各会計決算特別委員会第二分科会速記録第四号

平成十九年十月二十四日(水曜日)
第十委員会室
   午後一時開議
 出席委員 十名
委員長大塚たかあき君
副委員長山田 忠昭君
副委員長古館 和憲君
西崎 光子君
西岡真一郎君
中山 信行君
吉原  修君
今村 るか君
小磯 善彦君
三原まさつぐ君

 欠席委員 なし

 出席説明員
生活文化スポーツ局局長渡辺日佐夫君
次長三橋  昇君
総務部長高西 新子君
広報広聴部長和田 正幸君
都民生活部長小笠原広樹君
消費生活部長宮川 雄司君
私学部長小濱 哲二君
文化振興部長杉谷 正則君
文化施設改革担当部長並木 一夫君
スポーツ振興部長細井  優君
参事萩原まき子君
参事平林 宣広君
参事池田 俊明君
参事高原 俊幸君

本日の会議に付した事件
 平成十八年度東京都各会計歳入歳出決算の認定について
生活文化スポーツ局関係
・平成十八年度東京都一般会計決算(質疑)

○大塚委員長 ただいまから平成十八年度各会計決算特別委員会第二分科会を開会いたします。
 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、生活文化スポーツ局関係の決算に対する質疑を行います。
 これより生活文化スポーツ局関係に入ります。
 決算の審査を行います。
 平成十八年度東京都一般会計決算中、生活文化スポーツ局所管分を議題といたします。
 本件につきましては、既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○高西総務部長 去る十月十二日の当分科会において要求のありました資料についてご説明申し上げます。
 お手元に配布の平成十八年度各会計決算特別委員会第二分科会要求資料の表紙をおめくり願います。目次に記載のとおり、1、東京ウィメンズプラザの相談件数の推移外八件の資料を記載しております。
 それでは、一ページをお開き願います。1、東京ウィメンズプラザの相談件数の推移でございます。
 平成十四年度から平成十八年度までの過去五年間について、一般相談及び特別相談の区分ごとに、ウィメンズプラザに寄せられた相談件数を記載しております。
 二ページをお開きください。2、東京ウィメンズプラザ図書資料室における図書購入費の決算の推移でございます。
 平成十四年度から平成十八年度までの過去五年間について、ウィメンズプラザにおける図書購入に係る決算額の推移を記載しております。
 三ページをお開き願います。3、消費生活相談件数の推移及び特徴でございます。
 平成十四年度から平成十八年度までの過去五年間について、東京都消費生活総合センター及び各区市町村に寄せられた相談件数の推移並びに各年度において顕著に増加した相談事項をそれぞれ記載しております。
 四ページをお開き願います。4、都立文化施設等に係る予算及び決算の推移でございます。
 表の左側に記載の施設別に、平成十五年度から平成十九年度までの予算額及び決算額を記載しております。
 五ページをお開き願います。5、文化振興施策に係る予算及び決算の推移でございます。
 表の左側に記載の区分ごとに、平成十五年度から平成十九年度までの予算額及び決算額を、また、備考欄には当該事業区分に係る主な事業等をそれぞれ記載しております。
 六ページをお開き願います。6、都立文化施設等の職種別職員数の推移でございます。
 表の左側に記載の施設別に、平成十五年度から平成十九年度までのそれぞれ四月一日時点における施設別職員数について、雇用形態別及び職種別に区分して記載しております。
 七ページをお開き願います。7、都民芸術フェスティバル、フレッシュ名曲コンサート、音楽鑑賞教室、子ども向け舞台芸術参加・体験プログラム、及びシルバーエージ芸術鑑賞補助事業の予算及び決算の推移でございます。
 表の左側に記載の事業ごとに、平成十五年度から平成十九年度までの予算額及び決算額を記載しております。
 八ページをお開き願います。8、私立学校の耐震化の状況でございます。
 平成十九年四月一日現在の都内私立学校各施設の耐震化の状況を、それぞれ表の左側に区分した学種ごとに記載しております。
 九ページをお開き願います。9、私立学校経常費補助決算の推移でございます。
 平成九年度から平成十八年度までの過去十年間について、経常費補助決算の推移を表の左側の区分ごとに記載しております。
 以上、簡単ではございますが、要求資料の説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○大塚委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めて、これより本件に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○山田委員 私は、文化施策に関連して幾つかお尋ねをいたしたいと思います。
 まず、都立文化施設の指定管理者についてお尋ねをいたします。
 都立文化施設は、平成十八年四月から指定管理者制度を導入しております。東京都は、制度導入前から管理運営を行ってきました東京都歴史文化財団を、特命により文化施設の指定管理者として選定をいたしました。東京都歴史文化財団は、制度導入以前から民間のすぐれた経営者を館長に迎えまして、経営面や事業運営面等、多面的に施設の改革を推進してまいりました。運営やサービスの改善が継続的に行われていると伺っております。
 東京都歴史文化財団は、十八年度からは新たに指定管理者という立場で運営に当たることになったわけでありますけれども、指定管理者制度導入後に新たに実施いたしました取り組みはあるかどうか、まずお伺いいたしたいと思います。

○並木文化施設改革担当部長 指定管理者制度導入後の新たな取り組みについてでございますけれども、副委員長ご指摘のとおり、東京都歴史文化財団は、指定管理者制度導入以前から継続的に運営改善に努めてきたところでございます。
 また、制度導入を機に、一部の施設で行っていました事業評価と業務改善の仕組みを全施設へ拡大するとともに、現代美術館ではお正月開館、東京芸術劇場のシアターオペラ、それから東京文化会館の東京音楽コンクールのオーケストラ伴奏などの取り組みを開始いたしまして、事業の充実と都民サービスの向上を図っているところでございます。

○山田委員 指定管理者制度導入後も、東京都歴史文化財団がさまざまな取り組みにより文化施設の魅力向上に努めているということがわかりました。
 それでは、具体的な実績等はどうだったのでしょうか。まず、各施設の十八年度の実績についてお聞きしたいと思います。次に、先月、指定管理者制度が導入されました東京都の各施設につきまして、十八年度の評価の結果が公表されましたけれども、あわせて、文化施設につきましてどのような観点から評価が行われたのか、お尋ねいたしたいと思います。

○並木文化施設改革担当部長 まず、十八年度の実績でございますけれども、江戸東京博物館が二百七万人、写真美術館が四十四万人など、六施設合計で約七百十九万人の入館者がございました。これは、前年度に比べますと約百七万人の増加でございます。
 また、指定管理者の管理運営業務の評価でございますが、入館者数や施設の稼働率などの数値目標及び各施設の設置目的を踏まえて指定された質的な目標を達成しているか否か、施設の安全性、快適性の確保、それから施設設備の維持管理の修繕、事故発生時の対処など、業務が適切に行われているか否かの観点から評価を実施いたしました。
 具体的には、外部委員を含む委員会を設置いたしまして、事業計画書に基づいて設定いたしました評価項目につきまして、事業報告書や利用者のアンケート、実地調査などで評価を行ってまいりました。

○山田委員 十八年度の入館者数は前年度に比べまして百万人以上増加したということで、大変すばらしい実績であったのではないかと思いますが、念のためにお伺いいたしますけれども、平成十八年度の各施設の評価結果はどうだったのでしょうか。お聞かせください。

○並木文化施設改革担当部長 十八年度の評価結果でございますけれども、六つの施設すべて、おおむね適切な状況でございました。
 江戸東京博物館を例として挙げますと、特に評価すべき点として、職員が講師となり、研究成果や収蔵資料などを活用して行うカルチャー講座、えどはくカルチャーなどのニーズに合った実施をした教育プログラムの実施、また、平成十八年度が第一回となりました江戸文化歴史検定など、幅広い活動にさまざまな主体と連携して積極的に取り組んだこと、さらに、たてもの園ではカヤぶき屋根の復元やお正月飾りつくりなどの昔の情景の再現等におけるボランティアとの協働活動などが挙げられております。また、改善が望まれる点といたしましては、たてもの園の入場者数、これを確保する、こういったものが挙げられてございます。

○山田委員 平成十八年度につきましては、今ご答弁がありましたけれども、一部改善が望まれる点というのもありましたが、各施設ともおおむね適切な運営がなされていたことがわかりました。各施設とも、評価の結果を踏まえ、さらに充実した運営がなされるようにご尽力をいただきたいと思います。
 また、先ほどのご答弁にありましたとおり、都立文化施設は利用者も大変多く、日本を代表する文化施設であるといっても過言ではないと思っております。都立文化施設の運営に関しましては、指定管理者の努力により改善することができることもございますけれども、都としても整備すべきことも多々あろうかと思います。今後も都は、設置者として、都立文化施設の管理運営が東京都の文化施策に沿って適切に行われるよう指導監督を行うとともに、運営基盤の充実に努めていただくよう要望いたしたいと思います。
 それでは次に、東京芸術文化評議会についてお伺いをいたします。
 東京は、日本の首都であるだけでなく、政治、経済、文化の面でも国際的に注目される大都市であります。しかし、経済社会構造の変化、あるいは変革を促す多様な潮流の中で、世界都市としての東京の地位の低下が懸念をされているところでもあります。グローバル化が進みまして、世界規模で展開をされます都市間競争の中で、引き続き東京が魅力と活力ある都市であるためには、創造性あふれる都市であることが重要であると思っております。
 東京都は、平成十八年の五月に東京都文化振興指針を策定し、おおむね十年間を展望いたしました都の文化振興のあり方や方向性を示したところであります。その取り組みの一つであります文化政策を推進する新たな取り組みといたしまして、昨年度は東京芸術文化評議会が設置されましたが、改めて評議会の設置の目的と知事の諮問内容についてお伺いをいたします。

○杉谷文化振興部長 まず芸術文化評議会の設置の目的でございますが、東京が今後先進的な文化政策を展開するためには、文化振興の事業や施策を総合的かつ効果的に推進していく必要がございます。そこで、専門的な見地から調査、審議をするため、知事の附属機関として東京芸術文化評議会を設置したところでございます。蜷川幸雄さんや三宅一生さんなど、我が国が世界に誇る第一人者の方十名に評議員にご就任をいただき、今後の東京都の文化政策についてご検討をいただいているところでございます。
 次に、知事の諮問内容でございますが、四点ございまして、まず、すぐれた文化事業や国際文化交流などの世界文化都市東京を実現するための文化戦略、次に芸術文化活動に対する支援のあり方、それから都立の文化施設のあり方、そして最後に、平成二十年度にIOCに提出いたしますオリンピック文化プログラムについての、以上四つの事項についてでございます。

○山田委員 東京にはすぐれた文化施設や文化を創造する人材など、芸術文化を支える資源が集積をしております。また、能とか落語など、伝統に根差した独自の文化が存在するとともに、デザイン、ファッションなどの新しい文化が開花をし、ジャパン・クールとして世界の注目を集めております。これらを生かし、継承発展させることが、多くの人々を引きつけ、国際的な発信力を高めることにつながっていくものと思います。
 そこで、平成十九年の三月に第一回、平成十九年八月に第二回の東京芸術文化評議会が開催されたと伺っておりますが、このような観点から、評議会ではどのような議論が行われたのでしょうか。また、具体的な事業などの提案があったのか、お伺いをいたしたいと思います。

○杉谷文化振興部長 芸術文化評議会では、東京が活力ある都市として持続的に発展するために、活発な意見交換が行われております。演劇、音楽、美術、伝統文化などの視点から、パリ、ロンドン等世界の主要都市と競い合える国際的な文化プロジェクトの実施や、芸術文化を通じた子どもたちの育成などについて提案がなされ、そのほかにも芸術文化活動に対する支援などに関する議論が行われております。
 諮問事項であります世界文化都市東京を実現するための文化戦略につきましては、具体的に、国際舞台芸術フェスティバルとか共通テーマによる音楽祭、六本木地区を中心としましたアートイベントといった国際的な文化プロジェクトの具体的な提案がございました。また、芸術文化を通じた子どもたちの育成に関しましても、本物の伝統文化に触れる子ども向けプログラムを充実させるような具体的なご提案がございました。

○山田委員 世界文化都市を目指して国内外にアピールすることは大変価値のあることでありまして、東京が世界都市としての位置を高めるためにも、ぜひこの文化戦略を早期に実現してほしいと思います。
 現在東京都は、二〇一六年の東京オリンピック開催に向けてさまざまな招致への取り組みを行われているところでありまして、そのために、東京が魅力的な都市であることを世界にアピールするとともに、都民と一体となって招致の機運を高めていくことが重要であると思います。
 先般の定例会におきまして、知事は所信表明において、国民的なオリンピック招致機運の醸成に向け--オリンピックでは、競技とあわせて文化や芸術を通じた国際交流も重要なテーマとなります、豊穣な歴史を持つ東京ならではの芸術と文化を世界に向けて発信し、招致への機運を高めるということを発言いたしております。
 先ほどの答弁にありましたが、舞台芸術フェスティバルやアートイベント、あるいは文化フェスティバルなど、世界文化都市東京を実現するための国際的な文化プロジェクトは、都民のオリンピック招致機運を盛り上げるためにも有効であると考えられますけれども、見解を伺いたいと思います。

○杉谷文化振興部長 オリンピック招致の機運を盛り上げていくためには、あらゆる機会をとらえ、さまざまな媒体を活用し、オリンピックのすばらしさや夢を都民に伝えていくことが必要でございまして、副委員長ご指摘のとおり、文化プロジェクトの機会をとらえて都民にアピールすることは非常に効果が高いと考えております。
 そのため、例えば舞台芸術フェスティバルでは東京芸術劇場や周辺の公共スペースを活用したり、アートイベントでは六本木地区の美術館が持つ公共空間を活用するなど、多くの都民にアピールできるよう工夫するとともに、多数の都民が参加できる文化事業等を実施したいと考えております。また、これらの事業を含めた今後の芸術文化施策の展開におきましては、メディアや招致キャンペーンなどとの連携を図り、招致機運をさらに盛り上げていきたいと考えております。

○山田委員 オリンピックの招致機運につきましては、先般十月の二十一日に、私どもオリンピック招致議員連盟といたしまして、職員の皆様と一緒に、都内の八会場で街頭署名活動を行いました。四十七名の議員の皆さんも参加をされましたけれども、署名数が一万八百八十六名ということでございまして、私どももオリンピック招致のための運動をともに頑張っていきたい、そのように思っているところであります。
 国民の招致機運を盛り上げまして、東京オリンピックの開催を実現するためには、より高いレベルで世界に東京の存在感を示していかなければならないと思いますし、殊に文化の面におきましては、東京の大きな潜在能力を生かして文化的魅力を高めていくことが大変重要であると考えております。そのためにも、昨年の十二月に策定されました「十年後の東京」を着実に実行し、東京の先進的な取り組みを世界の諸都市に発信していくためにも、ぜひそのように努力をしていただきたいと思います。
 そこで、「十年後の東京」の実現に向けた文化政策を進めていくに当たり、今後どのように取り組んでいくつもりか、局長の決意をお伺いいたしたいと思います。

○渡辺生活文化スポーツ局長 東京は、パリ、ロンドン、ニューヨークなど海外の大都市と比較いたしましても遜色のない歴史と伝統文化を持っておりまして、また、文化面での潜在力は世界の中でもトップクラスであると考えております。
 世界に向けた文化的な発信力をより一層強化するには、都市の魅力を高めるための取り組みを戦略的に実施していく必要があると考えております。「十年後の東京」の実現に向けて、東京ならではの芸術文化を創造、発信できる環境を整備するとともに、さらに高いレベルでの成熟した文化都市を目指し、施策や事業を展開いたしまして、世界における文化面での東京のプレゼンスを確立するために、芸術文化評議会からのご提案を尊重し、積極的に取り組んでまいりたいと存じます。

○山田委員 意見を申し上げたいと思いますが、今局長の決意にもあったとおり、「十年後の東京」の実現に向けて、創造的な文化を生み出すとともに、魅力的な文化を世界に発信し、東京がアジアの文化の中心地となるべく邁進していただきたいと思います。そして、都民自身が東京の文化的豊かさを誇れる都市となるよう、より一層東京芸術文化評議会が効果的に機能させ、文化政策を展開してほしいと思います。
 世界に向けた固有の文化を創造、発信し、東京のアイデンティティーを高めていくためにも、伝統文化についてはソフト、ハード両面からの施策に積極的に取り組んでいただくことを要望いたしまして、私の質問を終わりたいと思います。

○西岡委員 スポーツ行政について伺ってまいりたいと思います。
 スポーツ行政は、いうまでもなく市民、都民の健康づくり、あるいは青少年の健全育成、あるいは教育の面からも極めて重要で、私も市議会議員当時から、このスポーツ行政には極めて高い関心を有してきた一人でもあります。そこで、東京都のスポーツ行政の推進体制と、前向きで建設的な立場から、この決算年度である平成十八年度中に第一回大会として東京マラソンが開催をされておりまして、生活文化スポーツ局所管に十九年からなっておりますので、この点について特に伺ってまいりたいと思います。
 まず基本認識として、東京都のスポーツ行政の庁内組織について、私は少しわからない点があるものですから、確認をしていきたいと思うのですね。
 まず、本年四月にスポーツ行政に係る仕事が教育委員会から生活文化局に移管され、局の名称も新たに生活文化スポーツ局となりました。この結果、現在都庁にあるスポーツ関連行政の組織というのは、オリンピック招致本部がありますね。それから、総務局の国体推進部というのがあります。そして、生活文化スポーツ局にはスポーツ振興部というのがあって、また、東京マラソン事業担当というのがあります。さらに、教育庁の中には、いわゆる学校教育関係でいうところの学校保健体育の分野があるというふうになっていると思います。
 こうして見ますと、東京都のスポーツ行政の推進体制というものが大変に細分化して多極化をしておりまして、一見どういう役割のもとで行われているのか、大変わかりづらい面があるなというふうに思っているのですね。また、今後一体どのようにこのスポーツ行政全体の施策を進めていくのか。余りにも細分化し過ぎていて、しっかり連携がとれるのかどうか、不安な部分もあるわけでございまして、そこで、まず組織改正の目的について、基本認識を伺っていきたいと思うのですね。
 まず、今回のスポーツ行政の生活文化スポーツ局への移管という組織改正の意義、目的はどのようなことであったのか、組織改正の目的について伺っておきたいと思います。

○細井スポーツ振興部長 スポーツ行政の組織改正の意義、目的でございますけれども、二〇一三年の東京国体の開催、二〇一六年のオリンピック招致など、都のスポーツを取り巻く環境の変化に対応した施策を推進するため、所管を教育庁から生活文化スポーツ局へと移しまして、スポーツ振興の推進体制の充実強化を図ったところでございます。

○西岡委員 この組織改正は都のスポーツ振興の体制の充実強化を図ったものであるというご答弁をいただいたわけですけれども、こうした組織改正の意義、目的を踏まえて、生活文化スポーツ局においてスポーツ振興部がスポーツ行政を推進していく上での役割、位置づけというものはどういうふうになっているのでしょうか。
 例えば、区市町村や各スポーツ団体との連携、あるいは総合型地域スポーツクラブなどへの対応があると思うのですね。これから先、こういう市区町村なども含めて、どのように都庁として進めていくのか、伺っておきたいと思います。

○細井スポーツ振興部長 東京国体の開催準備やオリンピック招致という特定課題につきましては、効率的、効果的に事業推進を図るため、総務局国体推進部やオリンピック招致本部がそれぞれ所管することといたしました。
 生活文化スポーツ局におきましては、都のスポーツ行政の中心的存在として、都におけるスポーツ振興施策を総合的に計画し、区市町村やさまざまなスポーツ団体と連携協力しながら、生涯スポーツの普及振興や競技力の向上を図っていきます。また、オリンピック招致を見据えて、各局の行う関連施策と連携しながら、都民のスポーツムーブメントをより一層盛り上げるよう、施策を展開してまいります。

○西岡委員 生活文化スポーツ局が東京都のスポーツ行政の中心的存在であるということがはっきりとご答弁されたわけであります。
 各局と連携して施策を進めていくということなんですけれども、ちょっと心配するのは、例えば、今子どもの体力低下などが大変危惧をされていますよね。こういった幅広い問題などに関して考えるときに、これだけ組織が分散化していると、例えば子どもの体力低下なんていうと、オリンピックのための選手育成のためにも大事な視点だし、国体のためにも大事な視点ですよね。もちろん、生活文化スポーツ局からも大事な視点ですし、すべての視点から大事なんですよね。こういったものを、例えば子どもの体力低下が危ぶまれている昨今、組織が分散している状況の中で、例えば子どもを所管する教育庁などと密接に連携して施策を進めていかなければならないというふうに考えるのですね。具体的に生活文化スポーツ局として、このような課題にどのように取り組んでいくのかということをまず伺っておきたいと思うのです。
 二〇一三年には東京多摩・島しょ国体が開催をされます。さきの秋田国体では、男女総合天皇杯、それから女子総合皇后杯、これは東京は総合の二位ということで、大変いい成績を残されたわけなんですけれども、こういった国体などの視点も当然視野に入れなきゃいけないわけですよね。これからも、競技力の向上という視点もあるわけでして、こういったものも目指していかなければいけないのですけれども、まさに他局間の連携が本当に重要で、しかもたくさんの局があるわけで、なかなか大変かなと思うのですね。そういう施策の連携についてどうお考えなのか、伺っておきたいと思います。

○細井スポーツ振興部長 子どもの体力向上とジュニア選手の育成強化などの取り組みは、西岡委員ご指摘のように、教育庁が所管する学校体育、学校部活動との連携が欠かせません。このため、施策を計画する際は、スポーツ振興審議会や競技力向上推進本部を設置し、関係各局とも十分な意見調整を行い、連携して事業を推進していきます。

○西岡委員 今ご答弁を聞かせていただいて、生活文化スポーツ局が東京都のスポーツ行政の中心的存在として、他局間の連携をして、まさにリード、推進役として頑張っていくということが確認できましたので、ぜひ頑張っていただきたいということをまず申し上げて、本題の質問に入っていきたいと思います。
 次に、東京マラソンについて伺っていきます。
 私も、ことしの二月に開催された東京マラソンには一ランナーとして出場しました。制限時間七時間、自己申告タイムも七時間ということで、どうなるかなと思いましたけれども、無事に完走することができまして、大変感動しました。当日は、気温五度の中での大変な大雨というコンディションでした。朝起きて窓の外を見たときに、きょうは中止になるのかななんて考えてしまいましたけれども、そんな甘いものじゃないですね。当然スポーツですから、やるということでありまして、それは当然のことだと思っております。
 初めてのフルマラソンだったのですね、私にとりましては。本当に、練習はしましたけれども、どうなるかなと思ったのですが、やはり沿道の方々からの声援に支えられて、極めて物すごい寒さ、そして体じゅうの激痛ですね。今まで自分が味わったことのない、未知の領域に突入しました激痛。そして、七時間走りっ放しですから、これは予想していませんでしたが、物すごい空腹ですね。これに耐えながら一生懸命、制限時間ぎりぎりの六時間四十八分で完走することができまして、本当に一生の思い出となりました。
 東京マラソンは、三万人の市民ランナーがまさにトップアスリートと一緒に銀座、浅草などの観光スポットを駆け抜け、日常では考えられないようなコースを走ることができる、全国にも例のない大会であります。しかも、大変感動したのは、一万人を超えるボランティアが献身的に大会を支え、あの雨の中ですら百三十八万人もの観衆が沿道で応援する東京マラソンは、これはもう東京のスポーツイベントとして、まさにシンボルとなる大会になったのかなというふうに思っております。
 このように東京マラソンは、全体としては大成功した大会というふうにいえますけれども、初めて開催された大会でもありますから、一方でさまざまな課題があったと思うのですね。二月十八日に開催されて、その後、予算議会とかで多少議論にはなりましたけれども、二月十八日に開催されて、もうきょうの時点で大分、一定の時間がたっていますから、いろいろな課題が整理をされて、これから第二回大会に向けて、いろいろなことが、課題が整理されている時期なんだろうと思いますので、少し伺っていきたいと思うのですね。
 まずは、参加ランナー、それからボランティア、陸上競技関係者などから、第一回大会について主にどのような意見があったのか、もう大分整理されていると思うので、伺っておきたいと思います。

○高原参事 委員みずから第一回大会で走られて、完走されたということですので、おめでとうございます。
 ところで、東京マラソン二〇〇七大会は、交通規制七時間にも及ぶ、我が国初の大規模都市型マラソンでございましたが、さしたる事故もなく、九六%と高い完走率のもと、成功裏に大会を終えることができ、国際的なスポーツイベントについて東京の高い運営能力を内外に示すことができたというふうに考えております。
 参加ランナーやボランティアからの感想も、多くは、大変感動した、あるいは、また参加したいといったものでございましたが、一方、今後運営面で参考にすべき貴重なご意見も幾つかいただいております。その主なものは、当日あいにくの雨であったこともあり、コース沿道におけるトイレの数が十分ではなかったこと、あるいは、給食ポイントでは想定以上に利用者が多く不足を生じたこと、また、手荷物の引き渡しに時間を要したことなどでございます。

○西岡委員 私も走りましたので、同様のことは感じました。ただ、私が選手として見えるものと見えないものというのは当然あろうかというふうに思いますし、いろいろなことを多分都庁とすれば把握をされているのだろうというふうに思うのですね。
 私も、実際に走ってみて、東京マラソンをこれから盛り上げて、スポーツ振興を推進していくためには、さまざまな立場でかかわった方々の声を把握して、開催の都度それぞれの課題を克服して、常に大会運営を見直していく姿勢が極めて重要だというふうに思っています。指摘のあったさまざまな課題について、第二回大会に向けてどのように改善を図っていくのか、具体策について伺っておきたいと思います。

○高原参事 東京マラソンは、スポーツ振興はもとより、東京の観光及び地域振興を図るとともに、東京オリンピック招致機運を高めるため、第二回大会以降も一層盛り上げていかなければならないと考えております。そのためには、常に大会運営を改善し、東京マラソンの魅力を高めていく必要がございます。
 東京マラソンは、東京都や日本陸上競技連盟などで構成する組織委員会が運営する大会であり、具体的には委員会を通じて実施することになりますが、前回の反省を踏まえて、トイレや給食についてはその量や配置、配分を見直すほか、手荷物についても受け渡し場所を拡充するなど、改善を図り、ホスピタリティーあふれる大会としてまいります。

○西岡委員 都とすれば、多くの課題をもう既に把握して、その改善に向けていろいろな対策を構築しているということでありまして、安心いたしましたので、ぜひ改善を図っていただいて、頑張っていただきたいというふうに思います。
 それから、第一回の東京マラソンでは、ランナーが各ポイントをいつ通過したかを携帯電話で知ることができる、ランナーアップデートサービスというものが実施をされておりました。私は走っていますから、自分ではもちろんわからないのですが、いろいろな方が追いかけてきたりとか、応援の方とか家族の方とか、自宅にいてもどこにいても、ああ、西岡は今この辺を通過したんだな、制限時間を超えていないなということで確認をしていただいたようです。これは、家族や知り合いのランナーをどこに行けば応援できるかがわかるので、大変便利だったと思います。すばらしいサービスだったなと思うのですね。私の知人からも大変好評でありました。
 しかし、大会当日は、アクセスが想像以上に集中をしたようで、このサービスを利用できない人が多かったと聞いています。第二回大会に向けて、このサービスをどのように改善していくのか。これは大変すばらしいサービスなので、ぜひ拡充を図っていただきたいと思っておりますけれども、伺っておきたいと思います。

○高原参事 ご指摘のランナーアップデートサービスは、ランナーに配布いたしました電子チップにより計測しました五キロごとの通過タイムを自宅のパソコンや携帯電話から知ることができる位置情報サービスのことでございます。これによりまして、家族の方などはランナーのおおよその位置を知ることができ、応援や待ち合わせ場所に役立てることができるものでございます。
 しかしながら、大会当日は、出走三万人に対しまして三百万件以上と当初の想定を超えたアクセスが集中したため、接続しにくい状況になったものでございます。このため、第二回大会においては、容量をふやすなどシステムを改善し、円滑に接続できるようにしてまいります。

○西岡委員 三百万件という物すごいアクセスだったのですね。それほど便利なものだと思うのですね。ですから、なおさらのこと、容量をふやしてシステムを改善して、より多くの方が応援している選手の位置などを確認できるようなシステムを構築していただきたいと思います。
 以上、幾つかの課題について申し上げてきましたけれども、この東京マラソンをすばらしい大会にしていくためには、大会に参加したランナーや、またボランティアの意見を積極的に取り入れていくことが必要なんだろうと思っています。例えば参加した選手やボランティアの方々にアンケート調査を実施するなど、ランナーやボランティアの意見を聞く仕組みというものをきちっと構築しておいた方がいいのじゃないかと私は思っているのですけれども、いかがでしょうか。

○高原参事 ランナーやボランティアから意見を聞くことは、大会運営の改善を図る上で大変有意義なことと考えております。第一回大会におきましても、終了後に専門家や市民ランナーの方から直接意見を聞く場を設けたほか、運営を主管いたしました東京陸上競技協会からも、各ブロックごとに詳細な意見、感想をいただいてはおります。今後も、アンケートなど大会参加者から幅広く意見を聞き、大会運営に生かしてまいります。

○西岡委員 ぜひよろしくお願いいたします。
 次に、大会経費、決算委員会ですから、大会経費について少し伺っておきたいと思います。
 平成十八年度の決算説明書で見ますと、東京都からの東京マラソンへの補助費は一億円なんですね。一方、東京マラソン組織委員会によると、平成十八年度の歳入決算は、全部で約十五億円であります。そして、参加費が一人一万円で三万人ですから、三億円ですね。東京マラソンは、ですから、そのほとんどがスポンサー協賛金などの民間からの収入によって賄われているということがよくわかります。
 今後、この財政基盤を強固なものとして大会の充実を図っていくためには、より一層民間からの収入を拡大して、自立的な運営を図っていくべきと考えますが、いかがお考えでしょうか。また、第一回東京マラソンの経済波及効果についても、もう大体わかっていらっしゃると思いますので、現時点でどのように把握しているのか、伺っておきたいと思います。

○高原参事 東京マラソンの開催は、東京のスポーツ、観光及び地域振興に大いに寄与するものでありますことから、都は大会の広報経費に対して一億円の補助を行っているものでございます。一方、ご指摘のとおり、東京マラソンの平成十八年度決算、歳入総額約十五億円のうち、都の補助金一億、参加料の約三億円を除く金額のほとんどは、民間からの協賛金等で構成をされております。したがいまして、今後は、東京マラソンの魅力を一層高めることにより、民間協賛金の拡大を図り、大会の充実を図ってまいります。
 また、第一回大会の経済波及効果でございますが、都内ベースで百十七億円、全国ベースで百八十三億円と聞いております。

○西岡委員 このイベントは、大変に注目度が高いイベントであります。民間協賛金の拡大を図れるスポーツイベントだと思っておりますので、ぜひ今後とも努力をしていただいて、努力した成果というものを参加費の削減に充てる、あるいは都費の削減に充てるなど、目標を持って取り組んでいただきたいというふうに思っております。
 また、十五億円のイベントで、都で百十七億円、全国では百八十三億円の経済波及効果があるということ。これは、全国から宿泊を伴って参加する人もいますし、海外から来る方もいらっしゃいますし、いろいろな方々がいらっしゃるのですね。この経済効果も大変に大きいということがよくわかりましたので、ぜひ今後とも精力的に取り組んでいただきたいというふうに思っております。
 次に、前にも述べましたけれども、雨天対策について伺っておきたいと思います。
 大会と同時に東京大マラソン祭りというものも行われました。大会当日は、本当に残念だったのですけれども、あいにくの雨が降ってしまいました。コース沿道の各イベント会場は、第一回目の大会としてはおおむね盛況だったとは思っております。しかし、午前中は雨天の影響を受けて、楽器を使用する演目など、会場入りしながらも中止せざるを得なかった演目があったと聞いています。また、十キロゴール地点の日比谷公園イベント会場などは、雨のため人が余り集まっていなかったところもあったと聞いていますし、事実出演した方から、頑張って子どもたちは行ったのだけれども、ほとんど見てくれる人がいなくて、とても残念だったと。しかし、それは別に都をうらんでいるわけでも何でもなくて、天気が雨だったので、これはやむを得ないことだったのですね、仕方ないのですが。しかし、大変出演者の方も残念がっていました。
 次回の東京大マラソン祭りをさらに盛り上げていくためには、この雨天対策ということを慎重に考えておく必要があるのかなというふうに思っておりまして、この雨天対策についてどのように改善していこうと思っていらっしゃるのか、伺っておきたいと思います。

○高原参事 前回は、雨天にもかかわらず、コース沿道の全十三会場で約二千九百人のボランティア出演者がランナー応援イベントを行い、大会を盛り上げていただけました。当日は、あいにくの雨であったため、仮設テントの設置や応援場所の移動など、できる限りの対応を図りましたが、人数の多い団体や楽器を使用する演目等につきましては、残念ながら断念せざるを得ないものもございました。
 次回は、楽器の使用など雨天時に開催が難しい演目につきましては、あらかじめテントや屋内会場を用意するなど、雨天対策を講じてまいります。さらに、会場数、演目数を拡大するとともに、都民への周知、案内を充実させることによりまして、まさに大会のキャッチフレーズどおり、東京が一つになる日として盛り上げてまいります。

○西岡委員 ぜひよろしくお願いいたします。
 二〇〇八年、第二回の二月十七日開催の東京マラソン二〇〇八のホームページ、すべて読ませていただきました。ボランティアの募集も終わり、ランナーの募集も終わり、大幅に定員を超える十五万人、ボランティアも大変な盛況でありました。また、東京大マラソン祭り応援イベントの出演者の募集もホームページで行っていらっしゃるようで、大変すばらしい取り組みだと思っております。東京が一つになる日として盛り上げていただきたいというふうに思います。
 東京マラソンに対する関心は、国内外から極めて高いものがあります。第一回大会においては九万五千人を超える人が申し込みをし、来年二月十七日に開催される第二回大会については十五万六千人にも上る申し込みがありました。現在、東京マラソンの定員は、フルマラソンと十キロロードレースを合わせて三万人であります。知人のランナーからは、例えばハーフマラソンの種目なんかにもぜひ取り組んでもらいたいと。いきなりフルマラソンは厳しいけれども、ハーフなら何とか頑張れるなという意見を持っている人もいました。また、定員をぜひふやしていただきたいという声も多々聞く話であります。数多くのマラソン愛好者の期待にこたえるためには、さまざまな工夫を凝らして、三万人の定員をふやすよう強く要望しておきたいというふうに思います。
 最後に、東京マラソンを初め都のスポーツ振興施策について、生活文化スポーツ局がまさに東京都の中心を担っていくということであります。局長としての意気込みをぜひ伺っておきたいと思います。

○渡辺生活文化スポーツ局長 第一回目の東京マラソンは、多数の方の感動と感激を引き起こしました。また、多くの方々にスポーツのすばらしさ、及びその関心を呼び起こしたと思っております。
 第二回目以降の東京マラソンの継続発展を図りまして、東京の新たな伝統として育てていくなどいたしまして、都民のスポーツムーブメントをより一層盛り上げていきたいと考えております。今後とも、都民のだれもが身近にスポーツを楽しむことができるスポーツ・フォア・オールの実現に向けて、積極的にスポーツ振興施策を展開してまいります。

○西岡委員 最後に意見を申し上げます。
 ご答弁ありがとうございました。東京マラソンは本当にすばらしい事業だなと痛感をいたしました。私も、初めてのフルマラソン経験者として、あの沿道の声援がなかったら、あるいは空腹で、バナナが自分の分がなくて、このままどうなっちゃうんだろうと思っていたときに、浅草あたりから、沿道であめを配ってくれる人、チョコレートを配ってくれる人、フランスパンを配ってくれる人、結構いろいろなものを配ってくれているのですね。全部とりに行きましたけれども。ああいうすばらしいボランティア精神、おもてなしの精神あふれるイベントで、あのあめがなかったら、また、あのあめ一粒のおいしさが、ふだんでは感じられないぐらい、もう体にしみ込んでいくのですね、あのあめ一粒が。本当にすばらしい体験をさせていただきました。
 また、ランナー同士のきずなというのもあるのですね。ちょっと二キロぐらい僕は歩いてしまったのですけれども、背中をぽんとたたいて、頑張れと励まして通り過ぎていく年配の方、こんな人に励まされて頑張らなきゃとか、あるいは、感動したのは、障害者の方々が伴走者をつけて一生懸命走っておられるのですね。あの姿にも本当に心を打たれました。また、給水所に行くと、たくさんのボランティアが一生懸命エイドステーションで水を配ってくれて、頑張ってくださいと声援をかけてくれるのですね。
 まさに参加者全員の完走を目指して関係者全員が心が一つになる、すばらしいイベントであったと思っていまして、この東京マラソンを、どんなことがあったとしても、東京都としてぜひずっと継続をしていただきたいというふうに思っておりますし、そのためにぜひご尽力をいただきたいということを強く要望いたしまして、質問を終わります。

○中山委員 最初に、外国人都民に対する広報広聴の取り組みについてお伺いさせていただきます。
 平成十八年五月に法務省入国管理局が発表したところでは、平成十七年末現在における外国人登録者数は全国で二百一万一千五百五十五人で、初めて二百万人を突破し、前年に引き続き過去最高記録を更新しているそうであります。都内におきましても、外国人登録者数が三十七万人を超えて、定住化が進む中、東京都は、外国人が抱える課題を解決する施策に積極的に取り組んでいくことが必要となっております。海外から多くの外国人が集まる国際都市東京では、外国人と日本人の相互理解と交流に向けたさまざまな取り組みを通して、外国人が安心して暮らしていける豊かな環境づくりが求められております。
 生活文化スポーツ局は、局長の諮問機関として、平成十三年度から外国人及び日本人の有識者から成る地域国際化推進検討委員会を設置し、さまざまな助言を得ています。そこで、まずこの地域国際化推進検討委員会のこれまでの検討テーマと開催実績について、お伺いいたします。

○小笠原都民生活部長 地域国際化推進検討委員会は、平成十三年度に設置されまして、以後年度ごとに、東京を外国人にとってより住みやすく活躍できるまちにするための重要な課題について、検討をいただいております。
 具体的に申し上げますと、平成十三年度は、外国人の防災をテーマに四回、平成十四年度は、外国人にもわかりやすいまちの表記をテーマに三回、平成十六年度は、外国人への効果的な情報提供をテーマに四回、平成十七年度は、災害時等緊急時の外国人への情報提供のためにをテーマに二回、そして平成十八年度、十九年度は、民間団体との連携・協働による外国人都民の社会参加の促進についてをテーマに四回、それぞれ開催しているところでございます。

○中山委員 重要なテーマばかりでございまして、一つ一つのテーマに基づく答申の内容が的確に都政に反映されていってこそ、都政の本当の意味での国際化というものが進展されていくものと思います。
 国は、総務省が昨年三月に地域における多文化共生推進プランというものを作成して、内閣官房が十二月に総合的対応策として、生活者としての外国人というものを取りまとめました。それらを受け、都も「十年後の東京」プランの中に、東京の十年後のビジョンとして、外国人も地域の一員として生き生きと暮らす多文化共生を推進すると掲げております。
 そういう意味におきましては、東京都庁の各局におきましても、毎年検討委員会で掲げられるテーマとはまた別に、それぞれ外国人都民からの要望、それに対する対応という課題があると思います。その課題を解決する観点から、地域国際化推進検討委員会を開催する上で、各局の課題をどのように把握して、またその検討に生かしているのか、お伺いしたいと思います。

○小笠原都民生活部長 各局の課題の把握とその活用についてでございますけれども、地域国際化推進検討委員会を開催するに当たりましては、庁内で関係局をメンバーとする地域国際化推進連絡会議を設置いたしまして、開催しております。連絡会議におきましては、各年度の検討テーマに関係する各局の課題などについて情報提供を受けまして、その集約結果を検討委員会に提供しております。
 例えば、平成十四年度、外国人にもわかりやすいまちの表記をテーマにした委員会におきましては、各局から案内標識等の表記に関する課題を出してもらいまして、外国人都民や観光客にもわかりやすいまちの表記事例集を作成いたしました。

○中山委員 地域国際化推進検討委員会が果たす役割は、外国人都民にとって暮らしやすい環境整備のために極めて重要であると考えております。これまで同委員会が答申した内容がどのように都の施策に反映されているのか、最近の実績をお伺いしたいと思います。

○小笠原都民生活部長 地域国際化推進検討委員会の提言は、できるだけ施策に反映できるよう努めております。
 最近の主な実績を平成十六年度以降で申し上げますと、平成十六年度の答申、外国人への効果的な情報提供を受けまして、平成十七年三月、十三言語の三十五のメディアから成る東京都在住外国人向けメディア連絡会を設置いたしまして、国籍などにより異なる外国人のニーズに対応した情報をそのお国の言語で効果的に提供できるよう、体制の整備を図りました。
 また、平成十七年度の答申、災害時等緊急時の外国人への情報提供を受けまして、平成十八年度、災害時における多言語による語学ボランティアの拡充や、外国人向けの防災リーフレット及び防災DVDの作成及び普及、東京都国際交流委員会が開設する外国人向け生活情報ホームページの多言語化など、これら事業を都の重点事業の一つとして実施したところでございます。

○中山委員 東京を外国人に住みやすく活躍しやすいまちとしていくためには、特に外国人の方を含めた幅広い意見が反映できる地域国際化推進検討委員会の場を充実させていくことが重要だと思います。
 できましたならば、私は、各局に寄せられております外国人都民の要望を、それぞれ局別に対応策等を含めて一覧表にまとめていただいて、検討委員会に資料としてご提出いただいて、そうした都の対応に対する意見も含めて、テーマとは別に幅広く意見をいただくような形が重要ではないかと思います。つきましては、地域国際化推進検討委員会の意義と委員会を活用した地域国際化施策の推進について、お伺いしたいと思います。

○小笠原都民生活部長 地域国際化推進検討委員会は、先生のご指摘のとおり、外国人及び日本人の有識者による地域の実情に即した検討を通しまして都の取り組みについて助言をいただく、非常に重要な役割を果たしていると考えております。
 この検討委員会の活用に当たりましては、ただいまの先生のご指摘にもありましたように、委員会において各委員から活発なご意見をお伺いできるよう、より一層委員会の効果的な運営を図りまして、都における地域国際化施策の充実に取り組んでまいりたいと存じます。

○中山委員 東京都国際交流委員会のホームページを見ますと、区市町村も含めて二百三十八の外国人を支援する団体が記載されております。そのうち百七十四の団体が、日本語教室・学習支援を行っている団体でございます。私のもとにも、帰国子女の方を含めて、外国人の方の日本語教育に関するさまざまな、区市町村教育委員会が都の教育委員会の支援を強めてもらいたいとか、いろいろな要望が参っております。そうした意味で、コミュニケーションという、多文化、お互いを尊重するという前提となる部分につきましても、これだけ多くのボランティアの方々の協力をいただいている。すばらしいことなんですが、反面、そうした方々の協力なしには、なかなか国際化が進展していないという現状もあります。
 また、先日はテレビで、外国人の方がたくさん出てきて、健康保険に加入しようとすると、年金も一緒に入らないといけない、年金に入ると、それほど長く日本にいるわけじゃないから、受給権も得ないまま外国に去っていかなくちゃいけない、そういうようなことについて、いろいろな話が出たりしておりました。
 国の施策も含めて、いろいろな課題があろうかと思いますので、多文化共生といっても、都政の各業務が外国の方からも高く評価されるような国際化の進展のレベルに達していくということが大事なキーポイントかと思いますので、これからもどうかよろしくお願いを申し上げたいと思います。
 続きまして、高齢者に対する悪質商取引の被害防止について、お伺いしたいと思います。
 きょう提出いただきました要求資料3の中に、消費生活相談件数の推移及び特徴を見ますと、平成十八年度の消費生活相談件数は、前年よりも減少しているが、特徴欄には、高齢者の相談件数は引き続き高水準とあります。まず、この内容についてもう少しご説明をお願いいたします。

○宮川消費生活部長 お答えいたします。
 相談件数につきましては、ご指摘のように減少しておりまして、平成十六年度をピークに減少傾向にございます。これは、身に覚えのない有料情報利用料金の請求に代表されます、いわゆる架空・不当請求にかかわる相談が、都や区市町村が実施いたしました対策の効果もございまして、減少したことによるものと考えられます。
 一方、悪質事業者の手口は年々巧妙になっておりまして、内容も複雑で、時間のかかる相談がふえております。また、高齢者の相談件数は、平成十八年度は約二万九千件で、年々増加しておりまして、相談全体の二割を占めております。その契約金額の平均は約二百三十九万円でございまして、相談全体の平均の一・六倍と、非常に高額となっております。内容を見ますと、未公開株や匿名組合への出資など、高配当をうたい文句にした投資や出資の甘い勧誘を受けまして被害に遭い、大事な蓄えを失う事例が目立っております。

○中山委員 今お話をお伺いいたしておりましても、健康上の不安を抱えている高齢者、老後を安心して暮らすために手持ちの資金を少しでもふやしたい、そういうところにつけ込むようにして、悪質な商取引の勧誘がある。悪質事業者には、そういう心理を逆手にとる巧妙な手段があるわけですけれども、近くに相談する人がいないというひとり暮らしの地域のお年寄りの方々、判断力の衰えが見え始めた方々の被害というものは、なかなか発見しにくい状態にあります。
 こうした状態の中で、地域におきまして、日ごろから高齢者の周りの方々が見守り、ちょっとしたきっかけから被害の発生に気がついていただいて、行政、地域が一体となった積極的な対応をされていくことが大事だと思います。
 私の手元に、豊島区の長橋議員からご紹介いただきまして、こういうものがありまして、池袋本町防犯防災会議の家ということでしたけれども、セールスの方は何々の許可をとってくださいということで、池袋警察署、池袋防犯協会という、こういうシールなんですけれども、この何々のところに地域の商店街の名前を書いているのですね。商店街の許可をもらわないとうちには来ちゃいけませんよという形で、商店街の方々にとっても、自分たちの存在価値をアピールする場でもありますし、また、商店街の方々は高齢者の方々のさまざまな状況を個々によく把握していますので、そういう面ではいろいろな対応ができるということもあって、こういう工夫をされている例もございます。
 昨年の第四回定例会におきまして、我が党の質問に対し、こうした高齢者を悪質事業者から守っていくため、高齢者の被害防止のためのガイドライン作成に取り組んでいるとの答弁がございました。現在どのように進捗されているのか、お伺いいたします。

○宮川消費生活部長 これまでの消費者行政の枠を超えまして、東京都町会連合会や福祉関係団体の代表の方々にもご協力をいただいて、ことしの三月に「高齢者の消費者被害防止のための地域におけるしくみづくりガイドライン」を取りまとめております。
 ガイドラインでは、ヘルパーや民生委員など、高齢者の身近にいる方々が被害を発見した場合の適切な対処方法についてお示しするとともに、高齢者を悪質商法から守る地域の仕組みづくりに先進的に取り組んでいる、足立区の見守り通信や新宿区の悪質商法被害防止ネットワークを初め、自治体の具体的事例を紹介させていただいております。
 このガイドラインの策定後は、高齢者の見守りにかかわるさまざまな団体の会合などにも伺いまして、内容を説明し、理解を深めていただいております。そうした中で、既存の福祉のネットワークに消費生活センターも新たに組み入れまして、高齢者の被害防止の仕組みづくりに取り組む自治体もあらわれてきております。ガイドラインが実際に役立ってきているというふうに考えております。

○中山委員 策定いただきましたガイドラインは大変有意義なものでございまして、少しずつではございますけれども、効果も出てきているようでございます。しかし、実際に地域においてその効果が本当に明らかになっていくためには、その仕組みづくりというものが進まなければ、意味がございません。
 高齢者が悪質事業者の被害に遭わないような仕組みを区市町村の単位でどのように構築していくか、この視点が大事でございます。例えば、ガイドラインの中に、仕組みづくりの要件の一つとして、高齢者及び見守りネットワークに対する効果的な情報提供が挙げられておりますが、都から区市町村に、インターネットを活用して高齢者に提供する情報の素材を提供したり、区市町村が活用しやすいパンフレットを作成して配布していくことなどが重要かと思います。
 具体的には、町会、自治会の役員の皆様ですとか、民生委員の方々でありますとか、介護事業者の方々、そういった方々が高齢者のもとに行って、いろいろ情報提供をして注意を促したい、そう思っても、口頭でいっても相手も覚えていられない、説明しても喜んでもらえない、そういう場合には、できれば紙媒体で、常時柔軟に、最近の話題を取り上げて情報提供できれば喜ぶわけです。
 そういう面では、区市町村の方々と先進的な事例を勉強し合ったりして、そういう中から出てきたいいパンフレットとかチラシを素材として、加工できる状態でデータで提供していけば、最近の高齢者の方々、区市町村の方々にも、あるいは町会、自治会の役員の方々にも、パソコンを使いこなすような方は多くいらっしゃるわけですから、ご自分の連絡先を入れたり、特に介護事業者の方などは、自分の事業所のアピールもちょっと入れてチラシを配れば、一生懸命になって高齢者の方々に情報提供してくださるのではないかと思います。
 そういった点で、こうした取り組みについて今後どうされていくのか、お伺いしたいと思います。

○宮川消費生活部長 現在、啓発用リーフレットや出前講座の教材等を区市町村へ私どもといたしましても配布しておりまして、ホームページ「東京くらしWEB」を通じて、リアルタイムでさまざまな情報も提供しております。今後とも、区市町村に役立つ情報提供の充実に努めてまいります。
 また、引き続き、さまざまな機会をとらえまして、このガイドラインの周知を行うほか、仕組みづくりの状況につきまして、区市町村の取り組みを毎年調査しまして、その結果や仕組みづくりに効果のあった事例、課題の解決事例などを区市町村にお示ししまして、参考にしていただく考えでございます。
 そして、ただいま中山先生の方からご指摘のございましたような、その地域の創意工夫が生かせるような、そういった内容の検討も含めた取り組みを継続しながら、区市町村や関係機関の理解と協力を得て、広く高齢者の消費者被害防止の仕組みづくりが行われるよう、積極的に働きかけてまいります。

○中山委員 行政や地域の方々が協力して、高齢者を悪質事業者の魔の手から守っていくことは大変重要でございます。一つでも多くの自治体で都が目指すような仕組みづくりが実際に行われていきますよう、都としても全力を挙げてバックアップに努めていただきたいと思います。
 最後に、公衆浴場対策についてお伺いいたします。
 東京都では、都民の入浴機会の確保と公衆浴場経営の安定を図るため、これまで、公衆浴場に対し各種施策を行ってまいりました。その中で、ジェットバスや露天ぶろなどの整備など、公衆浴場の設備面の充実に向けた支援を行う多機能型公衆浴場改築支援事業が平成十七年度に見直され、現在、健康増進型公衆浴場改築支援事業として実施されております。
 そこで、まずこの事業の内容と平成十八年度の実績についてお伺いいたします。

○宮川消費生活部長 公衆浴場の限られた経営資源では、設備面の充実にも限界がございます。そこで、関係者の方々と検討、協議を重ねまして、公衆浴場が地域の核として地域の人々に一層支えられる施設となるように、支援メニューを見直して、事業を再構築いたしました。
 具体的には、区市との連携を図りながら、ミニデイサービスや健康体操、健康チェックなど、健康増進につながる事業ができるような施設として高齢社会への対応を図るほか、クリーンエネルギーへの転換も進めるなど、地域貢献度の高い施設として公衆浴場を整備できる事業内容となっておりまして、補助額も増額をしております。
 平成十八年度の実績でございますが、改築が二件、大規模改修が一件で、合計一億二千万円の補助金を支出いたしました。

○中山委員 多機能型から健康増進型ということで、これによりまして、対象となる公衆浴場の幅が広がったのだろうと思います。大変喜ばしいことでございます。また、クリーン電力、クリーンエネルギーへの貢献も対象としていただくということで、すばらしいことではないかと思います。
 確かに、公衆浴場は単なる入浴機会を提供するだけでなく、これからは地域社会の核として、地域の人々に一層愛される施設となることが重要であります。その結果、減少を続ける利用者の数にも歯どめがかかるだけでなく、増加に転ずることも期待できるようになると考えます。そのような意味で、この健康増進型公衆浴場改築支援事業を実施することのねらいは正しく、大きな意義がございます。
 しかしながら、改築とか大規模改修となりますと、公衆浴場経営者にとりましては、そう簡単にできるものではありません。何とか経営を立て直したいと思っているのですけれども、既に借金がある中で、改修、改築をしてまでとなると、大変なことでございます。都や区市からの高額な補助金が出るとはいえ、事業者の負担も大変大きなものになりますから、ただいまの答弁にもありましたように、年間で二件、三件というのが都内全体でも精いっぱいのところではないかと思います。
 私は、この事業と並行して、公衆浴場の利用者を少しでもふやしていくためのソフト面での対策も重要かと考えます。私の知り合いのところには、女性のおふろに歩行浴室というのをつくりまして、毎月インストラクターを招いて、水中歩行の訓練をしているそうなんですけれども、インストラクターの方の招聘代は自前でございまして、大変運営にも苦労しているそうなんですが、そういった面で貢献している。
 どんな立派な対策を講じても、経営が成り立つだけの料金収入が上がらなければ、結局廃業に追い込まれてしまいます。そこでお尋ねしますが、公衆浴場の廃業理由にはどのようなものがあるでしょうか。また、平成十八年に廃業した公衆浴場の数はどれだけであったのか、お伺いいたします。

○宮川消費生活部長 平成十八年の東京都公衆浴場基本調査によりますと、昭和六十年から平成十八年の間に廃業された公衆浴場の廃業に至った主な理由として最も多いのは、利用者の減少による営業不振でございまして、約四二%がこれに該当すると回答いたしております。続いて、施設の老朽化が約二二%、人手不足が約一三%となっております。
 また、平成十八年に廃業した公衆浴場の数でございますが、六十二軒となっております。なお、平成十八年末時点での公衆浴場数は、全体で九百六十三軒ございました。

○中山委員 廃業した公衆浴場の約四割が、利用者の減少による営業不振を理由に挙げているわけですから、とにかく利用者を少しでもふやしていかなければ、公衆浴場の減少には歯どめがかかりません。
 そこで、念のためにお伺いいたしますが、平成十八年は平成十七年に比べ、一軒当たりの公衆浴場の利用者はふえたのでしょうか、減ったのでしょうか、お伺いいたします。

○宮川消費生活部長 同じく平成十八年の東京都公衆浴場基本調査によりますと、一浴場の年間利用者数は、平成十八年は四万七百八十一人でございまして、前年よりも七百八十四人減少しております。

○中山委員 減少しているとお伺いいたしまして、大変残念に思います。
 私は、公衆浴場というものは日本伝統の文化財みたいなものだと思います。だんだん減っていきますと、都内で一軒、二軒しかないという状態も出てくるかもしれない。そうすると、トキのような状態になってしまって、そのときにはもう遅いわけですね。しかし、個々の事業者の方は一生懸命努力をしてくださっている。ただ、ご自分だけの努力では、いろいろな経済至上主義の中で生き延びていくことはなかなか難しいという状況にございます。今後どういう取り組みが必要なのか、そういうことを真剣に検討すべき時期に来ていると思います。いろいろとアイデアを募ることも大事だと思います。地域のちょっとした取り組みにも、何かヒントが隠されているかもしれません。
 私が住んでいる足立区では、区と連携しながら、公衆浴場経営者みずからが頑固おやじと称しまして、浴場に来た子どもたちを時にはしかりつけたり、時には褒めながら、子どもたちをしつけてマナーを身につけさせるための公衆道徳教育を実践しております。これはパンフレットなんですけれども、銭湯は寺子屋だというのをテーマにして一生懸命に子どもたちを教えておりまして、また、お父さん、お母さんと一緒に来るときには安くしてあげるというような形で、親子触れ合いというような形で、人と人との結びつきを強めるような形で一生懸命頑張ってくれている例もございます。
 公衆浴場を中心に地域の子どもたちが集まり、またその周りに子どもたちの親御さんが集まるというように人と人との触れ合いの輪が膨らめば、公衆浴場の利用者がふえるだけでなく、コミュニティの活性化にもつながるものと思います。ぜひ都としても、こうした取り組みの支援をしていただきたい、また、その検討をお願いしたいと思うのですけれども、いかがでございましょうか。

○宮川消費生活部長 都内の公衆浴場は、昭和四十三年には戦後最高の二千六百八十七軒ありました。それが、平成元年には千九百七十八軒、ことしの九月末では九百三十三軒となってございまして、最盛期の三分の一近くまで減ってきております。年間平均五十軒を超えるペースで廃業が進んできているわけでございます。その背景には、これは総務省の平成十五年のデータにありますけれども、住宅事情がよくなりまして、自宅にふろのある自家ふろ率が九六%に達する中で、公衆浴場を利用する人が年々減少しておりまして、営業が厳しいものになっていることがございます。
 しかしながら、都内の公衆浴場は、平成十八年においても年間延べ三千九百万人を超える都民の利用がございまして、現在も都民の日常生活における健康維持と公衆衛生の確保にとって不可欠であるばかりでなく、地域社会に貢献するコミュニティ施設としても役割を期待されていることも事実でございます。ただいま中山委員の方からお尋ねのございました点につきましても、私ども東京都といたしましてもその必要性を感じておりますので、これから検討を行う場や検討の進め方につきまして、公衆浴場組合とも十分相談してまいります。

○中山委員 時間が超過して恐縮でございますが、ただいま消費生活部長から、必要性を感じており、検討の進め方などについて業界団体と相談していくとのご答弁をいただきまして、大変うれしい限りでございます。
 ソフト面での対策の充実について、ぜひ検討を進めていただきたいと思います。その検討がなされ、方向性が定まってくる段階におきましては、公衆浴場業界を取り巻く厳しい経営環境にも配慮し、助成策を含めた対応についてご検討いただきますことを要望いたしまして、公衆浴場対策に対する質問を終わらせていただきます。
 ありがとうございました。

○古館委員 それでは、最初に都の文化関連施策等についてお尋ねをいたします。
 二〇〇三年度、平成十五年と比較して、いわゆる平成十八年、〇六年度では、ワンダーサイト、それから東京都現代美術館、東京都美術館など、こういう予算についてはどのような状況になっているでしょうか。

○杉谷文化振興部長 要求資料に記載してございますが、平成十五年度のワンダーサイト予算が、本郷一カ所で四千五百万余円に対しまして、平成十八年度予算は、本郷、渋谷、青山の三カ所の合計で四億四千二百万余円となっております。また、東京都現代美術館及び東京都美術館につきましては、現代美術館は、平成十五年度予算九億七千六百万余円に対しまして、平成十八年度予算八億九百万余円、東京都美術館は、平成十五年度予算四億六千百万余円に対しまして、平成十八年度予算は三億一千八百万余円となっております。

○古館委員 決算も同じような出方で、さらに減額されているところも--大体同額ですね。そういう形で、東京都の、今尋ねましたワンダーサイトに対しては、飛び抜けて額が多くなっていると。
 (資料を示す)これが、ことしの予算特別委員会で持ち出して示した都の文化施設予算比較なんですね。ぐっと上がっているのがワンダーサイトの予算。それで傾向としてわかったのが、ここの一覧で出ているほかの文化施設というのは、軒並み、ほとんどこういう感じで、一線で落ち込んできているというのが、この間の文化施設予算の特徴なんだということをまず指摘をしておきたいな、このように思っております。
 それで、今いいましたように、ワンダーサイトですから、これはトップダウンで優遇されてきたと。きょうはここに知事いませんので、そういう話を一つ一つ細やかにはする気はありません。そこで、観覧者数の推移について調べました。そうしたら、〇六年、平成十八年で、庭園美術館は十九万七千人いるんですね。現代美術館につきましては、年間で約四十一万人余の方がいわゆる観覧だとか利用されていると。一方、ワンダーサイトについては、〇六年、平成十八年ですが、約二万四千人ということなんですね。
 ですから、都民の、いわゆる文化施設に対する利用--私は単純に、ワンダーサイトについて、キャパシティーの問題もありますから、単純化していう考えはありませんけれども、それにしても、事業の効果を考えた場合に、他の文化施設は、予算が削減されている中で、観覧者数も頑張って増加させて成果を上げている、こういうことが非常にはっきりしているわけです。ワンダーサイトについては、予算が膨らんでいるんですね。この事業効果という点ではどのように認識しているでしょうか。

○杉谷文化振興部長 ワンダーサイトは、都の遊休施設を使いましてスタートしましたが、今や、国際的にも注目される活動拠点になりまして、ここから海外で活躍したり作品に市場で値段がつく作家も出てくるなど、着実に成果が上がっていると考えております。
 現代芸術という新しい分野における若手作家の発掘、育成に取り組んでいくワンダーサイトの事業は、長い目で見て大きな成果を上げていくべきものでありまして、観覧者数などの数字だけで判断できるものではないというふうに認識しております。

○古館委員 今の答弁というのは、結構、前にもそういう答弁が繰り返しあったように記憶しております。それで、観覧者数がどうのということもあるんですけれども、ここで若手の美術家といいますか、そういう人を育てたいというのが、かなり売りの文句であったと思うんですね。私は、その場合に、じゃ、今までの都立の文化施設でそういうことができないのかということを、やっぱり問わなければいけないと思うんですね。
 ワンダーサイトだから若者ですよということに、じゃ、今まではどうだったのか、若い方を育成することはできなかったのかということについていうと、私は、そうじゃなくて、例えば現代美術館でお話を聞きますと、そういうことはないんですね。
 有名な学芸員の方が現代美術館にいらっしゃいますが、私たちの問いに対して、こういうふうに答えているんですね。若手の養成というなら、現代美術館こそその役割が担えます、このようにいっています。作家が新作をつくるに当たって、学芸員と話し合ったり意見を交わす中でつくり上げていくことは、非常にダイナミックで生産的なことだと考えています。さらに、一般の人に見てもらってコミュニケーションをする。さらに、アーチストトークなどの出会いなどで、ともに若い方も成長されていく。そして、何よりも現代美術館にはインターン養成のカリキュラムというのがあります。ですから、ぜひ若い方にも東京の現代美術館というのを再度さらに掘り起こしをしてほしいということがいわれているということを、ここでちょっと述べさせていただいて、ワンダーサイトというと、トップダウン事業ということから、その運営の非民主性などが大きく問われた、そういう一年だったと思うんですね。生文の方もとても苦労された一年だったかな、こういうふうに私は理解をしています。
 そこで、私は、どうしてもワンダーサイトばっかり目立っちゃっていたような気がするんですが、他の文化施設で観覧者数を伸ばしていることについて、やっぱりどのように評価されているのかということも大事なんですね。改めて担当局としてのその評価をお伺いしたいと思います。

○杉谷文化振興部長 都立の文化施設はそれぞれ非常に個性の豊かな特徴のある施設でございまして、その個性を生かした展覧会ですとか、音楽会ですとか演劇などの公演などの事業を行っているところでございまして、それからまた、ミュージアムショップなどといった来館者サービスについても、魅力の向上を図っているところでございます。
 このような都立文化施設のさまざまな取り組みが、観覧者数の増加につながっておりまして、都民が文化芸術に触れやすい身近な機会を提供しているということで、非常に高く評価すべきだと考えております。

○古館委員 私はやっぱり、主要な役割というのは、今まで営々としてみんなで築いてきたこういう文化施設に対して、東京都として誇りを持つということが、とても大事なことだというふうに認識しています。
 石原都政になって、文化政策で廃止した事業というのを見ますと、小中学校、高校生対象だとか、それから、地域で息づいたもの、そういう文化事業みたいなものも廃止する、施設も廃止すると。例えば、具体的にいいますと、文楽教室というのもあった。それから歌舞伎教室というのもあった。音楽鑑賞教室というのもありました。オペラ鑑賞教室、バレエ鑑賞教室、さらには東京地域劇団演劇祭などというのも多士済々で行われていたと思います。こうした文化施策を復興、復権させるということこそ、東京の文化のすそ野を広げて、すぐれた芸術家を輩出することにつながっていくんじゃないかと思うんですが、この点についてご見解いかがですか。

○杉谷文化振興部長 音楽鑑賞教室などの鑑賞教室事業につきましては、多くの区市町村が小学校や中学校の授業の一環として主体的に取り組んでございます。
 都といたしましては、単に鑑賞するだけではなく、子どもたちがみずから参加、体験することで、より一層芸術文化に親しむことができるよう、平成十六年度からは、鑑賞教室事業を子ども向け舞台芸術参加・体験プログラムとして再構築いたしました。
 本事業の参加者からは、日本文化、伝統芸能に興味を持つようになった、それから、さまざまな楽器に触れて楽しかったなどといった肯定的な意見が多く寄せられておりまして、芸術家と直接触れ合うことにより、子どもたちの芸術に対する関心や理解を深める成果が上がったと考えております。

○古館委員 今、区市町村が主体的に取り組んでいるという答弁でしたけれども、そうはおっしゃいますけれども、例えば音楽鑑賞教室だとか、いろんな形の事業というのは、もともと都の事業だったんじゃないんですか、いかがですか。

○杉谷文化振興部長 鑑賞教室事業は、教育庁から移管されまして、平成十五年度まで、学校教育の一環として、区市町村との共催などにより実施しておりました。平成十六年度からは、この鑑賞教室事業を、子ども向けの舞台芸術参加・体験プログラム事業として再構築したものでございます。

○古館委員 再構築というと聞こえがいいんですけれども、そこに対しても、東京都として、どういうふうに財政的なことも含めて支援をしていったらいいのかということについても、私は大いに検討してもらいたい、そのことを強く求めておきたいと思います。
 同時に、都民が多様な文化に接している事業で、都がかかわっているもの、例えば都民芸術フェスティバルとかフレッシュ名曲コンサートなどは、予算が減らされております。音楽鑑賞教室やシルバーエージ芸術鑑賞事業に至っては、既に事業が終了しているんですね。これらの事業の予算の増額と廃止した事業の復活、ぜひこれはしてもらいたいと思いますが、いかがでしょうか。

○杉谷文化振興部長 都はこれまで、都民芸術フェスティバル、それから、現在は財団法人東京都歴史文化財団への補助事業でありますフレッシュ名曲コンサートなどの事業を実施し、都民に芸術文化に触れる多様な機会を提供してまいりました。
 この事業の推進に当たりましては、実施手法の変更や新たな事業目的の付与など、より効果的な事業への再構築を図ってまいったところでございます。
 今後とも、文化を取り巻く社会環境の変化などを踏まえまして、適切に対応してまいります。

○古館委員 ですから、そういう事業をもう一回据え直していくということを強く求めておきたいと思うんですね。やっぱり、あのときに、ワンダーサイトの話、もう余りしませんけれども、数億円というお金がそっちの方に流れていっているわけですよね。だけど、地域ではたくさんの文化というのが育ってきているし、それをさらに醸成していくという役割は、東京都や区市町村、当然両方とも担っていかなければいけないというふうに思っております。
 そうした中で、〇四年度の決算で、我が党の村松議員の質問に答えて、参加・体験プログラムという、これは事業なんですが、多摩についても参加・体験プログラムの充実を図っていただきたいということで、それを東京都としても充実していきたい、このように答弁しているんですが、その問題については、今どうなっているでしょうか。

○杉谷文化振興部長 子ども向け舞台芸術参加・体験プログラムの事業の拡大につきましては、従前より多方面からの要望を受けているところでございます。
 平成十八年度の多摩地区における舞台芸術参加・体験プログラム事業の実績でございますが、伝統芸能プログラムを清瀬市で、児童演劇のプログラムを八王子市で実施いたしました。また、芸術家が学校や公民館に出向いて実技指導を行う、いわゆるアウトリーチにつきましては、十三市で延べ五十八回実施しております。

○古館委員 最後に、この問題の最後ですが、東京都交響楽団の運営費補助についてですけれども、調べたところ、二〇〇二年度、平成十四年度が十一億円の補助でした。今、九億円なんですね。私は、本当に大事なこの都響の運営費の増額を強く求めておきます。これは強い要望として指摘をしておきたいと思います。
 同時に、他の交響楽団などにも補助を検討していくべきだと、そのように考えています。そして、子どもや高齢者などがもっとそのような演奏に触れられる機会を、都として、市区町村とも対応しながら積極的に推進していくことを強く求めて、次の質問に行きたいと思います。
 私立学校に関する、とりわけ私立学校への助成の増額などについてです。
 ちょっと答弁される際に、最初にお断りしておくんですが、この要望書というのを我々ももらっているんですけれども、専門用語が結構多いんですよ。例えば、経常費補助だとか、特別奨学金補助だとか、授業料減免制度だとかっていうことを、そのまま答弁されちゃっても、なかなか我々--済みません、我々じゃないですね、私、勉強不足なものですから、そこのところを少し注釈を加えて答弁していただければと思っています。
 一つは、東京都において、都立高校と私立高校の授業料は、平成十八年度ではどの程度差があったのでしょうか。

○小濱私学部長 十八年度におきます都立の年間授業料は十一万五千二百円、私立の年間授業料平均は四十万四千四百二十七円で、その差は二十八万九千二百二十七円となっております。

○古館委員 そういう差があると。およそ二十九万円ぐらいの差があると。その公私格差を埋めるために東京都はどのような施策を実施しているのか、その意義も含めてちょっとお答えを……。そのときに、経常費補助がどうだとかという話は、若干注釈をしながら答えていただければありがたい。

○小濱私学部長 都の私学助成でございますけれども、まず、先生今申されました経常費補助でございます。この経常費補助と申しますのは、一般的な学校の運営に係る人件費とか物件費、そういったものを対象として助成するものでございます。その目的は、教育条件の維持向上、児童生徒の修学上の経済的負担の軽減、経営の健全性の向上といったものを目的としております。これらの補助を学校に行って、授業料の上昇を抑えているという効果を持っております。
 それから、この補助の算定に当たりましては、授業料等の学納金に関する評価を行いまして、学費が適正化されるように誘導しております。
 それから、平均的な所得に満たない家庭に対しまして、所得に応じて、今先生がおっしゃいました特別奨学金、こういったものを直接給付して、保護者の負担軽減を図っているところでございます。
 特別奨学金と申しますのは、それぞれの世帯の収入に応じまして、授業料の一定程度を補助するものでございまして、十八年度の補助単価で申し上げますと、生活保護世帯が十六万四千円、住民税非課税世帯と均等割のみの世帯が十二万三千円、住民税が一定基準以下の世帯が八万三千円となっております。
 それから、都は、私立学校が、家計状況もしくは家計状況の急変、リストラとか倒産ですね、そういった理由によりまして生徒の授業料を学校が減免した場合に、その学校が減免した額の三分の二を学校に対して補助いたしまして、保護者の経済的負担の軽減を図っているところでございます。

○古館委員 恐れ入りますが、今、十八年度でいいんですけれども、これらの方々への人数というのはすぐ出ますか。あったら教えてもらいたい。

○小濱私学部長 先生のご質問は、特別奨学金に関することだというふうに受けとめておりますが、平成十八年度に特別奨学金を受給いたしました高校生の数は、都外にある高校に通う生徒も合わせまして、二万六千五十三人となっております。

○古館委員 私は、大事なことは、例えばその限度額というか、所得水準みたいのを、収入規模をさらに上げて対象者をふやす、こういうような努力というのは--もちろん、これは東京都としての事業ですから、そういうことはやろうと思ったら可能なんですよね。その点についていかがですか。

○小濱私学部長 都といたしましては、奨学金制度というのは公私格差の是正を図るために設けておるものでございまして、保護者の所得状況を考慮して、経済的理由で修学が困難な世帯の負担を軽減するための制度でございますので、一定の所得制限の上限額を設定して、所得階層に応じた負担の適正化を図るというのが、この補助制度の目的でございます。

○古館委員 それで、特別奨学金についてですけれども、今まで平均的な所得に満たない家庭を対象としているという説明なんですね。受給割合が、今のご答弁ですと二割にとどまっている。私は余り高い方じゃないなというふうに感じるんですね。なぜかというと、やっぱり、公私間格差というのは、私学の助成大会へ行っても、どこでも出てくる話ですよね。
 そういう点でいうと、この制度そのものについても十分に周知されているのかどうかというのが一つあると思うんですね。この奨学金の補助についてどのようにPRしているのか、まずそういう周知活動はどうなっているのかということについてお尋ねしたいと思うのです。

○小濱私学部長 特別奨学金に関するPRについてのご質問でございますけれども、都内の私立高校には全生徒分のチラシや掲示用のポスターを配布いたしまして、生徒及び保護者への周知をお願いしているところでございます。
 このほか、区市町村には、広報紙への掲載やチラシの配布、ポスターの掲示をお願いしております。
 また、「広報東京都」や都提供のテレビ番組、ホームページなどでもこの制度を紹介いたしまして、広く都民に周知されるよう努めております。

○古館委員 今、やられていることはわかりました。ただ、ここで、都内の私立高校には全生徒分のチラシや掲示用のポスターと。だから、仮に子どもたちにチラシが行ったといっても、子どもたちはこれが何なのかということを余り実感しない。そうすると、親がそのことについて知るか知らないかというのは、かなり大事な部分、要素を占めているんですよね。だから、そこのところがどんなふうにして工夫したらいいのかということについても、即回答してくれとはいいません、ただ、そのようにして生徒分のチラシをせっかく用意しているんだったら、もうちょっと親にちゃんとそこがわかるような形の工夫--さっきホームページとか、いろいろいわれましたけれども、やっぱり、チラシというのはかなり有効な部分なんですね。だけども、子どもが果たしてそれを持って帰るかどうかというのは、これまた別の話なものですから、そこはもうちょっと宣伝の面でも大いにやってもらいたいと思っています。
 最後に、特別奨学金制度について引き続き周知に努めるというのは、今、私がいったんですが、そのほかに、対象範囲をさらに広げることを求めておきたいと思うんですね。
 それと同時に、特別奨学金制度だけでは、なかなか公私格差の解消というのは不十分です。保護者や私学団体からも要望の強い私学助成の充実にしっかりと取り組んでもらいたいと思いますが、いかがでしょうか。

○小濱私学部長 東京都におきましては、高校生の過半数が私立に通っております。こうした現状も踏まえまして、公教育の重要な一端を担う私立学校に関する助成につきましては、これまでも充実に努めてきたところでございます。
 今後とも、私学団体などの要望も踏まえまして、適切に対応してまいります。

○古館委員 最後に、要望させてもらいますが、これは平成二十年度私学振興予算等に関する要望書ということで、東京私立中学高等学校協会、東京都私立中学高等学校父母の会中央連合会という、これは各都議会議員が招かれて要請されたわけですが、この中では、今いった公私間格差の是正のために、経常費補助の維持拡充、あるいは、最近、どうしても子どもさんが少なくなってきている。そうすると、計算の中に、学級の中に何人子どもさんがいるとか、いわゆるそういう人数によっても、恐らくこれはカウント、計算が違うのかなと思うんですけれども、とにかく、いずれにしても、そういう少子化対策に伴う補助支援制度を充実してもらいたいという声も、かなり強く出されていました。
 同時に、私どもが出た第十支部の大会なんかでは、耐震化に伴う改築に対する補助制度だとか、そういうことについて、保護者の方も含めて、かなり声が出されておりました。この要望についても、ぜひ前向きに来年度に向けて検討されることを強く求めて、私の質問を終わります。
 以上です。

○大塚委員長 この際、議事の都合により、おおむね十分間休憩いたします。
   午後二時四十三分休憩

   午後二時五十三分開議

○大塚委員長 休憩前に引き続き分科会を開きます。
 質疑を続行いたします。
 発言を願います。

○西崎委員 私からは、消費生活相談事業について、高齢者、若者、子どもの視点で何点か伺いたいと思います。
 まず初めに、高齢者対策です。
 このことについては、先ほどもほかの委員からもお話がありましたけれども、平成十八年度の消費生活相談は約十三万七千件で、件数は平成十七年度よりは減少していますけれども、高齢者の相談件数は引き続き高水準になっています。高齢者が、おれおれ詐欺に始まって、さまざまな手口でだまされるようなことが多くなりまして、高齢者の消費者相談の件数も増加し、その内容もまた深刻になってきていると思います。
 先ほどの話にもありましたように、高齢者の場合、本人が身体的、精神的な理由により相談することが困難な場合や、被害に遭ったことに自分で気づいていない場合もあります。国民生活センターの調査によりますと、トラブルに遭った人のうち、消費生活センターなどの公的な機関に相談する人の割合は、わずか五%ぐらいだそうです。高齢者の場合は、この五%よりもさらに少なくなりまして、ほとんどが泣き寝入りしている状況が多いと思います。
 潜在化しやすい高齢者の消費者被害を防いでいくためには、周りで気づいた人が相談窓口に通報や問い合わせができるような体制が大切だと考えます。
 都では、高齢者の身近にいるヘルパー、ケアマネジャー、民生委員などが地域の高齢者被害について通報や問い合わせをするための専用電話といたしまして、高齢者見守りホットラインを平成十八年四月に設置しました。専用電話を設置していることで、高齢者被害の防止にどのように役立ったのか、まず伺います。

○宮川消費生活部長 見守りホットラインの通報事例でご説明をさせていただきますと、一つは、海外宝くじの一等に当たったという通知を受けました高齢者からヘルパーに相談があって、そのヘルパーからホットラインの方に連絡して、相談員のアドバイスをそのヘルパーを通じて高齢者に伝えてもらって、被害を免れたというケースがございます。また、砂糖を十円で売るといって高齢者を会場に誘い込んで高額の布団の購入契約をさせているのを、近所の商店主が発見して、ホットラインに連絡し、相談員のアドバイスをもとに、民生委員の協力も得て、返品、解約につながったというケースも生まれております。
 このように、ホットラインがあることによりまして、高齢者を見守る方々からの通報や問い合わせがしやすくなり、経験豊かな相談員のアドバイスや対応によって、高齢者被害の迅速な解決につながっていると考えております。

○西崎委員 大変わかりやすい事例を挙げて説明していただきまして、その状況がよくわかりました。ホットラインが有効だというふうに思いますので、ぜひともこれを活用していっていただきたいと思います。
 そのためには、高齢者の周囲の人たちに、高齢者をねらう悪質商法の手口、最近はすごい巧妙になってきていると思いますので、被害発見のポイント、被害発見時の対応などについてもっと知ってもらうことが大切ではないかと思います。この点についてはどのように情報提供や普及啓発を行っているのか、お聞かせください。

○宮川消費生活部長 一つには、相談員が、ケアマネジャー、ヘルパー、民生委員など高齢者の身近な方々のところへ出張いたしまして研修を行う出前講座を実施しております。平成十八年度は百七十六回開催し、約七千六百名の方々に受講していただきました。
 また、投資話を持ちかけて契約を締結させる、最近はやりの利殖商法の手口とその対処方法について解説しましたビデオや、高齢者被害防止のリーフレットを作成しておりまして、これらを活用して普及啓発に努めているところでございます。

○西崎委員 高齢者のホットラインとか、今お話にあります出前講座を活用しながら、高齢者の周囲の人たちと行政が一体となって見守りながら、被害防止に役立てていただきたいと思います。
 また、先ほどもほかの委員から、区市町村の事例、大変参考になるようなお話もありましたけれども、ぜひほかの自治体にある消費生活センターとの連携も進めていっていただきたいと思います。
 次に、若者の消費者被害についてお聞きいたします。
 若者の相談件数は、平成十四年度から急増しまして、平成十六年度をピークに大きく減少していますけれども、若者がさまざまな消費者被害に遭っているというお話を聞きます。例えば、エステティックサロンや語学レッスンなどで高額のお金を払わされたり、キャッチセールスで強引に契約されたりするケースがあるようです。また、インターネットによる有料情報サイト利用料金などの架空不当請求に関する相談などあると思いますけれども、現在、消費生活センターには若者からどのような相談が寄せられているのか、お聞かせください。

○宮川消費生活部長 若者の相談といたしましては、ただいま委員の方からもお話がございました、アダルトサイトや出会い系サイトに誘い込んで執拗に料金を請求する架空不当請求が最も多くなっております。
 販売方法、手口といたしましては、駅や繁華街の路上でアンケート調査などと称して呼びとめまして、喫茶店や営業所に連れていき、応じない限り解放されないと思わせまして商品やサービスの契約をさせますキャッチセールスや、必ずもうかるといって商品の販売組織に誘い込みまして、商品やサービスの購入契約をさせ、しかし、実際は組織への加入者を次々にふやしていかないと利益が得られない仕組みのマルチ商法などが特徴的となっております。

○西崎委員 若者は、社会経験も少ないということから、友人から誘われるままに行動したり、それから、他人の誘いに断り切れずについ契約してしまうケースが多いと思います。若者対策としては、先ほどの高齢者とは違いまして、周りで見守るというよりは、若者に直接訴えかけるような対応が必要だと思います。それには、ビジュアルですぐわかるような工夫をして、情報提供あるいは啓発による消費者被害防止が重要であると思いますけれども、どのようなことを実施されているのか、伺います。

○宮川消費生活部長 平成十年度から、東京都は、関東甲信越ブロック、一都九県四政令指定都市及び国民生活センター共同で、若者向け悪質商法被害防止キャンペーンを展開しております。平成十八年度は、イメージキャラクターを使ってわかりやすく表現したポスターを、若者が多く出入りをいたしますカラオケ店や漫画喫茶、インターネットカフェ等に掲出するほか、若者向けの消費者被害事例と対処法をイラストでわかりやすく表現したリーフレットを作成し、大学や短大、各種学校等に配布をいたしました。
 また、ホームページ「東京くらしWEB」に若者用のページを設けるとともに、民間の大手検索サイトにバナー広告を出すなど、インターネットを活用した啓発も行いました。
 さらに、今年度は、若者が集まる繁華街の大型ビジョンなども活用した消費者被害防止啓発を予定しております。

○西崎委員 渋谷のちょうど交差点のところに大きなスクリーンがあって、ビジョンがありますけれども、非常に信号待ちが長いので、そういった大型ビジョンなども、非常に目に訴える意味では有効ではないかと思います。
 ぜひ、情報提供や啓発については、今のお話で、大変工夫されているということはよくわかりましたので、今後も、若者から注目される効果的な方法で継続的な普及啓発を行い、若者の消費者被害防止に向けた取り組みを進めていっていただきたいと思います。
 もう一つ、子どもや高齢者の事故防止対策について伺います。
 昨年の都議会の第三回定例会におきまして、生活者ネットワークは、家庭で使われる生活用品による思いがけない事故を防止するために、商品テストを充実させ、その結果を公表いたしまして、子どもや高齢者の安全を確保する対策を求めました。
 その際、渡辺局長から答弁をいただきまして、子どもや高齢者の安全確保の観点から、まず必要な商品テストを実施していること。また、その結果に基づいて、高齢者の事故防止マニュアルを作成いたしまして、都民に配布し、危険防止を呼びかけていること。さらに、商品の改善や、安全基準、ガイドラインの策定に役立てるように、国や業界などに対して情報提供を行っているということでした。
 そこで、今回は決算審議になりますので、平成十八年度には子どもや高齢者の事故防止のためにどのような取り組みを行ったのか、伺います。

○宮川消費生活部長 まず、子どもの事故防止対策につきましては、平成十八年度は、化粧品類の安全性等に関する調査を実施いたしました。特に、染毛剤には体質によってアレルギーを起こす物質が含まれているため、子どもへの使用はやめることや、子ども用化粧品の取り扱いについては保護者が適切に判断すべきことなどについて、注意喚起を行いました。
 また、商品等の安全問題に関する協議会において、日本では安全規格がない子ども用衣類の安全確保について協議、検討を行いまして、平成十九年三月に報告書を取りまとめたところでございます。
 次に、高齢者の事故防止に関しましては、平成十七年度に実施いたしました高齢者の危害危険に関する分析調査の結果をもとに、階段や浴室での転倒等の事故を防ぐためのポイントを絵や図表等を使ってわかりやすく紹介した高齢者の事故防止マニュアルを平成十八年九月に作成し、区市町村の高齢者担当窓口に備えていただくとともに、老人憩いの家や老人福祉センターなどに配布したところでございます。

○西崎委員 高齢者の事故防止に関しては、高齢者事故防止マニュアルを作成いたしまして、高齢者の施設等に配布したということですけれども、調査した結果がわかりやすい形で都民に直接届けられるということは、大変効果的だと思います。
 それから、子どもに関しては、近年、子どもが巻き込まれる死亡事故、重傷を負うというような重大な事故が発生しています。先日、平塚市のエスカレーターでお子さんが首を挟まれるというような大変ショックなお話もあり、そういった考えも及ばない事故も起きています。
 十八年度、都で実施した子どもの事故防止に関する調査や結果の成果については、今後生かしていく必要があると思いますけれども、どのような形で生かされていくのか、伺います。

○宮川消費生活部長 子ども用衣類の安全確保についての商品等の安全問題に関する協議会報告、これは平成十九年三月にまとめたわけでございますけれども、この報告を受けまして、平成十九年五月に、東京都は、国や業界団体などに対し、安全規格や業界自主ガイドラインの策定等について提案要望を行っております。
 また、子ども用衣類の安全確保についての協議会の報告や、子ども用化粧品等の調査結果をもとに、子どもが身につけるものが原因となった事故の事例や、事故防止のために注意すべきポイントをわかりやすく紹介したリーフレットを作成し、配布いたしました。
 こうした中で、デザイナー、パタンナーを養成する学校では、この協議会が示しました子ども用衣類のデザインに関する安全確保の提案を教材に取り入れるなど、安全対策への取り組みを具体的に始めたところもあると聞いております。

○西崎委員 今回は子ども用衣類の安全確保ということでリーフレットを作成したということですけれども、欧米においては、事故情報を収集、分析する中で、子ども用衣類に起因した事故に着目して、子ども用衣類の安全ガイドライン、安全基準に取り組んでいるということで、そういうことを調査なさりながら今回作成したリーフレットだと思います。それを今後はいろいろなところに活用してもらって、都民に、特にお子さんを持っている保護者あるいは保育園とか幼稚園にそういった情報提供を行っていくことが大変重要だと思いますが、今回の子ども事故防止リーフレットはどのように活用されたのか、伺います。

○宮川消費生活部長 子どもの事故防止リーフレットでございますけれども、一般都民の方々にもまずごらんいただけますように、区市町村の窓口や関係機関に備えていただくとともに、今お話のありましたように、幼稚園、保育所にも配布をいたしました。特に、三歳から五歳までの子どもに事故が起こりやすいことから、幼稚園、保育所に通うお子さんの保護者全員に確実に情報が届くよう、合計三十二万部を作成し、重点的な配布を行いました。

○西崎委員 最後に、意見と要望を申し上げたいと思いますけれども、このリーフレット、大変新聞でも取り上げられて好評だというふうに伺っています。都は、このように商品テストや協議会での検討の結果を、いろいろと工夫して都民に情報提供を行っていることに対しては、評価いたします。
 今後も、高齢者、若者、子どもなど、私たち生活者が安心して暮らしていけるよう、普及啓発に取り組むとともに、施策が充実強化されることを要望して、私の質問を終わります。

○吉原委員 それでは、生活文化局の平成十八年度予算は約一千四百九十億円であったと思います。そのうちに、私学に関する予算は約一千二百七十三億円と、局の約八五%を占めておりました。そして、その予算執行率は九八・九%、高い執行ができたのではないかというふうに感じております。
 局としても、当初の計画に基づいて、私学の向上、発展に尽力をされたことについては、大変評価しているところでもあります。
 しかしながら、個々の課題はまだまだあるわけでございまして、きょうは、その一つでもあります私立学校の校舎の耐震化について若干お尋ねをしたいと思います。
 ことしの七月にも中越沖で大規模な地震がありました。これまでも繰り返されてきていることでありますけれども、日本の国土は地震に対する備えが不可欠であることを改めて強く認識させられたところでもあります。
 たとえ地震が起きた場合でも、被害を最小に食いとめるためには、学校の校舎が十分な耐震性を持つことがしっかりと担保されていなければならないというふうに思います。そして、このことは、公立であっても、あるいは私立であっても、変わるものではないわけでございますので、これまでにも都は、耐震化補助を平成十五年から実施していますけれども、十八年までの約四年間、トータルでどのぐらいの補助を実施して、その間、私立学校の耐震化率はどの程度上昇したのか、伺います。

○小濱私学部長 平成十五年度から平成十八年までの耐震化に係る補助は、私立学校安全対策促進事業費補助事業として行っておりまして、延べ百六十六校に対しまして、約二十二億七千二百万円を補助したところでございます。
 また、耐震化率の推移でございますけれども、平成十四年度末の耐震化率は、幼稚園四八・一%、小学校六二・九%、中学校六三・六%、高等学校五五・三%で、全体で五二・九%でしたが、平成十九年四月一日の時点では、お手元資料の8、私立学校の耐震化の状況に記載してございますように、幼稚園五九・二%、小学校七六・八%、中学校八二・三%、高等学校七〇・六%で、全体で六六・五%と、一〇ポイント以上上昇しております。

○吉原委員 耐震化率が着実に上昇している、このことは、相応の補助制度を東京都が手当てしてきた、そのことによって耐震化推進に対する強い姿勢を示したことだというふうに思いますし、これにこたえて、かなりの私立学校が耐震補強工事を実施してきたことが貢献していることだろうなというふうに思います。
 ただ、いただいた資料によりますと、幼稚園の耐震化率が、小中高に比べて大変低いんではないかなと思うわけでありますけれども、具体的にはどのような幼稚園で耐震化率が低いのか、またその理由はどんなものなのか、お尋ねいたします。

○小濱私学部長 私立幼稚園では、小中高に比べて木造の建物が多く、それらの耐震化がおくれております。また、幼稚園の中でも、学校法人以外の個人等が設置している幼稚園が、耐震化が低い状況にございます。
 私どもといたしましては、これらの園の耐震化が低い主な原因につきまして、耐震化のために一時的に多額の資金を用意することが困難であること、また、耐震化を検討するための時間や法規的、技術的な知識を十分に持つことができないことが原因と認識しております。

○吉原委員 耐震化の進まない幼稚園においては、資金面の問題が大きい、そして技術的な知識が不足している、そういうことのようであります。そういうふうに思うわけでありますけれども、それでは、それらの私立幼稚園の耐震化を進めるために、東京都としてはどのような対策を講じてきたのか、伺います。

○小濱私学部長 個人立の幼稚園につきましては、個人財産である建物への補助に当たりますため、従来は学校法人立のみを補助対象としておりましたが、平成十九年度からは、個人立等の幼稚園も補助対象としたところでございます。
 また、東京都私学財団におきまして、平成十九年度から一級建築士による建築相談事業を開始いたしまして、耐震診断、耐震改修等に関する専門的な情報、知識の提供を実施しているところでございます。既に幾つかの園から相談を受けておるところでございます。

○吉原委員 十八年度の決算でありますけれども、十九年度には、そうした空白になった部分について少し努力されて、前向きに、積極的になってきた、こんなことを感じられるわけであります。
 ところで、平成十八年度の私立学校安全対策促進補助の決算を見ると、当初予算七億円に対しまして、執行額が約五億五千百万円となっています。もう少し補助金を利用してもらう余地があったように思いますけれども、この補助制度を知らないために耐震化の検討がおくれてしまっている学校があったら、それはまた残念なことでありますので、学校側への周知は十分に行われてきたのかどうなのか、伺います。

○小濱私学部長 全学校が参加する経常費補助の説明会におきまして、耐震化補助についての説明会を実施したところでございます。また、東京都私学財団において、学校関係者や建築の専門家から成る耐震化促進検討会を設置いたしまして、さまざまな検討を行い、校舎の耐震化について必要な情報をわかりやすくまとめたリーフレットを作成いたしまして、都内の私立学校に配布するなど、意識啓発、情報提供を実施しております。

○吉原委員 全学校に対して、耐震化補助についての説明あるいはリーフレットをつくって配布する、そうしたさまざまな機会をとらえて意識啓発や情報提供をされてきた、こういうことでございますから、多分、周知はしっかりと都としてはしてきたんだろうなというふうに思います。しかしながら、そうした努力をされてもなお、この補助制度を利用されることなく耐震化を実施できない学校があるとすると、その理由は何なんでしょうか。

○小濱私学部長 ただいまの質問に対するお答えでございますけれども、今年度、耐震化を進める上での問題点などを把握するため、全私立学校を対象に耐震化の実態調査を行いました。その中で、耐震化の取り組みを実施していない学校にその理由を尋ねましたところ、耐震化を実施するための資金が不足していること、また、耐震化のためには学校としては建てかえが望ましいが、建てかえが補助対象になっていないことを理由にする回答が多くございました。

○吉原委員 先ほど確認しましたけれども、現時点での私立学校の耐震化率は全体で六六・五%にとまっている。また、さきに発表された東京都耐震改修促進計画では、私立学校、病院、百貨店等の民間特定建築物の耐震化率を、平成二十七年度までに九〇%まで向上させることを目標としております。
 しかし、当然のことながら、子どもの安全・安心のためには、最終的には学校校舎の耐震化率を一〇〇%にしなければならないというふうに思うわけでありますけれども、東京都としては、当面、どの程度まで耐震化率を向上させるおつもりなのか、お尋ねいたします。

○小濱私学部長 委員おっしゃるとおり、東京都耐震改修促進計画では、私立学校を含む民間特定建築物の耐震化率を、平成二十七年度までに九〇%まで向上させることを目標としております。また、「十年後の東京」におきましては、特に小中学校につきまして、平成二十七年度一〇〇%耐震化を目標としたところでございます。
 しかしながら、委員ご指摘のとおり、私ども私立学校を所管する私学部といたしましては、幼稚園、高等学校なども含めまして、最終的には耐震化率は一〇〇%が望ましいと考えております。

○吉原委員 耐震化率をさらに向上させるためには、耐震化を実施できないでいる学校の理由をしっかりと把握して、有効な対策を実施することが大切だというふうに思います。
 これまでのお尋ねで、幾つかの課題が見えてきたように思いますけれども、一つには、私立学校全般では、補助を行っているにもかかわらず、依然として資金不足が理由に挙げられている。また二つ目には、幼稚園についていえば、木造の建築物が補助対象となっていないことによって耐震化が進んでいないことが挙げられているというふうに思うわけであります。
 そういった問題の解決には、国がやらなければ、都がしっかりと独自にやっていく、そういう姿勢も大切だと思いますし、都がしっかりやっていくという意味では、補助率の改善もすることが、今後、必要だろうというふうにも思いますし、幼稚園はまだまだ木造の建物が多い、こういうふうなお話も先ほどございました。木造の建物も補助対象とすることが大切ではないかというふうに思います。
 校舎の耐震化は子どもたちの生命にかかわる重要なことですので、補助制度、そしてまた学校が必要とする支援をさらに充実させていただきたいと思いますけれども、最後に局長の見解を伺って、質問を終わります。

○渡辺生活文化スポーツ局長 私立学校の耐震化の促進は、児童生徒の生命にかかわる大切なことであると私どもも大変重く受けとめております。一刻でも早く児童生徒の安全・安心を確保できるよう、委員ご指摘のとおり、耐震化率一〇〇%を実現させることが私どもの使命であるというぐあいに考えております。
 そこで、このため、補助制度を一層充実させていくとともに、情報提供や建築相談などを実施し、私立学校の耐震化促進に向けて、支援に努めていきたいと考えております。

○小磯委員 それでは、都政広報活動についてまずお伺いをいたします。
 都では、都民に対する都政広報活動として、都の取り組む課題、施策などの行政情報、また都民生活に関する情報について、「広報東京都」を初めとする多様な広報媒体により、幅広く情報提供が行われております。広範な都民を対象とする都政広報活動では、都民一人一人に都政情報をわかりやすく的確に情報発信するとともに、一人でも多くの都民に都政情報を到達させることが極めて重要なことであります。
 特に近年、情報提供する上で、情報弱者といわれている高齢者、また障害者の方々が都民の中にも多くおられることから、都政情報に問題なくアクセスし利用できるよう、さまざまな工夫が求められております。そこで、高齢者や障害者に配慮した都政広報活動の取り組みについてお尋ねをいたします。
 決算説明書によりますと、生活文化スポーツ局では、「広報東京都」の発行、東京都ホームページ、テレビ、ラジオのマスメディアの活用などにより、都政全般の広報活動を行っておりますが、その実施に当たっては、情報の受け手である高齢者や障害者の方々にとって利便性の高い広報活動が必要と考えます。とりわけ、発行部数や情報量の多い「広報東京都」の発行に関して、高齢者や障害者への対策の取り組みについてどのようにされているか、お伺いしたいと思います。

○和田広報広聴部長 現在、「広報東京都」は、毎月、四百五十万部を発行しておりまして、日刊紙への折り込みのほか、都区市町村施設や郵便局の窓口などを通じて配布しておるところでございます。
 毎年度、都民を対象に実施しております広報広聴活動に関する実態調査によりますと、「広報東京都」は都政情報の入手手段のトップとなっておりまして、高齢者層を中心に広く読まれているところでございます。
 このため、高齢者層に読みやすくわかりやすい紙面づくりを目指しまして、平成十七年度から、活字の拡大や写真、グラフを活用するなどの工夫を行い、さらに今年度におきましては、五月号から、一面と最終面、そして特集の面をカラー化するとともに、紙面レイアウトを全面的にリニューアルし、好評を得ているところでございます。
 また、視覚障害者に対しましては、点字版及びテープ版を制作し、希望者全員の方に郵送、配布をいたしております。
 今後とも、高齢者や障害者の方々に配慮した、利用しやすい「広報東京都」の充実に努めてまいります。

○小磯委員 最近、視覚障害者の方への情報提供の支援方法として、活字文書や印刷物などにSPコード、音声コードを添付すると、その専用のSPコード読み取り装置により、文字情報を音声で読み上げることができるようになり、自治体や民間企業などで普及してきております。
 私も第三回の定例会で、いわゆる都立病院また公社病院などの薬情報についてもこういうSPコードを活用すべきだ、こういう提案をさせていただいて、今年度、そういった実施に向けてやっていくという答弁があったわけでございますが、東京都においても、視覚障害者の方が都政情報を迅速かつ手軽に入手できるよう、都民向けのPR文書、お知らせ、都民への配布を目的に作成する文書のSPコード化を推奨しているところであります。
 そのため、「広報東京都」でもSPコードの活用ができればと考えますが、現在、SPコードは、一コード当たり八百文字という制限、また印刷精度に制約があることから、情報量も多く、新聞印刷をしている「広報東京都」にはSPコードの利用は適さない、そのように思うわけでございます。
 一方、「広報東京都」の情報は、都庁の総合ホームページにウエブ版として提供されていることから、SPコードのかわりとして、ホームページ上で音声読み上げが可能となっております。
 最近では、多くの自治体で、アクセシビリティーの観点から、ホームページに音声読み上げ機能を導入し、高齢者や視覚障害者の方々の利便性に配慮しています。ところが、都庁の総合ホームページには、まだ音声読み上げ機能が導入されておりません。情報のバリアフリー化を促進するためにも、早急に音声読み上げ機能の導入が必要だと考えますが、いかがでしょうか。

○和田広報広聴部長 都庁総合ホームページは、多くの利用者に全庁的な都政情報を提供しておりまして、トップページのアクセス数は年間約八百万件となっております。運用に当たりましては、正確かつ迅速な情報提供を行うとともに、だれにでも使いやすくわかりやすいホームページづくりに努めているところでございます。
 しかしながら、委員ただいまご指摘いただきましたように、都庁総合ホームページでは、まだ音声読み上げ機能を導入いたしておりません。そのため、高齢者や視覚障害者などだれもが支障なくアクセスし利用できるよう、今年度におきまして、音声読み上げ機能の導入を目指しているところでございます。
 今後とも、高齢者や視覚障害者などに配慮した都政広報活動となるよう、都庁総合ホームページのアクセシビリティーの向上に努めていく所存でございます。

○小磯委員 いろいろと工夫して都政広報活動を行っていることがよくわかりました。都政情報の提供は、都民に対する行政の説明責任を果たすとともに、都政を円滑に進めていく上で大変重要でございます。今後とも、多くの都民の皆さんに幅広く都政情報が行き届く、利用しやすい都政広報活動の実現を期待いたします。
 次に、配偶者暴力の関係について伺います。
 配偶者暴力に関しては、平成十三年の配偶者暴力防止法の制定後、二回の改正が行われ、対策が拡充してきております。しかし、私は最近、多くの相談を受け、依然として事態が深刻だと憂慮しております。例えば、母親と子どもがともに身体的な暴力を受け、ついに耐え切れなくなって都営住宅への入居を希望される事例がありました。
 配偶者から暴力を受けることで、つらい思いをされるだけでなく、自信を喪失し、あるいは自責の念に駆られるなど、精神的に不安定になる場合も多いと聞いております。
 配偶者暴力を受け続けた被害者は、身体面だけでなく、精神的にも大きなダメージを受けています。一時的な保護や福祉的施策により、加害者から離れて生活することができたとしても、精神的ダメージが長期間残り、その後の自立した生活や生活再建にも影響があると思われます。また、被害者に子どもがいた場合、ともに暴力を受ける場合はもちろん、暴力を目撃することによる精神的ダメージも深刻で、その後の成長にも多大な影響を与えています。
 こうした被害者親子が一日でも早く健全な生活を取り戻していくためには、きめ細かな精神的ケアの仕組みが必要であると考えます。
 都では、配偶者暴力相談支援センターである東京ウィメンズプラザにおいて、配偶者暴力の被害者への支援を行っていると聞いていますが、被害者及びその子どもの精神的なケアについてはどのような取り組みを行っているのか、お伺いしたいと思います。

○平林参事 配偶者暴力の被害者と子どもへの精神的ケアは、委員ご指摘のとおり、大変重要でございます。東京ウィメンズプラザにおいては、精神科医による面接相談を実施しているほか、子どもの心のダメージを回復するため、母子ともに遊びを通じてコミュニケーションを学ぶ場としての子ども広場事業を実施しております。また、被害を受けている母親に対する心理的サポートと、自立支援に関する情報提供を中心とした自立支援講座を行っており、講座の内容はもとより、被害者同士の情報交換やサポートグループとの交流を通して、精神的なケアに努めております。

○小磯委員 都の取り組みについてはわかりましたが、配偶者暴力の被害者への支援は、相談、発見から保護だけでなく、その後の自立生活再建のための住まいの確保、また生活を支えるための就労など、幅広い支援をしていくことが大切であります。
 先ほど紹介した母子の事例でも、家を出たとしても、就職先はあるんだろうか、子どもは学校が変わってもなじむことができるのだろうか、配偶者から追跡されたらどうしたらいいのだろうかなど、悩みは尽きませんでした。
 そのためには、市区町村はもとより、加害者からの安全確保のための警察の見回り支援や、民間シェルター、民生・児童委員を初め、医師や弁護士など、多くの分野の人が配偶者暴力に十分な理解と協力をしてくれることが不可欠であります。被害者支援について多方面にわたる協力体制、連携がますます必要になると考えますが、都の積極的な取り組みについて見解を伺います。

◯平林参事 配偶者暴力の被害者支援につきましては、従来からも関係機関による連携を図ってきたところでありますが、平成十八年三月に策定した東京都配偶者暴力対策基本計画に基づきまして、平成十九年度に東京都配偶者暴力対策ネットワーク会議を立ち上げました。
 この会議では、福祉、就労、子どもの教育、住まいの提供などにかかわる都や区市町村の関係部署に加えて、加害者からの安全確保の観点から警視庁が参加しております。さらに、医師会や司法支援センター、民間の被害者支援団体の代表を加えており、今後、この会議を活用して、被害者支援の協力、連携を積極的に推進してまいります。

◯小磯委員 この七月に、改正のDV防止法が成立しております。その主な支援策としては、身近に相談支援センターを置く。脅迫も保護命令の対象にする。また、無言電話、メールも禁止する。また、接近禁止対象に親族も入れる。そのような形で改正がされております。さらなる被害者保護策の強化を要望して、私の質問を終わります。

◯大塚委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

◯大塚委員長 異議なしと認め、本件に対する質疑は終了いたしました。
 以上で生活文化スポーツ局関係を終わります。
 これをもちまして本日の分科会を閉会いたします。
   午後三時三十六分散会

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