平成二十年度各会計決算特別委員会第一分科会速記録第五号

平成二十一年十月十九日(月曜日)
第十一委員会室
   午後一時開議
 出席委員 十名
委員長原田  大君
副委員長伊藤 ゆう君
副委員長宇田川聡史君
小林 健二君
鈴木 隆道君
島田 幸成君
滝沢 景一君
大松あきら君
古館 和憲君
田島 和明君

 欠席委員 なし

 出席説明員
監査事務局局長三橋  昇君
監査担当部長並木 勝市君
人事委員会事務局局長泉本 和秀君
任用公平部長宮川 雄司君
試験室長内藤 泰樹君
参事鷲見 博史君
東京オリンピック・パラリンピック招致本部本部長荒川  満君
次長並木 一夫君
技監福島 七郎君
企画部長細井  優君
参事重田 敏光君
参事梅田 弘美君
招致推進部長中嶋 正宏君
連絡調整担当部長藤森 教悦君
招致戦略担当部長保坂 俊明君
新施設建設準備室長末菅 辰雄君
公募準備担当部長野崎 誠貴君
知事本局局長吉川 和夫君
儀典長川田  司君
次長山口  明君
理事川澄 俊文君
理事真田 正義君
総務部長大井 泰弘君
地方分権推進室長森山 寛司君
外務部長遠藤 雅彦君
参事長澤  徹君
基地対策担当部長中村 信一君
参事新美 大作君
政策部長野村 俊夫君
計画調整部長梶原  洋君
参事山越 伸子君

本日の会議に付した事件
平成二十年度東京都各会計歳入歳出決算の認定について
監査事務局関係
・平成二十年度東京都一般会計決算(質疑)
人事委員会事務局関係
・平成二十年度東京都一般会計決算(質疑)
東京オリンピック・パラリンピック招致本部関係
・平成二十年度東京都一般会計決算(質疑)
知事本局関係
・平成二十年度東京都一般会計決算(質疑)

○原田委員長 ただいまから平成二十年度各会計決算特別委員会第一分科会を開会いたします。
 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、監査事務局、人事委員会事務局、東京オリンピック・パラリンピック招致本部及び知事本局関係の決算に対する質疑を行います。
 これより監査事務局関係に入ります。
 決算の審査を行います。
 平成二十年度東京都一般会計決算中、監査事務局所管分を議題といたします。
 本件につきましては既に説明を聴取しておりますので、直ちに質疑を行います。
 発言を願います。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕

○原田委員長 発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○原田委員長 異議なしと認め、本件に対する質疑は終了いたしました。
 以上で監査事務局関係を終わります。

○原田委員長 これより人事委員会事務局関係に入ります。
 決算の審査を行います。
 平成二十年度東京都一般会計決算中、人事委員会事務局所管分を議題といたします。
 本件につきましては既に説明を聴取しておりますので、直ちに質疑を行います。
 発言を願います。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕

○原田委員長 発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○原田委員長 異議なしと認め、本件に対する質疑は終了いたしました。
 以上で人事委員会事務局関係を終わります。

○原田委員長 これより東京オリンピック・パラリンピック招致本部関係に入ります。
 決算の審査を行います。
 平成二十年度東京都一般会計決算中、東京オリンピック・パラリンピック招致本部所管分を議題といたします。
 本件につきましては既に説明を聴取しておりますので、直ちに質疑を行います。
 発言を願います。

○伊藤委員 それでは、私から、オリンピック・パラリンピック関係について質疑をさせていただきたいと思います。
 まず初めに、長期間にわたって招致レースを戦い抜いてこられました、本部長を初め関係職員の皆様におかれましては、その労に心から敬意を表したいと思います。本当にお疲れさまでございました。
 招致レースでは敗れましたけれども、このレースに参加したことで、日本の成熟した都市東京を世界の国々にアピールすることができたものと思います。同時に、招致レースを通じて、国内でも、東京が抱える未整備の交通インフラや、あるいは競技場の問題なども明らかになったことは、国際的な都市間競争を生き残る上で重要な機会になったものというふうに思います。
 そういう意味で、落選はしたものの、招致レースが多くの遺産を生んだことは疑いなく、招致レースに敗れたからといって、すべてがむだになったというふうにはいえないものと認識をいたしているところでございます。
 そこでまず、招致レースの結果を受けた上で、今回の招致活動で東京都が得られたものは何だったのか、また敗因についてはどのように分析されているのか、本部長に伺いたいと思います。

○荒川東京オリンピック・パラリンピック招致本部長 答弁が多少長くなりますけれども、お許しいただきたいと思います。
 二〇一六年大会の東京招致につきましては、約四年にわたりまして取り組んでまいりましたけれども、力が及ばず、無念な結果に終わりました。最後の決戦の場と目しておりました十月二日のIOC総会には全力で臨みまして、プレゼンテーションは十分手ごたえがあったというふうに思っております。また、従来から申し上げておりますとおり、立候補ファイルの内容もトップクラスというふうに認識をしております。しかしながら、それでも最終的に当選できなかったのが今回の招致でありました。
 東京が開催都市になれなかった理由につきましては、正式には後日、招致委員会やJOCと共同で報告書として整理をいたしますが、今の時点で申し上げれば、運営力、財政力など、技術的な条件では東京は有利でありましたけれども、やはりリオデジャネイロの南米初と、こういう情に訴えるキャンペーンを突き崩すことができなかったということが一番大きいというふうに考えます。さらに申し上げれば、リオデジャネイロへの流れを突き崩し、東京に一票を投じる気持ちを起こさせるだけの人間関係が、百人もいるIOC委員との間で十分にでき上がる前に投票になったということだろうというふうに思います。
 したがいまして、今後、我が国がオリンピック招致をかち取るためには、技術的な条件とともに、IOCに食い込む関係構築が重要な条件であるというふうに考える次第であります。
 しかし、招致に敗れたとはいえ、伊藤副委員長がおっしゃるとおり、これまでの招致活動は決してむだではなく、非常に有意義であったというふうに思っております。
 まず第一に、立候補ファイルには、都市整備上の課題のほかに、新たにカーボンマイナスの発想、太陽エネルギーの活用、情報におけるユビキタスの応用など、たくさんの発想やアイデアが生み出されまして、それらは今後の都市づくりに大いに役に立つというふうに思います。
 また、ご指摘があったように、安全性、交通の利便性、環境のよさ、文化の豊かさ、こうした東京の強みを大いに海外にアピール、セールスすることができたというふうに思います。
 三つ目には、オリンピックの競技会場を検討するために、海外に拠点を設けております国際競技団体とじっくり意見交換をすることができまして、このことが今後の東京の国際スポーツ大会の開催やスポーツ振興に大いに有効に生かせるというふうに考えます。
 そして、四つ目として、特にこれは私は大きいというふうに考えるんですが、地元の自治体と協力して、各種のオリンピックムーブメント事業を全国で行いました。たくさんの子どもたちがオリンピアン、パラリンピアンと交流し、その交流を通じて子どもたちがさまざまな体験をし、まさに将来の夢や勇気をそこでもらいまして、大きな財産になったと思います。
 大切なことは、こうした成果をむだにせず、今後の都政、国政に生かし、継続してスポーツ振興や都市づくり、まちづくりを進めることでございまして、そうした中から、新しい仕組み、ビジネスチャンスも生まれ、民意も形成されていくものというふうに認識しております。
 現在、招致活動関係の収入、支出の最終的な取りまとめ、そして成果と課題の詳細な分析を、私どもの招致本部と招致委員会が中心になって行っております。今後、外部の機関のチェックなどを受けまして、一定の手続を経て、適正な時期に公表し、都議会を初め都民、国民の皆様に十分説明してまいりたいというふうに考えております。
 最後になりましたが、改めて都議会の皆様のこれまでのご支援とご協力に心から御礼申し上げます。ありがとうございました。

○伊藤委員 本当に長い期間の招致レース、お疲れさまでございました。今、答弁にありましたとおり、招致レースに敗れたからといって、すべてがむだになったというわけではないということであります。
 しかし、一方で、私は、招致レースに意義があったからといって、すべての招致経費の再検証は必要ないと、こうはいえないものというふうに考えています。招致費用は百五十億円ですけれども、そのうち百億円は都民の税金であり、この使い方については都民の関心の高いところであります。
 そこで、まず、総額百五十億円の招致費用の拠出内訳と主な支出内容をお答えください。

○細井企画部長 招致推進活動経費百五十億円は、国内立候補都市決定後の平成十八年九月から平成二十一年十月の開催都市決定までの期間における総経費でございまして、金額は、招致本部、招致委員会ともに七十五億円を予定しております。招致委員会の七十五億円は、民間の資金で五十億円、招致本部からの補助金で二十五億円を賄うこととしております。
 百五十億円の主な内訳は、立候補ファイルの策定等に二十億円、国際招致活動に三十五億円、招致機運の盛り上げ、広報等に九十五億円となっております。実際の支出の状況につきましては、現在精査中でございまして、後日、改めて議会、都民に対してご報告をさせていただきたいと思っております。

○伊藤委員 今の答弁で、税金二十五億円と民間資金五十億円が投入された招致委員会のお財布と、それから七十五億円全額を税金で賄われた招致本部のお財布と、二種類あるということがわかりました。この二つの組織の性格の違いと、伴って、支出における性格の違いについてお伺いしたいと思います。

○細井企画部長 招致本部の方は、立候補都市として、立候補ファイルの作成における計画案の作成、IOC評価委員会視察対応における計画説明など、区市町村など他自治体と連携した事業などを行うこととしております。
 一方、招致委員会は、IOCとの公式な窓口となっているため、計画案のブラッシュアップや決定、国際的なプロモーション活動、民間と協力して全国キャンペーンなどを行うなど、それぞれの役割に応じた経費の支出を行っているところでございます。

○伊藤委員 (パネルを示す)今ご説明をいただいた二つの組織と、そして、それぞれの性格の違いを簡単にまとめてみました。
 招致本部と招致委員会のそれぞれの予算書を見ますと、予算が大きくこのように二つに分かれていて、ムーブメント推進費と、そして招致経費と、それぞれ招致委員会においても招致本部においても二つ、また費用の内訳というものが大きく分かれているということですけれども、この二つの費用の性格の違いについてお伺いしたいと思います。

○細井企画部長 オリンピック・パラリンピックの招致経費は、立候補ファイルの作成や立候補手続、国際招致活動といった招致の過程において必須の経費でございます。
 一方、オリンピックムーブメント推進経費は、区市町村を含む他自治体などと連携したオリンピックムーブメントの推進に関する事業を通じて、スポーツへの関心や環境への配慮などオリンピズムの普及啓発や計画理念、内容の周知などの広報活動を行うとともに、招致機運の盛り上げを行うための経費でございます。

○伊藤委員 つまり、総額は百五十億円、そして招致委員会には民間からの五十億円と二十五億円の税金、招致本部の方は全額七十五億円の税金、二つのそれぞれのお財布があって、さらにその中に、いわゆる海外でのPR活動やIOC委員の視察準備費用など、国際的な招致活動で使われる費用というものが招致経費として含まれており、もう一つの方は、ムーブメント推進経費というものは、この国内の世論というものを喚起するための費用と、大きくこのようにそれぞれ分かれているということでございます。
 そこで、平成十八年度から平成二十年度におけるムーブメント推進費と招致経費、それぞれの両方のお財布においてどういう比率であったかということをお伺いしたいと思います。

○細井企画部長 招致推進活動経費の中で、招致経費とムーブメント推進経費が占める割合でございますけれども、平成十八年度はムーブメント推進経費が一〇〇%でございます。平成十九年度は、招致経費が四四%、ムーブメント推進経費が五六%、平成二十年度は、招致経費が三九%、ムーブメント推進経費が六一%となっております。

○伊藤委員 平成十九年度と平成二十年度のムーブメント推進事業費を見てみたいと思います。傾向がはっきりしているわけでありますけれども、平成十九年度のムーブメント推進事業費というのが十五億七千万円ということになります。これが平成二十年度になりますと、およそ三倍の約四十五億円。一方で、招致事業費の方は、平成十九年度が十二・五億円であったのに対して、平成二十年度では約二十九億円。つまり、招致事業費の方は二倍そこそこですけれども、ムーブメント推進費の方は三倍にもなっていると。そして、総額としても四十五億円という極めて大きな金額になっているというふうに、この表から見てとることができるわけでございます。
 オリンピック招致計画の策定当初に、国内世論喚起のためのオリンピックムーブメント推進事業費は、もともと幾らになるというふうに見込んで計画を立てられていたのでしょうか。また、実際には大きなずれというものが生じてきたのではないかと思うんですが、いかがでしょうか。

○細井企画部長 平成十八年六月に国内選考のために作成した開催概要計画書では、具体的な見積もりは行わず、ロンドンやパリがIOCに提出しました申請ファイルに記載されていた金額を踏まえて、総額として五十五億円を計上したわけでございます。しかし、それらの金額の内訳は明らかにされておらず、そのため海外の専門家などから情報収集したところ、盛り上げのための国内イベント経費などは含まれていないとの情報がございました。
 平成二十年一月にIOCに提出した申請ファイルでは、実際の開催都市の詳細計画やIOCへの実際のプレゼンテーション内容を参考に、開催計画の作成や国際招致活動など、招致に直接かかわる経費を具体的に見積もり、それを招致経費として、たまたま同額の五十五億円を計上したものでございます。
 この中には、国民、都民に対して、オリンピック・パラリンピックを日本で開催する意義の理解促進や、オリンピズムの普及啓発などを積極的に行っていくための経費は含まれておりません。そのため、これらに要する経費を具体的に見積もり、別途オリンピックムーブメント推進経費として九十五億円を計上したものでございます。
 その結果、直接的な招致経費とオリンピックムーブメント推進経費を合わせた招致推進活動経費の総額は百五十億円となりまして、平成二十年の第一回定例会でご説明いたしましてご承認をいただいたところでございます。

○伊藤委員 今、答弁にもあって明らかになったとおり、平成十八年の六月に国内選考のために作成した開催概要計画書では具体的な見積もりは行わなかったということですから、当初どれくらいの、この世論喚起のためのオリンピックムーブメント推進費になるかというのは明らかにされていないということでございます。その後、九十五億円分をオリンピックムーブメント推進費として計上されたと。これは平成二十年の段階だということでありますので、私は、この間に国内の世論の低さというものに関係職員の皆さんがお気づきになられて、想像以上のオリンピックムーブメントの推進事業費というものに予算を割かざるを得なくなったのではないかなと、このように推察をいたすところでございます。
 その上で、これから中身について伺っていきたいと思います。
 まず初めに、招致本部の経費、総額七十五億円ですから、こちらの経費の七十五億円が全体的にどのように使われたかについて伺っていきたいと思います。
 いうまでもなく、オリンピック招致レースは長期に及ぶ国際的な招致活動であるため、主たる請負企業は、世界的な実績を持つところに限られるものというふうに思います。そこで、日本の広告代理店首位を独走する電通が請け負うのは順当だというふうに思いますが、招致本部経費の七十五億円のうち、現在までに電通に支払われた総額というのは、一体幾らになるのでしょうか。
 また、招致委員会のお財布の方から支払われた総額というのも幾らになるのでしょうか。

○細井企画部長 招致本部におけます株式会社電通との契約金額は、平成十八年から平成二十一年十月六日までの期間で、約三十二億八百万円でございます。
 一方、招致委員会における株式会社電通への支払い金額は、平成十九年度から平成二十一年九月末までの期間で、約二十一億三千四百万円でございます。

○伊藤委員 百五十億円が招致経費総額ですけれども、その総額に占める電通への支払い割合は何%になるのでしょうか。

○細井企画部長 百五十億円と比較いたしますと、約三五%ということでございます。

○伊藤委員 百五十億円の中には、物品購入費だとかさまざまなものが含まれると思いますが、いわゆる百五十億円に占める委託契約の全体に占める電通の割合は何%になるのでしょうか。

○細井企画部長 現時点で申し上げますが、本部、委員会を合わせて約六三・〇%でございます。
 オリンピック招致事業は、熾烈な国際競争を勝ち抜くという特殊な目的を持っている事業でございまして、そのため、計画策定や国際招致活動など招致に関する根幹的な業務については、IOCなどから高い評価を得るための特別な実績とノウハウを持つ業者でなければ実施できないという特殊性を持っております。結果として、申請ファイル、立候補ファイル作成に係る業務委託など、一件当たり金額が大きい案件について、そういったノウハウを持つ株式会社電通を委託先とする必要が生じまして、委託契約に占める割合が高くなっております。
 なお、一般的な調査業務などについては、できる限り競争入札によりまして業者を決定するなど、多くの業者に門戸を開くように努めているところでございます。

○伊藤委員 電通が請け負った、今ご答弁をいただいた契約のうちで、入札によらない随意契約または特命の割合というものは何割になるのでしょうか。

○細井企画部長 ただいまのお尋ねの件について、機械的な率を算出しますと、招致本部においては約九九・六%でございます。招致委員会におきましては一〇〇%でございます。
 招致本部においては、地方自治法の規定にのっとりまして適正な契約手続を行っておりまして、招致委員会におきましては、地方自治法における入札制度の対象外でございますけれども、企画提案方式や見積競争など、競争性を確保するための方式をできる限り導入するように努めているところでございます。

○伊藤委員 招致本部と招致委員会からの支出が、電通に対して合わせて五十三億四千万円に及ぶことがわかりました。平成二十一年度においては、まだ未払いと未執行の金額がありますので、電通への支払い総額はこれ以上になるものと思います。
 先ほどご答弁にもありましたし、私も先ほど申し上げたとおり、私は電通が主な請負企業になったことに異議を申し上げるつもりはありませんが、しかしながら、電通でなくてもよかったのではないかというような事業も含まれているというふうに思います。
 先ほど、根幹にかかわるところについては電通に、そして、できる限り入札によって契約を行っていくように努めているというふうに答弁にありましたが、例えば、電通に特命契約をされた都営バスのラッピング広告、これは、都営バス百台に対して、東京都のオリンピック招致の運動を盛り上げるために、一台フルラッピングという形で広告を載せているわけですけれども、こうしたバスに対するラッピング設置、撤去作業についても電通に特命契約をされております。
 こうした作業ですから、必ずしも電通でなくても可能だったのではないかというふうに思うんですけれども、電通に特命契約をされた理由は何でしょうか。

○重田参事 平成二十年度に締結しました都営バスの車体広告に関する契約は、平成二十年六月に東京都が立候補都市として承認されたことを受けまして、それまでの車体広告を撤去の上、立候補都市としての新たな招致エンブレムを、マークをあしらった車体広告を掲出したものでございます。
 この車体広告は、バスの車体に特殊なフィルムを張りつけるいわゆるラッピング広告というものでございまして、実施に当たりまして、車体の塗装等の損傷があった場合には、業者に原状回復の義務を課しております。しかしながら、塗装損傷等の原因が、フィルムの取りつけ時にあるのか、それとも取り外し時にあるのか、判別が困難な場合が多く、張りつけと取り外しを異なる業者に委託した場合には、責任の所在が不明確になるおそれがあるということで、従前の車体広告の委託業者であります電通と契約を締結したものでございます。
 さらに、使用します招致マークにつきましては、変形の禁止など、IOCから適正な管理を強く求められておりまして、マークの著作権者である招致委員会は、その管理を電通に委託しております。
 このため、招致マークを活用した車体広告の掲出にあっても、電通を委託業者とすることが最も効率的かつ円滑な事業実施を可能にするものというふうに考えております。

○伊藤委員 今、都営バスに対してラッピング広告を載せるに当たって、電通にした主な理由は二つであるというふうにご答弁をいただきました。
 一つは、エンブレムが申請都市から立候補都市に変わったということに伴って、同じ業者が撤去してもう一回張りつけた方が責任の所在が明確になるから電通にしたんだということをおっしゃったんだというふうに思うんですけれども、これはもともと、ですから私は電通じゃなくてもよかったのではないでしょうかと。そもそも、入札にかけてどちらかの事業者に--申請都市から、そして立候補都市へと移行していく間においても、入札における事業者に仕事をさせてもよかったんじゃないか、私はこういうふうに考えています。
 もう一つの後者の方の、今、理由の中に、五輪のロゴについてはIOCから厳しく管理が依頼されているというふうにいわれておりましたけれども、この五輪のエンブレムについては、必ずしも電通が取り扱っているわけではない印刷物や、あるいは広告媒体物に掲載されているということはあるんじゃないかと思うんですけれども、その点についてお伺いしたいと思います。

○重田参事 パンフレットですとか、いろんなポスター等で使用しております、いわゆる平面の印刷物は変形するおそれがないということで他の業者等が作成する場合がございますが、バスの場合は、立体的に、それから一台一台形が違いますので、それぞれその変形の管理をするために電通で事業を実施したということでございます。

○伊藤委員 そこは私、ちょっと納得しかねるんですね。バスの車体というのは、新幹線のように流線型になっているわけではありません。基本的には、立体構造ではあっても、一面一面は平面になっているわけでありまして、そこは仕様書において厳しくマークの取り扱いについて指定をしておけば、電通でなくても十分な管理がなされるんじゃないかと思うんですけれども、改めて伺いますが、なぜ電通にこの契約を特命で行ったのでしょうか。

○重田参事 招致マークの著作権者であります招致委員会が、その管理を電通に委託しておりますため、電通を委託業者にするということでございます。

○伊藤委員 このことは、また今後、別の機会で伺っていきたいと思います。
 次に、区市町村のオリンピックムーブメントの推進事業費について伺いたいと思います。
 これは平成二十年度から始まった区市町村への上限一千万円の委託事業費で、オリンピック招致機運向上につながるなら、使い道は市区町村任せという、区市町村の自由裁量幅の極めて大きな予算でありました。
 この予算は、招致計画当初から盛り込まれていたのでしょうか。あるいは、いつの時点で、どのような目的でこの予算というものが検討され、予算化されたのでしょうか。

○重田参事 都と区市町村によるオリンピックムーブメント共同推進事業は、区市町村がオリンピック・パラリンピックに積極的に参画する具体的な方策を都と共同して検討するため、十九年度に設置されました都・区市町村連絡協議会で検討されまして、二十年度に予算化し、二十年四月から実施をされております。

○伊藤委員 私は、この予算の中には相当多くのむだ遣いが潜んでいるのではないかと見ています。
 これはある区の例ですけれども、ことしの夏に体操フェスタと夏休みスポーツフェスタを実施し、予算は二つ合わせて九百六十八万円でした。一千万円の上限予算でありますので、上限極めていっぱい近い九百六十八万円。そのうち、体操フェスタについて申し上げたいと思います。
 このイベントは、体操のメダリストを区の碑文谷体育館に呼び、参加者六百人を前に、体操競技を披露したり、子どもたちと一緒に体操を行うというものでございました。詳細を述べると、かかった費用は約七百八十万円。契約方法は随意契約となっており、競争原理が働いておりませんでした。
 この委託事業において、区市町村というのは、契約方法について都から何ら制限を受けないのでしょうか。お伺いしたいと思います。

○重田参事 この事業では、実施主体であります区市町村、あるいは区市町村が主体となって設立しました実行委員会が適切に実施するものでございまして、都から、その契約方法等において何らかの制約を受けるものではございません。

○伊藤委員 契約方式は区市町村の自由ということですけれども、平成二十年度に実施された区市町村の委託事業のうちで、区市町村が入札以外のいわゆる随意契約あるいは特命契約を結んだ件数は、全体の何件中、何件になるのでしょうか。

○重田参事 私どもが把握しています委託契約九十九件中、競争入札以外での契約の件数は九十二件でございます。
 この事業の性質上、一般的に競争入札になじまない場合が多うございます。例えば、いわゆる物品の購入ですとか役務提供などと異なりまして、各区市町村が実施したい企画に合ったアスリート、こういう希望をした場合に、特定するアスリートを特定の日時にお願いをするとなると、ある事業者がそのスケジュールを押さえてしまいますと、別の事業者はそれに同じ提案ができないということがございますので、一般競争入札になじまない場合が多うございまして、企画コンペなども行われているために随意契約が多くなっております。

○伊藤委員 入札になじむかなじまないかは、この後の質疑の中で明らかにしたいと思いますが、先にお伺いしたいことがございます。
 今、平成二十年に百三十九の事業があって、把握できている範囲でいえば、九十九件中九十二件は随意契約あるいは特命契約だったということで、パーセンテージに直しますと、これは九三%ということになります。入札による契約が確認されたのは、逆にわずか七件でありました。ほとんどの区市町村で入札が行われていなかった実態が浮き彫りになったわけでございます。
 先ほど紹介した区でも、入札を行わず、見積もりをとったのは発注先の一者のみで、他者からの見積もりをとって価格の適正をチェックするなどの作業は全く行われていませんでした。多くの区市町村が、オリンピック委託事業を棚ぼた予算として、どんぶり勘定で支出していたのではないかと、こういうふうに私は推測できます。
 さて、先ほどの区から七百八十万円の仕事を随意で受注したA社について調べてみました。こちらも不可解な事実が判明したわけでございます。これは二〇〇七年時点での調査ですけれども、A社は東京都羽村市に位置し、従業員数八名の小規模な広告代理店です。所在と人数もさることながら、不可解なのは、同社が専門とする広告分野であります。同社の専門分野は、各種ニュースリリースなどに記載をされているところを読みますと、パチンコ・アンド・パチスロ業界特化型総合広告代理店と、このように記載されているほど、パチンコ店舗を主たる顧客としている会社であります。
 ある区は、同社選定の理由として、体操教室や体操演技に必要な体操設備等の設置に関するノウハウを有し、出演者への出演依頼やスケジュールの確保を確実に行うことが可能であり、出演者と企画内容の詳細を調整し、多くの人が集まるイベントとして、安全かつ円滑に運営できることの条件を満たすものとして、A社を適当と判断したと、このように回答していますが、羽村市の小さな広告代理店がどうして体操競技に明るいと区が判断できたのかと、私は疑わざるを得ません。
 そこで、区に問い合わせますと、A社を紹介してくれたのは財団法人日本体操協会であると回答しました。日本体操協会が区市町村に業者をあっせんしたり紹介していたということを、東京都は承知されているのでしょうか。

○重田参事 この事業では、実施主体でございます区市町村が、その事業にふさわしい委託業者を決定したものでございまして、選定経過については承知しておりません。

○伊藤委員 この区は、紹介されたA社以外から見積もりをとることもなく随意契約をしています。仮に体操競技にかかわる特殊なイベントであったとしても、同業他社から見積もりをとって価格の妥当性を検証するのが適切な対応ではなかったかなと思います。一社だけの紹介を受けて、その会社に随意契約を行ったということは、価格の適正に疑問を抱かざるを得ません。
 そこで、平成二十年度に区市町村が実施した委託事業の一つ一つを検証し、どんな内容に幾ら使い、どこの業者に発注していたかを調べてみました。すると、なぜか六十二の区市町村がある中で、別々の自治体であるにもかかわらず、同じ事業者にイベントを発注している事例を数多く見つけたわけであります。
 平成二十年度において、別々の自治体が同じ事業者に発注をしている事例は幾つあったのか、伺います。

○重田参事 平成二十年度のオリンピックムーブメント共同推進事業の実施に当たりまして、同じ業者が二つ以上の自治体のイベントを手がけた例は、私どもが把握している限りでは八例ございます。

○伊藤委員 これだけの会社が、各自治体と同時期に複数の契約をしていたということが明らかになりました。
 一年間に複数の自治体と随意契約を結んだそれらの事業者のうち、オリンピック招致本部やオリンピック招致委員会と主な取引関係にある会社は、この八例の中で何社あるのでしょうか。

○重田参事 先ほど申し上げました八例のうち、オリンピック招致本部やオリンピック招致委員会と委託契約を結んだことのある会社は、私どもが把握している限りでは三社ございます。

○伊藤委員 イベント企画会社が、仮にスポーツに限ってみても無数にある中で、各自治体が幾つかの企業に集中して発注したというのは不可解なものを感じます。
 そこで、東京都の紹介やあっせんが各自治体に対してあったのではないか、こんなふうに思うわけですけれども、東京都は区市町村に対して、こうしたイベント会社、事業者を紹介したことがあるのでしょうか。

○重田参事 特定の業者のみをあっせん、紹介したことはございません。
 ただし、この共同推進事業は、平成二十年度から始めた新しい事業でございます。その事業を進める役割分担としまして、区市町村は企画、事業計画の策定及び事業の実施、東京都は、区市町村による事業計画策定の支援あるいは広報、PRの支援など、事業実施に当たって区市町村を積極的にサポートするということになっております。したがいまして、その事業開始当初、全く新しい事業のため、事業計画策定の支援として、ノウハウのない区市町村に対しまして、事業者についての情報提供をした例はございます。

○伊藤委員 そうしますと、東京都が、私はこれは紹介だと思いますけれども、東京都の定義によるところの情報提供をされたのは、どの事業者になるのでしょうか。

○重田参事 事業開始当初、三社を事業計画策定の支援として情報提供を行ったことがございます。

○伊藤委員 東京都がいわゆる情報提供をしていた三つの事業者は、平成二十年度に自治体からオリンピックムーブメント推進事業を幾つずつ受注していたことになるのでしょうか。

○重田参事 私どもが把握している範囲では、合わせまして三十七件というふうに押さえております。

○伊藤委員 その三十七件をまとめてみました。こちらがその表になります。東京都が情報提供されたM社、R社、S社、受注件数は、平成二十年度だけでも、各自治体から十件、二十一件、六件、合わせて三十七件ということになります。今、答弁にありました三十七件は、これに符合するものと理解してよろしいでしょうか。

○重田参事 十一件、六件、二十件、合わせまして三十七件ということでございます。

○伊藤委員 百三十九ある事業の中で、三十七件については東京都が情報を提供していた事業者が受注されたということが今の質疑で明らかになりました。
 それでは、東京都がこの三社を紹介した、東京都の表現でいうと情報提供した理由というのはどうなるのでしょうか。

○重田参事 事業開始当初、オリンピックに関する専門分野を担う招致委員会とも相談しながら、オリンピズムの普及啓発事業で実績のあった事業者、JOCとのかかわりやアスリートが多く所属するなど、この共同推進事業の目的を効果的に実施できる事業者として情報提供したものでございます。
 また、その後、さまざまな事業を実施していきながら、それぞれの区市町村との事業実績のある事業者についても区市町村への情報提供をしながら、この事業がよりよい事業が実現できるよう支援をしてきたところでございます。

○伊藤委員 今、実績という言葉を何度か使われましたけれども、その実績というのは、すなわち招致委員会との契約関係にかつてあったということが大きな要素というふうに理解してよろしいのでしょうか。

○重田参事 事業開始が平成二十年でございまして、その前、十九年度に招致委員会とオリンピズムの普及啓発事業で実績があったのは一社ございます。

○伊藤委員 オリンピックのムーブメント推進事業の中で、実績という言葉を使われたわけですけれども、実績があるから各自治体に紹介をしたんだと、こういうお話でしたけれども、私はこの百三十九の事業を一つ一つ、事業概要を読み込ませていただいたり、あるいはそれぞれの市区町村のホームページなどで、どんなことが行われたかを拝見してまいりました。その中で特に多いのは、オリンピック選手などを呼んでのトークショーであったり講演会、あるいはスポーツ教室、こういうものが大変多かったというふうに思います。
 そこでお伺いしたいんですけれども、オリンピック選手を呼んでこうした講演会などを行うというのは、特別な会社、実績のある会社あるいはスポーツイベントに限定をした専門の会社でないと、オリンピック選手というのは呼ぶことができないのでしょうか。

○重田参事 必ずしもそこの事業者を通さないとオリンピック選手を呼べないかといわれますと、そういうことはないとは思いますけれども、オリンピック選手、特にアスリート、こうした方々は、ご本人の権利等を守るために、事務所とか、こういった企画会社に籍を置いていらっしゃいますというか、所属をされております。したがいまして、特定のアスリート、希望するアスリート、この方に出演してほしいといった場合には、どうしても事業者が限定される傾向にございます。
 また、例えばサッカーに強い事業者ですとか、あるいはトランポリンに強い事業者ですとか、そういった事業者の得意分野もございますので、そういった意味では、ある事業者に偏る傾向もあろうかと思います。

○伊藤委員 ちょっと正直いってはっきりしないんですね。つまりオリンピック選手を、どの選手はこの会社に業務を委託しないと呼べないということになっているのかといえば、必ずしもなっていないという理解でよろしいんですか。

○重田参事 はっきり申し上げなくて申しわけございません。今、私が申し上げたのは、例えば個人的に知り合いであるとか、そういった場合は例外ということでご理解いただければと思います。

○伊藤委員 そうすると、個人的に知り合いじゃない場合は、特定の会社じゃないと、オリンピックの選手、メダリストの方々を事業に呼ぶことはできないんですか。

○重田参事 呼ぶことができないかといわれますと、特定の事業者が、所属しているそのアスリートだけしか使えないかというと、そういうことはないというふうに聞いております。

○伊藤委員 そうすると、必ずしも特定の事業者じゃなくても、メダリストの方を呼んで、日程調整を行って事業に参加していただくということは可能だということでしょうか。

○重田参事 事業の内容にもよりますけれども、その事業を進める全体の運営とか、そういったものも含めますと、特定の事業者にお願いをするという形になるようです。

○伊藤委員 私はこのことを非常にしつこく今お伺いをしているのは、非常に大事なところで、つまりこういう事業を、トークショーを含めた事業を行うに当たって、特定の業者じゃないと実施できないのか、それとも特定の業者じゃなくても実施できるものが大半なのか、このことをお伺いしているんです。そのことをちょっと明快に答弁していただけないですか。

○重田参事 この事業を行うに当たりましては、単なるスポーツのイベントということではございませんで、オリンピズムの普及啓発という事業目的がございます。その事業目的を効果的に実施できる事業者という意味でいえば、特定の事業者になろうかというふうに思います。

○伊藤委員 これは小平市です。平成二十年十月十二日に、オリンピアンやサッカー選手によるスポーツ教室の実施を行っています。契約方式は入札。具体的な企業名は申し上げませんが、有限会社の印刷屋さんです。この市では、オリンピアンによるサッカー教室の実施を入札で行い、有限会社の印刷屋さんに委託をしているわけですね。
 また、別の市では、市のシルバー人材センターがオリンピアンを呼んで講演会などを開いています。
 事業者を市区町村に紹介するときに、複数の会社の情報を本当に提供していたのでしょうか。今、特定の事業者じゃなければこの効果的な事業はできないと、このようにおっしゃいましたけれども、私は、必ずしもそうじゃない事例がほかの市区町村を見ればあるんじゃないですか、こういうふうに思うんですけれども、いかがですか。

○重田参事 副委員長が今おっしゃいました小平の件ですけれども、ここでその事業を実施するに当たって委託している会社は警備の関係の委託ということでございまして、そのイベントの実施の委託事業者ではないということでございます。

○伊藤委員 私は、今、一つの事例を申し上げましたけれども、例えば大手の旅行代理店であったり、今私が申し上げた、例えばシルバー人材センターであったり、あるいは区が直轄で行っているというのもあるというふうに伺っています。
 そうだとすると、先ほど答弁にあったように、特定の事業者じゃなければ効果的な事業が行えなかったということにはならないんじゃないでしょうかということです。もう一度伺いたいと思います。

○重田参事 より効果的に実施できるということでいけば、特定の事業者に偏りがちというふうに思います。

○伊藤委員 それでは、改めて伺いたいと思いますけれども、先ほど三社、情報提供されたという話でしたけれども、問い合わせが自治体からあったときに、それぞれ三社を一括してお知らせしていたという理解でよろしいのでしょうか。

○重田参事 特定の事業者だけを情報提供するということは避けておりましたので、三社一括というか、同時にお知らせをしております。

○伊藤委員 特定の事業者を情報提供するのを避けていたけれども、結果的には、三社というのは特定された会社なんじゃないかというふうに思うんですね。そういう意味では、これは情報提供じゃなくて、私は紹介のたぐいに入るのではないかなというふうに思います。
 そこで、もう一つ伺いたいんですけれども、区市町村に、このオリンピック推進事業のことで問い合わせを受けたときに三社をまず情報提供した。その上で、見積もり合わせやあるいは入札について、各市区町村に対してアドバイスをされたということはありますか。

○重田参事 契約の内容までは、私どもの方から指導をしたり指示をしたりということはございません。こういう事業者が参考にありますよという情報提供でございます。

○伊藤委員 もう一つ、お伺いしたいと思いますけれども、東京都はこの事業において、民間事業者から、自治体からの問い合わせに対して、うちを紹介してもらいたい、あるいは情報提供してもらいたいなどの何らかの要請を受けたことがありますか。

○重田参事 そのような要請を受けたことはございません。

○伊藤委員 私は、競合他社がない場合にはともかく、先ほどお話をさせていただいたとおり、他の自治体では、本当にさまざまな事業主体にこの事業を委託していたりいたします。そういう意味では、多くの事業者にこの事業を委託可能だったのではないかというふうに思うわけでありまして、その場合に東京都が特定の三社を情報提供するというのは、競合他社への公平性の観点から見て適切ではなかったんじゃないかなと、こういうふうに思うんですけれども、東京都としての見解を伺います。

○重田参事 私どもといたしましては、特定の事業者を紹介したということはございません。この共同推進事業を効果的に実施するために、実施主体であります区市町村への支援として、事業実績等の情報提供を三社に限らず行っておりまして、不適切であるというふうには考えておりません。

○伊藤委員 三社のうち一社は、これはM社ということにしておきたいと思いますけれども、招致委員会からこの三年の間に、みんなのオリンピックなどの事業を請け負い、総額で約一億円近い契約を招致委員会と結んでいるわけであります。そのM社が、十件の各自治体からの委託事業を引き受けていると。いうなれば、東京都と事前に契約関係にあった会社などが中心となって、東京都から各自治体へ情報提供してもらったというふうに私は理解できるんですけれども、先ほどの答弁の中にも、一部そうだということでありました。
 ですから、私からすると、一種のオリンピックのファミリー企業なるものが一定形成されていて、その方々が百三十九件中三十七件もの委託事業を受けたのではないかと、こういうふうに勘ぐられても仕方ないんじゃないかなと、私はそのように思っています。
 競合他社がいる中で、特定の会社を都が情報提供することを、私は適切な対応だとは思いません。地方自治法にはこうあります。区市町村が委託事業で随意契約できるのは、予定価格が五十万円以下であるときか、その性質または目的が競争入札に適さないものをするときと規定しているわけであります。市によっては入札をしているわけですけれども、その中でシルバー人材センターが運営をしているというような事業もあります。多くの区市町村が数百万円単位で今回は随意契約を結んでいる実態というのは、私は都民の理解を必ずしも得られるものではないんじゃないかと、こういうふうに思います。特に、東京都とのつき合いの強い三社の情報提供ということになるのであれば、なおのことであるというふうに申し上げておきたいと思います。
 最後に、東京都に限らず行政組織は、特定業者に偏らず、常に民間事業者に対して公平公正な立場を貫く必要があるというふうに思います。
 そこで、平成十八年から平成二十一年十月六日現在に至る招致本部経費において、委託契約全体に占める入札以外の契約案件数の割合と総額を伺いたいと思います。

○細井企画部長 平成十八年度から平成二十一年十月六日現在の招致本部における委託契約の総額は、約三十八億三千三百万円でございます。入札以外の金額は約三十六億九千二百万円、割合としては九六・三%でございます。
 この数値は、先ほどご答弁したとおり、オリンピック招致という事業の性質上のもの、それから、事業の特性で一件当たりの随契の金額が大きいということで、こういう数字になっているものというふうに理解しております。

○伊藤委員 今回のオリンピック招致費用は、総額百五十億円にも上るということです。都民からすれば、非常に関心の高い予算の使い道ということになりますので、私からは、今後もこの予算の使われ方がどうであったのかということについて質疑を続けてまいりたいと思いますので、今後ともどうぞ明快なご答弁をよろしくお願い申し上げて、質問を終わらせていただきます。

○古館委員 それでは、私から、オリンピック招致問題について幾つか質問します。
 国際オリンピック委員会、IOCは、十月二日、デンマークの首都コペンハーゲンで第百二十一回総会を開き、ブラジルのリオデジャネイロを二〇一六年の第三十一回夏季オリンピック・パラリンピックの開催地とすることを決定しました。これまで五大陸の中で三大陸でのオリンピックだったわけで、それが四大陸に広がっていったと。そういうこともあって、私どもは、南米でのオリンピック開催は初めてのことであり歓迎をしたい、このように考えております。
 四都市の現地調査を行ったIOCの評価委員会の報告書は、東京については、技術や資金面などでは評価しながらも、都民の支持率が低いこと、これが致命的であったとしております。国内の開催地の支持が薄いところに五輪開催はないことが非常に鮮明にあらわれた結果と我々は考えております。
 石原知事が五輪招致を正式表明したのが〇五年の九月でした。その一カ月ほど前の、都議会などへの正式な説明もないままで招致の動きが新聞報道されるなど、文字どおり、この事業はトップダウンによるスタートでありました。
 そして、〇六年十二月には、オリンピックを開催する二〇一六年の東京の姿を示すとして、「十年後の東京」を策定して、この五輪開催を機に、環状道路整備など八兆円から十兆円もの大型開発に乗り出してきたわけであります。そればかりか、オリンピック開催のための基金が毎年一千億円で四千億円にもなること、これらを指摘して、都民の暮らし優先に回せということを我が党として強く求めもしてまいりました。
 九月二十三日には、約一億円の費用をかけたイベントが開催され、招致活動経費は、当初の五十億円から百五十億円にも膨れ上がっていきました。なお、委託契約で電通に対する契約が突出していたことは、我が党は早くから指摘をし、議会でも取り上げてきたことを述べておきたいと思います。
 落選した後には、都生活文化スポーツ局の都民の声課に、メールや電話、ファクスなど、数百件ですね。これはできれば、今どのようになっているか、お聞かせいただければと思いますけれども、そうした意見が寄せられ、その多くが招致に対する批判だったとのことであります。
 批判は、二〇一六年夏季オリンピックの開催地に決まったリオデジャネイロ招致委員会からも、選定をめぐる石原知事の発言が不適切で、IOCのルールに違反しており、失望させる振る舞いだとする声明を発表し、国際オリンピック委員会、IOCに通知したとのことであります。具体的にどの発言が不適切だったかについては触れておりませんけれども、石原知事は、十月四日、IOC総会が開かれたデンマークから帰国後の会見で、ブラジル大統領はかなり思い切った約束をアフリカ諸氏にしたという、フランスのサルコジ大統領が、戦闘機を買ってくれるならブラジルに入れるといったとかね、などと述べたと、こういうことも伝わっているところであります。
 オリンピックは、最もフェアプレーの精神が求められているものであります。リオデジャネイロへの誹謗中傷について、知事はここにはおりませんけれども、厳しく指摘をしておきたいと思っております。
 こうした中、二〇二〇年の夏季五輪招致に、広島、長崎が共同で名乗りを上げました。被爆の地で五輪開催が実現すれば、平和の理念を強く発信できるとの思いのあらわれでしょう。両市が主催する国際的な平和市長会議は、二〇年までの核兵器廃絶を目指しております。五輪開催と同じ年ですね。
 五輪招致にはどんな理念を掲げるかが重要であります。南北分断にあった、一九八八年、ソウル五輪は、オリンピックで世界平和をでした。〇四年のアテネ五輪は、原点回帰、原点に戻ろうで、一二年のロンドン五輪は、子どもたちのスポーツ振興をアピールしました。
 そこでお伺いしますが、猪谷千春IOC委員は、広島と長崎が世界平和の構築を目的とする五輪の開催都市に立候補するなら大変意義深い、このように述べております。五輪憲章では、オリンピズムの目的は、人間の尊厳保持に重きを置く平和な社会を推進することとしております。東京都として応援してあげたらどうでしょうか。いかがですか。

○中嶋招致推進部長 広島市と長崎市の両都市につきましては、二〇二〇年オリンピック・パラリンピック大会の招致に向けまして、近く共同で検討委員会を設置することを表明したと聞いてございます。
 都といたしましては、現在、今回の招致活動により得られましたノウハウを活用していけるよう、まずはその総括を行っているところでございまして、先ほどもご答弁申し上げましたように、しかるべき時期にそれを都民の皆様に公表して、ご理解をいただきたいと考えております。

○古館委員 都民の皆さんに公表してご理解というのは、これは当然のことだと思います。
 ただ、その意味合いはどういうことを意味しているのかということで再度お尋ねしますが、このことと、広島市、長崎市の両都市を東京として応援してあげたらどうかと、こういうふうに私は聞いているんですが、その点については、検討するとかそういうような形で、今のところは考えていない、あるいは考えている、そういう点では再度質問ですが、答弁いただきたいと思います。

○中嶋招致推進部長 東京都といたしましては、今回の招致活動を総括することによりまして、今後、東京も含めまして、日本のどの都市が立候補するに当たりましても、今回の経験、ノウハウが生かせるようにということで総括を行っているところでございます。

○古館委員 十月十四日の決算特別委員会第一分科会で、私は、都が積み立ててきたオリンピック基金四千億について、取り崩して都民の暮らし支援に使う、このように求めました。これに対して、都財務局の長谷川明主計部長は、今後、再度の立候補なども含めて、さまざまな観点から議論が行われると考えていると。この同基金については、東京の将来や都民のために生かせるよう適切に対応したい、このように答えました。
 それで、オリンピック基金四千億円につきましては、廃止して一般財源に回す、そして、暮らしや福祉、教育施策などの充実にぜひ回してもらいたい、このように考えますが、いかがですか。

○細井企画部長 お尋ねの東京オリンピック・パラリンピック開催準備基金につきましては財務局の方の所管でございまして、先ほど古館委員が申し上げていたとおり、主計部長の答弁で、オリンピック・パラリンピックについては、今後、再度の立候補なども含め、さまざまな観点から論議が行われていくことになると思うが、これらを見きわめつつ、都財政にとって貴重な財源であるこの基金の取り扱いについて、東京の将来や都民のために生かされるように適切に対応していくとの答弁があったところでございます。

○古館委員 都民は切実に、そうした都民生活の方にお金をもっと回してほしいということは、もう本当に強い要望として出ているところであります。
 それで、最後になりますけれども、オリンピック招致委員会のホームページについてですけれども、これは検証するという意味からも閉じることのないようにしていただきたいと、このように思いますが、いかがですか。場合によっては招致本部で引き取るなど、保管の対応を考えたらどうかと思いますが、お答えいただきたいと思います。

○梅田参事 委員会のホームページにつきましては、立候補ファイルあるいは招致活動の関連ニュースなどと、都民の皆様への情報源としまして非常に重要な役割を果たしているというふうに認識しております。
 ホームページ閉鎖後の対策につきましては既に着手しております。近日中には、必要な情報を選別しまして、都のホームページとして引き続き閲覧できるようにする予定であります。

○古館委員 最後に、このオリンピック招致問題につきまして、本当にいろんな角度から私どもも検証しなければならない、このように考えているところであります。引き続きこのオリンピック招致問題、日本共産党としても大いに今後とも取り上げて、都民の暮らし、福祉最優先の方向で頑張っていきたい。
 以上です。

○島田委員 私の方からも、オリンピック招致に関しまして幾つか質問をさせていただきたいと思います。
 今回、東京都が望んだ二〇一六年のオリンピック・パラリンピック招致に当たっては、平和社会あるいは環境を大切にした社会の実現、スポーツ振興など、その開催理念は大変すばらしいものがあったと、そういうふうに評価をしているところでございます。しかし、先ほど委員の先生からもお話があったとおり、幾つかの過程でいろんな問題点があったのではないかと、そんなふうに思っております。
 その中で、全体の招致経費が百五十億円に上っていると。そんなに経費が必要だったのか、あるいはむだな経費がなかったのか。経済状況がこういった、今、厳しい状況であります。民間の企業は経営努力をし、支出を切り詰めております。また、国政においては、民主党が政権交代を実現し、生活が第一ということで、むだを省き、国民生活に本当に必要なことに財源を割いていくという方針が打ち出されております。このような観点から、私は幾つか質問をしていきたいというふうに思っております。
 招致経費の全体を眺めてみますと、平成二十年度の予算案概要によりますと、本部実施分、それから、先ほどもありましたとおり招致委員会の実施分を合わせると、全体で経費が概算百五十億円かかるということでございますが、これは今のところ計画どおりいっているのか、それについてお伺いしたいというふうに思います。

○細井企画部長 招致推進活動経費百五十億円の実際の支出の状況につきましては、支払い等の精算業務を行うことと並行しまして、現在精査中でございます。会計処理にはある程度の期間が必要でございまして、集計終了後、一定の手続を経まして公表して、都議会を初め都民、国民の皆様に十分な説明をしたいと、このように思っております。

○島田委員 今、集計作業を進めているということでございますが、都民はいろんなことを、税金の使い道についていろいろ心配をしております。
 きょうの朝日新聞にも、収入が七億円足りずというような新聞記事もございましたが、収入に関して、予定では五十億円を民間から調達するという計画でありますけれども、その目標金額五十億円にこれまで達しているのか、これは明らかにしていった方がいいと、今の時点でも思います。その件についてお伺いしたいと思います。

○細井企画部長 民間資金からの五十億円につきましても現在集計中でございまして、先ほどと同じとおり、集計が上がって一定の手続を経た後、公表したいと、このように考えております。

○島田委員 私、先ほど申し上げたとおり、税金の使い道に対しては都民が非常に関心があると思います。これは百五十億という概算予算でありますので、その辺は明らかにして、都知事もすべて明らかにするというようなことでございますので、しっかりその辺は都民に説明して、もし足らないんだったら、足りない、これからこういう計画で集める、そういうような方向をしないと、このまま不明確でいきますと、都民も要らぬ心配をすると思いますので、ぜひその辺はしっかり計画どおりに行うという方針を、ここでもう一度お伺いしたいと思います。

○細井企画部長 オリンピック招致に係る百五十億円の収入、支出につきましては、後日、集計した後に、一定の手続を経まして公表させていただきます。そのときに十分にご説明をさせていただきたいと思っております。

○島田委員 ぜひしっかり都民に説明をしていただきたいと思います。
 そして、次の質問ですけれども、今回、その収入五十億でございますが、これは民間から資金を調達するということでございます。協賛の企業が幾つかあると思いますけれども、そのうち、監理団体を含めて、東京都と関連するような企業からの協賛というものはあったのか、そしてまたその額は幾らなのか、お伺いしたいというふうに思います。

○細井企画部長 東京都と関係が深い団体で協賛をしている会社ということで、東京都の監理団体というところが当たります。現在、サポーターズクラブにご協力をいただきまして、団体名の公表を了承しているものは、監理団体が五団体、出資団体が四団体でございます。
 なお、団体ごとの金額の公表については、了承をいただいていないため、公表できない状況でございます。

○島田委員 例えば株式会社東京国際フォーラム、あるいは東京地下鉄株式会社、東京都競馬株式会社など、昨日いただいたこの資料を見ますと、寄附金が一千万円以上というようなことでなっております。これはある意味で、都と関連の深い企業でございますから、いろんな問題があるのではないかと。私は、純粋な民間の資金から調達をする、そういう意味で都民の皆様方は思っておりますけれども、本当にそういう面ではわかりにくい。都と関係の深い企業から資金を調達するということに関しては、これは問題ないのか、ちょっとお伺いしたいと思います。

○細井企画部長 招致活動に対しましては、都民、国民からの広範な支持が必要でございます。民間企業のみならず、多くの個人、団体、東京都の監理団体などに対しましてもご協力をしていただくような要請をいたしました。
 収益から寄附するか否かは各団体の個別の判断でございまして、一応、それぞれの団体が判断した結果ということでございます。

○島田委員 私は幾つか調べる中で、そういう関係の深い団体からいただくということは、ある意味での税金の還流ともとられなくはないです。ですので、またこれからも民間からの資金を今後も引き続きお願いするということもあるかと思いますけれども、ぜひその辺は気をつけて、そして予算計画にいくようにしていただきたい、そんなふうに思っております。
 そして、次ですけれども、この歳入について、収入については、概算五十億を企業から、民間から募るということでありますけれども、ここに決算に乗らないような、例えば物的だとか人的な支援はなかったのか、ここでお伺いしたいというふうに思います。

○細井企画部長 寄附金、協賛金以外の現物出資があったかどうかということでございますけれども、招致活動を展開するに当たりましては、スポンサー企業や各種団体のご厚意によりまして、招致PRの広告枠を無料で提供していただくなどの物的支援、また招致委員会への職員の派遣など人的支援を提供していただいているものがございます。

○島田委員 招致経費には--全体百五十億ということでございますけれども、いろんな企業の、そういった意味での物的や人的支援を含めると、それを上るような今回額になるわけですね。
 ですので、私は、先ほど冒頭にも申し上げたとおり、この招致経費では幾つか問題がある。当初は五十五億円という招致経費、先ほどの説明もありましたけれども、これが当初の予定だったと。それがだんだんだんだん膨らんできて、今、百五十億。そういう物的、人的な支援も含めますと、さらにそれを上回るような招致の額がかかっていると、そういうふうにもとれるわけであります。
 東京都のこの今回の招致計画は、範を示すというようなことでございました。今後にも生きるように、なるべくこれ、招致経費がかからない、スムーズにいくような形の招致の意味でも、ぜひしっかり総括していく必要があると、そんなふうに思っております。
 では、次に、今、全体の招致の概算額をご質疑いたしましたけれども、それぞれの項目に分けて、幾つか問題になるような支出、事業がなかったのかということをお伺いしたいというふうに思います。
 それで、私は実は、この都議会議員になる前は私立の学校の関係に勤めておりまして、昨年の九月ぐらいだったと思いますが、「未来と結ぶオリンピック」という学習読本、これが九月に、どさっと段ボールで十箱以上になりますか、学校の方に送られてきました。この学習読本について、今回は、オリンピック招致ではオリンピックの教育の推進ということが大変重要なコンセプトになっているとお伺いしておりますので、この学習読本に関して幾らぐらい経費がかかったのか、あるいはどういうふうに活用されたのか、それをお伺いしたいというふうに思います。

○重田参事 この学習読本は約八十万部作成をいたしまして、経費が約八千万でございます。この読本は、都内の小学校、中学校、高等学校に配布をさせていただきまして、保健体育などの授業における補助教材として活用していただいております。

○島田委員 補助教材ということでございますが、この読本の活用方法を見ますと、体育や保健体育、社会科の教科の学習で補助教材として活用したりとか、あるいは道徳の読み物としても使われます。あるいは、総合的な学習の中でも使われますと。学級活動でも使ってよろしい。あるいは、最後は、家庭との連携を図り、自宅等で家族とともに読むということでもオーケーになっているわけですね。いいと、こうなっているんです。
 ただ、これだけお金を費やしている読本でございますので、これはしっかり教育現場で--お金をかけて、費やしているわけですので、これはどういう意図でどういうふうに使われているのか、はっきりしないと思うんですけれども、その辺はいかがなんでしょうか。

○重田参事 学習読本は、二十年三月の学習指導要領の改訂の動きに基づきまして作成をしたものでございます。学校教育にオリンピック学習が位置づけられたということで、その活用についても、学習指導要領の趣旨にのっとって行われるべきではないかというふうに考えております。
 さらに、教育庁におきましては、スポーツ教育の推進校における活用事例を蓄積し、その活用事例を紹介するなど、そういった活用の促進を行ってまいりました。
 今ご指摘のありました点も含めまして、学習読本の今後の取り扱いについては、関係する部局と十分に調整をしながら検討させていただきたいというふうに思っております。

○島田委員 この学習読本の配布の時期ですね、もう一度、この配布時期をお知らせいただきたいというふうに思います。

○重田参事 配布の時期は、二十年の九月でございます。

○島田委員 学校というのは、大体シラバス、学習計画があるわけですね。学習計画のもとに、それによって、例えば評価があったり試験があったりするわけです。九月にこれを配って活用してくださいと。オリンピック、これは招致活動が行われているわけですから、オリンピック招致とこれはある意味で連動しているものだと思います。
 そうするのであれば、これはもっと早く学校にお配りする。私、先ほど例も申し上げましたけれども、段ボールで何箱も学校に届ける、何の説明もなく、紙切れ一枚、紙はありましたけれども。
 話の中では、例えば私立学校の校長先生だとか、上の方にはお話ししていると思うんですけれども、これがやはり現場でしっかり--これだけお金が使われたものは、現場で教育の教材として使われるのであれば、もっと早い段階でそれを周知するなりしないと、これが本当にむだなもの、あるいは家庭で捨てられる可能性もあるかもしれません。そういうことはぜひお考えになっていただきたいというふうに思いますが、見解をお伺いしたいと思います。

○重田参事 学習読本の配布が二十年九月というふうに申し上げました。このオリンピック学習読本は、二十年三月の学習指導要領改訂の動きを受けて作成に着手したものでございます。したがいまして、各方面の意見を十分に踏まえ、実は参考となる前例のない新たな取り組みでございましたので、その内容を検討する時間等がかかりまして、結果として九月になったというものでございます。
 また、配布に当たってでございますけれども、公立学校については教育庁から、先ほどお話があったように、活用方法も含めて各学校長あてに通知をし、私立の学校につきましては、昨年九月に開催されました東京私立中学高等学校協会の理事長、校長会でご説明をさせていただいております。
 ご指摘のありました点も含めまして、今後の取り扱いについて、関係部局と十分に調整をしながら検討させていただきたいと思います。

○島田委員 今後とも、これ、せっかくつくったんだから、それを活用して使うということですので、オリンピック招致、残念ながら東京は成りませんでしたけれども、都民の税金がかかったものですから、ぜひそれが使われるようにしていただきたいんです。
 まだこの件についてちょっと質問させていただきますけれども、この本に関しましては、契約関係についてお伺いしたいというふうに思います。つくった作成費だとかですね。

○重田参事 学習読本は招致委員会が中心となって作成したものでございますが、契約についても招致委員会が締結をしております。
 編集から版下作成までは随意契約で株式会社学習研究社、印刷については競争見積もりで図書印刷株式会社と契約をしております。

○島田委員 その編集に当たって、編集費ですね、これは学習研究社との随意契約ということでございます。先ほども問題に、伊藤議員の方からも問題がありましたけれども、今回、かなり随意、特命契約が多い中で、私はこの制作費に関しては、別にこの業者が随意契約でなくても、競争入札でもできたのじゃないかなというふうに思いますが、それに関連しましてお伺いしたいと思います。

○重田参事 株式会社学習研究社、いわゆる学研は、都内公立小中学校でオリンピック学習読本の内容に関連が深い保健体育の教科書において圧倒的なシェアを有しているなど、教材づくりにおいて豊富な経験とノウハウを有していることから、学研に委託したものでございます。

○島田委員 これ以上追及してもあれですから、これ以上その契約については質問しませんが、この内容については、これは特命随意契約でなくても、オリンピックに関しましては、例えば教科書をつくっている会社というものは、いろんなノウハウを、今まで学習指導要領の中でオリンピックに関して研究しているわけですから、この一つの業者じゃなくても、保健体育の教科書は幾つもあるわけですね。その学習指導要領をつくる段階で、オリンピックに関しては研究しているはずですから、私はほかの業者でもできたのではないかなと、そんなふうに思っております。
 いろいろありますけれども、今回、特に猪瀬副知事も、招致活動を担当したのはオリンピック本部だが、全庁を挙げての体制が必要だったと、そんなふうに新聞でコメントしておりました。機運の盛り上げや環境五輪の浸透にどんな行事や企画が効果的なのか、都庁の総力を挙げれば、よりすぐれた知恵が集まっただろうと、そんなコメントをしていらっしゃいました。この学習本に関しましては、教育庁とのやりとりをもっと密にされて、これを有益に活用するような、そういう工夫も必要だったのかなと、そんなふうに思っております。
 さて、今、オリンピックの学習読本についてご質問させていただきましたけれども、先ほど伊藤議員からもありましたけれども、今度はオリンピックムーブメントに関しまして、特に区市町村ムーブメント推進事業、これは先ほどかなり質問はありましたけれども、契約の問題とか、いろんな事業の問題等々ありましたけれども、これに関しまして一点だけ質問させていただきます。
 このオリンピックムーブメント、特に区市町村に委託されたこの推進事業は、目的はオリンピックについての普及ということが一つあると思うんですけれども、オリンピック招致とはどのようにかかわるのか、お伺いしたいというふうに思います。

○重田参事 この事業は、オリンピズムの普及啓発を通じまして、地域社会にスポーツ、文化の振興、青少年の健全育成、環境対策などさまざまな価値をもたらし、ひいてはオリンピック・パラリンピックの招致機運や開催への期待感を高めるといったものでございます。

○島田委員 オリンピックの普及が目的なんですけれども、今回、はっきりいいまして、これは招致運動を盛り上げるということが大きな目的にあったのかと思います。
 そこで質問させていただきますけれども、この事業、オリンピックの関連の方が四月に来られましたけれども、それからいろいろな支持率なんかの調査もありましたけれども、四月以降に行われた事業というものは幾つあるのか、お伺いしたいと思います。

○重田参事 IOC評価委員会が離日されました本年四月二十日以降の実施事業は百八事業でございます。

○島田委員 百八あって、きょう時点でいまだに行われていない事業、これから、今後行われるであろう、そういう事業というものもあるのでしょうか。お伺いいたします。

○重田参事 十月中に行われる事業が一事業ございます。

○島田委員 先ほど申し上げましたとおり、オリンピックの普及以外に、やっぱりこの招致の機運を高める。特に今回は、その招致運動が盛り上がらなかったということも一つの評価になったわけですので、この事業はやはりもっと前に行って、せっかくこれだけのお金を費やすわけでありますから、もっと早い段階でやる必要があって、そしてもっと都民の皆様方の支持を盛り上げるような、そういうような事業にすべきだったのではないかと。時期についても、先ほどの契約についても、それから、それぞれの趣旨についても、幾分問題があったようでありますけれども、時期についても、私はもっと早くやればいいのではなかったのかと、そんなふうにも思っております。
 全体を眺めてみますと、このオリンピックの招致に関しましては、オリンピズムの普及啓発が目的であります。先ほど申し上げました。そして、今回、特に支持率が低かったということでございますけれども、朝日新聞の調査、十月十四日に行われた調査によりますと、東京が立候補したことに、残念だと思う人は四三%に対しまして、そうは思わないという人が五三%。二〇二〇年に再び立候補することに賛成ですか、賛成が四〇%に対し、反対四七%という、十月十四日付ですけれども、朝日新聞の調査がございます。
 先ほども、繰り返しになりますけれども、今回の招致活動においては、世論の盛り上がりが欠けていたということが大きいというふうに思います。二月に行われた、国際オリンピック委員会が行った世論調査では、都民の支持率が五五%ということで、他の候補地と比べて低かった。このことが候補地決定に大きく影響していると、そんなふうに思っております。
 都民の支持率がいま一つ盛り上がらなかったのは、臨海部を中心にコンパクトなオリンピックにこだわり過ぎたことも、私は影響していると考えております。私は東京の西の西多摩出身でございますけれども、今回のオリンピックに関心のある私の周りの人間は、実は余り多くありませんでした。前回は国体についての質疑をさせていただいたんですけれども、国体の方が関心のある人たちも多いようでございました。これは、国体が東京のほとんどの地域の会場で行われるということでございます。例えば、今回は環境がテーマであるのだから、自然のすばらしい多摩の地域の会場でもっと多くの競技を行うような、そういう計画もあってよかったのかなと、そんなふうにも思っております。
 最後になりますけれども、今回の質疑を通じまして、招致に対して数々の疑問が出てまいりました。今後、オリンピックの総括をしっかりし、都民に説明していただきたいと、そんなふうに思っております。
 以上で質疑を終わらせていただきます。

○原田委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○原田委員長 異議なしと認め、本件に対する質疑は終了いたしました。
 以上で東京オリンピック・パラリンピック招致本部関係を終わります。

○原田委員長 これより知事本局関係に入ります。
 初めに、理事者の欠席について申し上げます。
 松下国政広域連携・首都調査担当参事は、公務のため、本日の分科会に出席できない旨の申し出がありました。ご了承願います。
 次に、過日の分科会で紹介できませんでした幹部職員について、知事本局長から紹介があります。

○吉川知事本局長 過日の分科会を欠席させていただきました幹部職員を紹介いたします。
 調整担当理事の真田正義でございます。
 どうぞよろしくお願い申し上げます。
   〔理事者あいさつ〕

○原田委員長 紹介は終わりました。

○原田委員長 決算の審査を行います。
 平成二十年度東京都一般会計決算中、知事本局所管分を議題といたします。
 本件につきましては、既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○大井総務部長 要求がございました資料一点につきまして、お手元にお配りしてございます平成二十年度各会計決算特別委員会第一分科会要求資料に沿いましてご説明を申し上げます。
 一ページ目をお開きください。次の二ページにかけまして、横田基地の軍民共用化及び米軍再編に関する経過をお示ししてございます。
 横田基地の軍民共用化と米軍再編に関しまして、都及び国等、関係機関の主な動きを、石原知事が就任いたしました平成十一年度から平成二十年度まで記載してございます。
 以上、簡単でございますが、要求がございました資料の説明とさせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○原田委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含め、これより本件に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○鈴木委員 それでは、私からは、都市外交関係としてのお尋ねをしたいというふうに思います。
 世間ではよく大きい政府、小さい政府といった議論がなされますが、外交、防衛は国の固有の業務であるというのは、どちらの論にしても共通したベースのようであります。しかしながら、私は、インターネットや航空網の発達などにより、世界が時間的、空間的に狭くなった現在、防衛はともかく、外交については、既に国がアプリオリに専権事項として持つ時代ではなくなったのではないでしょうか。
 国際会議におけるNGO、NPOなどの積極的な関与や、いわゆる草の根外交といわれる民間による交流の増大など、外交の主体は実に多様化をしてきています。むしろこういう時代だからこそ、地方自治体が積極的に時代に先駆けてやるような、そういう先見性を持った考え方が非常に問われてくるというふうに私は考えています。
 こうした時代の変化の中でとりわけ重要なのが、あえていいますと都市外交ということであるというふうに思います。世界の人口の半分が都市に住む時代にあって、地球規模の課題を解決すること、このことを至極当然のことだというふうに考えておくべきだと思いますし、国に任せることなく、世界の都市が積極的な発言をして、お互いに手を携えていくことが必要だというふうに考えます。
 石原知事はこうした時代認識を早くから持ち、東京都の都市外交を進めてきたことには、その先見性と決断に対しては、私は非常に敬意を表したいというふうに思います。
 東京都の都市外交の具体的な活動について、とりわけ石原都政における特徴を踏まえて、まず最初にお伺いをしたいというふうに思います。

○遠藤外務部長 東京都はこれまで、日本の首都といたしまして、また世界有数の大都市として、世界各国から東京を訪問する賓客の接遇や、在京大使館など外交機関との交際など、国際儀礼業務を行ってまいりました。また、ニューヨークを初めといたします十一の都市と姉妹友好都市提携を行い、各都市との交流事業を中心とした都市外交を実施してきたところでございます。
 一方で、先生ご指摘のように、都市の世紀を迎えた今、世界の各都市は、環境問題、交通対策など多くの共通の課題を抱えており、これらの都市問題を解決するには、従来の交流の枠を超え、お互いに知恵と経験を出し合って、共同して取り組んでいくことが重要となっております。
 石原都知事の就任以来、こうした地球的規模での課題を解決するため、アジア大都市ネットワーク21やロンドンとの政策提携など新たな枠組みを構築し、単なる儀礼的な友好親善にとどまらない、より実質的な都市外交を展開し、成果を上げてきたところでございます。

○鈴木委員 今、答弁にありましたように、東京においては、単なる儀礼的な交流にとどまらず、大都市と解決に向けて積極的な都市外交を展開してきたというふうにお答えになったわけでありますが、実際にその十一の姉妹都市とか、それから各都市との交流に関しても、もう少しPRを上手にしたらいいと思うんですね。東京が世界からどういうふうに思われているのか、東京そのものは緑が実際にどのくらい多くて、ほかの都市からどういう評価を受けているのかとか、実際にそこに行ったらかなり、日本の産業界にしても、日本の東京都市というのは尊敬されている存在であるということは、これはもう外国に行ったことがあったり、会社経営している人間には当たり前のことですよ。でも、そういう評価がなされていないんですね。
 そういう評価をきちっと行政側も客観的に見て、やはりしていく。だからこそ、石原都政が今やっている首都外交というようなもの、このアジネットの質問をしますが、そういうようなことが非常に重大で大事なことであると。それがむしろ協力から、今は交流といっているわけですが、交流から協力、そして貢献への道と。これから日本が果たしていくのは、むしろそういう首都東京で何を実際に、アジアの人たち、または世界の人たちと心を結んで、そういう協力から貢献にいけるのかということを指し示していく道しるべを--実は僕は、石原知事が今まで指し示して具体的に行ってきたというふうに思っています。
 質問としてはこの後しますが、大都市ネットワーク21に関してでありますが、日本はいうまでもなくアジアの一員であり、政治経済におけるアジアのトップランナーとして、アジアにおいて大きな存在感を示してきています。とりわけ、首都である東京都がアジアとの結びつきを深め、さまざまな分野で連携していくことは重要なことであります。
 アジアにおける主要国の首都及び大都市が一堂に会するアジア大都市ネットワーク21は、今も申し上げたとおり、非常に意義深いし、先ほどいった先見性に非常に富んだものであるというふうに思います。アジアネットワーク21のこのような会議で、今までどのような活動をしてきたのかを、改めて具体的にお示しいただきたいと思います。

○長澤参事 アジア大都市ネットワーク21は、石原知事の主張により、アジア地域の首都及び大都市が、儀礼的な国際交流にとどまらず、新技術開発、環境対策、産業振興などの共通の課題を解決するため、共同して事業を推進し、アジア地域の繁栄と発展を目指すことを目的に設立されました。
 現在の参加都市は、バンコク、デリー、ハノイ、ジャカルタ、クアラルンプール、マニラ、ソウル、シンガポール、台北、東京、ヤンゴンの十一都市です。
 年一回開催される総会では、各都市が年間を通じて実施してきた共同事業の成果を報告するとともに、各都市の首長同士の直接対話により、その時々の重要な政策課題について意見交換を行い、新たなプロジェクトの立ち上げなど、大都市問題の解決に取り組んでまいりました。

○鈴木委員 今、答弁いただいたわけですが、石原知事の主催により始まったアジア大都市ネットワークが、着実に行動を重ねているということはわかります。しかし、残念ながら、今いった都市の中で北京が参加していないということが非常に気になります。さまざまな政治的な理由から北京が脱退したことについては、一定の理解はいたしますが、今後、アジア大都市ネットワークがさらに飛躍していくためには、やはり北京の再加入が必要不可欠ではないかというふうに思います。
 過日、東京都と北京市が、水や環境の分野で、これはオリンピックにも付随して両都市で話されて、知事もその中での合意をした事項でありますが、技術交流を行って北京市に貢献をしていこうということで合意をしたという発表がなされました。本日は答弁は求めませんが、こうした日々の交流を重ねていくことが、お互いの環境を整え、また早期に北京市の再加入を実現するような努力につながっていくと。このことに私たちは望みをつなぎたいというふうに思います。
 年一回の総会を軸に、年間を通じて共同事業を実施していきたいというようなことを今答弁があったわけでありますが、果たしてこれは、僕は年一回でいいのかなと。プロジェクトもつくっているということでありますが、より緊密な連携をいかにしてとるのか。今、情報化時代ですから、会わなくてもできるものがいっぱいあるわけですね。
 そういうようなものを知恵を出していくとか、それがやっぱり東京が持っている技術の糧になるかもしれませんし、もう少し多種多様なやり方を考えていくというのも一つの方法としてはあると思いますが、今まで行ってきた共同事業にはどのようなものがあって具体的な活動をしてきたのか、改めて伺いたいと思います。

○長澤参事 共同事業につきましては、中小型ジェット旅客機の開発促進や、危機管理ネットワーク、さらにはアジア感染症対策プロジェクトや、アジアの青少年を対象にしたジュニアスポーツアジア交流大会など、現在、十二の事業を各都市が幹事都市となり実施しております。
 各事業の性質に応じて、大都市問題の解決に向けて、各都市の先進的な取り組みなどについての意見交換や、議論を深めるための国際会議の開催、各都市の持つ高度な技術やノウハウを共有するための研修の実施、さらには、各都市に共通する課題に対応するための共同研究などを通じて事業を進めております。

○鈴木委員 答弁にあったものを個別に質問していきたいと思いますが、先週金曜日の定例記者会見の場において、知事から、十一月二日から四日の日程で、タイ国バンコクにおいて第八回総会が開催され、知事も出席する旨の発表がなされました。
 会見で、新型インフルエンザについて討議されるというお話でございましたが、北半球がこれから冬を迎え、新型インフルエンザの世界的な大流行が懸念されている時期の総会として、新型インフルエンザを主要議題として取り上げることは、まことに時宜にかなったものと私は考えます。
 ただこれも、今説明があったように、これまでの感染症についての共同事業を進めてきた土台があったからこそ、慌てずに対応できるという点もあるわけですが、やっぱり幅広い見識を持って議論をしていかないといけないということも、あえてこれはつけ加えさせていただきたいと思います。
 今までの大都市ネットワークで、新型インフルエンザを含む感染症についてどのような活動を行っていたのかを改めて伺いたいと思います。

○長澤参事 アジア感染症対策プロジェクトは、アジア大都市間における医師や研究者などの専門家による恒常的かつ強固なネットワークを構築することを目的とし、感染症に関する情報、ノウハウの共有や人材育成に取り組んでまいりました。当プロジェクトでは、これまで年一回の実務担当者会議、人材育成事業、インターネットを活用した感染症情報ネットワークによる情報交換などを通し、アジア大都市における感染症対策に関する専門能力の向上に努めてまいりました。
 お尋ねの新型インフルエンザに対する取り組みでございますが、本年八月に台北市が主催したアジア大都市感染症対策研修において、新型インフルエンザ対策に関して専門家による意見交換を行いました。その際、東京都が紹介した発熱外来の仕組みなどを参考に、台北市では、大病院への患者の集中を避ける仕組みとして、地域インフルエンザセンターを設置いたしました。

○鈴木委員 今、答弁があったように、新型のインフルエンザなどの感染症は、国内の対策も非常に重要でありますが、国際的な連携を深め、世界全体で対処していかなければならない課題でもあります。とりわけ人や物の交流が盛んなアジアの各都市が積極的に情報交換をして、共同して対応していくことは重要であります。アジア大都市ネットワークのより活発な活動に大いに期待するところでもあります。
 バンコクの総会においてさらに成果を上げ、新型インフルエンザに対してアジア全体で立ち向かうような、より充実した体制ができることを強く望むものでもあります。
 そして、アジアとの交流は、実はこういう行政分野だけでなくて、さまざまな分野で交流することが、私はより一層活性化するものになるというふうに考えます。先ほども答弁の中にございましたが、例えばスポーツを通じた青少年の交流や、言語、文化の壁を超えた、若者同士の相互理解を深めるような絶好の機会となるような場の必要性を感じます。アジアの将来を担う青少年の育成として、極めて私は意義深いことだというふうに思いますので、共同事業としての青少年を対象にしたスポーツ交流事業があると、先ほど答弁がございましたが、これまでの活動についてお伺いをいたしたいと思います。

○長澤参事 ジュニアスポーツアジア交流大会は、アジアのジュニア選手が、競技を通じて技術的、精神的に向上するとともに、国を超えた相互理解を深めることにより、生涯を通した人格形成や健全育成を図るなど、スポーツ振興を通じてアジアの競技力向上や次世代育成に貢献することを目的としております。
 平成二十年度からは、これまでのバドミントンのほか、新たに柔道を追加し、大会を実施いたしました。

○鈴木委員 先月、アジア最大規模の青少年の障害者国際総合スポーツ大会、東京二〇〇九アジアユースパラゲームズが開催をされました。二十九カ国、地域の五百名近い選手が参加をし、スポーツを通じた青少年の交流の場となったとも聞いています。今、答弁があったジュニアスポーツアジア交流大会も、青少年の育成の場としてさらなる発展を望みたいと思います。
 私は先般、オリンピック・パラリンピックの件でコペンハーゲンに行ってまいりました。この中にも一緒に行った方がいらっしゃいますが、実際にオリンピック・パラリンピックの招致ということを考えていくときに一番大事なのは、こういうスポーツとか若者たち、またお互いの文化を認め合いながら、そして、よりよくお互いが心を結んで交流または貢献ができるようなアジアをつくる、また世界をつくるという認識を自治体が持ち、国が持っていってナショナルイベントとして考えていかなければならないという、その辺の認識がやはり、日本ではまだまだ全体的なコンセンサスが得られていなかったのかなという思いがします。
 私たちはやっぱり、東京が今回二十二票とったという重みを考えたときに、それだけ多くの方々の協力があったことは事実でありますし、その結果は僕はすばらしい結果であったと思いますが、先ほど民主党の議員からも質問があった点は、ぜひ明らかにすべきところはして、しかし、企業が営利を求めていく中で、私も会社の経営者ですから、それぞれが同業種をもって企業として成り立っていくためには、お互いがその人脈を持ち、またそれぞれの特色あるものを持って、それを企画して知恵を出してくるからこそ、企業が営利企業として実は成り立つのであって、全く同じものをやっているような企業であったら、それは会社として成り立たないわけですね。だからこそ、お互いに知恵を出して、よりすばらしい企画なり、その会社が持っている定款の中でどういうものを具現化するかということで知恵を絞ってそれぞれが努力をして、実際、営業活動を行っているということでありますので、ですから、ただ単に契約のあり方そのものだけではなくして、むしろ東京が考える場合には、よりすばらしい知恵をともに、その人たちとともにもっと協力をして、オープンにするところはして、すばらしい企画なり、それから知恵を出せるところは出していくというようなことを今後はしていくと。
 これはオリンピックだけではなくして、外交面でも同じであって、日本とか我々だけの考え方が世界に通じるなんていうことはないわけで、むしろ世界の常識が日本の非常識になっていることはいっぱいあるわけで、その辺をやっぱりきちっとわかって、その上でプレゼンテーションまたは外交または世界とつき合っていくということをしないと、それは子どもの議論で終わってしまうということも、あえてつけ加えさせていただきたいというふうに思います。
 それから、アジアとのさまざまな分野での交流については、私は、もう一点加えるとしたら経済交流だというふうに思っています。これは一般質問でもしたことがあるわけですが、中小型ジェット旅客機の開発の促進についてでございますが、先日の報道でも、アメリカのエアラインが三菱のリージョナルジェットMRJを百機購入するということで、量産が実現すれば、都内の中小企業にも幅広く波及効果があるだけでなく、さまざまな新技術の普及が進んで産業全体の高度化にも結びつくと私は期待をしています。
 また、都内には、実はすぐれた技術を持つ中小企業が多数存在しています。これは、東京都ではベンチャー技術大賞など、企業の持つ技術力を表彰する制度があります。大事なのは、その技術を活用した製品を、いかにアジアまたは世界に売り込んでいくのかというようなことも私は考えていくべきです。ベンチャー大賞で優勝した、または表彰した、ただそれで終わりで、あとは皆さん努力しなさいよではなくして、やはり東京がそういう方々の技術をある程度世界に発信をし、そしてまた、ほかの国のすばらしい技術とお互いに相互交流できるような、もっと幅広い見識を持ったところでやることが、やっぱりアジアの発展につながるだろうし、東京ならばそれだけ懐の広い技術協力、技術提供ができていくということを私は思います。
 このアジア大都市ネットワーク21を活用して、アジアの各都市に、都内中小企業、大企業でもいいわけでありますが、すばらしいものづくりをしたその技術を商品化したものを紹介するというようなことが考えられると思いますが、見解を伺います。

○長澤参事 毎年、総会に合わせ、共同事業の紹介、会員都市のシティーセールスや文化の紹介を行うANMC21展という展示会を開催しております。その場を活用して、都内の中小企業のすぐれた技術等を紹介するコーナーの設置などを、可能な限り早い段階で実施する方向で検討いたします。

○鈴木委員 今、そのようなコーナーを可能な限り早い段階で実施する方向で検討していただくというような答えがございましたので、産業振興の観点から、東京都全体でこういう取り組みをぜひ要望しておきたい。もちろん国内も、これは当然あるわけでありますから、東京が地方自治体として、首都東京としてなすべき責務もあるわけですので、その辺もあわせてお考えいただきたいというふうに思います。
 さて、先日のIOC総会では、招致活動の成果が実らず、二〇一六年オリンピック・パラリンピックはリオデジャネイロで開催することが決定をいたしました。リオデジャネイロには心から祝福をするとともに、来るべき大会の成功を祈念もし、東京から応援できることはすべてするという、ぜひそういうふうな気持ちを持った、広い心を持って、やっぱり東京は対応すべきであろうというふうに思います。
 敗因については、これからJOCなどとともに分析が行われることと思いますが、JOCと、また都議会、すべての都民の方々が協力してここまで来たことが、招致活動を行ったその結果が、私はシカゴを破ったということにつながったと思っていますから、大変な善戦であったということで私自身は評価をしたいし、そういうふうに評価するべきであろうというふうに思います。
 こうした善戦の背景には、今いったように、招致にかかわったすべての方々の努力とともに、長い間積み重ねてきた都市外交の成果もあったというふうに思います。こうした成果はなかなか目に見えないものではあります。しかし、息の長い努力を積み重ねてきたことがあり、またそのことが非常に重要であったというふうに思います。
 最後に、今後の都市外交に向けた局長の決意をお伺いして、終わりたいと思います。

○吉川知事本局長 国境を越えた人、物、情報の交流がますます盛んになる中で、東京は世界に冠たる大都市として、すぐれた技術や先進的な施策などを世界に発信し、国際社会に貢献する役割も期待されております。
 先ほど外務部長が答弁したとおり、これまで東京都は、儀礼的な友好親善にとどまることなく、さまざまな分野において世界の大都市に共通する都市問題、例えば、私は昨年の二月にダボスに環境問題、当時、環境局長でしたが、参りましたが、そういう個別のテーマについてより具体的に取り組んでいく問題解決型の都市外交を積極的に推進してまいりました。とりわけ、お話にあったように、経済的なかかわりは深くて、価値観的にも共通性が見られるアジアは、我が国にとって最も重要な地域でございまして、アジア大都市ネットワーク21を軸といたしまして、各地域が、各都市が結びつきを強めながら相互に発展できるよう、施策連携に取り組んでまいりました。
 鈴木委員のお話を伺っていて、私は都市外交というものを担当して一年四カ月たちましたが、ちょっと感想を二つ申し上げたいと思うんですが、一つは、オリンピックのお話もございました。私もコペンハーゲンにおりましたけれども、あのときつくづく感じたのは、一つは、外交をする上で大事なのは、自分の都市の魅力というんでしょうか、ひいては日本の魅力、そういうことを十分自覚して、かつ、私は、コペンハーゲンからやっぱり学んだものもありますから、そういう意味で、交流する都市から謙虚に学ぶという精神だと思います。
 そういう意味では、私はちょうどオリンピックのああいう争いの場へ行っていて、すごく実感したのは、嘉納治五郎は過去に、今から六十年前以上ですか、第十二回のオリンピックの招致のために命をかけて奔走した、アジア初のIOC委員が嘉納治五郎ですが、嘉納治五郎が残した言葉というのを、私は本で読んでいたんですね。その中の言葉に、精力善用、自他共栄という言葉が残されていて、これは講道館にも掲げられている言葉ですけれども、精力善用、自他共栄、これが外交を担う上で、今私がいったような自分の都市の誇り、他から学ぶ謙虚な姿勢というようなことをうまくあらわしているのかなというふうに思いました。これは感想の一つ目であります。
 それから、一年四カ月の都市外交の中で、私もう一つ、総合防災訓練というのに二回参加しているんですが、在京の大使館の方々をお招きして、台北からお見えになったとか、いわゆるアジネットの都市からも協力をいただいて都内で実践しているわけですが、あそこで学んだのは、我々知事本局がこういう都市外交、外務行政を、儀典長を初め担っているわけですが、つくづく思ったのは、万が一災害があったときに、大使館の方々が頼りにするのはだれかなと。これは東京都の外務部の職員じゃないか、我々ではないかと。だから、我々が日ごろからいかに、大使館の大使や公使だけではなくて、そういうところに勤めているスタッフの方々とどれだけコミュニケーションというか、連携体制がとれるかという、この地道な取り組みも極めて大事だと思いました。
 もちろん知事、副知事による首脳外交も大事なんですが、先ほど先生は感染症のこともおっしゃいました。ですから、感染症のことを代表例でいえば、東京都の医療スタッフ、もしくは行政の担当職員の、アジアの十一都市との信頼関係というのでしょうか、そういうことが大事だなという、この二つの感想を申し述べて、いずれにいたしましても、先生がご指摘のように、都市外交の成果というのは一朝一夕にあらわれるものではないと思います。これまで培ってきた各都市との信頼関係を礎に取り組みを継続することによりまして、私どもの東京の存在感、国際的評価をさらに高めるとともに、世界各都市との強固なきずなを紡いでいけるよう、今後とも都市外交を積極的に展開してまいりたいと思います。

○小林委員 私の方からは、アジアにおける人材育成についてお伺いをさせていただきます。
 近年、アジア諸国は目覚ましい経済発展を続けておりまして、地域別の域内貿易比率を見ても、アジア地域の貿易比率はEUに迫る勢いで今、向上しております。その意味においても、日本とこのアジアの関係は、ますますいや増して重要度を増しているといえます。
 都は、このアジアの首都や大都市で構成するアジア大都市ネットワーク21を立ち上げ、アジアの大都市間の連帯と協力を強化し、アジアのアイデンティティーを強固にし、国際社会におけるアジア地域の重要性を高める取り組みをされております。
 物事を発展させ、よりよき社会構築のために、まさに重要な視点が人材育成であります。二十一世紀は、人材を育て、人材を輩出した地域や団体が発展をしていくといっても過言ではないというふうに思います。その意味でも、国際社会におけるアジアの地位を高めていくためには、アジアの将来を担う人材育成が不可欠であるといえます。
 都は、「十年後の東京」への実行プログラム二〇〇八の中で、アジアの将来を担う高度な人材の育成の取り組みを開始されていますが、平成二十年度におけるアジアの人材育成事業についての取り組みをお伺いいたします。

○長澤参事 東京都は、平成二十年度から首都大学東京に留学生を受け入れ、環境、医療問題などアジアの大都市問題の解決や、アジアにおける科学技術等の発展に資する高度先端的な研究を実施することを通じて、各分野で先導的な役割を担う人材の育成を図っております。
 また、各都市の行政施策の向上を目指す行政職員や専門家に対する研修事業、感染症の分野における共同研究、アジアの各都市との人的ネットワークの形成を目指すアジア人材バンクの設置等を行っております。

○小林委員 アジアにおいて多様な課題が存在する中で、多方面から優秀な人材を育成していくという都の取り組みは、大変に重要なことであるというふうに思います。中でも、都市における問題の解決に最前線で取り組む行政職員の能力向上は、アジアの大都市の発展に不可欠なテーマでもあります。
 そこで、行政職員や専門家に対して行っている研修事業について、具体的な取り組みをお伺いいたします。

○長澤参事 これまで東京都は、アジア大都市ネットワーク21の共同事業の一環といたしまして、環境、上下水道、都市づくり及び感染症など幅広い分野において、アジア諸都市の行政職員や専門家を東京に受け入れ、東京の持つすぐれた技術やノウハウを習得するための研修事業を実施してまいりました。
 平成二十年度は、会員都市全体で八つの研修事業を実施し、アジアの八都市の延べ五十名以上の行政職員や専門家が研修に参加しております。
 また、昨年度からは新たに、消防救助技術の推進指導員を育成する研修を開始いたしました。バンコクの消防隊員を東京消防庁に受け入れ、研修を実施し、その三カ月後に東京消防庁の職員を講師としてバンコクに派遣し、研修指導の支援と指導内容の確認を行うという、実効性の高い研修手法を採用し、効果的な育成につなげることができました。
 このように、行政職員等に対する研修事業は、各都市の施策向上に着実に成果を上げております。

○小林委員 今、ご答弁にありましたとおり、行政職員などの人材育成については、着実な実績を重ねておられるということでございますけれども、都には都市問題の解決につながるさまざまなノウハウが蓄積をされているというふうに思います。今後もさらなる研修事業の充実を図って、積極的な展開に努めていただきたいというふうに思います。
 また、アジアの各都市が抱える諸課題に対しまして、行政職員の能力を高めるとともに、各都市の専門家が共同して問題解決のために研究に当たることも重要であるというふうに思います。
 先ほどのご答弁の中で、感染症の分野において共同研究を実施しているとのことですが、現在の進捗状況についてお伺いをいたします。

○長澤参事 感染症分野における共同研究としては、結核対策をテーマとし、本年二月に第一回会議を東京で開催し、結核共同調査研究計画の合意を得た上で、平成二十一年度に入り、参加都市が順次調査を開始したところであります。
 結核は、アジアの各都市においていまだに大きな健康問題を引き起こしている主要な感染症であり、各都市はその対策に深い関心を持っております。共同研究では、質の高い診断及び結核の感染拡大を抑えるための効果的な方法を探ることを目的としております。
 調査に参加している各都市では、現在、計画に基づき、高齢者や社会経済的困難層などのハイリスク層の実態調査、各都市の結核予防、治療等を行う組織における活動内容の調査を行っております。
 今後は、結核共同調査研究の推移を見ながら、実務者会議の中で、HIV・エイズ対策や新型インフルエンザについても随時情報交換を行ってまいります。

○小林委員 まずは、今研究が進められております結核共同調査研究、これがアジア各都市の結核感染の拡大抑制に大きな成果を上げられますことを期待しております。その上で、今後このような共同研究が、保健衛生の分野に限らず、まちづくりであったり、また防災などの他の分野におきましても積極的に展開されることを要望したいというふうに思います。
 都は昨年度、アジア人材育成基金を創設し、アジアの優秀な人材育成につながる施策の取り組みを今年度から本格的に開始されますが、日本とアジアの関係性、そしてアジア地域の発展を考えたときに、大都市東京が果たすべき使命は大きく、また重要な立場にあるというふうに思います。アジア人材育成事業のより一層の充実が図られることを望みますとともに、日本が、そして東京が中心となって、アジアの友好関係が大きく前進することを期待いたしまして、私の質問を終わります。ありがとうございました。

○古館委員 それでは私から、核兵器廃絶問題と横田基地にかかわって質問いたします。
 米国オバマ大統領が、ことしの四月、プラハで核兵器廃絶を目指す演説を行うなど、国際政治で前向きの大きな変化が生まれるもとで、私ども日本共産党は、国内外で核兵器廃絶の世論と運動を広げる、こういうさまざまな行動をしてまいりました。オバマ大統領と我が党志位委員長との間で、書簡のやりとりが行われる状況にもなってきております。
 さらに、この九月二十四日ですが、オバマ大統領が議長を務めた、核軍縮、不拡散をテーマにした初の首脳級特別会合というのがありました。その前文で、核兵器のない世界のための条件を築くことを決意することなどが明記されました。
 さらに、十月十五日、国連総会第一委員会、これは軍縮の委員会ですけれども、ここでは、日本が主導する核廃絶決議案が、アメリカも共同提案に加わる。そして、月内にも委員会で採択される見通しと伝えられております。
 また、核密約問題でも、鳩山現総理が調査公表することなどを約束するなど、核兵器のない世界の追求は、今や核保有国も含めた世界の圧倒的世論となっております。
 同時に見ておかなければならないことは、米国政府は、米軍基地を初めとして、日米関係については変化を望んでいないということが特徴であります。国民世論とともに基地の撤去などを求めるさらなる取り組みと、そして、国はもちろんのこと、自治体が米軍基地のないまちづくりを主導していく、このことは極めて重要で緊急な課題だと考えております。
 そこで伺いますが、横田基地には第五空軍司令部ほかがあり、米空軍の主要な機能が置かれております。ここに来年には、米軍再編ロードマップで計画されたとおり、自衛隊航空総隊司令部が移ってまいります。この施設が地下で第五空軍司令部と行き来ができるようになっている、このことをご存じでしょうか。この施設についてはどのような機能と役割を担っているのか、お答えいただきたいと思います。

○中村基地対策担当部長 府中からの航空自衛隊航空総隊司令部の移転につきましては、平成十八年五月に日米間で合意されました、再編実施のための日米のロードマップに基づき、米軍再編の一環として行われるものでございます。
 航空自衛隊航空総隊司令部の施設の建設につきましては、日米合同委員会合意によって連絡通路が建設されることがわかっております。
 その施設の機能と役割についてでございますが、今回、横田基地に設置される共同統合運用調整所につきましては、横田基地に移転する航空自衛隊航空総隊司令部と米第五空軍司令部等との間で、ミサイル防衛及び防空に関し、緊密な調整や相互運用上の向上を図るとともに、自衛隊と米軍の間の情報の共有を図ることを通じ、日本の防衛のための共同対処に資するものであると、国から説明を受けております。

○古館委員 簡単にいえば、アメリカと日本の軍事で、いわゆる防衛力の強化を図ろうと、こういうことなんですね。ですから、今のご説明、別に皆さんにいうわけじゃないんだけれども、これはとんでもない認識だというふうに我々は考えております。
 大体、アフガニスタンでの米軍の戦争を支援すること自体、憲法で規定されているものに違反をしている。このことはもう明らかなんですね。このことについては、我が党だけではなくて、民主党など他党も同様の立場を表明しているところもあります。
 今、アフガニスタンで起こっている事態も、米軍の増派による掃討作戦の激化が民間人の犠牲をふやして、テロと暴力を呼び起こすという悪循環となっている事実を認識する必要があります。よくテレビでもそうしたことが放映されます。
 直近の第六十四回国連総会一般討論に立ったボリビアのモラレス大統領は、米国の軍事基地は、社会的な平和を保障しないし、民主主義も保障しないという演説を行いましたが、これらの指摘は極めて重要であります。先ほどの答弁で、簡単にいえば、在日米軍と自衛隊の連携によって我が国の防衛力、これが図られているんだと、こういう認識を先ほど表明しましたけれども、これは全く逆のことだというふうに指摘しないわけにはまいりません。
 今、米海兵隊の普天間基地の移設問題が大きな焦点になっておりますけれども、その機能強化の目的の一つが、イラク、アフガニスタン型の先制攻撃戦争を効果的に行うために地球規模で行動する、そういう軍事同盟に変革、再編する、これが最大のねらいとなっていることを我々は直視することが重要であります。政治的和平への転換、これこそが日本と東京都が大いに主張して、その実現に向けて努力していくことが今こそ求められておりますし、そうした方向へとリーダーシップをとることが都政の大きな役割の一つだと、このことを強く指摘しておきたいと思います。
 しかも、横田基地の存在が、近隣住民を初め、東京の平和と暮らしにとっても大きな脅威になっているということを指摘しないわけにはまいりません。
 そこで伺いますけれども、横田基地で平成十一年から十八年までの八年間に、およそ九十回、燃料漏れがあったということが新聞報道されましたけれども、都はその状況を確認しておりますか。確認しているとしたら、その詳細をお聞かせいただきたいと思います。

○中村基地対策担当部長 お尋ねの件は、平成十九年三月に確かに新聞報道があったものでございます。都としましては、報道された内容について直ちに防衛施設庁へ事実確認を行い、報道された九十回の燃料漏れが事実であることと確認いたしました。
 都から国に対し、なぜ自治体へ情報提供されなかったのかをただしたところ、国からは、すべての燃料漏れが米軍から通報されるわけではなく、原則として基地外への影響があるもののみ、日本側へ情報が提供されるとの回答でございました。
 この回答を受けまして、都は、横田基地周辺の自治体とともに、基地外への影響がないものであっても自治体へ情報提供することを求めました。最終的には、国から、基地外への影響がないものについても、自治体の必要性等を勘案し、適切に対応していく旨の回答を得ております。

○古館委員 これは一歩前進の、今答弁がありましたね。ちょっと私が伺ったところでは、そこまで前進の方向というのを聞いていませんでしたので、今、そのことの確認という形で受けとめました。
 やっぱり、基地外への影響があるものだけは通報する、ところが、今日まで九十回も燃料漏れがあると。こういうことについては一切いわなくていいんだという部分でいうと、いわないと。横田基地へ行った方はわかるけれども、物すごく広大な土地ですから、そういう状況の中で、基地の外に漏れるということは極めて重大な事故なんだということを認識しなければいけないということを、私は強く主張しておきたいと思っております。
 さらに、横田基地で火災が、ことしの〇九年の一月二十日、基地内にある国防財務会計事務所で発生いたしました。都として情報が入ったのはいつの時点でしょうか。
 こうした火災や地震などへの対応として、万が一の場合には、その情報については東京都にすぐ入るような、そういう状況にしておくことが極めて重要だと考えておりますけれども、その点についてご見解を伺いたいと思います。

○中村基地対策担当部長 ことし一月二十日、六時三十分ごろ、横田基地内にある国防財務会計事務所、これは平屋建ての建物、約三千六百平米なんですが、この事務所が全焼する大規模な火災が発生いたしました。
 先生のお尋ねですが、その日の夜十時過ぎに至り、防衛省から都へ連絡がございました。都は、基地周辺の自治体とともに、国及び米軍に対し、この事故についての徹底した原因究明と再発防止を求めるとともに、今後、速やかな情報提供を行うことを要請いたしました。
 引き続き、地元自治体と連携いたしまして、火災を初め、住民に被害の及ぶおそれのある事態が発生した際には迅速な情報提供を行うよう求めてまいります。

○古館委員 今、東京都として、この火災事故に対して、文書要請を国及び米軍にしたと。
 ちょっと質問ですが、回答はあったんですか。あったとしたら、どのような内容のものだったのでしょうか。ないのか、あるのか。

○中村基地対策担当部長 まだ正式な回答はございません。ただ、一月二十三日に東京都と五市一町とともに要請を行った際に、要請の内容につきましては司令官に伝え、また、原因調査を行い、再発防止に努める旨の回答がございました。その後、火災の原因につきましては、大規模な火災でありまして、在日米軍司令部で調査を行っているというふうに聞いております。

○古館委員 ですから、横田基地の存在ということと、それから、第五空軍司令部だとか自衛隊の航空総隊司令部、こういうのが合体するわけですよね。私も、どこにつくるかというのも横田基地で見ましたけれども、本当にあの地下に通路があって、それぞれそこで、自衛隊の部隊と、精鋭というか、そこの指揮官、それから米軍の指揮官と、地下の廊下で行ったり来たりできるという関係にあると。
 ですから、私どもはそういう意味でも、やっぱりこれはきちんと--はっきりいって、この横田基地に対する問題について、私どもはそれこそ、なくそうということで日本共産党は取り組みをしているわけでありますけれども、それにつけても、こういうことがやっぱり国民の前あるいは都民の前にしっかりと情報公開されないというところに大きな問題があると思うんですね。要請はしました。しかし、いわゆる軍事機密だからとか何とか、いろんな理由をいって回答しないなんていうのは、これはとんでもない話ですから、私ども日本共産党としては、引き続きこうしたことについて--やっぱり横田基地が、アメリカと日本の自衛隊が一緒になって、今戦争に行っているわけですからね。だから、日本を守っているという解釈は私は全くしておりません。
 そういう点では、やっぱりこの米軍基地、横田基地の存在ということについては引き続き取り上げていくと。このことを申し述べて、質問を終わります。
 以上です。

○原田委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○原田委員長 異議なしと認め、本件に対する質疑は終了いたしました。
 以上で知事本局関係を終わります。
 これをもちまして本日の分科会を閉会いたします。
   午後三時三十二分散会

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