各会計決算特別委員会第一分科会速記録第三号

平成十九年十月十九日(金曜日)
第十一委員会室
   午後一時開議
 出席委員 十名
委員長きたしろ勝彦君
副委員長門脇ふみよし君
副委員長ともとし春久君
松葉多美子君
宇田川聡史君
松下 玲子君
山加 朱美君
大西さとる君
植木こうじ君
三宅 茂樹君

 欠席委員 なし

 出席説明員
会計管理局局長三枝 修一君
管理部長細野 友希君
警察・消防出納部長堀切喜久男君
参事安藤 弘志君
選挙管理委員会事務局局長梶原 康二君
人事委員会事務局局長矢口 幸一君
任用公平部長川村 栄一君
試験室長長谷川 登君
参事堀江 正敏君
青少年・治安対策本部本部長久我 英一君
総合対策部長百合 一郎君
青少年対策担当部長小島  昭君
治安対策担当部長八木沼今朝蔵君

本日の会議に付した事件
 平成十八年度東京都各会計歳入歳出決算の認定について
会計管理局関係
・平成十八年度東京都一般会計決算(質疑)
選挙管理委員会事務局関係
・平成十八年度東京都一般会計決算(質疑)
人事委員会事務局関係
・平成十八年度東京都一般会計決算(質疑)
青少年・治安対策本部関係
・平成十八年度東京都一般会計決算(質疑)

○きたしろ委員長 ただいまから平成十八年度各会計決算特別委員会第一分科会を開会いたします。
 本日から四日間にわたり、本分科会所管局の決算に対する質疑を行っていただきます。
 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、会計管理局、選挙管理委員会事務局、人事委員会事務局及び青少年・治安対策本部関係の決算に対する質疑を行います。よろしくお願いを申し上げます。
 これより会計管理局関係に入ります。
 決算の審査を行います。
 平成十八年度東京都一般会計決算中、会計管理局所管分を議題といたします。
 本件につきましては既に説明を聴取しておりますので、直ちに質疑を行います。
 発言を願います。

○松葉委員 平成十八年度一般会計決算、会計管理局関係について伺います。
 東京都は、従来の官庁会計に複式簿記・発生主義会計の考え方を加えた新たな公会計制度を昨年度導入いたしました。これは公明党の東村邦浩議員の提案を受け、石原知事の決断により導入が決まったものです。今年度はこの新制度による初めての財務諸表が作成され、さきの第三回定例会に提出されて、現在、決算特別委員会の審議に付されています。全国で初めての試みであり、これからの自治体運営を効率的、効果的に展開していく上で大変画期的なものであると考えております。
 一方で、各局においてそれぞれの財務諸表の作成に取り組まれたわけですけれども、初めてのことでもありますし、職員の皆様のさまざまなご苦労があったことと思います。そこで、この財務諸表作成に当たっての課題や取り組み、財務諸表から明らかになったことなどについて順次質問いたします。
 まず、今回初めて新公会計制度による財務諸表を作成し、公表するに当たって、どのような課題が生じたのか伺います。

○安藤参事 財務諸表に計上される金額の大部分は、財務会計システムで、予算を執行する際に複式の仕訳区分を入力することによって、自動的に積み上がるものでございます。したがって、財務諸表の作成に当たりましては、まず、日々の仕訳処理が正確に行われたかの点検が必要でございました。
 また、システムでは自動的に計算することができない引当金などについての算定や、公有財産などの財産データの照合作業が重要でございました。
 さらに、官庁会計の決算は従来と変わらずに行うため、財務諸表の作成作業に伴う職員の負担増をいかに少なくするか、これが課題でございました。
 また、ともすると数字の羅列にしか見えないような財務諸表を、都民の皆様にいかにわかりやすく公表するか、そういったことが大きな課題でございました。

○松葉委員 やはり従来の決算に加えて、新たな制度による、しかも複式簿記・発生主義会計という決算をもう一つつくるとなると、その作業を進める上での課題、それがあったこと。そして一方では、新公会計制度による財務諸表を都民にどうわかりやすく説明していくのか、そういったことも課題になったことがわかりました。
 そこで、これらの課題に対して局としてどう取り組んできたのか伺います。

○安藤参事 今回の財務諸表の作成は各局にとって初めてのことでございましたので、各局実務担当者向けの財務諸表作成説明会を三回にわたり開催いたしまして、日々の仕訳の点検方法、それからシステムでは自動的に計算できない引当金などの算定方法などについて、丁寧に説明を行いました。
 さらに、局ごとに個別具体的な指導、相談に対応するなど、きめ細かな対応を行うことで各局の作業にできるだけ手戻りがないようにして、職員の負担軽減に努めてまいりました。
 また、財産につきましては、財産情報システムで管理している膨大なデータと、財務会計システムのデータを一致させるために、システムから、残高照合表というのがございますが、それを十一回にわたって帳票出力をいたしまして、照合作業を繰り返し実施して、資産額を正確に計上するように努めました。
 さらには、財務諸表の公表に当たりましては、図表やイラスト、用語解説などを盛り込んだ財務諸表の概要版を作成することで、都民の皆様が少しでも都の財務諸表の内容を理解しやすいように努めたところでございます。

○松葉委員 さまざまな課題を職員の皆様のご努力によって克服されてきたことがよくわかりました。その中で、新たな公会計制度導入によるプラス面として得られたものが大きいのではないかと考えます。
 そこで、作成した財務諸表によりどのようなことが明らかになったのか伺います。

○安藤参事 今回、都の公会計制度により、初めて本格的な財務諸表を会計別、局別に作成いたしました。それぞれの財務諸表によりまして、資産、負債などのストック情報や、減価償却費、金利などを含むフルコストの情報が明らかになりました。
 新たに明らかになった情報によりまして、例えば単年度の維持管理経費だけでなく、金利や減価償却費を念頭に置いた財産管理など、新しい視点からの行財政運営を行うことが可能になったと思っております。こうしたことから、東京都の財務の透明性が増すとともに、今後、庁内各部門におけるコスト意識が大きく向上していくと考えております。

○松葉委員 ご答弁にありましたけれども、新たに明らかになった情報によりまして、今まで見えなかったさまざまなものが見えるようになったという、財務諸表作成によるプラス面、これはまさに東京都にとって、都民にとってのメリットとして生かしていけるように取り組んでいただきたいと思います。
 最後に、今回の財務諸表作成を踏まえての今後の公会計制度改革の取り組みについて、三枝局長の決意を伺い、質問を終わります。

○三枝会計管理局長 会計管理者といたしまして今後取り組むべき課題、これは大きく分けまして三点ほどあるかというふうに考えております。
 第一点は、財務諸表の精度を確保していくということでございます。
 新公会計制度にあります財務諸表というのは、これは経営分析等のツールとして、今後の行財政運営の展開の基本となるデータを提供するものでございます。いわば私どもの仕事というのは、都政運営のインフラの整備といったような性格を持っておりますので、その精度の確保、さらなる向上に向けて各局を指導してまいりたいというふうに考えております。
 第二点は、社会状況の変化に対する対応でございます。
 会計基準、これは民間においても社会状況の変化等に応じて改定が重ねられているという性格を持っております。これは公会計においても全く事情は同じであろうと思います。行政が置かれている環境の変化などの把握に努めながら、会計基準の的確な見直しや、財務諸表の表示の仕方の工夫など、絶えざる改善に努めてまいりたいというふうに思います。
 第三点は、全国に対する発信の問題でございます。
 我が国の地方行政全体の改革を進める上で、複式簿記・発生主義会計の導入、これは避けて通れないものとなっておるわけですが、先般、総務省の研究会の報告が発表されたところでありますけれども、私どもから見ますと、残念ながら極めて不十分なものでありまして、これによって公会計改革が全国的に進むということは期待できない状況にございます。東京都としては、公会計改革のフロントランナーとして、今回の成果を踏まえまして、全国自治体への発信にさらに努めてまいりたいというふうに考えております。
 全国的に先例がないという中で、新たな会計基準を作成して財務諸表を提出する、ここまでこぎつけることができた。これは都議会の皆様のご指導、ご鞭撻によるものでございまして、この場をおかりして改めてお礼を申し上げたいと思います。
 また、先ほど申し上げましたとおり、今後も長期にわたる取り組みが重要であり、必要でございます。したがいまして、今回の成果というものはいわば最初の一里塚を築いただけにすぎないということでございます。今後とも長い道のりになると思いますので、皆様方のご指導をよろしくお願いしたいと思います。

○植木委員 今回の決算では、これまでと違って新しい公会計制度が提案されて、財務諸表が提案されました。企業会計などを経験されている方はわかるのかもしれないんだけれども、なかなか私ども素人についてはわかりにくいので、非常に基礎的なところを幾つか感じているところをお聞きしながら質問をしたいというふうに思っております。
 行政の果たすべき役割から見て、こういう仕組みが、いわゆる通常の官庁会計がつくられてきた。今回新たな会計制度がつくられてきた。そこにどういうものがあるのかな、あるいは税というものをどういうふうに見ていくのかなということをちょっと改めて考えさせられるんですけれども、時間の制約もありますので、ごくごく絞った点についてお聞きしたいと思います。
 それで、企業会計を今回取り入れた、このメリット、先ほども少し出ておりましたけれども、改めてお聞きしたいというふうに思います。

○安藤参事 複式簿記・発生主義会計であります企業会計、これを取り入れるメリットについてでございますけれども、資産、負債などのストック情報や減価償却費、金利などを含むフルコストの情報を把握することができるということが挙げられると思います。これらは従来の官庁会計では把握できなかったことでございます。

○植木委員 従来の官庁会計では把握できなかった。どの部分かということはあるんでしょうけれども、いわゆる公会計制度は単年度で収入支出が出されて、そして繰越明許とか、いろいろ翌年度に繰り越される。それは翌年度の会計処理で単年度で処理していく、これが今までのやり方だったと思うんですね。これが今度はそうでなくなってきた。企業会計はそうですよね。企業会計は常に動きが激しいですから、それから利潤をどう見ていくかというのが最終的には目的になってきますから、常にそのことを意識しながらやるというのが企業会計。そうしますと、果たしていわゆる公会計としてこれまでやってきた仕組みでなぜいけないのかということがいま一つわからないんですけれども、いかがでしょうか。

○安藤参事 官庁会計がいわゆるそれだけだとおかしいというわけじゃなくて、官庁会計は我々官庁会計で予算から決算までやってございます。それに加えて、複式簿記・発生主義のいわゆる企業会計の考え方を取り入れますことによって、これまでとらえられなかったコストとかそういったものをとらえて、さらに行財政運営に役立てていこうという考え方でございます。

○植木委員 コストが今までの会計では考えられなかった、だからコストを考える、そういうこと。確かに企業会計ではそうですよね。企業会計そのものはやはりコストが非常に意識されるものですよね。コストを上げられなければ--極端にいえば、途中でも工場をつぶすことだって、あるいは店を別のところに移す、そういう思い切ったことも企業ではやりますよね。しかし、公会計というのは必ずしもそういうやり方はとらない仕組みになっていますよね、いいか悪いかはちょっと別としてですね。
 その点はちょっとまた後で触れますけれども、もう一面の、この企業会計を取り入れるデメリットをどういうものとして見ているのか、これもちょっと教えていただきたい。

○安藤参事 今の企業会計を取り入れるデメリットについてでございますけれども、仕訳という、一つの取引について二つの側面から帳簿に記録する作業が必要なため、単式簿記・現金主義会計の会計処理と比べて少し複雑になります。しかし、都の新たな財務会計システムの構築に当たって、予算執行の際に仕訳を自動処理できる工夫を加えることによりまして、会計処理における職員の負担を軽減しているところでございます。

○植木委員 実務的なデメリットについての指摘があったと思うんですね。
 それで、今までの官庁会計とこの会計、両方毎年やる、そういう仕組みになるわけですね。毎年これをやっていくわけですね。そうしますと、今までの決算という概念と、それから公会計の概念が複雑に入ってくる。皆さんは複雑じゃないと思うんですよね、整理されてやっているから。私どもは単純な頭ですから、ちょっと複雑に感じるんですけれども、公会計の決算については、いろいろな文献を見ましても、こんなふうに述べていますね。決算とは一般的に一定期間の収入と支出の計算を行うことということが、地方公共団体においては歳入歳出予算の執行の実績を示す計数をいうと。
 いろいろ途中にありましたけれども、決算の意義については、当初の予測に対する実績を明確にして、これを確定するとともに、財源上の責任を明らかにすることにある。すなわち、決算は予算の執行の事実をありのままに示すことによって、予算の見積もりに漏えいがなかったか、財政の健全性の原則により、かつ議会の議決によって執行された実績によって検討するために調製される資料であると。これはいわゆる官庁会計としてなんですけれども、こういう決算の意義というのがあって、今公会計のメリットで四つほど挙げましたけれども、これがどういうふうになるのか、ちょっと私の頭ではなかなか整理されない。事前にもいろいろやりとりやったんですけれども、なかなか理解できないんですね。
 それで、決算は、こういうふうに単年度で、行政の目的に基づいて決めたことをどう執行するか、こういう基本的な立場。それに対して、企業会計を取り入れたこの財務諸表等は、コストがわかりやすくなること、そのほかストック情報とか、いろいろおっしゃっていましたけれども、そうしますと、税金の見方がどこにどうあらわれてくるのかということだろうと思うんですけれども、税というのは当然、両会計に貫かれていなきゃならない思想だと思うんですけれども、税の、徴収する目的というのはどういうふうにお考えなんでしょうか。

○安藤参事 税一般的な意味合いとしては、いわゆる法律に基づきまして、強制的にというか、徴収いたしまして、行政の方がサービスに提供していくという、今非常に簡単ないい方で、税の専門家じゃないので、そんないい方しかできませんけれども、一方で、税を都の財務諸表でどうとらえているかということを申し上げますと、都では税をさまざまな行政サービスを提供するのに要した費用に対する財源としてとらえてございます。キャッシュ・フロー計算書の行政サービス活動収入、それと行政コスト計算書の行政収入に計上しているところでございます。

○植木委員 今二つのいい方をされた。税そのものの、それから財務諸表をつくる上での税の見方と、二つの見方がいわれたんですね。財務諸表を見てみますと、私も複雑なのはなかなかわからないので、単純な方ですからあれですけれども、左の方の欄をずっと見ていくと、赤字が計上されていて、右の方の、税そのものは事業局や各局でいくと出てこないんですね。それで、右の方では財源の補充としてその赤字分が穴埋めされる形になっているんですけれども、一つは、なぜそこに税が収入として出てこないのかということと、なぜ右の下の方に補てんする形で税が出てくるのか、その点についてはどういうふうに見たらいいんでしょう。

○安藤参事 先生おっしゃいましたのは、我々つくっております一般会計という財務諸表がございますけれども、そちらの方では主税局の収入での税収が載ってございますので、そういったやり方ではございませんけれども、各局に分けましたときに、税収につきましては主税局にすべて計上してございます。それでいわゆる各局が事業をやるときに、事業そのものから生まれた収入のみを計上しまして、主税局の方の税収につきましては、各局は余り歳入上がりませんので、それをいわゆる入れるという会計上の処理を行ってつくっているところでございます。

○植木委員 企業会計は収入によってどう賄っていくのかという考え方。ところが、今年度の公会計は赤字を補てんする形で右側に書いてある。税というのは補てんする財源なんだろうか、そこのところが私わからないんですよ、どう見ても、この諸表を見ていてね。税というのはそうじゃないんじゃないかと。先ほど税というのはと聞いたのは、そこの意味が、税というのはもともと国民の皆さんから、強制的にという言葉を使いましたけれども、強制的に徴収して、それを行政目的、住民の福祉の向上のために使うという、税がもともとにある、税が基本なんだと思うんですが、この財務諸表は税が基本になっていないというふうに、各局では--もちろん主税局のところは計上しなかったらおかしいですから、計上していますけれども、各局ではそうなっていないんですよ。ここがどうもわからない。税というのは補てんするという、そういう性格のものなんですか。

○安藤参事 何回か申し上げてございますけれども、いわゆる税を収入するのが主税局でございまして、主税局の税収から税などの一般財源を各局に対して、キャッシュ・フローの不足分、それでそこのところに一般財源充当として充当しているものでございます。
 各局において、事業と税収というのがいわゆる対価性といいますか、一対一の対応関係にならない。そういう中で、今、行政の中では主税局が歳入を集め、それをすべて予算を組んで、これは官庁会計のことでございますけれども、それでいろいろな事業を執行しているという、その組み立てどおりに会計処理をやって今つくっているということでございます。

○植木委員 実務的にそういう処理の仕方を決めたんだからといわれれば、ああ、そうですかというふうにいわざるを得ないんですけれども、財務諸表も単なる実務じゃないと思うんです。やはり都民のための税をどう使うかということが基本だと思うんですよ。それを足らず前を補てんするような仕組みに、私はどう見ても--仕組みそのものがですよ、よしあしは、きょうは初めてですから、ともかくとして、そこがわからないんですね。
 これ、余りいっていてもしようがないですけれども、いずれにしても、民間では収入のない財務諸表というのは本来ないと思うんですよね、民間では。これは収入が手数料とか、情報公開の手数料とかって、これで賄えといったってそれは無理ですから、赤字に計上せざるを得ないのは当たり前ですよね。だから、この会計制度の精神というのがどこにあるのかなというのがよくわからない、これが一つ。
 それから、先ほどコストというお話がありましたけれども、そうすると、赤字を、足らず前を埋めざるを得ないから、コスト意識を持たざるを得ない。コスト意識を持つこと自体は私もあれしませんけれども、ただ、このコスト意識を持つということと、足らず前を補てんするんだから、もっと現場ではこうやりなさいよというような話になりかねはしないかなと。
 これはここでは、いろいろお聞きしたら、そこまで行くと財務局の管轄だというので、具体的にはお聞きしませんけれども、一つだけ、一人当たりのコストというのが、諸施策の成果とか、それからいろいろなホームページにも出てきますけれども、これは皆さんのところでつくるということで出したんでしょうか、それとも財務局でしょうか、それとも各局がそれぞれでやったんでしょうか、その点だけ教えてください。

○安藤参事 いわゆる主要施策の成果に載っている事業別情報のことをおっしゃっているんだと思いますが、あちらにつきましては、財務局と私どもが話し合って、我々はむしろ様式的なこと、実際の中身については、財務局と各局が話し合いをして今の形にでき上がっているという数字の見え方になっております。

○植木委員 様式について話し合ったということですから、中身について聞いていいのかわからないですけれども、財務局でそれは聞くことにしましょう。
 いずれにしても、コスト意識を持たせるということがひとり歩きすると、これは質問しないで結論的にいうのはちょっと誤解を招くといけないんですけれども、最終的には、いずれにしても、公会計制度の仕組みというのはコストを意識するようになっていることは間違いないわけで、それが、行政サービスをどこまで行政目的を決めた予算に基づいて執行したかという公会計の精神と、こちらの会計の関係で、具体的な問題になってくると、恐らく受けとめる側、あるいはひとり歩きした場合に誤解を生む、あるいは過度にコスト意識が強調されたりするという、そういうことになりかねないかなということを危惧するわけです。
 これは財務局の方で後でお聞きしますので、きょうはこれ以上述べませんけれども、いずれにしても、企業論理が優先するような形で使われてくると、例えば公的な仕事をやってきたあのコムスンのようなところも、結局利潤が中心になったので、これと同じということは、極論はいいませんけれども、サービスというものが縮小に結果的にはなりかねない事態にあそこは至ったわけですけれども、そういうことも含めて、慎重に財務諸表のあり方、あるいは税金のあり方をこういう諸表にどう反映させるのかということが大事じゃないかなというふうに思っています。
 次の問題に移ります。減価償却の問題なんですが、減価償却費と更新費用というのは何が違うんでしょうか。

○安藤参事 減価償却累計額は、資産に対して発生した減価償却費の累計額で、いわば老朽化に伴って目減りする資産の価値の減少分、これを積み上げた額でございます。
 それに対して、更新経費は資産を更新するために必要な経費でございます。個々の資産を実際に更新するかどうかは、それぞれの必要性に応じて判断されるものでございますから、減価償却累計額と更新経費とが一致するとは限りませんけれども、都が保有する資産の多くが都民生活や都市活動を支える都市施設でありまして、確実な更新が求められることから、減価償却累計額は更新経費を試算する上での一つの目安になると考えられると思います。

○植木委員 それじゃもう一つお聞きしますが、この費用化された減価償却費はどのような形で内部留保されるんでしょうか。

○安藤参事 一般会計及び特別会計の予算は引き続き官庁会計に基づいておりますので、減価償却費が自動的に内部留保される仕組みとはなってございません。

○植木委員 そうしますと、これもよくわからないんですけれども、一般の民間の企業会計では、減価償却費というのは計上されていくわけですね。それで企業活動にとってコスト管理されて、有効なものは当然引き続き維持し、あるいは更新時期が来れば更新する、こういうことになると思うんですけれども、企業会計の場合は、いわゆる製品を生産するに必要なコストなどが大体が減価償却の対象になって、固定資産となって賄われていく。ところが、公会計の方は、いわゆる施設建設とかそういうのは、それを利用する将来世代が負担するという考え方で起債などが計上されて、充てているというふうに思うんですね。
 じゃ、将来更新した場合に、その更新費用は、先ほどのお話ですと、この減価償却費によって--失礼、目減りする減少分を積み上げた額と。更新経費は資産を更新するために必要な経費ということで、減価償却費は減少分だと。ところが、先ほどいったように、将来世代の人たちが負担をしていくものを計上して、それで一方で、都債は都債で計上されていますよね。そうすると、これは両方で計上されて、いずれどこかで差っ引くんでしょうけれども、二重計上みたいなちょっと形をとっているやに思うんですが、その点はどういうふうになるんでしょうか。

○安藤参事 二重計上というのはちょっとあれなんですけれども、いわゆる都債は都債で当然計上してございます。減価償却費というのを計算して、施設がどれだけ目減りしたかを費用計上する場合と資産の方に載せる場合と、両方で計上してございますけれども、二重計上とは思っておりませんが……。ちょっとよくわかりません。

○植木委員 二重計上ではないということなんですが、いずれにしても、将来、都債によって計上されて、単年度ではこうやっていくのが、今度の公会計では減価償却費として計上していくというふうになって、私素人ですから、もし間違っていたらあれですけれども、そういうふうに思われるんですね。
 それで、いずれにしても、今までも更新費用とかいうのは、これが初めてじゃないはずですよ。この会計で初めて出たという話じゃなくて、今までも、何年か前にたしか政策報道室の時代に、大規模施設などの更新費の試算がされたものも出ていますし、それから最近でも、これは平成十年ごろだったかな、ちょっと厳格な数字を--十七年だね。財務局が出した更新の増大、これは非常に単純なものですから、ただ、平成十年に出たものは非常に詳細にわたって、各分野にわたって出ているわけで、こういう会計制度の仕組みでなければ出ないのかどうかというのが、ちょっとやはりわからないんですが、その点はいかがでしょうか。

○安藤参事 今までも、先生おっしゃいましたとおり、政策報道とかで、いわゆる施設の維持更新とか都市の施設の更新どうだという数字は推計で出してございます。我々が初めてお示ししたと申し上げましたのは、いわゆる資産の価値が目減りしてどうだというところの減価償却費というものを数字として会計処理をしてお示ししたということでございますので、先ほど申し上げましたとおり、これがイコール更新経費とは違いますので、減価償却費という数字を出したというのは初めてでございます。

○植木委員 減価償却費としては初めてだというんですけれども、更新の目安にするというような先ほどお話ありましたよね。だけれども、更新するときには、そのときの政策判断も当然ありますし、よりグレードのいいものにする場合もあるし、あるいは縮小する場合もあるし、効果がなくなったということで、そこには政策的判断が当然あるわけで、だからそういう意味では、今まで政策報道室なんかが積み重ねてきた、二〇三〇年だったかな、二〇五〇年だったかな、ちょっと正確な数字は忘れましたけれども、かなりの長期スパンにわたっての推計値を出しているわけですから、そういう目安にすることであれば、更新の方は出ていたと思うんですね。ただ、減価償却というのを提出したのは初めてだというのは確かだと思いますけれども。
 いずれにしても、企業会計でいう減価償却の考え方と、ここでいう減価償却のあり方というんでしょうか、やはり違ってくると思うんですね。やはりそこには行政サービスをどうするかという基本、都民福祉の向上のためにどうするかという基本と政策判断がその都度あるわけで、そういう意味で、いわゆる企業的な価値を生み出す目的としてとらえるのであれば、やはりこれはちょっと違うかなという感じがしています。
 いずれにしても、これからこの会計でどんどんやっていくことになると思うんですけれども、更新費用の問題はもっと予算の段階から、例えば今でもいろいろな事業をやる上で、その予算がどれだけ後年度の方々に大きな負担を負わせるかという見積もりもなくどんどん出発して、スタートしてから、後で財源投入するというのが、臨海副都心でもありましたし、それから今もオリンピックも具体的な、どのくらい事業費がかかるかというのはまだまだわからないでどんどん話が進んでいますし、新銀行なども、これもそういうことで、もう八百何十億という損益を出している。そういう意味ではもっともっと予算に、そういう都民に過大な負担を与えないような考え方を入れるという意味なら、僕はもっともっと重要視しなきゃいけないと思うんですけれども、コスト意識だけでやっていくということには一定の危惧の念がある。もちろんメリットもいろいろお話ありましたので、今後の推移を見守っていきたいということで私の質問を終わりにします。

○きたしろ委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○きたしろ委員長 異議なしと認め、本件に対する質疑は終了いたしました。
 以上で会計管理局関係を終わります。

○きたしろ委員長 これより選挙管理委員会事務局関係に入ります。
 決算の審査を行います。
 平成十八年度東京都一般会計決算中、選挙管理委員会事務局所管分を議題といたします。
 本件につきましては既に説明を聴取しておりますので、直ちに質疑を行います。
 発言のある方……。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕

○きたしろ委員長 発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○きたしろ委員長 異議なしと認め、本件に対する質疑は終了いたしました。
 以上で選挙管理委員会事務局関係を終わります。

○きたしろ委員長 これより人事委員会事務局関係に入ります。
 決算の審査を行います。
 平成十八年度東京都一般会計決算中、人事委員会事務局所管分を議題といたします。
 本件につきましては、既に説明を聴取しておりますので、直ちに質疑を行います。
 発言を願います。

○門脇委員 それでは、委員長にご指名をいただきましたので、人事委員会所管分について質問を、大きくは二点であります。
 人事の問題というのは、これは国もそうですし、地方公共団体もそうですし、あるいは民間企業もそうですけれども、やはり制度と運用ということをしっかりと分けて私たち質問する側も考えていかなければいけないと思いますので、もちろんきょうはいわゆる制度ということについて、人事委員会ですから、お伺いをいたします。運用の問題についてはまた総務局等にお伺いをしてまいりたいと思います。
 いわゆる団塊の世代の大量退職と、それから過去からの新規職員の採用抑制で、都庁組織、職員組織の本来の、何をもってあるべき姿というのは、これはまた難しい問題かもしれませんが、一般に私たちが過去勉強してきたような年代構成のあるべき姿というのが、大分変形してきていると思います。最近は、余り安心してはいけないんですけれども、幸いにして法人関係の税収もふえてきておりますので、全体的には財政状況も好転をしてきていると思います。それをもって、将来、都民の皆さんに良好で質の高い都民サービスを展開するためにも、職員の採用ということは、これはもう一番のスタートでありますから、ある意味、最も大切な役割を皆さん方が担っているということになります。その意味でどのような取り組みをしているか、まずお伺いいたします。

○川村任用公平部長 職員の新規採用についてでございますが、都におきましては、財政再建推進プランの計画期間中に新規採用の抑制を行っておりまして、これを受けまして、人事委員会の実施する採用試験の合格者数は、平成十一年度の千三百名程度から、平成十二年度には三百六十名程度にまで減少いたしましたが、平成十六年度以降は毎年七、八百名規模の合格者を継続しております。
 現在、民間企業における人材獲得競争がバブル期並みに激化している中にありまして、都としても、将来の都政を担う多様で有為な人材を安定的に確保できるよう、昨年度に採用試験制度の全面的な再構築を行ったところでございます。
 具体的には、大学院修了者や第二新卒と呼ばれる既卒者を対象とするⅠ類Aの区分を新設いたしておりまして、この大学院修了者を対象とする採用試験区分の設置は全国でも初めてでございます。また、資金運用や財務、情報システムなど、専門性へのニーズの高い分野では、民間から人材を登用する専門人材主任を新設いたしました。
 このような制度改正によりまして、今年度の採用試験におきましては、多様な人材の応募に結びつけることができたものと考えております。

○門脇委員 ありがとうございました。今答弁の中にもありましたように、特に二つ目の第二新卒と呼ばれている部分、ことしから実質的に始まったⅠ類Aの選考でありますけれども、答弁にもありましたように、四十七都道府県あるいは政令都市の中では東京都がトップを切ったということだと、私、これは高く評価をさせていただきます。
 今回の採用予定者は、事務が四十五名、それから土木が三十名、それから技術系--土木も技術系ですけれども、機械、建築、あともう一つ何かありましたね、数名ずつ。で、事前にちょっと調べたところ、大体二十倍ぐらいの倍率だということですから、例えば事務に限っていうと、四十五掛ける二十ですから、幾つですか、九百ですか、こんなにたくさんの方が、職種によって若干でこぼこあるんでしょうけれども、それだけの方がエントリーをしてくれたというのは、今部長の答弁の中にもありましたけれども、今は比較的売り手市場に労働市場が移行しつつある中では、これは大変うれしいことではないかと思っております。
 ただ、逆にいえば、今回、既に合格者は決定を多分されているんだと思いますけれども、この第一弾の皆さん方が都庁の職員になって、そして期待をされる人材となることがなければ、この後またこの制度が本当によかったかどうかという、これは大切な初年度ですよね。その準備は当該決算年度でやったわけだ。ですから、私は、いい制度でありますし、実際に応募者が多かったわけですから、今後も人事委員会として、それは後は人事部にお願いするよということではなくて、将来も少しウオッチをしていくというか、ぜひ、追跡調査とはいいませんけれども、お願いをしておきたいと思います。
 次に、今度は幹部職員の方ですけれども、幹部職員の枯渇化が特に最近いわれております。いろいろな原因はあるんでしょうけれども、いわゆる管理職試験を受ける人の人数そのものがふえていないという状況があると思います。改めて申し上げるわけではないんですけれども、幹部職員の受験者が減っているという、それは分母全体が減っているということもあるんでしょうけれども、私はこれからの都政運営全般を展望したときに、そんなに簡単な問題ではないと思っております。大きな問題であると思っております。報道等もよくされておりますけれども、こういう状況を当該人事委員会としてどのように把握をしているのか。
 あるいは、私、選挙区は杉並区ですけれども、杉並の区議会も長くやっておりましたけれども、比較対照するということではないんですけれども、東京都の職員の皆さんは本当に優秀であると思っております。そういう状況の中で、なぜこんな状況になってしまったのか。その原因の主なものはどういったものがあるのかお伺いいたします。

○川村任用公平部長 管理職選考の受験率の低迷につきましては、それが目立ち始めました昭和六十年代ごろからの長年の課題でございます。
 その主な要因でございますが、近年では有資格者数の減少に伴う受験者数そのものが大幅に低下していることと、有資格者に占める女性職員の比率が増加傾向にありまして、男性職員に比べ受験率が低いことが影響しているものと考えております。
 こうしたことを受けまして、人事委員会では、昨年度に制度改正を行い、受験資格を拡大するとともに、択一試験の成績が一定基準に達した者は翌年から三年間受験を免除する負担軽減措置を講じるなど、チャレンジしやすい仕組みを導入したところでございます。制度改正後に初めて実施いたしました今年度の管理職選考におきましては、受験者数が十年ぶりにアップしたところでございます。

○門脇委員 受験減の原因というのは、今お話をされたこと以外にもあると思います、正直申し上げて。なかなか人事委員会としてはお答えづらいことだと思いますが、私たちが一般的に聞いておりますのは、管理職としての職責の重さと、それに見合った、端的に申し上げれば給与ということなどもあると思います。
 次に、女性管理職も、私は、男性と比べて優秀だといういい方はいたしませんが、とても優秀だと考えております。これはもちろん男女平等の原則もあり、それからもともと人事委員会としては、結果の公平性ではなくて機会の公平性ということが一番もちろん大切でありますが、そのことをよく理解をした上で、女性管理職の比率というものを、私は、何%という数字はなかなか申し上げにくいんですけれども、ふやしていくべきではないかと思います。先ほどの新しい今年度からの取り組みのⅠ類Aでは、これは事務系かな、七割が女性合格者だということも聞いておりますので、このことについてお知らせください。

○川村任用公平部長 いわゆる団塊の世代の大量退職が始まっている中にありまして、女性職員をより一層活用していくことは、民間、公務を問わず、極めて重要な課題であると認識いたしております。
 内閣府が本年九月に公表いたしました調査結果によりますと、一般行政職の女性管理職の割合は、都道府県、政令市の平均では四・二%であるのに対しまして、都は一〇・六%と、最も高い割合となっております。しかし、他方では、先ほども申し上げましたように、女性職員の受験率そのものが低いこともございまして、今後これをさらに高めていくことが課題でございます。
 今年度の種別Bの管理職選考におきましては、育児休業中の職員も記述試験を受験することができるよう、その改正を行ったところでございまして、今後も、本年の給与勧告でお示ししましたような、育児を行っている職員のための短時間勤務制度の導入や超過勤務の縮減など、仕事と家庭生活を両立するための環境整備に努めることが重要であると考えてございます。

○門脇委員 先ほど数値の問題を申し上げて、今、全国都道府県とそれから政令市の中では倍以上ですよね、平均で。なかなかこの数字だけ見ればいいと思うんですけれども、私は、オフィシャルな会議の中でこういうことを申し上げることがいいかどうかわかりませんが、個人的には二〇%ぐらいに引き上げることが、これはなかなか基準がないのでわかりづらいんですが、それは私自身の意見として申し上げておきます。
 管理職は、女性に限ったことではないんですけれども、ある局のある女性管理職が、最近発行された都庁関係の雑誌にこんなことを書いてあります。管理職の苦労談が話題になることは多いが、魅力は話題になりにくい、管理職の仕事の楽しさを遠慮せずにアピールしてもいいかも、強引に受験させて組織も本人も不幸になることがあるので、強く受験を促すには賛同しないと、なかなか名文章でありますけれども、ちょっとご披露だけしておきます。
 この項の最後でありますけれども、都政の活性化、それから都民サービスの充実拡大、すべての世代の職員の合理的、効率的活用を考え、今後の採用管理職試験を含み、人事制度は数多くの課題を抱えていると思いますが、人事委員会事務局としての人事制度改正に対するいわば総括的な考え方についてお伺いをいたします。

○川村任用公平部長 人事委員会といたしましては、人事制度は時代の変化に応じて柔軟かつ適切に見直しを行っていく必要があると考えてございます。これまで申し上げましたように、昨年度には採用試験と管理職選考の制度改正を行い、今年度から新たな制度のもとでこれらを実施いたしております。今後はこれらの新たな制度の定着を図るとともに、その適切な運用に努めていくことが重要であり、また、現在進められております公務員制度改革における諸課題につきましても、検討していく必要があると考えてございます。
 都の任用制度は、学歴や性別にかかわりなく採用や昇任を行う仕組みとなっておりまして、実力主義の人材登用に寄与してまいりました、内外に誇り得る制度であると考えております。人事委員会といたしましては、今後とも都の人事制度をよりよいものとしていくため、不断の検証と見直しを行っていく所存でございます。

○門脇委員 よろしくお願いします。
 質問を変えます。人事委員会の主要な業務の中の一つでありますが、大変恥ずかしいことに、私、このことを、今申し上げることを知りませんでした。それは労働基準監督署、正確にいうと労働基準監督機関でしょうね、機関としての役割があるということを知りませんでした。この役割があることは、実は職員の皆さんにも周知徹底されているのかなという部分はあるんですけれども、決算委員会でもありますので、決算質疑でもありますので、改めて役割、対象、そして業務内容について、簡潔にお知らせください。

○川村任用公平部長 労働者の方々が安心して働けるよう、労働条件や安全衛生の確保のため、民間従業員等につきまして、国の労働基準監督署など労働基準監督機関が事業場に対する監督や指導を行っております。
 このうち、地方公務員であります都職員につきましては、都税事務所、警察署、消防署などの一般行政事務所のほか、学校、試験研究所等の特定の事業所を含む計約八百事業場の非現業職員の勤務条件や執務環境等につきまして、人事委員会が労働基準監督機関としての権限を行使いたしております。
 その理由は、人事委員会が中立的機関で、人事行政に関する専門的機関であること、また、同じ地方公共団体の行政機関として、その実態に明るいことなどから、公務の特殊性を考慮しながら、適時適切に労働基準監督権を行使することが期待されていることにあるとされております。
 具体的な業務内容といたしましては、労働基準法に定める勤務条件や、労働安全衛生法に定める職場の執務環境などに関し、法令違反の防止等を目的として、過重な超過勤務の改善、健康診断受診率の向上、休養室の確保等の施設の改善、有害物調査などにつきまして、事業場に対し書面調査や立入調査を実施し、指摘や改善指導等を行っております。

○門脇委員 今答弁の中にもありましたけれども、全体でかなり幅が広くて、八百事業場というんでしょうか、大変だと思いますね。いわゆる現業とか単労とか呼ばれている、これは多分地公労法の関係の職員は、これはもともと労働組合がつくれますから、それ以外の人たちですから、ウイングが広いと思います。
 次に、委員会運営に協力をするために、通告をしておりました立入調査については割愛をいたしまして、最後の質問にいたします。
 この労働基準監督機関としての役割というのは、今大変に重要であるということが改めてわかりました。ということは、この人事委員会の役割も大変重く、重要だということでもあると思います。職員の駆け込み寺とはいいませんけれども、これから、先ほどもちょっと申しましたように、やはり職員の皆さんに、対象が非常に、現業以外、幅広いわけですから、こういった制度があるということを今後PR、周知もしていただきたいと思います。繰り返しますけれども、職員の勤務条件等を守るための大切な機能であり、今後とも効率的かつ積極的な取り組みが必要だと。PRのことはいいでしょう、全体の答弁ということでお答えをしていただき、私の質問を終わります。

○川村任用公平部長 人事委員会の労働基準監督機関としての役割は、都に働く職員の勤務条件の適正な確保にとって極めて重要であると考えております。このため、これまでも定期監督を効果的に実施できるよう、年度計画の適切な策定等に取り組んできたところでございます。
 今後とも必要に応じ、事業場を所管する各任命権者との連携等も図りながら、労働基準監督機関としての人事委員会の役割、機能を一層適正に果たしていくことができますよう、ご指摘のPRも含め、取り組んでまいりたいと存じます。

○きたしろ委員長 門脇副委員長、ご協力ありがとうございました。
 ほかに発言はございますか。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕

○きたしろ委員長 それでは、お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○きたしろ委員長 異議なしと認め、本件に対する質疑は終了いたしました。
 以上で人事委員会事務局関係を終わります。

○きたしろ委員長 これより青少年・治安対策本部関係に入ります。
 決算の審査を行います。
 平成十八年度東京都一般会計決算中、青少年・治安対策本部所管分を議題といたします。
 本件につきましては既に説明を聴取しておりますので、直ちに質疑を行います。
 発言を願います。

○宇田川委員 治安対策について何点か質問をさせていただきます。
 都内の治安状況は改善されつつありまして、体感治安も向上していると聞いておりますが、犯罪は依然として発生をしております。各地域において、犯罪を起こりにくくするために自治会、町会等が積極的に取り組みを行っていただいておりまして、都としてもなお一層力を入れていくべき課題だと思っております。
 さまざまな犯罪の中で、外国人犯罪対策についてまずお伺いいたします。
 全国には二百万人を超す在日外国人がおり、不法滞在と思われる人が二十万人ほどいると聞いております。ここ数年で在日外国人はふえているのに対して、不法滞在者数は減少傾向であるとも聞いております。
 そうした中、外国人組織による凶悪犯罪は減少しておりません。都内でも殺人や強盗といった凶悪犯罪の検挙数は年間百件前後でありまして、不法滞在外国人対策の強化の必要性はいうまでもないことだと思います。もちろん大半の外国人の方は犯罪とはほど遠い生活をされているわけで、友好関係を保ちながら共生すべきであるとも思っております。こうしたまじめな外国人の皆さんのためにもしっかり対応すべきであります。
 不法就労も後を絶たず、先日も、吉祥寺にある、行列ができるメンチカツを販売する肉屋で、外国人を不法就労させていた疑いで経営者らを逮捕、送検したというニュース報道がございました。私の地元においても、飲食店などで働いている方が多く見受けられますし、盛り場において客引きまがいの行為を行っている外国人も見かけることがあります。果たして就労ビザを取得するなど正規雇用者なのか、はたまた違法なのか、外見では全く判断が我々にはつきません。まず、不法就労の実態、現状についてお尋ねをいたします。

○八木沼治安対策担当部長 平成十九年二月に発表しました法務省入国管理局の統計によりますと、平成十八年に退去強制手続をとった入国管理法違反者は約五万六千人で、うち、不法就労の割合は約八割を占めております。不法滞在外国人の主たる目的が不法就労であることを裏づけておると考えております。
 こうしたことから、犯罪の温床にもなりかねない不法滞在外国人を減少させるためには、外国人の不法就労を防止することが重要であると考えております。

○宇田川委員 今、不法滞在者の多くが不法就労目的であると、そういったお話がございました。中には、日本に来て、就労することができずに組織に加担をするような形だったり、いろいろな形で犯罪に走ってしまう人も少なくないと思います。国による水際対策とともに、都としても何らかの対策が今後ますます必要になってくるのではないかと考えております。不法就労防止に向けた都の取り組みについてお伺いをいたします。

○八木沼治安対策担当部長 外国人の不法就労防止に向けた都の取り組みについてですが、都では、平成十八年度から、外国人の不法就労が多い食品飲食業、製造業、建設業等の事業者を対象といたしまして啓発講習を行っており、初年度は約二万事業主に対しまして、計八十九回の講習会を実施いたしました。
 一方、国においても、本年十月から、事業者に対しまして、外国人雇用状況の届け出を義務化する、そういう法制化を行いまして、雇用管理の徹底を図ったところであります。
 都といたしましても、今年度は、外国人を雇用する際のポイントをわかりやすく解説したビデオ、DVDやマニュアルを作成しまして、講習会で活用するなど、内容の充実強化を図っております。今後とも、各関係機関、団体と連携いたしまして、外国人の不法就労を許さない環境づくりに努めてまいりたいと考えております。

○宇田川委員 今後も、警視庁や入国管理局などとともに、取り組みを強化していただきたいと思います。
 少子高齢社会において、労働力不足が懸念をされております。それを受けた形で、高齢者の雇用促進、加えて外国人雇用推進という議論も出てきております。介護士などに外国人を雇用すべきという動きがある一方、都内で介護ヘルパーとして働いていたフィリピン人が不法就労であったと、そんな報道もありました。
 外国人就労者に対しての世間の目は、決していいものではございません。むしろ冷たい視線であることが多いのが、残念ながら今の現状だと思います。不法就労者をなくすことで、外国人労働者に対する我々の認識をきちんと改めた中で正規雇用者を守ってあげる、また、労働力確保のためにもきちんとした道を開いていく、そうしたことも一方では必要だと考えます。そうした環境づくりも含めて進めていってほしいなと、意見として申し上げます。
 また、新宿歌舞伎町ですとか、六本木、渋谷などの繁華街を集中的に浄化するべく取り締まり強化をしておりますが、それによって、周辺へ、周辺へと流れていくといった現状がございます。都内全体で取り締まっていけば、おのずと近隣他県へと移動していく、こうした流れを食いとめるためにも他県との連携を進めることも必要でございまして、要望として一言つけ加えておきたいと思います。
 次に、防犯カメラなどの設置補助についてお伺いをいたします。
 現在、都では、商店街や町会、自治会などに防犯カメラの設置に対して補助を行っております。ある商店街ではひったくりなどの犯罪が半減したなど、実質的に犯罪抑止の効果が上がったという声もありますし、ほかにも、安心感が持てるといった町の声を耳にしております。ひったくりや車上荒らし、自転車泥棒などの路上犯罪が頻繁に起こっている昨今でありまして、その犯罪抑止に向け、防犯カメラによる効果は大いに期待できるとともに、意義ある助成だと私も考えております。
 最初に、この防犯カメラを設置する意義とその効果についてのご認識をお伺いいたします。

○八木沼治安対策担当部長 防犯カメラ設置の意義と効果についてでありますけれども、都では、商店街、町会、自治会など、地域での防犯力の向上を目指した取り組みを支援するために、防犯カメラ等の設置費用の一部を区市町村を通じまして補助しております。これは、商店街など地域の方々による自助、共助の取り組みを支援するものであります。
 防犯カメラの設置の効果でございますけれども、犯罪を行おうとする者に、見られているという意識を与えますし、犯罪を思いとどまらせる効果が期待できると考えております。また、防犯カメラの設置を契機といたしまして、住民の防犯意識が高まり、防犯パトロールが実施されるなど、地域の防犯力が一層高まるという効果も期待できると考えております。

○宇田川委員 今、ご答弁にあったとおり、地域の防犯力向上といったためにもぜひ積極的に取り組みを進めてほしいと思っております。
 さて、私は、二年前に、総務委員会の席において当時の状況を伺ったことがございます。平成十六年度実績が二十六件で四百五十五台設置、十七年度が、十月まで約半年間、九件、百四十五台の補助申請があったと、当時そういうお答えでありました。平成十八年度の防犯カメラ補助実績はどれくらいなのかをお尋ねいたします。

○八木沼治安対策担当部長 防犯カメラの設置補助の実績でございますけれども、平成十八年度は、二十七団体を対象に約三百台の防犯カメラ設置の補助を行いました。なお、当本部がこの事業を取り組み始めた平成十六年度からの累計では、延べ七十五団体に対しまして約千台の防犯カメラの設置の補助を行ってきたところでございます。

○宇田川委員 ここ数年で千台というお話でございますけれども、決してこれで十二分に行き渡ったわけではないと思います。ぜひ引き続きよろしくお願いしたいと思います。
 今後に向けたこの防犯カメラ補助事業への取り組みについてお聞かせください。

○八木沼治安対策担当部長 今後の取り組みについてでございますけれども、防犯カメラ等の防犯設備の補助につきましては、地元各区市町村からの強い要望がございます。都といたしましては、引き続き、この商店街、町会、自治会等が行う防犯カメラ等の防犯設備の設置に対しまして支援を行ってまいりたいと考えております。

○宇田川委員 ぜひ窓口である区市町村ともしっかり連携をとりながら、時には都が指導的立場を発揮して大きな支援としていただきたい、そう願っております。
 次に、子ども安全ボランティアについてなんですが、子どもたちの安全を見守るために取り組みを推進しているわけでございますが、今までの実績はどう形にあらわれているのか、ご認識を伺いたいと思います。

○八木沼治安対策担当部長 子ども安全ボランティアについてでございますけれども、私ども、地域で子どもを犯罪から守るということで、子ども自身が自分で自分の身を守る、それから、学校で犯罪から守っていこう、地域で子どもたちを犯罪から守っていこうということで、いろんな取り組みをしているところでございます。その中で、この子ども安全ボランティアにつきましても、地域で子どもを守っていこうという、そういう取り組みの中で重要な柱として取り組んでいるところでございます。
 また、平成十九年度におきましては、この地域の中で通学路を見守っていこうということで、青色防犯パトロールカーを普及に努めているところでございまして、現在、都内では、三百台を超える車両が活躍していることをつけ加えたいと思います。

○宇田川委員 今、今年度の新規事業で、青色回転灯装着車によるパトロール、いわゆる青パトというお話がございました。きたしろ委員長から十八年度決算から逸脱するなというご注意がありましたから、新規事業については余り触れないようにしながらも一言だけ意見として申し上げさせていただきたいと思います。
 ことし二月に、やはり総務委員会で青パトの質疑をした際にもお話しさせていただいたんですが、千葉県市川市という自治体がありまして、そこの取り組みについて話をさせていただきました。市川市という場所が--私は江戸川で、川を挟んで隣町なんですが、公立の小中学校が全五十六校ありまして、その各校に一台ずつ車を配車する。一年間一千六百万ぐらいの予算だったと思うんですが、車のリース代など一切の経費を市が計上して車を配置し、登下校時を中心にパトロールを行っていると、こういうお話でありました。
 PTAや近隣自治会の皆さんがご協力いただいているんですが、そのときも特筆すべきといったんですが、このパトロールを教職員が主体となってやっていると、大変大きな意義があることを市川はやっているなと、そのとき考えたところであります。ましてや、全学校の学区を回るということは、市内をくまなく網羅するということで、かなり手厚いパトロールだということがそのことだけでもわかると思います。
 今、都は、青パト倍増ということをいっておりまして、三百台というお話もありましたが、ぜひ三倍、四倍と普及が広がることを個人的には願ってやまないところであります。
 いずれにしても、先ほどの防犯カメラもそうなんですが、普及を推進するためにはできるだけ申請を簡素化して、皆さんに手間暇かけずに助成を受けられる体制をつくっていく、このことも大事だと思っております。治安向上は都民の皆さんが大きく期待をしているところでありますから、都としても積極的な取り組みを望んでおります。
 安全・安心まちづくりに向けた本部長の決意を最後にお伺いさせていただいて、私の質問を終わります。

○久我青少年・治安対策本部長 都内におけます刑法犯の認知件数は、平成十四年をピークに四年連続して減少しております。統計上は、東京の治安は回復傾向にあるといっていいと思います。
 一方、都民生活に関する世論調査では、治安対策に対する要望が三年連続で第一位となるなど、都民は依然として東京の治安に不安を抱いておりまして、都民の体感治安は回復しているとはなかなかいい切れない状況にあるというふうに考えております。都といたしましては、治安の維持こそ最大の都民福祉との認識のもと、今後とも、警視庁、区市町村など関係機関と緊密に連携をとりつつ、各種の施策を展開してまいります。
 それと同時に、安全で安心なまちづくりのためには、町会、自治会、ボランティア団体など地域の方々の自主的な取り組みが果たす役割が非常に大きいということから、青色防犯パトロール活動など地域住民による主体的な活動を支援しながら、世界一安全で安心な首都東京の実現に向けて努力してまいりたいと考えております。

○きたしろ委員長 宇田川委員の発言の中に、意見、要望等がございましたので、それをしっかり受けとめて、生かしていっていただきたいと思います。

○松下委員 初めに、中学生の職場体験についてお伺いします。
 平成十八年度の決算説明書、事業の実績、(5)、中学生の職場体験とありますが、まず、都が行っている中学生の職場体験の事業目的についてお伺いいたします。

○小島青少年対策担当部長 中学生の職場体験の事業目的でございますけれども、急速な社会の変化とそれに伴う価値観の多様化等から、若年層を中心として働くことに対する意識が希薄になっていると、こうした状況がございまして、社会的な問題になっているところでございます。
 こうした背景の中で、都は、産業団体や事業所、区市町村などの協力をいただきながら、都内の公立中学校の生徒が地域の商店、事業所、公的施設等で実際に仕事を体験することにより社会の一員としての自覚を促すとともに、望ましい社会性や勤労観、職業観を育成すること、これを目的に、わくわくウイーク東京として中学生の職場体験事業を平成十七年度から実施しているところでございます。

○松下委員 事業の目的はわかりました。
 それでは、平成十八年度、中学生の職場体験を実施した学校数と参加生徒数についてお伺いします。また、実際に、中学生は何日くらい職場体験を行っているのか、あわせてお伺いいたします。

○小島青少年対策担当部長 平成十八年度中学生の職場体験の実績についてでございますけれども、二十三区二十六市三町村の五百六校の中学校において、約六万二千人の生徒が、わくわくウイーク東京、中学生の職場体験ということで参加いたしました。これは、公立中学校六百四十三校の約八割、全生徒数の九割弱となっております。いずれも前年度よりも増加しているという状況でございます。
 職場体験を一日ないし二日間実施した中学校は二百二十五校、三日から四日間実施した中学校は百三十校、五日以上実施した中学校は百五十一校で、地元のスーパーマーケットであるとかコンビニエンスストア、保育園などで職場体験を行いました。

○松下委員 この事業は都としては二年目の事業であり、今お伺いしたように、前年の三百校、約四万人の参加からはふえており、より多くの参加があったんだなということがわかりました。
 期間に関しては、平成十八年度の中学生の職場体験報告書には、この事業自体が五日程度と書かれていますが、今お答えいただいたところ、一日が最も多く、五日以上の実施は三割弱という実施割合だということがわかりました。
 私の地元の武蔵野市では、都がこの事業を実施する以前から、市内六つの全公立中学校で三日間の職場体験学習が既に実施されています。現在も実施しております。平成十八年の実施中の様子を、地元受け入れ先のおすし屋さんの店頭で、生徒を今受け入れているという案内の手づくりのポスターが掲示されていたり、職場体験学習実施中ということが地域の中でも非常によくわかりやすく、また、小学校の学校公開を行っていたときに、その学校公開に私もお伺いしたのですが、地元の中学生がこの職場体験で小学校に来ていました。初日だったのか、ややもじもじしながらも職場体験を実施している様子に対面し、中学校の学校公開に伺ったときにはちょうど職場体験学習の報告会を行っていて、この体験を通して、子どもたち、生徒たちが、あいさつをすることの大切さ、お客様にいらっしゃいませと声を出してあいさつすることから学んだと、報告がありました。
 体験を通してさまざまなことを学んだ様子がうかがえましたが、同時に、受け入れ先の確保には随分と校長先生がご苦労、ご努力をされているといった感じもしました。また、他の市では、受け入れ先の確保が難しく、職場体験ではなく一日だけの職場訪問で終わってしまい、実施自体非常に難しいという現状もあるようです。
 この事業実施に当たっては、受け入れ先の確保が重要であると思いますが、都は、受け入れ先の確保について、今後、どのように取り組んでいくのかお伺いいたします。

○小島青少年対策担当部長 受け入れ先の確保についてでございますけれども、都は、職場体験の受け入れ先の開拓や機運の醸成等を目的といたしまして、職場体験推進協議会を設置しております。参加している東京都商工会議所連合会や東京青年会議所など産業団体を通じて職場体験の趣旨を徹底いたしまして、受け入れのご協力を求めてきたところでございます。
 今後とも、受け入れプログラムの具体的な事例などが掲載されております報告書を各事業所に配布して情報提供するなどによりまして、職場体験受け入れに対する事業者の理解の推進に努め、受け入れ先の拡大を図ってまいります。

○松下委員 受け入れ先の拡大に向けて、団体へのアプローチや報告書を作成し、情報提供をしていただくことはもちろん大切だと思います。しかし、都内約七万人の公立中学二年生全員の職場体験の実施先、受け入れ先を確保するとなると、例えば三人ずつのグループで一カ所の受け入れ先に行くとしても、約二万三千カ所も受け入れ先が必要ですので、今後、よりきめの細かい受け入れ先確保の仕組みをつくっていただきたいと思います。
 県の全公立中学校で、地域に学ぶトライやる・ウイークと題して、一週間の職場体験を十年前から実施している兵庫県が、受け入れ先確保にどのように取り組んでいるのか調べてみました。兵庫県は、平成十八年度は、灘の酒づくりや、そうめんづくりの会社や、タコ漁など、地場産業や漁業など新たな受け入れ先での体験も行われていたようです。受け入れ先の確保に当たっては、県が設置するトライやる・ウイーク推進協議会のもとに市長の推進協議会があり、そのもとに、さらに中学校区で推進委員会があり、この校区推進委員会が学校長、PTA、地域団体代表等で構成され、受け入れ先の確保に努めているようです。
 ちょうど現在、十年目の検証を行っているようですので、都もぜひこうした先進事例を参考に受け入れ先の確保に努めるなど、事業の課題解決に取り組んでいただきたいと思います。
 職場体験事業の目的の達成、そして青少年の健全育成に今後も積極的に取り組んでいただきたいとご要望します。
 次に、交通安全対策についてお伺いいたします。都民の尊い生命と大切な財産を守るためにも交通事故をなくしたいという思いで、交通安全対策について幾つかお伺いをいたします。
 平成十八年度に第八次東京都交通安全計画が作成されましたが、その目標と初年度の結果についてご説明ください。

○八木沼治安対策担当部長 平成十八年四月に策定いたしました第八次東京都交通安全計画についてでございますけれども、この計画では、平成二十二年までに年間交通事故死者数を二百五十人以下とすること、及び高齢者の交通事故死者数を平成十七年と比較いたしまして約一割削減するとの目標を立てております。
 平成十八年の交通事故死者数は二百六十三人で、平成十七年と比較しますと二十六人減少いたしました。これは、それまで最少でありました昭和五十四年の二百七十七人を下回る戦後最少の死者数となりました。そのうち、高齢者の死者数は八十三人で、前年に比べまして十七人減少し、目標数を下回ることができました。

○松下委員 交通事故死者数二百五十人以下という目標には届かなかったものの、平成十七年から二十六人減少し、また、戦後最少の死者数となった結果は評価をしたいと思います。
 しかし、この減少数は、純粋に交通事故が減少した結果であるのか、近年の医療技術や救急医療の向上により尊い命を救えることができたのか、この統計結果からだけではわかりません。もちろん、交通事故により失われてしまう命を救うためには、事故の減少と医療技術や救急医療の向上はどちらも重要であると思いますが、交通事故死者数の平成十八年の結果は、第八次交通安全計画の目標値をすべて達成するには至ってはおりませんが、この目標を達成するために、今後、都はどのように取り組んでいくのかお伺いいたします。

○八木沼治安対策担当部長 確かに、全交通事故死者数につきましては目標達成には至っておりません。第八次交通安全計画の目標を達成するために、今後とも、東京都、警視庁、関係行政機関、交通事業者等とも連携、協力いたしまして、高齢者の交通安全の対策を最重点にいたしまして、二輪車交通事故の防止や自転車の安全利用を重点施策といたしまして、各種交通安全施策を総合的に推進してまいります。
 また、都民、関係団体等に対しましても、交通安全に関する取り組みへの参画を働きかけるなど、交通安全への自助、共助への取り組みを促進してまいりたいと考えております。

○松下委員 重点課題を設定し、交通安全施策を推進していくためには、三十日以内交通事故死者の状況を分析する必要があるのではないかと私は思います。
 日本における交通事故死者の定義は、交通事故の発生から二十四時間以内に死亡した人でありますので、二十四時間経過後三十日以内に交通事故が直接の原因と考えられてお亡くなりになられた方であっても、交通事故死者数に反映されないという現状がございます。
 警察庁は二十四時間死者で交通事故死者の統計をとっていますが、海外では二十四時間死者と三十日死者を合わせた三十日以内の死者数が主流となっているため、平成五年から警察庁は両方のデータを公表しており、本年、平成十九年の三月には、警察庁は平成十八年中の三十日以内交通事故死者の状況を発表し、詳細な分析を行っております。この中で、三十日交通事故死者の特徴を、二十四時間死者に比べて特に高齢者の割合が高く、状態別では自転車乗車中の割合が高いとされています。
 都においても、今後、三十日以内死者数についても分析を行い、交通安全施策に反映させるように強く要望いたします。
 この第八次東京都交通安全計画では、自転車の安全利用の推進が重点施策として掲げられていますが、平成十八年度にはどのような取り組みを実施したのかお伺いいたします。

○八木沼治安対策担当部長 自転車の安全利用の推進についてでございますけれども、自転車の交通事故の多発や、歩道における無謀な運転などが大きな課題となっております。
 このため、自転車利用のルールの遵守の徹底やマナーの向上が極めて重要であると考えております。平成十八年五月に、都として初めて自転車利用のルールの遵守等を呼びかける自転車安全利用促進キャンペーン、通称あん・あん自転車TOKYOキャンペーンと申しておりますけれども、自転車月間にあわせまして実施いたしたところでございます。

○松下委員 取り組みについてはわかりました。
 また、平成十八年度には検討会を設置して自転車の安全利用のためのプランも作成しておりますが、その内容及び位置づけについてご説明願います。

○八木沼治安対策担当部長 平成十九年一月に策定いたしました自転車の安全利用推進総合プランの内容及び位置づけについてでございますけれども、プランでは、交通安全の最重視や地域特性に応じた対策の実施などを基本といたしまして、交通ルールの遵守・マナーの向上、放置自転車の改善、走行空間の安全性の向上、自転車の安全性の向上、四つの視点から具体的な対策を提案しております。
 次に、このプランの位置づけについてでございますけれども、都の関係部局や区市町村などが自転車に関する施策を立案、計画するときのガイドラインとなるよう自転車の安全利用に関する各種の対策を幅広く提案しております。

○松下委員 私は、平成十八年度の予算特別委員会、そして平成十八年第三回定例会で、自転車の安全利用を推進していくべきと、自転車の安全対策についてこれまでも継続して幾つか質問をしてきています。特に、予算特別委員会で自転車の安全対策について質問したときには、自転車なんて市議会でやっていろよというような不規則発言が飛び交ったこともよく記憶していますので、自転車の安全利用の重要性がこの第八次東京都交通安全計画にも盛り込まれ、その初年度の取り組みの結果をこうして十八年度の決算の審議として伺うことができることは隔世の感すらございます。ぜひ自転車の安全利用促進総合プランに掲げられた具体的な対策を着実に実行していただきたいと思います。
 当該プランの交通ルールの遵守等の内容を生かし、自転車安全利用促進キャンペーンはぜひ行っていただきたい、今後も行うべきであると思いますが、今後は、自転車走行時の問題点や、例えば来年度六月に施行されます改正道路交通法等も踏まえたものとすべきと考えますが、ご見解をお伺いいたします。

○八木沼治安対策担当部長 平成十八年五月に実施いたしました自転車の安全利用促進キャンペーンでは、自転車は車両である、安全に利用することの重要性と事故を起こした場合の責任について注意喚起を促すとともに、自転車の点検整備と賠償責任保険や傷害保険の普及啓発等を中心に実施したところでございます。
 今後、プランの視点の一つである交通ルールの遵守・マナーの向上の観点を生かしまして、歩道上の暴走行為や無灯火走行など自転車走行の問題点や、来年六月に施行される改正道路交通法の趣旨などを盛り込んだキャンペーンとなるよう、関係団体等とも協議してまいりたいと考えております。

○松下委員 けさも、警視庁のこの秋の交通事故のデータが発表されていた中で、夏に比べて日没後、また早朝、暗くなったことも影響してか事故の数が非常にふえているという発表も報道を通して知りました。例えば、無灯火走行の禁止をテーマとしたキャンペーンを行うとなれば、日没後にキャンペーンを実施することで、無灯火自転車が対自動車では被害者となり、対歩行者では加害者になるということの危険性や、また、信号待ちをしているときには走行中のみ光る自転車のライトが消えてしまっておりますので、例えば車体に反射板を張ったものが効果を発揮するなど、よりキャンペーンの効果をアピールでき、啓発することができるのではないかと思います。
 また、改正道路交通法を早くから周知徹底し、法の趣旨を逸脱しないよう徹底するなど焦点を絞ったキャンペーンを今後実施していただくように要望したいと思います。
 こうした都が実施する広域的キャンペーンはぜひ必要であり、今後とも実施すべきと考えます。自転車の安全利用のためルール遵守に関する普及啓発については、区市等が主催し、学校や自転車販売店の協力のもと開催する自転車教室はもちろんですが、例えば私の地元では、自動車教習所といった民間企業や地域のボランティア団体が、市や警察署と協力をして自転車安全教室を開催している事例もございます。
 都としても、各地で実施されている自転車教室等の情報を収集、提供するなどを実施して、ルール重視の徹底を図るべきかと考えますが、ご見解をお伺いいたします。

○八木沼治安対策担当部長 先生ご案内のように、確かに区市町村では、自転車の正しい乗り方を教育する自転車教室等がいろんなところで開催されております。都は、地域の交通安全触れ合いフェアなど交通安全キャンペーンの機会をとらえまして、区市町村や学校等と連携して自転車教室等を実施しておるところでございます。また、広域自治体として、都は、区市町村の交通安全担当者を対象といたしまして、交通安全教育についての実務講習会なども実施しているところでございます。
 自転車の安全利用の推進のために各地で実施されている自転車教室等の情報を収集するとともに、先進的な取り組み等につきましては、講習会の場やホームページ等を活用いたしまして情報提供に努め、ルール遵守の徹底が図られるよう支援してまいりたいと考えております。

○松下委員 ぜひ、ホームページなどもご活用されて情報提供に努めていただきたいと思います。自転車利用に関するルール遵守の徹底は、ぜひ継続してやっていただきたいと思います。
 先日、私の地元の武蔵野市の例ですが、民間企業主催の生活に関する安全・安心を学ぶことができるイベントで、武蔵野市の交通対策課も協力をしてクイズ形式で自転車のルールを学ぶことができるような取り組みもありました。来年施行の改正道路交通法も踏まえたクイズの内容でした。こうした取り組みがどんどん広く都内に広がっていくことを、そして、その先頭には東京都青少年・治安対策本部があることを強く期待していきたいと思います。
 平成十八年度決算としての交通安全対策についての質問はこれで終わりますが、最後に、交通安全対策に取り組む青少年・治安対策本部長の決意をお聞かせいただきたいと思います。

○久我青少年・治安対策本部長 平成十八年の都内の交通事故死者数は、先ほど担当部長がお答えしたとおり、二百六十三名と戦後最少となっておりますが、負傷者数は八万四千人強でありまして、引き続き多くの方が交通事故の被害に遭っておられます。これは、一日当たりにしますと二百三十一人の方が死亡または負傷されているということになりまして、依然として交通事故が都民の安全と安心を脅かしております。
 第八次東京都交通安全計画では、当面、平成二十二年までに年間の交通事故死者数を二百五十人以下とすることを目指すとしておりますが、究極的には交通事故のない社会を目指すとなっております。都といたしましては、今後とも、警視庁、関係行政機関、交通事業者等と緊密に連携、協力し、交通事故のない社会を目指して全力で取り組んでまいります。

○きたしろ委員長 松下委員の発言の中にご要望等がございましたので、それもしっかり受けとめていっていただきたいと思います。
 皆さんのご協力がございまして、休憩をとろうと思ったんですけれども、あとお二方、十五分ずつでございますので、休憩なしで進めさせていただきたいと思います。よろしいですか。じゃ、そのようにお願いいたします。

○松葉委員 東京都では、平成十八年度重点事業といたしまして、都内の公立小中学校等の犯罪抑止力を高めるために、防犯カメラの設置費用の二分の一を区市町村に補助する小中学校等防犯設備整備補助事業を行いました。
 そこで、この補助実績について初めに伺います。

○八木沼治安対策担当部長 公立小中学校等への防犯カメラの補助の実績についてでございますけれども、都は、平成十八年度の重点事業といたしまして、小中学校での犯罪や不審者等の侵入抑止のため、公立小中学校、幼稚園、養護学校を対象といたしまして、区市町村を通じて防犯カメラ、モニターなどの設置補助事業を行ってまいりました。
 これによりまして、公立小中学校等で約八割に防犯カメラが設置されたところでございます。

○松葉委員 ご答弁によりますと約八割の学校に防犯カメラを整備したということでございますけれども、この補助事業でカメラを整備しなかった学校の安全対策はどうなっているのか伺います。

○八木沼治安対策担当部長 この事業を通じまして防犯カメラを設置しなかった学校では、どうなっているのかということでございますけれども、既にカメラつきインターホンや電気錠を整備したり、あるいは警備委託などにより安全対策を行っているところでございます。したがいまして、すべての公立小中学校におきまして何らかの安全対策が行われていると考えております。

○松葉委員 補助事業で防犯カメラを設置しなかった学校も、何らかのハード面での整備を行っていることがわかりました。すべての都内の公立小中学校のハード面での安全対策が大きく前進したことを高く評価させていただきます。
 今後は、この整備された防犯カメラを有効に活用して学校の安全対策を行うことが必要であると思います。そのために都はどのような支援を行っているのか伺います。

○八木沼治安対策担当部長 ただいまご答弁申し上げましたように、学校への防犯カメラの配備につきましては、この一年間で格段に進んだところでございます。今後は、各学校におきましてこの防犯カメラを効果的に活用していただくことが課題であると考えております。
 そこで、当本部といたしましては、ことしの九月に、防犯カメラのモニター監視と不審者の判別、防犯カメラを活用した不審者対応訓練の視点から、防犯カメラ活用マニュアルを教育庁、警視庁と連携して作成しまして、公立中学校等に配布したところでございます。

○松葉委員 防犯カメラを有効に活用するための活用マニュアルを九月に配布されたということでございますので、各学校におきまして、防犯の、今度はソフト面の対策の強化がさらに進むようにご努力をお願いしたいと思います。
 さて、カメラの整備や地域で子どもを見守る仕組みができたといたしましても、基本は、子ども自身が危険を回避する能力を高めることが大切であると思います。そのために、地域安全マップは非常によい取り組みであり、都内の全小学校に普及すべきだと考えます。地域安全マップ普及に向けた平成十八年度の事業実績と今後の取り組みについて伺います。

○八木沼治安対策担当部長 地域安全マップづくりの事業実績と今後の取り組みについてでございますけれども、都内の全公立小学校を対象に平成十八年の十月に実施したアンケート調査によりますと、地域安全マップづくりを既にもう行っている、あるいは今後予定していると回答した学校が約七割ございまして、これらの学校では地域安全マップづくりへの取り組みを進めていると考えております。
 都では、これまで、地域安全マップの普及を図るため、教員を対象にした研修会や地域安全マップづくりのノウハウを伝える公開モデル授業を実施したり、地域安全マップの指導者養成研修を行ってまいりました。今後とも、都内の全小学校で地域安全マップづくりの取り組みができるよう努めてまいりたいと考えております。

○松葉委員 ぜひとも全小学校で取り組みができますように、強力な推進をしていただくよう要望しておきます。
 今月の十六日に、兵庫県で小学校二年生のお子さんが刺殺されるという大変に痛ましい事件が起きました。私は、小学生の子どもが二人おりますので、本当に悲しく、また悔しく、ご家族のご心情を思うと胸が痛み、苦しいばかりでございます。心から故人のご冥福をお祈りしたいと思います。一人のお子さんも不幸な目に遭わせてはいけない、子どもたちを絶対に犯罪から守り、安全・安心なまちづくりを何としてもさらに進めていきたいと私自身も決意したところでございます。
 そこで、最後に、子どもを犯罪から守るために、その決意を久我本部長からお伺いさせていただきまして質問を終わります。

○久我青少年・治安対策本部長 都内では、最近、兵庫県加古川市における児童殺害事件のような子どもが犠牲となる悲惨な凶悪事件は発生しておりませんが、子どもに対する犯罪の前兆とも思われます声かけ事案、あるいはつきまとい事案、これが増加しております。子どもを犯罪から守るためには、警察や自治体はもとより、保護者や学校、さらには町会、自治会を初め地域の方々の力を結集することが極めて重要であるというふうに認識しております。
 都は、こうした観点から、これまで、各学校における地域安全マップづくりの推進、防犯カメラの整備促進、子ども安全ボランティアの普及などさまざまな対策を講じてまいりました。ちなみに、都では、来月十一月を子ども安全ボランティア推進月間と位置づけまして、子ども安全ボランティア活動の一層の推進に努めてまいります。
 東京都といたしましては、今後とも、子どもを犯罪から守るために関係機関、団体等と連携して、子ども自身が自分で守る、学校で守る、そして地域で守る、そういう重層的、複合的な取り組みを強力に推進してまいりたいというふうに考えております。

○植木委員 私は、青少年の健全育成を積極的に推進していただきたいという立場で質問したいと思うんですけれども、私どもの地元でもそうですけれども、区市町村の地域で、青少年委員の方々や地域のお父さんやお母さん方が一生懸命になって、いろんなスポーツ、運動の企画、旅行だとか、いろんな形で青少年の居場所づくりを初めとして努力をされていて、そういう一つ一つの努力というのは、本当に積み重ね、長い間の努力によって成り立っているということを常々思っていて、できるだけそういうところに私も参加をするようにしているんですけれども、今回、青少年・治安対策本部ということで、青少年問題についてぜひ重視していただきたいというふうに思うんです。
 十七年度にこの本部が設置されて、十七年度はたしか八月ごろ設置ということになっていますから、十八年度から、本格的に実施してきた年度だといえると思うんですけれども、この本部が設置されるに至った経緯はどんな経緯になっているでしょうか。

○百合総合対策部長 都は、平成十五年八月に知事本局内に緊急治安対策本部を設置いたしました。東京の治安回復のために、外国人組織犯罪対策、安全・安心まちづくりの推進等を重点とする取り組みを開始したところでございます。
 さらに、子どもを取り巻く環境が著しく変化をし、子どもをめぐるさまざまな問題が表面化してきたために、子どもを健全に育成するための施策を総合的に推進するために、平成十六年八月に青少年育成総合対策推進本部を設置いたしました。その後、治安問題の根底には青少年の問題が深く関連してくることから、青少年育成及び治安対策にかかわる事業を総合的かつ横断的に推進するために、両本部に交通安全対策部門を加えまして、新たに局相当組織として青少年・治安対策本部を平成十七年八月一日に設置したところでございます。

○植木委員 そういう経過で設置された。最初は治安対策、それから青少年、最後に交通安全ということですが、以前は生活文化局だったりしていたわけですけれども、そういう流れの中で、青少年育成事業それから治安対策事業費、交通安全対策事業費、これはどのように推移をしているのかお示しいただきたいと思います。

○百合総合対策部長 当本部にかかわる決算の推移でございますけれども、まず、青少年対策でございますが、平成十年度には四億五千三百万余円でございましたが、平成十六年度に二億五千三百万余円、平成十七年度一億四千八百万余円、平成十八年度が一億四千三百万余円という推移でございます。
 治安対策費につきましては、予算措置が十五年度からなされておりますので、平成十六年度につきまして八千五百万余円、十七年度が一億四百万余円、平成十八年度が九億二千三百万余円となってございます。
 さらに、交通対策につきましては、平成十年が二億二千二百万余円、平成十六年が八億五千六百万余円、平成十七年が八億四千七百万余円で、十八年につきましては八億二千三百万余円というふうになってございます。

○植木委員 ぱっぱっぱっといわれたので、ちょっと数字が正確にわからないんですけれども、全体として青少年対策費が年々減ってきていて、それから、治安と交通安全対策は徐々にですけれども決算額はふえてきている、予算の方はちょっとまた別でしょうけれども、そういうふうに思うんですが、どうでしょうか。

○百合総合対策部長 青少年関係の決算額でございますけれども、平成十六年までは生活文化局が所管をしておりました青少年センターの運営経費が含まれておりまして、その経費がおおむね三億円前後で推移をしております。平成十五年度にこれが廃止となったことによって経費の減となっておりまして、センターの運営経費を除いた平成十年度の決算額は一億二千六百万余円となっておりまして、十七、十八年度の決算額はいずれも一億四千万余円でございますので、それに比較しますと増ということになります。

○植木委員 青少年センターが廃止されたから、それを除けば増だ、こういうふうにいうんですけれども、青少年センター自身もやっぱり青少年政策の一つですから、それを差っ引くというのはちょっとやっぱりおかしいなというふうに改めて思います。それは、なくなった段階で差っ引くのは当然なんですけれども、それまではやはり計上しておくというのが普通ですよね。
 青少年センターがもともとは飯田橋で、多くの方々が利用されていて、それからそれが、臨海副都心開発の救済のために、青年がなかなか行けないというような場所に、テレコムセンターですね、多額な賃料を払って移転をした。当時、移転するときも、あそこに行ったら利用者が本当に大変になるよと私どもはいっていたわけですけれども、結局、都が、行政評価でコストが高いといって廃止してしまったわけです。賃料が非常に高い割に、場所的にも、学校の生徒さんだとか近隣の方が行ったり、それから職員の方はいろいろ努力はしていましたけれども、私も現場に行ってみましたけれども、やはりあそこではなかなか行けなくて、努力はしていても行政評価でコストが高いということで、結局、廃止になってしまった。
 だから、そういう意味で、青年がいろいろなところでたむろしていることについて問題にするよりも、こういう施設そのものを、やっぱり青年の居場所づくりに積極的に取り組む、当時も、青少年センターも廃止ではなくて、居場所や相談事業も含めて拡充すべきだということをいっていましたけれども、先ほどいったように、廃止された結果、下がった。それを除けばふえたというんですけれども、結局、十七年度、十八年度も、青少年センターの維持費を減った分は、それに代替する措置もないわけですから、やはり減ったことは事実で間違いないと思うんですね。
 そういう意味で、青少年、もっともっとやるべきことはあるというふうに思うんで、重視されるべきではないかというふうに思うんですが、いかがでしょうか。

○百合総合対策部長 都は、これまでも、青少年の健全な育成を図るための環境整備ですとか、青少年育成団体との連携による啓発活動等に取り組んでまいりました。
 先ほど申し上げたとおり、平成十六年に青少年育成総合対策推進本部を設置いたしましたが、この年には、インターネット上の有害情報対策のために、事業者にフィルタリングサービスの開発提供ですとか、告知、勧奨を義務づける条例改正を行うほか、ひきこもりなどの社会的不適応の問題を抱える若年者に対する相談体制の整備をするなど、新たな課題に対しても迅速な対応を図ってきたところでございます。
 さらに、十七年に当本部を設置いたしましたけれども、この際も、新たに全都的な体制として東京子ども応援協議会を発足させましたが、その活動として、これまでの心の東京革命の推進に加えまして、新たに中学生の職場体験、さらにはあいさつ運動事業等々の新たな事業を展開するとともに、組織につきましても大幅な強化を図ってきたところでございます。

○植木委員 従来の独自の事業については一生懸命やっておられるというお話ですから、青少年育成事業についてしっかりとやっていただきたいというのは私の思いですから、ぜひそれらを強調していただきたいんですけれども、最初にこの事業の成り立ちのところでもいっておりましたし、それから、この事業概要も見させていただきましたけれども、こんなところがちょっと心配な面なんですね。
 事業概要を見ますと、青少年健全育成から出発するのではなくて、のっけから治安の維持こそ最大の都民福祉ということで始まって、治安回復のためというくくりの中で少年問題対策となっているわけです。もちろん治安問題を私は否定するものではありませんし、重要ですけれども、青少年問題というのは治安対策の対象の範囲だけじゃないということですね。先ほどの事業の中にはもちろんそういうものも入っておられるとは思いますけれども、このもともとの図式がそういう組織の図式から成り立っているということで、危惧の念を私は持っているわけです。
 そういう意味で、実際にはいろいろやっていらっしゃるという先ほどの報告でしたけれども、やはり青少年育成事業をもっと重視してほしい。青少年対策というのは、最初にもいいましたように、いろんな広い意味合いを持っているものがたくさんあるはずなんです。もちろん、都としてのやるべきこと、区市町村のやるべきこと、地域のいろんな団体がやるべきこと、いろいろあると思いますけれども、やはり青少年の健全な環境、居場所づくり、それから青少年の積極性を引き出す施策などたくさんのことを打ち出して、今後もさらに重視していただきたい。
 青少年センターの問題も、廃止はしてしまったからそれはもうくどくどいいませんけれども、青年が健全に集い、自主的に何かやろうとする場が全都的にもなくなってきていることも事実ですから、そういうことも踏まえて健全育成にもっともっと力を注いでいただきたい。それから、青少年協議会などももっともっといろんな角度から取り上げて取り組みをしていただきたいというふうに思いますが、いかがでしょうか。

○百合総合対策部長 当本部の名称が青少年・治安対策本部ということで、若干の誤解を生んでいる部分もあろうかと思います。治安のくくりの中で青少年問題をすべて語ろうということではなくて、先ほど申し上げましたけれども、今、さまざまな青少年が被害に遭ったり、加害者になったりするような事象がいろいろ出てきています。治安問題というのも、根底的にはやっぱりそういった青少年の問題もかかってくることなので、それらを総合的にとらえた上でそれぞれ有効な施策を講じていきたいと。
 今現在、青少年に起こっている現象というのはなかなか簡単に解決できることばかりではなくて、非常に大きな課題でありますし、困難な課題がいっぱいあります。そういったことを総合的にやっていきたいということで当本部を設置したという経過でございますので、おっしゃるとおり、すべて治安のくくりの中で物事を考えているという意味ではございません。
 青少年問題協議会ですとか、今、ご指摘のあったそういった協議会から、学識経験者の方々からもさまざまな形でご意見をいただいています。現在はいわゆるひきこもりといいますか、社会的に不適応な若者たちに対して一体どのような対策が可能なのかということを根本的に議論しようということで、通常ですと一年程度の議論ですが、これをもう少し時間をかけてやりたいということで、今現在、お願いをしています。また、ひきこもりにつきましては、実態そのものもなかなか把握がしづらいということもございまして、今年度ですけれども、これも実態調査に手を染めています。
 そういった形で、非常に幅広く我々も、単にこれまでの青少年行政の範疇を超えた若者問題として、大きな問題としてとらえて、確かに非常に難しい問題ではございますけれども、できることを一つ一つ積み重ねてまいりたいという決意で仕事をしています。

○植木委員 今、決意が述べられましたので、それ以上いいませんけれども、とにかく事業概要から見るとそういうくくりになっていることも事実ですから、その辺を、本当に青少年問題は幅広くて、なかなか大変な課題もたくさんあると思いますが、積極的に取り上げていただきたいということを重ねてお願いして終わりたいと思います。

○きたしろ委員長 ほかにございますか。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕

○きたしろ委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○きたしろ委員長 異議なしと認め、本件に対する質疑は終了いたしました。
 以上で青少年・治安対策本部関係を終わります。
 本日の分科会を閉会いたします。
   午後三時八分散会

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