各会計決算特別委員会第一分科会速記録第五号

平成二十年十月二十七日(月曜日)
第十一委員会室
   午後一時開議
 出席委員 十名
委員長矢島 千秋君
副委員長谷村 孝彦君
副委員長中村 明彦君
鈴木 章浩君
高倉 良生君
早坂 義弘君
たぞえ民夫君
服部ゆくお君
斉藤あつし君
石毛しげる君

 欠席委員 なし

 出席説明員
警視庁警視総監米村 敏朗君
総務部長高橋美佐男君
警務部長樋口 建史君
交通部長坂口 正芳君
警備部長高橋 清孝君
地域部長瀧澤 敬治君
公安部長青木 五郎君
刑事部長舟本  馨君
生活安全部長白石  明君
組織犯罪対策部長三浦 正充君
総務部企画課長臼井 祐一君
総務部会計課長中野 良一君
東京消防庁消防総監小林 輝幸君
次長人事部長事務取扱新井 雄治君
企画調整部長伊藤 克巳君
総務部長秋山  惠君
警防部長荻野 秀夫君
防災部長大江 秀敏君
救急部長野口 英一君
予防部長北村 吉男君
装備部長有賀雄一郎君
企画調整部企画課長村上 研一君
企画調整部財務課長柏木 修一君
東京オリンピック・パラリンピック招致本部本部長荒川  満君
次長松田 二郎君
技監福島 七郎君
企画部長並木 一夫君
参事重田 敏光君
招致推進部長中村 長年君
連絡調整担当部長藤森 教悦君
計画調整担当部長中嶋 正宏君
施設計画担当部長藤井 寛行君
参事山越 伸子君
参事保坂 俊明君
財務局局長村山 寛司君
経理部長塚本 直之君
契約調整担当部長竹本 節子君
主計部長真田 正義君
財産運用部長松本 泰之君
建築保全部長金子 敏夫君
技術管理担当部長山本 康友君
参事山藤 敏明君

本日の会議に付した事件
 平成十九年度東京都各会計歳入歳出決算の認定について
警視庁関係
・平成十九年度東京都一般会計決算(質疑)
東京消防庁関係
・平成十九年度東京都一般会計決算(質疑)
東京オリンピック・パラリンピック招致本部関係
・平成十九年度東京都一般会計決算(質疑)
財務局関係
・平成十九年度東京都一般会計決算(質疑)
・平成十九年度東京都用地会計決算(質疑)
・平成十九年度東京都公債費会計決算(質疑)

○矢島委員長 ただいまから平成十九年度各会計決算特別委員会第一分科会を開会いたします。
 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、警視庁、東京消防庁、東京オリンピック・パラリンピック招致本部及び財務局関係の決算に対する質疑を行います。
 これより警視庁関係に入ります。
 決算の審査を行います。
 平成十九年度東京都一般会計決算中、警視庁所管分を議題といたします。
 本件につきましては既に説明を聴取しておりますので、直ちに質疑を行います。
 発言を願います。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕

○矢島委員長 発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○矢島委員長 異議なしと認め、本件に対する質疑は終了いたしました。
 以上で警視庁関係を終わります。

○矢島委員長 これより東京消防庁関係に入ります。
 決算の審査を行います。
 平成十九年度東京都一般会計決算中、東京消防庁所管分を議題といたします。
 本件につきましては、既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○新井次長 過日の第一分科会で要求のございました資料につきまして、お手元に配布してございます第一分科会要求資料に基づきましてご説明申し上げます。
 一ページをごらんいただきたいと存じます。トリアージの実施要領についてでございます。
 トリアージとは、多数の傷病者がいる現場において、その重症度を判断し、救急処置や搬送の優先順位を決定するものでございます。
 1のトリアージ種別でございますが、トリアージの方法にはスタート法と生理学的・解剖学的評価法の二種類がございます。
 スタート法は、トリアージに要する時間を一人当たり約三十秒としており、現場の状況から判断し、消防力が劣勢のときに選択するものでございます。
 一方、生理学的・解剖学的評価法は、トリアージに要する時間を一人当たり約一分三十秒としており、消防力が優勢のときに選択するものでございます。
 次に、2のトリアージ区分でございますが、第一順位を赤色、第二順位を黄色、第三順位を緑色、第四順位を黒色に識別しております。
 救急隊がスタート法により呼吸機能停止状態を確認した場合、または生理学的・解剖学的評価法により心肺機能停止状態を確認した場合は黒色の表示を行い、第三順位以降の搬送として扱いますが、医師により死亡が確認された場合は、搬送しないこととしております。
 次に、3の留意事項でございますが、トリアージは必要に応じて繰り返し実施することとしております。
 また、原則的にはトリアージ区分の順位に従い、医療機関へ搬送いたしますが、救急隊がトリアージを実施して黒色を表示した傷病者につきまして、現場の状況により、指揮本部長、救急隊長の判断で、第一順位の次に搬送することができることとしております。
 二ページをごらんいただきたいと存じます。救急搬送に時間を要している消防方面の搬送時間についてでございます。
 1の表は、平成十九年中における救急車が現場に到着してから医療機関に到着するまでの時間を、救急隊の所属する消防方面ごとに平均したもので、十ある消防方面のうち、時間が長かった三つの消防方面についてお示ししたものでございます。
 次に、2の医療機関が受け入れに至らなかった理由でございますが、こちらは平成十九年を対象として総務省消防庁が行った調査の結果でございます。
 重症以上傷病者、産科・周産期傷病者、小児傷病者、救命救急センター等への搬送傷病者別の受け入れに至らなかった理由の上位三つを、それぞれ記載してございます。
 理由の項目のうち、上位を占めている処置困難とは、医療資源の不足等により処置が困難であったことを示しております。
 三ページをごらんいただきたいと存じます。PA連携のコストと効果についてでございます。
 1のPA連携に係るコストでございますが、平成十九年中のPA連携活動数十二万五千四百五十二件に対しまして六千九百二万八千円で、PA連携一件当たりのコストは五百五十・二円でございます。
 次に、2のPA連携の効果でございますが、第一に、早期の救急活動の着手と救急資格を持った隊員が乗車しているポンプ隊の人員投入により、救急活動の迅速化、円滑化が実現できることでございます。
 平成十九年中の救急現場到着の平均時間は、ポンプ車が救急車より一分四十二秒速く、救急現場へポンプ車が先に到着した割合は三九・一%で、救急車が先に到着した割合の二二・〇%を上回っております。
 第二に、救命処置の早期着手が期待できることでございます。
 平成十九年中のポンプ隊によるAEDの使用数は二千百十六回で、そのうちCPRも実施されたものは千六百四十一回でございます。
 四ページをごらんいただきたいと存じます。公共の場に設置されたAEDの使用実態についてでございます。
 1は、バイスタンダー、つまり救急現場に居合わせた人がAEDによる除細動を実施した件数で、平成十九年中、九十六件でございました。
 2は、平成二十年中にバイスタンダーによって除細動が実施され、意識、呼吸、脈拍が回復した代表的な事例をお示ししたものでございます。
 以上、雑駁ではございますが、資料の説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○矢島委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含め、これより本件に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○早坂委員 まちで突然の事故や病気などの現場に遭遇したとき、救急隊が到着するまでの間、そばにいる人、バイスタンダーが人工呼吸や心臓マッサージなどの応急手当てを行うことが患者の救命につながることは、よく知られています。
 しかしながら、そのための訓練を受けたことがなければ、とっさに対応できず、恐らく何もできないだろうことは想像にかたくありません。
 最近では、AED、自動対外式除細動器が東京都内に一万三千台設置されているようですが、これを有効に活用するためにも、同じように最低限の訓練を受けた人がいることが求められます。
 つい先日、新聞などで、昨年一年間に実施された救命講習への参加者は全国で百五十七万人に上り、過去最高となったとの報道がありました。
 そこで、東京消防庁では、バイスタンダーの育成目標をどのように考えているのか、また現在までに救命講習を受講された方がどれぐらいいるのか、お伺いいたします。

○野口救急部長 平成十七年三月に当庁、日本赤十字社などで構成する東京都応急手当普及推進協議会において、平成二十二年度までに協議会参画機関などが相互に協力して、それまでの講習修了者を含め、十五歳から六十九歳までの東京都の昼間人口の二〇%に当たる二百二十四万人に対して、救命講習を実施することを目標として定めております。
 平成二十年九月までの当庁による救命講習修了者の累計は約百七十五万六千人です。

○早坂委員 一日も早く目標を達成することで、都民の安全とかけがえのない命が守られることにつながると思います。そのためには、より多くの方に応急手当ての必要性を理解していただき、救命講習を受講していただくことが必要です。
 平成六年から、自動車の運転免許取得時に応急救護講習の受講が義務づけられています。平成十九年度でいうと、新規に免許を取得した人は全国で百三十七万人に上りますから、これだけの方が応急救護の講習を受けたことになります。
 また、消防が行う救命講習のほかに、日本赤十字社が行う救命講習もあります。
 しかしながら、都民の中には、仕事や家庭で忙しさの余りに受講する機会を逃してしまっている方も大勢いると思いますし、なかなか一人だけでは参加もしにくいと思います。
 そこで、東京消防庁では、より多くの方が救命講習に参加していただくために、どのような取り組みを行っているのか、伺います。

○野口救急部長 当庁では、都民に対してより多くの講習の機会を提供するため、東京救急協会や消防団員、災害時支援ボランティア、応急手当普及員などと連携し、都内全消防署での開催、要望する事業所、学校、町会、自治会施設での開催など、積極的に救命講習を実施しております。
 また、広く都民に講習案内を行うために、ホームページやポスター、東京都広報への掲載を行うとともに、インターネットによる申し込みや電子学習室を活用したネット併用講習を可能にするなど、都民の利便性の向上に努めているところです。
 さらに、都民からの要望にこたえて、視聴覚障害者に対する教材の開発、整備を行っており、今後とも普及体制の充実を図り、都民の受講促進に努めてまいります。

○早坂委員 私自身、かつて三時間の普通救命講習、八時間の上級救命講習、そして二十四時間の応急手当普及員講習のいずれも受講しました。しかしながら、そこで得た知識、技術は、何もしないでいると、すぐに忘れてしまうというのが実感です。
 救命講習修了時に交付される技能認定証は有効期間が三年間ですので、そのころまでには個人あてに再講習のお知らせをし、何度も繰り返し訓練を行うことが大切だという意識を喚起していくことが必要だと考えます。
 ある中学校では、卒業前の三年生を対象に救命講習を実施し、卒業証書とともにその認定証を生徒に渡す仕組みをとっています。こういった取り組みが都内全域に広がるよう働きかけを進めていただきたいと思います。
 初めて救命講習を受ける方をふやすことと、一度受けた方にその知識、技術を忘れないようにしていただくことのどちらもが大切です。私も東京都議会議員として、東京消防庁と連携し、都民の命を守るため、今後も努力してまいります。

○石毛委員 ダブっている部分、割愛いたします。一点だけご質問させていただきます。
 東京消防庁管内では、約六十九万件の救急の出動があると伺っております。救急隊員を初め、消防隊員は日ごろから錬磨している技術や高度な知識を遺憾なく発揮し、一日に、これ、三百六十五日を割ってみますと、約三千件の救急事案に迅速かつ適切な応急処置、また救急搬送のために奮闘していると申して過言ではございません。
 しかし、傷病者の救急効果を高めるためには、救急隊の到着を待つだけではなく、先ほども出ておりましたが、バイスタンダーによる応急手当てが極めて重要であるといわざるを得ません。先ほど説明がありましたように、公共の場でAEDを活用した事例のように、バイスタンダーによる応急手当てが数多く実施されるようになったと感じられます。
 ことしの六月、発生いたしました秋葉原における殺傷事件におきましても、事件現場に居合わせた方々による救護活動への協力が報じられたことは記憶に新しいところであります。
 こうして目の前で苦しんでいる人に手を差し伸べたいという無償の行動に、一方、危険がひそんでいるともいえます。改めて認識をしたいところでありますが、救急救護活動を行ったバイスタンダーの方々が、凶器に倒れた方の血液に直接触れることによって、肝炎あるいは感染の可能性が心配されるところであります。
 感染症の方々の血液に直接触れますと、傷が小さいところでも、それが感染するともいわれております。病気や事故による傷病者に出血があれば、秋葉原のような大事件でなくても、バイスタンダーが同様の危険にあることは同じであります。
 バイスタンダーが傷病者の家族で、その人の体のぐあいなどを周知しているケースばかりではございません。こうした危険からバイスタンダーを守ることは極めて重要なことであります。
 都民に応急手当ての普及や指導を行う立場として、傷病者を救う知識や技術の普及、啓蒙にあわせて、バイスタンダー自身を守るための知識やすべも教えるべきではないかと思いますが、そこで、バイスタンダーの応急救護に伴う感染防止措置の重要性とその方法について、都民にどのような指導を行っているのか、お伺いいたします。

○野口救急部長 応急救護に伴う感染を防ぐため、すべての応急手当てに関する講習実施時に、感染の危険性とその防止方法について指導しております。
 具体的には、感染の危険性を回避するために、傷病者の感染症の有無が不明な場合は血液や吐物等に直接触れないこと、止血の実施時は血液に直接触れないようにゴム手袋やビニール袋などを使用すること。心肺蘇生実施時の人工呼吸については、一方向弁つき人工呼吸用具を使用すること。また、人工呼吸用具を持っていない場合には、胸骨圧迫だけを実施すること。実施後は手洗い、うがいを行うなど、応急救護に伴う感染防止の指導に努めております。

○石毛委員 わかりました。ご答弁いただいたように、応急救護や救命の知識にあわせて、バイスタンダーの感染予防措置の知識が多くの都民に認知され、身についていくことを望みます。
 また、バイスタンダーが行う応急手当ての実践を考えていく上で、バイスタンダーの知識の普及ばかりでなく、実際に応急手当てを行う際の環境を整えていくことも大変重要と考えます。
 バイスタンダーは、目の前に発生した急病や事故などの非日常的な事態の中で応急手当てを実施するため、それだけでもストレスを受けるものと考えます。ましてや、事案の大きさや凄惨を極めた現場あるいは傷病者へ行った応急手当ての結果によっては、さらに大きなストレスを受けることも自明であります。
 私は山登りをしておりまして、もう数年前になりますが、山の頂上で仲間が心臓がとまりまして、いろんな手当てをしたんですが、蘇生をされませんでした。山梨県警に電話をして、ヘリコプターで運んでいただいたんですが、その仲間で一人は、やはり蘇生しなかったということで、しばらくショックで大変落ち込んでいたのを思い出すわけです。
 そういう意味では、こうしたストレスを解消し、平静な生活を取り戻すためのアフターケアの体制を整えていくということも、環境の整備をする一つだろうというふうに思います。
 また、小さな環境整備の例でありますが、ご答弁いただいた感染予防措置を考えてみますと、応急手当てを行う際にビニールやあるいはゴム手袋があれば、バイスタンダーの安全性が高まります。いざというときのために、おのおのが例えば手袋を持っていればいいわけでありますが、そうはいきません。そういう意味では、いざというときにそうしたところに手袋なども備えていくというのも一つの方法だと思います。
 また、AEDのあるところで、高校だったと思いますが、大切、あるいはいたずらをするというので、かぎをかけてしまったり裏に持っていっちゃったりとか、そんなような事例もあるようであります。
 また、AEDがどこにあるか、わかりやすくするということも必要だと思います。例えば、公共施設を初め百貨店や大型の物販店では、AEDの設置場所を、一階であれば受付の近くとか、あるいは上であれば奇数階だとかトイレの近くだとか、駅でいえば改札の横だとか、ある程度こうやって決められていますと、あっといったときに、ぱっとあそこへ行けばというふうにわかるような、そんなような一つのシステム、あるいはそうした状況を確立していくことも大切だろうというふうに思っております。こうしたことも頭に入れていただきたいというふうに思います。
 また、AEDが、私は西東京に住んでいるんですが、工場やあるいは企業に備えてあるけれども、公共的には発表されてない、明示されてないというようなところもございます。そうしたところも、やっぱり近くでそうした事故が起きたときに役立つように、そうしたところも企業などにご協力をいただくということも私はしていただきたいというふうに思います。その辺もちょっとお願いしたいところであります。
 とにもかくにも、バイスタンダーの活躍が目立ってきた一方で、自助、共助、公助が大切だと思われます。こうした環境づくりに目を向けた施策を展開することも、都民の安心・安全を確保していく上で大切と思いますので、提言をさせていただきまして、私の発言を終わります。

○たぞえ委員 私は、地域で活動する消防団をどう支えていくのか、この立場から幾つか質問したいと思います。
 まず、団本部施設についてです。
 消防団分団本部は、団員が火災など災害の際に集まり、日常的にも会合を行うなど、災害活動拠点地です。しかし、全都で本部施設四百三十九のうち、百五十八施設が老朽化、耐震化など対策が必要で、新築、改築が急がれております。
 私の地元の世田谷では、三つの消防団の三十六分団のうち、本部機能を有している施設は十二だけで、残り二十四施設が対策を講じなければならない、こういう状況に置かれています。
 決算によりますと、新築、改築工事を行ったのは十九年度十六施設、支出は二億二千五十六万円で、残りの施設の整備を図るには、予算の推移では東京全体でこれから十年間もの時間が必要だということになりかねません。
 直下型震災が予想される中で、災害の拠点となる分団本部施設の整備を促進していく必要がありますが、消防庁としてはどう促進を図るのか、まず伺います。

○大江防災部長 分団本部施設は、平時の災害はもとより、震災時におきましても、消防団の活動拠点として重要な施設であると認識しております。
 今後も引き続き、構造、老朽度、狭隘度等を勘案いたしまして、順次、計画的に整備してまいります。

○たぞえ委員 順次といっても、こればかりは老朽化が進む、そして耐震化が急がれるということで、ぼちぼちというわけにはいかない。やはりこれは加速して、整備を推進していただきたいと要望しておきたいと思います。
 次に、可搬ポンプの速やかな移動の確保です。
 今お話しした本部の建物は、一般住宅に比べて大変狭隘で、可搬ポンプは別の、東京では五百五十一カ所の格納庫に保管されています。問題は、火災発生時に出動する際、小回りの効く積載車に載せていち早く現場に移動することが消火活動の大変な決め手だと思います。
 実はおとといですが、世田谷で三消防団の合同訓練に参加しましたけれども、その消火活動を見ておりましても、例えば芝生の上でやったんですね。そうしますと、可搬ポンプを引っ張ること自身が、コンクリートと違って非常に重い。仮にそういう私道ですとかがある場合には、移動に大変余計に時間がかかるというのが現状です。
 この可搬ポンプを積載できる車両の配置も急がれると思いますが、実績と今後の計画はどうなっているのか、お示しいただきたいと思います。

○大江防災部長 可搬ポンプ積載車はすぐれた機動性を有しておりますことから、効果的な消防団活動を行う上で有効であると認識しております。
 平成十九年度末現在の整備台数は百二十二台でありまして、本年度は十台を整備する計画としております。

○たぞえ委員 次に、出動や消火活動の際の安全確保についてです。
 東京消防庁は、車両や装備だけでなく、消防職員の被服は防災衣、そして制服、執務服、さまざまなそれぞれの任務に応じて工夫が施されて支給がされています。
 一方、消防団員の日常活動で着る活動服は一種類で、年中同じものを着ているという状況です。時代の変化やファッション性を生かして、新型の活動服に新しく更新してくまなく貸与がされてまいりました。
 先日、私も成城消防署を訪ねて、署長さん初め職員の方から、日常の活動服や防災服について説明を受けました。手にとってみますと、素材が難燃ビニール、ビニロン八〇%、ポリエステル一五%など、大変難燃性が強くて、使われている団員の皆さんからも、厚みがあってデザインもいい、こういう声が寄せられていると署長さんが語っておられました。
 しかし、火災現場に急行して職員と共同して消火活動に当たるその防火服は、現行の服の更新手続は始まっていますが、消防署管内でばらつきがあります。例えば新宿、池袋などは二年前に新型にすべて更新しましたが、私の地元の世田谷消防署ではいまだ更新がされていません。いつ変わるかわからないと、このように署も語っていました。
 結局、その団員によって、新型の防災服か旧型か、こういう混在というのは極力避けなければならないと思います。決め手はやっぱり一気に更新することだと思うんです。
 そこで、東京で一万三千人の更新を平成二十三年度までに終えるということでありますが、これだと全体の更新に六年かかります。既に終わった新宿、池袋は新型の火に強い服を着ている。ひがみじゃないんですけれども、私の世田谷の方はもっともっと先だよと。これですと、やっぱり団員さんの意気込みというんでしょうか、やっぱり火災の際に火に強い服を着ているか着ていないかというのでは、これはやっぱり消火活動にも影響が出てくると思うんです。
 今後、年末を控えて、火災が多くなる時期です。新型防災服への更新を始めて二年ですけれども、残り四年でやっていこうということでは遅いと思います。都の財政力を生かして、前倒しして進めるべきだと思いますが、いかがですか。

○大江防災部長 新型防火服は従来のものより安全性、活動性を高め、さらにはデザイン性にも配慮いたしまして、平成十九年度から整備しております。新型防火服の整備は、その生産能力等を考慮いたしまして、計画的に行ってまいります。

○たぞえ委員 これは決して地域エゴではなくて、東京じゅうの団員さんが新型の防火服を着用して消火活動に当たれるように、ぜひ支援を強めていただきたいというふうに思います。
 都民からは、各地で起こっている災害活動の消防庁の活動や、また日常の消火活動に大変熱い視線が寄せられていると思います。都民の多くは、消防庁や団員の皆さんの活動に感謝しています。
 これら機動的な活動への期待にこたえるために、レスキュー隊の増設、また消防団員の活動を支えるために施設や衣服の改善、報酬の改善、健康診断や公務災害の補償、惨事のストレス対策講座の充実、こうした必要な対策を、さらに財源を確保して、都民の暮らしの安全に寄与していただきたいということを要望して終わります。

○鈴木委員 先ほどの資料説明で、都民の方がAEDを使用し、救命された事例が紹介されましたが、またさらにこれまでの質疑、各委員の質疑によって、AEDが都民の生命を救うのに非常に役立っているということがよくわかりました。今後はそれを使用できる人の育成と機器の設置数をふやしていくことが、私は大事だと思っております。
 昨日、私の大田区でも、四消防署合同の合同点検が行われ、AEDの普及啓発を目的とした救急救命活動の披露が行われました。大変わかりやすく有意義なものであったと思っております。
 私の地元、大森では、消防団員の約九五%が救命講習等を受講し、応急手当てを習得しております。特別区全体でも約八四%の消防団員が既に受講しているそうです。今後、消防団員として都民の期待にこたえるためにも、私も含め、消防団員皆がその使命を自覚し、全団員が応急手当てを習得できるよう、東京消防庁にもご協力をお願いしたいと思います。
 また現在、AEDの設置は駅などの公共施設が中心となっております。今後は、コンビニエンスストアなど身近な場所への設置が促進されれば、さらに都民による応急手当ての実施率が上がり、多くの人が助けられると思いますので、積極的な取り組みを期待するところであります。
 このように都民がバイスタンダーとしての役割を果たしている中で、救命率を向上させるために、次に必要となるのは、救急隊が現場に到着し、病院まで一刻も早く搬送することであります。
 先日も都立墨東病院の対応について報道され、都民の不安が広がってきておりますが、またこのほかにも、以前より病院選定に時間を要する事例も報道されており、消防機関と医療機関の適切な連携は、傷病者の命をつないでいく上で極めて重要なことと考えております。
 この問題は、先日の知事の発言にもありましたが、医療機関側に大きな問題があり、またさらに国の対応にも課題があると思っておりますが、少なくともその一翼を担う東京消防庁として、救急搬送において医療機関とどのような連携を図っているのか、お伺いいたします。

○野口救急部長 当庁では、都内の全救急告示医療機関と連携して、救急医療情報システムにより、診療、手術、入院の可否などの診療情報を得て、搬送先医療機関の決定に活用しているところであります。
 また、本システムの円滑な運用を含め、地域の救急医療機関などとの連携をより深めるために、特別区は各区単位、多摩地区は市または消防署などを単位に救急業務連絡協議会を設置し、適正な診療情報の入力及び救急患者収容の円滑化などについて協議を行っております。
 さらに、本年二月から、東京都福祉保健局において、当庁、東京都医師会、学識経験者などで構成される救急医療対策協議会が開催され、より迅速適切な救急医療体制の確保に向けた検討を行うなど、連携強化を図っているところです。

○鈴木委員 私ども、この問題の解決に向けまして、国に働きかけてまいりたいと思いますけれども、東京消防庁としても、今後とも関係機関との連携をより一層深め、課題解決に向けて努力していってほしいと思います。
 次に、大地震や大規模災害が発生したときに、多数の傷病者を救急搬送しなければならない事態が考えられます。東京消防庁では二百二十九台の救急車を運用しておりますが、こうした大災害が発生した場合に、医療機関の受け入れ体制が整ったとしても、傷病者の状態や数によっては傷病者を搬送し切れず、命をつなぐことができないことも予想されます。
 そこで、大地震や大規模災害により多数の傷病者が発生した場合、どのように搬送手段を確保することとしているのかをお伺いいたします。

○野口救急部長 大地震などのような現有の救急隊では対応できない場合には、参集職員などにより編成する非常用救急隊、応急救急隊及び傷病者搬送隊により、重症者を優先して搬送を行うこととし、必要に応じて消防ヘリコプターや緊急消防援助隊の救急部隊を活用して、傷病者搬送手段確保の万全を期することとしております。
 さらに、軽症者の搬送については、民間の患者搬送事業者などと締結した震災等大規模災害時における傷病者の搬送業務に関する協定に基づき、車両及び乗務員の協力を要請することとしております。
 また、東京都地域防災計画においては、自衛隊などの関係機関と連携するとともに、民間ヘリコプター、バス、船舶等を調達するなど、傷病者の搬送手段を確保することとなっております。

○鈴木委員 大地震や大規模災害発生時の救急搬送は特殊なケースではありますけれども、次に、別のケースとして懸念されている、新型インフルエンザに罹患した傷病者の搬送も考えておく必要があると思っております。
 東京都では、新型インフルエンザの流行規模を、人口の集中する東京の特性から、都民の約三〇%が罹患すると予想し、新型インフルエンザの出現をいち早く察知する計画を考えております。
 しかし、救急隊は、新型インフルエンザに罹患した傷病者とわからない段階において救急搬送することも予想されるため、こうした事態を考慮した対策も必要であると考えております。
 そこで、新型インフルエンザの発生を踏まえてどのような対策を考えているのか、お伺いいたします。

○野口救急部長 海外において新型インフルエンザが発生するなど、新型インフルエンザの流行が懸念される場合には、一一九番通報受信時や救急隊の現場における観察などから新型インフルエンザを疑い、感染防止対策を講じることが重要であります。
 新型インフルエンザの疑いがある傷病者の救急搬送については、都の新型インフルエンザ対応マニュアルに基づき策定した救急活動要領により、運転席と傷病者スペースを隔壁で仕切るとともに、救急隊員は感染予防のための感染防止衣やN95マスク、ゴーグルなどを着装し、傷病者には感染拡大防止のためのサージカルマスクを使用させ、感染防止用フードで覆うなどし、さらに搬送後においては、車両など資器材の適切な消毒を実施することとし、感染防止対策の万全を期した活動を行うものとしております。

○鈴木委員 新型インフルエンザはいつ発生してもおかしくない状況にあります。ひとたび発生すれば、少なからずとも消防庁の方も罹患することが予想されます。救急隊のように第一線で活動する方たちの対策は特にしっかりとしていただき、いざ新型インフルエンザが発生した場合でも、都民のために救急隊が一〇〇%機能するように備えておいていただきたいと要望し、大変簡潔でありますが、私の質問を終わります。

○斉藤委員 消防庁に関して、配布資料を受けて質問を幾つかさせていただきます。
 資料配布、ありがとうございました。また、個人的には大変若いときにお世話になりまして、ありがとうございました。
 先般、墨東病院の周産期医療センターの妊婦の脳出血で亡くなられる事故に関しては、大変報道が大きくされております。私どもとしても、救急搬送を担う消防庁で、今回はたまたま、ちょうどこちらの搬送の部分では余り消防庁の方のかかわりが濃くなかったというふうに理解をしております。
 ただ一方で、都議会民主党としても、既に関係局からヒアリングなど行わせていただきまして、救急の搬送全体の流れとして、極力早急な体制整備に協力をしていきたいと思いますし、また亡くなられた患者さんに対しても哀悼の意を表するものでございます。
 さて、ではまず一つ目の救急搬送に関して伺います。
 平成十九年度末に、私の地元の小平の方でも二次救急医療機関の処置と手術がたまたま重なりまして、六十歳代というまだ若い方が亡くなるという痛ましい案件がございました。また、今回の案件に関しても、搬送先選定について、いろいろ課題が残っているというのが現実であります。
 ただ、そうはいっても、昨今のいろんな医療の事情を考えてみますと、救急という、大変今、非常に難しいところでありながら、一方で、本当に簡単なミスが起こった場合には、病院も含め、また消防庁も人ごとではない医療裁判などを含めた裁判事案に発展したり、もしくは裁判にならなくても、なかなかその報道の部分でいろんな情報が流れたり錯綜したりということで、話が当然大きくなってしまうケースがございます。
 そういった点でいえば、恐らく人数の少ない中で救急の現場というのは動いております。そういった中で、本当に簡単なミスとか行き違いとか、もしくはさまざまな誤解の中で、結果的に物事が大きくなってしまう。消防庁の中の、特にそれに関与しました隊員にとっても大変な精神的なストレスになるような結果というものが実際には起こるような背景がございます。そのあたりは、私が在籍した時代と比べてさらに厳しい状態、さらにハードな状態になっているのかなということを感じております。
 こういった、これらの救急における案件で、消防庁内部でも日々事故案件、もしくは事故案件と思われるものについて、本当に実際に消防庁の方の隊員によるミスなのか、もしくは隊員の関与がないのか、そういった部分もしっかりと検証していかなければならないというふうなことになっております。
 こういった案件に対する--すべての案件ではないでしょうが、疑問のある案件に関して調査分析、そしてまたそれに対しての対策や現場へのフィードバック、こういったことが行われております。
 ただ、以前に比べて、大変それについては非常に高いレベルのことを要求されると思いますが、実際に現在、救急活動が適正に行われたかどうかという検証について、どのように実施されているか、伺います。

○野口救急部長 東京都においては、医学的観点から救急活動の質を確保するため、救急医学及び法学の有識者、東京都医師会及び関係行政機関などで構成される東京都メディカルコントロール協議会の事後検証委員会において、都内の消防機関が行うすべての救急活動について検証を行っております。
 事後検証は、救急活動基準を踏まえた一次検証及び二次検証を経て、救急医療の専門医による医師検証が行われ、その結果、必要と認められるものについては、定期に開催される事後検証委員会で審議されることとなっており、迅速な検証が必要と認められる事案に関しては、臨時に委員会を開催し、適切に検証を行っているところであります。

○斉藤委員 ありがとうございます。今のは、いわゆる非常に現場サイドで、ある意味、ミクロ的というふうにいうとちょっとおかしいかもしれませんが、いわゆる現場により近い部分での検証というふうになります。
 一方で、今回の墨東病院の話や、もしくは十九年度末の私の地元の搬送などの話になると、これは逆にいえばマクロ的、非常に広域な中で救急搬送を迅速に行うということが検証として必要になってくるのかなというふうに思うのですが、今回配布いただいた資料を見ますと、ワーストスリーを、現場到着から、現着から病院の到着までに関しての長時間要している消防方面本部、方面について伺いたいということで資料が出てきたわけですが、私のおります多摩方面、八方面と九方面がワースト二というふうなことで、大変これについては残念であると同時に、今後私ども都議会民主党としても、さまざまに検証していきたいというふうには思っております。
 ただ、こういった中で、恐らく何らかの背景がその年度、その年度にはあるのかなというふうに思いますが、こういった救急搬送が長くなる課題について、もちろん今、もうマスコミを含めていろんなことが救急医療に関してはいわれておりますし、いろんな要素がございますので、なかなか一概にはいうことはできないと思いますが、ある程度救急の流れ、全体の中で、まさに救急搬送から患者さんが退院をして家に帰るまでというところでいえば、その中の一番入り口である救急の部分をまず消防庁は担っているというふうに考えています。
 ただ一方で、救急搬送の流れからすれば、病院のようにその大部分を担うのではなくて、本当に最初の入り口部分を担っている関係で、救急側の方の意見とか、もしくは気がついた点などを全体に浸透させて、ある意味、救急の方の流れそのものにフィードバックをさせるというのはなかなか機会も少なく、また大変なことなんじゃないかなというふうに思います。
 先ほどの鈴木委員の質問に若干かぶる部分はございますが、消防庁は、救急活動における内外の課題について、どのように改善をするようにしているのか、そこを伺います。

○野口救急部長 当庁は、救急活動などにかかわる救命効果の向上や適正な救急活動の確保などに関する課題の解決を図るため、消防総監の諮問機関である救急業務懇話会への諮問や救命救急の学識経験者などで構成される東京都メディカルコントロール協議会への付議などにより、答申、審議結果を受け、新たな救急施策への反映、救急活動基準などの必要な改正を行っているところであります。
 また、特別区は各区単位、多摩地区は市または消防署などを単位に救急業務連絡協議会を設置し、地域の救急医療機関などと連携することにより、適正な診療情報の入力や、救急患者収容の円滑化などを図っております。
 さらに、東京都福祉保健局が主催する救急医療対策協議会や東京都医師会の救急委員会、総務省消防庁の救急業務高度化推進検討会などに積極的に参画し、救急活動の課題の解決に努めているところであります。

○斉藤委員 それではもう一つ、資料3に入っておりますPA連携に関して伺います。
 こちらの方では、コストと、そしてまたその効果について資料をいただいたわけですけれども、本来、昔から、救急に関しては五分程度で現場到着ができることが理想であるということで、救急隊の配置もかなりそういったことを意識して配置をしているということを、その昔、伺ったことがあります。
 実際には、五分といっても、現場の渋滞などの道路事情とか、もちろん道路づけそのものが、なかなかそちらの現場に向かって一直線に続いてないというような場合がありますと、実際に五分で着くというのは大変難しい話でございまして、ある意味、理想という枠を出ないわけです。
 しかしながらその一方で、PA連携の資料を見ますと、PA連携することによってポンプ隊の方が先着をして、結果的に四分二十五秒ということで、五分を切っているということで、ある意味、次善の策としては非常に効果が出ているのかなというふうに思います。
 ドリンカー曲線の話をするまでもなく、すぐにCPRが迅速にできればいいわけですが、恐らく通報などを考えてみると、なかなかその全体を五分、実際のCPRを始めるまでの時間を五分切るというのは大変なことだと思うんですが、ただPA連携することによって、かなりそれがより理想に近づいているということは、この資料に関していえば理解ができますし、大変評価のできる、次善の策といえば次善の策ですが、しかしながら、一つできることの対策という点では、評価できるというふうに思います。
 また、この迅速ということ以外に、恐らく救急隊自身が三人しかいないという現実から考えてみると、この以前に、ポンプ隊が四人から五人加わって現場に関して支援をしてくれるというのは、その部分でのメリットも大きいというふうに考えます。
 数字にはあらわれていませんが、数字に出ない現場でのメリットに関して、それがメリットがあるのか、そしてまたそれがあるとしたら何なのかについて伺います。

○荻野警防部長 PA連携の目的は、救命効果を向上させるため、早期の救急活動への着手とマンパワーの投入を行うものであります。これによりまして、救急隊が到着するまでの間に、傷病者の観察、積載しているAED等の救急資器材を活用した応急処置などに早く着手することができるほか、傷病者の搬出が困難な狭隘な通路や階段などにおける活動の円滑化、現場の安全管理の徹底、関係者への細やかな情報の提供を行うことができるなど、さまざまなメリットがございます。

○斉藤委員 ありがとうございます。
 実際に救急現場の話を聞いてみますと、本当に三人では大変だろうと思うような事案がたくさんございます。高速道路上で活動していて、後ろに置いておいた救急箱を別の車にはね飛ばされたりとか、そういった場合に、やはり人数が少ないがゆえに目が届かなかった、もしくは患者さんの家族に対して、家族の方もパニックになっていて、救急隊にいろんなことを聞いてきたり、いろんなことをいってきたりというときにゆっくり対応してあげられないということが、後で考えてみたら、そのときは仕方がなくても、後でもう少しいい対応ができなかったかなというふうに反省をする場合があったりすると思うんですが、そういった部分でも人数が多いというのはある意味、非常にメリットがあるんではないかというふうに思います。
 このPA連携について、私も以前から随分、何で消防車が来るのというふうなことで、呼んだ方からとか、もしくはその近所の方から随分いわれたんですけれども、最近は大分時間がたっていますので、恐らくそれについては都民の方に浸透したんじゃないかなというふうに思うんですが、実際にPA連携、都民の皆さんには浸透が進んだと思いますが、いかがでしょうか。

○荻野警防部長 PA連携は、平成十二年から八年が経過し、出場件数は毎年十二万件前後を数えております。運用開始当初は、都民の戸惑いや問い合わせがありましたが、都民の皆様のご質問に対しまして、一つ一つ真摯にお答えするほか、各種パンフレットや当庁ホームページを活用し、広く周知を図ってきた結果、都民からは理解を得ているものと考えております。

○斉藤委員 ありがとうございます。最近は皆さん、見なれてきたおかげで、恐らくそういった、都民の方の受け入れも説明もまた短くなっているんじゃないかと思います。
 一方、資料に戻ってみますと、コスト面に関しては、当然ポンプ隊が出ている関係で、手当分だけ見てもコストは一件当たり上がっているわけなんですが、一方で先ほどいいましたように、本来であれば五分で着きたいところというのを、ポンプ隊が行くことによって実行しているという点でいえば、それこそ消防の方の理念的なものであります、いわゆる多少のコストがかかっても、でも人命の救助という部分でメリットが高ければ、それはそれで一つ対費用効果はあるもの、ペイできるものというふうに解釈するということで、そういう意味ではコストに見合った活動ができているのではないかなというふうに思います。
 ただ、なかなかポンプ隊単独の部分で、最終的に現着したときには、救急隊が来るまでの中で、まだまだ何でもできるというわけではありません。その中で、一つにあるのは、本当に必要かどうかという部分での救急の搬送のトリアージの部分がありますが、これに関しては救急隊の到着を待たざるを得ない。ただ、今後都民の皆さんに救急搬送のトリアージが進む中で、救急隊の資格を持っているポンプ隊の方も、いろんな運用の中でたくさん乗っていらっしゃいますので、実際にはそういったことも少し拡大してできるようになっていくというのが時代の流れかなというふうに思っております。
 その中で、ポンプ隊が、今まででしたら消防署の方に待機をしているものが動いている、地域に出ているということになりますと、実際に災害が起こったときに、火災が起こったときに、ポンプ隊同士の連携という点では、一緒に出場するものが別々に動いていて、しかも一方で救急活動をしていたり、もしくは救急活動から引いていいかどうかというふうなところで逡巡したりというような場面があるんじゃないかと思いますが、実際に消防署自体を運営していくという中で、PA連携でポンプ隊が出場してしまうこと、これによって火災や救助活動など他の災害の対応において影響を与えることがないかどうか、伺います。

○荻野警防部長 ポンプ隊がPA連携に出場中、他の災害が発生した場合は、直近のポンプ隊を指定し補完する体制をとっております。
 運用開始以来、特に影響のあった事案は発生しておりませんが、引き続き、他の災害対応に影響を与えることのないよう、万全を期してまいります。

○矢島委員長 ほかに発言がなければ、お諮りをいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これに異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○矢島委員長 異議なしと認め、本件に対する質疑は終了いたしました。
 以上で東京消防庁関係を終わります。

○矢島委員長 これより東京オリンピック・パラリンピック招致本部関係に入ります。
 初めに、過日の分科会で紹介できませんでした幹部職員について、東京オリンピック・パラリンピック招致本部長から紹介があります。

○荒川東京オリンピック・パラリンピック招致本部長 公務出張のため、過日の分科会を欠席させていただきました当本部の幹部職員を紹介させていただきます。
 招致推進部長の中村長年でございます。参事で国際事業担当の山越伸子でございます。参事で運営計画担当の保坂俊明でございます。
 どうぞよろしくお願い申し上げます。
   〔理事者あいさつ〕

○矢島委員長 紹介は終わりました。

○矢島委員長 これより決算の審査を行います。
 平成十九年度東京都一般会計決算中、東京オリンピック・パラリンピック招致本部所管分を議題といたします。
 本件につきましては、既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○並木企画部長 去る十月八日開催の当委員会におきまして要求のございました資料につきまして、ご説明をさせていただきます。
 恐れ入りますが、お手元にお配りしてございます各会計決算特別委員会第一分科会要求資料の表紙をおめくりいただきまして、資料1、民間資金の受け入れ実績についてをごらんいただきたいと存じます。
 特定非営利活動法人東京オリンピック・パラリンピック招致委員会におきます平成十九年度民間資金の収入実績は、五億五千五百七十八万四千九百五十八円となっております。内訳でございますが、寄附金四億八千四百五十二万五百七十七円、協賛金は七千百二十六万四千三百八十一円でございます。
 次に、一枚おめくりいただきまして、資料2、東京オリンピック・パラリンピック招致委員会事業費補助についてをごらんください。
 本資料は、東京オリンピック・パラリンピック招致委員会に対する事業費補助の事業内容と補助額についてまとめたものでございます。
 当事業は、(1)、オリンピックムーブメントの推進事業に係る経費、(2)、広報・啓発事業に係る経費、(3)、知事が特に必要と認めた経費のうち、都が実施する事業を代替する事業、都が実施する事業を補完する事業及び補助対象事業の実施に係る総務経費につきまして補助するものでございます。
 補助額は、オリンピックムーブメントの推進事業に係る経費が九千六百十七万六千円、広報・啓発事業に係る経費が四億六千九百六十三万八千円、総務経費が四千四百四十九万二千円、合計で六億一千三十万六千円でございます。
 以上、簡単ではございますが、要求資料の説明を終わらせていただきます。よろしくご審議を賜りますようお願い申し上げます。

○矢島委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含め、これより本件に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○早坂委員 二〇一六年夏季オリンピック開催地決定まで一年を切りました。招致本部、招致委員会、そして招致にかかわる大勢の皆様のご努力に心から敬意を表します。
 どうすれば開催地が東京に決まるか、それはうんと簡単にいえばオリンピックのアスリート、そして百十五人のIOC委員、そしてオリンピックを楽しみにしている世界じゅうの人たちに、家族を連れて東京に行ってみたいと思わせることに尽きると思います。
 そのためには、まず一つ目に、日本だからこそ提供できる最高の競技コンディションを用意することが必要です。
 申すまでもなく、オリンピックはスポーツの大会です。アスリートたちが力の限りを尽くしてみせる瞬間、そしてその結果、世界新記録が更新される瞬間、偶然に左右されることなく、アスリートが持つ力を一〇〇%発揮できる最高の競技環境を用意することで、これら感動の瞬間を世界じゅうに発信できるものと信じています。
 申請ファイルによると、合計三十一の競技施設のうち、新規に建設するのは五つ、仮設で対応するのも五つ、残りの二十一は既存施設を利用する計画になっています。これらの施設の後利用の計画では、都民の皆さんが身近にスポーツに親しめるインフラとなる予定です。見るスポーツから参加するスポーツへ、スポーツ施設の整備は世界のトップアスリートのためだけでなく、私たち東京都民にも利益を残します。
 家族を連れて東京に行ってみたいと思わせるための二つ目には、観光地としての東京の魅力が必要です。
 欧米やアフリカの皆さんから見れば、エキゾチックジャパン、ミステリアスジャパン。我が国は天皇陛下をいただき、世界にまれに見る長い歴史と文化を持っています。
 美しい四季、満開の桜の季節、もえ出る新緑の季節、深い彩りの紅葉の季節、そして真っ白に覆われる雪の季節。世界一の美食。繊細で美しくヘルシーな和食。ニューヨークやパリ、香港にも負けないフレンチ、イタリアン、中華など、東京で味わえないものはありません。空手、柔道、剣道、あるいは禅。精神文化を極めたこれらのものに加え、日本人のだれもが持つおもてなしの心。
 他方で、クールジャパン、インテリジェントジャパン。秋葉原の電化製品に代表される世界最先端のIT技術。あるいはアニメ、ファッション、建築物。
 外国人観光客が日本に来て、まず最初に歓声を上げるのはトイレのウォシュレットだといいます。次に、蛇口から水が飲めること。我々日本人にとって当たり前のようなことが、多くの国にとっては夢のようなことであります。
 伝統的な日本と時代の最先端を行く日本、そのどちらもが極めて魅力的だと考えます。オリンピック招致に当たって、これをアピールしない手はありません。
 三つ目には、世界の都市が抱える問題に対して、東京という都市がその解決方法を提示するというビジョンにあると思います。
 万博、万国博覧会がパビリオンの中で未来を表現するならば、二〇一六年東京オリンピックは、東京という都市全体で未来を表現することであります。CO2排出量削減に対する我が国のさまざまな技術あるいは取り組みは抜きん出て世界のトップを行くものであり、これらを東京で実現させ、さらに推進することは、全世界の注目の的になります。地球環境対策が、二〇一六年東京オリンピックの大きなテーマです。
 世界の人たちに東京に行ってみたいと思わせるという話をしましたが、世界の人たちの中には、もちろん東京都民も含まれています。今、東京に暮らしている人たちが、オリンピックが開催される八年後、二〇一六年の東京の姿を楽しみに思うかどうか、招致機運の盛り上げにはこれが重要なポイントです。
 一九六四年、昭和三十九年の東京オリンピックでは、一八六八年の明治維新以来、三度目の都市の大改造がなされました。一度目は一九二三年、大正十二年の関東大震災の震災復興、二度目は一九四五年、昭和二十年の太平洋戦争の戦後復興、そして三度目が東京オリンピックです。
 このときに新幹線ができ、首都高速道路ができ、環状七号線ができ、地下鉄が整備され、カラーテレビが普及し、また東京からどぶがなくなりました。このときを境に、我が国が発展途上国から先進国の仲間入りをしたと評する向きもあります。
 しかし、東京において、一九六四年の東京オリンピック以来、ほぼ五十年間、都市の大規模な機能更新が行われていません。こう申し上げると、もう一度かつて突貫工事で日本橋の上に高速道路をかけたと同じことをするのかと早合点する人がいますが、もはやそんな時代ではありません。
 都内にある街路樹四十五万本を二倍の百万本にする、学校の校庭をすべて芝生にする、海に森をつくる、お年寄りにも障害者にも暮らしやすいユニバーサルデザインのまちを進める、都心の交通渋滞を解消する、こういった質的向上への施策が、二〇一六年東京オリンピックを目標にもう動き始めていることを、残念ながら多くの都民は知りません。八年後のオリンピック開催で東京がどう変わるのか、これをもっとアピールすることが招致機運の盛り上げには不可欠だと思います。
 歴史をひもとけば、一九七二年、昭和四十七年のミュンヘン・オリンピックでは、パレスチナのテロリストによってイスラエル人十一人が殺害。続く一九七六年、昭和五十一年のモントリオール・オリンピックは大赤字。そして一九八〇年、昭和五十五年のモスクワ・オリンピックは西側諸国のボイコットなど、この時期はオリンピック存亡の危機にあり、立候補都市もわずかでした。さらに四年後の一九八四年、昭和五十九年のロサンゼルス・オリンピックは、ロサンゼルス市民の八三%がオリンピックへの税金投入反対。こうして初めて地方自治体や中央政府だけでなく、民間企業の出資によるオリンピックが開催されました。
 当時、大会組織委員長だったピーター・ユベロスは、オリンピックを商業化した醜い資本主義の象徴だとさんざん批判されましたが、四百億円を超える黒字を生み出しました。何でもかんでも商業化したわけではなく、今日でもオリンピックスタジアムや選手のゼッケンには広告が一切入っていません。私は、このロサンゼルス・オリンピックが近代オリンピックの転換点であったと思います。
 そして今日、「日本だからできる、新しいオリンピック」、そのスローガンのもと、東京招致が進められています。この新しいとは、それまでの国威発揚型のオリンピックから、都市モデル提示型のオリンピックへのシフトを示すものだと私は理解しています。
 アメリカ大統領選挙は本年十一月四日に行われます。民主党のオバマ候補がシカゴのあるイリノイ州選出の連邦上院議員であることから、オバマ大統領誕生の暁には、二〇一六年夏季オリンピックの候補地はシカゴが有利になると評する人もいます。それはオバマ大統領が巧みなスピーチでIOC委員を、そして世界じゅうの人たちを、家族を連れてシカゴに行ってみたいとどれだけ思わせるかどうかにかかっています。オバマさんは当然熱が入るでしょう。
 だからといって、オバマ大統領誕生イコール、シカゴ当確ではありません。これまで述べてきたように、東京には都市としての潜在的な魅力があり、また世界の都市の抱える諸問題の解決方法の提示という明確なビジョンがあります。それをしっかりと伝えることができるならば、私は、IOC委員や世界じゅうの人たちが、家族を連れて東京に行ってみたいと思う可能性は十分あると思います。つまり、東京に勝機ありです。
 二〇一六年東京オリンピック招致に当たり、東京は何をアピールしていくのか、ご見解を伺います。

○荒川東京オリンピック・パラリンピック招致本部長 今、早坂先生の、東京に行ってみたいと思わせる、そのために最高の技術環境を用意し、観光地としての魅力も向上させていく、そして都市問題の解決方法を提案していくことが重要だと、こういうご指摘をいただきましたけれども、私も同感でございまして、我々の計画も、あるいは招致活動も、そうした方向で現在進めているところでございます。
 ただいまの先生のお話を受けまして、改めて何をアピールするかということを申し上げたいと思います。
 オリンピック・パラリンピックというのは、皆様ご存じのとおり、選手にとっては四年に一度の世界最大のスポーツの祭典でございます。同時に、開催する国、都市にとっては、最大のPRの舞台になるものでございます。さらには、その舞台をつくる過程で、都市や国のあり方を変革させていく最大のチャンスである、このような三つの性格があるのではないかというように思っております。
 ことしの夏の北京大会を見ましても、世界じゅうが中国に注目し、一方で中国国民も世界の人々と接触して世界を知り、また中国全体として新たな発展が期待されているところでございます。
 八年後の東京招致が実現いたしますれば、日本、東京を大いに世界にPRするチャンス、変革するチャンスになると確信しております。つまり、東京オリンピック・パラリンピックの招致開催は、環境都市など東京が示す十年後の新しい都市モデルや、コンパクトで効率的な競技会場の提案を通じまして、日本、東京の持つすばらしい技術力、文化力、環境政策を世界に訴えることができると思います。
 また、オリンピック・パラリンピックによる大きな経済効果の発揮、希薄になった人と人との結びつきの回復などの社会変革を通じまして、停滞した日本を元気にしていくことができるというふうに思います。そして、このような新しい日本、東京を、オリンピック・パラリンピックの感動とともに、子どもや孫たちに残すことができる、このような意義があることを今後とも強く国の内外にアピールしていきたいと思います。
 都議会のご理解とご協力をよろしくお願い申し上げます。

○高倉委員 東京へのオリンピック・パラリンピックの招致につきましては、やはり何といってもこれから機運をさらに盛り上げていくということが大変重要ではないかというふうに思っております。
 北京オリンピックにおきましても、夏季大会での日本選手の目覚ましい活躍がありまして、二〇一六年の招致機運盛り上げの大きな要素になったのではないかと思います。
 例えば女子のソフトボール。本当に念願の金メダルを取ったわけでありますが、次回からは、今度は種目から外れる。しかし、何とかまた二〇一六年に復活をしたい、そういったことで、試合が終わった後、選手がグラウンドにボールを並べて、二〇一六年、しかもそれが東京であれば、なおのことすごいのではないか、こんなような思いを持ったのは私だけでは多分ないと思います。
 その一方で、夏季大会直後の九月に開催をされました北京のパラリンピック、これにおいても日本選手の活躍が大きな感動を呼んだと思います。私も実はこの北京パラリンピックで旗手を務めた選手に事前にお会いをいたしまして、ともかく本当に頑張っていただきたい、こんなエールを送らさせていただきましたけれども、大変さわやかな決意を語っていらっしゃいまして、なかなか存在感があったような印象がございます。
 そこで、オリンピック、そしてパラリンピックを東京に招致する、特にパラリンピックを東京に招致をしていくという面から、招致機運の盛り上げを図るためにどのようなことに取り組んできたのかについて、お伺いしたいと思います。

○並木企画部長 パラリンピックにおきましても、オリンピック招致と一体的に取り組んでいくことを示すために、本年七月一日付で招致本部及び招致委員会とも、パラリンピックの名称を加えたところでございます。
 委員からもございました北京パラリンピックでございますけれども、日本パラリンピック協会と共同いたしまして、また福祉保健局と連携し、北京市内にジャパンブースを設置し、来年東京で開催される予定のアジアユースパラゲームズのPRを行うとともに、二〇一六年のパラリンピック東京開催のPRを積極的に展開したところでございます。
 少々時間はさかのぼりますが、六月十二日には、招致委員会には、東京の招致計画にアスリートの意見を反映させるため、アスリート委員会を発足し、全十七名委員のうち、五名のパラリンピアンに就任いただきました。七月には実際の競技会場予定地等を視察し、アスリートならではの視点からご意見をちょうだいしたところでございます。
 さらに、夏の東北三大祭りにおきましては、陸上の女子走り幅跳びの佐藤真海選手、十月二日の開催都市決定一年前イベントにおきましては鈴木孝幸選手、十二日の東京丸の内ストリートスタジアムには女子車いすバスケットボールの川上理恵さん、添田智恵さん、十九日からついこの間二十一日まで西口広場で実施いたしました招致のイベントでは、車いすの陸上の金メダリスト、伊藤智也さんに貴重な体験をお話しいただいたところでございます。

○高倉委員 さまざまな積極的な取り組みをしていらっしゃることについては、心から敬意を表したいと思っております。
 招致委員会におきましても、国際的な招致活動、また全国における広報・啓発活動等々に積極的に取り組んでいるわけであります。この招致活動の展開に向けましては、招致大使が任命をされまして、オリンピアンあるいは著名なスポーツ選手等々が積極的に活発に活動をされているわけであります。
 また、招致ふるさと特使というのが任命をされておりまして、それぞれ各地のイベントにおいて活躍をしていただいております。そうした皆さんの献身的な活動についても、あわせて心から敬意を表したいと思います。
 二〇一六年の東京招致の機運を、特に来年に向けてこれからさらに盛り上げていくに当たっては、こうした活動も含めて、広く国民、都民の協力を得ていく必要があろうかと思っております。
 その中で、パラリンピアンの方々にもさらにできるだけ活動していただく、また協力をしていただく、そういう舞台が広がるような取り組みをさらに一段と強化をしていただきたいというふうに思うわけですけれども、最後に本部長の所見をお伺いしたいと思います。

○荒川東京オリンピック・パラリンピック招致本部長 短期間でございましたけれども、この夏の北京のパラリンピックを見てまいりました。競技場ですとか、あるいは選手村に伺いましたけれども、選手が障害を持ちながらも、その障害を乗り越えて、目標達成に向けて挑戦している姿、こういうものを見ますと、単にスポーツ大会のイベント性あるいはエンターテインメント性というものを乗り越えた、何か人生そのものに勇気を与えてくれるような大きな力を感じ取ることができました。
 また、障害者スポーツの競技性が非常に高まりまして、健常者の競技と見間違えるような迫力も感じることもございました。こうした感動を多くの都民、国民に共有してもらうことは、東京招致、日本招致に対する機運を盛り上げる上で大いに有意義であるというふうに思います。
 これからの一年は招致に向けた最後の追い込みでございます。ご指摘のようにできるだけ多くのパラリンピアンに招致PRやイベントに参加してもらいまして、日本、東京での開催の意義を訴えてまいりたいと思います。

○たぞえ委員 それでは、十九年度の招致本部の決算について質問したいと思います。
 十九年二月八日に開かれた都議会オリンピック招致委員会で、私は、十九年度に行う国際スポーツ大会への七億円投入の補助金支援事業について、国際競技のみに絞り込むことは公平なスポーツ振興とかけ離れていると指摘をしましたが、この支援事業、七億円はどう実行したのか、説明いただきたいと思います。

○中村招致推進部長 十九年度の国際スポーツ大会支援事業についてでございますが、この事業につきましては、国際競技大会の招致について、それについて支援をしながら招致していこうというものでございます。
 ところが、この大会、この予算を通していただきました新年度になりましてすぐに、正確には十九年四月の二十五日ですが、IOCのジャック・ロゲ会長が、五輪招致を表明している都市による主要国際競技大会の開催誘致を禁止する方針であるというコメントが出されました。これによりまして、新たな国際競技大会の招致を控えることとなりました。
 また、既に開催が決まっております大会についての補助も、こうした背景をもとに、特に申請というものはございませんでした。
 ロゲ会長のこのコメントは新年に入ってからのものでありまして、十九年度の予算要求の時点では知り得なかったものでございますために、十九年度の国際招致事業の七億円についての支出はございませんでした。

○たぞえ委員 あれだけ特別委員会で支援をすると、こういうふうに答弁されて大騒ぎになったわけですが、結果的に一つもない。なぜ競技大会側から手が挙がらないのか、もう一度説明いただきたいと思います。

○中村招致推進部長 先ほども答弁申し上げましたけれども、これはIOCのロゲ会長というIOCの最高責任者の方が、国際競技大会の招致活動、特にオリンピックの招致都市について控えるというようなコメントがございましたので、これに基づきまして、各競技団体の申請もございませんでした。

○たぞえ委員 もともと予算を組んだ招致本部が、東京を中心にした大会に一競技五千万ということで説明されたわけですよ。IOCの会長云々ではなくて、そういう射程距離を置いて支援するんだといっていた。ところが、その競技大会側から、結局は、実態としては相手にされなかったんです。
 しかも、決算書によると、国際スポーツ大会支援事業の予算現額は七億円ではなくて、四億三千五百万円をほかに流用して、二億六千五百万円と形を残しましたが、それも執行額はゼロ円、執行率はゼロ%です。
 もともと私も指摘をしてまいりましたが、東京都は地域のスポーツ振興には大変力を注がず、国際大会も、招致も支援もしてきませんでした。それがオリンピックだからといって、国際大会だということでお金を増す、そういう事態でした。そんなことは初めからわかっているのに、議会でそうした報告をして通す。都民の税金を使う方法として、大変問題だと思います。
 当初予算では、招致事業の中の申請ファイルは当初幾らで予算化していたのか。また、この予算額はもともと妥当と考えていたのか。いかがですか。

○中村招致推進部長 十九年度の申請ファイルの当初予算額は二億八千万円でありました。申請ファイルの当初予算額につきましては、まだまだ我々も未知のことが多く、その中で予算を編成してきたものでございますが、この時点におきましては、二億八千万円という金額は我々としては出せる、この時点におきましてはベターなものと考えております。

○たぞえ委員 では、決算ではどういう推移になったんでしょうか。

○中村招致推進部長 決算額は七億四千七百万円でございます。

○たぞえ委員 その差は四億六千七百万円、予算より二・六倍に膨れました。三分の二は流用しなければつくれなかったということです。
 国際スポーツ大会で減らした四億三千五百万円が、丸々申請ファイル代に化けてしまった。仮に国際大会で全部使ったらどうするつもりだったんでしょうか。ファイルの委託に支障が生まれ、そういう綱渡りの予算ではなかったかといわざるを得ません。
 他の局の公共事業で、予算が年度内に二倍、三倍になるという例は、私は聞いたことがありません。予算の鉄則からも外れているといわざるを得ないのです。なぜ申請ファイル委託の経費がこんなにもふえたんですか。

○中村招致推進部長 申請ファイルの原案の作成を進める中で、海外の専門家、アドバイザーなどを通じて多くの情報を収集したところ、IOCが各都市の申請ファイルを評価するに当たり、特に重視する項目が判明いたしました。このため、IOCの高い評価を得るファイルを作成すべく、広範な調査分析を行う必要性から経費がふえたものでございます。
 具体的には、輸送計画においては、道路の交通量や鉄道の駅の処理能力について極めて詳細な調査を実施しました。また、宿泊施設については、東京ばかりではなく、半径五十キロ圏、さらには大阪市、札幌市などのホテルについても実地調査を行い、また、安全、環境、財政などについても詳細な調査を行いました。
 これらによって、これで得られました十分なバックデータに基づき、精度の高い、すぐれた申請ファイルを作成することができたと考えております。
 その結果、去る六月に発表されましたIOCの理事会の作業部会の報告におきましては、東京の申請ファイルが、申請都市七都市の中の総合評価で第一位となったものでございます。

○たぞえ委員 その申請ファイルですが、ファイルなど作成にかかった業務委託を受け入れた相手はどこでしょうか。

○中村招致推進部長 申請ファイルの原案の作成に当たりまして委託いたしました契約相手先は、電通、ユーテック等でございます。

○たぞえ委員 その電通とは、申請ファイルについて、一般競争入札なのか随意契約なのか、どちらの方法で契約を結んだんですか。

○中村招致推進部長 随意契約によって契約してございます。

○たぞえ委員 先ほど宿泊施設、札幌まで調査に行ったとかお話しされましたけれども、結局、ずるずるずるずる毎年同じところに委託をしなきゃいけない。十九年度、招致本部は八億二千万円のいろいろな契約を行っていますけれども、電通関連企業とは、十九年度契約の件数と額はどうだったのか、示していただきたい。

○並木企画部長 十九年度の委託契約でございますけれども、電通に契約したものが、件数でいいますと全部で七件、契約金額で七億六千七百万円でございます。--済みません、契約件数ですけれども、全部で六件でございます。先ほどのユーテックを入れて七件ですので、六件でございます。

○たぞえ委員 一つの企業に契約が四割近く集中して、金額でも、電通に九三%が集中している。そのほかの六割は、いただいた資料ですと、数万円とか数十万円とか、東京味の素スタジアム直営ですとか、こういう状況です。
 一つの電通に、随意契約で去年もことしもと。そして、その企業に仕事が契約の四割、金額の九割以上も委託をされるということ自身が、私はおかしいと思います。委託を受けた電通は、予算の枠のことなんか何にも心配なくて、幾らでも予定価格よりも上がれば、どんどんそれを請求出してくる。その経費といえば、国際大会で使いますと都民には公表してきたあのお金を、結局ずるずる流し込んでいる。一連のそういう実態です。いいかげんな税金の使い方といわれても仕方ないんじゃないでしょうか。
 次に、当初予算で東京オリンピック招致委員会への事業費補助は計上していなかったと思いますが、どうでしょうか。

○並木企画部長 特定非営利法人東京オリンピック招致委員会への補助でございますけれども、オリンピック招致事業につきましては、都と戦略的、効果的に招致活動を行うことを目的に招致委員会が設置され、綿密に連携して事業を進めていたところでございますが、都と当該委員会との役割分担に基づきまして、民間のノウハウを活用する。これが効果的な事業につきまして、補正予算によりまして事業費の補助を行ったところでございます。

○中村招致推進部長 先ほど電通への委託の話が出ましたので、ちょっと答弁させていただきます。
 電通を委託先とした理由ですが、冬季オリンピック競技大会の招致運営の中心にかかわっていた実績があること、また、IOCの公式スポンサーの関係業務を行っていること、過去のオリンピック・パラリンピック競技大会に関する情報に精通していること、オリンピック・パラリンピック招致に関して、人的なネットワークを既に構築していること、オリンピック以外にも、国際的な陸上、競泳、サッカーなどの主要な大規模スポーツイベントの運営、マーケティング等にもかかわっていることなどの総合的な判断から電通としたものでございます。

○たぞえ委員 要するに電通しかないわけですね、この事業は。
 私、先ほどの質問で、当初予算では計上したのかという質問をしましたが、それについて、お答えをきちんといただきたいと思います。

○並木企画部長 オリンピック招致委員会の事業費補助の金額でよろしいですか。(たぞえ委員「はい」と呼ぶ)
 オリンピック招致委員会の事業費補助につきましては、これは当初予算では計上してございませんで、補正予算で十九年度計上させていただいております。

○たぞえ委員 そうです。議会の報告でも、招致委員会事業費補助はゼロ円。こういうことで議会の承認を求めてきたんです。ところが、年度の最後の補正で、招致委員会への支援は七億三千六百万円もの予算がつきましたが、なぜですか。

○並木企画部長 先ほどご答弁をさせていただきましたが、オリンピック招致委員会とオリンピック招致本部と、都との役割分担に基づきまして、民間のノウハウの活用をすることが効果的、そういう事業につきましては招致委員会が実施することとし、これに対して補助を行ったものでございます。

○たぞえ委員 予算を審議する議会での説明ではなかった。しかし、予算が執行した月に入ったら補正でお金をつける。これは十円、二十円の世界の話じゃないです。一つの委員会という大きな組織に億というお金を入れるわけですから、そんな大事なことを、連携が必要だということだけで使われていいんでしょうか。
 二十年一月にIOCに提出した申請ファイルの中で、招致に必要な経費は民間資金と東京都の資金提供により行う。これは全体で五十五億円を予定して、そのうち民間資金は二十四億円集めて、東京都は税金を使って三十一億円と、こういうふうに申請ファイルには記載されています。IOCの皆さんは、そういう資金繰りで東京は招致を行うんだなと、こういうふうに見ていたんじゃないでしょうか。
 その後、三月末に新たな考え方が示されて、全体の招致費は百五十億円。内訳は、招致本部が七十五億円、招致委員会が七十五億円。そのうち二十五億円は、東京都が直接補助金を出す。そういう方向に転換をしました。
 十九年度の民間からの資金はどのぐらい集まったんでしょうか、伺います。

○並木企画部長 十九年度末までに、招致委員会が収入済みといたしました金額は五億五千五百万円でございます。

○たぞえ委員 今、答弁で五億五千五百七十八万円といわれましたけれども、きょう委員会に提出されている資料でも、民間からの資金の受け入れは、寄附金四億八千四百五十万円、協賛金七千百二十六万円となっております。招致委員会が民間から集める五十億円とは相当遠い数字だと思うんです。なぜ集まらないんですか。

○並木企画部長 ただいまの数字でございますけれども、この数字は十九年度中に寄附や協賛の契約がまとまりまして、十九年度中に収入した額でございます。収入時期につきましては、個々の企業との契約によりまして、一括寄附や数年にわたって分割して納付される場合がございます。二十一年度までには順次会計上の手続を行ってまいります。

○たぞえ委員 来年、二〇一六年の都市が絞り込まれるのが十月です。実にあと一年足らずということになるわけですが、残りの約四十五億円、確保できると、こういうふうに確信をしているんですか。

○並木企画部長 民間の資金の確保についてでございますけれども、先ほど来ご答弁させていただきますが、収入済額が五億五千万円ということでございまして、既に五十億円の大半を占める額については、民間からの資金の提供が約束されてございます。したがいまして、今後引き続き、民間企業、経済界に対しまして、オリンピック・パラリンピックの開催意義や効果をPRしまして、予定の民間資金、十分調達できるものと確信してございます。

○たぞえ委員 約束されている、心配ない、こういうふうにおっしゃいましたが、じゃ、いつ入ってくるんですか、五十億円、すべての全額について。来年十月までに確実に入ると、今都議会に約束できるんでしょうか。

○並木企画部長 民間資金の五十億円につきましては、来年の十月の開催都市決定まで、ここまでに全力を挙げて五十億を確保すると一定のめどがついておりますので、あとは自信を持って調達できると思っています。
   〔「金融不安だからな」と呼ぶ者あり〕

○たぞえ委員 まあね、約束をされてても、やっぱり今、ほかの委員の方から意見出たけどね、本当にやる気を消すような経済状況ですよ。領収書を発行しているわけでもないし、お互いに契約書を取り交わしたわけでもないし、覚書をつくったわけでもないし、やっぱり願望だけじゃ、これは進まないと思います。
 結局、民間からの資金が集まらないために、補正予算で組んで、七億三千六百万円もの税金を招致委員会につぎ込まなきゃいけなかった。そういう事実ですよ。招致委員会の事業費は、民間からの寄附金と賛助金で賄うから税金の心配ない、こういっていましたが、それだけの投入が行われていった。
 それでも足らないから、委員会と招致本部は協調路線だからというので、委員会の事業を本部が請け負うということもいろいろ実施されているようです。結局、どんどん税金投入が膨れ上がって、他の局に比べて、オリンピック招致への税金の使われ方、私は聖域になっているといわざるを得ません。
 東京都が四都市に絞り込まれる直前に行った、都政に関する東京都の都民アンケートが行われました。東京都のアンケートです。文京区の三十代の女性の方はこういっています。正直、オリンピックにお金をかけるなら、子育ての手当を充実してほしい、こういう意見が東京都の文書で配布されました。
 都立駒沢オリンピック競技場の、今観覧席が雨漏りして、その真下のトレーニングルームが当分使えないという状況に置かれています。医者が足らなくて、たらい回しで都民が死亡する事件。都の都立病院のあり方が都民から疑問視されております。
 仮に医師一人約二千万円を想定した人件費で医師の確保を行えば、国際競技大会の経費七億円で、三十五人の医師を確保できるお金なんですよ。東京都全体としたら、こうした分野にこそ、私は税金をきちんと使うこと、そういうことで都民の潤いをつくっていくことこそ急がれるんじゃないでしょうか。実行できない予算を組んで、ほかに流用して、さらに全部使い残す。こんな使い方はあり得ないと思います。
 本部長に伺いますけれども、あなたを先頭に進めているこの招致活動、予算の土台の信憑性が問われる重大な十九年度の決算だと思います。コンパクトな大会をやるといいますけれども、お金の分野ではどんどんどんどんと広がっていく。全くコンパクトといえません。庶民感覚からいっても信じがたい事実だと私思いますが、本部長の見解を伺います。

○並木企画部長 先ほど来の質問の答弁の中で、ちょっと認識が違うものがございますので、追加でご説明させていただきます。
 補正予算につきましては、ことしの第一定例会の委員会でご審議をいただいてございます。その中で、招致委員会に対しまして、新たな事業を展開する分については補助を行うということでございますので、委員会を無視して補正をしたということはございませんので、その辺は追加します。
 あともう一点でございますけれども、先ほど申請ファイルのお話が出ましたけれども、申請ファイルの数字と、それから招致経費五十五億円、招致活動費百五十億円ですか、この関係は直接関係ございませんで、二十年の三月の補正で、招致経費五十五億円、招致活動経費百五十億円というふうに増額したものでございます。

○荒川東京オリンピック・パラリンピック招致本部長 今、たぞえ先生からお話がありましたけれども、何かむだな金をオリンピック招致の中につぎ込んでいるというふうなお話がございましたけれども、決してそんなことはございませんで、きちっと我々は議会の方に予算を提案し、それを審議していただいて認めていただいているというふうに理解しております。
 また、確かに当初の予算では入らなかった招致委員会への補助金につきましても、補正という形できちっとした手続で議会に提案し、ご審議いただいて認めていただいている。また、その執行についても、できるだけ明らかにしながら進めていくつもりでございまして、一切そのような秘密のような、何か勝手に専決処分でどんどんやっているというようなことは全くございません。
 それから、五十億円につきましても、何も願望ではございませんで、たまたま今の時点で、相手があることで数字が発表できないだけでございまして、それぞれの年度末、昨年度末あるいは、たしか二定の中だと思いますけれども、そういった中で、うちの部長たちあるいは私の方から、現状どのぐらいまで集まっているかというのをお話しさせていただいたわけでございまして、現在についても、たまたま話が、ちょっと今、申しわけございません、出せませんけれども、差し控えさせていただきますが、きちっと必要な民間資金については集めております。
 ぜひとも今後ともご支援をいただきたいと思います。

○たぞえ委員 きょうは十九年度の決算についての審議ですので、現行二十年度のオリンピック招致のあり方については、改めて事務事業概要で質疑をすることになると思います。
 この十九年度、申請ファイルを出した年でもあり、スタートの大変大事なときにもかかわらず、予算編成に当たって、途中で年度のおしまいに補正をつけなきゃいけないとか、それから、申請ファイルをつくるのに、当初予算よりも数倍の変更をしなきゃいけないとか、このオリンピック招致が、そういう難題を抱えて十九年度は動いたということではあると思います。決算で承認してほしいという提案でありますけれども、幾つか聞いてきた見解の中では、到底私どもは承認することができないということを申し上げて、質問を終わります。

○矢島委員長 ほかに発言がなければ、お諮りをいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これに異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○矢島委員長 異議なしと認め、本件に対する質疑は終了いたしました。
 以上で東京オリンピック・パラリンピック招致本部関係を終わります。
 この際、議事の都合により、おおむね十分間休憩をいたします。
   午後二時四十五分休憩

   午後二時五十六分開議

○矢島委員長 休憩前に引き続き分科会を開きます。
 これより財務局関係に入ります。
 決算の審査を行います。
 平成十九年度東京都一般会計決算中、財務局所管分、平成十九年度東京都用地会計決算及び平成十九年度東京都公債費会計決算を一括して議題といたします。
 本件につきましては、既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○塚本経理部長 それでは私から、先日の分科会において要求のございました資料につきましてご説明申し上げます。
 恐れ入りますが、お手元の平成十九年度各会計決算特別委員会第一分科会要求資料をごらんください。
 最初に、表紙をおめくりください。
 今回要求のございました資料は、目次に記載しておりますとおり、八件でございます。
 一枚おめくりいただきまして、要求資料第1号、入札不調発生状況をごらんください。
 平成十五年度から十九年度までにおける公営企業分を除く都全体の工事での入札不調につきまして、件数と予定価格及び発生率をお示ししたものでございます。
 次のページをお開き願います。要求資料第2号、低入札価格調査実績でございます。
 平成十五年度から十九年度までにおける公営企業分を除く都全体の工事で、低入札価格調査制度の適用される工事の対象件数、調査実施件数、契約締結件数、発生率をお示ししたものでございます。
 次のページをお開き願います。要求資料第3号、複数年度工事契約実績でございます。
 平成十五年度から十九年度までにおける公営企業分を除く都全体の工事での単年度、複数年度、それぞれの件数と予定価格をお示ししたものでございます。
 次のページをお開き願います。要求資料第4号、未利用都有地の暫定利用状況でございます。
 平成十七年から二十年までにおける未利用都有地及び暫定利用について、それぞれの件数及び面積をお示ししたものでございます。
 なお、平成十七年から十九年までは十二月末現在、二十年は九月末現在をお示ししてございます。
 次のページをお開き願います。要求資料第5号、中小企業受注実績(十年間)でございます。
 平成十年度から十九年度までにおける公営企業分を含む都全体での工事関係及び物品関係の中小企業の受注実績につきまして、件数と金額を集計したものでございます。
 次のページをお開き願います。要求資料第6号、平成十九年度中小企業受注実績(局別)でございます。
 平成十九年度における工事関係及び物品関係の中小企業の受注実績につきまして、それぞれ局別に件数と金額をお示ししたものでございます。
 次のページをお開き願います。要求資料第7号、国直轄事業負担金の推移(普通会計決算)でございます。
 平成十五年度から十九年度までの国直轄事業負担金の決算額をお示ししたものでございます。
 次のページをお開き願います。要求資料第8号、都債償還額及び減債基金残高の推移(一般会計)でございます。
 平成十年度から二十年度までの都債償還額及び減債基金残高をお示ししたものでございます。
 なお、平成十年度から十九年度までは決算ベース、二十年度は予算ベースでお示ししてございます。
 説明は以上でございます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○矢島委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含め、これより本件に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○鈴木委員 現在国において、総務省により、新地方公会計制度導入を、都道府県など人口三万人以上の都市では平成二十一年度秋を目途に、連結財務四表の整備または四表作成に必要な情報開示に取り組むこととされております。
 そうした中で、都は平成十八年度より、全国に先駆けて公会計制度を導入し、それに基づく決算は今回が二回目となります。ストック、資産、負債、資本をあらわす貸借対照表と、民間企業のフローをあらわす損益計算書に当たる行政コスト計算書、現金収受の状況を示したキャッシュ・フロー計算書、正味財産の変動状況を示した正味財産変動計算書の四表を作成したことにより、精度の高い財務諸表の経年比較が行われることとなり、職員のコスト意識や金利感覚が高まり、一層の効率化、効果的な行政運営が行えるようになっていくものと期待しております。
 遅きに失した国の取り組みに先駆け、まだ統一ルールの詳細が明確に示されていないながらも、積極的な姿勢は高く評価できるものであります。特に、先般報告のあった年次財務報告書では、昨年度に比べて、グラフを用いるなど前回からの改善に向けた努力の跡が見てとれます。
 また、もう一つの特徴として、コラムが掲載されていることが挙げられます。今回のコラムは、将来世代負担と今後の都債発行という話題で、内容も大変わかりやすく、興味深く読ませていただきました。
 そこで、今回の報告書にコラムを掲載した意図について、まずお伺いいたします。

○真田主計部長 景気減速によりまして厳しい税収環境が予想されておりますけれども、今後増大が見込まれる社会資本ストックの更新などに必要となる財源をいかに確保していくかは、都財政にとって大きな課題の一つであると認識しております。
 一方、都財政は、バブル崩壊後の急激な税収減への対応におきまして、徹底した内部努力によっても賄えない巨額の財源不足を補うために大量に発行しました都債の償還が、その後の財政運営の足かせとなったという苦い経験を持っております。
 今後、都内の生産年齢人口が減少に転じると予測される中にありまして、都税の減収局面で、都債の大量発行という過去にとった同様の手法をとるようなことになりますと、将来世代の負担が過大なものになるおそれがございます。
 こうしたことから、今回コラムでお示ししたのは、まさにそういう問題意識に基づいたものでございまして、生産年齢人口一人当たりの都債残高の推移を試算いたしまして、都債発行の適正な管理の必要性につきまして、より多くの都民の方に理解していただけるよう、わかりやすく説明したものでございます。

○鈴木委員 私も昨年の第三回定例会の一般質問でも申し上げましたが、都債は東京の未来づくりの貴重な財源であり、コラムにあるように、将来世代の負担に配慮しつつ、今後も適切に活用していくことが重要だという点については全く同感であります。
 そこで、今後の都債戦略に関連して、幾つか伺っていきたいと思います。
 まず、石原知事が就任してから、直近の十九年度決算までの都債発行額の推移についてお伺いいたします。

○真田主計部長 都債は、いうまでもなく世代間の負担の公平性の確保ですとか、あるいは負担の平準化を図る観点から、投資的経費などの財源として適切に活用しているところでございます。
 お尋ねの石原知事が就任する直前でございますけれども、その予算に基づきます平成十一年度一般会計決算で申し上げますと、七千二百六十五億円の都債を発行しておりました。
 その後、石原知事が就任いたしまして、最初に予算編成を行いました平成十二年度以降につきましては、財政再建推進プランに基づきまして、投資的経費を抑制するなどをしたことによりまして、都債発行が減少傾向となっております。
 その結果、都債発行額は、平成十二年度から十六年度におきましては三千億円台から四千億円台で推移しまして、十七年度は二千億円台となっております。
 また、平成十八年度以降は二千億円台をも下回りまして、直近の十九年度決算におきましては、財政状況や後年度の財政負担等を勘案いたしまして都債発行を抑制いたしました結果、発行額は千三百二億円となったところでございます。

○鈴木委員 都債発行額は、知事が就任する前に比べて大幅に減少していることがわかりました。ポイントは、この間の国による異常な低金利の状況にあっても、安易に都債の発行をふやさず、財政状況や後年度の財政負担等を勘案して発行していることであると思っております。
 あるエコノミストは、一九九〇年代を通しての大不況の時代を招いた原因は、単にバブルの後遺症というよりも、経済のグローバル化によるところが大きいと指摘しております。グローバル化により、中国などの新興国が、これまでの日本のシステムを追随して成長を開始したところにより、人件費や土地代の高い日本企業の競争力が失われるのは当然であり、日本の環境は、企業が生産活動を続ける環境ではなくなってしまったことがあると指摘されております。
 また、そんな環境のところにデフレを克服しようと従来どおりの低金利による需要喚起政策を続けても、デフレ克服の効果がなかったのは当然であり、それでも資金を市中に流し続け、その資金は不良債権処理に使われ、また、国民の資産デフレにより貯蓄率はどんどん低くなってしまい、さらにダブついたお金が米国の金融不安の一要因にもなっているといわれております。
 私は、今、独立した地方都市として大切なことは、これまでの世界の金利の歴史を踏まえ、当たり前の自然金利を前提とした財政運営が肝要なことと思っております。
 そこで、将来世代の負担をふやさないためには、都債の発行や残高の適切な管理が必要になりますが、都債の管理を行う上で、前提となる都債の償還の仕組みと都債残高の推移についてお伺いいたします。

○真田主計部長 都債は通常十年満期一括償還方式の市場公募債で借り入れまして、十年ごとにその一定割合を借りかえて、合計三十年間で償還する仕組みとなっております。このため、十年ごとに一定割合が減少するものの、借りかえられた部分につきましては三十年間続くこととなります。
 一般会計の都債残高は、先ほどお答え申し上げましたとおり、平成十二年度以降は発行を抑制基調といたしましたけれども、過去の大量発行の影響もございまして、十三年度末には、最大の七兆六千三百八十四億円まで膨らんだところでございます。
 しかし、その後はそういった抑制基調の効果もあらわれまして、減少傾向に転じまして、十九年度末におきましては六兆四千三百三十八億円と、一兆二千四十六億円の減となっております。
 なお、この間、都営住宅等事業会計など他会計との残高移管の影響もございましたので、これを考慮したとしましても、実質的には四千二百二十億円の減となっております。

○鈴木委員 財政運営において、コスト意識や、特に金利感覚は大変重要なポイントでありますし、金利は経済の体温といわれておりますが、このように行き過ぎた低金利によります実体経済による影響というものは大変大なものであり、当たり前のものであるという感覚を払拭することが、私は必要であると思っております。
 知事が就任してから都債の発行を抑制してきましたが、都債の償還の仕組みを踏まえると、一朝一夕に都債残高を減らすことは容易ではないことがまたよくわかりました。
 また、これまでの国による突然の減税や、東京富裕論による信じがたい暴挙が行われた中でも、継続的な取り組みにより、都債残高を減らしてきたことは高く評価できるものと思っております。
 一方、公債は税金手形であり、乱発すると破産するといわれているにもかかわらず、国債に大きく依存した財政運営をしている国は、ここ数年、先ほど指摘しましたように、低金利政策により、国債費を一定の水準に保っておりますが、今後、金利が自然金利に向けて上昇した場合、国債残高が危険水域に達している現況において、国は利払いの増などによる影響をもろに受け、一気に財政的に破綻状態に陥るおそれがあります。
 都は、国に先駆けて公会計制度改革に取り組み、将来世代の負担への配慮や金利感覚を持つなど、これまで堅実な対応を行ってきております。その結果、今後ストックとしての都債残高は、トレンドとして減少することと思いますが、フローである単年度の都債償還費の動向も気になるところであります。
 そこで、都債償還の見込みについてお伺いいたします。

○真田主計部長 平成十九年度までに既に発行いたしました都債の元金償還額について申し上げますと、二十四年度におきましては四千億円台まで減少いたしますけれども、バブル崩壊後に大量発行いたしました都債が償還を迎えます二十五年度におきましては八千億円台、二十六年度におきましても七千億円台となりまして、ピークを迎える見込みでございます。

○鈴木委員 「十年後の東京」の実現や少子高齢化の進展による財政需要増大が見込まれる中、必要とされる都民サービスを安定的に提供していくには、ある程度公債費を平準化し、財政の負担を軽減することが重要であると考えます。
 今後、先ほどの答弁にありました平成二十五年度元金償還額のピークに対し、これまで都としてどのように対応されてきたのか、お伺いいたします。

○真田主計部長 ただいま申し上げましたとおり、二十五年度には元金償還額のピークを迎えますので、それと償還時期が重なります市場公募の五年債の発行につきましては、平成二十年度予算におきまして見送ることといたしたところでございます。これによりまして、都債償還のピークをなだらかにいたしまして、償還額を平準化するとともに、利払い額の軽減も図られたところでございます。
 さらに、減債基金の積立不足の解消に向けました取り組みをこれまで続けてまいりました結果、十九年度決算におきまして積立不足を解消いたしました。減債基金への積み立ては、将来の財政負担を抑える効果がございまして、この適切な積み立てによりまして、各年度の元金償還に備えているところでございます。

○鈴木委員 都といたしましても、都債の元金償還がピークを迎えることに手をこまねいているわけではなく、発行を含めた都債管理に戦略的に取り組んでいることがよくわかりました。
 今後都財政は、金融危機を引き金にした実体経済の悪化により、税収が大幅に落ち込むリスクに直面していると思っております。こうした中にあっては、「十年後の東京」を初めとする東京の将来を見据えた施策の積極的な展開を支える財源として、都債の適切な活用がますます重要になると考えております。
 最後に、財務局長に今後の都債戦略についてお伺いし、質問を終わります。

○村山財務局長 確かに都債は、社会資本ストックの形成、更新等の重要な財源でございまして、世代間の負担の公平のための調整機能、一方では、財政負担を後年度に平準化するという財政負担の年度間調整機能という二つの機能を持っておるわけでございまして、その点で非常に有効な活用すべき手法でございます。
 しかし、一方、都債の活用に当たって重視しなければならない点といたしまして、ただいまるるご指摘いただきましたように、都債は、最初に発行してから、その発行したものを完全に全部償還するまでの間に、三十年間という非常に長い期間を要するものでございますので、そのため、仮に毎年毎年非常に多額の都債発行を継続的に行ってまいりますと、それが累積的に都債残高の増大ということを招きまして、一たんふえたりしますと、その後に、ある一時期頑張って一生懸命発行額を減らすという努力を短期間したとしても、そう簡単に累積した残高は減少に転じてこないということになります。
 その場合、もとより元金償還の負担が、毎年の負担もかかってまいりますし、ご指摘いただいたように、金利の上昇などによって、急激に利払い費が上昇していくというふうな不確定な要素もそれに加わりまして、非常に財政面での圧迫要因となって、他の一般行政経費の自由度というものを著しく制約する危険がございます。
 したがいまして、都債を活用するに当たりましては、そうした将来の世代の負担というふうなことにもちゃんと意を用いて、適正規模の発行という点にちゃんと注意をしながら、適切な管理をしなければいけないというふうに考えております。
 したがいまして、今後の都債の戦略といたしましては、バブル崩壊後の一時期に都債の大量発行をいたしまして、それが一生懸命、今都債発行残高自体は減らしているわけでございますけれども、実は元金償還額のピークが今後やってくるというような教訓をしっかりと踏まえまして、その時々の状況や後年度の財政負担を踏まえて、しっかりと都債の活用に努めてまいりたいと思っております。
 それから、やはり都債は一般のマーケットから調達するものでございますので、市場における都債の評価を高めるための投資家へのPRあるいは格付取得などについても、今後積極的に取り組んでまいりたい、かように考えております。

○斉藤委員 平成十九年度につきましては、主税局の方でも、ちょっと私、話をしたんですが、法人二税の一部国有化とか、春には新銀行東京の追加出資、そしてまた、オリンピックといった大きな金額、大きな数字が踊るようなことが東京都の方に多かった。また、法人税を初めとする税収そのものが大きかったということもあって、そういう話題が大変多くて、地方の方から見れば、先ほど話にもありましたように、東京富裕論みたいなものについては、むべなるかなというところがございます。
 ただ、そういった中で、都民目線のコスト意識というものを、逆にいえば、こういうときこそきちんと持った事業に取り組んでいただくというのは非常に大事なことだと思っております。
 その中で、二つの事業に関して、これはなかなか都民目線から見ても頑張ってほしい事業かなというところで選んで、質問をさせていただきます。
 平成十九年の六月に財務局が出しました、今後の財産利活用の指針というのがございます。これにつきましては、いわゆるコスト感覚を持った、コスト意識を高めた各局の主体的な財産利活用の推進、新たな公会計制度の導入など、世論の背景を受けての取り組み、これについては、私も前進というふうな形で評価をいたします。
 十九年六月という十カ月程度の話で、若干短いわけですけれども、この指針をまとめて、そして、今回本格的な財産利活用の取り組みを行ってきて、これまでどういうふうな形で実績を積み上げてきたか、この実績について伺います。

○松本財産運用部長 今後の財産利活用の指針は、財務局を含め、各局がその保有する財産の特性を踏まえまして、都の重要な施策と連動させながら利活用するなど、都有財産の価値を十分に発揮させるという視点から策定したものでございます。
 この指針を踏まえ、具体的には規模や立地などの特性を生かしまして、都税事務所などの庁舎敷地をコインパーキングとして貸し付けております。また、環境施策と連動いたしまして、通常の一・五倍の緑地創出を条件とした定期借地による普通財産の二十年にわたる長期貸付を行いました。さらに、太陽光発電など環境配慮型住宅の展示場の設置を条件とした行政財産の一時貸付などの取り組みも始めているところでございます。

○斉藤委員 ありがとうございます。
 多分件数的、箇所的には、私、九カ所ぐらいの話は伺っているんですが、まだまだ本当にこれからでありますが、一方で、今申しましたように、内容的にかなり工夫をされているということは認識いたします。
 私の住む多摩地域に関しては、これは事務所系の都の施設というよりは、むしろ入居入所系列などの施設が大変多いのが特徴であります。ただ、以前に福祉保健局の所管委員会の方で指摘させていただいたんですが、入居型の障害者の福祉施設など、そういった入居施設には、よく夜間の対応を含めて職員官舎などが併設されているんですが、それがなかなか、交通の便がそんなに悪いところでなければ結構空き室が目立っていて、担当局でも、活用に関しては視野に入っているというふうなことで、そのときは答弁をいただきました。こういったところなどは、地域の障害者のグループホームとか自立訓練の場などが欲しいという保護者の団体など、結構地域に帰っていくと、活用をアイデアとして持っているところというのは幾つかございます。
 また、一方で、都心部の方から見ればうらやましい話になってしまうんですが、都営住宅などについても、駐車場が割と余っていて契約者が若干少ないというところ、こういったところとか、また、私の地元に近い花小金井駅など、駅に近いところの合同庁舎などを見ると、かなり敷地が大きくて、コインパーキングとして若干入っても、さほど来客に対しては問題がないんじゃないかというような場所も具体的にございます。
 こういったところに関して、いろんなアイデアで、東京都ならでは、また、都民から見ても納得のいく活用をしていくというのは、これから先やっていかなければいけない話になると思います。
 今の質問で、具体的な取り組み例を答弁で示してもらったわけですけれども、特に各局の行政財産の利活用、財務局が直接ではなくて、各局がまだ所管をしていて、そして、その中で、その行政財産の利活用を促進していくというのは、直接やるときに比べて、若干財務局単独ではなかなか決められない部分があって、これは難しいところだと思うんですが、財務局としては、もっと各局に対して、より柔軟で高いレベルの活用というものを指南して、そして促進をしていくというふうなことが今後求められていくと思いますが、いかがでしょうか。

○松本財産運用部長 行政財産の利活用につきましては、所管する各局が主体的に取り組むことが重要であると考えております。
 このため財務局では、各局の取り組みを支援するため、庁内ホームページを活用いたしまして、法令の改正情報や先進的な貸付事例、利活用手順等を紹介しております。
 また、財務局と各局とが共同して利活用可能財産を把握いたしまして、活用する際の形態や、その市場性などの調査を行い、新たな利活用方法を提案するなど、個別の財産に対する具体的な支援も実施しております。
 今後とも、利活用ノウハウの提供等を通じて、各局との連携に努めてまいります。

○斉藤委員 恐らく都民の方から見れば、地域でふだんから見ていて、あそこは何で東京都の土地なんだろうとか、あそこは何であんなふうに余り人の出入りが少ないのに、建物ばかり大きいんだろうとか、それを見ながら、いろんなアイデアが地域の方にあるのが実態なんじゃないかなという気がいたします。
 そういった点では、財務局の今後の取り組みはぜひ頑張ってほしいところであると同時に、今のようないろんな市場性などについての調査などについても、恐らくなかなか職員の数といっても限度があるとは思いますが、テンポよく進めていただいて、そういった都民の目線で、東京都、頑張ってるなというふうに評価をいただくように、努力をしていただきたいと思います。
 さらにそういった意味で、もっと各局に利活用に関しての積極性を持たせるために、そこにさっきの環境とかのプラスアルファの施策を付加したり、当面の間は暫定に利活用、結構暫定利活用というふうになってくると、いろいろあの土地はどうなのか、この土地はもっと使ったらいいんだよとかというふうに、それこそ周辺の都民の方からのご意見が出てくると思うんですが、この暫定的な利活用、さらにはかつ収益の確保、また、各事業所所管局への利活用を誘うというような、そういう仕組みづくりが必要ではないかと思いますが、この仕組みに関して伺います。

○松本財産運用部長 各局が行う行政財産の利活用を促進していくためには、利活用を促すための環境整備が必要でございます。
 そのため、財産の借り手の拡大を図るべく規定を改正して、一時貸付の期間を見直しまして、一年以内だったものを五年まで貸し付けることを可能といたしました。
 また、庁舎、施設等の余裕敷地を民間事業者等へ貸し付けることによって得た収益を、一定の条件のもとで各局が活用できるような仕組みづくりも行ったところでございます。

○斉藤委員 今、答弁の中で、そこの施設、庁舎などで得た収益については、一定の条件下で各局が活用できるような仕組みにする。まさに現場にいれば、一応いろんな必要な予算というものがあるけれども、なかなかその現場では、確かに必要性がわかっていても、その予算要望を来年度に向けて要求していくといっても、なかなかそれは難しいところがあるし、何だかんだいっても、そういったものを職員のいろんなディスカッションの中で要求をしても、結局ははねられてしまって、何となくせっかく頑張っている現場でも、そこのところは少し意識が下がってしまうということがあります。
 そういった中で、こういった民間の事業者等への貸し付けなどで各局が活用できるというふうになると、また、まさにコスト意識の中で、違った角度でのアイデアが出てくるということは期待できるものでありますので、ぜひ進めていただきたいと思います。
 それで、行政財産の利活用の推進に向けて、新たな視点での取り組みの期待を今後するわけですけれども、この行政財産の利活用の、まだ一年をちょっと過ぎたところでございますので、今後の展望と課題について、どういったことが今後課題になっていくのか、ぜひ伺いたいと思います。

○松本財産運用部長 都有財産は都民から負託された貴重な財産であることから、効率的な利活用を図ることが必要でございます。また、平成十九年三月の地方自治法の改正で、行政財産の余裕スペースにつきまして、市場性を取り入れた活用の道が開かれたことにより、具体的な取り組みも始まっておりますけれども、まだ緒についたばかりでございます。
 こうしたことを踏まえまして、低利用な行政財産の利活用を一層推進していくため、財務局といたしましては、今後とも、各局の主体的な利活用を積極的に支援してまいります。

○斉藤委員 大きなお金じゃなくて、こういうふうに小さいけれども、その努力が報われるようなコスト意識、そしてまた、今後、財産の活用という点については頑張っていただきたいと思います。
 そして、もう一つのテーマで伺います。
 これもいわゆる大きなお金というよりは、むしろコスト意識というふうなことで共通なのかもしれませんが、行政評価について伺います。
 行政評価制度については、平成十七年度まで知事本局でやっていたものなんですけれども、その中で事務事業評価のところについては、平成十八年度、この財務局に移ってまいりました。移った理由と目的について改めて確認をいたします。

○真田主計部長 事務事業評価の財務局への移管でございますけれども、これにつきましては、予算編成の一環として明確に位置づけまして、事業のきめ細かな事後検証を行うことによりまして、その結果を予算に的確に反映させ、次の事業展開をより効果的、効率的なものにしていくという、いわゆるマネジメントサイクルの確立を目的として移管されたものでございます。
 なお、これに伴いまして、知事本局が平成十七年度までに実施しておりました事務事業評価のうち、見直し状況調査の対象となっておりました事業につきましても、財務局が引き継ぎまして、フォローアップを継続しているところでございます。

○斉藤委員 これは、行政評価並びに事務事業評価については、たまたま私の地元の小平の方の都立の薬用植物園が、これに対しての対象になったことで、一般の都民の方からも大変関心を寄せられて、私も随分いろんな資料をいただいたりしながら、仕組みについてお話をしたことがございます。
 実際に、今ホームページに出ているものを見ましても、多摩川の水源森林帯とか、またシルバーピアのワーデンなど、大変都民の方の一般的な関心の中で出てくるような話が主でございまして、こういった部分で、小さくてもコスト意識の中でいろいろ工夫をしていこうということは、逆に姿勢としては大変評価をいたします。
 ただ、なかなか難しいかなというふうなところの疑問もあります。実際にこのホームページを見させていただきまして、例えば、先ほど答弁にあったフォローアップ事業などについては、ホームページを見ますと、単に財務局、特に、財務局評価欄というのがこのフォローアップのところなんですが、行政事務的な技術、つまりこういうふうにやったら効率がいいというふうな行政事務的な面ばかりじゃなくて、最終的にはソフト面ばかりでなくてハード面、さらには事務的なものだけじゃなくて専門分野、こういったものについても言及をするような形になっております。
 例えば、さっき名前を出しました薬用植物園などは、日本唯一のケシ栽培の公開地というふうなことになっていたり、例がほかになくて専門性が物すごく高いというものも入っているわけです。
 こういった専門性を持ったものについて評価をしていくというのは、なかなかその担当局じゃないと、いい切ることが難しい。財務局が幾ら頑張っていっても、局から見れば、専門家の人たちを抱えている局のいう方が優先じゃないか。そういうことをいっても、何とも事務的なことならともかくとして、それ以外のことについては、いわれても困るよというようなことも感覚的にはあるんじゃないかと思います。
 実際にこのような専門性が高い事業について、財務局はどのような方法で評価をしているのか、伺います。

○真田主計部長 すべからく地方自治体は、最少の経費で最大の効果を上げることが地方自治法で求められておりまして、この法の趣旨にのっとりまして、あらゆる部署で事業の不断の見直しを実施しているところでございます。
 この事務事業評価につきましても、各局と財務局が連携いたしまして実施しておりますけれども、まずは専門性を有する各局が、その事業を所管する立場から自主的、技術的に事業の評価を行うことが基本となっております。
 その上で、財務局は全庁的な視点から、例えば事業の経緯ですとか必要性、都が担うべき業務かどうか、民間との役割等も含めまして、あるいは市町村との役割におきまして、そういう観点、さらには事業運営の効率性、費用対効果など、さまざまな角度から分析を行いまして、評価しているところでございます。

○斉藤委員 若干担当局と角度をずらしながら対応をするということでございますが、それでも最終的にそういったものをチェックしていく中で、財務局のサイドとして、各担当局の評価と意見が食い違うということもあるかと思います。
 どのようにその辺対処しているのか、お伺いします。

○真田主計部長 ただいまお答えしましたけれども、各局と財務局が連携して実施しておりますこの事務事業は、財務局と各局それぞれが、それぞれの立場に基づきまして評価を行うものでございますので、先生お話しのように、評価が一致しないという事例も出てくることは当然に想定されます。
 そうした場合におきましても、どのような対応をとることが、最終的に都民にとって最も望ましいのかという点につきまして、各局と財務局で本当にじっくりと議論いたしまして、最終的には、都としてどういう対応が一番望ましいのかという観点から判断していくことになります。

○斉藤委員 そういった中で、今のホームページで公開されたものについては、フォローアップ自体が終了ということで、一定の努力が見られたということで事業が終了しているもの--財務局のフォローアップ事業が終了しているものですね。対象になっている事業が終了したんじゃないんですけれども、そういったものが幾つか見られます。同時に、私の地元の案件も含めて、継続も若干ございます。
 最終的に継続、終了、このあたりの判断基準というのはどういったところにあるのか、財務局がどのように行っているのかを最後に伺いたいなと思います。

○真田主計部長 知事本局から引き継ぎましたフォローアップの対象となる事業につきましては、知事本局で行っておりました当時の評価に基づく各局の取り組み状況を調査いたしますとともに、都が評価を実施した時点から時間もたっておりますので、事業を取り巻く状況も変化しております。そういった状況の変化なども踏まえまして、適宜評価を行いまして、その結果を翌年度の予算に反映させております。
 その結果、具体的な取り組みが完了いたしました事業ですとか、あるいは各局との検討を重ねて一定の方向性が決まった事業などにつきましては、フォローアップを完了するということになります。

○斉藤委員 最後にもう一度いいますが、なかなかほかの局がやっていることに関して、いろいろ意見をしなければならないということには難しい部分もあります。ただ、こういった議論というものそのものについては、より都民にとって残してあげたいものについて、末永く事業が残っていくようにという配慮の中の一つのプロセスとして考えれば、こういった努力はそれなりに形になると思います。こういった非常に都民目線で、コスト意識については、これからもぜひこういった事業を含めていろんな形で残していただきたいと思います。
 また大きな数字の話については、改めての総括質問の中でしていきたいと思いますので、よろしくお願いします。
 以上です。

○高倉委員 十九年度は、これまでの財政再建に区切りをつけまして、決算の黒字基調を維持しつつ、将来を見据えて新しい時代を切り開こうとする一年であったと思います。都政の一つの転機でもありました昨年度の決算についてお伺いしたいと思います。
 我が党も、かねてよりその導入を主張してきました新たな公会計制度による年次財務報告書も二年目に入ったわけであります。先般報告がありました平成十九年度年次財務報告書においても、行政コスト計算書の当期収支差額、一・一兆円に上っております。
 大幅な黒字ということで、いわゆる東京富裕論の再燃というのが懸念をされているところでありますけれども、そこでまず、こうした当期収支差額の黒字をどのようにとらえていくべきなのか、このことについてお伺いしたいと思います。

○真田主計部長 行政コスト計算書におきます当期収支差額でございますけれども、これは経常的な行政サービス活動に係る収支差をあらわすものでございまして、民間企業の損益計算書の当期純利益に相当するものでございます。
 そういうことでございまして、当期収支差額の中には、社会資本の整備ですとか基金積み立てといったような投資活動、あるいは都債の元利償還といいますような財務活動に係る収支が含まれておりません。したがいまして、当期収支差額のこの黒字を活用いたしまして、道路や橋梁などの社会資本の整備あるいは将来事業に備えた基金の積み立て、あるいは都債の償還等の行政コスト計算書には反映されていない支出に充当されることになります。
 このように、当期収支差額の黒字は財政上の余剰を示すものではございませんで、まして、これをもって財政的に富裕であるということをあらわすものではないというふうに考えております。

○高倉委員 平成十九年度の決算は、三年連続の黒字決算ということになりましたけれども、黒字幅は前年度決算に比べまして大きく縮小して、都財政を取り巻く環境の潮目が変わりつつあるようであります。
 こうした中にあっては、当期収支の黒字を維持し、将来見込まれる財政需要にも適切に対処できるように、中長期的な視点から財政運営を行っていく必要性というのがますます高まってくると思います。
 そこで、将来への備えとして基金の積み立てを行ったということでありましたけれども、昨年度の主な積み立ての状況についてお伺いしたいと思います。

○真田主計部長 基金の積み立てにつきましては、いわゆる元金の積み立てと利子の積み立てがございますけれども、このうち元金の積立状況につきまして、昨年度の状況をご説明いたしますと、まず、年度間の財源調整を目的といたしました財政調整基金に一千四百五十五億円、それから、社会資本の更新等に備えました社会資本等整備基金に八十一億円を積み立てさせていただきました。
 また、今後の集中的、重点的な財源投入によりまして、積極的な政策展開が見込まれますスポーツ・文化、環境、福祉・医療の三つの分野で新たに基金を創設いたしまして、合計で一千二百三十八億円を積み立てさせていただきました。
 また、最終補正予算でお認めいただいたものでございますけれども、法人事業税の国税化による減収に備えた基金を創設いたしまして、歳入歳出両面の精査により、可能な限り財源を確保いたしまして、二千百八十五億円の積み立ても行ったところでございます。
 このほか、東京オリンピック・パラリンピック開催準備基金に一千億円の積み立てを行っております。

○高倉委員 今ご答弁をいただきましたけれども、基金の積み立てにつきましては、先行きの需要、確実に来る減収への対応、そういったさまざまな目的は異なるわけでありますけれども、歳入確保や歳出削減の努力の積み重ねによって行われたということであろうと思います。しかも、これは単にお金が余ったから積み立てるというものではないというふうに思います。
 その一方で、基金にため込み過ぎであるというような発言が、さきの第三回定例会でもございましたけれども、そこで、この基金積み立ての意義につきまして、もう一度わかりやすく説明をいただきたいと思います。

○真田主計部長 基金の積み立ては、今先生の方からもお話ございましたとおり、将来の税収減あるいは財政需要などに備えまして、年度間の財源調整を目的として行うものでございます。
 都の歳入構造は、景気の動向の影響を受けやすい法人二税のウエートが高くございまして、これまでも極めて不安定な形で増減をしております。さらに地方交付税の不交付団体である都の場合、税収減がそのまま歳入の減に直結することとなります。
 都はこうした財政構造を前提とした上で、みずからの責任において財源を確保し、必要な都民サービスを、中長期にわたって安定的かつ着実に提供していく責任を負っております。
 この責任を確実に果たしていくためには、税収変動の大きな波を吸収する手段といたしまして、また、将来の需要増への備えといたしまして、中長期的な視点に立った基金の活用が、他の自治体以上に重要であるというふうに考えております。

○高倉委員 私も以前にご質疑の中で、「アリとキリギリス」のお話に例えまして質問させていただいたことがございますけれども、今後予想される税収減といった冬の到来に備えて、今のうちから蓄えをしていくということが重要であるという点については、この童話の教訓というのが、都の財政運営にも当然当てはまるものであろうと思います。
 仮に必要な基金積み立てを行わずに、予想される需要への対策というのを講じないとすれば、将来の財政運営におきまして大変重大な影響を及ぼしかねないと思います。基金積み立てを否定的にとらえて、どんどん使ってしまえというのであれば、これは都財政の構造的特徴を十分に理解をしていないという安易な考え方ではないかというふうにも思うわけであります。米国発の金融危機に伴う景気後退がこれだけ進んでまいりますと、こうして積み立てた基金の力を早くも発揮せざるを得ない局面が早晩出てくるようなことも予想されると思います。
 そこで、今後の財政状況の見込みについての認識についてお伺いしておきたいと思います。

○真田主計部長 アメリカのサブプライムローン問題に端を発しました金融危機が、日本の実体経済にも深刻な影響を及ぼしつつございまして、現に東京都の法人二税の本年四月から六月までの収入実績を見ましても、前年同期と比べまして六百五十三億円、五・六%の減少となるなど、都財政を取り巻く環境の潮目は、先生のお話のように確実に変わってきているのかなというふうに考えております。
 景気動向の影響を受けやすい都税収入は、過去には、わずか三年間で一兆円も減少するなど構造的に不安定であるという特徴を持っておりまして、来年度からは、これに法人事業税の不合理な暫定措置によります三千億円程度の減収が加わることになります。また、歳出面では大規模施設の改築、改修ですとか、あるいは少子高齢社会の進展に伴う社会保障費ですとか、今後さまざまな財政需要の増大が見込まれております。
 このように、今後都財政を取り巻く状況は、歳入歳出の両面におきまして一層厳しくなっていくものというふうに認識しております。

○高倉委員 今ご答弁でも、今後の財政需要の増大が大変見込まれているという具体的なお話がありました。これはあくまで仮定の話ということでありますけれども、麻生総理が全治三年というふうにいわれました日本経済の景気後退による税収減が、これを楽観的に見積もって、毎年一千億円ずつ減り続けたというふうにしまして、三年間で六千億円程度。そしてこれに、当然早期に解消すべきものでありますけれども、法人事業税の暫定措置の影響が年間三千億円。三年で九千億円加わりますと、合計で一・五兆円もの減収要因になるということであります。
 さらに、今後十年間で八千億円程度必要というふうに見込まれている大規模施設の改築、改修に備えた基金の残高、これは二十年度での対応を含めましても、半分に満たない水準にとどまっているところだと思います。
 現在の活用可能な基金残高は一・六兆円であるということでありますけれども、まだまだ大変心もとない状況といわざるを得ないわけであります。こうした意味では、昨年度、基金の充実を図られたことについては、適切な判断であったというふうに評価をしたいと思います。
 これまで申し上げてまいりましたように、我が国を取り巻く経済状況は大変厳しいものがありまして、今後の財政運営のかじ取りはさらに困難をきわめていくというふうに思います。国に頼ることのできない東京都は、みずからの責任において、持続的、安定的な財政運営を行いつつ、都民が真に必要とする施策を継続的に、また着実に推進をしていく、こうした責務を負っていると思います。
 最後に、今後の財政状況が大変厳しくなることが見込まれる中にあって、中長期を見据えた財政運営をどう行っていこうとされているのか、局長にお伺いしたいと思います。

○村山財務局長 東京都の財政は、この数十年来、景気動向による激しい税収変動の荒波、それとどのように戦っていくのかということの繰り返しであったといっても過言ではないというふうに思っております。
 主計部長が今答弁申し上げましたとおり、税収だけで三年間で一兆円減収するというふうな状況というのもございましたわけでございまして、そのときはいろいろ努力はしているわけでございますけれども、やはりその基金を取り崩さなければ財政運営がなし得ないということで、平成元年度には約一兆円ございました活用可能な基金はほとんど取り崩しまして、平成九年度には、財政調整基金残高が十億円以下というような事態にまで、東京都の財政規模からすれば、ほとんどゼロに近いという状況まで陥るような事態もございました。
 そういうようなことによって、何とか都民サービスの水準を確保するということでやってきたわけでございますけれども、その九年度以降、翌年度以降ずっと平成十六年度まで赤字決算続きということになったわけでございます。
 この間、いろいろ都議会の皆様方のご協力もいただき、財政再建に努めてきた結果、そういう中で生じた、いわば過去の累積的な赤字要素というものについては、何とかそれを克服するというところまで来ているわけでございます。
 しかしながら、そういう税収変動に非常に影響を受けやすいという都財政の本質的な構造というもの自体は変わってないわけでございますし、さらに、今後の社会資本の更新時期を迎えてくるこれからの東京あるいは将来の東京に向けた都市づくり、都民生活が直面する課題への対応という財政需要の面からすれば、今後ますます需要面でもふえるというような状況もまた覚悟しなければならないと考えております。
 そうした中で、ただいまご指摘をいただきましたような、非常に厳しい今後の景気動向が想定されるような状況に現在直面をしておりまして、早期に解消すべきものではございますが、国の暫定措置による影響というのも、それにずどんと乗っかってくるというような状況に直面をいたしまして、これからまさに荒波といいましょうか、どういう波に、大きさになるかがまだわからないぐらいに、非常に不透明な状況の中で我々はやっていかなければならない。
 そのために、この間、それへの備えということで基金の充実を図ってきたわけでございますけれども、それがもうお話しいただきましたとおり、すぐにもそれらのためてきたものについて活用の段階に入らざるを得ないというような非常に潮目の激しい変化の中にございまして、率直に申し上げて、現在の一・六兆という額が十分であるというふうには全く申し上げられない状況にございます。
 したがいまして、私どもといたしましては、財政再建というのは、まさに都民のため、必要な施策をやるためにこの間努力してきたわけでございますので、その成果を無にしないように、今後その成果を活用してやっていくと同時に、気を引き締めながら財政運営をしっかりやって、都債の発行などについてもいろいろ考えをしながら、同時に、いろいろな支出面、収入面両方の事業についての事後検証などをしっかりしていきながら、都政の効率性を高め、必要があればそういった財政の力も適宜適切に活用しながら、しっかりと都民の期待にこたえられる財政運営を行っていきたい、かように決意しております。

○高倉委員 ただいま局長から大変力強い発言をいただきました。厳しい財政状況が続くことが見込まれているわけですけれども、引き続き積極的、堅実な財政運営が行われることを大いに期待をしまして、質問を終わりたいと思います。

○たぞえ委員 財務局が二十年二月に大規模施設等の改築・改修に関する実施方針を定めましたが、おおむね築三十六年経過している施設について、平成二十一年度から十年間費やして、これを実施するとしています。
 これまで特別支援学校などの都立学校や都立病院など、本格的な改築、改修が先送りされ、そのために老朽化を理由に、事業の施設の廃止がたびたび行われてきました。
 財政が厳しいというお話も先ほど来からありますが、必要な改築を先送りしてきたわけですが、一体どういうような影響が今後予測されるんでしょうか。

○金子建築保全部長 大規模施設の改築、改修につきましては、多額の経費が見込まれまして、これまでの財政再建の取り組みの中では、基本的に緊急的な改築、改修を中心に行ってまいりましたけれども、施設の経年劣化というものはとめることができないわけでございます。このままの状況が続きますと、施設の機能不全や安全性の低下によりまして、都民サービスに大きな影響を与えかねないというふうに考えております。
 そのため本年二月に、今後の主要施設の改築、改修に当たっての基本的な考え方を示す大規模施設等の改築・改修に関する実施方針を定めたところでございます。
 現在は、この方針に基づきまして、今後の十年間を対象といたしました主要施設の改築、改修計画の策定作業を進めておりまして、今後この計画に沿って、着実に施設の整備を行っていく予定でございます。

○たぞえ委員 施設の先送りが施設の機能を低下させ、あわせて安全性の低下や都民サービスの大きな影響があるということが起こる大変重大な事態が今まで続いてきたと思います。
 例えば都立青鳥特別支援学校久我山分校ですけれども、開設以来ずっとプレハブ校舎で、音楽室の太鼓の音が他の教室に流れる。そして、教室不足で他教室の分割使用が行われる。耐震化も十分じゃない。子どもたちにつらい思いをずっとさせてきました。八王子盲学校では、今の老朽化した校舎のために、トイレの換気が悪くて悪臭が絶えない、ドアがスムーズにあかない、体育館のフロアが傷んで危険と、父母からも指摘されるほどです。都が廃止した都立母子保健院は、これまで改修を怠ってきたことを棚上げにして、老朽化しているという理由で病院機能を停止させる、とんでもない手法でした。
 今後、大幅な税収減が見込まれる中で、改築計画を立てたが、予算がついてこない。だから、改築はやめて事業は中止する。そういう手法をこれからは繰り返すべきではないというふうに思います。
 経済情勢が不透明な中、都財政もどのようになっていくか不確定ですが、税収減と改築、改修のバランスをこれからどうとっていくのか、見解を伺います。

○金子建築保全部長 ただいまさまざま施設で改修を先送りして、いろんな弊害が出てきたというふうなお話ございましたけれども、やはり必要な手だてにつきましては、その都度とってきたというふうに考えております。
 経済情勢との関係でございますけれども、主要施設の改築、改修計画は、十カ年という中長期的なスパンのもとで、都民サービス提供のために不可欠な主要な施設について、改築、改修工事を確実に進めていくためのものでございます。この改築、改修にかかる経費の確保につきましては、景気動向の影響を受けやすい都の財政構造を前提といたしまして、二十年度予算で、社会資本等整備基金二千五百億円を積み立てているところでございます。
 なお、十カ年のうちには都政を取り巻く状況も大きく変化していくことが予想されます。そのため、計画期間につきましては、第一期を二十一年度から二十三年度、二期を二十四年度から二十六年度、三期を二十七年度から三十年度という形で、三期に分けまして、おおむね三年間で見直しを行うこととしております。これによりまして、各施設の工事着手に必要な条件整備の状況ですとか、都財政の状況などの変化に適切に対応し、改築、改修工事を着実に進めてまいります。

○たぞえ委員 十年間の長期計画ですから、三年ごとの見直しは当然だと思います。その根拠になっているのは資金確保だと思うんですね。しかし、その資金確保をするために、事業の廃止や縮小、組織の統廃合。こうして生み出した土地を、民間にスペースを提供していく。そして、その事業費を獲得するという方法を続けることがもしあれば、これは今までのスタンスと同じなんです。
 八千億円という基本基金をきちんと積んで、そのもとで事業計画を立て、三年ごとにその進捗状況をきちんと確認する。この方法以外のそういった事業の縮小廃止では、到底十年間でのスタンスでは進まないと私は思っています。
 最後に伺いますが、この実施方針では、民間手法を活用するといっておりますが、今後十年の間にPFI手法を用いて活用するといっていますが、こういう検討に踏み込んだ根拠は何なんでしょうか。

○塚本経理部長 民間資金の活用によって社会資本整備や公共サービスの提供を行うPFI事業は、財政負担の縮減と公共サービスの向上につながる有効な事業手法であり、都においても既に複数の事業に導入し、成果を上げているところでございます。
 大規模施設等の改築、改修につきましては、長期にわたって実施するものであり、事業内容も多岐にわたりますことから、個々の施設の状況を踏まえながら、PFIなど民間資本の活用あるいはその効果についてさまざまな検討を行い、実施していきたいと考えております。

○たぞえ委員 都立の病院等にもPFI手法が持ち込まれておりますが、既に実施をしている高知県などでは、医療、病院分野で破綻が拡大して、このPFI手法のあり方に大変疑問視が指摘されています。
 こういう手法を活用する一つの柱にすること自身、運営から建築まで、例えば府中に建設を予定しております都の小児救急医療センター、清水建設がPFIで事業をとりましたけれども、設計から建設から運営まですべて企業。しかし、その企業が、このご時世でどれだけ体力が続くか。その未知数があるもとで、そこに依拠、柱をどんと据えるというのは、大変不安定であり、危険な手法だというふうに思います。
 都民の暮らしに直結する、また、都民の生活に直結するこうした施設が、都がイニシアチブをとって改築、改修をきちんとできるように、ぜひ推進をしていただきたいというふうに思います。
 以上です。

○矢島委員長 ほかに発言がなければ、お諮りをいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これに異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○矢島委員長 異議なしと認め、本件に対する質疑は終了いたします。
 以上で財務局関係を終わります。
 これをもちまして本日の分科会を閉会いたします。
   午後三時五十九分散会

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