各会計決算特別委員会第一分科会速記録第三号

平成二十年十月二十日(月曜日)
第十一委員会室
   午後一時開議
 出席委員 十名
委員長矢島 千秋君
副委員長谷村 孝彦君
副委員長中村 明彦君
鈴木 章浩君
高倉 良生君
早坂 義弘君
たぞえ民夫君
服部ゆくお君
斉藤あつし君
石毛しげる君

 欠席委員 なし

 出席説明員
会計管理局局長三枝 修一君
管理部長山本  隆君
警察・消防出納部長堀切喜久男君
参事土渕  裕君
選挙管理委員会事務局局長矢口 貴行君
人事委員会事務局局長中村 晶晴君
任用公平部長宮川 雄司君
試験室長内藤 泰樹君
参事鷲見 博史君
知事本局局長吉川 和夫君
次長河島  均君
理事川澄 俊文君
総務部長大井 泰弘君
地方分権推進室長森山 寛司君
外務部長猪熊 純子君
参事中村 信一君
参事延與  桂君
政策部長遠藤 雅彦君
計画調整部長松浦 將行君

本日の会議に付した事件
 平成十九年度東京都各会計歳入歳出決算の認定について
会計管理局関係
・平成十九年度東京都一般会計決算(質疑)
選挙管理委員会事務局関係
・平成十九年度東京都一般会計決算(質疑)
人事委員会事務局関係
・平成十九年度東京都一般会計決算(質疑)
知事本局関係
・平成十九年度東京都一般会計決算(質疑)

○矢島委員長 ただいまから平成十九年度各会計決算特別委員会第一分科会を開会いたします。
 本日から四日間にわたり、本分科会所管局の決算に対する質疑を行っていただきます。
 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、会計管理局、選挙管理委員会事務局、人事委員会事務局及び知事本局関係の決算に対する質疑を行います。
 これより会計管理局関係に入ります。
 決算の審査を行います。
 平成十九年度東京都一般会計決算中、会計管理局所管分を議題といたします。
 本件につきましては既に説明を聴取しておりますので、直ちに質疑を行います。
 発言をお願いいたします。

○高倉委員 それでは、平成十九年度一般会計決算、会計管理局関係についてお伺いをいたします。
 東京都は、全国に先駆けた先進的な取り組みを数多く実践してきております。もちろん、会計管理局も例外ではありません。私は、会計管理局のこうした取り組みの中から、公金収納方法の多様化と公会計制度改革について、順次質問してまいりたいと思います。
 まず、公金収納方法の多様化でありますけれども、先日いただきました平成十九年度の決算説明書から公金取扱費の収納手数料を見てみますと、二億五千九百万円でありまして、取り扱いは一千五百万件と膨大な件数となっております。
 公金の納付方法につきましては、都民の利便性に直接かかわることでありますので、都民の関心も大変に高いのではないかと思います。
 以前は、東京都への支払いは、事業所や銀行等の窓口での直接支払いや口座振替が中心であったと思いますけれども、都では新たにどのような手段を導入しているのか、まずお伺いをしたいと思います。

○土渕参事 平成十六年度にコンビニエンスストアでの自動車税の支払いが可能となり、現在では五税目に拡大をしております。このほか、一部の公金ではございますが、パソコンや携帯電話、クレジットカードによる支払いも可能となっております。

○高倉委員 これまでのそうした都の取り組みによって都民の利便性が向上したということにつきましては、一定の評価に値するのではないかと思います。
 ところで、今話にも出てまいりましたクレジットカードでありますけれども、都民の日ごろの暮らしの中で、その利用範囲は相当に広がってきているというのが実感ではないかと思います。
 そこでお伺いしますけれども、都では、クレジットカードにより支払える公金にどのようなものがあるのか、お伺いをしたいと思います。

○土渕参事 平成十七年度に、都庁内にある都民情報ルームの有償刊行物の購入代金にクレジットカードによる支払いを導入いたしました。そのほかには、都立病院の診療費や都営地下鉄の定期券購入代金及び水道料金、下水道料金がございます。

○高倉委員 公営企業も含めて、クレジットカードによる支払いの対象を順次拡大してきたというようなことでありますけれども、利用範囲は、今ご説明がありましたけれども、まだ限定的ではないかというのが率直な印象であります。
 クレジットカード業界においては、公金分野におけるクレジット決済の枠組みを構築するために、公金クレジット決済協議会を設置して活動してきたというふうに聞いておりますけれども、最近は余り活発な動きもないような感じもいたします。
 なかなかクレジットカードによる決済の導入、この範囲が広がらないということについて、どういった課題があるからなのか、このことについてお伺いをしたいと思います。

○土渕参事 クレジット収納拡大における最大の課題は、収納手数料の問題でございます。銀行等における収納手数料は、納付金額の多寡にかかわらず、一件当たりの定額制でありますが、クレジットカードによる場合の収納手数料は、収納金額に一定の料率を乗じる定率制となっております。
 例えば、一万円の公金を、最も利用の多い銀行の窓口で納めていただく場合の収納手数料は、一件当たり二円となります。これに対しまして、クレジットカードで納付された場合、手数料率は通常、数%といわれておりますが、これを仮に一%に引き下げたとしても、収納手数料は百円となり、この率の引き下げが課題となってまいります。

○高倉委員 収納手数料がクレジット収納の大きな課題であるということについては、今の説明で理解をしたつもりでありますが、確かに、例えばコストを度外視してまで利用範囲を拡大すべきかということについていえば、そこには慎重な検討が必要でもあろうかと思います。
 しかしながら一方、都民の側から見ますと、クレジットカードの場合に、現金の持ち合わせがなくても買い物ができ、支払いに応じてポイントが付与されるといったようなメリットもあると思います。コスト面はもとよりでありますけれども、徴収率のアップや都民サービスの向上なども含めて、費用対効果というのを総合的に勘案しながら、私としましては、都民が既に日常的な決済手段として普通に利用しているクレジットカードの対象を拡大していくべきであるということを改めて申し上げておきたいと思います。
 次に、電子マネーについてお伺いをしたいと思います。
 平成十九年三月にPASMOが導入されたころから、いわゆる電子マネーが爆発的に普及をしてきたように思われます。さらにその後、コンビニやスーパー等の大手流通企業等が相次いで電子マネーを発行したことなどから、一気に普及が加速をしてきているわけであります。主なものとしましても、PASMOのほかに、Edy、Suica、ICOCA、nanacoといったようなものがありまして、活用している人も非常に増加をしてきていると思います。
 日本銀行の調査によりますと、主要六電子マネーの発行枚数は、平成十九年度末で八千六十一万枚でありまして、国民の三人に二人が電子マネーを保有している計算になるわけでありまして、平成十九年度中の決済金額が五千六百三十六億円に上るなど、今ではすっかり市民権を得たような印象がございます。
 都民の中には、都の公金を電子マネーで支払いたいというふうに考えている人も少なくないというふうに思いますけれども、電子マネーについてはどのような課題があるのか、このことについてもご見解を伺っておきたいと思います。

○土渕参事 電子マネーの場合、例えばSuicaでは利用限度額は二万円と聞いており、支払いが一定金額以下に限定されてしまうほか、読み取り端末の規格が電子マネーごとに異なり、相互の互換性がないといった問題があります。このほか、クレジットカード収納と同様に、収納手数料が定率制であるといった問題もございます。

○高倉委員 電子マネーには、利用限度額や端末の互換性といった課題がありまして、クレジットカードと比較をすると、まだ未整備な面があるというようなことであると思います。
 また、電子マネーをめぐる動きとしまして、現在、金融庁の審議会において、利便性の向上や利用者保護といったさまざまな観点から、新たな決済サービスのあり方が検討をされていると聞いております。決済を手がける事業者が金融庁の監督を受ける対象になっていないというようなことでありますとか、電子マネーの発行業者が破綻した場合の利用者保護のあり方等々、種々課題がありまして、そうした検討の動きも十分に注視をしていく必要があろうかと思っております。
 いずれにしても、クレジットカードにも電子マネーにも、まだまださまざまな課題があるということについては理解をさせていただきました。しかしながら、このような新たな決済手段の利用がふえるという傾向にある、これはもう間違いないことでありまして、こういった流れをもはやとめることはできないというふうに思います。
 こうした状況を踏まえて、都民の利便性向上という観点から、今後の公金収納の多様化に向けた所見についてお伺いをしておきたいと思います。

○土渕参事 現在、都民の皆様の公金支払い方法は、事業所や金融機関等の窓口や口座振替などが中心となっていますが、ただいまお話がありましたように、新たな決済手段の普及等を背景といたしまして、公金収納のあり方は時代の変化とともに変わっていくものと考えております。このため、さきの第二回都議会定例会におきまして、時代にそぐわなくなってきた収入証紙の廃止をご決定いただいたところでございます。
 また、クレジットカードや電子マネーなどを公金支払いに導入するに当たりましては、先ほど答弁しましたように、それぞれに乗り越えなければならない課題がございます。引き続き、効率性や都民の皆様の利便性等を勘案しながら、不断の検証を行い、将来の収納方法多様化に向けて、ハードルを一つ一つ越えていけるよう努めてまいります。

○高倉委員 ぜひよろしくお願いをしたいと思います。
 次に、公会計制度改革について質問をいたします。
 都は、我が党の東村議員の提案を受けた石原知事の決断によりまして、従来の官庁会計に複式簿記・発生主義会計の考え方を加え、新たな公会計制度を全国に先駆けて導入したわけであります。
 今年度は、この新制度による二度目の財務諸表が作成をされ、さきの第三回定例会に提出をされて、現在、決算特別委員会の審議に付されております。
 公会計制度改革につきましては、石原知事就任以来、足かけ八年という期間を経まして、昨年、初めての本格的な財務諸表を作成、公表し、予算編成にもその成果を反映することができたと思っております。今回二度目の財務諸表を作成したことで、経年のデータ比較も初めて可能になることから、さらに都の行財政改革に向けた施策の内容の検証にも弾みがつくのではないかと確信をしております。
 昨年、初めて財務諸表を作成する中でさまざまな課題も発生したと思いますけれども、昨年の経験を踏まえ、これまで局としてどのような事務改善に取り組んできたのか、お伺いをします。

○土渕参事 昨年度、初めて財務諸表を作成するに当たり、財産につきまして、財産情報システムで管理している膨大なデータと財務会計システムのデータを一致させるための照合作業に最も労力を要しました。そのため、残高照合表の出力回数をふやして、照合作業のピークを平準化させるとともに、システムにつきましても、照合用帳票の改善により、財産照合作業の省力化に努めたところでございます。
 さらに、財産照合作業を今回初めて担当する職員でも円滑に取り組めるよう、きめ細かな説明会を新たに開催したほか、決算作業期間以外にも、全局を対象とした複式仕訳についての検査を本格的に実施し、正確な会計処理の確保に努めたところでございます。

○高倉委員 決算作業の効率化のみならず、財務諸表の正確性確保に向けまして、さまざまな取り組みがされてきたことについては、今のご説明でよくわかりました。財務諸表の作成に当たっては、今後も不断の事務改善に取り組んでいただきたいというふうに思います。
 さて、地方行政における公会計制度改革を進め、自治体間や類似事業間の財務諸表を比較して、経営状況をより高度に分析していくためには、全国標準的な会計基準が必要不可欠であります。しかしながら、国が示している二つの公会計モデルは、全国標準としての位置づけもなく、さらに今後の方向性も明確に示されていないことから、多くの自治体が困惑をしているのが現状であります。
 私ども都議会におきましても、さきの第二回定例会において、地方公会計制度改革の推進に関する意見書を採択しまして、都など先行して取り組んでいる自治体の事例を参考にして、地方自治体の広範な参画のもと、全国標準となり得る公会計基準の作成を国に要請してきたところであります。
 その後の動向を注視しておりましたところ、先週の十五日でありますけれども、日本公認会計士協会から、総務省が地方自治体に作成を求めている財務諸表について基準に問題があるとする、地方公共団体の会計に関する提言というのが発表されたわけであります。この日本公認会計士協会の発表した提言につきまして、簡単にご説明をいただければと思います。

○土渕参事 先日、日本公認会計士協会が発表しました地方公共団体の会計に関する提言は、会計専門家の理解促進のため、地方公会計の整備に係る検討状況などを解説するとともに、将来の統一的な地方公会計基準を整備するに当たっての協会の考え方を取りまとめたものであります。
 主な提言といたしましては、税収を行政サービスの提供に要した費用に対する財源として行政コスト計算書に計上するのが適切であること、資産評価は原則として取得原価主義を採用することなどが挙げられます。
 また、地方自治体や地方独立行政法人などに適用される統一的な公会計基準が必要であり、国に対し早急な取り組みを求めているものでございます。

○高倉委員 この日本公認会計士協会の提言によりまして、会計の専門家としての立場から、統一的な地方公会計基準についての検討成果が示されたということ、理解させていただきました。都にとっても大変意義のある提言ではないかと思います。
 そこで、最後になりますけれども、この提言を都はどのように受けとめていくのか、局長の認識を伺いまして、質問を終わりたいと思います。

○三枝会計管理局長 協会の提言でございますけれども、その特徴を簡潔に申し上げますと、一つは、基本的に国際公会計基準と同じ内容であるということ。したがいまして、二つ目としては、総務省の二つのモデルに対して否定的な見解となっているという点が挙げられると思います。
 この国際公会計基準でございますが、これは世界約百二十カ国の会計士協会が加盟をしております国際会計士連盟において策定された基準でございます。諸外国で広く採用されているものでございます。もちろん、私ども都の新公会計制度も、基本的に同じ考え方を採用しているところでございます。
 私どもの会計制度が準拠しております国際公会計基準の考え方を協会の提言が非常に重要視しているということは、私どものこれまでの取り組みの正しさ、これが専門家の協会からも正当なものであるというふうに裏づけをされたものであるというふうに理解しております。今後、都といたしましては、この協会の提言も踏まえまして、全国標準たり得る会計基準の整備について、さらに国や他の団体に対し働きかけを強めてまいりたいと思います。

○矢島委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これに異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○矢島委員長 異議なしと認め、本件に対する質疑は終了いたしました。
 以上で会計管理局関係を終わります。

○矢島委員長 これより選挙管理委員会事務局関係に入ります。
 決算の審査を行います。
 平成十九年度東京都一般会計決算中、選挙管理委員会事務局所管分を議題といたします。
 本件につきましては既に説明を聴取しておりますので、直ちに質疑を行います。
 発言を願います。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕

○矢島委員長 発言がなければ、お諮りをいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、ご異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○矢島委員長 異議なしと認め、本件に対する質疑は終了いたしました。
 以上で選挙管理委員会事務局関係を終わります。

○矢島委員長 これより人事委員会事務局関係に入ります。
 決算の審査を行います。
 平成十九年度東京都一般会計決算中、人事委員会事務局所管分を議題といたします。
 本件につきましては、既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○宮川任用公平部長 それでは、先日の当分科会におきましてご要求のございました資料についてご説明申し上げます。
 恐れ入りますが、お手元の平成十九年度各会計決算特別委員会第一分科会要求資料をごらんいただきたいと存じます。
 表紙をおめくりいただきまして、管理職選考制度の改正と管理職の処遇改善の推移についてでございます。
 まず、(1)の管理職選考制度の改正についてですが、〔1〕には、平成十九年度から実施されました主な改正のポイントを選考の種別ごとに記載してございます。また、〔2〕には、〔1〕の制度改正の前後における申込状況をまとめてございます。
 次に、(2)の管理職の処遇改善の推移についてですが、年齢が五十歳の職員が、配偶者と子ども二人を扶養しているという設定で、管理職である課長と一般職員の課長補佐の場合とで年収額にどれほどの差があるか、平成十七年の勧告前から平成十九年の勧告後までの推移をお示ししているものでございます。
 以上、簡単ではございますが、ご要求のございました資料につき、ご説明をさせていただきました。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○矢島委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含め、これより本件に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○斉藤委員 それでは、人事委員会に質問いたします。
 人事委員会ということの性格上、若干総務局の人事部とかぶるところがございますが、最終的には人事委員会の方の考えを伺いたいということで質問をさせていただきます。
 それでは、内容に入ります。障害者の雇用に関して伺います。
 東京都はこれまで、知的の障害者雇用に関しては大変おくれていたというふうにいわざるを得ないと考えています。そのような意見は、多分これまでも幾つもあったと思います。加えて、今後は精神障害者の雇用体制、これについても、同じ障害者雇用の方の比率にカウントするということもあって、きちんと構築をしていかなければならないのかなというふうに考えております。
 意見は後で述べるとしまして、一問目として、平成十九年度、障害者の雇用について、まず確認をいたします。
 身体障害者の採用についてはどのようなものであったか、そしてまた知的障害者についてはどのようなものであったか、それぞれ伺います。

○宮川任用公平部長 障害者の採用選考の状況についてでございますが、東京都人事委員会では、昭和五十六年度から、各任命権者における採用予定のある職や人員をもとに、身体障害者のみを対象として採用選考を実施しております。
 平成十九年度は、五十四人の申し込みがございまして、十名の合格者を出しております。うち八名が、本年四月に採用されました。

○斉藤委員 それでは、東京都では本年度の平成二十年度から、やっと知的障害者の方の雇用に--これを、ある意味雇用だということですが、雇用に着手いたしましたが、平成二十年度においての取り組み内容について確認をいたします。これについては、多分知事部局の方ということになると思いますが、ご説明いただければ幸いです。

○宮川任用公平部長 今委員の方からお話ございましたように、知事部局において本年度から、知的障害者などの雇用、就労を促進するための施策として、東京都版チャレンジ雇用を実施しております。これは、事務補助及び軽作業に従事する臨時職員、パソコンの入力であるとか、あるいはあて名のラベル張りであるとか、コピー、シュレッダー作業などに従事する臨時職員でございますが、知的障害者と精神障害者を任用する新たな取り組みでございます。
 本年度は、第一期はモデル実施として知的障害者を対象とし、第二期には精神障害者も対象とするなど拡充するとしておりまして、合わせて十二名を任用する予定であると聞いております。

○斉藤委員 それでは伺うんですけれども、今回、知事部局の方で行われているチャレンジ雇用については、いわゆる人事委員会が雇用の過程には、プロセスには入らないで、任命権者が行っているということですね。人事委員会と任命権者とで、実際にどのような役割分担--今回の雇用に限らず、ふだんの採用という部分も含めて、人事委員会と任命権者とでどのような役割分担を行っているか、これを伺います。

○宮川任用公平部長 職員の採用に関する人事委員会の権限や任命権者との役割分担につきましては、地方公務員法で規定をされております。具体的に申し上げますと、職の設定や欠員等の状況を踏まえた任用計画の作成は、任命権者の役割となっております。人事委員会の役割でございますが、任命権者が作成しました任用計画に基づいて、地方公務員法に定められた成績主義の原則や公務の能率的運営の要請にのっとり、中立公正な立場から、任用すべき職に求められる能力等に応じた試験、選考を実施するというものでございます。
 なお、今回のような臨時職員の採用選考につきましては、任命権者において実施をされることとなっております。

○斉藤委員 それでは、今お話を伺ったところでは、今年度二十年度の方でチャレンジ雇用と称されるものについては、任命権者の知事部局の方がやっているということで、人事委員会の方はかかわっていないということであります。
 その上で、実際、今後についてなんですけれども、私の住んでおります小平の小川町のすぐそばに、小川東町のところにブリヂストンの東京工場という、ブリヂストンのかなり大きな工場があるんですけれども、こちらの方にブリヂストンチャレンジドという特例子会社がございます。知的障害者も含めて障害者の方を一たん雇用しまして、その中で適性を判断して訓練をして、さらには現場を踏まえた実地訓練、このような過程を踏んで、それこそ実際の職場に定着できるようにするというものであります。
 この会社は、私の方の家のそばの東京工場のところに本社が併設の形でありまして、そのほかに名古屋、千葉県の市川市、そして横浜にそれぞれ分室があって、四カ所で活動しています。二〇〇四年から四年間、実際に既に実績がありまして、六十三人、実雇用につなげているということです。ブリヂストン全体としては従業員数が一万四千五百六十二人、連結従業員数で十三万三千七百五十二人ですから、東京都よりも、規模がブリヂストンの方が小さいというふうなことになります。
 このような企業において、もう既にこのように四年間、実雇用という形で、しかも特例子会社ということであっても、ある程度現場を踏まえた、現場を視野に入れた雇用というものを行っている。こういった取り組みを見ていますと、東京都の取り組みというのは、やはり少し遅いのかなというのが実感であります。
 もちろん、このような採用については、任命権者、つまり総務局人事部の動きに大きな責任が出てくるというふうには思いますけれども、実際に、では雇用していこうというふうになれば、その採用に当たりまして、知的ならばその適性、そのほかに、音など刺激に対する不快感を持つか、そしてまたパニックといったことはないのか、実際にそのような重い知的障害者じゃなくても、ある程度やはり、どのぐらいまで理解力に問題がないのか、かなり専門的な、採用の上での上手な判断というものがありますし、そして、そういったことをかなり限られた時間で把握しなければならないだろうと思います。
 また、先ほど、チャレンジ雇用では二期目に精神障害者の雇用ということでお話がありましたが、実際に精神障害者の採用というふうになれば、服薬管理や自己の健康管理についてどの程度能力があるのか、これをかなり短時間で見きわめなければならないと思います。
 そして、特に東京都十六万人というふうに職員数を考えてみれば、精神障害の中でも、うつとして療養が必要な人というのは、大体その百分の一、千六百人ぐらいはいるような単純計算にはなると思います。今後、新たに東京都の方の採用という点で、今まで東京都の方に縁がなかった若い人を採るということはもちろんあるんでしょうけれども、現在、精神病患者さんなどが実際に大きな企業の中から一定の比率で出てくるという昨今の現状を考えてみますと、どういった形でこういった職員を休職させるのか。そして休職した際に、どうやって復帰をさせるのか。場合によっては離職をするかもしれない。離職をした場合に、元職員をどうやって復職させることができるのか。今後、本当に特殊な人がなるんじゃなくて、これだけの職員を抱える規模の団体であれば、組織体であれば、当然こういったことは、今働いている人たちに対しての安心という部分と、また福利厚生という部分で、ある程度こういった職場環境というのを整えなければならないだろうと思いますし、また東京都の方としても、そういった社会的責任が出てくるのではないかというふうに思います。
 こういったことを踏まえまして、今後、人事委員会の方については、当然こういった人たちの適性を見きわめていくという点で、ある程度の技術が求められるんじゃないかと思います。試験を管理する役目でありますから、当然、任命権者に責任が行く前に、合否判定をし、そしてそれを本人に通知する前に的確に判断をしていかなければならない。こういうのがいわゆる試験技術として求められているわけですから、当然今までの試験とはまた違ったもの、そしてまた、時には当人の多少いいづらいこと、もしくは本人ではなかなか表現しづらいことも確認していかなければならないと思います。こういったことに関して、人事委員会はどのように考えているのか、伺いたいと思います。

○宮川任用公平部長 先ほどご答弁申し上げましたように、任命権者と人事委員会との役割分担というものを踏まえまして、まずは任命権者において、今年度から取り組みを開始いたしました東京都版チャレンジ雇用の成果を検証しながら、知的障害者などの就労支援の拡大について検討していくことが必要であるというふうに考えております。
 人事委員会といたしましては、こうした任命権者の取り組みを注視するとともに、今後は、その成果等についても積極的に情報交換をしてまいります。

○斉藤委員 それでは、最後に一言。今のところ、チャレンジ雇用の様子を見るというのは、もちろん、これは実際に、まさに目の前にそういった実例があるわけですから、どんどん活用していただきたいし、またフィードバックもしていただきたいと思います。
 ただ同時に、臨時雇用じゃなくて正式な採用については、恐らく今の流れからすると、そう遠くない時期に、東京都もある時点では踏み入れていく必要がかなり出てくると思います。そういった際に、ぜひとも早いうちから人事委員会の方で専門的に取り組んでいただいて、任命権者の方である程度そういった採用をしていくということが判断できたときに、すぐに対応できるように準備をしていただきたいと思います。
 最後は要望として発言させていただきました。

○矢島委員長 ほかに発言がなければ、お諮りをいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○矢島委員長 異議なしと認め、本件に対する質疑は終了いたしました。
 以上で人事委員会事務局関係を終わります。

○矢島委員長 これより知事本局関係に入ります。
 初めに、理事者の欠席について申し上げます。
 多賀儀典長、前田調整担当理事及び高橋国際共同事業担当部長は、公務のため本日の分科会に出席できない旨の申し出がありました。ご了承をお願いいたします。
 決算の審査を行います。
 平成十九年度東京都一般会計決算中、知事本局所管分を議題といたします。
 本件につきましては、既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○大井総務部長 要求がございました資料五点につきまして、お手元にお配りしてございます平成十九年度各会計決算特別委員会第一分科会要求資料に沿いましてご説明申し上げます。
 まず、一ページ目をお開きください。アジア大都市ネットワーク21の主な活動と決算の状況でございます。
 平成十八年度及び十九年度におけるアジア大都市ネットワーク21総会の主な内容、主な共同事業の動き及び両年度の決算状況を記載してございます。
 恐れ入りますが、二ページ目をごらんください。姉妹友好都市との主な交流実績でございます。
 現在、都は、ニューヨーク市など十一の都市及び州と姉妹友好都市の提携を行っております。この姉妹友好都市につきまして、平成十五年度から平成十九年度までの主な交流実績を、このページから五ページにかけまして、都市ごとに記載してございます。
 次に、六ページをお開きください。石原知事の海外出張一覧でございます。
 石原知事が就任いたしました平成十一年度から平成十九年度までの知事の海外出張につきまして、出張先、期間、目的等を、このページから次の七ページにかけまして記載してございます。
 次に、八ページをお開きください。このページから次の九ページにかけまして、横田基地の軍民共用化及び米軍再編に関する経過をお示ししてございます。
 横田基地の軍民共用化と米軍再編に関しまして、都及び国等関係機関の主な動きを、石原知事が就任いたしました平成十一年度から平成十九年度まで記載してございます。
 続きまして、一〇ページをごらんください。東京大気汚染訴訟の和解に伴う拠出金の平成十九年度受け入れ状況でございます。
 自動車メーカー七社から連帯して三十三億円、また首都高速道路株式会社から五億円、合計三十八億円を平成十九年度に受け入れたものでございます。
 以上、簡単でございますが、要求のございました資料の説明とさせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○矢島委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含め、これより本件に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○早坂委員 石原知事が提唱してスタートしたアジア大都市ネットワーク21は、発足から七年目を迎えます。アジアの諸都市の単なる友好交流ではなく、例えば感染症対策や自動車排出ガス対策など、都市が抱える共通課題の解決に向けた共同事業を進めるというのがその内容です。各共同事業を提案した都市が幹事都市となり、他都市がみずからの課題に応じて参加都市となる仕組みは、大変実際的なものだと思います。
 こうしたアジア大都市ネットワーク21の共同事業をさらに進展させるためには、これまでの事業効果を検証しつつ、見直しを行っていくことが不可欠です。昨年マニラにおいて開催された総会では、これまでの共同事業の成果を振り返り、再評価が実施されました。
 そこで、その再評価の内容と今後の方向性について伺います。

○猪熊外務部長 アジア大都市ネットワーク21は、アジアの繁栄と発展を目指し、危機管理、環境対策、産業振興など、大都市共通の課題解決に向けた共同事業を推進しております。
 平成十三年度に発足後、七年目を迎えまして、全体としては着実な進展が見られますが、事業をより効果的なものとし、各都市の参加を一層促進するため、再評価を行いました。再評価では、すべての事業について、これまでの成果を検証し、問題点や課題を明らかにいたしました。
 これを踏まえ、例えばアジア感染症対策プロジェクトにおいて共同調査、研究に着手するなど、具体的な充実策をまとめるとともに、他方、見直しが必要な事業については改善策をまとめております。
 また、各都市が参加しやすい事業体系とするため、文化関係、人材育成関係の事業を統合し、事業数を十八から十二へと整理いたしました。
 さらに、今後、事業をより着実に推進するため、三年間を目途として中期計画を事業ごとに策定し、期間中の目標を明確にするとともに、期間終了後に改めて評価を行うこととしました。
 このような取り組みを通じ、共同事業の効果を一層高めていくことにより、アジアの大都市の連帯をより強固なものとし、アジア全体の発展に貢献してまいります。

○早坂委員 次に、アジア大都市ネットワーク21の共同事業の中で、石原知事が特に力を入れている事業であるアジア製の中小型ジェット旅客機の開発促進について伺います。
 本年三月、三菱重工は、全日空からの発注を受け、初の国産ジェット旅客機MRJ、三菱リージョナルジェットの事業化を決定しました。MRJは、昭和四十七年に製造中止になったYS11以来、三十六年ぶりの国産旅客機として大きな期待を集めており、国は、政府専用機としての導入を検討しています。ちなみに、現在の政府専用機はボーイング社製で、客席は四百。今回のMRJの客席は七十から九十六。MRJの成功は、アジアの航空機産業の発展に大きく寄与するものと考えます。
 そこで、本プロジェクトのこれまでの成果と今後の方向性について伺います。

○猪熊外務部長 本共同事業は、アジア地域の航空需要の高い伸びに対応し、アジアの航空機産業の発展に寄与するとともに、アジアのアイデンティティーをより強固なものとするため、アジアの技術と能力を生かした中小型ジェット旅客機の開発、製造と就航の促進を目的としております。
 これまで東京都は、共同事業別会議などにより、百席前後の中小型旅客機開発の意義について国民の関心を高めるなど、機運の醸成に努めてまいりました。当初、国が主導し、三十から五十席で開発が開始されました三菱リージョナルジェット、いわゆるMRJが、この春、七十から九十席クラスの旅客機として事業化決定に至ったことにつきましても、東京都が百席前後のジェット旅客機の重要性を強くアピールしてきたことが一定の貢献をしたものと認識しております。
 今後は、MRJの事業化に当たりまして、アジアの生産参画を促進し、アジアで広く利用されることを目指すなど、アジアの連携を強化していくことが重要であると認識しております。
 今月初めに横浜で開催されました二〇〇八年国際航空宇宙展におきまして、都が特別セッションを主催し、アジアの航空機メーカーなどと日本の航空機関係者とが情報交換や交流を行う貴重な機会を提供しております。
 今後とも、アジアの技術と能力を生かした中小型ジェット旅客機の実現のため、アジアの連携を一層強化してまいります。

○早坂委員 次に、共同事業の一つである危機管理ネットワークについて伺います。
 本年も、中国の四川大地震やミャンマーのサイクロンなど、アジア諸都市において大規模災害が発生しました。自然災害のみならず、テロなどのさまざまな危機に備え、アジア諸都市が過去の経験やノウハウを共有し、共同して危機管理に取り組むことが求められています。
 そこで、危機管理ネットワークの活動状況と成果について伺います。

○猪熊外務部長 アジアの大都市は、自然災害やテロなどさまざまな危機にさらされており、危機管理に関する各都市の関心は非常に高いものがございます。危機管理ネットワークには、アジネット、十一の全会員都市が参加いたしまして、毎年会議を行い、各都市の経験や最新の取り組みについて情報交換を行うとともに、インターネットを活用した災害発生時の情報連絡網を構築しております。
 参加都市に対しては、災害発生時の救助技術を向上させるための研修を実施し、人材育成を着実に進めております。
 また、昨年九月の都の総合防災訓練には台北市から、本年は、それに加え、ソウル特別市から救助隊が参加して合同訓練を行っております。
 こうした取り組みを継続的に行うことにより、危機管理ネットワークをより強固なものとし、アジア全体の危機管理能力の向上につなげていくことができるものと考えております。

○早坂委員 ところで、かつて東京都は、ニューヨークとパリに海外事務所を設けていました。平成十二年三月をもって閉鎖されましたが、年間にニューヨークは一億円、パリは七千万円のコストがかかっていました。その金額が多いか少ないかについては議論が分かれるところだと思いますが、今日では、旧自治省が主体の自治体国際化協会に対して東京都が人を派遣し、世界七都市にある自治体国際化協会の海外事務所にかつての役割を求めているようです。
 海外に出るのに、自治体が寄り集まって一緒に固まっているというのは、率直にいって、自治体の雄たる東京都らしいやり方とは思えません。海外事務所に人を出すというやり方もありますが、例えばニューヨーク市役所やその他の団体に、二、三年、スタッフとして人を出す、あるいはそこから人を受け入れるというやり方もあると思います。ニューヨークやパリとの間では、かつてそういった形で職員を派遣していた時代もあります。海外事務所の勤務であれば、どうしてもそこで勤務する日本人同士の会話や交流が多くなりがちになり、すなわち、いつも顔は日本を向いていることになってしまいます。そうではなくて、現地で朝から晩まで、その都市の皆さんと一緒になって働くことで得られる知見あるいは人間関係には格別のものがあろうかと思います。
 お客さん扱いで、何をしてもらうか、受け入れ先が困るといった心配もあるようですが、それは派遣される人の能力によります。例えば世界一安全な東京都水道局の技術者は、どの都市からも引く手あまたでしょう。
 かつて明治四年、右大臣岩倉具視を中心に、大蔵卿大久保利通や工部大輔伊藤博文など明治新政府の中核メンバー百七人が、実に一年間にわたり欧米視察の旅に出ました。政府が丸ごと海外に出てしまったのであります。その間、国に残った政府は留守政府と呼ばれていました。その岩倉使節団が帰国後、日本の国づくりに大きな役割を果たしたのはいうまでもありません。
 今日、東京都は、二〇一六年、東京オリンピックの招致を目指しています。世界都市東京が学ぶべきものは、国内諸都市からももちろんあるでしょうが、それ以上に、パリ、ロンドン、ニューヨークあるいは北京、ソウルなど、世界の大都市にあると考えます。一方で、地球環境対策に代表される東京の持つさまざまな都市経営の技術を海外の諸都市にも共有してもらうことが、世界全体の発展につながることでしょう。そのためには、地道な行政職員レベルの交流と、政策決定者レベルの交流のどちらもが重要であると考えます。
 東京都は、今後の都市外交をどのように展開しようと考えているのか、ご見解を伺います。

○吉川知事本局長 今、早坂先生からロンドンという話もありましたので、今思い出していたんですけれども、私、ことしの一月二十四日だったですけれども、ダボスへ行ってまいりました。ちょうど、前ロンドン市長だったリビングストン市長さんと同じセッションに入りまして、今先生のお話を伺っていて、ごく短時間ですけれども、ロンドンで地球温暖化対策についてトップリーダーを発揮しているリビングストン前市長と話をしてみまして、いかに、逆な意味でいうと、東京都が今--私、前環境局長だったのでいうわけじゃないんですが、期待されているか、日本ではなくて東京がリーダーシップを発揮していくことが大事なんだというか、そんなことを体で知ってきました。
 そういう意味で、先生のお尋ねの、東京都として今後都市外交をどのように展開していくんだというようなことですが、僕は、いろんな機会をとらえて、積極的に東京都の職員一人一人が、直接外国に行けなくても、いろんな機会を通じて、そうやって他から学び、もしくは日本の培ってきた実力を他の都市に貢献できるかどうか実践していくということが極めて大事だなというような感想を抱きつつ、都市外交について答弁させていただきますが、グローバル化が進む中で、さまざまな行政課題が最も先鋭的にあらわれる世界の大都市、これは先生がおっしゃったとおり、ニューヨークであれ、ロンドンであれ、パリであれ、東京都等々が連携協力して課題解決に取り組むことが本当に求められていると思います。
 このため、東京都においては、政策目的実現に即した実効性のある海外との交流を積極的に進めてまいりました。具体的には、先ほどご質問のあったアジア大都市ネットワーク21、それから観光振興を目的とするシティーセールス、海外企業誘致セミナーなど、多角的な事業を行ってまいりました。
 既にご案内だと思いますが、今週の水曜日から三日間、初めてC40気候変動東京会議で適応策、気候変動対策では緩和策だけではなくて適応策も極めて重要ですが、その適応策についての実務者が集まりまして、地球温暖化対策について討論をしてまいります。これらを通じて、先ほどの出だしの言葉じゃないんですが、私は、外交というのは、結果的には東京の安定的な継続的な繁栄、これにいかに寄与するか、一方では、東京の培ってきたノウハウで、その同じ場に参画していただける諸都市に対してどうやって貢献できるか、この獲得と貢献というんでしょうか、そういったことをきちっと肝に銘じて進めていくことが大事だというふうに思っております。
 こうした事業に都庁の多くの職員が携わることによりまして、個々の職員の政策能力、国際感覚が培われていくものと認識しております。さらに、そのすそ野を広げるために、今年度から職員の海外研修、これを再開いたしましたが、国際関係業務を担う能力を備えた職員の育成にも取り組んでまいりたいと思っております。
 いずれにしましても、今後とも各局と連携しながら、東京の持てる力を最大限に活用し、世界の都市と知恵や経験を分かち合い、都市間の課題解決につながる都市外交を積極的に展開してまいります。

○早坂委員 知識の獲得と貢献という双方向だというお話をいただきました。極めて私ごとですが、私、小学校の卒業のときに、外交官になりたいという夢を持っておりまして、今日、その夢を果たしたか、果たしてないか、東京都議会議員としての仕事に邁進しております。今、吉川局長のお話を伺い、大変心強く思いました。あくまで東京都らしい都市外交をともに展開してまいりたいと思います。
 以上です。

○石毛委員 ただいま早坂委員が質問した質問と若干かぶるわけでありますが、知事本局のまさに外務部外務課には、都市外交にかかわる企画あるいは姉妹都市、国際儀礼、また外国諸機関の連絡、外国語文書の作成等々、国際に関する業務が書かれております。その中で都市外交推進における質問をしていきたいと思いますが、今まさに、ニューヨーク、パリに事務所が、十二年三月ですか、まであったという話がちょっと出ていましたが、今はなくなりまして、それを包括する団体が財団法人自治体国際化協会、通称CLAIR、この分担金として、平成十九年には三億三千八百万を支出しております。この分担金は、年末ジャンボ宝くじに上乗せをして発行している国際交流推進くじの都の収益の一部であることは承知しております。
 このCLAIRは、東京に本部、そして海外に七カ所に事務所を設置し、地方公共団体の海外活動に対する支援や諸外国の地方行財政制度の調査研究を行っていると聞いております。
 そこで、このCLAIR、ちょっと聞くとシュークリームの親戚のような名前でございますが、耳なれない方もおられるのではないかと思いますが、CLAIRの活動についてお伺いいたします。

○猪熊外務部長 財団法人自治体国際化協会、通称CLAIRは、地域の国際化を推進するため設立された団体で、先ほどお話もありましたが、東京に事務局本部を置きまして、ニューヨーク、ロンドン、パリ、シンガポール、ソウル、シドニー及び北京の七つの世界の主要都市に海外事務所を設置しております。こうしたネットワークを活用いたしまして、自治体が行う海外活動、情報収集、海外調査などの支援を行っております。また、語学指導を行う海外青年の招致活動、JETプログラムや、国際化に対応できる人材の育成、地域国際化協会への支援などを行っております。
 CLAIRの予算規模といたしましては、平成十九年度の一般会計事業活動支出ベースで二十九億円。二十年四月一日現在の職員数は、本部七十一名、海外事務所百八名の計百七十九名となっております。

○石毛委員 わかりました。
 また、CLAIRの海外事業所における昨年の十九年度の活動内容及び実績をお伺いいたします。

○猪熊外務部長 海外事務所におきましては、自治体関係者が海外で行う調査や視察等に対しまして、アポイントの取りつけや資料提供などの活動支援を行っております。平成十九年度は三百六十六件の実績があります。このうち十八件が東京都の依頼によるもので、この中には、ロンドンのオリンピック関連施設の視察あるいはニューヨーク市の公園管理手法を学ぶための視察及び特別区の海外視察における活動支援が含まれております。
 また、自治体などからの依頼によりまして海外事務所が行う調査は、同年二十六件ありまして、うち六件が東京都からの依頼によるものでございます。
 さらに、各海外事務所においては、自治体が直面する共通のテーマについてセミナーを実施するなどして、自治体間の情報交換や協力関係の構築を支援しております。

○石毛委員 わかりました。
 私ごとでありますが、ことしの八月の末から九月にかけて、オランダとフランスに公共交通と医療の関係で研修、視察に行ってまいりました。行く前段で、議会の方、アポイント等をお願いした次第なんですが、できないということで断られまして、最終的には私の知っている方を通しまして、外務省欧州課から、フランスのストラスブール、またフランスのルマン、オランダのユトレヒトというところに視察に行ったところであります。
 その段階で、大変残念というか、こうやらなきゃいけない、ああやらなきゃいけないということでいろいろ大変煩雑であったわけでありますが、どうも都議会の全体で行う調査、視察についてはやりますよと。それも、どうもアポイントはJTBなどを通して、そうしたJTBのような業者を通してとるそうであります。その辺は自前でされていないのは大変残念だなというふうに思うわけでありますが、こうしたことを考えますと、東京というのは、日本の中でいろんな分野で先進、進んでいるといわれているわけで、東京がどこかに視察するといったときに、どうも十分でないというような話も耳にするわけですね。例えば鹿児島だとか秋田だとかいろいろありますけれども、それよりもやはり海外のこういう都市、こんな町といったところにいろんな先進の事例があるというふうに思うわけであります。そういう意味では、何年かに一遍しか行けないようなところにしか視察ができない、あるいは大変難しいというのは残念でありますし、勉強をする機会も少なくなってきてしまうんじゃないかというふうに思います。
 先ほど吉川本部長、局長が、東京から発信していくんだ、また知識の獲得と貢献、国際に対するという、るるいろんなお話がありました。でありますから、まさに東京の本当に大きな組織の中で、これを包括するところの職員に外国人が一人もいないというような状況もいえるわけですね。先般、私の同僚が、どこかの大使が書類を二年前に出したそうです。それが、ともかくぐるぐる回って、いいかげん時間がたったときに返事が来て、それも係長か課長か何かの感じで来て、大使が大変怒ったという例があるんですね。そうしたことも、やはり受け入れ、また外に出す、両方の部分において、果たして東京が国際化といえるんだろうかというふうな疑問も持ってしまうわけですね。ぜひとも、トウキョウ・メトロポリタン・ガバメント、アセンブリーですね、というところにおいて、まさに本部長がいうように発信できるような体制を私はとっていただきたいというふうに思うわけです。
 そんなことを含めて、今回のCLAIRの、CLAIRも自治体の国際推進を進めるための組織でありますし、自治体にとってもっと活動しやすい組織でなければならないと思いますし、都が多分、お金では一番出しているはずですね。職員もたしか六人出していて、ほかの自治体と比べると、全体では大きいわけですが、その中では大きい枠であります。ぜひともそういうことに対して、立場はそういう意味では優位に立っていると思いますので、CLAIRの活動の改善の余地が十分あるのではないかというふうに思います。都の見解をお伺いいたします。

○猪熊外務部長 CLAIRにおきましては、これまで述べてきたさまざまな活動を通じまして、規模の小さな自治体を含め、全国の自治体の国際化推進に一定の役割を果たしてきたと認識しております。しかし、刻一刻と変化する国際社会情勢に応じまして、事業につきまして時代のニーズに合ったものへと不断に見直しをすることが求められております。
 都としましては、外務部長がCLAIRの理事として運営にかかわるとともに、職員の派遣、分担金の拠出などを行っており、効果的な運営が図られるよう、これまでも理事会の場などを通じて発言をしております。
 今後とも、変化する自治体のニーズにこたえ、それに適した支援を効果的に進められるよう、また、自治体にとって有益な事業運営が図られるよう、都としても積極的にかかわってまいります。

○高倉委員 私からは、アジアの人材育成についてお伺いをいたしたいと思います。
 都は、アジア大都市ネットワーク21を通じまして、危機管理、環境対策、産業振興など、アジアの大都市が抱える共通の課題に取り組んでおりますけれども、将来にわたりこうした課題への取り組みをお互いが協力して持続的に進めていくためには、相互の人材育成が極めて大事であると思います。現在、アジア大都市間の共同事業として具体的な取り組みが進められているわけでありますが、この中に人材育成の事業として、アジア遠隔教育プロジェクト、アジアの若者の交流、そして職員能力向上プログラムが行われているわけであります。
 このうちの職員能力向上プログラムにつきましては、研修などを実施することによって、専門分野についての先駆的な事例やノウハウを共有し、実務能力の向上を目指しているというふうにお聞きをしております。
 各都市の行政職員や専門家を対象として東京が主催をしている研修事業は数多くあるようでありますけれども、まず、その研修事業の平成十九年度の実績とこれまでの成果について説明をいただきたいと思います。

○猪熊外務部長 アジアの各都市は、危機管理、環境対策、産業振興などの共通課題を抱えており、アジア大都市ネットワーク21共同事業の職員能力向上プログラムでは、こうした課題に対応する人材の育成に取り組んでおります。
 このうち、東京都が主催する研修といたしましては、水道管路の技術、下水道維持管理、それから公共交通計画、資源リサイクル技術など、アジア各都市のニーズに合わせた研修を実施しております。昨年度は、各都市から行政職員や医師など、合わせまして約四十名の研修生を受け入れているところでございます。
 こうした研修を通じまして、例えばジャカルタ特別市では、ごみの分別やリサイクルに関するパイロット事業におきまして、東京で学んだ廃棄物処理、資源リサイクルの知識や技術が活用されるなど、現実、実際に人材育成の効果が各都市の行政施策に生かされております。

○高倉委員 この共同事業には、東京都が主催をする研修事業のほかにも、他都市が主催する研修に都の職員を派遣をしているというものがございます。クアラルンプールが開催をする都市整備マネジメント研修といったようなものがそれに当たると思いますけれども、アジアの大都市が共通して抱える課題については、都の職員が他都市から学ぶべきことも大変多いのではないかというふうに思います。感染症を実際に体験している都市や、危機管理がより進んでいる都市などもありまして、そこでの研修開催を働きかけ、都の職員を積極的に派遣をしていく意義は決して小さくないのではないかと思います。
 そこで、アジア各都市の研修に都の職員を派遣している実績についてお伺いをします。
 あわせて、東京都が抱える課題に取り組むためにもさらに積極的に他の都市の研修等を活用すべきと考えますが、今後の展開についての所見をお伺いします。

○猪熊外務部長 東京がアジアの各都市から知識や経験を学ぶことは、東京が抱えるさまざまな課題の解決につながるものであり、アジア大都市ネットワーク21共同事業では、これまでも都の職員を他都市が実施する研修に派遣してまいりました。
 都の職員を派遣している事例といたしまして、先ほど先生からもございましたが、クアラルンプール市が主催する都市整備マネジメント研修においては、平成十四年度から毎年一名の職員を派遣し、都市開発及び都市経営に関するアジア大都市の共通課題について、その解決への取り組みを相互に学んでおります。また、本年度からは、結核やAIDSなど、アジアの大都市で共通の課題となっている感染症、あるいは鳥インフルエンザなど日本では症例の少ない感染症につきまして、他都市の先行事例を学ぶため、都の職員及び関係機関に勤務している保健医療職の職員をアジアの都市に派遣することとしております。
 今後とも、他都市が実施する研修などの機会を活用することにより、都の職員がアジアの各都市から先進的な事例や施策を学ぶ場を提供いたしまして、都の施策に資するよう努めてまいります。

○高倉委員 アジアの人材育成につきましては、次の時代を担う留学生の支援を強化することも大変重要であると思います。留学生が日本に、またこの東京に来ることによってどのように意義ある研究を進めることができたのか、あるいは日本での生活に満足ができたのか、そういったさまざまな要因によって日本に対するイメージがかなり違ってくると思いますし、ひいては東京と各都市との交流にも影響が及んでくるのではないかと思います。
 アジア人材育成を推進するための基盤として、都は、四月に新たにアジア人材育成基金を設置をしまして、これまで実施してきた行政職員、専門家研修の展開だけでなく、新たに首都大学東京へのアジアからの留学生受け入れも推進をしていくということで、十九年度には具体的な検討を行ってきたというふうにお聞きをしております。
 そこで、アジアからの留学生受け入れを新たに推進をすることにした意義と、実現のための方策についての見解をお伺いします。

○猪熊外務部長 今後、世界の中でアジアが一層発展するためにはさまざまな課題が先鋭的にあらわれる大都市が直面する課題の解決を図ることが重要であり、特にその担い手となる高度な人材の育成が不可欠と認識しております。このため、都は、アジア人材育成基金を設置し、新たに首都大学東京の博士課程に留学生を受け入れ、アジアの発展や課題解決に資する高度先端的な研究を実施するための支援を行うことといたしました。
 留学生の募集、選定に当たりましては、首都大学東京において、インターネットなどにより広く公募するとともに、アジアの大学とのネットワークを活用いたしまして、真に優秀な人材を受け入れることができるようにしてまいります。
 さらに、新たに設置するアジア人材バンクを活用し、留学後も東京とアジアの研究者同士の情報交換、将来にわたる研究交流を促してまいります。

○高倉委員 ただいまご答弁にもありましたけれども、高度な人材育成の方策として留学生を受け入れ、アジアの発展に資する高度先端的な研究の支援を行うということについては、私も大変重要であると思っておりますし、その取り組みを評価をしたいと思います。
 一方で、私は、これまでアジアからの留学生受け入れに当たっては、住宅の確保を初めとして、生活上の支援も大変重要であるというふうに訴えてきたところであります。アジアからの留学生受け入れを推進するに当たっては、これらの視点も組み入れた取り組みを積極的に今後も行っていくべきであると考えております。
 首都大学東京におけるアジアからの留学生支援策の充実につきまして見解をお伺いして、質問を終わりたいと思います。

○猪熊外務部長 アジアの人材育成として実施します留学生への支援といたしましては、留学生が安心して研究に専念できるよう、新たに奨学金や基本研究費の支給を開始いたします。
 また、留学生自身による住居の借り上げがいまだに難しい現状を踏まえまして、都民住宅などを確保し、留学生が利用できるようにするとともに、就職や生活に関する相談を充実させるなど、きめ細かな支援を行ってまいります。
 このような支援策の充実が一つの呼び水となりまして、さらに優秀な人材が集まりますよう努めてまいります。

○たぞえ委員 初めに、大気汚染訴訟問題に関連して伺いたいと思います。
 知事本局の十九年度決算説明書によると、当初予算での諸収入は千七十八万円と計上しておりますが、決算での収入済み高は三十八億円になっています。決算でこれだけの収入が発生したのはなぜか、どのような性格の収入なのか、まず説明をお願いしたいと思います。

○大井総務部長 年度途中の収入についてのお尋ねでございますが、東京大気汚染訴訟の裁判上の和解が昨年八月八日に成立いたしました。その和解条項に従いまして、都において医療費助成制度を創設するに当たり、自動車メーカー七社及び首都高速道路株式会社から合わせて三十八億円の拠出金を受け入れたものでございます。

○たぞえ委員 自動車排ガスによる大気汚染がもたらした深刻な健康被害によって、気管支ぜんそくや慢性気管支炎、肺気腫、こうした患者が東京で急増して、今日なお東京のぜんそく公害患者見込み数は七万七千人と推計されています。
 実は、私の家の子も三人ともこの患者で、小さいときから都立母子保健院という都立の気管支専門病院に長くお世話になりました。夜中、呼吸ができなくて、モーターを使っての呼吸器で一命を取りとめるということもありましたが、東京の十八歳以下の子どもたちにとってこの大気汚染がもたらした深刻な事態というのは、親にとっても大変重い、つらい思いでした。
 このぜんそくという病気は慢性化すると一生病院と縁が切れないといわれています。健康を脅かし、人々を死に追いやってきた大もとである自動車生産メーカーと、その促進を国策としてきた国、また東京都や首都高速道路株式会社の責任と救済を求めるのは、都民として当然のことだと思います。
 二十世紀から二十一世紀にまたがっての十一年余にわたる司法による裁決を求める闘いが行われてまいりました。東京大気汚染裁判で全面解決が成立したことによって、都はどのような認識をされているのか、見解を伺います。

○大井総務部長 和解についての認識でございますが、この訴訟の和解は、社会的責任に応じまして、東京都、国、自動車メーカー、それから首都高速道路株式会社のすべての被告の負担による医療費助成制度の創設と、それから大気汚染の改善に向けた環境対策の実施、これを内容とするものでございます。大気汚染と健康被害との関係が争われたこれまでの訴訟の和解にはない、画期的なものと認識をしております。
 行政本来の使命でございます健康被害者の早期救済と自動車排ガス対策の強化を図る点で意義あるものと認識をしております。

○たぞえ委員 では、和解による救済の全体のスキームはどのような仕組みになっているのか説明いただきたいと思います。

○大井総務部長 医療費助成制度の全体のスキームは、患者自己負担分を五年間で二百億円と試算し、国と東京都がそれぞれ三分の一、首都高速道路株式会社及び自動車メーカーがそれぞれ六分の一という、全被告が応分の負担を行うというものでございます。

○たぞえ委員 和解に伴う拠出金のうち、自動車メーカー七社が三十三億円ということですが、なぜ七社で三十三億なのか。メーカーはそれぞれの額についてどのような基準で算出額を査定したのか、その推移を伺いたいと思います。

○大井総務部長 自動車メーカー七社は、原告が大気汚染物質の排出差しとめと損害賠償金の連帯支払いを求めて訴えを提起した相手方でございまして、三十三億円の拠出の額につきましては、医療費助成制度の創設に当たってのスキーム、つまり二百億円の六分の一、これに従いまして自動車メーカーとしての社会的責任から負担していただいたものでございます。
 なお、メーカー各社の負担額については、当方としては承知をしておりません。

○たぞえ委員 今、自動車メーカーがみずから決めたことだというお話でありますが、それぞれのメーカーの過大な販売によって東京の渋滞や自動車の過度な集中、そして排ガスによってまちが汚され、都市生活のあり方や都民の暮らしへの影響など深刻な被害を受けた。その都民にかわって東京都がその三十三億円の仕組みについて、私ははっきりとつかむべきだと思います。その詰めがそれぞれお任せということでは、問題ではないか。
 和解によって自動車メーカーは一応一括拠出したわけですが、車社会のアクセルを加速させてきた首都高速は、決算書によると拠出金は五億円だけです。首都高の拠出金はこの額が一括としてなのか、また、首都高はこれ以上拠出しないという終結宣言を出しているのか、これについて都はどう受けとめているんでしょうか。

○大井総務部長 本件訴訟の和解条項では、首都高速道路株式会社については五億円を拠出するものとしてあります。東京都は提案した制度のスキームに沿いまして、これは先ほども申し上げましたが、二百億円の六分の一、このスキームに沿いまして、引き続き同社に対して応分の負担を求めていくこととしております。したがって、昨年度に受け入れました五億円をもって終了したものではございません。

○たぞえ委員 そうしますと、これからも都として首都高に対しては強力に働きかけていくという認識でよろしいんですか。

○大井総務部長 これからも引き続き粘り強く拠出を求めてまいります。

○たぞえ委員 先ほどから出ている東京都や自動車メーカー、首都高速が負担をするわけですが、この十九年度の決算書を見る限り、敗訴した国からの収入は一円も計上されていません。国は敗訴したにもかかわらず、拠出する責任を果たしていないことは、国が因果関係を認めないという立場なのかどうか、いかがでしょう。

○大井総務部長 今回の訴訟の和解では、国は、独立行政法人環境再生保全機構に指示をしまして、公害健康被害予防基金から公害健康被害の補償等に関する法律に定める予防事業の実施に充てるため、都に対して六十億円を拠出させることとなりました。この拠出金については、本年度、二十年度の歳入予算に計上し、この九月に受け入れたところでございます。

○たぞえ委員 この九月に受け入れをしたということでありますが、肝心の法的責任を定めようとしてないことは重大です。結局、自動車社会のために道路をつくり続ける、この方針は基本的には転換をしていません。国は全国的に道路との因果関係調査を行うとして今やっておりますが、この調査の結果、因果関係はないという結論を出した場合、都は今後どのような対応にしていくのか、この見解を伺います。

○大井総務部長 都としましては、大気汚染の根本的な原因は国の自動車排ガス規制の怠慢にあるというふうに認識をしております。したがって、国がその責任において救済策に取り組むべきであり、そのことを引き続き国に対して強く要望してまいります。
 また、国が現在行っております局地的大気汚染の健康影響に関する疫学調査、いわゆるSORAプロジェクトといっておりますが、この結果については、平成二十二年度に公表されると聞いております。大気汚染と自動車公害の関係について新たな知見が得られる可能性もあるということで、都としましては、公表された調査結果も踏まえて必要な対応を行ってまいります。

○たぞえ委員 この制度は五年後に見直しをするということが定められています。被告になっている企業などは、今回拠出する財源はこの五年分であると。これでは五年たったら財源の保障が完全になくなって、医療費助成制度の根幹が崩れてしまいかねません。
 ある女性の患者の原告がこういっていました。私は三十年間、ぜんそくの治療費をメーカーや国にかわって自己負担をしてきた、この制度が始まれば医療費の心配をしなくても治療を受けられます、同じように苦しんでいる患者の皆さんが救われるよう願っていますと、このように語られました。この声に背を向けて責任があいまいにされ、大気汚染医療無料制度がなくなる事態をつくることは絶対に避けなくてはならない、このように私は強く思います。
 首都高や国の姿勢があやふやです。このような不安な専用バスに患者を乗せて、このまま走らせていいんでしょうか。私はこんな患者の皆さんを不安にさせるようなバスは一日だって走らせちゃいけないと思いますが、いかがでしょうか。

○大井総務部長 医療費助成制度は、和解条項でも、都の条例でも、本制度の創設後五年を経過した時点で、検証の上、本制度の見直しを実施するというふうになっております。今後は大気汚染も改善をしていくというふうに思いますし、また、患者の発生状況、あるいは国の健康影響調査の結果であるとか、あるいは医療保険制度の状況ですとか、そういったものを踏まえて総合的に検討をしていくことになるというふうに思っております。

○たぞえ委員 都内には現在二百九十三万台の自動車が登録され、大気に引き続き影響を与えております。公害による患者を生まないために、患者の健康被害に対する責任をあやふやにしたり、首都東京の公害対策の道筋を開く歴史的な到達を終結することをしない、そのためにも和解事項をメーカーなどに厳守させていくという決意を局長からお伺いしたいと思います。

○大井総務部長 今回の和解は、健康被害者の早期救済のための医療費助成制度の創設と、大気汚染の改善に向けた環境対策の実施を図ることで関係者が合意をしたものでありまして、都としては、先ほど申し上げましたように、画期的なものと認識をしております。和解条項に定められた事項に着実に取り組むことは当然のことでございます。
 このうち、医療費助成制度につきましては、既に本年八月一日から実施をしてございます。今後も着実に運用してまいります。
 また、環境対策につきましても、和解条項に定められた植樹帯の整備など、当然のことながら着実に進めてまいります。
 加えて、ディーゼル車排ガス規制に引き続き取り組むとともに、交通渋滞の解消などにも資する三環状道路を初めとする道路ネットワークの整備などもあわせて行いまして、大気汚染問題の真の解決を図っていく、こういう決意でおります。

○たぞえ委員 今回の助成対象は気管支ぜんそくにとどまっています。慢性気管支炎などにもぜひ拡大をするように強く要望したいと思います。
 同時に、今答弁でいわれましたが、「十年後の東京」実行プログラムで、圏央道、外環、中央環状など三環状促進問題です。知事本局はその推進を進める元締めであります。東京の汚染、自動車の集中を加速させていく、こうした拡大再生産路線は改むべきであることを改めて主張をしておきたいと思います。
 次に、米軍横田基地返還問題について伺います。
 日本に駐留する米軍の実態は、世界の中でも異常なものです。在日米軍基地は強化されつつあり、今日、日本に駐留する部隊は、海兵遠征軍、空母打撃群、遠征打撃群、航空宇宙遠征軍と、その名のとおり、世界のどこで紛争が起こっても真っ先に殴り込むという任務をした部隊が編成がえを進めています。
 例えば今月の十六日、横須賀基地に、巡航ミサイルトマホーク百五十発以上と六十人以上の特殊作戦部隊を同時に搭載、収容できる新型原子力潜水艦「オハイオ」が寄港しましたが、今回の寄港は横須賀基地を先制攻撃的戦略の拠点として強化するものとマスコミからも報道されております。
 この再整備について都は無関心ではないはずですが、東京の玄関に核搭載の艦船が入港したことに、アメリカ政府に都民の安全確保からも意思を示すべきだと思いますが、どういう態度だったんでしょうか。

○中村参事 原子力潜水艦の入港に際して、特に東京都としては、直接管理する港ではございませんので、そういう要請等についてはしておりません。

○たぞえ委員 首都東京の玄関口にこうした事態がつい先日起こったわけです。それは横須賀だけではなく、米軍基地全体が、私たち日本の国民の命と暮らしにも重大な影響、被害を与え続けてきました。基地の騒音、爆音などによる被害が都民を苦しめ、米軍兵士が引き起こす事件、事故によって犠牲となる日本人も後を絶たない、これが戦後ずっと続いているわけです。
 米軍基地の存在は首都東京の平和と安全、都民の暮らしにとって脅威ではないかと思いますが、どうですか。

○中村参事 米軍基地は日米安保条約及び日米地位協定に基づいて、日本国の安全に寄与し、並びに極東における国際の平和及び安全の維持に寄与するために使用が許され、提供されている施設でございます。
 一方で、基地の存在は、航空機騒音や事件、事故など、都民生活にさまざまな影響を及ぼしていることも事実でございます。
 このため、都は、都民生活の安全を守る立場から、基地周辺の五市一町と連携して、米軍や国に対して、夜間連続離発着訓練の中止や事件、事故の再発防止と安全確保を要請するなど、基地問題の解決に努めております。

○たぞえ委員 日本共産党都議団は、昨年十月、横田基地を訪問し、米軍と懇談をするとともに、基地内を視察をいたしました。懇談で、米軍側は、世界的に進められている米軍再編について、規模を縮小するが、機能は縮小するものではない、横田基地も同様な考えで基地機能の再編を進めていると表明したことは、大変重大な発言でした。
 また、この横田基地に常駐している第三百七十四空輸航空団が、米国本土から運ばれた大量の物資を世界に展開する各基地に輸送することを任務としていること、その実態はイラクやアフガニスタンにも飛行していると、このように語られたことが、今臨時国会で、テロ措置法がいかに危険であるか改めて立証するものであります。
 横田基地に今年一月、米軍の新戦闘司令部、ケニー司令部ジャパンが新設されました。これはブッシュ政権が二〇〇二年に打ち出した先制攻撃戦略に沿って、地球規模でのテロとの戦いに対応するための司令部機能を強化することが目的にされて、全世界で十カ所の戦闘司令部を立ち上げる計画のその一つが横田基地につくられました。
 私たちが基地内を視察しますと、二〇一〇年の米軍再編の一環として、航空自衛隊の防空指令機能を府中基地から横田基地に移転する大規模工事予定地をこの目で見ることができました。
 提出の決算資料では、二十年三月三日に庁舎建設の着工ということがありますが、どのような規模、概要なのか説明を願いたいと思います。

○中村参事 国の説明によりますと、航空自衛隊、航空総隊司令部等の移転のため、平成二十二年九月末までに地上三階地下二階建て、延べ床面積約二万七千平方メートルの庁舎棟などを新設するとのことでございます。
 工事は本年三月に着工されており、現在、掘削工事が行われているものと承知しております。

○たぞえ委員 今説明がありました施設、これはアメリカの米軍第五空軍の建物と隣接するところに今建設されています。
 完成時にはこの二つの米軍施設、自衛隊施設の司令塔が地下道で行き来できるように、共同使用ができるように計画されていることが確認されました。このことは米軍と自衛隊が共用戦略、作戦を利用することを意味していると考えられますが、どうでしょうか。

○中村参事 お尋ねの件なんですが、府中からの移転につきまして、平成十八年五月に日米間で合意された再編実施のための日米のロードマップに基づき、米軍再編の一環として行われているものでございます。
 その目的は、冷戦終結後の世界情勢の変化を踏まえ、核兵器拡散やテロなど新たな脅威に対抗できるようにすることであるとされております。
 在日米軍と自衛隊との連携によりまして、我が国の防衛力の強化が図られるものと認識しております。

○たぞえ委員 要するに府中からの移転は米軍再編の一環だということが今語られました。結局、アメリカ軍と自衛隊の共有という事態が完成によって始まるということになります。それにもかかわらず石原知事は軍民共用化の推進、このようにいっておりますが、同時に米国にもいろいろと要請はしているようです。しかし、軍との共用化という事実について抗議の声を上げていないのは本当に情けないことだと思います。都の取り組みは空域の緩和、これ自身は結構なことでありますが、知事就任以来、全面返還はなかなか進まない。軍民共用も進まない。事実上の知事の施策、それそのものがアドバルーン的で、破綻をしている、こういうふうに考えますが、見解を伺いたいと思います。

○中村参事 ただいま先生の方から、軍軍共用化が進んでおって、軍民共用化が進んでいない、こういうお話かな、お尋ねかなというふうに理解させていただきますけれども、実際に今回の航空自衛隊の航空総隊の司令部が移転することについて、横田基地への自衛隊の航空機の移駐というのは伴っておりません。自衛隊員の移動などのために航空機による滑走路の使用というのは、ごく限られた範囲で滑走路を使うということは聞いております。
 したがいまして、軍民共用化に、今回の、おっしゃっている軍軍共用化ということで軍民共用化についての影響はないというふうに考えております。

○たぞえ委員 アメリカは世界に配置されている米軍基地を再編する。府中にあった自衛隊を横田に移転をして、これは再編の一環だと。こうなりますと、やはり横田そのものがアメリカの重要な戦略的基地としての意味合いを今まで以上に--今部長から、いや、滑走路も限られたところを使っているとおっしゃったけれども、基地は滑走路だけじゃなくて全施設をもって指すわけですよね。そういう再編の中で、さらに自衛隊がそこに移転をすることがどういう意味があるのか。これは軍民という、民間航空機が使えるものにするんだといっても、さらに自衛隊という機能がそこに強化されれば、ますます器は小さくなるということではないでしょうか。
 現に昨年六月、衆議院の安全保障委員会が米軍横田基地と厚木基地を視察を、自民党会派初め全会派で行ったわけです。ここで在日米軍司令官が語っていることが大事なんです。横田基地は軍事的使用が中心で、民間利用は後の話だ、軍民共用についてのデメリットがあり、民間との調整をつけることは困難だ、このように司令官が語った。これは議事録になっているわけです。
 米軍との軍民共用化、そういうことは今現在、米軍の腹の中にはどこにもないんです。軍軍共用化は、基地の共有化、固定化につながるというふうにいわざるを得ないのです。だから、横田全面返還と、このように叫んでも、そして当面軍民共用だと、このようにいろいろ要請しても、実態は固定される事態に着々と進んでいる。だから、これをどうするのかということが都としての最も緊急にやるべき課題じゃないんでしょうか。どうですか。

○延與参事 横田基地軍民共用化についてのお尋ねですけれども、東京都の米軍基地に対する基本姿勢は、整理、縮小、返還でございまして、横田基地につきましては、全面返還を最終目標としつつ、返還までの対策として軍民共用化の早期実現に取り組んでおります。
 これにつきましては、平成十五年の小泉・ブッシュ会談で実施可能性について検討することが合意され、その後、平成十八年にスタディーグループの検討が始まり、現在、既に検討開始から一年以上経過しておりますけれども、さらなる調整が必要だということで協議を継続しております。
 この間、米側はさまざまな軍事運用にかかわる幾つかの課題を指摘しておりますけれども、それらについてはいずれも対応可能な事項だというふうに考えております。都としましては、国とともに、米側からの指摘にも対応できる、説得力のある具体案をつくりまして米側に提供するなど、軍民共用化の早期実現を図っていく所存でございます。

○たぞえ委員 今の決意はわかりましたが、しかし、現実にアメリカ政権がこれからかわろうという局面、それからアメリカ発の金融危機、さまざまなそうしたアメリカを根幹とする世界的な変動の中で、改めて海外につくられている基地のあり方も問われてくる時期が来るというふうに私は思うんです。
 というのも、これまでテロは戦争によってなくなる、こういっておりましたが、国連の研究所が発表した結果では、戦争による解決は全世界のこれまでの紛争地域では七%しかなかった、平和的解決、政治的な解消こそが早道だということも国連でいっている中で、米軍再編という力による制裁というのはもはや私は時代おくれだと思います。現に、戦争放棄を約束した東南アジア友好協力条約というのがありますけれども、アジアの人口の六割以上が参加して、既にフィリピンやタイからは米軍基地が姿を消しています。
 日本でも一刻も早く国内の米軍基地の撤去が求められますが、しかし、この軍民共用という問題について、いろいろ主張はするけれども、しかし、米軍再編という新しい流れの中で、東京、全国から米軍基地を撤去するという力強いアピールは見えてきません。私どもは、即刻全面返還という、究極の目標だとかじゃなくて、それこそ前面にしてアメリカ政府との交渉に東京都は一刻も早く立つ、このことを強く要求しておきたいと思います。
 以上です。

○斉藤委員 それでは、大きく二つのテーマについて伺います。
 先ほど早坂委員の質問の中で、最初の方で、MRJ、アジア大都市ネットワークの中での中小型ジェットの旅客機の開発促進に関してといった質問がございました。私の方も中小型ジェットの旅客機開発について一点伺います。
 まず、本年の十月二日の報道で、先ほど答弁の中にありました横浜での二〇〇八国際航空宇宙展、この様子が伝えられました。そしてまた、その中で、この三月に事業化が発表されております、春に事業化が発表されています三菱重工業の小型ジェットでありますMRJ、これについても触れられています。成功のためには三百から四百機、この受注が必要であるといわれております中で、この十月二日の報道の中では、ちょっとこの現状にまだ至っていないというなかなか厳しい報道が入っておりました。この原因に関しては、現在の燃料高、そしてまた米経済の落ち込みが原因とされているというふうな形で分析がされておりまして、今後、三菱航空機において受注をしっかりと確保する必要があるというふうな感じで報道されておりました。
 一方、これと同時期に、今回の決算の中にも入っておりますアジア大都市ネットワーク21、中小型ジェット旅客機の開発促進検討委員会が、中小型ジェット旅客機の開発促進に向けた提言というものをこの十九年度末、三月の方で発表をしております。ちょうどこのMRJの事業化というものが発表された時期とほぼ同時期に提言されております。恐らくその検討の中では、まだ三菱重工が実際にどういうふうに最終的に動くかというのが検討の中にうまく読み切れる時期ではなかったということがあって、この提言の中ではMRJのことも触れておりますが、ほかの幾つかのメーカーの開発の動きなどが出て、この提言の中で出てくる航空機がそれイコールMRJかどうかというのはちょっとなかなか読み取れないような感じで表現をされておりました。
 ただ、このアジア大都市ネットワーク21につきましては、予算執行率も八割を超えておりますし、積極的に活動されているというふうに私は思っています。
 また、この報告をまとめるに当たっても大変多くの議論が重ねられて、その分当然その中で事務的な費用がかかったということも含めて、執行されたのだというふうに思っています。
 そこで改めて伺うんですけれども、東京都のMRJに対する立ち位置、この検討結果の中では、これがMRJというふうに出て表現をするようなことができなかったところがあるように聞いておりますし、特定の企業の開発に関してだけ触れるというのがまた難しいという微妙な事情があったんだと思いますが、その辺のことを踏まえて、東京都のMRJに対する立ち位置がどのようなものか改めて伺います。
 また、もう一つ、この三菱重工業のMRJの正式な事業化はまさにこの三月ということで、この検討会、検討報告の中では、ちょっとこれがうまく反映できない、もしくは同時に今回十月に報道されておりますような、なかなか受注の読みみたいなものは当然入ることができなかった、実際に入ることができなかったというふうに思います。この現在の十月の状況を受けて、結果報告の内容、検討結果の内容を大きく変えなければならないということはなかなかいえないと思います。燃料高の問題に関しても、実際には若干今原油の方も安くなってきたり、変動する要素がありますので、なかなか早急に、今高くて受注が伸びないから、イコールここを大きく変えなきゃいけないというのは、なかなかそういうことは実際には難しいと思いますし、また、あわてて変えなくてもいいというふうなところも実際は本当だと思います。
 ただ、そうはいっても、受注の伸びが最初のところでちょっと渋かったということ自身は大変大きな課題であります。ならば、どのような支援を東京都の方からMRJに対して行っていくのか。なかなかジェットの受注がうまく進むようにというのは、東京都が全面的にやるといっても、これはできる範囲というものは限られているかと思います。しかし、その中で、ある程度こういったことができるのではないかというふうなことで対応して、今後の流れを変えていかなきゃいけない。今後、今の状況を打開していかなければならないとは思いますので、ぜひその支援の中身について、今いえることを伺いたいと思います。

○猪熊外務部長 本年三月に取りまとめられました中小型ジェット旅客機の開発促進に向けた提言は、三菱リージョナルジェット、いわゆるMRJの事業化の動向を見据えながら、初の国産ジェット旅客機となるMRJの成功に資することも大きなねらいの一つとしてまとめられたものでございます。
 アジア大都市ネットワーク21の共同事業で、アジアの技術と能力を生かした中小型ジェット旅客機の実現を目指している東京都におきましても、MRJの成功は非常に重要なことであるというふうに位置づけております。知事も、今月初めに開催されました二〇〇八年国際航空宇宙展でMRJに関する展示を視察し、期待感を表明したところであります。
 航空機開発の成功には何といっても国の支援が不可欠でありまして、都は国に対して、国が主導し、開発事業者を支援するよう引き続き要求をしてまいります。
 また、アジア大都市ネットワーク21、中小型ジェット旅客機の開発促進プロジェクトの共同事業別会議など、さまざまな機会を利用してMRJの開発状況を紹介する機会を提供するなど、側面支援を行ってまいります。

○斉藤委員 なかなか今はこの燃料高を受けて、地方の空港などでは県民の足になっているような便が、航空会社の方の提言ではそこの路線を廃止するというようなことが幾つかございまして、各空港、そしてまた各地元の方も、県の地元の方も、地方の小さな空港に関してはなかなか厳しい状態があるようです。そういったことがかえってこういう小型機の受注につながる場合もあるかもしれませんし、逆に空港そのものの例えば廃止とか、そういうことがひょっとしたらあるかもしれません。その部分についてはまた今後変動する要素がたくさんありますので、なかなかこういうふうにするというのが読みが簡単にはできないかと思いますが、東京都ができる範囲のことで、また、そういった地方の足の確保を東京都の方で何か協力することによって、こういった小型ジェットの方の需要がふえて、トータルとしてはこういったものが普及をしていくというふうなことも一つの方向性かと思いますので、ぜひ今後ともできる限りの工夫というものを怠っていかないよう努力をお願いしておきます。
 それでは、MRJについては以上で質問を終わりますが、二点目といたしまして、首都移転反対活動について伺います。
 決算説明書の方の一五ページの上の方の(8)のところには、今回、首都移転反対活動の展開については六・二%の執行率ということで、不用額が六百五十六万九千十三円というふうになっています。首都移転の動きについて東京都はどのように考えており、また、どのような考えに基づいて平成十九年度反対活動を行ったのか説明をお願いします。

○森山地方分権推進室長 首都移転の動きについてのお尋ねでございますけれども、国の動きとしましては、国会等の移転に関する政党間両院協議会、これが三年前になりますけれども、平成十七年の十月を最後に開催されていないなど、動き全体としては下火になっているものと考えております。しかしながら、いまだに平成四年に議員立法で制定されました国会等の移転に関する法律が効力を有しているということを理由としまして、国土交通省におきましては、平成二十年度に二億三千五百万円の予算を計上しまして、国会等移転のホームページの運営、オンライン講演会や各種パンフレットの作成等により、移転の意義をPRする活動が行われてございます。
 これらに対しまして、都としまして、平成十九年度も首都移転の白紙撤回を目指しまして、国への提案要求や広報活動を中心に行ってきたところでございます。引き続き国会動向等を注視するとともに、都議会を初め関係機関と連携を図り、あらゆる機会をとらえて移転反対の活動をしてまいります。

○斉藤委員 今のように、国会の方ではかなり予算を、二億三千五百万取っているということで、額面的にはなかなか東京都の方がその中で、七百万程度で対抗するかどうかという点でいえば、額面がかなり違う話なので、本当にこれで対抗しようとすると大変かなという気がします。
 ただ、平成十九年度も大変長期の経済成長があるというふうにいわれていながらも、実際にはなかなか国民、特に地方の県民の方の感じでは、東京にいてもなかなか地方の方にこういったことを負担をしてまでやっていこうというふうな、財力というんでしょうか、経済の活気というものがちょっと見受けられないように思います。そういう点でいえば、平成十九年度、あれだけ今よりも経済の成長がそれなりにあるんだよと、大きな企業の方なんかは大分景気がいいよと、その結果を受けて東京都の方も今年度の個人税収入は大変大きいよというふうな報道がされた時期においても、この首都移転の話が再燃したという感じは何となく実感として持てないというのが正直なところであります。今後もそういう点では国の方も出費がそんなにないのではないか、同時に東京都の方もそれに対抗するという点でいえば、出費が余りないのではないかというふうに思うのでありますが、このような状況下で、この十九年度、何に出費をしたのか具体的に伺います。

○森山地方分権推進室長 具体的な出費の内容についてでございますけれども、平成十九年度におきましては、「首都移転にNO!」というA3判のパンフレットを二万五千部作成しまして、関係府県、区市町村等に配布するなどの広報活動を行ってございます。
 今後、万一国会において都の主張と異なる動きが生じた場合、それに対する効果的な反対運動を行い、世論を形成していく必要があるというふうに考えてございます。そのためには迅速かつ大規模なPR活動等を行うことが不可欠であるということから、必要最低限の予算額を確保しているところでございます。今後も緊急時の対応に備えつつ、広報活動などにより、都の首都移転白紙撤回という姿勢を表明していきたいというふうに考えてございます。

○斉藤委員 今、ちょっと数字の話だったので、事前にちょっと私もこんなことを聞きますよという話をしましたら、そのときに今回つくられた「首都移転にNO!」というこのチラシもいただきました。この中で、首都移転、即刻幕引きをと書いてありますので、正直、即刻幕引きならば、この予算項目についてもそのときになくなって、できれば早くすっきりしたいところが正直なところなんじゃないかと思います。
 もともと質問については事前にそういうふうに説明してあったんですが、ちょっと一個、先ほどほかの委員さんの質問を聞きながら何となくつらつら見たときに、一つ気になったことがあるんですが、A3判のパンフレット二万五千部というふうな話があったんですけれども、さっきの一五ページを見ると、支出済額が三十六万二千五百八十七円で、これはカラーペーパーに黒のインクでやっているだけなので、多分これは高くても六円ぐらいなんじゃないかなと僕は思っていたんですが、これ単純に三十六万から枚数で割っちゃうと、一枚十四円ぐらいになっちゃうんですけれども、ちょっと伺うんですが、この会に対する補助金は印刷物だけではなく、ほかにもろもろ入っているんですよね。ちょっとそこだけ確認をしたいと思います。

○森山地方分権推進室長 ご質問ですけれども、実はこの中に、印刷製本関係としては十九万三千円ほど、そのほかに発送費として十三万幾らというのが含まれてございます。それで合わせてという数字になってございます。

○斉藤委員 ちょっと下の方に事務費があったものですから、発送とかがどういうふうになっているのか、事務費に入っていないのか、いるのかがちょっとわからなかったものですから質問させていただきました。ありがとうございました。
 今伺ったところで、逆に、このほかの活動は本当になさそうでありますので、願わくは今後も過度な出費をせずに、国の動きに応じた臨機応変な対応を望むものです。
 伺ったら、職員の方も、部長級が平成十六年度、課長級については十七年度を最後にほかの部門と兼務をしているということで、今ここまで、十九年度まで来ていますので、ある程度その兼務も問題のない配置というふうに理解ができるのではないかと思います。職員の活動行為も含めて、より一層身の丈に合った事業運営をぜひお願いしたいと思います。
 以上で質問を終わります。

○矢島委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了したいと思いますが、これに異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○矢島委員長 異議なしと認め、本件に対する質疑は終了いたしました。
 以上で知事本局関係を終わります。
 これをもちまして本日の分科会を閉会いたします。
   午後三時散会

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