各会計決算特別委員会第三分科会速記録第六号

平成十九年十月二十六日(金曜日)
第九委員会室
   午後一時開議
 出席委員 十名
委員長石川 芳昭君
副委員長遠藤  衛君
副委員長小沢 昌也君
大松  成君
崎山 知尚君
伊藤まさき君
野上ゆきえ君
菅  東一君
石森たかゆき君
松村 友昭君

 欠席委員 なし

 出席説明員
建設局局長道路監兼務道家 孝行君
次長島  博文君
総務部長影山 竹夫君
用地部長谷島 明彦君
道路管理部長藤井 芳弘君
道路建設部長山口  明君
公園緑地部長北村 俊文君
河川部長高橋 興一君
道路保全担当部長米田 秀男君
道路計画担当部長藤森 祥弘君
参事吉原 一彦君
参事安藤 英二君
参事小口 健藏君

本日の会議に付した事件
平成十八年度東京都各会計歳入歳出決算の認定について
建設局関係
・平成十八年度東京都一般会計決算(質疑)

○石川委員長 ただいまから平成十八年度各会計決算特別委員会第三分科会を開会いたします。
 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、建設局関係の決算に対する質疑を行います。よろしくお願いいたします。
 これより建設局関係に入ります。
 決算の審査を行います。
 平成十八年度東京都一般会計決算中、建設局所管分を議題といたします。
 本件につきましては、既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○影山総務部長 去る十月十二日の当分科会におきまして要求のございました資料につきましてご説明申し上げます。
 お手元の平成十八年度各会計決算特別委員会第三分科会要求資料をごらんいただきたいと存じます。
 表紙をおめくりいただきますと、目次に四件の資料の件名が記載してございます。この順番に従いましてご説明申し上げます。
 一ページをお開き願います。事業別予算・決算額の推移でございます。
 この表は、道路、河川、公園などの建設局事業につきまして、平成九年度から平成十八年度までの予算額と決算額を事業別に表にしたものでございます。
 二ページをお開き願います。骨格幹線道路及び地域幹線道路の予算・決算額の推移でございます。
 この表は、骨格幹線道路と地域幹線道路につきまして、平成九年度から平成十八年度までの予算額と決算額をあらわしたものでございます。
 三ページをお開き願います。都立公園の整備費の実績でございます。
 この表は、都立公園整備につきまして、平成九年度から平成十八年度までの一般会計、用地会計の決算額をあらわしたものでございます。
 四ページをお開き願います。直轄事業負担金の決算額の推移でございます。
 この表は、直轄事業負担金につきまして、平成九年度から平成十八年度までの道路、河川及び公園の決算額を財源別にあらわしたものでございます。
 以上で、要求のございました資料の説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○石川委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めて、これより本件に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○石森委員 それでは私から、三つの大きな項目につきまして順次質問させていただきたいと思います。
 まず初めに、電線類の地中化についてお尋ねをいたします。
 都では都市景観の向上、バリアフリーの観点、あるいは阪神・淡路大震災では電柱が倒壊して、電線による火災の発生、緊急車両の通行の妨げ等のさまざまな影響が出たことを受けて、電線類の地中化を進めております。
 十八年度においても、建設局の重点項目の一つに位置づけられ、十六年度からは五カ年計画で新たにスタートした無電柱化推進計画をもとに事業展開が図られているところでありますが、都道における現在の無電柱化の推進状況につきまして、まずお尋ねいたします。

○米田道路保全担当部長 東京都では、良好な都市景観の創出、安全で快適な歩行空間の確保、防災機能の強化を目的といたしまして無電柱化事業を進めております。
 平成十八年度末の都道における無電柱化の状況でございますが、整備対象延長二千三百二十八キロメートルのうち五百八十六キロメートルを整備し、進捗率は約二五%でございます。

○石森委員 過日策定された「十年後の東京」でも、無電柱化を緑のネットワークと連携して推進するとして、センター・コア・エリア内における都道の無電柱化を完了させるとしております。
 一方、多摩地域での無電柱化率は、補助国道を含む知事管理道路で一三%、区市町村道においては一%となっておりまして、区部と比較しても大きな開きがある実態にあります。これこそ三多摩格差の一つではないかと感じているところでございますが、せめて主要駅周辺全体ぐらいの地中化を図ってほしいと思います。今後、多摩地域についてはこの事業にどのように取り組んでいくお考えか、お尋ねをいたします。

○米田道路保全担当部長 多摩地域の都道につきましては、川崎街道、鎌倉街道などの緊急輸送道路や、八王子、町田などの主要駅周辺で無電柱化を推進いたします。
 さらに、調布保谷線、府中所沢線など、都道の新設や拡幅を行う場合など、さまざまな機会をとらえまして、無電柱化の推進に積極的に取り組んでまいります。

○石森委員 私の地元の八王子市のJR八王子駅周辺につきましても、ようやく北口のメーンストリート、これはひよどり山有料道路が無料化に伴って、今まで都道だったものが市道に移管されたところでございますけれども、ようやくそこも一部地中化が図られましたし、南口につきましても、本年着工する再開発事業に連動して埋設される予定になっておりますが、全体のまちづくりを考えるならば、当然、市道を含めた面的整備が重要となります。
 そこで、区市町村の無電柱化に対する都の技術的、財政的な支援策についてお聞かせをいただきたいと思います。

○米田道路保全担当部長 東京都はこれまでも区市町村に対しまして、財団法人の東京都道路整備保全公社と連携いたしまして、設計や施工などにかかわります技術支援を行うとともに、電線共同のコンパクト化など、狭い歩道における無電柱化技術の開発に、国や電線管理者と連携して取り組んでおります。
 東京都は引き続き、区市町村が行います無電柱化に対しまして必要な技術支援を行いますとともに、区市町村の財政負担を軽減する方策について検討を行ってまいります。

○石森委員 区市町村が無電柱化を実施する場合の大きなハードルとなるのが、今ご答弁もございましたけれども、財政負担となります。ぜひ、事業進捗を図るためにも、負担軽減策については早急に取り組みを要望して、次に移りたいと思います。
 次に、橋梁の点検と補修について伺います。
 ことしの八月の一日に米国ミネアポリス高速道路崩落事故が発生し、ミシシッピ川にかかっていた橋梁が崩れ去る映像は今でも生々しく記憶に残っているところでありますけれども、この事故を受けて国土交通省が実施した橋の調査では、国の管理橋の約四割が速やかな補修が必要との結果が先日示されました。
 特に問題とされたのが、全国の橋梁が約十五万橋あるうち、区市町村管理が約八万四千橋ありますが、その約九割の橋の定期点検が実施されていない、これが明らかになりました。
 都の橋梁点検はほぼ一〇〇%実施されているとの報告は受けておりますけれども、その点検状況についてお聞かせをいただきたいと思います。

○米田道路保全担当部長 東京都では、橋梁につきましては三種類の点検を実施いたしております。
 その点検内容でございますが、道路巡回の際に行う日常点検、地震や台風などの災害が発生した場合に行う緊急時の点検、橋梁の保全を図るために行う定期点検でございます。このうち定期点検につきましては、昭和六十二年度から五年に一度の頻度で、都が管理いたします千二百四十八橋すべての橋梁を対象に、亀裂でございますとか、ひび割れ、変形等を調査し、損傷や変状の早期発見に努めております。
 これらの点検結果をもとに、対策が必要な橋につきましては適切に維持補修を行い、常に良好な状態に保つよう努めているところでございます。

○石森委員 これまで区市町村においては、点検に対する認識不足、この辺もあったと思います。過日のような調査結果が出たと思いますけれども、都内の区市町村における定期点検実施状況についてはどのような内容になっているものか、お聞かせをいただきたいと思います。

○米田道路保全担当部長 八月にアメリカで発生いたしました橋梁の崩落事故を受けまして都内の区市町村における橋梁の定期点検の実施状況を調査いたしましたところ、点検を実施している自治体は三割程度でございました。なお、定期点検を実施できない理由としましては、職員の技術力不足などとなっております。

○石森委員 各市町村の点検体制が整っていないというようなご答弁でございましたけれども、国では来年春をめどに定期点検の制度化を検討するとあります。都としてはどのような支援策を実施するおつもりか、お尋ねをいたします。

○米田道路保全担当部長 橋梁の損傷が顕在化する前の定期的な点検ということが大変重要でございますので、区市町村の職員を対象に十月五日に説明会を行いまして、橋梁の管理が適切に行えるよう、具体的な損傷事例を挙げて都の点検方法を説明するなど、区市町村における橋梁点検の実施に向け、働きかけを行いました。
 職員の技術力不足などにより橋梁の点検が十分に行えない区市町村もありますため、国と連携して引き続き積極的な技術支援を行ってまいります。

○石森委員 先ほど触れましたけれども、東京都では橋梁点検、これは実施されておりますが、十数年後には東京オリンピック前後に整備された数多くの橋梁または道路、トンネル等が更新時期を迎えることになります。これらの施設を計画的、効率的に管理するために、道路アセットマネジメントを導入しているとのことでありますけれども、平成十八年度と今後の取り組みについてそれぞれお示しをいただきたいと思います。

○米田道路保全担当部長 東京都は、平成十八年度にこれまで蓄積いたしました橋梁の定期点検結果や、災害時におけるリスク予想などを組み込みました予防保全の考え方に基づく道路アセットマネジメントを構築いたしました。
 平成十九年度には道路アセットマネジメントを活用いたしまして、行政や学識経験者によります委員会の審議を踏まえ、橋梁の長寿命化計画を策定いたします。今後は、この計画に基づきまして、適切な対策を講じ、これまでの対症療法型の管理から、予防保全型の管理へ転換してまいります。

○石森委員 米国の例をいうまでもなく、橋梁の崩落事故、これは大惨事につながりかねませんから、都の橋のみならず、区市町村橋に対しての点検補修については、今後、可能な限りの指導、支援をお願いしたいと思います。
 次に、都立公園の整備についてお伺いをいたします。
 昨年策定された「十年後の東京」では、東京を緑あふれる都市へ変えていくために積極的に都市公園を整備していくとありますが、その実現に向けては計画的な取り組みが必要と思います。そこで、何点か質問をいたします。
 まず、平成十八年度における都立公園の整備状況についてお伺いいたします。

○小口参事 平成十八年度には、舎人公園や東伏見公園など十七公園において約四・一ヘクタールの用地を取得しました。また、城北中央公園や武蔵野の森公園など十六公園で整備を行い、約十三ヘクタールを開園しました。その結果、平成十九年六月一日現在、都立公園の開園面積は約千八百二十三ヘクタールとなっております。

○石森委員 整備状況についてご答弁をいただきましたが、次に、今後、都立公園の計画的な整備にどのように取り組むのか、また、計画達成のためには用地取得を着実に進める必要があると思いますけれども、実際にどのように取り組んでいく予定なのか、あわせてお伺いいたします。

○小口参事 都は、平成二十七年度までに都立公園の開園面積を二千ヘクタールとすることを目標としており、平成十八年度から二十七年度までの十年間で都市計画公園緑地の整備方針で設定しました優先整備区域のうち百九十ヘクタールの開園を計画しております。
 水と緑の回廊で包まれた美しいまち東京の復活や、震災から都民を守る災害に強い都市づくりに向けて都立公園の整備を着実に進めるため、財源確保を図りながら用地の連担性に配慮し、早期開園に結びつくよう、重点的かつ効果的な用地の取得に努めてまいります。
 さらに、長沼公園などの丘陵地公園においては、用地の取得とあわせ、借地公園制度も活用し、公園整備を推進してまいります。

○石森委員 現在、公園計画区域内には企業が所有する運動場などが存在いたします。これらの大規模な用地を取得すればまとまった土地が確保でき、公園の早期整備につながることから、事業効果の高いものと考えられます。
 そこで、現在、優先整備区域内に大規模な用地はどのくらいあるのか伺います。また、その用地について今後どのように事業を進めていく予定なのか、所見をお伺いいたします。

○小口参事 優先整備区域内にある〇・三ヘクタール以上の大規模な用地は、石神井公園における三井住友銀行所有の運動場や桜ヶ丘公園における農業者大学校の敷地など八公園に合計約十七ヘクタールあります。
 優先整備区域内にあるこれらの大規模な用地については、今後の財政状況を踏まえ、地権者の理解と協力を得ながら計画的に取得に努め、事業効果の早期発現ができるよう、整備に努めてまいります。

○石森委員 「十年後の東京」に示されている水と緑に包まれた美しく災害に強い都市東京の早期実現に向けて、引き続き公園緑地の整備には着実に取り組まれることを期待しております。
 私の地元八王子市内にある平山城址公園や小宮公園についても、緑の保全と利用が両立した公園として今後も整備を推進することをお願いして、私の質問を終わります。

○野上委員 私からは、無電柱化について伺いたいと思います。
 日本の都市に比べて欧米の都市の方が一般的に街並みが美しいというふうにいわれています。その要因の一つには、やはり立ち並ぶ電柱と空を横切る電線のないことが挙げられます。各国の首都ロンドンやパリではもう既に一〇〇%、あるいはベルリンでもほぼ一〇〇%の無電柱化を達成しています。それに比べて、日本の首都である東京では、東京二十三区の場合でもわずか七・三%と大きく立ち遅れている状況です。
 東京の幹線道路の無電柱化率、これは国土交通省の二〇〇五年の調査によりますと、四七・九%、そして、東京都内で区道などの非幹線道路の無電柱化率は三・一%、特に身近な生活道路、非幹線道路での無電柱化率が低い現状です。
 魅力ある市街地あるいは千客万来都市東京に向けて、あるいは江戸からの歴史を伝える美しい建築物が並ぶこの東京においては、まさに観光の空間の質を高める上で、無電柱化率の要請はますます高まっています。
 そこで、積極的な取り組みが求められておりますが、都が現在進めている無電柱化の取り組みについて伺います。

○米田道路保全担当部長 都における無電柱化の取り組みでございますけれども、山手通りと荒川に囲まれましたセンター・コア・エリア内及びオリンピック関連施設周辺はもとより、その他の区部や多摩地域の都道についても緊急輸送道路や主要駅周辺などで無電柱化を推進しております。
 さらに、都市計画道路の新設や拡幅を行う場合など、さまざまな機会をとらえまして無電柱化の推進に積極的に取り組んでいるところでございます。

○野上委員 無電柱化、今までは電線類の地中化あるいは電柱の地中化というふうにもいっていたと思いますけれども、これは主に道路管理者により構築される電線共同溝に参画する、共同で参加を希望する電線管理者が入溝する計画というのが基本です。つまりは、都の無電柱化事業促進というか推進に当たっては、道路管理者である都が、例えば電力会社、通信会社、ケーブルテレビ会社などと一緒に協働する共同の事業であり、調整が必要です。企業にとっては、まだ使用可能な既存の設備を取り除いて、あるいは取り壊して、新たな設備投資をする。つまりは、企業の責任であるとか、あるいは社会貢献の一つとしてこの無電柱化に取り組んでいる事業であると私は認識しています。
 しかしながら、この整備には、依然として高いコスト、浅く埋設する方式でも一キロメートル当たり約一・六億円というふうな国土交通省の試算が出ておりますが、そういった高いコストを要しておりますし、無電柱化促進にとっては、大きなコストというのが非常に課題となっていると認識しております。
 そこで、現在の無電柱化は電線共同溝方式を採用しておりますが、この方式の技術的、経済的なメリットについて伺います。

○米田道路保全担当部長 電線共同方式につきましては、従来のキャブシステムに比べ構造がコンパクトであり、歩道幅員が二・五メートル程度であれば設置できますとともに、コストの大幅な低減が可能となりました。また、電線共同溝は道路附属物として道路管理者が設置いたしますことから、電線共同溝本体の構築費に対する電線管理者の負担は約五%程度と、電線管理者の大幅な負担軽減が図られているところでございます。

○野上委員 電力、主に通信分野では自由化が進んでおりますので、やはり電線管理者の経営環境というのは現状非常に厳しい、まだまだ厳しい状況です。そのためには、やはりこの無電柱化を推進するに当たっては、一層のコストの削減など、やはり円滑に電線類の地中化を進めるための対策が今後も必要であると私は考えております。
 平成十八年度建設局の事業概要によりますと、一般会計歳出予算における電線類地中化の促進は、対前年度十八億円増、二〇%とありますが、改めて無電柱化事業の平成十八年度の予算と決算について、金額と延長についてお伺いいたします。

○米田道路保全担当部長 平成十八年度の無電柱化事業の実績でございますけれども、予算額八十七億円、延長二十四・三キロメートルに対しまして、決算額七十二億円、完成延長二十・一キロメートルでございます。

○野上委員 平成十八年度の完成延長が予算延長に対して八三%程度でありますけれども、その理由についてお聞かせください。

○米田道路保全担当部長 道路内でふくそうしております地下埋設物の移設に時間を要したことや、用地取得の難航などによりまして、工事規模が減少したことによるものでございます。今後とも無電柱化事業の着実な執行に努めてまいります。

○野上委員 私の地元である練馬区にお住まいの方々からは、やはり、幹線道路はもちろん、身近な道路においても、車より歩行者、自転車を優先して、安全な道路環境、道路交通環境をつくってほしいという要望も聞きます。緑のまち練馬の住民として、良質な緑の空間、まちづくりを進める一方で、一体となって快適性の観点から道路空間を整備してほしいとの要望もあります。
 そこで、練馬区内における無電柱化事業の取り組みについてお聞かせください。

○米田道路保全担当部長 練馬区内の既存の都道におきましては、目白通りなどで約七キロメートル完成しておりまして、平成十九年度から緊急輸送道路である環状七号線を新規に事業化しております。
 また、新設拡幅事業につきましては、環状八号線と補助第一三三号線におきまして事業を実施しております。今後とも、財源の確保を図りながら地元市や電線管理者と連携し、無電柱化を一層推進してまいります。

○野上委員 最後に、少し要望を申し上げておきたいと思います。
 この無電柱化事業に当たっては、新技術導入等によるコスト削減を図りつつ、幹線道路における無電柱化を引き続き推進するとともに、東京には、江戸から歴史を伝える美しい建築物ですとか、あるいは臨海部には現代的で洗練された新しい都市景観、そういったものもありますので、やはりそういった街並みの観点から無電柱化を推進してほしい。そして、バリアフリーなどの重点整備区域なども主要な、非幹線道路といったらちょっと都の管轄ではないというふうなところもあるでしょうけれども、それは区市との技術や情報の提供等で引き続き無電柱化を面的に進めていただきたいと思います。
 そして技術的には、無電柱化推進に当たって地下の設置のトランスに配慮した柱状のトランスの開発の促進が今いわれています。また、幅が狭いところでも、物理的な制約の多い道路における地上機器の設置位置や、あるいは既に、既設の埋設物への影響を抑える管路の配置及び施工の方法についても、やはり都が主導となって区市町村への情報提供を進めていただきたいと思います。
 私から要望を申し上げまして、質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。

○大松委員 平成十八年度決算に関連いたしまして、東部低地帯の河川の護岸整備について伺います。
 二十二日の分科会では、港湾局所管の防潮施設の耐震化について伺いましたけれども、河川部門は建設局所管になります。二十二日と同様の趣旨になりますので、簡潔に質問させていただきます。
 東部低地帯の高潮対策では、既に伊勢湾台風級の高潮に耐え得る高さの護岸がほぼ整備をされておりますけれども、首都直下型地震による液状化で防御施設が沈み、また壊れたりしますと、満潮面以下の低地では浸水被害に見舞われることになるわけでございます。
 平成十八年度は高潮防御施設費として約八十億円が執行をされておりますけれども、高潮を直接受ける、いわゆる外郭堤防、これは建設局所管の部分でございますけれども、その耐震対策について現状と今後の予定を伺います。

○高橋河川部長 東京の東部低地帯は歴史的に洪水や高潮による水害が多く、都はこれまで重点的に防潮堤などの整備を進めてまいりました。
 この地域の外郭堤防が地震時に損壊いたしますと、東京湾から海水が侵入することになります。そのため、耐震対策は極めて重要でございます。このため、平成七年の阪神・淡路大震災を契機とした耐震点検の結果を踏まえまして、平成九年度から計画的に地盤改良や交換具による補強など外郭堤防の耐震対策を進めてまいりました。
 その結果、隅田川や中川など、対策の必要な五十五キロメートルのうち、十八年度末現在、九八%に当たる五十四キロメートルの耐震対策を完了いたしました。残る中川など、一キロメートルの区間につきましても、現在、事業を進めており、二十年度に完成いたします。

○大松委員 外郭堤防の耐震対策は二十年度に完了するということでございますけれども、荒川、隅田川、東京湾に囲まれまして、地盤が海面より低い江東デルタ地帯に住む住民の皆様方にとりましては、より万全の対策が求められるわけでございます。江東デルタ地帯など、東部低地帯の外郭堤防以外の耐震対策につきましても、現状と今後の整備の考え方を伺います。

○高橋河川部長 外郭堤防の内側にある河川の護岸につきましても、地盤が低い地域であり、護岸が損壊いたしますと浸水のおそれがあるため、耐震対策が重要でございます。
 これら護岸のうち耐震対策が必要な百十キロメートルにつきまして、対策を進めてきた結果、平成十八年度末現在、小名木川や大横川など三十四キロメートルが完了しており、その進捗率は三一%となっております。残る七十六キロメートルの耐震対策につきましても、財源確保に努め、二十七年度の完了を目指してまいります。

○大松委員 ぜひ着実な実施を要望いたします。
 これまでの対策では、コンクリート護岸などによりまして、人々の暮らしと川が分離をされてきたわけでありますけれども、近年には、隅田川では川に親しみ、またにぎわいのある水辺空間づくりといたしまして、河川の背後地のまちづくりと連動させましたスーパー堤防、また、護岸の前面にテラスをつくる耐震対策が進められております。耐震対策とともに進められております水辺空間の魅力向上への取り組みについて伺います。

○高橋河川部長 隅田川は水の都東京を象徴する河川であり、古くから人々に親しまれてまいりました。さらに、人々が集う魅力ある水辺空間としていくことが重要でございます。
 これまでもスーパー堤防事業を進めるとともに、耐震性を備えたテラス護岸の整備率を八六%にするなど安全で潤いのある隅田川の整備に努めてまいりました。今後とも、二十七年度の完了を目指し、水辺を散策できるテラスの整備を推進してまいります。また、地元と連携し、堤防の壁面をギャラリーとして活用することや、緑化の推進など、隅田川がより都民に親しまれ、にぎわいの場となるよう努めてまいります。

○大松委員 港湾の防潮施設とは違いまして、河川の場合は高潮とともに洪水対策が重要であることは申し上げるまでもございません。特に、近年の集中豪雨や雨水浸透が抑制をされます都市開発によりまして、石神井川、神田川、善福寺川など都内の中小河川での対策が現下の緊急課題になっているところでございます。
 二年前にも、私の地元の北区を初め各区で床上床下浸水の被害が出たところであります。十八年度の中小河川の洪水対策につきましては、執行率が九〇%を超え、着実に実施をされておりますけれども、引き続き万全の対策をお願いいたしまして、質問を終わります。

○松村委員 まず、建設局事業で都民生活に密着した緑や環境、安全なまちづくりについて伺います。
 交通安全施設費は、二〇〇六年、平成十八年度決算を見ますと、公共事業は執行率が九一・七%ですが、単独事業の執行率は七二・三%となっています。中でも歩道の整備の決算額は約八十億円ですが、石原知事が就任した九九年、平成十一年度では約五十五億円です。さらに、青島知事の最後ですか、その前年の決算を見ますと約百億円なんですね。それに比べればやはり激減しているといわざるを得ないというふうに思います。
 都民の安全にとって緊急課題であり、歩道の設置や改善の要望は非常に強いものがあります。しかし、道路幅員を初めいろいろな障害があって、皆さん方も大変、建設局としても苦労されているということは十分察します。
 そこで、私の地元の練馬区の千川通り、この練馬駅から桜台駅間の南側歩道は、乳母車も通れない、それから人がすれ違うこともできない箇所が何カ所かあるんですね。また非常に段差というか、なかなか改修できない。長年、商店会長を先頭に建設事務所にお願いをしているところですけれども、十八年度中に検討したいという回答をもらっていたんですが、この見通しは立っていたのかをお伺いいたします。

○米田道路保全担当部長 今お話のありました区間につきましては、かねてより各方面からの地元要望を受けておりまして、私どもとしても課題として受けとめております。
 南側歩道の拡幅に当たりましては、駐車スペースの確保などに課題がございまして、交通管理者や地元区、地元住民と調整が必要であるというふうに考えております。

○松村委員 調整中であるというんですけれども、たしかおっしゃったけれども、今、南側といったけれども、西武高架事業もありまして、北側にはかなり広い用地があるんですね。ただ、後で触れたいと思うんですけれども、千川上水が都道の下を通っていると。桜の非常に立派な、商店街でもそこでお祭りをやったりするようなそういう桜の木がある。しかし、かねてより地元でも、その道路の幅員を交通管理者などと調整すれば実際可能じゃないか、なぜ踏み込んでやらないのかという意見も出されているんですね。地元といいますか、練馬区は第四建設事務所ですけれども、相当苦労してやっているようですけれども、もう少し見通しについてはっきりさせてください。

○米田道路保全担当部長 先ほどお話しさせていただきましたけれども、今また委員からのお話もありましたけれども、いろいろな方のご意見が、沿道の方のご意見がございます。したがいまして、いろいろな課題につきまして、先ほどもいいましたように、停車スペースの確保でありますとか、そういうことも含めまして、いろいろな関係方面との整理が十分なされなければならないというふうに考えておりまして、そういう課題の整理を行っているというところでございます。

○松村委員 ですから、その見通しはどうなのかと聞いているんですよ。

○米田道路保全担当部長 見通しということでありますと、結論ということになろうかと思うんですけれども、まだそういうところまでの状況ではなくて、やはり課題を十分整理しないと、先ほどもいいましたように、沿道の方々はいろいろなご意見がございますので、あるいは交通管理者の立場としてのご意見もありますので、そういうものを課題として整理する必要があるという状況でございます。

○松村委員 ぜひ一日も早い実現を望みたいと思いますけれども、私は関係者からは、もう調整がついたと、来年度の実施というようなことも聞いているんです。そういう点ではきちっと、今後とも早くやっていただきたいということを要望しておきます。
 この千川道路は、その名が示すように、かつては千川上水が流れる清流の川でありました。時代の流れによって暗渠化されましたが、今でも都道の下には相当量の水が流れているわけです。私も現場で何度も確認しておりますけれども。この貴重な水源を、水路など復活可能なところに再現しなければもったいないし、ヒートアイランド現象の緩和にも大きな役割を果たします。
 国は地方分権の一環として練馬区に移管する方針であると聞きますけれども、水路の上は都道であるために、暗礁に乗り上げているとも聞きます。貴重な水源を生かした区の事業などが取り組めるよう、移管を含めて都の支援を行うことを求めたいと思いますけれども、この点についてはどうでしょうか。

○高橋河川部長 お話にありました千川上水のうち移管対象となっておりますのは、武蔵野市境橋から北区滝野川までの約二十キロメートルの区間の水路でございます。このうち開渠部となっております境橋から練馬区伊勢橋までの約五キロメートルの区間は、既に練馬区及び武蔵野市へそれぞれ移管しております。残る伊勢橋から下流十五キロメートルの区間につきましては、管渠が通称千川通りなどの道路下に位置しており、管理が困難であるとの理由から、関係区との移管協議が調っておりません。
 お話しの開削などにつきましては、地域の主要な道路でありますことから、切り開いて水路として復元することは困難であります。

○松村委員 もちろん重要な都道であり、全部開削してかつてのような水路というわけにはいかないことは十分承知しております。しかし、場所によっては、貴重な水源を生かして、水路を一部復活するとか、練馬駅の少し公園的なというか、広場的なスペースもありますから、そういうところへの通し水として利用する等、いろいろ知恵が発揮できると思うんです。もちろん、そういうことは区の事業として私もやってもらいたいと思いますけれども、しかし、やはり都道が--管理が、都道の下であり、いろいろな関係もありますから、そういう意味での支援をぜひやっていただきたいということを強く要望しておきます。
 次に、東京の緑を保全する上で都市公園の役割は極めて重要であると思います。都内には都市計画公園区域が多数指定されながら、現実には整備は遅々と進んでいないのが現状だというふうに思います。国土交通省の調査、国内大都市、二十三区を含めてあと十五の市の、この都市公園の比較という資料を私、今持っているんですけれども、北は札幌、仙台から初め、北九州、福岡市までを見ますと、東京二十三区の一人当たりの公園面積は二・九%なんです。これは全国、今いった他の十五市に比べて、大都市に比べてやっぱり最低というか、一番低いですよね。私は、東京は人口が多いからというので、面積当たりはやはり東京が一番じゃないかと思ったら、やはりこれも神戸市よりも低いんです。
 そこで、ぜひ建設局も都市公園づくりには頑張っていただきたいと思うんですけれども、先ほども平成十七年度の都立公園用地の買収実績、これは十八年度が四・八ヘクタール用地取得と十三ヘクタール開園というご答弁がありました。また、今このために都市計画公園区域にしても、都市化で住宅がその中に入り込んでなかなか困難だということは十二分に承知しておりますし、それだけ困難だと思いますけれども、優先整備区域を定めて、事業化を今後図っていくんだということです。
 先ほどのご答弁では、十年間で百九十ヘクタールの事業化を図るとしておりますけれども、それにしても、先ほどの国内の大都市に比べても都市公園は東京は低い。世界の主要な都市は、私ども何度も引用しますけれども、東京の緑の現状をやはり何とかしなければならないというのが共通した都民の、私たちの考えだというふうに思うんですけれども、優先整備区域の事業化、これ十年ですけれども、本当にかつては、現状は二・九%ですけれども、たしか都民一人当たり四・六%でしたか、そういう目標値まで持ってやってきましたよね。ここが、今さまざまな、みどり率だとか、そういう考え方になってきたようですけれども、私は、先ほどの答弁の繰り返しではなくて、全体的に東京の都市空間はこれでいいのかという立場から、さらに抜本的にふやしていく、そういう点においての考え方があれば--考え方、計画を持ってほしいと思うんですけれども、この点についての考えを伺っておきたいと思います。

○小口参事 十八年度の用地取得でございますけれども、先ほど四・三というお話でしたけれども、四・一ヘクタールと答弁させていただいております。
 それで、優先整備区域をどうやって事業化していくかというご質問でございます。私どもは、先ほどいいましたように、平成十七年までに二千ヘクタールの公園をつくっていこうと、整備して開園していこうということで、都立公園をあと百九十ヘクタール開園する予定にしてございます。
 そうしますと、今、東京都では一人当たり五・六平米でございますけれども、パーセントではなくて六平米なんでございますけれども、二〇一七年には七平米を目指して進めてまいりたいと思っております。
 優先整備区域内の事業の推進に当たりましては、水と緑の回廊に包まれた美しいまち東京の復活ですとか、震災から都民を守る災害に強い都市づくりに向けて、都立公園の整備を着実に進めるため、重点的かつ効果的に用地の取得に努めてまいりたいと考えております。

○石川委員長 部長、ちょっと年度を訂正してください。

○小口参事 二十七年度の間違いでした。失礼しました。

○松村委員 私も、二・九といったのは二十三区で、その二十三区はどうなのかという点で聞いたんですけれども、さっき、それほどふえたのかなと。それは多摩も含めてだと思うから答弁は結構ですけれども。
 これまでは確かに財政が非常に厳しいということで、なかなか公園としても取得できるところがあっても進まないと。そういう事態も確かにあったと思うんです。でも、今は財政状況はご承知のとおりだというふうに思いますし、公園をふやしていく絶好のチャンスだと私は思うんです。
 それで、先ほどもご答弁がありました企業の広大なといいますか、大きな企業グラウンドで石神井公園の三井住友グラウンドがありまして、一部を都が買収したんですよね。しかし、当時は財政難を理由にそのままになっているわけです。
 私、ここに石神井公園の地図を今持っているんですけれども(地図を示す)まだこの斜線の入った水色のところが三井住友グラウンド全体のあれで、東京都が買ったのはこの真ん中ですよね。現在、野球場やグラウンドとして利用されているんですけれども、それが真ん中のグラウンドで、その他は全部、企業用地なんですよね。多額の都費を投入してのせっかくの公園化が本当に今は中途半端になっているというか、これはもう全体を一日も早く買収して、全体的な公園として石神井公園の整備を図っていくべきだというふうに思うんですけれども、具体的な--私は、企業側も、当時からこういう形で企業が土地を持っていても、しかも優先整備区域まで入っているわけですから、当然、有償譲渡の考え方はあると思うんですね。これがなかなか進まないネックというのはどこにあるんですか、率直にいって。伺いたいと思います。

○小口参事 石神井公園の優先整備区域内にある三井住友銀行所有の運動場についてのご質問でございますけれども、この運動場につきましては、石神井公園の防災機能の向上を図る上で整備が求められている場所でもあります。
 そこで、私どもとしましては、優先整備区域に位置づけまして、今後、財政状況を踏まえまして、計画的な取得に努め、整備してまいりたいと考えております。

○松村委員 財政の優先順位だというふうに思うんですけれども、先ほど、優先整備区域で十年間で百九十ヘクタールといえば、一年間で平均しても十九ヘクタールですよね。そういう点では、先ほど平成十八年度の実績は四・一ヘクタールに用地取得がなっていますから、相当やはり努力していただきたいというふうに思うんです。私たちも、ぜひこういう面で応援したいと思うので、積極的に公園化の方向へ変えてもらいたいというふうに要望しておきます。
 そこで、もう一つ、石神井公園、本当に貴重な都民の公園になっているんです。ほかから訪れる人も、こんな自然の多い場所が東京都内にあったのかというような、本当に感嘆の声を上げるぐらい、三宝寺池などが非常にすばらしいところです。ぜひ一度、局長さんも機会があったら来ていただければというふうに思います。
 その隣接する日銀グラウンドがあるんですね。ここは国有地だと思うんですけれども、ここがやはり優先整備区域に入っていないんですよね。私、なぜだろうという気がしているんですけれども、優先整備区域に入れて、やはり公園化を進めていただきたいと。これは国との関係ですし、もちろん日銀の従業員の保養施設とかいろんな関係があると思うんですけれども、それにしてもやはり貴重な、あれはもっと都民にというか、生かしたいという思いなんですけれども、この点についてはどうでしょうか。

○小口参事 優先整備区域は、都市計画公園緑地の整備を重点的かつ効果的に進めるため、整備の重要性や効率性の観点から設定したものであります。公園整備に当たりましては、財政状況を踏まえながら、現在の優先整備区域内の整備を着実に進めているところであります。
 そこで、現時点では、日本銀行が所有する石神井運動場を優先整備区域とする予定はございません。

○松村委員 日銀グラウンドは、今、週三日ほどですか、テニスコートとして区民に開放されていますけれども、広大な緑のグラウンドは、周りからも閉鎖状態で、一部には鉄条網まで張ってあるんですね。公園化が実現するまでの間、グラウンド周囲をウオーキングコースやドッグラン--都への要望を私、見させていただきましたけれども、ドッグランという要望の声が意外に寄せられているというのが、確かに事務事業概要にも載っておりました。そういうドッグランなどに使えるよう開放するなどの暫定利用を進めて、都立石神井公園をさらに充実すべきだというふうに思いますけれども、この点についてはいかがでしょうか。

○小口参事 石神井運動場におきましては、昭和五十年から練馬区が日本銀行から借り受け、テニスコート二面と小野球場を地元の方々が利用しています。
 これまでの経緯を踏まえて、お尋ねの追加利用につきましては、練馬区と日本銀行で調整すべき課題であると考えております。

○松村委員 現場を見なければわからないと思うんですけれども、都立石神井公園と本当に隣接した一帯なんですよね。ですから、それは地元区も当然努力してほしいと思いますし、私たちも働きかけたいと思いますけれど、都立公園を充実させるという意味では、やっぱり都がきちっとした働きかけなり、努力をしていただきたいということを要望します。
 次に、中小河川整備も平成十八年度決算では、延長二キロ、事業費二百三十八億円の実績となっております。しかし、進捗率は六一%となっているんですよね。五〇ミリ降雨に対する整備が神田川とか妙正寺川とか石神井川も行われていますけれども、石神井川について見ると、都市化して両岸はびっしり家屋が張りついていて、多くの立ち退きが必要になるなど課題は山積しています。
 私は、従来から、もっと遊水池や調節池を取り入れることなどをこれまで提案してきましたが、平成十八年度中に豪雨対策検討が進められ、ことしの八月に基本方針が出されました。そこには、河川整備においては、河道の整備を基本に、流域や地域特性に応じて貯留施設を設置するなど、自然環境に配慮しつつ効果的、着実な整備を進めていきますと。私は、これまでよりも幅を持った取り組みの方針がうたわれたというふうに受けとめております。
 そこで伺いたいんですけれども、家屋ではなく石神井川沿いの桜並木の問題なんです。石神井川沿いの石神井公園団地や都営上石神井団地に大きな桜があり、河道拡幅が進まない一つの要因とも聞いておりますけれども、もちろん練馬区もこの貴重な、本当に桜のいわば名所というか、残してほしいという強い要望があります。調節池など他の方法を組み合わせるなど、桜を残す方法があるというふうに思いますけれども、この点については、所管局としてはどのように考えているでしょうか。

○高橋河川部長 都の中小河川の整備は、一時間五〇ミリの降雨に対応するため、確実に洪水を流下させることのできる河道拡幅を基本にしております。
 調節池は、下流から順次行う河道拡幅に長時間を要する場合など、水害の早期軽減を図るため、補完的に設置するものでございます。
 石神井川におきましても、上流の未整備区間で、向台調節池や富士見池調節池などを整備し、水害の軽減に努めております。本区間につきましては、下流より順次進めてきた河道拡幅区間と連続して事業化が図られており、河川整備計画に位置づけられているとおり、河道拡幅方式で整備を進めてまいります。
 なお、現在事業中の石神井公園団地付近につきましては、可能な限り桜を残すことで、地元住民と調整を行っております。
 また、次期事業化区間であります都営上石神井アパート付近につきましても、地元の意見を聞きながら今後検討してまいります。

○松村委員 今、西東京市でもそういう調節池の新たな、皆さん方のご努力によってつくられるということの報告も受けております。上流も含めて、そういう調節池や遊水池等を組み合わせれば、今までのそういう桜も守ることができるし、やはりそのことによって事業進捗もできますし、本当に親水護岸とか、水辺に親しまれるそういう河川改修へと進めていただくことを要望しておきたいというふうに思います。
 以上、都民要望の強い幾つかの課題を取り上げてきましたが、建設局予算、この決算を見ても、石原都政の八年間を見ると、こうした生活密着型予算はやっぱり減っております。一方、大型幹線道路の予算はどうなのかという点で、改めてこの対比を、決算数字をお聞きしながら伺いたいというふうに思うんです。
 まず、この骨格幹線道路、これは資料要求--数字をお聞きするのは、この事業別予算・決算額の推移というのをいただきましたけれども、これではちょっと、中身がよくわからないんですね。そこで、数字をお尋ねすることになるんですけれども、最初に、骨格幹線道路の決算状況は、これは要求資料の二ページに出ておりますので、見れば一目瞭然になります。平成十八年度の決算で見ると八百三億円、それで平成十一年度が九百三十二億円で、減っているようですけれども、しかし、例えばこの八年間見てみると、十五年度の決算は一千二百八十三億、それからその前の年は一千五十億と。大体これ平均すると九百三十一億円で、ほぼこの当初の九百三十二億円を見てみれば、私は、こういう水準で維持されてきているというふうに思います。
 地域幹線道路も、これは生活道路等が含まれておりますけれども、これは逆に、この資料を見ても、決算額でも、これはやっぱり減ってきておりますよね。十八年が二百二十億、それに対して石原知事当初が三百二十七億という数字です。
 そこで、さらに数字を伺いたいんですけれども、交通安全施設整備費、それから中小河川整備費、高潮防御施設整備費、都市公園整備費については、この本年度決算、十八年度と、それから平成十一年度、この決算額を示してください。

○影山総務部長 お尋ねのありました、まず、交通安全施設整備費でございますが、平成十一年度の決算額は百八十億、同じく十八年度は百三十三億円でございます。それから中小河川整備費、平成十一年度は三百十三億、平成十八年度は二百三十八億円。それから高潮防御施設整備費、平成十一年度は百四十八億円、平成十八年度は六十八億円。それから都市公園整備費ですが、平成十一年度は三百五十一億円、平成十八年度は三百四十九億円。
 以上でございます。

○松村委員 やはり、押しなべて決算額は減っております。中には激減しているものもあります。
 それから、この都市公園の整備費は若干の減りのように思いますけれども、実際には、例えば過去に買った用地費など公債費会計の返還金などが恐らく含まれているというふうに思いますし、私、都市公園がどうふえていくのかという点では、都市公園造成費のこの決算、持っているんですけれども、これで見ますと、区部、多摩合わせて平成十八年度は十三億円なんですね。それで石原知事就任のときの平成十一年が三十億、その前年が三十四億ですから、これまた、やっぱり減っているというふうにいわなければならないというふうに思います。
 そして、その上、例えばこういう骨格幹線道路がふえると事業費がふえると。その中には、例えば、本来都が直接事業に乗り出す必要のなかった首都高品川線が、建設局の事業となってこういう中に入ってきていると。この事業は、都費が二千億円もつぎ込まれる事業ですよね。平成十八年度から本格的に始まりました。その上、この二〇〇六年、平成十八年度には、外環道路、この都市計画決定もなされて、もちろん我が党は外環の抜本見直しを求めて今後事業化に反対していきますけれども、この事業化が進めば、これは首都高環状品川線のように建設局の事業になりかねないということを私は非常に懸念するんです。そんなふうになってくれば、本当に建設局の事業が道路に特化し、しかも三環状一辺倒になりかねないというふうに思います。
 石原都政八年間、財政危機をいいながら、毎年一兆円規模の投資的経費をつぎ込んできました。その財源の大半は都債です。都債で賄われているために、公債費が今後やっぱり積み上がっていきます。今は財政状況がいいといっても、それが後年度に大きな負担となって、はね返ってくることは必至です。道路特定財源も一般財源化が時代の流れとなり、そういう意味では国も公共事業の見直しということをいわざるを得ないし、一部そういう方向にも進んできておりますし、もちろん世論はそういう見直しを求めているというふうに思います。
 そこで伺いますけれども、建設局としても、三環状道路などの大型幹線道路から歩道整備や公園整備などの都民生活に密着した事業へシフトするなど、公共事業の見直しを行うべきではないかと思いますけれども、いかがでしょうか。

○山口道路建設部長 首都東京の道路整備は、渋滞解消、環境改善、防災性の向上にとって必要不可欠なものでございます。
 道路ネットワークは、骨格幹線、地域幹線、地区内の生活道路などにより形成されて機能を発揮するものでありますので、毛細血管のみでは人体が成立しないのと同じように、大型の幹線道路抜きでは都市活動や都市生活も成り立ちません。
 このため、この十年を東京の道路整備の正念場ととらえ、中央環状品川線など首都圏三環状道路あるいは骨格幹線道路、連続立体交差、無電柱化や歩道整備などを集中的に進める必要があり、それらの整備を停滞なく進めてまいりたいと考えております。ご主張の歩道整備や公園整備だけでなく、幹線道路もあわせバランスよくインフラ整備を行う必要がございます。
 先ほど、外環道の話がございましたけれども、これは国土幹線自動車道として、国策として国が責任を持って整備すべき路線だろうと東京都では考えております。
 このように、今後とも、道路特定財源の確保と首都圏への配分拡大について、国に強く働きかけるとともに、地元の理解と協力を得ながら、真に必要である首都東京の道路整備をこれまで以上に全力で進めてまいります。

○松村委員 もちろん渋滞解消や防災という面は非常に大事な課題ですし、バランスよくやっていくと、その他の課題も認識されているようですけれども、外環が国幹道路というんだったら、ぜひ、国はそういう必要性だとかいろんな判断して、国民合意などを得てやってもらえばいいんですよ。
 ところが、石原都政になったら違うでしょう。首都高にしたって、空港というあれだって、こちらがやるんだというふうになれば、ほかの福祉やいろんな都民施策を切り捨てながらもやっていくというのが現実の東京都の姿だから、心配するというか、その転換を求めているんです。
 最後に、私、一つ聞きたいんですけれども、今、渋滞解消ということを三環状、盛んにいわれておりますけれど、三環状が果たして渋滞解消につながるんですか。この点についても伺っておきたいと思います。

○山口道路建設部長 現在の首都圏の高速道路ネットワークは、放射方向の整備が先行しておりまして、計画の九割が完成しております。
 一方、環状方向につきましては、全体の四割程度にとどまっておりまして、立ちおくれている状況でございます。このため、東京を通過するような交通の大部分が首都高の都心環状線に集中しまして、慢性的な交通渋滞を発生しております。
 このような状況を解消するために、整備のおくれている首都圏三環状道路を整備し、都心部を通過する交通を迂回、分散を図るもので、この完成によって首都圏の交通状況は抜本的に改善されるものと考えております。
 さらに、環境面でも申し上げると、この渋滞が解消することによってCO2、二酸化炭素の排出量が年間で二百万トンから三百万トン削減されるなど、大きな改善効果が期待されていると思います。首都圏の三環状道路網も力強く進めていきたいと考えております。

○松村委員 都心に入る自動車を減らすといっておりますけれどね、減らす台数よりも、現在都市再生などにより都心部に林立している超高層ビルによって、流入する車の台数は十万台以上ふえるんですよ。
 また、国土交通省の研究をもとに、環境政策所の方の試算によると、三環状道路整備による新たな自動車交通量の誘発効果が明らかになり、今これだけのCO2が減ると道路建設部長はいいますけれども、その試算によると、さまざまな自動車を呼び込んだり、それに伴ういろんな、例えば周辺インフラや工場がふえるとか、そういうことによって、CO2が二百三十万トンも逆にふえるということを明らかにしています。道路をつくっても渋滞が解消しないというのが、今の世界の都市の常識になっております。
 私は、ソウル市に行って清チョン渓ゲ川チョンを視察しましたけれども、ここでもはっきりと、道路をつくっても逆に渋滞してしまうと。だから道路の、利用する人の考え方を変えるんだという、そういう哲学というか、市長さんが先頭に立ったそうですけれども、市民合意であの清チョン渓ゲ川チョンの清流を復活して都市高速道路を解消したと。私は、本当にそれを見て確信しました。今、世界の国々や都市は、開発から都市の成長をコントロールし、持続可能な都市づくりの方向を目指しています。建設局としても、この流れから学ぶべきだということを強く申し上げて、質問を終わります。

○菅委員 それでは私の方からは、連続立体交差事業の推進についてお尋ねさせていただきます。
 都内には、まだ一千百六十カ所の踏切が残っているそうでございます。知事が平成十九年一定施政方針の中で、今後十年間で百カ所以上の踏切を除去していくと、こういうふうに発言をされております。決算の資料を見てみますと、都は、平成十八年度においては、JR中央線、京浜急行本線、空港線など七路線九カ所において事業を実施されているのであります。踏切における交通渋滞を解消するための抜本的解決方法である連続立体交差事業は、積極的に推進していく必要があると考えております。
 その中で、昨年七月に東急目黒線の地下化切りかえが完了して、十六カ所の踏切を除去したというふうに聞いておりますけれども、この地下化切りかえによる踏切除却の効果について、どのような効果か、お尋ねします。

○藤森道路計画担当部長 平成十八年度におきます東急目黒線の地下化切りかえによりまして、一日平均約七時間ございました踏切遮断時間が、十六カ所の踏切すべてで解消されました。
 なお、武蔵小山駅の付近で目黒線と交差いたします幹線道路でございます補助第二六号線では、ピーク時一時間当たり三十六分の踏切遮断時間が解消されました。

○菅委員 やっぱり連続立体交差事業というのは大変効果があるということが、今の数字の中でもよく理解することができます。連立事業というのは、踏切による交通渋滞の解消を目的として実施されている。これは当然のことでありますが、それと同時に地下化に伴う地域の一体化という沿線のまちづくりにおいても大きな事業効果、インパクトを与えるものだと、こういうふうに思います。
 そこで、東急目黒線地下化切りかえの周辺まちづくりの状況についてはどういうふうに変わったのか、この点についても伺っておきます。

○藤森道路計画担当部長 東急目黒線の事業区間の地元でございます品川区及び目黒区では、市街地整備や道路、駅前広場などの都市基盤整備のあり方を示しました駅周辺地区まちづくり基本方針を策定しております。この方針に基づきまして、品川区は武蔵小山駅及び西小山駅で、今年度新たに駅前広場の整備に着手いたしました。
 また、線路の跡地を利用いたしました緑道の設計を行っております。
 このように、連続立体交差事業とあわせ沿線のまちづくりも着実に進められております。

○菅委員 今後とも、事業中の路線を推進するとともに、新たな区間の連続立体交差事業に取り組んでいただきたいなと、こういうふうに思います。
 都は、平成十六年六月に策定した踏切対策基本方針において、鉄道立体化の可能性を検討する区間として、都内の二十区間を抽出しております。地域を分断する踏切は、都民生活に不便を強いるだけではなくて、踏切事故の原因となっていることから、この二十区間についても、踏切問題の抜本的な解消に向けて、道路と鉄道との立体交差化に積極的に取り組むべきだと、こういうふうに思っております。
 そこで、今後の立体交差事業の新規事業化に向けた取り組みについてお尋ねします。

○藤森道路計画担当部長 立体交差事業の新たな区間の事業化に当たりましては、道路ネットワーク形成への寄与、まちづくりへの取り組みの熟度、除却対象踏切の状況などが重要な要素になります。このような観点から、新規事業化に向けて鉄道立体化の検討対象区間二十区間につきまして、事業効果などの調査を行っております。
 このうち、骨格幹線道路と交差し、まちづくりへの取り組みの熟度も高い二つの区間につきましては、先般、新規着工準備採択を国に要望いたしました。引き続き鉄道立体化の検討対象区間二十区間につきまして、鉄道立体化の課題解決に向けて、関係区市や鉄道事業者と連携し検討を進めてまいります。

○菅委員 鉄道立体化の可能性を検討すべき二十区間には、私の地元であります東武東上線大山駅付近及びときわ台駅付近の二区間が含まれているわけでございます。この二区間の地域では、町会関係あるいは商店会、あるいはその団体がまちづくりの勉強会を立ち上げて、非常に鉄道立体化への機運が高まりつつあるということがいえるのではないかと、こういうふうに思っております。
 板橋区内の踏切問題が早期に改善されるように、今後も都の支援を心からお願い申し上げたい、こういうように思います。
 これで質問を終わります。

○伊藤委員 私からは、まず、公共工事の適正化についてお伺いいたしたいと思います。
 近年、公共投資が減少する中、公共工事の受注競争が激化しております。工事の施行に当たりまして、品質確保や安全管理が適切に行われるか危惧されるところでありますが、中でも公共工事では、法令をきちんと守って施行することが大切であると思います。
 そこで、公共工事の適正化に向けて、建設局における取り組みについて二点お伺いしたいと思います。
 まず、公共工事の現場における適正化に向けてどのように取り組んでおられるのか、お伺いいたします。

○吉原参事 建設局では、都民の安全で快適な生活や、活発な都市活動を支える道路、河川、公園などの都市施設の整備や維持管理を行っており、毎年、千件を超える工事を施行しております。
 公共工事におきましては、品質を確保するとともに、施工中の安全管理や法令遵守を図ることが重要でございます。公共工事の適正な施工のために、公共工事の入札及び契約の適正化の促進に関する法律に基づきまして、工事現場の施工体制について点検を行っております。
 日常の監督業務では、請負者の主任技術者等の専任状況や下請負業者との適正な契約行為、施工体制の現場確認などを行い、適正化に努めております。さらに、公共工事の適正化重点点検を毎年十月から実施しているところでございます。

○伊藤委員 建設局所管だけでも、毎年一千件を超える工事を管理しなければいけない。地味でありますけれども、大変な仕事なんだろうというふうに思います。
 そこで、ご答弁の最後にありました公共工事適正化の重点点検について、毎年十月からやるということでありますが、この十八年度の取り組み結果についてお伺いいたします。

○吉原参事 平成十八年度の重点点検は、十月点検時点におきまして、施工中の工事二百二十五件について、落札率、下請契約状況、主任技術者等の配置状況などの事前調査を行いまして、低入札工事六件を含む百八件を抽出し、実施いたしました。
 点検は、各建設事務所の工事担当課長を中心に本庁の技術管理部門も加わり、書類点検及び主任技術者等への聞き取り調査を行っております。確認した内容は、主任技術者等の雇用関係と専任状況、施工体制台帳などの書類の整備状況、現場での施工体制の適合状況などでございます。
 点検の結果、提出書類の不備などにつきましては、文書で指摘し、改善いたしました。さらに、主任技術者等の専任性に疑いのあったものや施工体制台帳に不備があったものなどにつきまして、二十一件の改善を図っております。
 今後とも、公共工事の適正化に向けて積極的に取り組んでまいります。

○伊藤委員 十八年度においては、余り大きな問題がなかったというご答弁でありました。公共工事の適正化に向けて、建設局が適切に取り組んでおられるということはわかりました。
 しかし、最近では、耐震強度偽装の問題があって以来、建物、建造物に対して都民が非常に不信に思っているという状況もあろうかと思います。これは品質管理という問題でありますけれども、今回は、あくまでも法令に適した公共工事が行われているかという観点で質問をさせていただきましたけれども、公共工事であるからこそ、法令遵守のもとに安全かつ適切に工事が行われるよう、今後ともしっかりと取り組んでいただきますようお願い申し上げまして、連続立体事業についてお伺いいたします。
 東京都では、昭和三十六年、これはJR中央線の東中野と荻窪区間で連続立体事業を手始めに、現在まで三十一路線、工事が完成し、そして現在でも八路線十カ所について事業中でございます。
 この事業は、都市における道路と鉄道の連続立体交差化に関する要綱に基づいて、東京都が事業主体となって施行をされているわけでありますが、現在事業中の区間がどのような観点から事業化されたのか、お伺いいたします。

○藤森道路計画担当部長 現在事業中の区間の事業化の時点での、どういう観点で採択をしたのかということにつきましてお答え申し上げます。
 連続立体交差事業は、複数の踏切を同時に除却することで、交通渋滞の緩和や地域分断を解消する極めて効果の高い事業でございます。また、地元が中心となってこの事業とあわせてまちづくりを行うことで、地域全体の交通利便性が向上するなどの相乗効果が期待できます。
 そういった観点から、現在事業中の区間につきましては、区部環状や多摩南北道路などの重要な幹線道路や、道路ネットワークを形成する都市計画道路との交差の有無を踏まえるとともに、駅前広場の整備など関連する駅周辺のまちづくりに対する地元区市の取り組み状況を勘案し、事業化を図ってまいりました。

○伊藤委員 事業効果を高めるためにも、まちづくりとの総合的な取り組みが必要であるということはわかりました。ぜひとも今後、二十路線の話、先ほど出ておりましたけれども、事業化に当たっては、地元市区のまちづくりの取り組みへの熟度を勘案していただきたいと思います。
 そこで、事業化に向けて、では、具体的にまちづくりに対してどのような取り組みが必要なのでしょうか。

○藤森道路計画担当部長 駅周辺での交通警察機能を高め、地域全体の利便性を向上させるためには、連立事業とまちづくりとの連携が重要であると考えております。
 そのためには、地元区市が駅前広場やアクセス道路などのまちづくりへの方針を定める必要がございます。その方針に従いまして、連立事業やまちづくりを円滑かつ着実に進めるため、地元関係者の理解と協力を得られるよう、地元区市が連立事業やまちづくりに対する合意形成に積極的に取り組むことが重要であると考えております。

○伊藤委員 この事業をやるには、まずまちづくりの方針を定めて、そして、その方針に従ってまちづくりに対する地元住民の合意形成に取り組まなければいけないというご答弁でありました。
 この事業は、東京都は事業の統括を行う、区市は側道の整備などを行う、そして鉄道事業者は用地の買収だとか鉄道設備の工事などを行うと役割分担をしているわけでありますが、これに加えて地元の区民、市民の四者が力を合わせて初めて成功する事業なんだろうというふうに思います。東京都が、まさに事業を統括する立場として、費用対効果、またその地域のまちづくりなど、適切に事業化をされるように今後とも努力をしていただきたいと思います。
 次に、道路のアセットマネジメントについてお伺いいたしたいと思います。
 平成十八年度の建設局の財務諸表のうち、貸借対照表を見ますと、今まで着実に整備をされてきた道路や橋梁などのインフラ資産が約十二兆五千億円、そのうち土地以外の有形固定資産は約一兆三千億、膨大な資産の蓄積があることがわかります。
 施設の規模では、道路が約二千二百キロ、橋梁が約一千二百橋と、都が管理をする道路や橋梁は膨大な規模であります。こうして都民の税金で整備した資産を効率的に管理、維持、そして更新をしていくには、長期的な展望に立ち、計画的な管理が必要であると考えます。都では、このような課題に対応すべく、全国に先駆けて先進的な道路アセットマネジメントを導入したと聞いておりますけれども、どのような内容なんでしょうか。

○米田道路保全担当部長 道路アセットマネジメントは、道路施設を資産としてとらえまして、管理に伴う維持補修等の経費を投資とし、投資効果が最大となるよう限られた財源を有効活用して、最適な維持管理を行っていくことを目的とするものでございます。
 都は、この考え方に基づき、橋梁について従来の対症療法型管理から予防保全型管理へ転換した管理を行ってまいります。

○伊藤委員 東京オリンピックから高度経済成長期に集中的につくられた多くの道路施設は、高齢化が進み、それに伴う傷みが発生しております。橋梁について見れば、現在でも四九%の橋梁が、建設後四十年を経過しております。これが十数年後には一挙にふえて、七五%にもなっているということであります。
 その橋梁については、これまでどのような維持管理を行ってきたんでしょうか、お伺いいたします。

○米田道路保全担当部長 東京都では、橋梁につきまして、道路巡回の際に行う日常点検、地震などの緊急時の点検に加えまして、昭和六十二年から五年に一度の頻度で、私どもで管理いたします全橋梁に対しまして定期点検を行っております。
 これらの点検によりまして、損傷の早期発見に努め、必要な補修など適切な維持管理を行うことによりまして、事故を未然に防いでおります。

○伊藤委員 先ほどもお話が出ておりましたけれども、アメリカではミネソタ州で高速道路橋が崩落をしたと。非常にショッキングなニュースでありましたが、日本全国で見れば、建設後五十年以上経過した橋が全体に占める割合は、二〇〇六年度で六%。それが二十年後になりますと四七%に上昇するということでありますし、定期点検が義務づけられていないがために、全国の市区町村の実施率は一割にとどまっている。先ほどの答弁では、東京都内の市区町村では三割ということでありますけれども、そういった中で、東京都が五年に一回定期点検をしっかりやっているということは、高く評価をさせていただきたいと思います。
 橋梁のかけかえ作業は、一たん仮設の橋をかけてから工事をしなくてはならないことから、一つの橋をかけかえるのに二倍以上の事業費がかかる。中には三倍近くかかるという工事もあるそうでありますが、非常に多額のお金がかかるわけであります。
 これも平成十八年度のキャッシュ・フロー計算書を見ますと、国庫支出金など約七百億円、これは社会資本の整備などの投資活動についてでありますけれども、国から約七百億円お金が来て、そして東京都が使っているお金というのは約一千九百億円。差し引きにすると一千二百億円、東京都がキャッシュを用意して工事を今行っていると。それにプラス橋梁のかけかえの事業費がかさんでくると。いかにこの問題が深刻なのかということがわかるわけでありますが、この道路アセットマネジメントを導入することによって、具体的にどのような効果が期待できるんでしょうか。お伺いいたします。

○米田道路保全担当部長 高度成長期に集中的に建設されました橋梁が、今後、一斉にかけかえ時期を迎えます。このため、これまで蓄積されました点検結果に基づき、将来の損傷や劣化を予測し、適切な時期に橋梁の耐久性を向上させる長寿命化対策などを行うことによりまして、かけかえ時期の平準化と総事業費の縮減を図ることができることとなります。

○伊藤委員 東京都が二〇〇五年に発表しました人口減少社会における都財政運営のあり方によりますと、外部環境の変化を踏まえた上で、今後二十年間の財政収支見通しを示しております。
 いろんなパターンがあるんですけれども、この中で三パターン示しておりますが、その中で最も最悪のパターンでいきますと、毎年一兆円もの財源不足状態になると予測がされているわけであります。こうした厳しい状況下、道路アセットマネジメントはとても有効だと思います。
 橋梁に限らず他の道路構造物にも広げることを検討してみてはいかがかと思いますが、どうでしょうか。

○米田道路保全担当部長 道路アセットマネジメントは、従来の対症療法型の管理から予防保全型の管理へ転換する有効な管理手法でございます。この手法を活用することによりまして、総事業費の縮減を図りつつ、適切な維持管理を行うことができるため、橋梁で導入いたしました道路アセットマネジメントにつきましては、今後、トンネルなど他の道路構造物への活用を検討してまいります。

○伊藤委員 大変すぐれたシステムを組んでも、やはり具体的な実効性がなければ意味がないわけであります。総事業費の縮減をできるだけ最大に図っていただきたいというふうに思いますし、他の構造物、トンネルだとか道路とかいろいろありますけれども、それにも広げていくということでありますので、引き続き努力をしていただいて、都民の財産が適切に管理運営、そして更新をされますように努力をしていただきますよう要望いたしまして、終わります。

○崎山委員 私の方からは、横断歩道橋、歩道橋について何点かお伺いしたいと思います。
 歩道橋の歴史について、ネットで調べてみました。一般的にいわれているのは、大阪駅前の阪神、阪急ビルとをつなぐ歩道橋が昭和三十八年四月二十五日に、松下電器が社会貢献事業として建設、設置したその日を記念して歩道橋の日となったようであります。実際には、さかのぼること四年前の昭和三十四年に、愛知県の西枇杷島町で、小学生の死亡事故をきっかけとして、住民と行政が協力し合って設置が実現したことだそうであります。これらを契機に、全国に横断歩道橋が普及していったのではないのかなというふうに思っております。ちょうど高度経済成長期、モータリゼーションの進展に伴い、渋滞の緩和や交通事故防止の対策として、一気にその需要が高まっていったことは言をまたないことだと思いますが、まず初めにお伺いしたいのは、東京都において、歩道橋はいつごろから整備されたのか。また、管理している数がどれぐらいあるのかをお答え願いたいと思います。

○米田道路保全担当部長 横断歩道橋でございますが、交通安全対策上の緊急措置といたしまして、昭和三十七年から整備が始まりまして、これまで歩行者の安全確保と自動車交通の円滑化に寄与してまいりました。
 都が管理しております歩道橋は、平成十八年度末現在六百五十一橋ございまして、建設年次別では、昭和三十七年からの三十年代は二十三橋、昭和四十年代は五百四十橋、昭和五十年代は五十七橋、昭和六十年代以降は三十一橋となっております。

○崎山委員 設置が始まってから四十年以上がたって、かなり老朽化している歩道橋も多いようですが、これらの歩道橋のうち、利用者が少なくなるなど社会状況の変化に伴って役割を終えた歩道橋があるというふうにも思っております。
 また、私がこの質問をするに至った一つのきっかけとして、評論家で、自身は脳性小児麻痺で障害二級の櫻田淳氏は、歩道橋についてこう書いています。
 JR駅周辺や幹線道路には歩道橋が設置されている。この多くは、美濃部都知事の時代、弱者に優しいまちづくりの論理のもと歩道橋の設置が大々的に進められた結果である。当時は、交通事故が続発した時期でもあり、交通弱者のためとすれば筋は通るが、障害者にとっては歩道橋はバリアだし、雨天などでは地雷原を歩くようなもので危険きわまりないとのことであります。
 歩道橋の整備が進められた四十年代、五十年代当時と今日で、同じ物差しではかるわけにもいきませんが、今日の状況について見解を伺いたいと思います。
 ちなみに、私の地元の西日暮里駅前の歩道橋は、約十年ほど前に撤去されましたけれども、歩道橋撤去についての考え方と、これまでの撤去数、そしてまたエレベーター等の機械昇降装置の設置状況についてお伺いしたいと思います。

○米田道路保全担当部長 最初に、横断歩道橋の撤去の考え方でございますけれども、利用者が少ない、近傍に横断歩道がある、通学路でないなどの一定の条件を満たし、かつ地元自治体や町会などの合意が得られたものにつきまして撤去していくことを基本的な考え方としております。この考え方に基づき、平成十八年度末までに三十一橋の歩道橋を撤去しております。
 また、エレベーター等の機械昇降装置が設置されている歩道橋につきましては、平成十八年度末現在、五カ所でございます。

○崎山委員 次に、今後の撤去計画についてお伺いしたいと思います。
 先ほどの答弁にもあったように、昭和四十年代、五百四十カ所と、約八割が設置されておりますが、先ほどの伊藤委員の質疑にもありましたけれども、アセットマネジメントのお話がありました。そろそろ更新あるいは改修の時期を迎えるのではないのかというふうに思っております。
 また、この間、横断歩道も整備をされて、場所によっては利用者が少なくなって使命を果たした歩道橋も出てきているのではないかというふうに思っております。
 またあわせて、歩道橋は低コストの割には耐震性が高いというふうにもいわれておりますが、設置されている場所は、主要幹線道路や駅前が中心となっています。震災で崩落すれば、たちまち幹線道路は遮断されることになり、復旧活動に大きな障害となることも予想されますけれども、これが杞憂であればよいのですが……。
 このような観点から、今後、利用実態からして撤去すべきものは計画的に撤去する必要があるというふうに思っておりますけれども、見解をお伺いいたしたいと思います。

○米田道路保全担当部長 先ほども申し上げましたとおり、都は、これまでも利用者が少ないなど必要性が低下した歩道橋につきましては、地元の合意が得られたものから順次撤去してまいりました。
 歩道橋は、歩行者の安全性確保の面では有効な施設でございますけれども、福祉のまちづくりや都市景観などの観点からの課題もございますので、歩道橋の撤去につきまして、改めて考え方を整理してまいります。その上で、撤去すべき歩道橋につきましては、交通管理者や地元自治体、町会等の合意を得て計画的に撤去を進めてまいります。
 なお、崎山委員のお話にもあったとおり、歩道橋は一般的に耐震性が高いことから、兵庫県南部地震でも、橋全体が道路に落下するような大きな被害は発生しておりません。

○崎山委員 ぜひ歩道橋の撤去についても、もちろん地元の合意形成がまず第一でありまして、あわせて、それと計画的な撤去を順次進めていただきたいというふうに思っております。
 また一方で、残すべき真に必要な歩道橋については、改修を積極的に進めていただきたいというふうに思っております。先ほどの答弁でもありましたように、エレベーターなど設置されている歩道橋は、十八年末現在で五カ所ということでありますから、これからどんどん積極的に進めていただきたいというふうに思っております。
 例えば、委員の皆さんもそれぞれの地元でこのような事例はあると思いますけれども、踏切での渋滞緩和策として、車道はアンダーパス化して、歩行者と自転車のアクセスは歩道橋のみとなっているところもあります。私の地元、南千住にもあります。
 しかし、スロープは急傾斜で、車いすが通行することを前提としていないということが現状でありまして、ぜひそのリニューアルを図っていくために、福祉のまちづくりの観点からも、残すべき歩道についてはバリアフリー化を積極的に進めていただきたいというふうに思いますが、見解をお伺いいたしまして、よい答弁を期待いたしまして私の質問を終わります。

○米田道路保全担当部長 高齢者や障害者などの利用が多く見込まれ、近傍に横断歩道がない歩道橋につきまして、スロープの設置や地元自治体の管理によるエレベーターの設置など、改良に努めているところでございます。
 今後とも、地元自治体や関係住民の理解と協力を得まして、バリアフリー化に努めてまいります。

○石川委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○石川委員長 異議なしと認め、本件に対する質疑は終了いたしました。
 以上で建設局関係を終わります。
 以上をもちまして、第三分科会における決算の審査は終了いたしました。
 なお、本分科会の審査報告書につきましては、分科会委員長において取りまとめの上、委員会委員長に提出いたしますので、ご了承願います。
 これをもちまして第三分科会を閉会いたします。
   午後二時五十分散会

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