平成二十一年度各会計決算特別委員会第三分科会速記録第三号

平成二十二年十月十八日(月曜日)
第九委員会室
   午後一時開議
 出席委員 十名
委員長谷村 孝彦君
副委員長田中  健君
副委員長石森たかゆき君
山崎 一輝君
山内れい子君
関口 太一君
たきぐち学君
しのづか元君
橘  正剛君
高橋 信博君

 欠席委員 なし

 出席説明員
都市整備局東京都技監都市整備局長技監兼務河島  均君
次長中西  充君
技監升 貴三男君
理事松井多美雄君
理事都市づくり政策部長事務取扱安井 順一君
総務部長石野 利幸君
住宅政策推進部長鈴木 尚志君
都市基盤部長藤井 寛行君
市街地整備部長遠藤 正宏君
市街地建築部長中島 俊明君
都営住宅経営部長瀧本 裕之君
企画担当部長宮良  眞君
連絡調整担当部長田崎 輝夫君
景観・プロジェクト担当部長石川  進君
住宅政策担当部長香山  幹君
民間住宅施策推進担当部長山口 幹幸君
航空政策担当部長邊見 隆士君
外かく環状道路担当部長野崎 誠貴君
民間開発担当部長藤塚  仁君
多摩ニュータウン事業担当部長五十嵐 誠君
耐震化推進担当部長町田 修二君
耐震施策担当部長小野 幹雄君
経営改革担当部長岡沢  裕君
再編利活用推進担当部長室木 眞則君
建設推進担当部長荒川 達夫君
営繕担当部長永島 恵子君

本日の会議に付した事件
平成二十一年度東京都各会計歳入歳出決算の認定について
都市整備局関係
・平成二十一年度東京都一般会計決算(質疑)
・平成二十一年度東京都都営住宅等事業会計決算(質疑)
・平成二十一年度東京都都営住宅等保証金会計決算(質疑)
・平成二十一年度東京都都市開発資金会計決算(質疑)
・平成二十一年度東京都多摩ニュータウン事業会計決算(質疑)
・平成二十一年度東京都臨海都市基盤整備事業会計決算(質疑)

○谷村委員長 ただいまから平成二十一年度各会計決算特別委員会第三分科会を開会いたします。
 本日から四日間にわたり、本分科会所管局の決算に対する局別質疑を行います。
 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、都市整備局関係の決算に対する質疑を行います。
 これより都市整備局関係に入ります。
 決算の審査を行います。
 平成二十一年度東京都一般会計決算中、都市整備局所管分、平成二十一年度東京都都営住宅等事業会計決算、平成二十一年度東京都都営住宅等保証金会計決算、平成二十一年度東京都都市開発資金会計決算、平成二十一年度東京都多摩ニュータウン事業会計決算及び平成二十一年度東京都臨海都市基盤整備事業会計決算を一括して議題といたします。
 本件につきましては、いずれも既に説明を聴取しておりますので、直ちに質疑を行います。
 発言を願います。

○しのづか委員 それでは私から、平成二十一年度の予算質疑で、我が党の総括質疑の内容から答弁をいただいた内容について何点かお伺いをさせていただきます。
 まず、耐震化促進事業についてお聞きします。民間建築物の耐震化促進事業については、当初予算で三十八億一千百万円、前年度の十五億四千三百万円から約二・五倍と大きく前進をされました。しかし、補正予算が途中で組まれまして、三十六億五千三百万円削減をされました。そして、実際には補正後の二十一年度予算というのはたった一億五千八百万円というような状況であるかと思います。二十二年度の予算を見ても、予算総額としては十一億四千七百万円、十九年度よりも下回っているような状況であります。
 局として、耐震化に向けた思いと裏腹に、数字だけを見てしまうと、前年度の当初予算で見比べると、二十六億六千四百万円の減少という結果になっております。そこで、改めて、局としてのこの耐震化促進に対する見解をお伺いいたします。

○町田耐震化推進担当部長 耐震化促進事業につきましては、耐震改修促進計画の達成目標を踏まえた年次計画や各種施策の実施の状況、都民への周知の度合いそして区市町村の取り組み状況や意向を踏まえまして、当初予算の見積もりを行っております。
 平成二十一年度には、耐震改修促進事業の進捗を図るため、五月に総合相談窓口を開設するとともに、八月から緊急輸送道路沿道建築物へのローラー作戦を開始しております。新たな施策にも取り組みました結果、成果が出てきておりますが、二十一年度につきましては、開始後間もないため、顕著な実績を上げるには至っておりません。
 このような状況もございまして、平成二十二年度につきましては、二十一年度と比べて予算総額は減額となっておりますけれども、木造住宅の耐震診断助成やローラー作戦など、施策の重点化を図る観点から、件数の拡大あるいは増額を図っております。
 今後とも限られた予算を効果的かつ効率的に活用いたしまして、耐震化の促進に取り組んでまいります。

○しのづか委員 るるご説明をいただいたんですけれども、後で触れますが、限られた予算をじゃなくて、私は予算をきちっと獲得していただきたいという思いでこの質疑をさせていただきますので、よろしくお願いします。
 まず、そのご説明をいただいている内容で、ちょうど当初予算のときに我が党の大沢幹事長から総括質疑をさせていただいて、予算の執行率を上げるために局として具体的にどのような施策に取り組むのかということで質疑をさせていただきました。
 当時の只腰都市整備局長が、来年度ということで平成二十一年度、「来年度は、改修事例などの情報を紹介するポータルサイトの設置や耐震化にかかわる総合相談窓口を設置いたしまして、都民の利便性の一層の向上を図ってまいります、こうした民間建築物全般を対象とした新たな取り組みに加えまして、まず、ご質問の木造住宅につきましては、今年度実施されました戸別訪問、いわゆるローラー作戦が効果的でありましたことから、来年度以降も区市などの取り組みを支援してまいります。次に、マンションについては、管理組合における合意形成等を支援する耐震アドバイザー派遣事業を新設いたします。また、緊急輸送道路沿道建築物につきましては、診断にかかわる補助率を引き上げるとともに、改修に向けましては、自己負担分にかかわる低利融資制度を創設いたします、都みずからも関連関係団体と連携し、優先度の高い路線、区間を選定した上で重点的かつ積極的に施策を展開してまいります、これらの取り組みを通じまして、地震が怖くない東京の実現を目指し、耐震化を強力に推進してまいります。」という力強い答弁をいただいているんですが、そこの個別のご説明を個々にお伺いしていきたいんですが、まず、ポータルサイトについてです。この設置の考え方及び二十一年度から現在までのアクセス数そしてポータルサイトをどのように周知しているのか、それによってどんな反響が返ってきているのか、それぞれお伺いいたしたいと思います。

○町田耐震化推進担当部長 耐震化を促進するためには、まず診断や改修を考えている都民や診断者などの専門家に対しまして、適切に情報提供することが必要でございます。
 このため、ポータルサイトにアクセスをする人のニーズや専門知識の度合いに応じまして、項目を構成し、わかりやすくアクセスできるように工夫をし、情報提供を行っているところでございます。
 アクセス数は本年一月末の開設以降、三月末までで約四千件、四月以降九月末現在で約一万件となっております。
 ポータルサイトはパンフレットの配布ですとか説明会、戸別訪問など、さまざまな機会をとらえて周知を行っており、都民からは耐震診断の流れや助成制度の情報など、知りたい情報を簡単に得ることができたと好評をいただいているところでございます。
 また、電話による問い合わせの際に、耐震ポータルサイトをごらんいただきながら、応対をすることで、わかりやすいというような声もいただいているところでございます。

○しのづか委員 ご説明いただいたんですが、一万四千件ということで、思ったよりもアクセスはされているのかなと思うんですが、提案なんですけれども、東京都の公式ホームページのトップページに以前はそのリンクが張られていたと思うんですが、今は張られていません。やはり都として重点的に耐震化というものを目標年次を決めて、今取り組んでいる状況だと思いますから、そのトップページにもう一度リンクを張っていただいて、きちんと周知をしていただくような取り組みが必要だと思います。それについてのご見解をお伺いします。

○町田耐震化推進担当部長 耐震ポータルサイトの開設当初は都のホームページのトップページから直接リンクできるようにしておりましたけれども、トップページへの掲載は一定期間に限って行うことが原則となっているというようなことから、現在は都市整備局のホームページに耐震ポータルサイトの見出しをわかりやすく掲載いたしまして、容易にアクセスできるように対応しております。
 なお、ヤフーやグーグルといった検索サイトにおきましても、耐震ポータルサイトという項目で検索した場合、当該のトップページに容易にアクセスできるようになっております。

○しのづか委員 そのポータルサイトの中身について、ちょっと一点指摘をさせていただきます。私も見させていただいたんですけれども、そのポータルサイトの耐震QアンドAというわかりやすい、都民が、こういう問いに対して都はどうしてくれるのというQアンドAが載っているんですが、そのQアンドAの十番という問いの中に、東京都が耐震診断や改修をしてくれる、またそのための助成金を出してくれると聞いたのですがという問いに対して、お住まいの区市町村が行っている耐震診断、改修事業の一部を負担することで広域行政としての耐震化事業に努めていると東京都の見解が載っていました。
 でも、これは私、この一年間、都市整備委員会で議論をしてきたんですが、東京都としてのスタンスとちょっとずれているのかなと。東京都は、東京都全体の建築物に対しての耐震改修や診断に対する助成というのは今は行っていないはずです。きちっと重点地域を決めて、あとは緊急輸送道路ですとか、いわゆる公と民との役割分担をしながら、適切な負担というか、事業を行っていくという説明を私は伺っていたのですが、この説明だと、本当にアクセスする都民が見てしまうと、区市町村に、すべて東京都がきちんと適切な補助をしているんだというふうな誤解を招きかねません。
 私はこの考え方、どのような考え方に基づいてこの表現をしたのか。それと、こういった間違ったような誤解を生みかねないような表現というものは改めるべきと考えますが、見解をお伺いします。

○町田耐震化推進担当部長 お尋ねの耐震QアンドAにつきましては、東京都が耐震診断や改修をしてくれる、またそのための助成金を出してくれると聞いたのですがという想定質問に対しまして、都が直接助成を行うのではないということをお断りした上で、お住まいの区市町村が行っている耐震診断、改修費用助成事業費の一部を都が助成するということを説明する意図でございます。その結果、現在の回答を掲載しているものでございますが、よりわかりやすい表現となるよう今後とも努めてまいります。

○しのづか委員 誤解を招いちゃうんです。区市町村の助成事業ですから、だから、区市町村によってばらばらなんですよ。そこを私は、委員会でも東京都がきちんと助成制度をつくれば、それに基づいて区市町村が都民全般にそういう耐震改修に向けた取り組みができるでしょということを、ずっと私も私たちの会派も、申し上げてきたつもりなので、逆にこの表現に合わせて施策を誘導してくれれば、一番私はいいんですが、表現を変えるというご答弁でしたので、そこはきちんと正しい表現に戻してください。
 それと、総合相談窓口についてお伺いします。五月から開設をされているようですが、財団法人の東京都防災建築まちづくりセンターというところに委託をされております。委託内容と金額、そして二十一年度の相談件数、相談内容など、窓口の実施状況についてまずお伺いいたします。

○町田耐震化推進担当部長 総合相談窓口に関する委託内容につきましては、建物の耐震化に係る相談事務、建築事務所に関する情報の提供、区市町村の耐震化助成制度及び窓口の紹介などでございます。
 委託の金額は二千三百二十六万八千円でございます。平成二十一年度の相談件数は、二千四百七十六件でございまして、月平均二百二十五件でございました。
 総合相談窓口では相談員が二名常駐し、耐震診断や耐震改修工事の手順や広報、耐震診断士や設計者、工事施工者の紹介、助成制度、税の優遇措置、融資制度に係る内容に対応しております。
 また、相談窓口に建物の図面を持参したお客様に対しましては、パソコンによりまして、三次元のシミュレーションをお示ししながら、耐震補強についてわかりやすく説明するなど、きめ細かい対応を行っております。さらに週一回、高度な知識がある専門相談員を配置いたしまして、複雑で大規模な建物に関する技術的な相談等にも対応しているところでございます。

○しのづか委員 これもちょっと意見をいわせていただきたいんですが、二人常駐で二千三百二十六万八千円ということで、これが高いのか安いのかという議論になると思うんですが、やはりここを設置してきちんとそういう業務を行っていることが、耐震化という最終的な結論、そこに結びついていかなければいけないと思うんです。まだ開設した当初でありますから、その数字にはあらわれにくいかと思うんですが、これはぜひ計画が二十七年までですから、二十七年までに東京都全体の木造及び建築物の九〇%を耐震化に結びつけるというふうに、高い目標を都市整備局は掲げられているわけですから、これにきちんとこのお金が見合っていくような執行をお願いしたいと思います。
 それで、相談窓口の周知方法をまずお伺いするとともに、実際の改修につなげていくためには、東京都が耐震診断アドバイザーそして診断設計の業者さん、そして、実際の助成事業を行っている区市町村と連携を図っていくことが不可欠だと思います。どのような取り組みを行っているのでしょうか。

○町田耐震化推進担当部長 相談窓口につきましては、都や区市町村のほか、関係団体の窓口等でのパンフレットの配布、それから耐震ポータルサイトや都市整備局のホームページでの掲載、戸別訪問や説明会における紹介など、さまざまな機会をとらえまして、周知を図っております。こうした相談を実際の改修につなげていくため、都は助成を行う区市町村、それから耐震診断や耐震診断士、それから建築士の団体、構造設計者の団体などと情報交換を行うなど、緊密な連携を図っております。

○しのづか委員 ぜひこれはそのまま、きちっとした連携をしていただきたいと思います。そして、それと同じくご答弁の中で木造住宅への取り組みとして、二十年度から実施していると思うんですが、戸別訪問、ローラー作戦のことが述べられております。二年間実施してきた成果というものがあると思いますが、どのような成果が生まれているのか、どのような方法で、都合何回実施して、その費用対効果についてはどのような検証がなされているんでしょうか。
 また、都は、区市の実施しているローラー作戦を初めとした区市への普及啓発活動の支援というものも行っていると思います。その取り組みに対して、都民や区市からはどのような意見が届いているんでしょうか。局としては次の取り組みにどのように生かそうとしているのかお伺いいたします。

○町田耐震化推進担当部長 都は区市町村が行うローラー作戦などの普及啓発への取り組みを支援してまいりました。平成二十年、二十一年度の二年間で、十五区市が都の支援事業を活用し、そのうち六区市で地元のNPO法人や建築士事務所協会等への委託により、約五万八千戸の戸別訪問を実施いたしました。さまざまな施策を総合的に展開していることから、ローラー作戦単独での費用対効果を数字であらわすことは困難ですけれども、ローラー作戦を実施した区市では、耐震診断の実績が増加するなどの効果があらわれております。所有者に対しまして、耐震化の必要性を直接訴えかけることができること、所有者からの相談やその対応、それから外観調査などがその場で実施できることから、耐震化に向け大きな契機になると認識をしております。
 また、本年度は、都の支援事業が無料の耐震診断士の派遣も含めた幅広い取り組みにも活用できることを区市町村との連絡協議会の場で周知することなどによりまして、区市町村に対し積極的な取り組みを促しております。都民からは行政が委託する技術者で安心できた、または直接説明を受けることで耐震化の必要性を認識できた、また、区市からはこの支援事業を継続してほしいという声を聞いているところでございます。
 都といたしましては、こうした声があることから、今後も区市町村が行うローラー作戦などの普及啓発事業を積極的に支援してまいります。

○しのづか委員 まず、ローラー作戦について意見を申し上げたいんですが、非常に効果的な取り組みだと思います。都は緊急輸送道路なんかは直接都の職員が赴いてやっているし、区市ではそういった職員さんが行うようなローラー作戦を支援している、それはわかるんですけれども、自治体の職員さんが都合二年かけて、どういう反響で、なぜ耐震化に結びつかないのかということも、もう十分にわかってきている。だとしたら、僕は都市整備委員会でもこれは提案をさせていただいたんですけれども、私の地元の多摩市の取り組みとして、多摩市は無料の耐震診断というのを事業化しているんですけれども、耐震診断士というのを地元の自治体で認定をして、そしてアクセスがあったところに対してその耐震診断士は、地元の業者さん、工務店ですとか建築士さんですとか、そういう人たちが登録をされているんですが、その人たちがアクセスをして、プロの目できちんと診断をして、判断をして、そして実際の耐震化に結びついているんです。これは申し上げましたけれども、前年度比三十倍にはね上がったんですよ。こういうような取り組みの方が、私は同じお金を使うんだったら効果的なんじゃないかなと。最初の答弁でもありましたよね、効果的な取り組みを行っていくというふうにおっしゃっているんだから、汗を流してきちんと都民の声を聞くというのも本当に大事なことだと思いますが、そろそろ効果的な取り組みに、あと残り五年ですよね、二十七年までにきちんと目標を達成するためには、新たなメニューというものも用意していただきたい。これは要望させていただきます。
 それと、多摩市がやっているような無料のものに対して、セットでやる普及啓発活動と、その耐震診断、セットに対しては今、都の助成というものがいただけることになりました。これをぜひ周知していただきたいんですよ。あくまでもその助成事業を組み立てるというか、事業化するのは区市町村ですから区市町村の制度がもっとより充実するように、こういった取り組みには、都はもっと支援を充実できるんだと、これを徹底していただきたいと思います。
 それと、緊急輸送道路についてお伺いいたします。緊急輸送道路沿道建築物、診断にかかわる補助率を引き上げるとともに、重点的かつ積極的に施策を展開、そういうふうに答弁の中でいわれております。二十一年度までの実績を踏まえて、現在までどのような検討がなされて、どう成果に結びついているのかお伺いいたします

○町田耐震化推進担当部長 緊急輸送道路は、震災時の広域的な救援活動や復旧、復興のための動脈でございまして、沿道建築物の倒壊による道路閉塞を防ぐことは多くの都民の生命、財産を守るとともに、首都機能を維持するために極めて重要でございます。
 都は、沿道の建物所有者の耐震化に向けた具体的な行動を促すため、耐震診断費用の五分の四を補助する助成事業や低利融資制度など、他の地域に比べ手厚い支援を実施してまいりました。
 さらに、一千棟を超える緊急輸送道路沿道の対象建物に対しまして、地元自治体とともに戸別訪問等を行い、所有者に直接耐震化の早期実施を働きかけてまいりました。
 しかしながら、現在の法律では既存建物の耐震化は、努力義務にとどまっておりまして、その実施は所有者の意思にゆだねられているということから、なかなか具体的な行動に結びついていないのが実情でございます。
 緊急輸送道路沿道建築物の耐震化を進めるためには、従来の普及啓発や支援策に加えまして、これまでより一歩踏み込んだ規制誘導策を構築し、各施策が一体となった取り組みを展開する必要がございます。
 そこで、建物の耐震化に関する取り組み状況の報告や耐震診断の実施を義務づけることなど、実効性のある施策の検討を進めているところでございます。

○しのづか委員 これについては、この秋に新たな取り組みの指針みたいなものが出されるようにお伺いしております。これは都が本当に最重点で取り組んでいる課題ですから、ぜひ成果に結びつけていただきたいというのと、これは申し上げにくいんですが、地元区市町村の意見を聞くと、東京都はこの助成制度を充実させたいから、地元区市も例えば負担をお願いしますというような話が東京都から来ているらしいんですが、地元区市はね、はっきりいって特に市町村ですよ、多摩市のような多摩地域は、東京都が助成や診断に対してお金を出してくれてないんですよ。だから地元はきちんと、市民の生命、財産を守るために、耐震化というものを重点的に、改修事業に対しての制度を独自でつくっているんです。
 それに加えて、緊急輸送道路だ何だという、都がそろえたメニューに対して負担を出せというのは、ちょっとこれは違うんじゃないかなと私は思います。
 だとしたら、区市がやっている、助成している事業に対しても東京都は応分の負担を出すべきです。国が三分の一負担を出しているんですよ。そしてその地元区市によっては、きちっと三分の一なり、例えば耐震無料診断みたいに地元区市がすべてを負って、まずは耐震簡易診断だけでもやってもらうということをその啓発に向けた取り組みを行っているんだから、きちんとこれは東京都としての責任のもとで、責任じゃないな、これは役割分担です。役割分担で東京都が重点的にやるなら東京都が独自できちんとやってください。これは意見として申し上げます。
 それと都営住宅についても、これは当初の予算の中でうちの幹事長からお聞きしているんですが、都営住宅は平成二十三年までに計画的にまず診断をやって、それで平成二十七年までにやはり九〇%を耐震化に結びつける、改修に結びつけるというふうに計画されていると思うんですけれども、その都営住宅、そして都営住宅とともに東京都住宅供給公社が持っています公社住宅があると思いますが、この二つの公営住宅についての耐震診断そして改修、今までどのような取り組みがなされているのかお伺いいたします。

○永島営繕担当部長 都営住宅の耐震化につきましては、都は都営住宅耐震化整備プログラムを平成二十年三月に作成してございます。このプログラムでは、都営住宅全体のうち、新耐震設計基準で設計された建物と建てかえ対象の建物を除いて、約十三万六千戸の耐震診断を平成二十四年度までに行うとともに、耐震基準に満たないと判定された住宅につきまして、改修工事等を順次実施し、平成二十七年度までに都営住宅の耐震化率を九〇%以上とすることとしてございます。平成二十一年度までの実績としましては、約十万九千戸の耐震診断を行い、約四千戸の耐震改修工事を実施してございます。引き続き都営住宅の耐震化に向けて計画的に取り組んでまいります。

○鈴木住宅政策推進部長 私からは、公社住宅の耐震診断、それから改修の実績及び今後の見通しについてお答えを申し上げます。
 住宅供給公社におきましては、平成二十年三月に策定いたしました公社賃貸住宅耐震化整備プログラムに基づきまして、平成二十一年度までに耐震診断が必要な公社賃貸住宅約四万四千戸の診断すべてを終了しております。耐震基準に満たないと判定されたものにつきましては、改修工事等を順次実施いたしまして、平成二十七年度までに公社住宅の耐震化率を九〇%以上とするということとしております。
 公社は平成二十一年度までに約四千戸の耐震改修工事を実施しておりまして、今後とも公社住宅の耐震化に向けて計画的に取り組んでいくこととしております。

○しのづか委員 これはすごく優秀な数字が返ってきました。だとしたら、局長、九〇%じゃなくて一〇〇%を目指してください。きちっと計画にのっとって、今、取り組みがなされていると。民間も九〇、そして公営住宅も九〇というふうに決めるんじゃなくて、民間は逆に今は七十数%なんです。それがなかなか進まないといわれていて、それに対する取り組みをやっていかなければいけない。公営住宅については、きちっと計画でやられているのであれば、一〇%を残さないで一〇〇%を目指してください。
 それと、都営住宅については耐震化とともに、少子高齢化への対応としてエレベーターの設置というものが住民ニーズとしてあると思います。平成二十一年度予算質疑の中でも、今後とも設置スペースの有無や費用対効果の検証、居住者の同意状況などを総合的に勘案しながら着実に実行していくとの答弁があります。廊下型、階段室型、それぞれの設置状況と住民ニーズの把握についてはどのような方法で臨んでいるのかお伺いいたします。

○永島営繕担当部長 平成二十一年度のエレベーター設置の計画は六十五基でございまして、実績としては廊下型二十二基、階段室型九基、計三十一基でございます。居住者ニーズの把握につきましては、居住者への広報紙である「すまいのひろば」などを活用いたしまして、既設中層住宅へのエレベーター設置事業の概要をお知らせするなど周知を行いながら、自治会の要望を受けて対応しております。

○しのづか委員 これも、六十五基ということは階段室型は、一棟で五基ぐらいありますから、五つぐらい階段があるので、なかなかこれは棟数でいうと進んでいないというのが数字でわかるんじゃないかなと。毎年毎年六十五基ぐらいの予算措置がされているんですが、やはりこれも私、委員会の中でもお伺いしたんですけれども、いろんなさまざまな条件の中で、いいところまで行くんだけれども設置ができないというような状況、ケースが多いらしいんです。日影規制とかいろんな法に触れちゃうような問題がやはりあるとは思うんですが、積極的にこれは取り組みを進めていただきたいと思うんです。
 それと、都営住宅全体の高齢化というのはやはり深刻な状況です。私の地元のニュータウンの初期団地であります諏訪、永山団地、都営住宅は諏訪と愛宕にあるんですが、そこの状況を見ても、私は市議会時代に多摩地域全体の高齢化率、少子化率というのを数字で全部調査をしたんですが、その諏訪の四丁目地区、愛宕の三丁目地区だけでももう既に四〇%近い高齢化が進んでおります。多摩市全体では二十数%なんです。二〇%強ぐらいの高齢化なのに、都営住宅の住民、都営住宅のゾーンだけはもう四〇%というような状況を迎えている。これはやはり局として今、型別供給ということで建てかえというものを計画的に進められているというのはわかるんですけれども、例えば多摩ニュータウンなんかは、昭和四十四年に建築をされているので、今、昭和三十年代に建築をされた都営住宅というのは、どんどん建てかえというものが進んでいるかと思います。
 ただ、都内全体の都営住宅となると、なかなか、その改修というのは限られた予算ですから、限られた予算の中でやっていかなければいけないということでは、なかなか進んでいかないというのが高齢化とその改修というのが比例していかないんですよね。毎年毎年広がっていっちゃうというのが現状じゃないかと思います。
 だから、私はここで提案をしたいんですが、特に階段室型のエレベーター設置について予算の枠を広げていただきたい。それと、今後の都営住宅の更新及びエレベーター設置について、その改修をメーンに行っていくものと建てかえを急がなければいけないものというのを、いわゆる仕分けをしてほしいんです。その改修をやれば、何とか長寿命化できるんだというところには、こういったエレベーター設置というのを優先的につけていってほしいんです。今は逆に住民ニーズに基づいて設置をしていると思うんですが、計画的に局としてそういう対応が望まれると思います。それで、建てかえをするべきところはやはり計画に基づいて、それは進めていただきたいと思うんですが、今後の更新及びエレベーター設置など、改修についての見解をお伺いいたします。

○永島営繕担当部長 これまでも建てかえ対象となる住棟につきましては、建てかえ事業によりエレベーターの設置を行っているところでございます。
 また一方、当面ストックとして活用すべき住棟につきましては、計画的な修繕や耐震改修のほか、エレベーターの設置を行うなど、都営住宅の適切な維持更新を進めてまいりました。引き続き、都営住宅の建てかえや計画的な修繕を適切に実施してまいります。
 また、既設都営住宅へのエレベーター設置につきましては、廊下型住棟、階段室型住棟ともに、団地自治会からの要望を踏まえまして、敷地の形状、建物の構造、建築基準法上の規制などを総合的に勘案して取り組んでいくこととしております。

○しのづか委員 答弁はそのとおりなんですが、エレベーターをつけたくてもつけられない、法的な日影規制などでつけられないようなところは、逆にいえば、まだ優先順位が低かったとしても、建てかえというところの方針を早目に出していただきたいんですよ。それとともに、逆にまだ建てかえをされるかもしれないというふうに思っているところであったとしても、きちっとこれは長寿命化でいくんだというところは、きちっと施設整備を、いわゆるニーズに合わせてとかそういうことじゃなくて、これも計画にのせるべきなんじゃないかということを申し上げたかったんです。
 それと、さっきちょっとすっ飛ばしちゃったんですね。民間マンションの耐震アドバイザーの派遣助成、これについてもお伺いしたいんですが、この二十一年度の実績及び今後の取り組みについてお伺いいたします。

○山口民間住宅施策推進担当部長 分譲マンションにおける区分所有者間の合意形成の困難性を踏まえまして、東京都は平成二十一年度、昨年度でございますが、管理組合に対して一級建築士などの専門家を派遣する耐震アドバイザー派遣制度を創設いたしまして、区市に対して費用の一部を補助しております。
 二十一年度は九区二市で開始いたしました。制度創設の初年度ということもございまして、予算規模二百件に対して、六区、二十二件の実績となっております。制度を活用している区からは、マンションの耐震化にかかわる合意形成を進める上で、管理組合に対して外部の専門家から適切な助言を行うことのできる、本制度は有効であるとの話も聞いております。このため東京都は、より多くの管理組合がアドバイザーの派遣を受けられるよう、引き続き区市に対して制度の活用を粘り強く働きかけてまいります。

○しのづか委員 これもまた、さっきからいっていることなんです。区市町村の制度に対する助成だから、九区二市しかまだこの派遣助成事業ってないんですよ。だから、東京都として、これは新たなメニューとしてきちんと、民間マンションの耐震改修が進んでいないことがやはり問題だという問題意識があるんであれば、これは最後にいいたいのですけれども、二十二億数千万円、二十年度から二十一年でお金が減っちゃいましたよね。そのお金があるんだったら、こういったところにきちんと都の制度として、お金を充てるようなことだってできるんじゃないですか。この辺を私はいいたいんです。ぜひこれは積極的に取り組みを進めていただきたいと思うんですが、この点について、もう一度お伺いいたします。

○山口民間住宅施策推進担当部長 私からは今答弁させていただきました耐震アドバイザーの関係での今後の取り組みについてのお話を申し上げます。
 委員ご承知のとおり、分譲マンションの耐震化は区分所有者の自主的な取り組みによることが基本でございます。震災時の被害が周囲に与える影響が大きいことや分譲マンション特有の合意形成が困難であることなどを踏まえまして、東京都は耐震診断改修助成に加えまして、アドバイザー派遣制度を創設して、区市と連携して管理組合のさらなる支援の強化に取り組んでまいったところでございます。
 東京都は行政連絡会の場など、さまざまな機会を通じまして、区市に制度活用を働きかけてきまして、現時点では、十五区三市が助成を実施し、さらに年度内には十九区三市に拡大する見込みでございます。助成を実施する区市は着実に増加していくものと考えてございます。
 今後とも、東京都はアドバイザー制度の普及拡大のほか、今年度に制度化した段階的改修あるいはマンションでも取り組み始めましたが、管理組合への直接的な働きかけ、こういったさまざまな取り組みを通じまして、区市と連携しながら、平成二十七年度末の目標達成に向けて、マンションの耐震化に強力に取り組んでまいります。

○しのづか委員 これも数字を聞いてわかるんですけれども、十五区とか十九区といっていますよね。区部はお金があるんですよね。市町村は三市ということは、結局、進まないんですよ。じゃあ、多摩地域の民間マンションはぶっ倒れちゃっていいんですか。やはりこれは、だから東京都として、改修事業じゃないから、アドバイザー派遣ということですから、ただ、これもアドバイザーがきちんと専門家の見識によってそういった取り組みが、実際の改修事業に結びつくからこそ、東京都はそこに助成をしているんだと思うんです。
 特に管理組合が持っているような区分所有者が多いようなところというのは、合意形成にすごく時間がかかるんですよ。だとしたらこれだって都が出してもいいんじゃないかなと。これは主観です。思うんですが、ぜひこれは検討していただきたいと思います。
 以上、二十一年度予算質疑の答弁に対する耐震化の執行状況というものを質疑いたしましたが、二十七年までという十カ年計画の計画期間の折り返しの来年度予算に向けて、これは冒頭申し上げたことなんですけれども、ぜひこの耐震化について、予算を二十一年度当初並みに戻していただきたい。そうすれば、例えば今私が申し上げたようなメニューというものが新たに制度創設できるはずなんですよ。それをやってでもまだ進まないというのが実態ではないでしょうか。これをきちんと都として、制度というものを構築していくことが考えられますが、都としての見解をお伺いいたしたいと思います。

○町田耐震化推進担当部長 民間建築物の耐震化につきましては、自助、共助、公助という原則に基づきまして、建物所有者みずからがその必要性を理解していただき、主体的に取り組むことが重要でございます。このため都は、改修工法や事例の紹介、相談窓口の設置など、普及啓発に積極的に取り組みまして、耐震化に向けた所有者の積極的な行動を促しております。
 また、特に老朽化した木造建築物が集積した区域が連担するなど、震災時に大きな被害が想定される整備地域の木造住宅や緊急輸送道路沿道建築物、こういった公共性が高いものや合意形成がなかなか難しい分譲マンションなどを対象に診断や改修に対する助成を行っております。
 特に今年度からは、都独自の視点から、段階的な改修や除却というものも助成対象とするなど、制度の充実を図っているところでございます。
 今後とも各種の施策を総合的かつ着実に実施いたしまして、民間建築物の耐震化を促進してまいります。

○しのづか委員 おっしゃることはわからないではないんですが、やはりぜひこれをやってもらいたいんです。例えば重点整備地域と決めている地域だけでもいいから、もっと補助率を上げるとか、そういったことが考えられると思うんです。それが、都がやってどうだったのかというのを検証できることだと思うんですよね。私は、私及び私たちの会派はあくまでも全棟、区市町村全域にこういった助成事業を都が役割分担に基づいてやるべきだという主張は変えておりませんが、ぜひもっと効果的な取り組みをやっていただきたいと思います。これは要望して終わります。
 そして次、新都市建設公社についてお伺いいたします。これは二十一年度当初予算の中で、我が会派の伊藤まさき議員が、この新都市建設公社と、いわゆる下請企業との契約関係について質疑をさせていただきました。私からはその契約云々ではなく、公社そのものの存在意義について、きょうはお伺いしたいと思います。
 この新都市建設公社というのは、昭和三十六年に公社が設立されております。この公社設立から現在に至る間の市町村の受託事業、これはピークがどれぐらいだったんでしょうか。そして、事業費ベースで見て、いつごろそのピークを迎えたのか、それが現在どのように変化しているのか、東京都と現在の事業の受託の実績から、状況変化を東京都はどのように受けとめているのかお伺いしたいと思います。特に公社に対する社会的な期待、そして役割について、業務の質、量、双方の観点から見解をお伺いします。

○遠藤市街地整備部長 財団法人東京都新都市建設公社についてのお尋ねでございます。公社は今お話ございましたように、昭和三十六年に首都圏整備構想に基づきまして、新都市の総合的建設、地域開発を促進し、首都の秩序ある発展を図ることを目的といたしまして、東京都と関係の六市の出捐により設立された団体でございます。
 これまで土地区画整理事業や下水道事業などの実施を通じまして、都市基盤整備の行政代行型の公益法人として、主として多摩地域の秩序ある発展に寄与してまいりました。このうち土地区画整理事業につきましては、設立当初から受託施行しておりまして、平成二十一年度末までに三十九地区、二千八百二十ヘクタールについて完了しております。この面積は、日野市や日の出町の行政面積に匹敵するものでございます。
 また、なお現在も十六地区、六百二ヘクタールで受託しておりまして、基盤整備に貢献しているところでございます。
 また、下水道事業につきましては、昭和五十年度から本格的な受託施行をしておりまして、二十九の市町村、二つの組合から下水道事業を受託しております。施工した延長は平成二十一年度末までに約二千四百五十一キロメートルとなってございます。
 お尋ねがございました市町村からの受託事業のピークについてでございますけれども、事業費ベースで見てまいりますと、土地区画整理事業につきましては、平成五年度の百五十二億円でございます。また、下水道事業につきましては平成三年度の百八十九億円でございます。現在の受託実績につきましては、これは二十一年度の数字でございますけれども、土地区画整理事業で八十一億円、下水道事業で百十三億円となってございます。
 これまで公社は多摩地域の都市基盤の発展に多大な貢献をしてきたところでございますけれども、今後は設備の維持更新のウエートが高まるというふうに予想されております。こうしたことから、一定の業務量が見込まれ、また、近年、公社を取り巻く環境は大きく変化してございますけれども、こうした時代の状況変化をとらえながら、関係自治体からの期待にこたえまして、引き続き事業展開を図るべきものと、このように考えてございます。

○しのづか委員 最後の部分ですよね。時代の状況変化というのは、もともとの公社の設立の目的を考えてください。この公社の設立は、市町村の土地区画整理事業、そして下水道整備事業をきちんと普及させるために、それを目的としてつくられたのが公社だったと思います。もう下水道なんていうのは市町村でも約九六%がもう普及してきている。
 今、この百十三億円というお話がありましたけれども、これは更新でまた公社が手を出しちゃっているんですね。そうじゃなくて、僕は後でいいたいんですけれども、もっときちんとこれからの、今、国の地方分権、地域主権という流れをきちんととらえて都は対応していただきたいというか、公社そのものの存在意義というものがこれから問われてくるんじゃないかと私は思っているんです。
 だから、あと何点かお聞きします。公社の経営努力についてお伺いします。この事業を受託するに当たって、公社ではどのような経営努力をしているんでしょうか。従来型の、いわゆる都の職員のOBの方が市町村にお伺いをして、訪問セールスをしているのか、それとも新たな工夫や取り組みとして、ご披露ができるものがあれば、お示しをいただきたいと思うんですが、よろしくお願いします。

○遠藤市街地整備部長 新都市建設公社は、これまでも数多くの土地区画整理事業や下水道事業を市町村から受託して、実施してきたところでございます。
 公社は事業の実施に当たりまして、事業に従事する専門的な技術力を備えた職員を確保していることや、民間資金の導入によりまして、事業を円滑に進めることができる、こういったメリットを生かしまして、効率的、効果的な経営に努めてきたところでございます。
 また、近年、公社におきましては、市町村との連携によりまして、広域的な下水道の維持管理の取り組みを進めたり、地域の住民が行うまちづくり活動への支援を実施するなど、基盤整備に関する新たな事業の展開に努めてきたところでございます。

○しのづか委員 今、ご答弁にあったように、公社は技術職員の育成が困難な、そういった市町村を支援する役割もあるものというのは重々承知しております。
 今後の市町村の自治体運営においては、この各市町村が技術職員を確保して、技術面でも自立する必要があるのではないか。私はそのように思うんです。各自治体の選択の幅を持たせる意味で、今の公社の存在意義があるというような考え方もあるんですが、そのために、なかなか技術職員の育成というものが進んでいないというのも実態でもあります。だから、そのために要する経費についても、都は厳格に精査する必要があるとも思います。受託量が減っている現状をかんがみて、公社という形を継続する必要について、見解をお伺いいたします。

○遠藤市街地整備部長 先月、公表されました監理団体活用方針、この中でも示されておりますように、公益性、公共性を確保しながら、効率的に、より高度なサービスを提供できる、こういったところに監理団体の存在意義がある、また、市町村への行政支援、補完機能も重要な業務の一つであるというふうに考えております。公社はこれまでも、自治体職員の技術力の向上のために、補完機能の一環として人材交流やまちづくり研修会などを実施してきたところでございます。
 他方、公社が実施しております土地区画整理事業や下水道事業は、専門性の高い技術を必要とする事業でありまして、なおかつ時間の経過とともに、場所を移しながら実施されるという点に事業の大きな特質がございます。このため、それぞれの市町村におきまして、専門性を有する職員を確保することよりも、公社のような専門的な力を備えた団体が地元の自治体から業務を受託しまして、地元自治体と連携しながら、確実に業務を進めることの方が合理的である、このように考えてございます。
 このように公社が担っている役割は今日なお非常に大きく、今後も公社がこれまで培ってきた知識やノウハウを生かして、区市町村と連携して、東京のまちづくりの発展に寄与していくことを期待するものでございます。

○しのづか委員 存在自体が目的になっちゃうんですよ。あるからそういうふうな考え方になっちゃうんであって、もうその役割というのは終えているんです。だとしたら、公社が公社として生き残るためにはきちんとした自立できるような事業展開というものをきちんと、これは東京都が促していかなければいけないと思います。東京都は、やはり、東京都の役割としては、地元市町村への支援というものを、これからシフトしていっていただきたいと思うのですが、この下水道工事などの受託事務というのは、民間の建設会社が、市町村から公社、そして公社から民間の建設会社が請け負うことになりますが、工事監理の面でも施工性の面でも、民間の力は今、充実してきております。それぞれを別契約にすることによって、牽制効果も維持できる水準にもあると思います。現に公社が工事監理業務を発注している事案もあるとお伺いしておりますが、公社が中間に介在する意義がもう薄れているのではないか、これは先ほどから申し上げているとおりです。民業との関連を含めて、必ずしも公社が介在することを前提にするのではなく、真に経済的な事業スキームを市町村に提案していくことの方が、本当の意味での市町村の支援になると考えますが、いかがでしょうか。

○遠藤市街地整備部長 現在、多摩地域の二十九の市町村におきまして、下水道事業を公社に委託してございます。その中には、計画や建設部門から維持、台帳管理といった部門に至るまで、ほぼ全面的に公社に委託している市もあれば、計画部門のみ、あるいは台帳管理部門のみを委託している市もございます。
 このように、それぞれの市町村、それぞれの置かれた状況、あるいは業務の必要性に応じまして、公社に事業を委託しているわけでございます。公社はこれに対しまして的確に対応して、下水道事業の推進に当たってきたところでございます。
 都といたしましては、今後も公社の活用を図りながら、公社やそれぞれの市町村が得意とする分野の技術力を伸ばしていくことが重要だというふうに考えております。このことを基本といたしまして、市町村への支援を行ってまいりたいと考えております。
 なお、下水道工事につきましては非常に専門性の高い業務でございまして、公社によりますと、効率的で安全かつ確実に事業、業務を実施するために、計画や設計から工事監理までを一貫して実施してきているというふうに聞いてございます。

○しのづか委員 もうこれ以上は見解の相違だからやりませんけれども、ぜひ地域主権というこれからの世の中、この状況をきちんと都も察知をして取り組みを進めてもらいたいと思います。
 それと、同じような観点からもう一問するんですが、特定行政庁についてです。建築基準法第四条では、すべての都道府県及び人口二十五万人以上の市には、建築主事の設置が義務づけられております。東京都の区市町村では現在二十三区と九市が特定行政庁として建築行政を行っておりますが、多摩地域では多くの自治体において、多摩建築指導事務所という、都の責任のもとで行われているのが現状であります。
 しかし、日本全体で見ると、人口十万人以上の都市の多くで、今、市長が特定行政庁となっているのが実態であります。東京では建築行政の事務移管に向けた取り組みが全国に比べておくれている、そういうふうな状況でもあります。多摩建築指導事務所の二十一年度における事務移管に向けた取り組みの状況と、都としては今までこの建築行政事務の移管に際し、どのような支援を行ってきたのかお伺いいたします。

○中島市街地建築部長 東京都では、これまで人口十五万以上の市を中心に、建築行政の事務移管に向けた協議を進めてまいりました。その結果は平成七年度以降、人口十万以上の武蔵野市及び国分寺市を含め、七市への事務移管が実現いたしました。
 事務移管の取り組みは、多摩建築指導事務所を中心に行っているところでございまして、平成二十一年度は、人口十五万以上の西東京市、小平市、東村山市を訪問し、まちづくりの観点から事務移管を要請するとともに、事務移管の内容、財源等について勉強会を実施してまいりました。
 事務移管の支援につきましては、建築基準行政事務市移管要綱に基づき、市職員の研修、三年間の都職員の派遣といった人的支援のほか、建築行政に必要な所要額の一定割合を移管後五年間にわたり交付する財政的支援を行っております。

○しのづか委員 ご説明いただいたとおりなんですが、十万以上とおっしゃっていましたが、例外として、武蔵野市そして最近では国分寺市というのがあるんですが、実際は十五万以上が一つの基準になっているかと思います。
 でも、やはり十万以上の都市で、例えば市町村でどのような現状かというと、やはりどの自治体も苦しい台所事情だというのが実態ではないかと思うんですよ。今後は都市更新という時代背景の中で、多摩地域の市町村が計画的な都市整備を進めるとともに、適切な建築行為を担保して、建築紛争の予防や調停など、こういった取り組みを行うには、特定行政庁として、建築確認そして指導のような業務を初め、建築行政全般を担う必要があると考えますが、都の見解をお伺いいたします。

○中島市街地建築部長 建築行政につきましては、本来的に基礎的自治体の事務でございまして、市町村が地域の実情に即して行うまちづくり行政と一体的に行うことが望ましいと考えております。一体的に行うことによりまして、建築行為を的確に誘導し、良好なまち並み景観や道路整備など、地域特性に応じたまちづくりが可能となるとともに、違反建築物や建築紛争などについても迅速かつきめ細かい対応ができることになると考えております。

○しのづか委員 多摩・島しょ地域は二十五という都市計画に分かれています。区部は東京都市計画という一つの都市計画なんですが、今後は多くの市町村が建築確認や指導、そして、もう一つのポイントは狭隘道路の是正など、建築行政におけるきめ細かい対応が求められると思います。中には二市または三市が一つの都市計画区域というふうになっておりますが、同一の都市計画区域を形成する市町村が、例えば一部事務組合を組織して、共同して特定行政庁となるということが私は有効だと考えております。そこで、この一部事務組合による建築主事の設置というものが可能であるのかどうかお伺いいたします。

○中島市街地建築部長 建築基準法第四条の規定に基づきまして、人口二十五万未満の市町村は都道府県知事と協議し、同意を得た上で、建築主事を置くことができるとされております。お話の一部事務組合による建築主事の設置につきましては、国土交通省は、地方自治法第二百八十四条及び第二百九十二条の規定に基づき、市町村が一部事務組合を設け、建築主事を置いて建築確認などの事務を行うことができるとの見解を示しております。

○しのづか委員 これも私が市議時代に提案したんです。多摩市は実際に稲城市とともに動いたんですが、東京都がだめといったんですよ。それができるようになったんだとしたら、ぜひこの取り組みを市町村に周知していただきたいと思うんです。積極的にこの設置の働きかけというのを行っていっていただきたいと思うんですが、見解をお伺いします。

○中島市街地建築部長 先ほどご答弁申し上げました一部事務組合による建築主事の設置に関する国土交通省の見解、これを市町村との勉強会などの場でお示しして周知を図ってまいりたいというふうに考えております。

○しのづか委員 最後に、これを都技監にお伺いしたいんですが、今、るるお話をしました国による地方分権、そして地域主権の推進、都市更新への変換という流れの中で、今後はより一層、地方自治体としての責務が問われると思います。そして知事も施政方針の中で大都市である東京の都市計画と地方の都市計画とは違ってしかるべきといっているとおり、私も全くそれに対しては同意見であります。
 でも、一方では都市更新、都市再生ということを考えると、都市計画行政と建築行政への連携ですとか、広域自治体としての東京都と基礎自治体の適切な役割分担というものも必要になります。
 また、いわゆる官と民の役割分担では、小泉構造改革以降の小さな政府というようなかけ声があったと思いますが、建築確認事務のように規制緩和がどんどん進んでしまって民間へのアウトソーシングというのが今進んでいる現状でもあります。改めてここで私は公の責任と役割というものを考え直す必要があるのではないかと思っております。
 しかし、多くの基礎自治体においては、先ほどから申し上げていますように、財政的な問題、そして、どんどんどんどん小さな政府といわれて行政改革を進めてきた結果、特に技術職の職員というものが育っていない現状が顕著ではないかと思うんです。だからこそ技術職のトップである都技監に聞きたいんです。
 東京都のこれからのまちづくり、首都東京の都市整備全般を担う局として、その技術職の市町村への支援、技術継承みたいなものについての見解、これをぜひ都技監からお伺いして、私の質問を終わりたいと思います。

○河島東京都技監 市町村における技術力の向上をいかに東京都として支援していくかという、そういうご質問であったかと思います。今、るる質疑がなされましたけれども、今後地域におけるまちづくりのニーズというのはますます高まるであろうと考えております。それを的確に受けとめ、行政として施策として具体化していくためには、これは自治体、この自治体というのは、広域的な自治を行う東京都のような自治体もそうだし、地域に密着した行政を行う区市町村のような基礎的自治体、その双方の自治体のまちづくりを推進するためのその技術力というものや、あるいは技術的なノウハウというものを向上させそして強化させていくということが極めて重要だろうというふうに認識しております。
 では東京都においてどういうふうにしてそういう技術力を強化するための取り組みを行っているかということでありますけれども、ご承知のように、団塊の世代が今、公務員ではちょうど退職の時期、もうどんどん退職をしていて、今はその真っ盛りといったような状況にあるかなというふうに思います。このために技術職職員も大量に今退職をしておりまして、そういった技術職職員が持っていたいろいろなノウハウというものが、なかなかその組織の中に継承されていかないという、そういう悩みを抱えている、いかに東京都として新たな人材を確保するか、そして、東京都における技術的なノウハウというものをしっかり後に続く世代に継承していくかといったあたりが今、東京都における技術力の維持向上における非常に重要な課題になっているというふうに認識しております。
 そのために私が座長を務めております東京都技術会議では主要な検討テーマに、いかに人材を、優秀な人材を、技術の人材を確保していくかということについて具体的方策をさまざまな形で練り、そして人事当局とも連携して展開をしていく、それと同時に一人一人の職員が持っている高度な技術的ノウハウというものをいかに若い世代に伝えていくかという、そういう技術ノウハウの継承をどうやってやっていくか。具体的には各局それぞれいろいろな取り組みがございますけれども、技術的なノウハウを持った職員から、若い職員にそういうノウハウをつないでいくためのいろいろなそういう場を設けて、なかなか教科書には書いていないようなノウハウを伝えていくようなそういう努力、こんなようなことを東京都としても現在一生懸命やっているところでございます。
 それでは、その基礎的自治体の区市町村においてはということになるわけですが、それぞれの自治体において、過去の歴史等々がございますので、一律に私が申し上げることは適切ではないと思うんですけれども、なかなか今までそういった取り組みを実際に行政施策として体系的に行ってくる機会がなかったような自治体においては、確かに委員ご指摘のように、市町村自体がそういったまちづくりを、技術的になっていくということについて、これは行く行くはそういうふうに当然なっていただかないといけないわけですけれども、現状でそれがきっちり果たしていける、そういう技術力を有しているかどうかという、そういう観点に立ってみるとまだまだやはり課題があり、東京都もそこにご支援を申し上げる、そういう必要性も相当程度あるのではないかなというふうに考えているわけであります。そういった観点から、今のご質問にもございましたけれども、東京都についてはどちらかというと地域の具体的なまちづくりはやはり基礎的自治体の方でしっかりと担っていただくような構図、ただ、東京が首都東京として、非常に広域的な観点からの施策について、なかなか東京というのは一つ一つの自治体で市街地がきっちり分かれているわけではなくて、連担して複数の自治体が一体的に広域的な課題に取り組まないと、うまく広域の行政というものができないということもございますので、東京都としてはその広域的自治体としての役割を地域のまちづくりを担う基礎的自治体の皆さんとしっかり連携して進めていきたい。そのときに、例えばことしの六月でしたか、地域主権戦略会議で、用途地域の決定権限の問題がいろいろ、東京都からも、現政権の方にお願いをいたしましたけれども、議論になりました。
 結果、二十三区においては東京都がその決定権限を留保することになりましたけれども、多摩においては、これは市町村に移管していくということになっておりまして、では、そういった用途地域の決定権限をいかに適切に運用していくかというあたりについては、今、市長会の皆さんからもお申し出がございますけれども、やはり東京都からいろいろそれを的確にうまく進めていくために応援をしてほしい、こういうようなお話もいただいております。私どももぜひその広域的な立場からの行政と地域の行政をうまくまちづくりの面で調和させていくという面では、そういったことは東京都にとっても必要だし、また、そういうことを一緒に連携して進めていくことによって、結果、我々が今まで持っている技術力というものが的確にその基礎的自治体の職員の皆さんに伝わっていくんじゃないかなと。私どもはまずはその実践、具体の現場において実践の場を通じて、一緒になってまちづくりを考えていくということを通じて、そのノウハウがしっかり基礎的自治体の職員の皆さんに伝わる、こういうことを目指していこうと思っています。その上でさらにさまざまな形で研修の機会を設けていったり、あるいは東京都の方で職員を勉強させたいという、そういう首長さんのいらっしゃる自治体からは、現在も多くの職員を派遣研修という形で受け入れております。そういったことを通じて、私どもとしては、ぜひ区市町村の皆さんの、基礎的自治体の皆さんのまちづくりを担っていけるその技術力を大いに高めていただいて、そのことによって、東京都としても首都東京の全体的なまちづくりをこれからしっかりと連携して進めていこうと、そういうことで考えておりますので、ぜひそういった面からも市町村の皆さんと一緒になってやっていきたいと思っておりますので、先生方もどうかよろしくお願いしたいというふうに思います。

○石森委員 それでは私からは、大きく三つの項目につきまして質問をさせていただきたいと思います。
 まず、過去に常任委員会等でも若干の質問をさせていただきましたが、多摩ニュータウン事業についてお尋ねをしたいと思います。
 高度経済成長期の深刻な住宅難を背景にして、無秩序な乱開発を防止するとともに、住環境の良好な宅地を大量供給することを目的として、この事業の計画決定がなされたのが昭和四十年ですから、間もなく半世紀がたとうとしております。自然豊かな山を大きく切り開いての宅地造成が急ピッチで進められましたけれども、当時は住宅建設が最優先でありましたから、交通インフラは後回しで、最も早く入居されたのはしのづか委員がお住まいの多摩市でございますけれども、当時は近くにも、近くの駅にもスーパーもなく、相当不便な生活を強いられたようであります。
 しかしながら、駅も開業し、道路、公園、上下水道などの都市基盤施設が整備され、現在では、教育、商業、業務、文化施設等も充実いたしまして、調和のとれた自立性の高い都市が形成されるに至っております。この間、東京都施行分については、平成十五年度に新住宅市街地開発事業、土地区画整理事業がそれぞれ終了し、現在の事業については、宅地販売が中心となっております。そこでお聞きいたしますけれども、二十一年度の事業会計決算書を見ますと、土地売り払い収入の収入済額が、当初予算と比較して四九・五%の収入率となっております。現下の経済情勢にも大きく影響されたと思われますけれども、約半分しか売却できなかった要因と予算達成に向けた努力はどのようにされたのかお尋ねをしたいと思います。

○五十嵐多摩ニュータウン事業担当部長 平成十八年度と十九年度の収入率を見ますと、それぞれ一三四%、一七三%となっておりまして、極めて好調であったのに対しまして、平成二十年度は、六七%と大きく落ち込んでおります。これは平成十九年八月のサブプライムローン、翌年九月のリーマンショック、これらによる不動産市況の低迷によるものと考えられるところでございますが、平成二十一年度につきましては、年度当初からこうした影響を受けたため、さらに収入率が低下したものというふうに推測してございます。
 平成二十一年度につきましては、引き合い自体が減少する、そういった中で、その成約に向けまして、地元市等との調整や事業者への営業活動を精力的に行いました結果、多摩センター駅北側の二つの宅地二・七ヘクタール、十七億二千万円の販売実績を確保することができたということでございます。
 なお、極めて厳しい経済状況ではございましたが、平成二十一年度中の積極的な営業活動の成果といたしまして、今年度の上半期の時点におきまして、昨年度を大きく上回る五・六ヘクタール、約三十億円の契約実績というふうになってございます。

○石森委員 今年度につきましては、好転しているというような、そんなお話でございましたけれども、これまで多摩ニュータウンにつきましては、多摩の核都市として重点的な整備が進められてまいりました。さらに平成二十一年度には、多摩の拠点整備基本計画が策定され、職住近接型の多機能複合都市を目指して、教育、文化、情報等の機能を初め業務機能等の立地誘導を図っていくとしております。これらの機能集積を進める上で重要となるのが、土地の販売となりますが、思うような売却ができない以上は、思い切った価格設定をするとか、あるいは現在八王子市、多摩市においては、企業誘致を目的とする固定資産税等相当額をキャッシュバック、奨励金を交付するというような制度もありますから、これらの周知徹底を業者に対して行うとか、あるいはこういった市町村の取り組みもぜひ今後、都としても検討していただきたいと思います。
 また、以前私が行った質疑では、宅地販売によってマンションが乱立し、地元住民とトラブル、紛争が起きていることから、それらの現状並びに対応についてお尋ねいたしました。
 ただ、一昨年八王子市では、業務用地を購入した業者と地域住民との間でトラブルがございました。これは事業者が建設用の仮設資材を取り扱う業者で、屋外トイレをその場で洗浄する計画だったことから、臭気等による環境悪化を懸念した住民が反発して、東京都に対しても買い戻し請求がなされた、そういった事例であります。その後、ニュータウン事業部の粘り強い交渉によって、事業主が資材だけ置くストックヤードとして利用する形で決着をして事なきを得ましたけれども、地元住民にとっては若干しこりの残る結果となりました。
 まだ周辺には、かなり多くの売却予定の土地が存在いたしますが、このようなトラブルが発生しないように、購入希望業者の選定に当たっては、厳密な審査体制が必要だと思いますけれども、都の見解をお示しいただきたいと思います。

○五十嵐多摩ニュータウン事業担当部長 東京都におきましては、事業用宅地の売却に当たりまして、まず年度当初に地元市や町内会などに対しまして、公募予定箇所の説明を行い、さらに公募後、買い受け希望者があった場合には、具体的な業種や事業の内容などにつきまして、再度、地元に説明いたしまして、その理解を得た上で、事業者を決定しておるところでございます。
 このような事前の説明に加えまして、販売後は進出事業者に対しまして、その業務内容などを近隣住民に十分説明を行うよう募集要綱で定めているところでございます。
 その上で、万一トラブルの発生した場合には、住民の理解に向けて、さらに丁寧な説明を行うよう事業者を指導しているところでございます。
 ご質問の事例におきましても、地元に対して同様の説明を行い、販売をしてきたというところではございますが、事業者の近隣住民に対する配慮が不十分であったことなどによりまして、こうした事態になったものと考えてございます。
 都といたしましては、この事例を教訓といたしまして、申し込み時における買い受け希望者からの聞き取りを詳細に行い、地元に対して的確な説明を行いますとともに、事業者に対しましては住民感情に配慮した対応を行うよう指導し、トラブル防止に万全を期しているというところでございます。

○石森委員 ぜひ今後こういったトラブルが発生しないように、今のお話のとおり事業者の指導への徹底をお願いしたいと思います。
 この多摩ニュータウン内には都市再生機構の未開発用地を含めると、いまだ広大な未利用地が存在いたしますが、都の多摩ニュータウン事業会計については、平成二十三年度に終了し、ある一定の目的を終了いたします。
 ただ、現状の宅地販売状況からすると、予定どおりに売却できるとは考えにくいんですけれども、残地についてはどのような対応をなさるのか、お聞かせをいただきたいと思います。

○五十嵐多摩ニュータウン事業担当部長 多摩ニュータウン事業会計につきましては、条例の規定によりまして、平成二十三年度末に閉鎖するというふうになってございますが、都といたしましては、会計閉鎖までの間、残された土地を売却すべく全力で取り組んでまいります。
 なお、会計閉鎖後の取り扱いにつきましては、改めて幅広く検討してまいります。

○石森委員 会計閉鎖後の取り扱い、今後の議論というようなお話でございましたけれども、いずれにいたしましても、過去、国あるいは東京都が中心になって進めてきた事業が今、地元住民や地元自治体にそのまちづくりがゆだねられる形になりましたけれども、半世紀近くが経過して、入居者の高齢化、建物の老朽化等、新たな問題も浮上していて、一部活力が低下している、そんな地域もございます。まちを再生するためにも企業誘致を進めて、ぜひ若い世代をどんどん引き入れる、そんな努力を今後もお願いをさせていただきたいと思います。
 次に、都営住宅についてお尋ねをいたしますけれども、都では老朽化した団地については、毎年計画的に建てかえを実施するとともに、スーパーリフォーム事業を進め、資源の有効活用を図っておりますけれども、厳しい経済状況も相まって、募集のたびに何十倍あるいは何百倍といった方が申し込みをされる現状にあります。
 我々のもとにもぜひ入居したいといった要望が数多く寄せられますけれども、その都度、入居資格とか、あるいは優遇制度について簡単に説明をいたしますけれども、これまで何十人もの市民から問い合わせがありましたが、自慢ではないんですけれども、まだ一人として入居する形には至っておりません。それだけ狭き門となっておりますけれども、四年ほど前にDV被害者並びに犯罪被害者に対して、住宅支援が必要との観点から、優先入居の要望をさせていただいて、その後、優遇資格が与えられましたが、当せん率が五倍あるいは七倍になったとはいえ、余りにも住宅戸数が少ない中では、そうは入居ができないと思われますけれども、優遇抽せんの状況をまずお聞かせいただきたいと思います。

○岡沢経営改革担当部長 優遇抽せん募集の状況でございますが、初めに抽せん募集全体の状況をご説明申し上げます。
 平成二十一年十一月の募集を例にとりますと、世帯向け募集の全体では、募集戸数千五百戸に対しまして、約五万一千八百人の申し込みがございました。そういたしまして、平均倍率は約三十五倍でございました。
 次に、優遇抽せんでございますが、都営住宅では一定の資格のある世帯に対しまして、当せん率を高くする優遇抽せんを実施しているところでございます。配偶者からの暴力被害者、いわゆるDV被害者でございますが、これと、それから犯罪被害者につきましては、お話のとおり、ご要望を踏まえまして、平成十九年五月募集から優遇抽せんの対象としております。こうした優遇抽せんの状況でございますが、平成二十一年十一月の募集では、配偶者からの暴力被害者、犯罪被害者、難病患者などに対しまして、当せん率を五倍とする、甲優、これは甲乙の甲ですけれども、甲優遇の申込者は約三千百人でございまして、平均倍率は二十二倍となっております。
 また、高齢者、ひとり親世帯などに対しまして、当せん率を七倍とする乙優遇の申込者は約一万六千七百人でございまして、平均倍率は約十六倍となっております。
 なお、平成二十一年五月の募集につきましても、ほぼ同様の倍率でございました。

○石森委員 ご答弁にあったように、優遇抽せんの対象者においても、かなりの倍率になりますから、思うような入居ができないといった現状でありますけれども、入居の方法にはこの抽せん方式のほかに、さらに住宅困窮度の高いポイント方式がありますけれども、このポイント方式における入居状況はどうなっているでしょうか。

○岡沢経営改革担当部長 ポイント方式とは、今お尋ねにありましたとおり都営住宅の空き家募集におきまして、抽せんによらず応募世帯の住宅困窮度を判定いたしまして、困窮度が高い世帯から入居を認めていくという制度でございます。この方式によります募集の状況を申し上げますと、平成二十一年八月の募集でございますが、これは募集戸数千二百九十戸に対しまして約一万六千九百人のお申し込みがございました。平均倍率は約十三倍でございました。
 また、平成二十二年二月の募集でございますが、これは募集戸数を同じく千二百九十戸に対しまして、約一万七千八百人の申し込みがございまして、平均倍率は約十四倍でございました。

○石森委員 最も救いの手を差し伸べなければならない、こういった都民に対しても、十何倍の倍率でありますから、これは今後、ぜひ改善すべき点だろうと思います。
 一方、家計に占める住居費、教育費の割合の高い子育て世帯への支援策として、都では我が党の要望にこたえ、若年ファミリー世帯向けの期限つき入居制度を創設いたしました。平成二十一年度においても、積極的な事業展開がなされているというようなお話でございますけれども、その状況をお聞かせいただきたいと思います。

○岡沢経営改革担当部長 都営住宅では、子育て世帯を支援する観点などから、お話のございました期限つきの若年ファミリー世帯向け等の募集を実施しているところでございます。募集戸数につきましては、おおむね十年間で一万五千戸程度を目途に拡大することといたしておりまして、平成二十一年度では、一千戸の募集を行いました。
 なお、二十二年度は募集戸数をさらに三百戸ふやして、千三百戸を募集する計画でございます。

○石森委員 目標に向けて着実に事業展開がなされている、そんなお話でございましたけれども、高齢化が急速に進行している都営住宅によっては、この若い世代が入居することによるメリットははかり知れないものがありますから、ぜひ引き続き地域並びに戸数の拡大を図っていただきたいと思います。
 また、ことしの夏は高齢者の所在不明問題が大きくクローズアップされましたけれども、都営住宅ではひとり暮らしの高齢者が多いことから、ここ数年、孤独死に歯どめがかからない状況にあります。都営住宅における孤独死のここ数年の推移をお聞かせいただきたいと思います。

○岡沢経営改革担当部長 いわゆる孤独死ということにつきまして、明確な定義というものはございませんけれども、居室内でだれにもみとられずに亡くなった単身者ということでとらえますと、都営住宅において、六十五歳以上の高齢者のそうした孤独死の関係ですと、過去三年間、毎年四百人前後で推移しているところでございます。
 なお、都営住宅におけるこの割合を見ますと、東京二十三区で東京都監察医務院におきまして、検案の対象となりました、ひとり暮らしの方の割合とほぼ同様となっております。

○石森委員 孤独死の明確な定義が確立されていないというようなお話でございましたけれども、残念ながら現代社会を象徴するように、多くの方が人知れず亡くなっているというような現状でございました。既にこの実態を踏まえまして、国においても孤独死防止対策としての補助事業を実施し、各自治体においてもボランティア等も活用しながら、さまざまな施策展開をしております。これら取り組みは、基本的には地元区市等が中心となって実施するものでありますけれども、都としての取り組みも当然重要であります。
 都では、我が党の要望にこたえ、今後、都営住宅の建てかえを拡大していくことを表明しておりますけれども、その中で、建てかえにより生み出された用地を有効に活用し、見守り拠点となる福祉施設などの整備を進めるべきだと思います。都としての具体的な取り組みについてお聞かせください。

○瀧本都営住宅経営部長 都営住宅につきましては、都民の住宅セーフティーネットとしての機能を保持するため、建てかえを適切に進めるとともに、敷地の有効活用により用地を生み出し、地域のまちづくりに活用する必要があると考えておりまして、これまでも地域のコミュニティ活動の拠点となる集会場を整備しているほか、地元区市と連携し、高齢者在宅サービスセンターや特別養護老人ホームなどの整備に取り組んでおります。
 今後、建てかえについては、管理戸数の抑制を図りながら、財政状況を勘案しつつ、事業規模を年間四千戸程度まで段階的に拡大することとしておりまして、敷地の有効活用をさらに促進することにより、福祉施設などの整備を積極的に支援してまいります。
 これに加え、都営住宅では窓口にみずから出向くことのできない高齢者世帯等に対する支援策として、巡回管理人を配置しておりまして、希望する世帯に対し、定期的に戸別訪問を行い、書類の取り次ぎやさまざまな相談に応じております。
 また、都の福祉保健行政においても、町内会、民生委員、ボランティアなどが連携したネットワークによる見守りなど、行政と住民の協働による地域の実情に応じた取り組みに対して、包括補助を通じて支援しております。
 今後、こうした福祉保健行政との一層の連携も図りながら、ひとり住まいの高齢者世帯を含め、多様な世帯にとって一層住みやすい都営住宅を整備し供給するとともに地域のまちづくりに寄与してまいります。

○石森委員 この見守りサービスなども相手がいることでありますから、なかなか踏み込んで確認ができないというような、そんな課題もあるようですけれども、各自治体が取り組みやすいように連携を図りながら、都のさらなる支援を要望しておきたいと思います。
 最後に、民間活用型の都民住宅についてお尋ねをいたします。
 都民住宅制度につきましては、バブル期の地価や建設費等が高騰化した状況下で、住宅に困窮する中堅所得者層のファミリー世帯に適切な家賃で良好な賃貸住宅を供給する制度として創設されたところでありますが、平成四年の生産緑地法改正に伴う税制改正によって、三多摩各地においても、平成八年を前後にして、これまで農地だった場所に多くの都民住宅が建設をされました。
 また、入居者については家賃に対して減額補助がありましたから、当時は応募者が殺到したようでありますけれども、その後の社会情勢の変化によって、民間の賃貸住宅の家賃も下がり、都民住宅においても最近は空き家が増加する傾向にあります。
 そこでお聞きいたしますけれども、最近の民間活用型の都民住宅の空き家状況についてお示しいただきたいと思います。

○鈴木住宅政策推進部長 民間活用型都民住宅の空き家率についてでございますが、最近の状況ということで、過去三年間をとってみますと、平成十九年度が四・二%、平成二十年度が五・四%、二十一年度は六・五%となっております。

○石森委員 年を追うごとに空き家率が増加傾向にあるというような、そんなご答弁でございますけれども、駅から離れているなど、立地条件が悪い都民住宅によっては空き家が多く、経営難に陥っているオーナーも存在いたします。
 一方、経営改善のために管理期間が終了する前に、都民住宅としての用途を終了させることで、民間の賃貸住宅として自由度の高い経営を目指し、空き家対策を図ろうとするオーナーもおりますが、この管理期間の終了を待たずに用途終了を行う場合、その条件と費用負担についてお聞かせいただきたいと思います。

○鈴木住宅政策推進部長 管理期間が二十年間の都民住宅の場合でございますが、お尋ねのその期間の終了を待たずに用途終了できるようにということで、国への制度改善要望を行いまして、その結果、規制が緩和されております。現在では、管理期間が十年以上経過していること、それから三カ月以上の空き家があることなどを条件として、用途終了を認めております。
 また、費用負担のお尋ねでございますが、今の条件を満たす場合には、過去に助成を受けた補助金等を返還することなく、用途を終了することができることとなっております。

○石森委員 現状を踏まえて、国も規制緩和、要件緩和があったようでありますけれども、都では単独事業として、建設費の借入金に対しての利子補給を実施してまいりました。当初は事業者負担金利が二%程度になるよう設定し、三十年間にわたって利子補給をすることとなりますが、平成二十一年度の負担金額と今後想定される額は幾らになるのかお示しをいただきたいと思います。
 また、平成二十一年度においては、改めて民間金融機関の借りかえを都としてオーナーに勧めておりますけれども、借りかえはどの程度進んでいるのか、あわせてお聞かせいただきたいと思います。

○鈴木住宅政策推進部長 都民住宅に関する平成二十一年度の利子補給の額でございますが、約二十六億円でございます。二十二年度以降に想定される額は約三百億円余となっております。
 また、お尋ねの利子補給予定額の前倒しによる低利ローンへの借りかえ促進につきましては、平成二十年度から二十二年度までの三年間の事業でございますが、この制度を利用して借りかえを行った件数は、平成二十一年度では百六件となっております。

○石森委員 この借りかえによって都の負担、それも軽減されることとなりますけれども、いずれにいたしましても、建設当初は厳しい条件をオーナーにつけさせ、官主導で建設が進められてきたわけでありますから、空き家対策等を含め、都としてできる限りの行動、支援をお願いして、質問を終わります。

○谷村委員長 この際、議事の都合により、おおむね十分間休憩いたします。
   午後二時四十二分休憩

   午後二時五十五分開議

○谷村委員長 休憩前に引き続き分科会を開きます。
 質疑を続行いたします。
 発言を願います。

○橘委員 私の方からは、都営住宅の整備そして八ッ場ダム事業について、この二つのテーマについてお聞きいたします。
 まず平成二十一年度事業における都営住宅の整備と、それからサービスの充実について、これを中心に質問いたします。
 都営住宅約二十六万戸のうち、約十二万四千戸、これが昭和四十年代以前に建てられた、整備された住宅でございまして、二十六万戸の約半分近くがこういった住宅になっているわけです。当然ながら、これらの住宅は老朽化が進んでおりますし、そしてまた建てかえの促進を図らなければならない、そういう状況になっております。そこで我が党はことしの第三回定例会の代表質問で、こういう現状を改めて指摘いたしまして、建てかえを進めていかないと、せっかく建てかえたにもかかわらず、これが長期化してしまいますと、建てかえたものが、すべて建てかえが終わる前に、また建てかえが必要になる、そういった事態も招きかねないということも指摘しました。
 そしてまた都営住宅というのは、区や市にとっては地域づくりの一つの核でもあるわけです。そういった観点から、区や市に対してもまちづくり構想を早目に立てやすいように、建てかえ事業の前倒し提示に取り組むべきだ、そういった提案もさせていただきました。
 こうした認識に立って、質問を幾つかさせていただきますけれども、まず前提として、平成二十一年度における都営住宅建てかえ事業の計画戸数と実績を確認しておきたいと思います。

○荒川建設推進担当部長 平成二十一年度の都営住宅建てかえ事業は、三千二百戸の計画戸数に対しまして、三千二百三戸の建設事業を実施しているところでございます。

○橘委員 二十一年度におきましては当初の計画どおりの建てかえが達成できたというふうに答弁がございましたけれども、将来、耐用年限が過ぎる住宅が発生することがないようにするためには、やはり建てかえの計画、これは長期的な計画も必要かと思っております。先ほど申し上げましたけれども、十二万四千戸を建てかえていく、そうすると、これを一挙に数年の間に建てかえることはまず不可能でございます。かといって、十年間にこれを分散したとしても、単年度において、単純に計算していきますと、一万二千戸以上となるわけです。
 これもやはり財政的には大変な負担になるのがもう目に見えております。そこで、今後その建てかえを順調に進めていくにはどうしたらいいのか、財政的に余裕が少しできたから今年度は二万戸とか、来年度は財政的に厳しいから三千戸とかというふうな、極端な数字ですけれども、そういったことになりますと、やはり混乱が生じますし、そしてまた結果的に計画どおりに整備ができないという事態も考えられます。
 したがいまして、この都営住宅の整備というのは、建てかえというのは都民の住の安定確保、こういう観点からも、本当にセーフティーネットの第一番だと私は考えておりまして、これはやはり長期的に、また計画的に推進していかなければ、都民の皆さんも安心できないんではないかと思います。こういう観点から、都の方針はどういうふうに考えているかお聞きしたいと思います。

○荒川建設推進担当部長 都民の住宅セーフティーネットの機能を維持するためには、着実な都営住宅の建てかえの推進が必要であると認識しているところでございます。このため、建てかえ事業につきましては、管理戸数の抑制を図りながら、財政状況を勘案しつつ、昭和四十年代建設の住宅に対象範囲を広げまして、規模を年間四千戸程度まで段階的に拡大してまいります。
 平成二十二年度、今年度の建てかえ戸数は二十一年度に対しまして二百戸増の三千四百戸を計画しており、今後とも建てかえ事業を着実に推進してまいります。

○橘委員 都営住宅の建てかえというのは財源との問題だと私は思います。以前、三千戸の建てかえで、その三千戸ベースで建てかえが進んでいて、それが三千二百戸、それから三千四百戸、それを今度、四千戸に段階的に拡大していくという今答弁がございましたけれども、今まで、三千から三千二百、三千二百から三千四百、これを予算的に見ますと、スーパーリフォームにかけていた予算を、これを建てかえに回すという形になっているかと思います。それでほぼ均衡化させるという、そういった手法をとってきたかと思いますけれども、これはやはり先ほど申し上げましたように、長期的な安定した財源確保、これがやっぱりネックになってくると思いますので、これは私たちもやっぱり工夫していかなければなりませんけれども、局の皆さん方とも安定した財源確保、そして長期的に建てかえが進む、そういった計画を心がけていただきたい、また、肝に銘じていただきたいと要望しておきます。
 次に、建てかえで建物は高層化し、また集約されるわけですけれども、それに伴って、創出用地、これが出てまいります。この活用について幾つか質問します。
 この建てかえ戸数の拡大に向けた取り組みを進める、これは当然なんですけれども、この建てかえによって出てきた、創出したこの用地、この活用というものも、地域のまちづくりに貢献していく大事な核となるものであります。
 そこで、平成二十一年度に発生した建てかえに伴う創出用地とその活用について、地元の区や市との調整、こういった現状がどうなっているのか、これをお聞きしたいと思います。

○室木再編利活用推進担当部長 創出用地についてでございますけれども、平成二十一年度は、老朽化した都営住宅の建てかえを進める中で、五団地におきまして約一・六ヘクタールの用地を創出いたしました。
 こうした用地の活用に当たりましては、地域ごとの課題への対応や、地域特性を生かしたまちづくりを促進する観点に立ちまして、地元区市と協議を行っております。
 最近では、世田谷区の池尻二丁目アパートの建てかえにおきます認知症高齢者グループホームの整備や足立区の綾瀬七丁目アパートの建てかえにおきます障害者のための生活介護施設の整備などの活用事例がございます。

○橘委員 具体的に世田谷区の認知症高齢者の例とか、それから足立区の生活介護施設の整備、こういったものに活用されているということが具体的に見えてきますと創出用地というのは、地域にとっても大事なものだなと目に見えてわかってくるのでありますけれども、実際、都営住宅の建てかえに伴いまして、地域では居住者は当然ですけれども、いろいろな説明会がございます。その際にいろんな話が出るわけでして、本来ならばその創出用地というのは、地域のまちづくりのために活用するのが当然なんでありますけれども、中にはその意見として、建てかえを促進するために、これを大手デベロッパーに売却して、そのお金で都営住宅の整備を進めていくんではないかとか、そういった懸念も時々出されることがございます。
 しかし、それは今までの状況から見て、あり得ないと私は思うんですけれども、こういったことが話として出ないように、あくまでもこれは地域の発展のために、また地域の地元の区市町村が活用しやすいように、そういった観点から利用されるんだということを明確にしておくべきだと私は思います。
 改めて伺いますけれども、この建てかえで創出された用地の活用について、都の基本的な方針また考え方を伺っておきます。

○室木再編利活用推進担当部長 創出用地の活用の考え方についてでございますが、都営住宅の建てかえに当たっては、老朽化した住宅を更新するだけでなく、敷地の有効利用により用地を生み出し、地域のまちづくりや都市再生に活用していくことが重要と考えております。
 こうした考え方に基づき、これまでも地元区市と連携し、地域に必要な公園や高齢者施設、子育て施設などの整備を促進してまいりました。都営住宅の建てかえに伴う創出用地は都民共有の貴重な財産であり、今後とも地域のまちづくりなどに積極的に活用してまいります。

○橘委員 今、答弁にありましたように、地域のまちづくりに積極的に活用していく、この例が都内であちこちに具体的に見えてきますと東京都としてはこういう使い方をしていく、地域の発展に役立てていく、そういったものが明確に示されていくと思いますので、さまざまな工夫をしながら、この創出用地ではこういう工夫をした、この創出用地では地域と連携してこういう工夫をした、そういった事例をたくさんつくっていただきたいと要望しておきたいと思います。
 次に都営住宅のバリアフリー化について質問いたします。
 都営住宅のバリアフリーといいますと、すぐにエレベーターの設置というふうにして私も発想しがちなんですけれども、実際は建てかえによってエレベーターを設置するとか、バリアをなくすとか、そういったことも大事なんですけれども、建てかえ以前の建物、これもかなり改善が必要なところが多く見受けられます。
 我が党はこれまで既存の住宅、特に古くなった住宅も対象ですけれども、ドアの取っ手、これをレバーハンドルにするとか、それから浴室、高齢者が多くなってます、なかなかまたいで入るということが困難だ、このまたぎの低い浴槽の設置を進める、そういったことを具体的な要望や声をお聞きしながら提案してきました。それは着々と進んでいるとは思いますけれども、その我が党が提案して以降、どのように実施されているのか状況をお聞きしたいと思います。

○永島営繕担当部長 既設都営住宅のバリアフリー化につきましては、これまで高齢者や身体に障害のある居住者からの要望を受けまして、玄関、トイレ及び浴室への手すりの取りつけ、インターホン設置などの住宅設備改善を実施してきております。
 お話の玄関ドアのレバーハンドル化につきましては、平成二十一年度から準備を始め、本年四月から新たに住宅設備改善事業のメニューとして開始しており、半年間で約三千三百戸の設置要望を受けており、順次設置を進めてございます。
 また、本年四月から空き家募集に合わせて浴室にふろがまが設置されていない住戸に対しまして、設置スペースが確保できる住戸には、またぎやすい高さの浴槽の設置を開始しており、九月末までで約四百六十件の設置を行っております。

○橘委員 整備状況はよくわかりました。それで、特にレバーハンドルですけれども、これは私たち、通常にあけている者にとっては余り気がつかなかったんですけれども、レバーハンドルというのはすごく高齢者にとっては簡単にあけ閉めできるという、すごく大事なものだという、実際に私も見てみてよくわかりました。高齢者の方はやはりこの回すという力よりも、単にさわってあくという、これが大事だということが実際に行ってみてわかりました。このように私たちでは気がつかないことがかなりバリアとして残っている、こういうのが都営住宅には結構ございます。
 例えば廊下、建てかえの関係で、まだエレベーターはつけることはできないけれども、古くからの建物でエレベーターはない、スロープもない、階段に手すりがついているかといったら、そうでもない、その人たちにお聞きしますと、これで不便でないですかというと、不便です。なぜそれは要望しないんですかといいますと、この団地が、アパートができた当時から住んでいますので、気がつきませんでしたという、本人たちも気がつかないような、そういったバリアというのがまだ結構残っております。そしてそれはけがをしたりして、それで初めて気づいて、何とかしなければというふうにして、皆さんが要望するというか、そういったケースも間々ございます。
 したがって、このバリアフリーというのは大きなものだけではなくて、プチバリアといいましょうか、そういった三段か四段の階段であっても手すりをつけるとか、また、スロープは自転車置き場、高齢者のために自転車置き場が今あいているケースが結構あります。そのところにスロープをつけるスペースをつくるとか、そういった細かな配慮というのがやはり大事ではないかと私は考えております。それを自治会の皆さんが一年も二年も協議して、やっと要望書を出すという、そういった状況ではなくて、もっともっと都の方が気を配って、そういった住宅については、細かなところまで気を配って、積極的にこのバリアフリー化、小さな部分だけれども、そういったバリアフリー化に積極的に取り組むべきだと私は考えますが、どう考えますでしょうか。

○永島営繕担当部長 既設都営住宅につきまして、各団地の状況に応じてきめ細やかな取り組みを進め、さらなるバリアフリー化を推進することは重要であると認識してございます。
 お話のありました敷地内の通路から住棟や集会所に至るスロープの設置などや階段に対する手すり設置などにつきましては、自治会の要望を受け設置を進めてございます。
 今後、居住者への広報紙、「すまいのひろば」などを活用いたしまして、こうした住宅改善の取り組みについて広く周知してまいります。

○橘委員 続いて、都営住宅におけるコミュニティについて質問します。
 このコミュニティというのは我が党も、さまざまな自治会を運営していくために、また、アパートを運営していくためには、さまざまな課題、住民のトラブルであるとか、課題がございまして、それを都として支援はできないのか、そんな観点からこれまで何回も質問し、また、提案もしてまいりました。来年度からは都営住宅において、コミュニティ機能の支援を試行するという答弁もいただいておりますけれども、こうしたモデルは大変重要であります。
 また今後どう進めていくのかをお聞きしたいのと同時に、都営住宅の中にもさまざまな形態がございまして、例えば都施行型の都民住宅と都営住宅が同じ建物の中に入っている、こういった都民住宅といいますか、都営住宅がございます。それは約半分が都営住宅、半分が都民住宅、同じ建物で、この自治会は同じになっておりますので、この自治会費を集めるのはどちらかというと、都民住宅に入っている皆さん方の方が、比較的に年代的には若いものですから、どうしてもこちらの方が自治会費を集めたり、いろんな世話をする。敷地内の清掃活動をやるにしても、高齢だから勘弁してもらいたいとなって、そして都民住宅に入っている方たちが主体的にやっている。けれども、家賃は都民住宅の家賃で、こちらは都営住宅の家賃、やっぱり同じ敷地内、同じ建物の中にいる関係で、やはり感情的なものも結構あって、コミュニティの形成というのは非常に難しいという状況もあります。これは一つの例に過ぎませんけれども、この都営住宅におけるコミュニティの形成というのは、また、円滑に運営していくというのは、これからますます大事になってきますし、高齢者が多くなってくればくるほど、これが大事になってくると思います。そういった取り組み、コミュニティに対する支援、これを東京都はどういうふうに考えているのか、また、どういうふうに進めていくのか伺います。

○岡沢経営改革担当部長 都営住宅のコミュニティ機能支援についてでございますが、都営住宅では今後居住者の高齢化が一層進行すると予想されることから、自治会活動などのコミュニティ機能が維持されるように地域福祉の担い手でございます地元の区市町でございますとか、自治会、また居住者と役割分担を適切に図りながら支援をしていくことが必要であると考えております。
 このため、都といたしましては、各団地の実情に応じまして、触れ合いの場づくりでございますとか、それから防災活動でございますとか、こうした自治会によるコミュニティの活性化に向けた具体案の作成に協力をするということ、それから、自治会の事務負担の軽減を図るために、都が直接徴収する共用部分の管理経費の範囲を見直すということなどの支援策を検討しております。
 今後の予定でございますけれども、年内には試行の対象となる団地の募集を行うこととしておりまして、現在、募集案内の作成に取り組んでいるところでございます。この募集の後、対象団地の選定を進めまして、来年度から試行を行うよう取り組みを進めてまいります。

○橘委員 間もなく対象団地も選定されて、そして来年度から試行というふうにして今お聞きしましたけれども、お願いしておきたいのは、こちらで考える、都の皆さんが考えるそのやり方と実際に自治会を運営されている皆さん方の考え方とはやっぱり考えがちょっと違うような部分もあると思います。そういったことを意見交換されて、そしていいものはどんどん取り入れていくという、また一年間試行したら、改良点があったらば、それをどんどん変えていくという、そしてその良好なコミュニティ、これを模範として示していく、そんな取り組みをお願いしておきたいと思います。よろしくお願いします。
 次に、八ッ場ダム事業について幾つかお聞きします。
 八ッ場ダム建設の是非については、都議会でも熱い議論が展開されてまいりましたけれども、生活関連事業への都の出資もございまして、これまで整備してきたものが、当初の目的が達成できない、そのような状況のままになっていってはいけないと思います。
 そこでまず、平成二十一年度の八ッ場ダム事業の実施内容と現在の整備状況について説明を求めます。

○安井理事 八ッ場ダムの建設事業でございますけれども、平成二十一年七月に、既にダム本体工事に必要な河川を迂回させるための仮排水トンネルが完成してございまして、九月二十四日には本体工事の入札が予定されてございました。
 しかし、政権交代を契機に入札手続が延期されまして、新内閣発足後の九月十七日には、国は共同事業者である一都五県の意見を聞くことなく、一方的にダム本体工事の中止を発表したわけでございます。その後、今日までの間、国はつけかえ道路や鉄道、地区内での移転先の代替地の造成など、生活再建事業のみを進めてきてございます。
 この結果、現在の整備状況でございますけれども、例えば本年八月には、移転後の地元住民の生活や旅館の営業などに不可欠な国道一四五号のバイパスの大部分が供用開始いたしました。また、六月には、代替地相互を結ぶ湖面二号橋がつながっているなど、既に生活再建事業の八割以上が進捗してございます。あとはまさにダム本体工事を残すのみとなってございます。

○橘委員 この八ッ場ダムの建設事業につきましては、私も今回、この質問に当たりまして、局の皆さんからいろいろ説明もいただきました。そしてまた直近の写真等も見せてもらいまして、もう湖面を渡る橋も三本ともでき上がっておりますし、周辺の宅地なんかも整備がかなり進んでおるようですし、航空写真で見る限りは、本当にもうほぼでき上がったな、周辺はでき上がったなという、そういう印象を持ちました。また以前に、私は現地も視察いたしまして、そしてまた住民の皆さんからの声も直接聞いた、そういうことを考え合わせますと、何となくこのダムの建設が賛成か反対か、また、どうするか、そういった観点に行きがちですけれども、実際に例えば上からの写真で見る八ッ場ダムの建設予定地、この予定地のそこに住んでいらっしゃる皆さん方は、大変な思いの中で今過ごされている、日々過ごされているんだなということを思いますと、本当に胸が締めつけられる思いで仕方ありません。
 そしてまた、この八ッ場ダム建設予定地の地元では、ダムの本体が建設されることを前提に生活再建事業、これが進められているわけであります。国のダム建設中止判断に伴って、既に整備された施設、それから住民の生活にどんな影響が今現在生じているのか、これについてお聞きしたいんですけれども、この現状がどうなっているのか、さらにこれが中断したまま、中止されたまま、ずっと先延ばしになりますと、どのような影響が出てくると考えられるのか、これについて見解を伺います。

○安井理事 国がダムの中止を表明して以降、地元ではダム湖を前提とした生活再建のめどが立たなくなったことから、住民の方々は将来に非常に大きな不安を抱いてございます。本年一月に現地で地元住民と国土交通大臣との意見交換会が開催されました。この場では、地区内での移転を予定している人は、生活再建や老後のためにとっておいた預貯金を注ぎ込み生き延びているといった深刻な発言がございます。
 また、この意見交換の場には地元長野原町の商工観光関係者の方も出席しておりました。この方は、国と地元がダム建設に合意いたしまして、補償基準が締結されて以降、地区外に転出された方もいらっしゃいまして、人口が減少してきた、そういったことの背景でのご発言でございますけれども、ダム工事のおくれにより、商工業者は町内での営業活動の前途が真っ暗であると。地域の再建のための後継者の育成、地域経済の活性化のための新しい商店街づくり、新温泉旅館まちづくりなどの計画が大幅におくれることに対しまして、みんな大変悲観的になっているというようなことがございます。
 また、観光経済面では、ダム事業は絶対に不可欠な事業である。私どものおかれている逼迫した状況を理解してほしいと述べられてございます。
 先ほど申し上げたように、順次、だんだんその地区内の人も減ってきているというような状況で、ここの補償基準が締結されて以降、倒産、廃業した商工業者は今後見込まれる業者を合わせまして、九十社以上に上ると思われると、このように現在の窮状を訴えてございます。特にダムの完成後、湖畔での営業再建を望んでいた川原湯温泉では、旅館の休業が相次ぎまして、最盛期には二十二軒あった旅館のうち、十六軒が廃業になってございます。江戸時代から操業している、しにせ旅館一軒も、将来、移転を予定していたことから、建物の修繕など設備投資を抑制していたために、施設が老朽化し、十分なもてなしができないと判断した結果、休業を決めてございます。
 こうした状況が今後も続くとしましたらば、これは大変深刻な問題になると受けとめられてございまして、地元群馬県の関係者は、これは基本的人権、生存権の問題だというような発言もされてございます。
 こんなことから今月十三日には、国土交通副大臣、大臣政務官と群馬県知事、地元町長の間で会談が行われてございます。このとき地元からも早急にダム本体工事を実施するとともに、中止表明から二度目の正月を迎えることになるわけでございますけれども、この正月を苦悩の中で迎えずに済むように生活再建を行ってほしいとの声が上がっているところでございます。

○橘委員 この八ッ場ダムの建設事業については、一時はマスコミでも取り上げてやってきましたけれども、その当時、私たちも関心が強かった、しかしこれが長期化して、中断した状態のままで続きますと、どうしてもやはり私たちの認識も意識も薄れがちになってまいります。今、安井理事から話があった生の声、こういったものを私たちは絶対に忘れてはならないというふうに思います。このことを、私たちは常に認識していくということを決意して、また私自身がしておきたいと思います。
 次に責任の関係なんですけれども、中止宣言によってダム本体工事に未着手、この状態のままで続きますと、これがまたずっと引き延ばされた結果、このことが原因で仮に洪水とか渇水が出た場合は、どこが責任を持つのかとなりますと、当然これは国の事業ですから、国が責任を持つべきと思います。
 ところが、今、形態的には国と関係地方自治体の共同事業ということもありますので、その責任も連帯責任というふうに、そういうことになって、混乱しかねないという状況も考えられるのかなというように懸念しております。
 そこで、この責任論についてはどこに責任があるのか、洪水、渇水のときにはどこが責任を持つのか、その所在を明確にしておくべきだと思いますけれども、見解を伺います。

○安井理事 八ッ場ダムの建設は、改めて申しますまでもないんですけれども、特定多目的ダム法に基づきまして、事業主体である国が利根川流域におけます治水、利水の安全度の向上に係る基本計画を定めまして、関係する一都五県知事の合意を得て、国と関係自治体との共同事業として推進されてきたわけでございます。
 一都五県もダム建設により発生する治水、利水の受益の享受を前提といたしまして、毎年、各都県の議会の議決を経て、建設費の一部を負担してまいりました。国はこうした法律に基づきます手続の積み重ねを考慮することなく、事業の中止を表明したものの、その後、今日までダム建設にかわる治水、利水に関する方針は示しておりません。
 仮にダム本体が建設されない状況が続きまして、その間、利根川流域における洪水や渇水の被害が生ずるような事態になりますれば、これは、その責任は河川管理者である国が当然負うべきものと考えております。
 なお、本年四月、中央防災会議が発表した資料によりますと、利根川の堤防が決壊した場合、最大でも約六千三百人の死者が発生するなど、甚大な被害が想定されるとしております。
 国は、このような被害想定を国民に明らかにする一方で、ダム建設の見通しを示さない状況を続けていること自体、既に国民の生命や財産を守る責任を放棄しているといわざるを得ません。

○橘委員 最後の質問とさせていただきますけれども、この八ッ場ダム建設事業につきましては、新たな動きも出始めていると、私は受けとめております。
 というのは、国が今後の治水対策のあり方に関する有識者会議、この中間取りまとめ、九月だったでしょうか、九月に取りまとめまして、十月一日にこれに基づきまして、国と関係地方公共団体による検討会を設置いたしまして、第一回の会合が開かれたというふうに聞いております。この目的は八ッ場ダムの検証を、再検証といっていますけれども、再検証を始めたという趣旨だそうですけれども、この必要性があるのかどうか、その是非を検討する、これは新たな動きと、私は先ほどいいましたように思っておりますけれども、こうした国の動きに対して、都の今後の対応方針、これをお聞きして質問を終わりたいと思います。

○安井理事 昨年十二月に国は、今後の治水対策のあり方に関する有識者会議を設置いたしまして、本年九月に中間取りまとめを提出しております。これに基づきまして、九月の末に国土交通大臣は、関東地方整備局に検証のスタートを指示し、ようやく今月、国が行う検討内容に対しまして、関係地方公共団体が意見を述べる場が設置されました。これは国では検討の場と申してございますけれども、検討するのは国でございまして、検証するのも国でございまして、我々はそれに対して意見をいう立場でございます。
 都は今後、この場を通じまして、人口や資産が高度に集積している利根川流域に広がる首都圏におきまして、渇水や洪水のリスクに対する安全度を切り下げることのないように国に対し意見を述べてまいります。
 都はきちんとした検証が行われれば、治水、利水の両面において八ッ場ダムが必要であることは明らかになると考えてございまして、今後、あらゆる機会を通じて、早急に検証の結論を出し、ダム本体工事に着手するよう、関係県とともに国に対して強く求めてまいります。

○山内委員 私からも幾つか質問をさせていただきます。
 まず都営住宅の建てかえに関連いたしまして、質問いたします。老朽化した都営住宅は、毎年計画的に建てかえが進められていますが、都営住宅等事業会計を見ますと、平成二十一年度の予算現額は三千二百戸、四百二十九億七千二百三十万余円に対し、決算額は三千二百三戸、二百九十二億九千五百三十三万余円で、執行率六八・二%、前年度繰越金は、予算現額四億七千八百万円、決算額四億六千六百十七万余円となっています。この執行率についてどのようにお考えか伺います。

○荒川建設推進担当部長 平成二十一年度の公営住宅建設の予算現額に対しまして、執行率が六八・二%となりましたのは、用地の購入費や移転補償料が少なくなったこと、契約差金が生じたことなどによるものでございます。都営住宅の建てかえ戸数につきましては予算どおり執行しております。

○山内委員 建てかえは予定どおりに進んでいるということですね。
 建てかえに際しては、居住者からさまざまな不安の声が寄せられています。納得のいく説明や検討するためには時間的余裕が必要です。そこで、都営住宅の建てかえに当たってどのような手順で、どのくらいのスパンで事業を進めていくのか伺います。

○荒川建設推進担当部長 都営住宅の建てかえに当たりましては、建てかえを検討する団地の基礎調査を実施しまして、その調査に基づきまして、建てかえの基本計画を策定しております。その後、地元自治体や居住者、近隣住民の方々に計画内容を説明してございます。計画でつくりました建てかえ計画の説明後、移転の進め方や移転先住宅について、居住者に説明をしまして、また、個別説明会や移転先住宅の見学会を実施しております。都市計画の手続等がない最近の事例では、調査開始から、実際に建てかえ工事に着手するまでにおおむね二年程度となっております。また、居住者に移転の説明を行いましてから、実際に移転するまでには通常六カ月以上の期間を確保しております。

○山内委員 検討対象の団地を決め、基礎調査から約半年後に基本設計ができ、その際に自治体、居住者へ計画説明をするということだと思います。着工までおよそ二年、居住者に移転の説明をしてから、最短だと六カ月、その速さに驚きました。居住者にとっては寝耳に水ともいえます。仮移転にせよ本移転にせよ、就労はもちろん通院などの医療や福祉の介助、通園、通学など日常生活そのものにかかわるのですから、情報公開はできるだけ早い段階から丁寧にすべきです。
 また、都営住宅の建てかえは、その地域のまちづくりに大きくかかわります。自治体の意向や要望、地域の特性等を取り入れ、調査しながら進められるべきです。地域の方々から地元自治体に問い合わせた際に、東京都の事業なので詳細はわかりませんというようなことがないように、東京都は情報を惜しむことなく、適切に出していくように要望いたします。
 次に、建てかえの計画戸数は、基礎調査をして、従前居住者のもとに型別供給基準に合わせて割り出すようですが、どのような従前居住者の世帯構成から、建てかえ後の住宅の型別を計画しているのか伺います。

○荒川建設推進担当部長 都営住宅の建てかえに当たりましては、従前居住者の移転先の住宅を適切に確保する観点に立ちまして、居住者の世帯構成に応じた基準を設けまして、それぞれに対応する規模の住宅を供給しております。
 現在の基準は、一DKは一人または二人世帯、二人用の規模の二DKは二人世帯、三人用の規模の二DKは三人世帯、三DKは四人以上の世帯としているところでございます。

○山内委員 二十一年度の型別供給では三千二百戸のうち一DKが千二百五十三戸、二K、二DKが千二百二十一戸、合わせて七七・二%が一人または二人世帯用です。これでは都営住宅が一人世帯か二人世帯の狭小住宅になってしまうのではないかと思われます。
 また、二〇〇三年に改正された型別供給基準では、基本面積も狭くなっています。居住者の高齢化が進めば、車いすが必要になったり、障害をもったりすることが予想され、ある程度の広さや介護者の同居のためのスペースなども必要になるでしょう。そこで、型別供給の柔軟な運用ができないのか伺います。

○荒川建設推進担当部長 都営住宅の建てかえに当たりましては、都営住宅は都民共有の住宅セーフティーネットであることから、最低居住面積水準を満たすとともに、バリアフリーを考慮した面積の住宅を供給しており、一DKにつきましても、必要な機能を確保しております。その上で、一DKは一人世帯または二人世帯、二DKは二人世帯または三人世帯としているところでございます。

○山内委員 高齢者にとっては、ついの住みかともなります。必要な機能は確保しているとのご答弁ですが、公営住宅法の健康で文化的な生活を営むに足りる住宅となっているのか、再検討も必要ではないかと思います。過去、五、六年の型別供給で一人世帯、二人世帯の割合が六〇%から七七・二%とふえている実態がある一方で、東京都都市計画用語集によりますと、型別供給は同一の住戸のみから成る団地においては、同一の年齢層、所得層で構成される特異な地域社会が形成されがちで、また、学童の同時的発生などに伴う行政需要の一時的集中を招くなどの問題が生じやすいため、複数の形式の住戸の供給を行うものであると説明しています。年齢層が偏らないためにも、複数の形式の住戸の供給が必要であると明らかにしているのです。
 そこで、都営住宅では若いファミリー世帯の居住を進めるなど、多様な世帯が住めるよう検討していくことが必要であると考えますが、都の見解を伺います。

○岡沢経営改革担当部長 都営住宅の建てかえに当たりましては、居住者の世帯構成に応じた基準を設けまして、適切な規模の住宅を提供しております。具体的な団地の型別供給の設定に当たりましては、従前居住者の戻り入居が必要でございまして、その団地の世帯構成に応じた住宅を計画しているところでございます。
 都では、都営住宅の空き家募集に際しまして、若年ファミリー向けでありますとか多子世帯向けの期限つき入居やポイント方式によります多子世帯向けの募集などによりまして、多様な世帯の入居を進めているところでございます。

○山内委員 ただいまご答弁いただきましたが、特異な地域社会にしないためにも、さまざまな年齢層、家族世帯がともに暮らす住まいとなることが望まれます。
 また、都営住宅は一時的な住居でないことはわかりますが、住まいの確保は生活の最低条件です。現在は単身入居の資格は障害者などを除けば、六十歳以上が条件となっていますが、非正規雇用や派遣などのワーキングプアの若者やDV被害者の一時避難、ひとり親家庭など、さまざまな問題を抱え住まいを必要としている人へ多様な活用ができるよう検討を求めます。
 それでは次に、店舗つき住宅について伺います。
 都営住宅の一階の店舗が閉鎖されていたり、あいたままになっている場合が見受けられます。中には分譲されたものもあるとのことですが、そもそもそうした店舗はどういう経緯で建設されたのでしょうか。

○荒川建設推進担当部長 都営住宅の分譲店舗につきましては、近隣に店舗がない場合に居住者の利便に資するために、昭和三十二年度以降、平成三年度まで都が住宅の下層部分に店舗を建設しまして、借地権つきで分譲してきているものでございます。

○山内委員 そうした店舗は、都営住宅の建てかえの際はどうなるのですか。

○荒川建設推進担当部長 都営住宅の分譲店舗につきましては、時代の状況が変化してきました中で、建てかえに当たりましては原則としまして、店舗所有者のご協力をいただきながら権利を買い取ることにより対応しているところでございます。

○山内委員 都営住宅の一階の分譲店舗が閉鎖されたり、あいたままになっている場合、福祉を担う団体等がそうしたあいている店舗を借り受けたり、購入することはできるのですか。

○岡沢経営改革担当部長 分譲店舗の借り受けなどについてでございますが、分譲店舗の所有者は、借地権つきの建物所有権に基づきまして、店舗の転貸でありますとか譲渡を行うことが可能でございますが、こうした場合、土地所有者である都は、事前の承認を求めておりまして、申請に基づきまして都は法令や公序良俗に反しないこと、また、地域の生活環境を悪化させないことなどを条件として承認しているところでございます。
 したがいまして、店舗所有者との契約が成立して、都の事前承認を得ることができれば、福祉を担う団体等を含めまして、分譲店舗の借り受けや購入は可能でございます。

○山内委員 介護や子育て、多世代の居場所など、福祉や地域の活性化につながる事業の場を探している市民団体やNPO法人等はたくさんいます。そういう方々がシャッターのおりた都営住宅をどれだけもったいないなと思っていたか察するに余りがあります。このご答弁をいただき、活用の一筋の光が見えたような気がいたしました。空き店舗の有効利用で都営住宅そのものも元気になり、にぎわいを取り戻し、コミュニティの再生にもつながります。東京都の後押しをお願いし、次の質問に移ります。
 次に、雨水流出抑制事業費補助について伺います。
 個人住宅への雨水流出抑制事業費補助、雨水浸透ます等は、平成十三年ごろ中断し、平成十九年度に復活したと聞いていますが、その経過と事業内容及び昨年度の執行状況を伺います。

○藤井都市基盤部長 雨水流出抑制事業費補助は、個人の方が自主的に宅地内に雨水浸透ますなどを設置することに対して補助を行うことにより、雨水対策を進める取り組みでございます。総合治水対策事業の一環である本事業につきましては、平成四年度から都内全域を対象に始めたところでありますが、地域住民への普及啓発という都の先導的役割を一定程度果たしたことから、十四年度以降は各区市において実施することとし、十三年度に事業を終了いたしました。その後、平成十七年九月の杉並、中野区を中心とした約六千棟に及ぶ浸水被害の発生を契機に、平成十九年に東京都豪雨対策基本方針を策定いたしました。その基本方針の中で、浸水対策を促進するため、雨水浸透施設の設置を流域対策の一つとして位置づけ、改めて区市の取り組みを支援することといたしました。
 平成二十一年度における事業の内容といたしましては、神田川などの四流域におきまして、敷地面積が五百平方メートル未満の個人の住宅を対象に、浸透施設設置助成を行っている杉並区など、十四区市に対して、一件当たり十一万円を限度に補助を実施しております。
 平成二十一年度の執行につきましては、補助件数が四百二十五件、補助金の総額が二千二百五十万円でございます。

○山内委員 雨水の流出抑制として、雨水浸透ます等の浸透施設設置が有効との判断から、十九年度に復活したことは生活ネットワークとして非常に歓迎するものです。また以前は、東京都全域を対象としてきていたこともわかりました。
 しかし、昨今の経済不況等から、有効性や必要性を知りながらも、なかなか都民の皆さんへの誘発には至っていないように思います。
 そこで、平成二十一年度の実績は、二千二百五十万円と、予算額三千八百万円に対し、約六割の執行率となっていますが、どのような啓発活動を行って取り組んでいるのか伺います。

○藤井都市基盤部長 雨水流出抑制事業の促進には、地元住民の方々の理解と協力が不可欠であり、そのため、啓発活動としてさまざまな取り組みを行っております。具体的には、毎年各自治体に対し、雨水流出抑制事業費補助の説明会を開催し、事業の推進を図るよう要請を行っており、また各区市においても、独自のパンフレットを作成したり、広報紙を通じて住民への周知徹底に努めております。
 また、治水施設の見学会等の機会をとらえて、参加者に浸透ます設置の重要性を訴えるとともに、小学生向けの総合治水パンフレットやポスターを作成し、各自治体や学校に配布するなど、取り組んでおります。平成二十二年度からは、対象流域を四流域から七流域に拡大しており、引き続き雨水流出抑制事業を積極的に推進することにより、安心・安全なまちづくりに取り組んでまいります。

○山内委員 各自治体とともに、都民の皆さんへの周知を実施していることがわかりました。地形上、川の上流に雨水浸透施設を設置することが下流の浸水対策に効果があるとも聞いております。対象流域の上流での啓発をさらに進めていただきたいと思います。
 また、十三年度までは東京都全域を対象としていたとのご答弁をいただきまして、対象地域の拡大を今後の検討課題としていただけることを要望いたします。
 次に、水の有効利用促進要綱について伺いたいと思います。
 大規模建築物や開発事業における水資源の有効利用という観点から伺いますが、東京都では水の有効利用促進要綱を策定し、敷地内に降った雨を集めて水道水のかわりにトイレ洗浄水や植栽散水などの雑用水用途に利用する雨水利用方式を推進しています。
 そこで、東京都の水の有効利用促進要綱に基づき、設置に至った過去三年間の雨水利用施設の設置状況を伺いたいと思います。

○安井理事 都は、平成十年四月に東京都雨水利用・雨水浸透促進要綱を定め、また平成十五年八月には、雑用水利用の観点も含めまして、水の有効利用促進要綱を策定しております。この要綱に基づきまして、建築物の更新や都市開発の機会をとらえまして、貴重な水資源の有効利用を促進するための指導を実施しております。
 具体的には、延べ床面積が一万平方メートルを超える建築物や開発面積が三千平方メートルを超える市街地再開発事業などを対象といたしまして、建築確認及び開発許可申請の際に雨水利用を初めとする雑用水利用施設の設置を指導しておるわけでございます。
 この要綱に基づきまして設置された雨水利用施設でございますけれども、過去三年間の実績ということで、平成十九年度は四十九件、平成二十年度は八十九件、平成二十一年度は四十七件でございます。

○山内委員 ご答弁いただきましたが、雨水利用施設件数が二十一年度に減少しているのは非常に残念です。経費がかかるとはいえ、循環型社会の形成にもつながるのですから、大規模建築物や開発事業には積極的に取り組んでいただきたいと思います。
 特に東京都は公共施設の建設の際に、見本となって取り組んでいくことが必要だと思います。東京都の公共施設建設において、平成二十年度、二十一年度、雨水利用方式を取り入れた施設の事例及びその延べ床面積を伺います。

○安井理事 都が建設いたしました建築物のうち、敷地内に降った雨を集めて、トイレ洗浄水や植栽散水として利用する雨水利用方式を取り入れた件数は、平成二十年度は五件、平成二十一年度は三件でございます。
 比較的規模の大きい施設といたしましては、延べ床面積が約一万九千平方メートルでございますけれども、平成二十一年度に都立多摩桜の丘学園がございます。
 また、延べ床面積が約三千六百平方メートルでございますが、本要綱の対象となる規模以下でございますけれども、平成二十年度に、水道局元本郷庁舎も雨水利用方式を取り入れております。
 これは水道事業者として、水資源の有効利用を図るために、雨水利用方式を取り入れて積極的な取り組みを図っている例でございます。
 都は今後とも要綱に基づく民間事業者の指導に加えまして、都の建築物においても学校などの新築、開発の機会などをとらえまして、雨水利用を初めとした雑用水利用の普及を図り、水の有効利用に取り組んでまいります。

○山内委員 この、先ほどのご答弁で勇気づけられました。東京都は環境と共生する都市の形成を目指しております。リーダーシップを発揮し、規模にかかわらず、公共施設をつくる際には貴重な水資源の有効利用のお願いをするだけではなく、雨水を含めた雑用水利用を義務づけるなど、積極的に促進することを求めて質問を終わります。

○田中委員 本日、最後の質疑となります。よろしくお願いします。
 きょうは都の監理団体であります東京都住宅供給公社について質問させていただきたいと思います。
 東京都の住宅供給公社は住宅供給数が十一万戸強、また、管理数は三十六万戸という、都内にある借家はすべてを合わせましても約二百九十万戸でありますから、八戸に一つは公社関係の物件という、まさに日本最大の住宅供給管理団体がこの公社であります。
 この公社が平成十九年度に実施された包括外部監査によって多くの指摘を受けました。現在、その指摘について改善がなされているというところでありますので、きょうはその指摘を中心に質問させていただき、これまでどう改善されたか、また、今後どう改善されていくかというのを質疑していきたいと思います。
 まず、東京公社住宅サービスの連帯保証人紹介事業についてお聞きします。今回のこの監査におきまして、公社の家賃保証業務を都のOB設立の保証会社が一社で独占をしているということが指摘をされました。このOBと公社の関係、また、この東京公社サービスの独占はこれまで何年間続いてきたのかお聞きします。

○鈴木住宅政策推進部長 お尋ねの保証会社でございますが、当時の株式会社東京公社住宅サービスでございます。設立者は東京都を退職した後に、東京都住宅供給公社の副理事長を務め、その後公社を退職し、昭和六十二年に同社を設立した者でございます。
 当時、公社住宅への入居希望者のうちで連帯保証人を立てられない方たちについては、いわゆる機関保証といったものが確立されていなかったために、設立者が私財を投じてこの会社を設立したものでございまして、公社等との資金関係はないというふうに承知しております。
 また、株式会社東京公社住宅サービスは、昭和六十二年に設立されてから、平成二十年六月に株式会社オリエントコーポレーションが参入するまでの約二十一年間、一社で保証事業を担ってまいりました。

○田中委員 この包括外部監査の指摘があった時点、これは平成二十年の三月末であると思いますが、このときにおける家賃保証の契約世帯数及び年間保証料はそれぞれ幾らでありましたか。また、当時のこの東京公社サービス、利益余剰金でありますが、幾らなんでしょうか。

○鈴木住宅政策推進部長 包括外部監査のあった平成二十年三月末におきましては、家賃保証の契約世帯数は一万一千五百六十四件、年間の保証料は約一億八千九百万円となっております。
 また、平成二十年三月末時点におきます東京公社住宅サービスの利益剰余金の額でございますが、すべてが実質的な剰余金とは申せませんが、帳簿上の数字で申し上げますと、三億一千七百七十五万円となっております。

○田中委員 この一社独占により自動的に最初は私財を投げ売ってつくったとはいえ、契約ができるシステムそして毎月の家賃に対して保証料が支払われますから、定期的な収入、また、今いいました三億円強に及ぶ大きな余剰金という、これまでの現状が明らかになったわけでありますが、この包括外部監査の指摘を受けて、どのような対応をとられたのかお聞きします。

○鈴木住宅政策推進部長 包括外部監査におきます株式会社東京公社住宅サービスに関するご意見に対する対応措置の主なものといたしまして、まず社内に保証会社選定委員会を設置いたしまして、複数の保証会社からヒアリングを実施した上で、新たに保証会社として株式会社オリエントコーポレーションを加えたこと、また、保証料率の見直しを行いまして、料率を二%から一・五%に引き下げたこと、さらに、包括外部監査の正式なご意見ではございませんでしたけれども、株主が一人だけであること、あるいは同社の設立の趣旨も踏まえまして、平成二十一年一月に組織形態を見直しまして、株式会社から財団法人に移行しております。

○田中委員 この指摘を受けて、今まで長年、二十年に及ぶ賃貸の保証料二・〇を〇・五%すぐ下げるというのも、いかに一社独占の弊害があったかというのがよくわかるわけですね。この契約額を調べたところ、今回、この〇・五%の引き下げによって、今期の直近の二十一年三月末の保証料は一億五千五百万円と三千万円の減ということになりました。これでも今は事業が成り立っているわけでありますから、多くの都民がこの分を、これまで単純ではありませんが、払い続けてきたということにもなります。
 さらに詰めますと、平成二十年の六月に家賃保証業務に、今いいました株式会社オリエントコーポレーションが新規参入したということでありますが、この会社の直近の二十二年九月末までの契約件数を伺います。

○鈴木住宅政策推進部長 株式会社オリエントコーポレーションが平成二十年六月に家賃保証業務に参入して以来、本年九月末までの契約件数ということで申しますと、六百八十一件というふうになっております。

○田中委員 一方、この株式会社オリエントコーポレーション参入から、二十二年九月までのこの公社住宅サービスの契約件数を伺います。

○鈴木住宅政策推進部長 同じ平成二十年六月から本年九月末までの東京公社住宅サービスの契約件数は、財団化の前後を通算いたしまして二千八百五十七件となっております。

○田中委員 一社の独占的な状態は解消されたということで答弁がありましたが、今の数字でわかるように、実際はまだ全体でいえば二割、二〇%強の数字で、ほとんどがこの公社サービスがその契約を占めているわけであります。この公社サービスは公社の住宅契約をする際に、セットで申込書にもこのサービスの申込書が入っており、同時に説明されたりという、これまでの経緯があり、なかなかすぐにはほかの会社が参入できないという壁があります。入居者は、このようなことをわからずに申し込みをしているわけでありますが、入居者の利便性向上を図るためには、さらなる対応が必要かと思いますが、この後どのように対応していく予定でしょうか。

○鈴木住宅政策推進部長 どちらの保証会社とするか、申込者の自由な選択によるわけでございますが、株式会社オリエントコーポレーションの契約割合が相対的に低いというような、参入して以来、まだ二年余りしかたっていないということと、それから東京公社住宅サービスが保証料を月単位で設定しているのに対しまして、オリエントコーポレーションは一年単位で保証料を設定しているといったことなどによるものと考えております。
 今後とも引き続き申込者に対して、両社の情報を適切に提供していくよう公社に求めてまいります。

○田中委員 さらに詰めますと、先ほどの答弁の中で、この東京公社住宅サービスは財団法人化されたということであります。基本的に株式会社と財団法人では、設立の趣旨も大きく異なります。財団法人でいうならば、設立者には余剰金、または残余財産の分配を受ける権利を与える定款というものは、この財団において有効になりません。
 さらに財団法人というのは基本的には営利目的ではないというのが常識でありますが、先ほどいいました余剰金三億一千七百七十五万円の剰余金はどうなっているんでしょうか。

○鈴木住宅政策推進部長 株式会社東京公社住宅サービスの利益剰余金につきましては、先ほど帳簿上、三億一千七百七十五万円と申し上げましたが、このうち回収困難なもの等、実質的には剰余金とはいえないもの、これが約一億七千万円ございました。さらに緑の東京募金へ二千万円を寄附した上で、残りの約一億三千万円を後継組織の財団法人にすべて拠出をいたしまして、株式会社としての精算を終了したと承知しております。
 なお、財団法人に拠出された約一億三千万円でございますが、そのほとんどは引当金等となっておりまして、現実に事業運営資金として活用できる手元現金は一千万円程度であったと承知しております。

○田中委員 今、寄附の話があったんですが、今は埋蔵金、国庫に返却するように私たちも政党を挙げて事業仕分けのようなことで、国では取り組んでおります。都でもこのような埋蔵金や剰余金があるならば、都に返還する、もしくは有効な利用ができないかということで、今、各委員がいろいろな取り組みを出先等でもさせてもらっているわけでありますが、今回のこの財団におきましては、緑の募金に寄附をしたということが話されました。これは、都とも公社とも資本関係がないということで、これ以上はわからないということでありますが、どうして二千万円なのか、また緑の募金なのかというのもちょっと私も不明であって、理解に苦しむわけでありますが、これについては何かご意見ありますか。

○鈴木住宅政策推進部長 ただいま申し上げましたように、利益剰余金の内訳が、一億七千万円は実質的には使えないものと、残りのものから引当金等あるいは事業運営上不可欠な最低限の一千万円といったものを差し引きますと、ぎりぎり公共目的で募金できるのが二千万円だったということではないかというふうに考えております。

○田中委員 ぜひこのような剰余金、また、埋蔵金といわれるのが適切かわかりませんが、このようなものがあった場合、しっかりした対応をこれからもとっていただきたいですし、私たちも適宜対応を、また提言していきたいと思っております。
 先に進みます。
 この包括外部監査の大きなテーマとしては、可能な限り都の財政状況に頼らない、財政支援に頼らない自立的な経営を推進するという指摘がありました。東京都とこの公社との財政的な関係についてもお聞きしたいと思います。
 この公社の平成二十一年度末の借入金の総額は幾らでありましょうか。また、その中で都が占める割合は幾らですか。

○鈴木住宅政策推進部長 東京都住宅供給公社の平成二十一年度末現在の借入金総額でございますが、約六千七百七十五億円となっておりまして、その中で東京都からの借入金は約四千四百九十億円となっております。
 したがいまして、割合といたしましては、おおむね三分の二を占めているということになろうかと思います、

○田中委員 この包括外部監査の中で、都の借入金の早期返済への指摘があったかと思いますが、今、どのような取り組みがなされているのでしょうか。

○鈴木住宅政策推進部長 包括外部監査におけるお尋ねの部分のご意見に対する対応措置といたしましては、まず東京都からの借入金につきましての早期償還計画を策定いたしまして、従前の予定よりも百年前倒しして、平成四十七年度までに償還するとしたこと、これに伴いまして、平成二十年度から二十二年度の償還額につきまして、従前の約定では二十六億円だったものを四百十一億円と大幅増額修正したこと。さらには、平成二十一年七月にはこうした早期償還計画とは別枠で五十四億円を追加償還したことなどがございます。

○田中委員 この答弁の質疑を調べていく中で、突然百年の前倒しといわれて、大変にびっくりしたんですが、百年の前倒しというのは思い切った、この公社運営の大転換を図った決断だといえるのか、もしくはこれまで都に頼りっぱなしであって、余り考えなくても自動的に資金調達に困ることがなかった都と公社の、悪くいえばなれ合いの体質だったといえるのか、といえば、後者であったととられても、仕方なかったのかもしれません。
 さらにいえば、この百年の前倒しによって、単純計算になりますが、平成四十七年までにこの資金を返そうとしますと、毎年百億円以上返していくという、膨大な額になります。一公社が毎年百億円を純粋に返していくというのは考えただけで物すごいことなんでありますが、これを答弁のやりとりをさせてもらう中で、返却は余剰金ではなくて、毎年のキャッシュ・フローの中で返していくということもお聞きしました。この公社が、それではこの都から以外、借り入れている長期の借入金というのはどのような推移になっていますか。

○鈴木住宅政策推進部長 住宅供給公社が東京都以外から借り入れている長期借入金の額でございますが、平成二十一年度末で約二千三百三十三億円でございまして、その内訳は旧住宅金融公庫、現在の住宅金融支援機構からの借入金が約一千二百二十八億円、その他金融機関からの借入金が約一千百五億円となっております。

○田中委員 都はこれまで無利子、または低利で借り入れをしてくれましたが、この支援機構からの借り入れにしましても、発表されている額の平均の利率は二・二三から三・三一%と都から比べればもちろん大きな負担があるわけですし、高いわけであります。高利であります。この借り入れは、これまでも借り入れを続けてきたというのですが、どのように返してきたのか。また、今後は都の借り入れを減らす一方である中で、どのように返していくのかお聞きします。

○鈴木住宅政策推進部長 現住宅金融支援機構から金利が高かった時代に借り入れた借入金につきましては、平成十五年に公社が格付を取得して以降、独自の社債を発行することなどによりまして、より低い金利での資金調達を行い、住宅金融支援機構への繰り上げ返済を行ってまいりました。今後ともできるだけ低いコストでの資金調達によりまして、繰り上げ返済や借りかえなどを行い、借入額の縮減に努めていくこととしております。

○田中委員 今おっしゃってもらったように、社債の発行をしているということですが、社債発行には格付がついて回ってきます。この格付によってどれだけ低利で調達できるのか、またそうでないかが決まってくるかと思いますが、今おっしゃってもらいました十五年から公社が格付をとって、これまで調達をしてきたということでありますが、民間からとっている格付の値はどのようになっていますか。

○鈴木住宅政策推進部長 公社が平成十五年に初めて格付を取得して以来、直近である昨年度の評価に至るまで、ダブルAマイナスということになっております。

○田中委員 これは東京都、私たちの都はダブルAでありまして、それに比べるとまだ低いランクであります。一方で、東京都がこれまで無利子、低利で貸し付けをしていてくれたから、ダブルAマイナスでいたのかもしれませんが、これから独自路線、また自分たちで資金調達をしていくという中で、さらなる格付のアップは必要であると思っております。今回の債権債務の見直し、百年という前倒しのこの計画にしても、大きな前進ではあると思っておりますが、これを大きくアピールして、さらに格付アップを目指していかなければこれも絵にかいたもちというか、なかなか、先ほどいった毎年百億円をコンスタントに返していくというのは至難のわざかと思っておりますが、それについての取り組みはいかがでしょうか。

○鈴木住宅政策推進部長 先ほど来、ご答弁申し上げましたように、公社では低いコストで資金を調達いたしまして、高い金利の借入金を繰り上げ償還するなどして、負担を軽減して、経営の安定化に努めているところでございます。
 より低いコストで資金を調達するためには、高い格付を得ている方が当然有利でございます。ダブルAマイナスという格付でございますが、一般的には比較的高い評価といわれておりますが、他の団体や企業の格付と比較し、また、公社の経営状況を考えてみますと、現在よりも高い評価を得る余地もあるものというふうに考えております。
 また、ご質問にありました包括外部監査のご意見を踏まえた大幅な見直しにつきましては、本年六月に監査委員からすべて改善済みであること、それから具体的な対応の措置内容が公表されたところでございます。
 しかしながら、それ以後の格付がまだ出ておりません。今後の格付の評価によい影響を与えることを期待しているところでございます。

○田中委員 新しい格付が出るということでありますので、またその推移を見ていきたいと思っております。最後にこれからの公社のこのあり方ということについてお聞きをしていきたいと思います。
 平成二十年における東京都の住宅のストックの数というのは、世帯数を一三%も上回り、つまり供給過多になっているわけでありまして、移動が多い東京都の特性におきますと、全世帯の五割に当たる世帯が借家であり、さらに若い人、また、高齢者、ひとり暮らしが最も大きな数を占める世帯となるなど、大きくこれまでの住宅政策が変わることが問われています。これまで、きょうの委員の中でもいろいろな質疑がありました。その中で、これからの公社というのは、一つは高齢者向けの賃貸住宅市場への参入ということを大きな柱として掲げております。これについて具体的にはどう取り組んでいくのかお聞きします。

○鈴木住宅政策推進部長 住宅供給公社では少子高齢社会への対応が求められる中にありまして、本年四月に新たに少子高齢対策室を設置いたしまして、一般賃貸住宅の建てかえに合わせた子育て世帯や高齢者向け住宅の整備を初め、オープンスペース等への子育て支援施設等の誘致に向けた検討を行っております。
 今後でございますが、本年九月に策定されました東京都監理団体活用方針にもございますように、少子高齢社会や環境問題への対応など、市場では十分に供給されにくい住宅の供給などの取り組みを通じまして、東京都の住宅政策の一翼を担う重要なパートナーとしてその役割を果たしていくべきものと考えております。

○田中委員 これまで財政的な面、そして今新しく取り組むことについてお聞きをさせていただいたわけでありますが、最後に部長が今、パートナーということをお話ししましたが、これから公社が独立をしていく、さらに自主路線を目指していくに当たって、やはり人事面、役員面でもその独立を図っていくことが重要かと考えております。
 私が調べたところによりますと、公社においてはこれまで理事長におかれましては、常勤、非常勤の別、または不在の時期があったにせよ、東京都から十二名の理事長が就任をしております。その中では九人が副知事出身、三人が出納長、都市計画局長であり、この都の再就職先になっていることは明らかであります。これでは天下りといわれても仕方がない中でありまして、財務的な改善や自主路線、今いいました、進めている中で、その人事の面での独立がこれからの課題であると思っております。
 国の独立行政法人または公益法人改革によっても、多くの法人はプロパーからの採用であったり、役員等であったり、公募制と大きくかじをとってきております。
 さらにいうならば、東京都において公社は、道路公社もことし三月に解散をしました。また、埠頭公社も民営化となっております。この公社のあり方が大きく問われている中、そして全国でもこの住宅供給公社をとっても見直しが進む中、都はどのようにこの公社を考え、取り組んでいくのかお聞きをしたいと思います。

○鈴木住宅政策推進部長 今、何点かご指摘がありましたが、役員の具体的な人事等について、私どもからお答えすることはできませんが、一言、包括外部監査なども踏まえまして、ご質問にもありましたようなさまざまな見直しを行ったのも現理事長のもとということでございますし、私ども東京都の住宅政策を推進する立場から見ますと、東京都住宅供給公社には歴代理事長のもとで、その時代、その時代の要請に沿って、常に東京都の住宅政策の一翼を担う重要なパートナーとして、その使命を果たすべく適切に経営をしてもらっているというふうに考えております。
 今後の検討というようなことでございますが、他の地方公共団体等においてもいろいろな見直しの動きがあるということは承知しております。東京都の住宅供給公社について見ますと、例えば民営化といったものは、もう税制面の不利益など課題が多く、現実的ではないと考えておりますし、また、包括外部監査を受けて、既にさまざまな見直しを実施してきているというふうに考えております。
 また、本年九月に策定されました、先ほど申しましたけれども、東京都監理団体活用方針の中では東京都住宅供給公社は、今後とも少子高齢社会や環境問題への対応など、都の重要課題への取り組みを通じ、都の住宅政策の一翼を担う重要なパートナーとしての役割を果たしていくとされております。
 したがいまして、東京都住宅供給公社につきましては、今後とも経営面での自立性を高める一方で、少子高齢社会対応など、市場では対応されにくい、重要課題にも先導的に取り組むことなどによりまして、東京都の住宅政策の一翼を担う重要なパートナーとして、その使命を果たしていくべきものと考えております。

○田中委員 ただいま理事長だけの話をしたわけでありますが、理事においても、今一つポストがあいておりまして、そこはプロパーの方が入られるということでありますが、これまでずっと理事におきましても、都の再就職の方がしておりました。私はすべて理事長が悪いとかいっているわけではなくて、やはり一般の人から見ますと、理事長が再就職先、また理事も東京都の人、さらにいうならば、冒頭に述べました公社サービスのそのような保証業務においてもOBの方がやっており、これまで二十数年にわたりその業務がだれも知らないところで脈々と続いてきたようなことが、余り次々と出てきますと、せっかく今、取り組みを、改善を進めている中でも信用がなくなってしまうということもあり得るのではないかという点で最後に質問させてもらったわけでありまして、まだこの包括外部監査の、すべて一応改善がなされたとはいえ途中であると思いますし、さらにいうならば、都との財務的な独立においては、百年は前倒しになったとはいえ、平成四十七年までと、まだ二十年以上これから続き、これも時においては見直しも必要かと思っておりますので、ぜひこれを機に私たちも常にチェックをしながら、皆さんと議論をしていきたいと思いますので、よろしくお願いします。最後に意見を述べさせていただきまして、終了します。

○谷村委員長 ほかに発言はございませんか。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕

○谷村委員長 ないようでしたらお諮りいたします。本件に対する質疑はいずれもこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○谷村委員長 異議なしと認め、本件に対する質疑は終了いたしました。
 以上で都市整備局関係を終わります。
 これをもちまして本日の分科会を閉会いたします。
   午後四時二十一分散会

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