」実行プログラムにも位置づけられており、校庭の芝生化三百ヘクタールを含む一千ヘクタールの緑創出に向けた取り組みを、全庁を挙げて着実に実施していくと掲げられています。しかし、先ほどの質疑にもありましたように、平成十九年度以降、都内の小中学校で芝生化が行われ、都としては推進はしているものの、なかなか実績が上がっていない現状にあると認識をしております。
 私の地元荒川区でも、小学校二十三校のうち七校で芝生化が行われておりますが、芝生にすると草刈りや肥料まきなど手間がかかることに加えて、養生期間が必要なことから、その間は校庭を使用できなくなることを懸念する声が強くあります。芝生化を進めるためには、こうした地域の方々や学校現場の心配を払拭し、芝生のよさに理解を求めていくことが大切だと考えますが、これまで都として、芝生化に対する地域や学校現場の声に対してどのように対応してきたのか伺います。

○長谷川自然環境部長 都では、芝生化の推進に当たり学校現場や都民の方々からさまざまな意見を聞いております。こうした意見につきましては、芝生の専門家である校庭グリーンキーパーを学校現場に派遣し、個別のアドバイスを行ってまいりました。また、ご指摘の養生期間につきましては、これを設けないと芝生が部分的に摩耗してしまうので、常に細かな補修を行うなどの管理上の工夫や、全面的な芝生化ではなく、部分的に芝生化をして、常に子どもたちが運動できる場所を確保するといった施工事例の紹介などを行ってまいりました。また、保護者や地域の方々を対象として芝生リーダーを養成するため、維持管理講習会を実施し、芝刈りや肥料のまき方について簡便にできる方法などを伝えてまいりました。

○たきぐち委員 ただいま校庭グリーンキーパーを学校現場に派遣しているという答弁でありましたが、二十一年度の活動実績はどうであったのか伺います。

○長谷川自然環境部長 都では、芝生の管理経験が五年以上ある維持管理に精通した専門家を校庭グリーンキーパーとして各学校に派遣しております。二十一年度は二十一名の方が延べ七十七回、学校現場に出向いて活動しておられます。

○たきぐち委員 保護者などを対象とした芝生リーダーの養成については、具体的にどのような活動をされたのか伺います。

○長谷川自然環境部長 都では、芝生にかかわる保護者や地域住民、教員などの方が芝生リーダーとなり、維持管理が適切にできるように講習会を実施しております。二十一年度は講習会を二十五回開催し、延べ七百十四人の方が参加していただきました。

○たきぐち委員 校庭グリーンキーパーの派遣や芝生リーダー養成の実績についてお答えいただきましたが、芝生の施工方法の工夫や維持管理方法についての地域の方々や学校現場の声にきめ細かく対応し、実際に芝生化が促進されるような取り組みを求めたいと思います。
 また、こうした個別の相談事例や実際に現場で行われている先進的な取り組みを広くほかの学校や区市町村に普及させていくことも重要です。これまで区市町村や学校現場に対して、既に芝生化した学校現場での先進事例をどのように普及させてきたのか伺います。

○長谷川自然環境部長 芝生化を推進するために、先進的な芝生施工の事例や維持管理方法を区市町村や学校現場に普及させていくことが重要でございます。このため昨年度から、校庭の利用状況に応じた芝生化の事例や維持管理の工夫事例などを取りまとめ、ホームページやニュースレターなどで区市町村や学校現場に紹介してまいりました。

○たきぐち委員 校庭の芝生化について何点か伺いましたが、冒頭申し上げたとおり、実績が思うように上がっていないのが現状だと考えます。「十年後の東京」プログラムでは、二十二年度から三年間で三百三十の小中学校の校庭を芝生化するとしておりますが、二十一年度末までの実績は百七十五校となっております。また、面積ベースでは、公立小中学校に加えて都立学校や幼稚園、私立学校、保育所を合わせて六十五ヘクタールを芝生化する目標に対して、二十一年度末では合計三十八・四ヘクタールにとどまっております。このような現状を踏まえて、今後どのようにして目標達成に向けて取り組んでいくのか伺います。

○長谷川自然環境部長 都は、都市の緑化を進めるとともに、子どもたちが体を動かせる環境を創出するために校庭の芝生化を推進しております。芝生化をさらに進めていく上では、地域や学校現場の意見や要望にきめ細かく対応していくことが必要でございます。そのためには、芝生の日常的な維持管理に携わっていただく保護者や地域の方々など多くの関係者の理解と協力が不可欠でございます。今後とも地域や学校を支援するための取り組みを継続的に行い、芝生化を着実に進めてまいります。

○たきぐち委員 一時、鳥取方式というのが注目をされました。この提唱者のNPO法人代表のニール・スミスさんという方は、一に芝刈り、二に芝刈り、三、四がなくて、五に水やりというように、維持管理の重要性を説いています。都の芝生化事業には、専門的な維持管理を業者に委託する場合は、三年間二分の一の補助を含んでおります。維持管理コストについては、その現場現場の状況によって一概にいうことはできないかと思いますが、一千八百平米規模の芝生化で年間二百万円程度というデータもあります。これは各学校の負担となるわけです。
 私の地元でも、昨年芝生を導入した学校がありますが、養生期間に校庭が使用できないと困るという地域、学校の声があり、校庭の両サイドのみの芝生化にとどまりました。先ほどの質疑の答弁の中で、芝生化の効果として、校庭で遊ぶ時間が長くなるという答弁がありましたが、養生期間にグラウンドが使えない時期があると、一年間トータルでは遊ぶ時間がふえたことにはならないわけであります。このことを地域や学校の関係者の方は心配をされている、その認識をぜひ持っていただきたいと思います。
 踏圧、子どもたちが足で踏む圧力、これが強ければ養生は必ず必要となります。鳥取方式では、児童一人当たり十五平米の広さがなければ導入は難しいということで、東京ではその面積を確保することはできません。こうした校庭の広さも芝生化導入の大きなハードルになっているともいえるかと思います。
 校庭芝生化事業は、都内にある公立小中学校約二千校すべてに導入したいと、石原都知事肝いりで始まった事業だと思います。芝生は、けが防止という安全性や、草花のにおいを感じたり生き物への気持ちを涵養したりという情操教育など、導入によるメリットの高さは私も認識をしております。芝生があると、子どもは自然にそこに寝転がって遊んでいる光景も目にしたことがあります。
 しかし、補助率十分の十の事業で毎年二十億円の予算を計上しているにもかかわらず、執行率が半分以下にとどまっていることから、事業推進に当たっては、さらなる知恵と工夫が必要であることは明らかであります。維持管理の課題や養生期間を短くするための品種や方策の研究に本気で取り組んでいただきたいとお願いをするとともに、ただ件数を上げるとか、予算があるから条件緩和をして実績をつくろうというのではなくて、子どもたちのための芝生化であるという本来の目的を見失わないよう、東京の学校の実態に即した政策目標に向けて取り組んでいただくことを要望いたしまして、質問を終わります。

○谷村委員長 ほかにご発言はございませんか。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕

○谷村委員長 発言がないようでしたら、お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○谷村委員長 異議なしと認め、本件に対する質疑は終了いたしました。
 以上で環境局関係を終わります。
 これをもちまして本日の分科会を閉会いたします。
   午後三時三十六分散会

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