委員長 | 大塚たかあき君 |
副委員長 | 山田 忠昭君 |
副委員長 | 古館 和憲君 |
西崎 光子君 | |
西岡真一郎君 | |
中山 信行君 | |
吉原 修君 | |
今村 るか君 | |
小磯 善彦君 | |
三原まさつぐ君 |
欠席委員 なし
出席説明員病院経営本部 | 本部長 | 秋山 俊行君 |
経営企画部長 | 及川 繁巳君 | |
サービス推進部長 | 都留 佳苗君 | |
参事 | 黒田 祥之君 | |
福祉保健局 | 局長 | 安藤 立美君 |
次長 | 関 敏樹君 | |
技監 | 梶山 純一君 | |
総務部長 | 杉村 栄一君 | |
指導監査部長 | 梶原 秀起君 | |
医療政策部長 | 細川えみ子君 | |
保健政策部長 | 清宮眞知子君 | |
生活福祉部長 | 永田 元君 | |
高齢社会対策部長 | 狩野 信夫君 | |
少子社会対策部長 | 吉岡 則重君 | |
障害者施策推進部長 | 松浦 和利君 | |
健康安全室長 | 桜山 豊夫君 | |
企画担当部長 | 松井多美雄君 | |
施設調整担当部長 | 宮垣豊美子君 | |
参事 | 蒲谷 繁夫君 | |
参事 | 吉井栄一郎君 | |
参事 | 住友眞佐美君 | |
参事 | 芦田 真吾君 | |
参事 | 松原 定雄君 | |
参事 | 菊本 弘次君 | |
参事 | 金丸 陽子君 | |
参事 | 奥澤 康司君 | |
参事 | 月川由紀子君 |
本日の会議に付した事件
平成十八年度東京都各会計歳入歳出決算の認定について
病院経営本部関係
・平成十八年度東京都一般会計決算(質疑)
福祉保健局関係
・平成十八年度東京都一般会計決算(質疑)
・平成十八年度東京都母子福祉貸付資金会計決算(質疑)
・平成十八年度東京都心身障害者扶養年金会計決算(質疑)
○大塚委員長 ただいまから平成十八年度各会計決算特別委員会第二分科会を開会いたします。
本日から三日間にわたり、本分科会所管局の決算に対する局別質疑を行っていただきます。
本日は、お手元配布の会議日程のとおり、病院経営本部及び福祉保健局関係の決算に対する質疑を行います。
これより病院経営本部関係に入ります。
決算の審査を行います。
平成十八年度東京都一般会計決算中、病院経営本部所管分を議題といたします。
本件につきましては、既に説明を聴取しております。
その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
資料について理事者の説明を求めます。
○及川経営企画部長 去る十月十日の本分科会におきまして要求のございました資料についてご説明申し上げます。
お手元にお配りしてございます平成十八年度各会計決算特別委員会第二分科会要求資料をごらんいただきたいと存じます。
資料は、目次に記載しております三点でございます。
恐れ入りますが、一ページをお開き願います。1、各公社病院の経営指標の推移でございます。
平成十四年度から平成十八年度までの各公社病院の経営指標の推移を病院別に記載しております。
二ページをお開き願います。2、各公社病院に対する運営費補助金の推移でございます。
平成十四年度から平成十八年度までの公社病院に対する運営費補助金の推移を病院別に記載しております。
三ページをごらんください。3、各公社病院における医師・歯科医師及び看護職員の定数及び現員の推移でございます。
平成十四年度から平成十八年度までの定数、現員及び欠過員の人数につきまして、病院ごとに記載しております。
表の下、(注1)にございますとおり、各年度とも四月一日現在の定数と現員を記載してございますが、平成十八年度につきましては年度末の人数もお示ししております。
簡単ではございますが、以上で要求のございました資料の説明を終わらせていただきます。よろしくお願い申し上げます。
○大塚委員長 説明は終わりました。
ただいまの資料を含めて、これより本件に対する質疑を行います。
発言を願います。
○山田委員 私からは、決算書の一一ページに記載されております東京都保健医療公社の運営で、中心的な地域病院等の運営の支出総額が七十八億六千百万円余の金額が書いてありますけれども、それに関連いたしましての質問をいたしたいと思っていますので、よろしくお願いいたしたいと思います。
東京都はこれまで、都立病院改革マスタープランに基づきまして、平成十六年の四月から、都立大久保病院から始まりまして、平成十七年度には多摩老人医療センター、そして平成十八年度には荏原病院を保健医療公社へ移管をしてまいりました。
本日は、昨年四月に東京都保健医療公社の所管が福祉保健局から病院経営本部に移管をされ、病院経営本部としては一年間の予算を執行された初めての会計決算特別委員会となりますので、まず基本的な事項を確認させていただいて、質問に入りたいと思います。
まず初めに、公社病院の設立目的と都立病院の役割との違いについて、どういう違いがあるのか、まずお伺いいたしたいと思います。
○及川経営企画部長 まず公社病院でございますが、公社病院は、地域の実情に応じまして、診療所と病院、あるいは病院間での機能分担や専門化を進めまして、円滑な連携を図ることにより、都民が身近な地域で適切な医療が受けられるような、効率的な地域医療システムを推進するということを目的として設立されておりまして、主に入院による治療を必要とする、いわゆる二次医療を提供する役割を担っております。
一方、都立病院は、都全域あるいは複数の二次保健医療圏を対象としまして、救命救急や骨髄移植などの特殊な診断や治療を必要とする、いわゆる三次医療のほか、がん医療、周産期医療、難病医療など、高水準で専門性の高い総合診療基盤に支えられました行政的医療を適切に都民に提供するといった役割を担っております。
こうした公社病院と都立病院がそれぞれの役割分担を踏まえ、密接に連携を図ることによりまして、限りある医療資源を有効に活用し、今後とも都民に対します医療サービスの向上を目指してまいります。
○山田委員 公社病院と都立病院は同じ病院でありますけれども、なかなか違いがわかりにくいという点もあります。今ご説明によりますと、公社病院は地域医療のシステム化を推進するという目的を推進されておりますし、地域の二次医療を担っているわけであります。また、都立病院は広域的な三次医療、あるいは行政的医療を担うという、それぞれ大切な役割があるということでありまして、それぞれの分野で医療を進めているということがわかりました。
ところで、最近、産科とか、あるいは小児科などの特定診療科の医師不足が新聞紙上を、紙面をにぎわしておりますけれども、都内の病院でも例外ではないと思います。大変厳しい状況と聞いておりますけれども、そこでお聞きいたしますが、昨年度は荏原病院が公社化されました。荏原病院の産科の医師の状況は現在どうなっているのか、ご説明いただければと思います。
○都留サービス推進部長 荏原病院の産科医師の状況でございますが、昨年七月ごろ、荏原病院に産科医師を派遣している大学の医局から、大学の医局自体の医師不足のため、産科医師七名全員を引き揚げたいとの話が病院にございました。保健医療公社の理事長及び荏原病院長は再三にわたり大学医局へ赴き、引き揚げ中止の交渉をいたしました。その結果、引き揚げは約半数の四名となり、三名がとどまることとなりました。本年七月からは三名体制となり、その後、医師一名が九月末で退職いたしまして、現在二名体制となっております。そのため、本年十月から医師による分娩を停止していると聞いております。
○山田委員 私も連日、その医師不足ということの中で、新聞でもそういう点を目にいたしておりますけれども、産科医師不足につきましては、その原因としては、臨床研修医制度の義務化に伴って大学当局への引き揚げとか、あるいは産科の場合は勤務条件の厳しさ、あるいはまた訴訟リスクが高いということなどによって産科を選ぶ若手医師が減少しているということが、今日では全国的な問題、話題になっているわけであります。
地方に限らず大都市部でも状況は同じとのことでございますけれども、聞くところによりますと、都立病院におきましても産科医師不足は厳しい状況でありまして、公社病院だけの問題ではないようであります。このような産科医師不足に対して公社としてどのような取り組みを行っているのか、お聞かせいただきたいと思います。
○都留サービス推進部長 産科医が欠員となったことに対します取り組みといたしましては、まず、他の大学の医局に医師の派遣を継続的に働きかけますとともに、少しでも地域のお産需要にこたえるため、病院と公社などで検討を行いまして、助産師外来や院内助産所を開設することといたしました。開設に向けて、実際に助産師外来や院内助産所の運営を行っている産院へ助産師を派遣し、研修を行いました。その後、本年六月末には助産師外来を開始し、九月末には、公社病院で初めての院内助産所での出産があったと聞いております。
また、院内助産所のバックアップ体制といたしまして、常勤医師二名と緊急的に夜勤のパート医師三名を確保しているとのことです。
さらに、来年度から東京都が開始いたします東京医師アカデミーに公社病院も参加いたしまして、若手産科医師の育成と確保に努めてまいります。
○山田委員 今ご説明いただきましたけれども、荏原病院では、医師の欠員に対して助産師外来、あるいは院内助産所の開設と、いろいろ工夫をされているということがよくわかりました。ぜひ今後とも産科医師不足に伴う産科医師の確保に向けて最大限の努力をしていただければと思います。お願いいたします。
このような医師不足に加えまして、最近では看護師不足も深刻な問題となっております。そこで、荏原病院の看護師はどのような状況であるのか、お伺いいたしたいと思います。
○都留サービス推進部長 荏原病院の看護師につきましては、十八年四月の移管直後は十二名の過員状況でしたが、十九年三月末には八名の欠員が生じ、その後、欠員が拡大いたしまして、本年八月から一部病棟を休止いたしておりますが、病院を利用される方々への影響は最小限にとどめていると聞いております。
○山田委員 このような看護師欠員の原因をどのように考えておられるのか、そして、どのような取り組みを行ったのか、あわせてご説明いただきたいと思います。
○都留サービス推進部長 看護師欠員の原因は、昨年四月の診療報酬の改定で、今まで最高の基準でありました、一日平均して看護師一人が患者十人を受け持つ十対一看護に対しまして、看護師一人が患者七人を受け持つ七対一という看護基準が新設され、診療報酬も大幅に増額されました。この七対一看護基準に見合った看護師を採用することにより、多額の診療報酬が得られることから、大病院などによる看護師の大量採用が生じましたため、採用が困難となりました。
また、結婚など個人的な理由で退職される方も多く、中途採用の応募者も少ない状況がございました。
看護師の欠員に対する取り組みといたしましては、公社事務局での採用回数の倍増に加え、各病院での独自採用の拡大を行っており、さらに経験者の採用試験にも工夫を凝らしているなど、採用確保に努力するとともに、新人研修を充実させるなど、離職防止や定着にも努めていると聞いております。
○山田委員 今のご説明で、看護師の不足というのが、七対一看護基準の新設によってこういう現状だと、こういうことになっているということの説明をいただきました。私もそのように承知しておりますけれども、看護師不足の問題も、公社病院に限らず全国的な問題でありますし、苦労している病院も多いと聞いております。看護師の確保については引き続き努力をしていただきたいと思います。
先ほど、公社病院と都立病院との違いをお聞きいたしましたけれども、厳しい医療環境下であっても、公社病院としての独自の取り組みによりまして、着実に地域のニーズに合った医療を提供していくことが大切であると考えております。
そこで、移管された三病院についてお尋ねいたしたいと思います。
公社移管後、新たに開始いたしました公社病院独自の医療サービス提供はどのようなものがあるのかをお尋ねいたしたいと思います。
○都留サービス推進部長 公社に移管いたしました三病院が、移管後、新たに開始いたしました医療サービスは、大久保病院では、十六年七月から女性専用外来を、十七年十一月にはメタボリックシンドローム週末短期入院を、十八年四月からアンチエージング外来を始めました。さらに、地域の医療機関からの強い要望を踏まえまして、脳卒中ケアユニットの整備に向け、昨年十月から脳卒中専門病棟の運用を開始し、本年八月からは二十四時間の患者受け入れ態勢をとっております。
多摩北部医療センターでは、十七年四月に小児科を新設し、同年六月から小児二次救急医療を開始いたしました。さらに、昨年五月には医療法に基づく地域医療支援病院の承認を受け、地域医療機関との連携を強化しております。
荏原病院では、十八年四月から歯科のインプラント治療、旅行医学外来、リニアックを導入したがんの放射線治療を開始し、さらには総合脳卒中センターの充実を図ったと聞いております。
こうした取り組みによりまして、今後とも地域の医療ニーズにこたえた医療サービスの提供ができるよう、都としても保健医療公社と連携してまいります。
○山田委員 先ほど、そちらから委員会要求資料の説明がございましたけれども、そのいただいた資料を見ますと、東部地域病院、大久保病院の十八年度の経営指標を見ますと、前年度を上回っておりまして、公社移管した病院も、公社病院ならではの医療サービスの提供に努力しているということは評価できるものと思います。
そして、私が住んでおります北多摩北部保健医療圏でも、多摩北部医療センターが従来の老人専門病院から小児科を新設して、小児救急も開始をされ、患者の年齢を問わずに受診できるようになっておりまして、小児科医の確保などさまざまな課題はありますけれども、ぜひ今後とも地域医療の充実にご尽力いただければと思います。
また、本日は幾つかの質問をさせていただきましたけれども、地域医療における公社病院の役割は極めて重要であります。都立病院との役割分担によりまして、限りある医療資源を有効活用することが都民への医療サービスの充実につながるものであります。
これからも公社病院の役割を十分に果たしていただくことを期待いたしまして、私の質問を終わらせていただきます。
○小磯委員 私からは、施設整備費について質問をしたいと思っております。
今回の決算書の一二ページに施設整備費のことが書いてございますが、なかなか具体的なことはここから読み取れませんので、お願いをしたいと思います。
医療サービスを確実に提供していくためには、医療サービスの提供に支障がないよう、施設を適切に整備していくことが不可欠でございます。
初めに、公社病院では十八年度どのような施設整備を行ったのか、お伺いいたします。
○都留サービス推進部長 公社病院におきまして十八年度に行った施設整備は五件でございます。一点目は、多摩南部地域病院の女性専用外来診察室の整備、二点目は、同じく多摩南部地域病院の眼科外来診察室の整備、三点目は、多摩北部医療センターの病院本館の外壁改修、四点目は、東部地域病院のエレベーター制御装置の更新、五点目は、多摩南部地域病院構内の道路陥没改修、以上の五件でございます。
○小磯委員 私、多摩南部地域病院と同じ保健医療圏に住んでおります。ここの病院は、町田、日野、八王子、多摩、稲城の五市を中心とした中核病院でございます。今の施設整備費、五件のうち三件がこの多摩南部地域病院であるということでございました。
また、我が党がこれまでに導入を強く主張してきました女性専用外来、これも多摩南部地域病院で整備が行われております。この女性専用外来につきましては、質疑もそうですし、いろいろと病院を視察に行ったり、また、局の方にいろいろと陳情をさせていただいたりとか、そういう運動をさせていただいたわけでございますが、平成十八年の三月三日にこの女性外来が開設をいたしました。
今回のこの多摩南部地域病院の女性専用外来の診察室を整備したということでございますが、この内容についてお伺いしたいと思います。
○都留サービス推進部長 多摩南部地域病院の女性専用外来の診察室は、従来は婦人科外来で行っておりましたが、待合室と診察室の仕切りが不十分でありましたために、プライバシーとともに患者の動線にも問題がございました。そこで、婦人科外来に隣接しております二階のテラス部分に、新たに約七・五平米ずつの診察室と予診室を増設いたしました。増設した女性専用外来は、患者のプライバシーと動線に配慮したものとなっております。
○小磯委員 この多摩南部地域病院の女性専用外来につきましては、その患者数というのも、われわれも大変気にしてというか、関心を持っていたわけでございます。当初はちょっと心配もしたわけでございますが、こういう施設整備をするなどいろいろなご努力もありまして、この前ちょっと病院の方にお邪魔したら、確実に伸びているというふうに伺っております。
この女性専用外来がどういう診療を行っておられるのか、そしてまた、実績といいますか、そういったものをお伺いしたいと思います。
○都留サービス推進部長 女性専用外来は、女性特有の身体症状やストレスなどによる心身の変調などに女性医師がきめ細かく対応する、女性のための専門外来でございます。
多摩南部地域病院の女性専用外来は、平成十八年三月から診療を開始いたしましたが、毎週木曜日の午前中に診療を行っております。外来の整備完了後は、外来患者数がほぼ倍増いたしております。
○小磯委員 整備完了後、外来患者がほぼ倍増ということで、大変うれしく思っております。
この女性専用外来というのは、そういう女性特有の病気について女性医師がきめ細かく対応するための外来でございますけれども、この女性専用外来を開設した病院で、やがてその女性たちがそこの病院に入院するときに、女性だけの病棟というのが、今、全国でその動きがございます。男性の目を気にしないで治療を受けられる病棟があったら、こんな女性患者の要望にこたえた女性専用病棟というのが注目をされている。
例えば独立行政法人国立病院機構霞ヶ浦医療センターとか、こういったところが、女性専用外来から女性の皆さんの意見とか要望とか、またアンケートを実施して、これだったら女性だけの病棟をつくったらどうだということで、こういう運用を開始しているようでございます。
病室は患者さんの寝室で、病院の廊下はだれもが通る公の道、公道である。その公道から寝ている姿まで見えてしまうという問題があった。で、女性だけの病棟。男性が病棟に入れるのは面会時間と手術日、退院日など特別な日に限られるということで、女性が安心して男性の目を気にせず治療が受けられる。こんなことで大変好評だということで、ぜひとも公社病院、また都立病院でも参考にしていただければなというふうに思っております。
こういう形で女性専用外来を開設され、いろいろと努力していただきましたけれども、今回の施設整備でさらに充実を図ることができました。これによりもっと地域にPRし、より多くの方が受診されるよう努力し、この施設を有効活用していただきたいと思います。また、このような施設整備を見ても、患者さんのことをよく考え、医療の質の向上のため、きめ細かな対応をしていることがわかります。
多摩南部地域病院は、紹介率も高く、地域の医療機関からも頼りにされている、地域に密着した病院であります。地域の医療需要に素早く対応することこそ、公社病院にとって極めて重要なことであります。
私も、この多摩南部地域病院、それから松沢病院なんかも見てきましたけれども、医師不足、看護師不足というのが現在大きな社会問題となっておりますけれども、公社病院も決して例外ではございません。給与、福利厚生など処遇を一層向上されて、この難問を乗り越えていただきたいと思います。
引き続き、公社病院としての役割を果たして地域医療の向上に尽力されることを期待いたしまして、質問を終わらせていただきます。
○古館委員 それでは、私からも何点か質問させていただきます。
二〇〇六年度、この年は診療報酬のマイナス改定がありました。医療環境がこうした中で本当に厳しくなっている中で、荏原病院が公社に移管された年でもあります。そこでまず、荏原病院について伺いたいと思います。
最初に、荏原病院の看護師の定員の変化です。公社移管以前の平成十六年度、移管時の十八年度、そして十九年度の定員はどうなっているでしょうか。
○都留サービス推進部長 荏原病院の看護職員の定員は、十六年度は三百三十八人、十八年度は三百十四人、現在も三百十四人でございます。
なお、十八年度当初には可能な限りの過員配置をいたしております。
○古館委員 次に、現員ですね、すなわち、実際の人数の推移はどうでしょうか。
○都留サービス推進部長 看護職員の現員につきましてでございますが、各年度とも十月一日の数字で答えさせていただきますけれども、十六年十月一日三百三十五人、十八年十月一日三百八人、現在は二百八十人でございます。
現在、中途採用など努力しておりますけれども、七対一看護基準の影響で、なかなか人員が集まらないと聞いております。
○古館委員 今、現員自身がかなり減ってきているということでご答弁がありました。公社移管の前年には、移管を前提に定員をたしか二十四人削減したと思います。しかし、これでは現場が回らないという強い要望がありまして、現員は減らさないで移管した経過がありました。
ところが、現在どうかといいますと、移管前の現員を維持するどころか、大幅に減らした定員すら、もう今確保できない。現在さらに三十四人も不足している、こういう状況だと思います。その結果、ことしの八月から緊急措置が余儀なくされてきました。
公社が発表したペーパーによりますと、荏原病院における病棟運用等に対する緊急措置について、にはこう書いてあるんですね。荏原病院において看護職員に大幅な欠員が生じたため、下記のとおり緊急措置をとることとすると。これは、荏原病院の中に、このような形でペーパーに書かれているんですね。その内容は、三百三十病棟という一病棟、四十三床分を一時休止する。全体で五百床の運用病床を四百五十七床に減らす。ですから、いずれにしても減らしていくという形の方向になってきているんです。
さらに深刻な問題は、医師不足による産婦人科の、いわゆる休診といいますか、分娩の中止なんですね。ことし八月二十九日付で荏原病院長名で、産婦人科受診の皆様へという掲示が院内に出されました。平成十九年の十月以降ですが、産婦人科の医師不足のために分娩の取り扱いを中止します、こういう張り紙ですね。新たな分娩予約はお断りすることになります、このように書いています。また、既に予約を入れている妊婦さんにつきましては近隣の病院等を紹介いたします、再開の見込みについては現在のところ未定です、これが、八月二十九日付の病院長名で出された、いわゆるお知らせなんですね。
そこで、荏原病院産婦人科の分娩の取り扱いを中止するという掲示が出されていて、このような事態に至った経緯についてお伺いしたいと思います。
○都留サービス推進部長 これにつきましては、先ほどもお答えいたしましたけれども、荏原病院に産科医師を派遣しております大学医局からの産婦人科医の引き揚げが四名、その後退職が一名となりまして、本年十月から二名体制となっております。そのため、本年十月から医師による分娩を停止していると聞いております。
○古館委員 それで、十月以降も分娩予約が入っていたと思うんですね。どれぐらいの予約があって、それらの方にどのような対応をされたのでしょうか。
○都留サービス推進部長 分娩予約は八月末で八十六件ございました。同月末に分娩停止を院内やホームページに掲載いたしますと同時に、十月以降の分娩予約の方々に対しましては、状況のご説明と紹介先病院一覧を郵送いたしまして、九月の外来受診時に、分娩を行う病院を責任を持ってご紹介いたしました。現在、すべての方の受け入れ病院が決定しております。
また、院内に助産所を開設しておりますので、ご希望の方につきましては、こちらも紹介していると聞いております。
○古館委員 今お答えがあって、八十六件あって、幸いにして九月中に紹介を済んだと。大田区というのはかなり大規模な人口があるところで、年間の出生数というのは約五千人なんですね。荏原病院での分娩数というのは、これまで、都立のときですが、年間一千件と聞いています。出産難民というようなことが社会的問題になっているときに、荏原病院での一千件の出産ができなくなる。このことは、今の数字から見ても明らかなんですね。地域住民にとってはとても深刻な問題であります。幾つかの病院等に振り分けるとのことですけれども、荏原病院の近隣周辺には開業医はいても高齢化しており、これは、地元の方の声も聞きましたが、そのようにいわれているんですね。お産が扱える医師は極めて少ないというのが現状で、距離も遠くなるし、時間もかかる。これは私も聞き取りをしました。しかも分娩費用は、荏原病院では三十五万円ぐらいですけれども、大学病院で分娩すると六十万円から七十万円、高いところでは百万円もかかるところがあるんですね。事態の打開に向けて、都としても全力を尽くすよう求めておきたいと思います。
そこで、荏原病院では助産師外来や院内助産の取り組みが始まりましたが、その実績はどうでしょうか。
○都留サービス推進部長 本年六月末から助産師外来を開設いたしまして、九月末には院内助産所での出産が一件ありました。今後の分娩予定は、現在のところ四件と聞いております。
○古館委員 先ほど、荏原病院での分娩数は年間一千件といいました。それで、今のお答えが一件、あるいは四件という答えがありましたけれども、これでは圧倒的に足りないというのは、どなたも理解できるところかと思います。
助産師外来や院内助産は医師不足に対する緊急対策としても有効である、このことは認めます。それにとどまらず、助産師の本来の役割を大いに発揮してもらうという点でも、大事な取り組みだと思っています。
助産師の確保と育成にも、都として支援を行う。そして、ぜひ拡充を進めていただきたいと思っています。それで次に進みますけれども、これは要望にさせていただきます。
次に、公社病院全体の外来診療の縮小や入院病床の縮小、休止などの状況はどうなっているでしょうか。
○都留サービス推進部長 外来診療につきましては、特に縮小はいたしておりません。入院病床につきましては、看護師の欠員のため、多摩南部地域病院で本年一月から、荏原病院で本年八月から、一部病棟を休止いたしておりますが、影響は最小限にとどめていると聞いております。
○古館委員 今ご答弁で、外来診療は縮小していないというふうにいわれたんですけれども、例えば多摩南部地域病院の小児科は、休日・夜間診療を縮小していますし、小児科の入院診療も休止しています。それが二〇〇五年一月から解決しないままになっています。その上、ことし一月から第六病棟という一病棟が休止になっております。
医師、看護師確保に、これは都としても全力を尽くすことは当然であって、改めて強く求めておきたいと思います。
それでは、公社病院における院内保育所の設置、利用の状況はどうでしょうか。
○都留サービス推進部長 院内保育所でございますが、多摩北部医療センターと荏原病院で院内保育所を設置、運営しております。
十八年度の一日平均利用実績は、多摩北部医療センターで五名、荏原病院で二・四名と聞いております。
○古館委員 この院内保育所ですけれども、看護師確保だけじゃなくて、女性医師の確保にとっても重要だと考えています。
二十四時間保育の実施を含めて、公社病院においても院内保育所の充実を進めることが大事だと思いますけれども、ちょっと改めて見解を伺いたいと思います。
○都留サービス推進部長 現在運営しております多摩北部医療センターと荏原病院の院内保育所では、看護師に限らず女性医師のお子様もお預かりしております。
保健医療公社では今後、職員ニーズ等の状況を踏まえ、対応策を検討していくと聞いております。
○古館委員 それで、公社病院に利用者負担というのがあると思いますが、十七年度に公社移管された多摩北部医療センターにおいて、十八年度の駐車場の--これは済みません、駐車場の方です。話を変えます。
駐車場の利用料はどのように変わったでしょうか。その増収額についてお答えいただきたいと思います。
○都留サービス推進部長 多摩北部医療センターの駐車場は、不正駐車の防止や交通機関利用者との均衡を図るために、十八年十二月一日から有料化いたしております。具体的には、外来患者さんにつきましては一回百円の定額となっております。十八年度中の駐車場収入は約二百万円と聞いております。
○古館委員 今まで質疑をしてきたんですけれども、公社病院の大変さというのは、ちょうどこの公社化が本格的に進んできたこの時期に、診療報酬のマイナス改定ということで、本当に環境が悪化してきたというふうに思うんですね。そういう中で、都民に対して責任を持てるような医療をどのように構築していくのかということが極めて重要であります。
荏原病院を公社移管するときに、都と公社は、移管後の病院が提供していく医療サービスは現在と基本的に変わりませんとか、地域に必要とされる医療を提供しますと約束しましたけれども、実際は、看護師不足で一病棟が休止する。医師不足で、地域が必要としている産婦人科の分娩の取り扱いも中止せざるを得ない。利用者負担についても、多摩北部医療センターでは駐車場が有料化されてきました。
もちろん、医師不足、看護師不足は根本的には政府の責任であります。病院の経営が大変なのも、診療報酬マイナス改定によるもので、民間病院も公的な病院もどこでも大変な問題になっています。しかし、こういうときだからこそ都立病院を公社に移管するようなことはすべきではない、再検討すべきだということを申し上げておきます。
この上さらに、私は板橋ですけれども、都立豊島病院を来年度に公社移管することが推進されていますけれども、これは直ちに中止すべきことを求めておきます。
そもそも公社自身が、平成十七年三月の公社病院経営中期計画でどのようにいっているかといいますと、公社病院の最大の特質だといわれている地域連携について、公社病院開設当初には先駆的であった医療連携は、現在多くの地域中核病院が取り組み始めていると述べている上で、医療連携における公社病院の先進性、優位性は薄れつつあると自分で認めざるを得ない現状にあります。
さらに、こういう記述もあるんですね。平成十三年度までは経営が上昇傾向であった公社病院であるけれども、それ以降の伸び悩みや低迷は、ここ数年、公社病院を取り巻く環境が大きく変化している中で、公社病院がそれに十分対応できない、このことを示している。みずから伸び悩みや低迷などといわざるを得ない、これが公社病院の現状。これを重々知りつつ、都民に対しては、公社になれば地域連携が充実するとか、医療サービスは維持するといって都立病院の公社移管を進めてきた東京都の責任は、私は重大だといわなきゃならないと思っています。
しかも、こういう中で、東京都は公社に対して支援を強めるどころか、この補助を見ていますと、総体としてはこの補助も減らしてきている。東京都は公社に対して支援を強めてもらいたいし、独立採算を強化せよと迫っていることについても改めていただきたい。こういうやり方をきっぱり改めることを厳しく求めて、質問を終わります。
以上です。
○大塚委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○大塚委員長 異議なしと認め、本件に対する質疑は終了いたしました。
以上で病院経営本部関係を終わります。
○大塚委員長 これより福祉保健局関係に入ります。
決算の審査を行います。
平成十八年度東京都一般会計決算中、福祉保健局所管分、平成十八年度東京都母子福祉貸付資金会計決算及び平成十八年度東京都心身障害者扶養年金会計決算を一括して議題といたします。
本件につきましては、既に説明を聴取しております。
その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
資料について理事者の説明を求めます。
○杉村総務部長 過日の分科会でご要求のありました資料につきまして、お手元の平成十八年度各会計決算特別委員会第二分科会要求資料にまとめてございますので、ご説明申し上げます。
資料は、目次にございますように、全部で八項目となっております。それでは、順を追って説明させていただきます。
まず、一ページをお開き願います。自己負担額が住民税課税の有無等によって決まる主な福祉保健施策といたしまして、次の二ページにかけまして、(1)から(3)の住民税課税の有無などによる分類ごとに、事項名とその内容を記載してございます。
三ページをお開き願います。たばこ対策の実施状況といたしまして、(1)には区市町村の、(2)には東京都の取り組み内容についてそれぞれ記載してございます。
四ページをお開き願います。福祉保健費の予算及び決算の推移といたしまして、平成九年度から十八年度までの福祉保健費の予算現額、決算額及びそれぞれの一般会計に占める割合などについて記載してございます。
五ページをごらん願います。福祉保健局予算・決算額の推移といたしまして、平成十七年度及び十八年度の福祉保健局の予算現額、決算額を記載してございます。
次に、六ページをお開き願います。各種手当及び医療費助成等の予算及び決算の推移といたしまして、平成十四年度から十八年度までの予算現額、支出済額及び対象者数を七ページにかけまして記載してございます。
八ページをお開き願います。シルバーパス発行状況の推移といたしまして、平成十三年度から十八年度までの費用別発行実績数、七十歳以上人口及びシルバーパスの発行割合を記載してございます。
九ページをごらん願います。要支援者等に対する特殊寝台購入費助成事業(都制度)の補助実績といたしまして、区市町村別に平成十八年度の補助額を記載してございます。
一〇ページをお開き願います。子育て推進交付金の交付決定額及び同交付金に包括化した十三事業の補助確定額といたしまして、市町村別にそれぞれの金額を一一ページにかけまして記載してございます。
以上、大変簡単ではございますが、ご要求のありました資料につきましてご説明申し上げました。よろしくお願いを申し上げます。
○大塚委員長 説明は終わりました。
ただいまの資料を含めて、これより本件に対する質疑を行います。
発言を願います。
○吉原委員 それでは、質問をさせていただきたいと思いますけれども、平成十八年度の福祉保健局の予算現額は約七千二百四十三億円、大変多額を扱ってこられただけに、都民の健康と福祉を守る、そして向上させていく、その責任と役割は大変大きなものがあったと思います。
我々自由民主党としても、平成十八年度の予算に賛成をしっかりいたしましたし、確実に都民のニーズにおこたえできるように局に働きかけてきたところであります。この場では、都民に直接かかわる事業、そして施策の中から、特に子育て支援と高齢者対策についてお伺いさせていただきたいと思います。
今や私たちの社会では、平成十七年に人口減少の局面を迎えた、まさに人口減少社会が現実のものとなっているところでもあります。東京の活力が果たして今後も維持、そしてさらに発展し続けていくことができるのかどうなのか、大変大きな課題だとは思います。
これまでの東京の発展に汗して支えてこられた高齢者の方々に、安心して引き続き過ごせる環境をつくっていかなければなりませんし、また、若い世代の皆さんが自分たちの子どもたちを健やかに育てられる環境を地域社会全体で整えていくことが大切であることはいうまでもありません。
そこで、まず初めに子育て支援についてですが、都はこれまで、増大する大都市特有の多様な保育のニーズに対して、独自の認証保育制度を初めとするさまざまな保育サービスの拡充に努めてこられたと思います。
私は、保育施設を実効性あるものとするためには、区市町村みずからが、国が定めた一律のサービスを提供するだけではなくて、地域の社会資源の状況や住民の保育ニーズを細かく把握した上で、さまざまな工夫を重ねていくことが重要であると思っております。そうした区市町村の取り組みに対して都が積極的に支援していくという強い姿勢もあわせて必要だと思います。その意味では、都が昨年度、子育て推進交付金を創設したことについて高く評価するものではあります。
そこでまず、基本的なことで恐縮ですが、確認として、子育て推進交付金の創設の意義についてお伺いいたします。
○吉岡少子社会対策部長 子育て推進交付金の創設の意義についてのお尋ねでございますが、平成十七年度までの子育て支援に関する都の補助制度は、対象や補助金の使途などの補助要件を細かく規定し、また、市町村が一律に事業を実施する仕組みであったため、地域のニーズに応じて必要な施策展開を行うなどの裁量の余地が少ないものでございました。
平成十八年度に創設いたしました子育て推進交付金は、子育て支援の主体である市町村が地域の実情に応じて創意工夫により施策を展開できるよう、これまでの都加算補助制度等を再構築して交付金を創設し、すべての子どもと家庭を対象とした支援施策の充実を図るものでございます。
○吉原委員 子育て推進交付金制度によりまして、市町村が従来の補助制度に縛られることがなくなった、そして柔軟な施策展開が行えるようになったということは大変すばらしいことだと思います。
一方で、今回の交付金化の目的でもある、市町村の工夫によって独自の取り組みを誘導する、そして都民の福祉サービスを全体としてさらに向上させていくということも重要だと思います。子育て推進交付金にはそうした仕組みを含んでいると思いますが、どのようなものなのか、そして、あわせて期待される効果もお伺いいたします。
○吉岡少子社会対策部長 子育て推進交付金には、児童人口等を基礎として算出する基本分と、政策誘導項目として設定した子育て支援施策の実施状況に応じてポイントを付与し、市町村の総ポイントで案分する政策誘導分、保育所入所児童数の増などに応じて算出する規模増分がございます。
政策誘導項目に掲げる事業は、先駆型子ども家庭支援センター事業を初め、延長保育、病児・病後児保育、学童クラブなど、次世代育成支援東京都行動計画に目標を掲げている事業を中心に、子育て支援施策を幅広く選定しております。
政策誘導分を設けた趣旨は、都が重点的に進めていきたい事業の市町村の取り組みを促進し、都民ニーズに的確に対応することにございます。
平成十八年度には、先駆型子ども家庭支援センターが六市町、要保護児童対策地域協議会が十四市町で新たに設置されたほか、延長保育の実施が進むなど、政策誘導項目に掲げる事業が着実に進んでいることから、その効果が十分に上がっているというふうに認識しております。
○吉原委員 頑張っているところも、そうでもないところも一律配分ということではない、子育て支援全般に力を注いでいるところは交付金が厚く配分される仕組みが組まれているということですから、この子育て推進交付金によって、地域の実情に応じた施策がさらに展開できるように、引き続き都の積極的な支援をお願いしたいと思います。
同時に、市町村にも、交付金の趣旨に沿って積極的に事業展開を図るように、さらなる働きかけをお願いしたいと思います。
これまでもさまざまな工夫を重ねて、子育てを支援するサービスの拡充に東京都は努めてきたわけでありますけれども、一方で、現実問題として、都内の保育所の待機児童数は依然として五千人前後ということでございますから、さらなる取り組みも必要であろうかと思います。
そこで、この子育て交付金の有効活用を含めて、今後どのように総合的な子育て支援対策を展開していくのか、見解を伺います。
○吉岡少子社会対策部長 今後の子育て支援策についてでございますが、ご指摘の子育て推進交付金を初め、子育て支援基盤整備包括補助などを活用しながら、次代を担う子どもたちが健やかに生まれ育つ環境を整備するため、それぞれの地域の実情に応じて区市町村が実施する子育て支援の取り組みを、都として幅広く支援してまいります。
さらに、喫緊の課題でございます保育所の待機児童解消につきましては、区市の保育担当課長連絡会を開催するなど、都と区市の共通理解のもと、保育の実施主体である区市の主体的な取り組みが促進されるよう取り組んでまいります。
○吉原委員 安心して子どもを産む環境、そしてまた育てられる環境の充実は、少子化対策にもつながるわけでございますので、一層の取り組みをお願いしたいと思います。
続いて、高齢者対策について伺います。
「十年後の東京」では、東京の高齢化は、これまでに他の都市が経験したことのないスピードで進むだけでなくて、七十五歳以上の後期高齢者といわれる急増が特徴となるとされています。十年間で高齢者人口は二百三十万人から三百十三万人へと八十三万人増加するのですが、その増加数の六割を超える五十一万人が後期高齢者であるということであります。
今、私が住んでいる町田市でも、人口は大体、約四十一万人ですから、それを十万人も上回る数、後期高齢者が今後十年間で増加する。こういうことですから、今さらながらにこれは大変なことだなというふうに思ってはおりますけれども、もちろん高齢者といっても、自分の健康法をしっかりと身につけて元気に過ごしている方も多いわけでありますから、一概に高齢者がふえるからいきなり困難な問題になる、こういうことではないと思います。
しかし、現在、都内に二十三万人いらっしゃると推計されているわけでありますので、今後さらに増加すると予想される認知症高齢者の方々の介護をどういうふうに確保していくのか。ということは、家族にとっても当然でありますけれども、大変大きな問題であるし、切実な問題であろうかと思います。
東京都も、特別養護老人ホームなどの介護保険施設の整備に取り組んでまいったわけでありますけれども、今回の決算説明書を見る限り、施設整備助成費のうちの地域密着型サービス等の整備の執行率が極めて低いように思われます。
そこで、まず、改めて伺いますけれども、この地域密着型サービスはどういうものなのか、そして、都としてこのサービスの意義をどう考えているのか伺います。
○狩野高齢社会対策部長 地域密着型サービスは、昨年の介護保険法の改正により創設されたサービスであり、地域の特性に応じた柔軟かつ多様なサービスを提供する仕組みでございます。その整備につきましては、区市町村がみずから策定する整備計画に基づき、国交付金の交付を受けて進めております。
例えば、この地域密着型サービスの一つである小規模多機能居宅介護は、身近な地域で、通いを中心に、ニーズに応じて訪問介護や宿泊サービスを組み合わせたサービスを提供するもので、平成十九年十月一日現在、都内に二十四カ所整備されてございます。同一のスタッフが一体的、継続的にサービスを提供することにより、認知症高齢者を初めとする高齢者だけでなく、在宅介護を行う家族の安心感にもつながるものであり、今後積極的に普及させていくべきものであると考えております。
○吉原委員 大変前向きなサービスだと思うわけでありますけれども、その整備費の執行状況だけ見ると、必ずしも順調とはいえないのではないかと思われます。執行率の低い理由はどのようなところにあるのか、お尋ねいたします。
○狩野高齢社会対策部長 近年の景気回復によりまして、地価が上昇し、こうした事業の用地確保が困難になりつつあること、また、この小規模多機能居宅介護につきましては、利用者定員に一定の上限がある大変小規模な事業であるため、経営の安定性が確保しにくく、事業者が参入しにくい状況であることがその原因として考えられます。
これに加えまして、この地域密着型サービスは、平成十八年度から創設されたサービスであるため、国の交付金事務スケジュールが大幅におくれたことと、それに伴いまして区市町村の取り組みの開始時期もおくれたことなどによるものでございます。
○吉原委員 確かに小規模であるがゆえにスケールメリットが働きにくい。そしてまた、さらには都内の地価が高いわけでありますので、そういった意味では都内においては事業参入をしにくい要素があるとは思います。そしてまた、特に昨年は初年度で国の取り組みがおくれたということも、やむを得ないことなのかなというふうに感じております。
しかし、実現されれば、時々泊まりサービスを利用することで、遠くの特養に入らなくても、家族と一緒に住みなれた地域で住み続けられることなども可能にするサービスなんだろうと思います。その整備が大いに期待されるわけでありますけれども、今後、整備促進のためにどのように取り組んでいくのか伺います。
○狩野高齢社会対策部長 地域密着型サービスの整備についてでございますが、東京都では、高齢者が可能な限り住みなれた地域で生活が継続できるよう、この地域密着型サービスのうち、小規模多機能居宅介護、小規模特別養護老人ホーム、認知症高齢者グループホームについて、十八年度から三カ年にわたり都独自の重点補助を実施しております。
また、ご指摘のスケールメリットによる経営の安定性も視野に入れ、十九年度予算においては新たに小規模多機能居宅介護事業所の整備に当たり、グループホームを併設した場合に加算を行うなど、整備促進に努めているところでございます。
加えて、区市町村が柔軟に整備を進められるよう、整備計画変更を初めとする国交付金手続の弾力化について国に申し入れを行いました。
○吉原委員 このサービスの整備については、区市町村が主体的に行うべきものでありますけれども、区市町村が地域の実情に応じて積極的に事業展開できるように、今後とも都として支援策の拡充に取り組まれるように強く要望をいたしておきたいと思います。
一方、認知症の約半分を占めるといわれているアルツハイマー病の問題は、深刻さを増しているという状況にあると思います。現在、世界規模で治療薬の開発競争が繰り広げられているわけでありますけれども、臨床試験で一部の患者に重い副作用が発生して、治験が途中で中止になった例もあるというようなこともお聞きしております。
監理団体である医学研究機構においても、長年にわたってさまざまな分野の医学研究を行っているところですけれども、このアルツハイマー病の治療薬の開発についてどのように取り組んでいるのか。これまでの具体的な取り組みと、その成果についてお尋ねいたします。
○蒲谷参事 アルツハイマー病は、脳内にベータアミロイドというたんぱく質が蓄積して、脳神経細胞を破壊されて発症するものでございます。この蓄積を阻止することが効果的な治療法につながると考えられており、欧米諸国を中心に開発競争が行われております。
東京都神経科学総合研究所では、ベータアミロイドを除去する免疫機能を活性化するDNAワクチンの開発を行っており、マウスを使った実験では、その有効性と安全性が確認されているところでございます。
○吉原委員 アルツハイマー病に悩んでいる都民も、また、その家族の方々も東京にはたくさんいらっしゃるわけでありますから、一日も早い安全な治療薬の開発が望まれているわけであります。
今後の展望についてはいかがでしょうか。
○蒲谷参事 DNAワクチンの感染症に対する安全性は、欧米での臨床試験で確認されており、アルツハイマー病の治療薬としても副作用が少ないことが期待されております。
本年度からは、猿を用いたワクチンの投与実験により、臨床試験に進むために必要なデータの収集を開始しているところでございます。猿での効果と安全性が確認できれば、医療機関や製薬会社の協力を得た上で、人への臨床試験を予定しております。
○吉原委員 神経研における研究の成果が、新たな治療薬という具体的な形で還元されることを強く期待しておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。
最後に、十八年度の本局の予算につきましては、あるいは決算については、施策に十分反映しているものも多々あったと思います。しかしながら、若干かもしれませんけれども、まだまだ不十分な点も見受けられるわけでございまして、十九年度の予算も今、実行されているところだと思いますけれども、ぜひ今年度については執行率を一〇〇%を目指して、都民の福祉の向上にしっかりと貢献できるように、さらなる努力をお願いいたしまして、質問を終わります。
○西岡委員 平成十八年度福祉保健局の精神保健・医療にかかわる施策に関連して伺ってまいりたいと思います。
ご承知のように、我が国においては、厳しい経済環境など複雑化した社会状況を反映して、会社内におけるストレスなどに起因した、いわゆるうつ病など感情障害、気分障害を持つ精神的疾患の発症者が大変にふえておりまして、今大きな社会問題になっております。いわゆるメンタルヘルスという言葉もありますけれども、民間企業のみならず都庁内も大変多いという話も聞きますし、区市町村も共通の課題を抱えているということを聞いております。
事実、私、今、三十八歳なんですけれども、三十代に非常に多いということで、先日も報道で行われておりました。また、私のところにも友人から、知っている人からそういうことを打ち明けられたり、家族の方から相談をされたり、本人のみならず家族の方も、発症してしまうと本当に苦しい。家計を支えている方が一年、二年と長い年月がかかるテーマですから、このうつ病などのいわゆる感情障害を発症してしまうと、時間もかかりますし、本当に苦しいテーマなんですね。こういった分野について、この平成十八年度の決算のさまざまな数値から幾つか聞いて、今後の展望を持っていきたいと思っているんですね。
また、このテーマは、自殺などにも通じてしまう大変痛ましい分野だと思っております。東京都においては、本年六月に自殺総合対策東京会議を設置して、自殺対策への取り組みを行っていると聞いていますが、この自殺対策を推進していく上においても、この感情障害を中心とした精神障害者に対する適切な施策を展開することが非常に重要だということで、幾つか質問してまいりたいと思うんです。
この精神的な、いわゆる障害について少し調べてみますと、医学界では大変な分類になっていまして、全部で九十九種類ぐらいに分けられているんですね。その中でも、私は特に感情障害に少し絞ってお話をしますが、いわゆる成人になってからなるのは感情障害だけではなくて、神経症もそうですし、あるいは統合失調症などもあり得るわけですね。しかし、今一番大きな社会的テーマとなっている、特に注目されている感情障害に絞って伺ってまいります。
精神疾患によって医療機関に通院している患者及び、そのうち感情障害により受診している患者の状況や傾向についてどのように把握しているか伺っていきたいと思っております。
厚生労働省の方で幾つかの調査があるんですが、患者さんの数値も大変急増しているということは、これはよく報道されていますから、よく承知しておりますが、この予備軍といわれている方々も非常に多いといわれているんですね。そういったことも踏まえて、まず一点目、状況についてお伺いしたいと思います。
○菊本参事 今、西岡先生のご指摘のように、大変ふえているということですけれども、厚生労働省が医療機関に対して三年ごとに実施している患者調査によりますと、精神疾患により受診している患者さんは、平成十七年度調査におきましては、一日当たりですけれども、全国で五十五万一千人、都では約四万六千人という数に上っております。
さて、ご指摘のあった感情障害に関しましてですけれども、うつ病の受診者数については、平成十四年度の患者調査によりますと、全国で一日当たり五万五千人という数です。これは、平成八年度における二万七千人という数と比較しますと、約二倍という数になっております。
○西岡委員 うつ病に限っていいますと、平成八年と比較しますと、もう二倍になっているということで、驚くべき状況にある。我が国の社会というのは、今、本当にストレス社会に陥ってしまっているんだなということを痛感しますし、これから、医療、行政、政治もそうですけれども、どうやってこの日本の社会をいい社会に、本当に精神的に豊かな気持ちでいられる社会にしていくのかというのは、これは極めて重要なことだなと思っています。
感情障害の発症に早期に気づいて適切な治療を受けるために、また、発症を未然に防止するためには、本人または家族が精神状態の不安定に気づいた早い時期に、相談機関において適切な指導助言を受けることが大変重要だといわれています。
しかし、私などが見たり聞いたりする話というのは、結構多くの方々が、発症してから相当、時間が経過されてから、病院に行かなきゃということで動くケースが多いんですね。少し長い期間放置されてしまって、大変悪化して、非常に悪化した状態になって初めて家族の方が病院に連れていくとかということも非常に多いというふうに聞いているんですね。
今、東京都では精神保健福祉センターが三カ所あるんですね。中部総合精神保健福祉センター、多摩総合、それから都立精神保健福祉センターと三カ所あるんですが、ここでは精神保健福祉相談を実施しています。平成十八年度を調べますと、約三万三千件の相談実績となっておりますけれども、いわゆる感情障害に関する相談はどのくらい受けていらっしゃるのか、伺っておきたいと思います。
○菊本参事 総件数で三万三千件のうち、感情障害という形には限定できないんですけれども、アルコール、薬物、思春期その他を除いた心の健康づくりに関する相談が約七千件、それから精神障害関連の相談が約一万七千件というふうになっております。
○西岡委員 患者さんすべてがこの相談所に行くわけではないんですけれども、予約などで相談を受け付けているようですけれども、大変に多いなと、非常に多くの相談が寄せられているなということが、東京都でも如実に見られます。
精神保健福祉センターは都では今、三カ所と限られておりまして、専門的な相談が主体と聞いております。多くの都民が身近に相談を受けるのには、ここだけでは当然限界があるんだと思うんです。感情障害など心の相談を受けられる窓口というのは、この都内でどういうところがあるのかということを一応確認しておきたいと思います。
○菊本参事 精神保健福祉センターのほかに、多摩地域における都の保健所においても実施しておりますけれども、精神保健福祉に関する一般相談につきましては、都民に身近な区市町村で実施しております。区保健所、保健センターを初め、現在、約百五十カ所の相談窓口が都内にはございます。
また、夜間における相談窓口といたしまして、都は夜間こころの電話相談事業を設置しておりまして、三百六十五日、午後五時から午後十時までの間、専門の相談員が対応しております。
○西岡委員 区市町村などを含めて都内で百五十カ所、また、電話による相談も受け付けているということなんですけれども、一般的に私なんかが聞いた事例では、そういう都や区市町村の相談窓口に行く人というのは、少なくとも私の関係した人には余りいないんですよね。なぜかというと、なかなか他人に打ち明けにくい。区役所とかへ行くと、専門家かもしれませんけれども、自分のことや家族のことを話すのは非常にちゅうちょする人が大変多くて、私なんかが話を聞いていますと、どこで相談をしたらいいかわからなくて、他人に打ち明けられなくて、結局、インターネットなどを検索して、一人で、また家族が病院探しをして、そして医療機関に受診している都民が大変多いというふうに思っております。しかし、患者さんや家族の方だけの力量で、本当にいい診療所や、いい先生に出会うというのは非常に困難かなと思っているんです。
特にこの分野というのは、患者さんと先生との相性が非常に重要だというふうにいわれていまして、そうすると、何度もいろんな病院を転々としながら、何年も何カ月も病院回りをして苦しんでいる方々が大変多いんですよね。私は、こういうときに初めて、都や区市町のいわゆる専門的な方々が幅広い知識で適切なアドバイスをしていくということが非常に重要なので、やっぱり都民の方とこの相談窓口とをしっかりと結ぶということが、東京都としては非常に大事なんだろうと思うんですね。
そういう立場から、今後ますます増加が予想される、ストレスなどに起因する感情障害に関する相談体制を充実するとともに、こういう相談所があるんですということをもっと周知していかないといけないのかなと考えております。特に、東京都の役割としては、ここの分野が非常に重要なテーマだと思っているんですが、ご所見を伺いたいと思います。
○菊本参事 都と区市町村は連携を図りながら、先ほども申し上げましたように、重層的に専門相談、一般相談を実施しております。さらに、一般相談の窓口である区市町村の関係職員が都民からの相談に的確に対応できるように、引き続き精神保健福祉センターによる技術援助、指導及び研修を実施してまいります。
なお、相談窓口の広報、普及につきましては、パンフレット、ホームページなどさまざまな媒体や機会を活用し実施しておりますが、今後とも都民の周知に努めていくものでございます。
○西岡委員 このテーマに関しては、きょう、私も初めて議会で質問させていただいておりますので、今後とも、自分自身も勉強させていただきますし、都政において十分な役割が果たしていけるようにしていきたいと思っておりますが、最後に、医療機関における診療科の標号名称についての意見、要望を申し上げておきたいと思うんです。
感情障害に陥った患者さんが初めて病院に行った際に、自分の診療科名が精神科という診療科名になっているんですね、大病院なんかへ行ってもそうなんですが。この精神科という標号がなかなか受け入れにくいという声をよく聞きます。そのことがさらに本人や家族を不安に陥らせたり、受診をちゅうちょさせる要因になっているのではないのかなという思いを持っているんですね。事実、そういった声を聞きます。
私も患者さんと同行して病院に行ったことがあるんですけれども、そういう気持ちはよく理解できました。例えば、ストレス外来とするなど、もっと都民の方々が受診しやすい診療科名称に変えていくことが大事だと思いますし、これは都でできないことだと思いますから、国に対して--そういった悩みを打ち明ける行き場が、間口が広くなるような、こういう努力をしていかなきゃいけない。気軽に受診できるような体制を構築していかなきゃならないと思うんですね。
アメリカなんかはそうですよね。会社員同士で、ちょっとカウンセリングに行ってくるよ、セラピーに行ってくるよという感じで、みんなで認め合っているんですけれども、日本の社会というのはちょっと違うんですよね。そういう意味で、もっと受診しやすい場づくりというものをぜひ研究していただきたいですし、国に対して要望していただきたいと強く願っているところであります。
以上、要望申し上げまして、質問を終了いたします。
○小磯委員 まず、介護予防及び地域包括支援センターについてお伺いをいたします。
平成十八年の介護保険法の改正では、予防重視型システムへの転換を目指して、要支援者を対象とした予防給付と、要支援・要介護になるおそれの高い高齢者を対象に区市町村が実施する地域支援事業の介護予防事業とが創設されました。介護予防は、介護保険制度の基本理念である自立支援の観点からも重要であり、要支援・要介護状態になることや重度化を防止することで、将来の保険料負担の急増を抑制し、介護保険制度の持続可能性を高めるかぎともいえるサービスである、こういうふうに思っております。
今後、介護予防を普及させていくためには、高齢者が気軽に介護予防に参加できる場所、すなわち介護予防拠点が身近な地域に数多くあることが必要であると考えます。
我が党は、介護予防十カ年戦略において、介護予防拠点を中学校区に一カ所ずつ整備することを当面の目標に掲げ、また、フィットネスクラブなど民間施設の積極的な活用を提唱してきたところであります。
ことしの第一回定例会で局の方から、この介護予防の拠点の整備状況について答弁がございまして、区市町村が地域の高齢者を対象に介護予防事業を実施する拠点は八百四十五カ所、また、要支援と認定された高齢者を対象に介護予防サービスを提供する通所事業者は千四百五十七カ所、両者合わせて延べ約二千三百カ所の介護予防拠点が整備されていると。これによって、都が平成二十年度までに実現を目指す、中学校区などを単位として区市町村が設定する日常生活圏域における介護予防拠点の整備についてはおおむね達成している、こういう答弁をいただいているわけでございますが、まず、この区市町村の介護予防拠点にはどのようなものがあるのかをお伺いしたいと思います。
○狩野高齢社会対策部長 介護予防拠点についてでございますが、公立施設では、区市町村の地域の集会所、保健センター、老人福祉センター、スポーツセンターや、最近では公園など、民間施設では、介護老人保健施設などの介護施設やフィットネスクラブの一室など、既存の建物等を活用しております。
こうした介護予防拠点では、運動器の機能向上を目指すマシントレーニングやストレッチ体操、栄養改善を目的とした栄養相談や料理教室、歯科医療機関などを利用した口腔ケア事業など、地域の高齢者のニーズに合わせ多様なプログラムが展開されております。
○小磯委員 そのようなプログラムは、区市町村により行われる地域支援事業そのものでございます。しかしながら、区市町村においては、この地域支援事業の介護予防の対象となる特定高齢者がなかなか把握されず、運動器の機能向上や口腔ケアなどの事業に参加する高齢者が極めて少なかったといわれております。一方で、事業に参加した高齢者は、状態が改善するなど一定の効果はあったと聞いております。
東京都は、この特定高齢者の決定数が少ないということについて、この状況を把握していたのかどうか、また、どのようにこの状況について対応したのかをお伺いしたいと思います。
○狩野高齢社会対策部長 介護予防事業の対象となる特定高齢者は、国が定める把握、決定の仕組みにおいて、所定の基準に該当することが必要でございます。この仕組みが全国一律であり、かつ基準自体が大変厳しいことから、十八年度は結果として、特定高齢者として決定された者は一万四千九百三十三人、高齢者人口の〇・六三%にとどまっております。
また、運動器の機能向上や口腔機能の向上などの介護予防の事業に参加した高齢者は三千五十五人、高齢者人口の〇・一三%となっております。
都は、こうした区市町村の状況を踏まえ、平成十九年一月に国に対し、特定高齢者の決定基準の緩和等について要望を行いました。その結果、国は、平成十九年度から特定高齢者の決定基準を緩和したところでございます。区市町村におきましては、この新しい基準に基づき、特定高齢者の把握を進めており、筋力向上トレーニングなどの運動器の機能向上や口腔ケアなどの介護予防事業に順次取り組み、現在、当初の事業計画達成に向けて努めているところでございます。
○小磯委員 この特定高齢者についての国の目標というのは、十八年度が三%、十九年度が四%、二十年度で五%達成というのが目標でございます。そういった意味で、十八年度が三%というところを、今ご答弁で〇・六三%ということでございますので、これは国の基準が厳しいということがございますが、また、しっかりと取り組みをお願いしたいというふうに思っております。
十八年度の介護保険制度の見直しにおいては、介護予防のケアマネジメントを担う地域包括支援センターが、各区市町村に設置されました。都内にはこの地域包括支援センターが幾つ設置されているのか、お伺いいたします。
○狩野高齢社会対策部長 地域包括支援センターは、介護予防のケアマネジメントを担うだけではなく、地域の高齢者や家族からの相談に対応したり、地域のケアマネジャーを支援したりすることで、高齢者ができる限り要介護状態にならないよう、また、高齢者のニーズや状態に応じて必要なサービスや支援が切れ目なく提供されるよう、関係者の連絡調整等を担う地域の拠点でございます。
現在、都内の地域包括支援センターは、平成十八年度末で三百十八カ所、平成十九年四月時点では三百二十七カ所でございます。うち、区市町村の直営設置が二十六カ所、委託による設置が三百一カ所でございます。各区市町村が地域の実情に配慮し、効果的、効率的に業務が行えるよう、設置数や担当圏域を設定しております。
○小磯委員 今ご答弁があったわけでございますが、ところが、この重要な機関である地域包括支援センターが地域に浸透していないとか、また、要支援者の予防給付のケアプラン作成に追われて、本来の役割を十分に果たせていない、こういった話を聞いておりますし、また、いろんな新聞等の報道においても、そういったことが書かれているわけでございます。
都としてこうした現状の認識についてお伺いするとともに、地域包括支援センターを都が積極的に支援していくべきである、こう思うわけでございますが、都の見解をお伺いいたします。
○狩野高齢社会対策部長 地域包括支援センターは、要支援一及び二の方のケアプランを作成する介護予防支援事業所としての役割も持っております。平成十八年度は、制度創設から間もないことから、包括支援センターの職員が利用者との調整に時間を要したこと、予防プランの作成に十分習熟していないことなどにより、その結果、地域の高齢者の実態把握や虐待の相談、関係者のネットワークづくりなど、本来担うべき役割を果たしていく上で課題が残ったと認識しております。
地域包括支援センター設置の責任主体は区市町村でございます。都としては、区市町村を支援するという立場から、地域包括支援センターの人員体制の確保を働きかけるとともに、支援センター職員の資質向上のための研修や、主任介護支援専門員研修を実施しているところでございます。
さらに、介護予防区市町村サポートセンターを設置しまして、日常的な相談に応じるとともに、各種研修を実施しているところでございます。
今後とも、地域包括支援センターが地域において地域包括ケアの拠点として真にその機能を発揮できるよう、都としても引き続き支援してまいります。
○小磯委員 ことしの春に茨城県立健康プラザというところを視察に行ってまいりました。ここは、介護予防事業の一環として、シルバーリハビリ体操指導士という、リハビリの体操をする指導士を養成する講習会をやっております。この講習会の受講対象はおおむね六十歳以上の県民で、指導士になると、地元を中心にボランティアでリハビリ体操の普及活動を行う。ですから、県民が講習を受けて、自分自身が体操の指導士になる。指導士の資格には一級から三級まであって、一級指導士は二級、三級を育成し、二級は普及活動のリーダーを務め、三級はこの体操を実践、指導するとともに二級を補佐する。こんなことで、介護予防に効果的な体操を住民みずからが住民参加型で普及させていく、こういう取り組みをしておりました。
そんなことで、私も、こうした参加者が自主的に運営していくといいますか、そういう介護予防というのは大変大事じゃないかなというふうに、この視察をして感じたところでございます。
今後は、介護予防をいかに普及し、定着させ、所期の目的である高齢者の自立した生活を実現するかが大きな課題でありますので、都の支援のさらなる拡充を要望したいと思います。
続きまして、たばこ対策についてお伺いいたします。
今回資料要求した、たばこ対策の実施状況ということで、資料をご提出いただいたところでございます。たばこについては、未成年者の喫煙の問題や、親の喫煙が胎児や乳幼児に与える影響などが指摘されており、都民の健康づくりを進めていく上で対策が必要な問題であると考えております。
東京都は、健康づくりに関する計画であります健康推進プラン21後期五か年戦略において、がんの予防の中で、たばこによる健康影響防止を位置づけております。平成二十二年度の目標として、未成年者の喫煙をなくす、分煙を実施している施設の割合を、都、区市町村など公共の場で一〇〇%にするなどがあり、具体的な取り組みを実行していかなければならないとされています。
そこで、まず、東京都のたばこ対策の取り組みについてお伺いいたします。
○清宮保健政策部長 たばこ対策の取り組みについてでございますが、東京都は、都民の健康づくりを推進する立場から、喫煙による健康影響や受動喫煙防止に関する普及啓発や情報提供を実施しています。特に健康への影響が大きい未成年者や妊産婦の方を対象としたリーフレットやポスター等啓発資料を作成し、区市町村、医療機関、学校等に配布しています。
また、禁煙を希望する人を支援するため、ニコチン依存症治療に保険が適用される医療機関のリストをホームページに掲載しているところでございます。
○小磯委員 本日提出していただいた資料によりますと、区市町村は、母親学級での禁煙指導、講習会、また禁煙・分煙施設の登録制度など、さまざまな取り組みを実施しておりますが、例えば禁煙・分煙施設の認証・登録制度の実施の中で、ステッカーの配布とか、またホームページでの認証・登録店の公表と書いてございますけれども、具体的にはどういうことをしているのか、お伺いしたいと思います。
○清宮保健政策部長 受動喫煙による健康への影響を考慮し、東京都は、だれにとっても快適な公共空間と職場環境となるよう、受動喫煙防止対策を推進しているところでございます。こうした受動喫煙防止を目的に、平成十九年一月現在でございますが、都内では七区一市で禁煙・分煙施設の認証・登録制度を実施しています。
これらの制度は、禁煙や分煙対策を実施している公共施設及び飲食店等からの申し込みに基づきまして、それぞれの区市が定める禁煙と喫煙の区分け等の基準を満たした場合に、認証・登録をする制度でございます。
実施をしている区市では、希望する登録施設に禁煙、分煙のステッカーを配布するとともに、ホームページに住所、施設名、禁煙、分煙の種別等を掲載し、住民の方に情報提供しています。
○小磯委員 きょういただいたこの資料だけでは、どこの自治体がどういう取り組みをしているかというのが見えてこないんですけれども、今度、区市町村ごとにどんな取り組みをしているのかの資料をぜひともお願いしたいというふうに思っております。
ところで、区市町村がより効果的な取り組みを推進するために、東京都は積極的に支援していくべきと考えますが、いかがでございましょうか。
○清宮保健政策部長 たばこ対策は、住民に身近な区市町村が地域の実情を踏まえて取り組むことが重要でございます。東京都はこれまでも区市町村に対し、リーフレット、ポスター等啓発資料の配布、分煙化対策指導者研修会の開催、受動喫煙防止ガイドラインの作成などにより、普及啓発や情報提供を実施してまいりました。
今後も都は、区市町村がたばこ対策を効果的に推進できるよう、先進的な取り組みに対する包括補助制度による財政支援や、さまざまな独自の取り組み事例の紹介などにより、区市町村の取り組みを支援してまいります。
○小磯委員 今ご答弁ございましたように、各区市町村のさまざまな独自の取り組み事例の紹介など、そういったことで、ぜひともこの対策については推し進めていただければなというふうに思っております。
また、たばこ対策ということで、やはり小学生、中学生に健康教育というのが大事だというふうに思っております。ですから、ぜひともそういう、例えば福祉保健局の方で健康プラザみたいなのを開設して、そこに、たばこによるどういう害があるのかとか、そういうのをビジュアル的に見れるような、そういういろんな工夫をして、東京都内の小学生、中学生が授業の一環としてそこに来て、いろいろ見て勉強する。そういう健康教育もぜひ大事じゃないかなというふうに思っておりますので、そういったことを要望して、質問を終わらせていただきます。
○大塚委員長 この際、議事の都合により、おおむね十分間休憩いたします。
午後二時三十八分休憩
午後二時五十一分開議
○大塚委員長 休憩前に引き続き分科会を開きます。
質疑を続行いたします。
発言を願います。
○古館委員 それでは、最初にシルバーパスについて伺います。
シルバーパス事業の重要性についてですけれども、福祉保健局として、この重要性についてはどのように考えておられるでしょうか。
○狩野高齢社会対策部長 シルバーパス事業は、七十歳以上の高齢者を対象に、都営交通及び路線バスが利用できるシルバーパスを交付することにより、高齢者の社会参加を促進し、福祉の向上を図る役割を担っております。
○古館委員 今のご答弁で、高齢者の社会参加を促進し、福祉の向上を図る役割を担っている、このようにご答弁されました。高齢者の社会的孤立の防止だとか、これは同時に介護予防にも役立つということも、専門家の方々などからも指摘されています。
ところが、七十歳以上の人口に対する利用率はどうかというふうに見ますと、きょうのいただいた資料の八ページにあるんですけれども、平成十三年度の五九%から十八年度は五〇・五%へと、この間でも大きな下降線をたどって、毎年下がり続けているんですね。
この資料には出てこないんですけれども、私、平成十一年度から十五年度までのシルバーパス発行状況の推移というのを別に持っていまして、これで十一年度の場合は七一・八%なんですね。現在が五〇・五%ですから、二一ポイント以上の開きがある。ですから、年々シルバーパス交付が少なくなってきているということはもう歴然としているんですね。
このように利用率が低下しているという原因について、当局としてはどのようにお考えでしょうか。
○狩野高齢社会対策部長 現在のシルバーパスの制度は、ご自身でその必要性等を判断して、希望されるご本人が窓口にて申請をして購入される仕組みでございます。現在、真にシルバーパスを必要とされる方に発行されているものと考えております。
○古館委員 真にシルバーパスを必要とされる方に発行と。しかし、これ自体でどんどん減ってきているという事実は、真に必要としている方が買い切れないということが十分に想定されるわけですよね。
それで、さらに交付をふやそうという努力というのはないんですか。どういう形でやってきたし、やろうとしているんでしょうか。
○狩野高齢社会対策部長 シルバーパス事業につきましては、平成十二年に若年世代の負担との間に不公平感があるなどの課題があったことから、都民の理解を得て見直しを行い、所得に応じて区市町村民税非課税の方は千円、課税の方は二万五百十円の利用者負担をいただく仕組みとしたところでございます。
多くの高齢者がパスの発行を受け、社会参加と生きがいの活動に活用されており、現行の仕組みはパス本来の目的に十分沿っているというふうに認識しております。
今後ともより多くの方にご利用いただけるよう、事業の実施主体である東京バス協会とともに、パスを所持している方への一斉更新のお知らせのほか、ポスターの掲示やチラシの配布、「広報東京都」や区市町村広報紙への掲載等により、引き続き周知に努めてまいります。
○古館委員 今、再質問したら、最後の方の東京都としてどういうことを努めているかという答弁が出たんですね。
今の答弁は、二年前の第二分科会で我が党委員がこの問題を質問した際に、当時の担当部長もほぼ同じ答弁をされているんですね。しかし、その後も事態は改善されないどころか、さらに後退してきている。ですから、そういう点でいうと、さらに踏み込んだ手だてを講ずるという必要があるんじゃないでしょうか、いかがですか。
○狩野高齢社会対策部長 繰り返しになりますけれども、今までも広報、周知活動に努めてきたところでございますけれども、今後ともポスター掲示、チラシの配布、「広報東京都」等を活用して周知に努めてまいります。
○古館委員 私どもは、この数字が単純に落ちていってそのままでいいという形では、恐らく東京都だって思っていないと思うんですよ。単に必要な人だけというふうにいうんだけれども、必要としている人はもっといると。こういうことというのは、どんどん収入を引き上げていったということの原因というのは十分にあるわけですね。
その後も、先ほどいいましたけれども、改善されない、下がり続けている。先ほど周知徹底という大事な問題で、一層の改善と強化ということが必要でありますけれども--またオウム返しなんですね。
それで、住民税の課税者の方に声を聞きますと、一律二万五百十円というのを何とかしてほしいと。これが本当に多くの人の切実な要望なんですよ。私のよく行くうどん屋さんのおやじがいて、そのおやじさんは、ちょうどたまたまネギ刻んでいたんだが、刻みをもっと細かくしてくれなんて、なるほどな、うまいこというなと。
やはりそういうことというのが、今このシルバーパスというのをどうしても欲しいなと思っても二万五百十円となるとなかなか手が届かないというのが--しかもこれからの負担増を考えていったら、これからどれぐらい高齢者が負担が重くなるかというのは、福祉保健局に私がいう必要なんかないぐらいに、皆さんご存じのとおりなんですよ。
したがって、千円と二万五百十円しかない現行制度、これは極めて問題があるといわなきゃなりません。所得に応じた配慮が弱い介護保険料でさえも、何段階にも分かれているじゃありませんか、資料で見れば明らかです。シルバーパスについても、これに準じて、現行制度の中に三千円パスを導入するなど、所得に応じた段階的な負担になるように改善に踏み出すときだと思いますけれども、いかがでしょうか。
○狩野高齢社会対策部長 先ほども申し上げましたように、平成十二年に都民のご理解を得ましてシルバーパス事業の見直しを行って、所得に応じて区市町村民税非課税の方は千円、課税の方は二万五百十円の利用者負担をいただく仕組みとしたところでございます。
三千円パスの導入というご提案の内容が、区市町村民税課税の方の一部について二万五百十円の利用者負担金を引き下げるという趣旨であれば、そうした制度を実施する考えはございません。
○古館委員 引き下げないで三千円という--今、私はどういう答弁かというのがちょっとのみ込めないんですけれども、例えば千円、三千円、それから二万五百十円というのが存在すると、こういうことであれば可能だということなんですか、いかがですか、それは。もう一回答弁してください。
○狩野高齢社会対策部長 現在、区市町村民税課税の方につきましては二万五百十円のパスをご購入していただいております。ですから、その方々の利用者負担金を引き下げて三千円のパスを新たに導入するという考えはございません。
○古館委員 本当に冷たい答弁なんですよね。平成十二年の見直し後に、高齢者にはとにかく大変な増税、それから介護保険料、国民健康保険料などの大きな負担増が毎年押し寄せてきていますし、そのことはもう国政の与野党を含めた共通認識なんですね。七十歳から七十四歳の医療費負担増だって、この問題についても見送る方向に今、向かっているわけですよね。
こういう点から見ても、シルバーパスの負担軽減というのは、東京都としても緊急に取り組むべき課題であります。どういうやり方かという、いろいろあるかと思いますけれども、所得に応じた段階的な負担に一歩でも二歩でも近づいていく。このような対応をして早急に改善に踏み出すように強く求めておきたいと思います。
実は、この夏に我が党の議員団が自費で希望者でソウル、清チョン渓ゲ 川チョンに行って調査してきました。そうしたら、ソウルではどういう状況になっているかといいますと、みんな驚いたというふうに口々にいって帰ってきたんですけれども、ソウル市は市中心部の高速道路をなくすのとあわせて公共交通網を整備した。ここに力を入れてきた。
特に、バス路線は、市内を大回りする路線、中回り、小回りする路線、きめ細やかに市民が利用しやすいように工夫している。地下鉄の乗車分と合算してキロ数で料金を支払うシステムになっていて、六十五歳以上の市民はバスも電車も無料、タクシーも高齢者割引がある。
ソウル市が数年間かけて取り組んで清流復活をした。同時に、都心部にそういう車を導入することを避けることによって、環境もよくなってきた。私はこういうところから、東京都は財政力からいったら世界一なんですから、そういう点でも学んでもらいたいと思うし、一歩でも二歩でも前進してもらいたいと思うんですけれども、最後、もう一回答えてもらえませんか。部長でない方がいいと思っているんですけれども。
○狩野高齢社会対策部長 繰り返しになりますけれども、ご提案の内容が区市町村民税課税の方の現在ご負担をしていただいている二万五百十円の利用者負担金を引き下げるというご趣旨であれば、そうした制度を実施する考えはございません。
○古館委員 この問題は、本当にトップダウン事業の弊害ですね。この問題については、やはり高齢者の声もしっかり聞いて受けとめてもらいたいと思っております。
そのことを強く要望して次に行きたいと思いますけれども、次は旧養育院板橋キャンパスの再編に絡んで質問したいと思います。
板橋キャンパスの再編にかかわる十八年度の業務委託契約についてですが、委託内容と委託先、委託金額、いつ契約したのかについてお伺いをいたします。
○宮垣施設調整担当部長 平成十八年度における板橋キャンパスの再編整備に関しましては、二件の業務委託を行っております。
一件は、板橋キャンパス再編整備基本構想の作成に関する業務委託でございまして、委託先は株式会社日本総合研究所、契約金額は二百八十八万余円で、十八年九月に契約しております。
また、もう一件、老人医療センターと老人総合研究所の統合、独法化の設立準備に向けた課題整理等の業務委託を行っておりまして、委託先はみすず監査法人、契約金額は五百四十六万余円で、十九年一月に契約しております。
○古館委員 そこでお尋ねしますけれども、今、業務委託ということが答弁されましたが、この業務委託契約については予算化されていたんですか、いかがですか。
○宮垣施設調整担当部長 予算化はされておりません。
○古館委員 何で当初から予算化されていなくて、途中で突然こういうふうに業務委託契約という形で予算化されたんでしょうか、お答えいただきたいと思います。
○宮垣施設調整担当部長 老人医療センターと老人総合研究所を統合し、地方独立行政法人化すること、及び法人化に向けてのスケジュールにつきましては、平成十八年七月の行財政改革実行プログラムにおいて明らかにされたものでございます。このプログラムのスケジュールを踏まえて、十八年度中に地方独立行政法人、仮称でございますが、健康長寿医療センターの設立手続を開始するために委託契約を行ったものでございます。
○古館委員 この老人医療センターは、その前は豊島病院とドッキングさせる、こういうような状況でもって、板橋の区民は当然ですけれども、医師会や東京都民の方も、こんな計画、絶対だめだと大きな反対運動が起こったものであることは皆さんご承知のとおりであります。そういう点から見ますと、老人医療センターの経過を踏まえない、本当にこれは許せない話です。統合民営化の話が出て、さっきいいましたけれども、行き詰まったんですね。この計画は棚上げになりまして、なくなりました。
こうした中で、今後どうするかというのは都民的に真剣な検討が今、求められているんです。検討のないままに、やれ独法化だと。しかも中身はどうかというと、独法化にとどまらないで、PFIの導入など視野に入っている。これは本当にとんでもない話ですね。
それで、三千五百万円の流用という形で予算書を見ると出ているんです。これについては、三千五百万円の流用ですけれども、実際の経費が八百三十万円でありました。この流用について、どうして流用が必要だったんでしょうか。
○宮垣施設調整担当部長 先ほども申し上げましたとおり、地方独立行政法人化すること、それからこのスケジュールにつきましては、十八年七月の行財政改革実行プログラムにおいて明らかにされたものであって、年度途中の事項ですので、ただ、その実際の設立手続を始める必要性があるために流用を行ったものです。
○古館委員 私の手元に建通新聞という業界紙があるんですよね。この建通新聞に〇六年八月二十三日付で、板橋キャンパスを再編という大見出しで書いているんですね。
板橋キャンパスというのは、ご存じのとおり旧養育院です。この建通新聞では、この報道をよく読んでみると驚きました。この中で、再編整備にはPFIの導入可能性調査、こういうものも触れているんですね。こんな話は、どこにも今まで聞いたことがないんです。今の流用、私の話の、それはそのためのものだったということだと思うんですね。
基本構想が十八年度中にまとまる予定が、十九年度五月末までおくれたという理由は何でしょうか、お伺いしたいと思います。
○宮垣施設調整担当部長 基本構想の作成作業につきましては、平成十八年度中に行っておりまして、公表が五月となったものでございます。なお、十九年の予算特別委員会締めくくり総括質疑におきまして、基本構想については十九年度早期に公表するということで、自民党のこいそ明委員にご答弁申し上げておりまして、基本構想のまとめがおくれたということではございません。
○古館委員 私は、あそこの旧養育院をずっと見ながら、自分なりに成長してきたなと、こういうふうに思っている施設なんですね。とにかくあそこは、ご承知のとおりですが、百数十年の歴史を持っているところで、隣に公園があるんですけれども、そこも当時の養育院の敷地だったんですね。
戦争中に高齢者の方がどんどん餓死していく。そうすると、油もない。その公園に、敷地に埋めたんですね。だから、毎年、私たちは有志で、終戦記念日になれば、そこでろうそくを立てて冥福を祈っているわけですけれども、そういう中で、私たちは養育院というものに対してとても強い思いを持っています。
それで、私はこの間三回ほど、できたときからもそうですが、江東高齢者医療センターに何度も足を運びました。板橋で都立、都営のまま豊島病院、老人医療センターを存続させるという団体の方々と一緒にこの間も行ってまいりました。ことし八月ですが、行ってきたんですね。
この江東高齢者医療センターというのは、開設してちょうど六年になります。それで、十四年六月にオープンしたときの売りは何だったかというと、養育院板橋キャンパス、東村山キャンパス、第三のキャンパスが、この順天堂の江東区の高齢者医療センターである。これが福祉局がいっていた鳴り物入りでの宣伝でした。
ところが、十四年、十五年とこの二年間は、都からの委託を受けて運営してきたんですけれども、そのときの平成十四年度では、決算で三十億円ほどお金を東京都は出していました。ところが、三年目からは順天堂の自主事業にしました。平成十六年度が東京都が出しているお金が--当時三十億円だったのが、そのとき十六年度では五億円、平成十九年度になるとどんどん減らされて二億四千万円、財政補助がどんどん削られて、担当者に聞いたら赤字になってきている。平成二十四年になれば、それこそ数千万円の一般補助になってしまう。でも、来てくれる人のことを考えたら頑張らなきゃいけない。
私は、いろいろ担当者の話を聞いて痛感したのは、順天堂だからできている。あれがそうじゃなかったらできていないね。だって、赤字だっていうんだから。それが鳴り物入りで第三の複合施設だというふうに東京都がいっていた、今のありようじゃありませんか。建物がガラス張りですよ、行った方、わかると思いますけれども、だから、物すごい維持費がかかるんです。夏は暑いし、冬は寒いし、光熱水費でも通常の三倍にもなるといっています。でも頑張っているんですよ。
そこで、はっきり確認できたことは何かといえば、この江東区の高齢者医療センターと一体としてつくられた介護保険施設、この連携については全く何もやられていないということを確認しました。だから、養育院は三位一体の施設としてちゃんとやられてきたんですよ。しかし、今、初めから、江東区の高齢者医療センターは何も三位一体なんかなっていない。特養ホームは特養ホーム、今、介護施設になりましたけれども、それはそれで全く別のところでやっていて、何の連携もないじゃありませんか。うそだと思ったら見に行ったらどうですか。
養育院が一八七二年、明治五年開設されました。百三十六年の歴史を刻んできたんです。福祉と医療の殿堂ともいわれていますし、私たち板橋区民はそれを誇りにしてきました。これを今、東京都自身ががらがらに壊して、こうした計画は何としても我々、食いとめていくという決意であります。
以上で質問を終わります。
○西崎委員 私から、まず乳がん検診について伺います。
乳がんは、日本人女性二十五人に一人がかかるといわれておりまして、乳がんにかかる人も亡くなる人も増加してきています。中でも、東京都の乳がんの死亡率は全国でもワーストワン、そして乳がん検診の受診率もワーストツーとなっていまして、悪い状況にあります。
二〇〇四年、乳がん検診のあり方が見直されまして、厚生労働省は視触診だけでは不十分なことから、区市町村が実施する四十歳以上の乳がん検診にマンモグラフィーを全面導入することを決定しております。
しかし、検診を行う地域では、マンモグラフィーの機器を設置されている病院や専門技師は少なく、体制整備が求められてまいりました。そのため緊急対策として、平成十七年度と十八年度の二年間で検診に従事する医師や診療放射線技師の養成とマンモグラフィーの機器整備を推進してきています。
そこで、現在まで都における検診従事者の養成とマンモグラフィー整備の取り組みについて伺います。
○住友参事 マンモグラフィー検診に従事する医師や診療放射線技師の養成につきましては、都では国に先駆け、平成十六年度から研修事業を開始し、平成十八年度までの三年間で医師を対象とした講習会を五回、診療放射線技師を対象とした講習会を五回、合わせて十回の講習会を開催いたしました。受講者数は、医師が二百三十七名、診療放射線技師が二百四十九名でございます。
また、マンモグラフィー撮影装置の整備につきましては、区市町村の検診を実施している医療機関に対して国のマンモグラフィー緊急整備事業を活用いたしまして、平成十七年度に十二台、平成十八年度に十八台、合わせて三十台の整備費補助を行いました。
○西崎委員 今のお話ですと、約五百人の医師や専門技師などの研修を行い、さらにマンモグラフィーなどの検査体制の整備を東京都は進めてきているということですけれども、このことによって各区市町村が検診を行っているわけですけれども、各自治体におけるマンモグラフィー検診の体制は整ったのか、現状についてお聞かせください。
○住友参事 平成十八年度の乳がん検診の実施状況は、島しょ地域及び超音波を併用して検診を実施している一つの区以外の五十二区市町村で、マンモグラフィーによる乳がん検診を行っております。
マンモグラフィーによる乳がん検診の受診人数の推移を見ますと、平成十五年が一万六千七百十七人であったのに対しまして、国のがん検診の実施指針に四十歳以上の女性に対するマンモグラフィー検診が導入された以降は、平成十六年度、六万七千五百六十五人、平成十七年度、八万九千五百八十一人と、増加しております。
○西崎委員 確かに平成十五年度に比べますと、平成十七年度と、人数は増加しておりますけれども、冒頭に申し上げたように、東京都はその受診率がワーストツー、低い方から数えた方が早いわけですから、大変受診率が低い状況にあると思います。
東京都健康推進プラン21後期五か年戦略において、乳がん検診の受診率の目標を五〇%にしていますけれども、現在の都民の受診率はどのぐらいになっているのかお聞かせください。
○住友参事 区市町村が実施主体となって住民を対象に行っております乳がん検診の平成十七年度の実施率は八・六%となっております。このほか、都民が受診するがん検診には、職場での検診や人間ドックなどがあり、これらの機会も含めますと、都民の乳がん検診受診率は八・六%を上回るものと考えております。
○西崎委員 八・六%という数字ですけれども、区市町村の検診と民間機関の検診と合わせて、余り高い数字ではなくて、五〇%という数字の目標はかなり高い部分に感じるんじゃないかと思うんですけれども、乳がんは三十歳以降の比較的若い世代から発症しています。
特に、働き盛りで子育てに忙しい年代がすごく多いことから、なかなか検診にも行けずに手おくれになる場合もあります。早期発見、早期治療による治癒率は高いので、検診体制を整備するとともに、受診率を高めていく必要があると思います。
十月は、乳がん啓発月間としてピンクリボンキャンペーンを行っております。議員もバッチをつけている人も最近ふえてきましたけれども、いろいろなバッチがあるのでわかりにくいかもしれませんけれども、このピンクリボンキャンペーンにも企業が参加する数もふえてまいりました。
十月一日には、都庁の広場でイベントも開かれていましたし、都庁の建物も何日間かライトアップされたと聞いています。当日配布されましたチラシを見ますと、ピンクリボンマップというのがありまして、ここに区市町村の講演会、イベント等の取り組みも掲載されておりました。
このように、啓発事業においても東京都と区市町村が連携して実施していくことが、都民に対する効果的な啓発につながると思いますけれども、区市町村との連携した取り組み状況についてお伺いいたします。
○住友参事 乳がんの早期発見の重要性を啓発するためには、都だけでなく、民間団体や区市町村等と協働して取り組むことが重要であると考えております。
都は、区市町村に対してピンクリボン運動に積極的に取り組むよう働きかけるほか、啓発のためのグッズの配布や財政的支援を行っております。今後とも区市町村との連携を強化いたしまして、広域的、かつ効果的な普及啓発に努めてまいります。
○西崎委員 ぜひ連携して取り組んでいただくことを要望しておきます。
次に、障害者就労支援について伺います。
都は、今後十年間で障害者雇用を三万人以上増加するために、企業、経済団体を初め、労働、教育、福祉、保健等の関係機関が連携いたしまして障害者の就労支援策を進めていくという、これを目的にした障害者就労支援協議会も設置されました。先日、その第一回目が都庁で開催されたと伺っています。
これから、障害者が地域で自立して生活して、安心して働き続けられる社会を実現していくことが大変重要だと思っております。
そこで、都は、より多くの障害者が一般就労に移行できますように、区市町村就労支援事業に取り組んできていますけれども、十八年の実績はどのようになっているのか、お聞かせください。
○松浦障害者施策推進部長 区市町村障害者就労支援事業でございますけれども、都では障害者の企業での就労を促進するために、平成十五年度から区市町村を実施主体としまして、この事業を実施しておりまして、身近な地域において就労面と生活面の支援を一体的に提供しているところでございます。
平成十八年度の実績につきましては、三十二の区と市でこの就労支援事業を実施しておりまして、十八年度一年間で約七百五十人の障害者を就職につなげております。
○西崎委員 三十二の自治体で取り組んでいるということで、七百五十人の就労を進めているということですけれども、いろいろお話を伺ってみますと、区市町村、自治体によって取り組み状況はまちまちのようです。手厚く自治体独自の支援策をしているところもあれば、なかなか就労支援が進まないというところもあると聞いています。
今後、さらに企業での障害者の就労を促進させていくためには、企業との結びつきや、新たに雇用につながる企業を開拓していく必要があると思いますけれども、都の見解を伺います。
○松浦障害者施策推進部長 区市町村障害者就労支援事業におきましては、生活支援及び就労支援コーディネーターを配置いたしまして、相互に連携し、職業相談、職場開拓、職場定着支援、生活相談等の支援を行っております。
さらに今年度から、授産施設から企業等への就労という移行を進めるために、その橋渡しをいたします地域開拓促進コーディネーター、これを配置いたしまして、障害者就労を企業に働きかけ、また新たな雇用先を開拓するなど、障害者の一般就労を促進するための取り組みを充実しております。
○西崎委員 先日行われました障害者就労支援協議会では、企業のトップに理解があると雇用も促進するというお話が出ていたようです。ぜひ、都としても積極的に企業に働きかけていってもらうことを要望しておきます。
また、せっかく企業に就職についても、約三割の方がやめてしまう状況にあると伺っています。生活支援、それから就労支援のバックアップ体制も、力を入れて進めていっていただきたいと思います。
都庁内の実習というのは、一般企業で働くことを希望する障害者にとって大変励みになるのではないかということを伺っておりますけれども、平成十八年度の都庁内実習と今後の取り組みについてお聞かせください。
○松浦障害者施策推進部長 障害者の都庁内実習でございますけれども、福祉保健局を初めとする三つの局で、平成十八年度に延べ二十四人の障害者の方を職場に受け入れまして実習を行いました。
こうした実習は、企業での就労に向けた訓練の場として大変有効と考えておりまして、また実習を体験した障害者の方々にも好評でございました。今後も引き続き、障害者の都庁内実習を実施してまいります。
○西崎委員 都庁内の実習は大変有効であり、体験した障害者にも好評とのことですので、今後は人数をふやすことや、また雇用についてもぜひ実現できるように要望します。
最後に、高齢者福祉について伺います。
何点かちょっと質問がかぶっているところがあるんですけれども、改正介護保険制度が実施されて、既に一年半が経過いたしました。先ほどもお話がありましたように、今回新たに取り組まれました地域支援事業、特にこの対象となる特定高齢者の方が探し出されていない、特定高齢者の対象がなかなか見つけられないという状況にあります。そのために地域支援事業が進んでいないという実態があります。
特に、三点セットになりました筋力トレーニング、口腔ケア、栄養指導。後半の口腔ケアと栄養指導が区市町村の実績では伸びていない現状があります。これに対しては、先ほど答弁で、都からも要望して、国の規制緩和、基準が緩和されたということですけれども、それで果たしてこの地域支援事業が伸びていくのかどうか、今後見守って、十九年度の実績によっては考えていかなければいけないこともあるのではないかと思いますので、これは意見にとどめておきます。
次に、高齢者の自立支援や生活の質を高めていく上で、ケアマネジメントは非常に重要であります。
特に、在宅における医療と福祉の連携を図っていくことが必要でありまして、ケアチームに主治医とケアマネジャーが入って会議を行う。これは、広島県尾道市の医師会がいち早く取り組んだことなんですけれども、東京都ではケアマネタイムとして、平成十六年度からモデル事業として、そして平成十七年度は、都内の十五保険者で実施されてきました。また、ケアマネタイムを実施していなくても、医師とケアマネジャーとの連携を図るため、定期的な会議を行っている区市町村もあると聞いています。
そこで、十八年度のケアマネタイム、またはケアマネタイムに類似した取り組みはどのようになっているのか伺います。
○狩野高齢社会対策部長 医師と介護支援専門員が利用者に関して相談を行う時間帯を設定する、いわゆるケアマネタイムの平成十八年度実績は、昨年度より四保険者ふえまして十九保険者となっております。また、ケアマネタイムの類似事業といたしまして、医師と介護支援専門員が定期的に会議を開催している事例などがあり、現在、七保険者で実施しております。
したがいまして、ケアマネタイムと、その類似の取り組みを行っている保険者は、計二十六保険者となっております。
○西崎委員 こういった取り組みが広がってきていると思うんですけれども、医師とケアマネジャーとの連携を進めていくためには、主治医側への情報提供が重要になってくると思います。
そこで、先ほどの取り組み以外に、ケアマネジメントにおける医療と福祉の連携について、主治医に対してどのような働きかけを行っているのかお聞かせください。
○狩野高齢社会対策部長 都では、介護保険制度において主治医意見書を作成する医師を対象に、要介護認定等が適切に実施できるよう主治医研修事業を実施しております。
主治医研修では、医療と福祉の連携の強化についても取り上げているところでございます。具体的には、主治医の役割として、介護支援専門員との密接な連携を保つことや、介護サービス計画の策定等に必要な情報提供の方法などを示しております。
平成十八年度の主治医研修実績は、四十八回の研修を実施し、千二百六十名の医師にご参加いただきました。
○西崎委員 ぜひ今後もこういった取り組みを広げていっていただくことを要望しておきます。
それで、最後に地域密着型サービス、これもさっきちょっと質問でほかの委員から出ていたんですけれども、住みなれた地域で多様かつ柔軟なサービスが受けられるように、地域密着型サービスの実施は自治体の独自性につながると思います。
しかし、現状としては、これが自治体間の格差につながっています。特に、小規模多機能型居宅介護拠点整備については、先ほども課題があるということ、お話が出ていましたけれども、なかなか整備が進んでいない状況にあります。今後の可能性も含めて、現状についてお聞かせください。
○狩野高齢社会対策部長 地域密着型サービスにつきましては、都は当該サービスが創設された平成十八年度から三カ年にわたり、独自の重点補助を実施し、整備促進に努めているところでございます。
地域密着型サービスのうち、小規模多機能居宅介護につきましては、十九年十月一日現在、都内で開設済みの事業所数は二十四カ所、現在開設を予定しているものは十七カ所でございます。
○西崎委員 私は先日、世田谷でこの小規模多機能型施設を見てまいりました。このサービスがモデルになったのは、地方の託老所だと思うんですけれども、地方ですと一軒家がこういった託老所になっているんですけれども、世田谷は住宅街ということもありまして、タウンハウスの一角をこういった小規模多機能型の施設に改修していました。
階段もありまして、こういった施設にするにはさまざまな工夫を行い、特に世田谷区の担当職員が熱心に指導に当たってくれたと聞いています。
利用者は地域にお住まいの方が多く、施設と在宅を行ったり来たりでき、身近な地域でこういった多様で柔軟なサービスを受けられるということで、今後はそのニーズはふえてくると思います。
ぜひ区市町村との連携を図りながら、都の重点事業にもなっていますので、今後の取り組みを進めていくことを要望しまして私の質問を終わります。
○今村委員 それでは、一般会計決算説明書の一一一ページに、福祉保健費のうちの養育家庭のことが書いてあります。予算現額七億二十七万三千円余りの予算ですが、執行率が九八・九%ということでありまして、大切な制度と、また予算でありますけれども、これらについて、十分に機能しているかどうかを含めて質疑をさせていただきたいというふうに思います。
養育家庭制度についてでありますけれども、東京都内には、さまざまな事情により家庭で暮らすことのできない子どもたちが約四千人おります。近年、特に虐待やネグレクトなどの事由で、このような社会的養護を必要とする子どもたちは増加の一途をたどっております。
都では、次世代育成支援東京都計画において、これらさまざまな事情で実親と一緒に暮らすことのできない子どもたちが家庭的な雰囲気の中ではぐくまれ、自立できるよう、家庭的養護の充実を目指しているのは周知のとおりであります。
さらに、児童養護施設なども、施設改修などにあわせまして、こうした施設養護においてもグループホームの設置、東京都も熱心に進めておりますけれども、またさらに、しょうしゃ性などを取り入れて、家庭的な雰囲気の養護に努めております。
このような家庭的養護の重要性は、社会的にも認知されてきておりますので、その担い手となる養育家庭を充実させなければなりません。そこで、まず過去五年の養育家庭登録数や委託児童数の推移をお伺いしたいと思います。
○吉岡少子社会対策部長 養育家庭登録数等の推移でございますが、平成十四年度と平成十八年度の状況を比較いたしますと、まず養育家庭の登録をしていただいている家庭が三百十八家庭から四百九家庭へ、そのうち子どもを預けている家庭数は百九十四家庭から二百五十家庭へ、委託児童数は二百七十八人から三百五十七人へと増加している状況でございます。
○今村委員 東京都の努力もあり、養育家庭登録数、そして委託児童数がふえているのはわかりました。
これまでの実績を見ますと、登録家庭の約六割に児童を委託しています。受託率から見ると、全国でも高い数値です。しかし、社会的養護児童数に占める養育家庭委託数を見ると、全国平均並みです。家庭的養護推進のためには、養育家庭登録数をふやさなければなりません。
そのためには、効果的な広報活動が不可欠であります。東京都では、昨年、養育家庭の愛称をホットファミリーとし、シンボルマークもつくり、普及に努めておりますが、いまだ浸透しているとはいえないのではないでしょうか。
そこで、次に、養育家庭制度の広報啓発活動の実施状況についてお伺いしたいと思います。
○吉岡少子社会対策部長 都では毎年十月、十一月を里親月間といたしまして、広報活動も特に強化して展開しております。
里親月間では、養育家庭がみずから子育て体験を都民に語りかける養育家庭体験発表会を実施しておりまして、平成十八年度は三十三区市で開催いたしました。また、「広報東京都」の一面で里親募集を行うことを初め、養育家庭募集のポスターを毎年作成し、児童養護施設等の関係機関、民間の飲食店、喫茶店、美容院、理容院、病院等に張り出していただきまして、また電車やバスなどの車内広告も実施してまいりました。
平成十九年二月には、宣伝効果が高いといわれておりますテレビCMを放映するなど、さまざまな媒体による広報を積極的に実施しているところでございます。
○今村委員 養育家庭登録申請のきっかけは、広報など、東京都の努力による広報物を見て問い合わせをするなどということが多いようでありますので、特に年度ごとにさまざまな広報媒体を変えてされているようでもありますので、ぜひ積極的、また効果的な広報をお願いしたいと思います。
次に、養育家庭の手当についてでありますけれども、養育家庭になろうか、悩んでいる方にとって、持ち出しがふえるのではないかなどという不安があるようでありますけれども、養育家庭の増加を図るためには手当の増額も一つの要素になると考えられますが、その考え方と、そして近年の手当額の推移をお聞かせいただきたいと思います。
○吉岡少子社会対策部長 養育家庭に対する手当についての考え方と近年の金額の推移についてのお尋ねでございますが、まず考え方につきましては、養育家庭として子どもを養育するということは、大きな社会的責任を伴うことでございまして、社会的養護を担っていただく養育家庭に対しましては、その責任に見合う手当額の支給が必要であるというふうに考えてございます。
次に、近年の手当額の推移でございますが、平成十四年度から平成十八年度まで申し上げますと、まず国の里親手当につきましては、平成十四年度が月額二万九千円でございまして、その後毎年千円ずつ増額されてきておりまして、平成十八年度は月額三万三千円になっております。
一方、東京都におきましては、既に平成十四年度に月額五万円というふうに設定しておりまして、また平成十五年度にはこれを五万五千円に増額し、その後は五万五千円で据え置いて執行してきておりまして、平成十八年度も月額は五万五千円というふうになっております。
○今村委員 養育家庭がふえることは大変大切でありますし、今お話いただきました手当のことにつきましても、予算の執行率を見れば、ほぼ使い切っているという状況でありますし、聞くところによりますと、国の里親手当は来年度、大幅に増額されるということもあるようでありますし、さらに東京都の努力を要望しておきたいというふうに思います。
養育家庭がさらにふえること、そして数だけではなくて、質の確保、向上も重要であります。登録された家庭に効果的な研修を行うことで、養育家庭の質の向上を図る必要があると考えますけれども、養育家庭に対し、どのような研修を実施しているのか、お聞かせいただきたいと思います。
○吉岡少子社会対策部長 養育家庭に対する研修でございますが、新任者コース、中堅コース、専門里親コースと段階的に研修が受講できるように設定されております。
まず、新任研修コースでございますけれども、初めて養育家庭となる方を対象とし、養護施設の見学等を含め、養育家庭が社会的養護であることを認識していただき、里親としての心構えを育成することを目的としております。
次に、中堅コースは、子どもを現に委託している養育家庭を中心に、実の親でないということを里子に知らせる真実告知やかかわりの難しい子どもの養育など、現実に直面する課題を解決するための課題別研修を実施しております。
専門里親コースは、三年以上、児童の委託経験のある養育家庭を対象といたしまして、虐待を受けた子どもなど、専門的な養育を必要とする子どもの里親になっていただくための研修でございます。
これらの研修は、平成十七年度より、NPO法人東京養育家庭の会に委託して行うようになっておりまして、これによりまして養育家庭の皆さんが真に必要としている知識、技能の習得が可能となるような、従前にも増してきめの細かい研修を実施しているところでございます。
○今村委員 特に東京都におきましては、NPO法人の東京養育家庭の会、この養育家庭をなさっている皆さんが中心になっておりますけれども、こうした皆さんの協力をいただきながら、専門性のあるコースも含めた研修をされているということ、大変評価をさせていただきたいと思いますけれども、さらに養育家庭に委託した後の養育家庭の支援体制も大変重要です。
思春期の問題を初め、子育ては実親でも難しいことがありますが、近年の虐待やネグレクトや家庭環境の複雑化など、里子の養育に悩みが多いと伺っています。困ったときにいつでも相談できる体制の整備が不可欠でありますけれども、そこで養育家庭に対する相談支援の現状についてお聞かせをいただきたいと思います。
○吉岡少子社会対策部長 養育家庭に対する支援につきましては、児童相談所におきまして里親同士が集まり、子育てについて話し合う里親サロンを定期的に実施いたしまして、里親同士のつながりをつくりながら、安心して子どもが育てられるよう支援をしております。
また、各児童相談所に養育家庭を担当する児童福祉士のほか、これを補佐する養育家庭専門員を配置いたしまして、里親の方々が子育ての悩みや不安に直面したり、さまざまな要望が生じた際には、助言、指導や支援を行っております。
さらに、児童相談所の職員が定期的な家庭訪問、子育て支援サービスの利用に関する調整、養育家庭の代弁者として学校など関係機関に対し制度の理解を深めてもらうような活動も行っております。
○今村委員 いろいろとお答えをいただきましたけれども、最後になりますけれども、来年四月から、NHKの朝の連続ドラマでは、養育家庭を舞台にしたドラマが放映されるというふうに聞いております。ぜひ広報などを初め、こうした機会を積極的にとらえて、充実した取り組みがなされることを期待しております。
また、養育家庭から社会に出た後の青年たちへの支援は、現状ほとんどなく、実質的に養育家庭の里親さんが援助をしている現状があることもよく理解していただき、対応ができるよう申し添えておきたいと思います。
さらに、児童相談所の児童福祉員など、今現在は東京都の職員数は全国でも低いレベルにあるわけであります。職員の皆さんが大変厳しい状況の中で活動され、また支援をされていることは評価をさせていただきますけれども、ぜひこうしたことも含めまして、より充実した養育家庭の支援ができるよう期待しておりますので、よろしくお願い申し上げます。
以上で質疑を終わります。
○中山委員 初めに、介護人材の確保、育成について質問をさせていただきます。
あるテレビコマーシャルでは、介護現場で働く人々が制服姿で登場し、その窮状ぶりを不安感たっぷりに訴えております。確かに苦労してヘルパー二級の職を得ても--私の家内も得ておりますけれども、私の家内の場合は、この間、父が亡くなりましたが、家庭内で介護をして役に立ちましたが、一般的に働いてみると、さほど収入がなくて、ヘルパー職だけでは生計が成り立たないという声は多く聞きます。
家計を賄うほかの家族がいらっしゃる場合は、副収入として取り組む上でさほどの支障はないのかもしれませんけれども、特に若い世代の人たちが生涯にかかわる職業上の選択肢として選ぶ上では、生計の自立が困難な職種が介護現場であるということになってしまいますと、大変問題ではないかと思います。
個人的な見解かもしれませんが、何事もせちがらくなってきているといわれている現代社会にあって、介護の現場で働いてみたいと考えてくれるような優しい心を持った青年たちは、まさに社会の財産ではないかと思っております。人を押しのけてでも数字や成果を追い求めることができる、闘争心が強いといいますか、他に勝ろうとする気持ちの強い人だけが高収入を得て、介護現場で働いてくれるような優しい心を持った若者が、自立した生活が困難なほどの低収入の状態に据え置かれているというようなことが社会の実態であるとしたら、何か大変に間違った方向に向かっているような気がいたします。
しかし、その一方で、介護福祉士の育成機関の経営者の皆さんからは、我が学校の卒業生の平均月収を調査してみたけれども、それほど低くない、むしろ、テレビコマーシャルは一種の風評被害ではないかというような声も聞かれました。逆に、介護の現場から介護人材を遠ざけてしまっているような効果しかない、迷惑であるという声も聞かれております。
いずれにしても、現在の介護の現場では、人材が集まりにくい、採用してもなかなか定着しないという状況があることはたしかでありまして、都は将来の介護人材の確保の見通しが困難な状況に今なりつつあるのかどうか、区市町村にも働きかけて真剣に調査を行い、必要に応じて積極的な対策を講じるべきであると考えます。
特に、多くの介護人材を抱える介護保険施設におきましては、介護現場で働く人々の賃金の原資となります介護報酬が適正でなければ、安定した労働条件による優秀な人材の確保は困難であります。現場の危機感は高まっており、人材の確保が困難となり、ひいては質の高いサービスを提供していくことができなくなる。あるいは、このままでは経営が成り立たないといった懸念が表明されています。
そこで、大都市東京における介護施設の人手不足について、都の認識と対応の現状をお伺いいたします。
○狩野高齢社会対策部長 近年の景気回復等により、介護分野におきましては、有効求人倍率が産業全体に比較して大幅に上回っており、人手不足が深刻化しております。また、二度にわたる介護報酬の改正により、介護保険施設等は大幅な減収となっております。このままでは、東京の介護保険施設が近い将来、良質なサービス提供や安定的な経営の維持が困難な事態になりかねないと認識しております。
そこで、本年五月、大都市東京で深刻化する人材不足の打開のため、介護保険施設にかかわる介護報酬の地域差等に関する提言を取りまとめ、国に対して、東京の介護保険施設が将来にわたって安定的に運営できるよう、望ましい介護報酬のあり方について見直しの方向性を提起したところでございます。
○中山委員 今ご答弁ございましたように、有効求人倍率が全国平均の中で堅調に回復しつつあると、そういう時期をとらえて、介護分野の人手不足感が深刻化しつつある状況を踏まえた適切な国に対する提言ではなかったかというふうに思います。
しかし、それが単なるいいっ放しに終わってしまいますと、せっかくの提言の持つ意味や説得力も弱まってしまいます。
そこで、都は、今回の提言のうち、介護報酬と人件費との関連において何に着目し、どのような裏づけを伴ったものとして提言したのか、ポイントをお伺いいたします。
○狩野高齢社会対策部長 今回の提言におきましては、現行の介護保険施設における介護報酬上の人件費比率が全国一律で四〇%となっていることに対しまして、都内の民間特別養護老人ホームの人件費比率が七一%である実態を分析し、介護保険施設の人件費比率の設定を引き上げるべきと提言したところでございます。
また、東京の賃金が全国平均よりも二〇%高いことから、賃金水準の地域差をより適正に反映すべきとするとともに、現行では設定されていない物件費にかかわる地域差についても、物価水準等の地域差を新たに反映すべきと提言いたしました。
○中山委員 今ご答弁いただきましたように、今回の都の提言は、介護保険施設に関する介護報酬の地域加算、私が理解するところでは、現状四・八%にすぎないと思いますけれども、東京の賃金水準は全国平均より二〇%以上高いという現実を的確に指摘したり、施設経営における人件費や物件費の地域差指数を実態に即して細かくシミュレートして損益の分岐点を示したりするなど、辛口といわれる専門家の集団からも高い評価を受けていると聞いております。まことに心強い限りであり、福祉保健局の皆さんのご努力に感謝したいと思います。
介護施設の人手不足は、法律で決められている介護報酬と実際に受け取る人件費との関係、その差でも発生しております。介護現場では、人件費を切り詰めることなく、適切に報酬を払っている経営者もいます。単に介護報酬を上げることだけでなく、経費を節約して経営努力を払いながら、労働環境としても望ましい条件を整えて、労働者の定着率が高い状況を整えている事業者と、そうではない事業者との選別も今後は必要となってくるのではと考えております。
そうした選別が的確かつ無理なく行われていくためには、事業者に対する評価や調査が必要であり、その結果を広く迅速に公表していくことが重要であります。それを実現する制度として、都には福祉サービス第三者評価システムがあります。これは大切な仕組みであります。都の評価の仕組みは、組織運営力を評価する組織マネジメント分析と、提供されているサービスの質を評価するサービス分析とからなりますが、そのうち組織マネジメント分析は、介護保険、障害、保育など、すべての分野で共通の評価項目となっております。
しかし、区市町村の中には、独自の視点で介護事業者のサービスの質の向上に必要な分析、評価を行っている例もあります。私は以前、目黒区役所で介護保険の立ち上げに従事しておりましたが、各事業者について、経営者と利用者の双方から聞き取り調査を行った経験があります。そうしたところ、経営者が高邁な理論を口にし、社員に対して毎日詳細な報告書の提出を求めるような、厳しく対していた事業所よりも、時には直行直帰を認めるなど、比較的緩やかな労務環境の中で社員の自発性を尊重する社風の事業所とでは、後者の方が利用者の評判がむしろ高いという傾向にあることがわかり、私自身も驚き、極めて示唆に富む結果を得た覚えがあります。
そうした意味では、現在の都の第三者評価に加えて、地域における特定分野での独自の調査などが実施され、公表されていけば、都民に対してよりよい情報提供ができるものと考えます。そういった区市町村の取り組みに対し、東京都は現在も補助を行っているとお伺いしておりますが、さらに今後は、市区町村の取り組みを積極的に支援していくべきであります。具体的に都はどのような支援策の拡充を考えているのか、お尋ねいたします。
○松井企画担当部長 委員ご指摘の区市町村独自の取り組みにつきましては、情報の共有化を進めるとともに、福祉保健基盤等区市町村包括補助事業で支援しているところでございます。
今後も区市町村の先進的な取り組み事例を紹介するなど、情報提供を行っていくとともに、さまざまな機会を通じまして、この包括補助事業の積極的な活用を区市町村に呼びかけてまいります。
○中山委員 よろしくお願いいたします。
第三者評価に際しましては、経営努力などを払い、頑張っている事業者についての情報を都民にわかりやすく提供することが、よりよいサービス利用につながり、安定した事業運営をさせることになります。そのことがスタッフの働く意欲を引き出すことにもつながります。
事業者に関する情報は、とうきょう福祉ナビゲーション、いわゆる福ナビで、第三者評価の結果などについて入手できるようになっております。私も検索してみました。その感想といたしましては、個別の事業者については、比較的詳細に評価内容を把握できるようになっているということで、大変すぐれたものでありますけれども、一つ、介護保険、障害、保育など、すべての分野で共通の評価項目で実施されているため、ワンストップの情報窓口という点ではすぐれておりますが、肝心の介護事業者の第三者評価の結果という、最終的に知りたい情報にはなかなかたどりつけない。
二つ目、個別の事業者ごとに評価結果を表示する仕組みであるため、総合的にすぐれた事業者はどこか、あるいはこういった点ですぐれた事業者はどこかという逆引きができない。
三つ目、介護事業者という特質に応じた評価項目が工夫されていない。
四つ目、空き状況がどうであり、すぐに利用可能な事業者はどこかという視点での情報展開に欠けるなど、より利用しやすいものに到達するには改善すべき点も多いと思います。
せっかく都は、すばらしいとうきょう福祉ナビゲーションシステムを整えているわけですから、こうした都民への情報提供につきまして、福祉サービスの種類や、そのサービスを利用する都民の視点を踏まえた工夫がさらに重要であると考えます。都の見解をお伺いいたします。
○梶原指導監査部長 東京都では、都民に対する福祉サービスの情報提供につきまして、さまざまな形で行ってまいりましたが、中でも委員ただいまご指摘のありました福祉サービスの情報提供を総合的、一体的に提供する仕組みといたしまして、都のホームページの中でとうきょう福祉ナビゲーション、いわゆる福ナビということでございますが、整備してまいりました。
その中で、お話の第三者評価の結果についても公表しているところでございます。この第三者評価制度は、事業者によるサービスの質の向上への支援とともに、利用者によりますサービス選択の情報提供を目的として構築してきたものでございます。
しかし、とうきょう福祉ナビゲーション、福ナビは、介護サービスや保育所など、幅広い分野の情報を総合的に提供しているため、利用者が求める個別の事業所の評価結果を入手する際、ただいまご指摘のございましたとおり、一回で検索できるようになっていないなど、若干特定の情報へのアプローチが容易でないというご意見もちょうだいしているところでございます。
こうしたことから、ただいまご指摘のありました問題点も含め、都民が必要とする福祉サービスの情報を簡単に入手できるようなシステムとし、都民の活用を促進するより一層の工夫が必要であるというふうに認識しておるところでございます。したがいまして、今後、都民に対するよりよい情報提供の方策につきまして、福ナビも含め、利用者にとって利用しやすいものとなるよう、さらに改善に向けた検討を進めてまいります。
○中山委員 大変積極的なご答弁をいただいて、まことに安心いたしました。
措置から契約へという福祉改革の流れの中で、利用者が選択を行う上で必要な情報を積極的に提供していくことは大変重要なことであります。しかし、大量の情報をただ羅列的に提供されても、利用者はその情報を使いこなすことができません。都の福ナビは、そういった点で、ぜひ他の道府県の上を行く模範を今でも示しているわけですけれども、今後も堅持して、一番知りたいことがすぐわかるという利用者本位の情報提供の仕組みづくりにすぐれた力量を発揮していただくことを大いに期待しております。
あわせて、介護報酬に占める人件費相当額を事業者を通じて支払うという現在の仕組みにつきましても、私は個人的でございますけれども、やや疑問を感じております。すぐれた経営者を選んで就職することも労働者側の責任の一端かもしれませんが、基本給的な部分は、経営者の優劣や考え方の相違、あるいは経営の失敗の有無等にかかわらず、働き手に確実に届くシステムを国は検討するべきではないかと考えております。
その上で、個別的な勤務評価に基づく加算や合理的な理由に基づく減額等は、各事業者が独自の工夫で講じていけばよいと思います。私どもも国会議員等と連携してよりよい方法を考えてまいりたいと思いますが、都も介護事業者の経営者における一定の共通認識の形成やアイデアの創出に向けて、現場を担う自治体の代表選手として国に物申す貢献に努めていただくことをお願い申し上げます。
次に、障害者就労支援策について質問させていただきます。
去る七月、私は都議会公明党の同僚議員とともに、三重県名張市のブリヂストン化成品製造株式会社の工場を視察し、企業で働く知的障害者の皆さんの姿を拝見いたしました。関係者の皆様からも詳細にお話を伺う機会を得ました。
同社では、障害者の法定雇用率が一・八%であるところ、常時四%から八%に近い数字を上げており、トヨタという世界最高水準の製品精度を求められる自動車部品などを知的障害者の皆さんが立派に生産し、企業の生産ベースに合う役割を果たし、パート職ながらも毎月十数万円以上の収入を得ております。
そこで印象深かったのが、障害者が企業で働くために必要な能力という点であります。障害者が働くために一番必要なのは、実は特別な作業能力ではなく、あいさつ、報告、身だしなみ、集団行動上の規律の遵守、自力での通勤など、社会生活を営む上で求められる能力で、そのような生活訓練こそ、障害者の就労を促進する上で極めて必要であると、企業の皆様のお話も含めて痛感したところでございます。
同社の関係者の言葉によれば、自分で自分の身の回りのことができるかどうかなど、基本的な生活訓練の成果さえ身につけていれば、障害の程度の差はむしろ重要ではないということでございまして、事実、同社で勤務する知的障害者の方の多くが重度または精神障害との重複の状態にありました。同社の関係者の皆さんよれば、そうした基本的な生活態度を身につけた知的障害者の方が通勤範囲内にもっといらっしゃれば、さらに雇い入れをふやしたいそうであります。
翻って、障害者自立支援法により、十八年度から障害者の就労を支援するために、就労移行支援、就労継続支援A型、B型の各事業が創設され、その事業の中では、今、述べましたような生活訓練も実施されていると聞いております。
そこで、まず都における、これら事業の実施状況についてお尋ねいたします。
○松浦障害者施策推進部長 今お話がありましたように、障害者自立支援法によりまして、これまでの授産施設などは、その就労移行支援などの新サービス体系に移行することになっておりますけれども、現在、移行への経過措置期間中でございます。
こうした中、平成十九年三月一日現在の新サービス体系事業の実施状況でございますが、就労移行支援事業につきましては、一般企業への就労に必要な知識、能力を習得する、今、委員おっしゃった生活訓練などを行っておりまして、事業者数は九カ所でございます。
就労継続支援事業、A型は雇用型でございまして、利用者との雇用計画に基づきまして事業者が働く場を提供しておりまして、事業者数は二カ所でございます。B型は非雇用型でございまして、事業所が利用者に生産活動等の機会を提供しておりまして、数は十四カ所でございます。
障害者が身近な地域でこうした事業を利用できますよう、東京都としましては区市町村が計画的、重点的に取り組むよう働きかけまして、これらの事業の拡充を図ってまいります。
○中山委員 ご答弁いただきましたような生活訓練が障害者の就労にとって大変重要であると考えますので、今後ともその訓練の場として就労移行支援事業を順次展開されていくことを期待しております。
次に、これら一つ一つの就労移行支援事業が障害者の障害特性や適性も踏まえ、効果的に実施されていることが大事であります。ブリヂストンの事例でも、知的障害者に対し、その人ができないことを無理やりに求めるのではなく、できることの方を伸ばしたり、障害者のできる範囲の事柄に職場環境の作業手順の方を合わせるよう工夫しており、例えば数が勘定できなくても、製品の取り扱い個数の把握に誤りが生じないような作業環境が工夫されています。
就労移行支援の事業者が、こうした障害者特性に応じた作業訓練等のサービスを的確に供給できるよう、都が先駆的に取り組んでいる区市町村障害者就労支援センターと連携を強めながら、事業を実施していくべきだと考えますが、見解を尋ねます。
○松浦障害者施策推進部長 障害者自立支援法により、平成十八年度に創設されました就労移行支援事業でございますけれども、先ほどちょっと申しましたように、一般就労に必要な知識、能力を習得させ、利用者の障害特性や適性に合った職場探しなどを行う事業でございます。
一方、東京都は平成十五年度から、障害者の一般企業での就労を促進するために、区市町村を実施主体としまして、就労面と生活面の支援を一体的に提供する区市町村障害者就労支援センターの整備を促進しておりまして、この就労支援センターにおきましては、就職準備や職場定着に向けた生活支援などのノウハウを有しているところでございます。
企業での就労促進のためには、中山先生ご指摘のとおり、就労移行支援の事業者が区市町村障害者就労支援センターのノウハウを活用するとともに、相互に連携を図りまして、利用者個々の適性、または企業からの求人情報など、それぞれ共有することが有効でございます。
そのため都としましては、両者のさらなる連携に向けまして、先駆的な連携の取り組み事例等を紹介し、普及させるなどしまして、障害者の一般企業への就労を支援してまいります。
○中山委員 昨年十二月に出された長期構想であります「十年後の東京」に掲げる障害者の就労三万人の達成のためにも、福祉施設から企業への就労移行が推進されていくことが重要であります。
授産施設での就労である、いわゆる福祉的就労の場の必要性も認めております。これはこれで大変な大事なことでございますので、しっかり堅持していただきたいと思いますが、企業への就労を望む障害者の方には、ぜひ企業での就労が実現できる体制を整えていただきたいと考えております。
そのためには、福祉施設は、企業が何を望んでいるのか、企業と交流を図って企業の視点を知ることも大切であると思います。福祉施設の職員や障害者が直接企業を訪問し、企業担当者から話を伺ったり、企業内で働く人の姿を見たり、できれば実際に企業内で実習をしたりという機会を確保していくことができれば、障害者側の就労意欲、就労への能力を高めるとともに、就職機会の可能性という観点からも大いに有効かと思われます。
福祉施設と企業との連携としては、都の事業として、福祉施設の利用者が企業から請け負った作業を当該企業内で行うという、障害者が一般就労に近い働き方を体験する企業内通所授産事業という事業があります。
そこでお尋ねします。企業と福祉施設の連携について、この企業内通所授産事業の実施状況とあわせて、その拡充に関する都の見解を伺います。
○松浦障害者施策推進部長 企業内通所授産事業でございますけれども、一般企業への就労への意欲と力量を高めるなど、就労移行を促進する上で有効な施策と考えております。
この事業は、平成十七年度から実施しておりまして、十七年度が五カ所、十四人から、十八年度は十四カ所、四十六人と実績が伸びてきております。
障害者の一般企業への就労を促進するために、このような企業と福祉施設の連携が、委員ご指摘のとおり重要と考えておりまして、今後とも企業と福祉施設のさらなる連携を進めてまいります。
○中山委員 企業内通所授産事業を通じまして、障害者本人だけでなく、事業運営者側も企業の視点を身につけることは極めて効果的であると思います。ブリヂストンの事例でも、同社において比較的早くから取り組んでいた障害者雇用が飛躍的に成果を上げるようになった分岐点は、障害福祉の専門家である中堀さんという社会福祉法人のベテラン職員を企業内に指導員として雇い入れ、その方が企業人としての発想のみずからの転換に挑戦し、障害者の特性を理解する人間として、すべての作業工程を分析して、障害者が働きやすいような作業手順の改善や職場環境の創出に工夫、努力した成果が大であったといわれておりますし、私もそう感じました。
ぜひ福祉分野と民間企業とのコラボによる副次的効果が授産事業の工夫に生かされ、発揮される企業内通所授産事業への進展を望んでおります。
障害者の就労が進むということは、障害者の地域での自立した生活づくりが大いに促進されることを意味します。先般、都では、福祉保健局、産業労働局、教育庁からなる障害者就労支援協議会が立ち上がり、障害者の就労支援のため、東京都内の関係機関が連携する枠組みをつくられたそうでありまして、このことは大変喜ばしいことと評価したいと思います。
今後とも障害者福祉に長年努力を重ねてきた福祉保健局がイニシアチブをとりまして、それぞれの局が長年従事してきた障害者に関する仕事も改めて洗い直して、お互いにどう協力し合えるのか、そういう複合的な効果を発揮できる協議会としていただきたいと思います。
次に、子育て支援について何項目か質問いたします。
初めに、在宅で保育している家庭への支援について質問します。
現在、仕事と生活の両立の観点から、待機児童の解消に向け、保育所の拡充が進められております。その一方で、保育所を利用しないで在宅で保育をしている家庭もかなりいらっしゃいます。そこで、在宅で保育をしている家庭に対する支援について何点か伺います。
まず、保育所等を利用せずに在宅で保育されている児童の全体に対する割合について尋ねます。
○吉岡少子社会対策部長 保育所等を利用していない子どもの割合についてでございますが、三歳未満児の例でご紹介申し上げますと、平成十九年一月一日現在、三歳未満児の数は都内で約二十九万人でございますが、そのうち約二十一万六千人、七四%の子どもが保育所等を利用しないで在宅で育てられている状況でございます。
○中山委員 今ご答弁がございましたように、七割強の家庭で保育所などを利用していない。これら在宅で保育をしている家庭は、いわゆる保育に欠ける状態にあるわけではないのかもしれませんけれども、決して問題なく子育てが行われているというわけでもございません。大都市において核家族化が進む中、年下の兄弟姉妹等の面倒を見た経験がなかったり、身近に子育てのアドバイスをしてくれる年長の近親者がいない状況などがあったりして、共働き家庭以上に育児の負担感や悩みを抱え込み、母親がひとりで孤立している状況が見られます。
子育ての支援として、待機児解消のための保育所の整備はもちろん重要で、待機児童ゼロは今後も強力に推進していくべきと考えます。それとともに、こうした地域で孤立し育児に悩んでいる家庭を支援する在宅サービスの整備も重要です。こうした在宅で保育をしている家庭の負担を軽減し、支援していくため、都はどのような取り組みを行っているのか、お伺いいたします。
○吉岡少子社会対策部長 都はこれまで、子どもと家庭に関するあらゆる相談に応じ、身近な区市町村において総合的な相談、支援の拠点となる子ども家庭支援センターの全区市町村の設置に取り組み、現在、五十七区市町村に設置されてきております。
また、この子ども家庭支援センターを初め、保育所、児童館なども活用し、在宅で子育てをしている孤立しがちな親などが交流できる子育て広場の設置、親の病気や育児疲れなどの際に利用できるショートステイや一時保育、産前産後の家事や育児が困難な家庭などに対してヘルパーを派遣する育児支援ヘルパー事業など、さまざまな在宅サービスの拡充を図ってきているところでございます。
○中山委員 在宅で保育をしている家庭への区市町村の行政サービスの内容は、残念ながら保護者の疾病、入院などののっぴきならない理由から、やむを得ず利用する場合だけを対象としているケースが多いように感じます。
しかし、気軽にこうしたサービスを利用できるという安心感こそが、子育て全般にわたる不安感や抵抗感を軽減し、少子化の流れを転換する大きなきっかけになると思います。事実、私は、合計特殊出生率の高い沖縄県では、おばあと呼ばれる地域の子育てのベテランが気軽に周辺の子どもの面倒を見るなど、子育て負担が母親のみにのしかかることの少ない社会風習が大きな要因となっていると指摘する研究者の報告を拝聴したことがあります。
したがって、在宅で保育をしている家庭への区市町村の行政サービスにあっては、利用するための要件を問わず、例えば母親が美容院に行く場合や同窓会に行く場合など、必要なときにすぐに、しかもすべての家庭で子育て支援サービスを利用できるように整えていくことが重要です。
今後は、少子化傾向を転換するためにも、さらに児童虐待を減らすという意味でも、親が常に明るく子どもと向き合えるような環境を整えるための親のリフレッシュが効果的であり、このようなニーズにこたえていくことが求められてくるものと考えます。
一部の区市町村では、例えば世田谷区のほっとステイ、府中市のリフレッシュ保育のように、利用要件のない一時預かりを行っているところがあります。このような区市町村の取り組みについて、都としても支援をしていくべきと考えますが、所見を伺います。
○吉岡少子社会対策部長 先生のお話にございました、必要なときに子どもをお預かりする一時預かり事業を含め、区市町村では、それぞれの地域の実情やニーズに応じまして、独自の子育て支援サービスを実施しているところでございます。
都におきましては、このような区市町村が創意工夫を凝らして主体的に実施する子育て支援施策に対し、包括補助事業により積極的に支援し、引き続きサービスの促進を図ってまいります。
○中山委員 ぜひ区市町村包括補助事業の全体の予算増を獲得しながら、すべての区市町村の母親の子育て負担の軽減化が進むよう、都が大いに広域自治体の役割を果たしていただくことを期待しております。
次に、虐待が起きたときの親の精神的なケアについて質問させていただきます。
私は、本年の第二回定例会で、児童虐待により親元から離れた生活を送っている子どもと親に対する家族再統合のための援助の取り組みについて一般質問を行いました。その質疑を通じ、東京都の児童相談センターが実施している精神科医や心理職等の専門職による心理的、医学的援助が、虐待により分離となった親子関係の修復に効果を上げていることが明らかになったところです。
長く都にとどまり、同センターで指導的な役割を果たしてくださっている犬塚医師を初め、関係者のご努力に深く敬意を表するものであります。
児童虐待は、もとをただせば親の問題であり、親に虐待をさせないような指導、援助をすることが重要であります。
さて、そうした家族再統合に向けての取り組みについて、知識と経験が豊富な都の児童相談センターにおいては、今後も取り扱いが困難な分離家族のケースにしっかりと対応してもらうとともに、一方、軽易なケースや、あるいは身近な地域で援助を行う必要があるケースについては、さまざまな機関で同様の取り組みが行われますよう、環境を整えていくことが重要ではないかと思います。
そこで、地域のさまざまな機関における、虐待を行った親への専門的な精神ケア、あるいは予防のためのケアの取り組みの現状についてお伺いいたします。
○吉岡少子社会対策部長 児童虐待の問題を解決していくためには、虐待をした親が児童虐待をやめ、良好な親子関係を修復することが必要でございまして、親に対する指導、援助が不可欠でございます。
こうしたことから、都内におきましては、先進的な区市町村の子ども家庭支援センターや保健センター、NPOなどが、子育てに悩む親や過去に虐待歴があり見守りが必要な家族を対象として支援に取り組んでおります。
具体的な取り組みとしては、子育て、虐待の悩みを共有し、緩和するための母子グループミーティングや、親子関係をより円滑にするための親子レクリエーションなどがございます。また、最近では、完璧な親である必要はないという視点から、しつけや子育てスキルを実践的に学び、子育て不安を解消する親教育プログラムなども普及しております。
○中山委員 今ご紹介をいただきましたとおり、一部とはいえ、区市町村におきまして、NPOなどと連携し、親子関係の良好化に向け、精神医学的な知見あるいは手法を踏まえた取り組みが広がりつつあることは喜ばしいことであります。
ただ、残念ながら、親子関係の修復のための援助方法は、まだ確立された状態にはないというふうに思います。いまだとどまる気配を見せない児童虐待の増加を考えますと、子どもの健全な成長を保障するため、こうした援助の必要性は今後、一層増してくるものと考えます。
そこで、このような取り組みを拡大していくために、都としてさらに支援を充実化させるべきと考えますが、所見をお伺いいたします。
○吉岡少子社会対策部長 児童虐待から子どもを守るためには、このような取り組みが有意義であり、こうした親への援助の機会を広げていくことが必要であるというふうに考えております。
都の児童相談所は、これまでも区市町村など関係機関に対しまして、精神科医や心理職による親への援助方法に関する専門的な助言等を行ってまいりました。さらに、児童相談センターが積み上げてまいりました家族再統合への援助の成果につきましては、これを関係機関の参考となる手引書としてまとめ、そのノウハウの普及を進めることなどによりまして、親子ケアの取り組みの拡大を図ってまいります。
○中山委員 第二回定例会のときにもご答弁いただきました手引書につきましては、ぜひとも本年度じゅう、もしくは来年度の早い時期に完成していただいて、配布をお願いしたいと思います。
今後、ノウハウの普及を図っていくとのことで、大いに期待いたしております。困難なケースから早期対応のケースまで、子どもと家庭の状況に応じた適切なケアが都内全域で実施されることを目指すべきであります。そのため都は、親子再統合や母子グループミーティングなどのノウハウを身につけた人材を育成するため、研修体制の充実に必要な人員を確保し、都の先進的なプログラムへの区市町村職員等による体験学習的参加の機会などをふやすなど、今後の具体的な進展を要望し、次の質問に移ります。
次に、ひとり親家庭に対する支援について伺います。
ひとり親家庭、特に母子家庭は、経済的、社会的、精神的に不安定な状態に置かれることが多く、収入、住居という生活の問題から子育ての悩みや子どもの教育に至るまで、多くの問題や困難を抱えています。場合によっては親がひとりで悩みを抱え込み、子どもの不適切な養育につながった例も報告されています。
こうしたケースにも、先ほど述べられていた手引書が有効であると思いますので、ぜひ活用をお願いしたいと思います。
ひとり親家庭につきましては、個々の家庭が抱え込んでいる問題に対する相談から、福祉サービス提供に至るまでのきめ細やかな支援が必要です。国では、ひとり親家庭に対する支援は、経済的支援から就業、自立に向けた総合的な支援へと大きく変貌してきております。
先日、平成十八年度に国が実施した全国母子世帯等調査結果が報道されておりました。それによりますと、母子世帯の母の就業率や常用雇用になっている方の割合は、前回調査より上昇しているとのことでしたが、一方で母子世帯の平均年間収入は二百十三万円と、全世帯の平均所得の四〇%未満とのことであります。
都としても、ひとり親家庭に対する就業支援、自立支援策を一層推進していくことも重要と考えます。都として現在、ひとり親家庭に対する就業支援、自立支援について、どのように取り組んでいるのか、現状を伺います。
○吉岡少子社会対策部長 都では、東京都母子家庭等就業・自立支援センターを設置いたしまして、ひとり親家庭への就業相談や情報提供のほか、技能習得のためのパソコン研修等を年十回実施するなど、自立への支援を行っております。
一方、区市におきましては、母子及び寡婦福祉法に基づきまして母子自立支援員を配置いたしまして、母子家庭等に対するさまざまな相談に応じ、母子福祉貸付金の貸し付けやホームヘルプサービスの提供などの支援を行っております。
さらには、親子の精神的ケアに関しまして、母子自立支援員とともに子ども家庭支援センターや児童相談所、保健所などが連携し、相談の充実に努めております。
都におきましては、今後とも区市に対し、国の母子家庭自立支援給付金事業、母子自立支援プログラム策定事業等を着実に推進するよう働きかけてまいります。
○中山委員 お話いただきましたことをぜひともよろしくお願い申し上げます。
しかし、一方では、ひとり親家庭の自立、ひいてはその家庭に育つ子どもたちの健全的な成長を考えたときに、経済的支援にとどまらず、地域においてそれぞれの家庭の状況を踏まえ、ニーズに応じたきめ細やかな支援を行うことが、私どもとしても大変重要と考えておりました。
特に、就業支援につきましては、地域だけでは難しい面もあるやに聞いております。例えば、国の母子自立支援プログラム策定事業です。この事業は、区市において児童扶養手当受給者に対し、就業など、おのおのの目標に向けた自立支援計画を策定する、いわば支援の根幹となるものであります。
しかしながら、都からも実施を働きかけているところですが、いまだ全区市での実施には至っていないと伺っております。今後とも引き続き都からの働きかけや支援の充実をお願いいたします。
就業支援に関しては、労働分野でこれまでにさまざまなノウハウが蓄積されてきており、福祉分野だけにとどまることなく、そういったノウハウも積極的に活用するべきではないでしょうか。就業支援に関しては、都においては、東京しごとセンターとの連携を強化することが重要と考えますが、所見をお伺いいたします。
○吉岡少子社会対策部長 ひとり親家庭に対する就業支援についてでございますが、東京都母子家庭等就業自立センターがハローワークやマザーズハローワークとも連携しながら支援を行うとともに、東京しごとセンターで実施している女性向け就労支援セミナー等の紹介も行っております。
さらに、東京しごとセンターで実施しております就職支援アドバイザーによる就職活動のサポートなど、就職に確実に結びつくサービスとの一層の連携に向け、今後とも連携の強化策を検討してまいります。
○中山委員 長くなって恐縮ですけれども、最後に養育家庭制度について要望がございます。
養育家庭や養子縁組里親登録にしても、すぐにお子さんが委託されるというわけではございません。特に養子縁組里親は、委託候補となるお子さんが少ないために、登録後に待機される期間が長期に及んでおります。いつ委託されるかわからないお子さんを待つのは、子ども部屋をあけておく必要や共働きを控える努力など、精神的にも経済的にも大変な負担となっております。
こうしたご家庭に対し、養護施設や乳児院に入所している児童に、夏休みや日曜日などを利用して一般家庭での生活体験をさせるフレンドホームへの登録や里親研修への参加を呼びかけるなど、情報提供を密にサポートしていただきたいとお願いいたします。
以上で質問を終わります。
○大塚委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
本件に対する質疑は、これをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○大塚委員長 異議なしと認め、本件に対する質疑は終了いたしました。
以上で福祉保健局関係を終わります。
これをもちまして本日の分科会を閉会いたします。
午後四時三十三分散会
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