平成二十年度各会計決算特別委員会第三分科会速記録第三号

平成二十一年十月十四日(水曜日)
第九委員会室
   午後一時開議
 出席委員 十名
委員長小磯 善彦君
副委員長高橋かずみ君
副委員長吉田康一郎君
矢島 千秋君
中谷 祐二君
山下ようこ君
中山 信行君
たぞえ民夫君
野島 善司君
和田 宗春君

 欠席委員 なし

 出席説明員
中央卸売市場市場長岡田  至君
管理部長後藤  明君
事業部長大橋 健治君
新市場担当部長野口 一紀君
新市場建設調整担当部長宮良  眞君
参事大朏 秀次君
参事横山  宏君
参事砂川 俊雄君
参事黒川  亨君
産業労働局局長前田 信弘君
次長真田 正義君
総務部長三枝 健二君
産業企画担当部長櫻井 和博君
商工部長山手  斉君
金融部長保坂 政彦君
金融監理室長中村  靖君
金融支援担当部長櫻井  務君
観光部長小島  昭君
農林水産部長産形  稔君
雇用就業部長小田 昭治君
事業推進担当部長日請 哲男君

本日の会議に付した事件
平成二十年度東京都各会計歳入歳出決算の認定について
中央卸売市場関係
・平成二十年度東京都と場会計決算(質疑)
産業労働局関係
・平成二十年度東京都一般会計決算(質疑)
・平成二十年度東京都中小企業設備導入等資金会計決算(質疑)
・平成二十年度東京都農業改良資金助成会計決算(質疑)
・平成二十年度東京都林業・木材産業改善資金助成会計決算(質疑)
・平成二十年度東京都沿岸漁業改善資金助成会計決算(質疑)

○小磯委員長 ただいまから平成二十年度各会計決算特別委員会第三分科会を開会いたします。
 本日から四日間にわたり、本分科会所管局の決算に対する局別質疑を行っていただきます。
 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、中央卸売市場及び産業労働局関係の決算に対する質疑を行います。
 これより中央卸売市場関係に入ります。
 決算の審査を行います。
 平成二十年度東京都と場会計決算を議題といたします。
 本件につきましては、既に説明を聴取しておりますので、直ちに質疑を行います。
 発言を願います。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕

○小磯委員長 発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○小磯委員長 異議なしと認め、本件に対する質疑は終了いたしました。
 以上で中央卸売市場関係を終わります。

○小磯委員長 これより産業労働局関係に入ります。
 決算の審査を行います。
 平成二十年度東京都一般会計決算中、産業労働局所管分、平成二十年度東京都中小企業設備導入等資金会計決算、平成二十年度東京都農業改良資金助成会計決算、平成二十年度東京都林業・木材産業改善資金助成会計決算及び平成二十年度東京都沿岸漁業改善資金助成会計決算を一括して議題といたします。
 本件につきましては、既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○三枝総務部長 去る十月五日に当分科会で要求のございました資料につきましてご説明を申し上げます。
 お手元の平成二十年度各会計決算特別委員会第三分科会要求資料をごらんください。
 表紙をおめくりください。
 目次に記載のとおり、要求のございました資料は全部で十三項目でございます。
 恐れ入りますが一ページをお開きください。1、中小企業対策予算・決算の推移でございます。
 最下段にお示ししたとおり、平成二十年度の当初予算額は二千四百四億余円、補正予算額は九百十四億余円で、予算額の合計三千三百十八億余円に対しまして決算額は三千二百九十八億余円でございます。
 二ページをお開きください。2、農林水産対策予算・決算の推移でございます。
 平成二十年度の当初予算額は百四億余円、補正予算額は零円で、予算額の合計百四億余円に対しまして決算額は九十三億余円でございます。
 三ページをお開きください。3、雇用就業対策予算・決算の推移でございます。
 平成二十年度の当初予算額は百四十二億余円、補正予算額は百五十一億余円で、予算額の合計二百九十四億余円に対しまして決算額は二百五十九億余円でございます。
 四ページをお開きください。4、都内製造業の推移でございます。
 右端の欄にございますとおり、平成二十年における全都の工場数は約四万所、従業員数は約四十万三千人、製造品出荷額等は十兆三千九百億余円でございます。
 五ページをお開きください。5、都内小売業商店数の推移でございます。
 平成十九年における都内小売業商店数は、総数欄の右端にございますとおり、約十万三千店でございます。
 六ページをお開きください。6、新・元気を出せ商店街事業の実績でございます。
 中段の平成二十年度につきましては、右端の実績欄にございますとおり、イベント、活性化の両事業を合わせまして二千三百八十九件、十六億二千四百万余円を交付いたしました。
 七ページから八ページにかけましては、7、中小企業制度融資の実績と預託額の推移でございます。
 八ページの右端に、平成二十年度の融資実績を掲げてございます。下から三段目の合計欄にございますとおり、約十八万八千件、三兆一千二百億余円を融資しております。
 九ページをお開きください。8、平成二十年度補正予算事業の実績でございます。
 平成二十年度に補正予算を編成いたしました事業は、1の中小企業制度融資以下八事業でございます。各事業の補正予算額はB欄を、また、決算額はD欄をそれぞれごらんいただきたいと存じます。また、右端の欄には、平成二十年度末までの主な実績をお示ししてございます。
 一〇ページをお開きください。9、新銀行東京の再建計画の進捗状況でございます。
 上の表をごらんください。損益計算書の当期純利益につきましては、再建計画上の平成二十一年度収益計画ではマイナス十九億円でございますが、第一・四半期決算ではプラス七億円となってございます。下に掲げました貸借対照表の純資産につきましては、平成二十一年度収益計画では四百億円でございますが、第一・四半期決算では四百七十九億円となってございます。
 一一ページをお開きください。10、新銀行東京の開業以降の月別の融資件数・残高・返済額・不良債権額でございます。
 この資料は、平成十七年四月から平成二十一年六月までの実績をお示ししたもので、一二ページ右下の表にございますとおり、平成二十一年六月末までの中小企業向け融資の実行件数の累計は一万六百七十二件でございます。
 一三ページをお開きください。11、雇用情勢の推移でございます。
 (1)、雇用情勢につきましては、下の表の右端をごらんください。平成二十年における東京都の有効求人倍率は、〔6〕にございますように、一・二五倍、その下、〔8〕の東京都の完全失業者数は二十七万人、〔9〕の東京都の完全失業率は三・八%となってございます。また、一四ページの(2)、失業期間別の失業者数につきまして、平成二十年における全国の完全失業者は二百六十五万人で、このうち、期間が二年以上の失業者は五十一万人となってございます。
 一五ページをお開きください。12、都内若年者の失業率、平均賃金でございます。
 都内若年者の失業率につきましては、(1)の表をごらんください。平成二十年における十五歳から二十四歳までの失業率は六・二%、二十五歳から三十四歳までは五・〇%となってございます。また、都内若年者の平均賃金につきましては、(2)の表で男女別、年齢区分別に賃金額をお示ししてございます。
 一六ページをお開きください。13、雇用形態別・所得別雇用者数の推移でございます。
 平成十九年における東京の主な非正規の雇用形態別就業者数は、パートが約七十一万六千人、アルバイトが約五十五万六千人、労働者派遣事業所の派遣社員が約二十万三千人、契約社員が約二十八万八千人となってございます。
 以上、大変雑駁ではございますが、資料の説明とさせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○小磯委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めて、これより本件に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○吉田委員 よろしくお願いいたします。
 まず私からは、雇用対策についてお伺いをいたします。
 昨年の秋からの世界同時不況の影響で我が国の景気も大きく落ち込みまして、雇用情勢の悪化が続いております。昨年八月、四・一%でありました全国の失業率は、ことしは五・五%と非常に厳しい状況となっております。ただいまの要求資料で、東京に限ればもう少しこのパーセンテージはまだ緩やかという状況でございますが、非常に厳しい状況であるということに変わりはございません。この間、派遣等の非正規労働者の解雇もふえ、また、休業などの雇用調整助成金の受理の件数も、本年三月以降、月に二百万件を超えております。さらに日銀の調査によれば、二十二年春採用の新規学卒者の採用計画も、ことしの二三%減といわれております。
 このように、労働市場は雇用調整が続いており、多くの方が、これはあすは我が身と、雇用について不安に駆られているところでございます。
 先般、私の地元の中野区にある法人において、ある従業員の方から相談がございました。ことしの四月、給料日の前日に突然職員全員が集められ、四月の給料は遅配、その上分割支給、翌月以降の給料は一〇%カット、六月のボーナスもゼロということで、職員一同大騒ぎになったということであります。
 こうしたときこそ、都民の方々が安心して労働に関する相談ができる窓口が必要でございます。東京都の労働相談情報センターには、多くの都民の方から労働に関する相談が寄せられていると聞いております。そこでまず、都が実施している労働相談の状況についてお伺いします。

○小田雇用就業部長 都では、都内六カ所の労働相談情報センターの窓口において、職員が電話や面談により相談に応じており、相談者の置かれた状況を把握し、問題解決に向けて適切なアドバイスを行っております。平成二十年度の相談件数は五万四千九百三十三件でございまして、ここ数年、五万五千件前後の高い水準が続いております。二十一年度は、八月末現在で二万三千五百七十七件と、前年同期と比べ、八・九%増加しております。また、毎年五月と十月に駅前など街頭において労働相談を行っており、二十年度には渋谷や池袋など、都内十三カ所で実施いたしまして、相談件数は千四百八十四件でございました。さらに雇用状況などに応じて特別相談会も開催しております。
 なお、当事者では自主的な解決が難しい問題につきましては、労使からの要請を受け、解決に向けて援助するあっせんも行っておるところです。

○吉田委員 ありがとうございます。
 二十年度も五万五千件と、ここ数年、ずっとそういう高い水準で相談があると。都はそういうきちんとした対応をしながら、いろいろと解決のために取り組んでいらっしゃると思うんですが、この二十年度の労働相談情報センターが実施したこの労働相談の内容と傾向についてお伺いをいたします。

○小田雇用就業部長 平成二十年度の労働相談の内容でございますが、労働相談五万四千九百三十三件のうち、一件の相談で複数項目にわたる相談がございますことから、相談内容を項目別に集計した件数は九万二千六百四十四件となっております。このうち、最も多い相談項目は、解雇の一万六百二十五件でございまして、あと退職の強要や勧奨など、退職関係の相談八千四百六十件を合わせますと、一万九千八十五件と、全体の二割を超え、前年度の一・三倍と、厳しい雇用情勢を反映したものとなっております。
 また、二十年度の上半期と、昨年十月から本年三月までの下半期の相談件数を比べますと、採用内定取り消しの相談が七十九件から二百五十九件と三・三倍、雇いどめが八百七十件から千三百五十件と一・六倍となるなど、雇用契約の解除に関する相談が大幅に増加しております。

○吉田委員 やはりお聞きをしてなるほどというか、解雇、こういう問題のご相談が多くて、特に最近では、採用内定の取り消しや、あるいは雇いどめと、まさに世の中で問題視されていることについて、都に相談が本当に殺到しているという状況だというふうに認識をいたしました。
 今ちょっとお話の中で、雇用状況などに応じて特別相談会を実施しているというご説明がございましたけれども、この現下の厳しい雇用の状況の中でどのような対応をされたのか、詳しくお伺いしたいと思います。テレビのニュースで私もちらっと報じているのを見た気もするんですが、この内容についてお伺いをいたします。

○小田雇用就業部長 昨年秋以降の厳しい雇用情勢を踏まえまして、二十年度は、十二月と本年三月に緊急特別相談会を実施いたしました。十二月は、非正規労働者の雇いどめや採用内定取り消しの急増に対応するため、緊急に開催することとしたものでございます。また年末には、臨時の相談窓口も開設したところでございます。三月には、年度末に向かい、多くの解雇者が出ることが予想されたため、労働相談のほか、東京しごとセンターと共同で再就職の相談も行いました。さらに、本年九月には、職場におけるストレスを抱える労働者の増加に対応するため、仕事の悩み特別相談会を、相談担当職員に加えて、臨床心理士など専門家を配置して実施したところです。
 九月の相談会は多くのマスコミから注目を浴び、テレビでも放映された結果、受け付け開始とともに相談が殺到しまして、全国から約千七百件の電話がありましたが、対応できた相談件数は二日間で二百件でございました。
 その内容といたしまして、職場のいじめなど、人間関係の深刻なトラブルのほか、解雇、長時間労働など、多岐にわたる相談が寄せられているところです。

○吉田委員 この特別相談会の内容についてよくわかりました。やっぱり国もいろいろと取り組みをしているようですけれども、都は、都の特色を生かした取り組みをしていただいていると。本当にしっかりと引き続きやっていただきたいと思うんです。
 マスコミにも報じられたということは、都の取り組みについて、これは一つ評価を示すものだと私は考えていいと思います。
 そして、次に、都の身近な労働相談の窓口として、多くの問題解決のための助言を行うということも大切であり、引き続きやっていただきたいですが、職場で実際のトラブルが起きる前に、労働法の基礎的な知識を普及していただいて、いろいろ労使の問題では、知識不足や、あるいは人間関係とか、こういうところからもつれるというところもあろうかと聞いております。そういうトラブルを未然に防止する取り組みというのも、この分野では取り組みが必要だと考えております。そこで、都ではどのような取り組みを行っているのか、お伺いをいたします。

○小田雇用就業部長 職場のトラブルを未然に防止するためには、労使が労働法や労働問題に関する正しい知識を知った上で対処する必要がございます。
 このため、都では、労働法をわかりやすく解説したポケット労働法などの冊子を配布しているほか、非正規労働者向けのリーフレットを、ハローワークなどの公共施設に加え、コンビニエンスストアも活用して提供しております。また働く方や事業主を対象に、労働関係法令の内容や最近の労働問題などを解説する労働セミナーなども開催しております。
 さらに、新たな普及啓発の手段として、平成二十年度、時間等の制約から労働セミナーに参加できない方に対して、インターネット上で労働知識の習得ができるe-ラーニングの開発を行いまして、本年四月からチャレンジ労働法と名づけて運用を開始しております。これまで約十六万件のアクセスがございます。
 今後ともこうした取り組みを通じて、労働関係法令の周知徹底に努めてまいります。

○吉田委員 ありがとうございます。
 ただいまいろいろとお聞きしてまいりましたが、この労働相談情報センターの役割は、本当に今の情勢の中、ますます重要になっていくものと思っております。都は、働く現場で生じている問題をきちんと把握していただいて、都民が直面する雇用問題を少しでも多く解決をしていくため、引き続きしっかりといろいろの機会をとらえて、またいろいろの手段を使って、相談や普及啓発に本当に積極的に取り組んでいただきたい、このようにお願いを申し上げ、次の質問に移ります。
 次に、中小企業振興公社の総合相談窓口というものを切り口にご質問をしてまいりたいと思います。
 冒頭にも触れましたけれども、昨年秋以降の世界同時不況の中で雇用情勢が深刻だと。このような中、既存の企業を対象とした支援策ももちろん重要でありますけれども、一つ新しい雇用の場をつくっていく。そのために、ベンチャー企業など成長性のある新規企業の創業、そしてそれへの支援が欠かせないと思います。都としても、みずから事業を起こそうというやる気のある方々に対して、さまざまなそういう支援を行っているわけでありますが、これから事業を起こそうとする人にとっては、何から始めたらよいのかわかりにくい面があるということも事実であります。また、多岐にわたる支援策を、そういう方々が効率的に活用できるようなサポートをすることもまた求められております。
 こうした観点で、東京都では中小企業振興公社に総合相談窓口を設けて、既存の企業の経営相談のみならず、起業、創業も含めてワンストップで相談を受け付けているとのことでありますが、これが十分に知られているのか、そして二十年度の実績についてお伺いをいたします。

○山手商工部長 経済の高度化、複雑化に伴いまして、中小企業が抱える経営課題は、経済、金融、法律、IT、税務会計など多岐にわたってございます。都では、このようなニーズに一元的に対応するため、中小企業振興公社にワンストップの総合相談窓口を設けまして、中小企業診断士や税理士など各分野の専門家が無料でアドバイスを実施してございます。
 本相談窓口につきましては、平成十二年度から開設しておりまして、既に都内中小企業に広く定着してございます。平成二十年度の相談件数は全体で一万六千六百九十七件と、十九年度の一万五千七百八十件と比較しまして、約九百件以上増加してございます。また本年度についても、九月末までに前年度を上回る約八千五百件の相談を受けております。
 起業、創業相談につきましては、資金調達やビジネスプランの作成等についてのアドバイスを実施しておりまして、また、必要に応じ、助成金、セミナー、インキュベーション施設の紹介を行うなど、各種施策の紹介窓口としての機能も担ってございます。

○吉田委員 ありがとうございます。
 これ十分に周知をされるというか、そして相談の件数も年々ふえているということがよくわかりました。困難な経済情勢の中、創業しようという方々の芽をつぶさずに大きく育てていけるように、しっかりときめ細かな支援をしていただきたいと思います。
 このご説明の中で、インキュベーション施設のお話がございました。一般的に創業時には資金面で苦労されるということが多いわけで、低廉な家賃でオフィスを貸すというインキュベーション施設は、創業しようという者に大変な助けになると思います。そして、都でも、このベンチャー支援施設を展開しているわけですけれども、この規模と、そしてそのねらいについてお伺いをいたします。

○山手商工部長 都では現在、空き庁舎を活用するなどしまして、八施設で合計二百二十三室のインキュベーション施設を提供してございます。これらの施設は、創業、ベンチャー企業に対しまして、低廉な賃料でオフィスを提供するとともに、販路開拓や資金調達に関するアドバイス等の支援を行うことで、ベンチャー企業等が最も困難な創業直後の数年間を乗り越えやすくするものでございます。

○吉田委員 八つのインキュベーション施設を提供しているということでありましたが、この中の一つは、私の地元中野、中野新橋で運営されている東京コンテンツインキュベーションセンターというものであります。私も地元でありますので何度か見学をさせていただいているんですけれども、せっかくいろいろお取り組みをしていただいていて、このインキュベーションセンターの実績、これについてお伺いをいたします。

○山手商工部長 ただいまお話がございました東京コンテンツインキュベーションセンターは、今後成長が見込まれるコンテンツ・アニメ産業に特化した施設でございまして、業界内でさまざまな業務経験を有しかつ企業支援のノウハウも有するインキュベーションマネジャーが常駐いたしまして多面的な支援を実施してございます。昨年八月の開設から累計二十八社が利用しておりまして、例えば、個人デザイナーとウエブデザインの発注を結びつける事業を立ち上げた企業などは、入居時に比べ売り上げが二十倍、従業員数が二倍となりまして、オフィスが手狭となりまして、他の一般のオフィスに移って、順調に成長してございます。

○吉田委員 ありがとうございます。
 都はしっかりと支援をして、企業が育っているという本当のことをお伺いしてうれしく思います。地元からこのような企業が輩出されていくことは、地域にとっても産業経済の活性化に貢献するものでありまして、本当に地元から見てもありがたいことであります。こうした創業支援策を本当に引き続きしっかりと推し進めていただきたいと思います。
 少し切り口を変えまして、次に中小企業の知的財産、よく短く知財と呼ぶことがございまして、私も知財と呼ばせていただきますが、この保護と活用という観点でお伺いをしたいと思います。
 東京にはすぐれた製品開発力を持つ中小企業が多く集まっているということはいうまでもありません。しかし、これらの企業のすぐれた商品や技術が、はっきりいえば中国などの企業によって模倣され、中国の国内市場はもとより第三国の市場にも広く流通するという被害を多く聞きます。さらに近年では、日本国内に流入するケースもあり、自社の製品とそっくりな製品によって、自社の販売量を奪われるだけでなく、粗悪な模倣品による事故などによって、自社製品の品質に対する評価まで傷つくようなケースもあります。
 このような事態に対応するには、企業があらかじめ海外でも、特許や商標、意匠など、知財権を取得するとともに、被害に遭った場合には速やかに被害の状況を把握して毅然とした対応をすることが必要であります。例えば、模倣品の被害を受けたある文具メーカーのケースでは、海外の模倣品メーカーの調査を行い、これをもとに現地の行政に申し立てを行った結果、行政処罰が下された。こういうようなケースがありましたけれども、このような対応を行わなければ、せっかくのすぐれた技術や製品、いろいろな投資を行った、あるいは努力をした、そういうものが、苦労をしてこれを開発した企業の利益に戻ってこない、つながらないということなんですけれども、多くの中小企業にとっては、そういう対応をとることは人材、資金の両面で大きな負担になって、なかなかそれができないと、わかっていてもできないという状況であります。
 都としても、これを支援すべきと考えますが、どのような支援をしているのか、お伺いをいたします。

○山手商工部長 経済のグローバル化が進む中、中小企業におきましても、海外での特許、商標、意匠をしっかりと権利化しまして、自社の技術、製品を守るための対策を講じておくことが重要となってございます。こうしたことから、都では平成十五年度に中小企業振興公社に知的財産総合センターを開設いたしまして、さまざまな相談に応じたり、国も含めた支援制度を紹介してございます。また費用面からも海外の特許や意匠、商標の出願について助成制度を設けて支援を行ってございまして、平成二十年度は合計九十二件、一億五千二百三十九万円の交付を決定しました。
 また、実際に模倣品被害が発生した場合についても、平成十六年度より、外国における模倣品被害の事実確認調査を行う際の費用につきまして助成制度を設けまして支援を行ってございます。

○吉田委員 商標や模倣品など、知財権の侵害被害が数多く報道されている中、今ご説明いただいた支援は今後ますます重要になってまいります。これへの支援策を用いようとする企業に、本当に積極的な支援をお願いいたします。しかし、残念ながら、この知財について前もって十分な戦略を持って対応せず、実際に問題が持ち上がってから対応を慌てて考え始め、結果的に時既に遅しということになる中小企業も多いという状況であります。
 したがって、都としては、ただ相談窓口を開いて、中小企業が相談に来るのを待っているという姿勢では不十分であり、中小企業はこれらの支援策をより有効に活用して、みずからの製品、技術を守れるように、より東京都として能動的な支援を行うべきだと考えておりますが、いかがでしょうか。

○山手商工部長 知的財産の活用に当たりましては、より早い段階から対応を図ることが重要であると認識してございます。このため、知的財産総合センターでは、開設当初より、知的財産の重要性や戦略的な活用事例について紹介する知的財産シンポジウムを開催するなど普及啓発に取り組んでございます。
 さらに、中小企業振興公社に新製品の販路開拓支援を依頼してきた中小企業に、知的財産総合センターの相談員が出向きまして、特許の取得を初め、知的財産面でのアドバイスを行うなど、より積極的な姿勢で中小企業に対して臨んでございます。

○吉田委員 いろいろの支援をしているということはわかりました。しかし、まだまだ知財戦略について十分な取り組みができていない中小企業が本当に多いわけであります。さらに一層、普及啓発、制度のPRに注力していただいて、そして、そのいろいろの支援策、ご説明いただいた支援策、これを個々の中小企業がうまく活用して、戦略的に自社の製品、技術を保護できるようになるためには、これまた専門的な知識を持った人材の養成や組織的な知財への取り組み体制の構築などの能力の強化が必要だと考えられます。
 中小企業のこのような能力の強化については、都としても積極的な支援を行うべきであるんですが、どのような取り組みを行っているか、伺います。

○山手商工部長 中小企業が市場での競争優位性を築いていくためには、他社特許の動向を考慮した独自技術の戦略的開発や知的財産の取得、活用など、知的財産を戦略的に活用していくことが必要でございまして、各企業が知的財産戦略に組織的に対応できるよう、体質強化が求められてございます。このため、知的財産総合センターでは、各種のマニュアルの作成、配布を行うとともに、中小企業の経営者や知的財産担当者等に向けたセミナーを開催いたしまして、きめ細かいアドバイスを行ってございます。
 さらに平成二十年度からは、独自の技術を有するものの、知的財産を戦略的に活用できない中小・ベンチャー企業に対しまして、社内体制の整備や知的財産戦略の策定につきまして、最長三年間にわたり、集中的、継続的にアドバイスを行う知財戦略導入支援事業を実施しておりまして、昨年度は十社に対して支援をしております。

○吉田委員 るる都の取り組み状況について伺ってまいりました。きめ細かく、いろいろな施策を講じていただいていると思います。しかし、これは量という面で、さらに、まだまだこの都の施策の手が届いていない、こういう企業はあると思うんですね。ぜひこの質に、質だけでなくて量の面でも、さらに一層頑張っていただいて、この中小企業の知財の保護と活用、これを支援するということは、活力ある日本経済の維持発展のために死活的に重要だというふうに私は思います。さらに一層取り組みを進めていただくようにお願いをいたしまして、次の質問に移ります。
 最後に、農産物の安全というか、その問題についてお伺いをいたします。
 昨年一月に、中国から輸入した冷凍ギョーザを食べた人たちが中毒症状を起こして社会問題となった、いわゆる毒入りギョーザ事件というのは記憶に新しいところであります。これは一段落ついたのかなというふうに思いましたら、そうではなくて、ことしに入っても基準値を超えるジコホールが検出されたウナギ、エンドスルファンの出たドジョウ、あるいはダミノジッドが出た落花生、ざあっと一月、三月、四月、五月、六月、七月と、ことしに入っても十四件、この中国産の残留物質関連違反、こういうものが東京都が関与しただけでも十四件。さまざまな食品から、ライチだ、ネギだ、あるいはホウレンソウ、アスパラ、上海ガニ、いろいろなもので出ているわけであります。
 こういう事件が後を絶たない中、やはり都民の食の安全・安心に対する意識が非常に、あるいは心配は非常に高まっております。東京都内では、安全・安心な農産物を食べたいという都民のニーズにこたえた農業が行われています。このような消費者の身近でとれた、安全につくっていただいた農産物、これは新鮮であることはもとより、フードマイレージという観点からも地球環境に優しい、こういうものであります。東京産の農産物を都内で消費する地産地消、これが広まっていくことこそ、都民に安心感を与えていくと私は考えます。
 そこで、この地産地消に関する都の取り組みについて、お伺いをいたします。

○産形農林水産部長 生産地と消費地が近いことは、さまざまな面で好ましいものと考えております。都ではこれまで、新鮮で安全・安心な農産物を都民に供給するため、生産施設の導入や生産技術の向上等、農業の生産面での支援を行うほか、各地域における直売所の設置等、流通面での支援を実施してまいりました。
 また、地場産食材の理解を深めるためにも、農産物を地元の小中学校の給食に供給する地産地消給食導入支援事業をモデル事業として実施してきました。平成二十年度からは、都内産農産物を農業との触れ合いの少ない都心部の小中学校に重点化して供給することとし、昨年度は、新宿区、文京区、中野区、荒川区の四区二十六校で実施いたしました。

○吉田委員 ありがとうございます。
 中野区でも実施していただいているということで、新鮮な安全・安心な東京産の農産物を都民に供給する、これらの事業について、今後とも積極的に推進をしていただきたい、このように思います。
 一方、東京には全国各地からも農産物を初め多くの食品が集まっており、私たち都民の食生活を支えていただいているわけであります。東京都では、東京産の農産物も含めて、食の安全・安心を求める都民の期待にこたえる制度として、東京都生産情報提供事業者登録制度があると聞いております。この制度の概要と平成二十年度の実績、そして今後の取り組みについてお伺いいたします。

○産形農林水産部長 東京都生産情報提供事業者登録制度は、都民の食への安心を向上させるために、平成十六年度から開始した都独自の制度でございます。その内容は、農産物や加工品などの食品の生産、製造に関する情報の提供に取り組む食品事業者と、その食品を登録するものであり、消費者の求めに応じて、登録事業者が生産情報を提供するものでございます。また、登録事業者は、食品に登録マークを表示することなどで生産情報が明らかな安心できる食品の目安となることを目指しております。平成二十年度の実績は、登録事業者は千四百三十八事業者、登録食品は三十四食品の登録があり、事業開始から二十年度までの延べでは、登録事業者数は三千八百八十二事業者、登録食品数は四百五十食品となっております。
 今後とも、都内農家へは日ごろ農家へ技術指導などを行っている農業改良普及センターが中心となって加入を促すとともに、同様の制度を運営する他県や団体などとも連携し、登録制度の普及拡大に取り組んでまいります。

○吉田委員 制度の概要、それから現在の進捗状況、よくわかりました。これ本当に消費者にとって安全性というものを確信ができるというか、大事な制度をやっていただいていると思います。ぜひ、今延べの登録事業者数、四千弱ということでありましたが、さらに、いろいろな事業者にこの制度に入っていただいて、安全・安心な食べ物、これが本当に都民の食卓に上るように取り組みを進めていただきたいと思います。
 いろいろとお聞きをしてまいりました。東京都が二十年度もいろいろと一生懸命に取り組んでいただいている状況、よくわかりました。引き続き、雇用や、あるいは中小企業の活性化支援、そして都民の安全、こういう問題に大変重要な施策、事業を行っていただいている産労局におかれましては、本当に引き続きしっかりと取り組んでいただくようお願いを申し上げて、質問を終わります。

○矢島委員 まず、新銀行についてお伺いをいたします。
 東京都が取り組んだ中小零細事業者のための資金手当ての金融機関設立は、都民銀行設立時の出資判断を超えて志やよしと、私はそのように考えております。しかし、結果として、多くの要因があるとしても、新銀行が志と大きく隔たれた結果が出されたことはまことに残念であります。その経緯と責任については司法の場でいずれ明らかになるということでありますから、まず、それを注視を、この点についてはさせていただきます。
 実際、現在融資を得ている事業者を考えると、当面の課題が単なるハードランディングだけでは、過酷過ぎる現実があります。このため平成二十年度は、新銀行東京にとって、再建計画初年度という非常に重要な年ということになります。東京都は、新銀行東京の経営悪化を受けて、昨年の第一回定例会で新銀行東京に対する四百億円の追加増資を提案し、都議会はこれに同意をしました。私は、この追加増資がどのような目的で行われ、またどのように生かされているか、最も重要な二点に絞り、お尋ねをいたします。
 まず確認をいたしますが、新銀行東京の二十年度決算において純資産は幾らになったか、再建計画と比較し、ご説明をお願いいたします。

○櫻井金融支援担当部長 新銀行東京の平成二十年度決算における純資産額は、四百六十二億円でございます。これは、再建計画でお示しをいたしました四百二十四億円を三十八億円ほど上回っております。また、直近の平成二十一年度第一・四半期決算では、純資産額は四百七十九億円でございまして、追加出資いたしました四百億円は十分に確保されております。

○矢島委員 優先株追加出資した四百億円が十分確保されていることは、今のご説明からも確認できました。私は、この追加出資が、先ほど申し上げたように、中小零細事業者への支援を継続するという目的で行われたものと理解をしておりますが、この点は新銀行東京を考える上で極めて重要なことだと思います。
 そこで改めて、追加出資の目的についてご説明をお願いいたします。

○櫻井金融支援担当部長 追加出資は、経営悪化いたしました新銀行東京の再建を図ることによりまして、新銀行東京の設立理念でございます高い事業意欲がありながら資金繰りに窮している中小企業への支援を継続するために行ったものでございます。さらに、新銀行東京の取引先の従業員やその家族など、多くの関係者の生活を守ることも目的としておりました。

○矢島委員 次に、追加出資は、具体的にどのように生かされているのか、その効果はどうかお伺いをいたします。

○櫻井金融支援担当部長 新銀行東京は、昨年の四百億円の追加出資によりまして、既存の取引先への支援を継続することができたことに加えまして、平成二十年度におきましては、中小零細企業向け融資を約七百件、二百十億円実施いたしました。これらを含めまして、新銀行東京は現在でも赤字、債務超過先を多く含む約一万社の中小零細企業への支援を継続できておりますが、これも四百億円の追加出資があればこそ可能となったものでございます。
 さらに、平成二十一年度第一・四半期決算では、純利益が七億円の黒字となりまして、四半期で開業以来初の黒字を計上するなど、四百億円の追加出資は確実に生かされているところでございます。

○矢島委員 これまでの答弁で、都議会での追加出資の承認は適切であり、追加出資が中小零細事業者への支援継続に有効に活用されていることが確認できました。このことはいずれ適切な評価が定まると思います。しかし、ご説明のように、新銀行東京の経営再建が順調に進んでいるという事実があるにもかかわらず、一方では、厳しい状況にある支援を受けている中小零細事業者を不安にさせる主張があることは残念でございます。新銀行東京については、これまでも代表質問や常任委員会で再三論議し、その中で我が党は、多数の取引先やそこで働く多くの従業員とその家族を守るためにも、この銀行再建が現在最良の選択であると主張を続けてまいりました。我が党としては新銀行東京が一日も早く再建され、その設立の理念を十全に果たせるよう、引き続き再建に向けた努力を続けていくことをお願い申し上げて、この質問を終わります。
 次に、スーパーデザイナー養成講座について、目的と成果についてお伺いいたします。

○山手商工部長 スーパーデザイナー養成講座は、デザイナーに経営、マーケティング等、中小企業の製品開発等にかかわるために必要な知識、またより実践的なデザイン提案を行うための技術力を身につけていただき、中小企業のデザイナー活用を推進するための講座でございまして、十八年度より三年間実施いたしました。二十年度の受講者数は二十四名となっておりまして、受講者からは、新しい知識を得られた、刺激があり学ぶことが多かったといった感想を得ております。

○矢島委員 スーパーデザイナー養成講座の当初予算額と決算額が違った理由があります。それがまた平成二十一年度の事業にどのように生かせているか、ここをご質問いたします。

○山手商工部長 ただいまお話がございましたスーパーデザイナー養成講座の受講料収入についてでございますが、二十年度予算額四百四十一万六千円に対しまして、決算ではこの六割に当たります二百六十四万九千六百円となってございます。
 受講料収入が予算の六割にとどまった理由についてでございますが、年度後半に景況が悪化いたしまして、特に小規模のデザイン事業者にとって、受講料や受講日数が負担となったことが一つの原因と考えてございます。このため、本事業をより実践的な内容に改変いたしまして、二十一年度より開始しました実践デザイナー育成講座では、カリキュラム全体を三つのフェーズに分割いたしまして、関心の高いフェーズだけを三分の一の料金、期間で受講することを可能とすることで、より多くのデザイナーに受講しやすい形としてございます。

○矢島委員 経験を生かして、より使い勝手のいいものにしていくことは望ましいことでありますが、できれば新しい事業に着手するときにはその事前の調査と準備をしっかりやるようによろしくお願いをいたします。
 次に、改良資金助成金についてお伺いいたします。
 漁業農業振興対策の事業内容、また漁業、農業、林業改良資金助成会計の事業の性格と内容をお伺いいたします。

○産形農林水産部長 まず、農林漁業振興対策の事業内容についてでございますが、農業振興といたしましては、農業基盤の整備、農業経営の安定、食の安全・安心確保の事業を、林業振興といたしましては、森林づくりの推進、森林産業の育成等の事業、水産業振興といたしましては、水産資源の管理、漁業生産流通基盤の整備や漁業経営安定の事業を実施しております。加えまして、農林漁業者や一般都民に対する各種情報提供や調査研究などを行っております。
 次に、各会計の事業でございます制度資金についてでございますが、これは農林漁業者が経営改善を目的として、新たな生産方式等を導入する際に必要となる資金を無利子で貸し付ける国の制度でございます。貸付主体は主に都道府県ですが、国が三分の二、都が三分の一の財政資金を原資としており、各制度資金とも法律により特別会計の設置が義務づけられてございます。
 なお、資金の貸付要件等につきましては、各種法律、政令、施行規則等により定められております。

○矢島委員 改良資金会計では漁業の執行率が九八%、農業は三六・五%、林業に至っては一六・五%と極めて執行率が低くなっています。国の制度であり厳格な規定に縛られているだけに活用も容易でないでありましょうが、その制度がある限り、ぜひとも使い勝手のよい制度となるよう働きかけてもらいたいと思います。その認識を伺います。

○産形農林水産部長 先ほども答弁いたしましたとおり、資金の貸付要件等につきましては、各種法律、政令、施行規則等が定められております。このため、手続が煩雑であることや審査等に長い時間を要することなどによりまして、貸付実績が低迷しているものと考えております。
 都といたしましても、農林漁業者が使い勝手のよい制度資金でなければならないと認識しており、手続の簡素化を国に働きかけておりますが、今後とも、機会あるたびに国に対して要望していきたいと考えております。

○矢島委員 次に、ビッグサイトについてお伺いをいたします。
 ビッグサイト国際展示場の所有関係、東京都と運営会社、株式会社東京ビッグサイトの経営関係はどのようになるのか、お伺いいたします。

○山手商工部長 国際展示場は、見本市、イベント等の多様なコンベンションの開催を通じまして、産業振興等に寄与することを目的に都が設置した施設でございます。その効率的な運営を図るため、都が所有する同展示場の土地、建物を外郭団体であります株式会社東京ビッグサイトに貸し付けまして、その管理運営を行わせてございます。
 施設の貸し付けに当たりましては、土地、建物は無償としておりますが、会場運営事業収入の二〇%を施設使用料として納付することを条件といたしまして、平成二十年度、その額は約二十二億円でございます。また、事務室は年間約一億六千万円の賃料で貸し付けてございまして、合わせて年間約二十四億円を株式会社東京ビッグサイトから都に納付させてございます。
 都では、この施設使用料と事務室賃料とを合わせまして社会資本等整備基金に積み立てまして、大規模修繕経費を賄うことといたしてございます。

○矢島委員 次に、株式会社東京ビッグサイトの二十年度の利用率、最終利益はどのくらいになるのか、またこれまでの税引き後の利益累計はどれほどになるのか、お伺いいたします。

○山手商工部長 平成二十年度の展示ホールの稼働率は七五・九%でございまして、税引き後の当期純利益は約三十五億円となっております。また、株式会社東京ビッグサイトが発足した平成十五年度から平成二十年度までの各年度の税引き後の当期損益の累計は、約四十五億円となってございます。

○矢島委員 ビッグサイトは、この貸借対照表によりますと、利益剰余金合計で二百三十六億、これだけの内容がありまして、純資産は三百二十五億ということになってまいります。流動資産も九十五億九千万、これほどの金額がある大変な優良会社と私は見えます。
 今のご説明にありました四十四億という累積利益につきましても、平成十七年度の五十億の特損を引いた上のことですから、前後の年数合わせますと大体二十二、三億の黒字が出るということになりますと、七十億、税引き後で七十億の利益を生んでいる。そうすると、百億を超える累計利益ということになってまいります。国際展示場、そういう金額になってまいりますが、事業の、今の内容で見ると、その内容で間違いないですか。

○山手商工部長 ただいまお話ありました特損の方を考えあわせますと、平成十五年度から平成二十年度までの特別損益の累計は約百七十四億円になってございまして、これを除いて計算しまして、法人税等差し引いた後は、お話ありましたように当期利益の累計は百億円を超えることになります。

○矢島委員 今の特損につきましては、本業の国際展示場の運営と別のものでありますから、本来そこで考えなきゃいけないことでありますので、そこのところは、それだけ優良な会社であるということをまず確認をさせていただきました。
 国際展示場と国際会議場は、都市間競争を戦わなければならない国際都市東京にとって必要不可欠な施設であることは自明のことです。それだけに、開設当初の利用率が上がらないころより、産労は施設の地代について優遇を受け、また運営会社ビッグサイトは、これも優遇を受け、現在大きな利益、今申し上げたような利益を生み出しております。しかし、このような恵まれた環境の中で生み出され蓄積された多額の累計利益は、先ほどの特損を除きまして、本来では百を超えるはずの累計利益。これも税金払った後ですから。後のいかなる目的にあって内部留保され、今後どのように使われるのか、お伺いいたします。

○山手商工部長 株式会社東京ビッグサイトで生み出された利益につきましては、これまで株主に配当するほか、駐車場用地の確保で七十億円、大型映像装置の改修等の施設設備の改修に約三十一億円を充てるなど、施設の価値向上や利用者サービスの向上に努めてまいりました。さらに今後は、国際展示場の将来に備えた計画的な改修工事及び株式会社東京ビッグサイトが臨海地域に展開いたします三カ所のビルの改修等を、都の支援を受けることなく、自社の企業努力で実施する予定でございます。
 都としては、今後とも、株式会社東京ビッグサイトで生み出された利益が、利用者を初め都民への還元と産業振興に活用されますよう指導してまいります。

○矢島委員 先ほどの利益の株主への配当、東京臨海ホールディングスが七三%、東京都の関係会社になりますけれども、そこに配当をしているということになろうかと思います。展示場として目いっぱいといえる先ほどのご説明の利用率、優遇を受けた運営会社が多額の税金を払った上でそれだけの利益があるわけですから、利益を生み出しているだけに民間ベースへの条件を検討する時期に来ているのではないかと思います。お伺いをいたします。

○山手商工部長 国際展示場は、都内中小企業を初め、広く国内外のコンベンションの利用に供し、産業振興を推進するとともに、臨海部のにぎわいを創出する拠点となってございます。このため、運営主体にも、経営の効率化に加えまして、産業振興など、公共目的の確実な達成が求められますことから、都としては株式会社東京ビッグサイトにその運営を行わせてございます。
 株式会社東京ビッグサイトでは、施設の中長期的な安定運営のため、施設使用料を将来の大規模修繕の備えとして都に納付するとともに、生み出した利益については、施設の改修による価値向上や駐車場整備等利用者サービスの向上に振り向けてございます。また、産業交流展、危機管理産業展、東京国際航空宇宙産業展などの開催を自主事業として取り組んでおりまして、新産業の創出など、産業振興の一翼を担ってございます。
 なお、貸付条件を見直しまして、国際展示場を全面有償化した場合には、年間百二十億円を超える賃料が想定されまして、民間ベースでの会社の経営は成り立たないと考えてございます。今後とも、株式会社東京ビッグサイトに対しましては、高い公共性を発揮しながら、民間企業と同様の不断の経営見直しを進めるよう強く指導してまいります。

○矢島委員 今お話がございましたけれども、地代が半額の優遇を受けて、そして二〇%の運営益だけ。それを税金払って三十数億の利益を出していく。こういう事態も考えていきますと、今お話あったように一遍に民間ベースのところに持っていくのではなくて、順次その問題を少しずつ解消しながら負担すべきものを負担していく、こういう姿勢と考え方が必要かと思います。そうではないと、利益は上がっている、株式会社東京ビッグサイト自身の経営の姿も見えにくくなってくるんではないかと、このように思いますので、特別損失があったときのように、その資産を活用するような考え方もまた出てくる可能性もありますから、十分そのところは精査をされて必要な対応をされていきたいと、このように思います。
 今申し上げておきますが、四十数億の累計の別に、それを合わせまして二百三十三億の利益剰余金があるということを申し上げておきますので、この点については十分むだのない運営につながるようにお願いをいたしたいと思います。これは意見だけ申し上げておきます。
 次に、貸金業者登録についてお伺いをいたします。
 東京都は資金需要者保護のため、貸金業者登録業務を行い、指導に当たっております。平成二十年度の貸金業登録申請も当初見込みは千二百件でありましたが、実際は五百十四件、二十年度末の登録者数、これまで十年間の推移をお伺いいたします。

○保坂金融部長 過去十年間の東京都の登録者数の推移でございますが、平成十一年度末には六千四十一者で、以後も増加傾向が続き、平成十四年度末がピークで六千九百八十三者となっております。以後、減少に転じ、平成十七年度末までに、毎年度一千者以上減少を続け、十八年度末には二千七百七十者まで減少いたしました。さらに、平成十九年十二月の改正貸金業法の第二段階施行もあり、平成二十年度末で一千四百七十一者となっております。

○矢島委員 実際、全日本ベースでも平成十九年度末に日本貸金業協会では約一〇%の退会を承認しております。登録者数が減少した理由をお伺いいたします。

○保坂金融部長 貸金業の規制等に関する法律は、平成十五年の罰則強化等の改正に続いて、平成十八年十二月には、社会的に大きく取り上げられた多重債務問題を解決するため、貸金業者の登録要件の厳格化、年収の三分の一とする総量規制の導入、上限金利の引き下げなど大幅に改正されました。本改正は段階的に施行されることとなっており、その施行に合わせて貸金業登録者数も減少しているものと考えられます。

○矢島委員 ご説明のように、貸金業者の減少は、平成二十二年六月までに実施される上限金利の引き下げ、年収の三分の一とする総量規制を行おうとする平成十八年度の貸金業法改正が大きく影響を与えていることになります。現実の問題として、貸金業は、銀行で与信の得られない零細事業者にとって最後の貸し手という側面があります。その先は事業ベースの話ではなくなります。中小零細事業者の資金需要と、資金環境と貸金業者の役割を現実の問題として、どのように認識しているか、お伺いいたします。

○保坂金融部長 貸金業者は、中小零細事業者が銀行等から十分な借り入れができない場合や短期のつなぎ資金として緊急に必要とする場合などの借入先として考えられております。金融庁の統計資料によれば、平成二十一年三月末における貸金業者の事業者向け貸付残高は二十二兆一千億円余りで、貸金業界が中小零細事業者に対する資金供給の一定の役割を担っているものと認識しております。
 このような認識のもと、貸金業界が健全な業界として発展していくためには、東京都としては、引き続き厳格な登録審査の実施や立入検査等により、貸金業者の指導監督を実施するとともに、苦情相談等に適切に対応することにより、貸金業者の業務の適正化と資金需要者等の利益の保護を図ってまいります。

○矢島委員 本来、中小事業者へ資金を出している銀行は、その資本が見かけ以上に毀損をしているといわれておりますし、信用収縮の状況ではリスクをかけにくくなり、そのため行われる財務諸表第一主義の中小零細事業者の資金手当てでは、現実に事業に取り組んでいる中小事業者の資金確保は容易ではありません。このような厳しい環境の中で、中小事業者への資金提供は、優良な事業者を育てる観点と取り組みは欠かせないということになります。
 東京都でもこの点から多くの施策がなされておると思いますが、改めて認識をお伺いいたします。

○保坂金融部長 東京都の金融支援の柱である制度融資においては、信用保証協会と金融機関の協調のもと、中小企業の現在の事業内容はもとより、事業の将来性や発展性、経営者の人となりなどを総合的に判断した審査が行われております。特に、昨年十月末より開始された緊急保証制度においては、例えば二期連続赤字であっても、赤字の内容や取引先からの支援など、個別企業の状況を十分に勘案した保証を行うこととする国の方針が出されております。都といたしましては、今後ともこのような方針に基づき保証が行われるよう関係機関と連携して、適切に対応してまいります。
 さらに、東京都は、こうした緊急保証制度によっても十分な資金調達が困難な中小企業を支援するため、日ごろからの取引を通じて、企業の顔が見えている地域の金融機関の目ききの力を活用した新たな保証づき融資をこのたび創設いたしました。本制度の創設により、高い技術力やすぐれたビジネスプランなどを持ち、この難局さえ乗り切れれば、将来的に展望が開ける企業を資金面から支援してまいります。今後とも、ご指摘のとおり、中小企業の現場実態を十分に踏まえた融資制度の運営に努めてまいります。

○矢島委員 資金対応には、緊急避難とそして将来に対する適切な対応ということがあろうと思いますので、この点については、ぜひ積極的に今後とも取り組まれるように意見だけ申し上げておきます。
 次に、CLO、CBOについてお伺いをいたします。
 信用が収縮する中、東京都は中小事業者資金調達をあの手この手で支援をしてまいりました。その一つが保証協会つきであるCLOといわれるローン担保証券、またCBO、社債担保証券ということになります。その仕組みと平成二十年度末残高、件数をお伺いいたします。

○保坂金融部長 CLOは、企業への貸付金を裏づけ資産とした証券を投資家に販売することで資本市場から資金を調達する手法でございます。証券の販売代金が中小企業が調達する資金の原資となるものでございます。CBOは、証券の裏づけ資産が企業の発行する社債となるものでございます。これらは、単独で資本市場から調達できない中小企業が束となって、信託や特別目的会社、SPCを活用し、優先劣後といった仕組みを加えることで、投資家からの資金調達を可能とする手法であり、中小企業の直接金融への道を開くものとして位置づけております。中小企業の資金調達の多様化を図り、東京の産業を活性化することを目的としております。
 平成二十年度の期末残高でございますが、都内企業におけるCLOの残高は、三千五百九十九件、約一千三十億円、CBOは連携自治体分を含んだ数字でございますが、二百六十一件、約百七十一億円でございます。

○矢島委員 このうち、CBOについてお伺いをいたします。
 CBOによる債券は、中小企業の直接金融調達手段であるだけに、間接金融の新銀行東京と対になるものといえます。東京都を中心に、大阪など東京以外の自治体も参加して始まりました。そのうち、第七回CBOは大手金融機関が審査を行い、組成し、発行したわけでありますが、社債であるだけに、債券の購入を図るには、格付が極めて重要ということになります。そこで、CBO格付の意義と方法、また現在までの格付の推移についてお伺いいたします。

○保坂金融部長 投資家が証券を購入するに当たっては、リスクに見合うリターンが得られるかどうかを分析することが重要であり、このため不可欠な情報が格付でございます。格付は証券に係る信用リスクに関する膨大な情報を格付会社が一つの記号に集約したものであり、これを物差しとすることで、異なった投資対象の信用リスクの比較が可能となります。
 今、先生からお話ありました格付の推移でございますけれども、第七回CBO以前のCBOにつきましては、トリプルA格のものが投資不適格への格付や償還されないといった実績はございませんが、第七回CBOはスタンダード・プアーズが格付しておりまして、A号からD号までの四種類の証券が発行されておりますが、返済順位が最も高く、都民向け証券として販売されたA号につきましては、当初格付であるトリプルAを維持いたしました。
 一方、最も金額の大きいB号につきましては、証券発行時である平成十八年三月十五日時点での格付はトリプルA、その後、平成十九年九月十一日にダブルBプラス、いわゆる投資不適格となり、平成二十年四月十一日にはシングルBマイナス、平成二十年七月十一日にはトリプルCマイナスに格下げされました。なお、最終償還日でございます平成二十一年七月十日には、Dまで格下げされたところでございます。

○矢島委員 A号につきましては四十億円の規模、B号につきましては八百三十一億円の規模でありますので、B号を中心に、やはりこの格下げをされた事実について十分検討しなきゃいけないということになります。第七回CBOの与信審査は大手金融機関が行いまして、そのCBOが不適格、投資不適格のBB、今ご説明ありましたBB以下に格付が大きく下げられてしまったわけです。
 二十年度末で債務不履行の累計はどの程度となっているか。想定の不履行率との差はどの程度になるのか、その理由もお伺いいたします。

○保坂金融部長 第七回CBOの平成二十一年三月末現在の累積デフォルト金額は百九十九億八千万円でございます。発行額九百十四億円に占める割合は二割となり、年率に引き直しますと約七%となっております。デフォルト率を想定することは極めて難しいところでございますが、第七回CBO組成時の平成十八年三月時点での格付会社のレポートにある中小企業クレジットモデルによる推定貸倒率の分布を単純に残高加重平均にいたしますと、年率で約〇・五%の水準でございました。
 CBOのデフォルトが増加しました原因といたしましては、組成した金融機関からは、中小企業全体の景況の悪化の影響を受け、参加企業の信用力が組成当初に比べ、大幅に悪化したためであると聞いております。

○矢島委員 それにしても、不履行率は大変高いものであって、当初の見込みと比べても、これは高いものであるのは今のご説明でよくわかります。しかし、負担リスクは東京都に、社債ですから東京都にないと、投資家の方に負担リスクということになります。なるけれども、東京都はその名前を頭につけて企画しているだけに、事は単純ではありません。事態は重大であります。どのように考えるか、その認識をお伺いいたします。

○保坂金融部長 東京都が平成十一年度より取り組んだ中小企業向け証券化の手法は、その後、他の自治体にも広がるなど、資金調達の一手法として認識されるに至るとともに、債券市場構想に基づくCLO、CBOの発行は、延べ一万六千百社、七千百億円超に上るなど、中小企業金融の多様化の一翼を担ってきたところでございます。
 これまで、CLO、CBOの発行につきましては、堅実な実施に努めてきたところでございますが、ご指摘の第七回CBOにつきましては、CBOという仕組み上、リスクを内包しているとはいえ、大幅な格下げ及び一部毀損があったことはまことに遺憾でございます。この原因の大きなものとしては、先ほど答弁いたしましたように、中小企業全体の景況の悪化の影響がございますが、引き続き組成の特徴などについて分析してまいる所存でございます。

○矢島委員 トリプルAからトリプルCまで転落の道を一気に歩んでいった。やはり物事にはすべて理由がありますから、外部要因であるだけではなくて、内部の問題としてしっかり取り組んでいただいて、東京都の名前でCBOを、上につけて発行するものですから、関係金融機関と十分協議をされて、投資家に対して不安とそして不信感を与えないような、東京都全体の問題にもかかわってきますので、その点には十分今後取り組みをお願いしたいと思います。
 以上を申し上げて終わります。

○中山委員 私からは新銀行東京の問題、それから観光事業の問題、雇用就労事業の問題、三点にわたって質問させていただきます。
 初めに、新銀行東京についてお伺いいたします。
 昨年、四百億円を追加出資して、その後の新銀行東京の経営状況はどうなっているのか。都議会の責任として、今後とも注目していかなければなりません。と同時に、四百億円を追加出資した価値、効果を高めていく取り組みを応援していくこともまた議会としての責任と考えております。
 まずは、再建計画初年度である二十年度の決算における経営成績や財政状態について、計画と比較してお伺いいたします。

○中村金融監理室長 まず、新銀行東京の平成二十年度決算における経営成績は、業務収益が九十四億円と再建計画を二十七億円上回るとともに、営業経費は店舗統合や人員削減などの努力により六十八億円と、計画より十七億円改善されております。一方で、信用コストは経済環境の悪化などを踏まえ、貸倒引当金を保守的に積んだため、九十三億円と、計画と比べ三十八億円増加いたしました。その結果、純損失額は百五億円となり、再建計画の百二十六億円より二十一億円改善されたところでございます。
 次に、財政状態は、融資保証残高が千九百九十二億円と、計画を百四十三億円上回り、預金残高は三千三百五十八億円と、計画を三百十四億円下回っております。また純資産額は四百六十二億円となり、計画を三十八億円上回ってございます。
 経営成績、財政状態ともに、計画を全体として上回っている状況にございます。

○中山委員 全体として、決算の状況は計画を上回る内容となっております。ただいま答弁のありました二十年度決算の数値について、都はどのように評価しているのか、お伺いをいたします。

○中村金融監理室長 多くの金融機関が赤字決算を計上するなどの厳しい経済環境を考慮いたしますと、初年度の計画を達成し、再建計画に向けた取り組みは着実に進んでいると考えてございます。平成二十年度は、前半は店舗の統廃合など、再建に向けた基礎固め、営業経費の削減に注力し、後半は厳しい経済金融環境においても中小零細企業向け融資を増加させていることは、一定の評価ができるものと考えてございます。再建計画は、平成二十三年度までの計画であり、二十年度の成果をもとに、現在、新銀行東京は計画達成に向け、努力を重ねているところでございます。
 今後は、銀行としての本業の収益を改善させるとともに、さらなる信用コストの圧縮など、引き続き経営改善に向けた一層の努力が必要であると考えてございます。

○中山委員 再建計画初年度の実績は順調な滑り出しであるにもかかわらず、相変わらず撤退すべき、清算すべきといった主張を聞きます。こうした乱暴な主張は、銀行に対する風評を誘発し、再建の妨げになる、いわば営業妨害ではないかと考えますが、見解をお伺いいたします。

○中村金融監理室長 銀行は信用が何よりも大切でございまして、風評を招くようなことは避けなければなりません。銀行に対する風評の影響でございますが、例えば平成十五年には、ある地方銀行で短期間に預金五百億円余りが引き出されたことがございました。これは倒産するというチェーンメールがきっかけだといわれてございます。こうした風評により、銀行の営業に支障を来すことが実際にあったわけでございます。銀行は多くの預金者、取引先とともに経済活動を行う公共性が極めて高い企業でございます。こうした銀行の経営に対して、その活動に支障を及ぼすような発言は風評被害を誘発し、結果として、その信用をおとしめることになりかねません。したがいまして、信用第一の銀行について、その将来を公の場で安易に論じることは適当ではないと考えてございます。

○中山委員 銀行の信用を傷つけるような議論は、営業の妨げとなり、ひいては都民に迷惑をかけることになりかねません。新銀行東京は、二十一年度第一・四半期は初の黒字を計上するなど、再建は順調に進んでいると考えます。現に営業している金融機関に対し、清算をしろというのは暴論ではないかと思います。また、都が新銀行東京から撤退をすればどうなるかは火を見るより明らかであります。
 そこでお伺いいたしますが、新銀行東京の再建が順調に進んでいるにもかかわらず、撤退すべき、清算すべきという意見について、どう考えているのか、お伺いいたします。

○真田次長 ただいま先生ご指摘にもございましたけれども、現在、新銀行東京は再建に向けて順調に進んでおりまして、清算するような状況にはございません。また銀行は、その公共的性格や、設立に当たり監督官庁から免許を受けているため、預金者保護や信用秩序維持の点から銀行法のさまざまな手続を経なければ、清算は容易に行うことはできません。さらに、新銀行東京には本年六月末時点で約三千億円の預金と約一千億円の貸出金等、そして約一万社の取引先がございまして、その従業員や家族を含めると十万人を超える関係者が存在いたします。新銀行東京を清算することになりますと、こうした多くの関係者に多大なご迷惑をおかけすることになりまして、その影響の大きさははかり知れません。
 こうした事実を無視しまして、現に営業している新銀行東京を清算すべきという意見は乱暴といわざるを得ないと考えます。また、今撤退すると、追加出資しました四百億円につきましても当然のことながら保全されなくなってしまいます。したがいまして、今後とも、新銀行東京が着実に経営再建を果たせるよう都としても全力を尽くしてまいります。

○中山委員 直ちに清算しろとの主張につきましては、銀行法や行政実例等照らして、成立するのかどうかということをきちっと学んでからご主張されるべきではないかと思います。見解の相違は人々によってあるかもしれませんけれども、私は、黒字で営業する銀行について、預金者や融資を受けている人々の迷惑を考えることなく、銀行みずからが発意したとしても清算手続に入ることを金融庁が認めるとは考えにくいというふうに思っております。ましてや銀行みずから望んでいないのに、黒字で営業する銀行に対し金融庁が清算手続を命じるとは、仮に政治的プレッシャーが金融庁に対してかけられたとしてもあり得ないと考えます。にもかかわらず、いたずらに清算、清算と唱え続ける目的は、むしろようやく立ち直りの追い風に乗りつつある新銀行の経営に風評被害をもたらして、清算せざるを得ないような経営状況に追い込むことが目的なのではないかとさえ思えてくるのであります。当然そうした事情以上に、今お話も、ご答弁もありましたけれども、私ども東京都の関係者は、新銀行東京が支援している多くの中小零細企業と、そこで働く従業員やその家族の生活を守っていかなければなりません。
 私は平成十七年九月の第三回定例会で一般質問に立ちまして、厳しい経営環境に置かれている中小企業を支えることを第一の使命として誕生した新銀行が、その設立趣旨に沿った融資保証を行っているかどうかをいま一度検証しておくべき、都としても、常に利用者本位の経営を行うよう働きかけておくべきと質問させていただきました。先ほども産業労働局次長から、十万人を超える人々は今も新銀行を利用していると答弁がありましたが、新銀行が都民保護のために一定の役割を果たしていることは明らかであります。
 これから、少々意見表明になるかもしれませんけれども申し上げますが、その新銀行に対し、清算しろといい続けて、清算せざるを得ない状況に追い込むとしたら、仮に受け皿金融機関が定まったとしても、設立当時の無担保・無保証の融資を継続して返済している債務者の債権はRCC、整理回収機構に移る可能性があるんではないかと思います。RCCに債権が譲渡されれば、理不尽な取り立てを受ける可能性は、今日ではかなり薄らいでいるとはいうものの、RCCに債務を負う中小企業として、その中小企業に追加融資の貸し渋りをする金融機関があらわれる可能性が大きいと思います。新銀行に順調に返済を続けている人々でさえ、追加融資を受けにくい状況に追い込まれる、これが問題です。
 中小企業にとっては、仮に、返済を続けている融資について、今後も繰り上げ償還を求められることなく返済を続けられるという安心感だけでなく、追加の資金需要が発生したときに、追加融資を受けられるかどうか、この点が非常に大事な生命線であります。そうした際に、制度融資を活用せよという声も聞きますけれども、私は、制度融資もしょせん金融機関による融資にほかならず、RCCに債務を負う中小企業に対し、仮に信用保証協会による保証がついたとしても、融資を引き受ける金融機関がどれほどあるのか、甚だ疑問であると思います。新銀行を利用して中小企業を経営している人々をこうした状況に追い込むことが本当に都民本位に立った政治判断なのか、改めて、問い直されるべきであると思います。
 私ども都議会公明党は、新銀行を再建し、その企業価値を高めた上で、事業譲渡や業務提携を行うことが都民の負担を最小限に抑えることと考えております。マニフェストに書いてあるからといって、公共性の高い銀行に対して安易に撤退しろと主張したり、または本会議の場で清算すべきと軽々に発言したりすることは、責任ある者としては厳に慎むべきと私は考えております。
 このことを申し上げまして、次の質問に移ります。
 観光事業についてお伺いいたします。
 観光産業の振興を図る観点から、飲食店に対する外国語メニュー等普及事業について何点か、お伺いいたします。
 外国から日本に訪れる方々は年々増加しております。昨年秋の世界同時不況や新型インフルエンザの影響などにより、しばらくは減少することがあるかもしれませんけれども、中長期的に見れば、世界的な動向からして増加傾向が続くことは確実と思われます。日本・東京におきましても、来年には羽田空港の再拡張による国際便の増加や成田-東京間に成田新高速鉄道が整備されることなど、外国人観光旅行客をふやす好材料がそろっております。
 一方、外国からのお客様が増加する中、受け入れ体制の整備も急がれております。そこで、日本語がわからない外国の方々が容易に自分の好きなメニューを選ぶことができるよう、外国語によるメニューをレストランや食堂などの飲食店が用意しておくことは、日本人の持つホスピタリティあふれるおもてなしの心を具現化することにもなることから早急に取り組むべきことと考えます。
 そのようなことから私は、平成十七年九月の第三回定例会の一般質問に立ち、千客万来の世界都市東京の観光振興プランの強力なキーワードとして、日本の豊かな食文化を効果的に外国人旅行客に伝えるための外国語メニューの普及啓発を通し、東京の豊かな食文化を万人が利用できる観光資源に変えることを訴えました。また平成十八年二月の予算特別委員会におきましても、重ねて食文化に言及し、食の背景には、その国の歴史や伝統がある、日本人のモラルの高さや品格のあるマナー、みずみずしい感受性まで伝えられる観光産業に育てていくべきと訴えました。
 そこで、飲食店が簡単に外国語によるメニューを作成できるようにするためのシステムが昨年末完成したということでございますので、改めて、東京都が外国語によるメニュー等普及事業に取り組んだ背景をお伺いいたします。

○小島観光部長 外国人旅行者の関心の高い体験の中で、日本料理を食べることが日本政府観光局などの各種の調査で上位に上がっております。日本食に限らず、東京の多彩な食文化は世界的にも高く評価されております。しかし、外国人旅行者が日本で料理を注文する際に、日本語のメニューしかない、食材がわからない、どんな料理か想像がつかないとの意見が寄せられております。また、飲食店側からは、日本独自の食べ物の説明に戸惑う、食材を聞かれることがあるがどのように説明したらいいのかわからないなどの意見が上がっております。このため、外国人旅行者が日本の食をよく理解し、その魅力を堪能できるよう、飲食店みずからが作成できる外国語メニュー作成支援ウエブサイトを構築することといたしました。

○中山委員 今ご答弁いただいた内容につきましては、私自身が認識しているところと一致しております。その意味で、都が作成されましたシステムの概要について、続いてお伺いさせていただきます。

○小島観光部長 まず、平成十九年度にモデル事業を実施いたしまして、二十二店舗の飲食店のメニュー、約千メニューでございますけれども、これを英語、韓国語、中国語(繁体字・簡体字)のこの四言語で作成し、各飲食店において実際に使用してもらい、飲食店の意見や外国のお客様の反応等を集約いたしました。
 二十年度には観光部のホームページからダウンロードすることにより、都内の飲食店が外国語によるメニューを簡単に作成できるよう、外国語メニュー作成支援ウエブサイトを構築いたしました。このサイトには、十九年度に集約したさまざまな意見をメニュー作成に反映させ、汎用性の向上を図るとともに、旅行者ニーズの高い約千五百のメニューや食品アレルギー等の情報を追加し、約二千五百のメニューをそろえたところでございます。

○中山委員 外国語メニュー作成支援ウエブサイトを構築したということでございましたが、せっかくつくったシステムを多くの飲食店の方々に使ってもらうための仕組みもまた重要でございます。その点について、どう検討していくのか、所見をお伺いいたします。

○小島観光部長 多くの飲食店に外国語メニュー作成支援ウエブサイトを使っていただくために、さまざまな機会を活用し、普及に努めるとともに、商工団体等と連携いたしまして、都内各地でメニューの作成研修やお店に入ってから出るまでの接遇研修を実施してまいります。また、外国語メニューを完成させた飲食店が希望する場合には、ウエブ上に外国語メニューを整えた店舗紹介ページ、日本の料理を楽しむウエブサイト、これ仮称でございますけれども、こちらの方に掲載いたしまして、外国人が簡単に店舗を探せるようなシステムを年内を目途に構築する予定でございます。
 今後もこうした取り組みを通じて、多様な魅力を持つ東京の食文化を観光資源として積極的に活用してまいります。

○中山委員 ぜひ、今ご答弁いただいたことの取り組みを努めていただきまして、ご努力をお願いしたいと思います。これからは、そうした外国語メニュー作成支援ウエブサイトの利用を促していくといいますか、推進していく主体となってくださる方々を東京都以外にどうつくっていくかということは非常に大事ではないかと思います。観光事業団体とか、そうした方々との連携も大事でしょうし、また例えば、興味、関心を持ってくださる大学のゼミの学生の方々と連携していくとか、そうした事柄も非常に大事な点ではないかと思いますので、ご検討のほど、これは意見として述べさせていただきます。
 最後に、雇用対策についてお伺いいたします。
 都内の雇用情勢が一段と厳しさを増す中、都は低所得の方々のための就職チャレンジ支援事業、三十代の非正規雇用の方向けのネクストジョブ事業、離職者の方向けの委託訓練の規模等を大幅拡充され、基金等による雇用創出事業など、雇用情勢に的確に対応した施策を切れ目なく実施されております。私は、これらの施策の着実な実施に取り組んでいただく一方、我が党の強い要望によって設立されました都民の仕事に関するワンストップサービスセンターである東京しごとセンターにも、そのパフォーマンスを最大限発揮し、戦後最悪の雇用情勢の打開に取り組んでいただきたいと強く願っております。
 そこで、まずは、しごとセンターについて伺います。
 雇用情勢の悪化が続く中、しごとセンターには職を求める方が数多く訪れていらっしゃると聞いております。そこで、昨年秋のリーマンショック以降のしごとセンターの利用者の状況についてお伺いいたします。

○小田雇用就業部長 平成二十年度下半期のしごとセンターの新規利用者数は一万三千五十五人と、平成十九年度下半期と比べて五〇・八%増加いたしました。中でも、三十歳から五十四歳までの方の就職を支援するミドルコーナーの新規利用者数の増加が大きく、二十年度の下半期の新規利用者数は五千四百四十一人で、十九年度同期の八二・二%と大幅な増加となりました。本年度に入っても、ミドルコーナーの増加傾向は続いており、本年四月から八月までの新規利用者数は五千百四十一人と、前年同期と比べて四八・六%の増加となっております。

○中山委員 今ご答弁がございましたとおり、大変な利用者数の増加でございます。そうなると心配になりますのが、しごとセンターのサービス提供の状況でございます。予約がとりづらくなっているという話も聞きますが、雇用情勢が厳しいからこそ、一層のきめ細かな支援が求められております。特に、カウンセリングということがしごとセンターの生命線ではないかと私は考えております。また、そのことをPR材料として、悩んでいらっしゃる都民の皆様にも私は数多く訴えてまいりました。
 そこで、しごとセンターの新利用者が大幅に増加する中、利用者の方に対し、しごとセンターの特色である個別カウンセリングをきちんと行えているのか、お伺いいたします。

○小田雇用就業部長 ご指摘のとおり、新規利用者数が大幅に増加する中にあっても、個別カウンセリングを軸に、利用者一人一人の希望や適性に合った就職を支援することが大変重要と認識しております。このため、ミドルコーナーの新規利用者が急増し始めた平成二十年十二月以降は、個別カウンセリングについて、比較的予約の少ない時間帯へ誘導するといった対応に加え、本年六月からは就職支援アドバイザーのポスト数を二十四ポストから八ポスト増の三十二ポストといたしまして、支援体制の強化を図っております。こうした取り組みによりまして、一時期個別カウンセリングの予約がとりづらいといった状況は改善され、十分なカウンセリング時間の確保が図られたところでございます。
 引き続き、しごとセンターの特色である親切、丁寧なカウンセリングに努め、求職者の就職を支援してまいります。

○中山委員 自分のよさをどう発揮していいかわからないとか、あるいは仕事を大して今までしたことがない。どうやって社会に一歩出ていこうかと悩んでいる。そうした方々に対して、このカウンセリングというのは非常に大事な役割を発揮しておりますので、まだまだ厳しい雇用情勢でございます、しごとセンターの方々には今まで以上に頑張っていただきたいと強く申し上げさせていただきます。
 次に、しごとセンター多摩の取り組みについてお伺いいたします。
 しごとセンター多摩は、平成十九年八月の開設から二年が経過しましたが、多摩地域の中小企業団体や地元金融機関等との連携による合同就職面接会や企業セミナーなど、さまざまな事業を実施するとともに、十月二十六日からは就職氷河期世代の正規雇用化を支援するネクストジョブ事業を新たに開始するなど、着実に取り組みを進めているとお伺いしております。我が党は、しごとセンター多摩の開設に当たり、代表質問等におきまして、大学が数多く存在する多摩地域の特色を踏まえて、しごとセンター多摩と地元大学等との連携に特に力を入れるよう求めてまいりました。そこで、しごとセンター多摩と地元大学等との連携の状況についてお伺いいたします。

○小田雇用就業部長 多摩地域には、五十九もの大学、短大があり、しごとセンター多摩では、開設以来、提供しているサービスや事業を説明したり、施設見学を行うなど、交流を進めております。連携事業といたしましては、就職支援アドバイザーが大学に出張し、セミナーやカウンセリングを行っており、二十年度は支援希望のあった九つの大学等で実施し、全体で九百二十人の学生が参加いたしました。二十一年度は十六の大学等で実施する予定でございまして、着実に連携が進んでおります。
 さらに、大学生向け支援につきましては、大学就職担当課の意見、要望なども踏まえて充実を図っておりまして、二十年度からは大学三年生を主な対象とする就ゼミを就活スケジュールに合わせて実施するなどの取り組みを開始しております。本年十月以降は、就職が内定していない四年生などを対象に、大学での出張カウンセリングを実施する予定でございまして、卒業予定者の就職支援につきましても、適切に対応してまいります。

○中山委員 恐らく各大学では、新卒学生さんの就職先について大変苦労していると思います。出張カウンセリング等、ぜひとも頑張って充実をお願い申し上げます。
 若者の職業的自立はその社会や経済に与える影響を考えた場合におきましても、非常に重要な課題であります。将来の社会を担う若者の雇用を一層促進するため、今後とも、大学との連携強化を、より進めていただきたいと願っております。
 我が国では他国に例を見ない急速なテンポで高齢化が進展し、将来的な人材不足が懸念される今、若者だけでなく、雇用、就業を通じた元気な高齢者の方々の社会参加の促進が大変重要な課題であります。都内企業の九六%が何らかの形で六十五歳までの雇用確保措置を講じている現在、焦点は六十五歳以降の本格的な職業人生からの引退過程にある方々に対する雇用就業機会の確保であります。こうした方々に対しては、加齢に伴う体力の低下等も踏まえながら、身近な地域において多種多様なニーズに対応できる幅広な就業の機会を提供していくことが必要であります。こうした取り組みを進めるためには、都内五十八区市町村に設置され、高齢者に、地域に密着した臨時的かつ短期的な就業の機会を提供しているシルバー人材センターを重要な拠点として活用していくことが必要と考えます。
 高齢者にとって働きやすい環境というのは、いろいろな問題があるでしょうけれども、一つは人事管理的に優しい、強制されたりしない、あるいは本当にそれぞれの個性を重んじてもらえる、人生の歴史というものを尊重した扱いをしてくれる、そうした方々と一緒に働くことが楽しい、そういう楽しさというのが高齢者にとっての働く上での大事なポイントではないかと思います。シルバー人材センターはそうした面で専門的な団体でありますから、私は大きく期待しております。
 そこで、お伺いいたします。高齢者の方の就業の一層の促進のためには、シルバー人材センターにおいて、新たな仕事の分野を開発する職域の拡大が大変重要と考えますが、都の支援状況についてお伺いいたします。

○小田雇用就業部長 シルバー人材センターの職域拡大を図るため、都は十九年度から三カ年事業として、シルバー人材センターが創意工夫を凝らして、さまざまな就業機会を会員に提供するための仕事を創出する事業を実施する場合には、区市町村を通じて、経費の二分の一を補助しております。補助件数といたしましては、平成二十年度は十五件、二十一年度は十二件の事業を支援しております。補助事業の内容といたしましては、パソコン教室を初めとして、服のリフォーム、福祉・家事援助サービス、育児支援サービス、地域農産物生産など多岐にわたっております。また、これらの補助事業の内容につきましては、シルバー人材センターを設置している区市町村に紹介し、好事例が広がるよう各センターの職域拡大に向けた取り組みを促進しております。

○中山委員 三カ年事業とのことでございますが、団塊の世代の方々が六十五歳に到達し始める平成二十四年以降は、シルバー人材センターに今まで以上に多くの方が入会していることが予想されております。そうしたことから、シルバー人材センターで提供できる職域を拡大していくこと、そしてそのことに対する支援というのが非常に大切になってまいります。本事業をより充実した形で来年度以降も、ぜひ継続実施していただきたいと思っております。
 また、補助事業の内容が多岐にわたっているとの答弁がございましたが、シルバー人材センターが拡大していくべき職域といたしましては、私の考えになるかもしれませんけれども、例えば少子化の解消、高齢者が安心して暮らせる社会の実現、農業の振興など、その時々の課題に沿ったものであるし、また、雇用拡大効果の高い部門というものを目指していくべきだと思います。本事業の継続実施に加え、都はこうした社会的な課題に沿った職域拡大の取り組みを好事例としてピックアップし、シルバー人材センターの設置されている区市町村で取り組みが進むよう、さらに積極的に対応していただくことを要望して、私の質問とさせていただきます。

○たぞえ委員 最初に、ふえ続ける失業者の雇用、生活支援についてです。
 二十年度は、雇用の破壊、原油などの物価の高騰で都民の暮らしはかつてない厳しい状況に置かれていたときでありました。二十年度の予算審議の第一回都議会定例議会で産業労働局長は、失業者の増大というこの事態に対して、日雇い労働など働き方の選択は個人の問題。雇用形態が多様化している中、日雇い派遣も一つの働き方と、まるで他人ごとのような姿勢の答弁を繰り返していることを覚えております。しかし、貧困と格差はますます拡大して、十月二日に発表された八月の完全失業率は五・五%、先ほどの資料説明でも出ていますように、二十年度全国四・〇%に比べても失業者の実数は増加傾向です。まさに雇用情勢は深刻で、勤め先の都合で仕事を失う人は前年比二倍のペースで続いているわけです。
 決算書の六三ページで、公共職業訓練事業の運営、民間の能力開発振興の決算額が提示されていますが、予算現額六十七億円に対して二十億円の不用額、執行率六九・七%になっています。なぜこのような不用額が発生したのか。どのような運営をしているのか、見解を伺います。

○日請事業推進担当部長 職業能力開発費に係ります不用額の主なものは、平成二十年度の新規事業として開始をいたしました就職チャレンジ支援事業の実績減によるものでございまして、その不用額は十三億三千六百万円となっております。この要因につきましては、本事業の開始直後の利用状況や、事業の受け付けを担当いたします各区市町村の窓口が、八月から十月にかけて順次開設されたということなどによるものと考えております。

○たぞえ委員 予算額の約三割を残す。二十億円の不用を残す。それは予算の執行実績としては大変大きな金額だというふうに思うんです。私、今答弁された就職チャレンジ支援事業ですけれども、年度の途中で始まったとはいえ、雇用が大変な東京で都民の大きなこの世論を受けての事業実施だったと思います。
 この就職チャレンジ支援事業、一体どういう意図を持った事業なのか、まず、その取り組みの説明をお願いしたいと思います。

○日請事業推進担当部長 就職チャレンジ支援事業は、低所得者の方々の生活の安定に向けた緊急総合対策でございます生活安定化総合対策事業の一環として、昨年度より、各区市町村、福祉保健局と連携して実施をしているものでございます。低所得者の方の職業的、経済的自立に向け、生活費を支給しながら職業訓練や就業支援等を実施して、一人一人の適性や状況に合わせた、きめ細かな支援を行うことを目的として実施をしているものでございます。

○たぞえ委員 今答弁で、就職チャレンジ支援事業は東京都が昨年八月から開始して、失業手当のない失業者に対して、職業訓練の受講の場をつくり、その期間に毎月十五万円の生活費を給付する事業だという、このような趣旨の説明がありました。大いに結構な事業だと思います。今後も一層拡充を求めておきたいと思います。
 ところが、この二十年度の決算書を見てみますと、都が直接行った就職チャレンジ支援事業では、予算額十九億二千百万円に対して、支出五億八千四百万円、不用額十三億三千六百万円、執行率三〇・四%です。これは都内の十三の都立職業能力開発センターに委託して就職を希望する都民に訓練を行うものですが、実績は訓練生は予算で千七百人、決算実績で八百二十二名、半分にも至りませんでした。一体、何人が応募されたんでしょうか。

○日請事業推進担当部長 平成二十年度の就職チャレンジ支援事業におきます、先生おっしゃられたのは委託訓練の数字かと思いますが、委託訓練の応募者数は九百三十人でございました。

○たぞえ委員 各自治体では相談実施スタートがまちまちで、事実もたついていました。私のところに相談に来られた五十二歳の男性の方は、三年前に首切りされて、失業保険も切れて、その後、正規雇用につけない状態で、短期のアルバイトで食いつないでいる方です。生活に困り果てて、世田谷区の窓口に行きますと、都の就職チャレンジ支援事業を紹介されました。この方は、職業訓練で技術と資格が身につけられ、就職に有利になると思って、大変期待して応募したわけです。ところが、定員がいっぱいで受けられない。調べてみると、昨年秋からの派遣切りで失業者がふえて、この就職チャレンジ支援事業に応募する方が急増しているという状況の一人でありました。仕事を奪われ、途方に暮れている方々の毎日の生活は死活の問題です。この事業を利用できる方は、要件をすべて満たしていれば、区市町村の確認を受けた方は支援相談室で就業に関する相談と職業訓練の科目案内などを受けて、手続を行うこともできます。
 ことし二十一年の二月から七月までの六カ月間での応募者数と受講者の推移を示していただきたいと思います。

○日請事業推進担当部長 平成二十一年二月から七月までに募集いたしました委託訓練につきましては、募集期間はございますので、訓練の開始が本年の四月から九月に実施する訓練に該当するものでございます。この間の応募者数は二千六十五人、受講者数は千五十三人でございます。

○たぞえ委員 今おっしゃられたように応募は二千六十五人で受講者になったのは千五十三人にすぎません。倍率は二倍、半分の人が受講できない状態です。明らかに、二十年度より希望者が急増しているのに受講者になれない。そこで東京都は、二十一年度は二百人の定員をふやして千九百人としましたが、現実は倍率という言葉が出てくる状況になっているわけです。希望者が全員受けられない状況になっているのではないでしょうか。
 先ほどの総務部長からの資料説明でも出てきたように、補正予算を組む機会はこの二十年度あったわけです。こうした補正予算のチャンスを生かして実施枠を拡大するべきだったんです。受講を希望する方に対して受け入れ定員の枠を拡充する必要があるんではないでしょうか。

○日請事業推進担当部長 本年二月以降に募集をいたしました訓練については、急激な雇用情勢の悪化を受けまして、定員を上回る応募があったものでございますが、現在、本事業の執行に当たりましては、応募者数の動向を踏まえ、毎月の委託訓練の定数等を設定しておりますほか、受講できなかった場合には次回の訓練を案内するなど、受講希望者にできるだけ速やかに訓練を受けてもらえるよう対応しているところでございます。引き続き必要な訓練枠の確保に努めてまいります。

○たぞえ委員 この事業が開始してからの一年間にかけて受講した人が実際に就業にたどり着いたのは、そのうち、何割という実績なんでしょうか。

○日請事業推進担当部長 本事業におきまして、本年八月末までに本事業の利用者で就職されました方は約五百人でございます。就職率でございますが、八月末までにうちの方で把握できます数、職業訓練の修了時期等が異なりますので、できないものもございますが、約三三%でございます。

○たぞえ委員 この事業は、答弁のように、応募者も多く、就職実績も上がっているわけですから、この事業の要望に見合うために、定員や予算措置を、二十二年度、来年度どう拡充していくのか、見解を伺いたいと思います。

○日請事業推進担当部長 平成二十二年度につきましては、これまでの事業実績等を勘案いたしまして、事業実施に必要な予算の確保に努めてまいります。

○たぞえ委員 このように、雇用をふやすには景気回復は待ったなしなんですが、仕事を探して毎日不安を抱えている東京の若者たちに対して、職業訓練が受けられ、生活費を支給してくれるこの事業に大きな役割があります。
 しかし、渋谷のハローワークに行きますと、この就職チャレンジ支援事業のパンフレットは見えるところに置いていないんです。さらに二十年度は、都やハローワークから区市町村にリーフレットが届けられましたが、募集時期の直前ということもあって、周知期間が短く、十分周知ができない、こういう実情にありました。多くの情報を素早く都民に提供できる対策が必要です。産業労働局として、この事業を都民に知らせるために今後どのような手だてを検討していくのか。いかがですか。

○日請事業推進担当部長 本事業の周知につきましては、「広報東京都」や東京都のホームページ、あるいは各区市町村の広報紙やホームページなどを活用いたしますほか、駅とか、あるいはコンビニエンスストアに置かれます無料求人誌への掲載、電車広告等により、幅広く実施しているところでございます。
 また、事業案内や職業訓練の募集案内につきましては、区市町村やハローワーク等に随時必要部数を配布するなどのPRを実施しているところでございます。今後とも、こうした方法でPRに努めてまいります。

○たぞえ委員 この就職チャレンジ支援事業は、来年度の二十二年度までの三カ年の時限事業ということになっています。引き続き厳しい雇用情勢が続いているもとで、再来年度の二十三年度も引き続き本事業を継続して実施して、低所得者の生活の安定を図る必要があると考えるものです。この機会に強く要望しておきます。
 次に、高齢者が安心して働ける公的就業支援についても伺います。
 わずかな年金だけでは生活できない高齢者は仕事を見つけています。生活できる支援は緊急課題です。高齢者の就労の場として提供する団体として、シルバー人材センターは大変有名ですけれども、このセンターは高齢者の生きがいを生み出しつつ、培ってきた技術を地域に還元する大事な組織です。
 一方、NPO法人で高齢者就業事業団というのがありますが、この組織は、自治体や民間企業から公園、建物の清掃、美化、管理などの受注をしていますけれども、最近では民間が参入してきて、公園の仕事もたたき合いという状況です。受注金額が下がったり、受注量が減ったり、高齢者の仕事の機会が減少する傾向にあります。都として、局を超えて仕事情報を提供することが急がれるんではないでしょうか。高齢者の就労機会を確保する上で自治体が、シルバー人材センターだけでなく、NPOはそれ自身競争になじまない組織ですから、直接的な公的な事業の発注を広げることや、また都の関係窓口で当該団体が発行したパンフレットを都民に提供できるよう、手だてをとることが必要です。広く民間団体も含めて就業の機会をふやしていくことが急がれますが、見解を伺います。

○小田雇用就業部長 都は、これまでシルバー人材センターへの支援に加えまして、東京しごとセンターにおける就業相談、職業紹介、職業能力開発センターにおける職業訓練や区市町村が実施するアクティブシニア就業支援センターへの支援を通じて、高齢者の就業促進に努めてまいりました。また、昨年度から、高齢者の方を含め、離職者等の就業機会確保のため、民間団体への委託等によりまして各種雇用創出事業を実施しております。
 また、情報の提供でございますが、こうした雇用創出事業を含め、公共事業の入札等にかかわる情報については、都や区市町村のホームページや掲示、その他適切な方法で提供されているものと考えております。

○たぞえ委員 ぜひ広く高齢者の組織に仕事が回り--実は私、ちょっと最近驚いたんですが、私の近くのUR団地で新築の募集があったんです。それで、年齢層を見てみましたら、六十歳以上が高齢者だというんですね。私ももう高齢者の側に近づいているということを知って、大変ショックでした。高齢者といえば、七十、八十等の年齢層かなと思ったら、六十歳でも高齢者なんです。私も若いとは思っていますけども、いろいろそういう技術は持っていませんが、仮に企業で働いて定年退職して、自分の持っている技術を生かしたいと、なかなかこう思ってもそういう場がない。これはどんどんそういう人口がふえているわけですから、ぜひ公共自治体として、仕事を、大いにそういう技術を持つ、そして、年金だけでは暮らせない方々に、仕事の提供という場を努力していただきたいというふうに思います。
 次に、中小企業支援です。アメリカから始まった金融不況は、自動車や家電など輸出産業に依存する日本経済の弱点をさらけ出すことになりました。一たんは値下がりしていたガソリンやクリーニング溶剤など、今日、灯油原材料の値上げがじわじわ迫っています。
 ある区内のクリーニングの店主は、八月に溶剤が値上がりするというので、七月にまとめ買いをしたと、そういうふうに語っていました。航空会社は、七月時点でゼロだった燃料サーチャージを十月から復活しました。物価の高騰につながるこうした動向は、経済危機の中で苦しんでいる中小企業にとって、重大な打撃となる危険性をはらんでいます。
 同時に、大田区の町工場経営者は、新しい仕事を見つけても、親会社が安い単価を求めて競争させるために、単価がどんどん下がっていると語っていました。元請企業からの下請単価の引き下げが激しくて、小規模零細業者の経営を圧迫しています。長引く受注減に耐えられず廃業する町工場も目立ってきました。この一年で、仕事減で蓄財を使い果たしてしまったと、二十五年、何とか経営を続けてきたのに廃業を決めたフライス加工業者の言葉は無念の思いです。それら中小企業が仕事がない中で、さらに、家賃やリース料、従業員の給料など、いわゆる固定費も払えず、事態解決に抜け出せないと、こういう状況だと思います。こういう状況を、産業労働局としてはどのように受けとめているんでしょうか。

○山手商工部長 都内中小企業は世界的な景気後退の影響を受けまして、消費の低迷、輸出の大幅な減少等によって売り上げが大幅に落ち込み、負債額や倒産件数が増加傾向にございます。
 都では、こうした状況を踏まえまして、受注開拓緊急支援事業や倒産防止対策など、厳しい経済情勢に対応した緊急支援策を講じるとともに、さらに中長期視点に立った東京の産業力強化に向けて取り組んでございます。

○たぞえ委員 今の答弁で、ますます都内の中小企業支援に基本方針の策定が必要だなということを実感しました。東京都はその役割を担うものとして、東京都中小企業振興対策審議会、直近ではいつ開催したんでしょうか。

○山手商工部長 直近では、平成十五年十月から平成十六年五月にかけまして、都のものづくり産業の集積施策のあり方について審議を行ったところでございます。

○たぞえ委員 平成十六年以来開催していないということですね。状況を踏まえれば、都として、その後の経済状況の悪化を考えれば、自治体とそして中小業者など、円卓会議を開くなどして、経営者の意見を聞いて知恵と工夫を出し合って、官民共同の取り組みを進める必要があると思いますが、見解をお伺いいたします。

○山手商工部長 都は、平成十九年に今後の産業振興政策の方向を示します東京都産業振興基本戦略を、学識経験者や企業関係者等から成る懇談会を設けまして、十分に意見を聞いた上で策定いたしました。また、都は毎年度、中小企業の経営実態や経営環境の変化等につきまして、アンケート調査に加えまして事業者の生の声を聞くため、ヒアリング調査を実施し、中小企業の実態の把握を行ってございます。
 都は、昨年来の世界同時不況の中、同基本戦略を踏まえつつ、中小企業の経営実態のきめ細かな把握のもとに、数次にわたる補正予算及び平成二十一年度当初予算において、さまざまな緊急対策を講じてまいりました。

○たぞえ委員 経営の実態把握や課題の掌握も行っている、産業振興基本計画は十九年度に作成したんだと、このようなことでありますけども、事態がさらに一層深刻だと思うんですね。それは、まちに行って調査をするだけでは不十分だと思いますが、さらに最近のテレビ報道でも、工場の経営者がさまざまな訴えをしているのを私見ていて、やっぱりそういう現場に行って、どういうことを行政に求めているのか、そしてどうしたらいいのかという知恵比べ、こういう機会が大変大事だというふうに思うんです。
 そういうことを背景にして、緊急に今多くの経営者から出ていますのが、工場を維持するための家賃補助などの固定費を軽減させると、これが大変大きい声になっています。こういう補助制度を考える、そのための検討を行う必要があると思いますが、部長、いかがですか。

○山手商工部長 ただいまお話にありました経営困難な中小企業に対しましては、事業承継・再生支援事業で相談や経営支援を行っているところでございます。また、資金面でも、経営緊急を初めとする中小企業制度融資で対応しているところでございます。

○たぞえ委員 前政権の中小企業庁は、この問題について、こうした対策が必要であると、自治体の判断でこれらを支援するべきだと、自民党政権のときでさえも、このように見解を述べていたわけです。ぜひこれは検討する必要があるということを改めて申し上げたいと思います。
 さらに一歩踏み込んで、意欲のある企業のための仕事確保を初め、経営困難な企業への委託研究、地域の集積や貴重な技術を守ることも急がれていますが、ぜひそういう立場に立って、受注の確保が困難で経営が厳しい中小企業に対して、新製品や新技術を開発するための委託研究制度、そういうものも立ち上げるなど、そして、その新商品化の暁には、都として販路拡大の道を開くことを提案したいと思いますが、見解を伺いたいと思います。

○山手商工部長 都は既に、中小企業が行う新製品や新技術の開発に対しまして経費の一部を助成する各種の制度を整備いたしますとともに、都立産業技術研究センターにおきましてアドバイスを行うなど、総合的に支援を実施しているところでございます。したがって、お話にありました委託研究制度について創設する考えはございません。

○たぞえ委員 今は考えがないということでありますので、ぜひ考える時期が来たら考えていただきたいと思います。
 最後に、二十年度の最大の焦点になった新銀行東京への四百億円追加出資についてであります。
 我が党は、追加出資がいかに道理がないもので、都民の貴重な税金をどぶに捨てるものになるときっぱり反対いたしました。まず、お聞きしますが、東京都にとって新銀行東京とは何だったのか、見解を伺いたいと思います。

○中村金融監理室長 新銀行東京は、高い事業意欲を持ちながら資金繰りに苦しむ中小零細企業を支援するために設立したものでございます。新銀行東京は、これまで他の金融機関では支援が難しい赤字や債務超過先を多数含む、約一万八千社の中小零細企業に対する支援を実施してまいりました。現在、新銀行東京は、中小零細企業支援という設立目的を十全に果たすべく、新たな経営陣のもとで懸命に経営再建に努力しているところでございます。

○たぞえ委員 私の地元の零細業者は、高金利であっても新銀行東京から融資を受けて仕事を続けたいと、必死になって手続を行い、融資が実行されました。しかし、さらなる運転資金が必要になり、新銀行東京に申し込むと、これ以上は融資できないと断られ、やむなく都市銀行に申し込んでも断られました。なぜ断られたと思いますか。

○中村金融監理室長 一般に、金融機関の融資につきましては、案件ごとに、事業の見通し、企業の財務状況、将来性などを総合的に勘案して、審査を行った上で実行されるものでございます。委員ご指摘のお話のように、既存の融資を返済したからすべてが無条件に受けられる性格のものではないということを、融資全体についてはまずご理解いただきたいと存じます。
 新銀行東京は現在再建中でございまして、その中で個々のお客様の状況を把握しながら、みずからの体力の範囲内で、可能な限り中小零細企業に対して融資を実行していると私どもは認識してございます。

○たぞえ委員 この断られた方は、都市銀行から、新銀行から融資を受けている業者は新銀行東京という不良債権を抱えているのと同じといわれて断られたわけです。都市銀行側からさらに、新銀行東京からの融資を全額返済しなければ相談には応じられない、このように宣告されて、やむなく新銀行分の返済のために、何とか仲間からお金をかき集めて返済を終えたところ、ようやく都市銀行から融資が実行されたということでした。これで一体、新銀行東京が中小企業のための銀行だといえるんでしょうか。

○中村金融監理室長 個別の融資案件ごとの実態については、なかなか我々そこまで立ち入ることができませんので、コメントはできないというふうに考えております。
 ただ実際には、現在、約一万社もの中小零細企業のお取引先が現に存在しているというのもまた事実でございまして、そのお取引先からは新銀行に融資してもらえてありがたかったと、そういうような声も我々は聞いているところでございます。

○たぞえ委員 中小企業支援だということをいっておられたわけですが、しかし、事実貸し出しは三分の一にすぎず、都市銀行や地方銀行の中小企業への貸し出しが、それぞれ七割の水準を確保しているのに比べてみても極めて異常だと思います。中小企業のための銀行という設立目的から乖離しているといわざるを得ません。
 そこで、二十年度から二十三年度にかけて行う再建計画についてでありますが、成長が期待されるニュービジネスへの重点事業としたファンド投資、成長企業支援型融資はどうなっているんでしょうか。

○中村金融監理室長 ファンド投資や成長企業支援型融資などの成長が期待されるニュービジネスへの重点的支援は、中小零細企業を支援するものでございまして、新銀行東京の平成二十年度決算における実績は二十三億円でございました。昨年のリーマンショック以降、ベンチャー企業を取り巻く市場環境はとりわけ厳しいものとなっているのが実態でございます。
 新銀行東京は、その事業運営に当たり、再建計画に基づきながらも、当然のこととして、現実の経済金融環境に柔軟に対応していく必要があるということはいうまでもございません。成長が期待されるニュービジネスへの重点的支援の実績は少のうございますが、全体の新規の融資実行額は、計画の四百八十七億円に対して四百七十三億円と、ほぼ計画どおりとなってございます。また、純損失につきましては、計画の百二十六億円に対して百五億円と、二十一億円上回っている状況にございます。決算につきましては、個々の実績よりも全体に見ていくことが重要であるというふうに考えてございます。

○たぞえ委員 融資がふえているといいますけども、それは計画で減らしていくはずの通常融資がふえているんですね。新しいメニューがうまくいかないんで、従来型のメニューを続けているといわざるを得ません。
 純損失でも、会計処理は黒字に見せかけています。さらに全体的に見ていくべきだと今いわれましたが、中小企業は三割、不良債権率は増加、再建計画は進んでいない。ファンドなど、今ほとんど動いてないじゃありませんか。こんなものに依存した再建計画は破綻そのものです。再建計画の最終年度には、取引している一万社を三千社にする、四年後に八億円の黒字にすると、このように述べていますが、営業店舗は本店以外すべて閉鎖、社員も四分の一のリストラ、まともな営業活動ができるはずがありません。
 知事が述べている単年度黒字になったら手放す、こんなふうにいいますが、大量の不良債権を処分せずに抱え込んで見かけの黒字にしては、本当に黒字にはならないんです。しかも、譲渡すれば、再建どころか四百億円も戻ってこないということになるんじゃないでしょうか。これでは、一千億円を失った責任を放棄して、さらなる責任放棄になりかねない。延命ではなく速やかに清算に入るべき、このことを強く述べておきたいと思います。
 続いて、新銀行のマル優制度への対応です。
 所得税法第十条では、預貯金や国債などの利子は、原則として、その支払いに際して二〇%の税金がかかりますけれども、障害者などに該当する人については、元本の三百五十万円まで課税を課さないと、このように規定をしています。
 ところが、新銀行東京は、規定集で、テレホンバンキング、インターネットバンキングでマル優の取り扱いはできない、このようにしているわけです。これに対して国税庁は、インターネットバンキングの場合でも、郵送などによる非課税貯蓄申告の提出、及び郵送等により提出された確認書類で名前等の確認を求める所得税基本通達、十の十四、十の十五を出しているわけなんですね。
 新銀行東京が、テレホンバンキング、インターネットバンキングを利用する障害者などに対して所得税を課さないと規定しているマル優制度を適用しないのは問題じゃないでしょうか。都として、新銀行東京に改めるように強く指導するべきです。
 以上です。

○真田次長 先ほど先生のご質問の中で、決算はつくられた見せかけ上のものである、速やかに清算すべきだというお話がございましたので、まずちょっとその点について、私の方からコメントさせていただきたいと思います。それから、マル優の点につきましては、後ほど室長の方からご答弁させていただきます。
 まず、決算が見せかけの黒字であるということにつきましては、この間るるご説明してきましたとおり、決算というのは恣意的につくれるものではございませんで、あくまでも新銀行東京が懸命な経営努力をする中で達成したものでございまして、それをあたかも恣意的に数字を操作してつくったというようなご指摘をされることは非常に心外ですし、それは事実誤認でございますので、ぜひそういった発言は慎んでいただきたいと思います。
 それから、清算すべきだということにつきましても、先ほどご答弁いたしましたけれども、私どもとしましては、まず、新銀行東京は今現在、一生懸命再建に取り組んでおりまして、直近の第一・四半期の決算におきましても黒字でございます。そういう状況からしますと、新銀行東京は清算するような状況にない。それにもかかわらず清算しろということについては、まずもっておかしいのではないかと。
 それから、清算するということについては、多くの関係者に多大な影響を及ぼすことになりますよと。一万社の取引先、それから十万人を超える関係者、それから三千億円の預金者、いろんな方に多くの多大なご迷惑をかけることになります。こういった事実を無視して、単に清算すべきということは非常に乱暴な議論でございます。
 さらに、先ほど申し上げましたとおり、そういった議論を公の場でするということは風評被害、そういったもののもとになります。銀行というのは信用第一の商売でございまして、そういうことに対して、こういった議論をこういう公の場でしていただくということについては、非常に大きな影響を及ぼすものでございますので、私どもとしまして、知事もこの間の本会議の答弁でご答弁いたしましたように、そういった発言については慎重にすべきであるというふうに考えておりますので、よろしくお願いしたいと思います。

○中村金融監理室長 インターネットバンキング等のご質問でございますけれども、新銀行東京におきましては、一般の定期預金などにおきましてはマル優の取り扱いは行っております。インターネットバンキングにおけるいわゆるマル優制度の取り扱いにつきましては、個々の金融機関の判断によるものでございますけれども、メガバンクを含めた他の金融機関においても行っていない例がございますということをご理解いただきたいと思います。

○たぞえ委員 今、答弁を求めないのにお答えがあったわけですが、改めて特別委員会が設置された場で、この問題については改めて都の見解をただしていきたいというふうに思います。
 以上です。

○小磯委員長 この際、議事の都合により、おおむね十分間休憩いたします。
   午後三時二十八分休憩

   午後三時四十一分開議

○小磯委員長 休憩前に引き続き分科会を開きます。
 質疑を続行いたします。
 発言を願います。

○山下委員 それでは、私、山下ようこから、観光につきまして幾つか質問させていただきます。
 平成二十年度の一般会計決算書の中で、観光産業振興の状況に注目しますと、外国人旅行者向けの事業が中心になっていると見受けられます。海外から東京へ旅行者を招くことはもちろん大切ですが、都民を初めとする国内からの旅行者をふやすことも、観光産業振興の上で非常に重要なことと思われます。
 例えば、私の地元でもある青梅・奥多摩地域は、東京の本土で唯一の国立公園、秩父多摩甲斐国立公園に含まれる範囲も広く、山々の雄大な自然に恵まれ、その中に四季を彩る花の名所や歴史文化の価値ある名所、旧跡が数多くございます。その代表格ともいえるのが、御岳山とその山頂にある武蔵御嶽神社です。ここは、自然環境と歴史文化が調和したすぐれた観光資源であるといえますし、地域における産業の振興と活性化を促すためにも、御岳を初めとする青梅・奥多摩地域の雄大な自然を守りながら、観光資源としての活用を図るべきと考えます。
 このような観点からの質問です。
 まず、東京都では、観光の振興、特に観光資源の開発についてどのように認識し、また、これまでどのように取り組んできたのか、お答えください。

○小島観光部長 観光は多くの産業に経済波及効果をもたらし、将来的にも成長が見込まれる重要な産業でございます。都は、観光の重要性を十分認識し、東京の経済の活性化を図るため、観光施策の大きな柱として、東京の魅力を世界に発信、受け入れ体制の整備とともに、観光資源の開発を位置づけ、観光産業振興策の展開を図っております。
 観光資源の開発に当たっては、多摩や島しょ地域への施設整備補助や観光まちづくりのアドバイザー派遣などを通じて、地域が主体的に取り組む観光振興を支援してまいりました。

○山下委員 それでは、具体的に青梅・奥多摩地域に対しては、観光振興、観光資源開発のためにどのような取り組みを行ってきたのでしょうか。

○小島観光部長 都は、青梅・奥多摩において観光まちづくり推進協議会の設置や出版社、旅行業者を招いたPRツアーの実施を初め、行政区域を超えた広域的な観光まちづくりなどを支援してまいりました。
 また、ウエブサイト「東京の観光」のエリア別観光情報のページなどにおいて、青梅・奥多摩地域の観光資源を紹介する取り組みなどを行ってまいりました。

○山下委員 よくわかりました。
 都は、今後もなお一層国内外の旅行者の増加のために、地域の観光資源の開発に力を入れて取り組むべきと考えます。この点につきまして、都のお考えをお聞かせください。

○小島観光部長 都は、国内外旅行者の一層の誘致に向けて観光振興に取り組んでおりますが、固有の歴史や文化、豊かな自然などの地域特性を生かした観光資源の開発や掘り起こしは、旅行者を引きつけるために重要でございます。今後とも、観光資源の開発や活用の促進など、地域の主体的な取り組みを支援し、観光振興を図ってまいります。

○山下委員 わかりました。
 それでは、御岳を初めとします青梅・奥多摩地域の雄大な自然を守りながら、観光資源としての活用を図っていただくことを重ねて要望いたしまして、私の質問を終わらせていただきます。
 ありがとうございました。

○高橋委員 私から、産業労働局の平成二十年度東京都一般会計決算説明書五一ページの都民の暮らしが潤う東京農業の推進、及び農業経営の安定関連についてお尋ねいたします。
 東京都の市街化区域内には農地が約五千ヘクタール存在しておりますが、この農地は、農産物の生産はもとより、都民生活に潤いや安らぎを与え、災害時の避難場所になるなど、さまざまな機能を持っております。しかし、このような農地が相続などを契機に毎年減少しております。特に、住宅が密集し、緑地空間がとても貴重になっている区部では、農地の減少率が高く、平成二十年には十年前の約千ヘクタールに比べ三〇%も減少し、約七百ヘクタールになってしまいました。ここで、市街化区域内の農地制度や税制度を変えるような農地保全策を打たなければ、区部から農地がなくなってしまうわけであります。これらの国の制度については、東京都が長年にわたり改善の要請をしておりますが、今後も引き続き継続していただきたいと思います。
 現在、国土交通省では、社会資本整備審議会の小委員会において、農地を含めた今後の都市政策の方向を検討していると仄聞しております。ことし六月の報告書では、都市の農地が都市政策の面から高く評価されております。また、市街化区域内農地の保全については、東京都議会からも平成十九年に意見書を出しているように、快適で安全な都市環境を創造する上でも重要な役割を果たしていることから、早急に結論を出していただきたいと思っております。
 一方、自治体では、私の地元の練馬区長が旗振り役となり、都内の市街化区域内に農地がある三十八区市町の賛同を得て、都市農地保全推進自治体協議会を発足させました。今月の二十日には、これはチラシですけども、農業、農地に対する都民への情報発信や国への要望を目的に、第三回都市農地保全自治体フォーラムが開催されることとなっております。
 また、都は、独自で農業、農地の持つ多面的な機能を生かして、農地と住宅地が共存共栄できるまちづくりを実現し、農地保全を進めるという事業を平成二十年度から実施しております。この事業は、都が平成十九年度に策定した農業、農地を生かしたまちづくりガイドラインを参考に、区や市が農業・農地を活かしたまちづくりのモデルプランを作成し、このプランに沿って施設などを整備することにより、都市農地を保全していくものであります。
 平成二十年度には、練馬区と国分寺市がモデルプランを作成したとのことでありますが、練馬区で作成したモデルプランの内容について、まずお伺いいたします。

○産形農林水産部長 練馬区では、平成二十年度に練馬区都市農業・農地を活かしたまちづくりプランを作成し、農業、農地を生かしたまちづくりの方向を明らかにいたしました。その中では、農業、農地の持つ機能を、農産物供給機能、レクリエーション・コミュニティ機能、福祉・保健機能、環境保全機能、教育機能、防災機能、景観形成・歴史文化伝承機能の七つに整理しております。
 また、これらの機能をまちづくりに生かすために、四季折々とれたての安全な野菜が食べられるまち、体験から交流をはぐくむ農園が地域のオアシスとなるまち、農地が防災農地としての役割を果たすまちなど、七つの区民の農との触れ合い促進方策を示しました。この方策に沿って、直売所や農業体験の場の整備、農地の防災機能の情報発信などを行うことにより、多面的機能が発揮され、区民が農と触れ合うまちの実現を目指すこととしております。

○高橋委員 練馬区でもよいプランができたなと思います。私は、昨年の東京都議会第二回定例会では、都が策定した農業・農地を活かしたまちづくりガイドラインを画期的であると評価した一方、絵にかいたもちで終わらせてはいけないとの考えもお示しさせていただきました。さらに、平成二十一年予算特別委員会総括質疑では、区や市が策定するモデルプランを実現するための都の支援について質問し、都は支援に努めると答弁されました。
 そこで、都は、練馬区が作成したプランの実現に向け、どのような支援を行っているのかお伺いいたします。

○産形農林水産部長 都では、都のガイドラインを参考にモデルプランを作成した区市に対して、その実現に向けた取り組みを四年間にわたり支援する農業・農地を活かしたまちづくり事業を今年度から開始いたしました。この事業により、練馬区に対して、今年度は、プランの実現に必要な施設の実施設計の検討や、区民に農業、農地の多面的機能をPRするためのイベントなどを支援しております。さらに、今後、プランの実現に必要な体験、食育拠点施設の整備等に対する支援を実施していく予定でございます。
 また、都は、区や市のこのような取り組みに対し、学識経験者や関係局などの委員から成る事業支援委員会を設置し、助言を行っております。今後とも、本事業を初めとするさまざまな取り組みによりまして、貴重な都市農地の保全を図ってまいります。

○高橋委員 まちづくりの中で農地を保全するという目的に向け、着実に進んでいるという印象を受けました。都市農地保全のための取り組みは、いうまでもなく、産業労働局ばかりではなく、都市整備局や環境局などと連携して行うことにより、効果がさらに増幅するものと確信しております。都庁を挙げて農地の保全に取り組むよう、強く要望しておきます。
 農地は農業を続けていくための基盤ではありますが、しかし、農業振興という面からは、生産性の向上や高齢化への対応、そして新たな担い手の育成などへの取り組みも重要であります。
 そこで、平成二十年度の農業者などに対する生産施設整備への支援や農業後継者の育成、都民を農業の担い手として育成する取り組みについて、主な事業の成果をお伺いいたします。

○産形農林水産部長 お話のとおり、東京農業は、農地確保対策、生産流通対策、担い手対策などの取り組みを有機的に組み合わせることにより、より発展していくものと考えております。このため、生産施設整備につきましては、魅力ある都市農業育成対策事業により、生産性向上のためのパイプハウスなどの施設整備を支援しており、平成二十年度の事業実施件数は十五件となっております。
 農業後継者につきましては、フレッシュ&Uターン農業後継者セミナーにより、次世代を担う優秀な農業後継者の確保、育成を図っており、平成二十年度は、第八期生、九十五名が受講しております。
 また、都民を対象に、都民のための実践農業セミナーを実施し、みずから耕作できる技術を持った人材の育成を図っており、平成二十年度は、第三期生、四十八名が受講しております。

○高橋委員 今の答弁のような施策が一体となってこそ、都市農地も守れ、東京農業の未来が開かれていくのであります。農業振興のために、喫緊の課題である都市農地の保全とあわせ、担い手の育成や生産、流通への支援にもしっかりと取り組んでいただくことを強く要望して、私の質問を終わらせていただきます。
 ありがとうございました。

○和田委員 新銀行東京にのみ集中して質疑をさせていただきます。
 石原知事が就任以来、いろいろな場面で東京から日本を変える、私がその先頭に立つということを大号令を発して、今日まで幾多の仕事をされてきました。際立って私どもが評価をするのは排ガス規制の問題ですね。いろいろな業界に物議を醸しましたけれども、結局、一定の到達点に行って、都民の健康被害というものに大きな貢献をされてきました。これは、私どもが評価するところです。
 しかし一方で、大きく号令を発しながら挫折をした政策もありました。私が知り得る限り、例えばカジノ構想というのがありましたね。本庁舎を使ってモデル的にやったこともあった。例えば、東京ドームの地下の競輪場を復活だと、こういうふうにいってプランを出したが、これも消えた。
 ホテル税というのがあった。これもいろいろ物議があった。今、これは実施されていますけれども、今まで委員のご質疑があったとおり、一方で観光行政だから人をいっぱい呼ぼうじゃないかというときに、そこに税という障壁を構えることによって、たとえ金額が少なくても、観光行政でインセンティブをつけようぜといって、いろいろまちおこしや村おこしをやったり、あるいは島おこしもやっているときに、ホテル税を設けるということが本当に観光行政の促進の大きな推進役割を果たしてきたのかというと、たかだかホテル税の税収に比較して--私はある学者を知っているんですが、仙台に居住していて東京に講演に来る、一泊する、ホテル税だよ、和田さんと、こういう。海外の人は当然のことながら承知で来ているかもしれないけれども、繰り返しますが、一方でお客さんを呼ぼう、呼ぼうというふうに、各議員も心配されている、皆さんも答弁されている、観光部長なんか特にそうですが、半面、同じ東京都内の都庁の中で、いやあ税金当然だよという人もいる。
 これを成功かどうかは別にして、少なくとも今までの石原知事のご自分の考えと思われる日本で初めてのいろいろな試みの中で、成功したものもあれば、とんざをしたものもあるという冷静な目で見て、私どもは、きょう、銀行に集中して質疑を交わしていきたいというふうに思っています。
 さて、今申し上げて、石原知事のカリスマ性、「太陽の季節」から始まって、裕次郎さんのいろいろなハロー効果も受けて、選挙のたびに石原軍団が来るとかというようなことでもって随分都民の関心を買って、知事に再々度当選されてきた。その知事が、成功か失敗かは別にして、少なくとも平成十五年の定例会で、今までにない新銀行をつくってみせますといって発言し、十七年から新銀行ができたわけですけれども、そのときに知事は、かつてのホテル税やあるいは銀行税、さらにはドームの競輪の問題、あるいはもろもろの自分が先頭に立つといった政策との関係が、どういう意気込みで十七年の新銀行の発足に、都の職員を含め、東京都民に、自分の決意なり覚悟なり夢なりを訴えたということになっているんでしょうか。

○中村金融監理室長 議会におけます知事の発言の中から申し上げますと、平成十五年第二回定例会の所信表明におきまして、知事は、東京の中小企業の活性化と金融システムの再生を目指して、東京が中心となって、負の遺産のない全く新しいタイプの銀行を設立いたしますと発言しております。
 また、開業間近の平成十七年第一回定例会では、直接、間接金融を通じた施策を総合的に活用しまして、東京の中小企業の潜在力を十分に引き出し、東京、ひいては日本の再生につなげていきたいと思っておりますと答弁しております。

○和田委員 まさに石原銀行というふうにわかりやすくマスコミの皆さんもいい、我々の議会も、なるほど石原さんのつくった銀行だなというふうに、半分期待、半分大丈夫かなというような、そういう杞憂に終わればいいようなそういうものを持って、この船出を見送りました。とりわけ、私ども都議会の民主党においては、銀行税をつくるときにも、大蔵当局、あるいは銀行業界という人たちにも一応ヒアリングを行ったりして、当事者の、あるいはその監督官庁の方々の意見を聞いたりしました。そのときにも、ちょっと待ってよというクエスチョンが多くの方から出されて、私どももこの銀行税についても全面的な賛成ではなかったし、今回の新銀行東京についても、先ほど申し上げたように、過去の成功もあれば失敗もあるという石原さんの足跡を検証するにつけても、大賛成だよというわけにはいかないという、そういう立場で、この新銀行にも臨んできたわけです。今でもそうです。
 さて、そこで、このように、石原銀行といっていいように特色のある銀行が、全国都道府県で、都道府県の銀行というのは東京都しかないんでしょう。北海道の銀行は道知事さんがつくったというニュースもないし、鹿児島県でもないし、要するに日本で唯一の銀行という石原さんの意気込みというのは、だれもやってないから私がやりましょうという、国に先駆けてやりましょうというような、そういう地域でもトップ、国もやらないからおれがトップだという二重構造の心理から、自分がやりましょうという形で踏み切った。それが、今の中村室長の十五年と十七年のそれぞれ定例会の発言に込められていると私は思うんです。
 それだけの意気込みを受けて、石原銀行といわれて、なおかつ石原体制という職員の皆さんが、何らかの特色ある銀行をつくらないというわけにはいかないと私は受けとめるんですね。そうすれば、都市銀行にはない、しかし、都立銀行といっていいかもしれません、都立銀行ではあるよというところを顕在化させるためには、何らかの具体的な他行都市銀行と比べて特色を出さなきゃならないというのは、当然皆さん方に迫られた一つの仕事になっていたと思います。そういうことを受けて、具体的に他行と違ってどういう努力、どういうシステムという形で船出をしていったんでしょうか。

○中村金融監理室長 新銀行東京の設立に当たりまして、金融の専門家のほか、経営陣の候補者などを含めた多数が参画して、平成十六年二月に新銀行マスタープランが策定されました。この新銀行マスタープランでは、新たな銀行におきましては中小企業融資を業務の根幹と位置づけており、担保や第三者保証にとらわれないキャッシュ・フローなどを重視した審査スタイルや、スコアリングモデルを活用したスピーディーな融資判断などを融資運営の特徴としておりました。
 その後、新銀行マスタープランの策定にかかわった者が、現実に新銀行東京の経営陣となったため、開業当初、このマスタープランに沿って銀行の運営を目指したものと考えております。

○和田委員 ここに今、室長の方から、他行とは違う二つの姿勢が報告されたわけです。担保や第三者保証にとらわれないキャッシュ・フローなどを重視したそういう審査スタイル、あるいはスコアリングモデルを活用したスピーディーな融資判断というところが、今まで他行になかった新銀行東京のひとつ売りといいましょうか、特色といいましょうか、そういう形でもってスタートして、それがまた新銀行マスタープランにかかわった人たちが、その姿勢で銀行を送り出したはずだと、そういうふうに答えていらっしゃるんですね。結果はわかりませんよ。ただ、新銀行マスタープランにのっとって送り出したはずだったんだけども、私どもはその先なんですね。
 要するに、石原知事が、私どもは、かつて都民銀行という事例があって失敗をして、今、都民銀行は名前は残っていますけれども、東京都と全く関係ない銀行があります。その事例も、戦中戦後いろいろあった形で勉強もしました。そういう教訓も踏まえながら、他の道府県が踏み切っていないこの銀行に--かつて富岡の製糸工場も官営だった、あるいは八幡製鉄所も国立の製鉄所だった、銀行も国立の銀行があった、それらが時代とともに官から民へという流れの中で、明治時代から大正にかけて、八幡あるいは富士製鉄といったようなことに分離をしていって、国の基幹である製鉄業が民間に広がる、あるいは養蚕企業も、富岡製糸工場の国立が民間の近江絹糸だとか、そういうところに広がっていく。私企業にどんどん広がっていくのが時代の一つの流れだった。近代化の一つの象徴だったわけですよ。
 それをここに来て、石原さんはあえて民から官に銀行を引っ張り込んだんですね。それは、普通の都市銀行に任せておいたんでは、とてもじゃないけど、都民救済にならない、企業救済にならないから私が乗り出すんだよという意気込みでしょう。意気込みはいいでしょう。だけど、冷静に考えれば、要は官から民へ行くという大きな怒濤の流れの中にありながら、一人、石原さんだけは、いや、私がやりますよと、その逆巻く怒濤に、一人だけ身を挺して逆に歩き始めたというのがこの銀行のスタートなんですよ。時代はまさにそこに流れていった。現に、いろいろ知恵を出している道府県知事がいっぱいいる中でも、だれ一人としてこの銀行に踏み切らずに、石原さんがやったときに批判的な知事が圧倒的に多かった。それが一つの証左だろうと私は思っていますよ。
 そこで、石原さんは、今の答弁であるとおり、こういう特徴を持ってスタートさせたはずなんだけど、石原さんは、我々心配する議会に、いや、私は経済界の重鎮が推薦した人を連れてきて、その人を中心に銀行を経営させますから心配しないでくださいよ、聞いたことあるでしょう。聞いたことあるでしょう、知事のそのご発言は。聞いたことありませんか。それは議会答弁しているんですから間違いない。私はずっと現職でいたんだから。それほど自信満々に、日本の経済界の重鎮が推薦する人を連れてきて銀行を任せるから見ていてくださいよといって、歌舞伎用語でいえば大見えを切っているんですよ。それがスタートだった--のはずだった。
 その後、どうなったのか。まあ今、先を急ぎませんよ、もう少し質問を用意していますからやりますけれども、次の、今の室長答弁に引き続いて、その特徴を出すために、例えば無担保ですとか第三者保証なしというようなことだとか、あるいはスピーディーだとか、あるいは審査スタイルをスコアリングモデル活用とかというようなことを前提にして、他行と違うスタイルでもって貸し出しを一生懸命やろうとした。それがために、財界から重鎮として呼んできた人たちがヘッドになってやったんだけれども、その方々も含め、知事のその姿勢をしっかり実現するために、通常なら経済人としての常識的な判断で銀行も運営するべきところが、少なくとも知事の、今いうような二つの銀行の特色をしっかりやってくれよなという、そういう特色に基づいた銀行運営に忠実にやろうとすればやるほど、経済界の重鎮で、なおかつ金融界にも精通していると思われている人がだんだんだんだんおかしな方向に行って、今、室長のいうとおり、マスタープランに基づいて運営を目指したものであったはずだという過去完了形の形で終わらざるを得ないという言葉になっていると思うんですが、それでは、今申し上げたような形で、財界のトップに近い人たちが来て運営した新銀行東京の特色を出すために頑張ってきた融資は、本当に正常な形でいったんですか。それとも、石原さんの意思をしっかり受けて、少し背伸びをして、少しつま先立った形で運営されてきたんじゃないんですか。どうなんですか。

○中村金融監理室長 新銀行東京は、高い事業意欲を持ちながらも資金繰りに窮しております中小零細企業を支援するために設立された銀行ではございますが、平成十七年四月の開業開始以降、旧経営陣の常識では考えられないずさんな経営の結果、厳しい経営環境に陥ったものでございます。
 新銀行東京の外部弁護士による調査報告書によりますと、スコアリングシステムが規定どおりの機能を発揮できなかったことや、成果手当制度の導入により、営業専担による定性評価等の融資審査が十分に行われなかったことで、想定を大幅に上回るデフォルトを発生させるような融資が行われたことなどが、主な経営悪化の要因として挙げられてございます。
 なお、同報告書では、危機的なデフォルトの発生状況に対して、小口定型商品の融資実行を直ちに停止しないどころか、かえって融資拡大路線を積極的に継続すること等により、デフォルトを拡大させたことが認められるとしており、旧経営陣の経営判断に問題があったとされてございます。

○和田委員 そこで、私が先取りしちゃってしゃべってしまったんですが、石原さんの特色を出せ、出してほしいという石原色というのを、産業界の重鎮が銀行のトップとしてここに入ってきて忠実に実行するために、いろいろな努力というか、今の室長の答弁では、大変間違ったことというか、そういうことをしたというふうな結論になっていますけれども、そういう形になってしまったと。私は、旧経営陣の、常識では考えられないずさんな経営の結果、厳しい経営環境に陥ったという今のご答弁は、自分で手につばをして自分にかかってきている状態だと思うんですよ。それは、室長がその場にいたとは決していいません。少なくとも東京都の職員全体の共同責任としてみれば、自分たちが石原知事のもとで協力して支えている銀行が、今、三つ、外部弁護士による調査報告書でずさんな事例を挙げられていましたけど、それらを抑止できずに、それではとどめなかったことを置いておいて、ずさんな経営だということをよくよくいえるなと私は思うんです。
 だって、他人事のようにいっていいんですか。石原さんが銀行をつくるよと。皆さん方の上司は石原さんでしょう。その人がつくるよとつくって、自分が経済界から信用できる人間を連れてくるんだから任せておきなさいよといったときも、それも皆さん方のトップがいっているんですよ。そして、その人が信頼して任せた銀行が、三つのスコアリングシステムが規定どおりの機能を発揮できなかった云々というような、そういうことの理由で経営悪化に陥ったということを、旧経営陣の仕事、責任というふうにいい切って今答弁を終わっちゃうという姿勢は、私は納得できない。だって、役所というのは共同責任でしょう、皆さん。少なくとも金融のここにいる人は、今の新銀行東京はどうなっているのかなというふうに--当時ここにいなかった人もいるかもしれませんよ、しかし、ポストとすれば共同責任でしょう。これが、福祉保健局の人が監視してくれなんて僕はいいませんよ。だけど、金融の皆さん方がそこにいて、皆さん方の上司の石原さんが、つくるぞ、見ていてくれ、こんな立派な人間を連れてきたぞといったときに、ああやって拍手したはずでしょう、皆さん。拍手しなければ、あの高圧的な石原さんから何らかのダメージを受けたかもしれないんだから。そこまで皆さん方の気持ちが、本当は支えなきゃいけないのに、旧経営陣のずさんな経営判断に問題があったというところをいい切っちゃうという、そこのところに、もう我々と関係ないよという何か冷たいというか、官僚というか、役人の持っている悪い意味での、いいことは乗るけど悪いことは切っちゃうよというような、そういう体質というか、そういうものもうかがい知るわけですよ。何でもっと守ってやらないのかな。それは大変残念なことです。
 ですから、そういう風潮にさせてしまった新銀行というのは、もともと無理があったから、庁内一丸となって、とりわけ金融部門一丸となって支えて応援するというんじゃなくて、今、関係ありませんよというふうに切っちゃうくらいにもともと無理がある船出だったから、今ああいう答弁が返ってくるというふうに私は思うんですね。
 さて、そこで、いろいろ新銀行についてのデータがありますが、私は、きょうは一点だけ用意しました。ほかに用意をすると分散してしまいますから、このデータだけを、文書でしていただいたものについては、グラフにしてわかりやすくしました。
 私が非公式に要求した資料は、新銀行東京の開業以降の融資実績を六カ月ごとに出してほしいと、こういうふうにお尋ねした。そしたら、大変細かいんです。十七年九月期、十八年三月期、十八年九月期、十九年三月期、同じく九月期、二十年三月期、二十年九月期、二十一年三月期というふうに八つのブロックになっていて、なかなかこれを読んでもわからないので、委員長にもちょっとごらんいただいて、こんなような形でこのペーパーをグラフ化してみました。
 これは、こっちの数字よりも大変わかりやすいものですから、大変何かちょっと高飛車で申しわけないんですけど、これを使ってご説明申し上げますが、このブルーの棒グラフは融資件数です。くどいんですが、この数字を素直に生かしたものです。そして、このオレンジの折れ線グラフは、融資金額。そして、赤い折れ線グラフなんですが、これはデフォルト額を数字にしたものです。これからごらんいただくとわかるとおり、平成十八年三月期をピークにして融資金額もがたがたがたっと下がる。それから、融資件数もがたがたがたっと、おおむね下がっています。この傾向について、当局の概算の説明をお願いいたしたいと思います。

○真田次長 ただいまのご質問につきましては、私の後にすぐ室長の方からご答弁させていただきますけれども、先ほどの先生のご主張の中で聞いておりますと、基本的には都立銀行であるということを前提としたご議論のようにちょっと感じましたけれども、この銀行あってという……(「断定はしていないんだよ、私は。いってもいいようなといったんだよ」と呼ぶ者あり)いってもいいようなというご認識のようでございますけれども、釈迦に説法で申しわけございませんけれども、この銀行はあくまでも中小零細企業の支援策として構想された銀行ではありますけれども、あくまでもこれは銀行という、行政目的を達成するために銀行という手法を活用させていただきました。銀行というのは、あくまでも民間の銀行法に基づく銀行でございまして、行政目的を達成するために、あくまでも株式会社である銀行というのを活用して、その政策を実現するということでございまして、そういう意味からすると、目的を達成するために銀行というのを選びましたけれども、それは都立銀行という形でつくったわけではございませんで、あくまでもその政策目的を達成するために、都はその必要な金額を出資して、その出資を受けて設立された新銀行という新しい民間組織にその施策目的を担ってもらおうという、そういう考え方でこの事業が成り立ったわけでございまして、決して都立銀行、あるいは都立銀行的というふうなとらえ方をするのは適切でないと思います。
 そういう意味からしますと、これはあくまでも民間の株式会社でございまして、それに対しましては、基本的には所有と経営の分離という大原則がございまして、まして、銀行法に基づく仕組みでございますので、ますますその辺のあれは厳密に切り離されていたということでございます。
 そういう中にありましても、東京都は株主の立場として、その施策目的がちゃんと達成されているかどうか、これを、株主としての可能な範囲で大枠の監理をしてきたわけでございまして、東京都としては、そういう施策目的を達成するためにそういう手法を活用し、その中で、東京都としてできる可能な限りの監視はしてきたわけでございますけれども、これは都立銀行という形でございませんので、都が全く完全にコントロールするということは、当然そういうことはできないものでございますし、それはそういう前提でお考えになるということにつきましては、私どもとしては、ちょっと違うんじゃないかということを申し上げたいと思います。
 先ほどの事実関係につきましては、室長の方から。

○中村金融監理室長 今のグラフの方の件でございますけども、平成十七年四月の開業後、融資実行件数及び融資実行額は増加してございますけれども、経営陣が刷新された十九年度以降、大幅に減少しております。
 一方、デフォルト額につきましては、十八年九月期から大幅に増加しており、この時期を境に、経営の悪化が顕在化したものと考えてございます。

○和田委員 今、あらかじめの通告じゃなく次長が割り込まれたんで、私、それを認めちゃうわけにもいかないので、済みません。それは室長もわかっていますね。通告外に、これは記録に残っちゃまずいんだけど、割り込まれたから私申し上げるんだけど、あえて私が、都立の銀行とは決していっていません。ただ、石原銀行とマスコミがいったり、あるいは受けとめ方によっては、先ほど室長が答弁されたとおり、具体的に読めば、私の、新銀行東京開業するまで石原知事はどんな意気込みで発言していたのかというのに、十五年の第二回定例会の所信表明において、知事は、ここからですよ、東京の中小企業の活性化と金融システムの再生を目指して、東京が中心となって、負の遺産のない全く新しいタイプの銀行を設立いたしますと、こういっているんですよ。あなたが、私の都立銀行ってこだわるなら、私もあえていえば、石原さんの所信表明で、全く新しいタイプの銀行を設立いたしますと、主語は、これは石原さんじゃないですか。これをどうやってあなたは理解するんですか。答えてくださいよ、じゃあ。あなたが通告以外の質問に割り込んだんだから、答えてくださいよ。私も割り込みますよ。

○真田次長 知事は、基本的にはそういう考え方で、新しい銀行を都の施策目的を達成するためにつくるんだという基本方針を述べましたけれども、それを具体的に施策化するに当たりまして、その後、いろいろ基本構想の検討ですとか、マスタープランの検討ですとか、そういう中で、最終的には都立の直営の銀行ではなくて、あくまでも銀行法上の銀行を活用した、そういう手法でやるということになったわけでありまして、知事の方針を受けて、具体的な施策化する中でそういう形のものになったというふうに理解しております。

○和田委員 ですから、言葉じりという話は言論の府ですから避けなければいけないと思いますけども、お互いに神経質になっていくとそういうこだわりが出てきちゃうので、もっと委員長を中心に審議に協力をしなきゃならないという立場からすると、余り細かなところまで、僕も注意しますが、余り細かなところまで行くと、余分なところへ行って本論から外れてしまいますから、そこのところを避けたいなと思いますものですから。
 ですから、そういうふうに、それからまた、当時、通告したというと悪いんだけど、そのところから割り込まれて、先ほどもありましたけど、こういうふうになるので、だったら通告なんかしないでもってノー原稿でやりましょうよ。そうしますか。やっぱりノンルールじゃまずいでしょう。変な話になっちゃうからいけないんだけど、そういう秩序で今までやって、僕らも朝早く夜遅くまで協力してやってきているんだから。お気持ちはわかるけども、そのルールを乱したら、全くノー原稿でいくしかない。僕はその方がいいんだから、かえって。制約されて、何時に来てくださいとかっていわれて、朝早く来て、きょうだって通告しましたよ。そういうことを踏まえて、いわせないようにしてください。僕もあなた方のことを理解しているつもりですから。
 済みません。もとに戻します。
 それで、今、このパネルに室長の方から説明をいただいた。その説明は、私が概略ここから説明したのと最後が違うのは、改善があったというところは違いますけども、ここまでの十九年三月期、あるいは十九年九月期までもがたがたと落ちてきているということは、これは数字の上ですから認めざるを得ない。こういう中で、私どもは、ここのデフォルトの数字が、十九年三月期、二十年九月期、二十一年三月期、出ていないんですね。それ以外、融資件数も融資金額も出てきている。これについては、なぜないのかと聞いたら、銀行法の二十条だか二十一条にのっとった情報開示、ディスクロージャーというようですが、それが幾らあっても、ここの部分については出せません、ここまで出せるのは、いろいろな検査とか何かがあった結果出てきた数字だからここまで出しているんで、ここの先は、銀行法がいうディスクローズ--ディスクローズというのはオープンにしようという意味でしょうけど、公開という規定があっても出せないんですよということでもって、ここは私ども数字をいただけなかったんです。
 しかし、私が持っている「銀行法」という小山嘉昭さんという、この人の経歴をちょっとお読みすると、昭和十七年に生まれて、東大法学部を出て、イギリスの大使館勤務をして、大蔵省の銀行局の行政課長補佐をして、大臣官房企画官をやって、銀行局の調査課長をやって、銀行局の銀行課長をやって、銀行局の総務課長をやって、東京税関長をやって、大蔵省の大臣官房審議官--銀行局担当の審議官をやって、理財局次長をやって、日銀の政策委員をやって、ルーマニアの大使をやって、平成十二年から平成十六年一月までは日本銀行の監事をしたという人の書いた本です、これは。出版は財団法人金融財政事情研究会というところが出されている「銀行法」の本の中に、ディスクロージャーというのが書いてあります。第六節です。
 その中に、銀行のディスクローズ、情報公開、企業内容の開示という中に、こういうことが書いてあるんですね。ディスクロージャー制度は、有価証券の世界だけにとどまるものではない。各銀行の活動状況や経営成績等を公示することによって、銀行の生み出す商品、サービスなどに対する評価や選択を容易にし、企業、銀行間の競争を促し、適正な資源配分をもたらす機能である。さらに続けて、銀行の利用者に対して、銀行の営業等の活動状況や営業内容、経営成績などが詳細に情報提供されれば、利用者は適切に銀行を選択し、かつ利用することができる。それは、他方で、銀行間の適正な競争を促進し、またディスクロージャーを通じて、銀行の健全経営に関する自己努力、自己規制を促し、銀行経営の効率化に資すると、こういうふうに積極的にディスクロージャーを評価しているんです。
 そして、さらに、もう少し大事なところですから読み上げさせていただきますと、社会経済環境の変化に伴い、近年、企業の社会的責任が強調されている。ディスクロージャー制度は、企業が社会的要請に対応していく指針を得る一つの方策として、また、企業活動に対し、国民の理解や支援を得る基盤を築くための方法として、重要性を増している。なかんずく、なかんずく、銀行の場合は、公共性、社会的責任を負う存在であること、政府の免許を受けて国民の預金を託されていること、国民生活や国民経済全体に影響を及ぼす企業であるわけであり、それだけに国民の支持と理解を常に得ることが欠かせない要件となっている。したがって、ディスクロージャーを促す必要性は、一般企業に比べ大きいと考えると、こういうふうに書いてある。この人はそういうふうにいっているんです。
 一方で、デフォルト額の十九年三月期、九月期、二十一年三月期のこの数字を私どもに開示できない、ディスクロージャーできないという、そういう当局が--この本がすべてだとはいいません。ただ、今お読みしたように、キャリアからして、相当国の銀行行政の中枢を歩んできた方の書いたものだと思われます。それに対して、これは平成十六年に出された本ですけれども、十七年の銀行開設とほぼ時期を同じくした本です。その当時の金融業界の感覚、金融法と一番僕は正しく評価している本だと思いますけれども、ところが、情報公開しなさいよと、情報公開することが銀行のこれからの信用なり何なりが増すものですよと、積極的にディスクロージャーしろというふうにこの方は説かれているんですが、現場の、現場というか東京都は、ここのところを、いや、出せませんと、こうしている。
 それで、今、私どもは銀行がこの数字を持っていると思うんですが、東京都の方は、ここの数字については承知をされているんですか、デフォルト額については。十九年三月期、九月期、二十一年の三月期についての数字は、銀行からディスクローズされて東京都の方にあると理解していいんですか。それとも、ディスクローズされずに、クローズされたまま銀行の側にとどまっているんですか。

○小磯委員長 和田委員、質問ですか。質問であれば、座って聞いてください。

○和田委員 ごめんなさい。そこのところはイエス・オア・ノーで結構です。

○中村金融監理室長 銀行の経営情報につきましては、先ほど先生からもご指摘ありましたけれども、銀行法によりディスクロージャー制度が定められて、詳細に貸出金だとか財産に関する状況など、開示項目が結構細かく規定されてございます。その中には、不良債権というような開示項目もございます。ただ、個々のデフォルト額については、開示はその中には規定されてございません。それ以上に、逆にいうと、平等に金融機関、その開示項目等が定められてございまして、それについては、決算ごとにきちんと開示してございます。
 それと、新銀行東京におきましても、一般に開示されている以上に、実際に、第一・四半期ごとの決算につきましては、経済・港湾委員会においてその報告をし、かつその内容についても詳細なご議論をいただいているという状況にございます。
 今回、デフォルト額が出ていた部分があって、その後出ていないという部分があるわけなんですけども、そこの部分についてご説明させていただきますと、平成十九年九月期まで、要するに経営悪化が顕在化したそれまでの原因を究明するということで、九月期までのデフォルト額については、昨年の三月末に公表した新銀行東京調査委員会調査報告書の中で、経営悪化を招いた原因を究明する目的のために、新銀行東京みずからが特に明らかにしたものでございます。デフォルト額そのものにつきましては、要するに、この経営悪化の原因が大きなデフォルト額が発生したということにかんがみ、付帯決議に基づきまして金融監理室ができました。その中で株主連絡会というものがございまして、新銀行東京から経営情報の一部について入手しているところでございますけれども、その中にはデフォルトの状況も含まれております。

○和田委員 今のディスクロージャーのお話は、一にかかって私どもは、こういう経験者の一つの理念というものと、今の室長のデフォルトについては除外だという話、見解を異にします。これはまた、私どもも特別委員会を要求してできておりますから、その中で同僚議員がしっかりこの見解の相違については、また別の資料などを使いながら明らかにしていきたいと思いますから、私どもは、当然、ここの三期にわたっては同じように出されてしかるべきものだと。そのことが、何か新銀行全体の先行きに暗い影を残すというのではなくて、小山さんがいっているとおり、開示をすることによって、より預金者なり関係者に積極的な意欲を持たせるんだというふうに、開示をすれば、何か風評被害でますます状況悪化するんじゃないかというんじゃなくて、いいように解釈すべきだというのがこの人の論ですから、そういう意味では、開示するのか、非開示かというような論争になるかもしれませんけど、これはさきに申し上げたとおり、特別委員会の方にゆだねたいと思います。それまで我々もよりきっちり勉強しておきたいと思うんです。
 それで、当初出資した一千億でございますが、最終的には八百五十億の減資ということになりました。このときに、私自身は、銀行が果たすべき三つの、銀行論で私どもが昔教わった、金融の仲介機能、それから決済機能、信用創造機能という三つの機能を早稲田の矢島という先生から教わったんですが、その機能がもう消滅したというふうに私どもは理解しているんです。そうしたときに、本当の意味での金融の持っている三つの機能が消失したとすれば、その時点で一つの、清算という言葉がいいか、撤退という言葉がいいかわかりませんけれども、そこの瞬間ではなかったかな、まさにそのとき、その場面にあったのではないかなと思うんですが、いかがですか。

○櫻井金融支援担当部長 銀行に限らず、民間企業の経営再建のために増資を行いまして、それに伴いまして減資を行うというようなことは、ごく一般的にあることであるというふうに認識をしております。
 今、委員ご指摘がございました、昨年度、新銀行東京が行いました減資につきましては、過去の負の遺産でございます繰越損失を一掃するために行われたものでございます。資本の額は変動いたしますが、実質的な企業価値や、あるいは会社の財産は変動しておりません。増減資が行われて、それによりまして、その後も銀行の、委員がお話しございました金融仲介機能、決済機能、信用創造機能、こうした機能は何ら変わるものではございません。新銀行東京におきましては、減資後も、また現在もでございますが、引き続き銀行としてのこれらの機能を発揮しているところでございます。

○和田委員 平成二十二年の三月期、銀行の暦ですから、先に二十二年三月期になっていますけど、第一・四半期の決算で七億円の黒字が確定というふうになりました。
 石原知事は、この数字をもって、銀行は黒字になった、撤退する気は毛頭ないというふうにおっしゃっていました。この七億円の黒字というのは、さきにデフォルトの数とかをここでお示ししましたけれども、どういう理由によって七億円の黒字が発生してきたのかということをお伺いいたしたいと思います。

○中村金融監理室長 新銀行東京は、取引先へのきめ細やかな対応を図り、信用コストの圧縮に努めたことに加えまして、営業経費の圧縮による低コスト構造への転換などに取り組んだところでございます。これらの経営再建への懸命な取り組みにより、第一・四半期決算において、七億円の黒字を計上したものでございます。

○和田委員 それぞれ血の出るような経営再建の努力によって七億円がもたらされたというような説明でありました。しかし、そこには、私どもから理解すると、銀行の世界における数字の操作、入れかえ--これは決して悪いことでもないですよ--があって、こういう数字になったというふうに承知をしています。とりわけ大事なのは、こういう黒字の陰で中小零細企業に対する貸し出しがどうなっているのか、これから類推するしかないんですけれども、ずっと減ってきて、多少ふえたといっても、一番最高のときには二千五百を超えているわけですから、そういうところから比較をすれば、七億円の黒字をもってして再建の入り口に入ったというよりも、もっと大事なことは、中小零細企業への貸し出し、それから、それを受けた企業のまさに企業側の再建、立ち直りということがどれほどあったかということが問われるべきで、銀行が黒字になりましたよということは決して問われるべきではなかろうというふうに私は思っているんです。ですから、この七億円の黒字という数字だけがひとり歩きをしてしまって、本来、貸し出しを受けるべき都民及び都民の事業所の方が、どういうふうな形の中で塗炭の苦しみになっているのかと。
 私の友人も新銀行東京に行ったようです。ところが、とてもけんもほろろで帰されちゃったよというようなことで苦情をいって、その人は都立の銀行と誤解をしている人でしたけども、和田さん、何でそうなっちゃっているのなんていうことをつい最近聞いた事例があります。不動産屋でした。そんなことも含め、決して世の中全体が好調じゃないだけに、新銀行東京だけにこういう苦情が集まったとは思いません。思いませんが、少なくとも、うたい文句が無担保で、第三者の保証などについてもやわらかにいこうよという当時のスタートラインからするならば、余りにちまたに新銀行に対する失望感が強まってくると問題かなと。
 最後に私は、私の知り合いの銀行界にずっと長くいる人間の二、三、この質問に先立って話を聞いたんですが、こんなことをいっています。そのことを紹介して終わりたいと思います。
 和田さん、当初、銀行をつくるときには東京都が後ろ盾になっているんだから、大変脅威に思った。これは大変なことだということで、相当あらゆる手を使って調査をしたりしたようです。ところが、今ここになって、我々銀行の業界の中では、新銀行東京なんか物の数じゃなくて、それがどういう身の振り方になっても、全く銀行業界では話題にもならないよと、僕の知っている銀行業界の都市銀行の仲間ですけれども、いっていました。そのくらい、恐れられる新銀行東京から全く無視されてしまうような銀行に銀行業界の中でも扱われているということが大変残念であるし、本当ならば、もっと恐れられて、あそこは融資力も数も質も高くて困ったよというような苦情を聞くならともかく、全然安心し切って、どういうような身売りをするかどうかも関心ないよ、するならすればいいよというような形になっているというような大変残念な状況に、銀行の同業世界の人は考えているということを、私は東京都に関係する人間として残念に聞いているということを申し上げ、より深い広がった議論については、私ども同僚議員の特別委員会のメンバーに譲りたいというふうに思います。
 どうもありがとうございました。

○野島委員 委員各位の質問や答弁にとやかくいう立場にはないんですが、先ほどたぞえ委員の発言の中で、見せかけの決算みたいな表現があったというふうに記憶をしているんですよ。現に営業して、信用第一の銀行業における見せかけの決算というのは、ある種粉飾に通じるという、こういうことで、執行側も答弁を求められないんだけど答弁したという経過は何となく記憶をしているんですが、ぜひその辺は、事の、事業の重大さにかんがみてぜひ、これ、理事会ってないんだよね、打合会でご協議の上、本人とも協議してやってもらっても僕はいいような気がするんで、ぜひお取り扱いをよろしくお願いしたいと思います。結論は、僕はこうすべき、ああすべきとは申しません。ただ、聞いておって、社会通念上、見せかけのというのは、それを想起させますから、その辺はちょっとお取り計らいをお願いします。

○小磯委員長 打合会で検討いたします。
 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○小磯委員長 異議なしと認め、本件に対する質疑は終了いたしました。
 以上で産業労働局関係を終わります。
 これをもちまして本日の分科会を閉会いたします。
   午後四時四十九分散会

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