平成二十年度各会計決算特別委員会第一分科会速記録第三号

平成二十一年十月十四日(水曜日)
第十一委員会室
   午後一時開議
 出席委員 十名
委員長原田  大君
副委員長伊藤 ゆう君
副委員長宇田川聡史君
小林 健二君
鈴木 隆道君
島田 幸成君
滝沢 景一君
大松あきら君
古館 和憲君
田島 和明君

 欠席委員 なし

 出席説明員
会計管理局局長新田 洋平君
管理部長山本  隆君
警察・消防出納部長稲田 正純君
会計制度担当部長土渕  裕君
収用委員会事務局局長野口  孝君
財務局局長村山 寛司君
経理部長藤原 正久君
契約調整担当部長奥田 信之君
主計部長長谷川 明君
参事関  雅広君
財産運用部長松本 泰之君
建築保全部長金子 敏夫君
技術管理担当部長山本 康友君
参事山藤 敏明君

本日の会議に付した事件
平成二十年度東京都各会計歳入歳出決算の認定について
会計管理局関係
・平成二十年度東京都一般会計決算(質疑)
収用委員会事務局関係
・平成二十年度東京都一般会計決算(質疑)
財務局関係
・平成二十年度東京都一般会計決算(質疑)
・平成二十年度東京都用地会計決算(質疑)
・平成二十年度東京都公債費会計決算(質疑)

○原田委員長 ただいまから平成二十年度各会計決算特別委員会第一分科会を開会いたします。
 本日から四日間にわたり、本分科会所管局の決算に対する質疑を行っていただきます。
 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、会計管理局、収用委員会事務局及び財務局関係の決算に対する質疑を行います。
 これより会計管理局関係に入ります。
 決算の審査を行います。
 平成二十年度東京都一般会計決算中、会計管理局所管分を議題といたします。
 本件につきましては既に説明を聴取しておりますので、直ちに質疑を行います。
 発言を願います。

○滝沢委員 まず、会計管理局についての安全で効率的な資金管理ということの中で、この決算の中では、基金の運用利率の変動等により財産収入が減っているというところや、もう一点が、その基金に対しても運用に対する変動等ある中での東京都としての考え方やその運用の方向性についてお伺いしたいと思います。

○山本管理部長 財産収入あるいは都預金利子の収入率が、利率、利回りの変動によって減となっているという点であろうかと思いますけれども、これにつきましては、平成二十年の秋以降の世界的な金融危機の影響によりまして、日銀が平成二十年の十月と十二月、それぞれ〇・二%の利下げを行いました。これによりまして市中金利が低下をしたという影響もございまして、実際の運用における約定利回りが低下をしたと、こういう状況がございました。
 さらに、歳計現金におきましても、都税収入の減少などによりまして、平均残高が当初見込みを下回ったということもございまして、結果として収入率が低くなったものでございます。
 当局といたしましては、安全性というものを公金管理の最重要の課題というふうにとらえながら、効率性の重視ということも念頭に置いて適切な公金管理を行っていきたいと考えております。

○滝沢委員 今お答えいただいた中で、流動的な要素というのが、これから先も運用面ですごく貴重になってくると思いますので、ぜひその辺を、今後にまた、いろいろな情報収集なり、部署ごとにあると思いますけれども、お願い申し上げまして、次に、公会計制度の改革についてでございますけれども、公会計制度を設立されてはや三年経過しまして、その間の実績や、公会計制度を導入して、東京都としてこんなところがよかったとか、こういう成果が出たとかというのがあればお伺いしたいと思います。
 いろんな面で自治体と共通面な公会計制度を広げるという東京都の趣旨もあるでしょうし、国との制度の違いというのも浮き彫りになってきた中で、どう公会計制度を改革しながら推進していかれるのか、東京都のお考えをお伺いしたいと思います。

○土渕会計制度担当部長 複式簿記・発生主義会計の導入によりまして、現行、官庁会計で把握している現金収支の情報に加え、金利や減価償却費を含む正確なコスト情報や、資産や負債などのストック情報を把握することができるようになりました。都民に対する説明責任の一層の遂行と、より効率的、効果的な行政運営の展開が可能となりました。
 これまで作成した財務諸表により、減価償却費と固定資産との関係を分析した結果、社会資本ストックの将来的な更新需要が明らかになったことから、基金の積み立てを図り、安定的な財源の確保に努めることといたしました。
 また、多額の収入未済が計上されましたことから、債権管理のより一層の適正化を図るため、東京都債権管理条例を制定し、全庁的な債権管理の体制強化を進めるなど、新公会計制度は効率的、効果的な行財政運営の展開に資するものとなっております。
 今申し上げましたような効果を踏まえまして、これを全国の自治体に普及するべく、さまざまな活動を行っております。今後も、この全国で初めて導入した財務諸表を作成した実績を踏まえて、それぞれの自治体の実態に応じたノウハウ提供を行い、都の新公会計制度について全国に発信してまいりたいというふうに考えております。

○滝沢委員 今、公会計制度についてお伺いしたんですけれども、私もこの財務諸表を見させていただきましたけれども、わかりやすかったりとかという面はあるけれども、実際には、東京都先導型でうまく周りに普及するかという大きな課題がまだ残っているということもありますし、これで本当にいいのかという検証も、やはり三年たった中で、もう一度、再度されるということも必要になってくると思います。その辺を考慮していただくということと、行政財産や固定財産とか、財産運営に対して、会計管理局の都全体の中でどんな方向性で今後も--先ほどは金利の流動ということもお伺いしましたし、公会計で現在の会計業務の中での東京都の体質、財政面の中をしっかりしていくということもありますけれども、その財産をどう今後活用されていくかということで、二十年度は決算での考え方をお伺いしたいと思います。

○山本管理部長 今、公会計制度及び公金運用と、両方の側面からお尋ねをいただきまして、今後の当局の責務ということをきちっと認識しながら、例えば公金管理におきましたら、やはり先ほど申しましたように、都民からお預かりした公金でございますので、まずは安全性を重要視しながら、私ども、流動性あるいは効率性といったものを確実に重視いたしまして、保管、運用を目指していきたいと考えております。
 また、公会計制度につきましても、三カ年たちましたので、この制度の再検証ということも随時行っておりますけれども、さらに制度が全国にも普及できるようないい制度になるように検証していきたいと、こういうふうに考えております。

○原田委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○原田委員長 異議なしと認め、本件に対する質疑は終了いたしました。
 以上で会計管理局関係を終わります。

○原田委員長 これより収用委員会事務局関係に入ります。
 決算の審査を行います。
 平成二十年度東京都一般会計決算中、収用委員会事務局所管分を議題といたします。
 本件につきましては既に説明を聴取しておりますので、直ちに質疑を行います。
 発言を願います。

○滝沢委員 収用制度の活用促進という観点からお伺いいたしますけれども、区市町村等への支援の働きかけということで、いろいろな形で、道路収用でしたりとか、東京都がかかわる区や市やまちに対しての要望や地域の活動に対して、行政間の中で協力し合っている面というのが収用委員会はあると思うんですけれども、その相談や、起業者に対する活動、事件の相談とか、いろいろ件数がここにも載っているんですけれども、具体的な方法やその中身について、成果があったのかどうかという面と、総体的に三百五十二件、平成二十年度では相談が上っているんですけれども、その中身についていろいろなものがあると思うんですが、東京都として、収用委員会として、この二十年度、どんな活動をされたのかだけお伺いしたいと思います。

○野口収用委員会事務局長 収用委員会事務局といたしまして、これは収用制度一般の活用促進の問題でございますが、その取り組みを進める指針といたしまして、平成十六年度に収用制度活用プランというものを策定しまして、現在、それにのっとって進めているという状況にございますが、お尋ねの区市町村の関係でございますが、これに関しましては、この活用プランに基づきましてさまざまな支援の働きかけを行っております。
 具体的には、市長さん、区長さんを初めとする首長さんたちを対象としました収用制度についてのPR活動、これを、私どもは直接出向きまして首長さんにお話をさせていただいているというものでございます。それから、私どもの事務局の職員が区市に直接お伺いいたしまして制度の説明をさせていただく、これは私ども出前講座と呼んでおりますが、これや、それから、具体的な案件、問題になりそうな案件とか、そういった具体的な案件に対しましての相談をお願いしたいという話が来ましたら、出張相談という形でお伺いしているというような形で区市町村の支援をしているところでございます。
 実績のお尋ねでございますけれども、例えば二十年度に関しましては、首長さんに対します私どものPR活動といたしましては、四つの区に対しまして行わせていただいております。ちなみに、二十年度は四つの区のみでございましたが、今年度は、今度は逆に多摩地区の方に力を入れまして、四つの市の方に伺っております、今までの段階でございますけれども。先ほど申し上げました出前講座に関しましては、七つの区、五つの市、合計十二回になりますが、それから出張相談につきましては、五つの区、三つの市、合計八回という形になります。
 お話にありました三百五十二件というのは、これは私どもが設けております相談の窓口、こちらに寄せられました相談件数でございますが、この三百五十二件のうち、区市からの相談は八十四件という形になっております。
 いずれにしましても、都市計画事業におきまして区市町村の果たすべき役割というのは今後大きくなっていくということは間違いないわけでございますので、それに対する支援といたしまして、私ども、この活用プランにのっとりまして、引き続き十全に取り組んでまいりたいというぐあいに考えているところでございます。よろしくご支援をお願いいたします。

○原田委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○原田委員長 異議なしと認め、本件に対する質疑は終了いたしました。
 以上で収用委員会事務局関係を終わります。

○原田委員長 これより財務局関係に入ります。
 決算の審査を行います。
 平成二十年度東京都一般会計決算中、財務局所管分、平成二十年度東京都用地会計決算及び平成二十年度東京都公債費会計決算を一括して議題といたします。
 本件につきましては、既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○藤原経理部長 それでは私から、先日の分科会においてご要求のございました資料につきましてご説明申し上げます。
 恐れ入りますが、お手元の平成二十年度各会計決算特別委員会第一分科会要求資料をごらんください。
 最初に、表紙をおめくりいただきたいと存じます。
 今回要求のございました資料は、目次に記載してございますとおり、三件でございます。
 一枚おめくりいただきまして、要求資料第1号、性質別歳出の推移(普通会計決算)をごらんください。
 平成十一年度から二十年度までの十年間における普通会計決算の性質別歳出の推移をお示ししたものでございます。
 次のページをお開きください。要求資料第2号、公債費の推移(一般会計決算)でございます。
 平成十一年度から二十年度までの十年間における一般会計決算の公債費の推移をお示ししたものでございます。
 次のページをお開きいただきたいと存じます。要求資料第3号、各種基金の年度別推移(決算)でございます。
 平成十一年度から二十年度までの十年間における各種基金の決算額の推移をお示ししたものでございます。
 説明は以上でございます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○原田委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含め、これより本件に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○滝沢委員 まず、ただいまの歳入についてお伺いいたしますけれども、財産の売り払い収入ということで、東京都の所有するものに対しての売り払いということですけれども、自治体との協力をしながら、いろんな形で、売り払いとか、地域によっての要望にこたえてくる中での対応をされていると思いますけれども、その辺の東京都の財産についての売り払いに対する考え方、方向性についてひとつお伺いしたいと思います。

○松本財産運用部長 都有地は、都民に負託されました貴重な財産ということでございまして、都におきましても有効に活用するというのがまず第一でございます。
 しかしながら、都で活用する方針がない、あるいはまた、区市町村等にも諮って、そこでも利活用の方法がないというものにつきまして、売却という方法をとっております。売却というのも、やはり貴重な都有財産の財産価値を最大限発揮するということでございまして、これも非常に大事な都有財産の活用というふうに私どもはとらえております。
 しかしながら、その売却に当たりましても、やはり都有地の中には、非常に規模の大きなもの、あるいはその地域性、地域において非常に重要な位置を占めているもの、そういったものもございます。そういったものにつきましては、売却に当たりまして、地元の意向、あるいは都の整備方針、そういったものも勘案し、十分地元市、区とも協議をしながら、その売却等の時期等について協議をしながら進めていくということでございます。
 また、売却につきましては、これは一般競争入札、公平性の観点からこれを原則としているわけでございますけれども、その入札参加の際に、条件として、例えば地元区市の方針を確認することといったような条件を付するなどの工夫を行っております。
 また、地元区市町村との協議に基づきまして、売却後は、今度は区市が、落札者が開発を進めるに当たりまして、入札のそういった参加条件あるいは法令等に基づき、十分開発を誘導していくものと考えております。
 今後とも、私どもといたしましては、こうした立場に立って都有地の有効活用に努めてまいります。

○滝沢委員 今、都有地についてのご答弁をいただいたんですけれども、もともと東京都が所有した意義というのが保有している間にだんだん変わってきて、時代とともに、売り払いをしたりとか、自治体の要望によって売り払うという経過は確かにあるんだと思うんですけれども、その土地の広さだったりとか大きさだったり、開発をかけることによって、いろんなことでの地域の要望と自治体間の競争というのも出てくると思うので、有効に売り払いができるような形と、一般競争入札での高額での払い下げということになると思うんですけれども、東京都として、売ったから責任がなくなるということではなくて、その先、やはりどんな、東京都の保有していた土地が活用されていくかということも、やはり目を配る必要があると考えますので、その辺はよろしくお願いしたいと思います。
 次に、歳入の違法物件の行政代執行について、土地活用についてお伺いしますけれども、この決算の歳入の中では、収入が二千百九十九円というような形になっていますけれども、行政代執行に対する東京都の二十年度の取り組みや方向性についてお伺いしたいと思います。

○松本財産運用部長 行政代執行は、都の事業を進める上で必要な土地上の建物、土地等を収用するという、非常に権力性の高い事業でございます。そういった意味で、さまざまな手続、事業認定あるいは収用委員会による裁決、また、その収用裁決後の代執行という手順で行われてきておりまして、そういった手順を踏まれたものにつきまして、私どもとしては、着実にその執行を進めていくということで実施をしてきております。
 そういった面で、今回、二十年度につきましても、同じような観点で実施をいたしました。当初二件、大きなものが予定をされておりましたけれども、一件につきましては、ご案内のような圏央道の建設に係る代執行でございました。これにつきましては、旧地権者の方で収用物を撤去していただきましたので、代執行せずに済んだという経緯でございます。
 もう一件、江戸川区の平井七丁目の都市計画道路の整備に係る代執行でございました。これにつきましては、自主撤去がございませんでしたので、代執行を実施いたしました。なお、その際の代執行にかかりました経費でございますけれども、これを義務者から収入するということでございますけれども、これにつきましては、年度末の三月十五日に、三十日を期限に納入通知をしたんですけれども、収入が翌年度、今年度に回ったということで、決算上は未執行が残っているということでございます。

○滝沢委員 翌年度に繰り越したということでお答えいただきましたので、次に進みたいと思います。
 次に、歳出についてですけれども、管理事務として、電子調達システムということで、システム運用やサーバー等に歳出しているわけですけれども、その運用実績でしたり、これを導入してどんな効果や成果が出たのか、お伺いしたいと思います。

○奥田契約調整担当部長 電子調達システムでございますけれども、その導入の効果につきまして、都民の方や事業者の方の利便性の向上、業務の効率化といったことが挙げられます。また、事業者の方の経費の負担軽減、これは往復の交通費等が削減されるといったことでございます。また、多くの事業者の方に入札参加の機会を提供する、あるいはプロセスを透明化することによって適正な業者さんの確保が保てるということでございます。また、結果といたしまして、都の事務の効率化にも資しているというふうに考えております。
 なお、電子調達システムの対象事業者が一万八千者ほどございまして、非常に効率的に運用しているというふうに考えております。

○滝沢委員 その電子調達システムで都民の方々が利便性がふえたというような、今ご答弁をいただきましたけれども、三億を超える高額なものであって、やはり都民にとって事業者にとって、今後も、事務だったり、その運用について、利便性をやはりしっかりと追求していただきたいと思います。
 次に、財務管理費の職員費の不足が生じて、建築保全費から流用ということだったんですけれども、その財務管理の職員費に不足が生じたのがいつで、建築保全費からいつ流用しようというふうに決定されたのか、お伺いしたいと思います。

○藤原経理部長 職員費の流用のご質問でございますけれども、この流用は、平成二十年度の給与費のベースダウンに対応するためのものでございます。財務局の給与費のベースダウン相当額の減額は、平成二十一年、第九十八号議決におきまして減額補正をしたところでございますが、その際に、科目内の補正額のふくそうを避けるために、建築保全費の給与費に係る減額分について、総務管理費で一括して行ったものでございます。このため、年度末に調整を行うために流用を行ったというものでございます。

○滝沢委員 建築保全費の中で五千百万一千円流用した中でも、不用額ということで三千三百万ぐらい逆に余っていた中で、もともと建築保全費自体の予算立てと、その職員費の流れる動きというのがなかなか難しかったのかなというようなこともしますけれども、局内でのその流用でしたりとか、予算を組んだ中での組み立ての形というのが、流用を前提だった可能性が出てきてしまう面があると思うんですね。その五千万、三千万という中での、八千万に対しての五千万の流用ということになってきてしまうと思いますので、その予算に対しての考え方、そして方向性というのが一つ大きくなると思うんですけれども、その関連で、社会資本等整備基金の積立金、これも不足が生じたためということで積立基金への流用をされているということですけれども、これについてもお伺いしたいと思います。

○藤原経理部長 社会資本等整備基金積立金への流用でございますが、土地信託の配当金につきましては、社会資本等整備基金に積み立てることをルールとしてございます。
 平成二十年度の土地信託配当金が当初の見込み額を五千四百万円上回って収入したところでございます。このため、一般会計の積立金歳出額をふやす必要がございまして、不用額が見込めた財産運用費から社会資本等整備積立金への流用を行ったものでございます。

○滝沢委員 その不足分と積立分ということで関連して聞いてきたんですけれども、決算を踏まえた中で次の予算に対する考え方とその財産管理ということを、次、お伺いしていきたいと思うんですが、債権管理等、各局において公有財産等、行政財産や固定財産もあると思うんですけれども、財務諸表によると、事務の適正な執行に努めなければならないという指摘もいただいているんですけれども、適正な管理、重要性ということについてどのようにお考えなのか、お伺いしたいと思います。

○松本財産運用部長 公有財産は、もとより都民から負託を受けた貴重な財産ということでございますので、その適正な管理ということにつきましては、財務局でも重要な責務であるというふうに認識をしてございます。
 公有財産、行政財産、普通財産ございますけれども、特に行政財産につきましては、一義的にはその管理をするのは各局ということでございますけれども、しかしながら、そういった各局の責務でありながら、その管理性を保つということで、平成十九年度に各局における財産の自己点検制度といったものを導入しまして、適正な管理を強化してまいりました。
 また、そうした自己管理だけに任せるのではなく、財務局といたしましても、財産の一元的な管理を強化するため、台帳の電子化を進めると同時に、各局における財産の適正管理をさらに強化するため、各局の自己点検も踏まえました行政財産等の実地調査を行い、公有財産の適正管理を強化してきております。
 今後につきましても、引き続き、これらの取り組みを通じまして、財産の適正管理を強化してまいりたいと考えております。

○鈴木委員 それでは、私から何点かお伺いをさせていただきたいと思います。
 二十年度決算については、さきの財政委員会でも質疑のあったところでありますが、都税収入が減少に転じるという、都財政を取り巻く環境の大きな変化の中で、都政が直面する諸課題に積極的に対応しながら、さまざまな取り組みによる収支を均衡させ、財政の健全性も維持するということになっています。
 財政委員会では、二十年度決算の内容を掘り下げて分析を行い、二十年度の財政運営を中心に質疑を行いましたが、私からは、少し視点を変えてこの決算を分析してみたいというふうに思っております。
 二十年度の決算にあらわれている現在の健全な都財政の姿は、二十年度単体の財政運営のみならず、石原知事就任以降、この十年間の財政運営の積み重ねがもたらした成果であろうというふうに考えています。そこで本日は、二十年度決算の特徴を見た上で、それが、この十年間、どのような局面でどういう財政運営を行った結果としてもたらされてきたのか、過去にさかのぼってひもといてみるというアプローチで分析を進めていきたいと思っています。
 まずは、二十年度決算の特徴について、改めてお伺いいたします。

○長谷川主計部長 二十年度決算の実質収支は、十七年度以来の黒字基調から一転しまして、ほぼ収支均衡の決算となりました。一方、経常収支比率は八四・一%と、引き続き弾力的な財産基盤を維持しており、こうした点が二十年度決算の特徴であると考えております。これは、都税収入が減少した中で、都政が直面する諸課題に積極的に対応する一方で、都民生活にかかわりが少ない経費については抑制を図ったことなどによるものでございます。
 具体的には、まず歳入面においては、都税収入が、急速な景気悪化を背景とした法人二税の減少などにより、総額で前年度比二千四十億円の減となる中におきまして、都債につきましては、必要な施策の財源確保のために、将来への財政負担を十分に考慮しながら、これまで財政再建の取り組みの中で培ってまいりました発行余力の範囲内で活用した結果として、前年度比一千四百六十六億円の増となっておりますけれども、一方、都債の現在高については、償還を進めたことによりまして、前年度から約四千億円減の五・九兆円というふうになっております。
 また、歳出面におきましては、政策的な経費であります一般歳出において、人件費については減とする一方で、事業費につきましては、とりわけ昨年夏以降の経済危機に対しまして、補正予算の編成などで雇用対策や中小企業支援などの緊急対策に積極的に取り組んだことなどによりまして、全体として、前年度比二千四百七十一億円の増とするとともに、将来を見据え、二千五百億円を超す社会資本等整備基金への積み立てを行うなど、中長期的な財政需要にもしっかりと備える取り組みをも行った点も特徴として挙げられるものと考えております。

○鈴木委員 今も答弁で、中長期的な財政需要にもしっかりと備えるという特徴を持って行った点も、特徴として自分たちは考えているというような答弁があったわけでありますが、二十年度の決算の特徴というのは、あと経常収支比率、都債、基金の三つにあらわれていると考えることができるというふうに思っています。これらの数値は、一般的にも財政の健全性を示すものといわれており、この間の財政運営や、その結果として都財政の回復過程をはかるよい物差しになると考えられます。したがって、今回の質疑は、この三点を中心に行ってまいりたいというふうに思います。
 まず、経常収支比率についてでありますが、この比率は、財政再建推進プランにおいても目標として設定した指標であり、当然、財政の弾力性を直接示す重要な指標でもあります。十七年度決算において、プランで掲げた目標を下回る八五・八%となり、財政再建にも一つの区切りをつけることになりましたが、ここまでの道のりは非常に厳しいものであったというふうに思います。
 そこで、この間の取り組みと経常収支比率の推移について、改めて伺います。

○長谷川主計部長 都はこれまで、二度にわたる財政再建推進プランを策定いたしまして、都財政の構造改革を徹底的に進め、内部努力の徹底、施策の見直し、歳入確保などを主な柱として、全庁が一丸となって財政再建に取り組んでまいりました。具体的には、十八年度までの七年間で一万人を超える職員定数を削減し、職員給与につきましても、当時、全国で最も厳しい給料削減を実施するなど、内部努力に徹底して取り組んでまいりました。
 それとともに、すべての施策及びその実施体制について、聖域を設けることなく、時代状況の変化や区市町村との役割分担など、あらゆる角度から精査、点検を行い、見直し、再構築を図るなど、身を削る努力を行ってまいりました。
 これらの取り組みによりまして、十一年度において一〇〇%を超えていた経常収支比率は改善に向かい、十七年度には八五・八%と、財政再建推進プランで掲げた九〇%以下という目標を一年前倒しで達成することができました。

○鈴木委員 わずか六年間でここまでの成果を上げることができたのは、これまでのやり方ではもはや立ち行かない、そのような強い危機感と改善に向けた使命感のもとで、財政再建に大きくかじを切り、財政の質的転換を図ったことであるというふうに考えます。特に、先ほど答弁の中にありましたが、職員定数の削減、それから当時、全国で最も厳しい給料削減を実施したというような、本当に身を削るような努力をやはりしてきた。そして、それをさらにきちっととらえて、財政再建、将来の東京にやはり責任を持とうというようなことでしてきたその努力というものは、はかり知れない、また、本当に評価に値するものであるというふうに思います。
 経常収支比率について、さらに続けたいと思いますが、十七年度に目標を達成した後も、引き続き八〇%台を維持し、二十年度決算では、十七年度とほぼ同じ水準の八四・一%となっています。この間も引き続き堅実な財政運営を行ってきておりますが、同程度の数字であっても、その中身は実は大きく異なっているように感じられます。
 そこで、十七年度と二十年度の経常収支比率について、その内容の推移について詳細にご説明を願います。

○長谷川主計部長 ただいま委員からお話のございましたとおり、十七年度と二十年度の経常収支比率は、数値こそ同じ水準でございますけれども、その内容には相違が見られます。
 そこで、十七年度と二十年度の財政運営の特徴を分析するために、まず経常収支比率の分子となる歳出について比べてみますと、第一に、人件費につきましては、両年度とも対前年比で減少はしておりますけれども、特に二十年度の人件費につきましては、十七年度の二・五倍程度の幅で、より多く減少しているという状況でございます。また、補助費につきましても、二十年度は十七年度に比べまして、その増加を抑制しておりまして、歳出合計では、十七年度が対前年比三・七%の増となっているのに対しまして、二十年度は、公債費の増加を加味しても、なお対前年度比で二・三%の増に抑えておりまして、より財政体質の改善に向けた取り組みを進めているということがわかると思います。
 なお、公債費につきましては、二十年度の方が、十七年度に比べ多くの償還を行っておりまして、この点でも財政体質は改善されているというふうにいえると考えております。
 このように、分子である歳出の面におきまして、二十年度の方がより抑制しておるわけでございますけれども、一方で、分母となる都税収入の対前年度比では、十七年度においては増加、二十年度においては都税収入が減少しているということがございますので、経常収支比率は、結果としては、数字の増減だけを見た場合には、十七年度は前年に比べて改善、二十年度は悪化しているというふうに見えてしまうことになっております。
 このように、まさにご指摘のように、経常収支比率をもとに財政運営を評価する際には、短期的に値が改善した、あるいは悪化したという結果だけをとらえて判断できるものでは必ずしもありませんので、歳出構造や都税収入の動向などを踏まえた、より詳細な分析を行うということは不可欠であると考えております。

○鈴木委員 今も答弁がありましたが、同じような数値であっても、歳出構造などを踏まえて、より詳細な分析を行わなければ適正な評価ができないということがよくわかりました。この数字だけをとらえて財政運営のよしあしを論じることは困難ではありますが、財政の弾力性を図る重要な指標であり、これまでの努力が数値としてあらわれていることは紛れもない事実でもあります。
 いずれにしろ、財政の弾力性は、財政運営において非常に重要なものであり、引き続き弾力的な財政基盤を確保していくことが必要であるというふうに考えます。
 続いて、都債について伺います。
 都債は、投資的経費の財源として活用されるのが大原則であります。都債発行額を論じる際には、投資的経費とあわせて考えることが必要であります。さらに、ストックとしての現在高と、フローとしての単年度の公債費も押さえておく必要がありますが、それらは短期的にリンクはせず、都債現在高の増加は、将来の公債費負担の増加としてあらわれるなど、複合的な視点で見るべき非常に奥の深いものであるというふうに考えられます。
 そこで、都債について、投資的経費、発行額、現在高及び公債費の四点から詳しく説明を願います。

○長谷川主計部長 ちょっとかみ砕いてご説明させていただきます。
 まず、投資的経費でございますけれども、バブル経済崩壊後、必要な社会資本の整備を進めていくのに際しまして、大量の都債を発行することでその財源を捻出してきたという面があったわけでございますけれども、その後、財政の対応力が限界を迎えるという中で、平成八年に策定いたしました財政健全化計画などに基づきまして、投資的経費の削減にいち早くかじを切った結果、最大二兆円を超える規模であった投資的経費について、二十年度においては七千億円程度の水準にまで減少しております。
 また、最大一兆円を超えておりました都債の発行額につきましても、財政再建プランに基づきまして、十二年度以降は五千億円を下回る水準まで抑制するとともに、とりわけ十八年度、十九年度におきましては、税収の増加などを活用しまして、財政基盤の強化に財源を重点的に振り向け、二千億円程度の水準まで抑えてまいりました。
 この結果、二十年度の都債現在高につきましては、ピーク時の約七兆七千億円から約一兆八千億円減の約五兆九千億円となっております。
 そして、公債費でございますけれども、公債費につきましては、十八年度において、減債基金の積立不足など、いわゆる隠れ借金を解消するために一時的に増加いたしましたけれども、これまでの都債の発行抑制の効果があらわれまして、十九年度以降、減少に転じる段階に達しております。さらに、ここ数年の都債発行額の抑制は、将来の公債費負担の軽減に大いに資するものであるというふうに考えてございます。

○鈴木委員 今の答弁でも、非常に理解がしやすい答弁をいただいたと思いますが、これまでの投資的経費の削減というのは、それに合わせた都債発行額の抑制、この積み重ねが現在の都財政の姿をつくり上げていることを端的に示したものであるというふうに思います。現在の都債発行額を見ても、十分な発行余力の中で活用されており、今後の公債費が、将来、また未来にわたって、都民に対して過度の負担にはならない数字になっているというふうに思います。
 意外とこういうことが都民の側に知らされていないというような気がするんですね。ですから、やっぱりその辺のPRとか、それから、これは具体的な、今いった指標に関してのものも、やはり上手に知らせていく方法を考えていくことも一つの知恵かなというふうに思いますし、それが都民にとってみると、財政健全性、またはそういうのを考えるときの安心とか、または安全につながっていくというふうに考えられますので、一つ、その件だけは申し添えておきたいと思います。
 最後に基金であります。
 将来の財政需要に備えるとともに、世代間の財政調整機能を持つ基金の残高は、都債とあわせ、都財政の健全性を図る重要なものであります。都は、財政調整基金を初めとしたこれらの基金を、財源として活用可能な基金、そのように呼んでおられますが、これらの基金はこの十年間で大きく増加をしています。
 そこで、これら財源として活用可能な基金の状況について、改めて説明を願います。

○長谷川主計部長 活用可能な基金の残高は、平成元年度には約一兆円ございましたけれども、バブル経済崩壊後の財源対策などのために、そのほとんどを取り崩したところでございます。その結果、十一年度には八百六十九億円、さらに、そのうちの財政調整基金につきましては約十五億円と、都の財政規模からすればほとんどゼロに近い状態にまで陥ったところでございました。
 そうした中で、都としては、先ほど答弁いたしましたように、財政再建に向けたさまざまな取り組みを通じまして、歳出の適正化を図る一方で、税収動向などを常に念頭に置きつつ、基金については、将来を見据えて、積み立て可能な時期には着実に積み立てを行うこととしてまいりました。
 こうした取り組みは、地方交付税の不交付団体であるとともに、都税収入の多くを法人二税に依存するなど、景気変動の影響を受けやすい不安定な歳入構造にある東京都の財政にとりまして、中長期的に安定した財政運営を実現する上で非常に重要なものと考えております。こうした視点に立って、これまで都税の増収などを活用いたしまして基金の確保に努めてまいりました結果、二十年度末時点の活用可能な基金の残高は一・五兆円台となっております。

○鈴木委員 今の答弁にあったように、残高が一・五兆円台となっていると。確かに非常に膨大な基金が積まれていると思いますが、先ほども最初にお答えになったように、平成元年度に一兆円あったものが、バブル崩壊時にやはりゼロに近づいたということでありますから、将来の社会情勢の変化がどのようなことが起こるか、非常にわからない時代に入っている。そういう時代に対して、やはりどういう基本的な財政運営または基金の活用を考えていくかというのは、特定目的も含めて、実は基金のあり方そのものが問われてくる時代に入っているというような気がいたしますので、ぜひその辺はもう一度知恵を絞って考えていく。我々も何か意見があれば、またそういう見解があれば提案もしていきたいと思っておりますが、そういうことも踏まえて、基金というのは考えるべきだろうということも示唆をさせていただきたいと思います。
 都は地方交付税の不交付団体でもあり、景気変動の影響を受けやすいという歳入構造をかんがみますと、将来を見据えた中長期的な視点を持った財政運営は不可欠なものであると考えます。あわせて、都債も含め、この間培ってきた財政の対応力を、今後は計画的に活用していくことも重要だと考えられます。
 なお、活用可能な基金の中には東京オリンピック・パラリンピック開催準備基金が含まれており、現在のところ四千億円が積み立てられております。二〇一六年の招致はかないませんでしたが、今後、再度の立候補なども含め、オリンピック・パラリンピックについては、知事もいわれるように、都民本位で適切に議論をされることと思いますし、この基金が都財政にとって中長期的にも貴重な財源であることには変わりありませんので、十分な検討の上、対処されることを望んでおきたいと思います。
 ここまで、過去の財政運営をさかのぼることで二十年度の財政を見てきたわけでありますが、東京について見ますと、これまで、日本どころか、アジアの枠すら超えて、世界の中心としての活躍が期待をされ、その役割を十分に果たしてきたといっても過言ではないと思います。このような世界に名立たる国際都市としての東京の成長を力強く支えてきた都の行財政運営は、まさに国や他の地方自治体に範を示すものでありました。知事と議会が一体となり、常に都民の目線で物事を考え、都民の声を聞きながら、ありとあらゆる分野で先駆的な施策を展開し、大きな成果を上げてきたといっても過言ではないと思います。また、そればかりか、一国の規模に相当する財政を巧みにかじ取りをし、強固で弾力的な財政基盤をも築き上げてきたのであります。
 引き続き課せられた使命を果たしていくためには、これまでどおり、住民本位の政策展開と、何よりもそれを継続的に安定的に展開し得る財政運営が不可欠であります。
 そこでまず、住民本位の政策展開に関して、マニフェストについての私の考えを述べさせていただきたいと思います。
 マニフェストとは、これを公表した時点では、あくまでもその政党の考え方にすぎず、たとえ選挙で勝利したとしても、ここで掲げたすべての政策が、都民、国民、関係者の理解や支持を得ているというわけではないというふうに思います。それを実行に移す段階で、改めて多くの国民、都民の声を聞き、是非も含め、あらゆる場で徹底的に議論をしなければならないと考えます。
 我々がなすべきことは、都民、国民の生命、財産を守り、安全と安心を実現することであります。我々はこの理念を実現するため、日々汗をかいているのです。マニフェストに掲げた政策を、施策をそのまま実行することは、この理念にもとることがわかった場合、勇気を持って方向転換することも必要でありましょう。逆説的ではありますが、そういった決断もまた政治の王道といって構わないというふうに私は考えています。
 続いて、財政運営についてであります。
 この十年間で、瀕死の状態の都財政を立て直し、ここまで健全な財政体質をつくり上げたことは、石原都政最大の成果であるといっても過言ではありません。
 しかしながら、二十年度決算を見て非常に気になることがあります。それは、都財政を取り巻く環境の変化の度合いの深さとスピードの速さであります。特にスピードの速さであります。都税収入は、十五年度を底として、以後四年間で急激な回復をしたのもつかの間、二十年度決算で一転して下降に転じております。さらに、二十一年度当初予算においては、前年度比七千五百二十億円という、単年度としては過去最大の減収を見込んでおります。
 これまでも景気の波があったことは当然でありますが、近年の数字を追ってまいりますと、都財政を取り巻く環境が、より短期間で急激に変動していることが見てとれるわけであります。都財政を取り巻く環境がこれほどまでに激しく変動する時代において、住民本位の政策展開を安定的、継続的に支え得る財政運営を行っていくには、財政再建の過程で得たノウハウ、そして財政再建後に培ってきた財政の対応力に立った財政運営が、より一層強く求められていくのではないかというふうに思います。
 特に、この決算を踏まえていろんな議論が出ると思いますが、そのことを踏まえ、今後の予算、または将来の東京都が最重点に掲げるであろう、または新たに東京を進化させるために考えていくような施策に、この意見または考え方が十分に反映されていくことが、本来、この決算を我々が認定することの意義であるというふうに私は思いますので、そのことを特に申し添えておきたいというふうに思います。
 最後に、今後の財政運営に当たっての考え方、局長としての決意を伺って終わりたいと思います。

○村山財務局長 ただいまご指摘をいただいたように、東京都の財政というのは、非常に税収入の変動が激しいというのを本質的な性格といたしておりまして、ある面で、我々はそれを前提としなければならないと。しかも、近年、ご指摘のように、それが非常に激しくなってきているということもまた事実でございます。
 この十年間の石原都政下における財政運営を振り返ってまいりますと、地方交付税の不交付団体である都として、今申し上げたような点、ご指摘いただいたような点を前提として、その中でどうやって必要な都民サービスを安定的、継続的に提供していけるかというところに、財政運営上の最も大きなポイントを置いてきたというふうに考えております。
 そういうことから、国も含めて、どこの団体よりも早く財政再建に取り組み、そうした取り組みの成果が、ご指摘いただいた三つの指標、八〇%台半ばの水準まで改善してきた経常収支比率、あるいは五兆九千億円というふうに、ピークから見ますと一兆八千億円も減額した都債の残高の水準、さらには一兆五千億円を超える基金の残高など、今日の都財政の健全性という形であらわれているものというふうに思っております。
 この成果が、今後の想定される変化の中における財政の対応力という意味においては、大きくそれを向上させたものというふうに考えております。
 こうした成果というものは、財政再建というものを達成した後においても、それに安住することなく、また税収が一時期に伸びたとしても、それで安心するというようなことはなく、しっかりと、歳出の拡大をいたずらにふやすような安易な財政運営の態度をとらずに、常に堅実な財政という基本に立って運営を行ってきた結果であるというふうに考えてございまして、このことは、この十年間の石原都政下における財政健全化の取り組みの大きな成果であるというふうに思っております。
 また、今後への大切な基礎体力というふうになろうかと思っておりまして、この点については、お話もございましたように、都民の皆様方にその点についてもよくご理解いただくように、我々としても努力していく必要があるというふうに考えております。
 同時に、ここに来ての都財政を取り巻く環境は非常に厳しくなってきておりまして、深く税収が落ち込み、かつ、当面大きく好転はしないだろうと考えた方がよかろうという状況にございます。
 したがいまして、これからの財政運営はこうした状況を十分に認識して行わなければならない。もとより、これまで培ってきた、先ほど申し上げたような成果というものは当然活用するわけでございますけれども、それだけではなくて、さらに、みずからに対して厳しく政策の点検、むだをなくす努力などをしていかないと、この危機というのは、直面している非常に厳しい状況というのは克服することができない可能性もあるというふうな厳しい認識で、私どもとしては臨まなければならないというふうに思っております。
 改めまして、今ご総括いただきました十年の都財政の基本的な姿勢に立ち返って、今後、厳しい環境にしっかりと立ち向かってまいりたいというふうに決意しているところでございます。

○大松委員 私の方からは、平成二十年度決算資料をもとに、基金積み立てについて質問をいたします。
 普通会計の貸借対照表によれば、資産の部は九千二百七十九億円の増、負債の部は三千五百三億円の減、その差額であります正味財産は一兆二千七百八十二億円ふえております。また、資産の部におきまして、将来に備えて五千七百十二億円の基金が積み立てられまして、都財政は着実に健全化が進んでいるものと評価をいたします。
 ここで忘れてならないことは、こうした財政の健全化は、いわれなき東京富裕論がいうように、都の財政環境が恵まれているからではないということであります。むしろ東京都の財政環境は厳しく、税収が折々の経済情勢に左右をされまして増減が激しく揺れ動く中で、都が懸命な努力でかち取ってきたものでありまして、今後もその努力を怠ってはならないわけでございます。
 これまでの財政環境を見ましても、平成三年から六年の三年間で約一兆円が減収したことがありました。現在も、二十年度の税収が二千四十億円減少し、二十一年度は、当初予算で約七千五百億円という過去最高の税収減、二年間で一兆円近い減収という厳しい局面を再び迎えているわけであります。今後の財政環境を展望しましても、大きな好転を安易に期待することは難しいわけでございます。
 こうした東京特有の財政環境を克服して、日々の暮らしを営む一千万都民にどう安定的に継続的にサービスを提供していくのか、都財政の最大の課題でありまして、ここで重要な役割を果たすのが基金の活用になるわけでございます。
 ところが、この基金の積み立てにつきまして、共産党は、空前のため込み、逆立ち、都民のために使う予算が犠牲などと、いかにも悪いことのようにいっておりますけれども、家計においても、好調のときには貯蓄、不調のときには貯蓄を切り崩すというのは当たり前の話でありまして、共産党のいい方は、都民に無用な誤解と混乱を与えるものであります。
 二十年度決算について議論するに当たりまして、都財政の対応力がどう確保されているのか、特に活用可能な基金がどう積み立てられているのか、二十年度の主な基金の積み立て状況について、まず伺います。

○長谷川主計部長 基金の積み立てでございますけれども、積み立てには元金積み立てと利子積み立てがございますが、二十年度の元金の積立状況につきましては、社会資本等整備基金に二千五百八十一億円、年度間の財源調整を目的とする財政調整基金に十四億円を積み立てたところでございます。このほか、東京オリンピック・パラリンピック開催準備基金に一千億円の積み立てを行うことなどにより、活用可能な基金の充実を図ったところでございます。

○大松委員 二十年度の基金積み立ては、都有施設の更新、またインフラ整備等に使います社会資本等整備基金が中心でございます。このうちの都有施設につきまして、主要施設十カ年維持更新計画を見ますと、今後十年間の更新需要に係る経費として八千三百億円が見込まれております。こうしたことから、二十年度は社会資本等整備基金に、可能な限りの額として二千五百億円を積み立てたわけでありまして、妥当なものであると私どもは評価をしております。
 そこで、この主要施設十カ年維持更新計画の中身を見ますと、二十一年度から三年間の一期分で名前が挙がっている施設百三十三カ所のうち、安心・安全のかなめである警察署や消防署が二十九カ所、子どもの安全を守り、災害時には避難場所となります教育施設が五十カ所、福祉、医療、サービス拠点が十三カ所、災害時の復旧に不可欠な建設事務所などが五施設でありまして、都民の安心・安全を守る施設が九十七カ所、全体の四分の三を占めているわけでございます。
 一九九五年の阪神大震災では、警察、消防職員の皆様方が、不眠不休で瓦れきの下から多くの命を救出されました。その拠点となる警察署、消防署は、住民の安心・安全の屋台骨でございます。また、避難所となるべき学校が壊れたところでは、多くの被災者が、寒空の校庭に張られたテントで寝起きをするなど、劣悪な環境にさらされておりました。神戸の市民病院も無残につぶれたわけでございます。
 また、都有施設とともに、道路や橋梁などインフラ整備も、防災上、大変重要でございます。道路の未整備は、災害時には弱点になりますし、大きな河川が町中を流れる東京都におきましては、安全で堅固な橋梁の整備は防災上も不可欠であります。
 こうした都有施設の更新やインフラ整備のための基金の積み立てのどこが逆立ちなのか、共産党はよくよく考えていただきたいと思います。
 改めて、社会資本整備とその基金積み立ての意義について、局の見解を確認したいと思います。

○長谷川主計部長 ただいま委員からお話のございました警察署や消防署も、ご指摘のとおり、都民生活になくてはならない行政サービスの拠点でございますし、そのほか福祉、医療施設、教育施設など、まさに災害時も含めまして都民の安全・安心を守る拠点となっている都有施設の多くが、施設や設備などの更新時期を迎えておりまして、これらについて、今後、計画的に改築、改修を進めていくことによって、都民サービスに支障を来たさずに的確に対応できるよう、意を用いなければならないと考えております。
 また、三環状道路を初めとする東京の都市インフラにつきましては、いまだ不十分でございまして、都民の利便性や安全性の向上の点とともに、東京の国際競争力や経済活力の向上の点からも、その整備は重要な課題でございます。
 社会資本等整備基金は、これら都有施設や都市インフラなど、社会資本ストックの整備や更新を中長期にわたり着実に進めていくため、あらかじめその財源の一部を確保しておくものでございまして、このような観点から、基金への積み立ては、都民サービスを着実に提供し続けていく上で大変重要な意義を持つものであるというふうに考えております。

○大松委員 こうした社会資本の整備には巨額の財源が必要になりまして、中長期的な視点で取り組んでいかなければなりません。また、行政運営においてコスト意識を高めまして、都民の皆様方にはより丁寧に説明をしていかなければなりません。
 そこで、私ども都議会公明党の東村議員が提案をして、石原知事の肝いりで導入をされました新たな公会計制度が、そのための有効なツールになります。特に、この発生主義の導入によりまして、減価償却額がコストとして把握をされ、将来の社会資本ストックの更新需要の目安となる減価償却累計が明示されるようになりましたこと、その意義は大変大きなものがございます。
 例えば、行政財産のうち、建物の減価償却累計額を見ますと一兆四千四百二十億円です。この膨大な金額は、私たちの子どもや孫である世代が、今の社会資本のレベルを現状維持するために、将来負担しなければならない金額であります。この将来世代の負担をどう減らしていくのか、今、何をしておくべきか、私たち現役世代の責務として考えていかなければならないことが明らかになっているわけでございます。
 もし、今の現役世代が何の手だても講じず、将来に問題を先送りすれば、今後は高齢化に伴う生産年齢人口の減少が見込まれておりまして、子どもや孫の世代は、専ら借金で財源を確保するようなことにもなりかねず、さらに次の世代に負担を先送りするという負の連鎖になってしまいます。東京を孫の世代まで魅力あるものにするために、将来負担を軽減する努力をしていかなければなりません。
 変動の激しい都の財政構造を考え、中長期的な視点で、社会資本等整備基金を活用しながら、いかに計画的に社会資本ストックの更新需要に対応していくのか、局の見解を伺います。

○長谷川主計部長 社会資本ストックの更新需要に安定的、継続的に対応していくために必要な財源をいかに確保していくかは、今後の財政運営における大きな課題の一つでございます。
 まず、基金、ここでは社会資本等整備基金の活用でございますけれども、基金は税収の動向に左右されることなく、財政負担の平準化という役割も担っておりまして、委員ご指摘のとおり、変化の激しい都の財政構造を踏まえますと、都における基金の活用は重要な意義を持っているというふうに考えております。
 また、都債の活用も、世代間の負担の公平性を保つ観点から大変に重要でございますけれども、今後、生産年齢人口の減少が予測され、将来世代の負担能力が長期的に低下していくということを念頭に置いた対応が不可欠でございまして、都債の大量発行によって将来世代に多大な負担を残すことがないよう、活用に当たって十分な配慮が必要というふうに考えております。
 このため、今後、資産の長寿命化や更新経費そのものの低減など、歳出面において努力することはもとより、歳入面におきましては、財務諸表の分析などを通じまして、世代間の負担のバランスにも十分に配慮しながら、社会資本等整備基金や都債を効果的かつ計画的に活用することによりまして安定的な財源の確保に努め、社会資本ストックの更新に、将来にわたり着実に対応していくことが必要であるというふうに認識をしております。

○大松委員 次に、オリンピック・パラリンピック開催準備基金について伺います。
 このたびは、都民の皆様方、国民の皆様方に絶大なる応援をいただきましたが、大変残念なことに、東京招致のこのたびの夢をかなえることができませんでした。
 今後の招致の動向につきましてはまだ不明でございますけれども、やはり石原知事のおっしゃるように、都民の意向が第一であります。その上で、仮に立候補をしないような場合は、この四千億円の基金につきまして、この大切なお金がしっかりと今後の都民のために活用をされるよう対応すべきだと思っております。今後の取り扱いにつきまして、局の見解を伺います。

○長谷川主計部長 オリンピック・パラリンピックにつきましては、今後、再度の立候補なども含め、さまざまな観点から議論が行われていくこととなると考えます。これらを見定めつつ、都財政にとって貴重な財源であるこの基金の取り扱いにつきまして、東京の将来や都民のために生かされるよう、適切に対応してまいります。

○大松委員 本日は基金について質問をさせていただきましたけれども、将来を見据えた堅実な財政運営の結果、二十年度末時点で活用可能な基金の残高は約一兆五千億円台にまで積み立てられているわけであります。共産党がいうような発想で財政を運営しておれば、この基金残高は到底達成できなかったことでありますし、財政環境がますます厳しくなる中で、住民の不安が増していたものと思っております。
 東京都は地方交付税の不交付団体でありまして、国に頼ることはできません。みずからの責任で、将来も見据えた財政運営を行っていかなければなりません。今後、都財政のかじ取りはますます困難をきわめていくと思います。今後の財政運営における基金活用の考え方について、局長の見解を伺い、質問を終わります。

○村山財務局長 ご指摘いただきましたように、都財政にとりましては、基金というのは、都債発行の問題と並んで、いわば財政運営のかなめというような要素でございます。それは、地方交付税の不交付団体であるということを前提といたしまして、いかに大きな税収のプラス、マイナスの変動があっても財政の自立性を確保するというところが、いわば都財政のベースの課題であるからであります。
 同時に、社会資本ストックの更新というような、将来に増大するであろう財政需要というものに対しても、そうした変動の中でどう対応していくのかという点においても、中長期的な視点に立った基金の活用というのが、ほかの自治体に比べて、全く違った意味を持っている要素でございます。
 この点については、今ご指摘をいただきましたように、将来世代にとっての負荷をどう過大なものにしないのか。少子化というようなことも考慮すれば、できれば軽くしておいてあげたいというような点からも、非常に重要な、四次元的といいましょうか、まさに新たな公会計制度におけるテーマとして非常に重要なことであるというふうにも考えております。したがいまして、今後の先の状況について、ますます環境が厳しくなる中にあっては、今後基金が果たしていかなければならない役割はますます重要になっているというふうに考えております。
 したがいまして、今後の財政運営においてどうやって基金を活用していくのかという点でございますけれども、この辺については、税収が変動するのでなかなか難しいところではございますけれども、足りなくなったら全部それを基金で埋めちゃうというわけにもいかないというようなところがあって、バランスをどうやってとっていくのかということが非常に重要な問題になろうというふうに思っておりますが、同時に、基金を計画的に使っていく上での前提といたしましては、やはり歳出の方の問題、あるいは他の歳入の確保の問題というようなところについて、従来にも増して努力していかないと、基金だけに頼るわけにもいかないので、そこのところが非常にこれからの大事なところであるというふうに考えております。
 そういう点では、新たな公会計制度の活用あるいは事務事業の評価というようなことによって、事業のむだをなくして施策の実効性を高める取り組みというのが、従来にも増してさらに必要になるというふうに私どもとしては考えております。
 そういう中で、この間、議会の皆様方のご協力をいただきながら培ってきた基金を初めとする財政対応能力を、我々が直面しております厳しい財政環境のもとにあって、しっかりと有効に活用して、都民生活に安全、安心をもたらす都政の積極的展開を中長期的にできていけるようなしっかりとした財政運営を今後とも続けてまいりたいと、かように考えております。

○古館委員 それでは質問させていただきます。
 今、都民の暮らしと営業は、貧困と社会的格差の広がり、さらには庶民大増税、社会保障の連続的な改悪などによって、かつてない深刻な状況が続いております。この間、都政が都民の暮らしと福祉を守るために全力を尽くすことが求められ続けてまいりました。
 ところが、石原知事が発表した「十年後の東京」に向けた実行プログラムでは、二十一世紀の都市モデルをつくるといいながら、貧困の打開策はしっかりと位置づけることもせずに、知事自身が行った都民税減税の公約は投げ捨てるし、そのかわりだといって来年度予算に盛り込んだ低所得者生活安定化プログラムは、三カ年の期限つきである上、中身も極めて不十分なものといわざるを得ない、このように我が党は指摘をさせていただいたところであります。
 そうした中で、平成二十年度の予算は、都税収入だけでも史上最高の五兆五千億円と見込まれ、一九九九年以来、その伸び率は三六%にもなっておりました。問題なのは、これだけ豊かな財源が真に都民のために使われたかどうか、このことであります。
 まず、そこで伺いたいんですが、平成十九年度の最終補正予算で法人事業税国税化対策特別基金がつくられましたけれども、なぜこの特別基金の提案となったのでしょうか。

○長谷川主計部長 平成二十年度の地方税制改正におきまして、法人事業税の一部国税化という不合理な暫定措置が行われました。これに伴いまして、平成二十一年度以降、法人事業税の減収が確実に見込まれる中におきまして、行政サービスの水準の低下を招くことがないよう必要な財源を確保することを目的として、平成十九年度の最終補正予算で法人事業税国税化対策特別基金を創設したところでございます。

○古館委員 それでちょっとお聞きするんですけれども、都として、この法人事業税の国税化ということについて、どのように評価されているんでしょうか。私はたしか、都は当初、反対をしていたんじゃないかと思うんですが、その点についていかがですか。

○長谷川主計部長 この法人事業税の国税化につきましては、東京都は、国の動きが見え始めた当初から、そして現在におきましても一貫して反対の姿勢を貫いておりまして、そうした立場から、機会があるごとに国に対して、地方税の原則をゆがめ、地方分権改革に明らかに逆行するものといたしまして、直ちに撤廃するよう強く申し入れているところでございます。

○古館委員 一貫して反対をしてきたし、今も強く申し入れをしているということの答弁であります。そうはいっても、結局、東京都が反対し続けてきたんだけれども、国に法人事業税の約半分が国税化という形で持っていかれたということは事実でありますね。
 そこで、その影響額は幾らになるのでしょうか。

○長谷川主計部長 多少、追加させていただきますけれども、今、持っていかれたのは事実というお話がございましたけれども、改めて申し上げるまでもなく、この議論の前提といたしまして、残念ながら我が国におきましては、地方税の仕組みは、法律で国が一方的に決めることができるというものでございます。
 そうした中で、都としてできる限りの反論はしたものの、自治体としては阻止するすべがないという中で、総理から改定の申し入れがあったということで、これを逆手にとる意味で、知事から、恒久的な措置ではなくて、あくまでも税制の抜本改革までの暫定措置とするということ、そして、あわせて、東京にとって必須の事業を優先してくれというような条件を付したものでございまして、法人事業税の国税化が行われたということをもって、東京都がこれを認めてこの結果となったというものではございません。
 なお、法人事業税の国税化による東京都への影響額についてでございますけれども、平成二十一年度当初予算で法人事業税が二千六百九十一億円の減少となるところでございまして、一方で、地方法人特別譲与税として一千五億円が新たに国から譲与されるため、東京都への実質的な影響額は一千六百八十六億円の減収となっております。

○古館委員 差し引きの減収が一千六百八十六億円、その差し引きの前は二千百八十五億というふうに答弁されましたか--そういうような中で、これはどっちにしても非常に大きな金額であります。
 実は、これは議会にも説明がなくやられたんじゃないでしょうか。その後に、国と都との実務者協議会が持たれて、その第一回が二年前の平成十九年でしたかね、十二月二十七日に開かれたと。この十三事業の中には、知事が推進する外かく環状道路の早期着工というのも入っていた。国幹会議はわずか三十分ぐらいの審議のもとに、これらの道路計画などがゴーサインが出されたと。こういう経緯があります。
 ここに首都東京の重要施策に係る実務者による国と都の協議というペーパーがあるんですけれども、ここでは、国は平成二十年度地方税制改正において、法人事業税の一部国税化を行うこととしたと。東京都の平成二十一年度の減収は二千六百九十一億円だったでしょうか。これに先立って、石原知事と、当時福田総理大臣が直接会談をして、その措置を、消費税を含む税制の抜本改革までの暫定措置とすること及び日本の発展につながる首都東京の重要施策に国が最大協力するとの二点を合意したとされています。
 この中ではどういうものがあるかというと、首都東京の重要施策リストとして、東京都として十三項目、これを列記したんですね。三環状道路の促進、それから、高速道路網の合理的な料金体系の構築や外かく環状道路の整備促進、それから、首都の効率を増進するインフラ整備を初めとして、首都の効率を促進するこうした整備計画を十三項目掲げていたんですね。
 そこでお尋ねしますが、国と都の協議でこんなことまで行われて、国と東京都との実務者協議会、これまでつくられている状況であります。こうした実務者協議会、協議が行われていることについて、東京都としては承知をしているのでしょうか。

○長谷川主計部長 国と東京都の実務者協議会、これに関しては所管が知事本局でございまして、この場で詳細にお答えする立場にはございませんけれども、実務者協議が行われていることについては、当然承知しております。
 その中では、この十三項目でございますけれども、羽田空港の国際化や、東京の渋滞緩和に資する外かく環状道路の早期着工、あるいは東京独自の認証保育所制度の承認に係る国との協議など、これはいずれも東京都及び都民にとって、ハード、ソフトあわせて非常に重要な施策でございまして、この協議に基づきまして幾つもの実績が出ているというふうに承知しております。

○古館委員 実務者会議が持たれたということについて、今、そのとおりだという答弁なんですね。その第一回が〇七年の十二月二十七日に開かれたんですね。その二日前の十二月二十五日には国幹会議というのが持たれました。翌〇八年、平成二十年ですが、この二月には、羽田空港の国際化について、近隣県の参加を得て分科会を設置して、国との協議が開始されたわけですね。これが実務者会議の第一回の中でずっと、るるやられてきたことであります。
 結局、石原知事は、国税として吸い上げられる、この引きかえに、羽田再拡張や、今お答えありましたけれども、外環推進など、知事の進める都市再生を促進させる、こういう問題でやられたわけですね。もちろん、先ほどいった福祉的なものもありましたけれども、大きなところはこうした大型開発、こういうものであることは間違いありません。しかも、羽田も外環も、無利子貸し付けの直轄事業負担金など、数千億円もの財政投入というおまけまでついている、とんでもない取引だというふうにいわざるを得ないんですね。
 そこでお尋ねをいたしますけれども、もう一つは、大型開発など都民不在のため込み、私ども日本共産党はこの基金について、こうした大型開発などのため込みについては批判をしてまいりました。しかし、我が党は、都民生活にかかわった基金などにつきましては、都政運営にとって重要な役割を担っていると、こういうのは従来から一貫した立場であります。
 今、審議している〇八年、平成二十年度の当初予算と、法人事業税国税化対策特別基金がつくられた前年度の補正で、七千億円の新たな積み立てがありますね。そのうち、オリンピック基金は一千億円、この三カ年で四千億近い基金となっております。
 このオリンピック基金につきましては、まずは取り崩しをして、とりあえず、私どもは財政調整基金に組み込むなどして、都民の暮らし最優先に使うことを求めたいと思いますが、いかがでしょうか。

○長谷川主計部長 オリンピックの基金についてでございますけれども、先ほども答弁申し上げましたとおり、オリンピック・パラリンピックにつきましては、今後、再度の立候補なども含めまして、さまざまな観点から議論が行われていくということになると考えます。これらを見きわめつつ、都財政にとって貴重な財源であるこの基金の取り扱いについて、東京の将来や都民のために生かされるよう、適切に対応してまいりたいと考えております。
 それから、その前段の中で、都の予算について、偏った形でつくられてきたのではないかといったような趣旨のお話がございましたけれども、東京都の予算はこれまでも、福祉、医療、教育はもとより、中小企業対策や東京の都市機能の充実など、都民にとって必要な施策には的確に財源を振り向けておりまして、都民の期待にも十分にこたえる予算としているものというふうに考えております。
 それと、知事がこの国税化の実務者協議などについて、この国税化を受け入れるということについて、あたかも都市再生の促進のためにやったのではないかというように受けとめられるようなお話がございましたけれども、これは先ほど来述べましたとおり、国が法律で一方的に地方税を変えることができるという現行の仕組みの中にありまして、地方がそれに対して合意するというようなことはあり得ない話でございまして、実際にこれまでも、法人事業税の分割基準なども、何らそうした都側の意向は全く聞かれることなく、変更を強いられるというような経緯もございました。
 そうした中で、知事が都民の立場に立ちまして、議会のご協力もいただいて、最低限、この税制の抜本的な改革が行われるまでの暫定措置ということにさせるという条件を付したということは、これは国と地方との関係におきまして、これまで例のないことではないかというふうに考えます。
 時の総理がいわば、手続としては一方的に見直しを行っていくという意向を決めている中におきまして、本来は出し得るはずもない二つの条件を知事から示したというものでございまして、恒久措置にさせるということではなくて、あくまでも暫定措置にせよという条件を付したものであります。
 これら、暫定措置にするという条件と、日本の発展につながるような首都東京の重要施策に国が最大限協力するという、いわゆる実務者協議の枠組み、この二つについて条件を付してやってきたということでございまして、先ほどのお話は当たらないというふうに思っておりますし、仮にこうした条件を国に対して示すということ自体が間違っていたというようなことであるとすると、それは非常に適当ではないのではないかというふうに考えております。

○古館委員 そうはいうけど、先ほど私もお話ししましたけれども、羽田だとか外環だとか、これについて東京都として無利子貸し付けの直轄事業負担金、こういう数千億円に上る財政投入、東京都がそういうことをやるということについては、もうゴーサインなわけでありますね。ですから、それについて私たちは批判をしているわけであります。
 それで、今後、再度の立候補を見据えてなんていうふうにいっていますけれども、とんでもない話ですね。これはやっぱり、この間、オリンピック招致の問題について、既に東京都は選ばれなかった。そういう中では、やっぱり一たん振り出しに戻していくということが本来の東京都としてのあるべき姿だと、このことを強く申し述べて、私の質問を終わります。
 以上です。

○伊藤委員 私からは、都の出資に関してお伺いしたいと思います。
 民主党は、平成二十年度の九月補正に関して、その大半が、新銀行東京が経営を失敗し、都の出資を含む資本を大きく毀損したことによる会計処理と位置づけたわけであります。そして、新銀行や都の責任が明確にされない時点での減債基金への積み立ては、年内にはやるべきですけれども、今行うことは、かえって都の財政規律を無責任にするものというふうに主張をさせていただきました。
 その私たちがそれまで処理を待つべきとした新銀行に対する金融庁の検査結果が翌月の十月二十一日に示され、年末の十二月二十六日には、同じく金融庁から、審査体制の不備や、詐欺事件の再発防止策の策定などを求める業務改善命令が出されて、新銀行の経営悪化の実態が浮き彫りとなったわけでございます。
 平成十六年当時、東京都は、公募十年債七百億円分の発行など、新銀行東京への出資金が将来にわたって維持されると国に対して説明し、債券発行の許可を受けてきました。しかし、新銀行が経営を失敗したことにより、都の出資金の相当の部分が三年で失われてしまいました。昨年度、出資法人である新銀行東京の経営状況の悪化によって、都は追加出資四百億円の財政支援を行うこととなったわけであります。
 さらに、減資に伴って、減債基金に五百四十億円を積み立てざるを得ない事態となり、都財政に悪影響を与えることとなったのですけれども、東京都の見解をここで伺いたいと思います。

○長谷川主計部長 昨年度の九月補正予算で計上いたしました減債基金への積み立てにつきましては、新銀行東京の減資が確定したことを踏まえまして、都の出資金が出資先に維持されなくなったため、出資の際に発行した都債を繰り上げ償還するかわりに行ったものでございまして、地方財政法の趣旨に基づく義務的な経費であることから、財政規律の観点からも、先送りすることなく、早急に対応したものでございます。
 これは、毎年度減債基金に積み立てていくべき支出について、いわばその積み立ての時期が前倒しになったというだけのものでございまして、早期の積み立ては、都債発行条件の改善や基金運用益の増加など、財政上の効果もあることから、都財政に悪影響があるとはいえないものと考えております。

○伊藤委員 私は、新銀行が経営に失敗をし、平成二十年度二月補正予算によって急遽四百億円の追加出資をしなければならなくなったこと、そして都民の税金八百六十一億円を失ったこと自体が、東京都財政への悪影響だというふうに考えるところでございます。
 新銀行東京による出資金の毀損を受け、減資による減債基金への積み立てをすることとなり、都は出資割合の責任分担に応じ、案分した額を積み立てることとなりました。これは国との調整が必要となったのですが、新銀行東京に関して、都は国にどのような報告を行い、結論を得たのか、伺いたいと思います。

○長谷川主計部長 国との調整というお尋ねでございますけれども、昨年度、新銀行東京の減資が決定したことによりまして、都の出資金が出資先に維持されなくなったということで、地方財政法及び地方債同意基準の趣旨に基づいて、繰り上げ償還などの措置が必要となってございます。
 そこで、総務省とは、まず、この出資債が市場公募の満期一括債として多数の投資家に購入されておりまして、繰り上げ償還ができないという状況でありますので、減債基金の積み立てで対応するというそのやり方、次に、義務的経費として減債基金に積むべき金額については、減資割合に応じて計算した五百四十億円とするというこの金額、さらには、減債基金を積み立てるべき時期について、明文の規定はない中でございますけれども、早急に対応するために、直近の平成二十年第三回定例会の補正予算案で提案するということにつきまして確認をした上で実施したということでございます。

○伊藤委員 都債七百億円分のうち六百三億円分、そして都の一般財源も二百五十八億円分、これらの出資金はすべて都民の税金であります。これらが三年で消えてしまったということになるわけですけれども、都も、出資債が失われ、減債基金に積み立てる事態となったのは初めてのことであると、このように伺っております。また、都債説明会や投資家への訪問時に、投資家から新銀行に関する質問を多く受けたというふうにも仄聞しています。
 まさに新銀行による出資金の毀損は異例の事態といえるということでございますけれども、これまでも、臨海三セク三社の民事再生手続や、東京都道路公社が運営していた有料道路の赤字増大への対応など、新銀行東京の累積赤字も含めた外郭団体の経営悪化は、都政にとって重要な課題となってまいりました。平成二十年度決算でも、累積損失を抱える監理団体が存在するなど、都の財政運営にとって大変気がかりなものとなっています。
 一方、平成二十年度から地方財政健全化法が施行され、地方公営企業だけでなく、地方独立行政法人や、あるいは地方公社、第三セクターの将来的な財政負担、都が負担すべき債務保証や損失補償などが数値として示されるようになったわけであります。しかし、外郭団体すべてではなく、第三セクターの負債の一部を対象としているため、都は出資者として、各団体の経営状況を適切に把握することで都財政全体を健全にさせていく必要があるのではないかというふうに思います。東京都の見解を伺いたいと思います。

○長谷川主計部長 都財政の状況をより正確に認識するためには、普通会計のみならず、出資や補助、貸し付けなど、さまざまな形で分かちがたい関係にある公営企業や監理団体の状況も含めて把握することが重要であると理解してございます。
 今、お話の中にありました財政健全化法における指標として、将来負担比率もその一つでございますけれども、この中では、都の監理団体などとの間で設定している損失補償契約に基づく東京都の負担見込み額も将来負担として算入されるなど、各団体との関係が都財政の健全性を示す指標に影響を及ぼすこともあり得るということとなります。
 いずれにせよ、こうした認識のもとで、日ごろより所管局や関係局において団体の経営状況を把握し、必要な指導を行うことはもとより、都といたしましては、監理団体も含めた連結の財務諸表を毎年作成し、ホームページなどを含め広く公表するとともに、都の関与の状況も明らかにしておりまして、これらを活用しながら、現在及び将来の財政状況をしっかりと見通して適切な財政運営を行うということは、引き続き重要であるというふうに考えております。

○伊藤委員 今、ご説明にありましたとおり、出資している先の団体の経営状況を適切に把握していただくことは大変重要なことだというふうに思いますので、引き続き監視の目を緩めずにお願いしたいと思います。
 地方財政健全化法によって、財政全体の点検や財政情報の開示がより推進されるようになりました。しかし、東京都は、都民が間接的な株主である各出資法人の経営状況をしっかりと把握して、必要に応じて団体の改善に向けた取り組みを行っていかなければなりません。そして、こうした財政情報を都民によりわかりやすく提示していただくことが重要と考えるところでございます。
 これらを求めまして、質問を終わらせていただきます。

○原田委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○原田委員長 異議なしと認め、本件に対する質疑は終了いたしました。
 以上で財務局関係を終わります。
 これをもちまして本日の分科会を閉会いたします。
   午後二時四十三分散会

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