平成二十年度各会計決算特別委員会第一分科会速記録第六号

平成二十一年十月二十一日(水曜日)
第十一委員会室
   午後一時開議
 出席委員 十名
委員長原田  大君
副委員長伊藤 ゆう君
副委員長宇田川聡史君
小林 健二君
鈴木 隆君
島田 幸成君
滝沢 景一君
大松あきら君
古館 和憲君
田島 和明君

 欠席委員 なし

 出席説明員
警視庁警視総監米村 敏朗君
総務部長小谷  渉君
交通部長瀧澤 敬治君
警備部長久我 英一君
地域部長平山 幸雄君
公安部長青木 五郎君
刑事部長高綱 直良君
生活安全部長山下 史雄君
組織犯罪対策部長藤山 雄治君
総務部企画課長高松 義典君
総務部会計課長萩原 國男君
東京消防庁消防総監新井 雄治君
次長人事部長事務取扱北村 吉男君
企画調整部長佐藤 直記君
総務部長秋山  惠君
警防部長伊藤 克巳君
防災部長大江 秀敏君
救急部長野口 英一君
予防部長有賀雄一郎君
装備部長石井 義明君
企画調整部企画課長徳留 壽一君
企画調整部財務課長土屋 雅義君
主税局局長熊野 順祥君
総務部長宮下  茂君
税制部長目黒 克昭君
税制調査担当部長宗田 友子君
調整担当部長木村 芳生君
課税部長長谷川 均君
資産税部長堀内 宣好君
徴収部長名倉  衡君
参事阿南 威彦君

本日の会議に付した事件
平成二十年度東京都各会計歳入歳出決算の認定について
警視庁関係
・平成二十年度東京都一般会計決算(質疑)
東京消防庁関係
・平成二十年度東京都一般会計決算(質疑)
主税局関係
・平成二十年度東京都一般会計決算(質疑)
・平成二十年度東京都地方消費税清算会計決算(質疑)

○原田委員長 ただいまから平成二十年度各会計決算特別委員会第一分科会を開会いたします。
 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、警視庁、東京消防庁及び主税局関係の決算に対する質疑を行います。
 これより警視庁関係に入ります。
 決算の審査を行います。
 平成二十年度東京都一般会計決算中、警視庁所管分を議題といたします。
 本件につきましては既に説明を聴取しておりますので、直ちに質疑を行います。
 発言を願います。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕

○原田委員長 発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了したいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○原田委員長 異議なしと認め、本件に対する質疑は終了いたしました。
 以上で警視庁関係を終わります。

○原田委員長 これより東京消防庁関係に入ります。
 決算の審査を行います。
 平成二十年度東京都一般会計決算中、東京消防庁所管分を議題といたします。
 本件につきましては既に説明を聴取しておりますので、直ちに質疑を行います。
 発言を願います。

○伊藤委員 それでは、私の方から、消防庁に対します決算質疑を行わせていただきたいと思います。
 日ごろ、地域の防災、また防火の活動に従事をされている皆様に、まずもって心から敬意を表したいと思います。私も四年ぐらい前に消防団の方に入らせていただきまして、目黒の消防団の中で活動をさせていただいております。きょうは、その活動をした中での自分の経験を踏まえて、消防団についての質問を三つほどさせていただきたいと思いますので、ご答弁をよろしくお願い申し上げたいと思います。
 目黒でも、今、定員割れがやはり起こっておりまして、また団員の方々の平均年齢も、私の分団でぱっと思いつくところ、大体五十五歳ぐらいが平均年齢になっているんじゃないかなと思います。そういう意味では、かなり高齢化も進んでいるということと、人員もいささか不足しているという問題を抱えているということを、まず申し上げておきたいと思います。
 その中で、私の自宅のすぐそばで、二、三年前にぼやがあって、そして出動の要請を朝の八時半ころに受けました。ちょうど出勤時間ということで、私も朝、街頭演説などをしている時間帯だったんですけれども、このときに出動がかかって、自宅のそばに私は舞い戻りましたけれども、行ってみますと、うちの分団は、大体十二、三人ぐらい、ふだんアクティブに活動されていますけれども、二人ぐらいしかいらっしゃいませんでした。どうしてかという話をしますと、もう会社に行かれている方も大変多いということで、集まらなかったというふうに聞いたわけであります。
 そこでお伺いをしたいんですけれども、二十三区の特別区の消防団の居住地団員の皆さんで、居住地以外の行政区に日中お勤めになっている消防団員数とその割合というのは、現状どれぐらいになっているのか、伺いたいと思います。

○大江防災部長 居住地団員は、平成二十一年九月一日現在、一万三千九十九名でありまして、このうち二千四名が居住地以外の行政区に勤めており、その割合は約一五%であります。

○伊藤委員 今、一五%ということでありましたので、私がその当時の体験から想像をしていたパーセンテージよりも随分少ないパーセンテージだなというふうには思いました。そういう意味では、地域で働いている方々が地域の消防団員になられているというパーセンテージが逆に八五%あるということは心強いというふうに思いますが、一方で、アクティブにふだん動かれている若い団員の皆さんで見れば、この一五%に占める割合が高いんじゃないかなというふうにも思います。ですから、日中、区外で働く方が団員にふさわしくないなどということは全く思いませんけれども、アクティブに地域で働いていらっしゃる方々というものも、これから団の中に多く入っていただく必要があるのではないかなというふうにも思いますので、こうしたことにも留意をしながら、新たな消防団員の勧誘というものをぜひお願いしたいなというふうに思います。
 繰り返しになりますが、ちょっと高齢化が進んでいるように私には感じますので、若い人にとっても入団したくなるような、そういう団活動あるいは団の見せ方というものをぜひ心がけていただければというふうに思っています。
 次いで、今の話にも関連しますけれども、日中に震災などが起こってしまって、勤務先で被災をしたと。そして、東京都内の全域においても交通網が寸断されてしまったと。こういうときに、それぞれの勤務地での活動というものを、それぞれの消防団員の方々がどのようにできるのかということについても伺っておきたいと思います。

○大江防災部長 消防団は、みずからの地域はみずからで守るという精神に基づき組織されておりますことから、自己消防団区域内での活動が原則であります。
 しかしながら、消防団員が区域外で震災に遭遇したときには、周辺の被害が甚大で、参集に長時間を要することが予想され、かつ自己消防団区域の被害が軽微である場合は、所属する消防団の団長の判断によりまして、その地域の消防団のもとで活動できることになっております。

○伊藤委員 そういう意味では、その地域の消防団の連絡先なども、あわせて消防団員の皆さんに少し念頭に置いてもらえるような努力というものをしていただきたいなというふうに思います。
 それから、最後にですけれども、これが私、実は一番、経験則の中で感じたことなんですけれども、携帯電話メールによる情報伝達です。先ほども申し上げたように、今、消防団にいらっしゃる方の年齢層が高いものですから、ふだん余りメールをされない方も多いことは私も存じ上げているんですけれども、先ほどのぼやのときにも、基本的には電話連絡網でやりました。ただ、電話連絡網の中には、ふだん、ほとんど消防団の活動に参加されていない方も入っていらっしゃって、その方に連絡がつかなくて次の方に連絡がつかないということも間々あります。
 そういう意味では、日中仕事をされていて電話に出られないことも想定できますので、一斉にメール送信できるこのメールというものを活用するというのは、当然あってしかるべきだというふうに思っているんですけれども、情報伝達における電話メールの活用状況と今後の普及について伺いたいと思います。

○大江防災部長 携帯電話メールによる緊急情報伝達システムは、震災時等の情報伝達手段の二ルート化を図るため、従来の電話によるものに加えて、平成十九年十二月から導入したものであります。現在、全消防団員の約四分の一が任意で登録しておりまして、震災時以外の災害出場命令等の伝達にも二十六団が活用しております。
 今後は、消防団員に対しまして、本システムの有効性についてさらなる理解を求め、登録団員数の増加を促進するとともに、定期的な送受信訓練を行うなどしまして、情報伝達体制の確保に努めてまいります。

○伊藤委員 今、二十六の消防団がこの情報伝達システムに加入をしているということでしたが、私の入っている目黒もこの二十六のうちに含まれるというふうに伺いましたけれども、私自身は、この四年間の中で一度もメールで情報をいただいたこともありませんし、そのような訓練を受けたこともありません。
 つい最近、たまたま、分団の中でこれを活用しようということを有志で今進めているということでございまして、必ずしもこの情報伝達システムがあること自体、団員の皆さんに伝わっていないんじゃないかなというふうに思いますので、これは喫緊の課題として、ぜひ周知徹底をしていただきたいと。
 声がけをしていかないと、これは面倒くさくて、やっぱり返信をして登録するという作業を皆さんされないものですから、その辺はぜひ徹底をしていただきたいと思います。
 もう一つ、これは要望として申し上げたいと思いますけれども、地域の防災訓練です。小学校などを借りて、防火、防災あるいは防水の訓練などを定期的に消防団と消防署の署員の皆さんと協力し合ってやっていますけれども、特に防火の訓練においては、これは地域の役員の皆さんだけではなくて、本当に住民の一人一人の方々に多く参加をしていただきたいという思いを強く私も持っています。
 しかしながら、実際に行ってみますと、大体決まった方々、特に町会の役員の皆さんだったり商店街の方々はいらっしゃっているんですけれども、地域に住んでいらっしゃる方々が気楽に来られているかというと、そもそもそういうところに参加をしていいのかどうかもわからないという方々が結構いらっしゃいます。
 実際に私、つい先月行ってきたんですけれども、消火器を十本ぐらい用意してあって、これを自由に使えますよということになっていましたので、たまたま参加者した子どもたちはもう喜んで、なかなかふだん消火器を使うことができないものですから、喜んでいました。また、消防車も置いてあって乗ることができるということで、大人も子どもも大変喜んでいたんですが、こういうこと自体も、地域の住民の方はなかなか知らないと思いますので、もっと当日参加しやすいつくり込みというものをぜひご検討いただけないかと思います。
 入学式みたいな看板が学校の校門のところによく立っていたりしますけれども、あれだとなかなか入りにくいもので、横断幕で、例えばどなたでも自由に入れますと。しかも、ただで消防車に乗れますとか、そういう子どもにとっても楽しめるようなつくり込みというものを、ぜひ一回、ワンパッケージとして消防署、消防庁の中でご検討いただいて、それをお金をかけずに、それぞれの消防署と消防団が運営できるような仕組みづくりをしていただいて、土曜日、日曜日、子どもと遊ぶためにお金がかかってしようがないと思っているお父さん、お母さん、たくさんいますので、お金のかからない一つの楽しみになるような防災訓練のあり方というものをぜひ検討していただきますようお願い申し上げまして、私からの質問を終わらせていただきます。

○原田委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○原田委員長 異議なしと認め、本件に対する質疑は終了いたしました。
 以上で東京消防庁関係を終わります。

○原田委員長 これより主税局関係に入ります。
 決算の審査を行います。
 平成二十年度東京都一般会計決算中、主税局所管分及び平成二十年度東京都地方消費税清算会計決算を一括して議題といたします。
 本件につきましては、既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○目黒税制部長 先般の分科会におきまして要求のございました主税局関係の資料について、ご説明申し上げます。
 恐れ入りますが、お手元の平成二十年度各会計決算特別委員会第一分科会要求資料の一ページをお開きいただきたいと存じます。
 一ページの要求資料第1号は、法人事業税の税収と税率の推移についてでございます。
 この表は、法人事業税の当初予算額と決算額及び税率の推移について、平成十一年度から二十年度までの十年間の推移をお示ししたものでございます。
 次に、二ページの要求資料第2号は、都税の当初予算額と決算額の推移についてでございます。
 この表は、都税総額と主要税目の法人二税及び固定資産税、都市計画税の当初予算額と決算額について、平成十一年度から二十年度までの十年間の推移をお示ししたものでございます。
 要求のございました資料に関する説明は以上でございます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○原田委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含め、これより本件に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○滝沢委員 それでは、主税局の決算について、本日は徴収率と滞納繰越額についてお伺いしていきますけれども、徴収率は、平成七年度の九〇・二%を底に毎年度改善をして、平成十九年度には九七・九%になりました。当局の努力を評価しているところでありますが、しかし、二十年度は九七・四%と、前年度に比べて〇・五ポイント下回りました。
 リーマンショックで世界が同時不況に陥って一年、国内の産業天気はようやく長い低迷を抜けつつあるとの分析もありますけれども、雇用情勢の厳しさ、そして非製造業の見えぬ景気回復への道、納税環境の厳しさを体感しているところでありますけれども、徴収率が下がった原因をどのように分析されているか、お伺いいたします。

○名倉徴収部長 平成二十年度の徴収率でございますけれども、昨年秋以降の世界的な景気後退によりまして、企業の収益が急速に悪化をし、全国の企業倒産件数でございますけれども、三年連続で増加、さらに、六年ぶりに一万六千件を超えるという状況になりました。特に上場企業の倒産件数でございますけれども、四十五件ということで、戦後最悪の数字になりました。
 こうした中で、都税の滞納額でございますけれども、十九年度までは減少傾向でありましたけれども、二十年度ですが、前年度比で約二〇%増ということで、一千四百二億円ということになりました。特に、新たに発生した法人二税の滞納額が、前年度に比べまして約二倍に増加するということで、大口の滞納が大幅に増加したところでございます。
 こうした状況の中で、主税局は昨年十二月に、主税局長を本部長とする主税局緊急税収確保対策推進本部を設置し、局を挙げて都税収入の確保に取り組んできたところでございます。徴収部門としては、大規模滞納案件に対しまして、早期に部門を挙げて大がかりな捜索を実施し、賃料とか抵当権を差し押さえるなど、さまざまな創意工夫を凝らした積極的な取り組みを行ったところでございます。その取り組みの結果、整理収入額でございますけれども、前年度比で約二〇%増ということで、五百七十六億円を確保することができたわけでございます。
 しかしながら、先生ご指摘のように、結果的に徴収率につきましては九七・四%ということになり、十三年ぶりに前年度を下回ることになったわけでございますけれども、この徴収率でございますけれども、過去三番目の高い数字でございます。全国平均、さらには国税よりも相当に高い水準にあるというふうに認識しております。

○滝沢委員 その経済の状況が大きく反映されて、法人、大口等があるということでございますけれども、徴収率を上げるためには、分子の収入額をふやすという取り組みも大事でありますけれども、分母の一部となる滞納繰越額を減らすという取り組みも重要になってくる。過去、滞納繰越額が二千五百億円という年度もありましたけれども、最近では四百億から五百億円と減少しています。
 滞納繰越額を減らすために、差し押さえ物件のインターネット公売やタイヤロックといった先進的な取り組みをされていることは承知しておりますけれども、一方で、財産がない、滞納者が行方不明になるように、収入につながらないというケースも多くあると認識しておりますけれども、平成二十年度、不納欠損額は幾らなのか、お伺いしたいと思います。

○名倉徴収部長 先生ご指摘のように、滞納者が行方不明になったり、財産がなくなったり、さらには、法人の場合には企業が倒産をしたりというふうなことで、滞納処分をすることができる財産がないなどの理由のために、平成二十年度に不納欠損の処理を行った金額につきましては、約百五十五億円でございます。

○滝沢委員 不納欠損額が百五十五億ということでありましたけれども、収入額を確保する取り組みにあわせて、回収見込みのない債権は整理するといった取り組みも必要でありますが、都税は都民サービスのための財源でありますので、不納欠損に当たっては慎重な処理をお願いするものであります。
 厳しい納税環境ではありますけれども、公平公正の観点から、担税力のある納税者あるいは納税誠意のない滞納者からしっかりと税金を納めていただく一方で、納税意欲はあるけれども、失業、そして企業業績の悪化といった苦しい立場にある納税者もおられますので、滞納者への画一的な対応ではなくて、それぞれの事情に合った対応をお願いいたしまして、質問を終わります。

○古館委員 それでは、私からも何点か質問いたします。
 まず、要求させていただきました資料について、ありがとうございます。この資料についてお聞きをいたします。
 一ページの資料なんですけれども、法人事業税の税率、これは平成二十年度に--それまで長きにわたって一〇・〇%ですね、この資料は。それが、この平成二十年度で五・七八%、約半分に引き下げられております。これはいかなる理由によるものでしょうか。まずお伺いをいたします。

○目黒税制部長 法人事業税の税率についてでございますけれども、平成二十年度の税制改正によりまして、税制の抜本改革が行われるまでの暫定措置として、法人事業税の一部国税化、いわゆる地方法人特別税が創設されたことに伴いまして、その分の法人事業税の税率が引き下げられたものでございます。
 従来、東京都では標準税率の一・〇五倍の超過課税を実施しておりましたけれども、この暫定措置の実施期間中につきましては、個々の法人の法人事業税と地方法人特別税とを合わせた税負担が変動しないように、新たな税率が設定されたものでございます。
 なお、この新たな税率は、平成二十年十月以後に開始する事業年度から適用されるため、平成二十年度の税収にはほとんど影響がなく、平成二十一年度以降の税収に影響が及ぶものでございます。

○古館委員 今の説明を受けまして、影響は二十年度はほとんどなくて、二十一年度以降の税収に影響が及ぶと。法人事業税の国税化ということですから、今までは東京都の税収だったわけですけれども、それが国税という形で、地方法人特別税という形で創設された。ですから、国税として持っていかれたというのが、はっきりいって実際の状況であります。
 この法人事業税の国税化につきましては、都議会挙げて反対をしておりました。知事も同様の態度をとっていたわけであります。それが、一昨年の暮れのことですけれども、知事が当時福田首相と会談をして、合意によって、それに基づいた措置として、この国税である地方法人特別税というのが創設されたと、そのように認識をしております。
 こうした中で、今、問題の外環とか羽田などの促進、事業化が進んだわけであります。外環にあらわれているような直轄事業の負担金とか、さらに羽田の関係では、単年度だけでも、今回の決算で出ておりましたが、百八十五億円の持ち出しだとか、そういう形で、結局は東京都が持ち出すことにつながっております。
 伺いますけれども、そういう状況の中で、法人事業税の国税化によって税率が大幅に引き下げられて、法人事業税の約半分が国に持っていかれたと。このことについて、私はさきの分科会でも質問したところであって、きょうは法人事業税の超過課税についてお伺いをいたします。
 この要求資料にもありますけれども、平成二十年度の法人事業税収のうち、超過課税による収入というのは幾らになるのでしょうか。

○目黒税制部長 法人事業税の税収一兆三千百三十二億円のうち、超過課税による都の増収額は約六百七億円となります。

○古館委員 なかなかこの超過課税というのはばかにならないですよね--半分近くあるわけですから。
 さらに伺いますけれども、法人事業税、法人住民税、この超過課税はそれぞれ標準税率の一・二倍まで課税できると。住民税についてはどうかというと、一・二倍の制限税率いっぱいまで課税しているんですけれども、事業税につきましては、まだ課税の余地があるというふうに私自身は認識をしております。
 都は大企業に絞って超過課税を行っているんですけれども、私は大企業のみではなくて、やはり一般の人たちもこういう形で応分負担しているわけですから、事業税についても制限税率いっぱいまで超過課税を行った場合はどれぐらい増収になるか。そういう計算がありましたら、お聞かせをいただければと思います。

○目黒税制部長 仮に制限税率で法人事業税の超過課税を行ったとした場合の、現行の超過課税による税収との差額についてでございますが、平成二十年度決算ベースで試算をいたしますと、約千八百二十億円の増収になるものと見込まれます。

○古館委員 要するに、そういう工夫を凝らして--やっぱりそういう意味では、企業でも社会的な意義というのは、東京の場合は特に大きいわけでありまして、この点は今後の、それこそ検討課題にしていただきたいなと。
 法人事業税の国税化による税収減というのは国の法律で決められた、このように伺っておりますけれども、超過課税については、都が法の範囲内で独自に課税できるものだと、このように理解をしています。大企業の法人税率は、ピークの四三・三%から、段階的に三〇%まで引き下げられてきました。研究開発税などの租税特別措置法が数多く存在することによって、実質的な税負担は低いものと、こういうふうになっております。これらの減税によって得られた内部留保に対して制限税率いっぱいで課税することは、私は大企業にとって決して過大過ぎるということはないと、このように考えております。
 東京都としては制限税率で事業税の超過課税を行うべきだと、このように考えますけれども、ご見解を伺いたいと思います。

○目黒税制部長 法人事業税の超過課税につきましては、大都市特有の財政需要に対応するため、一定の法人に対し、標準税率による通常の負担を超えた特別の負担を求めているものでございます。
 超過税率の制限税率までの引き上げにつきましては、景気が低迷している我が国経済の状況や、法人の国際競争力の維持等の観点から、適当ではないというふうに考えます。

○古館委員 もし、私が今提案したようなことをやったとすると、どれぐらいの財源が生まれるのでしょうか。

○目黒税制部長 仮にのお話でございますけれども、先ほどご答弁申し上げましたように、制限税率まで目いっぱい上げた場合には千八百二十億円の増収になるというふうに考えられます。

○古館委員 今、ご答弁あったように、千八百二十億円ほどの税収増になりますという答弁なんですね。非常に大きな税収増であります。
 法人事業税の国税化による税収減は国の法律で決められていると、このように認識をしておりますけれども、超過課税については、都が法の範囲内で独自に課税できる。こういうふうに我々は理解をしていますし、いわゆる主税局の認識も同じであります。
 大企業の法人税率は、ピークの四三・三%から、今、段階的に引き下げられて三〇%にまで落ちてきております。研究開発減税などによって、実質的な税率というのはさらに引き下げられていると、このように認識をしています。これらの減税によりまして得られた内部留保に対して制限税率いっぱいで課税することは、私は大企業にとって決して過大過ぎるということはないと、このように認識をしています。
 そこでお尋ねしますが、都は制限税率で事業税の超過課税を行うべきと考えておりますけれども、見解をお伺いいたします。

○熊野主税局長 法人に課税する場合に、担税力に着目して賦課するというのも、先生がご指摘のように、一つの考え方、セオリーではございます。
 ただ、先ほど税制部長から答弁申し上げましたように、超過課税につきましては、法人の大都市需要に対する負担ということでございますので、受益と負担の関係も考慮しなければなりませんし、また、今後、福祉の向上あるいは雇用対策等々を行うためには、企業の成長というのが不可欠でございますので、企業の負担、実効税率等も考慮しなければいけない。その場合には当然、実効税率だけではなくて、企業が負担している社会保険等の負担もあわせて、企業がどれぐらい負担しているのかということも考慮しなければいけない。さらにいえば、企業の負担がふえると、当然のことながら、設備投資に回る金が少なくなったり、あるいは従業員の給料が下がって消費に回るお金が少なくなるといった、そういう経済に与える影響も考慮しなければいけない。こういうふうに、企業に対する課税につきましては、担税力だけではなくて、そういった面も総合的に勘案しなければいけないというふうに考えております。
 そういった意味で、今の経済状況等々あるいは国際競争力等々を考えた場合に、制限税率いっぱいまで課税することは適当ではないというのが、現在の主税局の見解でございます。

○古館委員 意見を述べますけれども、担税能力があるわけですよね。しかし、そういう行き過ぎた課税といいますか、そのことについて今、局長から答弁があったわけでありますけれども、やっぱり担税能力があって、しかも減税などの恩恵を受けている、こういう対象として大規模な法人、それから株の譲渡や配当に対する課税がずっと減税されてきていると。これについて、これまでも課税することを我々は求めてまいりましたけれども、改めて東京都として制限税率で事業税の超過課税を行うことを強く求めて、私の質問を終わります。
 以上です。

○原田委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○原田委員長 異議なしと認め、本件に対する質疑は終了いたしました。
 以上で主税局関係を終わります。
 以上をもちまして第一分科会における決算の審査は終了いたしました。
 なお、本分科会の審査報告書につきましては、分科会委員長において取りまとめの上、委員会委員長に提出いたしますので、ご了承願います。
 これをもちまして第一分科会を閉会いたします。
   午後一時三十七分散会

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