平成二十年度各会計決算特別委員会第二分科会速記録第三号

平成二十一年十月十四日(水曜日)
第十委員会室
   午後一時一分開議
 出席委員 十名
委員長高橋 信博君
副委員長松葉多美子君
副委員長石毛しげる君
吉住 健一君
西沢けいた君
小山くにひこ君
斉藤やすひろ君
西崎 光子君
尾崎 大介君
古賀 俊昭君

 欠席委員 なし

 出席説明員
病院経営本部本部長中井 敬三君
経営企画部長黒田 祥之君
サービス推進部長牛島 和美君
経営戦略・再編整備担当部長斎藤 真人君
福祉保健局局長安藤 立美君
次長杉村 栄一君
技監桜山 豊夫君
総務部長松井多美雄君
指導監査部長松浦 和利君
医療政策部長吉井栄一郎君
保健政策部長住友眞佐美君
生活福祉部長永田  元君
高齢社会対策部長狩野 信夫君
少子社会対策部長吉岡 則重君
障害者施策推進部長芦田 真吾君
健康安全部長鈴木 賢二君
企画担当部長日置 豊見君
地域保健担当部長宮垣豊美子君
生活支援担当部長庄司 貞夫君
食品医薬品安全担当部長奥澤 康司君
感染症危機管理担当部長前田 秀雄君
参事枦山日出男君
参事角田由理子君
参事大久保さつき君
参事中川原米俊君
参事飯塚美紀子君
参事熊谷 直樹君
参事別宮 浩志君
参事中谷 肇一君

本日の会議に付した事件
平成二十年度東京都各会計歳入歳出決算の認定について
病院経営本部関係
・平成二十年度東京都一般会計決算(質疑)
福祉保健局関係
・平成二十年度東京都一般会計決算(質疑)
・平成二十年度東京都母子福祉貸付資金会計決算(質疑)
・平成二十年度東京都心身障害者扶養年金会計決算(質疑)

○高橋委員長 ただいまから平成二十年度各会計決算特別委員会第二分科会を開会いたします。
 本日から三日間にわたり、本分科会所管局の決算に対する局別質疑を行っていただきます。
 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、病院経営本部及び福祉保健局関係の決算に対する質疑を行います。
 これより病院経営本部関係に入ります。
 決算の審査を行います。
 平成二十年度東京都一般会計決算中、病院経営本部所管分を議題といたします。
 本件につきましては既に説明を聴取しておりますので、直ちに質疑を行います。
 発言を願います。

○小山委員 病院経営本部が所管をされております平成二十年度一般会計決算に関し質疑をさせていただきます。
 先日のご説明をいただきまして、この決算が、財団法人の東京都保健医療公社が運営をされております五つの公社病院と検診センターに対する一般会計からの補助金ということであり、また、百六十億円の支出があるというご説明がありました。このうち、約百億円近くの金額が地域病院等の運営に充てられているという説明でございました。
 今日、先般の一般質問でも申し上げましたように、大変な医療環境の変化が目まぐるしく起こっておりますし、また、公的医療の重要性が問われているところであります。そういった観点から、病院運営がどうあるべきなのか、そして、都全体の予算の中でどう対応していくべきなのか、これを問うていくことが重要であると考えております。そして、都として都民に何を公的医療としてどう提供していくか、こういった点について決算の段階で質疑をさせていただきたいと思います。
 まず、公社病院の運営費補助の補助金の推移がどうなっているのか、この点について質問をさせていただきます。

○黒田経営企画部長 公社病院の運営費補助金の推移についてでございますが、公社病院は、都立病院からの運営移管を順次受けていますことから、平成十六年度は三病院、十七年度は四病院、十八年度から二十年度までは五病院の合計額が運営費補助額となっております。平成十六年度の運営費補助金は、三病院で約十九億四千二百万円、十七年度は四病院で約三十五億一千四百万円、十八年度は五病院で約四十二億一千百万円、十九年度は約五十八億二千八百万円、二十年度は約六十一億四千五百万円となってございます。

○小山委員 今、ただいまそれぞれご答弁をいただきました。
 お伺いした点からしますと、現段階、公社病院、都立病院から逐次移管されているということで、病院数がふえていらっしゃると。それに合わせて、この運営費の補助も当然ながら上がっているというのはよくわかりました。
 しかしながら、それぞれの病院が、この運営費補助、その全体の収支にどれだけの数を占めているのか、それについて、今のお答えですと、病院数がふえているのでわかりにくい点もありますので、再度、運営費の補助金の合計額ではなくて、設立当初からある公社病院の中で一つ例をとりまして、東部地域病院の平成十六年度と平成二十年度の運営費補助金がどう推移しているのか、このことについて確認をさせていただきたいと思います。
 また、実はほかの資料で、それぞれの公社病院の運営費補助金の推移と自己収支比率という資料を私はちょうだいしているんですが、こういった点から、実は増減の要因、どのようにとらえられているのか、この点についてお伺いしたいと思います。

○黒田経営企画部長 東部地域病院におけます運営費補助金の推移について、また、その増減要因の分析についてでございますが、まず東部地域病院の運営費補助金につきまして比較いたしますと、平成十六年度が約四億二千九百万円、二十年度が約五億四千九百万円と、補助金額が約一億二千万円増加しております。
 増減要因の分析についてでございますが、主な増加要因としましては、まず、たび重なる診療報酬のマイナス改定が挙げられます。とりわけ紹介率を要件とする入院基本料加算の廃止など、紹介、逆紹介を基本とする東部地域病院には、この間の診療報酬改定は大きな影響がございました。また、全国的な医師不足の中での人材確保対策として行いました勤務医の処遇改善による給与費の増加も一因と考えられます。

○小山委員 ご答弁ありがとうございます。今、東部地域病院を一例にとってお答えいただきましたが、運営費補助金はふえていると。そして当然、この資料からもわかるように、自己収支比率も当然下がっている。運営費補助がふえているわけですから、当然自己収支比率は下がっていくわけであります。これは多摩南部地域病院においても同様の傾向がありますし、他の公社化されている病院に関しても同じような傾向が認められております。
 やはりこの決算の状況、運営費補助がふえていて、そして各病院の自己収支比率が低下している状況、これをどうとらえていくのか、そしてこれに対してどういう見解を持っていくのかというのが実は大変大事なことであろうと思っています。
 それは、それぞれ公社化されている病院が、やはり公的医療の重要な位置を占めている病院でもありますし、また、それぞれの病院--今、地域の偏在であるとか、あるいはそれぞれ診療科目ごとの偏在、こういったことが問われている今日におきまして、やはり本来、医療が安全・安心な暮らしを守るセーフティーネットでなければならないというのは、これはもうそれこそ一般質問でも申し上げたとおりでありますので、あえて重複は差し控えますが、やはりこういった状況の中において公的病院が果たす役割というのは大変大きなものになってきていると思っております。
 そういった中において、この運営費補助金が上がっている、この状況、そして自己収支比率が当然下がっている、この状況に対して、やはり東京都としてしっかり公的医療を守るためには、こういった運営費補助が上がっていくこともやむを得ない。そして、もう一点述べるとすれば、こういった公社病院をしっかり地域医療の中で位置づけていくことによって、救急や感染症などの行政的医療にも取り組んでいくんだと、こういった考えをぜひ持っていただきたいと思います。
 また、地域に不足する医療を提供しているということで、都からも補助金を支出されたり、あるいは職員も派遣しているということを資料の方からもうかがわせていただきました。こういった公社病院が、この監理団体の総論としてもあるように経営改善に努めることはもちろんではありますけども、やはり都民にとってなくてはならない、こういう医療、不採算の医療をも提供している公社病院に対して、ぜひとも引き続き都が安定的な運営ができるように必要な支援を行っていくことを強く要望いたしまして、私の質疑とさせていただきます。よろしくお願いいたします。

○吉住委員 都議会自民党の吉住健一です。私からは、決算の中で地域病院等の運営についてお伺いしたいと思います。
 財団法人東京都保健医療公社は、当初、東部地域病院、多摩南部地域病院の二つの病院を運営してきており、その後、さまざまな改革の中で、平成十六年に大久保病院、また十七年には多摩北部医療センター、十八年には荏原病院、二十一年度には豊島病院と、東京都の方から公社の方に運営を移管してまいりました。これにより、現在、公社は、全体で二千床を超える六つの地域病院と多摩がん検診センターを運営しているとのことでございます。
 ただ、一人の都民として考えてみますと、今回初めての決算の委員会でございますが、都立病院と公社病院、それぞれ同じ病院でありますが、これらがどういった違いがあるのか、都民の目から見るとわかりづらい部分もあるかと思いますので、まず最初に、改めて公社病院と都立病院の役割の違いについて、どういうところにあるのか、お伺いしたいと思います。

○黒田経営企画部長 公社病院と都立病院の役割の違いについてでございますが、財団法人東京都保健医療公社が運営いたします公社病院は、地域の実情に応じて、診療所と病院、また病院間での機能分担や専門化を進め、円滑な連携を図ることによりまして、都民の皆さんが身近な地域で適切な医療を受けられるような地域医療システムを推進することを目的として運営しております。このため、救急医療を含め、地域に必要な二次医療を提供する役割を担っております。
 一方、都立病院は、都全域あるいは複数の二次保健医療圏を対象といたしまして、救命救急医療などの三次医療、難病医療など専門性の高い医療及び行政的医療を提供する役割を担っておりまして、都が直接運営を行っております。
 このような提供する医療サービスの目的や内容等の違いを踏まえ、限りある医療資源を有効に活用し、都民に対する医療サービスの向上を目指し、公社病院と都立病院とが役割を分担し、運営をしているところでございます。

○吉住委員 ただいまのご答弁で、公社病院は主に、主にといいますか、地域の二次医療を中心に地域の医療を担い、地域医療システム化を進めていく、また都立病院の方は、広域的な三次医療や専門的な医療を担っていくという役割の違いがあることを確認することができました。
 このような役割分担のもとに、私の地元にある大久保病院、都立病院から公社に運営移管され、五年間が経過いたしました。この五年間は、たび重なる診療報酬のマイナス改定や看護師の確保競争の激化など、病院経営という視点では非常に厳しい時代でございました。また、運営移管直後の大久保病院においては、公社化目前にして医師が何名か退職されるなど、病院経営に大変なご苦労をされた時期もあったとお聞きします。
 そこでまず、大久保病院の診療収入の状況はどのようであったのか、その辺につきましてお伺いしたいと思います。

○黒田経営企画部長 大久保病院の診療収入の状況についてでございますが、平成二十年度の入院、外来を合わせました診療収入は、在院日数の適正化などの経営改善に取り組み、約四十八億五千七百万円でございました。この額は、移管直後の平成十六年度と比較しまして約四億九千四百万円の増加、前年度と比較いたしましても約一億五千七百万円の増加となっております。

○吉住委員 ご答弁ありがとうございます。
 このような病院を経営していく上で厳しい時代にありましても、安定的な病院経営を行っていくためには、費用の見直しなど経営努力ももちろん必要だと思います。しかしながら、医療を提供する人材の確保もまた重要であろうかと思います。
 先ほど申し上げましたように、昨今大きくクローズアップされている看護師の不足は重大な問題であると思っております。そのような意味で、大久保病院の二十年度における看護師確保の状況がどのようであったか、また、看護師さんを確保するためにどういった努力をされてきたのか、お伺いしたいと思います。

○黒田経営企画部長 大久保病院におけます看護師の確保状況についてでございますが、看護師の定数百九十一名に対しまして、月平均で二百六人の現員を確保しておりまして、欠員となった月はないというふうに聞いております。
 看護師確保の取り組みにつきましては、公社事務局での早期選考の実施、各病院での独自採用の拡大、面接を重視した採用試験を実施いたしますほか、教育実習とは異なるインターンシップでの学生の受け入れなど、公社独自の工夫を凝らし、採用に努力してきたところでございます。
 また、看護師の勤務体制を、従来の三交代制だけでなく、夜間を分割しない二交代制の導入を拡大するなど、勤務体制の多様化を図るとともに、新人看護師に対しましては、採用から三カ月間指導者をつけるグローアップ研修の実施、また中堅職員には認定看護師の資格取得支援を行うなど、看護師の定着にも努力してまいりました。
 看護師確保につきましては依然として厳しい状況が続いておりますが、引き続き、こうした工夫を凝らした取り組みによりまして、看護師の確保、定着に努めていくと聞いております。

○吉住委員 わかりました。
 大変厳しい状況下におきまして、看護師を定数以上に確保していることは、病院の努力のたまものだと思います。特に、看護師として就職をした後、なかなか仕事が、自分でスキルを上げていくまでに大変苦労して離職していく人もいたり、あるいはさまざま再就職といいますか、再雇用に結びつく方もなかなか難しい時代を迎えているとお聞きしておりますので、そのような人材育成の部分も含めて、大変な工夫、努力をされているということ、よくわかりました。
 さて、先日の分科会の際にご説明いただきましたが、公社病院は大別して二つの役割、まず一つは、地域住民が必要とする保健医療のサービスの提供があるとお聞きしております。地域住民が真に必要とする医療サービスを提供するためには、地域のニーズを的確にとらえた創意工夫が大変重要であると考えております。この五年間に大久保病院が新たに提供した医療サービスにはどのようなものがあるのか、お伺いしたいと思います。

○黒田経営企画部長 大久保病院が新たに提供しました医療サービスについてでございますが、大久保病院では、救急医療と、脳血管疾患や心筋梗塞などに対応する生活習慣病医療を重点医療として運営しております。特に脳卒中患者に対応するため、平成二十年一月から脳卒中センターの運用を開始しております。また平成十七年十一月からは、動脈硬化による循環器疾患を予防するための指導や治療を行いますメタボリックシンドローム週末短期入院の実施、さらに十八年度からは、年齢が進むに従い発生する皮膚のしみ等を専門医が治療するアンチエイジング外来等の自由診療も開始しております。
 このように、大久保病院は地域ニーズを踏まえた特色ある医療の提供に努めているところでございます。

○吉住委員 公社化された後に、地域の需要を踏まえた新たな医療サービスを提供してきたことが、ただいまの説明でよく理解できました。
 ところで、今、脳卒中というお話もありましたが、大久保病院は従来からリハビリテーションにも力を入れているとお聞きしております。大久保病院におけるリハビリテーション医療についての取り組みについてお伺いしたいと思います。

○黒田経営企画部長 リハビリテーション医療の取り組みについてでございますが、大久保病院におけるリハビリテーション医療は、医師、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士をチームとして配置いたしまして、脳血管障害と運動機能障害を中心に対応をしております。
 特に脳卒中センターの開設後は、脳卒中患者に対する治療直後のリハビリテーションが、QOL、生活の質の向上や早期の社会復帰に有効であることから、脳神経外科など他の診療科と一体となりまして、発症直後のいわゆる超急性期からの一貫した治療に取り組んでいるところでございます。

○吉住委員 わかりました。
 患者さんに適切な時期に適正なリハビリテーション訓練を実施できるかどうかは、その後の患者さんの生活の質に大きく影響すると聞いております。患者さんの症状に応じたリハビリが適切に提供できるよう、引き続きご努力をお願いしたいと思っております。
 次に、もう一つの役割である地域医療機関との機能連携に基づく地域医療のシステム化についてお伺いいたします。
 地域の中核病院として地域医療システム化を進めるためには、地域医療支援病院として地域の医療機関との連携を強化することが重要であると考えております。公社病院のうち地域医療支援病院となっているのは、現在、東部地域病院、多摩南部地域病院、多摩北部医療センターの三病院であると聞いております。そこで、大久保病院の地域医療支援病院化に向けた取り組みについてお伺いしたいと思います。

○黒田経営企画部長 大久保病院の地域医療支援病院化に向けた取り組みについてでございますが、地域医療支援病院となるためには、第一に、一定割合以上の紹介率、逆紹介率の実績があり、紹介患者中心の医療を提供していること、第二に、救急医療を提供していることなど、五つの要件を満たす必要がございまして、都道府県知事が個別に承認することになっております。
 大久保病院では、地域に密着した運営を行っておりまして、紹介、逆紹介の推進に取り組んできた結果といたしまして、平成二十年度は紹介率五一・四%、逆紹介率六七・四%となりまして、承認要件を上回っております。また、医療機器の共同利用や二十四時間救急医療の提供など、その他の要件も充足しておりまして、現在、承認に向けて手続を進めていると聞いています。

○吉住委員 どうもご説明ありがとうございます。
 病院経営というのは大変難しいということで、各地方の自治体におきまして経営されている病院も、閉鎖されるところがニュースとしてクローズアップされることも多くございますが、この都立の病院、また公社病院におきましては、大変な工夫や努力を重ねることによって、地域に安定した医療を提供する、そういう意味では大変な役割を果たしていただいていることがわかってまいりました。
 大久保病院は、平成二十一年四月には生体腎移植という新しい分野にもまた取り組みを始めたということでございます。今後も引き続き安定的な医療サービスの提供を行うとともに、特色のある医療の一層の充実を図っていただくよう要望しまして、私の質問を終了させていただきます。

○松葉委員 平成二十年度東京都一般会計決算における病院経営本部の地域病院等の運営に関連する内容のうち、地域病院におけるがん医療と東京都多摩がん検診センターの運営について伺います。
 厚生労働省が先月発表いたしました平成二十年人口動態統計の概況を見ますと、死亡原因の第一位は、男女とも悪性新生物、いわゆるがんとなっております。生涯のうちにがんにかかる可能性は、男性では二人に一人、女性では三人に一人との推計もあり、がんにかかる可能性は非常に高いといえます。東京都におきましても、平成二十年三月にがん対策推進計画を策定し、この計画期間である二十四年度までにさまざまな対策を実施していくこととしております。
 さて、がんにかかった場合、まず必要なことは、適切な医療を安心して受けることができるかどうかであろうかと思います。そこでまず、平成二十年度の公社病院におけるがん医療に対する取り組み状況について伺います。

○黒田経営企画部長 公社病院におけますがん医療に対する取り組み状況についてでございますが、平成二十年度に財団法人東京都保健医療公社が運営した五つの地域病院のうち、三つの病院ががん医療を重点医療として明確に掲げ、運営を行っております。
 平成二十年十月に実施されましたワンデー調査結果、十月十五日を調査日とした結果によりますと、五病院全体で、全入院患者に占めるがん患者の割合は二一・〇%となっております。また、平成二十年十月からは、新たな取り組みとして、胃がんや大腸がんなど、診療領域を特定したセカンドオピニオン外来を自由診療として各公社病院で順次実施しているところでございます。

○松葉委員 各公社病院においては、入院患者の五人にお一人はがんの患者さんであるということがわかりました。セカンドオピニオン外来も順次実施されているということでございますが、さらに今後、きめ細やかな医療の提供を要望しておきます。
 さて、今月は乳がん月間であり、現在活発にピンクリボン運動が行われております。都内の乳がん検診の受診率は、数年前まで一〇%にも満たなかったわけでありますけれども、ピンクリボン運動に代表されるキャンペーンなどの普及啓発の効果もありまして、乳がん検診に対する需要は急激に高まってきているといっても過言ではないと思います。こうした中にありまして、公社におきましては、東京都唯一の公的検診機関である東京都多摩がん検診センターを運営されております。そこで、平成二十年度の多摩がん検診センターにおける乳がん検診の受診状況及び実施体制について伺います。

○黒田経営企画部長 多摩がん検診センターにおける乳がん検診の受診状況及び実施体制についてでございますが、平成二十年度の乳がん一次検診の受診者数は五千三十八人で、前年度に比べて五百五十四人、率にして一二・四%増加しております。また、受診者数を平成十五年度と比べますと、千九百四十八人、約六割増加しております。
 乳がん検診の実施体制でございますが、常勤医師を二名、放射線技師を、撮影装置であるマンモグラフィー三台に対しまして原則各一名配置いたしまして、月曜日から金曜日までの平日の午前及び午後に実施しているところでございます。

○松葉委員 今ご答弁にございましたが、平成二十年度は前年度と比べて一二・四%、検診受診率がアップしたということでございますが、乳がんの検診のこうした状況を見ますと、乳がん検診への関心とニーズが高まってきております。
 また、がん対策推進計画で掲げた検診受診率向上に向けた取り組みを進めていくためには、多摩がん検診センターでの検診希望者の受け入れ体制を強化していくことも必要であります。例えば、乳がん検診を拡充するに当たっては、マンモグラフィー検診車の導入など、受診しやすい環境づくりに配慮することも必要であると考えます。
 今後もさらにふやしていかなければならない乳がん検診の需要にこたえるため、多摩がん検診センターとしてどのような取り組みを検討されているのか伺います。

○黒田経営企画部長 乳がん検診に対する取り組みについてでございますが、がんを克服していくためには、日常的に予防を心がけていくとともに、早期発見のため、都民の皆さんに検診を受けていただくことが必要であるというふうに考えております。このため、都が進めるがん対策の中で多摩がん検診センターの役割を十分に認識し、今後の乳がん検診の需要にこたえていくことが重要でございます。
 これまでも、乳がんの需要の増加にこたえるため、常勤医師を一名から二名に増加させるとともに、マンモグラフィーを二台から三台に増強するなどの取り組みを行ってまいりました。現在、乳がん検診は施設内だけでの実施でございますが、拡充策を検討するに際しましては、ただいまご指摘がございました機動性などについても十分に配慮していくというふうに聞いてございます。

○松葉委員 ぜひともマンモグラフィー検診車の導入につきましては強く要望いたしておきます。
 昨年夏、都議会公明党は多摩がん検診センターを訪問し、公社の理事長を初め関係者の皆様と活発に意見交換をさせていただきました。平成二十年度には、我が党の要望によりまして、多摩がん検診センターにおきましては、従来の一次検診とは別に、日帰りがんドックとして乳がんレディースコースが新たに設けられ、ことしの三月に開始されました。この乳がんレディースコースの状況について、まだ開始されて日は浅いのですが、改めてお伺いしたいと思います。

○黒田経営企画部長 乳がんレディースコースの状況についてでございますが、問診、視診、触診、マンモグラフィー検査に加えまして超音波検査を実施するものでございまして、毎週月曜日と水曜日の午後に実施をしております。また、オプション検査としまして腫瘍マーカーもあわせて実施することができるということになっております。
 平成二十一年三月十六日に開始いたしましたが、二十年度ということで申し上げますと、この三月の半月間で三人の方が、二十一年度に入りましてからは、四月から九月までに七十七人の方が受診をされております。

○松葉委員 今後、この乳がんレディースコースに加えまして、ぜひとも日帰りがんドックといたしまして子宮頸がんを加えたレディースコースの開設、また、土曜日等の検診日の検討なども改めて要望いたしたいと思います。
 都内唯一の公的な検診機関として多くの検診者の受け入れに努めていただくこと、また、都内のがん検診の質の向上にさらに寄与していただきたいことを申し上げて、質問を終わります。

○西崎委員 私からも、東京都一般会計決算説明書の中で、その中心を占めます地域病院等の運営に関して伺いたいと思います。
 病院運営を取り巻く環境は大変厳しいものがありまして、全国的に見ても、産科、小児科など特定の診療科目、診療科の医師の不足、また、七対一の看護基準などによりまして看護師の不足、それによって病棟休止や、財政的に厳しいことから病院自体が休止になってしまうということが再三マスコミでも、報道でも取り上げられてまいりました。
 この状況の程度の差はあれ、やはり都内についても同様であると思います。昨年は、都立墨東病院をめぐります周産期医療体制、救急医療体制などの多くの議論が、この決算委員会でもかなり議論されました。その中でも、その原因となる医師や看護師不足の問題、そしてICUの不足、地域医療との連携など、多くの課題が挙げられたと思います。
 二十一年度、その課題解決に向けてさまざまな取り組みが進められてきていますけれども、公社病院においても、大田区にあります荏原病院において新たに、これまで休止されていました分娩扱いを十月に再開していると聞いています。そこで、荏原病院の産科医療に関して何点か、確認させていただく意味で質問したいと思います。
 荏原病院では、産科医師による分娩取り扱いを休止している間、産科医療体制を確保するためにどのような工夫を行ってきていたのか伺いたいと思います。

○黒田経営企画部長 荏原病院におけます分娩取り扱いを休止している間の産科医療体制の確保についてでございますが、荏原病院におきましては、産婦人科医師の退職等から、平成十九年十月に医師による分娩取り扱いを休止することといたしました。このため、平成十九年六月から、合併症を持たない妊婦さんに対し健診や保健指導を行う助産師外来を、また十九年九月から、出産を経験している妊婦さんを対象といたしまして助産師が主体的に分娩を介助する院内助産所を整備したと聞いております。

○西崎委員 助産師外来、院内助産所を設置したというお話ですけれども、これは最近注目されている事業だと思いますが、ここでの事業実績の状況はどのようになっていたのか、お聞かせください。

○黒田経営企画部長 助産師外来、院内助産所の実績についてでございますが、荏原病院の助産師外来は、平成十九年六月末の開設以降、十九年度は、患者さん三十九人に対し延べ二百十九件、二十年度は、患者さん百七十八人に対して延べ三百五十六件の健診や保健指導を行っております。
 また、院内助産所につきましては、平成十九年度は五件、二十年度は二十件の実績がございました。
 なお、この院内助産所につきましては、平成二十一年十月から医師による分娩の取り扱いを再開することとしたため、この六月末をもって停止したと聞いております。

○西崎委員 地域の方からもいわれたんですけれども、荏原病院の産科で分娩ができないということは、地域の人にとっても大変不安を与えていたと思いますが、十分な対応がとれない状況の中でも、病院ができる範囲の中で創意工夫を行い、体制づくりを図るということは大変重要だと思います。
 そうした病院独自の取り組みの中で、助産師外来、院内助産所を行い、地域における産科医療の継続を行ってきているわけですけども、この間、産婦人科医師を確保して、今のお話でも、ようやく十月に医師による分娩の再開をしています。
 そこで、分娩再開までの荏原病院の、産婦人科の医師を確保し、分娩再開に向けてどのように努力されてきて取り組んでいるのか、お聞かせください。

○黒田経営企画部長 分娩再開に向けたこれまでの取り組みについてでございますが、荏原病院では、産婦人科につきましては、院長などから大学医局へ継続的な働きかけなどを行いまして、平成二十年九月に医長一名、二十一年一月に部長一名の医師派遣を受けました。その後、分娩再開の準備にあわせ、二十一年七月と十月にそれぞれ一名の医師派遣を受けまして、常勤医師四名の体制を確保いたしまして、また、非常勤医師の確保とあわせまして産科の医療体制を整えてきたところでございます。
 また、医師による分娩取り扱い再開につきましては、地域の診療所等に配布しております荏原連携だよりでその準備状況をお知らせしているとともに、助産師等のトレーニングを行っているところでございます。
 平成二十一年四月十三日からは分娩予約の受け付けを開始いたしまして、五月十一日には妊婦健診を開始するなど、分娩取り扱い再開に向けた取り組みを進めてきたところでございます。

○西崎委員 医師の体制を整えて、さらに助産師などのトレーニングなどを行って、その準備が大変であったと思いますけれども、これまで分娩再開に向けて周到に準備を進められてきたということは、今のお話で理解できました。
 では、今後、ここでの分娩取り扱いをふやしていく計画はあるのか、また、まだ日は浅いですけれども、これまでどの程度の取り扱い実績があったのか、お聞かせください。

○黒田経営企画部長 今後の分娩取り扱いの計画、また取り扱い実績についてでございますが、荏原病院の医師による分娩取り扱いにつきましては、当面、月二十件程度の取り扱いを目標としております。今後、段階的に取り扱い数をふやしていく計画であるというふうに聞いております。
 医師による分娩取り扱いの件数につきましては、この十月から再開したわけでございますが、十二日現在で三件の分娩を行っているところでございます。

○西崎委員 今の何点かの質問で、荏原病院の体制を確認させていただきましたけれども、今後とも医師による分娩取り扱いが安定的に継続的にされるよう、引き続き努力されることを要望いたしまして、私の質問を終わります。

○西沢委員 民主党の西沢けいたでございます。私の方からは、医療の人材の確保という点についてお伺いさせていただきます。
 二十四時間三百六十五日、どのような状況でも必要な医療を必要なときに受けることができる医療体制をつくっていくということを目指していかなければならないわけであります。しかし、記憶に新しい墨東病院での妊婦受け入れ拒否による残念な事案など、必要な医療が必要なときに受けられないという、まさに医療崩壊寸前といわざるを得ないような状況が、この首都東京で起こっているわけでございます。
 救急医療、それから産科医療、小児医療など、あらゆる医療の問題は山積みでございますが、こうした医療体制を現場でお支えいただいている医師、それから看護師を初めとした医療の関係者の皆様、私は心から敬意を表したいと思うわけでございます。
 そういった皆様の給与が現状ではどのようになっているのかというものを調べてみたいと思ったわけでございますが、総務省の公営企業年鑑に記されている都立病院医師の給与水準というものでございますが、これは、二〇〇七年度は五十三自治体中五十二位と、下から二番目というようなことが書いてございました。この自治体五十三というのは、都道府県に加えて市区町村、それから、都道府県でも佐賀県や福岡県などは入っていないような、そういった完全なものではないのかもしれませんけれども、全国的に見て低い水準なのではないかと。それから、二〇〇六年に関しては六十一自治体中六十一位というようなことが、これは昨年のこの委員会の議事録にも載っているわけでございます。そうした自治体の中では、この水準というものが低い、都立病院ではございますが、低いというようなことではないのかなと思うわけでございます。
 当然、税金のむだ遣いというのは許されない。都民の皆様からお預かりした税金というものは適正に使っていかなければならないわけでございますが、しかしながら、この医療の分野、人命にかかわる必要な分野にこそ必要な予算というものを講じていく必要があると思います。東京都という物価の高い都市で働く方の賃金というのは、ほかの自治体に比較しても、特にこの医療の人材確保というところでは大きな意味を持つのではないか。当然それが直接都民の皆様が受ける医療体制につながるのではないかと思うわけでございます。
 そういった状況にある中で、平成二十年度における医師、看護師の給与水準は、全国的に民間病院、自治体病院と比較してどうなのか、それについての認識はどのようなものなのかというものをお伺いいたします。

○黒田経営企画部長 公社病院の医師、看護師の給与水準についての民間病院等との比較についてでございますが、民間病院には、大学病院のような高度専門医療を提供する病院や五十床未満の単科病院など、さまざまな医療機能と規模の病院がございます。また、医師や看護師の給与状況につきましては、情報提供をする病院もまちまちという状況でございます。こうしたことから、公社病院と明確に比較できるような民間病院のデータはございません。
 これまでの大学関係者との話し合いや、都道府県や政令指定都市病院の医師の給与状況、採用セミナーなどにおける看護学生の反応など、総合的に勘案いたしますと、平成二十年度当時は、さらに努力が必要な状況にあったというふうに聞いております。

○西沢委員 公社病院と民間病院で働く方の給与の比較はできないということ、ただ、勘案すると、努力が必要な状況であると。つまり、今は低い賃金なのではないかというような認識を東京都が持っておられるというような答弁をいただいたわけでございます。
 先日、都の人事委員会においては、都の職員の給与に関する報告と勧告というようなものが出ております。東京都の職員と民間の従業員の給与水準というものを均衡させること、これを基本に勧告を行っているわけでございます。一般の職員の皆様は民間企業と比較して給料が決まっていく、そういった状況にあるわけでございますが、公社病院の給与水準に関しても、民間の医師、看護師と比較する必要があるのではないかと考えるわけでございますが、これについてはいかがでしょうか。

○黒田経営企画部長 公社病院の給与水準、民間医師、看護師との比較についてでございますが、公社病院の医師や看護師の給与を民間病院の給与と比較できることが望ましいですが、その場合には、年齢や勤続年数、職務内容等を精査する必要がございます。こうした項目をある程度整えた上で病院数を確保し、比較していくことになりますが、民間病院にはさまざまな医療機能と規模の病院がございまして、また情報提供する病院もまちまちであることから、現在、比較できるだけのデータはございません。

○西沢委員 比較することが望ましいけれども、病院の医療機能や規模がさまざまであって、また多くの病院が情報提供していただける状況でもない、このために、民間の給与レベルがどれくらいになるのかと明確に比較できる数字を持ち合わせていないということで、民間と比較することができないというようなご答弁をいただいたと理解いたしました。
 それでは、この医療人材の確保に向けて、具体的に公社病院における医師確保のための取り組みがどのようなものがあるのかというものをお聞かせください。

○黒田経営企画部長 公社病院におけます医師確保のための具体的な取り組みについてでございますが、医師を確保するためには、給与などの勤務条件の改善や計画的な医師の育成など、総合的な取り組みを行う必要がございます。
 公社では、給与面につきましては、平成十九年度に医師の宿日直手当の増額を図ったところでございます。さらに、ご審議いただいている年度とは異なりますが、平成二十一年度には、初任給調整手当や救急業務手当の新設、緊急登院費の増額など、処遇の改善を図っているところでございます。
 また、育成面につきましては、平成二十年四月に東京医師アカデミーを開講いたしまして、若手医師を育成しているところでございます。

○西沢委員 適正な給与体制はしっかりと整えていかなければならない、そのご努力はされているというようなご答弁でございましたが、その答弁にございました東京医師アカデミーでございますけれども、公社病院ではどのように取り組んでいるのか教えてください。

○黒田経営企画部長 東京医師アカデミーにつきましての公社病院での具体的な取り組みについてでございますが、東京医師アカデミーには、都立病院だけでなく公社病院も参加することによりまして、都立、公社を合わせたスケールメリットを生かした専門研修を行うことで、臨床を重視した質の高い医師を育成しているところでございます。
 平成二十年度は、公社病院で十人が研修を受けているところでございますが、それぞれの病院の特色を生かした専門的な研修を行っておりまして、順調に育成が進んでいると聞いているところでございます。

○西沢委員 まだ始まったばかりということでございますけれども、こういった医師アカデミーなど、今後しっかりとした役割を果たしていただくことを望みます。含めて、全力でこうした医療人材の確保に向けてご努力いただきますようにお願いして、私の質問を終わりたいと思います。

○高橋委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○高橋委員長 異議なしと認め、本件に対する質疑は終了いたしました。
 以上で病院経営本部関係を終わります。

○高橋委員長 これより福祉保健局関係に入ります。
 決算の審査を行います。
 平成二十年度東京都一般会計決算中、福祉保健局所管分、平成二十年度東京都母子福祉貸付資金会計決算及び平成二十年度東京都心身障害者扶養年金会計決算を一括して議題といたします。
 本件につきましては既に説明を聴取しておりますので、直ちに質疑を行います。
 発言を願います。

○尾崎委員 私からは、まず医療関係についてお伺いいたします。
 医師不足を初めとして、日本の医療が崩壊の危機に瀕しているということは、ここ数年、報道等や、また都議会でもさまざまな議論が尽くされてきたと思います。民主党政権も、医師の供給源である医学部の定員を増員するとしているわけでありますが、これは、お医者さんが少ないからといって、じゃ来年ふやすといっても、なかなか一朝一夕にはいかないわけでありまして、十七歳、十八歳の学生が一人前の医師として活躍できるのは十年ぐらい先の話になるわけであります。お医者さんの絶対数が不足をしていて、それを補わなければならないのは事実であるとしても、現在の限られた医療資源をどのように活用していくか、また、コメディカルなどをどのように養成、確保するかが喫緊の課題であると考えます。
 そこで何点かお伺いいたしますが、まず産科については、リスクに配慮しながらも、医師との役割分担の観点から、助産師の専門性を活用することが重要であると考えます。医療機関において、正常経過の妊婦さんの健康診査や保健指導、また助産を助産師さんが自立して行う院内助産所や助産師外来の設置を促進することで、医師は医師の専門業務に専念することができ、業務の軽減が可能になると私は考えます。
 東京都は院内助産所等の設置についてどのような支援策を講じているのか、まずお伺いいたします。

○吉井医療政策部長 病院勤務医の業務の負担を軽減するためには、産科の領域で申し上げれば、院内助産所や助産師外来の設置、これを促進することが必要と考えております。
 平成二十年度から、病院勤務医師の離職防止、定着促進を目的として事業開始いたしました医師勤務環境改善事業、この中では、院内助産所や助産師外来を設置する周産期医療センター等の医療機関に対しまして、助産師の確保や施設の整備の支援を行っておるところでございます。
 また、院内助産所等を医療機関の中に開設するためには、助産師の自立的な対応でございますとか、院内全体の協力、さらにはリスク管理などの体制を確保していく必要がございます。このため、こうした課題への対応のノウハウなどにつきまして都は医療機関に対して研修を行って、開設促進を図っているところでございます。

○尾崎委員 平成二十年三月の東京都保健医療計画によりますと、病院勤務医の事務を補助する医療補助者、医療クラークといわれるものでありますけれども、これを導入して医師の負担軽減を図っていきますとされております。勤務医の激務の原因の一つは書類作成の増大にあるという指摘もあるわけであります。この中で現場のお医者さんの負担を軽減するためには、医療クラークの導入をぜひ推進すべきと考えます。
 アメリカなんかでもほとんど、医療業務の、本来のお医者さんの業務の診療業務のほかは、書類作成なんかは医療クラークがほとんど担っている、こうしたことでありますので、ぜひこの医療クラークの導入を推進させていくべきと考えるんですが、この医療クラークの配置については、二十年四月に診療報酬の評価の対象とされております。ですけれども、現場からは十分な評価がされていないという声も多く聞かれるわけであります。
 これは私、昨年の予算特別委員会の前に府中の都立病院の方にもちょっとお邪魔させていただいて、視察をしたんですが、そのときにも、そうした現場の声というものもたくさんお伺いしてまいりました。
 病院勤務医の負担軽減に向けて、東京都は医療クラークの導入についてどのように認識をしているのか、お伺いいたします。

○吉井医療政策部長 病院勤務のドクターは、多忙な診療業務に加えまして、患者一人一人に対しまして、診断書でございますとか診療録の作成、さらには治療計画の同意書の作成などの事務を行っております。医師の、クラーク、すなわち診療報酬上で申し上げますと医師事務作業補助者とされておりますけれども、医師の指示のもと、代替可能な事務につきましては、こうした事務サポート体制を構築して医師の負担を軽減することは重要であるというふうに認識しております。

○尾崎委員 やっぱり医療クラークの役割は重要であると考えるとのことでありますけれども、じゃ、この医療クラークの設置の推進のために一体どのような取り組みをしているのか、お伺いいたします。

○吉井医療政策部長 先ほどもちょっと申し上げましたけれども、医師事務作業補助者として医師を有効にサポートしていくためには、診断書であるとか診療録など、関係する業務に一定の知識を有することが必要でありまして、診療報酬制度の中でも、知識取得のための研修の実施が求められているところでございます。
 このため、都は、先ほど申し上げました医師勤務環境改善事業の中で、医師事務作業補助者の研修、これを促進するため、救急医療機関などにおいて研修受講に必要な経費を支援しているところでございます。
 さらに申し上げれば、国に対しまして、医師事務作業補助者の配置について診療報酬の拡充を提案しているところでございます。

○尾崎委員 やっぱり医療の研修受講に必要な経費とかを支援しているということなんですけれども、この医療クラークは、今ちょっとご答弁の中にもあったと思うんですが、例えば単なる事務秘書だと、やっぱり医療の知識がないと、なかなかお医者さんの補助にはならないということでありますけれども、その研修をする際に、今いろいろと雇用情勢等々も悪化をしている中で、医療クラークの研修制度を受けることのできない、受けることができるということを知らない人たちも多分いると思うんですね。事務の能力は非常にあって、例えば、もしそういうことに興味があれば、自分も医療クラークという、こういう資格があれば--資格はないんでしょうけれども、こういった仕事があるのであれば、ぜひこういうところで仕事をしてみたいという人たちは、今たくさんいると思うんです。
 ですから、もちろん必要な経費を支援するということは必要だと思うんですけれども、それと同時に、その周知についてもぜひ、これは東京都の方にも拡大をしていただきたいということをお願い申し上げます。
 続いて、七対一看護導入以来、現場では看護師の争奪戦ともいえるような状況が起きております。実際に医療現場で見聞きしている状況からいたしますと、平成十九年十一月に出された東京都看護職員需給見通しの需要の見通しがやや低目になっているようにも感じられます。この見通しの進捗はいかがでしょうか。

○吉井医療政策部長 都は、看護師の確保対策といたしまして、養成対策、定着対策、離職防止のための定着対策でございますが、あとは再就業促進対策、こうした総合的な対策を実施して、都内に必要な看護職員の確保を図っているところでございます。
 今、先生ご指摘いただきました需給見通しにつきましては、平成十九年に策定いたしまして、これらの施策について、養成、定着、再就業、それぞれの施策を推進しているところでございます。
 で、平成二十三年、需給均衡を目指すということで、こうした施策を推進するとともに、今までの事業に加えまして、看護職員の地域における再就業を促進するために、ナースバンクで就業あっせんを行っておりますけれども、地域の身近な病院で復帰に必要な研修を行う看護職員の地域確保支援事業、こうしたものを独自に実施するということとあわせまして、さらには平成二十一年度、今年度からでございますけれども、看護職員が妊娠、出産、育児を迎えても離職することなく引き続き働き続けられるよう、三百床未満の中小病院に対しまして短時間正職員制度の導入を支援している、そういう状況でございます。

○尾崎委員 お医者さん不足を解消するのと同時に、看護師不足を解消するためには、やっぱり看護職員の養成は非常に重要であるわけであります。
 これは私、昨年の二〇〇八年の予算委員会で質問させていただいているんですけれども、東京都は、都立看護専門学校の定員は現状でも十分という認識なのか、お伺いいたします。

○吉井医療政策部長 都立看護専門学校は現在、看護三年課程七校、入学定員は五百六十名、これで運営を行っているところでございます。民間などを含めまして、都内の看護学校の入学定員は五千人前後で推移している状況がございます。
 急速に進む少子化の中で、看護職員確保対策といたしましては、養成対策だけではなく、定着対策、再就業対策、これらを総合的に推進していくことが重要であるというふうに考えてございます。

○尾崎委員 先ほどもお話をさせていただきましたけれども、お医者さんが少ないのと、先ほどの医療クラークの数を確保していくということ、そしてこの看護師の不足を解消していくというのは、これはやっぱり三つどもえで、ぜひこれは取り組んでいただきたいということを改めてお願い申し上げます。
 続いて、少子高齢化社会の到来がいわれて以来、久しく時間がたっております。その間、社会経済情勢の大きな変化の波は、子育て世代にも、また高齢者世代にもさまざまな影響を与えております。また、核家族化の進行や独居老人世帯の増加は、これまでの人間関係の基盤でもあった地域社会システムの崩壊を伴いながら、ますますコミュニティの喪失を招いております。
 そのような中で注目されるものの一つとして、幼児と高齢者の共生空間を持つ幼老統合施設というものがあります。都内には現在でも、乳幼児を対象とした保育所等の施設と高齢者施設とが同一の建物に設置されている例や、また同一敷地内に併設されている例があります。私の選挙区であります調布市でも、ときわぎ国領というところなんですけれども、工場跡地を活用して集合住宅を建設する際に、近接して保育所や特別養護老人ホーム、またデイサービスセンターを併設する総合福祉施設を設置した例があります。
 こうした幼老統合施設の設置とまではいかなくても、保育所と高齢世帯を含む集合住宅との複合的な整備が進んでいけば、地域社会において幼児世代と高齢者世代とが日常的に交流し、世代を超えた共生が形づくられ、子育て世代を多面的に支援することができるだけでなく、地域の高齢者にとっても生きがいが生まれ、結果として新たなコミュニティの創出にもつながると考えるわけであります。
 現在、東京都は、待機児童の解消に向けて、保育所の緊急整備に取り組んでいるところでありますけれども、特に大規模な集合住宅が整備される地域で保育所の需要が高まっているとの声を聞いております。集合住宅等の整備に合わせて保育所を整備することは、待機児童の解消とともに、世代間交流の促進につながるものと考えますけれども、具体的な支援の仕組みについてお伺いいたします。

○吉岡少子社会対策部長 都は、保育所の待機児童の解消に向けて、平成二十年度から、従来の一・五倍のスピードで施設整備を行う保育サービス拡充緊急三カ年事業に取り組んでおります。この緊急三カ年事業では、用地確保が困難な大都市の実情を踏まえ、マンション等の賃貸物件を活用した保育所整備に対する補助制度を創設いたしました。
 引き続き、区市町村と連携し、集合住宅等の整備に合わせた保育所等の整備を支援してまいります。

○尾崎委員 賃貸物件を活用した保育所整備は、用地確保が困難な都市部では有効な方策であると考えます。新たな施設として整備する場合だけでなく、例えば今、地域の商店街を見ても、空き店舗がたくさんあるわけであります。また、統廃合した学校施設を活用して設置していくことも有効であると考えます。地域における幼児と高齢者の交流は、待機児童対策や高齢者サポートなどの直接的効果だけではなく、地域コミュニティの再生などの効果もあることから、地域全体の活性化対策としても、ぜひこれは積極的に取り組むよう、区市町村や事業者への働きかけをお願いいたします。
 次に、特別養護老人ホームの助成についてお伺いいたします。
 特別養護老人ホームなどの施設整備については、今、超高齢化社会が進行している中、在宅志向が強まっております。急増するひとり暮らしの高齢者や老老介護の実態というのは、今後もこれは増加をすると思われ、その必要性は高くなっている状況だと考えます。
 東京都では、こうした状況の中なんですが、平成二十年度、用地助成制度というものが廃止をされてしまったわけであります。現在、都内の特養ホームに申請している市民の待機状況というのは、待機者数が三百八十六人、申し込み延べ件数が七百二十三人、平均申し込み箇所数が一・八七カ所なんですね。私の選挙区である調布、狛江市を初めとして、武蔵野、三鷹というのは、二十三区にちょうど隣接をしているところなんですけれども、この現総定員数以上の待機者がいるにもかかわらず、整備が遅々として進まない状況になっております。
 こうした中で、第三回都議会定例会でも、大都市東京の介護基盤の整備について我が党が質問をいたしました。今後もふえ続ける要介護高齢者に備えて、都は介護基盤の整備を強力にバックアップするため、特別養護老人ホームの整備に当たっては、この土地取得のための助成を改めて復活させるべきと私は考えるんですが、所見をお伺いいたします。

○狩野高齢社会対策部長 特別養護老人ホームの用地取得費助成事業は、約半数の区市町村で特別養護老人ホームが未整備であった昭和六十年度に開始したものでございます。当時は施設用地の法人自己所有が原則であり、用地取得費の資金調達も困難であったことなど、用地確保が大きな課題となっておりました。その後、国の規制緩和により、民有地の貸し付けによる特別養護老人ホームの整備が可能となり、現在では、定期借地権制度を活用することによって長期的に安定した用地確保が可能となったほか、用地取得費に対する融資制度の充実が図られるなど、状況が大きく変化しております。こうしたことから、用地取得費助成事業は平成二十年度着工分をもって終了したところでございます。

○尾崎委員 東京の都心区のように用地の確保がそもそも困難な場合に、今後の急速な高齢化の進展を見据えて、東京都は介護基盤の整備をどのように促進していくつもりなのか、見解をお伺いいたします。

○狩野高齢社会対策部長 都では、介護サービス基盤の整備のため、未利用の都有地の減額貸付を行うとともに、区市町村みずからが、例えば学校跡地などを事業者に貸し付けた上で独自に整備費補助を実施した場合には、包括補助事業による補助を行うなど、区市町村有地の活用を促しているところでございます。さらに、平成二十年度から、特別養護老人ホーム等について、高齢者人口に比べ整備状況が十分でない地域の整備費補助単価を最高一・五倍に加算するなど、地域バランスを勘案しながら整備の促進に努めております。
 今後とも、区市町村と連携し、多様な手法を活用しながら、介護基盤の整備促進に努めてまいります。

○尾崎委員 未利用の都有地というのは、学校跡地などももちろん含まれると思うんですけれども、これも私は昨年の予算委員会で質問させていただきましたが、例えば都営住宅の中に空き地があったりする場合なんかは、ぜひこういうのを有効活用して、介護基盤の整備というものを今後も行っていっていただきたいと思うところであります。
 続いて、民間小規模作業所等の介護職員の処遇の改善事業についてお伺いいたします。
 昨今の景気後退に伴いまして雇用情勢が急速に悪化をしている一方で、福祉や、また介護分野は、離職率が高いことに加えまして、地域や事業所によっては人材確保が困難な状況が見られるなど、人材確保は喫緊の課題となっております。そこで国は、平成二十一年度の補正予算において、介護職員のさらなる処遇改善のための取り組みなどを図るため、「介護職員処遇改善交付金に係る処遇改善計画等について」を二十一年六月三日に示しました。
 障害者を支援する施設としては、障害者自立支援法や身体障害者福祉法等の法律に基づく施設もありますけれども、地域において保護者や支援者が自発的に立ち上げた小規模な作業所など、いわゆる法外施設としてサービスを実施している例がたくさんあるわけであります。こうした施設は、障害者が地域で暮らしを続けていく上で、特に日中活動の場として日々欠くことのできないサービスの一端を担っているものでありまして、法律に基づく施設と比べても、その果たしている役割の重要性という点において、これは決して劣るものではないと思います。
 ところが、こうした施設は小規模で経営が不安定なことから、地元で小規模作業所を運営する方々から、運営の厳しさ、職員確保の難しさを訴える声を多々私も聞くわけであります。また、こうした法外施設が法内化をして経営を安定化しようとしても、法人格を持っていないため、まず法人格を取得することから始めなければならないところもあるわけであります。
 そこで、このような法外の小規模作業所などの経営の安定化について東京都としてどのように考え、またどのように支援を行っているのか、お伺いいたします。

○芦田障害者施策推進部長 小規模作業所などが障害者の日中活動の場として大きな役割を担っていることにつきましては、東京都として十分認識しており、これまでも運営費等の補助を行ってまいりました。
 今後、法外の小規模作業所などは、障害者自立支援法に基づく新体系事業に移行し法定事業に位置づけられることで、国から必要な財政支援が行われ、経営の安定が図られるとともに、法人として事業の透明性や公益性が発揮され、利用者支援のより一層の充実が図られると考えております。
 都は、法内化促進のために必要な施設設備整備の事業者負担を半分に軽減する特別助成を実施するほか、人事、労務、会計、税務等の専門的知識を持った人材を派遣し、法人格取得の支援や団体運営のノウハウを提供しております。さらに、法内施設に移行した後も、障害者自立支援法に基づく報酬額に加えて、都は運営費の一部を補助し、安定的な運営と利用者支援の向上を図っているところでございます。

○尾崎委員 この法外施設の経営安定化のためには、まず法内化を図ることが重要であり、東京都も区市町村とともに支援する方策を講じているということでありますけれども、これはやっぱり、例えば保育園なんかでも、認証保育所とか市立の保育園だとかいろいろありますけれども、そういった認可をとりたいんだけれどもとれない。こうした民間の小規模作業所なんかでも、そうした整備が整わないからとれない。もちろん、法内施設に移行したいのはみんな移行したいんですよね。だけれども、なかなかそうした整備が整わない中で今一生懸命そうやってやっている法外施設というところを、法内移行するまでの間の事業運営の安定化を図ることは、これはやっぱり私、非常に重要な課題であると認識をいたしているわけであります。
 そこで、関連してもう一点お伺いいたしますけれども、福祉や介護の現場では、他の職業と比較して賃金水準が非常に低く、人材確保が難しい、また職員が定着しないという、こうした問題が指摘されているわけであります。先ほどもちょっとお話をさせていただきましたが、介護人材の処遇改善事業、これが二十一年度から実施されるということですが、この処遇改善事業の対象として、法内施設は入っているんですけれども、小規模作業所などの法外施設がこれには入っておりません。職員の確保や処遇改善が必要なのは何も法内施設に限ったことではないわけでありますから、東京都としても、ぜひひの法外施設職員の処遇改善事業の実施を検討すべきと考えますが、所見をお伺いいたします。

○芦田障害者施策推進部長 臨時特例交付金を活用した福祉介護人材の処遇改善事業は、国が定める基準により、法律に基づくサービスや施設等を対象として、全額国庫補助金を財源として実施するものであり、小規模作業所等の法外施設は対象となっておりません。
 先ほどお答えいたしましたとおり、都は、法外施設の経営安定化と法内化促進のためさまざまな事業を実施しており、今回の処遇改善事業につきましては、都独自に小規模作業所等の法外施設を対象とすることは考えておりません。
 都は今後とも、法外施設が早期に法内化を促進し、経営の安定を図ることができるよう、きめ細やかな支援を行ってまいります。

○尾崎委員 次に、都有地を利用して市が福祉サービス事業を実施する場合の土地の賃借料について伺います。
 これは具体的な地名です、私の地元の調布市のことなんですけれども、心身障害者通所施設「まなびや」というのがあるんですが、これの土地賃借料の減額について何点かお伺いしたいんです。
 この「まなびや」という心身障害者の通所施設は、定期借地権設定契約により都有地を借りて実施をしております。調布市は、年額五百六十三万円の土地代を毎年東京都に支払っているわけであります。これは一定の減額はされているようでありますけれども、この「まなびや」の近くにある、「ちょうふの里」という、同じく市で開設した特別養護老人ホームの場合は、面積当たりの賃借料が、「まなびや」より低く設定されているわけであります。これは本当に同じまちの中にあって、すぐ近くなんですけれども、「ちょうふの里」の場合は一平米当たり月単価が百九十六円であるのに対して、「まなびや」の場合は一平米当たり月単価三百十四円なんですね。これは同じ福祉施設であることから、「ちょうふの里」と同様に、「まなびや」も土地の賃借料をさらに減額することができないのか、お伺いいたします。

○芦田障害者施策推進部長 福祉施設整備のために都有地を貸し付ける場合は、地方自治体、民間法人を問わず、原則として財務局所管の東京都公有財産管理運用委員会に付議し、目的、用途など、減額率を含む貸付条件を決定しております。
 ご質問の調布市の心身障害者通所施設「まなびや」は、平成十九年に調布市が開設した施設でございますが、開設に当たりまして、現に都が使用している敷地の一部を使用したいという調布市の意向を受けまして、土地の賃貸契約を締結しているものであり、都は貸し付けに当たり、減額率としては最大の五〇%減額を適用しております。
 一方、特別養護老人ホーム「ちょうふの里」は、平成八年、調布基地の跡地を活用して調布市が開設した施設でございます。土地の貸し付けに当たりましては、当時の調布基地跡地全体の土地の利用計画や関係自治体との協議などを踏まえまして、東京都公有財産管理運用委員会で貸付条件を決定したと聞いておりまして、「まなびや」とは経緯を異にしているということでございます。
 現在、都有地活用によりまして民間事業者が福祉施設を建設する場合においても、減額率は五〇%を上限とされておりまして、お話の「まなびや」につきましても同様の考え方に基づいた減額率が適用されているものと考えております。

○尾崎委員 一定の減額が図られていることはわかるんですが、今お話にあったように、このケースの場合は市が東京都から借り上げをしているわけでありますけれども、例えば民間の事業者が福祉施設を借りたいというケースもこれから恐らく出てくると思います。そうした場合には、やっぱり福祉目的なわけでありますから、施策充実のために、ぜひ都有地の活用が推進されるよう、私はさらなる減額を最後に要望して、質問を終わります。

○古賀委員 平成二十年度東京都福祉保健局関係決算の審査に当たり、福祉保健局の日本語、国語表記の問題について伺います。
 今般の総選挙による政権交代以前は、義務教育で教える漢字の読み方に不正確な政治家がいることが大きな話題となっていました。そして今回、総選挙によって、その後、新内閣が誕生し、法務大臣に就任した方の、これは以前、国籍法の審議のときの審議状況を、私、見ておりましたら、今もやりとり多少ありましたけれども、障害者施策推進部長、これを「せさく」と呼ぶ人がよくいるんですね。これは「しさく」ですけれども、こういう読み方の間違いというのがよくある。この法務大臣になった方も、国籍法の改正のときに、法の「せこう」と盛んにおっしゃっていましたね。法律、条例を審議する我々はせめて、法律、条例については、これは「しこう」するというのが正しい読み方ですので、大臣クラスで国政を担う人でもこういった本来の読み方が正確にできてない方がいらっしゃるというのは、やはり問題といわなければなりません。私たちはよく、読み間違いや勘違いというのはだれでもあることでありますので、気づけばこれを改めていくということが大事だというふうに思います。
 そこで、今回、政権交代後、私どもは政権を奪われた立場、側でありますけれども、政権をとった側の民主党の皆さんのいわゆる政権公約を見ておりますと、これは実現されなければならないということで頻繁に出てくるのが子ども手当。それから、民主党の政策集にも出ておりますけれども、障害者の「害」という字の平仮名表記が非常に目立ってまいりました。
 東京都の福祉保健局の組織図を見ますと、少子社会対策部の中に子ども家庭支援課がございまして、子供の「供」が平仮名表記になっています。
 この子供の「供」をなぜ平仮名で書くのかということについて、私もいろいろ、過去、文教委員会等でも質疑応答して、その背景等を明らかにしてまいりました。子供の「供」は、大人のお供え物ではないとか、従属物ではないとかいう、そういう国語の多少知識のある人ならば、全くでたらめなこじつけが的を射ていないというのはだれでもわかるわけでありますけれども、これがどういうわけか大変蔓延をいたしまして、役所から政党まで、これに現在汚染されている状況があるわけです。
 そもそも、社会運動家で、社会主義者であると思いますけれども、羽仁説子さんという人が、この子供の「供」のまぜ書き表記を提唱したというふうにいわれておりまして、この羽仁氏は、今申し上げましたように、子供の「供」の漢字は従者の意味、従う者の意味、子供の「供」を平仮名で表記することで、大人の従属物でない独立した人格としてとらえようとする表記だということを繰り返し繰り返し主張しています。
 これは全くのこじつけで、愚にもつかないこじつけなんですけれども、私はやっぱり専門家の意見も聞くべきだというふうに思いまして、国立国語研究所の所長さんの見解を調べてみました。そもそも「供」というのは接尾語で、子の供、複数をあらわす意味です。ところが、それが長い年月の中で単数にも複数にも使われるようになって今日に至っているわけでありますけれども、この国立国語研究所の所長は、子供というのは大和言葉であり、たまたま漢字のにんべんに共と書く「供」を当て字として使った。で、子供という言葉に付録的な意味、つまり見下げるような意味とか、そういうものは全くありませんということをきちんと表明しています。しかも小学校の六年生で、学習指導要領の学年別漢字割り当て表では、小学校六年生になれば読み書きができなきゃいけないという漢字にこれはなっているわけです。
 国も、平仮名で書いたり、認定こども園なんかそうですけれども、それから国民の祝日に関する法律でも、平仮名でこども表記、三文字にしていますが、政府自身が、これはずっと古い話ですが、昭和二十五年の文部省刊行物の表記の基準というところでは、漢字で子供と書くということで使って全く差し支えないということをきちんと基準を示しています。それから昭和五十六年の内閣告示、常用漢字表の漢字の「供」についても、訓読みの「とも」という、この漢字の「供」ですね、これを使用する例として、子供というのを漢字でちゃんと挙げているわけです。ですから、公用文関係などでは、やはり子供と漢字で書くということが正しいんですよ。
 ところが、先ほど申し上げましたような一種の思想的な背景があって、自民党政権の時代にこれが蔓延してしまいまして、役所じゅうでこれを使い始めて、今、地方自治体でも同じように使っているわけです。私の地元の日野市もこれを使っています。幾ら市長にいっても、わからないんですね。
 この福祉保健局の組織図を見ると、子ども家庭支援課、「供」が平仮名になって、まぜ書きになっておりますし、福祉保健局が発行するさまざまな資料、山ほどつくられていますけれども、これも子供の「供」が平仮名のまぜ書き表記になっています。
 私は、やっぱり教育に携わっている東京都教育委員会の見解もただしたいと思って、今まで文教委員会等で質疑したということを申し上げましたけれども、教育委員会にもやっぱり国語の専門家はいますし、国語学者にもいろいろ聞いたんだと思います、いろいろ文献も調べたと思います。教育委員会はもう既に子供表記、漢字に切りかえて、正常化をなし遂げています。それから生活文化スポーツ局も、これ、おかしいんじゃないですかと、私がいろいろな資料を示して説明しましたら、やはり生活文化スポーツ局でも昨年の十二月から子供表記、漢字に直っています。
 今、政党関係のいろいろな文書を読みますと--民主党の例はいいました。自民党は余りそういうところはとんちゃくなくて、漢字で二文字で書いたり、子ども、まぜ書き表記したり。最近、私がいろいろ指摘をする中で、漢字表記にほぼ変わってきました。石原知事も最近は漢字二文字で書くようになりました。あとは共産党は、先ほど申し上げたような見解で、まぜ書きを実行しています。七〇年代後半から子どもという表記にしているということを日本共産党中央委員会が正式に公表しています。これはやはり、大人のお供ではないとか、神仏のお供えではないという意味を持つ、人権を持った人間だという考えに基づいているという説明を共産党はしています。公明党さんも大体同じような見解を示しておられるんじゃないかと思うんですね。機関紙、私毎日、「公明新聞」を読んでいますけれども、同じような表記になっているわけです。
 それから新聞社も、読売新聞は自民党と同じで、どちらも使っています。字数が足りないと思ったら漢字表記しています。それから毎日新聞、朝日新聞。朝日新聞は「赤旗」と全く同じで、やはり子ども、三文字のまぜ書きになっていますね。産経新聞は一貫して漢字二文字の表記を守って、社説でも、表記は子供、漢字二文字が望ましいというふうに社説で産経新聞は書いています。そういう現状に今あるわけです。
 私は、今まで--漢字というものは、日本にこれが取り入れられて、日本人は訓読みを発明するわけですね。漢字仮名まじりの文章によって日本語表記することによって、今日の日本文化を築き上げ、ドイツ文学でも、フランス文学でも、ロシア文学でも、英文学でも、日本語をきちんと習得していれば、これが読めるわけです。自然科学、人文科学分野問わず、日本語の、この漢字仮名まじりの日本語の正統表記の文化的な長年の作業に基づく結果として、それが可能に日本ではなっているわけです。それをあえて、わざわざ子どもと、漢字で書けば二文字で済むものを三文字にしているまぜ書きが、なぜ東京都においていまだに続けられているのかということであります。
 もっといえば、漢字の持つ機能というのは非常にすばらしいんですね。例えば交差点に、子供の飛び出しに注意という看板があったとします。すると、これは漢字表記であれば、見た瞬間に、子供が出てくる可能性があるから注意しなきゃと、アクセルのペダルから、アクセルからブレーキの方へ踏みかえる準備もできるわけです。それが、子どもと三文字で書いたら、飛び出しとか注意が全部もし平仮名であったとすれば、読んでいる間の〇・何秒かの差で、当然これは事故につながってくるわけです。
 漢字の持つ機能というものは、読まなくても見た瞬間にその意味がわかるというすぐれた機能があるわけです。ですから、映画の字幕スーパーでも、英語でも、フランス語でも、ロシア語でも何でもいいんですけれども、字幕スーパーはやはり漢字仮名まじりで書いているから、一行十三文字程度らしいんですけれども、二行で、役者がしゃべっているせりふが、見ている人、英語がわからなくても筋書きが追えるわけです。最近の翻訳する方は、やたら平仮名で書かなきゃいけないから、翻訳の字幕が書けないということを嘆いているんですね。それはこの子供のまぜ書き等に象徴される、国語の一つの文化破壊があるわけです。
 いろいろいい分は皆さんの側にもあるのかもわかりませんけれども、福祉保健局はなぜ漢字を嫌って、今日、子供の「供」を平仮名で表記するまぜ書きにしているのか、理由をお聞かせください。

○松井総務部長 これまで福祉保健局では、子どもに関する表記につきまして、当局の計画や事業の根拠となる国の法律や通知等において、漢字と平仮名まぜ書きの子ども、「子」は漢字、「ども」は平仮名という表記を使用しているということから、基本的にこれに準じた表記をしてまいりました。例えば次世代育成支援対策推進法ですとか、あるいは少子化社会対策基本法などにおきまして、漢字と平仮名まぜ書きの子どもで表記されております。
 なお、先ほど先生のお話にもございましたけれども、認定こども園に関しましては、根拠となる法律におきまして、すべて平仮名書きのこどもという表記で規定されておりますことから、都の条例等におきましても同様の表記としているところでございます。

○古賀委員 質問はこれだけで、もうそれで終わりですけれども、障害者の「害」も、今いろいろ政権公約を見ますと、「害」が平仮名になっているんですね。辛うじて、これは東京都は、障害者施策推進部はちゃんと漢字表記を守っておられて、最近、これを平仮名に、またまぜ書きに改める自治体や、そういう人たちも今また出てきているわけです。漢字を敬遠しないでもらいたいんですね。漢字が悪者じゃないんですよ。ですから、ぜひこれは、障害者の「害」についてはきちんと今の表記を守ってもらいたいと思います。
 そもそも障害者の「害」は、昭和三十一年の国語審議会の報告の中で、同音の漢字による書きかえの例としてこれが出てきまして、本来は、障害者の「害」は「碍」を書いたわけです。妨げるとか差しさわるという意味の漢字を書いていたんですけれども、たまたまこれが漢字表になかったものですから、公害の「害」の字にして、これを使用するようになったわけで、もしこの障害者の現在の表記を改めるとすれば、本来の「碍」という字に本来は改めるべきであって、これを平仮名に変えるなどというのは国語の破壊以外の何ものでもないと私は思います。
 それで、やはり名称というのは非常に大事なんです。我々が、子供がもし生まれれば、いろいろ工夫して、あれがいいか、これがいいかと思って、やっぱり名前を決めるわけです。そこに思いがこもるわけですよ。ですから、名前というのは非常に、名は体をあらわすで大事であって、論語の中にも、孔子さんが子路編というところに、子路という人が孔子に、衛という国のもし政治を任されたら、孔子先生、何をなさいますかと聞くと、孔子は、必ず名を正さんかというんですよ。つまり、いいかげんな名前、いわゆる名前が正しくつけられているかどうか、その名のとおりの正しい行為が行われているかどうか、名を正しくしていく、名を正し、ということを孔子はいっているんですね。まず政治の場では名を正さなきゃいけないということをいっています。だから、名が正しくなければ、すなわち事ならずと、何をやってもだめだよということをちゃんとおっしゃっているわけです。
 ですから、障害者の「害」についても、いろんな運動や働きかけがあるかもわかりませんけれども、これは守ってもらいながら、ひとつ子供の「供」についてはこれから検討していただいて、教育委員会や生活文化スポーツ局は既に今までの愚行に気づいて悔い改めていますので、この点お願いをしておきたいと思います。
 日本人は、西洋からいろんなものを、西洋の知恵、文物を取り入れる中で、西洋の言葉を巧みに翻訳する努力をしたんですね。ベースボールを野球と訳した正岡子規、ベースボールは野球に学べといってアメリカの新聞が社説で書くほどに、野球という言葉はそれだけの普遍性を持ったわけです。努力しているわけです。
 ちなみに、この間、総理が中国を訪問していましたけれども、中華人民共和国や朝鮮民主主義人民共和国という二つの国も、非常に日本に対して居丈高でありますけれども、この国の名前の共和国の共和とか、民主主義とか、人民という言葉は日本でつくった言葉なんですよ。日本がなかったらあの国は存在しないんですよ、あの国名は。それほど日本人は、デモクラシーとか、それからパーティーという言葉も政党と訳したわけですよ。今それを使っているわけです、みんな。
 それだけの知的作業を積み重ねて、日本語の今の体系はでき上がってきているわけですので、ぜひこの表記を--今まで、平成二十年度はまぜ書きで来ました。まぜ書きは文化破壊だということをひとつ意識の中に置いていただいて、漢字否定の文化に加担することなく、漢字仮名まじりの日本語をやはり守るという意識を持って、これから福祉保健行政を進めてもらいたいと思います。今後改善されることを強く求めます。
 以上です。

○松葉委員 平成二十年度東京都一般会計決算について、特に福祉保健局で取り組んでおられるがん対策について質問いたします。
 平成二十年三月に策定されました東京都がん対策推進計画では、平成二十四年度までにがん検診の受診率を五〇%とすることを目標としています。乳がんについては、年間一万人以上の方がとうとい命を落とされております。その中にあって、マンモグラフィーによる検診受診率は約二割という極めて低い状況にあります。また、子宮頸がんについては年間八千人以上の方が罹患されておりますが、検診受診率は三〇%程度であります。
 この乳がん、子宮頸がんは、二十代から五十代までの若い人に起こりやすいともいわれております。仕事をし、子育てをしている女性の命を脅かすという意味からも、早期発見へ向けた、受診しやすい検診体制の充実が重要であると深く実感しております。
 そこで、区市町村及び職域における検診の実施体制を整備することが大変に重要であります。特に乳がん検診の受診率を五〇%まで引き上げていくためには、マンモグラフィー検診機器の整備を早急に進めなければなりません。国の指針では、四十歳以上の方が二年に一回、視触診に加えマンモグラフィー検診を行うとしております。このマンモグラフィーによる検診を五〇%に引き上げるためには、それに対応できる機器が整備されていかなければならないことはいうまでもありません。
 そこで、平成二十四年度を見据え、平成二十年度はどのような整備を行ったのか、そして今年度はどういう取り組みになっているのか伺います。

○住友保健政策部長 平成二十年度は、区市町村や職域の乳がん検診を受託する医療機関を対象に、マンモグラフィー検診車二台の整備費補助を実施いたしました。
 今年度予算では、マンモグラフィー検診機器二十台の整備費補助経費を計上しております。
 平成二十四年度の乳がん検診受診率五〇%の目標達成に向けまして、必要な機器整備を計画的に進めてまいります。

○松葉委員 ぜひとも機器整備を強力に推し進めていただきたいと思います。
 また、マンモグラフィー検診の機器整備だけではなく、検診に従事する医師や撮影技師についても人材の養成が必要であると考えます。この点についても、平成二十年度及び今年度の取り組み状況を伺います。

○住友保健政策部長 受診率の向上と質の高い乳がん検診の実施に向けましては、検診に従事する医師、診療放射線技師を養成することが重要でございます。平成二十年度につきましては、医師を対象とした研修を一回、技師を対象とした研修を二回開催いたしました。受講人数は、医師が四十五人、技師が九十七人でございました。
 今年度につきましては、医師対象の研修を二回、技師対象の研修を二回、合わせまして四回の研修の実施を予定しております。
 今後も、マンモグラフィー検診機器整備にあわせまして、必要な人材を養成してまいります。

○松葉委員 医師、技師の人材確保、また養成も確実に行っていただきたいと思います。
 これまで公明党が強力に推進してまいりました乳がん、子宮がんの無料クーポン券と検診手帳の個別郵送事業が、現在、各区市町村で始まってきております。がん検診を受けない一番の理由はきっかけがないことであるとの識者の指摘もあります。また、実際には、検診をどのようにして受けたらよいのかわからないというのが実態でもあると思います。個別郵送なども含め、きっかけづくりは大変に重要であると考えます。
 そこでまず、乳がん、子宮がん検診の受診促進に向けての都民に対する普及啓発活動について、これまでの都の取り組み状況について改めてお伺いしたいと思います。

○住友保健政策部長 都ではこれまで、区市町村や民間団体等と連携いたしまして、乳がんの早期発見、早期治療の重要性を都民に伝えることを目的に、ピンクリボン運動に取り組んでまいりました。平成二十年度には、ピンクリボンイベントに合わせまして都庁舎のライトアップを行うほか、乳がん検診受診を呼びかけるポストカードを作成し、配布いたしました。また、三月の女性の健康週間に合わせて、乳がん、子宮がん検診についてのリーフレットを作成し、区市町村を通して都民に配布いたしました。
 今年度は、これらの取り組みに加えて、若い女性を読者層とした無料情報誌に子宮がん検診に関する記事を掲載いたしまして、子宮がん検診の普及啓発を行うことを予定しております。

○松葉委員 女性の健康週間につきましては、都としてしっかりと取り組んでいただきたいと、私自身も予算特別委員会や本会議の一般質問で取り上げさせていただきましたけれども、ピンクリボン運動などともあわせた啓発活動を展開されてきていることを評価するものであります。引き続きの取り組みを期待しております。
 また一方、がん検診の受診率向上を図る上で、都は包括補助を活用して区市町村の取り組みを積極的に支援すべきであると考えますが、平成二十年度について、補助を行った区市町村数と具体的な取り組みの内容について伺います。

○住友保健政策部長 平成二十年度は、区市町村包括補助を活用いたしまして、がん検診の受診率と質の向上に取り組む十七区市町村に支援を行いました。各区市町村の具体的な取り組み内容といたしましては、受診率目標を掲げたがん対策計画の策定や、精密検査が必要な方への受診勧奨、ピンクリボン運動に合わせた普及啓発活動の実施などがございました。
 今年度は、個別通知による受診勧奨などの区市町村の取り組みを支援するとともに、受診率向上に向けた効果的な取り組みについて検討を行っております。

○松葉委員 包括補助を活用し、区市町村の支援を今後も積極的に行っていただくことを要望いたしておきたいと思います。
 がん検診受診率を五〇%にまで引き上げるためには、区市町村が実施するがん検診に加え、職域における受診率を向上させることが特に重要だと思います。都が二十年度に実施しました東京都がん検診実態調査の結果を今後どのように活用して職域における受診促進を図っていくのか、見解を伺います。

○住友保健政策部長 都では昨年度、事業所などを対象として、がん検診実態調査を実施いたしました。その調査結果では、乳がん検診、子宮がん検診を実施している事業所は約六割と、胃がん検診などの他の検診に比べて少なく、また、乳がん検診の検査方法につきましては、マンモグラフィーによる検診が実施されているのは、検診を実施している事業所の約六割ということが明らかになりました。
 今年度は、乳がん、子宮がん検診につきまして、企業や事業所での普及啓発を働きかけますとともに、がん検診に積極的な企業の取り組みを調査するなど、職域における受診促進に取り組んでまいります。
 今後も、実態調査の結果を活用し、職域も含めた都民のがん検診の受診率向上に努めてまいります。

○松葉委員 平成二十四年度には五〇%の検診受診率となりますように、検診体制の整備、普及啓発等、さらに強力に推進していただくよう、最後に改めて要望し、質問を終わります。

○高橋委員長 この際、議事の都合によりまして、おおむね十分間休憩いたします。
   午後二時五十分休憩

   午後三時開議

○高橋委員長 休憩前に引き続きまして分科会を開きます。
 質疑を続行いたします。
 発言を願います。

○西崎委員 私からは大きく三つ、障害者の就労支援、認知症対策、そしてひとり親家庭支援についてお伺いいたします。
 まず初めに、障害者の就労支援について伺います。
 東京都は長期計画「十年後の東京」で、障害者三万人の雇用目標を掲げまして、昨年の十月から東京都障害者就労支援協議会を設置し、協議を進めてきました。十一月には首都TOKYO障害者就労支援行動宣言を策定し、障害者の就労支援を推進しています。
 この宣言には東京都初め教育委員会、社会福祉協議会、労働局など八団体が賛同しまして、具体的な取り組みを進めるために十の視点、二十の行動と、その実施主体も示しています。このことによりまして広く社会へのメッセージを発信して、関係団体が一丸となって障害者の雇用、就労を推進していくことが重要ですが、都では、障害者が一般企業に就職し、安心して働き続けられるために、全区市町村に就労支援センターを設置して、区市町村障害者就労支援事業の実施に取り組んできています。
 そこで、平成二十年度の実績はどのようになっているのか伺います。

○芦田障害者施策推進部長 都では、障害者の一般企業での就労を促進するため、障害者就労支援センターを設置する区市町村に対して運営費の補助などを行っております。平成二十年度は四十三の区市において就労支援センターを設置しており、本人及び企業からの就職の相談を受け、障害の特性や企業のニーズに応じたマッチングを支援するとともに、就職した後も、定着に向けて継続的な支援を実施しております。また、同センターでは雇用前の訓練として、企業内での実習を行うとともに、企業の中で障害者の能力や適性に応じた仕事を開拓するなど、企業と連携した支援に取り組んでおり、平成二十年度は九百八十名の障害者が一般企業に就職をしております。

○西崎委員 今のお話ですと、四十三の区市において区市町村障害者就労支援センターを設置して進めてきているということですけれども、就労を進めるためには、就労面だけではなくて生活面を含めた支援が必要でありまして、ジョブコーチ制度、NPOなどが行っている地域での生活支援等、総合的な支援策が求められていると思います。
 また、一般企業への就労もいろんな分野へ広がってきていますけれども、さらに進めていくためには、就労支援機関の支援員の人材育成は重要な課題だと考えます。昨年、都では新規事業の就労支援体制レベルアップ事業をスタートさせています。そこで、この実績はどのようになっているのか、お伺いいたします。

○芦田障害者施策推進部長 平成二十年度の新規事業の就労支援体制レベルアップ事業は、区市町村障害者就労支援センターなどの就労支援機関の職員や、福祉施設において一般企業への就労移行に取り組んでいる職員などを対象とした研修事業でございます。
 この事業は、障害特性に応じた適切な支援や、企業側の要請に的確に対応できる中核的な人材の育成をねらいとして実施をしております。昨年度は、企業の採用担当者の講義のほか、発達障害等の困難事例の検討や、プレゼンテーション技法の演習、関係機関の地域連携のあり方のグループ討議などを体系的に実施しておりまして、百二名が受講しております。

○西崎委員 百二名の方が研修などにも参加しているということですけれども、今後さまざまな企業に障害者の就労が広がるよう、就労支援のノウハウの蓄積、人材育成にしっかり取り組んでいただきたいと思います。
 先日、精神障害のお子さんを持つ親御さんから、生活や就労の相談を受けました。年齢も、お子さんといっても三十代、四十代になると、仕事についていても、なかなか社会に溶け込んでいけなくて、家に帰ってきてしまって閉じこもりがちになって、どんどん自信を失い、家族も大変困っているというお話でした。その意味では二十年度から始まりました都庁内のチャレンジ雇用は、一般企業への橋渡しとして大変有効な事業と聞いています。とりわけ精神障害者にとって、企業の雇用への理解がなかなか進まない中、大変期待されていると思うんですけれども、そこで、二十年度の雇用の実績並びに雇用後の就労はどのような状況になっているのか、お聞かせください。

○芦田障害者施策推進部長 福祉保健局では知的障害者、精神障害者の雇用を促進するための施策の一つとして、平成十八年度から都庁内職場体験実習を実施してまいりましたが、平成二十年度におきましてはさらに一歩進め、知的障害者、精神障害者を初めて雇用する事業を開始いたしました。雇用にチャレンジ事業として、昨年度、福祉保健局と産業労働局の両局において、知的障害者二名、精神障害者十名の十二名を四カ月間、臨時職員として雇用いたしました。都庁での短期ながらも臨時職員としての雇用の経験が評価され、現時点で知的障害者一名、精神障害者四名の計五名の方が、一般企業等への就職につながっております。

○西崎委員 都庁内での業務経験が評価されて、知的障害者、精神障害者の方も一般企業等への就職につながっているということですので、今後もぜひこの制度を充実させていただきたいと思います。
 以前、生活者ネットワークの都議団で、千葉県の県庁内に設置されています「チャレンジドオフィスちば」を視察したことがございます。ここは福祉保健局や労働局に設置するのではなくて、総務局に部屋が用意されていて、一つの会議室などに障害者を閉じ込めてしまうのではなくて、いつでも職員の方が通りながら障害者の人がどのような作業をしているのかわかるようなガラス張りの状態で、部屋で仕事をしていました。障害者の雇用が一般企業へ進んだということは、こういう制度を利用すると、いうまでもありませんけれども、そのことによって千葉県でも庁内の職員の意識が大変変わったという話をしていました。東京都でもいろんな所管がかかわっていますけれども、どうかすると所管外の方の職員の意識がなかなか進んでいないというような状況も決してないわけではないと思いますので、ぜひ関係団体、関係所管以外の東京都全体の職員の障害者への理解が進んで意識が変わるように、今後も期待したいと思います。
 次に、認知症対策の取り組みについて伺います。
 認知症高齢者は全国でも二百万人、都内でもその一割の約二十万人がいると推定されています。年々ふえる傾向にあります。高齢になっても、住みなれた地域で自分らしく生活したいとだれもが思っていても、認知症になりますと、認知症に伴います生活上の困難を抱えて、家族や地域の支えの仕組みがないと難しくなってきます。
 東京都では、NPOや商店街、交通機関など、日常生活を支える多様な社会資源に加えて、介護サービス事業者などの身近な地域の特性を生かしながら、地域で支える具体的な仕組みづくりを目的としたモデル事業を実施し、東京都認知症対策推進会議の委員を交えて、認知症の人を支えるまちづくりについて具体的に取り組んできています。
 そこで、十九年度、二十年度の二年間で実施しました認知症地域資源ネットワークモデル事業の内容と成果について、お聞かせください。

○狩野高齢社会対策部長 認知症地域資源ネットワークモデル事業は、練馬区と多摩市において認知症の人とその家族を支えるため、地域包括支援センターや区市町村職員を中心といたしまして、介護事業者、地区医師会、地域住民などが参加するネットワークの構築を目的としたものでございます。
 モデル事業の一つといたしまして、地域包括支援センターや、かかりつけ医、民生児童委員などのほか、例えば配食サービス事業者ですとか、高齢者宅へ配達を行っている商店、それから家族会、会食のサロンなど、認知症の人と家族を支えるさまざまな社会資源を掲載した地域資源マップを作成したところでございます。
 また、徘回する認知症高齢者を早期に発見するために、地元の警察署、消防署、町会、自治会、地域商店街などが協力して情報を共有する仕組みとして、認知症高齢者徘回SOSネットワークを構築いたしました。さらに、介護者同士の情報交換や認知症の人同士の交流などを行う、認知症の人の家族会に対する支援策の検討も行ったところでございます。
 こうしたモデル事業の実施によりまして、区市町村におきましては認知症に対する理解が深まるとともに、認知症の方やその家族を地域で支えるという機運が醸成されるなど、関係者間での具体的な取り組みを実施するきっかけになったものと認識しております。

○西崎委員 認知症地域資源ネットワーク事業は、練馬区と多摩市で実施しているということですけれども、それぞれの地域が成果を出していると思いますし、このような事業がほかの自治体へも広がっていくということを期待したいと思います。
 この二年間の間に、ネットワークモデル事業のほかに、事業者が行った認知症支援拠点モデル事業も同時に行われていました。私は杉並区の方南町の方の施設に伺って、その実施状況などを視察でお話を伺ったんですけれども、施設とグループホームとか、さまざまな施設がここには複合で建てられていまして、地域住民、商店街と連携しながら認知症高齢者の料理づくりとか買い物、さまざまな取り組みを進めていて、大変効果があったというお話も伺っています。私は世田谷区に住んでいるんですけれども、世田谷でもNPO「語らい」が、この事業に参加していたと聞いています。そこで、その実施状況と成果についてお聞かせください。

○狩野高齢社会対策部長 認知症支援拠点モデル事業は、グループホームなどの介護事業所を認知症支援の拠点として活用することを目的に、都内の五つの事業所で実施したものでございます。そのうち、NPO法人が運営をいたします世田谷区のグループホームにおきましては、認知症の人が地域で安心して買い物ができるよう、近隣の商店街と協力いたしまして、認知症を理解している商店の入り口に目印のシールを張り、その商店を記載した商店街マップ、あんしん生活マップを作成して配布いたしました。さらに、通所介護事業所の休業日に、その空きスペースを活用いたしまして、看護職等の専門職とボランティアを配置したサロンを開催いたしまして、家族の休息や介護の方法などの相談に応じることを目的として、在宅の認知症の人が安心して過ごせる場の提供を行ったところでございます。

○西崎委員 今お話を伺った商店街は、実は私はすぐそばに住んでいまして、ウルトラマン商店街としてもすごく有名なところなんですけれども、ウルトラマンの銅像は目立っているんですが、残念ながら、この安心マークというのがどこに張ってあるのかと思って探したんですけれども、張ってあるところには張ってありました。でも、問題はマークよりも、利用者の高齢者が困ったときに本当に支援できる、認知症の高齢者の人が多分買い物に行ったときに、どこかに、何かあった場合に通報したり、そういう支援できるネットワークがこの商店街の中でいろいろ話し合われて、NPO「語らい」が中心につくってきているんだと思いますけれども、今後も、一つの商店街だけでそのネットワークを組んでも、世田谷区はかなり大きな人口がいますし、高齢者も多いですので、区にも働きかけて、全体で認知症支援のネットワークが広がっていくように、東京都からもぜひいっていただきたいというふうに思います。
 身近な地域の特性を生かしながら、地域で支える具体的な仕組みづくりは、モデル事業を行った区市町村だけではなくて、都内全体の支援のネットワークをつくっていく必要があると思います。そこで、区市町村独自の認知症支援の取り組みに対して都としてどのような支援を行ったのか、お聞かせください。

○狩野高齢社会対策部長 都は、区市町村が地域の実情に応じた認知症支援の取り組みが実施できるよう、高齢社会対策区市町村包括補助事業において補助しているところでございます。平成二十年度は、認知症の家族を対象とした介護の方法や心のケアに関する専門相談会の開催など、二つの区市の取り組みを、包括補助において新たな課題に取り組む試行的事業である先駆的事業として支援をいたしました。
 また、地域住民の方々に認知症を正しく理解してもらうための講演会の開催や、現在、都内で約六万六千人養成されております、認知症の人とその家族を支援する認知症サポーターの育成など、十二区四市の地域の特性に応じた取り組みを、包括補助事業において選択事業として支援しております。
 二十一年度は、さらに、この二年間の先ほどのモデル事業を内容とした認知症地域資源ネットワーク事業を包括補助事業の選択事業の新たなメニューに加えて、各区市町村へモデル事業の成果の普及を図っているところでございます。

○西崎委員 ぜひ都内全域に広げていっていただきたいと思います。高齢者人口の一二%は、認知症高齢者だといわれています。私はこの数字を聞いて大変ショックを受けたんですけれども、これからどんどん高齢化が進んでいくこの東京の中で、軽度の人も含めて認知症高齢者がふえていくという状況が現実にあると思います。認知症が重度になれば徘回をしたりして、家族だけではとても介護できない、支えられない状況になると思います。地域の中で支えられる仕組みづくりを、まずは区市町村から確立し、今後は広域にわたって東京都が整備していくよう要望しておきます。
 最後に、ひとり親家庭支援について伺いたいと思います。
 最近の新聞に、OECDの主要国の貧困率が書かれていました。日本は二〇〇八年のOECDの報告書によりますと一四・九%で、これは加盟国の三十カ国中で上から四番目に高くて、特に働いているひとり親家庭の子どもは五八%が貧困に該当しており、高い結果が出ています。ひとり親家庭支援については、国において法改正されまして、きめ細やかな福祉サービスの展開と自立支援に重点が置かれ、子育て、生活支援、就業支援など、総合的な支援と大きく変わりました。
 ひとり親家庭の九割は母子家庭です。母子家庭の中には、就業経験の乏しい人もおり、就業能力を図り就業に結びつけていくことが必要だと思います。都では、これまで国がやっていました母子家庭自立支援プログラム策定事業によりまして、区市など、就業し自立を目指すひとり親について個別の支援計画を策定して、きめ細やかな支援を行うことを進めてきていますけれども、ひとり親の実情を踏まえた支援に取り組む区市などの拡大が重要だと考えます。平成二十年度は、ひとり親家庭総合支援事業が、ひとり親家庭支援区市町村包括補助事業へと再構築されていますけれども、母子の自立、就労支援の実施状況についてと効果について伺います。

○吉岡少子社会対策部長 母子家庭に対する就業自立支援に当たりましては、それぞれの家庭の状況に応じて個別の自立支援プログラムを作成し、計画的に支援することが重要でございます。このため都は、区市がプログラム策定に取り組みやすいよう、ひとり親家庭支援区市町村包括補助事業において、プログラム策定に向けて事前の相談に応じた場合も補助対象とするなど、事業の充実を図りました。この結果、プログラム策定に取り組む自治体数は平成十九年度の十四区市から、平成二十年度は三十二区市に増加したところでございます。

○西崎委員 今のお話を聞きますと、ひとり親家庭自立、就労支援の促進のため、自立支援プログラム策定の取り組みが非常にふえたということで、そのことは評価いたします。今後その内容をさらに充実させていただきたいと思います。
 もう一つ、ひとり親家庭の中には、DV被害によりひとり親となった家族もいると聞いています。母子生活支援施設やシェルターにおける母子の緊急一時保護事業については、ひとり親家庭総合支援事業で区市町村にとって利用しにくい制度になったため、これまで実績が上がってこなかったというふうに伺っています。二十年度、ひとり親家庭支援区市町村包括補助事業にかわってからどのように改善されたのか、また、その実施状況と効果についてお聞かせください。

○吉岡少子社会対策部長 平成二十年度まで都が実施しておりました、ひとり親家庭総合支援事業におきましては、区市町村の取り組みを促進するため、緊急一時保護や専門相談事業など七種類の事業のうち二種類以上実施することを採択の条件としておりました。しかし、実際には、この二つの事業を行うという、こういう条件によりまして区市町村の申請が制限される面がございまして、実施が広がりにくかったという状況がございました。ひとり親家庭支援区市町村包括補助事業におきましては、母子の緊急一時保護事業だけを取り組んだ場合でも採択の対象とするなど、補助条件の要件の緩和を図ったところでございます。この結果、緊急一時保護事業の実施自治体数は、平成十九年度の十六区市から、平成二十年度は二十八区市に拡大をしております。

○西崎委員 ひとり親家庭への支援は、親の支援から子どもの支援、子育て支援、それからDV被害者の緊急一時保護などの支援と就職支援まで、幅広い対応が求められています。身近な自治体での取り組みが進むよう、今後も都から積極的に働きかけていただくよう要望して、質問を終わります。

○小山委員 私からは、二件についてお伺いをさせていただきます。
 まず一件目といたしまして、福祉保健局の歳入決算における不納欠損の状況についてお伺いをさせていただきます。これは局の債権管理のあり方、考え方についてもお伺いさせていただきたいと思います。
 福祉保健局では、一般会計に加えまして、母子福祉貸付資金会計と心身障害者扶養年金会計の二つの特別会計を所管しているとのご説明をいただきました。まず、これら会計全体での不納欠損の額を、平成十七年度からの推移でお答えをいただきたいと思います。

○日置企画担当部長 福祉保健局におけます不納欠損額でございますが、平成十七年度が七千八百万余円、平成十八年度が一億二千百万余円、平成十九年度は一億二千六百万余円、平成二十年度は一億九千八百万余円となっております。

○小山委員 今お答えの中にありましたように、不納欠損の額全体では、平成十七年度が七千八百万円から、二十年度に至っては一億九千八百万円と、増加の傾向を示しております。この数年、増加傾向になることが今のご答弁からわかったわけでありますが、もちろん不納欠損は時効の完成などの事由がありまして、現在の経済情勢を即反映しているというわけではありませんが、局としてこの不納欠損の増加傾向をどのように認識されておりますか、お伺いいたします。

○日置企画担当部長 一般的に不納欠損は、債務者が死亡し相続人もいない場合あるいは時効が成立した場合、法令等に基づいて債務を免除、放棄した場合に行われる処理でございます。福祉保健局におきましては、不納欠損処理を行った主な債権は児童扶養手当過誤払い返還金、児童福祉施設等措置費徴収金といった債権でございます。このうち不納欠損額が最も多い債権でございます児童扶養手当過誤払い返還金でございますが、この事業の性格からいたしまして、債務者には比較的所得の低い方が多い状況にございます。したがいまして、こうした債権は、債務者の生活困窮などによりまして滞納に至る事案がございます。
 当局といたしましては、事業の趣旨、さらに財源が公費で賄われることにかんがみまして適切な債権管理に努めてございますが、債務者あるいは連帯保証人が行方不明になるなどにより徴収することが著しく困難または不適当であると認めたものにつきまして、不納欠損処理を行ったものでございます。

○小山委員 お答えをいただきまして、状況がよくわかりました。今の不納欠損の状況の中で、かなり低所得者、所得層の低い方の中に見られるものとしてお答えをいただきました。確かに現状の経済情勢、経済動向が反映をされているということもまたいえるかとも思えますし、また、もちろんこの不納欠損そのものに関しては当然、ただいまご答弁いただいたように、やはり公費が投入されているわけですから、こういったことを生じさせてはいけないと、非常に難しい相入れない二面の部分が、この問題の中には含まれていると考えております。
 そこで、もちろん局としての、これは全体的な取り組みになってくると思うんですけれども、やはりそれぞれ個別の事業のみならず、全体的な取り組みとして、債権管理に対して局としてどのように取り組むべきなのか、こういった経済情勢があるとは思いますが、ぜひ具体的な取り組みも含めてお聞かせをいただきたいと思います。

○日置企画担当部長 福祉保健局では、納期限までに未納となっている債権につきましては、債務者に対して督促を行い、さらに未納な場合につきましては催告を行うなど、適切な債権管理を行ってまいりました。
 平成十七年度から十九年度におきましては、主税局におきます都債権回収事業、これに参加いたしまして、三カ年で一億八千万円を超える回収を達成いたしたところでございます。さらに、平成二十年度の東京都債権管理条例制定に先立ちまして、平成十九年度に、さきに申しました主税局における都債権回収事業、これの成果も踏まえまして、福祉保健局債権管理マニュアルを策定いたしまして、局を挙げて債権管理体制の強化に取り組んできたところでございます。
 また、一部の債権につきましては費用対効果等も見据えながら、民間の債権回収業者を活用しているところでもございます。
 今後とも引き続き積極的な債権回収に努めるとともに、債権回収コストにも留意しながら、適切な債権管理に努めてまいります。

○小山委員 ご答弁ありがとうございました。今のお答えの中で、これまでの取り組み、そして、これからさらに取り組んでいくというお答えをいただきましたので、ぜひ適切に対応していただきたいと思います。
 そのお答えの中に、平成十九年度に福祉保健局の債権管理マニュアル、こういったものも策定をされて取り組まれてきたということでありますが、実態としてやはり増加の数字があるわけでありますし、また、経済的な動向も都として状況把握をしっかりしながら、この不納欠損を起こさせない取り組みをぜひ図っていただきたいと思います。
 あわせて、先ほども申し上げましたけれども、やはりこの福祉保健局が行っている事業には多額の公費、都費が投じられているわけでありますから、ぜひともそういった不納欠損が発生しない状況、また債権管理をしっかりしていくということを要望しておきたいと思います。一件目は以上でございます。
 二件目につきましては、東京都の心身障害者扶養年金制度についてであります。
 会計は、こちらは平成二十年度の会計をいただいておりますが、既にこの制度は平成十九年三月一日をもって廃止されているわけであります。改めて今回お伺いをしたいと思いますが、そもそもの心身障害者扶養年金制度の目的、趣旨はどういったものであったのか、改めてお伺いをさせていただきます。

○芦田障害者施策推進部長 心身障害者扶養年金制度は、保護者が死亡または身体障害及び精神の機能を著しく喪失した状態となった後、障害者に年金を支給することによって障害者の生活の安定と福祉の向上を図るとともに、残された障害者の将来に対し保護者の抱く不安の軽減を図ることを目的として、昭和四十四年四月に創設された制度でございますが、平成十九年三月一日をもって廃止をしております。

○小山委員 今ご答弁いただきましたけれども、本来の目的、残された障害者の将来、保護者が亡くなられた後の障害者の将来に対して、不安軽減を図るという東京都独自の施策であったわけであります。これに関しては、大変すばらしい施策を実施されていたのだと思いますが、残念ながら、ご答弁にもありましたように平成十九年で廃止をされてしまったと。そして、この間の廃止に至るまでの経緯の中でも、所管の委員会であるとか、さまざまなところで議論をされてまいりましたが、この廃止されるに至った理由についても、改めてここで確認をさせていただきたいと思います。

○芦田障害者施策推進部長 扶養年金制度は、バブル経済崩壊後の金利低下による運用利回りの悪化や、加入者の減少などの制度的な行き詰まりから、このまま制度を継続しても、平成二十三年度中には扶養年金基金が底をつくことが見込まれる状況にあったため、制度を維持していくことが困難な状況となりました。平成十八年十月、扶養年金審議会で今後のあり方を検討した結果、制度を維持するためには掛金を大幅に値上げするか、または継続的に多額の公費投入を行うしかなく、制度を廃止せざるを得ないという答申をいただきました。この答申を踏まえまして、同年十二月の東京都議会第四回定例会におきまして、扶養年金制度の廃止条例が審議可決され、平成十九年三月一日をもって廃止されたところでございます。

○小山委員 お答えにありましたように、東京都のこの施策が、この制度そのもの、バブル経済崩壊後の金利低下、こういった運用利回りの悪化だとか、あるいは加入者が当然減少してしまっているという、こういう理由もありながら、残念ながらこの制度が廃止をされるに至ったと。そして、審議会の答申も私は拝見をさせていただきましたけれども、この答申の中でも、本来的に障害者、残された障害者のための、やはり本来的な目的、意義はしっかり認識をした上で、制度廃止にやむなく至るということが書かれております。
 そこで、この制度廃止に伴って、清算という形で清算金が支給されるようになったということでありますが、その清算金というものがどういった形で支給をされたのか、この件について確認をさせていただきます。

○芦田障害者施策推進部長 扶養年金制度廃止に伴う対応といたしまして、扶養年金廃止時に既に年金を受給している障害者には引き続き終身の年金を支給しております。年金の未受給者には、清算金を支給することといたしましたが、清算金は年金の平均的受給期間である二十四年間給付したとする額を標準額として、個々の加入者の掛金払込時期に応じて算出したもので、清算金の額は、必ず既に払い込んだ掛金の総額を上回っております。また、一時的な所得の増加を回避するため、分割による受け取りも選択できるようにいたしました。
 なお、清算金は課税対象であるため所得税が課せられることになり、住民税や各種手当等の受給にも影響があることを「加入者だより」を通じて清算金受給者全員に個別に周知するほか、問い合わせの多い内容につきましてQアンドAを作成するなど、できるだけわかりやすい説明に努めてきたところでございます。

○小山委員 今お答えをいただいた中に、制度を廃止して清算金を--を年金を実際もう受給されている方には引き続きされていらっしゃると。これは評価をいたしますが、実際まだ未受給の方には清算金を支給することになったと。そして、その清算金の金額は必ず掛金の総額を上回っているという、こういう対応をとられたということがわかりました。このこと自体の対応は、私も評価をさせていただきます。そして、その後、清算金の中には課税の対象になってしまうもの、あるいはほかの各種の手当等にも影響があること、こういったことももちろん、この「加入者だより」を通じて周知をされてきたということであります。
 この中で今現状、起こっている問題として、今、実際この清算金を受け取られている方々の中で、実は当初いろいろ説明を受けていたこと以上に、例えば利用者の負担がふえたり、あるいは各助成が減額されてしまっている、そういったことによって大変困惑をされていらっしゃる方々が私のもとに、いろいろお話を承っております。こういった事態が発生しているこの状況を東京都がしっかり把握をされているのかどうか、そして、この清算金を受給されたことによりまして、障害福祉サービス等の利用者負担が増額をされたり、あるいは助成が減額をされたり、こういった状況に対して、ぜひとも東京都として何らかの対応をしていくべきと考えますが、ご見解をお伺いいたします。

○芦田障害者施策推進部長 清算金の受領額によっては、障害福祉サービスの自己負担額や障害者手当等の受給に影響がある方もいらっしゃいますが、清算金以外に所得がない方については、ほとんど影響がないと考えております。しかしながら、利用者負担を定める所得区分の境界、その境目に近い所得の方につきましては影響を受ける場合もあると考えておりますので、清算金の受給手続の際に、清算金を受給することによって税金を初めとして障害福祉サービス等への影響があることなどにつきまして、今後とも丁寧な説明や相談対応をしてまいります。

○小山委員 今お答えをいただきました中に、清算金以外に所得がない方については、ほとんど影響がないと。こういう方に関していえば、確かにそのとおりかもしれません。しかし実際、当初、利用者負担であるとか、そういったものも多少の負担が生じることは多くの方は想定をされていたようなのでありますが、しかし今、それ以上の負担や助成の減額につながっているという事態が発生しているということであります。当初、この制度を廃止するに当たっての答申の中でうたわれておりました、この答申の「はじめに」や「終わりに」の中に、この制度が破綻に至ったことについては、やはり制度を運営する都の責任は非常に重たいものだと、そして、制度廃止に伴う制度加入者への対応を十分に意を尽くす必要があると、こういったこともしっかり述べられております。ぜひとも、十九年に廃止をされて、二十年に実際、清算金を受け取られたりしている方々が、今二十一年度で、いろんなさまざまな利用者負担であるとか、助成の減額といった状況に陥っておりますので、こういった問題に対しての相談、対応をしっかり図られるように要望いたしまして、私の質疑とさせていただきます。
 ありがとうございました。

○斉藤委員 公明党の斉藤やすひろでございます。私の方からは、がん対策につきまして他の委員の方からも詳しく質問、質疑ございましたので、緩和ケアにつきまして一点ご質問させていただきます。
 東京都においては、がんは昭和五十三年から都民の死亡原因の第一位になっているということは皆様よくご存じですが、年間約三万人の方が、がんで亡くなられております。がん対策につきましては国も平成十九年に、公明党も主導させていただきましたけれども、がん対策基本法を策定して、各都道府県におきましては、それに対する取り組みを、五カ年計画をつくることになりました。
 東京都におきましても、平成二十年三月に東京都がん対策推進計画を策定いただいたわけでございます。がん検診をしっかりやっていくこととか、さまざま対策がある中で、実は、がんにかかった方の療養生活をしっかりケアしていくという意味でも、また、これからがんにつきましては手術を行うという観点からだけでなく、がんと多角的につき合っていくという、そういう観点からも、緩和ケアというものが大変早期で注目されているところでございます。
 東京都がん対策推進計画では、がん予防対策の推進と並びまして、がん診療連携拠点病院での緩和ケア研修の実施、緩和ケアに関する医療従事者の育成がうたわれているところでございます。がん治療については、早期から緩和ケアを行うことが重要とされておりまして、そのためには適切に緩和ケアを提供できる医師の確保が必要でございます。
 国は緩和ケア研修につきまして、いわゆる座学だけではなくグループワークを行うなど、少人数が対象の集中的なカリキュラムで実施するよう開催指針を示しておりますが、その一方で、がん医療に携わる医師の方は診療科に多数在籍しているところでございます。昨年度の都におけるこの医師に対する緩和ケア研修の実施状況について、まずお伺いしたいと思います。

○中川原参事 平成二十年度の医師に対します緩和ケア研修につきましては、がん診療拠点病院などにおきまして年間で七回開催し、全体で百八十六名の医師が受講してございます。なお、平成二十一年度につきましては、緩和ケアの重要性にかんがみまして、より多くの医師が受講できますよう、年間で二十八回の開催を予定しております。

○斉藤委員 研修の拡大によりまして、今後、多くのがん患者の方々、皆様に適切な緩和ケアが提供され、療養生活の質が高まることを期待するものでございます。治療の初期段階からの緩和ケアはもちろんのこと、在宅療養生活におきましても適切に提供されることによりまして、都民の療養生活の質の向上に寄与すると考えるものでございます。
 がんに限らず、在宅療養体制の充実は今後ますます重要になってまいります。そこで、次に在宅医療について伺います。
 都民が安心して、住みなれた地域で在宅療養生活を送るためには、医療的ケアや介護の生活支援など、さまざまなニーズの的確な対応が欠かせません。我が党の中山議員が昨年の第一回定例都議会におきまして、在宅療養生活を支える医療と介護の連携推進の重要性を訴え、それを受けて、都は在宅医療ネットワーク推進事業をモデル実施し、東京の地域特性を踏まえた連携のあり方を検討するということでございました。この在宅医療ネットワーク推進事業は、昨年度と今年度の二カ年にわたるモデル事業と伺っております。今後、他の地域の在宅医療体制の充実に生かせるようなヒントを得られることを期待しております。
 そこで、折り返しを過ぎた現段階での取り組み状況や今後の展開について、都の認識を伺いたいと思います。

○大久保参事 在宅医療ネットワーク推進事業は、地域の医師や訪問看護師、ケアマネジャーなどが連携して在宅療養生活を支える仕組みづくりを目指すものでございまして、現在、三地域でモデル実施しております。墨田区ではがん患者に焦点を絞りました在宅ホスピス緩和ケアに向けた取り組み、豊島区では在宅医療における、例えば内科の主治医と歯科などの他の診療科との連携推進の取り組み、国立市では病院から在宅医療への円滑な移行システム構築に向けた取り組みを展開中でございます。
 そこから見えてくることといたしましては、病院から在宅医療へのスムーズな移行には病院スタッフと在宅医療スタッフとの十分な連携と調整が不可欠でございまして、したがって、こうした地域の多職種にわたる関係者の間での顔の見える関係づくりが重要だということでございます。こうした事業の成果を十分に生かしまして、他の地域における在宅医療提供体制の充実を図ってまいります。

○斉藤委員 ありがとうございます。在宅療養といいますか、在宅医療を推進する上では、その人材として、他の委員からもご質問がございましたが、医師だけではなく看護師、このようなマンパワーが大変重要である、そのように考えているものでございます。
 この在宅医療を推進する上で、訪問看護ステーションはとても大切なもので不可欠なものと考えておりますけれども、都内の事業者数の推移を見てみますと、ここ数年間、五百半ばという数字で横ばいの状況でございます。大変、看護師の確保が難しいという状況が背後にあると思いますけれども、都は平成二十年度の新規事業として、この訪問看護ステーション支援事業を実施されているところでございますが、訪問看護ステーションに対する認識と事業の実施状況についてお伺いしておきたいと思います。

○狩野高齢社会対策部長 医療的ケアが必要な要介護高齢者が増加する中、高齢者が住みなれた地域で暮らし続けるためには、在宅での療養生活を支える仕組みが今後一層重要となってまいります。訪問看護ステーションは、高齢者の療養生活を支えるために大変重要な事業所であると認識しております。
 お話の訪問看護ステーション支援事業は、訪問看護師の確保、育成のため、訪問看護ステーションの安定した運営を図ることを目的として、管理者のマネジメント能力の向上のための研修を行う事業でございます。二十年度は、新人の管理者等を対象にいたしまして看護管理概論、リーダーシップ論などの管理者として必要な知識や演習形式によるコミュニケーション手法の研修などを実施し、都内七十一カ所の訪問看護ステーションから七十六名の管理者が受講いたしました。

○斉藤委員 この訪問看護ステーションにつきましては、単にその人数の多寡ではなく、マネジメント能力といいますか、その現場において起こっていることに対応するだけのマンパワーをいかに運営、マネジメントしていくか、そこにめり張りをつけての今、支援を行っているということと認識をいたしました。この訪問看護ステーションにつきまして、平成二十年度事業を踏まえまして、今後、平成二十一年度はどのようにその事業を展開されていくのか、またさらにお伺いしたいと思います。

○狩野高齢社会対策部長 平成二十一年度におきましては平成二十年度と同様、新人管理者を対象とする研修を実施するとともに、経験のある中堅管理者や昨年度の研修受講者を対象にいたしまして、労務管理や人材管理などの講義を加えた、いわばセカンドステップ研修を実施することとしております。また、高齢者の在宅での療養生活を支えるには、訪問看護ステーションの看護師が、医師やケアマネジャーなどの他職種と協働する必要がございます。そのため、地域における多職種連携の先駆的事例を収集検証し、実践事例集を作成することで、チームケアの推進を図ってまいります。

○斉藤委員 まだその事業自身が半ばということでございますが、その実践事例集などを活用して、さらなる人材の育成に努めていただきたいと思います。
 この看護ステーションのマンパワーですけれども、地域での在宅医療、療養、これを支援するネットワークをつくる上で、どうしても欠かすことのできない大切な能力を持った方々でございますので、今後もしっかりとその推進を応援してまいりたいと思っております。
 この首都東京でございますが、一千二百九十万人を擁するこの首都東京、何が今起こっているかといいますと、二〇一五年には人口の四分の一に当たる方が六十五歳以上という、この高齢者の数は世界に類例のない超高齢都市ということになりますが、高齢となる、歳を重ねるということは、病気とともに生きていく、そのような方々がふえていく社会ということでもございます。加齢とともに病気に罹患する都民が今後ふえると予想される中で、国の制度は医療と介護が、保険という制度でございますが、縦割りになっている現実がございまして、何かあって病院に入院しても、約三カ月もたつと別な施設や自宅に移る仕組みになっております。
 国は平成二十三年度末に介護療養型の病床を廃止し、医療療養病床も再編成するとしております。東京都は、平成二十年三月に策定いたしました東京都医療費適正化計画の中で、医療療養病床は、在宅で療養生活を送る高齢者のセーフティーネットとして大変重要であることから、平成二十四年度末までに都における目標数を二万八千七十七床と定め、独自の整備費補助などを通じて必要数を確保すると都独自に決めております。この点を高く評価するものでございます。
 他方、二十三区部エリアでは、介護施設は絶対的に不足しており、いつまでも入所希望者が解消できないのが現実でございます。私は今後、在宅医療や在宅介護を地域で支援する仕組み、いわゆる地域ケア体制の東京モデルの構築が一層重要になってくると考えております。地域ケア体制の整備に関しましては、医療と介護の連携のみならず、ケアつき住まいなどの研究と検討がなされていくと思いますが、国は既に国土交通省と厚生労働省が共管となるように、高齢者の居住の安定確保に関する法律を改正いたしました。
 これは、かつては国土交通省が単独で持った法律を厚生労働省と共管することによって、高齢社会にふさわしい施策の推進に決断をした結果、できた改正でございます。住みなれたまちに安心して住み続けられるような住まいを、いつまでにどのくらいその地域につくるのかという高齢者居住安定確保計画を、都こそが、国の、各道府県に先導して策定していくべきであると思います。今後、議論を深めてまいりたいと思っております。
 質問は以上でございます。

○西沢委員 民主党の西沢けいたでございます。私からは広報活動などについて、いろいろとお尋ねをしたいと思います。
 東京都の政策を広く都民の皆様に知っていただく、ご理解をいただくための情報提供というものは必要であります。また、都民の皆様からのご意見やご要望を深くいただくための広報活動というものは大変重要なことであると考えております。
 そういった状況の中で、知事本局、総務局、生活文化スポーツ局の名前で、二月四日には広報用印刷物の見直しに向けた取り組みについて、そして、九月十四日には広報用印刷物の総点検の実施について(依頼)というような資料が各局に配布されました。これは、広報物について全庁的な見直しをしていこうというような試みであると説明をいただいておりまして、大変意義のあることだと思います。この資料の中には、広報効果の薄い広報用印刷物が制作されているとの指摘があるというような文章が書かれておりまして、こういうようなくだりから、東京都がみずから、広報効果が薄い広報物があるということを認めた上で、こうした見直しをやっていこうというような試みであるということが受け取れます。私は、費用対効果をしっかりと考えた上で、この広報活動というものをしていくことが必要であると考えているわけでございます。
 そして、福祉保健局では、広報活動の一つとして年間およそ百七十の刊行物を発行しているとお聞きしております。この刊行物について、どれほどの都民の皆様の税金を使っているのか、どれだけお金を使っているのかを先日お伺いしましたが、一つ一つに幾らのお金がかかっているのかはわからないというようなお話でございます。事業ごとに予算があり、その事業の中で刊行物を発行しているということですから、その一つ一つで幾らかかっているのかは数字は出せないということで、それならばわかる範囲ということでいただいた資料が三つございまして、月刊「福祉保健」というものと、それから「東京の福祉保健」、「社会福祉の手引」という三つの資料、これです、この三つの刊行物についての情報をちょうだいいたしました。
 この刊行物の発行部数、予算額、それから決算額が書いてある資料が私の手元にありますが、この三つの刊行物の発行部数に私は注目をいたしました。例えば月刊「福祉保健」の発行部数は、平成十七年が十三万八千、十八年が十三万八千、十九年が十三万八千、二十年が十三万八千、そして「東京の福祉保健」という刊行物が、平成十七年が五万二千、平成十八年が五万二千、十九年が五万二千、二十年が四万五千、そして「社会福祉の手引」というものが十七年には二万二千、十八年には二万二千、十九年には二万二千、二十年には二万二千というような発行部数でございます。つまり、「東京の福祉保健」の発行部数が二十年度だけ減少しておりますが、あとは全く一緒というようなことでございます。数字が変わっていないわけでございますが、多様化、多角化している、こうした時代の中で、都政においても注目の分野である福祉の分野、この発行部数が毎年変わらないというのはどういったことなのか、こうした刊行物について発行部数などの調整はどのようにしているのか、お伺いいたします。

○松井総務部長 福祉保健局が所管する事業全般を都民にお知らせする媒体といたしまして、お話の月刊「福祉保健」、「社会福祉の手引」、「東京の福祉保健」などを発行しております。
 月刊「福祉保健」は、福祉保健局の最新の施策や事業等を都民にタイムリーにお知らせする月刊誌でございます。また、「社会福祉の手引」は、実務に役立てていただくために、社会福祉の諸制度についての解説や連絡先窓口の案内等を掲載したものでございます。さらに、「東京の福祉保健」は、一般都民向けに各年度の局の施策の全体像を解説したものでございます。配布先は区市町村や民生児童委員、社会福祉法人、福祉関係の学校、図書館等であります。配布部数につきましては、先生ご指摘いただきましたけれども、例えば「東京の福祉保健」につきまして、平成十九年度から二十年度にかけて部数の変更を行っておりますように、実績を踏まえまして適宜見直しを行っているところでございます。

○西沢委員 実績を踏まえて適宜配布物の見直しを行っているということですから、配布先の状況のヒアリングなど今後も徹底して、お金がかかっているものでございますので、適正に発行部数などの調整をしていただくようにお願いをしたいと思います。
 今お話をした三つのものは全体に占める割合は非常に低いものかもしれませんけれども、こうした刊行物、広報物、効果が薄いというような指摘があるように、しっかりとしていく必要があると思います。細かいことのようですけれども、私はこうした細かいことから積み重ねていただきたいということで質問をさせていただいた次第でございます。
 また、こうした刊行物以外にも、広報活動というものがたくさんあるかと存じます。主な活動としてどんなものがあるのかお伺いしましたところ、福祉保健局では、その一環としてさまざまなイベントを開催されているとお伺いをいたしました。
 それでは、平成二十年度の福祉保健局の主なイベントについて、どのように取り組みをしていたか、また、それにどれくらいのお金がかかっていたのか、あわせて教えてください。

○松井総務部長 福祉保健局が昨年度実施いたしました主なイベントにおける平成二十年度決算額について、日付順に申し上げたいと思います。
 まず、昨年五月三十一日から本年一月二十三日までの間、競技ごとに実施された東京都障害者スポーツ大会の決算額は、約四千六百万円でございます。次に、昨年七月二十七日に福祉職場への就職をサポートするイベントとして開催されました福祉の仕事就職フォーラムの決算額は、約九百万円でございます。次に、八月六日から十日まで開催された第二十三回東京都障害者総合美術展の決算額は、約七百万円でございます。次に、十月一日に乳がんの死亡率低下を目指し実施いたしましたピンクリボンin東京二〇〇八の決算額は、約一千二百万円でございます。最後に、本年三月二十二日に開催されました東京大マラソン祭り二〇〇九、障害者スポーツの体験と健康づくり応援イベントの決算額は、約三百万円でございます。以上でございます。

○西沢委員 ありがとうございます。イベントにも、さまざまなお金がかかるということがわかったわけでございます。当然、それによってたくさんの効果が生まれているということも存じておりますので、こうした活動をしっかりと進めていただきたいと思いますが、決して安価というわけではありません。もちろんイベントの規模などはさまざまでございますが、しっかりとその効果を考えた上での実施というのは必要であると思います。
 そして、こうした広報活動ですけれども、今、当然お金がかかっていくというようなお話をさせていただいたわけですが、例えば本年は、救急医療の東京ルールについての広報費というものですが、これは本年ですけれども、CMの制作で八千万円と、そのほかリーフレットの制作費であったり新聞の折り込みなどで、合わせると約一億三千万円ものお金が使われているというように聞いております。そうした、先ほどご答弁いただいた広報活動の一環であるイベントの費用に比べますと、費用がずば抜けてかかっているというように感じるわけでございますが、本日は平成二十年度の決算特別委員会ですので詳細な質問はまた別の機会にいたしますけれども、平成二十一年度の救急医療の東京ルールの広報活動に約一億三千万円かかっていると聞いている。このような費用をかけたことについてどのようにお考えなのか、伺います。

○吉井医療政策部長 まず経緯から申し上げますと、平成二十年、昨年の十一月でございますけれども、救急医療の専門家でございますとか有識者、都民、これらをメンバーといたします救急医療対策協議会、ここで、いわゆる限られた医療資源の中で迅速的確な救急医療の確保が喫緊の課題であるという認識のもとに、救急医療の東京ルール、これを内容といたします最終報告を取りまとめて提言いただきました。都はこれを受けまして、平成二十一年度、この東京ルールの運用を実施することといたしまして、それに必要な予算を措置したところでございます。
 お尋ねの救急医療の東京ルールは三つございますが、地域の救急医療機関が連携しながら救急患者を受け入れる、受けとめる、救急患者の迅速な受け入れ、これがルールⅠでございます。それに、いわゆる先着順ではなく、その症状に応じて優先順位をつけて医療を行うトリアージの実施、これが二番目のルールでございます。そして何よりも、こうしたことを実現していくためには都民の理解と参画、これが不可欠であるということで、この三つを東京ルールとして提言をいただいたところでございます。
 この東京ルールについては、具体的にはこの八月末に運用を開始したところでございますけれども、先ほども申し上げましたが、限られた医療資源の中で迅速的確な救急医療を確保していくためには都民の理解と参画が極めて重要であると、こうした認識のもとに九月の救急医療週間におきまして、具体的には九月五日から十三日まででございますが、主要五局でのテレビCM放映、さらには救急医療のかかり方を紹介した三つ折りのリーフレットの全戸配布、こうしたようなことを効率的かつ集中的に広報活動を展開したところでございます。
 今後とも医療機関等と連携をしながら、東京ルールが運用の中で効果を発揮した事例の紹介なども行いながら、都民に対しまして機会あるごとに救急医療の適切な利用を促してまいりたいと考えております。

○西沢委員 ありがとうございます。また、この東京ルールなどのことについては、違う機会に審議が進むこと、しっかりと進めていくべきことを望みたいと思います。こうした広報活動を、今お話を申し上げたお金の使い方でございますが、次に税金のむだ遣いというもの、これをなくしていきたいというようなことについてお聞きしていきたいと思います。
 先月に政権交代が実現をしまして、むだ遣いをなくしていこうということで音頭をとる行政刷新会議というものが政府に設置されました。そして、その事務局長には、非営利の政策シンクタンクである構想日本という団体の代表である加藤氏が就任をされたわけでございます。構想日本は、行政のむだ遣いをなくすための事業仕分けというものを提唱しております。事業仕分けというのは、構想日本が二〇〇二年から行っている税金のむだ遣いをなくす手法の一つ、事業が必要なのかどうか、民間がやるべきことかどうか、国の事業としてやるべきことなのか、都道府県がやることなのか、市区町村がやるべきことなのかに仕分けをしていくという作業でございます。事業仕分けを予算編成に反映させることによって、一割以上の歳出の削減に成功した自治体、こういった例もあります。こうした実績をもとに、これまで四十近くの自治体、それから国でも文部科学省、環境省、財務省、外務省、国土交通省、農林水産省といった省庁ごとでございますが、事業仕分けを実現しております。国は非常にたくさんの事業がございますから、各省ごとに行っているわけでございます。
 私は東京都も、むだをなくしていくためにも、事業仕分けを行っていく必要があると考えているわけでございます。もちろん、全庁的に取り入れていくことが必要でございますが、国のように各局ごとでも検討していく、東京都の福祉行政を担う重要な福祉保健局が、まずこうした事業仕分けなどを局で取り入れていくような必要性を感じないか、お伺いいたします。

○松井総務部長 ご質問は、行政改革の視点から、局の所管する事務事業全体につきまして、費用対効果等の観点から非効率な事業を見直すべきだというご趣旨だと受けとめ、お答え申し上げたいと思います。
 予算見積もりに関する副知事の依命通達におきまして、施策の点検を行うことにより、むだをなくし一層の効率化を図るとともに、施策の実効性を最大限に高める取り組みを徹底することが求められておりまして、局といたしましても、予算の編成過程等を通じまして、常に事務事業の見直しを行っているところでございます。また、全庁的には事務事業評価や包括外部監査など、さまざまな仕組みを通じ、事務事業の不断の見直しを行っているところでございます。
 お話の構想日本の事業の仕分けというような取り組みにつきましては、全庁統一的な立場から検討すべき課題であるというふうに考えております。

○西沢委員 ありがとうございます。こうした事業仕分けなども、手法の一つとして全庁的に実施することはもちろん、各局でも効率を図る上でぜひとも検討していただきたいと要請をさせていただきたいと思います。
 それから、こうしたむだをなくして、必要な分野にこそ必要なお金を回していく必要があるというように考えるわけでございます。この社会保障の分野、目に見えない血が流れているというような、そういった表現をされる方もいらっしゃる。そうした中で、その大きな問題の一つでございます介護人材の不足がいわれます。むだをなくして必要なお金を回していく。今、介護人材の不足がいわれておりますけれども、東京都の介護人材確保につきまして、主なものとしてどのような取り組みをしているのか、お伺いいたします。

○永田生活福祉部長 都は福祉、介護の仕事への就職希望者を支援するため、これまで介護福祉士等の資格取得を目指す学生に対しまして、介護福祉士等修学資金の貸与を行うほか、東京都福祉人材センターにおきまして福祉に関する仕事の相談や就職のあっせんを行ってまいりました。平成二十年度からは、これらに加えまして、新たに大規模な就職説明会といたしまして福祉の仕事就職フォーラムを開催するとともに、地域での就職活動を支援するため地域密着型面接会の規模を拡大するなど、一層の施策展開を図ってきているところでございます。引き続き、質の高い介護人材の確保に努めてまいりたいと考えてございます。

○西沢委員 ありがとうございます。こうしたしっかりとした活動をしていくこと、特に人材確保を喫緊の課題であると考えておりますから、ぜひとも今後進めていっていただきたい。その内容につきましては、また別の機会に改めて審議をしていきたいと思います。
 私の質問はこれで終わります。

○高橋委員長 ほかに発言がなければ、お諮りをいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○高橋委員長 異議なしと認め、本件に対する質疑は終了いたしました。
 以上で福祉保健局関係を終わります。
 これをもちまして本日の分科会を閉会いたします。
   午後四時十四分散会

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