委員長 | 菅 東一君 |
副委員長 | 上野 和彦君 |
副委員長 | 小沢 昌也君 |
野田かずさ君 | |
栗林のり子君 | |
柳ヶ瀬裕文君 | |
大島よしえ君 | |
山田 忠昭君 | |
伊藤まさき君 | |
門脇ふみよし君 |
欠席委員 なし
出席説明員病院経営本部 | 本部長 | 川澄 俊文君 |
経営企画部長 | 黒田 祥之君 | |
サービス推進部長 | 別宮 浩志君 | |
経営戦略・再編整備担当部長 | 齊藤 和弥君 | |
福祉保健局 | 局長 | 杉村 栄一君 |
次長 | 吉岡 則重君 | |
技監 | 桜山 豊夫君 | |
総務部長 | 梶原 洋君 | |
指導監査部長 | 松浦 和利君 | |
医療政策部長 | 中川原米俊君 | |
保健政策部長 | 住友眞佐美君 | |
生活福祉部長 | 藤田 裕司君 | |
高齢社会対策部長 | 狩野 信夫君 | |
少子社会対策部長 | 雜賀 真君 | |
障害者施策推進部長 | 芦田 真吾君 | |
健康安全部長 | 鈴木 賢二君 | |
企画担当部長 | 日置 豊見君 | |
事業調整担当部長 | 枦山日出男君 | |
医療改革推進担当部長 | 高橋 郁美君 | |
医療政策担当部長 | 山岸 徳男君 | |
地域保健担当部長 | 宮垣豊美子君 | |
生活支援担当部長 | 市川郁美子君 | |
施設調整担当部長 | 中山 政昭君 | |
担当部長 | 小室 明子君 | |
事業推進担当部長 | 角田由理子君 | |
障害者医療担当部長 | 熊谷 直樹君 | |
食品医薬品安全担当部長 | 鈴木 達夫君 | |
感染症危機管理担当部長 | 前田 秀雄君 | |
健康安全対策担当部長 | 中谷 肇一君 |
本日の会議に付した事件
平成二十一年度東京都各会計歳入歳出決算の認定について
病院経営本部関係
・平成二十一年度東京都一般会計決算(質疑)
福祉保健局関係
・平成二十一年度東京都一般会計決算(質疑)
・平成二十一年度東京都母子福祉貸付資金会計決算(質疑)
・平成二十一年度東京都心身障害者扶養年金会計決算(質疑)
○菅委員長 ただいまから平成二十一年度各会計決算特別委員会第二分科会を開会いたします。
本日から四日間にわたり、本分科会所管局の決算に対する局別質疑を行ってまいります。
本日は、お手元配布の会議日程のとおり、病院経営本部及び福祉保健局関係の決算に対する質疑を行います。
これより病院経営本部関係に入ります。
決算の審査を行います。
平成二十一年度東京都一般会計決算中、病院経営本部所管分を議題といたします。
本件につきましては、既に説明を聴取しております。
その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
資料について理事者の説明を求めます。
○黒田経営企画部長 去る十月八日の本分科会におきまして要求のございました資料について、ご説明申し上げます。
お手元にお配りしてございます平成二十一年度各会計決算特別委員会第二分科会要求資料をごらんいただきたいと存じます。
資料は、目次にございますように、1、各公社病院の経営指標の推移から、5、公社病院におけるがん患者取扱実績までの五点でございます。
恐れ入りますが、一ページをお開きいただきたいと存じます。1、各公社病院の経営指標の推移でございます。
平成十七年度から平成二十一年度までの各公社病院における経営指標の推移を入院、外来別に記載しております。
二ページをお開き願います。2、各公社病院に対する運営費補助金の推移でございます。
平成十七年度から平成二十一年度までの各公社病院に対する運営費補助金の推移を記載しております。
三ページをごらんください。3、各公社病院における医師、歯科医師及び看護職員の定数及び現員の推移でございます。
三ページの(1)から五ページの(3)にかけまして、平成十九年度から平成二十一年度まで、年度ごとの各公社病院における医師、歯科医師の定数及び現員を診療科別に記載しております。
六ページをお開き願います。(4)は、平成十七年度から平成二十一年度までの各公社病院における看護職員の定数及び現員を記載してございます。
七ページをごらんください。4、公社病院における看護職員の中途退職者数の推移でございます。
平成十七年度から平成二十一年度までの公社病院における看護職員の四月一日から三月三十日までの退職者数と三月三十一日の退職者数につきまして、その推移を記載してございます。
八ページをお開き願います。5、公社病院におけるがん患者取扱実績でございます。
昨年実施しましたワンデイ調査におけますがん患者取扱実績につきまして、それぞれ病院別に記載してございます。
簡単ではございますが、以上で要求のございました資料の説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。
○菅委員長 説明は終わりました。
ただいまの資料を含め、これより本件に対する質疑を行います。
発言を願います。
○門脇委員 委員長のご指名をいただきましたので、質問させていただきます。
病院経営本部の皆さんには、厚生委員会で一年間大変お世話になりましてありがとうございます。こんなに早く質問をできる時間が来るとは思いませんでしたけれども、質問の内容は一点だけであります。いわゆるがんに関してのことであります。
申し上げるまでもなく、都内における都民の主要な死因、原因の第一位ががんであり、全体の死因の約三割程度を占めているといわれております。また、性別を見ても、男性では二人に一人、女性では三人に一人ががんに罹患するといわれておりますし、今後、高齢者人口の増加が見込まれることから、がんの患者数もますます増加をしていくものと思います。
このような状況の中で、私たち民主党はマニフェストの中で、がんあるいはがん対策の拡充、充実というものを掲げ、予防、検診体制の強化など、がん対策の一層の推進強化を進めてまいりました。
そして、つい先日のことでありますけれども、会派都議会民主党としても、がんプロジェクトチームを立ち上げまして、不肖私もその事務局を預からせていただいておりますけれども、がんの克服、早期発見あるいは早期治療による死亡率の低下、また、都民が質の高いがん対策医療を受けられるよう検討を、今、日夜進めているところでございます。
そこでまず、当該決算年度、平成二十一年度一般会計決算審査に関連いたしまして、今回は、病院経営本部は、一般会計で申し上げますと公社病院がそのカテゴリーということになると思いますので、この公社病院におけるがん医療に対する取り組みの状況について、全体をおさらいする意味でお聞きをいたします。
まず初めに、先ほど黒田部長から資料要求について、最後のところにありましたけれども、改めまして、公社病院において入院患者に占めるがんの患者の割合、推移を含めてお伺いをいたします。
○黒田経営企画部長 公社病院で行っております平成二十一年十月のワンデイ調査によりますと、六病院全体で全入院患者に占めるがん患者の割合は二三・八%となっております。
これを病院別で見てみますと、豊島病院ががんの患者の割合が三二・五%と最も多く、東部地域病院は二六・四%、多摩南部地域病院は二五・六%、多摩北部医療センターは二二・八%、大久保病院が一九・七%、最も割合が低い荏原病院でも一八%となっております。いずれの病院におきましても、患者割合の最も高い疾病となっております。
また、十九年度から二十一年度の三年間の推移を見ましても、がん患者の割合は、十九年度が二三・六%、二十年度が二一・八%、二十一年度が二三・八%となっておりまして、ほぼ四人に一人ががん患者でありまして、いずれの年におきましても最も患者割合の高い疾病となっております。
○門脇委員 ありがとうございます。全体の、先日、公社病院になりました豊島病院も含めて四人に一人ということですね。
我々も、イメージとしては、病院に入院をされる患者さんのがんの割合というのは少なくないということは理解をしているんですけれども、改めて、後ほど触れますけど、豊島病院においては約三分の一です。全体ならしてみても四分の一ということ、四人に一人ががんの入院患者であるということです。
この結果から、公社病院が、今回は公社病院だけ触れていますけれども、もちろん都立病院も含めてということなんですけれども、地域医療の拠点としてその役割を果たすためには、患者のニーズが高いがん医療の取り組みというものは、今後ますます重要になってくるということは、これはもうどなたも異論のないところではないかと思います。
そこで、公社病院では、今日まで具体的にがん医療に対してどのような取り組みをしてきたのか、幾つか特徴的なことをお知らせいただきたいと思います。
○黒田経営企画部長 東京都保健医療公社が運営いたします六つの病院のうち、多摩南部や多摩北部、荏原、豊島病院の四つの病院で、がん医療を重点医療にしております。また、東部、大久保病院の二つの病院でも、特色ある医療として位置づけております。MRIやCTなどの機器を活用しました画像診断や、手術療法、内視鏡による検査や処置、化学療法などを行うとともに、都立病院や大学病院と連携することによりまして、がん治療の充実強化に取り組んでまいりました。
また、平成二十一年度に公社病院となりました豊島病院では、二十床すべてが個室である緩和ケア病棟を持ちまして、緩和ケア医療に取り組んでいるところでございます。さらに、自由診療として、胃がんや大腸がんを中心にセカンドオピニオン外来にも取り組んでおります。
また、施設整備面での二十一年度の取り組みとしましては、東部地域病院に外来化学療法室を新たに設置するとともに、豊島病院におきましても、内視鏡室を三室から四室に増設するなど、がん医療の充実に向けた整備を行っているところでございます。
○門脇委員 公社病院においては、がん医療を重点的に充実すべく医療機能として位置づけているとのことでありますけれども、繰り返して恐縮ですけれども、これは都立病院も同様かもしれませんが、がん医療体制の充実に向けて引き続き、今、四つほど黒田部長からお答えをいただきましたけれども、このことを中心として取り組みを強化していただきたいと思います。
ところで、がんといえば、患者さんの多くは、身体的な苦痛はもとより、精神、心理的な苦痛というものも抱えており、同様にそのご家族も、さまざまな苦痛あるいは悩みというのを抱えていらっしゃいます。
このため、こうした苦痛の軽減を図る、いわゆる緩和ケア医療の取り組みは、患者さんのQOL、クオリティー・オブ・ライフを大きく左右するものであると思います。こうした意味で緩和ケア医療の取り組みは大変重要であり、先ほどお答えがありましたけれども、豊島病院で行う緩和ケア医療に対する都民の期待も大変大きいと思われます。
そこで、豊島病院では緩和ケア医療に具体的にどのように取り組んでいるのか、これも幾つか要点を絞ってお答えをいただければ幸いでございます。
○黒田経営企画部長 豊島病院では、緩和ケアを専門とする医師はもとより、精神科、麻酔科の医師や看護師を初め、ソーシャルワーカー、臨床心理士、薬剤師、栄養士、理学療法士などがチームで診療にかかわり、終末期だけではなく、初期の段階から、がんの進行に伴う身体的苦痛や精神的苦痛等の症状を緩和する治療やケアを行っております。また、入院により症状が緩和された場合には、外来通院や地域の医療機関との連携を行うことで、緩和ケアを継続していただいております。
施設的にも、病棟には屋上庭園を配置いたしまして、緑のある静かな環境とするとともに、面会は二十四時間自由、病室を利用して患者と一緒にお泊まりいただくことも可能でございまして、また、ご家族が泊まれる部屋を病棟内に二室用意するなど、ご家族と過ごす時間を大切にした環境整備を行っているところでございます。
○門脇委員 ありがとうございます。最初のお答えですと、チームで取り組んでいくということで、これはとっても大切なことだと思います。それから、外来通院や地域の医療機関、開業医の皆さんとの連携、これもとっても大切なことだと思いますし、施設の問題はこのとおりでしょう。このとおりですから、さらに充実をしていただければと思います。
豊島病院では、今お答えの中でもありましたように、緩和ケアのいわば専門医師や看護師、ソーシャルワーカー、臨床心理士、薬剤師、栄養士、理学療法士など、チームで取り組んでいただいているわけですけれども、患者さんやそのご家族へのケアというものを行っているとお答えいただきまして、まさに東京の緩和ケアに関する先駆的な病院であろうと。これはもちろんとてもいいことで、私自身も再認識をいたしました。
また、緩和ケアの病棟では、可能な限り快適な生活が送れるよう、施設の面でもさまざまな工夫を行っているとのことでありますけれども、引き続き、繰り返しますけれども、環境のさらなる改善に努めていただきたいと思います。
余談ですけれども、私の知り合いの医師の方、この方は東大病院の呼吸器内科の専門家というか、呼吸器内科のお医者さんでございますけれども、私も非常に懇意にさせていただいている方なんですけども、その方が、少し前のことになりますけれども、呼吸器内科ですから、肺がんの患者さんを受け持ったときに、患者さんの意向を尊重して、すぐれた医療施設である豊島病院を紹介して、転院したということをお聞きいたしました。
がんですから、患者さんにとっては、あるいは家族にとっては、本当につらい痛みではあるんですけれども、そういう意味では、第一線の呼吸器内科の東大の先生が、ある意味、患者さんの希望ではあったけれども、豊島病院に転院をしてもらったというのは、私たちにとっても大変力強い、心強いことであることは間違いがありませんので、よろしくお願いしたいと思います。
ところで、終末期だけではなくて、治療の初期の段階から緩和ケアを行い、地域の医療機関との連携--先ほど申しました連携ですね--外来通院や在宅療養を可能として、これも以前からいわれていることですけれども、在宅に戻していくという取り組みは、非常に重要であると思います。
先ほどの豊島病院でもそのような取り組みを行っているとのご答弁がありましたけれども、症状の緩和した患者が在宅で治療というか、療養できるよう、具体的にどのような対応を図っているかお伺いをいたします。
○黒田経営企画部長 豊島病院の緩和ケア病棟を退院されました患者さんに対しましては、患者さん、家族の方に安心感を持って過ごしていただきますように、必要があれば二十四時間いつでも再入院が可能な体制をとってございます。
また、退院患者さんが外来へ通院する際には、在宅酸素や在宅栄養の状況や、往診医や訪問看護ステーションとのかかわりをチェックするなど、在宅での状況をきめ細かく確認させていただいております。
こうした取り組みによりまして、例年、全退院数の約半数が在宅退院となっておりまして、豊島病院の緩和ケア科の大きな特徴の一つとなっているところでございます。
○門脇委員 ありがとうございます。がん患者は、私が申し上げるまでもなく、ご家族を含めてかもしれませんが、さまざまな苦痛を伴って、私たちの会派でも、先ほど申しましたように、がんプロジェクトチームというのを立ち上げて、各方面の先生をお呼びし、そして、どこまで視察ができるかどうかは別といたしまして、ホスピス等もこれから視察をする予定にしております。
その苦痛の度合いも増していくと思います。このため、やはりがんを克服するためには、大学病院や都立病院などの高度の専門医療機関や検診機関、あるいは訪問看護ステーション、介護施設等と、それぞれの役割を踏まえた上で一層の連携を強化し、その患者に適した施設で適切な医療や介護を提供していくことが必要だと思います。
また、先ほどから私自身も連携という言葉を頻繁に使わせていただいておりますけれども、連携でやっぱり一番大切なことは、がん患者の生に対する尊厳というものを病院側がしっかりと意識をした、質の高さが求められていると思います。がん患者が地域で安心して療養生活を送れるよう、地域のさまざまな施設とも一層機能連携を推進していただくとともに、地域医療の拠点としての役割を果たして、最大限の努力をしていただきたいと思いますし、また、豊島病院でいえば、ともすると、公社病院になって医療やサービスの質が落ちるのではないかという誤解を受けることが今まであったように思いますけれども、少なくともこの豊島病院については、がんについては任せておけという高い、さっきからいっている連携を持って取り組んでいただきたいと、このことを要望して質問を終わります。ありがとうございました。
○野田委員 それでは、病院経営本部が所管する平成二十一年度一般会計決算に関して質問いたします。
いただいた決算説明書を見ますと、この決算は、支出の大半が東京都保健医療公社の運営する六つの病院と検診センターに対する補助金であり、地域の医療サービスを提供する病院等の運営に充てられております。
保健医療公社が運営する病院は、当初、東部と多摩南部の二つの地域病院でありましたが、都から十六年度に大久保病院が、十七年度には、私の地元にある多摩老人医療センターが、これまでの高齢者専門病院から、地域の総合的な医療を担う多摩北部医療センターとして衣がえをして、運営が公社に移管されました。続いて十八年度には荏原病院が、そして二十一年度には豊島病院と、四つの都立病院の運営が公社に移管されました。二十一年度決算は、こうして公社が六つの病院と一つの検診センターの運営を行うことになってから初めての決算です。
こうした観点から、いただいた地域病院等の補助金に関する資料、これを拝見いたしますと、各病院がそれぞれ若干の増減があるものの、全体的にその額は年々増加をしている傾向にあります。
そこで、病院運営に関する補助金が増加した要因について伺いたいと思います。
○黒田経営企画部長 病院運営費に関します補助金が増加した主な要因といたしましては、まず、たび重なる診療報酬のマイナス改定がございます。とりわけ、紹介率を要件とします入院基本料加算の廃止など、紹介、逆紹介を基本とします公社病院には、この間の診療報酬改定は大きな影響がございました。
また、医師、看護師の欠員から一部の病棟を休止せざるを得ない状況となりまして、このために入院収益が減少したことも、補助金が増加した要因であると考えてございます。
○野田委員 診療報酬の改定が収益に影響し、また、医師や看護師の欠員による病棟休止、そこから入院収益が減少してしまう。今、まさに多くの病院が直面している問題そのものが公社経営に大きな打撃を与えているようでございます。
診療報酬の今年度の改定では、若干のプラス改定となったようでありますが、病院を経営する上ではまだまだ厳しいものがあると聞いております。また、一方の要因であります医師、看護師の不足に対しては、早急に手を打っていく必要があると考えております。
そこで、公社病院では、医師、看護師の確保に向けてこれまでどのような取り組みを行ってきたのか、伺いたいと思います。
○黒田経営企画部長 医師の確保につきましては、緊急登院費の引き上げ、初任給調整手当、救急業務に対応した手当を新設するなど、処遇の改善を行ってまいりました。女性医師や看護師が仕事と家庭生活を両立し、勤務を続けられる職場を確立するため、日勤常勤制度や育児短時間勤務制度などの子育て支援策も導入してまいりました。
看護師の確保につきましては、初任給調整手当を新設するとともに、採用に当たりましては、新卒者につきましては、早期選考の実施や、学生が病院を見学するインターンシップの導入、また、経験者につきましては、病院での随時採用や面接の重視など、工夫を凝らした改善を行ってまいりました。
さらには、新人看護師に対するグローアップ研修の実施、中堅職員のスキルアップのための認定看護師等の資格取得の支援、さらには、七対一看護基準の取得や二交代制勤務の導入拡大などの取り組みを行いまして、看護師の確保、定着に取り組んできたところでございます。
保健医療公社では、引き続き医師、看護師の確保に努めまして、一層の経営改善に取り組んでいくとのことでございます。
○野田委員 医師、看護師の確保に向けた取り組みをぜひ今後とも継続していただいて、経営の安定化に努力をしていただきたいと、このように思います。
さて、公社病院の役割には、経営面の改善ばかりではなく、もう一つ、地域ニーズを踏まえた、地域に不足する医療を適切に提供していくという重要な役割がございます。
先日、私は、地元にある多摩北部医療センターについて、病院関係者からお話を伺う機会がございました。
多摩北部医療センターは、清瀬小児病院移転にあわせ、小児病棟を改修し増床を行うなど受け入れ体制の整備に努め、現在では、小児医療に関しても地域の中核的役割を担っております。中でも、地域からのニーズにこたえて、小児の発達障害の患者を対象とした専門外来を開始していると聞いております。
そこで、この多摩北部医療センターで実施している小児の発達障害専門外来について、具体的な取り組みについて伺いたいと思います。
○黒田経営企画部長 多摩北部医療センターの小児発達障害専門外来は、地域の小児科の開業医の方々から、当センターで発達障害の確定診断をしてほしいという要望を踏まえまして、平成二十一年九月から開設したものでございます。
地域の医療機関等から依頼されました注意欠陥多動性障害、ADHDや学習障害、LDなどの発達障害を持つ子どもさんを、小児科医師及び専門の臨床心理士、言語聴覚士がチームを組んで診療、検査、リハビリ等を行うことによりまして、確定診断を行っているところでございます。
これに基づきまして、地域の学校やリハビリ施設などに紹介を行っておりまして、必要があれば、特別連携病院であります小児総合医療センターでも紹介を行っているところでございます。
昨年の九月の開設時には、一名の小児科医が対応しておりましたが、ことしの四月からはさらに一名の医師を増員いたしまして、水曜日を除きます平日に診察を行っているところでございます。
二十一年度は延べ二百二十七名、二十二年度は、九月まででございますが、延べ三百八名の患者の取り扱いがあったということでございます。
○野田委員 我が党はかねてから、地域医療の課題は一朝一夕に解決策を見出せるものではなく、地域の医療関係者、自治体、そして都が協力しながら、さまざまな施策を一歩一歩着実に積み重ねていくことが重要であると指摘をしてまいりました。
小児の発達障害の診断に当たり、多摩北部医療センターが新たな取り組みを開始したことは大変心強いことでありますし、また、私の地元の東村山市の議員もしくは医療関係者にとっても、大変心強いという評価を得ております。
公社病院は、地域医療の中核としての役割を果たすことが求められていることから、経営改善とともに、こうした地域からの要望を踏まえ、質的な充実にもきめ細かく、かつ積極的に対応していくことが大変重要なことであります。
引き続き、都や公社、そして関係機関が知恵を出し合い、地域医療の充実に向けた施策を推し進めていただくことを要望し、質問を終了いたします。
以上です。
○上野委員 私からは、一般会計決算説明書の中にあります補正予算について、何点か質疑をしていきたいと思います。
この補正予算は、平成二十一年第二回定例会におきまして審議したもので、荏原病院、豊島病院に新型インフルエンザの緊急対応病床を整備するというものでございます。そこで、決算の審議に当たりまして、新型インフルエンザの取り組みについて何点かお尋ねいたします。
荏原病院と豊島病院は、保健医療公社に運営が移管される前の都立病院当時から、第一種感染症指定医療機関あるいは第二種感染症指定医療機関として、都における感染症医療では大変重要な役割を果たしてきたわけでございます。昨年の新型インフルエンザ流行時においても、地域の中核病院として多くの新型インフルエンザ患者を受け入れたと聞いております。
そこで、まず初めに、荏原病院及び豊島病院では新型インフルエンザの患者がどれくらいあったのか、お尋ねいたします。
○黒田経営企画部長 荏原病院には、成田空港で新型インフルエンザの疑い患者が発生しました平成二十一年四月三十日から二十二年三月末までの間、延べ二千七百六十二人のインフルエンザ患者が来院いたしまして、新型インフルエンザの疑いのありますA型陽性患者は延べ九百八十二人でございました。
また、豊島病院では、延べ千七百八人の患者が来院しまして、A型陽性患者は延べ六百五十二人でございました。
○上野委員 日本に新型インフルエンザが入ってきた当初は、封じ込め期としての対応を図ったわけでありますけれども、その後、流行が拡大いたしまして、患者数もかなりの数となったと聞いております。
インフルエンザの感染拡大を防止するためには、まず手洗いやうがいなど一人一人の感染予防の対策が重要であります。一方で、病院などの医療機関にあっては、新型インフルエンザ患者から一般の患者に感染することのないように、二次感染を防ぐ取り組みが極めて重要であります。
そこで、新型インフルエンザの流行に際しまして、荏原、豊島の両病院では二次感染を防ぐ観点からどのような対応を図ったのか、お尋ねいたします。
○黒田経営企画部長 荏原病院、そして豊島病院におきましては、一般の患者さんと新型インフルエンザの患者さんとの接触を避けるために、感染症科外来に専用の発熱外来を設置しまして、通常の外来と別の動線にするなどの対応を図ったところでございます。
また、入院に際しましても、感染症病床を有効に活用いたしまして、病室隔離を行ったところでございます。
さらに、医師、看護師を初めとした職員一人一人にアルコール性消毒剤を用いた手洗いの徹底、うがいの励行、マスクの着用を行ったところでございます。
加えまして、新型インフルエンザの診察に当たりましては、必要に応じて防護服の着用なども行ったところでございます。
○上野委員 新型インフルエンザ流行時においても、その他の疾患やけがなどで医療機関を受診する患者も多くいらっしゃいます。一般の患者の方が安心して受診できるようにするためにも、病院内における二次感染防止に引き続き努めていただきたいと思います。
新型インフルエンザは、三月三十一日をもってその第一波の流行は鎮静化したわけでありますが、今後また、これまで以上に爆発的に患者が発生することも予想されるわけでございます。こうした点を考慮いたしますと、より多くの新型インフルエンザ患者に適切な医療を提供するためには、地域の医療機関との役割分担、医療連携が一層重要になってくるわけでございます。
そこで、新型インフルエンザの流行に際し、荏原病院、豊島病院においては地域の医療機関とどのような連携を図っていくのか、図ったのか、お尋ねいたします。
○黒田経営企画部長 都内の感染者数が増加しておりました平成二十一年七月に、都は、すべての一般診療機関での発熱患者の診療や重症患者の一般医療機関での入院受け入れなど、新型インフルエンザの医療提供体制を変更いたしました。この変更を受けまして、荏原病院、豊島病院では、地域の医療機関との連携のもと、重症患者はもちろん、基礎疾患を有する患者さんや妊婦さんの入院受け入れなどを行ったところでございます。
また、救命措置を必要とする重篤な患者さんや小児の患者さんにつきましては、例えば荏原病院では、近隣の大学病院や国立成育医療センターへ転送するなど、病病連携も進めてきたところでございます。
○上野委員 大学病院などとも緊密な連携を行っていただいたようでありますけれども、新型インフルエンザ対策における医療体制を確保するためには、すべての医療機関の協力が欠かせないわけであります。荏原病院、豊島病院を含め、地域医療の中核を担う公社病院には、連携の中心となって引き続き万全の準備をしていただくことを要望しておきます。
平成二十一年度の補正予算には、荏原病院、豊島病院に、これまでの感染症指定病床に加え、この病床を補完する役割を持つ感染症緊急対応病床の整備が盛り込まれておりました。感染症緊急対応病床は、都立の駒込病院、多摩総合医療センター、小児総合医療センターにおいては既に整備されていますが、感染症医療に大きな役割を果たしてきました荏原病院、豊島病院にも整備されることは大変重要なことであります。
そこで、今後の新型インフルエンザの流行に備えまして、荏原病院、豊島病院における感染症緊急対応病床の整備の進捗状況につきましてお尋ねいたします。
○黒田経営企画部長 荏原病院、豊島病院におきましては、既に感染症病床が二十床整備されておりますが、さらに、陰圧化が可能な病床を荏原、豊島両病院に各六十床を確保、整備することといたしました。これとあわせまして、感染症科外来につきましても、環境を強化する工事を行っていくこととしたところでございます。
平成二十一年度は、これら工事のための設計を行っておりまして、荏原病院については二十二年七月から、豊島病院は二十二年九月から工事を着工しております。この工事の竣工は年度末となりますが、新型インフルエンザがこの冬にも流行する可能性がありますことから、整備が完了した病棟から稼働させていくこととしておりまして、両病院とも、年内には半数程度の病床の使用が可能となる予定となってございます。
○上野委員 今後の新型インフルエンザの流行に備えまして、工事の一日も早い完成を期待しております。
新型インフルエンザの医療提供体制を検証する際、二次感染の防止や医療機関の確保に加えまして、もう一つ重要な視点がございます。それは医療提供の確実性であります。
新型インフルエンザが大流行するということは、医療を提供する職員の方々が新型インフルエンザに罹患し、診療行為ができなくなる危険性を多くはらんでいるわけであります。
こうした危険を解消し、医療提供を確実にするために、私は、平成二十年度予算特別委員会におきまして、これは議会で初めてでしたけども、新型インフルエンザ対策としての都政のBCPを急ぐよう強く主張いたしました。これを受けて都は、新型インフルエンザの都政のBCPを全国に先駆けて着手いたしまして、本年、平成二十二年三月、都政のBCP、新型インフルエンザ編が作成されたわけでございます。
そこで、都は、平成二十二年度中には各局のBCPを策定することとしておりますけれども、地域住民が必要としている保健医療サービスの提供などを役割としております東京都保健医療公社、ここにおきましても、この重要なBCPを策定する必要があると考えますけれども、所見を伺います。
○黒田経営企画部長 新型インフルエンザがパンデミック期を迎えまして、患者数が大幅に増加している状況におきましては、住民が必要とする医療を提供することは、公社病院の重要な使命でございます。
このため、所管局といたしまして、保健医療公社に対しまして新型インフルエンザの流行に備えたBCPの策定を指導しているところでございまして、公社事務局を中心に、各公社病院と連携してBCPの策定作業を進めているところでございます。
公社では、最大で四〇%の職員が欠勤することを想定した上で、新たに発生する業務の洗い出しや、パンデミック期にありましても継続しなければならない業務の選定、また、その際に必要となる人員数の見積もりなどを検討しているところでございます。
今後、さらなる必要事項の検討を進め、今年度中の策定を予定しているところでございます。
○上野委員 住民が必要とする医療を必要なときに確実に提供できる体制を整えるということは、都の監理団体である保健医療公社の使命であると思います。実効性のある新型インフルエンザのBCPを策定し、公社病院におきましても確実に医療の提供が継続されることを要望いたしまして、私の質問を終わります。
○大島委員 要求した資料を大変忙しい中つくっていただきまして、ありがとうございました。この資料をもとにしながら質問をさせていただきます。
私は、豊島病院と東部地域病院についてお聞きしたいと思います。
まず最初に、決算年度の二〇〇九年度から公社に移管された豊島病院についてお聞きいたします。
公社に移管する前には、地元の板橋区議会から意見書も出されておりまして、そこには四百七十八床の病室を全面開設することなどが求められておりました。
いただいた資料の一ページを見てみましても、六カ所ある公社病院の中でも、入院患者や病床の利用率は高い方で、外来患者数も十五万八千人余と、荏原病院に次ぐ患者数を抱えていることがわかります。
都立の時代にもなかなか困難という状況でしたが、全病棟を開棟する、これを将来課題ということにしたまま、実は公社化がされました。
二〇〇八年九月の厚生委員会のときに、当時、黒田経営戦略・再編整備担当部長の答弁ということで、地域の医療ニーズを踏まえまして必要な病床を確保し、将来的には全病棟開棟を目指すこととしていると、こう答弁されました。
全病床開棟に向けてこの間どんな努力をしてきたのか、まずお伺いいたします。
○黒田経営企画部長 豊島病院は、平成十一年三月に全面改築工事が竣工いたしまして、四月には第一次開設、平成十二年には第二次開設を行いました。しかし、医師や看護師の確保が困難であったことなどの理由から、平成二十一年四月の公社移管時においても二病棟が未開棟のままでございました。
公社移管後も、全病棟開棟を目指しまして医療人材の確保に取り組んでいるところでございます。具体的には、医師につきましては、大学医局への訪問、ホームページを活用した募集、初任給調整手当、救急業務に対応した手当の新設などの処遇改善を行ってまいりました。看護師につきましても、初任給調整手当の新設、早期採用選考や病院での随時採用、さらには二交代制勤務、七対一看護基準の取得など、さまざまな確保、定着策を講じておりまして、引き続き医師、看護師の確保に努めているところでございます。
○大島委員 いただいた資料の医師とか看護職員の定数と現員の推移などを見ますと、なかなか大変な状況なのかなというのもわかりますが、一日も早い全病棟の開設が実現できますように、東京都が責任を持って公社への支援を強化する、このことを求めておきたいと思います。
次に、豊島病院では、もともとNICU、新生児の集中治療室ですね、これが設置されておりましたけれども、医療体制が整わず休止となってまいりました。この課題も残したまま実は公社化されたんです。
豊島病院のNICUを墨東病院と大塚病院に三床ずつ移転して、NICUをカバーしてきたと、こういっておりますけれども、豊島病院にはNICUの設備は現在残っているんでしょうか。
○黒田経営企画部長 豊島病院は、大学医局による新生児科医の引き揚げによりまして、平成十九年十月からNICUを休止せざるを得なくなりました。このため、二十一年一月には墨東病院に三床、二十一年七月には大塚病院に三床、NICUを増床したところでございます。
したがいまして、NICUの設備そのものは現在も豊島病院に残ってございます。
○大島委員 今、周産期医療体制の充実というのが叫ばれておりますし、全国的にもNICUが一千床も不足していると。都内でも、これは二〇一四年度末までに三百二十床という目標に対して、現状では二百五十八床だと、大変深刻な事態が発生していると聞いています。豊島病院のNICUの設備は残っているということですから、一日も早く再開するように努力すべきだと思います。
豊島病院でのNICU再開についてはどのように考えているのか、お伺いします。
○黒田経営企画部長 NICUに不可欠な新生児科医は、全国的に極めて不足している状況にございますが、豊島病院では、引き続き新生児科医の確保に努めているところでございます。
○大島委員 新生児科の医師確保に努力をして豊島病院でのNICUの再開を目指していくと、こういうご答弁だったんですが、大変重要な答弁だと私は思いました。
福祉保健局が二〇〇九年度から始めた小児救急医師確保緊急事業で、順天堂大学の医学部等に都の寄附講座を開設いたしまして、小児医療を担う医師を養成する事業が実施されています。都立病院で実施している臨床研修の東京医師アカデミーも来年度から卒業生が出てまいります。これらの事業も活用して、ぜひ新生児科の医師を確保するように努力をしていただきたいということを提案しておきます。
次に、さまざまな苦労はありますけれども、二〇〇九年十月には、医師確保の努力によりまして、今まで休止となっていた産婦人科が再開されたと聞きました。
産婦人科休止の経過と産婦人科再開後の経過についてお聞きします。
○黒田経営企画部長 産婦人科の休止でございますが、大学医局の医師引き揚げによりまして、平成十八年九月に分娩の取り扱いを休止せざるを得ないという状況になりました。
この分娩を再開するに当たりましては、十九年一月に産婦人科医師を一名採用し、その後、二十年二月に一名、四月に二名、七月に一名を採用いたしました。その後、一名の退職があったものの、二十一年一月には一名を採用しておりまして、現在、五名の産科医が在籍しております。
○大島委員 再開後の月平均の分娩件数はどのようになっているのでしょうか。
○黒田経営企画部長 月平均の分娩件数でございますが、二十年度は月三・五件、二十一年度は月二十五・一件となってございます。
○大島委員 二〇〇八年度は再開したばかりということもありますし、リスクの高い分娩を中心に妊婦さんを診てきたという、そういうこともあってか、分娩件数は六カ月間で二十一件と少なかったようです。一般の分娩も可能となる中で分娩件数が徐々に伸びまして、二〇〇九年度は三百一件、今年度に入ってからの半年間で既に二百五十四件と伸びてきているんです。
二〇〇九年四月からは、GCU、継続保育室なんですけど、これも再開されたと聞きました。ところが、これは十六床あったんですけども、現在は二床になってしまったと。このGCU病床が休止になっていると、こういうことも聞いたんです。こうした不安定な状況をどのように改善していくのか伺います。
○黒田経営企画部長 豊島病院では、平成二十一年九月から二十二年六月までの間に、新生児科医三名全員が相次いで退職したため、GCU病棟は休止せざるを得なくなりました。このため、小児科医と産婦人科医が協力いたしまして、小児科病棟内にGCU機能を整備しまして、新生児への対応を図っているところでございます。
なお、都は、周産期母子医療センターと連携して患者の受け入れを担う周産期連携病院を制度化いたしましたが、豊島病院は二十二年十月から周産期連携病院の指定を受けまして、医療連携を進めているところでございます。
○大島委員 確かに新生児科のお医者さんというのはすごく少ないというお話を伺いました。
でも、周産期連携病院という形でこれからも頑張っていくというお話もあったんですけれども、産科と未熟児、新生児救急というのは一体で、母と子の命を守るということが求められているというふうに思うんです。
NICUとGCUは一体で活用されることが望ましいと思うんですけれども、その点についてはいかがでしょうか。
○黒田経営企画部長 妊婦さん、それから胎児、そして新生児まで、一貫して高度な医療を行いまして、ハイリスクな出産にも対応することができるのは、M-FICUとNICUを備えました総合周産期母子医療センターでございます。
一方、豊島病院では、二十二年十月から、周産期母子医療センターと連携して患者の受け入れを担う、先ほどもご答弁した内容にありましたが、周産期連携病院の指定を受けておりまして、この周産期連携病院としまして、重症ではない、すなわちNICUまでは必要としないミドルリスクの妊産婦さんの緊急搬送受け入れ体制の確保に寄与していくこととしているところでございます。
○大島委員 豊島病院は、これまでも、精神科の救急とか緩和ケア、それから周産期医療など、行政的な医療の多くを重点医療として提供してきた病院です。一日も早い全病棟の開棟やNICUの再開を初めといたしまして、医療機能、医療体制の拡充を強く求めておきます。
次に、東部地域病院についてお聞きいたします。
この病院は、私は足立区なんですけども、足立区と葛飾区の境に位置する病院なんです。ことし創立二十周年を迎えるということで、ご案内状もいただきましてありがとうございます。
この病院の地域別患者数では、葛飾区が四八・九%、足立区が三九・三%で、この二区だけで八八・二%を占めているという、地域になくてはならない病院となっています。
東部地域病院及び他の公社病院におけるがんの外来化学療法、放射線治療の実施状況はどうなっているのかお伺いします。
○黒田経営企画部長 東部地域病院を初めといたしますすべての公社病院におきまして、平成二十二年度から外来化学療法に取り組んでいるところでございます。また、その他の公社病院におきましては、放射線治療を実施しているところでございますが、東部地域病院におきましては、都立病院や大学病院と連携することにより対応しているところでございます。
○大島委員 先ほどもありましたけれども、東部地域病院及び他の公社病院に係るがん患者数はそれぞれどうなっているのか伺います。
○黒田経営企画部長 先ほどの答弁の中にもございましたが、公社病院で行っております二十一年十月のワンデイ調査によりますと、六病院全体で全入院患者に占めるがん患者の割合は二三・八%となっております。豊島病院では三二・五%、東部地域病院では二六・四%、多摩南部地域病院では二五・六%、多摩北部医療センターでは二二・八%、大久保病院では一九・七%、荏原病院でも一八%となっております。いずれの病院におきましても患者割合の最も高い疾病となってございます。
○大島委員 今の答弁は、実はきょういただいた資料の八ページに出ているんですけれども、公社病院の中でも、東部地域病院のがん患者数という割合は、豊島病院に次いで第二位ということで、非常に患者数が多いんですね。二十三区でも東部地域では高齢者がふえていることや、がん診療の基盤を持つ医療機関が少ないということがその背景にあるのではないかと思っています。
一方、放射線治療を実施していないのは東部地域病院だけです。抗がん剤の外来化学療法も東部地域病院でも実施されておりますが、例えば荏原病院では外来化学療法室というのが整備されておりまして、二〇〇九年七月に施設が増設されて、リクライニングシート三台が導入されて、中庭の緑や備えつけのテレビを見ながら、リラックスして抗がん剤の点滴治療が受けられるようになったと、大変うらやましいような状況なんですけど、こういうことも聞いています。
さらにいえば、豊島病院や荏原病院はがん医療を重点医療として位置づけています。
実は、葛飾区にあります慈恵大の青戸病院、ここで実は放射線治療をやっていたんですけれども、この病院が建てかえになりまして、ここで行ってきた放射線治療が廃止になったと。前に私、文書質問でも取り上げさせていただいたんですけれども、地域の住民からは、ぜひここでやってほしいという継続実施を求める声が上がっているんです。ところが、建てかえということで、こうしたところではもうやれないという病院側との間で、なかなか思うようにこれが進んでいないという実態があるんです。
ただ、こうしたがん診療に対する不安を解消するためにも、私は、東部地域病院の果たす役割は大変大きいものがあるというふうに思っています。
緩和ケア病棟の設置とか外来化学療法の拡充などを行って、東部地域病院のがん診療体制を抜本的に強化すべきではないかと思いますが、いかがでしょうか。
○黒田経営企画部長 東部地域病院におきましては、救急医療と循環器医療の二つの重点医療に加えまして、平成二十一年度からは、がん医療を特色ある医療に位置づけまして、充実強化に取り組んでおるところでございます。
MRIやCTなどの機器を活用した画像診断や手術療法、内視鏡による検査や処置などに加えまして、平成二十一年度は外来化学療法室の整備を行い、二十二年度から既に外来化学療法の取り組みを開始しているところでございます。
また、都立病院や大学病院とも連携することによりまして、放射線治療への対応も図っております。
○大島委員 東京都のがん対策推進計画では、都内十四カ所の地域がん診療連携拠点病院、その整備と、都独自の東京都認定がん診療病院を十六カ所認定しまして、施設とか設備への財政支援をしています。ところが、区東北部の医療圏、荒川とか足立とか葛飾なんですけども、ここでは、地域がん診療連携拠点病院も、また東京都がん認定診療病院もありません。
先ほど触れました資料の八ページにありますように、東部地域病院のワンデイ調査では、公社病院に入院している全患者数のおよそ二割、五人に一人は東部地域病院に入院していることを示しています。
都の認定がん診療病院となるための条件というのは、どのようなものでしょうか。
○黒田経営企画部長 認定がん診療病院の認定要件でございますが、まず、高度な専門医療の提供に加えまして、肺がん、胃がん、肝がん、大腸がん、乳がんに加え、子宮がん、血液がん等の集学的治療に対応すること。また、放射線治療の自院での実施、外来化学療法の実施、セカンドオピニオンの実施、紹介医療機関に対する精密検査結果の報告等が定められております。加えまして、緩和医療の実施、患者さんや家族の方、医療従事者等に対する相談、情報提供体制の整備、院内がん登録の実施などが要件として定められております。
○大島委員 東京都の福祉保健局は、日本医大の付属病院が区東北部医療圏の地域がん診療連携拠点病院だといっているんです。しかし、日本医大の付属病院があるのは板橋区ですし、応援連携体制をとるということは重要ですけれども、区東北部の医療圏の中に地域がん診療連携拠点病院または東京都の認定がん診療病院を整備するということは必要だと思います。その役割を率先して担うべきは、東京都の監理団体である東京都保健医療公社の東部地域病院ではないでしょうか。
東部地域病院は、先ほどもいいましたけど、開設から既に二十年たちまして、必要な施設や設備、こういうものの投資も行って、がん医療を抜本的に拡充することを強く求めておきたいと思います。
次に、高齢化社会に入りまして脳卒中の患者が急増し続けています。
脳卒中では、予防治療から急性期、亜急性期、それから慢性期治療、それに在宅医療まで考慮された系統的な治療計画が必要とされています。脳卒中急性期の患者さんを、専門医療スタッフが急性期から濃厚な治療とリハビリテーションを組織的に計画性を持って行う脳卒中の専用の病棟である脳卒中ケアユニット、これが高い治療効果を上げているといわれています。
公社病院における脳卒中ケアユニット、SCUまたはSUといわれていますが、この設置状況はどうなっているのかお伺いします。
○黒田経営企画部長 公社病院におきましては、大久保病院及び荏原病院に、診療報酬上の施設基準はとれていないわけでございますが、脳卒中ケアユニット機能を備えてございます。
○大島委員 二十三区東部地域における高齢化の進行に対応して、東部地域病院の脳卒中医療体制を強化することは重要だと思いますが、どう認識しているのか、またどう対応するのか、お聞きしたいと思います。
○黒田経営企画部長 東部地域病院では、これまで脳神経外科を設置いたしまして、地域の医療機関とネットワークを構築しまして、脳卒中に関する地域連携パスの運用を行うなどによりまして、発症から治療、回復まで段階に応じた脳卒中医療を提供してまいりました。
今後とも、地域の医療機関はもとより、墨東病院など他の都立病院、公社病院、大学病院とも緊密に連携しまして、脳卒中医療に取り組んでまいります。
○大島委員 高齢化が進む二十三区の東部地域、それから区の東北部の医療圏において、先ほどのがん治療と同様に、脳卒中の医療についても、脳卒中ケアユニットの整備を初め拡充が強く求められていることを申し上げておきます。
最後に、先ほどの答弁で、大久保病院と荏原病院を中心に脳卒中ケアユニット機能があるということですが、豊島病院にSCUはないのでしょうか。早期開設が必要だと思いますが、どうでしょうか。
○黒田経営企画部長 脳卒中ケアユニット機能についてでございますが、豊島病院におきましては、脳卒中ケアユニット機能の施設改修を終えまして、開始に向けた準備を既に進めているところでございます。
○大島委員 改修を進めているということですから、ぜひよろしくお願いをいたします。
きょうは、豊島病院と東部地域病院の問題に絞って質問をいたしましたが、公社病院の現状というのは、病床利用率を見ても、多摩南部地域病院が五八・六%、荏原病院で六六・二%、多摩北部医療センターで七四・八%、豊島病院で七五・四%など、大変厳しいものがあります。
予算と決算との落差も大きくて、入院、外来患者数も病床利用率も軒並み決算では予算を大幅に下回る結果となっています。東京都として、公社病院を都立病院に準ずるものと位置づけて、東京都保健医療公社及び公社病院への支援を抜本的に拡充強化することを求めて、質問を終わります。
○伊藤委員 私からも、公社病院の運営全般について何点かお聞きをしたいと思います。
現在、いろんな質疑もきょうございましたけれども、公的病院をめぐる状況というものは大変厳しいものがあろうかと思います。
たしか昨年でしたでしょうか、千葉県の銚子市で、市立の病院の存続か廃止かということで市長選挙が行われたと。首長選挙の争点になるぐらい、地域では公立病院というものに対して、行政も迷っているし、大変な思いをしているし、住民はそれに対して、医療に対してもっとしっかりとやってもらいたいという強い期待と要望があると、こういう中で、この公社病院も私は非常に頑張っていると思いますけれども、いろいろな問題点があるというふうに思いますので、何点か指摘をさせていただきたいと思います。
こういう状況の中で、総務省は、平成十九年十二月二十四日に公立病院改革ガイドラインというものを出して、全国の自治体に対して指針を出しております。東京都でも、当然今までいろんなことやってきておられますけれども、こうした病院を運営する都の監理団体であります財団法人東京都保健医療公社は、平成二十二年二月に第二次経営中期計画として公社活性化プランⅡを策定しておられます。
そこでまず、公社が策定したプランⅡの策定の背景並びに考え方についてお伺いいたします。
○黒田経営企画部長 東京都保健医療公社は、地域の医療機関との連携によりまして地域医療のシステム化を推進することを目的としておりまして、救急医療を初め地域に必要な二次医療を提供する役割を担っております。
しかし、近年、病院を取り巻く医療環境が変化しておりまして、また、新型インフルエンザ等の新たな感染症などへの対応も求められているところでございます。さらに、精神科救急医療、小児医療等につきましても、専門医の不足等から公的病院への期待が高まってきているところでございます。
こうしたことから、地域医療ニーズに的確に対応するとともに、急激な医療環境の変化に迅速かつ適切に対応して一層の経営努力を重ねて、強固な経営基盤の確立を図ることを目的といたしまして、平成二十一年度から三年間を期間といたしまして公社活性化プランⅡを作成したところでございます。
○伊藤委員 ご答弁の中に、地域の医療機関との連携であるとか、地域の医療ニーズに的確に、そして迅速に対応するというご答弁がございましたけれども、私はそこが他の民間病院との最大の違いだと思うんですね。民間病院は、変な話ですけども、もうかるものも自由にやって、そして患者さんをどんどんどんどん呼んで病院の経営を成り立たせていくといいますけども、しかし公社病院は地域の病院であると。地域の医療資源と連携を図って最大の効果を上げていこうと、こういう考え方なんだというふうに思います。
そこでお伺いをいたします。これまでも地域ニーズを踏まえた医療を提供しているということは、今までの質疑でもわかりましたし、また、地域の意見を取り入れているという必要がさらにありますけれども、公社の病院の運営に当たりましては、地域からの意見を取り入れるためにどのように取り組んできたのか、お伺いいたします。
○黒田経営企画部長 それぞれの公社病院におきましては、病院の事業内容や運営、地域との連携に関しまして審議する運営協議会を設置しております。その中に地域の医師会、歯科医師会、薬剤師会からの代表者にもご参加をいただいておりまして、また、荏原、豊島の両病院におきましては、住民代表の方を協議会のメンバーに加えまして、ご意見をちょうだいしているところでございます。
さらに、患者の声相談窓口や意見箱を設置するとともに、地域の医療機関との意見交換や交流を行う会合の開催、必要に応じましてはアンケート調査を行うなど、さまざまな方向で地域からの意見等を取り入れるよう努力しているところでございます。
○伊藤委員 運営協議会をそれぞれの病院が持っているというご答弁でありました。その運営協議会のメンバーを見ますと、若干のばらつきはございますが、例えば、先ほども質問にありました私の地元にある東部地域病院の例をとりますと、医師会の先生が十三名いて、学識経験者が三名、関係区として五名、そして病院から六名、計二十七名で運営をされていると。大体半分近くが医師会の関係者で占められているということだと思います。
確かに、連携相手、パートナーである地域の医師会の方々の意見をちゃんと聞くというのは非常に重要だというふうに思うんですけれども、東部地域病院ができる二十年前には、実はこの病院の開設に最も反対をしたのが地域の医師会だったということを、その当時、署名運動を一生懸命やって、この病院を誘致しようと一生懸命やった方にお聞きをしました。
確かに医師会からすれば、大きな病院が来るとなかなか経営が厳しいというところから、恐らく反対をされたんだろうというふうに思いますが、その後、東京都の当局の説得であるとかいろんなことで、この病院が何とかこの二十年、立派に経営をされてきたということは、私もうれしいと思うんですが、公社病院、東京都が行う病院でありますから、だれの意見を一番聞かなければいけないのかというと、やっぱり都民の意見、そこを利用する患者さんの意見、これは第一に聞かなければいけないんじゃないかなというふうに思ってます。
今、荏原と豊島においては、住民代表の方に一名入っていただいて、いろんな意見をいっていただいているという取り組みをしていただいていますけれども、できればこれを全病院に、そしてできれば複数入れていただいて、患者の意見、地域の意見も直接病院に反映できるような体制をしいていただけたらありがたいなというふうに思います。これは要望しておきたいと思います。
続いて、関係の市区との連携についてお伺いいたします。
高齢化社会が進展をしていきますと、どうしても地域に介護の問題というものが出てまいります。一言で介護の問題といっても介護保険だけではどうしても対応できない。というのは、医療との連携というものがこれから非常に重要になってくるかというふうに思います。
公社病院は地域の拠点となる病院であることから、こうした介護と医療の連携といった課題に対応していくためにも、地域の基礎的自治体とのかかわり合いが重要でございます。公社病院はこれまで市区等の基礎的自治体とどうかかわってきたんでしょうか、お伺いいたします。
○黒田経営企画部長 各病院に設置されております病院運営協議会におきましては、学識経験者、医師会等のほか、各病院が医療圏としております当該区市の関係職員の方にもご出席をいただきまして、ご意見をちょうだいしております。また、各病院では、新たな事業等を行う場合には、あらかじめ関係区市や医師会等にご説明に伺うなどの対応を行ってきたところでございます。
○伊藤委員 関係する区市に、新たに事業を行う場合には説明を行ってきているということでありますけれども、先ほどもいったように、地域住民からの直接の意見の確認であるとか、さらに、当該市区との調整は私は不足しているというふうに思っています。
私も区議会議員を経験していてよくわかるんですけれども、区議会とか区役所というのは、医療のことは国とか東京都に任せておけばいいと、医療は私たちの範囲じゃありませんという意識が強いんですね。先ほどもいったように、これから現場を持つ基礎的自治体である区が、介護をしっかりとその地域でやっていこうということになると病院との連携が必要になる。ですから、こうした病院に対しても、本当は関係の市区がもっと自発的に、さまざまなことを一緒になってやっていくという協力体制をつくっていく必要があるというふうに思っています。
少し前に、群馬県の山奥にある老人保健施設にお年寄りを預かっていて、そこが火事になって亡くなってしまったと。たまゆらの里の事件がありました。大変痛ましい事件でありました。我々の大先輩であるお年寄りにおかれましては住みなれた地域で、最後まで元気にその地域で暮らし続けられるというまちづくりを進めていく必要があるというふうに思っておりますし、この公社病院は、地域医療を適正に進めていくためには、先ほどもいいましたけども、基礎的自治体である市区町村との連携をさらに進めていただきたいと思います。
最後に、今後このプランⅡを着実に推進していくために公社の運営はどのように進めていこうとしているのか、お伺いします。
○黒田経営企画部長 東京都保健医療公社は、これまでも地域医療の確保、地域医療機関と連携しました積極的な取り組みを行ってまいりました。
今回策定いたしました活性化プランⅡでは、まず第一に、患者さん中心の温かい医療の提供、第二に、地域医療ニーズを踏まえた特色ある医療の提供、第三に、質の高い人材の確保、育成、第四に、財務基盤の確立と自立的経営の促進、以上四つのビジョンを掲げまして、これを実現することが今後の公社運営の基本となるというふうに考えてございます。
急激に変化いたします医療環境に迅速、的確に対応いたしまして、地域ニーズに十分にこたえるとともに効率的な公社運営が実現されるように、都といたしましても積極的に指導、そして協力してまいります。
○伊藤委員 地域のニーズは大変高いものでありますので、ぜひとも持続可能な公社病院の経営をやっていただきたいと思います。
また、今回、監理団体としての側面もありますから、私どもは若干調査をさせていただきましたが、ほかの団体にあるように、駐車場の運営とか建物の管理運営につきましては、当監理団体におかれましては適切にやっておられるということが今回よくわかりました。しかしながら、改革はずっとやっていかなければいけませんから、ぜひとも継続的に見直しを図っていただいて、今後ともご努力をいただければと思います。
以上です。
○菅委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○菅委員長 異議なしと認め、本件に対する質疑は終了いたしました。
以上で病院経営本部関係を終わります。
○菅委員長 これより福祉保健局関係に入ります。
初めに、過日の分科会において紹介できませんでした幹部職員について、福祉保健局長から紹介があります。
○杉村福祉保健局長 それでは、過日の分科会を欠席いたしました当局の幹部職員を紹介させていただきます。
感染症危機管理担当部長前田秀雄でございます。
どうぞよろしくお願いを申し上げます。
〔理事者あいさつ〕
○菅委員長 紹介は終わりました。
○菅委員長 決算の審査を行います。
平成二十一年度東京都一般会計決算中、福祉保健局所管分、平成二十一年度東京都母子福祉貸付資金会計決算及び平成二十一年度東京都心身障害者扶養年金会計決算を一括して議題といたします。
本件につきましては、いずれも既に説明を聴取しております。
その際要求いたしました資料は、既にお手元に配布してあります。
資料について理事者の説明を求めます。
○梶原総務部長 過日の分科会でご要求のありました資料につきまして、お手元の平成二十一年度各会計決算特別委員会第二分科会要求資料にまとめてございますので、ご説明申し上げます。
資料は、目次にございますように全部で七項目となっております。
それでは、順を追ってご説明させていただきます。
一ページをお開き願います。福祉保健費の予算及び決算の推移といたしまして、平成十二年度から二十一年度までの福祉保健費の予算現額、決算額及びそれぞれの一般会計に占める割合などについて記載してございます。
二ページをお開き願います。福祉保健局予算・決算額の推移(一般会計)といたしまして、区分ごとに平成十七年度から二十一年度までの福祉保健局の予算現額及び決算額を記載してございます。
三ページをごらん願います。シルバーパス発行状況の推移といたしまして、平成十六年度から二十一年度までの費用別発行実績数、七十歳以上人口及び割合を記載してございます。
四ページをお開き願います。平成二十一年度における福祉保健区市町村包括補助事業の補助額といたしまして、五つの包括補助事業の平成二十一年度の区市町村ごとの補助額について、五ページにかけて記載してございます。
六ページをお開き願います。区市町村地域生活支援事業の実施状況といたしまして、事業ごとの実施区市町村数を記載してございます。
七ページをごらん願います。生活安定化総合対策事業における各事業の予算、決算及び実績の推移といたしまして、生活安定化総合対策事業の各事業について、平成二十年度と二十一年度の予算現額、決算額及び実績、また、平成二十二年度の予算現額を記載してございます。
八ページをお開き願います。平成二十一年度における待機児童解消区市町村支援事業の実施状況といたしまして、待機児童解消区市町村支援事業の事業内容ごとに実施区市町村数を記載してございます。
以上、簡単ではございますが、ご要求のありました資料につきましてご説明申し上げました。よろしくお願い申し上げます。
○菅委員長 説明は終わりました。
ただいまの資料を含め、これより本件に対する質疑を行います。
発言を願います。
○門脇委員 先ほど病院経営本部のところで申し上げたんですけれども、厚生委員会で一年間大変お世話になりまして、任を離れましてこんなに早く質問ができるとは思っておりませんでしたけれども、質問項目は一点でございます。監察医務院についてです。
当該決算年度、ことしの一月になりますが、都立大塚病院に隣接しております東京都監察医務院に視察に行ってまいりました。施設の内容から、私も詳しい視察内容というのは申し上げることができないんですが、しっかりと視察をしてきたつもりでございます。
監察医務院についてはいろいろないい方がされておりまして、例えば亡くなった方の病院であるとか、最後の医療であるとか、そのようにいわれる方もおりますけれども、ご承知のとおり、監察医務院については、明らかに犯罪性が明確に疑われる場合を除いた--もちろんこれも例外があるようです。解剖中に法医学の先生が事件性がありと認めた場合は、当時、院長にお聞きしたんですけど、たしかその瞬間から司法解剖に切りかわるというようなこと、年間数例はそういうことがまれにあるとお聞きしましたけれども、そういったことを除いた、いわゆる死亡原因がよくわからないケースを検案したり、あるいは解剖したり、死因を調べるところであります。
さて、時代の流れとともに、もちろん余りいいこととはいえませんけれども、高齢者のひとり暮らしの増加に伴う孤独死の増加であるとか、あるいは私が行ったときも、ホームレスの増加であるとか、そういったことに起因をいたしまして、昭和五十年代から比べると、いわゆる検案数、死体の解剖ということですけれども、約二倍にふえているとお伺いいたしました。
監察医務院の重要性を申し上げるためにも、ざくっと十年前と比べて、当該決算年度で結構ですけれども、検案あるいは解剖の実績はどのように増加をしているのか、まずお伺いをいたします。
○中川原医療政策部長 監察医務院で平成二十一年度に行った検案数は一万三千百六十五件、そのうち解剖を行ったものは二千七百九十六件でございました。
十年前の平成十一年度は、検案数が一万五十六件、解剖数が二千四百五十一件でございまして、検案数では三〇・九%、解剖数では一四・一%の伸びとなってございます。
○門脇委員 ありがとうございました。先ほど私が申し上げた理由だけではないと思いますけれども、社会が複雑化、多様化することによって検案及び解剖の実数が、実績がふえているということがわかりました。
それで、視察にお邪魔したときに福永院長とお話をして、いろいろとお話を聞かせてもらい、大変立派な法医学の先生だと思います。昨年度、この監察医務院に一名監察医が増員をされたと聞いておりますけれども、今後とも増加をするだろう検案及び解剖を行うためには、さらなる職員の、法医学の先生の確保が必要だと思います。
ちょっと余談ですけれども、法医学ということに関して私も関心のあるセクションではあるんですけれども、かつてベストセラーになりました「死体は語る」を書かれました上野先生が、もう大分前になりますけど監察医務院の院長をおやりになっていた方であります。たまたまですが、杉並にお住まいの方ですけれども、上野先生が法医学を志したときは、これは朝日新聞につい先日まで連載をされていたから、局の幹部職員でもお読みになった方は多いと思うんですけれども、そのときに法医学に進む人は全体でたった一名、つまり私しかいなかったと。ねえ桜山技監、私も見てびっくりしましたけれども、なかなか法医学の道というのは、法医学と響きは非常にいいんですけれども、実際に従事するというのは結構タイトなことなんだなということを、私はその記事を見て思ったんですけれども、でも、法医学というか、監察医務院というのは、大変重要な位置づけを持った施設であります。専門的な知識や技術が重要なことはいうまでもありませんけれども、その確保というのは、先ほどいった、今はちょっと状況は変わっていると思いますけれども、容易でないと思います。
現在の監察医、法医学のドクターの育成とか、あるいは確保というのは、東京ではどのようになっているか、続いてお伺いいたします。
○中川原医療政策部長 監察医は、異常死の死因究明を担うことから、医師の免許を有し、異常死体の取り扱いに経験の深い大学医学部の法医学教室または病理学教室におきまして研修を受け、さらに異常死体の検案や解剖の経験を積んだ者であることが望ましいというふうに考えてございます。
しかし、大学によっては、指導者が少ない、取り扱う異常死体の数が少ないなど、必ずしも十分な研修体制がとれないところもございます。そのため、監察医務院では、監察医を確保するためみずから養成、教育のための研修を行っておりまして、昨年度も百二十七名の医師または医学生に実際の検案や解剖の実習を行ってございます。
監察医として採用する場合につきましては、原則として百体の検案実習を研修修了の条件の一つとしておりまして、実際に昨年度も、研修を修了した医師を常勤や非常勤の監察医として採用いたしたところでございます。
また、監察医務院の研修受講者は大学の法医学教室の教職員になるなど、全国の大学の法医学者養成にも寄与してございます。
今後とも、監察医務院におきまして専門的知識を持った監察医を育成し、確保してまいります。
○門脇委員 ありがとうございました。今、医療政策部長から四点ほどですか、ご答弁をいただいてありがとうございます。引き続き監察医の養成、確保に力を注いでいただきたいと思います。
東京の場合は、多摩のこともあるので、多摩は今、検案は一班に出しているのかな。きょうはそのことは触れませんけれども、多摩の体制についても今後の課題であることは間違いがないと思います。
昨今の痛ましい虐待事件あるいは保険金目当ての殺人事件、また、つい一年ほど前だったでしょうか、当初は事件性がないとされた相撲部屋で起きた暴力事件などを聞くと、監察医だけでなくて、ここがポイントなんですが、臨床現場の医師や警察官が、不自然死を疑うというか見抜く力というのも必要だと思います。さらにここがポイントなんですが、すなわち監察医務院と臨床現場のドクターとの連携も重要だと思います。
監察医務院でも、各種いろいろな研修は積極的におやりになっているということは、視察に行って理解をしておりますけれども、少し具体的に、警察官であるとか臨床現場の医師に対する教育が、私はこれから一層大切になってくると思うんですけれども、この点についてはいかがでしょうか。
○中川原医療政策部長 監察医務院では、警察庁及び警視庁を初め各道府県警察の検視官を対象といたしました実務研修を行っておりまして、昨年度は百六十名、延べ千三百六十人に実施しております。警察官、臨床研修医、医学生、看護学生などを対象とした研修も行っておりまして、昨年度は延べ百六回、四千九十名に実施しております。
監察医務院と臨床現場との連携が重要であるとのお話でございますけれども、臨床現場との連携といたしましては、病院で患者さんが亡くなった際に、それが異常死に当たるかどうか迷うケースにつきまして、医師からの相談も随時受けてございます。
今後、臨床現場の医師に対する研修等についても検討してまいります。
○門脇委員 警察官等への研修というものは引き続きこれからも、今、実績を示していただきましたけれども、よろしくお願いをいたします。
今、中川原部長から、先ほど私、質問の中で申し上げましたように、今後、臨床現場のお医者さん、ドクターに対する教育というのも検討していきたいと、これがこれから結構ポイントになっていくのかなと。これは東京だけではないと思いますけれども、監察医務院の法医学や病理学の先生方の数というのは必ずしも十分ではないと思うので、そうすると、やはり臨床現場の先生方の、能力を高めるというと失礼ないい方かもしれませんけれども、その答弁自体は大変心強く受けとめさせていただきます。
それから、虐待による死亡、SIDS、いわゆる乳幼児突然死症候群として処理している症例も少なからずあると思います。このSIDSと疑われる症例の解剖率はそれほど高くなく、虐待死などが見逃されている可能性も否定はできないと思います。ちなみに、解剖して中枢神経を調べなきゃわからないといったことでしょう。
我が国の高水準の周産期医療を反映いたしまして、確かに新生児期の死亡率は、たしかOECDは三十カ国ぐらい今あるんですかね、死亡率が最低ということは水準的に一番いいということですよね、逆にいうと。上位なんですけど、多分トップだと思います。
ところが、五歳児までの幼児の死亡率を見てみますと、今度はアメリカに次いで先進国中ワースト二位です。新生児期に本来死亡しているような症例の生命が高度の医療によって伸びるという推論も、あることはあるように聞いておりますけれども、個々の死亡に関して十分な検証がなされていないのではないかという現状では詳細が明らかではありません。
最近は、新聞やテレビで虐待という言葉を見ない日はありませんけれども、虐待による死亡を見逃さないためにも、あるいはその他事件性のある死亡を見逃さないためにも、このような現場を踏まえた臨床現場の医師に対する教育は大変重要であると思いますので、改めてよろしくお願いをいたします。
それから、例年、検案の数は冬場が夏場に比べて一・五倍ほど多いといわれていましたけれども、ことしはあの暑さで熱中症、これも当時この言葉を聞かなかった日はありませんけれども、非常にふえました。
そこで質問いたしますが、ことしの夏における医務院の検案総数と、熱中症で死亡したと思われる人数はどのくらいだったんでしょうか、あるいはどのような傾向があったんでしょうか。
私が記憶している範囲では、この手の報道で、東京都の福祉保健局の名前や監察医務院の名前がいい意味で結構出てきていますよね、発表ということで、ですから、ちょっと概略を教えていただきたいと思います。
○中川原医療政策部長 本年、梅雨明けとなりました七月十七日から九月十六日までの二カ月間の検案総数は二千六百八十八件、そのうち、検案によって熱中症が直接死因であると判断された人数は百三十八人でございました。梅雨明け後間もなく、猛暑日が続いた後の七月二十五日、日曜日には、一日の検案数が、通常夏場は二十件程度のところ過去最高の百十一件となり、週休日の職員も急遽出勤させるなど総動員で対応に当たったところでございます。
熱中症によります死亡の九割が六十五歳以上でございまして、ほとんどが住居内で発症していたということでございます。また、死亡時間が推定できるケースの四割は夜間帯に亡くなっていたという状況でございます。
○門脇委員 これで終わりますけれども、監察医の制度のない県では--制度のない県て、ほとんどがないわけで、今、東京と大阪と、神戸でしたっけ、ほかにも制度上はあるようなんですけど、実質的にはほとんど稼働していないということですけれども、そういう県では熱中症で救急搬送された人数しかわからないところも多かったようです。
医務院では、搬送されない死亡も含めた数を公表し、さらに、今お話ありましたとおり、屋内、自宅での死亡が多いと。それから夜間も、ここもポイントですけれども、夜間も亡くなっているとの詳しいデータも発表したことにより、結論的に国民というか、それは都民だけではなくて、東京都の発信力というのはそれなりに大きいわけですから、対策も進み、ここは私は大きく評価をさせていただける部分だと思っております。
私自身も、この猛暑の中、夏、夜間はクーラーを消すことがかつては多かったんですが、体のためにそういうことがいいと思っていたんですけれども、夜間も熱中症で亡くなるという方が多いことをニュース等で知り、先ほどの実数もそうですけども、ことしはやっぱりエアコンに頼らざるを得ない状況でした。
あとは、総括的なことを最後に申し上げますけれども、まさに一人の死を万人の生につなげること、そのような医学的寄与のためにも監察医制度は施行されている、これは福永院長さんのお話だったか、福永院長さんがどなたかの言葉を引用されたのか、ちょっと私は忘れてしまったんですが、いずれにしろ院長先生がいわれた言葉ですけれども、そのとおりだと思います。
これまでも、エコノミークラス症候群や硫化水素の自殺など、監察医務院の死亡究明が予防対策に貢献してきておりますし、非常に重要な役割を果たしていると思いますが、ただ先ほども申しましたように、そうはいっても総体的に法医学あるいは病理学のお医者さんの数が足りないという現状の中で、いろいろ工夫をしながら、今後とも、実質的には監察医務院制度というのは東京がナンバーワンというか、最もすぐれた制度を持っているところですから、さらに充実、拡大をお願いして、質問を終わります。
○野田委員 それでは、保健福祉局が所管する平成二十一年度一般会計決算に関して質問をいたします。
最初に、保育所待機児童対策について質問します。
保育所は、仕事と子育ての両立や地域の子育て支援などに欠かせない存在となっており、保育サービスへのニーズも、特に大都市圏において年々増加しております。
都は、平成二十年度から保育サービス拡充緊急三カ年事業に取り組んでおりますが、まず、この事業の目標とその達成状況について伺いたいと思います。
○角田事業推進担当部長 都は、平成二十年度からの三年間で、保育サービス定員一万五千人分の整備を行います保育サービス拡充緊急三カ年事業に取り組んでまいりました。
事業初年度の平成二十年度につきましては、整備目標は達成をいたしましたが、就学前児童人口の増加や経済情勢の悪化等によりまして、平成二十一年四月の待機児童数は急激に増加をいたしました。
このため、平成二十一年度は、整備目標を当初の一・五倍の八千人に引き上げまして、保育サービス拡充の取り組みを強化いたしました。その結果、目標を上回ります八千五百三十八人分の定員増を達成したところでございます。
平成二十年度、二十一年度の二年間では、当初計画の目標値九千七百九十七人に対しまして一万三千百六十七人の定員増となっており、達成率は一三四%でございます。
○野田委員 平成二十一年度は、目標自体が当初に比べて一・五倍に引き上げられ、整備実績はさらにその目標も大幅に上回ったということで、これを大変評価したいと、このように思います。
しかし、残念ながらことし四月の待機児童数、これが対前年比で四百九十六人の増加となってしまいました。都内の各自治体では、保育所待機児童の解消に向け、認可保育所や認証保育所などの新規開設等により、保育サービスの拡充に精力的に取り組んでおります。
私の地元の東村山市においても、青葉町一丁目のむさしの園の跡地の一部に、都有地活用による地域の福祉インフラ整備事業を利用して認可保育所が開設される予定となっており、現在、事業者の公募が実施をされております。また、東村山市や地元自治会の働きかけにより、国立ハンセン病療養所の多磨全生園が敷地内に保育所を誘致する方針がこのたびまとまり、今後、設置に向けた準備が進められることになっております。
都においても、こうした自治体の取り組みを支援し、保育サービスの拡充を図るための基盤整備を積極的に推進すべきと考えます。
昨年度、都は保育サービス拡充のためにどのように取り組んできたのか、伺います。
○角田事業推進担当部長 保育サービスの拡充に当たりましては、昨年度から、国の安心こども基金の活用に加えまして都独自に待機児解消区市町村支援事業を創設し、施設整備に係る事業者や区市町村の負担を軽減する支援策を実施してまいりました。
具体的には、事業者に対しまして事業費の八分の七まで補助を拡充してございます。また、待機児童の約九割を占める三歳未満児の定員拡充に積極的に取り組む区市町村に対しましては、区市町村が本来負担すべき額も特別に軽減をしております。
こうした支援策とあわせまして、事業者、区市町村に積極的な取り組みを働きかけましたことが、目標を大幅に上回る整備実績につながったものと考えております。
○野田委員 国の安心こども基金は、待機児童解消のために自民党政権下で創設されたものです。今般、国は安心こども基金の積み増しと事業実施期限の延長を閣議決定いたしましたが、この基金と都独自の待機児童解消区市町村支援事業の組み合わせにより、区市町村及び保育事業者の保育所施設整備にかかわる負担が大幅に軽減され、より積極的な事業展開が可能になっていることがわかりました。
しかしながら、保育ニーズが増大している現状においては、さらなる取り組みが必要と考えます。就業環境の変化や、家庭、地域の子育て力の低下などを背景に、保育サービスはすべての子育て家庭に必要な普遍的サービスとなっております。都民のライフスタイルの多様化に伴い保育ニーズも多様化してきています。
こうした需要に的確にこたえていくためには、認可保育所だけではなく、多様なサービスを組み合わせ、地域の実情に応じたサービスを総合的に提供していくことが必要です。安心こども基金を活用した認可保育所の新設だけでなく、認証保育所を含む既存施設の定員拡大や定員弾力化など、あらゆる方策を駆使して保育サービスの拡充に取り組むべきと考えております。
そこで、都は、今後、待機児童解消に向けてどのように取り組んでいくのか、見解を伺います。
○角田事業推進担当部長 今年度からは、次世代育成支援後期行動計画に基づきまして、今後五年間で保育サービスの利用児童数を三万五千人ふやすこととしております。この目標の達成のためには、委員ご指摘のとおり、認可保育所だけでなく、認証保育所、認定こども園、家庭的保育など、多様な保育サービスを組み合わせ、地域の実情に応じたサービスを拡充していく必要がございます。
そこで、今年度から、認証保育所運営費補助単価の見直しによる定員拡充や、待機児童の保護者の過半数を占めますパートタイム労働者や求職活動中の方向けの定期利用保育事業を創設するなど、保育サービスのさらなる拡充に取り組んでおります。
引き続き、保育の実施主体であります区市町村と連携をし、次世代育成支援後期行動計画の目標値の早期達成に向けまして、保育サービス拡充の取り組みを積極的に推進してまいります。
○野田委員 待機児童解消に向けた都の取り組み姿勢はよくわかりました。
特に、認証保育所運営費補助単価の見直しによる定員拡充、これは我が党が提言したものでもあり、引き続き積極的な取り組みを期待いたします。
また、認可保育所においては、認証保育所以上に面積的に余裕のある施設が多いものと思われます。待機児童解消のための緊急対策として、既存の認可保育所の定員拡充や定員の弾力化をさらに推進することを要望いたします。
次に、重症心身障害児に関連して質問いたします。
重度の知的障害と重度の肢体不自由をあわせ持つ重症心身障害児の施策は、児童福祉法と医療法の双方にかかわる、まさに福祉行政と医療行政がオーバーラップしている分野です。その意味からも、重症心身障害児への取り組みは極めて重要な都の福祉施策の一つであると私は考えております。
私の地元の東村山市には、社会福祉法人が経営する秋津療育園が重症心身障害児者を受け入れる施設としてあります。この施設では、重症心身障害児を長期、短期、医療入院で受け入れているほか、重症心身障害児者に安全で快適な日中活動の場を提供し、個々の障害児者に見合ったきめ細かい療育を提供し、障害児者の心身の成長、発達を援助しています。
この施設では、本年から三カ年計画を立て、重症心身障害児者の通所の利用定員を現在の十名から十五名に増員し、それに伴って職員数も増員の計画になっていると聞いております。関係者の話では、重症心身障害児を受け入れるためには、看護師等の医療人材の確保が重要な課題であるため、三カ年の計画で毎年徐々に人材を確保していくのが現実的であるとのことでした。
先日、私は看護師の主宰する勉強会に出席をしてきましたが、このような不景気にもかかわらず看護師さんは引く手あまたでして、大変人気がある。そして、看護系の大学ですとか看護専門学校への入学の倍率もいまだに高いと、入学が難しいと、こういう話を聞いてまいりました。
看護師不足が、これは何も民間の医療機関だけの問題ではなくて、東京都においても、重症心身障害児の直営の施設として、府中の療育センターや北療育医療センター、さらに指定管理者制度を活用しております東大和療育センター、東部療育センターといった都の施設があるわけでございますが、こういったところにおいても看護師の不足はないのかどうか、また、仮に不足しているとしたらどのような対策を講じておられるのか、伺いたいと思います。
○芦田障害者施策推進部長 重症心身障害児施設におきましては、看護の特殊性や施設の認知度が低いことなどから、看護師の確保が一般の医療機関より困難な面がございます。
平成二十二年四月一日現在、看護師数につきましては、都立の二施設において常勤看護師が職員定数に対して欠員となっておりますが、非常勤職員を配置するなど、事業の執行に影響が出ないように対処しているところでございます。
都では、平成二十一年度から、民間施設を含めた看護師確保のための緊急対策事業を行っておりまして、重症心身障害児者の看護に必要な専門的な知識、技術を習得するため、都独自の重症心身障害プロフェッショナルナース育成研修を実施しております。また、都立の重症心身障害児者施設では、離職している潜在看護師のための復職支援研修や、都外の都市での就職説明会なども実施をし、優秀な看護師の確保を図っているところでございます。
さらに、民間の重症心身障害児者施設への看護師確保対策といたしまして、平成二十一年度は、認定看護師の認定に向けての派遣研修経費や、業務環境改善のための設備整備にかかわる経費の一部を補助する支援策を講じました。
今後も、引き続き看護師確保対策のさらなる取り組みを推進してまいります。
○野田委員 二十一年度から看護師の確保緊急対策事業に取り組まれており、それが都立施設のみではなくて、民間の施設にも対策が講じられているということが今の答弁でわかりました。すぐには芳しい成果が出ないかもしれませんが、粘り強く優秀な看護師の人材確保に努めていただき、重症心身障害児者の事業の充実を図っていただきたいと思います。
ただ、充実といっても、それには質の充実と量の充実があるのだと思います。最近の重症心身障害児は、医療の発達によって幸いにして命が助かるケースがふえている一方で、手厚い医療ケアを必要とする子どもたちもふえてきていると、このように聞いております。
在宅の重症心身障害児者の中でも特に手厚い医療ケアを必要とする超重症児者等が、地域の中でご家族ともども安心して生活していくためにも、短期入所や通所施設での受け入れの方策を講じる必要があると考えますが、都ではどのような対策を講じているのか伺います。
○芦田障害者施策推進部長 平成二十二年四月一日現在で、都内の医療型通所施設の利用者のうち、手厚い医療ケアを必要とする超重症児者、準超重症児者の割合は六割を超えております。
平成二十二年度から、民間の短期入所施設や通所施設などにおきまして、超重症児者等の受け入れのため高い看護技術を持つ看護師を受け入れ促進員として配置する場合に、その配置費用を助成する事業を実施しております。これによりまして、超重症児者等を受け入れるための施設の体制整備を支援し、重症化が進む在宅の重症心身障害児者の一層の受け入れ促進を図っているところでございます。
○野田委員 これまでの答弁で、都では、決算審査の対象となっております二十一年度には看護師確保対策を、そして二十二年度では超重症児者等の受け入れ対策を講じており、着実に重症心身障害児への施策が前進している点では評価をいたします。
しかし、これで万全というわけにはいきません。時代とともに人々のニーズも変化し、多様化していきます。重症心身障害児の生命と生活を守り、社会の中で温かい手を差し伸べ、人として豊かな人生の実現をサポートするためには、行政としてまだまだなすべきことがあるのではないかと私は思います。
重症心身障害児への対策は極めて重要な福祉施策でもあり、また医療施策でもありますので、私は、都の重症心身障害児のさらなる施策の展開を期待しております。
そこで、都の重度心身障害児施策の今後の展開について、どのように都は考えておられるのか伺います。
○芦田障害者施策推進部長 都では、重症心身障害児者とその家族が安心して暮らせるよう、ライフステージに応じた在宅支援の強化とセーフティーネットとしての入所施設の機能強化を図っているところでございます。
具体的には、重症心身障害児者が住みなれた地域で安心して生活できるよう、障害者の就労支援・安心生活基盤整備三か年プランにおきまして重症心身障害児者の通所施設の整備を進めており、整備費の八分の七を特別助成しております。
また、比較的軽度の医療的ケアを必要とする重症心身障害児者を対象として、地域の既存の障害児施設を活用する地域施設活用型通所施設の設置を区市町村へ働きかけるなど、利用者の状況に応じた整備に取り組んでおります。
さらに、平成二十二年度からは、NICU等に入院する重症心身障害児が在宅生活へ円滑に移行できるよう、入院中からの相談支援を実施するとともに、訪問看護ステーション等の看護師を対象として、重症心身障害児の看護に対応できるよう、在宅療育の研修の実施やマニュアル作成などを行う在宅療育支援事業を新たに実施しているところでございます。
また、都立施設では、老朽化等に伴う計画的な建てかえや通所部門の拡大など、ニーズに応じた役割、機能の強化を図っております。
今後とも、重症心身障害児者施策について、引き続きその充実に努めてまいります。
○野田委員 障害児施設については、体系を大幅に見直す児童福祉法の改正案が二度にわたり廃案になり、今後、いつどのように見直されるのか、関係者は不安を感じております。都も国に対して積極的に働きかけをしていただきますよう要望いたします。
次に、特別養護老人ホームの整備について質問いたします。
高齢者がたとえ要介護になったとしても、可能な限り住みなれた自宅や地域において生活できることが望ましいわけであります。しかし一方で、真に施設入所を必要とする高齢者のためには、特別養護老人ホームなどの施設整備に努めるべきだと考えます。特に、地価が高く整備が進みにくい区部における取り組みは必要不可欠です。
平成二十一年度の特別養護老人ホーム整備費補助に関する予算の執行状況を見ますと、九九・三%と非常に高い執行率となっております。
そこでまず、平成二十一年度竣工の特別養護老人ホームの施設数と定員数、そのうち個室、多床室の割合、また区部での竣工数はどのようになっているのか伺います。
○狩野高齢社会対策部長 平成二十一年度の特別養護老人ホームの竣工数は十三施設、定員は千百九十六人となっております。
十三施設の区市町村別の内訳でございますが、特別区が十一施設、市部が二施設となっております。
これらの施設は、すべてユニット型個室による整備でございます。
○野田委員 入所される方にとっては、個室の方がもちろんよいのですが、我が党が第二回都議会定例会で主張したとおり、高齢者の多様なニーズへの対応や低所得者への負担軽減のため、多床室の整備も必要であることを申し上げておきます。
さて、平成二十一年度の竣工数を見ますと、区部を中心に堅調のようでありますが、都としてはその要因についてどのように考えておられるのか伺います。
○狩野高齢社会対策部長 施設整備を進める上での課題としては、いわゆる施設建設用地、土地の確保が挙げられます。平成二十一年度に竣工しました十三施設の用地につきましては、うち十二施設が公有地など公共的な土地を利用した整備となっております。用地の内訳は、国有地に四施設、区有地に六施設、それから、URの建てかえに伴う余剰地に二施設となっております。
都といたしましても、都有地活用による地域の福祉インフラ整備事業により、未利用の都有地を減額の上貸し付けを行うことで、引き続き施設整備の促進に努めてまいります。
○野田委員 特別養護老人ホームの整備促進に当たって、特に都市部では土地の供給が非常に重要な問題だということがよくわかりました。
都は、これまでも都有地を提供してきた実績がありますが、都市部における今後の急激な高齢化に対応するため、これまで以上の取り組みが必要です。未利用都有地の活用を一層推進するとともに、都から国や区市町村に対して、公有地活用を積極的に進めるよう働きかけていくことを要望いたしまして、私の質問を終了いたします。
○菅委員長 この際、議事の都合によりおおむね十五分間休憩いたします。
午後三時七分休憩
午後三時二十五分開議
○菅委員長 休憩前に引き続き分科会を開きます。
質疑を続行いたします。
発言を願います。
○上野委員 私からは救急医療対策についてお尋ねしたいと思います。
都では突発不測の救急患者をいつでも、どこでも、だれでもその症状に応じ、必要かつ適切に医療を受けられるよう初期、二次、三次の救急医療体制を整備しているところでございます。その体制のもと、年間約六十万件にも上る救急搬送を東京消防庁の指令室、救急隊の職員の方々、そして、二次、三次の救急医療機関の先生方が大変な思いで、協力、連携しながら、適切な収容に向けまして私たちの見えないところで日夜一生懸命に取り組んでおられるわけでございます。お仕事とはいえ、都民の命を守るために時間と闘いながら懸命にご尽力されておられることに、私は心からの敬意と感謝を申し上げたいと思っております。
そうした中にあっても、どうしても入院ベッドが満床であったり、ほかの患者の処置中であったり、専門医の不在などで患者の受け入れができない場合もあったり等、収容病院の選定に時間を要するケースが発生するときもあるわけでございます。
そこで、都では周知のとおり、従来の救急搬送の仕組みに加えまして、救急患者の迅速な受け入れなどを目的とした救急医療の東京ルールを策定し、その運用を昨年八月末から開始しているところでございます。開始して、まだ一年でございます。いろんな構造的にも、またシステム的にも複雑な内容を含んでいる課題でもありますので、すぐに改善されるものでないことは、現場の状況、現場の方からお話をお聞きしてもよく承知しているところでございますが、今後ともこの画期的な東京ルールをさまざまな困難を乗り越えて着実に進めていただきたいと思いますし、また都における迅速、適切な救急の確保に向けまして、大きく前進させていただくよう強く期待するものでございます。
そこで、開始から一年を経過した東京ルールの状況について、何点か質疑を行いたいと思っておりますが、その前に、まず平成二十一年度の一般会計決算説明書の中で二点確認をさせていただきたいと思います。
一点目は、決算説明書七八ページの救急医療対策の区分にあります救急医療対策協議会等の執行率が一〇・九%と際立って低いのでございますが、どのような理由によるものなのか、また事業実施上問題がなかったのか、あわせてお尋ねいたします。
○中川原医療政策部長 救急医療対策協議会等の事項の中には、救急医療対策協議会の部会でございます東京ルール検討委員会に加えまして、昨年の第二回都議会定例会の補正予算に計上いたしました小児の休日・全夜間診療事業参画等支援事業一億一千九百万円や小児救急医師確保緊急事業一億四千万円が含まれてございます。
休日・全夜間診療事業参画等支援事業につきましては、小児の休日・夜間診療事業に参画、または拡充を予定している医療機関におきまして小児科医師の確保を支援するものでございますが、医療機関内部での意思決定などに時間を要しまして、予算規模の七カ所に対しまして一カ所の執行にとどまったものでございます。また、小児救急医師確保緊急事業につきましては大学病院に寄附講座を設置し、小児医療の調査研究を行うとともに、地域の中核病院等へ小児科医師を派遣するものでございますが、大学におきまして具体的な医師の確保や学内での寄附講座設置の決定に時間を要したことから、二十一年度中の協定締結に至らなかったものでございます。
ただ、平成二十二年度につきましては、休日・全夜間診療事業参画等支援事業につきましては、十一業者を決定いたしておりまして、また小児救急医師確保緊急事業につきましても、既に八大学と協定を締結するなど、事業本来の目的を達成する見込みとなってございます。
○上野委員 ご答弁にありましたように、補正予算で措置した二つの事業が、医師の確保等で医療機関などは調整に時間を要したということによりまして、二十一年度は執行に至らなかったということでございますが、今年度は順調に推移しているというご答弁でありましたので、少し安心させていただきました。
次に、その項目の下にあります救急患者受け入れコーディネーターの配置についてでありますが、ここにあります救急患者受け入れコーディネーターとは東京ルールのために創設したものでありまして、収容先の選定が困難な救急患者を広域的に調整することを目的としている重要なポストと理解しておりますが、執行率は五一・五%と約半分であります。その理由についてお尋ねいたします。
○中川原医療政策部長 救急患者受け入れコーディネーターの設置につきましては、東京ルールの開始に伴い、東京消防庁に東京都の非常勤職員を配置するものでございまして、一年分を予算措置したものでございます。しかしながら、東京ルールの運用開始に向けましては、医療機関の理解、協力が不可欠であることから、各地域で開催されます会議等や個別の医療機関への説明などに時間を要しまして、都内十二の医療圏のうち七圏域におきまして八月三十一日からスタートとなったものでございます。また、救急患者受け入れコーディネーターにつきましても、取扱実績の増加に合わせまして段階的な配置を行い、十四人の定数に対しまして最終的に十二人の実績となったものでございます。
なお、東京ルールにつきましては、本年七月一日から全都で運用が開始されるとともに、救急患者コーディネーターにつきましても、本年四月から十四人の体制となっております。
○上野委員 東京ルールは東京都の事業ではありますけれども、その運用に当たって実際に取り組まれているのは各地域の医療機関であります。医療資源を初めとして、医療を取り巻く環境は地域によって異なりますので、今後とも地域の中で十分議論を行った上で取り組みを行っていくことがルールを安定的に運用するためにも重要であると思います。
ところで、先ほどもお話ししましたように、東京ルールの運用を開始して一年余り経過いたしました。そこで、一年後の本年八月末現在の実績はどのようになっているのか、お尋ねいたします。
○中川原医療政策部長 東京ルールにつきましては、救急隊による医療機関選定において五つの医療機関への受け入れ要請、または二十分程度以上経過しても搬送先医療機関が決定しない選定困難事案で搬送調整を行う場合を申します。東京ルールは、昨年八月三十一日から七圏域で開始し、本年八月末現在までの実績では一万一千九百三十六件となっており、全搬送件数の約二%となってございます。一日当たりの件数は平均三十三件となっており、最大で七十八件、最小は十二件でございますが、全圏域で開始された七月と八月の実績を見てみますと、一日当たり平均三十九件となってございます。発生曜日別では土日が多く、発生時間帯では午後八時から深夜三時までで全事案の約半数を占めております。
○上野委員 全都で開始した七月、八月の実績によれば一日平均で三十九件とのことであります。ただし、今答弁にあったように、多いときは一日八十件近く、また曜日では土日が多く、時間帯も夜間が全事案の約半分とのことでありましたので、一般の医療機関が休みになると対象となる事案も多くなる、そういったことが推測されるわけでございます。
さて、全都で運用が開始されたのはこの七月からということでありますので、確定的な検証といったものは難しいかもしれませんが、東京ルール開始後の効果について現時点でどのように認識されているのか、お伺いいたします。
○中川原医療政策部長 東京ルールによります搬送調整開始後、選定困難事案におけます医療圏域内の受け入れ率は、ルール開始以前の平成二十年九月から平成二十一年二月の六カ月間で五五・五%、ルール開始後の同時期におきましては七九・九%となっておりまして、より身近な地域での受け入れ割合が二四・四ポイント上昇しております。こうしたことから地域救急医療センターを中心としたネットワークが機能しているものというふうに認識してございます。また、ルール開始前には全搬送件数の六%と予想されていた選定困難事案につきましては、東京ルール運用開始後の実績では約二%にとどまっていることから救急患者を地域で受けとめるという東京ルールは、各救急医療機関において着実に浸透しているものと受けとめております。
○上野委員 ご答弁にありましたように、圏域内の受け入れ率が高まっているということでありますので、患者さんからしますと、より近くの医療機関で受けられることになりまして結構なことであります。しかし、先ほどご答弁にあったように、一般の医療機関が診療を行っていないときに東京ルール事案が発生することが多いので、地域救急医療センターを初めとした各救急医療機関に負荷が大きくかかっているときもあるかもしれません。ただし、想定していた数より東京ルールの対象となる患者さんが少ないということは、とりもなおさず、各救急医療機関の患者さんを受け入れようとする意識が高まった結果であります。ルールを開始した効果がこうした実績としてあらわれたことは大変喜ばしいことであると、このように思っております。ぜひとも実現できるように、東京ルール、本当によかったなと都民の方が喜んでいただけるように、これからも積極的に進めていただきたいと思います。
そこで、都として今後の課題については、どのように認識され、どう対応していく予定なのか、お尋ねいたします。
○中川原医療政策部長 東京ルールとしての事案の中には困難な背景を有するケースが相当数含まれてございます。また、救急搬送時間の課題もございます。こうしたことから東京ルール開始後の東京の救急医療の実態を把握することが重要というふうに考え、東京消防庁と連携して救急医療機関の協力も得ながら、九月末から一週間、東京ルール事案を含めたすべての救急搬送実態調査を実施したところでございます。実態調査では、患者さんが有している事情、例えば高齢者のひとり暮らしといった背景などのほか、これまでの統計では明らかになっていない大都市東京ならではの実情、例えば高層マンション、オートロック、地下街、木造密集地域での狭隘な道路など、患者の搬送に時間がかかる実情が救急搬送に与える影響などについて分析を行っていきたいというふうに考えております。
調査結果につきましては、十一月上旬に速報値として取りまとめ、引き続きクロス集計などによる詳細な分析を行い、その後、東京ルール検討委員会での評価、検証を経まして、来年一月末を目指して調査結果を公表する予定でございます。
○上野委員 東京ルールの安定的運用のために、しっかりと評価、検証をしていただき、今後の改善などに役立てていただきたいと思います。特に、救急搬送時間につきましては、単に時間を比較し、時間が長くなっていることだけが取り上げられる傾向にありますけれども、東京ルールを開始したその実績の中で見えてきたもの、また大都市東京の実態など十分に把握する必要があると思います。その上で、都民に対して正しく情報を伝え、都民と一緒に東京の救急医療を守っていくべきと、このように考えているわけでございます。
そこで、東京ルールを含めた救急医療の実情につきまして、都民に対し積極的な情報発信も必要と考えますけれども、所見を求めます。
○中川原医療政策部長 限られた医療資源を適切に利用し、東京都の救急医療体制を守るためには、医療機関の努力だけではなく、医療を受ける立場である都民の理解と参画が不可欠であるというふうに考えてございます。このため、都民に対しあらゆる機会をとらえ、救急医療の現状や仕組みなどにつきまして都民の理解の促進を図る必要があるというふうに考えております。
今後、先ほど申し上げました実態調査の結果につきましては、東京ルール検討会におきまして評価、検証を行った上で、できるだけ早期に都民への情報提供を行い、救急患者が迅速に医療を受けられるよう、都における救急医療体制の確保に努めてまいります。
○上野委員 ぜひとも積極的な情報発信をよろしくお願いしたいと思います。救急医療はいうまでもなく、都民がいつどこで利用するかわからない貴重な財産であるとともに、限りある資源であります。東京ルール開始の、都民、医療機関、消防機関、行政が協力、協働して救急医療を守るという、この意識を今後とも強く持って救急医療の充実に取り組まれるよう要望いたしまして、質問を終わります。
○大島委員 よろしくお願いします。決算の資料を大変お忙しい中つくっていただきましてありがとうございます。活用しながら質問をさせていただきたいと思います。
私は、まず最初に、保育園の待機児解消についてお伺いをしていきます。
保育所待機児童数の推移を見てみますと、二〇〇九年度は新定義で七千九百三十九人、二〇〇八年度に比べて二千四百六十人もふえてしまっています。東京都は二〇〇八年度から三カ年で定員一万五千人分の保育サービス定員を整備するという保育サービス拡充緊急三カ年事業を進めてまいりましたが、その進捗状況についてお伺いいたします。
○角田事業推進担当部長 保育サービス拡充緊急三カ年事業の進捗状況についてでございますが、当事業は平成二十年度からの三年間で一万五千人の定員増を目標としておりますが、平成二十年度、二十一年度の二年間で一万三千百六十七人の定員増となってございます。
○大島委員 東京都はこの三カ年事業計画で認可保育所で六千五百人、認証保育所で六千五百人、認定こども園で千五百人、家庭福祉員で五百人ふやす計画を進めてきたと、こう書いてありますが、この計画を前倒しして二年間で一万三千百六十七人の定数増となりました。二〇一〇年四月一日の都内の待機児童数は急増した二〇〇九年度を上回る八千四百三十五人--これは新定義ですけども--となりまして、待機児数も二〇〇九年度よりも四百九十六人上回ってしまったと発表しています。ことし四月の時点での旧定義での待機児童数は何人になるのでしょうか。
○角田事業推進担当部長 待機児童数の定義につきましては、平成十四年度から改正をされております。現在の定義では、認可保育所に入所できていない児童のうち、認証保育所を初めとする地方単独保育施策や家庭的保育事業等で適切に保育されている児童などにつきましては待機児童から除外することとされております。平成二十二年四月一日現在の待機児童数は八千四百三十五人でございますが、十四年度改正前の定義、いわゆる旧定義では一万七千八百四十八人になります。
○大島委員 旧定義と新定義の違いというのは、まず認可保育所に入れないで認証保育所とか認定こども園とか家庭保育園、こういう人たちが担っている子どもたちだということになるんですけども、この旧定義の待機児童数から新定義の待機児童数を差し引きますと九千四百一人というふうになるんですが、この方たちが認可保育所に申し込んで入れなかった子どもたちになる、子どもたちのうち認可保育外の保育に頼っているという状況が浮かび上がってまいります。この三カ年計画で特徴的なものは、認可保育所の実績が他の施策に比べて大きく伸びて、二年間で当初目標を上回ったということです。認可保育所はようやくふえ始めてきましたけれども、実際には待機児の増加に追いつかない状況があります。目標達成に甘んじることなく、認可保育所増設の速度と規模を抜本的に引き上げるべきではないかと思いますが、見解を伺います。
○角田事業推進担当部長 地域における保育サービスの供給体制につきましては、保育の実施主体である区市町村が、認可保育所に限らず、認証保育所、認定こども園、家庭的保育など地域のさまざまな保育資源を活用して確保していくべきと考えております。認可保育所の増設のみを促進する考えはございません。
○大島委員 待機児ゼロを目指して地域のさまざまな保育資源を活用すると、こういいますけれども、やっぱり保育所の基本は児童福祉法に規定されている認可保育所であることは否定できないと思います。都民が最も要望しているのも認可保育所の増設です。東京都の保育計画では、二〇一〇年度からの五年間で保育サービス利用児童数を三万五千人ふやすといっておりますが、認可保育所整備の具体的な目標が示されておりません。保育サービス拡充三カ年計画にはそれぞれの目標が書いてあるんですね。ですから、これに続く計画として、それぞれ保育区分ごとの計画目標を明らかにしていただきたいと思います。
○角田事業推進担当部長 さまざまな保育資源をどのように組み合わせて活用し、サービスを提供するかという保育サービスの供給体制につきましては、各区市町村が地域の実情に応じて整備していくべきと考えております。東京都保育計画におきましては、サービス種別ごとの目標値は設定をしておりません。
○大島委員 やはり計画目標というのがあるからこそ、必要な予算や施策の仕組みを計画的に打ち出すことができるんじゃないでしょうか。認可保育所の計画目標を積極的に持つことを要望します。また、いただいた区市町村における支援事業の実施状況、これを見ましても、事業者負担の軽減や区市町村の負担軽減の支援があれば認可保育所をふやすことができるということを示しています。認可保育所の整備や建てかえを実施する上で、事業者負担の軽減は非常に有効です。二〇一一年度以降も安心こども基金が継続するよう国に要請すべきと思いますが、いかがでしょうか。
○角田事業推進担当部長 国に対しましては、平成二十三年度以降の保育所整備事業に対する補助について、早急に方針を示すとともに、必要な財源を確保するよう既に提案要求を行っております。また、十月八日に閣議決定をされました円高・デフレ対応のための緊急総合経済対策の中で、安心こども基金を積み増すとともに、事業実施期限を平成二十三年度末まで延長することが盛り込まれております。
○大島委員 ことし二月に、日本共産党都議団は認可保育所整備のための東京都への要望等について各区市町村へのアンケート調査を行いました。この中で、いろいろな要望が出されているんですけれども、区市町村から東京都への要望では、まず待機児解消区市町村支援事業の延長と拡充を望む声が多数を占めました。そういう点で今後の事業継続と拡充についてどのように考えているか、お示しいただきたいと思います。
○角田事業推進担当部長 待機児童解消区市町村支援事業につきましては、平成二十一年度から二十二年度までの二カ年事業として創設したものでございますが、少子化打破緊急対策事業の一つに位置づけ、平成二十四年度末まで継続することとしております。また、今年度からは区市町村に対する補助率を、三歳未満児の定員拡充に積極的に取り組む場合だけでなく、認可保育所の入所定員弾力化などにより、利用児童数を一定数以上ふやした場合にも引き上げることとし、事業の充実を図ったところでございます。
○大島委員 区市町村から要望の強い待機児解消区市町村支援事業については二十四年度末まで延長するということですので、今後ともこうした各区市町村からの要望、意見などをぜひ取り入れて、こういった事業については継続していっていただきたいと思います。
次に、特別養護老人ホームの整備についてお伺いをいたします。
決算年度のちょうど終わりになります二〇〇九年三月に起きた群馬県の無届け施設たまゆらの火災で犠牲になった高齢者のうち六人は生活保護を受けている都民でした。この問題を通して、生活保護を受けている東京の高齢者の約八百人が都内、都外の無届け施設に頼らざるを得ない状況に置かれていたということが明らかになりました。特別養護老人ホームなど公的施設の深刻な不足、こういう問題が背景にあることは明らかです。
そこで伺いますが、介護のセーフティーネットとして、中心的な役割を担う特別養護老人ホームの増設が求められておりますが、入所を待っている全都の待機者数は何人いるのでしょうか。
○狩野高齢社会対策部長 平成二十一年八月の調査によれば、複数の施設への重複申し込みを精査した結果、特別養護老人ホームへの入所を希望している者の実数は四万三千七百四十六人でございます。なお、このうち約半数の二万一千六百三十二人は要介護三以下の、いわゆる中度、軽度の方でございます。また、要介護四、五のいわゆる重度の方二万二千百十四人の中には、在宅以外の介護保険施設や病院、ほかの社会福祉施設等に既に入所している方もおり、入所希望者数四万三千七百四十六人という数字は、特別養護老人ホームに直ちに入所が必要な数をあらわしているとはいえない面がございます。
○大島委員 今のご答弁で入所希望者の実数が四万三千七百四十六人、直ちにということではないけどといいますが、要介護三以下の方も年々高齢になっていくと、当然介護度も重くなるでしょうし、そういう人たちが特養ホームに入りたいと願っているというのは、これはもう実際そのとおりだというふうに思います。また、老健施設や病院などでも、ある意味社会的な入院というような形で、特養ホームに入るのを待っている方もその中には当然いるわけです。こういう点でいいますと、整備のテンポを大幅に引き上げないと、特別養護老人ホームへの入所を希望しても何年も入れない、何年も待たないと入れない、こういう深刻な事態は打開することはできません。全国で特別養護老人ホームへの入居を希望している人は四十二万一千二百五十九人と厚生労働省は発表しましたが、東京都はそういう点では全国一で、全国の一割を上回る方たちが申し込み、入所を待っています。
東京では、特養ホームもグループホームも小規模多機能施設も整備状況は全国最低水準で、整備が急がれています。厚生労働省は二〇〇二年度から新規に開設する特養ホームを全室個室ユニット型にするという方針を打ち出しまして、二〇〇六年度には施設整備費が一般財源化されました。現在建設されている特別養護老人ホームは新型特養といわれるユニット型がほとんどを占めています。特養ホームでは高齢者のプライバシーを守るとか、尊厳ある生活を営むためにも個室化は重要ですけれども、二〇〇五年の十月からは介護施設への居住費、食費、この自己負担が導入されまして、低所得者には負担が重く、入居したくても入居できない実態となっています。
居住費の負担が軽い多床室も整備の対象にすることなどを我が党は昨年の予算委員会でも要望してまいりましたが、特養の整備費補助は多床室を整備する場合でも認める必要があると思いますが、いかがでしょうか。
○狩野高齢社会対策部長 都におきましては、特別養護老人ホームの整備はユニット型個室を基本としてまいりました。先ほど野田委員のご指摘もありましたとおり、都は第二回定例会におきまして、今年度から高齢者の多様なニーズへの対応や低所得者の負担軽減等のため、プライバシーへの配慮等を条件に多床室が施設定員の三割以内であれば新設の場合にも施設整備費補助を行う旨、答弁したところでございます。
○大島委員 そういう方向で整備が進んでいけばいいなというように思っております。経済的理由で施設に入れない人をなくすためにも、居住費とか食費の自己負担をなくして、だれもが安心して入所できるようにすべきだと考えます。現在、生活保護世帯は、このユニット型の個室の特養には入居できないんですね。また、このユニット型のショートステイも同様に低所得者にとっては負担が大変重いんです。介護、この負担の軽減のためにも、居住費の助成などをして生活保護世帯とか低所得者も入所できるようにすべきではないかと思いますが、いかがでしょうか。
○狩野高齢社会対策部長 特別養護老人ホームなどの居住費の助成につきましては、都は、国の制度でございます社会福祉法人等による利用者負担額軽減の仕組みをもとに、東京都独自に対象サービスの拡大、事業主体の拡大及び事業者負担の軽減を既に行っております。都として新たな負担軽減策を行う考えはございません。
なお、都は国に対し、生活保護受給者も含めた低所得者がユニット型特別養護老人ホームを低廉な居住費負担で利用できる仕組みを国の責任で構築するよう、既に緊急提言を行っているところでございます。
○大島委員 今答弁されました負担軽減事業の利用者数と二〇〇九年度の予算額、決算額はどのようになっていますか。
○狩野高齢社会対策部長 平成二十一年度の生計困難者に対する利用者負担軽減制度の利用者数は、延べで二万一千九百十七人でございます。平成二十一年度の予算額は八千六百五十一万円、決算額は三千七百五十四万五千円でございます。
○大島委員 今のは延べ人数でお答えになりましたけれども、今の答弁で計算をいたしますと、一人当たり千七百十三円程度の負担軽減策と、大変低い金額だなと私は思いました。大変貴重な事業なんですけれども、予算のときにお聞きした実人員では東京全体で利用者が約二千人ちょっとということで、決算額でも今お聞きしましたように、わずか三千七百五十四万円にすぎません。予算に対する決算の執行率もわずか四三・四%で、予算の半分も使われていないんですね。皆さんが胸を張って実施しますと、こういうふうにいうのにふさわしいように、もっと利用されるような制度になるように拡充することを求めておきます。
次に、介護にはまさにマンパワーが必要です。現在、介護の人材不足が大変大きな社会問題となっています。とりわけ東京は深刻で、介護職の有効求人倍率は二・四〇倍、全職業の〇・五五倍を大きく上回っています。介護の人材不足の最大の原因というのは、介護保険施行十年の間に介護報酬が二度も切り下げられ、加えて東京の全国一の賃金水準や全国一の物価高、こういったものが介護報酬に反映されていないんです。つまり、実態に合わない低い介護報酬が押しつけられてきたというところにあります。政府は、介護報酬を今年度から三%引き上げ、介護職員処遇改善交付金も二〇〇九年十月から交付されてまいりましたが、これによって介護職員の待遇改善は具体的にどのように進んだんでしょうか。申請した事業数とか該当職員数、改善された賃金は給与なのか手当なのかなどについてもお伺いいたします。
○狩野高齢社会対策部長 平成二十一年度の介護職員処遇改善交付金の最終的な申請状況は、サービス種類別に事業所数を集計いたしますと、対象事業所数七千三百六事業所のうち、五千四百六十六の事業所が申請をしております。対象期間中における申請事業所の介護職員の常勤換算の延べ人数は二十四万四千五百四人でございます。賃金改善の方法は事業所により異なり、基本給や一時金、手当など、さまざまな形で賃金を改善しております。
○大島委員 今申請事業所数で五千四百六十六事業所ということで、全体が七千三百余の事業所があるというふうに先ほどご答弁ありましたけども、そうすると、そのうち申請した事業所というのは約四分の三、ここにとどまっているのかなと思います。また、あくまで一時的な交付金だということもありまして、私たちもいろいろ調べたんですけども、基本給そのものの改善には余り使われていなかったということも聞いているんですね。介護職員の処遇改善交付金がこれからどのように使われていったのかということを東京都としても、ぜひ実態を公開してくださることを強くお願いいたします。
介護の人材不足というのは、介護体制の維持とか存続さえ問われる深刻な事態となっています。老後の不安を抱える高齢者や老老介護などという厳しい家庭介護の中で苦闘している都民を救済するためにも、特養ホームなど介護施設の増設や低所得者向け補足給付の充実、それからグループホーム利用者への家賃補助、介護報酬そのものの底上げ、こういったものを図ることを国に要望するとともに、都独自、自治体独自の取り組みも強く要望しておきます。
次に、生活安定化総合対策事業についてお聞きいたします。
長引く不況の中で派遣切りや雇いどめにより仕事や住まいを失った方たちに、年末年始にかけて、二〇〇九年は年越し派遣村が、二〇一〇年には公設派遣村といわれた年末年始の生活総合相談、これが実施されました。今回の公設派遣村の実施について、東京都はどのように受けとめているのか伺います。
○市川生活支援担当部長 昨年末から年始にかけて実施いたしました年末年始の生活総合相談では、住居を失い、貧困、困窮状態にあります方への緊急支援といたしまして、宿泊と食事の提供とともに、就労相談、生活住宅相談、健康相談などを行いました。この取り組みは国からの強い協力要請を受けまして、人道的な見地から国の緊急雇用対策の一環として実施したものでございます。
○大島委員 都は緊急総合対策三カ年事業として、生活安定応援事業を実施しておりますが、二〇〇八年度から実施してますけど、二〇〇九年度決算では職業訓練等を受講する間の資金や就労のための資金を無利子で貸し付ける生活サポート特別貸付事業、この執行率を見てみますと、五七・一%、一億四千百八十九万円が不用額として計上されています。介護人材育成確保の緊急対策事業も執行率が五一・三%で、十億六千八百八十五万円余が不用額として出てしまいました。いずれも職業訓練と一体となった事業ですが、執行率が低い原因はどこにあるのか、どこにあると考えているのか伺います。
○市川生活支援担当部長 生活サポート特別貸付事業は、産業労働局が実施いたします就職チャレンジ支援事業などの職業訓練を受講する方へ生活資金等の貸し付けを行うもので、連帯保証人の確保や貸付対象期間が限定されていたことなどが実績が伸びなかった一因と考えております。既に今年度から連帯保証人の年齢要件の撤廃、貸付対象期間や償還免除要件の拡大などを行ったところでございます。
また、平成二十一年三月に事業を開始いたしました介護人材育成確保緊急対策事業では、資格取得支援や就労支援等を行うとともに、一定の要件で対象者を雇用した事業所には採用給付金を支給しております。採用給付金の支給には資格取得期間のほか、最低でも六カ月の雇用期間が必要なことから、平成二十一年度中の申請に至らず、実績が伸びなかったものと考えております。
○大島委員 答弁にありましたように、国も都もさまざまなメニューをふやしたんですね。東京都がやって国が後追いにやったのもありますし、国がやったものに補完する形で東京都がつけ加えたというものもありまして、もう何か制度が次々と出て、その体制が後から追いかけていくような、こんな感じが私はしていました。その中で今お話しありましたように、非常に借りにくいという声があったのも事実です。生活サポート特別貸付事業による生活資金の貸し付け申し込みというのは、指定職業訓練等の受講決定が出なければ申し込むことができない。それから、指定された職業訓練の中に自分の希望するものがなかったり、指定の中から選んでも受講期間とかその指定場所で、そういうのがかなり自分の行けるところではなかったり、さらに選考に--選考って試験というか、そういうものですね。選考に通らなければ受講決定はないということで、そういう状況がありました。また、転宅等で資金が必要であっても、貸し付けは就職内定後でなければ申し込めない。さらに、一定の収入がある連帯保証人をつけなければならない、こういう借りにくい条件が多かったのではないでしょうか。いかがですか。
○市川生活支援担当部長 生活サポート特別貸付事業につきましては、今年度から既に訓練等受講決定前の生活費についても、先ほどご質問のありました訓練落選時、訓練修了後につきましても、貸し付けの対象として拡大しているところでございます。
ご質問の転宅費等の資金につきましては、就職先が決まってから転居するという考え方のもとで、就職の内定後に貸し付ける制度としておりますが、就職内定前の求職活動期間については、今年度から生活費の貸付対象としたところでございます。また、連帯保証人の年齢要件を撤廃するなどの要件緩和も既に行っております。
○大島委員 そういう意味では要件緩和が進められて借りやすくするという努力がされているということはよくわかりました。無利子で、保証人なしで、住宅資金と生活資金を借りられる住居喪失不安定就労者サポート事業、これ住所、住宅喪失者が対象なんですね。私もちょっと相談の人がいましたので、このリーフレットをいただいたんだけど、やるしかない、でも家がない、そんなあなたを応援しますといって、何か本当に応援しているなというのがわかるんですよ。一人っきりで悩まないで一緒に解決策を見つけていきましょう、すごくいいなと思いながらこのパンフレットを見ていたんですね。ところが、これ住宅喪失者が対象なんですよね。だから、どんな状況でも、例えば、家賃が払えずに追い出し--もうすぐ追い出されちゃうと、こういう人でも居住する住宅があれば生活資金だけ借りることできないんですね。
また、申し込みから貸し付けを受けられるまでに、三週間から六週間ぐらいもかかってしまうというようなことも聞きまして、非常に借りにくいという声があるんです。生活保護の場合は、申請してから決定まで、特別な事情がなければ二週間というふうに決められておりますので、生活に困窮していても生活保護を受けずに生活したいという方たちへの迅速な対応が求められていると思いますが、いかがでしょうか。
○市川生活支援担当部長 住居喪失不安定就労者サポート事業では、住居喪失不安定就労者が速やかに必要な支援を受け、自立した安定的な生活を送れるようにすることを目的とした制度でございます。そのため、生活、居住、就労の相談を一体的に行いますとともに、居住を目的とする賃借要件の確保に必要な住宅資金と生活資金の貸し付けを行っております。本事業では、対象者への面接や相談を行い、個々の生活状況を把握した上で、貸し付けの審査を実施しておりますことから、資金の交付に至るまでの日数は対象者ごとに異なっておりますが、借入申込書を受理してからおおむね二週間程度で資金の交付を行っております。
○大島委員 申込書受理から交付まで二週間ということで、生活保護の範囲かなというふうに私は思ったんですけども、まず、この必要な書類というのを整えるのに時間かかるんですよね、人によってそれぞれ違うんですけども。例えば、公的身分証明書、もしくは戸籍抄本が要るとか、借入申込者の写真が要るとか、それから就職先及び収入が確認できる書類が要るとか、それから住居予定先と必要金額が確認できる書類が要るとか、ネットカフェなどに寝泊まりしながら、しかも仕事を探しながら書類を整えると、なかなかすぐにそろえられるというのは難しいという実態じゃないでしょうか。また、今雇用情勢が大変厳しいときだけに、一度就職ができても正規社員でなければ、いつ首になるかわからない、こういう不安定な雇用状態が続いています。
こうした状況のもとで、これらの資金、いずれも貸し付けということなので、その貸し付けが大きな比重を占めているという点では、返済時のことを考えると、なかなか申し込むこともちゅうちょされると、こういうこともあると思います。給付を基本とするような離職者支援制度を創設することが必要ではないかと思いますし、また融資制度については、その要件を大幅に緩和すべきではないかと思いますが、いかがでしょうか。
○市川生活支援担当部長 ご質問の中に手続がいろいろ煩雑で対応が難しいんじゃないかとお話ございましたけれども、この住居喪失不安定就労者サポート事業では、そうした公的な書類の確保とか手続に関しての支援も行いながら、不安定就労者の方が安定した自立的な生活を送れるようにやっているところでございます。
それから、離職者への支援制度といたしましては、生活安定化総合対策事業の一つでございます就職チャレンジ支援事業においては、公共職業訓練を受講する方へ受講奨励金を支給しております。また、国が昨年度より第二のセーフティーネットといたしまして、雇用保険を受給できない求職者への職業訓練や生活保障のための給付制度、あわせて住宅手当を支給する制度を創設いたしました。さらに、融資制度としましても、総合支援資金貸付を創設し、この制度では連帯保証人を確保できない場合でも貸し付けを可能としております。
○大島委員 大幅な要件緩和を実施して、より借りやすくするようにということで努力をなさっているということなので、ぜひ引き続きお願いをしたいというふうに思います。
今回の中で、もう一つ、チャレンジ支援貸付事業というのがあるんですね。これ学習塾とか補習教室なんかの受講料、それから高校や大学などの受験料の捻出が困難な世帯に必要な塾代、こういったものの資金を貸し付ける制度なんですね。これは、執行率が九一・七%、不用額四千五百五十三万円余で、比較をいたしますと事業実績高いんですね。これも無利子の貸し付けなんですけれども、違うのは、高校とか大学に合格して入学したときには返済が免除される仕組みになっているんですよ。給付金というんではないんですけど、これが本当に励みになって、一生懸命頑張れば返さなくても大丈夫なんだよというようなことで、非常にいい効果も上げているんじゃないかというふうに思うんです。
実際には、こういう給付金と同様の効果があるという、この事業の成果と今後の課題についてどのように考えているんでしょうか。
○市川生活支援担当部長 チャレンジ支援貸付事業の貸付件数は、平成二十年度は十月から実施いたしまして千二百十一件でございましたが、平成二十一年度は三千六百三十二件と大幅に増加しております。また、貸付案件の約九割は高校、大学等への入学を果たしております。これまでも本事業の積極的なPRを行いますとともに、中学三年生の学習塾等の受講料の引き上げや新たに高校受験料も対象とするなど、必要な見直しを既に行っております。
○大島委員 必要な見直しをして一生懸命というのはすごくよくわかりますが、こうした三カ年の緊急対策が実は二〇一〇年度で終わることになっているんです。今社会経済状態が好転しない中で、こうした対策は継続すべきじゃないでしょうか。また、日常的にこうした事業を行って相談活動なども充実して、ことしの年末には公設派遣村のような対応をしなくても済むようにする、これは当然ですけれども、実際にはまだまだ大変な事態から抜け出せているとは思えません。この年末に向けて、どのような対策をとろうとしているのか伺います。
○市川生活支援担当部長 生活安定化総合対策事業は、平成二十年度から緊急総合対策三カ年事業として実施してきたものでございます。今後につきましては、経済、雇用情勢、国施策の動向などを総合的に勘案し、適切に対処してまいります。また、ことしの年末年始に向けての対応についてでございますが、都では昨年度行いました年末年始の生活総合相談等を踏まえ、年末年始の特別な対策が必要とならないよう国の責任において経済対策、雇用対策を強化するとともに、住居を喪失した求職中の貧困、困窮者への支援を通年で実施するよう本年二度にわたり、緊急提案を行ったところでございます。
○大島委員 生活安定化総合対策事業というのは、石原知事が前回の知事選で公約した都民税減税のかわりに二〇〇八年度から実施された事業です。知事は当初、生活保護の対象となる程度の給与しか、あるいは年金収入しかないにもかかわらず、住民税が課税されているおよそ六十万人の都民がいるとして、この人たちへの都独自の都民税減税を打ち出しました。減税総額は約五十億円とされていました。その後、一昨年来の不況は日本経済と都民生活に今なお深刻な打撃を与え、若者の失業率が一七・七%という厳しい就職難が拍車をかけています。今日においても、貧困の問題は深刻な状況が続いています。都として、生活安定化総合対策事業としてスタートしたこの低所得者に対する支援の重要性はますます大きくなっています。さらに抜本的に拡充することを強く求めておきます。
最後に、予算の使い残し、不用額について伺います。
平成二十一年度一般会計決算における福祉保健費の不用額は五百十八億円もの巨額となっています。そのうち、福祉保健局分は局の決算説明書を見ると、五百五億八千九百八十五万円余となっています。五百六億円もの不用額を出したことについて、どのように考えているか伺います。
○日置企画担当部長 五百六億円もの不用額を出したことについてどう考えているかというご質問でございますが、福祉保健局の予算、きょうの資料に出しておりますが、二十一年度予算額で約九千億円と、大変大きな金額となっております。こうしたことから不用額につきましても絶対額としては大きなものでありますが、二十一年度決算における福祉保健費の執行率、これは九四・三%でございまして、決して低い執行率であるというふうには考えてございません。局事業全体として見ましても、着実に施策を推進しているものというふうに考えておりまして、今後とも限りある財源、支援を最大限かつ効率的に活用いたしまして、常に最小の経費で最大の効果が上がるよう積極的な施策の展開に努めてまいります。
○大島委員 一般会計決算における予算現額の総額に対する福祉保健局の割合は一三・三%ですが、不用額の総額に占める福祉保健局の割合は二二・五%にも及んでいます。予算額が大きいから不用額が大きいのは当然だというこのいいわけはもう通用しません。不用額の内訳で大きいのは、例えば先ほど取り上げました介護職員の処遇改善臨時特例交付金事業が三十六億六千万円、特別養護老人ホームなど高齢者保健福祉施設整備費が三十一億四千万円、児童福祉施設整備費が十四億六千万円、生活安定化総合対策事業が十四億円、シルバーパスの交付が七億一千万円などとなっています。いずれも拡充が切実に求められている事業です。都民の福祉、介護、医療を守る大事な福祉保健局予算を五百六億円も使い残すという予算執行は到底適切なものとはいえません。今後抜本的に是正されることを強く求めて質問を終わります。
○柳ヶ瀬委員 それでは、幾つか質問をしてまいりたいというふうに思います。
きょうは、まず養育家庭制度について、そして最後に時間があれば救急医療について質問してまいりたいというふうに思います。
連日のように児童虐待事件の報道がなされております。ことしの一月には、江戸川区で小学校一年生の岡本海渡君が両親からの暴行によって亡くなるという非常に痛ましい事件がありましたけれども、その後も悲惨な事件が後を絶ちません。そういった虐待、育児放棄などで社会的養護が必要な子どもが非常に多くなってきている現状があります。しかし、その一方でその受け皿となる児童養護施設はほぼ満員の状況である。そこで、東京都としても受け皿をふやしていく、またより家庭に近い温かい環境で養育していくということで、家庭的養護を推進するという方針をとっております。その家庭的養護の中で中心となっているのがこの里親制度ですね。きょうはその中でも養育家庭制度について質問をしていきたいと思います。
ことしの八月末に杉並区で里親家庭に預けられている三歳の女の子が死亡するという報道がなされておりました。この件について、東京都が現状把握している情報について教えていただければと思います。
○雜賀少子社会対策部長 委託中の児童が死亡したことについては非常に重く受けとめておりまして、痛切な思いでございます。この件につきましては、死亡の状況や原因などにつきまして、現在、警視庁が事件、事故の両面から捜査中でございます。児童相談所は相談者に対し、個人の家庭の事情、相談者への対応状況などについて秘密を守るということで、相談者から信頼を得て業務を行っております。児童及び家庭のプライバシーが守られることが業務を行う上の大前提ということになってございます。したがいまして、個別のケースについての言及は控えさせていただきたいというふうに思っています。
○柳ヶ瀬委員 現在、事件、事故の両面で捜査がなされているということでありますけれども、さっきおっしゃったように東京都が委託した児童が死亡したという非常に大きな事件だというふうに私は考えております。これについて、児相がどのようなケアをしてきたのかとか、そういったことも含めてしっかりとこれ、今後あるタイミングで、事故なのか事件なのか現状わかりませんけれども、そういう発表があると思いますが、そのときにしっかりと検証していただきたいというふうに申し上げておきたいというふうに思います。
それで、私、この報道がありましてから、この里親制度についていろいろと調べてみました。調べてみたところ、心配なところが幾つかありますので、その点についてお聞かせいただければというふうに思います。
まず最初に、里親として適切な人物かどうか都が認定をするわけですけれども、この認定プロセスについて聞いてまいりたいと思います。
里親になりたいというふうに思われた方は、まず児童相談所が相談窓口となって、申請書を書いていただきます。その後、研修や家庭訪問調査を経て児童福祉審議会の里親認定部会で里親として適格かどうか審議がされると。その結果を受けて、都知事が認定し登録されるという流れになっております。
そこで、この児童福祉審議会の里親認定部会での審議結果についてデータをいただきましたけれども、諮問件数--これ申請件数ですね--が毎年百件程度なのに対して、不適格、適格ではないと、里親になるには適格ではないというふうに判断された数が毎年ゼロから一名というふうになっておりました。平成十七年度から二十一年度までの諮問件数が合計四百八十八名なのに対して不適格とされたのは、たった三名という結果でございます。つまり、希望された方はほとんど適格と判断されているという状況があるということなんですね。
そこでお聞きしたいんですけれども、この里親認定部会は年間六回程度開催されるということですが、これ一回の審議でどれくらいの時間をかけて審議をされているのか。また、今の不適格となる方が非常に少ないんですけれども、この点についてどのようにお考えなのか、見解があればお聞かせください。
○雜賀少子社会対策部長 東京都児童福祉審議会に設置しております里親認定部会についてでございますけれども、この部会は学識経験者、弁護士、家庭裁判所調査官、児童養護施設の園長経験者など、児童の問題に関する専門の委員で構成されております。審議に当たりましては、登録を希望する家庭からの申請書及び児童相談所が作成した調査書に基づきまして、東京都里親認定基準に照らして養育家庭として適格であるか否か、専門的かつ公平、中立にご議論いただいてございます。一回の認定部会の時間ということでございますけれども、諮問件数によりますが、おおむね約二時間程度でございます。また、委員お話しのとおり、諮問件数は年間約百件程度ということでございますけれども、そのうち、再調査を行っている件数がかなりございまして、それにつきましては改めて里親申請家庭の調査をしたり、聞き取りを行ったりということで再度調査を行うということもございます。
○柳ヶ瀬委員 この里親認定部会というのは一回二時間程度で行われていると。それで、ここで認定部会の委員の方の発言があるんですけれども、読み上げますね。里親として認定するかどうかの審査は児相から上がってくる書面をもとに行いますが、二時間で十件から二十件見る。その時間内に書面だけで問題点を見抜くのは難しい。適性かどうかの判断は児童相談所任せになってしまうというような、これ認定部会の委員の方のご発言がございました。これちょっと心配なんですね。心配なんです。
では、認定部会はこのように行われているとして、じゃ、児相がどのように里親として適格かどうかを判断しているのかというと、面接や研修、家庭訪問はしますが、基本的には自己申請なんですね。里親の認定基準の中に基本要件がありますが、心身ともに健全であることとか、児童に対する豊かな愛情を有することなどの項目がありますが、これは自己申請に基づいての判断ということになっています。普通に考えて、里親になりたいと思っても、申請される方が余り自分にとってよろしくないことをそのまま記述されるということは非常に考えにくいのかなというふうに思っております。
そこで、提案としては、この一連のプロセスの中に、例えば周辺の方からの聞き取り調査、聞き合わせと呼ばれるものであったりとか、また心理的な分析調査など、第三者的な視点が必要なんではないかというふうに考えるわけですけれども、その点についての見解はいかがでしょうか。
○雜賀少子社会対策部長 里親認定に当たりましての家庭調査でございますけれども、これは児童相談センターによります里親担当のセンター職員と、それと所管の児童相談所の児童福祉司、こうした者が複数で訪問いたしまして、住宅環境などを確認するとともに、居住しております祖父母、実子も含めまして、同居家族全員に同席していただきまして、里子の養育に対する考え方などについて鋭意聞き取り調査を行っております。この聞き取りの中で、例えば家族状況が複雑である、あるいは希望動機に気になる点がある、さらには社会的養護について理解が不十分である、そういった疑問を感じた場合については、さらに十分な確認を行ってございます。
委員ご指摘の近隣などへの聞き合わせにつきましては、申込者の養育力などにつきまして、近隣や知人の評判が必ずしも妥当であるかどうかということについては不明でございまして、また申込者と近隣などとのトラブルになるおそれもあるということから慎重に対応するべきであるというふうに考えております。
○柳ヶ瀬委員 何でこの提案をするのかというと、今後東京都としては、里親をかなりふやしていこうという方針なんですね。平成二十六年度には四百七十人という目標を掲げているわけで、数の増加が必要だと。しかし、私は、里親となれるかどうかというのは、なかなか判断が難しいというか、里親のすることということは非常に困難が伴うものではないかというふうに思うんですね。私も八歳の子どもが一人おりますけれども、子ども一人、自分の子ども育てるのもかなり大変だということはわかっておるつもりでございますが、ましてや、ここにいらっしゃるお子さんというのは、それまでにさまざまな複雑な環境を経てこちらにいらっしゃっているということで、非常に養育が困難な方が多いという中では、まさに養育が非常に困難な人たちを育てていかなければいけないということなんですね。ですから、この事業をこれから拡大していこうということであれば、適切な里親を選定しなければいけないと。ですから、そのためにこの調査をよくしなければいけないんではないかということを申し上げておきたいと思います。
振り返ると、例えば二〇〇二年には宇都宮で里親が里子を殺してしまうという事件がございました。また昨年の十月に大阪で里親が里子に対する傷害事件で逮捕されるという事件もありました。この二つの事件でも、検証の中で里親認定に当たってしっかりとした調査が必要だというふうにされているんですね。
ことしの三月に大阪市が出しました里親による里子への傷害事例検証結果報告書というのがあります。これで再発防止に向けてこういうことをやっていこうというふうに大阪市が判断したもとになった報告書があるんですけれども、この中にも里親申込者調査の充実が必要であるとされていて、ちょっと読みますけれども、他人の子どもを家庭に迎え入れ、その人格を受けとめ養育に当たるものであり、その負担と責任は重大であることから、その重責に耐え得るかどうかという視点から調査は不可欠である。よって、現在でも申込者調査は聞き取りを中心としているものの、その生育歴、夫婦関係等を初め、申込者自身さえ気づいていない背景、事情まで掘り下げて聞き取りをしている。他方で、第三者に対する聞き合わせなどのいわゆる裏づけ調査は行われていない。本事例では里親の親族に対し聞き合わせを行っていれば、里母が気づいていないか、気づいても調査者にいいたくない事情が調査の段階で明らかになっていた可能性がある、このような報告がなされているんですね。ですから、聞き合わせが困難だということも、先ほどの部長の答弁でなかなか難しいんだろうということもよくわかりますけれども、より充実した調査を望まれるということを申し上げておきたいと思います。
それともう一つ心配なのが、里親に子どもを委託した後にしっかりとアフターフォローができているのかどうかという点でございます。委託した後に児童相談所の養育家庭担当の児童福祉司と養育家庭専門員、これ東京都の独自の制度ということですけれども、この専門員が里親の支援に当たるということですけれども、この委託後の訪問指導の状況はどうなっているか。方針と現状について教えていただければと思います。
○雜賀少子社会対策部長 養育家庭に対する訪問指導等につきましては、厚生労働省の児童相談所運営指針に基づき実施しております。具体的な対応といたしましては、児童の養育に当たり、養育家庭への委託後半年程度は委託児童と里親との関係の構築を確認するため、きめ細かく訪問し、委託児童と里親の関係が安定した場合、そういった状況につきましては、児童の年齢や状況に応じた訪問指導を行っております。具体的には、児童福祉司の家庭への訪問指導の回数につきましては、平成二十年度の実績でございますけれども、おおむね七割のご家庭につきましては年二回以上訪問してございます。
○柳ヶ瀬委員 その方針のもとにやっているということはわかるんですけれども、さっき数字を若干読みかえられたなというふうに思ったんですけれども、児童福祉司が年に何回、この里親家庭のところに訪問指導をしているかといったデータがあります。これ正確にいうと、年に一度も訪問していないという家庭が三十四、これ全部で二百九十八家庭あるんですけれども、三十四の約一一・四%。年に一回訪問するというのが五十三家庭、一七・八%、年二回から六回が百八十七家庭ということで六二・八%、年七回から十一回が二十一の七%、月一回以上というのは三家庭しかない、一%ということです。私、これを見て非常にびっくりしたんですけれども、これ見たご感想とか何かありましたら、ぜひ。
○雜賀少子社会対策部長 先ほど申した数値でございますけれども、これは厚生労働省が毎年現況調査を行っておりまして、それに対しての記録といいますか、報告書でございます。先ほど申しました報告書につきましては、あくまで児童福祉司が家庭に対して訪問を行った数でございます。これ以外に、養育家庭の状況によりましては養育家庭ということではなく、児童相談所に来ていただいて面談する場合がございます。また、各児童相談所には委員お話しの養育家庭担当の児童福祉司のほかに、養育家庭専門員を配置しておりまして、この専門員が訪問している場合がございますけれども、それはこの数値の中に含まれてございません。委託しております児童と家庭の養育状況に応じまして、訪問指導やあるいは児童相談所の来所での指導というものを適切に行ってございます。
○柳ヶ瀬委員 ちゃんとやっておるということだと思いますけれども、ただ、まず先ほどおっしゃっていた養育家庭専門員というのは、非常勤の方なんですよね。非常勤の方ですね。あくまでも、児童福祉のプロフェッショナルというのは児童福祉司ということで、この人が責任を持たなければいけないわけです。その児童福祉司が一度も里親の家庭に行っていないという件数がこれだけあるということは、私非常に率直に驚いたということで、大丈夫なのかなということで、さらに心配になったところなんですね。特に、月一回以上訪問しているという家庭が三家庭しかないということで、これは新規で、その年の新規の委託された家庭が約五十家庭ぐらいあるというふうなデータをいただきましたけれども、新規で委託された家庭にも月一回も訪問できていないという状況なのかなというふうに思います。非常にこれ心配だということですね。虐待やネグレクト、施設での長期集団生活などによって、愛着形成に問題を抱えた子どもの養育は大変な困難を伴います。にもかかわらず、経験の浅い里親や知識の乏しい里親への、いわゆる丸投げ委託というのがあるんではないかということが方々でいわれているんですね。丸投げにしているんじゃないかということをいわれているわけであります。
それは、多分こういったデータのことをいっているのかなというふうに思うんですけれども。例えば、昨年の大阪での里親による里子への暴行、虐待事件では、暴行してしまった里親は非常に丁寧な養育の状況報告書を児相に送っていたようであります。例えば、保育所で年長クラスになり張り切っています。歩くスピードが上がり、私が置いていかれることもありますというように、非常に良好に見える養育状況が送られてきた報告書には書いてあったということなんですね。ただ、その一方で激しい暴行を繰り返していたと。報告書ではそのようなことを書き、一方では暴行を繰り返していたというような事案であったようであります、大阪の件は。
つまり、一見良好な養育状況に見えても実際は異なるということがあった。ですから、丁寧な訪問指導によるきめ細かい養育環境の把握が必要だということだと考えますが、先ほどのデータでなかなか訪問できていないという現状はわかりましたけれども、今後、訪問指導などをより支援を強めていくということは可能なのかどうか、その点についてお聞かせをいただければと思います。
○雜賀少子社会対策部長 養育家庭専門員でございますけれども、確かに非常勤職員ではございますが、この職員につきましては児童養護、とりわけ養育家庭制度に対する見識があり、児童福祉司、あるいは児童指導員の任用資格、社会福祉士などの資格を有する者、これと同等の能力を有する者ということで、経験の深い人を採用してございますので、これにつきましても、児童福祉司と同等の能力があるというふうに考えてございます。
今後、養育家庭への訪問指導等を一層強めていくべきではないかというふうなお考えでございますけれども、児童相談所が中心となりまして、養育家庭に対する指導というものを一層強めていきたいというふうに考えております。養育家庭につきましては、家庭的な環境のもとで、里父母などと、特定の大人との密接な関係の中で信頼をはぐくみ、また地域との交流を保ちながら健やかに育つことができるということで非常に重要な仕組みだというふうに考えてございます。これをますます支援していくために児童相談所としても取り組みを強化してまいります。
○柳ヶ瀬委員 ぜひお願いをしたいというふうに思います。
また、先ほどの大阪市の出した検証結果報告書の中に幾つか気になるところがあったんですけれども、委託後のフォローが大事だとした上で、児童相談所以外の相談窓口が必要だとしています。その理由として、里親には弱音をケースワーカーにいったら委託を打ち切られて里子を取り上げられるかもしれないという不安が常にあって、本音を児童福祉司に打ち明けづらい状況があるということなんですね。その気持ちはよく理解できるんですけれども、児童相談所以外の相談体制の整備ということについてのご見解を伺いたいと思います。
○雜賀少子社会対策部長 養育家庭に委託しております児童の年齢はゼロ歳から十八歳までと幅広く、また委託の期間も短期から長期までと、児童ごとにさまざまになってございます。これに伴いまして、養育家庭への求める支援の内容も多岐にわたってございまして、こうした養育家庭へのニーズにこたえるため、児童福祉司や養育家庭専門員の訪問指導のほかに、養育家庭が集まり、気軽に悩みを相談し合える里親サロンの開催、またベテランの養育家庭の方に個別に電話での相談ができる仕組みなど、重層な支援を展開してございます。
さらに、一時的に養育ができなくなったときに、ほかの養育家庭に子どもを預けることができるレスパイトケアの制度も整備してございます。
これに加えまして、昨年二月から、養育家庭への支援の一層の充実を図るということを目的としまして、里親支援機関事業を児童相談センター管内でモデル実施してまいりました。具体的には、新たに民間の里親委託等推進員というものを配置いたしまして、子育て経験のない養育家庭に対しましては、養育体験の機会を提供し、また委託中の養育家庭に対しましては、希望に応じて里親による訪問支援のコーディネートなどを行ってございます。
○柳ヶ瀬委員 ありがとうございます。モデル事業をこれから、二十一年から行っていて、里親支援の拡充を目指していこうという姿勢はよくわかります。里親支援機関事業、これを二十一年から始めたということですけれども、この中で里親訪問支援の実施ということで民間委託をしまして、推進員、支援員となっていただいて、その方に児相がなかなか手の届かないところに行っていただくという事業で、児童福祉司はなかなかふえないという現状の中で、ぜひこれ進めていただきたいなという事業であるんですけれども、ただ、私は委託先の二葉乳児院ですか、こちらにちょっと確認をしましたら、今現状、この支援をされている、派遣されている方というのは約一名しかいないということなんですよね、一名ということで。これすばらしい、私はぜひ推進していただきたいというふうに思いますので、現状のこの一名、モデルだからということだと思いますけれども、一名からさらに拡充をして今後も進めていただきたいというふうに思うんですが、このモデル事業について現状どのように評価されているのかということと、あと今後の方向性について見解を伺いたいと思います。
○雜賀少子社会対策部長 里親支援機関のモデル事業についてでございますけれども、これまでのところ、養育体験のない養育家庭の養育力の向上につきまして、不安軽減が図られ、実際の委託に結びついてございます。また、里親による訪問支援につきましては、先輩里親の経験に基づく具体的でわかりやすいアドバイスを受けることができるなど、おおむね好評でございます。モデル事業を引き続き実施する中で、効果についてさらに検討してまいりたいというふうに考えております。
○柳ヶ瀬委員 ぜひこのモデル事業を進めていただきたいというふうに思うんですけれども、やっぱり根本的、根源的な問題としては、児相のマンパワー不足があるんだろうということは常々いわれているわけでございますし、私もそういうふうに考えております。
それで、先般、福祉保健局の方にお願いをしまして、児童相談所の個別の児童福祉司がどれほどの担当件数を抱えているのかということを調査をしていただきました。ありがとうございます。これもずっと私も百件以上のケースを抱えているんだというようなことをよく申し上げてきたんですけれども、これを見てみると、これ品川児相の場合ですね、ある方は約九十四件、上からいいますと、トータルで百三件、百三十三件、百八件、五十八件、六十七件、この五十八と六十七というのは一年目の方ということですね。それでもう一つは、九十九件、百二十五件、百十八件、百四件、百六十三件、二百四件、九十四件、九十二件ということで、百件程度から二百件を超える案件を抱えていらっしゃる方もいるということがわかりまして、私は改めてこれ見て、先ほどと同様に驚いた次第でありますけれども、心配なのは、このマンパワーで本当に現在の業務がこなせているのかどうかということであります。
そこでお聞きしたいんですけれども、東京都としては、この児童相談所の業務配分について、児童福祉司一人当たりどれくらいの業務量が適切だというふうに考えているのか。なかなか難しいかもしれないんですけれども、ぜひお聞かせいただきたいというふうに思います。
○雜賀少子社会対策部長 児童福祉司の業務量でございますが、この業務量を担当ケースの件数ということだけで一律に評価するのは困難でございます。児童相談所は十八歳未満の児童のあらゆる相談を受けておりまして、相談内容によりまして一回の電話相談で終了するものから何年も継続する複雑なものまで多様でございます。このため、実際の業務に当たりましては、単に担当するケースの件数ということではなく、係長やチームリーダーであるチーフがそれぞれの児童福祉司が担当しているケースの内容や状況に応じて、ケース配分の調整を行い、職員が互いにサポートし合いながら、組織的に対応しているところでございます。
○柳ヶ瀬委員 なかなか難しいことなのかなというふうに思いますけれども、私は児童福祉司が現状足りてないというふうに思っているんですけれども、足りてないということをある程度証明していかなくちゃいけないと思うんですね。そのためには、どれくらいの業務量が適切で、それを超えているんだということを明らかにしなくちゃいけないというふうに思うんです。ただ、数字的には担当件数的なものしかなくて、なかなかそれを実証することが難しいんですけれども、ぜひ児相の方、私もさまざまな児相にこれまで取材に行ってまいりましたけれども、大変厳しい状況にあるということをよくわかっておりますので、児相の児童福祉司の皆さんがどれくらい大変な状況にあるのかというのは、これ福祉保健局からもしっかりと発信をしていっていただきたいなと。しっかり根拠を持ってということ、これを申し上げておきたいというふうに思います。
報道では、例えば児相の人手不足は慢性的で、職員は次々と発生する児童虐待事案の対応に追われ、この里親に関しては、一たん子どもを預けたら養護施設や里親に頼りっ放しになっているんではないかというような疑念を持っているわけであります。私も全く同じ疑念を持っているわけです。ただ、じゃあ、サボってこういう事態になっているのかといえばそうではなくて、圧倒的に人が足りてないんだという状況があるんだろうというふうに思いますので、この点についてはしっかりと検証していただければというふうに思います。
里親制度についてはその程度にしておきまして、救急医療についてお伺いをしていきたいというふうに思います。
先般、二月の委員会の中で医療圏ごとの搬送時間について資料をお示しをいたしました。これ東京消防庁からいただいた資料であります。覚知をしてから医師に引き継ぎするまでの平均活動時間ということで、中川原部長もこれごらんになっていると思いますけれども、先般指摘させていただいたのは、平成二十年に比べて平成二十一年が非常に搬送時間がおくれているという事実でございます、各医療圏域ごとにとった平均時間なんですけれども。先般指摘させていただいたのは、平成二十年から二十一年にかけて、約三分から五分程度、平均時間でおくれが出ているということなんですね。それで私は仮説として、じゃあ何が違うのかといったら、これは東京ルールが始まったタイミングとちょうど合致していたわけですね。ですから、これは仮説としては、東京ルールが始まったことによって、この救急搬送時間が三分から五分平均しておくれたんではないかという仮説をこの前提示をさせていただいたわけであります。それに対して福祉保健局は、しっかりと検証したいという答弁をいただいたと私は認識しておりますけれども、その検証結果、いかがだったのかお聞きしたいと思います。
○中川原医療政策部長 搬送時間でございますけども、まず平成二十年度と二十一年度の搬送時間につきましては、平均いたしますと平成二十一年度の方が二分十八秒長くなったということでございます。そこは、先ほど委員の方で幅でお話しされましたけども、平均的には先ほど申し上げた秒数、二分十八秒ということでございます。
東京ルールにも関しまして、検証をしたのかということでございますけれども、救急医療の東京ルールにつきましては、昨年の八月三十一日に七圏域で開始しまして、その後順次実施地区を拡大し、本年七月一日をもちまして都内すべての圏域で運用を開始いたしました。東京ルールの検証ということで、ルールを開始したことによりまして救急患者の圏域内での受け入れ割合は高まっておりまして、救急患者を地域で受けとめるという所期の目標につきましては、各医療機関において確実に浸透しているというふうに考えております。
また、東京ルールは救急患者の搬送時間の短縮につきましても、目標の一つに掲げておりますけれども、先ほど申し上げましたように搬送時間につきましては短縮傾向にないことから、東京ルール事案を含めたすべての救急搬送事案について実態調査をすることといたしました。今後、調査結果を踏まえまして東京ルール検討委員会におきまして、さらに評価、検証を行っていきたいというふうに考えております。
○柳ヶ瀬委員 今のご答弁だと平成二十年から二十一年にかけて、平均すると二分十八秒おくれているということですね。そのように計算をされたということだと思いますけれども。ただ、その後、東京消防庁から最新のデータをいただきまして、四カ月ごとのデータなんですけど、さきの二十年も二十一年も。二十一年から比べて二十二年の一月から四月のデータがさらに二分おくれているんですね。さらに二分おくれているんです。つまり、二十年から比べると、さきの二分十八秒と二分を足すと約四分以上、救急搬送時間がおくれているということになるわけですけれども、この点について、先ほど東京ルールの件は、上野副委員長の方からいろんな圏域内の受け入れ率が上がったとか、そういった効果もあったようだということで、それは評価されることなんだろうというふうに思いますけれども、救急搬送時間全般がこのようにおくれてきているということについて現状の認識、どの点に問題があるというふうに仮定されているのか。仮定でいいです。先ほど東京ルールの調査をするということですけれども、私はその調査をするときには、まず仮説をつくって、それが正しいかどうかを調査するというのが調査のセオリーなんですね。今どのような仮説を持っているのか、その点だけでもお聞かせいただければというふうに思うんですけれども、いかがでしょうか。
○中川原医療政策部長 まず救急搬送時間が延びているということでございますけれども、今委員ご指摘のお話しのとおり、一月から四月までのデータかと思いますが、今後どのようになっていくかはまだわかりませんので、二十二年度につきましてはまだこれからのことになろうかというふうに思いますけれども、まず搬送時間につきましての仮説ということでございますけれども、先ほどもご答弁申し上げましたが、私どもといたしますと大都市東京特有の実態が影響しているのではないかというふうに推測しております。このため、実態調査では東京ルール事案となった患者の社会的背景に加えまして、これまでの統計では明らかになっていない救急隊の活動環境、例えば先ほど申し上げましたけれども、高層マンションだとか、オートロックがやはりはやっていますし、地下街などがございます。こうしたことで、救急患者の搬送時間にどの程度影響を与えるのかについても調査しているところでございます。これらの調査結果に基づいて、東京ルール検討委員会において評価、検証していきたいというふうに考えてございます。
○柳ヶ瀬委員 今仮説としては東京特有の問題であるということで、オートロックの問題であるとかということをおっしゃっていたんですけど。ただ、延びているのは去年からことしでありますので、去年からことしにかけて急激にオートロックがふえたとか、そういう事象があれば、そういった結果もあり得るのかなというふうに思いますけれども、私なかなかそれ考えにくいかなというふうに思うんです。かといって、先ほどの東京ルールがこれにどれだけ影響しているのかと考えてみると、当初六%程度あると想定された事案が二%程度であったと、東京ルール事案がですね。ということを考えると、この東京ルールのインパクトというのも少ないだろうと、そういうこともいえると思うんです。ぜひ、この検証についても、私はこれについての今仮説を持っているわけでは残念ながらありません。前回は東京ルールだろうということでお話をしたんですけど、どうやらそうでもないようだと。技監からは新型インフルエンザに関係するんじゃないかというようなお話もいただいたんですけれども、その点についてどうなのかなということで、しっかりと検証をしていただきたいというふうに思います。この点についても引き続き、私もこれ関心を持ってしっかりと追っかけていきたいというふうに思います。
東京ルールも、先ほどおっしゃったとおり、目的の一つとしては回数を--まあたらい回しといわれていることが問題になりました。ですから、回数、各病院に行く回数を減らそうということで、それは何とか実現できているようだと。しかし、その一方で搬送時間を減らすということも目的であったはずであります。その目的に関しては、残念ながらこの結果を見る限り達成されていないという状況があるわけですから、しっかりと検証していただきたいというふうに要望を申し上げまして、私の質問を終わりたいと思います。
○栗林委員 それでは、本日最後の質問になりました。よろしくお願いいたします。
私の方からは、二十一年度事業概要の中から医療提供体制の確保に関する医療人材の確保と質の向上、また子どもと家庭、女性福祉、母子保健、小児医療施策に関することの中からひとり親家庭及び女性に対する福祉事業、そして二十一年度に実施した主な事業の中から保健施策の推進で自殺総合対策の推進、この点から伺わせていただきます。
まず初めに、ひとり親家庭支援の中の父子家庭支援について伺います。
最近は、父親の育児参加も進みつつありまして、イクメンという言葉、ご存じかと思いますが、育児をするパパというか男性のことをイクメンという、そういう言葉も生まれました。子育ては母親、父親が一緒にするという時代でございます。子育ての状況は各家庭によってさまざまでありますけれども、そうした背景を考えると、その延長線にあるひとり親家庭も父子家庭が今後ふえていくのではないかと考えます。
十八年度の厚労省調査で全国の母子家庭が約百二十万世帯、そして父子家庭が約二十万世帯と推計されているデータがございました。ひとり親家庭では、一人の親が家計を支えながら子育て、また家事をこなさなければならないため、さまざまな点で困難が生じているのが現状です。先ほどと同じ厚労省の調査で母子家庭の八八%、また父子家庭の三七・二%が年間就労収入、これが三百万未満の低所得世帯というデータも出ております。母子家庭と父子家庭では、社会的には就業状況や、また収入状況など異なる面があり、国の母子寡婦法では資格取得の経済的支援は父子家庭は現在対象外とされているなど、支援策が異なる状況にあります。その点、東京都は父子家庭を含むひとり親家庭施策、自立支援計画策定をしたりとか、また児童育成手当などを国に先駆けて実施をしてまいりました。平成二十一年度末時点で育成手当の父子家庭の児童への支給は約九千八百人と聞いております。経済的に支援をしてきたといえますけれども、今後さまざまな子育て状況にある父子家庭に対して、さらにきめ細かな支援が必要と考えます。
都は、この父子家庭に対してどのような対応をしていくのか、見解を伺います。
○雜賀少子社会対策部長 都内の父子家庭でございますけれども、父子家庭の世帯数がひとり親家庭全体の約一割と少なく、仲間づくりが難しいなどの特性がございます。そのような特性を踏まえて効果的な支援を行うことが重要であると認識しております。
このため、都は、本年四月に策定しました第二期の東京都ひとり親家庭自立支援計画におきまして、重点的な取り組みといたしまして、父子家庭への相談対応の促進を図ることとしてございます。具体的な取り組みといたしまして、この六月より都内のひとり親家庭の就業や生活の相談窓口、母子家庭等就業自立支援センターというふうに申しますけども、これをひとり親家庭支援センターという通称に改めまして、父子家庭にもなじみやすいようにいたしました。また、このセンターのホームページで父子家庭向けのイベントや仲間づくりに関する情報を発信してまいります。さらに、母子自立支援員など福祉の相談員に対しまして、父子家庭特有の悩みにこたえられるような研修を行うなど、父子家庭に身近な福祉の相談体制の充実を図ってまいります。今後とも、都は引き続き父子家庭への支援体制を強化してまいります。
○栗林委員 よろしくお願いいたします。先日もデータが出ておりましたけれども、三十歳代の所得が男性より女性が上回るという、そういう状況も生まれてきているようでございます。やはり子どもがひとり立ちするまでには教育費もかかりますし、そういう補助も大事なんですが、やはり自立をして、しっかりとした収入を得て自立できる生活がどう築けるか、そういう支援も非常に大事かと思いますので、今後の取り組みを期待させていただきます。
次に、重大な医師不足という状況を解決するために都が取り組んでおります医師の人材確保について伺います。
都は、小児、周産期、そして救急、僻地医療、ここに関する、従事する医師を確保するために医師奨学金制度を創設いたしまして、平成二十一年度から奨学金の貸与を行っているところでございます。都が指定した大学の医学部、たしか平成二十一年度は順天堂大学、そして二十二年度は順天堂大学に加えて杏林大学が指定されたと聞いておりますけれども、その定員枠を拡大して、入学時から六年間奨学金を貸与する特別貸与と、また都内十三の大学の医学部、これは五年生、六年生を対象とした一般貸与、この二種類の奨学金制度があるかと思います。
そこで伺いますけれども、この奨学金の申込者数、貸与者数、貸与額、昨年度の、二十一年度の実績と、そして二十二年度はまだ途中ではありますけれども、あわせて今年度の状況もお伺いいたします。
○中川原医療政策部長 委員お話しの特別貸与奨学金につきましては、平成二十一年度は募集定員五名に対しまして、申込者数は五十名でございまして、貸与額は計二千四百万円でございます。平成二十二年度は募集定員十五名に対しまして、申込者数は二百五名でございまして、貸与額は平成二十一年度の五名分も含めて、計二十名で一億二千四百八十万円でございます。一般貸与奨学金につきましては、平成二十一年度は十四名に貸与し、貸与額は計五千四十万円でございます。平成二十二年度は、十五名の新規貸与者を加え、計二十九名に貸与し、貸与額は計一億四百四十万円でございます。
○栗林委員 確実にこれは拡充をしていただきたいと思いますけれども、募集者数や貸与者も少しずつはふえてはいますけれども、やはり将来、都内で医師として働いて、東京都の地域医療に貢献したいという、そういう思いのある学生さんにとって、この奨学金制度は非常に有効な制度と考えます。東京都としても着実にこの事業が実施され、また志のある優秀な学生が将来、都の地域医療をしっかり支えてくれる医師となって成長していくように各大学とも一緒に力を合わせて人材を育てていただきたいと思います。
また、こうした制度によって育て上げた医師が将来にわたって挫折することなく、将来にわたって活躍できるように、医師が働き続けられるような、働きやすい環境整備についても非常に重要です。聞くところによりますと、奨学金制度を利用する女性の学生さんもふえていると聞いておりますので、そういったところでずっと働き続けられる医師の環境整備、それもあわせて取り組むことも今後大事になってくると思いますので、よろしくお願いいたします。
それでは、最後に自殺対策についてお伺いをいたします。
二十一年度に実施した事業であり、大変力を入れて取り組んでいただきました自殺総合対策の推進に関して、二点ほど伺わせていただきます。
東京都の自殺者数は平成十年以降、それまでの年間約二千人から二千八百人余りに急増いたしまして、何と交通事故死亡者数の十倍以上という大変深刻な状況でございます。このような状況を踏まえて、都は自殺総合対策として多様な分野の相談機関が参加をしまして、こころといのちの相談・支援東京ネットワークを構築するなど、さまざまな事業に取り組んでいます。ことしの五月、ここにも一緒に行かれた、前委員会で秋田県の対策を視察をしてまいりました。委員会の視察でございましたけれども、秋田県の取り組みを視察してまいりました。秋田県では秋田大学の本橋豊医学部長が中心となって自殺予防研究プロジェクトをつくり、取り組んでおりました。何と秋田県は十二年間自殺ワースト、連続ワーストワンということから、二〇〇〇年から県全体で、きちんとこの自殺問題に取り組もうということで立ち上げられたプロジェクトでした。二〇〇〇年ですから、当時は自殺対策基本法もなく、自殺総合対策大綱もなく、何もない中、手探りで県の健康福祉部、ここが中心となって、お医者さん、学者さん、市町村の方、またNPOの方々とさまざまな立場の方が集まり、協議するところから始めたとのことでした。
一番大事にしてきたのは、この対策をみんなでやっていくんだ、こういうコンセンサスから出発したということでした。顔の見える連携、これが最初のポイントといわれていました。地域で気軽に相談ができるようにふれあい相談員というボランティアを育成し、人と人とのつながりを広めていくことで、悩みが相談窓口につながっていくような地域づくりをしているということでした。心に悩みを抱えて、抱えた人を突き放すのではなくて、優しく受け入れる社会をつくっていこうと啓発活動や相談体制の充実を図っているというお話でございました。
秋田県では、民生、児童委員等、ふれあい相談員などが地域のキーパーソンとなり、自殺のおそれのある方への相談を受けるなどの取り組みを進めていましたけれども、東京都でも自殺のおそれのある人や、また悩みのある人の相談を受けとめて的確に必要な支援につなぐことができるよう、先ほど述べた東京ネットワークの参加機関の相談員をキーパーソンとして育成すべきと考えますが、その辺はどのように対応されているか伺います。
○住友保健政策部長 委員お話しのとおり、身近な人や相談者の自殺のサインに気づき、適切な相談機関等につなぐ人材を養成することは、自殺防止のために大変重要であると考えております。都ではこうした役割を担う人材といたしまして、ゲートキーパーの養成を行っております。平成十九年度から養成研修を開始いたしまして、こころといのちの相談・支援東京ネットワークに参加する健康や労働問題の専門相談機関の相談員などを対象に研修を実施しております。あわせまして、区市町村の相談窓口の担当職員や民生、児童委員、介護支援専門員など、身近な地域で直接都民に対応する機関の担当者を対象にした養成研修も実施しております。
○栗林委員 より積極的な取り組みをお願いしたいと思いますが、先日参加したあるシンポジウムで、一番大事なのは、とにかく電話相談が自殺予防の対策として重要な役割を持つというお話がございました。これまで東京都も自殺に関する電話相談は民間団体が実施する相談だけでしたけれども、ことしの四月に、都としても自殺やさまざまな悩みを持つ方の相談を受けることを目的に東京都自殺相談ダイヤルを開設いたしました。それに先駆けて平成二十一年度中に、相談員の養成をしたと聞いていますけれども、どのような研修を実施して、何人養成したのか伺います。
○住友保健政策部長 自殺の背景には、健康問題、経済や労働の問題、家族問題などが多様かつ複合的に関係しております。電話相談の相談員養成研修におきましては、相談者のこうした悩みに的確に対応できるよう、幅広いテーマについて研修を実施いたしました。養成の研修期間は延べ四日間で、研修内容といたしましては講習やロールプレーのほか、実際に自殺に関する相談を受けている機関での実地研修等を行いました。研修受講生は臨床心理士や精神保健福祉士などの専門資格を有する方が多く、平成二十一年度は三十六人の電話相談員を養成いたしました。今年度も引き続き相談員の養成に努めております。
○栗林委員 よろしくお願いいたします。やはり一本の電話で救える命があるんだという、ここにすべてがあると思います。常にこの声を受けとめる、心を受けとめる、そういった思いでその相談員さんがどう電話に立ち向かっていくかという、そのスキルアップを常に図っていただきたいと思います。
実は先ほどお話ししたそのシンポジウムというのは、ちょうど東京都が、九月が自殺予防月間ですが、それに先立って八月に特別区の職員の方を対象とした自殺予防のため、今できることというシンポジウム、職員さん対象のシンポジウムでしたけれども、内容が大変興味深かったので、ぜひ学ばせていただきたいということで入れていただきまして、伺ってきました。九段ホールでしたので八百人の特別区の職員の方がもう満員でした。自殺予防担当大臣も開会前にあいさつをされて、基本講演が夜回り先生の水谷修先生と秋田のこの予防の、秋田大学の医学部長の本橋先生の基調講演でパネルディスカッションという一時半から五時近くまで、一人も席立つ人もいない、寝てる人もいないというすばらしい内容でございました。私もその基調講演を聞いて、二十三区の職員さん、特別区の職員さんたちが、もうすすり泣きが聞こえるぐらいに、もう本当に何とかしなきゃいけないんだという思いがあふれたシンポジウムであったんですけれども、施策と意識が高まってきているんだなというのを実感いたしました。施策だけではない、意識、両方が高まってきている、そういう思いがあふれたシンポジウムでございました。ぜひ秋田県のように三割から四割減ったといわれるような結果が何年後か必ず東京のこの取り組みから出てくるよう期待をいたしまして、最後の質問を終わらせていただきます。よろしくお願いいたします。
○菅委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
本件に対する質疑はいずれもこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○菅委員長 異議なしと認め、本件に対する質疑は終了いたしました。
以上で福祉保健局関係を終わります。
これをもちまして本日の分科会を閉会いたします。
午後五時二十一分散会
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