各会計決算特別委員会第二分科会速記録第五号

平成十九年十月二十六日(金曜日)
第十委員会室
   午後一時開議
 出席委員 十名
委員長大塚たかあき君
副委員長山田 忠昭君
副委員長古館 和憲君
西崎 光子君
西岡真一郎君
中山 信行君
吉原  修君
今村 るか君
小磯 善彦君
三原まさつぐ君

 欠席委員 なし

 出席説明員
教育庁教育長中村 正彦君
次長松田 二郎君
総務部長志賀 敏和君
学務部長新井 清博君
人事部長松田 芳和君
福利厚生部長秦  正博君
指導部長岩佐 哲男君
生涯学習部長三田村みどり君
特別支援教育推進担当部長荒屋 文人君
人事企画担当部長直原  裕君
参事石原 清志君
参事森口  純君

本日の会議に付した事件
 平成十八年度東京都各会計歳入歳出決算の認定について
教育庁関係
・平成十八年度東京都一般会計決算(質疑)

○大塚委員長 ただいまから平成十八年度各会計決算特別委員会第二分科会を開会いたします。
 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、教育庁関係の決算に対する質疑を行います。
 これより教育庁関係に入ります。
 決算の審査を行います。
 平成十八年度東京都一般会計決算中、教育庁所管分を議題といたします。
 本件につきましては、既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○志賀総務部長 去る十月十二日の当分科会において要求のございました資料について、ご説明申し上げます。
 お手元の平成十八年度各会計決算特別委員会第二分科会要求資料の目次をお開き願います。ごらんいただきますように、今回要求のございました資料は十二件でございます。
 それでは、一ページをお開き願います。区市町村立小中学校の耐震診断、耐震化の状況でございます。
 区市町村立小中学校における校舎等の耐震診断実施状況及び耐震化の状況について、区市町村別にお示ししてございます。
 二ページをお開き願います。都立学校の耐震診断、耐震化の状況でございます。
 都立高等学校及び都立特別支援学校等における校舎等の耐震診断実施状況及び耐震化の状況について、お示ししてございます。
 三ページをごらん願います。都立高校、都立中高一貫校、都立特別支援学校の冷房設備設置状況でございます。
 都立高等学校等における普通教室への冷房設備設置状況について、お示ししてございます。
 四ページをお開き願います。区市町村立小中学校の冷房設備設置状況でございます。
 区市町村立小中学校における普通教室への冷房設備設置状況について、お示ししてございます。
 五ページをごらん願います。都立高校の施設整備費の推移でございます。
 都立高等学校に係る校舎改築等の施設整備費の予算額、決算額について、過去十年間にわたりお示ししてございます。
 六ページをお開き願います。都立特別支援学校の施設整備費の推移でございます。
 都立特別支援学校に係る校舎改築等の施設整備費の予算額、決算額について、過去十年間にわたりお示ししてございます。
 七ページをごらん願います。教育庁所管事業の廃止・終了及び見直しについてでございます。
 教育庁の所管事業のうち、平成十八年度をもって廃止・終了及び見直しを実施した事業名と、その予算額についてお示ししてございます。
 八ページをお開き願います。主幹の配置計画(当初計画)と配置数の実績、充足率でございます。
 都は、平成十五年度から主幹制度を導入し、その配置を行っておりますが、当初の配置計画とその充足率などの実績について、年度別・校種別にお示ししてございます。
 九ページをごらん願います。主幹の採用予定数、受験者数、合格者数でございます。
 主幹の選考における合格予定者数等の実績について、年度別にお示ししてございます。
 一〇ページをお開き願います。教職員定数配当基準の推移でございます。
 次の一一ページにかけまして、区市町村立小学校及び中学校の教職員定数配当基準と、過去十年間における基準の改正点についてお示ししてございます。
 一二ページをお開き願います。教育庁所管歳出予算決算状況及び一般会計に占める教育費の割合でございます。
 次の一三ページにかけまして、教育庁所管予算の項別の予算決算状況と、一般会計に占める教育費の割合について、過去十年間にわたりお示ししてございます。
 一四ページをお開き願います。平成十八年度決算区分別執行状況でございます。
 平成十八年度決算における区分別の執行状況のうち、執行率が八〇%以下の事業につきましてお示ししてございます。
 以上、簡単ではございますが、要求のありました資料の説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○大塚委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めて、これより本件に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○山田委員 それでは、私からは、東京都の学力向上のための施策についてお尋ねをいたします。
 現代の社会では、経済活動が地球規模で急速に進展しており、それに伴って国際競争も加速しております。我が国のように資源が豊かでない国では教育に求められた期待は大変大きく、学校教育において確かな学力を持った児童生徒を確実に育成し、東京の将来を担う人材を多く輩出していくことは大変大切だと思います。
 東京都教育委員会は、児童生徒の学力向上を重要な施策と位置づけ、児童生徒の学力の状況を正確に把握するとともに、小学校五年生、中学校二年生の児童生徒全員を対象に学力調査を実施し、その結果を公表するとともに、授業改善のための施策を打ち出してきたと聞いております。
 また、国におきましても、児童生徒の学力の現状については、国際的な学力調査の結果を初めといたしまして、教育関係の各方面から指摘を受け、平成十九年の四月、文部科学省が四十三年ぶりに全国学力学習調査を実施したところであります。
 そこで、何点か質問させていただきます。
 まず、都教委は、国に先駆けて児童生徒の学力向上を図るための調査を行ってきておりますけれども、その目的はどのようなものであるか、改めてお尋ねをいたします。

○岩佐指導部長 都教育委員会は、学力を単なる知識の量だけではなく、みずから学ぶ意欲や思考力、判断力、表現力などの資質、能力までも含めたものとしてとらえております。
 学力調査は、このような学力の実態を明らかにいたしまして、それぞれの教師が授業の改善を図ることによって、児童生徒の学力向上を目指すことを目的としているものでございます。

○山田委員 この東京都の学力調査は平成十五年度から実施してきたということでございますが、今年度で五回目となることから、東京都の子どもたちの学力がどのような状況なのか、実態がかなり掌握できていると思いますので、これまでの調査を踏まえ、都教委は子どもたちの学習状況についてどのようにとらえているのか、お伺いをいたします。

○岩佐指導部長 児童生徒の学力の実態については、総合的に見るとおおむね良好ととらえております。ただし、個々の観点別の学力の定着状況を見ますと、見方や考え方、思考や判断といった面については、さらに指導が必要という状況でございます。
 また、基礎的な漢字や計算につまずいている児童生徒がいることも明らかになっているところでございます。

○山田委員 先ほどの答弁のように、学力調査は児童生徒の実態を正確に把握をして、学力向上を目指すものでありますから、その調査結果を受けとめ、教師が授業改善を真剣に行うことが最も重要なものではないかと思っております。
 都教委では、都の学力調査の結果を受けて、教師が授業改善を行えるようにどのような取り組みを行ってきたのか、お伺いいたします。

○岩佐指導部長 調査結果を活用いたしまして学力向上を図るための方策として、学校が授業改善を進める上で手引きに当たります手引書を作成しております。授業改善ハンドブックという名称の手引書でございますが、これを作成いたしまして全校に配布するとともに、都の指導主事が学校を訪問した際、各学校の授業改善に向けて指導、助言をしてまいったところでございます。
 また、先進的に授業改善に取り組む研究推進校を指定いたしまして、全都の教員対象に授業改善研究協議会を開催するとともに、授業改善実践事例集を作成、配布することによりまして、研究推進校の成果の普及に努めてまいりました。
 これらの取り組みを受け、すべての小中学校で授業改善推進プランが作成され、学力向上に向けた取り組みが進んでいるところでございます。

○山田委員 さて、四十三年ぶりに平成十九年四月二十四日に実施をされました国の学力調査の結果が一昨日公表されました。これは、都にも公表された結果が届いておられると思いますけれども、都教委はこの国の調査結果をどのように活用しようとしているのか、お伺いいたしたいと思います。

○岩佐指導部長 文部科学省から提供されたデータをもとに東京都の児童生徒の学力の実態を十分に分析をいたしまして、指導の要点を明らかにして、各学校の授業改善に役立ててまいります。

○山田委員 東京都においては、国に先駆けて既に学力調査を実施しており、これから国と東京都の調査が二本立てになるわけでありますけれども、今後、東京都の学力調査をどのように進めていくつもりであるのか、お尋ねをいたします。

○岩佐指導部長 平成十九年度から国の調査が始まったことから、これまで都が実施してきた教科の調査につきましては、国の調査を活用してまいります。
 現在実施している各教科等で身につけた知識や技能、思考や判断力が日常生活等で活用できるかを見る問題解決能力等に関する調査を継続してまいります。あわせて平成十九年度から、学習におくれがちな児童生徒のつまずきを発見するため、基礎的、基本的な事項に関する調査を実施してまいります。

○山田委員 実際の問題といたしまして、読み、書き、計算などの基礎的な学力が十分身についていない児童生徒も少なくないと思います。そういった児童生徒の確かな学力の定着を図るために、都教委では今後どのような支援を行っていくのでしょうか。

○岩佐指導部長 今年度から実施いたします基礎的、基本的な事項に関する調査の結果を分析いたしまして、教師が指導の目標を設定する際の基準となる東京ミニマムを策定して、読み、書き、計算などの基礎的な学力が児童生徒に十分身につくようにしてまいります。

○山田委員 一人一人の確かな学力の定着につきましては、学校の教師だけで解決できる問題ではなく、保護者や地域の教育力も大切であるということはいうまでもないと思います。特に児童生徒の生活習慣、あるいは学習習慣の確立のためには、家庭の協力は大変大切であります。
 都や国の学力調査を活用して、家庭とも十分連携しながら、児童生徒一人一人の学力向上を推進いただくことを強く要望いたしまして、私の質問を終わります。

○今村委員 それでは、私の方からは、都立高校について幾つか質疑をさせていただきたいと思います。
 まず、定時制高等学校の新設にかかわることですけれども、決算説明書の七一ページに定時制高等学校(夜間課程)の新設では、執行率が四四・五%と低い執行率がありますけれども、これらについて、どういった事例だったのかをお聞きしたいと思います。

○新井学務部長 この支出金額についてでございますけれども、荻窪高校におきます厨房機器整備にかかります備品購入経費でございまして、七社による指名競争入札を行った結果、決算書のとおり、五〇%を下回る落札金額となったものでございます。

○今村委員 大変低い落札率になっているんですけれども、この予定価格の算出が適正であったのかどうか、ちょっとお伺いをさせていただきたいと思いますので、どのような算出を行っているのか、過去に同様な事例があったのかどうか、その辺もあわせてお聞きをしたいと思います。

○新井学務部長 設備機器のカタログなどを参考にいたしまして、市場調査を行い、予定価格を算出しておりますが、入札時におきまして業者間の競争原理が強く働いて、このような入札結果になったものと思われます。
 今後とも予定価格につきましては、市場調査等を含め適切に算出してまいります。
 なお、十七年度におきましても、同様に厨房機器整備の事例がございましたが、執行率は九七・九%でございました。

○今村委員 有効に予算を使う観点からも、十七年度には落札率が九七・九%というものがあったということでありますけれども、備品購入はさまざまな部署でもあるでしょうから、ぜひそういったことも勘案をして、有効な予算を執行できるように予算立てをしていただきたいというふうに思います。
 それでは、次の質問に移りたいと思います。同じページに定時制高等学校生徒への給食費補助がありますけれども、これについて質疑をしたいと思います。
 まず、基本的なことでありますけれども、この都立高等学校定時制課程の学校給食の実施の根拠と意義について、改めて伺いたいと思います。

○新井学務部長 都立の高等学校定時制夜間課程の学校給食でございますが、夜間課程を置く高等学校における学校給食に関する法律の趣旨に基づきまして、働きながら高等学校の夜間課程において学ぶ青少年の身体の健全な発達に資するということを目的といたしまして、実施するものでございます。

○今村委員 その学校給食を実施する上で、決算書にあるように、補助金を計上しておりますけれども、この制度についてご説明をお願いいたします。

○新井学務部長 本補助金の制度でございますが、法の趣旨に基づきまして、勤労青少年の都立高等学校定時制夜間課程への就学を促進し教育の機会均等を保障するために、職業についている生徒等が喫食した給食費を対象に補助するものでございまして、昭和三十六年度から国庫補助事業として実施し、平成十七年度からは都単独事業として、東京都立高等学校定時制夜間課程夜食費補助金交付要綱に基づきまして、実施しているところでございます。

○今村委員 今、ご説明をいただきましたけれども、この制度の対象者が全生徒ではなくて、いわゆる勤労学生、有職者の学生というふうにありましたけれども、その割合は今どのようになっているのか、お聞かせをください。

○新井学務部長 平成十八年度の定時制夜間課程の在籍者数でございますが、五月一日現在、合計で一万三百三十四名でございまして、うち給食の希望者が七千二百三十名で、約七〇%となっております。
 補助対象者の実績でございますが、年間延べ人数から計算いたしますと、二千四百十九名で、在籍者数の約二三・四%となっております。

○今村委員 今までお聞きしたこの定時制課程の学校給食でありますけれども、補助金の執行率が五四・四%で大変低い数値になっています。ご説明でも対象者が、希望者ということで七〇%いるということになっていますが、実際には対象者の実績では二三・四%というお答えがありましたけれども、この低い数値になっている理由についてお聞かせをいただきたいと思います。

○新井学務部長 補助金の執行率は年々低下しておりまして、特にこの数年間においては補助金予算を毎年減額しているにもかかわらず、低下傾向が著しい状況となってございます。原因を特定することは困難ではございますが、近年、特に定職についている生徒が減少して、不定期なアルバイト等を行っている生徒であるとか、求職中の生徒など、多様化が進んでいることにより、申請手続を行いづらい生徒が増加していることなども影響しているものと考えられます。

○今村委員 さまざまな理由があるようでありますけれども、それでは過去五年の補助金の支出額と執行率を、改めてご説明をいただきたいと思います。

○新井学務部長 平成十四年度でございますが、支出額七千四百万余円、執行率八五・〇%、平成十五年度は支出額四千百万余円、執行率六八・一%、平成十六年度は支出額三千四百万余円、執行率六七・九%、十七年度は支出額二千九百万余円、執行率七一・一%、十八年度は支出額二千百万余円、執行率五四・四%となっております。

○今村委員 今のご説明によりますと、過去五年で執行率は約三一%落ちているということでありますけれども、本制度の意義を踏まえて、やはりこの制度の活用策を図る必要があるかと思いますけれども、この具体的な取り組みをお聞かせをいただきたいと思います。

○新井学務部長 補助を受けることができる生徒に対しましては、学校において教員が丁寧に働きかけることによりまして、申請書類の作成を支援するとともに、保護者に対しても補助制度について十分な説明を行っていくよう、学校に対して徹底を図ってまいります。

○今村委員 生徒が喫食しやすくする工夫ということで、例えば生徒の希望に合わせて、極端なことをいえば、当日でも受付ができるような方法ができないかというふうに思いますけれども、そのことについて東京都の見解をお聞かせをいただきたいと思います。

○新井学務部長 生徒には栄養バランスのとれた給食を継続して喫食するよう、食の指導の面からも働きかけているところでございます。
 食数を把握し、必要な食材料の発注、納品に要する期間等を考慮して、喫食の希望につきましては約二週間前の申し出を目安としておるところでございますが、今後とも各学校の実情に応じ、可能な範囲で弾力的な運用を行うよう指導してまいります。

○今村委員 要綱の定めもあるんでしょうけれども、今、定時制に通う生徒たちはさまざまな事由で通っているわけでありますので、有職者等に限定をするなど、そういった要綱の見直しなども含めて、なるべく喫食しやすい環境がとれるように、ぜひ期待をしておりますので、よろしくお願い申し上げます。
 それでは、今度は小中学校及び盲・ろう・養護学校等の管理費、職員費などについて、特別支援教育、それから定数加配の観点から、ちょっと幾つかお聞きをしたいというふうに思います。
 まず、都教育委員会は、東京都特別支援教育推進計画第一次実施計画に沿って二〇〇四年から小中学校における特別支援教育体制の整備とあわせて、都立特別支援学校の整備を進めてきているとお聞きしておりますけれども、二〇〇六年度も踏まえ、これまでの成果についてご説明を願います。

○荒屋特別支援教育推進担当部長 第一次実施計画では、東京都特別支援教育推進計画の基本理念及び指針に基づき、小中学校における特別支援教育体制を整備するためのモデル事業を実施し、校内委員会の設置、特別支援教育コーディネーターの指名、養成などに取り組んでまいりました。
 さらに、障害のある子どもの就学支援のため、就学支援シートを開発、試行してまいりました。
 また、大学等への進学を目指す中高一貫型の中央ろう学校の設置、知的障害が軽い生徒を対象とし生徒全員の企業就労を目指す永福学園養護学校の設置、病弱な生徒の後期中等教育を保障する久留米養護学校高等部の設置など、新たなタイプの学校、学部づくりを行ってまいりました。
 こうした取り組みを通しまして、特別支援学校の個に応じた教育に対する保護者や児童生徒等の理解が深まるとともに、小中学校に在籍する発達障害の児童生徒に対する支援体制づくりがすべての小中学校で行われるようになってまいりました。

○今村委員 それでは、第一次実施計画の成果を踏まえて、小中学校の特別支援教育に関する今後の課題についてお伺いをしたいと思います。

○荒屋特別支援教育推進担当部長 東京都教育委員会といたしましては、区市町村教育委員会が各学校に対して、各教員が発達障害を含む障害に対する理解を深め、個別の教育支援計画や個別指導計画に基づいて指導を充実していくことが重要であると考えております。

○今村委員 東京都教育委員会では小中学校において、いわゆる四十人学級により編制された通常の学級に対する教職員配置のほか、国基準に基づく措置や都基準の措置など、どのような教員配置を行っているのか、お聞かせをいただきたいと思います。

○松田人事部長 都教育委員会では、国のいわゆる義務標準法等に基づきまして、各学校の学級数に応じた教職員の配置を行うとともに、小中学校における少人数指導や日本語指導等のための教員加配や、中学校の不登校対応のための教員加配を実施しております。
 また、小中学校の特別支援学級や日本語学級、中学校の夜間学級等につきましては、都独自の学級編制や教員配置基準の設定を行いまして、教員を配置しております。

○今村委員 それぞれのニーズに応じた教育をするためには、どうしても教職員等の加配とか、さまざまな取り組みが必要かと思われますけれども、東京都教育委員会は市区町村立小中学校における特別支援教育に関する体制整備を一層推進するための取り組みに加えて、必要な財源確保についてはやはり国に要望すべきだというふうに思いますけれども、所見をお伺いしたいと思います。

○荒屋特別支援教育推進担当部長 特別支援教育を推進していくためには、都や区市町村における努力のみならず、国における財源措置を含めた支援策があって初めて効果が上がるものと考えております。
 このため、都教育委員会では、国に対して、通常の学級に在籍する発達障害の児童生徒の指導を行うために必要な教員配置等に対する財源措置の充実を図ること、発達障害の判断や助言、支援に携わる専門家チーム及び巡回相談にかかわる外部の専門家の配置に対する財源措置を講じること、特別な支援が必要な児童生徒に対する教室等の整備のため、区市町村に対する助成制度の導入などを図ることなどを希望しているところでございます。
 今後とも機会あるごとに、区市町村の特別支援教育の推進に必要な財政措置を国に対して働きかけてまいります。

○今村委員 都独自の制度などもありますけれども、こうした子どもたちの教育にかかっては、国がやはり基本的な責任を持っているということは私も思っておりますので、ぜひ今後も強い働きかけとともに、いい教育が東京都においてなされるよう期待をしておりますので、よろしくお願い申し上げます。
 それでは、最後になりますけれども、教員の障害者雇用についてお聞かせをいただきたいと思いますけれども、まず、教員の障害者雇用率の過去三年の推移についてお聞かせをいただきたいと思います。

○松田人事部長 障害者の雇用の促進等に関する法律で定められた方法によりまして算出した結果、平成十七年度は約一・五一%、平成十八年度は約一・五〇%、平成十九年度は約一・五〇%という結果でございます。

○今村委員 それでは、二〇〇六年度の各校種別の雇用率について、改めてお聞かせをいただきたいと思います。

○松田人事部長 小学校が約〇・七八%、中学校が約一・一四%、高等学校は約一・八四%、盲学校は約六二・一二%、ろう学校が約一二・〇五%、養護学校が約二・四八%でございます。

○今村委員 今、ご説明をお聞きいたしますと、小学校と、特に盲学校などと比べますと、大変な開きがあるわけであります。この雇用率は、重度の障害の場合には二倍をするとか、いろいろな計算方法が、難しい算定方法があるようでありますけれども、総じてやはり低いといわざるを得ないというふうに思います。この教員の障害者雇用率が低い、その理由についてお聞かせをいただきたいと思います。
 さらに、教員採用に当たってどんな取り組みをしているかについてもお伺いをいたしたいと思います。

○松田人事部長 教員の採用に当たりましては、教員免許を取得しているか、もしくは任用日までに取得する見込みのあることが要件となっておりまして、その要件を満たすものが少ないことが理由と考えております。
 教員の採用に当たっての取り組みについてでございますが、平成十五年度から障害者特別選考を実施いたしておりまして、点字や拡大文字の使用、試験時間の延長、手話通訳の配置などの配慮を行ってきたところでございます。
 また、昨年度からは、任用する際の施設面などの配慮事項を直接受験生から聞き取る機会を設けるなどの配慮も行っております。

○今村委員 東京都の努力についても理解をいたしましたけれども、こういった特別支援教育を今進めている中で、世界的にこういった教育の流れは、インクルージョンの流れに進んできているわけでありますから、当然教員に対しても、小学校であってもやっぱり障害がある教職員がいるという、それが当たり前の学校になるように、大変厳しい状況もあるようでありますけれども、ぜひ格段の努力をお願い申し上げまして、私の質疑を終了させていただきたいと思います。

○中山委員 それでは、私の方からは、都立学校におきます震災時の建物の安全性について、特に窓ガラスに着目をしてお伺いをしてまいりたいと思います。
 東京都教育委員会は、第一次、第二次と計画的に都立学校の耐震化を進めてきており、本年六月に文部科学省が公表した平成十九年四月現在の都立学校の耐震化率は約九三%と全国でトップクラスとなっておりまして、このことは、これまでの都教委の前向きな取り組み姿勢について大いに評価するものでございます。
 一方、都は、昨年十二月の「十年後の東京」や、本年三月の東京都耐震改修促進計画におきまして、震災時に緊急の救護所、または被災者の一時受け入れ施設として学校を防災上重要な公共建築物として位置づけ、優先的な耐震化の促進を図ることとしております。
 震災時の被災者の一時受け入れ施設として避難所を指定するのは区市町村でございますけれども、東京都教育委員会は都立学校の避難所指定に関する要綱を定め、都立学校が区市町村長から避難所指定の要請があった場合には、施設の範囲を特定するなどの協定を結ぶことを前提として原則的に承認することとなっており、多くの都立学校が避難所として指定されている現状がございます。
 学校が避難所として指定される場合、特定される施設の範囲として代表的なものが体育館でございます。体育館は避難所としての利用率も高く、利用時間も長くなる傾向にあることが、過去の災害の実例でも示されております。
 平成七年一月の兵庫県南部地震では多くの学校が避難所となりましたが、そのときには体育館の窓ガラスが割れ、破損したガラスが体育館の床に散乱いたしました。ちょうど冬の一番寒い時期でもあり、窓が破れたままで避難者が大変な思いをして、避難所肺炎というような言葉も生まれましたけれども、そういうお話をお伺いしたことがございます。
 また、平成十七年三月に発生した福岡県西方沖地震では、市街地にあるビルのガラスが割れ、道路に大量に落下する事態が発生し、これを機に、地震発生時の窓ガラスの落下、飛散の防止が改めて課題になったといわれております。
 都立学校の耐震性能の確保に一応のめどがついた後、次に望まれる耐震対策としては、窓ガラスの破損や落下、飛散の防止など、地域住民がより安心して避難できる施設の確保というものでございます。
 都立学校におきましては、もちろん生徒さんの安全確保というのが一番大事でございますけれども、当然それに伴って地域住民の方々も避難する場所として注目されるわけでございます。
 そこで、都立学校の体育館におきます窓ガラスの構造はどうなっているのか、お伺いいたします。

○新井学務部長 体育館でございますが、児童生徒が衝突などによってけがをすることがないよう壁面を木材など緩衝性のある材料で覆う必要があるために、窓は壁の上部付近と下部の床付近に設ける構造が一般的でございます。
 窓の構造といたしましては、球技の際にガラスが破損しないよう、上部の窓には防球ネットを設置するとともに、壁面の下部の窓には格子を設けるなどの保護を行っているところでございます。
 さらに、上部の窓のメンテナンス用にギャラリーという歩廊を設置しているために、この歩廊が床へのガラスの落下、飛散防止にも役立っているというふうに考えております。

○中山委員 確かに体育館におきましては、防球ネットやギャラリーによる効果も大きいと思いますけれども、都立学校の体育館の今後の改修等に当たりましては、窓を網入りやフィルムを張ったガラスにするなどの破損しにくい窓ガラスにしていくことが重要と考えます。
 浜松市のホームページを見ますと、「防災ホッとぼっくす」というコーナーにおきますQアンドAで、避難所となる学校に窓ガラスの飛散防止フィルム等の処置をお願いしますという質問に、現在、市教育委員会の事業により、順次、学校施設の窓ガラスに飛散防止フィルムを張る事業が行なわれていますという回答が示されております。
 平成十九年八月に国立教育政策研究所文教施設研究センターの「避難所となる学校施設の防災機能に関する調査研究」研究会が取りまとめました報告書、学校施設の防災機能の向上のために、副題として避難所となる学校施設の防災機能に関する調査研究報告書でございますが、その中には、過去の震災での実例として、暖房器具がなかった避難所では厳しい寒さにより体調を崩し肺炎にかかる患者が多かった。また、建物本体に被害がない場合でも、教室、屋内運動場の天井の落下や床の陥没、窓ガラスの破損、備品の転倒、落下といった被害が発生し、避難所としての使用に支障を来したなどの実例を紹介して、地震等の被害、災害により建物本体に被害がない場合にあっても、外壁、天井材、照明器具の落下や窓ガラスの飛散、設備や家具の転倒など、内外装材や設備機器、家具等の非構造部材等の被害は、人的被害をもたらすおそれがあるとともに、避難所としての利用にも多大な支障が生じるおそれがあると指摘し、窓ガラスの飛散等を防止するためには合わせガラス、網入りガラス等の使用や飛散防止フィルムを張りつけるなどの対策が有効であると結論づけております。
 先ほど申し上げましたように、この背景には、阪神・淡路大震災で、割れた窓ガラスが床に散乱し、足を切るなどのけがで逃げおくれの原因となった事例や、災害時に避難所が設けられておりますけれども、やはり大半が窓ガラスが割れて、そのままの状態では施設利用ができなかったという事例などの報告があります。
 また、逆に、飛散防止フィルムを張ってあった施設は、ガラスが割れてもサッシ枠から外れず、施設としては引き続き利用できたとの報告もあったとお伺いしております。
 そうしたこともありまして、旭硝子ではCSR、企業の社会的責任の一環として、フィルムを張った防災ガラスを避難所に寄附するキャンペーンを展開していたそうでございます。これはいいな、都教委にぜひお知らせしようと思っておりましたが、残念ながら、この十月の末でこのキャンペーンは終わってしまうそうでございます。
 こうしたことから、都教委は、都民の避難所ともなる都立学校の体育館等の窓ガラスについて急ぎ、破損、飛散しにくい加工を施していくべきと考えますが、改めて見解をお伺いいたします。

○新井学務部長 都立学校の一部の体育館におきましては、改築の際に通常の三倍程度の強度を持ちます、いわゆる強化ガラスを既に試行的に採用しておりまして、安全性の向上に努めているところでございます。
 今後、震災時の一層の安全性の向上を図るためにも、ご指摘の点も含めまして、割れにくい、飛散しにくい窓ガラスの材質の選定や取りつけ方法についても検討してまいります。

○中山委員 今、ご答弁がありました基本の方針のとおり、今後の予算確保を含め、ぜひとも都教委としての積極的な対応をお願いしたいと思います。
 ところで、都教委は、間に空気層を挟んだ二枚のガラスを教室の窓サッシにはめ込んで、外気の影響による教室内の温度変化を防ぎ、冷暖房費用を抑えて、CO2削減に積極的に貢献する取り組みを展開する予定と聞いております。
 私は、校庭の芝生化などを初め、都立学校は都民全体の環境教育や環境啓発の拠点ともなるべきと考えておりますが、教室の窓ガラスの複層化も、エコの視点からすばらしい取り組みであると思います。
 ちなみに、ガラスメーカーでは、ここにパンフレットを知り合いから借りて持ってまいりましたけれども、複層化ガラスにおきましても、飛散防止のフィルム態様の製品を開発しているそうであります。従来、複層化ガラスに飛散防止フィルムを張る場合、間の空気層にフィルムが触れているため、フィルムの劣化が懸念されていたそうでございますが、この点、間に入る空気を超低湿化、つまり乾燥化させて、しかも乾燥剤を下に敷き詰めるなどの対策を練っているそうであります。
 窓ガラスの飛散防止にはフィルムだけではなく、さまざまな方法があると思います。
 平成十六年十一月の地方自治法施行令の改正により、いわゆる政策目的随意契約制度が創設され、都は産業労働局を中心に、十九年度から社会的課題解決型研究開発事業を開始し、各局懸案の課題の解決に資する製品開発を行う中小企業に対し研究開発助成を行うとしています。このことは、私もことしの予算特別委員会で取り上げ、行政自身が必要としている新製品や新技術を中小企業に開発させ、それを行政が確実に購入していくという好循環を制度的に構築するべきだと訴えたところでございます。
 耐震上の安全性を高めるための飛散防止ガラスにつきましても、それぞれの会社がいろいろな取り組みをしておりますが、都教委は財務局等との他局とも積極的に協調して、コストの面でも、導入を図る技術的課題の上でも積極的にアドバイスを提示するなどして、そうした民間努力との連携を深めて、結果的に都民や都立学校に通う生徒の安全にさらに寄与していただくことをお願い申し上げて、私の質問を終わります。

○古館委員 それでは、まず、特別支援学校と寄宿舎のことについてお尋ねをしたいと思います。
 最初に、特別支援学校の役割についてどのように認識しておられるか、この点についてご質問いたします。

○荒屋特別支援教育推進担当部長 特別支援学校は、障害のある幼児、児童生徒一人一人の教育的ニーズに応じた教育を実施するためのものであり、その趣旨からも、これまでの盲・ろう・養護学校における特別支援教育の取り組みをさらに推進しつつ、さまざまな障害者に対応できる教育を行うものでございます。
 また、これまで蓄積してまいりました専門的な知識や技能を生かして、地域における特別支援教育のセンターとしての機能の充実を図る等の役割があります。

○古館委員 今、そういう役割ということを答弁されました。それで、すべての特別支援学校においては、在籍する児童生徒等の教育の内容、それから方法の充実ということも同時に教育庁としては掲げておりますね。
 それから、その配置計画が示されている長期計画ですが、これは平成十六年から二十五年が示されているんですけれども、その第一次実施計画という形で示されております。
 そこで、お尋ねいたしますけれども、平成十九年度末五十三校と一分校、このようになっておりまして、一次実施計画完成時では五十六校一分校となっております。つまり、三校分が、この数値でいいますと、減るということになりますけれども、これは建設完成時がずれるということによるものだと、こういうふうに理解していいんでしょうか。

○荒屋特別支援教育推進担当部長 これは建設完成時のずれによるものでございまして、東京都特別支援教育推進計画第一次実施計画により平成二十一年度に青梅東学園養護学校(仮称)を開校するなど、今後、三校の学校増を計画しております。
 平成十九年度までに設計等に着手し、建設完成が二十年度以降になるものにつきましては、第一次実施計画の分の扱いとしております。

○古館委員 これらが着実に建設をされていってもらいたいと思っているんですけれども、昨年の事務事業質疑で我が党の大山議員がスクールバスの問題とともに、教室不足を取り上げておりました。
 そこで、この実施計画の遂行によって、転用教室やカーテンでの間仕切りなどが解消される、いわゆる普通教室の不足が解消するというふうに理解していいんでしょうか。

○荒屋特別支援教育推進担当部長 平成二十七年度までに転用教室やカーテン間仕切り教室のうち、実技や実習を伴う教科で使用する特別教室の転用は解消し、また、普通教室を二つの重度重複学級で使用している場合以外の間仕切り教室は解消していく予定でございます。

○古館委員 予定ということなんですけれども、これは長い懸案事項でありますので、ぜひともこれは解消できるように推進をしていただきたいというふうに思っております。
 四八ページに特別支援学校の適正な配置というのは、私は、子どもの人数に必要な分だけ単純に学校をふやす、それで子どもの人数に対応できる、こういうふうに理解しているんですけれども、それでいいんでしょうか。

○荒屋特別支援教育推進担当部長 都教委は、子どもの人数に対応した学級を設置し、それに伴う必要な普通教室を確保していくという考えに立っております。必要な教室の確保のため、新設校の設置、複数の障害部門をあわせ持つことによるメリットを生かした併置校の設置、普通教室の増築など総合的に適正配置をしていくことで、計画完成時、平成二十七年度の学校数は平成十六年度の規模程度とするものでございます。

○古館委員 ぜひ必要な分はきちっと対応する、こういう構えで今後とも対応していただきたいと思っています。
 次に、四九ページで、寄宿舎の適正な規模と配置ということが掲げられているんです。これはどういうことかということで少し聞きたいんですけれども、十月二十日の東京新聞でも取り上げられているんですけれども、二〇一五年度末までに現在十ある寄宿舎を半数以下の五カ所に段階的に減らす。このことについて「慎重検討を」という批判的な記事が東京新聞で出されています。
 しかも、保護者の方々からも各党に要請が行ったと思うんですけれども、なくさないでくださいと、こういう要請がされております。
 この問題について具体的に答えていただければと思います。

○荒屋特別支援教育推進担当部長 特別支援学校に設置されている寄宿舎は、通学が困難な児童生徒等に宿舎を提供し、就学を保障することを目的として設置しております。
 今後も特別支援学校の適正な規模と配置の実施及びスクールバスの一層の整備によりまして、通学困難を理由とする寄宿舎への入舎対象者が減少すると予測し、寄宿舎の配置数を段階的に減らすこととしたものでございます。
 身辺自立、基本的生活習慣の確立及び集団生活におけるマナーを身につけることなどにつきましては、寄宿舎の設置とはかかわりなく、特別支援学校として重要な指導内容であり、生活指導や宿泊行事等の中で重点的に指導を行ってまいります。

○古館委員 今、私が非常にひっかかっている答弁があるんですよね、最後の方で、寄宿舎の設置とはかかわりなく、いわゆる子どもの身辺自立とか基本的生活習慣の確立及び集団生活におけるマナー、これが寄宿舎の設置とはかかわりないというところが、私は果たしてそうなのかなということで、かなり大きな疑問を持っています。そういう寄宿舎の設置とはかかわりないという答弁なんですけれども、寄宿舎について教育行政を担っている担当局が、私はそのような発言をするということに対して、はっきりいって残念だ。
 ここに寄宿舎の、ちょっと持ってきたんですけれども、寄宿舎大好きみんな集まれという、この文集がつくられているんですね。ここでは、寄宿舎も成長の場だということが父母から熱く語られているのが、この文集なんですね。
 それで、ちょっと立川ろう学校の保護者の文章を、簡単ですから、紹介しますと、「ここには、ろう学校で唯一の寄宿舎があると言う事で入舎しました。学校、寄宿舎と、先生方やお友達に囲まれて、毎日いろいろな事を目にして、刺激を受けています。今迄なら、自分の思い通りにならなかったら、ほっぽり投げたり、諦めたりしていましたが、集団生活になるとそう言う訳にはいきません。そこには、いつでも人が関わっている事を知ってもらい、その中で自分がいろんな考えをしていかなくてはなりません。何事にもうまくいかないとイラついてみたり、涙をうかべていますが、これも本人がこれから生きていく上で一番大切な事につながると思います。考える力、解決する力を体験により身につけてほしいと思います。本人、壁にぶちあたりながらも、寄宿舎生活を楽しく過しており、少しずつではありますが、ゆっくり成長してきています。学校生活は、限られたわずかな時間です。これから障害者が社会に向かって生きていくのに、子供達が大きく力をつける育成の場、寄宿舎を廃止がないようお願いします。」こういう文章が綿々とつづられているというのが、この文集であります。
 そこで、お尋ねしますけれども、寄宿舎の果たしている教育的役割についてどのようにお考えでしょうか。

○荒屋特別支援教育推進担当部長 寄宿舎は、通学が困難な児童生徒のために就学を保障するために設置されているものでございます。また、寄宿舎は、身辺自立、基本的生活習慣の確立や集団生活におけるマナーを身につけることも指導しております。
 こうした身辺自立、基本的生活習慣の確立や集団生活におけるマナーを身につけることは、寄宿舎の設置とはかかわりなく特別支援学校において重要な指導内容であると考えております。

○古館委員 本当にちょっと残念な答弁なんですよね。寄宿舎ということが果たしている教育的役割について、それを聞くと、かかわりないというんですね、そういう問題と。つまり、それは何をいいたいかというと、特別支援学校でやることだと、そういう理解なんだと思うんですね、いっていることは。しかし、先ほども私がいいましたけれども、寄宿舎で生活をするということが、ある意味で人間としての成長という役割が非常に大きなものがあるんだということを私は強調したいと思うんですね。
 ある寄宿舎の指導員さんは、中学部に入舎したNさんは、自分の衣類の洗濯を初めて寄宿舎で経験しました。これは学校じゃやりません。週末に帰省したとき、いつも母親に反抗的な態度のNさんが、洗濯している母親に、いつも洗濯大変だねと声をかけてきて、その母親は、それが涙が出るほどうれしかったという話を私は聞いて、なるほど、寄宿舎の役割というのはそういう点でも大事なんだというふうに思いました。
 いうまでもなく寄宿舎は、全員就学実現以降、通学困難や家庭事情を抱える子どもの就学保障を初め、基本的生活習慣の確立、社会性の獲得など、子どもの発達にとって大きな役割を果たしてきました。ところが、都教委は、東京都の特別支援教育推進計画によって四十八年の歴史を持つ青鳥養護学校の寄宿舎を閉舎してしまいました。二十年度からは八王子養護学校と八王子盲学校の寄宿舎が一つに統合される計画になっています。さらには、先日出された第二次実施計画骨子案では、立川ろう学校と江戸川養護学校、これらが平成二十二年までに廃舎するという案まで出されています。
 寄宿舎をなぜ削減するかという、その理由として、一日当たりの宿泊数が定員の半数に満たない寄宿舎が多いことなどが挙げられていますけれども、これは児童生徒の実態を見ないもので、当局のまず削減ありきだけが突出したもので、絶対認められないものです。
 「自立の寄宿舎奪わないで」こういう見出しで東京新聞も報じています。ここでは、「年齢の違う生徒たちが集団生活をする寄宿舎は、自立に向けた教育的効果が大きく、通学圏の生徒も通ってきた。」「障害児が自立へのステップを踏む場を、こんなふうに狭めていいのだろうか。都には、障害児や家族の立場に配慮するよう再考を促したい。」これが同紙の記事でございました。しかも、これには数日後の後日談がありまして、この報道に、読者から寄宿舎存続を願う反響をたくさんいただいた。再度、都の削減計画に対して「教育的効果踏まえ、慎重検討を」こういう続報が出されました。
 この東京新聞の記事に関連してお聞きしたいんですけれども、同紙では宿泊率が三八・八%という宿泊率の計算はおかしいと指摘をし、その根拠として、「一部の寄宿舎では、週末の三日間は自宅の遠い子どもたちが帰宅し、基本的に離島出身者だけが泊まっているのが実態だ。ところがこの事情を勘案しないで計算されているため、宿泊率が低めにはじき出されてしまっている。加えて寄宿舎全十一カ所のうち、全寮制のシステムで利用率が高いとみられる一カ所(定員六十人)を除外して計算していた。」と報じられています。
 そこで、伺いますが、ここまでいわれたのでは寄宿舎での宿泊率についての資料、私はきちんと議会に示してもらいたい。そういう必要があると思いますが、いかがですか。

○荒屋特別支援教育推進担当部長 宿泊率三八・八%の算出でございますが、各寄宿舎の年間宿泊率を求め、十舎の平均値を算出したものでございます。この年間宿泊率は、延べ宿泊人員を寄宿舎を開いた日数で除し、これを寄宿舎の定員で除したものでございます。
 なお、久留米養護学校の寄宿舎を対象から除きましたのは、久留米養護学校は行事や体育の参加に制限がある児童生徒や、医療の介護が必要である児童生徒などを対象とした全寮制の寄宿舎であり、通学困難を理由とする入舎ではないことによるものでございます。

○古館委員 しかし、離島出身の子どもたちの帰宅などについては、そういう要件として存在しているんですね。今いったのは確かに全寮制になっている。だから、それを外しましたというんですけれども、結局、そういう離島出身の子どもたちなどがここに入っている、あとは帰っている、そういう場合に率は低くなるというのは当然のことです。ですから、そういうような率の低い、高いということを物差しの一つにするべきじゃないと、私はこのことを申し添えておきたいと思います。
 同時に、資料提供については引き続き、私は議会に対しても、こういう議論がされていくわけでありますから、ぜひ提出をしてもらいたい。このことは要望としておいておきます。
 寄宿舎を存続させることはもちろんのことで、ましてや通学困難な子どもたちだけではなくて、今までどおり、教育的理由の子どもたちの入舎についても、その存続を強く求めて、次の質問に移ります。
 次は、学校支援センターについてであります。学校支援センターが、この決算年度から設置されました。経営支援センターと業務支援センターの二つの業務で構成されております。今回は学校事務を集約する業務支援ラインについて質問いたします。
 最初に、一〇五ページなんですけれども、(イ)に業務支援ラインを経営支援ラインとともにつくったという、その意味はどういうところにあるのか、お答えいただきたいと思います。

○森口参事 学校経営支援センターは、都立学校において校長がリーダーシップを発揮し、より自律的な学校経営を行っていけるよう、これまで本庁で行っていた業務の一部を移行し、学校の身近な地域で、学校の実態に応じた機動的できめ細かい支援を行っていくことを目的として整備いたしました。
 これまで学校が行ってきた契約や施設整備などの事務を同センターで集約することにより、学校の事務量を軽減するとともに、校長の経営を支える事務室の経営企画機能の強化を図ることとしたものでございます。

○古館委員 そうおっしゃいましたけれども、私は、そもそも事の発端というのは、事務職員をいかに減らすかということだと思うんですね。
 都立学校の経営支援センターが導入されたのが二年前の四月からですけれども、導入したときの説明では、校長がリーダーシップを発揮し、より自律的な学校運営を行っていくために、教育庁業務の一部を移行し、学校の身近な地域で、学校の実態に応じた機動的できめ細かい支援を行っていくことを目的として導入されたと認識をしております。
 また、契約等の事務の集中化によって学校の事務量を軽減して、事務室の経営面の機能強化を図る、こういうことが目的としてつくられているというふうに書かれているんですけれども、スタートすると都立学校では事務職員の定数が二人削減されましたね。
 そこで、伺いますけれども、導入以前と導入後の職員数について教えていただきたいと思います。

○森口参事 学校経営支援センター設置による職員の推移でございますが、学校定数から四百四減、センターにつきましては二百四の増ということの配置になっております。

○古館委員 私のいったとおり、だから二百人減らされているわけですよね、いわゆる事務職員ですね。働いている方の声は、職員の定数が二名減らされて、かえって仕事が多くなったという声が聞こえてきます。これは職員だけの声じゃありません。四月の一カ月だけでサービス残業含めて百時間超えたという超過勤務の方もいらっしゃると聞いています。
 そこで、伺いますけれども、物品などの契約取扱事務規定はどのようになっているでしょうか。従前と現在の共通性、違いについてもお示しいただきたいと思います。

○森口参事 契約に関しては、学校経営支援センターで集約して効率的に行うため、集中化を図っているところでございます。
 従前と共通する契約として、四十万円未満の物品買い入れ契約、印刷物製作契約、役務契約、委託契約、借り入れ契約及び物品の修繕契約について、センター設置後においても学校で行うこととしております。
 さらに、図書、燃料などの購入、物品受け払いに係る契約は、金額にかかわりなく学校でもできることといたしました。
 変更点につきましては、学校経営支援センターで集約して効率的に行うために、工事請負契約は予定価格五百万円未満を八百万円未満に、工事以外の請負契約及び委託契約は予定価格三百万円未満を一千万円未満に、物品買い入れ契約及び印刷物製作契約は予定価格三百万円未満を三千万円未満に、それぞれ上限を引き上げたところでございます。

○古館委員 そのような答弁なんですが、例えば経理システムはどうなっているかというと、物品の発注から納品まで大体二カ月ぐらい要していると聞いているんですね。あるところでは、納品が間に合わなかったというところもあるそうなんですが、また、金額も決して安くはなくて、以前よりも割高になっているという声も聞こえてきております。
 それで、お尋ねしますが、物品などの契約先はどのようになっているんでしょうか。取引先について列記していただければと思います。

○森口参事 契約先につきましては、相当量の契約の件数がございますので、こちらではちょっと申し上げられないんですが、契約において業者選定でございますが、従来の地元業者を考慮しながらも、競争性、公平性を確保しながら行っております。

○古館委員 大山議員が昨年の十一月の質問で、ガラスの修理などの細かな修理に対する即応性がないことや、それから、ガラスが割れたという場合でも、なかなか即応性がない。施設の修繕も、住宅供給公社へのアウトソーシングとなったために、若干は改善されたようなんですけれども、それまで地元業者に発注できていたものが、そうでなくなったことなどが指摘されています。また、納期までに届かなかったという事例もあったやに、先ほどいいましたが、聞いています。
 ことしの五月に学校長へのアンケートでは、物品は適切に納品されているかという問いに対して、半数の校長が、改善が必要だ、もう一歩。これは本当に控え目な回答なんだと思うんですね。つまり、改善が必要だ、これは、直してくださいよと。もう一歩ということは、それは届いてないということですよ。届いてないというのは、我々が、この人たちが考えていたところまで届いてないということなんです。
 私も近所に電気屋さんがいるんですが、前は結構テレビとかいろんなのがあったんだけど、最近全然注文が来なくなっちゃったとかといってこぼしていた方もいらっしゃったんですが、そういうのは別に私の地域ということだけじゃなくて、議員の皆さんもそういうことをいわれた方もいらっしゃるのではないかと思うんですけれども、こうした中で、現在までトラブルというのはなかったんでしょうか。もしあったとしたら、具体的な事例で示していただきたいと思います。

○森口参事 トラブルというのが、どういった種類か、ちょっとわからないんですが、センター発足当時につきましては、やはり新しいシステムになったということで、センターも学校もふなれということで、業者も新しいということで、確かに混乱はございました。しかしながら、そもそも学校経営支援センターで契約するというのは施設の集中化のメリットを生かすということでございますので、地元の業者を含めて、競争性、公平性を高めながら効率的に行うという趣旨がございますす。改善はその都度図ってまいりましたけれども、例えば、副委員長おっしゃることの、納期の問題だと思うんですが、これは発注から納品までは、数校、数十校まとめる関係から、約二カ月かかっておりました。これは納期については十分に余裕を持つように学校側にお願いしているんですが、どうしても二カ月かかってしまうということで、これにつきましては改善を進めまして、五十日程度といたしました。
 さらに、短期で緊急に必要なものにつきましては、先ほど答弁いたしました四十万円未満の契約については、従来どおり学校に残っておりますので、その制度を活用していただく、または、センター契約の場合には、個別に対応をするといった対応をとっております。
 あと、納品日の連絡がないといったこともございましたが、そういったことについても業者側に徹底を図って、いずれも改善をされたという認識でおります。

○古館委員 だから、先ほど、地域の経済をどういうふうに支えていくのかということもあるし、今いったように、かなりそういう意味での、発注してなかなか品物が来ないというような形なんかもあるというのは、今ご答弁で明らかになっております。
 それで、ことしの五月二十四日付、教育庁が出した東京都学校経営支援センター業務に関する校長アンケート調査結果についてというのを、私は大変興味深く見させていただきました。この学校長の今回の学校経営支援センターの業務に関するアンケートですけれども、良好というふうに回答したのが圧倒的に少ないということが、この中で歴然とした事実として見ました。
 中でも重要なことは、学校長の評価が最も低いのが、契約やアウトソーシングの導入等の事務の集中化によって、この方式が導入されて、学校の事務量が軽減されたかという問いに対して、良好ですと答えた人は一%しかないですね。あとは、改善必要、いま一歩というのが圧倒的なんです。これがこの支援センターの評価であって、私は明らかに落第点だと思います。
 事務職員などをふやすこと、当然ですけれども、同時に、学校支援センターそのものの抜本的な見直しを強く求めておきます。この問題は、改めて、継続的にも取り上げていきたいと思っています。
 次に、最後の質問ですが、夜間の定時制高校の給食の問題です。先ほど民主党の今村委員も取り上げておりましたけれども、まず聞きたいのは、夜間定時制高校の給食の意義と役割についてお答えいただきたいと思います。

○新井学務部長 都立高等学校定時制夜間課程の学校給食でございますが、夜間課程を置く高等学校における学校給食に関する法律の趣旨に基づきまして、働きながら高等学校の夜間課程において学ぶ青少年の身体の健全な発達に資することを目的として実施するものでございます。

○古館委員 それで、定時制の学生生徒への給食補助の執行率が、先ほどありましたが、五四・四%と。この低いのは、なぜでしょうか。

○新井学務部長 補助金の執行率の低い原因を特定することは困難ではございますが、近年、特に定職についている生徒が減少し、不定期なアルバイト等を行っている生徒や求職中の生徒など、多様化が進んでおり、申請手続を行いづらい生徒が増加していることなども影響していると考えられます。

○古館委員 さらに、喫食率、つまり注文したり--食べたい、食べますという注文だとか、そういう喫食率が下がっているんじゃありませんか。この下がっていることについて、どのようにお考えですか。

○新井学務部長 喫食率でございますが、最近五年間で一〇ポイント程度の低下という状況でございます。喫食率の低下の原因を特定することは困難ではございますが、生徒がさまざまな外食や調理済み食品を利用するようになっていることなども影響しているのではないかというふうに考えております。
 生徒には、栄養バランスのとれた給食を継続して喫食するよう働きかけるなど、今後とも食の指導の充実、徹底を図ってまいります。

○古館委員 なぜ数年前からこんなふうにして執行率も落ちちゃっているのかということなんですけれども、都が数年前から、効率化といって、調理方法を、親子方式というんですね、これは何かというと、一校で調理した給食を急速冷凍して複数の学校に運んで、そこの学校で受けたら加熱して提供する、こういうのを親子方式というんだそうですが、私、この給食を食べますよという場合は、先ほどご答弁もあったんですが、二週間前に予約する。今の若者が、二週間前に、二週間後食べますよというのは、これはなかなか現実的に見て難しい話ですね。二週間前に予約するシステムに変更した。
 さらに、今年度からは、大森高校などで、デリバリー方式というんだそうですが、本当に業者の仕出し弁当ですね、これを注文するということなんだそうです。今年度からこのデリバリー方式を始めたのは、どうしてでしょうか。

○新井学務部長 都立高等学校定時制夜間課程におきましては、生徒数が減少したため、調理の非効率を解消するとともに、民間のノウハウを活用した給食の提供方法の一環として、試行的に外部調理方式を導入したものでございます。
 導入に当たりましては、給食の質の確保のため、都の職員が作成した栄養バランスのとれた献立により、安全・安心な食材を使用することや、衛生管理の基準を満たすことなどを条件とした業者を選定して行っているところでございます。

○古館委員 ですから、すごく注文しづらいし、親からつくってもらったようなご飯と違って--さっきいったけれども、これは併用しているという話でしたよね、お話を聞いたら。つまり、さっきいった併用というのは、デリバリー方式ということで仕出し弁当と、それから、親子方式。こういうような形なものですから、今まで夜間の定時制高校の給食というのは、数年前はどうだったかというと、全校自校調理だったですね。栄養士さんがバランスを考えて、旬の食材を使ってつくってくれる、そういう大変質の高い給食でした。
 で、これは定時制に通う生徒の大きな楽しみだったんですね。だから、勉強はいまいちだけど、飯食いに行こうかなという人だって、いないとは限らなかったんですよ。それでも大事なことなんですよ、子どもにとっては。それも生徒の大きな楽しみだったわけですね。家庭環境に恵まれない生徒もやっぱりいるわけで、唯一のまともな食事である場合もあったんですね。仕事で疲れていて、おいしい給食があって、そこで先生や友達と交流できるから頑張って学校に行こう、生活や勉強の励みにもなってきた、こういうことを聞きました。
 ちなみに、聞きますけれども、ところで、給食費は、今、一食幾らですか。で、都からの補助は幾らか、ちょっとお答えいただきたいと思います。

○新井学務部長 平成十八年度でございますけれども、給食一食平均で三百七十一円、都からの補助金は一食六十円でございます。

○古館委員 今、六十円といわれましたけれども、以前は百円ほど、給食費もこういう子どもたちに補助していたんですよね。親子方式は、本来なら冷たくて食べるものも温まってしまう。味も落ちて、予約しないと食べられない。これは本当に生徒にとっては食べづらくなっているんです。ましてや仕出し弁当は、食べた人に聞きましたけれども、非常に評判がよくない。結局、子どもたちはどうしているかというと、コンビニなど学校の外に買いに行くことになって、なかなかそのまま戻ってこないとか、こういうことも聞きました。
 最後に、給食は教育的にも大きな意義を持っています。設備はあるんですから、自校方式で調理して、給食費の補助も充実させることを求めて、質問を終わります。

○西崎委員 私からは、まず初めに、特別支援教育について伺います。
 国において、障害の種類や程度に応じた特別の場で指導を行う特殊教育から、障害のある児童生徒一人一人の教育的ニーズに応じて適切な教育的支援を行う特別支援教育への転換が図られました。これを受けて東京都では、平成十六年十一月に策定しました東京都特別支援教育推進計画の第一次実施計画に基づきまして、小学校、中学校における特別支援教育推進体制整備について研究、検証するために、特別支援教育体制・副籍モデル事業を、平成十六年から十八年まで三カ年実施しております。
 先ほどの今村委員の質問とちょっと重なる部分もありますけれども、この三カ年を振り返りまして、この事業の概要と、そして、ここで得られた成果について伺います。

○荒屋特別支援教育推進担当部長 都教育委員会では、平成十六年から十八年度にかけて、北区、八王子市、調布市、あきる野市の四区市におきまして、四区市内のすべての小中学校における校内委員会の設置及び特別支援教育コーディネーターの指名、養成、専門家による巡回指導、巡回相談など、小中学校における特別支援教育体制の整備に向けた実践的な研究、そして、特別支援学校の小中学部の児童生徒が居住地の小中学校に副次的な籍を置いて、学校便りの交換や、学校行事、授業等の交流を行う副籍制度の試行を、特別支援教育体制・副籍モデル事業として実施してまいりました。
 モデル事業の成果といたしましては、発達障害のある児童生徒を支援する校内体制が各学校に整備され、教職員の連携はもとより、外部の専門家と連携した支援ができるようになったこと、また、障害のある児童生徒と障害のない児童生徒の交流の機会が拡充したなどが挙げられます。

○西崎委員 障害のあるお子さんたちは、まず小学校に上がる前に幼稚園や特別支援学校の幼稚部で教育を受けたり、保育所や幼児通園施設などに通って保育や訓練を受けたりしています。また、病院での診療、保健福祉センターや発達支援センターでの相談、支援などあると思いますけれども、お一人のお子さんを通してさまざまな情報があると思います。
 今回の第一次実施計画では、幼少期から小学校入学期に対する支援について、どのような取り組みを行ったのか、お聞かせください。

○荒屋特別支援教育推進担当部長 第一次実施計画では、障害のある子どもが通っていた幼稚園、保育所、障害幼児通園施設などの就学前期間における支援の情報を就学先の学校に引き継ぐ就学支援シートを開発しまして、保護者と就学前期間の担当者が協力して、子どもの成長、発達、指導等の様子を記入し、就学する学校に引き継ぐものといたしました。

○西崎委員 就学前支援シートを開発されて、保護者と就学前期間の担当者が協力して子どもの成長、発達、指導などの様子を記入され、就学する学校に引き継いだということですけれども、このような取り組みは、ぜひ広げていっていただきたいと思います。
 ちなみに、世田谷では、モデル事業校ではありませんでしたが、子ども計画の中で、六カ月健診ぐらいの早い時期に気づきシートを作成しまして、育児相談などに活用しています。自治体によって、取り組み方、あるいはシートの内容は違ってくると思いますけれども、とても重要な点ではないかと考えます。
 今後は、各小中学校に特別支援教育を進めていくために、三カ年にわたり行ったモデル事業の成果を、それぞれの学校に普及させていかなければならないと思いますけれども、これについて都教育委員会はどのように取り組んだのか、状況について伺います。

○荒屋特別支援教育推進担当部長 都教育委員会といたしましては、平成十八年度に特別支援教育体制・副籍モデル事業に関する成果報告会を開催するとともに、モデル事業等をガイドラインとして取りまとめ、区市町村教育委員会、小中学校等に配布することなどによりまして、モデル事業等の成果の普及に努めてきたところでございます。

○西崎委員 特別支援教育については、この四月から本格的な実施になりまして、モデル事業に取り組んでいない区市町村でも全校で取り組み始めましたけれども、いろいろ課題も多いと思います。先ほど、今村委員から、課題は何ですかというお話も出ていましたけれども、私は、まだまだ特別支援教育に対する教師、保護者、あるいは地域の人たちの理解が得られていないのではないかと思います。今まで特別学級を設置していた学校や先生の意識は前向きで積極的に取り組んでいますけれども、ほかの学校での特別支援教育に対する意識は低いと思います。これから実施していく中で問題点も見えてくると思いますので、ぜひ課題を整理して、区市町村の教育委員会との連携を図りながら進めていかれることを要望しておきます。
 次に、特別支援学校の宿舎について伺います。
 これについては、先ほどほかの委員からありましたけれども、まず、確認の意味でお聞きしたいんですが、障害児のための特別支援学校に付設されている寄宿舎について、都教育委員会は、平成十八年十二月に、そこに入られる人の基準を見直す規制改正を行っていますけれども、それを行った背景と、何を、どう改正されたのかを伺います。

○荒屋特別支援教育推進担当部長 寄宿舎に関する規則は昭和三十二年に制定されたもので、当時は社会情勢等によりまして、家庭の養育状況が多様であり、また、福祉、医療等のサービス体制も確立していなかったことから、就学を保障するために、家庭の事情、教育上の理由による入舎を認めてきたものでございます。
 約五十年たちまして、家庭の養育状況が改善されたり、福祉サービス等が整備されるなど、社会情勢の変化に伴い、当時とは寄宿舎の入舎実態が大きく変化していることから、入舎基準を寄宿舎本来の設置趣旨であります通学困難に限定する見直しを行ったものでございます。
 なお、寄宿舎を利用できる通学困難の場合を、島しょに在住する児童生徒、九十分以上の通学時間を要する児童生徒、視覚障害の児童生徒の安全確保及び付き添い困難な家庭の事情と定めたところでございます。

○西崎委員 五十年経過して、家庭の養育状況が改善されたり、福祉サービスなどが整備されるなど、社会的情勢が変わったことにより、入舎基準が通学困難に限定されたということですけれども、改正したことによりまして対象外となる教育上入舎に該当する児童生徒への対応をどうされるのか。また、寄宿舎は、生活の体験の場として、障害を持つお子さんの自立支援にもつながっており、意義のあるものだと考えます。肢体不自由特別支援学校の寄宿舎閉舎による自立のための生活訓練の場を、今後どう整備していくのか、お伺いします。

○荒屋特別支援教育推進担当部長 通学困難に該当しない教育上入舎の児童生徒につきましては、経過措置として、平成十九年度の一年間に限り、入舎を認めてきたところでございます。
 また、基本的生活習慣の確立を目指した生活訓練の場につきましては、寄宿舎の設置とはかかわりなく、特別支援学校としての重要な指導内容であることから、今後も生活指導や宿泊行事等の中で行ってまいります。

○西崎委員 平成十九年度は経過措置をとっていくということですけれども、これまで利用してきた人、あるいは家族にとっては、大変混乱もあるのではないかと思います。丁寧に対応していただきたいと思います。
 また、特別支援教育において、障害を持つお子さん一人一人の個別の支援計画がつくられることになっています。寄宿舎の削減計画が出されていますけれども、削減計画ありきではなくて、自立支援に向けてどのような支援が、そのお一人お一人にトータルでできるのか、福祉サービスも含めて、きちんと検証していただきたいと思います。
 次に、都立学校における健康づくり推進計画について伺います。
 都教育委員会では、都立学校における健康づくりを計画的に進めていくために、平成十七年三月に、都立学校における健康づくり推進計画を策定しました。計画では、審議会で答申されました児童生徒の健康づくりの指標について数値目標を達成するために、都教育委員会や都立学校の具体的な取り組みについて体系化しまして、学校、家庭、地域が一体となって、児童生徒の健康づくりを推進していくことになっております。
 この計画は、平成十六年から十九年までを前期計画、平成二十年から二十二年までを後期計画としていますけれども、前期計画の残り期間も少なくなってまいりました。
 そこで、これまでの全体の進捗状況についてお伺いします。

○新井学務部長 本推進計画でございますが、健康づくりの体制構築、健康づくり推進のための支援、児童生徒の健康課題に対する環境整備、都立学校における健康教育の推進、この四つの基本方針のもとに、十九の施策から構成されておりまして、その中で特に緊急かつ優先度の高いものといたしまして、例えば健康ノートの活用、学校保健・地域保健連絡会の設置、食に関する指導の推進などの施策を十三の重点プランとしております。
 進捗状況でございますけれども、計画された施策につきましては、おおむね予定どおり実施されておりまして、例えば、学校保健委員会の設置のように、十八年度中に既に二十二年度の達成目標を上回ったものもございます。

○西崎委員 その計画が十九の施策から構成されているということですけれども、その中の何点かについて伺いたいと思います。
 まず、今お話にありました健康ノートの作成ですけれども、これは児童生徒が学校での健康診断の結果や体力テストの記録をみずから記入して、生活習慣や食生活のチェックを行ったりするものですけれども、自分の健康に関心を持たせて、自己管理していくという意味では意義のあるものだと思います。
 この健康ノートについての取り組み状況と、今後の課題について伺います。

○新井学務部長 健康ノートの活用につきましては、ほぼ計画どおり進行しておりまして、平成十八年度はモデル実施といたしまして、都立高等学校特別支援学校等二十三校に配布して、内容等について検討しているところでございます。
 今後は、生徒が興味を持って活用することができるよう記載内容を厳選するとともに、教員に対しては、健康ノートの位置づけを明確にして活用マニュアルを作成するなどの取り組みが必要であるというふうに考えております。
 現在、記載内容の見直し及び効果的な活用方法等について、モデル実施校での養護教諭などとともに検討を進めているところでございます。

○西崎委員 ぜひ積極的に活用していっていただきたいと思います。
 次に、厚生労働省発表の平成十八年エイズ発症動向によりますと、日本におけるエイズの発症数が過去最高になりました。また、児童生徒の受動喫煙防止に向けた動きも進んでおりまして、都立学校においては、平成十七年から敷地内全面禁煙を実施していると聞いています。
 このような状況下で、都立学校における性教育、エイズ教育及び喫煙・飲酒・薬物乱用防止教育の推進に関する学習がどのように行われているのか、お聞かせください。

○岩佐指導部長 学校における性教育、エイズ教育、喫煙・飲酒・薬物乱用防止教育については、主として保健の時間を使って、発達段階に応じた内容で実施しております。例えば、高等学校の保健の授業では、エイズについては感染症とその予防の中で、性に関しましては生涯を通じる健康の中で学び、また、喫煙、飲酒や薬物乱用につきましては現代社会と健康の中で健康の保持増進と疾病の予防において学んでおります。
 都教育委員会としては、教師用の性教育の手引きや薬物乱用防止に関する指導資料を適宜改定するとともに、小中高等学校の児童生徒用にエイズパンフレットを毎年発行し、各学校における学習指導の充実に資するよう努めております。

○西崎委員 児童生徒の健康づくりに関して、こうやって計画をつくって進めているということなんですけれども、学校だけの取り組みでは限界があるのではないかと思います。そのために、地域や、ほかの学校、関係機関などと情報交換のための仕組みづくり、あるいは学校における指導方法について相談できるような体制、それは都の教育委員会による支援が必要だと思いますけれども、この点についてはどのように行ってきたのか、伺います。

○新井学務部長 児童生徒の健康づくりにつきましては、個々の学校での取り組みだけでは十分とはいえないことから、情報交換や生徒の健康問題についての研究を行う仕組みといたしまして、平成十八年度から、全都立高校及び都立中等教育学校と、地域保健関係機関等でつくる地区別学校保健連絡会を設置してございます。連絡会は、教職員、保健所職員、PTA、学校医、学校歯科医、学校薬剤師、都教委の担当職員などで構成されておりまして、各保健所管内を一つの地区としてございます。現在、足立区、江東区、世田谷区、板橋区、南多摩地区、多摩・府中地区の六地区に設置をされております。
 また、このほか、東京都医師会の協力のもとに、高等学校の教職員を対象とした精神科医、産婦人科医による指導、相談などの支援事業も行っております。

○西崎委員 ぜひ学校だけではない、こういった地域の取り組みを、今、地区別学校保健連絡会は六カ所だけだというお話でしたけれども、広げていかれるように、これからも推進していくことを要望いたしまして、私の質問を終わります。

○吉原委員 それでは、私の方からは、学校経営支援センターの関係についてお尋ねをさせていただきたいと思います。
 都教委は、自律的な学校経営を進めるために、自律経営推進予算の創設をされてまいりました。そしてまた、基準はあるものの、特異なときの人事異動だとか、校長の裁量の権限を拡大するなど、改革を進めてきたわけでありますけれども、特に、昨年の四月には、学校経営支援センター、これは都内に六カ所開設をいたしました。
 開設当初は、一部では、学校に対する管理強化につながっていくのではないか、そんな声もあったように伺っているわけでありますけれども、今日までの一年半が経過する中で、学校の身近な地域に設置されたことによって、校長のリーダーシップを実現できるよう、学校の実態に応じた機動的できめ細やかな支援をしている、こういうふうにお聞きをしているところでもあります。
 学校経営支援センターが学校に対して行った支援、こういったものの中にはどんなものがあるのか。そしてまた、学校側から見た、こういった支援というものに対して、どんなような評価があったのか、成果もあわせて伺いたいと思います。

○森口参事 学校経営支援センターの学校に対する支援としては、先ほど、人事等ございますが、教育課程に関する教育活動支援、全般的な学校経営に関する、三つの視点で、月一回訪れて、その都度、意見交換なり、実態を把握し、必要な支援を行っているところでございます。
 成果についてでございますが、十九年二月に、都立学校長を対象といたしました、この業務に関するアンケート結果というのがございまして、この中で、学校の実態や課題を踏まえた的確な助言や支援を受けられたこと、教育課程の編成や授業改善、生活指導、人事異動など、さまざまな問い合わせや相談などにきめ細かく対応してもらえたこと、また、教員の服務事故や生徒の事件、事故などの緊急時にも適切に相談してもらえたことなど、学校支援業務に関し良好な評価を得ております。
 その中でも特に人事異動につきましては、きめ細かく聞き取りや意見交換を行っており、校長の人事構想が実現しやすくなり、質的にも向上したという高い評価をいただいております。

○吉原委員 先ほど古館委員のほうからも、この経営支援センターの契約について幾つか質問があったように思いますけれども、今までは、都立学校、約二百六十校あるわけでありますけれども、どこの学校でも同じような契約をそれぞれで行っていたわけでありますけれども、今回のようなセンターに集約して、事務の軽減化あるいは効率化をしてきたわけでありまして、事務を校長の学校経営を支える経営企画型に機能強化したことは、昭和二十三年に新制高等学校になってから約六十年間続いてきたものを大きく転換するわけでありまして、全国でも初の取り組みだということでありますから、昨年四月の移行当初は、さまざまなご意見もあった中で、多少の混乱はあったんだろうとは思います。
 その都度、改善して、努力してきている、こういう答弁も先ほどあったわけでありますけれども、そこで、センターは、従来の学校契約をどのように改善してこられたのか。そして、成果についても伺います。

○森口参事 学校経営支援センターにおきましては、過去の契約実績金額や市場調査などにより詳細な分析を行い、予定価格を落札可能な価格に精査するとともに、各学校の物品等を集約し一括発注によるスケールメリット、学校の立地を考慮した地域ブロックごとの分割発注による配送料の節減、新規加入業者の開拓による競争性の向上などの工夫、改善により、従来の学校契約に比べ落札率が平均一割から二割程度低下し、学校予算の節減、有効活用を図ることができました。

○吉原委員 当初の、きめ細かい機動的な支援を行う、こういう目的はある程度達成されてきたのではないかなというふうに私自身は理解をしているわけでありますけれども、しかしながら、まだ一年半しかたっていないわけでありまして、まだまだ課題があるのではないかと思いますけれども、特に、これまで本庁各部でそれぞれ行っていた学校への支援を、身近な学校支援センターで総合的に行う、そういう観点から、その課題と対応について伺います。

○森口参事 都教育委員会は、本庁業務の権限の一部を学校の身近な地域にある学校経営支援センターに移譲し、学校の実情に応じた効果的な支援を行うこととしています。しかし、本庁各部との間で権限や職務分担において整理されていないものもあり、課題解決に時間を要することもございました。このため、学校経営支援センターが迅速に支援できるよう、本庁及びセンター間での定期的な意思疎通を十分に図りつつ、今後とも可能な限り本庁から権限を移譲するとともに、本庁との役割分担や連携のもと、一層の学校支援に努めてまいります。

○吉原委員 課題もあるようでありますけれども、校長がリーダーシップを発揮して、より自律的な学校経営ができるように、管理業務を含めて学校経営支援センターが支援を行っているということについては理解できるところであります。
 学校経営支援センターが、学校支援で独自の取り組みを行っている例もあるようであります。例えば、私の地元である町田市でも、町田市を管轄する西部学校経営支援センターでは、農業高校や工業高校も当然あるわけでありますけれども、生徒が生産したもの、あるいは、つくったものを販売するというようなフリーマーケットもあるわけでありまして、そういった活動発表会が行われているわけであります。ほかにも各学校のセンターで、独自の発想を持ったり、あるいは、アイデアを出し合ったりして、新たに行っているような支援のための事業というものがあるんだろうと思いますけれども、そういうものがありましたらお教えいただきたいと思います。

○森口参事 学校経営支援センターで実施している独自の事業といたしましては、今お話のありましたフリーマーケットや教育活動発表会のほか、学校の特色ある活動や取り組みを情報発信するセンター便りの発行、専門家によるマネジメントやPR活動に関する講演会、主幹などの中堅教員を対象とした実務能力の向上を図る連絡会や研修会などを実施しております。
 これらの事業につきましては、学校経営支援センターが学校訪問を通じて得た情報や学校からの要望をもとに、学校経営や教育活動支援のため、新たに企画し、実施したものでございます。また、実施に当たっては、センターが中心となり、学校と十分連絡をとりながら、相互に協力しながら、毎回工夫を重ねているところでございます。

○吉原委員 この経営支援センターが発足するまでは、本庁が学校現場に足を運んで要望や相談を受ける機会、これは人員的な人数の関係もあったと思いますけれども、余りなかったのではないかというふうに思っているところでありましたけれども、このセンターが開設されて以来、現場の声をよく聞いていただいて、そしてまた、具体的な支援のための事業を短期間で行ってきたのではないかな、そういう意味では評価をしているところでもございます。
 今までさまざまなご答弁をいただきました。このお話の中で、同センターが今まで、当時もそうでありますけれども、今も若干そういうふうに思われている方々もいらっしゃるのではないかなと思いますが、学校に対する管理強化やあるいは統制を行う監視センター、あるいは管理センターではない、こういうことはいえるのではないかなというふうに思っているところでもございます。
 しかし、学校経営支援センター発足後一年半ということでありますから、先ほどのように、まだまだ課題はあるようであります。日々改善に努めていただいて、都民から信頼される自律的な学校経営をしっかりつくっていっていただきたいと思いますし、常に生徒や保護者の目線で積極的に学校への支援を行っていただきたいというふうに思います。これからも努力されるよう、期待もしているところでもございます。
 また、学校も、校内ですべて解決する、こういうことはなかなか難しいわけでありますから、今回のようなセンターに集まる最新情報や、蓄積されているノウハウというものを積極的に活用していただいて、さまざまな課題をできるだけ早く解決できるように、教育上の質的な向上にも努めていただきたいと思います。
 最後に、学校と学校支援センターとが、ともにいい連携を組んでいただいて、都立学校の改革を推進していっていただきたいと思いますし、そのことが東京における教育が一層充実発展することにつながっていくんだろうと思いますので、どうぞよろしくお願いをいたします。
 以上で終わります。

○西岡委員 小中高校生の防災訓練及び災害時のボランティア活動について伺ってまいりたいと思います。
 児童生徒が災害の恐ろしさというものをよく理解して、自分の命を守るすべを学ぶことは極めて重大なことはいうまでもありません。そのため、各学校ではかなり頻繁に防災訓練が実施をされていることは十分承知をしているところであります。また、耐震化など、いわゆるハード面で子どもたちを守る、そして避難所となる学校施設が、今、日々構築されていることも十分承知をしているところであります。
 きょうの視点は、それだけではなくて、さらに、他人の命を守ることや、積極的に児童生徒が災害時の救急・救命活動、実際に災害が起きたときの避難所でのボランティア活動などに従事することを学ぶことも極めて重要だというふうに思っております。自他の命を守るということであります。
 私は常々、体力的にも、十五歳以上、中学三年生程度ならば率先して人助けの側に立って災害時のボランティア活動に積極的に従事していける取り組みを展開すべきだと考えてきました。事実、私の地元は小金井ですけれども、小金井の消防団関係、消防署関係、あるいは自主防災関係、町会の方々、いろんな方々といろんな意見交換をするときに、皆様、同じような意見を持っているんですね。つまり、子どもたちは常に学校にいるわけですから、いざ災害が起きたときに、自分たちの家は守った、何とか助かった、家族の無事も確認できた。でも、現場は大変な状態になっているわけです。そのときに子どもたちの存在も非常に大きいわけですね。
 そういう意味で、私も常々思っているんですが、具体的な施策としては、まだ十分進展していないように感じております。自分以外への積極的な災害救援活動への学びや具体的な活動が不十分だというふうに思っております。各学校が取り組んでいる防災訓練とともに、災害時のボランティア活動を学び、成長していくことが大変理想的だろうと思っています。いざ災害が起きたときには、自分の命を守り、家族の安否を確認し、その後は自分が住んでいる地域や避難所において、年齢や体力に応じたボランティア活動に従事することができれば、これは防災面からも大変に大きな力となります。
 我が国は地震列島であります。東京は、いつ大地震が起きてもおかしくない状況であります。災害ボランティアに従事すること、また、このことを学ぶということは、教育的観点に立っても、今の子どもたちの、社会に不足しているとよく指摘される公共的精神を養っていく最善の道だろうというふうにも考えております。
 決算年度であります平成十八年度は、安全教育プログラムの開発が始まった年ですね。このプログラムは、生活の安全、交通の安全、災害の安全、この三分野を統合した総合的な安全教育プログラムの開発が始まって、平成十九年の三月、十八年度末には、都内公立学校全教職員にリーフレットが配布されていると思います。この取り組みは、安全マップなども含まれておりますけれども、大変意義のある取り組みだというふうに思っているところであります。決算年度であります平成十八年度までの東京都の公立学校での防災訓練、災害ボランティア訓練の現状を質問して、今後の施策の展開を求めていきたいと思います。
 まず最初に、文部科学省は、こうした子どもたちの防災ボランティア活動についてどのような見解を示しているのか、伺っておきたいと思います。

○岩佐指導部長 児童生徒の災害時におけるボランティア活動への参加につきましては、学校における安全教育に位置づけられております。文部科学省は、児童生徒が自他の生命を尊重し、安全で安心な社会づくりの重要性を認識して、学校、家庭及び地域社会の安全活動に進んで参加し、貢献できるようにすることを、安全教育の目標の一つとしているところでございます。

○西岡委員 文部科学省の方針は、災害時のボランティア活動というものは安全教育に位置づけられていて、これは目標とされているということが確認できたわけです。
 では、そうした国の考え方を受けて、東京都の教育委員会は、この子どもたちの防災ボランティア活動のあり方についてどのように考えているか、伺っておきたいと思います。

○岩佐指導部長 都教育委員会では、各学校において児童生徒の発達段階に応じて、地域における災害時の応急活動に進んで協力する態度の育成に努めていくことが重要であると考えております。

○西岡委員 進んで協力する態度の育成に努めることが重要であるというふうに考えているわけですね。
 それでは、具体的に、都内の公立小学校、中学校、高等学校では、災害時のボランティアについてどのように指導が行われているのか。また、東京都教育委員会はどのような支援を行っているのか、具体的に伺っておきたいと思います。

○岩佐指導部長 学校教育においては、小学校高学年の段階から、災害発生時に自分たちができることを具体的に考えさせる指導を行っております。都教育委員会は、副読本「地震と安全」を各校種別に配布いたしまして、その中で、避難所での物品配布の手伝いや清掃活動など、児童生徒が実際に行ったボランティア活動を紹介し、子どもたちの学習活動を支援しております。

○西岡委員 学校の現場では考えさせる指導を行って、東京都教育委員会では副読本などで紹介しているということであります。私も副読本など、その大半を全部読ませていただきました。災害時のボランティアについては、何ができるかを考えさせることは大切なんですけれども、実際にボランティア活動を想定した訓練を行わないと、十分な学習にはならないと思うんです。これは大人も同様ですよね。私も、普通救命救急、上級救命救急、やっています。毎年やっているんですけど、一年あくと、大人ですら、忘れがちです。防災訓練だって、忘れてしまわないように、毎年毎年、毎月毎月、学校においてたくさんやっているわけですので、副読本で紹介したり、考えさせる指導はもちろん大事なんですけれども、実際の訓練をしないと、これはなかなか身につかないなと思うんですね。
 そうした実践的訓練というのは、平成十八年度、どのように行われていたのか、お伺いします。

○岩佐指導部長 都立高校の例でございますが、自校が帰宅支援ステーションに指定されていることから、ホームルーム活動として、学年の全生徒が避難所設営訓練を実施しております。その学校では、ブルーシートを活用した避難者を受け入れる仮設休憩所の設営や、段差を埋めるための土のうづくり、テープで避難エリアを明示するなどの訓練を実施いたしました。このような訓練を実施した学校からは、高校生にとってこうした体験は大変有効であるという声がございました。

○西岡委員 何校か取り組んでいる学校があるということはわかりましたし、幾つかの資料も見せていただきました。しかし、現時点では推進校があるという状況なので、全体としての取り組みとしてはまだまだかなというふうに思わざるを得ないですね。工夫次第では、もっと多くの学校が取り組めるのではないのかなというふうに考える次第です。
 例えば、消防署では少年少女消防団なんかが設置されていまして、実際にボランティア活動を体験する機会もあります。また、地域主催の防災訓練もあって、子どもたちは個別にこうした訓練には参加している人も、中にはいますね。小中学生の場合は、地域のこうした取り組みに参加することによって、実践的な訓練の機会となります。
 公立小中学校では、地域の防災訓練へ、平成十八年度にどのように参加したのか、実績について伺っておきたいと思います。

○岩佐指導部長 中学校の例でございますが、土曜日に中学校を会場として地域の防災訓練が実施された際に、学年の生徒全員がその訓練に参加いたしました。生徒は幾つかの班に分かれまして、それぞれ地域の人々とともに初期消火訓練や炊き出し訓練、応急手当て訓練などにも取り組みました。このように地域の防災訓練に参加している学校からは、学校だけではできないさまざまな体験をさせることができたという声がございました。

○西岡委員 頑張っている学校があるということがわかりましたし、実際、参加した方々から、そういう大変前向きな有意義な声が評価として上がっているということは大変重要なことだと思っております。
 私も、ことしの九月一日の防災の日に、昭島市で開催された東京都の総合防災訓練で、昭島会場に参加をした際に、えっと思ったんですね。ジャージを着た何十人もの、何百人でしょうか、高校生集団が、東京都主催の防災訓練に参加して、率先していろんなことをやっておりまして、目を奪われまして、どんな活動をしているのかなと思って見せていただきました。ひときわ目立っておりましたね。大変すばらしいことだなと思ったんです。
 このような災害時のボランティア活動に参加することは、人間的な成長にもつながるはずだと思っております。東京都教育委員会として、こうした災害時のボランティア訓練の実践をもっと広めていく必要があるというふうに思いますけれども、いかがでしょうか。

○岩佐指導部長 災害時のボランティア活動は、奉仕の精神を学ぶよい機会になることから、都立高校で本年度必修化された教科「奉仕」の内容として、避難所設営訓練や避難誘導訓練などを位置づけた学校もございます。
 また、お話にありました総合防災訓練に昨年参加した都立高校が、本年度は学校独自に災害時を想定したボランティア活動の訓練を実施している事例もございます。
 こうした実践事例を、生徒の体験発表会やリーフレットなどにより各校に紹介するなどしてまいりたいと思います。

○西岡委員 紹介していくということですけれども、それ以上に施策としてぜひ広めていただきたいというふうに願っております。
 子どもたちの災害時のボランティア訓練を充実させるためには、専門機関である東京消防庁とより一層の連携をした方がいいのかなと。東京消防庁と連携した取り組みを行っていく必要があるのかなというふうに思っていますけれども、ご見解はいかがでしょうか。

○岩佐指導部長 都教育委員会は、本年度より、東京消防庁が実施しております小中学生への防火・防災教育のモデル事業を活用いたしまして、消火、救出、応急手当て等にかかわる知識の習得や、訓練を体験する機会の拡充を図っております。今後とも東京消防庁と一層連携を深めながら、児童生徒が災害時のボランティア活動に積極的に参加する態度を育成してまいりたいと思います。

○西岡委員 最後にご意見を申し上げたいと思いますが、ぜひ今のご答弁にありました東京消防庁との連携を積極的に推進をしていただきたいというふうに思います。
 今回私が申し上げたいことは、単に児童生徒が実際の災害が起きたときにボランティアとして救護活動の手助けをすることにとどまるものではありません。避難所では、例えば小学校の低学年の子どもでも、自分より年下の子どもの遊び相手になってあげることもできるでしょう。あるいは、もう少し上の学年になれば、食べ物や水を運ぶとか、大人の手伝いも率先してできるんだと思うんですね。高校生ともなれば、倒壊家屋の片づけの手伝いなど、大人顔負けの行動ができるようになると思うんですね。十五歳以上でしたら、大人と同等、場合によっては大人以上の活躍ができると思いますし、中学三年生ぐらいでしたら、消火器やAEDに関しては、使い方について人に指導ができるぐらい、全生徒が覚えておく必要があるんじゃないか、こんなふうに思っているわけですね。
 つまり、その年齢に応じて社会に貢献できるのであるというふうに思います。このことは子どもたちに、自分は社会の一員なんだという自覚を持たせることにもつながります。次代を担う子どもたちが、よりよい社会を実現できるように育ってほしいと願っておりまして、人が生きていく上で、自分のためだけではなくて、やっぱり他者のために何かを行って、そのことに喜びを感じることは極めて重要であります。今、この精神が求められているんだと思いますね。
 ありがとうという言葉は、他者から認められ、他者の役に立ったことを実感させ、そのことが子どもを大変大きく成長させていくんだと思います。今後も東京都教育委員会が、あらゆる教育活動を通じて、児童生徒が社会に役立つ喜びなど多くのことを体験的に学んでいく取り組みを重視していくよう強く要望いたしまして、質問を終わります。どうぞよろしくお願いいたします。

○小磯委員 部活動の活性化対策についてお伺いをいたします。
 部活動をやりたくても、自分の希望するクラブがない、あるいは顧問の教員がいないために部活動ができない、そういう声があったわけでございますが、教育庁はこうした声に対応していただいて、この数年、さまざまな改革をされたわけでございます。私も、この約五年間、部活動活性化について何回質問したかわからないぐらい質問してまいりました。
 東京都は、東京都立学校の管理運営に関する規則の一部改正されました。基本問題検討委員会等、いろいろと検討をしていただいて、平成十八年の八月七日に規則の改正に至ったわけでございます。その規則の内容は、とにかく部活動について明確な根拠規定がなく、あいまいなとらえ方がされていたわけでございますが、この規則改正できちっと位置づけをしたわけでございます。
 一つ目は、学校は教育活動の一環として部活動を設置、運営するものであることを規則に定める。教育活動の一環であると。二点目は、校長が、学校の先生だけじゃなく、従来の顧問であります教員に加えまして、養護教諭、実習助手、寄宿舎指導員、再任用職員、嘱託員にもそういうことをさせることができる。三点目は、校長は、所属職員以外の者に部活動の指導業務を委嘱することができる。学校外の人にも委嘱することができる。四点目は、学校外の施設を活動の拠点とする部活動を設置できる。このような改定をしたわけでございます。
 今まで顧問の属人的な部活動から、まさに組織的、計画的な学校の教育活動としての部活に基軸を移すことができた、そういうふうに私もとらえております。また、顧問ハンドブックなどもつくられて、ここ数年、本当に改革が進んだと高く評価をする次第でございます。
 先ほども、自律経営推進予算のことのお話がございました。そういう自律経営推進予算の中で、学校は部活動に関連する予算をどのように編成をしているのか、まずお伺いをしたいと思います。

○新井学務部長 自律経営推進予算でございますけれども、都立学校が自律的に特色ある教育活動を展開することができるように、校長裁量による予算編成を可能にした予算の仕組みでございます。
 部活動経費につきましても、この自律経営推進予算の対象範囲とされておりまして、教育委員会から示された教科等に関する予算の提示額と合わせました範囲で、学校独自の予算編成が可能となっております。各学校におきましては、部活動の特色化に対応できるよう、予算の編成を行っているところでございます。

○小磯委員 先ほど申し上げましたように、制度としてはかなり整備をされてきた。やはり、あとは学校の現場の部活動において、どれだけ予算が配分されるかというのが現実問題じゃないかなというふうに思っております。
 そういう中で、都教育委員会として、部活動の振興のために予算を重点的に配付している、その事業内容についてお伺いをしたいと思います。

○岩佐指導部長 都教育委員会では、都立高校の部活動の活性化を図るため、学校の申請に基づいて重点的に予算を配付しております。
 まず、地域の外部指導員の積極的な導入を促進するため、伝統文化やスポーツ等、それぞれの専門分野の指導者を活用する、青少年を育てる課外活動支援事業を行っております。
 また、部活動推進のパイロット的な役割を果たすため、三十校の部活動推進指定校に対しまして重点的に予算を配付し、部活動推進の先導的取り組みの充実を支援しているところでございます。
 さらに、部活動の取り組みにより特色ある学校づくりを進める学校に対しまして、取り組み状況や推進計画に基づき、消耗品や施設使用料などの予算を重点的に配付し、部活動の振興を図っております。

○小磯委員 ぜひともこの予算の配分については、これからもよろしくお願いをしたいと思います。
 また、顧問については、先ほど申し上げましたように、いろんな方に委嘱することができる道がきちっとなったわけでございますけれども、平成十八年の三月三十一日に、学校職員の勤務時間、休日、休暇等に関する条例を一部改正して、週休日の半日勤務の割り振り変更ができるようにし、さらに、八月一日からは、週休日の変更を行うことのできる職務に部活動指導を加えるなど、都費負担教職員の部活動指導に係る勤務について、条例上も明確にしてきたということでございますが、この部活動の指導に携わる顧問教諭の部活動手当の額について、いろいろと実際問題、要望が来ているのも事実でございます。
 その部活動手当の増額を図る必要があると私は思うわけでございますが、その見解をお伺いしたいと思います。

○松田人事部長 土曜日、日曜日の部活動の指導業務につきまして、顧問教諭等にかかる負担が大きいこと、勤務時間の振りかえが困難である場合があることなどの課題があると認識をしております。このため、部活動指導に係る手当につきまして、従前から国に準拠し、千二百円であったものを、都独自に見直しまして、ことしの四月から千六百円に増額をしたところでございます。
 また、現在国において、教職員の給与のあり方につきまして、部活動手当の増額を含め、検討が進められておりまして、これらの動向も踏まえて、今後、都として、部活動指導に係る業務などに対する教員の処遇についても検討をしてまいります。

○小磯委員 ぜひとも積極的な検討をよろしくお願いいたします。今後の国体、そしてまた、二〇一六年のオリンピックを招致する、そういうことを念頭に置いても、部活動活性化は大変重要なテーマである、このように思うわけでございます。一層の予算面での支援を要望して、私の質問を終わります。

○大塚委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○大塚委員長 異議なしと認め、本件に対する質疑は終了いたしました。
 以上で教育庁関係を終わります。
 以上をもちまして第二分科会における決算の審査は終了いたしました。
 なお、本分科会の審査報告書につきましては、分科会委員長において取りまとめの上、委員会委員長に提出いたしますので、ご了承願います。
 これをもちまして第二分科会を閉会いたします。
   午後三時十八分散会

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