各会計決算特別委員会第三分科会速記録第三号

平成二十年十月二十日(月曜日)
第九委員会室
   午後一時開議
 出席委員 十名
委員長東野 秀平君
副委員長山口  拓君
副委員長林田  武君
米沢 正和君
河野百合恵君
橘  正剛君
今村 るか君
崎山 知尚君
串田 克巳君
酒井 大史君

 欠席委員 なし

 出席説明員
中央卸売市場市場長比留間英人君
管理部長後藤  明君
事業部長大橋 健治君
新市場建設調整担当部長宮良  眞君
参事大朏 秀次君
参事横山  宏君
参事野口 一紀君
参事株木 孝男君
参事黒川  亨君
港湾局局長斉藤 一美君
技監飯尾  豊君
総務部長多羅尾光睦君
監理団体改革担当部長吉田 長生君
港湾経営部長江津 定年君
港湾経営改革担当部長小宮 三夫君
臨海開発部長藤原 正久君
開発調整担当部長余湖由紀夫君
参事長谷川 研君
港湾整備部長前田  宏君
計画調整担当部長成瀬 英治君
離島港湾部長石山 明久君
島しょ・小笠原空港整備担当部長北村 俊文君
産業労働局局長佐藤  広君
次長前田 信弘君
総務部長塚田 祐次君
産業企画担当部長櫻井 和博君
商工部長三枝 健二君
金融部長保坂 政彦君
金融監理室長中村  靖君
金融支援担当部長櫻井  務君
観光部長小島  昭君
農林水産部長産形  稔君
雇用就業部長小田 昭治君
事業推進担当部長日請 哲男君

本日の会議に付した事件
 平成十九年度東京都各会計歳入歳出決算の認定について
中央卸売市場関係
・平成十九年度東京都と場会計決算(質疑)
港湾局関係
・平成十九年度東京都一般会計決算(質疑)
産業労働局関係
・平成十九年度東京都一般会計決算(質疑)
・平成十九年度東京都中小企業設備導入等資金会計決算(質疑)
・平成十九年度東京都農業改良資金助成会計決算(質疑)
・平成十九年度東京都林業・木材産業改善資金助成会計決算(質疑)
・平成十九年度東京都沿岸漁業改善資金助成会計決算(質疑)

○東野委員長 ただいまから平成十九年度各会計決算特別委員会第三分科会を開会いたします。
 本日から四日間にわたり、本分科会所管局の決算に対する局別質疑を行ってまいります。
 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、中央卸売市場、港湾局及び産業労働局関係の決算に対する質疑を行います。よろしくお願いいたします。
 これより中央卸売市場関係に入ります。
 決算の審査を行います。
 平成十九年度東京都と場会計決算を議題といたします。
 本件につきましては、既に説明を聴取しておりますので、直ちに質疑を行います。
 発言を願います。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕

○東野委員長 発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○東野委員長 異議なしと認め、本件に対する質疑は終了いたしました。
 以上で中央卸売市場関係を終わります。

○東野委員長 これより港湾局関係に入ります。
 決算の審査を行います。
 平成十九年度東京都一般会計決算中、港湾局所管分を議題といたします。
 本件につきましては、既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○多羅尾総務部長 十月八日開催の当分科会でご要求のございました資料をご説明申し上げます。
 お手元の平成十九年度各会計決算特別委員会第三分科会要求資料をごらん願います。
 ご要求のございました資料は、表紙をおめくりいただきまして、目次に記載のとおり六項目でございます。
 それでは、一ページをお開き願います。1、世界主要港と国内主要港のコンテナ貨物取扱量(平成十九年)でございます。
 平成十九年における世界主要港と国内主要港のコンテナ貨物取扱量でございますが、コンテナ貨物の取扱個数を万単位でお示ししてございます。詳細はごらん願います。
 二ページをお開き願います。2、東京港における主要取扱貨物の推移でございます。
 (1)の外貿貨物でございますが、輸出と輸入に分け、それぞれ平成十年から十九年までの各年における主要な品種の取扱量を千トン単位でお示ししてございます。
 三ページをお開き願います。(2)の内貿貨物でございますが、移出と移入に分け、同様に主要な品種の取扱量を千トン単位でお示ししてございます。詳細はごらん願います。
 四ページをお開き願います。3、貸付金の推移(東京港埠頭公社(現東京港埠頭株式会社)コンテナふ頭事業)でございます。
 平成十七年度から十九年度までの三年間における、財団法人東京港埠頭公社(現東京港埠頭株式会社平成二十年四月一日事業継承)に対する貸付金を、東京都と国に分け、百万円単位でお示ししたものでございます。詳細はごらん願います。
 五ページをお開き願います。4、東京港臨海道路Ⅱ期事業計画、事業費及び進捗状況でございます。
 上の囲みに事業費をお示ししております。
 下段の表に、平成十四年度から十八年度までと十九年度につきまして、百万円単位の都負担金の予算額、決算額と進捗率をお示ししてございます。詳細はごらん願います。
 六ページをお開き願います。5、島しょ等港湾整備費における翌年度繰越額及び不用額の推移でございます。
 平成十年度から十九年度までの十年間の予算現額、支出済額、翌年度繰越額及び不用額につきまして、百万円単位で記載してございます。詳細はごらん願います。
 七ページをごらん願います。6、三宅島に対する主な復興支援(港湾局関係)一覧でございます。
 三宅島雄山噴火災害に関連し、港湾局が平成十二年度から十九年度までに実施いたしました主な整備工事等をお示ししてございます。詳細はごらん願います。
 以上をもちまして、簡単ではございますが、ご要求のございました資料の説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○東野委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めて、これより本件に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○酒井委員 それでは、私からは、平成十九年度の東京港の環境対策についてお伺いをいたします。
 本件につきましては、四年前の予算審議の折、東京港の自然再生について、当時、多摩川にアユが百万匹遡上したことを取り上げ、質問をいたしました。
 アユは、多摩川で産卵し、秋にふ化し川を下り、冬、川に比べて暖かい海で育ち、水ぬるむ春、川を遡上します。
 アユの稚魚が過ごす海は、東京港のお台場、葛西、羽田沖の浅場であるということで、東京港の自然環境が再生してきており、その要因として、下水道整備などが進み、海、川の水質が向上したこと、多摩川、秋川では下流から上流まで魚道が整備されたこと、稚魚が育つ東京港の生息環境が向上してきていることなどの質疑を行いました。
 そして、平成十九年には、多摩川を遡上するアユの稚魚は二百十四万匹へと倍増したということです。
 多摩川へのアユの遡上は、環境保全のバロメーターの一つにもなり、この四年間での倍増は大変喜ばしいことでありますが、その一方で、近年、地球規模での温暖化の影響か、魚の生息地域が変わってきており、つい最近のテレビ番組の中では、東京湾内でクロマグロが釣れたとの報道もありました。
 また、このような生態系の変化とも見られる事象もある中、最近では、東京湾内でも死の海域があるとか、十月十二日に放映されたテレビ朝日の番組「素敵な宇宙船地球号」の中でも、貧酸素水塊なるものが取り上げられ、環境省の調査でも、縮小傾向だった東京湾の貧酸素水塊が近年拡大の兆しを見せているとの情報もあるやに聞いております。
 こうした事態に対しては、一歩一歩でも着実に改善する取り組みが重要になってくるのではないかと考えます。
 そこで、東京港においては、水質改善の取り組みとして、平成十九年度、お台場においてカキを養殖する新しい実験を行っているようですが、具体的な内容をお示しいただきたいと思います。

○前田港湾整備部長 お台場の水質浄化実験についてでございますが、海の中では、川などから流れ込んだ栄養素がプランクトン類に取り込まれ、そのプランクトン類を貝類や小魚等が食べ、その小魚等をさらに大きな魚が食べるという、いわゆる食物連鎖が生じております。この食物連鎖を通じて海水が浄化されていくという作用がございます。
 東京の海は、夏場に植物プランクトンの異常増殖により、連鎖のバランスが崩れ、水質が悪化している状況がございます。カキは植物プランクトンを食べて海水をろ過する能力が高いため、実験施設では約四万個のカキを育成しております。
 さらに、光合成により酸素を発生させるアマモなどの海草、カキのふんなどを処理するナマコなどを置き、連鎖のバランスをとることによって水質の浄化を図ろうとするものでございます。
 また、実験施設の公開や親子勉強会等を開催し、環境教育や啓発の場としても活用しております。

○酒井委員 水生生物が持つ食物連鎖を通した自然浄化によって魚類等の生息環境を整えようとする試みは、極めて今日的で評価できるものであると思います。
 それでは、平成十九年度の実験では実際にどのようなことが成果として得られたのか、お伺いをいたします。

○前田港湾整備部長 海の汚れぐあいを示す尺度にCOD、化学的酸素要求量というものがございます。これは、汚れの成分を酸素を用いて分解した場合、どのぐらいの酸素が必要かを示すものでございます。このCODを実験施設の内外ではかったところ、施設内の方が外側よりも二ないし三倍程度良好な値を記録しております。
 また、施設内での海水の透明度が周辺海域よりも向上するなど、水質浄化に一定の効果が見られております。
 さらに、カニ、エビなどの甲殻類やハゼなどの生物が施設周辺に集まるなど、他の生物を呼び寄せる効果も確認されております。

○酒井委員 ただいまご答弁をいただいたような取り組みとともに、多様な生物が生息しやすくするためには、干潟などの整備が大変重要であると思います。
 これも四年前の質疑の折に、平成十四年度、国の呼びかけにより、東京湾再生推進会議が発足し、国及び湾岸の自治体が連携をとって、東京湾の再生を目指し、平成十五年三月、東京湾再生のための行動計画をまとめたということでした。
 その行動計画は、快適に水遊びができ、多くの生物が生息する、親しみやすく美しい海を取り戻し、首都圏にふさわしい東京湾を創出すると定め、具体的な施策として、高度成長期以降に失われた干潟、藻場の面積について、湾全体で約一割を取り戻すことを目指し、干潟、浅場、海浜や磯場等の再生、創出を推進するとして、今後十年間を当面の期間とするということでございました。
 そこで、現在まで、東京港において干潟等の整備にどのように取り組んできたのか、お示しをいただきたいと思います。

○前田港湾整備部長 干潟や浅場などは、水深が浅く、酸素の供給が豊富であることから、貝類やゴカイなどを初め多様な水生生物が生息しやすい環境となっております。これらの生物が持つ高度な海水浄化能力により、良質な水域環境が実現可能となります。
 このため、港湾局では、船舶の航行に支障を生じない範囲で、干潟や浅場等の整備を積極的に推進してきたところでございます。
 具体的には、葛西、お台場、城南島などの五つの海浜公園に干潟や磯浜などを整備してまいりました。また、多摩川河口近くの羽田沖では、二百五十ヘクタールに及ぶ浅場の造成事業を進め、平成十九年度に完了いたしました。さらに、新海面処分場の東側水域では、磯場の整備を平成十八年度から開始したところでございます。

○酒井委員 それでは、最後に、東京湾においては、現在、羽田空港の拡張工事が行われております。もちろん、環境調査等を行い、影響の最も少ない工法での工事が行われているわけですが、これまで存在しなかった工作物が東京港にできることから、その影響については常に注視をし、東京港並びに多摩川の環境保全に取り組んでいただきたいと思います。
 そこで、東京港の今後の環境対策についてどのように進めていくのか、お伺いをいたします。

○前田港湾整備部長 まず、羽田空港再拡張事業に際しての環境対策についてでございますが、事業者である国土交通省は、緩傾斜護岸や環境共生型消波ブロックを採用するなど、水域環境にも配慮がなされているものと理解しております。
 また、国土交通省が設置しております環境監視委員会に東京都も参画しており、必要に応じて意見を述べているところでございます。
 次に、東京港全体の水環境についてでございますが、夏場の赤潮の発生や水中の酸素濃度の不足など、解決すべき課題がございます。このため、さきに答弁をさせていただきましたとおり、大規模な海浜公園の整備や浅場の造成などにより、水環境の改善に努めてきたところでございます。
 今後も干潟や磯場の面的拡大を積極的に進めていくとともに、運河沿いの護岸整備に当たりましてはミニ干潟を配置するなど、多様な生物が生息しやすい施設の整備を着実に進めてまいります。

○河野委員 私は、伊豆諸島の貨物運賃補助と、大島、三宅島の港湾整備などに関連して質問をいたします。
 原油価格の値上がりはことしになってもすさまじい状況ですから、ことしの八月に出されている町村会長と町村議会長の要望では、島しょから幾つもの切実な要望が出ております。原油価格の高騰で実質的な運賃値上げになっている燃料価格調整金、サーチャージと呼んでいるようですが、これ、運賃の二六%強を占めている、こういうものや、離島航路補助制度の継続などとあわせて、伊豆諸島の置かれている地理的条件から、ガソリン、軽油、灯油などについて、本土との価格に大きな格差がある、この状況を改善するために緊急的な原油価格高騰に対する補助制度の創設、こういうものを求める要望が出ているわけなんです。
 きょうは、特に、東京都が要綱をつくり行っております伊豆諸島海上貨物運賃補助について伺っておきます。
 この補助事業ですけれども、二〇〇七年度の貨物運賃補助の予算、決算の数字と執行率についてお答えいただきたいと思います。

○石山離島港湾部長 離島の貨物運賃補助の件でございますが、十九年度におきます貨物運賃補助の予算は三億二千万円余でございます。それに対しまして支出済額は二億九千八百三十五万円で、その執行率は九三・二%となっております。

○河野委員 この貨物海上運賃補助金ですね、これは本当に伊豆諸島の人々にとっては、生活の安定と生産物の流通対策に大きな成果を上げていて、欠かすことができないといわれています。
 この補助金の対象になる品目が決められているとも聞いています。プロパンガスなどの生活必需品は一〇〇%、野菜や肥料、飼料などは三〇%の補助率とのことです。
 きょうお聞きしたいのは、島の特産物であるクサヤです。今、原材料の魚が島内の水揚げだけでは足りないということで、本土から移入してクサヤを加工しているということです。ところが、この原油の高騰で運賃が上がって、生産者はとても苦労しております。
 ちょうど昨年二〇〇七年から魚介類が補助対象品目に追加されましたけれども、これは、島から出す移出の分で、クサヤの原材料となる移入については補助対象になっていません。全国から移入している原材料の魚を対象にぜひ入れてほしいというふうなことが島しょの方から要望として強いわけですけれども、これは対象品目の拡大に加えていただきたいと思いますが、どうでしょうか。
 それから、以前から要望されているガソリン、軽油などを対象品目に加える、この問題についてもお答えを伺っておきたいと思いますので、よろしくお願いします。

○石山離島港湾部長 貨物運賃補助の対象品目の拡大についてのご質問でございますが、貨物運賃補助の対象品目につきましては、島民の生活を支える基本的な品目を対象といたしまして、補助制度が幅広く島民に還元されるよう、地元町村などで関係者で調整し、取りまとめたものでございます。
 現在、内容といたしましては、プロパンガスや野菜、果物、あるいは魚介類など、島民の必需品や、島の農漁業など一次産業を支える品目を対象に補助しておりまして、対象品目に加工品の原材料とかガソリン、軽油を加えることは難しいものと考えております。

○河野委員 こういう、ご承知のとおりの原油高の状況がありますので、これについては、今までも局の方のご答弁、ガソリンや軽油は加えない、加工品についても対象にならないということですが、改めて、今の情勢を踏まえて検討していただくことを求めておきたいと思います。
 次に、大島の港の問題で伺います。
 大島の波浮港ですけれども、ここは、地盤沈下が起きておりまして、台風など風雨が強いときには海水の流入が心配されています。物揚げ場、岸壁が水没というような状況があり、民家の方にも水が入ってくる、こんな状況も起こっております。波浮港に、水防対策、地盤沈下対策の取り組み、これまで港湾局としてどうされてきたのか、ご説明ください。

○石山離島港湾部長 波浮港の地盤沈下対策についてのご質問でございますが、波浮港の物揚げ場の地盤沈下につきましては、かねてから地元の要望を受けておりまして、既に調査、検討を進めており、その結果を踏まえて、適切に対処していくこととしてございます。

○河野委員 かねてより要望があったということですので、早急に対応される、そして対策をとられる、そういうことを私は強くお願いしておきたいと思います。
 大島には、高速艇とジェットフォイルが岡田と元町の二港に就航しています。冬の季節には、元町港に入れない日が相当多いと聞いています。ことしの一月から二月ごろにかけて開かれていた椿まつりの期間に、元町に高速艇が入れたのはわずか数日しかなかったということです。
 島しょ部の町村長会の要望にもありますけれども、安定的な就航ができる港にならないと、観光シーズンに島に来る人たちへの快適なサービス提供が十分にできないということを要望書では述べられています。
 大島の観光の中心の椿まつりのときに、二つの港のうち一つはほとんど使えなかったということは、もったいないことではないでしょうか。高速艇の安定的な就航が可能になるような整備を急ぐことが大事かと考えますが、この点はいかがでしょうか。

○石山離島港湾部長 離島におきましては、厳しい気象、海象条件の中、一つの島に二つの港を整備するという、いわゆる一島二港方式により港湾の整備を進めてきております。
 大島におきましても、風や波浪の向きによって、元町港と岡田港の二つを使い分けると、こういう使い方をしているわけでございます。
 椿まつり等冬期に元町になかなか着かないということでございますが、冬期の場合、どうしても西風が強くて、西側に面しております元町港よりも岡田港の方に着くというのが現状でございます。
 大島におけます最近五カ年の高速ジェット船の就航率は、島として九六%程度と非常に安定したものとなっております。就航率の向上につきましては、これまでと同様に適切に対応してまいりたいと思っております。

○河野委員 大島は、伊豆諸島の中でも大きな島ですよね。そこに二港あるということは安心なんですけれども、せっかくのジェットフォイルがやはり同じような状況で就航できるようになるのが望ましいと思いますので、これは大島町の人や島民の方も要望されていることですから、今後、局として検討されるように求めておきたいと思います。
 港の問題では、三宅島の伊ヶ谷港についても同じような要望が出されています。三宅にも、一島二港ですか、その方針に基づいて阿古と三池の二つの港がありますけれども、風の向きによって、この二港それぞれに船が着岸できないときがあるということです。島民は長い間、もう一つの港、伊ヶ谷港のところに船が着く、このことを願ってきたわけです。
 私たちも、ことしの八月に、直接、三宅島民の方の意見を聞く機会もありました。そこでも出されました。ぜひ実現してほしいということですが、伊ヶ谷港の整備は、これまでどのように進められてきたのかということをお伺いしておきたいと思います。特に、二〇〇七年度の事業、資料にも出していただきましたけれど、具体的にどのような取り組みがされたのか、お答えください。

○石山離島港湾部長 伊ヶ谷港の整備でございますが、伊ヶ谷港につきましては、火山の噴火など災害時の避難用として避難岸壁の整備を実施しているところでございます。十九年度につきましては、駐車場の整備のための護岸、あるいは通路整備等を実施したところでございます。

○河野委員 避難港という言葉もありました。島民の皆さんが願っているのは、常用港にしてほしいということです。
 ことしの二月、三宅島に行った人の話なんですけれども、阿古、三池、二つの港に船が停泊できないで、八丈島まで行って待たなければならなかったということも起きているようです。
 村も、伊ヶ谷港が常用になることを望む村民の皆さんの声を受けて、伊ヶ谷港に切符売り場を新設したり、待合所をつくったり、努力されているようですし、東海汽船も一定の努力をしていると聞いています。
 大島、三宅ともに、一島二港という都の方針にこだわらないで、港管理の専門であります港湾局が、その気になれば、どういうふうに対策をとれば実現できるのかということをもっともっと研究していただきまして、島の人たちの生活と営業を支える、また観光産業などで訪れる全国からの人たちの要望にこたえるという対策、これは努力していただきたいと思っております。
 三宅の空港の問題についてもお聞きしておきます。
 現在、一日一便運航されるようになっております。島の人たちは、もう一便ふやしてほしい、二便にしてほしいと望んでおられますが、この増便の見通しについてはいかがでしょうか。

○北村島しょ・小笠原空港整備担当部長 羽田-三宅島航空路線の二便化についてでございますけれども、かねてより三宅島村から、二便化することによりまして就航率を向上させたいとの要望を受けているところでございます。
 しかしながら、羽田-三宅島航空路線の再開から約六カ月しか経過しておらず、航空機材への火山ガスの影響を検証する必要があることや、二便化に見合う需要が見込まれるかどうかなど、さまざまな課題がありますことから、現時点では二便化は困難であると運航事業者から聞いております。

○河野委員 その三宅の空港の問題と関連して、もう一つ伺っておきます。
 ちょうど十七、十八、土日と三宅島でオートバイフェスタが開催されました。このイベントで、ドラッグレースのために飛行場が使用されたんですが、そのために十七日は三宅への一便が運休になっています。
 飛行場を使うドラッグレースは、あらかじめ空港管理者の港湾局に相談がされてきたのでしょうか。昨年から始まっておりますが、このオートバイフェスタ、経過も含めて、これまでどうだったのか、状況をご説明ください。

○北村島しょ・小笠原空港整備担当部長 三宅村は、噴火災害からの復興を目指しまして、三宅島モーターサイクルフェスティバルを開催することといたし、都は全面的にこれを支援することとしております。
 このフェスティバルのイベントの一つといたしまして、三宅島村から、定期便を一日運休しても三宅島空港においてドラッグレースを実施したいとの要請がございました。
 この要請を受けまして、国土交通省航空局や運航事業者と協議、調整を行ったところでございます。その結果、運航事業者は、フェスティバルの意義にかんがみ、定期便を一日運休することといたしました。
 また、都は、空港管理者といたしまして、空港施設への防護策の実施、火山ガス注意報等が発令された場合の安全確保などに万全を期すことや、救急ヘリコプターの離発着に支障が生じないようにするなどを条件といたしまして、空港の使用を許可したものでございます。

○河野委員 港湾局はこの三宅島の空港の管理者なわけですけれども、ドラッグレースという、びゅっと走るレースですね、オートバイの。これは必ずしも安全ではないという意見もあります。もしこのドラッグレースで事故などがあった場合に、港湾局は、空港の安全な管理ということでは、そういう事故も想定されたりして、空港の管理面でのセキュリティー、きちんとされていらっしゃるのでしょうか、お伺いしておきます。

○北村島しょ・小笠原空港整備担当部長 ドラッグレースにおきまして万一事故が起きたとしましても、空港としての機能に支障が生じないように、イベントの主催者に、滑走路灯や進入角指示灯など、イベントの区域で破損のおそれのございます施設に防護策を実施させるなどいたしました。
 さらに、万一空港施設に損傷を与えた場合には、主催者の責任におきまして速やかに原状回復させることとしたところでございます。
 さらに、観客等の安全確保のために、空港内での立ち入り可能エリアを設定しまして、警備、誘導のための人員を配置させるなどいたしました。

○河野委員 この三宅のオートバイフェスタにはいろいろな意見があります。今、安全対策はきちんととられている、いろんなことは想定しているというお答えもありましたけれども、万が一ということと、どんな事故が起こるかわからないということも想定されるので、私としては、これからも引き続ききちんと見詰めていかなくちゃいけないなと思っています。
 意見として申し上げておきますけれども、オートバイフェスタのために港湾局の予算は直接使われていない、これは伺っておりますので承知しています。しかし、島の復興交付金が使われたり、参加タレントの方に多額のお金が支払われたり、知事が宿泊した施設の改修費にも一億円かかった、こういうことが、都民からはそれを聞いて納得がいかないとの意見が寄せられています。島民からも、なかなか賛同できないという声が寄せられているのも事実であって、オートバイメーカーやライダーからも、当初企画した公道レースなどは危険過ぎるということで協賛してもらえない、こういう状況です。
 このようなイベントに多額の予算をかけるというのではなくて、先ほどから要望しております原油高への対策とか、伊ヶ谷港や伊豆大島の高速ジェットフォイルのための港の整備などに重点を置くなど、島の人たちの要望にこたえていくことが今大切だということを、港湾局だけではなくて全庁的に深く検討される、そういう必要があるのではないかということを意見として申し上げて、質問を終わらせていただきます。
 以上です。

○東野委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○東野委員長 異議なしと認め、本件に対する質疑は終了いたしました。
 以上で港湾局関係を終わります。

○東野委員長 これより産業労働局関係に入ります。
 初めに、過日の分科会で紹介できませんでした幹部職員について局長から紹介があります。

○佐藤産業労働局長 過日の分科会を欠席させていただきました当局の幹部職員を紹介させていただきます。
 観光部長の小島昭でございます。どうぞよろしくお願い申し上げます。
   〔理事者あいさつ〕

○東野委員長 紹介は終わりました。

○東野委員長 これより決算の審査を行います。
 平成十九年度東京都一般会計決算中、産業労働局所管分、平成十九年度東京都中小企業設備導入等資金会計決算、平成十九年度東京都農業改良資金助成会計決算、平成十九年度東京都林業・木材産業改善資金助成会計決算及び平成十九年度東京都沿岸漁業改善資金助成会計決算を一括して議題といたします。
 本件につきましては、既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○塚田総務部長 去る十月十日に当分科会で要求のございました資料についてご説明申し上げます。
 お手元の平成十九年度各会計決算特別委員会第三分科会要求資料をごらんください。
 表紙をおめくりいただきますと、目次にありますとおり、要求のございました資料は全部で十二項目でございます。
 一ページをお開きください。1、中小企業対策予算・決算の推移でございます。
 平成十九年度の当初予算額は二千二百三十六億余円、決算額は二千二百五億余円でございます。
 二ページをお開きください。2、農林水産対策予算・決算の推移でございます。
 平成十九年度の当初予算額は百十六億余円、決算額は百十億余円でございます。
 三ページをお開きください。3、雇用就業対策予算・決算の推移でございます。
 平成十九年度の当初予算額は百十一億余円、決算額は九十二億余円でございます。
 四ページをお開きください。4、都内小売業商店数の推移でございます。
 平成十九年の都内小売業商店数は、総数欄の右端にありますとおり、約十万三千店でございます。
 五ページをお開きください。5、新・元気を出せ商店街事業の実績でございます。
 平成十九年度の状況につきましては、右端の実績欄にありますとおり、イベント、活性化の両事業を合わせて二千三百十三件、十五億四千八百万余円を交付いたしました。このほか、地域連携型モデル商店街事業では三件、一億九百万余円を、特定施策推進型商店街事業では百四十五件、三億三百万余円を交付いたしました。
 六ページと七ページは、6、中小企業制度融資の実績と預託額の推移でございます。
 七ページ右端に、平成十九年度の融資実績がございます。下から三段目の合計欄にありますとおり、約十六万一千件、一兆九千六百億余円を融資しております。
 八ページをお開きください。7、中小企業制度融資のメニュー別貸出実績でございます。
 平成十九年度は、最下段の合計欄にありますとおり、上半期が約九万件、一兆一千三百億余円、下半期が約七万件、八千三百億余円を融資しております。
 九ページをお開きください。8、国内銀行(銀行勘定)の中小企業への貸出金残高でございます。
 平成二十年三月末現在の貸出金残高は、百八十二兆九千六百億余円となっております。
 一〇ページをお開きください。9、新銀行東京の融資・保証実績でございます。
 平成十九年度末時点の融資・保証残高は二千四百五億円で、このうち中小企業分は千二百六十六億円となっております。また、開業から平成十九年度末までの中小企業向け融資・保証の累計実行件数は、一万七千三百七十一件でございます。
 一一ページをお開きください。10、労働相談情報センターの数、職員数、労働相談件数、あっせん件数、解決件数、出張労働相談件数の推移でございます。
 下から二段目、平成十九年度の労働相談件数は約五万四千七百件、あっせん件数は八百三十九件でございます。
 一二ページをお開きください。11、若年労働者の無業者、フリーター、派遣労働者数の推移でございます。
 (1)、無業者数の推移につきましては、平成十九年三月卒業で見ますと、右端の合計欄にありますように、東京全体では、卒業者約三十六万人のうち約三万人が進学や就職をしない無業者となっております。(2)、フリーター数の推移につきましては、平成十九年の全国数は百八十一万人となっております。(3)、派遣労働者数の推移につきましては、平成十八年度は、東京では九十七万人が、全国では三百二十一万一千人が派遣労働者として雇用されております。
 一三ページをお開きください。12、雇用形態別・所得別就業者数の推移でございます。
 平成十九年における東京の主な非正規の雇用形態別就業者数は、パート約七十一万六千人、アルバイト約五十五万六千人、労働者派遣事業所の派遣社員約二十万三千人、契約社員約二十八万八千人となっております。
 以上、大変雑駁ではございますが、資料の説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○東野委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めて、これより本件に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○米沢委員 去る十月十日の株価は八千二百円台、終値は八千二百七十六円、五年と四カ月ぶりの安値を記録したわけであります。株価はその後も乱高下をいたしておりまして、今まさに金融危機による実体経済の悪化はさらに深刻化をしているわけであります。
 景気の停滞は日々大きくなっておるわけでありますが、私の地元江東区におきましても、私が関係する中小企業からも、毎日のように、厳しい経営環境の窮状を訴える、悲鳴にも似たような声が届いているわけであります。
 このような極めて厳しい状況の下、技術の開発により、着実に製品の付加価値を上げる努力を続けるものづくり企業や、新製品を生み出すべく研究開発に力を入れている企業を支援していくことは、現時点で最も重要な施策であるというふうに私は考えております。
 しかしながら、技術開発や研究開発には一定の時間と相当の経費を要することから、特に今のような景気停滞期には、資金力が相対的に弱い中小企業にとっては、開発のスピードを上げコストを削減することや、高い技術力に裏打ちされた付加価値の高い製品を生み出して利益を確保していくということが最も重い位置づけであるというふうに考えております。
 行政による技術支援に対する期待がいやが上にも高まっているのではないかと思いますが、これらのことから、都内中小企業を技術面から支えている都立産業技術研究センターの再編整備が大変重要であると私は認識をしております。
 そこで、江東区青海に建設予定の区部産業支援拠点について、改めて何点かお伺いをいたします。
 まず、同拠点の整備について、これまでの進捗状況はどうなっているのか、お尋ねいたしたいと思います。

○三枝商工部長 これまでの産業技術研究センターの進捗状況でございますが、平成十八年度に基本設計を行い、翌十九年度には実施設計を行ったところでございます。
 また、建築に必要な都市計画手続も実施をいたしまして、平成十九年十月に開催されました江東区都市計画審議会に地区計画の変更を提案し、その審議を経まして、同年十一月に開催されました東京都都市計画審議会におきまして議決をされたところでございます。この手続をもちまして、建築に係る手続は完了してございます。

○米沢委員 ただいまの説明では、実施設計や都市計画手続が終わったとのことでありますけれども、今後の予定はどうなっているのか、お伺いします。

○三枝商工部長 今後の予定でございますが、さきの第三回都議会定例会におきまして、資材高騰などの影響を理由といたしました、債務負担行為の限度額を補正する予算案の議決をいただいたところでございます。
 当該議決を得て、先週十六日に入札が実施され、落札業者が決定いたしましたので、第四回都議会定例会に契約議案として提案をする予定でございます。
 契約議案の議決が前提と相なりますが、平成二十三年度の開設に向けまして、落札業者と工程、工法について調整を行い、今年度中に着工することと相なります。

○米沢委員 二十三年度に開設とのことでありますけれども、資材高騰などの影響を受けて、契約時期が当初より大変おくれておりますが、この施設の重要性を考えれば、建築工事の工程管理をきちんと行っていただき、可能な限り早期に開設をしていただきたいと思います。
 ところで、さきの経済・港湾委員会で報告がありましたように、平成十九年度の産業技術研究センターの主な業務実績は、平成二十二年度の目的を上回る高い成果を上げているとともに、法人化のメリットである機動性や柔軟性を発揮した運営を行ったと聞いておりますけれども、そこでお伺いいたしますが、十九年度においてこの機動性や柔軟性を発揮した運営とは、具体的に一体どうなのか、ご説明をいただきたいと思います。

○三枝商工部長 独立行政法人の機動性や柔軟性を発揮した平成十九年度の事例についてでございますが、企業へのアンケート調査に基づき、温度、湿度、振動などの環境を模擬的につくり出し、製品の性能などを確認する環境試験センターを速やかに開設いたしますとともに、機器利用サービスにおきまして、設置要望が多い機器を整備いたしたところでございます。
 また、世界四十七カ国で通用する品質証明書の発行につきましても、平成十八年度に受け付けを開始いたしました電気に加えまして、平成十九年度には、ニーズの多い温度の区分で登録申請を行い、本年九月に、証明書が発行できる機関として認定をされたところでございます。

○米沢委員 冒頭にも述べたわけでありますけれども、中小企業を取り巻く経営環境は非常に厳しい。昨年の今ごろと比べまして、劇的に変化をしておるわけであります。このような状況変化にさらされている中小企業に対しまして、企業の声にこたえる機器整備や、具体的な製品化に結びつく研究の実施など、今後とも機動的かつ柔軟な技術支援を速やかに行っていただくことは、絶対に不可欠であると存じております。
 そこで最後に伺いますが、立派な建物ができても質が高まらなければ、表現は適切じゃありませんけども、仏つくって魂を入れずという言葉のとおりでありまして、新しい拠点への移転を契機として、どのように技術支援の質を高めていくのか、さらにお尋ねをいたしたいと思います。

○三枝商工部長 新たに整備いたします区部産業支援拠点におきましては、現在より高度な分析や、より精密な加工が行えますような機器を整備、充実をいたしまして、中小企業の技術的課題の解決や開発期間の短縮などに一層の貢献をしてまいります。
 また、これらの機器を利用し、中小企業にとりまして高い付加価値を生み出す実用的な研究も精力的に行ってまいります。
 今後ともこうした役割を着実に果たしていくため、中小企業のニーズにこたえ、抱えている技術的課題の解決に寄与できますよう、東京都と産業技術研究センターとが総力を挙げて取り組んでまいります。

○米沢委員 東京の産業を支えている中小企業に対しましての行政の覚悟と方向をしっかりと受けとめました。これからも技術支援を十分行っていただくことを強く要望して、質問を終わりたいと思います。

○山口委員 それでは、私からは、新銀行東京の問題に絞って、平成十九年度の決算から逸脱をすることのないよう質問をさせていただきたいと思います。
 まず、お伺いをしたいのが、新中期経営計画の策定の経緯についてお伺いをしたいと思います。
 そもそも新中期経営計画はどのような経緯で策定をされることになったのか、まずそこをお伺いしたいと思います。

○中村金融監理室長 新銀行東京の新中期経営計画は、想定を大幅に上回る不良債権の発生などによる経営状況の悪化を受け、平成十九年六月に新銀行東京の旧経営陣が策定したものでございます。
 なお、都は、平成十八年末に、抜本的な経営計画の見直しを要請しております。

○山口委員 続いて、この新中期経営計画に対する評価について伺いたいわけなんでありますが、平成十九年六月に新中期経営計画が策定をされたにもかかわらず、ことし二月には新たに、既に再建計画が策定をされているわけであります。監視を行ってきた都の立場として、この新中期経営計画をどのように評価を行ったのかを伺いたいと思います。

○中村金融監理室長 ただいまお答えしたとおり、新中期経営計画は、新銀行東京が平成十八年度中間決算において、経常損益が一層の改善を必要とされる状況になったことから、都が抜本的な経営計画の見直しを要請し、策定されたものであります。
 その実施は、平成十九年六月に旧経営陣が退陣したことにより、新経営陣の手にゆだねられました。しかしながら、新経営陣が債務者実態等の調査を行ったところ、計画と実態がかけ離れていることが判明したため、この計画で掲げられた取り組みでは不十分と考え、営業店舗の統廃合や店舗外ATMの廃止など、計画を上回る踏み込んだ経費削減策などを実施してまいりました。
 こうしたことから、都としては、新中期経営計画は不十分な取り組みであると考えていたところでございます。

○山口委員 新中期経営計画は不十分であったと。
 それは、監視体制が行き届いていたのかと、一見思わせるわけなんでありますが、その中でも、幾つか、どうしても理解ができない時系列がございましたので、確認をさせていただきたいと思います。
 店舗統廃合による経費の削減の効果等について伺いたいんでありますが、平成十八年の九月までは店舗拡大。これは見てみると、五月には池袋、渋谷、八月に八王子、九月には新橋と、店舗の拡大を行っているわけなんであります。
 この新中期経営計画に基づいて、平成十九年の九月、わずか一年後には店舗の統廃合を行っているわけなんでありますが、まず、店舗廃止に伴う違約金は幾らあったのか。また、この店舗統廃合による経費削減の効果、または損失はどれぐらいあったのかを伺いたいと思います。

○中村金融監理室長 新中期経営計画では、店舗を十店舗から八店舗へ二店舗削減する計画であり、その経費削減効果は七億円と見込んでおりました。
 新経営陣のもとでさらなる店舗の統廃合を進めたため、計画を上回る削減効果があったものと考えられます。店舗のみの削減効果は明確ではございませんけれども、物件費について見ますと、平成十八年度の百五億円に対して、平成十九年度は六十六億円と三十九億円の減となってございます。
 なお、店舗廃止に伴う違約金は発生しなかったと聞いております。

○山口委員 それでは、続いて、新中期経営計画による経費削減の効果についても伺いたいと思うんですが、この新中期経営計画による全体の経費の削減効果というのはどれぐらいあったんでしょうか、伺いたいと思います。

○中村金融監理室長 新中期経営計画は、新経営陣のもとで不十分な内容であると判断され、計画を上回る取り組みを行ったところでございます。
 その結果、平成十九年度の経費削減効果については、営業経費が平成十八年度実績に比べ四十九億円の減となってございます。新中期経営計画で見込んだ三十二億円減を大きく上回る実績を上げたところでございます。

○山口委員 そこは、実績かどうかというのは、判断が、私は難しいところだと思います。
 再建計画を見ると、全体的な損失というよりは、単年度の黒字化をまずは目指すことによって、経営が健全化をしてから損失を穴埋めをしていこうという東京都や銀行の思惑というものが見えてくるわけなんでありますが、この辺をしっかりと見据えて、このころに何が行われていたのか、どういうことがあったのかということを見きわめをしていかなければ、縮小して、単年度で黒字化をしたから経営は健全化したとは、とても私はいい切れないと思います。
 その辺の確認をさせていただいたわけなんでありますが、続いて、同時期に、その直前に行われた日銀の考査の対応について伺いたいと思います。
 昨年の日銀の考査の結果について、内容を把握することができたのではないのか。日銀は、内容について都から求められれば対応してもいいと、前向きな発言をしていることを私たちは確認をしているわけなんでありますが、都は、日銀の考査についてどのように対応したのか、伺いたいと思います。

○中村金融監理室長 考査結果の開示につきましては、都が既に新銀行東京を通じて日本銀行に確認してございますが、考査結果は、当該金融機関の経営陣に伝達されるものであり第三者に対しては公開しないということでありました。

○山口委員 それでは改めて伺いたいんですが、この日銀の考査に対する都の考え方、ぜひお伺いしたいんですが、どのような考え方を持っていらっしゃるのか、見解を伺いたいと思います。

○中村金融監理室長 日本銀行の考査は、日本銀行法第四十四条に基づき、日本銀行が中央銀行としての業務を適切に行うために実施されるものであり、その結果は、日本銀行と金融機関とが適切な取引関係を続けるために生かされるものと考えてございます。

○山口委員 さて、新銀行東京の経営の状況の把握というものが、今回引き起こされている都民の皆様の不安につながっていく大きなかぎになると思うのですが、この内容をちゃんと把握をしていれば、もっと早く手が打てたのではないかと私たちは思うのです。
 新銀行東京の経営状況の把握が適切に行われていなかったと考えますが、都としてはいかがお考えでしょうか、伺いたいと思います。

○中村金融監理室長 新銀行東京が平成十八年度中間決算において経常損益の一層の改善が必要とされる状況になったことから、都は、経営の健全性確保と中小企業支援の充実に向け抜本的な経営計画の見直しを要請するなど、日本銀行の考査以前から、新銀行東京の経営状況を注視してまいりました。
 さらに、平成十九年三月期決算時の深刻な経営悪化を受け、経営陣の交代が必要であると判断し、平成十九年六月には、役員の刷新や都職員の派遣を実施し、経営改善に当たらせるなど、速やかな対応を行ってきたところでございます。

○山口委員 わずかな期間で計画や目標が改善をされ、また、今後どのような対応をされるかわかりませんが、旧経営陣との対立の問題だとかそのような状況を見ていると、とても適切な経営状況の監視ができていたとはいいがたいんではないかと思います。
 その辺の経営状況の認識についても伺っていきたいと思うんですが、昨年十二月ごろには、十九年度の中間決算の結果から、新銀行東京の経営状況が厳しいということを、そもそも東京都は認識をしていたんでしょうか、伺いたいと思います。

○中村金融監理室長 先ほどもお答えしたとおり、都では、平成十九年三月期決算時において、厳しい経営状況を受けて対策を講じており、昨年の中間決算においても、想定を上回る不良債権処理費用が発生するなど、厳しい経営状況にあることを認識してございました。

○山口委員 踏まえて、追加出資の経過について伺いたいわけなんでありますが、都として、こうした厳しい経営状況を認識をしていたとおっしゃられたわけなんですが、していながらも、十九年の第四回定例会で、新銀行東京への追加出資について私たちがただしたところ、知事はそれを完全に否定をされたわけであります。にもかかわらず、ことしの三月には追加出資を求める状況となったわけなんでありますが、都は何から急遽この必要性を見出して、このような経過になったのかを伺いたいと思います。

○中村金融監理室長 平成十九年第四回定例会が開催された昨年十二月の時点では、新銀行東京は、新経営陣のもとでデフォルト圧縮を最優先とする経営改善に取り組む一方で、都からの出資を前提としない民間金融機関との提携による再生等を目指していたところでございます。知事は、このことを踏まえて追加出資を否定したものでございます。
 しかし、その後、新銀行東京の提携に向けた交渉が調うまでには至らなかったため、ことしの年明けからは、新たに抜本的なリストラと事業の重点化に向けた検討も開始し、再建計画を取りまとめ、これを実現するための重要な柱として、都に対し資本の増強を要請するに至ったものでございます。

○山口委員 都からの出資を前提としない民間金融機関との提携と。先日の九月末の発言もそうですが、東京都がしっかり監視をしていたと。
 ただ、知事の一存でお考えになられていた提携等に振り回されていたようなところがあったんじゃないんですか。九月末には発表するといわれたものも発表されませんでした。このときにも、それを前提として、追加出資はこの時点では行われなかったということでありますが、その経過も含めてそういうことだったんだと思いますが、そもそもが見通しが甘かったといわざるを得ないんじゃないかと思いますが、知事の見通しと都の見通しというのは違いがあったんですか。室長、お答えをいただきたいと思います。

○中村金融監理室長 知事のお言葉と都との関係ということでございますけれども、先ほど来申し上げましたのは、新銀行東京における提携の取り組み、そういうものを一生懸命新銀行の方で頑張っていたということでございまして、それが調うにまで至らなかったという現状でございます。

○山口委員 それは説明に無理がありますね、やっぱり。
 知事は、そういった提携先を求めていると、探していると、事あるごとにおっしゃられてきていて、その後、この先質問いたしますが、金融庁の検査に至るまで、追加出資というものがいかにもつじつまが合っていくわけなんであります。
 その追加出資の時期についてちょっと話を戻して伺いたいんですが、十九年度中に経営状況の悪化が把握をできていたんであれば、先ほどおっしゃられたように監視が行き届いていて把握をしていたというのであれば、通常で考えれば、二十年度の予算ではなくて、十九年度の最終補正で追加出資をすればよかったんじゃないんですか。その辺についてはどのようにご説明をされますか。伺いたいと思います。

○中村金融監理室長 繰り返しになりますけれども、新銀行東京は、民間金融機関等との資本提携などを目指しまして精いっぱいの交渉を行ってまいりましたけれども、それが調うに至らなかったため、本年二月に都に対して追加出資の要請を行ったものでございます。
 これを受け、都では、検討の結果、第一回都議会定例会において、平成二十年度の補正予算として追加出資の提案を行ったものでございます。

○山口委員 これによってわかったことは、その対応によって後手に回ってしまったということが、時期がずれ込んでしまったと私は受けとめてもいいのかなと思います。
 そもそもこの他の金融機関との提携というものを、今おっしゃられたように、新銀行東京が交渉をして提携先を探しているのか、知事が事あるごとに記者会見等で発言をされているように、知事や東京都がお探しになられているのか。これはどっちが正しいんですか。ぜひお聞かせをいただきたいと思います。

○中村金融監理室長 お答えでいえば、前者ということで、新銀行東京が探しているということでございます。

○山口委員 となると、その辺の責任まで含めて、このずれ込みが発生して、株主たる東京都が出資をしなければいけない事態に追い込まれたことも、新銀行東京にきちっとその説明を求めるべきなんじゃないですか。そういう説明があったにもかかわらず、その時期には提携をできると。提携先を探していると。本来であれば、最終補正で組むことができたにもかかわらず、翌年に持ち越されてしまったと。
 これは東京都にとっては不測の事態だったわけでしょうから、こういうことも含めて、きちっとした説明というものがなされなければいけないと思いますし、その辺の責任の所在も今後は明確にしていくべきだと私は思います。意見にしておきます。
 さて、大切な経営の監視、東京都における経営の監視について伺いたいわけなんですが、十九年度以前の東京都の新銀行東京に対する監視体制はどのようになっていたのか、改めて伺いたいと思います。

○中村金融監理室長 平成十九年度以前については、産業労働局金融部監理課において、新銀行東京が中小企業支援などの役割を適切に果たしているかという観点から、経営の大枠の監視を行ってまいりました。
 具体的には、株主として、事業の進捗状況や決算内容等の報告を受け、中小企業支援の一層の充実などについて、株主総会での意見表明や取締役会への申し入れなどを行ってまいりました。

○山口委員 経営全般にわたって適切な監視を求めた平成十六年の第一回定例会での付帯決議を、東京都は軽視をしていたんじゃないかと私たちは思っているわけなんでありますが、東京都としてはその辺はどのようにお考えでいらっしゃいますか。

○中村金融監理室長 都では、経営の大枠の監視という立場から、中小企業支援という新銀行東京の目的を達成するため、その役割を適切に果たしているかという観点から、事業の進捗状況や決算内容等の報告を受け、株主総会などでの意見表明や取締役会への申し入れなどを行ってまいりました。
 さらに、都は、経営の健全性確保と中小企業支援の充実に向け、抜本的な経営計画の見直しの要請や役員の刷新及び都職員の派遣を実施し、経営改善に当たらせるなど、速やかな対応を行ってきたところでございます。

○山口委員 それは通用しないと思いますよ、やっぱり。
 しっかりと議会の付帯決議というものの意味をよくお考えをいただいて、さらに、八年の三月二十八日にも新たなる、補正予算に対する付帯決議というものもあるわけですから。その中にも同じ言葉が盛り込まれているわけでありますから、新たにそこはよくお考えをいただいたほうがよろしいかなと思います。
 それでは、続けて、都の経営監視が十分ではなかったのではないだろうかと、そこについて伺いたいわけなんでありますが、結果として、この四百億円の追加出資に、今までお話をした経過を踏まえて至っているということは、都は、これまでの経営監視が十分でなかったということを認めざるを得ないんです。お認めになられますか。

○中村金融監理室長 新銀行東京の経営悪化の原因は、現在、新銀行東京において調査中でございますけれども、その主な原因は、旧経営陣の経営の誤りによるものでございます。このことにより新銀行東京は巨額の赤字を抱え、資本を毀損し、追加出資を受けるに至ったものでございます。
 都としては、先ほど来答弁してきたとおり、新銀行東京の経営監視には努めてきたところでございますけれども、銀行法上の制約があったとはいえ、このような経営状態に陥ったことからすれば、結果論ではございますけれども、監視が十分だったとはいえないと考えてございます。

○山口委員 大変重い発言が今あったわけでありますが、結果論であるが監視が十分だったとはいえないと。監視の結果はもう結果がすべてですから。きちっとその責任をお認めになられるということであれば、私たちは、さらにこれから先、きょう聞く機会ではありませんので、また改めてその点については伺っていきたいと思っております。
 追加出資をしたことについて、現況、この金融経済情勢だとか新銀行東京の業務状況を踏まえて、追加出資をしたことへの悔いと申しましょうか、後悔と申しましょうか、現状では、ございませんか。伺いたいと思います。

○中村金融監理室長 新銀行東京は、資金繰りに窮する中小企業を支援するために設立したものであり、その理念は不変でございます。平成二十年六月現在、約一万一千社の中小企業に対し融資、保証を行い、その残高は一千億円を超えております。東京の中小企業金融において役割を果たしてございます。
 新銀行東京の業務が停止すれば、その融資を頼りに努力している中小企業やその従業員、家族などの関係者に重大な影響を及ぼしかねないものでございます。
 追加出資の四百億円の重みを十分に受けとめ、新銀行東京が中小企業のお役に立つ銀行として着実に再生を果たし、本来の役割をより一層発揮できるよう、都としても全力で支援してまいります。

○山口委員 ここまでの質疑で私が申し上げたかったことは、監視体制がいかにあったのかということ。そして、さらにいうと、一体だれが主導して、この銀行の経営の体質というものに影響を与えてきたのかということ。
 また、この短期間で計画を見直ししなければいけなくなったことは、当然、旧経営陣の経営のこともあったんでしょう。それは、東京都の今後の旧経営陣への対応を見て私たちも判断をしたいと思っておりますが、それにしても、監視体制というものが不十分であったと、結果から見てもということでありましたが、お認めになられたことは、これは東京都としては大きな事実として受けとめていかなければならないでしょうし、今後にこれがどのように生かされるのかというのは非常に大きな課題だと思います。
 またさらにいえば、当然期せずしてでありましょうが、時代が、この新銀行東京を必要とする時代背景に、知事のお言葉をかりるのであれば、また変わってきたわけでありますから、当然にその活躍が期待をされるところであります、都民の皆様が求められればでありますが。どのように経営や経過が進んでいくのか、私たちもしっかりと拝見をさせていただきたいと思います。
 さて、その監視というものがどこまで及んでいくのか、説明を都民に、銀行からいえば東京都にしっかりと説明をしていかなければいけないということで考えると、この七月二十五日に立入検査が終わった金融庁の検査というものの結果、この十月二十五日、もう間もなく、その結果が出るのか、もう出たのか、私たちにはわかりませんが、その結果が大変気になるところなんでありますが、恐らく東京都の皆様は私たちよりもさらに気になっていなければいけないと思うところなんであります。
 その金融庁検査の対応について、ここはもう一度確認をしたいと思いますが、知事は、日ごろから、国と闘うと日常的にもいわれているわけでありますから、ここで金融庁の検査結果を求める必要が、私たちは当然議会としてもあると思いますし、東京都も、それを知り得るべきだろうと思うわけなんでありますが、都の考え方を伺いたいと思います。

○中村金融監理室長 都は、新銀行東京の再建への取り組みについて注視し、適切な経営状況の把握に努めているところでございます。
 一方、金融庁の金融検査は、国家的な金融秩序の安定などを目指すため、金融庁が銀行法に基づき実施しているものであり、その結果については不開示とされており、金融庁からも、検査結果の第三者への開示については非開示と聞いてございます。
 金融庁の検査は、銀行のその後の業務運営に反映して改善することが目的とされており、新銀行東京においても経営に適切に反映すべきであると考えてございます。

○山口委員 ここはくどく、こだわって伺いたいんですが、金融検査に関する基本指針というものを、私、今手元に持ってお話をさせていただいておりますが、先般もお話をしたように、これは法的根拠はないんです。
 つまり、だれかが熱意を持って、まして、この四百億円が追加出資をされて、立ち直ることができるのか、できないのかわかりませんが、できる状況にある新銀行東京というのは、いわば公的資金を投入している銀行なんですよ。普通のほかの銀行とわけが違うんです。だからこそ、この検査結果というものは、税金をお預けいただいている都民の皆様からしても、しっかりとその内容が把握をされるべきだと思うわけなんでありますが、監視をされる金融監理室長のお立場として、これはぜひとも開示をしてほしいんだけれども、されないのか。その必要性はないとお考えなのか。その辺はどちらですか。

○中村金融監理室長 先ほども申し上げましたとおり、金融検査は、国家的な金融秩序の安定などを目指すため、金融庁が銀行法に基づき実施しているものであり、その結果については不開示とされており、金融庁からも、検査結果の第三者への開示につきましては非開示と聞いているところでございます。
 金融庁の検査は、銀行のその後の業務運営に反映して改善することが目的とされておりまして、新銀行東京におきましても、経営に適切に反映すべきであると考えてございます。
 都としては、これまで同様、新銀行東京の経営を注視するとともに、改善状況を適切に把握してまいります。

○山口委員 当然、行政処分が出たときにはもう相当厳しい状況になっているわけですから、そんなことになれば大騒ぎになるんでしょうが、そうでなくても、改善計画を出すようにだとか、そういう状況についてでもしっかりと把握をされて都民に開示をしていくことが、これはもう責務だと思います。新銀行東京に対しても、そういう申し入れを金融庁なりにきちっとするように私は求めていくべきだと思いますので、それは改めて申し述べておきたいと思います。
 それでは、新銀行東京、金融監理室の責任の重みについて改めて私は伺いたいと思うんですが、新銀行東京の経営を監視するために設置をされた金融監理室の責任は極めて重いと思います。
 この先がどうなっていくかわかりませんが、そのときに、だれが責任をとるのか。監視が行き届いていなかった、思うようにいかなかったということは、もうこの時点において通用しないわけでありますから、その責任の重みをどのように認識をされているのか、もう一度、どなたでも構いません、改めて見解を伺いたいと思います。

○中村金融監理室長 金融監理室におきましては、新銀行東京の経営状況の把握に努めるとともに、全庁を挙げた支援の検討など、監視及び支援の両面にわたる取り組みを実施しているところでございます。
 今後とも、新銀行東京の再建が着実に進むよう、金融監理室におきまして全力を尽くしてまいります。

○山口委員 いわば、この新銀行東京の経営の実態や状況というものが、金融監理室の存続にもかかわるような大きな事態に今後つながっていくものと私たちは思っておりますし、また、先ほども少しお話をさせていただきましたが、知事があたかも自分が交渉されて探しているかのごとく発言が繰り返されて、それは新銀行東京が主導でやっていると、ここに来ていわれても、それは私たちにしてみればどっちが主導なんだか、都民から見たって、だれが主導でやっているんだかもわからない。
 株主の立場を、また東京都としての立場を上手に使い分けをされながら、責任の所在も明言をされないわけでありますが、そういったところも含めて、今後の体制をきちっと、また十九年度に行われた計画の転換等も含めた二十年度に私たちも注目をしてまいりたいと思います。
 質問を終わります。

○橘委員 産業労働局の平成十九年度事業のうち、障害者就業対策と航空機産業への中小企業参入支援の決算に関して質問いたします。
 最初に、平成十九年度の就業確保対策の中の障害者就業関係の実績について伺います。
 東京都における障害者雇用数は、国、都、区市町村等の各種施策の充実もあって、増加傾向にあります。また、実雇用率も上昇をたどっているものの、法定雇用率の一・八%には達していないのが現状であります。
 厚生労働省が集計した昨年六月一日現在の障害者の雇用状況報告によりますと、東京の実雇用率は一・四六%で、全国平均の一・五五%を下回っております。特に、中小企業では、従業員数五十六人から二百九十九人規模の企業が〇・八二%と低く、三百人から九百九十九人規模の企業でも一・三三%にとどまっているのが現状であります。
 多様な職種、業態が集積し、雇用機会が多い東京の特性が障害者雇用に十分生かされていない実態がこうした数字にあらわれていると思います。
 そこで、障害者雇用を促進する観点から、十九年度に産業労働局が実施した事業を踏まえ、何点か伺います。
 まず、産業労働局が推進した十九年度における障害者雇用に関する主な取り組みについて伺います。

○小田雇用就業部長 障害者就業対策における主な取り組みでございますが、まず、障害者の職業能力開発のため、東京障害者職業能力開発校において多様な職業訓練を実施したほか、身近な地域でも職業訓練を受けられるよう、平成十九年度から新たに城東職業能力開発センター足立校において、知的障害者向けの実務作業科を開設いたしました。
 また、障害者の職域を開拓の上、企業への普及を図っていくため、新分野への進出などによりまして障害者を新たに雇用するモデル企業を公募、選定して経費の補助や経営支援を行う、障害者職域開拓支援事業を実施いたしました。

○橘委員 今、答弁の中にありました障害者職域開拓支援事業についてでありますけれども、この事業は十八年度から始まった事業でありまして、十八年度は約二千三百万円の予算を計上して、古本やCDの出張買い取り、それからパンの製造を通販につなげる事業拡大、インターネットで収集したデータの在宅でのまとめ作業、企業内の事務的なファイリング、データ入力などの職域拡大など、六つの事業を認定いたしまして、各事業に三百万円を上限に二分の一の補助が行われております。
 ところで、十九年度も十八年度と同額の約二千三百万円が計上されておりましたけれども、決算額を見ますと、一千万円余りで、執行率が四六・〇%にとどまっております。執行率が低い水準にとどまった理由について伺います。

○小田雇用就業部長 本事業につきましては、年間六事業をめどに支援を行うこととしまして公募したところ、七事業の応募がありました。この七事業から、他の企業のモデルとなる事業を選定するため、経営や障害者雇用の専門家による事業選定委員会におきまして、提案された事業計画の実現性、新規性などを審査していただいた結果、これらの要件に合致する事業が三事業にとどまったところです。このため予算執行率が低くなったものでございます。

○橘委員 この三つの事業の概要と、それから雇用者数、これを説明ください。

○小田雇用就業部長 平成十九年度に選定し支援を行いました事業は、まず一つ目として、タイ焼きの製造販売事業、二つ目として、高齢者や障害者への弁当宅配と喫茶店事業、三つ目としまして、病院、学校、公的機関をターゲットとしましたパンの移動販売、以上の三事業でございます。
 これらの事業におきまして、障害者は、製造や販売、接客サービスなどの業務に、合わせて十五名が新規に雇用されたところでございます。

○橘委員 十五名が雇用されているという答弁でありましたけれども、十九年度の三事業、それから十八年度は六事業選定されているわけですけれども、合計九事業になるわけですが、現在の状況、把握していましたら、ご紹介ください。

○小田雇用就業部長 十八年度六事業、十九年度三事業、九事業でございますが、十八年度の六事業につきましては、具体的な取り組み内容、実際に実施した上での課題等を取りまとめまして、リーフレットの作成や成果発表会、こういう開催を通じて広く普及啓発を行うなど、企業や団体の障害者雇用に対する理解促進のために活用しているところでございます。

○橘委員 ということは、今現在も、九事業とも全部継続されているということでよろしいんですね。

○小田雇用就業部長 十八年度六事業のうち一事業が、事業からちょっと撤退したところでございます。

○橘委員 かなり厳格な基準に基づいてこの事業の選定はなされているようであります。それにもかかわらず一事業が撤退するという実態がございまして、これはやはり障害者の雇用機会を拡大すると口ではいっても、なかなか大変な事業であろうかと思います。
 ところで、ちょっと角度を変えて質問しますけれども、この事業を申し込んでそして選定された事業者は、一生懸命今取り組んでいらっしゃると思いますけれども、選定されなかった事業については、やはりこれは認定基準がクリアできなかったという、そういった事情があろうかと思います。
 ところが、この事業者というのは、申し込んだということは、障害者雇用に何らかの貢献をしたいと。また、この障害者雇用を、自分たちの事業の拡大を通じて支援をしたい、そういった情熱を持った事業者であろうかと思います。
 そういった事業者の中には、基準をクリアできなくて、あるいは経営基盤が弱かったとか、それから一工夫が足りなかったとか、そういったいろんな事情があろうかと思いますけれども、この選定されなかった事業者の情熱を酌んで、もう一工夫、あなたの事業の計画についてはここを工夫するといいですよとか、また、経営基盤についてはこの辺をちょっと強化されたほうがいいですよと、そういった細かい配慮があって、そういう情熱を持った事業者が、またチャレンジしてみよう、機会があれば障害者の雇用に貢献したいという、そういった事業者もふえてくると思います。選定されなかったけれども、きめ細かな対策を講じることによって、次の再チャレンジの機会を与えるということになるかと思います。
 そういった細かな配慮というものが大事かと思いますけれども、この点について、部長、どうお考えでしょうか。

○小田雇用就業部長 先生おっしゃいますように、この事業は、障害者の雇用にモデルを示すということで、非常に重要な事業でございます。
 そういうことで、私どもも、いろんなアイデアの事業が出てくればいいというふうに思っていますが、事業が、継続性が十分できないというようなケースも、かなり応募の案件でありますことから、なるべくよい企業を認定したいと思いますが、そういうような企業も中にはございますので、今後、いろいろそういう企業の指導をしてまいりたいと思っております。

○橘委員 選定するだけではなくて、育成するということにも力を入れていただきたいと思います。
 この事業は、障害者それぞれの特性を生かして、しかも、新たな職域、可能性を広げる事業として、大いに期待できるものと思います。その点で、十九年度の認定が三事業にとどまったのは残念であります。要件を満たしていなかったという理由はあるものの、冒頭に申し上げたように、雇用機会が多く販路の可能性も大きい東京の特性を十分生かされていないと現状では思います。
 事業者の理解を広げる都としての努力、新たな職域、業種を広げるためのアイデアの提示など、もう少しきめ細かな後押しが必要なのではないかと考えます。
 今申し上げたことも含め、都として、今後この事業をどう発展させていくのか、その辺、具体的な構想等がございましたら、お示しいただきたいと思います。

○小田雇用就業部長 先ほどの答弁と一部重なりますが、この事業は、広く普及するために、具体的な取り組み、それから実際に実施した上での課題、これをリーフレットにまとめまして、また、それを報告するという形で広く普及してまいりたいというふうに思っております。

○橘委員 この事業というのは、いままでもなさってきたと思いますけれども、障害者団体とか中小企業団体、こういった団体との連携を密にして大きく育てていこうという、そういった仕組みを構築することが大事かと思います。
 私もこういった団体の皆さんといろいろ懇談する機会がございますけれども、やはりこれからの時代というのは、ただ単に経営的に採算が合うかどうかというよりも、アイデア勝負という、そういった分野もあるんですよと。そういったものは、単独の団体の考えだけではなかなかうまくいかないけれども、お互いの関連した団体、業種が意見交換すると、思いも寄らないようなアイデアが生まれることがあるので、そういった機会が大いにあれば、また連携がとれれば、もっともっと発展する事業であると認識していると、そういった声も聞くことができました。
 そういった観点から、この事業を大きく拡大するために、来年度は大幅に予算を獲得するんだぞと、そういった部長の決意があれば、ご紹介ください。

○小田雇用就業部長 この事業は、理想としてはなかなか遠大でございますが、実際、企業等の応募状況を見ますと、なかなか難しい面もございます。そういう中で、今年度の二十年度についても努力しているわけでございますが、前期については応募が一にとどまり、後期についても現在応募を締め切って、これから審査に入るという段階でございます。
 私どもも、今先生おっしゃられたような観点から、十分、審査、そして企業を選んで支援していきたいと思っております。

○橘委員 余り弱気にならないで、強気でいってください。
 次に、関連しますけれども、雇用拡大の一環として十九年度に取り組んだ障害者職業訓練について伺います。
 都は、障害者の適性に応じた知識や技能を習得することで、職業的、社会的自立ができるように、各種関係機関で職業訓練を実施しておりますけれども、それによる十九年度の就業者数等の成果について伺います。

○小田雇用就業部長 障害者職業訓練の成果でございますが、東京障害者職業能力開発校の訓練修了者は百三十二名で、このうち就職した者が九十三名。城東職業能力開発センター足立校の修了者は九名で、就職者七名。心身障害者職業能力開発センターでは修了者三十五名で、就職者三十二名となっております。
 また、民間教育訓練機関等を活用しました障害者委託訓練は、修了者五百八十六名で、就職者三百十六名となっております。

○橘委員 この職業訓練の目的というのは、いうまでもなく着実に就職に結びつけるということでありますが、都における障害者訓練の就職率は、全国平均と比較してどのような現状にあるのか、説明いただければと思います。

○小田雇用就業部長 障害者訓練における就職率でございますが、都独自の随時入所、随時修了方式をとります心身障害者職業能力開発センター、これは都独自でございますのでこれを除きまして、障害者職業能力開発校における就職率は、全国平均六五・七%に対して都は七〇・五%。城東センター足立校など一般校における就職率は、全国平均七六・三%に対しまして都は七七・八%。障害者委託訓練につきましても、全国平均四一・四%に対し都は五三・九%。いずれも都における就職率が上回っておりまして、一応の成果が上がっているものと考えております。

○橘委員 職業訓練を受けた方が一〇〇%就職できるというのが理想的なわけですけれども、就職できなかった理由の中には、訓練の中で十分知識や技能を身につけることができなかったとか、それから体力的に対応することができなかったとか、それから就職先が見つからなかったという、いろんな面があるかと思います。理由があろうかと思います。
 さまざまな理由あろうかと思いますけれども、その中で、この職業訓練という事業を通じて、最も就職に結びつかない理由というのは何かありますか。

○小田雇用就業部長 これは障害者のケースだけではなくて、多くは、やはり自分のやりたいこと、したいことと、それから求人側が求めるものと、こういうようなミスマッチが大きな要素ではないかと思っております。

○橘委員 このミスマッチ、まさに私もそのとおりだと思います。このミスマッチをどう補完していくのかというのが、行政としての一番の支援のしどころかと思います。その辺についてのお考えがあれば伺いたいし、また、あわせて障害者雇用に対する企業の理解というものもこれまた必要なのかなというふうに思います。
 したがって、私二点を質問したいんですが、ミスマッチに対してどう対応していくのか。このことと、それから、障害者雇用に対する企業の理解を促進するために、十九年度でもうさまざまな事業を行っているようでありますけれども、その重立ったものを紹介していただければと思います。

○小田雇用就業部長 まず、ミスマッチの解消としましては、都しごと財団が運営しております心身障害者職能開発センター、こういうところで、企業との面接会ですか、そういうようなものを催したりしていきたいと思っております。
 それから、企業への理解の件でございますが、障害者雇用の促進を図るために、障害者雇用促進ハンドブック、このようなものをつくりまして、企業への理解を深めているというところでございます。

○橘委員 障害者雇用促進ハンドブック、これは私も目を通してみました。すごくわかりやすい説明でしたし、私でも、経営の状況とか、それから障害者をどうやって雇用したらいいのか、読んだだけでも、大体、ああこういうふうにすればいいんだなというのがよくわかりました。非常によく編集されているなと感じました。
 ところが、事業主がこのハンドブックを見て理解をすることと、そしてその先の、じゃあ我が社でも雇用を検討してみようかと真剣に取り組むということは、また別次元なんですね。ここに、意識の格差がある関係でなかなか雇用率に結びついていかないという実態があるわけです。
 このハンドブック、せっかくつくったんですから、このハンドブック、配布をするというふうに説明をお聞きしましたけども、配布も大事です。けれども、私が見た限り、このハンドブックというのは、配布するだけではなくて、事業主、企業者側が集まる機会で、あらゆる機会に詳しく説明する。また、こんな例があるんですよ、こういう疑問に対してはこう対応したらいいですよというふうなアドバイスをすることによって、随分理解が進むかと思います。それが結局、企業側の理解を深めて、雇用機会の拡大につながると思います。こうした企業側、事業者側の理解を深める機会を多くつくるべきだと考えますが、いかがでしょうか。

○小田雇用就業部長 先ほど申しました障害者雇用促進ハンドブック、これは、二万部作成、配布して、あるいは関係機関と連携して企業向けのシンポジウムを開催して、普及を図っているところでございます。
 障害者の雇用の促進を図るためには、企業が、障害者雇用に係る法制度、雇用する場合の具体的な留意点について十分理解していただくことが必要でございます。
 このため、ご指摘のありましたように、企業向けセミナーの一つといたしまして、このハンドブックを活用した講座の開催について検討してまいりたいと思います。

○橘委員 次に、テーマを変えまして、航空機産業への中小企業の参入支援について伺います。
 産業労働局の平成十九年度の新規事業として、航空機産業への参入支援がありますけれども、まず、十九年度の事業概要と成果について伺います。

○三枝商工部長 航空機関連産業参入支援事業についてでございますが、平成十九年度は、航空機産業への参入を希望する企業を対象に、航空機産業の現状や品質管理の重要性等に関するセミナーを開催したところでございます。このうち、参入支援セミナーの第一回目には、募集枠二百五十名に対しまして四百名を超える応募がございました。
 また、これらのセミナーの参加企業を対象にいたしまして、大手航空機メーカー並びに整備事業者の施設見学会を三回、また、航空機関連企業が外注先の企業に求める条件等に係る講演会を五回、それぞれ開催したところでございます。
 さらに、専門家による技術的なアドバイスを希望する中小企業に、航空機メーカーのOBなどの専門家を派遣いたしまして、直接現場で指導等も行ったところでございます。
 セミナー等への参加企業からは、参入に向けた具体的な準備を進めることができた等の声が寄せられているところでございます。

○橘委員 私、又聞きなんですけれども、こうしたセミナー関係に出られた企業側、中小企業の経営者の皆さんからは、又聞きなんですけれども、すごい熱気があるセミナーですよといった話を聞きました。それだけやはり注目度というのは、この新しい分野、中小企業とは今までは合致しないのかなという分野でしたけれども、それが物すごい情熱を持って吸収しようという、そういった意欲が感じられる状況になっているのかなと思います。
 航空機産業は、ご存じのように成長性の高い産業分野でありまして、関連産業のすそ野が非常に広いという、そういった認識は私もあるんですけれども、ただ、テレビや新聞で見る限り、アメリカの航空産業から連想しますと、広大な土地を必要として、しかも地域集積型の巨大な産業構造が必要なのではないか。そういった考えがこびりついております。
 したがって、土地が狭い東京で、しかも小さな工場が多い東京で、果たして航空機産業は将来的にも発展していけるのだろうかという、素朴な疑問ですけれども、私は持っています。
 そのような状況の中で、都が航空機産業の育成に力を入れようという、そういった取り組みをした意義について伺います。

○三枝商工部長 航空機の部品点数は三百万点を超えるといわれてございまして、自動車の三万点と比較をいたしましてもはるかに多うございますことから、航空機産業は、先生ご指摘のとおり、すそ野の広い産業でございます。また、今後二十年間の需要予測におきまして、高い伸びが予想される、極めて有望な分野でもございます。
 しかし、参入に当たりましては、安全性を確保する観点から、高い技術力と品質管理能力が強く求められてございます。
 中小企業にとりましては、航空機産業への参入に向けて、技術力や品質管理能力の向上に取り組むことで、経営基盤を強化することが可能となります。また、そうして培いました高い技術力や品質管理能力を他の産業分野にも生かすことで、東京のものづくり産業全体の活性化が図られます。
 こうしたことから、東京都が、航空機産業に参入しようとする中小企業を支援することは、大変有意義であると、かように認識をしてございます。

○橘委員 十分理解できました。
 現在、我が国では、国産旅客機のYS11以来、約半世紀ぶりに国産初の小型ジェット旅客機の事業化が決まりました。航空機産業が大きな成長分野として非常に期待があるようです。
 そのパーツ製造部品に高度な技術力を持った東京の中小企業が数多く参入することは、東京の産業の新たな活性化につながる。これはやはり今部長がおっしゃった、そのとおりだと思います。
 さて、そうするためには、今後、技術的な課題であるとか、製造コスト、それから製品の輸送体制、補助金等、多くの課題があるかと思います。
 そこで、そうした課題に対する都としての取り組みを含め、将来的な方向性について認識を伺っておきたいと思います。

○三枝商工部長 航空機産業への参入に係る将来的な課題でございますけれども、大きく分けて二点あるかと考えてございます。
 第一に、航空機産業は、品質管理が、先ほど申し上げましたように大変厳しく求められますことから、参入する場合には、各企業ごとに航空宇宙独特の品質管理システムの認証、具体的にはJISQ九一〇〇と申しますが、これを取得をすることがまずもって不可欠でございます。
 第二に、中小企業は、すぐれた技術力がございましても、それをアピールをする機会がなかなかございません。展示会への出展等により、直接航空機メーカー等にこうした技術力を認知をしてもらうことが重要でございまして、そのための機会、場を確保することが課題となってございます。
 これらの課題を解決いたしますために、今後とも、認証取得への支援や専門家の派遣、航空機メーカーとのマッチング事業等を積極的に展開をいたしまして、少しでも多くの都内中小企業が航空機産業へ参入できますよう支援をしてまいります。

○橘委員 概略お聞きしたわけですけれども、航空機産業、すごく将来性はある、すそ野も広いわけですけれども、それなりにまた高度な技術力を必要とする、それから技能者も必要とするという、そういった分野であろうかと思います。
 そうした中で、私の地元であります板橋区の企業の中にも、この航空機産業の参入に意欲を燃やしている企業が数社ございまして、そして、いろんな展示会等でも活躍されているようであります。今まで、板橋の中で航空機産業にずっと歴史的な取り組みがあるという、そういった町ではございませんけれども、ここに至ってそういう産業に参入するという、そういう情熱を持った企業が続々と出てきている。
 こうした板橋の新時代に向けての新しい産業の芽が芽生え始めたのかなと、そういった印象を持っておりますけれども、この高度な技術を要する分野の中で、この板橋が持っている技術力、そして将来的な可能性などについて、これは商工部長としていろんな把握はされていると思いますけれども、その板橋の産業のこれからの発展性について、認識を伺いたいと思います。

○三枝商工部長 航空機産業への参入支援セミナーに参加をした都内中小企業の中には、高い技術力を持った企業が少なからずございまして、こうした企業に対しまして、大手航空機メーカーも関心を示してきているところでございます。
 こうした企業の中には、先ほど先生おっしゃいましたが、板橋区内の中小企業も含まれてございまして、同区内の中小企業が航空機産業へ参入する可能性は大いにあるものと期待をしているところでございます。

○橘委員 支援のほど、十分実態を把握しながら、支援をよろしくお願いしたいと思います。
 今月、横浜市のパシフィコ横浜で行われた国際航空宇宙展というのがございましたけれども、中小企業の持つ航空機産業関係の先端技術、ここでは非常に注目されたというふうに報道されておりました。商談も非常に活発であったというふうに報道されておりました。
 都としても、航空宇宙展のようなイベントを開催して、航空機産業参入に意欲を持つ中小企業の励みになるような、そういった取り組みを強力に後押しする、そういった体制をつくっていただきたいということを要望いたしまして、質問を終わります。
 以上です。

○東野委員長 この際、議事の都合により、おおむね十分間休憩いたします。
   午後二時五十二分休憩

   午後三時二分開議

○東野委員長 休憩前に引き続き分科会を開きます。
 質疑を続行いたします。
 発言願います。

○河野委員 私は、新銀行東京の問題、それから職業訓練の問題、商店街対策、この三つの問題について質問をいたします。
 最初に、新銀行東京について伺います。
 新銀行東京の昨年三月末の決算金額、当期純損失は五百四十七億一千五百万となっています。それ以前の累積損失が三百一億九千九百万余りありますから、合計するとここで既に八百四十九億、約八百五十億円の損失が発生しておりました。大変巨額の損失だと思います。
 最初に伺いたいのは、素朴な疑問なんですが、この時点で東京都はなぜこの新銀行東京の経営状態を正確に分析し、そしてこれ以上損失が発生しない、そのための決断をしなかったのかということなんですけれども、この点お答えいただけますか。

○中村金融監理室長 新銀行東京は、資金繰りに窮する中小企業を支援するために設立したもので、その理念は当時も今も不変でございます。一刻も早く再建を果たすことが重要であると考えております。
 この間の経緯でございますけれども、新銀行東京が平成十八年度中間決算において、経常損益が一層の改善を必要とされる状況になったことから、都は経営の健全性確保と中小企業支援の充実に向け、抜本的な経営計画の見直しを要請したところでございます。
 さらに、平成十九年三月期決算時の深刻な経営悪化を受け、経営陣の交代が必要であると判断し、役員の刷新や都職員の派遣を実施し、経営改善に当たらせるなど、都として速やかな対応を行ってきたところでございます。

○河野委員 最後の速やかな対応に当たったということなんですけれども、平成十九年三月決算の後も、二〇〇七年度の損失、約百七十億円とさらに追加出資四百億円ありましたね。計五百七十億もその後傷を深めることになったのではないかということなんですが、これは私だけじゃなくて多くの人が感じていることです。都は、この都民の感覚、思い、どのように受けとめておられますか。

○中村金融監理室長 今回、四百億円の追加出資という重いご議決をいただいたところでございますけれども、先ほどもご答弁申し上げましたけれども、新銀行東京は、資金繰りに窮する中小企業を支援するために設立されたものでございまして、今現在も一万一千社、一千億を超える中小企業に融資をしているというところでございまして、再建をさせるということが最も重要な課題であるというふうに考えてございます。

○河野委員 委員会の資料で、融資と保証の状況を出していただきました。中小企業への融資残高は七百五十五億円、その他の一千百三十億円に比べて比率としては少ないかなということがわかると思うんです。
 一方、保証についてなんですが、中小企業の残高が五百十一億だけで、その他はゼロとなっております。私は、新銀行東京が行ってきた保証についてお聞きしたいと思っております。
 まず、新銀行東京が各金融機関とこの保証についてどういう関係を持って進めてきたのか、審査の仕組みとか業者との関係ですね。借り入れというか保証をつけてもらう業者の方との関係とか、具体的にその仕組みについてご説明をお願いいたします。

○中村金融監理室長 新銀行東京の一連の保証の手続というご質問でございますけれども、新銀行東京が行う保証の審査についてでございますけれども、提携する信用金庫が融資審査を行った後、新銀行東京が保証審査を行っているものでございます。
 新銀行東京の審査に当たりましては、決算書類等の定量的な評価に加えまして、資産の保有状況や取引状況、信用情報など定性的な調査も行ってございます。こうしたことを総合的に勘案して、保証の可否を審査しているというところでございます。

○河野委員 保証なんですけれども、制度融資で中小業者が借り入れをする場合に、都の信用保証協会の保証が必要になります。経営が厳しい中小企業は、本当にわらをもすがる思いで保証協会に足を運んでいるんですね。保証協会側は、リスクを少なくするために非常に厳正な審査をしています。
 新銀行東京の保証の審査は、今、地域の信金との関係でご説明いただきましたけれども、その新銀行東京と保証をつけてもらう業者の人たちの間に入る信用金庫が決算書や財務諸表、今部長がご答弁になりました資産の状況などについて、必要な審査をそろえる、これを任されていたんじゃないんでしょうか。直接新銀行東京が保証先の中小業者の方と接触するとか、会って経営の状況を確認する、こうした努力は行われてきたのでしょうか。

○中村金融監理室長 先ほども申し上げましたとおり、新銀行東京の審査に当たりましては、決算書類等の定量的な評価に加えて、資産保有状況、信用情報など定性的な調査も行って、保証の可否を審査していると申し上げたところでございますけれども、経営者との面談とか現場調査は信用金庫自身が融資審査の中で詳細に行っているということでございますので、特に必要があると認めた場合を除きまして、新銀行東京としては行ってございません。

○河野委員 この保証で融資額の八〇%を新銀行東京が保証するということでは、新銀行東京がかなり比重の重い中小企業支援策のお金を出していくわけなんですけれども、そういうやり方がよかったのかどうかというのは、これから検証されていくんじゃないでしょうか。
 私、新銀行が開設して間もなく、一千万円の資金繰りのための融資を地元の信用金庫に申し入れたという業者に会いました。信用金庫からは、もう貸付枠いっぱいだから、新銀行東京の保証で資金の調達をする方法があるよということを教えてもらって、新銀行東京に保証を申し込み、一千万のうちの八〇%ですから八百万の保証をつけてもらったそうです。信金が二百万の融資を足して、一千万調達したんです。
 その借り入れたお金についてなんですが、信用金庫の利子は三・七%です。新銀行東京の保証の利率は、私、書類を見せてもらいましたけど、七・七%というふうになっていました。
 しかも、七・七%、八百万に対して五年間の保証ですから、五年間の返済で申し込んでいるわけなんですけれども、この五年間の八百万の保証に対して、七・七%分が一遍に差し引かれて新銀行東京の方に行くという仕組みになっているわけですね。ですから、八百万保証をつけてもらって、新銀行東京からお金が来ても、この方の場合、残ったのは六百三十万余りしかありませんでした。
 信用保証協会の保証料の利子、パンフレットなんか見てみますと大体二%ぐらいですから、新銀行東京が七・七%という利子で保証の仕組みをつくったのは、余りにも高額だったんじゃないかというふうに感じてしまいます。
 高い利子の上に、五年分の保証料、この方の場合百七十万ですが、これが一遍に差し引かれてしまう。こんな中小企業に厳しい仕組みがなぜつくられたのか、私は理解ができないのでご説明を求めます。

○中村金融監理室長 利率のお尋ねでございますけれども、融資に際しての金利水準というのは、それぞれの金融機関において、企業の業績とかいろいろな返済見通しなど、総合的に勘案して決定しているというものでございます。
 今回、融資のところのお尋ねだったわけでございますけれども、新銀行東京自身としては、地域の金融機関の担い手である信用金庫と手をつなぐことによって--この融資の協調保証につきましては、実績としては累計でいうと一万件に近い、七千件を超える実績等がございまして、利率等はその時々の金融機関等の関係によるものでございますけれども、中小企業の資金繰りの支援に役割を果たしてきたというふうに考えております。

○河野委員 おっしゃるように、もう貸付枠いっぱいだから、信金のほうでは厳しいよと。新銀行東京がそういう制度を持っているから使ったらどうですかといわれたときは、その人は大変救われた思いがして申し込んだわけですよね。でも、実際に手元に残ったのは、今私が申し上げたような金額であったということで、その人はちょっとびっくりしたというか、そういうことを率直に感想として漏らしておられました。
 新銀行東京の問題なんですが、江戸川ですけれども、地域には店舗がない金融機関です。保証で八百万を資金調達したこの方、いろいろわからない点が多いので、疑問なところを紹介先の信用金庫に聞いてみたらしいんですけれども、信金の人も、新銀行東京のいろいろな融資や保証の仕組みはほかの金融機関と違って、我々にもわからないことが多いんですよというお答えだったらしいんですね。
 条件変更についても結論が出るのが遅くて、ほかの金融機関なら大体一週間か十日くらいで返事が来るのに、新銀行東京の場合は二カ月ぐらいもかかってしまって、その間の延滞金の支払いも大変だったと、この人は率直に苦しかったそのときのことを話してくれました。
 中小企業を助ける、支える、今ちょっとご答弁でもおっしゃっておりますけれども、高利率の問題、それから条件変更の期間の問題、一遍に高額の保証料が引き取られてしまうというか、先取りされてしまうみたいな形のそういうやり方というのは、何重にも中小業者の皆さんにとっては苦しいものを押しつけられたんじゃないかと思うんですけれども、新銀行東京、そういう意味では中小企業に役立つ方策を万全にとられた経営方針だったのかどうか、この時点で改めて振り返ってみてお考えを示していただきたいと思います。

○中村金融監理室長 個別の取引の中身というものについては、なかなかお答えできる立場にないわけでございますけれども、先ほども申し上げましたとおり、例えば保証の実績でいえば五百億円を超えて七千件を超えるような融資実績がある。そういう意味においては、やっぱり中小企業の融資に役割を果たしてきたのではないかというふうに考えております。
 新銀行東京の業務が停止すれば、今いいました保証ばかりでなく、融資している分も合わせて一千億もの影響があるということでございますので、その融資を頼りに努力している中小企業やその他の従業員の、あるいは家族の関係者に重要な影響を及ぼしかねないというふうに考えてございます。
 個々のそれぞれのご事情はあるかというふうには存じますけれども、着実に再建に向けて努力していくというのが今の時点では重要であるというふうに考えております。

○前田次長 河野先生のご質問に補足いたします。
 今の話で、利率と、保証料率とそれから保証料の一括の支払いということと、それからいろいろな条件変更の手続に時間を要したと。この三点をお話しいただいたと思います。
 ちょっと順番は逆になりますが、金融機関としていろいろな条件変更の手続に時間がかかったということであれば、それはお客様にサービスが十分だったかという点については疑問がありますので、今後そういうことのないように指導してまいります。
 次に、保証料の一括払いですけれども、信用保証協会でも原則として保証料は一括払いでございます。
 それから、保証料率の問題でございますけれども、今のお話をもとに考えますと、信用金庫の通常の貸出枠はもう使い切られたということでございますので、さらに貸すということになれば、通常、金融機関にとってはリスクが高くなるということになります。したがいまして、そのリスクに見合う利率を一般的にはいただくということになりますので、利率が通常の場合より高くなるということは、金融の仕組みからしてある程度やむを得ないことかなと思います。
 借りる方からすれば利率は安いにこしたことはないでしょうけれども、今お聞きします状況から見れば、それが高いから問題だとは一概にはいえないというふうに思います。

○河野委員 リスクの高いところに貸し出すから、利率も高いと。ハイリスク・ハイリターンだという考え方かもしれませんし、私もことしの予算特別委員会などで知事が、今、新銀行東京を使っている中小業者の皆さんを守るんだという答弁もずっと聞いてきまして、本当にそうなのかなというふうなことが心の中の疑問として解けませんので、その点は今のご答弁でも納得いかないということを申し上げておきます。
 委員会の資料によりますと、二〇〇七年三月期の累積損失一千十六億、そのうち私たちが聞いているもので四百六十億は融資による焦げつきから発生したものと聞いています。残りの損失の内訳を示していただきたいんです。
 それで、あわせて新銀行東京がこれまで代位弁済なんかが行われてきたのかどうか、行われていたのであれば、その数字などについても具体的にお示しをいただきたいと思います。

○中村金融監理室長 二点のお尋ねだったと思いますけれども、十九年度末の累積損失は一千十六億円ということで、設立以来の経常収益は約二百六十億円、費用は約一千二百七十億円となってございます。
 この費用には、先ほどご紹介ありましたけれども、不良債権処理額が四百六十億円含まれてございまして、そのほか一千十六億円の費用ということでいえば、営業経費等が四百八十億円等々が含まれているということでございます。
 不良債権処理額四百六十億円の内訳でございますけれども、融資及び保証別の内訳ということにつきましては、新銀行東京は公表してございません。
 代位弁済額についてのお尋ねもございましたけれども、一般に他の民間保証会社は代位弁済額を明らかにしてございません。新銀行東京も同様でございます。

○河野委員 先ほどもお隣の山口委員が質問しましたけれど、新銀行東京はやっぱり東京都が出資者として最大の金額のお金を出しているわけですよね。公的位置づけを持っているというふうにみんな思っていますし、私たちもそういう認識です。
 そこが、都民が求めた場合に、銀行側の方針だから四百六十億円の中身がいえないとか、代位弁済についてもほかの民間企業と同じだというような答弁はどうしても納得がいきません。
 四百六十億、融資による焦げつきと聞いているんですけど、もう一回確認させていただきますが、ここには先ほどの新銀行東京が行った保証によって発生した焦げつきといわれているようなものも含まれているのでしょうか。

○中村金融監理室長 融資、保証の実績を合わせたものでございますので、当然保証も含まれてございます。

○河野委員 そこはわかりましたけど、割合とか金額はいえないということで、これはとても問題があると思いますから、都は改めて何かの形で努力して、都民に情報公開をするべきだと思っています。
 新銀行東京の問題で、私、最後に伺っておきたいんですが、二〇〇七年度末に再建計画を出して、これがいろんな評価はありますけれども、多くは絵にかいたもちともいわれて、およそ中小企業に役に立つような金融機関として再建していくのは難しいだろう、役割を果たせないだろうといわれているわけです。
 現実に中小企業が多い私たちの江戸川区でも、事業者が顧客になろうとしても、お店は新宿に一店だけですよね。ATMもなくなっております。地域、都民に密着した銀行になれるという見込みはちょっと立っていないわけなんですけれども、これまでおっしゃってきた地域の信金などと連携してということはあるかもしれませんけれども、やはり私は新銀行東京については、都民の何とかしてほしいといういろいろな意見がある中で、これ以上傷口を深くしないように都が決断すべきだと思うんです。
 その際には、やっぱり顧客になって誠意を持って取引をしてきた中小業者の方や、預金口座を設けてきた、そういう都民の方に損失を及ぼさないような対策をしっかりと講じながら、新銀行東京について東京都は撤退という方針を打ち出すべきときに来ているのではないかということを重ねて伺っておきますが、いかがですか。

○中村金融監理室長 今お話で提携ATMもなくなったという形なんですけれども、一部撤去されてございますけれども、みずほ銀行等、提携のATMはございますので、ここのところはご確認願えればと存じます。
 それとあと、店舗のお話だったんですけれども、新銀行東京、再建計画に基づきまして本店店舗一カ所に集約したところでございます。
 ただ、あわせて中小企業の利便性を確保するため、資金繰りを初めとした相談を行う融資相談コーナーを秋葉原など都内四カ所に開設したところでございます。
 担当者がちょっとわかりにくいというようなご指摘もございましたけれども、エリア別の担当制の導入とか、顧客別に担当者を定めまして、融資から回収まできめ細かく対応するといったことで、地道な努力は重ねているところでございます。
 再三のお答えになるわけですけれども、今までの融資実績等ありますと、やっぱり中小企業の金融においては、一定の役割を果たしているというふうに考えてございます。

○河野委員 じゃ、新銀行東京については、また今後ともいろいろな形で検証させていただき、質問する機会もあると思いますので、これで終わらせていただきますけれども、都民の多くは納得していないということを東京都は認識されるべきだと思っています。
 次に、職業訓練について伺います。
 二〇〇七年度は、今、都立職業能力開発センターというんですか、以前の訓練校ですね、その授業料が有料化された年度でした。二〇〇七年度の公共職業訓練関連の予算と決算についてご説明をいただきたいと思います。

○日請事業推進担当部長 職業訓練の予算、決算の状況でございますが、平成十九年度の公共職業訓練事業等に係ります予算額は四十五億六百九十六万円、決算額は三十七億一千三百三万円余となっております。執行率は八二・四%でございます。

○河野委員 決算の説明書を見ますと、歳入の収入減が生じた主な理由の一つに、職業能力開発事業の受講実績減七千六百四十八万となっています。公共職業訓練等の事業実績による減が三億五千八百五十七万。
 一方で歳出を見ますと、職業能力開発費の不用額が約八億七千五百万、執行率八二・三%と記されています。歳入歳出それぞれから見まして、職業訓練、能力開発の分野の施策が後退しているような数値だと感じているんですけれども、今、この受講実績減ということで、受講者が減っている原因は、昨年、二〇〇七年から実施されている入校選考料や授業料年十一万五千二百円という金額がありますけれども、そういう有料化が影響しているのではないかと感じます。これはどのようなご認識をお持ちでしょうか。

○日請事業推進担当部長 職業訓練の応募者数につきましては、これまでも社会経済情勢、あるいは失業情勢等に大きく左右されてきているところでございます。この間、近年、企業の採用意欲が非常に高まっておりまして、応募者が減少傾向にございました。
 他県におきましても同様な傾向が見られるものでございまして、授業料の有料化に伴う影響は少ないものというふうに考えております。

○河野委員 都立の職業能力開発センターに入ってくる人たちは、中学、高校の新卒者、そして今現在ついている仕事から別の仕事にかわりたいという意思を持った人とか、最近目立つのは、倒産や解雇によって失業者がふえていて、その人たちが訓練に来るということだそうです。
 都の職業訓練は、二〇〇一年までは無料でしたけれども、二〇〇二年に教科書の有料化、そして昨年から、今いいましたような入校選考料、授業料が有料化になっています。これの負担、都立高校と同じくらいの授業料の負担になるわけですが、収入の少ない若い世代が親御さんになかなかお金の応援を求めるのが心苦しいとか、失業者の人は自分の生活がいっぱいいっぱいの中でこの有料化は厳しいという声をそれぞれ学校の中でも上げておられるということを、私はこの場で東京都の皆さんにお伝えをしておきたいと思っています。
 厚生労働省がことし三月に勤労生活に関する調査というのを出しています。終身雇用支持が八六・一%と、前回行った調査の二〇〇四年よりも八・一%もふえている。終身雇用が望まれているわけですね。
 若い人が今正規雇用につきたいと願っても、技術などに自信がなくて、なかなか勇気が出ない、そういう回答を寄せている調査の結果もあるんです。先ほどは企業の採用意欲が高まってきたことが応募者の減少の一因になっているとご答弁がありましたけれども、自分で技術を習得したい、スキルアップしたいと望んでいる人はたくさんいるんです。
 そこでお聞きしておきますけれども、こうした正規としての終身雇用の要望が高まっているという状況のもとで、非正規雇用は一方では逆に増大しています。その中で、東京都が行う職業訓練、この重要性について都はどのような認識をお持ちでしょうか。

○日請事業推進担当部長 公共職業訓練は、産業基盤を支える人材の育成や求職者に対しますセーフティーネットとして大変重要な役割を果たしております。また、非正規雇用で働く方々が正社員を目指すためにも、技術の習得にも貢献しているものと考えております。

○河野委員 公共の職業訓練の重要性は認識されているということで安心したんですが、ドイツの例を申し上げたいと思います。
 ドイツはマイスター制度なども昔から有名で、ものづくりの技術の継承に重きを置いていて、こういう職業訓練は無償で受けられる、そういう国柄みたいです。
 ミュンヘン市などでは、十八歳未満の受講者に対しては、親御さんに訓練所に通うために経済的支援をするということで手当が支給される制度も設けられているそうです。
 若い世代の人たちの雇用や生活の安定を行政としてきちんと保証していくということで、職業訓練について、これまで都が進めてきた民間委託とか市場化の方向を今見直して、授業料などの有料化をやめ、訓練を受けたい人の経済的負担をできるだけ減らして、公共職業訓練の名にふさわしい方向に都政のあり方を改めるべきではないかと考えておりますけれども、先ほどご答弁ありました公共職業訓練は重要だという位置づけとあわせて、今、この情勢を踏まえてどのような方策をとることが若い人たちの就職をしたいという願いにこたえることができるのか、その点での都のお考えをお示しください。

○日請事業推進担当部長 職業訓練の民間委託に関しましては、第八次職業能力開発計画に基づきまして実施をしていきたいというふうに考えております。
 それから、授業料につきましては、受益者負担の観点から実施をしているものでございます。有料化に当たりましては、生活困窮者、あるいは障害者の授業料を免除するなどの配慮を行っております。したがいまして、こういった現制度を変更する考えはございません。
 また、求職者を対象といたしました一年未満の短期の職業訓練につきましては、現在も無料で実施をしているところでございます。

○河野委員 東京都のとっている方向は、職業訓練についてもほかの分野と同じように受益者負担という考え方が強いと思うんです。中学や高校を卒業して訓練を受けたくても、親に負担をかけたくなくて、そしてあきらめてしまうという若者もおります。
 対象が限られた今の負担軽減策、すべての分野の人に負担軽減策が適用されるのではなくて、非常に対象が限られているわけですから、それで事足れりとするのではなくて、職業訓練の重要性を再度とらえていただきまして、世界におくれをとらない技術の習得、能力の開発施策を進めるべきであると私はこの機会に強く申し上げておきたいと思います。
 訓練に携わる指導員の問題について次にお伺いをいたします。
 都の職業訓練には、非常勤講師の方が数多く受講者の教育に当たっております。職業訓練に携わっている正規職員の方の数、非常勤の講師の数、どういう状況にあるでしょうか。
 また、正規職員の指導員には都が毎年研修を行っているようでありますけれども、どのような位置づけで研修が実施され、研修回数などはどのくらいの頻度で実施されているのでしょうか。

○日請事業推進担当部長 都におきます職業訓練指導員が二百二十五名でございます。非常勤講師は、担当時間が少ない、月数時間といった方々も含めまして九百三十二名でございます。合計いたしますと千百五十七名でございます。
 また、都の指導員研修につきましては、技術革新やこれに伴う訓練科目の改廃、また、人事異動によって新たな科目を担当する場合などに、それまでの知識、技能、経験等を補完する、対応が困難なような場合に補完するというような見地から実施をしているところでございます。
 平成十九年度は、都が直接実施をいたします集合研修が六十七回ございました。また、最新技術習得のための民間企業、あるいは専門機関に派遣をいたしまして行う研修が百十三回ございました。合計で百八十回の研修を実施したところでございます。

○河野委員 科目もたくさんありますから、これくらいの頻度で数多く研修されていると思うんですけれども、これはこれとして大変重要なことだと私は思います。
 この研修なんですけれども、さっきいいました非常勤講師の方、比率にして八〇%を占めているというお答えでしたけど、この方々が毎年都に採用されるという雇用形態で訓練生の指導に当たっているわけなんですが、この非常勤講師の方が実は都の行う研修に参加できないという立場に置かれているのも事実なんです。
 私の知り合いで、職業訓練校といわれていた時代にトレーサーの指導に当たっていた人がいるんですが、コンピューターによってCADになりましたね。CADに変わったときに、都の指導員の人は都が研修をしますからそこに参加できるんですが、非常勤の人はそこに参加できませんから、自分で民間の教室に通ってCADの技術を習得せざるを得なくて、費用負担もかなりなものになったという話を聞きました。
 余りにお金がかかるので、仕方なくて非常勤の講師の人たち同士が相談し合って、コンピューターに精通している知人を頼り何とかマスターして、現場で生徒さんに教えられるということ、受講生に教えられるということになったようなんですが、私は、都が職業訓練の研修については、正規の職員、非常勤の職員ともに最新の技術、技能を同じように習得できるように配慮するべきではないかと考えます。希望する非常勤講師がいたら、都が行う研修の場に参加を保証する、そのような改善策が求められていると思うんですが、いかがですか。

○日請事業推進担当部長 非常勤職員におきましては、専門的な知識、経験を有しているということを条件に毎年採用しているところでございます。そうした知識、経験をもともと有していることから、正規職員と同様な専門的な研修を実施する必要はないものというふうに考えております。

○河野委員 とても冷たくおっしゃいましたけれども、今の時代、ITも日々いろいろな進歩があり、日進月歩じゃないんですけれども、技術、技能もどんどんと進化しています。こういう人を教えるという立場に立つ人が、そのときの最先端の技能や技術、最新の知識を身につけて教育に当たるというのが望ましいと思いますので、それを自己負担でしなさいというのではなくて、公共職業訓練であるのであれば、やはりそれは東京都も何らかの形で支援する、参加を保証するぐらいの思いやりがあっていいのではないかと思いますので、もう少し温かく見ていただきたいということをお願いしておきます。
 次に、商店街の対策についてお伺いをいたします。
 今、大型店の出店がどんどんと続いて、私たちが住む都内二十三区もそうだし、多摩もそうなんだと思うんですが、その一方で、大型店は出店するけれども、周りの商店街の衰退も大変厳しいものがあると思います。
 都内の総売り場面積に占める大型店の売り場面積、今、東京都が把握されている数字、二〇〇七年度でどんな割合になっているか、お伺いをいたします。

○三枝商工部長 二〇〇七年、平成十九年の都内小売店舗の売り場面積に占める大型店の売り場面積の割合でございますけれども、算出基礎となります大規模小売店舗の売り場面積につきましては、平成十九年六月一日現在で国が実施をいたしました平成十九年商業統計調査に基づき、今後東京都の総務局統計部において集計をする予定となってございます。
 なお、平成十六年、二〇〇四年でございますけれども、これに実施をされました同調査によれば、都内小売店舗の売り場面積に占める大規模小売店舗の売り場面積の割合は四四・三%と相なってございます。

○河野委員 私、聞き漏らしたかもしれないんですが、今、四四・三%という数字、大型店舗の面積としては五百平米とか、一千平米とか、自治体によってもとり方が違うようなんですが、東京都が把握されているのは何平米で……。

○三枝商工部長 東京都として大規模小売店舗のいわゆる売り場面積として把握しているのは千平米以上でございます。

○河野委員 江戸川区の場合は、売り場面積が五百平方メートル以上、前の大店法との関係があると思うんですが、それで大型店の売り場面積を計算しています。今、五七%という数字なんです。
 お隣は江東区なんですが、橋渡って、私たちはすぐ買い物に行くんですが、ここはすさまじくて、八〇%を大きく超えて九〇%近い、これも五百平米以上の大型店の総売り場面積に占める割合の数字なんですが、そういうことになっているようです。
 二〇〇七年度東京都商店街実態調査、インターネットで見たらこういうのが出ていますよといって持ってきましたけど、ここに、三年前と比べて大型店による影響はありましたかという問いに対して、商店街に来る人が増加したと答えたのは七・五%。しかし、減ってしまったといっているのは七〇・五ですね。十倍近いんですが、調査報告書にも圧倒的に減少したという答えが多いということが書いてあります。
 大店立地法以来、規制が緩んでしまって、大型店のどんどんとした進出が続いていて、その一方で商店街が衰退して、商店街に来るお客さんも減ってしまっているというのが今の商店街が置かれている現状だということ。これは多くの人がやっぱり認識されていると思います。
 私はきょう、江東区の例で質問をしたいと思っています。
 砂町、東砂のところにトピレックという、イオングループが進出している、大型店というかショッピングセンターがあります。その東砂に出るときに、その前のときはイオンは、かつては商店街と共存共栄の立場で営業活動を続けていたといっていたんですけども、もうそんなことはいっていられないと。弱肉強食の時代に入ったんだということでいっているようです。
 江東区にはほかに、東陽町にギャザリア、豊洲にららぽーと、本当にたくさんの集客能力を持つ大型店が出ておりますし、この十月九日には南砂にスナモという新しい、十数万平米の床面積を持つ大ショッピングセンターができました。
 橋を渡るとすぐですから、江戸川区の人も自転車に乗って買い物に出かけていったりしているようなんですけれども、江東区はこれから先に、平成二十二年にオープンということで、小名木川のJR貨物駅の跡地に二千百五十台の駐車場がつくイトーヨーカ堂の出店計画があります。そうなれば確実に、先ほど、もう九〇%近いといわれている江東区の大型店の総店舗面積に占める割合、これがもう相当、九〇%を超える状況になってしまうことは明らかだということを商店街の人たちは口々にいっています。
 南砂町にできましたスナモの場合にはどういう店舗の構成になるのか、このことについて直近の商店街、地元の商店街が二つか三つあるんですけど、そこの役員の皆さんに説明があったのはお店がオープンする六カ月前、大体さかのぼるとことしの五月ごろですが、その時点に初めて、電気はコジマが入りますとか、衣料はユニクロが入りますとか、食料はイオンがやりますとか、そういうことで、全体の構想を全く明らかにしないということがあったようなんですね。
 それまでは、心配している商店街の人たちが区や都に問い合わせても、ほとんど、いや、私たちはわからないということで情報が何も示されていないということが起こっていたようです。
 大店立地法というのは、商業調整がないということが一つの特徴みたいですから、そういうことが起こり得るんでしょうけれども、商店街を守るためには、今、東京都が広域行政として対策をとらなくちゃならない問題があると思うんです。
 一つは、地元商店街や地域住民との事前協議をきちんとする、商業調整をする。そして、示すべき情報については、隠さずに、やっぱり明らかに、みんなに伝えていく。そういうのを大型店に求めなくてはならないと思うんですけれども、東京都はこの広域行政の立場にありまして、大型店の出店の構成、それと地元商店街をどのように育成して発展させていくか、その問題についてどんなふうな対策をとろうとしているのか、お考えがあったらお示しいただきたいと思います。

○三枝商工部長 大規模小売店舗の出店につきましては、都といたしまして、先生からお話のございました大規模小売店舗立地法に基づく設置者からの届けがありまして初めて承知ができるものでございます。
 なお、同法では、大規模小売店舗の出店に当たりまして、地域的な需給状況を勘案することが禁じられておりますとともに、当該大型店への来客や物流による交通、環境問題等の周辺の生活環境への影響等につきまして調和を図るために必要な手続等が定められております。
 今後とも、設置者による地元説明会の開催も含めまして同法の適正な運用に努めてまいります。

○河野委員 私は、大店立地法による適正な運用で商業を見ているだけでは商店街を守れないと思います。
 専門家の局の皆さんですから申し上げるまでもないんですが、福島県はこの間、大型店の立地調整に関する内部検討を二〇〇二年度から開催して、そして二〇〇五年には大型店の地域貢献を促す仕組みの構築を、審議会みたいなのをつくって提言させ、そして県レベルで広域的な調整を行う条例を制定していると。こういうことがありますし、お隣の千葉県でも、中小企業振興条例を制定して、その条項の中に大企業者の役割を規定して、大型店については出店調整、商店街での活動の義務づけについてガイドラインをつくる取り組みをしていると。
 こういうことが行われているので、大店立地法があるから東京都はその法に基づいて見守っていくというような今のお答えでは、これからの商店街活性化ということでなかなか厳しいものがあるというふうにいわざるを得ないと思います。
 本当に困難な中で商店街の方々は努力しておられます。特に、新・元気を出せ商店街事業は東京都が応援してくれる貴重な事業であると、どの商店街に行っても歓迎の言葉が述べられています。この新・元気を出せ商店街事業、二〇〇七年度の予算と決算の状況についてお示しいただきたいと思います。

○三枝商工部長 二〇〇七年、平成十九年度の新・元気を出せ商店街事業の予算額は二十五億円でございまして、同年度の決算額は二十一億六千八百万円と相なってございます。

○河野委員 不用額が発生しているんですけれども、この新・元気を出せ商店街がイベントなどに活用できて大変ありがたいと喜ばれている一方で、さらに使いやすい制度に改善していただきたいという要望もあります。
 それは申請の時期の問題なんです。イベントに補助するのが主な制度ですから、一年間のイベントを年度当初に商店街が報告して、地元自治体から都に上がるというふうになっているみたいなんですが、今はとりあえず一年間で必ず行うイベントだけ、例えば年末年始とかお盆のセールとか、絶対やるのだけ書いておいて出しておこうよというのが多くの商店街の実情みたいなんですね。
 でも、途中で役員会などで、ああ、こういうこともやりたいねと、夏に金魚すくいもやってみようかとか、いろんなことを企画したときには、もうその新・元気を出せ商店街の申請の時期には間に合わないということになってしまっているようで、このせっかくの元気を出せ商店街事業の制度、使いやすい制度だといわれていますので、もっともっと使いやすい制度に、みんなの要望を受けとめて改善していくべきだと思うんですけれども、検討されたことはあるでしょうか。

○三枝商工部長 新・元気を出せ商店街事業のいわゆるイベント活性化事業の申請時期等の問題でございますけれども、この補助金につきましては、補助金の額の確定が二千件を超えるような件数を一件ごとに区及び都で調査をいたします関係で年度末に相なります。このことから、年度途中での追加申請を受け付けることはできないとなっているところでございます。

○河野委員 要望はありますので、ご検討ください。
 私はもう一つ、街路灯の補助についても伺っておきます。私が住んでおります江戸川区は、区が一〇〇%商店街に街路灯の補助をしております。お隣の江東区で聞いた、商店街の会長さんは--米沢さん、済みません、隣ですので、すぐそばなんで自転車で行けますから。そこはかつて百二十店舗加盟していた商店街なんですが、今はどんどんどんどん、もう月々三千円の会費を払うのもなかなか厳しくなったのでやめさせてくださいということで、四十数店舗しかないという状態で、それでも必死で商店街の活性化のために頑張っているんです。
 会費を払ってもメリットがないとやめていく会員がいる中で、この電気代の補助が商店街の財政にとって大変負担になってきているんですが、ここの会長さんを含め都内の幾つかの商店街の会長さんは、都がもう少し商店街への電気代の補助なども考えてくれるといいなということを述べておられますけれども、地元自治体と協議して、この補助のアップについて検討されたらいかがかと私は提案いたしますけど、どうでしょうか。

○三枝商工部長 都内の幾つかの区市町村で街路灯の電気代についての支援をしているところは承知しているところでございますが、新・元気を出せ商店街事業は、商店街の活性化に向けましたイベントなどの商店街の意欲的な取り組みを支援するものでございまして、街路灯の電気代等のいわゆる経常経費は補助対象としてございません。

○河野委員 ちょっと質問の趣旨が通じなかったみたいで、新・元気を出せとリンクした形で私はいったんじゃなくて、ほかにやり方がないですかという立場でいっていますので、これはこれとして、街路灯の補助も求められているということをご認識ください。
 それともう一点。今、エコ商店街とか、人に優しい商店街とか、いろいろな形で商店街の特質を出そうという努力もされています。
 私が伺いました商店街、一つのところでは、高齢者の方や障害者の方に優しい商店街通りをつくろうということで、商店街の予算でベンチを購入して、そしてお店の協力を得て何十カ所かにベンチを置いて、お花の鉢も置いて、そこに休んでもらえるような対応をしてとても喜ばれているそうです。高齢者の方がよく休んでいるというのが皆さんの感想でした。高齢社会の中でとてもよい企画だと自信を持ったというお話も聞きました。
 ベンチとか、あるいはミニいすなどを商店街に設置して、体の弱い人や高齢者に配慮するのはとてもいいことだと思うんですが、私はこうした取り組みを東京都が応援するのも必要じゃないかと思います。
 特に今、産業労働局では、林業の振興ということで多摩の山から切り出されてくる多摩産材を活用して林業を育成していこうということも強調されているわけですから、ベンチとかミニいすを多摩産材でつくって、そして商店街に配置するというようなことを産業労働局の各部が連携してアイデアを出して仕組みをつくっていけば、商店街も助かるし、林業振興、産業振興、そこにも力が発揮できると思うんですが、そういう商店街を中心として他の産業が活性化するような、特に多摩の林業問題で今、多摩産材の活用を申し上げましたけれど、こういう施策をご検討いただきたいと思うんですが、どうでしょうか。

○三枝商工部長 私どもの施策として多摩産材の活用は非常に重要な課題でございます。都内の商店街がこうした多摩産材に着目をいたしまして、これを活用したベンチ、あるいはミニいすを商店街が設置する取り組みにつきましては、これが来街者の利便性の向上に寄与するものであれば、新・元気を出せ商店街のメニューの一つである活性化事業によりまして支援することは可能でございます。

○河野委員 ぜひ地元自治体や商店街の皆さんともご相談いただきまして、そういう道を切り開いていただけるようにお願いしておきたいと思います。
 最後に、商店街の問題で空き店舗の問題を伺います。
 お店を借りたくても、開業して頑張りたくても、資金繰りがままならないという人たちが少なくありません。空き店舗に出店を希望するお店がある場合に、都が一定の基準を設けて、敷金や権利金、これはまとまったお金が必要になるわけなんです、数十万とかの単位で。それを助成する出店立ち上がり支援制度みたいなものをつくったらどうかという意見を出している商店街もあります。
 意欲ある人が出店することは、今、全体的には商店街が、後継者がいない、後継ぎがいない、高齢化しているという嘆きの声が聞かれる中で、やっぱりそこに活力を吹き込むものになると思うんです。
 都は空き店舗対策としてこれまで家賃補助などを実施されてきましたけれども、今回私は、出店を支援する空き店舗解消のための立ち上がり補助制度、こうした制度の創設を求めたいと思っているんですけれども、いかがでしょうか。

○三枝商工部長 空き店舗を活用した事業につきましては、新・元気を出せ商店街事業のメニューの一つでございます活性化事業によりまして、例えば事業開始に当たっての店舗改装や事業に必要な設備、備品等の購入に要する経費、あるいは店舗借り上げの家賃等を支援しているところでございます。
 なお、お話にございました、敷金、礼金につきましては、例えば敷金は、借り主が善良な管理者の注意をもってきちんと店舗を使用した場合には将来的に返還される経費でございます。また礼金は、いわゆる儀礼的な性質を持つ経費でございますことから、補助対象とはしてございません。

○河野委員 とにかく、いろいろできないこともたくさんご答弁いただきましたけど、何ができるかというのをやっぱり知恵を出して、産業労働局の皆さんが、雇用の問題でも、商店街の問題でも、その他きょう出されたいろんな問題がありますね、もっともっと知恵を出していただけるように、それで、都民がどういう生活状態、営業状態にあるかをよく調べて、施策を打ち出していただきたいと思っています。
 特に、商店街の問題では、都が調べた実態調査の中にも、どんどんどんどん商店街の数が減っている。平成十年に比べても、本当に数百の商店街が減っているという厳しい状況がありますので、ここをしっかり応援していくことがやっぱり地域の人たちの生活を支える根幹にもなると思いますので、ご努力を求めまして、そして、予算もしっかりととっていただきまして努力してくださることをお願いして……(発言する者あり)予算をとっていないから賛成していないんですよ。とってくださいね。
 以上です。

○林田委員 産業労働局が取り組んでおります森林再生施策の中で、林道、作業道の整備促進についてお伺いいたします。
 本年三月の予算特別委員会においても、この対策をどうするか、実は質問させていただきました。森林再生については、機会あるごとに申し上げてまいりましたけれども、平成十四年、石原知事が知事に就任され、すぐ、荒廃が進む多摩の森林を再生しようということで、各局がそれぞれ施策を掲げてスタートいたしましたことはご承知のとおりであります。
 産業労働局は、よみがえれ東京の森、環境局が東京の森再生計画、また建設局や知事本局、水道局も施策の中に取り入れてくれました。これもすべて、東京の森林を再生することによって、東京の緑を守り、そして、緑を守ることによって、今進みつつある地球温暖化に少しでも歯どめをかけていくという大目標のもとに、まさに人類の存亡にかかわるような重要な施策であるからであります。
 石原知事は、施策を策定し、進めるに当たって、いつも国が漫然として進まない政策に対して、地球温暖化対策もそうですが、東京から進める、東京が変われば国も変わる、東京から国へ施策を発信ということを常に申され、私たちも共感しているところであります。
 東京の森林、多摩地域の森は、二十三区の面積に匹敵する約五万ヘクタールの面積があります。都民に対して、水道の水の供給や災害防止、そして何より多摩の森林によって二酸化炭素、CO2を吸収し、貯蔵するという大きな役割を果たしております。
 しかし、今、東京の森は現実、荒廃が進んでおります。長引く木材価格の低迷によって、木を切り出すことが少なくなった。また、シカの被害によって森が荒らされ、裸山になっている。花粉症対策も大きな問題になっております。
 各局それぞれ、森林の再生に取り組んでいることは評価いたしますが、何といっても、五万ヘクタールという膨大な面積です。施策が思ったより進まない、進んでいないというのが実態ではないでしょうか。
 では、どうするのかであります。私は予特のときに申し上げましたが、膨大な面積を有する森林の再生です。時間がかかることは当然ですが、再生においてまず最優先にやるべきことは、基盤整備の基幹である林道、作業道の整備促進であると思っております。林道や作業道をつくらなければ、人が山に入ることも、山から木を運び出すこともできないわけで、幾らいろいろな施策を行おうとしても、十分な結果は期待できないと考えております。
 例えていえば、家を建てるときに、まず足場をつくります。足場は、家が建てば取り壊します。むだなようですが、必要なことであります。
 また、山全体、森林全体を人間の体に例えますと、森林に林道という大きな動脈、作業道といういわば毛細血管を通すことによって生きていけることだと思います。森林が健康に育成できるわけであります。それが森林再生のための早道だと思っております。
 森林作業道の必要性を申し上げましたが、そこでまず多摩地域における平成十八年度と十九年度の林道開設の進捗状況についてお伺いいたします。

○産形農林水産部長 多摩地域におきます林道開設の状況についてでございますが、平成十八年度には一千八百五十三メートルを開設し、平成十九年度には一千七百四十九メートルを開設しております。

○林田委員 林道の開設規模は毎年二千メートルにも満たないというお答えをいただきました。五万ヘクタールの森林を再生していくのに、いかにも整備が進んでいないようであります。
 ところで、林道等の整備状況の指標として、森林一ヘクタールに当たり何メートルが整備されているのかをあらわす林内路網密度というのがありますけれども、全国と多摩の林内路網密度を教えていただきたいと思います。

○産形農林水産部長 全国と多摩の林内路網密度についてでございますけれども、直近の数字では、平成十七年度末という数字になりますが、全国平均では、森林一ヘクタール当たり二十・一メートルの路網密度となっており、一方、多摩の森林では、一ヘクタール当たり十二・九メートルの路網密度となっております。

○林田委員 全国に先駆けて何でもやろうという東京都がばかに少ない。全国と比較して、かなり少ないというご答弁をいただきました。CO2の削減を東京から発信するという施策の中で、これではどうにもならないと思います。
 そこで、都における現在の林道開設の計画について伺います。

○産形農林水産部長 林道開設の計画につきましては、国の全国森林計画に基づき、都道府県が地域森林計画で策定することとなっております。
 平成十八年に策定いたしました多摩地域の地域森林計画におきましては、平成十八年度から平成二十七年度までの十年間において、五十七キロメートルの林道開設を計画しております。

○林田委員 林道整備の計画がある。説明にあった計画では、ざっと計算して、年間五千メートルの林道開設が必要となるわけでありますけれども、実際には二千メートルにも満たない千七百メートル、千八百メートルということで、まことに残念であります。
 計画どおり進まないのは何が原因であるか。何か工夫している点があれば、教えていただきたいと思います。

○産形農林水産部長 多摩の山は急峻かつ地形が複雑で、林道工事には多額の経費と時間が必要でございます。また、小規模の森林所有者の方が多数存在することから、所有者との調整に多くの期間が必要となり、迅速な林道開設が難しい状況にございます。
 このため、複雑な地形に配慮した設計や急峻な地形に合わせた工法の工夫を行うなど、林道の効率的な開設に努めております。
 また、平成十九年度からは、林道より幅員が狭くなりますが、迅速な開設が可能な作業道の整備を開始しております。

○林田委員 予特で私が質問したときに、佐藤局長の答弁も全く同じでございまして、多摩の山々は急峻かつ地形が複雑で、林道工事に多額の経費、時間がかかるというご答弁をいただいております。さらに、今後ともさまざまな工夫をして作業道を進め、林道整備を積極的に進めていくと、そのときもおっしゃられました。
 林道を開設するためのご苦労は大変よくわかります。しかし、山は、多摩の山に限らず、大体急峻なものなんだと思います。急勾配であるのが山であります。計画は五千メートル、しかし、結果は千何百メートル、やっぱりこれでは森林再生はほど遠いのではないかと実感として感じているわけであります。
 私は、森林整備については全くプロではありませんけれども、産労局の森林担当者や東京都森林組合の方々や地場産業で製材に携わっている方々の意見やお話を伺う中で、私も都議会議員を七年間、森林再生に取り組んできた中で、大きな結論の一つが、これがすべてではありませんけれども、一番必要不可欠なことは、まず林道、作業道を一日も早く、少しでも長くつくることが大事なことで、関係者の切なる要望であるということも実感として感じているわけであります。
 そして、初めて、林道ができ、そして作業道が通れば、間伐の作業も、多摩産材の活用も、シカの食害対策も、花粉症対策も進むわけであります。
 そこで、最後に、森林整備の根幹となる林道整備促進に対する考え、今後のご決意をお伺いいたします。

○産形農林水産部長 先日、東京都農林・漁業振興対策審議会から、豊かな都民生活に貢献する森林の整備と林業振興の方向についての答申をいただきましたが、その中においても基盤整備としての林道の重要性が強く述べられております。
 先生ご指摘のとおり、多摩の森林は地球温暖化対策に貢献するとともに、水源の涵養や土砂災害の防止など、多くの機能を果たす、都民にとってかけがえのない財産でございます。
 この森林の整備を促進するためには、基盤となる林道や作業道等の整備が不可欠であると認識しております。整備にはさまざまな課題もございますが、今後とも林道、作業道などの整備促進に積極的に取り組んでまいります。

○酒井委員 それでは、私からは都市農業に関連をした課題について質問させていただきます。
 この数年、賞味期限の改ざんや、また食肉偽装、さらには中国産の冷凍ギョーザへの農薬の混入など、国民の食の安全に対する信頼は大きく失墜しております。
 このような中で、今度はカビや残留農薬等による、食用に適さない事故米が食用として流通していた事件が発生し、農林水産省もその事実を検査によって見抜くことができていなかったなど、不信感がさらに増幅している状況にあります。
 都内における食の安全や、また都市農業を管轄する産業労働局においては、さらにその役割といったものが増していることと思います。
 そこで、平成十九年度における農業生産物に対する安全性の確保並びに周知、さらには都民にとってその生活圏で生産されていることから、安全性においても目に見えやすい都市農業への支援について質問いたします。
 まず初めに、農業生産物の安全性の確保のため、産業労働局としてはどのような取り組みを行っているのか、お伺いをいたします。

○産形農林水産部長 食の安全・安心への関心が高まる中、都内産農産物の安全性を確保するためには、農薬の適正使用指導が一層重要なものとなっております。
 このため、当局では毎年、農薬安全使用講習会やリーフレット配布等による農薬使用者の意識啓発、農薬を扱う人を指導する農薬管理指導士の認定、育成など、農産物の安全確保を図っております。
 さらに、農薬が適正に使用されていることを確認するため、農産物の残留農薬検査を実施しております。

○酒井委員 ただいまのご答弁の中でも農薬に関するお話があったわけですけれども、消費者にとって農業生産物に対する不安のトップは、やはり残留農薬の問題であると思います。しかし、多くの都民は農薬に関して、漠然と不安を抱いているのではないでしょうか。
 私もことしの春、地元のある農家に行って話を聞いてきたところ、日本では、すべての作物と農薬の組み合わせで残留基準値が設定されており、この基準値を超えると、同じ畑でつくっている農作物が出荷できなくなるばかりか、その地域の他の農家や農作物まで風評被害を受ける可能性があるとのことでした。それゆえ、都内の農家は、都が作成した病害虫防除指針に基づき、細心の注意を払いながら、各農薬に定められた使用基準を守って使用することはもちろんのこと、農薬の散布回数を減らす努力や、また周辺作物に農薬がドリフトしないよう工夫をしているとのことでした。
 農薬の問題が取りざたされている中で、現在、無農薬野菜なるものがとりはやされている面もありますが、都市農家においては、詳細な基準に従い、細心の注意を払って農作物を生産しています。消費者の多くは、漠然とした農薬の危険性ばかりに目がいきがちですが、こうした農家の取り組みや農薬についての正しい情報が十分に伝わっていないように思われます。
 そこで、都として、農薬が適正に使用されていることをもっと都民に理解してもらう必要があると考えますが、所見を伺います。

○産形農林水産部長 東京の農業者は農薬を適正に使用しており、東京の農産物が安全であることについて、都民の皆様の理解を得ることは大切なことであるというふうに考えております。
 このため、都は区市町村や生産者団体とも連携して、都民と農業者が参加する現地見学会や懇談会を各地域で開催するなど、農薬の適正使用の実態や農産物の安全性に関する都民の理解を深めるための取り組みを進めております。
 また、農薬について、東京に適した使用方法などをまとめた病害虫防除指針を都独自に作成し、一般都民に対してもホームページで情報を提供しております。

○酒井委員 ただいまのご答弁の中で、一般都民に対してもホームページで情報提供をしてまいるといった答弁をいただきましたが、この情報提供に関して、もう一点、ぜひとも取り組んでいただきたいことがございます。
 それは、近年、プランター等での家庭菜園や、また市民農園を楽しむ家庭も多いようですが、これら農園での栽培について、小まめに手入れをしていれば問題はないわけですけれども、放置をしておくと、病害虫の発生場所になってしまうという問題があります。
 住宅地と隣接している都市農家にとっては、自分の畑を適正に管理していても、周辺の市民農園等から病害虫が飛来するなど、市民農園が発生源となって新たな病害虫が発生する心配があります。
 場合によっては、市民農園が適正に管理されていないと、結果的に農家の農薬使用がふえることにもつながりかねません。
 最近、都内で新たに発生し、トマトに大きな被害を与えるウイルス病については、市民農園も発生源の一つであるといわれており、市民農園への対策が必要であると指摘をされております。
 病害虫の発生源を減らし、農薬の散布回数を少なくするためにも、市民農園などを楽しむ一般市民に対して、畑を適正に管理するよう求めていくことも必要と考えますが、所見と平成十九年度における取り組み状況についてお伺いをいたします。

○産形農林水産部長 市民農園等の管理が行き届いていない場合には、病害虫の発生原因となるおそれがあるため、利用者に対して適正な管理を求めていくことが必要でございます。
 都は、市民農園の設置者であります区市町村や農協が利用者向け冊子を作成する際に、病害虫対策や収穫管理などに関する情報の提供などを行っております。
 また、ご指摘のトマトの新病害のように緊急な場合は、写真の入ったわかりやすいパンフレットを利用者に配布し、収穫後の残渣を放置せず、処分することなどを呼びかけております。

○酒井委員 それでは、最後に、近年問題になっている食糧自給率を多少なりとも改善をし、安全で安心な農作物を都民に供給していくためには、地元産農作物の安定的な生産、供給を行うことが大切であると思います。
 また、地元農産物のよさをPRすることなどで販売が促進されれば、農家も希望が持てる農業になることと思います。
 そこで、安全・安心な農作物の生産や流通に対し、都はどのような支援を行ったのか、また、今後の取り組み方針についてもお伺いし、質問を終わります。

○産形農林水産部長 多くの都民の皆様に安全・安心な都内産農産物を提供するため、生産面では、減農薬栽培など環境に配慮した農業用の施設に対する整備補助や農業改良普及センターによる技術指導などの支援を行っております。
 また、地元農産物の流通を促進するため、農産物直売所の整備支援や都内各地で開催される農業祭などのイベントを通じ、地元農産物のすばらしさについて、広く都民にPRを行っております。
 輸入農産物への都民の不安が高まる中、都市農業を振興し、都民の身近なところから生産者の顔の見える安全・安心な農産物を供給していくことが重要であると認識しておりまして、今後とも生産、流通の両面から農業者に対する支援に努めてまいります。

○崎山委員 きょう最後の質疑となりますが、よろしくお願いいたします。
 私からは、観光についてと中小企業対策についてお伺いさせていただきたいと思います。
 この十月一日、国に観光庁が設置されました。訪日外国人旅行者数は年々増加の一途をたどっており、二〇〇七年は八百三十五万人に及び、小泉元首相が掲げた二〇一〇年までに訪日外客一千万人も目標達成が目の前となっています。
 観光庁設立とともに、二〇二〇年までに外国人旅行者を二千万人誘致しようという新たな目標も設定されています。工業立国、貿易立国に加え、我が国では新たな産業基盤として産業立国を目指すべく、その取り組みが始まったといえます。
 国の試算によると、外国人旅行者一人当たりの消費額は約十八万円で、日本の定住人口一人の減少による消費額の減少を七人の外国人旅行者でカバーすることができるといわれています。ちなみに、お隣の京王プラザホテルの七月の客室数に占める外国人の利用の割合は六九%だそうであります。
 景気の減速や少子高齢化による需要の先細りの中にあって、観光関連業以外でも、外国人旅行者を今後の有力な顧客としてとらえ始めています。
 このように経済にも大きな影響力のある観光に関し、都は平成十三年に観光産業振興プランを策定、翌年に観光部を設置して、これまで外客誘致を初めさまざまな観光振興策を国に先駆けて展開したところであります。
 それでは、まず都がこれまで観光振興策に取り組んできた意義や成果について伺います。
 また、観光振興は産業振興であり、平たくいえば飯の種であることをもっと都民に周知すれば、観光振興の機運もより高まりを見せると思いますが、いかがでしょうか、伺います。

○小島観光部長 観光振興の意義等についてでございますけれども、観光はすそ野の広い経済波及効果の高い産業であり、観光振興が地域経済の活性化につながるものと認識しております。そのため、観光振興を産業振興策の一環として位置づけ、各種施策を実施してきたところでございます。
 都は平成十九年三月に新たな観光産業振興プランを策定し、二〇一六年までに一千万人の外国人旅行者の誘致を目指しております。
 観光プロモーションなどにより、海外で東京の魅力をPRするとともに、江戸東京・まちなみ情緒の回生など観光資源の開発や、さらには八言語によるハンディガイド、マップの作成、外国語による食のメニューの普及など、旅行者の受け入れ体制の整備を進めた結果、平成十九年に東京を訪れた外国人旅行者は、前年比約一一%増の五百三十三万人に上っております。外国人旅行者の消費による都内の経済波及効果は、七千九百億円に及ぶと推計しておるところでございます。
 今後、観光産業の経済波及効果を強くアピールし、より広く関係者の観光振興への関心を高めてまいります。

○崎山委員 ぜひ、「十年後の東京」に掲げました、二〇一六年、一千万人の旅行者の達成を目指して頑張っていただきたいというふうに思います。
 また、この六年間の都の取り組みもあって、訪都外国人は着実にふえてきました。今後、他都市との競争の中で外国人旅行者を獲得していくためには、財源を確保する仕組みづくりが大切と考えます。
 都は平成十四年十月に東京都独自の法定外目的税として宿泊税を導入しましたが、現在、その税収はどの程度なのか。また、どのように使われているのか伺います。

○小島観光部長 宿泊税についてでございますけれども、平成十九年度の税収は約十四億一千万円でございます。その全額を先ほど申し上げたような観光振興のための施策に充当しております。

○崎山委員 観光に力を入れている外国の諸都市では、宿泊税の導入は当たり前になっていると聞いております。外国の諸都市の例、また、都の宿泊税の果たしてきた役割について具体的にお話しいただければと思います。よろしくお願いします。

○小島観光部長 外国の諸都市の宿泊税の例、また、都の宿泊税についてでございますけれども、海外の諸都市の例、例えばニューヨーク市では、ホテル客室占有税として、宿泊料金の五%に加え、宿泊料金に応じて最高二ドルまでが加算をされます。香港ではホテル宿泊税として宿泊料金の三%、パリ市では滞在税としてホテルのランクに応じて〇・二から一・五ユーロがそれぞれ課税されております。
 一方、都の宿泊税では、一人一泊、一万円以上一万五千円未満の場合、百円、一万五千円以上の場合、二百円が課税されます。
 都の宿泊税については、導入以来、都が観光振興を行っていく上で安定的な財源として重要な役割を果たしてきたと認識しております。

○崎山委員 今後、都には、オリンピック招致や羽田空港の国際化などの観光をめぐる新たな要因に対応するため、引き続き宿泊税を活用し、積極的に観光施策を展開していただきたいと思います。
 また、税率や予算多寡の具体的な議論は次回に譲りますが、日経新聞の特集で、観光立国への挑戦というタイトルで、一カ月以上にわたって連載がありました。これによると、我が国の平成二十年度の観光関連予算は六十三億円で、観光関連産業による税収は約五兆円となっています。税収に貢献する割に予算規模が余りにも少ないのではないかとの指摘がされています。
 ちなみにオーストラリア政府観光局の予算は百五十五億円です。今後、アジア地域を中心に観光ビックバン時代が到来するといわれています。大競争時代を勝ち抜く上でも財源確保の仕組みづくりが求められていると考えます。今後の課題として申し上げさせていただきます。
 次に、フィルムコミッション事業について伺います。
 これからさらに多くの訪都外国人を誘致するためには、東京をロケ地として売り込むことも重要であります。観光振興とあわせて、東京を舞台とする映像作品がふえれば、外国から大勢の旅行者が東京を訪れ、地域経済も潤うことになります。
 そこで、東京ロケーションボックスとして行ってきたフィルムコミッション事業について何点かお尋ねいたします。
 東京ロケーションボックスは、十九年度までは生活文化スポーツ局が担当していた事業ですが、今年度から産業労働局観光部に移管して実施しています。
 初めに、その目的について伺います。

○小島観光部長 産業労働局観光部に移管して実施している目的についてでございますけれども、東京ロケーションボックスは、円滑なロケ撮影のための支援を行い、映画やテレビドラマなどを通じて東京の文化の発信力を高めることを目的といたしまして、平成十三年四月から生活文化スポーツ局が事業実施をしてまいりました。
 今回の事業移管は、これまでのロケ撮影のための支援に加え、区市町村レベルの地域におけるフィルムコミッションの設立を促し、一層のロケ撮影の誘致や映像作品を活用した地域振興を図ることを目的としております。
 映像作品を通じた東京の魅力を国内外に発信し、旅行者誘致を図ってまいります。

○崎山委員 次に、観光部に移管されたフィルムコミッション事業の今年度における実績と成果についてお伺いいたしたいと思います。いかがでしょうか。

○小島観光部長 フィルムコミッション事業の成果についてでございますけれども、本年六月にはロケ撮影におけるさまざまな課題を検討し、地域と映像制作業界の相互協力を図り、都内におけるロケ撮影を推進することを目的といたしまして、民間との連携による協議会を設立いたしました。
 また、地域におけるフィルムコミッションの設立を支援するため、アドバイザーの派遣制度を創設し、これまでに新たに多摩地域に派遣を行ったところでございます。
 今年度は九月末現在、映像制作関係者から約千三百件の相談、問い合わせを受け、六十件のロケ撮影を支援したところでございます。また、日本科学未来館、東京国際交流館プラザなど、二十九カ所のロケ地を新たに開拓いたしました。
 なお、今までに都が協力した作品には、映画「ALWAYS続・三丁目の夕日」、「アキレスと亀」、NHK朝の連続ドラマ「瞳」などがございます。

○崎山委員 これからもぜひそういうフィルムコミッション事業についてご協力をいただければというふうに思っております。
 聞くところによりますと、交通規制を中心として、いろいろな制約がまだまだあるようでありますので、ぜひ一緒になって取り組んでいただきたいというふうに思っておりますし、また、今、各種ご紹介がありましたように、ロケーションボックス、着実に成果が上がっているようでございますが、今後、都としてフィルムコミッション事業をどのように展開していくのか、最後にお尋ねをさせていただきたいと思います。

○小島観光部長 今後、ロケ撮影隊のためのガイドライン及び撮影受け入れのためのマニュアルを作成いたしまして、一層円滑なロケ撮影のための支援を行ってまいります。
 地域のフィルムコミッションの設立を促すため、設立マニュアルを作成するほか、地域のフィルムコミッションやフィルムコミッションに関心を持つ地域の団体及び区市町村から構成された連絡会を開催し、地域におけるロケ撮影の受け入れの拡大と地域とフィルムコミッションの連携を図ってまいります。
 さらには、海外の映像制作者向けのパンフレット及びDVDの制作や国内外へのPRの充実などにより、ロケ撮影の振興を図り、東京の魅力の発信と地域の一層の活性化に努めてまいります。

○崎山委員 次に、中小企業対策について伺います。
 我が国経済は、これまでしばらくの間、緩やかな景気回復が継続したものの、昨年の米国のサブプライムローン問題に端を発した世界的な金融不安や原油、原材料価格の高騰など、中小企業を取り巻く経営環境はここへ来て格段に厳しい状況となっております。
 また、最近のテレビや新聞報道等でも金融機関の貸し渋りが話題となるなど、中小企業の経営はまことに厳しく、まさに青息吐息の感があります。一昨年の暮れにはバブル期に匹敵するほど法人二税が伸び、景気が順調に回復してきたとの報道に胸を安堵させた途端に景況悪化となりました。
 中小企業の支援をつかさどる産業労働局にも、減速ぎみの景況について業界や企業の生の声が寄せられていると思いますが、その内容について具体的にお伺いいたします。

○三枝商工部長 都内中小企業の景況感についてでございますが、都は毎月約四千社を対象に景況調査を実施し、景気の現状や今後の見通しについて把握をしているところでございます。
 この調査によりますと、平成二十年一月を境に急激に業況が悪化しており、企業の具体的な声といたしましては、景気の状況は殊さらに厳しく、先行きに対して不安がある、原材料、仕入れ価格の高騰が続いているが、価格転嫁が困難である、消費の冷え込みにより売り上げが不振であるなどが多くなってございます。
 なお、最近の業界団体との連絡会でも、ほとんどの業界から業況は大変厳しいとのお話があり、原油、原材料価格の高騰による価格転嫁につきましても、大企業は値上げしやすいが、中小企業は値上げしにくいので悩んでいる、あるいは、値上がりが急過ぎるため価格転嫁もできない、資金繰りが悪化しているといった声も多く聞かれております。

○崎山委員 今お答えいただいたように、このような厳しい状況の中で、企業の経営者は何とか事業継続ができるよう活路を見出そうと必死の努力をされています。
 例えば、二〇〇八年版中小企業白書によれば、自社の経営に関して、過去三年程度で経営の継続が困難であると感じたことがあるか否かの問いに対して、約七割もの中小企業が経営の継続が困難だと感じたことがあると回答しています。また、これらの経営者の相談先としては、自社の役員や公認会計士、税理士等が多いと答えています。
 こうした状況下において、既に都は、中小企業みずから取り組む事業承継・再生について専門家を中小企業振興公社に配置し、平成十七年度から中小企業リバイバル支援事業を実施しておりますが、このリバイバル支援事業は中小企業にとって駆け込み寺であり、最後の救いの場であるとの声も聞かれます。
 そこで伺いますが、平成十九年度の相談実績と具体的内容はどのようなものであるのか、お答えいただきたいと思います。

○三枝商工部長 中小企業リバイバル支援事業についてでございますが、平成十九年度の相談実績は、再生が百四十件、承継が二十三件、廃業が二十件で、合計百八十三件と相なってございます。
 具体的な相談事例といたしましては、資金繰りの悪化と売り上げ減少の悪循環に陥りました企業が、本事業によりコストを削減いたしますとともに、キャッシュ・フロー経営を導入することで業績が改善し、営業利益が黒字となった例などがございます。
 また、相談後のアンケート調査によりますと、経営の状況が好転したと回答した企業が約三割程度、横ばいと回答した企業が約半数ございました。
 今年度からは、事業の名称を事業承継・再生支援事業と改め、相談スタッフを増員したところでございます。
 引き続き、本事業を着実に推進することで、中小企業の円滑な事業承継や再生への取り組みを強力に支援してまいります。

○崎山委員 今の答弁をいただきまして、中小企業にとって相談や具体的な解決策の提示をしてもらい、企業が再生していくことは、経営者にとって大変頼りになることなので、この事業をもっと中小企業にPRを行い、より一層推進していただきたいと思います。
 私も地元で経営者の皆さんとのおつき合いがありますが、厳しい経営環境であっても、プライドからか、風評を恐れてか、一般的な景気の話題にとどまり、なかなか真の本音の話が出てきません。ある意味で経営者の孤独な一面がうかがえます。今後もさらに専門家スタッフによる相談事業の充実に努めていただきたいと思います。
 一方、先ほど来話しているとおり、こうした厳しい経営環境下であればこそ、中小企業の経営基盤の強化を図り、中小企業全体の経営力の底上げが必要と考えます。
 そこで、中小企業の経営基盤の強化を図るため、都は今後どのように取り組んでいくのか伺い、質問を終わります。

○三枝商工部長 原油、原材料価格の高騰など、厳しい経営環境であればこそ、経営基盤を強化することは中小企業の経営の安定を図る上で極めて重要でございます。
 このため、都は、東京都中小企業振興公社における約一万六千件の経営相談や、制度融資による約二兆円の資金供給、さらに中小企業グループによる共同受注体制の整備等を対象とした基盤技術産業グループ支援事業など、資金、ノウハウの両面から中小企業を支援しているところでございます。
 また、下請取引に係る紛争解決につきましては、本年四月から東京都中小企業振興公社に下請センター東京を設置し、弁護士や紛争解決専門員による体制を強化したところでございます。この七月には、紛争解決事業者の認証、いわゆるADRでございますが、これを取得いたしまして、法的効果を持った調停が可能となったところでございます。
 加えて、さきの第三回都議会定例会で補正予算の議決をいただきました中小企業設備リース事業により、都内中小企業の設備投資も後押しすることとしております。
 今後とも、これらの施策を総合的に展開することで、中小企業の経営基盤の強化を積極的に支援してまいります。

○東野委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○東野委員長 異議なしと認め、本件に対する質疑は終了いたしました。
 以上で産業労働局関係を終わります。
 これをもちまして本日の分科会を終了いたします。
   午後四時四十二分散会

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