委員長 | 山下 太郎君 |
副委員長 | 神林 茂君 |
副委員長 | 大山とも子君 |
遠藤 守君 | |
吉倉 正美君 | |
山口 文江君 | |
吉田康一郎君 | |
泉谷つよし君 | |
田代ひろし君 | |
村上 英子君 |
欠席委員 なし
出席説明員病院経営本部 | 本部長 | 中井 敬三君 |
経営企画部長 | 及川 繁巳君 | |
サービス推進部長 | 都留 佳苗君 | |
経営戦略・再編整備担当部長 | 黒田 祥之君 | |
福祉保健局 | 局長 | 安藤 立美君 |
次長 | 杉村 栄一君 | |
技監 | 桜山 豊夫君 | |
総務部長 | 松井多美雄君 | |
指導監査部長 | 鈴木 賢二君 | |
医療政策部長 | 吉井栄一郎君 | |
保健政策部長 | 住友眞佐美君 | |
生活福祉部長 | 永田 元君 | |
高齢社会対策部長 | 狩野 信夫君 | |
少子社会対策部長 | 吉岡 則重君 | |
障害者施策推進部長 | 松浦 和利君 | |
健康安全部長 | 梶原 洋君 | |
地域保健担当部長 | 宮垣豊美子君 | |
生活支援担当部長 | 芦田 真吾君 | |
食品医薬品安全担当部長 | 奥澤 康司君 | |
感染症危機管理担当部長 | 月川由紀子君 | |
参事 | 日置 豊見君 | |
参事 | 大久保さつき君 | |
参事 | 飯塚美紀子君 | |
参事 | 菊本 弘次君 | |
参事 | 別宮 浩志君 |
本日の会議に付した事件
平成十九年度東京都各会計歳入歳出決算の認定について
病院経営本部関係
・平成十九年度東京都一般会計決算(質疑)
福祉保健局関係
・平成十九年度東京都一般会計決算(質疑)
・平成十九年度東京都母子福祉貸付資金会計決算(質疑)
・平成十九年度東京都心身障害者扶養年金会計決算(質疑)
○山下委員長 ただいまから平成十九年度各会計決算特別委員会第二分科会を開会いたします。
本日から三日間にわたり、本分科会所管局の決算に対する局別質疑を行っていただきます。
本日は、お手元配布の会議日程のとおり、病院経営本部及び福祉保健局関係の決算に対する質疑を行います。
これより病院経営本部関係に入ります。
決算の審査を行います。
平成十九年度東京都一般会計決算中、病院経営本部所管分を議題といたします。
本件につきましては、既に説明を聴取しております。
その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
資料について理事者の説明を求めます。
○及川経営企画部長 去る十月八日の本分科会におきまして要求のございました資料についてご説明申し上げます。
お手元にお配りしてございます平成十九年度各会計決算特別委員会第二分科会要求資料をごらんいただきたいと存じます。
資料は、目次にございますように、1、各公社病院の経営指標の推移から、4、公社病院における看護職員の中途退職者数の推移までの四点でございます。
恐れ入りますが、一ページをお開きいただきたいと存じます。1、各公社病院の経営指標の推移でございます。
平成十五年度から平成十九年度までの各公社病院における経営指標の推移を、入院、外来別に記載しております。
二ページをお開き願います。2、各公社病院に対する運営費補助金の推移でございます。
平成十五年度から平成十九年度までの各公社病院に対する運営費補助金の推移を記載しております。
三ページをごらんください。3、各公社病院における医師、歯科医師及び看護職員の定数及び現員の推移でございます。
三ページの(1)から五ページの(3)にかけまして、平成十七年度から平成十九年度まで、年度ごとの各公社病院における医師、歯科医師の定数及び現員を診療科別に記載しております。
六ページをお開き願います。(4)は平成十五年度から平成十九年度までの各公社病院における看護職員の定数及び現員を記載しております。
七ページをごらんください。4、公社病院における看護職員の中途退職者数の推移でございます。
平成十五年度から平成十九年度までの公社病院における看護職員の四月一日から三月三十日までの退職者数と三月三十一日の退職者数について、その推移を記載しております。
簡単ではございますが、以上で要求のございました資料の説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。
○山下委員長 説明は終わりました。
ただいまの資料を含めて、これより本件に対する質疑を行います。
発言を願います。
○田代委員 公社病院における医療人材の確保についてちょっと教えていただきたいんですが、新聞やテレビなどで大変報道されていますように、今勤務医不足というのが大きな問題になっているわけです。地方公共団体が行っている公的な病院が閉鎖しなくちゃいけない、あるいは縮小しなくちゃいけないというニュースが毎日のように続いているわけですけれども、何といっても、これは臨床研修制度という、新しい、十六年から導入されたものがあって、これが卒業してから二年間、指導医という資格の人のいるところで臨床研修、こういうことが義務づけられた。昔の一種のインターン制度に似てはいるわけですけれども、もうちょっとしっかりとしたカリキュラムと、時間も長く使う。そのために、今まで大学病院は、どこでも卒業生のほとんどが採用できたわけですけれども、今は自由にどこでも行けるようになった。
それはある意味では新しい改善ではあると思うんですけれども、場合によっては、地方で非常にのどかなところで勉強したけど、たまには少しにぎやかなところに行って、またのどかなところに戻ってくればいいや、そういうお考えの学生さんもたくさんいらっしゃると思うんですけれども、じゃ、戻ってくればいいやとの間が埋まらないということが今問題になっているわけですね。
ですから、ある程度きちっとした対応をしなくちゃならないんですけど、ちなみに、この制度導入前の平成十四年には約七〇%以上、七〇%を超える医師が大学や大学院に残ったというのがあるんですけれども、近年の一番新しい調査では約五五%しか残らない。逆にいうと、大学病院の中で、今までは医師を派遣していた状態が、今度は派遣したお医者さんを返してもらわなくちゃいけない。こういうような状態になっているわけです。
これは医局制度の崩壊で、医局制度自身を守らなくちゃいけないということはある意味で全くないと思うんですね。患者さん中心の医局制度でなくちゃいけないわけですから、それがある意味では医局本位である医局制度では困るわけですけれども、実は今度の医局制度の崩壊というのは、患者さんに一番ダメージが多い状態の改革になっちゃっているものですから、ここが一つ大きな問題だと思います。
この臨床研修というのは、当然インターンと同じですから、主要な診療科目を全部ある程度一通り経験するわけですけれども、そこで初めて産科とか、小児科の先生たちの苦労を目の前で見て、気持ちがあっても、どうしても危惧とかが出てくる。私自身も、本当は最初小児科に入ったんですけれども、周りの大反対があって、少し動いてしまって、小児外科という、小児科なんですけれども、外科の方に入った経緯があるんですけれども、やはり先輩たちから大変だ、大変だといわれると、何となく腰が引けちゃうようなところがあると思うんですね。
特に昔と違って、今二十四時間しっかり対応しなくちゃいけませんし、また、いろいろなリスクというか、法律的なリスクが、はっきりしなくちゃいけない責任というものがかなり明文化されてきた、明確になってきたので、それに対しての医師の、ある意味では職分の、どこまでどうあるべきかということを決めた細かいシステムがまだ全くないものですから、今までは何しろ熱意のある人が三日帰らなかろうと四日帰らなかろうと、大学に泊り込むのは当たり前で、我々も手術をしたら、その人がしっかりもとに戻るまでは、当直がいようとだれがいようと、残ると。普通だったわけですけれども、その中で、次の日の外来、その次の日の外来もずっと寝ないでやっていると、ミスが出てくる。しかし、それはいいわけができる状態じゃないということで、なかなか厳しい状態になってきた。
もう一つは、我々のころには女性の医療に対する参加というものがまだまだ低い度合いで、そんなにたくさんの方が医師になろうという、そういう中に参加してくることはなかったわけですけれども、今は当然半分近くの方が女医さんで埋められて、これは大変いいことなんですが、逆にいうと、女性の患者さんにとっても、ある意味ではとても安心してかかれる、すばらしいことだと思うんですが、その中で、家庭を築いていく、お子さんを育てるなどという、いろいろと大変な状況と、大学病院、あるいは勤務医としての病院とのギャップというか、両方一緒にやっていくことの大変さが出てきて、特に産科の先生方の中では自分の勤務と、大変厳しい勤務なわけですけど、家庭の両立というのが大変困難になってきて、やむを得ず一線を引く方もいらっしゃる。
分娩などを行う産科の先生たちの実数というのは今非常に減っておりまして、医科と歯科の医師、それから薬剤師のこういう調査が厚生労働省であるんですけれども、平成十年には一万九百十六人であったんですけれども、平成十六年には一万百六十三名、六・九%の減少。東京都でも千三百八十一名から千二百八十九名と、六・七%の減少になっている。重要なところがだんだんマンパワーが足りなくなってくるわけで、こうした状況の中で、公社病院の一つである荏原病院においても、平成二十一年度に産科医の確保のめどが一応立ったわけですけど、昨年十月には医局の引き揚げがあって、厚生委員会の方でも大変問題になったと思うんですけれども、医師による分娩を休止する事態になったわけです。また、都立病院、都立の豊島病院においても似たようなことが起きている。
こういうことが始まりますと、どうやって直していくか、本質を見ながらやっていかなくちゃならないところを、本質を見ないでただただ責任追及ということをいう会派もあるわけですけれども、まずどういうふうにその本質というものを見きわめて、どうしていかなくちゃならないか。東京都だけでできるわけじゃありませんし、逆に東京都が公的な病院、ほかの病院から医師の引き抜きをすれば、そこがまた困る。そうなると、今度開業医の先生のところで働いているお医者さんを引き抜くと、またそこも困る。どちらにしろ、無理に引き抜き合いをしてしまえば終わる問題ではないわけです。
こういうことをしっかりと対応していくことが必要ですし、特にそこでやらなきゃいけないからということで無理を押してやれば、せんだって無罪の判決はおりたんですけれども、県立病院の事件のように、患者さんも、医師側も、病院も、県民の人たちの不安もすべてマイナスになるような状態が出てくるわけですから、足りないからすぐ無理やりにやれ、できないんだからすぐ再開しろといっても、やったときのリスクというものは考えていかなくちゃならないという反面があるわけですね。
こういう産科に対しては特殊事情があるんですけれども、単に産科だけではないんですけど、一般的に医師というのは、給与だけで対応するわけではなくて、そこで自分のしっかりしたモチベーションをつくれるような、そういう環境、すぐれた指導医がいて、そして、インセンティブも高めていけるような、そういうシステム、こちらが大変必要だと思うんですね。
東京都では、東京医師アカデミーを行って、継続的な育成をする。これで、やっとある意味では都立病院としては医師の不足というものが解消される可能性が非常に高くなってきた。これは、都立病院だけについての話ですけれども、ある意味では、皆様方、都立病院をしっかりやっていかなくちゃならないということがあるわけですから、それは当たり前のことですけれども、こういうことが一つの成果を上げてくるのはまだまだ少し先のことだとは思うんですけれども、こういうものが一つ行われてきた。
しかし、一般的に考えれば、入ってすぐ次の日に使えるわけではなくて、アカデミーに入ってから、少なくとも十年、十五年という日にちが必要だということは間違いないんですけれども、一つの道をつくってきたというのは大変すばらしいことだと思うんですね。
公社病院として医師アカデミーを成功させるためには、アカデミーレジデントの確保は当然しなきゃいけないんですけど、直面する勤務医不足の中で、優秀な指導医は、指導医としても優秀でしょうけど、臨床医として戦力として非常に重要なわけでありますから、地域住民に対して公社病院がしっかりと期待にこたえて、適切な医療を継続的かつ安定的に提供していく。これをしていかなくちゃいけないわけで、このためには、アカデミーレジデントや先ほど申し上げました女性医師、それから一番問題となる、生徒さんが来ても先生がいなくちゃならないわけですから、優秀な指導医、一般的には大学病院で指導に当たっていることが多いわけですけど、こういう人たちの確保や定着に向けて、今までどういう取り組みをしてきたかを教えていただきたいと思います。
○及川経営企画部長 公社病院におけます医師の確保、定着についてでございますが、委員ご指摘のとおり、単に給与等の処遇面だけではなく、教育システムの確立や、お話に出ました女性医師の勤務環境の整備等、こういったことは極めて重要であるというふうに考えております。
そこで、若手医師の育成、確保に関しましては、これまで初期の臨床研修に加えて、都が平成二十年度に開校いたしました専門臨床研修を行います東京医師アカデミーに参加するために、公社として十九年度につきましては、各病院における専門臨床研修コースの研修内容の検討、都立病院医師アカデミー構想検討委員会への参加、宿舎の確保、病院見学や説明、募集など、受け入れのための準備を進めてまいりました。
また、指導医層につきましては、新たな知識欲の旺盛な若手を迎えるという、こうした期待感を持って東京医師アカデミーにおける各診療科の研修カリキュラムの作成などに意欲的に取り組んだところでございます。
また、女性医師の確保、定着に向けましては、荏原病院、多摩北部医療センターにおける院内保育室の運営に加えまして、子育て支援のためのアンケート調査を実施するとともに、短時間勤務制度など、柔軟な就労形態の導入、活用について、公社として検討を進めてきております。
こうした取り組みのほか、大学医局への働きかけはもとより、臨床研究の奨励や学会参加費等への支援、職務住宅の確保など、さまざまな対策を行いまして、今後とも医師の確保、定着に努めていくというふうに聞いております。
○田代委員 今お話がありました医師不足、これは大変大きな問題なんですが、それと同時に、看護職の不足というのも深刻な問題が提起されているわけですね。
平成十八年度の診療報酬の改定によって、急性期医療の実態に即した看護師配置を評価する、いわゆる人員配置基準、今七対一ですけれども、が新設された結果、全国の大学病院などで看護師さんを大量に、力任せでといったらあれなんですけれども、採用が発生して、それで民間の地域を守っていた医師会の先生たちの病院では看護婦さんたちが非常に少ない。
大学病院、一例を挙げますと、七対一を導入したときには、ある大学病院では約三百名足りないということで、それこそ病院長も、副院長も、看護婦長もすべて、事務方それから現場にいる医師も含めて、全国にいろいろなところに人材スカウトといいますか、行って、逆に、病院の経営自身が非常に手薄になるといったらおかしいんですけれども、いつ連絡しても緊急な話が通らないような状態があった。
これは別に珍しいことではなくて、私の知っている大学病院では、総婦長というのは、その下に副総婦長がいるわけですけれども、そういう人たち、役員が今までは病院の中のチェックをしておけばよかったものが、どんどん外に行って、自分たちが昔卒業した看護学校にも行って、そこで自分が教えた子どもたちが今そこの校長先生になっていたり、教務の主任になっていたりすると、その人たちのコネでまた集める。非常に努力はしているんですが、現実には看護師さんの現場で働こうという人たちが少ないわけですね。
これは福祉保健局の問題になると思うんですけども、その中で看護師さんが、一度離れた者が戻ってくるためにはさまざまなファクターがあって、一つだけでこれで解決しますなんていうことはあり得ないんですが、やはり現実にやっていかなくてはどうにもならないわけですから、公社病院というのは財団法人ですから、柔軟にかつ弾力的な取り組みを行える医療機関でありますので、こうした特性を踏まえて、今までどのように看護師さんの確保であるとか、定着に取り組んできたのか、それを教えていただきたいと思います。
○及川経営企画部長 公社における看護師確保の取り組みでございますが、固有職員の確保対策としましては、公社事務局での新人の早期選考や毎月採用の実施、病院での随時採用の拡大、経験者への面接を重視した採用試験を実施するなど、公社独自の工夫を凝らしまして採用に努力をしてきております。
また、十九年度には定着対策といたしまして、日勤、準夜、深夜の三交代制から、夜間を分割しない二交代制の導入など、勤務体制の多様化を図るとともに、新人看護師の看護実践能力の向上を図るため、採用から三カ月間、指導者をつけまして、さまざまな病棟などを回って多様な業務を経験いたしますグローアップ研修といったものを開始いたしました。また、中堅職員のスキルアップのために、認定看護師の資格取得支援など、さまざまな取り組みを行ってきております。
また、子育て支援の対策といたしましては、先ほど申し上げました院内保育室の運営や短時間勤務制度の検討を進めることによりまして、継続して働きやすい環境の整備に取り組んでいるところでございます。
看護師確保につきましては、依然として厳しい状況が続いておりますけれども、こうしたさまざまな工夫を凝らしまして、引き続きその確保、定着に全力で取り組んでいくというふうに聞いております。
○田代委員 今お答えいただきましたように、非常に取り組んでいただいていることはよくわかりました。成果が上がっているんだと思うんですけども、看護師さんというのは、仕事が嫌でやめたわけではなくて、戻りたいけど戻れない環境をどうにかしてほしいというのが一番大きな希望だと思うんですね。と同時に、プライドを持って自分たちの職場でスキルアップを図りながら、それも患者さんの役に立つような職業をしっかりと自分たちで、ある意味では自己犠牲というのは変な話ですけど、それが納得ずくで、覚悟でいらしているわけですから、そこの芽を摘んでしまうような制度というのは大変もったいないような、その制度にできてないともったいような気がするわけですね。
ですから、当然、ただのんびりと勤めやすいというのは、世の中の厳しい現状に比べて、余りにも落差が激しくなったら、看護師さんの方もご自分で納得するわけじゃないと思いますから、甘やかせばいいということじゃないんですが、余りにも今厳し過ぎる。そういうものを、細かく、なるべくしっかりと看護師さんたちからも意見を聞いていただきたいと思います。
それはバランスよく、公社病院ということも必要ですけれども、ほかの病院での意見も取り入れて考えておいて、情報を集めていただいて、自分たちの病院だけでいいんだということではなくて、全体にどういう希望であるのか。そして同時に、プライドというものをしっかり維持できるように、スキルアップする方向性を考えていただく。対応は各病院によって、地域によって随分違うと思うので、細かく地域に合った看護師さん対策、どのようにすれば来やすい、時間のことだけ、値段のことだけ、お子さんのことだけではなくて、もろもろたくさんあると思うので、そういうものをあわせて考えていただけたらありがたいなと思います。
病院事業というのは、労働集約型のサービス産業ですから、いわゆる人即事業ということで、人、マンパワーが非常に重要なわけですね。優秀な医療人材を質、量ともに確保しなくちゃならない。しかも継続的に定着させなくちゃならないということですから、それがあって初めて良質な医療の提供、サービスということになるわけでありまして、今後、公社病院における医療人材、今までもお話ししたような、もろもろの事務方も含めて、安定的な確保、そして、定着を図るために、当然病院経営本部が徹底的に指導と支援をしていただかないと、なかなか言葉だけでは進まないと思うんですが、この公社病院における医療人材、優良な、良質な、安定的な確保と定着に向けた病院経営本部長の決意を伺って、私の質問を終わりたいと思います。
○中井病院経営本部長 公社病院における医療人材の安定的確保、定着に向けた決意ということでございますが、質の高い医療を安定的に提供していくためには、今、田代委員ご指摘のとおり、医師や看護師を初めとして優秀な医療人材の確保、定着が不可欠でありまして、採用活動の強化、若手職員の育成に取り組むことを初め、医療人材全体を視野に入れた働きやすい勤務環境を整備することが重要であると考えております。
とりわけ対策の必要性が高い医師につきましては、大学医局への働きかけを強化するとともに、東京医師アカデミーなど、臨床研修のさらなる充実を図り、若手医師の育成、確保を図ってまいりたいと考えております。
また、人材確保が困難化しております看護師につきましても、看護専門学校との交流をさらに深めることや、都外も含めた採用選考の機会拡大などを行うとともに、現に在職しております看護師を対象にした資格取得を支援することなど、看護師の確保、定着対策を、いろいろな角度から全力を挙げて取り組みを指導してまいります。
さらに、今、田代委員からご指摘のございました現在の看護師の置かれた状況、そしてまた、看護師の意向なども十分に踏まえた、そういった対応も必要でございますので、交代制勤務の多様化や柔軟な就労形態の導入、宿舎の確保など勤務環境の整備を一層支援してまいりたいというふうに考えております。
こうした採用環境や勤務環境の改善を積み重ねることにより、今後とも質の高い医療人材の安定的な確保、定着が図れるよう、病院経営本部といたしまして、全力で支援してまいります。
○吉田委員 よろしくお願いします。
ただいま田代委員からお医者さんの専門のお立場から、重みのある質疑を大変勉強させていただきましたけれども、一般都民の代表として、素人ながら幾つか十九年度決算、聞かせていただきたいと思います。
東京都保健医療公社への運営費補助金の中で中心を占める地域病院等の運営ということで、今お話のあった医師の確保対策などについてお伺いします。
都は、これまで平成十六年四月の大久保病院を皮切りに、平成十七年度に多摩老人医療センター、十八年度に荏原病院を保健医療公社に運営移管してきました。この都立病院の保健医療公社への運営移管についてですが、荏原病院においては、大学からの医師引き揚げによって、平成十九年十月以降、産婦人科が医師不足となって、分娩の取り扱いを休止しているということでございます。こうした医師不足の状況は、公社病院だけの問題ではもちろんなく、先日も千葉県のある四百床程度の公立病院が病院を休止することになったことが報道されましたように、全国的な問題でございます。
このような状況を招いた背景には、新人医師が出身大学の医局でなく、自由に研修先の病院が選択できる新臨床研修制度が十六年度からスタートしたことによって研修医の大学離れが進んで、一部の病院から医師の引き揚げが行われたことがあると、そのようにいわれております。また、医師が勤務環境の厳しい病院勤務を避けて、開業医の志向が強まったことも原因の一つであるといわれているわけです。
こういった医師不足を解消するために、素人的に考えますと、いろいろ医は仁術という思いを持ってこの職についていらっしゃる皆様でありますが、まずは処遇改善を進めていくというのが何より必要なのではないかなと考える次第であるわけです。
そこでお伺いするんですが、公社病院の医師の給与水準というのが全国的に見てどうなのか。また、十九年度決算ですから、十九年度に給与で改善した点があれば、あわせてお伺いいたします。
○都留サービス推進部長 公社病院医師の給与は、都立病院医師の給与レベルと同程度となるように給与水準を定めておりますが、平成十八年度の時点では、都立病院と同様、都道府県レベルで全国水準と比較してみますと、十分な状況にはなっておりません。そのため、十九年度におきましては、宿直手当について改善を図っており、一回につき一万五千百円から三万円に引き上げを行いました。仮に月四回の宿直を行ったと仮定いたしますと、年額でおおよそ七十万円の改善となっております。
○吉田委員 ありがとうございます。私もちょっと聞かせていただいて、全国水準と比較すると大変なんだなということをお聞きして、びっくりいたした次第です。
宿直手当を一万五千百円から三万円にほぼ倍増させて、年額で約七十万円の増加ということが図られたと。これは一定の改善であったんだなと思います。しかし、こういった取り組みを行ってはいただいたわけですが、その結果、医師の確保という目的において、成果がどれだけ上がったのかなということを、これはお聞きしなければいけないと思うんです。公社病院において、こういう給与改善を十九年度に行った結果、医師の確保にどれだけの効果があったのか、お伺いいたします。
○都留サービス推進部長 平成十九年度の公社の常勤医師の確保状況を十八年度と比較いたしますと、四月一日現在で、十八年度は二百五十一名で充足率約九三%、十九年度につきましては二百四十九名で約九二%となっており、ほぼ横ばいの状況でございます。医師の確保につきましては、給与改善という点で申し上げますと、取り組みを開始した直後でもございます。効果があらわれるまでにはもう少し時間を要するものと考えております。
○吉田委員 ありがとうございます。せっかく改善したけれども、横ばいで、まだちょっと効果が出ていないということで、早く効果が出てほしいなと思うんですが、一つの見方、考え方としては、引き続きもっと改善に取り組んでいく必要もあるのかなと。これまでの取り組みがまだ足りないのかもしれないということもあろうかと思うんです。
公社病院の医師給与、これまた二十年度も改善に向けて、取り組んでいくことが当然ではないかなと思うわけであります。特に、小児科や産科、救急に対応する医師など、過酷な勤務を強いられているといわれる診療科におきましては、今後一層、給与や手当を含め、さまざまな改善を図っていただく必要があるのではないかと思います。ぜひ引き続きのお取り組みをお願いいたします。
さて、OECD諸国における医師数を人口千人当たりの医師数で比較してみましても、フランスやドイツの三・四に対して、日本は二・〇という状況にありまして、非常に低い状況であります。国もようやく重い腰を上げまして、医師の養成数をふやす方針が出されましたが、育成には先ほどもご答弁があったとおり、効果があらわれるにはというか、五年、十年単位の期間を要するということで、効果があらわれるにはまだまだ時間がかかると思われます。
こうした中で、先ほど田代委員のご質問にもありました東京都として若手医師を育成する東京医師アカデミーの二十年度開校に向けて、十九年度中にさまざまな取り組みを行ったと伺っております。公社病院においても、このプロジェクトに参加して、若手医師の育成を図ることとしていると聞いております。
そこで、東京医師アカデミーについて、どういう構想で行い、どういう仕組みで実施していくのか。そして、十九年度中に公社病院においても募集をされたと思うんですが、採用状況はどうであったのか、お伺いいたします。
○都留サービス推進部長 医師の採用環境が厳しさを増す中で、病院経営本部では、大学医局のみに依存しない質の高い医師の確保、育成を図っていくため、平成二十年四月に東京医師アカデミーを開校いたしました。公社病院におきましても、この東京医師アカデミーに参加し、都立病院と共同して若手医師の計画的な育成、確保に取り組んでおります。
この制度では、これまで病院ごとに実施してきました専門臨床研修を都立病院、公社病院全体で実施することで、合わせて七千床を超えるスケールメリットを生かした豊富な症例等を活用し、高い臨床能力と専門性を兼ね備えた若手医師を育成するものでございます。
研修は、総合診療能力と専門臨床能力の向上を図るため、内科、外科、小児科などのコースごとに設定したカリキュラムに基づき、各病院の指導医が一人一人のレジデントの習得度合いに応じたきめ細かい指導を行っていく仕組みといたしております。
また、平成二十年度の開校に向け、公社病院における初年度の応募は十一名で、十名の採用があったと聞いております。
○吉田委員 ありがとうございます。十九年度中、しっかりと都民の大切な税金を活用していただいて、お取り組みをされていた状況がよくわかりました。
医師の確保というのは、健全な病院運営を進める上での本当に基本的な第一歩でございます。若手の医師の育成、確保に向けたこうした取り組みは、安定的な運営を継続していくために不可欠の取り組みであります。公社病院がこうした取り組みに参加して、都立病院と共同して行っていただいているということは大変意義のあることでありまして、引き続き、東京医師アカデミーを活用して、若手医師の育成に向けた取り組みを充実していっていただきたい、このように思います。
こうした病院に勤務するお医者さん、地域医療を支える貴重な人材としてとらえていただいて、給与面、そして、教育体制、勤務環境など、総合的に改善を進めていただくことが本当に重要だと考えます。さらなる皆さんのご努力をご要望申し上げて、質問を終わります。
○吉倉委員 私からは、決算説明書の一一ページに記載されております財団法人東京都保健医療公社の運営で中心的な地域病院等の運営の支出済額が八十八億九千五百万余円となっておりますが、それに関連いたしまして質問いたしたいというふうに思います。
私の地元の大久保病院は、平成十六年四月に都立病院として初めて東京都保健医療公社への運営移管した病院であります。運営移管を行った当初は、公社化を目前に、風評から医師が何人か退職してしまうなど、苦しい時期もあったというふうに聞いております。今はそうした時期も乗り越えて、十九年度決算で四年を経過し、公社化後のさまざまな取り組みの成果を評価するのにはちょうどよい時期ではないかというふうに考えております。その意味で、最初に公社に移管された大久保病院の運営状況を中心に何点か確認させていただきたいというふうに思います。
まず、公社への運営移管に当たっては、何といっても先般の説明のとおり、病院の役割が地域の医療機関との連携に基づく地域医療のシステム化を推進する地域病院へ変わるということが大きなポイントであったというふうに思います。
そこで、大久保病院は、地域医療を主体とする公社病院となるために、地域の医療機関に対してどのような取り組みを進めてきたのか、説明をいただきたいというふうに思います。
○都留サービス推進部長 大久保病院の公社への運営移管に当たりましては、地域医療連携室を設置し、地域の医療機関との連携をこれまで以上に強力に推進するため、地域の医師会などへきめ細かく説明を行いますとともに、地域の診療所などとの間で患者さんの紹介や返送、逆紹介を積極的に進めてまいりました。
また、地域の複数の医師会、歯科医師会と協定を締結して、病院見学会も実施いたしまして、会員の医師、歯科医師の方に登録医となってもらい、登録医の方々のための開放病床を五床整備するなど、開放型病院としての運営を進め、さらに登録医の先生方からの紹介で入院された患者さんについて共同診療も実施していただいているほか、MRI、CTなど、高度医療機器の共同利用も積極的に行ってきております。
こうした取り組みのほか、診療依頼の連絡先やその方法、コピーして使える様式、また、各診療科の特色や医師の紹介を記載したおおくぼファイルを創刊し、地域の医療機関に毎年配布するほか、トピックスなどを記載しました連携通信おおくぼを発行するとともに、地域の医療従事者を対象とした医療連携講演会をほぼ毎月開催するなど、地域の医療機関との情報交換の推進と医療水準の向上に努めてきております。
○吉倉委員 今お話しのとおり、大久保病院が公社病院となり、地域の中核病院としての役割を果たしていくために、医療連携においてもさまざまな取り組みを行い、努力していることがわかりました。こうした取り組みを引き続き行うようお願いしておきたいというふうに思います。
次に、公社化後の大久保病院の経営状況はどう変わったのか、公社移管年度の平成十六年度と直近の平成十九年度の比較で説明を求めたいというふうに思います。
○都留サービス推進部長 大久保病院の平成十六年度と十九年度の患者診療実績を比較いたしますと、入院患者が延べ八万三千七百八十人から九万二千二百七十七人と、約一〇%増加しており、また、病床利用率は七六・五%から八四%へと順次上昇いたしております。
外来患者について見ますと、公社病院の基本方針としております地域の医療機関からの紹介予約制を徹底した結果、紹介率は四八%から四九・五%へ、さらに逆紹介率は四四・四%から五九・五%へと上昇し、患者数は延べ十三万七千三十人から十二万一千四百四十四人と、約一一%の減少となっております。
この結果、入院収益と外来収益を合わせた医業収益は十六年度が約四十三億六千万円でありましたのが、十九年度は約四十七億円と、約三億四千万円の増収となっております。
○吉倉委員 紹介予約制の徹底や逆紹介の推進により、外来患者数は減少したものの、公社化後の入院患者の実績は着実に伸ばしてきており、収益も増加するなど、経営改善が図られているようであります。
また、公社病院として地域医療連携を着実に進めていることも確認ができました。
ところで、病院運営においては、経営状況や医療機関との連携が重要なことは当然として、都民にとっては、公社移管によりどのような医療サービスが提供されるようになったのか、いかにサービスの向上が図られたのか、この点が大変重要なわけであります。
そこで、大久保病院が公社病院となって充実された医療サービスには具体的にどういうものがあったのか伺います。
○都留サービス推進部長 大久保病院は公社への運営移管に合わせ、地域の医療ニーズを踏まえ、救急医療と生活習慣病医療を重点医療として運営を進めてまいりました。
また、脳梗塞や心筋梗塞などを予防するため、特にサラリーマンが利用しやすいように工夫した日程で、金曜日に入院し日曜日の午後に退院するメタボリックシンドローム週末短期入院の実施、皮膚の若返りや新陳代謝を促進するアンチエージング外来を実施するなど、公社病院ならではの特色ある医療も行ってきております。
さらに十九年度には、脳卒中患者に対応するため脳卒中ケアユニットを三床整備するとともに、急性期から早期のリハビリテーションまで切れ目のない診療をチームとして対応する脳卒中センターの運用を開始いたしております。
○吉倉委員 お話しのとおり、大久保病院においては、都立病院から公社病院に運営が移管され、さまざまな取り組みを実施し、成果を上げてきたことがわかりました。
とりわけ脳卒中については、がんや心疾患に次いで死亡率の高い疾病であり、平成二十年三月に改定された東京都保健医療計画においても、脳卒中はがん、急性心筋梗塞、糖尿病と並ぶ四大疾病の一つとして位置づけられ、重点的な取り組みを進めているというふうに聞いております。こうした中で、大久保病院が脳卒中医療に取り組み、適切な治療を速やかに受けることができる体制整備をしたことは大変意義のあることだというふうに考えております。
ところで、脳卒中は、発症した直後から治療までできるだけ早期に専門的な医療チームで対応する必要があるなど、運営面でも難しいものがあるというふうに聞いております。そこで、大久保病院ではこの脳卒中医療をさらに充実させるため、今後どう取り組んでいくのか、お伺いしたいというふうに思います。
○都留サービス推進部長 ご指摘のとおり、脳卒中は専門的な医療チームが発症直後から適切な医療を行う必要があります。このため、手厚い医療スタッフの配置が求められております。全国的な医師不足、看護師不足などの厳しい環境の中で、脳卒中センター、特に脳卒中ケアユニットにつきましては、脳神経外科医や神経内科医、リハビリテーション医師など、医療スタッフの確保に努めております。
今後もこうした専門性が高い診療チームによる医療が継続して実施できるよう、医療人材の確保に努めるとともに、チーム医療を推進し、脳卒中医療の充実を図ってまいります。
また、地域の脳卒中ネットワークを構成する医療機関との連携を進め、共同して地域連携クリニカルパスの作成、運用を行いますとともに、回復期リハビリテーションを担う病院など、さまざまな施設と役割を分担し、患者さんの症状に応じた適切な医療が地域で切れ目なく提供できるように努めてまいります。
○吉倉委員 脳卒中は、当然予防するために生活習慣を改善することも大事ですが、一たん発症した場合には病院を初めとしたさまざまな施設が役割を分担し、患者さんの症状に応じた切れ目ない医療サービスを提供していくことが重要であるということがよくわかりました。大久保病院においては、脳卒中医療のネットワークづくりなど、地域の中核病院として医療ニーズに的確に対応し、その役割を十分発揮できるよう引き続きご努力いただくことを期待しておきたいというふうに思います。
なお、ここは平成十九年度の決算委員会ですので、要望としてとどめておきますが、都議会公明党の強い働きかけで設置された女性専用外来、これは女性の方々に大変好評でございましたが、残念ながらことしの六月から休止となっております。担当医師の退職によるものと聞いておりますが、ぜひ一日も早くかわりの医師を確保し、再開することを強く要望して、質問を終わります。
○大山委員 大久保病院を中心に質疑したいと思います。
大久保病院は今もお話がありましたように、平成十六年度に保健医療公社の病院になりました。これは、持ってきましたけれども、大久保病院の十九年度の事業概要ですね。十九年度版です。院長先生が前書きで、当院は、平成十六年度に都立病院から東京都保健医療公社に移管となってからの二年間、診療実績、経営状態が大変な低迷状況を呈しておりましたと率直に書いておられます。
公社病院になるときに、医師、歯科医師の定数を、十四年度には五十人定数がいたんですけれども、十六年度には四十三人に減らしています。看護要員は二百二十五人、都立のときにはいたんですけれども、順次百九十二人に三十三人も減らしました。公社化は医師の退職のきっかけにもなりましたし、医師確保は非常に苦労したと聞いています。毎月いろいろなところに行ったり、インターネットでの募集など、大変な苦労だったとおっしゃっています。
提出してもらった資料では、大久保病院の看護職員定数は何とか充実しています。しかし、充足しているとはいっても、この定数自体が、さっき申し上げたように、都立のときよりも三十三人も減らしている人数です。大久保病院の医療水準を維持充実するためにも看護職員は都立のときの定数に戻すなり、七対一看護を目指すなど目標を持って支援することが必要だと考えますが、どうでしょうか。
○都留サービス推進部長 大久保病院の看護師は、平成十九年四月一日現在、定数に対して十九人の過員がございますが、脳卒中センターの充実に向けた手厚い看護配置や、年度途中の退職者への補充などの課題に優先的に対応する必要があると考えております。引き続き看護師確保に向けた公社の取り組みを支援してまいります。
○大山委員 確かに年度初めは十九人の過員ですけれども、四番目の資料にあるように、中途の退職者も多いわけで、年度末には五名の過員というところですね。とにかく今おっしゃったように、減らした定数を埋めるだけでも大変なことだということなんですね。
答弁の中で、派遣解消の課題もあるという話がありましたが、十九年度末で大久保病院には都の派遣職員の看護師は何人いますか。
○都留サービス推進部長 十九年度末現在、都から派遣されております大久保病院の看護要員は六十六名でございます。
○大山委員 東京都の看護師が現在も六十六名派遣されているということですね。これは看護水準を低下させないためにはなくてはならないことだと思っています。しかし、都の派遣の看護師は、一回目の派遣は三年の契約、その後の更新は二年までですということですね。固有職員がなかなか雇用できない状況の中で、そのまま派遣の更新を続けるのでしょうか。
○都留サービス推進部長 公社病院への都職員の派遣につきましては、本年一月に策定いたしました第二次都立病院改革実行プログラムにおいて、平成二十四年度までの計画期間内に派遣解消を目指すこととしております。したがいまして、今後も公社における固有職員の確保状況や、各年度の事業計画などを総合的に勘案しながら、段階的な解消を目指してまいります。
○大山委員 二十四年度までに段階的な解消を目指すということですね。
公社移管に伴う都の看護師の派遣は、公益法人等への一般職の地方公務員の派遣等に関する法律に基づいて実施しているわけですね。この法律の第三条には、職員派遣の期間は三年を超えることができない、こうした上で、その二項で、特に必要があると認めたときには職員派遣をした日から五年を超えない範囲内において、これを延長することができるとなっています。
大久保病院の公社移管は十六年四月ですから、既に三年を超えています。今年度末で丸五年になります。段階的な解消を目指していくと答弁されましたが、この法律との関係、どう対応するんでしょうか。
○都留サービス推進部長 看護師確保につきましては、依然として厳しい状態が続いておりましたが、先ほどもお話がありましたとおり、病院における随時採用の実施や教育の充実、また、夜間を分割しない二交代制勤務の導入など、さまざまな工夫を凝らし、引き続き看護師の確保、定着に努めていくと聞いております。
なお、この間、医療の継続性の観点から、必要があれば、派遣の更新を行っていくことも考えております。
○大山委員 必要があれば派遣の更新とおっしゃいますけれども、法律では五年までということですが、それとの関係はどうなるんですか。
○都留サービス推進部長 平成十二年の派遣法施行の際に示されました自治省の通達、公益法人等への職員派遣制度等の運用についてによりますと、基本的には地方公共団体の職務に従事するべき者であることなどから、職員の派遣の期間が満了した職員について、引き続いて同じ団体に再度職員派遣することは一般的には適当ではない。しかしながら、再度の職員派遣を行わないこととした場合には地方公共団体の施策推進が著しく損なわれるなど特別の事情がある場合にあっては、職員派遣の期間が満了した職員を引き続いて同じ団体に再度職員派遣することもあり得るとしております。したがいまして、派遣の更新は実態的にも手続的にも何ら問題がございません。
○大山委員 確かに公益法人等への一般職の地方公務員の派遣等に関する法律が十二年四月一日に施行されていますね。今おっしゃった通知はその三カ月後、公益法人等への職員派遣制度等の運用についてという通知が三カ月後に出されているんですね。その中でも今答弁されたように、引き続き同じ団体に再度派遣することは一般的には適当でないといって、しかしながら、特別の事情がある場合には職員派遣の期間が満了した職員を引き続いて同じ団体に再度職員派遣する場合もあり得る、こういうわけですよ。こんなことを認めたら、その通知ですね、法の第三条は骨抜きになってしまうわけですね。国権の最高機関である国会で決めた法律を役所が一片の通知で骨抜きにするという、とんでもない話なわけです。
もちろん大久保病院など公社移管した病院から、都の派遣の看護師を三年や五年で機械的に引き揚げることはできません。そんなことをしたら、看護水準が維持できないからです。要するに、都立病院の公社移管は初めから法律を守れないこと、守らないことが前提になっているという点でも重大な問題があるということです。
私はやはり職員の派遣は原則三年、例外的に延長しても最大五年という法律を初めから守れない公社移管はすべきではなかったし、大久保、多摩北、荏原に続いて、来年度豊島病院を新たに公社移管するのは中止して、都立病院として存続拡充することこそ必要だということを指摘しておきます。
さっきもメタボリックシンドロームの週末短期入院の事業のことがありましたが、これは二泊三日で、サラリーマンからも利用されやすいんだということで、これまでに七十七人利用していらっしゃるわけですね。これまでというか、二十年三月末までですね。大久保病院と同じビルの中にあるハイジアのウェルネスエイジ60を使って運動療法も行っていると聞いていますが、ハイジアのウェルネスエイジ60にはウオーキング用のプールやジムなどが充実しているわけですね。メタボリックシンドロームだけでなくて、生活習慣病やリハビリなど運動療法にはハイジアとの連携をさらに進めることが求められていると思いますが、どうですか。
○都留サービス推進部長 大久保病院に隣接するウェルネスエイジ60は、都民の自主的な健康づくりの場として活用されている施設でございます。お話のありましたメタボリックシンドローム週末短期入院では活用させていただいております。
脳卒中などの生活習慣病のリハビリ運動療法につきましては、医師の治療方針のもとに、発症後できる限り早期に専門スタッフがリハビリテーションプログラムに基づきまして、患者さんの症状や必要度に応じて行うものでございまして、ベッドサイドも含めて、院内のリハビリ施設で適切な時期に提供しております。したがいまして、メタボリックシンドローム週末短期入院以外での活用については現在のところ考えていないと聞いております。
○大山委員 同じ建物の中にあって、メタボリックシンドロームでは活用しているわけですね。それはとてもいいことだと思うんです。
ウェルネスエイジ60というのは、もとはといえば健康推進センターとして、医師、保健師、栄養士、運動指導の方などの指導が総合的に行われていたところですね。
例えばいろいろな方が通っていて、足が弱ってしまって外出もままならない状態だった七十歳を超えた方は、最初は付き添ってもらいながら、支えられてきたんだけれども、二年間通って、一人で健康推進センター、今のウェルネスエイジ60ですね、センターに通って、プールの中を歩く運動を続けられるようになりましたとか、その方は、そこがなければ今ごろは家から一歩も出られなくなったでしょうというような状況でした。
別の方は、例えば高脂血症の改善とか、糖尿病の症状改善とか、心疾患の改善など、自宅にいてお医者さんに通っているだけでは絶対に得られない成果が、このセンターで運動の処方によってもたらされたんだと。その実例は枚挙にいとまがありませんという状況でした。
医師、保健師、栄養士、運動指導など、専門職が総合的にその方に合った適切なプログラムをその方をきちんと診断することによってつくって、それで、しかも継続的に、総合的に指導してくれるところが、ここの健康推進センター、今のウェルネスエイジ60だった場所でやっていたわけですね。ますます今、介護予防も含めて、重要になっているわけですから、せっかく同じ場所にあるのですから、ぜひ脳卒中だけじゃなくて、使えないところを探すんじゃなくて、どうしたらより豊かに今あるものを連携して使えるのかということで、ぜひ積極的に活用していくことを研究していただきたいと思います。
もう一つ、患者さんが自分の病気のことを知って、みずから判断する力をつけることが、今重視されていますね。都立駒込病院では患者さんのための医療情報相談室が充実しています。大久保病院でも、患者さんや家族が気軽に情報を収集できるように、また、医療に関して何でも相談できるように図書室や相談室の拡充が求められていると思いますが、どうでしょう。
○都留サービス推進部長 大久保病院では既に患者さんやご家族が医療や在宅療養などに関するさまざまな相談ができる看護相談室、お薬相談室、医療相談室に加えまして、医療に関する図書や雑誌を気軽に閲覧できる図書コーナーを患者さんやご家族が利用しやすい一階に設置しておりまして、限られたスペースを有効に活用し、患者サービスの充実に努めております。
○大山委員 本当に限られたスペースに図書コーナーはありますね。インフォームド・コンセントが常識になって、治療に対してきちんと説明を受けて、理解した上で選択できるようになってきた。しかし、治療について選択し、自己決定するためには、患者や家族が医療情報を入手できるようにすることは欠かせません。情報入手の一つとして、医療機関での患者図書サービスを中心にした患者図書室の設置が求められて、急速に拡大しています。駒込病院はこの立場で充実したわけですね。私の近所にも女子医大がありますけれども、インターネットも含めて情報収集ができるように充実していますし、だれでも気軽に調べることができます。
患者医療図書サービスによって、患者や家族が病気や治療法に関する情報を得ることによって治療に取り組む意欲、回復しようという気持ち、不安の解消もできるということを初めとして医療者とのよりよい信頼関係も築ける、その助けになるともいわれています。病院だからこそ提供できるサービスを実施するために、まずは大久保病院でも院内の図書担当者と医療スタッフが協力して充実するための検討会を持つことから始めたらいかがでしょうかと思います。
先ほど女性専用外来のお話もありました。女性専用外来ですけれども、成果や役割というのはどのように評価していらっしゃいますか。
○都留サービス推進部長 女性専用外来は、女性特有の身体症状やストレスなどによる心身の変調などを対象に、心身を総合的に診察するために設けた専門外来でございます。平成十六年七月の開設以来、十九年度末まで三百七十七人の女性に年齢を問わずご利用をいただいております。
○大山委員 本当に気軽に、総合的に相談できる、受診できるというのは重要です。せっかくの女性専用外来ですから、早急に医師を確保して、再開することが必要だと思いますが、どうですか。
○都留サービス推進部長 現在、大久保病院では、ホームページへの掲載も含めて募集をしているところであるというふう聞いております。
○大山委員 ぜひ努力してよろしくお願いします。
あと、大久保病院のSCUを中心としたチーム医療の脳卒中センターは、非常によく機能していると聞いています。多摩北部医療センターにも同様に、チーム医療ができる脳卒中センターの設置が必要ではないかと思うわけですが、より身近なところに、脳卒中へのチーム対応、早期に対応することが重要なだけに、地域にということで、多摩北部医療センターにも同様のチーム医療ができる脳卒中センターの設置をした方がいいと思いますが、どうでしょうか。
○都留サービス推進部長 多摩北部医療センターにつきましては、救急医療とがん医療を重点医療といたしております。また、小児医療の充実も図りますことから、現在脳卒中センターを設置する予定はないと聞いております。
○大山委員 今はないのかもしれませんけれども、より身近なところで、適切な早期措置が必要であることだけに、ぜひ検討に入れていただきたいと要望を述べて終わります。
○遠藤委員 私の方からも決算説明書一一ページにございます東京都保健医療公社の運営にかかわる補助金に関連いたしまして、今の新宿区選出の吉倉議員、そして大山議員が大久保病院についてお述べになりましたので、私の方からは大田区、地元にあります荏原病院の件について何点かお話をさせていただきたい、質疑させていただきたいと思います。
改めて申すまでもなく、荏原病院は平成十八年度に都立病院から公社へ移管されて、今回の十九年度決算で二年を経過したわけでございます。これまで荏原病院は、大田区や、またお隣の品川区など、東京の城南地区の住民にとって古くから身近な病院として、多くの利用者の命と健康を支えてまいりました。私も大田で生まれ、大田で育った者で、私も含めて、家族は何かというとこの荏原でお世話になってきた次第でございます。
この荏原病院、公社への移管に際しましては、集学的ながん医療や、脳血管疾患医療を重点医療として運営を進めることになりました。そこで、この荏原の売りでございます重点医療に関するこれまでの取り組みについてお伺いしたいと思います。
○都留サービス推進部長 まず荏原病院のがん医療につきましては、十八年度からはリニアックを用いた放射線治療の導入を行い、外科、内科、放射線科の医師が協力いたしまして、手術、放射線治療、化学療法などを組み合わせた治療を行う集学的がん医療の充実を図りました。放射線治療を行った患者数でございますが、十八年度の千七百五十四人から十九年度は二千三百六十六人に増加いたしております。
次に、脳血管疾患医療につきましては、脳卒中専用病床八床を設置した脳卒中センターを備え、神経内科、脳神経外科の医師を中心とした医療チームが、脳の血管が詰まる脳梗塞を引き起こした患者さんに対しまして、発症三時間以内に投与すると治療効果が非常に高い血栓溶解剤t-PAを投与するなど、専門性の高い医療を提供しております。脳卒中専用病床が受け入れた患者数は十八年度四百十人、十九年度三百九十三人と、ほぼ横ばいですが、このうち血栓溶解剤t-PAを使用した患者さんは八人から十一人に増加しております。また、これにあわせて入院直後から開始するリハビリテーションの効果もあり、退院時の機能障害も軽く、脳卒中発症後の後遺症の軽減や社会復帰支援に大変効果を上げております。
こうした取り組みによりまして、地域医療ニーズを踏まえた患者サービスの向上が図られております。
○遠藤委員 生活習慣病でございますがん、また脳血管疾患につきましては、早期の治療、早期の発見がその後の病状を左右するということは今さらいうまでもないわけでございます。今答弁いただきました血栓溶解剤t-PAですか、これを用いた荏原の医療は大変評価をいただいているということで、事前に職員の方にもご用意いただきましたけれども、さまざまな新聞とか、また雑誌等で、荏原の総合脳卒中センターの活躍の様子、または期待の声というものが記されております。また、NHKの「クローズアップ現代」という報道番組でも取り上げられたということで、こうした脳卒中に適切に対応できる医療体制を整備したということは、地域住民にとって大変心強く、また意義あることだろうと思っております。
ところで、この荏原病院でございますけれども、最寄り駅であります東急池上線の洗足池の駅から歩いて十五分のところにあります。平たんではなくて、小さい高台に建っているということで、高齢者の方々にとっては、また高齢者のみならず、病気の方、また病気を見舞う方に対してやや不便なところに位置しているわけでございます。
私は、東京都保健医療公社の評議員を務めさせていただいておりますが、この荏原病院の患者サービスの向上に当たりましては、公社の評議会の席上、平成十七年の秋になりますけれども、わずかでも患者さん、また、家族の皆さんのサービスを向上するために、送迎バスの運行と院内のコンビニエンスストアの設置を提案させていただきました。移管後の荏原病院が患者の利便性やアメニティーの向上を図り、これまで以上に地域から信頼される病院となるように、また、都立病院時代にはない公社病院ならではの先駆的な取り組みとして、こうしたサービスを行っていくべきではないかと思って提案した次第でございます。
幸い、この提案は、移管を機に直ちに対応をしていただいているわけでございます。そこで、これまでの無料の送迎バスの運行と、そして、院内に設置をされましたコンビニの運営状況について、ご報告いただきたいと思います。
○都留サービス推進部長 荏原病院の送迎バスにつきましては、平成十八年四月の公社移管に合わせて、荏原病院と大岡山駅を結ぶ送迎バスとして、おおよそ三十分置きに運行しております。午前八時から十一時までの間は荏原病院と大岡山駅の間の直行便として運行し、十一時以降につきましては、荏原病院から洗足池駅経由で大岡山駅までというルートで運行いたしております。運行に当たりましては、患者さんやご家族の方々などに無料でご乗車をいただいております。十八年度における利用実績は一日当たり二百六十四人、十九年度におきましては約三百三名となっております。
また、院内のコンビニにつきましては、患者さんやお見舞いの方々の利便性向上を図るため、やはり十八年四月から設置いたしております。
こうした取り組みについて、病院を利用する方々からご好評をいただいております。
○遠藤委員 都立から公社に移管した病院として、今ご報告いただいたとおり、送迎バスについても、また院内のコンビニ設置などについても柔軟性を持って、まさに公社ならではの取り組みということで対応していただいたこと、大変評価いたしたいと思います。
しかし、無料の送迎バスに関して申し上げれば、私も、二年前の公社の評議員会で質問に立たせていただいたときに、なぜ区内にあるさまざまな駅のうち大岡山駅を選んだのかということでお聞きしたところ、大岡山駅についてはさまざまな電車が乗り入れているということで、神奈川の方からも接続しているし、渋谷の方からも多くの人たちが大岡山駅を利用しているということで、まさに病院経営の戦略的な一つのポイントとして大岡山に設置することになったと、ここをオープンすることになったと、このようにいっておられておりました。
しかし、地元の、私も町場を歩いていると、どうして大岡山駅から荏原病院までのワンルートしかないんだという声は、率直な気持ちとして耳に上がってくるわけでございます。事前にお伺いしたところによると、一年間、マイクロバスですけれども、運行するのに約一千四百万円の経費がかかるということでございます。しかしながら、荏原病院と大岡山駅を結ぶワンルートだけではなくて、利用者サービスの向上として、路線の拡大をさらに強く要望したいと思います。
なお、これに関連して申し上げますと、実は行政の大田区でも、今、コミュニティバスの運行計画に向けた検討が始まっているようでございます。さまざまな地域から、我が地域でコミバスを走らせてくれということで、その調整に若干時間を、手間取っているようでございますけれども、早ければ来年度からの運行に向けて準備したい、このように区としては意向があるようでございますので、ぜひ荏原病院の送迎バスの運行ルートの拡大に関しましては、地元の大田区のコミュニティバスの運行とも密接に協議というか、検討しながら拡大していっていただきたいということを重ねて要望させていただきたいと思います。
次いで、私の方からも、医師不足、とりわけ産科医、小児科医の不足問題、さらにあわせて看護師の不足について質問させていただきたいと思います。
先ほど来の質疑にもあるとおり、残念ながら、荏原病院におきましても、平成十九年度に産科医による分娩を休止する、こういう残念な事態になったわけでございます。しかしながら、公社の皆さん、また荏原病院の関係者の皆さん、都の職員の皆さん、そして私たち議会も結束して、何とか一日も早く分娩休止という事態を避けたいということで、産科医のチーム医療の受け入れに向けて、さまざまな努力をしてきたわけでございます。
その結果、来年度、平成二十一年度中に何とか産科医のチーム派遣がされることになったと、このようにお伺いをいたしております。四月の本格的なスタートに向けて準備を進めている過程だということでもお伺いしておりますけれども、ぜひ滞りなく四月に産科医のチームの皆さんが着任されて--ただ、四月に着任されたからといって直ちに医療が提供されるわけではないと思いますが、速やかにチーム医療が出発できるように万全な形で準備を進めていただきたいことを要望いたします。
なお、この地域のお産需要にどうこたえるか、こういう観点におきましては、私は平成十九年二月に一般質問に立たせていただいた折に、地域に埋もれている貴重なスキルを持っている助産師さんの力をかりて分娩を行うということで、荏原病院に助産師外来と院内助産所を設置すべきではないかという提案をさせていただきました。これについても、助産師外来についてはその年の六月から、そして院内助産所につきましてはその年の九月から、早速開設していただいたところでございます。
そこで、この荏原で行われている助産師外来と院内助産所における現状はいかがになっているのかをお答え願いたいと思います。
○都留サービス推進部長 荏原病院の助産師外来につきましては、十九年六月末から開設し、合併症のない二回目以降のお産の方を対象に、妊娠の初期は医師が診察を行い、その後、妊婦検診と指導を助産師が担当しているものでございます。十九年度には三十九人の患者さんに対し、二百十九件の検診や相談対応を行っております。
院内助産所について見ますと、十九年度は九月以降に五件の出産の実績がございます。助産師外来や院内助産所につきましては、医師のバックアップのもとに、助産師がきめ細かく対応していること、また、出産後も助産師が乳房ケアや赤ちゃんの授乳についての相談を電話や助産師外来で行っていることなどから、いろいろなことを気軽に相談できると、患者さんからも喜ばれておりまして、二十年度も順調に推移いたしております。
○遠藤委員 一つ確認ですけれども、助産師外来、また院内助産所については、平成二十一年の、いわゆるドクターが来られてチーム医療で出産をスタートするということになっても、引き続き院内助産所、また助産師外来は継続するという前提でよろしいでしょうか。
○都留サービス推進部長 今後も継続の予定であるというふうに聞いております。
○遠藤委員 医師不足もさることながら、それ以上に、先ほど来議論になっておりますとおり、看護師の不足は、病院経営にとっても大変重要な課題でございます。荏原病院を初めとして公社病院においても看護師確保が大変厳しい状況にあり、この看護師不足によって、荏原病院のほか多摩南部地域病院、そして多摩北部医療センターにおいても病棟を休止せざるを得ない、こういう残念な状況になっておるわけでございます。
これは平成十八年度に導入されました七対一の新看護基準を契機とした全国的な看護師不足の影響によるものが大変大きいと私自身は考えているわけでございますが、こうした病棟休止について、一部の会派では、あたかも公社化したことが要因であるかのように主張している方々もいらっしゃるわけでございます。しかしながら、こうした主張は、保健医療公社及び荏原病院が医師や看護師の確保、定着に向けて奮闘して、また、私たち都議会としても結束して取り組んでいる、こうした努力をしているさなかの発言でございまして、甚だ残念に思うわけでございます。
そこで、改めてお伺いしますけれども、公社病院における看護師不足が公社化を原因としているもの、公社化を起因としているものなのか、明確に答えていただきたいと思います。
○都留サービス推進部長 今回お示しいたしました委員会要求資料にもありますとおり、ここ数年、看護師の確保は大変厳しい状況にあり、この傾向は公社病院だけではなく、都立病院においても同様でございます。
その中で、公社の各病院を見てみますと、十七年度までは開設当初から公社病院であった多摩南部地域病院のほか、大久保病院や多摩北部医療センターといった都立から公社移管を行った病院も含め、ほぼすべての病院が充足の状況にありました。しかし、十九年度について見ますと、十六年度に移管された大久保病院は依然として充足の状況にありますが、それ以外の病院については、残念ながら欠員の状況となっております。
これらのことから、看護師の欠員状況につきましては、地理的条件などの病院の置かれた個々の事情も影響しておりますが、基本的には十八年度に導入された七対一の新看護基準の影響が大きいと考えられます。
○遠藤委員 公社病院における看護師不足は、公社化が起因しているわけではない、こういうような部長の答弁だと思います。しかしながら、どういう状況であったとしても、看護師確保が厳しい状況にあるというのは変わらない事実でございまして、公社病院においては、看護師不足が及ぼす影響をしっかりと受けとめて、一日でも早く改善できるように引き続き懸命な努力を期待したいと思うわけでございます。
公社病院の使命は、何といっても地域の医療ニーズに合った医療を着実に提供すること、これに尽きると思います。荏原病院におきましても、先ほどの質疑にありましたとおり、重点医療に対する取り組みを強化するとともに、これも荏原の特徴と聞いておりますけれども、旅行医学外来、歯科インプラント治療など、公社病院ならではの特徴ある医療を伸ばしていくべきであり、今後もより一層地域の医療ニーズにこたえたサービスを提供していただくことを要望し、私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
○山下委員長 ほかによろしいですか。--ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○山下委員長 異議なしと認め、本件に対する質疑は終了いたしました。
以上で病院経営本部関係を終わります。
○山下委員長 これより福祉保健局関係に入ります。
初めに、理事者の欠席について申し上げます。
蒲谷事業調整担当部長は、公務のため本日の分科会に出席できない旨の申し出がありました。ご了承願います。
これより決算の審査を行います。
平成十九年度東京都一般会計決算中、福祉保健局所管分、平成十九年度東京都母子福祉貸付資金会計決算及び平成十九年度東京都心身障害者扶養年金会計決算を一括して議題といたします。
本件につきましては、既に説明を聴取しております。
その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
資料について理事者の説明を求めます。
○松井総務部長 過日の分科会で要求のございました資料につきまして、お手元の平成十九年度各会計決算特別委員会第二分科会要求資料にまとめてございますので、ご説明申し上げます。
資料は、目次にございますように、全部で九項目となっております。順を追ってご説明させていただきます。
一ページをお開き願います。福祉保健費の予算及び決算の推移といたしまして、平成十年度から十九年度までの福祉保健費の予算現額、決算額及びそれぞれの一般会計に占める割合などについて記載してございます。
二ページをお開き願います。福祉保健局予算・決算額の推移(一般会計)といたしまして、区分ごとに、平成十七年度から十九年度までの福祉保健局の予算現額及び決算額を記載してございます。
三ページをごらん願います。各種手当及び医療費助成等の予算及び決算の推移といたしまして、平成十五年度から十九年度までの予算現額、支出済額及び対象者数を四ページにかけて記載してございます。
五ページをごらん願います。シルバーパス発行状況の推移といたしまして、平成十四年度から十九年度までの費用別発行実績数、七十歳以上人口及び割合を記載してございます。
六ページをお開き願います。平成十九年度における福祉保健区市町村包括補助事業の補助額といたしまして、四つの包括補助事業の平成十九年度の区市町村ごとの補助額について、七ページにかけて記載してございます。
八ページをお開き願います。区市町村地域生活支援事業の実施状況といたしまして、(1)には必須事業等の実施状況を、(2)には必須事業であるコミュニケーション支援事業の中の一事業である手話通訳派遣事業の上限回数及び利用者負担の設定状況を、それぞれ記載してございます。
九ページをごらん願います。平成十九年度における認可保育所及び認証保育所の指導検査の状況といたしまして、認可保育所及び認証保育所別の検査実施数、指摘施設数、指摘率及び指摘事項について記載してございます。
一〇ページをお開き願います。障害者地域生活支援・就労促進三カ年プランの実施状況といたしまして、区分ごとに、計画、実績及び達成率を記載してございます。
一一ページをごらん願います。障害者施設等の状況といたしまして、区市町村ごとの新体系指定数と旧法施設数について記載してございます。
以上、簡単ではございますが、要求のございました資料につきましてご説明申し上げました。よろしくお願いいたします。
○山下委員長 説明は終わりました。
ただいまの資料を含めて、これより本件に対する質疑を行います。
発言を願います。
○村上委員 障害者施設に対する整備助成費についてお伺いしたいと思います。
一般会計決算説明書の一四七ページで施設種別ごとの執行率を見ますと、障害者の通所施設は五三・九%、障害者の施設整備費が四九・一%と、大変低い水準にとどまっており、不用額も大きくなっております。まず、これらの内容と実績についてお伺いしたいと思います。
○松浦障害者施策推進部長 まず、障害者通所施設でございますけれども、就労移行支援、就労継続支援、生活訓練、機能訓練などを行う事業の施設等の整備に対する助成でございまして、二十五カ所予定し、実績は十カ所でございます。
次に、障害者施設整備費でございますけれども、グループホームや重症心身障害児者通所事業の整備費に対する助成でございまして、グループホームについて申し上げますと、四十カ所予定し、実績は二十五カ所でございます。
○村上委員 通所施設というのは就労の継続支援などの施設ということでありますけれども、こうした日中活動の場の整備について、都は事業者負担を軽減する特別助成を行うことを内容とする三カ年プランを定め、本日の要求資料の中にも提出していただいていますけれども、設置促進を図ることとしていたと思います。そのプランで予定していた整備目標に対して整備の実績はどのようになっているのか、決算の執行率が低いこととの関連を含めて、お伺いしたいと思います。
○松浦障害者施策推進部長 三カ年プランでございますけれども、このプランでは、平成十八年から二十年度までの三年間に合計千九百人分の日中活動の場の整備に対して助成を行うものでございます。
これまで都が助成するなどして整備を進めてきた日中活動の場の整備についての平成十九年度末までの実績、トータルで一万一千二百四十九人分となっておりますけれども、平成十八年から二十年までの三カ年の増加分でございます千九百人分について見ますと、十九年度末までの二年間の実績は三百九十人分、達成率二〇・五%でございまして、最終年度でございます二十年度におきまして、なお千五百人分程度の整備が必要な状況にございます。
このような施設の整備でございますけれども、用地や物件の確保に一定の時間がかかることから、整備が計画期間三カ年の終盤に集中する傾向がございまして、このことが計画期間の二年目である十九年度の執行率の低さにつながってきたものと考えております。
○村上委員 整備がずれ込みがちであるというようなお答えが今ありました。三カ年プランの二年が経過したところですけれども、この資料を拝見しますと、達成率が二割程度ということで、最終年度である平成二十年度一カ年で千五百人分を整備する必要があるということになってくるわけですけれども、達成できる見通しはどうなのか、その辺のところについてお伺いしたいと思います。
○松浦障害者施策推進部長 日中活動の場の整備に向けまして、東京都は用地費を貸し付けたり、施設整備費の特別助成を行いまして、事業者の負担を軽減し、整備促進に努めております。また、この三カ年プラン実施後、国により障害者自立支援法の円滑な運営のための特別対策といたしまして、臨時特例交付金事業が開始されまして、基盤整備の補助事業が創設されております。この補助事業を活用した施設整備につきましても、平成十九年度までに、別に約百九十人分が整備されているところでございます。本年度におきましても、三カ年プラン特別助成と国の臨時特例交付金事業を合わせまして、九月までに約六百人程度の整備計画の協議を受けているところでございます。
また、簡単な改修や備品の設置だけで済むなど、比較的条件の整った建物を賃借する場合など、整備費補助を受けることなく整備を行うものもございまして、これらを含めると、計画で予定した規模の整備はおおむね達成可能というふうに考えているところでございます。
○村上委員 今のお話ですと、比較的条件の整ったものや何かで補助がなくても整備ができるところもあるということですけれども、一方で、いわゆる法外の小規模作業所などでは、法律に基づく事業に移行した後の安定的運営ができるかどうかという不安があって、なかなか法に基づく事業への移行が進んでいないともお伺いいたします。法内化する際に定員をふやすということもできるでしょうし、日中活動の場をふやすためにも法内化を促進するべきだと考えます。
いわゆる小規模作業所などの法内化はどの程度進んでいるのか、また、円滑な移行に向けて都としてどのような支援を行っていくのか、お伺いしたいと思います。
○松浦障害者施策推進部長 いわゆる小規模作業所が障害者自立支援法に基づきます新体系事業に移行する、この法内化の状況でございますけれども、平成十九年度末において法内化したものは、まだ七%程度でございます。村上委員ご指摘のとおり、小規模作業所が法内化する際に利用定員がふえれば、日中活動の場の整備も促進されるというふうに考えられます。小規模作業所は、もともと規模が小さく、経営基盤が弱いところが多く、用地の確保や建物の拡充など、法内化に伴う初期投資が必要となる場合がございます。こうした場合、どうしても法内化がおくれがちになるところでございます。
都といたしましては、小規模作業所は法内化することで事業者には国から必要な財政支援が行われ、経営が安定し、利用者支援の一層の充実が図られるというふうに考えております。そこで、専門人材を派遣しまして、NPO法人などの法人格を取得し、法内化することや、運営のノウハウを提供するなどの支援を行っているところでございます。また、用地取得費の貸し付けや施設整備費の特別助成とともに、法内化した施設に対する運営費の一部を補助するなどの財政支援を行っているところでございます。これらとともに、今後法内化して、積極的に利用者支援に取り組んでいる事例をPRするなどしまして、さらに法内化を促進してまいります。
○村上委員 地域生活への移行を進める上で、就労支援などを行う日中活動の場を整備していくことは大変重要なことだと考えます。自立支援法に基づく体系への移行期限は、平成二十三年度末とされており、都はそれまでにサービスの提供基盤を確保できるよう目標を定めていると聞いております。今後も都の諸制度を積極的に活用するよう、事業者への働きかけをさらに精力的に行い、整備を着実に促進していただけるよう要望しておきます。
また一方、グループホームについても少し整備実績が予算を下回ったということで、これも三カ年プランで整備を促進するとしているものです。整備目標に対して実績はどのようになっているのか。これについても、決算の執行率が低いということとの関連を含めてお伺いしたいと思います。
○松浦障害者施策推進部長 グループホーム、ケアホームについてでございますけれども、三カ年プランでは、平成十八年から二十年度までの三年間に合計千五百六十人分の整備に対して助成を行うものでございます。
これまで都が助成するなどして整備を進めてきたグループホーム等の平成十九年度末の実績でございますが、トータルで三千六百二十四人分となっておりますけれども、十八年から二十年度までの三カ年の増加分でございます千五百六十人分について見ますと、十九年度末までの二年間の実績は九百十八人分、達成率五八・八%でございまして、最終年度である二十年度においてなお六百人程度の整備が必要な状況にございます。
グループホームにつきましても、日中活動の場の整備と同様、用地や物件の確保に一定の時間がかかることから、整備が計画期間三カ年の終盤に集中する傾向がございまして、このことが計画期間の二年目である十九年度の執行率の低さにつながっているものというふうに考えております。
○村上委員 今のご説明の中ですと、十九年度末の実績が大変低い、達成率としては五八・八%というお話でしたけれども、施設から地域への生活を進めていく上で、グループホームは地域での受け皿として大変重要であると考えます。着実な計画達成に向け、さらに精力的に取り組んでいただくべきだと思いますけれども、ご見解を伺います。
○松浦障害者施策推進部長 ご指摘のとおり、障害者の方が地域で自立して生活していくためには、生活の基盤となる住まい、特にグループホーム、ケアホームの整備が重要と考えているところでございます。グループホーム、ケアホームの整備に向けまして、東京都は事業者負担を軽減する施設整備費の特別助成を行いまして整備促進に努めております。
本年度におきましても、九月までに約三百人程度の整備計画の協議を受けているところでございまして、目標達成に向けまして、事業者に対しても制度の積極的な活用を働きかけるなど、今後とも整備促進に努めてまいります。
○村上委員 グループホームは地域での生活の場として非常に期待されております。また、今後施設からの地域移行をさらに進めていく上で、ますますその必要性が高まってまいります。私の地元でも、もっともっとたくさん必要だという声を伺います。計画はおおむね達成できる見通しということですけれども、そこでとどまることなく、ぜひ多くの障害者の期待にこたえられるように、さらに精力的に整備促進に取り組んでいただくように要望しておきます。
次に、認証保育所についてお伺いいたします。
待機児童の解消を図ることは喫緊の課題であり、都は認証保育所、認可保育所を初めとする保育サービスの拡充に努めてきたと思います。そこで、まず具体的に認証保育所と認可保育所の設置数や定員の推移はそれぞれどのようになっているのか、お伺いいたします。
○吉岡少子社会対策部長 認証保育所と認可保育所の整備状況でございますが、認証保育所は、平成十三年度の制度創設以来平成二十年十月一日までの七年間で四百二十三カ所、定員にして約一万三千人分を整備いたしました。また、認可保育所は、同じ期間におきまして百三カ所整備され、一千六百九十一カ所となっておりまして、定員にして約一万二千人分の増員となっております。
○村上委員 認証保育所の創設以来七年間の設置状況を見ますと、認証保育所は一カ所当たりの規模は認可保育所よりも小さいものの、定員数としては認可保育所の定員数を上回っているというようなことでした。こうした急速な拡大は、認証保育所のサービスが都民に受け入れられているあかしにほかならないと思いますが、認証保育所のサービスはどのような点で利用者から支持されているのか、お伺いいたします。
○吉岡少子社会対策部長 認証保育所が利用者から支持されている理由についてでございますが、ゼロ歳児保育や十三時間開所、駅周辺への設置など、大都市特有の保育ニーズに的確に対応してきたことが挙げられます。
また、利用者と施設による直接契約や保育に欠ける要件を必要としないことなど、保護者が利用しやすい形態にしたことなども理由と考えられます。
○村上委員 今や都内の保育サービスの充実において認証保育所は極めて重要な役割を果たしていると思いますが、認証保育所の設置を今後さらに促進していくためには、量の拡大とともに、サービスの質の確保が必要であると考えます。ことし三月に、制度創設以来初めての認証取り消しというような事態が発生いたしました。また、まだ事実関係は明らかではないものの、先日も認証保育所を運営する事業者の不正が疑われるような報道がありました。
一つ二つの施設の問題があたかも認証保育所全体の問題のようにとらえられるのは遺憾であると思います。ただし、不正の発見や未然防止のためにはチェック体制が重要であることはいうまでもありません。このチェック体制のかなめとして、都による指導検査が挙げられておりますけれども、ちまたでは、一つの事例をもって書類を調べるだけなどと、都の指導検査の不備を殊さら主張する声もあるようです。また、今回の要求資料の中にもありますけれども、そういったような資料に基づいて伺いたいと思います。
認証保育所と認可保育所について、これまでどのように指導検査を行ってきたのか、また、どのような内容が指摘されてきたのか、お伺いいたします。
○鈴木指導監査部長 認証保育所と認可保育所についての指導検査でございますが、都は、これまでも単に書類を調べるだけではなく、現地を調査し、関係職員からの聞き取りを行うなどいたしまして、職員配置、設備の状況、保育内容などを確認し、効果的な指導検査に取り組んでまいりました。
指摘の内容につきまして、平成十九年度の状況を見ますと、認証保育所で最も指摘件数が多かったのが、毎月の避難及び消火訓練が未実施でありまして、これは認可保育所においても同様でございました。
なお、認証保育所、認可保育所とも、人員の配置状況などに関しまして、改善を要する事項が認められた場合には、改善が図られるまで指導しております。
○村上委員 今のお答えの中で、避難訓練というか、消火訓練なんかが未実施というような報告があったということですけれども、こういったものはやっぱり命にかかわるものですから、しっかりと指導していっていただきたいと思いますし、指導検査自体が適切に行われていたとしても、指導検査を行う時期が施設開設時から相当期間がたった後に行ったのでは余り意味がないと。仮に問題があったとしても、既に問題が解消されて、発見されない可能性もあるというふうに考えます。
前回のじゃんぐる保育園のときも同様の問題があったと思いますけれども、認証保育所の開設からもっと早い段階できちっと指導していく仕組みが必要ではないかと考えます。認証保育所の適正な運営を確保するため、今後、都としてはどのような対応をしていくのか、時期も含めてお伺いいたします。
○吉岡少子社会対策部長 今年度から認証保育所の設置申請手続におきまして、職員の履歴書や保育士登録証などに加え、職員の雇用環境を確認できる書類の提出を求めるなど、審査の厳格化を図っております。また、開設後早期の段階で、新たに現地での確認調査を行い、入所児童数や職員配置など運営状況を把握することといたしました。
今後とも認証保育所に対する指導を適切に実施し、適正な運営の確保に努めてまいります。
○村上委員 保育サービスの実態は設置申請の書類だけで確認できるものではありません。実際に開設した後の現地確認は非常に有効であると考えます。特に先般問題になりました給食については、金額の問題だけではなくて、提供されている給食内容が栄養的にはどうなのか。しっかりとそういったものを満たしているのかどうか。あるいは変化に富み、あるいは季節感があるものが献立となっているのかどうかということについてもしっかりとチェックをしていくことが必要と考えております。
昨今、食の安全の問題についてはクローズアップされているところでもあり、子どもたちの健全な発育のために現在も実施していると思いますけれども、給食が日々適切に提供されていることへの確認を強く求めるものであります。
そこで、子どもの給食の状況については、より一層、指導を徹底すべきと考えますが、ご見解をお伺いいたします。
○吉岡少子社会対策部長 給食の状況につきましては、現在、指導監督基準に基づき献立表の内容の確認などを行っているところでございますけれども、ご指摘を踏まえ、今後とも指導を徹底してまいります。
また、認証保育所の給食につきましては、区市町村等と連携いたしまして、認証保育所から給食に関する相談等があった場合に、栄養士等による助言指導や、実際の認可保育所の献立の情報提供を行うなど、必要な支援を行うこととしております。
○村上委員 さて、認証保育所の設置主体別の内訳は、A型の八割以上が、民間企業が設置した施設となっております。認証保育所の制度については市場原理を保育に持ち込むというような主張が一部で見られますが、それについてはどのように考えるのか、お伺いします。
○吉岡少子社会対策部長 国制度である認可保育所が女性の社会進出や働き方の多様化等に十分に対応できていない状況を踏まえまして、都は、大都市特有の保育ニーズに柔軟に対応する認証保育所制度を創設いたしました。多様な事業主体の参入による供給拡大や直接契約制度の導入により選択と競い合いを通じて、利用者本位の質の高い保育サービスの提供を行うことを目指しております。同時に、行政による財政負担、基準設定、指導監督など、公の関与のもとで保育サービスの質を確保しておりますことから、すべてを市場原理にゆだね解決する市場原理主義とは考え方が違うものというふうに考えております。
○村上委員 現在、保育サービスの提供の新しい仕組みについては、国の社会保障審議会においても検討が重ねられているところであります。単なる市場原理にゆだねるのではなく、公的な枠組みの中で一定の市場のメカニズムを作用させることで質の担保と利用者の選択の拡大、効率性の追求を図ることができるのではないかとの観点から、新たな仕組みづくりについて活発な議論が行われております。
これは認可保育所制度の改革を射程に入れた議論でありますけれども、認証保育所は、まさにこうした国の動きに先んじて、利用者の立場に立ったサービスの提供を行ってきたものであり、その先見性を改めて評価するところでございます。
今後とも都民の幅広い支持を受けている認証保育所を質的にも量的にも充実拡大していくことが必要と考えますが、局長のご決意をお伺いしたいと思います。
○安藤福祉保健局長 ただいま認証保育所についてご質問いただき、答弁申し上げましたように、平成十三年度に創設いたしましたこの制度は都独自の制度としてスタートしたわけでありますけれども、大都市特有のさまざまな保育ニーズに柔軟かつ的確にこたえるものとして設計し、スタートいたしましたが、七年が経過する中で、この制度は都の保育サービスにとって欠くことのできないものとして定着してきているというふうに考えております。
また、国と都の実務者協議の場でございますけれども、その協議事項に取り上げられまして、これまで認可保育所に限定されておりました休日、夜間保育事業などにつきまして、新たにこの認証保育所も対象とする方向性が示されるなど、制度の承認に向けて前進を見ているところでございます。引き続き、国庫補助の導入について国と精力的に協議を進めていきたいと思っております。
今後とも認証保育所や認可保育所、そして認定こども園など、多様な保育サービスを組み合わせ、総体として保育サービスの拡充に取り組みますとともに、市町村と連携しながら、ただいまご指摘がございましたけれども、指導の強化なども通じまして、質の一層の向上を図っていきたいと考えております。
○村上委員 保育サービスの拡充に取り組んでいただけるというお話でしたけれども、ぜひ取り組んでいただきますようにお願いを申し上げて、私の質問を終わります。
○山下委員長 この際、議事の都合によりおおむね十分間休憩いたします。
午後二時五十六分休憩
午後三時十一分開議
○山下委員長 休憩前に引き続き分科会を開きます。
質疑を続行いたします。
発言を願います。
○吉田委員 よろしくお願いいたします。
私からは、まず、一般都民にとっても大変心配する声が大きくなっております医師の確保対策についてお伺いをいたします。
先ほども病院経営本部さんにお聞きしたんですが、東京都においては、都内の医療施設に従事する医師は人口十万人当たり二百七十人弱と、全国で三番目に多くなっていますけれども、小児科や産婦人科の医師数は減少傾向にあります。産科や小児科などの診療科を有する病院では、医師確保が難しいため、分娩取り扱いを制限している、あるいは小児救急医療に対応できないという事態が生じています。また、救急医療部門などにおいても、長時間勤務による過重労働で疲弊し、病院を立ち去る医師も出てきております。
このように、医師不足の問題は深刻さを増しており、医師の確保は喫緊の課題となっておりますが、まず、都として医師不足の要因をどのように認識しているのか、改めてお伺いいたします。
○吉井医療政策部長 医師不足の要因でございますけれども、一つには、平成十六年度の新医師臨床研修制度の導入によりまして、臨床研修医みずからが進路を決められるようになった反面、大学病院では研修医の確保が難しくなりまして、関連病院に派遣していた医師を引き揚げざるを得ない、こうした状況になったことが挙げられると思っております。
さらに、夜間、休日における病院への患者集中などによりまして、病院の勤務医、とりわけ産科、小児科、救急部門等の医師が長時間の勤務に及ぶなど、医師の負担が過重になっていることでございますとか、さらには訴訟リスクの増大、また年々増えてございますが、女性医師、そうした方々の出産、育児による離職、こうしたようなことの、さまざまな要因が絡み合って今日の医師の不足という事態になったものと考えてございます。
○吉田委員 ありがとうございます。
ただいまのご答弁で、医師の不足はさまざまな要因が複合的に絡み合って生じたものであると、こういうご認識をいただきました。小児医療や周産期医療、救急医療などは、都民の安心・安全を確保するための基盤となる医療ともいえますので、そういう医療に携わる医師をいかに確保、養成していくか、これは極めて重要でございます。
そこで、東京都では平成十九年度に地域医療対策協議会を設置し、医師確保についての検討を行ってきていると伺っております。その検討の内容とその後の取り組みについてお伺いいたします。
○吉井医療政策部長 平成十九年六月、都内の医療関係者や学識経験者等から成ります東京都地域医療対策協議会を設置いたしました。産科や小児科など医師確保の現状と課題、病院勤務医の勤務環境の改善などにつきまして検討を行い、二十年二月でございますけれども、協議会として医師の確保に向けた提言が取りまとめられたところでございます。
東京都といたしましては、この提言に基づきまして、小児、周産期、救急、僻地医療、これらに従事する医師を確保していくため、今年度から、これらの部門における交代制勤務や短時間勤務の導入、女性医師の復職支援研修など、病院勤務医の負担軽減と定着を図る取り組みに対する支援を新たに実施いたします。あわせて、第二回定例会におきまして、医師奨学金制度を創設したところでございます。
○吉田委員 国もようやくこの六月に、医師が不足をしていることを認めまして、経済財政改革の基本方針二〇〇八において、医師の養成数を早急に過去最大程度まで増員することなどを打ち出しました。
都は、この国の動向も踏まえて、十九年度についてはよくわかりましたけれども、今後、医師確保対策にどのように取り組んでいくのか、お伺いいたします。
○吉井医療政策部長 医療は都民の安心・安全を確保する上でかなめとなるものでございまして、それを担う医療従事者の確保が重要でございます。中でも、小児、周産期、救急、僻地医療を担う医師の不足は顕著でございまして、その養成、確保は急務でございます。
都は、こうした認識のもと、国に対しまして緊急に医師確保対策を講ずるよう強く要望してまいりました。国は、今お話ございましたように、医師の養成数の抑制方針を転換いたしまして、来年度から医学部の定員をふやすなど、医師不足問題に対してさまざまな取り組みが行われようとしてございます。
さきの第三回定例会でもお答えをいたしましたが、今後、国の動向も十分踏まえながら、医師奨学金制度の拡充や地域医療を支えるための新たな医師確保策なども含めて、実効性ある施策を検討してまいります。
○吉田委員 ありがとうございます。
引き続き、都民が本当に心配しております、この医師不足の医師確保の問題、しっかりと取り組んでいただきたいと思います。
これに関連して、看護師の確保対策につきましてもお伺いをいたします。
医師に限らず、看護職員の確保も現在大きな課題となっております。都においてもさまざまな看護師確保対策を実施しておられると思いますが、中でも重要なのは、即戦力というか、効果があるのは、離職して潜在化している看護師の方に再就業していただく、こういうことだと思います。
都においては、平成十九年度から看護職員地域確保支援事業を実施していますが、その実績についてお伺いをいたします。
○吉井医療政策部長 地域確保支援事業でございますけれども、十九年度の新規事業として開始したところですが、離職した看護師の復職支援研修や再就業支援相談を実施する、こういう意味で、その病院として地域就業支援病院二十四カ所を指定いたしました。研修の受講者は三百七十九名でございまして、この二十年三月末現在で就業者は百四十七名、受講者の約四割が就業したところでございます。
○吉田委員 ありがとうございます。
百四十七名が就業していただけたというのは、これは本当に大きな効果というか、成果があったんではないかなと、このように認識をいたします。
離職をした看護職の方が、自宅から近い病院で復職支援研修や再就業支援相談を受けられることは、大変有効なことだと思うわけであります。このような、今ご答弁いただいたような成果を上げることができた要因は、これは何であったのだろうかと、これについてお伺いをいたします。
○吉井医療政策部長 地域確保支援事業におきましては、病院が離職看護師の復職支援研修を単に行うだけではございませんで、東京都ナースプラザというものがございますけれども、そこに設置をいたしました看護師等就業協力員、これによりますきめ細やかな支援を行っております。その働きが大きかったものと認識しております。その就業協力員は、看護の豊富な経験を生かしまして、研修受講者に対しまして、再就業に向けたきめ細やかな相談、助言を行っております。さらに、受け入れ病院に対しましても、その立場を尊重した上で研修プログラムの作成の的確な支援を実施しております。
こうした取り組みが、看護管理者等病院職員の協力意思の向上と受講生の職場復帰への意欲の喚起につながったものと考えております。
○吉田委員 ありがとうございます。
東京都としては、今のようなお取り組みの成果も踏まえ、確保が困難であります看護師について、さらに総合的で積極的な確保対策を行っていただくべきだと考えますが、ご見解を伺います。
○吉井医療政策部長 都は、都内看護職員の安定的な確保に向けまして、平成十九年から二十三年までの看護職員需給見通しを策定いたしました。
この見通しを踏まえまして、例えば東京都といたしまして、将来を担う優秀な看護師の養成対策、離職防止のための定着対策、先ほど申し上げました地域確保支援事業など、一たん離職した看護師の復職を支援する再就業対策など、総合的な看護師確保対策に着実に取り組んでまいります。
○吉田委員 ありがとうございます。
この看護師さんの確保の問題も、しっかりと引き続き取り組んでいただきたいと思います。
さらに、関連して、助産師さんの活用についてお伺いをいたしたいと思います。
産科の医師不足が深刻化している中、都内におけるお産の場を確保していくために、助産師の活用が重要であると思います。都内の開業助産所においては、助産師が正常分娩を取り扱っており、年間約千七百人の子どもたちが産まれています。都内の出生数は約十万人でありますので、全体に占める割合は、今、一・七%と必ずしも多くはありませんが、自然な形での分娩を希望する妊婦さんもたくさんおられる中、助産所における安全・安心のお産を確保することは重要であります。
一方、お産には常にリスクがつきものでありますが、助産師は医療行為を行えないため、助産所における安全・安心のお産を確保するためには、医療との連携が欠かせません。しかし、開業助産所の助産師さんにお話をお伺いしますと、緊急帝王切開など、医療的処置が必要な場合、妊婦の受け入れ先病院を探すのに苦労することがあるということであります。
そして、平成十九年度東京都一般会計決算書を見ますと、都では約三億六千万円をかけて周産期医療対策を実施していますが、こうした周産期医療体制について検討するのが、周産期医療機関や助産師の代表等で構成されている東京都周産期医療協議会であります。
この協議会におきまして、平成十九年度、どのような検討が行われたのかお伺いします。
○吉井医療政策部長 周産期医療協議会における検討でございますけれども、晩婚、遅く結婚する、それから晩産化や不妊治療の増加等により周産期医療ニーズが増大する一方で、産科、小児科の医師や分娩取扱機関が急速に減少するという厳しい状況の中で、安全・安心のお産の確保に向けた周産期医療機関の連携方策等について検討をしてきたところでございます。
その検討成果を二十年三月、東京都における周産期医療体制についてという報告書に取りまとめるとともに、医療連携を進めるツールとして周産期医療機関連携ガイドラインを作成したところでございます。
○吉田委員 ありがとうございます。
こういう周産期医療協議会の成果を踏まえまして、今後、都として開業助産所と医療機関との連携をどのように進めていくのか、お伺いします。
○吉井医療政策部長 今後、周産期医療機関連携ガイドラインを基本にいたしまして、周産期母子医療センター、病院、診療所、助産所がそれぞれの機能に応じた役割分担と連携を進め、協力して周産期医療を提供する体制を構築していくため、都内各地域で周産期医療ネットワークグループを立ち上げてまいります。
○吉田委員 ぜひ、しっかりとこの周産期医療ネットワークグループ、体制を整備していただいて、本当に安全・安心なお産、東京都内でしっかりと、都民が本当に安心できるように整備を進めていただきたい、そして助産師さんの活用を図っていただきたい、このようにお願いをいたします。
次に、子育ての支援策についてお伺いをいたします。
これまで私、二回にわたって一般質問もさせていただいておりますが、まず、我が国の出生率が他の主要先進国と比べてどのようになっているのか、現在の状況を改めてお伺いいたします。
○吉岡少子社会対策部長 我が国と欧米諸国の合計特殊出生率についてでございますが、二〇〇六年の数値で申し上げますと、日本は一・三二でございまして、他方、アメリカは二・一〇、フランスは二・〇〇、イギリスは一・八四、そしてドイツは一・三二となっております。
○吉田委員 ありがとうございます。
我が国で続いている合計特殊出生率一・三前後という数値は、欧米先進国と比べても極めて低い水準でありまして、そのまま続くと二一〇〇年に人口が三千万人台に落ち込み、人口の半分が高齢者という超々高齢化が進み、社会が維持できなくなるおそれがあるという極めて問題な事態というか、状態であります。中でも東京の出生率は全国最下位、二〇〇七年で一・〇五という最下位の状況が続いておりまして、東京都が抱えている状況、問題が最も深刻なわけであります。
よく、我が国の出生率が低いことについて、社会の成熟だとか価値観が多様化したからだとか、こういうことをおっしゃって、まるで仕方がないこと、避けられないことであるかのようにいう方がいらっしゃいますが、それでは出生率が高いフランスやイギリスや北欧諸国は日本より社会が成熟していないのか、価値観が多様でないのかと、こういうふうに考えますと、非常に笑われてしまう議論なわけであります。
昨年十二月の一般質問でご答弁いただいたとおり、家族関係社会支出の対GDP比を見ますと、フランス、スウェーデンなどヨーロッパの先進諸国は我が国の四倍以上の支出をしておりまして、まさに彼我の差、我が国との差はそこにあることが明白であると私は認識をしております。
我が国においても、希望する方がだれでも不安感なく子どもを産み育てることができるような環境を整備すること、本当に重要であります。
そこで改めまして、十九年度を含め、これまでの都の子育て支援策の主な取り組みについてお伺いします。
○吉岡少子社会対策部長 都は、平成十七年四月に次世代育成支援東京都行動計画を策定し、子育てに関する地域の相談支援体制の充実や、認証保育所、認可保育所などによる保育サービスの拡充など、次世代育成の取り組みを進めてまいりました。
事業の実施状況でございますが、保育サービスの充実につきまして、保育利用者数を、平成二十一年度までに十八万四千人分整備するという目標を設定いたしまして、平成十九年度末現在で約十八万一千人分を整備したところでございます。
次に、地域の子ども家庭相談の拠点となる先駆型子ども家庭支援センターにつきまして、平成十九年度末までに全区市設置という目標を立てまして、これにつきましては、平成十九年度末現在で四十三区市に設置したところでございます。
また、子育てひろば事業につきまして、平成二十一年度までに六百三十一カ所設置という目標を設定いたしまして、これにつきましては、平成十九年度末現在で六百十一カ所設置しているところでございます。
○吉田委員 これまで都がさまざまな取り組みを行ってこられたということは、よくわかりました。特に都独自の認証保育所の創設など、国に先駆けた取り組みも実践をしているということは、私も高く評価をしているところであります。
しかしながら、残念ながら、こうした事業、お取り組みが、即安心して都民が子どもを産み育てる、そういう人の増加、そして結果的に出生率が上昇している、こういう状況になっていないわけであります。そしてまた、都内の待機児童数を見ましても、今年度の調査結果では五千四百七十九人と、昨年度に比べて八百人以上もふえているという結果も出ております。
こうした状況を踏まえまして、さらに抜本的な子育ての支援策というのを都としては打ち出して、目に見えた形で安心して産み育てられる、そして少子化という状況に、対策に効果が出るように取り組んでいくべきではないか、このように思うんでございますが、いかがでしょうか。
○吉岡少子社会対策部長 都は、平成十八年十二月に「十年後の東京」を策定いたしまして、その中で社会全体で子育てを支援するという目標を掲げておりますけれども、これを実現していくためには、大都市東京のニーズに即した、より喫緊の課題について重点的に取り組み、効果的な子育て支援策を実施していくことが必要であると考えております。
こうした認識のもと、短期間で集中的に施策を展開するため、平成十九年十二月に子育て応援都市東京・重点戦略を策定いたしまして、働きながら子育てできる環境の整備や子育て支援サービスの改革、子育てに優しい環境づくりについて、重点的に取り組んでいるところでございます。
また、平成十九年十月に設置をいたしました、行政、企業、NPOなどで構成する子育て応援とうきょう会議における取り組みを通じまして、社会全体で子育てを支援する東京の実現に取り組んでおります。
○吉田委員 いろいろともろもろの施策の充実をしていただくことは、もちろん重要でありまして、ぜひ取り組んでいただきたいわけでありますが、それらの施策に都として取り組んでいただいた結果、子育てしやすい社会になってきて、子どもを産む人が増えて、子どもが少しふえたという成果というか、社会の変化、だれが見てもわかるような評価の物差しというか、個々個別の施策の目標だけじゃなくて、明快な全体像を示す指標というか、こういうものが必要なのじゃないかなと思うわけであります。
例えば、二〇〇五年に行われた国の出生動向基本調査では、我が国の夫婦の持つ理想の子どもの数が二・四〇人と示されております。二・四〇人子どもを持ちたいとご夫婦は思われている、理想的には。私は、この数が達成されたときこそ、子育てしやすい社会というのが我が国において実現したんだということにほかならないんだと思います。
そこでお伺いしますが、現実、都内の子どもを持つ世帯、一世帯当たりの子どもの数はどう推移しているんでしょうか。
○吉岡少子社会対策部長 お尋ねの内容に当てはまる統計調査項目というのは、大変恐縮でございますが、ちょっと存在をいたしませんので、仮に国勢調査をもとに、都内の子どもの数を十八歳未満の親族がいる世帯数で除した数値というのを計算してみました。
これによりますと、一世帯当たりの子どもの数は、平成十二年では一・六六人、平成十七年では一・六五人というふうになっております。
○吉田委員 ありがとうございます。
実際に、十八歳未満の親族、つまりお子さんがいるだろうという世帯で考えても、平成十二年に一・六六人だったのが、五年たっても一・六五人で、逆にちょこっと減ってしまっているというか、横ばいというか、子どもをお持ちの世帯に限って見ても、先ほど理想とご夫婦がいわれる子どもの数二・四〇にはるかに及ばないという現実がありまして、この間、都は、今ご答弁あったとおり、いろいろな子育て支援策を展開していらっしゃるわけですが、なかなかその効果がはっきり見えてこないと。
本当にこの際、都民にわかりやすい具体的な目標を設定して、それに照らして今の施策、さまざまな施策やっていただいていますが、これが効果を上げているのか、まだ不十分でもっとやらなきゃいけないのか、判断をしていくことが必要じゃないかと私は思うわけであります。
政府では、昨年十二月に、内閣官房長官を議長とする子どもと家族を応援する日本重点戦略検討会議、これは各関係の大臣と、あとは財界団体とか、そういうところが委員になっておりますが、この検討会議において重点戦略を取りまとめました。そこでは、国民の希望する結婚や出産、子育てが実現したと仮定して出生率を計算すると一・七五程度となると。
国民が希望する結婚、出産、子育て、これが実現すると、一・七五程度の出生率になるんですよと。そして、今の国全体で一・三という、この乖離を生み出している要因を除去し、国民の希望が実現できる社会経済環境を整備することは、我が国にとって不可欠な政策課題であると、このように重点戦略、これを取りまとめているんですね。
この見解、東京都としては、これは同じ認識だというふうに理解してよろしいんでしょうか、お伺いします。
○吉岡少子社会対策部長 国の子どもと家族を応援する日本重点戦略で示されました、国民の希望が実現できる社会経済環境の整備についての認識でございますけれども、今、委員のご紹介のございました出生率一・七五程度につきましては、国のこの重点戦略で数値目標に掲げられたものではございませんで、こういう試算をしてみるとこういう数字になるということが紹介をされているというものでございます。
一方、都といたしましては、子どもを産み育てることを望む人たちが安心して子育てができ、次代を担う子どもたちが健やかに成長していく環境を整備することは必要であり、行政を初め、社会全体で取り組むべき課題であると考えておりまして、この点については国と同様の認識でございます。
○吉田委員 ありがとうございます。
もちろん、国でも、この一・七五というのは達成しなきゃいけないという目標というわけではなくて、これが国民の希望ですよという試算であります。
ただ、実はこれは、先進諸国、先ほどご紹介のあった、フランスで二・〇とか、アメリカは移民がありますのでちょっと除外しても、イギリス、スウェーデン、ノルウェー、フィンランド、アイスランド、アイルランド、あるいはちょっと状況違いますが、ニュージーランド、オーストラリア、私の記憶では大体こういう国々が、この一・七五程度以上の出生率の実現をしておりまして、日本人の方も、理想というか求めている、子どもを持ちたい方、結婚したい方、そうじゃない方ももちろんいらっしゃって、そういう全部を合わせてみると、ヨーロッパと同じようなご希望の姿なんだなと。片や実現している、日本は実現してないということだと思うんです。
ですから、ぜひ都としてこれをとはいいませんが、都として都民にわかりやすい、子育てしやすい社会であるのかどうかということを図る指標、あるいは目標を設定して、いろいろな施策に取り組んでいただきたいというふうに念願いたします。
例えば夫婦の子ども数が二・四〇になれば指標一〇〇、あるいは出生率が一・七五程度になれば指標一〇〇。その指標で、東京都としては七〇とか八〇を目指すとか、そういうことができないのかなと。その上で、フランスなど子育て先進支援国といわれる国々の施策も、あるいはその国の諸都市の施策も参考にしながら、東京の子育ての施策を多面的に充実をさせていただいて、国に対しても積極的な施策の展開を働きかけていただきたい、このように思うわけであります。
こうしたことも含めて、東京の子育て環境の整備、子育て支援に係る局長の決意をぜひお伺いいたして、質問を終わります。
○安藤福祉保健局長 次の世代を担います子どもたちを健やかに育てて支えていくということは、社会全体の責務だというふうに思っております。
きょうも認証保育所についてご討議をいただきましたけれども、認証保育所、認可保育所を初めとして、大都市特有の保育ニーズにしっかりこたえていくこと、あるいは地域の子ども家庭相談の拠点となるセンターを設けることなど、いろいろやってまいりましたけれども、今、私ども、長期の目標として「十年後の東京」というものを掲げて、社会全体で子育てを支援するという目標を立てているところであります。そのために、先ほど部長からも答弁しましたが、子育て応援都市東京・重点戦略というのを設けてやっております。
さらに、民間の方、学経の方、あるいは企業の経営者の方々なども含めました子育て応援とうきょう会議というのもスタートし、さまざまなご援助をいただいているところでございます。
また、お話がありました国の考え方でありますけれども、国に対しましても、地域における子育て環境の整備、あるいはワークライフバランスの実現のために、ぜひ施策を展開してほしいということと、それに対します財源確保を提案要求しておりますので、ぜひこちらもやっていきたい、東京都としてやるべきことはやりつつ、国に対しても必要なものを要求し、実現を図るように求めていきたいというふうに思っております。
今後とも、諸外国の理念、施策なども紹介がありましたけれども、これらも参考にしながら、働き方の見直しの推進や保育サービスの拡充など、さまざまな子育て支援策をぜひ推進していきたいと、こう思っております。
○大山委員 私は、認証保育所のこと、それから無料低額医療制度のこと、それから地域福祉推進事業のこと、重症心身障害者児の在宅支援のこと、この四点で質疑したいと思っています。
まず、認証保育所ですけれども、認証保育所小田急ムック成城園での虚偽申請と補助金の不正受給疑惑について、私たちは調査を踏まえて、東京都に対して、事実を明らかにし厳正な対応を行うとともに、小田急ライフアソシエが設置、運営する保育施設、この実態調査を行うよう強く求めました。
東京都及び世田谷区に提出された開設申請書類では、正規の保育従事職員は八人、この世田谷区から開示された職員名簿によりますと、有資格者七人、無資格者一人となっています。しかし、その八人のうち六人、有資格者五人、無資格者一人について、架空申請の疑いがあり、この六人は小田急ムック成城園の保育従事職員として働いていた事実がありません。そのうち二人は小田急ライフアソシエ本社勤務の社員でした。そのうちの一人は小田急ムック全園を統括するマネージャーです。また、実在した二人のうち一人はフルタイムの正規職員ではなく、勤務実態はパートでした。
世田谷区から開示された職員名簿と私たちの調査結果によりますと、毎月のように職員の変動がありました。架空申請と見られるのは、十八年十月の開設時が正規職員八人のうち六人、十一月、十二月は六人のうち四人、十九年の一月、二月は六人のうち二人、三月は六人のうち一人です。本社勤務の一人は、十九年三月まで小田急ムック成城園の正規の保育従事職員として職員名簿に記載されていました。
認証保育所の職員配置基準では、小田急ムック成城園では、パート職員の常勤換算を含め九人の保育従事職員が必要ですが、パート職員の数を加えても、開設から半年にわたり認証保育所の職員配置基準違反です。この虚偽申請に基づいて補助金を受け取っていたというわけです。
小田急ライフアソシエでは、保護者に説明する重要事項説明書でも正規職員八人と書いておりまして、入園のご案内では、職員配置の国基準を示した上で、ムックでは、この基準より若干、保育職員の数を多く配置していますと記載しています。これらの保護者への説明も偽りだったということなんです。私たちが福祉保健局に徹底調査と厳正な対応を申し入れたとき、福祉保健局は既に調査をしているとのことでした。いつから調査を始めたのか、また、調査を始めたきっかけは何でしょうか。
○吉岡少子社会対策部長 お尋ねの認証保育所に関しましては、現在、私どもで調査を行っているところでございます。
その調査の端緒でございますが、地元区から情報提供がございまして、調査を開始したものでございます。
○大山委員 地元区から情報提供があったから調査を始めたということなんですね。
確かに、十九年の三月ごろから世田谷区と小田急ライフアソシエの間で何度もやりとりがされていました。これらのことを世田谷区から聞いたので調査を始めたということでよろしいんですね。
○吉岡少子社会対策部長 先ほどご答弁申し上げたとおりでございます。
○大山委員 それは、いつから調査を始めたんでしょうか。
○吉岡少子社会対策部長 具体的に調査を開始した時点について申し上げることはできません。
○大山委員 世田谷区から情報提供して、調査を始めた。いつ知ったのかということは重要なんですね。少なくても定例の検査に入った前なのか後なのか。しかし、十九年の三月ごろからやりとりをしていましたから、定例検査の前だということは想像がつくわけですね。しかも、もちろんいろいろ、現時点で答えられないようなことはあるんでしょうけれども、いつからかというのは非常に重要なことなんです。
ことし三月末に初の認証取り消し処分になった、じゃんぐる保育園について伺いますけれども、じゃんぐる保育園の認証取り消しの理由は何でしょうか。
○吉岡少子社会対策部長 この認証保育所の設置者は、都に対する認証の申請及び特別区に対する補助金の交付申請におきまして、事実と異なる内容を記載し、認証及び補助金の交付決定を受けていたことが、私どもの調査によって判明をいたしました。このことは、東京都認証保育所事業実施要綱十七に規定をいたします取り消し事由に該当するため、認証を取り消したものでございます。
○大山委員 職員四人が虚偽申請で、それに基づいて補助金を受け取っていたということですね。
じゃんぐる保育園での虚偽申請の事実を把握したのはいつでしょうか。また、どういう調査によって虚偽申請が判明したんですか。
○吉岡少子社会対策部長 平成十九年七月に、地元荒川区から東京都へ情報提供ございまして、同年八月と十月に私どもが立入調査を実施いたしました。
立入調査の過程で、開設当初からの人員配置不足との疑義が生じました。
同年十二月、本社を含む三カ所を対象にさらに立入調査を行いまして、関係書類の提出を求めるとともに、関係区市からも情報を入手いたしました。その後、関係者からの事情聴取、さらに設置者自身からの事情聴取を行いまして、このような調査過程を経て、虚偽申請の事実を確認いたしました。
○大山委員 条例では、認証取り消しをする理由というのに四つあるわけですけれども、そのうちの虚偽の請求その他不正の事実が判明したときというのが、じゃんぐる保育園の認証取り消しの理由だったわけですね。小田急ムック成城園でも同様なことが行われていたわけなんです。小田急ライフアソシエは、私たちがこの虚偽申請と補助金の不正受給疑惑を明らかにしたその日の夜です、報道関係者に報告をしています。その内容は、成城園の申請書に記載したのは、当時、本社に所属していた保育士一名と、小田急商事の経営する別の保育園に所属していた保育士五名の氏名を記載して提出した、このように、小田急自身が虚偽申請であることを認めたわけですね。
しかし、本社所属の保育士一名は、成城園の開設により、成城園で専属として勤務することとしたとライフアソシエはいっています。しかし、この本社勤務の社員が小田急ムック成城園に専属として勤務していたという事実はありません。例えば本人に電話がかかってきたときに、いつもいないということではまずいので、今は席を外しているというふうに対応するように、その電話にですよ、張り紙がしてあったとのことなんです。勤務実態がないことは、複数の元職員の証言です。
また、本来はいない、虚偽申請をしていた六名分の要員については、すべて保育士の資格を持つ従業員で運営を行っていたと小田急ライフアソシエはいいました。すべて有資格者で保育していたんだということですね。
しかし、六人は常勤職員でなければいけないにもかかわらず、常勤者は二名のみです。経験といっても五年と二年だけの経験です。普通の保育園なら、まだまだ若くて、これから経験を積んでいこうという状態の人です。もう一人の有資格者はパートです。その他は経験がない保育士で非常勤です。
小田急ライフアソシエは、この期に及んでまだ虚偽を重ねるのかと、元職員の方々は強い怒りを表明しています。
小田急ライフアソシエは大企業のグループ企業であり、認証保育所を多数チェーン展開しています。そういうことから見ても、社会的責任が大きいにもかかわらず、そのことを十分に知りながら、意図的、組織的に不正を働いていたものであり、極めて悪質だといわなければなりません。しかも、神奈川県相模原市の小田急ムック相模大野園は、今現在ですよ、施設長の虚偽申請をしていること、さらにその前の施設長も虚偽申請であることが、私たちの調査で明らかになっています。厳正な調査を行って、じゃんぐる保育園と同様、認証取り消しも含めた厳格な対応が必要だと思いますが、いかがですか。
○吉岡少子社会対策部長 当該の認証保育所につきましては、現在、調査を行っているところでございますので、私どもで事実を究明いたしまして、不適正があれば、これについては厳正に対処してまいります。
○大山委員 調査中だと。不適正な事業者であれば厳正に対処するんだということです。
元職員の方々は、職員の勤務実態を記入するシフト表、これの改ざんをさせられた、こうもいっています。いなかった人が勤務していたように書き直させられた、こういうふうに証言しているわけです。じゃんぐる保育園以上に手の込んだやり方がされているということを踏まえて、徹底した調査をするよう求めておきます。
小田急ムック成城園で実際、どうなっていたのかということです。
これは開設当初の園便りです。最初ですから担任紹介が載っています。ゼロ歳児の担任の一人は、認証保育所と同じフロアで世田谷区の委託事業として実施しているおでかけひろばの職員、これがわざわざ旧姓で担任としてここに載っているんです。もう一人はパートなんです。で、有資格者ですけれども、保育経験はありません。ゼロ歳児は、ここ、九人です。最初から九人もいました。ですから、保育士は三人必要ですけれども、この園便りでさえも二名の担任しか書かれていません。認証の設置基準さえクリアしていないということではないでしょうか。
一歳児組の子どもは九人です。この担任は二人ともパート、有資格ですけれども保育経験のない保育士と、無資格で、しかも保育経験がない人です。
二歳児の担任は、正規の有資格者と基準外の無資格者です。基準外というのは、週に十五時間程度の勤務です。ですから、週五日間勤務するとなれば、一日当たりは三時間です。
さらに三歳児組。これは本社勤務の社員、これが担任として書かれています。
ですから、実態としては、二歳児十八人と三歳児七人の二十五人を合同で有資格者の保育士が一手に責任を持たされていた、こういうことなんです。
こんな状況でありながら、これは入園のしおりですけれども、ムック保育園ってどんな保育園というページがあります。職員配置について、ゼロ歳児三対一、一、二歳児六対一と書いてあります。ゼロ歳児は子ども九人で二人の職員ですから、さっきもいったように三対一にはなりません。二歳児は十八人でパートが二人ですから、ここも六対一にはなりません。
その上、三歳児も合同。しかもご丁寧に、この左の表は国の基準です、ムックはこの基準より若干、保育職員の数を多く配置していますと書いています。保護者に対してこんなうそをついてきた。
こんな状況についてどう思いますか、率直にお願いします。
○吉岡少子社会対策部長 当該認証保育所につきまして、現在、私どもが調査をしている最中でございますので、一刻も早く調査結果--調査を完了させまして、事態を明らかにしていきたいというふうに考えております。
○大山委員 一刻も早くということですけども、しっかりと調査をしてください。今みたいなことがあるわけです。保育士は使い捨て状況だったということも大変な状況です。
十九年七月の状況について、元職員は、スタッフの配置率はやっと落ちついてきた、しかし、保育経験者が非常に少なく、ほかは無資格、資格はあるが経験はなしという非常勤のため、本来の保育園としての機能が果たせずにいる、十九年の七月の時点です。
そんな中、有資格者の非常勤保育士が妊娠をしました。勤務の軽減を希望しましたが、受け入れてもらえず、過剰勤務から、保育中に腹部に痛みを訴えて、その後流産をし、退職をしました。おでかけひろばの職員が認証保育所の担任ということになっていることが世田谷区に発覚して、おでかけひろばに戻ったので、結局、ただ一人の経験のある保育士に、それまでの負担になお一層負担がのしかかりました。その方は自律神経、ホルモンの乱れから、体調を崩して退職をしました。
退職したのは彼女たちだけではありません。十八年十月に開設して、十九年九月までの一年間で、小田急ムック成城園で退職したのは十四人に上ります。理由は会社への不信、心身の不調などです。尋常ではありません。体も心もぼろぼろにされて使い捨てにされている、そういう状況です。
こんなことが許されていいでしょうか。こういうことが事実だったらどう思いますか。
○吉岡少子社会対策部長 現在調査中でございますので、先ほどご答弁申し上げましたとおり、一刻も早く事態を明らかにしたいと考えております。
○大山委員 麻生首相だって、もし事実としたならばということで認識を述べてますよ。今、こういうことが事実として--把握している事実を述べて、それでどう認識しますかということを聞いているわけですから。まあ調査中だということですね。
子どもたちの保育内容も大変なことになっています。保護者もおかしいと思って改善の要望をしています。開設時から一年、一年間ですよ、通っているという二歳児のお母さんは、朝の登園のとき、出迎えてくれる先生がいない日が多いとか、園庭がない分、お天気のいい日にはできるだけ外遊びをさせてほしい旨を何度か先生方にお願いしたが、お天気のいい日も一日じゅうルームから出ない日も多い、体力をもてあましているとか、先生方の入れかわりが激しく、子どもとの信頼関係が十分に結べていないためか、連絡帳を書いていると、ほぼ毎朝、きょうはお休みすると書いてといわれる。ほかの保護者も、曜日によっては素人のような保育士ばかりに見えることがあり、子どもを預ける身としては不安。もっともっとたくさん寄せられています。
保護者の心配、預けることが心配になるわけですね。子どもが一年も通っているのに、二歳の子どもが毎朝、きょうはお休みですと書いて、そういうわけですよ。
その気持ち、心が痛まないでしょうか。人間の基礎をつくる重要な乳幼児期に、こんなことでいいと考えているんですか。また調査中だと答えるんですか。
○吉岡少子社会対策部長 調査中でございます。
○大山委員 いっておきますけど、保護者だけではないんです。
これは、世田谷区の巡回指導を受けたときに、職員が、重要だからということで一緒に巡回指導を受けた人がメモをしていたものです。その中には、アレルギーのある子への配慮が不十分とか、ノートの記入が大ざっぱ、保育に沿った書き方ではない、成長に伴うコメントが足りないなど、非常に初歩的なことが多いんですね。また、業務ではない保育をしてほしい、それから、どの書面からも保育のイメージがわいてこない、子守や預かりではない、保育なんだ、すべてが今後の課題であろうなど、巡回指導者は保育をしてくださいと何度も指摘しています。
つまり、乳幼児の発達を保障する保育になっていないということを再三指摘されているんです。小田急ムック成城園開設以来、東京都は指導検査、いつどのように行ったんですか。
○鈴木指導監査部長 小田急ムック成城園に対します立入調査でございますが、平成十九年十月に定期の立入調査を実施いたしております。
○大山委員 開設から一年過ぎたところで、十九年十月二十九日、定例の指導検査を実施したけれども、文書指摘はなかったわけですね。しかし、先ほど世田谷から情報提供を受けた、そうおっしゃいましたけど、世田谷区とこの小田急ライフアソシエが盛んに是正してくださいとか調査するとかといっていた時期は、十九年の三月以降なんですよね。指導検査は十九年の十月ということですから、世田谷からの情報を提供されていたんじゃないですかね。しかも、先ほどの保護者の意見は十九年の十月ごろです。
当時、その職員の架空申請という問題は改善されていましたけれども、経験ある正規の保育士が少なくて、パート職員も多くは無資格か、資格があっても経験なしという状況は続いていました。しかも、小田急ライフアソシエは、何と指導検査を指摘事項なしでやり過ごすために、指導検査マニュアルをつくっているんですよ。立入調査前に保育日誌や指導計画を見本どおりに何カ月分もまとめて記入させられた、このように複数の元職員は語っています。また、職員不足をごまかすために、指導検査の当日、見覚えのない職員が、監査のヘルプです、そういってやってきた、こういうわけですね。
こんな状態で指摘事項なしというのですから、検査の意味はなさないんじゃないんでしょうか。どう考えてらっしゃいますか。
○鈴木指導監査部長 十九年十月に行いました定期の立入調査では、公表されております指導監査基準に従いまして、各種書類、職員からの聞き取り調査、現場の確認等をいたしまして、調査を完了しております。
○大山委員 ということは、検査の意味はなさない、やり過ごされてしまったということなんじゃないんでしょうか。
先ほどの世田谷区の巡回指導を受けたときのメモには、各書類が余りにも教科書から抜粋したようなものばかり、フォーマットができ過ぎ、監査を意識しているのか、きれい過ぎ、現実ではあり得ないこと、改ざんと考えられても仕方ない、こう疑われているわけです。少なくとも世田谷区の巡回指導では、指導検査向けに取り繕っているというのではないかという疑いを持ってたんじゃないでしょうか。地元の世田谷区とは、こういう点では連携はとらないんですか。
○鈴木指導監査部長 立入調査の実施に当たりましては、区並びに我々入手しております各種情報、それらを踏まえて対応しております。
○大山委員 いろんな情報を踏まえてやる、そういう状況だけれども、見抜けなかったということなんですよね。
これは、「週刊文春」二〇〇七年六月二十一日です。コムスンと同じようなことは、保育所でも行われているという記事なんです。東京で認証保育所を経営している株式会社コティの元社員が、年に一回以上、行政監査が入る認証保育所の慢性的な人手不足により、規定の数のスタッフがいない保育所もあるとして、その保育所の監査当日、本社から二、三人の女性が来てエプロンをつけだすんです、あたかも常駐しているスタッフのように。それで監査を通過させていたんですよと、非常にリアルな証言として、その元社員が、証言が載っているわけですね。
小田急ムックと同じなんじゃないんでしょうか。株式会社コティと、会社名まで載っている記事です。この文春の記事について、事実かどうかは調査しましたか。
○鈴木指導監査部長 お話の件につきましては、承知しておりません。
○大山委員 承知しておりませんといっても、これ、東京では売られている「週刊文春」なんですね。しかも、名前入りですよ。調査するのが当然なんじゃないんでしょうか。とんでもないずさんな対応だと思います。このコティと小田急ムックは、立入調査対策としてはほとんど同じことをやっているということですよね。
株式会社の経営する認証保育所では、次々に認証保育所をつくっていくところも多いわけです。ほかのところも同じようなことが行われているおそれはあるんじゃないかということですね。運営指導や指導検査など、抜本的な見直しが求められると思いますが、どうですか。
○鈴木指導監査部長 これまでも東京都は、指導検査の重点化を進めておりまして、今後とも、問題を有する施設に対しましては、営利、非営利といった運営主体の種別や認可、認証のいかんを問わず、重点的、継続的に指導検査を行ってまいります。
○大山委員 行っていますというけども、すり抜けられてるんですよ。本当にね、きちんとやってもらわなきゃ困るわけです。認証保育所の制度ができるまでは、営利企業がもうけを上げることを目的に保育園を経営することはなかったし、保育園自体、もうかるものではありませんから、考えられないことだったんですね、営利企業が経営するということが。
認可保育園の経営主体は社会福祉法人が主流です。社会福祉法人は、法に基づいて公益性の高い事業を行うことを使命としています。だから、有識者を含めて理事会が構成されなければ認可されませんね。保育に全く無関係な業種で営利を求めて参入するのとは、基本が違うんです。この小田急もそうですけれども、託児所と保育所の違い、区別もつかないんじゃないか、そう疑わざるを得ないような状況があるわけです。
営利企業が経営する認証保育所については、性善説を前提とした指導検査ではかみ合わないんじゃないんでしょうか。
東京都はいつも、さっきもおっしゃってましたけれども、認可であれ認証であれ、営利企業が経営する認証保育所については、非営利の認証や認可以上に厳しい指導検査が求められると思いますけれども、どうですか。
○鈴木指導監査部長 先ほどご説明をいたしましたが、認証保育所の指導検査に当たりましては、営利、非営利といった運営主体ですとか、認可、認証のいかんを問わず、重点的、継続的に行ってまいります。
○大山委員 それで見抜けていれば私たちは何もいいませんよ。しかし、こうやって、小田急ムックだってそうだし、組織的に改ざんをする、それから虚偽申請をする、それからヘルプが来るんですよ。そういうことを組織的にやっているわけですから、それこそきちんともうけを上げようと思っているところには、ちゃんと厳しくやらなきゃだめだと思います。
社会保障審議会でヒアリングを受けましたよね。そのときに、認証の開設時に申告された職員数が実際には確保されていない事例が表面化した、審査の厳格化や検査体制の強化が必要だというふうに社会保障審議会で答えていらっしゃいますよね。私、そのとおりだと思いますよ。じゃんぐる保育園もひどかったですよ。しかし、より組織的に虚偽、それから偽装を行っているわけですから、悪質だといえるわけです。
営利企業の場合の処分は、複数の認証保育所を経営している場合、介護保険と同様の連座制の適用が必要だと思いますけれども、どうですか。
○吉岡少子社会対策部長 認証保育所の取り消しにつきましては、認証保育所事業実施要綱の十七に「知事は、次のいずれかの場合、認証の取消をすることができる」、こういう規定がございます。この規定におきましては、連座制は規定されておりません。
○大山委員 そんなのは知っているんです。だから、連座制が必要じゃないですかといったわけですよ。だって、介護保険の事業者だって、チェーン展開しているところで連座制で、コムスンはああやってなったわけですよね。同じように、認証保育所は、例えば小田急ムックだって東京だけでも六カ所チェーン展開していますよ。それから、ほかのところでは十何カ所とかやっているわけですよね。ですから、その経営主体が不正、虚偽などをした場合、ほんとうに連座制の適用もきちんと検討してほしいと思います。
大企業が、大企業ですから安心ですよとお客さんを呼び込むわけですよ。職員だって、話を聞いてみると、大企業だからそんなひどいことはやらないだろう、悪いことはやらないだろうと安心させて、その信用をいいことに組織ぐるみで不正を働いたということなんですね。しかも、この期に及んでさらにうそをついている。余りにも悪質です。
我が党は、小田急ライフアソシエの本社に行って、虚偽申請と補助金不正受給の疑惑があることが明らかになりましたよって、こういうふうに申し入れしますよって話しに行きました。また、小田急ライフアソシエが相模原市に設置している、やはり認可外の保育施設についての施設長の虚偽申請は、過去の問題ではなくて現在進行形ですねということを伝えると、そのことに対して小田急ライフアソシエは、相模原市は施設長と園長は別で、施設長は現場にいなくていい、そんなことを答えたんです。
相模原市の認定保育園の実施要綱ですけれども、これを見ると、常勤の施設長を置くということになっているわけですね。現場にいなくちゃいけないということですよ。ここでも平気でうそをついている。小田急ライフアソシエの問題はもう済んだことではなくて、虚偽申請とうそがいまだに継続しているんです。徹底的に調査をして、厳正に対処することを改めて求めておきます。
先ほどもご答弁ありましたけども、安藤局長は、第三回定例会での我が党の河野議員の一般質問に対して、都の認証保育所制度は、職員配置、施設設備等に関する基準を設けて指導監督を行っておりまして、市場原理主義の考え方とは違うと答弁しました。さっきも同じような答弁をしました。しかし、職員配置の基準違反や、指導監督の目をかいくぐるため、逃れるため、保育日誌を検査前にマニュアルどおりまとめて記入するなどということが組織的に行われているわけですね。営利企業による認証保育所制度の抜本的な再検討を求めておきます。
先ほど、国の社会保障審議会での議論や保育制度の改悪の話が出ました。保育所の制度を、直接契約や直接補助方式の導入、それから保育の最低基準の緩和、撤廃を行おうとしている国、これはもう重大なことです。日本保育協会も、それから全国保育協議会、それから全国私立保育園連盟、全国保育士会の会長さんを集めてヒアリングが行われましたね。すべての関係者が断固反対を表明しています。何よりも保育の質、それから子どもたちの成長、発達を保障するという観点から、こんなことは賛成できないんだという立場です。こうした保育制度改悪を政府に提言して、最低基準を満たしていない認証保育所制度、これを国の制度として認めるよう求めてきた東京都の責任も極めて重いということを改めて申し上げて、次の質問に移ります。
○安藤福祉保健局長 先ほどから部長の方で答弁はさせていただいていますけれども、現在、調査中でございます。先生の方からるる、たくさん述べられておりますが、私どもは時々、質問を受けて、答えられるのは調査中でしか答えられないというような状況になっていて、一方的にというと失礼かもしれませんけども、先生の調査のお言葉をいただいているわけでございますが、私どもは今回の補助金不正にかかわることを今、やっております。それと通常の保育所運営上の問題というのはこの際、分けて考えて、厳正に処分すべきものは厳正に処分すると先ほどから申し上げておるところであります。
また、相模原の例等を多々挙げられておりますけども、それについて私どもがなかなかコメントできにくいこともございますので、ここでまた繰り返しになりますけども、今回、何が起こったかにつきましては、小田急から話を聞き、また区役所から話を聞き、園に所在する方々からも聞くことになろうかと思いますけども、そういうものを聞いた上で、基準に照らして厳正に処分をしてまいりたいというふうに思います。
また、認証保育所について申し上げれば、現在の保育の量的にも足りない部分で、都として東京の事情を踏まえた保育の供給というのが求められているわけでございまして、その点で、今、進めております認証保育所制度については、都民の方々からは評価をいただいているというふうに思います。
また、個々の保育の内容について、保護者の方々によって、それは思うところがいろいろあろうかと思います。それは、期待感のあらわれであったり不満であったりするかもしれませんけども、認証保育所に対して、保護者の方からもしっかりと評価をいただいている声も事実でございます。それはそれとして受けとめながら、量的にも質的にも充実したものを求めていこうというのが私どもの姿勢でございます。小田急の件で申し上げれば、調査をした上で厳正に対処してまいります。
○大山委員 きちんと、とにかく厳正に調査してください。先ほど、世田谷区から情報を得ていたにもかかわらず、一年後の調査でわからなかったわけでしょう。それ自体が本当にきちんとできるのかということですよ。それから、利益を上げようと思えば、小田急アソシエだけの問題じゃないですよ。じゃんぐる保育園の問題、そうでしょう。それから、墨田区の認証保育所だってそうですよ。利益を上げようと思ったら何をするか。それは、人件費を削る。それでここだって人を使い捨てにしていったわけですよね。もうぼろぼろにして使い捨てるわけですよ。ぼろぼろにして使い捨てた職員、そこで子どもたちがどうして豊かに成長できるでしょうか。
だから、少なくても営利を目的とする、利益を目的とする、そういう企業については、指導検査の仕方もきちんと検討する必要があるんじゃないんですかと私たちはいっているわけですよ。だから、それはそれできちんと厳正な調査を徹底的にしてください。それから、保護者にも元職員にもきちんと聞いてください。それで、厳正な調査をして、きちんと厳しい処分、そして連座制も検討する、それを視野に入れてくださいということです。
○山下委員長 速記をとめてください。
〔速記中止〕
○山下委員長 速記を再開します。よろしくお願いします。
○大山委員 それでは、無料低額診療事業について質問します。
都民アンケートでも、私たち都民アンケートをしましたけれども、一万二千人のうち七割を超える人が、生活が苦しくなった、こう答えています。年金が月に六万五千円、介護保険料、後期高齢者医療保険の天引きをされ、どうやって暮らせというのかとか、フリーターで一人娘の教育費をどう捻出するのか、本当に大変なんだ。そしたら、これは江東区で生活保護の申請を拒否されて、お友達の話によると、病気がちで仕事に行けなくて、経済的に困窮したから生活保護を申請したけども、それは拒否されて孤独死していたということの記事もありました。
さらに、国保料が払えずに資格証明書になっている世帯は、石原知事が就任したときの平成十一年度は十五件でした。それが平成十九年度は二万八千五十八世帯に急増しています。激増しています。資格証になっているということは、高過ぎる国保料を払えないということなんですね。その人たちがどうして医療費十割を負担できるのかということです。まさに医療を受ける権利を奪っているということです。働いても働いても生活保護基準以下の収入しか得られないワーキングプア、今じゃ社会問題になっています。
雇用のルールが破壊され、社会保障が次々に切り下げられる中で、都民のだれもが医療を受ける権利を保障することは、東京都の基本的な責任ですね。無料低額診療事業といって、低所得者に対して病院がそれぞれで基準をつくって、病院でかかった費用を減額や免除する制度があります。東京都内には現在、四十四施設が無料低額診療事業を行っています。生活保護者にも、差額ベッド代やさまざまな病院での費用を減免している病院もあります。ほとんどは、医療ソーシャルワーカーと相談しながら減免を決めていくようですけれども、十九年度の無料低額診療事業の実績はどうなっていますでしょうか。
○永田生活福祉部長 十九年度の無料低額診療施設は、先ほどお話がございましたように四十四施設でございます。取扱患者数は百十五万五千三十八人となっておりまして、総数の無料低額診療患者数が今、申し上げました百十五万余でございますけれども、取扱患者数の総数のおよそ一八・九%でございます。
○大山委員 その内訳はどうなっていますでしょうか。
○永田生活福祉部長 無料低額診療患者数の内訳でございますけれども、生活保護の患者が五十九万三千四百十七名、減免の患者が五十六万一千六百二十一名となってございます。
○大山委員 減免患者の内訳もお願いします。
○永田生活福祉部長 減免患者数の内訳でございますけれども、先ほど五十六万一千六百二十一名が総数でございまして、低額の患者さんが三十五万九千七十名、無料が二十万二千五百五十一名となってございます。
○大山委員 減免患者の中で、公的医療保険に加入している人としていない人の内訳はどうなっていますか。
○永田生活福祉部長 減免患者五十六万一千六百二十一名の内訳でございますけれども、入院患者が二十九万五百二十一名、通院患者が二十七万一千百名、そのほかに公的医療保険の加入者が五十五万四千六百七十九名、公的医療保険未加入者が六千九百四十二名となってございます。
○大山委員 今、公的医療保険加入者が五十五万四千六百七十九人、そして公的医療保険未加入者が六千九百四十二人ということですけれども、国民皆保険といわれる中で、公的医療保険未加入者が六千九百四十二人もいるということ自体、これはこれで東京都は把握しているわけですから、加入できるような手だてをとる必要があると思います。同時に、公的医療保険加入者でも、五十五万人以上が減免を受けているということですね。無料低額診療事業は、憲法二十五条の具体化として生活困難者の医療を受ける権利保障のため重要な役割を果たしていると考えますが、無料低額診療事業の現状に対する評価とその意義について、どのような見解を持っていらっしゃいますか。
○永田生活福祉部長 まず最初の人数のお話でございますけれども、この人数は延べ人日ということで、延べ人数でございます。実数がこういった数になっているというものではございませんので、その辺のところを誤解のないようにお願いをしたいというふうに思います。
評価とその意義についてのお尋ねでございます。当事業は、昭和二十六年の社会福祉法に基づきまして、第二種社会福祉事業というふうに定められてございます。低所得者、要保護者、行路病人、一定の住居を持たない者で野外において生活する者、いわゆるホームレスなどの生計困難者などの医療受診機会の提供の一翼を担っているというふうに考えられます。しかしながら、国が、国民皆保険制度が整い、役目が終わったとしている一つの抑制方針で示しておりますとおり、当事業は、医療保険が未整備で生活保護法の指定医療機関が少なかった時代、先ほど昭和二十六年の法律というふうに申し上げましたけれども、情勢も随分変わってきております。
現在におきましては、既に皆保険制度も整っておりまして、多くの医療機関が指定医療機関となっているというふうに考えてございます。都といたしましても、国と同様に、この事業のあり方については再検討が必要ではなかろうかというふうに考えているところでございます。
○大山委員 一翼を担っているという非常に控え目な表現をされましたけれども、この事業の意義を評価する大事な答弁だと思うんですよ。しかし、皆保険制度のもとで意義が薄れているんだというのは、ちょっと認識は改めていただかないとまずいと思うんです。さっきもいったように、皆保険制度の中で未加入者がいる、それから資格証になっている方が十九年度では二万八千五十八世帯に達している、そういう状況ですよね。しかも貧困が広がっている、格差も広がっているという状況です。だからこそ、この事業というのは必要性というのは一層高まっているんじゃないかと思うわけです。
東京都は、平成十七年ですか、十八年ですか、板橋区の医師会の病院を無料低額診療事業施設として受理していますが、どのような理由で受理したんでしょうか。
○永田生活福祉部長 届け出に当たりましては、事業者と十分な意見交換をいたしまして、当該地域の状況などを考慮いたしまして、要件を満たしていたことから受理をしたところでございます。
○大山委員 政府は、先ほどご答弁されていたように、一九八七年以来、社会情勢の変化に伴い必要性が薄らいでいるとして無料低額診療事業の新規事業開始の抑制方針をとっている中で、東京都が新規の申請を受理した。これは非常に重要だと評価しています。今後も、医療機関から申請があれば認めるという立場でよろしいということですね。
○永田生活福祉部長 国民皆保険制度が整いまして役目は終わったとしております厚生労働省の抑制方針に基づくこれまでの経緯がございまして、都といたしましても、国と同様に事業のあり方の再検討が必要ではなかろうかというふうに考えていることから、この事業の国における議論の行方を十分見きわめながら、慎重にかつ適切に対応してまいります。
○大山委員 政府も、参議院で我が党議員の質問趣意書に対して、二〇〇一年通知の抑制を図るという文言は、届け出の不受理を求めるものではない、こう回答しているんですね。都道府県などが地域の状況などを考慮して、無料低額診療事業を必要と考えたら受理してよいのかという質問に、ご指摘のような場合にはいずれも受理されるべきもの、こう回答しているんです。これは、八七年以来の抑制方針を事実上、転換させるものですね。
無料低額診療事業を行っている病院は四十四カ所ですが、所在する自治体は十七区八市です。港区は例えば二カ所、墨田区は三カ所ありますが、一つもない自治体もありますから、身近にこのような病院が一つもない地域もあるということです。都内どの地域に住んでいても、このような医療機関が身近にあることが必要であり、適切に対処していきたいというのだったら、さらにふやしていく努力を求めておきます。
このような事業があることを、ほとんどの都民は知りません。これは「福祉の手引」です。これにも載っていません。必要な医療を受けるという基本的な権利を保障するためにも、制度を知らせることが重要ではないでしょうか。区市町村の窓口や広報紙などでの広報が必要だと思いますけれども、どうですか。
○永田生活福祉部長 この事業の実施施設につきましては、積極的な事業内容の明示やPRを義務づけられております。これは、各医療機関において減免の内容ですとか、いろんな相談の内容ですとか、そういったものを明示するということになってございます。これも、それぞれの病院においてPRをするということになってございまして、東京都はその取り組みについて必要な指導をしてございます。
なお、この事業は、先ほども申し上げましたように、国における議論の行方を十分見きわめていく必要があることから、現時点では積極的にPRすることは特段、考えてはございません。
○大山委員 八七年以来の抑制方針は事実上、転換させたんです、この質問趣意書への答弁によってね。それはそうですよ。同時に、実施している医療機関は入り口のところに掲示してあります。
しかし、NPO法人の日本医療政策機構、ことしの調査によりますと、過去十二カ月以内に、費用がかかるという理由で、ぐあいが悪いところがあるのに医療機関に行かなかったことがあると回答した人は、低所得・低資産では三九%に達し、高所得・高資産層の一八%に比べるとほぼ二倍の開きがあったという調査を発表しています。薬を処方してもらわなかったという質問への回答も、同様の傾向でした。
これらの結果から、経済力により受診抑制の実態に差があること、特に所得、資産が低くなるほどより受診を控える傾向にあることが明らかになり、経済力により医療へのアクセスに格差が生じている実態が改めて明らかになったと分析しています。また、前年にも同じ内容での質問を行って、ほぼ同様の結果を得ていて、両方の年の結果に有意な差は見られなかった、こう分析しています。
低所得・低資産層の約四割もの方々が、ぐあいが悪いところがあるのに、費用がかかるからという理由で受診しなかったということなんですね。
実施している医療機関の入り口に掲示はしてありますから、そこに行った人はわかります。わかるかもしれませんけれども、受診抑制をせざるを得ない人に対して、こんな医療機関があるということが知らされたら、低所得・低資産の約四割の人が受診抑制することもないんじゃないでしょうか。区役所に行って相談しなければわからないということでは、必要な人を漏らしてしまう。どうして、せめてこの「福祉の手引」にさえ載せてないんでしょうか。
○永田生活福祉部長 先ほど副委員長のお話の中に国が撤回をしたというお話がございましたが、私どもの認識といたしましては、国は、社会情勢等の変化に伴いその必要性が薄らいでいるという無料低額診療事業に関する厚生労働省の認識を示したというふうに伺っておりまして、撤回をしたというふうには、私どもは認識をしてございません。
PRの件でございますけれども、都といたしましても、関係機関に周知をするとともに、都内の福祉事務所や女性相談センターなどと事業実施施設が連携をして、要援護者の支援に努めているところでございます。この事業は、国における議論の行方を十分に見きわめていく必要があることから、現時点では「社会福祉の手引」などで積極的にPRすることについては考慮してございません。
○大山委員 実質的には、都道府県などが地域の状況などを考慮して、無料低額診療事業を必要と考えたら受理してよいのか、こういう場合はいずれも受理されるべきものだって回答しているわけですから、実質的に抑制方針を事実上、転換させるものなんですよ。だから、やはり「福祉の手引」や区市町村や東京都の広報紙にせめて掲載をする、それが必要じゃないでしょうか。
一九六一年に国民皆保険制度が実現して、六八年に国保の七割給付が完全実施され、七三年に国の制度として老人医療費無料化となります。その後、八三年にはもう早くも老人保健法が施行され、高齢者の定額負担が外来一月四百円、入院一日三百円、これが導入されますね。その後は改悪に次ぐ改悪です。医療だけではなくて、年金は給付の削減、定率減税の廃止、それから介護保険導入で保険料の年金からの天引き、今度は後期高齢者医療制度で保険料天引き。八七年に政府は、この無料低額診療事業の必要性が薄れたということでしたけれども、今日、雇用の破壊、今いったみたいな社会保障の改悪で、残念ながらますますこの事業の必要性が増しているんじゃないんでしょうか。
戦後の国際的な取り組みは、医療は無料です。だからこそ、イギリスもフランスもドイツもカナダもキューバも、医療は無料です。「シッコ」の社会はアメリカと日本ぐらいじゃないですか。本当の意味で無料低額診療制度が要らなくなる政治が必要だと、つくづく実感しています。福祉保健局の役割は非常に大きいということを指摘して、次の質問に移ります。
地域福祉推進事業です。
有償家事援助サービス、それから毎日食事サービスと移送サービスのミニキャブ運行システムの三事業を初めとした社会福祉推進事業は、それぞれ住民が地域で先駆的に切り開いてきました。地域福祉推進事業が果たしてきた役割をどう認識していらっしゃいますか。
○永田生活福祉部長 まず、地域福祉の推進につきましては、住民に身近なサービスは住民に身近な基礎的自治体である区市町村が主体的に担っていくべきものというふうに認識をしてございます。この考え方を基本に、区市町村がこの地域福祉推進事業を活用して、有償家事援助サービスでありますとかミニキャブ運行システムなど、地域住民にこたえるサービスがきめ細かく展開されることによりまして、地域福祉の推進に寄与してきたものと考えてございます。
○大山委員 地域福祉の推進に寄与してきたと認識していらっしゃるということですね。地域に住民参加型の団体が生まれて育って、地域の支援が必要な住民の皆さんと心を通わせながら充実してきたのがこの事業ですね。まさにきめ細かな地域福祉の推進に寄与してきたという認識、もうそのとおりだと私も思います。
毎日配食サービスにしても、食事提供だけでなく、見守りだとか孤独死予防にも役立ってきました。自治体の配食サービスがないところでは、配食の弁当が命を支えているといわれています。介護保険の改悪で、軽度の人が家事援助を切られている。そういう人がたくさんいますね。住民参加型の団体が、そこの部分も担っています。また、家事援助が必要だけども、単価が低くてやる事業者がいない、その部分も住民参加型のこのサービスが担っています。というように、介護保険でできてしまう谷間、福祉施策の谷間、これをカバーしているのが住民参加型の事業だといえるわけです。地域の支え合いというんだったら、このような事業の重要性はますます高まっているんじゃないでしょうか。
○永田生活福祉部長 地域福祉推進事業は、区市町村が地域の実情に応じて、創意と工夫により住民参加型団体等の地域の社会資源を活用しながら福祉サービス等の事業を進めるものでございまして、地域における共助を進める上で有効な事業と考えてございます。
○大山委員 今まできめ細かな地域福祉の推進に寄与してきたし、今後も地域における共助を進める上で有効な事業だと、こういうことですね。十九年度決算の執行率は、実はわずか四三・八%にすぎません。一億四千万円もの不用額を出した。これをどう考えているんでしょうか。
○永田生活福祉部長 地域福祉推進事業におきましては、地域福祉振興事業から移行いたしました先ほどの三事業に対する定額補助を実施しておりましたけれども、この経過措置が平成十八年度をもって終了いたしました。平成十九年度の予算編成に当たりましては、平成十八年度の補助実績を踏まえて予算化をいたしましたけれども、十九年度の補助の実施に当たりましては、補助の見直しを行った区市町村がございましたことから、結果として不用額が生じたものでございます。
○大山委員 結局、本則適用になって実施する区市が減ったということですよね。決算書の八六ページを見ても、予算段階の事業規模が三十八区市町村に対して、決算では二十九区市町村に減っています。実施区市町村が減ったことなどによる事業規模の縮小が執行率が低い理由だということですね。地域福祉推進事業の中でも大きな位置を占めている家事援助、食事、それから移送の三事業の実施区市町村数と団体数は、十八年度と十九年度、どう変化しましたか。
○永田生活福祉部長 移行三事業におきます平成十八年度の実施区市町村は二十六区市、団体数は七十一団体でございます。また、平成十九年度の実施区市町村数は十四区市、団体数は三十九団体となってございます。
○大山委員 十八年度と十九年度を比べても二十四区市から十四区市に、七十一団体から三十九団体に減ってしまいました。十五年の資料では、二十区市町村、八十一団体、もっと多く実施されていたんですね。だんだん減って、十九年度にもう半減です。
それでは、これら家事援助、食事、移送の三事業について、この数年間に都はどういう見直しをしてきたんでしょう。そして、決算の十九年度はどういう年だったんですか。
○永田生活福祉部長 地域福祉振興事業から移行いたしました三事業につきましては、既に地域で事業が定着いたしまして、地域福祉振興事業により奨励的に補助する段階を終えたものといたしまして、住民に身近な区市町村が主体となり、それぞれの地域の実情に応じてきめ細かく対応ができますよう、平成八年度から区市町村と協議を始めたところでございます。その結果、これまで地域福祉振興事業により補助をいたしておりました有償家事援助サービス、毎日食事サービス、ミニキャブ運行システムの三事業への助成につきましては、区市町村が地域の実情に応じて主体的に行う取り組みとして支援をし、都は地域福祉推進事業により区市町村を支援することで合意をしたところでございます。
なお、その際に、地域福祉振興事業の移行に際しまして、平成十八年度までの財政措置を講じることにつきましても合意をしているところでございます。
その後、地域福祉振興事業から地域福祉推進事業に移行した三事業につきまして、四年間の経過措置をもちまして平成十八年度末で終了したところでございます。地域福祉振興事業の見直しに関する都と区市町村との協議結果に基づき、振興事業からの移行後につきましても、平成十九年度からは地域福祉推進事業の本則を適用いたしまして、区市町村が団体に対して補助する額の二分の一を都が区市町村に対して助成しているところでございます。
○大山委員 結局、十一年度まで家事援助、食事、移送の三事業は地域福祉振興事業補助として実施されて、実施団体に対して、およそ実績を見ますと五百万から九百万円の補助が東京都十分の十で実施されていましたね。ところが、これを区市町村が実施主体の地域福祉推進事業に移して、激変緩和措置を経て十九年度に本則適用されました。その結果、各団体の補助額はほぼ半減しておりまして、事業として成り立たなくなっちゃったんですね。解散せざるを得ない団体も出てきています。地域で定着してきたというけれども、結局、手を引く区市も相次いでいます。これは、見直しの当初から心配されていたことなんですね。地域における共助を進める上で有効な事業という認識にもかかわらず、補助を段階的に減らして二分の一補助という本則適用したのが十九年度です。
住民参加型で、財政力は非常に弱いんですね。ボランティアで持ち出しは多いし、一日四百円ではバス代にもならない。だから、やりたい気持ちはあっても続かないということで停滞していく状況が生まれて、解散した団体もあります。
世田谷の配食サービスを行っている団体は、二〇〇七年度は赤字で、この間の食材費の値上げやガソリン代の値上げもあって、とうとう四月から、一食七百円だったのを八百円にしました。百円値上げしても利益はゼロの見込みだということなんですね。ガソリン代、公共料金、食材費の値上げの一方、補助金は減らされて、どこをどう削ればよいのかわからない。できるだけ地元の商店街から食材を仕入れようとしているけれども、一割程度、値が上がっている。その一方で、補助金は一時期の半額になった。区から二百五十万来るけれども、水光熱費だけで百八十から二百万円かかる。それぞれの団体が、今やこの団体のように存続の危機状態になっているんです。
都自身が意義も役割も認めている住民参加型の事業を、事業として維持できるようにすることが必要なんじゃないんでしょうか。せっかく育ててきたものを自分で枯らしてしまう、そういうことに等しいんじゃないでしょうか。どういう認識でしょうか。
○永田生活福祉部長 この事業は、区市町村が地域の実情に応じて、創意と工夫によりまして、住民参加型の団体等に対して地域の社会資源を活用しながら福祉サービスの事業を進めるものでございます。そうした意味で、各区市町村の創意ある取り組みを東京都は支援してまいります。
○大山委員 そういいながら、結局、さっき事実が、団体も半減しているということなんですよね。せっかく育ててきたのに、もったいない。それで、地域の結びつきというのは、やっぱりその住民参加型の団体の方がずっとつながりをつくってきたわけですよね。そのつながりというのは、ほんとうに何物にもかえがたいつながりですし、それこそ孤独死だって、それから災害時だって非常に役に立つ大切なものですよね。だから、それをきちんと認めているんだったら、この縮小方針というのはまずいと思います。
現在の制度は、一事業について補助基準額が五百万円までで、そのうち都が二分の一補助となっています。補助事業が八事業で、一区市町村当たり補助基準額は四千万円までですね。一自治体といっても、規模は大小さまざまです。一律に上限を決めるのではなくて、自治体の実情に合わせて実施することが求められていますが、どうですか。
○永田生活福祉部長 この地域福祉推進事業につきましては、補助要綱におきまして、自治体の実情に合わせて弾力的に補助基準額を設定できると定めておりまして、既に柔軟に対応する形で各区市においては事業実施をしているというふうに考えてございます。
○大山委員 具体的には、柔軟に対応といいますけれども、どのように柔軟に対応されるんですか。
○永田生活福祉部長 この事業は、総額で八事業実施する場合に四千万円というような補助基準を設けております。先ほどお話にもございましたとおり、一補助事業当たりの補助基準額は五百万円となってございます。この補助事業数の基準につきましてですが、各事業実施団体が相当の事業規模を有する場合、例えば三つのうちの一つが非常に大きく規模を持っているような場合がそれに相当するかというふうに思いますが、その場合においては、実施団体ごとに一補助事業とするような弾力的な運用がされてございます。
○大山委員 つまり、要綱上は基本は四千万円だけども、ふやすことはできるということですね。要綱上はどこまでもふやすことはできるということですね。
しかし、実態はどうかといったら、ふえるどころか、十四年度と比べても団体は半減です。それは、さっきからいっているように事業として成り立たない補助だからなんですね。もうけを上げるような事業ならともかく、手弁当同然で、しかももうからないところを埋めているわけですから、二分の一補助で事業として成り立たせること自体が困難だということなんです。だから、団体が半減してしまうんじゃないんでしょうか。
しかも、今年度の予算は十九年度の半分に減額されています。つまり、自分たちで団体の事業が成り立たないようにしておいて、決算見合いで減らしていくというやり方であり、とても事業を充実していくという立場からはかけ離れているということを指摘せざるを得ません。柔軟に対応するのは当然のことですけれども、それだけでは今の深刻な事態は打開できません。社会福祉推進事業が大事だという認識があるわけですから、補助額の引き上げ、補助率の引き上げなどを拡充して、住民参加型の団体を育成、支援していく対策を講じることを求めておきます。
この質問の最後にですけれども、配食サービスにしても、訪問してお年寄りが出てくるまでに、五分とか、もっとかかるわけですね。その間に、今、駐車違反となってしまうケースが幾つかの団体からも事業者からも出ています。安否確認の意味もあるわけですから、除外車両とするように警視庁と相談することが必要だと思いますが、どうですか。
○永田生活福祉部長 道路交通法第四条第二項の規定によりまして、駐車規制から除外する措置の対象とする車両は、電気、ガス、水道と緊急復旧工事車両や医師の緊急往診使用中の車両など十二項目に制限列挙されてございます。よって、お話しの配食サービスについて、この除外車両にすることは極めて難しいかというふうに考えてございます。
○大山委員 予算がかかるわけでもないわけですから、みんな困っているわけですね。それぐらい協力してもいいんじゃないかと私は思います。ちょっと検討してください。
最後に、重症心身障害者児の在宅支援の問題です。
重症心身障害児者を抱えるほとんどの家庭では、在宅でぎりぎりまで頑張る、とことん頑張って、頑張り切れなくなって施設入所を考える、こういうケースが多いわけですね。それだけに、在宅生活が安心して継続できるように支援することが不可欠です。その在宅生活を支えるのに必要なものは、ショートステイ、それから訪問看護、そして通所するところですね。必要なときにショートステイが緊急のときにも使える安心感は重要です。
しかし、このショートステイのベッドが足りずに、レスパイトは一週間使えたものが五日間になってしまったとか。五日間だと、送っていく日が一日あって、五日目は朝十時に迎えに来てくださいということになると、中三日しかないので、レスパイトにならない、こう保護者はおっしゃっています。
また、冠婚葬祭、とりわけ葬儀は急なことですから大変です。介護しているお母さんの親御さんが亡くなったときに、何とか一日でもとお願いしたんだけれども無理だったというケースは、一人や二人ではないんですね。去年も、親御さんを亡くした方は、親の葬式にも来られない社会って何なのと兄弟が憤慨していたといっていました。普通の、ごく当たり前の親の葬儀に参加するという社会生活ができない、そういうことなんですね。
また、重症心身障害児を介護している親御さんも病気になるし、けがもします。胆石で、すぐに手術しなければならなかったのに、ショートステイのベッドは二カ月待たざるを得なくて、その間、薬でしのいだんですとか、介護しているお母さんの腰にひびが入ってしまって、入院を勧められたけれども、ショートステイがいっぱいで、結局、この方は夫が一週間仕事を休んで介護したということなんですね。
重症心身障害児者が在宅生活を送るために不可欠なショートステイですが、圧倒的に不足していると考えますが、どのように認識していらっしゃいますか。
○松浦障害者施策推進部長 重症心身障害児者短期入所事業、いわゆるショートステイ事業でございますけれども、この事業は、障害者自立支援法によりまして、平成十八年度から区市町村事業となりましたけれども、東京都におきましては、民間重症心身障害児施設や病院に対しまして、いわゆる確保料を払いまして、短期入所に必要な病床を確保しているところでございます。
都内における重症心身障害者児入所施設の定員でございますけれども、都立、民間合わせて合計十二施設で百人でございます。一日当たりの利用者数で申し上げますと、平成十九年度実績では六十二・三人となっておりまして、定員どおり受けられていないというふうに認識しているところでございます。
○大山委員 不足しているわけですね。もともと不足しているところにもってきて、東大和療育センターが一病棟、閉鎖した時期があって、その影響でショートステイを受けられない時期があったり、府中療育センターや東部療育センターでも受け入れる人数を減らさざるを得ない状況になったということを聞いているんですが、原因について、どう分析しているんでしょうか。
○松浦障害者施策推進部長 東大和療育センターが一病棟、閉鎖したということでございますけれども、本年一月中旬より、臨時的に四病棟を三病棟に再編いたしました。これは、看護師に欠員が生じたために、病棟での看護師の夜勤体制を適正に保ち、施設利用者への看護・療育サービスを適正に維持するために行ったものでございます。
東大和療育センターでは、看護師確保に向けまして、通常の募集案内に加え、雑誌やインターネットによる求人広告等の活用、看護学校への働きかけの強化ということとともに、採用選考も随時行うというような精力的な募集活動を行いまして、一定数の看護師が採用できまして、本年四月には四病棟の体制に戻しております。
また、東部療育センターにつきましては、開設後、引き続き積極的な看護師募集を続けてまいりましたけれども、看護師の応募が少ないことなどから、やはり同じく看護師の欠員が生じておりまして、東大和療育センター同様、短期入所の受け入れを定員どおりできないという状況になっております。
○大山委員 本当に努力はされているけれども、看護師不足というのはもう明確ですね。ショートステイのベッドがあるんだけれども、看護師が不足しているために使えないというのは本当に深刻です。例えば、東大和療育センターは契約ベッドは二十八ですけれども、十九年度は一日当たり十・七人しか使えていません。東部療育センターも、二十四あるベッドですが、一日当たり六・五人となっていました。
看護師不足を解消するためには、看護師がやめないで働き続けられることが重要だと思います。働き続けられるように、思い切った処遇改善が求められています。府中療育センターを初め、都立療育センターの看護師の待遇改善を進めるとともに、民間施設の看護師確保への支援を強化するなどの対策を緊急に進めることが求められますが、どうですか。
○松浦障害者施策推進部長 重心障害児施設におきます看護師不足対策についてでございますけれども、看護師の方に重症心身障害児施設に応募してもらうとともに、働いている看護師さんの定着対策、これを行うことが必要と考えております。これにつきましては、第三定例会で宇田川議員の一般質問に対しまして答弁させていただいておりますけれども、看護師の確保につきましては、施設見学会や就業フェアなど、あらゆる機会をとらえまして、重症心身障害児者を看護する仕事の意義を理解していただくようにPRに努めております。また、先ほど吉田委員の質疑で地域就業支援病院のお話がございましたけれども、離職している看護師の再就職を支援する復職支援研修、これを今年度、平成二十年度から都立の東大和療育センターや東部療育センターにおいても実施し、この実習などを通じて重症心身障害児者の看護の意義ややりがいの理解が深まるように努めていきます。
看護師の定着対策につきましては、看護の負担軽減のために機械浴槽等を整備するなどの業務改善を行うとともに、重症心身障害児者の看護の専門性、こういうものが評価されることが重要でございまして、今、専門性を評価する仕組みとしましては認定看護師制度がございますけれども、残念ながら重症心身障害児者の看護はその対象となっておりません。そこで、重症心身障害児施設で働く看護師さんたちは、心豊かな看護とともに、入所者の障害の重度化に伴って、呼吸管理の専門性の高い医療に対応が求められておりまして、こうした専門性を正しく評価することは、看護水準の向上につながるとともに看護師の定着にも有効と考えておりまして、その仕組みを今後、検討してまいります。
看護師不足の解消のために、こうした施策を継続して実施してまいりたいというふうに考えております。
○大山委員 もちろん、専門性を評価できるようにする、それから熟練していくというのも重要ですから、それもやっていただきたいということだし、それから機械浴槽なんか、軽減するというのもとても重要なことだとは思います。しかし、やめないで働いてもらう、やはり処遇改善というのは大きな問題なんですよね。ですから、処遇改善ということについてもきちんと位置づけてもらいたいということ。それから、やはり看護師さんが一度やめたらなかなか戻れないというのがありますので、それも働きやすい職場、やめないようにすることを、引き続き処遇改善とともにやってもらいたいと思います。
やめないで働き続けてもらう手だてと同時に、看護師の養成です。都立看護学校の定数が、平成十四年度は千三百二十人でしたが、十九年度は五百六十人です。半減以上。看護師不足がこれだけいわれている中で都立看護学校の定数を減らしてきた、それから学校も減らしてきた東京都の責任は重いといわなければなりません。看護師が不足しているということを認識しているんだったら、都立看護学校の定数を復活させて、重症児施設への就職への動機づけともなる重症心身障害児施設での実習なども行うことが求められていますが、どうですか。
○吉井医療政策部長 都立看護専門学校につきましては、看護三年課程に一本化いたしまして、質の高い看護師養成を図るため、看護三年課程七校、入学定員五百六十名に再編整備したところでございます。
なお、この間、民間などを含めた都内の看護学校の入学定員は五千人前後で推移してございます。都といたしましては、看護師確保対策といたしまして、急速に進む少子化の中で、看護職員がやめない、または離職中の看護師の再就業を促進することが重要であると考えております。十九年度から、定着対策として卒後研修の充実を支援する新人看護師研修体制整備事業を、再就業対策といたしまして地域の病院が再就業研修を行う看護職員地域確保支援事業を新たに開始いたしました。以上のことから、都立看護専門学校の養成定員の増を図る考えはございません。
○大山委員 いろいろおっしゃいますけれども、きょうのこの一時からやっている委員会の中でも、公社病院の看護師の不足、ほかのところでの看護師の不足、いろんな会派から出たわけですよね。看護師不足というのは紛れもない事実なんです。実際、五年ごとの看護師需給の見通しをやっているわけですけれども、十四年度のときの計画では十八年度は十一万八千九百人が計画でしたね。実際は、十八年度どうなったかといったら、十万七千八百二十七人です。約一万人少ないですね。毎回、五年計画をつくると目標まで達成するかのようにグラフはなっていますけれども、達成したことはあるんでしょうか。
看護師不足といいながら養成数を減らすというのは、ほんとうにおかしいと思うんですね。養成数との関係がないんだったら、どうして目標が達成できないんでしょうか。都立看護学校で重症心身障害児での実習は必修ではないにしても、実習をすることによって就職の動機づけにもなります。実習に行って志を持つということは十分に考えられることだからです。
もう一つ、訪問看護、これも在宅生活には欠かせないものです。しかし、一回の訪問時間が一時間三十分までとなってしまっています。気管切開があったり胃ろうがあったり腸ろうがあったり、それぞれのケア、体の清拭などをやっていると、一時間三十分では足りない人もいるんですね。その場合、訪問看護ステーションの持ち出しか、保護者の自己負担です。障害がより重かったり複雑だったりすることによって、一時間三十分で不足してしまう。しかし、これは生きていく上で最低限必要なことなんですから、東京都が訪問看護ステーションにその分を補てんするなど、必要なケアが受けられるようにすることが求められていると思いますが、どうですか。
○松浦障害者施策推進部長 在宅重症心身障害児に対する施策でございますけれども、東京都は、東京都独自に在宅重症心身障害児者訪問事業というものを実施しております。この事業は、重症心身障害児者の看護に習熟した看護師が家庭を訪問し、医療的ケアや療育支援を行うとともに、家族に対しては看護の技術等や相談等を行うもので、この事業に対しましては、家族の方々から高い評価をいただいているところでございます。この事業によりまして、退院直後の在宅での医療的ケアのサポートとともに、保健所や区市町村との連携、訪問看護ステーションを初めとした社会資源の結びつけを行っておりまして、十九年度実績でございますが、四百二十人の方に延べ一万二千二百九十五回の訪問を実施しております。
こうした訪問事業を実施し、在宅での医療ケアの環境を整え、社会資源につなげていく、こういうことが東京都の役割と考えておりまして、訪問看護ステーションによる訪問看護につきましては、国の診療報酬上の問題でございまして、東京都は診療報酬の充実につきましては既に国に要望しているところでございまして、また今後とも要望してまいります。
○大山委員 最初の前半でご答弁された東京都の訪問の事業、これは病院から重い障害を持って退院してくるときに、どういうふうにケアしていいかもわからない若いお母さんたちにとっては本当に重要な事業だと思っていますし、区部と多摩にステーションというか拠点が一つずつしかないから、それはもうちょっと、より増やす必要もあるんじゃないかという課題もあると私は思っています。
と同時に、訪問看護ステーションの訪問看護は診療報酬上の課題なんだ、国には要望しているんだということなんですけれども、国に要望するということと同時に、やはり一時間三十分過ぎたら自己負担になっちゃうんですね。しかし、訪問看護ステーションも、十分ぐらい過ぎても三十分分は請求できないということで、訪問看護ステーションの持ち出しになっているケースもかなりあるんですね。看護師さんだって、時間でやっていますから、ずれていくと次のところにおくれてしまうというようなこともありますから、これはきついことなんですね。同時に、自己負担額は自由設定なものですから、例えば三十分三千円のところもあるけれども、こちらのステーションは三十分六千円というところもあるんですね。この自己負担、これは障害があって普通に生活するためには欠かすことができないケアのために支出が多くなっちゃうということなんですよね。だから、これはやはり国に要望すると同時に、東京都が、そんなに対象数が多いわけじゃないわけですから、支援するということが求められていると思っています。ぜひしてください。
重症心身障害児の保護者は、大体ぎりぎりまで頑張って、自分の体も介護に耐えられなくなってきたときに初めて入所を考えるんですね。それでもすぐに入所できるわけではないわけですね。入所を待っている人たちが、ショートステイを三カ月ごとに移動して待たざるを得ない状況も何人もいるわけですよ。それで、私の地域の人も、ぎりぎりまで頑張って腱鞘炎になって、二十七歳まで在宅でいたんだけども、腱鞘炎になり腕も動かないし、リューマチも出てきちゃって、このままだったらあなたが介護なしには生活できなくなりますよといわれて、ショートステイでつなぎ始めてもう四、五年ですよ。だから、やはり自分が介護できなくなったときにあそこに入れるんだ、申請すれば入所できるんだということの展望があるというのは、やはり在宅生活を支える大きな力にもなるんですね。
入所の施設及びショートステイ、それから通所事業の増設を計画的に進めることが必要だと思いますが、どうですか。
○松浦障害者施策推進部長 この重症心身障害児者の施策でございますけれども、ノーマライゼーションの理念のもと、どんなに障害が重くても可能な限り地域で生活できるようにするためには、副委員長おっしゃるとおり、重症心身障害者の家族などの介護の負担を軽減し、継続的な介護を可能とするために、短期入所とともに通所事業の充実ということが重要だというふうに認識しております。通所事業につきましては、従来から実施しています医療型通所施設に加えまして、平成十八年度から、地域の福祉施設を利用しまして比較的軽度の医療的ケアを要する方を受け入れる地域施設活用型通所施設の整備を進めているところでございます。今後とも、民間を含めた通所施設の整備などによりまして、重症心身障害児施策の充実に努めてまいりたいと考えております。
○大山委員 府中療育センターの改築を家族会や職員の意見を尊重しつつ推進するとともに、都立特養を守ることや、それから都立北療育医療センター城北分園に入所病床を整備することも、入所とショートステイを増やすことに貢献できることだと思うんですね。ですから、ほんとうに在宅生活を支援するという点で計画的に進めていっていただきたいと思っています。
また、政府が重症心身障害児者の通所事業の見直しを検討していますが、都の事業として今後も通所事業を存続、拡充することや、超重症児の加算の実施などによって職員配置を増やして送迎バスを増車するなど、引き続き重症心身障害児者が在宅生活を少しでも長く充実して送れるよう、支援の充実を求めて終わりにします。
○山下委員長 この際、議事の都合により、おおむね十分間休憩いたします。
午後五時十九分休憩
午後五時三十一分開議
○山下委員長 休憩前に引き続き、分科会を開きます。
質疑を続行いたします。
発言を願います。
○山口委員 介護保険サービスについて何点か伺いたいと思います。
介護保険制度がスタートして九年がたちました。措置から契約へ、利用者の自己選択、自己決定、さらに事業計画への市民参加など、介護の社会化に向けて大きく前進するものと期待をされてきました。また、理念として、高齢者の自立と尊厳を支える社会の実現を高らかに掲げています。
しかし、二度の改正を重ねるたびに、当初目指したものから後退しているとの声が広がり、制度への信頼を失いかねない状況となっているかと思います。都民から信頼されなければ、制度そのものの存続が危ぶまれてしまいます。
特に介護保険制度創設によって新たに誕生した介護支援専門員であるケアマネジャーは、介護を必要とする人の状況に合わせてサービスが利用できるように相談に乗り、ケアプランを作成し、サービス提供事業者との調整を行うなど、大変重要な役割を担っており、介護保険制度のかなめとして重要視をされてきています。現場のケアマネジャーは公正、中立な立場で常に利用者の自立を支援するという視点を持ち、適切なサービス計画を作成するため、必要な研修に参加するなど、質の向上に努めていると聞いています。都の人材育成としてさまざまな研修事業も実施されていることと思います。
最近、そのケアマネジャーからサービスの利用に対して抑制がかかり、利用者本位のケアプランが作成しづらくなってきたといった声が寄せられるようになり、ケアマネジャーの意欲がそがれている状況が見受けられるようになりました。
都は、十九年度介護給付適正化のため、東京都介護給付適正化プログラムを策定しました。これは国の介護給付適正化計画に沿って全国の都道府県で策定されたものですが、国のケアプラン点検支援マニュアルを使って、保険者である区市町村がケアマネジャーの作成したプランを点検するように求めています。このような適正化と称したケアプランの点検により、ケアマネジャーへの精神的負担が危惧されますが、初めにこの東京都介護給付適正化プログラムの目的と概要について伺います。
○狩野高齢社会対策部長 まず、介護給付適正化の目的についてですが、今後の高齢者人口の増加により、介護給付費の増大が見込まれる中、適正な要介護認定や適切なケアマネジメント、ルールに従った適正なサービス提供の促進などにより、介護給付費や介護保険料の増大を抑制することを通じて、持続可能な介護保険制度の構築に資するものでございます。
都は、保険者である区市町村と一体となって適正化の取り組みの推進を図るため、平成十九年度に東京都介護給付適正化プログラムを策定し、一例を挙げますと、すべての区市町村が住宅改修の必要性を確認するための利用者宅訪問調査を実施することなど、平成二十年度から二十二年度までの事業実施内容及び目標を設定し取り組んでいるところでございます。
○山口委員 それでは、国が策定したケアプラン点検支援マニュアルについて、その概要と都の認識について伺います。
○狩野高齢社会対策部長 厚生労働省は、平成二十年七月に作成いたしましたケアプラン点検支援マニュアルにおきまして、ケアプラン点検の目的として、利用者の自立支援に資する適切なケアプランとなっているか否かを検証、確認することとしております。本マニュアルでは、保険者である区市町村が介護支援専門員のレベルアップを図るため、介護支援専門員を支援しながら、ケアプラン点検の手順、確認のポイントに沿って共同して点検することとしております。
都は、このケアプラン点検支援マニュアルが活用されることにより、適切なケアマネジメントが行われ、ケアプランの質の向上が図られるものと認識しております。
○山口委員 ケアプラン点検支援マニュアルについては、現場のケアマネジャーからは、単にあら探しをするためだけのツールにもなり得るとの不安の声も上がっています。このマニュアルを活用し、ケアプランを点検し、ケアマネジャーを支援していくのは区市町村である保険者ですが、都はこのマニュアルが保険者にとって十分に活用されるよう支援する立場にあると考えますが、所見を伺います。
○狩野高齢社会対策部長 保険者である区市町村は、介護支援専門員とともに、利用者の自立支援に資する質の高いケアマネジメントが行われるよう、本マニュアルを活用していく必要があると考えております。そのため、都は本年八月に区市町村を対象とした東京都介護給付適正化事業等研修会を実施し、本マニュアルの解説や模擬ケアプランを使った事例発表などにより、マニュアルの活用について周知したところでございます。
○山口委員 このケアプラン点検支援マニュアルが真にケアマネジャーの支援とケアプランの質の向上につながるよう、都は区市町村に対し適切な活用を図るとともに、介護支援事業所やケアマネジャーには、ケアの問題点を認識して改善につなげていくものだということを十分に理解が得られるよう、引き続き努力することを求めて次の質問に入ります。
サービスの適正化が強調され、プランが思うように立てられず、やりがいのあった仕事に意欲が持てないなどの声が届くようになったということは先ほども申し上げましたが、その裏には事業者の虚偽申請や不正請求、また、過剰サービスなどが見られ、やむを得ない現状があるかとも思います。
平成十九年度の指導検査報告書によれば、指摘事項にある居宅支援の計画の適切な作成、交付や、同意を得ることが不十分というのが、十八年度の百二十四件から、十九年度四百二十四件とかなりふえているのですが、具体的なこの背景について伺います。
○鈴木指導監査部長 居宅介護支援を初め、在宅サービス事業者に対する実地検査は、利用者からの苦情や外部の目が入ることを避ける事業所、また、前年度の実地検査によります改善が不十分な事業所などにつきましてのさまざまな情報を考慮して実施しております。居宅サービス計画の適切な作成、交付や、同意を得ることが不十分との指摘件数が平成十九年度にふえたことは、このような不適切な実態の事業所を選定した結果であると考えております。
○山口委員 十九年に実施されました介護支援専門員研究協議会、ここが指導検査に関するアンケート調査を行っています。回収率そのものは余り高くはなかったようですが、そのうち約六割のケアマネジャーは受けてよかったと、気づきの点なんかでも大変よかったという回答をしています。しかし、一方で、同居家族があることで適切なサービスではないと指摘され、サービスを切らざるを得なかった、あるいはまた、規制が厳しくなり、生活援助のサービスが利用しにくくなったという事例が挙げられていました。私どもにもケアマネジャーの人たちと接する機会があると、再三このことがいわれるようになっています。これについては、厚生労働省も同居家族があることで一律機械的に判断しないように、再三通知をしています。
そこで、都は実地検査において、同居家族がいる場合の生活援助の扱いについて、どのように認識し、また、対応しているのか伺います。
○鈴木指導監査部長 同居の家族がいる場合の生活援助の取り扱いにつきましては、一律機械的に判断するべきではございません。このため、都の実地検査におきましては、利用者ごとの個別性が問われる給付内容につきましては、同行しております保険者であります区市町村の職員からその状況を確認し、その判断にゆだねているところでございます。
また、事業者に集まってもらい行う集団指導の際にも、同居家族がいてもサービスを提供する場合もあるので、保険者にきちんと相談すること、あるいは保険者が報酬請求を認めているものまで東京都は認めないという指導はしていない、あいまいな判断がつかないことは、必ず保険者に確認するようにと、このように重ねて指導を繰り返しているところでございます。
○山口委員 実地検査を受けた事業者から、検査に入る職員が介護の現場に対する理解が不足しているのではないかとか、あとは都の職員の前では萎縮をしてしまうというような声も上がってきています。彼らに直接接して指導検査を行う検査員一人一人の姿勢も重要だと思うのですが、指導検査に従事する職員に対して、都はどのように指導をしているのか、念のため伺いたいと思います。
○鈴木指導監査部長 職員に対する指導でございますが、介護保険制度は、保険者や都はもとより、サービスを提供する事業者みずからも一定のルールのもとで事業運営することが制度の持続性を確保するために不可欠でございます。このため、実地検査は介護サービス事業者が法令を踏まえ適正な運営を行っているかを確認し、不備な点があれば継続的に指導していくことにより、事業者の健全育成を図り、利用者がよりよいサービスを受けられるようにすることを目的としております。事業者が法令を正しく理解し、適正かつ適切にサービスを提供することができるよう、指導検査本来の目的を引き続き検査員に周知徹底してまいります。
○山口委員 介護保険制度導入を機に一気に市場が開放されて、多くの事業者が参入してきました。この間、制度改正によって事業者への影響というものもさまざまなところで大きな問題が出てきているのかと思いますが、先ほどもお話がありましたように、最終的には福祉サービスに対して行政の行う検査指導、あるいは監査というものは、利用者にとって本当に必要なサービスが適切に実施され、かつ、その質が高められることを目的とするものだと思います。今、ケアマネジャーがどちらかというと利用者よりも行政の方に顔が向いているというような実態も見聞きしますので、ぜひそのようなことも考慮しつつ、検査にも当たっていただきたいというふうに要望しておきます。
次に、介護保険制度がスタートしてクローズアップされました認知症の人のケア体制について、何点か伺いたいと思います。
高齢者介護では、介護が必要となると、その約半数近くが、程度の差こそあれ、認知症の症状が見られるようになってきているというふうにいわれ始めています。周囲の人は認知症の人の心の動きや感情のあらわし方の理解ができず戸惑い、どう接してよいかわからず、負担ばかりが募ってきてしまいます。しかし、だれよりも不安で困って立ち往生しているのは認知症の本人ではないでしょうか。認知症になっても尊厳を失わず、地域で暮らし続けるための社会全体で支えていく仕組みづくりが求められています。
東京都においては、認知症に対する都民の正しい理解の促進と地域のさまざまな社会資源が連携して、認知症の人や家族を支える仕組みづくりの検討促進を目的に開始された認知症高齢者を地域で支える東京会議が終了し、その後、十九年七月、東京都認知症対策推進会議が設置され、議論が進められてきたと聞いておりますが、その検討状況について伺います。
○狩野高齢社会対策部長 平成十八年度に設置いたしました認知症高齢者を地域で支える東京会議では、都民を初め、生活関連事業者も参画し、認知症高齢者やその家族を地域で支える機運醸成を行い、平成十九年七月にはこの成果を踏まえ、具体的な支援体制を構築するため、東京都認知症対策推進会議を設置いたしました。平成十九年度は当会議において、都民に対する普及啓発活動を継続するとともに、地域における生活支援の仕組みづくりと認知症の症状に応じた切れ目のない医療支援体制のあり方について、それぞれ専門部会を設置して集中的な議論を進めてきたところです。
○山口委員 そうした議論をもとに十九年度からスタートしました認知症生活支援モデル事業について、その進捗状況と事業内容について伺います。
○狩野高齢社会対策部長 お話しの認知症生活支援モデル事業は、区市町村を中心に実施している認知症地域資源ネットワークモデル事業と、民間事業者が実施しております認知症支援拠点モデル事業から成り立っております。
認知症地域資源ネットワークモデル事業は、地域のさまざまな社会資源が連携したネットワークの構築を目的に、現在、練馬区と多摩市で実施しており、地域住民、地域包括支援センター、介護事業者などが連携して、認知症の人と家族を支えるさまざまな社会資源を掲載した地域資源マップの作成などに取り組んでおります。
一方、認知症支援拠点モデル事業は、グループホームなどの介護事業所を地域に開かれた支援の拠点として活用することを目的に、五つの事業者で実施しており、例えば通所介護事業所の休業日に、その空きスペースを活用して、専門職とボランティアにより、認知症の人と家族を支援するサロン活動などを行っているところです。
○山口委員 このモデル事業を契機に、地域の人材を活用し、社会全体で認知症を支える仕組みづくりに向けて、地域への支援、また、人材の確保など、積極的に取り組んでいただきたいということを要望させていただきます。
次に、児童虐待について何点か伺いたいと思います。
児童虐待や育児放棄、生まれたばかりの子どもを遺棄してしまうといった問題が後を絶たず、子ども受難の時代といっても過言ではありません。十九年度、国において児童虐待の相談件数が四万件に及び、この十年で七倍に至っているというふうに聞いています。
十月四日のNHK「クローズアップ現代」で、虐待を受けた子どもたちが取り上げられていました。東北地方のある地域の実態を紹介したものではありますが、児童相談所が保護しなければならない児童の受け入れ先を探すのに四苦八苦し、一時保護所に保護されている子どもたちの保護日数が長期化している様子がレポートされていました。一時保護所はやむを得ない理由により親元で過ごせない子どもたちの安全を確保する重要な場ですが、一時保護中はいわゆる外出など、通学もできず、学習指導や生活指導を行っていると聞いています。番組では、こうした児童に対して、ある大学教授が実施したアンケート調査も紹介しておりまして、中にはストレスがたまり、投げやりな気持ちになっているとか、先行き希望が持てないといった子どももいることを紹介していました。
また、虐待を受けた子どもを受け入れている児童養護施設では、職員が一人一人に丁寧に向き合うゆとりもなく、十分に目が行き届かないということでした。きめ細やかな心身のケアをする専門家体制が不足している上に、職員も専門性を身につけていく時間的なゆとりも、精神的なゆとりもないという、そのようなことも報道されていました。その結果、子どもたちの気持ちは安定を欠き、問題行動を起こすなど、社会的養護を必要とする子どもたちの行き場のない現状が映し出されていたので、大変印象に残っています。
そこで、十七年度の決算でも私はこの問題について取り上げた経過がありますが、改めて何点か質問したいと思います。
東京都における十九年度の一時保護所の保護人数と平均保護日数について伺います。
○吉岡少子社会対策部長 平成十九年度の児童の一時保護所の新規入所人員でございますが、一千四百七十五人でございまして、児童一人当たりの平均保護日数は三十九日となっております。
○山口委員 一時保護所の保護日数の長期化は、退所先である児童養護施設などがどこも満杯であることも要因の一つかと思います。一時保護された子どものうち、家族に帰れる子どもは約半数と聞いています。家庭に帰ることのできない子どもの受け入れ先は児童養護施設か養育家庭であり、児童虐待の増加に対応するためにも、これらの定員をふやしていくことが急務となっているかと思います。都は養育家庭やグループホームによる家庭的養護の拡充を掲げ、定員をふやすよう努めてきたということですが、社会的養護を必要とする子どもの生活の場の確保について、どのような考え方で取り組んでいるのかと、その実績について伺いたいと思います。
○吉岡少子社会対策部長 さまざまな事情で親と一緒に暮らすことのできない子どもたちには、家庭的雰囲気の中ではぐくまれ、自立できる環境を提供することが重要でございます。このため、都におきましては、養育家庭やグループホームによる家庭的養護の拡充に努めております。
養育家庭への委託児童数でございますが、平成十九年度は三百八十二人で、前年度に比べ二十八人増加しております。また、児童養護施設の定員は、グループホームの整備等によりまして、平成十九年度三千百四十七人となっておりまして、前年度に比べ九十五人増加しております。
○山口委員 虐待を受けた子どもへの対応としては、何より安定した環境が必要であり、今年度、児童福祉審議会は、虐待を受けた子どもたちへの治療的ケア体制の構築に向けた提言を行っています。その中で、児童虐待の増加に伴い、児童養護施設に入所している子どもに占める虐待を受けた子どもの割合は五〇%以上にも達しているということです。
児童養護施設内における被虐待児のケア体制に取り組んでいるといいますが、その概要と実績について伺います。
○吉岡少子社会対策部長 虐待を受けた子どものケアを行うには、職員が子どもに可能な限り個別にかかわりながら支援していくことが重要でございます。このため、児童養護施設におきましては、少人数の単位で生活グループを組み、職員配置を手厚くして個別的なケアを行う小規模グループケアの実施を進めております。平成十九年度におきまして、児童養護施設の約八〇%に当たる四十二カ所で実施しております。また、平成十九年度から既存の児童養護施設のうち二カ所を専門機能強化型児童養護施設と位置づけまして、精神科医師や心理療法担当職員等を配置し、子どもの専門的ケアの機能強化を図ったところでございます。
○山口委員 先ほど来、お話ししているように、児童虐待が増加している今、こういった子どもたちへの支援が大変重要な位置を占めるかと思います。今後ともこういった取り組みを進めていただくことを要望して、次に、まず、やはり虐待を受けた子どもたちへの取り組みもさることながら、虐待に至らないよう未然防止のために早期に支援する体制が求められると思います。
十七年度の厚生委員会の事務事業質疑において、十七年度から実施された要支援家庭の早期発見、予防事業について私は質疑を行いました。保護者の状況、養育環境に何らかの問題を抱え、それを放置することで養育が困難な状況に陥る可能性がある家庭、その中には保護者が支援を必要であると考えていない家庭も含めて対象とした事業であり、区市町村の関係機関向けのガイドラインやハンドブックなどの内容や活用方法について研修を行い、共通認識に基づく連携などの取り組みが進むよう、事業の成果を生かした技術支援を行いたいという答弁をいただいていますが、改めてこの十九年度の取り組み状況について伺いたいと思います。
○吉岡少子社会対策部長 児童虐待を未然に防止するためには、周産期から乳幼児期を通じて、福祉、保健、医療が連携して、地域全体で支援の必要な家庭の早期発見、早期対応を行う体制を整備することが重要でございます。
そこで、都におきましては、平成十八年三月に要支援家庭の対応に関する母子保健従事者向けと医療機関向けの二種類の手引書を作成いたしました。手引書のさらなる活用と関係機関の連携を促進するための技術支援といたしまして、平成十八年度、十九年度、区市町村の保健師、保育士、医師等を対象とする研修会を実施いたしました。
○山口委員 妊娠、出産、育児と切れ目のない子育てのサポート体制が必要であるということを私たち生活者ネットワークは提案をし続けてきました。
十九年度から取り組みが始まったといわれております子育てスタート支援事業は、世田谷区、多摩市、そして今年度から府中市が加わり行われているということですが、具体的な事業の内容について伺いたいと思います。
○吉岡少子社会対策部長 子育てスタート支援事業は、分娩退院後、家族等から産褥期のケアが受けられないなど、特に支援を要する母親と子ども等に対して、心身ともに不安定になりがちな産褥期の子育て支援を行う区市町村の事業でございます。特に身体的な疲労が大きく、不安感も強い出産後約一カ月間は、母親と子どもをともにショートステイやデイケアなどの支援サービスにつなげ、助産師が集中的に母体のケアや母乳育児の支援、育児指導などを行います。また、宿泊や通所による支援の後は、一人一人の状態に応じた支援を行い、利用者の子育て不安を取り除いていく、こういう事業でございます。
○山口委員 スタートしたばかりということですので、ぜひその実績を重ねて、新たな展開へと進めていただけたらというふうに思います。
先日、ちょうど新聞の書評で紹介されていた柏木惠子さんという方が書かれた書物が目に入りまして、手にしました。「子どもが育つ条件」という本で、心理学の研究者の方が書いているんですが、きょうも大分、各委員の方からも子育て支援について質疑がされていましたけれども、その書物の中でこのようなことがいわれていまして、私は非常に納得がいくものだったものですから、きょうは決算でありますので、要望として、意見としていわせていただきたいと思いますが、専業で養育を担っている母親の方が育児不安が深刻化している。それは既に皆さんも多分ご存じだと思います。もう一つは、自分一人が子どもの養育の責任を負っているという負担感、それも実際にはあるんですけれども、それよりも大きな社会的な心理として、女性も今、若いころから自分の自己実現とか、仕事を持ってどうやって人生を生きるかということを考えられる時代になり、さまざまな中で、結婚をしても仕事を続けてくる方も多いというときに、子育てを契機に家庭に入らざるを得なくなった人たちにとっては、社会から孤立してしまったという感じと、一人の女性としての生きたいという切実な願いが満たされない。昔のように家事や育児だけで女性が満たされていく状況ではないというところでは、そうした女性の心理を行政としても受けとめた施策を展開していかなくてはならないのではないかというようなことが提案されていました。
ちょうど次世代育成支援の行動計画、後期計画を間もなくつくらなくてはいけないかと思いますが、ぜひそういった視点も考えて、視野に入れて、子育て支援については考えていただきたいというふうに要望いたしまして、質問を終わります。
○田代委員 三点、教えていただきたいと思いますが、ハイリスク妊娠、出産が増加しているわけですけれども、また、新生児医療が飛躍的に進歩して、早産など、新生児の救命率が大変向上している、周産期医療のニーズというのは大変ふえているわけですね。しかし、これは不妊治療の進歩なんかもあるわけですけれども、医師不足を背景にして分娩を取りやめる医療機関がふえて、周産期母子医療センターの患者さんの集中によってNICUの稼働率が恒常的に極めて高い状況にあるわけでありまして、NICUが満床であるために妊婦さんの救急の搬送の受け入れができないなんてこともあるわけです。
この新生児医療を担う小児科医や看護師の確保が困難な中で、NICUを運営するということは大変な苦労があるわけですが、こうした厳しい状況のもとにあっても周産期医療に大変熱意を持って取り組んでいる、NICUとしての水準を維持している病院もたくさんあるわけです。このような困難な中で、しっかりとNICUの整備に取り組もうとしている医療機関に対して、都としては積極的な支援を行うべきと考えているんですが、所見を伺います。
○吉井医療政策部長 東京都では、新生児の集中治療を行いますNICU病床を有する周産期母子医療センターの整備を十九年度末までに二十二施設、百九十五床まで進めてまいりました。しかし、先生ご指摘のように、低出生体重児の増加等によりまして、NICU病床の需要は増してきております。このため、本年三月改定の東京都保健医療計画におきまして、引き続き都全域においてNICU病床の整備を進めることとしております。今後とも保健医療計画に基づきまして、NICU病床の整備を支援し、周産期医療体制の充実に取り組んでまいります。
○田代委員 確かに目安、目標を決めるということはとても大切なんです。けれども、やはり救急医療の現場を含めて現実に即していかなくちゃならないということがあるんで、今お答えいただきましたように、数にとらわれることなく取り組んでいただくと大変ありがたいことだと思います。都民の要望に向けて頑張っていく、しかし、先ほど申し上げましたように、大学病院でも、我々はやる気はあっても、ある程度の予算というものはなくちゃいけない。それがほんのちょっと足りないために実現できないということもあるわけですから、しっかりと取り組んでいこうというところは、当然、ある程度の基準というのはあると思うんですね。何でもかんでもいいというわけにいきませんけれども、都が見て信用を置けるような基準であれば、しっかりと援助をしていただきたいと思います。
それから、救急医療に関連するんですけれども、第一回の定例会でも述べさせていただきましたけれども、脳梗塞の特効薬ネットワークをつくっていただきましてありがとうございました。昔、我々が医者になったときには脳梗塞は絶対助からない病気の代表の一つだったんですけれども、逆に今、助からないことの方が珍しいような時代を迎えたわけですけれども、一つ大きな問題は、その後のリハビリテーションをしっかりやっていかないと、社会復帰といっても、ただ命が助かりましただけで終わってしまうんでは、逆に患者さんにとっては大きな負担になりますし、また家族の方も大変つらくなる。
現実に、このリハビリテーションの実施できる、あるいはクリニカルパスをつくっていくことのできるようなところというのは確かに少ないんですね、現実にその専門家がいませんから。それから、OT、PTの方だって充実した数が、東京はほかに比べてたくさんいることはいるんですけれども、それでもまだ圧倒的に足りない。こういうものは行政が支援をしていただかないと先に進んでいきませんから、先ほど申し上げましたように、現実に即した対応をしていただくことを強く要望したいと思います。
最後ですけれども、新型インフルエンザはなかなか世の中でご理解いただけない。三年前から我々、ちょこちょこといろいろなところでいってきたんですけれども、委員会でも発言させていただいたんですが、どうしてもご理解いただけない。
たった一歩進んだのは、我々の仲間の研究チームの一人であります岡田博士が、ことしの一月に「NHKスペシャル」を監修して、みんなで意見を合わせて、当時としてはあれが最良のものだったわけですけれども、二晩にわたって放映させていただいて、非常に反響があって、再放送、再々放送までいって、おおよそ一割、一〇%の方が見ていただいたということになっているんですが、しかし、まだまだ何なのと。
インフルエンザというと、タミフルをたくさん飲めば治るんじゃないのという医療関係者もいるぐらいで、今まで何回もかかっていたし、ワクチンを毎年打っているから全然大丈夫という医療関係者もいるんですね。全く理解されていないんで、あのときに知識のワクチンという話をしましたが、どうすればいいか、どういうものかということを東京都は積極的に広報していただきたい。
あのときも少し申し上げましたけれども、鳥のインフルエンザがなぜ人にうつるかということも一般の方々にはご理解いただけないんですが、詳しい説明は大変ですけれども、二〇〇四年にバンコクのトラ動物園、三百八頭飼っている動物園があって、あそこで死んだ鶏を食べさせたら、二週間でたしか八十頭死んじゃったんですよね。あっという間に二週間でトラが死んじゃう。鳥のウイルスが哺乳類に伝播するということは常識では考えられないんですけれども、ウイルスの変化のスピードというのは、人間の体の中でいろいろなものが変わっていくスピードの約一千万倍のスピードで変わっていくといわれているんで、このように大型の鶏舎、鶏をぎゅうぎゅう詰めているような飼育方法をやっていると、普通だったら十羽、二十羽の中だとなかなか進まないんですけれども、何万羽というところの中を駆けめぐっていると、ある日突然ウイルスが突然変異を起こしてしまう。
これをもうちょっとわかりやすく、都民の方に今までのものとは全く違うんだという、ウイルスの変化するスピードが、ある意味では鶏を大量に飼うということによって、ターボエンジンが一遍にかかったような状態になっているんだということを理解していただかないと、今までのウイルスとは違うということがわからないと思いますし、あのときも申し上げましたように、今までのインフルエンザというのはほとんどがのど、気管支しか行かない。肺に行かないんですね。肺に行くのは肺炎を起こしている人だけ、あるいは肺炎を繰り返している人しかならないんで、あと一部腸管、おなかが若干悪くなる人がいるんですけれども、普通は行かないわけです。
ところが、今度の新型インフルエンザ、H5N1というのは、すべての臓器、脳から血液から心臓から腎臓から筋肉まで、すべての臓器に入っていくかぎを持っているんですね。今までのウイルスというのはかぎを一つ半しか持っていなかった。一つはのど、一つは腸、半分ですね、しか持っていなかったものが、すべての臓器に入っていく。サイトカインストームというとてつもない高熱を起こして、いわゆる自分の抵抗力によって、抵抗力が出過ぎるために、若い方、三十五歳以下の人は今のところ九割亡くなっているわけです。
トータルで六八%の致死率というのはエボラ出血熱と同じですけれども、これが全然違うのは、エボラはその場で絶えていってしまう。外に伝播する力が非常に弱いものですから、アフリカの一部でしかないわけですけれども、新型インフルエンザはテレビでも報告しましたように、非常に簡単に人から人へうつっていく。異様にスピードが速くて、これに対する治療法、対抗する方法はたった一つ、ワクチンしかない。プレパンデミックワクチンしか残念ながら今、科学的に無理なんですね。
我々、調査に行くときはタミフルを一日一錠ないし二錠飲むんですけれども、これは飲んでいれば調査に行く人はいいんです。かかってもおさまることもあります。だけど、かかっちゃったときにはタミフルは一時的でしかないし、リレンザは我々医療機関の者が患者さんを診るときに、ゴホンゴホンされたときに予防するために使うもので、一般の人にリレンザが特効薬になるということは、ワクチンを打っていない限りは全くないわけです。
そういうことを都民の方々に東京都もしっかりわかりやすく、インフルエンザという名前を使っちゃうからちょっと変なことになっちゃうんですけれども、コレラ、ペスト、あるいは天然痘や結核と同じぐらいに怖いものであって、しかも、今、アメリカの政府の考え方では、二〇%の死亡率といっているわけですから、そのまま地球上に当てはめたら十五億人になっちゃうわけですけれども、とんでもないような数の方が犠牲者になることが予測されているわけですから、それについて先ほど申し上げました知識のワクチンというものをもうちょっと都民の方々にしっかりと提供していただきたい。
ただ、これも微妙に難しくて、この三年間、我々も大変苦しんできたんですけれども、例えばドイツなんかではなかなかうまくこの知識のワクチンが広まらない理由は、あそこは道州制ですから、お金のある州とお金がない州、この中で同じように対応することができないために、あそこでは一致できないんですね。EUの中でも同じです。お金のある国とお金のない国が非常にせめぎ合っているんで、WHOの公式見解は一応二%と出していますけれども、二%なんてことを、WHOを信じている科学者は一人もいないんですね。
これは政治的にできないところにやれということが不可能だから、一応表面上二%といっているわけですけれども、日本政府は相変わらず二%ということになっているんで、東京都はぜひとも、そういうところを、これは政治的なスタンスもありますし、なかなかいいづらいことも難しいこともいっぱいあります。もしくは起きなかったときの責任はどうするなんて変な話が、足を引っ張るようなことも出てくるでしょうから、そういうことも踏まえて、東京都としては大変ご苦労なさっていて申しわけないと思いますが、都民の方々に順次わかりやすい、しかも理解しやすい上に、どうすればいいかということを、東京都がこういう対応をしているということがわかるような提案というか、告知をしていただきたいと思うんですが、これについてお答えをいただきたいと思います。
○月川感染症危機管理担当部長 お話しの都民や関係者などに対します正しい知識の普及啓発でございますけれども、東京都は本年十一月十七日に都庁の大会議場においてシンポジウムを開催する予定でございます。このシンポジウムは、感染予防について正確な知識を普及啓発することを目的といたしまして実施するものでございます。具体的な内容といたしましては、WHOの尾身茂西太平洋地域事務局長による基調講演のほか、公衆衛生や臨床の専門家によるシンポジウムも予定しております。
また、あわせまして、シンポジウムの内容について、ホームページ等を通じて広く都民に発信していく予定でございます。
また、都民が日ごろから新型インフルエンザへの備えを意識し、新型インフルエンザが仮に発生した場合にも落ちついて行動できるように、都民に対して情報提供を行うことが、ただいまお話のございましたように大変重要なことだというふうに考えております。そのため、JR等の交通機関の車内広告としてポスターを掲示する、そのほかに、新型インフルエンザに関する基本的な知識や発生時の予防行動などをわかりやすくまとめた保存版リーフレットを作成し、都内全世帯に配布するなど、積極的に普及啓発を展開してまいります。
○田代委員 大変ありがたいと思います。先ほど申し上げたようになかなか難しいところがあって、プレパンデミックワクチン以外全く役に立たないということをいうのは非常に勇気が要ることですし、ものすごく政治的に難しいと思うんですね、それをいっちゃったらおさまりがつかないところもたくさんあるわけですから。ただ、そうはいっても現実に来るわけですから、東京都はそこをうまく乗り切って、小出しという意味じゃないんですけれども、あんまり不安をあおらないようにして、しかし、どうすればいいかという対応を、東京都だけでできるわけじゃありませんから、国に対してもしっかり知事を中心にいっていただきたいなと思います。
特に今、都民全世帯にということで、漏れがないようにしていただきたいんですけれども、特にお子さん方なんかがしっかり読みやすい、あるいはお年寄りの方が読みやすいようなものの工夫も、そんな何から何まで全部できるということはないんですけれども、民間の団体の中で、特に経団連を中心とした上場会社の中で、こういうものが非常に大きな経済クラッシュを起こすということが完全に認知されていますから、そういう人たちの中でも協力をしたいと要望しているところはたくさんあるわけで、それぞれ分担して、何でもかんでも行政がすべてをやらなくちゃいけないというのは時間的にも難しいことがありますから、協力をしていただきたい。
それから、私の勤めている大学もそうですけれども、各医科大学で、せんだっては昭和大学の実習を私、参加してきたんですけれども、いろいろな大学でこういうものに対しての取り組みをしようとしているわけですから、今までのインフルエンザと同じだと思っている専門家の知恵をいただいても全く役に立ちませんから、今度の特殊なインフルエンザのことを知っている専門家からの意見というのをどんどん集めて、ある程度穏やかに発表できるような、ただ、知っている真実はちょっと違うんだぞというところを東京都が持っていただけたら大変ありがたいと思いますので、それに対してしっかり皆さん方に取り組んでいただくことを要望して質疑を終わります。
○泉谷委員 十八年の介護保険制度の改正で、市区町村に地域包括支援センター業務や事業者への立入検査の権限を与えました。しかし、介護制度の基本政策を決定する権限はなく、ただ、請負業務がふえたにすぎません。このようなことが責任だけを保険者に押しつける状況を生じさせております。
その中で、立入検査について一点お伺いしたいと思います。開設一年未満の事業所についてですが、異業種から介護保険に参入するところも多いということで、介護保険制度をよく理解していない場合や、一年未満に廃業を余儀なくされる事業所も数多く見られます。
その後の後追い調査等はどのようにやっているのか、お伺いをいたします。
○鈴木指導監査部長 介護保険法に基づく指導検査ですが、介護サービス事業者が法令を踏まえ適正な運営を行っているかを確認し、不備な点があれば継続的に指導していくことによりまして、事業者の健全育成を図り、利用者がよりよいサービスを受けられるようにすることが目的でございます。このため、介護サービス事業者施設の中でも在宅サービス事業者に対する指導検査は、利用者からの苦情や外部の目が入ることを避ける事業所、また、前年度の実地検査によります改善が不十分な事業所などにつきましてのさまざまな情報を考慮して行っているところでございます。
また、各区市町村によります指導検査は、都が行う指導検査と同じく、事業者の健全育成とよりよいサービスの提供を目的として行っているところでございますが、その対象は区市町村自身が選定して行っているところでございます。
○泉谷委員 次に、介護保険制度のもとでは法人格がなければ事業所を設置することはできません。近年、会社法の改正により、少ない資金というか、一円でも株式会社を設立することができるようになりました。そのような状況のもと、雨後のタケノコのように数多くの事業所が設立されました。しかし、その後の運営調査をしますと、資金の枯渇やさまざまな要因により、一年未満で廃業する事業所も数多く見られます。一事業所の設立許可をすることにかかる都の職員の負担は少なくありません。許可申請をしてから何回もその書類を確認し、また、場合によっては現場に行き、写真を撮り、あるいはアンケートなどをとって設立許可をするわけですけれども、そこで、事業所設立において、派遣法のように一定の資産を供託、あるいは資金の証明書制度を導入できないか、お伺いいたします。
○狩野高齢社会対策部長 介護保険法におきまして介護サービス事業所の指定を受けるためには、お話のとおり、申請者が法人格を有していること、厚生労働省令で定める人員、設備、運営の基準を満たしていること、介護保険法に規定されている欠格事由に該当していないことなどの要件を満たしていなければならないとされております。都道府県知事は申請者からの申請書類の提出を受け、指定要件を満たしている場合に指定を行うこととしております。
お話の供託制度や資金証明制度は、事業が免許制度や許可制度となっている事業において採用されているものでございます。例えば宅地建物取引業法では、宅地建物取引業者は営業保証金を供託しなければならないとされております。また、お話の労働者派遣法におきましては、一般労働者派遣事業の許可に当たりましては、資金の証明制度がとられているところでございます。
なお、介護保険制度につきましては、ご案内のように、民間事業者や非営利組織の多様な供給主体の参入を認めることにより、サービス提供量の拡大を促すということで、事業運営主体の参入の規制緩和を進めてきたところであり、介護保険法におきましては、事業所設立にかかわる資金の供託制度や資金の証明制度はございません。
○泉谷委員 許可を広げてきたということですが、事業者は随分ふえて、反対に過当競争でつぶれるところが多いということでございますので、その辺も今後研究していただければと思っております。
次に、公表制度というものが実施されて数年がたちましたが、料金が高いとか、さまざまな不平不満が事業所から聞かれるわけですが、その中で明らかになったことは、調査員の知識不足の上にさまざまなトラブルが生じていることです。
そこで、介護サービス情報の公表制度における訪問調査について、資格を有する調査員が行うものとできないか、お伺いいたします。
○狩野高齢社会対策部長 介護サービス情報の公表制度におきましては、介護サービス事業所への訪問調査を行う調査員につきましては、都の実施する研修を修了し、東京都の調査員名簿に登載された者が当たっております。また、都では訪問調査を行う二名のうち、少なくとも一名は介護支援専門員、またはそれと同等の専門知識を有する者としているところでございます。
○泉谷委員 最後になりますけれども、最近、東京都は土地が高いということもありまして、特養やグループホームなどの設置基準が非常に厳しいため、介護保険法から除外されている高齢者専用賃貸住宅を数多く建設されております。特に建築業から転業して高齢者専用賃貸住宅という事業に参入するところも多いわけですけれども、しかし、実態は要介護者を囲い込む住宅であることは揺るぎのない事実であります。
そこで、都は高専賃の実態調査、実情の把握、指導をどのようにしているのか、お伺いいたします。
○狩野高齢社会対策部長 お話の高齢者専用賃貸住宅は、高齢者の居住の安定確保に関する法律に基づきまして、専ら高齢者に賃貸し、高齢者の入居を拒まない賃貸住宅として登録、公開されているものでございます。都内の高齢者専用賃貸住宅の登録は、都市整備局で所管をしております財団法人東京都防災建築まちづくりセンターで行っております。
福祉保健局では、この高齢者専用賃貸住宅のうち、住宅の設備、前払い家賃の有無や保全状況、食事等サービスの内容が厚生労働大臣が定める基準を満たすものについては、適合高齢者専用賃貸住宅として届け出を受理しております。適合高齢者専用賃貸住宅の届け出があった場合には、厚生労働大臣が定める基準を満たしているか確認を行った上で届け出を受理しております。
なお、高齢者専用賃貸住宅において、介護保険法に基づく介護サービスを提供している事業者に対しましては、適切な指導を行っております。
○泉谷委員 今、るるお話がありましたけれども、この高齢者専用賃貸住宅というのは、先ほどもいいましたように、要介護者の囲い込み住宅であるということは紛れもない事実でありまして、特養やグループホームなどはどうしても設置基準が非常に厳しいということで、なかなか建築できないということで、先日も北海道等で事件がありましたけれども、新しい分野のものとして、住宅という面では今、部長がおっしゃられたようなことかもしれませんけれども、今後、その調査、把握はきちんとしていただくよう要望して、終わりたいと思います。
○山下委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○山下委員長 異議なしと認め、本件に対する質疑は終了いたしました。
以上で福祉保健局関係を終わります。
これをもちまして本日の分科会を閉会いたします。
午後六時二十四分散会
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