各会計決算特別委員会速記録第三号

平成十九年十一月十四日(水曜日)
第十二委員会室
   午後一時一分開議
 出席委員 三十一名
委員長鈴木 一光君
副委員長きたしろ勝彦君
副委員長石川 芳昭君
副委員長大塚たかあき君
理事山田 忠昭君
理事遠藤  衛君
理事門脇ふみよし君
理事小沢 昌也君
理事古館 和憲君
理事ともとし春久君
西崎 光子君
西岡真一郎君
松葉多美子君
大松  成君
中山 信行君
崎山 知尚君
宇田川聡史君
伊藤まさき君
松下 玲子君
野上ゆきえ君
山加 朱美君
吉原  修君
今村 るか君
大西さとる君
植木こうじ君
小磯 善彦君
三宅 茂樹君
菅  東一君
石森たかゆき君
松村 友昭君
三原まさつぐ君

 欠席委員 なし

 出席説明員
会計管理局長三枝 修一君
教育長中村 正彦君
知事本局長大原 正行君
総務局長押元  洋君
財務局長村山 寛司君
主税局長熊野 順祥君
生活文化スポーツ局長渡辺日佐夫君
都市整備局長只腰 憲久君
環境局長吉川 和夫君
福祉保健局長安藤 立美君
産業労働局長佐藤  広君
建設局長道家 孝行君
港湾局長津島 隆一君
青少年・治安対策本部長久我 英一君
東京オリンピック招致本部長荒川  満君
病院経営本部長秋山 俊行君
中央卸売市場長比留間英人君
選挙管理委員会事務局長梶原 康二君
人事委員会事務局長矢口 幸一君
監査事務局長白石弥生子君
労働委員会事務局長有留 武司君
収用委員会事務局長中田 清己君
議会局長高橋 道晴君
警視庁総務部長岩瀬 充明君
消防総監小林 輝幸君

本日の会議に付した事件
平成十八年度東京都各会計歳入歳出決算の認定について(質疑)
・平成十八年度東京都一般会計決算
・平成十八年度東京都特別区財政調整会計決算
・平成十八年度東京都地方消費税清算会計決算
・平成十八年度東京都小笠原諸島生活再建資金会計決算
・平成十八年度東京都母子福祉貸付資金会計決算
・平成十八年度東京都心身障害者扶養年金会計決算
・平成十八年度東京都中小企業設備導入等資金会計決算
・平成十八年度東京都農業改良資金助成会計決算
・平成十八年度東京都林業・木材産業改善資金助成会計決算
・平成十八年度東京都沿岸漁業改善資金助成会計決算
・平成十八年度東京都と場会計決算
・平成十八年度東京都都営住宅等事業会計決算
・平成十八年度東京都都営住宅等保証金会計決算
・平成十八年度東京都都市開発資金会計決算
・平成十八年度東京都用地会計決算
・平成十八年度東京都公債費会計決算
・平成十八年度東京都多摩ニュータウン事業会計決算
・平成十八年度東京都臨海都市基盤整備事業会計決算

○鈴木委員長 ただいまから平成十八年度各会計決算特別委員会を開会いたします。
 これより決算の審査を行います。
 平成十八年度東京都各会計歳入歳出決算の認定についてを議題といたします。
 本件につきましては既に説明を聴取しております。
 また、去る十月十日から各分科会に依頼してありました局別審査につきましては、お手元配布のとおり、報告書が提出されました。
 朗読は省略いたします。

   〔分科会審査報告書は本号末尾に掲載〕

○鈴木委員長 これより質疑を行います。
 この際、一言申し上げます。
 質疑に当たりましては、さきにご決定いただきました委員会実施要領等に従いまして運営してまいります。委員の皆様方には、円滑かつ充実した審査が行われますよう、ご協力をお願いいたします。
 なお、持ち時間につきましては、終了五分前に振鈴で一点、時間満了時に二点を打ち、お知らせいたします。質疑時間はお守り願います。
 理事者に申し上げます。
 答弁に際しましては、質疑の要旨をよく把握し、簡潔明瞭に答弁されるよう、お願いいたします。
 なお、発言の際には、必ず職名を告げ、委員長の許可を得た上で発言されますよう、お願いいたします。
 これより順次発言を許します。
 宇田川聡史委員の発言を許します。

○宇田川委員 将来の東京のあり方を考える上で、都市の経営を担う東京都の状況を財務面から的確に把握していくことは、非常に重要だと考えております。
 そのためには、会計制度の充実強化も欠かせません。都は、昨年度新たな公会計制度を導入し、初めての本格的な財務諸表を提出しました。これは、平成十四年五月に石原知事が複式簿記・発生主義を導入することを表明したことにより、東京都会計基準を策定するとともに、財務会計システムを再構築し、我が国の行政として初めて導入に至ったものであります。
 この間、国の動きは鈍かったわけですが、ようやく昨年四月に総務省が新地方公会計制度研究会を設置して、地方自治体の公会計制度改革についての検討を始めました。
 研究会では、基準モデルと総務省方式改訂モデルという二つの公会計モデルについての検討を行っていましたが、去る十月十七日にその二つのモデルによる財務諸表の作成要領を公表したところであります。
 これを受けて、全国の自治体もいよいよ公会計の整備に取り組むことが求められるようになりました。国に先駆け、新たな公会計制度の導入を進めてまいりましたが、都として現在の状況をどう認識し、今後どのように取り組んでいくのかを、まずお伺いいたします。

○三枝会計管理局長 我が国の現状を見ますと、地方行財政全般にわたる改革を進める上で、複式簿記・発生主義会計を導入することは避けて通れないものとなっております。
 しかしながら、総務省の改訂モデル、これは官庁会計の決算組み替えに過ぎず、複式簿記の導入といえるものではございません。また基準モデルは、独特な考え方に基づくもので、わかりづらいだけではなく、実務的な対応も難しいものとなっており、二つのモデルとも、今後、全国標準的な会計基準にはなり得ないというふうに考えております。
 これに対しまして、都の新公会計制度でございますが、これは民間の企業会計基準に準拠しつつも、行政の特質を十分考慮したものとなっており、そのことによって、財政の透明化や効率的、効果的な行財政運営を展開するための基本的なツールとなるものでございます。
 今後は、全国初の本格的な財務諸表を作成した実績を踏まえまして、各自治体の要望に応じ、都の新公会計制度のノウハウを積極的に提供し、公会計改革を支援していくとともに、国に対しましては、全国標準となり得る会計基準を、地方の意見を反映して策定するよう、強く求めてまいります。

○宇田川委員 これまでの先駆的取り組みによって、平成十八年度決算において精度の高い財務諸表が公表されましたが、これらの財務諸表をどう分析し、それをどう都政のかじ取りに反映させていくのかが最も重要なことだと考えております。全国の自治体も、この点に大きく注目をしていることだと思います。
 新たな公会計制度による財務諸表の分析を含めた活用の方法については、まだその取り組みはようやくスタート地点に立ったばかりであります。これまでにない質と量の決算情報が得られた今、その内容を十分に分析して、都の財政状況を正確にとらえて、中長期的な財政戦略を確立していくことこそが、将来の東京を支え得る行財政運営を取り決める上で不可欠であり、この公会計制度をしっかりと育てていき、その活用のあり方についても検討を深めていかなければならないと考えております。
 そこで、財務諸表の活用を図る上でどのような部分に力を入れていくことが重要であるとお考えなのかを伺います。

○村山財務局長 今後の都財政運営に当たりましては、「十年後の東京」の実現に必要な財政需要を確実に把握し、実効性のある施策を着実に展開するとともに、フローのみならず、資産、負債などのストックを含めた財務状況の総合的な分析が不可欠であると考えております。
 そうした点から、都の新たな公会計制度による財務諸表は、中長期的に対応すべき財政需要を明らかにし、個別の事業の実効性を検証するとともに、過去に貸し付けを行った債権などのストック情報を示すものとして、極めて有効に活用し得るものであると考えております。
 都財政全体というマクロの視点と、個別事業に係るミクロの視点の両方から、財務諸表による分析を深め、どの分野にどう重点的な対応を図ることが効果的、効率的な施策展開につながるのかという点に力を入れまして、そのための有効な手だてとなるよう、今後一層財務諸表の活用に努めてまいります。

○宇田川委員 ぜひしっかりと研究、分析をしていただいて、十年後、二十年後の都民が安心して暮らすことのできる都財政運営を実現していただきたいと思います。
 そうした将来の東京というものを考えるときに、都市活動を支えるインフラ整備について検討することも、また不可欠であります。今回の財務諸表においても、都の抱えるインフラ資産の隠れた更新需要などの実態が、数字という形で端的に示されることとなりました。その詳細についてはここでは省略をしますが、それらの資産の維持更新に今後どうやって対応をしていくかが大きな課題でございます。
 更新需要に見合う財源をどう確保するかということにとどまらず、良質な社会インフラを最少の経費でどのように効率的につくり上げるべきかという視点に立った財政運営も重要だと考えます。
 都の保有する大規模施設などの社会インフラについて、財務諸表からわかる情報を踏まえて、どのような更新や維持を行って将来の良質な資産の維持や形成に努めていくのか、ご所見を伺います。

○村山財務局長 今回作成いたしました財務諸表により、都が有する資産は、整備した当初に比べ、建物や橋梁などで二兆円以上も減価償却が進み、資産の価値が減少していることが明らかとなりました。
 老朽化した施設の維持更新に当たりましては、まずは更新等の必要性を十分に精査し、その上で、将来にわたってその施設の有効性や、資産としての価値を維持できるよう、管理などを含む施設の生涯にわたるライフサイクルコストの縮減など、多面的な対応を行う必要があると考えております。
 同時に、改築、改修等が必要となる施設全体規模を明らかにいたしまして、そのために必要な財源の確保について、納税者である都民の理解に配慮しながら、中長期的視点から適切に対応していく必要があります。
 こうした観点に立ちまして、さらに検討を進めまして、大規模施設等の改築、改修に関する実施方針を策定し、限られた財源を最大限有効に活用しながら、十分都民サービスを提供できるような適切な改修、改築を進めてまいります。

○宇田川委員 財務諸表を活用し、今後の膨大な更新需要を踏まえて財源を十分に確保するなど、中長期的に先を見通して的確な財政運営を行っていかなければならないと思います。
 今後の財政需要が見込まれる中で、国において都の財源を奪う動きがにわかに激しくなってまいりました。財務省は、財政制度等審議会で、都は裕福である、特別区は手厚過ぎる福祉施策を行っているなどと主張をしまして、総務省も、政府の税制調査会などで、みずからの主張を行っております。
 都も、先日、反論書の第二弾というべきものを発表しまして、総務省や財務省を向こうに回して、声高に主張を始めました。一方、総務省も、先週の経済財政諮問会議において、地方と都市の共生プログラムという案を出し、地方交付税に特別枠を設けるなどの地方に対する配慮を行い、地方においても受け入れが好意的だとも聞いております。
 この総務省案について都はどう受けとめているのか、お尋ねをいたします。

○村山財務局長 お話の案でございますが、国が大都市の財源を奪おうとする動きに対して、都を初めとする広範な地方自治体から、都市の財源を奪っても、結局はその多くが国のものになるだけだという批判が高まる中にあって、出されたものでございます。
 プログラムの具体的内容は、国税である消費税の一部と、地方税である法人二税の同額分を交換し、都など都市部の自治体の減収分を新たに設ける地方交付税の特別枠に充当いたしまして、地方に配ろうというものでございます。
 この案は、幾つかの点で大きな問題を持っております。
 まず第一に、結局は、大都市の税収を用いて自治体間で水平的に調整を行おうというものでございますので、国の責任を棚上げにするものであるというのが一つでございます。
 また、法人二税と消費税の交換は、地方税収の安定化には資するわけでございますが、その一方、交付税原資の相当部分を法人税に頼るものでございまして、長期的には交付税総額の不安定化をもたらすというデメリットがございます。
 さらに、この案には、自治体にさらなる歳出削減努力を求めるという項目が明確に定められておりまして、交付税本体の総額を抑制することによって、結局は地方交付税がふえるどころか、減少しかねないものでございます。
 いずれにいたしましても、国の責任で生じた地方財政の困窮のツケを地方に押しつけようとする意図が透けて見える案であることには変わりはございません。
 このような案に対して、地方が安易に支持を表明すれば、三位一体改革の名のもとに、結局、地方交付税が五兆円も削減されたのと同じ轍を踏むことにもなりかねず、地方財政の一層の困窮を招くことを危惧いたしております。
 都といたしましては、このような案に対して反対という立場をとるものでございます。

○宇田川委員 これから年末にかけて、政府や与党の税制調査会や財務省、総務省との折衝へと舞台が移ってまいります。我が党の東京選出の国会議員の間でも、東京の財源を守るプロジェクトチームを結成して、さまざまな場面で必要な主張を行ってきているところです。
 我々も、今回出された反論の第二弾の書を武器に国と戦っていくことになりまして、確かに理屈ではこのとおりだと私も思うのですが、うがった見方をされると、いいわけではないかと、こんなとられ方もされかねないこともありますので、このような理屈による反論だけではなく、政治的にも対抗していく必要があると考えます。
 強い政治力を発揮できる石原知事ですから、その力を最大限発揮できるよう、事務方の皆さんもしっかりサポートしていただきたいなと思っております。
 これまで、過去から現在、そして将来を見越して早くから行動することが大事だと、そうした話をしてまいりました。危険なところを回避し、将来の東京を見通し、必要な部分に先手を打っていく、こうした財政運営が必要と考えているところであります。
 財務局長の今後の財政運営に対する基本的な考え方をお聞かせください。

○村山財務局長 今後の都政の大きな課題でございます「十年後の東京」を実現するために大事なことは、まず第一に、都民にとって必要な需要にこたえる有効性の高い事業を構築し、着実かつ効果的な事業を展開していくことでございます。
 第二には、先ほど申し上げたように、施設の更新経費などが増加する中にあって、どれだけの新たな需要があるのかをしっかり把握し、そのために必要な事業を実施するに足りる、さらに強固で弾力的な財政基盤を構築していくことでございます。
 一方、都財政をめぐる環境は、最近の経済状況の変化を見ても、安閑とできる状況にはなく、また、都の財源を奪おうという国の動きは、これまでの財政再建の努力、成果を無にするほどのダメージを与えかねないものでございます。
 これらの外部要因を含めまして、今後生じるであろうさまざまな困難に対し、先手を打って適切に対処すべく最大限の努力を払い、都政の諸課題に真正面から取り組み、都民サービスを向上させていくことを基本に、これからの財政運営に当たってまいります。
 そのため、ご指摘いただきました新たな公会計制度も活用して、新規需要や更新需要の的確な把握、事業の効果とコストの検証により、よりすぐれた施策の構築などに取り組み、歳入歳出両面から、しっかりと先を見た着実な財務運営の徹底に努めてまいります。

○宇田川委員 次に、アジア大都市ネットワーク21について、お伺いいたします。
 昨年十一月、総務委員会にて質疑を行いましたが、その際には、総会のほか十八の共同事業の具体的取り組みを通じ活発な活動が行われ、都市間のネットワークが一層強固になってきたとのお答えでありました。
 マニラ総会を今月末に控え、共同事業を一層発展させることについて、事務局としてどのようにお考えなのかを、まず伺います。

○大原知事本局長 アジア大都市ネットワーク21の共同事業でございますが、これについては、今までも着実な成果を上げてまいりましたけれども、前回の台北総会におきまして、事業を一層発展させるための検討を行うことが採択されました。
 これを受けまして、すべての共同事業について各都市と協議し、見直しを行ってまいりました。今回の総会では、この見直しの結果を踏まえまして、二つの提案を行うこととしております。
 第一に、文化関係の事業を統合し、新たにITに関する事業を立ち上げるなど、内容を充実させるため共同事業の再構築を行うこと。
 第二に、事業を着実に実施するために中期計画を策定し、期間終了後に評価を行い、次の計画に反映をさせることでございます。
 これらの取り組みが承認をされ、実施されることによりまして、共同事業が参加都市のニーズにより的確にこたえて発展していくものと考えております。

○宇田川委員 次に、共同事業の中でも石原知事が最も力を入れている中小型ジェット旅客機開発促進プロジェクトについて伺います。
 十月三十日に第二回目のアジア旅客機フォーラムが東京で開催されたと聞いておりますが、これまでの東京都の取り組みにより、中小型ジェット旅客機の開発に向けた機運は確実に高まっております。
 来年、日本の航空会社に納入される予定のアメリカ、ボーイング社の最新鋭機である787は、主翼に炭素複合材が使用されるなど、最先端の技術を駆使して製造されていると聞いております。このように航空機の開発においては常に技術革新が求められております。
 アジア大都市ネットワーク21の連携と協力関係を生かした上で、中小型ジェット旅客機の開発促進に向けた具体的取り組みを行っていくべきだと考えますが、いかがでしょうか。

○大原知事本局長 第二回アジア旅客機フォーラムでは、これまでの東京都の取り組み及び日本の国産旅客機開発の現状を、国内外の航空関係者に紹介をいたしました。
 日本の技術力を示すことによりまして、特にアジアの航空関係者から、アジア製中小型ジェット旅客機開発における日本のリーダーシップへの期待が高まったところでございます。
 東京都は、国産ジェット旅客機の開発をてこといたしました中小型ジェット旅客機の開発促進に向けまして、アジアとの連携を強化していくとともに、首都大学東京の博士課程にアジアからの留学生を受け入れ、航空機に活用する新技術についての共同研究を行うこととしております。

○宇田川委員 次に、共同事業のもう一つである危機管理ネットワークについて伺います。
 自然災害やテロなど、アジアの大都市は依然としてさまざまな危機にさらされており、今後三十年間に高い確率で大地震が起こると予測されている東京も、もちろん例外ではありません。
 危機管理ネットワークでは、毎年アジア危機管理会議を開催し、最新の危機管理対策について議論していると聞いております。
 このようにアジアの大都市が互いの経験や取り組みを情報交換し、連携して危機管理能力向上に努めていくことは大変意義深い取り組みだと私も思っております。
 さらに、本年九月の総合防災訓練には、昨年のソウルに続いて台北から救助隊と救助犬が参加して合同訓練を行うなど、情報交換をするにとどまらず、災害対策における都市間の連携強化にも役立っていると聞きます。
 そこで、アジア危機管理会議の成果と今後の取り組みについてお伺いをいたします。

○大原知事本局長 アジア危機管理会議でございますが、これは平成十五年度から毎年開催をされておりまして、この間、会議での議論を機に、参加各都市において危機管理センターの機能が強化されるなど、アジアの危機管理能力の向上に貢献をしてまいりました。
 先月、ジャカルタで行われた会議では、災害発生時の都市間の連携を確実なものとするために、都市間で直接救助隊を派遣したり救援物資を送付するなどといった、相互支援を行うための仕組みづくりについて、具体的な検討を開始することとなりました。
 今後とも、危機管理能力の一層の向上のために、アジアの連携強化に向けた取り組みを推進してまいります。

○宇田川委員 最後に、アジア大都市ネットワーク21について一言申し上げます。
 ジャカルタ総会後の平成十七年八月に脱退した北京についてであります。
 先月の分科会でも、ともとし理事が発言をしておられましたが、アジアの中から北京の欠けた大都市ネットワークというのはあり得ません。二〇一六年のオリンピックを目指す上からも、北京が再び参加できるような努力をしてほしい、道筋づくりにぜひ尽力をしてもらいたい、このことを強く申し上げて、私からの質問を終わります。

○鈴木委員長 宇田川聡史委員の発言は終わりました。
 松下玲子委員の発言を許します。

○松下委員 初めに、豪雨対策についてお伺いいたします。
 近年、平均気温の上昇や熱帯夜の増加など、ヒートアイランド現象が都民の関心を高めており、都は、ヒートアイランド対策を環境局が中心となり平成十四年から推進していますが、年々暑くなる東京の気温を下げ、ヒートアイランド対策に取り組むことは、待ったなしといえます。
 ヒートアイランド現象の影響との関係も指摘されている近年の気象変化による集中豪雨の増加によって、一昨年の九月四日のように、都全域で六千棟にも上る浸水被害が発生しました。
 私の地元の武蔵野市でも、過去に例のない時間雨量九五・五ミリを記録する豪雨により、床上、床下、地下浸水、道路冠水、マンホールからの逆流、車両浸水などの被害が発生しました。
 武蔵野市では、当時、警戒態勢をしき、消防団や防災関係機関と連携をとりながら、水防活動を実施しましたが、この集中豪雨以後、雨が降るたび浸水の心配をしなければ安心して暮らせないという声が、被害のあった地域を中心にたくさん聞かれるようになりました。都民が安心して暮らすことができるように、集中豪雨による浸水被害を早く解消できるように、豪雨対策を総合的に展開していくことは重要な課題であります。
 都は、これまで昭和六十一年の答申に基づいて、河川整備や下水道整備、雨水の流出を抑制する流域対策の実施等に取り組んでいます。本年八月には、東京都豪雨対策基本方針が策定され、重点対策エリアや対策目標降雨量をいつまでに達成するのかといった、期間を定めた目標も設定しています。
 公助としての河川整備や下水道整備に加え、自助、共助を促進する視点に立った流域対策や、まちづくり、家づくり対策を一層推進し、ハードとソフト両面の方向性を示し、中間のまとめ発表後の都民意見も反映させた豪雨対策の基本方針ができ上がっています。
 この基本方針をいかに実践していくか、方針が実現していくためにも、平成十八年度の決算に当たり、豪雨対策として河川整備と流域対策について、何点かお伺いしたいと思います。
 決算説明資料によりますと、平成十八年度の中小河川整備費は総額で二百三十八億円余りの支出となっていますが、まず、平成十八年度末までの整備率と、その前年比及び平成十八年度の主な整備内容についてお伺いいたします。

○道家建設局長 平成十八年度末までの中小河川の整備状況を示す一時間五〇ミリの降雨に対する治水安全度は都全体で七四%となり、前年度より一ポイント向上いたしました。
 十八年度には二十七の河川で事業を行い、このうち、護岸の整備については、石神井川の蛍橋下流や野川の吉沢橋上下流などで約二キロメートルを整備いたしました。
 また、調節池についても、環七地下調節池の善福寺川取水施設及び霞川調節池を完成させるとともに、善福寺川の和田堀第六号調節池を掘り下げ、貯留能力を二万二千立方メートル増大させたところでございます。

○松下委員 厳しい財政状況の中、中小河川整備を進めていることはわかりますが、整備率前年比一ポイント向上という結果により都全体で七四%という数字は、必ずしも十分な整備率であるとはいえません。
 今後も、平成十八年度と同様の整備率前年比で推移するとなると、一〇〇%の達成には二十年以上も要することとなり、かなりの時間を要することになってしまいます。
 限られた予算の中で着実に中小河川整備を実施するためには、中小河川整備の目標を定め、危険な箇所から早期に整備を促進していく必要があると考えます。
 そこで、中小河川整備における基本的な考え方と今後の整備の進め方について、お伺いいたします。

○道家建設局長 水害から都民の命と暮らしを守るためには、河川整備の明確な目標を設定し、それに向かって事業を推進していくことが重要であります。
 中小河川では、平成二十七年度までに、過去に水害をもたらしたものと同規模の降雨による溢水の九割を解消し、残る一割についても、被害の程度を大幅に減少させることを目標に事業を進めております。
 実施に当たっては、神田川、空堀川など、過去に水害が発生した箇所や、鶴見川など浸水被害が発生するおそれのある箇所について、護岸や調節池の整備を重点的に進めているところでございます。
 具体的には、十七年九月の豪雨により大きな被害が発生した神田川水系の妙正寺川や善福寺川では、再度災害を防止するため激特事業を実施しており、二十一年度に完成させてまいります。
 また、地下鉄施設が浸水するなど、被害が発生している古川では、二十年度に新たに地下調節池の整備に着手する予定であり、二十七年度の完成を目指しております。
 今後とも財源確保を図り、中小河川整備を積極的に推進し、水害の早期解消に努めてまいります。

○松下委員 ぜひ明確な目標を設定し、期限を決めて重点的に整備を行っていただきたいと思います。
 被害に遭った都民は、雨が降るたびに被害の記憶がよみがえり、不安な気持ちになるということをおわかりいただき、今後とも、今まで以上の財源確保を図り、豪雨対策のために中小河川整備を積極的に推進していただきたいと要望します。
 豪雨対策を効果的に進めるには、河川整備のほか下水道整備、流域対策も大変重要であります。各会計決算のため、ここで下水道整備に関してご質問することはできませんが、都市における集中豪雨への対応には、下水道による内水対策が重要であり、国交省の試算によると、内水による被害額の割合が東京都では全国平均四八%を大幅に上回る九三%となっており、都は内水はんらんを防ぐ下水道整備の推進を早急に積極的に取り組んでいただきたいと要望のみいたします。
 都は、流域対策として、雨水の流出を抑制するため雨水浸透ますを設置するなど、積極的に取り組んでいかなければならないと思います。都が進めている流域対策に用いる施設としては、貯留施設と浸透施設に大きく分けることができますが、流域対策のみならず、地下水の涵養という観点からも、浸透施設の設置は重要だと思いますので、雨水浸透施設の設置に関してお伺いいたします。
 現在までに都内に設置している雨水浸透ますの設置数と貯留量はどのくらいになるか、お伺いいたします。

○只腰都市整備局長 都内におきまして、これまで設置されました雨水浸透ますの個数でございますが、平成十七年度末現在、約四十二万個でございます。また、雨水浸透ますなどの浸透施設や貯留施設を合わせた貯留量でございますが、約五百万立方メートルでございます。

○松下委員 雨水浸透ますは、豪雨時の初期の部分を取り込み、地下に浸透させ、雨水流出を抑制するため、下水道や河川に負担をかけないということで、結果として非常に効果的な豪雨対策の施策であると思います。
 都は、これまで雨水浸透ますの設置に関してさまざまな目的で、担当局も、目的に応じて都市整備局や環境局と分かれてきていました。雨水浸透ますの設置という一つの同じ行為に対して、その目的がさまざまだったようであります。都内すべての地域で雨水浸透ます設置が有効というわけではなく、地盤の雨水浸透能力が低く、浸透効果を期待できない地域や、雨水を地下へ浸透させることにより防災上の支障が生じるおそれのある地域では、雨水浸透施設ではなく雨水貯留施設を設置するなど、対応が異なるようでもあります。
 今後、雨水浸透ます設置促進のためには、雨水の地下への浸透を推進する地域をより明らかにした上で、浸透施設設置による貯留量や貯留効果がどのようなものか、数字でわかりやすく明らかにした上で、丁寧な説明を行う努力をしていただきたいと思います。
 流域対策については、都の関係局と区市町村で東京都総合治水対策協議会が設置されており、協議会の専用ホームページには、区市町村における貯留浸透施設に関する指導内容の一覧が掲載されています。要綱や条例の設置の有無が一目瞭然でありますので、雨水流出抑制の指導を行っていない区市町村に対しては、要綱や条例等の制定や、貯留浸透施設の設置を促進する方策に取り組むように、引き続き要請をしていただきたいと思います。
 私の地元の武蔵野市では、雨水浸透ます設置への取り組みは古く、要綱もありますが、さらに平成十七年九月の集中豪雨の被害が特に大きかった地域の小学校に、平成十八年度には豪雨対策の一環として、市の費用で雨水浸透施設を整備しています。
 このような市の取り組みに対して、今後、都も支援を考えていると聞いておりますが、具体的にはどのような支援か、お伺いいたします。

○只腰都市整備局長 武蔵野市におきましては、国の補助制度でございます、下水道総合浸水緊急対策事業を活用いたしまして、平成十九年度から五カ年で、市内の小中学校十一カ所に雨水浸透施設の整備を予定してございます。
 今後、この事業に対しまして、都としても財政支援を行うとともに、必要な技術支援を行ってまいります。

○松下委員 国は、平成十八年四月に、今お答えのありました新規制度、下水道総合浸水対策緊急事業を創設し、地方公共団体が実施する下水道による都市浸水対策を一層積極的に支援することにしておりますので、この制度を利用したというお答えだと思います。
 この新たな制度創設の前提には、今後の浸水対策の目指すべき方向が、時間と財政的制約の中で、緊急かつ効率的に浸水被害の軽減を図るために、施策の転換が必要であるとしています。
 こうした国の施策転換も踏まえ、今後、都としては豪雨対策にどのように取り組んでいくのか、お伺いいたします。

○只腰都市整備局長 東京都といたしましては、近年増加しております集中豪雨に対処するため、お話にもございましたが、東京都豪雨対策基本方針を本年八月に策定いたしました。
 この方針に基づきまして、神田川、石神井川などの浸水被害が頻発している流域を対象にしまして、雨水浸透ます設置費用の助成を区市と連携して行うなど、流域対策の強化を図ってまいります。
 また、地下室などへの浸水被害を防止する方法などを示したガイドラインを作成し、都民みずからの浸水対策を促すなど、都民生活の安全確保に努めてまいります。

○松下委員 都民が安心して暮らせるまちづくりを進める上でも、河川、下水道整備や、流域対策などの豪雨対策を、都庁内の組織だけではなく、区市町村や都民の連携のもとに着実に進めていただきたいと要望します。
 特に、河川整備などに当たっては、景観や水生生物の保全などの周辺環境に配慮した整備を進めていただきたいと要望し、次に、都市公園の管理についてお伺いいたします。
 平成十八年度は、都立公園において本格的に指定管理者制度が導入された年です。まず、都立公園において指定管理者制度を導入した目的と、平成十八年度には幾つの公園に導入したのかをお伺いいたします。

○道家建設局長 都立公園における指定管理者制度の導入は、民間の能力やノウハウを活用し、公園利用者サービスの向上と経費の節減などを図ることにより、効果的、効率的な管理運営の実現を目指すものであります。
 平成十八年度においては、七十八公園のうち六十八公園で指定管理者制度を導入しております。

○松下委員 指定管理者制度を本格的に導入して、一年余りが経過しています。本年九月には、指定管理者制度導入後初の評価である、平成十八年度東京都指定管理者管理運営状況評価結果も公表されており、指定管理者によって管理を行っている都立公園においても、新たな制度によるメリット、デメリットが次第に明らかになっているかと思います。
 この公表された評価結果によると、この六十八公園すべてがAという評価になっており、おおむね適切な管理が行われているということですが、この評価Aの基準、おおむね適切のおおむねという基準が、とてもあいまいな気がいたします。
 そこで、都立公園において、この管理運営状況評価がどのような視点から行われたのかを伺います。あわせて、評価の三段階の基準についてもご説明ください。

○道家建設局長 指定管理者の評価は、全庁的な統一基準に基づき、学識経験者などの外部委員を含む評価委員会を組織し、管理状況、事業効果及び事業者の健全性という三つの項目についてそれぞれ評価し、それらを総合して決定いたしました。
 三項目の評価に当たりましては、施設の維持管理や利用者への対応が適切であったか、サービス向上の取り組みが着実に実施されたか、また、利用者満足度はどの程度であったか、さらに事業者の経営状況が安定しているかなどの視点から行ってまいりました。
 また、お尋ねの三段階の評語についてでありますが、Aはおおむね適切な状況、Bは一部改善が必要な状況、Cは不適切な状況と定められております。
 なお、今回の評価は統一基準に基づき実施したものであり、適切であると考えております。

○松下委員 どのような視点から評価を行ったかということはわかりましたが、評価が三段階であるならば、Aはよい、Bは普通、Cは悪い、もしくは努力を要するというものではないかと私は考えます。
 公表されている評価の特記事項には、検討することが望まれるなど、今後より一層努力して、よりよい公園管理を行っていただきたいという特記も目につきますが、改善の余地はあるけれども、それも含めておおむね適切であるという評価、すべての公園がAという評価であることに私は違和感があります。
 統一基準に基づき実施したもので適切とのお答えですが、評価の公表方法には各局によって違いがあり、統一されてはいないようです。
 生活文化スポーツ局の評価結果は施設ごとの評価が公表され、特に評価すべき点と改善が望まれる点に分けて、特記事項も書かれています。建設局の公表方法は、公園をグループごとに一くくりにして、評価はそれぞれですが、特記事項は、グループごとによい点、悪い点合わせて記されており、具体的にはどの公園の特記事項なのかということが公表からはわかりませんので、評価基準が統一なのであれば、公表内容もより詳しい形に統一するなど、改善をしていただきたいと思います。
 また、三段階の評価基準のAを本当におおむね適切とすることがよいのか、評価自体を、もっと指定管理者にとってよりよい公園づくりのインセンティブとなるように、公園利用者サービスのさらなる向上と結びつくように、今後検討を加えていただきたいと思います。
 指定管理者制度は、創意工夫のある企画や効率的な運営などにより、公園利用者の多様なニーズにこたえ、質の高いサービスの提供を図っていくために導入された制度です。
 私は、これまでも、公園を管理するというだけの視点から経営的な視点、パークマネジメントへの転換を名実ともに推進していただきたいと要望をしてまいりました。指定管理者制度も同様な考え方のもと、管理からマネジメントへの転換が重要であると思います。
 そこで、平成十八年度から指定管理者が管理する都立公園において、公園利用促進のために新たにどのようなサービス向上の取り組みが行われているのか、お伺いいたします。

○道家建設局長 各指定管理者は、公園利用者へ質の高いサービスを提供するため、みずからの創意工夫により、それぞれ特色ある管理運営を行い、利用促進に努めております。
 平成十八年度におきましては、公園周辺の観光スポットや飲食店などを紹介した、都立公園周遊マップを新たに作成するとともに、野外コンサートや木工クラフト教室など、公園ならではのさまざまな催し物を多くの公園で開催するなど、一層のにぎわいの創出を図ってまいりました。
 また、園内巡回の際にも、積極的に来園者と対話、交流することにより、要望などを早期に把握し、必要な改善を図るなど、快適な公園づくりに取り組んでおります。

○松下委員 よい事例は、ぜひ指定管理者制度を導入していない都立公園にも取り入れていただきたいと思います。
 公園が制度導入によってよくなったというメリットばかりではなく、一つ一つの公園を見れば、犬の問題や駐車場の問題など、まだまだ課題を抱えているのも事実です。もちろん、すべてが指定管理者のみで解決できる問題ではないと承知しておりますが、指定管理者の評価に当たっては利用者満足度調査も行われているようですので、この利用者の声を公園管理に反映させていくということが重要であると思います。
 指定管理者が管理を行っている都立公園を、指定管理者制度の導入目的を達成していくためにも、さらによりよい公園にしていくために、今後、利用者の声の反映にどのように取り組んでいくのかお伺いをして、質問を終わります。

○道家建設局長 よりよい公園づくりを進める上で、公園利用者の声は大変重要な情報であります。
 このため、各指定管理者は、利用者から寄せられる声や、利用満足度調査の結果などを分析、整理し、日々の維持管理に生かすとともに、利用者サービスの向上の取り組みにつなげております。
 都としても、指定管理者が利用者の声を適切に収集し、公園の管理運営に反映するよう、指導しているところであります。
 今後とも、指定管理者と密接に連携し、公園利用者の声を十分に把握して、さらに利用者の満足度を高めるよう、努めてまいります。

○鈴木委員長 松下玲子委員の発言は終わりました。
 石川芳昭副委員長の発言を許します。

○石川委員 公明党を代表して、総括質疑を行います。
 都は、昨年度、従来の官庁会計に複式簿記・発生主義会計の考え方を加えた新たな公会計制度を導入しました。これは我が党公明党の提案を受け、石原知事の決断により導入が決まったものであります。
 本年度は、この新制度による初めての財務諸表が作成され、さきの第三回定例会に提出されました。複式簿記・発生主義会計は、民間企業で一般的に使われている会計手法でありますので、財務諸表を通じて官民比較をこれまで以上に容易に行うことが可能になると思われます。
 例えば、今、国や地方自治体で市場化テストを行っていますが、新公会計制度の財務諸表により、民間と行政とで同じような事業を実施するのに、同じ尺度でコストを分析、比較することが可能になると期待することができます。
 ただ一方で、自治体の行政活動は民間の経済活動とは異なるので、同じ複式簿記・発生主義会計による財務諸表といっても、注意をして見なければなりません。
 例えば、各分科会に提出された各局の行政コスト計算書や事業別情報を見ると、当期収支差額がマイナスになっている、これは民間企業であれば赤字を意味することになりますが、都において、この収支差額は税などの一般財源が充当される前の差額を示しているにすぎません。その上で都の行政コスト計算書では、当期収支差額に一般財源の充当調整を行って、調整後の差額を最終的に示しています。
 そこで、都の財政コスト計算書では、なぜこのような一般財源の充当調整を行う仕組みを取り入れたのか伺います。

○三枝会計管理局長 民間企業の経済活動と異なりまして、行政では、主たる収入である税と、個々の行政サービスとの間に直接的な対価性が成立しておりません。
 したがいまして、都では、都民からの貴重な財源である税を収入するのは主税局のみでありますが、個々の行政サービスは各局から都民に対して提供される、こうした仕組みとなっております。
 そうしたことから、財務諸表におきましては、主税局で収入した税を一般財源として一たん留保いたしまして、各局における現金収支の差額分に充当することとしたものでございます。

○石川委員 今後、都におけるそれぞれの事業のあり方を考える上では、税金などの一般財源を充当した後でどのような事業収支となっているのか、また、事業費全体に占める一般財源がどの程度に上っているのかを、正確に把握、分析することが大切であります。
 当期収支差額のマイナス部分だけを取り上げて、すぐに事業の見直しや廃止の議論になるわけはなく、むしろ当期収支差額や一般財源の充当の状況を切り口にして、事業運営のより効果的で効率的なあり方を多面的に考えていく姿勢こそが重要であります。行政コスト計算書の特定の部分だけ着目して批判的な指摘をするのではなく、都民サービスの充実を含めた事業運営の向上につながらなければなりません。
 そもそも、民間の損益計算書は、収益を上げるためどの程度の経費がかかっているかを把握し、コストの見直しや仕事の効率化に結びつけていく情報を提供するものとして使われています。
 一方の行政コスト計算書は、民間の損益計算書に当たるものですが、利潤の追求を目的としない行政としてその内容をどう分析し、活用していくべきかは、おのずと民間と異なるはずであります。
 複式簿記と発生主義により明らかとなる減価償却費や、金利を含めたコストを指標にして公開することが、事業の縮減や廃止を意図したものであると見る向きもありますが、そうした発想では、行政コスト計算書の分析や活用のあり方を的確に論じることはできないはずであります。
 そこで、行政コスト計算書の数値をどのように分析して事業運営に反映していくことが適切であると考えているのか伺います。

○村山財務局長 利潤を追求する民間会社の場合におきましては、経費は、いわば収益獲得の手段でございますので、少ないにこしたことはないわけでございます。
 しかしながら、行政における支出の場合には、それ自体行政目的達成のためのものでございますので、コストが高いからといって、それを理由に直ちに事業を見直すということにはならないものでございます。支出に対してどれだけの行政効果を上げたのか、都民サービスの向上につながったのか、そこが施策の是非の判断のポイントでございます。
 とはいえ、貴重な税金を投入する以上、その費用対効果の効率性が厳しく問われるのは当然でございまして、その点においてコスト分析は重要であり、ないがしろにすべきものではないと考えております。
 今回、財務諸表を作成して明らかになった行政サービスの提供に供された減価償却費や金利などの時間にかかるコストも含めたフルコストは、そうした点からも、分析の基本となる情報でございまして、それなしに事業の改善を論ずることはできないと考えております。
 こうした財務情報も積極的に活用いたしまして、事業の結果を十分に検証することにより、今後とも従来にも増して効果的な事業展開を図ってまいります。

○石川委員 財務諸表は、民間企業のものと異なる読み解き方が必要になるとはいえ、やはりこれまでの官庁会計で示すことの難しかった発生主義に基づくコスト情報や、資産や負債にかかわるストック情報を明らかにする有力なツールであります。こうした財務情報を積極的に活用した事業運営の向上を実現していく努力こそが大切であります。
 今回の決算審議の資料として提出された主要事業の成果の中では、三十七事業を対象に行政コスト計算書を掲載するとともに、ストック情報による分析が有効なものは貸借対照表を掲げ、財務情報の提供を行っています。財務諸表による数値の意味するところをより正確に理解し、個別事業としての課題を把握して、その解決を図ることは重要であります。
 財務諸表をどのように分析するべきかは、行政と民間との違いなども踏まえ、今後とも十分に検討していくべきものと考えていますが、少しでも多くの分析例をふやして、事業運営のマネジメントを高める面から活用を進めていってほしいと思います。
 そこで、事業別の財務諸表の活用をどのように進めていく考えであるのか伺います。

○村山財務局長 都財政の充実強化を図るためには、全体をマクロ的にとらえる視点が大切である一方、個々の事業がどれだけ効果を上げているのかを検証し、常に改善を図っていくことが大切でございます。
 そうした意味で、全体分析とともに個別事業の評価、検証は重要でございまして、これを実施していくためには、新たな公会計制度で作成された事業別財務諸表の活用を欠かすことはできません。
 もとより、この分野はまだ端緒についたばかりでございまして、しっかりした分析を行っていく上での課題も少なくないわけでございますが、今後、データを積み重ねて経年変化などを分析し、他の自治体や民間企業との比較を行うことにあわせまして、分析手法そのものも高め、期待いただいておりますようなツールとしてのレベルを発展させていくというふうに考えております。

○石川委員 平成十八年度の決算公表に当たりましては、財務局からも年次財務報告書が作成されて、東京都の財務状況をつぶさに分析して、資産の更新のあり方を含めて、さまざまな問題の提起が行われました。
 また、主要施策の成果に財務諸表による財務情報も掲載されて、数多くの個別事業にかかわるコストやストックの状況も明らかにされました。ともにすぐれた取り組みであることは確かであります。やはり専門的な知識がなければ理解が進まない面があるし、企業会計の考え方だけではわからないような部分も多いと思います。
 ともすると専門的な内容が多い財務諸表をどのように理解すべきか、問題点や課題はないかについて、これからも都民が速やかに読み取れるような工夫はますます重要になるものと考えています。今後とも、財務諸表の分析内容など、都民にわかりやすく示していくための工夫が必要であると考えますが、いかがでしょうか。

○村山財務局長 十八年度決算は新たな公会計制度を導入して初めての決算でございまして、率直に申し上げて、全庁各部署、財務諸表の作成や年次報告書の発行に相当多大な努力を要したというのが実情でございます。
 そういう点におきましては、個別の分析を解説するに当たりまして、図表やグラフなどを十分用いるというところまでには至っておりませんで、わかりやすさという点での工夫は、必ずしもまだ十分とはいえないというふうに考えております。
 しかしながら、今回導入された公会計制度は、日々の、それぞれ現場の中での仕事の中で複式簿記が組み込まれているわけでございまして、そういう仕組みが、時を重ねて徐々に都庁全体に定着して、なじんでいくというふうに思われます。
 そうした中で、資料の作成などに当たりましても、よりわかりやすい表現ができるよう、私どもとして一層の努力をしてまいりたいと考えております。
 また、財務諸表と同様、事業の展開あるいは成果につきましても、都民の実感に沿った形で公表し、理解を深めていただくことが大切でございますので、今後とも、この点についても一層の工夫を重ねてまいりたいと思っております。

○石川委員 より一層の創意工夫をお願いをいたします。
 次に、公共サービスの利用者負担のあり方についてであります。
 平成十八年度に実施した東京都福祉保健基礎調査「都民の生活実態と意識」について、結果が先月末に発表されました。まず、そこでの高齢者世帯の収入分布はどのようなものなのか、また、その収入の種類はどのようなものか伺います。

○安藤福祉保健局長 高齢者世帯の収入分布は、少し詳しく述べますと、年間収入百万円未満が七・八%、百万以上二百万未満が二一・四%、二百万以上三百万未満が二六・二%、三百万以上四百万未満が一九・三%、四百万以上五百万未満が七・二%、そして五百万円以上が一三・七%となっております。
 収入の種類を世帯主の収入で見ますと、年金・恩給が七三・五%、賃金・給料が八・六%、事業所得が六・二%、家賃・地代が五・三%、そして生活保護が四%などとなっております。

○石川委員 高齢者世帯と一口にいいましても、収入が少ない人から多い人までさまざまでありますが、他に財産収入などの収入のある人を除けば、高齢世帯の多くは年金のみで生活をしています。こうした中で、都はどのような考え方で高齢者に対する福祉保健サービスの利用者負担を決めているのか伺います。

○安藤福祉保健局長 高齢者に対します福祉保健サービスの利用者負担についてでございますが、これは個々の福祉保健施策ごとにその目的や内容に応じまして、負担と給付のバランスや住民間の公平性を確保いたしますとともに、世代間の公平性にも配慮しながら定めているところでございます。

○石川委員 年金のみで生活をしている高齢者の場合、みずからの年金収入の中から税金や公共サービスの利用者負担を支払い続けています。世代間の公平性ということを否定するものではありませんが、こうした公的な支払いの増加が、年金生活における可処分所得を減らす結果になっています。それでも余裕のある世帯はよいが、余裕の乏しい世帯はますます生活を切り詰めざるを得なくなり、ひいては、若者の年金離れにもつながりかねないことを第三回定例会代表質問で我が党は指摘をいたしました。
 こうした年金のみで生活している高齢者世帯の実態を把握し、負担を軽減できるような利用者負担のあり方を検討していくべきと考えますが、見解を伺います。

○安藤福祉保健局長 負担の問題でございますが、今お話のございました公的年金のみを収入とする高齢者について見ますと、この方々を仮に現役世代と比較いたしますと、課税対象となる所得水準は高く設定されておりますので、住民税の課税、非課税を基準として賦課が決定される各種制度におきましても、結果として、現役世代より高齢者の負担が軽減されることもございます。
 いずれにいたしましても、今後とも各種制度の利用者負担の設定に当たりましては、その目的にふさわしい適切な負担となるよう、お話の高齢者の生活実態の把握も含め、検討してまいります。

○石川委員 利用者負担のあり方を検討していただくに当たって参考にしていただきたい先例として、福祉保健局が実施した軽費老人ホームA型の利用者負担の経過措置を挙げたいと思います。これは、税制改正による老齢者控除の廃止や公的年金等控除の縮小に伴い、収入はふえていないのに税額を利用者負担の基準としていたために、平成十八年度から負担がふえることになった軽費老人ホームA型の利用料について、福祉保健局は、我が党の要望を受け、税制改正の影響を受けにくい、収入額を基準とする利用者負担へと方式を変更するとともに、利用料が増加するものについては、経過措置を実施して激変緩和を図りました。このことについては、高齢者が一定の年金で安定した生活を継続する上で必要な、きめ細かな配慮であったと評価しています。
 そこで、今後、税制改正に際し、年金で生活している高齢者の利用者負担が大きくふえるような事態が生じた場合にも、同様の激変緩和措置を実施して、利用者負担の急変を回避すべきと考えますが、見解を伺います。

○安藤福祉保健局長 お話の軽費老人ホームA型利用料につきましては、それまで都が独自に実施をしてきました所得税額を基準とした算定方式から、国が決めました算定方式であります収入を基準とした方式に変更した上で、激変緩和のための措置を実施したものでございます。
 高齢者の方々に対します福祉保健サービスの利用者負担につきましては、個々の福祉保健施策ごとにその目的や内容に応じて、負担と給付のバランスなどにも配慮しながら検討する必要がございますので、同様の措置が他の制度に直ちに適用できるかどうかは慎重に考えていく必要があるというふうに考えてございます。
 今後とも国の社会保障制度や税制の動向も見定めつつ、激変緩和の必要性等を適切に判断してまいりたいと考えております。

○石川委員 公的サービスの費用が単に安ければよい、無料ならばよいなどと主張するつもりはありません。そのサービスの性質によって応分の負担をするということは、公平性の観点からも必要なことであります。要は、その負担を求めた結果、年金だけで暮らしている高齢者の生活が安定的に維持できていけるのかどうか、きめ細かく検討して制度設計していくことが重要であります。
 都財政は現在、ある程度余裕があると思われます。利用者の負担がふえて都の財政が潤えばよいというものでもありません。公会計制度の導入によって、都の財政状況もより正確にとらえられるようになりました。これらを契機として、福祉保健サービスなど公的サービスが本来救済すべき人はどういう人々なのか、よく検証し、望ましい利用者負担のあり方を検討していただけるよう要望いたします。
 次に、十八年度の決算に関連して、木造密集地域の耐震対策について伺います。
 まず、十八年度の耐震診断と補強工事の助成の実績を伺います。

○只腰都市整備局長 都の耐震対策の助成制度でございますが、木造住宅密集地域のうち、防災都市づくり推進計画に定められました整備地域を対象にしまして、区と連携いたしまして耐震診断及び耐震改修への助成を行うものでございます。
 平成十八年度の助成実績でございますが、耐震診断が五百五十一件、耐震改修が二十二件でございます。

○石川委員 制度開始の初年度なので、実績もこれからというところですが、いつ発生してもおかしくない首都直下型地震を想定すれば、手綱を緩めるわけにはまいりません。
 そこで、私どもがよく住民の皆様から相談を受けるのは、アパートなど木造集合住宅の耐震補強です。居住者としては耐震補強が必要と感じながらも、所有者である大家さんが判断しなければ補強工事が行われませんし、そもそも、区市に集合住宅への耐震助成制度がなければ都としても助成できません。
 そこで伺います。木造賃貸集合住宅の耐震診断、補強に対する助成制度がある区市はどれくらいあるのか伺います。

○只腰都市整備局長 本年九月末現在でございますが、木造賃貸集合住宅の耐震診断助成制度のある区市の数は十九、耐震改修助成制度については十四でございます。

○石川委員 制度を実施している区市もふえてきているようですが、まだ制度のない区市も多くあります。今後、都として、集合住宅の耐震助成を持っていない区市に制度を広げるよう取り組みを要望しておきます。
 そこで、耐震助成制度の活用を広げるためには、制度の内容を周知徹底することが必要です。耐震補強が必要とは感じながらも、どれだけのコストがかかって、どれだけの効果があるのかわからないという声をよく聞きます。集合住宅の大家の場合も同様です。アパート経営者らに対し、制度の活用を進めるよう周知徹底を図るべきです。都の取り組みを伺います。

○只腰都市整備局長 東京都は、賃貸住宅経営者等の団体でございます社団法人東京共同住宅協会及びNPO法人であります日本地主家主協会が主催するセミナーや、都がみずから実施する説明会などで、賃貸住宅経営に必要な知識の普及や情報の提供などを行っております。
 今後は、こうした場を活用して助成制度の周知徹底を図るなど、木造賃貸住宅の耐震化を促進してまいります。

○石川委員 次に、マンションの耐震診断への助成制度について伺います。
 平成十八年度決算書類によると、執行率は余りよくありません。これは、ある程度の古いマンションになると、入居世帯の家族構成や収入状況にばらつきが出て、管理組合としての合意形成が難しくなることが大きな要因の一つとして考えられます。しかし、住民の生命を守るという視点からは、やはり耐震補強は進めていかなければなりません。
 マンションの耐震診断の助成制度の仕組みについても、改めて周知徹底を図り、制度の活用を促していくべきです。都の取り組みを伺います。

○只腰都市整備局長 都はこれまで、区市やマンション管理業等の関係団体と連携し、セミナー等の機会を活用して、管理組合に対しまして耐震診断助成制度の周知を図ってまいりました。
 今後、区市の取り組み強化を促すとともに、耐震化についてのわかりやすいパンフレットを作成し、診断が必要なマンションの管理組合に配布するなど、本制度の十分な活用を促してまいります。

○石川委員 次に、大規模空間のある建物の耐震対策について伺います。
 平成十七年八月に発生した宮城県沖地震では、仙台市内のスポーツ施設の天井が崩落し、多数の負傷者が出ました。こうした事態を受け、公明党は、つり天井など大規模空間を持つ建物の耐震対策を推進してまいりましたが、大規模空間施設の天井崩落防止へ向けた都の取り組み状況を伺います。

○只腰都市整備局長 東京都は、宮城県沖地震の発生後の平成十七年九月、特定行政庁であります区市と連携して、都内の五百平方メートル以上の大規模空間を持つ建築物、約五千五百棟ございますが、これを対象にしまして、つり天井についての安全性を調査いたしました。その結果、国が策定した技術指針に適合せず、かつ崩落防止対策を予定していないものが約二百七十棟ございました。その後、これらに対しまして改善指導を行い、本年九月末時点では約百五十棟が対策済みまたは対策予定となってございます。
 今後とも改善状況の把握に努めるとともに、技術指針に沿って対策がなされるよう適切に指導してまいります。

○石川委員 次に、窓ガラスの耐震化について伺います。
 阪神大震災の発生直後、部屋じゅうに飛び散っていた窓ガラスなどの破片に気づかずに、慌てて走って逃げようとした被災者が、足の裏に無数の破片が刺さり、大けがをした事例が多数報告されています。また、避難所となる学校なども、建物は倒壊しなくても窓ガラスが割れてしまっては避難所としては危険ですし、冷暖房の効果も弱くなります。
 そこで、公明党は、当決算委員会の分科会で避難所となる学校の窓ガラスの耐震化について質問しましたが、本日は、学校以外で避難所となる公共施設の窓ガラスの耐震化について、取り組みを要望しておきます。
 次に、平成十七年に発生した福岡県西方沖地震では、福岡市の中心部のビルのガラスが割れ、道路に大量に落下しました。都内の中心部で同様のことが起きることを考えると、ぞっとします。特に、はめ殺しといわれるあかない窓ガラスは、建物本体の揺れやゆがみを直接受け、割れやすいと聞いています。
 そこで伺いますが、都内で、しかも駅周辺など人通りの多い道路周辺のビルにおけるはめ殺しの窓ガラス落下対策はどうなっているのでしょうか。

○只腰都市整備局長 東京都は、福岡県西方沖地震の発生後、過去に実施いたしましたビルの窓ガラスに関する調査におきまして、改修済みの報告がなかった建築物など七十九棟を対象にいたしまして、特定行政庁である区市と連携して、平成十七年四月に改めて調査を実施いたしました。その結果、国の基準に適合せず、かつ改修予定のないものが三十五棟ございましたが、その後、改善指導を行い、本年九月末時点では二十二棟が改修済みとなっております。
 今後とも改善状況の把握に努めるとともに、基準に沿って改修がなされるよう適切に指導してまいります。

○石川委員 今後も着実に対策を進めていただくよう要望して、次の質問に移ります。
 都営住宅の使用継承資格の新しい制度運用がこの八月からスタートいたしました。この制度改正は、都営住宅の名義人が死亡した場合に、その同居者に継承できる範囲を、高齢者、障害者、病弱者に配慮しつつ、原則として、従来の一親等から配偶者に限ることとしたものであり、入居者と非入居者の公平性を確保する上で重要なものであると考えています。
 これについて、都は、昨年八月の規則改正のときから、居住者向け広報紙「すまいのひろば」などを通じて事前の周知に努めてきたと思いますが、実際に制度運用が開始されてみないと実感がわかない居住者もいるようで、戸惑いを感じておられる方が多数見受けられます。
 そこでまず、この使用継承制度の見直しについて、これまでどのように居住者へ周知してきたのか伺うとともに、あわせて、現時点で居住者からどのような問い合わせがあるのか伺います。

○只腰都市整備局長 都営住宅の使用承継につきましては、規則改正を行いました平成十八年八月から本年十月まで五回にわたり、今お話ございましたように、居住者全世帯に配布しております広報紙に掲載したほか、公社の窓口や団地内でのポスター掲示、また、局のホームページ等で見直しの内容を居住者に周知してまいりました。
 次に、居住者からの問い合わせでございますが、承継が認められる範囲あるいは承継が認められない場合の退去猶予期限などに関するものが多く寄せられてございます。

○石川委員 ただいま答弁がありましたように、これまで五回、「すまいのひろば」で周知徹底を図られたと。しかし、私もすべてのひろばを見ましたけれども、これが親切丁寧な周知徹底かなと疑問に思わざるを得ない、実は表現もあります。
 そこで、低所得者向けの住宅政策は、単なるセーフティーネットという位置づけからだけではなく、最近ではトランポリンと称する向きもあるようであります。経済的に困窮状態に陥った都民が、望ましい自助努力を展開する上で有力な手助けとなる重要な手段であります。こうした住宅におけるトランポリン施策が適切に措置されているかどうか、これもまた、オリンピックの開催を目指す東京都が、成熟した都市の姿を世界に提示できるかどうかの重要な分岐点にもなるものと考えています。
 そうした観点で、さきに開始された見直し後の使用継承制度の運用に当たっては、都の住宅政策への信頼をより一層高めるためにも、きめ細かな対応が必要であります。これまで、我が党の要望を受けて、継承できない居住者に福祉の窓口を紹介するなどの対策をとってきたことは評価しますが、名義人の死亡等があった段階で戸惑わないように、そうした状況が発生する前に丁寧な相談ができる窓口を設置するとともに、自立に向けた支援を関係局と連携をして行うことが必要ではないかと考えますが、所見を伺います。

○只腰都市整備局長 使用承継の対象とならない居住者に対しましては、窓口におきまして、住宅供給公社あるいは都市再生機構などの賃貸住宅の募集情報の提供、あるいはお話のような区市町村の福祉窓口の紹介などを行っております。
 引き続き関係局とも協力して、必要とされる情報の提供に努めてまいります。

○石川委員 次に、都有地の未利用地の活用について伺います。
 東京都は今般、新しい会計システムに基づく初の決算をまとめました。その平成十八年度普通会計貸借対照表によると、資産は約三十兆円あり、負債額が約九兆円で、都債は有形固定資産約二十二兆四千億円の三分の一に相当する七兆七千億ということであります。財務局がまとめたアニュアルレポートによると、現在都が保有する財産の三分の一は将来世代の負担になることもわかりました。資産に対する負債の比率は、債務超過ではなく、健全な水準を維持していると書かれた新聞を私も読んで安心をいたしました。この点は、今ごろになって宿舎の売却など資産圧縮の取り組みを展開している国とは大いに状況が異なることもわかりました。
 一方、私の地元練馬で、町を歩いていても、閉鎖管理された未利用の都有地を見かけます。公会計システムが整備され、ストックも含めて、都民への説明責任が生じている中にあって、こうした未利用地を放置しておくことはできないと思います。そこで、都は未利用地をどのように活用していくのか伺います。

○村山財務局長 未利用になっている都有地には、事業用地として買収しても事業開始がおくれている場合、あるいは行政用途が終わった土地で売却が困難になっている土地などがございます。これらにつきましては法的制約があったわけでございますが、まず本年三月に改正自治法が施行されまして、従来、区市町村などの利用に限られていた行政財産につきまして貸付範囲が拡大され、未利用の事業予定地であっても民間事業者への貸し付けが可能となり、利活用の幅が広がっております。
 また、東京都は、本年六月に今後の財産利活用の指針を策定いたしまして、行政用途が終わった土地につきまして、これまで売却を中心に考えていたわけでございますが、その考え方を転換して、民間に長期貸し付けするなどの新たな取り組みを始めたところでございます。
 今後は、事業が始まるまでの間、事業予定のある土地を民間に積極的に貸し付けたり、行政用途の終わった土地で、将来的に利用の可能性がある土地については、新たに環境負荷低減やグループホームなどの福祉事業など、都の施策の推進を条件とした貸し付けの実施などによりまして、都民にわかりやすい、役に立つ財産の利活用を図ってまいります。

○石川委員 ご答弁のように、財政再建を果たした今、将来、行政の事業に使う可能性のある土地を単純に売却することには賛成できません。これからは個々の財産の立地条件などの特徴を見きわめながら、売却するかどうかを判断すべきだと思います。売却しない場合は、未利用地の利活用については、今伺ったような収益を上げつつ、東京都の施策を絡めた利活用を工夫しながら進めていってほしいと思います。
 しかし、先ほど申し上げたバランスシートの資産三十兆円の中には、公共事業で買収したけれども残ってしまった狭小、不整形な事業残地も含まれています。私の地元では事業残地が多く発生しています。こうした土地は放置されたままになっている場合が少なくありません。小規模な都有地であっても、税金を使って購入した土地であり、大規模な土地だけではなく、こうした土地の活用も重要であります。もっと知恵を絞って積極的に有効活用ができないのか、見解を伺います。

○村山財務局長 小規模な都有地が利活用できずにそのままになっている理由といたしましては、各局の事業残地等についていえば、従来は事業が終了した後に売却や利活用に着手したわけでございまして、そのことが一つ、原因としてございます。それから、先ほどのお話にもありましたように、利活用の手法が区市町村などの使用許可に限定されていたこと、また、財務局が管理している土地やあるいは事業残地等の中にあっても、小規模で利活用が事実上困難なものが相当数あることなども挙げられます。
 そこで、平成十八年度から、全庁的会議として都有財産利活用推進会議を活用いたしまして、具体的には環状八号線などの事業残地につきまして、事業中から売却等に積極的に取り組んでまいりました。その結果、この一年数カ月の間の売却実績は六千四百万円ほどとなっております。
 また、関係局と連携いたしまして、事業残地等を緑化したり、あるいは民間へ貸し付けてコインパーキング化した実例もございます。財務局所管用地につきましても、環境局事業であるすき間緑化事業の場所として活用するなど、積極的に利活用を図っております。
 今後とも、小規模な都有地につきまして、ご指摘の点を踏まえまして、可能なものについて速やかに売却等を進める一方、民間事業者への貸し付けなど、幅広い都民の参加によりまして収益性を発揮させたり、都が抱える行政課題に役立てるように取り組んでまいります。

○石川委員 最後に、都道整備について、地元の補助第一三三号線について、現在事業中であります千川通りから目白通りまでの区間の整備の位置づけについて伺います。

○道家建設局長 練馬区内の都市計画道路補助第一三三線については、千川通りから目白通りまでの延長四百十五メートルを幅員十六メートルで整備中であります。
 本事業は、西武池袋線の連続立体交差事業とあわせて行い、周辺地域の道路ネットワークを形成し、交通の円滑化を図るものであります。これにより、現在細街路に流入している通過車両を誘導するなど、安全で快適な生活空間を確保するとともに、災害時の避難など地域の防災性の向上を図ることを目的としております。

○石川委員 本区間は平成二年度より事業に着手したとのことでありますが、これまでどのように整備してきたのか伺います。

○道家建設局長 本区間の整備につきましては、平成二年度に事業着手し、十一年度までに七割の用地を取得いたしました。その後、残る大規模な土地の境界確定や大型店舗の移転先確保などについて粘り強い折衝を重ね、昨年までに用地取得を完了したところであります。
 本年七月には、千川通りから西武池袋線北側までの約八十メートルを、全線開通に先立ち交通開放いたしました。
 残る区間については、現在、歩道の植栽工事などを実施しており、引き続き目白通りとの交差点整備を行い、来年夏の全線区間の供用開始を目指してまいります。

○石川委員 平成二年度の事業着手から、答弁にありました事情もあり、長い年月を経てようやく完成に近づいている道路であります。しかし、この計画事業期間中の取り組みを見ますと、建設事務所の皆さんのご努力は評価をいたしますが、解決すべき課題を同時に執行できる体制が整っていれば、供用開始を早めることは可能だったのではないかと、このように私も、また地元の期待をしている方々も述べておられます。
 本区間は来年の夏に開通するとのことでありますが、一日も早く地元の期待にこたえることをお願いするとともに、今後の道路整備に当たりましては、費用対効果を高めるためにも、事業の早期完了に必要な執行体制を整備し、取り組まれるよう要望いたしまして、質問を終わります。

○鈴木委員長 石川芳昭副委員長の発言は終わりました。
 吉原修委員の発言を許します。

○吉原委員 それでは、先ほども議論がございましたけれども、東京富裕論が盛んにいわれているところでもあります。しかし、東京で暮らしている人にとって、東京が地方と比べて本当に富裕といえるのか、私にも実感が全くないわけであります。大都市には地方にない特有のニーズがあります。単に税収だけを比較して、東京が富裕だと論ずるのは全く理不尽な話だと思っています。そこで、福祉施策を例に、大都市特有のニーズと、そのニーズにこたえるためにどのくらいの経費が投入されているのかということを取り上げたいと思います。
 まず、認証保育所についてですが、東京にはさまざまな人が集い、暮らし、仕事やさまざまな活動を通じて活力を生み出し、それが日本全体の牽引力にもなっています。将来にわたって東京の活力を維持し続けるためには、仕事と家庭生活を両立させながら、次代を担う子育てにもしっかりと取り組んでもらえるようにしていくことが大変重要だと思います。
 しかし、現実には核家族化や通勤時間も長いという東京では、若い親の努力だけで子育てをしていくことは非常に大変です。産休や育児休業が終わったらすぐに子どもを預けて働かなければならない人もいるでしょう。また、朝早く子どもを預けて、夕方、職場に気兼ねなく迎えに行けるようにできるだけ長く預かってほしい、そういう人は多いはずであろうと思います。こうしたニーズはまさに大都市特有のものだろうと思います。子育てが大変だからという理由で子どもを持つことをあきらめるということがないよう、社会全体で支援していかなければなりません。
 都は、こうした大都市東京の保育ニーズに的確に対応するために、平成十三年度に認証保育所制度を創設いたしました。まさに利用者本位の保育サービスが提供できる制度でありまして、都民には広く支持を得ているものと思っております。
 そこで、改めて現在の認証保育所の整備状況、そしてまた都費がどれだけ投入されているのか、お尋ねをいたします。

○安藤福祉保健局長 認証保育所は、平成十三年度の制度創設以来、本年の十一月一日までの六年間で三百八十四カ所、約一万一千六百人分を整備してまいりました。なお、認可保育所は、同じ期間におきまして、九十カ所、約一万五百人分となっておりまして、認証保育所の整備は認可保育所を上回っております。
 認証保育所の運営費等につきましては、国庫による補助はなく、保護者負担のほか、都と区市町村が各二分の一の補助を行っておりまして、平成十八年度の都費の補助額は約五十三億二千九百万円でございます。

○吉原委員 ここまで普及拡大したのも、認証保育所制度がまさに大都市の保育ニーズに見事に合致していたからだろうと思っております。多様な保育ニーズが存在する東京では、全国一律の認可保育所よりも、柔軟性の高い認証保育所が有効であると思います。ところが、認証保育所には国庫補助がなく、十八年度では都費だけでも五十三億円が投入されているということです。
 そこで、認証保育所をきちんと国の保育制度に位置づけさせるべきといい続けてまいりましたが、これまで国に対してどのように働きかけてこられたのか、伺います。

○安藤福祉保健局長 ご指摘のとおり、都独自の認証保育所による都市型保育の取り組みが広範な支持を受けておりますことから、既存の保育制度につきましても、大都市ニーズに柔軟に対応できるものへと転換を促す必要がございます。こうした考えに基づきまして、都が認証保育所において実施をしております直接契約の導入や保育料の自由設定、また入所要件の見直しなど、現行の保育所制度の改革を国に提案要求しているところでございます。
 今後とも、質の高い保育サービスを利用者が選択できる仕組みづくりの実現に向けまして、国に働きかけてまいります。

○吉原委員 今お話のありました保育所改革については、ぜひ地方自治体の中でもこれまで先駆的な役割を担ってきた東京が、引き続き先頭に立って、実現に向けて積極的な取り組みを今後も期待をいたしたいと思います。
 そこで、喫緊の課題である、約五千人いる保育所入所待機児童の解消についてどのように取り組んでいるのか伺います。

○安藤福祉保健局長 都といたしましては、これまでも認可保育所の設置促進を図りますとともに、認証保育所の創設など保育サービスの充実に努めてまいりました。しかしながら、都内には相当数の潜在的な保育ニーズがございまして、保育所待機児童数は、ここ数年横ばいで推移をしております。
 このため、現在、総合的な子育て支援策を検討いたします子育て応援戦略会議におきまして、認証保育所を初めとする多様な保育サービスの拡充策や働き方の見直しに向けた施策を検討してございます。
 また、待機児童の解消のため、先月三十日でございますが、待機児童の多い区市との連絡会を立ち上げまして、各地域のより一層重点的な取り組みを働きかけておりまして、都と区市町村が一体となってその解消に積極的に取り組んでまいりたいと考えております。

○吉原委員 ニーズがあるからこそ独自の制度を設けているのでありまして、財源が余っているからサービスを手厚くやっているのでは決してないわけであります。こうした現実を国に対して強く訴えていくことが大変重要だと思います。一層の取り組みを要望しておきたいと思います。
 次に、特別養護老人ホームと認知症グループホームについてでありますけれども、まず初めに、平成十八年度における特別養護老人ホームの整備状況と、その整備のためにどれだけの経費が投入されているのか伺います。

○安藤福祉保健局長 特別養護老人ホームの整備状況は、東京都高齢者保健福祉計画におけます平成十八年度利用者見込み数三万四千三十八人分に対しまして三万四千百四十三人分の整備実績でございまして、達成率は一〇〇・三%となっておりますことから、おおむね順調に推移していると考えております。
 この特別養護老人ホーム整備のため都が支出した経費は、平成十八年度決算では約九十億円となってございます。

○吉原委員 整備は順調に推移している、こういうことでありますから、大変結構なことだというふうに思います。
 しかし、大都市特有の用地確保の難しさ、そしてまた高層化せざるを得ないことによる建設費の高さなども考えると、九十億円もの都費を投入してこその結果ということもいえるのではないかなというふうに思います。
 そこで、東京都は、特別養護老人ホームの位置づけをどのように考えて、また、整備促進に向けた取り組みやその特徴などもあわせて伺います。

○安藤福祉保健局長 特別養護老人ホームは、地域での生活が困難で、かつ常時の介護を必要とする高齢者に対する多様な施設サービスの一つとして位置づけて、都は独自の整備費補助を実施しているところでございます。
 また、近年都内では、まとまった施設用地を確保しにくくなっていることもございまして、平成十八年度から都有地活用による地域の福祉インフラ事業の対象事業に加えるなど、特別養護老人ホームの整備促進に努めているところでございます。
 今後も高齢化の進展により増大する介護ニーズに対応するため、多様な手法を活用し、整備の一層の促進に努めてまいります。

○吉原委員 先月発表されました地域ケア体制整備構想の骨子案によれば、ひとり暮らしあるいは夫婦のみの七十五歳以上の高齢者世帯は、これから十年足らずで約一・七倍になるといわれております。急増が予想される東京の介護ニーズに的確に対応するために、特別養護老人ホームの計画的な整備を強くお願いしたいと思います。
 次に、認知症高齢者グループホームについてでございますけれども、このグループホームは、家庭に近い環境の中で共同生活することで認知症の進行をおくらせる効果もあると聞いております。しかしながら、先ほども触れました地域ケア体制整備構想の骨子案によりますと、最近その整備がやや鈍くなってきたように思われます。グループホームの伸びが鈍化している原因をどのようにお考えになっておられるのか、また、整備促進のためにどれほどの都費を投入しているのか、お伺いをいたします。

○安藤福祉保健局長 お話のように、グループホームの平成十八年度新規開設数は三十三カ所でございまして、平成十七年度実績の五十四カ所の六割程度となっております。
 その背景としましては、近年の景気回復などによりまして不動産需要が増大をし、土地所有者がグループホーム建設のために提供する土地が減少していることが主な原因であると考えております。
 また、介護人材の確保が困難になっていることなどから、これまでグループホームの設置促進に大きな役割を果たしてきた民間事業者及び土地所有者等の事業参入意欲が低下をし、新規開設の減少につながったと認識をしてございます。
 なお、グループホーム整備のため都が支出した経費は、平成十八年度決算では約六億三千万円となってございます。

○吉原委員 確かに、現在の東京の地価はミニバブルに近い、こういわれているわけでございまして、土地所有者にしてみますと、土地活用の選択肢がますますふえて、グループホームへの土地の提供が少なくなってきている、そういうふうに思います。
 また、このグループホームは、介護保険法の改正に伴って、区市町村が整備計画を策定することになり、国の交付金もこの計画に基づき交付されることになります。このことによりまして、この計画と事業者の参入計画がうまくマッチングしないと整備が進まないわけでありまして、事実上、事業者の参入が制限されている状況があるとも聞いているわけであります。
 しかしながら、グループホームは、二十年度に五千六百人分の整備目標を掲げておりまして、都の認知症高齢者対策の中核ともいえる事業であります。そこで、整備促進に向け、どのような働きかけや取り組みを行っているのか伺います。

○安藤福祉保健局長 グループホームは、地域における認知症ケアの重要な拠点といたしまして、今後とも重点的な整備促進を図る必要があると考えております。
 このため、都では、土地所有者がみずからグループホームを建設し、事業者に貸し付ける場合に補助を実施するほか、整備がおくれております区市町村を重点的緊急整備地域に指定しまして、補助率を加算するなど、独自の整備促進策を講じております。
 また、平成十九年度からは、小規模多機能型居宅介護事業所を併設して整備する場合は、整備費補助の加算措置を新たに実施しております。
 また、国に対しましては、ご指摘のございましたような区市町村の計画と事業者の参入予定地域とが一致しない場合には、区市町村の整備計画の変更等について柔軟な取り扱いを行うよう申し入れを行ったところでございます。
 今後とも、区市町村が主体的に整備促進に取り組めるよう、都としても必要な支援策を講じてまいります。

○吉原委員 都民ニーズの高い認証保育所と特別養護老人ホーム、認知症高齢者グループホームを取り上げまして、整備状況を中心にお伺いをいたしました。現在、都は、国の全国画一的な施策では対応し切れない都民ニーズに対応して、都独自の財源でさまざまな施策を展開しています。引き続き都民の切実なニーズにこたえるために、施設などの整備促進に努めるとともに、やみくもに都から財源を吸い上げようとする動きに対しては、都の実情をしっかりと訴えていくよう、執行機関も、そして議会も一体となって取り組んでいくべきであるということを申し上げておきたいと思います。
 最後に要望ですが、本年、育児休業法が改正されました。育児を行う地方公務員の職業生活と家庭生活の両立を一層容易にするための環境整備として、小学校就学までの子を養育する職員のために、短時間勤務制度の導入が可能になったところであります。このことによりまして、これまで、能力と意欲がありながら働くことを断念せざるを得なかった方の活用が促進されるものと大いに期待をしているところでもございます。
 この制度の活用は、昨今の大きな課題の一つでもあります公立病院などの医師、看護師の確保対策にも大変有効であると考えられます。時に乗りおくれることがないように、東京都はもちろんのことでありますけれども、区市町村に対しても、速やかに導入されるよう、都として積極的に取り組んでいただきたいと思います。
 次に、NPO法人への東京都の指導監督について伺います。
 平成十年に制度が発足されて以来、全国では三万件を超えるNPO法人が認証されてまいりました。そのうち、東京都が認証した法人は約五千六百件に及んでいるとお聞きしております。改めて申し上げるまでもありませんが、NPO法人は、福祉や教育、文化などさまざまな分野にわたって、行政や企業では果たし得ない大きな役割を担っているわけであります。しかしながら一方では、残念なことに、法人の中には、本来の法人の精神に反して、悪質商法や犯罪の隠れみのに使われるケースが時折報道されております。
 つい先日の十一月八日にも、都は、公正証書原本不実記載という罪で理事長が逮捕された日本フィリピン市民交流支援の会の認証の取り消しを行いました。また、出資法違反で捜査を受けたあのエル・アンド・ジー社の関連のNPO法人も報道されました。これらのケースはいずれも、個人や団体の反社会的な利益や犯罪のために、公益を目的としなければならないNPO法人としての仕組みが利用されたものであろうかというふうに思います。
 そこでまず、都は、NPO法人に対してこれまでどのような指導監督を行ってこられたのか、内容と実績について簡潔にお願いをいたします。

○渡辺生活文化スポーツ局長 NPO法人は、制度創設から約九年が経過し、さまざまな分野で社会貢献活動を展開する中で社会に定着してきていると認識しております。
 一方、ご指摘のように、必ずしも公益とは認められない活動を行う法人も見受けられることから、都は、平成十七年三月に、適切な法人運営を促進するためのNPO法の運用方針を策定し、法に基づく指導監督を強化しております。
 これまで都は、都民からの情報提供等により法令違反等の事実確認ができた場合には、法人に対する改善命令や認証取り消し処分を行っており、平成十八年度の実績は、改善命令が三件、認証取り消しが三件であります。
 また、事業報告書等の提出が三年以上ない、いわゆる休眠法人に対する認証取り消しを行っており、平成十八年度の実績は十八件であります。

○吉原委員 NPO法人は社会的に大変意義ある制度ではありますが、比較的簡単に法人格を取得できる制度でもあります。その分、都の指導監督の責任の重さはさらに求められているわけであります。今後、都民からの信頼を得るために、都民がNPO法人の情報をもっと入手しやすくすることと、NPO法人みずからが情報を積極的に公開することが大切だと思います。
 しかし、現状では都民が都庁の窓口まで足を運ばないと、定款などの法人の活動に関する書類が閲覧できません。また、みずからの情報を公開すべき法人自身が、何年も事業報告すら提出していないこともあります。都としては、NPO法人の情報公開をどのように促進して、指導監督を強化していくのか、伺います。

○渡辺生活文化スポーツ局長 NPO法人は、毎事業年度、事業報告書等を所轄庁に提出することが義務づけられており、提出された書類は、所轄庁において一般に公開されております。都は、期日までに書類の提出がない法人に対しては、督促や法人名の公表などを行っております。
 また、ご指摘のとおり、現在、法人情報の公開は窓口での閲覧のみでございますが、平成二十年度を目途に、NPO法人情報管理・提供システムの構築を目指しており、都民がインターネットを通じて自宅等においていつでも閲覧することができるようにし、利便性を確保したいと考えております。
 今後は、このような情報公開を一層進めるとともに、新システムによる事務の効率化を図り、都における指導監督をさらに充実強化してまいります。

○吉原委員 今ご答弁いただいたことが進めば、都民からの信頼あるいは利便性等もさらに高くなるわけでありますから、NPO法人としても一層の発展につながっていくことになると思います。今後も局のさらなる努力をお願いいたしたいと思います。
 次に、教員の質の確保について伺います。
 団塊の世代の大量退職等に伴う教員の大量採用時期を迎えて、近年、教員採用の動向が注目をされているわけであります。このような中で、今年度の東京都の教員採用の応募者は、昨年度に比べまして一割程度増加し、約一万五千人に上ったとお聞きをいたしました。その取り組みは評価するものであります。
 しかし、首都圏各県でも大量の教員採用を見込んでいるわけでございまして、今後、応募者の確保は一層厳しいものになるのではないかと考えられます。優秀な人材を採用するために、多くの受験者を確保して、競争原理が働くようにすることが重要であると考えます。どのような取り組みを今後行っていくのか、伺います。

○中村教育長 これまでも、地方説明会あるいは大学での説明会、さらにメールマガジンの配信など、さまざまなPR活動を行い、受験者の増を図ってまいりました。
 今後、これまでの取り組みの規模を拡大しますとともに、地方や大学での説明会には、その地方あるいは大学の卒業生、OBですね、この若手現職教員等を同行いたしまして、直接後輩に語りかけるなど、親しみのある説明会を企画いたしましたり、社会人が参加しやすいよう夜間の説明会を開催するなど、説明会の参加者に合わせた工夫を凝らしまして、効果的なPR活動を展開してまいります。

○吉原委員 ところで、公教育の質の向上のためには、数の確保のみならず、教員としての資質、能力の高い人材を採用選考において見きわめる必要があるわけであります。この観点で今年度の選考での取り組みについて伺います。

○中村教育長 これまでも、教員としての資質、能力の高い人材を確保するために、選考方法を工夫、改善してきたところでありますけれども、今年度から、学校現場でもって実際に授業等を行っております産休、育休代替教員などの臨時的任用教員や非常勤講師などが教員採用選考を受験する場合には、学校長等の評価を採用選考に適切に反映する仕組みを講じたところであります。その結果、実践的指導力など教員としての適性を確実に見きわめる選考ができたというふうに考えております。

○吉原委員 教員の生涯賃金を考えますと、先ほどからご答弁いただきましたように、教員としてのふさわしい人材を採用するよう、着実に進めていただきたいと思います。そのためにも、採用に当たっては、必要な経費はしっかりと計上していただいて、効果的に、そしてまた効率的に執行されるよう要望をさせていただきます。
 ところで、定年退職教員の増加に伴う教員の大量採用は避けられないとしても、公教育の質の確保のためには、定年退職教員の中で優秀で意欲のある経験者をこれまで以上に活用することが必要だと考えます。そこで、退職した教員の活用についてお伺いをいたします。

○中村教育長 学校現場が抱えますさまざまな課題に適切に対応していきます上で、豊富な知識や経験を持ちます退職教員を積極的に活用することは大変有効であると考えております。
 本年度より、小学校におきまして、入学したばかりの児童が落ちついて授業に取り組むことができない、いわゆる小一問題、これへの対応や、学級経営、学習指導等に関します新規採用教員への支援のために、退職教員を教育アドバイザーとして選任いたしまして、各区市教育委員会に配置したところであります。
 今後は、退職教員が増加することを踏まえまして、新たな活用策についてもさらに鋭意検討してまいります。

○吉原委員 次に、東京都が推進している日本の伝統・文化理解教育について伺います。
 昨年十二月に改正されました教育基本法では、教育の目的及び目標について、旧法にも規定されている人格の完成などに加えて、公共の精神や伝統と文化の尊重など、今日重要と考えられる事柄を新たに規定しております。都教育委員会では、全国に先駆けて奉仕や日本の伝統・文化理解教育を実施しており、その取り組みは、改正された教育基本法の理念にも合致するものとして、我が党としても大変高く評価するものであります。
 現在、東京都において重点事業として実施されているこの日本の伝統・文化理解教育は、まだ始まったばかりでありますが、どのような成果があらわれているのか、お伺いをいたします。

○中村教育長 日本の伝統・文化理解教育につきましては、平成十七年度から準備を進めまして、本年度からは、都立学校二十六校二十八課程におきまして、学校が独自に設定いたします教科として「日本の伝統・文化」を開設し、年間を通して授業に取り組んでおります。また、小中学校につきましては、六つの区市を推進モデル地域に指定いたしまして、普及啓発を図っているところであります。
 実施している高校からは、脈々と受け継がれてきた伝統的な技術のすばらしさから、日本のものづくりに関心が高まってきた、学習したことを自信を持って地域や外国の人々に紹介できるようになった、また、礼儀や礼節の大切さに気づくようになってきたなどの成果が報告されております。

○吉原委員 伝統や文化というものは、本来、家庭や地域社会の中で生活と密接にかかわる中で経験して身につけるものであると思っています。しかし、現在、それを、家庭や地域社会だけでは十分ではありません、学校教育においてもしっかりと学ばせることが重要であろうかと思います。その際に、たとえ専門家に依頼するにしても、単に体験させるということだけではねらいを十分に達成することはできないのではないかと思います。
 日本の伝統・文化理解教育を推進するに当たって、今後学校をどのように指導していくのか、見解をお伺いいたしまして、質問を終わります。

○中村教育長 都教育委員会では、子どもたちが伝統・文化の価値を理解し、郷土や我が国に対する愛情や誇りを持つようにすることができるなどを目指しまして、日本の伝統・文化理解教育を推進してまいりました。
 今後とも、これまで作成してまいりました日本の伝統・文化カリキュラムや教材集などを一層活用するとともに、教員研修や新たな指導資料の作成、配布などを通しまして、指導のねらいや内容を明確にした授業を実施するよう学校を指導してまいります。

○鈴木委員長 吉原修委員の発言は終わりました。
 この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩いたします。
   午後二時五十七分休憩

   午後三時十六分開議

○きたしろ副委員長 休憩前に引き続き委員会を再開いたします。
 質疑を続行いたします。
 大塚たかあき副委員長の発言を許します。

○大塚委員 私からは、きょうは、運河ルネッサンス、そして東京オリンピック招致運動、二つのテーマについて質疑をさせていただきます。
 私は、昨年の十八年第三回都議会定例会本会議の一般質問において運河ルネッサンスの推進について質問したことや、お台場に二年住み、また現在は芝浦に在住していることから、毎朝東京港を眺め、運河沿いを歩き、通勤している私は、ここ数年の運河ルネッサンス構想に指定された四地域が、着実に、具体的な事業として確立されてきていると実感しております。
 特に、芝浦アイランド地区では、東京都の平成十八年度決算では約六億円の予算をかけて護岸整備を行い、地元住民や企業が創意工夫を凝らし、大変努力し、まちづくりが進められており、これは大変評価できることだと思います。
 そこで、まず運河ルネッサンスについて、十八年度の具体的な取り組み内容と現状をお伺いするとともに、先日、私も現地を見てきましたが、豊洲地区についてもあわせてお聞きをしますが、平成十八年度の豊洲地区では、同じく護岸整備に約三億八千万円をかけて運河周辺のにぎわいづくりに資するため積極的に取り組んでおります。特に、地元では、キャナルウオークと名づけ、遊歩道整備が進んでおりますが、そこで、運河ルネッサンスの指定を前提に、豊洲地区の取り組みについて、あわせて見解をお伺いいたします。

○津島港湾局長 都におきましては、平成十六年度より、水辺を生かしたまちづくり、水辺に親しめるまちづくりを実現するため、運河ルネッサンス事業に取り組んでまいりました。
 芝浦地区におきましては、平成十八年度に開発事業者による観光桟橋が完成し、当地区とお台場、豊洲を結ぶコミューター航路が開設され、ボートライセンススクールも開校いたしました。また、地区をめぐる遊歩道も同時に完成し、現在は散歩やジョギングを楽しむ人々が多く見受けられるようになってきております。天王洲などの他の地区におきましても、レクリエーションボートの乗り場の設置やイベントの開催など運河のにぎわいづくりが進んでおります。
 お尋ねの豊洲地区は、マンション建設や大学の移転など新しいまちとして発展してきております。現在、地区の特性を生かしたまちづくりを進めるため、地元の大学関係者や町会などが運河ルネッサンスの地区指定に向けた取り組みを行っておりまして、都としても、積極的に支援を行ってまいります。

○大塚委員 運河ルネッサンスに指定されました芝浦地区を初め四地区は、今答弁のあったように、地元にとって魅力ある事業が展開できるようになったことから、ぜひ豊洲地区においても、地元と連絡をとり合い、運河ルネッサンスの指定に向けて積極的に取り組んでもらうよう要望いたします。
 次に、運河の水辺に人が集い、憩うには、水質の向上が大事であると、同じく昨年の定例会で指摘をいたしましたが、東京港の水辺についても同様であると思います。お台場海浜公園の水辺で、子どもたちが楽しく水遊びができるようにと、知事も出席をされましたが、平成十五年から港湾局、環境局、下水道局が協力し、海水の浄化実験を行っているところですが、最近では、カキを使った水質浄化実験を始めたようですが、その発想は大変興味深く、おもしろいと思いますが、今回の実験の意義と取り組みについて見解を伺います。

○津島港湾局長 東京港の水質改善を図るには、多様な手法による取り組みを進めることが重要であると考えております。港湾局では、従来から実施しております汚泥しゅんせつや干潟整備などに加えまして、お台場海浜公園におきまして、カキなどの生物を活用した水質浄化実験を始めました。
 この実験は、一日に四百リットルの海水浄化能力を持つといわれるカキ四万個をいかだにカーテン状につるすほか、カキの排泄物を摂取するナマコ、それから酸素を供給し魚の産卵場ともなるアマモなどの海草も活用しまして、海が本来持っている自然の浄化サイクルを再生しようとするものでございます。
 実験に際しましては、子どもたちがカキのカーテン設置などに参加しておりまして、今後とも都民参加による意識啓発も図りながら、東京港の水質改善に努めてまいります。

○大塚委員 お台場海浜公園は、都民の共通の憩いの水辺、観光地でありますから、近い将来、水遊びとはいわずに、本格的な海水浴ができるような水辺として供用できるよう、さまざまな技術を駆使して水質の向上に努めていただくようお願いいたします。
 そしてまた、東京オリンピックのトライアスロンの競技予定地としても先日発表されたばかりでございますので、関心が一層高まると思いますので、よろしくお願い申し上げます。
 地元が参加した運河ルネッサンス推進地区の拡大や水質の向上に向けた都の実験的な取り組みを通じて、水辺空間の改善、整備が進んでいることがよくわかりましたが、一方、オリンピック招致を見据えて、より多くの観光客が引き寄せられるよう、水辺のにぎわいと魅力をさらに向上させていくためには、水際の整備だけでなく、水辺の後背のまちづくりとも連動して、景観的にもすぐれた、より魅力ある空間づくりを目指す必要があると思います。
 都は、平成十八年度に、東京都景観計画を策定し、東京臨海部の水辺全体にも新たな施策を打ち出しています。例えば、先ほど述べた豊洲地区では、新聞報道や関係者によれば、今後の都市計画決定に向け、景観計画に基づく事前協議を既に済ませ、東京都景観計画にも沿った開発計画の検討が進められると聞いております。
 そこで、東京都景観計画に基づく水辺景観形成特別地区の対象地区の設定の考え方と、その地区の具体的な景観施策はどのようなものか、伺いたいと思います。

○只腰都市整備局長 観光資源となり得るような美しい景観を備えた東京を実現するためには、水辺の魅力向上が重要な要素であることから、都は、四月に公表いたしました景観計画の中で、水辺景観形成特別地区を指定いたしまして、重点的に良好な景観形成を図ることとしております。
 具体的には、お台場などの観光スポット、芝浦などの運河ルネッサンス推進地区、オリンピックスタジアム建設予定地等が立地しております臨海部を対象といたしました。
 この地域の特性を踏まえまして、水際や水上からの視点にも配慮して、民間開発等の景観誘導を行うとともに、屋外広告物についても、屋上設置や光源の点滅を禁止いたしまして、夜景も視野に入れました景観形成を積極的に進めてまいります。

○大塚委員 次に、東京オリンピック招致活動について伺います。
 都は、昨年度、二十一世紀の東京オリンピック招致に向けた都民運動の展開を行ってきましたが、私も、昨年の第三回定例会において、招致活動への提案を幾つか行いました。
 オリンピック招致の最終的な目標は、IOC委員から一番多くの票を獲得し、開催都市に選ばれることです。
 そこで、国際プロモーションが大変重要になりますが、私は、地元港区の多くの駐日大使への働きかけが重要であり、親日家になってもらう活動をすべきと提案をいたしました。大使に対して、東京の町や競技施設予定地などを案内することは、東京、そしてオリンピック招致計画を理解してもらうために、大変有効な活動だと思います。来年六月の五都市程度の立候補都市決定まで国際プロモーションが禁止されているので、ぜひ解禁後には、より効果的な取り組みを行っていただきたいと思います。
 そこで、初めに、来年に向け、IOC委員をよく知るとともに、ほかの申請都市の誘致運動を把握することが重要です。一九八八年夏季オリンピック招致において、名古屋市は、一九三二年ロサンゼルス・オリンピック百メートル背泳ぎ金メダリストであります、IOC副会長であった清川正二氏を擁し、優勢な情勢であったにもかかわらずソウルに敗退した歴史があります。過去に学び、IOC委員や他都市の動向を知り、東京の招致に生かしていくことが重要と考えますが、見解をお伺いします。

○荒川東京オリンピック招致本部長 来るべき二年後のIOC総会で、他都市よりも多くの票を獲得するために、過去の経験の分析、他都市の動向の把握等を行うことは大変重要であると認識しております。特に、シカゴ市など強豪といわれているライバル都市につきましては、現在、招致委員会と協力いたしまして、競技会場の配置や広報活動の動向などを把握しておりますとともに、それらを踏まえまして、東京自身の計画内容の精査や招致戦略づくりに努めているところでございます。
 また、海外PRやIOC委員への働きかけといった国際プロモーションにつきましては、現段階においてIOCの行動規範という大きな制約がございますが、各局やJOC、国内競技団体と連携をとりながら、規範に抵触しない範囲で、さまざまな機会を活用して有益な助言や情報の収集を行っているところでございます。
 今後、ますます本格化する招致レースを勝ち抜いていくために、こうした取り組みをより一層強化してまいります。

○大塚委員 現在は、国内キャンペーンを主要な活動として、多様な活動を行い、オリンピック招致の賛同の拡大を図っています。また、今月は集中キャンペーン月間であり、月末には第一回の世論調査を行い、その結果を申請ファイルに記述すると聞いています。
 一方、マスコミによる世論調査では、厳しい数字も出ておりますが、そこで、オリンピズムを広げ、賛同をふやす提案をしますが、子どもたちにスポーツの夢と喜びを広めるとした基本理念を具体化するため、オリンピアンなどが学校の体育や運動会や自治体体育大会に赴き、一緒に運動する、競技を行うなど、子どもたちに夢を持たせるきっかけづくりを行っていったらどうでしょうか。
 多くの人々が感嘆したストリート陸上や群馬県伊勢崎市における地元Jリーグ選手と児童との体育授業の話を聞くと、親子ともどもがスポーツに感動する機会をつくることが大切だと考えます。特に、招致を行う都内における取り組みは、そうした活動を中心に展開していくべきではないかと思いますが、見解を伺います。

○荒川東京オリンピック招致本部長 次代を担う子どもたちが親と一緒になりましてスポーツに感動することは、招致活動の上でも重要であるというふうに思います。
 これまでも、子どもたちや親が参加した駒沢公園でのオリンピックフェスティバルや都内各地でのスボーツ記録会、また、東京や全国で開催のオリンピアンふれあい交流事業、副題が「君も未来のオリンピアン」といいますが、これらなど、できるだけ多くの機会を利用しまして、広報活動を実施しているところでございます。
 また、この十月から始めておりますが、オリンピックを通じて環境問題や世界平和にも関心を持ってもらうことをねらいとした「みんなのオリンピック」、副題が「ボクらの街にオリンピックがやってくる!」でございますけれども、この事業を、年度内に都内十一会場、全国合計で二十会場で開催する予定でございます。
 このほかにも、オリンピック出場者が子どもたちと一緒に競技を行うオリンピアン母校訪問事業も行ってまいります。
 今後とも、各局やJOCと連携いたしまして、スポーツの夢や喜びが子どもたちや親に伝わる事業を積極的に実施し、招致に対する支持の拡大に結びつけてまいります。

○大塚委員 次に、昨年六月、都は、世界一コンパクトな大会とした計画書を公表いたしましたが、続く国内都市選定では、竹田JOC会長が、都の計画を全体に磨きをかけたいと発言し、計画が変更される方向が示されました。その後、JOCは東京五輪招致戦略プロジェクトを設置し、計画の改善点を協議し、招致委員会に提案しましたが、今回の変更によって、JOCとの間での会場配置の議論が語り尽くされたと考えてよいのか、所見を伺います。

○荒川東京オリンピック招致本部長 このたび、申請ファイルの提出に向けまして、これまでの開催概要計画書を精査し、必要な見直しを行いました。その内容を開催基本計画としてまとめたところでございます。
 競技会場の配置につきましては、国内立候補都市に決定された後、JOCや国内競技団体とも何回も意見交換を行うとともに、IOCの最新のテクニカルマニュアルや海外の専門家からの助言等も踏まえるなどしまして、検討を行ってまいりました。
 今回発表した競技会場の配置計画案は、来年一月にIOCに提出する申請ファイルの基本となる内容であり、その策定に当たってはJOCとも十分な協議を行っております。

○大塚委員 ボート、カヌーやセーリング、バレーボール会場といった恒久施設の整備の増加は、それらのスポーツレガシーを都民が後利用する位置づけがあり、持続可能なものでなければならないと考えます。それらが都民生活や招致計画にどのような影響を及ぼすのか、所見を伺います。

○荒川東京オリンピック招致本部長 今回、恒久施設として整備することといたしましたボート、カヌー会場とセーリング会場は、競技関係者のみならず、幅広く都民にマリンスポーツの場を提供する新しい拠点となるものと考えております。
 また、代々木公園のバレーボール会場は、一九六四年の東京オリンピックの遺産である代々木地区にさらなる発展をもたらし、隣接する国立代々木競技場とともに、都民にトップレベルの競技に触れる機会を提供する屋内競技のメッカとなるものと考えております。
 IOCは、オリンピック自体が開催都市の発展に寄与することを望んでおりまして、緑と水に囲まれたこれらの会場を新たな遺産として残すことは、既存の施設を十分に活用したコンパクトな会場と相まって、東京招致の大きな強みになるものと確信しております。

○大塚委員 国内外の招致活動を行うためには、必要な資金を集めていかなければなりません。昨年の質問で、私は、さまざまな広告を使った収入を提案させていただきましたが、まずは招致機運を高めるため、ロゴの浸透を図っていくとのことでした。
 東京オリンピックの財政計画の中で、招致経費の予定総額は五十五億円です。都が約三割の十五億円を負担し、残りの四十億円は招致の主体である招致委員会が、賛同を得る中で調達していくことになります。招致委員会では、十八年度で寄附とマーケティング事業で三億円、今年度の十九年度で十四億六千万円を集めていく予定であると聞いております。
 今後さらに、招致に賛同する協力企業などから積極的に寄附を集めていく必要があり、これらの企業は、オリンピック競技大会の際には、ローカルスポンサーの候補にもなります。このような寄附などを集める取り組みは大変重要と考えますが、最後に、本部長のご答弁をお願いいたしまして、質問を終わります。

○荒川東京オリンピック招致本部長 東京オリンピック招致委員会は、民間企業からの寄附金、協賛金を中心に活動を行う特定非営利活動法人として位置づけられております。このため、本年度後半から、東京招致オフィシャルパートナー等支援プログラムを開始したところでございまして、これまで、ミズノ、アシックス、デサント、ヤフーから協力をいただいております。
 開催決定前である現在の招致段階では、企業募金にはかなりのエネルギーが必要でございますが、招致委員会では、できる限り多くの企業から多額の協力が得られるよう精力的に働きかけを行っております。
 都といたしましても、招致委員会の資金調達が円滑に進むよう経済団体などに対しまして協力をお願いするとともに、積極的に広報や現場でのPR活動を展開するなど、東京招致の実現に向けて全力で取り組んでまいります。都議会の皆様の応援をよろしくお願い申し上げます。

○きたしろ副委員長 大塚たかあき副委員長の発言は終わりました。
 次に、崎山知尚委員の発言を許します。

○崎山委員 私からは、緑化対策とものづくり支援についてお伺いをいたしたいと思います。
 初めに、緑化対策について伺います。
 第二回定例会本会議では、オリンピック招致と絡めた質疑を行いましたが、きょうは、緑の東京十年プロジェクト基本方針などについて、現状とともに、今後の具体的な取り組みと方向性について伺います。
 また、予算議会を控え、十八年度決算の中で、次年度の予算についてどう考えているのか、そして、施策にどう落とし込んでいくのかについて、関係局に所見を伺いたいと思いますので、可能な限り、より具体的な答弁をお願いいたします。
 江戸末期から明治維新にかけて来日した西洋人は、城下町、門前町、港町の都市景観を見て、水と緑がしたたる町、ガーデンシティーとかガーデンアイランドと称して賛嘆したそうであります。それが、東京時代に入って、当時のたたずまいが失われていったのだと、当時の文献をもとに、国際日本文化センター教授の川勝平太氏は、いろんな著書に書いています。ある意味で、ガーデニングの起源は江戸文化にあるとも読み取れます。
 緑があふれるということは、無機質な町に潤いを、また、そこに住み、働く人に安らぎを与えてくれます。このプロジェクトの応援団の一人としてその実現に向けて全庁を挙げて取り組んでいただきたいと思っております。
 そこで、まず、街路樹の倍増について伺います。
 緑の東京十年プロジェクトでは、現在都道、国道、区市町村道を合わせて四十八万本ある街路樹を、今後四年間でおおむね七十万本に、そして、平成二十七年には百万本へと倍増させていくこととされています。
 そこで、これまでの街路樹の取り組みについて質問いたします。平成十八年度では、都内の街路樹は何本ふえたのか。また過去十年間で街路樹がどれだけふえたのか、伺います。

○道家建設局長 都内の街路樹は、戦災により大幅に減少いたしましたが、それ以降、東京のまちづくりに合わせて着実に増加し、平成十八年度末には約四十八万六千本となっております。
 お尋ねの十八年度における街路樹の増加本数でございますが、都道、国道、区市町村道の合計で約七千本でありまして、過去十年間では約六万五千本増加いたしました。

○崎山委員 平成二十七年度までに街路樹を百万本とするためには、単純計算でも十八年度の十倍近い本数を毎年植栽していくことになります。街路樹については、落ち葉の処理や害虫の発生などで苦情があると聞いています。都民の中には、街路樹をふやすことをよしとしない人もいると思われます。しかし、ヒートアイランド対策やCO2対策などの面からも街路樹を大幅にふやすことは必要なことであります。
 そのためには、これまで以上に都民の理解と協力が得られるような取り組みの強化が必要だと考えますが、見解を伺います。

○道家建設局長 街路樹は、ヒートアイランド現象の緩和や、風格ある都市景観の形成などに寄与しております。このような機能を有する街路樹に愛着を持って世話をする都民の方々がいる一方、日当たりの悪化や落ち葉の清掃などの問題で、街路樹の増加に消極的な意見もございます。こうした街路樹に対するさまざまな思いがある中で、街路樹を倍増させるためには、都民の理解と協力を得ることが不可欠であると考えております。
 このため、今年度、内堀通りなどにモデル区間を設定し、既存の街路樹の間に季節感あふれる中低木を植栽するなどして、街路樹倍増の効果を広く都民に実感していただくよう取り組んでまいります。
 また、さまざまなイベントなどを通じて、街路樹の役割や必要性をわかりやすく説明し、都民一人一人が街路樹に関心を持ち、守り、育てていただくよう働きかけてまいります。

○崎山委員 着実に街路樹が倍増できるように取り組んでいただきたいというふうに思っております。
 次に、海の森について質問いたします。
 人工の森として象徴的なものといえば、神宮の森です。戦前には、青空が仰げたといわれていましたが、植樹された十万本の献木は、九十年を経た今、木漏れ日の参道とまでなりました。こうした森づくりは、一貫した方針と計画により完成した後の森を具体的に描き、地道に進めていくものであると考えます。
 十月に、海の森募金は、緑の東京募金に統合されました。これからは、その対象となる海の森の整備や街路樹の倍増、校庭の芝生化、花粉の少ない森づくりなどの充実に向け、より多くの都民や企業へのムーブメントとなるよう邁進していただきたいと思います。
 さて、このプロジェクトの基本方針に記載のあるメモリアルツリーでありますが、平成十三年から私の地元荒川区の都立尾久の原公園に、公募により、しだれ桜の植樹を数回に分けて実施をいたしました。もうこれ以上公園には植えるスペースがないというほどの応募があり、大好評でありました。このように、緑化への取り組みは、都民や企業を巻き込みながら進めていくことが重要であると考えます。
 海の森の計画について、具体的にどのように森づくりに取り組もうとしているのか、お伺いいたします。
   〔きたしろ副委員長退席、委員長着席〕

○津島港湾局長 海の森は、ごみと建設発生土の埋立地を緑あふれる大きな森とする事業でございます。この事業は、整備の方針として、苗木づくりから植樹、管理までを、都民、企業、NPO等の参加と協力のもとに行うという都民との協働という柱と、公園や街路樹の枝葉を利用した堆肥づくり、浄水場からの発生土や下水汚泥のリサイクル製品を活用した土づくりなどの資源循環型という二つの柱を森づくりの特色としております。
 これまでも、小学生による苗木づくりを進めており、本年度から、苗木づくりの参加の範囲を企業、NPO等の各種団体にまで広げますとともに、現地の植樹エリアにおきまして、これまで生産してきた堆肥を利用した土づくりを開始いたします。
 今後、幅広い都民の参加による植樹を行うとともに、苗木を育てるための草刈りや成長していく樹木の剪定などにも参加を広げてまいります。さらに、森の生育状況を確認してもらう自然観察会等も実施してまいります。
 このような取り組みによりまして、都民が愛着を持ち、ともに育てる森づくりを進めてまいります。

○崎山委員 次に、校庭の芝生化についてお伺いいたします。
 十七年度はモデル事業として二十七校で実施をされました。私の息子の通っている学校でも、モデル校として試行錯誤を繰り返してきたようであります。芝生の効果は、ヒートアイランド対策だけでなく、砂ぼこりが立たない、子どものけがが少なくなった、水はけがよいなどの効果があります。でも、やはり何といっても夏場の清涼感と緑の香りの心地よさであります。
 全都への広がりに期待したいのですが、維持管理費など幾つかの課題もあるようであります。十年間で都内の公立小中学校などにおいて三百ヘクタールの緑を創出するためには、その整備コストのみならず、維持管理に関する支援が必要でありますが、どのように考えているのか、お伺いいたします。

○吉川環境局長 校庭芝生化を一層推進していくためには、各学校の実情に合わせた適切な維持管理が行われるよう支援の仕組みをつくっていくことが必要でございます。そのため、都は、校庭の芝生に関する専門家である校庭グリーンキーパーの登録、派遣を進めてまいります。
 また、芝生の維持管理を幅広い企業や団体の協力を得ながら進めるため、先般、日本サッカー協会や日本芝草学会などの賛同を得て、東京芝生応援団の結成を呼びかけたところでございます。
 これらの取り組みによって、各学校の芝生の維持管理が適切に行えるよう積極的に支援してまいります。

○崎山委員 また、校庭の芝生化の最大の課題は、その養生期間にあるのではないかなと考えます。芝生化の効用については、多くの皆さんの賛同を得ることができると思いますが、問題は養生期間が長いとの批判があることであります。
 子どものための運動場で、年間何十日も使用できないということは、本末転倒だとの意見があることも事実であります。現場においても、失敗すれば、すべてを枯らせてしまうというような心配が生ずることのないよう、今求められているのは、情報公開やアドバイスであります。
 そして、養生期間はできるだけ短いにこしたことはありませんが、芝は生き物であり、ゼロというわけにはいきません。何らかの工夫により、子どもたちに芝生の校庭で思いっ切り遊ぶ機会を多くすることができれば、おのずと校庭芝生化に対する理解も高まっていくと考えます。
 養生期間を設けることによる学校生活への影響の軽減について、お伺いをいたします。

○吉川環境局長 これまで校庭の芝生化を行った学校では、養生期間を設けることによる学校生活への影響をできるだけ軽減するため、専門家のアドバイスを受けて、養生が最小限の期間で済む適切な時期を選んだり、学校行事のない長期休業期間を活用する、あるいは、校庭全体を一度に養生するのではなくて、分割して順番に養生するなど、さまざまな工夫が行われるようになってきております。
 なお、芝生化した校庭は、雨がやんだ直後でも使用がすぐに可能であるというメリットもございまして、養生期間についての工夫と合わせれば、芝生化前のグラウンドの年間利用日数と大して変わらないという現場の校長先生からの話も伺っております。
 今後とも、こうしたさまざまな工夫事例を収集いたしまして、区市町村や学校と情報を共有することにより、多くの学校が安心して校庭の芝生化に取り組んでいけるよう努めてまいります。

○崎山委員 アメリカの副大統領を務めたアル・ゴアは、彼の著書である「不都合な真実」の中で、私にできる十のこととして、ごみの減量やレジ袋の使用自粛とともに、木をたくさん植えましょう、一本の木は、その生育中に一トン以上の二酸化炭素を吸収するのだからと、世界に向けて訴えています。
 ゆえに、緑化への取り組みは、今後の環境行政において一つの大きな流れをつくっていかなければならない課題であると考えます。
 また、都のひとり相撲だけでは、緑をふやしていくといっても限界があり、都民や企業などの協力なしにこの取り組みはなし得ないと考えます。
 そこで、質問の最後に、「十年後の東京」において一つの柱ともなっている緑化への取り組みについて、今後の方針と決意についてお伺いいたします。

○吉川環境局長 東京における緑は、都民に潤いや安らぎを与えるだけではなく、都市防災やヒートアイランド対策、美しい都市景観の創出など、その役割は多様かつ重要でございます。
 都は、「十年後の東京」で第一の目標に掲げた、水と緑に包まれた美しい都市東京を復活させるため、緑の東京十年プロジェクトの基本方針に基づき、現在具体的な事業化について検討を進めております。
 事業の実施に当たりましては、何よりも、都民、企業、NPOなどさまざまな主体の協働により、緑を植え、育て、守っていくことが重要でございます。
 そのため、この十月に、新しい協働の仕組みといたしまして、緑の東京募金を創設し、幅広い層の緑づくりへの参加を促す取り組みを開始いたしました。
 あわせて、公園、里山、森林などの維持管理におけるボランティア活動など、緑に触れ合い、親しむ機会を拡充することにより、緑化の機運を高め、緑のムーブメントを広範に展開してまいります。

○崎山委員 次に、ものづくり産業への支援について伺います。
 去る十月二十五、二十六日、産業交流展が開催され、私も展示会を視察いたしました。産業交流展は、七百社以上の中小企業が出展し、それぞれの企業にとって自慢の技術や製品の販路開拓には絶好の機会であります。来場者もことしは四万人を超え、数多くの商談に結びついたとのことであります。
 産業交流展を視察し、東京にはすぐれた技術や製品開発力を持った数多くの中小企業が存在していることを改めて実感いたしました。東京のものづくり産業の活力を維持、発展させていくためには、中小企業みずからが新製品や新技術の開発に積極的に取り組むことが必要であります。都としても、技術的側面から強力にバックアップしていただきたいと思います。
 これまでも都立産業技術研究センターでは、技術相談や依頼試験、共同研究など中小企業に対するさまざまな技術支援を行ってきたところでありますが、十八年四月には、地方独立行政法人化し、より弾力的で柔軟な事業展開が可能となったとのことであります。
 一方、現場の経営者からは、一口に中小企業といっても、持っている技術や製品は千差万別であり、個々の企業の特質に応じたきめ細かな支援を行ってほしいという要望や、産業技術研究センターのサービスをもっと使いやすくしてほしいといった声も聞かれます。
 そこで、伺います。産業技術研究センターの独立行政法人化を契機に、個々の企業ニーズに合ったきめ細かなサービスをどのように展開しているのか、お伺いいたします。

○佐藤産業労働局長 産業技術研究センターは、地方独立行政法人化によりまして、法人みずからの判断により事業執行や組織運営を柔軟かつ機動的に行うことが可能になりましたことによりまして、既存の試験規格では対応できない新製品の性能評価などを行うオーダーメード試験、また、個々の企業、団体が必要とする技術情報等の講義、実習などを行いますオーダーメードセミナーを新たに実施をいたしまして、中小企業のニーズに的確に対応したところでございます。
 また、メールによる技術相談への対応や、機器の夜間での利用を可能にしたこと、またコンビニエンスストアでの利用料金の納入をできるようにしたなどによりまして、利便性の大幅な向上を図りまして、利用企業から高い評価を得ることができたところでございます。

○崎山委員 現場の経営者の声にこたえたきめ細かなサービス提供を行っていることはよくわかりました。
 しかし、独立行政法人のメリットは、サービスの質の向上だけではなく、法人の経営面にも及ぶはずであります。年に一度の採用形態や単年度予算主義が緩和され、人事や予算などの点でも、柔軟性を発揮し、経営効率を上げていくことが肝要であります。
 そこで、法人経営において、独立行政法人化のメリットがどのように発揮されたのかをお伺いいたします。

○佐藤産業労働局長 独立行政法人化によりまして、単年度予算主義の制約を受けることがなくなったことから、外部資金を年度途中でも柔軟に活用できるようになったところであります。
 その結果、経済産業省や各種財団等の提案公募型の研究に積極的に応募することによりまして、二億二千万円の資金を獲得したところでございます。
 また、即戦力として研究業務を担う人材を必要に応じて随時採用できるようになりまして、企業の技術支援ニーズや技術動向の変化に迅速に対応することが可能となったところでございます。

○崎山委員 法人化初年度でもありますが、早速独立行政法人化のメリットである柔軟性や機動性を生かしたサービスの提供や法人経営を行っているということであります。今後とも、中小企業の立場に立った支援を充実していただきたいと思います。
 そうした意味では、今後、整備予定の区部と多摩の産業支援拠点に大いに期待するものであります。新拠点の開設によってより一層のきめ細かな支援が展開されるということになれば、多くの中小企業にとって大変心強いものとなるのではないでしょうか。
 そこで、区部及び多摩の産業支援拠点の整備について、その進捗状況についてお伺いをいたします。

○佐藤産業労働局長 産業支援拠点の整備についてでございますが、平成二十一年度中に昭島市の旧都立短大跡地に多摩産業支援拠点を、また、平成二十三年度には江東区青海に区部産業支援拠点を開設する予定でございます。
 多摩産業支援拠点につきましては、近隣住民への計画説明会を終えまして、本年十月から旧都立短大の建物解体工事を予定どおり実施しているところでございます。
 また、区部産業支援拠点につきましては、江東区都市計画審議会での審議が終了いたしまして、今月二十二日には東京都都市計画審議会で審議をされる予定でございます。
 両拠点とも今年度中に実施設計を終えまして、来年度から開設に向けた工事に着手する予定でございます。

○崎山委員 区部及び多摩の産業支援拠点の整備が順調に進んでいるということであります。新拠点では、より一層充実した技術支援が提供されることを期待するものです。
 技術支援機能の強化に向け、新拠点においてどのような事業を展開していくのか、お伺いをいたします。

○佐藤産業労働局長 新拠点におきましては、中小企業の技術開発支援をこれまで以上に強化をしてまいります。
 まず、区部産業支援拠点におきましては、超精密部品の測定や元素などの材料分析等を行う高度先端技術センターを設置いたしまして、技術開発支援を強化してまいります。
 また、多摩産業支援拠点におきましては、エレクトロニクス産業の集積に対応いたしまして、電子機器や医療機器などから発生をいたします電磁波の影響を測定する大型の電波暗室を設置いたします。さらに、二十四時間利用可能な実験室を低廉な賃料で貸し付ける製品開発支援ラボを、区部におきましては十八室、多摩におきましては五室設置するとともに、質の高い技術支援を実施してまいります。
 こうした設備、体制の充実に加えまして、東京の優位性を生かしまして、大学や他の研究機関等との産学公連携を強化いたしまして、都内中小企業の新製品、新技術開発に向けた活動を積極的に支援してまいります。

○崎山委員 今ご答弁いただいたように、新拠点では、技術支援機能が充実強化されるとのことであります。新拠点の開設に向けた取り組みを着実に進めていただきたいと思います。
 今後とも、地方独立行政法人化のメリットを生かし、これまで以上に中小企業のニーズに即した施策を展開するとともに、都と産業技術研究センターが一体となって、区部と多摩の産業支援拠点の持つ機能を最大限発揮させて、東京のものづくり産業への支援を強力に推進していくことを要望して、質問を終わります。

○鈴木委員長 崎山知尚委員の発言は終わりました。
 野上ゆきえ委員の発言を許します。

○野上委員 まず初めに、環境政策について伺います。
 私の住む練馬区では、この三月に外かく環状道路について地下方式への変更が都市計画決定されました。練馬区の中でも特に大泉学園町地域には、地下部に大深度地下方式の外環本線、そして光が丘から大泉学園地域への地下鉄大江戸線の延伸、そして地上部には外環ノ2が計画検討されている、集中している地域であり、住民の皆さんから、複数の事業により地下水など環境への影響が出るのではないかという不安やお問い合わせを多くいただいております。
 そこで、環境影響評価制度を複合的な都市づくりの中で適切に活用する観点から何点か伺います。
 環境に配慮した都市づくりを進めるに当たり、環境影響評価の果たす役割は大きいと考えます。東京都環境影響評価条例では、事業者が予測や保全措置の検討を行うばかりではなく、みずから評価も行っております。例えば、都市計画道路などの場合には、意見を述べる立場にある知事が事業主体となるという問題点もあります。したがって、計画の中止や建設しないという選択肢は、現状のところ用意されておりません。事業者による自画自賛の環境影響評価書にならないよう、第三者のチェックが必要と考えますが、所見を伺います。

○吉川環境局長 環境影響評価は、事業が環境に及ぼす影響をあらかじめ予測、評価し、その内容について住民や関係自治体等の意見を聞くとともに、専門的立場からその内容を審査することなどにより、事業実施による環境影響をできるだけ少なくすることを目的とするものでございます。
 事業者には、東京都環境影響評価技術指針に基づいた予測、評価や環境保全措置の検討を行うことが求められるとともに、その内容は適正なものであるかどうかについては、大気汚染、騒音・振動、生物・生態系等の分野における学識経験者二十二名から成る東京都環境影響評価審議会において慎重に審議されており、第三者によるチェックは厳密に行われていると考えております。

○野上委員 今の答弁にありましたけれども、現状、審議会メンバーというのはあくまでも問題設定された領域での専門家であり、生態系の専門委員がいるものの、より包括的な立場で環境影響への意見を述べる専門委員というのが一方で必要であると考えます。
 ところで、同じ地域で複数の事業が前後して進められることもたびたびあります。先に行われる事業の環境影響評価手続で得られた調査結果、予測値等は、後から行われる事業の環境影響評価手続においても共有されるのか、伺います。

○吉川環境局長 環境影響評価技術指針では、予測、評価に必要な現況調査につきまして、既存の資料、文献の収集を基本とし、対象計画に基づき実施される対象事業の特性に応じて、住民からの情報の収集や専門家からの科学的知見の収集、現地調査の方法により行うと規定しております。
 したがいまして、同じ地域で環境影響評価が行われた事例があり、後から事業を行う事業者が先行した環境影響評価により得られたデータ等を使用することに合理性がある場合には、技術指針の規定等にのっとった上で活用が図られているところでございます。

○野上委員 複数の事業が行われる場合、複合的な影響も予測、評価の対象とするべきと考えます。複数の事業者に対して、あわせて環境影響評価の手続を進めるよう求めるのは容易ではないと思われますが、複数の事業の間で一体的に環境影響評価手続を進めた実績はあるのか、伺います。

○吉川環境局長 環境影響評価条例におきましては、単独または複数の事業者が相互に関連する複数の事業を実施しようとするとき、知事は、これらの事業者に対しあわせて調査計画書を作成するよう求めることとしております。
 この規定の趣旨を踏まえまして、これまでに、再開発事業や区画整理事業におきまして、道路整備事業と一体的に環境影響評価手続が行われた事例や事業者の異なる複数の高層ビルの建設事業の環境影響評価が一体的に行われた事例がございます。

○野上委員 都の考えている評価の仕組みについては理解できました。
 こうして環境影響評価制度が東京の都市づくりに果たしてきた役割は何か、伺います。

○吉川環境局長 都におきましては、昭和五十五年に環境影響評価条例を制定して以来、これまで二百六十以上の事業において、公害の防止や環境の保全、景観の保持等について適正な配慮がなされるよう制度の運用に努めており、環境に配慮した都市づくりに大きな貢献を果たしてきたと考えております。
 また、環境影響評価手続は、事業の環境影響の予測、調査結果を公表し、それに対する都民や関係区市町村の意見や、さらに事業者の見解を出し合うことにより、事業者と多くの人々のコミュニケーションの場となり、合意の形成に役立ってきたと考えております。

○野上委員 東京都の環境影響評価制度が一定の役割を担ってきたということはわかりました。しかし、東京都では、道路、鉄道、再開発と、複数の事業者が並行して事業を行うことも少なくありません。現状の都のアセスメントでは、特定の地域に複数の事業計画が立てられた場合、その複合的、累積的な影響を予測する評価にはなっていないともいえます。
 いわゆる戦略的な環境影響評価も必要です。個々の事業の根拠法、進行の状況、事業主体が異なる場合の環境影響評価書の作成ということや、手続の対応には労力や費用負担が過剰になる可能性も考えられます。
 しかし、環境負担の原因者がそのコストを負担するという自己責任の原則を貫いていくことが必要であると思います。環境負荷コントロール、環境に及ぼす複合的、広域的な影響低減に向けて、より一層のアセスの向上を図るよう要望して、次の質問に移ります。
 ちょうど五日前、十一月九日、知事本局から、地方分権改革推進委員会に対する提言についてレポートが出されました。
 平成七年、地方分権推進法の公布から十二年を迎えました。その間には、地方分権一括法、そして自治体においては、地方分権の基本理念を実現すべくさまざまな取り組みがなされてきました。中央の大きな政府に対する改革、橋本政権によってなされた日本版ビックバンとして実施された改革にもありましたけれども、地方における自主権と裁量の領域の拡大を促し、地方への分権といった形となってあらわれてきたように思います。
 しかしながら、その一方で、自治体には責任ある行政運営を遂行していくという力量が同時に求められているといえます。
 そこで、私からは、この決算特別委員会に提出されております決算参考資料の中から、複式簿記・発生主義会計に基づく財務諸表に関して、今後の展開に視点を置きながら、何点かお伺いしていきたいと思います。
 都では、平成十八年度から複式簿記・発生主義会計による会計処理が導入され、これに基づく初めての決算が、今回この特別委員会で審議されることとなったわけです。
 しかしながら、財務諸表の作成という点に関しては、実は初めてのことではありません。都では平成十二年以降、機能するバランスシートという名称で、財務諸表を作成し、公表してきました。今回報告された財務諸表は、この機能するバランスシートとは別のもので、新たな公会計制度による本格的な財務諸表であるとのことです。
 そこで伺いますが、今回の財務諸表は、機能するバランスシートとはどこが異なるのでしょうか。

○三枝会計管理局長 機能するバランスシートは、官庁会計の決算を作成いたしました後に、数カ月の時日を要します手作業でその数値を組みかえて作成していたものでございます。
 これに対しまして、今回の財務諸表は、日々の会計処理の段階で仕訳を行って作成したものでございます。したがいまして、複式簿記・発生主義会計による財務諸表として本格的なものとなっているわけでございます。
 その結果、機能するバラスンシートの取り組みでは物理的に作成することができなかった会計別、局別を初めとする多様な財務諸表を、官庁会計決算と同時と、極めて迅速に、かつ精度の極めて高いものとして作成することができるようになったものでございまして、こうした点に大きな違いがあるわけでございます。

○野上委員 より強力なツールを得たからには、今後とも都民福祉の向上のために一層役立てていただきたいと思います。
 さて、この六月には、地方財政健全化法が成立しました。この法律の目的の一つは、地方公共団体がその傘下の外郭団体も含めてどれほどの負担を将来負っているのかを把握することにあります。
 こうした点からしますと、都においても、外郭団体を含めた全体の財務諸表がどのようになっているのかということが非常に重要になってきます。ただ、一口に外郭団体といっても、社団法人や財団法人、株式会社など組織形態もさまざまで、会計基準も少しずつ異なっています。そうした会計基準の異なる団体を通じて、いわゆる連結財務諸表をつくり上げることは、民間のグループ会社が連結決算を出すのと違って、相当困難を伴うものではないかと思っています。
 都でも、先般、九月発表された東京都年次財務報告書の中に、連結財務諸表に相当する東京都全体財務諸表が掲載されておりますが、基本的には各団体の決算も併記したものになっております。
 そこで、都としては、監理団体を含めた全体財務諸表について、さまざまな課題があることを踏まえて、どのような考えを持っているのか、伺います。

○村山財務局長 都の財務状況につきまして、普通会計だけでなく、出資や補助などを通じて分かちがたい関係にございます地方公営企業や監理団体も含めた全体の姿をできるだけ一体として把握することが、都財政の運営を行っていく上で重要でございます。
 今回作成いたしました併記方式の全体財務諸表によりまして、監理団体などを含む東京都全体の負債が十七兆円以上あること、資産合計に対する負債の割合が約四割を占め、普通会計の約三割よりも高いことなどが明らかになりました。
 こうしたことを都民に明らかにするとともに、財政運営に生かしていくことが大切でございますので、今後、全体財務諸表については、重要なツールといたしまして、内容の一層の向上を図ってまいります。

○野上委員 都民が安心できる都財政を確立するため、ぜひアンテナを広く持って財政運営に当たっていただきたいと思います。
 こうした都の先駆的な取り組みを追うように、ようやく国やほかの地方公共団体も動き出しつつあります。しかしながら、去る十月、総務省が公会計整備について、各地方公共団体に当てた通知においても、基準モデルと改訂モデルの二つが示され、各自治体もどのような会計処理方法を採用すべきか、頭を悩ましている状況があるようです。
 その一方で、会計処理の方法論ばかり問題意識が集中してしまい、会計処理によりでき上がった財務諸表をどう活用していくべきかという最も肝心な部分への検討や議論が後回しになっているという印象を受けます。
 東京都では、財務諸表を作成して公表することにより、アカウンタビリティー、いわゆる説明責任を十分に果たすことにとどまることなく、財務諸表から得られる財務情報を使ってマネジメント向上と強化につなげていこうという方向性までも明確にしています。
 各自治体に先駆けて、財務諸表をアカウンタビリティーやマネジメントという両面から活用し、実績を上げつつある東京都として、活用のあり方についても積極的に発信していくべきだと考えます。
 財務諸表を作成するシステムや会計基準を全国に広めることとともに、そうした活用論も他団体に伝えていく努力は不可欠なはずです。財務諸表の作成の方法論だけにとどまることなく、新たな公会計制度にかかわる活用のあり方についても、全国に向けて積極的に発信を行っていくべきと考えますが、いかがでしょうか。

○村山財務局長 都といたしまして、これまでのいわゆる機能するバランスシートの作成を通じて蓄積してきた経験、さらには、昨年度から開始いたしました新たな公会計制度による経験を踏まえまして、財務諸表の活用方法について全国に発信していきたいと考えております。
 先ごろ、総務省から二つの公会計モデルが示されたわけでございますが、これらは、我々から見ますと、財務諸表をどのように活用するのかという考え方について、十分整理して仕組みをつくっているとはいいがたいものでございます。そういう意味で、都の新たな公会計制度では、事業別の財務諸表や年次財務報告書の作成、公表など、財務諸表の活用をしっかりと意識した制度設計が行われておりまして、その活用方法につきまして他の自治体に広める努力を着実に積み重ね、地方の公会計制度改革全体に寄与していく考えでございます。

○野上委員 続きまして、土地の信託について伺います。
 昭和六十年、地方自治法の改正により、自治体においても土地信託制度を導入することとなり、都においても、都有地の有効活用を図るため、平成二年の新宿モノリスの供用開始を皮切りに、平成八年の勝どきサンスクエアまで、順次、計五件の土地信託ビルの供用を開始したわけであります。
 そこでまず、この制度を東京都が取り入れた理由について伺います。

○村山財務局長 土地信託制度が導入された当時の状況でございますが、都内の地価が急激に高騰しておりまして、都といたしましては、土地の売買を伴わないこの制度を利用して、地価の高騰を招くことなく、都有地の有効活用を図ろうとしたものでございます。
 土地信託制度には、初期投資をかけずに民間のノウハウを活用して土地利用が図れること、信託期間中、人的労力をかけずに継続的な利益の配当が期待できること、契約終了後には土地と建物が返還されるため、将来の行政需要にも対応できることなどのメリットを期待した点もございます。

○野上委員 やはり、土地信託事業というのは、都民の貴重な財産を手放さずに有効活用して収益を上げていくということですから、通常、オフィスや商業施設などの需要が高い土地、収益性という面から見てポテンシャルの高い土地で行われると思います。
 その中で、東京都が行った三番目の信託ビルである東京都健康プラザでいえば、旧都立大久保病院であり、これは病院のリニューアルを信託事業に取り込んだものでしょうが、四番目のコスモス青山では、新規施設である東京ウィメンズプラザが取り入れられました。
 このウィメンズプラザについてでありますが、通常であれば公共施設は行政が直接建設して管理していくのが普通だと思いますが、ウィメンズプラザは土地信託事業の中で建設され、東京都は、テナントとして信託銀行に賃料を払って運営してきたわけであります。コスモス青山も都心の一等地に建設されているビルだけに、ウィメンズプラザの賃料と共益費で平成十八年度決算で約六億八千四百万円となっており、運営費に占める賃料の割合は七六・三%にも及んでいます。
 そこで伺いますが、ウィメンズプラザがコスモス青山の信託事業に組み込まれて入居することになった理由はどのようなものだったのでしょうか。

○渡辺生活文化スポーツ局長 東京ウィメンズプラザがコスモス青山に入居した理由についてでありますが、東京ウィメンズプラザにつきましては、それまで使用していた飯田橋庁舎の東京都女性情報センターが手狭になったことから、昭和六十三年六月の東京ウィメンズプラザの基本構想に基づき移転を計画したものであります。
 基本構想では、男女平等社会を実現していくための情報交流の広場機能や、広域、専門的なセンターとしての機能が求められており、コスモス青山の複合ビルであれば、交通至便な立地であること、十分なスペースが確保できること、求められる機能にふさわしい施設が早期に建設できることから、入居することとしたものであります。

○野上委員 土地信託では、信託期間終了後は財産が東京都に戻ってくることになりますが、その際、入居していたテナントも、場合によっては出ていっていただくということもあろうかと思います。平成二十七年に信託期間が終了した後、テナントとして入居していたウィメンズプラザは、信託制度上、その存続に影響を受けることがあるか、伺います。

○村山財務局長 信託期間終了時の信託財産の取り扱いにつきましては、信託契約を終了して東京都に返還してもらうか、信託契約を更新するか、終了時の状況を総合的に勘案して判断することとなります。
 いずれの場合でございましても、ウィメンズプラザがそのこと自体によって存続できなくなるものではございません。

○野上委員 ウィメンズプラザ仕様のビルを建設したのだから、信託制度終了後も男女平等参画のための事業が行われることが当然であるような、漫然とした問題意識のない事業運営を続けていてはならないと考えます。事業の一層の充実と発展に向けて、今後、ウィメンズプラザの運営をどのように展開していくのか、最後に伺います。

○渡辺生活文化スポーツ局長 今後の東京ウィメンズプラザの運営についてでありますが、東京都配偶者暴力対策基本計画などに基づき、配偶者暴力を初め家族や職場に関するさまざまな相談事業を着実に実施するほか、区市町村の職員向けの研修や事業に対する支援を行っていきます。
 また、男女平等参画のための東京都行動計画に基づき、ワークライフバランスや女性の再チャレンジ支援に関する講座などを引き続き実施していきます。
 なお、信託期間終了後につきましては、行政の一般論としては、必要な事業を適宜適切に実施するということでありますが、東京ウィメンズプラザにつきましては、東京ウィメンズプラザ条例において、その設置場所が現在地に定められ、また、事業として相談、情報提供などが定められております。
 いずれにいたしましても、都議会で決定される条例に基づき事業を執行してまいります。

○鈴木委員長 野上ゆきえ委員の発言は終わりました。
 古館和憲理事の発言を許します。

○古館委員 それでは、日本共産党都議団を代表して、総括質疑を行います。
 決算年度である〇六年度は、石原都知事の都政運営の基本姿勢が鋭く問われた年でありました。この年に行われた全国紙による都民世論調査で、石原知事の支持率が急落し、評価できない政策分野は福祉だという回答が一位でした。都民には痛みを押しつけながら、みずからは豪華海外出張や料亭などでの飲み食いに高額の税金を使う、あるいは身内を重用するなど、税金の使い方とともに、都政のゆがみが都民的な批判を浴びた年でもありました。
 しかも、この年度は、オリンピック開催を明らかにし、それに向けた三環状道路を中心としたインフラ整備を次々と打ち出した年度でありました。都税収入が伸びたにもかかわらず、都民の命と暮らしを守る役割を担っている東京都が、本来的な役割に背を向けて、東京オリンピック計画をてことして、大型開発などに八兆五千億円もの巨額をつぎ込む計画を進めるなど、都政に大きなゆがみをもたらした年度であることを、まず指摘しておきます。
 最初に、痛みが集中的に押しつけられた高齢者福祉について伺います。
 高齢者介護についても、昨年四月には保険料が大幅値上げになる一方で、介護度が低いと判定された高齢者からは、ヘルパー派遣やデイサービスが打ち切られたり、介護ベッドや車いすの貸与が認められないなど、各地で悲鳴が上がった。こうした中で、昨年の第三回定例会で、我が党は、小規模多機能ホーム、すなわち、通えて泊まれて住むことのできる地域密着型サービスの増設を提案しました。
 そこで伺いますが、都として、この小規模多機能ホームの意義についてどのように押さえているのか、また現在まで設置されているのは何カ所なのか、お答えいただきたいと思います。

○安藤福祉保健局長 小規模多機能型居宅介護は、通所を中心にニーズに応じて訪問や宿泊を組み合わせたサービスを、同じスタッフが一体的、継続的に提供することにより、高齢者やその介護者の安心感を確保しながら、住みなれた地域での生活を支えるサービスでございます。
 都内の事業所数は、平成十九年十月一日現在、二十四カ所であります。

○古館委員 そこでお伺いしますけれども、全国で千カ所近くなんですね、現在までこのホームができているのが。ところが、今、東京では二十四カ所。ですから、東京で少なくとも百カ所ぐらいあってもおかしくないんですね。
 ところで、この小規模多機能ホームの目標はどのようになっているんですか、お答えください。

○安藤福祉保健局長 小規模多機能型居宅介護は、平成十八年度から開始されました地域密着型サービスの一つでございまして、保険者である区市町村がみずから見込んだサービス量に基づき整備計画を策定し整備することとされております。
 なお、都内の区市町村が第三期介護保険事業計画策定のために推計いたしました小規模多機能型居宅介護に関するサービス量の見込みの合計は、平成十八年度では二千八十八人となっております。

○古館委員 二千八十八人。二十四カ所ですから、一カ所二十五人とすると六百人ですね。だから、目標の三割ぐらいというか、先ほど積み上げといいましたけれども、その三割ぐらいしか達成されていないんです。
 先ほど積み上げだといいましたけれども、積極的な意味合いを持っているからこそ、この東京都高齢者保健福祉計画の中にきちんとのせられているんだと考えています。
 そこでお尋ねしますけれども、なぜ進まないのか。本決算では、この事業で三億円以上も不用額を出しています。私の手元にありますけれども、執行率はわずか四・九%ではありませんか、そうですね。どう考えていますか。

○安藤福祉保健局長 近年の景気回復などによりまして不動産需要が増大し、土地所有者が施設建設のために提供する土地が減少していることが主な原因であると考えています。
 また、介護人材の確保が困難になっていることや、小規模な事業でありまして、とりわけ経営ノウハウが必要であることから、新たな事業者が参入しにくい状況があることも一因と考えているところでございます。
 なお、二十四カ所というのは開設済みの数でございまして、現在、建設中が十七カ所、また公募中というのが六十九カ所というふうになってございます。

○古館委員 それでも本当に少ないんですよね。
 今おっしゃいましたけれども、やっぱり、東京の場合は土地が高いし、建設コストも高い。したがって、初期投資に多額のお金がかかるという事情があります。さらには、軽度の人が対象ですので、なかなか事業として成り立たせるということが大変だ、こういう声が寄せられているんですね。したがって、推進のために、まず都が改めて区市町村との連携を強めていくということと、場合によっては、補助率を思い切って引き上げることや、大都市加算といいますか、そういう補助など、都が先頭になって増設のための財政支援などに踏み出すことが必要だと考えますけれども、どうでしょうか。

○安藤福祉保健局長 都では、平成十八年度から三カ年の地域密着型サービス等重点整備事業におきまして、今、話題となっております小規模多機能型居宅介護事業所の整備を促進する区市町村を積極的に支援しているところでございます。
 また、平成十九年度予算におきましては、新たに認知症高齢者グループホーム、先ほどもご議論いただきましたが、その整備に当たりまして小規模多機能型居宅介護事業所を併設した場合に加算措置を行うなど、整備促進に努めているところでございます。
 また、既に国に対しまして、区市町村の整備計画の変更等について柔軟な取り扱いを行うよう申し入れを行うなど、区市町村が主体的に整備促進に取り組めるよう、都として必要な支援策を講じているところでございます。

○古館委員 今、国に対してと。そこはそれでぜひやってもらいたいと思います。問題は、都のイニシアチブをどのようにして強めていくかということが極めて大事なんですよね。事業者だとか区などの見解を聞くと、立ち上げでもって大変なお金がかかると。だから、事業者も大変な思いで、これ自体を非常に意義があるというふうに思いながらも、なかなかできないというのが今の状況なんですね。そういう状況の中ですから、ぜひ都のイニシアチブを強めていくことを求めておきたいと思います。
 それで、オリンピック基金の積み立てが始まったこの年度に、障害者自立支援法が施行されました。私は、この施行から二カ月後の第二回定例会で、我が党が行った影響調査の結果をもとにして、都としての対応策を求める一般質問を行いました。また、先月十月二十五日には、我が党の板橋区議団とともに、区内の障害者団体との懇談会を持ちました。余り広くはないホールでしたけれども、今まで参加したことのない障害者の方もたくさん来て、ホールいっぱいに参加してくれ、身につまされる思い、訴えをたくさん伺いました。
 そこで訴えられたことの一つが、とにかく利用者負担が重過ぎるということ。また、施設運営についても、減収によって施設の存廃にかかわる大変な事態になっているんです、こういうことがこもごも訴えられました。
 そこでお尋ねしますが、障害が重い人ほどサービスが必要なんだが、同時に、こうした人ほど収入が乏しいというのが現実なんです。こうした人たちに応益負担は問題があるということを我が党は一貫して指摘し、その是正を求めてまいりました。応能負担へと切りかえ、利用料を低い負担で抑えることなどは差し迫った問題であって、その是正を都として国に対して強く求めていくことを私どもは要求しますけれども、いかがですか。

○安藤福祉保健局長 障害者自立支援法の利用者の定率負担につきましては、障害者の方ご自身もサービスを利用する対価として一定の費用を負担し、みんなで安定的、継続的な制度運営を支え合う仕組みであると理解しております。
 また、低所得者の方に対しましては、所得に応じた負担上限額の設定や個別減免など、さまざまな負担軽減措置が講じられているところでございます。
 したがいまして、ご指摘の、国に定率負担の見直しを要望することは考えてございません。

○古館委員 本当に冷たいですよね。一定費用の負担まで我々は否定しているんじゃないですからね。一定の費用を納めるのは必要だ。だけど、応能負担というのが、本来的には、障害者自立支援法の立場から見ても妥当なんだということを指摘しているんです。
 昨年の一般質問で、私は、利用者負担の軽減について既に横浜市ではすべての在宅サービスを対象に住民税非課税世帯は自己負担なしに無料にしている、このことを挙げて、都としても、現行の三%軽減の対象サービスを、通所施設やグループホーム等にも広げるなど、都の利用者負担軽減策の拡大を求めました。三十億円程度でできることですけれども、どうなっていますか、お答えいただきたいと思います。

○安藤福祉保健局長 障害者自立支援法では低所得者に対しますさまざまな配慮がなされておりますが、これらに加えまして、既に東京都としまして、障害者の自立生活を支える基幹的なサービスでありますホームヘルプサービスについて、利用者に対する定率負担の導入の激変緩和を行っております。さらに、障害者施設等入所者への医療費助成制度の対象拡大や、精神障害者の通院医療費自己負担分の無料化といった独自の負担軽減措置を実施しておりまして、これ以上の拡大は考えてございません。

○古館委員 結局は、応能負担のそういう国への要求も、横浜市のような低所得者への自己負担免除などもしないと。これは本当に冷たいことだと思います。
 同時に聞きますけれども、今、貧困と格差を拡大する国の政治が続いているわけですけれども、その中で、都民の暮らし、健康を守るという点でも、今の都政運営、試されているんですね。暮らしが本当に大変になっています。
 こうした中で、昨年から顕在化してきたのが原油高騰です。ここに来てさらに、都民生活のさまざまな分野に深刻な影響を与えてきています。私たちのもとにも、原油高騰などによって、ある靴製造メーカーでは、月八十万円もの負担増だとか、樹脂加工業、飲食店、クリーニング店など、従前よりも負担が急増したとの声が寄せられています。
 しかも、見過ごせないのが、ここに来て急激に寒くなったことで、高齢者を初めとする低い所得で生活を強いられている方々が、原油高騰で日常生活にも深刻な影響が出ていることが訴えられています。板橋でも、この間相談に来た方がいますが、ひとり暮らしの高齢者の方、灯油が高くて暖房も使えない、一日じゅう布団にくるまって寝ているとの訴えが出されているほどであります。
 こうした事態に対して、都が音頭をとって、区市町村とともに、緊急にその被害の実態調査を行うこと、そしてその結果を公表すること、また、少なくとも生活保護水準の低所得者などで課税されている都民への支援策、これが待ったなしだと思います。都として先導的に対応策をとることを求めますが、いかがでしょうか。

○安藤福祉保健局長 実態調査につきましては、都独自に一般世帯を対象に、家計の収入、支出などを毎月調査する生計分析調査を実施しておりまして、その結果も公表しておることなどから、都として改めて実施する考えはございません。
 また、低所得者対策については、本年第三回定例会において既にご答弁申し上げたとおり、低所得者のうち意欲がありながら低所得の状況から抜け出せない方々を対象とした施策を、現在検討しているところでございます。

○古館委員 さらに、今、施策を検討しているということで、さらなる拡大もぜひお願いしたいと思います。
 原油高騰などが今後さらにさまざまな分野、階層に深刻な影響をもたらしていくことは明らかであって、重層的で、しかも都民から喜ばれる施策展開をぜひしていただきたい、このことを求めておきます。
 都民に痛みを押しつける一方で、湯水のように税金をつぎ込んだのが、オリンピックをてことした大型開発です。しかも、本来、東京都が出さなくてもいいものまでお金を出しているものも中にあります。その一つが首都高速道路品川線です。
 そこでお尋ねしますが、首都高速道路品川線についてでありますが、二〇〇六年度の事業費は幾らで、その内訳は何でしょうか。

○道家建設局長 中央環状品川線は、首都圏の三環状道路の一つとして、高速道路全体のネットワークを効率よく機能させ、人や物の円滑な流れを実現するとともに、一般道の渋滞緩和に大きく寄与する重要な路線でございます。
 お尋ねの平成十八年度の決算額は、約四十二億円であり、内訳は、南品川換気所の用地補償費、大井北発進立て坑設置工事費などでございます。

○古館委員 首都高は民営化されて民間企業になっているわけですから、やはり、事業は新会社が行うことだというふうに私どもは考えています。なぜ都がお金まで出してあげなきゃならないのか、この点についてお答えいただきたいと思います。

○只腰都市整備局長 平成十七年十月に首都高速道路公団は民営化したわけでございますが、それ以降、出資につきましては、資産保有を所管いたします独立行政法人日本高速道路保有・債務返済機構に、貸し付けにつきましては、建設事業を所管する首都高速道路株式会社に対して行うこととなりました。
 民営化後におきましても、人や物の流れの円滑化により都市再生を促進するほか、渋滞緩和によりまして環境対策にも寄与するなど、首都高速道路を整備する必要性につきましては何ら変わるものではなく、都は、今後とも引き続き支援を行ってまいります。

○古館委員 こういうところには至れり尽くせりで、先ほどの福祉の問題になると、本当に冷たいんですよね。
 私たちは、そういう点では--今いろいろいわれましたけれども、都心部で大規模開発を進めて、都心の集中を進めると。こういうことになると、自動車交通がふえていく、環境問題だって深刻になっていくことは明らかなんですね。
 私は、先日、圏央道を調査、視察しました。水と希少植物の宝庫といわれている高尾山の破壊が進んできて、既に水枯れが発生している事態をこの目でしっかりと確認しました。しかも、圏央道八王子線のジャンクションは非常に急カーブなんですね。事故が今、多発しています。圏央道で起きている事故のおよそ六割が、この八王子のジャンクションで発生しているんです。こういう点でいえば、命の問題、環境破壊の問題、さまざまな点からも、もう一回見直していかなきゃならない。現実にそういう事故が起きているという事実を、今、私は指摘をしているんです。
 三環状をつくれば渋滞はなくなるなどといいますけれども、そんなことはありません。例えば首都高速五号線、私が住む板橋区役所付近から熊野町ジャンクション、ちょうど中央高速新宿線が上に上がっていくところです。ここが間もなく開通するんですけれども、そうすると、首都高五号線の交通量がふえることになるので、今の三車線を、それぞれ上り下りを四車線にするということで、首都高や都が区や周辺住民に説明会を開きました。説明会では、住民から、今でも騒音、振動は耐えられない。静かな夜が欲しい。また、ある住民は、自宅から持ってきた換気扇のフィルターを示しながら、この汚染の中で毎日暮らしています、何とかしてくださいなどと、怒りや現状の改善を求める訴えが次々と出されました。
 大和町交差点の大気汚染も、決して改善されているとはいえません。しかも、板橋では、環状八号道路が貫通して、騒音をまき散らしているんです。しかも、そこの相生町交差点の構造が、大和町交差点と同じ三層構造であります。地元では環境改善を求める声が強く出されております。
 大型開発や幹線道路最優先の三環状道路と一般道路の整備を、二〇一六年までに都心を正月並みの二十五キロで走れる、こういうことまで考えている。こうしたことはきっぱりと転換する必要があるということを、改めて求めておきたいと思います。
 最後に、決算分科会を通してはっきりとしたことは、石原都政における七年間で、第一次と第二次の財政再建推進プラン、この二次にわたるプランでの都税収入の見通しよりも実に三兆一千二百三十五億円、これだけ見込みよりも増収になっているんですね。これが財務局の間で、我が党とのやりとりで明らかになりました。三兆一千二百三十五億円です。
 都税収入が、七年間のうち、見込みよりもマイナスになったのは、〇二年度がマイナス二百六十四億何がし、〇三年が千二百七十六億何がし、この二年間だけはマイナスになりましたけれども、あとの五年間は、〇〇年が三千九百九十億円見通しよりもふえました。〇一年度が四千六百九十三億円見通しよりもふえました。〇四年度が四千六百二十九億円、これも見通しよりふえて、〇五年度は何と八千九十六億円、そしてこの決算年度である〇六年度が、何と一兆一千三百三十六億円も見通しを上回っているのです。
 この八年間の都政の特徴は、石原知事みずからが、何がぜいたくかといえばまず福祉だ、こういう言葉に象徴されるような都政運営が進められてきた。これが、皆さん、実際じゃありませんか。
 ところで、石原都政は、これまで財政構造の改革だとか時代の状況変化に対応するなどといって、第一次財政再建推進プランに続いて第二次推進プランを出し、シルバーパスの全面有料化、マル福、寝たきり老人福祉手当、障害者医療費の助成、重度障害者手当などなど経済的給付事業の廃止縮小などを進めるとともに、都庁改革アクションプランを出して、保健所の廃止、都立病院や板橋にある養育院の独法化や公社化などの検討、青少年センターや労政事務所の廃止、さらには公社や都営住宅の新規建設は行わないなど、施策の面でも施設建設の面でも徹底した切り込み、削減を行ってきたのではありませんか。
 貧困や格差の拡大は、とりわけ高齢者に顕著にあらわれ、医療費増額や年金の切り下げなどで追い打ちをかけているんです。こうしたときに、都政が生活を守るという責務を放棄して、石原都政は、シルバーパスの全面有料化やマル福、寝たきり老人福祉手当などを切り捨ててきました。これは、皆さん、余りにも冷たいと思いませんか、どうですか。ご見解を伺いたいと思います。
〔「だれに何を答えてもらいたいんだよ」と呼び、その他発言する者あり〕
〔古館委員「だから財務局長に答弁してもらいたい」と呼ぶ〕

○村山財務局長 今、るるご指摘をいただいて、どこがポイントなのかが十分はっきりしないんですけれども、ご指名ですのでお答えさせていただきますと、今、委員ご指摘の点というのは、この間の七年間あるいは八年間の財政運営の一面をおっしゃっているわけであって、それまでの間に、莫大な財源不足を抱えた上で石原都政は始まっているわけでございます。
 その膨大な財源不足を抱えた上で始まったこの石原都政の七年間、八年間の中で、それを解消するためにどういう努力をしてきたのかということが問われているわけでございまして、その間の税の増収というものも、逆にいえば、過去の膨大な財源不足の解消に充てたわけでございまして、その苦しい努力の中の一環でございます。
 そういう中で、私どもは、やるべきサービスはしっかりやりながら、同時に、過去の負債を解消して今日に至っているということでございますので、その点においては、私ども、議会の皆様方とご相談しながら、しっかりと守るべきサービスは守ってきたし、やるべき事業はやってきたし、そういう中で今日があるというふうにご理解を賜りたいと思います。
 同時に、現在の状況というのは、これから十年後に向けて、ようやく--これまでは、どちらかというと、これまでの財源不足をいかにして解消するかというところに軸足を置いてやってきて、ようやくそれが何とか前を向いて歩き出したというのが現在の時点でございますので、これからも引き続きしっかりとみずからにも厳しくしなければいけないし、今後のところについても、気を緩めずにしっかりと頑張っていきたいというふうに決意しているところでございます。

○古館委員 十年後を目指してというんですけれども、大体、オリンピックを基軸として、そういうお金を捻出すると。こういうことの、これが十年後の問題なんですよ、今おっしゃっているのは。
 (パネルを示す)ここで、今--パネルはちゃんと委員長にも了解を得ましたので。この上が高齢者人口ですね、この一番上のが。(「間違えていないよな、それ」と呼ぶ者あり)間違えていません。このちょっと赤っぽいのが都税収入です。これが何かというと、福祉と保健に回ったお金なんですね。つまり、これだけの都税収入がありながら、しかも、高齢者人口がこんなに多いのに、なぜ福祉がこんなふうに--九八・九%ですから、前回よりも落ちているという状況が今あるんですね。
 しかも……(「どこが一〇〇%だよ。前回っていつ」と呼び、その他発言する者あり)ちょっと時間がないから、後で見せます。
 ここに今、革新都政時代と鈴木都政、青島都政、石原都政の四代にわたっての、いわゆる税収がどういうふうに伸びているのか、福祉保健費や教育費、中小企業対策費、これらにどのようにお金が回っているのかということ。(「理事者に全然見えないよ」と呼ぶ者あり)
 それで、ちょっと小さいんですけれども、いわゆる石原都政時代で--革新都政のときには、いわゆる都税収入というのが五・六倍だったんです、前政権よりも。ところが、福祉保健費には七・四倍。青島都政のときにも、都税収入よりも福祉保健費はふやしていました。それから、鈴木都政のときも、都税収入よりも福祉をふやしているんですね。ところが、今いいましたけれども、石原都政になったら、この黒い棒は何かというと、一番上が都税収入なんですよ。都税収入が一番伸びていて、福祉保健費も教育費も中小企業も全部前回よりも落ち込んでいるというのが、この石原都政の--暮らしを守る、このことが都政の基本なんだということを改めて強調して、私の総括質疑を終わらせていただきます。

○鈴木委員長 古館和憲理事の発言は終わりました。
〔村山財務局長、安藤福祉保健局長発言を求む〕
   〔発言する者あり〕

○鈴木委員長 財務局長。
   〔発言する者あり〕

○村山財務局長 今、お話の諸点につきまして、事前に、もしご質問があるのならば、ちゃんと質問を通告していただいて、数値もお示ししていただいた上で、ここでしっかりと議論をさせていただきたいというふうに思います。
 私どもの財政運営については、しっかりと都民の立場に立ってやっているというふうに確信を持っておりますので、その点については、ちゃんと数値をもって私どもに事前にお示しをいただいて、議論させていただければと思います。

○鈴木委員長 西崎光子委員の発言を許します。

○西崎委員 まず、私、食品安全についてお伺いしたいと思います。
 ミートホープや比内鶏といった地方の企業だけではなく、不二家や創業三百年の赤福や船場吉兆という有名な企業まで、消費・賞味期限、産地など食をめぐる偽装事件が後を絶ちません。このような事件が続きますと、消費者の不安は高まる一方です。
 都においては、食品衛生法に基づき食品衛生監視指導計画を策定しています。その中で、食品の品質表示についてはどのような監視を行っているのか、伺います。

○安藤福祉保健局長 食品の品質表示につきましては、いわゆるJAS法、正式には農林物資の規格化及び品質表示の適正化に関する法律により、義務づけられているものでございまして、都では、品質表示についての監視を、食品衛生監視指導計画に基づき、小売店舗等を対象に日常的に実施しております。
 監視の結果、不適正な表示を発見した場合は、国の東京農政事務所と連携して改善指導や公表などの措置を行っておりまして、平成十八年度は、牛肉や米などの不適正表示について、十三事業者に対して必要な指導を行うとともに、このうち重大な違反が認められた三事案を公表したところでございます。

○西崎委員 表示違反となった食品については適正表示を行うように指導していますけれども、食品の表示に関する法律は、JAS法、食品衛生法など多岐にわたっています。非常にわかりにくいのではないかと思います。そこで食品事業者に対する働きかけが必要だと思いますが、食品の品質表示を適正に行うようどのように働きかけているのか、伺います。

○安藤福祉保健局長 都では、事業者が食品衛生法やJAS法などの規定を正しく理解して、適正表示が行われますよう、平成十七年度から食品の適正表示推進者育成講習会を実施しております。この講習会は、これまでに延べ八回実施しておりまして、計二千二百七十名が参加しております。
 また、表示の方法を食品別に解説したリーフレットを作成し事業者に配布するほか、都のホームページでも食品の表示に関する最新の情報を提供するなど、事業者に対する指導に努めているところでございます。

○西崎委員 今回の一連の事件は、内部告発によるものであったと聞いています。この背景には、平成十六年に制定されました公益通報者保護法により、内部告発者が法的に保護されることが保障されたこと、そして、東京都を初め多くの自治体で食品安全条例が制定されたことによりまして、食品を扱う事業者、消費者の食の安全に対する意識も高くなったということがあるのではないかと思います。
 そこで、食の安全・安心を都民に提供するため、事業者も自主的に衛生管理を推進するとともに、生産情報などを情報公開していく必要があります。
 都では、食品関係施設の営業者の人たちが日々取り組んでいる自主的な衛生管理を積極的に評価する仕組みといたしまして、食品衛生自主管理認証制度を創設していますが、食品衛生自主管理認証制度とはどのようなものなのか、また平成十八年度はどのように進めてきたのか、伺います。

○安藤福祉保健局長 お話の制度は、食品事業者が製造販売等の施設において自主的に取り組んでいる衛生管理の一層の推進を図る、都独自の制度でございまして、基準を満たした施設を都が指定した第三者機関が認証するものでございます。
 平成十八年度末で、豆腐製造業や菓子製造業など二十三業種を対象に、百九十三施設が認証を取得しております。
 これらの施設につきましては、都のホームページ上で、都民に対して施設名を公表するなど周知を図っております。
 平成十八年度は、さらに認証取得を支援するための講習会を開催したほか、事業者が認証施設であることを都民にアピールすることができる認証取得シールの制定や、都の中小企業向け制度融資における優遇など、インセンティブの強化を図ったところでございます。

○西崎委員 日本の食品は六割を輸入に頼っている中で、都民の食卓に上る食品は、日本国内だけではなく、世界各地から送られてきている状況です。ことしになって、有害物質や農薬の入った中国産食品が見つかったということもありました。このことから、中国産への不安感が強まっています。また、国内産の農産物や加工食品について、生産過程でどのような農薬や化学肥料が使われたのか、消費者の関心は高いと思います。そこで、食についての生産履歴の管理徹底を行い、都民に情報提供を行う必要があると思います。
 都では、食品の生産、製造、流通業者を対象として、このような生産情報を消費者に提供する生産情報提供食品事業者登録制度に取り組んでいますが、その取り組み状況についてお聞かせください。

○佐藤産業労働局長 平成十六年度から開始をいたしました東京都生産情報提供食品事業者登録制度におきましては、食品の生産情報の提供に取り組む事業者とその食品を登録いたしまして、一般に公開するとともに、生産情報が明らかな食品として、登録マークの使用を認めているところでございます。例えば、農産物の場合、農薬や肥料の種類、量、使用日、種まきや収穫の日などを記録し、生産者がその情報を消費者に提供しております。
 平成十八年度には、同様の制度を始めました静岡県との連携を図りまして、情報提供を行う事業者の拡大を進めております。
 ちなみに、平成十八年度末現在で、千六百三十六事業者、六百三十四食品が登録されております。

○西崎委員 今後は、こういった生産情報提供食品事業者登録制度に、もっと登録事業者、登録食品をふやす必要があると思います。今後も、生産情報の提供を拡大させるために働きかけていくことを要望いたします。
 次に、都市農業について伺います。
 東京の農業は、農地や農業就業者の減少傾向が続いているものの、野菜は約七十五万人分を賄える生産量がありまして、また、都市の緑や環境の保全という役割を担っている部分もあります。
 都では、平成十三年に、東京の農業を振興していくために、東京農業振興プランを作成しました。しかし、この間に、食の安全・安心にかかわるさまざまな問題が起き、消費者の関心も高まっていることや、農業の担い手不足、農地の減少など、課題も多くあります。また、一方では、都市住民の農業体験へのニーズの高まりや、食育基本法の施行など、農業を取り巻く環境も変化してきています。
 そこで、農業振興プランの中間評価を行いましたが、幾つかの事業が、目標達成のために対策の再構築が必要とされました。
 その一点目は、農業ベンチャーの育成についてです。中間報告では、意欲的な農家が増加し、新たな試みも芽生えているため、支援対策を再検討する必要があるとされています。
 二点目としては、農業ヘルパーの育成です。中間評価では、担い手が定着するに至っておらず、ニーズなどを再検討していく必要があるとされています。
 このような課題に対し、新たな農業経営を目指す意欲ある担い手の育成や、農業に意欲を持った都民を担い手として育成するために、どのような取り組みを行っているのか、伺います。

○佐藤産業労働局長 平成十八年六月に取りまとめました「東京農業振興プランの中間評価と今後の地域別取組」では、企業的経営を目指す農業者への支援と、農業への都民参加の普及、定着に向けた対策が必要であるとされております。
 都は、平成十八年度から、経営革新に意欲的な農業者が農業経営の優良事例や他産業の経営事例を研究するための意欲的農業者支援セミナーを実施しております。また、都民のための実践農業セミナーも開設いたしまして、農業に関心を持つ都民がみずから耕作できる技術を持った新たな担い手になれるよう、育成に取り組んでおります。

○西崎委員 都市農業には、今質問したような担い手の問題のほかに、都市農地の保全という大きな問題があります。この十年で千四ヘクタールも都市農地が減少しています。そこで、都民が農業に親しみながら体験できる体験農園は、練馬区で既に十二件を超えておりまして、このような取り組みは、農業者にとっても、都民にとっても、農地を保全していく意味でよい制度だと思います。十八年度はどのように農業体験農園の整備支援を進めてきたのか、伺います。

○佐藤産業労働局長 農業体験農園は、入園者にとりましては、農業者と直接接することによりまして農業への理解を深めることができること、また、農業者にとりましても、市場価格に左右されない収入が得られるなど経営が安定するメリットがあるため、農地の保全にもつながるものと考えております。
 都は、平成八年度から、農業体験農園を開設する際に、生産緑地保全整備事業によりまして、休憩施設やトイレなどの整備に対する補助を行ってきております。
 農業体験農園は、年々増加し、平成十八年度末現在、都内で四十七園が開設しております。

○西崎委員 都のアンケートでは、東京に農業や農地を残したいと思うと回答した人が全体の八割を占めていました。都民が積極的に農地保全に取り組めるような仕組みが大切だと思います。このために援農ボランティア制度の活用を進めるべきだと思いますが、都ではどのように取り組んでいるのか、伺います。

○佐藤産業労働局長 援農ボランティア制度は、農作業や農業の基礎的な知識などを習得した都民の方々を援農ボランティアに認定いたしまして、高齢化や労働力不足の農家の作業を補助するために派遣する制度でございます。
 平成十八年度末までに、都内で千四百六十五人の援農ボランティアを認定しておりまして、区市や地域の農業協同組合と連携いたしまして農家への派遣を行っております。
 また、援農ボランティアが農家における経験を重ねまして、農業の新たな担い手となることも期待されますことから、さらなるスキルアップを図るため技術講習会の開催などの支援を行っております。

○西崎委員 最後の質問になりますが、都市農地の保全に関する問題は、農地制度や税制、相続税制度などの国の制度が改善されなければ解決しないと思います。しかしながら、東京都としても、独自にできることに取り組んでいくことが必要だと思います。
 都では、都市農業検討委員会を設置したと聞いていますが、平成十八年度どのような取り組みを行ったのか伺って、私の質問を終わります。

○佐藤産業労働局長 都市農地保全についての検討を進めるために、平成十八年七月に、学識経験者、関係団体、農業者で構成をいたします都市農業検討委員会を設置いたしました。
 平成十八年十一月の委員会報告では、都が取り組むべき施策のあり方といたしまして、農業者の意欲的な経営展開への支援、また労働力が不足する農家に対する支援、都市農地保全に向けた都民と農業者との連携の推進などの方向が示されました。
 これを受けまして、平成十八年度に、農作業の受委託や、農業、農地を生かしたまちづくりについての検討を行いまして、既に今年度、農作業受委託制度の事業化については着手したところでございます。

○鈴木委員長 西崎光子委員の発言は終わりました。
 以上で本日予定していました質疑はすべて終了いたしました。
 お諮りいたします。
 平成十八年度東京都各会計歳入歳出決算の認定についてに対する質疑は、これをもって終了いたしたいと思いますが、ご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○鈴木委員長 異議なしと認めます。よって、本件に対する質疑は終了いたしました。
 なお、十一月二十一日の十二時四十五分から理事会を、また十三時から委員会を、本委員会室で開会いたしますので、よろしくお願いいたします。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後五時二分散会


平成18年度各会計決算特別委員会第1分科会審査報告書

第1分科会で行われた平成18年度東京都一般会計決算等に関する審査の概要を次のとおり報告する。

平成19年10月31日
平成18年度各会計決算特別委員会
第1分科会委員長きたしろ勝彦

平成18年度各会計決算特別委員長
鈴木一光殿

1 本分科会の設置及び審査の経過
(1)本分科会は、9月27日に設置され、次の案件を審査した。
・平成18年度東京都一般会計決算中、知事本局、青少年・治安対策本部、東京オリンピック招致本部、総務局、財務局、主税局、会計管理局、選挙管理委員会事務局、人事委員会事務局、監査事務局、収用委員会事務局、議会局、東京消防庁、警視庁所管分
・平成18年度東京都特別区財政調整会計決算
・平成18年度東京都地方消費税清算会計決算
・平成18年度東京都小笠原諸島生活再建資金会計決算
・平成18年度東京都用地会計決算
・平成18年度東京都公債費会計決算

(2)本分科会は、次のとおり各所管局ごとに審査し、終了した。
10月10日(説明聴取・資料要求)会計管理局、財務局、主税局、知事本局、青少年・治安対策本部、選挙管理委員会事務局、人事委員会事務局
10月12日(説明聴取・資料要求)警視庁、東京消防庁、総務局、東京オリンピック招致本部、収用委員会事務局、議会局、監査事務局
10月19日(質疑)会計管理局、選挙管理委員会事務局、人事委員会事務局、青少年・治安対策本部
10月22日(質疑)警視庁、東京消防庁、収用委員会事務局、財務局
10月24日(質疑)知事本局、東京オリンピック招致本部、主税局
10月26日(質疑)議会局、監査事務局、総務局

2 本分科会における質疑の概要
(1)知事本局所管分
〔1〕 公会計制度導入による成果について
〔2〕 「10年後の東京」について
 ア 策定に至る経緯と実現への取組について
 イ 実行プログラム(仮称)の策定状況と策定後の検証方法について
〔3〕 アジア大都市ネットワーク21について
 ア 意義と進捗状況について
 イ 中小型ジェット旅客機の開発促進プロジェクトの進捗状況について
 ウ アジア感染症対策プロジェクトの取組状況について
〔4〕 横田基地の軍民共用化について
 ア これまでの取組と成果について
 イ 横田基地返還に関する都の基本姿勢について
 ウ 日米協議における課題に対する対処について

(2)青少年・治安対策本部所管分
〔1〕 不法滞在外国人対策について
〔2〕 地域・学校における子どもの安全確保と今後の取組について
〔3〕 中学生の職場体験の現状と今後の取組について
〔4〕 自転車の安全利用に対する取組について
〔5〕 青少年対策を取締りのみでなく幅広く実施することについて

(3)東京オリンピック招致本部所管分
〔1〕 開催概要計画書へのJOC評価委員会の指摘事項について
〔2〕 豊洲における土壌汚染とメディアセンター予定地との関係について
〔3〕 財政規模や計画見直しが明らかでない中での世論調査の実施について

(4)総務局所管分
〔1〕 首都大学東京の運営に対する都の支援と大学の社会貢献について
〔2〕 開かれた都庁舎のあり方と安全性の確保について
〔3〕 モーターサイクルフェスティバルの検討状況と三宅島復興のあり方について
〔4〕 災害時における避難場所の整備状況について
〔5〕 多摩リーディングプロジェクトへの取組状況と今後の多摩振興について

(5)財務局所管分
〔1〕 都の財政運営の課題について
〔2〕 都市と地方の格差是正における国の動きについて
〔3〕 「平成18年度主要施策の成果」について
〔4〕 豊洲新市場の用地取得について
〔5〕 普通財産の活用について
〔6〕 都庁本庁舎の管理について
〔7〕 新たな公会計制度の更なる活用について
〔8〕 第一次、第二次財政再建推進プランの税収見通しと財政のあり方について

(6)主税局所管分
〔1〕 局における財務諸表の特徴と今後の活用について
〔2〕 様々な徴収努力による徴収率向上に向けた取組について
〔3〕 駅ナカ課税への取組の意義と今後のあり方について
〔4〕 法人に対する恒久的減税と個人住民税に係る税制改正について
〔5〕 マンションにおける固定資産税の軽減措置について

(7)会計管理局所管分
〔1〕 公会計制度について
 ア 財務諸表の公開により生じた課題と今後の取組について
 イ 財務諸表における税のとらえ方について
 ウ 制度導入におけるメリット・デメリットについて

(8)選挙管理委員会事務局所管分
 質疑なし

(9)人事委員会事務局所管分
〔1〕 職員の新規採用における取組について
〔2〕 管理職選考の現状と人材確保について
〔3〕 労働基準監督機関としての役割について

(10)監査事務局所管分
 質疑なし

(11)収用委員会事務局所管分
〔1〕 収用制度活用プランの主な内容と具体的成果について

(12)議会局所管分
 質疑なし

(13)東京消防庁所管分
〔1〕 消防団員のあり方と人材確保について
〔2〕 消防力強化の取組と分団本部施設の整備状況について

(14)警視庁所管分
 質疑なし


平成18年度各会計決算特別委員会第2分科会審査報告書

第2分科会で行われた平成18年度東京都一般会計決算等に関する審査の概要を次のとおり報告する。

平成19年10月31日
平成18年度各会計決算特別委員会
第2分科会委員長大塚たかあき

平成18年度各会計決算特別委員長
鈴木一光殿

1 本分科会の設置及び審査の経過
(1)本分科会は、9月27日に設置され、次の案件を審査した。
・平成18年度東京都一般会計決算中、生活文化スポーツ局、福祉保健局、病院経営本部、教育庁所管分
・平成18年度東京都母子福祉貸付資金会計決算
・平成18年度東京都心身障害者扶養年金会計決算

(2)本分科会は、次のとおり各所管局ごとに審査し、終了した。
10月10日(説明聴取・資料要求)病院経営本部、福祉保健局
10月12日(説明聴取・資料要求)生活文化スポーツ局、教育庁
10月19日(質疑)病院経営本部、福祉保健局
10月24日(質疑)生活文化スポーツ局
10月26日(質疑)教育庁

2 本分科会における質疑の概要
(1)生活文化スポーツ局所管分
〔1〕 文化振興施策について
 ア 都立文化施設への指定管理者制度導入後の新たな取組及び評価について
 イ 東京芸術文化評議会の設置目的及び諮問・提案内容について
 ウ オリンピック招致機運の上昇に寄与する文化事業の実施について
 エ 予算が増加しているワンダーサイトの事業効果について
 オ シルバーエイジ芸術鑑賞補助事業など廃止した事業の復活について
〔2〕 都のスポーツ行政の推進体制及び庁内組織の連携について
〔3〕 第一回の経験に基づく東京マラソン第二回大会への課題について
〔4〕 地域国際化推進検討委員会での検討内容及び施策への反映について
〔5〕 高齢者及び若者の消費者被害防止対策について
〔6〕 減少する公衆浴場に対する支援策について
〔7〕 子ども及び高齢者の生活用品における事故防止対策について
〔8〕 私学助成について
 ア 校舎の耐震化促進について
 イ 公私格差に対する施策について
 ウ 特別奨学金補助の父母へのPR方法について
〔9〕 都政の広報活動における高齢者・障害者に対する取組について
〔10〕 配偶者暴力被害者に対する各局連携の支援策の拡充について

(2)福祉保健局所管分
〔1〕 子育て支援策について
 ア 創設された子育て推進交付金について
 イ 養育家庭の拡充及び支援体制について
 ウ 在宅で子育てを行っている家庭への支援について
 エ 児童虐待を行う親へのケア及び予防のための取組について
 オ ひとり親家庭に対する支援について
〔2〕 高齢者福祉について
 ア 地域密着型サービスに対する都の認識及び整備促進について
 イ 地域包括支援センターの役割及び介護予防対象高齢者の把握について
 ウ 介護報酬及び介護施設の人手不足について
 エ シルバーパスの利用者負担金の設定について
 オ 板橋キャンパスの再編整備について
〔3〕 アルツハイマー病の治療薬の開発について
〔4〕 精神疾患、特にストレス等に起因する感情障害に関する相談体制について
〔5〕 たばこ対策における具体的な取組状況について
〔6〕 乳がん検診・マンモグラフィの整備状況及び啓発事業について
〔7〕 一般企業における障害者の就労支援策について
〔8〕 都民への福祉サービスの情報提供について

(3)病院経営本部所管分
〔1〕 公社病院の運営について
 ア 都立病院との役割分担及び医師・看護師の確保問題について
 イ 外来診療の縮小及び病床の縮小・休止の状況について
 ウ 公社移管後に開始した独自の医療サービスについて
 エ 平成18年度における施設整備について
 オ 院内保育所の設置及び利用状況について
〔2〕 荏原病院について
 ア 産科医師及び看護師の欠員に対する取組について
 イ 産科外来診療の縮小による助産師外来及び院内助産の実績について
〔3〕 多摩南部地域病院における女性専用外来の整備及び診療について
〔4〕 多摩北部医療センターにおける駐車場利用料について

(4)教育庁所管分
〔1〕 学力調査の結果を活用した児童・生徒の学力向上のための施策について
〔2〕 定時制高校について
 ア 新設された高校の予算執行率が低い理由について
 イ 夜間の定時制高校における給食の喫食率の低下について
〔3〕 特別支援教育推進計画について
 ア 第一次実施計画の成果と今後の課題について
 イ 特別支援学校の適正配置について
 ウ 副籍モデル事業の成果とその普及のための取組について
 エ 寄宿舎の適正な配置及び入舎基準の改正内容について
 オ 特別支援教育を推進するための財源確保について
〔4〕 公立学校教員における障害者の法定雇用率達成について
〔5〕 避難所となる都立学校体育館の窓ガラスの耐震対策について
〔6〕 開設された学校経営支援センターについて
 ア 学校に対して行った支援及びその成果について
 イ 物品購入などにおける課題と対応について
〔7〕 都立学校における健康づくり推進計画について
 ア 「健康ノートの作成」の取組状況と今後の課題について
 イ 「性教育・エイズ教育」及び「喫煙・飲酒・薬物乱用防止教育」について
〔8〕 児童・生徒の災害時におけるボランティア活動について
〔9〕 部活動の活性化に向けた予算の配分について


平成18年度各会計決算特別委員会第3分科会審査報告書

第3分科会で行われた平成18年度東京都一般会計決算等に関する審査の概要を次のとおり報告する。

平成19年10月31日
平成18年度各会計決算特別委員会
第3分科会委員長石川芳昭

平成18年度各会計決算特別委員長
鈴木一光殿

1 本分科会の設置及び審査の経過
(1)本分科会は、9月27日に設置され、次の案件を審査した。
・平成18年度東京都一般会計決算中、都市整備局、環境局、産業労働局、建設局、港湾局、労働委員会事務局所管分
・平成18年度東京都中小企業設備導入等資金会計決算
・平成18年度東京都農業改良資金助成会計決算
・平成18年度東京都林業・木材産業改善資金助成会計決算
・平成18年度東京都沿岸漁業改善資金助成会計決算
・平成18年度東京都と場会計決算
・平成18年度東京都都営住宅等事業会計決算
・平成18年度東京都都営住宅等保証金会計決算
・平成18年度東京都都市開発資金会計決算
・平成18年度東京都多摩ニュータウン事業会計決算
・平成18年度東京都臨海都市基盤整備事業会計決算

(2)本分科会は、次のとおり各所管局ごとに審査し、終了した。
10月10日(説明聴取・資料要求)労働委員会事務局、中央卸売市場港湾局、都市整備局
10月12日(説明聴取・資料要求)産業労働局、環境局、建設局
10月19日(質疑)産業労働局、都市整備局
10月22日(質疑)労働委員会事務局、中央卸売市場港湾局
10月24日(質疑)環境局
10月26日(質疑)建設局

2 本分科会における質疑の概要
(1)都市整備局所管分
〔1〕 建築基準法改正に伴う建築確認申請の状況について
〔2〕 多摩ニュータウンの事業実績と活性化について
〔3〕 外環の2のこれまでの取組及び今後の検討の方向性について
〔4〕 空港への鉄道アクセスと連立事業の取組について
〔5〕 東京メトロと都営地下鉄の統合について
〔6〕 地下鉄8・11号線整備の取組について
〔7〕 ICタグ等の先端技術を活用した将来のまちづくりについて
〔8〕 公共交通を重視した交通施策に対する認識について
〔9〕 交通バリアフリー法に基づく対策の進捗状況について
〔10〕 木造住宅耐震化助成制度の対象地域について
〔11〕 都営住宅について
 ア 既設住宅でのエレベーターの設置について
 イ 孤独死の状況と防止対策について
 ウ 新規建設に関する特別区議会議長会の要望について

(2)環境局所管分
〔1〕 廃プラスチックのリサイクルの推進について
〔2〕 埋立処分場の延命化について
〔3〕 自動車公害対策について
〔4〕 ヒートアイランド対策について
〔5〕 緑の減少推移とみどり率に基づく白書の作成について
〔6〕 豊洲の土壌汚染対策について

(3)産業労働局所管分
〔1〕 商店街振興支援の充実について
〔2〕 雇用問題について
 ア 障害者雇用対策の実績と今後の取組について
 イ 非正規雇用者の労働環境の改善について
 ウ 若年者の就労及び女性の再就職への支援について
 エ 団塊世代の大量退職に伴う技術技能の継承について
 オ 東京しごとセンターの事業実績について
 カ アニメ産業従事者の労働環境の実態について
〔3〕 農業振興対策の推進について
〔4〕 第2次東京都獣害対策基本計画に基づく事業展開について
〔5〕 水辺地域の観光振興策への取組について
〔6〕 観光産業振興プランの成果について
〔7〕 新銀行東京の経営環境と今後の役割について
〔8〕 東京ファッションタウンビルとタイム24ビルの事業状況及び議会への収支報告について

(4)中央卸売市場所管分
 質疑なし

(5)建設局所管分
〔1〕 無電柱化の進捗状況と今後の取組について
〔2〕 橋梁点検の実施状況と安全性の確保について
〔3〕 都立公園の用地取得及び整備について
〔4〕 まちづくりの取組を含めた連続立体交差事業の促進について
〔5〕 横断歩道橋の管理とバリアフリー化について
〔6〕 公共事業の適正化について
〔7〕道路アセットマネジメントの内容と今後の取組について
〔8〕 東部低地帯の耐震対策の実施状況と今後の整備予定について
〔9〕 千川通りの歩道拡幅について
〔10〕 千川上水と石神井川の整備について
〔11〕 三環状道路の整備について

(6)港湾局所管分
〔1〕 東京港の国際競争力の強化について
〔2〕 海岸保全施設の整備について
〔3〕 島しょ貨物運賃補助制度の対象品目の拡大について
〔4〕 伊ヶ谷漁港の整備について

(7)労働委員会事務局所管分
 質疑なし

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