委員長 | 東野 秀平君 |
副委員長 | 山口 拓君 |
副委員長 | 林田 武君 |
河野百合恵君 | |
橘 正剛君 | |
今村 るか君 | |
崎山 知尚君 | |
串田 克巳君 | |
酒井 大史君 |
欠席委員 一名
出席説明員環境局 | 局長 | 有留 武司君 |
環境政策部長 | 森 浩志君 | |
環境政策担当部長 | 長谷川 明君 | |
都市地球環境部長 | 大野 輝之君 | |
環境改善部長 | 柿沼 潤一君 | |
参事 | 中村 豊君 | |
自動車公害対策部長 | 市川郁美子君 | |
自然環境部長 | 中島 博君 | |
緑化募金担当部長 | 庄司 貞夫君 | |
参事 | 浅川 英夫君 | |
廃棄物対策部長 | 井戸 秀寿君 | |
参事 | 木村 尊彦君 |
本日の会議に付した事件
平成十九年度東京都各会計歳入歳出決算の認定について
環境局関係
・平成十九年度東京都一般会計決算(質疑)
○東野委員長 ただいまから平成十九年度各会計決算特別委員会第三分科会を開会いたします。
本日は、お手元配布の会議日程のとおり、環境局関係の決算に対する質疑を行います。よろしくお願いいたします。
これより環境局関係に入ります。
決算の審査を行います。
平成十九年度東京都一般会計決算中、環境局所管分を議題といたします。
本件につきましては、既に説明を聴取しております。
その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
資料について理事者の説明を求めます。
○森環境政策部長 去る十月十日の当分科会におきましてご要求のありました資料についてご説明申し上げます。
お手元の平成十九年度各会計決算特別委員会第三分科会の資料をごらんください。
表紙をおめくり願います。
目次のとおり、四項目ございます。
まず一ページをお開き願います。1、都内の二酸化炭素排出量の部門別推移でございます。
平成九年度から十八年度までの各年度における産業、家庭、業務、運輸及びその他の各部門の二酸化炭素排出量でございます。表の最上段には、京都議定書の基準年である平成二年度の数値を記載しております。
なお、平成十四年度以降は、(注5)に記載してございますように、原子力発電所の長期停止がありました関係で、二段書きとしております。
二ページをお開き願います。2、土地改変に伴う土壌汚染対策地でございます。
環境確保条例第百十七条の対象となりました土壌汚染対策地の敷地面積上位十件につきまして、敷地面積、対象地、完了届け出年月、措置対象物質、新旧指針の別を記載しております。
三ページをお開き願います。3、屋上緑化対策の届出提出状況でございます。
緑化計画書の提出を義務づけた平成十三年度から十九年度までの計画書届け出件数と、そのうち屋上緑化の対象となった件数を記載しております。
四ページをお開き願います。4、保全地域に係る公有化予算額、公有化決算額、公有化面積及び管理費予算額の推移でございます。
平成十年度から十九年度までの各年度における公有化の予算額、決算額、面積及び管理費予算額を記載しております。
以上、簡単でございますが、ご説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。
○東野委員長 説明は終わりました。
ただいまの資料を含めて、これより本件に対する質疑を行います。
発言を願います。
○山口委員 それでは、まず公立小中学校の運動場における芝生化についてお伺いを何点かさせていただきたいと思います。
都市緑化、ヒートアイランド対策、そして、子どもたちの教育環境の向上のためにも、校庭の芝生化というものは非常に意義がある事業だと私自身は思っているわけであります。都の芝生化について、努力に対しては一定の評価をしたいと思いますが、これまでの取り組みや今後の対応について、まず何点か伺わせていただきたいと思います。
昨年度の都の校庭芝生化補助事業で、芝生化をした公立の小中学校は一体何校ぐらいあるんでしょうか、まずお伺いしたいと思います。
○中島自然環境部長 十九年度に芝生化をした学校数でございますけれども、小学校十七校、中学校三校の計二十校でございます。また、このほかにも、芝生化のための調査、設計を行った学校が、小学校七校、中学校一校の計八校でございます。
○山口委員 今実績についてご答弁をいただいたわけですが、十九年度は初年度でもあって、芝生化をする上で、区市町村や学校現場においては、芝生化の効用や地域との良好な協働体制の構築など、さまざまわからない点などもあって、大変であったろうと推測されるわけであります。
また、区市町村や学校の中には、ほかの学校の先行事例の様子を注視しているところも少なからずあるとも聞いております。
そういう中で、芝生化を一層推進するためには、まず主体となる区市町村や学校現場が芝生化の効用などについて十分に理解をし、その導入意欲を高めていくことが必要であるわけなんですが、都はそのために区市町村や学校現場にどのような働きかけをしているのでしょうか、お伺いしたいと思います。
○中島自然環境部長 芝生化の働きかけでございますけれども、校庭芝生化の効用ですとか、あるいは都の各種支援制度を周知いたしまして、芝生化を推進するため、現在、局長を先頭に区市町村にトップセールスなどを行うとともに、全区市町村の教育委員、教育長を対象とした会議、あるいは全学校長が参加する会議におきまして、リーフレット等の配布を行っております。
また、昨年十一月には芝生化の事例などをまとめました校庭芝生化事例集を作成するとともに、さらに先月には、芝生化の効用、あるいは都の支援制度を映像によりましてわかりやすく解説したDVDを作成いたしまして、全区市町村の教育委員会等に配布をしております。
○山口委員 区市町村などに対してさまざまな機会や媒体を使うことによって働きかけているということは十分理解できました。しかし、次の問題として、芝生化をした現場にも課題があるわけであります。日常の維持管理に加えて、学校現場だけでは対応できない専門的な、技術的なサポートが必要不可欠になってくるわけなのでありますが、都はこの点についてはどのように対応されているんでしょうか、伺いたいと思います。
○中島自然環境部長 副委員長ご指摘のように、校庭の芝生化を進める上で、その維持管理は課題の一つでございます。そのため、学校、保護者、あるいは地域の方々では対応できない専門的な技術支援が必要でございます。
東京都はこのような状況に対しまして、今年度から新たに専門的なアドバイスを行う校庭芝生グリーンキーパーを派遣するとともに、維持管理に中心的に携わる方々に必要な知識を習得していただくための講習会を開催しているところでございます。
○山口委員 まさに世田谷区でも何校か実施をしていただけるようにお導きをいただいて、今まさにやっているところなんでありますが、全国いろんな芝生化をされたところを私も視察してまいりました。その学校学校によって、地域地域によって、管理の運営の仕方もそれぞれ個性がありますし、また、うまくいったところ、うまくいかなかったところ、ありとあらゆる事例があるわけであります。それを統一的にどうやるのがいいということではなくて、いい事例を紹介していく。また、芝生化をすることがいかにすばらしいのか。万が一のときには芝生がある校庭に避難する、その学校という位置づけの関心も高まっていく。そういうありとあらゆる、芝生化というのはいい効果があると私は思っておりますので、そういった先進事例を紹介していく、また、こういったグリーンキーパーの方々にもご協力をいただいて、芝とは一体どういうものなのかということもご理解をいただく。また、そういうさまざまな機会をつくっていただけるとありがたいなと思います。
また、「十年後の東京」の中では、新たに千ヘクタールの緑を創出するとしておりまして、そのうちの三百ヘクタールは校庭の芝生化で生み出す計画であります。本格的にこの事業を開始してまだ一年半でありまして、現時点の進捗状況を見ただけでは、なかなか芝生化の事業総体の評価をするべきではないと私も思います。長いスパンで考えていく必要があるわけなんでありますが、そこで伺いますが、都は最終的な目標に向けて、校庭芝生化にどのような方針で取り組んでいくおつもりか、お聞かせいただきたいと思います。
○中島自然環境部長 校庭の芝生化を推進するためには、主体であります区市町村や学校現場などが、みずから意欲を持って取り組みを進める、そうした環境をつくっていくことが必要であると考えております。
そのための取り組みとして重要であると考えていることのまず一点目でございますけれども、区市町村の取り組みの支援、とりわけ整備費の補助など、主に財政面からの支援が重要でありまして、効果的、効率的な支援に努めてまいります。
二点目でございますけれども、維持管理に携わる学校現場に対する技術的支援や、あるいは不安感の払拭が重要でございまして、そのため、学校現場をサポートする企業、団体などで構成する東京芝生応援団の活動の活性化などによりまして、支援を強化してまいります。
そして、三点目としては、広く都民に校庭芝生化の意義や効用をアピールし、都民全体に芝生化の機運を醸成していくことが重要でございます。そのため、普及、啓発のためのポスターの掲示、あるいはリーフレットの配布、そして、さまざまなイベントなどを通じましてPRに努めてまいります。こうした取り組みを積極的に行い、校庭芝生化の推進に努めてまいります。
○山口委員 ぜひ期待をしております。
また、十九年度の芝生化の実施校数も目標の四十に対して二十校と。少ないようにも見えますが、二十年度で芝生化工事の補助申請済みの学校数が二十八校と既に超えているわけで、その期待というのは高まってきているでしょうし、皆さんの努力が実ってきているんだと思います。子どもたちが元気に、はだしで校庭を走り回れる、そんな日を皆さんも夢見ておられると思いますし、そういうことを希望していらっしゃる学校もたくさんあると思いますので、ぜひよろしくお願いしたいと思います。
さて、続けて、クールタウンモデル事業についてお伺いをしたいと思います。
このクールタウンモデル推進事業補助についての決算説明書を拝見しましたところ、執行率がゼロということで大変疑問を持ったわけでありますが、まず、そもそもクールタウンモデル推進事業補助の事業の概要について伺いたいと思います。
○大野都市地球環境部長 クールタウンモデル推進事業補助は、ヒートアイランド対策推進エリアのうち、比較的高い対策効果が見込めます街区をモデル街区として選びまして、そのモデル街区におきまして、民間事業者が実施する効果的な対策を推進することを目的としたものでございます。このモデル事業を通じまして、広く民間事業者の取り組みを促進していくことにねらいがあるというものでございます。
○山口委員 それでは、なぜクールタウンモデル推進事業補助は執行されなかったんでしょうか、お伺いしたいと思います。
○大野都市地球環境部長 モデル地区におきましては、効果が比較的高くて、実施可能性のある対策である保水性舗装への散水設備設置に対する補助を主に検討しておりました。しかしながら、交通管理者と道路管理者の間で調整が長引いたために、散水設備の設置の前提としていた保水性舗装への道路改修工事が十九年度中に施工できなくなったという事情がございまして、事業者の散水設備の施工も延期になったという経緯でございます。
○山口委員 この事業がもとになっている丸の内地区、ヒートアイランド対策推進エリアと呼ばれているこの地域においては、モデル街区として既に選定されて、モデル街区において民間事業者の皆さんというのはそれを前提にして既に動き出されているわけであります。通りの周りの沿道のビルの方々は、上水を提供するために、自費で既に工事を進められていて、この事業がどうなっていくのかというのを見守っている状況に既に陥ってしまっているわけでありますから、今後の見込みというのが大変気になるところなんですが、どのようになっているんでしょうか。まさかこのまま事業を打ち切るなんていうことはないんでしょうか、伺いたいと思います。
○大野都市地球環境部長 現在、交通管理者と道路管理者の調整が整いつつございます。二十年度中には道路改修工事に着手できる見込みとなっておりまして、保水性舗装につきましても二十一年度には完了の見込みとなっております。散水設備の施設の設置に関する支援につきましては、これまでの事業者との協議の経過を踏まえながら、今後、取り扱いについて検討してまいります。
○山口委員 既に二十年度の予算にはこれが入るのかどうかというのも、入ってないわけですね、まだ今のところは。これから検討されるということですから。これは打ち切られる可能性もあるということですか。確認だけさせていただきたいと思います。
○大野都市地球環境部長 本件につきましては、これまでも事業者といろいろと協議をしてまいりましたので、その経過を踏まえまして、今後の取り扱いを検討してまいります。
○山口委員 わからないんです。道路管理者と交通管理者の工事は何とか二十年度に行われそうだという見込みはついたわけですね。この必要性は、環境局としては当然必要だと思われているわけですね。だからこそ、モデル地域として認定をしながら推進事業として補助をすることも決められたわけですね。それで、道路ができます、周りの方々も自費で協力するための設置をしています、もちろん自分たちが決めたことでしょうけれども。環境局としてはそこまで整った段階で、やるんですか、やらないんですかと伺っているんですが、それはいかがなんですか。
○大野都市地球環境部長 本事業につきましては、平成十八年度からその効果等について検討してまいりまして、十九年度に実施をいたしたものでございますが、先ほど申し上げましたように、道路管理者と交通管理者の調整が整わなかったということで、予定の事業が実施できなかったという状況でございます。したがいまして、今後につきましては、民間事業者の方と適正な費用負担のあり方についても意見を交わしまして、適切な形で対応を検討してまいりたいと思っております。
○山口委員 少なくとも補正予算を組んでやると決めていたことが、外的な要因が、工事が思ったように進まなかったということが原因で、一度原点に戻った。ただし、周りはやることを前提にして動いていたわけでありますから、これはやるのかやらないのかという都の姿勢というのは大きく今後影響してくると思いますし、それがはっきりしないということ自体に理解ができないので、今、何度聞いてもお答えいただけないんでしょうから、それはぜひ明確にしていただくべきだと思いますし、なぜなのかという理由がほかにあるのであれば--別に環境局としてそれはやめる事業でもないでしょうし、一日も早くそういう方向性を示していただくように要望して……。お願いします。
○大野都市地球環境部長 この対象となる事業は、丸の内でございます。ヒートアイランド対策をいろいろなところでやらなきゃいけないわけでございますが、この事業はモデル的に集中的に一カ所にいろいろな事業を投入することによって全体に効果が出るかどうかを実証しよう、こういう事業でございます。ここにつきましては、道路整備でも一定の事業をするし、民間の事業者、丸ビルとか、新丸ビルとか、大きな事業者さんもいらっしゃいますので、そういう方たちが自分のビルの中で屋上緑化をやるとか、あるいはいろいろな対策をとってやっていくという中で、我々としても、そういう必要な役割分担をしてやっていこうというふうにしたものでございます。
したがいまして、この地区で成果を上げることは非常に大事でございますけれども、どんなふうな費用の負担とか役割分担をしたら一番効果があるかということを踏まえまして検討しながら、この地区全体で効果が上がるような方策について考えてまいりたい、このように思っております。
○山口委員 早く決めるように要望して、次の質問に移らせていただきたいと思います。
同じく駐車場の芝生緑化実証実験--ヒートアイランド対策に向けて、校庭の芝生化であるとか、屋上の緑化、壁面の緑化などの対策に加えて、あらゆる敷地を緑化するという意味で、駐車場の緑化も実現できると有効な方策の一つとなり得るんだろうなと私は思いますが、そこで、平成十九年度の決算の中で駐車場芝生緑化実証実験というのがありましたが、その実験の目的や内容について伺いたいと思います。
○中島自然環境部長 駐車場の芝生、それから緑化の実験でございますけれども、これはヒートアイランド対策といたしまして、都市の緑化をより一層促進していくため、駐車場の緑化を都みずからが実施いたしまして、その課題を整理するためのものでございます。
緑化につきましては、それから駐車区画を芝生化するものと、駐車場敷地内に緑化パネルと日陰棚、パーゴラですけれども、これを活用いたしまして、つる性植物により壁面緑化する二種類の手法を実施いたしました。両方とも植栽に適した本年三月に施工いたしまして、現在、生育状況の把握などを行っているところでございます。
○山口委員 この実験を行ったことにより明らかになることも多いと思いますが、この実験の現在の状況はどうなっておりますでしょうか。また、今後のこの実験の結果を踏まえて、どのような取り組みを行っていくのか、伺いたいと思います。
○中島自然環境部長 実験の状況でございますけれども、芝生化による手法につきましては、タイヤの踏圧によるすり切れですとか、エンジンの熱による枯れが生じている状況でございます。また、壁面緑化による方法でございますけれども、こちらの方は生育状況もよく、日陰ができるほどに成長しております。
今後、駐車場緑化の普及促進を図るため、これらの取り組みにおける課題につきまして整理していくとともに、さまざまな施工事例を収集いたしまして、それらを事例集として取りまとめ、幅広く都民や事業者に対し、情報発信を行ってまいります。
○山口委員 確かに駐車場緑化については、都民、事業者に施工事例などの情報が十分知られておらず、また課題があるのも確かであります。何といっても、人が手を一度入れたところに新たに自然を導入したり、またそれを維持していくということは、当然何十倍という手間もお金もかかることだと思いますので、ヒートアイランド対策にはさまざまな方法で少しでも多くの敷地を緑化していくことも大変重要なことだと思います。
今後都の取り組みにより、緑の駐車場が一区画でも多く生まれ、都市緑化が進捗していく中で、ヒートアイランド現象が緩和されることに十分期待をして、質問を終わります。
○橘委員 私からは十九年度に環境局が行った研究事業とディーゼル車対策の二項目について質問いたします。
環境局は毎年度さまざまな調査研究事業を精力的に行っておりますけれども、地球温暖化防止対策を初めとする環境問題に関する幅広い調査研究は、都民の暮らしや健康を守るとともに、環境に配慮した経済産業活動などを推進する政策あるいは施策を的確に展開していく上で、大変重要であると考えます。
十九年度決算説明書によりますと、環境政策の分野で、東京エリアにおいて将来予測される温暖化の影響等についての調査を行い、四千百三十八万円余の支出をしております。まずこの調査内容と、それを政策にどう反映させたのか、伺います。
○長谷川環境政策担当部長 東京における温暖化の影響などに関する調査についてでございますけれども、この調査におきましては、既に顕在化しております地球温暖化の影響などに関する国内外の研究成果などの整理や、東京エリアにおける中期的なエネルギー消費量及び温室効果ガス排出量の算定、並びにそれを踏まえた必要な削減対策を検討するための調査などを実施いたしました。
調査結果につきましては、本年三月に改定いたしました新たな東京都環境基本計画におきます部門別の削減目標の考え方などを検討するに当たってデータ等を活用するとともに、環境確保条例の改正検討などでも活用したところでございます。
○橘委員 この研究成果が政策にきちっと反映されているということが確認できました。
次に、環境科学研究所の研究事業では、環境施策に関する調査研究を行ったとあります。これに七千六百五十三万円余が支出されておりますけれども、その主な調査研究内容と成果について伺います。
○長谷川環境政策担当部長 環境科学研究所が行った主な調査研究といたしましては、自動車排出ガス低減対策の総合評価に関する研究、大気中微小粒子の実態及び生成機構に関する研究、光化学オキシダント対策の効率的推進に関する研究、ダイオキシン類の分析に関する研究、廃棄物の処理技術に関する研究などが挙げられます。
主なものに関する調査内容とその成果について事例をご紹介いたしますと、大気中微小粒子の実態及び生成機構に関する研究におきましては、都内の大気中の微小粒子、PM二・五の状況を把握いたしまして、発生原因の解明や効果的な対策検討のための基礎資料として活用してございます。
また、廃棄物の処理技術に関する研究といたしましては、都内の事業所から排出されます産業廃棄物のプラスチックの排出実態、リサイクルの取り組み状況、都内産廃プラスチック物流の実態を把握、整理し、産廃プラスチック排出事業者に対するリサイクルへの誘導施策などに活用してございます。
○橘委員 環境科学研究所というのは、公害問題等の研究から発したものと聞いておりますので、そういった専門的な分野の研究が中心に行われておりまして、それもきちんと政策に反映されていると思います。
同じく決算説明書の中には、中長期的ヒートアイランド対策再構築に向けた効果予測の検証という調査事業が掲載されております。その内容と検証の成果について、同じく伺います。
○大野都市地球環境部長 中長期的ヒートアイランド対策再構築に向けた効果予測では、「十年後の東京」で示されました対策を、二〇二〇年まで計画を実施した場合の効果予測を行いました。具体的には、屋上緑化や校庭の芝生化、公園整備等によりまして、二〇一六年までに新たに千ヘクタールの緑を創出するという施策等を二〇二〇年まで継続する場合について予測を行っておりました。この結果、こうした「十年後の東京」に示されました追加的な対策を実施しない現状レベルの対策を二〇二〇年まで続ける場合と比較いたしますと、代表的な夏の日で最大一度程度の気温低減効果があるという予測結果となっております。こうした結果を踏まえまして、「十年後の東京」で示されました対策を環境基本計画に位置づけまして、継続的に、着実に実施をしていくとしたものでございます。
○橘委員 今、決算説明書に掲載されている三つの主な調査研究について内容と成果をお聞きしましたけれども、大気中微小粒子の生成機構に関する研究や、ヒートアイランド対策を継続した場合の気温低減効果など、非常に興味をそそる研究が散見されました。政策や施策の基礎部分の研究や調査は今後環境政策を構築する上で極めて重要であると私は考えております。
ただいまの答弁で、ヒートアイランド対策再構築の効果予測の検証について、代表的な夏の日で最大一度の気温低減効果がある。これは特定の日を限定して調査されたものと思いますけれども、そういう予測結果がありましたけれども、今後ヒートアイランド対策を一層推進していくためには、こうした研究結果をわかりやすく、例えば都民にとって、もっとこの研究を広げていって平均的に一度気温が下がった場合に、都民の健康にどのような--よい部分ですけれども、よい影響があるのか。それから、生活にはどのような効果があるのか。そうした具体的なものを都民に示していくことが大事であると私は思います。そうすることによって具体的な施策である屋上緑化であるとか、公園整備であるとか、それから道路沿道の植樹であるとか、そういったものをすることによってヒートアイランド対策になって、平均的な気温も下がり、それが自分たちの暮らしにもいい影響を及ぼすんだということが肌感覚でわかるように、身近に感じられるようにすることが大事かと思います。そうした研究調査の成果の示し方、こういった工夫も必要であると思いますので、これは要望にとどめておきますが、工夫をしていただきたいと思います。
また、環境分野は未知の分野が多かったり、不確定要素も多いことから、調査研究が不十分だと、それを踏まえた政策、施策にほころびが出たり、効果が期待倒れになりかねないと思います。そういった事態も想定されると思います。調査研究部門はさらに力を入れて取り組んでいくべきものと私は考えますが、この点について認識を伺います。
○長谷川環境政策担当部長 環境行政の推進に当たりましては、ただいまご指摘もございましたとおり、科学的な知見の集積や技術開発の推進というものが不可欠でございまして、こうした認識に立ちまして、環境局におきましてはこれまでも、環境科学研究所を活用した調査研究を初めとして、さまざまな調査研究に取り組み、これを政策推進に生かしてまいりました。特に環境科学研究所におきましては、平成十九年度より、外部資金導入研究などを導入するとともに、平成二十年度から特に都として重点的に取り組み、政策推進に当たりまして、必要な研究を戦略的プロジェクト研究として位置づけまして、その充実強化に取り組んでございます。
今後とも、お話の趣旨を踏まえまして、調査研究の充実に取り組んでまいります。
○橘委員 必要な研究を戦略的に展開していくと、これは非常にいい言葉だと思いますし、それを具体化していっていただきたいと思います。
今後の調査研究についてでありますけれども、CO2排出削減等によって地球温暖化の進行を抑制する温暖化の緩和策と同時に、想定される温暖化被害を抑制して、都民の生命、財産、安全、そして健康などを守るための適応策の調査研究が非常にこれからは大事になってくるのではないかと思います。この適応策に関する検討の現状と対策の方向性について伺います。
○長谷川環境政策担当部長 ただいまご質問にございましたとおり、気候変動に対しましては、緩和に関するいわゆる温暖化対策を進めるとともに、既に進みつつある温暖化の進行に対しましての適応について対策を進めていくということが非常に重要だと思います。適応策につきましては、災害対策など、都の既存の事業とも密接に関係しておりますので、今後は温暖化が東京に及ぼす影響をさまざまな条件も考慮して把握した上で、都として具体的に現在の取り組みで十分であるのか、新たに何が必要なのか、十分に検討いたしまして、その結果を踏まえて対応していく必要があると思います。
こうした認識のもとで、先週開催いたしましたC40気候変動東京会議におきましては、適応策に関しまして、世界の大都市間で初めて重点的に議論を行いました。この会議におきましては、東京都のヒートアイランド対策など、各都市の適応に向けた取り組みについて情報交換を行うとともに、省エネ型熱負荷を低減する都市づくりの推進、あるいは気候変動の影響を踏まえた治水対策の取り組みといった具体的な十三の共同行動を行うことを決定しております。
今後、本国際会議の成果も踏まえまして、知事本局などと連携して都としての取り組みを進めてまいります。
○橘委員 今の適応策の重要性については、昨年の第四回定例会における公明党の本会議代表質問で取り上げ、特に首都東京においては、地球温暖化の進行に伴って想定される温暖化被害を抑制する適応策が非常に重要であると指摘いたしました。また、私も、ことし六月の環境・建設委員会で取り上げまして、都が率先して取り組むように求めました。
この適応策の対象は、健康被害、それから感染症の拡大、洪水や高潮被害、農林水産物への影響など、幅広い分野にわたるために、都においては各局の対応とならざるを得ないとは思いますけれども、基礎的、それから包括的な調査研究は環境局が先行して行うべきであると私は思います。これは意見にとどめておきますが、これを検討していただきたいと思います。
次に、ディーゼル車対策の支援について伺います。
古いディーゼル車は、NOx・PM法によって、東京を含む対策地域内での車検登録ができないこととされておりますけれども、車の買いかえは、事業者にとって大きな負担でもあります。また、都のディーゼル車規制に対応して、より排ガス性能のよい車やより低燃費な車に買いかえようとする事業者もおりますけれども、やはりこれも費用の捻出が大変大きな負担になっているようであります。
支援策のうち、環境保全資金融資あっせんは、利子補給と信用保証料の補助を行う制度ということでありますけれども、十九年度の制度の特徴とその成果について伺います。
○市川自動車公害対策部長 ディーゼル車対策の支援についてでございますが、国は、平成十七年に新長期規制を導入するに当たりまして、旧規制車でございます新大気規制値の適合車につきまして、継続生産の期間を約二年設けてございます。平成十九年度は、この継続生産の最終年度でありましたことから、都といたしましては、旧規制車の駆け込み購入や在庫処分の抑制を図りますために、新長期規制適合車と旧規制車の間で利子補助率や信用保証料率の差を設けるなどの制度をしたところでございます。
こうした取り組みによりまして、新車購入にかかる事業者負担の軽減や最新規制適合車の普及促進が図られまして、車の環境性能の向上に一定の寄与をしたと考えてございます。
今後とも、この融資がより広く活用されますよう制度の周知などに努めてまいりたいと考えております。
○橘委員 車の買いかえの支援は、環境改善に大きな効果があることはいうまでもないと思います。しかし、多くの事業者は、まだ使える車であればもう少し長く使いたいというのが心情であり、また本音でもあると思います。東京都は、PM条例規制によって都内を走行できなくなった車であっても、後づけ装置であるPM減少装置を装着すれば、都内の走行ができることとしておりますが、こうした現実的な対応があったからこそ、柔軟な対応といっていいと思いますが、そうした対応があったからこそこれまでの規制を行うことができた、そういうふうに思います。
支援策のうち粒子状物質減少装置の装着促進については、後づけ装置の装着補助を行う制度ということでありますけれども、この制度の特徴と成果について伺います。
○市川自動車公害対策部長 粒子状物質減少装置の装着促進につきましては、新車への買いかえが困難な中小企業者がディーゼル車規制に円滑に対応できますように、平成十三年度から始めたものでございます。この制度を推進してきた結果といたしまして、元年の規制車から長期規制車までの多くの車両に粒子状物質減少装置の装着が図られまして、ディーゼル車規制への対応が円滑に進められたものと考えてございます。制度の運用に当たりましては、都内の環境改善を図りますために、条例の猶予期間、七年でございますけれども、こちらが経過する前に早期に装着するように進めてまいりました。特に平成十八年度につきましては、二段階のPM、粒子状物質の規制を開始したところでございますので、かなりの前倒しの装着が行われまして、また平成十九年度にも一定の早期装着が進んだところでございます。
今後とも、ディーゼル車規制の趣旨、内容等の周知を図りまして、本装着補助制度の利用促進を図ってまいりたいと考えております。
○橘委員 こうした支援策というのは、都内車両の環境性能を向上させ、PM減少装置装着により都内事業者の規制対応を進めるものであります。都は、引き続き支援策の充実に努めていただきたいと思います。
次に、都内を走っている車は、支援を受けられている、実際に受けている、そういった都内の車両だけではございません。先日、私、こういう経験をしました。車を運転していましたら、二台前のトラックがかなり黒煙をもうもうと吐きながら走っておりまして、それを避けるように、周りの車も走っておりました。最近、余りこういう車は見られなくなっていたので、いまだに都内にこういう車が、トラックが走っているんだなと、少し驚いた次第であります。
そこで、こうした車両も含めまして、ディーゼル車規制の推進について伺いますが、資料によれば、特に流入車対策に重点を置いて、カメラによる取り締まりを行っているとのことでありますけれども、ディーゼル車規制の現状、首都圏での取り締まり状況や都外からの流入車の監視体制、それから、今後の対策について伺います。
○市川自動車公害対策部長 ディーゼル車規制についてでございますが、東京都は自動車Gメンというのを設置いたしまして、平成十五年十月から八都県市とともにディーゼル車規制を行うとともに、取り締まりを実施してきております。
自動車Gメンは、路上や物流拠点等に、現場に赴きまして、取り締まりを行っておりまして、昨日も八都県市共同で、千葉県にあります東京ディズニーランドの駐車場におきまして、観光バスを中心とした取り締まりを実施したところでございます。
また、首都高速道路上には固定カメラというのを設置いたしまして、また、移動カメラというのも幹線道路で活用いたしまして、カメラにより監視を行っておりまして、平成十九年度は都内で七十八カ所において設置をし、実施しているところでございます。
今後も流入車対策に重点を置きながら取り締まりを実施し、条例の違反車の排除を進めてまいりたいと思っております。
また、先ほどご指摘がございました黒煙をまき散らしながら走っているトラックやバスを見かけた場合には、黒煙ストップ一一〇番というのを設置しておりますので、そちらへ通報をお願いしているところでございますが、再度、この仕組みの周知も図りまして、取り締まりの徹底を図ってまいりたいと思います。
○橘委員 こうした監視体制をきちっとされて、また、体制も組んでしっかり実行に移しているということはよくわかりました。しかし、この監視体制というのは手を緩めるとすぐもとに戻るという傾向性がございますので、この監視体制の一層の強化を求めて、私の質問を終わります。
○河野委員 質問します。
二〇〇七年度末に東京都環境基本計画が策定されました。時を同じくして、東京都環境審議会が、都民の健康と安全を確保する環境に関する条例、略して環境確保条例と呼んでおりますが、この条例改正についての答申を出しました。環境基本計画、環境確保条例の改正は、昨年度作業が進められてきたものです。東京都環境審議会の環境確保条例改正に向けての答申は、気候変動対策を喫緊の課題と位置づけています。私は、重要な視点だと思います。答申と環境基本計画は、約二年間かけて審議されてきたものですから、内容は多岐にわたっています。答申にあるCO2削減の課題などについて、提言を含めて、質問いたします。
まず最初です。
審議会の答申を見ますと、自動車排出ガスのCO2削減について、単体対策、エコドライブの推進、燃料対策、交通量抑制と四つの課題が示されています。
一方、環境基本計画にも、三七ページあたりに、持続可能な環境交通の実現の施策の方向として、交通行動の変革、自動車への過度の依存からの転換の表題が掲げられています。審議会の答申、環境基本計画ともに、自動車交通量の抑制やエコドライブの推進などに取り組むとしているわけです。
環境基本計画では、運輸部門のCO2削減の中期目標として、二〇二〇年までに二〇〇〇年比で四〇%程度を削減するということを目標に掲げました。この目標を実現する上では、条例で実効性を担保する課題と環境基本計画に基づいて施策として取り組みを強める課題、それぞれあると思います。こうしたものが都民に見える形で示されることが今大事だと考えます。
環境局として、自動車からのCO2排出の削減目標達成、この実現に向けての取り組みはどんなふうに進めていかれるのか、その方向性をお示しいただきたいと思います。
○市川自動車公害対策部長 環境基本計画を受けまして、またこれまでも運輸部門としての温室効果ガスの削減、CO2削減を目指しまして、エコドライブの推進、あるいはハイブリッド車などの低燃費車の普及、共同配送などの取り組みに基づく物流の効率化、あわせまして、自動車管理計画書を活用した事業者の計画的な自主行動の促進などによる取り組みなど、さまざまな施策の展開を図っているところでございます。
また、現行の環境確保条例におきましても、既に自動車等の使用抑制の努力義務など、温暖化対策の視点も規定されているところでございます。
今回、環境審議会からいただいた答申等も踏まえまして、条例化を含めたさまざまな手法を活用しながら、環境基本計画に基づき、幅広くCO2対策に向けた施策の展開を図ってまいる所存でございます。
○河野委員 審議会の答申には、運輸部門の都内のCO2排出は全体の二六%を占めていて、一九九〇年比で〇・八%ふえていること、その中で自動車からのCO2排出量が運輸部門の九割で、自動車に起因するCO2の削減は急務と記されています。さらに、答申は、改正前の条例について、環境確保条例は、自動車から排出されるCO2削減を主目的とした構成になっていないとしています。答申は、今後は二酸化窒素の環境基準の早期達成を進める、このこととともに、地球温暖化対策の観点から、自動車全体をターゲットとしたCO2削減策を推進していく必要があると指摘しています。
そこで伺いますが、東京都が、こうした審議会の答申がある中で、ことしの第二回定例会に提出された環境確保条例改正案ですね、これには自動車からのCO2排出については内容が盛り込まれていなかったのが現実だと思うんです。その理由について説明をお願いしておきます。
○市川自動車公害対策部長 運輸部門におきますCO2削減対策の取り組みを進めるに当たりましては、都県域を越えて移動する自動車という特性を考えた、それを踏まえた、広域的な視点からの検討がまず重要であると考えてございます。
また、あわせまして、環境審議会におきましても、物流における事業者の自動車利用状況などについてヒアリングが必要などの意見もいただいてございまして、実態把握が求められているところでございます。こうした観点を踏まえまして、CO2削減対策の強化を目指しまして、条例化を含めまして、施策の展開を図っているところでございます。
○河野委員 答申にはそういうことは盛り込まれたけれども、実際は、実態把握などがおくれて、今回の条例改正と一体のものとはならなかったということになるのかなと今の答弁を聞いて思いました。答申で条例にきちんと位置づけることが求められているのですから、今、都の対応が問われていると思います。自動車から排出されるCO2の削減に向けての条例化は、どの時期を目指して今検討されているのですか。局の検討状況についてお聞かせをいただきたいと思います。
○市川自動車公害対策部長 答申で示された事項につきましては、それぞれに現在検討を進めているところでございます。中でも自動車環境管理計画書制度の拡充につきましては、これまで自動車を所有している事業者を対象としておりまして、現行のそういった計画書と異なりまして、自動車で荷を運んでもらう荷主の立場からの働きかけを求めていくという新しい手法のものでございます。そのため、実効性を上げるためにも、運送事業者のみならず、荷主側の状況についてもきめ細かな実態把握が求められていると考えてございます。
こうした観点から、自動車から排出されるCO2削減対策の強化を目指し、現在もさまざまな施策に取り組むとともに、答申をいただいた内容について現在検討を進めているところでございます。
○河野委員 大体の状況はわかりました。都内全体のCO2排出の四分の一を運輸部門が占めていて、そのうち九割が自動車によるものということですから、東京都が速やかに条例化を進めることが大事だと思います。六月の環境確保条例改正のときは、その条例案が直前に出されて、都民や議会への事前の説明が不十分だったんじゃないかということも感じましたが、自動車排ガスからのCO2削減のこれからの条例化に当たっては、十分に都民の声を反映する努力をしていただくようにお願いしておきたいと思います。
条例でCO2排出規制の義務事業所の対象に品川区内に二カ所ある火力発電所も加える必要があるのではないでしょうか。CO2排出の大規模事業所なのに、条例の対象になっていないのはどうしてなのか。今後、火力発電所に対して、都はどのような方針で臨んでいくのか、お伺いをしておきます。
○大野都市地球環境部長 東京はエネルギーの大消費地でございまして、都内のCO2の排出量を減少させるためには、需要側、使う側のエネルギー消費を低減させる施策を進めることが特に重要でございます。
こういう観点から、東京都の制度は、オフィスでございますとか、工場でございますとか、エネルギーの需要サイドに焦点を当てまして、業務産業部門の大規模CO2排出事業者への削減義務の制度を導入したところでございます。
エネルギーの供給側でございますけれども、供給側に関しましては、別個に東京都エネルギー環境計画書制度という制度を東京都独自で持っておりまして、電力供給者に対しましてもCO2の排出係数の削減でございますとか、再生可能エネルギーの導入の促進というものを求めているということでございます。
○河野委員 需要というか、消費ですね、エネルギー消費と供給、それぞれの立場からの施策が検討されているということなんですが、やはり今回の本当にCO2排出抑制、実効性のあるものにしていこうということで都が努力してきた中で、今後、消費、供給、両方の側面から、排出削減の努力、その仕組みをつくっていくことが一層大事になっているということを申し上げておきたいと思います。
それで、エネルギーの問題で一点、伺います。化石燃料によるエネルギーの供給から、太陽光などの自然エネルギーへの転換が世界の趨勢になっております。ドイツは一九九〇年比で一八・七%のCO2削減を実現していると聞いていますけれども、この背景には太陽光エネルギーを積極的に導入したことが推進力になったと聞いています。
環境局は、二〇〇七年度、太陽光エネルギー利用の事業の取り組み、どういうふうにされていたのでしょうか。そして、決算額は幾らだったか、それぞれお示しください。
○大野都市地球環境部長 太陽エネルギーの利用拡大につきましては、平成十八年三月に、太陽エネルギーの利用機器メーカーでございますとか、住宅メーカー、エネルギー事業者等々とともに太陽エネルギー利用拡大会議を設置いたしました。平成十九年度に十回に及ぶ検討を行いまして、十九年度末の平成二十年二月に最終取りまとめを行ったところでございます。
この中で、東京におきまして、太陽エネルギーの飛躍的な利用拡大に向けました課題を整理するとともに、その拡大に向けた関係各事業者の役割分担をいたしました。その中では、特に東京都に対しましては、まだ機器が非常に高いものですから、初期導入のコストをおおむね十年程度で回収できるような仕組みづくりが必要であるというまとめになりました。
これを受けまして、太陽光発電と太陽熱利用機器も加えまして、太陽エネルギーの飛躍的利用拡大を図るため、平成二十一年度から二十二年度にかけまして、合わせて四万世帯の普及支援を行う補助事業というのを具体化いたしまして、これを先日開かれました第三回定例都議会におきまして提案させていただきまして、ご議論をいただいて、ご承認をいただいたところでございます。
そういうわけでございまして、太陽光発電につきましては平成二十一年度から大規模な実施に向けた予算を組んでございます。十九年度はその準備として検討を進めたものでございますので、具体的な決算額につきましては、委員会のための報償費等々が執行されたということでございます。
○河野委員 これもまた環境基本計画なんですが、太陽光エネルギーについて、利用促進、拡大していくということがうたわれています。戸建ての住宅だけでなくて、集合住宅などにも導入拡大に向けて取り組みを強めるというようなことも記されておりますので、今後一層、環境に優しいというか、地球を大切にするというか、そういう立場で、太陽光エネルギーを含めて、自然エネルギーの利用拡大についてあらゆる方策を講じていただくことを求めておきたいと思います。
都は、これまで「十年後の東京」で、二〇二〇年までに二〇〇〇年比で二五%、二酸化炭素を排出削減するということを目標にしました。国際的には、削減の基準年は、今一九九〇年ということになっていますが、これから先、EUなどを中心に、さらに削減が進んだ二〇〇五年度あたりを基準年にしようという積極的な動きもあります。東京都も学んでいくべきではないかと考えます。特に東京の運輸部門は、二〇〇〇年比で二〇年までに四〇%削減の目標を掲げておりますから、努力が急がれる課題であります。
また、CO2排出を減らす方向で、今いいましたような自然エネルギーの利用拡大、こうした施策を積極的に打ち出していただくことを改めてお願いしておきます。
次に、大田区の城南島スーパーエコタウンと廃棄物の処理施設に関連して伺います。
城南島のスーパーエコタウン構想は、平成十三年に出されて、平成十四年四月に第一次公募があり、事業者が選定され、そして、平成十八年、おととし八月に、八事業者が操業をしています。平成十八年五月には第二次公募も行われております。
今月、十月十七日の大田区の都市計画審議会で、城南島スーパーエコタウン内で既に操業している建設廃材リサイクル施設の増設計画が議題になり、審議の結果、区議会議員の委員は全員反対、区計審では反対八、賛成六で、これが否決されているそうです。反対の理由は、いろいろあるんですけれども、これまで大田区が都に要望し続けていた城南島全体の環境アセスメントを実施してほしいという声にこたえてほしいということが強くいわれてきたんですが、都がずっとこれを見送ってきたことも含まれているようです。
私も以前、環境・建設委員会の場で、城南島スーパーエコタウンについて質問したことがありますが、そのときも地域全体のアセスメントについては、都はやる意思はないということを答弁されておりました。ここには幾つもの廃棄物処理施設が集積し、廃棄物運搬のトラックなどがどんどん集まってきている地域ですから、騒音、二酸化窒素などの測定は行われて当然だと私は考えるんです。
大田区の都市計画審議会が、異例ともいえる今回の結論を出したことを受けて、都は、具体的な環境改善の取り組みを進めるべきと考えます。特に地域全体の環境アセスメントの実施について意見が出され続けてきたわけですが、今こそ地元の要望にこたえるべきと考えますが、いかがでしょうか。
○木村参事 スーパーエコタウン事業は、先進的で信頼性の高いリサイクル施設の設置を民間企業が主体で進めているものでございます。また、個々の施設は、都市計画に定められております。ご指摘のリサイクル事業は、既設の建設廃棄物リサイクル施設の事業者が、その隣接地にタイルカーペットのリサイクル施設を新たに設けるものであります。このため、都市計画の変更が必要なことから、現在所管部署において地元区の意見を求めている段階でございます。
これまで個々の施設の設置に際しましては、廃棄物処理法に基づき、事業者が生活環境影響調査を行っており、その際には、周辺の施設の稼働状況も加味して影響評価を行っております。また、事業開始後も、事業者は環境測定を行い、測定結果を公表してございます。したがいまして、直ちにスーパーエコタウン事業全体の環境影響調査を行う必要はないと考えてございます。
今後、今月末に都に提出されます地元区の意見に留意してまいりたいと思います。
○河野委員 生活環境影響調査を行ってきている、事業者がやっているということはずっと私も聞いてきました。しかし、これは廃掃法というんですか、法律に基づいた影響調査であって、環境アセスメントの条例に基づいて行われる仕組みとは違います。環境アセスメントであれば、都民の意見を提出する場などが保障される、説明会などもあるわけですけれども、これは事業者が行うということで、測定結果の公表はあるかもしれないけれども、その間に都民の声が反映させられる場というのが限られているというか、保障されてないということが欠陥の一つだと私は思いますので、この事業者が生活環境影響調査をやっていることでよしとしないで、やはり今ご答弁にありましたけれど、地元区からどのような意見が上がってくるのか、ここに十分に都の意思、重きを置かれて、ずっと以前から大田区が要望してきたことですから、きちんとこたえていくということを行っていただきたいということを求めておきます。
平成十四年の第一次公募で決まった事業者の中には、施設の敷地面積が八千九百九十五平米とか、八千九百九十七平米などのところがあります。環境アセスメントの、実施しなくてはならない対象敷地面積は九千平方メートル以上、これが廃棄物処理施設などについては定められておりますが、ほんのわずかの面積が足りないために環境アセスメントの対象にならないという施設が幾つもあります。これはアセス逃れといってもいいのではないかと私は考えます。都が後々の環境問題も想定して、城南島のスーパーエコタウン内の土地の売却に当たっては事業者にアセスメントを実施するに足る土地取得を働きかけるべきだったのではないか、そして、アセスメントの実施を指導する役割を果たすべきだったのではないかと考えているんですが、この点はいかがお考えでしょうか。
○木村参事 まず最初に住民意見の反映でございますけれども、先ほど申しましたように、スーパーエコタウン事業の施設については、すべて都市計画決定の手続を行っております。都市計画決定の手続では、必要に応じて住民説明会を実施した後、必ず都市計画案の公告縦覧を行い、住民は意見書を提出できることになってございます。これまでのスーパーエコタウン施設七施設につきましても、この住民説明会を行うとともに、公告縦覧を行い、住民からの意見書を受け付けております。
次に、施設の敷地面積につきましては、スーパーエコタウン事業者がそのリサイクル事業の規模や内容にかんがみて必要な面積をみずから決定したものであります。一次公募の六施設のうち、敷地面積が四千平方メートル台が三施設、五千平方メートル台が一施設、八千平方メートル台が二施設でございます。これら施設は環境アセスメント条例の対象になる九千平方メートルには至らず、環境アセスメントの手続を実施することはできません。しかしながら、スーパーエコタウン事業で設置されたリサイクル施設はいずれも産業廃棄物処理施設に該当しておりますので、先ほど申しましたように、廃棄物処理法に基づき、事業内容に即して、大気や騒音などの環境影響調査を行っており、周辺環境に十分配慮してございます。
○河野委員 ここは都市整備局じゃないからあれなんですし、皆さん、環境局の方ですから、どうなのかと思いますけど、都市計画の公告縦覧というのは、なかなか一般の人たちにはわかりづらいものなんですね。江戸川なんかでも、区役所のところに張ってあるから、皆さん知っているでしょうなんていう話なんですが、それがあるからといって、住民の意見保障の場があるということには、私はならない。これまでの経験を踏まえて、そういう認識であるということを申し上げておきます。
それで、今回出されました区計審で否決になった議案との関係なんですが、この施設は、従前の敷地面積が八千九百平米、そこに二千二百平方メートルを買いまして、計一万一千平方メートルの面積になりました。施設自身も増設して、これまで受け入れをしていなかった、先ほどおっしゃったタイルカーペットですか、そういうプラスチック系の建築廃棄物も受け入れる内容に変わっていっています。土地の買い増しや施設の受け入れの廃棄物の処理物なども違うわけで、変化があったわけですから、アセスの対象面積の基準を超えたということも踏まえて、事業者に改めて東京都がアセスメントについての必要性、きちんと話して行わせるのが当然というふうに考えているんですけど、いかがですか。
○木村参事 環境アセスメント条例では、廃棄物処理施設の増設の場合は、敷地面積が四千五百平方メートル以上増加し、かつ、増加後の敷地面積が九千平方メートル以上となる場合にアセスメント条例の対象になると規定されております。先ほど申し上げましたように、今回のリサイクル事業は、既設の建設廃棄物リサイクル施設の隣接地にタイルカーペットのリサイクル施設を新たに設けるものでございまして、敷地面積の増加は二千二百平方メートルでありまして、環境アセスメント条例の対象にはなりません。
繰り返して申しますが、今回の施設も廃棄物処理法に基づきまして生活環境影響調査を実施することとしておりまして、周辺環境に十分配慮してまいります。
○河野委員 そういう基準があるということは私も知っております。今の基準のままで対象にならないのなら、今後の環境保全の問題も考えて、環境局としても基準の見直しをして、対策を充実させる。こういう方向も可能なのではないかということを表明しておきたいと思います。
現状の東京都の姿勢では、地域の多くの皆さんの理解、納得は得られないだろう、このことは申し上げておきたいと思います。
城南島地域では、大田区の区労連という団体が毎年二回必ず実施している二酸化窒素の測定があるんですが、この測定では、今回施設を増設するすぐ近くの場所で、〇・〇七一ppm、また、もう少し直近のところでは〇・〇八一ppmなどの結果で、環境基準値を超える値が出ています。工場や廃棄物処理施設集積地域に、今後また第二次公募の廃棄物処理施設の稼働が始まれば、車が入ってくる量も増加し、運び込まれる廃材もふえるということになります。今でも工場や施設で働く人たちの健康が心配されている状況があることにかんがみて、私は城南島に二酸化窒素などの測定局を環境局の責任でぜひ設けていただきたい、このことをこの質問の機会にお願いしておきたいと思います。これは地域の人の要望でもありますので、ぜひ真摯に受けとめてください。
最後、三つ目のテーマで質問をさせていただきます。予算の不用額と五百億円の地球温暖化対策推進基金についてです。
二〇〇七年度の環境局の不用額は、百十三億円を超えています。過去三年の不用額との比較、どういうふうに推移しているのか、ご説明をお願いします。
○森環境政策部長 過去三カ年といたしまして、平成十六年度以降の決算における不用額の状況でございますが、平成十八年度が五十四億四千六百七万円、平成十七年度が四十九億四千七百二十七万円、平成十六年度が三十九億八千三百五十万円となっております。
○河野委員 そうすると、今回、百十三億の不用額ですから、平成十八年度と比べても約五十億ぐらい不用額がふえているんですが、この要因は何だったんでしょうか。
○森環境政策部長 平成十九年度の不用額の主な要因でございますが、環境CBOの発行をサブプライムローン問題等の金融環境の変化を踏まえまして延長したことによるもの五十億円のほか、運動場芝生化補助やディーゼル車対策の支援策などにおいて不用額が生じてございます。
○河野委員 五十億が環境CBOで不用額として発生したということであります。中小企業へのCO2の排出削減については、昨年委員会での議論があったときに、私はこういう環境CBOというような方法に限らずに、もっと多くの中小業者、零細な業者の方々がCO2削減に取り組めるような施策も考えることが必要だという意見を述べた記憶もありますので、こういう観点で環境局の努力を求めておきたいと思います。
二〇〇七年度に基金として積み立てられました五百億円ですね、地球温暖化対策推進基金。これは環境CBOで一応不用額になってしまったんですが、今どういう状況にあるのか。それから、今後どのような施策に充てられていくのか。その活用方法についてご説明をお願いします。
○長谷川環境政策担当部長 地球温暖化対策推進基金につきましては、地球温暖化対策に関連する施策の推進に要する資金に充てることを目的といたしまして、平成十九年度予算で五百億円を積み立てて設置していただいた基金でございます。基金活用の考え方といたしましては、一定規模のまとまった資金を集中的かつ時限的に投入することで、温暖化ガスの削減、または緑の保全、創出について大きな効果を生むことができる事業などに充当するということとしております。
こうした考え方に立ちまして、二十年度当初予算では、公立小中学校の校庭芝生化事業や木質バイオマスと下水汚泥の混合焼却事業などの事業に合わせて九十三億円を充当してございます。また、第三回定例会で九十億円の債務負担行為を補正いたしました太陽エネルギー利用機器導入対策、この財源につきましては地球温暖化対策推進基金の活用を予定しておりまして、都への還元効果の高い事業に要する経費の充当も図ってございます。
今後の活用につきましては、基金の趣旨に従いまして予算編成過程の中で検討してまいります。
○河野委員 今回の決算との関係で意見を述べさせていただきたいと思います。
不用額が二〇〇七年度は百十三億ということで、この平年の状況に比べても約五十億円ふえた額となっています。例えば資料で出していただきましたけれど、保全緑地公有化の予算は、この数年、平均して年間十五億円ぐらいです。もし十七年、十八年と十九年、昨年度の過去の不用額約二百五十億を都民のために活用していたら、より豊かにたくさんの環境保全策を充実させることができたのではないでしょうか。五百億円の地球温暖化対策推進基金、今ご説明がありまして、さまざまに工夫を凝らして活用するということでありますが、ぜひ都民の要望に沿って生かしていただくことをお願いしておきたいと思います。
東京は、CO2排出増による温暖化とヒートアイランド現象の二つの温暖化で、都民の生活環境や健康への影響が大変心配されています。環境基本計画で、全般的に東京の環境問題の方向性は示されましたけれども、二〇〇六年に発表された「十年後の東京」の都市像は三環状道路の建設などの車呼び込み型といえるものでもあり、二酸化窒素、二酸化炭素、CO2の排出削減が保障される都市像は見えてまいりません。環境局が都民の環境保全への願いに基づき、関係各局と連携を強めて、温暖化防止や大気汚染改善、緑の保全などにこれから一層力を尽くすべき、そういう時期であるということを提言して、私は質問を終わります。
○東野委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○東野委員長 異議なしと認め、本件に対する質疑は終了いたしました。
以上で環境局関係を終わります。
以上をもちまして第三分科会における決算の審査は終了いたしました。
なお、本分科会の審査報告書につきましては、分科会委員長において取りまとめの上、委員会委員長に提出いたしますので、ご了承願います。
これをもちまして第三分科会を閉会いたします。
午後二時十二分散会
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