平成二十年度各会計決算特別委員会速記録第三号

平成二十一年十一月十一日(水曜日)
第十二委員会室
   午後一時開議
 出席委員 三十一名
委員長大塚たかあき君
副委員長高橋 信博君
副委員長原田  大君
副委員長小磯 善彦君
理事松葉多美子君
理事高橋かずみ君
理事伊藤 ゆう君
理事宇田川聡史君
理事吉田康一郎君
理事石毛しげる君
小林 健二君
吉住 健一君
西沢けいた君
小山くにひこ君
斉藤やすひろ君
鈴木 隆道君
島田 幸成君
滝沢 景一君
大松あきら君
矢島 千秋君
西崎 光子君
中谷 祐二君
山下ようこ君
古館 和憲君
中山 信行君
尾崎 大介君
たぞえ民夫君
野島 善司君
田島 和明君
古賀 俊昭君
和田 宗春君

 欠席委員 なし

 出席説明員
会計管理局長新田 洋平君
教育長大原 正行君
東京都技監建設局長兼務道家 孝行君
知事本局長吉川 和夫君
総務局長中田 清己君
財務局長村山 寛司君
主税局長熊野 順祥君
生活文化スポーツ局長秋山 俊行君
都市整備局長河島  均君
環境局長有留 武司君
福祉保健局長安藤 立美君
産業労働局長前田 信弘君
港湾局長比留間英人君
青少年・治安対策本部長倉田  潤君
東京オリンピック・パラリンピック招致本部長荒川  満君
病院経営本部長中井 敬三君
中央卸売市場長岡田  至君
選挙管理委員会事務局長矢口 貴行君
人事委員会事務局長泉本 和秀君
監査事務局長三橋  昇君
労働委員会事務局長関  敏樹君
収用委員会事務局長野口  孝君
議会局長白石弥生子君
警視庁総務部長小谷  渉君
消防総監新井 雄治君

本日の会議に付した事件
平成二十年度東京都各会計歳入歳出決算の認定について(質疑)
・平成二十年度東京都一般会計決算
・平成二十年度東京都特別区財政調整会計決算
・平成二十年度東京都地方消費税清算会計決算
・平成二十年度東京都小笠原諸島生活再建資金会計決算
・平成二十年度東京都母子福祉貸付資金会計決算
・平成二十年度東京都心身障害者扶養年金会計決算
・平成二十年度東京都中小企業設備導入等資金会計決算
・平成二十年度東京都農業改良資金助成会計決算
・平成二十年度東京都林業・木材産業改善資金助成会計決算
・平成二十年度東京都沿岸漁業改善資金助成会計決算
・平成二十年度東京都と場会計決算
・平成二十年度東京都都営住宅等事業会計決算
・平成二十年度東京都都営住宅等保証金会計決算
・平成二十年度東京都都市開発資金会計決算
・平成二十年度東京都用地会計決算
・平成二十年度東京都公債費会計決算
・平成二十年度東京都多摩ニュータウン事業会計決算
・平成二十年度東京都臨海都市基盤整備事業会計決算

○大塚委員長 ただいまから平成二十年度各会計決算特別委員会を開会いたします。
 これより決算の審査を行います。
 平成二十年度東京都各会計歳入歳出決算の認定についてを議題といたします。
 本件につきましては既に説明を聴取しております。
 また、去る十月五日から各分科会に依頼してありました局別審査につきましては、お手元配布のとおり、報告書が提出されました。
 朗読は省略いたします。

   〔分科会審査報告書は本号末尾に掲載〕

○大塚委員長 これより質疑を行います。
 この際、一言申し上げます。
 質疑に当たりましては、さきにご決定いただきました委員会実施要領等に従いまして運営してまいります。委員の皆様には、円滑かつ充実した審査が行われますよう、ご協力をお願いいたします。
 なお、持ち時間につきましては、終了五分前に振鈴で一点、時間満了時に二点を打ち、お知らせいたします。質疑時間はお守り願います。
 次に、理事者に申し上げます。
 答弁に際しましては、質疑の要旨をよく把握し、簡潔明瞭に答弁されるよう、お願いいたします。
 なお、発言の際には、必ず職名を告げ、委員長の許可を得た上で発言されますよう、お願いいたします。
 これより順次発言を許します。
 伊藤ゆう理事の発言を許します。

○伊藤委員 それでは、私から、平成二十年度の決算に関連いたしまして、まず、オリンピック招致委員会が作成いたしました、このオリンピック教育読本についてお伺いをしていきたいというふうに思います。
 このオリンピック教育読本は、都内の公立小中高のすべての学校と、それから希望のあった私立学校に対して配布をしたというものでありますけれども、この教育読本の活用目的はまず何であったのか伺いたいと思います。

○荒川東京オリンピック・パラリンピック招致本部長 私どもの方では学習読本というふうにいっておりますけれども、このオリンピックの学習読本は、オリンピック・パラリンピックへの理解と子どもたちの健全育成を目的としまして、専門家の協力のもとに招致委員会で作成したものでございます。
 内容は、オリンピック・パラリンピック競技大会の仕組みや歴史の解説はもとより、総合的な人間形成を目指すオリンピックの理念、さらには環境問題や科学技術といった現代の視点からオリンピックの姿を学習できるものとなっております。
 実際の活用例としましては、小学校から高校までの総合学習の時間、保健体育、道徳、社会科の授業や夏休みでの自由研究の発表会で活用されております。
 なお、指導の立場から、児童のオリンピックに対する関心が高まったとか、あるいはフェアプレーの精神を体育の学習で生かすことができたなどの報告があり、また、生徒の方からも、東京でオリンピックが行われてほしいとか、あるいは、環境に優しいことは身近なことなので、自分もできる限りリサイクルしたいといったような声が寄せられております。

○伊藤委員 今、子どもたちの声として、大変いいお話ばかりが報告されたわけですけれども、しかし私は、これは今の教育現場の実情とかけ離れた教材ではないかなというふうに思います。
 実際の教育現場では、授業時間が確保できずに、ただでさえ学習時間が足りないというのはもう周知の事実であります。ましてや、一番最初にこれが作成され、配布されたのは平成二十年の九月ということで、もう既に新学期が始まって、真ん中にあるタイミングで送られてきたというものであります。
 これは総額約九千万円かけて、二十一年の四月まで、公立、私立合わせて三千五百三十四校、約七十七万冊が配布されたわけですけれども、この冊子は本当にそれぞれの学校で授業で活用されたのでしょうか。私は、十分に授業時間が確保できた公立学校は決して多くないのではないかというふうに思うんですけれども、教育長に伺いたいと思います。

○大原教育長 東京都教育委員会はこれまで、児童生徒がスポーツの実践とオリンピックの学習を行うことにより、心身ともに調和がとれ、平和な社会の実現に貢献できる態度を身につけられるよう、スポーツ教育を推進してまいりました。また、このたびの学習指導要領の改訂に伴い、オリンピックに関する学習を行うことが学習指導要領上、位置づけられたところでございます。
 こうした状況の中で、平成二十年九月にオリンピック学習読本が配布されたスポーツ教育推進校百二十三校におきましては、児童生徒が、この学習読本の活用により、スポーツすることの意義やフェアプレーなどの大切さを学ぶことができたところでございます。
 本年四月に、都内公立学校の小学校五年生、中学校一年生、高等学校一年生へのオリンピック学習読本の配布に伴いまして、東京都教育委員会は、区市町村教育委員会や都立学校長に対しまして、この補助教材を体育や社会科の授業、道徳や総合的な学習の時間など、正規の授業時間の中で活用するように通知をいたしました。
 そうした授業での工夫を示したことによりまして、現在に至るまで、公立学校に関していえば、東京都教育委員会に対して区市町村教育委員会や校長から、オリンピック学習読本を活用することが授業時数の関係で困難であるという意見は届いておりません。
 次に、利用状況等でございますが、最近行いましたオリンピック学習読本の活用状況に関する調査、これも公立についてでございますが、現在、都内の公立小中学校千九百十五校においては、既に活用した学校が千三百十二校、今後活用する予定の学校が四百五十八校、活用していない学校が百四十五校ございます。それから、三百六十二あります都立の学校におきましては、既に活用した学校が二百二十九、今後活用する予定の学校が四十八、活用していない学校が八十五あるという結果が出ております。
 今申しましたように、都内の公立学校の九〇%以上の学校においてはオリンピック学習読本が既に配布をされ、授業に活用されている一方で、一部の学校におきましては活用されていない状況がございますことから、今後、授業等さまざまな活動場面において、このオリンピック学習読本を活用するよう指導してまいる所存であります。

○伊藤委員 今のご答弁の中では、公立の小学校と中学校の統計でご答弁いただいたと思いますが、私は、局の方で出していただいた、都立の高校まで含めた公立小中高校を分母といたしましたこの活用状況を表にいたしました。(パネルを示す)
 全部で二千三百十七校、回答が寄せられているんですけれども、配布したというのは二千百五十校。一方で、一切配布していないというふうにお答えになられた学校が百二十七校もあります。全体の五・五%。これだけ多くの、まず配布をそもそもしていないという学校があること自体、私は、この学習読本に対する教育現場の冷ややかな思いというものがあるのではないかというふうに思います。
 それから、こちらは、このオリンピック学習読本を既に活用したというものと、まだ活用していない、それから、今後活用する予定だというふうに三つに分けさせていただきました。活用していない、そして今後も活用する予定がないというのは、全体の一〇・一%も占めています。それから、もう既にオリンピック招致レースは終わっているわけですけれども、これまでに活用していない、しかしこういうアンケートが来たのでということもあると思いますけれども、年度末までに活用するというふうにお答えになったのが二二・二%です。
 合わせると三二・三%の学校が、十月二日の招致レースまでの間にこの学習読本を使っていなかったということでありますから、私が先ほど指摘をさせていただいたとおり、今の学校教育現場に照らすと、この学習読本というのは実効性に欠けるものではなかったのかというふうに思い、これは教育現場でむだだと思われていたあかしではないかと思うんですけれども、招致本部長、改めて伺いたいと思います。

○荒川東京オリンピック・パラリンピック招致本部長 今、先生から、実態についてグラフ化したのでご説明がありましたけれども、確かに五%、一〇%といったところではそういう実態があるかもしれませんけれども、大部分の中では、やっぱりオリンピックに対する理解が進み、また、この読本を活用していただいていると。また、生徒あるいは教育現場からも賛同する意見が出ているというふうに思われますので、私としてはこの読本の成果はあったというふうに理解しております。

○伊藤委員 教育長にお伺いしたいんですけれども、先ほど、都として送った補助教材であるというふうに、通知したというふうにご答弁がありましたけれども、都として送った補助教材で、これほど今後も活用する予定がないというような回答があった例というのは、これまで、ほかの補助教材に照らしてあったのでしょうか。

○大原教育長 教材を学校現場に送って、利用率が低いのではないかというお話でございます。
 教材の利用率につきましては、通常は年度が終わった後、一年間かかってどうだったかということを調査するのが通例でございまして、今回に関しては半年過ぎたところでの調査ということで、そういう期間的な問題も若干あろうかと思います。
 それから、オリンピックという名前がついておりますので、十月の二日にオリンピック招致レースでリオデジャネイロが勝ちをおさめたということで影響を受けている可能性もあるかもしれません。
 いずれにしても、その実態については十分調べて、利用率が限りなく高まるように努力をしてまいる考えでございます。

○伊藤委員 質問に答えていただいていないんですね。こういうことが補助教材として今まであったのかなかったのかということですから、少なくとも一〇%の学校が今後も活用する予定がないということを、私は重たく受けとめていただきたいというふうに思います。
 次いで、区市町村との共同事業について伺いたいと思います。
 同事業は、オリンピックムーブメントを推進する目的で、平成二十年度、二十一年度に各市区町村に年間上限一千万円の委託金を支払うというもので、予算総額は十二億四千万円でありました。
 まず、同事業の位置づけですが、この事業の経費は、オリンピック招致経費百五十億円の中から当然支出されているということで間違いなかろうというふうに思います。
 そこで、私も視察に行ってきましたけれども、武蔵村山市で行われたデエダラまつりでございます。こちらは招致レースが終わった十月二日以降の十月二十四日に開催され、その中で、この事業からの委託金が充てられているというものでございます。十月二日以降の経費は招致経費に、私はこれは当然当たらないんじゃないかというふうに思うんですけれども、招致本部長のご見解を伺いたいと思います。

○荒川東京オリンピック・パラリンピック招致本部長 武蔵村山市の市民祭りでありますデエダラまつりに関連して共同推進事業を実施したことについてですが、まずこの共同推進事業といいますのは、先生、今お話しのとおり、オリンピック……(伊藤委員「当たったか、当たらなかったのかを答えてください、ちゃんと」と呼ぶ)はい、百五十億の中の一つでございます。
 この武蔵村山で行った市民祭りは、毎年十万人を超える市最大の事業でございまして、昨年度もこの大規模事業の中にオリンピックムーブメント事業の共同事業を組み込んで行いまして、大いに効果があったので、ぜひことしもこの事業の中で同時開催したいということが、武蔵村山市から強い申し出がありました。
 しかしながら、事業実施が十月二日のIOC総会後であるために、誤解を生じた面も否定できませんけれども、事業実施を市最大の事業にあわせてすることで、事業目的でございますオリンピズム普及啓発の効果が大きく期待できるということや、あるいは、ことしございますバンクーバーでの冬季オリンピックや多摩地域を中心としました東京国体への機運盛り上げにもつながる、こういうことも考えまして、事業目的に大きくたがうものではないということから、都としましては、この事業に限りまして、当初の予定どおり共同推進事業として認めたものでございます。ご理解をいただきたいと思います。

○伊藤委員 本当に限られた時間ですので、できるだけ簡潔にご答弁いただきたいんですね、私の質問はシンプルだったので。
 私は、この招致経費というのは、当然、東京が招致レースに勝ち抜くための経費ですから、この招致経費の中にオリンピズムの普及が含まれるなどという余裕も招致本部にはなかったんじゃないかと思います。スポーツ振興だとかオリンピズムの普及をやっている余裕が、あのレースの最中の東京都招致本部にあったとは思えませんので、これは都民の理解を得られるような支出じゃないというふうに、私は改めて指摘をしておきたいと思います。
 そして、これらの区市町村との共同事業における、いわゆるイベント出演者の出演料についても伺いたいと思います。
 これからお話しするのは中野区の例ですけれども、ことしの七月十九日に中野区では、Jリーガーと元なでしこジャパン選手を呼んでサッカー教室を行いました。総額は三百五十八万円ということでしたが、参加者は百一名です。つまり、子ども一人当たり三万円以上かかった計算になるんですけれども、費用の大半を占めるのが二人のアスリートに支払った謝礼金でありました。二人で百七十万円という謝礼金。私の選挙区の目黒区でも、ことし、体操の池谷選手が来て同事業を実施していますが、やはり高額な謝礼金が支払われておりました。
 しかし、参加者の皆さんは、こんなにも高額な謝礼金がそれぞれのアスリートに支払われているというふうには思っておりません。果たして、JOCの共催イベントや招致委員会主催のイベントでもこのような高額な謝礼金というものが支払われているのか伺いたいと思います。簡潔にお願いします。

○荒川東京オリンピック・パラリンピック招致本部長 先生、済みません、一言だけ。
 ちょっと誤解があるようですが、共同推進事業というのは、機運の盛り上げだけではなくて、ムーブメント事業というふうに位置づけがございますので、両方の目的を持っているということをまずご理解いただきたいと思います。
 それから、ただいまご質問のありました件でございますけれども、JOCや招致委員会などが主催するイベントの場合には、選手が所属する競技団体を通じることなどから、通常の出演料金よりは低い料金で出演いただいております。
 お話の中野区のイベントにつきましては、区民のために著名なサッカー選手二名を招くことを希望した事業でございまして、また拘束時間も十時から夕方の十六時までということで大変長く、その結果、出演料が比較的高くなっているということはございます。
 また、目黒区……(伊藤委員「聞いていません、そんなことは。今聞いているのは共催イベント等の謝礼金を聞いているんです」と呼ぶ)参加した区民から、トークショーはためになった、オリンピアンとのサッカー教室まで参加したいというような声が寄せられたというふうに聞いております。
〔伊藤委員「聞いていませんよ。委員長、聞いたことだけ答弁させてください。聞いていませんよ、こんなこと、中野のことも目黒のことも」と呼ぶ〕

○大塚委員長 理事者に申し上げます。
 質疑の答弁は、その質問の趣旨に従って答弁をお願いいたします。

○伊藤委員 JOCの共催イベントや招致委員会主催のイベントで高額な謝礼金を払っていたのかどうかを聞いたんです。それについてちゃんと答弁してください。

○荒川東京オリンピック・パラリンピック招致本部長 ただいま申し上げましたように、JOCや招致委員会などが主催するイベントの場合には、選手が所属する競技団体を通じることなどから、通常の出演料金よりは低い値段で出演いただいております。

○伊藤委員 通常の出演料金のことを伺っているので、そのことをもうちょっと具体的にいってもらいたかったんですが、私が聞くところ、車代程度、五万円から十万円で、JOCの共催イベントや招致委員会主催のイベントではご勘弁いただいたと、協力して出演してもらっていたというふうに伺っています。
 そういう意味では、区市町村への委託事業を含め、招致経費百五十億円から--私は特にこの区市町村の委託事業におけるウエートが大きいと思いますけれども、アスリートやタレントなどの出演者に支払われた謝礼金が高額に上るのではないかというふうに思うんですけれども、その総額というのは幾らになるのでしょうか、伺いたいと思います。

○荒川東京オリンピック・パラリンピック招致本部長 百五十億円から支払われました事業は、区市町村との共同事業と招致委員会の主催の事業の二つでございます。
 そこで、アスリートたちがグループで参加した場合に、そのグループを一つ、こういう換算の仕方もございまして、その場合も含めました出演者数は全体で七百十人・グループでございまして、総額は二億四千二百万円でございます。単純に割り返すと、一人・グループ当たり三十四万円でございますけれども、この中には、事業運営に係る経費ですとか、あるいは関係スタッフの経費、費用なども、さらには税金、交通費なども入っているということでございますので、ご理解いただきたいと思います。

○伊藤委員 私は、これは驚く金額だと思いますよ。ほとんどの都民の皆さんは、イベントに参加をされて、アスリートが来ていて、そこでこれほど多くの謝礼金が支払われているとは思わずにサッカー教室などに参加されているんだと思います。しかし、それを積み上げていくと、今答弁にあったとおり二億四千万円以上の総額になるというのは、私は都民の理解が得られないところだというふうに思っております。
 この五輪出場経験者などへの謝礼金が高額になっているんですけれども、先ほどの答弁にあったとおり、JOCの共催イベントなどでは五万円とか十万円程度で来てくださっているアスリートもたくさんいらっしゃいます。その場合は、当然JOCから、あるいは皆さんから協力要請をしているわけですけれども、この区市町村の事業においては、そういう要請がなかったから、これだけの高い謝礼金というものが支払われたというふうに思うんです。
 私は、今回、東京都として、区市町村事業においても、こうしたアスリートあるいは派遣元に対して協力要請を行って、安価な金額で来ていただくということをお願いするべきだったのではないかと思うのですが、招致本部長、いかがでしょうか。

○荒川東京オリンピック・パラリンピック招致本部長 JOCや招致委員会が主催する場合には、招致大使といったような公式の行事の中でやってもらうために、競技団体を、所属を通じてお願いしたということもございまして安く済んでおりますけれども、選手たちも生活がございますので、そういった場合には、通常の値段プラス、それに対していろいろ交渉しながら安く済ませてもらうというようなことでやってまいりました。

○伊藤委員 今のもちょっと答弁になっていないんですけれども、私は、東京都が正式に要請をすれば、オリンピックの招致イベントですから、心あるアスリートの方々などが安い金額でも協力してくれたんじゃないかと。ですから、私は、こういう要請というものを都としてちゃんと行うべきだったんじゃないかということを申し上げたわけでございます。
 目黒区の体操イベントのことについても伺いたいと思います。
 目黒区が元メダリストの池谷幸雄氏などを招いて体操競技を披露した体操フェスタですが、このイベントを受注したのは目黒区とは縁のない広告代理店でした。この契約に際して、区は同業他社から見積もりも一切とらずに、このK社というところに随意契約をしていますが、地方自治法に照らして、これは問題ない契約だったといえるのでしょうか、伺いたいと思います。

○荒川東京オリンピック・パラリンピック招致本部長 ただいまのイベントに出演した選手は、過去におきましても、みずから参加するイベントを実施する場合に、今お話のあった会社を使っておりまして、実際に民間企業の各種イベントにおいても、これまでの幾つかの実績がございます。このため目黒区におきましては、こうしたこれまでの実績を踏まえまして、体操設備を設置するノウハウや選手のスケジュール調整の確実性を重視しまして、当該イベントを安全かつ円滑に実施するために特命随意契約を結んだものでございまして、地方自治法上も適切であると認識しております。

○伊藤委員 今、適切だったというお話ですけれども、その先のお話をしたいと思います。
 目黒区が、仮にK社といっていますけれども、K社にイベントを委託したのは、財団法人日本体操協会からの紹介だったというふうに回答しました。さらによく調べてみますと、K社を目黒区に紹介したのは体操協会ではなく、池谷幸雄氏個人であり、池谷氏はK社の顧問的立場で、K社から成功報酬を受けている関係であると、K社の関係者が明らかにしました。
 つまり、紹介することで成功報酬または出演料が見込まれるイベントを、池谷氏は目黒区にあっせんしていたということですけれども、これも問題ない契約だというふうにいえるのでしょうか、招致本部長。

○荒川東京オリンピック・パラリンピック招致本部長 契約の特命理由あるいは契約の決裁等につきましては、目黒区の中で適切に処理されているというふうに思います。我々としましても、特命理由を、目黒区の文書を拝見しましたけれども、適切であるというふうに考えております。

○伊藤委員 私は、見積もり合わせも一切とらない一者との随意契約、そしてその出演者がまさに区にあっせんしていた、これだけ材料がそろっていれば、これが本当に正しい契約方法だったのかどうかということに対しては疑いが生じるというふうに思いますので、ぜひ招致本部の皆さんにおかれましては、目黒区の契約の経緯について、都として事情を聴取していただきたいというふうに思っています。
 次いで、都営バスのラッピングについて伺いたいと思います。
 都営バスラッピング広告は、さきの分科会質疑で私が質問させていただいたとおり、平成二十年の都営バス百台の車体を使ったラッピング広告の八千百万円分の仕事は入札が行われるべきで、必ずしも随意契約の必要はなかったというふうに私は指摘をしました。
 このバス広告というのは、招致本部が平成十九年と二十年の二度にわたって電通に随意契約した総額一億四千万円の仕事です。これに対して都は、デザイン管理の必要性から電通しかできないので、電通に随意契約したと答弁されていましたが、私は本当にこれが電通しかできなかった仕事なのかということについては疑いがございます。
 都営バスのラッピング広告というのは、事業者としてあらかじめ登録している業者以外、施工できない仕組みになっており、電通はこれに含まれておりませんでした。さきの決算委員会の答弁では、電通を委託事業者とすることが最も円滑な事業実施を可能にするものと答えていますけれども、実際には、電通とは別の会社がこのラッピングの制作、設置、撤去をしていたのではないかと思うんですけれども、この点について伺いたいと思います。

○荒川東京オリンピック・パラリンピック招致本部長 ただいまのバスラッピング、車体広告ですけれども、委託業務の内容は大きく分けまして、車体広告のデザイン作成と、そのデザインをフィルム化し車体に張りつけ、撤去する、こういう作業がございます。今回の契約は、車体広告のデザイン作成を主たる業務としておりまして、それを担当する電通を相手に締結したものでございます。
 実際の業務を行う場合は、業務を効率的かつ円滑に遂行するために業務の一部を再委託するかどうかは、契約書に基づき契約の相手方の判断、裁量において行うものでございまして、本件のフィルムの制作、設置、撤去の場合も、電通ではなく、再委託した専門の会社が行っております。
 その会社は、交通局のラッピング加工業者、車体広告加工業者に登録されている企業でございまして、屋外広告媒体やラッピングバス広告の企画、制作、販売を行っている業者でございます。

○伊藤委員 今、一部の業務を下請に出していたということでしたけれども、一部じゃないんですね。電通がデザイン管理をするとすれば、デザイン管理を除けば、制作、設置、撤去というのは、このラッピング広告でいえばほとんどの仕事ですよ。そのほとんどの仕事を、電通が随意契約で受けていながら、実は一者に丸投げをしていたということであります。丸投げをするなら、私は電通にその事業全部を特命随意契約する必要は全くないんじゃないかというふうに思います。
 詳しい方の説明だと、タレントさんの顔写真などを使うときは、ラッピング業者が作成した版下を電通に見せて顔色などのチェックを受けるのが通例ということですから、必ずしもデザイン管理をする会社が設置、撤去をする必要はないわけであります。
 ですから、デザイン管理を電通に任せることは妥当であったとしても、設置や撤去、制作などの仕事まで一括して電通に随意契約するのは妥当とはいえず、デザイン管理と切り離して入札にかけるべきだったのではないかというふうに思うんですけれども、招致本部長、いかがでしょうか。

○荒川東京オリンピック・パラリンピック招致本部長 先生、済みません。今、デザインの制作、作成は電通ではなく、電通は管理だけというふうにおっしゃいましたけれども、そうではなくて、デザインの作成、フィルムの作成そのものもまず電通が行いまして、その管理も電通が行う、これが契約の中の主たるものでございます。それをフィルム化することの制作は専門の業者ということでございます。
 今の入札にかけるべきではなかったかというお話でございますけれども、これまでも分科会も通じて何回かお話ししておりますが、マークの適切なデザイン管理、それから六月中にラッピング広告をしなければならなかったというような必要から、電通に一体的に委託することが最も円滑な事業実施を可能にするものでございまして、業務を一括して電通に随意契約することは妥当であったというふうに考えております。
 仮に、ラッピングの施工業者を切り離して契約した場合に、手続に要する期間は通常おおむね一カ月程度、案件によっては二カ月を超え、さらに準備からフィルムの張りつけまでにも必要な作成期間を要するために、六月中に、期間内にラッピングを完成させるという迅速な実施は実現できなかったと、こういうふうに考えております。

○伊藤委員 そこで、本当に一億四千万円の、二年分を合わせれば一億四千万円ですが、金額が妥当だったのかどうか。平成二十年だけでいえば八千百万円の百台です。これは、八千百万円で百台やるということは、一台当たり八十一万円です。これがそのときのデザインですけれども、これを一台八十一万円でやったのが果たして妥当な金額だったのでしょうか。
 実は、警視庁が最近発注したバス広告があります。これは、東急バス十台に同じフルカラーラッピングの広告の入札を行ったところ、落札価格は三百四十万円でした。つまり一台約三十四万円でできているんです。ですから私は、八十一万円かかっているこの契約そのものが、そもそも価格として妥当じゃないんじゃないかということを申し上げているんですけれども、今の話を聞いてどうでしょうか。できるだけ短く答えてください。

○荒川東京オリンピック・パラリンピック招致本部長 恐縮です。少し説明させてください。(伊藤委員「できるだけ短く答えてください。もう時間ありませんから。妥当か、妥当じゃないかだけ答えて。」と呼ぶ)
 ただいまの警視庁のような例があるということは認めますけれども、しかしながら、広告代理店やバス会社の一般的なラッピング広告の施工費用を調べてみますと、一台当たり六十万から百二十万でございまして、また特命契約当時におきましても、交通局に対しまして問い合わせしましたところ、デザインにもよるけれども、一般的には一台当たり六十万から百万程度であるとのことでございました。
 本件につきましては、事業実施の決定から一月、間もない間に--お話のような、今の警視庁の場合は十台であろうと思いますけれども、十台ではなくて、十八もの営業所に分散している百台の都営バスに一斉にラッピングを施工する必要があることから、通常のラッピング広告よりも多くの手間を要するということなどの特殊事情がございまして、なおかつ価格が一般的な相場の範囲内にあるために、妥当というふうに判断しております。

○伊藤委員 これが妥当なわけがないんです。いいですか。一台三十四万円でできたという入札があるんですよ。ですから、分割発注しておれば、百台ですから、その差額でいえば何千万という、二千万とか三千万というお金が浮いた可能性が大いにあるじゃありませんか。これを随意契約でやって、まして一者、電通とつながりのあるその会社が下請を全部受けている、一億四千万円の仕事ですよ、全部で。この一億四千万円の仕事、今、広告の業界においてはほとんど取れないということですから、業界の方にとってみればまさに垂涎ものの、今回のラッピング広告であったというふうに聞いています。
 ちなみに、警視庁が出した仕事はこちらのデザインです。これもフルラッピングと呼ばれる三面構造ですから、東京都が出されたこちらのラッピング構造と大差ありません。私にいわせると、どちらかというと警視庁の方が、顔写真が入っていたり、複雑なものではないかなというふうに思うぐらいです。
 ですから私は、このあり方というものが改めて見直されるべきではないですかということを申し上げているんですけれども、それでも招致本部長は、この価格が妥当だったと、相みつもとる必要がなかったと、こういうふうにお考えでしょうか。
 もう一つ、私は、これらのことが明らかになってまいりましたので、我々都議会民主党としても、今後、招致経費を徹底的に検証して、五輪招致の再挑戦の是非などを議論していきたいと思いますけれども、今までの議論だけでも、再検証が必要なことが幾つも出てきたというふうに思います。こうした検証作業が終わるまで、五輪の招致再挑戦の判断というのはとどめ置き、都民の意見を聞きながら、再挑戦の是非というものを議論するべきではないかというふうに私は思います。
 しかし、九日、知事から再挑戦の表明と受けとめられる発言がありました。これは、決算審議中である今、招致本部長は、知事と綿密な協議を経てのことなのでしょうか。そのことを最後にお伺いして、質問を終わります。

○荒川東京オリンピック・パラリンピック招致本部長 まず最初のラッピングのことでございますけれども、警視庁の例と比べまして、数、それから期間におきまして、やはり全然違うレベルのものでございます。しかも、オリンピック招致あるいはロゴマークを使うという、IOCから規制を受けている特殊な事情がございます。そういったことを勘案すると、今回の手続は妥当であるというふうに考えております。ましてや、その手続につきましても適切にやっておりまして、相みつをとる必要はなかったというふうに考えております。
 それから、知事の件でございますが、現在、二〇一六年オリンピック・パラリンピック競技大会の招致活動を総括する活動報告を鋭意作成中でございまして、知事に対しましては、今回の招致スケジュールを--今回といいますのは、二〇一六年の招致スケジュールでございます。これを前提に、二〇二〇年の開催都市決定までどういうスケジュールになるかというようなことを想定しまして、それを説明したことがございます。
 先日の知事発言は、今回の招致、まさに二〇一六年の招致と同様のスケジュールで進行するならば、必要な手続を踏んでおかないと立候補の可能性が全くなくなると、こういうふうに判断し、認識して、このような発言を行われたものというふうに認識をしております。

○大塚委員長 伊藤ゆう理事の発言は終わりました。
 宇田川聡史理事の発言を許します。

○宇田川委員 初めに、災害対策についてお伺いいたします。
 近年、世界的に大規模な水害が多発しておりまして、国内各地でも多くのとうとい命が犠牲となっております。首都東京で大規模水害が発生した場合、住民の生命、財産はもとより、あらゆる分野の社会活動に甚大な被害を及ぼすことになります。
 現在、国では、荒川や利根川の洪水対策について検討を行っているようですが、八都県市においては、八都県市広域防災プラン風水害編を策定し、都県境にある大河川の洪水にも備えて、広域で連携した取り組みを進めていると聞いております。
 そこで、大規模水害について、平成二十年度の取り組みと今後の対応について伺います。

○中田総務局長 荒川や利根川といった大河川がはんらんした場合、首都圏では広範囲にわたり浸水被害が発生することが予測されるため、避難体制の整備が極めて重要となります。
 このため、都が中心となりまして、八都県市広域防災プラン風水害編に基づきまして、昨年度、荒川流域をモデルといたしまして、関係自治体に国を加えました協議会を設置いたしました。その中で、流域自治体の緊急連絡網を整備したところでございます。さらに、大規模はんらんに備えました避難方法のあり方等につきまして検討を進めております。
 今後とも、都は、大規模水害から都民の生命、財産を守るため、国や八都県市による検討を踏まえながら、広域的な避難体制の整備やライフラインの維持、早期復旧など、必要な対策を講じてまいります。

○宇田川委員 我々東部低地帯に住む者にとって、水害対策はまさに生命線でありまして、一たび大河川のはんらんがあれば、多くの犠牲を強いられることになるわけでございます。近年の気候変動を考えればなおさらのことでありまして、自然の力は人知をはるかに超えたものであります。だからこそ、水害対策には、万全の上になお積み重ねが必要だと私は考えておりまして、むだなどという言葉は存在しないはずでございます。八ッ場ダムについて、そのむだなる冠がつけられておりますが、命を軽視したそんな考えではないかと、私は個人的に思っております。
 我々議員、そして行政が一番に重きを置くべきは、住民の生命と財産を守ることであります。そのことをいま一度しっかり認識すべきだと強く申し上げ、次の質問に移ります。
 公会計制度についてお伺いいたします。
 東京都は、平成十八年度から、官庁会計に複式簿記・発生主義会計の考え方を加えた新公会計制度を導入いたしました。今回の決算で三回目となり、本決算委員会の分科会でも各局別の財務諸表が提出されております。財務諸表の公表によって、これまでの官庁会計では把握できなかった土地建物などの資産や、都債などの負債といったストック情報や、減価償却費、引当金などを含めたフルコストが把握できるようになりまして、これまで以上に都民への説明責任を果たしてきたといえると思います。
 また、財務諸表や発生主義の考え方を施策の内容の検証に活用し、予算編成に反映するなど、効率的かつ効果的な行財政運営に向けた取り組みを進めてきているわけですが、導入の成果が得られるよう、今後もなお一層努力をしていただきたい、そう思っております。
 さて、公会計制度改革は、東京都だけでなく全国的な取り組みが必要であります。我が党はかねてから、都は地方自治体のリーダーとして、公会計制度改革の推進に取り組んでいくべきだと主張を重ねてまいりました。これを受け、都は、公会計制度改革推進の活動の一つとして、他の自治体に対し、それぞれの要望に応じて実務的、技術的助言を行うコンサルティング活動を実施していると聞いております。
 そこでまず、これまでどのようなコンサルティング活動を行ってきたのかをお尋ねいたします。

○新田会計管理局長 これまでのコンサルティング活動の状況についてでございますが、新たな公会計制度を導入した当初におきましては、本制度の概要や意義など、都の取り組みを全国に広く情報発信することを目的といたしまして、大規模な説明会を実施してきましたほか、検討を進めつつある自治体に対しまして、きめ細かな対応をするため、個別に説明会や相談会を行ってまいりました。
 このような説明会などを通しまして、これまで延べ千五百を超える自治体等に対し説明を行ってまいりましたが、さらに本格的な検討に入る自治体などにつきましては、その要望や状況に応じて個別のコンサルティング活動を実施しているところでございます。
 例えば、個別のコンサルティング活動といたしましては、新公会計制度導入に向けて検討会を設置している自治体に対し、その検討会にアドバイザーとして参加し、財産評価手法などの個別課題について、都の事例の紹介やノウハウの提供を行っている例もございます。また、大阪府の橋下知事から石原知事に対し、新公会計制度の導入に向け都の支援を受けたいとの依頼があり、現在、職員を約六カ月、大阪府に派遣し、制度構築の実務を支援しております。

○宇田川委員 今まさにご答弁があったように、東京都としては、導入に前向きな自治体に対してはさまざまなコンサルティング活動を行っている、こういうことでございます。しかし、実態としてはなかなか取り組みが進んでいかない、そんな自治体もあると伺っております。
 昨年の決算委員会においては、これまでノウハウがなく全く財務諸表を作成していない自治体に対して、都として何らかの支援をすべきであると我々は主張を繰り返してまいりました。これを受け、都は、東京都方式簡易版を提案し、相手自治体の状況に応じたノウハウの提供を積極的に行ってきたなど、さらなる取り組みを進めていると聞いております。
 そこで改めて、東京都方式簡易版というのはどのような内容で、どんな位置づけなのかをお伺いいたします。

○新田会計管理局長 総務省は現在、全国の自治体に対しまして、今年度中に財務諸表を作成、公表することを要請しておりますが、そうした中、都といたしましては、財務諸表作成のノウハウを持たない自治体に対しまして東京都方式簡易版の提案を行ってきております。
 この東京都方式簡易版とは、官庁会計決算統計のデータを組みかえることにより、都の財務諸表とほぼ同様の勘定科目体系を有する財務諸表を短時間に作成することが可能となるものでございまして、小規模な自治体でも容易に導入することのできるものでございます。また、簡易版に沿って財務諸表を作成することによりまして、将来的に都の新公会計制度を導入した場合に、同じ官庁会計体系の財務諸表として連続性が確保されることになります。このように、長期間にわたる財務状況の動向が可能となるなどのメリットがございます。
 東京都方式簡易版は、日々仕訳を行う本格的な複式簿記・発生主義会計の導入とはいえないものであり、あくまでも過渡的な取り組みとして位置づけられるものでございますが、最終的には都の新公会計制度の導入を促していくものと考えております。

○宇田川委員 東京都方式簡易版、各自治体にとって過渡的な取り組みであると、そういうことでございますが、東京都の新公会計制度の理解を得ていくため、また、いろいろな自治体の中でこれをしっかりと果たしていくために、一つの選択肢として普及活動に努められていることは高く評価をしているところでございます。
 東京都方式簡易版について、都の支援活動の状況、各自治体に対してどんな支援を行っているかをお伺いさせていただきます。

○新田会計管理局長 都内自治体について見ますと、本年四月の時点において、一部の小規模な自治体につきましては、ノウハウがないことなどから財務諸表の作成に着手できない状況がございました。都は、このような小規模な自治体に対しまして東京都方式簡易版を提案するとともに、過去の決算における償却資産の計上方法など、技術的に困難な処理について支援、助言等を行ってまいりました。
 その結果、現在、都内におきましては、島しょ部のすべてと多摩の一部の町村が東京都方式簡易版を活用し、財務諸表の作成に取り組んでおります。

○宇田川委員 これまで財務諸表作成の見通しが立たなかった小さな規模の自治体についても、簡易版の活用によって、今年度その作成に着手できたということは、まさに都が行ってきたコンサルティング活動の成果があらわれたものだと理解をしております。
 全国に先駆けて公会計制度改革に取り組んだ東京都は、全国の自治体の公会計制度改革そのものを強力に牽引していく責務があると私は考えます。そこで、地方自治体の公会計制度改革の推進に向け、各自治体に対する支援について、どのように今後取り組んでいくのかをお伺いいたします。

○新田会計管理局長 公会計制度改革は、理事ご指摘のとおり、資産、負債といったストック情報や減価償却費なども含むフルコストが把握可能となるものでございまして、これからの行政運営に経営の視点を一層取り入れていく重要な契機となり、自治体の経営そのものを変えるものと認識しております。
 こうした意味におきまして、地方自治が大きな転換点に差しかかっている現在、自治体が住民の期待にこたえ、行財政全般にわたる改革を進めていく上で、新たな公会計制度を導入することは避けて通れないものであるというぐあいに考えております。

○宇田川委員 先ほども申し上げたんですが、全国に先駆けて新公会計制度を導入した東京都は、地方自治体のリーダーとして、牽引役として取り組みをしていく必要があると思います。今後も、積極的に他の自治体への支援やさまざまな形での普及活動を行う等々、公会計制度改革の推進にぜひとも寄与していただきたい。このことを要望いたしまして、質問を終わります。

○大塚委員長 宇田川聡史理事の発言は終わりました。
 次に、尾崎大介委員の発言を許します。

○尾崎委員 私からは、都営住宅の利活用について、本年九月にオープンした、新宿の角筈アパートの跡地の住宅展示場について関連して何点かお伺いしたいと思います。
 都の財産利活用の基本的な方針であります、平成十九年六月につくられた今後の財産利活用の指針、環境変化に対応した新たな利活用において、都有地の貸付条件として、民間の力を生かした施策連動型の財産利活用の推進とうたっておりまして、また、収益の確保と同時に施策の実現を図る手法を導入とも述べております。
 都民の財産である都有地が都民のために利用されることは当然のことでありまして、単なる財政政策上の有効活用だけを考えて、ましてや、施策連動という形で東京都が限られた民間事業者だけを支援するということはあってはならないと私は考えるものであります。
 今回の角筈アパートの跡地利用については、私がさきに述べた利活用がされているものと東京都は考えていらっしゃるのでしょうけれども、その施策の選び方については、私は疑問を抱かざるを得ないわけであります。
 この用地を所管して、今回の住宅展示場の貸し付けを行っている都市整備局からは、ここで実現を目指した都の施策とは、環境配慮はもちろんのこと、耐震性の確保やバリアフリー、また緑化の推進等、盛りだくさんと聞いているわけでありますけれども、都民全体の財産である都有地を使っての展示場なわけでありますから、もっと東京の地域性や最近の社会経済の状況等を踏まえた都の施策が盛り込まれてよかったのではないかというのが私の率直な感想であります。
 というのも、二〇〇八年一月の報道資料等によりますと、当該地の貸し付けによる想定収入を一億円、これは年額賃料であります。この都との契約者であるファジー・アド・オフィスという会社が、出展者であるハウスメーカーと契約をするわけでありますけれども、この契約料というのは都の方でも認識をしていないということで、私もこれは今後また調べていきたいと思うんですけれども、民間に都有地を貸したので、貸した後は民間の自由という、この論理がまかり通ってしまえば、これは単なる又貸しビジネスになりかねないわけであります。やはり都の施策がしっかりと連動されているのかを今後分析していくことが、私は都有地を貸し出す際の最低限のラインだと考えます。
 そこで聞きますけれども、住宅展示場以外の活用策で一億円以上の収入が見込める、もっと財政効果的な利用策というのはなかったのかどうか、お伺いいたします。

○河島都市整備局長 お話のございました都有地につきましては、地域のまちづくりに活用するため、地元区等の意向も確認しながら、整備の方向について検討を進めてまいりましたが、具体的な活用策が定まるまでにはしばらく時間を要する見込みでありますことから、当面五年程度の暫定利用を図ることとしたものでございます。
 暫定利用に当たっては、都が行う施策と連動した貸し付けを行うこととした上で、地元区等の意向も踏まえつつ、短期的な利用の中での事業性の確保などを考慮いたしまして、住宅展示場として利用を行うことといたしました。
 また、貸付料につきましては、東京都公有財産規則にのっとり適正に算出した額を上回る収入を得てございまして、適切と考えております。

○尾崎委員 そうはいっても、この施策を連動するという観点からいえば、私は、この契約の上でもっと細かい数値を盛り込んでいくということも考えられたと思うんですね。
 例えば、今の時代はエコだとか環境だとかいわれている時代で、行政のさまざまな補助金や免税などの特典があるわけであります。この住宅展示場のような環境配慮住宅には非常にこれが追い風になっていると考えます。
 この展示場の目玉は、ほとんどのモデルハウスに設置された太陽光発電システムということなわけでありますけれども、太陽光発電については、さまざまな補助制度や家庭で発電した電力の買い取り制度、こうした開始もありまして、今後急速に普及することが考えられるわけであります。この展示場が環境配慮型の住宅展示場を標榜するのであれば、太陽光発電以外にもさまざまな再生可能エネルギーの普及を図るべきだと私は考えます。
 今回の貸し付けに当たっては、太陽光発電などの再生可能エネルギーの導入が貸付条件となっているわけですけれども、それ以外にも新しい再生エネルギーの導入などは考えられなかったのか、お伺いしたいと思います。

○河島都市整備局長 この土地につきましては、地球温暖化対策等の環境施策と連動した貸し付けを行うことといたしまして、今お話のございました太陽光発電設備のほかにも、太陽熱利用機器等、再生可能エネルギー設備を備えた住宅の展示、さらには、住宅の断熱性能を高めることによる省エネルギー性能の確保などを条件としております。
 また、ハウスメーカー等が自主的に、太陽光発電以外の新たな家庭用のエネルギー設備といたしまして、例えば燃料電池を設置するなど、環境配慮型住宅展示場にふさわしい取り組みを行っておるところでございます。

○尾崎委員 都有地を使った省エネ対応の住宅展示場としてだけでは利活用の根拠には乏しいと、私は先ほどから申しておるわけでありまして、ましてや、この展示場に出展をしているハウスメーカーは日本を代表する大手メーカーばかりであります。その上、このオープニングセレモニーには都市整備局や産業労働局が出席をして、都有地を使った展示場のモデルハウスであると聞けば、一般都民の感覚として、これは東京都が推奨するモデルハウスなのかと、さらには、ここに出展しているメーカーが東京都のお勧めなのかと、こうした感覚を抱いたとしても、これは無理からぬことだと思うんです。結果的に、東京都がこの都有地を提供して大手ハウスメーカーの住宅宣伝をしているといわれても仕方がないことだと思います。
 ちなみに、このハウスメーカーが宣伝をしているモデルハウスの購入平均額でありますけれども、これはおよそ五千万を超えるものでありますから、平均で坪単価百万円から百二十万円ということになるわけであります。ちなみに、一般都民が住宅を購入する際に利用する住宅金融公庫での融資額というのは、東京都の坪単価で約七十万円でありますから、私はやっぱり都民感覚から見ても、このモデルハウスが都民の望む住宅価格とは大きくかけ離れているのではないかと思わざるを得ないわけであります。
 一方で、都内の中小企業の業況というのは依然厳しい水準で推移しているわけで、中小工務店は、こうした不況の中でも本当にありとあらゆる知恵を振り絞って、自社製品のPRや、あるいは販路拡大の機会を待ち望んでいるわけであります。そのための機会を提供するのも、行政の役割として当たり前のことだと私は思うわけでありまして、そういう中で、単に省エネ対応の展示場としてだけでは、結果的に、都有地という都民の財産を使った大手ハウスメーカーの宣伝ともとられかねない。例えば貸付期間中のリフォームフェアだとか、あるいは多摩産材フェアなど、都民ニーズにこたえた取り組みをさらに推進すべきではないかと私は思いますが、見解をお伺いいたします。

○河島都市整備局長 この展示場では、先ほどお話を申し上げました環境配慮型住宅の展示に加えまして、長寿命住宅や太陽光発電補助制度をテーマとするセミナーの開催などにより、来場された都民や、大手から中小までさまざまな規模の住宅事業者に対し、広く都の施策の普及啓発を行っております。
 また、展示場来場者に多摩産材を使用した展示場センターハウスを実際に見ていただくとともに、パンフレットを配布することなどによりまして、多摩産材の利用促進を図っております。
 今後も、こうした取り組みを通じまして環境配慮型住宅の普及促進に取り組んでまいります。

○尾崎委員 ぜひこれは、こうした大手ハウスメーカーだけでなく、そうした中小工務店に機会を与えるとともに、そうした多摩産材の利用拡大なども僕はやってもらいたいと思います。
 というのも、この契約者であるファジー・アド・オフィス、これは平成二十年度の多摩産材利用拡大事業の決定事業者にもなっているわけです。上限額八百万のこの助成金が、この都有地を貸し出す際にもう既に交付をされているわけです。この展示場は、私も見に行きまして、今、局長からお話のあったセンターハウス、多摩産材を使ってのセンターハウスがつくってあるんですけれども、これは本当に八百万の助成金をもらって、申しわけ程度につくってあるようにしか私は見えなかったんですね。
 これはもう都の施策連動とはいいがたいものがあるわけでありまして、これは冒頭申し上げましたけれども、この契約条件の中にこうした多摩産材の活用などを盛り込んでいけば、契約した上に補助金を交付するなどということはなかったんだと、私はこう思うわけであります。
 今後は、こうした観点からも、この都有地の利活用については、ぜひこれは慎重に行っていってもらいたいと思うとともに、片方で、これは全部僕は否定するわけじゃなくて、例えば東村山市で行われているプロジェクト、東村山本町プロジェクトというのがありますけれども、これはもう本当に地産地消型のすぐれたプロジェクトでありますから、ぜひこうしたプロジェクトのように、都の施策のさまざまな局面において中小企業の活性化につながる取り組みがなされるよう強く要望して、次の質問に移ります。
 昨今の景気不況によりまして、日本全体の経済状況はさることながら、首都東京でも、その経済状況の悪化は著しく進んでおります。
 先般、厚労省が日本の貧困率は二〇〇七年の時点で一五・七%と発表しましたが、これは生活の苦しさを示す指標というよりも、国内の経済格差を見る指標でありますから、相対的貧困率は、これは三年前から拡大をしているわけであります。つまり経済格差がどんどんと拡大をしているわけで、昨今では、これが派遣村だとか、そうしたさまざまな社会問題を生み出し、経済的弱者に多くの影響を及ぼしております。
 そこで、まず最初に、経済も人口も集中しているこの東京においてさまざまな対策を立てていくには、東京都の貧困率というものも試算することは可能だと考えるんですが、お伺いいたします。

○安藤福祉保健局長 お話の貧困率とは相対的貧困率でありまして、国民一人一人の所得、これは等価可処分所得といわれておりますが、この所得を順に並べまして、真ん中の金額を割り出して、その額の半分に満たない人の割合がどのくらいかを示す指標であります。
 国が今回発表いたしました相対的貧困率の統計データにつきまして、東京都分だけを入手することができるかどうか国に照会しましたところ、提供は困難であるという回答でございました。
 他方、福祉保健局では、毎年、東京都福祉保健基礎調査を実施し、その一環として、五年ごとに都内一般世帯の収入データを調査しております。しかし、本調査では、相対的貧困率を算出するための可処分所得のデータは把握をしておりません。したがいまして、東京都民を対象とした相対的貧困率というものの算出は現時点では困難でございます。

○尾崎委員 別に僕は貧困率という言葉にこだわっているわけではありませんで、この貧困率というのはあくまで指標ですから、それに近いデータがあれば私はいいと思います。
 この近いデータの把握というのは東京都はしているのか、あるいは、このデータを把握することで、さまざまな対策を立てていくことが可能だと考えますが、いかがでしょうか。

○安藤福祉保健局長 ただいま申し上げました当局の調査では、直近の平成十八年度でございますが、年間の世帯の収入が百万円未満の世帯が全世帯に占める割合は四・一%、二百万円未満の世帯の割合は一四・二%となっております。こうした基礎調査を継続的に実施いたしまして、幅広く活用してまいりたいと思います。

○尾崎委員 今のご答弁で、年間の世帯収入が百万円未満の世帯が全世帯に占める割合は四・一%、二百万円未満世帯の割合は一四・二%という話でしたが、恐らく都民の貧困率というのは、この間にこのゾーンが存在するんだと推測されるわけであります。
 なぜ私はこういうことを聞くかといえば、この世帯の貧困は、就労ができず、十分な収入が得られないことがその背景にあるわけであります。こうした人たちをターゲットにした、まさしく弱者をねらい撃ちにしたさまざまなものは、これは昨今話題にもなりましたけど、おれおれ詐欺にも見られるように、これは手をかえて、品をかえて、本当に次々と出てくるわけであります。
 これは今、貧困ビジネスともいわれるものでありまして、法の抜け道を駆使して事業としてしっかりと成り立ってしまって、この貧困ビジネスによる被害者は増大しております。その内容も、悪徳人材派遣会社のような雇用にかかわるものから、住民票登録ができるインターネットカフェ、また借金返済の弱みにつけ込んだ多重債務者過払い金ビジネスなど、これは多岐にわたっております。
 最近では、敷金礼金をゼロでとうたって、部屋のかぎのみを貸与することによって、借地借家法にとらわれない、まさしく法の抜け道を突いたゼロゼロ物件の被害に遭った方たちが後を絶たないとも聞いております。ゼロゼロ物件にあわせて、家賃を滞納したら貸し主にかわって取り立てる家賃保証会社、また、強引な手法でこの退去を迫る追い出し屋など、本当にこれは枚挙にいとまがないくらいであります。
 こうした事業は法の目をくぐっていることから、夜討ち朝駆けの取り立ては日常茶飯事で、ドアに張り紙をされたり、あるいは取り立てに来たら訪問料を請求されたり、さらには、出ていけだとかという弔電を送られたり、さながら本当に一昔前のサラ金の取り立てをほうふつとさせるようなことが現実に起こっているわけであります。
 この東京都への相談件数も、平成十六年度から右肩上がりでふえていると聞いております。今現在こうした行為を規制する法律がないわけでありまして、これは今、業界の自主ルールにゆだねられていることから、これはやっぱり本格的に動かなくちゃいけないということで、国の方でも、先日、前原国土交通大臣が規制する新法を検討し始めたと報道をされたばかりであります。
 こうした社会問題について、都には直接担当する部署がないと聞いておりますけれども、都民からは消費生活総合センター等に相談が寄せられているんだと思うんですね。この消費生活行政の観点から、ゼロゼロ物件についてどのように把握しているのか、お伺いいたします。

○秋山生活文化スポーツ局長 いわゆるゼロゼロ物件でございますけれども、敷金礼金を要しない賃貸借物件であるということでございますが、ゼロゼロ物件そのものに問題があるわけではなくて、家賃滞納時の取り立てに、例えば入居者に無断でかぎを交換するなどの問題があったものという認識をしております。
 実態の把握についてでございますけれども、消費生活総合センターへの相談案件を通じて、被害者、消費者被害が生じていないかを把握し、個別に適切に対応しているところでございますが、消費生活総合センターには、ゼロゼロ物件というよりも、ご質問の中にありました家賃保証会社に関する相談が多く来ているという現状にございます。
 なお、最近の特徴といたしましては、家賃保証会社の倒産に伴う相談などが目立っている状況にございます。

○尾崎委員 じゃ、こうした全般の消費者トラブルについて、都はどのような取り組みをしてきたのか、お伺いいたします。

○秋山生活文化スポーツ局長 消費生活総合センターへの個別の事案の相談などについて適切に対応してきたというような実態にございますが、例えば東京でゼロゼロ物件でマスコミ等で話題になった会社につきましては、消費生活条例第八条によりまして、都民の方から、実態を調査して必要な措置をとるよう申し出がございましたので、現地調査などを行い、実態を把握して、適切な対応を行ったところでございます。
 また、その過程で、ゼロゼロ物件以外に、家賃保証会社につきましても、入居者に無断でかぎを交換するなどの違法な行為、こういったものが数多く相談として寄せられているという実態がございまして、それの調査に乗り出しました。
 これはいわゆるすき間事案といわれるもので、なかなか対応が難しかったのですが、関係局でございます都市整備局と特別対策班を設置いたしまして、家賃保証会社の関係団体に改善を要請いたしまして、結果といたしまして、業界の中で適正な自主ルールを制定するといった効果も上げてございます。

○尾崎委員 今後、じゃ、どのような対応をしていくのか、お伺いしたいと思います。

○河島都市整備局長 現在、ゼロゼロ物件の貸し主と同様なトラブルを引き起こした一部の家賃保証会社等の問題を踏まえまして、国土交通省は、都も臨時委員として参画しております社会資本整備審議会におきまして、家賃保証業務等の適正化について検討しております。
 都としては、こうした国の動向も注視しつつ、当面、これらの事業者に対する指導等が可能な消費生活条例を所管しております生活文化スポーツ局と私ども都市整備局とが連携いたしまして、適切な対応を図ってまいりたいと考えております。

○尾崎委員 これは国の方でも早急に対応している問題でありますから、ぜひ東京都の方も迅速に対応していただきたいと思います。
 今、生活文化スポーツ局長と都市整備局長がこの件ついてばらばらに答弁されたんですけれども、委員会の場ですからいいですけれども、都民にしてみれば、どんな事案でも相談に来るのは東京都に相談する、あるいは消費生活総合センターに相談するという感覚で相談をしているわけでありますから、これはやっぱり全庁的にチームを組んで、この問題には取り組んでいただきたいということを要望いたします。
 続きまして、同じくこうした貧困ビジネスの中で、厚生労働省は十月二十日に、無料低額宿泊施設等のあり方に関する検討チームというものを設置いたしました。この無料低額宿泊施設を利用する、この貧困ビジネスも今社会問題化しております。
 これは、生活保護の受給者あるいは受給を受けようとする人たちは、いうまでもなく住民登録が必要なわけでありまして、住まいを持たない人たちはこれを受給することができないわけであります。ここに目をつけて、例えば借金の返済にこの生活保護の受給金をあてがうために、貸金業者が無料宿泊所に債務者を一手に集めて、住民登録をさせた上で受給できる権利をつくる。これはすべての無料宿泊所でそういうことが行われているとはいいませんけれども、こうした返済方法がまかり通ってしまっている現実があるわけであります。
 先ほども申し上げましたけれども、厚労省ではこの検討チームを設置いたしましたが、都としては、この国の検討を見守りながらも、積極的に本件に取り組む必要があると私は思うんですが、いかがでしょうか。

○安藤福祉保健局長 無料低額宿泊施設の設置につきましては、東京都は平成十一年に、全国に先駆けまして、宿泊所の届け出に関するガイドラインを制定いたしました。
 その後、平成十五年には、宿泊所設置運営指導指針として強化をいたしまして、利用者の処遇向上や経営の透明性の確保など、事業者を指導しております。
 国では、お話のように、無料低額宿泊施設等に関し、検討チームで法規制や金銭管理のあり方などについて検討していると伺っております。
 都としては、事業者に対しまして引き続き都の指導指針に沿った運営指導を行うとともに、国の検討状況を見ながら、適切に対応してまいります。

○尾崎委員 先ほども申し上げましたけれども、国レベルでは、これはもう本年九月一日から、消費者庁及び消費者委員会が設置されまして活動が始められております。これは産業育成省庁による縦割り行政を改めて、行政全体が消費者目線の行政へと転換していくための重要な取り組みの第一歩として、消費者問題に取り組む人たちが長年にわたり希望をしてきたことでもあるわけであります。
 しかし、国レベルでのこれらの組織を消費者のために真に機能させていくためには、地方におけるこの行政も変わっていくことが必要不可欠だと考えます。
 先ほどの貧困率の話もさることながら、経済が集中するこの首都東京が、やはりそうしたいろいろなこれから出てくるさまざまな案件に対して迅速に対応するとともに、また、そうした情報や、あるいは意見というものをいち早く集約をして、一致団結して取り組んでもらいたいということを最後に要望いたしまして、質問を終わりたいと思います。

○大塚委員長 尾崎大介委員の発言は終わりました。
 次に、小磯善彦副委員長の発言を許します。

○小磯委員 初めに、新公会計制度についてお伺いいたします。
 先ほど宇田川理事からも、公会計制度についてのご質問がございました。私も、視点を変えまして、公会計制度のいわゆる標準化について質問をしたいと思っております。
 この新公会計制度につきましては、我が党が提案をして、そして石原都知事が決断をされまして、複式簿記・発生主義会計の考え方を取り入れた新たな公会計制度を導入したわけでございます。まさに全国に先駆けての導入となったわけでございます。
 一方、全国の状況を見ますと、本来であれば、全国標準となる会計基準がまず整備をされ、それに基づき各自治体が財務諸表の作成に取り組むべきところでございますが、実際には、総務省は考え方が異なる二つの公会計モデルを示して財務諸表の作成を要請しているため、全国の自治体が困惑をしているというのが現状でございます。
 地方自治体が公会計制度改革を進め行財政運営に活用していく上で、財務諸表を他の自治体などと比較する必要があると思いますが、比較の際には、全国標準となる会計基準で作成された財務諸表でなければなりません。
 そこで、公会計における会計基準の標準化に向けた動きについて、現在の状況がどうなっているのか、お伺いいたします。

○新田会計管理局長 ご指摘のように、現在、我が国では、全国の標準となる会計基準が整備されていない状況にございますが、総務省は全国の自治体に対し、平成二十一年度中に財務諸表を作成するよう要請する中で、お話のように、総務省方式改訂モデルと基準モデルという二つの公会計モデルを提示しております。
 このうち総務省方式改訂モデルは、官庁会計決算を手作業で再計算して組みかえるものでございまして、日々仕訳方式による本格的な複式簿記とはいいがたいものであります。
 もう一方の基準モデルは、非常に独特の考え方に基づいており、難解で実務的にも対応が難しいものとなっております。
 加えまして、この二つの公会計モデルは、ともに地方自治体の意見を反映したものではなく、また、国際公会計基準とも大きく異なるため、両者とも、今後全国標準たる会計基準にはなり得ないものと考えております。
 このように、総務省は二つの公会計モデルを提示したものの、会計基準の整備自体にはいまだ着手していない状況にございます。

○小磯委員 全国標準となる会計基準の整備が急務でございますが、この標準となる会計基準を整備するに当たっては、国際基準という視点が重要であると考えます。
 昨今、新聞紙上でも報道されておりますが、民間企業の会計基準については国際基準に合わせていくような流れとなっており、公会計においてもこのような国際化の流れを無視するわけにはまいりません。
 今の答弁の中にも、総務省の二つのモデルは国際公会計基準と大きく異なるという点にも触れられておりました。
 そこで、国際公会計基準とは何なのか、また、総務省が提示している二つの公会計モデルと国際公会計基準とはどのような点が異なるのか、具体的な例を示していただきたいと思います。

○新田会計管理局長 まず、国際公会計基準についてでございますが、これは民間部門に適用される国際的な会計基準をベースにいたしまして、公的部門特有の要素を考慮して定められた会計基準でございます。世界約百二十カ国の会計士協会が加盟する国際会計士連盟において策定されたものでございます。欧米の先進国はもとより、途上国やOECDなど、多くの国や国際機関でも順次採用され、国連においても来年には全面採用される予定と伺っております。
 次に、総務省の二つの公会計モデルと国際公会計基準との違いでございます。
 具体的な例としては、税収の取り扱いが挙げられるわけでございます。国際公会計基準におきましては、税収をその年度の収益として行政コスト計算書に計上することとなっておりますが、総務省モデルでは、税収は住民からの拠出、つまり出資と同様に考え、その年度の収益には当たらないとし、行政コスト計算書ではなく純資産変動計算書に計上しているという違いがございます。
 なお、都の会計基準は国際公会計基準と同じ考え方を採用しておりまして、また、会計の専門家である日本公認会計士協会の提言におきましても同様の考え方が示されております。

○小磯委員 ただいまの答弁で、行政コスト計算書における税収の取り扱いに違いがあるということでございましたが、これは大変大きなことだというふうに考えております。
 一つの例として、都の行政コスト計算書の当期収支差額は、その年度の税収を含むすべての収入と、行政サービスの提供に要した費用の差額であり、都民のサービスの受益と負担のバランスをあらわしております。
 今回都議会に提出された一般会計の平成二十年度決算を見ますと、当期収支差額として約一兆円の黒字が計上されております。このことからは、現在の世代が受益に対して十分な負担をしており、さらに、この一兆円は社会資本などの整備、また都債の償還などに充てているということがわかるわけでございます。もし逆に当期収支差額が赤字であれば、現役世代の負担を将来に先送りしているか、過去の資産を取り崩しているということになるわけであります。このようなことは、税収を行政コスト計算書に計上している都の方式では容易に読み取れるわけでございますが、総務省のモデルではそれができません。
 我が党はこれまでも、会計基準の全国標準化が必要だと主張してまいりましたが、標準化に当たっては、国際基準や都民にわかりやすいものという視点を考慮して整備していく必要があります。
 会計基準の全国標準化に向けては、我が国だけが国際公会計基準からかけ離れた特殊な基準をとったまま年々決算を積み重ねるようなことがないよう、早期の対応が望まれます。
 最後に、都は今後、会計基準の標準化の推進に向けてどのように取り組んでいくのか、お伺いいたします。

○新田会計管理局長 副委員長ご指摘のとおり、公会計制度の改革が自治体経営に資するものとなるためには、会計基準の全国標準化は急務であると認識しており、都はこれまでも、国への提案要求や全国知事会などにおいて会計基準の標準化を国に働きかけてまいりました。
 都としましては、総務省の要請により今年度中に全国自治体が財務諸表を作成することとなるこの機会をとらえ、行政だけでなく日本公認会計士協会などの民間団体とも議論を深め、会計基準の全国標準化に向けて一層の取り組みを進めてまいります。
 また、その際には、国際公会計基準に準拠した都の新公会計制度の考え方を取り入れるよう、積極的に働きかけていく考えでございます。

○小磯委員 続きまして、医療と福祉についてお伺いしたいと思います。
 まず初めに、病院経営本部、公社病院について何点かお伺いしたいと思います。
 公社病院は、都が出資をしている財団法人東京都保健医療公社が運営する病院でございまして、平成二十年度においては五つの病院と一検診センターを運営し、地域医療のシステム化に努めております。しかし、昨今の病院運営を取り巻く環境は大変厳しく、このことは公社病院においても例外ではなく、小児科や産科、麻酔科など、一部の診療科においては、医師の確保、また看護師の確保にも大変苦労をされていると聞いております。
 そこで、公社病院において平成二十年度の医師、看護要員の充足状況はどうであったのか、またその要因をどのように認識をしているのか、お伺いしたいと思います。

○中井病院経営本部長 公社五病院の平成二十年四月一日時点の充足状況について申し上げますと、東部地域病院、大久保病院においては、医師、看護要員ともに必要人員を確保しておりますが、荏原病院においては看護要員が、また多摩南部地域病院、多摩北部医療センターにおいては、医師、看護要員のいずれもが欠員の状況にありました。
 なお、多摩北部医療センターの看護要員は、現在は欠員を解消し、必要な人員を確保しているところでございます。
 また、こうした欠員の要因でございますが、医師については、平成十六年度から開始された新臨床研修医制度の影響を受けた大学医局での医師不足や、若手医師を中心とした診療科医師の偏在、また看護要員については、十八年度から導入された七対一の新看護基準による一部病院への看護師の集中などが、従来からの慢性的な医師、看護師不足にさらに拍車をかけ、公社病院の人材確保を一層難しい状況にしていると考えております。

○小磯委員 医師不足、看護師不足は全国的にいわれてきていることでございますが、公社が運営する病院においても、医師、看護師の充足状況が大変厳しい状況であることがわかりました。
 新臨床研修医制度や、また看護配置基準の見直しなどが医師、看護師の人材確保に大きく影響しているとのことでございますが、特に私の地元である多摩南部地域病院においては、とりわけ医師、看護師の充足状況が厳しい状況にございます。
 多摩南部地域病院の医師でございますが、定数四十二に対して、二十一年度現在では三十三名ということでございます。また看護師につきましては、現在定数が百八十七に対して現員は百四十九名ということで、医師も看護師も八割を切る充足率でございます。
 また、三百床あるわけでございますが、二病棟休止しておりまして、現在二百十床で運営しております。そして、休止中の病棟は、6東、5西の二つの病棟ということでございます。救急を除き、小児科、婦人科が外来診療のみの状況ということであります。
 また、救急車の受け入れ実績等につきましても、休日・全夜間を導入した平成十一年度で百あったところが、現在は七十二、また小児科においては、平成十一年度を百とすると平成二十年度は四十六ということで、医師、看護師不足がこの多摩南部地域病院の現状として大変顕著にあらわれているわけでございます。
 もともと多摩南部地域病院におきましては、この医療圏が医師不足、また病床不足ということで、地域の要望に基づいて開設された病院でございます。そういった意味では、本当にこの多摩南部地域病院の充実についてはひとしお頑張っていただきたいという思いでございます。
 そこで、多摩南部地域病院においては、医師、看護師の確保やその改善に向けてどう取り組んできたのか、お伺いしたいと思います。

○中井病院経営本部長 先生ご指摘のとおり、現在のところ多摩南部地域病院は、厳しい医師、看護師の不足状況にあるわけでございますが、こういった中で、まず医師確保の取り組みについては、病院や公社事務局の幹部による大学医局への粘り強い働きかけを継続的に行ってきたことに加え、給与面でも、平成十九年度に宿日直手当の増額、二十一年度には初任給調整手当の新設などの改善を実施してきております。
 また、あわせて人材育成の面でも、二十年度から開講している東京医師アカデミーに参画するなど、若手医師の育成に取り組み、将来の人材確保につなげる努力を行っているところであります。
 また、看護師確保の取り組みでは、病院の幹部看護師による看護学校訪問のほか、病院での独自採用の拡大、面接を重視した採用試験の実施、看護学生の夏休み等を利用したインターンシップでの学生受け入れなどを実施するとともに、二十一年度には看護人材確保特命担当課長を配置するなど、採用に向けた多様な取り組みを行っております。
 さらに、夕刻から翌朝までを通して通しで勤務する二交代制の導入拡大や育児短時間勤務制度の導入など、より働きやすい勤務環境づくりを推進し、看護師の定着にも組織を挙げて努力しているところでございます。

○小磯委員 こうした医師不足、看護要員不足に対応していくためには、医療従事者への処遇改善や育成への取り組み、働きやすい環境づくりを推進することはもちろん必要でございますが、公社病院そのものが、地域の中核病院として魅力ある病院づくりを行っていく必要がございます。
 多摩南部地域病院において、これまで、地域の中核病院として魅力ある病院づくりにどう取り組んできたのか、お伺いいたします。

○中井病院経営本部長 多摩南部地域病院においては、平成十八年三月から女性専用外来を実施してきたほか、二十年十一月からは泌尿器科や脳神経外科などの診療領域でセカンドオピニオン外来を開始し、地域の医療需要を踏まえた特色ある医療の提供に努めております。
 また、地域の中核病院として、診療所等との機能分担を図りながら、紹介予約制を推進するとともに、周辺の大学病院やリハビリ病院と連携し、十八年十月からは大腿骨頸部骨折、二十年度からは胃瘻の地域連携クリニカルパスの運用を開始するなど、地域医療連携の新たなシステムづくりに取り組んでおり、患者さんの症状に応じた切れ目のない医療の提供にも努めているところでございます。

○小磯委員 多摩南部地域病院におきましては、これまでの紹介予約制中心の医療連携から、地域連携クリニカルパスの運用を通じた、これまで以上に着実に地域に根差した中核病院としての取り組みを進めていることは確認できたと思っております。
 多摩南部地域病院を初めとした公社病院が、医療人材を安定的に確保し、魅力ある病院づくりを進めていくためには、病院経営本部の指導、支援が不可欠と考えます。公社病院の魅力あふれる病院づくりと医療人材の安定的な確保に向けたさらなる今後の取り組みについてお伺いいたします。

○中井病院経営本部長 ご指摘のとおり、多摩南部地域病院のような地域中核的医療機関にとって、医師や看護師を初めとした優秀な医療人材を確保することや、地域から親しまれ信頼される魅力あふれる病院づくりを行っていくことは極めて重要なことであります。
 このため、医師については、東京医師アカデミーを活用するなど、臨床研修のさらなる充実を図るとともに、都立病院、公社病院の相互の連携をこれまで以上に強化し、人的交流を促進してまいります。
 また、看護師については、地方での採用選考の機会拡大、資格取得の支援、柔軟な就労形態の導入、育児と仕事を両立できる子育て支援など、病院の実情に即した効果的な取り組みを多面的に進めてまいります。
 こうした医療人材の安定的確保と質の一層の向上は、地域から信頼される魅力ある病院をつくっていく上でその土台となるものであり、また大きな推進力となるものであります。
 病院経営本部としては、公社のこうした取り組みが迅速かつ的確に実施できるよう、公社を強力に指導するとともに、今後も全力で支援を行ってまいります。

○小磯委員 ただいまは、強力に指導し、そして全力で支援すると、力強い答弁でございました。できるだけ早期に医師、看護師の確保をしていただきますことをお願いしたいと存じます。
 続きまして、脳脊髄液減少症についてお伺いいたします。
 脳脊髄液減少症に係る東京都の対応についてお伺いいたしますが、この病気は、現在三カ年計画で、今年度末を目指して、厚生労働省研究班が、脳脊髄液減少症の診断基準、また、有効な治療法の確立、むち打ち症との関係性の分析などを行い、最終的に診療ガイドラインをまとめる予定で進んでいるところでございます。
 二〇〇五年十二月十五日には、都議会において脳脊髄液減少症の治療推進を求める意見書を採択したほか、ことし五月二十五日には、患者代表の方々が、支援体制の確立などを求め、都に要望したところでございます。
 私も、名舞中央病院の脳神経外科部長の中川紀充先生と、いろいろこの脳脊髄液減少症についてお話を伺ったわけでございます。
 まず、この脳脊髄液減少症というものは、多くの場合、交通事故などの外傷の影響で、脳と脊髄の周囲に流れている脳脊髄液が漏れ出して減少することで起こる病態でございます。この液が流れるがゆえに、大脳とか小脳が沈み込んで頭蓋骨の底にぶつかってしまう、そんなことでいろいろな症状が出てしまうと。
 第一に多いのは痛み。頭痛や首、肩、背中の痛みが長いこととれない。また、全身倦怠感がひどい。さらに、ふらつき、めまいがしたり、耳鳴りを訴えることがある。あと、目がすっきり見えなくなったとか、息苦しいとか、吐き気がとまらないという患者さんも多いということでございます。いわゆるうつ病の症状などとも似通っている部分があるわけであります。
 また、むち打ち症と診断されても、長期間にわたって一向に頭痛、それから頸部痛がとれない、倦怠感が続くなどの場合は、別の原因があるのでは、こういう脳脊髄液減少症じゃないかということを疑うべきだというふうなお話をされておりました。
 しかし、その治療法であるブラッドパッチ療法については、いまだ保険適用されていないため、治療を実施している病院は少なく、患者さんは治療を受けるまで長時間待たなくてはならず、さらに、どこの病院で治療を受けることができるのかなどの情報が得られず、大変厳しい状況に置かれております。
 このような状況の中、新潟県が県内の病院に対してアンケートによる調査を行ったところ、診療を行っている病院は県内に十九施設、ブラッドパッチ療法を行っている病院は八施設と判明し、病院名を公表しました。
 こうした動きがどんどん全国に広がりまして、ことしの十月一日現在、治療可能な病院を公式ホームページで公開している、都道府県レベルでは、三十二府県と拡大をしております。
 患者会等からの要望を踏まえ、医療関係者との協議を行うとともに、都内医療機関への調査を実施し、いわゆる脳脊髄液減少症に対する対応が可能な医療機関に関する情報を収集するなど、東京都においても、脳脊髄液減少症の理解及び患者支援のための対策を早急に実施していただきたいと存じます。
 都は、脳脊髄液減少症についての積極的な普及啓発を図るべきでありますが、見解をお伺いいたします。

○安藤福祉保健局長 国におきましては、都道府県等からの要望を踏まえまして、一昨年四月に脳脊髄液減少症に関する研究班を発足させまして、三年計画で診断基準の作成や治療法の検討等を行っているところであります。
 都といたしましては、この研究班での検討状況や国の動向等について情報収集に努め、適切に対応してまいります。

○小磯委員 学校での体育授業や部活動などでの事故が原因で、児童生徒が脳脊髄液減少症を発症する事例がございます。
 そういった意味では、学校関係者の理解が求められるわけでありますが、専門家は、同症が原因で不登校になっているケースがあり、適切な治療につなげられれば不登校を解決できる可能性があると指摘をしております。特に子どもの場合、早期発見できれば治癒率が高いといわれております。
 学校関係者への理解促進に向けては、平成十八年の十一月、当時の文部科学副大臣が、患者家族団体から、児童生徒の健康状態の確認、脳脊髄液減少症の学校関係者への研修などの要望を受けました。
 この要望を受けて文科省は、平成十九年五月三十一日付で、都道府県教育委員会などに対し、脳脊髄液減少症の周知と学校現場における適切な配慮を求める事務連絡を出しました。
 さらに、自治体レベルで教員への脳脊髄液減少症の研修が実施されており、都道府県の中では、現在までに、青森、秋田や大阪など七府県の教育委員会が主催をして、教員への研修が行われたところでございます。
 NPOであります脳脊髄液減少症患者・家族支援協会は、学校関係者などへの研修で役立つよう、DVDも制作をしております。
 こうしたDVDの活用や教員のセミナーの開催など、理解啓発を充実すべきと考えますが、都の見解をお伺いいたします。

○大原教育長 ただいま副委員長ご指摘のとおり、平成十九年五月三十一日付で文部科学省から、脳脊髄液減少症への対応について各学校に注意喚起するよう事務連絡がございまして、都教育委員会は、同年の六月八日付で、都立学校長及び各区市町村教育委員会に対しまして、周知を図るための通知を出したところでございます。
 この疾患に関しては、医学的に解明が進められている段階でございますけれども、今後、お話のような補助教材を有効に活用するよう学校に働きかけましたり、あるいは健康教育に関する研修を実施するなどして、学校関係者の理解啓発を積極的に図ってまいります。

○小磯委員 学校関係者の理解啓発にご努力いただけるということで、一歩前進であるということで評価をしたいというふうに思っております。
 福祉保健局、そして教育庁ともに、この脳脊髄液減少症についての積極的な対応をよろしくお願い申し上げます。
 続きまして、障害者の施策についてご質問申し上げます。
 障害者に対する施策の中で、自動車税、自動車取得税の自動車二税の減免制度について質問いたします。
 障害者手帳を持っている人などに対する自動車二税については、従来全額減免とされてまいりましたが、都は二十一年度から制度を改正し、減免額に上限が設定されました。これによって、自動車税では約一万二千七百件、全体で一五・二%の方々に新たな負担が生じ、自動車取得税では約三百件、一四・三%の人に新たな負担が生じました。
 制度の改正については、昨年から障害者の皆さんへの周知が行われてまいりましたが、急な改正であり、私ども都議会公明党にも、障害者の皆さんからさまざまな要望や意見が寄せられてきました。
 そこで、制度改正の周知の過程や本年度からの実施に対して、納税している障害者の方々から都に対して出された要望や意見について明らかにしていただきたいと思います。

○熊野主税局長 自動車二税の減免制度は、障害者の方が日常生活におきまして自動車を足がわりとして利用することが必要であることから、当該自動車にかかわる自動車税を減免することによって、障害者の方々が積極的に社会参加ができるよう、制度上配慮した制度でございます。
 しかしながら、高排気量のいわゆる高級車にも適用することにつきましては、一般納税者との負担の公平の観点から疑義がございましたので、今年度から、自動車税につきまして四万五千円を減免額の上限とする制度改正を行ったところでございます。
 これによりまして、例えば排気量二・五リットルを超え三リットル以下の車につきましては、一般納税者の方が負担する本来の税額五万一千円から減免額四万五千円を差し引いた六千円を負担していただくことになっております。
 改正に当たりましては、昨年二月の財政委員会でご報告し、各福祉関係団体にも周知を行ってきたところでございます。
 さらに、ことし四月の実施まで一年以上の周知期間を設けまして、「広報東京都」やホームページへの掲載などによる周知を行うとともに、これまで減免を受けている方々に対しましては、昨年六月から数度にわたり個別周知を実施しているところでございます。
 一年以上周知期間を設けてきたわけでございますけれども、その間、納税者の方々からは、負担を求めることに納得ができない、あるいは、なぜ自動車税の上限額は四万五千円なのかなどのご意見をいただきましたが、これらの方々につきましては個別に十分説明を行ったところでございます。

○小磯委員 障害者の皆さんの要望、意見を踏まえて、都議会公明党は、昨年の決算特別委員会分科会でも、障害者本人が運転する場合に引き続き全額減免することや、また、自動車の排気量についての減免上限を自動車の使用実態を踏まえて拡大するなど、制度の激変緩和に努めるよう求めてきたところでございます。
 障害者の方々からは、なぜ減免の上限が四万五千円なのかといった素朴な疑問のほか、これまで減免されてきた自動車については、買いかえるまで全額減免にすべきではないかといった要望が今も私どもに寄せられております。費用を負担して障害者用に改造したような自動車は、減免制度改正の中で新たな税負担が生じても、すぐに買いかえるようなわけにもまいりません。
 自動車は、障害者の活動範囲を大きく広げる重要な足であります。今後、障害者の皆さんの要望や意見を十分に聞きながら、それにこたえるきめ細かな制度の運用を図っていくべきと考えます。見解をお伺いします。

○熊野主税局長 今回の制度改正に当たりましては、一般納税者の方々との均衡を考慮しながら、これまで減免を受けている方々を対象とした特例措置、今、副委員長からご指摘があったような特例措置につきましても十分検討してまいりました。また、昨年来、都議会でいただいたご意見につきましても、さまざまな角度から検討をさせていただきました。
 しかしながら、例外的な措置を設けることによりまして、むしろ税金を負担する方々の間で不均衡が生じてしまうことから、税負担の公平性の観点からは、特例措置の導入は難しいと判断せざるを得なかったものでございます。ご理解を賜りたいと思います。

○小磯委員 自動車重量税、自動車税、自動車取得税と、自動車税制のあり方というものも、不透明な部分もあるんじゃないかなというふうに思っております。今後、いろいろな改革がなされるんだろうというふうに思っております。そうしたときに、障害者のこうした税制のあり方についても、もう一度ご検討いただきたいことを要望して、この質問については終わらせていただきたいと思います。
 続きまして、教育についてお伺いいたします。
 私、この決算総括審議というのは何回かさせていただいておりまして、そのたびに、教育についての部活動の振興については、その都度取り上げさせていただいておるところでございます。
 そうした部活動の推進の各議員からの質問、そしてまた教育庁の積極的な取り組みにおきまして、平成十八年に管理運営に関する規則を一部改正して、部活動を教育活動の一環として明確に位置づけること、そしてまた所属職員以外の者に部活動の指導業務を委嘱できるようにしたと、そのようなさまざまな改革が今日まで行われております。
 その結果、すべての都立学校での部活動の位置づけが明確となり、顧問教員とともに、学校外の指導員が百人以上顧問になっているというふうにお伺いしております。
 一方、公立中学校においては、入学時に入りたい部活動がないという生徒が二九・一%と高い状況があるわけであります。こうした規則改正の成果を、都立学校だけでなく中学校においても推進し、部活動の充実を図っていただきたいというふうに思っております。そのためにも、都教育委員会は、区市町村教育委員会に積極的に働きかけや支援を行うべきであります。
 顧問教員の異動等、学校の事情により部活動を廃部にするという例があり、都教育委員会は、公立中学校のこうした問題解決を支援するための取り組みを始めたと聞いておりますが、その取り組みの成果と今後の予定についてお伺いしたいと思います。

○大原教育長 現在、都内の公立中学校の部活動では、顧問教員に加えまして、約四千人の外部指導員が専門的な指導を行うなど、部活動の充実に貢献をしてくださっております。
 しかしながら、副委員長のただいまご指摘のような状況があることを踏まえまして、都教育委員会は本年度から、中学校の部活動をより一層振興するために、区市町村教育委員会が積極的に外部指導員を導入して部活動の休部や廃部問題を防止しようとする場合に、かかる報償費の二分の一を補助する事業を始めたところでございます。
 この事業に対して、現在までに二十三の区市町村から申し込みがあり、廃部等のおそれのある二百六十五の部に四百十四人の外部指導員が導入をされております。その結果、例えば、九月に報道されましたが、江東区では、この事業を活用して、四校の中学校で休部をしていた野球部が活動を再開したなどの事例が報告をされています。
 都教育委員会は、今後とも区市町村教育委員会と連携し、外部指導員の導入を促進して、さらに部活動の振興を図ってまいります。

○小磯委員 中学校や高等学校を通して重要なことは、部活動の指導者の質の向上でございます。種目においてすぐれた成績を上げることも大切でありますが、スポーツを日常的に楽しもうとする生徒を育て、人格形成に貢献できる指導者を養成することが求められております。
 そのために、教員や外部指導員の養成講習を行うべきでございますが、都教育委員会の取り組みについてお伺いしたいと思います。

○大原教育長 部活動は、学校が教育活動の一環として計画、実施するものでございまして、生徒の個性や豊かな人間関係をはぐくむ上で極めて重要な教育活動でございます。
 このため、都教育委員会は、平成十四年度から顧問教員を対象とした運動部活動指導者講習会を毎年実施するとともに、平成十九年度からは、ボートやカヌー競技のように競技人口の少ない種目の指導者を養成する教員研修会を実施するなどいたしまして、心と体の調和のとれた発達を目指す指導力の向上に努めてきたところでございます。
 今後、指導者講習会などを充実するとともに、お話のように、外部指導員のこうした指導力の向上も必要なことから、外部指導員が教育活動として部活動の意義を十分に理解した上で指導に当たっていただけるように、都教育委員会発行の外部指導員のための指導の手引などを活用した研修を行い、外部指導員の指導力を向上していくよう、区市町村の教育委員会に働きかけてまいります。

○小磯委員 部活動が活発に行われるかどうかは、顧問教員の部活動指導に取り組む姿勢によるところが大きいわけであります。学校においては、熱意と指導力のある顧問教員をいかに確保するかが重要なポイントとなっているために、現職教員の得意分野の情報集積等を行い、総合的に人材確保を行っていく必要があります。学校への教員配置は担当教科によって行うことから、校長の人事構想に基づき顧問教員を配置するためには、担当教科と部活動の指導力を連動させた教員異動を行う必要があります。
 このため、教員の専門分野や得意分野のデータや、部活動指導に関する情報を正確に集積する仕組みを構築し、そのデータを教員異動に活用していくことが重要であります。また、部活動指導に実績を上げた教員について、異動年限を超えて残留させるなどの対応も必要と考えております。
 部活動にかかわる教員異動の現状と今後の取り組みについてお伺いいたします。

○大原教育長 教科ごとに教員配置を行う中学校、高等学校におきましては、補充を要する教科の教員の中から、校長の人事構想に配慮して適任者を配置しているところでございますが、教員のさまざまな情報がデータベース化されていませんことから、部活動指導ができる教員の配置に関する校長の要望には十分に対応し切れない状況にございます。このため、平成二十二年四月の運用に向けて現在開発中の新たな人事給与システムに、教員の部活動指導実績等の情報も盛り込むことを検討してまいります。
 また、現任校在籍六年に達した教員は異動することにしておりますけれども、従来から、校長の人事構想に基づき、一年単位でその年限の延長を認めてまいりました。
 さらに、より長期的視点で部活動振興を図るために、来年度に向けた異動から、部活動に顕著な実績を上げた教員を対象に異動年限の複数年延長を認めることについて、本年九月に区市町村教育委員会や都立学校長に通知をしたところでございまして、現在その周知徹底を図っております。
 今後とも、部活動指導ができる人材の確保や育成に努め、教育活動の充実を図ってまいります。

○小磯委員 ただいまは、来年、二十二年四月の運用に向けて現在開発中の新たな人事給与システムに教員の部活動指導実績などの情報も盛り込むということで、こういう部活動の情報を盛り込むということは大変新しい取り組みであり、大変評価をするところでございますので、どうかよろしくお願いをしたいと思います。
 次に、都立の定時制高校についてお伺いいたします。
 都立高校改革は定時制高校においても着実に進められ、新しい試みであるチャレンジスクールも高い評価を受けるなど、定時制高校への期待、重要性はいよいよ高まっております。
 このうち夜間部の定時制高校では、学校における食育が近年注目されていることもあり、給食の大切さが見直されております。本来なら、家庭団らんの中でテレビでも見ながら食事をしているはずの時間に学校に来る生徒たちにとって、給食はほっと一息つける貴重なひとときでありますし、景気低迷が続き失業率が高くなるなど厳しい経済環境の中で働き学ぶ生徒たちのためにも、安価で栄養バランスのとれた給食はなくてはならない存在であります。
 改革が進む都立定時制高校の輝きをさらに増すためにも、夜間部の給食はこれからも維持し、さらに充実した内容にしていくべきであります。給食制度についてどう考えておられるのか、所見をお伺いいたします。

○大原教育長 都立高等学校定時制夜間課程の学校給食は、夜間課程を置く高等学校における学校給食に関する法律に基づきまして、働きながら高等学校の夜間課程において学ぶ青年の身体の健全な発達に資することを目的として実施しております。
 今後とも、生徒に対して安全で栄養バランスのとれた給食を実施するとともに、健全な食生活をみずから営むことができる知識や、摂取する食品と健康の保持増進との関連性など、学校給食を活用した食に関する指導と連携し、定時制高校夜間課程の学校給食の充実を図ってまいります。

○小磯委員 一方、給食を食べる生徒が少なくなっているということでございます。給食費の一部を補助する夜食費補助制度もありますが、平成二十年度の決算説明書を見ますと、執行率は六四・七%にとどまっております。定時制高校の給食は、栄養士が各学校の実態に応じて季節感にあふれる新鮮な食材で献立を作成し、毎日、安全・安心な手づくりの給食であると伺いました。
 このようなせっかくの給食なのに、利用者が少ないことは残念であります。多くの生徒が給食を利用できるように、また補助制度の活用も広がるよう取り組むべきでありますが、所見をお伺いいたします。

○大原教育長 夜間給食補助制度は原則として有職者が対象であるために、執行率が低い原因は、近年の定職についている生徒の減少が影響していると考えられますが、アルバイトや求職中等の生徒も夜間給食補助の対象となる場合があるために、今後とも、補助制度の内容や手続について一層の周知を図ってまいります。
 また、グループ方式により給食を実施している学校においては、調理した給食を冷却と再加熱しないで他の学校に配送する効率的なシステムを検討するなど、メニューを豊富にし、鮮度と味を保持できるよう給食の改善に取り組んでいくことによりまして、生徒の給食利用の拡大に努めてまいります。

○小磯委員 先日、PTAの方から伺った話でございますが、給食費を負担するのが大変という生徒さんがふえまして、給食の時間に、食堂の外で何も食べずに時間をつぶしている、そういう生徒さんがいらっしゃるということをお伺いしたわけでございます。そのPTAの方は、二食分の弁当をつくって、自分のお子さんと一緒にその生徒にも食べさせてあげているという話も伺ったところでございます。
 給食費はまとめ払いで、その金額の合計は授業料よりも高くなることがございます。補助制度は、一食三百七十円程度に対して六〇円が助成をされておりますが、補助分は後で払い戻される仕組みのため、最初から補助分を差し引いて支払いできないかとの声も上がっておるところでございます。
 また、補助の対象者は、職業を持つ、定職を持つ生徒が中心でありますが、不登校経験者など、必ずしも就職の意思がない生徒もふえ、定時制に通う生徒たちの環境は多様化しているところであります。
 給食費の負担を軽くするために、最初から低い金額の支払いで済むよう、減免などの工夫を行うとともに、夜食費補助の対象者を拡大するよう意見表明をして、これで質問を終わらせていただきます。

○大塚委員長 小磯善彦副委員長の発言は終わりました。
 この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩いたします。
   午後二時五十七分休憩

   午後三時十六分開議

○大塚委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
 質疑を続行いたします。
 吉住健一委員の発言を許します。

○吉住委員 私からは、以前会派として質疑を行ってきた施策の推進状況について、何点か質疑をさせていただきます。時間の制約もございますので、ご協力のほどお願いいたします。
 まず初めに、福祉保健局関係について伺います。
 平成二十年に発生した二件の痛ましい結果となった母体搬送事案を受けて、都においては、母体救命が必要な妊産婦を必ず受け入れるスーパー総合周産期センターの創設や、都内全域を対象に搬送調整を行う周産期搬送コーディネーターを配置するなど、さまざまな対策を講じています。都民の不安に直ちにこたえていくという姿勢とその対応については高く評価しますが、これらの事案の発生により、都内の周産期母子医療センターのNICU病床が、常時ほぼ満床状態にある現状も浮き彫りにされています。
 改めて確認しますが、都におけるNICU整備目標と、平成二十年度末のNICU病床数について伺います。

○安藤福祉保健局長 都は、NICUの整備目標を二百床とし、整備を行ってまいりました。二十年度末現在のNICU病床数は二百七床となっております。

○吉住委員 NICUの整備目標は達成されておりますが、この目標自体は十年前に計画されたものであります。都民が安心できる周産期医療を提供するためには、NICU病床が常時ほぼ満床状態にあるという現状を踏まえた対応が必要であると考えますが、都の認識を伺います。

○安藤福祉保健局長 ハイリスク妊婦等への対応を充実するためには、NICU病床の増床が必要であるというふうに認識をしております。ことしの八月に出されました国の周産期医療体制整備指針案におきましても、低出生体重児の増加等によってNICUの病床数が不足傾向にあることから、都道府県は、出生一万人対二十五床から三十床を目標として、地域の実情に応じたNICUの整備を進めるものとするとしてございます。
 今後、出生一万人対三十床を基本に東京都周産期医療協議会の意見を伺い、具体的な整備目標を定め、NICUの増床に取り組んでまいります。

○吉住委員 次に、脳卒中の医療連携体制について伺います。
 脳卒中は、都民の死因の第三位であり、麻痺などの後遺症の残る可能性が高く、要介護者の四分の一の方は脳卒中が原因疾患だというデータもあります。不幸にして発症してしまったときに、速やかに専門的治療を受け、後遺症の軽減を図ることができるように、都は本年三月九日から脳卒中救急搬送体制を開始しました。
 このような急性期医療提供体制の整備と並行して、急性期を脱した後も、脳卒中患者が継続して適切な治療を受けられるような医療体制の確保も必要と考えておりますが、都の取り組み状況を伺います。

○安藤福祉保健局長 脳卒中医療におきましては、急性期から回復期、在宅療養まで、切れ目のない適切な医療提供体制を構築することが重要でございます。このため、都は平成二十年度、二次保健医療圏ごとに脳卒中医療連携協議会を立ち上げ、医療、介護、行政機関等による顔の見える連携づくりを進めております。
 また、関係医療機関が患者の治療計画を共有するためのツールであります地域連携パスがつくられておりますが、これは、転院の調整や在宅医療への移行において極めて有効に機能しております。
 さらに、都は今年度、パスを活用する医療機関すべてを対象に脳卒中地域連携パス合同会議を行いまして、活用事例について情報の共有化を図るなど、円滑な医療連携に向けた取り組みを行っているところであります。

○吉住委員 急性期病院の入院期間は短く、一方、脳卒中患者さんの療養生活は長く続きます。実際には、入院中の病院から転院先の病院を十分に紹介してもらえず、困り果てたご家族のお話を伺うこともあります。患者さんが安心して療養を継続できるように、緊密な医療連携体制を整備していただくよう要望しておきます。
 次に、認知症高齢者グループホームの整備について伺います。
 東京都の六十五歳以上高齢者人口は、平成十七年の二百三十万人から、十年後の平成二十七年には八十六万人も増加し、約三百十六万人になります。高齢化の進展により、認知症高齢者も増加することから、家庭的な環境の中で介護や日常の生活上の世話を受けることができる認知症高齢者グループホームの整備を充実する必要があります。
 都は、緊急整備三カ年事業において整備促進に努めていますが、平成二十年度はどのような取り組みを行い、また整備の実績はどのようであったのかを伺います。

○安藤福祉保健局長 都はこれまでも、独自の補助制度により認知症高齢者グループホームの整備促進を図ってまいりましたが、平成二十年度からは、事業者の参入をさらに促進するため、民間企業や土地所有者に対する補助額を増額いたしました。
 また、高齢者人口に比べ整備状況が十分でない地域を重点的緊急整備地域と位置づけまして、補助単価を一・五倍に加算するなど、整備の促進に努めているところであります。
 その結果、認知症高齢者グループホームにつきましては、平成十九年度の十七カ所、二十九ユニットに対し、平成二十年度は二十七カ所、四十八ユニットを整備することができたところであります。

○吉住委員 次に、障害者福祉計画について伺います。
 都は、障害者が地域で自立して生活できるよう支援するために、障害者自立支援法に基づき、障害者サービスの具体的な数値目標を掲げた東京都障害福祉計画を平成十九年五月に策定しましたが、その第一期の計画期間が平成二十年度をもって終了しました。計画の目標達成に向けては我が党も強く支援して、グループホームや通所施設などを整備する場合の設置者負担を半分に軽減する特別助成を実施してきましたが、これらの第一期終了時点での整備状況はどうなっているのか。二十一年度以降の計画と目標達成に向けた具体的な方策について、あわせてお伺いします。

○安藤福祉保健局長 平成二十年度末までの障害者グループホーム、ケアホームの整備実績は三千九百十九人分、目標に対する達成率九四・六%であります。第二次計画では、平成二十三年度末までに千六百人分程度の増が必要となっております。同様に、通所施設などの日中活動の場の整備実績は二万八千百十二人分、達成率九三・三%で、四千二百人分余りの増が必要となっております。このため、引き続き、お話の特別助成による整備促進を行ってまいります。
 さらに、いわゆる法外の小規模作業所等の法内化の一層の促進に向けまして、区市町村と連携しながら、移行のノウハウを有する協力員の派遣や、移行後の運営費補助の活用を働きかけるなど、目標達成に向けた取り組みを進めてまいります。

○吉住委員 通所施設など日中活動の場の整備については、いわゆる法外の作業所などの法内化も含めて目標達成を目指すということですが、移行に際して特別な整備を要しないものもある反面、零細な作業所などになればなるほど、法内化によって国の定める給付費収入を得て経営を安定化させるため、定員規模を拡大しようとしても、用地の制約で難しいこともあると聞きます。そこで、少しでも広い土地への移転や、隣地を取得しようとしても、零細な事業者には地価の高い東京での用地の確保は大変難しいと聞きます。しかも、用地の確保は大変時間のかかるものであり、長期的な視点に立って早い段階から積極的に事業者に働きかけていくべきと考えます。
 そこで、実際に通所施設などが整備される場合に用地がどのように確保されているのか、内訳を含めた実績とあわせ、今後の整備促進に向けた局長の決意をお伺いいたします。

○安藤福祉保健局長 通所施設は、既存の建物が活用されることが多いわけですが、平成十八年度以降、新たな整備のため国庫補助を受けた十七件の施設のうち、土地を購入したものが八件で、そのうち七件が用地費貸付事業を活用しております。このほか、公有地の無償貸付によるものが六件などとなっております。
 施設整備に当たりましては、事業者は、用地確保を初めとするさまざまな課題に対しまして、相当の期間を費やして計画を進めてまいります。このため、整備費の特別助成や用地費貸付事業の活用を働きかけるとともに、都有地を含む公有地の活用を区市町村と連携して進めることにより、一層の整備促進に努めてまいります。

○吉住委員 事業者や区市町村とも連携し、都有地など公有地の活用も含めた整備促進策の一層の活用促進にさらに尽力されるよう要望しまして、次の質問に移ります。
 次に、スポーツ振興について伺います。
 青少年の育成から高齢者の健康維持まで、世代や性別を問わず、スポーツをするということは重要なことであると思います。都は、昨年七月に新たなスポーツ振興基本計画を策定し、スポーツ都市東京を目指して、スポーツの実施率の向上や東京アスリートの育成、スポーツをする環境の整備など、今後を見据えた長期的な取り組みをしています。
 しかしながら、今年度都が行った世論調査では、都における成人の週一回のスポーツ実施率は約四三%と、諸外国に比べると低い数字になっています。スポーツ実施率を向上させるためには、スポーツへの興味、関心を喚起していくことが重要であり、都はこれまでも、さまざまなスポーツムーブメント事業を展開してまいりました。アスリートのテレビ番組やレインボーウオークなど、記憶に新しいところです。
 折しも、二〇一六年のオリンピック・パラリンピック招致は残念ながらかないませんでしたが、スポーツムーブメント創出のための事業が、あたかも招致運動のためのむだ遣いであるかのようなことがいわれております。しかし、健康施策を考えれば、それは違うと考えております。
 そこで、これまでに都が行ってきたスポーツムーブメント事業の成果について伺います。

○秋山生活文化スポーツ局長 都は、スポーツの感動を伝える、またスポーツをする機会や一流アスリートに触れる機会を創出するといった観点から、スポーツムーブメント事業に積極的に取り組んでまいりました。
 ただいまお話がございました、スポーツ選手の成功秘話を伝えるテレビミニ番組でございますけれども、全七十八回放映をいたしましたが、視聴率で申しますと最高で一四・一%、平均八・六%。また、全視聴者に対する割合でございます占拠率で見ますと、最高で二六・八%、平均で一五・二%という実績でございました。この数字から推計をいたしますと、延べ八千七百万人の都民の皆様にご視聴いただいたことになりまして、スポーツムーブメントの盛り上げに大いに効果があったものというふうに考えております。
 また、東京レインボーウオークにつきましては、二万人もの方々から応募いただきました。そこから抽せんで選ばれた五千人の皆様に、ウオーキングの楽しさを実感していただけたところだというふうに思っております。
 さらに、このレインボーウオークをきっかけに、またこれを発展する形で、今年度、都内五カ所で行いましたTOKYOウオーク二〇〇九には、合計一万六千人の方々にお集まりいただきまして、ウオーキングを楽しみながら名所などをめぐり、東京の新たな魅力を体験してもらうことができたものというふうに考えております。
 このほか、都が共催する国際競技大会では、トップアスリートが子どもたちに直接コーチする教室の開催、それから、子どもたちを観戦に招待するというようなことも行いまして、さまざまなスポーツイベントを通じて、都民のスポーツへの興味、関心を喚起し、スポーツムーブメントの創出に大きく寄与したものというふうに考えております。

○吉住委員 私の周りにも東京レインボーウオークに参加した方がおり、お話を聞いたところ、貴重な体験を喜んでおりました。
 都がこれまで行ってきたスポーツムーブメント事業には多くの都民が参加するなど、かなりの効果があらわれていることがわかりましたが、これらの事業は、オリンピック・パラリンピック招致運動との相乗効果も相まって、これだけの参加者が集まったとも考えられます。
 都は、こうしたスポーツムーブメントの高まりを踏まえた上で、今後どのようにスポーツ振興に取り組んでいくのか、所見をお伺いします。

○秋山生活文化スポーツ局長 都では、スポーツムーブメントが高まりを見せているこの機をとらえまして、都立スポーツ施設の改修や武蔵野の森総合スポーツ施設の整備の推進など、スポーツを行う環境の整備を進めますとともに、参加型スポーツイベントの実施や国際競技大会の誘致、また地域スポーツクラブの設立支援などによりまして、多くの都民の方々が身近にスポーツを楽しめるような取り組みを進めていく考えでございます。
 さらに、世界の頂点を目指す東京アスリートを育成していくため、ジュニアアスリートの発掘や選手への医科学サポートなどによりまして競技力の向上を図るなど、スポーツ都市東京の実現を目指し、総力を挙げてスポーツ振興に取り組んでまいる所存でございます。

○吉住委員 都民のだれもがいつでもどこでもスポーツを楽しむことができる社会づくりは、都として当然に目指していくことであり、そうした観点から、スポーツ振興は今後も積極的に進めていくべきと考えております。このことをお願いしまして、次の質問に移ります。
 次は、環境教育について伺います。
 都議会自民党は、石原都政が推進している環境施策を支持してきました。特に、地球温暖化を防ぐため、CO2削減などは喫緊の課題であり、次世代によい環境を残す努力は、我々に与えられた使命であると考えています。
 そこで、環境教育は重要であると思っておりますが、CO2削減アクション月間の取り組みや成果について伺います。

○大原教育長 都教育委員会は、六月が環境月間であることから、今年度より六月をCO2削減アクション月間とし、環境教育の取り組みを集中的に実践することといたしました。
 アクション月間では、都内公立小中学校や都立学校において、節水、節電の取り組みをこれまで以上に強化するとともに、小学校五年生を中心として、各学校が指定した一週間、家庭において必要のない電気は消す、冷房の設定温度を上げるなど、チェックシートを用いて環境に配慮した行動に取り組みました。
 こうした行動の実践には、公立小学校のみならず、公立中学校、特別支援学校、私立小学校合わせて千二百九十校、約十一万二千人の児童生徒が参加し、一週間で約三百十トンのCO2の排出量を削減することができました。三百十トンと申しますのは、杉の木二万二千本が一年間に吸収するCO2の量に当たります。
 都教育委員会は、アクション月間に参加した学校千二百九十校に協力賞を送りますとともに、CO2削減はもとより、日ごろから環境教育の取り組みを通して顕著な成果を上げている学校五十七校を、東京都教育委員会環境教育優良校として表彰し、学校や家庭、児童生徒の努力をたたえたところでございます。
 こうした取り組みの成果については、去る九月十二日に環境教育フォーラムを開催し、広く都民に周知したところでございます。

○吉住委員 成長過程の子どもたちがこのような成果を出したということは、子どもたちの心にいい影響を与えるでしょうし、保護者に対する啓発にもつながる重要な取り組みですので、着実に推進されることを期待しております。
 また、アクション月間のような環境に配慮した行動の習慣化は、高校生にもさらに広げるべきだと考えますが、高校生ともなると、環境マネジメントシステムを取り入れるなど、年相応の手法をとらなくてはならないと思います。
 そこで、都立高校における環境教育への取り組みの現状をお伺いいたします。

○大原教育長 都立高校では、公民、理科、家庭、保健体育などの教科や総合的な学習の時間での指導を通しまして、環境に関する知識、理解の深化と、環境保全に貢献する態度の育成を図っております。また、都立高校百四十四校におきましては、教科「奉仕」の中で、地域の道路や公園の清掃、森林の下草刈りや間伐などの活動、校内で栽培した花を近隣施設等に寄贈する活動などの環境保全活動に取り組んでおります。
 こうした教科等での学習に加えまして、現在、多くの都立高校では、日常の学校生活の中で、節水や節電、ごみの減量、再利用等の活動に取り組んでおります。
 また、太陽光発電を取り入れている都立高校十五校におきましては、太陽光発電量と、それに伴うCO2削減量を示すことなどによりまして、クリーンエネルギーの使用の効果を生徒に実感させ、地球環境やエネルギー問題に対する意識を高めさせております。
 さらに、ISO一四〇〇一やエコアクション21の認証を受け、環境マネジメントシステムを取り入れた環境保全活動を学校全体で推進をしたり、高校生環境サミットを開催し、環境問題に取り組む大学や企業、他県の高校などとともに、環境についての実践報告や意見交換を行うなど、CO2削減に関する組織的な取り組みを進めている学校もございます。

○吉住委員 最後の質問となります。
 環境教育は、小中高と、子どもの発達の段階に合った取り組みが行われることにより、着実に効果を上げていくものと思います。これまでのようなご説明いただいたような、各校種間を接続した取り組みが必要ではないかと考えております。よりよい環境を次世代に残すために、今後、東京都教育委員会では環境教育をどのように進めていくのかお伺いして、質問を終わります。

○大原教育長 先ほどお答え申し上げましたCO2削減アクション月間は、京都議定書の約束期間である平成二十四年度まで、毎年六月に実施していくことを計画しており、来年度に向けては、参加する児童生徒の拡大に積極的に取り組んでまいります。
 現在、都教育委員会では、新しい学習指導要領に基づき、小中高校の校種間や学年間、教科間のつながりを明示し、指導内容等や体験活動を関連づけた小中学校の環境教育カリキュラムを開発しているところでございます。今年度中にすべての公立小中学校に環境教育カリキュラムを配布し、学習指導要領に基づく効果的な環境教育を行うよう、区市町村教育委員会を通して各学校を指導していきますとともに、小中学校の環境教育の内容を踏まえた指導を行えるよう、都立高校にも配布を予定しております。
 また、都教育委員会では来年度、都立高校における環境教育に関する研究開発を進めまして、研究成果を周知して、すべての都立高校における環境に関する実践的な取り組みを促してまいります。
 このように、小中高校が一貫した環境教育に取り組み、児童生徒の地球環境問題への認識と解決への意欲を高めますとともに、さらに、家庭と一体となった温暖化防止に向けた具体的な実践を積み重ねることで、よりよい環境を次世代に残せるよう、東京都の環境教育を推進してまいります。

○大塚委員長 吉住健一委員の発言は終わりました。
 次に、和田宗春委員の発言を許します。

○和田委員 私は、新銀行東京を清算、整理する、そうすべきだという態度で、新銀行のみのご質問をさせていただきます。
 きょう、都議会に来る途中に、新銀行東京の前をあえて通ってきました。雨が降っていたせいもあると思いますけれども、物寂しい、物悲しい新銀行東京の本店舗であります。それは私の感傷にすぎないのかもしれませんけれども、やはり我々都議会が、また都民が、東京都の実業人が期待をした銀行の今日の姿を、何らかの形で象徴しているように思えてなりません。
 質問に入ります。
 私たちが立ち上げた新銀行東京の本来の役割は何ですか。

○前田産業労働局長 銀行は、金融仲介機能、信用創造機能、決済機能を持っておりまして、預金や貸し出しなどの業務を行っております。この三つの機能はすべて銀行の信用に支えられておりまして、これら公共性の高い業務を通じて、国民経済の健全な発展に資することを役割としています。
 これが銀行ですが、新銀行東京は、その上で、高い事業意欲を持ちながら資金繰りに窮している中小企業を支援するために設立された銀行でございます。

○和田委員 局長、ちょっと距離があるものですから、僕、早口でしゃべりますので、そちらもお願いしますね。
 今、銀行業務そのものが、別にこれは法律できちっと決めているわけじゃないんですが、実務的には、仲介、信用、決済という三つの機能の中で、正三角形じゃなくて、どこが出っ張っているか、どこがへこんでいるかは別にしても、信用と、そしてまた仲介と決済という機能の中で動いている。そういう中で、銀行と称するならば、やはり何らかの機能を、ゼロというわけじゃなくて、細々ながらも機能を続けなきゃなりません。
 そこで、平成二十年度の実績を、新銀行についてどういうふうに三つの機能の中で当局は把握をされているのでしょうか。

○前田産業労働局長 新銀行東京も銀行でありますから、三つの機能を持って運営しているわけですけれども、設立の趣旨からいえば、金融仲介機能が主なものになると思います。
 新銀行東京の平成二十年度の主な業務実績は、預金残高が三千三百五十八億円、融資、保証残高が一千九百九十二億円となっておりまして、都内における中小零細企業支援に一定の役割を果たしているものと考えます。

○和田委員 確かに、新銀行東京の設立の目的そのものは、後ほど私触れますけれども、ポートフォリオ型の融資、すなわち、担保もない、保証人もとれないという方々を救済するための銀行ですから、そこのところに特化した銀行といってもいいような銀行ですから、決済とか、あるいは信用については、それが劣っていてもしようがないだろう、こう思います。
 それでは、お伺いするんですけれども、その仲介機能、今、局長は、それに特化した銀行だというふうに、みずからおっしゃったわけですが、その仲介機能の最たる一つのものとして、こちらから預けられたお金を企業に貸す、あるいはほかの方に貸すというような預貸率に触れてみましょう。
 すなわち、仲介機能の最たるもの、預けられたものを貸し出していく、またその循環で預けられたものを貸し出していくという、こういうマネーフローを考えていった際に、この新銀行東京はどれほど--局長みずからが仲介機能に特化した銀行ですよという、その仲介機能の顕著たる預貸率が、どういうふうな経過を経て、設立以降、今日まで来ているのかという数字をお伺いします。

○前田産業労働局長 まず最初に、仲介機能に特化したというご発言がありましたが、新銀行東京も銀行ですから三つの機能を持っていまして、重点はその仲介機能で、特化というのは、言葉の使い方としては必ずしも適切でないと思います。
 ご質問ですけれども、新銀行東京の平成十七年四月の開業以降の各期末の預貸率でございますが、平成十七年度が四〇・一八%、十八年度が三八・五%、十九年度が四一・五一%、二十年度が四四・四七%となっております。
 これは、旧経営陣の時代に、高利のキャンペーン定期預金により、当時の貸し出しの規模に見合わない過大な預金を集めたことが影響しておりまして、預金と貸し出しのバランスを欠いたことは、今日から見て、旧経営陣の経営判断に問題があったといわざるを得ないものと考えております。

○和田委員 私はあえて特化という言葉を少し強調したかもしれませんけれども、局長が、そうじゃありませんよ、ほかの二つの機能もやっていますよとあえておっしゃったから、そこで聞き返しますけれども、じゃあ、信用並びに決済機能は、二十年度はどう終わっているんですか。今、あなたがおっしゃったのは、仲介機能として、預金残高が三千三百五十八億円、融資、保証残高が一千九百九十二億円と、こうおっしゃった。それで、私は特化したんじゃないですかといったら、そうじゃないでしょうというんだから、局長みずからが、信用と決済は明らかにしてくださいよ。僕は、それは、あなたが報告するに値しない微量なものだと思うから、特化したというふうに、仲介というふうに、僕の方もあえていったんですけれども、それをあなたが違うというのならば、表明してください。

○前田産業労働局長 違うというふうには申しておりませんが、新銀行も銀行である以上、三つの機能を持っているわけで、三つの機能が欠ければ銀行ではないです。
 その中で、数字であらわせる仲介機能について、主な業務実績としてご紹介申し上げました。現在も、新銀行は銀行法に基づく銀行として三つの機能を有して営業しております。ご理解願います。

○和田委員 理解できません。数字にあらわさないで理解してくれって、どういうことですか。だって、仲介機能は、あなたが一千九百九十二億だとか、あるいは三千三百五十八億とおっしゃっていて、いや、三つの機能がなければ銀行じゃないと今もおっしゃったんだけど、その三つの機能が、たとえ一億円でも一千万でもいいけれども、なければ銀行じゃないんでしょう。自己矛盾でしょう。だから、信用と決済の機能の数字を挙げてくださいと、こういっているんですよ。挙げてくださいよ。

○前田産業労働局長 現在の時点で数字を持ち合わせておりません。確認をいたします。

○和田委員 まあ、別に強弁とはいいません。ただ、あえて報告するべき数字がないくらいに脆弱な機能だということだと私は思うんです。
 今、局長は、今持っていないから後で報告するということですが、この委員会、もう一回続くのならば、その数字を僕はもらいたいと思いますけれども、それはもう委員長にお任せしますが、数字はあるというんですから、出させていただきたいと思います。
 先に急ぎたいと思うんですけれども、その中で、預貸率が先ほど報告されました。この預貸率が、十七年度は四〇・一八、十八年度が三八・五〇、十九年度が四一・五一、二十年度が四四・四七というふうにおっしゃっているんですが、これを一般的ないわゆる信用組合、信用金庫、ビッグな銀行は別にしましても、信金とか信組と比べてみて、私の知っている人に聞いてみたら、四〇%とか、せいぜい行っても四四%の預貸率というのは、とてもこれは銀行とはいえないでしょうという声もあるんですよ。そういう声もある。でいながら、銀行の三要素、三機能をしっかりそろえて我々は機能してきたんだと、こういうふうにおっしゃる。だけど、外側で見ている銀行界の目は、いや、預貸率が四四%、四五%ぐらいでは我々はとてもやっていけませんねと、こういう声が圧倒的に多い、僕は三社に聞いたんですけれども。
 この中でもやっていられるというのは、やっぱり後ろ盾に東京都があって、時に四百億出資をしたりするという、そういう保護者的な、パトロン的な存在があるから機能できているというふうにいわざるを得ないんですよ。
 ですから、さきに僕が申し上げた三つの仲介、信用、決済機能が、正三角形じゃないにしても、どこかが伸びて、どこかが短いのはしようがないけれども、少なくとも三角形の形態をなしていないくらいに脆弱な決済、信用機能ではないのかというふうにいわざるを得ない。いうならば、銀行としての形態の三本柱の二本が極めて脆弱な、銀行と名乗っている金融機関といわざるを得ないというふうに思うんです。まして預貸率はこの程度ではとても、一般銀行では、株主も含めて納得しないということを厳しく申し上げておきたいと思うんです。
 次に行きますが、二十年度の決算で、二十年に策定した再建計画よりも赤字幅が減少した、こういうふうに、知事も含めて当局の方は大変ほっとしたというか、強く主張されておりますけれども、これは、さきに私が申し上げた銀行の三つの機能が十全に発揮された結果、再建計画よりも赤字幅が減少したというふうにとらえていいんですか。

○前田産業労働局長 現在、新銀行東京が取り組んでおります再建計画は、事業の重点化と経費の削減などにより、危機的な経営状況に瀕した新銀行東京の単年度収支を、平成二十三年度において黒字化させることとしております。
 こうしたことから、再建計画は、新銀行の預金者なり貸し出しの相手を保護するという観点で、まず出血をとめ業務を維持するということになりますので、この期間において、今、先生のおっしゃいました銀行の有する三機能を積極的に駆使して収益をどんどん拡大していくということを想定した性格のものとはなっておりません。
 再建計画の初年度である平成二十年度は、営業経費を圧縮し、低コスト構造への転換に積極的に取り組んだことなどによりまして、計画を上回る業績を上げたところでございます。

○和田委員 不思議なことをおっしゃるんですね。三つの機能を十全に発揮して、赤字幅が縮小し、経営改善ができたんだよというんじゃなくて、何か魔法のつえだか魔法の薬だかがあって、それによって赤字幅が減ったというふうにとれる局長の答弁なんです。
 私は、先ほど来申し上げているとおり、三つの銀行機能が働いて働いてリンクすることによって銀行の収益が上がってくる、業務収益が上がってくる。また、それにかかわる企業も人も、マネーサプライを受ける、マネーフローの中でこう高まってくる、豊かになるというのが銀行の仕事だと思っていたわけですが、そうじゃなくて、何か局長は、三機能のほかではなくて、あるいは、再建計画というのは三つの機能にこだわらずに経営改善を図るためにあるので、機能はそんなに関係ないんだというふうにおっしゃっているようなんですけど、その確認でよろしいですか。

○前田産業労働局長 再度のご質問なので、少し丁寧にご説明させていただきます。
 銀行について一般的に三機能を十全に発揮するというのは、委員のお話のとおりですが、新銀行東京は、旧経営陣の経営の結果により、平成十九年度末におきまして危機的な経営状況になりました。先ほど申し上げましたように、預金者保護、貸し出しの相手先の保護ということで、緊急に平成二十三年度までの間において、出血をとめ、将来、今、委員がおっしゃいました銀行の三機能を十分に発揮して中小企業支援のための銀行ということを取り戻すために、現在、再建計画を遂行中でございます。
 したがって、旧経営陣の経営悪化による傷を負った銀行でございますので、まずその傷をいやして体力を回復させるということが現在の緊急課題でございます。
 したがいまして、三機能は持っておりますが、それをいわば健康体の銀行と同様にフルに発揮をして収益をどんどん上げるということは、現状においては、それをすべてやることは難しいということでございます。三機能を捨てたり、三機能を無視しているというものではありません。あくまで現在の新銀行の置かれた状況の中で、どうしたら再建が果たせるかということで再建計画を組み立て、実行しているわけでございます。ご理解を願います。

○和田委員 要するに、自分の銀行母体を守ることがまず最優先で、ポートフォリオ型の融資も含め、無担保、無保証で貸し出すということよりも、自分の中の方に力を入れさせてくださいよというふうに私には聞き取れる。それだったら、もう銀行の必要ないじゃないですか。自分の立場をつくるために、そこには中小零細企業もいなくて、銀行の中で体質改善をするんだというんだったら、銀行の必要ないでしょう。だって、貸し出す業務も、信用も仲介も決済もしないで、ただ自分の中だけで体質改善しましょうよ、メタボの体治しましょうよというようなものなんだから--というようにもとれる。
 さて、次に行きますが、それでは新銀行東京の再建計画では、今申し上げたとおり、外に貸し出すよりも自分たちの体質改善に意を用いようというふうに、局長はそう答弁されたわけですけれども、貸出金額を貸し出せば、不良債権を生む、デフォルトを生む、したがって貸し出さない。で、貸し出した結果、貸し倒れのときの一つの保険としての貸し倒れの引当金なんかも、貸し出さなければ必要ないわけですから、それを利益の方に還元して、いうならば、帳簿上、健全体質をつくる。外側には貸し出さない、三機能よりも自分の体質改善だよというふうにとれるのですが、それでよろしいですか。

○前田産業労働局長 再建計画には、徹底した経費の圧縮と営業力の強化に加えまして、信用コストの圧縮も当然ながら含まれております。
 新銀行東京は、取引先へのきめ細やかな対応など、懸命な経営努力により、平成二十一年度第一・四半期決算では、開業以来初めての黒字を計上するなど、再建計画を上回る業績を上げております。
 なお、銀行でございますので、銀行はお客様なしには存在できませんし、そういうお客様のいない銀行はあり得ないと思います。新銀行東京は中小零細企業をお客様としておりますし、また、都民の方から三千億円に上る預金をいただいております。こういったお客様を保護し、引き続き業務を続けるという考え方から再建計画に取り組んでいるところでございます。

○和田委員 (パネルを示す)これは分科会でも出しましたが、新銀行東京の開業以来の融資実績、件数、デフォルトのものです。新銀行東京が調査会をつくって出された報告の中には、十九年下期のデフォルト額がはっきりなっています。分科会のときに、私は、十九年の上期しかわからずに、それは融資金額と融資件数しかわからなくて、デフォルト額はわからない。当局も答弁してくれなかった。ところが、書類をよく見たら、新銀行の調査委員会の調査を見ると、「デフォルトは累計二百八十五億円までに拡大し(二十年一月末現在)」ということは、十九年の上期のデフォルトは、これが八十億ぐらい。百億ですからね。それが実にばあんと上がって、十九年度下期には二百八十五億まで行っているんです、ここまで。八十億が、上期と下期で、二百八十五億、四倍近く上がっちゃっているというデフォルト額が明らかになっているんです。これは、だって調査委員会のデータで二百八十五億と書いてありますよ。
 ということは、これだけの額で、なおかつ二十年の上期、下期は明らかにされていないのでわかりませんが、類推すれば、この赤いのがそうですけれども、デフォルト額が、ががががあんとこう上がっていくと思われる。そういうことで、銀行の経営状態は極めて悪い状態になってきたというふうに私どもは思うんです。
 それで、この金額、二百八十五億の十九年の下期だけを見ても、どんどん劣化してきているということからすると、再建の兆しが極めて不可能ではないかと思うんですけれども、ここに至って、まだ局長は、その二カ年、二十年度の上期、下期も含め、デフォルト額ははっきりできないのか、また、十九年下期の二百八十五億というデフォルトを是認されるのかどうなのか、そこをお伺いします。

○前田産業労働局長 ただいま委員が推測でということでお話しされた数字につきましては、新銀行東京が公表しておりませんので、私どももそれについて確認はできません。
 なお、デフォルトが大幅に増加すれば、それはその処理費用はかかるわけですから、各年度の決算に反映されることになります。しかし、今ご心配いただきましたが、新銀行東京は、先ほど申し上げましたように、経営再建に向けて、取引先へのきめ細やかな対応を図り、信用コストの圧縮に努めております。加えて、営業経費の圧縮による低コスト構造への転換に取り組んでおりまして、その結果として、先ほど申し上げましたように、今年度の第一・四半期決算において純利益七億円と、開業以来初めての黒字を計上しております。
 再建に向けた取り組みは着実に進んでおりまして、再建の兆しがない、あるいは予想されないというような委員のご指摘は当たらないものと考えます。

○和田委員 これはそちらにもある資料だと思いますよ。新銀行東京調査会調査報告書についてという、新銀行東京が出した、この報告書を見てくださいよ。十八年十二月に至り、厳しい属性チェックを導入するなどこれまでより踏み込んだデフォルト発生防止対策に着手したが、既に融資実行した案件を中心に大量のデフォルトが発生し続け、デフォルトは累計二百八十五億までに拡大し(二十年一月末現在)、大幅な経営悪化に結びついていた、そう書いてあるじゃないですか。僕は類推でいったんじゃないですよ。これを見ていないとは、僕はいわせない。だって、局長がこの新銀行東京の調査委員会の調査報告書を読んでいないなんていうことは、とんでもないお粗末な話だから。
 認めるんでしょう、二百八十五億は。早くしてください。時間がない。

○前田産業労働局長 新銀行東京が、委員のとおり、二十年一月末現在、デフォルトは累計二百八十五億円まで拡大しと公表しておりますが、今お話しのように、下期で幾らかということは公表しておりません。

○和田委員 言葉じりで上とか下とか、確かにそれは半年の差なんだから、わかりますけれども、少なくとも二十年一月末というように僕が読み上げたように、このデータは間違っていなかったということを認めたわけだ。ということは、八十億から、半期のうちに二百八十五億に広がったということを認めたわけですよ。
 さて、そこで、私はもとに戻りますが、新銀行東京の本来の役割というのは、ポートフォリオ型の融資、無担保、無保証の、中小零細企業で頑張っている人のために構えた銀行であったにもかかわらず、この二十年の再建計画以降、もう自分のことしか守らない、外には貸し出さない、引当金を充てて利益をつくるような、小手先で銀行経営をしようというような、そういう銀行に変わってしまった。
 私は、これだったら、無担保、無保証で貸さないんだったら、いわゆる制度融資で、二十年度実績は十八万八千三百十五件もやっている。融資総額は三兆一千二百三十八億円もやっている。融資制度は立派に機能できるんですよ。銀行が無担保、無保証だからこそ、今、東京都が持っている制度融資に違う側面があって、補完作用で動いてきたと思うんだけど、そこのところを貸し出さないといったら、もう制度融資にかわることができるというふうに思っているんです。
 私どもは事業仕分けというのを、きょう、今やっています。そういうところからすると、我々は、事業仕分けの結果、新銀行よりも、やはり制度融資の方がいいというふうに考えるんですが、局長はどう思いますか。

○前田産業労働局長 大変失礼ですけれども、委員がお話しし、私も説明した二百八十五億というのは、累計のデフォルト額でございます。委員がお話しされたのは、たしか上期のデフォルト額でございますので、累計と各半期のを単純に差し引き算というのはないのかなと思います。
 次に、無担保、無保証融資のお話がありましたが、新銀行東京は再建計画におきまして、新規融資については原則として担保や保証をつけることを基本としておりまして、その後、ポートフォリオという商品の取り扱いを行っておりません。しかしながら、現在も一般融資において、お客様の財務内容等を考慮した上で、無担保、無保証による融資も実施しております。無担保、無保証融資をやめたとのご指摘は当たらないものと考えます。

○和田委員 この再建計画にこう書いてあるでしょう。担保、保証つきを原則とすると書いてあるんです。そのほかに、無担保、無保証も継続しますよということをいっている。
 私どもは今までの質疑の中で、新銀行東京の清算、整理ということを申し上げた。このことは、私自身、大変大きな問題だと思いますし、少しも進歩していない。昨年の四百億円の投入以降、説明責任も果たされておりませんし、実際の業績もつまびらかになっていない時点で、これは決算の認定にかかわる大変重要な質疑が、今、私のところで終わったなというような気もします。
 したがって、この新銀行東京についての、まだまだ不解明な点もありますけれども、私とすると、このことで新銀行がいまだに存在しているということが理解できない。清算、整理に入っていくべきだということを申し上げて、質問を終わります。

○大塚委員長 和田宗春委員の発言は終わりました。
 次に、矢島千秋委員の発言を許します。

○矢島委員 平成二十年度、多くの施策が展開されました。環境施策も、数値であらわせる取り組みはどこでも共通で見やすいものでありますが、ほとんどの施策が基盤づくりから始めなければならないわけでありますから、大変難しさがございます。
 そして、世界各国で進められている環境対策には、何よりもその大もとである自然観が大きく影響しているように思います。例えば、環境先進国である工業国ドイツの自然は、利用の中での回復、保全の対象と見える一方、日本は、自然は畏敬とともにある共生であり、生命観すら感じます。だからこそ、環境概念、そこから展開される施策は、日本が新しい時代を開くのではないかと思います。この点についてお考えを伺います。

○有留環境局長 お話のとおり、欧米における人と自然とのかかわりは、自然界にある資源を利用したり、自然の脅威に立ち向かうといった、いわば自然を客体として制御していくというスタンスに立つようなものであると認識しております。
 一方、日本においては、四季の変化がはっきりしていること、あるいは雨が豊富に降るといったことなどから、自然は人々に恩恵をもたらす存在であるとともに、時には人に危害をも及ぼす存在であると認知されてきました。そのため、日本人は古来より、自然に対して崇敬の念を持ち、人も自然の一部として自然とともに生きていくとの観念のもとで営みを続けてきました。
 明治以降の近代化の流れの中で、欧米的な考えが我々の意識に一定の影響を与えたことは否めませんが、依然として日本人の環境意識は自然との共生にあると認識しております。例えば、里山や鎮守の森を守るといった最近の動きも、こうした意識のあらわれであると考えております。
 このような日本人固有の環境意識は、多種多様な種をはぐくむ自然と人が共生していくといった、生物多様性の保全を推進していく上でも非常に重要でございます。地球環境を守ることとは、CO2の数値ばかりに注目するのではなく、数十億年にわたって続いてきたDNAのリレーを守り、人類という一つの種を含めて、生を総体として次の世代に引き継ぐことであると認識しております。
 今後とも、私たちの環境意識に根差した日本人ならではの取り組みを着実に進め、人類、生物の生存基盤である地球環境の保全にしっかりと取り組んでまいります。

○矢島委員 環境局については、一点だけお伺いいたしました。
 東京都は、中小零細事業者に対する融資施策の充実に努めてまいりました。信用が収縮する困難な中での、必要な多くの施策の取り組みには敬意を表さずには私はいられません。
 しかし、融資など、貸し切りとはできない施策の展開は、リスクと隣り合わせであります。分科会質疑、CBOのときにも申し上げましたが、たとえ東京都の負担はないとはいえ、東京都の名前を冠した融資施策が不十分な結果になると、東京都の施策に対する信用を失うことになります。それだけに十分な準備が必要ということになります。
 手元の資料によると、申し込みの七%、申込金額の二三%が信用保証協会の審査を通らないという現実の中、資金繰りに苦しんでおりますが、しかし、生きている中小企業者への施策の一つとして、東京都と地域の金融機関とが連携して実施する金融支援に関する条例が、平成二十一年、ことしの三月三十一日に公布されました。そこで、その組み立てとリスクの管理についてお伺いいたします。
 まず、今回のような融資など損失補償などのある事業は、リスクも大きく、中小零細事業者の現実の必要とのバランスから、制度設計は慎重を期さねばなりません。そこで、施策検討時のリスクの考え方についてお伺いいたします。

○前田産業労働局長 新たな保証つき融資制度は、昨年の秋以降、中小企業の経営環境の悪化に歯どめがかからないことや、緊急保証制度によっても資金調達が困難な中小零細企業が存在していることから、都としてさらに一歩踏み込んだ支援が必要であると判断して、検討を開始したものでございます。
 本制度は、都独自の初めての試みでございまして、制度の安定的な運営を確保していくためには、デフォルトの発生を可能な限り抑制していくことが必要でございます。同時に、現下の厳しい経済状況のもと、資金繰りに苦しむ都内中小企業を支援することは、東京の産業活力の維持向上にとって喫緊の課題であり、こうした政策目的の達成のためには、東京都としても一定のリスクをとっていくこと、これも求められております。
 このような考え方に立ちまして、都は、保証機関の導入及び債務不履行発生時におけます都、取扱金融機関、保証機関それぞれ応分の負担、この二点を軸といたしまして、条例制定後の本年四月以降、地域の金融機関などとの調整を経て、新たな融資スキームを構築したところでございます。
 本制度は、取扱金融機関及び保証機関の双方による審査体制の確保や、損失負担の分担を、東京都八割、取扱金融機関及び保証機関それぞれ一割とするなど、事業の目的とリスクのバランスについて慎重な検討を経たものでございます。
 東京都としては、一定のリスクをとりながら、この難局さえ乗り切れれば将来的に展望が開ける中小零細企業を積極的に支援していく考えでございます。

○矢島委員 ただいま局長から、与信を与える一〇%の金融機関のリスク、保証機関の一〇%のリスク、そして東京都の八〇%のリスク分担ということになります。
 融資対象は、保証協会の保証が困難な事業者を想定しておりますから、現実の問題として、破産が発生した場合のリスク管理がポイントになると思います。そこで、具体的に破綻時の債権回収の組み立てについてお伺いいたします。

○前田産業労働局長 中小企業に対します融資制度におきまして債務不履行が起きた場合には、行政として、損失補助の実施や、その後の債権管理を適正に行っていくことが重要であるのはご指摘のとおりでございます。
 そのため、本制度におきましても、損失補助の実行に当たっては、弁護士や公認会計士等から成る審査会により、個別案件ごとにその妥当性について審査を経た上で実施していくこととしております。
 また、損失補助を実施した後につきましては、東京都が八割相当の債権を取得して管理をすることになりますが、当局におきましては、これまで培った債権管理のノウハウを最大限に活用しながら、債務者の個々の実情に即したきめ細やかな管理、回収に努めていく考えでございます。

○矢島委員 期待するものであります。
 私は、行政の規律維持は、組織運営上、重要だと考えております。それゆえ、一般質問などで監査体制の強化と専門化を訴えてきました。
 さきに定例会一般質問では、その立場から内部統制の必要をただし、答弁で、監査時に、事業環境、運営方針について局長にトップインタビューを行うとし、平成二十年度決算、産業労働局監査では、緊急中小企業支援対策、雇用対策を初め、観光行政、農林水産対策、新銀行経営再建などが監査報告書に報告されております。
 そこで、リスクを抱えた具体的重要事業を展開し、多くの協力者と連携するネットワークマネジメントのさなかにある産業労働局のガバナンスをどのように考え、実践してきたか、お伺いいたします。

○前田産業労働局長 産業労働局では、金融支援のほか、商工、観光、農林水産といった産業振興、さらには雇用就業施策の展開など、幅広い行政分野において、みずから行うだけでなく、都庁以外のさまざまな関係機関の力を効果的に活用した事業実施を行ってきております。
 そうした中、ただいまご質問いただきましたように、中小企業に対する融資制度において多額の資金が活用されるなど、リスクを内在する事業も運営しております。こうした事業につきましては、制度設計の段階からリスクの最少化を図るとともに、事業実施に当たりまして、関係団体との連携を強化し、事業の適正な執行を可能とするネットワークの仕組みを確実につくり上げるマネジメントが大切であると考えております。
 事業執行に当たりましては、当局内で進行管理をきめ細かく行うとともに、関係団体に定期的に検査を行ったり、報告を求めることで、適時適切に事業に関する情報を入手し、その分析を行っております。
 産業労働局といたしましては、関係団体を活用する各種事業について、これまでの実績と経験の蓄積を生かすとともに、今後ともリスク管理の精度を高め、関係団体との適切な連携を図ることにより、事業執行におけるガバナンスの確保に努めてまいる考えでございます。

○矢島委員 みずからと、それから展開先について、ともにしっかりその役割を果たしていくという答弁がありましたが、ぜひそれを形にしっかりあらわして、全局に広がるような一つの見本を示していただきたい、このように思います。
 次に、景観行政についてお伺いいたします。
 平成十六年、国は景観法を成立させ、東京都は景観行政団体として全域を景観計画区域に指定し、都の景観行政を引き継ぐ幾つかの自治体、新宿区などが景観行政団体に移行しております。また、景観行政団体に移行しておりませんが、関係住民の同意を得て景観法の景観地区の指定をしている江戸川区一之江境川の積極的な取り組みもあります。
 そこで、指定状況、都の方針を伺います。

○河島都市整備局長 景観行政におきましては、都は広域的な観点から景観誘導を図る一方で、区市町村は住民に身近な地域の景観形成において重要な役割を担うべきであると認識しております。
 このため、主体的に景観施策を展開できる景観行政団体への移行に向けて、区市町村と協議を行っておりまして、現在、九区市が景観行政団体となっております。
 今後も引き続き区市町村との協議を進め、円滑な移行に努めてまいります。

○矢島委員 東京都の景観の保全は、景観法に先立つ平成六年の東京都景観マスタープラン策定、九年の東京都景観条例が制定され、都独自の取り組みとして、眺望の保全に関する景観誘導地区がありますが、二十年四月の景観条例の改正で、東京駅丸の内駅舎が追加をされました。もともとの駅舎の姿への復旧事業は五百億円、JRの負担でありますが、当初は再開発が予定され、大きな広がりを見せた駅舎保存運動により、特例容積率適用地区の方法を生み、大戦の空襲後、臨時のまま使用されていた駅舎を、三階建て、南北のドームという大正三年の建設当時に戻すものであります。まさに東京駅の戦後が終わろうとしております。
 そこで、東京駅舎の保存復元事業に対する東京都の対応についてお伺いいたします。
 あわせて、東京にはこのほかにも、首都高に覆われた日本橋など、近代化の日陰に追いやられた歴史的ストックもあり、多額の事業費捻出を可能とし、隣接していない建物でも容積率の移転ができる特例容積率適用地区の指定は、今回見る限り、それらの意思の実現に道を開くものと見えます。
 東京都は今後、高度利用の既存市街地を承知の上で、困難な課題を克服し、この制度を活用し、現在に生きる歴史的景観を保存しようという取り組みに実効ある協力をすべきと思いますが、お考えを伺います。

○河島都市整備局長 特例容積率適用地区制度は、保全すべき歴史的な価値を有する建造物が立地する敷地などにおきまして未利用となっている容積率をほかの敷地で有効に活用できる制度でございます。
 都は、平成十四年に大手町・丸の内・有楽町地区を対象に本制度を適用し、将来に引き継ぐべき資産である東京駅丸の内駅舎の復元を図ることによりまして、首都東京の玄関にふさわしい風格ある都市景観の形成を誘導してまいりました。
 こうした取り組みに加えまして、行幸通りからの眺望の保全を図るため、地元区との協議を踏まえまして、平成二十年に東京都景観計画に位置づけ、復元後の駅舎を中心とした景観づくりを進めてまいりました。
 今後も、地区の特性や都市基盤の状況を十分勘案しながら、歴史的な価値を有する建造物の保存に有効と認められるような場合におきましては、特例容積率適用地区制度などを活用いたしまして、歴史的景観の保全に取り組んでまいります。

○矢島委員 日本の豊かな自然環境、歴史文化を体現する景観の大切さはいうまでもありませんが、最近では広島県鞆の浦の裁判が印象に深い、皆さんご承知のことと思います。
 東京都は、景観条例に基づく都選定歴史的建造物として、平成二十一年三月三十一日現在、七十三件、景観上重要な歴史的建造物は二十九件、指定をしております。
 この制度は、民間所有の場合、所有者の了解を得て指定となります。しかし、その存続には、個人の善意を基本としておりますから、そのままでは個人の事情の前には無力の場合もあります。東京都は、都が独自で評価し、歴史的建造物として指定した民間所有の歴史的小規模建物の存続が危ぶまれるときの有効な存続策を検討すべきであります。
 国は景観形成総合支援事業があり、東京都でも、小規模建物に見合う新特例容積指定制度、買い取り基金の創設など、指定を単なる評価に終わらせない制度も可能だろうと思います。お考えを伺います。

○河島都市整備局長 歴史的な価値を有する建造物は都市の貴重な景観資源でございまして、東京の魅力を高めていく上で、これらを保存、活用することは重要であると考えております。
 都はこれまでも、歴史的な建造物について、特定街区など都市開発諸制度を活用することによりまして、可能な限り、その保存や活用に努めてまいりました。
 今後、都市開発諸制度の活用はもとより、東京の地域特性に応じた保存手法のあり方や誘導策について検討してまいります。

○矢島委員 次に、港湾行政についてお伺いいたします。
 港は魅力的な施設であります。四方を海に囲まれ、海洋民族の血を引く日本人は、船が行き交う港の景色には大きな情感を呼び覚ますに違いありません。
 東京都の港湾整備はたゆまず取り組まれておりますが、二十年度も整備が進められております中央防波堤外側は、大型船と、羽田空港進入路に当たり、まさに目前に海と空の景色がともに眺められる位置を占めるだけに、大型コンテナターミナルなどの業務地域ばかりではなく、この場所は観光スポットとして実に圧倒的であります。
 こうした観点から、その活用と、さきに外国の例に倣い決定されました東京港貨物施設の倉庫群、クレーンの景観対応の進捗状況についてお伺いいたします。

○比留間港湾局長 中央防波堤地区は、東京港の玄関口であるとともに、羽田空港に近接することから、その景観は、観光客等の多くの来訪者に、まず首都東京を印象づける重要な役割を果たすこととなります。このため、その開発に当たりましては、船舶や航空機からの視点や、海上公園等からの眺望に配慮し、観光振興にも資する景観の形成が重要でございます。
 都では、同地区を良好な景観を形成する区域として港湾計画に位置づけるとともに、現在、「十年後の東京」計画に基づき、コンテナクレーンや倉庫の色彩、高さなど、港湾施設等を対象とした景観のあり方について検討を進めております。
 今後、海の森などとの調和にも配慮した景観ガイドラインを策定し、首都東京の海と空の玄関口にふさわしい魅力ある景観の形成に努めてまいります。

○矢島委員 日本にとって、港湾は、経済活動のみならず、日本存立の生命線であります。さきの分科会質疑で、臨海部開発は締めくくりの時期に差しかかっていることを確認し、局長より、臨海地域移管の認識を伺いましたが、その後も進められるであろう港湾行政は、日本の命運を担う、東京都の事業の中でも秀でて優秀な業務であります。
 そこで、平成二十年度までの東京港整備の実績を生かす港湾政策について伺います。
 日本の港湾は、敗戦後、占領軍の、港湾は軍港、商船隊は軍需産業という位置づけから、地方自治体の所管になったと聞いておりますが、世界の各国が争うグローバル化の時代の中では、現在進められておりますスーパー中枢港湾政策では極めて不十分で、国策で大規模コンテナターミナル、ハブ港を早急に整備しなければ、日本にとって大きな損失となります。
 平成二十年度も整備が進められた東京港は、積みかえを除けば、世界の大港湾である事実は変わりません。それでも、日本の港湾すべてが国際中枢輸送ルートより外れた場合の影響は大変大きく、食料も三%近い上昇の影響を受けると聞いております。日本発着の貨物の直接ルートを維持することが重要ということは、この一つをとっても明確であります。実際、日本発着コンテナの国際ハブ港利用がふえているという事実もあります。
 このような中、国は、スーパー中枢港湾を現在の三地域六港から一、二カ所に絞り込み、国際競争力のある港湾を選択し、投資を集中するという報道があります。これまでの取り組みを強化するためにも、この施策にぜひとも手を挙げるべきと考えますが、お考えを伺います。

○比留間港湾局長 平成十六年、国は、我が国港湾の国際競争力を強化するため、コストとサービスにすぐれた港湾を選択し、集中的に育成することを目的に、スーパー中枢港湾として、京浜港、阪神港、伊勢湾の三つの港湾を指定いたしました。最近、国土交通大臣は、このスーパー中枢港湾をさらに絞り込み、重点投資を行うことを表明しております。
 この発言の具体的な内容は、現在いまだ明らかにされておりませんが、国際競争力をより一層強化するという趣旨は、京浜三港連携の目的と重なるものであると考えております。今後、国において施策を検討する中で、京浜港共同ビジョンの中間のまとめで提言しております貨物集荷策や港湾機能の向上策などの取り組みは、新しい政策に反映されるべきと考えております。
 こうしたことから、京浜港は日本を代表する港湾として、三港で共同し、国のスーパー中枢港湾の絞り込みの動きに対し、施策の具体化に関与していくことも含め、積極的に対応すべきと認識してございます。

○矢島委員 大型化された貨物船により運ばれたコンテナ等は、通関後、運送となります。一年間に三百七十三万TEUの取扱量がある東京港は、一日一万個の荷物が、九三%を占める自動車輸送を中心に、はしけ七%、ごく一部の鉄道で輸送されております。それだけに、東京港の扱い量の増大する中、大宗をトラックで支えられている東京湾岸道路のネットワークでは不十分で、輸送効率をさらに向上させなければなりません。そこで、二十年度整備状況、今後の整備促進策について伺います。
 また、コストの点で課題はあるとしても、エネルギー使用量はトラック便の一〇%程度、CO2排出量も二〇%の世界トップクラスの内航海運が日本にあります。内航ハブ化の取り組みは欠かせませんが、その連携状況、また鉄道へのモーダルシフトについてお伺いいたします。

○比留間港湾局長 東京港において港湾物流の効率化を図るためには、ふ頭施設と背後圏とを結ぶ道路ネットワークの充実強化が重要でございます。現在、中央防波堤地区から羽田空港や千葉方面への交通円滑化のため、臨海道路二期事業等を進めており、平成二十年度は、橋げたの製作や架設工事等を実施いたしました。
 今後も、第二航路海底トンネルを補完する南北線の事業化の検討など、道路ネットワークの充実に努めてまいります。
 また、遠隔地からの貨物集荷を強化するためには、輸送効率にすぐれた内航海運や鉄道の利用促進が重要でございます。このため、地方港との間で内航船舶への優遇措置を行う協定を締結するとともに、鉄道輸送につきましては、不足している荷役機械や専用台車の整備などについて、国に対して、鉄道事業者への支援を求めてきたところでございます。
 さらに、国内海上輸送や鉄道へのモーダルシフトの促進は、地球温暖化対策が急がれる中で、高いCO2削減効果が期待され、環境に優しい物流を進めることにも寄与していくこととなると考えております。

○矢島委員 東京港整備は、東南アジアの主要港の役割を維持するため進められ、国際ハブ港である釜山、上海、シンガポールと比較、競争となっておりますが、このためには、効率化、船舶の大型化対応などの取り組みは欠かせません。港湾整備の目標の一つ、輸入貨物のリードタイムが短縮され、また、世界一といわれる極めて質の高い荷役が日本にあったとしても、主要航路を維持するためには、効率化を目指すコンテナ船大型化への対応は避けて通れません。
 しかし、東京港は、多摩川と荒川の河口にできた港だけに、流されてくる土砂の影響で、船舶の大型化対応には水深が、また、羽田の新滑走路など空域の関係から、大型化に伴う高さには課題があるそうであります。つまり、水深と高さともに対応し、整備を進めなければならないということになります。
 東京港整備の平成二十年度の計画では、二十四年度に完成される中央防波堤外側のコンテナターミナルは、大型船の高さに羽田空域の制約がある中、わずか一バースだけ水深十六メートル。しかし、二十五メートルの水深を持つ横浜港南本牧ふ頭は、効率化のためのコンテナ船大型化の趨勢の中で主流となっている水深二十メートルバースとする整備が進められると聞いております。また、首都圏後背人口を支える輸入中心東京港と、京浜工業地帯を控えた輸出中心の横浜港という観点からも、相互に補完関係にあります。実際、大規模トランシップをする世界の港湾の条件に比べ、東京港と横浜港の距離は決して遠くありません。
 そこで最後に、将来への道を開く、昨年秋より協議が進められている京浜三港共同ビジョンの進捗状況についてお伺いいたします。

○比留間港湾局長 近年、アジア諸港の躍進により、日本の港湾の国際的地位が低下する中、このまま積極的な対策を講じなければ、東京港、川崎港、横浜港の京浜三港は、欧米とアジアを結ぶ国際基幹航路のルートから外れ、我が国経済に深刻な影響を与えかねない状況となっております。
 こうした危機感のもと、京浜三港は、東京湾の国際競争力を強化するため、昨年三月に広域連携について合意し、京浜港の港湾経営と港湾整備の基本となる共同ビジョンの策定に着手をいたしました。本年七月には中間のまとめを発表し、京浜港の貨物集荷策、機能向上策に加え、防災対策などの広域的な取り組みを含めた京浜港の一体的な経営の推進など、基本戦略を提示したところでございます。
 現在、施策の充実を図るため、関係事業者等との調整を進めており、今年度内には最終的な取りまとめを行う予定でございます。

○大塚委員長 矢島千秋委員の発言は終わりました。
 古館和憲委員の発言を許します。

○古館委員 それでは、日本共産党の総括質疑を行います。
 二〇〇八年度は、リーマンショックといわれるアメリカ発の金融不況のもとで、派遣村に代表される若者を中心としたワーキングプア、不況に苦しむ中小企業、そして小泉流構造改革に基づく重税と社会保障負担の増大など、貧困と格差の拡大が社会問題となり、政治がこの問題にどう立ち向かっていくのか、これが問われました。
 また、都財政は、不況の影響を受けて、当初予算よりも減収となったとはいえ、五兆三千億円という、石原知事就任時の一九九九年度の一・三倍、財政再建推進プランの見込み額三兆七千九百億円の四割増しも確保され、自由に使える基金も一兆六千億円にも達しているのであります。この巨額の資金をだれのために使うのかということが問われているんです。
 しかし、石原都政は、自公政権と歩調を合わせ、都民の生活と営業を守るために力を尽くすのではなく、潤沢な資金を、専らオリンピック招致をてことした首都高速中央環状品川線などの大型開発につぎ込むことを優先してきました。二〇〇八年度は、一般会計で二千百六十二億円もの不用額を残しましたが、その不用額の七割は、ハード経費以外の福祉保健費や教育費、産業労働局などのソフト経費が占めているんです。石原都政が都民のための施策には冷たい態度をとったことは明白であり、このことが都民生活と営業の困窮に拍車をかけることになったことを指摘せざるを得ません。
 まず、オリンピック招致の問題であります。
 我が党はこの間、招致経費がこれまでの百五十億円にとどまらず、全庁に及び二百億円を超えること、その事業の大半が電通に独占されてきたこと、民間資金といいながら、都の関連団体に一億円も拠出させていたこと、にもかかわらず資金が十億円不足し、税金で穴埋めしなければならない、このような可能性が強いことなどを指摘してまいりました。
 加えて、我が党の調査で、都が、オリンピック招致の機運が盛り上がらないことから、さまざまな宣伝やイベントなどに巨額の資金をつぎ込み、浪費とむだ遣いを進めてきたことも明らかになりました。
 きょうは、オリンピックムーブメントのイベントについてただしたい。
 まず、招致委員会主催の招致イベント、都と区市町村の共同事業などで、アスリートやスポーツ文化人、タレントなどが多数出演しておりますが、イベントを合わせた出演費は全体で幾らになるでしょうか。

○荒川東京オリンピック・パラリンピック招致本部長 平成十八年度から二十一年度までの足かけ四年間、都内、全国各地におきまして、あこがれのスポーツ選手と交流するオリンピック招致イベント、あるいは区市町村との共同事業を実施してまいりまして、子どもたちにさまざまな感動を与えてまいりましたけれども、この事業に係る出演者の報酬として支払いましたのは、現在精算中で多少動きがありますけれども、先ほど答弁申し上げましたように、約二億四千二百万円でございます。

○古館委員 それで、これで一人当たりでいいますと、先ほど答えましたね、三十七万五千円--答えたと思います。今、高額のものではないというふうにいわれたんですけれども、これは違うんじゃないでしょうか。この一人当たりの最高額、累計での最高額、これはそれぞれ幾らですか。伺います。

○荒川東京オリンピック・パラリンピック招致本部長 全体で平均しますと、先ほど申し上げましたように、また先生も今、お話がありましたように三十数万円ですけれども、把握している範囲では、最高額についてですけれども、地域におけるスポーツ大会と講演会を二日間にわたって実施した事業がございまして、そこに出演した著名なアスリートの場合に、二日間出演で百万円でございます。
 一般に、実績や知名度があるアスリートにつきましては報酬が高くなる傾向にございまして、場合によっては、一時間程度の講演だけで百万円を超える著名なアスリートがいるようでございますけれども、そうした中で、我々の招致に係るイベントにつきましては、アスリートの協力もございまして、平均すれば決して高額ではないというふうに考えております。
 なお、累計については把握できておりません。

○古館委員 イベントの件数当たりでは、確かに先ほどの数字がありましたが、今ご答弁ありましたけれども、約百万円ですね。
 (パネルを示す)それで、きょうは私、ここにパネルを持ってきたんですけれども、このパネルなんですけれども、個別に見ますと、実は六人の出演者で、司会者、舞台監督、こういう人たちが六人で行事、イベントを行いました。ここで払われたのが、スタッフ六人で五百十五万余円払われているんですね。それで、次の二段目が、七人でいわゆる一つのグループとしてやって、それで支払われたお金が四百四十五万円であります。それで、次のこの二人というところの出演料でも百九十万円と。そして、下の方で百九十四万円。さらに二百六十二万円、一人で九十九万、約百万と。こういうような形で、今この支出というか、されてきているというのが、私どもの調べの中で具体的に明らかになってきております。
 これらのイベントは、いずれも拘束時間はそんなに長くないんですよね。長くない中で、これだけの経費を本当に払わなきゃいけないという、こういう異常な問題ということについて、私たちはやっぱり指摘をしなければなりません。
 いずれも、二〇〇七年度、みんなのオリンピックというイベントでは、出演料は、会場、出演者、人数にかかわりなく一律八十万円というふうになっているんですね。これはもう、全く業者のいいなりだったんじゃないかと。このことを厳しく指摘しておきたいと思っております。
 私は、オリンピックムーブメントとして、またスポーツの振興のために、トップアスリートが参加して、例えば教室を開催して一緒に練習してその技術を学ぶとか、メダリストのスイマーと一緒に泳ぐなどということは大事なことだと考えていますし、今回のイベントの中で、一緒に練習して喜ばれたという話も聞いております。すべて否定するものではありませんけれども、このオリンピックムーブメントには、スポーツ振興というよりは、いわば世論の盛り上げ、これが目的とされたことから、いろんなゆがみがもたらされている、このようなことを指摘しなければなりません。
 まず、イベント内容にそぐわない出演者の選定であります。例えば、オリンピックムーブメントは、招致委員会主催のものと、東京都と区市町村との共同推進事業があるんですけれども、共通してトークショーが多くを占めていること、これが特徴なんですね。あわせて、開催行事内容と関係のない種目のアスリートやスポーツ文化人、スポーツ以外のタレント、こういう人たちが出演している、こういうケースも見られている。これも特徴の一つであります。
 例えば、二〇〇七年度のテニスの日イベントに出演した元アスリートは、テニスと関係のない水泳の選手でありました。また、二〇〇八年のすみだ・こどもまつりですね、これには、オリンピアンではなくて落語家の方が出演をしているんです。さらには、駅伝やマラソンにランナーが出演したのなら理解できるんですけれども、実際に出演したのは元体操選手だとか野球の選手、こういう人たちが出演をしたりしているんですね。あきる野市で開催されたウオーク・アンド・トークショーには、レスリングの選手とコーチが出演したんですけれども、レスリングの実演や指導をするわけでも全くありません。トークショーとウオーキングに参加しただけであります。これらに高額の出演料が払われているんですね。これでスポーツ振興のためのイベントだと、このように胸を張れるのかというふうに私はいいたいんですね。
 そこでお尋ねをいたします。招致委員会が実施した全国祭りプロモーション、春日部大凧あげ祭り、参加の事業費と参加者の出演料は幾らになるでしょうか。

○荒川東京オリンピック・パラリンピック招致本部長 済みません、ちょっと一言申し上げさせていただきたいと思います。
 我々が進めてきた招致イベントあるいは区市町村との共同事業につきましては、確かに世論の盛り上げというのは一つの柱になっておりますけれども、同時にオリンピックムーブメントの推進というのがございまして、先生ご存じのとおり、オリンピズムというのは、単なるスポーツだけではなくて文化、環境といったこと、この三本柱でオリンピズムは進めようということでございます。そういったことをぜひご理解いただきたいというふうに思っております。
 それから、全国祭りについてのお話でございますけれども、平成二十年五月に開催されたお話のイベントも全国イベントでございまして、アスリート二人が春日部市立の中学校の生徒と一緒に、PRのための招致だこというものをつくりまして揚げたものでございます。見物客は十万人でございました。また、同じアスリートによる、オリンピックのすばらしさ、スポーツの楽しさを伝える青空教室を同じ中学校の中で開催しております。
 これらに係る事業費は五百十五万七千円でございまして、出演料は、アスリート二名と司会進行者合わせて七十万円でございます。
 また、イベントの開催状況は新聞やニュースでも取り上げられまして、また「赤旗」にも載せていただきまして、十分な招致PR効果があったというふうに思っております。

○古館委員 この問題について、ことしの五月の連休に開催された春日部の大凧あげ祭りですね、先ほどお話がありましたけれども、テレビなどでも報道されるイベント、オリンピアンが二名参加しておりました。二名が参加した五月三日は、雨で大だこ揚げは中止になったんですね。五日の大だこ揚げでは、他の大だこは見事に揚がったんですけれども、五輪招致の大だこは、招致の結果を見透かしたかのように揚がらなかったんですね。(発言する者あり)いや、実際そうなんです。二十メーターぐらい揚がったんだけれども、失速して落っこちてしまった。それで、このためマスコミでは、五輪招致揚がらずと、このように書かれて、ウエブ上では、二度目も失敗してしまった、あれだけ大勢の人たちが準備したのにむなしいとまで書かれている。
 この全国祭りプロモーションは、全国の七県の祭りに参加をして、合計四百六十七万円も支出されているんですね。そのほかにも、高知のよさこい祭りだとか、長崎ランタンフェスティバル、こういうものにも参加をし、オリンピアンが踊りに参加したり、中国衣装を身にまとって皇帝パレードに参加するというもので、現地のイベントのホームページやスケジュール表などに、オリンピック招致PRの文言は見当たらないんですね。効果も疑わしいと、このようにいわざるを得ないのです。
 そこで、この全国祭りプロモーションは、盛り上がらない世論対策、これを何とか盛り上げよう、こういうことが主な目的として行われたのではありませんか。いかがですか。

○荒川東京オリンピック・パラリンピック招致本部長 これまで我々が進めてきたイベントにつきましては、何回もこれまでも都議会の中でご説明させていただいておりますけれども、オリンピックムーブメント事業ということで、招致活動を側面から支援する事業ということで、直接の招致経費とは別に、ムーブメント推進事業ということで位置づけて進めてきているものでございます。
 これにつきましては、先ほど申し上げましたとおり、世論の盛り上げということもありますけれども、同時に、オリンピック招致について重要な、オリンピズムの普及、オリンピックムーブメントの理解といったようなことがIOCの非常に重要な条件となっておりまして、これを進めるために今まで一緒に進めてきたものでございまして、ぜひともご理解いただきたいと思います。

○古館委員 いろいろいっているんですけれども、招致委員会の事業部門のマネージャーは、あるホームページで、昨年六月時点で五九%だった認知度を、まずは七〇%以上にするのが私たちに与えられた課題だ、そこで打ち出されたのがお祭りプロモーションだと。このようにあけすけに、お祭りプロモーションが世論対策だということを語っているんですね。
 オリンピックのムーブメントとは、日常的にスポーツの普及だとか振興を図るのが、それこそ理念であります。招致本部も招致委員会も、このオリンピックの理念を全く理解していない、こういうことをいわざるを得ません。もしくは、理解していても無視したか、どちらかだと。こういうことは許されることじゃない、このことを指摘しておきたいと思います。
 それで、コペンハーゲンの選考会議で、IOC委員から東京の世論の低さが指摘されましたが、世論に真摯に耳を傾けるのではなくて、それこそ金に飽かした招致活動で都民世論を動かせると考えたことが、私は一番の間違いじゃないかなと考えています。
 大体、東京都は、都民のためのスポーツ予算を削ってまいりました。オリンピックだとか東京マラソンなどの知事のトップダウン事業を除いたスポーツ振興予算は、知事が就任した一九九九年度と比べると、昨年度は半分以下の四六%に減らされているのです。また、都民が自主的に運営しているスポーツ団体が毎年開催しているスポーツ祭典は、平均して十五種目、四千人から五千人が参加するイベントなんですが、以前はわずかではありましたけれども、東京都から五十万円補助金が出されていました。ところが、だんだん減額されて、二〇〇四年に打ち切られてしまいました。団体が支援を強く要望しているのでありまして、都は一円も支援していない。にもかかわらず、招致機運を盛り上げるといって、一日五百万円だとか、一人百万円もの出演料を支出している。今の都政は、やっぱりどこかおかしいんじゃないか、このようにいわざるを得ないものであります。
 続いて、特養ホームの整備促進についてお伺いいたします。
 特養ホームの整備についてでありますが、二十三区区長会が、特別養護老人ホームの整備について、大都市特有の問題として、土地取得を初めとする財政支援を都として考えていただきたい、この要望を出しております。「たまゆら」の問題を背景として、介護施設の増設が緊急の課題となっております。人間らしく生を全うすること、これはだれもが願っていることであります。
 板橋区の場合を見ますと、現在、特別養護老人ホームが十一カ所あります。現在、千二百人くらいの高齢者が入所しており、東京全体では三万四千九百十四人とのこと。特養ホームに入れて、人生がさらに豊かになってきた、人のぬくもりを実感しているなどの声が聞かれてもいます。しかし、問題は、申し込んでも入れないで待機している高齢者が、今、板橋区でも千九百八人いるんです。東京全体では、入所を希望して入れない人が三万八千人を超えているのであります。
 そこで伺いますが、特養ホームの整備促進がいよいよ求められております。特養ホームの整備について、その重要性をどのように認識しておられますか。

○安藤福祉保健局長 都は、介護保険者であります区市町村が地域の介護ニーズを踏まえて算定をいたしましたサービス見込み量に基づいて、計画的な基盤整備に努めているところであります。
 また、整備に当たりましては、平成二十年度から、高齢者人口に比べて整備状況が十分でない地域の補助単価を最高で一・五倍に加算するなど、さまざまな手法を活用しながら、着実な介護基盤の整備に努めているところであります。

○古館委員 今、局長が答弁しましたけれども、そうはいっても、都だけで三万八千三百二十一人の待機者がいるんです。入所できているという人が三万五千人近くなんですね。だから、待機している人の方が多いんですよ。入れていない人の方が多い、これが実態なんです。だからこそ、こうした深刻な事態に対して、区長会も、ソフト面での充実などに力を入れていくけれども、絶対的に不足をしている特養ホームの建設を進めたいと、このようにいっているんですね。そのためには、どうしても東京都が特別養護老人ホーム整備費補助を飛躍的にふやしていくことが強く求められております。
 しかし、特養ホームに対する都の整備費補助、これは決算額で見ますと、平成十一年度が補助額が百七十八億余円でありました。それ以後は毎年のように減額されて、平成二十年度では、何と百七十八億円から二十五億余円へと激減して、一四・五%へと減らされているんですね。
 そこで伺いますけれども、区長会が特別養護老人ホームの整備について用地費助成を復活することを強く要望、予算要望している、このことをどのように受けとめているでしょうか。

○安藤福祉保健局長 本件につきましては、さまざまな場面でお答えを申し上げておりますけれども、お尋ねの用地取得費助成事業につきましては、約半数の区市町村で特別養護老人ホームが未整備でありました昭和六十年度に開始をしたものでありまして、当時は施設用地の自己所有が原則であって、また用地取得費の資金調達が困難であったことなど、用地確保が大きな課題でございました。
 その後、国の規制緩和によりまして、民有地の貸し付けによる整備が明確に位置づけられ、現在は、定期借地権制度を活用することによって、土地を取得することなく長期的に安定した用地確保が可能となっております。また、用地取得に対する融資制度の充実が図られるなど、状況は大きく変化をしております。
 こうしたことから、用地取得費助成事業は平成二十年度の着工分をもって終了しておりまして、復活することは考えてございません。

○古館委員 今、そういうお話をしたんですけれども、私は、どのように受けとめているのかというふうに聞いたんですね。大体、倍以上の人が入れていないんですよ。そういう実態の中で、それを区だけがお金を出しなさいとか、そういうこと自体が無理なんです。だから、東京都に対して区長会が、何とか土地代の補助をしてくれと、このようにいっているんです。だから、このことをどう受けとめているのかと、私はこのように聞いていますから、もう一回答弁していただきたい。

○安藤福祉保健局長 用地に関しましては、ただいま答弁したとおりでございますが、私どもは、先ほど申し上げたとおり、介護保険者であるお尋ねの区市町村の皆さん方がつくりました、地域の介護ニーズを踏まえて算定したサービス見込み量に基づいて計画的な整備に努めておりますし、整備に当たりましては、繰り返しになりますが、補助単価を最高一・五倍に加算するなど、多様な手法を活用しながら、着実な介護基盤の整備に努めているところであります。

○大塚委員長 古館和憲委員の発言は終わりました。
 西崎光子委員の発言を許します。

○西崎委員 私からは、まず子育て支援について伺います。
 平成十六年十二月、政府は子ども・子育て応援プランを策定しまして、少子化社会対策大綱の重点課題に沿って、平成二十一年までの五年間に講じる具体的な政策内容と目標を提示し、平成十八年には新しい少子化対策についてを策定しました。その中でも、児童虐待防止対策及び要保護児童対策の強化が掲げられています。
 都では、要支援家庭の把握と支援のための母子保健事業のガイドラインを作成し、この中で、母子健康手帳交付や新生児訪問、三、四カ月健康調査など、母子保健事業の実施機会の活用によりまして要支援家庭の把握と支援を行うことを明記しました。しかし、子育てやみずからの体調に不安を感じている母親や、発達に何らかの問題がある子どもなど、支援が必要な家庭は、実際には自主的な相談につながりにくい傾向があるのではないかと考えます。
 そこで、虐待の未然防止に向け、母子保健事業などを活用した要支援家庭の早期発見に向けて、二十年度はどのように取り組んだのか伺います。

○安藤福祉保健局長 都では、平成十八年三月に策定いたしましたガイドラインのより実践的な活用を図るために、区市町村の保健師、保育士、医師等への研修を開催し、技術的支援を行ってまいりました。
 さらに、平成二十年度からは、乳幼児健診など、ほぼすべての子育て家庭と接する機会となります母子保健事業を活用いたしました要支援家庭の早期発見支援事業を開始いたしまして、虐待の未然防止に向けた区市町村の取り組みを支援しております。
 また、こうした取り組みを一層強化するために、より具体的な留意点などを示しました冊子「母子保健事業における要支援家庭の早期発見・支援のポイント」を本年三月に作成し、区市町村に配布したところであります。

○西崎委員 十一月は児童虐待防止月間で、児童虐待防止の啓発を図ることを目的に、民間団体が中心になりましてオレンジリボンキャンペーンが行われています。
 全国の児童相談所における虐待の相談件数は年々増加しておりまして、平成二十年度は過去最高の四万二千六百六十四件。これは児童虐待防止法施行前の三・七倍です。子どもの人権を守り、虐待を防止するためには、児童虐待への理解をさらに深め、さまざまな対策を講じていく必要があります。
 都では、子どもと家庭の相談をより身近な区市町村でできるよう、子ども家庭支援センターの設置を進めてきていますけれども、平成二十年度の子ども家庭支援センターにおけます児童虐待の相談件数は約五千件で、これは都の児童相談所の対応件数よりも、三千二百件よりも大きく上回っています。
 このような状況の中で、子ども家庭支援センターの相談対応力の強化や専門性の向上の取り組みが重要になってくると思います。そこで、子ども家庭支援センターの専門性の向上を図るためどのように取り組んできたのか、また、平成二十年度の都の取り組み状況について伺います。

○安藤福祉保健局長 都では、平成十五年度でございますが、児童虐待に対応する専任ワーカーなどを配置いたしました都独自の先駆型子ども家庭支援センターを創設いたしまして、平成二十年度末には四十七区市町で整備をされております。
 また、子ども家庭支援センターの職員の専門性の向上を図るために、児童虐待対応などの専門研修を実施してまいりましたが、平成二十年度からは、精神科医や児童福祉の専門家などをスーパーバイザーとして活用し、組織的な対応力の強化を図る区市町村への支援を行っているところであります。

○西崎委員 児童虐待については、要保護児童対策が強化される一方で、親の虐待や家庭環境などで家庭に戻すことができずに、児童相談所でも一時的な保護を必要とする子どもがふえているというふうに聞いています。このような状況について、都としてどのように取り組んでいるのか伺います。

○安藤福祉保健局長 一時保護需要の増加に対応するために、これまでも受け入れ定員をふやしてまいりましたけれども、平成二十年度は武蔵野一時保護所を新設し、定員を百六十八名といたしました。
 児童相談所では、保護した子どもの行動観察や意見聴取、保護者への調査や指導を行った上で、多くの子どもを家庭復帰させておりますけれども、その後も、子ども家庭支援センターなど地域の関係機関と連携しながら継続的な支援を行っているところであります。
 また、平成二十年度には、児童虐待を行った保護者に対する援助ガイドラインというものを策定いたしまして、保護者への指導と支援の充実を図っております。
 他方、家庭環境の調整が整わずに家庭に戻れない子どもにつきましては、養育家庭や乳児院、児童養護施設など、その子どもに合わせた環境のもとで養育し、心のケアや自立のための援助を行っているところであります。

○西崎委員 今、お答えにもありましたけれども、家庭のさまざまな事情により親と暮らせない子どもたちは、児童養護施設などの社会的養護の下で養育されますけれども、近年の児童虐待の増加状況を受けまして、施設においても、虐待により心に深い傷を受け、情緒的な問題や行動上の問題を抱える児童が多い状況です。
 現在、児童養護施設ではどのようなケアを行っているのか、実施状況とあわせて伺います。

○安藤福祉保健局長 虐待を受けました子どもたちは、情緒面や行動面に深刻な問題を抱えている場合が多いために、児童養護施設におきましては、心理担当職員によるカウンセリングの実施や、小規模グループによる家庭的な環境での養育など、きめ細かなケアを行っているところであります。
 平成二十年度末におきましては、心理担当職員の配置は全体の九六%に当たる五十四施設で、また小規模グループケアは全体の八〇%に当たる四十五施設、七十一カ所で実施をしております。
 また、子どもへの専門的ケアを充実するために、都独自に精神科医や心理療法等を行う職員を手厚く配置いたしました専門機能強化型児童養護施設を平成十九年度に創設しておりまして、平成二十年度末には四施設、現時点におきましては二十施設となっております。

○西崎委員 虐待を受けた子どもへのケアについては、平成二十一年度、新たな治療的ケア施設の検討も行われているということですけれども、今後も、家庭への復帰と地域での見守りなど、取り組みがさらに充実するように要望しておきます。
 次に、子育て中の女性の就労支援について伺います。
 厚生労働省の調査では、女性労働者の約七割が第一子の出産前後に離職してしまうという結果が出ています。せっかくのキャリアが中断してしまうことは、働く人にとって非常に残念なことであるとともに、せっかく育成した人材にやめられてしまうことは、企業にとっても大きな損失であると思います。
 しかし、子育て中の就職活動や再就職には、子どもを預ける施設を探せるかどうか、仕事と育児の両立ができる仕事につけるかどうかなど不安を抱えており、さまざまな制約があると思います。
 そこで、一たん離職しても、できるだけ早く仕事に復帰して働きたいという女性に対しては、仕事と育児を両立しやすい働き方の提案などを含めて、一般の求職者よりもきめ細かい支援が必要だと考えます。
 都は、子育て中の女性の再就職支援についてどのような取り組みをしているのか伺います。

○前田産業労働局長 出産、育児などで離職した女性の再就職を支援することは、女性の就労や能力発揮の機会を確保するとともに、有用な人材の活用を図る観点からも重要でございます。
 このため、都は、しごとセンターに女性向けのキャリアカウンセリング窓口を設けまして、専任のアドバイザーが勤務時間等の雇用条件に配慮した就業相談や職業紹介を行うほか、講義と実習を組み合わせた実践的なカリキュラムによる女性再就職サポートプログラムなどを実施しております。また、これらのサービスを利用される際には、無料の託児サービスも提供しております。さらに、育児中の離職者を対象に、インターネットを活用し、自宅のパソコンで職業訓練が受けられる三カ月間のe-ラーニングを実施し、能力開発を支援しております。
 都は、こうした再就職支援だけでなく、さらに、女性が働き続けられる職場の一層の拡大を図るため、仕事と子育てなどとの両立に向けまして雇用環境整備に取り組む中小企業を積極的に支援しております。

○西崎委員 今、答弁の中で、しごとセンターにおいて、キャリアカウンセリングだけではなく、女性再就職サポートプログラムを実施しているということでしたけれども、この女性再就職サポートプログラムはどのような内容になっているのか、またその実績について伺います。

○前田産業労働局長 女性再就職サポートプログラムは平成十九年度に開始いたしましたもので、具体的な支援内容としては、就職活動のノウハウに関するセミナー、求職者のニーズの高い経理事務や営業事務などのスキルアップ講習、企業における職場体験を、全部で十日間のカリキュラムで実施しております。さらに、プログラム修了後も、就職支援アドバイザーがキャリアカウンセリングを行いまして、就職まで継続的に支援しております。
 二十年度の実績といたしましては、募集定員に対し二倍以上の応募をいただきまして、また、プログラム修了者百二十名の就職率は七割を超えるなど、就職実績も高く、有効な対策となっていると考えます。
 今後とも、こうした取り組みにより、出産や育児で離職された女性の再就職を支援してまいります。

○西崎委員 就職率も高く、成果が上がっているようですけれども、プログラムの内容のさらなる充実、あるいは応募者が受講定員を大きく上回っていますので、できるだけ多くの子育て中の女性が受講できるような対応もお願いしたいと思います。
 また、ひとり親家庭のための就労支援については、母子自立支援プログラムによります、福祉事務所とハローワークの連携によって行われています。ともに、担当局が違っていても、さまざまな環境に置かれている女性の就労支援が進むように取り組むことを要望しておきます。
 次に、墓地問題について伺います。
 墓地問題については、民間の霊園業者は、需要にこたえて次々に霊園墓地を開発する動きが顕著で、周辺住民からの反対運動が後を絶たないのは周知のことです。墓地需要の高まりや、人々の墓地に対する考え方が多様化する中で、墓地を十分に供給していくにはさまざまな課題があると思います。
 昨年二月に、東京都公園審議会から、都立霊園における新たな墓所の供給と管理について答申が出されています。ここには五つの提案がされているんですけれども、既存霊園をさらに有効活用し、当面、集合墓地の供給を中心に取り組んでいく、さらには、合葬式墓地では柔軟な募集枠の設定を行うなどが含まれています。
 民間に比べれば安価で、管理に対する信頼も高い都立霊園の希望が高まっていると思いますが、限られた土地を有効に使って、できるだけ期待にこたえていかなければなりません。
 そこでまず、都立霊園における集合墓地の供給状況について伺います。

○道家東京都技監 都立霊園における集合墓地は、増大する墓地需要に対応し、限られた土地を有効活用して立体化、集約化した形態の施設でありまして、長期収蔵施設、合葬式墓地及び立体式墓地の三種類がございます。
 都は、遺骨を三十年間お預かりする長期収蔵施設を多磨霊園に設置し、平成五年度から五千六百カ所供給してまいりました。また、一つのお墓に多くの遺骨を一緒に埋蔵いたします合葬式墓地を、小平霊園及び多磨霊園で合わせて三基設置しておりまして、平成十年度から約一万一千四百体を供給しております。さらに、個別に献花、焼香などの墓参ができます立体式墓地を青山霊園に三基設置し、平成十七年度から約三百カ所供給しているところでございます。

○西崎委員 墓地に対する多様な要望の一つで、死後は、墓石の下ではなくて自然に返りたいという声がふえています。こうした都民の要望にこたえる新しい墓地として、答申では、樹木墓地、樹林墓地が提案されていますけれども、こういうような新たな形式の墓地の実現に向けてどのような検討がされたのか伺います。

○道家東京都技監 東京都公園審議会の答申では、新たな形式の墓地といたしまして、遺骨を直接地中に埋蔵することで遺骨が土に返る樹林墓地と樹木墓地が提言されております。樹林墓地は、緑豊かな樹林の下に設けられました納骨施設に多くの遺骨を一緒に埋蔵するタイプであり、また樹木墓地は、シンボルとなる樹木の周辺の地中に遺骨を個別に埋蔵するタイプの墓地でございます。
 この答申を受けまして、平成二十年度に、新たな形式の墓地について基礎的調査を実施し、現在、規模や構造などを検討しております。
 今後も、都民ニーズを的確に把握し、多様な形式の墓地の整備に取り組んでまいります。

○西崎委員 最後にペットの問題ですけれども、ペットを飼う人がふえていて、やはりペットも、死後どのように埋葬するのか、いろいろな問題が起きています。
 ペットの火葬施設に対する法的規制はどうなっているのか、また、都はこうした問題にどのように対処していくのか伺って、質問を終わります。

○有留環境局長 ペット火葬施設につきましては、悪臭防止法に基づく悪臭の規制や、環境確保条例に基づく排ガスの規制の適用があります。加えて、一定規模以上の焼却炉を設置する事業者には、環境確保条例に基づきまして、区市に対する事前の届け出を求め、基準の遵守の確認を行っております。
 こうした法や条例による規制に加えまして、近年、区市におきまして、ペット火葬施設の設置に際しまして、近隣住民の理解を得るための手続を定める条例等を制定するケースもふえております。
 都は、今後とも区市に対して、他の自治体の事例に関する情報提供や、悪臭、排ガス対策に係る技術的な支援に努めてまいります。

○大塚委員長 西崎光子委員の発言は終わりました。
 以上で、本日予定いたしました質疑はすべて終了いたしました。
 お諮りいたします。
 平成二十年度東京都各会計歳入歳出決算の認定についてに対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○大塚委員長 異議なしと認めます。よって、本件に対する質疑は終了いたしました。
 なお、十一月十八日の十二時四十五分から理事会を、また、午後一時、十三時から委員会を本委員会室で開会いたしますので、よろしくお願いいたします。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後五時九分散会


平成20年度各会計決算特別委員会 第1分科会審査報告書

 第1分科会で行われた平成20年度東京都一般会計決算等に関する審査の概要を次のとおり報告する。

 平成21年10月26日
 平成20年度各会計決算特別委員会
 第1分科会委員長 原田 大

 平成20年度各会計決算特別委員長
 大塚 たかあき 殿

1 本分科会の設置及び審査の経過
 (1) 本分科会は、9月25日に設置され、次の案件を審査した。
  ・平成20年度東京都一般会計決算中、知事本局、青少年・治安対策本部、東京オリンピック・パラリンピック招致本部、総務局、財務局、主税局、会計管理局、選挙管理委員会事務局、人事委員会事務局、監査事務局、収用委員会事務局、議会局、東京消防庁、警視庁所管分
  ・平成20年度東京都特別区財政調整会計決算
  ・平成20年度東京都地方消費税清算会計決算
  ・平成20年度東京都小笠原諸島生活再建資金会計決算
  ・平成20年度東京都用地会計決算
  ・平成20年度東京都公債費会計決算

 (2) 本分科会は、次のとおり各所管局ごとに審査し、終了した。
 10月5日(説明聴取・資料要求) 会計管理局、財務局、主税局、収用委員会事務局、知事本局、人事委員会事務局、選挙管理委員会事務局
 10月7日(説明聴取・資料要求) 警視庁、東京消防庁、総務局、東京オリンピック・パラリンピック招致本部、青少年・治安対策本部、議会局、監査事務局
 10月14日(質疑) 会計管理局、収用委員会事務局、財務局
 10月16日(質疑) 議会局、選挙管理委員会事務局、青少年・治安対策本部、総務局
 10月19日(質疑) 監査事務局、人事委員会事務局、東京オリンピック・パラリンピック招致本部、知事本局
 10月21日(質疑) 警視庁、東京消防庁、主税局

2 本分科会における質疑の概要
 (1) 知事本局所管分
  〔1〕 都市問題を解決するためのより実質的な都市外交について
  〔2〕 アジア大都市ネットワーク21(ANMC21)について
   ア ANMC21の概要及び共同事業の活動について
   イ 新型インフルエンザを含む感染症分野における活動と共同研究の進ちょく状況及び平成21年11月に開催される総会の成果への期待について
   ウ 青少年を対象としたスポーツ交流事業について
   エ ANMC21を通じた東京の中小企業の技術、製品等の紹介について
   オ 平成20年度におけるアジアの人材育成事業の取組及び行政職員と専門家に対する研修事業の具体的な取組について
  〔3〕 米軍基地対策について
   ア 横田基地に移転する自衛隊航空総隊司令部の地下連絡通路及び施設の機能と役割について
   イ 横田基地で発生した燃料漏れの状況確認並びに火災事故に関する米軍及び国からの情報提供について

 (2) 青少年・治安対策本部所管分
  〔1〕 渋滞対策として即効性のあるハイパースムーズ作戦の推進について
  〔2〕 若年者の自立支援について
   ア ひきこもり予防対策の実施及び若年者自立支援プログラムについて
   イ 立ち直り支援ワンストップサービスなど非行少年の立ち直りのための支援策について
  〔3〕 子どもとメディアのかかわり方に関する家庭でのルール作りを支援するファミリーeルール講座について

 (3) 東京オリンピック・パラリンピック招致本部所管分
  〔1〕 招致活動で都が得たもの及び敗因の分析について
  〔2〕 総額150億円の招致経費の状況及び株式会社電通との委託契約について
  〔3〕 委託契約に占める入札以外の契約数の割合と総額について
  〔4〕 民間資金50億円の達成見込みと監理団体からの出資や支援について
  〔5〕 区市町村のオリンピックムーブメント推進事業における委託事業者の選定方法及び評価委員会が来日後に実施した事業について
  〔6〕 オリンピック学習読本の配布先、配布時期、活用方法及び作成事業者について
  〔7〕 2020年の開催都市に立候補を表明した広島市、長崎市への応援について
  〔8〕 開催準備基金4,000億円の都民生活への使用及び招致委員会のホームページの都への引継ぎについて

 (4) 総務局所管分
  〔1〕 施設建設事業などの基礎資料となる都の人口の将来予測について
  〔2〕 東京国体の開催意義と各自治体の施設整備状況及び今後の取組について
  〔3〕 市町村交付金について
   ア 市町村総合交付金の実績と成果及び算定方法について
   イ 交付金の額が毎年増加していることに対する都の見解について
  〔4〕 都区制度改革について
   ア 上下水道などの事務配分、特別区の区域に関する都区のあり方検討の進ちょく状況について
   イ 特別区の再編の必要性に係る都の見解について
   ウ 今後の自治体の合併に関する地方制度調査会の答申について
  〔5〕 総合防災訓練について
  ア 平成20年度の総合防災訓練の概要、成果及び課題について
  イ 住民、区市等と連携した今後の訓練のあり方に係る都の見解について
  〔6〕 三宅島モーターサイクルフェスティバルについて
   ア 平成20年度のツアー参加者数及び平成21年度のフェスティバルの実施内容について
   イ 三宅島振興への寄与の有無について

 (5) 財務局所管分
  〔1〕 税収入の変動が激しい都財政の今後の運営について
  〔2〕 未利用の都有地の有効活用策としての売却について
  〔3〕 行政代執行の方向性と取組について
  〔4〕 電子調達システムの運用及びその効果について
  〔5〕 新銀行東京への追加出資及び減債基金の積立てによる都財政への影響について
  〔6〕 財政健全化に重要な監理団体等の財政状況の把握について
  〔7〕 過去10年間の財政運営の取組に基づく平成20年度決算の結果について
  〔8〕 基金積立ての状況について
   ア 施設の更新など将来世代の負担の軽減に必要な基金の積立てについて
   イ 東京オリンピック・パラリンピック開催準備基金の今後の活用について
  〔9〕 法人事業税の一部国税化に対する都の対応について

 (6) 主税局所管分
  〔1〕 都税収入について
   ア 平成20年度の徴収率下落の原因について
   イ 大幅に増加した滞納額の減少に向けた取組について
  〔2〕 法人事業税について
   ア 税率が約半分になった理由について
   イ 大企業に対する制限税率での超過課税について

 (7) 会計管理局所管分
  〔1〕 財産収入及び都預金利子の収入率の減少について
  〔2〕 導入後3年を経過した公会計制度の効果について
  〔3〕 今後の財産活用及び公金管理のあり方について

 (8) 選挙管理委員会事務局所管分
 質疑なし

 (9) 人事委員会事務局所管分
 質疑なし

 (10) 監査事務局所管分
 質疑なし

 (11) 収用委員会事務局所管分
  〔1〕 収用制度の活用促進に向けた区市等への支援の働き掛けについて

 (12) 議会局所管分
 質疑なし

 (13) 東京消防庁所管分
  〔1〕 消防団について
   ア 居住地以外に勤務している消防団員数とその割合及び震災時における区域外活動について
   イ 携帯電話メールによる緊急情報伝達システムの活用状況と今後の普及策について

 (14) 警視庁所管分
 質疑なし


平成20年度各会計決算特別委員会 第2分科会審査報告書

 第2分科会で行われた平成20年度東京都一般会計決算等に関する審査の概要を次のとおり報告する。

 平成21年10月26日
 平成20年度各会計決算特別委員会
 第2分科会委員長 高橋 信博

 平成20年度各会計決算特別委員長
 大塚 たかあき 殿

1 本分科会の設置及び審査の経過
 (1) 本分科会は、9月25日に設置され、次の案件を審査した。
  ・平成20年度東京都一般会計決算中、生活文化スポーツ局、福祉保健局、病院経営本部、教育庁所管分
  ・平成20年度東京都母子福祉貸付資金会計決算
  ・平成20年度東京都心身障害者扶養年金会計決算

 (2) 本分科会は、次のとおり各所管局ごとに審査し、終了した。
 10月5日(説明聴取・資料要求) 福祉保健局
 10月7日(説明聴取・資料要求) 病院経営本部、生活文化スポーツ局、10月 7日(説明聴取・資料要求 ) 教育庁
 10月14日(質疑) 病院経営本部、福祉保健局
 10月16日(質疑) 教育庁
 10月21日(質疑) 生活文化スポーツ局

2 本分科会における質疑の概要
 (1) 生活文化スポーツ局所管分
  〔1〕 私学振興について
   ア 耐震化の現状と進ちょく状況及び今後の取組について
   イ 認定こども園の補助執行率と認定状況及び普及拡大について
   ウ 私学の都における位置付け及び私学への助成について
   エ 保護者や生徒の負担軽減及び東京都育英資金の状況について
  〔2〕 消費者行政について
   ア 多重債務相談の状況及び対応について
   イ 消費者トラブルの状況及び被害防止対策について
   ウ 都内の消費生活相談状況について
   エ 悪質事業者対策の取組状況について
   オ 消費生活基本計画における緊急対策の主な取組について
   カ 子供の事故防止に向けた取組及び安全対策の成果について
  〔3〕 ワークライフバランスについて
   ア 世論調査の実施状況とその結果について
   イ 社会全体への普及に向けた取組について
   ウ 実践プログラムへの企業経営者の意見等の反映状況及び今後の取組について
  〔4〕 広報について
   ア 都政広報の実施状況及び今後の施策展開について
   イ 広報効果の把握や反映について
   ウ 広報東京都の配布方法について
  〔5〕 公衆浴場の必要性と対策について
  〔6〕 トーキョーワンダーサイトについて
   ア 人事組織体制上の課題及び改善策並びに館長の再任について
   イ 展示会での契約における随意契約の状況について
   ウ 各館の展示会開催日数及び入場者数について
   エ 補助総額とその内訳について
  〔7〕 文化発信プロジェクトの実施状況及び今後の事業展開について
  〔8〕 スポーツ振興について
   ア 東京マラソンにおける低炭素都市実現への取組及びカーボンオフセット率の向上について
   イ スポーツイベントにおける環境配慮について
   ウ 武蔵野の森総合スポーツ施設の桜並木について

 (2) 福祉保健局所管分
  〔1〕 医療体制の整備について
   ア 院内助産所等の設置に対する支援策について
   イ 医療クラークの導入及び設置推進のための取組について
   ウ 「東京都看護職員需給見通し」における需要の見通し及び看護職員の養成について
   エ 乳がん検診・子宮がん検診の受診促進に向けた取組について
   オ がん検診の受診率向上を図るための取組について
   カ 在宅医療ネットワーク推進事業の取組及び今後の展開について
  〔2〕 高齢者施策について
   ア 特別養護老人ホーム整備における未利用都有地の活用について
   イ 訪問看護ステーション支援事業の実施状況及び今後の展開について
   ウ 認知症対策のモデル事業の実施状況及び区市町村独自の認知症対策に対する支援について
  〔3〕 障害者(児)に対する支援策について
   ア 小規模作業所及び施設職員に対する支援について
   イ 心身障害者通所施設の賃借料の減額について
   ウ 障害者扶養年金の廃止及び廃止に伴う精算金について
   エ 「区市町村障害者就労支援センター」の設置に向けた取組について
   オ 就労支援機関の支援員の人材育成について
   カ 都庁でのチャレンジ雇用の実績及び雇用後の就職状況について
  〔4〕 子育て支援策について
   ア 保育所整備の推進について
   イ 「ひとり親家庭支援区市町村包括補助事業」の実施状況と効果について
   ウ 子どもの表記について
  〔5〕 不納欠損の状況及び債権管理に対する取組について
  〔6〕 広報経費の状況及び認識について
  〔7〕 介護人材の確保に向けた取組について
 (3) 病院経営本部所管分
  〔1〕 公社病院について
   ア 公社病院と都立病院の役割の違いについて
   イ 医師及び看護師の給与水準について
   ウ 「東京医師アカデミー」の取組について
   エ 運営費補助金の推移及び増減要因について
   オ がん医療に対する取組状況について
  〔2〕 大久保病院について
   ア 診療収入の状況について
   イ 看護師確保に向けた取組状況について
   ウ 新たな医療サービスの提供及びリハビリテーション医療の取組について
   エ 地域医療支援病院化に向けた取組について
  〔3〕 荏原病院について
   ア 産科医師による分娩取扱い休止の間における産科医療体制の確保及び分娩再開に向けた取組について
   イ 産科医師による分娩取扱い再開後の実績と今後の計画について
  〔4〕 東京都多摩がん検診センターについて
   ア 乳がん検診の受診状況及び実施体制について
   イ 増加が予想される乳がん検診の需要にこたえるための取組について

 (4) 教育庁所管分
  〔1〕 公立学校の耐震化の進ちょく状況や区市町村に対する支援事業の内容及び今後の取組について
  〔2〕 都立高校改革について
   ア 学校の個性化・特色化に向けた取組及び都民への情報発信について
   イ ものづくり人材を育成するための都立工業高校の取組について
   ウ デュアルシステム科の成果及び今後の展開について
  〔3〕 都立学校ICT計画の目的並びに整備計画の進ちょく状況及び効果的なICT機器の活用について
  〔4〕 特別支援教育推進計画について
   ア 自閉症の児童・生徒を対象とした教育課程及び特別支援学級における指導の検証成果について
   イ 専任の特別支援教育コーディネーターの配置について
   ウ 特別支援学校が果たしている地域におけるセンター的機能について
   エ 特別支援教育に従事する教員の専門性の向上のための支援について
  〔5〕 教職大学院への現職教員の派遣の目的と成果について
  〔6〕 中高一貫教育校における応募倍率や入学者の決定方法及び特色ある教育への取組や成果について
  〔7〕 農業高校における教育内容及び生徒の育成方針について
  〔8〕 「放課後子供教室」の実績と活動内容及び今後の改善方策について
  〔9〕 学力調査の結果の活用、内容の改善及び実施頻度の見直しについて


平成20年度各会計決算特別委員会 第3分科会審査報告書

 第3分科会で行われた平成20年度東京都一般会計決算等に関する審査の概要を
次のとおり報告する。

 平成21年10月26日
 平成20年度各会計決算特別委員会
 第3分科会委員長 小磯 善彦

 平成20年度各会計決算特別委員長
 大塚 たかあき 殿

1 本分科会の設置及び審査の経過
 (1) 本分科会は、9月25日に設置され、次の案件を審査した。
  ・平成20年度東京都一般会計決算中、都市整備局、環境局、産業労働局、建設局、港湾局、労働委員会事務局所管分
  ・平成20年度東京都中小企業設備導入等資金会計決算
  ・平成20年度東京都農業改良資金助成会計決算
  ・平成20年度東京都林業・木材産業改善資金助成会計決算
  ・平成20年度東京都沿岸漁業改善資金助成会計決算
  ・平成20年度東京都と場会計決算
  ・平成20年度東京都都営住宅等事業会計決算
  ・平成20年度東京都都営住宅等保証金会計決算
  ・平成20年度東京都都市開発資金会計決算
  ・平成20年度東京都多摩ニュータウン事業会計決算
  ・平成20年度東京都臨海都市基盤整備事業会計決算

 (2) 本分科会は、次のとおり各所管局ごとに審査し、終了した。
 10月5日(説明聴取・資料要求) 労働委員会事務局、中央卸売市場、産業労働局、環境局
 10月7日(説明聴取・資料要求) 建設局、都市整備局、港湾局
 10月14日(質疑) 中央卸売市場、産業労働局
 10月16日(質疑) 港湾局、環境局
 10月19日(質疑) 労働委員会事務局、建設局
 10月21日(質疑) 都市整備局

2 本分科会における質疑の概要
 (1) 都市整備局所管分
  〔1〕 指定確認検査機関への立入検査の実施状況について
  〔2〕 建物竣工検査の重要性及び体制の強化について
  〔3〕 市街地整備について
   ア 木造住宅密集地域整備事業の取組について
   イ 中野警察大学校跡地での広域避難場所空地の確保について
   ウ 十条地区沿道一体整備事業への対応及び田端地区の区画整理事業の進ちょく状況について
   エ 移転資金貸付制度の概要及び最近の予算執行状況について
   オ 震災復興計画の内容と取組状況について
   カ 既存市街地の整備の促進について
  〔4〕 都市基盤について
   ア 雨水流出抑制対策の実績と個人住宅への浸透ます設置助成の促進について
   イ 荷さばき車両対策の取組状況について
   ウ 都営地下鉄と東京メトロとの一元化に対する見解について
   エ 羽田空港の再拡張・国際化に関する国の方針と新政権に対する都の要望について
   オ 外かく環状道路が整備計画に格上げされた経緯及び事業凍結に対する都の見解について
  〔5〕 都営住宅について
   ア ポイント方式の募集の拡大に向けた取組について
   イ 入居収入基準に係る国の動向と入居者への対応について
   ウ 時代のニーズや少子高齢化に対応した都営住宅について
   エ 今後の建替計画と建て替えにより創出される用地の利活用について
   オ 定期借地権を活用した民活のプロジェクトの状況について
   カ 耐震化やエレベーター設置の進ちょく状況について
   キ 指定管理者独自の取組について
   ク 地域のまちづくりや河川整備と連携した建て替えについて
  〔6〕 耐震化相談窓口の利用状況について
  〔7〕 投資先の事業及び株式配当金の状況について
  〔8〕 建築発生土再利用センターの運営に係る剰余金について
  〔9〕 小笠原住宅の整備状況について
  〔10〕 八ッ場ダムについて
   ア 八ッ場ダムの必要性とダムに代わる代替措置について
   イ 国土交通大臣の建設中止に係わる説明責任について
   ウ 工事段階や工期延長などに関する都の認識について
   エ 地元住民の生活再建に関する都の見解について
   オ 利水における八ッ場ダムの効果について
  〔11〕 東京ユビキタス計画への取組について

 (2) 環境局所管分
  〔1〕 事務事業評価に対する事業局としての評価について
  〔2〕 廃棄物対策について
   ア 材料リサイクルの残さの再商品化について
   イ 練馬清掃工場の建替事業について
   ウ ゼロエミッションの実現に向けた今後の方針について
   エ 廃プラスチックのリサイクルの促進について
   オ 建設廃棄物の不法投棄の未然防止対策としての解体工事現場への立入調査について
  〔3〕 木質系バイオマスの有効活用について
  〔4〕 自然環境について
   ア 東京都版レッドデータブックの改訂の進ちょく状況と今後の活用について
   イ 小笠原諸島の自然環境の保全への取組について
   ウ 自然公園における野鳥類の保護について
  〔5〕 既存建築物の屋上緑化の普及について
  〔6〕 環境学習リーダーの情報提供に関する取組について
  〔7〕 自動車公害対策について
   ア 自転車の利用促進に向けた取組について
   イ 低燃費・低公害車の普及促進について
   ウ 電気自動車の普及促進に向けた環境整備への支援について
   エ エコドライブの促進のための取組について
   オ 環境保全資金融資あっせん制度の周知の拡大について
   カ タクシー台数の削減の流れについて
  〔8〕 地球温暖化防止対策について
   ア 太陽光発電の普及啓発及び機器の販売に関わる消費者被害の防止について
   イ 国の新しい目標との対比を含めた都の温室効果ガス削減対策について
   ウ 建築物に関する規制対策への取組について
   エ キャップアンドトレード制度の開始に向けた準備状況と新規事業所への対応について
  〔9〕 キッズISO14000プログラムの取組状況と今後の展開について
  〔10〕 電磁波の健康被害に対する都の対応について
  〔11〕 中小事業者の円滑な土壌汚染対策の促進について

 (3) 産業労働局所管分
  〔1〕 都が実施している労働相談の状況と労働問題の未然防止に向けた取組について
  〔2〕 中小企業支援の取組について
   ア 中小企業振興公社における総合相談窓口での受付実績について
   イ ベンチャー支援施設の展開について
   ウ 知的財産の保護と活用のための支援策について
   エ 基本方針の策定及び支援制度の創設について
  〔3〕 食の安全について
   ア 地産地消に関する取組について
   イ 東京都生産情報提供事業者登録制度の実績と今後の取組について
  〔4〕 新銀行東京について
   ア 開業までの知事の発言及び融資審査の特徴付けについて
   イ 開業以降の融資実績について
   ウ 約860億円の減資と銀行機能の消滅について
   エ 平成22年3月期第1四半期に黒字となった理由について
   オ 決算における純資産額及び経営成績や財政状態について
   カ 追加出資の目的と効果について
   キ 撤退や清算などの主張に対する見解について
   ク 新銀行東京の意義について
   ケ ファンド投資及び成長企業支援型融資の実績について
   コ テレフォンバンキングなどにおけるマル優の適用について
  〔5〕 地域の観光振興への認識と取組について
  〔6〕 外国語によるメニュー等普及事業の取組について
  〔7〕 スーパーデザイナー養成講座の目的と成果及び受講料収入について
  〔8〕 東京ビッグサイトの経営状況について
  〔9〕 中小零細事業者の資金環境及び優良な貸金業者の育成への取組について
  〔10〕 CLO、CBOの仕組みと実績及び債務不履行の状況について
  〔11〕 農林水産業について
   ア 農業改良資金助成会計、林業・木材産業改善資金助成会計及び沿岸漁業改善資金助成会計の事業内容と執行率について
   イ 練馬区の「農地を活かしたまちづくりプラン」への支援について
   ウ 農業者等に対する生産施設整備への支援の成果について
   エ 農業の後継者や担い手を育成する取組の成果について
  〔12〕 東京しごとセンターについて
   ア リーマンショック以後の利用者の状況について
   イ 東京しごとセンター多摩と地元大学等との連携の現況について
  〔13〕 高齢者の職域拡大及び就業機会の確保について
  〔14〕 就職チャレンジ支援事業の実績と今後の取組について
 (4) 中央卸売市場所管分
 質疑なし

 (5) 建設局所管分
  〔1〕 工事契約における見積り積算方式の実績と運用について
  〔2〕 道路整備について
   ア 環状第6号線の中野区内の整備状況について
   イ 補助第73号線及び補助第88号線の事業概要と今後の取組について
   ウ 平成20年度の道路整備の成果と今後の推進について
   エ 補助第26号線の道路構造の検討及び地元住民の理解について
   オ 多摩の都市計画道路に係る関係機関との協議状況と今後の推進について
  〔3〕 セミフラット化を含む歩道のバリアフリー化の実績と今後の取組について
  〔4〕 自転車走行区間の整備の進ちょく状況と今後の取組について
  〔5〕 妙正寺川及び調節池の今後の整備について
  〔6〕 無電柱化事業の推進について
  〔7〕 50ミリ降雨に対応する河川整備の進ちょく状況と今後の予定について
  〔8〕 都立公園について
   ア これまでの整備の実績と今後の促進について
   イ 多機能型トイレの設置促進への考え方について
  〔9〕 八ッ場ダム事業の推進の必要性に対する所見について
  〔10〕 ユビキタス技術の活用について
  〔11〕 移転資金貸付制度のこれまでの実績と今後の実施について
  〔12〕 公共事業の用地取得に関する国への制度改善要望について
  〔13〕 京王線(八幡山―代田橋)の立体交差化の構造に関する検討状況について

 (6) 港湾局所管分
  〔1〕 東京港の課題解決に向けた港湾経営の推進について
  〔2〕 東京港の自然環境の再生に向けた取組について
  〔3〕 平成20年度の汚泥しゅんせつ事業の内容について
  〔4〕 新海面処分場の整備について
  〔5〕 京浜三港の連携について
   ア 京浜港と釜山港のコンテナ貨物取扱量について
   イ 京浜三港間の貨物輸送について
   ウ 東京港における年末年始の汽笛の吹鳴について
   エ 連携強化の合意に至った背景と狙いについて
   オ 平成20年度の取組と今後の課題について
   カ 国の支援が実現した場合に期待できる効果について
  〔6〕 スーパー中枢港湾への取組と課題について
  〔7〕 大型客船の誘致について
  〔8〕 若洲海浜公園ヨット訓練所における指定管理者の取組について
  〔9〕 臨海ホールディングスグループの事業運営と経営状況について
  〔10〕 耐震対策などの海岸保全施設の整備について
  〔11〕 港湾施設への予防保全型管理の導入状況と効果について
  〔12〕 東京港臨海道路Ⅱ期等の道路整備の実績と効果について
  〔13〕 東京港の果たす機能の強化について
  〔14〕 東京港のコンテナ貨物取扱量の推移について
  〔15〕 耐震強化岸壁の整備状況と今後の見通しについて

 (7) 労働委員会事務局所管分
  〔1〕 不当労働行為事件及び調整事件の取扱状況について
  〔2〕 和解による解決に対する考え方について
  〔3〕 不用額が毎年度発生する理由について

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