平成二十年度各会計決算特別委員会第三分科会速記録第四号

平成二十一年十月十六日(金曜日)
第九委員会室
   午後一時開議
 出席委員 十名
委員長小磯 善彦君
副委員長高橋かずみ君
副委員長吉田康一郎君
矢島 千秋君
中谷 祐二君
山下ようこ君
中山 信行君
たぞえ民夫君
野島 善司君
和田 宗春君

 欠席委員 なし

 出席説明員
港湾局局長比留間英人君
技監飯尾  豊君
総務部長多羅尾光睦君
監理団体改革担当部長石原 清志君
港湾経営部長小宮 三夫君
参事河内  豊君
臨海開発部長松岡 玉記君
参事平田 耕二君
参事延與  桂君
港湾整備部長前田  宏君
計画調整担当部長成瀬 英治君
離島港湾部長石山 明久君
島しょ・小笠原空港整備担当部長北村 俊文君
環境局局長有留 武司君
理事都市地球環境部長事務取扱大野 輝之君
環境政策部長森  浩志君
環境政策担当部長吉村 憲彦君
環境改善部長柿沼 潤一君
参事中村  豊君
自動車公害対策部長市川郁美子君
自然環境部長大村 雅一君
緑化募金担当部長福田 良行君
参事木村 尊彦君
廃棄物対策部長井戸 秀寿君
参事谷川 哲男君

本日の会議に付した事件
平成二十年度東京都各会計歳入歳出決算の認定について
港湾局関係
・平成二十年度東京都一般会計決算(質疑)
環境局関係
・平成二十年度東京都一般会計決算(質疑)

○小磯委員長 ただいまから平成二十年度各会計決算特別委員会第三分科会を開会いたします。
 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、港湾局及び環境局関係の決算に対する質疑を行います。よろしくお願いいたします。
 これより港湾局関係に入ります。
 決算の審査を行います。
 平成二十年度東京都一般会計決算中、港湾局所管分を議題といたします。
 本件につきましては、既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○多羅尾総務部長 十月七日開催の当分科会でご要求のございました資料をご説明申し上げます。
 お手元の平成二十年度各会計決算特別委員会第三分科会要求資料をごらん願います。
 ご要求のございました資料は、表紙をおめくりいただきまして、目次に記載のとおり、六項目でございます。
 それでは、一ページをお開き願います。1、世界主要港と国内主要港のコンテナ貨物取扱量(平成二十年)でございます。
 平成二十年における世界主要港と国内主要港のコンテナ貨物取扱量でございまして、コンテナ貨物の取扱個数を万単位でお示ししてございます。詳細はごらん願います。
 二ページをお開き願います。2、東京港における主要取扱貨物の推移でございます。
 (1)の外貿貨物でございますが、輸出と輸入に分け、それぞれ平成十一年から二十年までの各年における主要な品種の取扱量を千トン単位でお示ししてございます。
 三ページをお開き願います。(2)の内貿貨物でございますが、移出と移入に分け、同様に主要な品種の取扱量を千トン単位でお示ししてございます。詳細はごらん願います。
 四ページをお開き願います。3、東京港における耐震強化岸壁の整備状況でございます。
 首都直下地震等の大規模地震発生時における緊急救援物資等の輸送を行うための岸壁と、首都圏の経済活動を停滞させないよう、国際海上コンテナ物流機能を維持するための岸壁とを区分し、おのおのの整備状況を示してございます。詳細はごらん願います。
 五ページをお開き願います。4、東京港臨海道路Ⅱ期事業計画、事業費及び進捗状況でございます。
 上の囲みに事業費を示しております。下段の表に平成十四年度から十九年度までと二十年度につきまして、百万円単位の都負担金の予算額、決算額と進捗率を示してございます。詳細はごらん願います。
 六ページをお開き願います。5、島しょ等港湾整備費における翌年度繰越額及び不用額の推移でございます。
 平成十一年度から二十年度までの十年間の予算現額、支出済額、翌年度繰越額及び不用額につきまして、百万円単位で記載してございます。詳細はごらん願います。
 七ページをお開き願います。6、三宅島に対する主な復興支援(港湾局関係)一覧でございます。
 三宅島雄山噴火災害に関連し、港湾局が平成十二年度から二十年度までに実施いたしました主な整備工事等をお示ししてございます。詳細はごらん願います。
 以上をもちまして、簡単ではございますが、ご要求のございました資料の説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○小磯委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めて、これより本件に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○吉田委員 私からは、まず、港湾経営についてお伺いをしてまいります。
 東京港は、よく皆さんもご存じのとおり、IT機器や自動車部品を輸出するとともに、日用雑貨や食料など都民の日々の暮らしに必要な物資を海外や国内から受け入れる大変重要な海上輸送の拠点であります。例えば紙類ですね。企業や家庭などで使う紙は、全国の輸入量の約四割を東京港で受け入れておりますし、また、食べ物でもエビ、サケ、マスなどは全国の六割を東京港を通じて日本全体で輸入しているということであり、まさしく首都圏経済、都民生活になくてはならない、あるいは日本全体にとっても大事な港だといえます。
 しかし、ただいま資料要求のご説明にもありましたけれども、平成二十年で、東京と国際的な世界の主要港との比較、コンテナ貨物取扱量、こういうものを比較すると東京の順位は二十六位と。東京が最もコンテナの取扱個数の順位、世界の中で高かったのは平成七年、八年、このころは十二位と。さらにいえば日本全体が、経済が世界の中で非常に重要な、地位が最も高かったころ、例えば神戸港とか、昭和五十五年には取扱額が世界で四位とか、こういう時代もあったんですが、昨今よく指摘されるように、日本全体の経済的な地位の相対的な低下ですね。東アジア諸国の経済拡大とか、あるいは諸外国の大規模な港湾整備など、いろいろな観点から日本の、そして東京港の国際競争力が落ちているというように非常に危惧されて、国も東京都も一生懸命取り組んでいただいていると思うんです。
 そこでまず、東京港が抱えている課題について、当局はどのように認識しているのか、お聞かせください。

○小宮港湾経営部長 東京港は、世界の基幹航路のコンテナ船が多数寄港するメーンポートとして、また国内海上輸送の拠点の港として、首都圏四千万人の生活と産業に欠くことのできない役割を果たしております。
 しかしながら、今日、アジア諸港が躍進する中で、東京港に寄港する基幹航路の数は減少傾向にございます。仮に、東京港が基幹航路から外れることとなれば、輸送時間やコストの増加など、安全、安定、安価な輸送へ悪影響を及ぼし、都民生活や首都圏経済への影響ははかり知れないものがございます。
 したがいまして、国際競争力を強化し、基幹航路の維持拡大が東京港の大きな課題であると認識しております。

○吉田委員 全くおっしゃるとおり、基幹航路の維持拡大というのは本当に大きな課題だと思います。その認識のもとで、東京都はどのような港湾経営を行おうとしているのか、まず基本的な考え方について伺います。

○小宮港湾経営部長 東京港の港湾経営の基本的な考え方は、我が国経済の生命線であります基幹航路の維持拡大に向けまして、港湾サービスや貨物集荷力の強化を図る取り組みを進めることでございます。
 このため、東京港の港湾機能についてハード、ソフトの両面から充実強化を図り、船会社や荷主にとって使いやすい港づくりを推進することが必要と認識しております。

○吉田委員 ありがとうございます。
 実際に東京港を利用するのは、船会社、荷主などでございますので、そうした民間事業者の意見を十分に踏まえて、利用者の視点に立った使いやすい港づくりを進めていくことが本当に大切で、その使いやすさ競争というか、これはもう国際的に必死に、各国、各港がやっているわけであります。
 船会社など東京港を利用する民間事業者にとって使いやすい港にしていくために、平成二十年度、東京都が新たに取り組んだ内容はどんなものであったのか、お伺いします。

○河内参事 東京港では、船会社、荷主、港湾運送事業者、さらに税関を初めとする行政機関など、東京港の関係者で構成する東京港振興促進協議会を平成九年に設置いたしまして、これまでも東京港の国際競争力の向上と、利用者にとって使いやすい港づくりのために、さまざまな取り組みをしてまいりました。
 本年二月には、東京港が直面する課題への対応と解決に向けた指針として第三次アクションプランを取りまとめたところでございます。このアクションプランでは、貨物量の増加と基幹航路の維持拡大、港湾物流の効率化、東京港の安全の確保、危機管理、環境に配慮した港づくりを四本の柱といたしまして、計三十四の取り組み事項を定めてございます。
 具体的には、新規に外航コンテナ船の航路を開設した場合に、初回の入港料を減免するインセンティブ制度や、渋滞解消のため、コンテナターミナルに出入りする車両の動線を貨物の荷おろしの実態に合わせて改善するなど、貨物量の増加や物流の効率化に向けた取り組みを進めることとしているところでございます。

○吉田委員 ありがとうございます。
 東京都の課題解決に向けて、港を利用する民間の事業者とも連携して、プランを練って対策を講じているということはよくわかりました。この第三次アクションプランは、ことし二月に取りまとめたとのことでありまして、今後貨物量の増加など、プランの成果が上がることを期待しております。
 これ東京港、二〇〇四年の七月ですか、スーパー中枢港湾と国交省から位置づけを得て、国と東京と連携して取り組みを進めると、来年度その取りまとめの時期になるんでしょうか。日本、東京、経済を牽引していく、そして、港湾機能、世界の中でおくれをとらないようにしていく、本当に取り組みも進めていただきたいと思っております。
 使いやすい港づくり、官民挙げた取り組みを今後とも進めていただきたいわけでございますが、これについてご見解を伺います。

○小宮港湾経営部長 都では、これまでも官民が一体となりまして、それぞれの時代に直面する課題の解決に対応してまいりました。東京港の外貿コンテナ貨物の取扱個数は、平成二十年に三百七十三万個と、十一年連続日本一となりましたが、これも平成九年以降、官民で協力して取り組んできた努力の成果であると考えております。
 最近の極めて厳しい経済状況や国際間の競争の中で、利用者のニーズをより一層的確にとらえ、互いに知恵を出し合い、迅速に対応していくことが必要と考えております。
 今後とも、東京港振興促進協議会を通じまして、第三次アクションプランに着実に取り組み、使いやすい港づくりを推進してまいります。

○吉田委員 ぜひお願いします。東京港が海上輸送の拠点として、この役割を今後とも諸外国の港に引けをとらずに果たしていけるようにお取り組みをいただきたいわけであります。
 この私も素人ながら、皆様にいろいろお仕事を教えていただきながら、あるいはいろいろ有識者の資料等を読ませていただいて、ちょっと懸念というか、心配しておりますのは、輸入に係るメーンポートとしての位置づけ、まず、もちろん関東の経済圏を控えた東京港の一番重要な機能でありまして、大切にきちんと機能を果たしていけるように頑張っていただくとともに、ちょっとトランシップ港として頑張っていかないと、なかなかコンテナなどの取扱量も含めて単価の切り下げとか、国際競争に打ち勝っていく、こういうことにおいてなかなか難しいんじゃないかなと。
 しかし、このトランシップ港としての位置づけについて、決定力のあるというか、そういう施策がなかなか見出せない、こういう懸念もあるのじゃないか、このようにも思いますので、そういう点においては、本日は取り上げませんでしたけれども、今度の川崎港、横浜港と進めている広域連携の取り組み、私も京浜港広域連携推進議員連盟の一人に加えていただいておりまして、我が国の国際競争力の強化を目指した三港の取り組みを応援する立場でありますけれども、私の申し上げたようなこともちょっと頭の片隅に入れていただきながら、引き続き東京港の発展についてご努力をいただきたい、このようにお願いを申し上げます。
 次に、東京港の自然環境の再生についてお伺いいたします。
 東京港は、海上輸送のただいま申し上げたような拠点としての役割だけでなく、貴重な水辺空間を有している大都市東京の潤いのある環境を形成するための貴重な資源というか貴重な役割を果たしている、このように思います。
 しかし、相変わらず夏には赤潮が発生するなど、水質の改善など取り組むべき課題も多々あると認識しております。海域においては、干潟や浅場、いそ場などの自然環境を再生することで生物の生育環境が改善され、その生物の働きによって水質も改善されていくと、このように聞いております。
 そこで、まず、東京港の海域での自然環境再生のための取り組みについて具体的にどのように取り組んでいただいているのか、各決でございますので具体的な内容をお伺いします。

○前田港湾整備部長 東京港では、美しく豊かな海の回復を目指しまして、自然環境を再生するため、生物の生息に配慮しながら、浅場、干潟、海浜などの整備を進めてまいりました。
 具体的には、昭和四十七年度から海上公園における海浜の整備に着手し、これまでに開園している海浜公園等の水域面積は約四百八十ヘクタールとなっております。また、羽田沖では、二百五十ヘクタールの浅場整備を平成十九年度に完了したところでございます。現在は、平成十九年度から平成二十三年度までの五カ年間で、新海面処分場東側に延長一キロメートルのいそ浜を整備する計画でございまして、平成二十年度には事業費約二億円で、百五十メートルを整備しております。
 また、実験的な取り組みといたしまして、お台場海浜公園におきまして、カキなどの生物を用いた水質浄化実験を実施し、生物の浄化作用や、生物の生育に適した環境の把握に努めているところでございます。

○吉田委員 いろいろとお聞きをしました。特に、羽田沖で二百五十ヘクタールという浅場を整備されたと、これはどんどん干潟がなくなるとか、いろんな中で本当によく整備をしていただいているなと、このように思います。今、税金の使い方が厳しい目にさらされる中、非常に効果の高い事業をしていただいているんではないか、私はこのように認識しております。
 そして、この施設整備の効果をどのようにとらえているのか、改めてお伺いいたします。

○前田港湾整備部長 これまでに整備いたしました干潟や浅場、いそ場などにおきましては、スズキやアサリの生息が確認され、魚釣りや潮干狩りが再びできるようになるなど、都民のレクリエーションの場となっております。また、羽田沖浅場におきましては、アナゴやメバルなどの魚類や、アサリやアオヤギなどの貝類も定着しております。
 また、お台場のカキ等による実験施設における昨年七月の測定結果によりますと、施設の内側の透視度が一メートルでございまして、外側の五十センチと比較いたしますと二倍となっており、海水の透視度等が向上している傾向が見受けられます。実験施設には、ハゼやカニ、小魚や大型魚のスズキなどの他の生物を集める効果も確認されておりまして、これら多様な生物の働きにより水質の浄化が進むことが期待されております。

○吉田委員 素人にわかりやすいように、また具体的に教えてくださいとお願いしたとおり、わかりやすく教えていただきましてありがとうございます。
 このご説明のとおり、干潟や浅場の整備をしていくということが、大変に効果があることなんだということがわかりました。こういうことをいろいろな機会をとらまえて東京港内に、本当に細々としたことも含めて大きく広げていくことが重要だと思います。
 そこで、東京港内に細かく走っている運河、こういう環境資源もあるんですけれども、この運河では自然環境再生に向けてどのようなお取り組みをしていただいているのか、お伺いします。

○前田港湾整備部長 東京港におけます自然環境のネットワーク化を図るため、比較的大規模な干潟等の間に位置します運河における取り組みも重要であるというふうに考えてございます。このため、運河におきまして、直立護岸に比べ生物の生息に適するとともに都民が水辺に親しめる緩傾斜護岸や、護岸際へのミニいそ場の整備などに努めているところでございます。
 緩傾斜護岸の整備につきましては、品川区の京浜運河におきまして、平成十七年度から実施しており、計画延長一・六キロメートルのうち、平成二十年度には八百メートルが完成いたしました。大田区の平和島運河におきましては、平成十九年度から工事に着手してございます。平成二十年度の緩傾斜護岸の整備費は約六億円でございます。
 また、ミニいそ場の整備につきましては、平成十七年度から江東区の豊洲運河において実施しておりまして、延長約六百二十メートルの間に十三カ所のミニいそ場を持つ護岸が平成二十年度末に完成いたしました。平成二十年度の事業費は、護岸の本体を含めまして約九億円でございます。

○吉田委員 このように環境資源としての港という観点からいろいろお聞きして、大変効果が上がっているということをお聞きしている中で、例えばかみそり護岸のようなところを、いそ場をつくっていただいたりして、そういうことが環境のみならず景観というか、そういうことにも非常に効果があると思うんです。
 私の住んでいるところは、中野といってかみそりの中小河川があるところで、こういうところも、なるべく三面のかみそり護岸を、ちょっとのり面を緩やかにしてくれとかお願いもしているんですけれども、環境上の観点のみならず、景観上の観点からも非常に効果が高い。運河は市街地にも近くて人々が身近に水辺を感じられる貴重な空間でありますので、そういう観点、水辺空間の開放感や美しさ、都市の美しさということを多くの都民、あるいは東京に来られた方が楽しめるようにする施策、美しい景観形成という観点も重要だと多くの方が指摘して、東京都も取り組んでいると思います。
 そこで、運河における景観形成の観点での取り組みについてお伺いいたします。

○前田港湾整備部長 港湾局におきましては、「十年後の東京」の目標の一つでございます水と緑の回廊で包まれた美しいまち東京の復活に向けまして、都市と海の接点という運河の特性を生かして、運河沿いの緑化などを通しまして、美しい景観形成に努めるとともに景観を楽しめる遊歩道整備を進めております。
 平成二十年度の取り組みにつきましては、京浜運河の緩傾斜護岸の整備に当たりまして、自然石を採用するとともに、護岸の上部を緑化し背後の海上公園と一体となった景観を形成しております。
 また、豊洲運河におきましては、地元区やまちづくり協議会と連携し、遊歩道と背後の住宅や学校、こちらの敷地内道路を一体的に整備するとともに、遊歩道の舗装には木製ブロックを試験的に採用しております。
 今後も、区や民間事業者とも連携し、運河の美しい景観の形成に努めてまいります。

○吉田委員 ご答弁いただいたとおり、かみそり護岸--直立護岸ですか--を緩傾斜護岸とする施策など、自然の再生や美しい景観の形成に非常に役立つというふうに評価しております。美しいまちを復活させるためには、水辺の取り組みというのは本当に重要でございます。今、二十年度の取り組みをいろいろお聞きして、すばらしいお取り組みがされておりますので、この成果を引き継ぎつつ、二十一年度もしっかりと取り組んでいただくことをお願いしまして、私からの質問を終わります。
 ありがとうございました。

○野島委員 何点かお伺いをします。
 今、吉田副委員長のやりとりの中で港湾行政の根幹のところについてはおおむねわかりました。ありがとうございました。
 この資料を見まして、東京港の国際競争力があっという間にこんな下まで来ちゃったのかなというのが実感であります。それから、その取扱貨物も年次的に品物が変わっていくというふうなところがあるわけです。
 リーマンショックというのが金融システムをずたずたにしてしまった、そのことが消費の減退を招きと。日本の金融システムは実はその前に大きな経験をしているから、そんなに揺るがなかったけれども、どうしても輸出依存型の日本の構造の中で輸出が落ち込んできて、その立ち直りのために、大変なダメージを受けたのをどう修復していくかという、まだこれは道半ばだというふうに思っております。
 外需依存型から内需依存型への経済政策であると、こういわれているんですが、昭和六十年当時に、宮沢内閣のときに生活空間倍増計画というのがあったんですね。これも内需依存型の日本経済ということを打ち出したんですが、なかなかそう一朝一夕にいかないというのが実情だろうというふうに思っております。
 そういう意味では、引き続き、ある意味ではそういう方向は目指しつつ、やっぱり日本の場合には、輸出産業がまだまだこの国の経済の根幹を担っていくのであると、こんなところが実情だろうというふうに思っております。
 そういう意味におきまして、この貿易のゲートウエーであります港湾は、いかにあるべきかが問われているんだろうというふうに思っております。
 先ほどの国際競争力の問題なんですが、そういう意味では、いわゆる京浜三港、東京、川崎、横浜、昨年三月に将来のポートオーソリティーを視野に広域連携を強化していくと、こういう合意がなされたというふうに承知をいたしております。
 我が党も前幹事長の段階で、やっぱり国際競争力を高めていくための港湾行政のあり方というようなことで、都議会も超党派でありましたし、いわば都道府県--都道府県というか、港湾管理者が川崎市、横浜市ですから、川崎市議会、横浜市議会なんでしょうな。そういうところと連携しながら議連を立ち上げて、これをしっかり後押ししていこうと、こんなところで進んできたというふうに承知をしております。
 そんな観点から、改めて三港連携についてお伺いしておきたいんですが、まず、なぜ連携を強化しなきゃいけないか、この合意に至った背景と、しからばそれによって何を得られるのかと、こんなところを冒頭お伺いしておきたいと思います。

○河内参事 アジア諸港の躍進などによりまして、日本港湾の国際的地位が低下する中、このままこの状態を放置いたしますれば、欧米とアジアを結ぶ国際基幹航路のルートから外され、我が国の経済にも深刻な影響を与えるとの危機感を京浜三港が共有いたしまして、三港の首長が昨年三月に広域連携強化についての基本合意を行いました。
 京浜三港が連携を強化いたしまして、実質的な一港化を進めることでスケールメリットを発揮し、港湾コストの削減や利用者サービスの向上に取り組むことで、東京湾の国際競争力を強化することをねらいとしているところでございます。

○野島委員 実質的な一元化が国際競争力を高めていくんだと、こういうことだというふうに受けとめました。全くそのとおりだというふうに思うんですね。一つの湾の中で三つの港があって、入ってきたらお金をそれぞれ払ったり、あるいは荷揚げのシステムが違ったり、こうなりますと、そんなしち面倒くさくコストの高いところに行ったってしようがないよというふうなところになるわけですね。
 そういう意味ではまさしくいい取り組みだと思うんですが、一方、これが大変難しいところで、みんなで力を合わせてやりましょうと、うん、そうだとこうなるんですね、大体どこでも。しからば私の立場、というのは大体世の中の常なんですね。
 よく一般行政部門でも広域行政圏というのをつくるんですね、それぞれの市が一緒になったりなんかして。それぞれの市が役割を分担していて、全体としてこういうことの中で広域行政を展開しようという役割分担ができると比較的話が早いんです。ところが、似たようなのが一緒になるとそれが難しいんです。今いったように、みんなでやっていきましょう、そのことが広域的な自治体の底上げにはなるんだよと、だがしかし私のところは。これは常々ついて回る問題だろうというふうに私も思っております。それぞれ歴史もありますし、地方自治体の文化も異なるわけでございます。
 それから、要するに三首長さんで、東京の場合は港湾管理者が知事になっているんですかな。横浜は政令指定都市だから市長、川崎も政令都市だから市長と。こうなりますと正直なところ、東京都は大都市行政の中での港湾というとらえ方をしますけれども、向こうは政令指定都市での港湾ということになりますから、もちろん財源的なものも違ってくるだろうというふうに思いますので、よし、やろうといって始めたら実はストロー効果で、東京の力で東京港に全部吸い取られちゃって、自分のところの港湾行政が衰退していくという懸念も恐らくあると思うんですね。そのくらい僕はこの連携というのは難しいと思うんですよ。
 そこで、どんな課題があるのかというふうなところを一点教えていただきたいと思います。

○小宮港湾経営部長 京浜三港の連携強化については、昨年の基本合意以降、先生方の多大なご支援を賜りながら、共同ポートセールスの実施、コンテナ船入港料の一元化など着実に取り組みを進めてまいりました。しかし、野島委員がご指摘されましたように、三港は隣り合っているとはいえ、港の性格、抱えている課題などもさまざまであるとともに、これまで歩んでまいりました歴史も異なっております。
 例えば、東京港は食料品、衣料品など生活関連物資の取り扱いが多い商業港であり、川崎港は原油、LNG、鉄鉱石等原材料を多く取り扱う工業港でありまして、横浜港は商業、工業両方の性格を有しており、おのずと各港の港湾の経営戦略も異なっております。また、長い間東京港と横浜港でコンテナ船社の引き抜き合戦を行ってきた事実もございます。
 今後は、議論を進める中で、ともすれば我が港が大事、我が港が一番というように、各港の主張が激しくぶつかることがあり得るかもしれません。しかしながら、東京湾の国際競争力を強化することで、我が国の産業や国民生活を守るという理念は共有しておりまして、その実現に向けて、お互い主張すべきは主張しつつも、お互いに譲るべきところがあれば譲り合うという姿勢が大事だと考えております。
 いずれにしましても、課題はございますが、激化する港湾の国際競争に打ち勝つために、京浜三港の連携強化を着実に進めてまいりたいと存じます。

○野島委員 今、お話を伺ったように、川崎港というのは昔は、京浜工業地帯で重厚長大の港ですよね。東京は大消費地を控えているから、そういうふうなまた性格を持っていると。そうすると港湾のつくりも違ってくるし、荷揚げの形も違ってくるだろうというふうに思うんですね。それぞれさまざまな課題があろうと思いますし、国際競争力ということでいきますと、上海だとか釜山、これも随分力をつけてきている。加えて何か大連が、大きなスーパー中枢港湾みたいな--何かあそこは天然の良港らしいんですね。ぶち上げたのが三年ぐらい前だったかな。そこを世界に誇る港湾にするんだみたいなね。そういういろんなケース、いわゆる国際的なにらみをしながら、競争力を高めていくためにどう連携していくというのは大変大きな課題だろうと思います。
 物事は、特にこういう産業系といいましょうか、経済活動をやっているところは、ある日突然制度を変えたりなんかして成就するわけじゃないんですね。やっぱりいろんな課題をしっかり把握をしながら、それを少しずつどうやって改善していくか、あるいは本来の目的に向かってどうしていくかというところがないとなかなか形が整わないし、関係者の合意で連携を強化していくというのも、なかなか困難なところだと思います。大きな課題でございますけれども、ぜひ着実に進めていただきたいと、こんなことをお願いを申し上げて質問を終わりたいと思います。
 ありがとうございました。

○中山委員 そうしたら、私は京浜三港連携についてお伺いします。
 今、野島委員から歴史的経緯を踏まえた質疑がございまして、その点大変よく勉強になりました。ありがとうございました。
 我が国の景気は、昨年秋以降、米国の金融不安を発端に依然として大変厳しい冷え込みの中にあります。しかし、欧米諸国を中心に、世界経済もまた厳しい情勢が続いておりまして、我が国が国際的な競争力を維持向上させていくためには、空港とともに港湾の機能強化をして、我が国を訪れる、または経由するメリット、そういう利便性を高めていくことが重要でございます。
 資料にもございましたけれども、アジア諸港の著しい躍進によりまして我が国港湾の相対的な地位が低下し、このまま放置すれば我が国の産業や国民生活に深刻な影響を与えかねません。こうした状況の中で、京浜三港がみずからの判断と責任で、広域連携強化に向けた取り組みに着手したことを高く評価するものであります。
 そこでお伺いいたしますが、東京港、川崎港、横浜港の京浜三港の連携に関して、都は平成二十年度にどのような取り組みをされたのか、お伺いいたします。

○河内参事 東京港、川崎港、横浜港の京浜三港は、東京湾の国際競争力を強化するため、昨年三月に広域連携強化に係る基本合意を締結したところでございます。
 この基本合意の主な内容は、将来のポートオーソリティーを視野に入れながら、共同で広域連携の仕組みづくりの検討に着手するとともに、港湾コストの低減による国際競争力の強化などの課題に取り組むこととなっております。
 まず、当面の取り組みといたしましては、昨年十一月に、輸送効率の向上とCO2削減などの環境対策を推進するため、はしけによりましてコンテナ輸送に係る取り組みをやっておるところでございますが、このはしけ輸送に係る入港料を全額免除いたしまして、トラック輸送と比較して割高な輸送コストの低減を図ることで、その利用拡大に取り組んだところでございます。
 また、これまで三港が別々に行っておりましたポートセールスの取り組みがございますが、これにつきまして共同で実施することといたしました。具体的には、昨年九月に、長野県の松本市において京浜港利用促進セミナーを開催するとともに、本年二月には東京でもセミナーを開催いたしまして、東京都知事、横浜市長、川崎市長三者によるトップセールスを実施するなど、貨物集荷に向けた取り組みを開始したところでございます。さらに、京浜港の港湾経営と港湾整備の基本となる京浜港共同ビジョンにつきまして、港湾関係者や学識経験者などで構成されます京浜港広域連携推進会議のご意見をいただきながら検討を進めておりまして、年内にも策定する予定でございます。

○中山委員 今のご答弁によりまして、港湾管理者として実施できる取り組みにつきましては、東京都が着実に進めていらっしゃることがよくわかりました。しかしながら、もとよりすべての課題が港湾管理者の力だけで克服できるわけではありません。国の全面的な協力が必要であります。
 そこでお伺いいたしますが、京浜三港が実施する広域連携施策への支援を、都は国に要望しているとお伺いしておりますが、この要望が実現の方向に向かいますと、東京港にとってどういう効果を期待できるのか、お伺いいたします。

○河内参事 都は、みずからの責任で実施できる事項につきましては着実に進めてまいっておるところでございますが、中山委員ご指摘のとおり、規制緩和やインフラ整備など国の協力が必要な事項につきましては、国に対する要望もあわせて実施しているところでございます。
 具体的には、強制水先制度の規制緩和や、新規及び既存のコンテナふ頭への税制優遇措置や無利子貸付などの財政支援、それと交通ネットワークの充実強化に向けた国道三五七号などの幹線道路の重点整備、京浜港と背後圏をつなぐ首都圏広域幹線道路の整備促進などを要望しているところでございます。
 これらの要望が実現されることによりまして、水先料金などの港湾コストの低減、京浜港への貨物輸送時間の短縮などによる東京湾の国際競争力の強化が図られることを期待しているところでございます。

○中山委員 今のご答弁によりまして、東京港の国際競争力を強化するためには、港湾管理者の取り組みだけでなく、国の役割が、具体的な効果を発揮するという点で大きいことが明らかになりました。
 我々も議員連盟を設立するなど、都の取り組みを支援する体制を整えております。新政権が都民利益に沿う三港連携の取り組みに対してどう対応するのかが注目されますけれども、都としても国に対してしっかりと要望を行うことを求めて、次の質問に移らせていただきます。
 次に、海岸保全施設についてお伺いさせていただきます。
 これまで三港連携について質問してまいりましたが、平成二十年度の決算説明書には、港湾施設の種別ごとにさまざまな事業の決算状況が示されております。このうち何点かの主要な事業につきまして、具体的にお伺いいたします。
 まず、海岸保全施設の整備についてお伺いします。
 つい先日の十月八日のことでございますが、五十年前に五千人以上の死者、行方不明者を出した伊勢湾台風に匹敵する台風十八号が日本列島を襲い、首都圏でもJRなど、朝の通勤時間帯の足が大変に混乱いたしました。また、同じ日に、南太平洋バヌアツ諸島においてマグニチュード七・八の大きな地震が発生しております。首都機能を初め都市機能が高度に集積する東京において、例えば大きな地震で被災し、直後に大規模台風に見舞われた場合には、その被害は甚大なものになると思われます。このため、高潮などから東京を守る防潮堤や水門等の海岸保全施設について、早急な耐震対策が不可欠でございます。
 そこで、海岸保全施設の耐震対策についてどのような取り組みをしてきたのか、お伺いいたします。

○前田港湾整備部長 東京港におきましては、日本最大の高潮被害をもたらしました伊勢湾台風級の台風が東京を襲った場合の高潮を想定いたしまして、防潮堤や水門などの海岸保全施設の整備を進めてきており、おおむね完了しております。しかし、首都圏ではマグニチュード七クラスの大型地震の切迫性が指摘されておりまして、既に整備した海岸保全施設の中には、地震による地盤の液状化の発生が危惧される箇所も存在しております。
 このため、港湾局では、平成二十七年度を目標年次といたしまして、耐震対策等を進める東京港海岸保全施設緊急整備計画を平成十九年三月に策定し、現在この計画に基づき実施に努めているところでございます。平成二十年度は、東雲運河や京浜運河等の防潮堤、朝潮水門やあけぼの水門などで耐震対策を実施いたしました。
 今後も、この計画に基づき着実に整備を進め、耐震対策に万全を期していきたいと考えております。

○中山委員 海岸保全施設の整備につきましては、首都機能確保の重要性にかんがみ、引き続き着実な整備をお願いしたいと思います。
 ところで、海岸保全施設のうち水門につきましては、より機能を向上させるため、水門の遠隔操作システムの再構築を進めているとお伺いしております。
 そこで、新たに整備する再構築後の水門遠隔操作システムによって、水門機能はどのように向上するのか、お伺いいたします。

○前田港湾整備部長 港湾局におきましては、昭和五十四年より遠方監視制御システムを導入し、地震や台風などの非常時に対応してまいりましたが、より安全で迅速かつ確実な対応が可能となるよう、最新のICT技術を活用したシステムの再構築に現在取り組んでいるところでございます。
 新たなシステムでは、水門の管理方式を従来の分散管理から、センターによる集中管理に移行し効率化を図ること、遠隔操作のための光ファイバー網の二重化などによりましてバックアップ機能を強化すること、テレビカメラの増設等によります監視機能の向上を図ること、警告表示盤の情報表示能力の向上、水門開閉情報のインターネット配信などを実施いたしまして、情報発信機能を強化することとしております。
 平成二十年度に設計を行いまして、今年度、高潮対策センターの建築工事及びシステムの設備工事に着手し、平成二十四年度の完成を目途に鋭意取り組んでまいります。

○中山委員 平成二十四年度の完成目途に向けてご努力をいただいているということであり、財源状況の変化、いろいろあるかもしれませんけれども、ぜひともよろしくお願いいたします。
 ただいまのご答弁によりまして、水門遠隔管理のための具体的な答弁がございまして、内容の充実が進んでいることが強く実感できました。水門の遠隔操作の完備は一日も早い完成が待ち望まれるところではありますが、再構築する以上は、想定できる限りの緊急事態に対応できる万全のシステムとしていくことが最も重要であります。高潮や津波による被害から都民を守るため、防潮堤などと同様、水門が果たす役割は非常に大きく、システムの再構築を進めることは大変意義深いと考えます。
 今回の台風でも満潮との重なりがあったとも聞いております。地震による津波と強い台風による波浪、そこに満潮などが重なることはめったにないことかもしれませんけれども、具体的に発生し得る脅威であります。都民の生命と財産を守るために、八ッ場ダムではございませんけれども、五十年、百年、二百年に一度という高潮にも対応できる対策の充実をさらにお願い申し上げます。
 次に、施設の維持更新についてお伺いいたします。
 東京港の港湾施設には、建設後三十年から四十年を経過した施設が多く、老朽化が進んでおり、維持更新費用の増加が懸念されていると聞いております。老朽化対策は特に重要で、港の現場で働く人々しかその深刻さが実感できないという点が難点であります。現在、社会資本について、施設の延命化を念頭に置いた予防保全型管理の導入が進められているとのことでございますが、港湾施設についても、計画的な維持管理の観点から、こうした対応が不可欠と考えます。
 そこで、港湾施設の予防保全型管理の導入の状況とその効果についてお伺いいたします。

○前田港湾整備部長 東京港にございます岸壁、桟橋などの港湾施設の約六割は、今後十年から二十年の間に集中して更新時期を迎えるため、一時的に多大な更新費用が発生することが予想されております。このため、都は、施設の長寿命化を図ることで更新時期を分散させていく予防保全型管理を導入することとし、平成二十年に港湾施設の予防保全計画を策定したところでございます。
 従来の管理手法では、例えば鉄筋コンクリートの場合でございますけれども、ひび割れが発生して鉄筋が腐食してから、それから大規模な補修を行っていくと、そういうような管理手法をとっておりました。予防保全型管理では、詳細な点検を行い、鉄筋の腐食の状況をあらかじめ予測した上で、劣化が進む前に腐食防止対策を施すことで施設の延命化を図る、こういうものでございます。
 都の試算によりますと、岸壁、桟橋などの港湾施設につきましては、従来の管理手法に比べ、今後五十年間の維持管理費の合計額、これがおよそ四分の一に縮減できると見込まれております。
 今後、この計画に基づく的確な点検補修を行い、一時期に発生する多大な更新費用の平準化と抑制を図り、また大規模補修に伴う港湾機能の休止、これを回避することで、東京港の港湾機能の維持に万全を期していきたいと考えております。

○中山委員 画期的な発想で、先進的な予防保全の取り組みを大胆に取り入れているということでございまして、大変に評価させていただきたいと思います。港湾施設の延命化と更新費用の平準化を実現する、港湾施設の予防保全型の管理を今後とも着実に進めていただくよう要望しまして、次に、東京港における道路の整備状況とその効果についてお伺いいたします。
 東京港の国際競争力の強化の観点から、ふ頭整備とともに、ふ頭と背後圏とを結ぶ道路網の整備も重要であると考えております。現在、東京港臨海道路Ⅱ期及び新木場若洲線の整備が進められ、さらに新木場若洲線と国道三五七号との交差点にある荒川河口橋西詰交差点について、東京港臨海道路Ⅱ期等の開通後の渋滞対策として立体化事業が実施されているとお伺いしております。
 そこで、これら東京港臨海道路Ⅱ期、新木場若洲線、荒川河口橋西詰交差点立体化の各事業について、平成二十年度の事業実績及び事業完了後の効果について、改めてお伺いいたします。

○前田港湾整備部長 現在、東京港におきましては、羽田空港や千葉方面への東西方向の交通の円滑化を図るため、東京港臨海道路Ⅱ期事業及び新木場若洲線事業の整備を進めております。また、これらの路線の開通に伴う交通量の増加に対応するため、新木場若洲線と国道三五七号との交差点でございます荒川河口橋西詰交差点につきまして、立体化事業をあわせて実施しているところでございます。
 平成二十年度における各事業の取り組み実績でございますが、まず、東京港臨海道路Ⅱ期事業については橋げたの製作などを行いまして、あわせて歩行者用エレベーターの基礎工事を実施いたしました。次に、新木場若洲線事業についてでございますが、新木場地区と若洲地区とを結ぶ若洲橋のかけかえ工事を一部完了いたしまして、全六車線のうち四車線の供用を開始したところでございます。また、荒川河口橋西詰交差点の立体化事業につきましては、橋脚の基礎工事及び橋げたの製作などを実施いたしました。
 次に、この事業の整備効果についてでございますが、中央防波堤地区から新木場地区までの所要時間が現在二十一分かかってございます。これが十二分へということで四割短縮されまして、年間三百億円程度の経済効果が発生するものと試算されております。また、これらの事業が完了いたしますと、臨海部における新たな幹線道路ネットワークが形成され、あわせて物流ボトルネックの発生防止が図られることから、東京港の物流機能が大幅に強化されると考えております。また、同時に交通の分散化、渋滞の緩和が図られることで、大気等の環境負荷の低減にも大きな効果を発揮するものと考えております。

○中山委員 渋滞緩和、環境負荷効果もあるということで、美しい港から入ってきて、いきなり渋滞に巻き込まれて空気が汚いというんでは困るわけですけれども、その点でも効果が期待できるということでございました。
 ハブ港を目指す東京港の国際的な地位の向上とあわせ、アジアを代表する大消費地である首都圏を抱える東京港がその価値を効果的に発信していくためにも、物流機能の強化が重要であります。ただいまの説明で、東京港の国際競争力強化に向けて、東京港臨海道路Ⅱ期事業等が重要な役割を担っていることが確認できました。引き続き、これらの事業の整備促進に努めていただくことを強く要望しておきます。
 三港連携、海岸保全施設整備、港湾施設の予防保全型管理、物流を支える背後道路整備と、昨年度事業につきまして、ここまでさまざまな角度から質問させていただいてまいりました。一連の質疑を通し、東京港の機能は多岐にわたり、物流機能のみにとどまらず、都民の安全を守り安心して暮らしていける東京を実現するために非常に重要な役割を果たしていることを改めて認識いたしました。まさに首都東京の生活と産業を支えるために必要な港であります。
 そこで、最後に、こうした多岐にわたる機能を有する東京港の経営にどのように取り組んでいくのか、港湾局長の決意をお伺いいたします。

○比留間港湾局長 東京ベイエリアといわれます臨海地域は、東京港の物流機能により、首都圏四千万人の生活と産業を支えるとともに、海岸保全施設により高潮から都市を守る防災機能を有してございます。さらには、多彩な情報と文化を発信する臨海副都心や、都民の憩いの場としての海上公園、水辺空間など多彩な機能を有し、首都東京の中でも重要な地域でございます。
 特に、物流機能の向上という面では、現在横浜港、川崎港とともに取り組んでございます三港連携を推進していくことが重要であると認識をしております。今後、連携の取り組みを具体化する過程では、三港それぞれの歴史や港湾の性格の違いなどを背景に、さまざまな課題が発生することも想定されますが、東京湾の国際競争力を強化することで、我が国の産業や国民生活を守るという共通の目標に向かい、三港で心を一つにして、着実に歩みを進めてまいります。
 また、東京臨海地域の持つ機能を維持発展させるためには、高潮等の災害からまちを守ることも不可欠でございまして、東京の安全性を確実なものにするため、高潮防災機能の強化を計画的に進めてまいります。加えて、東京の潤いのある環境形成に果たす臨海地域の役割は極めて大きく、海の森を基点としたグリーンロードネットワークの整備など、先進的な環境対策に引き続き精力的に取り組んでまいります。
 東京臨海地域は、東京、ひいては首都圏発展のかぎを握るエリアでございまして、今後とも全力を尽くして港湾経営や必要な臨海地域の整備などに努めていく決意でございます。

○中山委員 ただいま局長から、東京港のさらなる発展に向け、力強い決意をお伺いさせていただきました。
 大量の貿易品を扱う港の発展は、大変重要な課題であるにもかかわらず、空港に比べますと旅客として利用する人々の数が少ないという点があるため、その重要性を実感している都民の数が少ないような気もいたします。
 そうした中で、港の発展に寄せる都民の関心を高めるとともに、東京港の弱点を克服する具体的な発展のかぎを握るのが、三港連携というキーワードではないかと思います。三港連携というキーワードを的確に活用し、東京港の力強い発展を導くとともに、港湾施設の予防保全型の整備や高潮対策、物流機能の強化などの地道で極めて重要な課題の前進に向け、今後とも東京都の港湾局が、都民だけでなく首都圏全体の経済の底上げを支える役割を担っていただくよう希望して、私の質問を終わります。

○たぞえ委員 港湾局の二十年度決算は、予算現額七百六十三億六千九百万円に対して、支出済額は六百四十億六千七百万円、翌年度繰越額を除いて不用額は七十六億八千二百九十八万円、執行率八三・九%という決算数値でした。
 私は、都民の暮らしを支える上で、港湾局が所管している東京港での物流活動の役割は大変大きいものだと考えています。そこで、東京港では年間どのぐらいの貨物が取り扱われているのか、まずお聞きします。

○小宮港湾経営部長 東京港における平成二十年の貨物の取扱量は、先ほどご説明申し上げました資料に記載してございますが、内貿貨物は国内貨物の出入りの合計で約三千六百二十四万トンでございます。また、海外との貿易貨物は輸出入の合計で約四千五百十二万トンでございます。

○たぞえ委員 航空機に比べて圧倒的に船舶を利用した輸送が大きいということになりますが、この物流を支えているのがふ頭の岸壁です。東京港でのコンテナ貨物の取扱量は、資料の中でも世界の中で二十六番だと示されていますけれども、この五年間で、世界の中で東京港はどのような順位での推移となっているのか、お示しいただきたいと思います。

○小宮港湾経営部長 平成二十年の東京港におけるコンテナ貨物の取扱個数は、外貿コンテナと内貿コンテナの合計で四百十六万個であり、世界の主要港と比較した順位は二十六位となってございます。五年前の平成十六年からの順位の推移を見ますと、平成十六年は二十一位、平成十七年は二十位、平成十八年は二十三位、平成十九年は二十五位となってございます。

○たぞえ委員 その順位の推移について、どのような見解か伺います。

○小宮港湾経営部長 平成十六年のコンテナ貨物の取扱個数三百五十八万個に対しまして、平成二十年取扱個数は四百十六万個であり、この間約一六%伸びてございます。東京港の取扱個数の絶対量が増加しておりまして、首都圏の経済と生活に重要な役割を果たしておりますが、国際的に見れば、中国などアジア諸港が高い経済成長率を背景にコンテナ貨物の取扱個数を大きく伸ばしており、結果として東京港の順位は相対的に低下しております。
 船会社は寄港地の選択に当たりまして、より多くの貨物を集荷できる港を選択いたします。したがいまして、東京港の取扱個数が現状のまま推移いたしますれば、東京港が基幹航路から外れかねず、その場合、輸送時間やコストの増加などの悪影響をもたらしまして、都民生活や首都圏経済への影響ははかり知れないものがあると認識しております。

○たぞえ委員 取扱量はふえているけれども、アジア諸国との関係で、他国の経済が著しく発展をしている影響が確かにあるというふうに思います。しかし、同時に二十一年で見ると、世界同時不況の影響を受けて、前年比で一割以上の減少になっている。こういう流れは今後とも加速するというふうに予測されます。したがって、岸壁に接岸して行う物流の積みおろしに欠かせない施設が災害や地震に強いものであるかどうか、これは世界的な貿易を扱う上での一つの選択肢になるのではないでしょうか。
 そこで、震災時の臨海部での液状化対策や、軟弱地盤での液状化対策は欠かせないと思いますが、局として切迫している首都直下型地震への対応について、基本的スタンスを伺います。

○前田港湾整備部長 首都圏では、マグニチュード七クラスの大型地震発生の切迫性が指摘されておりまして、都民の安全と安心を確保し、経済活動を維持していくために、東京港における防災機能の強化は喫緊の課題であると考えております。このため、東京港では、地盤の液状化対策と耐震強化岸壁の整備、緊急輸送道路におけます橋梁の耐震補強、オープンスペースの確保、海岸保全施設の耐震化などを実施し、地震災害に強い東京港の実現に努めているところでございます。

○たぞえ委員 港湾局は、耐震強化岸壁対策を港湾計画に位置づけているということでありますが、その経過について伺います。

○前田港湾整備部長 昭和五十八年五月に発生いたしました日本海中部地震を契機に、国は港湾における大規模地震対策施設の整備構想を策定し、耐震強化岸壁等の大規模地震対策施設を港湾計画に位置づけることといたしました。
 これを踏まえまして、東京都としては、昭和六十一年五月、第四次改訂港湾計画の一部変更を行い、耐震強化岸壁として芝浦内貿雑貨ふ頭、大井外貿食品ふ頭など九バースを初めて港湾計画に位置づけました。以後、港湾計画の改訂時など四度にわたり耐震強化岸壁の配置計画の見直しを行ってきております。
 現在は、阪神・淡路大震災の被災状況を踏まえまして、平成十八年三月に公示いたしました目標年次を平成二十七年度とする第七次改訂港湾計画で三十一バースを耐震強化岸壁に位置づけております。

○たぞえ委員 港湾計画上、耐震強化岸壁として計画されているのは、今の答弁や資料でも三十一バースということでありますが、耐震強化の検討の対象となる全体の岸壁のバースは、その数はどういうものなんでしょうか。

○前田港湾整備部長 第七次改訂港湾計画における東京港の岸壁の全体バース数でございますが、整備計画中のものも含め百二十三バースでございます。このうち緊急物資の輸送や首都圏の経済活動を支える物流機能の維持を考慮しまして、三十一バースを耐震強化岸壁として計画しております。

○たぞえ委員 耐震強化岸壁として計画されている三十一バースのうち十三バースが整備済みということでありますが、その整備の内容と整備箇所、整備の時期について伺います。

○前田港湾整備部長 耐震強化岸壁十三バースの整備済みの箇所は、芝浦内貿雑貨ふ頭五バース、辰巳内貿雑貨ふ頭二バース、大井外貿コンテナふ頭三バースの外三バースでございます。また、その整備時期は、芝浦内貿雑貨ふ頭につきましては昭和五十八年度から平成元年度、辰巳内貿雑貨ふ頭につきましては平成八年度から十一年度、大井外貿コンテナふ頭につきましては平成十年度から十四年度でございます。

○たぞえ委員 現在整備を進めている耐震強化岸壁の六バース整備箇所について、この決算年度である二十年度での予算現額と決算の推移はどうだったんでしょうか。

○前田港湾整備部長 平成二十年度は、予算現額約九億六千五百三十二万円に対しまして、決算額約七億九千八百七十八万円でございます。

○たぞえ委員 首都直下型地震の発生の切迫性が叫ばれる中で、耐震強化岸壁の早急な整備は欠かせません。今後の整備の見通しについて伺います。

○前田港湾整備部長 東京港におきましては、大型地震に対する防災機能の強化が極めて重要な課題でございます。現在、品川内貿ユニットロードふ頭二バース、中防内側内貿ユニットロードふ頭一バース、中防外側コンテナふ頭一バースの整備を推進しております。また、今年度新たに中防内側内貿ユニットロードふ頭一バース及び有明ふ頭一バースの事業に着手することとしております。
 今後とも、耐震強化岸壁の整備に努め、地震災害に強い東京港の実現を目指してまいります。

○たぞえ委員 この耐震強化岸壁の整備は緊急を要しています。都は港湾整備計画で平成二十七年度までにこの事業を終えようという計画ですが、問題は、そのための財源をどうするかということであります。この確保についてどのような見解をお持ちですか。

○前田港湾整備部長 外貿コンテナふ頭や内貿ユニットロードふ頭等の耐震強化岸壁につきましては、これまでも国庫補助事業等により必要な財源を確保し、その着実な整備に努めているところでございます。今後とも、耐震強化岸壁の着実な整備を推進していきたいと考えております。

○たぞえ委員 ぜひ国に対しても財源要求をきちんと強く述べて、要求していただきたいというふうに思います。
 最後に、この港湾局の決算書を前から後ろからいろいろ読んでみましても、どうもわからないことがあります。それは、地盤改良という記載は随所で出てきますけれども、お尋ねした岸壁の耐震事業という記載は一個もありません。都民が読んでも議員が読んでも耐震状況がわからない決算書では困るんじゃないでしょうか。ぜひ予算書や決算書では、こうした東京港での耐震強化岸壁づくりの取り組みについての表示も、ぜひ改善を図っていただきたいということをお願いして終わります。

○中谷委員 港湾局の事業は、東京港及び島しょにおける港湾漁業など、整備管理や、東京臨海地域の開発事業を通じて、物流の円滑化や都市再生、防災機能の充実を図るとありますが、その事業の性格上、単年度の予算の消化が難しく、継続的な予算編成の方が望ましいと思われる事業もあるやに伺っております。新海面処分場延命化対策事業の事務事業評価表によると、長期の工期を要するため、二十年、二十一年度債務工事、二十一年、二十二年度債務工事のように、年度をまたがった予算化を行ったとあります。
 都は「十年後の東京」の中で、豊かな自然環境と共生する水辺空間を創出し、安心して水と触れ合える水質を確保することを目指すとしておりますが、残念ながら、夏になりますと一部の運河において悪臭が発生することもあり、都民の生活環境の改善のためにも、その原因の一つである運河に堆積した汚泥の対策が強く望まれているところであります。
 そこで、平成二十年度における汚泥しゅんせつ事業の具体的な内容についてお伺いをいたします。

○前田港湾整備部長 都では、運河の水質を改善するため、東京地域公害防止計画に基づき、昭和四十七年から運河に堆積した汚泥のしゅんせつを進めてまいりました。しゅんせつに際しましては、汚泥の堆積状況や水の汚濁度、水辺の利活用の状況等を総合的に勘案いたしまして事業を計画的に進めており、平成二十年度は江東地区の東雲運河及び辰巳運河、港地区の天王洲運河、天王洲南運河、新芝運河の五カ所の運河で、合計約三万五千立方メートルのしゅんせつを実施いたしました。
 今後は、汚泥しゅんせつのさらなる推進を図るとともに、汚泥の堆積抑制など新たな浄化技術の検討を進め、運河の一層の水質改善に努めてまいります。

○中谷委員 汚泥しゅんせつ事業は、運河の水質改善のために大変重要な事業でありますけれども、港湾局だけの事業として完結するだけでなく、例えば建設局が管理をする河川の汚泥しゅんせつ事業などと一緒に、環境局が進めるバイオマス事業とも連携を検討していただきたいと思います。
 確かに、汚泥にはいろいろな種類がありまして、下水汚泥と運河や河川のものとでは汚泥そのものの水分量であるとか質が違うようでありますが、我が国は汚泥から水素ガスを創出する技術を既に持っているわけでありますから、ぜひとも局を横断して、そういった新しい事業の取り組みを試みていただきますようにご提案を申し上げます。
 次に、新海面処分場についてであります。
 東京の都市機能を維持するためには、廃棄物などを処分する埋立処分場を確保していくことが不可欠であります。しかし、新海面処分場のほかに、現行の東京港港湾区域内に新たな埋立処分場を確保することは困難であるため、サーマルリサイクルや焼却灰のスラグ化などで廃棄物処分量の減量化に努め、現在の処分場を少しでも長い間にわたって使用することが強く求められております。
 近年の都民の環境意識の高まりとともに、リサイクルの取り組みが進み、一般廃棄物の処分量はかなり減少はしてきていますが、しゅんせつ土砂の処分量は横ばいであると聞いております。新海面処分場を整備し、しゅんせつ土砂を処分する港湾局においても、処分場の延命化を図るためにぜひとも積極的な取り組みが必要であると考えております。
 そこで、処分場の容量を増大させるための具体的な取り組みについてお伺いいたします。

○前田港湾整備部長 東京港では、新海面処分場の容量を増大する取り組みといたしまして、深掘りや沈下促進を実施しております。深掘りはしゅんせつ土を埋立処分する前に、処分場内の海底面を掘り下げ、容量の増大を図る方法でございます。平成十一年度に開始して以来、平成二十年度末までに三百五十万立方メートルの容量増大を実施いたしました。沈下促進は、処分場内の地盤に含まれる水分を真空ポンプで吸い出すことによりまして地盤を強制的に沈下させ、容量増大を図る方法でございます。
 平成十七年度から開始し、平成二十年度末現在で約二十万立方メートルの容量増大を実施いたしました。深掘りと沈下促進を合わせまして、これまでに約三百七十万立方メートルの容量を増大しており、この量は、現在新海面処分場で受け入れているしゅんせつ土の約四年分に相当する量となっております。

○中谷委員 沈下促進は、費用面でも護岸建設に比べてかなり低コストで効果的な事業であるとの評価であります。引き続きの積極的な取り組みを進めていただきたいと思います。
 また、新海面処分場に処分するしゅんせつ土の減量を図るため、しゅんせつ土を有効利用することがより一層重要であると考えます。そこで、しゅんせつ土の有効利用の取り組みについてお伺いいたします。

○前田港湾整備部長 東京港では、新海面処分場への処分量を減らすため、しゅんせつ土の有効利用を積極的に行ってきております。具体的には、現在航路の整備などにより発生する良質なしゅんせつ土砂は、他の港湾における漁場整備事業や羽田空港再拡張の護岸整備などの用材として利用しております。平成二十年度までの有効利用の実績は、約一千五百万立方メートルでございます。

○中谷委員 希少な処分場を長期間に使用できるように、深掘りや沈下促進などの技術的な工夫としゅんせつ土砂の活用に、ぜひとも今後も力を注いでいただきたいと思います。
 今伺った二つの事業について、平成二十年度に実施した一般会計決算を見ますと、汚泥しゅんせつ事業が予算二億九千二百万円、不用額が六千七百万円、約二二%であります。東京港廃棄物処理場建設事業については、予算が六十六億七千九百万円に対して、不用額が十三億円の約一九%。この五年間の港湾費の予算執行率を調べますと、平成二十年度が八三・九%でありますが、さかのぼって平成十六年度から順に七七・三、八一・三、八四・一、七八・〇、平均すると八〇・九%の予算の執行率であります。
 ここで、不用額の処理の仕方についてでありますが、不用額とは用いなかったお金であり、決して不要な額ではありません。予算執行により弾力性を持たせ、港湾局の事務事業には債務負担行為の活用をしておりますけれども、債務負担行為は議会の議決を必要とし、不用額についてはその必要がない。しかし、その不用額の使用については、人件費を除いては、予算科目の項を超えての使用ができないという制約があると認識しております。
 事務事業評価は、経費のむだを可能な限り少なくし、より実効性の高い施策を構築することを目的とし、きめ細かい事後検証によって施策の充実、見直し、再構築を進め、予算に的確に反映させていくマネジメントサイクルを徹底するために行っていると理解しておりますが、毎年毎年予算執行率が八〇%をここ五年間維持している現状でありますが、執行率が低いのは低入札による落札差金、あるいは国の補助金がつかずに事業未執行だったケースなど、実績残によらないものもかなりの割合を占めております。事務事業評価の導入時期と予算執行率の変遷とは、必ずしも相関関係がありません。事務事業評価を進めるに当たって、事後検証をより一層丁寧に行う必要があると考えます。
 港湾局と財務局が連携をし、港湾局における事務事業について過去の年度の決算の状況を分析し、事業の実施に伴う成果や課題などを十分に整理した上で事業評価を行う。そして、その結果が予算に反映されて、より実効性の高い施策を構築することを目指しているのであれば、継続的に予算執行率が低い事業については、その見直しと、また年度がまたがるような建設的事業、コンストラクションの事業の複数年度予算化を検討するべきではないかと私から申し上げまして、私の質問を終えさせていただきます。

○矢島委員 まず最初に、海上公園についてお伺いいたします。
 縦横に走る広い道路、その地下には上下水道、電気はもとより廃棄物の収集、移送の施設、地域冷暖房のネットワークなど地下基盤の整備が行われ、一つの新しい都市の姿を示しているのが臨海副都心であろうと思います。そして多くの公園が整備され、また改めて東京が海洋国家日本の一隅に位置する、夏の海水浴ばかりでない身近な海、新しい地域であることを思い出させたこの功績は大変大きいと、このように思っております。
 そこで、既に四年間経過しようとしている指定管理者の導入により、どこがどのように大きく変わったか、お伺いいたします。

○松岡臨海開発部長 海上公園において、指定管理者の導入までは管理委託方式で、受託者は条例に基づいた管理のみを行い、利用者のニーズに応じたさまざまな利用が楽しめるよう、主体的、弾力的な取り組みを行う仕組みはありませんでした。平成十八年度からの指定管理者制度の導入によりまして、指定管理者による自主事業が可能となりました。
 各指定管理者は創意工夫し、来園者が楽しめるようさまざまな催しを実施し、またスポーツ公園では利用者の技術の向上や新しい利用者の参加を促進するような催しを実施することにより、公園の一層の利用促進を図ってまいりました。
 具体的には、お台場海浜公園で毎年夏に行われている海の灯まつりやナイトマラソン、大井ふ頭中央海浜公園でのネイチャー・クラフト作成教室、若洲海浜公園でのジュニアゴルフスクール、また、有明テニスの森公園では金曜日のナイトトーナメントや休前日のナイター利用延長などがあります。

○矢島委員 千葉県の検見川、神奈川の江ノ島と並んで、東京には珍しいヨット訓練施設が若洲海浜公園の中にあります。実際上、一般都民向けの講習会中心の施設と思いますが、この目的とこれまで十年間の都民の皆さんの利用状況、周知宣伝の方法についてお伺いいたします。

○松岡臨海開発部長 若洲ヨット訓練所は、海洋性レクリエーションニーズに対応し、海の自然に触れ合いながら、都民が身近な場所でヨットの帆走技術を習得するなど、海洋スポーツ振興を図るための施設として、平成三年七月にオープンしました。これまで青少年を含む一般都民を対象として、年に百日程度ヨット教室を開催しており、この十年間でおよそ延べ一万七千人を超える方が参加しております。
 ヨット教室開催に当たりましての都民へのPRといたしましては、「広報東京都」や地元江東区の区報、指定管理者のホームページ、作成したチラシの新聞折り込みなど、多様なツールを活用しております。

○矢島委員 ヨットは、大きい船が大海原を走るというイメージよりも、ヨット訓練所の場合には、四七〇級といわれるオリンピック種目だと思いますが、二人乗りの小さな小型船、そして青少年用が一人乗りのおわんのような小さい船ということになりますが、非常に身近な船ということです。
 日本人は、かつて世界に雄飛した海洋民族の血も多く入っているだけに、海とのつき合い方を伝えるこの身近なヨット訓練所の意義は大変大きいと思います。指定管理者の導入による新しい取り組みをお伺いいたします。

○松岡臨海開発部長 この施設は、平成十八年度から指定管理者が管理し運営することとなりましたが、指定管理者は自主事業といたしまして、ヨットの無料体験を盛り込んだ若洲シーフロントミュージアムや若洲ヨット祭りを実施するなど、一般都民の方々に海洋スポーツとしてのヨットを身近に感じていただくよう、普及宣伝を図ってまいりました。
 また、平成十八年度からは、都内の高等学校のヨット部の活動支援として技術指導等を行い、平成二十年度からは、地元江東区と連携し、小中学生をヨット選手に育成するための支援を開始いたしました。
 今後とも、指定管理者と東京都とが連携し、このヨット訓練所の機能を最大限生かし、海洋スポーツをより多くの都民の方に楽しんでいただけるよう工夫してまいる考えです。

○矢島委員 やはりそのためには、周知宣伝の方法が何よりも第一と思います。興味があり、あるいは近場にある方については接する機会が多いと思いますけれども、都民は大変多いわけですから、そういう意味で周知宣伝の方法については、十分考慮されて対応されるようにお願いをいたします。
 次に、スーパー中枢港湾についてお伺いいたします。
 東京都は、平成十五年、国のスーパー中枢港湾に応募し、十六年に指定を受け、世界のハブ港並みの港湾コスト三割削減、コンテナ陸揚げから引き渡しまで一日への時間短縮を目標に取り組んでおります。
 二十年度の進捗状況、残された課題をお伺いいたします。

○河内参事 東京都は平成十六年にスーパー中枢港湾の指定を受けまして、東京港の国際競争力の強化に向けまして、港湾コストの低減やリードタイムの短縮について、さまざまな取り組みを行ってまいりました。
 コストの低減に関しましては、より多くの貨物を取り扱う船会社に対しまして、入港料を割り引くなどのインセンティブ制度を導入いたしまして、コストの削減を図ってまいりました。
 また、リードタイムにつきましては、土曜日、日曜日の税関開庁を初めといたしました取り組みにより、最近の国の調査によりますれば、リードタイムは一日半程度に短縮されております。これらの取り組みにより、平成十五年には三百七万個でありました外貿コンテナ取扱貨物量が、平成二十年には三百七十三万個に増加しておりまして、スーパー中枢港湾の計画で設定した目標値を達成したところでございます。
 しかしながら、昨年秋以降の世界同時不況の中で、全世界的に荷動きが停滞しておりまして、東京港におきましても例外なく取り扱いの貨物量が減少している状況にございます。
 厳しい経済状況のもとで、今後も首都圏四千万人の生活と経済活動を支える一大物流拠点といたしまして東京港が発展していくために、貨物量の増加や港湾物流の効率化によるサービスの向上などのさまざまな課題に、引き続き港湾に携わる関係者の皆様と一丸となって取り組んでいく所存でございます。

○矢島委員 横浜、川崎との連携につきましては、先ほど野島委員あるいは中山委員のご質問で、十分内容が理解されましたので、次に移ります。
 世界のコンテナ船の効率化の宿命から、スエズマックスの大型化は避けて通れない事実があります。実際、水深十六メートルのスエズ運河を通行できるスエズマックス規格の世界最大コンテナ船「エマ・マースク号」が顔見せで横浜港に一度寄港いたしましたが、東京港には寄っておりません。その後、アジアの他港からの定期航路、欧州航路と聞いておりますが、これに就航したと聞いております。大井ふ頭、青海ふ頭、水深十五メートルほどでありますが、大型化が進むコンテナ船の現況から見て、ハードをどのように考えるか、お伺いいたします。

○前田港湾整備部長 現在、世界の海運業界におきましては、輸送効率の向上の観点から、八千個から一万個積みの大型コンテナ船の就航が相次いでおりまして、バース水深はマイナス十六メートル以上が主流となっております。
 こうした状況の中で、アジア諸港は船舶の大型化に対応した、水深マイナス十六メートル以上の大水深バースの整備を推進中であります。
 一方、東京港におきましては、水深マイナス十六メートルの中防外側コンテナふ頭一バースの整備に着手したところでございまして、既存の主力のコンテナふ頭でございます大井、青海ふ頭は水深がマイナス十五メートルで、六千五百個積みのコンテナ船を対象としております。
 このような状況を踏まえまして、大井、青海コンテナふ頭につきましては、八千個から一万個積みの大型コンテナ船が接岸できるよう、バース水深をマイナス十六メートルに、また、中防外側コンテナふ頭などにおきましては、さらなる船舶の大型化に対応して、マイナス十六・五メートルの大水深バースに再編することといたしまして、本年五月に港湾計画の一部変更を行ったところでございます。
 引き続き、東京港の国際競争力の強化に向け、ご指摘のとおり、世界の海運界の船舶大型化に対応した受け入れ態勢の整備に努めてまいります。

○矢島委員 このような中、東京港は、アジアのハブ港であるシンガポール、上海、釜山などに離されないよう、大型化に対応する港湾ハードをある程度整えたとしても、これは競争の入り口にすぎません。コスト削減のかぎを握るといわれる港湾物流IT化、また片貿易といわれる東京港の輸入偏重の現状と取り組みについてお伺いいたします。

○河内参事 お話しの港湾物流のIT化につきましては、ITを活用することで物流の効率化が図られ、コストの低減につながると考えております。このため、官公庁の手続につきましては、シングルウインドー化により、入出港届など従来別々だった申請書類を一カ所で行えるようにいたしまして、港湾手続の簡素化を図ったところでございます。
 また、ご指摘いただきました輸入超過につきましては、これは首都圏の生活や消費を支えている東京港の性格上、輸入貨物が超過傾向にあるのはやむを得ないことと考えておりますが、ご指摘の物流の効率化を図る上では、輸出入のバランスをとることは大変重要なことであると認識しております。輸入超過により、東京港では輸入した際に使用したコンテナが、東京港から空のまま返送されるという状況が発生しております。この空のまま返送されるコンテナを極力減らしていくことが、港湾物流全体のコスト低減につながってまいります。
 今後、北関東など製造業が立地している地域で、輸出貨物集荷の誘致活動を重点的に行うなど、東京港の利用を促進するポートセールスを荷主企業に対して積極的に展開してまいります。それとともに、三港連携の取り組みの中で、輸出超過の状況にある横浜港と連携いたしまして、空コンテナを京浜港全体で効率的に活用できますよう、はしけ輸送の充実など、横持ち輸送の効率化に取り組んでまいります。

○矢島委員 ハブ港として実績のあるシンガポール、それから上海、釜山などは、ハードの面がある程度日本の港湾も追いつきつつあるという話もありますが、実際上、IT化につきましては、かなりのおくれをとっているということも聞いておりますので、ぜひともその部分の強化を図るように、これからも取り組んでいただきたいと思います。
 また、片貿易につきましては、あるものを集めるばかりではなくて、やはりどうしても、せっかく日本に工場が戻ってきた中で、物流の効率化がしっかりなされていなければ、その工場のコストが上がってしまうということにもなりますので、全体にかかわる問題でありますから、国内産業の振興を図るという意味でも、その大変大きなかぎを握っているという立場で取り組んでいただきたい、このように思います。
 東京港のハードが整い、手続の短縮化が進み、京浜三港の連携が強化されたとしても、日本の外貿港湾すべてを加えても、第一位のシンガポールに遠く及ばないのが現実であります。そのような中で、各国は一カ所に絞り集中投資をし、主流であるコンテナ航路を確保しております。コンテナ貨物取扱量がはるかに規模の及ばないシンガポール、上海、釜山等と伍して、アジアのハブ港の機能を高めるためには、何が不足し、今後どのような取り組みが必要か、あるいは適切な機能を担う相応の貿易港として、コンテナ船の基幹航路維持を目標にするのか、お考えをお伺いいたします。

○河内参事 主に日本国内の貨物と東アジアのトランシップ貨物の一部を取り扱っている日本港湾全体の平成二十年における外貿コンテナ貨物取扱量は、約一千七百十六万個でございます。これに対し、アジア地域のハブ港に特化しておりますシンガポール港のコンテナ貨物取扱量は約三千万個となっておりまして、コンテナ貨物の取扱量という面にございましては、委員ご指摘のとおり、全国のコンテナ貨物を京浜港に集めても、シンガポールには遠く及ばない状況でございます。
 一方、仮に京浜港が基幹航路から外された場合、輸送時間やコストの増加など、安全・安心、安価な輸送への悪影響を及ぼし、都民生活や首都圏経済への影響ははかり知れないものとなります。
 このため、東京都といたしましては、課題となっている港湾コストの縮減とリードタイムの短縮などのサービス向上に取り組むことで、基幹航路の維持拡大を図り、引き続きメーンポートとして、首都圏四千万人の生活と産業を支えてまいる所存でございます。
 さらに、横浜港、川崎港と連携いたしまして、京浜港として国内貨物を集荷するとともに、基幹航路のうちの一つであります北米航路への地理的優位性を生かしながら、国際トランシップ貨物を誘致することで、東アジアのハブポートを目指してまいります。

○矢島委員 大変日本は厳しい状況にあろうかと思います。北米航路につきましても、津軽海峡を抜けて、日本海から東南アジアの方に向かう方が時間的には短いという試算もあるようでありますし、その厳しい中でやっていくわけですが、常に東京港あるいはほかの港を比べるときに、国際ハブ港と比較をして説明されることが多いように思います。
 これを目指しているという誤解があってはいけませんし、また本来、東京港あるいは京浜三港の役割はどういうふうに位置をとらえていくか、ここをしっかり認識した説明の中で議論をしていかなければ、議論が時において違う立場の説明というようなことになるのは混乱を及ぼしますから、ぜひともその点は明確にして、これからの議論、そしてそれに積み重ねられた東京港の発展に資していただきたい、このように思います。
 次に、客船対策についてお伺いをいたします。
 かつて、一般質問で客船誘致を申し上げましたが、港の花として対策に努めていく旨の答弁がありました。
 そこで、現在の東京港の客船ふ頭の位置、対応規模、またそこに至るためには橋梁の通過が必要だろうと思いますが、平均水面までの高さ、現在通過できない大型客船があるかをお伺いいたします。

○小宮港湾経営部長 東京港において外航客船が着岸するふ頭は晴海ふ頭でございまして、客船が着岸する係留施設の延長は四百五十六メートル、水深十メートルを有しており、「飛鳥Ⅱ」など総トン数が約五万トンのクラスの客船に対応できてございます。
 また、レインボーブリッジの橋げた下から東京湾平均海面までの高さは約五十三メートルでございまして、潮位を考慮すると、海面からの高さが約五十二メートルの客船であれば通過できるものと認識してございます。
 近年建造されました、主にカリブ海や地中海航路に就航している客船の中には、レインボーブリッジを通過できない超大型船もございます。

○矢島委員 もう既に、「クイーンエリザベスⅡ世号」がフローティングホテルになっていると聞いておりますので、この問題は答弁の時期がよくてよろしかったと思いますが、ちょっと前ですと、それが通れないという答弁が多分来たと思います。これから客船の大型化が来る中で、この問題は東京港の振興を図る意味で、貨物港だけではない日本の魅力、東京の魅力を知っていただくためにも、いい位置にあるわけですから、この対策は避けて通れないと思います。
 そこで、世界の一級の今後増設されるかもしれない客船が東京港に問題なく寄港できる位置等の方法の検討が必要であると思いますが、お考えを伺います。

○小宮港湾経営部長 東京港は、アジアと欧米を直接結ぶ基幹航路のコンテナ船が多数寄港する海上輸送の大動脈でありまして、首都圏四千万人のメーンポートとして、生活や産業活動を支える役割を担っております。
 大型化する客船に対するハード面での受け入れ態勢につきましては重要な事項と承知しておりますが、入出港する際の航行の安全性や客船ターミナル機能の確保などの検討が必要であると認識してございます。

○矢島委員 必要が生じてから物に取り組むのが一番楽な方法でありますけれども、ぜひともこの点については十分な検討をされて、時において対応できるような、観光行政が特に重要視されているときでもありますので、国際交流、国際の相互理解のための一つの有効な機会となりますから、このための準備をしていただきたい、このように思います。
 次に、株式会社東京臨海ホールディングスカンパニーについてお伺いをいたします。
 東京港の国際競争力強化と臨海副都心の総仕上げの推進体制を充実させるため、平成十九年一月に株式会社東京臨海ホールディングスが設置され、間もなく二年になろうとしております。
 経営統合の方法、機動的な事業経営の実際と相乗効果をお伺いいたします。

○石原監理団体改革担当部長 持ち株会社でございます東京臨海ホールディングスは、平成十九年一月に東京臨海熱供給の単独株式移転により設立され、同時に東京臨海熱供給はその子会社となりました。同年八月には、ゆりかもめと東京テレポートセンターを株式交換により子会社化するとともに、本年一月に、東京ビッグサイトと東京港埠頭を都の保有株式の現物出資により子会社化し、グループ五社の経営統合を完了いたしました。
 また、経営統合の完了を受けまして、同月、グループ経営計画を取りまとめまして、グループ経営本格稼働に向けて、グループ各社が機動的、有機的に機能する体制が整ったところでございます。
 この間、臨海ホールディングスグループでは、親会社の経営戦略のもと、ふ頭事業や交通事業等の基幹事業を機動的に展開するとともに、臨海地域の交通環境対策の一環として、パーク・アンド・ゆりかもめを実施するなど、グループ企業の経営資源を活用した事業を連携して展開しております。
 今後とも、経営統合効果の一層の発揮に向けまして、都としても適切に指導監督してまいります。

○矢島委員 親会社とグループ五社の経営状況、利益剰余金の水準、配当をお伺いいたします。

○石原監理団体改革担当部長 平成二十年度決算におけるグループ各社の経営状況でございますが、東京臨海ホールディングスは、株式の発行に伴う課税等経営統合に要する経費の支出によりまして約四千五百万円の当期純損失を計上し、利益剰余金は約九千八百万円のマイナスとなっております。子会社五社につきましては、東京臨海熱供給は当期純利益約四億円、利益剰余金約三十六億円でございます。ゆりかもめは、当期純利益約三億円、利益剰余金約十億円でございます。東京テレポートセンターは、当期純利益約四十九億円、利益剰余金約五十六億円でございます。東京ビッグサイトは、当期純利益約三十五億円、利益剰余金約二百三十六億円でございます。東京港埠頭は、当期純利益約一億円、利益剰余金約一億円となってございます。
 また、平成二十年度の配当につきましては、東京ビッグサイトが実施しておりまして、金額は約一億円でございます。

○矢島委員 利益に比べまして配当が極めて少ないというのは、内部留保に一生懸命努めておると、こういうふうに理解をさせていただきますし、またグループ金融が一つの目的でありますから、その意味からいえば、それに沿ったものといえないこともないかもしれません。
 持ち株会社は、五〇%を超える子会社の株式を持ち、支配するとされています。親会社は戦略を立案するという役割を果たしていくことになります。そこに平成二十一年一月、産業労働局所管の株式会社東京ビッグサイトが加わったわけでありますが、この平成二十一年三月期で、剰余金二百三十六億円を有し、税引き後三十億円以上の利益を出している優良企業であります。このコンスタントに利益を計上する今でも、所管港湾局からビッグサイトは、地代を半額という破格の条件を受けております。
 株主が東京都であり、所管が臨海地域を業務地域とする港湾局である株式会社東京臨海ホールディングスだからこそ甘えは許されませんし、むしろ公的基盤に立つ親会社として内部統制、企業モラル維持のためにも、この部分の適正化を経営判断として図るべきではないかと思います。
 効率化と自立、同時に事業の港湾を支え、臨海地域進展の道を歩んでいかねばならない中枢会社を強力な事業体とするためにも必要なことではないかと思いますが、お考えをお伺いいたします。

○石原監理団体改革担当部長 東京臨海ホールディングスは、東京港の国際競争力の強化と臨海副都心開発の総仕上げの推進体制を一層充実していくことを目的として設立したものでございまして、臨海地域の発展の中核を担っていくものでございます。
 ご指摘のとおり、グループ経営におきまして、親会社による内部統制や企業モラルの維持、経営基盤の強化などの視点は非常に重要であると考えております。
 このため、臨海ホールディングスグループにおきましても、グループ各社がそれぞれの事業で最大限の成果が得られるよう事業活動を支援するとともに、適正かつ効率的な業務、事業運営を確保するため、親会社による内部監査やリスクマネジメント等を通じまして、経営管理体制の充実を図っているところでございます。
 今後とも、臨海ホールディングスグループに対しましては、高い公共性を発揮しつつも、民間企業の取り組みなども参考として、より一層の経営効率化に向けた不断の見直しを進めるよう、都としても強力に指導してまいります。
 なお、土地の管理や処分のあり方についてでございますが、これまでも臨海副都心開発の進捗状況や、時々の社会経済状況、個々の土地の果たす公益性など多様な要素を勘案する中で、さまざまな工夫を取り入れてきたところでございます。
 今後とも、委員のご指摘も含め、まちの成熟等、臨海副都心開発を取り巻く状況を総合的に勘案しながら対応してまいります。

○矢島委員 直接答えていただいておりませんが、しっかり取り組んでいただけるものと信頼させていただきます。ただ、規模が大きいですし、利益もそれ相応に上がっているグループですから、なかなか議会にとって見えにくいものになりがちです。ぜひともこの点は公明性を確保できるように、そしてその収益も含めて、利益剰余金も含めて、都民に説明できるような取り組みをこれからもしていただきたい、これをお願いしておきます。
 港湾局の会計は、一般会計と港湾事業会計、そして臨海事業会計で構成されております。このうち臨海地域開発会計は、ホールディング会社が二つの目的、方向性を示している一方の方向性、臨海副都心まちづくりの総仕上げがありますが、そのめどがついたとき開発の役割を終えることになります。その場合、現在専門的に東京の各部門を担っている本来の所管に移管されると考えるのが自然であります。
 移管の問題について、私は経済・港湾委員会にかつて所属しておりましたが、そのときに質疑し、当時の港湾局長からその方向の答弁をいただいております。そして、港湾局は、ホールディング会社を活用し、会社が示しているもう一方の主要な柱である東京港の国際競争力の強化を見据え、その準備に入っている、そのように見えます。局長のご認識をお伺いいたします。

○比留間港湾局長 臨海副都心の開発につきましては、基本的にまちが成熟した段階で、それぞれの管理主体が管理する形態へと移行するべきだというふうに考えております。ただし、移行に当たりましては、さまざまな個別の課題を十分踏まえて対応していく必要があることから、まちづくりの進捗を踏まえつつ、都庁全体の中で検討してまいりたいというふうに考えております。
 また、東京港でございますが、現在外貿コンテナ取扱個数が十一年連続して日本一になるなど、首都圏四千万人の生活と産業を支えるメーンポートとして重要な役割を果たしておりますが、アジア諸港の躍進に伴い、国際港湾としての地位の低下が懸念されております。
 都と臨海ホールディングスグループは、こうした課題認識を共有しておりまして、グループでは本年一月、平成二十五年度を目標年次とするグループ経営計画を策定し、今後国際競争力の強化のため、コンテナ貨物量の増大や船舶の大型化などへの的確な対応と質の高いサービスを提供し、東京港の国際コンテナ物流戦略の中核を担っていくこととしております。
 都といたしましても、東京港の国際競争力の強化に向けまして、臨海ホールディングスグループを効果的に活用し、全力で取り組んでいく所存でございます。

○矢島委員 十分理解にたえる、そして内容のある答弁をいただきました。今後の港湾局のしっかりした方向を示していただくことを期待し、私の質疑を終わります。

○和田委員 東京都は、先進国の中では、羽田国際空港とそれから東京港という、港と空港、両方あわせ持つ、まれな首都としての立場を持っています。それだけに、国際都市東京という、この言葉になじむ国際性が、空港と港によって具体的に具備された結果、世界じゅうにも認められてきているし、我々都民も国際都市東京という言葉を吐いても全然違和感がなく、耳に心地よく響いてくる背景はそこにあると私は考えています。
 さて、そこで、今までしばらく議論が出ておりました京浜三港の問題について、少しく質疑をしてまいりたいというふうに思います。
 京浜三港そのものは、それぞれ個別に港湾活動をしてきたわけでありますけれども、昨年来、港湾管理者が意思を一つにして、それぞれの目的を確認しながら広域連携をしていこうということになったわけであります。
 それの一つの理由には、先ほど来局長のお話もあったように、国内における取扱量の首位は十一年間保ってきたけれども、国際的な取扱量の問題については、それと並行していない。例えばシンガポールや上海や香港、深?なり釜山なりというところに随分追い込められてきて、そのランキングも二十六位になってしまっているというふうに、みずから局長おっしゃっているとおり、地位低下が著しいという状況がある。
 これを回復するのに、東京港に限らず川崎も横浜も含め、三人が毛利元就の弓の格言のように、力を合わせて劣勢を優勢に切りかえようじゃないかという姿勢がここにあらわれているというふうに思うんです。
 そこで、具体的にコンテナ貨物の取扱量について、十年間、平成十年から二十年までの間に、これは釜山でいいと思いますが、釜山と、それから京浜三港、それぞれ取扱量はどのように十年間で変遷をしてきたのか。十年前の数字と、平成十年と二十年の推移で結構ですので、明らかにしていただきたいと思います。

○河内参事 京浜港の平成十年におけるコンテナ貨物取扱量は、約四百六十二万個でございまして、平成二十年におけるコンテナ貨物取扱量は、約七百七十万個になっております。平成十年と平成二十年を比較した増加率は約七〇%となっております。
 一方、お話のありました釜山港のコンテナ貨物取扱量は、平成十年においては約五百九十五万個でございまして、これが平成二十年度におけるコンテナ貨物取扱量を見ますと、約一千三百四十三万個になっております。平成十年と平成二十年を比較した場合の増加率は、京浜港を上回る約一三〇%となっております。
 このように京浜港のコンテナ貨物は、絶対量としては大幅に増加するなど、京浜港が首都圏経済と住民生活を支えることは間違いないと思っておりますが、加えて、我が国の輸入依存度が高まる中で、国際物流拠点としての役割はますます大きくなっていると考えております。しかしながら、我が国港湾の相対的な地位の低下が進む中で、京浜港の国際競争力の強化が大きな課題となっていることが、この数字からも読み取れると思います。

○和田委員 さきに羽田の国際空港に少し触れましたけれども、私どもの前原国交大臣が、いうならば、羽田国際空港を優先順位の一番上に位置させながら充実をしていくということで、多少ご異論のある意見も表出したようでありますけれども、これを貫いていくということで、私どものかかわる羽田国際空港が空港面では、まず国内的には優先順位第一位で整備をされていくということは明らかになっておりますし、そのことを我々東京都議会民主党も大いに歓迎すると同時に、都政人としての皆様方のお気持ちもしっかり確認をしていただきたいというふうに思うんであります。
 さて、今、十年前の数字を明らかにしていただきました。これは、もともとの出発点の平成十年のときの個数からしても既に釜山と京浜三港の差があります。例えば十年前、京浜三港については四百六十二万TEUと、TEUで私は答えます。いいですね。四百六十二万TEUというふうに京浜三港はスタートするんですが、一方、もうこの時点で釜山は五百九十五万TEUという形で、ここにまず差がある。そこから十年たってみて、京浜三港は七百七十万TEU、一方の釜山は一千三百四十三万TEUということで、それぞれ七〇%の増と一三〇%の増という形で、はっきりスタートラインが違うのと並行する形で、十年間終わってみれば七〇%の増にすぎない京浜三港と一三〇%の増を獲得している釜山というふうになっているわけです。これは、この十年間の間に、三港の努力が足りなかったといえるのか、あるいは逆に釜山港の方が努力を多くして一三〇%を達成できたのかという、その辺の理解の問題はあるにしましても、結果としての数字はここに出てきてしまっているわけです。
 これを見たときに、空港にしても、国際となれば国内外の、当たり前のことですけれども、国際的な他国との、ほかの国との競争の矢面に当然港も空港も、その荷の取扱TEUの量、あるいはそこを利用される観光客やあるいはお仕事でいらっしゃる人の利用の人数という形で、確証のない形で荷物、あるいは人の量という形で、これが数字化されて、毎年毎年、港を預かる皆様方の心胆を寒からしめるような、そういう結果も出ている。
 一方で、ITを含めて情報化がもうかまびすしい中ではありますけれども、具体的に、人、物の交流というのは、ここでしか計測できないとなれば、ITで幾らベストワンだよといって、日本がもしも誇っていたとしても、この部分で国際的に二十六位だなどということになってくれば、何のために全体的な日本の経済力、あるいは国際的な経済国家としての地位ということが問われかねないわけでありますから、ITもさることながら、人、物の交流を象徴する空港なり、港のここの数字にもっと我々は神経をとがらせていいというふうに私は考えているわけです。
 ただ単に、量だけ多くすればという意味でも時代は違っています。例えば、環境負荷を多くしてTEUをふやしてどうなんだ。環境負荷を多くして、日本に来る観光客をふやしてもどうなんだ。常にふやせばいいというだけじゃなくて、世の中は、あるいは世界は、環境的な一つのクリーンナップもした上で所期の目的も達成していくという、その二つの要求を我々は地球に生活する人間として果たしていかなければ、京都議定書も含めカーボンゼロも含め、この達成もできない。したがって、環境問題と今のTEUの取扱量というものをセットで考えるような、そういう港にしていかなければ、この京浜三港の将来的な一つの展望はないだろうと思っているんです。もとより、これはほかの今申し上げたシンガポールや上海や香港が、例えばモーダルシフトなんか全然関係なく、重油なんかを垂れ流しをしたりしながら、ひたすらTEUの大きさを誇っているとはいいませんよ。いわないんだけれども、少なくとも、東京、あるいは京浜三港についてはそこのところをしっかり押さえて、なおかつTEUでもどんどん上昇していくという両方の道をたどるということを要求されるだけに、当局の皆さんは大変苦しいだろうと思っているんです。
 そこで、京浜三港の一つの特徴として、ほかのシンガポールや上海、香港とは違って、今私が指摘を申し上げた環境的な面としてはどういうふうな、モーダルシフトを含め、現実的に機能しているのかということについてお尋ねをいたします。

○河内参事 京浜三港における施策の中での環境対策ということでございますけれども、例えば京浜三港の間で、はしけによるコンテナ輸送というのを行っておりまして、このはしけによるコンテナ輸送の主なメリットと申しますのは、大幅な輸送効率の向上と環境負荷の低減にございます。これまで、はしけ輸送は、トラック輸送と比較いたしまして、ふ頭での積みかえにかかるコストの増加という課題もございまして、いま一歩普及がしてこなかった実情がございます。しかし、そのメリットを具体的に検証したところ、総トン数、約千三百トンのはしけで、一回の輸送により、二十フィートのコンテナを約百七十個運ぶことができるなど、輸送効率面と延べ輸送時間の短縮の側面から大きな効果が期待できます。さらに、トラック輸送と比較した場合、CO2の排出量を約八〇%削減できるなど、環境面でも大きな効果があります。こうしたことから、はしけの入港料を全額免除することで東京湾内のはしけの輸送の促進策を行ったところでございます。

○和田委員 はしけ輸送というと、はしけを接岸させたり、あるいは船に接続させたりすることによって、労力、時間がかかるように一見思われるんですけれども、やはり今説明いただいたとおり、そのCO2の排出量がトラック比較八〇%オフになるといったようなことなど含め、すべてにいいというわけではなくて、我々にとって環境負荷の少ない港湾行政といいましょうか、そういうものを進めていく今日的な時代の要請の中で、私は、今回の三港連携というのは立派に、世界的に見ても、その先端を走っていく一つの判断だっただろうというふうに思っているわけです。したがいまして、入港料の全額免除というような一つのインセンティブもあったかと思いますけれども、しかし、それにつけても、三港がぜひ一体化して事を進めてほしいというふうに思います。
 具体的にいえば、港名を挙げると、川崎港などについては十年前、一九九八年の年間取扱個数については七万TEU、それから十年たった二〇〇八年も六万TEUということで、率にすると八六%というふうに少し低減しちゃっている港もございます。しかし、三港がそれを承知で連携したわけでありますから、そこのところを唇歯輔車して、三港が助け合って国際競争力を強めて、国際的な抵抗力、対抗力をつけていくということで、所期の三港連携の目的を果たしていただきたいというふうに思うんです。
 それから、これは最後の質問になりますけれども、今申し上げた三港連携の一つの具体的なあかしとして、諸外国ではよく港、港で行われている大みそかから新年に向けての汽笛による祝賀のパフォーマンスがあります。これは横浜港はことしやったというふうに友人からも聞いているんですが、かつて私も港湾審議会で提唱したことがありますけれども、せっかく三港がいろいろな立場を超えて連携したわけでありますから、横浜も川崎も東京も、大みそかの三十秒前、長くても一分前から新年の三十秒後、あるいは一分後、長くても二分、短ければ年末年始、大みそかから新年まで、一分で済むわけですけれども、その湾に停泊をしている船が一斉に東京湾の中で三港が連携の一つのあかしとしての汽笛のアピールを行うことによって、新年を港湾人としてのスタートをする。あるいは、これから国際力をしっかり、競争力を一年間、諸外国に向けて表明していくぞというような形のアピールを来年度、まあことしの大みそかから来年の新年にかけてになるでしょうか、にやるようなパフォーマンスも含め、三港連携の具体的な二周年目を祝うというような試みを行えないのかどうか、あるいはそういう意図がおありかどうかをお伺いいたします。

○多羅尾総務部長 横浜港や大阪港、神戸港などでは、港内に停泊している船舶が大みそかから元日にかけて汽笛を鳴らし、新年を祝っております。ただし、横浜港が開港百五十周年を記念して本年に実施した以外は、イベントとして一斉に鳴らすのではなくて、各船舶が自主的に鳴らしているというふうに聞いております。なお、現在でも、東京港でも自主的に鳴らしている船舶が多少ございます。
 このような汽笛を鳴らす習慣、パフォーマンスを東京港にも広めていくということでございますけれども、東京港の場合、多数の住宅が港に隣接しておりまして、例えば大みそかは除夜の鐘を聞いて静かに過ごしたいという方も多いようで、周辺住民の方々の理解を得ることがなかなか難しい状況にあるとも申せます。ただ一方、東京の観光振興の観点から考えますと、汽笛を鳴らすということが新たな風物詩となる可能性もございますので、地元区を初めとした関係者のご意見等も伺ってまいりたいと考えております。

○小磯委員長 発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○小磯委員長 異議なしと認め、本件に対する質疑は終了いたしました。
 以上で港湾局関係を終わります。
 この際、議事の都合により、おおむね十分間休憩いたします。
   午後三時十分休憩

   午後三時二十三分開議

○小磯委員長 休憩前に引き続き分科会を開きます。
 これより環境局関係に入ります。
 決算の審査を行います。
 平成二十年度東京都一般会計決算中、環境局所管分を議題といたします。
 本件につきましては、既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、要求委員と理事者との調整の結果、取り下げられておりますので、直ちに質疑を行います。
 発言を願います。

○中谷委員 東京都では、国に先駆けて大規模事業所の温室効果ガス総量削減義務と、排出量取引制度の導入を決定しています。温室効果ガス削減目標は、二〇〇〇年比で二五%、一九九〇年比に換算すると約二〇%であります。
 都においては、既に目標達成に向けて具体的な施策を講じていると認識しておりますが、予算の獲得、事業の執行、そして評価、決算、次年度の予算要望という一連の流れの中で、お尋ねをいたします。
 環境局所管の事務事業において、平成二十年度に評価の公表対象となった事業は幾つありますでしょうか、お伺いいたします。

○森環境政策部長 平成二十一年一月に財務局が発表いたしました平成二十年度事務事業評価では、五十四の事業を公表いたしましたが、そのうち環境局が所管する事業につきましては、カラス対策事業、自然公園の地域連携事業、檜原都民の森フィールドアスレチック施設改修事業の三事業でございます。

○中谷委員 事務事業評価は当然予算を編成する一環として実施するものであり、次年度予算獲得事由のベースになると考えますが、事業局としてのその評価をお伺いいたします。

○森環境政策部長 事務事業評価につきましては、きめ細かい事後検証によりまして、施策の充実、見直し、再構築などを進め、予算に反映させていくマネジメントサイクルを徹底するために行うものでございます。
 具体的には、予算を編成する一環として、環境局を初め事業を執行する各局と財務局とが連携しながら決算の状況を分析するとともに、事業執行に伴う成果や課題を整理した上で評価を行っているところでございます。
 事務事業評価の結果を予算に的確に反映することで、効率的で実効性の高い施策を構築できると認識しております。

○中谷委員 評価する側とされる側の希望が必ずしもその事業の一致を見ていない、また、公表対象となる事業の基準が少し明確ではないのかということを申し添えさせていただきます。
 カーボンマイナス東京十年プロジェクトは、平成二十年度は九十八事業に対しまして予算額二百三億円、平成二十一年度は百七事業に対しまして予算額三百六十五億円と大きく前年を上回り、都の全庁を挙げての取り組みの成果を示すものであるとのことでありますが、国政においては、鳩山首相は温室効果ガスの削減目標を、二〇二〇年までに一九九〇年比二五%と政権公約にしました。世界最高水準の省エネ対策、再生エネルギーの普及促進に一層の取り組みが必要であると考えます。
 関連しまして、容器包装リサイクルについてお伺いをいたします。
 再資源化が困難な場合、廃プラスチックごみはサーマルリサイクルによって燃料として活用することで、石油などの輸入削減効果があること、焼却灰のスラグ化などによって、埋立処分場の残余年数が増していることに一定の理解はいたしますが、国の方針は、まずは発生抑制、そして次に再生利用と優先順位が決まっているのでありますから、本来は容器包装のリサイクルを徹底するべきであります。
 容器包装リサイクル法で、市町村が分別収集した容器包装廃棄物を事業者が再商品化する際、ガラス瓶をカレットにしたり、ペットボトルを繊維にするなど、最終商品の原材料として再生加工する手法を材料リサイクルと分類をいたしておりますが、この材料リサイクルにおけるプラスチック製容器包装廃棄物の再商品化率はいかほどであるか、お伺いをいたします。

○井戸廃棄物対策部長 材料リサイクルにおけますプラスチック製容器包装廃棄物の再商品化率でございますけれども、環境省が本年六月にまとめました容器包装リサイクルのフローの透明化等に関する検討会の中間取りまとめにおきまして、平成二十年度の実績としまして、材料リサイクルの対象量が三十九万七千トンに対しまして、残渣の処理量が十八万二千トンでございますので、したがいまして、差っ引きして計算しますと、再商品化された率はおよそ五四%でございます。

○中谷委員 五四%ぐらいということでございました。過去の数値を見ると、少しずつは再商品化率が伸びているようでありますけれども、材料リサイクルの対象として回収されながら、最終的に再商品化されない残渣についてはどのように処分をされているのか、お伺いをいたします。

○井戸廃棄物対策部長 先ほど述べました検討会の中間取りまとめに記載されております材料リサイクル業者へのアンケート結果によりますれば、材料リサイクルの残渣物についても、固形燃料、焼却エネルギー回収、セメント原燃料として回収されております。

○中谷委員 材料リサイクルの残渣の再商品化として熱回収が採用されることは、分別排出された容器包装の安易な焼却処理に通ずると思いますが、これでは分別に協力する都民の理解が得られず、また、収集運搬や中間処理を担う地方自治体の努力が生かされていないと思いますが、いかがでしょうか。

○井戸廃棄物対策部長 自治体が収集しますプラスチック類につきましては、汚れがあるものですとか、あるいは複合素材でできているものなど、材料リサイクルが困難なものがございます。また、プラスチックにつきましては、その種類によりまして、化学的な性質が異なっておりまして、異質なものは混合の溶融ができず、製品をつくることができません。そのように、材料リサイクルとしては再商品化が困難なプラスチック類につきましても、材料リサイクル業者がそのまま埋め立てることなく、固形燃料化ですとかあるいは焼却エネルギー回収、セメントの原燃料としてエネルギー回収を図っていくことにつきましては有効な施策だというふうに考えております。

○中谷委員 形状別あるいは素材別の分別を徹底して、まずは再資源化、そして、できる限りのプラスチック製容器包装の材料リサイクルに当たっては、熱回収よりも残渣の再商品化を推進するように、ぜひお願いをしたいと思います。
 次に、練馬の清掃工場の建てかえに関連して伺います。
 東京二十三区の清掃工場から排出される二酸化炭素の総排出量は、サーマルリサイクルが始まる前の平成十八年度と直近の二十年度を比べると、どのくらい変化をしているのか、お伺いをいたします。

○井戸廃棄物対策部長 東京二十三区清掃一部事務組合が、地球温暖化対策推進法に基づきまして環境省へ報告した数値によりますと、清掃工場からの二酸化炭素排出量は、平成十八年度が六十一万三千トン、平成二十年度は八十九万七千トンでございます。ちなみに、電力会社での化石燃料の使用の抑制策になりますサーマルリサイクルによる発電量は、この間、九億六千万キロワット時から十億三千万キロワット時へ増加しております。
 また、二十三区から発生した一般廃棄物の埋立量は、七十万三千トンから四十四万四千トンに大きく減少するとともに、その結果、埋め立てに伴い発生いたします温室効果の大きいメタンガスにつきましても、大幅に削減になったというふうに考えています。

○中谷委員 二酸化炭素の排出量は約五〇%増して、一般廃棄物の埋立量は約四〇%減少したという数値であったと思います。
 それでは、先般、平成二十一年九月四日でありますけれども、練馬の清掃工場建てかえ事業に伴う環境影響評価について、環境局が練馬区内で開いた都民の意見を聞く会において、長年、市民提案の循環型社会を目指してきた地元区民から、循環型社会に貢献する清掃工場のあり方を考えていきたいとの意見がありました。
 本清掃工場の隣地は、農地及び住宅密集地であります。東京二十三区清掃一部事務組合は、大気汚染、騒音・振動、温室効果ガスなど十一項目の環境影響評価を行い、その結果を都に提出いたしております。その報告を受けて、現状で何の取り組みが不十分で、かつ新たに調査する項目はあるのか、お伺いをいたします。

○大野理事 練馬清掃工場建てかえ事業の環境影響評価書案につきましては、本年一月三十日に東京都環境影響評価審議会に諮問いたしまして、現地視察、三回の部会審議、都民の意見を聞く会などの環境影響評価手続を経まして、九月二十五日の審議会総会におきまして答申が出されました。
 審議会答申を受けまして、知事の審査意見書を十月一日に事業者である東京二十三区清掃一部事務組合に送付するとともに、その内容を公表いたしました。
 この審査意見書では、事業者が環境影響評価書を作成するに当たって留意すべき内容として、十一項目の環境影響評価項目のうち大気汚染、悪臭、騒音・振動、土壌汚染、電波障害、温室効果ガスの六項目について意見を付しております。
 なお、環境影響評価項目の選定につきましては、調査計画書の段階で審議を得ておりますので、新たに調査をする項目はございません。

○中谷委員 答弁のとおり、十月一日付で石原都知事より、本清掃工場建てかえ事業に伴う環境影響評価書案審査意見書が出されております。平成十二年に清掃事業が都から二十三区清掃一部事務組合に移管されたとはいえ、東京都内の全体的な清掃工場の効率的な建てかえ計画に関する技術的支援や環境影響評価の指導は、依然として環境局の所管と考えますが、本清掃工場は二〇一〇年着工、二〇一五年完成予定であると伺っておりますが、この意見書によると、土壌汚染の調査及び対策などに当たっては、土壌汚染対策法の改正なども踏まえて、適切に処理することとあります。
 また、あわせてダイオキシン類についても、土壌汚染調査の実施を検討することとありますが、工場近隣の農地なども土壌汚染調査の対象地になり得ると考えますが、調査を行う予定はないのか、またその必要について重ねてお伺いをいたします。

○井戸廃棄物対策部長 一般廃棄物の処理につきましては、区市町村の固有の事務でございまして、清掃工場の建てかえに関しましても、事業実施主体でございます自治体が責任を持ち、法令等に基づいて必要な手当てを行うものでございます。
 練馬清掃工場に関します土壌汚染調査につきましては、東京二十三区清掃一部事務組合が、環境影響評価書案審査意見書を踏まえまして、法令にのっとって適正に対処していくと認識しております。

○中谷委員 国においては、さまざまなむだな事業の見直しが進んでおります。清掃工場イコール焼却工場であってはならないと考えますが、本清掃工場の建てかえの意義について、また、なぜ今建てかえが必要な施設であるのか、お答えをいただきたいと思います。

○井戸廃棄物対策部長 先ほどご答弁申し上げましたように、一般廃棄物の処理は、区市町村の固有の事務でございまして、清掃工場の建てかえにつきましても、事業実施主体である自治体がみずからの責任で決定するものでございます。
 清掃工場の建てかえにつきましては、東京二十三区清掃一部事務組合は、ごみの焼却処理は資源回収を行った後の大量のごみを効率的かつ衛生的に処理でき、また減量効果も大きいことから、現時点では最も安定的な処理が確保できる手法と位置づけておりまして、計画的に清掃工場の建設、建てかえを進めております。
 東京都としましても、埋立処分量の削減ですとか、あるいは資源、エネルギーの有効利用などの観点から、清掃工場の計画的な建てかえは必要な事業だというふうに認識してございます。

○中谷委員 本建てかえ事業は、総事業費が二百七十億円とのことでありますが、本事業に国からの交付金は幾らを想定しているのか、お尋ねをいたします。

○井戸廃棄物対策部長 国の交付金の前提となります東京二十三区清掃一部事務組合が策定しました循環型社会形成推進地域計画によりますれば、練馬清掃工場の建てかえに係る交付金は、現時点でおよそ五十九億円が見込まれております。

○中谷委員 このような事業を進めるに当たっては、近隣住民に対する丁寧な対応が求められます。当然のことでありますが、今回一部事務組合が公表した環境影響評価書案も計測されたデータはよい数値もあるいは悪い数値もちゃんと公開することが大事であり、その公開基準、またデータの信憑性に住民の皆様から不信感を抱かれないように、誠意を尽くすべきところであります。
 平成二十年度二十三区清掃工場雨水中のダイオキシン類濃度測定結果によると、ダイオキシン濃度が最も高かったのが練馬工場であり、その値は六・八ピコグラムでありました。雨水の排水中から高濃度のダイオキシンが検出されたわけで、水質に関する環境基準は一ピコグラムでありますから、その約七倍、工場排水などの排出水の規制値は十ピコグラムでありますから、この数字がいかに汚染されているかを認識することは容易なことであります。
 手続上は環境影響評価をしながらも、それが形骸化していないか、雨水からのダイオキシンがどこからのものなのか特定をする必要があると考えます。そのための環境影響評価であり、だから清掃工場近隣の土壌の調査が必要ではないかとお尋ねしたわけであります。環境局が、二十三区の清掃一部事務組合に対して環境影響評価の指導をする立場にあるのであれば、何とぞご指導をよろしくお願いを申し上げます。
 それでは、次の質問に移ります。
 温室効果ガス削減へ環境技術を活用というところで、木質系バイオマスを下水汚泥焼却時のエネルギーとして活用する多摩川上流水再生センター木質系バイオマス混合焼却施設を整備しておりますが、これは平成二十年度末で約二億二百六十七万一千円の予算がついておりましたが、本件についての取り組みの状況をご報告をお願いいたします。

○吉村環境政策担当部長 本事業は、下水道局と産業労働局、環境局の三局による局横断型事業の一つでございまして、スギ花粉の発生源対策事業で発生いたします未利用材や、植木生産者が剪定した枝などから製造された木材チップを受け入れまして、下水道汚泥を焼却する際の補助燃料として活用するものでございます。
 事業効果といたしましては、木質系バイオマスを年間約三千二百トン利用し、都市ガスの使用量を減少させることで、年間約一千トンのCO2削減効果を見込んでおります。加えて、花粉症対策の推進が図られ、多摩地域の森林整備にも貢献しているものというふうに考えてございます。

○中谷委員 省資源化と資源の循環利用の促進を図るためには、脱化石燃料温室効果ガス削減をより一層推進することが必要であります。平成二十一年九月十二日施行のバイオマス活用推進基本法によると、都はバイオマス活用推進計画を策定する努力義務が課せられております。そもそもエネルギーなくして、食料を生産する農業も農機具を動かす燃料がなければ、生産すらできないのであります。エネルギーなしでは産業も生活も成り立たない。だから、省エネではなくてクリーンエネルギーで資源循環型社会を構築しなければなりません。
 先ほどの事業は、木材チップを下水汚泥の焼却時の補助燃料として使用いたしておりましたが、その木材チップから水素を取るバイオマスプロジェクトについてお尋ねいたしたいと思います。
 二十一世紀のエネルギーの主役として、最近特に注目されているのが水素であります。我が国は、バイオマス資源から水素ガスを回収する技術を既に持っておりますが、緑豊かな多摩地域において、その森林資源、間伐材等を有効活用するためにも、木質バイオマス資源を有効利用した水素の活用について、都はどのようなお考えをお持ちでしょうか、お伺いをいたします。

○大野理事 水素は利用段階でCO2を排出しないクリーンなエネルギーとして注目を集めておりまして、国におきましては、木質系バイオマスから効率よく水素燃料を生産するシステムの研究開発が進められております。
 一方、バイオマス資源は無尽蔵に存在します太陽光などと異なりまして、実態的には有限な資源であるために、供給量や価格の変動への対応が課題となっております。また、間伐材など林地残材の有効活用は重要でございますが、これらから水素燃料を製造し、利用促進するに当たりましては、コスト、効率、安全性等についての評価が必要でございます。
 都は現在、再生可能エネルギーの普及の中心的な取り組みといたしましては、太陽エネルギーの利用拡大を進めておりまして、新たな技術としての水素利用につきましては、これらさまざまな観点や課題に留意しながら、今後の研究テーマの一つとしてまいります。

○中谷委員 バイオマスでも、トウモロコシとかサトウキビのような食物を利用したものであると、昨今の食物価格の高騰やまた投機の対象となります。だから、多摩地域において、その木質バイオマスに取り組み、産業を興し企業誘致をするとともに、安く安定した水素ガスの供給を図る。十年前だとさまざまな業界の抵抗もありましたけれども、鳩山首相の目指す二〇二〇年までに二五%温室効果ガス削減の切り札としても、ぜひ都として積極的な取り組みを期待を申し上げまして、私の質問を終えさせていただきます。

○野島委員 昨今、カラスが鳴かなくても新聞紙上でこの地球温暖化、とりわけCO2削減をどういうふうに進めていくのかということが話題にならない日はないぐらいでありますし、国際的にもいろんな動きがあるわけであります。
 国では、新政権が温室効果ガスを二〇二〇年に一九九〇年比で二五%削減という、こういう新たな中期目標を表明したわけであります。首相も国連ではこのことを大きなメッセージとして発しました。
 一方、その演説の中では、主要国の参加が前提と、こういうこともつけ加えられているわけであります。
 しからば国際社会の動きはどうかということでございます。このポスト京都議定書を話し合うバンコクでの国連作業部会、これはもう先進国と新興途上国のこの問題に対する見解の相違が、ずっと溝が埋まらなかったと、こういう報道もあります。
 それから、アメリカでも、この温暖化対策の法案が成立するのかどうか。産業界もさまざまだと。もちろん日本の国内でも賛同する部分と懸念を表明する部分と、いろんなことがいわれているようであります。
 一方、国際エネルギー機関、IEAの閣僚理事会では、そのCO2の排出を減らすためには、技術開発、投資を進めるための共同声明、これはまとまったと。ところがこれ、やっていこうというだけの話ですから、じゃあしからばその財源はどうするのとか、特に財源投下ができないとか、どこから財源が国際的に調達されるのとか、いや、それは排出権取引で出せばいいんじゃないのとか、恐らくそういういろんなことがあるんでしょうな。いわば、前に向いてのある種のメッセージ性ですから、これはまとまったと、こういうことだろうと思いますね。
 それから、米国政府の気象変動委員会というのがあるそうなんです。ここは、CO2の排出量取引に期待し過ぎてはいけないという報告書を出したんです。
 実は私、かねがね不思議に思っているのは、京都議定書というのは一九九七年でしたよね、たしか。それで、その枠組みは九〇年比となっているんですよね。なぜ九〇年比なのかと、九五年でも、最直近でやればいいわけであります。
 これを見ていますと、実はEUはこの日本の削減目標を高く評価したといっているんです。EUというのは、ご案内のようにそれほどCO2の排出量が多いわけじゃないんです。国の構造からしても。特にイギリスはこの間、いわゆる脱工業化ということで、実はある種金融で生きてきているみたいなところがあるんですね。そうすると何かというと、要するにCO2達成は楽なんですよ。逆にいうと排出権の売却国になるんですね。売って金が入ってくるわけです。そうすると、それをなおCO2の削減の設備投資に充てて、その上でまた金が入ってくるという、こういう好循環が可能なわけですから、それは当然のこと大賛成だと、鳩山さんというのはすばらしいと、これは当たり前というか、もってそういうことになるのかというふうに思っています。
 主要国の参加が前提とはいいながら、国際社会は友愛だけでは動かないんです。それぞれの国益をかけて、エネルギー分野においても利害得失というのが当然出てくるわけでありますから、ある意味では日本のリーダーシップが、鳩山総理のリーダーシップじゃなくて、国を代表する、総理の話ですから、日本国の国際社会におけるCO2のこの目標に対する取り組みが、日本に対する大きな信任として出てくると。そのためにもぜひ、鳩山首相には僕は頑張ってもらいたい、こういうふうに思っております。
 ただ、そういう意味では、私は、言葉は悪いけれども、各国とも各機関とも、いい出しっぺのお手並み拝見ですよ、これはどこの世界でもそうなんですから。特に利害得失も絡む国際社会においてはそうでありますし、そこを友愛の精神を持ってどうやってくれるかということが一つ。
 それから、政治的メッセージというのは実は発しやすいんですが、それを政策に落とし込んで、財源も含めて、あるいはこの分野でいけば、CO2の削減には、さまざまな部門があります、民生部門とかね。そういうふうなところがちゃんと協力していこうと、そのことは私たちの生活の向上にもつながるんだということにならなければ、いわばそういうインセンティブがきかなければ絶対動いていかないわけです。
 そういう意味では、行政施策に取り組む皆さんというのは、物すごく地道な、かつ着実なある段階への目標を定めてそれに進んでいくというそういう取り組みが評価されて、皆さんのさまざまな事業主体の協力を得られるであろうというふうに私は思っているんです。
 したがって、この削減を立てるときに、単なる表面上の削減率がすばらしいとかすばらしくないとか、そういうこと以上に私はそういう行政施策に落とし込んだときに可能かどうかということを、これからしっかり検証しながら取り組んでまいりたいと。今までのはほぼ評論家的な話でしたから、これから質問をいたしたいと思います。
 そこで、そんなことがありながらも、十二月にコペンハーゲンでのいわゆるCOP15が開催されまして、二〇一三年以降の国際的な温暖化対策の枠組みの合意が求められると、こういうふうな状況になっているわけであります。
 国際的にはそういういろんな動きがありますけれども、地球温暖化を防止するためには、今申し上げましたように都政でいえば、都民や企業、そして行政、皆さんの携わる部分、それから社会を構成するあらゆる主体がそれぞれの立場に立って、危機感や認識、こういったふうなものを持って、自主的、積極的にCO2削減に取り組まなければならないというふうに思っております。
 こうした中、都は、温室効果ガス排出量削減目標を二〇二〇年までに二〇〇〇年比で二五%削減しますと、こういう積極的な姿勢をお示しになっているわけであります。今、国の取り組みだとか、あるいは国のメッセージ性だとか、そういったふうなものも話したわけでありますけれども、それらも含めまして、都の基本的な考え方を伺っていきたいと思いますし、CO2の負荷をかけている全国の自治体の中でも、僕はやっぱり東京が一番多いと思うんですね。そういったふうな中で、東京がこういうふうなことについて先駆的な取り組みをしてまいりました。東京だけ減らしたからといって全部が減るわけじゃないですから、それはやっぱり各自治体が、冒頭申し上げたような視点に立って、これはまた取り組みについても、各自治体もしていかなきゃならないだろうというふうに思っておりますので、そういったふうなことを全国的にどのように--格好いい言葉でいうと、全国の自治体の雄でありますから、東京都はね。どういうふうに広げていかれるのか。いわば地方自治体をどうこの分野でリードしていくというふうに考えているのか、お考えをお聞かせいただきたいと思います。

○大野理事 国の新しい目標は、お話しのとおり、中国やアメリカなど主要な排出国が合意して参加することが前提とされております。また、純粋に国内での削減分だけでなく、海外で削減した分も含むというふうになっております。また、目標達成に向けた具体策は、現時点では明らかになっておりません。
 一方、都の削減目標でございますが、これは一九九〇年比に直しますと、二〇二〇年までに約二〇%の削減ということになります。ただ我々の場合は、基本的には国内での削減だけを対象にしておりますので、国内分につきましては、国の新しい目標と余り大きな違いがないんじゃなかろうかというふうに思っております。
 ただ、いずれにしましても大事なことは、お話にもございましたように、高い目標の実現に向けた施策の具体化ということだと思います。都は既に三年前にこの削減目標を掲げて以降、キャップ・アンド・トレードの構築を始めまして、着々と削減に向けた具体策の展開を準備しておるところでございます。
 また、都の取り組みの全国への発信に関しましては、昨年度と今年度、全道府県と全政令指定都市を招きまして政策セミナーを実施いたしました。この政策セミナーには二回とも約八割の自治体の参加を得ております。
 今後も、こうした取り組みを通じまして、都の先駆的な取り組みを全国に広げてまいります。

○野島委員 行政施策としては本当に地道な取り組みになると思いますし、と同時に極めていろいろ主体が多いですから、それも当然いわれておりますように、経済活動にどういう打撃を与えちゃうのか、あるいはどうしたら打撃を与えなくしていけるのか、あるいは国民生活の負担も含めて、どういったふうな形の影響が出てくるのか、あるいはそれを防止するためにどういうふうな制度をつくれば誘導施策ができるのかと。国民生活というのは、おまえらCO2をたくさん出すから罰金を出せとか--罰金とはいわないけれども、グリーン税制というのがありますから、それは罰金じゃないわけで、しょっ引くぞということもいえないわけでありますからね。とりわけ民生部門というのは、僕らもそうなんだけれども、非常にCO2負荷の高い豊かな生活を送っちゃっていますから、そういう意味では、その辺の意識改革も必要にならなきゃいけない。意識が変わらないとするならば、持っていても--意識というのはみんな持っているんです。行動になかなかならない。
 だとするならば、CO2負荷の少ないような機種の開発をしていくとか、白熱灯から取りかえるように推奨しようとか、あるいはあなたのこの器具はCO2の排出量これだけれども、この器具になればCO2排出量がこれだけ減るよとか、そういうのがありますよね。
 国においては、環境省と通産の例のエコポイント、あれに対するとらえ方といいましょうか--とらえ方は違わないでしょうな。具体的な施策の実現に向けての行政施策としてどうなんだという違いが今回、どうも予算の要求段階では出てきているようでありますけれども、そんなさまざまなことがありますけれども、一生懸命取り組んでいただきたいと思います。
 そこで、都内のこの温室効果ガス排出量、これはどんな状況にあるのか。我々の生活の中で各部門というのがあると思うんですね。そんなところで、推移をお聞かせいただきたいと思っております。

○大野理事 二〇〇七年度の都内の温室効果ガス排出量速報値でございますが、これは原子力発電所の長期停止の影響を除いた場合に、前年度比で〇・一%の減、二〇〇〇年度比では六・四%の減となっております。
 部門別に見ますと、二〇〇〇年度比でございますが、業務部門につきましては、事務所ビルの床面積の増加等の理由によりまして一二・七%の増、家庭部門におきましては、世帯数の増加等によりまして二・五%の増となっております。一方、産業部門におきましては、産業構造の変化等によりまして二五・六%の減、運輸部門におきましては自動車の燃費の改善等CO2の排出源単位の改善によりまして、二一・四%の減となっております。
 いずれにしましても、二〇〇〇年比、二五%削減を実現するためには、業務部門、家庭部門を初めとしまして、東京全体の温室効果ガスの総量削減を進めることが重要な課題であると認識をしております。

○野島委員 数字についてはわかりました。
 概括としていえることは、産業部門の減というのは、実はさっき挙げたイギリスの例と同じだと思うんです。都内でCO2負荷の高い事業というのは、それほどある種もうからないといいましょうか、CO2の負荷があるということじゃなくて、地価の高いところでやっていていいのかいなと。あるいは、人件費コストの高いところで製造業とか、そういったふうなものをやっていても商売合わないですから、それはもういわゆる構造変化で減していくだろうというふうなところだと思うんです。そんなところが大きな特徴かなと思っております。
 そういう中で、さまざま施策を打っていかなきゃいけないんですが、特にこの中でもふえている業務や家庭部門への対策、これを強化する必要があるだろうというふうに思っているんです。しからば、その業務部門ではどんなふうな対策を講じているのか、お聞かせいただきたいと思います。

○大野理事 大規模にCO2を排出する事業者に対しましては、総量削減義務と排出量取引制度を導入いたしました。都内の対象事業者、約千四百でございますが、そのうち千百は今お話しの業務部門でございます。現在、対象事業所に対します説明会や検証機関の登録などを行っておりまして、来年四月からの総量削減義務の開始に向けて準備を進めているところでございます。
 また、中小規模事業所対策といたしましては、都内に中小規模事業所を設置するすべての事業者がCO2排出量を簡単に把握でき、具体的な省エネ対策に取り組むように促す地球温暖化対策報告書制度の提出を来年四月から開始をいたします。報告書制度の活用によりまして、中小規模事業所の地球温暖化対策の底上げを図ってまいります。

○野島委員 わかりました。そういうふうな大規模であるとか、中小規模であるとか、いわば事業の腰を折らない、大規模な場合にはそういったようなところをしても、企業活動の中でそのコストを回収できると。中小企業は直撃するということになりますと、当然制度の違いというのは僕はあっていいし、それが実態を見据えた、かつ効果の出やすい、かつ事業の腰を折らないという一つの施策の展開であろうというふうに思っております。
 一方、家庭の問題は、さっきも触れましたけれども、大変難しい問題があると思うんですよ。大規模事業所というのは、ある種、束でぱかっと。束でとらえなくても結構稼いじゃうんだね、削減をこういうふうにするといえば。中小企業は今いったようなところの課題もあるけれども、そこそこ稼げる。
 各生活というのは、単位は小さいんだよね。束がでかいわけですよ。束をぱかっとやるということがなかなか困難だと思うんです。束なんて、人間とか世帯数を相手に大変失礼な話なんだけれども、いわば、本当に一人ずつ、一人の意識と行動が積み上がっていかないと、僕はなかなか困難だろうというふうに思っているんです。
 そういう意味の、意識を醸成するような仕組み、あるいはインセンティブを与えていくと、そのことを意識と同時に行動に移るためのインセンティブ、こんなことが必要と思っておるんですが、家庭部門の対策についてお伺いしたいと思います。

○大野理事 家庭における省エネ、節電を進めていくためには、各家庭におきまして、常にCO2の排出を意識いたしまして、その削減に向けて生活のあり方、消費のあり方を見直すような取り組みを行っていくことが必要であると思っております。
 家庭における地球温暖化対策を本格的に推進するため、今年度から家庭の省エネ診断員制度を創設することといたしました。十月からは、家庭に対するアドバイス活動の実施主体となる企業、団体の募集を開始しております。平成二十二年三月以降、診断の申し込みの受け付けを開始する予定でございます。
 また、家庭部門の省エネを進めるためには、住民に最も身近な区市町村での取り組みが有効でございまして、区市町村補助制度などの活用によりまして必要な支援を行い、連携して取り組んでまいります。

○野島委員 ありがとうございました。終わります。

○中山委員 私からは、大きく四点にわたって質問させていただきます。
 初めに、廃プラスチックリサイクルと産廃関係の事業の取り組みについてお伺いいたします。
 私は、平成十九年の環境・建設委員会で廃プラスチックのリサイクルについて幾つか質問しました。そのとき、東京では他の地域に比べて、事業所から排出される産業廃棄物の廃プラスチック類の埋立依存が約八割と高い状況にあり、東京港の最後の処分場に埋められている産業廃棄物のほとんどはプラスチックであると伺いました。
 東京には、全国の約三割に当たる五千棟ものオフィスビルが集中しており、これらのオフィスから排出される廃プラスチックは、うまく回収されれば産業用のエネルギー資源、先ほどお伺いしましたら、固形燃料としていくということだそうですけれども、エネルギー資源として活用することができます。
 都はこれまでも、小口収集モデル事業などを行い、廃プラスチックのリサイクルの促進に取り組んできたようでございますが、二十年度には、成功事例調査などを行ったと聞いております。
 まず、これら昨年度の廃プラスチックのリサイクル促進の成果について伺います

○井戸廃棄物対策部長 昨年度の廃プラスチックのリサイクル促進に関する取り組みについてでございますけれども、事業者が取り組みます際の参考となる情報を収集するため、既に廃プラスチックのリサイクルを実施している事業者五十七社を抽出しまして、分別の実態ですとか処理経費、あるいは管理体制などにつきまして直接ヒアリングを行いました。その結果、分別を徹底することによりまして、有償で売却が可能になった例ですとか、あるいは現場にわかりやすい分別一覧表を掲示するなどの工夫によって、従業員のリサイクルの意識が向上したというような例が見られました。
 これらの事例などをもとに、排出事業者や処理業者などの関係団体と意見交換を行いまして、より多くの排出事業者が廃プラスチックのリサイクルの促進の意識を持ち、分別などを実践していただくよう、わかりやすいパンフレットを作成したところでございます。

○中山委員 わかりやすいパンフレットということで、ぜひ期待したいと思います。
 成功事例調査自体、その結果自体は五十七社ということでございますので、まだまだ全体のごく一部にしかすぎないという状況がございます。
 都は、このような先進的に取り組む事業者と連携して新たな分別回収のビジネスモデルをつくり上げていくとともに、立派な取り組みをそのほかの多くの事業者にも広めていただきたいと思います。そのためには、排出事業者の方々におかれまして、従業員など現場の方たちを含めて分別を徹底していただくということとともに、適正なコスト負担を認識してもらうことなどが必要となってまいります。
 また、処理業者におかれましても、廃プラのリサイクル技術の開発や、リサイクルルートの開拓が必要であると考えます。排出事業者や廃棄物処理業者、リサイクル業者の取り組みに対して力強い後押しを都が行い、より一層廃プラスチックのリサイクルを促進していくことが必要と考えますが、都は今後どのように取り組んでいくのか、お伺いいたします。

○井戸廃棄物対策部長 廃プラスチックのリサイクル促進の今後の取り組みでございますけれども、処理業者に対しましては、廃プラの埋め立てゼロ実現に向けまして、リサイクル促進に賛同していただけた八十六社の方々と、本年六月に廃プラ埋立ゼロ協定というものを締結いたしました。協定を締結しました事業者の取り組みにつきましては都のホームページ上などで公開し、積極的にPRをするとともに、今後とも定期的に協定の賛同者を募ってまいります。
 また、リサイクル技術の向上のため、昨年度から実施しております技術相談事業ですとかあるいは研究支援などを充実しまして、リサイクル促進を図っていく予定でございます。
 排出事業者に対します廃プラスチックのリサイクル促進につきましては、行政や関係団体が催します講習会の場などを活用しまして、昨年度作成しましたパンフレットなどを用いまして、リサイクルを行うよう直接的に働きかけてまいります。

○中山委員 八十六社もの処理業者の方が、東京都と廃プラ埋立ゼロ協定を締結したという点を高く評価したいというふうに思います。
 あわせて、廃プラ埋立ゼロ協定を締結した処理業者のその後の実際の取り組みを今後どう検証していくかも、この制度に関する都民の信頼を高める上では非常に重要であります。
 私は、平成十八年の環境・建設委員会で、産業廃棄物の処理業者に関する第三者評価制度について発言し、その環境局の取り組みを高く評価するとともに、結果的に悪質な業者が実は優良評価を受けていたといわれるようなことがあってはならないという意味から、地域の住民や地域の環境グループなどへの情報公開や施設公開なども積極的に考慮していくべきであると申し上げました。
 本日は、第三者評価制度への言及は避けますけれども、この廃プラ埋立ゼロ協定への信頼性を高めていくこともまた都の環境局事業全体への都民の評価を高めることにつながるというふうに思いますので、今後の具体的な検討をお願いいたします。
 また、廃プラスチックのリサイクルをより一層進めるには、その重要な担い手の一つであります事業者が、廃プラスチックのリサイクルという取り組みの中で、一定の利益を上げて、経営面でも順調に育っていかなければなりません。特に、取り組みが一定の広がりを見せ始めるまでの立ち上がりの間、あるいは景気動向などによる取扱量の低減などの経営危機への支援が重要であります。
 この点、環境局は、制度融資など中小企業支援策を所管している産業労働局など他局との横の連携を積極的に活用していくべきと考えます。廃プラ埋立ゼロ協定への信頼性を高めるための具体的な工夫とあわせ、この点は要望とさせていただきますので、ご検討のほど、よろしくお願いいたします。
 次いで、産廃事業に関する質問に移ります。
 私は、廃プラスチックのいわゆる3R推進が図られていく中で、建築物の解体工事につきましても、廃棄物の分別とリサイクルといった適正な処理が課題となってくると認識いたしまして、昨年の第三回定例会の一般質問に取り上げました。
 都内の解体工事の件数は、平成十八年度は二万件、平成十九年度は一万九千件、平成二十年度は一万六千件と推移し、ここ数年は減少傾向にあります。しかしながら、今後は建築物の大量更新の時期を迎えることから、多くの建築物解体工事が行われ、廃棄物が発生すると予測されています。
 また、昨年秋以降の経済不況の影響で、建設工事事業者の方々からは、工事価格が下がり、仕事の争奪競争が増していると伺っております。廃棄物の不法投棄、不適正処理につながりかねないというふうに危惧しております。不法投棄につきましては、全国的な件数は平成十八年度、平成十九年度は約六百件、平成二十年度は約四百件と減少傾向にあるものの、依然として不法投棄の七割が建設廃棄物であり、その多くが建設建物の解体工事から発生しているといわれております。
 このような状況の中で、都では建設廃棄物の適正処理及び不法投棄の未然防止対策として、解体工事現場への立入調査を行っていらっしゃいますが、どのような取り組みをしていらっしゃるのか、お伺いいたします。

○井戸廃棄物対策部長 解体工事現場への立入調査につきましては、平成十九年度から開始したところでございます。平成十九年度は約二千件の立入調査を行いまして、不適正な調査が見られた場合には現場で指導を行いました。
 平成二十年度は、指導をより徹底するため、同一現場への再調査、あるいは事業者からの事情聴取、また、改善計画報告書の提出などの取り組みを強化し、約千三百件の立入調査を行いました。

○中山委員 産業廃棄物の発生源であります解体工事現場の調査指導を行い、平成二十年度からは是正指導を徹底させ、水際での未然防止の取り組みを一層進めているということについて、大変よく理解できました。二千件や三千件の現場への立入調査を実際に行ったという点がすばらしいと思います。また、口頭指導、文書指導、改善報告の提出、徴集と徹底している点も大変に結構であります。
 では、そうした現場指導の取り組みを徹底して行った成果について、具体的にどのようにあらわれているのか、お伺いいたします。

○井戸廃棄物対策部長 立入調査の結果を平成十九年度と二十年度で比較しますと、指導を必要とした件数は全体の三七%から二三%と減少してきております。この調査につきましては、都内の解体工事現場の約一割を対象として継続して行っていることから、監視パトロールの効果といたしまして、事業者へ適正処理の意識が浸透しつつあることを示しているというふうに認識してございます。
 今後も、未然防止の観点から、現場での立入調査の充実強化を進めるとともに、来週から始まります不法投棄撲滅強化月間におきまして、他の自治体とも連携しまして、集中的な取り組みを実施してまいります。

○中山委員 今後、解体工事の立入調査と是正指導を継続して行うとともに、あわせて事業者への意識啓発として、排出事業者や産廃業者といった業界へ都の取り組みをPRする等の意識啓発も行っていくべきであります。
 そのような取り組みを進めることにより、廃棄物処理法に沿った適正処理を進めることにとどまらず、建設リサイクル法に沿った適正な建設廃棄物のリサイクルを一層促進させることにつながります。
 また、解体工事における適正処理やリサイクルを一層進めるためには、専門的知識及び技術を有した事業者により、良質な解体工事が行われるような環境整備も必要と考えます。
 私はこの点、昨年の第三回定例会の一般質問の中で、都市整備局にその取り組みを求めましたけれども、適正処理に関するリサイクルの知識を有する専門業者による取り組みの推進という点での環境負荷の軽減に向かう効果は大きいと思いますので、同じ取り組みの強化を環境局の視点からも行っていただきますことを要望させていただきます。
 これらの取り組みを通じまして、持続可能な社会を構築し、将来世代への良質な環境を残していくことをぜひ実現していただきたいと思います。
 次いで、中小事業者の土壌汚染対策についてお伺いをさせていただきます。
 足立区を初め都内には中小企業が多く、この不況の中、経営が大変苦しくなっております。これらの事業者で、クリーニング業やメッキ業など有害物質を扱っている方々が工場を廃止しようとする際には、土壌汚染に関する調査、対策が必要となっております。汚染が見つかった場合、対策として割高な掘削除去が求められてしまうことが多く、中小事業者にとりましては、これらの費用が大きな負担となっております。
 問題は、汚染が見つかった土地が、こうした処理費用の高額性がつまずきの原因となって、適正な処理がされないまま放置されてしまうという事例がふえているように感じられることであります。
 そこで、都における土壌汚染対策の事例のうち、特に工場が多い二十三区内で、掘削除去の手法がとられている事例はどの程度あるのか、お伺いいたします。

○中村参事 工場等を廃止する際に、法令に基づく調査によりまして汚染が見つかり、汚染の拡散防止対策が実施されたものでございますけれども、平成十六年度から二十年度までの直近の五年間で見ますと、区部において約三百件ございました。このうち複数の対策が組み合わされているものを含めますと、約九割で掘削除去の手法がとられておりました。

○中山委員 昨年、土壌汚染に係る総合支援対策検討委員会の報告がまとめられております。その中でも、掘削除去に偏重した対策が結果として対策費を押し上げていることや、それにより汚染土壌受け入れ先の不足、埋め戻しに使用する洗浄土の不足、輸送に伴う環境負荷の増大などの新たな課題が生じるおそれがあることが指摘されております。
 しかしながら、現状では対策として掘削除去が選択されることが多いとのご答弁でございました。それでは、掘削除去以外の土壌汚染の対策方法があるのか、またそのような方法がなぜ使われていないのか、お伺いさせていただきます。

○中村参事 土壌汚染対策法や環境確保条例に基づきます土壌汚染対策の基本的な考え方でございますけれども、汚染が見つかった場合には、人の健康被害を防止するために、汚染土壌の摂食等の経路や、汚染土壌から有害物質が地下水に溶出し、その地下水を飲用利用する経路を遮断することにございます。そのための対策といたしましては、法令では必ずしも掘削除去を求めておりませんで、覆土や封じ込めにより汚染の拡散を防ぐ措置、あるいは現場において浄化を行う措置も十分な措置であるとされております。
 しかしながら、心理的要因として早く汚染を取り除いてしまいたいと考えることや、あるいは汚染土壌が残っている状態では土地取引に影響を与えること、あるいは場合によりましては、覆土や封じ込めが十分な措置であることも多いことがまだ一般に十分浸透していないことなどから、掘削除去以外の手法が余り使われていないものと考えられます。

○中山委員 人の健康被害が防止できれば、この点が一番大事ですけれども、掘削除去以外の対策も選択できるということでございます。汚染地周辺で地下水の飲用利用があるかないかで対策が違ってくるのではないかと思います。また、汚染が見つかった土地の周辺で地下水が飲用されているかどうかについては、なかなか事業者にはわからないということもあります。
 したがいまして、事業者が周辺の地下水の飲用の状況を確認したい場合には、どこに相談すればよいのか、お伺いいたします。

○中村参事 土壌汚染の状況や周辺の地下水の飲用利用の状況によりまして、土壌汚染対策の方法が異なってまいります。
 例えば、溶出量基準を超える汚染の場合でも、飲用利用がなければ地下水の汚染防止対策は不要となります。また、飲用利用がありましても、地下水汚染の状況によりますモニタリング、あるいは汚染の封じ込めなどの比較的軽易な対策を選択することは可能でございまして、対策方法の幅が広がれば、費用負担の軽減にもつながってまいります。
 また、周辺地下水の飲用の状況につきましては、法や条例に基づく届け出窓口でございます私ども東京都や、あるいは区市におきまして相談に応じているところでございます。

○中山委員 東京都や区市が窓口ということでございます。近くで地下水の飲用がなければ対策は軽易なもので済むようでございますが、それでも約九割が掘削除去を選んでおります。そのような中で、費用負担や環境負荷の大きい掘削除去を抑制し、円滑な土壌汚染対策を促進していくために、都は今後どのように取り組んでいくのか、お伺いをいたします。

○中村参事 土壌汚染対策は、汚染物質の摂取リスクを確実に遮断するとともに、対策コストをできるだけ低減することが肝要であると考えております。都はこれまで、土壌汚染処理技術フォーラムを開催いたしまして、現場での浄化措置を初めとする低コストで実効性のある対策事例を紹介するなど、低コスト技術の開発や普及を促してまいりました。また、対策期間の短縮による費用の低減を図るために、土壌汚染調査の際に使用できる簡易で迅速な分析技術の選定を進めてまいりました。
 これらの取り組みを進めるとともに、現在、土壌汚染対策方法に関するガイドラインの作成を進めております。このガイドラインには、現場での浄化措置や汚染土壌を現場に残したまま適正に管理する封じ込め等の措置による具体的な対策事例、あるいは汚染の重篤度や地下水等の周辺の状況を考慮した標準的な対策内容などをわかりやすく示すことにしてございます。このガイドラインによりまして、掘削除去に偏らない合理的な対策を一層促進いたしまして、また費用負担の軽減を図りながら土壌汚染対策の円滑化を図ってまいります。

○中山委員 ガイドラインの策定は大変いいことだと思いますけれども、工場を廃止せざるを得なくなった中小企業者にとりましては、必要最小限の対策であっても円滑に土地の有効利用が図られることが重要でございます。そのためには、例えば中小企業者が新たな土地利用に向けて専門家からアドバイスを受けられるような仕組みも有効であると考えます。今後、合理的な土壌汚染対策が社会に広く認知され、土地の売買や開発が円滑に行われるよう、幅広く関係者に対し働きかけることが必要と考えますが、所見をお伺いいたします。

○中村参事 合理的な土壌汚染対策の促進には、さまざまな関係主体に掘削除去に偏った対策による弊害につきまして十分に理解していただくことが大変重要であると考えております。このため、クリーニング業やメッキ業などの有害化学物質を取り扱っている事業者、あるいは土壌汚染の調査、対策事業者など、土壌汚染対策に直接関係する事業者の方々はもとより、土地取引に関係する不動産や金融関係の業界など、幅広い関係者に対しましてもガイドラインの普及を進めまして、汚染の実態や土地利用に応じました合理的な対策の選択を働きかけてまいります。

○中山委員 汚染土壌は、本来は汚染がなくなることが一番いいわけであります。しかし、それをどこかに捨てるということになれば、またそこが汚染されることになってしまいますし、洗浄という方法もよほど広い土地じゃないとできないと、こういうことになってきます。また、費用が高いということになって、そのまま放置されたりしている。そのことが、またいろんな形の汚染の広がりにつながっていってしまう。そのことを解決していくためには、具体的にそうしたアドバイスをしていくための試みというものが大事だということで、ある程度踏み込ませていただいた質疑をさせていただきました。どうかよろしくお願いを申し上げます。
 次に、自動車部門の取り組みについて伺います。
 自動車からの環境負荷を低減するとともに、温暖化対策を進めるには環境性能にすぐれた自動車の普及を図ることが重要です。これを踏まえ、都は自動車部門において地球温暖化対策のさらなる推進のため、ことし条例を改正し、低公害、低燃費車の導入促進のための施策を強化しました。
 そこで、これまでの低公害、低燃費車の普及促進についてお伺いいたします。

○市川自動車公害対策部長 東京都は、これまで低公害車の導入支援を行ってまいりましたが、平成二十年度からはCO2の削減に向けまして中小事業者の買いかえを促進するため、最新規制適合車に加えまして、新たに低燃費車についても融資あっせんの対象といたしまして、利子や信用保証料の補助を開始したところでございます。また、環境確保条例では二百台以上の自動車を使用する大規模事業者に対して、東京都の指定する指定低公害車の導入義務を課してまいりましたが、ことし二十一年三月に条例を改正しまして、二十三年四月より、大規模事業者に対しまして低公害に加えまして、低燃費な自動車の導入を義務づけるとするなど、低公害、低燃費車の普及促進を図っております。

○中山委員 今、都の取り組みについてはお伺いいたしました。一方、国におきましては今年度の補正予算で、環境対応車への買いかえ、購入として、初年度登録から十三年に達した経年車の廃車を行う新車購入補助を創設しました。しかし、ディーゼル車規制によって買いかえが進んだ結果、都内には全国に比べ、十三年以上の経年車の割合が少なく、買いかえる新車も新長期規制車が対象となっています。国の新車の排ガス規制は、都のディーゼル車規制をきっかけに段階的に強化が進み、今月からは最新規制であるポスト新長期規制がスタートしました。都は、環境負荷低減を加速する観点から、最新規制適合車への普及を推進すべきと考えますが、見解を伺います。

○市川自動車公害対策部長 東京都は、最新規制適合車でございますポスト新長期規制適合車の導入を促進するため、今年度より、ポスト新長期規制適合車を購入する中小事業者に対して、融資あっせん制度を充実させまして、利子や信用保証料の補助率の割り増しを行うなどの優遇措置を講じることといたしました。
 一方、国の制度では、平成二十一年十月のポスト新長期規制適用開始後も、新長期規制適合車の継続生産を認めるとともに、車両重量によりましては、一部の車両について規制の適用開始時期をおくらせているものでございます。
 こうしたことから東京都は、早期にポスト新長期規制適合車の普及が図られるように、国に対して、継続生産が認められる期間にかかわらず、自動車メーカーに対して、ポスト新長期規制適合車の早期の市場導入を行うよう指導するよう求めるとともに、融資制度や補助制度の充実などによりまして、ポスト新長期規制適合車への買いかえが促進されるよう、継続して要請しているところでございます。

○中山委員 国の制度では、しばらくの間、新長期、いわゆるポストじゃないわけですね、その販売も可能であるということになっておりますけれども、そういったものをきちんと繰り上げてやるようにという都の要望でございました。ぜひ、このことが実現することを願っております。
 次に、低燃費車の代表の一つであります次世代自動車について伺います。
 ことし七月、複数の自動車メーカーから、実用性の高い軽乗用タイプの電気自動車が発売されました。ことしは初年度で生産台数も少ないと聞いており、一般に広く普及浸透していくのはこれからだと思いますが、電気自動車普及のためには、こうした市場投入の流れをとめることなく、多くの都民、事業者が利用、使用できる環境を整えることが重要であります。我が党は、さきの第一回定例会におきまして、CO2の削減に向け、環境性能のよい電気自動車を普及させていくためには、充電設備などの環境整備が不可欠であり、急速充電設備を設置するための新たな支援の必要性についてお尋ねしました。その後の進捗状況について、お聞かせいただきたいと思います。

○市川自動車公害対策部長 運輸部門から排出されますCO2を削減するためには、より低燃費な車の普及促進が重要でございます。中でも、環境負荷の低減にすぐれた性能を有します電気自動車の普及を図るためには、まず、その安全、快適な走行環境を整備することが必要だと考えてございます。
 そこで、東京都では、実用性の高い電気自動車の発売に先駆けまして、ことし六月より急速充電設備の設置に係る補助制度を構築し、その費用の一部について補助を開始しております。また、電気自動車の普及に協力いただいております駐車場事業者などから情報をいただきまして、充電設備の位置を示す充電マップをホームページで広く公開させていただいております。急速充電設備につきましては現在の見込みですが、年度末までに都内で二十二カ所が設置され、すべての電気自動車ユーザーの方々に利用が可能となる予定でございます。

○中山委員 充電マップということで、大変わかりやすい取り組みをありがとうございます。二十二カ所利用可能ということで、これは五年間、無料で電気が使えるということですよね。これから広く普及していくことを期待しております。
 電気自動車と同様に、走行中のCO2排出が少なく、環境によい移動手段として電動自転車が注目されております。電動自転車は普通の自転車に比べ、少しの力でも大きな推進力を生み出すことができるため、坂道でも手軽に走ることができます。最近、車両本体の軽量化が図られている上、求めやすい価格帯のものも見受けられるようになってまいりました。さらに、制度改正もあって、親子三人乗り用など、多様なニーズへの対応の必要も生じており、電動自転車の利用者層の拡大も見込まれております。私の地元足立区におきましても、区が地元の事業者と共同し、電動自転車を活用したレンタサイクルのモデル事業を進めたという新しい動きも始まっております。
 私は自転車に関して、以前、利用促進を図る上で区市との連携が重要である点なども指摘させていただきました。地域密着でかつこうした新たな利点を備えた自転車である電動自転車を活用した動きが拡大していくことも重要と考えますが、都はどのように取り組んでいくのか、ご所見をお伺いいたします。

○市川自動車公害対策部長 自転車はCO2排出がなく、環境性能にすぐれ、気軽に利用できる乗り物でございまして、自動車からの代替手段の一つとして、その利用を促進するのが有効と考えてございます。また、電動自転車は駆動力が高いなどの特性から、利用者や利用範囲の拡大が見込まれております。現在、各地域で電動自転車を活用した取り組みが始まりつつございますが、都としても大手町、丸の内などの都心部で、地元の再開発計画推進協議会が中心となった動きに対して検討に加わりまして、住民のみならず、観光客やビジネスマンなど、幅広い利用を視野に入れた電動自転車も活用した都市型レンタサイクルシステムの社会実験を実施してございます。今後もこうした電動自転車などの新たな取り組みを含めまして、区市などとの連携を強化し、自転車の利用促進を図ってまいります。

○中山委員 いわゆる大・丸・有での社会実験ということでございますので、情報発信効果も高いと思います。ぜひ成功されますようよろしくお願いを申し上げます。
 次に、自動車部門のCO2削減対策の中でも最も重要なエコドライブについて伺います。
 自動車からCO2削減を図る上で、自動車自体の低公害、低燃費化を促進することはもちろんでございますけれども、自動車の運転の仕方によって削減していくことも重要であります。優しいアクセル操作をしたり、加減速の少ない運転をするエコドライブは、地球環境に優しい運転としてCO2の排出を抑えるだけでなく、燃料の節約や事故防止の面でも大きな効果のある取り組みであり、その普及に積極的に取り組んでいく必要があります。
 エコドライブには、加減速の少ない運転などを含め、全部で十個の方法があると、十種類の方法があると聞いておりますが、とりわけ、アイドリングストップは、これだけでも燃費向上の効果が大きいと思われます。また、最近では、一時停止時にエンジンの停止と発進を素早く簡単に行えるアイドリングストップ装置を装着した乗用車が発売され、話題になるなど、アイドリングストップへの関心も高まっております。
 そこで都は、アイドリングストップ対策として、どのような取り組みを行っているのか、お伺いいたします。

○市川自動車公害対策部長 都は、環境確保条例で運転者自身にアイドリングストップを義務づけ、事業者には管理する運転者に対する指導を義務づけるとともに、さらに駐車場の設置者や管理者には看板の掲示などによる利用者への周知を義務づけてございます。これに基づきまして駐車車両が多い場所などにおいて指導を行っているほか、ディーゼル車規制の取り締まりの場などでもあわせて指導を行ってございます。また、運転手のアイドリングストップへの意識を高めるため、普及啓発用パンフレットの配布やポスターの掲示など、アイドリングストップの定着に向けた取り組みを実施しているところでございます。

○中山委員 都がさまざまなアイドリングストップ対策を行っていらっしゃることはよくわかりました。しかし、トラックターミナルの周辺などで、エンジンをかけっ放しにして、長時間停車している、駐車しているトラックも見かけることがあります。こうした車両の多くは配送やトラックターミナルに入場できるようになるまで、やむを得ず待機をしなければならず、車から離れられないなどの事情があるようであります。しかし、地球環境への貢献という意識が急速に広がり、トラック業界においても、みずからが運転者に対して呼びかけを強めるだけでなく、何とかCO2削減のために必要なトラックのアイドリングストップについても、これを効果的に実施できる体制的な取り組みの強化、支援について、期待する声も高まっております。
 そこで、トラックにおけるアイドリングストップの取り組みも重要と考えますが、見解を伺います。

○市川自動車公害対策部長 排気量が大きいトラックでのアイドリングストップの実践はCO2の削減にとって重要でございます。このため、東京都は、トラックを含めまして、三十台以上の自動車を使用する事業者に対しまして、自動車環境管理計画書を活用し、アイドリングストップの実施についても指導してございます。また、アイドリングストップはエコドライブの手法の一つとして、高い燃費改善効果も見込めることから、業界団体などとも連携しながら、エコドライブの教育訓練指導体制が整備されている中小事業者に対しまして、映像が記録できるエコドライブ支援機器の導入を支援し、アイドリングストップを含むエコドライブの普及に努めてきたところでございます。

○中山委員 今、エコドライブ支援機器ということがございました。大規模事業者に対しては、自動車環境管理計画書を活用して、アイドリングストップの実施について、指導事業者に対する取り組みとして、エコドライブ支援機器の導入支援を行ってきたということでございますが、その実績と成果についてお伺いいたします。

○市川自動車公害対策部長 エコドライブ支援機器の導入支援の実績についてでございますが、車載器の平成二十年度の補助件数といたしましては、三千八百九十一件でございます。導入支援の成果についてですが、この機器を導入し、実際にこれを活用いたしまして、エコドライブの教育指導を行いました事業者団体によりますと、CO2削減につながる燃費の改善が進み、約一〇%程度の燃料の消費量が減少するとともに、交通事故の件数も四〇%以上削減されると聞いております。こうした取り組みによりまして、アイドリングストップを含め、エコドライブの中小事業者への普及定着とCO2削減に成果を上げてきたものと考えてございます。

○中山委員 都の取り組みによりまして、エコドライブの普及が急速に進んでいることがよくわかりました。トラックドライブを初め、すべての運転手の方々がアイドリングストップに取り組むことは、駐車場の問題や日本の気候、車の技術的な課題など、さまざまな要因が絡み、容易ではないかもしれませんけれども、都には引き続きアイドリングストップの普及啓発や指導などに積極的に取り組んでいただきたいと思います。
 いわゆるドライブレコーダーの導入促進ということで、トラック協会にも協力いただいて、我が党も積極的に協力させていただいてまいりましたけれども、本当に事故も減っているということで、導入をされた事業者からは感嘆の声といいますか、すばらしい成果が上がっているということでお声を聞いております。さらにいえば、長距離トラックが集まる駐車場等では冷暖房などでアイドリングをしなくて済むよう、外部から電気を供給する装置を設置するなどの試みも始まっているようであります。また、トラックのエンジンをとめても、外気の気温を気にすることなく休める休憩所の設置、増設、そしてより抜本的にトラックターミナルの収容台数の増加などの対策が重要であります。
 今後はこうした省エネ機器の開発や整備など、ハード面の対応について課題となっていくでありましょう。したがって、各種の環境計画書制度での新たな誘導策や、それを効果的に支援するための法的な役割の検討の必要なども指摘させていただきまして、次の質問に移らせていただきます。
 最後に、地球温暖化防止対策について質問させていただきます。
 建築物に関する地球温暖化防止対策の取り組みについて伺います。
 都は、平成十四年六月から延べ床面積一万平方メートルを超える建築物に対し、建築主みずからが当該建物の環境性能を評価する建築物環境計画書の提出を求めております。この制度の対象の約半分はマンションであると聞いております。都は、平成十七年十月から建築物環境計画書制度の一環として、マンション購入希望者が環境性能のよいマンションを選択できるように、マンション環境性能表示制度を実施されています。この制度を始めてからマンションの環境性能は、どの程度向上したのか、お伺いいたします。

○大野理事 マンション環境性能表示制度は、延べ床面積一万平方メートルを超える新築マンションを対象といたしまして、当該マンションの設備の省エネ性能、断熱性能等に関する環境性能を星一つから三つの三段階で評価、公表する制度でございます。マンションの購入希望者へ環境に配慮したマンションの情報を提供することを目的としまして平成十七年十月から実施をしております。
 この制度が本当に定着しましたのは平成十八年度からでございますので、十八年度と二十年度の星の数の平均を比較いたしますと、例えば設備の省エネ制度では、星の数が十八年度に、ちょっと細かいですが二・二九あったものが、二十年度は二・六〇に、断熱性能の星の数では、十八年度に二・〇七であったものが二十年度では二・二八と向上してきております。その他の評価内容につきましても、平成十八年に比べ向上してきておりまして、環境性能にすぐれたマンションが年々増加しているという状況でございます。

○中山委員 今のご答弁によりまして、マンション環境性能表示の導入によって、省エネ性、断熱性といった環境性能にすぐれたマンションが年々増加しているなどの効果が上がっていることがよくわかりました。
 それでは、建築物環境計画書制度のマンション以外の柱であります都内のオフィスビルについては、建築物環境計画書制度の導入により、その環境性能はどの程度向上しているのか。また、二酸化炭素がどの程度削減できるのかをお伺いいたします。

○大野理事 建築物環境計画書制度はただいまご答弁しましたマンション環境性能表示制度のもとになっている制度でございますが、同じように、延べ床面積一万平方メートルを超える建築物につきまして、建築物に対して外壁等の断熱性能や設備機器の省エネ性能の向上、緑化、ヒートアイランド対策等を求めるものでございまして、環境に配慮した建築物の建設を促すものでございます。平成十四年六月から制度を開始しまして、ここ数年、すぐれた環境性能を備えたオフィスビルが増加をしてきております。特に最近におきましては、来年度からのキャップ・アンド・トレードの導入が意識されていることもありまして、二酸化炭素の削減に関して、さらに踏み込んだ対応がなされるようになっております。
 一例を申し上げますと、例えば現在中央区に建設中の大手建設会社の本社ビルにおきましては、窓ガラスに太陽光発電パネルを設置しまして、室内用の照明の電力を確保すること、あるいは天井に設置をしました輻射パネルなどによる空調システムを導入するとともに、これらのシステムを最適に管理するための省エネ運転をするとしております。これらの技術を導入することによりまして、二〇〇五年度東京における平均的なオフィスビルに比べまして、二酸化炭素の排出量を五〇%削減するのは可能であるというふうに聞いております。

○中山委員 マンションにつきましては、マンション環境性能表示制度の導入によりまして、マンション購入希望者にとって環境性能のよいマンションであるかどうかが判断しやすくなったというふうに思います。しかし、オフィスビルにつきましても環境性能が向上してきていることがよくわかりました。しかし、その環境性能については、まだまだ一般の人々にはわかりにくい状況にあると思われます。特に、私は、自然換気などの建築上の工夫などによりまして、電気やガス等による強制冷暖房に過度に頼らない省エネの進展に注目している一人でありますが、太陽光パネル発電など、発電量として省エネ効果が目に見える手法と異なり、公的な補助も受けにくく、導入意欲が盛り上がらないなどの課題があるようであります。
 そうした意味から、今後キャップ・アンド・トレードが導入されることもあることから、オフィスビルの購入者やテナント等の借り手が、環境性能のよいオフィスビルであるかどうかを判断しやすいようにするべきだと考えますが、見解を伺います。

○大野理事 昨年、平成二十年六月の環境確保条例の改正によりまして、平成二十二年一月から延べ床面積一万平方メートルを超えるオフィスビル等につきましては、建築主に対して、建築物の断熱性能や建築設備の省エネルギー性能等を示す省エネルギー性能評価書の作成と交付、説明を義務づけたところでございます。
 この省エネルギー性能評価書におきましては、AAA、トリプルAからCまでの五段階で評価することにしておりまして、当該建築物の売買や賃貸などのときに、建築主が購入者や借り手に交付し、説明するものであります。この制度によりまして、オフィス等の購入、賃貸を希望する企業等が、環境性能にすぐれたオフィスであるかどうかを容易に判断することが可能になるものと考えております。

○中山委員 今のご説明、よくわかりました。問題は、そうした環境性能が実際の省エネとして本当に電力などのエネルギー消費の節減に結びついているのかどうかという点であります。
 そこでお伺いしますが、この制度の対象となる建築物が建設後に計画に沿った省エネルギー化が図られているのかどうかをどのように確認するのか、お伺いいたします。

○大野理事 建築物環境計画書制度におきましては、計画書のほかに、竣工後に建築主から完了届の提出を求めております。この計画書、完了届双方には当該建築物の省エネ性能としまして、断熱性能や省エネ性能を記載となっておりますので、これらを比較することによりまして、建設後の当該建築物の省エネルギー性能が計画に沿ったものであるかどうかを確認することができる仕組みとなっております。
 また、改正された環境確保条例におきましては、平成二十二年一月以降に計画書を提出するオフィスビル等に関しましては、完了届が提出されてから、百八十日以内に省エネルギー性能状況報告書の提出を求めることができるとの規定を置いております。
 この規定に基づきまして、設備ごとの電力使用量でございますとか、ガスの使用量等を測定し、条件設定をしましたプログラムによりまして、空調や照明の自動操作を行うことのできる、エネルギー管理システムが導入された建築物につきましては、報告書の提出を求める予定でございます。このような機能を付加した建築物につきましては、各設備の省エネ性能に関する調整、いわゆるチューニングでございますが、これをより効果的に実施するのが可能になりますので、建設後の運用時において、さらなる省エネルギー化も可能になるものと考えております。

○中山委員 新しく建設される場合には竣工後に設備ごとの電力使用量やガス使用量等を測定することもできるということでございますので、所有者の申請に左右されない手法で対応するとのご答弁でございました。こうした取り組みを機にぜひ広めていただいて実効性のあるものとしていただきたいと思います。
 しかし、建築物からのCO2削減を考える場合、新築物件についてだけでは十分ではありません。既存の建物からのCO2をいかに削減していくかも重要であります。既存の建築物に対してCO2の削減をどんどん進めていく制度として、どのようなものがあるのか、改めてお伺いいたします。

○大野理事 大規模にCO2を排出する事業所に対しましては、総量削減義務と排出量取引制度を導入いたしました。これは二〇〇二年度から導入をしております地球温暖化対策計画書制度を踏まえまして、昨年の環境確保条例の改正で導入したものでございますが、来年の四月から総量削減義務が開始されます。既存の大規模建築物につきましては、この制度によりましてCO2の削減を進めてまいります。それ以外の中小規模の事業所に関しましては、CO2排出量を簡単に把握し、具体的な省エネ対策に取り組むことを促す地球温暖化対策報告書制度を導入いたしました。この制度は任意提出でございますけれども、同一事業者が都内に設置している事業所等の前年度の原油換算エネルギー使用量の合計が年間三千キロリットル以上になる場合には、報告書を取りまとめて提出するとの義務を課しておりまして、来年四月から開始をいたします。また、中小規模事業所に関しましては、省エネを促進するものとして、無料の省エネ診断等を実施しております。

○中山委員 中小規模事業者に対しましても、一定基準以上の事業者には報告を義務づけるということでございますので、環境負荷の軽減という点では安心した次第でございます。また、それ以下の中小規模事業者の皆様に対しても、ご答弁に沿った無料省エネ診断の受診をぜひ拡大していただくよう、ご努力をお願いいたします。
 問題は、大規模事業所に対する取り組みが順調に進んでいくかどうかにあります。大規模事業者に対する総量削減義務と排出量取引の制度は、来年四月から削減義務が開始されるとのことでございますが、昨年の環境確保条例の改正以降、いろいろ都でも準備をされているものと思います。ここで、その準備状況をお伺いいたします。

○大野理事 昨年の条例改正後でございますけれども、本年三月に、環境確保条例の施行規則を改正いたしました。この中で、削減義務率や特定テナント事業者等の要件などの重要な事項を決定いたしました。六月には、事業者が地球温暖化対策を進めるに当たっての指針となる東京都地球温暖化対策指針を策定するとともに、対象事業者に対する制度説明会を開催いたしまして、合計で約四千六百名の参加をいただきました。また七月には、排出量の算定、検証のガイドラインを公表いたしまして、延べ十二回にわたって具体的な算定方法に関する説明会を開催いたしました。
 さらに、私どものオフィスの中に事業者向けの相談窓口、ヘルプデスクを設置いたしまして、個別の相談についても実施をしております。

○中山委員 地球環境の温暖化防止対策の都独自の取り組みは、いよいよ間もなくその大枠がスタートする段階を迎えております。これからも技術進歩やわかりやすさなどへの対応など、不断の改革を遂げていく必要もあると思いますけれども、同時に、内容を充実させ、実効性を高めていくことが大切と考えます。地球環境の温暖化防止対策の重要性はスタートさせるだけでなく、実効性を高めながら運用していく段階でこそ、その本来の価値を発揮するものであると思います。今後とも、環境局の皆様のご努力をお願い申し上げて、私の質問を終わります。

○たぞえ委員 二十年度環境局の決算について伺います。
 二十年度の都税収入は、過去最高の五兆五千億円でしたが、当初予算原案では、地球温暖化対策などの予算も限られ、本格的な対応にはほど遠いといわざるを得ないものでありました。その一方で、都民世論の高まりの中で、大規模なCO2排出企業への削減を義務づける制度の検討など、環境対策では貴重な前進のあった年度であります。
 環境局の歳出は、予算現額三百三十五億一千九百七十二万円に対して、支出済額は二百三十二億三千二百九十万円で、執行率は六九・三%と低迷です。不用額も百二億円を使い残している決算です。予算は積み上げましたが、なぜ執行が低迷だったんでしょうか。

○森環境政策部長 執行率が低迷した主たる理由につきましては、平成二十年度環境局決算における不用額百二億五千八百万円のうち、環境CBOの未執行経費五十億円が全体の約五割を占めていることによります。この環境CBOにつきましては、サブプライムローン問題の発生などに起因します証券化市場の厳しい状況を考慮し、平成二十年度の発行を見合わせたことにより、債券の購入経費五十億円が不用となったものでございます。

○たぞえ委員 では、局の数値ですけれども、ディーゼル車対策の支援策に要した経費の予算額と決算額の推移はどうだったんでしょうか。

○市川自動車公害対策部長 ディーゼル車対策の支援策の予算額の合計は三十三億六千七百二十三万余でございます。執行額の合計は十八億百三十六万余でございます。

○たぞえ委員 ということは、執行率は五三・五%ですね。低いと思いますが、どういう理由なんでしょうか。

○市川自動車公害対策部長 不用額は主に環境保全資金融資あっせん制度でございまして、この事業は最新規制に適合します低公害車等の買いかえ促進のため、購入資金を中小事業者に向け低利で供給する事業でございます。執行率が低かった理由といたしましては、金融機関やディーラー等で各種の融資がございまして、事業者がそれらの資金調達手段を利用したことによると考えてございまして、都内の大気環境は改善し、ディーゼル車対策は着実に推進しているものと考えてございます。

○たぞえ委員 金融不況は、中小企業だけでなく、車を持つ零細業者の経営を圧迫して廃業に追い込んでいる深刻な事態です。しかも、仕事がない中で、家賃やリース代、従業員の給料など、固定費も払えず、事態から抜け出せない、これが現実の東京の多くの姿です。
 ですから、低公害車の買いかえどころではないという一方で、車販売の直接そういう場面に立ち会うディーラーとの間の融資の手続まで、そこで、その場でせざるを得ないと。いわばこの制度を利用するために、銀行まで行かずに、車の購入の手続を終えてしまう。こういう点でも事態は大変だというふうに思いますけれども、この環境保全資金融資あっせんの周知の仕方や、銀行など金融機関にこの制度のパンフレットを預けるだけでいいのかどうか。ディーラーとの協力等の模索は必要なかったのか。二十年度のこの推移から見て、今年度はどうされているんでしょうか。

○市川自動車公害対策部長 これまでも本制度につきましては、銀行、信用組合等の金融機関や区市町村、自動車販売店等に制度のパンフレットの周知を行いますとともに、トラック事業者団体や関係団体が主催する会合で、制度について詳しく説明するなどを行ってきております。また、自動車販売事業者の団体につきましても、個別に説明を行うなどしているところでございます。あわせて、ホームページや「広報東京都」などを通じたPRも行いまして、幅広く中小事業者の方への周知を行っておりまして、今後とも関係団体等と連携いたしまして、本制度の周知を徹底していくつもりでございます。

○たぞえ委員 ぜひ周知を拡大してほしいと思いますと同時に、これは保証料や金利を支援するということでありますので、やっぱり今の雇用情勢や経済情勢から見れば、二十年度にスタートしたこの制度が、より都民の側にとってみたら支援の幅が厚くなったというような改善策も含めて拡充を望みたいというふうに思います。
 先月、ニューヨークの国連本部で開かれた気候変動首脳会合の総会で鳩山首相が、日本が温室効果ガスの中期削減目標を二〇二〇年までに一九九〇年比で二五%削減する、この方向を国際舞台で初めて表明したことが大きく報道されまして、私はこの表明を歓迎するものです。
 提案された二五%削減の中期目標は、麻生前内閣が六月に示した〇五年比一五%削減を大幅に引き上げるもので、〇五年比に直すと三〇%減になります。今後急がれるのは、日本が新たに示した目標をどのように実現するか、ここにかかっていると思います。演説で首相は、あらゆる政策を総動員して実現を目指すと、このようにいっていますが、この方向は日本の地方都市にとっても極めて大事な責務をこれから負っていくものです。
 新政権がこの問題に世界標準に基づいて対処することを表明したことに、環境局は、この新しい流れを都としてどう具体化を図るんでしょうか。

○吉村環境政策担当部長 新政権の中期目標でございますが、先ほどもございましたとおり、中国やアメリカなどの主要排出国が合意して参加することが前提とされており、確定したものではないというふうに考えてございますが、いずれにせよ、国際的に積極的な役割が期待されているというふうに認識しております。しかし、純粋に国内削減分だけでございませんで、途上国に対して技術や資金の支援を行いまして、海外で削減した分も含まれるというふうに見られる上に、達成に向けた具体策も現時点では明らかになっていません。
 都といたしましては、国の動向は注意してまいりますが、いずれにせよ、大切なことは、どれだけの危機感を持って具体的な対策に取り組むことができるかということだと考えてございます。そのため都としては、キャップ・アンド・トレードを初め、既に動き出しているさまざまな施策を着実に実行してまいります。

○たぞえ委員 既に東京都は独自に環境基本計画で千四百棟のオフィスビル建築物に対して規制するということでありますが、この実施は二十二年四月から義務が発生するとのことです。各オフィスビルごとの基準排出量を算出して、さらに三年間見て、翌年度以降に規制に入る、大変時間がかかる取り組みです。
 しかし一方、都内では、二十一年度に百メートルを超える超高層ビルが新たに二十三棟建ち上がります。中でも、丸の内SFビルは百六十九メートル、延べ床面積は十九万一千四百平方メートル、このすぐそばの西新宿六丁目再開発では、新たに百六十七メートルの高さで十五万三千八百平方メートルなど、合わせて百六十九万六千百平方メートルと、メジロ押しです。さらに、来年度、二十二年度は十八棟、勝どき、東池袋、大崎など、約二百メートルに近い建物が次々建ち上がって、これらの事業所ビルからのCO2の排出量は業務部門の半分以上を占める勢いになります。
 こうした事業所に対して規制をかけるために、原油換算年間百五十五キロリットル以上のエネルギーを使用する事務所に対しては地球温暖化対策計画書の策定義務を行う、このようになっておりますが、今年度や来年度に竣工する新たな事業所に対しては削減義務をどのように対応させるんでしょうか。

○大野理事 来年度から始まる総量削減義務と排出量取引制度は、これまで東京都が二〇〇二年から実施をしてまいりました地球温暖化対策計画書制度を発展させたものでございます。現在、約千三百から四百程度の対象事業所がございますので、これらについては来年度から直ちに総量削減義務がかかってくるということになります。
 これまでの地球温暖化対策計画書では、エネルギー使用量が原油換算で千五百キロリットル以上の大規模事業所に対しまして、排出量の報告と基本対策の実施を求め、都がその取り組み内容に対し、指導、助言と評価、公表を行ってまいりました。新たに開始されます総量削減義務と排出量取引制度は、このように設備更新と運用対策の両面から基本対策の実施を求めてまいりました現行制度を強化し、削減結果についても問う、総量削減義務を導入したものでございます。
 したがいまして、新制度におきましては、新築ビルは三カ年連続してその基準を超えた場合に、特定地球温暖化対策事業所となりまして、総量削減義務が開始されますが、その総量削減義務の開始前におきましても、現行制度に準じまして、継続的に指導、助言を行い、対策の強化を求めてまいります。

○たぞえ委員 都内事業所の一%にも満たない大規模事業所が産業部門の排出量の四割を占めているという、東京都政にとっても環境に大きな負荷を与えているわけでありますから、こうしたオフィスビルなど事業所に対する規制を今こそ本格的に進めていくことが大事だということを痛感しています。
 そこで具体的に聞きますが、CO2削減の大変有効といわれる流れが、自動車からの排ガス規制です。これは自動車への過度の依存からの転換という交通政策の有効な一つでありますけれども、現在都内では、規制緩和によってタクシーの台数があふれました。現在、東京のタクシー台数は約六万台と聞いておりますが、この規制緩和によるタクシーの供給過剰は、運転手の低賃金をもたらし、長時間労働による過労運転など、交通の安全を脅かしてきました。
 こうした中で、ことし六月の国会で、タクシー規制強化法が全会一致で通り、減車促進の流れが生まれ出しました。この減車は、労働条件だけではなく、タクシーを適正な台数まで減らした場合、CO2の削減に大きく寄与するというふうにいわれています。こうした分野での削減の流れについて環境局はどう受けとめているか、伺います。

○市川自動車公害対策部長 通称でタクシー適正化・活性化法と呼ばれております特定地域における一般乗用旅客自動車運送事業の適正化及び活性化に関する特別措置法は、タクシーの供給過剰などによる収益基盤や労働条件の悪化等の問題を踏まえて制定されたものでございまして、今月施行されてございます。都としては、今後の動向を注視していきますとともに、交通量の抑制に向けて、引き続きさまざまな施策を展開してまいる所存でございます。

○たぞえ委員 自動車の総量削減という積極的な動きが生まれたわけですから、環境負荷も軽減できるという絶好の機会をとらえて、CO2削減のための取り組みにぜひ生かしていく、このことを指摘をしておきたいと思います。
 次に、自然環境です。
 東京都の自然保護条例では、市街地等の緑化、自然地の保護と回復、野生動植物の保護等の施策を推進することにより、東京における自然の保護と回復を図り、もって広く都民が豊かな自然の恵みを享受し、快適な生活を営むことができる環境を確保する、このことを目的にしています。この目的を実現する上で、自然環境保全審議会の役割が大変大事だと思います。そこで、二十年度の審議会での議案案件を紹介していただきたいと思います。

○大村自然環境部長 平成二十年度は自然環境保全審議会を二回開催いたしまして、自然保護条例の改正に関する案件が一件、保全地域の指定に関する案件が一件、開発許可に関する案件が一件、温泉掘削及び温泉動力の装置の許可に関する案件が四件、合わせて七件について審議が行われました。

○たぞえ委員 前年の十九年度では、鳥獣保護事業計画を策定して、例えばニホンジカの捕獲やツキノワグマの捕獲禁止などを審議しているわけです。さらには、カモが飛来する時期にえさを与えない、こういうキャンペーンを行う、そういう計画に位置づける権限もこの審議会は持っています。しかし、鳥類の実態が把握されていなければ、権限を行使するにもしようがないのではないでしょうか。東京の近郊の森が開発によって消えていく中で、東京都が保護上重要な種にしているチョウのアカシジミや、カワセミ、オオタカ、そしてスズガモなど、水辺の鳥だけでなく、野山に生息している渡り鳥が中継や休憩地として生息している葛西臨海公園、大変貴重な都立の公園です。
 現在、葛西臨海公園は、東京ドームの十七倍の敷地に年間三百四十万人の都民が訪れ、東のなぎさ橋等の立ち入りを禁止して野鳥を保護しています。東京野鳥の会の観察会では、この葛西臨海公園では、鳥類は百七十五種類確認されました。この中継、休憩地という特別の役割が東京の都市の中に存在していることは、自治体にとっても大変貴重だと、大変重要な財産だと思いますが、環境保全の立場から、局はどのような思いなんでしょうか。

○大村自然環境部長 葛西臨海公園及び葛西海浜公園と三枚洲と呼ばれます干潟の一帯は、渡り鳥の渡来地として東京湾沿岸では有数の地域であるというふうに認識してございます。
 このため、環境局では、この一帯を鳥獣保護区に指定いたしまして、狩猟による鳥獣の捕獲を禁止しております。また、鳥獣保護員が、葛西臨海公園などで、野鳥の捕獲行為やえさやりを防止するための巡回監視を行っているところでございます。

○たぞえ委員 保護することは大事だというお答えでありました。その立場に立つならば、各自然公園の実態調査、これを都として行う必要があるんじゃないでしょうか。どうでしょうか。

○大村自然環境部長 各自然公園では、公園内を巡回するレンジャーとか、あるいはビジターセンターの解説員が、日々の業務の中で野鳥の生息を把握しておりまして、自然公園を訪れた都民に紹介しております。また、鳥獣保護区に指定されている地域では、鳥獣保護区の更新に当たりまして、野鳥の生態調査を実施しております。さらに、貴重な鳥類につきましては、東京都版レッドデータブックの改訂に伴って、昨年度から調査を実施しているところでございます。

○たぞえ委員 レッドデータブックの改訂ですとか鳥獣保護区の更新の際に調査をしているということなんですけれども、しかし、港湾局は海上公園、建設局は都立公園、環境局は小峰公園など、それぞれ持ち分があって、それでもそういう全体の情報が環境局に束ねられていない。ブックの改訂の際にはどういう鳥類が生息しているかわかるけれども、常に手元に東京の鳥類の実態が、全体の状況を把握することになっていない。しかも、こうした問題を束ねていく、局をまたがる事務連絡会もないというふうに聞いています。これでは、東京の鳥類の実態を都民に知らせ、保護することも容易ではありません。
 もう一度聞きますけれども、生息状況について関係局と連携してつかむと、まず、このことをされたらどうでしょうか。

○大村自然環境部長 都立公園や海上公園、自然公園では、各施設管理者が来園者へのサービスの向上を初めといたします施設の運営管理上のために鳥類の生息を把握しているところでございます。環境局におきましては、東京都版レッドデータブックの改訂のための調査、鳥獣保護区の指定、更新時に必要とする区域を新たに対象とした鳥類調査などを実施しております。このようにそれぞれの目的に応じて必要な生息状況の把握を行っているというふうに考えてございます。

○たぞえ委員 港湾局や建設局や環境局など、こういった自然環境、この全体を網羅する、やっぱりコントロールタワーというのは必要だと思うんですよ。実際、鳥は公園別に生息しているわけじゃなくて、平等に地域にいるわけですから、やっぱり全体がどうなっているのか、これをつかむということは大変貴重な、まずの土台だと思うんです。
 実は、オリンピック招致委員会がIOCに提出した立候補ファイル、これはもう終わりましたけれども、葛西臨海公園の西側の十八ヘクタール、公園全体の二割の敷地を囲って、長さ三百メートル、高低差五メートルのコンクリ製のカヌーの競技場をつくると。しかも一万二千席だ。こういう仮設の観客席を建設する。これをIOCに提出をしていました。この施設計画について、東京野鳥の会は、こうしたすばらしい緑地を喪失させ、渡り鳥の生息をゆがめ、国境を越えて生息する生態を脅かすことになると厳しく批判をしていたわけです。今回の東京でのオリンピック招致は終わりまして、広大な自然環境はこれによって守られたというのが私の実感です。
 しかし一方、来週二十四日からは、三宅島でモーターサイクルフェスティバルが行われまして、本土からわんさかバイクが殺到して、この島の都道を、公道を一日じゅう走り回る。そして地域ごとのバイクイベント、バイクの音の爆音が鳴り響くと。まさに三宅島に生息している野鳥にとってはえらい迷惑だと思います。自然との共存はどうあるべきか、改めてこうしたイベントや、そして競技計画などによって脅かされるかもしれない。こういう事態に、私は、環境局はもっと敏感に対応をしていく必要があるというふうに思います。緑の減少とともに野生の動植物の生息域も減少、縮小する中で、私は環境局というのが、こういった問題でのぜひリーダーシップを発揮してほしいということを強く要求して終わります。

○吉田委員 皆様、長時間お疲れさまでございます。よろしくお願いします。
 私からは、まず最初に、希少動植物の保護という観点から質問を始めさせていただきます。
 私は従来から、都内の希少生物、絶滅危惧種の保全のために、その生息、生育情報を把握することが重要だと一生懸命に訴えてまいりました。前期、環境・建設委員会の委員をさせていただいて、その場でも、都が平成十年に作成した東京都の保護上重要な野生生物種、いわゆる東京都版レッドデータブック、これをぜひ改訂してくださいと、私もかなりしつこくお願いをして、これに着手をしていただきまして、本当にありがたいなと。そしてこの各決の場でこの状況についてお聞きできることを大変うれしく思っております。
 昨年度から、東京都がレッドデータブックの改訂に着手をされたと。しかも、お願いをいろいろしましたけれども、平成十年のときよりも非常に充実した形でこれに取り組んでいただいて、策定に向けて仕事をしていただいていると、こういう状況について、進捗状況をまずお伺いしたいと思います。

○大村自然環境部長 東京都版レッドデータブックにつきましては、昨年度、改訂に着手いたしまして、現在、本土分と島しょ分に分けて改訂作業を行ってございます。本土分につきましては、昨年度、研究者等で構成いたします検討会を設置しますとともに、調査に着手していまして、現在これまでの調査結果を踏まえた検討を行っているところでございます。今年度末までにその結果を取りまとめる予定でございます。
 また、島しょ分についても、本年九月に検討会を立ち上げまして、調査に着手しており、来年度末の取りまとめに向けて現在作業を進めているところでございます。

○吉田委員 ありがとうございます。
 これは環境・建設委員会でもいろいろと申し上げたんですが、前回のレッドデータブックは、主に文献調査を中心に収集した情報をベースに策定をされていたというふうに伺っております。確かに野生動植物を調査するということは、相当に手間も時間もかかるものであります。だからこそ、以前、質疑の中で、今回の改訂は、できるだけ多くの希少野生動植物に関する新たな情報を収集するため、しかもボランタリーな都民の協力を仰ぐということで、都民からも情報提供を求めてはどうかと。また都民の中には非常に、アマチュアでも、あるいはプロフェッショナルでも、学識経験者もいるわけで、そういう方からも協力をいただいてはどうかと、このようにお願いを申し上げたわけであります。この点について、どのように対応していらっしゃったのか、お伺いします。

○大村自然環境部長 今回の東京都版レッドデータブックの改訂に当たりましては、文献調査、研究者などへの聞き取り調査、また必要に応じた現地調査に加えまして、都民から希少野生動植物に関する情報の募集を行ってございます。具体的には、研究者などで構成いたします検討会において、カタクリやムササビ、カワセミなど、わかりやすい種を選定いたしまして、これらの種の生息、育成状況について、ホームページなどを通じて広く都民に情報提供を求めるなどいたしまして、より広範な情報の収集に努めているところでございます。

○吉田委員 ありがとうございます。
 こういう都民からの情報提供も含めて、新たな取り組み、しっかりとやっていただいて、情報の充実に努めていただいているということがよくわかりました。
 こうして改訂をされます東京版レッドデータブックにつきましては、行政の基礎的資料として活用をしていただくだけでなくて、希少野生動植物の保護に向けて、都民などの機運を高めていくことにつながるよう、都民にわかりやすく公表していただくことが重要であります。
 そこで、今回、改訂作業を進めていただいているレッドデータブックについて今後どのような形で活用を図っていくのか、所見を伺います。

○大村自然環境部長 東京都版レッドデータブックにつきましては、環境アセスメントや開発許可などの際の基礎資料として有効に活用するだけではなく、都内に生息する希少野生動植物の情報をわかりやすい形で都民に提供し、希少野生動植物の保護に向けて普及啓発を進めていくことが重要であるというふうに考えてございます。今後、希少野生動植物の保護の機運を高めていくため、ホームページなど、都民にわかりやすい情報提供の手法について検討してまいります。

○吉田委員 ありがとうございます。
 都民も、環境問題に大変関心も高まっておりますし、本当に喜ぶと思います。そして行政においても新しい希少動植物の分布状況、こういうものをきちんと把握することで、本当に新たな東京都としての環境の保全、これが大いに役立つ、このように期待をいたしております。
 このような希少野生動植物の保護を図るということで、その生息、生育の場であります既存の緑を保全していく、こういうことも大変重要で、都もこれまでも大変にお取り組みを進めていただいております。本日は、この件はご質問は申し上げないで、もう一つ、保全とともに、緑の減少傾向が続くこの東京において、緑の新たな創出という点も大変重要な施策であります。この点について東京都では緑の東京十年プロジェクトを展開して、一千ヘクタールの新たな緑の創出、これを目標に掲げて施策に取り組んでいただいております。この一千ヘクタール、この創出に向けて、特に環境局として、これまでどのようなお取り組みを進めていただいているのか、伺います。

○大村自然環境部長 千ヘクタールの緑の創出に向けまして、環境局といたしましては都内の公立小中学校等における校庭の芝生化を推進いたしますとともに、昨年度、既存建築物の屋上緑化モデル事業を実施いたしました。また、この十月から改正した自然保護条例等を施行いたしまして、緑化計画書における緑化率を敷地面積五千平方メートル以上の場合につきましては五ポイントアップすることで、さらなる緑の創出を進めておるところでございます。

○吉田委員 ありがとうございます。
 ただいまのご答弁の中で、特に校庭の芝生化、これなかなか始めるまで、地域で大変だとか反対もあるところもあり、あるいはいろいろな地域の事情で問題もあるところもありますが、私も各地の運動会などに行ってみたりしますと、本当に子どもも親も喜んでいる。何よりもずっとひきこもりがちだったような子どもまで元気に校庭の芝生で遊んでいる。これは大変な効果があるなと思っております。
 また、そういうのみならず、とにかくこの狭い、高度に業務・商業機能が集積している東京において新たな緑を創出する、容易なことではありませんが、この高度になっている東京の都市空間の中で緑を創出する手法の一つとして、屋上緑化ということについてお伺いをします。
 よく知られているとおり、屋上緑化によって表面温度の低減の効果は約二十度にもなるという調査結果もありまして、ヒートアイランド対策のための取り組みとしても大変有効だと、このように評価されております。都は、これまでご質疑もありました自然保護条例に基づく緑化計画書制度の中で、一千平米以上の敷地で建築等の行為を行う場合、屋上などの緑化を義務づけているわけであります。そこで、これまでの成果として、この緑化計画書制度で、どのくらいの緑が屋上などで創出されたのか、お伺いをします。

○大村自然環境部長 都は、平成十三年度から緑化計画書制度によりまして、民間の場合は一千平方メートル以上、公共の場合は二百五十平方メートル以上の敷地で建築物の新築、増改築を行う場合に、屋上等の緑化を義務づけております。義務化した平成十三年度から昨年度末までの八年間で、屋上など建築物上におきまして、日比谷公園の約六・四倍の広さに相当いたします百三・九ヘクタールの新たな緑が創出されました。

○吉田委員 八年間で約百三・九ヘクタールと、これ本当にびっくりというか、百ヘクタールを超える緑が創出されたということで、本当に高く評価をするべきことだと思います。こうした新たに建てられている建築物については、条例に基づいて着実に屋上緑化がこうやって進んでいるわけですけれども、既存の、古くというか、これまで建ててきた建築物については、もともとの建築の構造上、当初から屋上緑化することを考慮していないために、積載の荷重、あるいは屋外に人が立ち入ることの安全性など多くの課題があるわけでございます。民間でも、既存建築物の屋上緑化について一定の取り組みは行われていますけれども、まだまだその普及が進んでいる状況とはいえません。
 こうした中、昨年度東京都では、既存建築物の屋上緑化に向けて、モデル事業を実施されました。このモデル事業の内容と実績効果についてお伺いします。

○大村自然環境部長 既存建築物屋上緑化モデル事業は、昨年度、良好なモデル緑化事例を創出し、さまざまな緑化手法や費用等を周知することにより、既存建築物の所有者の緑化意欲を喚起するとともに、技術面や維持管理面での課題などを検証するために実施したものでございます。
 このモデル事業では、既存建築物の屋上において新たに百平方メートル以上の緑化を実施する事業を補助対象といたしまして、完成後に一般に公開することを条件にいたしまして、工事費、附帯工事費の二分の一、一件当たり一千万円を上限として実施いたしました。実績といたしましては、JR恵比寿駅の駅ビルを初め、特別養護老人ホーム一件、オフィスビル一件の三件について補助いたしまして、合計約一千二百十平方メートルの屋上緑化が行われました。

○吉田委員 恵比寿駅ビルなどを初め、一般に公開、一般の方が利用できることを条件にこのモデル事業をやって、千二百平米の屋上緑化が行われたと。これは本当にいいモデルになったんじゃないかなと、有意義な取り組みであったと思います。
 この緑化の用地が限られている都市空間の中で、新たに緑を創出するために既存の建築物の屋上緑化、これを進めていくことも新規の建物と同時にとても大切であります。今後、このモデル事業を踏まえて、既存建築物の屋上緑化をどのように普及させていくのか、お取り組みを伺います。

○大村自然環境部長 既存建築物の屋上緑化を進めるためには、積載荷重や防水への対策、それから屋上へ立ち入る人の安全対策などの課題の解決や導入のメリットなどを明らかにすることが必要でございます。現在、既存建築物屋上緑化モデル事業におきましては、散水設備など施設整備の留意点や商業施設における集客効果といった屋上緑化による導入効果などについて検証を行っているところでございます。また、モデル事業対象施設以外にも、民間や都有施設における既存建築物の屋上緑化についても事例収集を行っております。今後、モデル事業における検証結果とともに、こうしたほかの先行的な既存建築物の屋上緑化の事例も広く示すことによりまして、ビルのオーナーなど事業者の理解を得て、既存建築物の屋上緑化の拡大に向けて取り組んでまいりたいというふうに考えてございます。

○吉田委員 いろいろな事例を収集して皆様に公表、広報していくということで、この既存の建物を所有されている方にも心理的ハードル、あるいはいろいろなハードルを下げていただいて、どんどん進めていただきたい。都の取り組みを本当に期待をしております。未来の子どもたちのために一千ヘクタールの緑を新たに創出する、この中で、本日は屋上緑化のところをお聞きしましたけれども、ぜひ各局連携をいただいて、また都民、企業などとも連携をして、緑の創出のために引き続き取り組んでいただきたい、このようにお願いをいたします。
 次に、廃棄物対策について私からもお伺いをいたします。
 この廃棄物対策ですが、実は私の前職でございます--私、経団連事務局というところにおりまして、三年間、地球環境問題、廃棄物対策というのに取り組んだと。これは前期、環境局の皆様も申し上げたことをご記憶の方もいらっしゃるかと思います。平成二年ごろ、その当時に約二十年ぶりの改正となった、当時の厚生省が大改正といっていました廃掃法、廃棄物の処理及び清掃に関する法律、この大改正に経団連の立場から携わらせていただいて、このときの中防、中央防波堤埋立処分場を見にいったときには、もうご存じの方も多いですが、生ごみと冷蔵庫とか、何かトタンとかが延々と続く中から、鉄パイプの上に穴があいたものにメタンガスがしゅうしゅう、しゅうしゅう、もう何千本も、においもすごくて、カラスとカモメがうわあっとすごい、とんでもない、ここが東京かという状況でありました。
 これが私が経団連にいた、まず平成二年の一般廃棄物、これは都内全域で六百二十五万トン、再生利用量はわずか三十一万トン、最終処分量は二百八十五万トンでした。そして産業廃棄物が、これ平成四年のデータですが、都内で二千四百七十九万トン、再生利用量は三百六十五万トン、最終処分量が五百九十八万トンと、こういう状況でありました。
 こういう状況の中から、東京都、そして都民、一生懸命努力していただいて、本日のご質疑でも、リサイクルとかいろいろお取り組みをいただいて、リユース、リデュース、リサイクル、そして最終処分量の削減、こういうふうにやっていただいているわけであります。特に、二十年度の半ばから二十三区では最終処分量の削減目的にプラスチックを資源ごみとして回収すると。そして、不燃ごみから可燃ごみに切りかえてサーマルリサイクルを進める。両面の取り組みをして、廃棄物の処理に関する状況もまた一つ、一段階進んだというか、変化が見られております。
 まず、ここ数年間の都内の廃棄物の再生利用量の状況及び最終処分量の状況についてお伺いをいたします。

○井戸廃棄物対策部長 都内におきます廃棄物の再生利用量及び最終処分量のここ数年間の状況でございますけれども、まず一般廃棄物でございますけれども、再生利用量は、平成十六年度は九十四万トンでしたが、平成二十年度には百十五万トンに増加いたしました。一方、最終処分量は九十万トンでございましたけれども、四十七万トンに減少してございます。
 産業廃棄物についてでございますけれども、再生利用量は、平成十五年度に六百七十四万トンでございましたけれども、平成十九年度には七百五十七万トンに増加いたしました。また、最終処分量は百四十九万トンから百十六万トンに減少してございます。

○吉田委員 大変、まだまだご不満の向きもたくさんいらっしゃると思います。私ももっともっと進めなきゃいけないと思いますけれども、二十年前と比べたら、本当に夢のようだなというか、そういうところまではるばる来たという気もするんです。ゼロエミッションということに向けて、とにかく廃棄物対策の最終的な解決は、もうとにかく全量、最終処分場にはいかないと、最終的には処分場にいくものはないというのが究極の目標だと思うんですけれども、ここに向けてひとつ、夢のまた夢じゃなくて、現実的なターゲットになってきたかな、このような思いもするわけであります。この、ここ五年間でも一廃の最終処分量が半減するなど、こういう進捗の状況。どうしてこういうことになっているのか、その要因についてお伺いいたします。

○井戸廃棄物対策部長 最終処分量の減少の理由でございますけれども、一般廃棄物の処理の状況を見ますと、ごみの有料化など発生量の抑制施策が奏功したことに加えまして、従来、全量埋立処分されてきました廃プラスチックをサーマルリサイクルすることにより、最終処分量を削減してまいりました。また焼却灰をエコセメントの原料として利用いたしましたり、あるいはスラグ化して、土木工事の資材として活用するなど、リサイクルへの取り組みが進んだことも大きな要因でございます。
 一方、産業廃棄物の処理の状況を見ますと、都内で大量に発生いたします建設系の副産物につきまして、解体工事から発生するコンクリートの塊を、再生砕石にいたしましたり、あるいは掘削工事から発生する泥土を改良いたしまして、建設工事の資材として活用するなど、リサイクルを促進させる取り組み上の成果であると考えてございます。
 またさらに、現在、都の最終処分場で受けております産業廃棄物の廃プラスチックにつきましては、平成二十二年度末までの受け入れ量をゼロにする方針を平成十九年に策定し、現在リサイクルを推進しているところでございます。

○吉田委員 ありがとうございます。
 とうとう産廃については、廃プラスチックはもう中防外に入れないと、ここまで状況が進んできていると。一廃についても、自治体といろいろとご協議いただいて、ぜひそういうふうになるように大変な努力が必要だと思いますけれども、お取り組みをいただきたいと思います。とにかく、まず目の前、産廃の、産業廃棄物の廃プラスチックについて、この方針を、ぜひ周知徹底努めていただいて、一廃については、区部において不燃ごみの中に、まだ廃プラのみならず、さまざまなレアメタルとか、レアアースとかいろいろなものもいっぱい入っているわけであります。まだまだやれることがあると。量の面ではかなり進んできたと。質の面でもまだ進めていかなければいけないと、そのリサイクルの。リサイクルの質を高めていくということが必要だと思いますけれども、まず埋立処分量の削減に向けた都の今後の方針について、お伺いをいたします。

○井戸廃棄物対策部長 東京都は廃棄物処理計画に掲げました埋立処分量の削減目標を達成するため、産業廃棄物につきましては、今後も引き続き廃プラスチック埋め立てゼロに向けた施策を確実に進めてまいります。
 また、一般廃棄物につきましては、区市町村が行います発生抑制ですとか、リサイクルの施策につきまして、計画策定や、あるいは施設整備の際に技術的な助言を行うとともに、広域的な調整を行うなど、区市町村を引き続き支援してまいります。
 また、お話のレアメタルでございますけれども、大消費地である東京にはレアメタルを含む小型電子機器が大量に集積しておりまして、都市鉱山ともいわれております。東京都はそのポテンシャルを生かしまして、使用済み小型電子機器の効率的な回収スキームの確立を目指しまして、区市町村が行いますモデル事業を支援するなど、レアメタルの施策に積極的に取り組んでまいります。これらの取り組みにより、最終処分量のさらなる削減を目指してまいります。

○吉田委員 ありがとうございます。
 これは多くの識者がご指摘をされておりますけれども、持続可能な社会の形成のために循環型社会の構築、資源利用を循環型にしていくという仕組み、これを東京都が、もうとにかく最先端に立って実現をしていく、こういうお取り組みを今まさにしていただいていて、今後も引き続き我が国をリードしていただきたい、このように思うわけであります。
 これまで、埋め立てをされていたものについて、再生、あるいは再利用、いろいろ進めてきました。焼却による熱回収も含めて、とにかくできる限り有効に活用していく。そういうことで、とにかく鳩山新総理もCO2の削減とかいろいろおっしゃっていますけれども、持続可能な社会のために、大消費地である東京がきちんと取り組みをやっていかなければ、まさしく人類の未来に限界が来てしまう、こういうことになりかねません。
 環境・建設委員会の質疑でも、都の処分場の残余年数というのをお聞きしたこともありました。私、経団連にいたときにあと十年しかもたないとか、もう大慌てでみんな真っ青になっていた。ところが、先般お聞きしたときは、残余年数が五十年に延びたと。あのときは、都のご答弁が新聞の記事にもなりましたですよね。五十年もつということになった。今度は、もう要らなくなったんだというところに向けて、引き続き溶融スラグとか、エコセメントとか、どんどん再生利用を進めていただく。いろいろとハードルを越えていただいて、コストも下げていただいて、そして申し上げたレアメタル、レアアースのようなものの再生、抽出、そういう質的なリサイクルの高度化、こういうことについて、引き続き検討、探究していただきたいと思います。
 廃棄物埋め立てゼロを目指したゼロエミッションの社会というのをまず東京において実現をしていただくように、引き続き頑張っていただきますようにお願いを申し上げて、最後に自転車の利用の促進についてお伺いをいたします。
 東京都が二〇二〇年に東京全体の温室効果ガス排出量を二〇〇〇年比で二五%削減という目標を掲げて、この中で運輸部門では四〇%程度の削減を目指していただいているわけであります。大変アグレッシブな目標であります。この都内の二酸化炭素排出量の約二割を自動車が占めている現状を見ても、マイカーから公共交通機関、そして自転車への転換を進めて、環境負荷の少ない都市交通を実現していくことが重要であります。いろいろとご答弁いただいているところであります。この環境に優しく身近で便利な短距離交通手段である自転車、このようにおっしゃっていただいていますが、この利用を促進する取り組み、さまざまな施策、分野にまたがりまして、また各地域の特性も多様でありますので、環境局のみならず、各局、あるいは区市などの関係団体、さまざまな主体とともに協力をしていただいて進めていただく、そしてキャンペーンやホームページなど、さまざまな機会や場を生かしながら、啓発、普及、こういうことを進めていただくことが必要だと考えております。昨年の事務事業質疑などでも、ホームページが使い勝手が悪いとか、重いとか、もっとキャンペーンやってくれとか、いろいろと細々とご質問を申し上げ、ご答弁をいただいたんですけれども、今回各決、都として、各事業の成果をどういうふうに生かして取り組みを進めていただいているのか、振り返ってというか、お伺いをしたいと思います。

○市川自動車公害対策部長 自転車利用の促進についてでございますが、平成二十年度に関係局と連携いたしまして、環境交通キャンペーンを初めて実施し、自転車利用促進の普及啓発を展開いたしました。こうした二十年度の実績や事務事業質疑などのご指摘も踏まえまして、今年度は、NPOや企業などの参加団体を拡充しますとともに、学校や近隣区などとも連携して事前のPRの充実を図り、こうした取り組みによりまして、多くの家族連れが来訪し、子ども向けの自転車乗り方教室など、さまざまな自転車利用の体験なども行われたところでございます。また、区市町村等の行うイベントとの連携に広がりを持たせていくとともに、ホームページにおきましては、各地域の社会実験など、先進的な取り組み事例の紹介を充実させてきております。こうした各局や、地域特性などを踏まえた区市町村の取り組みとの連携は重要でありますことから、さらに推進を図りまして、区市町村の担当者を対象とした連絡会などで、都の取り組み内容や各主体の先進事例を周知するなど、さまざまな面で工夫を重ねながら自転車利用の促進に取り組んでまいります。

○吉田委員 ありがとうございます。
 大変取り組んでいただいていると思います。この環境の分野は、委員会にいたときも、この分野だけはもう全然各党皆様、本当に一致協力というか、同じ方向を向いて、非常に建設的な雰囲気でずっと質疑をしていただいていました。それで、私も各委員の先生方の深い知見に感銘を受けながら勉強をさせていただいてきたところであります。次年度は排出量取引、この動きも本格的に始まるところで、引き続き関係局におかれては、本年度とともに、東京の環境保全と、そしてさまざまないろいろな施策のご努力を続けていただくことをお願いをして、私からの質問を終わります。
 ありがとうございます。

○山下委員 よろしくお願いいたします。
 今日、私は、環境学習について何点か伺います。
 環境学習を進めることによって、多くの人々が環境に対する高い意識を持つことは持続可能な社会をつくる上で極めて大きな意義があるといえるでしょう。東京都は、平成六年度から十五年度までの間に、五百人を超える環境学習リーダーを育て、このリーダーを核にして、地域における環境活動の普及や実践を進めてきたことと思います。そう申す私自身も東京都環境学習リーダーの第一期修了生でございまして、リーダーの育成講座で得た知識や、その後の経験などをもとにして、これまで地域に根差した環境活動に取り組んでまいりました。
 そこで質問をさせていただきます。
 手元にございます環境局の一般会計歳入歳出決算説明書を見てみますと、平成二十年度は環境学習の推進として五百二十万円余の経費が示されていますが、都側の説明によりますと、この経費は教職員を対象にした環境教育プログラムに関する研修会、その他の事業に充てたものとのことですね。としますと、環境学習リーダーに関しては、どのような取り組みを進めたのでしょうか、お答えください。

○吉村環境政策担当部長 持続可能な都市を構築し、深刻な地球温暖化問題等を解決するためには、次世代を担う人材の育成は不可欠でございます。こうした認識のもと、東京都は環境学習リーダーの育成に努め、当初の目標でございます五百人を超える五百三十五人の修了生を地域社会に送り出してまいりました。地域の中で環境保全に関する行事の企画、あるいは運営に携わったり、環境学習の講師などを勤められているというふうに聞いてございます。こうしたさまざまな場面で活躍されている環境学習リーダーを支援するため、東京都は現在都が取り組んでいる施策について情報提供を行うなどの取り組みを進めているところでございます。

○山下委員 環境学習リーダーは、それぞれの区市町村の中でさまざまな活動に取り組んでいますが、一口に区市町村といいましても、環境保全活動のレベルはまちまちで、特に多摩の市町村の中には財政基盤も弱く、職員の数も足りないことなどから、正直なところ、環境にまでなかなか手が回らないというところもあるようでございます。私は、東京全体として、環境保全の底上げを図るためには、こうした手が回っていない自治体にこそ、環境学習リーダーの活用が求められていると思います。そのためにも、今後一層、環境学習リーダーの人材情報を積極的に提供していくことが必要と考えます。
 このリーダーの育成が終了して既に六年がたちまして、役所の方も職員の異動があるなどで、環境学習リーダーという言葉さえ引き継がれていない自治体がある可能性も否定できません。
 そこで、都が日ごろ、区市町村と連絡をとり合う中で、環境学習リーダーの人材情報をきちんと示していくことが望ましいと思いますが、都のお考えを伺います。

○吉村環境政策担当部長 都はこれまでも、環境学習リーダーの人材情報につきまして、本人のご承諾のもと、ホームページに掲載し、その提供に努めてまいりました。また個別に問い合わせのあった区市町村に対しましては、その要望に応じたリーダーの紹介を図ってきたところでございます。東京都は区市町村とともに都内の環境保全に取り組んできておりまして、都の事業を情報提供する区市の環境主管課長会が設けられていることから、今後、そうした場も活用いたしまして環境学習リーダーの人材情報の提供を行ってまいります。

○山下委員 環境学習リーダーの活躍の場が広がれば、リーダー自身の経験も豊かになりまして、結果としてリーダーのレベルアップにつながります。こうした視点も重要だと思います。今年度から都が取り組んでいます地球温暖化対策等推進のための区市町村の取り組み促進制度では、区市町村が先駆的な事業を提案してきた場合には、十分な財政支援を行うということですから、例えばその先駆性などを比較する段階で環境学習リーダーが関与できれば、事業の具体化にも貢献できますし、リーダー自身にとっても得がたい経験を積むことになります。もちろん、事業の執行に責任を負う区市町村の主体性に十分配慮する必要はありますが、この補助事業について都が区市町村とやりとりをする中で、区市町村側に環境学習リーダーの情報を提供していくこともできるのではないかと思います。この点につきまして、都のお考えをお聞かせください。

○吉村環境政策担当部長 東京都が今年度創設いたしました地球温暖化対策等推進のための区市町村取り組み促進制度は、各区市町村の地域特性に応じた地球温暖化対策並びに緑化推進のための必要な取り組みを促進するものでございます。
 補助事業の提案は、区市町村の自主的な創意工夫に基づくことが前提でございまして、区市町村の自主性を最大限尊重しなければなりませんが、その事業構築に当たりましては、さまざまな事前の相談を受けておりまして、そうした相談の中で環境学習リーダーの情報を適宜提供していきたいというふうに考えてございます。

○山下委員 ありがとうございます。
 先ほども申しましたように、私は、東京都環境学習リーダーの育成講座を修了した者でございます。十数年も前のことではございますが、今思い返しても本当に質の高いプログラムだったと思っております。こうしたプログラムを修めた人材が、それぞれの地域の中で中心的な役割を果たすことができますよう、都においては引き続き支援体制の充実を図っていただきたく、これをお願いいたしまして、私の質問を終わらせていただきます。
 ありがとうございました。

○和田委員 三点にわたって質問いたします。
 一点目は、太陽光発電にかかわる今日的な課題、二点目は、世界自然遺産の取得にかかわる形での小笠原諸島の自然環境の保全について、最後、三番目は、電磁波健康被害行政についてという形で、順次質疑を交わしてまいりたいと思います。
 それでは、まず初めに、太陽光発電にかかわる今日的な課題であります。
 前よく出ました京都議定書の実現に向けた取り組みが、国も自治体も大きく、これと格闘している最中です。今、民主党現政権はカーボンゼロという形で二〇二〇年までに九〇年比二五%削減という目標を打ち出して、これもしっかり実現しようということの中に、太陽光発電にかかわる、依存するといってもいいかもしれませんが、そういう大きなブームが構築されつつあります。しかしながら、都は、ことし四月から住宅用太陽エネルギーの利用拡大に向けて積極的な普及啓発を行ってきているわけでありますけれども、これに向けて、決算にかかわった平成二十年度、どのような取り組み実績がなされたのか、まずご報告をお願いいたします。

○大野理事 都は、平成十八年十二月に発表しました「十年後の東京」におきまして、平成二十八年までに百万キロワット相当の太陽エネルギーの利用を目指すことといたしました。これの実現を目指しまして、十九年三月に学識経験者、エネルギー事業者、それから太陽光、太陽熱の機器のメーカー、住宅メーカー等から構成される太陽エネルギー利用拡大会議を設置いたしまして、太陽熱、太陽光のそれぞれの検討会議におきまして、現状の分析でありますとか課題の整理、方策の検討、取りまとめを行いました。この結果、当時低迷をしておりました太陽エネルギーの飛躍的な利用拡大を目指しまして、都民が安心して太陽エネルギー利用機器を設置できるよう、十年程度で投資回収できる仕組みの構築が必要であるという方針を打ち出しまして、それを踏まえまして、平成二十年には連携企業を集めたプロジェクトを実施しまして、最終的に補助制度の構築に至ったものでございます。

○和田委員 法律もことしの七月一日に成立をしております。少し長いんですが紹介しますと、エネルギー供給事業者による非化石エネルギー源の利用及び化石エネルギー原料の有効な利用の促進に関する法律というのが、ことし七月一日に成立を受けています。これを受けて、もう間もなくですけれども、十一月一日から太陽光発電の新たな買い取り制度、これを新制度と我々はいっていますが、新制度が駆動し始めるわけであります。
 私も自宅に、十年前にNPOに所属をして、そしてこの売電、その組織の中で自分の使用、自宅の使用と売るのと両方を機能させて十年になりました。今回、この十一月からの新制度によると、今私どもが、おおむねでありますけれどもキロワット時につき二十四円十三銭で売ったり買ったりしているものがほぼ倍、一キロワット時について四十八円で買いましょうという制度が、倍増した制度が十一月一日から発足を見るということになります。
 こういうふうに倍に向けて国が制度改正をし、そしてカーボンゼロという形に取り組もうというような中で、この運動によって具体的にどういう効果があらわれてくるのかということです。とりわけ、私どもはよく、GDPは個人消費が大体六割、七割前後を占めているよと、こう教わります。というならば、個人宅のこの種の売買電の新制度がきちんと普及することによって、GDPのここの六割、七割という例えが、ほぼそこに当てはまる形での計数的な意味を持ってくるんではないかなというふうに思っているものですから、当局がこの制度を含め、太陽光発電にどのような見解を持って取り組んできているのか。また、国民生活などにどういうような、都民生活にどのような変化が想定されるかということについて、お尋ねをいたしたいと思います。

○大野理事 太陽エネルギーを初めとします再生可能エネルギーは、今後、大幅なCO2の削減を実現する上では非常に重大な役割を果たすものであるというふうに考えております。こういう場合、自然エネルギー、再生可能エネルギーの固定価格買い取り制度は、欧州各国では、既にその成果が実証済みの制度でございまして、都は以前より国に対して早期導入を求めてまいりました。
 今回始まります新たな買い取り制度は、必ずしもこの欧州の固定価格買い取り制度とは違いますけれども、いずれにしましても経済的なインセンティブを高めるものでございまして、太陽エネルギーの利用拡大を促進し、都が掲げる百万キロワット相当の太陽エネルギーの創出の可能性を高め得るものであると考えております。また、家庭におけるエネルギー利用のあり方を見直しまして、家族でCO2削減に向けた意識を高める、そういう契機にもなり得るものであるというふうに考えております。

○和田委員 確かに二十四円が四十八円になるというような形になれば、相当、もともとは小さい数字ですけれども、そこに哲学的というか、環境思想というものか、そういうものが織り込められて、よりこれを設置しようという方がふえてきているはずですし、またきてほしいと思います。そのことが小さな力でも各家庭を合わせれば大きなエネルギーになるというふうに考えていくと、大きなところで考えるよりも、各家庭、個人が目覚めることによって、環境はそれこそ一夜にして変わってくる可能性もあるという意味での期待を私は持っているところであります。
 さて、こういう歓迎すべき一つの現象とは別に、この太陽光ブームという風潮に便乗して、訪問販売などにかかわる消費者トラブルも一方でふえてきているというふうに思います。一般都民の人々は、太陽光ならいいというふうに先入観があるものですから、そこに、売り込んでこられる人について、チェックもしないで、どれどれと前のめりになって話を聞いてしまうというふうになっているわけでありますが、最近これはよくマスコミでも報道されるようになりましたけれども、国や東京都における現実的な相談件数、あるいは苦情件数というのはどの程度になっているんでしょうか。

○大野理事 まず全国ベースでございますが、国民生活センターによりますと、太陽光発電機器等に関する相談件数は、二〇〇七年度が千四百十八件、二〇〇八年度は千七百十九件と増加しております。このすべてが消費者トラブルというわけではないかもしれませんが、いずれにしましても、その八割強が訪問販売に関するものとされております。
 それから東京都でございますが、都の消費生活総合センターによりますと、都内の太陽光発電機器に関する相談件数は、二〇〇七年度が五十七件、二〇〇八年度は八十七件と増加しておりまして、その七割が訪問販売に関するものということでございます。

○和田委員 当然のことながら、ブームといっていいような、そういう現象が起こってきますと、無批判にといってもいいかもしれませんが、わっとその気に都民もなって、太陽光発電というとすぐにそれに飛びつくというか、そういう傾向が出やすいと思います。そういうヒステリー現象ともいえるような現象が起こりやすい。したがって、冷静に行政が、その消費者教育も含め、正しく、そしてまた信用のできる業種、業界といったようなものにリードしていく必要があるというふうに私は思っているんですが、とりあえずは当面、東京都の組織をもって、このトラブル防止に向けて、今でも起こっている可能性はあるわけですから、どういう対策を講じようというふうに考えていらっしゃるんでしょうか。

○大野理事 先ほどご答弁しましたように、我々、平成十九年三月から太陽エネルギー利用拡大会議を、検討会議を設置いたしまして、いろいろ検討しました。その段階で、既に過去の例からいたしまして、太陽光発電は訪問販売による契約が非常に多いということがわかっておりまして、消費者トラブルを招きやすいという傾向についても把握をしておりました。このために東京都は、住宅用太陽エネルギーの利用機器の補助事業を開始する前に、昨年秋から消費生活総合センターと連携、連絡をとりまして、都の事業の説明を行うとともに、区市町村の消費者相談窓口の周知等を依頼してまいりました。また、都のホームページや消費生活総合センターの情報誌へも注意喚起や対応策などを掲載してきております。
 一方、都は、太陽エネルギー機器の販売経路の多様化、これも進めておりまして、機器メーカーに対しまして、訪問販売に頼るのではなくて、家電量販店でございますとかショッピングセンターでの販売の拡大を要請し、実現をしてまいりました。
 一方、区市町村で連携した太陽エネルギー見本市の開催でございますとか、先日オープンいたしました都の未利用地を活用した住宅展示場で多くの太陽光発電の実物の展示と、こういうふうなことも進めまして、都民が実際に太陽エネルギー機器に触れることができる場づくりを進めてまいりました。今後ともホームページによる注意喚起に努めるほか、都民が実物を見て購入をよく検討できるような、そういう幅広い取り組みを進めまして、消費者トラブルの未然防止に努めてまいります。

○和田委員 先ほど来、答弁で、ホームページ上でというようなことがしばしば出ています。しかし、ホームページを自分で起動させ使える人というのはどの程度いるかという問題、これまた議論があるところですから触れませんけれども、ホームページに過剰依頼するというのは、一つの行政の私は陥穽につながると思っていますよ。したがって、そういうことに近づけないでいらっしゃるお年寄り、そういう人たちが引っかかってしまうというようなことの訪問販売というルートもあるわけですから、ホームページで知らせたからもういいだろうというふうには決して思わないで、いろいろなツールを使って注意普及をしていく必要があるだろうということは、これについては申し上げておきます。
 さて、太陽光発電が家庭を含めて普及してくるということになると、当然児童生徒というか、子どもに向けての環境学習的な一つの側面も、これに加えていったらどうかなというふうに思いつきます。私は、かつてキッズISO一四〇〇〇という、NPOを含めた、こういうものを都議会に紹介をしたり、当局に紹介したりして、それのいい意味での利用を要請してきたわけでありますが、今日までどのような実績、経過があるんでしょうか。

○吉村環境政策担当部長 キッズISO一四〇〇〇は、NPO法人国際芸術技術協力機構が開発し、世界で展開している子ども向けの環境マネジメントシステムでございます。環境局では、教育庁や区市町村教育委員会を通じまして、このプログラムに参加を希望する小学校を募っております。一方、このプログラムを学習するためには所定のワークブックが必要でございまして、これにかかる経費を寄附していただける企業の募集も行っており、そうした企業との連携という形で事業の推進を図っているところでございます。
 平成十六年度に試行ということで、約七百人の児童の方々の参加を得て取り組みを始めておりまして、昨年度の平成二十年度では約六千人の児童がキッズISOに取り組んでおります。本年度は約九千人の希望が寄せられているところでございまして、我々の目標でございます一万人までもう一息というところの状況でございます。

○和田委員 各家庭への太陽光発電機の設置、そしてそれを有効に、かつ未来的にもサステイナブルといいますか、維持していくという意味での児童生徒の環境学習への参加、こういう両面を当面できる限り重ね合わせていくことによって、時代的に刹那的な環境学習ではなくて、未来にずっと持続される環境学習というものが育っていくことによって、私が申し上げたようなGDPの六割、七割が個人消費であるというように、環境の問題の六割、七割は自分たちのところで解決できるような、そういう社会風潮をつくっていくということが大事だというふうに思っているんです。
 そういうことを前提にしながら、このキッズISO、一万が目前だとおっしゃっていましたが、これから先、どういうふうに発展させていこうというふうにお考えでしょうか。

○吉村環境政策担当部長 キッズISO一四〇〇〇は、児童が家庭において家族と協力して身近な省エネ等に取り組むものでございます。これを開発いたしましたNPOの調査によりますと、平成二十年度における都内の取り組みの成果といたしまして、約九割のお子さんの環境に対する意識向上が認められ、また、お子さんの活動によって八割以上の保護者の環境に対する意識向上も認められたというふうに報告されております。さらに、キッズISO一四〇〇〇に取り組んだ家庭からのCO2の排出が約一割程度削減されたという報告もなされておりまして、実践的な環境学習の取り組みは家庭部門での温暖化対策に有効であるというふうに考えてございます。こうしたことから、今後ともより多くの学校、企業などに連携を呼びかけ、目標としております一万人の参加の実現に取り組んでまいります。

○和田委員 それでは、二つ目の質疑に入ります。
 平成二十三年七月ごろ、夏ごろといわれていますけれども、世界自然遺産委員会で、小笠原の世界遺産の可否についての決定がなされるというふうにスケジュール的にはなっているようです。それを前提にしながら、いわゆる海洋性島弧という世界でも唯一残されている、地理的な地形学的な希少な価値を意味している小笠原諸島を世界自然遺産に持っていくために必要な小笠原諸島の自然環境保全についてお伺いをいたしたいと思うんです。
 もう申すまでもなく、小笠原諸島そのものが希少動植物が生息しているということで、世界的にも、また国内的にも注目されているところです。それで、この小笠原諸島の従来からの自然環境を保全するために、二十年度、どのような具体的な事業がなされてきたのか、まずお伺いいたします。

○大村自然環境部長 平成二十年度は、小笠原諸島の自然環境の保全に関しましては、ノヤギ排除などの外来種対策、自然環境調査、自然ガイド養成、ビジターセンターでの普及啓発などの事業を行いました。これに伴いまして三億六千万円の予算を執行させていただきました。

○和田委員 さきに負けてしまったオリンピックの招致とは全く比較にならないわけですし、また、こちらはコンペじゃありません。争いじゃありませんけれども、ただ、世界的な一定の評価を得るために、何らかの形でのPRを幅広く、ユネスコを含め都民にもしていくというような環境醸成は必要だろうと思っています。そのために、やはりある程度予算を組みながら、小笠原の世界自然遺産に向けて努力をしていくというのは、当然行政の側が求められますから、この三億六千万円の予算というものが、二十三年七月に向けての可否というときに可という、そういうふうに向けて有効に使われるように、場合によっては増額をするとかというのは局長も含めて要求をしながら、かつてない世界自然遺産の取得に東京都が成功するかどうかという瀬戸際でございますから、余裕を持った形で予算化の方向も場合によっては必要だということを申し上げておきたいと思います。
 さて、そこで、小笠原の主なる産業資源は観光といわざるを得ません。一方で、世界遺産、自然遺産というようなことを求めながらも、それをやることによって観光客がふえる。そうすると諸刃の剣のように、観光をとるのか、あるいは世界遺産をとるのかという話がどうしても切迫してくる。こういう状態の中で、どのように隘路を縫って部長は事業執行していこうというふうに考えているんでしょうか。

○大村自然環境部長 まず、東京都は村と協定を結びまして、南島や母島の石門一帯で平成十五年度から自然ガイド同行や利用人数の制限などを設けました東京都版エコツーリズムを実施してございます。このほか小笠原では、森林へ入る際のルートの制限、ホエールウオッチングの際の距離制限など、自然環境の適正利用のためのルールを設けておりまして、これらを適正に運用して自然環境の保全を図っておりますし、また図ってまいりたいというふうに考えてございます。

○和田委員 エコツーリズムが今はやっていましてね、そのことの対処はもちろんなんですが、従来あった小笠原諸島の自然環境、これを保全していくためには、やはり従来住んでいらっしゃる島民、それから、そのときにいらっしゃるツーリストというか観光客、そういう人たちの協力が一致そろわないと、なかなか環境保全と観光というのは両立しにくい。それをどういうふうに協力を求めていこうというふうにお考えですか。

○大村自然環境部長 小笠原諸島の自然環境の保全を図るためには、小笠原の自然について島民や観光客の皆さんの理解を得ることが重要であるというふうに考えてございます。このため、小笠原諸島の自然環境保全に関する各種のパンフレットを作成いたしまして、島内全戸に配布するとともに、ビジターセンターでの展示を行うなど、関係機関と連携して普及啓発を行っております。
 また、外来植物の除去を実施するに当たりましてボランティアを募りまして、体験活動を通じて小笠原諸島の自然環境の保全を進める機運を高めているところでございます。

○和田委員 そこなんですね。一方で観光と自然保全という二つのことだけに注意を払っていればいいかと思っていると、やはり外来種対策というのがそこに割り込んできて、新しい環境を守ろうとする局の皆さんの頭痛の種になっているということは事実なんです。対策を講じていらっしゃるとおっしゃっているんですが、具体的にどんな成果が近年あらわれてきているかということをお伺いいたしたいと思います。

○大村自然環境部長 外来種対策としまして、まず東京都としてはノヤギの排除に取り組んでおりまして、これまでに聟島列島と父島では根絶することができまして、希少な固有植物の回復などに成果を上げてきてございます。弟島でも昨年度からノヤギ排除に取り組んでございます。また、聟島列島や南島では、小笠原本来の植生の回復を図るために、固有植物の生育を妨げておりますギンネムや竹、ササなどの外来植物の排除に努めているところでございます。

○和田委員 第三の敵というとあれですが、障害がそこに出てきているわけですが、今、自然環境部長がお話しのとおり、具体的に成果が上がってきているようです。今、父島にもノヤギがいるとか、あるいはそれを根絶をしなきゃならないというふうに当面の課題があると思うんですが、それを含めてこれからの外来種対策の取り組みはどういうふうにされようとしているんでしょうか。

○大村自然環境部長 小笠原諸島でノヤギが生息する島につきましては、現在弟島と父島の二つだけになりました。そこで、弟島では今年度内の根絶を目指しまして排除を進めてございます。父島のノヤギ排除につきましては、これまで小笠原村が有害鳥獣捕獲の一環として行ってまいりました。今後は国や村とも連携いたしまして、東京都といたしましても父島におけるノヤギの排除計画を策定し、根絶に向けて排除を進めていきたいと考えてございます。また、ギンネムや竹、ササなどの外来植物につきましても、引き続き排除を進めてまいります。

○和田委員 最終的には、この外来種排除も含め、観光客と自然環境保全というようなもののあらゆる相克を縫っていく、その先に我々が到達できるのが世界自然遺産、小笠原諸島という一つの栄冠だろうと思っているんです。したがって、ここのハードルを越えずして、二十三年七月の世界自然遺産、小笠原諸島獲得というのはなかなか難しい。こういうふうに、ぜひ時間をかけて、まだ十分ありますから、今、部長がおっしゃったような、そういう実績を確実に積み上げていく中で、二十二年夏ごろかな、視察に入って、委員会が。実際に小笠原諸島がそれにふさわしいかどうかという視察調査もあるわけでありますから、それまでにしっかり、今出てきた動植物の外来種が消えていないと、なかなか難しいかなというふうに思いますものですから、おしりをたたいて恐縮ですけれども、目標があるわけですから、ぜひ獲得に向けて努力をしていただきたいということを重ねて申し上げておきます。
 次は三つ目の問題で、急ぎます。電磁波の健康被害行政についてでございます。
 この問題に私もかねてからずっと取り組んでまいりました。時代とともに、所管をする世界的なWHOの取り組み、あるいは国際機関といったような形で、電磁波健康被害についてのいろいろなデータや情報が出てきていますけれども、海外における状況をまずご報告願いたいと思います。

○柿沼環境改善部長 電気機器等の利用に伴って発生する電磁波でございますが、送電線などから生じる極低周波電磁界と、携帯電話や電子レンジなどで使用されます高周波電磁界というのがございます。
 こうした電磁波による健康影響をめぐる海外における状況でございますけれども、極低周波電磁界につきましては、平成十年に世界の各分野の専門家で構成される国際非電離放射線防護委員会という機関が生物学的な実験や研究等の結果を評価いたしまして、暴露を制限するためのガイドラインを定めております。その後、WHOが平成十九年六月、そのガイドラインを採用することを提言しております。
 また、高周波電磁界につきましては、本年、平成二十一年七月に国際非電離放射線防護委員会が健康リスク評価書を取りまとめまして、急速に普及してきた携帯電話による暴露と健康影響との関係には疫学的な明確な証拠はないけれども、関係を否定するには研究が不十分であるとの見解を示しております。今後、国際がん研究機関やWHOによる評価を経まして、国際的なガイドラインが定められる予定となっております。

○和田委員 私どもが日常使っているいわゆる家電というものも含めて電磁波が出ているわけでありますから、これの将来的な一つの知見結果というものが大きく我々の健康生活にも影響するという点で、私は関心を持ってきたわけです。
 ところで、我が国においては、つい最近、一番新しい知見なり対処について何らかの表明はなされているんでしょうか。

○柿沼環境改善部長 国内におきましては、超低周波電磁界が発生する送電線などの設置について、法令により電界の強さに関する規制を行っております。さらに現在、経済産業省においては、送電線などの周辺に発生する磁界という面についても、新たな規制の導入に向けた技術的な検討が進められているところでございます。
 また、高周波電磁界につきましては、国において携帯電話や電子レンジ等の電波利用機器に対して電波防護指針が策定されておりますけれども、この指針については平成十九年、電波による人体影響の研究等を行っております国の生体電磁環境研究推進委員会というところで再評価が行われておりまして、現時点では電波防護指針を超えない強さであれば電波による悪影響は認められず、直ちに指針を改定する必要はないとされております。

○和田委員 これはロンドントゥデーというイギリスの新聞のコピーですけれども、ここに、十二歳以下の子どもたちは、いわゆる携帯電話は危ないですよと。なぜならば、分別がつかずに長期間にわたって脳に近い耳に電磁波を当ててしまうからだというような一つニュースがあったり、あるいは、それもそうだけれども、やはり子どもの誘拐なんかにどうしても携帯電話は必要なのでやむを得なかろうという説があったり、千々に、この電磁波の問題については、子どもの安全という角度から、あるいは脳障害についての角度から、まだ確定したものは出ていません。ただ、我々は、やはり不安なものには近づかない、信頼のできないものはとりあえず使わないといったような、そういう一つの方針というのが大事だろうというふうに思っているんです。
 そこで、都民の電磁波による健康被害というものを考えてみると、今答弁もいただいて、私が申し上げた国際的な諸機関のガイドラインというものが正しく都民に伝えられて、どう都民が解釈するかは別ですけれども、一定先進的な研究をされている国、あるいは機関の情報はしっかり流して、都民の判断を主体的に求めていくべきだろうというふうに思うんでありますけれども、東京都は、私の今のような見解についてどのような感想を持つんでしょうか。

○柿沼環境改善部長 これまでの国内外の調査研究結果によれば、ガイドラインや電波防護指針を下回る強さの電磁波であれば、健康に悪影響を及ぼすという明確な証拠は認められてはおりません。しかしながら、電磁波の暴露と健康影響の関係につきましては、科学的知見が必ずしも十分ではないという部分もございます。そのため、国内外の研究機関においてさらに研究が進められている現状もございます。
 こうしたことから、都といたしましては、国際機関や国等の動きを踏まえつつ、最新の知見を把握いたしまして、それを広く都民に対して正確でわかりやすく情報を提供してもらいたいと考えております。

○小磯委員長 発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○小磯委員長 異議なしと認め、本件に対する質疑は終了いたしました。
 以上で環境局関係を終わります。
 これをもちまして本日の分科会を閉会いたします。
   午後六時二十四分散会