委員長 | 興津 秀憲君 |
副委員長 | 鈴木 隆道君 |
副委員長 | 中村ひろし君 |
遠藤 守君 | |
きたしろ勝彦君 | |
淺野 克彦君 | |
松葉多美子君 | |
三宅 正彦君 | |
たぞえ民夫君 | |
馬場 裕子君 |
欠席委員 なし
出席説明員会計管理局 | 局長 | 新田 洋平君 |
管理部長 | 安藤 弘志君 | |
警察・消防出納部長 | 稲田 正純君 | |
会計制度担当部長 | 佐藤 敦君 | |
青少年・治安対策本部 | 本部長 | 倉田 潤君 |
総合対策部長 | 産形 稔君 | |
青少年対策担当部長 | 浅川 英夫君 | |
治安対策担当部長 | 伊東みどり君 | |
財務局 | 局長 | 安藤 立美君 |
経理部長 | 藤原 正久君 | |
契約調整担当部長 | 奥田 信之君 | |
主計部長 | 長谷川 明君 | |
調整担当部長 | 関 雅広君 | |
財産運用部長 | 松本 泰之君 | |
利活用調整担当部長 | 岩瀬 和春君 | |
建築保全部長 | 金子 敏夫君 | |
技術管理担当部長 | 末菅 辰雄君 | |
庁舎運営担当部長 | 藤森 教悦君 |
本日の会議に付した事件
平成二十一年度東京都各会計歳入歳出決算の認定について
会計管理局関係
・平成二十一年度東京都一般会計決算(質疑)
青少年・治安対策本部関係
・平成二十一年度東京都一般会計決算(質疑)
財務局関係
・平成二十一年度東京都一般会計決算(質疑)
・平成二十一年度東京都用地会計決算(質疑)
・平成二十一年度東京都公債費会計決算(質疑)
○興津委員長 ただいまから平成二十一年度各会計決算特別委員会第一分科会を開会いたします。
本日から四日間にわたり、本分科会所管局の決算に対する質疑を行ってまいります。
本日は、お手元配布の会議日程のとおり、会計管理局、青少年・治安対策本部及び財務局関係の決算に対する質疑を行います。
これより会計管理局関係に入ります。
決算の審査を行います。
平成二十一年度東京都一般会計決算中、会計管理局所管分を議題といたします。
本件につきましては、既に説明を聴取しております。
これより質疑を行います。
発言を願います。
○中村委員 平成二十一年度決算審査の冒頭に当たり、会計管理局への質問がありますので、決算全体の適正性を確認する前提として、会計管理局の会計事務について質問します。
決算の認定を審査するのは議会の役割ですが、提出された計数をもとに審査を行いますので、当然のことながら、すべての会計が適正に行われている必要があります。そのため、会計管理局がしっかりと指導検査をすることが大切です。
そこでまず、会計管理局は、会計事務に関する検査や指導に関してどのような権限を持っているのかを伺います。また、都の職員が会計事務を適正に行うことを確保するため、各局、各事業所に検査を行っていると聞いています。各局長がみずから実施する自己検査とは別に、会計管理局が直接実施する定期検査を行っているとのことですが、それはどのような検査でしょうか。あわせてお伺いします。
○佐藤会計制度担当部長 まず、権限についてのお尋ねでございますが、東京都会計事務規則第四条によりまして、知事の会計事務の指導統括に関する事務は会計管理者が行うことになっておりまして、会計管理局が実務を行ってございます。会計事務の適正な執行を確保することが、会計管理局の役割でございますけれども、会計管理局が行う検査におきましても、検査結果を踏まえて各部署を指導し、改善を図ることを主眼に置いてございます。
次に、定期検査でございますが、これは、各局に委任しております百万円未満の支出事務を対象として行う検査でございまして、平成十四年度に百万円未満の支出に関する審査を各局に委任しましたことから、平成十五年度から会計管理局が検査を行い、会計事務の適正性を確保しようとしたものであります。
定期検査は、本庁のすべての部及び全事業所を対象として、二年に一回の割合で検査を行っており、検査結果に応じて一部の部署には翌年度も検査を行っておりまして、全五百部署に対しまして、年間三百部署程度を対象に検査を実施しております。
○中村委員 決算を行えば会計処理上の誤りが発見されることもあるかとは思いますが、具体的にどのようなものがあるでしょうか。また、発見されるものはどのように対応するのか伺います。
○佐藤会計制度担当部長 会計処理上の誤りとしましては、例えば、委託完了届が提出されていなかったもの、支出決定の起案書に決定印が押されていなかったもの、請求書の印影が印刷になっていて書類不備であるにもかかわらずそのまま受理をしていたものなどがございます。
定期検査でこうした会計処理上の誤りが発見された場合には、該当する局に対し、速やかに不適正処理の是正を行うよう指導助言を行うこととしております。
○中村委員 定期検査は問題を発見することも大切ですが、何よりも重要なのは、公金を扱う職員に常に緊張感を持って会計事務を行っていただくことにあります。人間ですのでミスが起こる可能性はありますが、極力それをなくしていくことが大切です。
会計管理局では、検査結果を踏まえて各部署を指導し、改善を図っているとのことですが、定期検査の実施によりどのような効果が出ているのか伺います。
○佐藤会計制度担当部長 定期検査の効果でございますが、五年前の平成十七年度におきまして、一部署平均四十件近い誤りがございましたものが、平成二十一年には平均十件程度へと大幅に減少してございます。これは、定期検査に伴う事務の指導と会計実務研修等の継続的な実施が効果を発揮しているものと考えてございます。
○中村委員 会計処理上の誤りについて、この五年間で大幅な減少があったことはわかりました。
とはいえ、先ほども申しましたが、ゼロに近づけるよう引き続きの努力をお願いしたいと思います。そのためにも、検査の結果から判明した問題点について、どのように改善を図っているのか伺います。
○佐藤会計制度担当部長 会計管理局では、検査部門、審査部門及び指導部門の連携の取り組みを進めてございます。検査部門が実施をいたします定期検査の結果や、会計管理局では百万円以上の支出案件を実際に局で審査してございますが、その審査部門における指摘等も踏まえまして、指導部門であります指導係が是正の指導を行うほか、日々の会計指導や、会計実務研修等に反映をして、職員の実務能力の向上を図るなど、適正な会計事務処理の確保に努めてございます。今後とも、こうした連携の取り組みを一層強化をして、より効果的な会計事務指導を図ってまいりたいと考えます。
○中村委員 ご答弁ありがとうございました。今後も適正な会計処理をお願いして、次の公会計制度による財務諸表についての質問に移ります。
都は平成十八年度から、これまでの官庁会計による決算のほかに、複式簿記・発生主義の考え方を加えた新公会計制度を導入しました。
都はこれらを作成して、都が現在どのような状況に置かれているかを分析し、戦略を持って都が抱える諸問題を解決していかなければなりません。まずは、都はこの財務諸表を作成することにより、都の財政運営にどう寄与してきたと考えるかを伺います。
○佐藤会計制度担当部長 東京都は全国に先駆け、従来の官庁会計に複式簿記・発生主義の考え方を加えた新公会計制度を導入しまして、財務諸表を作成しております。これにより、これまでの官庁会計でわからなかった資産、負債などのストック情報や、減価償却、金利などを含むフルコスト情報の把握などが可能となりました。
都においてはさらに、財務諸表を施策内容の検証に活用し、その結果を予算編成に反映させるなど、効率的かつ効果的な行財政運営のツールとして役立てております。
○中村委員 予算編成の中心は財務局ですが、財務諸表を活用することで決算と予算との連動が求められることから、財務諸表の編成を担う会計管理局としても、その作成過程において、各局に数式の意味をしっかりと伝え、財務局と連携して財務諸表を生かした財政運営ができるようにお願いします。
次に、財務諸表は監査事務局の定例監査の対象となっており、会計処理や資産計上の改善、計数の精度向上などが求められ、その都度、都は対応を行ってきました。各局財務諸表においても、一部の局に資産計上における連携に不十分さがあることや、資産の登録漏れがあることが指摘されるなど、取り組みが求められています。
それでは、都がこれまで財務諸表を改善してきた取り組みについて伺います。
○佐藤会計制度担当部長 会計管理局としましては、これまでも正確な計数の把握という点につきまして、財務会計システムの計数と、財産や債権などの各システムとの計数を一致させる照合作業に重点を置いてまいりました。また、各局におきまして正確な財務諸表作成に資するよう、マニュアルの充実や職員への説明会を実施してまいりました。
その結果、平成二十一年度の過年度損益修正でございますが、制度導入の初年度である平成十八年度に比べて大きく減少するなど、財務諸表の精度は年々向上してございます。今後も財務諸表の精度を高めるための取り組みを継続的に行ってまいります。
○中村委員 財務諸表を政策の有効性を議論、評価するツールとして高めていただけることを期待します。
最後に、財務会計システムから作成される財務諸表のうち、会計別財務諸表や財務局による目別、事業別財務諸表は、パンフレットを作成したり、都のホームページに掲載するなどして、都民に対するアカウンタビリティーを進めてはいます。しかし、局ごとに作成されている財務諸表は、議会には報告され決算審査、審議に活用されてはいますが、今後局別の都民に対する経営報告もより果たされていくべきです。都民への説明責任をより高める取り組みが必要であると考えますが、見解を伺います。
○佐藤会計制度担当部長 会計管理局といたしましては、東京都の財務諸表につきまして、カラーの図表やグラフを用いて解説しました概要版を作成し公表するなど、都民への説明責任をより果たすための取り組みを行ってまいりました。
組織別や事業別など多様な財務諸表の作成は、日々の仕訳による本格的な複式簿記を採用しております都の方式の特色でありまして、現在のところ、他の自治体にはない取り組みでございます。この新公会計制度を運用するに当たり、会計管理局は、都政運営のインフラである会計制度と財務会計システムを所管する立場から、各局に対する財務諸表の作成方法の指導や、会計データの提供などを担っております。
一方、局別の財務諸表につきましては、各局が決算参考資料として、都議会の決算特別委員会分科会に提出してご審議をいただいております。こうしたことから、都民への説明責任を果たすために、各局が所管する事業につきまして、局別財務諸表や事業別財務諸表を含め、新公会計制度によって得られる情報をいかに活用するかにつきましては、各局で判断すべきものと考えておりますが、適切に活用が図られているものと認識をしております。当局としましては、今後とも各局と連携をとりながら、都民への説明責任を一層果たすべく努めてまいります。
○中村委員 公会計制度は、知事がさまざまな場面でご自分の成果として述べているのですから、知事みずからが指示を出して、全都庁として取り組むぐらいでもよいのではないかと思います。ないものをつくれといっているわけではなく、既に作成され議会にも提出されているのですから、すぐにでもできると思います。会計管理局としても各局と連携をということにとどまらず、ぜひとも知事に提案して実現させていただきたいと思います。
また、我々都議会民主党は、都がこれからも財務諸表を活用し、行財政改革を進めるとともに、効率的かつ効果的な施策を実施し諸問題の解決に取り組まれること、その際には都民への説明責任を果たしていくことを望み、質問を終わります。
以上です。
○遠藤委員 公明党の遠藤です。どうぞよろしくお願いいたします。
私からは、新たな公会計制度のうち、その制度改革見直しについて何点か質問させていただきたいと思います。
今回の決算特別委員会には、平成十八年度の制度導入後、四回目の決算となる財務諸表が提出されているわけであります。この財務諸表作成の基本ルールとなる会計基準、この会計基準については、民間企業ももちろん同じでありますけれども、経済情勢、社会情勢その他の、もろもろの環境変化に応じて不断の見直し、常に見直しをしていくということが必要であると考えます。
そこで、まず東京都は、この会計基準を含む会計制度の見直しを行っていくに当たって、具体的にいかなる手続をもって行っているのか、冒頭ご説明いただきたいと思います。
○佐藤会計制度担当部長 都は、平成十八年度に東京都会計基準の継続的な見直し、その他複式簿記・発生主義会計による会計手法に係る調査審議を行うために、東京都会計基準委員会を設置しております。
当委員会は、会計の専門家であります公認会計士三名と都職員の計四名から構成されておりまして、専門的な見地から、東京都の会計制度の継続的な見直しを行っております。
○遠藤委員 公認会計士三名、そして職員の四名から成るこの委員会を設置して、制度の継続的な見直しを行っていると、このような答弁でありました。
では、具体的にこの委員会がどのような役割を持っているのか、ご説明いただければと思います。
○佐藤会計制度担当部長 会計基準委員会の所掌事務でございますが、第一に東京都会計基準等の見直し、第二に財務諸表を用いた決算の分析手法等、第三に効果的な決算情報の説明の方法など、第四にその他会計制度に関する必要な事項となっております。
具体的には、年四回程度開催しまして、決算公表前の財務諸表の点検、監査報告や決算作業で明らかになりました課題の整理、次年度の決算に向けての検討などを行っております。
例えば、東京都全体の財務諸表の作成に当たりまして、平成十九年度までは一般会計から特別会計への貸付金など、会計間での債権債務につきましては、相殺を行わず合算をしておりましたが、平成二十年度からは委員会よりの助言に基づきまして、債権債務を含むすべての会計間の取り引きについて相殺をすることとし、より正確な都の財政状況を表示できるようにいたしました。また、財務諸表のより正確な理解を可能とするため、相殺処理の内訳についても、注記において一覧表示することといたしました。
会計基準委員会ではこのように、都民への情報提供の観点からの議論が行われて、財務諸表に反映させております。
○遠藤委員 会計基準委員会では、都民への情報提供という観点から、財務諸表の作成後に課題などを整理し、次年度の決算に生かしていくために、今ご答弁いただいたとおり、有意義な検討を行っていると。専門家メンバーとして、委員会として、今の答弁のとおりであれば、十分機能していると評価をいたしたいと思います。
さらに、この委員会では財務諸表の精度向上、確度を上げるということでありますけれども、精度向上という観点から、会計基準についても、民間の企業会計の動向を視野に入れながらよりよいものへと改善するため、さまざまな検討が行われてきたと思います。
そこで、会計基準委員会の審議の結果、今、答弁された例のほかに、これまでいかなる会計基準の見直しを行ってきたか、答弁いただきたいと思います。
○佐藤会計制度担当部長 東京都会計基準委員会では、平成十八年度の制度導入以来、議論を重ねましてさまざまな見直しを行ってまいりました。
例えば、平成十九年度から、貸付金の貸し倒れリスクを示す貸倒引当金の算定方法の精緻化を行い、平成二十一年度からは、販売用不動産におきまして土地の価格が下落した際に、より実態に合わせた評価を行う会計手法であります低価法を導入するなど、資産の計上に当たって、より実態を正確にあらわすような改善を行ってまいりました。
また、平成二十年度から、それまで財産として把握をしていなかった林道や農道をインフラ資産と位置づけ、資産の範囲を明確にし、実態に合った正確な財産状況の把握を行ってまいりました。
今後もさらに会計基準の改良に取り組み、財務諸表の精度向上に努めてまいります。
○遠藤委員 私は会計の専門家ではもちろんありませんが、今、答弁にありましたとおり、この専門家の議論を踏まえましてさまざまな改良が年々、四年間たってますけれども、年々進んでいるということがわかりました。
今の答弁の中に貸倒引当金についてのお話がございました。引当金という概念は、これまでの官庁会計にはなかった複式簿記・発生主義特有の考え方であろうと思います。このような概念を導入することは、行政運営にとってもさまざまな意味があると思います。そこで、この貸倒引当金の算定方法の精緻化とは具体的にどのようなものを示すのか、お答えいただきたいと思います。
○佐藤会計制度担当部長 貸倒引当金でございますが、これは、これまでの官庁会計にない複式簿記・発生主義会計特有の考え方でございまして、貸付金のうち、将来返済されないリスクを金額で算定しまして、債権の評価額に反映することにより、実質的な価格を適正に表示するものでございます。
平成十八年度の貸倒引当金につきましては、過去三カ年の貸し倒れ実績の平均値をもとに算出をしてございました。これを平成十九年度以降については、会計基準委員会の検討に基づきまして、民間の企業会計と同様、貸付先団体の個別の経営状況を考慮した算定手法も採用することといたしました。その際に、各局における貸倒引当金の計上が客観的となるよう、算定の基本となる考え方を委員会で定めてございます。この結果、都の中小企業に対する貸付金などにつきまして、貸し倒れとなるリスクが正確に財務諸表に反映されることとなりました。
このように、貸付金の管理を厳格に行うことによりまして、財務諸表の精度を上げてまいりますとともに、リスクのある債権を厳密に把握することによりまして、債権管理に対する職員の意識向上にも役立っていると考えてございます。
○遠藤委員 ところで、この会計制度の見直しにつきましては、さまざまな動きがございます。
まず最初に、民間の会計基準においては、現在国際的な標準化が世界的な潮流となっております。新聞紙上でも記事になっておりますけれども、日本における企業会計も国際基準に変わりつつあります。
事前に、私もちょっと資料をいただきましたけれども、今、この会計をめぐって世界標準争いで、ヨーロッパとアメリカのどちらが有利な基準をつくるか、ルールをつくるかということで覇権を争っていると。そんな中で日本は若干埋没していると、このような報道もありました。
一方、この民間の会計基準だけではなくて、公会計の分野でも国際公会計基準というものがあり、多くの国や国際機関が採用を進めているということであります。また一方、国内、日本に目を移しても、この公会計の分野では、公営企業会計においても大幅な会計制度の見直しが検討されるなど、国内外、官民問わず、会計制度は大きな転換期を迎えるといっても過言ではありません。こうした内外のさまざまな情勢の中、東京都の会計制度も不断の見直しを行っていかなければならないというのが、この私の質疑の根本であります。
そこで、この四年間の実績を踏まえて、都は、会計制度そのものをどのように具体的に改良していくのか、お示しいただきたいと思います。
○佐藤会計制度担当部長 会計制度の今後の改良でございますが、都の会計基準は、平成十八年度の制度導入以降も、東京都会計基準委員会の議論も得ながら、継続的に見直しを行っておりまして、財務諸表の精度も向上してまいりました。
会計制度につきましては、委員ご指摘のとおり、民間の企業会計におきましては、二〇一二年以降に上場企業で国際基準が採用されると見込まれております。また、公営企業会計におきましても大幅な見直しの方針が公表され、制度改正を待っているという状況でございまして、官民問わず、大きな転換期といえると考えております。このように、会計制度の状況が大きく変わります中で、都としてもその変化に対応する必要が生じることが見込まれると思います。
このことから、今年度から会計基準委員会におきましても、最新の国際公会計基準や民間の企業会計、さらには、公営企業会計の改正等の状況などの全体的な整理を行い、会計制度のさらなる改良に役立てていきたいと考えてございます。
○遠藤委員 いろいろとご答弁いただきましたけれども、一言でいえば内外の動向を注視して、それにおくれをとらずに対応していくと、こういうことだと思います。
先ほど冒頭お話しいただいたとおり、三名の公認会計士の先生、この方は東京都の公会計制度をつくる当初から携わっていただいた先生だとお伺いをいたしました。いろいろと難しい問題もあると思いますけれども、ぜひこの世界的な流れ、また国内の流れをフォローしていただいて、改革をしていっていただきたいと思います。
さて、冒頭に申し上げましたけれども、平成十八年度に制度を導入して以来、この公会計制度は都財政運営の重要なツールとなっております。このツールをさらに効果的に使うためには、複式簿記・発生主義会計から得られる情報をもとに、経営という視点を職員が常に意識し、事業改善を行っていくことが非常に重要だと思っております。
先日、ある雑誌を読んでいたらば、明治大学の政治経済学部教授の中邨章先生がこんなことを書いておりました。地方自治を行政と政治という二つの面から見た場合、日本の地方行政は世界の最先端を行っていると。しかし、地方政治には問題があると。我々議員に問題があるといっているわけですけれども、ただ、それは議員の素質ではなく制度に問題があると。世界的に政府、行政への信頼感が失われつつある中、日本だけは文句をいわれながらも、最後は行政に責任を求める。ここからが大事だと思うんですね。これは日本の行政レベルが高いことによる甘えともいえると。日本の行政は法令遵守と公平性では世界一だが、透明性と説明責任に問題がある。地方政治、すなわち我々の役割ですけれども、地方政治の課題の一つは、その透明性と説明責任を追求することだと、このように論じておられました。私も全く同感であります。
そこで最後に、今後の行政運営における経営の視点の一層の透明化に向けた、都の公会計制度改革の推進について、局長の決意をお伺いいたします。
○新田会計管理局長 公会計制度改革につきましては、従来の官庁会計では見えてまいりません資産、負債といったようなストック情報、あるいは、金利や減価償却などを含みますフルコスト情報などを明らかにすることによりまして、透明性を高め、都民に対する説明責任をより的確に果たしますとともに、行政運営に経営の視点を取り入れていく重要な契機になるものと考えております。
これまで東京都は、平成十八年度に制度を導入した後も、会計基準委員会におきまして、さまざまな角度から点検、議論し、不断に制度の改善を行い、財務諸表の精度向上に努めてまいりました。さらに経営の視点を浸透させるためには、個々の事業を担う職員の意識改革が不可欠であるわけでございますが、その点につきましても、財務局など関係局と連携し、本制度に対する職員の理解を深め、コスト感覚等を醸成することに努めてまいりました。
今回で制度導入後四回目の決算となるわけでございますが、今や新公会計制度は着実に庁内に定着してきており、職員のコスト意識の向上という点につきましても、確実に成果が上がりつつあると実感しております。今後とも会計制度の不断の改善に努め、透明性、説明責任を一層果たしていくということに努めてまいりますとともに、関係局とも連携して、職員の意識改革をさらに進めることによりまして、都庁全体に経営の視点を一層浸透させてまいる所存でございます。
○遠藤委員 改めて申すまでもなく、この公会計制度は、我が党の提案と石原知事の英断によりまして導入をされた制度であります。
先ほどご紹介させていただきました中邨先生の論ではありませんけれども、皆様方がこの制度を改良していただくというその努力とあわせて、私たち議会側からもしっかりと、難しいテーマでありますけれども、研さんをして、二人三脚で最高の公会計制度をつくっていきたい、こう決意を申し上げまして、私の質問を終わります。ありがとうございました。
○興津委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと存じますが、これにご異議ございませんでしょうか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○興津委員長 異議なしと認め、本件に対する質疑は終了いたしました。
以上で会計管理局関係を終わります。
○興津委員長 それでは、青少年・治安対策本部関係に入ります。
決算の審査を行います。
平成二十一年度東京都一般会計決算中、青少年・治安対策本部所管分を議題といたします。
本件につきましては既に説明を聴取しております。
これより質疑を行います。
発言を願います。
○淺野委員 私からは、青少年・治安対策本部決算の説明書中について、幾つかご質問させていただきたいと思います。
決算の説明書の中に、青少年育成総合対策の推進ということで、四億円以上のお金が青少年対策に対して使われております。今のこの国の置かれた状況、やはり未来のこの国を支えるべき人材をしっかりと守りはぐくんでいく、これは行政としても取り組んでいかなければならないことだと認識しております。
今回の監査報告の中、トップインタビューにおきましても、青少年・治安対策本部としては、ひきこもり等の状態にある若者、これも何とかしなきゃいけないんだ、それに対して一生懸命頑張っているよという話が載っておりますけれども、私個人といたしましては、ひきこもりももちろん何とかしなければいけないんですが、何よりも、そういった状況にならないように青少年を育てていく必要があるのではないか。そのように思っております。
そして今、その青少年の置かれている状況の中で急速にふえている携帯電話、あるいはインターネットといったものが非常に身近になればなるほど、その便利な道具を利用することによって生まれる新たな被害、そういったものが出てきている。これに対しても、我々大人たちは不断の努力でこの解決、改善に努めていかなければならない。
都は、青少年・治安対策本部としては、東京こどもネット・ケータイヘルプデスク、いわゆる、愛称でこたエール事業、こたエールといわれておりますけれども、こたエール事業を行っております。私はこの事業を非常に有効なものだと認識しておりますが、さらにこれをもっとしっかりと有効に機能させるためには、子どもたちが何か困ったことが起きたときにすぐに思い出す、あるいは困っている状況にあるときに目につく、ふだんから刷り込まれている、そういったことが大切になってくると思いますが、このいわゆるこたエール事業、周知するために支出されている費用について、その中身をお教えいただきたいと思います。
○浅川青少年対策担当部長 平成二十一年度に実施いたしました、東京こどもネット・ケータイヘルプデスクの広報、周知につきましては、平成二十一年七月の相談窓口開設時に、都内すべての小学生の保護者向けとしてリーフレットを配布し、また、すべての中学校、高校生向けには、生徒手帳や定期入れ等に入れて持ち歩けるサイズのカードを配布いたしました。また、本年三月には、新小学五年生、六年生の保護者向けとして、新たなリーフレットを作成、配布したほか、すべての小、中、高等学校に対して児童向けのポスターと、区市町村や児童館などを初めとした公共機関に対して保護者向けのポスターを配布いたしました。その費用といたしましては合計約七百十万円を支出しております。
○淺野委員 小中学生に対して、あるいは高校生に対して、さまざまな方法を用いて周知を図ろうとしているその努力は、非常に認められるものだと思いますが、私個人といたしましては、七百十万円、できればもう少し費用をかけて周知徹底を急ぎ取り組んでいくべきだと思っております。また、小学校、中学校、高校以外にも十八歳未満の青少年というのはいるわけでありまして、そういった方々がこの存在を知るためにも、やはり周知をもっともっとやっていかなければいけない。この二十一年度実績におきましては、相談受理件数が五百四十二件、その中で、報告書等を見ますと、青少年が当事者となっているものは三百八十三件ということになっております。数だけ聞くと少ないような印象を持ちますけれども、私は、これはもっと深く周知されれば、そして青少年の感覚で見て使いやすいというふうになってくると、爆発的にこの数はふえるのではないかと、そういった思いも持っております。
例えば、青少年たちがトラブルに巻き込まれやすい、いわゆるブラックリストには乗らないんだけれどもアクセスするような携帯のサイト、そういったところにこのこたエールというものがリンクとして張ってあり、困ったときにふっとそれを見て、ああ、ここにちょっとメールを送ってみようかなと。この報告書の中にも、ネットのトラブルはネットで解決するという傾向が青少年にはあるというのが載っておりますので、ぜひそういった手法も検討していただきながら、さらにもう少し費用をかけながらやっていっていただきたい。そのように要望をしておきます。
ところで、今申し上げました報告書、この事業に対する非常に詳しい傾向や分析を行っていた分析の報告書がございます。この報告書を作成、そしてそもそも、このこたエールの事業は業者に委託することによって行っていると伺いました。昨年度、つまり二十一年度からこの事業はスタートしているものではありますけれども、この業者をどのように選定をし、そして委託の決定をしたのか。そしてあわせまして、今年度の二十二年度についても、同様に委託費用と、そして昨年度と同一業者が受託しているのかということについて伺います。
○浅川青少年対策担当部長 平成二十一年度の本事業の委託業者の決定方法につきましては、契約予定価格が一千万円以上の委託契約であるため、財務局が青少年・治安対策本部の作成した仕様書に基づく契約締結請求を受け、指名競争入札による価格競争で委託業者を決定しております。また、平成二十二年度においても同様の方法で指名競争入札で決定しております。
平成二十一年度の委託費用は三千五百七十万円、平成二十二年度の委託費用は、一千七百三十二万五千円で、二十一年度とは別の事業者が受託しております。
○淺野委員 今のご回答で、半額近くに値段が下がっている。すばらしいですねとは私はいいたくはありません。安かろう悪かろうとはいいません。しかしながら、青少年を守り、またこういった相談業務というのは、大切なことはその中身、質の高さでありまして、そこにかける費用が安ければいいというものでは、私はないと思います。同じ金額でより質の高いことができる業者を選定するなどといった、別の観点からの契約の締結の仕方もあるのではないか。もちろんこれは財務局の協力も必要でしょうし、さまざまな方面の理解も進めなければいけないと思いますが、やはりいわゆる提案型というような、同じ費用だけれども、例えば三千万なら三千万で委託するんだけれども、その中でどこまでのことができるのかということを業者から提案していただき、またあわせて、こういったものはやはりノウハウをためて、経験値が物をいうというところも多分にあると思います。そういった意味で、複数年で委託できるような、そういった方策もやはり知恵を出して検討していくべきではないかなと私は思います。
今回の業者委託に際しての都がつくった仕様書も見させていただきました。この仕様書、非常に細かく、例えば相談業務に当たる人は、さまざまな青少年に関する相談事業、あるいはIT関係の相談事業、そういったものを一年以上やった経験のある人間でなければおいてはいけませんだとか、かなり青少年のプライバシーには配慮しなければいけないだとかですね、必要最低限とはいいながらかなり細かく設定することによって、都がどれだけここに熱意を持っているかというのがわかる内容に私はなっていると思います。しかし、やはり人が行うことですから、ぜひ契約の段階で、その業者にどれだけ熱意を持って取り組んでもらえるか、それすらも確認できるような、そういう締結の仕方も検討していただきたい、そのことも要望させていただきたいと思います。
さて一方で、さまざまな案件があるでしょうが、子どもたちが悩みを相談してきて、中には非常に深く傷ついている、そういった子どもたちに出会うことがあると思います。その際には、やはりしっかりとした専門家のカウンセリングを受けさせる、そういった行動も必要ではないでしょうか。
この決算書を見ても、やはりそういった認識上、支出の中では警視庁やその他の五局に対しても執行委任を行い、さまざまな局と連携をしながら取り組んでいるということはわかるわけでありますけれども、民間の中にも、有料ではありますがそういうカウンセリングなどをやっている団体、NPO等があるようにお聞きしております。そこで、このこたエール事業、この相談においてカウンセリングが必要だろうと思った場合に、こういった有料でカウンセリングを行っている団体に対して、どのように引き継ぎを行っているのかお伺いいたします。
○浅川青少年対策担当部長 カウンセリングを行っている団体等につきましては、東京こどもネット・ケータイヘルプデスクにおいても複数把握しており、相談内容に応じて相談先に適している団体等を判断しております。有料のカウンセリングを行っている団体等が相談先として適していると判断した場合には、相談者に対して有料の相談窓口である旨を告げて、当該団体等の活動内容や連絡先などをお知らせしております。
委員お尋ねの、東京都が有料のカウンセリングを行っている団体等に直接連絡をとって相談者を引き継ぐことにつきましては、営利活動を行っている民間団体等を都があっせんしているとの疑念を生じるおそれがあることから行っておりません。
○淺野委員 恐らく非常にじくじたる思いでの答弁ではないかなと私は思います。今、行政が置かれている立場は、さまざまな疑念を生まないようにしなければいけない。しかし一方で、実はそういう行動をとった方が、問題の解決へ近づくということも多々あるのではないでしょうか。
もちろん有料でカウンセリングを行っているところにそのままつなぐということは、なかなか難しい。そして現状はそれを許すほど寛容な社会にはなっていないと私は思いますが、それならば、青少年・治安対策本部として専門的にカウンセリングを行う。特に子どもたちに特化して、しかもできれば無料で。時間と費用がかかるけれども、一人の子どもが心の傷をちゃんと修復して社会人になることができれば、その子が社会人となってこの日本社会に貢献する。その貢献する金額は、恐らくその子の傷を埋める費用のはるか数十倍になるだろうと、私はそのように感じます。さまざまな部局の案件にまたがる事業だとは思いますが、ぜひ今後、治安対策本部として、そういったカウンセリングチームといいますか、心に本当に深い傷を負ってしまった子どもたちを、時間とお金をかけてでもきちっと見守り育て、回復させていく。そういったことも事業として検討していただくことを強く要望いたしまして、私からの質問を終わらせていただきます。
○松葉委員 平成二十一年度東京都一般会計決算中、青少年・治安対策本部関係について伺います。
深刻化する経済状況の中、雇用環境の悪化が若者を直撃しております。
昨年、私の地元、公明党杉並総支部で、若者の雇用についてのアンケート調査を実施いたしました。一万九百二十四人の方からご回答いただきました。あなたは、あなた自身は失業や雇用状況の悪化について不安を感じていますかとの問いに、不安を感じていると答えた方が六四・二%に上っておりました。この結果を重く受けとめております。進学や就職を目指す方、不安定な雇用形態の方、職場での人間関係、また漠然とした将来に対する不安等、多くの青年が将来に対しての不安や悩みを抱えています。
我が党は、若者が悩みや不安を打ち明けられるような身近な相談窓口が必要であると提案をしてきました。青少年・治安対策本部において、昨年七月から東京都若者総合相談、若ナビを開設されたことを高く評価しております。
そこで、東京都若者総合相談、若ナビ事業の取り組み姿勢について確認をしたいと思います。
平成二十一年度一般会計決算説明書の中では、青少年育成総合対策の推進の中に位置づけられていると思いますが、東京都若者総合相談の予算現額と支出済額と執行率は幾らか伺います。
○浅川青少年対策担当部長 東京都若者総合相談の相談業務、広報などすべて合わせまして、予算現額は五千二百三十二万余円、支出済額は五千百八十七万余円、執行率は九九・一%となっております。
○松葉委員 ただいまのご答弁で、執行率は九九・一%ということでございましたけれども、この若ナビの実績はどのようになっているのか、また実績をどのように分析、評価しているか伺いたいと思います。
○浅川青少年対策担当部長 都は、人間関係の悩みや、漠然とした不安、孤独などの悩みを抱える、主に十八歳以上の若者を対象とした東京都若者総合相談、通称若ナビを平成二十一年七月末に開設いたしました。当初は電話相談のみでしたが、十一月末にはメール相談も開始いたしました。
昨年七月末の事業開始から本年八月末までの相談件数は、累計で七千五百件を超えております。相談される方の年齢層は、当初のねらいどおり二十歳代から三十歳代が多く、特に、メール相談では二十歳代の方からの相談が六割以上となっております。また、一般に悩みを打ち明けることが少ないといわれている男性からの相談が女性からの相談よりも多く、コミュニケーションが苦手な若者からの相談の受け皿となっております。
具体的な相談内容といたしましては、自分に自信がなく就職できる気がしない、でも友達はライバルで悩みを話す相手がいない、であるとか、職場になかなかなじめない、周りからつまらない人間と思われていないか気になる、といったようなさまざまな悩みが寄せられております。
このように若ナビは、当初のねらいどおり、悩みを抱えた若者の総合相談としての機能を果たしているものと考えております。
○松葉委員 事業開始から一年間で、相談件数が七千五百件を超えているということでございますので、改めて若ナビの必要性を感じております。
十一月にはメール相談も開始されたとのことですので、電話相談及びメール相談の体制がどのようになっているのか伺います。
○浅川青少年対策担当部長 電話相談は、年末年始を除きます月曜日から土曜日までの午前十一時から午後八時まで実施しております。また、メール相談は二十四時間受け付けをしております。
相談員の体制といたしましては、電話相談とメール相談を担当する相談員をおのおの配置し、それぞれの相談に対して丁寧に対応できるような体制をとっております。また、例えば電話相談において悲しみや怒りなどの感情が強く出てしまう相談者など、対応が難しいケースにつきましては、常に経験の豊富なリーダー相談員がアドバイスできるような体制をとっております。
メール相談で返信文を作成する際には、相談者の心情を理解した上で、適切な内容の返信文が作成できているかどうか、複数名の相談員による検討を行う体制をとっております。
○松葉委員 今のご答弁で、電話相談、メール相談ともに、複数の相談員の方で丁寧に対応されているということがわかりました。
メール相談につきましては二十四時間受け付けているとのことですけれども、この二十四時間の中で、実際にいつの時間帯がこの相談の受け付けが多いのか伺います。
○浅川青少年対策担当部長 委員お話のとおり、メール相談は二十四時間受け付けておりますが、午後四時台から午後十一時台にかけての時間帯が比較的多い傾向にございますが、最も多くの相談が寄せられるピークは午後五時台であり、その前後の午後四時台、午後六時台を含めました午後四時台から六時台までが、特に相談の多い時間帯となっております。
○松葉委員 全体には午後四時台から十一時台が比較的多いということでございますが、最も多い時間帯が午後五時台、四時台、六時台、この四時台から六時台ということであれば電話相談の開設時間帯とも重なっておりますので、そういった意味では、電話相談、メール相談、双方を使い分けされているのかなという、そういった印象があります。ですので、電話相談、メール相談ともにニーズがあるとのことだと考えます。
そこで、この電話相談のニーズといったことからいいますと、現在の午後八時までの時間帯でございますが、これを九時、十時というふうに拡充すべきだというふうに考えますが、見解を伺います。
○浅川青少年対策担当部長 電話相談は日曜日及び年末年始を除く月曜日から土曜日までの毎日、祝日を含めまして実施しております。また、電話相談の受付時間は、若者の生活実態を考慮し午前十一時から午後八時までとし、また、メール相談は二十四時間受け付けるということにしております。電話による相談の場合、土曜日や祝日に相談していただくこと、あるいは時間帯により電話とメールを使い分けていただくことによりまして、若者ニーズにこたえることができていると考えております。
○松葉委員 実施をされてからまだ一年でもありますので、今後ご相談の状況を踏まえて、電話相談の時間の拡充についてもご検討いただくよう要望しておきます。
次に、若ナビにはさまざまなご相談が寄せられると思います。そこで、若ナビの他機関との連携体制はどのようになっているのか伺います。
○浅川青少年対策担当部長 若ナビでは、継続的にご相談いただく中で、若者の複合的な悩みを整理、顕在化させ、必要に応じて適切な専門の相談支援機関を紹介しております。そのため、若者の自立等に係る関係機関相互の情報共有及び連携強化などを目的といたしまして、若者の自立等支援連絡会議を平成二十一年七月に設置いたしております。消費生活、仕事、生活安全、法律など、若者支援に関係する分野の十九機関にご参画いただき、年三回程度、若者支援に関する情報の集約、共有を行うとともに、日ごろの業務に活用できる相談支援機関のガイドブックを作成しております。また、若ナビ相談員が若者に適切な相談支援機関を紹介できるようにするため、連絡会議参画機関の施設見学を含めた研修を実施しております。
○松葉委員 相談員の方がご相談を受けとめた次に、問題解決に向けて適切に専門的な支援機関につなげていくことは非常に重要なことだと思います。ご答弁では、相談員の方に対し、他機関の施設見学も含めた研修を行っているとのことですので、さらにそういった研修の充実を図っていただきたいと思います。
東京都若者総合相談、若ナビ事業の取り組みについて確認をいたしてまいりましたが、不安を抱えている若者が多い時代だからこそ、若ナビはなくてはならない相談窓口だと思います。
相談窓口があることを知らない若者も、まだまだおられるのではないかと考えます。相談窓口があることをより多くの若者に知っていただくことが重要であります。最後に、若ナビの広報はどのように行ってきたのか。また今後どのような取り組みを考えているのか伺いまして、質問を終わります。
○浅川青少年対策担当部長 若ナビの開設時には、新宿駅前でオープニングイベントを実施いたしました。マスコミ約二十社が集まり、テレビ、新聞、インターネットなどで大々的に取り上げていただきました。
また、社会からの疎外感を感じている若者に共感を得られる、挫折を経験した若手のタレントを起用いたしまして、ポスターとリーフレットを作成し、保健所や区市町村の青少年行政主管課などの関係機関、また、大学の学生相談室、カラオケ店など若者の目に触れやすい場所五千カ所へ配布いたしました。
さらに、メール相談の開始に合わせまして、若者が日常的に利用するインターネットを活用したバナー広告を掲載いたしました。あるサイトで一週間掲載したところ、五千回以上バナー広告をごらんいただくことができました。
今後につきましても、相談者の特性等を踏まえた広報を展開することとしておりまして、特に、社員や学生として社会的な生活を送っていても、周囲の人に相談することができない若者の悩みの受け皿となれるよう、広報を重点的に実施することを考えております。これにより、悩みが深刻化する前に若者の社会生活を支え、総合相談窓口としての若ナビの機能をさらに発揮していきたいと考えております。
○中村委員 若年者自立支援について質問します。
東京都が平成十九年度に若年者自立支援調査研究を行ったところ、都内のひきこもりの人数は少なくとも二万五千人という推計結果が出ました。これほど多くの若者がひきこもりの状態にあるということは大きな問題であり、対策が大変重要であると考えます。実際は抽出からの推計値であり、また対象も十五歳から三十四歳までであったことから、今後はその実態把握も必要になるとは思います。
そもそもこのひきこもりの問題は、単なる怠け者として扱ってしまえば、本当の状況が見えてこないことになります。一概にレッテルを張るのは大変危険ですが、精神疾患、軽度知的障害、発達障害の方など、さまざまな原因がそのような状況をつくり出しているということもあるようです。また、直接的な原因となるいじめや不登校、就職でのつまずきなども、そもそもの原因がこうした障害等に起因している可能性も指摘されます。単なる甘えだと切り捨てることなく、さまざまな要因を分析し、対応が必要な問題ともいえます。
国でも大きな問題であるとの認識から、子ども・若者育成支援推進法が二十一年七月一日に成立、平成二十二年四月一日から施行されました。その中では、地方公共団体の責務として、子ども、若者の状況に応じた施策を策定し、及び実施する責務を有すると定められました。
そこでまず最初の質問として、都はどのように対策を講じているのか伺います。また、対策の結果どのような実績が出ているでしょうか。相談件数だけではなく、具体的な成果などもあわせてお伺いします。
○浅川青少年対策担当部長 都は平成十六年度から、東京都ひきこもりサポートネットを運営し、ひきこもりの状態にある本人や家族、関係者などからのメールと電話による相談に対応しております。その実績といたしましては、事業開始時から本年八月末までで一万六千九百五十七件のご相談をいただいております。
また、平成二十年度から、東京都若者社会参加応援ネット、コンパスを、NPO法人等との協働で実施しております。これは都が作成したひきこもり等の若年者支援プログラムに基づき、ひきこもり等の状態にある若者やその家族などに対する支援を行うことにより、同プログラムをNPO法人等において実践、検証し、確立する事業でございます。
事業開始時から本年八月末までのコンパスの実績は、訪問相談が五百八十九件、フリースペースの提供が一万二千百七十六件、社会参加活動が三千八百二件で、平成二十二年八月末時点での登録者数は二百五十七人などとなっております。
具体的な成果といたしましては、自宅の外に出ることがまれであったひきこもりの方が、訪問相談の結果、フリースペースに通うようになり、仲間との交流を通して徐々に自信を取り戻し、地域の清掃活動やお祭りに参加できるようになったという事例などの報告を受けております。
○中村委員 若者が、東京都若者社会参加応援ネット、コンパスによる支援の結果、自立に向けて進んでいる方もいると聞き、大変よいことだとは感じます。現在では都内四カ所のNPO法人に委託して実施されていますが、コンパスの今後の展開はどのようになっているのか伺います。
○浅川青少年対策担当部長 都は、ひきこもりなどの状態にある若者をNPO法人が支援する枠組みである、ひきこもり等の若年者支援プログラムを平成十九年度に策定いたしました。平成二十年度には、そのひきこもり等の若年者支援プログラムをNPO法人等において実践し、検証と見直しを行うため、東京都若者社会参加応援ネット、コンパスを開始し、今年度で三年目となります。
この間、コンパスの実施状況を踏まえ、毎年度ひきこもり等の若年者支援プログラムの検証と見直しを行っておりまして、今年度はそのプログラムの確立をすることとしております。また、学識経験者、NPO法人への支援を行っている団体の職員などを構成員といたします、ひきこもり等の若年者支援プログラム普及定着方法に係る検討会におきまして、NPO法人に対するひきこもりなどの若年者支援プログラムの効果的な普及定着策を検討しております。
ひきこもり等の若年者支援プログラムの確立を目指してきた現行のコンパスは、今年度をもってその役割を終了し、今後は、より多くのNPO法人などに対して、確立したひきこもり等の若年者支援プログラムの普及、定着を図ってまいります。
○中村委員 支援プログラムを確立して普及、定着を図っていくということですが、なぜ現行のコンパスを終了するのか改めて伺います。
○浅川青少年対策担当部長 先ほど、副委員長のお話にありましたとおり、都内のひきこもりの人数は少なくとも二万五千人と推計されております。このように多くのひきこもりの若者を支援するためには、良質なNPO法人が多数、社会基盤として整備される必要がございます。
そこで都は、ひきこもりの若者に対して有効な支援を行うことのできる支援団体数の増加に取り組むこととしております。具体的には、コンパスで検証と見直しを行ってきたひきこもり等の若年者支援プログラムを、幅広くNPO法人等に対して普及、定着させることで、より多くのひきこもり等の若者に良質な支援を提供できる環境を整備してまいります。コンパスは、ひきこもり等の若年者支援プログラムの確立に伴い、その役割を終了することになるものでございます。
○中村委員 お答えを聞きまして、単にコンパスを終了させるということではなく、より多くの団体に範囲を広げていく趣旨だとは受けとめました。ただ、終了による影響が大きく出ないよう、受託者の状況を聞きながら、必要であれば暫定的な対策を講ずることも検討していただきたいと思います。
また、大きな社会的な問題ですので、事業そのものを拡大させていくことが求められます。今後は支援を行う団体数をふやすだけではなく、その育成や補助、また、そこに通う若者に対して市区町村が支援する仕組みを、都として創設することなども検討されてもよいのではないかと思います。
冒頭にも述べましたが、若者の自立支援は原因がそもそも多様であり、福祉、教育、雇用、医療等の広範な連携がないとできません。福祉や教育が責任を持って若者の自立支援を行い、施策の重点化を図るべきではないかと思いますが、見解を伺います。
○浅川青少年対策担当部長 副委員長のお話のとおり、ひきこもりに至る要因はさまざまであり、また、ご本人が希望される社会参加のあり方もさまざまでございます。就労、就学支援事業や精神障害、精神疾患への対応などを含めまして、関係相談機関と連携しつつ、適切な支援を実施する必要がございます。
そのため都は、ひきこもりに係る機関が相互に連携し、総合的な対策を講じていくことにより、若者の自立を促進することを目的として、東京しごと財団、東京都教育相談センター、都及び区の保健所など、庁内外の関係相談機関で構成いたしますひきこもりに係る連絡調整会議を設置しております。この連絡調整会議等を活用し、今後とも相談機関相互の情報共有、連携強化を図ってまいります。
○中村委員 ひきこもりの問題は大変大きな問題です。多くの部門にまたがる問題ですので、これは都政全体の問題かもしれませんが、横断的に取り組む組織での事業ということよりも、専門的に取り扱う組織が取り扱うことも検討されてもよいかと思います。ひきこもりが長期に及べば、社会的な損失ということだけではなく、家族の負担も重く、何より本人の人生にとって大きな影響を与えてしまいます。今後も相談体制の拡充や居場所づくり、地域との連携、また社会の偏見をなくすべく啓発活動など含めて、より事業の重点化をお願いします。
次に、非行少年の立ち直り支援についての課題と取り組みをお伺いします。
罪を犯した青少年も必ず地域に戻ってきます。成人とは違い、成長過程における青少年が再び罪を犯すことなく立ち直るためには、地域の理解が必要です。更生保護については、法務省主導の社会を明るくする運動が各地域で行われています。私も地元三鷹市が行う行事にも参加しましたが、すぐに効果があるものでもありませんが、地道な啓発活動は続けていく必要があります。
昨今では保護司のなり手も少なく、また若者がキレやすくなるといわれるなど不安も大きいと聞きます。また、個人情報がインターネットで流れる危険性もあり、更生保護にとっては困難な状況があります。
そこでまず、非行少年の立ち直り支援について都の基本的な考え方を伺います。
○浅川青少年対策担当部長 平成十八年の第二十六期青少年問題協議会の答申、少年院等を出た子どもたちの立ち直りを、地域で支援するための方策についてにおきまして、立ち直りの決意を持って少年院等を出た子どもたちに対し、地域社会が適切な支援を行うことが、再犯を防ぐとともに、少年を地域社会の一員として迎え入れるために必要であるとの指摘がなされました。
こうした指摘を踏まえまして、都におきましては、保護司との連携を図りながら、地域社会において少年に対する支援を実施していくことが重要であるとの考え方のもと、少年院出院者の立ち直りを図るための保護司活動支援協議会を設立し、関係機関、団体と保護司との意見交換等を行うとともに、こうした保護司の意見などを反映させて、就労、就学支援や生活面でのサポート、居場所の提供などに関する事業を実施しております。
○中村委員 都は民間団体に委託してぴあすぽを立ち上げ、相談、就労支援を行っていますが、その取り組みの成果をお伺いしたいと思います。
○浅川青少年対策担当部長 非行少年の立ち直りのためには、少年の就学、就労、生活全般の悩みに対する適切な対応と、さまざまな年代や立場の大人たちと触れ合いつつ、自分自身の将来について落ちついて考えることのできる居場所が必要であると考えております。
このため、相談対応や居場所の提供を行うことを目的とした非行少年立ち直り支援ワンストップサービス事業、ぴあすぽをNPO法人と連携し、設置運営しております。
具体的には、ふだん感じている悩みや将来についての面接相談などの生活自立支援、学習支援や学校見学への同行などの就学支援、しごとセンターへの同行や面接の練習などの就労支援などを実施しております。
事業を開始した平成二十年八月から平成二十二年三月までの延べ利用者数は、少年本人、保護者、関係者合わせて計五百六十七人でございます。具体的な事例といたしましては、高校進学を希望する少年に対し、作文や面接の指導などの学習支援を実施し、進学に結びつけたケースがございます。
○中村委員 青少年の更生保護については個人情報の問題もあり、自治体ではその実態把握が困難で、本来的には国の役割が求められます。しかし、先ほど述べましたが、青少年は必ず地域に戻ってきますし、むしろ地域が温かく迎えることで更生保護につながっていきます。そのためには、最後には住民の理解と協力が必要になるため、住民とより密接した市区町村の役割が重要になります。
非行少年の立ち直り支援のため、二十一年度には大田区と八王子市にモデル事業を委託しましたが、その事業の成果と今後の見解を伺います。
○浅川青少年対策担当部長 区市町村青少年立ち直り支援モデル事業は、区市町村における非行少年の立ち直り支援のあり方を検討するため、平成二十一年度から大田区及び八王子市に委託して実施しているものでございます。
両区市におきましては、自治体、保護司会、PTA、民生児童委員、警察署などによる連携体制を構築するとともに、少年や保護者からの相談窓口の設置、保護観察少年の参加する清掃活動、立ち直り支援への地域の理解を深めるためのイベント、講演などを実施した結果、関係機関、団体との連携の強化や、非行少年等の立ち直り支援に対する理解の深まりが見られたところでございます。
今後は両区市における実施結果を参考に、区市町村における立ち直り支援のあり方を検討していく考えでございます。
○中村委員 ご答弁ありがとうございます。都としてもモデル事業の成果を検証し、市区町村への支援をお願いします。
現在、安全・安心なまちづくりが進められ、住民によるパトロールも推奨され、そのものはよいことだと思います。ただし、それは決して監視社会につなげるためのものではなく、いたずらに異質な人を排除してはならないという難しさもあります。さまざまな地域住民への研修や講習なども行われると思いますが、非行少年の立ち直りには地域の理解と協力が必要であることを引き続き求めていただきたいと思います。
以上で質問を終わります。
○遠藤委員 私からは、過日報告がございました一般会計決算説明書中、一三ページにあります集中的な渋滞対策について質問させていただきたいと思います。
この集中的な渋滞対策、漠とした書き方をしておりますけれども、具体的にいいますと、ハイパースムーズ作戦、このように銘打って渋滞対策をしていると、このように理解をしております。事前にいただきました資料によりますと、この事業、具体的にどういった目的で、どのような具体的な取り組みをしているのかということで、ちょっと共通の理解のために冒頭お話をさせていただきたいと思います。
東京のさまざまな弱点のうち、この渋滞というのはその弱点の大きな一つであるということで、首都圏の三環状道路等々の整備、これは東京都、積極的に進めているところであります。しかしながら、こうした時間やコストがかかる取り組みに加えて、より即効性のある取り組みということで、このハイパースムーズ作戦、このように銘打たれて展開されております。
具体的にいうと、例えば信号、本来ですとすぐ変わるのに、若干交通をスムーズにするために少し青の時間を伸ばしたりとか、さらに、AとBの道がある、Aが込んでいる場合にはBのルートに流すような、ハイテクを使ってそのような渋滞対策をしている。さらに、交差点の改良等々についても、大がかりな工事というとこれはまたさまざまな時間コストもかかるんで、区画線の変更等々、割かし容易にできるような取り組みを進めているわけであります。
なお、これについては平成二十年度からスタートした事業であり、東京都は青少年・治安対策本部さんがつかさとなって、警視庁を含む六局並びに東京国道事務所、これは国ですけれども、これが連携をして、今、冒頭紹介させていただきましたけれども、今ある道路を活用して即効性のある渋滞対策を行おうとする事業であると。そのつかさに青少年・治安対策本部がついている。このような理解であります。
このいただきました説明書では、二十一年度の決算の歳出で、二十億三千四百二十八万円余の、歳出の予算、トータルでありますけれども、このうち今申し上げましたハイパースムーズ作戦ということで、五億一千九百六十万円余の歳出があるわけです。
職員の職員費ですとか管理費が五億八千万ということですから、トータルの歳出のうち、事業を行う職員や管理費を除くと、そのうちの約三分の一の歳出が、この集中的な渋滞対策、このハイパースムーズ作戦に利用されていると、このような実態であると思います。
ところで、この事業については、平成二十一年度の予算規模五億一千九百六十六万円に対して、歳出済額が二億九千五百六十八万円余ということで、執行率は五六・九%にとどまっているわけであります。今申し上げました、治安対策本部の中でも柱の事業の一つと思います。それが五六・九%と、このような執行率にとどまっている原因について、まず答弁いただきたいと思います。
○伊東治安対策担当部長 ただいま委員ご指摘のとおり、集中的な渋滞対策では、執行率が五六・九%になっております。この主な理由は、落札差金が発生したことや、警視庁の信号機設置工事が契約不調になったことでございます。契約不調の原因は発注時期の集中によるものであったので、今後計画的な発注に努めるなど、契約不調の発生を抑制してまいります。
○遠藤委員 理由が落札差金の発生と、いわゆる契約の不調、この二点でありました。詳しくはもう聞きませんけれども、ぜひこの契約の不調については、起こらないように計画的に取り組みをしていただきたいと重ねて要望いたします。
次いで、冒頭で述べましたとおり、この事業は各関連機関と連携して取り組んでいるわけでありますけれども、東京都だけでも警視庁を初め六局、また国とも連携していると。そこで施行箇所を精査しているということでありますけれども、平成二十一年度の成果についてご報告をいただければと思います。
○伊東治安対策担当部長 平成二十一年度は、環状七号線の足立区東栗原から青戸八丁目間、目白通りの新宿区西落合一丁目から江戸川橋間などの四路線三区間で事業を実施しております。
このうち、例えば環状七号線の足立区東栗原交差点は、夕方を中心に加平方面から北方向の右折車が多く、既設右折車線をはみ出して滞留し、直進車の進行を妨げ、渋滞が発生している状況でございました。このため、建設局による右折車線の延伸と、警視庁による需要予測信号の設置を実施いたしました。詳細な効果測定は今後行いますが、右折待ち車両が原因の渋滞は減少している状況です。
なお、平成二十年度からのトータルでは七路線八区間で事業を実施しております。
○遠藤委員 昨年度は四路線三区間、そして平成二十年度からのトータルでは七路線八区間で事業をして、成果をおさめていると、このような答弁であったと思います。
ところで、これは最後の質問になりますけれども、この事業を都民に普及するに当たって、このようなリーフレットを作成しているわけであります。
ここの中には、先ほど私が冒頭申し上げたとおり、この事業の目的、また特色等々を書いているわけですけれども、この事業の目的ということで、まず渋滞を減らす、削減する、この対象路線区間をまず定めると。これは目標ですね。目標です。これを定めて、それを平成二十八年度までに、ピーク時の旅行時間の三〇%削減を目指すと、このように書いてあります。ですから、何路線かわかりませんけれども、ある路線を指定して、その路線が最も込んだときにどれぐらい時間がかかるか、そこから割り返して三割減らすということを、この事業の目的であるということでここに書いてあります。
しかしですね、じゃあ、この対象路線区間はどこなんでしょうか。この質問をするに当たって事前に係の方に聞いたら、これは公にされていませんと、このようなことでした。さまざまな理由があると思いますけれども、先ほど申し上げたとおり、年間六億近い予算を計上してこのような取り組みを進めているということであれば、その目標を公にせずして、また明確にせずして、その後の事業の検証、事後検証というのはどうなるのか。このような疑問が出てくるわけであります。
今盛んにPDCAサイクルということで、プラン、ドゥー、チェック、アクションということで、まさにこのプランであるPが不明確では、その後のチェック、Cがうまく機能しないというのは自明の理であるわけでございます。この辺については、透明性の確保の観点から工夫が必要であると思いますけれども、いかがでしょうか。
○伊東治安対策担当部長 事業開始時には、その時点での都内の渋滞の著しい路線区間を想定して、旅行時間の三〇%削減を目指すとしております。しかしながら、年ごとの交通量の変動により、渋滞が著しい路線区間も変動することから、実際の事業実施区間の決定に際し調整が必要であり、これまで公表には至りませんでした。
しかしながら、委員ご指摘の、事業効果の検証や透明性の確保は重要であると考えており、今後関係機関の意見を十分に聞き、できる限り情報を公表する方向で検討し、さらに路線箇所の効果検証を行うなど、透明性の確保と事業成果の検証に努めてまいります。
○遠藤委員 明言をいただきました。ぜひ透明性の確保、説明責任、これがしっかり果たせるように、青少年・治安対策本部のメーンの事業であると思います。こちらも精いっぱい応援しますので、この二点よろしくお願いします。終わります。
○馬場委員 まず、治安対策本部さんの方からお伺いいたします。
平成十八年六月一日から道交法改正で、駐車違反の取り締まり強化という状況になっております。このことは渋滞解消の効果ということでは十分認識をしております。しかし、このことで発生をしております諸問題、このことについては昨年来、さまざまな皆様とともに協議を進めていて、交通渋滞対策はいいんだけれども、それによって起きてしまっている問題について、これからは一つずつ解決する方向で対応してほしいということで、今、そうした問題を進めております。トラックさん等、業務として駐車しなければならない、そうした皆さんも今、大変苦慮しておりますし、また、きょう質問をさせていただく二輪車等についても、道交法の改正に当たって、まだ駐車場が整備をされていない状況だというのは認識されていましたが、それでもこの法律が施行されたという状況の中で、この二輪車の皆さんも大変駐車について苦慮されているとお話を承っております。
それで、今回のこの二十一年度の決算のところでも不用額が出ているという中で、この交通安全対策の企画調整費、ここで予算規模一億七百九十五万余円に対して、不用額が三千九百十八万余円、執行率六三・七%というご報告がございます。大変もったいないような、そんな思いでございます。まずその不用額が発生してしまった理由について伺います。
○伊東治安対策担当部長 平成二十一年度の交通安全対策の企画調整の不用額の主な理由は、落札差金や自動二輪車駐車場整備助成金の残でございます。この自動二輪車駐車場整備助成金制度は、多摩地域における自動二輪車駐車場の整備を促進するために、区部における東京都道路整備保全公社の助成制度を参考に、平成十九年度から緊急三カ年事業として実施したものでございます。
○馬場委員 そうなんですね。先ほど申し上げましたように駐車場の整備がされていないというご認識がおありになった。そこで二十三区につきましては--このチラシをいただいたのですが、東京都道路整備保全公社、ここに二十三区が基金を出して、この自動二輪車駐車場整備助成事業というのを始められました。
今回不用額も出ているということも含めて、二十三区の方では、それではこの助成事業はどうなっているのかというふうにお尋ねいたしましたら、平成十六年からということで資料をいただきましたが、二十一年まで百十四場というんでしょうか、駐車場で二千五百五十五台、一台十万円の補助ですから、二億五千五百五十万円ということでしょうか、かかって、毎年、一応五千万円、五百台の予算で対応していますが、最高の平成十八年の九百十七台を上限に、十九年五百十四台、二十年三百五十五台、二十一年には二百四十一台という、そういう整備状況であるということです。これでもちろん十分というふうには考えていらっしゃらないんですが、各区の方の場所の問題やさまざまなことがあるのではないかというお話でございました。
問題は、今ご答弁いただきました、これに準じて、多摩の方にはこうした公社の基金が行きませんから、都の方でそれではということでつくってくださったのが多摩地域の助成制度ということで、この自動二輪車の整備促進ということで予算を組んでいただきました。しかし、今お話がありましたように、十九年度は七十五台、二十年度は二十台、そして残念なことに平成二十一年度はゼロ台。なし。この予算を使っての対策をとられたところは、残念ながらなかったということになります。
これは、今ご答弁いただきましたが、必要と思っているけどできなかったという状況なんだろうというふうに思わざるを得ません。それでは十八年のこの道交法改正で、二輪車が駐車違反取り締まりの対象になった台数。すごいんですよね。東京ですが平成十八年、これは半年ですが、六月から十二月で十万台、十九年は二十五万台、二十年は十六万台、そして二十一年は八万台、トータルで六十万台がこの駐車違反取り締まりの対象になっています。全国で百五十二万台、全国の四〇%を東京が、対象になってしまっているという、こういう現実があるわけです。
この駐車違反で取り締まりの対象になったということは、違反、とめていけないところにとめていたわけですから、駐車場があればこんなことにはならないというふうに、二輪車をご利用になられる皆さんは思うわけですよね。それで、じゃどのぐらい二輪車が今東京で所有されているのかということを伺いましたら、大体百二十八万台から少し下がってきて百二十万台ぐらい。先ほどのこの対策で出た、公社の補助でできたのが二千五百五十五台ですね。そのほかに、実はこの公社でやっていただいた、そうした台数を含めても九千三百台くらいしか駐車場をつくれていないんです。そういう意味では、都として、この不用額になってこれでいいという状況ではないというふうに思います。
そこで、お尋ねしたところ、青少年・治安対策本部としては、平成二十年度に区市町村の自動二輪車駐車場整備の手引というふうになる--私もどんなものだかいただきました。これですよね。自動二輪車駐車場整備促進アクションプログラムというものをつくってくださって、駐車場の不足についての対策をというふうに考えてくださっているんですが、そもそも不用額が出るような状況の中でも、中だからこそ、各地域で整備を促進しなければならない、違反の件数も含めて、というふうに思ってくださった。ということは、放置の車の数、放置台数等についてどのぐらいあるかということのご認識があるかと思うんですが、その辺について伺います。
○伊東治安対策担当部長 都内の自動二輪車の放置台数についてでございますけれども、当本部では、毎年区市町村からの報告をもとに、駅前放置自転車の現況と対策を取りまとめており、この中で、駅前地域限定ではございますが、自動二輪車及び原動機付自転車の放置台数を調査しております。
ちなみに平成二十一年度調査では、都内の放置台数は千二百八十四台でございます。
○馬場委員 今ご答弁いただきました、放置台数が千二百八十四台、それで年間、二十一年度で八万の駐車違反の対象車があるということは、ちょっと実態として千二百八十四台というのは腑に落ちないという思いがありまして、実はこういう資料もいただきました。駅前放置自転車の現況と対策というのを調査されてつくっていらっしゃいます。ここの数字が実は、今ご答弁いただいた千二百八十四台なんですが、そもそもこれは駅前の放置自転車対策ということで調査を各自治体にしていただいている。そもそもは二年に一度の国の調査を東京都は、本部さんは毎年やってくださっているわけですが、その自転車と一緒に、原付等二輪車、自動二輪と、この両方も駅前等放置自転車ということで調べてくださっているんです。
ただその調べる状況、調査の条件のところに、駅周辺で自転車だったら百台以上、原動機付自転車、自動二輪については五十台以上の放置がある場合を調査対象とし、放置台数がこれに満たない場合はゼロとして表記をするということになっているんですね。私も自分の品川区等も駅をそれぞれ拝見したんですが、私がわかるのは地元の品川ですので、品川は原付も自動二輪もゼロということで表記されています。これは地元品川の担当の方に伺ったところ、調査はしているけれども、調査の報告の要領が百台以上、それから二輪車だったら五十台以上ということなので、結果としてゼロで出ていますということになりました。
この調査は駅が中心の調査です。しかし、実態はもっと商業地、それから必要なところにとめたいわけですから、用事があるところにとまっている駐車違反対象となるような車はもっと多いはずだというふうに私は思わざるを得ません。
こういう現状をまず認識した上で、先ほどのアクションプログラムのフォローアップも含めて、これからどんなふうに対応を考えていらっしゃるのか伺います。
○伊東治安対策担当部長 自動二輪車駐車場は区市町村が整備をするものでございまして、都はそのための手引きとなるように、自動二輪車駐車場整備促進アクションプログラムを取りまとめたものでございます。都の役割は区市町村への情報提供などの支援であり、自動二輪車駐車場については、区市町村ごとの整備の現状や取り組みの状況を把握し、情報を提供することは支援策の一つとして有効であると考えております。今後、調査の実施に向けて検討してまいります。
○馬場委員 そうなんですね、この対策の担当は区市町村ということのご答弁いただいたんですが、区市町村が対策をとるために--二輪車は自分の住んでいる区だけで使うわけではありません。そういう意味で、東京というところで、自動車にかえて二輪車をもっと使っていけばというふうな方も含めて、ただ駐車場がないから使えないんだ、そういう声が多くある。その上で、先ほど申し上げましたように、自分のところの品川区にお尋ねしたところ、調査はしていると。駅で何台かは全部把握していると。ただ、求められていないのでその結果を出していないというお話でした。
つまり、区市町村がこれから自分のところ、それから東京全体、ほかの地域の方が品川に来てとめたい、仕事で来る方を受け入れてしっかり対応していくためには、全体でどうなっているかということが見えないことには対策にならない。ということは、今調査して、この資料もそうですが、せっかく調査しているのであればしっかりと、駅だけでなくて、できれば必要なところ、どんなところに放置があるのかというのを各区市に調査をしていただいて、それをしっかり収集し、東京都全体の状況として共有して対策をとっていくということが必要なんだろうと思います。
車でいえば、三百八十万台東京にある。違法駐車対策ということで時間貸し駐車場、大分ふえてまいりました。今約三十万台くらいはこの時間貸し駐車場、車に関してはあるというふうに聞いております。しかし、一方でこの二輪車、先ほど申し上げました百二十万台所有されているという数字に、いろいろ先ほどの保全公社等を含めて、民間のところもいろいろ含めても一万三千台くらいしかないのではないかというふうに、業界の方等はおっしゃっております。これを車と同じように考えれば、十万台駐車場が必要だと。十万台。今、毎年千七百台くらいずつふえているそうですが、これでは五十年近くかかってしまうと。十万台にしていくための対策をぜひとも早急にとっていかなければならない。そのためには駅周辺だけでなく、とめてもいいところをしっかりあらゆるところでつくっていくということをせざるを得ないのではないかというふうに思っています。
そのためには情報、現状を知らなければなりませんので、ことしまだこの調査は、二十二年度は調査されていないというふうに伺っております。ことし調査されるに当たっては、しっかりそういう意味で各区市にお願いをし、できるだけ詳細な調査、そしてそれをできるだけ詳細に集約し、都として、しっかり後で役に立つような、このせっかくの冊子が、ご答弁いただいたように、違法駐車台数、放置台数が千二百八十四台でしたか--というような意味のない数字でないことを、今後の対策をとっていただきますようお願いを申し上げておきます。
続きまして、青少年の方で一言申し上げたいというふうに思います。
決算書の説明書の方の九ページに、人権啓発活動地方委託要綱に基づく国庫委託金ということで、青少年対策費が出ております。これがどんなふうに使われているかということでお尋ねいたしました。そうしたところ、こういう青少年指導者用人権尊重の社会という冊子をつくられているということで、私もことしの分をいただきました。一万五千部、各区市へ一万四千二百部、それぞれのところへ配布をし、各地域の地区委員さん等に配布をなさっていると伺いました。
青少年の問題でももちろんですが、人権の問題を考えてこうした事業をしてくださるということは大変ありがたいというふうに思っております。
そもそも、この事業は国の方の委託事業というのでしょうか、法務省の人権擁護局が委託をしているものです。東京都は総務局の人権部が受けて、そのうちこの冊子、青少年指導者用ということで、青少年対策部にこの事業がさらに委託をされているということですね。
この、初めにのところにも、日ごろから児童、青少年に係る問題に取り組んでおられる皆様に、さまざまな人権問題を身近な問題として取り上げ、理解と認識をより一層深めていただくための一助として作成したものですというふうに述べられております。
そして、そのページをめくっていきましたら、巻頭論文ということで、時代と子育てということで論文が寄せられております。これを、初めにありますので、読ませていただきました。その中で何点か、なかなか皆さん、お手元にないと思いますので、何点か私が気になったところを申し上げさせていただきます。
子育てについてということのコメントですが、その中で子育てをする親という項目がまずありまして、いろいろあるのですが、母親もただ育てているだけでは失格ですと、健康な子を健全な性格の子に育て、その上頭のいい子、対人関係能力のある子に育てることが要求されますというふうに書かれております。
この後もいろいろ出てくるのですが、じゃ、子育ての主体はというその次のところでも、少なくとも建前では子育ては夫婦二人、建前というふうにおっしゃられています。そのしばらく後には、建前で、実際はそれでも子どもの子育てのやはり中心は母親で、それもそういうお考えがあってもというふうに思いますが、そのまた下には、子育ての下手な母親がいてもというふうなコメントがありまして、子育ての下手な母親はどうしようもありません、こうした中で育てられる子どもは子育ての被害者だといえますというようなコメントとなっています。そして、だから子育てを社会化していこうという、この方のお考えだというふうに思いますが、子育ては昔の方がよかったというコメントから、かつては父親のだめなところをカバーしていたのが母親で、その母親が変わってきたと。どう変わってきたかというところで、母親も自分勝手になってきていますというコメントになって、女として生きたいとか、まだまだ遊びたいというコメントもついています。これは女性にだけ求められる、母親としての役割を求められるということは、これは、この後にも出てきますが、男女平等、男女のともに支えるという社会のコメントについては、いかがなものかというふうに思っております。
そして、そのまた後にはいろいろ、社会は人工的につくったものだからというふうなところがあるんですが、大人がつくった社会ということで、いろいろその後もコメントがありますが、最後のところでは、自然発生的に存在していた人間関係を壊してしまったと。だから私たちはその再構築に取りかからなくてはいけない。自然発生的に存在していた人間関係というのは、この後読んでいただければわかりますが、なぜその社会制度の中にその差別が出てきたかという、そういうご認識が少し足りないのではないかというふうに読み取らざるを得ません。
つまり、今まで、これからここにずっと、この後についているコメントも含めてですが、社会制度、身分や貧富や男女の差別がどうしてできてきたかという、そのことを認識した上で、今現在の私たちの社会があり、これからどうしていかなければ、人権の尊重と差別をなくしていかなければならないかということを、本来の青少年の指導者に考えていただきたいということなわけです。ですから、個人が、子どもの人権がしっかりなければならないと思っているのは、子どもは選んで生まれてこれません、その個人の氏、それから性別、親、選んで生まれてこれない子どもたちに、そのことで差別が生じないということを、しっかりと青少年を育てる、育成をする上で、認識が私どもになければならないというふうに考えております。そういう意味では、個人的なご意見としてこの巻頭の論文は読ませていただきますが、青少年・治安対策本部としては、そもそもこの冊子をつくったという、つくって配布をし、そのことで青少年対策をしていこうということ、そのことについては、もっと人権に配慮したしっかりとした巻頭論文をつくっていただきたいというふうに考えております。
それから、このことで、青少年施策ということで、ホームページを少し拝見させていただきました。
この中で少し気になったのが調査です。治安対策の設置目的というところでは、東京の治安回復のためとあり、その治安問題の根底には青少年の問題が深く関連しているという、こういう設置目的のところに述べられております。
この青少年の問題がどう深く治安ということに関連しているのかということは、また皆様からのいろいろな話の中で了解はしていますが、その最後のところに、子ども・青少年に関する調査というのがあります。ここは平成十四年、十五年の調査で最後になり、この東京都青少年調査というのが事業中止になっております。今申し上げましたように、現在の状況、青少年が置かれている状況、青少年が思っていること、それを施策に反映していくためには、この青少年調査というのをしっかりともう一度再計画をし、継続的に調査をしていくということが施策の基本になるというふうに考えております。ここも再度、今回は決算ですが、来年に向けてぜひともご検討いただけますようお願いして質問を終わります。
○興津委員長 発言がなければ、お諮りいたします。
本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと存じますが、これにご異議ございませんでしょうか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○興津委員長 異議なしと認め、本件に対する質疑は終了いたしました。
以上で青少年・治安対策本部関係を終わります。
この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩とさせていただきます。
午後二時五十一分休憩
午後三時九分開議
○興津委員長 それでは、休憩前に引き続きまして分科会を開催いたします。
これより財務局関係に入ります。
決算の審査を行います。
平成二十一年度東京都一般会計決算中、財務局所管分、平成二十一年度東京都用地会計決算及び平成二十一年度東京都公債費会計決算を一括して議題といたします。
本件につきましては、いずれも既に説明を聴取しております。
その際要求いたしました資料はお手元に配布しております。
資料について理事者の説明を求めます。
○藤原経理部長 先日の分科会において要求のございました資料につきまして、ご説明申し上げます。恐れ入りますが、お手元の平成二十一年度各会計決算特別委員会第一分科会要求資料をごらんください。
最初に表紙をおめくりください。
今回要求のございました資料は、目次に記載してございますとおり、二件でございます。
一枚おめくりいただきまして、要求資料第1号、性質別歳出の推移(普通会計決算)をごらんください。平成十二年度から二十一年度までの十年間における普通会計決算の性質別歳出の推移をお示ししたものでございます。
次のページをお開き願います。
要求資料第2号、各種基金の年度別推移(決算)でございます。平成十七年度から二十一年度までの五年間における各種基金の決算額の推移をお示ししたものでございます。
説明は以上でございます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。
○興津委員長 説明は終わりました。
ただいまの資料を含め、これより本件に対する質疑を行います。
発言を願います。
○淺野委員 決算の財務局所管分について、何点か質問させていただきます。
これまで都は公契約制度の改善、社会情勢の変化に伴い、さまざまな契約のあり方を検討し、また、そのシステムの更新に努めてきた。そういうことについては私たちも一定の評価をしておるところでございます。近年におきましては電子入札、そういったものも導入し、より効率的に努めようとしているところでありますが、この平成二十一年度一般会計決算の説明書を見ますと、電子調達システム、ここに三億八千五百万余円の支出があったということが載っておりますが、まず、この電子調達システムに関しまして、この支出の内訳について教えていただきたいと思います。
○奥田契約調整担当部長 電子調達システムに関する内訳でございますけれども、現行のシステム運営に係る経費といたしまして、運営委託、機器リース、インターネット回線使用料等で合計約三億八千万の支出でございます。
それに加えまして、現在進めております電子調達システムの再構築に係る経費といたしまして、基本構想委託等、約五百三十万円余りを支出しております。
○淺野委員 この電子調達システム、非常に有用なものでありますけれども、やはり三億八千万という多大なコストもかかっているんだということでありました。
また、これで完成形とするわけではなく、よりよいシステムの構築を目指して、再構築、そのための基本構想にも着手されている。これは事前のいろいろな話の中で、統一してこなかった水道局や下水道局、そういったところのシステムとの標準化も行って一体的な運用管理を目指すということでございましたので、私としてもこれは非常にいいことだと思っております。随時どんどん進めていただければと思いますが、先ほども申し上げたとおり、ただ、この電子調達システムというのはやはりコストとしても大きなものがかかっている。では、この多大なコストのかかる電子調達システムを、これまでどのように活用されてきたのか。そしてこれから再構築する予定であります再構築後の新システム、これもどのように活用していくおつもりなのかについて伺いたいと思います。
○奥田契約調整担当部長 システムの活用でございますけれども、電子調達システム導入で一番のメリットは、来庁することなく入札等が行えるということで利便性があるんですが、システム契約制度自体におきましては、談合防止に効果を発揮いたしまして、人が集まらないということでございまして、都における契約の透明性を高めるということが可能となりました。
今後でございますけれども、次期システムでは、これまでシステム化されていませんでした、入札契約制度の中における総合評価競争入札方式、あるいは少額随意契約など、すべての契約案件をシステム化することなどで、都における契約に関する統計情報の処理などの契約事務などがより一層効率的となります。そういったことからも、契約制度改革を進めていくための基盤を強化するといったことが考えられるというふうに思っております。
○淺野委員 現状に甘えることなく不断の努力を行って、こういった電子調達システムをよりよくしていこうとすることに対しては、私も非常に感銘をします。また、そのシステムだけではなく、こういったものは運用の仕方であったり、公契約のあり方であったり、そういったものも同様によくしていかなければならないと思います。
私は、さきの総務委員会の中におきましても、人材バンクというものが九月からスタートしたわけでありますが、この趣旨によるならば、契約の相手方に対して、都庁のOBの方が社員や役員であるかどうかというところも契約の段階で確認するということも必要だろうし、また、そういった努力をすべきだということを総務局に対しても要請してまいりました。総務局も答弁の中で、各局に対して人材バンクの趣旨を丁寧に伝えていくといっております。この契約を行っている財務局といたしましても、この人材バンクの趣旨を十分理解し、その中で、OBの存在なんかも確認できるかどうかといったことも含めて、よく検討していただきまして、その他の局とも協力していくことをお願いしておきたいと思います。
また、あわせまして、この今の公契約、確かに税金の使途、あるいは役所の行う契約事業に対する都民の目、社会の目というのが厳しくなってきている事実はございますけれども、競争性の向上だけを求めていけば、それはすなわち最近起きてきているダンピング、過度な価格競争を起こしたり、デフレ下にあるこの社会を、さらにデフレの方向に傾けていくということにもなりかねません。この公契約のあり方が競争性の向上にだけ偏り過ぎないように、その契約を行う施策の中身によっては、柔軟な契約形態が、各局が選定していけるように指導、そして助言、もちろんそれが悪用されるようなことがないように監視するといったことも財務局として行っていただきたい。そのことも要請をしておきます。
特に契約を行うことによって技術力の向上、技術者の育成というものや、あるいは、先ほど申し上げました過度なダンピングへの警笛を鳴らす、そういうメッセージ性を含めた契約というのもあってもいいのではないかと、私は個人的には思うわけであります。そういった知恵を出すべき余地はまだまだあると思いますので、そこもぜひぜひ考えていただきたい。最低限のコストで最大限の効果を出す、これは自治体に求められたことではあります。それは最重視すべきだと思います。しかしながら、その効果という意味では広い視野を持って意識していく。それが大切なんではないでしょうか。
加えますと、先ほど青少年・治安対策本部に対する質問の中でも、私は青少年の相談業務といったことに対しても、業者に委託するときの契約、それをもっと効果の高いあり方をぜひ検討してほしいという要請をしておきました。必要に応じては、財務局としても相談に乗り、多大な協力をしていただきたいこともあわせて要請をさせていただきます。
そして今、成果というお話をさせていただきました。この決算というのはもちろん、予算の執行が、法令やあるいは議会の議決などに従って公正に、そして効率的に執行されているかどうかというのをチェックするというものであることは、もちろんご存じのことだと思いますけれども、しかし、その予算の執行が都民の生活、あるいは都の行政といったものに対してどのような効果が上がったのか。そのこともしっかり検証していく必要性があると思っております。
現在の決算書類、中には主要施策の成果といったものも出していただいておりますが、この中身を見ますと、どのようなことをやったかといったことは触れられております。例えば、認証保育所の事業、そういったものに対しても、その箇所数が実績としてどのようになってきたかといった推移は載っているわけでありますけれども、その結果として、この保育サービスが都民の生活にどのような効果を与えているのか。あるいは、事前の目標に対してどのぐらい達成できたのかといったところを把握することは、今出されている資料だけではなかなか難しいのではないでしょうか。
私は、やはり個々の事業を検証するためには、あらかじめ設定された目標と、そして目標に対する達成度、あるいは、目標にはなかったんだけれども副産物的に発生した成果、そういったものが出てきて、それを検証することでその事業自体の見直し、あるいは目標の修正へとつなげていくといったことができるようになると考えております。これは決算だけではなく、目下行われている予算編成の中においても、各局が個々の事業を評価検討するに当たっても必要な視点であると考えております。
そのため、例えば、石原都知事の実績としても非常に有名なものの一つでありますし、この中にも載っておりますが、ディーゼルの規制を行った。ああいった事業についても、もちろん目で見て空がきれいになったというのもありますが、数値として空気がきれいになっているといったことが出てくる。こういう目に見えてわかる、数値化できるようなものはもちろんのこと、できる限り客観的な指標で成果がわかるように設定して、そしてその達成度を常にチェックしていく。そのことが必要だと思います。
この成果指標、一般にはアウトカム指標と申しましょうか、結果どうなったのか、その成果指標を導入し、そしてまたその達成度を都民に対して広く公表することによって、都の事業に対する都民の関心も高まるでしょうし、そして、コストパフォーマンス、費用対効果を検証することも容易になる。結果としては行政内部における効率化に対するインセンティブにもつながっていく。その思いから、客観的な成果指標をもっと活用し、そして事業の目標やその成果を検証していくことが重要であると考えておりますが、このことについての見解をお答えいただきたいと思います。
○長谷川主計部長 事業の客観的な指標には、例えば道路の整備率などがございまして、事業の進捗状況を示すものとして重要な指標となっております。
一方で、お話の成果指標の活用につきましては、例えばその道路の整備によって、都内の渋滞がどの程度改善されたかといったように、実施した事業が効果という面で所期の目標に対してどの程度であったのかという視点から、事業を評価していくことというふうに認識しております。
この趣旨からいえば、これまでも都は事業評価の取り組みなど、予算編成の過程において決算状況を厳しく検証する中で、各局と連携しながら、成果とコストの両面から個々の事業を精査し、評価を行っております。ただ、できる限り客観的な成果指標を用いるべきであるという点につきましては、その指標の達成の要因が、外部的な要因である社会経済情勢など、さまざまな要素が複合的に関係しているというケースも多いことから、それが個々の事業との因果関係を直接にあらわすものなのかどうかといったような点で、判断がつきにくいなどの課題もございます。
いずれにせよ、厳しい財政環境が続くと見込まれる状況にあっても、限られた財源の中で都が担う役割を着実に果たしていくというために、今後とも成果指標の考え方なども含む多角的な観点から、事業の検証を徹底いたしまして、施策の効率性や実効性をさらに高めていくということが重要であると考えております。
○淺野委員 質問は以上でありますけれども、最後に一言だけ意見を述べさせていただきたいと思います。
成果指標の導入につきましての今のお話でありますが、外部要因である社会経済情勢など、読めないものがあるのはあらかじめわかっていることであります。そのことも含めて、こういった社会情勢があったからこのような結果になったんだということも、一つの成果指標であると私は考えます。何よりも大切なことは、読みが甘かった、あるいは読み切れなかったということは、人間ですから当たり前です。それは恥ずべきことではなくて、それを正直に誠実に発表し、だからこそ、次にはこういうふうにつなげていくんだということがあらかじめわかるように公表することが、今の行政に求められていることだと思います。そして、これは局には関係ないかもしれませんが、メディアだってそのことを正当に評価するようにならなければ、今のような批判型の社会を打破することはできないと私は考えますので、ぜひ、その主導をこの東京から、そして財務局から始めていただきますように強くお願いを申し上げまして、私の質問を終わらせていただきます。
○三宅委員 先ごろ発表されました東京都年次財務報告書をもとに、二十一年度の普通会計決算についてお伺いいたします。
この問題につきましては、第三回定例会の財政委員会における我が党の質疑でも取り上げましたが、きょうは少し別の視点から何点か質問をしていきます。
二十一年度は都税収入が前年度から一兆円以上落ち込むという、まさに未曾有の事態に直面しました。しかし、このように都財政が厳しい状況の中にあるということは、とりもなおさず多くの都民や中小企業もまた、厳しい経済情勢に直面しているということです。このようなときにこそ、都には担うべき役割をしっかりと果たしていくことが求められています。
特に、経済活動を支える都市機能の向上は都にとって必要不可欠であり、東京の活力を増進するものです。また、そこからもたらされる経済効果は日本全体に波及し、日本の成長を促すものです。
そこでまず、そうした都市機能の向上などに資する投資的経費について、二十一年度の水準が過去と比べてどのようになっているのか、お伺いいたします。
○長谷川主計部長 東京の都市基盤の整備を確実に進めることは、委員ご指摘のとおり、東京の経済活力を高めるとともに、雇用の創出や波及効果の点からも意義があるものと考えております。
ご質問の投資的経費の水準についてですが、年次財務報告書の作成を始めました平成十八年度は六千六百九十七億円であるのに対しまして、二十一年度は七千九百十七億円となり、三年間で一千二百二十億円の増となっております。前年度であります二十年度と比べましても、大幅な税収減の中ではございますが、四百九十九億円の増となる執行を図っておりまして、事業の内容についても、骨格幹線道路や鉄道の連続立体交差化を初めとした、投資効果の高い事業に財源を重点的に配分するなど、必要な事業を着実に実施しているところでございます。
○三宅委員 これまで投資的経費を着実にふやしてきているとの答弁がございました。では、現在のように厳しい財政状況の中、どのように投資的経費の財源を確保してきたのか、お伺いいたします。
○長谷川主計部長 二十一年度につきましては、年度途中で大幅な税収減に直面する中にあって、都市基盤の整備など都として必要な事業を確実に進めるために、その財源をどのように確保していくかということが大きな課題となりました。
この課題に対応するため、不要不急な経費の一部先送りなど、改めて歳出全般を精査するとともに、歳入面においても、例えば減収補てん債の発行など、これまで培ってきた財政対応力でございます都債の発行余力を積極的に活用いたしました。
このほか、昨年四月の国の経済危機対策により創設されました地域活性化・公共投資臨時交付金も積極的に活用することなどによりまして、投資的経費の財源を確保したところでございます。
○三宅委員 厳しい財政状況の中でも、財源をしっかり確保して投資的経費を積極的にふやしてきたことはよくわかりました。
投資的経費は景気対策に資するだけではなく、都市基盤の整備を通じて東京の将来を切り開くものです。二十二年度でも二十一年度に比べて予算額を伸ばしているところですが、来年度に向けてもさらなる充実を要望しておきます。
さて、ただいまの答弁の中で財政対応力の話がありましたが、これは年次財務報告書にも書かれているように、税収好調時にも、引き続き内部努力や施策の見直しをしながら、将来に備えてきたたまものにほかなりません。そうした都の努力というものは、一つの切り口として、義務的経費の推移を検証することでも明らかになるのではないかと思います。
そこで、年次財務報告書の作成を始めた十八年度以降の人件費と公債費の推移について伺います。
○長谷川主計部長 十八年度以降の推移でございますけれども、まず人件費については、十八年度は一兆五千九百二十八億円でございましたが、二十一年度は一兆五千二百九十六億円と、十八年度と比べて六百三十二億円の減となっております。これは、この間行ってきた職員給与の減額改定や定数削減などによるものでございます。
一方で、歳出の性質別で申しますと、公債費につきましては、二十一年度が六千七百五十億円であったのに対しまして、十八年度の九千六百十九億円を最高として、十八年度から二十年度までの三年間は二十一年度よりも高い水準で推移しております。
公債費の歳出額がこの三年間比較的大きかった理由でございますけれども、これは、この時期ふえた都税収入を活用いたしまして、将来負担の軽減に積極的に取り組んだことによるものでございます。
具体的に申し上げますと、国の減税措置に伴って過去に発行した減税補てん債などの借りかえを抑制して、元金償還を着実に進めて都債残高の圧縮を図るとともに、当時積立不足のあった減債基金への積み立てを行ったところでございます。これらの結果、公債費の水準がこの三年間比較的高くなったというものでございます。
こうした取り組みをすることで、都債の発行余力というものを高めて、過去最大の税収減にも対処し、将来にも対処し得る財政体力を培うことができたものというふうに考えております。
○三宅委員 この間、投資的経費を伸ばす一方、人件費を節減するというめり張りのきいた財政運営が行われてきたことがわかりました。また、これまでの間、都が財政対応力を培ってきた取り組みについて、普通会計決算の公債費の推移の理由を検証することからもはっきりと理解することができました。
それにしても一兆円の減収というのは衝撃的です。都財政をめぐる環境ががらりと変わったとしかいいようがありません。そこで、これを契機として、都税収入の内容について少し突っ込んでお尋ねいたします。
都税収入の中には、特別区財政調整交付金のように、税の一定割合を区市町村に交付するいわゆる税連動経費というものが含まれています。つまり実際に都が使える税収というのは、これを除いた額となります。そこで、二十一年度普通会計決算において、都税収入全体に対する税連動経費を除いた額の割合はどの程度だったのか、またその割合はどのように推移してきているのか伺います。
○長谷川主計部長 都では、都税収入と地方譲与税を合計した額から、お話のありましたような特別区財政調整交付金や地方消費税交付金などの、区市町村に交付する税連動経費を除いた額を実質的な都税収入として把握しております。
二十一年度の都税収入の総額に地方譲与税を加えた額でございます四兆三千三百八十五億円から、税連動経費の総額一兆七百七十三億円を差し引きますと、実質的な都税収入は三兆二千六百十二億円でございます。よって、二十一年度の都税収入などに占める実質的な都税収入の割合は七五%となっております。
一方、これまでの推移を見ますと、都税収入等の額が二十一年度と同水準でございました平成九年度には、その割合は、二十一年度と比べて六ポイント高い八一%というのが、実質的な都税収入の割合でございました。その後、特別区財政調整交付金の配分割合変更や、地方消費税交付金の創設などの影響によりまして、区市町村に交付する税連動経費がふえたという事情がございまして、実質的な都税収入の割合は七〇%台半ばで推移しているところでございます。
○三宅委員 都税収入が大幅に落ち込んでいるだけではなく、過去と比較しても実質的な都税収入の割合が上がっていません。つまり、見かけの都税収入よりも実際に都が使える財源は少ないのです。入るをはかって出ずるを制すとは、昔から財政運営の基本であり、限られた財源の中で最大限の行政サービスを提供していくことが、都に課せられた役割です。その意味でも、先ほどの実質的な都税収入という概念もしっかり理解しておかなければ、今後の財政運営の正確な判断ができないのではないかと思います。
一方、このように都財政が厳しい時期に、さらに追い打ちをかけるように税収を圧迫しているのが、法人事業税の不合理な暫定措置であります。平成二十年度の税制改正で導入された法人事業税の一部国税化は、都の課税自主権を大きく侵害するものであり、直ちに撤廃し、地方税として復元されるべきものです。この暫定措置の影響は実質的には、二十一年度から初めて生じていると理解しています。そこで、二十一年度決算における法人事業税収入への影響額と、財源面での都の対応策について伺います。
○長谷川主計部長 法人事業税の不合理な暫定措置の、平成二十一年度決算における影響額でございますが、一千三百四十九億円の減収となっておりまして、これに対して東京都は、法人事業税国税化対策特別基金を取り崩すことによって、財源を確保したところでございます。
なお、二十二年度でございますけれども、この暫定措置による影響が平年度化するということから、影響額はさらに拡大いたしまして、二十二年度当初予算では、本来収入すべき法人事業税の約四割となる三千八百五十九億円が国に吸い上げられる一方で、国から交付される地方法人特別譲与税は一千九百五十七億円となりまして、差引影響額は一千九百二億円の減収となるというふうに見込まれております。
○三宅委員 二十一年度には法人事業税国税化対策特別基金の取り崩しで対応したとの答弁がありましたが、二十二年度予算においても、財政調整基金など活用可能な基金を約三千億円取り崩していますが、仮に暫定措置がなければ取り崩し額はもっと少ない額で済むはずです。その意味でも、将来にわたって都財政への影響が懸念されるところであります。
我々も、かねてこの不合理な暫定措置の即時撤廃を主張してきました。引き続き取り組みを強化していきたいと考えております。都においても先般リーフレットを発表し、地方財政をめぐる国の動きに対し問題提起を行ったところですが、引き続き国に対してしっかりと主張していただくことを求めておきます。
これまでの議論を通して、都が、税収の比較的好調な時期においても歳出削減努力を続ける一方で、厳しい財政状況にあってもしっかりと将来を見据えた投資を行っているなど、非常に目配りのきいた財政運営を行ってきたことが確認できました。このことは大いに評価すべきであると思います。
しかし、都税収入に関しては、さまざまな構造的な問題点も存在しており、引き続き、堅実な財政運営が求められています。そこで最後に局長から、今後、都財政をどのようにかじ取りしていくのか伺って、質問を終わります。
○安藤財務局長 都の財政運営におきます最大の課題と申し上げますと、この四、五年の間に現実として体験したことでございますけれども、税収が年度間で大きく増減しやすい歳入構造というものがありますので、都民サービスをいかに安定的、継続的に提供していくかということだと思います。
このため、財政再建後の税収増加局面におきましても、むだをなくし、効率性や実効性を高めながら必要な施策を着実に進めるとともに、基金を積み立てて、さらに都債の発行余力を高めるなどの財政対応力を培ってきたところであります。
一兆円もの税収減の中にありましても、冒頭にお話がございましたが、投資的経費の増加を初めとした積極的な施策の展開が可能となったのも、これまでのこうした堅実な財政運営の成果であるというふうに思っております。
他方、大幅に落ち込みました都税収入ですが、残念ながら、来年度も好転が期待できないと思っております。都財政を取り巻く厳しい環境は今後も続くというふうに思っておりますが、一方、お話にありました法人事業税の暫定措置、一千九百億円もの減収という影響があるわけですけれども、このまま継続をするならば私どもの財政体力の低下につながって、都財政にとって将来の大きな負担になるものというふうに思っております。暫定措置の即時撤廃に向けて、先日はリーフレットを出しましたけれども、国に対しまして強く働きかけていくことは当然といたしまして、厳しい財政環境の中にありましても、将来にわたりまして都の役割を果たしていくために、これまで以上にむだを省くなどの取り組みを徹底し、その上で、都債や基金をやはり将来を見据えて計画的に活用するなど、できる限り財政の対応力を堅持しながら、都政の諸課題に着実に対処していくことが必要であるというふうに考えております。
○松葉委員 平成二十一年度東京都一般会計決算説明書に記載されております都庁本庁舎の光熱水費に関連して、質問をいたします。
東京都においては、環境確保条例に基づき、大規模施設について、平成二十二年度からCO2総量削減義務が課されております。同制度は温暖化対策のモデルとなる制度として注目をされております。今後、東京都は民間事業者に対して厳しい指導を行い、良好な環境の確保に努めていくことになると思いますが、その前提条件として、都みずからが率先行動をとることが必要であると考えます。
さきの第三回定例会一般質問でも、我が党の中山議員が、我が国超高層ビルの代表事例の一つである都庁舎における取り組みについて確認をしたところです。
都議会公明党は、環境対策には強い関心を持っており、建築物に対する対策はその大きな柱の一つととらえております。これまで最先端のオフィスビルの実態調査を行うなど、継続的な取り組みを行っております。このような流れの中で、今回、都庁舎のCO2排出量削減へ向けた都の取り組み姿勢を確認したいと思います。
さて、CO2排出量は、その建物で消費されるエネルギーの種類ごとに、所定の係数を乗じて合算しているものと聞いております。つまり、消費エネルギーが小さくなれば排出されるCO2量が小さくなり、逆に消費エネルギーが大きくなれば排出されるCO2量が大きくなるということであり、省エネとCO2排出量には相関関係があるわけです。その意味から、まず光熱水費について伺います。
決算説明書によりますと、平成二十一年度の光熱水費の決算額は十四億五千万円余りとされておりますが、これまでの光熱水費の推移について説明を求めたいと思います。
○藤森庁舎運営担当部長 光熱水費は電気料金、上下水道の使用料金のほかに、トイレの洗浄水として活用しております中水道の使用料金ですとか、空調などの熱源としております冷水及び蒸気の地域冷暖房関係の料金で構成をされております。
光熱水費の推移についてでございますが、主な年度でご説明いたしますと、開庁いたしました平成三年度には約二十五億四千万円、開庁五年目の平成七年度には約二十三億一千万円、十年目の平成十二年度は約十八億九千万円、十五年目の平成十七年度は約十六億円でございました。その後、平成二十年度までは約十六億円前後で推移し、昨年度、平成二十一年度は決算説明書記載のとおり、約十四億五千万円でございます。
○松葉委員 ただいまご説明いただきましたが、開庁時の二十五億四千万円に比べまして、二十一年度は約四割縮減されているという計算になります。開庁時以降、大幅な削減努力を行ってきたことを評価するものです。
都庁舎の場合は、都内有数の超高層ビルであり、一万人を超える職員の方が仕事をし、また、毎日多くの都民の皆様が利用する施設であることから、光熱水費もかさむものと思います。しかし、光熱水費を少しでも抑える努力をしなければ、都民の皆様の理解を得ることはできないわけです。そのようなことから、他の建物と単純には比較できないと思いますが、この十四億五千万円という金額は、一般的な感覚からすると大変に大きな金額と感じるわけでございますが、都庁舎と他の建物を省エネといった観点で比較するといかがでしょうか。伺います。
○藤森庁舎運営担当部長 都庁舎は、都議会議事堂を含めまして三棟で構成されており、その延べ床面積の合計が約三十八万平方メートルという、ほかに余り例のない大規模な建物でございます。
このため、他の建物との単純な比較はできませんが、環境局作成の東京都省エネカルテに記載をされました、事務所ビルの単位面積当たりのエネルギー消費量の平均値と比較いたしますと、都庁舎のそれは約七五%にとどまっておりまして、省エネが進んでいると考えております。
○松葉委員 他の建物と比較をしまして、省エネが進んでいるということを理解いたしました。
それでは、当然これまでさまざまな工夫により省エネに取り組んできたことと思います。そこで、具体的にこれまで行ってきた対策の説明を求めます。
○藤森庁舎運営担当部長 これまで都庁舎では、事務室の昼休みや夜間の一斉消灯、廊下やホールなど共用部の一部消灯、退庁時のブラインドおろしや夏季における軽装の励行などの省エネ行動を推進するとともに、照明器具に関しまして、安定器のインバーター化や、非常階段での人感センサーの導入などの改修をしたほか、エレベーターの運行調整、あるいは空調の設定温度の最適化など、さまざまな省エネ対策を講じてまいりました。
○松葉委員 地道な工夫で省エネ対策に継続に取り組んできたことはわかりました。都庁舎開庁の平成三年度比でCO2排出量は約三〇%も減少したとも聞いております。
ところで、環境確保条例に基づき、都庁舎に関してもCO2排出量削減の義務が課せられましたけれども、どのような義務が課せられたのか、改めて伺います。
○藤森庁舎運営担当部長 環境確保条例ではCO2排出量の削減を義務づける対象事業所を、燃料、熱、及び電気の使用量が、原油換算で年間千五百キロリットル以上の大規模事業所としております。これら事業所につきまして、平成十四年度から十九年度までの間の、いずれか連続する三カ年度の平均CO2排出量を基準排出量といたしまして、都庁舎の場合、第一削減計画期間の今年度から平成二十六年までの五カ年間で、基準排出量の六%の削減が課せられることになりました。
○松葉委員 今、ご説明がありましたこの義務を達成するためには、都庁舎の省エネをいかに進めていくかということでありますが、見方を変えれば、光熱水費の削減を行っていくということであります。CO2排出量の削減に向けて、今後は、従来の取り組み以上にさらなる取り組みが必要だと思いますが、いかがでしょうか。伺います。
○藤森庁舎運営担当部長 CO2排出量の削減が義務化されたことによりまして、都庁舎に関して、削減義務達成に向けました取り組み方針を策定いたしまして、全庁横断的な取り組みにより、確実な総量削減を達成することといたしております。
昼休み一斉消灯など従来の取り組みの継続に加えまして、今年度からは現状の設備費、システムの運転管理の改善、機器調整などハード面での取り組みや、新たに、給与支給日を全庁一斉退庁日として指定いたしまして、勤務時間外につきましては原則空調を停止するなど、職員の働き方や庁舎の使い方の見直しなどによりまして省エネを図っていくこととしており、第一削減計画期間における六%のCO2排出量削減義務につきましては、これを上回る削減が達成可能であるとの見通しを持っております。
また、今後本格化いたします都庁舎の設備更新におきましては、高効率設備の更新などによりまして、CO2排出量の一層の削減に取り組んでまいります。
○松葉委員 ハード面、ソフト面にわたり、さまざまな取り組みをされるということでございます。その結果、六%の削減義務については、これを上回る削減が達成可能という見通しとのご答弁でございました。着実な取り組みを期待しております。
ところで、このCO2排出量六%の削減義務を達成すると、例えば、電気料金に換算するとどれくらいの料金が縮減されることになるのか伺います。
○藤森庁舎運営担当部長 第一削減計画期間の削減義務量、CO2換算で八千五百八十一トンに対しまして、削減見通しは九千五百四十一トンでございます。削減義務量のCO2排出量をすべて電気で削減したと仮定をした場合、削減電気量は二千二百四十万キロワットアワーとなりまして、今年度の都庁舎の電気料金で試算をいたしますと、五カ年で約二億八千万円の縮減となります。
○松葉委員 五カ年で二億八千万円の縮減というのは、大変に大きな金額であると思います。さらに今後、都庁舎は大規模な設備更新を行う予定であり、さらなるハード面での省エネの前進を期待するものです。
ただ、それだけでは、第二削減計画期間のCO2排出量削減義務の達成は困難かもしれないわけです。都庁舎におけるCO2排出量削減の取り組みは、高効率設備への更新や運用の工夫とともに、この都庁舎を利用する職員の方がどう建物の中で業務を行っていくかという働き方、ワークスタイルの改革もあわせて行っていくことが必要であります。都議会棟も含まれておりますので、当然私たち議員の心がけ、取り組みも必要であると思います。今後、庁内関係部署で連携しながら、総合的なCO2排出量削減への取り組みを進めることを要望して、質問を終わります。
○たぞえ委員 二十一年度財務局決算中、建築保全費を中心に伺います。
建築保全費は、予算現額九十一億八千二百八十万円でした。支出済額は八十五億一千六百五十四万円で、この大半を占めている目である営繕費は七十億一千四百六十九万円で、支出の割合は九一・五%です。その営繕費のうち、都庁舎等の維持管理に六十六億四千百九十五万円が支出されましたが、具体的にはどのような事業に使ったのか、まず説明いただきたいと思います。
○藤森庁舎運営担当部長 二十一年度におけます都庁舎の維持管理費の内訳でございますが、総合施設設備管理業務や建物清掃等の委託料、光熱水費、工事修繕料、飯田橋庁舎分担金、設備更新費などとなっております。
○たぞえ委員 都庁舎、本庁は都議会議事堂を含めて平成三年に開庁して、ことしで十九年が経過しました。当時のビル建設技術をもって建てられたわけですが、その施設は今日まで行政活動や議会活動、都民サービスの提供の拠点として使われてきたと思います。四半世紀近く経過して、今日では空調や照明など、設備機器を中心として本格的な更新が必要だと、先日の事務事業説明でも述べられましたけども、私は大変それも大事だというふうに思っています。あわせて、この設備の更新とあわせて、都庁舎施設が利用者の利便性をどう確保してきたのか、このことの検証も大事だというふうに考えています。
昇降機設備といわれているエスカレーターやエレベーターは、本庁舎には一体何台、何基設置されているのか示してください。
○藤森庁舎運営担当部長 都庁舎の昇降機でございますが、第一本庁舎にエレベーター四十二基、エスカレーター八基、第二本庁舎にエレベーター三十三基、エスカレーター六基、都議会議事堂にエレベーター八基、エスカレーター四基を設置しており、都庁舎合計でエレベーター八十三基、エスカレーター十八基の百一基でございます。
○たぞえ委員 エスカレーター、エレベーター合わせて、第一庁舎五十基、第二庁舎は三十九基、都議会議事堂は十二基、合わせて百一基だということですが、現在この二種類の昇降機のうち、使用を停止していたり使われていないというものはあるんでしょうか。
○藤森庁舎運営担当部長 都庁舎の昇降機のうち、運転を停止しているエスカレーターは、都議会議事堂の南北に設置してございます、一階と二階とを接続する二基でございます。
○たぞえ委員 都議会議事堂でいえば、南側と北側とも設置しているエスカレーターは、地上一階と二階を結ぶものなんですが、一九九三年、平成五年から停止しているわけです。都庁舎が建設されてわずか二年で停止です。都民の皆さんや議会に勤務する職員、議員が議会に来てエスカレーター使おうと思っても、この建物にはエスカレーターはなく階段しか使えない。エレベーターはもちろんありますけども、そういう施設になっているわけです。
さきの三定ですっかり有名になった都有地の、土地信託で有名になった新宿モノリスや、NSビルがある都議会の南側入り口は今閉鎖されています。理由を見ると、張り紙にテロ対策警備という都合でと、こう書かれています。結局、都民はこの都議会の南側、ちょうどここでいえば、私の背中側の入り口は一切議事堂に入れないと、こういう構造に今置かれているんです。この議事堂に入れるのは、西側に向いているレストランの付近の一階と、二階の京王プラザホテル側の正面玄関と、北側の一階だけと、こういう状況になっています。
入り口を制限しているだけじゃなくて、エスカレーターも使えないと。要するにこの都議会議事堂に設置している二基とも使わない、こういう状況です。都民が都庁を使う需要を考えても、これは大変不便きわまりないというふうに思います。
この一階と二階をつなぐエスカレーターですが、この二階には都議会の大事な機能が集まっています。都民も利用が可能な議会図書館や複数の会議室、PRコーナー、都議会議事堂を訪れる都民に、都議会の仕組みや役割に関する情報パネル、ビデオ、パソコン、こういうものを提供しているだけではなくて、都議会関係のパンフレット、また、都議会議事堂の見学案内もこの二階から行われているわけです。せめて都議会定例会の開催時だけでも自動作動するような方向での改善が、対策が必要かと思いますが、どう見解をお持ちでしょうか。
○藤森庁舎運営担当部長 都議会議事堂のエスカレーターにつきましては、利用者が少ないことから、省エネのために現在運転を停止してございます。お話の都議会定例会開催時につきましては、本会議場や委員会室が三階から七階にあることから、傍聴者のほとんどは各階に連絡するエレベーターを利用しているということでございます。したがいまして、議会開催中でも一階と二階とを接続いたしますエスカレーターの運転をする予定はございません。
○たぞえ委員 利用者が少ない、傍聴者はほとんどエレベーターを使うから、使わないと宣言されたわけですが、それじゃ、一体開設した当初、どういう目的でこの施設が設置されたのか。
先ほどいいましたけども、開庁して二年で使用停止と、もうかれこれ十七年もとめているわけですよ。一体設計の根拠は何だったんだろうか。すっかり都民にはもう、このエスカレーター設置の面影というんでしょうか、あることだって知られていない。新しい議員の方も聞きましたら、そんなものあったのかと。先日のぞいてみましたら、隅の方に追いやられているような真っ暗やみの中にエスカレーターはありました。
それは使わなければ使わないで、意味があるということを考えているんでしょうけれども、しかし、私はそういう施設は有効的に活用することも、とめておくだけじゃなくて、策としては考えることは必要ではないかと思っています。
財務局の皆さんは、第一庁舎の十五階、十七階、十八階で仕事されていますが、都議会には毎日というほど障害を持つ方々が訪れるわけです。他のビルと違ってこの都議会には、点字ブロックもなければ--この上の方ですよ、下はありますけれどもね。案内表示も出っ張ったものもない。手すりもない。いろんな点で違ったビル構造を持っているわけです。ですから、障害を持つ方々が自分が行くところを求めて、いろいろ歩かれている姿を見ると、ちゃんとわかっているのかなという心配もするわけです。この間、来年度予算のヒアリングでも大勢の方が見えまして、本会議質問でも、手話通訳によるテレビ画面での報道も、議場で聞き入っている姿も私見ております。
そういう点で、この都議会議事堂の移動の手段は、頼みの綱はエレベーターしかないと、こういうことになっているわけですね。では、そのエレベーターは一体どうなんだろうかというふうに考えてみますと、まず行き先を示す階数ボタンですけども、視覚障害者が階数を点字で確認をして、その隣のボタンを押します。押すというよりも触れるわけです。ところが、押し込み式でありませんので、その点字を触った瞬間にその階数のボタンを触ってしまう。当然それで上に行ったり下に行ったり、こういう状況になる。間違って別の階に行くわけです。しかし、開閉ボタンだけは押さなければあかない、閉まらない。行き先は触れないと行かない。皆さんも体験があると思うんだけれども、手袋をしてはあのエレベーター使えないんです。感知しないんですよ。押す場合は手袋をはめていても押せばいいんです。しかし、あの感知の方は、一切手に、例えばバンドエイド張っていてもだめなんです。そういう構造物になっている。だから、この問題でも、上に行ったり下に行ったりという不都合が生まれているわけです。
この開閉ボタンは、安全確保の観点からも押しボタンに、そういう操作ボタンを切りかえていくという必要が、大規模改修の時期を控えて検討する値打ちがあるんじゃないかというように思いますが、いかがですか。
○藤森庁舎運営担当部長 エレベーターの押しボタンにつきましては、今後予定している都庁舎の設備改修工事の中で改善することとしております。設備改修はユニバーサルデザインの視点を踏まえまして計画しており、押しボタンにつきましては、ボタンに触れるだけで反応するタッチ式から、ボタンを押し込んで操作をいたしますストローク式とし、視覚障害者の方々の利用にも配慮した設備とすることを予定しております。
○たぞえ委員 庁舎の機能を維持すること、そして多くの都民に活用していただくためにも、ぜひ、大規模改修に先立って、こうした設備の改善を図っていただきたいというふうに思います。
二十一年度一般会計決算全体を見てみますと、二千二百五十億円の不用額が生まれています。予算の使い残しのうち、福祉保健費は二三%、五百十八億円、産業労働費で一七・八%、四百億円、教育費で九・六%、二百十七億円に及んでいます。
これらの分野の不用額は、都民が望んでいる施策が一〇〇%執行されなかったり、節減、節約だといって決めた予算にブレーキがかかるなどということも、結果としてあるんではないでしょうか。
二十一年度予算を審議した第一回予算定例議会では、この当時の予算編成に当たって、アメリカ発の金融危機によるかってない深刻な不況と、当時派遣村などといわれた雇用の問題、こうした都民の暮らしが大きく揺らいでいるもとで、東京都に求められていたのが都民の雇用と暮らし、福祉を守ることを最重点にしながら、本格的な少子高齢化社会への対応、行き届いた教育、そして、子どもたちが入れない保育所の増設、また中小企業の振興や地球温暖化防止、震災対策、こういうことにこそ都民の貴重な税金を編成していくということが求められていた予算でした。
しかしながら、減収、税収減といいながら、当時を思い出すと懐かしくなってしまいますけども、オリンピックを口実にしたインフラ整備や、また首都高速中央品川線。この本来首都高や国が行うべき事業に、都が率先して税を投入する。こういう都市再生が最優先されました。また、オリンピック基金には一千億円の基金の積み増しがされ、平成二十一年度予算では、開発型基金は八千百六十億円にも及んだ年でありました。
都民の暮らしをどう向上させるか、そのための予算の執行はどうだったのか。このことが今度の決算で改めて検証されることが必要だということを痛感しております。
以上です。
○中村委員 財産管理について質問します。
財産面から決算を見た場合に、財産売り払い収入や財産貸付収入はかなりの額を占めています。日本経済が冷え込んでいる状況でも、二十一年度においては七十億円を超える財産売り払い収入がありました。
都議会民主党は、さきの定例会での都有地売却の事案に対する討論において、一、都市づくりや地域経済の活性化、地域環境の向上など広域性、一体性の観点からも吟味して活用すること、二、規模の大きな行政財産の廃止や売却などを行う場合、地域社会に与える影響が大きいため、地域の合意形成に向けた取り組みが必要であること、三、財産情報システムの掲載事項の充実や、暫定活用中の土地の別途表示などを行い、都有財産の有効活用を進めていくことの三点を主張しました。
都有地の売り払いで一定の収入を確保することも必要ですが、都内に残る貴重な財産は再び確保するのは容易ではないだけに、保持したまま都施策や地域施策のために活用していくことが最も重要なことです。そこで、従前の行政用途が廃止され、新たに活用できる財産が発生した場合に、現在どのような考え方のもとに使い方が検討されているのか伺います。
○松本財産運用部長 都有財産は都民から負託されました貴重な財産であることから、その財産価値を最大限発揮させるとともに、都政の喫緊の課題解決のために、各局と連携し、利活用を推進していくことが重要でございます。
このため、行政用途が廃止されました財産の利活用に当たりましては、まず第一に、都の事業への活用可能性を各局に照会し、それがない場合は、次に区市町村事業への活用可能性を、地元の区市町村に照会してございます。それでも使用がない場合は、民間への貸し付けや売却を検討いたしますけれども、その際には、都内に残る貴重な財産は保持するとの観点から、民間に売却等を行う財産と保持し続ける財産との選別を行い、保持する財産につきましては、当面の間暫定活用を行うなどの有効活用を図っているところでございます。
○中村委員 都政の喫緊の課題への財産利活用は、福祉施設の充実など、都民が強く求める施策の充実に寄与することから、積極的に推進すべき取り組みです。都は平成十二年度の財産利活用総合計画、十五年度の第二次財産利活用総合計画などで、財政が厳しい時期に資産の売却が出されましたが、その後財政状況が改善したことを受け、平成十九年度の今後の財産利活用の指針が示され、環境変化に対応した新たな利活用の方針へと転換され、施策連動型の財産利活用の推進がうたわれました。
そこで、都有地はこの施策連動型の財産利活用の推進という視点で、これまでどのような施策に使われているのか、実績を伺います。
○松本財産運用部長 都の施策連動型の財産利活用の実績でございますけれども、例えば福祉のインフラ整備事業として、区市町村を介して高齢者向けまたは障害者向けなど、民間福祉事業所に対し都有地を長期貸し付けてございます。
また、都内施設の耐震化推進に向けまして、私立学校について、その耐震改修を支援するため、一定期間都有地の貸し付けを行っております。
さらに、都市部の緑化推進のため、通常の一・五倍の緑地創出を条件といたしまして、事業用定期借地契約で民間事業者へ土地を貸し付けている事例もございます。
○中村委員 さまざまな方面の施策に財産が利活用されており、今後も引き続きの取り組みに期待します。
一方、一定の行政用途が終了した都有地については、土地の所在や経営上の関係もあり、すべてをすぐに別の用途に使うことは困難です。小規模の土地であれば、しばらく使い道がなく、あいたままの状態であることも、都市の中の貴重な空間として悪くはありません。しかし全く活用されないということであれば、都民からは、行政としては何をやっているんだと問われかねません。その意味では、当面の暫定活用ということも重要な取り組みの一つです。
そこで、未利用となった都有地はこれまでどのように暫定活用しているのか伺います。
○松本財産運用部長 未利用となった都有地をどのように暫定活用しているかということでございますけれども、例を申し上げますと、都内における駐車場確保の観点から、自動車や二輪車用のコインパーキングとして都有地の暫定活用を行っている事例がございます。また、環境配慮型の住宅を展示する住宅展示場に用途限定をいたしまして、民間事業者へ貸し付けている事例もございます。さらに、面積の比較的小さな土地につきましては、緑化条件をつけて自動販売機を設置するというような取り組みも行っております。
今後とも、都施策への貢献という観点を踏まえまして、民間事業への都有地の貸し付け等を行うなど、積極的に未利用都有地の暫定活用を推進してまいります。
○中村委員 暫定活用にも積極的に取り組んでおり、さまざまな形で都有財産が活用されている現状についてお答えいただきました。
今後も都政の喫緊の課題解決に向けて、各局や市区町村との情報連絡を密接に行っていただきたいと思います。とりわけ福祉施設などの施策に連動した財産利活用を強く推進していくことはもちろん、公開可能な財産は都民や事業者に周知することが大変重要です。積極的な情報公開をお願いしたいと思います。今後も財産の暫定活用について引き続き積極的に取り組んでいただきたいと思います。
以上で質問を終わります。
○興津委員長 発言は終了いたしました。
そのほか発言がないようでしたら、お諮りをいたします。
本件に対する質疑はいずれもこれをもって終了いたしたいと存じますけれども、これにご異議ございませんでしょうか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○興津委員長 異議なしと認め、本件に対する質疑は終了いたしました。
以上で財務局関係を終わります。
これをもちまして本日の分科会を閉会といたします。
午後四時十四分散会
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