平成二十年度各会計決算特別委員会第二分科会速記録第四号

平成二十一年十月十六日(金曜日)
第十委員会室
   午後一時開議
 出席委員 十名
委員長高橋 信博君
副委員長松葉多美子君
副委員長石毛しげる君
吉住 健一君
西沢けいた君
小山くにひこ君
斉藤やすひろ君
西崎 光子君
尾崎 大介君
古賀 俊昭君

 欠席委員 なし

 出席説明員
教育庁教育長大原 正行君
次長総務部長事務取扱松田 芳和君
理事岩佐 哲男君
都立学校教育部長森口  純君
地域教育支援部長松山 英幸君
指導部長高野 敬三君
人事部長直原  裕君
福利厚生部長谷島 明彦君
教職員服務・特命担当部長岡崎 義隆君
参事中島  毅君
参事前田  哲君
参事高畑 崇久君

本日の会議に付した事件
平成二十年度東京都各会計歳入歳出決算の認定について
教育庁関係
・平成二十年度東京都一般会計決算(質疑)

○高橋委員長 ただいまから平成二十年度各会計決算特別委員会第二分科会を開会いたします。
 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、教育庁関係の決算に対する質疑を行います。
 これより教育庁関係に入ります。
 決算の審査を行います。
 平成二十年度東京都一般会計決算中、教育庁所管分を議題といたします。
 本件につきましては、既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○松田次長 去る十月七日の当分科会において要求のございました資料についてご説明申し上げます。
 お手元の平成二十年度各会計決算特別委員会第二分科会要求資料の目次をお開き願います。
 ごらんいただきますように、今回要求のございました資料は一件でございます。
 それでは、一ページをお開き願います。1、都立高校(全日制、定時制)の応募人員の推移でございます。まず、このページでは、推薦に基づく選抜における過去五年間の応募人員の推移を、全日制、定時制、それぞれの学科別にお示ししてございます。
 次の二ページをお開き願います。このページでは、学力検査に基づく選抜における過去五年間の応募人員の推移を、第一次及び分割前期募集と、分割後期及び第二次募集とに分けまして、それぞれお示ししてございます。
 以上、簡単ではございますが、要求のありました資料の説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○高橋委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めて、これより本件に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○石毛委員 それでは、決算書に従いまして、二点ほど質問をさせていただきます。
 かつて日本は、資源が少なく、人材が大きな資源といわれてきました。現在もその認識は変わらないところでありますが、教育現場において、小泉内閣以降、学校内での陰湿ないじめや不登校生、また、モンスターペアレント等がふえております。教育崩壊の声が大きくなっているわけでありますが、今日、年収二百万以下の人が一千万以上存在する格差社会が、学歴においても格差が生じております。
 東大生の五一%の親の収入は九百五十万以上で、日本の平均年収である四百五十万未満の学生は実に一四%しかいません。収入が高くなければ東大へ行きづらいという実態が、この数字から見ても読み取れます。
 世界の中で、高校で授業料を取る国は日本を含めて四カ国、わずか四カ国。世界には小学校から大学まで無料の国も少なくございません。アメリカなどは授業料を取るわけでありますが、一方、奨学金で賄うということで、持ち出しは大変少ないといわれております。日本のGDPに占める教育予算の割合は、二〇〇六年時点で、一九九七年の比で三・五%しかふえておりません。世界水準は数十%、アメリカでは四八%、イギリスでは五五%といったように、その差は歴然であります。
 私ども民主党は、マニフェストで公立高校の無償化、大学への新たな奨学金制度の創設、教員の資質向上のための教員免許制度の見直し、また、教員の養成課程のさらなる確立、すべての人にとって適切かつ最善な教育が保障されるよう、学校教育環境を整備し、教育格差を是正していくとうたっております。
 さて、政府は、来年四月から公立高校の授業料を無料とし、私立高校の世帯に年十二万、また低所得世帯には最大二十四万を助成する方針を出しております。昨日でありますが、地元の田無工業高校の先生とお話しする機会がございまして、今回の政府の方針は、生徒たちにとっても、また先生にとっても大変朗報である。特に授業料を集めるということが大変厳しいんだと本当にいっておられました。
 十月十五日付の新聞には、民主党新制度、教員養成課程六年にという見出しで、大学院修士課程の修了を教員免許取得の条件とし、教員課程は計六年に延長する。教育現場で実習する総時間を現行の二あるいは四週間から一年程度にふやす。また、十年程度の現場経験を積んで、すべての教員が大学院などで一年程度研修を受け、専門免許状を取得することを事実上義務化するというものであります。
 質問でありますが、決算説明書八五ページの指導研修費、教職大学院派遣研修についてお伺いいたします。教職大学院の派遣研修は平成二十年度から開始され、この二十年度において、都の研修をどんな--教員がどんな大学、また何名行かれたのかお知らせください。

○高野指導部長 都教育委員会は、教職大学院における教育内容をより確かなものにするとともに、都教育委員会の望む教員を養成、育成するために、各教職大学院で共通に履修する内容、方法の一部を指定いたしまして、それをカリキュラムに位置づけるよう、連携する大学に求めているところでございます。
 お尋ねの件でございますが、平成二十年度は、都教育委員会が連携している創価大学、玉川大学、東京学芸大学、早稲田大学の四大学の教職大学院に、現職教員三十三名、うち、教育管理職候補者十五名を派遣したところでございます。

○石毛委員 わかりました。管理職候補者に対しては大学院の費用を、この中を見てみますと、現職教員については派遣期間の給料等が保障されていると。負担と給料、大変こうしたことはすばらしいと思いますし、他県には例を見ない独自の事業であり、人材育成上重要なことと思うわけであります。この目的というんでしょうか、都はどのような目的で現職教員等を教職大学院に派遣しているのかお伺いいたします。

○高野指導部長 東京都の教育の中核を担い得る教員や高い専門性とすぐれた行政感覚を持つ指導主事などを計画的に育成するため、連携する教職大学院に現職の教員や教育管理職候補者を派遣して、経営能力を初め、教育課程や学習指導、新たな教育課題への対応などにかかわって、高い実践力や応用力を身につけさせることを目的としてございます。

○石毛委員 現場に戻ってそれをどういうふうに生かすかと、こういうことが課題だと思いますが、昨年、教職大学院で学んだ現職の教職員等、本年度はどのような活躍というか、仕事等をされているかお伺いいたします。

○高野指導部長 昨年、教職大学院で学んだ現職教員について、校長は、大学で学んだ知見を生かして、校内での指導法研究などでもリーダーシップを発揮してくれているなど、高い評価をしてございます。また、現職教員十八名のうち、既に六名が教育管理職選考に合格、八名が主任、主幹選考に合格するなど、着実にリーダーとして成長しております。残る四名につきましても、教育管理職選考などを受験し、東京都の中核教員として活躍したい、こういった意思を示しているところでございます。
 なお、昨年派遣した教育管理職候補者は、今年度、区市町村教育委員会や東京都教職員研修センターなどに指導主事として現に任用されておりまして、各配属先で、学んできた専門性を発揮しているところでございます。

○石毛委員 わかりました。しっかりと活躍しているという状況が見えたわけでありますが、教職大学院で、現職の教師、そしてまた現場経験のない学生がまじって勉学を、学ぶわけでありますが、こうしたことは学生にとっても大変メリットがあろうかと思いますし、また、現職の方にもいろんな意味で情報が入ってくる、今の若者の実態、そういったことも含めて勉強になるんじゃないかなというふうには思います。
 優秀な教員を確保する上でも、こうした教職大学院に派遣することは有効であろうというふうに思います。派遣された現職教員は、教職大学院で学生らとどのようなかかわりを持ったのか。つまり、今後、いい関係ができますと、よし、東京都に応募しようとか、いろんなものがあろうかと思いますが、お聞かせください。

○高野指導部長 教職大学院においては、学生と現職教員などはそれぞれ違う到達目標で、それぞれの課題に即して専門的に学んでいるところでございます。しかしながら、学生と現職教員などが在籍しているという教職大学院の特性を生かしまして、子どもの教育に関する意見を交換する機会や、現職教員などが学生に対して学校現場で行われている具体的な教育実践を紹介する機会も設定してございます。
 さらに、現職教員が学生に対して板書の仕方や課題のある子どもへの対応など、現場における教職経験をもとに指導、助言をする機会も設定されておりまして、学生からは、現職の先生の具体的な助言のおかげで実習の授業が成功した、こういった感想も寄せられているところでございます。このように、現場経験のない学生にとって、現職の教員とともに学ぶ教職大学院につきましては、即戦力となる教員に育つための有意義な場となってございます。

○石毛委員 わかりやすい答弁でありました。この教職大学院の派遣は、現在の教育の質を高めるだけではなく、将来の教育の質も保障するというものであろうかと思います。山梨の甲斐の武田節で「人は石垣、人は城」という文句がございますが、教育は人なりということでございます。教育に対して大いに学ぶ場を提供する。これは励み、また財産であろうと思います。今後、しっかりとこうした道筋をつけていただきたいと思います。
 過去の資料では、平成十四年度には、東京都教員海外派遣というのが、短期ではありますが、行われたわけであります。また二十年ちょっと前ぐらいになりますが、二カ月、六カ月、十二カ月というコースで、やはり海外での研修、派遣もあった。こうしたことを、私は、日本の代表というか、先頭に立つ東京都教育委員会でありますから、日本の中でいろんなものを学ぶことも大切でありますが、海外でしっかり学ぶことも大切だろうというふうに思います。昨今、海外に行くということが割とうるさいところでありますけれども、私はあえてそうしたところに踏み込んで、海外でもそうした人材を派遣し、日本の教育を高める、そんなところにしていただきたいというふうに、これは私の私見でございますが、述べさせていただきます。
 マニフェストを毎回いうと何か怒られちゃいそうなんですけれども、私どものマニフェストの中にも、国際社会の中で多様な価値観を持つ人々と協力、協働できる、コミュニケーション教育を云々かんぬんと出ております。ぜひとも、そんなことも含めまして、しっかり教育現場を高めていただきたいというふうに思います。このことについては終わります。
 二点目でありますが、中高一貫教育校についてであります。六九ページでありますが、執行率九三・四%。
 我が国の近代教育は明治五年八月公布の学制による開始であります。学制の趣旨をわかりやすく説明した太政官布告では、個人主義、実学主義などの教育を標榜し、基礎的な学校教育をすべての人々に付与する制度構築と、それへの民衆の自発的参加を促しているものであります。これはすぐれた近代教育宣言であったと見ることができます。国民全体を対象とする初等教育の普及と、欧米の技術、文化水準へ急速に追いつくための高等教育の設立に力点が置かれております。今日までその先人の英知が継がれているわけでありますが、さて、画期的な試みとして開校されてしばらくたったわけでありますが、都立中高一貫教育校の進捗状況と、各校における応募倍率についてお伺いいたします。

○森口都立学校教育部長 都立中高一貫教育校につきましては、平成十七年度に白鴎高等学校附属中学校を設置し、平成十八年度には小石川中等教育学校、両国高等学校附属中学校及び桜修館中等教育学校を、さらに平成二十年度には、立川国際中等教育学校、武蔵高等学校附属中学校を設置し、現在六校が開校しております。また、来年度には区部に二校、多摩地域に二校の設置を予定しておりまして、十校の設置計画がすべて完了することとなります。
 平成十七年度に開校した附属中学校や平成二十年度に多摩地域で開校した中等教育学校の二校における初年度の応募倍率は十四倍を超えていましたが、開校後数年経過した学校におきましては、現在の応募倍率は六倍から九倍といった状況になっております。

○石毛委員 伺ったところでは、開校後数年経過したところで一定の倍率になっているということがわかったわけでありますが、また来年度は四校が同時に開校する。都立中高一貫教育校へ入学を希望する生徒の要望にこたえられるのではないかと考えるところでありますが、しかしながら、昨今、公立の中高一貫教育については高倍率であることから、一部には受験エリート化しているのではないか、受験の低年齢化を招いているのではないかという見方も、聞いているところであります。そこで改めてお伺いしますが、都立の中高一貫教育ではどのような教育を目指しているのかお伺いいたします。

○森口都立学校教育部長 都立中高一貫教育校におきましては、六年間の一貫した教育の中で、みずからの置かれた状況を見きわめ、今後進むべき目標を考え、目標実現のために主体的に行動する力となる教養を身につける教育を行い、子どもの総合的な学力を培うとともに、個の確立を図り、個性と創造性を伸ばすこと、また使命感、倫理観、社会貢献の心、日本人としてのアイデンティティーなど、これからの日本を担う人間として求められる資質を育てることを目指しております。こうした中高一貫教育を行うことを通じて、将来、社会のさまざまな分野で信頼されるリーダーとなり得る人材の育成を図ってまいります。

○石毛委員 わかりました。都立中高一貫教育が目指す教育については伺ったところでありますが、入学者決定はどのように行っているのかお伺いいたします。

○森口都立学校教育部長 都立中高一貫教育校では、各校が教養教育を重視しながら特色ある教育活動を行っており、入学者決定に当たっては、受験競争の低年齢化を招くことがないよう、学力検査を行わず、各校の教育理念や育てたい生徒像に照らし、将来への目的意識、学習活動への適応能力、学ぶ意欲、適性等について判断することとしております。
 一般枠募集におきましては、小学校段階で学習する内容や身近な生活に関係する内容を取り上げ、さまざまな教科で身につけた知識や考え方を活用して回答する適性検査と、小学校における学習の積み重ねや学習意欲、態度などの成果を記載した報告書により入学者を決定しております。
 また、白鴎高等学校附属中学校及び小石川中等教育学校で実施しております特別枠募集におきましては、日本の伝統文化における卓越した能力を見るための実技検査、面接、作文などを実施するほか、小学校からの報告書により入学者を決定しております。立川国際中等教育学校で実施しております海外帰国・在京外国人生徒枠募集におきましては、日本語または英語の作文と面接により入学者を決定しております。

○石毛委員 都立中高一貫教育では、今お話を聞いているところでは、教養教育を重視し、将来の日本を担うリーダーの育成を目指し、入学者の決定に当たっても、各校の育てたい生徒像に照らした適性問題を作成するなど、工夫していると伺ったところであります。また、既設の学校では、それぞれ母体となる高等学校の伝統や地域の特色を生かした教育を行っているということでありますが、各校の特色ある取り組みと、現時点でどのような成果が上がっていると考えるか、その辺をお伺いいたします。

○森口都立学校教育部長 現在開校しております各都立中高一貫教育校におきましては、日本の伝統文化を学ぶことや自然科学教育、国際理解教育の推進、論理的思考力の育成、実技教科での英語指導、社会貢献の志の育成、さまざまな問題を地球規模で考える学習など、それぞれ特色ある教育活動を展開しております。また、部活動や学校行事では、中学生と高校生が合同で活動するなど、交流も盛んでございます。既に多くの中学生が英検準二級にチャレンジし、高い合格実績を上げているほか、中学生の主張での受賞、ディベート甲子園への出場などから、言語力や表現力、実践的な英語力の伸長が見られるとともに、社会貢献の心、日本人としてのアイデンティティー等の意識もはぐくまれております。
 また、六年間の一貫教育の利点を生かしました中学生と高校生の交流によりまして、高校生には思いやりやリーダーシップ、中学生には早くからの進路に対する意識や努力する態度が育っており、社会で活躍するリーダーに必要な資質の育成が図られていると考えております。

○石毛委員 わかりました。白鴎高校附属中学校及び両国高等学校附属中学では、下から上がってくる、内進生が高校に上がる。一方、外から外進生が入ってくる、こういった状況を承知しているところでありますけども、よく大学でも附属高校から上がってきた大学生、外から入ってきた大学生、えてしてわかりやすかったりします。いや、彼はもう附属からだな、附属、ぽやんとしているからとかね。いい部分もあるんですよ、非常に穏やかだとか。いろいろ癖があろうかと思いますが、まさに下から上がってきた人と、それから途中から入ってくる場面では、若干大変さがあろうかと思いますが、こうしたところにどのような配慮をされているのかお伺いいたします。

○森口都立学校教育部長 併設型中高一貫教育校におきましては、高校段階から入学した生徒に対して、各校の教育理念や特色ある教育活動を十分理解した上で学校生活が送れるよう、入学時にガイダンスを実施しております。また、習熟度別授業や補習など、生徒の状況に応じたきめ細かな指導を行うとともに、独自の講座の開設や、内申生との交流活動の場を多く設定することなどを通じて、生徒の融合を図っており、中高一貫教育校として教育効果が得られるよう、さまざまな配慮を行っているところでございます。

○石毛委員 わかりました。各校においてさまざまな教育活動を行い、目指す教育の実現に取り組んでいるということを伺ったところでありますが、最後に、来年度、新たな都立中高一貫教育校四校が開校すると承知しているところでありますが、新設校においてはどのような特色ある教育を行っていくのかお伺いいたします。

○森口都立学校教育部長 来年度新たに開校する富士高等学校附属中学校では、最先端科学に触れることにより知的探究心をはぐくむとともに、四季折々の文化的行事や始業前に行う瞑想や書写を通して、みずみずしい感性を育てることとしております。
 大泉高等学校附属中学校では、日常の行事や部活動、委員会活動を通じて、リーダーの資質である判断力を育成するとともに、自然体験や社会体験などを通して探究活動に取り組み、幅広い知識や論理的な思考力の育成を図ることとしております。
 南多摩中等教育学校では、心・知・体の調和のとれた教育を目指すとともに、地元八王子の特性を生かした地域学習を初めとしたフィールドワークや、分野別のゼミ研究に取り組むこととしております。
 最後に、三鷹中等教育学校では、思いやりの心を持った社会的リーダーの育成を目指しており、ボランティア活動や職場体験を通して職業観や勤労観の育成を図るとともに、法理論を学習することにより、リーダーとしての資質や規範意識を育成していくこととしております。
 来年度開校する中高一貫教育校におきましては、既設六校と同様に、母体校の伝統や地域性を生かしながら、地域教育や、それぞれ特色ある教育活動を展開してまいります。

○石毛委員 まさに先駆的な取り組み、都立中高一貫教育校が全国の注目の的になっております。これからの日本を担うすばらしい人材を多く輩出されることを切望いたしまして、私の質問を終わります。

○吉住委員 都議会自民党の吉住です。私はつい最近当選したばかりでございますので、昨年のこの予算には審議に加わっておりませんでした。したがいまして、昨年度、この予算案を審議した際にうちの会派がどういう質疑をしていたか、教育費につきましては、特に都立学校のICT計画について質疑をさせていただいておりましたので、その点について、進捗の状況について伺いたいと思います。
 これは、情報社会に主体的に対応できるよう、子どもたちの情報活用能力の育成は不可欠であると同時に、ICTの積極的な活用により、わかる授業を実現して、学力向上につなげることも重要であると。また、教員の負担軽減などの点からも、教育の情報化に向けて、都立学校のICT環境整備を促進する必要があると考えております。
 そこで、都の教育委員会におきましては、全国トップレベルのICT環境の整備を目指した都立学校ICT計画を平成二十年度に策定し、整備を進めておられるところでございます。都立学校ICT計画事業のねらいについて、その中身についてお伺いしたいと思います。

○森口都立学校教育部長 都立学校ICT計画につきましては、情報セキュリティーを十分に確保したICT環境を積極的に活用することにより、職員間の情報共有や校務の効率化を図り、児童生徒と向き合う時間を確保するとともに、児童生徒の情報活用能力を育成し、わかりやすい授業による学力向上を図ることなどを目的としております。

○吉住委員 今お話もいただきましたが、確かに教員の校務、いわゆる報告書類等々が大分ふえているということで現場の職員の方から伺っておりますので、やはり一人一人に端末があるということは重要なことだと思っております。また、答弁の中にもございましたが、セキュリティーを重視するという面におきましては、自分の持ち物を持って出たり、あるいは持ってきたりということを繰り返していれば、どうしても情報の漏えい等々も出てまいります。紛失もつきものでございますので、今後進められることが重要であると思っております。
 そのねらいを実現するインフラとして、校内LANやパソコンなど、ハード面の整備が重要であろうかと思いますが、ハード面の整備計画並びに二十一年十月現在の進捗状況についてお伺いしたいと思います。

○森口都立学校教育部長 都立学校ICT計画は、全教室へ校内LANを一〇〇%整備するとともに、高校につきましては全学級数分のタブレットパソコンや電子情報ボードなどのICT機器を、また、特別支援学校につきましては、点字ディスプレーなどの障害支援機器を配備する予定でございます。校内LAN整備とICT機器配備につきましては、昨年度末までに約九十校が終了しており、残りの百六十校は今年度内に完了いたします。
 また、都立学校のインターネット環境や電子教材を一元的に管理するICTセンターにつきましては、二十年度に構築いたしまして、既に利用を開始しております。
 また、全教員へのTAIMS端末配備につきましては、本年十一月から順次進めることなどによりまして、今年度内に都立学校のICT環境整備がすべて完成することとなります。

○吉住委員 昨年の予算委員会におきましては、東京都の公立学校のICT環境は全国最低という時期があったという質疑もございました。今お答えのあったハード面の環境整備によりまして、都立学校のICT環境の整備率、あるいは全国における水準がどの程度になっているのかをお伺いしたいと思います。

○森口都立学校教育部長 平成十九年度文部科学省調査において、都立学校の教育用パソコン一台当たりの生徒数は高校で五・八人、全国三十七位でございましたが、ICT計画の完成により、同調査に当てはめますと、教育用パソコン一台当たりの生徒数は三・九人、全国四位となります。また、校内LAN整備率と校務用のパソコン整備率がそれぞれ一〇〇%になることによりまして、都立学校のICT環境は、全国トップレベルとなります。

○吉住委員 ありがとうございました。二十一年度末までには、政権もかわりましたので、いろんなこともあろうかと思いますが、東京都は独自にしっかりと進めるという決意をお持ちだと思いますので、計画的に進行管理を行っていただければと思います。
 今年度末までには教育用ICT機器がすべての都立学校に整備されることを踏まえまして、授業などで効果的にICT機器を活用することが必要だと思います。そのための方策について、どのような対策があるかお伺いしたいと思います。

○高野指導部長 授業等で効果的にICT機器を活用するためには、教員のICT活用指導力の向上を図ることが不可欠でございます。このため、平成二十年度からすべての都立学校におけるリーダーを養成するためのICT活用指導力向上研修を行ってまいりました。さらに、東京都教職員研修センターで、希望する教員に対してICT活用研修を実施しているところでございます。
 今年度末には、すべての都立学校にICT機器が整備されることを踏まえまして、学校におけるICT活用のさらなる推進のため、現在、東京都緊急雇用創出事業によりまして、専門性を有する外部人材を派遣し、教員がICTを活用した授業を行う際の補助や教材作成の支援等を開始しているところでございます。さらに十月下旬からは、東京都ふるさと雇用再生特別基金事業によりまして、より高度な専門性を有する研修講師を委託によりまして都立高校全校に派遣いたしまして、ICT機器の応用、発展的な活用方法や、あるいは電子教材の例示方法等につきまして、ICTに関する校内研修を実施する予定でございます。
 このような取り組みによりまして、都立学校の教員のICT活用指導力が高まり、ICT機器を活用したわかりやすい授業実践が展開されまして、児童生徒の学習意欲及び学力向上に結びつくものと考えてございます。

○吉住委員 それでは、発言をまとめていこうと思います。
 これからの時代を生き抜く力を子どもたちに身につけさせるためには、ICT機器といったものも活用しながら、情報を活用する能力を身につけさせることも重要だと思います。今後も、全都立学校にICT機器が整備されることを踏まえ、ICT機器を活用した授業がすべての都立学校で積極的に実践されるよう取り組むことを期待しつつ、私の質疑を終わらせていただきます。

○斉藤委員 公明党の斉藤やすひろでございます。
 さきの第三回定例都議会におきまして、石原知事は所信表明で、戦後の我が国の教育行政は、結果の平等を重視し、大きく伸びるはずの才能の芽をつぶしてきたと述べ、一人一人の可能性を十全に発揮させる教育の先駆けとして、進学指導重点校や基礎的学力の習得と体験学習に力を入れたエンカレッジスクールなど、多様な要望にこたえる都立高校を整備してきたこと。また、さらには、学区制を廃止し、学校長のリーダーシップを高め、各学校が個性と特色を打ち出すことで魅力を競わせたこと。これらによって都立高校改革は着々と成果を上げつつあるとの認識を表明されました。
 来春には、中高一貫校四校を初め、音楽科、美術科に加えて、我が党の提案を受け、舞台表現科を新たに備えた総合芸術高校など七校の開校により、平成十四年十月に策定された都立高校改革推進計画はおおむね達成される段階に入ったとのことでございますが、今後は、カリキュラムの拡充や教員の資質向上など、教育の内容の充実がより一層重要になってくると思います。
 都教育委員会は、中高一貫校など、新たなタイプの高校の設置、またエンカレッジスクール、進学指導重点校の指定など、生徒の多様な希望にこたえる学校づくりを進めてきたことを評価するものでございます。一例として、目黒区にある都立駒場高校は、都教育委員会から進学指導特別推進校に指定されている進学校ですけれども、勉強はもちろんのこと、学校行事や部活動も活発なハイレベルの文武両道の進学校であることを特色として、生徒たちは豊かで充実した高校生活を伸び伸びと過ごしていると聞いております。
 本日の分科会では、まず、それ以外の、そのほかの学校における個性化、特色化のための取り組みはどのようなものがあるか。また、その取り組みを都民にどのように情報発信をされているのかをお伺いしたいと思います。

○森口都立学校教育部長 都立高校におきましては、学校経営計画に基づき、学習指導、進路指導、部活動など、さまざまな教育活動において、各学校が生徒の実態や地域特性に応じ、特色ある取り組みを行っております。
 例えば生徒が適切に進路選択を行うためのキャリア教育の推進や、日本の伝統文化の学習、国際理解教育の推進などの学習活動や、文化、スポーツの部活動や伝統ある学校行事、また地域行事への参加など、さまざまな特色ある取り組みを行うとともに、各学校のホームページに記載しております。
 また、今年度、各学校の特色や重点的な取り組み内容などを都民にわかりやすく、A4判一枚にまとめました学校経営シートを三十四校で作成いたしまして、都教育委員会ホームページに試行的に掲載しており、来年度から全都立高校を対象に本格実施してまいります。

○斉藤委員 ありがとうございます。私も都立高校のホームページを拝見いたしましたけども、伝統校も、比較的新しい学校、またできたばかりの学校、それぞれが、ともに学校長のリーダーシップのもと、特色ある学校づくりに懸命になっている様子がうかがえました。
 都立高校には、普通科、専門学科、総合学科のタイプがありまして、専門学科の中にも、商業、工業、科学技術、農業、家庭、産業、芸術、福祉、体育、国際、ビジネスコミュニケーションと、極めて多彩な分野がございます。今のご答弁で、都立高校改革推進計画に従って新たなタイプの学校づくりが進むとともに、学校の個性化、特色化も進んでいることがわかりました。
 生徒のニーズも多様化し、大学への進学志向が高まる中で、今後懸念されることは、ものづくり立国の日本において、産業界が求める人材が着実に育成されているのかということでございます。高校卒業後、就職を目指す生徒さんもおり、ものづくり人材の育成など、産業界の期待も大きいものがあります。こうした期待や生徒の希望をかなえるとともに、これからの社会を支える人材を育成するため、都立工業高校の果たす役割は大きいと考えております。現在、都教育委員会はどのような取り組みを行っているのでしょうか、お伺いしたいと思います。

○高野指導部長 都教育委員会は、高度な実践的技術力を持った人材の輩出や、技術の継承といった産業界のニーズにこたえるため、平成二十一年三月にものづくり人材育成プログラムを策定いたしまして、都立工業高校において現在ものづくり人材の育成に取り組んでいるところでございます。
 このプログラムにつきましては、教員の育成、ものづくりに関する高度な知識の習得、現場経験の重視、こうした三つの柱から構成されてございます。
 第一の柱でございますが、ものづくりに関する教材開発等の支援や、伝統技術等の専門性の向上を図るために、小中学校の教員や工業高校の教員を対象としたものづくりに関する研修を東京都教職員研修センターにおいて実施してございます。
 二つ目の柱でございますが、都立工業高校で学ぶ生徒の大学進学への目的意識、こうしたものを確かにするために、都立工業高校と首都大学東京や理工系大学が連携いたしまして、生徒がじかに大学の教授から授業を受けるなどの高大連携教育を推進してございます。
 三つ目の柱でございますが、機械加工などの特定分野の技術の向上のために、ものづくり企業の熟練技能者を外部講師としまして、都立工業高校の授業に招聘しているところでございます。また、こうした取り組みに加えまして、生徒が専門的な技術や技能の習得ができるよう、企業でのインターンシップを夏季休業中に十日間実施しているところでございます。

○斉藤委員 ありがとうございます。ちょっと次元は異なるかもしれませんが、先日私、小中の連携校を視察に行ってまいりましたが、横浜市や品川区の小中一貫校の現場を見てきたわけでございますが、そこで実感したことは、幅広い世代の交流や教員の相互交流そのものが、お互いに予想もしないようなさまざまな発見をもたらし、児童や生徒、そして教員の成長の糧になっているということでございました。このように、技術や技能を習得した都立工業高校の教員や生徒がものづくりのおもしろさを伝えるためにも、小中学生と触れ合う機会が今後大切になるのではないかと考えております。
 我が党はかねてから、本会議などを通じて、ものづくり教育やキャリア教育の重要性を主張し、また、都もキャリア教育推進フォーラムを開催するなど、積極的に推進していると伺っております。これを機にものづくりに対する理解が深まり、将来、ものづくり産業を支える人材の輩出も期待できると考えますけれども、現在、都教育委員会としてどのような取り組みを行っているのでしょうか、お伺いをしたいと思います。

○高野指導部長 都教育委員会は、ものづくりを通して得られる楽しさを早い段階から体験させるため、平成十九年度から、都立工業高校六校を拠点といたしまして、小中学生を対象としたものづくり教室を夏季休業期間中に実施してございます。このものづくり教室においては、都立工業高校の専門性を持つ教員が中心となりまして、さらに生徒がアシスタント役を務め、ソーラーカーやロボット等の製作を行う小中学生の指導に当たっているところでございます。
 平成二十一年度につきましては、都立工業高校六校の拠点校のほか、七校の協力を得まして、三十九講座を開設し、千四百名を超える参加者がございました。参加した児童生徒あるいは保護者からは、工作がこんなに楽しいと思ったのは初めてであると、何度でも来たい、あるいは子どもが工業系の高校に興味を示した、こういった感想が寄せられてございまして、小中学生のものづくりへの興味関心が高まったものと考えてございます。

○斉藤委員 すばらしいお話のご紹介をいただいたと思います。小学生にはものづくりに対する偏見がなく、工作物をつくってくれるお兄さんやお姉さんに対して、率直に尊敬の念を抱くものだと思います。都立工業高校の生徒の方々も、また自分たちが身につけた製作技術に子どもたちが感動して喜んでくれると、高校生もまた、やりがいや使命感、達成感などを実感していく、いいサイクルができてくると思います。
 また、企業におきましては、企業における即戦力となる実践的な教育システムとして、都立六郷工科高校のデュアルシステム科については、地元の大田区の製造業と連携し、生徒を一定期間受け入れて就業訓練するシステムであると伺っております。これは全国に先駆けてのものだと伺っております。この全国に先駆けて導入されたデュアルシステム科の成果と、今後のほかの都立高校への展開についてお伺いしたいと思います。

○森口都立学校教育部長 都立六郷工科高校におけるデュアルシステム科につきましては、卒業生の半数以上が協力企業に就職するなど、企業と学校の連携による実践的な教育システムとして産業界から高い評価を得ております。こうした成果を踏まえまして、他の工業高校へ導入するため、現在、教育課程や実習受け入れ企業の開拓などの検討を進めておりまして、平成二十三年度から順次デュアルシステムを拡大してまいります。

○斉藤委員 ありがとうございます。今後の展開をしっかり応援させていただきたいと思います。
 最後に、まとめになりますけれども、新しい実施計画の副題に、日本の未来を担う人間の育成に向けてという副題がつけられておりますとおり、ものづくりの現場が求める若い人材をぜひとも都立工業高校の場で今後も育成をしていただきたいと思います。
 戦後日本が、高度経済成長を経まして、経済大国になれたのは、まさしく熟練した技術、技能を持つ団塊の世代の先輩たちが黙々と働き、輸出産業を支えていただいたからこそであります。この世代の方々が今後、大量退職する時期を迎え、人材不足や技術の継承が喫緊の課題になっております。ご答弁は結構でございますけれども、私は、都立工業高校を初め、多種多様な専門高校を含め、都立高校改革の次のステージにぜひとも向かっていただきたいと考えております。今日までの都立高校改革の評価、検証はもちろんでございますけれども、ぜひ都立高校改革の次のステージの議論を今後深めさせていただきたいと決意を申し述べまして、質問を終わります。

○西崎委員 私からは、特別支援教育と学校の震災対策について、大きく二点伺いたいと思います。
 まず初めに、特別支援教育についてです。東京都特別支援教育推進計画第二次実施計画の中にあります知的障害特別支援学校における自閉症の教育課程の編成と実施について伺います。
 東京都の知的障害特別支援学校には自閉症のお子さんが大変多く、生徒数の半分ぐらい、およそいらっしゃるのではないかというふうに聞いています。そのような中で、東京都教育委員会では、全国に先駆けて、そのようなお子さんのために自閉症の子どものための教育課程を作成いたしましたが、東京都特別支援教育推進計画第二次実施計画に示されました自閉症の教育課程とは具体的にどのようなものかお聞かせください。

○高野指導部長 都立知的障害特別支援学校においては、平成十五年度当時、児童生徒の約三割が自閉症または自閉的傾向を有してございまして、これらの児童生徒には、これまでどおりの知的障害の教育課程による指導のもとでは十分な対応ができなくなっているといった実態がございました。このため、都教育委員会は平成十七年度に、従来の知的障害の教育課程とは別に、自閉症の児童生徒の障害特性に特化した教育課程を東京都独自に開発いたしまして、試行校において研究を続けてきているところでございます。
 お尋ねの自閉症の教育課程につきましては、小中学部の児童生徒を対象といたしまして、その特色は、社会へのかかわり方を身につけられるよう指導することを目的とする社会性の学習の時間、こういった学習の時間を新たに設定したところにございます。この社会性の学習の時間では、自閉症の児童生徒が、対人関係やソーシャルスキルに関する必要な知識、技能及び習慣を身につけることができるように、人への対応の仕方や社会的マナーなどを学習しているところでございます。

○西崎委員 東京都独自に取り組まれているということで、大変すばらしいと思うんですけれども、東京都特別支援教育推進計画第二次実施計画では、自閉症の教育課程の編成とあわせて、自閉症の児童生徒で学級を編制し、指導することが示されています。平成二十年度から自閉症の児童生徒で編制した学級における指導の検証を試行したようですけれども、その成果について伺います。

○高野指導部長 自閉症の児童生徒で編制した学級での指導は平成二十年度から始めたところでございまして、現在も研究と実践を継続しているところでございます。一例といたしましては、こうした学級を編制している学校からは、教員が絵カードを活用したコミュニケーション指導や、順番やルールを理解させる指導を行うことによりまして、自閉症の児童生徒は活動に見通しが持てるようになりまして、パニックなどを引き起こすことがなく、友達と一緒に集団行動ができるようになるなどの成果が報告されてございます。
 今後も、平成二十年度以降の検証試行校、延べ十三校での研究成果につきまして、小学部、中学部を設置いたします知的障害特別支援学校二十五校で共有化いたしまして、自閉症の児童生徒で編制した学級での指導の充実を図ってまいります。

○西崎委員 今後も自閉症の児童生徒で編制した学級での指導の成果の検証のもと、その成果を生かして、各学校へ指導を充実させていただきたいと思います。
 次に、特別支援学校のセンター的機能について伺います。
 平成十九年四月に、国は特別支援教育の推進のため、学校教育法の一部を改正し、この改正によりまして、これまでの盲・ろう・養護学校制度は特別支援学校になりました。改正教育法では、特別支援学校は、その専門性を発揮して、地域の特別支援教育のセンター的役割を担うことを規定しています。
 このことによりまして、各特別支援学校では、校長が専門性の高い教員を特別支援教育コーディネーターに指名していますけれども、業務が多忙であり、また、公立の小中学校の場合ですと、ほとんど学校内の養護の先生が担うなど兼任しているために、専任の特別支援教育コーディネーターの配置を希望する声も多い状況です。そこで、都教育委員会として、これまでどのように対応されてきているのか伺います。

○前田参事 都においては、都と区市町村との連携の強化を図るため、小中学部を設置する知的障害特別支援学校を地域のセンター校に指定しています。センター校では、特別支援教育コーディネーターに指名された教員などが区市町村教育委員会と連携を図り、小中学校などの教員に対する助言や援助に努めております。
 都教育委員会としては、このセンター校を支援するため、一部の学校に専任の特別支援教育コーディネーターを配置しているほか、他の学校については、特別支援教育コーディネーターが地域の学校などに出向いた場合の後補充の非常勤講師を配置しています。また、国に対しては、全校への特別支援教育コーディネーターの加配について要望しているところでございます。

○西崎委員 コーディネーターについては、財政的に余裕のある区市町村では独自の予算で加配を行っていると聞いています。その中には、港区のようにNPOの支援を組み込んでいるところもあります。東京都の特別支援学校もそうですけれども、ぜひ国にも要望しているとおりに、加配については今後、予算を組んで東京都も取り組めるよう要望しておきます。
 今のお話ですと、小中学部を設置する知的障害者特別支援学校を地域の特別支援教育のセンター校に指定しているということですけれども、それでは、ほかの障害種別の学校はどのようにセンター的機能の役割を果たしているのか伺います。

○前田参事 センター校である知的障害特別支援学校は、主に知的障害や発達障害に関する支援を行い、視覚聴覚障害や肢体不自由などについては、必要に応じて、センター校からの要請を受けた他の障害種別の特別支援学校が区市町村立学校への相談や支援を行っております。また、小中学校の通常の学級に在籍する弱視、または聴覚障害の児童生徒が、小中学部を設置する視覚聴覚障害の特別支援学校に通い、障害特性に応じた特別な指導を受ける通級による指導を、モデル事業を経て、平成二十年度から実施しているところでございます。

○西崎委員 それぞれの特別支援学校が地域のセンター校としての機能を果たしていると思いますけども、区市町村の小中学校などで特別支援教育を充実していくためには、管理職を初め、教員の専門性の向上が求められています。そのために、都としてこれまでどのように支援されてきたのか、また今後どのように支援していくのかお聞かせください。

○前田参事 都教育委員会は、これまで管理職を初め、教員の特別支援教育にかかわる専門性の向上を図るために、特別支援教育の講座を設けるなどの工夫をしながら、職層に応じた研修を実施してきました。また、個別の教育支援計画の作成にかかわる講習会なども開催しております。さらに、東京都特別支援教育推進室を設置し、区市町村立学校などに対し、特別支援教育に関する情報や資料を積極的に提供しております。
 今後は、これまでの取り組みの成果などを踏まえ、特別支援教育に係るすべての教員の専門性をより一層向上させるための具体的な施策について、来年度策定予定の東京都特別支援教育推進計画第三次実施計画の策定作業の中で検討してまいります。

○西崎委員 地域の学校を回りますと、校長先生や担当の先生の理解や指導力があるところはうまく特別支援教育に取り組めていると思います。今後も管理職を初め、教員の専門性が向上するよう、具体的な取り組みを進めるよう要望します。
 次に、学校の震災対策について伺います。
 災害時に児童生徒などの安全を守るために、耐震対策と安全な避難場所の確保は重要でありまして、特に学校や体育館は日常の学習の場として、災害時には避難所として安全が最も求められています。
 生活者ネットワークは、平成十九年の第三回定例会におきまして、区市町村が行う学校の震災対策に対して、東京都からも財政的な支援を行うよう要望してまいりました。その後、昨年の五月に発生しました中国四川省における大地震を契機に、国が学校の施設の耐震化に対する国庫補助率のかさ上げなど、支援措置を拡充するとともに、都も独自の支援事業を立ち上げ、公立小中学校の耐震化を進めてきています。そこで、公立小中学校の耐震化について、都はどのような目標を持って取り組んでいるのか伺います。

○松山地域教育支援部長 学校施設は児童生徒の学習、生活の場であり、災害発生時には避難場所となるなど重要な役割を担っておりまして、耐震化を早急に完了する必要がございます。そこで、構造耐震指標でありますIs値が〇・三未満の建物、すなわち大規模地震によって倒壊等の危険性の高い建物につきましては平成二十二年度までに、Is値は〇・三以上であるものの倒壊等の危険性のある建物につきましては、「十年後の東京」などに掲げた目標年次を三年前倒しいたしまして、平成二十四年度までに耐震化を完了することを目標としております。

○西崎委員 先ほど申し上げましたが、平成二十年度九月に東京都は補正予算で区市町村に対する支援事業を創設しました。この具体的な内容についてお聞かせください。

○松山地域教育支援部長 都が掲げました耐震化完了の目標を達成いたしますために、都教育委員会は、昨年十月に東京都公立学校施設耐震化支援事業を創設いたしまして、区市町村に対して財政支援及び人的支援を行うことといたしました。財政支援につきましては、区市町村が行う耐震工事の実勢単価と国庫補助単価が乖離しておりますことから、Is値〇・三未満の建物を対象に単価差補助を行っております。また、Is値〇・七未満の建物を対象といたしまして、国庫補助金と起債可能額を除いた設置者負担額を補助しております。
 また、人的支援といたしまして、耐震化のために区市町村が必要とする建築職を雇用する経費の二分の一を補助しており、国庫補助二分の一と合わせますと、区市町村は財政負担なくして建築職を雇用することができます。また、区市町村からの要望があれば、人材のあっせんも行っているところでございます。

○西崎委員 財政的支援、人的支援まで行っているということで、大変区市町村にとっては有効な事業を行っていると思います。特に人的支援では、地域で何か建築職の方が不足しているというお話も伺いました。ぜひ早期に進めていただきたいと思うんですけれども、それでは耐震化の現状と、最後に今後の取り組みについて伺いたいと思います。

○松山地域教育支援部長 これまでの区市町村の計画的な取り組み及び都の支援事業の活用によりまして、平成二十一年四月現在の耐震化率は八二・六%まで上昇しております。公立小中学校の耐震化完了の目標を実現するため、都教育委員会は、昨年度から行っております区市町村に対する財政支援及び人的支援を継続いたしますとともに、学校ごとの耐震化における個別具体的な課題の把握や、その解決に向けた助言に努めるなど、耐震化を加速するための取り組みを進めているところでございます。今後も区市町村との連携を深め、これまでの取り組みを強化することにより、早期に学校施設の耐震化完了を図ってまいります。

○西崎委員 都立学校の耐震化については質問はいたしませんけれども、都立学校は耐震化が大変進んでいるということなんですけれども、ぜひ区市町村との連携を進めていただきたいということで、一点要望したいと思います。
 都立学校においては、平成二十二年度末までにすべての都立学校の耐震化工事が終了するということですけども、今伺ったように、区市町村に対して、避難所としての役割がより期待されてくると考えます。また、帰宅困難者の支援のため、帰宅支援ステーションとして全都立学校が指定されておりまして、飲料水用のろ水器、投光器及びトイレの整備も既に行われています。さらに、飲料水用のペットボトルについても、二十二年度末には配備が完了すると聞いています。耐震化対策も順調に行われていて、帰宅支援ステーションとしての整備も充実している都立学校が区市町村の避難所として果たす役割は大きいものがあります。
 既に百八十五校もの都立学校が区市町村と避難所施設利用に関する協定書を結び、避難所として指定されています。八月三十日に実施されました東京都、世田谷区、調布市総合防災訓練には、世田谷の地元の都立学校の多くの生徒が訓練に参加していたと聞いております。都立学校では、学校ごとに毎年消防署と連携するなど、避難訓練を実施していますけれども、区市町村と都立学校が合同で避難訓練を行っている地域は少ないのではないでしょうか。
 都立学校が、区市町村の避難所としての役割を十分に果たすためには、区市町村と連携した避難訓練が大切だと思います。今後、区市町村からの求めがあれば、避難訓練の合同実施を積極的に行うなど、区市町村との連携をさらに強化していただくよう要望いたしまして、私の質問を終わります。

○尾崎委員 私も耐震化についてと農業高校についてのこの二点をちょっとお伺いさせていただきますが、今ちょっとお話も出ておりましたけれども、先日起きたスマトラ沖の地震も含めて、海外でも今頻繁に大規模な地震が起こっているわけでありますけれども、この東京でも今後マグニチュード七以上の地震の発生確率、これはいろいろなデータを見ても、大体三十年以内に七〇%程度、また十年以内に三〇%程度、五十年以内には九〇%程度という、こうしたデータもいろいろな資料を見ても示されているわけであります。
 これはやっぱり大地震の発生時には、やはり学校が地域の避難所等になるわけでありまして、非常に重要な役割を果たすわけでありますけれども、改めて、この公立学校の耐震化についてお伺いをいたします。まず、都立学校の耐震化について状況をお伺いしたいと思います。

○森口都立学校教育部長 都教育委員会は、地震発生時における生徒の安全確保及び地域住民の避難場所としての機能を確保するため、建築物の耐震改修の促進に関する法律が施行された平成七年以降、計画的に都立学校校舎等の補強を進めてまいりました。平成二十一年度末までに全都立学校二百五十四校中二百五十一校が耐震改修促進法に基づく基準を満たす見込みであり、平成二十二年度の三校の補強をもって、すべての都立学校の耐震改修が終了する予定でございます。

○尾崎委員 私の地元の調布、狛江にも都立の高校が四つと、また特別支援学校が一つあるわけでありますけれども、この四校は具体的にどの程度になっておりますか。

○森口都立学校教育部長 調布市及び狛江市内に所在する都立学校は、都立高校四校と特別支援学校一校でございます。都立調布南高校及び都立調布特別支援学校は建築時から十分な耐震性がありまして、補強が必要な都立神代高校及び都立調布北高校につきましては平成十八年度に、また、都立狛江高校は平成二十年度に工事が終了しております。

○尾崎委員 じゃ、都内の公立小中学校の耐震化の進捗状況はいかがですか。

○松山地域教育支援部長 平成二十一年四月現在、都内公立小中学校の耐震化率は八二・六%となっております。

○尾崎委員 ちょっとまた地元の話で申しわけないですけど、調布と狛江の市内の公立小学校の耐震化の進捗状況はどうでしょうか。

○松山地域教育支援部長 調布市立の小中学校の耐震化率は八四・〇%、狛江市立の小中学校の耐震化率は七〇・七%となっております。

○尾崎委員 今のお話を聞いておりますと、大体八〇%以上ということでありますから、ほぼこれは、今、進捗状況としては良好なぐあいに進んでいるのではないかなと思うところでありますけれども、これはちょっと別に質問じゃないんですけれども、例えば都立の学校や公立の小中学校と比べて、じゃ私学の方の学校はどうかというと、やっぱりこの耐震化の対策が非常にこれは都立の学校に比べておくれていると、事業進捗率がおくれているという話も聞いております。これは教育庁の方ですから、私学の方はちょっとという、そうしたお話もあるんですけれども、実際、一たび地震が起きてしまえば、このまち全体が倒壊をするわけでありまして、そのときに、私学に通っているからだとか、都立に通っているからだとか、そういった区別は、もうこれは震災が起きた場合には、私はなかなかちょっとできないと思うんですよね。これはいろいろなハードルはあるんでしょうけれども、ぜひとも、今の私学の耐震化の進捗率が非常におくれているという、こうした事実も、教育庁の方もこれはもう理解をされているものでしょうから、どうにかこれをカバーをすることのできるような施策を、これは模索をしていただけないかなということを要望しておきたいと思います。
 続いて、都立の農業高校、これの教育内容というものについてお伺いをしたいと思います。

○高野指導部長 都立農業高校においては、園芸系、畜産動物系、食品系、環境系の農業各分野におきまして、学習指導要領に基づき、基礎的、基本的な知識と技術を習得させ、農業の社会的な役割や意義を理解させるとともに、農業に関する諸課題を主体的、合理的に解決し、農業の充実と社会の発展を図る創造的、実践的な能力と態度を育てる教育を行ってございます。
 こうした取り組みに加えまして、平成十八年度に、都内の農業高校は、豊かな自然や美しい地球環境を守り、快適な都市空間を創出し、持続可能な循環型社会に移行するための行動計画といたしまして、アクティブアグリスクールプラン、こういったものを策定いたしました。現在このプランに基づきまして、これまで実施してきた三宅島緑化プロジェクトの取り組みを拡充するとともに、高校生や農業に高い関心を持つ地域住民などを対象といたしまして、畑の管理や野菜栽培などに関する理論と実践を教える東京アグリカレッジ講座、こういったものを、大学と農業の専門家などと連携して開講しているところでございます。

○尾崎委員 この都立の農業高校で将来的に、今の教育内容というのはわかったんですが、どのような生徒を育てていきたいのかお伺いをいたします。

○高野指導部長 都立の農業高校においては、バイオテクノロジーや食品化学などの実験、野菜栽培や測量などの実習を通しまして、農業に対する興味や関心を高め、学んだことを将来の進路に生かして、農業及び食品製造や造園などの農業関連産業に従事する人材を育成しているところでございます。こうしたこととともに、今後は、農業における生産、流通、経営の多様化、安全な食料の安定的供給への要請や地球規模での環境保全の必要性の高まりなどに対応し、新たな時代の持続可能な農業を支える人材を育成していくことが大切と考えてございます。

○尾崎委員 何で今この農業高校のことについてお伺いをしたかと申しますと、先ほどもちょっと工業高校のお話で、ものづくり、そして継承と、そうした人材育成が必要なんじゃないかという、こうした質疑がございました。私は農業高校という視点で質問させていただいているんですけれども、これは我々の民主党の政権では、緊急雇用創造プログラム、この検討に入っているわけでありますけれども、その中で、公共事業削減による土木建設労働者の農林業などへの転職支援という内容が含まれております。今非常に景気が悪化をしている状況の中で、なかなか建設業だとかそういったところに就職が困難だと、こうした社会的な状況があるわけでありますけれども、じゃ、農業や、あるいは林業に就職をしたいという方たちがいないということではないわけでありまして、やはりそうした農業、林業への就職先を求めている方たちも、これは今いろいろなところでいるわけであります。
 このプログラムには緊急という名称がつくんですが、これは将来的な基幹産業育成という面からも、農林業をとらえております。そうした部分で、私は農業高校で、先ほどご答弁ありましたけれども、新たな時代の先駆けとして持続可能な農業を支える人材を育成していくという、こうしたことが大切だというお話がありましたが、私これ何度も予算委員会や本会議でも質問させていただいているんですけれども、例えば今、石原知事が進めていらっしゃる花粉の少ない森づくり、これは東京都も一生懸命やっているところでありますけれども、その仕事の中に、その事業の中に、混交、要は広葉樹と針葉樹をまぜた、伐採を含めた、こうした事業が入っているんですけれども、例えば山林を伐採していくにも、私、三多摩の山奥の方の林業組合だとか、そうした方ともお話をしたことがありますけれども、なかなかそうしたところに働き手が来ないという話もお伺いをしたことがあります。ですから、農業高校と林業というものは、ちょっとこれは直接的な結びはないかもしれませんけれども、農林業という部分ではかなり一緒くたにする部分があるわけでありますから、私はこうしたことから、職業教育における農業教育というもの、これは将来の基幹産業を支える人材を育成していく上で極めて重要となってくると考えております。引き続き適切な農業教育を推進していただくことを最後に強く要望して、質問を終わりたいと思います。

○小山委員 私からは、放課後子ども教室事業についてお伺いをさせていただきたいと思います。
 この放課後子ども教室は、実施をされて三年たったわけでありますが、特にこの本来的な目的であります、放課後の子どもたちの安全で健やかな居場所づくりを目的として実施をされてまいりました。この都市化された東京において、安全かつ、やはりこういった健やかな居場所づくりというのは大変意義のある事業であると考えておりました。
 そこで、三年目を迎えましたこの放課後子ども教室事業について、実質的な主体としましては、これは区市町村が実施主体ではございますが、東京都の実施要綱にもありますように、都においては、実施主体である区市町村において円滑な取り組み、促進が図られるよう支援をしていくということでもありますので、ぜひとも、三年を経た今の放課後子ども教室事業についての東京都の見解、そしてこの三カ年を経てのとらえ方をお伺いさせていただきたいと思います。

○松山地域教育支援部長 近年、子どもを巻き込む犯罪や事件が増加し、放課後に子どもが安心して過ごせる居場所の確保が大きな課題となっております。また、少子化や核家族化の進行により、子どもや子育て家庭を取り巻く環境が大きく変化いたしまして、家庭や地域社会における教育力の低下が問題となっております。こうしたことから、平成十九年度に、国と都教育委員会の支援のもと、区市町村が実施主体となり、放課後や週末等に、主に小学校を活用いたしまして子どもたちの安全で安心な活動拠点を設け、地域の大人たちの参加を得て、さまざまな体験や交流活動を行う放課後子ども教室推進事業を開始いたしました。
 事業開始から三カ年を経まして、実施する区市町村は順次拡大してきているところでございまして、子どもたちが地域社会の中で心豊かで健やかにはぐくまれる環境づくりを推進する上で意義のある事業と考えております。

○小山委員 ただいまご答弁をいただきましたこと、よく承知いたしました。それで、この事業そのもの、今ご答弁の中にありましたように、順次拡大をされているということで、府中市におきましても、当初三校で試行されまして、その後二十二校、全校で実施をしているところであります。この実施されている二十二校の内容、こういったものを私もつぶさに見てまいりました。また、他の地域ですね、これは府中市のみならず、他の地域にも参りまして、それぞれの取り組み、こういったものを拝見をさせていただいたわけでありますが、当然この事業は、当初の目的の中にありますように、安全で健やかな居場所づくりという中において、学童クラブとの一体的あるいは連携的な取り組みということで、さまざま区市町村によって取り組みの仕方が違います。こういった違いがありますけども、その中での取り組み内容について、三カ年経過をしているわけですので、ぜひその活動の内容とそれぞれの実績についてお伺いをしておきたいと思います。

○松山地域教育支援部長 放課後子ども教室の活動内容についてでございますが、校庭や体育館等での自由遊びを中心に、宿題や予習復習、読書、英語、パソコンなどの学習活動や、サッカー、ソフトボールなどのスポーツ活動、こま、けん玉などの伝承遊び、着つけや書道などの文化活動、お話し会など、多様な活動が展開されております。これらの活動は、一教室当たりの平均で見ますと、年間延べ約二千人に及ぶ地域の人々の参加協力によって支えられておりまして、まさに地域ぐるみの取り組みとなっております。
 事業の成果といたしましては、上級生が下級生の面倒を見る、自分たちでルールをつくり始めている、あいさつができるようになったなど、子どもたちに思いやりや自主性、社会性が身についてきたことが区市町から報告されております。また同様に、保護者や地域の声として、学校で活動するので安心である、地域の人との交流がふえた、地域社会全体で子どもを育てる機運が向上しているなどの報告を受けております。
 実績につきましては、平成十九年度は三十八区市町で四百七十五カ所、これは小学校全体の三五・九%に当たります。平成二十年度は四十六区市町で七百十三カ所、これは五四・二%でございますが、実施されております。今後、原則としてすべての小学校区での設置を目指し、区市町村に働きかけてまいります。

○小山委員 今のご答弁の中から、活動の内容等も詳細にお答えをいただきまして、ありがとうございました。事業の成果として大変いい成果が得られているということを今ご説明いただきましたけども、もちろんこういった、上級生が下級生の面倒を見るような、異学年の交流が図られたり、あるいは、あいさつなどの自主性、社会性がはぐくまれるようになっている、こういった大変すばらしい面が見られていることは評価をしたいと思います。
 しかしながら、私ども実際にその現場に赴いてみますと、こういうふうに大変いい事業として成功しているところと、中には、残念ながら、当初の目的と大分違った状況に陥っているところもございます。参加数にもそれはあらわれているんですけども、平均値で、それぞれ東京都の方でも把握をされているようですが、少ないところですと、本当に一日の平均数が一けた、そして多いところでは実は百名を超えるというような学校もございます。こういったそれぞれの取り組みに非常に差異が生じてきている今日ですが、差異を生じているこの課題、特に東京都として、こういった現状や課題について、どのように把握をされているのか。そして、その内容に関しても、改善の方策についてどのように考えていらっしゃるのかお伺いをさせていただきたいと思います。

○松山地域教育支援部長 都教育委員会におきましては、小学校長、PTA役員、学識経験者、学校と地域との調整役であるコーディネーター、区市の行政関係者等を構成員といたします東京都放課後子ども教室推進委員会におきまして、関係者の声を聞きながら現状の把握と課題の検討などを行っております。
 この推進委員会におきましては、放課後子ども教室の運営スタッフの確保、育成と教室運営や活動内容の工夫改善が大きな課題であるととらえております。そのため、都教育委員会は、放課後子ども教室の運営スタッフでありますコーディネーターや安全管理員、学習アドバイザー等の資質の向上を図るための研修を企画実施いたしますとともに、先進的な教室運営や活動事例を都のホームページや広報紙等で紹介してきているところでございます。今後とも、こうした取り組みを通じまして、放課後子ども教室のより一層の活動の充実に向けて、区市町村の支援に努めてまいります。

○小山委員 ご答弁ありがとうございます。今お答えをいただきました中で、東京都の放課後子ども教室推進委員会で、関係者の声を聞きながら現状の把握と課題を検討してまいるということですので、ぜひしっかりと取り組みを行っていただきたいと思います。
 そして、その推進委員会の中で、子ども教室の運営スタッフの確保や育成が課題だろうということが今ご答弁にもありました。そして実はこれは、昨年、平成十九年度の「教育庁報」の中の実施状況、この中でも同じように、やはり今後の主な課題と解決策という中で、参加者数の増加や、あるいは開催日数の増に応じた支援、そして人材の安定的な確保、育成が必要だということが、十九年度でもこれが指摘をされているところであります。この運営スタッフの確保、育成ということにおいては、やはり予算措置をしなければ、これはどうしても改善が図られないことだと思いますので、ぜひとも来年度、今回は決算でありますので、この決算の結果をとらえた上で、やはり次年度の予算措置をぜひとも講じていただきたいと思います。
 そして、本来的には、子どもたちが目を輝かせて、この放課後子ども教室事業に参加ができるような、そういった体制を東京都として支援をしていただくことを要望いたしまして、質問とさせていただきます。ありがとうございました。

○西沢委員 民主党の西沢けいたでございます。私の方からは、学力調査につきまして質問させていただきたいと存じます。
 前提として、日本で現在、たくさんの問題が山積みされているわけでございますけれども、医療の問題、介護の問題や、雇用の問題から少子高齢化、環境など、これらの問題を乗り越えていかなければ、東京都、そして日本をよくできないというように考えます。そのために、将来をしょって立つ次世代の子どもに対する教育というものは大変重要であると考えているわけでございます。学力の低下に今、関心が高まる中、適正な教育をしていくことが都民にとっても大いに望まれるところであると考えます。
 そうした中で、国では、平成十九年度から学力テストというものを実施しているわけでございます。東京都教育委員会においても、平成十五年度より、国に先駆けて学力調査を実施し、その結果を児童生徒や保護者に返すとともに、結果の分析を行い、そして報告書として公表していると聞いております。学力調査の結果を児童生徒、保護者に返すに当たっては、ただ結果のみを返すだけで終わるのではなくて、その結果を返したその家庭で活用して、そしてその児童生徒の学力向上に向けた課題克服を図っていかなければならないと考えるわけでございますが、所見を伺います。

○高野指導部長 都教育委員会では、平成十五年度より児童生徒の学力向上を図るための調査を実施し、その調査の結果については個票にいたしまして、調査対象の児童生徒一人一人に渡してきてございます。結果を返すに当たりましては、学校は三者面談などの機会を設け、児童生徒の学力の状況を保護者と共有しながら、家庭と一体となった学力向上を目指しているところでございます。
 また、学力向上は、基本的生活習慣の定着と関連がございますので、今年六月に保護者向けのパンフレットを都内公立小学校全家庭に配布いたしまして、学校と家庭が一体となって、児童生徒の日ごろの学習への取り組み、日常生活を振り返る必要があることについて啓発を図ったところでございます。

○西沢委員 ご答弁ありがとうございます。保護者の立場からすれば、学力のテストの結果がどのように教育に反映されているのかというのは興味がありますから、やりっ放しということでなくて、間違いやすい箇所や、家庭でどのように指導していけばいいのかというのは、東京都の方針をわかりやすく伝えていくのは重要であるといえますから、いいことだと思います。
 そして、三者面談において活用をというような今お話がございますが、実際の三者面談というのは、学校によって対応はまちまちかと思います。聞いたところによりますと大体十分から二十分くらい、そうした短い時間だというような声を私の地元でいただきました。これは、三者面談は学力テストの話だけではなくて、生活の中での話やいじめの問題など、さまざまな話があるわけですから、より効果的な活用というものも考えていく必要があるのではないのかなというように感じます。
 そして、調査対象の児童生徒一人一人に結果を個票というものにして返していくというご答弁がありました。手元に今あるわけでございますが、私の地元の方の保護者の方から、実際に、これで何がわかるのかと、これをもとにどうすればいいのかちょっとわかりにくいというようなお話がありましたが、内容を改善して見やすいようにしていくというような必要があると考えますが、いかがでございますでしょうか。

○高野指導部長 都の学力調査実施後に児童生徒に渡す個票につきましては、問いごとに正解か不正解か、こうした記載ばかりではなく、東京都全体の平均と比較できるようにしたり、児童生徒が自分自身の学習の取り組みを振り返って、今後の改善への目標を持てるようにしたりするなど、工夫を図ってきたところでございます。個票につきましては、児童生徒ばかりでなく、保護者にも活用してもらうために、よりわかりやすい内容であることが必要でございまして、来年一月に実施する今年度の調査の実施に当たりましては、ご指摘の点も踏まえまして、区市町村教育委員会や学校の声を聞くなど、内容の検討を予定しているところでございます。

○西沢委員 ご答弁ありがとうございます。今後、来年一月の実施に当たって、たくさんの声を聞いて検討を始めているということでございますから、よりよい内容になるということをお願いしたいと思います。
 そして、現在、全国の学力調査については、その実施方法が議論されているところでございます。そういった議論を通じて、各事業における費用対効果を見直している状況であると認識をしております。東京都の学力調査においては、平成十五年度以降、学力調査を毎年実施している現状でありますが、事業仕分けなどの方法によって、国の学力調査においては一定規模のサンプルをとる抽出方式にするというような方針という報道がありました。当然、事業仕分けなどを通じて、事業のあり方を見直して、むだをなくしていくということは重要でございますけども、教育の質にかかわるということですので、慎重に慎重を期しなければならないと思います。
 そしてまた、東京都教育委員会は、学力調査をこれまで毎年実施してきたわけでございますが、その必要があるかどうか、また、今年度は抽出調査を行うと聞いておりますが、その方針についてお伺いをいたします。

○高野指導部長 都教育委員会が実施する学力調査では、児童生徒の学力の全体傾向を把握するだけではございませんで、各学校において授業改善推進プランを作成し、教員が授業改善を行うとともに、児童生徒一人一人に対して調査結果を還元することによって、個々の学力向上を図っているところでございます。
 義務教育においては、すべての児童生徒に確かな学力を定着させることが重要であることから、都教育委員会といたしましては、学力調査の結果が年度によって個々の児童生徒に還元されたり還元されなかったりすることのないようにする必要があると考えてございます。
 また、都教育委員会では、これまで問題解決能力等に関する調査を悉皆で、基礎的、基本的事項に関する調査を抽出でそれぞれ実施してまいりました。今年度については、学習におくれがちな児童生徒のつまずきの原因を明らかにすることを目的に、一月に基礎的、基本的事項に関する調査を抽出により実施する予定でございます。次年度以降につきましては、学力調査の結果が児童生徒によって還元されたりされなかったりすることがないようにする必要があると考えてございます。

○西沢委員 ご答弁ありがとうございます。さまざまな議論や意見が寄せられているところだと思いますので、非常に関心が高い部分ですから、今後もしっかりとした議論を進めていくことを望みまして、私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございます。

○高橋委員長 ほかに発言がなければ、お諮りをいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○高橋委員長 異議なしと認め、本件に対する質疑は終了いたしました。
 以上で教育庁関係を終わります。
 これをもちまして本日の分科会を閉会いたします。
   午後二時四十分散会

ページ先頭に戻る

ページ先頭に戻る