各会計決算特別委員会第三分科会速記録第四号

平成二十年十月二十四日(金曜日)
第九委員会室
   午後一時開議
 出席委員 十名
委員長東野 秀平君
副委員長山口  拓君
副委員長林田  武君
米沢 正和君
河野百合恵君
橘  正剛君
今村 るか君
崎山 知尚君
串田 克巳君
酒井 大史君

 欠席委員 なし

 出席説明員
都市整備局局長只腰 憲久君
次長総務部長事務取扱泉本 和秀君
技監福島 七郎君
理事加藤 英夫君
都市づくり政策部長安井 順一君
住宅政策推進部長松村 光庸君
都市基盤部長升 貴三男君
市街地整備部長座間  充君
市街地建築部長河村  茂君
都営住宅経営部長清水 文夫君
企画担当部長横溝 良一君
連絡調整担当部長岡沢  裕君
住宅政策担当部長瀬良 智機君
外かく環状道路担当部長遠藤 正宏君
民間開発担当部長石川  進君
多摩ニュータウン事業担当部長小澤  弘君
都市景観担当部長町田 修二君
経営改革担当部長並木 勝市君
参事瀧本 裕之君
参事宇多田裕久君
参事福田 良行君
参事中島 俊明君
参事山口 幹幸君
参事荒川 達夫君

本日の会議に付した事件
 平成十九年度東京都各会計歳入歳出決算の認定について
都市整備局関係
・平成十九年度東京都一般会計決算(質疑)
・平成十九年度東京都都営住宅等事業会計決算(質疑)
・平成十九年度東京都都営住宅等保証金会計決算(質疑)
・平成十九年度東京都都市開発資金会計決算(質疑)
・平成十九年度東京都多摩ニュータウン事業会計決算(質疑)
・平成十九年度東京都臨海都市基盤整備事業会計決算(質疑)

○東野委員長 ただいまから平成十九年度各会計決算特別委員会第三分科会を開会いたします。
 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、都市整備局関係の決算に対する質疑を行います。よろしくお願いいたします。
 これより都市整備局関係に入ります。
 初めに、理事者の欠席について申し上げます。
 河島航空政策担当理事は、公務のため、本日の分科会に出席できない旨の申し出がありました。ご了承願います。
 次に、過日の分科会で紹介できませんでした幹部職員について、局長から紹介があります。

○只腰都市整備局長 過日の委員会を欠席させていただきました幹部職員をご紹介いたします。
 多摩ニュータウン事業担当部長の小澤弘でございます。どうぞよろしくお願い申し上げます。
   〔理事者あいさつ〕

○東野委員長 紹介は終わりました。

○東野委員長 これより決算の審査を行います。
 平成十九年度東京都一般会計決算中、都市整備局所管分、平成十九年度東京都都営住宅等事業会計決算、平成十九年度東京都都営住宅等保証金会計決算、平成十九年度東京都都市開発資金会計決算、平成十九年度東京都多摩ニュータウン事業会計決算及び平成十九年度東京都臨海都市基盤整備事業会計決算を一括して議題といたします。
 本件につきましては、既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○泉本次長 十月十日の当分科会で要求をいただきました資料につきましてご説明申し上げます。
 お手元に配布しております当局の平成十九年度各会計決算特別委員会第三分科会資料の表紙をおめくりいただき、目次をごらんください。
 資料は、1の財務局に引き継ぎを行った都営住宅用地の件数と面積から、7の周辺区部における都施行土地区画整理事業の状況までの七件でございます。
 それでは、まず一ページをお開き願います。1の財務局に引き継ぎを行った都営住宅用地の件数と面積でございます。
 過去五年間につきまして、件数及び面積を記載してございます。
 次に、二ページをお開き願います。2の都営住宅建設事業に係る中小企業への工事発注実績でございます。
 都営住宅建設事業における発注実績につきましては、資本金三億円以下または従業員数三百人以下の中小企業への発注内訳を、財務局契約、当局契約の別に記載してございます。
 続いて、三ページをごらんください。3の都営住宅建てかえによる型別供給実績でございます。
 過去十年間につきまして、型別の供給内訳を記載してございます。
 次に、四ページをお開き願います。4の首都高速道路に対する出資金・貸付金の推移でございます。
 過去十年間の首都高速道路の整備に対する出資金、貸付金の金額、及び出資率、貸付率の推移をそれぞれ記載してございます。
 続いて、五ページでございます。5の多摩ニュータウンの施行三者の未利用地の状況でございます。
 平成二十年三月三十一日現在の、東京都、都市再生機構及び東京都住宅供給公社の未利用地面積をそれぞれ記載してございます。
 次に、六ページをお開き願います。6の既設都営住宅のエレベーター設置状況でございます。
 過去五年間に設置されたエレベーターについて、団地数及び設置基数を記載してございます。
 最後に、七ページでございます。7の周辺区部における都施行土地区画整理事業の状況でございます。
 周辺区部における都施行土地区画整理事業につきまして、施行面積、平均減歩率、減歩緩和用地面積、権利者数、総事業費、平成十九年度事業費及び進捗率を地区ごとに記載してございます。
 以上で説明を終わらせていただきます。どうぞご審議のほどよろしくお願い申し上げます。

○東野委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めて、これより本件に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○米沢委員 私からは、都の施行の区画整理の推進につきましてお尋ねいたしたいと思います。
 私の地元である江東区の居住人口は、ここ数年、急速に進んでおりまして、年間一万人の増加が見込まれております。有明、東雲地区にはもちろんのこと、私の地先である新砂地区でも、区画整理で放射第一六号線が整備をされたために大型店舗が出店してくるなど、かつての倉庫街が業務・商業、そして、今や市街地へと大きく変貌しつつあるわけであります。区画整理による都市基盤整備の効果を、実際、この目で実感をしているわけであります。
 私が見ますれば、当然区画整理も仕上げの段階だと思いますけれども、今後どのような事業が残されているのか、まず、新砂地区の現状と今後の予定についてお伺いいたしたいと思います。

○座間市街地整備部長 新砂地区におきます現状と今後の予定でございます。
 新砂地区におきましては、都施行土地区画整理事業によりまして、放射第一六号線と環状第四号線が整備をされております。これによりまして、明治通りから環状七号線までの区間がつながりまして、葛西橋通りの渋滞が解消されるなど、広域幹線道路としての機能が十分に発揮されているものと考えております。
 また、沿道におきましては、業務・商業、居住機能のほか、高齢者専門病院を初めとする高齢者福祉・医療施設が開設されるなど、複合的な機能を持つ市街地として発展しているところでございます。
 今後は、放射第一六号線沿道の三カ所に保留地がございますので、この保留地処分を予定しております。このうち一カ所、約二千七百平方メートルにつきましては、現在、処分の公募手続を進めておりまして、年内には処分先が決定することとなっております。
 また、残りの二カ所の保留地、約三千五百平方メートルにつきましても、平成二十一年度以降、順次、処分をしていく予定にしてございます。

○米沢委員 ただいまの説明で、方向性が十分確認、認識をできました。したがって、これら保留地が処分されることで、さらなる地域の活性化を期待しておるわけであります。
 また一方で、臨海部の区画整理にも同様に大きな期待が寄せられておるわけでありますが、特に都市基盤整備が充実している豊洲駅周辺では、マンションや商業あるいは業務施設などの開発が進み、急速にまちが発展をしてきておるわけであります。
 区画整理地区内でも、来年、首都高速晴海線の豊洲ランプが整備されると聞いております。臨海部への交通アクセスが飛躍的に改善され、ますます地域の発展が期待されるわけでありますが、十九年度の決算を見ますと、豊洲地区の執行率は四〇%となっております。このことは、工事が大変おくれているのではないかというふうに思うわけであります。
 特に広域幹線道路の補助第三一五号線については、豊洲から有明、お台場へと結ぶ臨海地区の骨格となる道路であり、地元はもちろんのこと、関係者は全線開通を早急に望んでおるわけであります。
 そこで、臨海部の骨格を担う補助三一五号線の全線開通について、見通しをお伺いしたいと思います。

○座間市街地整備部長 補助第三一五号線でございますけれども、この路線は、臨海部の発展に必要な広域幹線道路でございます。現在、豊洲地区と有明北地区を結ぶ富士見橋を、平成十八年度から五カ年の計画で整備を進めているところでございます。
 この富士見橋の整備にあわせまして両地区の道路整備を進めてございまして、平成二十二年度の全線整備完了に向けまして、現在、事業を進めているところでございます。
 今後とも、臨海部のまちづくりを一層促進していくために、補助三一五号線などの都市基盤の整備を着実に進め、臨海副都心と都心部のアクセス強化をしてまいりたいと考えております。

○米沢委員 地域の民間の開発動向なども幹線道路の整備完了に合わせて上向いておりますので、今後も一層着実な事業の執行により整備の推進を図るように、心から希望いたします。
 次に、東京都が施行している区画整理は、新砂地区や臨海部に見られるように、都市基盤整備を通じて、東京のまちの発展に大きく貢献する重要な事業であることはいうまでもありません。汐留や秋葉原地区では都市基盤整備が完了に近づいており、都心部の拠点整備が達成しつつあるわけであります。したがって、今後は、臨海部や周辺区部に事業の重点を移行していく必要があると考えます。
 そこで、区部における、都の施行区画整理による都市基盤整備の実施状況と今後の対応について、お伺いをいたしたいと思います。

○座間市街地整備部長 都施行によります土地区画整理事業は、街路事業や再開発事業などとともに、東京のまちづくりに必要な広域幹線道路ネットワークの形成に重要な役割を担っております。
 現在、豊洲地区など臨海部で三地区のほか、都心部二地区、周辺区部五地区の計十地区におきまして事業を展開しているところでございます。
 事業の進捗率は、事業費ベースになりますが、都心部で約八〇%、臨海部で約四三%、周辺区部で約五一%でございます。この中で、環状二号線を初めとする都市計画道路二十六路線、延長で約十七キロメートルを整備しているところでございます。
 今後は、汐留などの都心部について、完了に向けた事業を着実に進めるとともに、臨海部や周辺区部へ順次、事業の重点を移行していくとしております。
 引き続き、国費の導入など財源の確保に努めながら、都市基盤の早期整備に向け、計画的に事業を推進してまいります。

○米沢委員 大変意欲のあるご答弁でございますので、今後も引き続いて都の施行区画整理の着実な推進を心からご期待申し上げ、お願いいたしたいと思います。本当はもっと長いんですけど、ちょっと割愛します。
 次は、鉄道路線の整備についてお伺いいたしたいと思います。
 私は、昨年の都議会第三回定例会におきまして、東京がさらに成熟を遂げた都市となるためには、都市交通問題を解決する必要があり、そのためには、鉄道ネットワークの充実が重要であるということを述べたわけであります。二〇一六年のオリンピックの開催都市決定まで、あと一年を切っております。その思いはさらに強くなっているわけでありますが、そこで、改めて都内の鉄道路線の整備についてお伺いいたします。
 鉄道は、自動車と比べましても、比較しても、環境負荷の非常に小さい交通機関であり、地球環境問題が深刻化している中で、鉄道利用を促進していくことが最も重要であるというふうに考えておるわけであります。
 また、鉄道は、沿線の住民にとってはさまざまな場所への移動が簡易に、容易になるだけでなくて、地域の活性化にも寄与するなど、都市の発展を支える重要なインフラであるわけであります。都民の鉄道整備に対する期待は非常に大きいものがあるということは、ご承知のとおりであります。
 東京圏における鉄道の整備計画は、平成十二年の運輸政策審議会答申第十八号に基づいて整備を進めることとなっております。最近では、本年三月に日暮里・舎人ライナーが開業いたしまして、六月に地下鉄副都心線が開業するなど、都は、鉄道事業者を初めとする多くの関係者とともに、鉄道路線の整備を着実に進めてきたわけであります。
 現在、この答申から八年が経過をし、目標年次とする平成二十七年の折り返しの地点を既に過ぎておるわけであります。しかしながら、答申に位置づけされた路線で未着手の路線は、まだ多く残っているはずであります。
 そこで、運輸政策審議会答申に位置づけられた路線について、現在の進捗状況と今後の取り組みについてお伺いいたしたいと思います。

○升都市基盤部長 運輸政策審議会答申に位置づけられました路線について、現在の進捗状況と今後の取り組みについてでございますが、都内の答申路線のうち、平成二十七年までに開業することが適当とされた十六路線につきましては、今お話のございました地下鉄副都心線などすべての路線が、既に開業もしくは事業中でございます。
 また、平成二十七年までに整備着手することが適当、及び今後整備について検討すべきとされている十七路線につきましては、すべて未着手でございます。
 これらの未着手の路線につきましては、採算性の向上や事業主体などさまざまな課題解決に向けた取り組みが必要でございまして、都といたしましては、現状の課題や今後の方向性について検討してまいる所存でございます。

○米沢委員 今の答弁で、都内の答申路線のうち未着手のものが十七路線あるということでございますが、私の地元である江東区においても、まだ事業化に至っていない路線の一つとして、地下鉄八号線、いわゆる豊洲-住吉間の五・一キロメートルがあるわけであります。
 そこで、まずこの路線について、先ほどお尋ねした運輸政策審議会答申における位置づけについてお伺いをいたしたいと思います。

○升都市基盤部長 現在、八号線でございますが、練馬駅、成増駅から新木場駅まで都市計画決定を行いまして、有楽町線として供用されております。
 お話の豊洲-住吉間は、その有楽町線の豊洲駅から分岐いたしまして、亀有方面に延伸する構想路線の一部区間でございます。この路線は、運輸政策審議会答申の中で、平成二十七年度までに整備着手することが適当であるというふうに位置づけられておるところでございます。

○米沢委員 この路線が平成二十七年までに着手するには、残された期間はわずか七年しかないのであります。現在、江東区内では、開発が進む臨海副都心や豊洲地区といった南部地域から、私どもの区役所のある東陽町を通り、副都心として位置づけられている錦糸町・亀戸地区などの北部地域への移動を、路線バスに依存しているわけであります。
 特に区の南部には運河がたくさんあるわけでありますが、臨海地区から区中心部へのアクセスがまことに不便であるわけであります。南北交通を画期的に改善する地下鉄八号線豊洲-住吉間は、極めて効果の高い路線といえるのではないでしょうか。
 また、この路線は、単に江東区内の南北交通の改善だけにとどまらず、区部の北東部から臨海地区までを縦断をし、既存地下鉄と接続をして、広範囲にわたって整備効果を発揮する路線であるというふうに考えておるわけであります。
 本路線の南端である豊洲地区は、中央区の晴海地区とあわせて、昨今の開発によって急激に人口が増加しております。豊洲駅の乗降人員は、三年前と比べてほぼ倍の約十一万人に及んでおります。今後もオフィスや商業施設の集積が進み、乗降人員も増加していくことが見込まれております。また豊洲駅は、臨海副都心への東の玄関口として、その役割の向上も期待をされているわけでございます。
 一方、本路線の北側にある、北端にある押上・業平橋地区においても新タワーの建設が進んでおり、新タワーを中心とした観光の拠点が形成されることが期待されております。
 このように地下鉄八号線豊洲-住吉間は、もう一回いいますよ、五・一キロ、これらの開発拠点へのアクセス性を向上させる路線であり、東京の発展を牽引する必要不可欠な路線であるというふうに考えております。
 この路線の実現を目指して、沿線自治体が主体となって、地下鉄八・十一号線促進連絡協議会が設置されているわけでありますが、協議会において、今どのような検討が行われているのか、お聞かせをいただきたいと思います。

○升都市基盤部長 先ほどお話しいたしましたように、八号線は、豊洲から亀有方面への延伸が構想されてございます。また十一号線は、現在、半蔵門線として既に供用されております押上駅、その押上駅から松戸方面への延伸が構想されており、運輸政策審議会答申に位置づけられているところでございます。
 地下鉄八・十一号線促進連絡協議会は、その沿線の江東区、墨田区、葛飾区、松戸市が主体となって構成されております。協議会では、地下鉄八号線などにつきまして、都市鉄道等利便増進法の適用を前提といたしました事業スキームや段階的な整備の可能性などの検討を行っているところでございます。

○米沢委員 今ご説明ありました都市鉄道等利便増進法については、鉄道間を結ぶ新線の建設等、既存の鉄道施設を有効活用して時間短縮を図ることを目的として、平成十七年に制定されておるわけであります。地下鉄八号線豊洲-住吉間は、まさにこの法の目的に合致する路線であるわけであります。
 本路線の両端、豊洲駅、住吉駅の駅舎には、既に乗り入れ可能とするホームが整備されております。都市鉄道等利便増進法を活用して、地下鉄八号線豊洲-住吉間の早期の事業化が望まれるわけであります。
 そこで、今後、地下鉄八号線豊洲-住吉間の整備に向けて、都としてどのように取り組んでいくのか、お伺いをいたしたいと思います。

○升都市基盤部長 豊洲-住吉間の整備に向けて、東京都としてどのように取り組んでいくのかということでございますが、当該路線の事業化につきましては、多額の事業費の確保や事業主体といった事業スキームの確立などの課題がございます。
 都といたしましては、これまで、沿線区市で構成されている地下鉄八・十一号線促進連絡協議会に参画をいたしまして、関係者とさまざまな議論をしてまいりました。
 引き続き、これらの課題解決に向けまして、関係者とともに検討してまいります。

○米沢委員 沿線の三区一市の協議会の調査によりますと、本路線の整備は、おおむね一千二百億円の事業費が見込まれております。この多額の事業費の確保に当たっては、地元の努力も欠かせないことはいうまでもありませんけれども、また事業スキームの確立など、協議会などにおいても検討を進めるべき課題も大変多いわけです。
 しかしながら、地元の努力だけでは課題解決は難しく、都においてもさまざまな支援が必要ではないのでしょうか。私どもは、それを期待しておるわけであります。
 最後になりますが、鉄道ネットワークを補完し、地域の足となるLRTは、公共交通のさらなる充実を図る上で有効な交通システムであります。これまでも江東区においては、区内の南北に走る小名木川貨物線を活用した、亀戸-新木場間を結ぶLRT構想について検討してきたわけでありますが、このことは、難しいでしょうけど、仮に八号線と両立しても、採算性については、江東区に対する専門家の答申では、十分可能であるという結論が出ておるわけであります。もちろん立体交差の問題、そういった必要性のある区間が何カ所かあることも事実であります。
 しかしながら、この地域はバス以外の交通手段がない上に、並んで走る明治通りの渋滞緩和や環境に優しい交通システムを導入するという観点からも、有意義な路線であると考えておるわけであります。
 地域住民のLRTへの期待は、八号線と同様、高いものがあるわけでありまして、この路線についても都の後押しを心からお願いをして、私からの質疑を終わります。
 以上です。

○今村委員 それでは、私の方からは、多摩ニュータウン事業について、まず最初にお聞きをしたいというふうに思います。
 多摩ニュータウン事業会計の歳入について、まずお聞きしたいと思いますけれども、多摩ニュータウン事業会計の財産売り払い収入が、予算現額六十億七千八百十四万円から収入済額百五億一千八百七十四万二千九百円に、収納率で一七三・一%と伸びておりますけれども、これはどのような要因だったのか、まずお伺いをしたいと思います。

○小澤多摩ニュータウン事業担当部長 財産収入が伸びた要因でございますが、まず都は、働き、住み、学び、憩うを基本にいたしまして多摩ニュータウンのまちづくりを進め、この間、積極的に宅地販売に努めてまいりました。
 お話の平成十九年度、〇七年度でございますが、ご承知のとおり、好調な不動産市況がございましたので、そういった市況のもとで、集合住宅や戸建て住宅の住宅用地、事業所等の業務用地で販売収入の確保に努めましたことが、予算額に対しまして財産収入が伸びた要因と考えております。

○今村委員 それでは、引き続き、歳出について幾つかお聞きをしたいと思いますけれども、歳出のうち新住宅市街地開発事業区域の宅地販売事業費は、執行率が、二〇〇五年が四八%、二〇〇六年が八四%、二〇〇七年が三六%というふうになっております。
 また、相原小山区画整理管理費については、執行率が二〇〇五年一一%、二〇〇六年は転じて九八%、二〇〇七年は一五%というふうになっており、年度によってかなりの増減があるわけでありますけれども、改めて、二〇〇七年度がこのように低い要因は、先ほどの歳入でいいますと一七三%という大変高い伸びを示しているわけでありますけれども、事業費については大変低いということになっておりますので、この要因についてお聞かせをいただきたいと思います。

○小澤多摩ニュータウン事業担当部長 まず、宅地販売事業費は、主として販売宅地の鑑定や広告活動、販売委託業務にかかわる手数料といった経費、及び都有地の管理にかかわる経費でございまして、また相原小山区画整理管理費は、区画整理区域における保留地の管理にかかわる経費でございます。
 平成十九年度の宅地販売事業費の執行率が低い理由でございますが、これは直接販売によりまして、販売委託による件数が少なかったこと。先ほど申しましたとおり、販売収入が順調でございましたので、土地の鑑定評価を要する宅地の件数が当初よりも少なかったこと、あるいは広告掲載回数が当初より少なかったこと、そういったことが原因でございます。
 それから、都有地及び保留地の管理にかかわる経費は、買い主との引き渡しをする調整の中で、宅地改修工事を行う必要がなくなったことによりまして、当初の予定よりも少なくなったことでございます。

○今村委員 ご説明をいただきましたけれども、宅地等の販売等にかかわることは、いろいろと打ち合わせもしているでしょうし、年度にまたがることもあるかと思いますので、できる限りむだのないように、適切な予算の見積もりをぜひしていただきたいというふうに思いますけれども、販売に力を入れることには変わりがありませんので、引き続き努力をしていただきたいというふうに思います。
 さて、新住宅市街地開発事業区域と相原小山区画整理とでは、例えば教育施設では、エリア内で新住宅市街地開発事業区域が一一%、相原小山区画整理事業区域内は三%と大きな差があるわけであります。なおかつ、相原小山区画整理区域においては、当初計画では教育施設はゼロ%でありました。そのために、後に町田市が、東京都から税金でこの教育施設の土地の部分を購入したものであります。
 さらに、相原小山の当初計画人口は三千五百人。現在の推測では、将来人口は一万五千人以上にふえるということが予測をされ、当初計画と違って、東京都が販売をした、本来は事業用地としたものがマンション用地として販売をされているところも含まれて、このように人口が急増しているわけであります。
 このように、公的施設が足りないということが地域から大きな不満の声として上がっているわけでありますけれども、事業者として、東京都はこのことをどのように考えているのか、お伺いしたいと思います。

○小澤多摩ニュータウン事業担当部長 まず最初に、委員がお話しになりました数値の差でございますけれども、新住宅市街地開発事業区域の教育施設につきましては、小学校、中学校のほか、首都大学東京や松が谷高校、幼稚園を含んでございます。
 一方、相原・小山土地区画整理事業区域の教育施設は、小学校、中学校となっておりまして、その分で差が出てございます。
 それから、相原小山区画整理事業の区域の人口増加につきましては、近年、民有地への集合住宅の立地が進みまして、さらに町田市が平成十九年十月に当地区の地区計画を変更した結果、住宅立地がより促進されたことによるものと考えてございます。
 また、公的施設についてのお話がございましたが、現在、公的施設である中学校の新設用地につきまして、私ども都と町田市で契約に向けて調整をいたしておるところでございます。
 なお、相原小山地区の当初計画の教育施設のご指摘につきましては、当初から事業計画書の中で、小学校、中学校を想定していたところでございます。

○今村委員 今ご説明がありましたけれども、当初計画人口は、どちらにしろ三千五百人でありまして、初めから町田市が買うというお話はなかったはずでありまして、計画の途中からはそういった話になったわけでありますから、ぜひ正確にご答弁をいただきたいというふうに思いますし、それが事実というか、考え方の違いかもしれませんけれども、移り住んだ方も含めて、住んでいる町田の当該区域の住民からすれば、税金を使って土地を購入する事業と新住宅市街地開発事業とではやっぱり大きな差があるというふうに思ってしまうのは、これはある意味では仕方ないことではないかというふうに思いますので、そういった一般都民の、市民の考え方についてはぜひご理解をいただきたいというふうに思います。当然この区域のまちづくりについては、東京都と町田市が協議をしながら進めているわけでありますから、ぜひ地域の町田市や、また市民の皆さんの声がより反映されるような計画づくりを望むものであります。
 そこで、このニュータウン事業費のうち公債費会計繰出金が、二〇〇五年、八十九億円、二〇〇六年は一気に三百二十八億、二〇〇七年が百八十九億となっております。
 さらに一般会計から、二〇〇六年度、初めて百三十四億円を繰り入れております。今年度、今審議をしている二〇〇七年度が百三十一億円の繰入金となっております。二〇一一年の終了予定に向けた計画的な返済計画、返済が必要と考えます。
 既に一千百億円余りの負債があるわけでありますけれども、今後、この償還計画を含め、事業会計終結のための計画など、都はどのように考えているのか、お聞かせいただきたいと思います。

○小澤多摩ニュータウン事業担当部長 多摩ニュータウン事業会計貸借対照表に記載されておりますとおり、平成十九年度末の都債の未償還残高は、流動負債と固定負債を合わせますと約七百五十三億円となっておりまして、この額を平成二十三年度の会計閉鎖までに償還していくということになります。
 一方で、委員のお話にありましたとおり、一千億円の債務超過がございまして、一般会計からの繰入金を入れている状況でもございます。
 今後の見通しというお話でございましたが、地価や宅地需要の将来動向に左右されるなど、確定的なことは申し上げられませんが、多摩ニュータウン事業会計の資産、負債の状況は、厳しいものと認識してございます。
 このため、今後とも、まちづくりに貢献できるような事業用宅地を積極的に販売いたしまして、債務超過額の圧縮に努めてまいりたいと考えております。

○今村委員 債務超過については、圧縮をするということは当然必要になるわけでありますけれども、本来の目的でありますニュータウン事業の良好なまちづくりのために、ただ売ればいいと、どんな施設でもいいというわけではないのは、当然ご承知をいただいていることというふうに思います。ぜひ地元の自治体の意見を聞いていただいて、さらに、まだまだ教育施設、幼稚園、保育園含めましてそういったものが必要だという認識は、地域、そしてまた行政も持っていると思います。町田市のみならずニュータウン事業にかかわる地元自治体の声を聞くならば、時には一般会計からの繰り入れをきちっと責任を持ってすることによって良好なまちづくりをしていくこと、このことも大変重要だというふうに思いますので、そのことはぜひ指摘をしておいて、この問題については質疑を終了したいというふうに思います。
 次に、景観についての質疑を幾つかしていきたいと思いますけれども、東京都は、国に先んじて景観条例を制定し、美しい風格のある首都東京の実現のために事業を推進してまいりました。
 また、景観法の制定を踏まえまして、従来の景観条例を改正し、二〇〇七年度は景観計画を策定し、新たな景観施策に取り組んでおりますけれども、この景観条例、景観計画について、平成十九年度の取り組みについてお伺いをしたいと思います。

○町田都市景観担当部長 景観条例、景観計画につきましての十九年度の取り組み状況でございますが、景観法の施行を踏まえまして、十九年四月より、改正東京都景観条例及び東京都の景観計画を施行しております。美しく風格ある東京の再生を目標にいたしまして、都市計画、屋外広告物行政、これらと連動させた新たな景観行政をスタートさせたところでございます。
 具体的な内容といたしましては、東京都の景観上、主要な骨格と位置づけております例えば隅田川、多摩の丘陵地、玉川上水、こういったものを景観基本軸といたしまして、改正前の景観条例の取り組みを継承しながら、景観法に基づき、より実効性の高い届け出制度を運用しております。
 また、文化財庭園の周辺など、景観形成特別地区として指定をいたしまして、建築物と広告物との一体的な景観誘導、規制誘導を行っているところでございます。
 さらに、景観条例に基づく都の独自の取り組みといたしまして、大規模建築物等の許認可制度と連動させまして、事前協議制度を実施しております。特に国会議事堂ですとか絵画館、こういったものの眺望を保全するため、この制度を活用した景観誘導を行っているところでございます。
 十九年度の実績といたしまして、景観法に基づく届け出件数につきましては百五十件、景観条例に基づく大規模建築物等の建築に係る事前協議につきましては五十一件でございました。
 以上でございます。

○今村委員 ありがとうございます。
 それでは、この景観条例とともにもう一つ、東京都は、美しい街並みをつくっていくための条例として、二〇〇三年十月からしゃれた街並みづくり推進条例を制定しております。この条例では、まず地域の特色を生かした魅力的な街並み景観づくりを地域で自主的に進めていけるよう、街並み景観づくり制度があります。
 二〇〇七年度は重点地区を十カ所指定し、うち三カ所については街並み景観ガイドラインの知事承認を行っていると聞いておりますけれども、このような取り組み状況を踏まえて、街並み景観づくり制度の今後の取り組みについての見通しをお聞かせいただきたいと思います。

○町田都市景観担当部長 街並み景観づくり制度につきましては、東京の歴史的、文化的特色を継承し、特徴ある街並み景観を備えているような地区、あるいは幹線道路の沿道の区域、さらには大規模プロジェクトが行われるような地区、こういった地区につきまして街並み景観重点地区に指定をし、良好な街並み景観の誘導に取り組んでいるところでございます。
 今後とも、これらの地区で進められる地元の取り組みに対しまして、区市町村とも連携をとりまして、地域の自主的な街並み景観づくりに都としても取り組んでまいりたいと考えております。

○今村委員 もう一つ、この条例の中には、しゃれ街条例に基づいて個性豊かで魅力ある街並みを実現していくための制度として、街区再編まちづくり制度があります。二〇〇七年度までに街並み再生地区を三カ所指定をし、地元区と連携しながら、地域の意欲的なまちづくりの取り組みを推進しておりますけれども、この状況を踏まえて、街区再編まちづくり制度の取り組みについて、今後の見通しについてお聞かせください。

○安井都市づくり政策部長 街区再編まちづくり制度は、区市町村と地域の住民などがまちづくりの考え方を街並み再生方針として取りまとめ、この方針に基づき、段階的なまちづくりを可能とする都独自の制度でございます。
 街並み再生方針に適合する内容で、地域からまちづくりの提案があった場合には、都は、法令の基準より小さい規模であっても、これを都市計画案として受けとめまして、あらかじめ都が明示した規制緩和措置を認めつつ、まちづくりを支援しております。
 今後とも、こうした制度のメリットにつきまして、さらに区市町村などに周知いたしまして、また連携を図りながら、地域の実情を踏まえたまちづくりを推進していきたいというふうに考えてございます。

○今村委員 景観法とともに、今は、こうしたまちづくりの面でも景観を大切にしていこうという意欲が、本当に行政だけではなくて、各地域、町会単位でも広がってきているところであります。
 例えば街並み景観づくり制度では、景観づくりの街並みアドバイザー派遣が〇六年度で終了しております。この二〇〇七年度については、その派遣がなかったわけでありますけれども、こうしたアドバイザーの派遣や、またさらなる支援を、私はしていく必要性があるのではないかというふうに思っております。
 また、区画が三ヘクタール以上と大きいため今後予定をされていないということならば、もう少し小さな面積でも対象とするなど、創意工夫を求めていっていただきたいと思いますし、町田市を初め各自治体では、こうしたアドバイザー派遣など、地域でも同じような事業をしているところもあります。
 東京都としては、大きなエリアを指定していくことはよく理解をするものでありますけれども、各自治体が行っている制度に、さらに何か上乗せをするような部分もぜひご検討いただきたいということを申し上げまして、私の質疑を終わらせていただきたいと思います。

○橘委員 私からは、平成十九年度における耐震診断、耐震改修事業を中心に質問いたします。
 想定される首都直下地震等の大地震に対する安全対策と都市機能の確保は、都民の生命財産を守るためだけではなくて、二〇一六年のオリンピック招致を実現するためであるとか、また国際会議、国際的な大きなイベント、外国人の観光客を招来する、そういった多くの観点から、国際的な信用力確保のためにも重要な施策として取り組まなければならない課題であると思います。
 「十年後の東京」への実行プログラム二〇〇八では、建物、インフラの耐震化を重要施策の一つに掲げまして、三年後の到達目標として、一点目が、緊急輸送道路、沿道建築物の耐震診断と耐震改修の促進、二点目が住宅の耐震化率の向上など、こうしたことに重点的に取り組むという目標を掲げております。その具体的な数値目標を達成するには、相当工夫も必要であろうし、また力を入れて取り組む必要があると思います。
 そこで、まず十九年度の耐震改修促進事業の取り組み状況を見てみたいと思います。一般会計決算書の六三ページに、木造住宅の耐震化のための助成制度とありますけれども、この中には、耐震診断と耐震改修それぞれに対する助成が含まれておると思います。その内訳とそれぞれの執行状況について、まず伺います。

○河村市街地建築部長 内訳と執行状況についてでございますが、予算額といたしましては、耐震診断が千五百件で三千七百五十万円、耐震改修等が五百件で一億五百万円です。
 また、耐震診断の助成実績は四百八十六件で、約五百二十八万円、耐震改修等の助成実績は四十七件で、約八百十二万円でございます。

○橘委員 十九年度の実績件数を見ますと、耐震診断の方が、当然だと思いますけれども、多く、耐震改修に至るまでにタイムラグが発生したり、診断を行っても改修まで結びつかなかったといったことが推定されると思いますけれども、そういった理由なのか、その確認が一つ。
 それから、診断から改修につながらない理由ですけれども、これは費用負担の問題だけでは、私はないと思います。その理由について説明を求めます。

○河村市街地建築部長 平成十八年に都が実施いたしました世論調査によりますと、改修を行わない理由といたしまして、費用の自己負担が大きいこと、また信頼できる業者を見つけにくいこと、工法に対する信頼性が弱いことなどが掲げられてございます。改修について、耐震化にいま一歩踏み出せない事情がうかがえます。
 また、建物所有者みずからが、地震に対する危険性を十分に認識していないことも要因の一つと考えられます。

○橘委員 耐震改修が進まない理由として、工法に対する信頼性が弱いという答弁が今ございました。
 そこで、決算書を見ますと、これに関連して、木造住宅のための簡易工法の紹介という事業がございます。この事業は、所有者の負担軽減と工法の信頼性という二つの課題解決を図って、かつ木造住宅の耐震化に有効な工法の普及を図る目的で行われている事業でありますけれども、この耐震工法の紹介を耐震改修事業者と連携してきめ細かに行えば、より耐震化が進むと思われます。
 十九年度に耐震工法の紹介をどのような形で実施したのか、具体的な成果について答弁をお願いします。

○河村市街地建築部長 都では、平成十七年度から、木造住宅のための簡易で信頼できる耐震改修工法を公募し、選定した工法等について、展示会の開催、パンフレットの配布、ホームページへの掲載により、建物所有者等に紹介してきてございます。
 そのうち展示会は、十九年度に新宿駅西口イベントコーナーで一回、都政ギャラリーで二回、選定した工法、装置の展示を実施いたしました。
 また、区市や業者等の主催による展示会も、都内各所で数多く実施してきてございます。これら展示会では、都が現在、安価で信頼できる耐震改修工法装置として選定している四十五点を、延べにいたしますと二百五十五回紹介してきてございます。
 委員ご指摘のとおり、この耐震工法の紹介を耐震改修業者と連携して行うことが極めて重要でございまして、展示会では、場所等を都や区が提供し、出展者が直接、都民に耐震改修工法の模型やパネル等を見ていただきながら、きめ細かく説明を行っておりまして、今後もさらに連携を強めてまいりたいと考えてございます。

○橘委員 都政ギャラリーで開かれた展示会、私も見ました。一回説明を聞いたのですけれども、なかなか現実とは結びつかない点もございまして、二回目また説明を聞きに行ったのですけれども、確かに説明をじっくり聞きますと、業者の説明は説得力あるものでありまして、そしてまた、自分の家または近所の家を想定しながらやってみると、こうすればかなり命を守ることができるな、そういった確信も持つことができました。
 つまり、これはただ単に話を聞くだけではなくて、実際に物を見て、そして、その展示物を見て、ここはこのように設置されれば、この避難ルートが確保されるであるとか、それから、寝室にシェルター的な耐震の構造物があれば、これも命を守ることができる、そういったかなり具体的な耐震対策というのが頭で描くことができました。
 けれども、これはやっぱり回数が少ないということ、それから、それを見る人がなかなか広がらない、多くないという、まずその現実があるわけですけれども、そういったことも含めまして、今後、こうしたことを直接説明する、お話しするという機会があるということは、これは意識を変えていく上で重要なイベント、また、行事、事業であると思います。
 そこで、このような対策も含めまして、今後の取り組みの強化、この辺についてどう考えているか、伺います。

○河村市街地建築部長 木造住宅の耐震化を進めるためには、何よりも建物所有者が主体的に取り組むことが不可欠でございます。そのため、十八年度からの耐震改修助成に加えて、今年度からは、住宅の耐震化を促進するための戸別訪問による建物所有者等への直接的な働きかけ、いわゆるローラー作戦や、高齢者等の災害弱者に対する地震対策といたしまして、住宅倒壊から命を守るための耐震シェルター、防災ベッド等の設置に対し、区市町村への助成を実施してございます。
 また、民間と行政が一体となって耐震化推進の機運を盛り上げる耐震化推進都民会議を立ち上げるとともに、具体の意識啓発に向け、住宅耐震化DVDを制作し、各イベントでの上映や、ホームページに掲載し、広く都民に耐震化の必要性と重要性を訴えるとともに、行動を促してございます。
 今後とも耐震化に取り組みやすい環境の整備を図り、木造住宅の耐震化を積極的に推進してまいります。

○橘委員 具体的なローラー作戦とかは、非常に私も効果はあると思います。しかし、これには大変な労力も必要なわけでありますけれども、これは業者、それから自治体、それぞれが連携しながら工夫することによって、かなり進む促進剤となると私は考えております。耐震化に対する都民意識の向上を図るために、さらにまたもう一工夫をしながら推進していただきたいということを要望し、次の質問に移ります。
 緊急輸送道路沿道の耐震化についてであります。
 十九年度の新規事業で、改正耐震改修促進法に基づいて、幹線道路沿いの建物調査、それから、耐震化のモデル事業を実施しておりますけれども、この事業では、三路線、三十八キロメートルの沿道建築物の耐震化を進めることになっております。その具体的な事業内容と成果について伺います。

○河村市街地建築部長 この事業は、蔵前橋通り、新宿通り--甲州街道、中央通り--第一京浜をモデル三路線と位置づけまして、実態の把握や助成の成果を検証し、区市を巻き込んだ助成スキームの作成を行うことを目的としたものでございます。そのうち建築物調査では、モデル路線の対象建物約五百棟の所有者に対し意向調査を実施いたしました。その結果、回答があったもののうち、耐震改修をまだ実施していない建物所有者の約七割が耐震化に前向きであることがわかりました。
 また、補助事業といたしまして、モデル三路線沿道の建物に対して耐震化に係る助成を実施し、耐震診断、設計、十件の助成を行いました。この結果をもとに、二十年度は、対象路線を全路線に拡大し、本格事業として立ち上げたものでございます。

○橘委員 十九年度のモデル事業をもとにして、それをかなり分析されたようでありますけれども、これが一気に二十年度から対象路線を全路線に拡大していく、これは相当の力が必要だと思っております。緊急輸送道路の耐震化というのは、木造住宅の耐震化と比較しましても、対象となる建物が規模が大きいということ、権利者がかなりいらっしゃるということ、それから、関係者も多いということ、そうした条件のもとでこれからは進捗に困難が伴っていくと思われますけれども、現実の問題として、そういったことも含めまして、どのような具体的な課題が今見えてきているのか、その辺について伺います。

○河村市街地建築部長 ご指摘のとおり、緊急輸送道路沿道に立地している建築物は大規模なものが多く、構造上も木造住宅に比べまして複雑なことから、その耐震化には多くの費用がかかります。また、緊急輸送道路沿道の建物のうち、分譲マンションであれば区分所有者間の合意形成、商業ビルであれば各テナントとの営業上の問題など、木造住宅にはない複雑な権利関係の調整に多大な時間を要します。
 このように、耐震化を進めるには、建物所有者等利害関係者の理解と協力のほか、この事業が区市の事業に対する間接補助で実施していることから、区市との連携が極めて重要となってまいります。

○橘委員 この三路線のモデル事業の成果も生かしながら、昨年十二月に策定された「十年後の東京」への実行プログラム二〇〇八に掲げた、平成二十二年度までに耐震診断の必要な沿道建物の三分の一の診断終了という目標を達成すること、これが都に求められているわけです。そのめどと、それから、この耐震診断をした後の改修まで到達するためには、今、答弁にもございましたけれども、複雑な権利関係の調整とか、予算の関係とか、多大な時間と予算が必要となるわけですけれども、この大事な耐震診断後の対策について、具体的にどういうふうに進めていくのかということについて説明をお願いします。

○河村市街地建築部長 緊急輸送道路沿道建物の多くが鉄筋コンクリート造などの商業や事務所ビルなどでありますことから、今年度から、新規事業として、ビル等の改修工法や改修事例をパンフレットやホームページ、展示会等で紹介し、建物所有者が耐震化を実施しやすい環境整備を進めてございます。また、耐震化した建物に交付されるマーク表示制度をこの九月から開始してございまして、その普及によって、建物所有者の耐震化に対する自覚を促しているところでございます。
 また、耐震キャンペーン等でのさまざまなイベントなどを都内各所で開催し、官民一体となって耐震化推進に向けた都民運動を、重層的かつ波状的に展開してございます。これらの取り組みと相まって、今年度からは助成の対象を全路線に拡大しているところでございまして、着実に助成の実績は伸びていくものと見込んでございます。
 今後とも、制度面での工夫も検討しながら、地震が怖くない東京の実現に向けて耐震化推進に全力を挙げ、目標の達成を目指し取り組んでまいります。

○橘委員 都民の意識を変えていくというのは並大抵のことではないと思いますし、やはり手とり足とりという面も必要であろうかと思います。ただ単にパンフレットとか事業説明であるとか、そういった段階から、今度は本当に納得してもらうまでやっていくというのが、やはりこの事業のポイントになろうかと思います。さまざまな工夫をされている、また努力もされていることは今の質疑の中でも明らかになりましたけれども、ぜひともこれからもさらに努力を重ねられて、災害に強い都市の実現、これを目指して取り組んでいただきたいことを要望しまして、質疑を終わります。

○河野委員 質問します。最初に、「十年後の東京」に関連して伺います。
 二〇〇六年の十二月、都は、成熟を遂げた都市の可能性を世界へと銘打って、新たな都市戦略として「十年後の東京」を発表しています。その後、昨年の十二月に、「十年後の東京」への実行プログラム二〇〇八を出しました。水と緑の回廊に包まれた、美しいまち東京、世界で最も環境負荷の少ない都市を実現、災害に強い都市などの言葉が並んでいます。都民に示しているようなこの東京のまちづくり、どのように進められているのか、都の今の状況について伺っておきます。

○安井都市づくり政策部長 都市整備局では、「十年後の東京」に掲げました施策のうち、美しい都市景観の創出、三環状道路の整備、環境負荷の少ない交通ネットワークの整備、都心部の機能更新に合わせた緑化や環境負荷の低減、防災都市づくり、建築物の耐震化などを所管してございます。
 昨年策定いたしました実行プログラム二〇〇八の中で、これらの事業について三カ年の事業展開の方向を明らかにして、「十年後の東京」の実現に向けて積極的に取り組んでいるところでございます。

○河野委員 「十年後の東京」では、道路インフラの整備、とりわけ首都圏央道、外環道、首都高速中央環状品川線の三環状道路の整備促進が強調されております。首都圏央道は、貴重な高尾の自然環境を破壊してしまうと、長い、強い都民の反対運動があります。外環道についても、必要性のない巨大道路建設という声があり、生活環境と自然破壊を招くことが指摘されています。
 昨年度の末に、三環状道路の中で中央環状品川線のシールド工事契約がされて、品川区大井の立て坑工事とあわせて本格的な事業着手がされました。事業は建設局が進めていますけれども、品川線の建設についても、沿線住民から自動車排ガス換気所の建設を初めさまざまな角度から生活環境が悪化するという意見が上がっていますが、東京都はこの声にきちんとした対応をしないままで建設費の半分を都が負担するという形で事業を行っております。
 そこで伺いますけれども、石原知事は、「十年後の東京」で、二〇一六年にオリンピックを招致するために東京の成長のステージを上げるとかいっています。三環状の道路を促進するともいっています。三環状道路をつくることが、なぜCO2の排出を減らし、世界一環境負荷の少ない都市東京の実現につながっていくのか、この点、私はどうしてもわかりませんので、ご説明を求めておきます。

○遠藤外かく環状道路担当部長 三環状道路整備とCO2の削減でございますけれども、都内の二酸化炭素排出量についていいますと、総排出量の四分の一は運輸部門が占めておりまして、そのうちの九割が自動車に起因するものでございます。三環状道路を初めといたします骨格的な幹線道路ネットワークを整備することは、適切な経路選択を可能とするとともに、渋滞の解消によりまして旅行速度の向上が図られることになります。こうしたことを通じまして、二酸化炭素排出量の削減につながるものというふうに私どもとしては考えてございます。
 なお、国が試算したところによりますと、三環状道路の整備によりまして、圏央道内側の一都四県におきまして、年間二百万トンから三百万トンの二酸化炭素排出量の削減効果がある、このようにされているところでございます。

○河野委員 私も国土交通省に行って、この二百万トンから三百万トンのCO2の削減、根拠を聞きましたけれども、国土交通省の担当課長さんたちは、具体的に数値としてこうなりますということをお示ししていただくことはできないということもありましたので、いっておきます。
 高速道路をふやすことがCO2の排出削減につながるのか、私はもっときちんとした調査研究が必要だと思っています。走行速度が低くなるとCO2は確かに多く排出されますけれども、逆に時速六十キロを超えて八十キロぐらいになると、また排出量は増加するのです。走行速度とCO2の排出量は、いわゆるこういう放物線のグラフをかく関係になる、これは国土交通省も出している資料の中で明らかになっておりますので、なお研究のほど、東京都が行うべきだということを申し上げておきます。
 環境負荷が少ない都市づくりの関係で、超高層ビルについても伺っておきます。
 東京都は、国の法律を受けて、現在八カ所の都市再生緊急整備地域を指定し、大規模な開発、都市づくりを進めています。都市再生緊急整備地域内には、これまで百メートルを超える高さのビルが幾つ建設されてきたのか。そのうち平成十九年度に建設されたものは何棟あるのか。また、今後予定されている百メートルを超える高さのビルの建設計画がどのような状況なのか、お聞きします。

○安井都市づくり政策部長 緊急整備地域指定後におきまして平成十九年度までに竣工した高さ百メートルを超えるビルは合計四十三棟、このうち平成十九年竣工のものは十七棟でございます。
 今後の計画でございますが、平成二十年三月三十一日までに建築確認済みの建築物で平成二十一年度までに竣工する見込みのものは十九棟でございます。

○河野委員 都市再生緊急整備地域内だけで見ても、二〇〇七年度は棟数で約四割、延べ床面積で四九・五%、約五割を占める超高層ビルが建ったことが、今のご答弁でわかりました。大規模な開発が相当促進された年度が昨年度だったのだというふうに認識をいたします。
 超高層ビルの建設は、建設残土や建設廃材などの廃棄物を大量に発生させます。建ち上がったビルからのCO2排出も膨大です。首都圏央道の工事現場、ここも私、見に行きましたけれども、あきる野市では、谷合いの緑地に鉄とコンクリートの橋が数多くつくられて、中央高速のそばの工事現場でも巨大な換気所が建設されていて、本当に緑が削られ、自然が破壊されている、そういう状況を目の当たりにしてまいりました。こういう事態を見ますと、環境負荷が少ない都市東京とは到底いえない、そういう方向が目指せるんだろうかということで、とても疑問でした。
 ところで、伺いますが、昨年からことしにかけて、IPCC、気候変動に関する政府間パネルが連続して調査結果を発表しています。また、ことしの七月には北海道で洞爺湖サミットが開催されて、地球温暖化防止に向けてCO2排出を大幅に減らすことがサミットの最大の議題になりました。東京都は、CO2排出増による温暖化、これとあわせてヒートアイランド現象という二つの温暖化の改善が必要になっている点では、他の都市とは違う重い課題に直面していると思います。
 東京のまちは、九十九里浜からの東北東の風、それから、東京湾の海風、相模湾からの西南の風と、三方向からの風がぶつかり合う位置に置かれています。二十三区内に超高層ビルがたくさん建って超過密な都市になってしまったことで、この三つの方向から入ってくる風が都心部の熱い大気を西側に運ぶ動きをつくって、練馬区とか世田谷区とか区部の西部地域に集中的な豪雨を降らせる、そういう原因になっていることも解明されてまいりました。これはNHKの「クローズアップ現代」など、こういう番組でも紹介されています。この夏も、ゲリラ豪雨という言葉が生まれるほどの大量の雨が区部西部や多摩地域を襲っています。熱帯夜や真夏日もふえ続けています。
 東京の気候にこういう変化が起きているのは、これまで経済活動最優先で巨大な開発を進めてきた東京のまちづくりのあり方に原因があるのではないか、こういうこともいわれていますが、東京都は、こうした問題についてどういうご見解をお持ちでしょうか。

○安井都市づくり政策部長 東京が環境と調和した国際競争力を有する都市であり続けるためには、先ほどご説明もありましたが、外環など三環状道路を初めとする都市施設の計画的な整備や、都市活動が集中する都心部の更新が不可欠でございます。例えば、都心の更新で申しますと、都心再生特別地区など大規模開発を対象に最高水準の省エネ技術の導入を図る取り組みを開始しておりまして、環境負荷の低減に努めております。
 今週開催されましたC40気候変動東京会議では、東京の先進性や技術力を生かした都の進めている都市づくりを紹介するとともに、昨日は、世界三十二都市とともに、省エネ型都市づくりの推進を十三項目のトップに掲げる共同行動を決定しております。このような共同行動の決定も念頭に置きつつ、今後もこれまでと同様、都市の機能更新を適切に進め環境に十分配慮した都市づくりを進めてまいります。

○河野委員 最先端の技術を導入した超高層ビル、今いろいろいわれております。省エネ対策を十分進めているから環境負荷が少なくなるとかいわれていますが、それだけで果たしていいのだろうかという思いも私たちはしています。
 これまで私たちは、東京の二つの温暖化を改善する上で、幾つもの提案をしてまいりました。クールランド、クールスポットと呼べるようなゾーンを確保すること、そのための都立公園などの増設でCO2を吸収し、地表面の温度を下げる、そういう役割を果たす緑を思い切ってふやすこと、自動車交通に依存しない公共交通網の整備、それから、CO2排出を増大させるような大型幹線道路や超高層ビルの建設は抑制し、都市の成長を管理していく、そういう政策をもって都市計画をつくることが必要、こういうことを申し上げてきましたけれども、今、温暖化防止、強くいわれている中で、まちづくりについて、こうした大事な課題、私たちは認識しておりますが、都はどういうご認識をお持ちでしょうか。

○安井都市づくり政策部長 都は、これまでも都心部などで、保水性舗装や屋上緑化、都市開発を進める中での風の道の確保など、ヒートアイランド対策に取り組んできてございます。先ほどと同様の趣旨の答弁になりますけれども、今後も都市開発に伴う環境負荷の低減を図りつつ、高度な都市機能を備えた東京の実現を推進してまいります。

○河野委員 これからも環境負荷の少ない都市東京を頑張るということで、幾つかの例は示されましたけれども、風の道についていえば、私たちも学者さんに聞いてきましたけれども、川沿いに海風が入り込んで、そこが涼しくなるというのはあるんですが、東京のまち全体、全面的に冷やす効果はなかなか難しいという説もあります。都内全域が温まっている中で、川沿いの隅田川とか目黒川とか、その沿線だけが冷えていくということは、全体の都市の冷却化、クールランドというような状況をつくり出すという点では、まだ研究課題であるし、力としては弱いんじゃないかといわれていますので、この点もご研究をお願いしておきたいと思います。
 私は、東京の都市計画、まちづくりについて、この場でぜひ意見を申し上げておきたいと思います。
 世界では、都市の成長を管理し、環境に配慮したまちづくりを進めることが重要視されております。イギリスのロンドンでは、一九三〇年代から、セントポール大聖堂の眺望を妨げるような高層ビルは認めないという規制が続いていますし、最近出されたロンドンプランでも、超高層ビルの建設は限定されたところしか認めないということが広く知られています。東京の都市計画とは大きな違いがあるのではないでしょうか。スウェーデンでは、将来のあるべき姿を想定して、それに基づいて、今、何をしたらよいのか判断するというバックキャストの考え方が基本になっていると聞いています。
 比較して、「十年後の東京」の最大の柱は、二〇一六年東京オリンピック招致、ここにあって、そのために三環状道路を初めインフラ整備を行っていくことを最大の目標にする。その一方で、環境対策などは実際は後回しにされている。こういうことが起こっているのではないでしょうか。スウェーデンのように長期ビジョン年次から方向を検証しながら社会を変えていくというバックキャストの考え方が、持続可能な都市づくり、環境と福祉を尊重した都市づくりになっていく。そして、東京がこれまで進めてきた、経済効率と大規模開発を優先して、都民の福祉や暮らし、環境を後回しにする、そういうことを今切りかえて、都市のあり方、それから、都市計画のあり方を世界の流れの方向に見直していくということが必要になっている、このことを申し上げておきたいと思います。
 次に、区画整理の問題について伺います。
 これまでの今伺ってきた都市再生という路線のもとで後景に置かれてきた分野が幾つかありますが、その一つに周辺区部の区画整理事業があります。汐留や秋葉原などの大街区区画整理にはふんだんに予算が投入されてきましたけれども、区部周辺の都施行区画整理の予算はかなり抑え込まれてきました。現在、区部周辺事業として、第一区画整理事務所、第二区画整理事務所で五つの地区の事業が進められています。その中で、資料、七ページですね、出していただきましたけれども、進捗率が低い足立区六町地区と江戸川区瑞江駅西部地区の事業を中心に質問をいたします。
 まず、この二地区の二〇〇七年度の予算、決算の状況と、事業の進捗状況についてご説明ください。

○座間市街地整備部長 瑞江駅西部地区及び六町地区についての執行状況等についてでございます。
 要求資料にも記載してございますけれども、瑞江駅西部地区につきましては、施行面積が約三十ヘクタールでございまして、平成十四年度から建物などの移転に着手しております。平成十九年度末時点での進捗状況につきましては、事業費ベースで三六%となっております。平成十九年度は四十二億の予算現額で、百二十八棟の建築物移転及び宅地造成工事を進めてまいりました。決算額は三十九億円となっております。
 また、六町地区につきましては、施行面積が約六十九ヘクタールで、平成十三年度から建物などの移転に着手しております。平成十九年度末時点での進捗状況は、事業費ベースで二六%となっております。平成十九年度は四十二億円の予算現額で、六十三棟の建物移転及び宅地造成工事を進めてまいりました。決算額は三十六億円となっております。

○河野委員 今示していただきました進捗率を見ると、二つの地区、なかなか厳しい状況にあるなと思います。これまで都は、住民に示した事業完成年度、これは必ず守るということをおっしゃってきました。資料によれば、六町地区は、施行面積六十九ヘクタールで、ここの権利者は二千三人、そして進捗が今のお答えのように二六%。それから、完成年度については平成二十八年度といわれております。完成年度まで計算すると、ことしを入れても九年しかないわけですね。瑞江駅西部地区は、平成二十五年度の完成予定で、進捗率は今三六%です。
 この到達では、都は住民との約束がきちんと果たせるのかということで、たくさんの人が疑問を持っているんですが、事業を進捗させるには、まず予算の確保、これが欠かせません。それから、きちんと計画的に取り組むということも必要です。予算の確保の見通し、それから、移転などがスムーズに進んで、具体的に見える形で住民の皆さんへの取り組み計画を示していくことが必要だと思うんですが、完成年度との関係で、納得のいくようなご説明で、この事業、きちんと住民の方々へ、二十八年度、二十五年度、それぞれの地区、守れるのかどうか、お示しをいただきたいと思います。

○座間市街地整備部長 瑞江駅西部地区、六町地区の両地区につきましては、ただいま委員ご指摘のとおり、それぞれの完成年度が二十八年度、二十五年度となっておりますけれども、この両地区とも、当初、地元の合意形成にかなり時間を要したことは事実でございますけれども、瑞江駅につきましては平成十四年度、六町地区につきましては平成十三年度に移転工事に着手をしておりまして、それ以降は実施計画に基づきまして順調に事業が推進していると考えております。
 引き続き、適正な予算の確保に努めながら、両地区の事業施行期間内の完了に向けて計画的に事業を推進してまいります。

○河野委員 本当にその点、完成予定の年度が迫ってきている中で、今おっしゃった答弁、守っていただけるようにご努力をお願いしておきたいと思っています。
 昨年の都市整備委員会でもお聞きしましたけれども、この間、区画整理事務所の職員が減っていて、いろいろ住民の方々への影響も生じています。補償金の手続などにおくれが生じていると意見が寄せられてきています。第一区画整理事務所、第二区画整理事務所、二つの事務所があるわけなんですが、ここの職員の配置数の推移についてお聞きしておきます。五年前と現在の職員数の比較、お示しください。

○座間市街地整備部長 各区画整理事務所の人員の配置状況でございますけれども、五年前といいますと平成十六年になりますが、第一区画整理事務所では、平成十六年度が九十二人、平成二十年度が八十一人でございます。また、第二区画整理事務所では、平成十六年度が百二人、平成二十年度が九十四人でございます。

○河野委員 ということは、第一区画整理事務所は五年前と比べて十一人の減員、第二事務所のほうが八人の減員ということになります。
 これは瑞江駅西部の例なんですけれども、数年前に移転が完了した人は、移転するときの数カ月前に補償金の額が示され、そして話し合いが行われて、三カ月前には合意に達して、書類に印鑑を押して、そして移転の準備が始められたというんですね。アパートを借りるお金なども移転補償金の中できちんと手当てがついたというふうに聞いています。
 ところが、今は手続がおくれて、移転補償金が移転時には入金にならないということもあったり、引っ越しの費用、入居先の家賃負担など、もろもろの費用を全部自前で調達しなくてはならなくて、本当に困っているというお話も聞きます。区画整理事務所の職員は直接住民の方々の財産や生活にかかわる大事な役割を持っているのですから、住民生活に支障が起こらないよう、適切に職員を配置すべきだと考えます。今のような状態を改善するためには、職員の増員を図ることを初めとして、必要な対策、いろいろな形で講ずることが求められていると思いますが、この点でのご認識はいかがでしょうか。

○座間市街地整備部長 土地区画整理事業の実施に当たりましては、地元地権者のご理解並びにご協力を得ながら進めていくことが大変重要でございます。このため各事務所では、事業進捗状況に合わせまして効率的に職員を配置しております。今後ともきめ細やかな地権者対応ができるように、適切な執行体制や人員確保などに努めてまいります。

○河野委員 そういうふうに答弁ではおっしゃるんですが、実際にやっていただくとなると、これはなかなか大変なことだというふうに思います。せめて数年前に移転した人たちが手続上不安がなかったようなところにやっぱり戻していくというんですか、今おくれにおくれてしまっているような状況を改善していただくことが、事業をみんなが納得と合意の上で協力していく上で必要なことだと思いますので、よろしくお願いいたします。
 資料を見ますと、例えば瑞江駅西部地区の施行期間ですけれども、さっき資料というよりもご説明で完成年度がいわれましたけれども、平成六年度から移転事業が始まったとか、いろいろいわれているんですが、実際に瑞江駅西部地区の区画整理事業が住民に初めて説明会が行われたのは昭和六十二年ごろで、一九八七年、今からちょうど二十年も前なんです。二十年間もこの間区画整理に住民の皆さんは縛られ続けながら生活をしていて、非常に精神的な負担感も重くなっています。
 委員会でこういうことをいうのはなになのかなと思いますが、瑞江の地域には瑞江の火葬場があるんですね。区画整理が済んで新しい家に入るよりも瑞江の火葬場に行った方が早いというようなことが、住民の間では本当に冗談のように話されています。足立区の六町でも、近くに谷塚斎場があるということで、そちらに行くほうが早いという声が聞かれているみたいで、同じ区画整理地区内に住んでいる住民同士がこういうお話をすると、私たちは聞いても客観的なお話として聞けるんですけれども、住民同士ですと、非常にそういう人たちのお話を聞くとつらいものを感じる、重たい気持ちになってしまうということがいわれているんです。
 こうした関係住民の方々の心の痛みや生活への不安感に、ぜひ施行者である東京都が思いを寄せて、円滑にきちんと事業の見通しも示して、進捗に努力を尽くしていただくこと、これを本当に強く私は求めておきたいと思います。よろしくお願いいたします。
 次に、都営住宅の問題についてと、公社の関係について伺います。
 都営住宅の使用承継についてなんですけれども、昨年の八月に使用承継の要項変更があり、ことし四月からはまた見直しされて、今この見直した要項によって承継の許可と不許可の判断がされています。承継できるのは原則配偶者ということで都民の批判が強まって、東京都は障害者や家族の年齢構成などについては一定の要件緩和を行いました。しかし、親と同居の子どもは要件に該当しないと退去しなくてはなりません。
 最近、五十代半ばの都営住宅の居住者からの相談がふえています。長年親と一緒に一家の柱として頑張ってきたのに、名義人の親が亡くなったから出てくださいといわれるのは、家族として認めてもらえていない、こんな思いがしてつらいというふうな訴えがあります。八十代、九十代の高齢の親の介護をしながら生活してきた六十歳間近の居住者の多くは、経済的にも介護や医療にお金がかかってゆとりのない人が少なくありません。家賃が高い民間アパートにはとても移れない等、厳しい生活の状況を語っております。
 使用承継できる人たちの年齢の制限を、今定めている六十歳ではなく五十歳に引き下げるよう、私はこれまでも要望してきたんですけれども、次々と寄せられてくるこういう相談を聞くたびに、本当に必要な対策だと感じております。原則配偶者のみの許可条件を、もとのように一親等に戻すこと、これは大前提だと思います。都営住宅居住者から住宅難民といわれるような人たちを生み出してしまうことがないよう、せめて今できる承継の年齢制限を五十歳以上と緩和することを求めますけれども、どうでしょうか。

○並木経営改革担当部長 使用承継の年齢制限についてでございますが、使用承継制度は、都営住宅の入居は公募によるものとする原則の例外でございまして、入居者と非入居者間の公平性を確保し、対象者の厳格化を図る観点から、昨年八月より承継対象を原則として配偶者に限定しております。しかし、六十歳以上の高齢者については、居住の安定性や継続性に配慮すべきものとして、単身者でも都営住宅に申し込みができることや、倍率優遇により優先入居の対象とするなどの対応をとっていることから、これらの制度と同様の考え方に基づきまして、例外的に承継を認めているものでございます。
 なお、従来は、承継者が六十歳以上の高齢者であることに加え、同居者がいる場合は、同居者のいずれもが六十歳以上の高齢者または十八歳未満という要件を設けておりましたが、本年四月の運用の見直しにより、この同居者の年齢制限につきましては見直しをしてございます。

○河野委員 今ご答弁いただいたようなことは承知して申し上げているんです。
 病弱者の承継についてお聞きしておきます。
 この七月に名義人のお母さんが亡くなった五十七歳の女性は、十三年前に乳がんを患って三回手術をしています。順天堂浦安病院でホルモン療法の治療を受けて、ずっと生活しているんです。これは肝臓に大変負担がかかる治療ということで、今この人は体がだるくて仕事も十分にできないような体調です。六十歳少し前の一親等なので承継が認められないということを知ったときは、とても驚いたそうです。かかりつけの順天堂浦安病院の医師に相談をしましたら、病状を悪化させないためには現在の生活環境を変えないほうがよいということで、都営住宅への継続的居住を認めてもらえるように都立病院に紹介状を書いてくれたそうです。これを受けて都立病院に行ったわけなんですが、都立病院が書いてくれた診断書は、かかりつけ医の人が書いた病名などを書き写しただけというような内容のものでした。
 都市整備局は病院経営本部に、都営住宅の使用承継の仕組みを変えたときに、どういうふうな対応をされたのでしょうか。この使用承継の仕組みを、都立病院、公社病院の診断書が必要であるということや、病弱者と判断していくには、そこの診断書に限るということを周知した、このように私はこれまで聞いてきたんですけれども、本当にそうだったんでしょうか。この方が持参した都立病院の診断書を見る限り、都立病院等の医師にはその趣旨が伝わっていないということを感じました。病院経営本部との連携、医師への周知、これは一体どうなっているのでしょうか。

○並木経営改革担当部長 病弱者の承継についてでございますが、使用承継は原則として配偶者に限り認められる中で、病弱者の承継については、難病や公害病認定患者など特別な事情があると判断される場合に例外的に認められるものでございます。難病や公害病認定患者等以外につきましては、病名だけでは使用承継の対象者である特別の事情にあるものかどうか判断できないことから、本年四月の運用の見直しに合わせまして、都が設置した都立病院または都が中心となり設立した東京都保健医療公社が設置した病院の医師に的確に見ていただき、その医師の診断書を踏まえ判断することとしてございます。
 今回の承継制度の見直しに伴う診断書の取り扱いにつきましては、これまでも病院経営本部等を通じて周知を図ってございます。先ほど申し上げましたように、診断書は、あくまでも医師法に基づき医師が診察をした場合、求めに応じて個々の患者の病状を踏まえ適宜作成されるものでございますけれども、今後とも承継制度に必要な診断書が適切に取り扱われるよう、病院経営本部等と連携を図ってまいります。

○河野委員 的確に診断してもらうことが必要ということで、周知も図っているということをおっしゃっていますけれども、そうなのかなと思います。お医者さんの立場で考えれば、かかりつけ医の紹介状があっても、そう簡単には、今、部長がお答えになっているような診断書は書けないのではないでしょうか。何人かのお医者さんの意見を聞いてみましたけれども、患者さんを継続して診察していない医師が、都が要求するような診断書を書くこと自体に無理があると話しておられました。医療について認識していない人の発想じゃないかという厳しい評価をしていた方もいます。
 私が相談を受けているこの方も、都立病院の診断書の費用だけで五千円がかかっています。経済的な負担も大変なんですね。病弱者として認められる、そのためには、医師の診断書は、都立病院、公社病院の診断書に限るという今の要項をもう一回見直していただいて、かかりつけ医が書いてくれたものも認める、そのように改めるべきと考えますが、これはぜひお答えをいただきたいと思います。

○並木経営改革担当部長 ただいま申し上げましたように、病弱者の承継につきましては、あくまでも特別な事情があると認められる場合に例外的に認めているものでございまして、難病や公害病認定患者等以外につきましては病名だけでは判断できないということで、都が設置した都立病院等の医師に的確に診ていただきまして、その医師の診断書を踏まえ対応するということにしてございますので、そのように対応していきたいと思っております。

○河野委員 今のところ全くやる気がないことはわかりましたけれども、特別な例外がある場合というところが非常に微妙なんですね。私たちにはわかりづらいです。今度いつかの機会に、こういう場合が特別な例外ですということを示していただくような東京都の対応もお願いしておきたいと思います。
 次に、住宅供給公社が導入したコールセンターについてお聞きします。
 公社は、昨年末から、このコールセンターの設置に向けて準備してきたとのことですので、この決算委員会で伺っておきたいと思っています。
 都営住宅や公社住宅の居住者から、この間、何件も相談がありました。コールセンターに電話してもつながらない。オペレーターにつながっても、相談したい公社の担当につないでもらうにはとても時間がかかる。オペレーターが、わからないので後から電話しますといってもナシのつぶてだった。住所や氏名を聞かれるだけでなく、生年月日や住宅使用許可書の番号まで聞かれる、こういうことは本当に納得がいかないなどなど、苦情の内容はたくさんあります。
 都市整備局は、コールセンターについて一定の改善を公社に図らせたということを以前話されていましたけれども、改善されていないどころか、さらに不便さを感じる、そういう声が強まっているのが現状です。こうした状況を把握されておられるでしょうか。

○並木経営改革担当部長 公社のコールセンター、いわゆるお客様センターでございますけれども、これにつきましては、六月の開設当初には電話がつながりにくいなどの要望が居住者から寄せられたことから、都としては公社に対し、直ちに改善措置をとるよう指導してきました。
 これを受け、公社では、既に曜日や時間帯などに応じたオペレーターの適正配置や、電話の内容に応じた窓口への速やかな転送を行うことに加え、ノウハウを有する公社職員がオペレーターの電話対応を支援するなどの措置をとってございます。
 また、入居者番号等を聞かれるとのことですが、お客様センターでは、電話での問い合わせ等に際しては、居住者の個人情報保護のため、本人であることの確認を行うこととしてございまして、団地名や氏名のほか、名義人番号または生年月日等の確認について協力をお願いしているものでございます。
 居住者へのオペレーターの対応につきましては、都としてもこれまでも公社に対し、丁寧な対応を行うよう求めており、これを受け公社では、電話による対応マニュアルを整備するとともに、オペレーターに対する新規採用時の接遇研修に加え、採用後もフォローアップ研修などを実施しております。この結果、現在ではおおむね円滑に業務が行われているというふうに考えてございます。

○河野委員 参事のご答弁、円滑に進められているというんですけれども、そうだったら来ないでしょう、電話が、私たちのところへ。今週の月曜日に来ているんですね、長々と。こういうことで、こうで、こうで、こうでと説明されて。ここでいいませんけれど。だから、コールセンターが円滑に運営されているということはないということを、私はここで確認をしておきたいと思います。
 それで、もう一つ質問しておきますけれども、特に障害者の方、高齢者の方が不便を感じているんです。オペレーターのいっていることがわかりづらく、電話をしたくないという人、高齢者の方に多くいらっしゃいます。また、視覚障害者の人は、光電話、IP電話というんですか、そこからは直接コールセンターのところにつながらないで、別のところに記されているIP電話が通じる電話番号、それがあるわけなんですけれども、この電話番号の字が小さくて読み取れず、大変不便だったという意見も上がっています。
 こうした高齢者や障害者の人が困ったときに相談しづらいというコールセンター、円滑に運営されているなんてとんでもない話なんですけれども、いつでも困ったときに相談できる体制づくり、これは緊急につくり上げていただきたいと思いますが、このことについてご答弁をいただいて、私の質問を終わりたいと思います。ぜひ前向きなご答弁、お願いします。

○並木経営改革担当部長 お答えの前に、先ほどの答弁ですけれども、現在おおむね円滑に業務が行われているというふうにご答弁申し上げておりますので、よろしくお願い申し上げます。
 それから、高齢者や障害者を含む居住者への対応でございますけれども、これについてはなるべくわかりやすく丁寧な対応に努めるよう、既に公社に対して指導してございます。
 お客様センターの連絡先の番号の案内については、既に「すまいのひろば」に大きな文字でわかりやすく電話番号を掲載することや、連絡先が記載されたステッカーを全世帯に配布するなどの対応を行ってきております。
 また、居住者の方が従来の窓口センターに電話した場合には、音声ガイダンスにより、用件に応じて最も適切なお客様センターの連絡先につないでおりますけれども、オペレーターに接続するまでの時間を短縮するなど、既に改善を図っております。
 さらに、居住者からの問い合わせ等に対するオペレーターの対応につきましては、先ほど説明申し上げましたように、オペレーターに対する研修体制の充実に努めております。
 都としては、今後とも高齢者や障害者を含む居住者に対する電話対応につきまして一層の向上が図られますよう、引き続き公社を適切に指導してまいります。

○東野委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○東野委員長 異議なしと認め、本件に対する質疑は終了いたしました。
 以上で都市整備局関係を終わります。
 これをもちまして本日の分科会を閉会いたします。
   午後二時四十五分散会

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