各会計決算特別委員会第二分科会速記録第五号

平成二十年十月二十九日(水曜日)
第十委員会室
   午後一時開議
 出席委員 十名
委員長山下 太郎君
副委員長神林  茂君
副委員長大山とも子君
遠藤  守君
吉倉 正美君
山口 文江君
吉田康一郎君
泉谷つよし君
田代ひろし君
村上 英子君

 欠席委員 なし

 出席説明員
教育庁教育長大原 正行君
次長影山 竹夫君
理事岩佐 哲男君
総務部長松田 芳和君
都立学校教育部長森口  純君
地域教育支援部長皆川 重次君
指導部長高野 敬三君
人事部長直原  裕君
福利厚生部長秦  正博君
教育政策担当部長石原 清志君
参事高畑 崇久君
参事中島  毅君

本日の会議に付した事件
 平成十九年度東京都各会計歳入歳出決算の認定について
教育庁関係
・平成十九年度東京都一般会計決算(質疑)

○山下委員長 ただいまから平成十九年度各会計決算特別委員会第二分科会を開会いたします。
 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、教育庁関係の決算に対する質疑を行います。
 これより教育庁関係に入ります。
 初めに、過日の分科会において紹介できませんでした幹部職員について、教育長から紹介があります。

○大原教育長 十月十日の当分科会を欠席させていただいておりました教育庁幹部職員を紹介させていただきます。
 参事で特別支援教育推進担当の高畑崇久でございます。
 どうぞよろしくお願いを申し上げます。
   〔理事者あいさつ〕

○山下委員長 紹介は終わりました。

○山下委員長 これより決算の審査を行います。
 平成十九年度東京都一般会計決算中、教育庁所管分を議題といたします。
 本件につきましては、既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○松田総務部長 去る十月十日の当分科会において要求のございました資料について、ご説明申し上げます。
 お手元の平成十九年度各会計決算特別委員会第二分科会要求資料の目次をお開き願います。ごらんいただきますように、今回要求のございました資料は十一件でございます。
 それでは、一ページをお開き願います。1、平成十九年度決算区分別執行状況でございます。
 平成十九年度決算における区分別の執行状況のうち、執行率が八〇%以下の事業につきましてお示しをしてございます。
 二ページをお開き願います。2、教育庁所管歳出予算決算状況及び一般会計に占める教育費の割合でございます。
 このページから次の三ページにかけまして、教育庁所管予算の項別の予算決算状況と、一般会計に占める教育費の割合について、過去十年間にわたりお示ししてございます。
 四ページをごらん願います。3、教育庁所管事業の廃止・終了及び見直しについてでございます。
 教育庁の所管事業のうち、平成十九年度をもって廃止・終了及び見直しを実施した事業名とその予算額についてお示ししてございます。
 五ページをごらん願います。4、都立高校の施設整備費の推移でございます。
 都立高等学校に係る校舎改築等の施設整備費の予算額、決算額について、過去十年間にわたりお示ししてございます。
 六ページをごらん願います。5、都立特別支援学校の施設整備費の推移でございます。
 都立特別支援学校に係る校舎改築等の施設整備費の予算額、決算額について、過去十年間にわたりお示しをしてございます。
 七ページをごらん願います。6、都立高校及び特別支援学校教員の在校年数別人数と平均在校年数でございます。
 校長、副校長、主幹教諭、教諭、養護教諭の別で、都立高校と都立特別支援学校の障害種別ごとに、それぞれ在校年数別人数と平均在校年数をお示ししてございます。
 八ページをごらん願います。7、都立学校の教職員定数配当基準及び教職員定数の推移でございます。
 このページから次の九ページにかけまして、都立高校及び都立特別支援学校の定数配当基準と主な推移を過去十年間にわたりお示しをしてございます。また、一〇ページでは、教職員定数の推移を校種別に過去十年間にわたりお示しをしてございます。
 一一ページをごらん願います。8、主幹選考の合格予定者数、受験者数、合格者数でございます。
 平成十四年度の主幹選考導入年度から平成二十年度にかけまして、選考年度別に、主幹選考における合格予定者数等の実績をお示ししてございます。
 一二ページをお開き願います。9、主幹の配置計画と配置数の実績、充足率でございます。
 都は、平成十五年度から主幹制度を導入し、その配置を行っておりますけれども、当初の配置計画をお示しするとともに、配置数とその充足率などの実績を任用年度ごとに校種別にお示しをしてございます。
 一三ページをお開き願います。10、自律経営推進予算額と一校当たり平均の推移でございます。
 都立高校及び都立特別支援学校における自律経営推進予算額と一校当たりの平均額を平成十七年度から平成十九年度の三カ年にわたりお示しをしてございます。
 一四ページをお開き願います。11、区市町村立小中学校普通教室の冷房設備設置状況でございます。
 区市町村立小中学校における普通教室への冷房設備設置状況についてお示しをしてございます。
 以上、簡単ではございますが、要求のございました資料の説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○山下委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めて、これより本件に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○神林委員 それでは、何点か質疑をいたします。
 東京に住む人たちが何を考え、どのような質の価値観や意識を持って生活を営んでいるのかは、決算上、数字や実績にはあらわしにくいことでございますが、都政を運営していく上で極めて大事なことでございます。したがって、当然、決算を評価する上においても重要な視点でございます。助け合える社会や内面的に充実した成果を生み出すには、ものづくりを重視することも大切でございますが、さらに大切なことは人づくり、人材の育成づくりでございます。こうした視点から何点かこれから質問を進めてまいります。
 まず、奉仕体験の活動の推進について伺います。
 決算説明書の九三ページ及び九七ページに項目がございますが、現在、社会の基本的なルールやマナーが身についていないなど、社会の一員としての自覚が薄い若者が多く見られるようになったという指摘がございます。
 一方、我が党が主張してきた教育基本法の全面的な改正が実現して、長年懸案であった公共の精神や伝統と文化の尊重などが盛り込まれ、当たり前の取り組みがようやく展開できることとなりました。
 今後、奉仕に関する体験活動などを家庭、学校、地域が連携して充実させることで、子どもが社会の発展に貢献できるよう育成していくことが大切であると考えております。このような都教育委員会が平成十九年度から全国に先駆けて、すべての都立高校で奉仕の授業を実施したことは、この教育基本法改正の趣旨にも合致していると考えております。
 そこで、改めて奉仕の授業はどのようなねらいで実施しているのか、まずお伺いいたします。

○高野指導部長 奉仕の授業は、生徒に思いやりの心や社会の一員としての自覚を身につけさせることなどをねらいとしておりまして、生徒が奉仕の理念や意義を学び、さまざまな連携先と協力して行う奉仕体験活動を通じまして、成就感や達成感を味わう中で、生涯にわたって社会に貢献できる資質を育成することを目指しております。

○神林委員 奉仕の授業の導入当初は、連携先の開拓などで各学校は苦労していたようでございますけれども、都教育委員会として、奉仕の授業の実施に当たって、それではどのような事業を行っていたのかお伺いいたします。

○高野指導部長 都教育委員会は、平成十七年度から奉仕のカリキュラム開発を行いまして、これをもとに、平成十八年度に奉仕の生徒用テキストを作成するとともに教員用の指導書を作成いたしまして、奉仕の基礎的、基本的な内容や指導のあり方などを示しております。
 また、奉仕の授業を導入した平成十九年度には、連携先の開拓や授業のプログラムづくりなどについて助言を行う教育支援コーディネーターを全日制と定時制、合わせて百三十六課程に派遣するなど、学校を支援してまいりました。

○神林委員 それでは、これは数量的にはなかなかあらわしにくい問題なのかもしれませんけれども、昨年度はどれくらいの生徒がどのような奉仕活動を行ってきたのか、これについてもお答えをお願いいたします。

○高野指導部長 平成十九年度には、四万五千人を超える生徒が地域清掃などの環境保全活動、高齢者の介助補助などの福祉施設での活動、あるいは東京マラソンでの給水や荷物預かりなどの文化、スポーツに関する運営補助の活動等、各学校が工夫したさまざまな奉仕体験活動を行ってまいりました。

○神林委員 今ご紹介いただいたのは恐らくごく一部だと思うんです。でも、そういう報告を聞いていますと、各学校で工夫してさまざまな奉仕体験の活動が活発に行われたと、こういうことは本当にすばらしいことだなというふうにも考えております。
 それでは、奉仕の授業では生徒にどのような成果が認められたのか、これもなかなか、全部いうには難しいことだと思いますが、発表をお願いいたします。

○高野指導部長 平成十九年度に生徒に実施したアンケート調査では、八〇%を超える生徒があいさつや言葉遣いなどのマナーが身についた、あるいは地域や社会の一員である自覚や今後も社会貢献を行おうという気持ちを持てたと回答してございます。
 また、具体的な生徒の感想といたしまして、自分が人のために何ができるのかを考えることができた、あるいは東京マラソンでランナーに、ありがとう、頑張ってねといわれて感動したなどがございまして、さらには連携先の意見として、活動を行っている生徒を見て商店街としても頑張らなくてはいけないと思ったといった感想をいただいております。
 このようなことから、生徒に人を思いやる心や社会の一員としての自覚が見られ、さらには、都民から評価される中で、今後も進んでみずから社会に貢献しようとする意欲の高まりが見られるなど、成果が上がってきているものと認識してございます。

○神林委員 すばらしいことばかりのご報告があったんですけれども、本当にしっかり見詰めなきゃいけない部分としては、こういう中にも若干でも何かデメリット的な回答が多分あったと思うんです。もしあったならば、やはりそういうものを真摯に受けとめていただいて、今後の活動にぜひ生かしていただきたいと思います。
 そこで、まだ始められたばかりのことでございますけれども、生徒は都民から感謝されたり励まされたりする中で、成就感や達成感を得て成長し、社会貢献への意欲を高めているということでございますので、都教育委員会の今後の取り組みについて伺います。

○高野指導部長 都教育委員会では、これまで奉仕体験活動に関するリーフレットをボランティアセンターあるいは社会福祉協議会などに配布することを通しまして、広く都民に生徒の活動の様子や成果を紹介してまいりました。
 今後は、奉仕体験活動の内容や成果を生徒自身が発表する奉仕体験活動フォーラムを実施いたしまして、都民の理解を深め、生徒がより意欲的に奉仕体験活動に取り組めるよう努めてまいりたいと思います。
 さらには、都民からの評価を指導に生かした実践事例集を各学校に紹介するなど、奉仕の授業がより一層充実するよう支援してまいりたいと思います。

○神林委員 よく、奉仕活動は強制すべきものではなく自発的に行うものであるという人がおりますが、それはきちんと奉仕の意義を学び、人間社会の中でお互いに助け合っていくことの大切さを理解し、経験を積ませた上でいうべきことであると私は考えております。
 さて、平成十九年度から始めた奉仕の授業を十年間続けますと、二〇一六年のオリンピック・パラリンピックの開催時には、これは単純計算するということになると思うんですが、四十万人の東京都の若者が奉仕の授業で奉仕体験の活動を経験していることになるわけでございます。オリンピック・パラリンピックは子どもから大人まで多くのボランティアに支えられている大会であります。奉仕を学んだ若者が世界に誇れる東京大会を支える人材となっていくことを強く期待するものでございます。
 次に、学校における部活動の指導について伺います。
 決算説明書九三ページに学校における部活動指導の充実の項目がございます。国において平成二十年三月に告示された中学校学習指導要領の総則に、ちょっとかたい文章でございますが、「生徒の自主的、自発的な参加により行われる部活動については、スポーツや文化及び科学等に親しませ、学習意欲の向上や責任感、連帯感の涵養等に資するものであり、学校教育の一環として、教育課程との関連が図られるよう留意すること。」と記されております。
 我が党は、都教育委員会がこれまでさまざまな部活動の振興に取り組んできたことに関して評価はしておりますが、改めて部活動の教育的な意義を今回の学習指導要領改訂との関連でどのように認識しているのか、お伺いいたします。

○高野指導部長 部活動につきましては、学校が教育活動の一環として計画、実施するものでございまして、思いやりの心、自主性や社会性などを育て、豊かな人間関係や生涯学習の基礎づくり、さらには生徒の個性、能力の伸張や体力の向上、健康の増進などをはぐくむ上で極めて重要な教育活動であると認識しております。
 このため、平成十八年度には、東京都教育委員会は国に先駆けて、都立学校の管理運営規則の一部改正により、部活動指導を校務であるとし、勤務時間条例の一部改正や顧問教諭の処遇の改善に取り組んでまいりました。このたび改訂されました中学校学習指導要領に部活動の位置づけと教育的意義が明記されたことは、国としての考え方を明確に示したものとして大きな意義があるものと考えてございます。

○神林委員 我が党は、これまで繰り返し部活動の教育的価値を主張してきており、国においてもその位置づけや意義を明らかにしたことを評価するとともに、都教育委員会が国に先駆けて部活動の位置づけを明確にしてきたことに敬意を表したいと存じます。
 しかし、中学校においては、少子化や学校の小規模化により生徒たちが満足に部活動を行うことができない状況や、顧問教諭の異動などにより休部になったりする例をよく耳にいたします。学校では、生徒の期待にこたえられるような部活動の指導を教職員ですべて賄うことには限界があり、こうした状況を都として支援する必要があると考えております。
 そこで、中学校の休廃部の現状と今後の対応を伺います。

○高野指導部長 毎年実施しております部活動の実施状況の調査によれば、中学校においては、毎年四百以上の部活動が新しく設置されている反面、約三百の部活動が休部、廃部している現状がございます。
 また、学校の小規模化に伴いまして、中学校においては部活動の設置数に対し顧問教諭が不足していたり、顧問教諭を配置できないために複数の部活動を担当する例や、管理職みずから顧問となったりしている例がございます。
 都教育委員会といたしましては、所属の教職員だけで行う部活動指導では、生徒の期待にこたえるだけではなく、部活動を維持、強化することに限界があると考えております。このため、今後、外部指導員の積極的な導入を促進することを通しまして、指導者不足の解消や廃部問題の防止なども含めまして、効果的な対策を講じ、部活動の振興を支援してまいりたいと思います。

○神林委員 人間の成長や教育のことを考えますと、子どもというのは白紙の状態から大人になっていくものでございます。逆にいえば、親や教師など指導する人の指導のあり方や方法によって、大きくも小さくも成長するものでございます。人はだれにも無限の可能性が秘められているものであるため、かかわる人たちの温かい人間性と指導力の向上は、欠かすことのできないものであろうと私は考えております。
 そのような意味からも、ぜひ中学校の現状に対して具体的な対策を講じ、部活動の振興に取り組んでいただきたいことを強く要望させていただきます。
 そこで、部活動の振興にとって何よりも大切である顧問教諭や外部指導員など指導に当たる人たちの資質、能力の向上について、都教育委員会としてどのように取り組んできたのか伺います。

○高野指導部長 都教育委員会では、顧問教諭の資質、能力の向上のため、毎年、教職員を対象に、元日本代表選手などを講師に招聘いたしまして、バスケットボールやバドミントンなどさまざまな競技の運動部活動指導者講習会を開催してまいりました。
 また、平成十九年度には、運動系のみならず文化系の部活動も含めて、顧問教諭の役割や業務内容を記しました部活動顧問ハンドブック、そして外部指導員の適切な指導のあり方を示した外部指導員のための部活動指導の手引きを作成いたしまして、すべての教職員や外部指導員に配布いたしまして、資質、能力の向上に努めてきたところでございます。

○神林委員 今ご答弁にもあったように、これはただ単に運動系だけじゃなくて、やはり文科系も同じことがいえると思いますので、ぜひ含めた形でお願いしたいと思います。
 さて、そういうご答弁があった中で、次に出てくるのは当然質の問題だと思います。指導者を育成し、多くの子どもの成長につなげていくためには、単なる技術指導にとどまらず、基本となる食育の問題、健康づくり、体力づくり、さらには故障の少ない体づくり、精神面の成長や社会性の育成など、総合的な指導を行っていくことが肝要であると私は考えております。
 指導力の認定や一貫した指導プログラムの活用など、東京都競技力向上推進本部の方針も踏まえながら、ぜひ偏りのないトータルな人材育成という視点を忘れることなく、今後とも運動部活動指導者講習会に取り組んでいただきたいと存じます。
 次に、競技力向上について伺います。
 決算説明書九三ページに部活動による競技力向上の項目がございます。
 我が党は、さきの第一回都議会定例会において、部活動の振興と同様に、十年後の東京を見据えたジュニア選手の育成や運動部活動による競技力の向上についても代表質問を行ったところでございます。これに対し教育長が十年後を見据えた競技力向上策に取り組んでいくと答弁しておりますが、その後の取り組み状況について伺います。

○高野指導部長 都教育委員会は、運動部活動による競技力向上事業といたしまして、平成十九年度には、スポーツ特別推薦で入学した約三百人の都立高校生を対象に、元日本代表選手等によるバレーボールやサッカーなどの八競技の強化練習会を実施してまいりました。また、スポーツトレーナー、スポーツドクター、そして栄養の専門家などを四十五校に派遣いたしまして、約千四百人の生徒に対してスポーツ医科学の講習会を行ったところでございます。
 さらには、平成二十年度に対象を中学生に拡大いたしまして、東京都中学校体育連盟と連携を図りまして、陸上競技やサッカーなどの二十競技種目で強化練習会を開始したところでございます。

○神林委員 今ご答弁の中で、本当に目の前に目標がないと、なかなか課題というのは進んでいかないと思うんですが、東京都教育委員会においては、平成二十五年の東京国体の開催に向け、より一層競技力の向上を充実すべきと考えておりますが、今後の取り組みについて伺います。

○高野指導部長 都教育委員会は、平成十九年度以降に、セーリングやカヌーなど競技人口の少ない十競技の指導者養成を進めたり、ボート部や自転車部などの国体強化部活動候補校七校を指定いたしまして、競技用備品等の購入や専門的指導者を招聘したりしてきているところでございます。
 今後、競技連盟とも連携を図りまして、こうした取り組みをさらに充実、拡大するとともに、東京都高等学校体育連盟と連携いたしまして、高校生段階の競技力向上に努めてまいりたいと思います。

○神林委員 私は、平成二十五年に行われる東京国体、そして全国障害者スポーツ大会を、多くの都民に支えられ親しまれる大会であってほしいと強く願っております。そして、出場する東京都代表の選手たちには立派な姿で競技してほしいと願っております。さらに多くの都民が応援し、多くの若者が大会ボランティアで活躍してほしいとも強く願っているわけでございます。
 そのためにも、都教育委員会においては、引き続き部活動の振興や競技力の向上事業に取り組み、若者の人材育成に努めていただきたいと存じますので、よろしくお願いいたします。
 続きまして、災害対策用被服の整備及び避難所運営について伺います。ちょっとこの所管とは違うように思いますが、教職員の方々についてのでございます。
 五十八ページの管理費の中に防災関連の予算が含まれておりますが、ここで災害対策用被服の整備と避難所の運営について二、三伺いたいと存じます。
 先日、先日といっても今週の日曜日でございますけど、本当に二、三日前でございますが、地元の小学校で行われた防災訓練に私は参加させていただきましたけれども、副本部長以下、避難してくる地元の地域、町会の役員のほとんど全員がしっかりとした災害対策用被服を着用している中で、この中心でもございます避難所運営協議会の本部長である当該学校の校長先生は災害対策用被服を着用しておりませんでした。
 小中学校の大半は避難所に指定されており、発災直後はどうしても、学校の管理者であり施設事情に一番詳しい教職員のリーダーシップが、本当に一番詳しいのは校長先生、学校の関係者でありまして、どうしても教職員のリーダーシップが期待されるところでございます。こうした状況下において、災害対策用被服には、災害時に機敏な活動を確保し、また、ほかのものからの識別を容易にするなどの機能が備わっており、従事者の着用は不可欠なことと考えております。
 そこで、都立学校における災害用被服の整備状況について、まず伺います。

○松田総務部長 災害対策業務に従事する職員が着用する災害対策用被服は、東京都災害対策用被服等取扱い及び着用要領に基づきまして貸与されております。貸与の対象となる職員は、同要領に基づきまして、職場から十キロメートル以内に居住する第一配備職員でございますけれども、個々の貸与対象は毎年度総務局で決定されておりまして、都立学校教職員については、これまでのところ対象となっていないため、現状では貸与を行っておりません。

○神林委員 一言でいえば、本当にそんなことでいいんだろうかと。本部長である校長先生が、周りの方がみんなしているのに災害用被服をしていないということは、私は大きな問題を感じ取っております。都立学校の中にも避難所に指定されているところもあり、災害時には、管理者であり施設事情に詳しい学校長を初めとして教職員がその運営に大きく携わっていくことになると思いますが、そのリーダーの服装が整っていないということで、本当にこれでいいんだろうかということを強く感じました。
 全職員には難しいとしても、少なくとも管理職などの基幹要員や避難所の運営に参画する教職員には配布するよう早急に対応すべきと考えますが、見解をお伺いいたします。

○松田総務部長 災害対策用被服は、災害時に他の防災機関と合同で活動する際に、都の災害対策職員であることを識別することを主な目的として貸与しているものでございます。
 お話のように、現在、都立学校も多数が避難所指定を受けるに至っておりまして、さらには帰宅支援ステーションという新たな役割も付加されてきております。災害時に重責を担う教職員の識別の必要性が高まっていると考えられますことから、都立学校教職員を貸与の対象に含めるよう総務局と協議をしてまいります。

○神林委員 やっていただけるといういい答弁をいただいてありがとうございます。
 災害は本当にいつ起こるか、どのような被害があるのか、十分には想定することはできません。肝心なことは常日ごろより十分な備えを整えておくことだと思います。校内生徒の安全の確保はもちろんのこと、地域住民が学校を避難所として大きな期待を寄せていることからも、学校教職員がさらに災害対策に参画していく取り組みを前進させていくことを要望しておきます。
 ただいま、東京都の教育庁の決算ということでございますので都立学校について伺いましたけれども、地元区市町村の小中学校も災害時の避難所として欠くことのできない役割を担っており、初期対応における教職員の重要性は都立学校の場合と全く同様でございます。
 小中学校における避難所業務への教職員の従事は、区市町村が責任を持って徹底されるべきことでございますが、東京都としても区市町村と一層の連携を深めて、可能な限りの支援を行うべきと考えますが、最後に見解をお伺いして、私の質問を終わります。

○松田総務部長 小中学校における災害時の避難所の運営に対する学校教職員の従事は、ご指摘のとおり区市町村が徹底すべき事項でございます。
 しかしながら、一方で東京都教育委員会では、これまでにも大震災時の避難所運営への学校教職員の従事の際の身分、服務、手当等の取り扱いを明確化いたしまして、区市町村教育委員会あてに通知を行ったほか、避難所の運営方法等を示す学校危機管理マニュアルを区市町村教育委員会にも配布するなど、側面からの支援に努めてまいりました。
 今後とも、都立学校における取り組みの紹介を行うなど、可能な限り支援に努めてまいります。

○泉谷委員 教職員住宅についてお伺いしたいと思います。
 教職員住宅における年間の維持管理経費をまずお伺いします。

○秦福利厚生部長 教職員住宅は、職務上の必要性から設置する職務住宅、島しょ等の僻遠な地域に勤務する職員のための準職務住宅、住宅に困窮している職員のための福利住宅の三区分がございます。
 これら教職員住宅の平成十九年度における維持管理等経費の支出総額は、約二億四百三十五万円でございまして、このうち、現在使用中の福利住宅に係る支出額は、給排水、ガス設備等修繕、樹木剪定等に要した経費約二百八十万円でございます。

○泉谷委員 特に、住宅に困窮している職員というのはよくわからないんですが、島しょというのは、島しょ地域はそういう面もあるとは思いますけども、区市町村でそういった住宅に困窮しているというのは余りないのかなと思います。
 私も教員をやっておりましたけども、飯能から歩いて二十分のところで、池袋から通って、朝六時には家を出ないと間に合わないようなところから通っていましたけども、そんなに別に困窮しているというのもなかったので、公私格差を見ますとやはりそういうところに、公立だけそういう住宅があるというのは、何か腑に落ちないものがあるなと思います。
 二番目としまして、島しょを除く入居の人数をお伺いします。

○秦福利厚生部長 いわゆる福利住宅の入居状況につきましては、本年九月末現在、区部の二住宅に五人、市部の二住宅に十五人、合計二十人でございます。

○泉谷委員 今お伺いしていると、部屋を借り上げて二住宅に五人、市部の二住宅に十五人というならわかるんですが、都営住宅みたいなところに、わずか二つの住宅に五人しかいなかったり、二住宅に十五人しかいないという面では、はっきりいって、何世帯もある中で二住宅しか使っていないというのは非常にもったいないなというような気がいたします。
 次に、福利住宅の間取り、家賃を単身、家族向け双方お伺いします。また、同地域の住宅地における他の民間家賃は幾らぐらいになっているのかお伺いいたします。

○秦福利厚生部長 福利住宅の間取りについてでございますが、単身用は六畳一間の一Kタイプ、世帯用は六畳三間のいわゆる二LDKタイプでございます。
 また、家賃につきましては、区部にございます足立六月住宅、これは単身用でございますが、一Kで一万六千九百円、同じく足立六月第二住宅、こらちは世帯用でございますが、二LDKで四万六千円。市部におきましては、昭島住宅、世帯用でございますが、二LDKで三万七千円、武蔵村山住宅、こちらも世帯用でございますが、二LDKで四万八百円でございます。
 また、住宅の家賃の件でございますが、建築年数とか建物の構造、交通条件等により異なるため、同住宅地域における他の民間住宅の家賃と直接に比較することは困難でございます。
 なお、インターネット上の家賃相場情報によれば、最寄り駅での同タイプの家賃相場は、おおむね次のような状況でございます。
 足立区でございますが、竹ノ塚駅周辺でございますが、一Kにつきましては五、六万円、二LDKにつきましては八万円から十万円。昭島市につきましては、昭島駅周辺で二LDKで八万円から九万円。武蔵村山市につきましては、玉川上水駅周辺でございますが、二LDKで七万から八万円ということでございます。

○泉谷委員 今お伺いしたところによると、家賃は約二分の一ということでございます。それに、そういうものが建っていると非常に経費がかかると思いますので、こういうものは早急になくしていくべきではないかと思っております。
 次ですが、教職員の住宅手当はどのぐらいになっているのか、お伺いいたします。

○直原人事部長 住居手当は、学校職員の給与に関する条例に基づきまして、世帯主である職員等に対して、扶養親族がある者には月額九千円、扶養親族のない者には月額八千五百円を支給しております。
 ただし、学校職員の住居手当に関する規則に基づきまして、職務住宅、福利住宅にかかわらず教職員住宅に居住している職員に対しては、住居手当は支給しないこととしております。

○泉谷委員 平成十四年度以降、順次住宅を減らしているということですが、あと何年かかるのかお伺いしたいと思います。十四年からですともう六年たっておりますが、先ほどの話だと、区部だとわずか二住宅に五人しかいない、市部で二住宅に十五人しかいないということですが、こういった状況をどのぐらいかけて解消していくのかをお伺いいたします。

○秦福利厚生部長 都教育委員会は、平成十五年一月に第一次廃止計画を策定いたしまして、全福利住宅二十八住宅七百五戸のうち、十八住宅四百二十五戸を平成十八年度末までに廃止することといたしました。さらに、平成十八年二月には、残りの福利住宅を平成二十六年度末までに全廃することとする第二次廃止計画を策定いたしまして、現在取り組んでいるところでございます。その結果、平成十九年度末では二十三住宅六百一戸、率にいたしまして八五%を廃止いたしました。
 なお、残る福利住宅につきましては、転居、退去の促進を図りながら、できるだけ早く廃止をしていくよう努めてまいります。

○泉谷委員 最後に感想ですが、二十六年度といいますとまだ五年以上あるわけですが、そういったものは、何世帯もある中でわずか二世帯とかそういう状況になっておりますので、それ以外の費用というものが非常に、先ほど、現在使用中で二百八十万という費用もかかっておりますし、さまざまな経費がかかると思いますので、迅速な対処をお願いしたいということをお願いいたしまして、質問を終わります。

○大山委員 私、最初に経済的な問題のことで質疑をします。
 私たちは、教育を受けたいと思う子どもたちが経済的な理由によって教育を受ける権利を阻害されるようなことがあってはならないと考えています。
 今、都民の中に貧困と格差が広がって、子育て世帯にも確実に貧困が広がっています。そのことは、都立高校の授業料減免の生徒が急増して、石原知事就任のとき、平成十一年度は、全日制だけですが、都立高校生のうち減免を受けていたのは四・五九%でした。十九年度を見ますと、全日制一三・一九%減免を受けています。三倍近くに増加したことからも、子育て世帯にも確実に貧困、そして格差が広がっているといえるわけです。
 九月二十三日と二十四日には、日本高等学校教職員組合が高学費・高校つぶし・教育格差告発ホットラインを開設しました。そこに寄せられた声、これは全国から寄せられましたけれども、東京の方々の声を選んでも、例えば、非正規で年収百八十万円以下の母子家庭なんだとか、親が病気で生徒がアルバイトをダブルでやっているとか、父親のぐあいが悪くて働けず休学願を出すんですとか、自己破産をしてしまった保護者など、子育て家庭に深刻な貧困が広がっていることを実感させるものでした。
 高校に通うための費用について見ますと、都立高校はことしも値上げしました。二年ごとに値上げが繰り返されて、とうとう全国でも二番目に高い授業料になってしまいました。
 中途退学者のことですけれども、十九年度の都立高校、全日制の中途退学者数及び中途退学者の率はどうなっているでしょう。また、その中途退学の理由は何で、どれぐらいの割合になっているのか教えてください。

○森口都立学校教育部長 平成十九年度における中途退学者数でございますが、全日制で二千五百八十六人、中途退学率は二・二%で、前年度より〇・二ポイント減少しております。
 中途退学の理由としては、学校生活、学業不適応が三九・五%、進路変更が二九・四%、学業不振が一九・四%、家庭の事情が四・二%、病気等が三・八%、経済的理由が一・九%、問題行動等が一・三%、その他が〇・五%となってございます。

○大山委員 中途退学者、十六年度から十八年度までは二・四%でしたね。十九年度は二・二%ということで、ほぼ横ばいというところだと思うんです。
 その経済的な理由一・九%、実数でいうと四十八人ですね。経済的理由は少ないんだとおっしゃるかもしれませんが、割合は少ないですけれども、明確に経済的な理由ということで学業をあきらめざるを得ない生徒が年間四十八人もいたんだということですね。一クラス分以上の生徒が明確に経済的な理由で中途退学するというのは、それ自体大変なことだと思わざるを得ないです。
 それだけではありません。埼玉県の県立高校で、中途退学と授業料減免の動向を十年間にわたって埼玉県の県立高校の教員が調査をしました。入学試験の平均点が高い順に五つのグループに分けて、授業料の減免を受ける生徒の割合と中途退学の発生率を調査しました。平均点が低いグループほど減免率も中退発生率も高い。しかも近年、点数の低いグループでは顕著に授業料の減免、中退発生率が悪化したというんですね。調査した先生は、学力と貧困には相関がある、経済力のない家庭の子が学力が低く中退していく状況がはっきり見えると述べています。
 都立高校でも、調査はしていませんけれども、埼玉県の県立高校の生徒と同じようなことは十分考えられるのではないでしょうか。つまり、経済的な困難が学力低下を招き、学校からドロップアウトをする。先ほどの中途退学者の理由でも、一九・四%は学業不振でした。これ実数にすると五百一人もいるわけです。経済的な困難が教育を受ける権利を奪っているという状況ではないでしょうか。
 経済的な理由で教育を受ける権利を奪われることがあってはならないと考えていますが、どう認識していますか。

○森口都立学校教育部長 都教育委員会は、授業料の納入が経済的に困難な場合には、授業料を免除または二分の一に減額する制度を設け、就学機会を確保できるよう配慮しております。

○大山委員 都教委も、経済的理由で教育を受ける権利を阻害されることがあってはならないと思うから、免除や減額の制度をつくっているということですね。
 しかし、それだけでは不十分であるということは、実際に経済的な理由で中退しなければならない生徒、経済的な困難で学校からドロップアウトするなどの状況を直視すれば、これだけでは不十分だというのは明らかです。
 世界の常識は、ご存じだと思いますけれども教育費の無償化であり、高校の教育については無償という国が多数派です。OECD加盟三十カ国中、高校の授業料の無償化に到達しているのは二十六カ国に上ります。これは何よりも、各国が国連の人権規約を批准して、高校と大学の教育について段階的に無料にしていくことを実践してきたからです。これが世界の常識、世界の大きな流れです。
 一九六六年に国連総会で採択した国際人権規約の社会権規約十三条の二項のbとcは、高校と大学の授業料を段階的に無償にしていくという条項です。日本は社会権規約は批准したものの、マダガスカルとルワンダと日本だけがこの条項を留保しています。
 日本政府に対して一刻も早くこの留保を撤回するよう求めることが必要ですが、どうでしょう。

○森口都立学校教育部長 都教育委員会は、高校教育に係る経費について、受益者負担の見地から適正な負担を求めております。また、授業料減免制度を設け、就学機会を確保できるように配慮しております。
 なお、国においても同様の趣旨で当該条項を留保しているというふうに聞いております。

○大山委員 このことは国に追随してはいけないものの一つなんですね。締約国の百五十一カ国中、留保しているのは、先ほどもいいましたけれども日本を含めて三カ国だけ。しかも、OECD諸国では留保しているのは日本だけです。
 国連社会権委員会では、二〇〇一年に日本政府が提出した報告について調査検討しました。留保の撤回を検討することを強く求める厳しい勧告を出しました。
 日本がどのような報告をしたのかというと、一つは、日本では、義務教育終了後の後期中等教育及び高等教育に係る経費について、非進学者との負担の公平の見地から、当該教育を受ける学生等に対して適正な負担を求めるという方針をとっている。なお、後期中等教育及び高等教育に係る機会均等の実現については、経済的な理由により就学困難な者に対する奨学金制度、授業料減免措置等の充実を通じて推進している。したがって、特に、無償教育の漸進的な導入に拘束されない権利を留保している、こう報告したんです。今答弁されたとおりですね。世界の常識ではこんなことはとても考えられないことなのです。非常識な報告だったわけです。
 社会権規約の委員のラトレーという方がこのときに何といったか。世界第二位の経済大国に対して、今なお、無償の中等教育を漸進的に導入する段階に達していないのかと尋ねなければならないのであれば、私はどの国がそれを達成できるだろうかと自問しなければなりません。経済的手段がないという理由で中等教育へのアクセスを否定される生徒は一人もいないと請け負っていただけるのでしょうか。一人の生徒もですと、日本政府に詰め寄りました。
 日本政府と同じ立場に立つ都教委に、私は、このラトレー氏の、経済的手段がないという理由で中等教育へのアクセスを否定される生徒は一人もいないと請け負っていただけるのでしょうか、一人の生徒もですと、その言葉をそのまま都教委に質問したいです。いかがですか。

○森口都立学校教育部長 先ほどお答えしたとおりなんですが、我が国における私学の関係、それから全体の進学率の問題を踏まえまして、現在の法律制度におきましても、授業料を徴収することができる、義務教育は除きますが、ということになっておりますので、前回の答弁のとおりとさせていただきます。

○大山委員 全日制で年間四十八人が経済的理由で退学する、その生徒のことを救わなくていい、そういう認識なんですか。それで十分だという認識なんでしょうか。

○森口都立学校教育部長 経済的な理由でございますが、理由につきましては家庭の事情等ということになっておりますので、経済的な理由というのがあるんですが、保護者等の経済的な理由ということで、さまざまだというふうに認識しております。

○大山委員 結局、一九七一年に中央教育審議会が、学生は教育の受益者である、これを口実にして学費値上げに道を開きましたね。その後、日本では、教育を受ける生徒が受益者なんだ、自己責任なんだという考え方が政策的につくられてきました。国もそう、そして東京都もそのとおりにやっているということじゃないですか。
 しかし、これはどういうことかといえば、負担できない生徒を教育から排除するものです。憲法と教育基本法が禁じる経済的地位による教育上の差別を生み出すことになります。
 子どもは日本の未来を担う大事な宝なんです。若者が学ぶというのは社会の財産であり、若い世代が高校、大学などで新しい知識や技術、そして理想を身につけるということは、社会の発展にとって不可欠な営みではないでしょうか。それは社会にとっての貴重な財産です。
 高校進学率が九六%を超えて、その一方で経済格差が教育格差に直結している今、憲法二十六条に定められた教育を受ける権利は、貧困と格差の世代間連鎖を断ち切るためにも保障されなければならないんです。都教委は、憲法と教育基本法を実践する立場に立って、都立高校という責任を持つ現場を持っているわけですから、国際的な水準に一刻も早く到達するために、国に率先してこの国際的な大きな常識に、高校教育の無償化に向けて検討を始めるべきだということを述べておきます。
 授業料の減免についてですけれども、生徒に渡すプリントをもらいましたが、受けられる対象者は生活保護世帯、それから生活保護世帯と同程度の世帯、そして生活保護に準ずる世帯となっていますけれども、どの程度の収入が同程度で、どの程度が準ずるのかということをどうしてモデルなどでも書かないんでしょうか。

○森口都立学校教育部長 都立高校の授業料減額、免除でございますが、生活保護認定額に対する収入認定額の割合が一以下の場合は免除としております。一を超え一・二以下の場合は二分の一減額としております。生活保護認定額には世帯員の年齢等による単価の違いや各種加算額があり、世帯によってそれぞれ生活保護認定額が異なるため、収入額による表示はいたしておりません。
 各都立高校におきましては、減免申請に当たって各世帯によって個々に異なる認定要件を十分確認しながら、減免申請に際して適切に相談を行っております。

○大山委員 適切に相談してもらうというのはもちろん当然です。しかし、生活保護基準の一がどれぐらいの額なんだろう、一・二がどれぐらいの額なんだろうと、わからないわけです。申し込めるのか申し込めないのか、生徒が相談に行こうというきっかけになるように、例えば父と母と中学生と高校生の子ども一人ずついる、それで一人働いている、そういう場合は幾らぐらいとか、幾つかのモデルを示して、これぐらいのところは大丈夫ですよというように示した方が、相談に行くきっかけにもなるんじゃないでしょうか。
 授業料の減免状況を見ると、生保世帯と同程度の世帯が、十四年度と比べて実数で三千二百二人、一・三倍になっています。準ずる世帯というのは八百八十一人で一・六倍にふえています。生活保護と同程度ということは収入は生活保護世帯と同じなわけですね。生活保護を受給していれば、十分とはいえませんけれども、学用品費だとか通学費、教材費などは、学校に行くための最低限の扶助は、出るわけです。生保世帯もしくは準ずる世帯の場合、小中学校では就学援助が給付されていたわけです。中学生で就学援助を受けているのは二四%ですから、この授業料減額、免除の制度というのは非常に重要な制度なわけです。
 もう一つ、高校に通うためには、授業料だけでなくてその他の学校納付金、教科書代、それから通学のための交通費や制服代や部活などさまざまな費用がかかります。最近発表されました日本政策金融公庫の調査では、国公立高校で受験費用、学校納付金、それから入学しなかった学校への納付金などを合わせると、これは入学のお金ですね、これは一人当たり三十五・七万円です。授業料や通学費や教科書代、塾などの費用を合わせると、在学費用は六十四万四千円です。こんな状況で、都立高校でも経済的な理由で修学旅行にも行けないという生徒が出ています。
 世帯の年収に対する教育費の割合、これは平均は三四・一%です。しかし、収入が低い世帯ほど上昇していって、年収が二百万円以上四百万円未満の世帯では教育費の割合は五五・六%に上ります。収入の半分を優に超える負担をしているということですね。
 授業料減免以外の経済的な支援で、東京都の制度としては育英資金があります。都立高校生で東京都育英資金を受けている生徒は何人いますか。

○森口都立学校教育部長 平成十九年度の都立高校生の育英資金利用者でございますが、一千四百五十七人でございます。

○大山委員 授業料減免を受けている生徒が十九年度で一万八千三百三十六人ですから、育英資金を受けている生徒は授業料減免を受けている生徒の七・九%でしかないということですね。授業料減免を受けている生徒なら育英資金の対象になりますが、実際に受けているのは八%にもならないということです。
 育英資金を受けている生徒が少ない理由は何であると分析しているのか。そして、授業料減免を受けている生徒数との乖離をどう認識していますか。

○森口都立学校教育部長 先ほど委員からお話のありました授業料減免制度と、それから貸付制度である育英資金でございますが、授業料減免制度につきましては、基本的には、生徒、保護者の授業料支払い義務を減額または免除する制度でございます。一方、貸付制度である育英資金とは全く性格が異なっております。
 この分析でございますが--授業料減免制度、育英資金でございますが、学校におきまして保護者への周知は十分行っております。授業料減免を受けている生徒と育英資金を受けている生徒数に乖離が生じているというのは、さまざまな家庭の事情等があり、保護者の判断によるものだと思われます。

○大山委員 どうして少ないのかなときちんと分析ぐらいした方がいいと思うんです。その乖離は保護者の判断によるんだと答弁されましたけれども、その判断がどんな要素で判断するのかということが重要なわけです。
 今、これだけ雇用が不安定になって、高校を卒業しても正規の仕事につけるのかも全く展望がないわけです。
 都立高校生が事務室に実際に育英資金の相談に来たけど、返済しなきゃならないということがわかったら、返済しなきゃならないんですねといって、手続もせずに帰っていってしまったわけです。返済しなければならないから慎重になってしまうということは考えられないですか。

○森口都立学校教育部長 先ほどの減免制度も、それから育英資金貸付事業につきましても、学校におきましてさまざまな機会をとらえて、制度については十分説明をしております。相談があった場合も、先ほどの認定要件も含めて相談には十分応じているところでございますが、最終的に貸付事業、貸付金と、それから減免制度とは全く違うわけでございますので、勧めるということよりも、制度を十分に説明し理解した上で、最終的に保護者がどういった制度を利用するかということが一般的であり、特にここを勧めるということはございません。あくまでも保護者の最終的な判断に基づき申請を行っているというのが実情でございます。

○大山委員 私は勧めなさいよといっているんじゃないんです。授業料減免を受けている世帯の収入は育英資金は受けられる収入なんです。にもかかわらずどうして授業料減免を受けている生徒の八%弱しか育英資金を受けていないんでしょうね、どうしてでしょうねと聞いているわけです。今ご答弁されたように、減額、免除するものと貸し付けの差なんだ、こう答弁されましたけれども、そういうことなんじゃないんですか。
 育英資金を所管している生活文化スポーツ局は、授業料減免は返済が不要だから比較的抵抗感なく申請が可能だけれど、育英資金は返還が必要だから利用に慎重になると分析していますとこの間答弁されていました。さっき、教育費の負担が家計の五五%にもなるという調査があったといいましたけれども、どうして将来の返済の展望が持てるのかということなんです。都教委も都立高校生の生活の実態をきちんと把握することが必要なんじゃないんでしょうか。きちんと把握してください。
 周知は十分しているんだと、こうさっきからおっしゃっていましたが、育英資金について保護者の人と話になったら、そんな制度があったんですかと、都立高校生二人を持っているお母さんからいわれました。制度を知っていて使うか使わないかというのは本人の判断なんです。しかし、知らせなければ元も子もないわけです。
 授業料減免や育英資金についての周知、授業料減免の制度を探そうと思って教育庁のホームページを見ましたが、授業料減免というのは授業料のところにあるんです。だから、授業料減免で見ていると出てこないわけです。授業料のところを押さないと出てこないわけです。だから、すぐに探せるようにトップページに書くなどの配慮が必要なんじゃないでしょうか。
 それから、育英資金も、東京都の場合は都教委じゃなくて生活文化スポーツ局のホームページに載っています。しかし、都民は教育のことだから都教委のホームページを見つけようとするのが普通の導入ではないんでしょうか。ですから、都教委のホームページに授業料減免と育英資金も一緒に見られるようにするとかという工夫も必要だと思います。
 それから、教育庁の制度だけでなくて、例えば母子福祉資金だとか、使えそうな福祉の制度などをフルに活用できるように、福祉保健局のホームページにリンクしていけるような配慮だとかも必要なのではないでしょうか、どうですか。

○森口都立学校教育部長 育英資金についてでございますが、従来、都立高校におきましても、印刷物、配布物、それから担任による口頭による周知含めて長年やってまいりました。
 今お話のあったインターネットを使った、トップページにどういうふうに入れるかというのは、利用者がどのくらいいるかちょっとわかりませんけれども、現在のところ、都民の声等を含めて教育庁には、リンクしてくださいというのは把握はしてございませんが、生活文化スポーツ局であるとか福祉保健局のホームページのリンクでございますが、各部にはそれぞれ、どういったものをホームページの方に掲載していくか、時期であるとか量であるとか順番だとか、そういったそれぞれの掲載基準がございますので、今後、関係部局と検討してまいりたいと思います。

○大山委員 ぜひ関係局と相談してください、前向きに。育英資金も貸与ですから、不十分ではありますけれども、それにしても制度自体知らなかったという生徒や保護者がないように、引き続き努力していただきたいと思います。
 次に、異動のことです。
 盲学校の保護者の皆さんと話をしていますと、いつも出るのが教員の人事異動のことです。視覚障害教育の専門性を優先して、教員がその力を発揮し続けることができる人事異動にしてほしい、こうおっしゃるわけです。視覚障害を持つ子どもたちの教育を充実させてほしいという保護者の切実な願いになっているわけです。
 盲学校の教育では、点字だとか触覚活用に関する理解や教材作成方法、それからそれらを用いての指導法などは不可欠です。これらは数日程度の研修で簡単に身につくものではありません。
 四月のある保護者会のときに、盲学校に異動してきたての教員から、盲学校は初めてです、点字もこれから頑張って学んでいきますと元気に自己紹介されたんですね。やる気があるのはいいんですけれども、点字もわからない教員で大丈夫なんだろうかと保護者は不安になるわけです。こんなケースはたくさんあるわけです。
 それから、特別支援教育体制のもとで、盲学校は地域の視覚障害教育のセンターとしての機能も担うこととされているわけですから、今まで以上に教員の資質や専門性の向上が求められるのではないかと思うわけです。盲学校の教員の専門性についてどう認識していますか。

○直原人事部長 盲学校の教員の専門性についてですが、さまざまな見方があろうかと思いますけれども、第一に、幼、小、中、高の児童生徒の発達段階に応じた教師としての専門性を基礎とし、第二に、LD、ADHDなどを含め障害のある児童生徒の教育に関する総合的な専門性と、そして第三に視覚障害に応じた教育に関する専門性と、この三つの要素が重要であるというふうに考えております。

○大山委員 教師としての専門性、それから障害のある児童生徒に関する総合的な専門性、そして視覚障害に応じた教育に関する専門性、この三つが必要なんだということですね。視覚障害に応じた専門性が必要、こう認識しているということですね。
 筑波大附属盲学校が、視覚障害教育の専門的な指導の充実に寄与するためということでブックレットを発行することになりました。その紹介の文の中に、児童生徒の重度重複化などへの対応や、人事異動の短期化、総合化等も大きく関係して、殊に各教科、領域の指導を中心として視覚障害教育の専門性の低下が指摘されて久しいものがありますと書いてあるんです。ここにも人事異動と専門性の関係があるんだという記述です。
 この著者が視覚障害教育の専門性について語っています。自分が盲学校の教員として採用された初年度に、高二の世界史を担当していたときの全盲の卒業生から、先生の授業はおもしろいんだけど、資料も多いし話す言葉も早いしで半分ぐらいしかわからないよ、こういわれたんですって。この日はこの先生、一睡もできなかったようなんですが、自分としては一生懸命に準備をして、情報障害のある生徒にできるだけ多くの資料と説明をと張り切って授業をしていたつもりだったんだけれども、授業の多くは空回りであり、要するに視覚障害の学習特性も理解していない、自分勝手な思い込みによる授業を展開していただけだったことに深く気づかされたと書いてあります。高二の生徒が大学に進学してからの話ですから、この先生は在校して三年はたっていたということです。
 盲学校の教員には、専門性の維持や向上がますます求められていくことになり、このことは教員の人事異動のあり方が大変重要な意味を持ってくると保護者の皆さんは実感しているわけです。
 これと同様の問題意識で、平成十八年度に国立特殊教育総合研究所が盲学校の人事異動に関する実態調査を行っています。調査するときの問題意識として、視覚障害教育に関する経験の豊かな教員が長期にわたって盲学校に在籍するということが困難な状況になってきていることが想定されること、盲学校において一般の小中学校や養護学校等と同じような人事を進めていくと、教員の専門性の維持、発展という点で大きな課題となってくることは予想するにかたくない、こう述べています。
 この調査で明らかになったのは、盲学校の全体的な傾向として、在籍五年以下までの方の人数の多い学校が圧倒的に多いこと。一方、十年以上の教員も専攻科を中心に一定数いるということなんです。都立の盲学校四校の傾向も同様で、この調査によりますと、七二・三%が在籍五年以下、この割合は全国的に見ても高いですから、他県と比べても、より在籍年数が短い人が多いということなんです。
 都立盲学校でも五年以下の在籍教員が圧倒的に多いのは、資料で出してくれました資料の6ですね。ことし四月一日付の状況を見ましても、教員の場合、六五・六%が在籍五年以下。一方、十年以上の在籍は一四・九%です。今年度、十年以上在籍している主幹を含む教員が、文京盲学校には十一人、八王子盲学校には十二人、葛飾盲学校には三人、久我山盲学校には一人となっています。
 十年以上在校の教員というのは、職業教育の専門家の教員ということでいいんでしょうか。

○直原人事部長 都立盲学校に十年以上在籍している教員の多くは、もともと、はり、きゅう、あんま等の理療の免許を持って採用されたものであり、専攻科や高等部、保健理療科が設置されている文京盲学校と八王子盲学校に配置しております。

○大山委員 専攻科や保健理療科などの専門の教員ということですね。
 盲学校の教員人事は、異動の激しい小中学部及び高等部の普通科の教員と、異動の少ない職業教育担当教員とに大きく二分されることになると、この研究所の調査でも分析しています。東京も同様だということですね。
 本調査は、そのまとめの中で、指導の場が限られている視覚障害教育をさらに充実し、視覚に障害のある幼児、児童生徒や保護者のニーズにこたえていくためには、現状の人事異動のシステムでは対応できているとはいいがたいんではないだろうかといって、今後の盲学校における視覚障害教育に関する専門性の継承、発展については、専門性を持ち、かつ経験豊かな教員の育成をどのように図っていくかにかかっているといえると述べています。
 東京都は異動対象を三年以上にしていますね。ですから、盲学校でもその学校での教諭の平均在校年数が四年程度となるのは必然だといえます。このような短期間の異動を続けていて、求められている、盲学校における視覚障害教育に関する専門性の継承、発展を実践していくための豊かな専門性を持ち、かつ経験豊かな教員の育成ができると考えているのでしょうか。

○直原人事部長 盲学校における先ほど申し上げた三つの要素で考えられる専門性を確保できるように、望ましい教員構成を維持するとともに、教員の能力開発を図るため、校長の人事構想を尊重して異動を行っております。また、新規採用者や他校種からの転任者等に対しまして、年度当初から校内研修を実施したり、また、OJTを通じまして経験豊かな教員が指導、助言したりすることで、専門性の向上を図っているところでございます。

○大山委員 研修だとか指導、助言だとかで専門性の育成を図っているということなんですけれども、先ほどおっしゃった教師としての専門性と、それから二つ目の、障害のある児童生徒の教育に関する総合的な専門性、これは視覚障害の学校以外でも豊かに充実していくことはできるわけです。しかし、視覚障害に応じた教育に関する専門性、これは視覚障害の学校でしか実践的に育成できないということですよね。
 例えば、実際に新任の教員が一度に八人も来たとか、ベテランの先生がいなくなってしまうと保護者は心配しているわけです。盲学校の校長先生たちもホームページで一貫して、視覚障害に配慮した専門性の高い視覚障害教育を実践するとか、きめ細かな視覚障害教育の専門指導など専門性の高さが重要であるということをあいさつで述べているわけです。四年程度でくるくるかわってしまって、この専門性が高まるとは思えないわけです。
 盲学校は、八王子だったら幼、小、中、高ですね。葛飾と久我山は幼、小、中。文京盲学校は高等部のみですが、ほとんどの学校では、子どもたちは九年から十二年は在籍しています。教員はその中で、平均在籍年数四年程度でどんどんかわっていくというわけです。
 異動対象が東京都は三年以上ですけれども、この異動対象の年数というのは全国的に見ると少数派です。四県だけなんですね、三年以上というのは。十年以上が対象という基準が十二県、これが一番多いです。他県が定めているように、せめて十年以上にするなど異動基準の検討を求めたいですが、どうですか。

○直原人事部長 現在の異動基準では、現任校に引き続き三年以上勤務する者を異動対象とし、現任校に引き続き勤務する年数が六年に達した者は異動するものとしております。
 ただし、現任校の勤務年数が三年未満の者でも、校長の具申に基づき異動することが適当であると都教育委員会が認めた者は異動の対象としております。また、引き続き勤務する年数が六年に達した者でも、校長の具申に基づき、学校経営上、引き続き勤務することが必要であると都教育委員会が認めた者については異動の対象としないというふうにしております。
 このように、校長の人事構想を尊重しまして、現行の異動基準においても、必要な人材は六年を超えて弾力的に継続配置することを可能としていることから、基準を改正する考えはございません。

○大山委員 改正する考えはないと、こういうわけですけれども、学校の現場でも保護者からも、それから研究機関でも、現在の短期に異動させる人事政策では視覚障害教育の専門性を向上させることは困難であると指摘されているわけです。都教委も現実を素直に受けとめてほしいと思います。
 今おっしゃっていたように、必要な人材は六年を超えて弾力的に継続して配置することも可能である、だから専門の方々は長いわけですけれども、私は根本的に異動基準は検討してもらいたいと思います。
 しかし、現行の異動基準でも、専門性をきちんと都教委が認めるんだったら、そして、今みたいな短期の人事異動では専門性は高まっていかないんだという多くの客観的な調査も出ているわけですから、六年を超えて、専門性を認めて弾力的に継続して配置する、これは可能なんじゃないんでしょうか、どうですか。

○直原人事部長 先ほども申し上げましたように、現行の異動基準に基づきましても、学校経営上、校長が継続して配置することが必要であるというふうに考えた教員につきましては継続配置が必要であり、都教育委員会としてはその校長の人事構想を尊重して異動を行っております。

○大山委員 特殊性も認めてきちんと弾力的に対応してほしいと思います。
 ことしの五月に文科省は、十九年度の特別支援学校教員の特別支援学校教諭等免許状保有状況等調査結果の概要を公表しました。当該の障害種の免許状保有者率、全体で六七%です。視覚障害が三三・一、聴覚障害四六・一、知的障害七〇・九、肢体不自由教育が六九・七、それから病弱が七一・八%でありました。
 東京の障害種の免許状の保有者の率というのはどうなっていますか。

○直原人事部長 平成十九年度における都立盲学校四校に勤務する教員の特別支援学校教諭免許状の保有率は約七割で、このうち視覚障害教育領域での免許状保有率は約五割となっております。

○大山委員 盲学校の先生のうち、視覚障害教育領域の免許状を持っているのは半数だということですね。じっくり腰を据えて視覚障害教育の実践をしていこうという志を持てるようにすることが求められているんじゃないでしょうか。そのためにも異動基準の見直しは必要だと再度いいますけれども、この免許状の取得に関して都教委はどのように進めていますか。

○直原人事部長 これまで都教育委員会では、特別支援学校教諭免許状の取得に必要な単位の修得と教員の資質向上を目的としまして、特別支援学校の教員及び小中学校の特別支援学級担任を対象に、夏季休業期間中に教育職員免許法に基づく認定講習を開設してきたところでございます。今年度は、視覚障害教育領域を含め、特別支援学校教諭免許状取得のための認定講習を十二講座開設しまして、延べ千二百四十八人の教員が受講したところでございます。
 今後も、東京都特別支援教育推進計画第二次実施計画に基づきまして認定講習の拡充を図り、特別支援学校教諭免許状の取得促進を図ってまいります。

○大山委員 盲学校に視覚障害教育の高い専門性を持った教員の配置、そしてそのための異動基準の改善を求めておきます。
 視覚障害者の教育は、八割が目からの情報なんだということで、専門性がよりいわれているわけですけれども、さらに専門性や継続性を考えたとき、異動の基準が短過ぎるというのは、盲学校だけではなくて、ほかの特別支援学校だとか小学校、中学校、高校にもいえることだと思います。手話や口話を用いるろう学校もしかりですし、一人一人全く異なる子どもたちの体の状況を理解して、ちょっとした目の動きだとかしぐさで子どもの気持ち、意思を読み取り、発達を促すことが必要な肢体不自由特別支援学校でも、また、安定した人間関係をはぐくむことが重要な知的障害特別支援学校でも、三年たったらいつ異動するかわからないというのでは短過ぎます。
 同時に、現在の異動要綱では、一年でも校長が判断すれば異動させられる仕組みになっており、都立高校や小中学校でもそれを校長先生がおどしに使う。校長先生のいうことに意見をいっただけで、異動させる、こうおどかされたという話は多いわけです。伸び伸びとした、自由で教育的な学校のあり方をゆがめるものになっています。そうした点からも異動要綱のあり方を改善することを強く求めて、次の質問に移ります。
 学力テストです。
 東京都は、全国一斉学力テストに先立って、平成十五年度から東京都独自の一斉学力調査を実施してきました。国の一斉学力テストが始まった十九年度から、小学校五年生と中学二年生の全員に問題解決能力等に関する調査を実施しています。
 一斉学力テストの実施と公表がいかに無益な競争をあおって教育をゆがめてきたのかということは、足立区で起こった事件が象徴しています。十八年と十九年の東京都の一斉学力テストと区の一斉学力テストのときに、区教委が事前に問題用紙を学校長に配布する、教員が子どもの間違いを指さして知らせるということが起きました。この件で区教育長は区議会で、行き過ぎた部分もあろうかと思うし、上位校から下位校まで含めて競争をあおるような部分がなかったとはいい切れないと答弁しています。学校教育をゆがめ、ついに不正を生み出すまでに至ったということです。
 結果の公表についてですけれども、国の全国学力テストは区市町村ごとの平均正答率を公表しないことになっていますが、その理由は何でしょうか。

○高野指導部長 国は、全国学力・学習状況調査の実施要領の中で、本調査の実施主体が国であることや、市町村が基本的な参加主体であることをかんがみて、都道府県教育委員会は、域内の市町村及び学校の状況について個々の市町村名、学校名を明らかにした公表を行わないこととしております。

○大山委員 今のご答弁は、都は部外者だから公表は行わないということですね。
 同時に、国の理由はそれだけではありません。文科省は十九年八月二十三日付で、全国学力・学習状況調査の調査結果の取り扱いについてと、この通知を出しました。国会等で広く議論が行われてきた本調査の実施については、序列化や過度な競争につながらないよう特段の配慮が必要であることについて、国会、審議会等において議論が行われたところであり、これらの議論を踏まえて作成した実施要領だと述べています。実施要領の調査結果の公表に関して念押ししているという通知ですね、これは。だったら都道府県別の結果を発表するのもおかしいんじゃないかと思いますけれども、ともかく公表が序列化や過度な競争につながり、好ましくないという立場なんだということです。
 結果の公表をすることによって、学校や子どもたちがどうなっているのかということが問題です。先ほど競争があおられて不正まで起きたということを述べました。そうした中で子どもたちは傷ついています。生徒が部活の試合に行ったら、相手の学校の生徒から、学力テスト最下位のところから来たといわれたり、授業を削って過去の問題を何度もやるなど通常の授業さえ奪われています。
 文科省の二十年度の実施要領には、十九年度に出した通知の内容に追加されて、調査結果については、本調査により測定できるのは学力の特定の一部分であることや、学校における教育活動の一側面に過ぎないことなどを踏まえるとともに、序列化や過度な競争につながらないよう十分配慮して、適切に取り扱うものとすると、こう追加されました。
 文科省の通知には国会の議事録もついています。我が党だけでなくて、自民党さんも、それから公明党さんも民主党さんも発言しています。結果の公表によって弊害が出てくるということを国会の中で党派を超えて口々に述べているわけです。それほど深刻な状況だということなんですね。
 石原知事は記者会見で、全国一斉学力テストの結果の公表を肯定するような発言をしましたが、都教委は区市町村別の結果の公表はするべきではないと考えますが、どうですか。

○高野指導部長 都が実施主体であります学力調査につきましては、東京都全体の学力水準の維持向上に努めるとともに、児童生徒の学力の実態を都民に説明する責任があるため、全都及び区市町村の結果を公表してございます。
 全国学力・学習状況調査は、実施主体が文部科学省であること、基本的な参加主体が市町村教育委員会であることから、文部科学省は結果の公表について、都道府県教育委員会は、域内の市町村及び学校の状況について、個々の市町村名、学校名を明らかにした公表を行わないこととしております。
 区市町村の調査結果の公表につきましては、各自治体がおのおのの責任でもって判断すべきものであると考えております。

○大山委員 さっきから、文科省がいっている理由が、東京都は部外者だから公表しないというだけの理由しかいっていませんけれども、通知が出て、そしてさらに今年度の実施要領では、過度な競争にならないようにということが国会でもこれだけ議論されているということを示しながら、序列化や過度な競争につながらないよう特段の配慮が必要なんだ、こういっているわけです。ちゃんとそれはしっかりと受けとめなきゃいけないわけです。国も矛盾していますよ、都道府県のを発表しているんですから。ですから、公表しないというのはその立場だというのはいいですけれども、引き続き公表しないようにしてください。
 東京都のもそうですよ。それから、一斉学力テストの実施と公表が不正まで生み出して、学区の自由化と一緒になって、児童生徒が集中する学校と希望が少なくなる学校に二極化して、学校の統廃合も進めてきたわけです。今、学校間の競争で学校がよくなると宣伝されていた学区自由化も矛盾があらわになって、見直す自治体も出てきています。子どもたちに与えている影響を直視して検討すべきです。
 東京都は、国に先駆けて一斉学力テストの実施、公表して競争をあおってきました。競争で教育がよくなるというのは誤りであるということが事実をもって証明されてきています。東京都も路線を転換することを求めておきます。
 十八年度から一斉学力テストとして始まった問題解決能力調査についてです。小学校五年生と中学校二年生の児童生徒全員が受けさせられているわけです。
 問題解決能力調査、これも矛盾がいっぱいです。十九年度の問題ですけれども、東京都が問題解決能力として、評価の観点を、問題を発見する力と見通す力、適用・応用する力、意思決定する力、表現する力、この五つを示しています。
 それで都教委は、この六月にこの五つの項目別に平均正答率を発表しています。それで新聞報道されているわけですけれども、例えば毎日新聞では、中学生、見通す力正答率一六・六%という見出しで、特に中学生で見通す力の正答率が極端に低くなる課題が浮き彫りにされたとか、産経新聞の見出しでは、東京っ子の問題解決能力、見通す力不足となっています。
 聞きますけれども、中学校の見通す力の正答率は一六・六%でした。これは東京の中学生は見通す力が弱いということなんでしょうか。

○高野指導部長 今お話のございました中学校の問題解決能力等の調査における見通す力の問題については、一六・六%の正答率で、平成十九年度調査問題中、最も低いものでございました。中学生は、与えられた情報を分析、考察して、問題を解決するための方策や結果の予測を考えることに課題があるといえると思います。

○大山委員 この一六・六%、見通す力が一六・六%しか正答しなかったということで、今ご答弁されたのは、東京の中学生は与えられた情報を分析、考察して、問題を解決するための方策や結果の予想を考えることに課題があるといえるということなんですが、だったら、前の年の中学二年生の見通す力、同じ観点の見通す力の正答率は八三・五%、十八年度の調査問題中二番目に高くなっています。これは、前の年、平成十八年度の中学二年生は見通す力があるけれども、十九年度の中学二年生は見通す力がない、そういうことなんでしょうか。

○高野指導部長 設問の難易度によりまして正答率は異なるため、単純に平成十八年度と平成十九年度の生徒を正答率だけで比較することはできないと考えております。

○大山委員 難易度が違う、それは都教委の皆さんは知っているかもしれませんが、報道されるのは一六・六%と八三・五%なんです。ほとんどの人は、難易度が違ったから去年の中学二年生とことしの中学二年生がこんな差があるんだ、わかりませんよ。同じ中学二年生が一年違うとこんなに能力が違うということは、あり得ないんじゃないんでしょうか。問題自体がふさわしくなかったと考えるのが普通だと思います。
 実際に指導部長さんは、教育委員会で一六・六%だった理由を教育委員の先生から聞かれて、問題内容については今後また精査していき、より適切な問題の出題を検討していかなければならないといっていますね。つまり、問題も必ずしも適切ではなかったと認めているわけです。
 大体、見通す力については出題が一問しかないんですね。そもそも見通す力を初め問題解決能力をはかる五つの観点は、どういう根拠でこの五つにしたんですか。

○高野指導部長 都教育委員会は、問題解決を図るために必要な諸能力といたしまして、問題を発見する力、見通す力、意思決定をする力、適用・応用する力、表現する力の五つの観点を設定いたしました。
 これにつきましては、平成十五年に中央教育審議会が答申で示した確かな学力の考え方を踏まえまして、一つは問題の理解、解決に向けての見通し、二つ目に必要な情報の収集、選択、分析、三つ目に知識、技能等の適用・応用、四つ目に思考判断といった一連の認識プロセスを考慮したものでございます。

○大山委員 要するに都独自の判断で設定したということなんですよね。都の指導部の皆さんが観点を独自に考えて、それをはかるための問題も独自につくった。何か科学的根拠があって、学者が研究を重ねて、検証を重ねてつくられたものではないわけです。今述べたこと一つとっても、問題解決能力テストというものが、東京の小学五年生と中学二年生全員に受けさせることができるような段階ではないといえると私は思います。
 ところが、こうしたものが何か客観的な物差しであるかのように、東京じゅうの小学五年生と中学二年生全員が受けさせられて、結果が公表され、見通す力が弱いなどという言葉のみ、結果のみがひとり歩きしています。インターネットのブログでもたくさん出てきます。見通す力って何なのか、この問題ではかれるのかという状況であるにもかかわらず、あたかも科学的な結果のように結果だけがひとり歩きをしていく、これでは子どもたちはたまったものじゃないと思います。東京都の責任は重大です。
 もう一つ例を挙げますと、それぞれの問題に関して間違えた児童生徒、これはどこでつまずいたのかというのはわかるんでしょうか。

○高野指導部長 都教育委員会では、調査問題の誤答分析をしておりまして、どのような原因で間違ったのか報告書に詳細に記載いたしまして、学校の授業改善を図っているところでございます。

○大山委員 観点が五つあるんだと都教委はおっしゃるわけですね。しかし、都教委の意図どおりになかなかいくものじゃないんですよね。例えば、小学校の適用・応用する力が観点になっている問題で、さっきおっしゃっていた結果分析の中に、問題文に選択肢の番号--これ1、2、3、4とあります--で回答するように指示があるにもかかわらず、位置を示すア、イ、ウ、エの記号で回答した児童が一九・七%いる、こうなっているわけです。回答の書き方の違いで約二割の子どもが間違っていたということなんです。つまり、都教委が考えている観点は、適用・応用する力ではかりたかった問題なんだけれども、回答の書き方で間違っちゃったということなんです。この二割の子どもたちも適用・応用する力に課題があるということに分類されるんじゃないですか。

○高野指導部長 今お話のような児童生徒は、回答の仕方を誤ったということでございまして、適用・応用する力に課題があるとはとらえてございません。

○大山委員 しかし、正答率で適用・応用する力のところの平均が出るわけです。各問題の正答率が出るわけです。この子たちは回答の仕方を間違ったけれども、観点別でいえば適用・応用する力、これが不正解だったということなんですね。結局、評価の観点は適用・応用する力だけど、実際は回答の仕方でつまずいたということなんです。
 回答が間違う場合というのは、そのつまずきというのは、今のように答え方を間違えた場合もあるでしょうし、問題を読めなかったという場合もあるでしょうし、問題は読めたけど理解できなかったという場合もあるでしょうし、問題は理解できたけど、問題を解くのに必要な知識が不足していて答えられなかったという場合もあるでしょうし、さまざまなわけです。
 しかし、どこで間違ったとしても、つまずいたとしても、その問題が、問題を発見する力が観点だとしたら問題を発見する力での、表現する力だったら表現する力でのつまずきということになるわけです。これで問題解決能力がはかれるということになるんでしょうか。私は、はかれない、はかれるとは思えません。
 これは、先ほど都教委が示した平成十五年十月の中央教育審議会の答申です。私たちのこの答申に対する考え方はきょうは述べませんけれども、この中に三番として、確かな学力の総合的な状況の把握の必要性というのがあります。その中で、把握することは必要だが、子どもたちに求められる学力について、必ずしも共通理解になっていないとして、確かな学力の状況の把握に当たっては、子どもたちの学力の考え方について十分に共通理解することが大切であるとしています。つまり、把握は必要とはいうものの、学力についての認識も意見が分かれている事柄なんだということです。
 しかも、国が調査をする場合には、調査方法の開発等をさらに進めることや、調査の規模や実施体制についてはさらに検討を行う必要があるとか、学校間の序列化等につながらないよう、データの取り扱いについては十分配慮することが必要と、慎重にやらなければいけませんよと書いてあるわけです。こうした国の文書に照らしても、調査方法も定まらないものをいきなり悉皆でやって、結果も公表するという都のやり方は乱暴過ぎるといわなければなりません。
 子どもは、何でこんなのやるんだとか、教員も、あんな問題で正しい結果など得られるわけがない、一喜一憂がばからしいとか、自治体の教育委員会で教育委員が、学力テストは毎年やる必要があるのかという疑問も述べています。
 問題解決能力テストについても、都教委は区市町村別に結果を公表しているし、学校ごとの結果も学校によってはホームページに掲載しています。ホームページに出さなくても、先生方は、自分の学校が都の平均、区の平均と比べてどうだったのかということはわかるわけです。
 それで、決して子どもたちを序列化と競争の波に巻き込みたくないと思っている校長先生でも、平均以下は困るよ、先生、平均以下はと先生たちにいうわけです。そういう気持ちになって、テスト前には授業時間を割いて過去問をやらせてしまったりするということなんです。
 教科と関係ないこんなテストでさえも、結果が公表されれば、下位にはなりたくないと考えてしまうのが人間です。無益な競争をあおり、子どもを傷つけて、授業時数まで奪われ、試験問題にも疑問がある問題解決能力テストの実施と公表はやめることを求めて、質問を終わります。

○山下委員長 この際、議事の都合によりおおむね十分間休憩いたしたいと思います。
   午後二時五十三分休憩

   午後三時五分開議

○山下委員長 休憩前に引き続き分科会を開きます。
 質疑を続行いたします。
 発言を願います。

○山口委員 私の方からは、十九年度からスタートしています放課後子どもプランについて、何点か伺いたいと思います。
 子どもが育ち、自立していく過程で欠かせないのが時間、空間、仲間と、私たちは三間と呼んでおりますが、三つの間が少なくなったといわれて久しくなります。地域で異年齢の子どもたちが自由に遊ぶ姿はほとんど見られなくなりましたし、かわりに、放課後、英語教室だ、サッカーや野球チームあるいは塾などに通い、合間に一人でゲーム遊びなどと、子どもたちを取り巻く環境の変化は大変著しいものがあります。地域の人たちとの交流も少なく、さまざまな体験を通して人間関係を築くことや社会のルールを学ぶ機会が失われているといわざるを得ません。
 子どもには、みずから育つ力があり、その力を応援するための環境の整備、仲間と一緒の時間、それらを見守る地域のまなざし、これらを保障することは、次の社会を担う子どもたちに対する社会の責任であり、子どもの力を蓄える息の長い支援が求められているかと思います。
 十九年度スタートした放課後子どもプランは、学校を拠点として放課後の子どもたちの安全な居場所づくりとして、文部科学省の放課後子ども教室推進事業と厚生労働省の放課後児童健全育成事業を一体的あるいは連携して実施する総合的な放課後対策と聞いています。
 平成十九年度の放課後子ども教室の実施状況について、初めに伺います。

○皆川地域教育支援部長 放課後子ども教室は、放課後等に小学校を活用いたしまして、子どもたちの安全で安心な活動拠点を設けまして、さまざまな体験や交流活動を通じて、心豊かで健やかにはぐくまれる環境づくりを推進する事業でございます。
 お尋ねの平成十九年度の放課後子ども教室の実施状況についてでございますけれども、全都で六十二ある区市町村には小学校が千三百二十三校ございますけれども、そのうち放課後子ども教室は三十八区市町村、四百七十五カ所で実施しております。

○山口委員 次に、放課後子ども教室を利用できる子どもは、市区町村がそれぞれ決定することになっているということですが、どれくらいの子どもが利用したのか、またその内容はどのようなものがあったのか、伺います。

○皆川地域教育支援部長 まず、利用している子どもの数でございますけれども、利用するためには、児童の安全管理上、登録制となっておりまして、平成十九年十月末現在の調査結果によりますと、対象児童数十八万六千六百四十六人で、うち放課後子ども教室に登録している子どもの数は十三万三千八百五十七人でございます。
 次に、活動内容についてでございますけれども、校庭等での自由遊びが全体の六割弱、宿題やパソコン教室など学習的なものが二割弱であり、ミニバスケットや卓球などのスポーツ活動と音楽鑑賞や陶芸などの文化芸術活動が各一割弱となっております。その他工作、調理、ゲーム、レクリエーションなどがございます。

○山口委員 対象児童数と、それから登録している子どもの数を見ると、かなりの数の子どもたちが登録はしているけれども、ただ、きょう出された資料を見ますと、十九年度の予算の執行率が七〇・五%ということで、開所箇所数と、それから開所日数の実績減ということで、そのあたりではもう少し、身近なところになかなかまだ進んでいないということだと思いますが、まだ二年目ということで、私どもも今後の進捗状況などもあわせて見ていかなければいけないかなというふうに思っています。
 次に、放課後子ども教室は、平成十六年度から文部科学省が実施してきた地域子ども教室推進事業の取り組みを踏まえて、平成十九年度から国の支援の仕組みや内容を変更して実施することになったと聞いています。地域子ども教室推進事業は、放課後や週末に大人が学校や地域の拠点施設を子どもたちが安心して活動できる場所として確保し、同時に、保護者や地域の大人がその活動に積極的にかかわりながら、子どもたちの活動を展開していくものと聞いています。
 地域子ども教室の推進事業と放課後子ども教室推進事業の違いについて伺いたいと思います。

○皆川地域教育支援部長 地域子ども教室推進事業と放課後子ども教室推進事業の違いについてでございますけれども、地域子ども教室推進事業は平成十六年度から平成十八年度にかけて実施された国の委託事業でございまして、地域で組織する実行委員会が実施してきたものでございます。放課後子ども教室推進事業は、市町村が実施主体となり、国と都から補助を受けまして、平成十九年度から実施している事業でございます。
 活動内容は、両事業とも、学習やスポーツ、文化活動等、さまざまな体験活動や地域住民との交流活動等を支援するものでありますけれども、放課後子ども教室では、学ぶ意欲のある子どもたちへの学習支援活動の充実を図るため、地域子ども教室にはない学習アドバイザーを新たに設置できるようにしてございます。

○山口委員 放課後子ども教室には、学習アドバイザーのほかに、安全管理員、またコーディネーターが配置されていますが、このコーディネーターの役割はどのようなものなのか伺います。

○皆川地域教育支援部長 コーディネーターの役割についてでございますけれども、放課後子ども教室のコーディネーターは、学校や学童クラブとの連絡調整、ボランティア等の地域の協力者の確保、活動プログラムの企画など、放課後子ども教室の総合的な調整役として重要な役割を担ってございます。

○山口委員 放課後子ども教室を円滑に実施するために、そのかなめとなるコーディネーターの担う役割は大変大きいと思っていますが、その育成が極めて重要ではないかと思います。
 都の教育委員会として、今後、人材育成を含めどのように市区町村を支援していくのか伺いたいと思います。

○皆川地域教育支援部長 区市町村への支援についてでございますけれども、都教育委員会は、これまで、教室運営の中核を担うコーディネーターや教室にかかわるスタッフ等を対象といたしまして、資質の向上を図るため、子どもの発達理解や遊びの指導方法、教室運営などをテーマとした研修を企画、実施いたしまして、人材育成に努めてきたところです。
 また、本事業が円滑に実施できるように、区市町村、福祉保健局、校長会やPTA等との連携を図るための推進委員会を設置するとともに、安全管理の手引きを作成、配布し、また先進的な教室運営や活動事例を逐次紹介するなど、区市町村を支援してまいりました。
 今後とも、こうした取り組みを充実させまして、放課後子ども教室が一層推進されるよう区市町村を支援してまいります。

○山口委員 放課後子どもプランは、活動の中に遊びやスポーツ、文化活動、交流などの内容が盛り込まれ、コーディネーター、安全管理員、学習アドバイザー、そして保護者や一般のボランティアとして、周辺の大人や青年層も巻き込んで、それぞれの地域の特色を生かした活動がされているところです。
 学童保育の待機児童が増加し続ける中で、縦割り行政の二つの事業が今後どのように連携を図り、地域の子どもの居場所づくりを進めていくのか、大変気にかかるところですが、本来、子どもの居場所は子ども自身が見つけていくものであり、子どもの主体性が尊重され、子どもの育ちが保障される環境づくり、こういう視点をしっかり持って、放課後子ども教室の活動内容の充実を図るとともに、放課後子ども教室の拡充に向けて積極的に市区町村を支援するよう要望して、質問を終わります。

○村上委員 私は、副校長の職務の多忙化についてお伺いをしていきたいと思っています。
 副校長の職務が、教頭以上に管理責任が与えられたことにより、より煩雑で多岐にわたってきている現在、激務に耐えられず体調の変化を生じさせる結果ともなっております。そのことは文部科学省による教員の超過勤務状況によっても明らかであります。信頼される学校づくりには副校長の存在は欠くことができません。
 そこで、都教育委員会は、こうした声があちらこちらで聞こえる現状をどのように認識しておられるのか、お伺いいたします。

○直原人事部長 東京都の公立学校では、教育改革への積極的な取り組みや複雑化、多様化した教育課題への組織的な対応の強化が求められております。校長を補佐する副校長はそれらの実務を推進する役割を担っており、多くの学校では、副校長に業務が集中し負担感が生じていると認識しております。

○村上委員 副校長に対して職務が集中している、あるいは同時に負担感が生じているというようなお答えでしたけれども、負担感の分析や対応策の検討などは行っているのかどうか、お伺いいたします。

○直原人事部長 副校長等を対象に昨年度実施した実態調査やアンケートなどから、副校長が負担と感じている具体的内容としましては、調査報告事務、ICT化のおくれ、校務分掌組織に分担させられない業務などでございました。
 副校長は、本来のマネジメント業務に加えまして、これらの業務の処理に追われ、質、量ともに負担感となっているものと考えております。こうした状況を踏まえまして、都教育委員会は、本年七月に副校長の職務のあり方等の改善に向けた具体的な対応方針をまとめたところでございます。

○村上委員 今、具体的な対応方針をまとめたというようなお話でしたけれども、副校長の事務負担軽減を図っていくための特効薬はなく、事務を縮小あるいは効率化することや、学校内で合理的に事務を割り振れるような体制づくりなど、さまざまな手だてを講じていくことが必要であると考えております。
 都教育委員会が具体的な方針をまとめられたことは大いに評価するものです。中でも、退職した教育管理者や教員を学校支援に活用するため、都教育委員会独自に非常勤で教員を雇用する制度をつくったと聞いていますが、どのような目的でつくったのか、お伺いいたします。

○直原人事部長 いわゆる団塊世代の教員の大量退職時代を迎えまして、職員構成に大きな変化が生じておりますが、各学校における教育の質は維持、向上させていく必要がございます。このため、平成十九年度に従前の再雇用制度を見直しまして、これまで教職を長く経験してきた退職教員の豊富な知識や経験を学校教育の充実により生かす仕組みをつくることとしまして、平成二十年度から新たな非常勤教員制度を創設したところでございます。

○村上委員 今、二十年度に導入するということですけれども、その職務内容や配置人数、現状などについてお伺いしたいと思います。

○直原人事部長 非常勤教員制度では、管理職で退職した者は、新規採用教員が配置されている学校を巡回し育成指導に当たる教育アドバイザーや、就学相談、研修指導等の職務に充てております。また、一般教員で退職した者は、従前の再雇用制度では授業中心であったところ、新制度では、授業に加えまして、校務分掌、副担任、さらには学校管理運営の補佐業務も職務内容としまして、副校長の補佐に活用できるようにしたところでございます。
 配置人数でございますが、平成二十年度は全校種で六百八十三人を新規に採用してございます。

○村上委員 本日の新聞の中にあるんですが、新人教員五十三人が依願退職というようなことで報道がされていますけれども、これは、二〇〇七年度に都内の公立学校で教壇に立った新人教職員のうち、民間企業の試用期間に当たる一年間の条件つき採用期間にやめるなどして正式採用されなかった人が過去最高の五十四人、そのうち一人は病欠ということですけれども、採用教員千九百五十二人のうちの二・八%に当たるというような新聞の報道がありました。
 小学校千三百校、中学校が六百校ということで、約二千校の学校にそれぞれ配置するとなると、今お話のあった六百八十三人では十分とはいえない現状の中、非常勤教員について今後もふやしていく必要があると考えております。また、職務内容については、学校運営において直接的に副校長を補佐することに重点を置いていくことが必要と考えますが、ご所見をお伺いいたします。

○直原人事部長 退職教員の一層の活用を図っていくため、二十年度の採用者は継続して雇用していくとともに、二十一年度以降についても新たに採用して総人数をふやし、非常勤教員の配置を拡大してまいります。
 また、今後、副校長の負担軽減のため、非常勤教員が学校管理運営の補佐業務を適切に担い、一層の有効活用が図られるよう配置管理を徹底してまいります。

○村上委員 次に、小中学校の時間講師の任用にかかわる副校長の事務負担について質問をさせていただきます。
 最近は、教員の大量退職、大量採用で、どの学校でも毎年のように新規採用教員を受け入れ、育成することが当たり前の状況になっております。新規採用教員に対しては、週十時間、学校内での研修を行うということになっており、都教育委員会ではその時間分の代替の時間講師予算を用意しているということですけれども、したがって近年の大量採用のもとで、東京じゅうの各小中学校の副校長は、それぞれ自分の学校のための時間講師を探すことになり、うまく見つからずに苦労している副校長もいるというお話を伺っています。このような現状に対する都教育委員会の対応についてお伺いいたします。

○直原人事部長 学校には、正規教員では持ち切れない授業への対応や、委員お話しの新規採用教員の研修時間の代替のために、非常勤教員等のほか時間講師を配置しております。時間講師の採用事務は各学校で行っておりまして、都教育委員会は講師採用を支援するため、講師約四千三百人分の人材リストを学校に提供しております。
 しかしながら、小学校全科の免許を持つ者など、一部の校種、教科では講師が不足しているため、都教育委員会はホームページでの募集に加え、今年度は新たに東京都広報で募集を行うなど、講師の人材発掘に努めまして、その結果、七月以降、約四百人分の人材リストを追加提供したところでございます。

○村上委員 先日、複数の副校長からお話を伺いました。今のお話ですと、時間講師約四千三百人分の情報、そしてまた広報を通じて四百人分の情報を追加提供するというお話ですけれども、実際に現場では、副校長先生初め大変分厚い登録簿を順番に検索をしていく、そして自分の学校に合った先生のところに電話をかけるという作業で、多いところでは百件以上の電話をかけているというのが今の現実のようでございます。
 そこでお伺いをしたいのは、都教育委員会では時間講師に対する情報をシステム化しており、都教育委員会はインターネット経由での最新の情報を検索できるということで、それを各学校でもできるようにすれば、副校長にとって大きな事務負担軽減になるといっておりました。そしてまた、資料をいただいたんですが、非常勤講師のあっせん任用支援システム、これは区市町村別なんですが、これを見ますと、現在、そのシステムをしっかり利用しているのは、二十三区では三区だけ、そして三多摩を見ますと九市だけということで、これにプラスして一部利用しているところも三区あるようですけれども、大方利用していないところが多いというのも、このデータを見るとわかると思います。
 ぜひ副校長先生たちが要望しているように、このシステムが各区市町村でしっかり使えるような、あるいは可能であるようにするためには、情報公開の問題であったり、あるいはシステム上の問題等、いろいろとあるということはよくわかるんですが、こういったものをしっかりと解決していくことが大変必要ではないかというふうに考えております。
 また、このシステムについて少々ご説明をいただきたいと思いますが、お願いいたします。

○直原人事部長 お話のようなニーズがあることは以前から認識しておりまして、都教育委員会では、昨年度から今年度にかけまして、システム改善作業やマニュアルの作成等を行いまして、本年七月から各区市町村内の個人情報の取り扱いなど必要な条件が整っていれば、軽易な手続で各学校のインターネットに接続するパソコンから時間講師情報の検索ができるようにしたところでございます。

○村上委員 軽易な手続でインターネットから時間講師検索ができるようになったというようなご説明がありました。また、都教育委員会が副校長支援のためにさまざまな観点で改善、向上の取り組みをしていることはわかりました。
 しかし、学校現場の管理職にはそれがまだ十分に伝わっていない。今明らかにした時間講師情報システムの件は、各区市町村の個人情報保護規定などの課題があり、それぞれ内部的に条件整備に時間がかかっているということもあるようです。
 また、このシステムが十分に稼働するようになれば、事務負担軽減につながるというようなことでありますので、早く学校に還元をされるように、さらに都教育委員会としても地元の教育委員会に働きかけをするべきだと思いますが、ご所見をお伺いします。

○直原人事部長 システムの改善につきましては、本年七月に文書で通知し、また区市町村教育委員会の課長会の場にも出向きまして説明をしたところでございます。先ほどお話もございましたが、既に三区九市で利用を開始しておりまして、現在はまだ未利用の区市町村の中にも、導入に向けて現在準備や検討をしているところもございます。委員のお話も踏まえまして、早期に再度の周知を図り、区市町村教育委員会の取り組みを促進してまいりたいと思います。

○村上委員 これ七月からということで、今、三区九市ということですけれども、現場では任用の支援システム、大変望んでいる声が強くあるわけですから、ぜひそれぞれの区市町村でも有効に活用できるように、支援体制をしっかりと促進していただきたいと思います。
 最後に、管理職の仕事は多忙化しています。そしてまた、今、管理職を希望する人たちが減少しているのも実情でございます。ともすれば副校長が在職をしていない学校も出てくるのではないかというような心配のある声も現実として起こってきています。ぜひこれからも積極的な都教育委員会として支援体制の充実あるいは促進を期待して、質問を終わります。

○吉田委員 皆様お疲れさまでございます。ただいま各委員の皆様から大変有意義な質疑があったところでございますけれども、私からは、学力の向上のための施策という観点から少しご質問をさせていただきたいと思います。
 小中学校におきまして編成される教育課程の基準である学習指導要領は、これまでおおむね十年に一度改訂をされてまいりましたが、特に、昭和五十二年改訂、五十五年度から実施されていた、いわゆるゆとり教育の導入以降、授業の内容も時間数も改訂のたびに減らされていき、現行の学習指導要領は、授業内容は昭和五十四年以前の約半分、時間数も極めて少ない、こういうものであります。
 私は、幸運なことに昭和五十四年度に区立の小学校を卒業いたしまして、その後は私立に進みましたものですから、成長期の、最も柔軟で吸収力があって、乾いたスポンジが水を吸い取るように、今同じことをやれといわれたら到底不可能な膨大な量と内容のいろいろな物事を若い心身に刻み込んでいける、育ち盛り、伸び盛りの大切なかけがえのない時期に、それにふさわしくたくさんのことを教わることができました。
 ゆとり教育などというものによって学ぶ機会を奪われずに済んだことを、本当に運がよかった、ありがたかったと感謝をしておりまして、逆に、その大切な時期を、ゆとり教育の名のもとに、私どものころの半分の内容しか学ぶ機会を与えられなかった世代の皆さんは、本人たちは比較できないので気づいていないかもしれませんけれども、本当にかわいそうだと。そして、そういう世代をつくり出してしまったことは本当に国家の損失であったと、残念に思っている次第であります。
 現在、基礎学力の低い大学生あるいは社会人、企業に入ってから企業がびっくりして、学校のように新人に勉強を教えなきゃいけないと、こういう事象、存在に象徴されますように、我が国の子どもの学力が大変低下をしていると懸念されている、この指摘は、実際、PISAの調査など次々に発表される国際的な学力調査において、我が国の児童生徒の順位が低下していることなどを見ても、明らかな事実であります。
 このような客観的な事実、現状を把握することは、適切な施策を打ち出すために不可欠な判断材料、情報として必要でありまして、その意味で、全国的な学力・学習状況調査は当然に必要であります。
 平成十六、十七年度、文部科学省委嘱の義務教育に関する意識調査、この報告書を見ましても、関係者、保護者、学校評議員、教育長、首長などは、全国学力テストを実施するということに賛否をとると、賛成の方の割合が六割を超えているということで、今、この必要性について国民的に理解が深まっていると、このように認識をしております。
 このようなさまざまな調査をきちんと行って把握をして、都の児童生徒の学力の実態を把握して、学力の向上に取り組んでいただかなければいけないと思っているわけですが、そこで決算説明書の九三ページにございます東京都教育委員会の学力向上のための施策について伺います。
 都の教育委員会は、全国に先駆けて、児童生徒の学力向上を目指して平成十五年度から独自の学力調査を実施しています。平成十九年度調査につきましては、平成二十年一月に実施をし、六月に結果について公表したと伺っております。十九年度は五回目となるわけでございますが、この調査結果から都の児童生徒の学力の実態をどのように把握をしているのか伺います。

○高野指導部長 平成十九年度までの都が実施した学力調査の結果からは、児童生徒の基礎的、基本的な事項の定着状況につきましては、全体的におおむね良好であること、問題解決等の能力につきましては、長い文章を読んで内容を把握することや情報を整理して判断することなどに課題がございまして、活用や応用についての指導が必要であることなどがわかりました。
 また、あわせて実施いたしました学習に関する意識調査、この結果から見ると、五年前と比べまして、学習がわかる、どちらかといえばわかると答えている生徒がふえていることも明らかとなりました。

○吉田委員 ありがとうございます。これらの今おっしゃった調査結果は、区市町村の教育委員会はもちろん、各小中学校に届けられていると思いますけれども、それでは学校はどのように活用しているのかお伺いをいたします。

○高野指導部長 東京都教育委員会は、都が実施した学力調査の結果につきまして、各教科の学校別正答率あるいは意識調査の個別の回答などにつきまして、データを区市町村教育委員会に送付するとともに、授業改善のポイントを記しました児童生徒の学力向上を図るための調査報告書を作成いたしまして、区市町村教育委員会や各学校に送付しているところでございます。各学校では、こうした調査結果あるいは児童生徒の学習状況をもとに、授業改善推進プランを作成いたしまして、授業改善に取り組んでいるところでございます。

○吉田委員 わかりました。
 ところで、学力の定着というためには基本的な生活習慣の確立が重要であると、このように指摘をされていると思います。都の学力調査では、学習に関する意識調査もあわせて実施をし、生活や行動に関する設問もあるというふうに伺っております。この学力の定着状況との相関ということについては、都はどのように認識をしておられるんでしょうか。

○高野指導部長 都の学力調査では、児童生徒の学習に関する意識調査として、学校に行く前に朝食を食べるか、身の回りのことを自分でしようとしているかなど、基本的な生活習慣が身についているか、主体的に考え行動しているかを聞く設問がございます。
 朝食につきましては、必ず食べる、大抵食べていると回答している児童生徒の平均正答率は、食べない、食べないことが多いと回答している児童生徒の平均正答率に比べまして一六・一%高くなってございます。また、身の回りのことを自分でしようとしているかについては、している、大抵していると回答している児童生徒の平均正答率は、していない、しないことが多いと回答している児童生徒の平均正答率に比べまして八・一%高くなってございます。
 こうしたことから、基本的な生活習慣と平均正答率との相関はあるといえると考えております。

○吉田委員 ありがとうございます。都として、基本的な生活習慣と、学力といっていいでしょうか、相関はあるんだというふうにご認識であるということでご答弁がありましたが、この相関があるんだという調査結果を家庭に理解をしてもらわないと意味がないと思うわけであります。
 昔と違ってというか、今は、子どもが自分で朝ご飯を用意して、それから出てくるということではなく、親にちゃんとつくっていただいて、あるいは親がお金を与えてコンビニエンスストアで買ってきなさいみたいな、いろんなことが起きてしまっているんだろうと思うんですが、家庭が、あるいは親が、基本的生活習慣をきちんとしないと学力というものがきちんと定着しないんだという認識を、そういうことを知っていただく、これが大事だと思うんですが、家庭への周知ということについてはどのようにしていらっしゃるのか伺います。

○高野指導部長 東京都教育委員会では、学力調査の結果が記入されております個人票を区市町村教育委員会を通しまして各学校の児童生徒に返却してございます。各学校では、個人票を返却する際に、児童生徒に日ごろの学習への取り組み方や日常生活を振り返らせております。さらに、この個人票をもとに児童生徒や保護者との面談等を行いまして、家庭での学習や生活の改善を図っているところでございます。

○吉田委員 ありがとうございます。今ご答弁をいただきました、個人票をもとに児童生徒や保護者との面談等を行い、家庭での改善を図っていらっしゃるということでありますけれども、児童生徒は先生が一生懸命面談等をしている。ただ、保護者にきちんと面談等を行って、親、家庭、こういうところへの働きかけをちゃんとやっているかどうか、ここはよくよくお聞きをしていますと、区市町村によって随分とばらつきがあるというか、きちんとすることを徹底的にやっている区市町村と、どうもそこまでは徹底をしていないというところがあると、このような現実ではないかというふうに認識をしております。
 保護者への十分な情報提供、これが本当に重要でありまして、個人票をせっかくこのように準備をして用意しても、児童生徒だけに働きかけようとしているしている状況ですと、その児童生徒によっては、簡単にいえば紙飛行機にして飛ばしてしまったり、学校に積んでおいたり、何が起きるかわからないというか、確実に家庭に届かなかったり、あるいはその重要性を保護者が認識できなかったりと、こういうことでは、残念ながら、せっかくの都の取り組みですが、効果が上がらないわけであります。保護者との面談等についてばらつきがある、学校ごとにもばらつきがあるというような状況が続きますと、都の教育委員会のねらいとする児童生徒の学習状況の改善につながらない、これが行き渡らない、こういう可能性があるわけであります。
 この学力の向上については、基本的な生活習慣の確立が重要であることを、本当にあまねくというか、保護者に理解をしていただいて、家庭の協力を得ていく、そういうことに都の教育委員会としてさらに一層お取り組みをいただく必要があるんじゃないかな、このように考えますが、いかがでしょうか。

○高野指導部長 児童生徒の学力向上と基本的な生活習慣の確立には関連があることから、このことを保護者に周知することは、委員ご指摘のように重要なことであると考えております。
 保護者への周知につきましては、現在、各学校がその実態に応じまして工夫しているところでございます。今後は、保護者に働きかけ、家庭の協力を得て学力向上を図ることが重要であることを、区市町村教育委員会対象の学力向上調査説明会で指導の徹底を図ってまいります。

○吉田委員 大変前向きなご答弁をいただきましてありがとうございます。
 今回の学習指導要領の改訂でございますが、これにおきましては、授業内容も時間数も、脱ゆとりといういい方もされますけれども、少しくふえたというふうに認識をしておりまして、これが二十一年度から二十四年度までの予定が、来年度から前倒しの実施もしていくということで期待が寄せられるところでありますが、この内容とともに、学力の向上につきましては、今質疑をさせていただいたとおり、基本的な生活習慣の確立が大変重要であるということが、学校側あるいは自治体側の努力だけでなくて、家庭が大事だということが調査結果でも明らかだとご答弁いただいております。このことを保護者にぜひ関心を持って深く知っていただくと、そしてご協力をいただくということで、学力向上の施策はより効果が上がるはずでございます。
 繰り返しになりますが、家庭の力が大変重要だということをすべての保護者が十分理解して取り組んでいただけるように、今ご答弁いただきましたとおり、都教育委員会として区市町村の教育委員会とぜひ連携を強めて、学力向上の施策に努めていただきたいと思います。
 質問を終わります。

○山下委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○山下委員長 異議なしと認め、本件に対する質疑は終了いたしました。
 以上で教育庁関係を終わります。
 以上をもちまして第二分科会における決算の審査は終了いたしました。
 なお、本分科会の審査報告書につきましては、分科会委員長において取りまとめの上、委員会委員長に提出いたしますので、ご了承願います。
 これをもちまして第二分科会を閉会いたします。
   午後三時四十七分散会

ページ先頭に戻る

ページ先頭に戻る