委員長 | 小磯 善彦君 |
副委員長 | 高橋かずみ君 |
副委員長 | 吉田康一郎君 |
矢島 千秋君 | |
中谷 祐二君 | |
山下ようこ君 | |
中山 信行君 | |
たぞえ民夫君 | |
野島 善司君 | |
和田 宗春君 |
欠席委員 なし
出席説明員労働委員会事務局 | 局長 | 関 敏樹君 |
建設局 | 東京都技監建設局長兼務 | 道家 孝行君 |
次長 | 影山 竹夫君 | |
道路監 | 村尾 公一君 | |
総務部長 | 藤井 芳弘君 | |
用地部長 | 角南 国隆君 | |
道路管理部長 | 野口 宏幸君 | |
道路建設部長情報基盤整備担当部長兼務 | 藤井 寛行君 | |
三環状道路整備推進部長 | 戸谷 有一君 | |
公園緑地部長 | 小口 健藏君 | |
河川部長 | 廣木 良司君 | |
企画担当部長 | 鈴木 昭利君 | |
道路保全担当部長 | 藤江 賢治君 | |
公園管理担当部長 | 三浦 紀子君 | |
参事 | 今村 保雄君 | |
参事 | 谷村 秀樹君 |
本日の会議に付した事件
平成二十年度東京都各会計歳入歳出決算の認定について
労働委員会事務局関係
・平成二十年度東京都一般会計決算(質疑)
建設局関係
・平成二十年度東京都一般会計決算(質疑)
○小磯委員長 ただいまから平成二十年度各会計決算特別委員会第三分科会を開会いたします。
本日は、お手元配布の会議日程のとおり、労働委員会事務局及び建設局関係の決算に対する質疑を行います。
これより労働委員会事務局関係に入ります。
決算の審査を行います。
平成二十年度東京都一般会計決算中、労働委員会事務局所管分を議題といたします。
本件につきましては、既に説明を聴取しております。
その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
資料について理事者の説明を求めます。
○関労働委員会事務局長 去る十月五日に当分科会でご要求のございました資料についてご説明申し上げます。
お手元の平成二十年度各会計決算特別委員会第三分科会要求資料をごらんください。
表紙をおめくりいただきますと、目次にありますとおり、ご要求のございました資料は全部で二項目でございます。
一ページをお開きください。1、審査、調整関係の取扱件数及び終結件数、過去十年間分でございます。
平成十一年度から平成二十年度までの取扱件数、その内訳として、当該年度に新たに受け付けた、うち新受け付け件数、それから終結件数を一覧にしてございます。
(1)は、審査関係の不当労働行為事件に係る件数でございます。
(2)は、調整関係のあっせん、調停事件に係る件数でございます。
二ページをお開きください。2、労働委員会費の不用額と主な不用額説明、過去十年間でございます。
平成十一年度から平成二十年度までの労働委員会費の予算現額、支出済額、その差し引きとしての不用額、そして、主な不用額説明につきまして一覧にしてございます。
以上で資料の説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。
○小磯委員長 説明は終わりました。
ただいまの資料を含めて、これより本件に対する質疑を行います。
発言を願います。
○和田委員 労働委員会は、労働組合法とか地方自治法という法律に基づいて設置義務が、それぞれ都道府県、市区町村含めてですね、場合によっては必置義務が、必ず置くという義務がなされているというふうに思います。
昨今は、ここ十年来といい、あるいは昨年のリーマンショックといい、大変不況、そして、それに基づいて労働問題、雇用問題というのが、大きく私どもの地方政治、国政も含めて、暗雲を垂れ込めさせてきているという状況があります。
それの一つの解決の窓口として労働委員会というのがあるわけであります。ここの存在なくして、労働者の権利あるいは組合そのものの権利といったようなもの、あるいは使用者側の意見、あるいは公益委員側の主張といったものが公的に陳述される場所というのはほかにないんですね、裁判とか何かは別ですけども。各自治体の持っている、労働組合法や自治法に基づく労働委員会というものの意義というのは、そういう意味で、経済界や労働界の混乱が起これば起こるほど、ここの果たす役割は重い、重視をしていくということになります。
我々東京都も、今申し上げたような各法律に基づいて、公益、労働者、使用者という意味の三部門のそれぞれ十三名から成る、都合三十九名の委員会を設置しているということであります。
それでは、それが何を仕事をしているかとなりますと、調整ですとか、あるいは判定とかというような、そういう重立った機能で、話し合い、あっせんとか調停とか、あるいは雇用問題についての訴えのようなものについての判定を下すとか、あるいは労働組合を認めるかどうかというような判定ですね。その判定と調整機能そのものを一つの仕事としながら、三十九名の委員の皆さんが公平中立に議論をしてきているというような背景があるわけです。大変地味な行政委員会ではありますけれども、働く人あるいは雇う使用者側からすると、この部門は大変重要な委員会だというふうに私どもは判定をしているわけです。
さて、そういう労働委員会そのものの、東京都の労働委員会の果たす役割について、また全国的な一つの使命というようなものについて、これから、決算の不用額を前提にしながら話を進めてまいりたいと思っています。
まず初めに、労働組合の、あるいは非組合員も含めてでありますけれども、不当労働行為の審査関係及び調整関係、先ほど申し上げた二つの機能がありますけれども、その取扱状況を伺いたいと思うんです。
それは、過去十年間の取扱件数、景気変動あるいは雇用の指数も含めて関連性があるかどうかというようなことを見ていきたいと思うんですが、とりわけ二十年度で見た場合に、全国の都道府県労働委員会が扱った件数、これに対して東京都の労働委員会の扱った件数、全国と東京都の労働委員会の扱った件数、どういう比率になっているのかということをお伺いいたします。二十年度で結構です。
○関労働委員会事務局長 平成二十年度の全国の事件取扱件数のうち、当委員会で扱いました事件の占める割合でございますが、判定というか、不当労働行為の審査事件につきましては、平成二十年度の新規の受け付け事件で、全国では三百七十四件ございますが、そのうちの九十四件、率にして二五%が東京都となっております。また、前年度からの繰越件数を含めた総取扱件数では、全国八百五十一件のうち三百五十八件、率にして四二%が東京都となっております。
次に、あっせんと調停を合わせました調整事件関係でございますけれども、同じく新規の事件につきましては、全国五百九十五件中百六十五件、東京都でございまして、率にして二八%、前年度からの繰り越しを含めた取扱件数につきましては、全国六百五十六件中百八十五件で、二八%となっております。
以上でございます。
○和田委員 この東京という環境が、事業所も多い、したがって労働者も多い、組合の数も多いという特殊事例というものがあることを背景にしながらも、調整事件に比べて、審査事件の全国に占める割合は四割強というふうな報告が今なされました。
この数字については、私は、先ほども申し上げた東京が首都というような事例を前提にしながらも、大変高い数字だというふうに思っているんです。
その四割強とした、終結の審査事件の中で、内訳はどういうふうになっているんでしょうか。
○関労働委員会事務局長 平成二十年度の終結件数は八十五件でございますけれども、このうち和解で解決したものは六十二件、当事者の都合によりまして取り下げとなりましたものは七件、審査の結果、命令という形で命令公布したものは十六件となっております。
○和田委員 件数の多い少ないは別にして、全体に占める和解の率が七三%という数字になっています。
通常の和解というのは、それぞれ利害関係が衝突した人が持ち込まれる労働委員会でございますから、本来ならば、和解ではなく、あるいは極端にいえば裁判に行ってしまったり何かというようなところが多いかなと思うんですが、この七三%の和解というのは、私もかつてこの労働委員会に着目をして、七年前か八年前にも同じような質問をしていますけど、今日的に二十年度の数字を見ましても七三%ということで、コンスタントに高い率を維持してきているというふうに思えるんです。
これは、後ほどの質問にかかわることですけれども、それでは、東京都だけがこうなのか。例えば、具体的に大阪府あるいは神奈川県といったようなそれぞれ大都市を抱える労働委員会、東京都に準ずるといっていいでしょうか、そういう労働委員会と比較した場合にどういう数字になるんでしょうか。
○関労働委員会事務局長 全国のデータは、先ほど、都の二十年度のデータを申し上げましたけど、全国は暦年という形になっておりますので、ご了承いただきたいと思います。
平成二十年につきまして見てまいりますと、全国の平均で和解となる率は、三百八件中百七十二件の五六%でございます。当委員会につきましては、先生おっしゃったとおり七三%でございますから、全国よりかなり高いと。
同じ都市部でございます大阪府労働委員会の和解となる率は、二十年は四六%、神奈川県労働委員会は四三%でございます。
そうしたことから、当委員会における和解の解決率は全国的にも相当高いものと考えております。
○和田委員 今、明らかになりましたけれども、東京都の七三%に対して、全国平均でも五六、大阪府でも四六、神奈川でも四三というふうに、断然、東京都が七三%という高い和解の率を誇っているわけであります。
これは、かねてから不可思議な数字だなというふうに、いい意味でですよ、思ってきたのが、また二十年度でも確認をされたわけでありますけれども、例えば具体的に、労使がぶつかるとします。労働委員会が命令を下して、不当労働行為の成否について判断して、例えば必要な措置を使用者側に命令した場合に、すぐに使用者側も納得して、直ちに紛争の解決--抗争といっていいか、紛争といっていいか、すぐにそれの解決につながるというふうに考えていいんでしょうか。でなければ、七三%という数字は、なかなか我々合点がいかないと思うんですが。
○関労働委員会事務局長 私ども都道府県労働委員会が発した命令に不服がある場合は、中央労働委員会に再審査を申し立てることが可能でございます。あるいは、労働委員会全体を被告として、命令の取り消しを求める行政訴訟を裁判所に提起することも可能でございます。こうした場合、東京都労働委員会の命令が確定しないことになりますので、紛争状態は最終的な解決に至っていないということになります。
ちなみに、当委員会が平成二十年中に公布した命令は、終結事件九十四件のうち十九件でございまして、和解は六十九件となりますけれども、二件を除く十七件が中労委への再審査、あるいは裁判所へ行政訴訟が提起されておりまして、これらにつきましては引き続き、二件を除きまして紛争が継続中という形が理解できるところでございます。
○和田委員 今、係争も含め、中労委へ問題、あるいは裁判所への申し立てといったような形で、東京都の労働委員会の手に余ったといいましょうか、そこで解決しない場合には持ち込む件数も含めて報告いただきました。
しかしながら、依然としてやっぱり高い解決率がそこにあるわけであります。労使そのものの話し合い、それをできるだけ早く迅速に解決すべきだという思想というか、そういう東京都労働委員会の何らかの底に流れる一つの姿勢というか、思想というか、そういうものがあるように思えてならないんです。
和解が率として七三%とか、他自治体に比べて多いというような件数を前提にしながらも、和解による解決について、労働委員会は何か特別に事件処理に関連して思い入れというか、方針というか、先ほど申し上げた思想というか、そういうものが、東京都として何か独自のものがあるんですか。
○関労働委員会事務局長 和解は、労使双方が紛争の全面解決に向けて解決内容を十分に協議し、納得した上で協定を結ぶため、労使間に結果として信頼関係が築かれ、労使関係の安定化にもよい影響を及ぼすものと考えております。
当委員会としては、和解が紛争解決の迅速性と経済性の面からもすぐれているとの理解のもと、積極的に和解に努めているところでございます。審査の迅速化を促す一方で、私どもの会長が和解の重要性につき常々発言されるなど、明確な方向性を示されており、和解による解決を促しております。これを受けまして、公労使、三者委員が和解に対して共通の理解を持って、合意の形成に粘り強く努力しております。
さらに、委員を補佐する事務局職員につきましても、和解技法の習得や事例の研究に努めるなど、委員会としての努力、工夫を重ねているところでございます。
○和田委員 私の記憶も、六、七年前の同じ労働委員会に対する質疑の中では、そこまで明らかには、今、関事務局長がおっしゃったところまではなされていません。きょうは踏み込んだ形で、労働委員会内部の、和解をあえて積極的に推進していくんだという方針が明らかにされました。このことは秘密事項でもないんでしょうけれども、やっぱり解決率の七三%につながってくる。当然公にしていい数字でありますし、公にしていい方針だろうと私は思っているわけです。
後に総括でそのことについては触れますが、私が資料要求をいたしました不用額に問題を移して、少しお話をお聞きしたいと思うんです。
これはもうかねて申し上げていたとおり、決算から見ますと、予算現額あるいは支出済額から見て、差引不用額が三千三百八十二万円余というふうになっておりまして、支出済額の割合が九四・九%、まあ九五%だということで、差引不用額がなぜこのように高額になってくるのかというふうに疑問を持ってお尋ねしました。
二十年度に限らず、過去十年間の不用額の説明を求めたところ、これも同じく、給与関係費の実績残という形でずっと十年間、管理費項目あるいは委員会費の項目の中でコンスタントに不用額が、多いときは七千九百万とか、それから少なくても三千百万とかという形で不用額が出てきているわけです。
この労働委員会そのものの持っている宿命が、ともすると人事的な、そういう給与関係に依拠した形での委員会であるということは十分承知できるわけでありますけれども、この数字が余りにも大き過ぎないかということで、なぜなのかということを、当局の側の説明をぜひお伺いいたしたいと思います。
○関労働委員会事務局長 労働委員会の不用額が発生した主な理由は、給与関係費の実績残によるものでございまして、その内訳としては、管理費の中の職員給与や職員手当の実績残でございます。
この給与の関係費は、予算案が作成されるときに、前年度の現員現給を基礎として翌年度の職員数や給料などを推計することによって積算しているものでございます。職員の異動があることなど見込み差が発生するために、一定の予備的な枠をつくるということで、給与関係費の実績残が発生するものでございます。
○和田委員 この現員現給制度といいましょうか、そういう仕組みの中で、日本における地方自治体がすべて、このような予算の成立時期と予算を組む時期がずれるものですから、当然それを組み直すということはできません。もちろん補正予算というわけにもいかないわけです。新年度前の予算の議決と、その前に行政側の予算の組み上げというものの時差が出てくるために、どうしてもアローアンスをとって、そこに過員という形で組まざるを得ないという仕組みがあります。これは、一にかかって労働委員会に限りません。東京都もそうですし、あらゆる自治体が同じ議会暦といいましょうか、年度暦の中できゅうきゅうとしているわけですが、しかし、とりわけ労働委員会は人件費が多いものですから、私もあえて指摘をせざるを得ないような形での三千四百万円の二十年度の不用額が出てしまったということで、同情すべき、また配慮すべき数字かなと思うんです。
しかしながら、これも、単年度で決済しようというような形の単年度主義でいえば、この問題があるんですが、民主党の私どもも、国においても、単年度会計に余りこだわらずに、複数年度でもいいんじゃないかという議論も今投げかけているところです。そうなると、ここの過員の問題などもある意味では解決がつくというふうに思うわけでありますが、抜本的にこの問題については、我が党として、地方の行政における過員処理の問題についても、国ももちろん考えますけれども、取り上げていきたいというふうに--決算推移だけを見ると、私どものように誤解をしやすいというか、内実に迫ってみないと、なぜ不用額がこんなに多いのかというような形になりかねませんので、そんなことをあえて申し上げて、改善方は、ひとつ皆さん方だけにとどまらず、行政システム全体の改善をしなければできないものだというふうに思います。
しかしながら、やはり皆様方が今置かれている環境の中でも改善をお願いしなきゃなりません。特に、七千九百万とか、あるいは六千三百万とかというように高額な不用額をかつて委員会の方でも出されております。その辺のところは、例えば、今いる方よりも勤務年数等高い方がいらっしゃれば、当然その分給与が上乗せされなきゃならないので、その余裕をとって、人数もそうですし、単価も含めてとっておかなきゃならぬということからくる安全措置としての不用額にならざるを得なかったという点はわかるんですけれども、しかし、それでも、かつて七千九百万とか、あるいはそういう申し上げたような数字が出てくるというのは、できる限り運用の機微を使っていただいて、この不用額が出てこないような工夫をぜひしていただきたいというふうに思うんです。
給与関係費の実績残というようなことについては、今、関事務局長の方からお話をいただいたんですが、今の、国を含め地方自治体の単年度会計を改善するということを前提にしながらも、当面どういうふうな形で、この問題について工夫、努力、解決を求めようとされているのか、お伺いいたします。
○関労働委員会事務局長 不用額の残が必ずしも好ましいものとは思っておりません。ただ、既に資料をごらんいただければわかりますとおり、平成十一年度から、予算現額を含めて年々額が減少しておりまして、この中で執行率の残も極力減らす方向で、縮小均衡の中でさらに縮小する形で予算執行額を落としているということについては、ご理解いただきたいと思っております。
執行率については、過去十年間九〇%以上となっておりますし、平成二十年度については九四・九%となっております。今後もさらにこうした点を配慮しながら、最終的には予算のあり方等の検討は別途必要なのかとは思いますけれども、着実な予算執行に努めてまいります。
○和田委員 確かに数字を見ても、十八年、十七年あるいは十六年度、五千万を切るような形で努力をされているのはわかりました。しかしながら、より努力を求めて、今回の質問をさせていただいたわけであります。
最終的なまとめをいたしたいと思うんですが、この不用額の問題は、緊張した財政運営をお願いしたいということが一点ですが、労働委員会そのもののありようの、和解率が七三%といったような数字を、このまま東京都労働委員会の姿勢としてとどめておくのではなくて、やはり全国の労働委員会の発言の場、あるいは十一都道府県の労働委員会といったような広域の情報交換の場があるわけでございますから、そこに機会があれば--東京都の労働委員会そのものの姿勢、和解を極力、会長も含めて努力をしてきて今日の実績になったというようなことを含め、全国の好ましいモデルだと私は思っております。そういう意味での先駆けとしての情報公開なり、あるいはその仕組み、ここで明らかにできない技術的なテクニックのようなものもあるかもしれませんけれども、自信を持って全国に発信をしていく東京都の価値のある行政運営の一つが、労働委員会の今までの和解率七三%という、六、七年前からずっと保ってきている、和解を中心にした労働委員会の姿勢という形で、私は大変評価をしているものですから、決算のこの時期に、あえて行政全体の決算も含め、皆さん方に申し上げて、必ずや幅広く全国の労働者や使用者側も含め、それぞれが和解という解決に持っていく中で、殺伐とした裁判事件といったようなことの件数が減ってくる、お互いが納得をした形での話し合いで物事が決まっていくことによって、労働委員会そのものの存在理由もしっかり拡充されていくだろうということを申し上げて、私の質問を終わります。
○小磯委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○小磯委員長 異議なしと認め、本件に対する質疑は終了いたしました。
以上で労働委員会事務局関係を終わります。
○小磯委員長 これより建設局関係に入ります。
決算の審査を行います。
平成二十年度東京都一般会計決算中、建設局所管分を議題といたします。
本件につきましては、既に説明を聴取しております。
その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
資料について理事者の説明を求めます。
○藤井総務部長 去る十月七日の当分科会におきましてご要求のございました資料につきまして説明申し上げます。
お手元の平成二十年度各会計決算特別委員会第三分科会要求資料をごらんください。
表紙をおめくりいただきますと、目次に六件の資料の件名が記載してございます。この順番に従いましてご説明申し上げます。
一ページをお開きください。都が管理する庭園の収入と入園者数でございます。
この表は、各庭園につきまして、平成二十年度における収入と入園者数をあらわしたものでございます。
二ページをお開き願います。都立公園における指定管理者への支出額でございます。
この表は、都立公園につきまして、平成二十年度における指定管理者及びその支出額をあらわしたものでございます。
三ページをお開き願います。骨格幹線道路(主要路線)の予算・決算額の推移でございます。
この表は、骨格幹線道路の整備につきまして、平成十六年度から平成二十年度までの予算額と決算額の推移をあらわしたものでございます。
四ページをお開き願います。主な都立公園の駐車場利用実績でございます。
この表は、平成二十年度において駐車場利用実績上位の十公園につきまして、平成十六年度から平成二十年度までの駐車場利用実績をあらわしたものでございます。
五ページをお開き願います。直轄事業負担金の決算額の推移でございます。
この表は、直轄事業負担金につきまして、平成十一年度から平成二十年度までの道路、河川及び公園の決算額を財源別にあらわしたものでございます。
六ページをお開き願います。建設局に係る中小企業への工事発注実績でございます。
この表は、当局が中小企業へ発注いたしました工事請負及び工事に関する委託につきまして、平成十一年度から平成二十年度までの件数と金額をあらわしたものでございます。
以上で、ご要求のございました資料の説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。
○小磯委員長 説明は終わりました。
ただいまの資料を含めて、これより本件に対する質疑を行います。
発言を願います。
○吉田委員 よろしくお願いします。
私からは、まず、さまざまな工事の発注を行っていらっしゃる建設局において、工事の不調という問題についてお伺いしてまいります。
建設局が行うさまざまな事業は、東京をさらに機能的で魅力的な都市へと発展させていくために極めて重要でありますことから、早期にその事業効果を発現させていくことが不可欠であります。この事業効果を早期に発現させるためには、まず一つ一つの工事が着実に施行されることが基本であります。
このときに、工事をせっかく発注しても落札業者が決まらない、すなわち不調ということになりますと、工事の着工時期がおくれるなど、完成を待つ地元の住民にも迷惑をかける、こういうことになります。
このような観点から、建設局における不調、まず平成十八年度から平成二十年度までの三年間について、不調となった件数はどのくらいであるのか伺います。
○鈴木企画担当部長 建設局における不調の件数でございますが、平成十八年度が百十五件、十九年度が百四十三件、二十年度が百四件でございます。
○吉田委員 ありがとうございます。
十九年度から二十年度にかけて少し減少しておりますけれども、まだ百件余の不調が続いているということであります。
これは先ほど申し上げたように問題でありますので、建設局では不調に対してさまざまな取り組みをしていると伺っております。その中の一つとして、昨年四月から見積積算方式、これを導入しているとのことでありますので、この方式の概要についてお教えください。
○鈴木企画担当部長 見積積算方式では、まず、不調になった工事につきまして、入札に参加した業者の皆様に、価格に開きがあると思われる工種についてヒアリングを行います。次に、価格に開きのあった工種につきまして、複数の業者の皆様から見積もりのご提出をご協力いただきます。そして、各事務所に設置する審査委員会におきまして、それらの見積もりを参考に採用する価格の決定を行い、設計書を作成いたします。
○吉田委員 価格についていろいろと問題があって不調が起きたということで、今ご説明いただいたようなことをやっていくと。平成二十年度におきましては、この方式を採用した工事案件は何件あったのか、お伺いします。
○鈴木企画担当部長 河川上にかけるPCげたの製作架設工事と、公園内の橋梁耐震補強工事の二件でございます。
○吉田委員 すぐに聞けばよかったんですが、この二件、それぞれの当初の予定価格は幾らであったのか。で、この方式を採用したことによる予定価格、そして最終的な落札の価格、それぞれ幾らであったのか、お教えください。
○鈴木企画担当部長 PCげたの工事は、当初予定価格が約四千百七十万円に対しまして、見積積算方式を活用した予定価格が約五千三百六十万円となりまして、この結果、約四千六百六十万円で落札いたしました。
また、橋梁の耐震補強工事でございますが、当初予定価格が約三千五百三十万円に対しまして、見積積算方式を活用した予定価格が約四千百七十万円となり、この結果、約三千九百八十万円で落札いたしました。
○吉田委員 ありがとうございます。
当初、四千百七十万円と見込んでいたけれども、ちょっとそれじゃ不調で、この予定価格を積算し直してみて五千万円を超えたと。最終的に、それで発注してみたらということで、入札してみたら、最終的には四千六百六十万円で落札ができた。あるいは、三千五百三十万というのがだめで、最終的には三千九百八十万円ということで何とか工事は落札できたと。
こういう当初の予定価格、いろいろな事情の中で、この実情にいろいろな工事の性格などを細かく見ていくと合わなかったところがあったと。これを見直していただいて、こういう結果になったということで、このやり直しが何度も何度も続いていくということは、先ほど申し上げたとおり、やはりロスが起きる。ですから、未然にというか、非常に適切な予定価格の設定をしていくということが大事なわけで、では、最後に、二十年度の経験を踏まえて、現在、この方式を建設局はどのように運用しているのか、お伺いします。
○鈴木企画担当部長 本年四月から、平成二十年度に見積積算方式を採用した工事と同様な工事で、不調が予想される工事につきましては、あらかじめ見積積算方式を採用できるようにいたしました。
○吉田委員 実際に不調になった工事だけではなくて、予想されるときにも機動的にというか、対応するようにされたということで、二十一年度、現在のところ、不調は減少傾向にあるというふうに伺っておりますが、本当に一つでもこういうことが減るように、そして事業効果が早急に発揮されることを期待したいと思います。不調の原因もいろいろさまざまではございますけれども、いろいろのお取り組みを引き続きしていただきますようにお願い申し上げます。
次に、洪水対策についてお伺いします。
ことしも全国で集中豪雨や台風などによる水害が発生して、とうとい命が奪われるなど、大きな被害が生じたわけでありますけれども、私の地元、中野におきましても、妙正寺川など、平成十七年九月に一時間一一二ミリという集中豪雨で甚大な被害をこうむったために、都では河川激甚災害対策特別緊急事業、激特事業、この採用を受けて、重点的に事業を進めていただいているわけであります。
私も、あるいは中野選出の各党の先生方もいろいろお聞きしてきたんですけれども、今回、決算説明書によると、妙正寺川では平成二十年度、約四十三億円余りの事業が執行されているということでありますが、本事業は再度災害が起きることを防止するものであり、この事業が完了しますと、環状七号線から下流の安全性が大きく向上するということを大変期待しております。
他方、環状七号線の上流側の区間は、やはり水害を受けているにもかかわらず、いまだに未整備の状況が続いているわけであります。そこで、今、精力的に取り組んでいただいているような激特事業、この見通しとともに、環七より上の川上の未整備区間の整備をどのように行うのか、お伺いします。
○廣木河川部長 妙正寺川の激甚災害対策特別緊急事業でございますが、既に再度災害防止の計画断面を確保しており、護岸整備はほぼ完了しております。かけかえをする橋梁につきましても、八橋のうち二橋が完了しており、残る六橋について仕上げ工事を実施中であります。予定どおり、平成二十一年度に事業を完了させてまいります。
未整備区間の整備についてでございますが、河川の拡幅は下流側から順次進めるのが原則でございますが、環状七号線上流の未整備区間の整備には相当の期間を要することから、都営鷺の宮アパートの一部を利用した調節池を整備する予定としております。このことにより、調節池下流の治水安全度を早期に向上させるとともに、調節池上流の護岸整備が可能となるなど、五〇ミリ整備を着実に推進してまいります。
○吉田委員 ありがとうございます。
粛々と激特事業が進んでいるということで、本当にうれしく思うとともに、環七より上流の区間、都営の鷺宮住宅、ここに調節池を新たに予定しているということでございます。
新しい調節池を設置するということは、たくさん既設の調節池をつくっていただいているんですが、これとあわせ、妙正寺川の安全性を早期に高めるために有効な手法だと私も評価をいたしております。
この予定の調節池ですが、ちょっと聞いているところによりますと、この都営鷺の宮アパートのところの調節池は、流入した洪水の排水のためにポンプ設備を設置する必要がある、そのような設計で検討していらっしゃるということであります。それはまだ検討しているということでありますが、その場合にはランニングコストがやはり発生することになります。建設時のイニシアルコストだけでなくて、中長期的にずっとメンテを続けていく、ポンプを動かすたびにその維持費もかかっていくということで、本当に後代、末代まで継続的、恒常的な維持費が必要となっていくわけで、次の世代に、今、日本は大変な借金を背負わせておりますが、さらに、微々たるというのか、微々たるじゃないというかわかりませんが、負の遺産を増大させる結果になるわけであります。なるべく次の世代への負担を減らすように、減らすように考えていきながら、地域の洪水対策、安全のために取り組んでいただく必要があると思うんです。
設置済みの北江古田調節池や妙正寺川第一調節池は、自然に洪水が流入して、河川の水位が下がると自然に排水して、ポンプなどを使わない自然流下といういい方をしますけれども、使わない方式でありまして、ふだんも消防団の方々の訓練とか、あるいは地域の方の避難訓練などの場として活用されております。もちろん、環七の調節池のような大型の調節池も必要でありまして、これらもポンプをがんがん使って対応しなければいけない。当然でありますが、今後新たな調節池を設置する場合、ランニングコストが発生しない自然排水を基本とした調節池、こういうものに努力をしていくということが重要だと思います。
そこで、今回の都営鷺の宮アパートに予定されている調節池についても、ポンプ設備を要さない自然排水の調節池として整備すべきだと考えるわけですが、ご見解を伺います。
○廣木河川部長 限られた土地の中で調節池で貯留する量を確保し、治水効果を発揮するためには、構造的にポンプが必要な場合もあります。
お話の鷺宮調節池につきましては、妙正寺川の中上流区間の安全性の向上に向け、関係機関と調整の上、住宅の建てかえに合わせ、敷地の一部を利用して設置することになったものでございます。調節池上流に向け護岸整備する上で必要な貯留量は約三万五千立方メートルでございます。構造につきましては、その容量を確保した上で、ポンプ等の設備が必要になるかどうかについて、今年度に予定している詳細設計の中で検討してまいります。
○吉田委員 ありがとうございます。
これはもちろん洪水の対策、地域に洪水を起こさないようにする、これは最優先の課題でありまして、そのために設置するものでありますから、その能力をきちんと発揮できる、こういうものをつくっていただく、当然必要なわけであります。
ただ、今回の場合は非常に微妙な状況というか、ポンプが必要か必要じゃないか、いろいろ本当におっしゃるとおり、詳細設計の中で検討していただくような状況。もうどうしても絶対に必要な容量があって、必ず掘り込み式でやらなきゃいけないんだという状況であれば、もちろんこのような要望は申し上げないんですが、ポンプなしでもいけるかもしれないというような状況でありますならば、できるだけ知恵を絞っていただきたい。
この環七より北側は、今お取り組みをご検討いただいている鷺の宮アパートの敷地以外にも、ちょっと勝手に自分で調べさせていただきましたが、これは、妙正寺川上流に鷺宮西住宅かな、建設年度が昭和三十四年から六年につくって、そろそろ更新しなきゃいけないとか、こういう大きな敷地も今後更新が必要で、大きな工事が予想されるというところもあるわけであります。いろいろの周囲の状況を勘案しながら、この一発で調節池、終わりということでは多分ないと。早期に環七より上流の部分についての洪水対策を進めていただくという観点でいろいろご検討いただくと思いますので、そういうことを総合的に勘案して、この鷺の宮アパートのところもぜひご検討いただきたい、このように--まあ、とにかく基本は洪水が起きないように、これが大前提でありますが、その中でご検討いただきたいとお願い申し上げます。ぜひ積極的な治水対策を進めていただきたいと思います。
次に、また地元のお話で恐縮ですが、山手通りの中野区内の整備についてお伺いします。
中野区内の山手通りは、地下の首都高速新宿線が一昨年の十二月に完成しまして、地上の道路整備が今本格化しております。これまでいろいろ事務事業などでもお聞きしてまいりましたが、拡幅整備によりまして、車道は停車帯などの設置によって交通の円滑化が図れるとともに、広幅員の歩道整備により自転車通行帯が設置され、歩行者の安全確保も図れるというふうに期待しております。
また、道路の緑化については、高木の植栽が事業前には約百五十本であったものが、整備後には、中央分離帯も含めて高木の本数が大幅にふえて、約四百五十本、三倍になると伺っております。この工事はもう既に一部が完成して、工事中のところでも、歩道の仕上げを行っているというところも見ております。
そもそも中野区内の山手通りはずっと工事が続いてきました。地下鉄大江戸線、首都高新宿線、また、工事が終わると思ったら延期とか継続とか、地元の方々は本当に工事がいつまで続くのというふうに、一刻も早く完成することを待ち望んでいるわけであります。
そこで、この工事区間の早期完成に向けたお取り組みの状況と今後の整備のスケジュールについてお伺いします。
○藤井道路建設部長情報基盤整備担当部長兼務 山手通りの整備についてでございますけれども、中野区内の山手通りは、中野区弥生町一丁目から東中野四丁目の早稲田通り交差点までの約二・三キロメートルの区間でございます。首都高速中央環状新宿線の建設に伴い、二十二メートルであった幅員を四十メートルに拡幅してございます。山手通りの整備に当たっては、交通の円滑化を図るとともに、歩行者や沿道環境にも十分配慮した質の高い道路空間の創出に取り組んでございます。
早稲田通りとの交差点から南側約二百メートルにつきましては、平成十七年度に街路整備が完了してございます。残る約二・一キロメートルの区間において、埋設企業者工事や電線共同溝設置工事、車道や歩道の舗装工事など順次実施し、完了させてまいります。引き続き、平成二十二年度の完成を目指し整備を進めてまいります。
○吉田委員 最終的には二十二年度の完成。しかし、区間ごとに、順調にでき上がったところからどんどん効果が出てくる。東中野の駅前も、横断歩道を渡らないで、地下鉄の出入り口が道路の反対側にもできて、今までと人の流れが大きく変わったり、工事の進捗効果は地元の人も実感しています。早く使いたい、あるいは早く工事が終わってほしいと皆さん思っていますので、ぜひよろしくお願いします。
これに関連しまして、山手通りでも自転車帯ができているわけでございますけれども、安全で快適な自転車走行空間の整備についてお伺いいたします。
昨年十月の事務事業などでも質疑させていただきましたが、自転車は近距離の移動にすぐれ、環境への負荷の少ない交通手段であり、歩行者と自転車、自動車がともに安全で快適に通行できる空間の整備が重要で、自転車走行空間の整備に努めていく、このようなご答弁をいただいております。
そこで、平成二十年度までの具体的な進捗状況についてお伺いいたします。
○藤江道路保全担当部長 自転車走行空間の整備につきましては、平成十九年度までに多摩湖自転車道などの自転車道で四十四・四キロメートル、浅草通りや国際通りなど広い歩道を活用いたしまして二十一キロメートル、また、調布保谷線では、道路の拡幅に合わせて一・七キロメートルを整備いたしました。さらに、旧玉川水道道路では、交通管理者と連携いたしまして、平成十九年度に都内で初めて車道部分に自転車レーンを二・四キロメートル整備いたしました。
平成二十年度は、既存道路において、国際通りや東八道路で広い歩道を活用いたしまして一・六キロメートルを整備いたしました。また、調布保谷線では、道路の拡幅に合わせて二・三キロメートルを整備いたしました。
○吉田委員 本当に自転車が便利に、そして安全に、歩行者、自動車に危険を感じさせずにというか、走れる東京を整備していくというのは、今、環境問題が大変なときに、大事な施策なんだろうと私は本当に思っております。既存の道路も含めて、着実にというか、一歩一歩やっていただいているということで、引き続きお取り組みをよろしくお願いいたします。
最後に、また、既存の道路における歩道のセミフラット化、この問題についてお伺いいたします。
これも昨年の事務事業などでもお聞きしてきたことですが、今後高齢化が進んで、高齢者がふえていくことなどを考えていくと、新設の道路だけでなく、既存の道路においても歩道のセミフラット化、これを進めていただくことが大事じゃないか、このようにご質問申し上げ、これをやっていく、路面補修工事に合わせてセミフラット化を進めていきます、こういうご答弁をいただいたところであります。
そこで、平成二十年度、既存の道路の歩道のセミフラット化、どれぐらい進めていただいたのか、実績をお伺いします。
○藤江道路保全担当部長 既存道路のセミフラット化についてでございますが、都は、路面補修工事に合わせて歩道の段差や勾配の改善を実施しており、沿道利用など、地域の状況に応じまして、車道との高低差が少なく、すりつけ勾配が緩やかになるセミフラット形式を進めております。
平成二十年度は、約四キロメートルでセミフラット化を実施いたしました。
今後とも、沿道住民の方々の理解と協力を得て、安全で快適な歩行空間の確保に取り組んでまいります。
○吉田委員 ありがとうございます。
今後、いろいろ社会が成熟し、複雑になっていく中で、道路や河川、あるいは公園など、東京のインフラに求められる機能は本当に多種多様で、建設局にはご苦労をおかけしますけれども、引き続きさまざまな東京のニーズにこたえながら、安全で住みやすい、そして環境にも配慮された使いやすい東京都の基盤整備に努めていただくように改めてお願いして、質問を終わります。
○高橋委員 私から、建設局の平成二十年度東京都一般会計決算説明書の一七〇ページの中小河川整備費に関連いたしまして、台風十八号によります雨の状況と河川整備についてお尋ねいたします。
ことしは、七月から八月にかけ、山口県防府市の土砂災害を初め、福岡県や兵庫県の佐用町の大雨による水害が発生し、多くの人命が失われてしまいました。最近の異常な気象は地球温暖化が原因ともいわれており、この異常気象によって引き起こされる災害から都民の命と財産を守るための対策は喫緊の課題だと思います。
先般の台風十八号も大型で強い勢力で、十月八日に知多半島に上陸し、その後、東海地方、関東甲信地方、東北地方と日本列島を縦断いたしました。この台風により全国の広い範囲で暴風雨となり、竜巻が発生したところもあるほか、猛烈な雨による土砂災害、浸水被害や鉄道の運休なども全国的に発生いたしました。
そこで、今回の台風十八号による都内の降雨状況と建設局の対応についてお伺いいたします。
○廣木河川部長 十月七日の夜から八日の朝にかけ、東部低地帯や西多摩を含む東京のほぼ全域で総雨量一〇〇ミリ以上の降雨がございました。特に神田川など都内中小河川の流域では、時間雨量約五〇ミリ、総雨量約一五〇ミリの降雨となり、これは現在の時間五〇ミリに対応する中小河川整備計画の水準にほぼ匹敵するものでございました。
神田川では水位が急上昇し、洪水予報の発令寸前まで達しましたが、環状七号線地下調節池に総貯留量の九四%に当たる過去最大の五十万五千立方メートルを貯留するなど、河川からの洪水を防止いたしました。
また、石神井川、目黒川など他の河川におきましても、平成二十年度に増強が完了した練馬区内の富士見池調節池がほぼ満杯になるなど、整備済みの二十八カ所の調整池のうち二十カ所で貯留いたしまして、被害の防止に効果を発揮いたしました。
建設局では、八日の未明に東京都水防本部を設置し、全建設事務所が警戒配備態勢をとり、約二百四十名の職員を配備し、水防業務に当たりました。
今後とも、水害から都民の命と暮らしを守るため、地元の水防管理団体等と連携し、万全を期し、水防活動を行ってまいります。
○高橋委員 都内も地域によって五〇ミリ以上の降雨があったにもかかわらず、東京都では大きな被害がなかったのは、調節池を初めとしたこれまでの河川整備による努力の成果といってもよいのではないかと思います。
決算説明書によりますと、中小河川整備事業費として、平成二十年度において約二百八十六億円が執行されております。
そこで、五〇ミリ対応の河川整備の進捗状況と今後の予定について伺います。
○廣木河川部長 中小河川では、三年に一回の確率で発生する一時間五〇ミリの降雨に対応する護岸などの整備を進めております。平成二十年度末の護岸整備率は六三%であり、これに調節池等の効果を加えた治水安全度は七五%でございます。
主な事業のうち、妙正寺川及び善福寺川における河川激甚災害対策特別緊急事業は、今年度末の完成に向け護岸等の整備を進めており、古川地下調節池につきましては、平成二十七年度の完成に向け、平成二十年度から工事に着手しております。
今後とも、近年水害が発生した神田川や石神井川など、整備を促進すべき河川の拡幅を積極的に進めるとともに、道路の地下空間を利用した白子川地下調節池や入間川分水路の整備などを進め、五〇ミリ降雨に対応する河川整備のスピードアップに努めてまいります。
○高橋委員 河川事業は、都民の命と財産を水害から守る治水のかなめであると考えております。一日も早い水害の解消に向け、今年度から再開する白子川地下調節池の整備を初め、引き続き五〇ミリ対応の河川整備を全力で推進するよう改めて要望しておきます。
近年、五〇ミリを超える降雨が増加しており、今回の降雨でも満杯になっている調節池があることなどから、雨がもう少し激しく降り続いたら被害が発生したことと思います。これまで我が党が繰り返し主張してきたように、より高い整備水準に移行するための取り組みが必要であると考えます。東京で最大の被害を発生させた狩野川台風級の七五ミリの降雨を視野に入れた具体的な対策の検討を進め、都民が安心して暮らせる東京の実現を図っていただくよう、強くお願いしておきます。
次に、決算説明書一四〇ページから一五四ページの道路の整備についてお尋ねいたします。
東京の道路整備は、渋滞の解消や災害時の避難、救急活動など、安全で快適な生活を営む上で重要であります。昨年十月には、私の地元である練馬区において補助第一三三号線が開通し、これまで生活道路に入り込んでいた通過交通が減少するなど、道路整備の重要性とその効果を改めて実感しております。
このように、東京の道路整備は着実に進捗しておりますが、平成二十年度末時点の都市計画道路の整備率は都全体で約五七%にとどまるなど、いまだ道半ばであり、慢性的な交通渋滞が、我が国の社会経済の中枢を担う東京の最大の弱点となっております。また、都内にある数多くの踏切は交通のボトルネックとなり、交通渋滞や市街地の分断による都市の活力低下の要因となっております。このため、都市計画道路の整備や連続立体交差事業などの早期整備が不可欠であります。
そこで、改めて、平成二十年度における都の道路整備の取り組みと成果についてお伺いいたします。
○藤井道路建設部長情報基盤整備担当部長兼務 東京の道路整備は、道路交通の円滑化を図るとともに、地域の利便性や防災性、安全性の向上を図る上で極めて重要であり、首都圏三環状道路を初め幹線道路の整備や連続立体交差事業などを推進してございます。
平成二十年度は、三環状道路の一つである中央環状品川線におきまして、平成二十五年度の完成に向けてシールドトンネル工事に着手いたしました。
また、環状第五の一号線、放射第五号線などの区部環状、放射方向の道路や調布保谷線、府中所沢鎌倉街道線などの多摩南北方向の道路の整備を重点的に進め、このうち調布保谷線では、中央自動車道から東八道路付近までの約二キロメートルの区間を四車線で交通開放いたしました。
さらに、JR中央線や京浜急行本線・空港線、西武池袋線などの連続立体交差事業を積極的に推進しており、このうち京浜急行本線では、環状第八号線付近の上り線を仮設高架橋に立体化し、環状第八号線の最大渋滞長が五割減少してございます。
また、副委員長からお話のありました補助第一三三号線におきましては、交通開放により、並行する生活道路におきまして通過交通が四割減少し、地域の安全性向上が図られました。
こうした道路整備により、東京の交通渋滞緩和や沿道環境改善など、着実にその効果を上げてきております。
○高橋委員 東京の道路整備が着実に進捗していることはわかりました。
新政権のもとで見直しが行われた平成二十二年度政府予算の概算要求では、道路整備費が対前年度比で一二%削減され、その影響が危惧されるところであります。東京がさらに機能的で魅力的な都市として成熟を遂げるためには、必要な財源を確保しながら、道路整備を着実に推進することが不可欠であります。
そこで、今後の道路整備の推進に向けた東京都技監の決意をお伺いいたします。
○道家東京都技監 東京の道路整備は、渋滞解消、環境改善、利便性や防災性の向上にとりまして不可欠でございます。幹線道路整備、幹線道路ネットワークの早期整備、早期完成が喫緊の課題であると認識しております。
また、幹線道路の整備は、その地先に直接用事がないのにもかかわらず、いわゆる生活道路に入り込んでいる通過交通を適切に誘導し、地域の安全性を高めるためにも極めて有効でございます。
このため、「十年後の東京」計画が目指します、渋滞のない効率的で利便性の高い都市の実現に向けて、今年度事業化されました東京外かく環状道路、外環など首都圏三環状道路や、都市の骨格を形成する区部環状、多摩南北、区部、多摩を結ぶ東西の幹線道路の整備、連続立体交差事業などを重点的に実施しております。あわせて、だれもが安全で安心して利用できる快適な歩道や自転車走行空間の確保、無電柱化、街路樹の充実などにもあわせて積極的に取り組んでおります。
お話のとおり、国土交通省の平成二十二年度概算要求におきまして道路関係の予算が大幅に削減されており、このままでは、東京都のみならず、国や区市町村も含めた東京の道路整備への影響が懸念されるところでございます。このような状況を踏まえまして、今後あらゆる機会をとらえて、東京の道路整備の重要性を国に対し主張し、必要な財源を確実に配分するよう強く求めるとともに、日本の牽引役でもあります首都東京の道路整備を全力で推進してまいります。
○高橋委員 今後とも、幹線道路ネットワークの整備や連続立体交差事業などにより一層精力的に取り組んでいただくことを強く要望させていただきたいと思います。
これで質問を終わらせていただきます。どうもありがとうございました。
○中山委員 私からは、公園について、そして道路関係、最後に公共工事に伴う生活再建について、大きく三点お伺いさせていただきます。
初めに都立公園でございますけれども、「十年後の東京」にも掲げられておりますように、緑あふれる東京の実現に向けて大事な施策でございます。都立公園の開園面積は次第に着実にふえておりますので、順調だと思いますけれども、都立公園整備の目標とこれまでの実績について改めてお伺いいたします。
○小口公園緑地部長 都は、「十年後の東京」計画の実現に向け、平成二十七年度末までの十年間で都立公園を新規に百九十ヘクタール開園することを目標とし、整備を推進しています。緑あふれる東京の早期実現に向け、都立公園の整備を積極的に推進した結果、三年間で約八十七ヘクタールを開園しました。
また、「十年後の東京」への実行プログラム二〇〇九において、平成二十一年度の開園予定を十ヘクタール上乗せし、今年度も三十ヘクタールの開園を目標に整備を進めております。
今後とも、効率的、効果的に事業を推進し、都立公園の整備に取り組み、緑あふれる東京の早期実現に努めてまいります。
○中山委員 都立公園をさらにふやしていただくことは非常に大事なことでありまして、今後も着実に整備をお願いしたいと思います。
ただ、私は、公園の新規造成と同じように、過去に整備された公園においても、機能拡充に向けた大規模な改修整備など、質の向上に向けた取り組みが大事だと考えております。
私の地元には、日暮里・舎人ライナーの開通に伴って注目されている舎人公園に加えて、東綾瀬公園や中川公園という都立公園がございますけれども、この二つの公園は防災公園としての位置づけがされております。東綾瀬公園、中川公園はどのような整備により防災機能の充実を目指しているのか、お伺いいたします。
○小口公園緑地部長 都は現在、災害に強い都市づくりの取り組みの一環として、都立公園の防災機能の強化に向けた大規模な改修整備である防災公園整備を計画的に進めております。
東綾瀬公園は、災害時の拠点病院に近接する、医療機関近接ヘリコプター緊急離着陸場となる都立公園であり、平成二十年度から防災機能強化の整備を開始しました。
具体的には、平成二十年度には、緊急時の大型車両進入を可能とする園路の拡幅や防災トイレの新築、老朽化した木橋の改修などを実施しました。今年度は、ヘリコプターの着陸を想定している広場の舗装や、ヘリコプターで搬送された負傷者を迎えに救急車が乗りつけられるよう、園路の新設などを実施する予定であり、平成二十二年度の整備完了を目指して取り組んでまいります。
また、中川公園は避難場所となる都立公園であり、いつ起こるともわからない震災に備え、地震が夜間に発生したときでも都民が安全に避難できるよう、夜間停電時にも点灯する非常用照明を平成二十一年度に整備を完了する予定であり、今後、このほか防災トイレなど、避難場所の機能発揮に必要な施設の整備に向け取り組んでまいります。
○中山委員 夜間時に避難誘導が円滑に進むように、非常用の照明を整備していただくという大事な視点でございまして、ぜひよろしくお願いいたします。
ただ、東綾瀬公園なども、弥左衛門橋の改修など新しい取り組みもしていただいて、利便性を向上させていただいておりますけれども、防災という視点以外の施設のリニューアル、新たな施設の導入など、利用していて心地よい、より楽しい公園となるような整備というものも大事だと思います。
都立公園ガイドというのを私もいただいておりまして、私が持っているのは十九年版でしたので、最新版はちょっと違うかもしれませんけれども、地元の公園ですと、舎人公園は二ページにわたって立派に出ているんですが、東綾瀬公園と中川公園は一ページずつしかない。別にひがみっぽくいっているわけじゃないんですけれども、そうした面で、ぜひ、こういう公園にしたいんだというようなことが公園ガイドを読んでいてもわかるような、そういう整備を進めていただくことが大事じゃないかなというふうに思います。
そこで、公園の利用促進のための魅力向上に向けた取り組みについてでございますが、都立公園では多くの方に来園していただくための取り組みを行っていると思いますが、東綾瀬公園と中川公園の状況についてお伺いいたします。
○三浦公園管理担当部長 東綾瀬公園及び中川公園は、都民の憩いの場として休息や散策などに利用されるほか、スポーツによる利用も盛んな公園でございます。こうした利用に加え、より多くの都民に来園していただくため、公園の特徴を生かした催しや都民との協働による公園管理にも取り組んでございます。
東綾瀬公園では、しょうぶまつり、クリスマスイルミネーションなどの催しや地域のボランティアによる花壇づくり、中川公園では、スタンプラリーなどの催しを行ってございます。さらに、公園周辺の名所や飲食店などの情報を盛り込んだ周遊マップを配布し、公園のPRに努めております。
今後も、両公園の特徴を生かした催しや都民協働など、公園の魅力向上のための取り組みを進めてまいります。
○中山委員 約千九百ヘクタールある都立公園、公園は東京の価値を高める都民の貴重な財産でございます。既に整備済みの都立公園につきましても、時代のニーズや社会的要請を踏まえて公園の再整備を行っていただきたいと思います。
上野の恩賜公園では、地元自治体や学識経験者とともにグランドデザインが取りまとめられて、再生事業が進んでいるというように聞いております。昔は、西郷さんの銅像があるところから不忍池なんかも見渡すことができて、すばらしい眺望であったということをお伺いしておりますが、今は木々も伸びて、なかなかそれは難しいというところがあるそうです。その緑の保全と眺望のよさ、そういうものを合わせたような再整備が進むのではないかと思いますけれども、ある面では、そうした整備済みの都立公園についても地元住民の願いを聞き入れていただいて、常に夢を見続けていけるような都立公園のすばらしい魅力というものを願っております。
私も、質問するために、小野良平さんという方でしょうか、「公園の誕生」という本を読ませていただきまして、その中に、長岡安平さんとか井下清さんとか、かつての東京府のすぐれた行政マンの方々が日本の公園の歴史を切り開く事業をされたことが出ておりました。伝染病予防のための都市の肺臓といわれた公園論から、都市公園の機能転化がなされた時代でございます。
また、アメリカでは、「アメリカの公園・レクリエーション行政」という本では、イギリス的な風致公園からプレーグラウンド、レクリエーション行政への転換ということで公園行政が進んでいることも少し勉強させていただきました。
ぜひ東京から新しい公園論をつくり上げるような勢いで頑張っていただきたいと、そういうふうに願っております。
続きまして、ユビキタス技術の活用についてお伺いさせていただきます。
私は、平成二十年の第三回定例会の一般質問で、通信技術を活用してコミュニケーションバリアフリーを図ることが大事であるといわせていただいて、ユニバーサルデザインの新たな展開を要望させていただきました。
こうしたまちづくりにつながるものとして、ICタグや携帯情報端末などのユビキタス技術に注目してまいりました。これは日本の誇る最先端技術で、いつでも、どこでも、だれでも必要な情報を手に入れることができる社会、すなわちユビキタス社会の実現を目指すための技術であります。都民にとって大変重要なものだと考えております。
そこで、ユビキタス技術を活用した平成二十年度の建設局の取り組みについてお伺いいたします。
○鈴木企画担当部長 平成二十年度におけるユビキタス技術を活用した建設局の取り組みでございますが、恩賜上野動物園では、動物園の魅力向上を目的に、園内の主要な地点にICタグ等を設置し、専用の携帯情報端末を貸し出すことで、日本語、英語、中国語、ハングル語により、外国人を含めた来訪者の方々に動物に関する情報などを提供いたしました。
また、都市施設の管理をより効率的に行うことを目的としまして、道路では、都庁第一庁舎と第二庁舎の間の道路におきまして、照明、舗装、埋設物等の既存データベースの情報を、街路灯に設置したICタグを通して携帯情報端末で確認する実証実験を実施いたしました。
公園では、井の頭恩賜公園での遊具点検におきまして、ICタグと携帯情報端末を活用し、現地で点検結果を入力することにより点検データを蓄積し、確実に点検記録を作成する実証実験を実施いたしました。
○中山委員 上野動物園の取り組みは非常に大事だというふうに思います。今はもう美術展とかそういうところでも、案内を聞きながら見させていただくというのが当たり前の話になってきておりまして、外国人の方々も含めて、また東京の歴史、日本の歴史を知らない若い世代にとっても、いろいろなことを勉強しながら動物を見られる、すばらしいことだと思います。
また、都庁の技術管理という点からいろんな形でユビキタス技術も使われているということで、ぜひそうした点からも広げていっていただきたいというふうに思っております。
そうした技術の実用化につなげていく取り組みを二十年度展開されたということをお伺いしたわけでございますけれども、こうしたユビキタス技術を活用した平成二十年度の取り組みを踏まえた現状の取り組みについてお伺いさせていただきます。
○鈴木企画担当部長 ユビキタス技術を活用した建設局の二十年度の取り組みを踏まえた現状についてでございますが、公園や動物園の魅力向上に向け、恩賜上野動物園での取り組みを継続するとともに、新たに、日本を代表する文化財庭園でございます浜離宮恩賜庭園におきまして、ユビキタス技術を活用した庭園案内を開始し、国内外の来園者の方々への情報提供サービスの一層の充実を図ります。
一方、都市施設の管理におきましては、平成二十年度に実施した実証実験を継続し、街路樹等のデータの追加や情報のセキュリティー対策についても検討いたします。
また、井の頭恩賜公園内では、遊具に加えまして、照明灯点検でも実証実験を行います。
さらに、山岳道路斜面や公共基準点の維持管理における実証実験も行ってまいります。
○中山委員 特にそうした防災あるいは工事に関する技術的な情報をユビキタス技術を使ってという点は、非常に工事のむだを省くとか、防災面での機能を高めるとか、大事な点があるし、また技術力の継承という点でも、若い世代の職員の方々へ伝えておかなければならないようなことも含めて、大事だというふうに思います。
また、公園等では、最近、遊び方がわからないという若いお母さんの声とかを聞きます。そういった面では、これは将来どうなるかわかりませんけれども、遊び方の工夫とか、そういうものも大事だし、環境に対する知識、歴史に対する認識、そうしたものをいろいろ知的に楽しみながら、またいろいろな方々が安心して使えるような活用というのがあるのではないかと思います。
私は、ことしの三月の都市整備委員会で、ユビキタス技術につきまして実証実験で終わらせてはならないと申し上げさせていただきました。この不景気の中でも民間が新たな技術開発に挑戦していけるように、公共がある程度インフラとして受け皿を整えておくということも大事ではないかというふうに申し上げさせていただいて、都道や公共交通にユビキタス技術の組み込みというものも、民間とのいろいろな話し合いの中でやっていったらどうかと申し上げさせていただいたところでございます。建設局におかれましても、ぜひさまざまな局と連携しながら積極的に取り組みを進めていただくよう、お願いさせていただきます。
道路の関連につきまして、歩道のバリアフリー化についてお伺いさせていただきます。
平成十八年の予算特別委員会の総括質疑におきまして、我が党の中嶋幹事長が、歩道のバリアフリー化の第一歩として、点字ブロックのJIS規格への統一と歩道のセミフラット化への改善について質問いたしました。実は、私がこの質問の原稿を書かせていただいて、幹事長と一緒に打ち合わせさせていただいて、また、建設局の皆様ともいろいろ意見交換させていただきましたけれども、点字ブロックにつきましては、平成十三年にJIS規格の規格統一がされまして、平成十四年度から新規格の設置を推進しているということでございます。
また、歩道のセミフラット形式への改善につきましては、先ほど吉田副委員長からもお話がございましたけれども、平成十八年度から基準を改定し、整備を促進するとのご答弁をいただいてまいりました。
そこで、歩道のバリアフリー化を進めるという観点から、平成二十年度のJIS規格点字ブロックの設置実現、これはやはりいろいろな規格があったわけですよね。それが障害者の方にとってみると、自分が覚えたのとちょっと違うやつに出くわしてしまうと面食らってしまうと。また、いろいろな張り方によって、どっちの方向に進んでいいんだかわからないというようなことがあったりするということがありました。
そういうJIS規格に基づいた点字ブロックの設置実現とセミフラット化。先ほど吉田副委員長からセミフラット化のご質問がありましたので、セミフラット化を含めた歩道の段差や勾配の改善実績。波打ち歩道というんでしょうか、地先でへこんだりしているようなところ、セミフラット化がなかなか難しい状況のところもあって、それに応じた工夫もされているんだと思いますけれども、そうした改善実績についてお伺いさせていただきます。
○藤江道路保全担当部長 都は、視覚障害者の安全な歩行を確保するため、都道上の誘導施設といたしまして、通常、点字ブロックといわれております視覚障害者誘導用ブロックの設置を進めております。JIS規格の視覚障害者誘導用ブロックは、視覚障害者が多く利用する施設と、駅やバス停留所等を結ぶ歩道などにおいて平成十四年度から設置を進めており、平成二十年度は新たに大田区大森中など三地区で設置いたしました。
また、歩道の改善については、路面補修工事に合わせ、沿道利用など地域の状況に応じて、セミフラット化などを含めた段差や勾配の改善を積極的に進めており、平成二十年度は約十三キロメートルで実施いたしました。
○中山委員 路面補修工事に合わせて歩道の改善が着実に進んでいることは理解できました。
しかし、場所によっては、全体をやってくれなくてもいいから、ここだけでもやってほしいというような部分的な段差とか勾配の改善とか、必要なところがあるかと思います。障害者の施設が後からできたりとか、いろいろなところも含めてですけれども、このような箇所の改善についてどのように取り組んでいくのか、お伺いいたします。
○藤江道路保全担当部長 個別に対応が必要な箇所につきましては、個々に現地の状況を十分確認した上で、沿道住民の方々の理解と協力を得まして、沿道利用など地域の状況に応じ、歩道の改善を図ってまいります。
○中山委員 個別の状況を踏まえて、周囲の方々の理解もいただきながら、要望があれば対応していくということでございますので、安心させていただきました。
都は、東京都福祉のまちづくり条例で、高齢者や障害者を含めたすべての人が安全・安心、快適に暮らし、訪れることのできるまちづくりの実現に向け、ユニバーサルデザインを基本理念として整備を進めております。この条例に基づき、高齢者や障害者などが多く利用する都道のバリアフリー化をさらに進めていくべきと考えますが、平成二十年度の実績と今後の取り組みについてお伺いいたします。
○藤江道路保全担当部長 都は、東京都福祉のまちづくり条例を踏まえ、「十年後の東京」への実行プログラム二〇〇九で、多数の高齢者や障害者などが日常生活で利用する駅や公共施設、病院などを結ぶ都道約三百三十キロメートルのバリアフリー化を平成二十七年度までに完了することを目標に掲げ、視覚障害者誘導用ブロックの設置や段差の解消、勾配の改善などに取り組んでおります。
平成二十年度は約五キロメートルで新たな整備を行い、これまで約二百二十四キロメートルで整備が完了いたしました。
今後とも、高齢者や障害者を含めたすべての人が安全・安心、快適に暮らし、訪れることのできるまちづくりの実現に向け、都道のバリアフリー化に積極的に取り組んでまいります。
○中山委員 平成二十七年度までに三百三十キロメートルのバリアフリー化を完了するという目標を掲げて頑張っているということでございました。ぜひそれを着実に実現していただくようお願い申し上げます。
これは、ある面では、区市町村からの要望だけに基づかず、東京都がみずからこのバリアフリー化の目標を定めて取り組んでいることでありますし、独自の価値のある取り組みだというふうに思います。
また、どうしても波打ち歩道の克服というのは、地先の関係や路面の高さの問題等、いろいろなことがあるので、そう簡単にできない面もある。ただ、少なくとも点字ブロックの張りかえだけは、これはなかなか進まないんだというふうにいっても理解していただくことが難しい点でありますので、福祉保健局との連携なども含めて、ぜひ歩みを速めていただくようご検討をお願いして、次の質問に移らせていただきます。
道路のバリアフリー化に関連して、無電柱化についてお伺いさせていただきます。
私は、平成十八年度の各会計決算特別委員会の意見開陳の中で、平成十九年の十一月のことでございましたけれども、建設局関係として、安全で快適な歩行空間の確保と良好な都市景観創出のため、無電柱化事業をより一層推進されたいと申し述べさせていただきました。
私の手元に、東京都無電柱化方針という冊子をちょうだいしております。平成十九年六月のものでございまして、もっと新しいものがあるのかもしれませんけれども、その無電柱化方針の九ページに各国との現状比較があります。ロンドン、パリ、ボンは一〇〇%完了、ベルリンが九九・二%、ハンブルグが九五・七%、ミュンヘンが八八・三%、コペンハーゲンが七九%、ニューヨークが七二・一%、ストックホルムが五〇・三%となっておりまして、日本は、全国の市街地等の平均で一・九%、大阪が三・一%、東京は頑張っておりまして、二十三区で七・三%。東京二十三区は、日本の中ではすぐれた取り組みなんですけれども、各国と比べると非常に厳しい状況があります。
日本はなぜもともとこのように電柱が多いのか、そういうところから伺いたいと思いますが、東京都無電柱化方針の中には、都内に約九十五万本もの電柱が林立し、電線が存在しているとありますけれども、都内でなぜこのように電柱が多くなったのか、お伺いいたします。
○藤江道路保全担当部長 東京電力及びNTTによりますと、我が国では明治時代より、主に電柱に電線を架設することにより電気や通信サービスが提供されてきており、東京では、終戦以降、急増する電力、通信需要に対応するため、架空線を基準として多くの電柱が立てられてきたとのことであります。
東京電力及びNTTインフラネットのデータによりますと、平成十九年四月現在、都内全域で約九十五万本の電柱があるということでございます。
○中山委員 東京に電柱が多く立てられてきたこれまでの経緯については、今のご説明でわかりました。
それでは、電柱の少ない国は初めから電柱がない状態でスタートしているのかとか、日本との違いはどういった点なのかということになりますけれども、これは海外で現地調査をしてみないとわからないということでございますので、ぜひ東京都技監、若い職員の方を海外に派遣していただいて、いろいろな、別にこの無電柱化のことだけじゃなくて、海外のことについて勉強しなきゃならないことがたくさんあると思います。東京都の若い職員の方々にできれば長期間にわたって行っていただいて、しっかり日本の将来や東京の将来のために必要な勉強をしてきていただきたい、そのように思います。
時代の要請にこたえ、都は、昭和六十一年度から五期にわたり無電柱化推進計画を策定し、無電柱化事業に取り組んでおりますが、この事業の基本的な考え方と平成二十年度までの整備状況についてお伺いいたします。
○藤江道路保全担当部長 都は、良好な都市景観の創出、安全で快適な歩行空間の確保、都市防災機能の強化を目的といたしまして、都道の無電柱化事業を鋭意進めているところでございます。
平成二十年度末の都道における無電柱化の状況は、整備対象延長二千三百二十八キロメートルのうち六百二十六キロメートルの整備が完了し、地中化率は二七%でございます。
○中山委員 二七%ということで、先ほどの無電柱化方針は平成十八年度の国交省の資料ですので、もっと前の数字だと思いますから、着実に進んでいるということがよく理解できました。
より一層事業を推進していくためには、必要な財源の確保がかぎとなると思います。
そこで、増大する無電柱化事業の事業量に見合った国費などの財源を確保していくことが重要と考えますが、都の所見をお伺いいたします。
○藤江道路保全担当部長 お話のとおり、都において無電柱化事業をより一層推進するには、事業量に見合った財源を着実に確保する必要がございます。そのため、国に対し、事業推進に必要な国庫補助金を確保するよう提案要求しております。
今後とも、あらゆる機会を通じて国に要求してまいりたいと思います。
また、区市町村道の無電柱化事業を後押しするため、国庫補助とは別に、区市町村に対する都の補助制度を平成二十年度に創設して、財政支援を行っているところであります。
○中山委員 国費の獲得に向けては、私どももしっかりと各会派の皆様と力を合わせて頑張ってまいりたいと決意いたしております。
また、東京都独自で区市町村に対する無電柱化の補助制度を平成二十年度に創設したと。すばらしいことでございまして、私の足立区の地元なんかも、本当に七、八十センチしかない歩道の真ん中に電柱が立っているとか、非常にテレビに届けたいようなところもたくさんありまして、その都度、区役所の方で頑張っていただいておりますけれども、そうしたところはなくしていくということが、やはりバリアフリーという点で、障害者やお年寄りだけじゃなく、いろいろな方々にとっても歩きやすい東京のまち並みをつくれるというふうに思います。
無電柱化事業を積極的に推進していくためには、財源の確保とあわせて、無電柱化事業自体のコスト縮減も積極的に進めるべきだと考えますが、都の所見をお伺いいたします。
○藤江道路保全担当部長 都は、都道の無電柱化事業を効率的に推進するため、地中の管路を集約し、管路を収納するますを小さくするコンパクト化や、管路やますをより浅い位置へ埋設することによりコストの縮減を図ってきております。あわせて、国や電線管理者に対しても、さらなるコスト縮減とコンパクト化を図ることができる新構造の開発を推進するよう働きかけているところでございます。
○中山委員 やはりコスト縮減とコンパクト化が非常に大事な点で、このことを、国を巻き込んで、東京都主導で結構というか、東京都主導でやらないとできないかもしれませんので、ぜひ進めていっていただきたいと思います。
都は、センター・コア・エリア内の都道はもとより、緊急輸送道路や主要駅周辺で重点的に無電柱化事業を進めておりますが、全体としてどのように推進していくのか、都の所見をお伺いいたします。
○藤江道路保全担当部長 都は現在、「十年後の東京」への実行プログラム二〇〇九で、都道全体の地中化率を平成二十三年度に三五%とする目標値を掲げ、センター・コア・エリア内はもとより、その他の区部や多摩地域においても、緊急輸送道路や主要駅周辺で無電柱化を進めております。
今後とも、必要な財源の確保に努めながら、無電柱化を着実に推進することにより、安全で美しいまち東京の実現に取り組んでまいります。
○中山委員 避難路等と無電柱化事業との関係が、この無電柱化方針の一八ページと一九ページにございます。これは都民にとっても非常に関心のあることではないかと思います。この無電柱化事業について発注数をふやしていけば、中小企業向けに最適のサイズの公共工事の発注がふえるんじゃないかというふうに期待しておりまして、いわゆるすそ野に効果のある景気対策にもなるぞ、と思っております。
ただ、やはり電柱という専門的な分野を扱う技術ですので、そう簡単にだれでもできるというわけではありません。企業が開発した技術というのはなかなか公開してもらえないと思いますけれども、少なくとも工事に必要な技術的データをできる限り明らかにしていただいて、多くの中小企業が参加できるような取り組みもご検討をお願いしたいと思います。
道路の活用に絡んで、先ほども--また吉田副委員長と重なって申しわけございません。自転車走行空間のネットワーク化について質問させていただきます。
私も何回か、自転車走行空間の整備につきましては定例会の一般質問等で取り上げさせていただいてまいりました。昨年の二月には、都が区市町村と連携して、点と点、面と面を結ぶ自転車走行空間を整備することでネットワーク化を進め、自転車の利用環境を整備していくことが重要というふうに質問させていただいて、東京都技監から大変前向きなご答弁をいただいたというふうに記憶しております。
その後の取り組みも含めて、平成二十年度の取り組み状況についてお伺いいたします。
○藤江道路保全担当部長 自転車は広く都民に利用される重要な交通手段の一つであり、歩行者と自転車がともに安全で快適に通行できる空間の整備が重要であると考えております。
都は、「十年後の東京」への実行プログラムに基づき、平成二十年度に、区部では隅田川周辺の観光スポットを結ぶ国際通りで、多摩地域では調布保谷線やこれと交差する東八道路で、合わせて三・九キロメートルの自転車走行空間を整備いたしました。
今後とも、だれもが安心して利用できる道路空間の実現に向け、区市町村や交通管理者と連携を図りながら、自転車走行空間の整備を推進し、ネットワークの拡大に努めてまいります。
○中山委員 東京都は、自転車走行空間の整備について検討している区市町村の情報をいち早くつかんでいただいて、それと連携した都道での自転車走行空間の整備に積極的に取り組んでいただきたいと思います。
自転車走行の円滑化のために、わざわざハード面で自転車専用の走行帯を全道路で整備するというのはなかなかできないし、必要もないかもしれません。環境に優しい交通手段としての自転車の価値は大きいんですけれども、実際には、もともと自転車利用の多い地域や、自転車の活用の利便性が高い地域で整備を進めるべきと考えます。
私は「自転車は街を救う」という本を読ませていただきました。福岡県久留米市で始まったボランティア的な運動を中心に、東京都の例、浅草の例とかも紹介されておりますけれども、記録を読ませていただきました。ほとんどが盗難防止や公共で使える自転車制度といったソフト的な対策が中心であります。
自転車の活用という点では、なだらかな平たんな地形や、半径数キロメートル以内に移動の必要が比較的頻繁に生じる地域など、そういう地域的特性、条件が重要であります。そういうことは、この本にも明らかに書いてありました。
したがって、自転車活用の本当の主体はやはり区市町村であります。しかし、それでもなお自転車の活用は温暖化防止策としては有効でありますから、区市町村の取り組みを応援する立場、あるいはもっとはっきり申し上げれば、それを誘導する立場から、区市町村の取り組みという点と点を都道という線で結ぶ、そういうネットワーク化が重要と申し上げた次第であります。
そうした意味で、現在、区市町村が自転車走行空間の整備を考えている地域だけじゃなくて、将来、区市町村によって自転車走行帯の整備が進むであろう地域を想定していただいて、その間を結ぶ地域や、また現に都道の中で自転車利用が多い道などをにらみながら、環境局などとも連携して積極的に取り組まれることを要望させていただきます。
最後に、公共工事に関する不動産等の権利者の生活再建についてお伺いさせていただきます。
建設局では、公共工事に協力して住居等を移転される権利者の方の生活再建対策を進めていらっしゃいますが、その中で、移転資金の貸し付けというものが事業としてございます。公共工事に協力した方々が移転後の生活再建を円滑に進めるということは、今後も公共工事に多くの都民に協力していただくために非常に重要な意義があります。
ご案内のように、昨年来、サブプライムローン問題に端を発した金融不安により、一般的に貸し渋りという問題が起こっております。民間金融機関による融資は、貸しはがしや貸し渋りが今後も続くということが予想されている中で、公共事業に協力した方々を対象とした移転資金貸付制度の役割は、今後さらに重要なものになると思われます。
そこで、まずお伺いいたしますが、移転資金貸付のこれまでの実績についてご答弁をお願いしたいと思います。
○角南用地部長 平成二十年度の貸付決算額は約七千五百万円となっており、件数は、平成十九年度からの繰り越しも含めて七件となっております。
また、平成二十年度末現在、貸付残高は約四十六億七千九百万円で、返済中の件数は六百六十五件となっております。
○中山委員 私、過日、都市整備局が所管されている区画整理事業の関係で、ある方からご相談を受けました。補償金をちょうだいしたけれども、今、営んでいる事業の事務所と店舗を兼ねた建物を取り壊さなければならないということで、土地のローンがあって、その担保を外してもらうために補償金を全額つぎ込まなければならなかったということでございまして、やっとの思いで担保を外してもらったけれども、今度は新たに事業所と住居を構えなければならない。換地してもらったけど、そこで構えるための資金というものがない。そこで金融機関から借りようと思ったけれども、今、中小企業は非常に資金繰りが厳しくて、金融機関から貸し渋りに遭ってしまったということでございました。
そこで、移転資金の貸付額の上限額はどういう考え方によって定まっているのか、お伺いさせていただきます。
○角南用地部長 貸付額の上限についてでございますけれども、まず、移転補償金総額の二分の一以内であること、担保物件の担保価値の範囲内であること、また、返済能力があることなどの一定の条件を満たしていただく必要がございますが、貸付限度額は三千万円となっております。
さらに、特別の事情、例えば、移転を希望される先での法令上の制限といったもので建物をグレードアップしなければいけないといったような事情がある場合におきましては、返済能力とか担保価値の範囲内といった条件を満たしていただいた上でございますが、さらに一千万円まで特別に加算することが可能になっております。この加算額を合わせまして、最高限度額は四千万円となっております。
○中山委員 先ほどの申し上げた事例は、これは個別具体的にやらなければ、本当に金融機関がどうだったのかというのはわかりません。けれども、本当だったら追加融資というのを考えてくださっても、あるいは借りかえを考えてくださってもいいところを、全額返さないと担保を外しませんよということは、恐らく実際にもほかの例でもあるのかもしれないなというふうに思います。
今のご答弁で、特別貸付として一千万円まで加算できるということはわかりました。しかしながら、例えば個人商店などの中小零細企業の方が生活再建のために会社の建物をあわせて再建するとなると、土地建物や運転資金等のローンの担保を抹消するために補償金を充ててしまう。そのため、その後の再建資金が不足する。また、この制度を利用して貸し付けを受けるにしても、運転資金は貸し付けの対象となっていないということもありまして、加算していただいても最大が四千万円というのが上限と。不足する場合があることも予想されるわけであります。
冒頭述べさせていただきましたとおり、今後も予想される厳しい金融情勢の中で、このような貸付制度を利用したいという方がふえてくることも可能性としてはありますけれども、都としてこの貸付制度をどのように実施していくのか、ご答弁をちょうだいしたいと思います。
○角南用地部長 現在、政府におきましても、貸し渋りや貸しはがしに関する法案といったものを検討しているという報道もございます。委員ご指摘のとおり、今後も厳しい金融情勢が続くものと見込まれます。したがいまして、公共事業に協力した方々を対象とする本貸付制度は、生活再建を円滑に進めるために、ますます重要な制度になるものと考えております。
生活再建のために、例えば用地の担当職員が関係権利者とともに金融機関に融資相談に同行するなどの対応を行っております。また、建設局事業の用地取得に応じていただいた方々を対象に、東京都道路整備保全公社の公益事業といたしまして、ファイナンシャルプランナー資格をあわせ持つ税理士という専門の相談員を配置した用地無料相談窓口というのを設置しておりまして、生活再建のための資金計画や税金のさまざまな相談に応じることとしております。この窓口の周知や利用促進に努めてまいります。
今後も、関係権利者の方々の置かれているさまざまな事情に配慮しながら、より一層きめ細かな対応を図り、円滑に生活再建が可能となるよう、本貸付制度を積極的に実施してまいります。
○中山委員 今お話がございましたように、金融機関まで一緒に担当職員の方が行ってくださったりしている、あるいはファイナンシャルプランナーの窓口も設けているというようなことで、積極的なご対応をお伺いしまして、本当に頑張っていただいているなというふうに思います。
また、現在は、特別貸付額についても、残念ながら、景気の冷え込みの影響を受けて返済が滞る事例もふえ始めているというふうにも聞いております。そうした面では、確かに返済能力を見きわめないと安易に貸し付けできないというのも現実にあることはよくわかります。ただ、そうした面で、直接中小企業を支援する支援制度や融資制度というのは、建設局ではなく産業労働局の所管でありますから、関係局との間で連絡していただいて、協議していただくということが大事になってくると思いますけれども、ある面では、公共工事に協力してくださる方々に対しては都庁が総力を挙げて何とかしてあげようという体制を講ずることが非常に大事であるかと思います。この点につきましてはぜひご検討いただいて、何か見える形での進捗をご報告いただければと思っております。
このほかにも、建設局におかれましては、公共事業の用地取得に際して関係権利者が事業に協力しやすくなりますよう、毎年、国へ制度改善要望を行っているとお伺いしておりますが、どのような内容のものなのか、お伺いいたします。
○角南用地部長 土地所有者を初めとする関係権利者が公共事業にご協力いただきやすくするために、現在、国に対して制度改善を要望している事項について、概要をご説明申し上げます。
一つ目が、公共事業の用地取得にご協力いただいた方のうち、補償金により一時的に所得がふえることに伴いまして介護保険料が高くなってしまうという方につきまして、国民健康保険料の場合と同様に、補償金を保険料の算定基準となっている所得から控除するよう、特別控除等の減免措置を要望しております。
二つ目が、相続税の納税を猶予されている農地をご提供いただくような場合、本来、農業を継続していれば負担をしなくて済んでいた相続税に加えまして、納税を猶予されていた期間の利子税まで支払うことになるため、この税負担の軽減を求めるものであります。
三つ目といたしましては、公共事業の用地取得に係る譲渡所得の特別控除でございますが、譲渡した最初の年についてのみ適用となる五千万円の特別控除を複数年で通算して適用できるよう、租税特別措置法の改正を求めるといった内容の要望を行っております。
○中山委員 今ご説明いただいた内容は、私どもも強く強く要望してきたところでありますし、何とか実現をしていきたいというふうに願っております。
介護保険料算定のはね返り、これはもう大事な問題でございます。公共工事に伴う移転交渉というのは長い年月かかりますから、関係者の方々が、若かった方がだんだんお年になられていくということもあります。ようやく交渉が実って、となったときに、こういうことになると、これはある面でお気持ちの上でも非常にがっくりくるのではないかというふうに思います。
また、租税の納税猶予を受けている農地へのさかのぼり利子税の適用の問題、これについては、我が党の澤さんという参議院議員が利子税の大幅な減額を実現させたところなんですけれども、それでも、やはり農地として営んできた、そこをみずからの理由じゃない理由で一たん手放さなくてはならない、そこでさかのぼり利子税を受けてしまうということになると、これは大変な問題であります。
また、譲渡所得の特別控除の問題も大事で、なかなかこれを控除し切れる収入がある中小企業というのも少ないわけでありますから、それの複数年適用というものを実現していくことは非常に大事な視点かと思います。
今ご答弁いただいた点の制度改正も含めて、改めて今後とも引き続き国へ強く制度改善の働きかけを行っていただいて、先ほどの質疑等も踏まえて、公共工事に協力していただける都民の方々が気持ちよく、さらにそうした流れができますよう、ご努力のほどよろしくお願い申し上げます。
ありがとうございました。
○小磯委員長 この際、議事の都合により、おおむね十分間休憩いたします。
午後二時五十九分休憩
午後三時十分開議
○小磯委員長 休憩前に引き続き分科会を開きます。
質疑を続行いたします。
発言を願います。
○たぞえ委員 二十年度の建設局の予算現額は五千二百億円で、執行率は九〇%。そのうち街路整備は二千三百八十七億円でした。私は、その執行にかかわって、幹線道路への予算のあり方、執行のあり方について幾つか伺いたいと思います。
まず、オリンピック東京招致のための立候補ファイルで、新規を含めて二十二路線の幹線道路を開催時までに整備することが公表されて以来、都民から道路行政のあり方が指摘されてきました。オリンピック招致ファイルで主要幹線と掲げた補助二六号線都市計画道路について、まず伺いたいと思います。
この道路は品川区と板橋区をつなぐ、いわゆる六・五幹線道路といわれています。それは、環状六号線と環状七号線の地理的に中間地点を南北に整備するから六・五というふうにいわれています。しかし、整備地域は現道がない地域もあり、そこに住む多くの都民を立ち退かせ、また沿道のまち並みが改ざんさせられてしまうと、道路行政への強い不満と怒りが込められている地域であります。
その区間の一つである代沢一丁目-北沢一丁目区間では、現道が狭隘なこととあわせて、西側ががけ線になっており、道路として整備すれば住環境の激変が予想されています。二十年度には、道路構造の検討や井の頭線との鉄道立体交差について、この部分の設計のための具体的な調査はどう行われ、どのような検討の到達なのか。また、そのための二十年度予算と決算はどのような推移だったのか、お示しいただきたいと思います。
○藤井道路建設部長情報基盤整備担当部長兼務 補助第二六号線は、お話のありました環状第六号線と環状第七号線の間に位置する環状方向の骨格幹線道路でありまして、その整備により広域的な道路ネットワークの形成が図られます。
世田谷区代沢一丁目から北沢一丁目までの約〇・九キロメートルの区間周辺では、現在、京王井の頭線をわたる南北方向の幹線道路がございません。また、本路線の現道は狭隘で、緊急車両の通行にも支障を来してございます。このため、地域の防災性の向上を図るためにも、延焼遮断帯や緊急避難路としての役割を持つ本路線の早期整備が必要でございます。
平成二十年度には、航空写真測量をもとに、京王井の頭線との交差方法や沿道との高低差処理などについて概略検討を行いました。今後、道路構造の検討をさらに深めてまいります。
予算、決算でございますけれども、平成二十年度予算額は八百万円、決算額は百九十七万円でございます。
○たぞえ委員 鉄道との交差方法や高低差の処理もあって、今後も道路構造の検討を進めていくという答弁を裏返せば、二六号道路をつくるには相当の難題があると、このことは明らかであります。そもそも六十年前にかいた計画図を、半世紀以上もたっている今、決めましたからやらせてもらいますというごり押しの時代ではないんではないかというふうに思います。れっきとして、そこに今暮らしがあり、鉄道が都市間をつなぐ準高速のスピードで通っている。そこを押しのけて進める道路行政に、都民や地域の方々からイエローカードが示されているわけであります。
同時に、数百軒の住宅を立ち退かせて道路用地の買収の手続に入っている三宿-池尻区間についても、地元住民から東京都の道路行政について異議が訴えられています。隣接するマンションなど、共同住宅自治会からも計画の再検討が表明されているもとで、住民合意形成が図られていない計画に対して、なぜ逆に理解を得られているという認識が生まれるんですか。
○藤井道路建設部長情報基盤整備担当部長兼務 本路線は、交通渋滞の緩和を図り、地域の防災性向上や、狭隘な生活道路に入り込んでいる通過交通を排除し、地域の安全性を高めるためにも非常に重要な道路であり、平成十九年一月には世田谷区長から整備促進の要望が出されてございます。世田谷区三宿二丁目から池尻四丁目までの四百四十メートルの区間につきましては、平成二十年十二月に事業認可を取得して、事業に着手してございます。
本区間につきましては、平成十八年七月に事業説明及び現況測量説明会を実施し、百二十七名が出席し、また平成十九年八月の用地測量説明会には百三十七名の方が出席されています。事業認可取得後におきましても、本年五月に用地説明会を実施し、七十五名の方が出席し、六月には三日間にわたる個別相談会を実施し、五十八名の方が参加されております。その中で、用地の早期取得要望も出されております。また、地元町会への個別説明、電話や来庁による個別相談など、さまざまな形で地元住民の要望や相談に丁寧に対応してきてございます。引き続き地元の理解と協力を得ながら、早期完成に向け積極的に事業を推進してまいります。
○たぞえ委員 区長はそのような主張をされているわけですが、地域の住民の方は違う方向を示しているわけです。その住民の意向と正反対の方向に行政がかじを取っている。このことは、私は地方自治体としてあるべき姿から見て、ちょっと違うんじゃないかなというふうに思うんです。
具体的にお聞きしますが、この池尻区間に計画している場所は高低差があるために、万里の長城のように、高いところに向かって巨大な道路の構造物がつくられる計画です。そのために現在ある町会は分断され、東西の通行は巨大な外壁に穴をあけた、まさにけもの道を現代人が通る、そういう計画です。子どもたちの学区域も影響され、通行の移動も制限される。さらに北沢川緑道公園、これも廃止。それにかわって、豊かなせせらぎはコンクリートの横断歩道に姿を変えてしまう。こういう都市づくりが東京都の道路行政の基本なんですか。いかがですか。
○藤井道路建設部長情報基盤整備担当部長兼務 北沢川緑道から淡島通りまでの区間は高低差があるので、盛り土構造となります。地域内道路の通行を確保するために、中間部に横断施設を設置いたします。また、車道本線部の両側に副道を設置いたしまして、沿道からのアクセスを確保いたします。また、北沢川緑道との交差部分につきましては、植樹帯の整備による緑の連続性や量の確保に配慮するとともに、横断歩道の設置により、北沢川緑道の連続した歩行者動線の確保に努めてまいります。
今後とも地域の利便性に配慮しつつ、交通渋滞の解消や防災性の向上はもとより、生活道路に流入している通過交通の排除による地域の安全性の向上、快適な歩行者空間の確保などを図る本路線の整備を積極的に推進してまいります。
○たぞえ委員 いろいろと緑道の連続した歩行者動線の確保に努めるとか述べられましたけれども、どう聞いていても苦しい答弁だと思っております。二十メートル幅もある道路の横断について、地域の利便性に配慮するというならば、緑やせせらぎを確保することこそが地域への温かい配慮です。地域住民が再検討を主張しているもとで、住民サイドに都政が立ち戻ることを強く要求しておきます。
私は同時に、大学の構内の校舎の間に、二十八メートル幅の、この近くでいえば環状八号線並みの道路を都が施行する。お金は都が出すけれども、あとは市で頼むよといっている多摩の小平三・三・三号都市計画道路についても伺わざるを得ません。この道路について、大学当局との協議状況、また今後どう推進をするか示していただきたいと思います。
○谷村参事 小平都市計画道路三・三・三号線は、小平市花小金井南町から中島町に至る延長約八・六キロメートルの東西方向の路線でございます。このうち、武蔵野美術大学敷地内の区間につきましては、その前後で区画整理事業により道路整備が行われており、これにあわせた整備を小金井市より強く要望されていることから、新みちづくり・まちづくりパートナー事業として今年度から事業を進めているものでございます。
新みちづくり・まちづくりパートナー事業は、地域のまちづくりに密接に関連する都道のうち、事業化を計画以外で、地元市からの整備要望が強い路線について、都が用地補償に係る費用を、地元市が設計及び工事に係る費用をそれぞれ負担し、市が整備を行うものでございます。
お尋ねの武蔵野美術大学との協議につきましては、小平市が四月から事業スケジュールの説明などを行っており、今後具体的な用地補償などにつきまして協議を進めていくと聞いております。
○たぞえ委員 大学の前後が区画整理で、そこで道路をつくるから大学の構内も頼みますよという、市施行だといっているわけでありますが、明らかにこの用地買収の経費は東京都が出すわけですね。これまで間接的に市の方でお任せしますよといって、用地買収になると直接的な責任を東京都が負わなければいけない。それで大学の構内のキャンパスの一部を道路として用地を獲得する。こういうことが、大学の学生さんや働く教職員の方から、授業へ行くのに、二十八メートルも先の校舎まで、しかも信号などもない場合にはどうやって横断するんだと、道路のつくり方も考え方もおかしいじゃないかという陳情を受けました。そのお話を聞いていて、前後が区画整理であったとしても、大学の真ん中に巨大な道路を据えて、そして授業だとかさまざまな学生の生活に支障が起こるようなやり方というのは、私はもうちょっと丁寧にやってあげる必要があると思います。お金を出すから大丈夫だという時代じゃないんじゃないでしょうか。
同時に、西東京三・四・九都市計画線ですが、これも東大の農場、演習林構内に道路をつくるというものです。最近ではオオタカの営巣が確認されましたから、調査が終わるまでは事業に入るべきではありません。
こうして今、東京都内に計画されている都市計画道路は、つい一、二年前に計画を生み出したというものではなくて、もう半世紀以上も前ですよ。都市の構造も都民の暮らしの仕方も変わってくる中で、無理に当時の計画だからそのままいきますという世の中ではないと私は思っています。新たな道路を進める第三次道路計画の実施は、やはり今の時期、再検討というのが国民の動向だというふうに指摘をしておきたいと思います。
次に、都立公園の多機能型施設のあり方です。
決算書の一九五ページの数値は、予算現額五百九十八億円に対して執行率は九一%です。この中で、老朽化しているトイレの改修などを含めて、既設公園の整備の部分で、二十年度は二千百五十四万円の支出でありました。絶滅危惧種対策設計等の経費と決算書には掲載されていますが、都立公園のトイレなどの施設を私は公園で見るにつけて、もっと予算を計上する必要があるのではないかということを痛感しています。
そこで二十年度の、都立砧、駒沢公園を利用するために駐車場を利用する都民がふえていると思いますが、利用台数はどういう状況でしょうか。
○三浦公園管理担当部長 平成二十年度における砧公園の駐車場の利用台数は十三万四千九百三十二台、駒沢オリンピック公園は十六万二千四十台でございます。
○たぞえ委員 今の報告の数値でも、大変幅広い都民の方が多様に使っている、これが都立公園の実情です。砧公園でいえば、一日の台数は約三百台、都民が利用されています。ですから、この駐車場はきちんと整備されていますけれども、問題は公園内の施設が利用者にとって快適に使えているということが大変大事だと思うんです。
とりわけ、公園に車で到着して、園内に移動する際に、子どもたちや障害者が用を足して公園を利用する配慮が大変必要です。私はかつて幼稚園で子どもたちを教えておりましたけれども、郊外遠足の際には必ず子どもたちに、公園の中に遊びに行くときにはトイレに行きなさいと、こうやって促していました。世田谷区内に住む障害者の方からも、駐車場に隣接するまず一番近いトイレが、手すりもなく、障害者に使えるよう配慮されていない。こういう声も聞いています。赤ちゃんのおむつがえは既に各私鉄など交通機関の駅内でのトイレで交換できる、そういう事業者の取り組みも進んでいるわけです。東京都は公園内での多機能型トイレ等の設置促進、これはどのように考えているんでしょうか。
○小口公園緑地部長 公園内における多機能型トイレの設置についてのご質問でございます。都はこれまでも都立公園におきまして、車いすの使用者を初めとする障害者の方や妊婦の方、お年寄り、小さなお子さんを連れていた親御さんなどが使いやすいトイレ、だれでもトイレと申してございますけれども、だれでもトイレの整備に取り組んできております。
平成十九年度には、公園のトイレ設計の手引を定めまして、トイレの新設及び改修時には、このだれでもトイレを原則として設置することとしております。お話の砧公園では、十二カ所のトイレのうち、既に七カ所のトイレにおいてだれでもトイレを設置しております。今後も老朽化トイレの改築や防災トイレへの改修にあわせ、順次設置に取り組んでいくこととしております。
○たぞえ委員 老朽化の改築などに順次設置していくという見解でありますが、砧公園でも十二あるうち七カ所が終わって、残り五カ所については今後の対策だというわけであります。しかし、計画を加速していくことが私は大事だと思うんです。だれでもトイレを早く整備しておかないと、赤ちゃんは大きくなっちゃうし、さらに高齢者の移動の自由を確保して、社会参加を促進する上でも、このだれでもトイレは特に建設局としては重く、重点的に取り組んでいただきたいと思うんです。
さらに、都立公園は震災の際の広域避難場所でもありますし、首都直下型地震への対策としても整備が急がれるのではないでしょうか。必要な予算をしっかり確保できるように、また、こうした都立公園を利用する都民の方々が快適に公園を利用できるように、ぜひ局長に予算の配置を強く要求しておきたいと思います。
次に、鉄道の連続立体交差化です。
決算書によると、鉄道の連続立体については、本年度事業、二十年度事業ですね、百二十二億四千三百五十万円、前年度繰越事業で百三十六億七千万円の支出済みという記載です。鉄道は、将来にわたって広範な人々が利用していく利便性がある一方、鉄道構造物の形式や位置によって、周辺の暮らしのゾーン、あかずの踏切の解消に伴う空間の確保など、大きく変動することが、この間の立体化がよく物語っています。したがって、どのような構造物に切りかえるのか。こういう場合には、慎重な検討と合意形成が基本になるのではないでしょうか。
そこで、都心と多摩の郊外をつなぐ京王線では、八幡山-代田橋区間の立体構造について、決算時の二十年度、国と事業者が協議をしていたと聞いています。しかし、既に半年が経過した今日でも、検討内容は都民に明らかにされていません。なぜ半年もおくれたのか、説明の責任が果たされていないといわざるを得ないんです。そこで、二十年度はどういう協議をし、検討結果はどのようなものだったのか。また、高架式、地下式、いずれかの選択に当たっての現時点の検討状況はどういう推移になっているのか伺います。
○藤井道路建設部長情報基盤整備担当部長兼務 京王線代田橋駅から八幡山駅付近の鉄道立体化についてでございますけれども、平成二十年度は構造形式や施工方法の検討を行い、国との協議を開始してございます。具体的には、地形や沿線の状況、既定都市計画、既に高架化されている笹塚駅及び八幡山駅の状況などを踏まえ、高架式、地下式における踏切除却への影響などを検討してございます。
この結果、高架式の場合は、本区間における十六カ所のあかずの踏切すべてを解消し、交差道路の通行を確保することができることがわかりました。一方、地下式の場合は、既に高架化されている笹塚や八幡山両駅から地下に入る区間で除却できない踏切や交差道路の分断が生じ、地域交通に支障を来すなどの問題があることがわかりました。
平成二十一年度は、これらに加え、事業費や工期などを含め、総合的に比較検討しておりまして、都市計画や環境アセスメントの手続の着手に向けて関係機関との調整を進めているところでございます。
○たぞえ委員 今の部長の答弁で、地下式には支障を来す問題があるということですが、それは高架式の場合には支障を来すものではないというふうに受けとめられました。鉄道の構造形態を選択する場合、あくまでも、今答弁があったように、既存の道路を残す、あるいは新設をする、それがまず大前提だというスタンスだろうと思うんです。そのことは、前の第三回定例議会で、代表質問への局長の、技監の答弁でも、道路整備の見通しがついたので京王線の立体化、延伸を図ると述べていることからも、あくまでも道路が中心の鉄道構造検討だということが明らかです。
鉄道の立体構造が高架であっても地下であっても、沿道のまち並みを維持することよりも、道路そのものをどうするかと、このことを理由にして構造決定をおくらせるということは、私は認めることはできません。既に京王沿線のまちづくり協議会は、道路をどう通すか、新規の道路をどう確保するか、駅前の広場をどう構築するか、さて開発はどうするか、こういう議論が先行していて、立体化が決まるまではこれはご法度だと、全く議論の余地がない、こういう状況に住民が置かれているわけです。国や東京都や京王電鉄などは専ら鉄道をどうするか。その前提であるまちづくりは住民に大いに議論させて、その議論の経過を見て、結局、道路をどう通すかが連続立体の根幹だということでは、これは住民が鉄道について物がいえなくなってしまう。こういうまちづくりの大きな問題を残すのではないかというふうに思います。
そこでもう一個、済みません、伺いたいんですが、沿線住民や地元自治体、議会に十分なこの連続立体のあり方についての説明はきちんと行う必要があると思うんです。それは、かつて私の、世田谷の小田急線の連続立体のときも大変もめました。そして裁判にもなった。一、二年という時間ではなく、十年を経過する事態になったんですね。そんなにもめちゃいけないわけなので、ぜひ行政として、こうした十分な説明を行うように求めるものですが、見解を伺いたいと思います。
○藤井道路建設部長情報基盤整備担当部長兼務 連続立体交差事業の構造形式につきましては、交差する道路、踏切の除却、またまちづくり、その他いろいろな要素を含めて総合的に判断すべきものというふうに認識してございます。具体的に、構造形式につきましては、高架式、地下式の両案を総合的に比較検討した上で計画案として取りまとめてまいります。
今後の説明でございますけれども、早期に計画をまとめまして、その内容を都市計画や環境影響評価の説明会などにおきまして、広く住民の皆様方に説明し、理解と協力を得るよう努めてまいります。
○たぞえ委員 丁重で、しかも住民合意の形成が図られるように、議論の場もぜひ保障し、説明会等は決められた時間が来たから、はい終わりというのではなくて、十分な意見を聴取する、そういう住民参加型の鉄道立体を要求しておきたいというふうに思います。
同時に、建設局の予算は他の局よりも大変大きい金額です。しかし、中小企業への工事発注は東京都建設局の工事発注の約四割にとどまっています。都民が必要としている生活インフラの整備や公園整備など、暮らしを向上させる、そういうためにも、今深刻な金融不況に陥っている東京の中小企業の皆さんに、ぜひ工事発注を振り向けるなども含めて、二十二年度の予算編成に向けては都民生活のスタンスで予算の編成を行ってもらいたいということを要望して終わります。
○和田委員 初めに、道家技監、建設局長に一言意見を申し上げておきます。
私はかつて、ニューヨークのセントラルパークを視察して、ドッグランの現状を見ました。住民が自主管理をしているというようなことも含めて、そこにいわゆる注意書き、ノーティスというのが書いてありまして、八項目ぐらい、各犬を連れてくる住民が、犬と犬同士のけんか、あるいは人、犬のトラブル、全部自主的にそれを解決すべきだというノーティス、いわゆる注意書きが書いてある。こんなことを記録して、公園課の方に紹介をして、その結果、駒沢公園で第一号のドッグラン、都立公園のドッグランができたという経緯はご承知のとおりです。
このように、公園そのもののあり方と、少なくとも議会の中での情報の提供や、当然それを実現すべき理事者の皆さんとの間のうまいコミュニケーションが働いて、私だけに限らず、各会派、各議員のそういう提起、提案というものが結びつくこともあって、今日、少なくともドッグランについては、私の耳には好評の声が届いてきています。もちろんその駒沢に限らず、神代も含めて、累々と広がっているわけです。そういう中で、私は今回、公園絡みの資料要求もして、ここに書いてありますけれども、質問に至るまでに大変残念なことがありましたので、道家技監、建設局長に意見を申し上げるという経緯があります。
それは、平成十五年第二回定例会に、私どもの田中良幹事長が、東京におけるセントラルパーク構想というのを本会議で質問しています、代表質問です。そのときに、こういう論旨で田中良幹事長は質問しているんです。東京の中心部には、都立日比谷公園を初め、皇居前広場、皇居東御苑、北の丸公園、千鳥ケ淵公園など、約百六十ヘクタールに及ぶ緑地公園がもう既に存在をしている、これらの公園が複合的に、かつ一体的に機能するように行政機関が連携をして、いわゆる東京セントラルパークとして取り組んで調整をしてはどうだと。
これを、当時のですよ、道家さんの前の小峰良介東京都技監が本会議でこう答弁しているんです。前の方は省きますが、今後、国や地元区などと連携して、ガイドマップの作成やサインの統一を図っていくなど、皇居周辺の公園緑地が全体として東京都の顔となり、多くの人々に愛され、親しまれるように努めてまいります。あと何問か問答がありますけど、それは割愛します。このように、我が会派の田中良の質問に対して、小峰東京都技監はこういうふうに積極的な答弁をされている。
私は今回、平成十五年から少し時間はたっていますけれども、この東京セントラルパークの、今日どうなっていますかと、こう質問しようと思った。いや、それについてはわかりませんと、こういうこと。当時の技監が本会議答弁をしていながら、これが継承されていない。答えようがないと、こういうことです。これはどういうことなのか。質問はしませんよ、意見ですから。少なくとも議会の本会議における、当時の田中良幹事長がしっかり質問をしているのに、理事者の受けとめ方が答弁のしようがないと、こういっている。よくいわれる議会軽視という言葉がありますけれども、それに当たるかどうかはわかりません。少なくとも、道家技監のご判断の中で、このことがあったかどうだか、細かく精査される必要があるんじゃないでしょうか。そのことをまず申し上げておきます。
質問に入ります。具体的に質問に入りますが、補助七三号線の、正確には補助七三号線と補助八三号線の一部ですね、九十メーターにかかわる事業概要、これは北区にかかわる部分でありますけれども、状況はどうなっているのか、お伺いいたします。
○藤井道路建設部長情報基盤整備担当部長兼務 補助第七三号線は、新宿区西新宿七丁目を起点とし、北区赤羽台三丁目を終点とする延長約十一キロメートルの環状道路を補完する機能を持つ都市計画道路でございます。また、お話のあった補助第八三号線は、北区滝野川二丁目を起点とし、北区赤羽西三丁目を終点とする延長約二・六キロメートルの都市計画道路であり、北区赤羽西三丁目において、補助第七三号線と接続してございます。本事業は、補助第七三号線の北区赤羽西一丁目から補助第八三号線の北区東十条六丁目までの七百三十メートルの区間において、現道幅員約七メートルを二十メートルに拡幅する事業で、平成十三年度に事業認可を取得してございます。
○和田委員 今年度、平成二十年度の当初の予算額、それに対する、今審査をしている決算及び執行率ということと、さらに用地の取得率、この率についてそれぞれお伺いします。
○藤井道路建設部長情報基盤整備担当部長兼務 平成二十年度の予算額は約三億八千万円で、決算額は約二億五千万円でございまして、執行率は約六六%でございます。用地取得率につきましては、平成二十年度末時点で約八六%でございます。
○和田委員 進捗率というか、用地取得率でいいですが、八六というと大体九〇%近く、ここまで来るのは大体、権利者の方々のおおむね賛同か、それまでの方が加わってきて八六、あと残りの一〇%少しが、当初の疑問を感じる、あるいは反対をしていた方々の数字なのか、あるいは予算的にまだそこまで届いていないからという数字なのか、ここは微妙だと思うんです。微妙だと思いますが、少なからず九〇%に近づいてきて、皆さん方の努力を私どもも見聞していますから、あと一息のところでしっかり完成まで追い上げていただきたいというふうな気持ち、北区においてもそうですし、関係の住民の方にもそういう思いが高まってきているというふうに思うんです。そこで、二十年度決算における重立った事業はどういうふうな形で行ったんでしょうか。
○藤井道路建設部長情報基盤整備担当部長兼務 平成二十年度につきましては、約二百七十平方メートルの用地を取得してございます。また、既に用地を取得している一部区間、約百五十メートルにおいて、電線共同溝や配水管の設置工事などを実施してございます。
○和田委員 まちづくりという点では、通常は買収だけで終わって、その次の買収というふうにつながりやすいんですけれども、今ご答弁のとおり、電線の共同溝、今でも求められている、将来も必ず求められる、そういう事業、さらには配水管の布設の工事といったようなことも、ただ単に道路だけではなくて、附帯している工事などについても積極的に行うという意味では、地域の人たちも将来のまちがそこの時点で見えてきているという意味で、ただ買収しっ切りじゃなくて、将来のライフラインの一部である共同溝なども含めてつくることによって、だんだん想像力の中に道路の構造体が入ってくるというようなことで、わかりやすいというような声も聞いています。そんなことで、これを加速していただきたいと思うんですが、平成二十一年度の予算及び予定している事業について改めてお伺いいたします。
○藤井道路建設部長情報基盤整備担当部長兼務 平成二十一年度の予算額は約五億二千万円でございます。引き続き用地の取得を行うとともに、約百メートルの区間におきましても電線共同溝や配水管の設置工事を予定してございます。
○和田委員 やはり同じように、電線の共同溝とか配水管とか、ずっとその延長をするというようなことで、それが当然のことのように道路の買収などとともに行われるということで、今年度も一部もう始まってはいますが、大変地域が安心するやり方だろうと思っております。今後の事業の方針と具体的な取り組みぐあいを、今の電線の共同溝を含め、附帯事業の執行と絡ませてどういうふうにお考えでしょうか。
○藤井道路建設部長情報基盤整備担当部長兼務 補助第七三号線は地域生活を支える基幹的な道路であり、本事業により防災性の向上や交通の円滑化が図られるとともに、歩行者の安全性も向上いたします。今後とも財源の確保に努めるとともに、地元の理解と協力を得て、事業用地を仮歩道として開放するなど、事業効果の早期発現を図りながら、着実に本路線の整備を進めてまいります。
○和田委員 ただいままでの各委員の質疑にもありましたとおり、傘を差すと、こちら側がおうち、民家で、こちらがガードレールで、電柱があったりして、それこそまともに真っすぐ歩けないような状態が私どものこの補助七三の近くにもございます。そういうことからするならば、今答弁がありましたとおり、生活に密着した形で、一部もうでき上がったところは開放していくとか何かで、硬直的に考えないで、拡張できて十分使用に供するようなものについては、道路使用を順次そこに開放していくというようなことで、乳母車も通れない、あるいは先ほど申し上げたように、傘を差しても通れない、やむを得ず車道の方へ出ながら歩かなきゃならないような状態がしばしばあるという実態からするならば、生命の安全も含め、それから子育ても含め、危険な道路と共存するようなまちではなくて、少なくとも一日も早くそこから脱却できるような、この道路の完成を多くの方々が望んでいるわけですから、中途でできることについては全面的に地域の声を聞いていただいて、安全管理を主にやっていただきたいということを申し上げておきます。
次に、補助八八号線の整備についても関連してお伺いします。同じように八八号線の事業概要についてお伺いいたします。
○藤井道路建設部長情報基盤整備担当部長兼務 補助第八八号線は、北区王子一丁目を起点とし、北区豊島六丁目を終点とする延長約一・六キロメートルの都市計画道路でございます。本事業は、補助第八八号線の北区豊島二丁目から北区豊島六丁目までの七百八十メートルの区間におきまして、現道幅員約十一メートルを二十メートルに拡幅する事業で、平成十四年度に事業認可を取得してございます。
○和田委員 平成二十年度決算に至るまでの当初予算、それから決算執行率、これを用地取得率とともにお伺いいたします。
○藤井道路建設部長情報基盤整備担当部長兼務 平成二十年度の予算額は二億五千万円で、決算額は約二億四千万円でございます。執行率は約九七%でございます。用地取得率につきましては、平成二十年度末時点で約六八%でございます。
○和田委員 別に補助七三と比較するわけじゃありません。過去の経緯が違います。ただ、補助八八号線についても、用地取得率が目に見える形で住民なり私どもに理解しやすいものですから、約六八%、七三が八六ということで比較対照せざるを得なくなってしまうのですが、これももう七〇%近いわけですから、地域の人の説明会にも私も臨みましたし、また具体的に、皆さん方のお仲間が、夜分どこへでも出向いて交渉に当たっているという実態も承知をしております。何しろ権利が錯綜している現場でございますから、その意味で、ここで議論していたり、ペーパーでできる話じゃありません。しかしながら、事業を遂行するためには、そこへ乗り込んでいって、お互いにひざを突き合わせてやるというような、そういう生々しい局面もなければ事業は進んでいかないというふうに思います。
そこで、二十一年度までの用地取得を前提にして、これからの工事は何を考えていらっしゃるんでしょうか。
○藤井道路建設部長情報基盤整備担当部長兼務 これまでの用地取得の進捗に伴いまして、今年度から工事に着手いたします。今年度は、起点側の豊島二丁目付近、約百メートルの区間におきまして、配水管の設置工事を予定してございます。
○和田委員 百メートルといえ、長いか短いかは別にして、配水管工事というような形で、先ほど申し上げたとおり、ただ単に工事の拡張にとどまらず、ライフラインにかかわる事業を進めていくということで、地域の安心感、北区、当局も安心するというような一つの事例になっているわけでございます。この整備、八八号の整備を進めていく上で、積極的な取り組みが、用地取得率が六八%ということも含めて、どういうふうな姿勢で取り組んでいくのかをお伺いいたします。
○藤井道路建設部長情報基盤整備担当部長兼務 本区間は一日八百本のバスが走行するバス路線でございまして、利用者も非常に多いことから、バスベイの設置とゆとりある歩道幅員を確保する道路計画としてございます。工事中におきましても、事業用地をバスの停車スペースや仮歩道として開放するなど、事業効果の早期発現を図りながら、歩行者の安全確保にも努めてまいります。引き続き財源の確保に努め、地元の理解と協力を得ながら本事業の推進に取り組んでまいります。
○和田委員 次に、区市町村道の無電柱化事業について、補助制度も含め、改めてお伺いいたします。
「十年後の東京」の姿という一つのコンセプトがあります。これを読んでみますと、外国人が訪れるまち、あるいはオリンピック主要施設を中心にして都道や区道を一体的に整備をし、無電柱化エリアを拡大しようと、こうなっています。いうならば、とりようによっては、オリンピックを招致したときに、諸外国の人がいらして、自分の諸外国のまち並みと比べてみて無電柱化が劣っていると比較対照されたときに、例えば区部における無電柱化率というのは三%、多摩における無電柱化率は一%ということと、もう圧倒的に七〇%を超えるような諸外国の都市と比較されたら困る。したがって、急いで、もしもオリンピックが来るならば、その間、無電柱化を急ごうじゃないかというような姿勢もうかがい知ることができるような、そういう形で無電柱化事業というのもスタートしたという見方もできるというふうに私どもは思っています。
しかし、オリンピックの招致が失敗しても、この事業はオリンピックが失敗したんだからもうなしだよというわけにはいかなくて、それをきっかけにしながらも、やはりオリンピックが来る、来ないにかかわらず、生活にかかわる、あるいは防災上も大変重要なこの無電柱化事業というのは進めていかなければならないというふうに考えるわけであります。
そこで、私どもが今まで無電柱化事業というと、おおむね重立った都道を中心にして、避難道路あるいは電柱が倒れた際の災害における対策というようなところで多くが事業をされてきました。ところが、昨年から、東京都の方も市区町村にも目を向けて、ある意味では面的に、都道を中心に今までは線でしたけれども、面的に市区町村事業を応援しようじゃないかというふうに考えて、美観あるいは震災上にも強いまちに協力をし始めているというふうに承知をしているんですが、その取り組みについて、代表的な事例をお挙げいただきたいと思います。
○藤江道路保全担当部長 平成二十年度の区市町村における無電柱化事業は、主要駅周辺や商店街などで取り組みが始まっております。具体的には、区部では富岡八幡宮のある江東区富岡地区で、多摩地域ではJR八王子駅前などで整備が進められております。
○和田委員 区市町村道への、あるいは区市町村道を中心にした面的な無電柱化事業に必要なのは、やはり財政支援です。アイデアとしては電柱が見えないよりも、地中にあった方が防災上も、あるいは美観上も好ましいというのはわかるんですが、しかし、どこでもかれでもできない。なぜならば、財源に限りがあるからということです。
東京都が二十年度から取り入れた財源更正というのを見てみますと、それまでは五〇%・五〇%、国庫補助と、それから市区町村が単独で単費でやっていたものとがハーフ・ハーフだったんですけれども、そこに二十年度から補助制度を成立することによって、国庫補助の五〇%は変わらないんですけれども、残りの五〇%のハーフ・ハーフを、クオーター・クオーターの二五・二五の東京都と市区町村の単費ということで、三つの要素でこれを進めていこうということで、東京都の肩入れがはっきり見えるようになってきたわけです。そこで今回、二十年度における補助事業の実績ですね、それについては具体的にどういうふうに上がってきているんでしょうか。
○藤江道路保全担当部長 委員お話しのとおり、この制度は、無電柱化に要する経費のうち、国庫補助金を除く費用の二分の一を都が補助するものであります。平成二十年度は四区三市に補助を行い、その総額は約一億三千四百万円でございます。
○和田委員 二十年度の、あるいは、今全部手元にありますけれども、二十一年度の予算も含めて、二十年度の一・四億円から、二十一年度は二・八億円ということでもって、数字の上では倍増になっております。それから、対象とする区も二十年度は四区三市、二十一年度は六区三市というふうに、少なくとも区部が、先ほど申し上げたオリンピックの招致に関係するかどうかは別にしましても、大きく、千代田、中央、港、新宿、江東、品川というふうなところを対象にしながら二・八億円が組まれているということでございます。
したがいまして、これが、都心とかなんとか、周辺区とかということではなく、あまねく広く、リクエストがある市区町村には公平にこの補助事業を広げていって、どのまちでも、あのまちでも、このまちでも、区部でも、多摩でも、そういう需要があるところにはしっかりこたえていくということで、特定の都道中心の今までの無電柱化を、市区町村道中心、あるいは面的なところにまで広げていくという意欲をぜひお示しいただきたいということを申し上げて、質問を終わります。
○道家東京都技監 委員長のお許しをいただき、一言発言をさせていただきます。
和田先生とは、ご記憶かどうかわかりませんが、私は鮮明に記憶しておりますが、五年ほど前、ある報道機関が主催しました座談会で、もう一人の論客の方と三人で、東京の道路整備をもう少し広く、首都圏、日本の道路整備の話について意見をいろいろ交わさせていただいたという記憶がございます。大変刺激的で、私にとっても次の仕事に役に立った座談会であったというふうに記憶をしております。その和田先生と基本的な考えが共有できないと、大変残念でございますので、特に発言を求めさせていただいたわけでございます。
今年の七月十六日に東京都技監に就任をいたしました。知事からは、都政全般にわたって技術職側面から私を支えよというご指示があったことを覚えております。これまでそのご指示を踏まえて、都民のためにいろいろな施策を積極的に展開し、そしてまた、都政、技術職員、それから技術の仕事が大変多い面でございますので、その辺の取りまとめ役になれればということで過ごしてきたわけでございます。
先ほどの、その一つの大事なテーマであります緑、特に都心の緑でございますが、先生のお話のとおり、皇居周辺の一帯の公園緑地というものは大変貴重な緑でございます。都立日比谷公園を初めとして、皇居東御苑でありますとか、北の丸公園など、歴史を感じさせる大規模な緑地、それから内堀等の水域が多く残されておりまして、日本を代表する都市景観を形成しており、首都東京にふさわしい公園緑地だというふうに思っております。
これらの連携でございますけれども、この皇居周辺の公園緑地については、いろいろな関係者、行政機関が管理をしておりまして、連携について歴史的経過や、それからその他もろもろの社会的背景もございます。東京都、それから厚生労働省、環境省、宮内庁など、ほかにもあるかもしれませんけれども、そういう行政機関が関係しておりまして、調整に時間を要しているところでございます。
先ほどの小峰前都技監、たまたま私の前の都技監になってしまいました。五年ぶりの都技監でございますので、六年前の発言だと思いますが、小峰都技監の発言の中にも、今後、地元区などと--先ほど地元区のことが落ちていまして大変申しわけございませんでした。国や地元区などと連携してガイドマップの作成やサインの統一を図っていくなど、皇居周辺の公園緑地が全体として東京の顔となり、多くの人々に愛され、なれ親しまれるように努めてまいりますということで、六年前に田中良議員の質問にそういうふうにお答えをしているところでございまして、これに沿って、大変足が遅いといわれればそれまででございますけれども、検討をしているところでございまして、今後、皇居周辺の緑地が一体となって、例えば周遊マップなどの情報発信に取り組むなど、皇居周辺の公園等を所管する関係各局と協議をして取り組んでまいりたいと思います。よろしくご理解いただければ大変ありがたいと思います。
以上でございます。
○野島委員 まず、公園行政について伺います。
先ほど全都的な公園事業については中山委員の方からご質疑をいただきまして、答弁を聞いて、るるわかりました。私は多摩地区でございますので、そのところに絞ってお話を、ご質問申し上げたいというふうに思ってございます。
まず最初に、多摩地域における都立公園の整備状況、こんなものは今どんなぐあいで進んでいっているのかなと、そんなところを教えていただきたいと思います。
○小口公園緑地部長 多摩地域の都立公園の整備についてでございますけれども、多摩地域の都立公園は緑のネットワークの拠点として、また、丘陵地では豊かな自然環境を保全するとともに、都民が自然に触れ合える場所として大きな役割を果たしており、その整備は重要であります。「十年後の東京」では、平成十八年度から平成二十七年度までの十年間に、多摩部の都立公園を約百五十五ヘクタール整備することを予定しています。これまで、平成二十年度までの三年間で約六十ヘクタールを開園しました。引き続き積極的に多摩地域の都立公園の整備を進めてまいります。
○野島委員 ありがとうございました。
百五十五ヘクタールを予定し、三年間で六十九ヘクタールということは、単純に三倍すれば二百七ヘクタールと、オーバーしちゃうということになると思うんですけれども、財政もありますし、いわんや地権者の関係もありますから、早いとか遅いとか、そういうことはそれぞれのいろんな事業の中で内包されていることですから、それをどう調整しながら、財源の担保も含めてやっていくのか。あるいは、都立公園とはいえ、所在市にとってはそれなりにいろんな要望もあります。あるいは圏域で請願公園にした場合には、これはまたそれで大変すばらしい話なんだけれども、ほかの圏域から見ると、ほかの圏域を構成する市から見れば、私たちの市の人たちが、都民という立場なら別ですけど、そんなに利用率が高くないから、そっちの公園に回すより、こっちの私たちの市の、公園事業をやるのであれば、それの補助率に回してくれというのも、これは話として当たり前に出てくると思うんです。それは全体としてしっかり調整しながら進めていっていただきたいと、こんなふうに思います。
緑を守るということと、いわゆる公園というのは公共空間ということだろうと思います。緑が侵食され、あるいは平地ですと特に相続税等で開発圧力がいやが上にもかかってくるわけでありますから、ぜひそんなところも視野に入れながら積極的な促進をしてほしいと思います。
多摩も全体広いんですね。今度は、ご当地ソングになっちゃうんですが、北多摩地域というのは、多摩全体の中で都立公園を見ますと、都立小金井公園というのがあります。すばらしい公園です。小金井市に所在しています。あれはもう相当長い歴史の中で積み重ねられた公園だというふうに理解しております。深大寺もそうかな。それから、野川公園というのがありますね。ああいったふうなところもすばらしいと思うんです。
要は、用地担保が今までなされてきたなり、戦前からの歴史があるとか、あるいは野川についていうと、あれは昔、国際基督教大学のゴルフ場だったんです。だから事業体やるときに、相手が一法人ですから話も進みやすいと、こういうところがあるんですが、実は北多摩地区というのは、特に私どもの方はほとんど平たん地なんですね。そこに開発圧力がかかってきますから、小切りになっちゃうんですね。そうすると、公共空間を残すにも、開発行為で規制して事業者負担を求めますよといったって、事業者負担をしていただいた皆さんには申しわけないけれども、猫の額ほどにも出てこないと、こういうことなんですね。
それから、手法として一番いいのはいうまでもなく区画整理という手法ですけれども、区画整理をかけるといったって、空閑地なんかそんなにないんですよ。あるいはあったとしても、その中にさまざまにもう都市的に利用がされちゃっているから、これを生活再建を含めながらやるなんていったら、またこれ、夢の夢とはいわぬけれども、莫大な時間と大変な労力、それから八ッ場の件でもそうですけれども、生活再建ぐらい相手方に気を使うことはないんです。と同時に、このくらい財源のかかる仕事もないんです。日本の補償税制というのはドイツ法を引いていますから、特別犠牲説ですからね。区画整理の場合には照応の基準があって、それで持ちかえるというから比較的楽なんだけれども、いずれにしてもそういう事情があるというのが一つ。それから、私がいうまでもなく、この都市計画事業というのは二十三区は留保事務ですよね。留保事務、留保財源と。そういう意味では、東京都は非常に手が振るいやすいと、こういうふうな形だろうと思います。
いずれにしても、そんないろんな事情がありながら、地元からの請願によってこの地域が六仙公園というふうな形で都市計画決定され、記憶では平成十三年の五月だか六月だかに事業決定がなされて、事業に着手されたと。そして、何年か前に一部オープンというような形で、私もそのオープニングに出させてもらいました。形が整ってくると、やっぱりいいねになるんですよ。それで周辺の人も、ぜひぜひ進めていただきたい、積極的にというふうなことで大変喜んでおりますし、同時に期待をしているということでございます。
実は私は第一回の定例会で、この整備について計画の内容と整備状況について質問を申し上げたんですね。その中でも、当時、都市計画決定の時点から課題になっていた、その中で比較的大きな面積を占める小学校の敷地があるんですね。これをことしの三月の時点で、去年の十二月だったかな、いわゆる廃校条例を決定したと。いわば学校としてはもう結構ですよと。いろんな経緯はあるんですよ、いろんな苦しみの中で市長も決断して、用地担保ができるようになったんですね。それは何をいっているかというと、いわば、ちまちましたところじゃ、もう当然全体の計画の中に入ったら買っていかなきゃならないんですけれども、それはやっぱりさっきの生活再建でいろんな事情がありますから、ちょんちょんちょんとしか買えないんです、大きな網をかけても。しかし、学校という公共団体の所有物が、学校じゃなくなったということで、ぽんと出てくるんですよ、用地が。そうしますと、私はそこを早目に、しかるべく公園化をしていって、ああ、なるほど、こういうことだということになれば、よりアクセルが踏めるんじゃないかと、こんな視点から考えておりましたので、この六仙公園の整備促進に向けた第八小学校の早期公園化の見通しについてお伺いをしていきたいというふうに思っております。
○小口公園緑地部長 六仙公園は、東久留米市の中央部に位置する計画面積十五ヘクタールの都立公園であります。お話の第八小学校は計画地のほぼ中央に位置し、公園利用の中心となる広場や園路の整備を計画しております。当該地は一・五ヘクタールとまとまった面積を有し、既存の開園区域とも隣接するため、整備効果を早期に発現する上で有効な場所であります。このことから、第八小学校の閉校後、早期に公園化できるよう、地元市とも十分に連携し、調整を進めているところであります。
○野島委員 全体の一割はありますよと、こういうことですわな。それから今まで用地買収した部分もあります。それから、いわゆる公共の所有物としてはこの八小と、わきに障害者施設があったんですね。それも面積にカウントすると。それぞれいろんな課題を抱えながら、学校の廃校について反対の立場の人も当然いました。それから障害者施設も移設についていろんなご意見がありました。しかし、そういう中で、公園の整備が市にとっても圏域にとってもということは都民にとってもということで市長も決断されて、そういう動きをしていくことによって整備が促進されると、このこともぜひ受けとめていただきたいというふうに思ってございます。
そこで、実は東久留米市というのは比較的まだ空閑地があるんですよ。残存農地面積、市域の一五%、それから湧水を含む都の緑地保全地、ちょっと名前正確なのは忘れたけど、それに指定されているところもあるんですね。その湧水というのが平成の名水百選の一つに選ばれたわけです。それはただ水が出てきているからじゃないんです。その水を保存するために市民ボランティアの方がさまざまな活動をしていただいているという、そのすばらしさなんですね。あるいは、これは直接公園とは関係ないんですけれども、道路里親制度というのは、これは建設局の所管だろうと思うんですが、いわば市民ボランティアの協力を得ながら、そこに花を植えたり、清掃したりと、こういういろんなまちづくりで、とりわけこういう公共空間をすばらしくしていくための活動がさまざまになされているんですね。
一方、運動広場等が不足しているのも、これも実情なんですよ。さっきいったように、開発工事等で出てくる面積なんて推して知るべしですから、そんなにはないという実情。比較的大きなロットで運動等がやれるのは、区画整理で生み出したところしか、正直なところないんです。都営住宅の建てかえに伴う地域開発要綱でそういうものが出てくるかといったら、出てこないです。それだけに、やはり六仙に寄せる市民の期待は大きいと。余り市民、市民というと、圏域の公園なんだからという話になろうと思いますが、東久留米市民が喜ぶことは隣接の市民も喜ぶことなんです。
そんな思いで、ぜひこういったふうなことから、いろんなさまざまな状況、市を含めて、圏域のいろんな状況をしっかりと受けとめて、ぜひ地元、東久留米という意味じゃなくていいですよ、東久留米市を含むこの請願公園を要請したところと十分な協議を進めてほしいと、そんなふうに考えておりますが、ご所見を伺います。
○小口公園緑地部長 ボランティアとの協働を図ることは、緑のネットワークの拠点となる魅力あふれる公園づくりを進める上で有効であります。また、第八小学校の閉校後の敷地につきましては、軽い運動もできる芝生広場の整備を予定しています。このことから、今後の公園整備に当たりましては、緑のボランティア活動に活用できる施設の整備や広場の整備について、地元市や地元で活動する団体の意見を聞きながら進めてまいります。
今後とも地元関係者の理解と協力を得ながら、緑のネットワークの拠点となる公園として、より一層の整備促進に向けて積極的に取り組んでまいります。
○野島委員 ありがとうございました。以上で公園関係は終わります。
あと一つ、八ッ場ダムについてお伺いをいたします。
主管局といいましょうか、所管局は都市整備局というふうに承知をいたしております。正確な年次は忘れたんですが、何年であったか、この事業計画の変更のときに私、都市整備委員会に所属をいたしておりまして、その間のやりとり等もございまして、利水については、これは水道局だと、治水については建設局だろうと、総合調整をしながらまちづくりということで都市整備局が主管になっていると、こういうことでよろしいわけですな--はい。そういう前提に立って、治水についてお伺いをいたす次第でございます。
きょうは知事が現地に赴きまして、ほかの五県の知事とも視察をして、地元住民と意見交換をした後、記者会見をされて、しかるべく考え方の表明もあるやには伺っております。実は私、十月十三日に現地へ赴きました。これは初めてじゃないんです。二年有余前に、いわゆる利水とは何なのかということで、これは水源地がたしか草津の上の方だから、そこから一滴の雨がどう来て、どう来て、それで八ッ場を通って、それで利根川、利根水系に入って、行田の利根大堰でおりて、武蔵水路で荒川に運んで、荒川で水を上げて、片一方は東村山の浄水場に持っていくというふうなところをつぶさに見てまいりました。ただ、時間がなかったので、治水の関係はそんなに関心を持っていなかったし、ある意味じゃ、こんな大ごとになるとは思わなかったから、大変な事業なんだね程度の実は認識しか持っていなかったのは恥ずかしい限りであります。
そんなことで、実は先般も行ってまいりました。ややもしますと、地域振興、地域振興と、これはさっき申し上げましたけれども、公共事業をやる場合の生活再建ですから、当たり前のこととしてやっていかなきゃいけないと、こういうことであります。それと、ダム湖を前提としているということなんです。これは何をいっているかというと、いわば下流の都県の水利の問題、水は地下水を使えばいいというふうな人もいますけど、地下水はずっとくみ上げられないですよね。それから地下水は東京だけで単独に発生しないですよ。ほかから流れてくるのもあるわけだから。それから多摩川の伏流水を使えと。伏流水ぐらい汚れているのはないわけですよね。そういうふうな部分じゃなくして、それは利水でやってもらいますけど、治水という意味でいろいろ伺っていきたいというふうに思っております。
私どもも、実は議連というのがありまして、八ッ場ダム推進議員連盟一都五県の会、こういったのを設立いたしまして、両方の事業の有用性で、この国事業で、かつ一都五県で共同参画の事業はぜひ進めていくべきだと、こんな思いで今日まで至ってまいりました。これは本会議でも出てきたんですけど、特定多目的ダム法という法律があるんですね。やるときには参画知事の意見を聞きなさいと。知事は議会に諮りなさいと。議会で議論をして、同意するか同意しないのかの結論をもって知事は意見表明をすると、こうなっているんです。やめたときにはどうするのと。その前手で中止しようとするときには知事の意見を聞きなさいとなっているんです。中止したときにはどうするんだと。その手続を経て中止したときには、こういうことで中止しましたよということを明確に打ち出すと同時に、事業をやっているのを途中でやめたときに、その判断する主体が、代替性としてこういうことの方が対費用効果でプラスだから、あるいは時間的に短い期間で、本来、八ッ場でいえば、治水でいえば、治水ということはこの手法をもって可能だということを示すのが当たり前なんです。そのために前手で中止しようとする場合には意見を聞くんです。変更でもいいんです、中止でもいいんです。いきなり中止といっちゃったものだから、手順が逆さまになっているんですよ。
政治的スローガンは別にして、行政をやっていく上で、既存の法律を守って、既存の手続をやってきたときが、あるとき突然、政治的メッセージが発せられて、代替措置もなしにその事業はやめますといわれたときに、現場が混乱するのは当たり前なんです。そういったふうなところを私は極めて、日本の、これから国と地方の行政手続のあり方、それによって国策であり、あるいは自治体の施策でありというものをどういうふうに組み上げていくかということについて、この政治手法は絶対に大きな混乱を起こしていくということを私は強く危惧をいたしております。
ところで、カスリーン台風、このことでこの事業が始まったというふうにいわれておりますが、改めてカスリーン台風が東京にもたらした被害はどんなものだったのかと。私の生まれる前でございますので、ひとつその辺教えていただきたいと思っております。
○廣木河川部長 私も生まれる前でございますけれども、利根川流域に甚大な被害をもたらしましたカスリーン台風は、紀伊半島潮岬に向けて真っすぐ北上していたものが、昭和二十二年九月十五日未明に向きを変えまして、十五日から十六日にかけて房総半島をかすめたものでございます。このような台風におきまして、埼玉県の神流川流域で、三日間雨量で六〇〇ミリという雨が降りました。さらに渡良瀬川流域で、三日間連続でやはり五〇〇ミリという雨が降りまして、それらの雨に対する洪水に耐えられず、十六日午前零時過ぎに、埼玉県大利根町付近の利根川右岸堤防が決壊いたしました。あふれた水は南に向かって流れ、埼玉県に甚大な被害をもたらしながら、二日後には現在の水元公園付近の桜堤に到達し、翌日にこの桜堤が決壊したことから、葛飾区、江戸川区、足立区の約八割に当たる百十四平方キロメートルが水没し、床上浸水八万棟、床下浸水四万五千棟、合わせて十二万五千棟が水浸しとなったものでございます。
カスリーン台風の都内の一時間最大降雨量は実は三五ミリでございます。総雨量は一六六ミリ、先般の台風十八号の降雨量を下回っております。また、埼玉県大利根町の堤防決壊から東京の洪水到達に三日間あったにもかかわらず、都内の死傷者は十一名に及びました。
○野島委員 細かい話は別にいたしまして、いわばここは東京ですから、首都東京ということもありますけれども、やっぱりこの利根川流域の、とりわけ東京は産業や、いわゆる事業の集積地、加えて首都圏の人口というのは極めて多くなっているし、かつそこの密度も高くなっていると、こういう状況でありますから、この事業を進めていくことを--いわば東京のみならず、だからこそ一都五県の参画事業なんですけれども、進めていくことが必要だろうというふうに思っております。
実はこの間、現地に赴きまして、現地の人から話を聞きました。その人、ある女性の方、実は私はここに嫁いできたんですということです。カスリーン台風のときに身内が亡くなったことを体験していますと、こういう話でございました。それから、栃木県のある方にお話を伺いました。この方は私どもと議連で席を同じくしております。自分の家も流されました、兄も亡くなりましたと、こういうことであります。いわばそういうさまざまなことの体験に立って、かつ、後ほど触れたいと思うんですけれども、治水対策を東京だけでやることは不可能です。つながっているんだから、川は。東京が出っ始めで東京が終わりなら、これは可能ですよ。が、それは不可能なんですね。と同時に、マスメリットが出る事業なんです。治水でいえば、東京が水が足りないから、どこかへ行って利水権を確保しなきゃいけないといったときに、足元を見られるのは当たり前じゃないですか。それが現実ですよ。だから、必要な量をみんなでカウントして、この部分はこういう事業でやるというコスト・アンド・パフォーマンスを考えての事業なわけですよね。
そこで、私は必要性はそんなところから、現場の声からも聞いているわけでありますけれども、執行側がどんな考えをお持ちなのか、改めてご答弁をお願いしたいと思います。
○廣木河川部長 吾妻川流域は、利根川上流面積の約四分の一、一千四百平方キロメートルを占めているにもかかわらず、治水ダムが一つも整備されておらず、この流域に建設を進めている八ッ場ダムは、いざというときに六千万トンという膨大な水を貯留することができる、利根川流域全体の治水安全度を高める上で必要な施設でございます。
一都五県が恩恵を受ける八ッ場ダムの完成は、関係自治体と地元住民の一致した悲願でございます。八ッ場ダム事業は、あと六年で完成し、治水効果を発揮できると国から説明を受けてまいりましたが、都や関係県、地元住民の意見を全く聞くことなく八ッ場ダムの本体工事を中止することは、まことに遺憾であります。引き続き関係自治体との連携を深めながら、事業の継続と早期完成を国に強く求めてまいります。
○野島委員 わかりました。六年で治水能力を発揮できるということも、今話として伺いました。それで、脱ダム宣言というのかね、ダムに頼らずと。したがって日本全国のダム事業を根本的に見直す、こういうことを国交省はいっているんですね。その中の一つに森林の保水機能を高めると、こういうことも発言の中にあったやに認識しております。森林の保水機能を高めるためにはどうしたらいいのか。木があるから切らなきゃいいだけとはならないんですよ。保水機能を持つ木というのは育て上げなければいけないんです。そういったふうなこと。
あるいは、そもそも今まで日本の林業が衰退してきた。これは林業といいましょうか、雑木林ならいいですよ、林業を取り巻く国際的な価格の面もありますし、その担い手もいない。しからばどうやって育てるんですかという具体的なプランでもあれば、ぜひ国交大臣には早目に示していただきたいというふうに思うんですね。それは対費用効果で可能だし、そういうことがより治水能力を高めるということが明確にならなければ、一つの提案とはならないというふうに私は思っているんです。
仮に、仮にですよ、仮置きします。下流の堤防自体を、それは各自治体でやってくれと、このことが可能かどうかということですね。今ある堤防の上に土を積めばいいというものじゃないですよ。強化しなきゃいけないから、近隣に住んでいる人たちにどいてもらわなきゃいけないんです。しからばその生活再建はどうするんですかということです。
それから、仮にですよ、そんなことは考えていないと思うんだけど、各自治体の事業でやってくださいといったときに、東京はそこそこの財政力があるから、やりましょうと。国庫補助も出しましょうというのかどうかわからない。しかし国庫補助を出しましょうといって東京がやったって、その前手であふれちゃうんだから、何の意味もないですね。
そういうふうにやっていきますと、結局選択するのは、国事業として参画都県と共同でということが一番いいんですよ、治水にとっても。でなければ、ばらつきが出ちゃって、あるいは逆に、仮に自治体でするとなったときに、箇所づけですよ、箇所づけ。私のところが一番大変だから、早目に私のところをやってくださいという、こういう陳情合戦ですよ、国に対する。いや、しかしあなた方、補助裏を持ちなさいとなりますわな。今、共同参画で金出しているんだから。補助裏が各市町村が、都道府県でもいいですよ、持ちながらできますか、今の状況の中で。長い計画の中で財政を張りつけながら、トータルとしてのスケールメリットを生かしながらやらなきゃ、治水なんていうのは絶対できないですよ。私はそんな危惧を持っているんですね。中止論が先行していることに大変大きな危惧を持っているというのが実情なんですね。
それからあと一つ、例えば新河岸川というのがあるんですよ。これは埼玉県の朝霞市、裏方は志木市、ここに新河岸川というのがあります。ここは荒川上流のところなんですけれども、ここで調整流量五十四万立米、これを、工期は十六年かかりました。調査検討から二十年です。この地帯はどういう地帯であったか。この地帯の周りの農家に行くと、納屋に船があるんですよ、船が。要するに、しょっちゅう洪水で痛い目に遭っているから、船を置くことがその辺の生活の一番大事なことなんですね。これだけの事業をやるのに十六年ですよ。それを考えたときにいかがかというの。
それから、何かここの中に参加している人がいるかどうか知らないんだけど、計画を見直せという一都五県議員の会というのがあるそうなんですな。ここでいろんな議論をされているようなんです。別に僕は参加しているわけじゃないから、その中の新聞の一部報道をとって、とやかくいう立場にないんですけれども、予定地住民の生活再建については国と一都五県の責任で行うべきだと、こうなっているんですね。確かに共同事業に参画してきましたよ。それを国が一方的に中止するときに、何で一都五県が責任を持たなきゃいけないんですか。国が持つのが当たり前の話ですよ。仮に一都五県に銭を返しましたと。しからば、さっき代替措置でこういう可能になりますよという話をしてもらわなければ納得できるわけないじゃないですか。と同時に、一都五県に金を返せなくて、そこに突っ込んだままの金があったらどうなりますか。具体的な利水と治水の受益がないのに、地域振興に金突っ込んだんですよ。言葉は悪いけれども、酔狂で東京都という自治体が群馬県のその地域に地域振興策を施行したということにしかならないんですよ。住民の監査請求に耐えられますか。不当支出ですよ。
そういう全体像があって、だからこそ話し合いをして、糸をほぐしてと、代替措置も含めてというのが当然のことでありまして、もう質疑じゃないので終わりますけれども、この問題というのは、私が冒頭申し上げたように、いわば国という広域というか、オールジャパンというところと広域的な都県が、それぞれの課題をどういうふうにやったら、クリアしながらコストパフォーマンスがいいものがつくれるのかと。コストカット委員会を持っているんですよね、国との間で。そういう努力もしているわけです。見直しのときもさんざん議論いたしました。額がふえました。なぜなのと。調査時点よりも、ダムサイトを築く、そこの地盤が弱いから強化しなければまずい、できないからなんですよ、そこを。それは必要性に応じてなんです。だけど額としては出てきますよ。その辺のところをやっぱり冷静に議論してもらわないと、ただ単に、ダム、ダム、ダム、むだだというふうな議論で終始している昨今に極めて強い危惧を抱いているということを表明して、質疑を終わりたいと思います。ありがとうございました。
○小磯委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○小磯委員長 異議なしと認め、本件に対する質疑は終了いたしました。
以上で建設局関係を終わります。
これをもちまして本日の分科会を閉会いたします。
午後四時三十八分散会
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