平成二十年度各会計決算特別委員会第二分科会速記録第五号

平成二十一年十月二十一日(水曜日)
第十委員会室
   午後一時開議
 出席委員 十名
委員長高橋 信博君
副委員長松葉多美子君
副委員長石毛しげる君
吉住 健一君
西沢けいた君
小山くにひこ君
斉藤やすひろ君
西崎 光子君
尾崎 大介君
古賀 俊昭君
 出席説明員
生活文化スポーツ局局長秋山 俊行君
総務部長小林  清君
広報広聴部長石原 清次君
都民生活部長平林 宣広君
消費生活部長清宮眞知子君
私学部長小笠原広樹君
文化振興部長桃原慎一郎君
スポーツ振興部長安藤 英二君
東京マラソン事業担当部長岸本 良一君
参事高橋  博君
参事萩原まき子君
参事藤井 秀之君
参事板垣 一典君

本日の会議に付した事件
平成二十年度東京都各会計歳入歳出決算の認定について
生活文化スポーツ局関係
・平成二十年度東京都一般会計決算(質疑)

○高橋委員長 ただいまから平成二十年度各会計決算特別委員会第二分科会を開会いたします。
 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、生活文化スポーツ局関係の決算に対する質疑を行います。
 これより生活文化スポーツ局関係に入ります。
 決算の審査を行います。
 平成二十年度東京都一般会計決算中、生活文化スポーツ局所管分を議題といたします。
 本件につきましては、既に説明を聴取しておりますので、直ちに質疑を行います。
 発言を願います。

○西沢委員 民主党の西沢けいたでございます。私の方から、まず最初に、広報活動につきまして質問させていただきたいと思います。
 広報活動につきましては、都政の情報を広く都民に知っていただくこと、そしてご理解いただくこと、知りたいというようなお声にこたえるということで、もちろん大変重要な活動でございます。また、都民の皆様のご意見やご要望を聞く上でも、この広報活動は大きな意味合いがあるものであると考えているわけでございます。
 東京都におきましても、これは各局においても、個々でさまざまな広報活動をされているとお伺いしておりますけれども、生活文化スポーツ局広報広聴部は都政全般の広報を所管する部門と聞いております。つまり、都政全体について一つ取りまとめをしているような局であると、そして、主としてテレビ、ラジオ番組、広報紙、そしてインターネットの各媒体によって都民に対して情報提供を行っていると伺っております。
 そこで、まず初めに、それぞれの媒体について、平成二十年度の実績とここ最近の取り組みについてお伺いいたします。

○石原広報広聴部長 テレビ、ラジオ番組についてでございますが、平成二十年度は、テレビ六番組、ラジオ三番組を提供いたしまして、決算額は約十三億八千万円となっております。視聴率は番組ごとにそれぞれ違いはございますけれども、平均一%から五%の間で推移しております。
 次に、「広報東京都」、広報紙でございますが、平成二十年度は毎回四百四十五万部、計十四回発行いたしまして、決算額は約七億一千万円となっております。主として新聞折り込みにより配布しておりますが、昨今の新聞購読率の低下に伴いまして、発行部数について適宜見直しを実施しております。十九年五月号からタイトル部分のレイアウト変更を行いまして、インパクトあるデザインを採用するとともに、一面、最終面などをカラー化いたしました。
 インターネットによる広報でございます。都庁ホームページはポータルサイトとして運営をしております。平成二十年度のトップページへのアクセス件数は約七百六十万件で、決算額は約三千万円でございます。ただし、システムの運営に関する経費は、総務局が他の情報システムとともに管理をしておりますので、ただいま申し上げた金額には含まれておりません。平成十九年には、ホームページ内検索機能をグーグルに変更いたしまして強化するとともに、トップページを全面リニューアルいたしました。平成二十年度は高画質動画配信も開始したところでございます。

○西沢委員 ありがとうございます。各媒体の状況についてはよくわかりました。
 そこで、さらにお伺いいたしますけれども、先ほど、テレビの視聴率が平均一%から五%で推移しているとお伺いいたしましたが、この数値について、例えばほかの自治体であるとか、関東近県などで提供しているテレビ番組の状況などと比較して、その水準についてはどのようにご認識されているのか、お聞かせください。

○石原広報広聴部長 都が提供している番組の視聴率でございます。これは民間企業が実施しております調査によるもので、対象範囲は一都六県に及ぶ広範囲なものとなっております。他の自治体が提供しているテレビ番組は主に県内を対象とする地域テレビ局が放映しておりまして、視聴率の出し方をどのようにしているかは明確ではございません。したがって、同一基準で視聴率を比較することはなかなか難しいところがございますが、都の提供番組の中には五%を超える、そういった番組もございますので、他県の状況に比べて遜色がない水準と考えております。
 広報広聴部が実施しております広報広聴活動に関する実態調査の結果では、今後力を入れてほしい広報媒体として、テレビ番組が最上位となっております。今後とも、テレビ番組の提供については、他の自主媒体等を活用したPRなども行いながら、一人でも多くの方に視聴していただけるように努めてまいります。

○西沢委員 ありがとうございます。自治体が運営するテレビの番組ということで、この五%という数字もある、視聴率が五%もあるということでございますけれども、これはかなり高い数字なんじゃないかというように、私も知り合いの専門的な方から聞きました。そして、この番組の視聴率などについて、事前にいただいている資料などによりますと、番組の中では、平成十六年から二十年度まで、大体五%近くの水準になっている番組もあると聞いておりますので、これは非常にたくさんの方がごらんになっているといえると思います。
 ただ、これは自治体でやる番組でございますから、これをやりっ放しということではなくて、どのように反映していくのかというところがさらに重要になっていくと考えます。ですから、今ご答弁がありました広報広聴活動に関する実態調査というもので、力を入れてほしい媒体がテレビ番組ということがございましたが、こういった声をしっかりと聞いて都政に反映していける、そういった仕組みづくりを今後ともしていただきたい。やりっ放しで終わるのではなくて、また、民間企業のように数字が命というだけではなくて、もちろんより多くの方に見ていただくのは大切でございますが、それをいかに集約するか。そして、お金だけかければいいものではありません。むだな番組といわれないように、しっかりとしたつくりをしていただきたいというように望むところでございます。
 そして、次にホームページについてでございます。都庁総合のホームページのアクセス件数についてでございますけれども、これについて、トップページで年間七百六十万件というアクセス件数があったというようなご答弁もいただきました。これはほかの自治体に比べてもかなり高い水準ではないかと聞いておりますけれども、担当部としてはどのように認識されているか、お伺いいたします。

○石原広報広聴部長 都庁総合ホームページのトップページへのアクセス件数は、二十年度が約七百六十万件でございましたが、ここ数年、年間約七百五十万件ということで推移しております。民間の調査データでも、他の自治体に比べまして、より多くの方々に利用されているという結果が出ております。広報効果の高い媒体と私どもとしても認識をしております。
 今後とも、アクセス件数をさらに向上できるよう、コンテンツの充実等に努めていきたいと考えております。

○西沢委員 ありがとうございます。
 ホームページのアクセス件数、私もIT会社の出身でございますけれども、年間七百五十万件、一日二万件ぐらいでございますが、かなり多い方がごらんになっていると思います。このホームページは、都民だけではなくて、日本全国、それから世界からもごらんになる方がいらっしゃいますから、そういった状況も踏まえて、この仕組みづくりをしていただきたいというように感じるわけでございます。
 そして、それぞれの実績や最近の取り組みなど、るるご説明いただきましたけれども、これらの広報を実施した効果の把握や施策への反映について、どのように行っているのかというものを改めてお伺いいたします。

○石原広報広聴部長 テレビ、ラジオ番組につきましては、視聴率、聴取率というデータ、あるいは番組に寄せられる視聴者の声、またインターネットにつきましてはアクセス件数などで客観的に把握をしているところでございます。
 また、先ほどもご答弁申し上げましたが、毎年、満二十歳以上の都民三千人を対象に、広報広聴活動に関する実態調査を実施しております。この調査により、都民の都政情報の主な入手先や内容のわかりやすさなどを把握するように努め、次年度以降の広報活動の改善に反映をしております。

○西沢委員 それでは、独自の調査を踏まえて効果の検証などを行っているということですが、こうした調査結果や決算の推移、昨今の情報通信機能の進展やメディアの多様化などの状況を踏まえて、今後の広報活動においてどのような展開を行っていくと考えられているのかをお伺いいたします。

○石原広報広聴部長 情報通信におけるIT化、デジタル化の進展を背景にした多様なメディアが出現し、特に若い世代はインターネットを利用しまして情報収集を行う人の割合が高いなど、都民のメディア選好も世代により多様化しております。先ほどの調査結果からもこうした傾向があらわれております。
 今後は、こうした傾向を踏まえ、広報内容や訴求対象に応じた媒体、メディアの活用をさらに工夫していきたいと考えております。
 また、限りある財源を有効に活用し、都政情報をより一層効果的に都民に届けるために、例えばテレビ番組で取り上げた素材をホームページや「広報東京都」でも同時に取り上げ、全体として訴求効果を高めるなど、各媒体間のクロスメディア展開を積極的に行いまして、情報発信力の強化に努めてまいりたいと考えております。

○西沢委員 情報技術も顕著に進んでいるという状況でございますから、今後も的確な戦略、研究というものを望みたいと思います。
 そして、次は紙媒体の件でございますが、「広報東京都」というものを発行しているとお伺いしております。で、「広報東京都」は、配布方法としては主に新聞折り込みで配布しているというようにお伺いしておりますが、最近では若い人などを中心に新聞の購読率が落ちているというように聞きます。
 そこで、例えば各戸配布をしている市区町村がございます。ポスティングでございますが、私の地元でもございます中野区では、シルバー人材センターなどが中心となって音頭をとって区報を全戸配布するというような取り組みもされております。都内では足立区であるとか三鷹市などにおいては、先進的にといいますか、区報などの配布に取り組まれているような自治体があります。これを「広報東京都」ではどのようにお考えになられているのか、お伺いいたします。

○石原広報広聴部長 「広報東京都」の配布を新聞折り込みで行っている理由でございますが、印刷の刷り上がりから中一日という短期間で都内全域に確実かつ迅速に配布できること、あるいは郵送などに比べて経費が安いことによるものでございます。
 お尋ねの各戸配布についてでございますが、印刷完了から配布までに三日から七日程度かかり、配布単価も新聞折り込みに比較して割高であること、また、区市町村単位では広報紙をポスティングする事業者やシルバー人材センターを利用しているところもあるというお話でございますが、都内全域をカバーできる事業者がいないこと、こういったことから、現状では現在の新聞折り込みが最も効率的かつ経済的であると判断しているところでございます。

○西沢委員 ありがとうございます。
 おっしゃるように、なかなか全域をカバーできるということが、現状では難しいということでございました。ただ、この新聞の購読率の低下というもの、歯どめはかかっていない。配布方法が永遠にこのままでいいとは思えません。今後も効率的な配布方法というものを研究していく必要があるのではないか。
 先ほど申し上げました地元の中野区でも、最初、折り込みのみであったということですが、その中で、それだけではいけないだろうという声がありまして、印刷日程であったりとか、紙面のつくりであるとか、そういったものを逆に各戸配布、ポスティングに合わせたようなつくり方をして、効率的にやっていこうというような取り組みをされていると聞きましたので、「広報東京都」におきましても、今後さらなる効率的な配布方法というものを研究していく必要があるのではないかというように思います。
 それで、広報についての最後でございますけれども、この「広報東京都」の発行に関する決算額でございますが、十六年度から十九年度までは大体毎年度六億円少しというような数字であるというように聞いておりますが、昨年度、二十年度におきましては七億円の決算額がかかっているというように聞いております。この理由につきまして教えていただけますでしょうか。

○石原広報広聴部長 「広報東京都」の発行に要する経費でございますが、委員お尋ねのように、平成十九年度までが約六億円程度、二十年度が約七億一千万円となっております。
 前年度に比較して増加した要因は主に二つございます。一つが、物価高騰によりまして紙代が増加したということに伴った印刷経費の増加がございます。それから、毎年十二回発行いたしますが、平成二十年度はオリンピック・パラリンピック招致特集号を二回発行いたしましたので、その部分が経費増になっているということで、印刷経費の増と二回増刷、このおのおのの影響額はほぼ半々となっております。

○西沢委員 ありがとうございます。
 二回増刷したオリンピックの特集号でございますけれども、これは生活文化スポーツ局で発行したもので、オリンピックの招致委員会、招致本部とは別だというようなことでしょうか。最後にそれだけちょっとお聞かせいただいていいですか。

○石原広報広聴部長 そのとおりでございます。

○西沢委員 ありがとうございます。
 続きまして、私立学校の耐震化につきまして質問させていただきたいと思います。
 現在、この耐震化というものにつきまして都民も大きく関心を持っているところでございます。安心・安全な現場におきまして、公立高校の耐震化については先日お伺いしましたが、現在の私立学校の耐震化の現状についてお聞かせいただけますでしょうか。

○小笠原私学部長 平成二十一年四月現在の都内の私立学校の耐震化率でございますが、幼稚園六一・九%、小学校八四・八%、中学校八二・四%、高等学校七三・〇%で、これら全体で六八・五%となっております。

○西沢委員 ありがとうございます。
 それでは、私立学校の耐震化については何年度までに終了させるおつもりなのか、何年度までに何%の耐震化率の達成を目標としているのか、またその進捗につきましてのご認識をお聞かせください。

○小笠原私学部長 都では「十年後の東京」計画におきまして、平成二十七年度に私立の小中学校を一〇〇%耐震化することを目標としていましたが、耐震化の緊急性にかんがみ、「十年後の東京」への実行プログラム二〇〇九では、達成年度を二年前倒しし、平成二十五年度までとしております。
 また、それ以外の幼稚園、高等学校等につきましては、東京都耐震改修促進計画におきまして、平成二十七年度までに九〇%の耐震化を目標としております。
 この目標の達成に向けまして耐震化の促進を図っておりまして、現在、先ほど申し上げたような耐震化率になってございます。

○西沢委員 ありがとうございます。
 それでは、決算委員会ですので、昨年度までに私立学校の耐震化、これを促進するためにどのような政策を行ってきたか、お聞かせください。

○小笠原私学部長 私立学校で学ぶ児童生徒の安心・安全のため、都では平成十五年度から耐震診断、耐震補強工事経費の一部について補助を実施してまいりました。
 平成二十年度当初予算におきましては、「十年後の東京」計画で掲げた耐震化の目標を達成するため、耐震診断や耐震補強工事に対する補助率をそれまでの二分の一から三分の二に引き上げるとともに、新たな補助対象といたしまして、木造の校舎等や、耐震のために必要な改修工事を加えました。
 また、平成二十年度は、中国の四川大地震など、国内外において大規模な地震が発生したことを受けまして、補正予算におきまして耐震診断への補助率をさらに五分の四に引き上げ、耐震性能の早急の把握を支援することといたしました。

○西沢委員 ありがとうございます。
 それでは、この耐震化を促進するために、今後どのような施策を行っていくのか、お伺いいたします。

○小笠原私学部長 平成二十一年度は、倒壊の危険性が高いと判定された校舎等の耐震補強工事などに対する補助率を、耐震診断と同様に五分の四に引き上げるとともに、補助の実効性を高めるために、引き続き私学財団と連携いたしまして、説明会や専門家による建築相談などを行いまして、制度の積極的な活用を働きかけております。
 今後とも、このような取り組みを通じまして、私立学校における耐震化の一層の促進を図ってまいります。

○西沢委員 ありがとうございます。
 公立学校に比べて、空白地、種地の問題や風評被害などによって進みづらい部分があるというように聞いておりますから、しっかりと対策を進めていただきたいというように感じます。
 それでは最後に、公衆浴場について質問をさせていただきたいと思います。
 銭湯でございますけれども、江戸時代から今日まで、地域住民の健康と衛生を維持するとともに、コミュニケーションの場として人々の生活に密着して、日本独特の銭湯文化として根づいてまいりました。私は銭湯めぐりが大好きでございまして、自分の趣味でもあるんです。触れ合いの場であったり、子どもの教育の場として、銭湯が持つ古きよき文化というものに大きな期待を寄せているところでございますが、最盛期にあった銭湯も、最近、自家ぶろの普及により利用者は減少の一途をたどり、現在では転廃業を余儀なくされていると聞いております。そして、施設の老朽化や後継者不足が経営者にのしかかるなど、浴場の経営を取り巻く環境は極めて厳しい状況にあるというように聞いております。
 このような中で、都は公衆浴場の必要性というものをどのように認識して、これまでどのような対策を進めてきたのかというものをお伺いいたします。

○清宮消費生活部長 公衆浴場をめぐる経営環境は厳しいものがございますが、公衆浴場は、都民の公衆衛生の確保、健康づくり、さらには地域住民の交流の場として重要な役割を担っているものと認識してございます。
 こうしたことから、都はこれまでも、公衆浴場の経営の安定化を図り都民の入浴機会を確保するために各種の助成策を実施してきてございます。平成十七年度には、ミニデイサービスや健康づくりの場として改築するための経費を助成する健康増進型公衆浴場改築支援事業を開始いたしました。また平成二十年度からは、浴場の使用燃料を重油などから都市ガスなどに転換を進めるクリーンエネルギー化推進事業、それと施設の耐震補強を促進する支援事業を進めてきてございます。
 今後とも必要な施策を効果的に実施してまいります。

○西沢委員 ありがとうございます。
 銭湯の持つ意義というものをご説明いただきまして、古い資料ですが、平成十五年では九六%、自家ぶろの保有率。つまり四%はまだ持っていない方も、ちょっと古いですけれども、あるわけです。数%の方はどうしてもおふろに入れない方もいらっしゃる中で、こうした衛生面から考えても、文化面から考えても、今後、必要な施策というものは進めていっていただきたいと思います。
 私の質問は以上で終わらせていただきます。

○吉住委員 都議会自民党の吉住です。私からは、消費生活行政についてお伺いいたします。
 残念なことですが、今日、都民にはまだまだ多くの消費者被害が発生しています。平成二十年度の都政モニターアンケートでも、四人に一人は何らかのトラブルを経験しているとのことでございます。私も先日、携帯電話をいじっていて、占いのコーナー、姓名判断にアクセスしましたら、途端にたくさんの迷惑メールが届くようになりました。以前、住民相談で架空請求の相談を受けたことがありましたので、そのときの経験などをもとに、自分で迷惑メールの配信をやめさせることはできました。しかし、普通の方々には、これを自分で解決してくださいといっても、なかなか難しい場面もあるのではないかと思います。
 さて、私は消費生活対策審議会の委員に就任させていただき、先日の審議会では、消費生活基本計画の進捗状況の説明をいただきました。本年四月からは東京都消費生活総合センターで土曜日の相談を開始し、また、相談窓口の充実強化についても報告をされましたが、こうした取り組みは消費者被害を救済していくために大変重要だと思います。相談窓口には、悪質な商法について多くの消費者から切実な相談が多数寄せられていることと思います。
 そこでまず、平成二十年度における都内の消費生活相談の状況についてお伺いいたします。

○清宮消費生活部長 平成二十年度の消費生活相談の状況でございますが、都及び区市町村の消費生活センターに寄せられました相談は、全部で十二万五千二百八十一件でございました。
 主な相談内容といたしましては、高齢者の方に対する催眠商法や次々販売、若者をねらったキャッチセールスやマルチ商法など、深刻なものが依然として多くございます。また、先生お話しの架空不当請求に関する相談も、一時期ほどではございませんが、まだまだ多く寄せられています。また、お話のございました迷惑メールもその一つでございますが、携帯電話やインターネット利用に伴うトラブルも少なくございません。さらに投資信託などに関する相談も増加するなど、被害はより深刻化していると考えています。

○吉住委員 ただいまの答弁から、都民から多数の相談が寄せられているとのことです。深刻な被害をもたらす悪質な事業者に対しては、行政として厳しく臨むべきだと思っております。
 そこで、平成二十年度において悪質な事業者に対して行政処分を行っていると思いますが、具体的な取り組み状況をお伺いいたします。

○清宮消費生活部長 東京都では、警視庁OB職員も含めました特別機動調査班を設置いたしまして、消費生活センターに寄せられる深刻な消費者被害の実態を踏まえ、特定商取引法及び東京都の消費生活条例に基づきまして、厳正に指導、処分を行っています。平成二十年度には立入調査四十五件を行い、三十件の行政処分を行いました。
 例えば類似商法の事業者を集中的に処分した例でございますが、高齢者の健康不安につけ込み、空き店舗などの会場で長期にわたり講習会などと称して日用品を安く提供し、話術巧みに信用させて高額な健康食品を販売する、こうした事業者七社に対しまして業務停止命令を行いました。また、証拠金を預かって海外貴金属商品取引を行ういわゆるロコ・ロンドンまがい取引の事業者に対しましては、全国初の処分をし、浄水器を訪問販売する事業者に対しましては、埼玉県など近隣県とも連携して同時の処分を行いました。
 さらに、特定商取引法ではすべてが対象となってございませんので、対象となっていない水道修理事業者に対しましては、平成十九年度改正いたしました東京都の消費生活条例を初めて適用いたしまして、取引行為の禁止命令を行ったところでございます。

○吉住委員 法律や条例に基づいて厳正に処分をしていることはわかりました。しかし、悪質な事業者の中には、生活文化スポーツ局だけで解決することが困難なものも多いと考えられます。一つの手口に対する対策がとられると、新たな手口が出てくることも予想されます。
 そこで、こうした観点から、消費者トラブルを解決し、被害を防止していくために、都としてどのように工夫をし、体制を強化しながら取り組んでいるのか、お尋ねします。

○清宮消費生活部長 不適正な行為を行う事業者に対しましては、あらゆる法令や取り締まり権限を駆使していくことが重要であると考えています。このため、委員ご指摘のように、庁内各局と連携しまして、個別課題ごとに特別対策班を設置して機動的に対応していくことといたしました。
 これも一つの例でございますが、例えば家賃保証会社が家賃を取り立てる際に、かぎを交換したり荷物を一方的に処分するなどの実態があり、社会的にも問題視されました。このため、宅地建物取引業法を所管しております都市整備局と連携して特別対策班を設置し、家賃保証会社数社に対し東京都の消費生活条例により指導を行いました。また、家賃保証に関する関係団体に対しても強く改善を求めて自主ルールをつくらせるとともに、都民に対しても注意喚起を行ったと、こういうことを行っています。
 また、そのほか、消費者被害の実態を証言した消費者に対して事業者による迷惑行為が行われるということがございまして、弁護士による専門的助言や訴訟に際しての費用の貸し付けなど、消費者を守る仕組みを新たに設け、適切な処分を行う環境を東京都として確保したところでございます。
 このように、従来の枠組みにとらわれることなく、悪質な事業者に対して積極的な指導、処分に努めてまいります。

○吉住委員 都民を消費者被害から守るには、相談体制を充実し懇切丁寧に対応するとともに、悪質な事業者に対しては毅然とした姿勢で臨むことが重要だと思います。国は、消費者の視点から消費者行政を一元化したところです。大事なことは、安全・安心な市場、良質な市場を実現することであり、不当な行為を行う事業者を市場から排除し、競争の質を高めることによって、消費者、事業者双方に長期的な利益がもたらされることだと思います。
 こうした視点に立って、ただいまの答弁にあったように、消費者の立場を守りつつ、今後ともさまざまな工夫、あらゆる手段を駆使して悪質な事業者を排除していかなくてはなりません。さまざまな事象に応じて最前線で取り組んでおられる皆様方に感謝と期待を申し上げまして、次の質問に移ります。
 続きまして、認定こども園についてお伺いいたします。
 核家族化、共働きなどを背景とした社会状況の変化により、保育への都民のニーズは多様化しています。また、子育てを親の世代に手伝ってもらえる環境が整っている家庭も減少しています。その一方で、保育所の待機児童数は依然として増加傾向にあり、幼児に対する教育、保育需要に十分対応し切れていない実情もあります。
 こうした実情を踏まえ、平成十八年度から、我が党では認定こども園制度を推進してまいりました。認定こども園は、幼稚園に保育機能を付加する、あるいは保育所に教育機能を付加するなど、保護者の就労の有無にかかわらず、就学前の子どもに幼児教育、保育を提供する機能と、すべての子育て家庭を対象に地域における子育て支援を行う機能を持っており、多様化する都民ニーズにこたえる新たな選択肢であると考えております。
 そこで、決算をもとにお伺いいたしますが、平成二十年度決算説明書によると、認定こども園運営費等補助の執行率は三五・四%となっています。その執行内容について説明をお願いいたします。

○小笠原私学部長 認定こども園運営費等補助は、私立幼稚園が実施主体である認定こども園への補助であり、既に開設した認定こども園に係る運営費補助と、新規の認定こども園開設に係る施設整備費補助の二つから成っております。平成二十年度予算は、制度が発足して間もない時期にあったことから、幼稚園に対する意向調査を行い、最大限対応可能となるよう編成したところでございます。
 執行に当たりましては、認定に係る必要な相談、助言等を行い、設置を促進することによりまして、平成二十年度において新たに八園を認定いたしまして、既存の認定こども園を含めまして、運営費を必要とするすべての認定こども園に補助金を交付いたしました。
 また、施設整備費につきましては、当初、補助対象と見込んだ園のうち、開設に伴う補助等を要しない認定こども園もございまして、結果的に四園に補助金を交付したところでございます。

○吉住委員 施策を推進するに当たっての予算計上は十分にできていて、必要な事業執行も行われていたことは確認できました。
 ところで、認定こども園の実施主体は、幼稚園、保育所、認可外保育施設ですが、私立幼稚園が実施主体である認定こども園のこれまでの認定状況はどうなっているのでしょうか。

○小笠原私学部長 私立幼稚園に係る認定こども園の認定数の推移でございますが、平成十八年度は二件、平成十九年度は三件となっておりましたが、平成二十年度は先ほどご説明いたしましたとおり八件、平成二十一年度は十月一日現在で十一件と年々増加傾向にあり、これまでの累計は二十四件でございます。
 また、定数の面では、都が策定した子育て応援都市東京・重点戦略においては、平成二十年度から平成二十二年度までに認定こども園の定員を千五百人増加させることとしており、その中で、初年度である平成二十年度の定員増目標は四百八十人でございます。それに対しまして実績は私立幼稚園で五百十一人となっており、その目標を達成したところでございます。

○吉住委員 確かに私立幼稚園が実施主体である認定こども園の定員数については、計画に対しての成果は上がっています。しかし、予算が確保されていることもありますので、なお一層の事業実施をお願いしたいと思っております。
 ただ、まだ一部では、私立幼稚園において制度理解が進んでいない、保護者が制度について知らないなどの声も聞いております。社会状況が変化する中で、多様化する教育、保育の都民ニーズにこたえるため、私は、認定こども園を地域の実情に応じてさらに普及拡大させることが必要であると考えておりますが、都の見解はいかがでしょうか。

○小笠原私学部長 先生お話しのとおり、認定こども園制度は、多様な教育、保育の都民ニーズにこたえるための重要な制度であると考えております。都はこれまで、この事業の推進のため、福祉保健局を中心に関係各局等と連携いたしまして、国に先駆けた独自の補助制度の創設を初め、認定こども園の開設を検討する幼稚園への制度説明会の開催、区市町村への補助制度の創設依頼、ホームページ等での都民への情報提供など、普及促進を図ってまいりました。
 今後も、認定を希望する園への個別相談会の開催や区市町村への認定の働きかけの強化、ホームページ内容の充実や都民向け啓発パンフレットの作成を行うなど、さまざまな普及策を講じて、認定こども園のさらなる設置促進に努めていきたいと考えております。

○吉住委員 普及拡大についての都の考え方はわかりました。冒頭で述べましたとおり、社会状況の変化を背景にした、教育、保育への都民のニーズが多様化する一方、幼児に対する教育、保育需要に十分に対応し切れていない実情もあります。
 私は、これまで公教育を担っている私立幼稚園が幼児教育に果たしてきた役割を高く評価すべきだと考えていますし、地域の子育て支援のセンターとしての私立幼稚園という貴重な資源を活用し、これまで以上に、幼児教育、保育需要に対応すべきだと考えています。
 認定こども園制度は、幼児教育と保育の総合的な提供の推進や地域の子育て支援策の一つとして有効な手段だと思っております。今後とも、私立幼稚園が都民の期待にこたえるため、認定こども園制度の普及拡大に向け、ぜひとも積極的な取り組みをお願いし、私の質疑を終了いたします。

○斉藤委員 公明党の斉藤やすひろでございます。私の方からは、私学教育について、その役割等につきましてお伺いしたいと思います。
 都内の私立学校は、独自の教育方針と個性豊かな校風を持ち、それぞれが特色ある教育を行っております。平成十五年十一月、当時、生活文化局というお名前でしたけれども、生活文化局が行った私立高等学校等における教育に関する都民の意識調査報告書によりますと、私学に進学した理由としまして、子ども、保護者とも約七割弱の方が、子どもの考えで私学への進学を決めたと答えております。単に経済的にゆとりがあるから私学に通わせているのではなく、子どもが希望する学校だったからというお声でございます。学校を選ぶに当たりまして重視したことは、通学の便がよかったということもありますが、自由で伸び伸びとした教育、個性等を互いに尊重し合う心を養う教育、進路指導がしっかりしている、また、建学の精神などに定評があるなど、学校の校風などを重視したとの結果が出ております。
 平成二十年五月現在の数字ですが、都内の高校生数のうち約六割近い高校生が私立学校に通っているという数字もございます。私学は、創立者のさまざまな建学の精神に基づく個性豊かな教育活動を実施するなど、社会の発展に大きく貢献してきたと認識しております。
 まず、都における私立学校の位置づけについて都はどのように認識しているか、お伺いします。

○小笠原私学部長 私立学校は、建学の精神に基づき、長い歴史と伝統に培われた独自の校風や教育理念を通じて特色ある教育を実践しております。高校について見ますと、東京では、先生お話しのとおり、約六割の生徒が私立学校に在学しており、この比率は全国で第一位となっております。ちなみに、東京以外の上位四府県における私立高校生の割合は四割に満たず、全国平均でも約三割となっておりまして、これは、東京における私立高校の割合が全国において特に高いことを示しております。
 東京の私立学校は、多くの保護者や児童生徒から期待と信頼を寄せられており、都の公教育において大変重要な役割を担っていると考えております。

○斉藤委員 私学教育の重要性につきまして、共通の認識を持っていることを確認させていただきました。
 ところで、このように重要な役割を果たしている私立学校ですが、少子化の影響などにより生徒数が減少し、経営面から見ますと大変に厳しい状況に置かれていると思います。聞くところによりますと、私立高校では約三分の二の学校が赤字経営とのことでございます。百年に一度の経済危機の渦中にあって、東京の私学経営はどういう状況になっているのでしょうか。また、都では私学振興のため私立学校に対してどのような助成を行っているのか、お伺いします。

○小笠原私学部長 都は、私立学校が公教育に果たしている役割の重要性にかんがみ、学校に対してさまざまな助成策を講じております。まず、都の私学助成の基幹的補助である経常費補助では、私立学校の教育条件の維持向上、児童生徒の修学上の経済的負担の軽減、私立学校の経営の健全性を高めることを目的といたしまして、幼稚園、小学校、中学校及び高等学校を対象に経常経費に対する補助を実施しております。また、施設や設備につきましては、児童生徒の安全確保のために行う校舎等の耐震化に係る補助や、省エネ設備の導入に係る補助などを実施しております。

○斉藤委員 都が行っているさまざまな私学助成策は、厳しい経営環境にさらされている私立学校にとり大変有効な財政支援策となっていると思います。平成二十年度決算では、私立学校経常費補助は総額で約一千百億円を超え、ほぼ一〇〇%近い高い執行率となっております。国庫補助金による私学助成に対しまして、都の私学振興のための助成額は国の約七倍の規模となっておりまして、私学振興のより一層の充実を図るため、都は今後ともこれらの私学助成策の維持、拡充に努めていただきたいと思います。強く要望させていただきます。
 さて、私学に通う子どもたちのことですが、その安心・安全の観点から幾つか質問させていただきます。
 本年九月、南太平洋のサモア諸島、インドネシアのスマトラ島を震源地とする大規模地震が相次いで発生しました。甚大なる被害をもたらしたことは記憶に新しいところでございます。また、一昨年の五月でございますけれども、お隣の中華人民共和国の四川大地震では多くの学校の建物が倒壊し、大勢の子どもが犠牲になりました。その主な原因は建物の耐震性の脆弱性にあったと指摘されております。このような大地震が仮に東京直下を震源地として起きたとしたら、その被害は甚大であることが容易に想像されるところでございます。
 特に、学校に通う児童生徒がその大半を過ごす校舎が倒壊するようなことがあれば、次代を担う子どもたちのとうとい生命が奪われることにもなりかねませんし、また、それは、東京のみならず日本の将来にとって多大なる損失となってしまいます。それを防ぐためにも、校舎等の耐震化を急ぐ必要性があるわけでございます。
 我が党は、平成二十年の第二回定例都議会の代表質問や、第三回定例都議会の文教委員会などで、公立の小中学校はもちろんのこと、私立の学校、幼稚園、保育園等についても耐震化の支援強化措置を講ずるように一貫して主張してまいりました。私立高校の耐震化については、「十年後の東京」に明記されていないのはどうしてなのか、ちょっと心配ではございますが、伺いますけれども、都では、先ほどご答弁もいただきましたように、校舎等の耐震化に係る補助制度を設け、耐震化の促進に努めてこられたわけでございますが、私立学校の校舎等の耐震化率は現時点でどのくらいになっているか、まずお伺いします。

○小笠原私学部長 平成二十一年四月一日現在における都内の私立学校の耐震化率は、幼稚園六一・九%、小学校八四・八%、中学校八二・四%、高等学校七三・〇%で、これら全体では六八・五%となっております。

○斉藤委員 公立、私立を問わず、学校に通う子どもたちの命のとうとさには全く違いがないわけでございます。今のご答弁で、私立学校の耐震化率も上昇しているということではございます。東京都はすばらしい補助制度を用意しているんですけれども、思ったほどのペースでは進んでいないという声も聞きます。昨年の十二月に発表された「十年後の東京」への実行プログラム二〇〇九では、都内の私立小学校については平成二十五年度までにすべての建物の耐震化を完了するとの目標が明示されております。先ほどのご答弁によれば、私立の小中学校の現時点での耐震化率は八二%から八五%程度となっているようですが、あと五年間でこの目標を、実行プログラムの目標を達成できるか、懸念されるところもございます。
 他方、都立高校については、平成二十二年度までにすべての建物の耐震化を完了する旨が明記されているわけでございます。私立学校の中には、耐震化を進めたいけれどもなかなか取り組めない理由を抱えている学校もあると耳にしているところでございます。都はその理由を把握しておりますでしょうか。把握しているとすれば、その理由をお示しいただくとともに、どのように取り組んでいくのか、お伺いしたいと思います。

○小笠原私学部長 都では本年七月に耐震化状況調査を行いまして、耐震化されていない建物のうち、現時点で耐震化の予定が立っていない建物を中心に、耐震化が進まない理由を調査いたしました。その結果、小中高等学校の回答では、今後取り壊す予定があるが最も多く、次いで、工事期間中の代替施設がない、自己資金が不足しているなどの理由が挙げられております。
 都では、私立学校の耐震化を促進するため、平成二十年度においては、耐震化に係る補助率を二分の一から三分の二に引き上げ、また補正予算では、耐震診断に係る補助率を五分の四まで引き上げました。また平成二十一年度は、倒壊の危険性が高い建物の耐震化に係る補助率を耐震診断同様五分の四まで引き上げるなどの促進化策を講じております。

○斉藤委員 我が党の主張もありまして、都は独自に随時、補助率のかさ上げをし、国では認められなかった耐震診断、これを含めた手厚い補助制度を創設、拡充したことを高く評価させていただきたいと思います。
 今ご答弁いただいたその理由のほかにも、次年度以降の財源保障がなかなかないため、計画を長期にわたってしにくい、そのような意見もあると聞いております。耐震化をさらに促進するためには、これらの課題を可能な限り今後も解決していくことによって、市や区にとってこの補助制度をより使いやすくすることが肝要であると思っております。ご答弁は結構でございますが、今後さらなる制度拡充を強く要望させていただきます。
 続きまして、今度は経済面からの安心・安全ということでございますが、昨今の経済雇用状況の悪化に伴う保護者の失職等によって、私立高校の生徒が経済的理由によって修学困難となっている例も多く、子どもが安心して修学できるような環境を整備することが必要だと考えています。
 我が党も本年六月の第二回定例都議会で主張してまいりましたが、家計急変世帯への授業料減免制度の補助率のかさ上げにつきましては、東京都私立学校助成審議会でもスピーディーな答申をいただき、都も直ちに制度改正を実施され、私学関係者からは大変に感謝されているところでございます。都では、保護者、生徒の支援のためにどのような施策を実施しているか、お伺いしたいと思います。

○小笠原私学部長 都では、経済的な側面から私立高等学校等の生徒の修学を支援するため、学校への基幹的補助である私立高等学校経常費補助を通して授業料の抑制を図るほか、家計状況の急変により学校が授業料を減免した場合に、その減免額の一部を補助しております。この家計状況の急変における授業料減免制度の補助率は、現在の社会経済情勢を勘案し、平成二十一年度に三分の二から五分の四に引き上げたところでございます。また、財団法人東京都私学財団を通じて、平均的な所得以下の保護者を対象に、所得に応じて授業料の一部を助成するほか、経済的理由により修学が困難な高校生等に対して育英資金を貸し付けております。

○斉藤委員 さまざまな応援をいただいているところでございます。都では修学支援のためさまざまな施策を行っていることがわかりましたが、その中でも育英資金事業について、平成二十年度の実績と平成二十一年度の貸付状況について、申込状況ですか、お伺いしたいと思います。

○小笠原私学部長 東京都育英資金の実績についてでございますが、平成二十年度の貸付総人数は五千二人、貸付総額は十八億四千五百五十一万二千円となっております。
 次に、平成二十一年度における東京都育英資金奨学生の一般募集の状況について見ますと、今年度新規の貸付者数は平成二十年度に比べて約三割増加している状況でございます。

○斉藤委員 三割増加しているということでございます。恐らく経済的な状況から、学校の授業料について大変困難な状況が起こっていることが想定されるところでございます。都では育英資金のために多額の貸し付けを行っているということでございますが、平成二十一年度は、先ほど三割増しとありましたが、前年度に比べて多くの生徒がこの育英資金を借り受けることになっていることがわかりました。
 育英資金事業といいますと、これは貸付事業であるために、貸し付けを受けた本人からの返還金を将来世代への貸付原資として、貸したものですから返していただくわけでございますが、確実にそれを見込むことができるように、きちんと返済してもらうことが必要でございます。最近の新聞報道によりますと、これは高校生ではなく大学生を中心としたものですけれども、奨学金を貸与している国の独立行政法人の日本学生支援機構では多額の未回収金が生じているようでございます。
 そこで、独立行政法人の日本学生支援機構の奨学金と都の育英資金の返還率を伺っておきたいと思います。

○小笠原私学部長 独立行政法人日本学生支援機構の高校奨学金に関する統計資料によりますと、平成二十年度に返還すべき額のうち実際に返還された金額の割合を示す返還率は八五・四%となっているのに対しまして、都の育英資金の平成二十年度返還率は九五・四%となっております。
 これは、都におきましては、奨学生に対して、返還についてのご理解をいただくため、在学中に返還のしおりなどを学校経由で配布するとともに、預金口座振替依頼書など、返還に必要な書類をあらかじめ在学中に提出してもらうことなど、また、返還が始まってからは、口座引き落としがされなかった場合には、その旨、本人に通知をいたしまして納付を促すなど、迅速な対応を図っているためと考えております。

○斉藤委員 ありがとうございました。
 私学においては、経済的理由から学び続けることを断念しなくてはならないような状況が比較的起こりやすい。そのようなことが起こらなくて、断念しなくて済むように、この育英奨学金の果たす役割は大変大きいものがあると考えています。
 大学生を中心とした日本学生支援機構の行う奨学金と異なりまして、都の育英奨学金は、今、九五%とありましたが、返還率も高いことから、さらなる拡充も図ってよいのではないかと私は考えております。
 本日は、私学教育が都の公教育に果たす役割の重要性にかんがみて、私学振興、そして私立学校に学ぶ子どもの安心・安全について若干質問させていただきました。二度と戻らない輝ける学びの時代に、経済的理由や地震災害等でその大切な時を失わせないように、今後とも都が全力のご協力、ご支援をいただけるよう切に要望しまして、私の質問を終えたいと思います。

○西崎委員 私からはまず、ワークライフバランスについて伺いたいと思います。
 近年、急速な少子化の進展のために、地域の子育て支援だけではなくて、企業による子育て支援の期待が高まっており、男女がともに働きながらも子育てができる環境整備が求められてきています。その働き方の見直しとしまして、仕事と家庭や地域生活との調和を図っていくワークライフバランスの推進は、男女がともに自分らしい生き方を選択できる社会の実現のためにも重要な取り組みです。都はこれまでさまざまな取り組みを行ってきていると思いますが、二十年度の取り組みについて伺います。

○萩原参事 東京都は、平成十九年三月に改定した男女平等参画のための東京都行動計画において、ワークライフバランスの推進を重点課題の一つに掲げ、その取り組みを進めてきたところでございます。
 平成二十年度の主要な取り組みとして、一部の先進企業にとどまっているワークライフバランスの取り組みをさらに広げることを目指して、その実践方法を具体的にわかりやすく説明した手引きとなるワークライフバランス実践プログラムを作成いたしました。その内容は、ワークライフバランスに積極的に取り組んでいる都内企業の実践事例に基づきまして、長時間労働の解消や女性の継続就業、育児、介護支援などの職場の課題別に具体的な解決方法を示したものとなっております。

○西崎委員 今、二十年度、ワークライフバランス実践プログラムを東京都の方で作成して、その内容について紹介していただいたわけですけれども、育児休業施策を中心とする両立支援策の問題は、ともすると女性対策、さらにいえば、小さな子どもを持つ女性のためととらえがちだったと思います。そのため、女性力発揮を求めない企業にとっては、両立支援策は意味のないものと考えてしまう問題がありました。そこで、男性の働き方、例えば長時間労働、頻繁な転勤の発生などの見直しを含むワークライフバランス、すなわち仕事と生活のバランスの実現を視野に入れることが不可欠だと思います。
 ワークライフバランスについては企業における取り組みが重要になってまいります。この考え方をいち早く企業に提唱したのは資生堂の福原会長です。都議会でお招きして、お話を伺う機会がありました。そのお話によれば、もう、長時間労働をして、たくさんの残業をして評価される時代ではないと、仕事だけになると生活の感覚が喪失され、仕事に対する想像力や活力は出てこなくなってしまう、会社の社員であって消費者でなければならないということをいっていらっしゃいました。
 大きな企業では資生堂のように制度をつくって取り入れていますけれども、中小企業になると、経営者が理解がないと、なかなかこのような考え方にはならないのではないでしょうか。
 二十年度実施しましたワークライフバランス実践プログラムには、企業経営者の意見などはどのように反映されているのか伺います。

○萩原参事 ワークライフバランスの推進に当たりましては、ただいまお話しのとおり、経営トップの理解を深めるということが重要でございます。ワークライフバランス実践プログラムの作成に当たりましては、企業の声を生かした実践的な内容とするため、約六十社の企業に対してヒアリングを実施するとともに、二十社を超える企業と意見交換会を行い、直接に経営者や人事担当者などから、企業の取り組み内容や実践プログラムについての意見、ご提案をいただきました。
 また、完成いたしました実践プログラムについては、経営者の集まりである東京経営者協会の協力を得て、経営者セミナーや研修会の場での活用を進めているところでございます。

○西崎委員 今、経済状況が大変厳しくなっている時代で、昔でしたら、新入社員が入ってきましたら、企業の中で新人研修というのを行っていたんですけれども、こう経済が悪化してくると、最近、テレビを見ていますと、研修にもお金をかけないで、入ってきてすぐ企業で実践力になる人を求めていくというお話がありました。その意味では、若い人たちの雇用対策も大切なんですけれども、出産や子育てで企業をやめていってしまうM字型の就労を日本でも続けていくのではなくて、経験を積んできた女性の支援策を充実することで、長く企業で働いてもらい、企業にとっても大きなメリットになってくるのではないかと思います。今後も、ワークライフバランスの実現のためには、企業の取り組みを継続して進めることが重要です。
 そこで、今後どのように取り組んでいかれるのか、お聞かせください。

○萩原参事 企業に対しましては今後とも、東京経営者協会等との連携により、経営者や人事担当者などを対象としたシンポジウムを開催いたしまして、中小企業等の具体的な成功事例を紹介するなど、的確な情報提供を行ってまいります。
 また、多様な業種や規模の企業との意見交換会を引き続き実施いたしまして、実践プログラムを踏まえた具体的な取り組みの効果や新たな課題を抽出するなど、実践プログラムの検証を行っていく予定でございます。
 こうした取り組みにより、企業におけるワークライフバランスのより効果的な実践を促してまいります。

○西崎委員 ぜひ今後も、実践プログラムの、東京都がつくったものの検証を行いながら、企業におけるワークライフバランスの推進を、より効果的な取り組みをぜひ広げていっていただきたいということを要望しておきます。
 次に、消費者行政について伺います。
 東京都消費生活条例は、消費者の権利をうたった画期的なものでありまして、一九九七年二月に策定しましたけれども、消費者を取り巻く状況は大きく変化しており、都では、深刻な消費者被害、先ほどもお話がありましたけれども、消費者被害から都民を守り、商品やサービスに関する不安を払拭するため、平成二十年度に消費生活基本計画を十一年ぶりに改定いたしました。計画の改定については、生活者ネットワークも平成十九年の第四回定例会で質問に取り上げ、要望してきたところです。
 この計画は、平成二十年度から二十四年度までの五年間の計画としまして、衣食住、健康、福祉など、都民の幅広い生活について、消費者の視点から今後取り組むべき方向性を明らかにしています。とりわけこの計画の中では、直ちに取り組むべき緊急対策を明らかにしていますが、主な内容についてお聞かせください。

○清宮消費生活部長 商品やサービスに関する不安や悪質商法による被害など深刻な状況がある中で、東京都は昨年、消費生活基本計画を改定し、消費生活にかかわる幅広い施策につきまして、関係局とともに総合的に取り組んでいるところです。この計画の中では、お話のございました四つの緊急に取り組むべき対策を位置づけているところです。
 その一つ、高齢者や若者をねらう悪質商法の撲滅につきましては、不当な取引を行う事業者に対し、他県とも合同するなど、三十件の行政処分を行いました。
 また、待ちから攻めの情報収集と発信という項目では、ベビー用のおやつの安全対策や折り畳みいすの安全な使用法のPRなどに取り組みました。
 さらに、土曜相談の開始など、東京都消費生活総合センターの強化を推進し、相談体制の充実を図っているところでございます。

○西崎委員 国では本年九月に消費者庁を設置して、事故情報の一元化を図り、消費者の生活の安全確保の取り組みを始めたところです。消費生活にかかわる相談も多様にわたっていることから、都が消費生活基本計画の中で定めたように、今お話にもありましたように、待ちから攻めの姿勢に転じて、情報を収集し、発信していくことが大切だと思います。
 これまで生活者ネットワークでは、消費者事故の中でも、子どもの事故防止のための取り組みを質問でも取り上げてまいりました。次代を担う子どもが痛ましい事故の被害者とならないよう、子どもの身の回りの安全対策は重要だと思います。
 一昨年は、化粧品や衣類など身の回りの危険から子どもを守るための事故防止対策について、パンフレットを配布し、注意を促しています。このパンフレットですけれども、大変よく書かれていると思います。
 今回は、今お話にありましたベビー用のおやつ等の子どもの安全対策に取り組んだとのことですけれども、平成二十年度の子どもの事故防止対策について、具体的な取り組みについて伺います。

○清宮消費生活部長 子どもの事故防止対策でございますが、まず、ベビー用のおやつによる窒息事故につきましては、消費者が危険をキャッチしていながら、その情報が顕在化していなかった、そういうことから、インターネットによるアンケート調査を行いました。その結果、五人のうち一人が危ない思いをした経験があったため、その安全対策について検討いたしました。消費者、事業者、学識経験者から成ります商品等安全対策協議会で事故防止対策について検討を行い、その結果を踏まえ、国と業界団体に、注意表示の改善や安全性に関するガイドライン等の策定などについて提案要望を行い、また、保護者の方を対象に注意喚起をいたしました。
 そのほかにも、子ども用のトレーナーや帽子等にホルムアルデヒドがどの程度含まれているかの調査や、自転車用幼児ヘルメットの安全性に関する調査等を行い、消費者への注意喚起とともに、業界への要望等を行いました。

○西崎委員 いろいろ取り組まれたことは、今のお話でわかりました。ベビー用のおやつ、都が作成した小型のパンフレットは、保護者向けに配られているんですけれども、私も拝見して、よいものだったので、地元の子育て世代の人たちに紹介しましたところ、とても喜ばれました。
 そこで、このリーフレットは都内のどのようなところに配布されたのか、また、都の調査から出てきた課題を国や事業者へ要望の結果、どのような成果が上がったのか、お伺いします。

○清宮消費生活部長 ベビー用のおやつによる窒息を防止するための啓発用のリーフレットでございますが、十三万部作成いたしました。多くの保護者の方に周知できるよう、区市町村の保健センター等で実施しています乳児健康診査の機会を通して、三、四カ月の子どもを持つ保護者の方に配布するとともに、保育所等でも配布いたしました。
 また、国には注意喚起について提案をし、事業者にはガイドラインの策定を要望いたしました。その結果、国は、全国の区市町村が母子健康手帳を作成する際の様式例に新たに、お菓子などの食品がのどに詰まる事故についての注意喚起を促す記述や応急手当ての方法を追加、改正いたしました。一方、ベビーフードを製造販売している業界の団体では、注意表示に関するガイドラインを策定いたしました。
 このように、東京都の取り組みが全国にも発信されて、大きな成果が上げられたと思っております。

○西崎委員 今の答弁で、ベビー用のおやつのリーフレット一つでも、保健所を通して保護者に配布したところで、大変いろんな意味合いを持つ波及効果があったと思います。今後も、必要な情報が必要な人に行き届くよう努力してもらいたいと思います。
 最後に、要望になりますけれども、子育て世帯の人たちは日ごろ忙しくて、子どもの身の回りの危険というものになかなか気づかないことがあります。子どもの衣料品、アクセサリーなどは、今見ていますと、輸入品も多くて、安全性が容易に確認できません。事故が起きてから気づくのではなく、ふだんから都民が危害、危険に直面することがないよう、必要な情報を周知して注意喚起を図っていくことが大切です。
 特に、子ども用の製品に含まれるホルムアルデヒド調査や、幼児を自転車に乗せるときにかぶらせる幼児ヘルメットの調査のように、子どもが日常的に接する商品について、都が独自に調査して、事故の未然防止対策を行うことは極めて重要だと思います。基準があるものはきちんとそれを守っていると思いますが、むしろ子どもたちの身の回りのものというのは基準外のもの、だから、都が調査をしていることは大変重要なことではないかと思います。今後も引き続き、このような観点から子どもの身の回りの安全対策に取り組んでいただくことを要望いたしまして、私の質問を終わります。

○小山委員 私からは、トーキョーワンダーサイトについてお伺いさせていただきます。
 私ども民主党として、このワンダーサイトで取り組まれております若手芸術家育成、こういったことに対しては基本的には評価をしているつもりであります。しかしながら、今回のこのトーキョーワンダーサイトについては、政策決定過程であるとか、あるいは事業運営の部分におきまして、人事、資質に大きな問題があったというふうに思っております。
 さきの平成十九年の第一回定例議会でも、私どもの会派の民主党議員からさまざまな問題の指摘をされておりますが、平成二十年度におきまして、その部分がどのように運営改善されたのか、お伺いさせていただきます。
 まず、人事組織体制につきまして、どのような課題があって、どのような改善を図ったのか、お伺いいたします。

○桃原文化振興部長 トーキョーワンダーサイトの運営体制でございますけれども、平成十九年第一回定例会の予算特別委員会や文教委員会におきましても既にお答えしているところでございますけれども、平成十八年度に事業運営を東京都歴史文化財団へ移管するとともに、平成十九年一月には部長級の都派遣の副館長を置くなど、より一層の執行体制の強化を図ったところでございます。
 さらに、平成十九年二月には、大学教授など外部有識者から成る運営諮問委員会を設置いたしまして、外部委員の意見を反映する仕組みについても整備をしたところでございます。
 こうした体制のもと、平成十九年度以降、適切な運営が行われているところでございます。

○小山委員 今お答えをいただいた部分は、平成十八年度に歴史文化財団へ移管した、そして十九年一月には部長級の都派遣の副館長を置いた、こういった一連の執行体制の強化を図ったというような改善策を伺ったわけであります。
 しかしながら、私、今質問したように、どのような課題があったのか。その課題認識についてお答えいただけなかったのはちょっと残念であります。さらに、外部の有識者から成る外部委員会を設置して、この意見を反映する仕組みもつくられたということでありますが、先ほど質問の中でさせていただいたように、さまざまな課題があったと。その課題がどのように改善が図られたのか、少し詳しくお聞きしたいと思います。
 まず、十九年の第一回定例議会でも一つ問題になっていた点といたしまして、展示会の契約についてがございます。特にこの十九年の第一回定例議会では、特定の会社への随意契約、名前が既に出ておりますので申し上げますが、スーパー・ファクトリーという会社への随意契約が特命随意契約で占められていたと、こういったご答弁もありましたけれども、こういったそれぞれの質疑のやりとりの中で、その後改善をされたかどうか。この特定会社への随意契約が目立っていたことが、その後どう改善されたのか、お伺いさせていただきます。

○桃原文化振興部長 ワンダーサイトにおきます展覧会の会場設営などの委託契約等の状況でございますけれども、これらの契約につきましては、歴史文化財団の財務規程に基づいて実施をされているところでございます。
 同規程によりますと、百万円以上の契約は競争入札により事業者を選定することとなっており、百万円未満のものにつきましても、随意契約によることができるとされておりますが、三十万円以上の契約につきましては複数の事業者から見積書を徴取した上で契約を結ぶということになっているところでございます。ワンダーサイトにおきましても、この規程にのっとりまして適切に契約の事務手続を行っているところでございます。

○小山委員 今お答えの中で、歴史文化財団の財務規程に基づいて実施をされているということですけども、それでは具体的にちょっとお聞きしたいのは、当時、平成十六年、過去五カ年ということですね、五カ年の契約状況、そしてそのうちに占める随意契約、入札あるいは特命の状況も含めてお答えいただきたいのと、もう一点は、その随意契約や特命に占める--先ほど申し上げましたように、一者が独占し得るような状況があったということでもありますので、その内訳も含めてお答えいただきたいと思います。

○桃原文化振興部長 展覧会等の委託契約の件数でございますけれども、平成十六年度は六件契約がございましたけれども、うちすべて随意契約として行っております。十七年度は九件で、そのうち随意契約につきましては二件、特命につきましては七件。十八年度につきましては全体が十六件でございますが、うち十件が随意契約となっておりまして、そのうちの六件が特命契約。平成十九年度は全体が十二件でございまして、うち随意契約が十一件でございます。二十年度は全体が十五件で、うち十二件が随意契約ということになってございます。

○小山委員 今それぞれ契約の状況をお伺いしたわけでありますけども、十六年から二十年の推移をお伺いしました。実際の数字からすると、それほど大きな改善点が見られるとはなかなか考えにくい状況にあろうと思います。それからもう一点、お答えいただけなかった、それぞれ随意契約等々に占める独占率、一者から成っているのかどうか、こういった点についてどうですか。再度お伺いさせていただきます。

○桃原文化振興部長 ただいま小山委員お尋ねの特定の会社についての状況でございますけれども、平成十九年度の契約件数十二件のうち随意契約は十一件あると申し上げたところでございますが、平成十九年度におきましては九件がその会社ということになってございます。
 これが、平成二十年度でございますけれども、全体の契約件数が十五件ございましたけれども、こちらも九件、この会社が契約締結したというところでございます。ただ、こちらにつきましては、先ほど申し上げたとおり、財団の財務規程にのっとりまして複数業者からの見積もりを徴取した上で、この業者が落札をしたということでございます。

○小山委員 お答えありがとうございます。
 今ご答弁いただいた内容からすると、もちろんきちんと財務規程に沿ってこの契約がなされているということで、しかしながら、実際の内容としては、実態としては、十一件の随意契約のうち九件が、そして二十年度においては、やはり十二件のうち九件がこの一者によって占められている。これが果たして適切な状況であるかどうか、私は非常に疑問を抱かざるを得ないと思います。
 これは、この十九年の第一回の定例議会でもさまざま議論がされたことでありますので、引き続きこの点については、私ども民主党も関心を持って取り組んでまいりたいと思います。
 続いて、その組織改正が行われたということがありますので、ある程度の一定の適正化が図られたということは理解いたします。しかし、そのトップである館長が数次にわたって再任をされておりますが、これはどんな評価があって再任をされたのか、お伺いいたします。

○桃原文化振興部長 トーキョーワンダーサイトの館長の任命でございますけれども、江戸東京博物館や東京文化会館など他の文化施設と同様に、館長の設置要綱を歴史文化財団の方で定めまして、これに基づきまして理事長の方が任命を行っているところでございます。
 この規定の上では、形式的には任用期間一年ということになってございますけれども、文化施設の館長である方の人事につきましては、質の高い文化芸術の創造、発信、そういった使命を適切に果たしていくという、このような文化施設の使命の特性から、本来、中長期的に考えるべきものというふうに思われます。同要綱におきましても、任命の条件といたしまして、現代芸術に係る若手の育成、支援事業に関しまして豊富な知識、経験を有する者であることが規定されてございます。
 今村館長につきましては、ワンダーサイトにおける若手アーチストの育成と多様なプログラムの展開で実績を上げていることが、この条件を満たしたものと財団の方で認めて、任命したものと聞いているところでございます。
 都といたしましても、この選任手続については適切なものであったと認識をしております。

○小山委員 今お答えをいただきました中に、財団として、そして東京都としても、この人事は適切であったというふうにお考えになられていると。私も実は昨日、今村館長とお話をさせていただきました。お話を伺いますと、確かに、芸術文化の振興、そして教育だとか、あるいは人権だとか、平和だとか、こういった点において大変見識のある方であることはよくわかりました。
 それでは、その館長のもとで、その後、このワンダーサイトがどのように運営改善がなされたのかをお聞きしたいと思います。来場者数や開催数につきまして、今のワンダーサイトの実績はどうなっているのか、お伺いします。

○桃原文化振興部長 トーキョーワンダーサイトの事業につきましては、一般的な美術館とは若干異なりまして、若手アーチストの育成を図っていく観点で、展覧会に加えまして、滞在型のプログラムであるとかワークショップなど、多様な事業を展開しているところでございます。
 そのため、その事業実績を、入場者数のみをもってはかることはなかなか難しいものであると考えてございますけれども、入場者数につきましては、渋谷のワンダーサイトが開設された平成十七年度には約八千六百人であったものが、平成十九年度、二十年度におきましては、本郷、渋谷、青山の三館を合わせまして三万人を上回る規模まで増加をしているところでございます。
 アーチストの参加の指標でございます制作発表の機会の面から見ましても、展覧会の開催やキュレーター育成のための企画公募展など、プログラムの開催の日数につきましては、平成十七年度には四百五十日であったものが、平成十九年度、二十年度におきましては約八百日と増加をしているところでございます。このほか、平成二十年度からは複数の大学と、若手クリエーターの育成、支援などに関しまして連携協力を行う協定を締結するなど、さらに事業の充実を図っているところでございます。

○小山委員 お答え承りました。単に来場者数、入場者数だけでは、この事業そのものを評価できないだろうというお考えだということはよくわかりました。
 開催日数の部分でお伺いしたところ、十七年度が四百五十日、それが十九年度、二十年度になると八百日にふえているということであります。昨日私が今村館長とお話をさせていただいた際、青山に関しては、実際公開をするのは月に一回ないし二回程度、それ以外は基本的には公開をしていない、そういう状況だと伺いました。そうすると、残る本郷や渋谷でどれだけの開催を行っているのか、その点の内訳についてお伺いしたいと思います。

○桃原文化振興部長 ワンダーサイト本郷及び渋谷における展覧会等の開催状況でございますけれども、平成十七年度におきましては、開催日数が百四十日、入場者数が千八百八十九名、渋谷におきましては、開催日数三百七日で、入場者数は六千六百七十七人でございました。こちらが平成二十年度におきますと、本郷が開催日数四百七十四日で入場者数一万二千三百二十二名、渋谷ワンダーサイトが開催日数二百七十二日で入場者数が一万七千五百二十五人、このようになってございます。

○小山委員 お答えをいただいた中で、開催日数、本郷についてなんですけれども、先ほどの八百日から青山の数を引けば、当然、本郷ないし渋谷で一年の三百六十五日以上の開催日数になるというふうにちょっと考えましたので、改めてそこでお伺いさせていただきました。
 どうも聞くと、このお答えいただいた平成二十年度の四百七十四日というのは、二階と三階でそれぞれ企画展を、こういう展示を開催しているので、それを、二階、三階をそれぞれ一日数と数えている、それで四百七十四日ということでお伺いしたんですが、それで間違いありませんでしょうか。

○桃原文化振興部長 委員ご指摘の開催の日数のカウントでございますけれども、同じ館で異なる目的で事業を行うということが、ワンダーサイトの性質上、ございます。若手のアーチストの育成の場であると同時に、例えばコレクターの方が持っている現代アートの展覧会を行うなど、複数の異なる事業を開催することがございますので、それぞれを別のものといたしまして日数と人数をカウントしているところでございます。

○小山委員 今お答えの中で、開催日数のみならず、人数の方も別建てで数えられているというお答えでしたけれども、これは本来でいうと、それぞれの事業の状況をしっかりとらえるには、私はいささか問題であろうと。本郷も行ってまいりましたけども、二階、三階はもうわずか、一つの階段を上れば、同じ構造の中に二階、三階が位置していまして、そして、開催の展示も別に区分けをされているわけでもないわけであります。
 ですので、本来的にそれぞれの事業をしっかり把握するという点からいえば、この開催日数を二つに計上したり、あるいは人数を二つに計上するということは、私はいささかこれも問題ではなかろうかと。事業の性格をしっかり把握する上では、これは改めるべきではないかと思います。
 なぜかというと、これも実際お伺いしまして、きょう何人ぐらいお越しになられましたかとお聞きしたところ、こういうことをいってはいけないのかもしれませんけど、いってはいけないことになっていますというふうにお答えいただきました。本来、事業をやっている点から、この事業そのものの趣旨や目的をしっかり把握するとすれば、そういった人数の把握を当然するべき話でありますし、ましてや、それを答えられないというのは、あるいは答えてはいけないということ自体が、私はこれは問題ではないかなと。ぜひ改善方を要望しておきたいと思います。
 そしてもう一つ、青山も同じです。青山に伺ったときに、確かにいろんな点からセキュリティーの問題はあるでしょう。しかしながら、ここもふだんなかなか気軽に行けるような場所ではありません。オートロックになっていまして、オートロックで確認をしたら、アポイントはありますかと最初聞かれました。当然私はアポイントをとっておりませんので、何度かのやりとりがあった後に初めて館内に入ることができました。本来の青山や渋谷や本郷それぞれの趣旨、目的にかなった事業にするためには、現状は乖離をしているといわざるを得ないと私は思います。
 そして、最後にお伺いしておきたいと思いますのは、このトーキョーワンダーサイトへの補助総額と各館ごとの内訳についてお伺いしておきます。

○桃原文化振興部長 都からトーキョーワンダーサイトへの補助の支出でございますけれども、東京都からは各館の運営に係る費用を支出しているところでございまして、平成二十年度は約三億五千六百万円となってございます。このうち、各館ごとの内訳でございますが、歴史文化財団がそれぞれの年度で予算を定めて執行してございまして、平成二十年度の実績でございますが、本郷が約二千二百万円、渋谷が約三千六百万円、青山が約二億九千八百万円となってございます。

○小山委員 お答えいただいたのが平成二十年度ということでありますので、十八年、歴史文化財団へ移管された後の十八、十九年度に関してもぜひお答えをいただきたいと思います

○桃原文化振興部長 平成十八年度のトーキョーワンダーサイトへの補助金でございますけれども、総額が約三億八千万となってございます。このうち各館ごとの内訳でございますが、本郷が約一千九百万円、渋谷が約三千九百万円、青山が約三億二千二百万円となってございます。
 平成十九年度でございますが、総額約三億一千八百万円でございますが、各館ごとの内訳につきましては、本郷約一千九百万円、渋谷が約三千百万円、青山が約二億六千八百万円となってございます。

○小山委員 それぞれご答弁ありがとうございます。
 今回、このワンダーサイト、私も足を運んで、つぶさに見て、いろんな点を感じたわけでありますけれども、確かに若手芸術家の育成ということ、趣旨そのものは決して悪いわけではありませんし、こういったものを大いにするのは構わないと思います。しかしながら、そういった今までの体制や、あるいは人事や、それからこの取り組みそのものに、やはり若干疑問を抱かざるを得ない部分がいまだあるのではないかなというふうに思います。
 あわせて、それぞれの館にお伺いしたときに思ったのは、なかなか人の目に触れるような場所にもないですし、それが外から来た人たちに一目でわかるような状況になっておりません。本来、芸術文化の若手芸術家の育成ということであれば、やはり多くの人に、あるいは多くの都民に触れ、あるいは多くの都民が見ることができ、多くの都民がその作品を見ることによってその芸術に触れる、そういった機会を持つことも、本来ならば、その芸術家支援と育成という意味においては大事な点ではなかろうかと私は思います。そして、これだけのお金を出しているわけですから、それが都民にしっかり還元されるものでなければならないということを申し述べておきたいと思います。
 そして、最後にその執行体制について、一連の執行体制、変わったわけでありますけれども、先ほどの第一回、最初の質疑の中で、課題、問題に対して東京都から明確なお答えがなかったのは残念でなりません。本来ならば、問題をしっかり認識した上での改善点が述べられる必要があったでしょうし、さらに、副館長に部長級の方が都から派遣されている。まさしく今お答えいただいた部長と同格の方がそこに副館長として行っていらっしゃる。それまで、こういった一連の執行体制の強化というのが果たしてこの一事業に必要であったかどうかということも、あえて疑問を抱かざるを得ないということを申し上げて、この改善方、それぞれ質疑の中で申し述べましたことをぜひ改善していただくよう要望いたしまして、質疑とさせていただきます。

○松葉委員 私からは、世論調査に関連してワークライフバランスについて、また文化芸術振興について質問をいたします。
 生活文化スポーツ局では世論調査を実施されております。ホームページ上でも、現在、平成十六年からの世論調査結果が載っております。まず、この世論調査を実施する目的とテーマの設定の仕方について、確認の上でお伺いいたします。

○石原広報広聴部長 世論調査は、都民が何を考え、また何に不満を持ち、施策に何を期待しているかといった都民の意識を科学的に把握し、都民の要望や意見を都政に反映させていくために行っているものでございます。世論調査のテーマは、こういった観点から、都民生活に大きくかかわりのある課題の中から、時宜にかなったものを選定しております。また調査項目につきましても、関係部署と調整をしながら設定をしているところでございます。

○松葉委員 平成二十年度には、仕事と生活の調和に関する世論調査、また、建物の耐震化に関する世論調査、都民生活に関する世論調査がされております。その中の一つ一つの調査が、その後、さまざまな施策にどう結びついていくのかということについて、一つ一つ確認をさせていただきたいところではございますが、きょうは生活文化スポーツ局の質疑でございますので、この中のワークライフバランス、いわゆる仕事と生活の調和に関する世論調査について伺いたいと思います。
 このワークライフバランスにつきましては、とても大事な視点だと私も考えております。そこで、このワークライフバランスに関する世論調査をテーマに選ばれた理由について伺います。

○石原広報広聴部長 少子高齢化の時代を迎え、仕事や家庭生活を取り巻く状況が変化をいたしました。子育てや介護の問題を抱えた人々にとりまして、長時間労働あるいは就業環境などにより、仕事と生活を両立させにくい状況が起きているところでございます。
 平成十九年三月の男女平等参画のための東京都行動計画の改定、さらには、平成十九年十月に設置されました子育て応援とうきょう会議におきましても働き方の見直しの必要性が指摘され、このような状況の改善が都政の重要な課題となってきております。
 そこで、ライフスタイルや仕事観など、ワークライフバランスに関する都民の意識や要望を把握いたしまして今後の施策の推進の参考とするために実施したものでございます。

○松葉委員 ワークライフバランスについての都民の意識や要望を把握し今後の施策の推進の参考とするために実施したものというふうに今ご答弁いただきましたけれども、では、この世論調査による都民の意識や要望について、ワークライフバランス施策を担当する部局として調査結果をどのように把握されたのか伺います。

○萩原参事 世論調査結果のうち、都民の意識や要望の全体的な傾向をあらわすものを三つほどご紹介申し上げますと、まず、今の社会は子育てや介護に優しい社会だと思うかについて聞きましたところ、優しくないと感じる人が六七%となっております。次に、ワークライフバランスの実現度については、仕事と仕事以外の生活のバランスがとれていると思うかと聞いたところ、バランスがとれていると思う人は五四%であり、ようやく過半数を超える状況でございます。また、すべての人が柔軟で多様な生き方を選択できるようにするためにワークライフバランスを進めていくという意見については、進めるべきと思うという人が八〇%となっております。

○松葉委員 世論調査の結果から、ワークライフバランスを実現し、子育て、介護に優しい社会を実現していくということは少子高齢社会においては喫緊の課題であるというような、課題がはっきりと示されているといえるのではないかなというふうに、私もこれを読ませていただきまして、ホームページに載っておりますので、実感をしたところでございます。
 子育てということに関していいますと、当然、出産育児休業の期間に限定されるものではありませんし、小学生、中学生になっても、学校行事やPTA活動といったものに参加できる環境づくりというのが大事だと思っております。
 よく日本の昔話というのは、昔々あるところにおじいさんとおばあさんがいましたというところから始まって、他人の子どもを育てるという、桃太郎とか、かぐや姫というのがあって、そういった祖父母力というものも今、社会の中では大事ではないか、子どもというものは社会全体で育てていくべきではないかという議論もございますし、また、そういう環境を整えていくということは非常に大事だと思っております。
 ですけれども、その一方で、両親が子どもたちに対して、自分の子どもだけではなくて、子どもたちに対して責任を果たしていくことができる環境をつくっていくということは、また一つ大事な、もう一方では大事な課題であるかと思いますので、こういった部分も含めたワークライフバランスの社会的な喚起というものが必要であるというふうに思います。
 また、介護を抱えている方、また、今、WHOの試算によりますと、世界人口の約三%から五%がうつ病を病んでいらっしゃるという試算もございますので、そういった対策から含めても、このワークライフバランスの実現は重要な問題であると私は考えております。
 そこで、社会全体にその理解が広まっていくことが必要と思いますが、どのような取り組みをされているのか伺います。

○萩原参事 ワークライフバランスへの理解を社会全体に浸透させていくため、これまで、教育関係団体、市民団体など三十一団体が参加する東京都男女平等参画を進める会において、社会全体での推進についてご議論いただき、それぞれの団体での取り組みを進めていただいてきたところでございます。
 また、十九年度からは、八都県市共同の取り組みとして、変えてみよう働き方をキャッチフレーズに、各種のキャンペーンを実施してまいりました。
 さらに、今年度新たにウエブサイト「TOKYOワーク・ライフ・バランス」を開設いたしまして、都民への情報発信を強化いたしました。このサイトでは、先ほどの世論調査結果から、ワークライフバランスの認知度が低いことが明らかになったために、ワークライフバランスとは何かという用語の説明から始めまして、基本的なQアンドA、企業の先進的な具体例などを掲載し、毎月内容を充実させていくことといたしております。
 これらの取り組みを総合的に展開し、ワークライフバランスの推進に向けた社会的機運を醸成してまいります。

○松葉委員 世論調査の結果を生かして、ワークライフバランスの推進のためにさまざまな取り組みが進められているということでございました。こういった都民の要望や意見を正確に把握し、それを反映した施策の展開は重要であると思いますので、まず、こういった世論調査から施策への展開といった角度からも、またさらなる施策の展開をやっていただきますように要望いたしておきます。
 次に、東京の文化芸術振興について伺います。
 東京には豊かな伝統文化があり、すぐれた芸術活動や文化施設も数多く存在しております。また、世界的に活躍する一流の芸術家や専門家が東京にはたくさん集まっております。東京都では、「十年後の東京」において、東京から世界へ新たな文化の創造、発信への取り組みを施策として掲げ、平成二十年度から東京文化発信プロジェクトを展開しておられます。このプロジェクトは、東京芸術文化評議会において、東京の文化政策の基本戦略や、また、残念ながら二〇一六年のオリンピックの東京招致は実現できませんでしたけれども、オリンピック文化プログラムの検討を踏まえて、世界に向かって東京の文化の発信力を高めていくための事業と理解をいたしております。
 そこでまず、東京文化発信プロジェクトの実施状況について伺います。

○桃原文化振興部長 東京文化発信プロジェクトは、世界における東京の文化面でのプレゼンスを確立することを目指すために、東京ならではの芸術文化の創造、発信と、芸術文化を通じた未来を担う子どもの育成の二つを柱といたしまして、東京芸術文化評議会からの提言をもとに平成二十年度から立ち上げたものでございます。演劇、音楽、伝統芸能、美術、写真、映像などのさまざまな分野にわたる合計約二十の事業を、都立文化施設、芸術文化団体、NPOなど多様な主体との連携のもとに展開を図っております。
 このうち、芸術文化の創造、発信といたしましては、例えば演劇の分野では、池袋を中心とした国際的演劇祭フェスティバルトーキョー、写真、映像の分野では、東京都写真美術館で開催された恵比寿映像祭、音楽の分野では、東京都交響楽団によるハーモニーツアーや音楽イベント東京ミュージックマラソンを実施したところでございます。
 また、子どもたちの育成に関する事業といたしましては、演劇やダンスを体験するパフォーマンスキッズ・トーキョーや、伝統芸能の分野におけるキッズ伝統芸能体験を実施しております。

○松葉委員 さまざまな取り組みがスタートしているわけでありますけれども、この二つの目的のうちの、まず一つ目の芸術文化の創造、発信を目的とする事業のうち、特に音楽分野について伺います。
 音楽分野のフェスティバル事業として、二十年度は東京ミュージックマラソンが十月一日の国際音楽の日などに合わせまして都内各地で実施されたということを承知いたしております。国際音楽の日は、二十世紀最高峰のバイオリニストであるメニューイン氏が提唱されまして、国際音楽評議会によって十月一日と制定されたものでありますが、我が党が、この日に合わせて東京でも音楽のイベントを開催すべきと提唱いたしまして、実現に至ったもので、音楽を通じた文化の創造、発信や、国際交流を目指す東京の取り組みとして高く評価するものでございます。
 そこで、これまでの実績とその成果を踏まえ、今後どのように事業展開を図っていくのか伺います。

○桃原文化振興部長 平成二十年度の事業につきましては、十月一日の国際音楽の日に合わせまして、東京文化会館を初めとする都内延べ五十カ所以上の会場でプロやアマチュアによるライブイベントを数多く開催いたしまして、多くの方にお越しいただいております。この催しでは、ジャズやポップス、クラシックなど、多様なジャンルにわたる多彩なコンサートを実施いたしまして、文化や価値観が混在する東京ならではの音楽イベントとして、世界に向けた発信の機会となったものと考えております。
 平成二十一年度は、東京ミュージックサークルと題しまして、イベントの発信力をより高めていくため、九月下旬から国際音楽の日である十月一日までの五日間にわたり、都内各所で集中的に多様なジャンルの音楽イベントを実施いたしました。
 今後とも、音楽の分野におきまして東京の発信力をさらに高めていくよう、さまざまな音楽イベントとの組み合わせなど、工夫を凝らしながら内容の充実を図ってまいります。

○松葉委員 この国際音楽の日を提唱しましたユーディ・メニューイン氏は、このように趣旨の話をされております。昼間いろいろな仕事をする人々が夜は弦楽四重奏を演奏する、そういう社会が理想です、そういう趣旨の言葉を残しておられますけれども、今回の東京ミュージックマラソンにつきましては、そういった世代、ジャンルを超えて、プロとかアマとか、そのようなことも超えて、音楽で人と人とをつなぐ祭典として持たれたと認識しておりますけれども、こういったイベントにつきましては、今後もぜひとも推進していただきたいということを改めて要望させていただきます。
 次に、二つ目の、未来を担う子どもの育成を目的とした事業について伺います。
 子どもたちが芸術文化に親しみ理解を深めることは、子どもたちの豊かな感性をはぐくむと同時に、次世代を担う子どもの健全な育成にも寄与するという点で重要であると考えます。小学校や地域の文化施設で子どもたちが一流の芸術家と触れ合うという経験は大変貴重であります。そのこと自体が、各分野での文化芸術のすそ野を大きく広げて、文化芸術振興につながっていくと思うからでございます。
 そこで、舞台芸術のジャンルについてはどのような取り組みが行われているのか、その実施内容と成果について伺います。

○桃原文化振興部長 副委員長ご指摘のとおり、子どもたちに芸術文化を体験する機会を提供することは大変重要なことと認識しているところでございます。文化発信プロジェクトにおきましては、音楽、舞台芸術、伝統芸能などの分野で子どもを対象とした体験型に取り組んでおりますが、舞台芸術の分野におきましては、パフォーマンスキッズ・トーキョーを立ち上げまして、平成二十年度におきましては、小学校や文化施設、合計七カ所で約三百六十人の子どもたちが、プロの演出家、振りつけ家から直接の指導を受け、演劇やダンスのオリジナル作品を創作するなど、その成果を発表しております。
 この事業に参加した関係の学校現場や保護者の方々からは、本物の芸術に触れるよい機会となった、ふだんは引っ込み思案な子が積極的に表現をしていた、集中できない子が夢中になっていたなど、高い評価をいただくとともに、ぜひ今後とも継続してやってほしいというご要望をちょうだいいたしております。
 一流の芸術家と触れ合い、身体を使いながら自分で考え表現するという経験を持つことは、子どもたちの創造性やコミュニケーション能力を高めるという点においても高い効果が得られたものと認識しております。

○松葉委員 東京文化発信プロジェクトは、多彩な東京の文化を世界に発信するとともに、芸術文化を通じた子どもたちの健全育成という重要な目的に沿って事業展開が図られているというふうに改めて理解いたしました。
 世界における東京のプレゼンスを確立するという使命は、東京の文化政策の基本的な使命であり、オリンピック招致の結果に左右されるということはあってはならないと考えております。この事業を一過性のものとして終わらせることなく、今後も着実に事業を進めていただきたいと強く思っております。
 最後に、本事業についての今後の都の考え方を伺い、質問を終わります。

○桃原文化振興部長 東京が、都民自身はもとより、世界が文化的魅力を感じる都市となっていくためには、東京の存在感を示す国際的な芸術フェスティバルや、芸術文化を通じた次世代育成を進めていくことが重要であると認識しております。
 都といたしましては、東京文化発信プロジェクトを立ち上げたことにより、東京の文化の潜在力を顕在化させ、国内外に一定のインパクトを示すことができたものと考えております。
 しかし、こうした取り組みにつきましては、ようやく緒についたところでございまして、副委員長ご指摘のとおり、これらの政策目標を達成していくためにも、本プロジェクト事業を一過性のものとして終わらせることのないよう、これまでの成果を踏まえ、今後とも事業の着実な実施に努めてまいります。

○尾崎委員 私は、消費者生活行政についてと、また後ほど東京マラソン、これは環境からの視点で何点かお伺いさせていただきたいと思います。
 先ほど、この消費者生活行政については何人かの先生からもご質問ございましたけれども、今この経済の悪化が進んでいる状況の中で、日本の社会状況、とりわけ首都東京の社会状況というものは非常に厳しいものであると認識をいたしているところであります。都民生活をしているすべての方、中小企業の経営者だとか、例えばそこで働く方々、こうした人たち、仕事がなくなってしまった人、さまざまな理由で経済的に困窮している、こうした人たちが消費者金融にお金を借りにいくということは、想像にかたくないわけであります。
 そうした消費者金融でお金を借りた結果、多重債務に陥ってしまう。これは、昨年のリーマンショックに端を発して、都民の生活をめぐる環境は大きく変わっているものと認識をしております。派遣切りなどの雇用危機はいうまでもなく、中小零細企業の経営危機等を背景とした多重債務者の増加や、また、商店街のシャッター通り化による地域コミュニティの崩壊等、都民生活のさまざまな場面で厳しい実態があらわれていると思っております。
 自殺者の数も、東京は平成十九年度で三千四十七人、平成二十年度で二千九百四十一人と、毎年三千人近くが亡くなられているわけであります。こうした自殺のことについては、これは福祉保健局の管轄でありますから多くは申しませんけれども、その予備軍ともいうべき方々の多くが生活相談窓口を訪れていることをかんがみれば、消費者生活行政の役割は極めて重要なものであると考えるところでございます。
 こうした中で、この多重債務に関する相談、これは先ほどもお話をしましたが、リーマンショック以降、非常にふえていると思うわけでありますけれども、昨今の都内の多重債務相談の状況と具体的な相談事例についてお伺いいたします。

○清宮消費生活部長 多重債務問題でございますが、いわゆる多重債務者といわれる方は、一人当たり五件以上の借り入れをしている方の数でございまして、この二年間でそれ自体は全国では三分の一近く減っているというふうに、金融庁の調査によればなってございます。一方では、一件または二件の借り入れをしている方の数が増加傾向にございます。
 東京都の消費生活総合センター及び区市町村の消費生活センターに寄せられました平成二十年度の多重債務に関する相談は七千九百五件、前年度の七千四百八十四件よりは四百二十一件、五・六%増加しておりまして、ここ数年は七千件台で推移しているところでございます。
 具体的な相談事例でございますが、例えば、生活苦のために借金をし、十年前から銀行キャッシングのほか六社から借り入れをし、総額五百五十万円となってしまった、子どもが三人いて、妻はパートの勤めを始めたというものや、十数年前から生活費のため借りては返すの繰り返しで、三つの会社から二百二十万円の残債がある、夫は年金受給者であるといったような内容の相談が寄せられてございます。

○尾崎委員 全国的に、多重債務の方からすれば、金融庁の調べではちょっと減少しているということで、一件、二件の債務の方々はふえているというお話だったわけでありますけれども、でも、この東京においては、今、部長の方からも話があったとおり、多重債務に関してはふえている、増加をしている、まだまだ深刻な状況にあると思われるところであるわけであります。
 じゃ、消費生活総合センターでは、この多重債務の問題の相談を受けた場合どのような対応をしているのか、お伺いいたします。

○清宮消費生活部長 東京都では、多重債務相談者の方が適切に解決に結びつくよう、都及び区市町村の消費生活センターから弁護士会等の法律専門相談窓口に確実につなぐ仕組みでございます東京モデルを平成二十年度から開始しているところです。
 具体的には、都の消費生活総合センターでは、相談員が任意整理や自己破産などの多重債務整理の方法について丁寧に説明をし、相談者の状況に合わせて、弁護士会や司法書士会などを適切に紹介しています。専門家の窓口と連携しながら、相談の予約を確保し、問題解決の方向性が定まるまで相談員が確実にフォローしているところでございます。
 さらに、区市町村とともに特別相談多重債務一一〇番を年二回実施するなど、多重債務相談の体制整備に努めているところでございます。
 総量規制の導入や上限金利の引き下げ等の改正貸金業法、それが来年の六月までに完全施行されるという一つの状況と、こうした東京都の相談体制の効果とが、五件以上の借り入れをしているような多重債務者の数の減少には貢献しているところかなと考えてございます。

○尾崎委員 多重債務の問題解決のためにさまざまな努力をされているというのは、私も今の答弁を聞いて非常に理解をするところでありますし、今後も引き続きそれは行っていってもらいたいと思うんですが、例えば、相談に来られた方に対してはそうした対策をとる、ただ--別に私の周りに多重債務者が多いというわけじゃないんですけれども、議員をやっていれば、いろいろとそうした相談もあるわけですよね。それで、東京都でこうしたシステムがあるから、ぜひこういうところへ相談に行ってもらいたいと。それは、相談に来れば、私も弁護士を紹介したりだとか、そういうことをしますけれども、やっぱりまだまだ、今こういう相談窓口があるということを知らない方々もいるわけであります。それで、いろいろと話を聞いていると、例えば認可登録をしている貸金業者、消費者金融等から借りている人たちだけではなくて、いわゆる認可登録をしていないヤミ金業者ですね、こうしたヤミ金業者では、十日に一割なんていうのは一昔前の話でありまして、もう今は十日に五割だとか、一日で金利が倍になってしまうソクイチだとか、こうした非常に違法な、法定金利を超えた金利で貸し出しをしている業者が、今、東京では横行しているという話も聞いております。そして実際にその被害に遭われた方々も、私もお会いしております。
 そうした方々が実際、頼みの綱として頼みに行く、その一例として、お金を払い過ぎちゃって、過払いをしてしまって、それで過払い請求を弁護士に頼んで、今まで払い過ぎてしまった金利を返してもらうという、今はそういうシステムがあるわけですけれども、その相談をしに行った弁護士が過払い金を、これはもちろん依頼をされて、その違法な業者からそれを返してもらうわけですけれど、それをその依頼をされた依頼人に返しもしないで、そのままどこかに、いなくなってはいかないんでしょうけど、そのまま返さないで済ませてしまうという、こうした相談事例も実際あると聞いております。
 これは弁護士会なんかでもいろいろと問題にはなっていることだと思うんですけれども、例えば消費者金融相談、この中で、ヤミ金の問題は産業労働局でも窓口があると聞いていますが、この産業労働局だとか、また事件になれば警視庁が出てくるわけでありますけれども、相談者の方からすれば、わらにもすがる気持ちで相談をしに来るわけでありますから、そこが窓口だからうちでは対応できませんよとか、そうしたことは多分していないと思いますけれども、ぜひこれは横断的な都庁の中で対応していただくことをお願い申し上げる次第でございます。
 ところで、この消費者金融の相談だけではなくて、詐欺まがいの手口で英会話の教材を買わされるだとか、若者の消費者トラブルがかなり多いということも聞いております。最近の相談のそうした状況と被害防止のための都の対策をお伺いいたします。

○清宮消費生活部長 消費生活相談の中の若者のご質問でございますが、二十九歳以下の若者に関する消費者相談につきましては、相談内容で見ますと、繁華街でアンケートと称して声をかけるキャッチセールスや、もうけ話で巧みに誘うサイドビジネス商法、また、就職に有利だからと学生に高額な英会話教室を契約させる事例などが多く見られます。
 相談件数は、平成二十年度で二万六百九十一件で、相談全体の一六・五%を占めてございますが、平成十六年当時は約六万件ございまして、それに比べると大きく減少はしているところでございます。
 この間、東京都としましては、関東近隣県九県や五つの政令指定都市及び二十三区、二十三市等と合同で特別相談若者のトラブル一一〇番を実施しますとともに、進学や就業に向けた一月から三月の時期に、若者向けの悪質商法被害防止共同キャンペーン等を展開してまいりました。ポスターやリーフレットの配布に加え、新宿、渋谷、立川などの三カ所の大型街頭ビジョンを活用し、イメージキャラクターを使用しましたインパクトの強いメッセージを放映しているところでございます。また、若者をねらった悪質事業者につきましても、必要なものについては処分をしてきたところでございます。

○尾崎委員 社会経験の浅い若者のトラブルが多い一方で、やっぱり振り込め詐欺などにも見られるように、高齢者の消費者被害というものも増加をしているわけであります。そしてまた、その被害状況も深刻であると聞いておりますけれども、東京都は、私もホームページをちょっと見たんですけれども、高齢者被害者対策として、ホームページ等を初めとしてさまざまな普及啓発を行っていると思います。
 ただ、やっぱり高齢者の方はホームページは余り見ないと思うんですよね。それを見ないで、自分にそういう被害が起こって、どこに相談に行っていいかわからないという方々もかなり多くいらっしゃると思うんです。だから、例えば介護事業者や民生委員など、周りにいる人々のサポートがそういうときに非常に必要になってくると思うわけであります。
 そこで伺うんですが、高齢者の消費者被害防止のため都ではどのような取り組みを行っているのか、お伺いいたします。

○清宮消費生活部長 東京都では、高齢者の消費者被害が深刻なことから、消費生活総合センターに平成十八年度に、一般相談窓口とは別に高齢者被害一一〇番を設置いたしました。また、高齢者はひとり暮らしの方も多く、社会とのコミュニケーションも希薄であり、インターネットを初めとするホームページなど、情報媒体にも接する機会が多くないということも考えられます。こうしたことから、高齢者被害一一〇番とあわせまして、民生委員やホームヘルパーの方などが高齢者被害を通報できる高齢消費者見守りホットラインを開設し、きめ細かい相談体制をとっているところでございます。
 また、平成十九年には、高齢者の消費者被害防止のための地域における仕組みづくりガイドライン、これを作成いたしまして、区市町村において、地域包括支援センターなどの高齢者を見守る人たちとの仕組みづくりを促進しています。既に都内の十九区、十九市で仕組みができているところでございます。
 さらに、毎年九月には高齢者被害防止キャンペーン月間と定め、ポスター、リーフレット、交通広告等による啓発を行うとともに、八都県市が国民生活センター等と合同で高齢者被害特別相談を実施するなど、さまざまな取り組みを進めているところでございます。

○尾崎委員 お話を伺っていて、さまざまな取り組みをされているというのは非常に理解するものでありますし、認識をいたしました。
 だけど、さっきも申し上げましたけれども、要はその周知の問題でありまして、さまざまな取り組みをしていて、せっかくそうしたシステムがあるのに、やはりそれを知らない人たちがいるわけですから、ここにどうやって周知をしていくかということも、ぜひこれからも検討課題として取り組んでいただきたいということをお願いして、次の質問に移ります。
 続きまして、東京マラソンについてお伺いいたしますが、この東京マラソンも、もう三十一万人を超える応募があるなど、大変な人気イベントとして三回も実施されまして、定着をしてきた感があるんですが、今後やっぱり、スポーツが人々に与える感動、このすばらしさを広く社会に還元していく取り組みが求められると私は思うわけでありますけれども、その意味で、東京マラソンが行っている環境への取り組みについて何点かお伺いしたいと思います。
 ちょうど今、私たち民主党の鳩山総理も温暖化ガスの二五%削減を打ち出し、また、知事も低炭素都市東京への取り組みを今一生懸命、全都的にも、全庁的にも行っているところであると思うんですけれども、ことしの三月に行われた東京マラソンで、低炭素都市東京の実現のためにどんなことを行ったのか、お伺いしたいと思います。

○岸本東京マラソン事業担当部長 東京マラソンでは、大会の実施に伴います環境負荷の低減に向けまして、東京マラソングリーンプロジェクトを実施しているところでございます。
 内容でございますが、大会で使用する電力をバイオマス発電によるグリーン電力を用いて賄いますことや、一万人を超えますボランティア、それからスタッフのウエアを再生ポリエステル一〇〇%の素材で製作するなどの取り組みを行ったところでございます。
 二〇〇九年大会では、ご案内のとおり、ランナーの参加者が三万人から三万五千人に、率にしますと一六%ふえておりますが、ただいま申しましたような取り組みによりまして、大会に起因するCO2の排出量は二千七百三十トンとなりまして、前年比一・八%の微増という結果となっております。

○尾崎委員 今のお答えによりますと、定員を五千人、率にして一六%ふやしたが、大会に起因するCO2は一・八%の微増に抑えることができて、大会に起因するCO2排出量はおよそ二千七百三十トンということでありますけれども、東京マラソンでは、CO2の排出量についてカーボンオフセットを行っているのか、お伺いします。

○岸本東京マラソン事業担当部長 東京マラソンのエキスポ会場におきまして、寄附金つきの東京マラソンのオリジナルのチャリティーグッズを販売するなどの活動を行いまして、そこで得られました収益を、緑の東京募金を通じて海の森の植林に充てることとしております。二〇〇九年大会におきましては四千七百五十七本分の植林を行う金額が集まりまして、これによりまして、CO2排出量の約一九%をオフセットすることができたこととなっております。

○尾崎委員 やっぱり環境都市東京、そして低炭素都市東京を実現するというふれ込みなわけですから、私はもっとカーボンオフセット率を上げるべきではないかと思うわけであります。今のお話だと、海の森だけで植林をされているというお話なんですけれども、例えば東京全体でカーボンオフセットを行っていくためには、私も地元、調布ですけれども、三多摩の方ではまだまだそういった植林をできる地域はありますから、多摩でも植林の必要があると思うんですが、いかがでしょうか。

○岸本東京マラソン事業担当部長 カーボンオフセットの割合を上げていくことは、やはり当然必要であると考えております。そのため、幅広い層にチャリティーについて参加を呼びかけるなどの工夫を今後してまいります。
 また、緑の東京募金におきましては、募金の使途を寄附者が選択できますことから、植林の場所につきましても、東京マラソンの他の主催者等とも相談の上、今後幅広く検討してまいります。

○尾崎委員 ぜひこれは検討していただきたいと思います。
 それで、都においては、東京マラソンのほかにも各種の競技大会、都民が広く参加できるウオーキング大会など、さまざまなスポーツイベントを実施しております。そうしたイベントにおいても環境に配慮した取り組みを展開していくべきだと思いますが、所見をお伺いいたします。

○安藤スポーツ振興部長 スポーツイベントにつきましては、大規模な競技大会などもある一方、シティサイクリング大会のように環境に優しいイベントなどもございます。さまざまなイベントにおきまして都民に環境に配慮した行動を呼びかけることはもちろん重要でございまして、これまでも、TOKYOウオーク二〇〇九で緑の東京募金の周知を図るなど、参加者に対しまして環境問題についての理解と協力を呼びかけてまいりました。
 今後も、関係者の協力を得て、これまでと同様、スポーツイベントにおける環境への配慮に努めてまいります。

○尾崎委員 最後に、その流れなんですけれども、これから東京国体が行われるわけでありますが、この東京国体に向けていく中で、都ではこの四月に武蔵野の森総合スポーツ施設基本構想というものを策定しているわけであります。今ちょうど私の地元の調布市の味の素スタジアムの隣に、この武蔵野の森総合スポーツ施設という施設がこれからできるわけでありますけれども、これはこれから多摩地域の拠点となるスポーツ施設になるわけであります。これもそろそろ建設に着工していくわけでありますけれども、ちょうどこの間、甲州街道がこうありまして、味の素スタジアムのちょうど西側にそのスポーツ施設があるわけであります。あそこら辺一帯は都有地がたくさんあるところなんですが、ちょうどそこにポプラの並木が何本かあったんです。
 これは、ちょうど私も調布の飛田給に住んでいるものですから、その自治会の中で、そのポプラの木はぜひ残してもらいたいというお話があったんです。で、それを東京都の方にも伝えようとしたら、こういうときは異常に早くて、すぐ伐採しちゃったんですよね。これは埋蔵文化財の調査という名目で、すぐにポプラの木を伐採しないとその調査に入れないので、そのポプラの木を伐採しないとこの建設にも着工できないという理由だったんですけれども、そういう理由であれば、周辺住民にもいろいろと説明をする時間もあったと思うんですが、そういった周辺住民への説明もないまま、そのポプラの並木も切られてしまったんです。
 あの辺は、今申し上げましたけれども、まだまだ桜並木とか森林がちょっと残っている、非常にいい場所なんです。武蔵野の森総合スポーツ施設というぐらいですから、ちょうど緑とまちが融合したような、非常にいい環境にある場所なんですね。ぜひ、まだ着工する前に--で、その隣のところに、これから予定するところなんですけれども、ここも、周辺住民の方々が春になると桜の木のもとでお花見をしたりする場所がある、桜並木があるんですけれども、私、この味の素スタジアムの西側の桜並木、これはぜひ、武蔵野の森総合スポーツ施設をつくる際にも残していただきたいと思うんですが、所見をお伺いいたします。

○板垣参事 建設予定地の既存樹木に関しましては、都と地元三市で構成いたします調布基地跡地関連事業推進協議会での協議を踏まえまして、基本構想におきまして、可能な限り保存をするという方針を明らかにしているところでございます。この基本構想に基づきまして、用地西側の桜並木につきましては、調査を行った上で、その保全を行っていく予定でございます。
 なお、先ほどご指摘のありましたポプラにつきましては、埋蔵文化財調査の区域内にありまして、調査の支障となりますほか、移植も困難と判断されましたことから、土地利用構想の告示、縦覧とあわせて、住民説明会の開催等、条例に基づく手続を経て伐採を行ったところでございますので、ご理解を賜りたいと存じます。

○尾崎委員 この桜並木だけは残していただきたいということを要望して、私の質問を終わります。

○高橋委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○高橋委員長 異議なしと認め、本件に対する質疑は終了いたしました。
 以上で生活文化スポーツ局関係を終わります。
 以上をもちまして第二分科会における決算の審査は終了いたしました。
 なお、本分科会の審査報告書につきましては、分科会委員長において取りまとめの上、委員会委員長に提出いたしますので、ご了承願います。
 これをもちまして第二分科会を閉会いたします。
   午後三時二十四分散会

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