各会計決算特別委員会第三分科会速記録第三号

平成十九年十月十九日(金曜日)
第九委員会室
   午後一時一分開議
 出席委員 十名
委員長石川 芳昭君
副委員長遠藤  衛君
副委員長小沢 昌也君
大松  成君
崎山 知尚君
伊藤まさき君
野上ゆきえ君
菅  東一君
石森たかゆき君
松村 友昭君

 欠席委員 なし

 出席説明員
産業労働局局長佐藤  広君
総務部長塚田 祐次君
産業企画担当部長猪熊 純子君
商工部長三枝 健二君
金融部長目黒 克昭君
観光部長中尾根明子君
農林水産部長産形  稔君
雇用就業部長松本 泰之君
就業調整・能力開発改革担当部長小田 昭治君
都市整備局局長只腰 憲久君
次長泉本 和秀君
技監福島 七郎君
理事河島  均君
総務部長安藤  明君
都市づくり政策部長野本 孝三君
住宅政策推進部長松村 光庸君
都市基盤部長升 貴三男君
市街地整備部長宮村 光雄君
市街地建築部長金子 敏夫君
都営住宅経営部長小林 計代君
企画担当部長村尾 公一君
住宅政策担当部長瀬良 智機君
外かく環状道路担当部長遠藤 正宏君
民間開発担当部長座間  充君
多摩ニュータウン事業担当部長今井  光君
都市景観担当部長安井 順一君
建設推進担当部長山室 善博君
参事中山 正雄君
参事瀧本 裕之君
参事宇多田裕久君
参事庄司 貞夫君
参事小澤  弘君
参事並木 勝市君
参事清水 文夫君
参事荒川 達夫君

本日の会議に付した事件
平成十八年度東京都各会計歳入歳出決算の認定について
産業労働局関係
・平成十八年度東京都一般会計決算(質疑)
・平成十八年度東京都中小企業設備導入等資金会計決算(質疑)
・平成十八年度東京都農業改良資金助成会計決算(質疑)
・平成十八年度東京都林業・木材産業改善資金助成会計決算(質疑)
・平成十八年度東京都沿岸漁業改善資金助成会計決算(質疑)
都市整備局関係
・平成十八年度東京都一般会計決算(質疑)
・平成十八年度東京都都営住宅等事業会計決算(質疑)
・平成十八年度東京都都営住宅等保証金会計決算(質疑)
・平成十八年度東京都都市開発資金会計決算(質疑)
・平成十八年度東京都多摩ニュータウン事業会計決算(質疑)
・平成十八年度東京都臨海都市基盤整備事業会計決算(質疑)

○石川委員長 ただいまから平成十八年度各会計決算特別委員会第三分科会を開会いたします。
 本日から四日間にわたり、本分科会所管局の決算に対する局別質疑を行っていただきます。
 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、産業労働局及び都市整備局関係の決算に対する質疑を行います。よろしくお願いいたします。
 これより産業労働局関係に入ります。
 決算の審査を行います。
 平成十八年度東京都一般会計決算中、産業労働局所管分、平成十八年度東京都中小企業設備導入等資金会計決算、平成十八年度東京都農業改良資金助成会計決算、平成十八年度東京都林業・木材産業改善資金助成会計決算及び平成十八年度東京都沿岸漁業改善資金助成会計決算を一括して議題といたします。
 本件につきましては、既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○塚田総務部長 去る十月十二日に当委員会で要求のございました資料についてご説明申し上げます。
 お手元の資料、平成十八年度各会計決算特別委員会第三分科会要求資料をごらんください。表紙をおめくりいただきますと、目次にありますとおり、要求のございました資料は全部で十二項目でございます。
 一ページをお開きください。1、中小企業対策予算・決算の推移でございます。
 平成十八年度の当初予算額は二千六十三億余円、決算額は二千二億余円でございます。
 二ページをお開きください。2、農林水産対策予算・決算の推移でございます。
 平成十八年度の当初予算額は百五十四億余円、決算額は百四十七億余円でございます。
 三ページをお開きください。3、雇用就業対策予算・決算の推移でございます。
 平成十八年度の当初予算額は百十四億余円、決算額は九十五億余円でございます。
 四ページをお開きください。4、産業労働局所管施設の推移でございます。
 平成九年度時点の当局における直営施設について、次の五ページ下段の平成十九年度現在まで、年度ごとにその推移をお示ししております。
 六ページをお開きください。5、東京ファッョンタウンビル及びタイム二十四ビルの事業収支予測でございます。
 平成十七年度当時に、それぞれのビルにおける今後の事業収支を予測したものでございます。
 七ページをお開きください。6、都内小売業商店数の推移でございます。
 平成十六年の都内小売業商店数は、総数欄の右端にありますとおり、約十一万四千店でございます。
 八ページをお開きください。7、新・元気を出せ商店街事業の実績でございます。
 平成十八年度の状況につきましては、右端の実績欄にありますとおり、イベント、活性化の両事業を合わせて二千二百十九件、十四億二千四百万余円を交付いたしました。このほか、地域連携型モデル商店街事業では、四件、一億四千六百万余円を、また、新たに開始した特定施策推進型商店街事業では、三十三件、三億七百万余円を交付いたしました。
 九ページと一〇ページは、8、中小企業制度融資の実績と預託額の推移でございます。
 一〇ページ右端に平成十八年度の融資実績がございます。下から三段目の合計欄にありますとおり、約十五万七千件、一兆九千九百億余円を融資しております。
 一一ページをお開きください。9、新銀行マスタープランと新中期経営計画との対比でございます。
 それぞれの計画三期目に当たる、新銀行マスタープランの平成十九年度と、新中期経営計画の平成二十一年度を対比しております。
 一二ページをお開きください。10、野生獣による農作物被害と獣害防止対策の状況でございます。
 (1)、野生獣による農作物被害状況につきましては、平成十八年度の速報値で実被害面積二十・八ヘクタール、被害金額四千六百万余円となっております。
 また、(2)、農作物獣害防止対策事業実績につきましては、加害獣の侵入を防止するための電気さくやネットの設置及び追い払いのための人件費補助など、平成十八年度は一千三百万余円を支出いたしました。
 一三ページをお開きください。11、労働相談情報センターの数、職員数、労働相談件数、あっせん件数、解決件数、出張労働相談件数の推移でございます。
 下から二段目、平成十八年度の労働相談件数は五万五千七百件、あっせん件数は九百十八件と、ともに前年度の実績を上回っております。
 一四ページをお開きください。12、若年労働者の無業者、フリーター、派遣労働者の推移でございます。
 (1)、無業者数の推移につきましては、平成十八年三月卒業で見ますと、右端の合計欄にありますように、東京全体では卒業者約三十六万人のうち約三万五千人が進学や就職をしない無業者となっています。
 (2)、フリーター数の推移につきましては、都の平成十三年度時点の集計では東京には三十四万人のフリーターが存在しておりましたが、一方で、国が行っている全国を対象とした調査結果では、十五年度をピークに減少傾向にあります。
 (3)、派遣労働者数の推移につきましては、平成十七年度は、東京では八十六万四千人が、全国では二百五十四万七千人が派遣労働者として雇用されております。
 以上 大変雑駁ではございますが、資料の説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○石川委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めて、これより本件に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○崎山委員 商店街振興について、何点かお伺いいたします。
 昨年暮れに発表された「十年後の東京」は、東京が近未来に向け、都市インフラの整備だけでなく、さまざまな分野でより高いレベルの成長を遂げていく姿を描き出しています。これを契機に東京では、カーボンマイナス東京十年プロジェクトや、子育て応援戦略を初め、未来の東京のあり方を複合的、重層的に検討し、実現していく仕組みとして、庁内各局が参加する横断的会議が設置されています。こうした動きは、都民の要望に機動的、弾力的にこたえるために望ましいものであり、私も期待をいたしております。きょうは、昨年度の事業を中心に、こうした連携の重要性について質疑を行いたいと思います。
 産業労働行政、とりわけ商工振興施策は、まちづくりや子育て、高齢者・障害者福祉、防犯、防災、環境、教育など、さまざまな行政分野とのかかわりが深く、昨今、局をまたいだ横断的な取り組みの強化が求められています。商店街は、余り買い物をしない私たち男にとっても、日常的に生活の経路として往来する場所であります。もちろん、人の流れの方向に商店街はあるといっても過言ではありません。また、地域住民にとって、お買い物をする場だけではなく、ある意味、たまり場、憩いの場であり、サロンといえます。残念ながら、すべてがこれに当てはまるとはいいがたく、青息吐息の商店街があるのも現状ですが、成熟社会を迎え、今また商店街の役割は大きくなっていると考えます。
 こうした観点から、都は、昨年度、各局との連携のもと、緊急かつ重要な施策の推進に協力する商店街の取り組みを支援する特定施策推進型商店街事業を開始したところでありますが、まず初めに、この事業の概要についてご説明願います。

○三枝商工部長 特定施策推進型商店街事業は、都の緊急かつ重要な施策の推進に協力して商店街が実施する事業に対しまして特別に支援を行うもので、平成十八年度に開始をしたものでございます。補助率は五分の四で、一事業当たりの補助限度額は一億二千万円となってございます。
 対象事業の選定に当たりまして、全庁横断的会議である産業力強化会議のもとに商店街施策連携会議を設置し、個々の事業の重要度や緊急度の検証をいたしてございます。
 なお、平成十八年度は、防災、防犯、環境、物流、福祉並びにスポーツの六分野につきまして、具体的な事業をメニューとして示し、それぞれの分野で関係各局と連携して事業を推進しているところでございます。

○崎山委員 次に、六つの分野の取り組みを関係局と連携して推進しているということでありますが、昨年度の実績はどのようなものがあったのか、具体的な事例を挙げて説明をいただきたいと思います。

○三枝商工部長 特定施策推進型商店街事業の初年度でございます平成十八年度の実績は、総事業数が三十三件、補助額が約三億一千万円となってございます。
 具体的な事業内容でございますが、まず、防災分野では、昭和五十八年以前に建てられ、耐震強度に不安のあるアーケードにつきまして耐震補強や撤去が行われ、また、防犯分野では、民間交番が設置されたところでございます。また、環境分野では、ソーラーハイブリッド型街路灯の設置などが行われた一方、物流分野では、荷さばき所が設置されたところでございます。さらに、福祉分野では、ユニバーサルデザインのトイレが設置され、スポーツ分野では、東京マラソン二〇〇七の応援フラッグの掲出等が行われたところでございます。
 全体では、三十三件中、アーケードの耐震補強、撤去が約三分の一を占め、震災時に顧客の安全を確保しようとする商店街の意識の高さを強く感じたところでございます。

○崎山委員 今、答弁があったように、アーケードの補修が多いようでありますけれども、商店街がこうした都の施策の推進に積極的に取り組むことは、地域の核としての意義、存在感を高めることにつながることから、非常に重要と考えます。今後、各局との連携を一層強化して、事業内容などについてさらなる充実を図っていただきたいと思います。
 さて、こうした取り組みが行われる一方、実際に町場を歩いてみると、残念ながら局間の連携が必ずしも十分に行われていないのではないかと思われる状況も見受けられます。私の地元の例を引いて、こうした課題に対する産業労働局の取り組み姿勢についてお尋ねをいたしたいと思います。
 先ほど触れた「十年後の東京」には、美しいまち東京を復活させるための一方策として、無電柱化の計画が掲げられています。ロンドン、パリ、ニューヨークなどは、ほぼ一〇〇%の無電柱化であるのに対して、東京都区部を見ると、都道で二九%、区道で三%と非常に低いことから、都道、区道一体として無電柱化エリアを拡大し、まちの景観の向上を図ろうとしているものであります。
 平成十八年度末には、区部における都道の電線地中化率が三九%と向上しているものの、なお多くの未整備部分があり、今現在、建設局によって鋭意整備が進められているとのことであります。無電柱化とあわせた歩道のバリアフリー化やカラー舗装化は、オープンスペースが広がり、防災面だけでなく、特に下町地域では歩行者に心地よさを倍増させてくれます。
 ところが、その一方で、無電柱化に伴って、アーケードを撤去せざるを得ない状況に商店街があるとも聞いています。商店街のアーケードは、特に雨天時、高齢者、障害者、子ども連れを初めとする多くの消費者に快適な買い物環境を提供する非常に重要な施設であると、私は認識をいたしております。無電柱化もアーケードも、ともに都民生活の快適性向上を目指すものであるにもかかわらず、町場ではバッティングしているという事例であります。
 こうしたハード整備を進める場合、行政と地元との十分な協議、地元住民や商店街における合意形成が不可欠であるということはいうまでもありません。ただ、一口に都道といっても、その形状や機能はさまざまであり、そこが商店街であれば、抱える課題もまちまちとなります。産業労働局としては、こうした事情をかんがみ、個々の商店街の声に十分耳を傾けて、関係局や地元自治体などと十分に連携を図るよう、ご尽力を願いたいと思います。
 仮にアーケードを撤去せざるを得なくなった場合、その後の商店街をどのように形づくっていくかは、極めて重要な課題というふうに認識をいたしております。一度整理すれば何十年もリニューアルは不可となるわけで、手戻りのないよう、お願いをしたいと思います。
 そしてまた、この課題解決には多くの手間と経費が必要となり、商店街にとっても大きな負担となります。こうした商店街への支援はどのように行われるのか、お伺いをいたしたいと思います。答弁願います。

○三枝商工部長 ただいまのご質問にお答えする前に、先ほどお答えした内容で、耐震補強等の対象となるアーケードの設置年次につきまして、昭和五十八年と申し上げましたが、昭和五十六年でございますので、おわびして訂正をさせていただきます。
 お尋ねの問題につきまして回答させていただきます。
 さまざまな課題を抱える商店街の声をつぶさにお聞きすることは、極めて重要と認識してございます。こうした認識のもと、無電柱化に伴ってアーケードを撤去する場合には、商店街と関係部局や区市町村を初めとする関係諸機関との協議が円滑に行われるよう、話し合いの場を設定するなどの役割を果たしてまいります。
 なお、撤去対象のアーケードが、ただいま申し上げました昭和五十六年以前に設置されたものであれば、防災の観点から、先ほどご紹介した特定施策推進型商店街事業の活用が可能でございますほか、アーケードを撤去した後の商店街につきましては、基本的に新・元気を出せ商店街事業の中の活性化事業によりまして、街路灯の設置やカラー舗装等の整備を進めていくことと相なります。
 商店街をどのように形づくっていくかにつきましては、商店街みずからの主体的な取り組みが重要でございますことから、私どもでは、今後とも商店街の提案をきめ細かに伺いまして、適切に支援を行ってまいります。

○崎山委員 今の答弁にもありましたように、アーケードの撤去に伴って、街路灯の整備やカラー舗装、さまざまな支援策があると思いますから、ぜひ商店街ともに支援をしていただきたいと思います。
 これらの問題は、商店街自身の主体的な取り組みが重要であることは確かでありますけれども、しかし現実には、そのプランづくりも容易な作業ではありません。必ずしも商店街の中からすばらしいアイデアが出てくるとも限りません。また、ほとんどが零細事業者の商店主は、個店での、自分の店での売り上げを伸ばすことがまず第一で、商店街全体の活性化まで手が回らないこともあると思います。
 よりよい商店街とするための計画策定などにもサポートが必要と考えますが、どのような支援ができるのか、お伺いいたしたいと思います。

○三枝商工部長 計画策定に当たりましての具体的な支援といたしましては、まず、中小企業診断士等の専門家が商店街に赴き、商店街の活性化を無料でサポートする専門家チーム派遣事業を用意してございます。
 さらに、昨年度は、商店街パワーアップ基金事業を創設いたしまして、商店街が振興を目的としてつくる会社やNPO等の設立、あるいは外部の企業等が取り組む商店街活性化事業を支援する仕組みを整えたところでございます。
 また、商店街を活性化するためには、さまざまな活動を推進する人材が不可欠でございますことから、強力なリーダーシップや行動力を備え、次代を担う若手商人を育成する各種プログラムを用意してございます。
 今後とも、各地域の商店街の実態をつぶさに把握している区市町村と連携しながら、これらの事業の活用を図ってまいります。

○崎山委員 繰り返しますが、ぜひきめ細かな支援策をとっていただきたいというふうに思っております。
 都民ニーズに的確にこたえていくには、従来の縦割り行政では限界があり、ミスマッチも起こり得ます。東京都は、さまざまな分野で局をまたぐ連携の取り組みを促進していますが、申し上げたとおり、町場については十分にそうした対応が行き渡っていないような事例もあります。産業労働局は庁内や区市町村等と幅広い連携を行っていますが、単に商店街、商業者支援という視点だけではなく、まちづくりの拠点として、ハード、ソフト両面にわたって、今後、より一層の連携強化が求められてきます。
 最後に、産業労働行政におけるこうした連携強化について局長の見解をお伺いいたしまして、私の質問を終わります。

○佐藤産業労働局長 産業労働行政は極めて多岐にわたっておりまして、しかも、それぞれの事業、これが都民、また事業者、現場と直結したものでありますことから、委員お話しのとおり、関係者との連携が極めて重要であるというふうに認識をしております。
 局では、これまでも現場を重視いたしまして、各局、区市町村、研究機関、民間団体等との連携に努めますとともに、都議会を初め地元関係者のお話も伺いながら、各種事業を実施してまいりました。
 商工振興につきましては、商店街の振興施策に加えまして、ものづくり産業の活性化を促進するために、産学公連携、また産産連携等々、さまざまな取り組みを展開しております。
 加えて、観光案内のサインの整備ですとか、花粉症発生源対策のプロジェクトでありますとか、あるいはものづくり教育支援プログラムなど、当局が所管をいたしますその他の分野におきましても、各局等との連携を積極的に進めて、着実に事業を推進してきているところでございます。
 今後とも、庁内はもとより関係機関との連携強化に努めまして、確実に事業成果を上げてまいります。

○伊藤委員 私の方から、まず、観光についてお聞かせいただきたいと思います。
 国は、平成二十二年までに訪日外国旅行者を一千万人にすると具体的な数値目標を上げて、観光立国ということを宣言して、国を挙げて今推進が行われているところであります。都は、首都として当然大きな役割を果たしていかなくてはなりませんけれども、先ほど崎山委員の質問にもありましたように、やはり観光政策というのは、地域経済の発展という側面もありますし、また雇用機会の増大ということもありますし、また国際理解の増進という側面も持っておりますので、ぜひともこの分野も、先ほど力強いご答弁もございましたが、引き続きオール都庁で臨んでいただきたいというふうに思います。
 都も、平成十三年に観光産業振興プラン、これは平成十四年度から十八年度までということでありますが、これを策定して、施策を積極的に展開をされているところであります。
 まず、この観光産業振興プランの成果と、あわせて外国人旅行者数と、また、その経済波及効果の数と対前年度比、あわせてお示しいただきたいと思います。

○中尾根観光部長 都では、観光を重要な産業として位置づけ、平成十三年、観光産業振興プランを策定し、国に先駆けて、その観光産業振興策を積極的に展開してまいりました。この結果、平成十八年に東京を訪れた外国人旅行者は、年間約四百八十一万人、対前年比七・一%増となっております。経済波及効果といたしましては、対前年比一七・六%増の七千億円を超える効果を都内に及ぼしております。
 なお、具体的な取り組みの成果といたしましては、東京の観光情報を提供するウェブサイト「東京の観光」のアクセス数が、平成十八年度には年間約二千六百万件を超えるほか、水辺の魅力的な観光ルート開発や、外国人旅行者にもわかりやすい歩行者用観光案内標識を四百九十基整備するなど、積極的に施策に取り組んでまいりました。

○伊藤委員 国に先んじていろんな対策をとられて、そして、十八年と十七年を比較をすると、訪れた外国人旅行者の数が七・一%、経済波及効果も七千億円、そして前年比一七%増という大変な成果を上げられたんだというふうに思います。これは非常に高く評価されてしかるべきなんだろうというふうに思います。このように外国人旅行者数も順調にふえておりますし、経済波及効果も急激にふえております。
 しかしながら、ふえ続ける旅行者に対して適切な情報提供をして東京を満喫していただくということが重要だというふうに思います。今、まちで見かける旅行者を見ますと、大概手にガイドブックを持ってまちを散策されている姿をよく見かけます。そういうことから推察をすると、海外でも日本を紹介をする書籍が大分普及をしてきているなという実感はあります。しかし、東京を訪れる観光客に対して、やはり紙媒体となりますとタイムラグがありますから、必ずしも最新の情報がそこに載っているとは限りませんので、最新の情報提供の充実は、都の施策として重要だと考えます。
 現在、都の情報提供体制は、都内に三カ所ある観光情報センターによって、主にその役割が担われているところでありますが、その利用者数と外国人比率、三年分をそれぞれお示しいただきたいと思います。

○中尾根観光部長 観光情報センターの利用者数は、平成十六年度は八十九万六千人、うち外国人利用者が二十一万七千人で、外国人比率は二四%でございます。平成十七年度の利用者は九十七万六千人、うち外国人利用者が二十四万六千人で、外国人比率は二五%でございます。平成十八年度の利用者は九十四万二千人、うち外国人利用者が二十四万七千人で、外国人比率は二六%でございます。

○伊藤委員 あわせて、いろんな問い合わせの内容があると思うんですけれども、問い合わせの主な内容はどんなものがあるでしょうか。

○中尾根観光部長 平成十八年度における観光情報センターへの問い合わせ件数の上位五項目を申し上げますと、多いものから順に、交通アクセス、観光名所、イベント、美術館・博物館、そして飲食店・土産案内に関するものとなっております。

○伊藤委員 手元に、それぞれ三カ所、東京都庁、羽田空港、京成上野駅と三カ所あるんですけれども、細かい数字をいただいております。京成上野は成田空港からのお客さんを迎えるということで、外国人の比率が大体五割ぐらい。羽田空港は国際線が余りありませんから、平年大体一〇%に満たない利用率。東京都庁は二六から七%、四人に一人が外国人の方というデータが出ております。
 恐らく場所によって求められている情報は少しずつ違ってくるのかなというふうに思いますので、適切な情報提供体制に努めていただきたいというふうに思いますし、残念ながら、この利用者数が、訪れる外国人旅行者に比例をして右肩上がりではふえていないという状況もあろうかと思いますので、もっと積極的に利用していただけるようにPRに力を入れていただきたいというふうに思います。
 さらに、東京のまちというのはめまぐるしい変化を遂げております。最近では、六本木ヒルズを初めとして丸の内の再開発など、どんどんまちが生まれ変わってきております。それに伴って、外国の方に人気のスポットも次々と生まれてくるんだろうというふうに思います。特に最近では、秋葉原が日本のアニメやオタク文化の中心地として、海外からも非常に注目を浴びるようになっているということを聞いております。
 こうした状況下で、外国人旅行者にも注目をされている秋葉原などに情報拠点の拡充が必要だと思いますけれども、ご所見をお伺いします。

○中尾根観光部長 都では、都が運営している三カ所の観光情報センターに加えまして、区市町村や民間団体等の既存の窓口を活用した観光案内窓口を都内百四十七カ所に設置し、観光案内のサービスを提供しております。
 また、お話のございました秋葉原を初め港区、品川区などでは、地元自治体や民間団体等が独自に観光案内所を運営し、平成十八年度末時点で、その数は二十を超え、地域の観光情報を積極的に提供しております。
 都は、地元自治体や民間団体等と連携を図りながら、地域における観光案内機能の拡充を支援してまいります。

○伊藤委員 ぜひとも、まちの急激な変化に乗りおくれないように、体制をしっかりと整えていただきたいと思います。
 そして、観光問題の最後の質問になりますが、現在の観光政策は、どちらかというと都心を中心に展開をされているように私は感じております。私の住む葛飾には、帝釈天を初めとしてさまざまな観光資源がありますけれども、十分にカバーできていないなというのが、率直な私の意見であります。
 例えば、先ほども答弁に出てまいりましたけれども、水辺空間を活用した観光振興策には東京都が熱心に取り組んでおられますけれども、これも残念ながら墨田区や東京湾の一部に限られているということであります。東京は河川が多いわけでありますので、他の地域でも十分に取り組めるものだというふうに私は考えますが、今後の広域化の取り組みについては、どのようにお考えになっているでしょうか。

○中尾根観光部長 これまで、地域が主体となって水辺のにぎわいを創出するイベントなどの取り組みは、隅田川や東京湾岸などで行われております。最近では、隅田川だけではなく、荒川ロックゲートを通り、荒川をめぐる水上バスのルートが開設されるとともに、イベントに合わせて観光名所を結ぶ観光船が運航されるなど、他の地域でも水辺を活用した取り組みが行われております。
 今後とも、地元自治体や関係機関と連携を図りながら、水辺空間の魅力向上に努めてまいります。

○伊藤委員 ぜひとも引き続きご努力をお願いしたいと思います。
 続いて、雇用問題についてお聞きをしたいと思います。
 近年、雇用形態の多様化や、企業のリストラなどによる人件費削減圧力を背景として、非正規雇用が増加をしてきております。これは最近の景気回復局面でも、その傾向は変わらないことから見ましても、今後もこういったトレンドが続いていくのかなというふうに思います。
 自由な働き方をしたいとみずから選択をしている方がいらっしゃる一方で、いたし方なくパートやアルバイトとして働いている方も多数いらっしゃるわけであります。働き方を自由に選択できることはとてもよいことでありますけれども、それに伴って新しい課題も出てきていると思います。
 雇用問題について、以下六点、お聞きをしたいと思います。
 まず、非正規雇用についてお伺いをしますが、この非正規雇用者の労働環境については、低賃金や、突然の解雇をいい渡されるような事例も報告をされておりまして、弱い立場としての問題が指摘をされております。最近では、労働組合が組織されたり、また、そうした問題に専門的に取り組む弁護士の方が出てきたりとかして、社会としても取り組みが既に始まっておりますけれども、都としても、そうした問題にぜひとも積極的に取り組んでいただきたいと思います。
 非正規雇用は、先ほどもいいましたように、全雇用者数の三分の一を占める。非常に多くなっているわけでありますが、こうした非正規雇用がふえている要因について、東京都ではどのように分析をされておりますでしょうか。お伺いします。

○松本雇用就業部長 産業構造の変化や労働者の就業意識の変化、労働者派遣法の改正などにより働き方が多様化し、非正規雇用が増加しております。とりわけバブル崩壊による雇用情勢の悪化により、若年層において、本人の意思と異なる非正規労働を選択せざるを得なかった人がふえ、非正規雇用の割合が上昇いたしました。こうしたことが、増加の主な要因であると考えられます。

○伊藤委員 非常にいろんな側面があるんだというご答弁だと思います。やはりいろんな側面からの政策も必要だということなんだと思いますが、非正規雇用には、労働関係法令が守られなかったり、正社員との均衡処遇などの問題があり、早急に労働環境の改善が求められておりますけれども、都での対策をお伺いします。

○松本雇用就業部長 都では、労働基準法やパートタイム労働法などの労働関係法令につきまして、セミナーの開催やパートアドバイザーの企業訪問による相談、助言などを実施し、普及啓発を図っております。
 また、労働相談情報センターにおきまして、労使からの労働相談を受け付けております。
 さらに、パートタイマー等の雇用環境の改善に取り組もうとする中小企業に対しまして、社会保険労務士や中小企業診断士などの専門家を派遣するなどの支援を行っております。

○伊藤委員 いろんな施策を展開されているという答弁でございました。
 しかし、近年の傾向として、若年層の非正規雇用者数がふえてきていると聞いております。こうした若年雇用問題については、企業側の非正規雇用者への職業教育訓練機会の提供に関する意識が低いため、特に教育機会が必要とされる若年時において非正規雇用者が職業能力を蓄積できない点が懸念をされているわけでありますが、こうした若い非正規雇用者の方々にとって、公的支援による職業訓練が必要と考えますけれども、都ではどのような支援を行っているんでしょうか。

○小田就業調整・能力開発改革担当部長 非正規雇用の若者の職業能力を高め、正規雇用に結びつけていくためには、職業訓練が効果的であります。このため都は、アルバイトなどで働きながらも、夜間に仕事の都合に合わせて基礎知識や基本操作を習得できる方式の単位制パソコン科を十八年度に開設したところでございます。
 また、こうした若者のスキルアップや資格取得を支援するため、電気工事や簿記など多くの短期技能講習を、土曜日、日曜日、あるいは夜間にも実施しております。

○伊藤委員 働きながら勉強することができる、そういう環境を整えることは非常に重要だと思いますし、また、科目をふやすという努力もされているようでありますが、聞くところによりますと、年齢の制限が二十五歳以下ということも聞いております。今後、この年齢制限等についても、ご検討いただきたいというふうに思います。
 次に、フリーターの正規雇用化への取り組みについてお伺いをします。
 二〇〇四年の総務省のまとめた労働力調査という調査を見ますと、フリーターは約二百十三万人いるとされております。この数については、省庁によってフリーターの定義が違っているようで、数は若干ばらつきがあるんですけれども、どんな指標を見ても増加傾向にあるということは一般論としていえると思います。
 若いときにフリーターとして働くことは必ずしも悪いということではないと思いますが、この調査結果にもあるんですけれども、みずから進んでフリーターとなっている若年層が少数であるということを考えますと、現在、正社員として勤務をしている若年層や新規学卒者が意に反してフリーターになることを防止するとともに、たとえフリーターとなっても、その状況が将来にわたって固定化しないようにする努力が必要だというふうに思います。フリーターの増加による若年者の雇用、収入の不安定化は、社会的に見ても、また若年者自身にとってもマイナスの側面が大きいわけでありますので、これを抑えていくことが急務であります。
 やむを得ずパートやアルバイトとして働いている若年層の非正規雇用労働者は、教育訓練機会に恵まれず、職業能力が蓄積をされないために、そういった環境からの離脱が非常に困難となっております。こういった方々の正規雇用化については、都ではどのような取り組みをされてきたんでしょうか。

○松本雇用就業部長 十分なキャリア形成を図ることができず、不安定な就業を繰り返すフリーター等の方々は、安定した職業生活を希望いたしましても、正規雇用への移行は難しい状況にございます。
 このため、東京しごとセンターのヤングコーナーでは、職業紹介や合同就職面接会等を実施いたしまして就職に結びつけているほか、きめ細かなキャリアカウンセリングや、就職活動のノウハウを習得するための各種セミナー等も実施しております。

○伊藤委員 大企業を中心に景気動向は最近はよいということも聞いておりまして、企業としても積極的に雇用に取り組むという状況にもなっているということでもありますので、ぜひともこのチャスを逃さずに、的確な支援をしていただきたいと思います。
 そうした非正規雇用を取り巻くさまざまな課題に加えて、今、東京の製造業においては、技術、技能の継承をいかに進めていくかが大きな課題となっております。若者のものづくり離れも深刻な状況になっておりますし、団塊世代の大量退職を迎える中で、企業が今まで営々と培ってきたすぐれた技術、技能の継承が危ぶまれております。
 こうした状況を踏まえて、都ではどのような支援を行ってきたんでしょうか。

○小田就業調整・能力開発改革担当部長 技術、技能の継承は、企業の存続、発展に欠かせないものとなっております。このため、都は、特に機械加工分野の中小企業に従事する若者を対象に、熟練のわざと知識を習得させるための東京ものづくり名工塾を開設しており、十八年度まで百八十名を超える若者が学んでおります。
 また、個別に技術、技能の継承に取り組もうとする中小企業などにつきましては、企業の要望に応じたオーダーメード訓練を積極的に実施し、人材の育成に努めているところです。

○伊藤委員 ご答弁にあった東京ものづくり名工塾はとても好評と聞いておりますので、今後とも時宜にかなった施策の展開をしていただきたいと思います。
 最後に、女性の再就職への取り組みについてお伺いをいたします。
 結婚や子育てのため一時的に家庭に入った女性など、一度離職した女性の再就職は非常に難しい状況にあります。少子高齢化で働き手がどんどん少なくなっていく中で、その対策の一環としても、こうした方々に再就職をしていただいて社会で活躍をしてもらうということは、社会全体にとっても望ましいことだと思います。
 こうした方々の再チャレンジを支援する施策については、どのようなものがあるんでしょうか。

○松本雇用就業部長 一度離職した女性の再就職は、ブランクによる業務スキルの低下などがネックとなりまして、大変困難な状況にございます。
 このため、東京しごとセンターでは、キャリアカウンセリングやビジネススキルを習得できる各種セミナー等を実施し、再就職を希望する女性を支援しております。
 さらに、今年度からは、再就職活動のノウハウを提供するセミナーを初め、スキルアップ講習や職場実習などを一体として組み込みました女性再就職サポートプログラムを実施いたしまして、女性の再就職を支援しております。

○伊藤委員 明るさが見えた景気状況とはいえ、依然厳しい状況が続くと思いますので、どうぞ引き続き努力をしていただきたいということを要望して、私の質問を終わります。

○大松委員 先ほどの伊藤委員の質問とも重なる部分がございますが、私の方からも、雇用対策につきまして質問をさせていただきます。
 この景気の回復を本格的なものにしていくために、その焦点は、いよいよ地域経済、そして雇用の活性化に絞られてきているわけでございます。特に、雇用対策につきましては、産業構造が変化をいたしまして、仕事の分野、職種も大変に多様化をしております。その一方で、働く側にいたしましても、高齢化の進展、そして男女共同参画の進展に伴いまして、働き方にも多様化が求められてきているのが現状でございます。こうした中にありまして、職業紹介のあり方では、きめの細かさが勝負、このようになってきているわけでございます。
 こうした大変難しい時代の雇用対策の最前線で事業をしておりますのが、東京しごとセンターでございます。平成十八年度の決算の説明書によりましても、就業促進費の三六%、三分の一以上の予算が使われているわけでありますけれども、実績が上がっているのかどうか。平成十六年七月の開設以来の事業実績と、平成十八年度の実績を伺います。

○松本雇用就業部長 東京しごとセンターにおきましては、きめ細かなキャリアカウンセリングや各種セミナー等を実施し、都民の就業を支援しております。平成十六年七月の開設以来、直近までで、登録者数が約六万人、そのうち二万五千人が就職を実現しております。
 なお、平成十八年度一年間での登録者数は約一万六千人で、八千四百人を就職に結びつけております。

○大松委員 着実に実績が上がっているものと評価をするものでございます。
 昨今は、新卒者の就業環境は大変改善をしてきているというような兆しがあるわけでございますけれども、若年層全体としては、やはりまだ他の年齢層と比べまして失業率が高いわけでありまして、懸念材料になっております。特に、フリーターと呼ばれる方たち、常用雇用を望みながら、やむなくつけないという方が八割ともいわれているわけでありますけれども、こうした意欲も能力もありながら、一定の職業につけず、したがいまして、専門的な技術も身につきにくい環境にあるわけでございます。
 きょう、いただきました資料によりましても、フリーターの数、減る傾向にあるといっていいかどうかわかりませんが、十八年度は二百万を切りましたけれども、まだまだ二百万に近い。そして、派遣社員を入れれば、大変大きな数になるわけでございます。これは日本経済全体にとりましても大きな損失でもありますし、何よりご自身が大変損をしているわけでございます。
 このフリーターを支援しておりますのが、東京しごとセンターの中のヤングコーナーでございます。全国的にはジョブカフェとも呼ばれておりますけれども、東京都におきましては、多様な民間の力を活用いたしまして、独自の取り組みが行われているわけでございます。これにつきまして、平成十六年七月の開設以来の実績、そして平成十八年度の実績を伺います。

○松本雇用就業部長 東京しごとセンターのヤングコーナーでは、キャリアカウンセリングや各種セミナーに加えまして、インターンシップ等の職業体験、中小企業と若者との出会いの場としてのジョブパーティー等を実施しております。
 開設以来、直近までで登録者が二万三千人を超え、約六千四百人の就職を実現しています。
 なお、平成十八年度の登録者数は六千五百人で、二千人を就職に結びつけております。

○大松委員 これも着実に実績が上がっているものと評価をしたいと思うわけでございますけれども、今、課題になっておりますのが、先ほどもお話がございました年長フリーターでございます。フリーターの中でも、悪戦苦闘しながら就職をかち取ろうと努力をするわけでございますけれども、そうした常用雇用がかち取れないまま三十を過ぎてしまったという方が、今大変ふえてきているわけでございます。
 政府の方も、当初は三十歳までというトライアル雇用も三十五歳まで引き上げましたり、そうした制度改正も進めているところではありますけれども、こういう制度、また、企業と意欲のある若者を結びつけるということが大変大事でございまして、この現場が、まさにヤングコーナーでございます。
 東京都といたしまして、年長フリーターにつきましてどのように取り組んでいるのか、お伺いいたします。

○松本雇用就業部長 十分なキャリア形成を図ることができず、不安定な就業を繰り返す年齢の高いフリーター等は、安定した職業生活を希望しても、正規雇用への移行は難しい状況にございます。
 そこで、平成十九年度から、年長フリーターを対象に、東京しごとセンターのキャリアカウンセリングやセミナーに加えまして、三カ月程度の職業訓練と合同就職面接会とを一体的に組み合わせた事業等を実施し、重点的に支援しております。

○大松委員 私、東京のヤングコーナーも、また、他県のジョブコーナーも視察をしてまいりましたけれども、模擬面接とか、非常に真剣勝負で行われておりました。ばっと質問をして、もじもじして答えられないでいると、知らないことは知らない、このようにはっきりいうんだとか、本当に激励をしながら訓練をやる姿を見てまいりました。また、就職が決まるまで、本当にマン・ツー・マンで懇切丁寧に面倒を見ておられる姿も見たわけでございます。そして、就職をかち取れた利用者からは、人間的にも成長ができたとか、そういう声も伺えたこともあるわけでございます。
 私も地元の地域の若い方から、どうやって仕事を探せばいいんですか、こういう相談を受けることがございまして、東京しごとセンターのヤングコーナーを紹介をするわけでございます。そうしましたら、数週間後には、就職できましたというような喜びの報告も受けたことがありまして、大変効果のあるいいサービス、事業であると思います。これはすそ野を広げれば、その成果は確実に伸びるということが期待できるわけでございます。
 そして、十八年度までのこうした実績を受けまして、今年度は多摩地域にも展開をされておられます。私も多摩の方のセンターを視察をいたしましたけれども、立地も大変いいわけでございます。ここの現時点の利用状況を伺います。

○松本雇用就業部長 東京しごとセンター多摩では、しごとセンター事業の特徴でございますきめ細かな就業相談やキャリアカウンセリングを実施しております。
 さらに、民間の就職支援会社の持つ求人情報と豊富なノウハウを活用いたしまして、就職活動を強力に支援しております。また、身近な地域における支援が特に有効なフリーターや団塊の世代、再就職を希望する女性などを対象に、情報提供や各種セミナーなども実施しております。
 こうした事業展開によりまして、平成十九年八月の開設から二カ月の九月末現在で、利用者数は千八百人を超えております。

○大松委員 ぜひ、この東京しごとセンターの成果を、都内により広く広げていただきたいと思います。
 私の知人の話なんですけれども、五十歳代、胃がんで手術を受けて、通院治療があるために、一週のうちに数日間しか働けない。この条件で仕事を探してくれるんですか、こういう相談を受けたことがございます。私も、東京しごとセンターに問い合わせましたところ、難しいけれども、とにかく全力で探します、その方をとにかく来させてください、このような大変力強い返事をいただいたことがありまして、私もその知人も勇気がわいてきたことがございます。実績の数字もさることながら、こうした窓口の対応は歓迎すべきでございます。こうした窓口の対応も、民間会社が競合しながら事業を行っている効果の一つだと思うわけであります。民間の力をさらに活用いたしまして、利用者をふやすためにサービス拠点の整備もさらに進めていただくように要望いたしまして、質問を終わります。

○松村委員 まず、新銀行について伺います。
 二〇〇六年度、平成十八年度は新銀行の開業二年目に当たり、二〇〇七年三月期決算で明らかになったことは、開業二年目にして最終損益で五百四十七億円の赤字となり、累積欠損は八百四十億円にも上っています。都が出資した一千億円のほとんどが失われる事態となっているのです。
 そこで伺いますが、決算の公表を待つまでもなく、こうした事態になることはわかっていたのではありませんか。既に開業前から、当初のマスタープランを秘密裏に改定、三年後の黒字化は全くの絵そらごとと執行役員は判断し、五年後の黒字化を想定、それに合わせた決算書、特にBSを想定した開業準備にシフトするよう内々の社長通達があったという、これは、新聞報道にも一部ありましたけれども、周知の事実ではありませんか。
 なぜ放置してきたのか。こんな無責任な出資者--東京都ですよね。投資家でもあります、民間でいえば--いないと思いますけれども、この点、どうなんでしょうか。

○目黒金融部長 新銀行東京についてでございますけれども、都はあくまでも出資者の立場でございまして、所有と経営の分離のもとに、個々具体の経営は経営者の判断で行われるものでございます。
 新銀行東京の平成十九年三月期の決算は、減損会計を適用したことなどによりまして、計画を大きく上回る当期損失を計上したものでございます。都としましては、株主の立場から、適切な経営が行われるよう、今後とも働きかけてまいります。

○松村委員 新銀行東京は、石原知事がトップダウンで、文字どおり東京都丸抱えといいますか、東京都がつくった銀行ではありませんか。それが今のこういう状況に陥ったら、所有と経営の分離だと。それは経営者の責任というような答弁は、本当にいかがなものかと思います。
 私も、これは出納長室が担当しておりまして、当時、財政委員会の委員として一年余り、マスタープランその他、本当に大丈夫なのかと。都民の税金一千億円を出資する、東京都がやるということが都民だれしもわかっている。八百屋さんや魚屋さんには貸さないといってみたり、都民は大変心配した。やはりそういう意味から、議会の責任を果たすためにも追及したけれども、絶対大丈夫だ、マスタープランどおりにいくと、さんざん答えていたんです。今みたいな答弁は絶対容認できません。
 マスタープランと、既にこれが新中期計画、要求資料の一一ページ、9で出していただいておりますけれども、やはり相当の乖離がありますよね。マスタープランの経常利益五十四億円を十億円に引き下げたり、それからまた、貸倒引当率を計画に入れておりません。これも貸倒引当率が、マスタープラン、二・九というのが、一般貸し倒れで、これは自動的に積み上がるのが一般で、それこそリスクの多い新銀行は、一般の既存銀行でもやっている個別貸し倒れをなぜ見ないのかということを、さんざん私たちも追及したんですけれども、これで大丈夫なんだと、逆に、他の銀行よりも多く見て、安全をとっているといったけれども、この新中期計画では、これすら見ていないというか、計画に入れてないわけですね。
 三月期決算では、前期二百九億円、九月期決算の赤字が倍の四百二億円の赤字となっているんですね。このため、とにかく経費を減らすと。今、店舗外ATMをすべて停止するなど、本当になりふり構わない業務縮小で、破綻を回避しようとしていることが、この計画からもうかがえます。
 しかし、都民からかけ離れたことをやって銀行を続けて、どんな意味があると考えているのですか。困っている中小企業に役立つ銀行としての役割が果たせると考えているのか、この点についても局の考えを伺っておきたいと思います。

○目黒金融部長 新銀行東京は、開業後二年間で約一万六千六百件の融資保証を実行してきておりまして、中小企業金融において重要な役割を果たしてきております。また、本年六月に新銀行東京が策定をいたしました新中期経営計画におきましても、対象顧客の小口化による融資件数や顧客数の拡大に重点を置くとともに、一般融資の取り組みも含め、より幅広く中小事業者の支援を行っていくこととしております。

○松村委員 今、実績数を述べて、役立っているといいましたけれども、専門家が三月期決算を分析して、相当危険度の高い不良債権を抱えているのではないかというような指摘もあります。石原知事も認めるとおり、市中銀行は競って今は中小企業融資に乗り出しています。大体これはもう開業する前から私たちも委員会で、既に中小企業も、東京都がやろうとしているポートフォリオとか、そういう貸し付けはやり出しているんだということをさんざんいったんですけれども、そういう私たちの忠告といいますか、声には耳を傾けようとしていませんでした。今、既存の市中銀行は、まさに顧客争いを中小企業分野も行っているんです。
 一方、信用金庫や信用組合は、町場の中小企業と本当に密着して、かゆいところに手が届くような仕事をしているんです。どんどん職員を縮小する、業務を縮小する、それでそうした町場の、本当にこの間営々と努力を続けてきた信用金庫や信用組合と競争などできるわけがないというふうに思います。まさに新銀行の居場所などないではありませんか。
 我が党は、銀行は都のやるべき仕事ではない、中小企業支援というならば、政策的な制度融資をもっと充実させることなど、やるべきことがほかにあるということを基本に、今日の事態になることを追及してきました。私自身も、先ほどいいましたけれども、新銀行を所管した当時の財政委員会でこのマスタープランの問題点をただしましたけれども、当時の大塚出納長は、マスタープラン、これでうまくいくんだと、さんざんいい張ったんです。しかし、我々が指摘したとおりに事態は進んでいるし、こうした決算になることはわかっていたことなんです。これ以上延命させることは許されないと思います。一日も早く新銀行から撤退すべきだということを申し上げておきます。
 次に、これも都政がやるべきではない貸しビル業に手を出して破綻した一つが、産労局所管の東京ファッションタウンビル及びタイム二十四です。
 伺いますけれども、民事再生法適用の委員会報告の際に、産業労働局は東京ファッションタウンビルとタイム二十四ビルの事業収支を出しました。本日の資料として提出していただきました六ページの5です。この平成十八年度のところに、この二つのビルの事業収支の予測が出されていますけれども、これが平成十八年度、どういうような実績となっているのでしょうか。その関係を報告してください。

○塚田総務部長 東京ファッションタウン株式会社と株式会社タイム二十四は、平成十七年度に株式会社東京ビッグサイトに吸収されております。
 したがいまして、その後につきましては、株式会社東京ビッグサイトとして総体で事業実績を公表しているところでございます。

○松村委員 十七年度といっても、十七年度のぎりぎり末なんですね。予算委員会も終わって、本当に突如として出された。我々もびっくりいたしましたけれども。
 そうしますと、我々はもともと自治体が東京ファッションタウンビルやタイム二十四ビルなどの貸しビル業に手をかすべきではないという立場でしたけれども、そして、結果的に破綻したわけですけれども、それでも、今、答弁があったとおりビッグサイトに吸収されて、引き続き事業を継続しているんですよね。しかし、その事業実績は、もはや議会の場では把握できる状態ではないということになってしまうんですよね。やはりそれは私はおかしいと思うんです。
 そこで、さきの九月十五日の経済・港湾委員会では、同じ臨海三セク、これは今度、臨海ホールディングスに統合されるわけですけれども、その報告では、地方自治法の規定による報告の義務の有無にかかわらず、グループの経営状況について毎度議会に報告するということを産労局はいっていますよね。
 従前から議会の報告になっていた東京ファッションタウンビル、タイム二十四ビルについても、ビッグサイトに吸収合併されたとはいえ、事業収支予測に基づいて実績を報告できるようにすべきではないんですか。どうでしょうか。

○塚田総務部長 株式会社東京ビッグサイトにつきましては、これは監理団体でございますので、東京都監理団体等運営状況によりまして、議会に報告しております。これは、賃貸事業収入もその項目に入っております。したがいまして、また今後につきましても適切に報告を行ってまいります。

○松村委員 すり変えるというか、いっていることは、この二つのビルの十八年度までの収支報告、予測が出されているんです。その後、どういうふうな実績になっているのか、それを明らかにしてほしいと。ビッグサイトの総体としてではないんです。しかし、ご答弁になりませんけれども、議会にもやはりきちっと報告すべきだ。経営状況を報告すべきだということを強く主張すると同時に、やはりこういう貸しビル業は東京都のやるべき仕事ではありません。一日も早くやめるべきことを強く申し上げておきたいというふうに思います。
 さて、石原都政八年間、中小企業対策費、これも提出資料、これは一ページの1で出されております。これを見ても、これは十年間で平成九年から出ておりますけれども、ずっとこれは下がりっ放しですよね。決算もそうです。そして、二〇〇六年、この平成十八年度決算額も、今や二千億円台を割る寸前までの状況となっております。
 これまで、石原都政となって二度にわたる財政再建プランで、財源不足だ、財源不足だ、赤字団体に転落してしまう、そういうかけ声で都民施策を切り捨てに切り捨てることを強行してきましたが、私も長年財政委員会におりましたけれども、しかし、結果的に見れば、毎年三千億円の財源不足どころか、三千億円以上も増となっていたのです。財政は本当にあるんですから、少なくとも以前の水準に回復する意気込みで私は産労局も取り組んでいただきたいというふうに思うんです。
 そこで、その一つとして、商店街支援事業について伺いますが、この主なものは、新・元気を出せ商店街事業であります。これ、皆さん、決算書をきょうお持ちではないかと思うんですけれども、決算書の四二ページに、地域商業活性化、この予算現額と支出済額、不用額が出されておりますけれども、不用額が四億二千八百六十万円余出ておりますよね。これ、執行率は八三・五%となっていますが、この理由を伺います。

○三枝商工部長 不用額の主な要因でございますが、新・元気を出せ商店街事業におきまして、天候等の影響によるイベント事業の中止など、補助金の交付決定額と実際に支出をいたします確定額との間に差が生じたためでございます。
 なお、地域商業の活性化につきましては、平成十七年度の執行率は六〇・七%でございましたが、平成十八年度におきましては、新・元気を出せ商店街事業に新規事業を創設するなどして、執行率を八三・五%まで改善したところでございます。

○松村委員 これは本当に要望の強い、本当に商店街を応援するというか、目玉というか、唯一、これはもう党派を超えて、そういう商店街の強い要望で、繰り返し出されている問題でもありますけれども、やはりせっかく獲得した予算ですよね。やっぱり都民の立場、関係団体の立場から見れば、四億二千万円余も使い残しというか、不用額が出ている。もったいないというか、もっとそれだったら我々は要望を出したいということで、さらに、今、今年度は前年度に比べて八三・五%も執行率が上がっているんだという話がありましたけれども、例えば追加で募集するとか、なぜそういうことができないんでしょうか。それは今までも、初めて指摘することではなくて、前にもそういう不用額が出たときに、具体的にこういう事業を我々申請している、予算やそれがあるんだったら出したいということは、たくさん私たちは聞いているところですけれども、この点についてはどうでしょうか。

○三枝商工部長 ただいまの新・元気を出せ商店街事業の補助金につきましては、事業の執行後、額の確定が年度末になりますことから、所要の追加はできないものと考えてございます。

○松村委員 できないなんていい切っちゃっていいんでしょうかね。例えば、皆さん方だって、議会に出ていて、最終補正で、何で今からこんな補正をやっているんですか、予算はもう使えないじゃないかと。当然繰越明許とか、いろんなことをやるわけです、契約を結んでですね。そういうことだって、私はできないことはないというふうに思いますよ。なぜそういうところまで踏み込んで、財務とも相談して、少しでも--今、商店街の実情は本当に厳しいものがありますし、こういう事業をやってくれたと評価しつつ、やっぱりもっとふやしてほしい。ある予算をもっと使ってほしい、そういう立場から臨んでいただきたいというふうに思います。ですから、もっと工夫して--私は応援する立場からいっているんです、やってほしいということを強く述べておきます。
 次に、区市町村が作成した商店街振興プランがありますよね。これに基づいて、いろいろ東京都も区市町と一体になって事業に取り組んでいる、そういう大事なプランですけれども、これがつくられたのは、ほとんど二〇〇一年、二〇〇二年で作成されておりまして、既にその見直しの時期に来ているとも思います。
 我が党都議団も、例えば大阪府に調査に行って、あそこは本当に商業の町というか、やっぱりすばらしい取り組み。予算も、東京都の予算よりも半分ぐらいですか。しかし、東京都の商工業予算の、今、私、手元に資料がないので、確かなことをいえませんけど、倍以上というか、相当やっているという取り組みを私たちもぜひ勉強したいと思って、大阪府を訪ねたところ、こうした振興プランについては、大阪府の場合は、中小企業診断士、それから商工会議所、大学の先生、NPO、建築士など、さまざまな専門家を、商店街等活性化マネジャー、お助け隊として年間五回、複数派遣し、十年間程度の先を見通した方策を検討して具体化しているという話を聞きました。また、対象も、商店街だけではなく、業種別組合へも支援をしている。
 それから、商店街等魅力向上促進事業としては、一店一品づくり。つまり、目玉ですよね。一つの目玉づくり。それから、消費者に信頼される店づくりなど、経営改善やまちづくりの視点から取り組む先導的なソフト事業も支援しているんです。そしてまた、そうしてつくられた、検討した事業のプランを具体的に支援する事業の展開とか、今後の商店街の活性化を恒常的にするための商店街などのリーダー養成事業、そしてまた、それぞれをステップアップしていくような体系になっていたので、本当に我々もびっくりしたわけでありますけれども、やはりそういう全国のというか、今は大阪を紹介したんですけれども、やっぱり先進例を生かすようなプランづくりを行って、これはもちろん区市町が、これまでの、前のプランも区市町が中心になってつくりましたけれども、そういうのを促して、東京都もさらにそれを支援していくようなことを進めるべきではないかというふうに思うんですけれども、今の大阪府の事例も含めて、どうでしょうか。いかがお考えですか。

○三枝商工部長 平成十三年四月に発表いたしました区市町村商店街振興プラン作成に関する指針におきまして、区市町村が策定する振興プランの方向性を示したところでございます。本指針では、区市町村の主体性を最大限尊重するとしてございまして、プランの改定は策定主体である区市町村がみずからの責任において行うべきものということでございます。
 都は、これまでも、本指針に沿いまして、区市町村のプランに基づいた商店街の活性化に向けた取り組みに対しまして支援を行っているところでございます。
 なお、先ほど個別の商店街の計画づくりのお話がございましたが、個別の商店街の計画策定に当たりまして、具体的な支援といたしましては、中小企業診断士や税理士ですとか専門家が商店街に赴きまして、商店街の活性化を無料でサポートする専門家チーム派遣事業を用意しているところでございます。

○松村委員 幾つか個別的な問題も伺いたいと思うんですけれども、私も地元にいろいろ入って、どういう取り組みを考えられていたり、支援したらいいかということを、いろいろ話を伺う中で、一つには、商店街運営の地場野菜即売会。私、練馬なので、後で都市農業も触れたいと思うんですけれども、農産物があるんですよね。そういう地場野菜の即売店を設置したら、それに対する補助制度などを、第一義的には区に、そして都も支援してくれないかというような要望がありました。
 生鮮三品を取り扱う店の減少が商店街の衰退に本当につながっているんですね。私のいつも通う駅のところの本当ににぎわっている商店街、そこの中心はやっぱり八百屋さんなんですよ。その社長さんは、私の店は本当に練馬で一番売り上げが多いんだ、見てくれ、この野菜というんです。すごい品ぞろえに努力していて。だから、相当遠方からも来てくれて、私の店がつぶれたら、松村さん、この商店街なくなっちゃうよ、私はそういう意気込みで、商店街全体のためにも頑張っているなどという話も聞きました。
 ぜひそういう商店街運営による、これは何も練馬だけの問題ではなく、東京にも各商店街に、そういう八百屋さんがないところの商店街にも、そうした地場野菜即売店などが設置できるような援助があれば、私は商店街の活性化につながると思いますけれども、そういう考えというか、それも一つ、新・元気を出せの中に取り入れるなり、新たな制度をつくるなり、検討してみてはいかがでしょうか。

○三枝商工部長 ただいまのお尋ねでございますけれども、新・元気を出せ商店街事業のメニューの一つでございます活性化事業によりまして、例えば空き店舗を活用するなど、地場野菜販売を支援すること等は可能でございます。

○松村委員 可能性があるということで、そういうことも含めて、いろいろそういう実りのある事業が展開できるように、今後とも努力していただきたい。そういう支援といいますか、当局としての役割を果たしていただきたい。
 もう一つは、販売促進機、これは綿あめ機だとか、かき氷機、それから、ポップコーンですか、商店街がイベントをやるときに、そういうのをよく使いますよね。これが更新期というか、割と従来からがたぴしのを使っている。ただ、これを買いかえるといっても、ばかにならないんだということで、それに対する補助の支援ということも要望を受けたわけでありますけれども、これに対する考え方はどうでしょうか。

○三枝商工部長 イベント事業は補助金による支援でございますことから、最も経済的な方法で実施をしていただくことが前提となってございます。このため、イベント等で活用する各種設備機器等につきましても、レンタルによりご準備いただくことが合理的でございまして、設備機器の購入に対する支援等は考えてございません。

○松村委員 ちょっと冷たいというか、レンタルといっても、やはりそれはその都度というか、空き店舗だとか、そういうイベント事業の会場に置けば、今いった適用が可能になるんじゃないでしょうか。余りしゃくし定規にいわないで、今の皆さん方がつくった制度の規定があるから、それを勝手に変えていいとはなかなかいかないし、あれですけれども、もう少し幅広く、本当にさっきの不用額じゃありませんけれども、そういうところも含めて活用すれば、もっとイベントで準備して、それが取り組みが間に合わないから、なかなか新たなイベントができないとかいうことじゃなく、この貴重な新・元気を出せが使えるわけですから、これもぜひ前向きに検討していただきたいと思います。
 それから、もう一つ、商店街の街路灯に対する電気代の補助ですね。これもやっぱり要望が物すごく強くて、だんだん本当に商店街が少なくなると負担が重くなって、やはり商店街の街路灯が消えたら--これは商店街のためだけじゃないんですね。地域全体のそれこそ安心・安全というのに役立っていますし、だからやはり二十三区でも、ほとんどがというか、何らかの形でそういう電気代補助に今乗り出しているわけですけれども、やはりこれは共通していますし、そういうのを東京都が補助すれば、その分、区市町は、もっとほかの商店街応援にだって回ることができるんですから、財政力のある広域自治体としての--これはそういう意味では共通しているんですから、電気代、どこかで都区が違っちゃうというんじゃないんですから、ある基準を設ければできると思いますので、これについては要望しておきます。
 もう一つ、個別的な最後ですけれども、道路、それから空閑地、この適正利用、名前はそういうふうに聞いたんですけれども、これ何ですかといったら、やはりイベントを行うときになかなか苦労しているというんですね。ところが、見ると、都の所有地の未利用地や、そういうのがあるんですよ。だから、そこを使いたい、こういう事業があるといっても、なかなかそれは手続的にもやっぱり借りられない。もっとそういう適正利用というか、商店街の事業が本当に取り組めるような応援をしていただきたいということなんですけれども、これについてはどうでしょうか。

○三枝商工部長 区市町村や商店街から都有地の利用についてお尋ねがあった場合には、従来より、十分にお話を伺います一方、当該都有地の貸し付けについては、さまざまな制約がございますことから、それぞれの所有地を所管する部局にその情報をお伝えしているところでございます。

○松村委員 ぜひ具体的な実情もつかみながら、関係局とも連携しながら、商店街振興として産労局も努力していただきたいというふうに思います。
 次に、都市農業について伺います。
 本決算年度の十一月に東京都都市農業検討委員会報告書、貴重な都市農地の保全に向けてが発表されました。そこでは、東京における都市農地の意義について、地場産業や地域の活性化に貢献している農業生産機能、ヒートアイランド現象の緩和や地下水涵養、資源循環などの機能、さらには防災、レクリエーション、コミュニティ、教育、景観形成など、私も本当に改めて、やはりすごい役割、機能を果たしているんだなというふうに、この報告書を読んで感心したんですけれども、そういう役割、機能がこの報告書では明らかにされています。
 同時に、この報告書では、その農地が毎年減少を続け、平成十七年までの十三年間で、七千四百四十六ヘクタールから五千百十四ヘクタール、実に三一%も減少していることを明らかにしています。二十三区で最も農地が多い練馬区では、農業委員の方も、日々どんどん農地がなくなっている状況だというようなことをいっておりました。今や東京の農地をどう保全するかは、都政にとっても重要課題です。
 そもそもこうした事態に至ったのも、市街化区域においては農地をすべて宅地にすべきだなどという、これはアメリカなんですよ、アメリカの対日要求によるプラザ合意がもたらしたものです。我が党は当然反対してきましたけれども、また、農業関係者などの奮闘によって、生産緑地制度によって辛うじて維持されてきておりますけれども、それも過酷な相続税などの税制によって、どんどん失われていく状況にあります。
 報告書も、都市農地を都市に必要な農地として位置づけるべきだとしておりますけれども、都としても、農地を都市に要らないものとした過去の誤りを正すべき立場に立ち、やはりそういう都市農地の位置づけをはっきりさせるべきだというふうに思いますけれども、所管局としての認識を伺います。

○産形農林水産部長 東京の都市農業は、新鮮で安全な農産物の提供など、重要なものでございます。
 また、都市農地でございますけれども、おっしゃられましたように、さまざまな機能を持っております。しかしながら、現行の農地制度や税制度のもとで、都市農地は年々減少し続けております。東京都としても、この都市農地の保全には努めてまいりたいと考えております。

○松村委員 税制上の問題など、国へ要望を出すと同時に、都としてもやるべきことは積極的にやるという立場に立っていただきたい。
 そこで、生産緑地は、固定資産税、都市計画税、減免されておりますけれども、生産緑地以外の農業用施設用地、例えば、農機具を置くところとか、屋敷林だとか、そういうところの固定資産税、都市計画税、これについてはどうなっているというか、やはりこれは東京都の権限--例えば、今、商店とか小規模宅地については、いろんな経済事情から、ずっと減免制度、議会の同意というか要望によっても続けていますよね。これだけ都市農業が重要だというならば、ただ生産緑地だけのそういう税の軽減だけではなく、これは税法上からやられていると思いますけれども、それ以外対象とならない農業用施設、それについても、どうなんでしょうか、都市計画税、特に固定資産税ですね、やはり積極的な負担軽減を図るべきだというふうに思いますけれども、これについてはどうでしょうか。

○産形農林水産部長 固定資産税につきましては、二十三区では主税局、区市町村ではそれぞれの区市町村が所管しておりますので、ちょっとこの場で私が答える立場にないと考えております。

○松村委員 東京都の本当に都市農業を守る、農業者を励ます意味でも、これは所管局でないとしても、それはやっぱり都市農業を所管する立場の皆さん方が、主税局というか、税務当局とよく相談して、どういう方策があるのか、応援できるのかを、私は研究というか、やっていただきたい、そういうことを求めているんですよ。ぜひ応援、これは繰り返しいってもわからないというか、そういう働きをしなければ、やっぱり税務当局だって、判断が動かないというふうに思いますよ。
 それから、もう一つは、今、例えば練馬にはまだ農業委員会があります。私もかつて区議会議員時代には農業委員もやったことがありますけれども、その当時から、やっぱり相続絡みで買い取り請求がたくさん出されておりましたけれども、最近の状況が来ても農業委員会をやるたびに買い取り請求がすごいんですよね。それが結局できない。それで、それを解除する。そういう議案が本当にどんどん出されている。だから、どんどん、日に日に農地が練馬の場合なくなっていくと農業委員がいわざるを得ないような事態なんです。
 買い取り請求が出されて、じゃ、練馬の場合などは、自治体で買ったケースはあるのかというと、ほとんどないんですね。大体、そこにたまたま何か区立施設をつくろうとかいう予定があったならば、もちろんやるんでしょうけれども、ほとんどない。東京都の場合を聞いてみても、そこに公園とか張りついていたりする隣地が買い取り請求が出た場合には、道路とか公園として買うケースはあるけれども、それ以外にはほとんどないということなんですけれども、やっぱり意思というか、意欲はあるんですね。
 後で紹介する練馬の場合には、区立農業公園というものをつくっているんです。それはそういう生産緑地の買い取り請求が出ていたのを区が買って、農業公園、公園なんですけれども、開放しているんです。しかし、やはり多額の財政負担が伴います。やっぱり広域自治体として、一方、多摩などの緑地に対しては緑地保全基金ですか、そういうのをつくって応援しているというふうに思いますけれども、都市農業を応援する意味でも、そういう買い取りのための自治体を応援する、支援する基金とか、そういう制度を設けるように求めたいと思いますけれども、この点についてはいかがでしょうか。

○産形農林水産部長 生産緑地の買い取り請求につきましてでございますけれども、これは都市整備局の所管でございますので、まことに申しわけございませんが、答えられませんので、よろしくお願いいたします。

○松村委員 都市農業を保全していく、さらに、支援していくという立場なら、所管局からも、今いった要望書の中身は理解していただけると思うので、そういう立場から応援して、働きかけていただきたいというふうに思うんです。
 といいますのは、例えば、市民農園と、それから二十三区だったら区民農園があるんですね。本当に私もわかりづらい。市民農園と区民農園、どういう違いがあるかというと、市民農園というのは、生産緑地を農園にしているんですね。しかし、その方々が借りて市民農園にしても、それは買い取るということを前提として市民農園にしてもらっているんですね、相続が発生したりとか、その農地をやめる場合。ところが、そういう財源がないから、市民農園というのはなくて、今いったみたいに区民農園という新たな制度なんですね。
 この区民農園というのは、いつまでも保全できるという保証はないんです。市民農園だったら続けられるんですけれども、これがほとんど今ではやってないということからしても、市民農園とか、そういう役割は大事だという皆さん方の立場でしょうから、そういうためにも今のそういう買い取りを、将来とも市民農園がもっともっとふえて、安心してそういう制度が拡充できるように応援してやってほしいということを要望しておきます。
 そこで、もう一つ、練馬区には区立農業公園があるという話をいたしましたけれども、これは本当に大変評判いいんです。しかし、残念ながら、財政状況のもとで、一つしかないんです。これは恐らく練馬だけだろうというふうに思うんですね。もっともっとこういう制度が東京全体に広がったらいいというふうに思うんですけれども、そのためにはやっぱり、これは区立農業公園ですから、都立農業公園というのがあっていいというふうに思うんですね。だから、先ほど東京都の買い取りも、そういう立場から、区立農業公園として位置づけて、皆さん方の事業としてやられる。都立ですよね。これだったら、お答えというか、やらないとか、検討するとか、答えられると思うんですね。それは都市整備局じゃないというふうに思うんですけれども、どうですか。

○産形農林水産部長 農地でございますけれども、農業者の皆様が農業振興のためにも農地を保全することが第一であるというふうに考えてございます。

○松村委員 農家の方が農地を保全するのが第一番だというのは、それはそうだと思いますけれども、それがだんだんそうじゃなくて、今の本当に間違ったというか、当時の、しかもアメリカの対日要求によってこういう事態を招いて、しかも、皆さん方、それに乗ったといったら失礼ですけれども、そうなってきたわけでしょう、だって、市街地にはもう農地は要らないという立場に一たんは立ったんですから。ところが、今は違うんでしょう。やっぱり都内というか、市街地の中にも農地が必要だ、そういう都市計画の位置づけをすべきだという立場に立っておられるんですから、ただそれは農家の問題だということじゃなく、やっぱり行政がきちっとした仕組みづくりなどを行うべきだというふうに思います。
 もう一つ、農業体験農園がふえていますよね。これも聞きましたら、練馬区から提案して、農業体験農園になっていったそうでありますけれども、後継者がいない、そのために大変大きな労力を補って農地を守る。その一つの大きな支えの方策として農業体験農園は非常に重要だというふうに思うんです。農業体験農園に対する支援としては、一定のそういう補助の枠組み、例えば、仕切りをするとか、トイレをつくるとか、そういうのをやっておりますけれども、さらに私は一歩進んで、もっとこの制度が広がるような支援体制、制度をつくるべきだというふうに思いますけれども、その考えはおありですか。

○産形農林水産部長 都は、生産緑地を対象に、農業体験農園の開設に必要な休憩施設、トイレ等の整備等につきまして補助を行うことで整備を進めております。また、農業改良普及センターでも、栽培過程などについても指導を行っておるところでございます。

○松村委員 援農ボランティアも非常に期待されている制度だというふうに思いますし、この制度をもっと充実すべきだというふうに思いますけれども、現在の取り組みと、さらにその援農ボランティア派遣制度を拡充するということについては、どうでしょうか。

○産形農林水産部長 援農ボランティアにつきましては、農林水産振興財団で養成講座を実施しております。また、農業者に援農ボランティアを紹介している区市町村に、認定状況などの情報提供も行っております。

○松村委員 もっともっと広げていただきたいと思いますね。都民はそういう意識はありますよ。このところの最近の新聞を見ても、例えば、農に対する要求だって、団塊の世代もふえておりますよね。国もいろんなそういう振興のための自治体と手を結んだ制度などに乗り出す、そういう状況もあると思いますけれども、やっぱり東京都としても、そちら任せじゃなくて、東京都の直接の制度としても、援農ボランティア派遣制度をやっていただきたいというふうに要望しておきます。
 いろいろありますけれども、もう最後にします。
 農業従事者は、今、大変高齢化しておりますよね。大半が六十歳以上だ。ところが、農業者に対する融資が六十歳までと聞きます。もう少し実情に合ったように引き上げるよう改善することを求めたいと思うんですけれども、この点はどうでしょうか。

○産形農林水産部長 融資制度の基準は国が策定しております。また、高齢者でも、一定の条件ということで、六十歳以上で後継者がいる場合は、そういう条件を満たしていれば、融資は可能となっております。

○松村委員 その後継者がいないんですよ。でも、やはり頑張って、いろんな機具を買いかえたいとか、少しでも先ほどのような形の取り組みをしたいという場合には、本当に今は生産力が低いわけですから、そういう資金も要るわけです。これは国が決めているというけれども、ぜひその実態を把握して、改善を要望してくださいよ。場合によっては、東京都の独自の農業融資というものをつくってもいいのではありませんか。このことを要望しておきます。
 最後に、アニメ産業の支援について伺います。
 新聞でも大きく報道されましたが、十月十三日に、アニメ制作現場の労働環境を改善しようと、アニメーターや演出家が日本アニメーター・演出協会を設立しました。設立の提案には、私、これも持っているんですけれども、アニメーターたちの本当に貧しさの現状が切々と訴えられています。働き盛りのテレビの絵コンテを仕上げる人、これは一年間休みなしで仕事をしても、そんなことはあり得ないわけですけれども、一週間で七万円、一カ月で二十八万円、年収で三百三十六万円。これでは、本当に結婚して子どもも成長させられない。それから原画マン、これは一カ月三十日、これも休みなしで働いても、月収十八万円、年収が二百十六万円というんです。さらに、全アニメーター中、二〇%から三〇%の方が年収百万円前後で苦しんでいる。月収にして六万から十万円程度だというんですね。でも、本当にアニメに対する情熱で仕事を続けているというんです。
 だから、十年以上もアニメーションにあこがれて、難関を突破してこの業界に入った彼、彼女たちは、入社から六カ月で五〇%、十二カ月で七〇%以上が業界から去っていく。これが毎年繰り返されているんだということが、この設立提案の中に載っております。ぜひ皆さん方も読んでいただきたいというふうに思うんですけれども。
 そこで伺いますけれども、都は、アニメーターたちの置かれているこうした現状をどう認識されていますか。

○松本雇用就業部長 アニメ産業従事者につきましては、その多くが作品ごとの請負であるなど、一般の雇用労働者としてとらえられない面がございます。下請構造の中で、これは東京都の産業振興基本戦略でも明らかにされておりますけれども、必ずしも適正な報酬を得る仕組みが整っていない状況にあると認識しております。

○松村委員 認識はそうですけれども、東京都は、率直にいって、そのアニメ産業についての実態すらつかんでいないというふうに私は思います。例えば、東京都産業労働局は、二〇〇七年七月に、東京の産業と雇用就業二〇〇七、これを発表しましたよね。その中のコンテンツ産業の分析では、どういうあれを載せているかというと、事業所や金融統計調査から抽出して、それを載せているんですね。だから、例えば、その資料が、何年度版でしたっけ、もう三、四年前の古い、そういう統計書を使って出しているにすぎないんです。
 これでは、東京都は「十年後の東京」で、国内最大の消費地であり、メディアが集積しと、アニメを位置づけていますよね。これも絵にかいたもちにすぎなくなってしまうのではないですか。アニメ産業の実態調査をすべきと思いますけれども、いかがでしょうか。

○松本雇用就業部長 先ほどご答弁申し上げましたように、産業に従事されている方、業務請負の形で従事されている方が多いというようなことでございまして、私どもとしては、賃金を受け取っているといっても、それが請負契約の対価として受け取っているのか、あるいは、雇用者として受け取っているのか、その辺も調べながらということになると思いますので、一律の調査の実施はなじまないものと考えております。
 なお、アニメ産業の実態につきましては、従事している方々の状況も含めまして、国の方で、例えば労働政策研究・研修機構等の調査研究等の情報も、ある程度明らかにされております。

○松村委員 労働の実態を調査するのはなじまない、それから、ほかの研究所でやっている。でも、これは知事が所信演説で、例えば二〇〇一年、アニメを新しい文化産業として振興を図るとか、二〇〇二年の施政方針演説では、積極的に育成を図っていきたいと。そしてまた、今いった「十年後の東京」でも、皆さん方、これをこれから具体化するんですよね。そこには、先ほどいいましたけれども、アニメの東京への集積を生かして、国内外からの多様な人材が集まる東京の特性で、アニメコンテンツ産業を育成していくといっているんですよ。だって、そういう実態を都みずからがつかまなければ、どうして育成だとか、そういうあれが出せるんですか。そのことを私はいいたいんですよ。本当にアニメ産業の実態を調査すべきです。
 そしてまた、先ほどのこうしたNPO法人を設立して、賃金アップや残業代の支給、社会保険制度の適用などを業界に訴えていこうという並々ならぬ決意を、本当にしているんですよ。そういうところに東京都として産業育成、アニメ制作技能向上に向けて努力していく、それに対する支援が私は求められているというふうに思います。強く要望して、終わります。

○石川委員長 この際、議事の都合により、おおむね十分間休憩いたします。
   午後二時四十九分休憩

   午後三時開議

○石川委員長 休憩前に引き続き分科会を開きます。
 質疑を続行します。
 発言を願います。

○石森委員 それでは、先ほど若干の議論がございましたけれども、私からも、農業振興について何点かお尋ねしたいと思います。
 まず、獣害対策についてでありますが、近年、都内で農産物に対する野生獣の被害が問題となっております。本日の資料の中にも、被害と獣害の防止対策の状況をいただいておりますけれども、私の地元の八王子市においては、平成十四年に、ボランティア組織、追い払い駆除隊を結成して、現在に至るまでには、多くの猿、イノシシ、これらを追い払い、また、捕獲をして、農産物の被害も、少しずつではありますけれども、減少傾向にございます。ただ、これも猿、シカの状況でございまして、この資料を見れば、被害金額等載っておりますのでわかりますけれども、それ以外のものについては、八王子においてそうですけれども、東京都全体でも被害がふえているというような状況にございます。
 ただ、そういった中で、八王子なんかでもかなり捕獲、駆除をして、被害を減らしているというような状況にありますが、十四年度と比較をして十八年度においては、捕獲の状況はどうなっているのか、その辺をまずお聞きしたいと思います。

○産形農林水産部長 主な野生獣について、平成十四年度と比較した十八年度の状況を、捕獲頭数についてお答えいたします。
 まず、猿についてでございますが、捕獲頭数が八十二頭で二倍に増加しております。また、イノシシの捕獲頭数は二百七十四頭で、一・六倍に増加しております。ハクビシンの捕獲頭数につきましては三百四十七頭で、七・五倍に増加しております。
 以上でございます。

○石森委員 ハクビシンの捕獲頭数がかなりふえている、そんなお話でございましたけれども、被害が拡大している中で、都では多摩地域の野生獣による被害を軽減するために、平成十二年度に東京都獣害対策基本計画を策定いたしました。この計画に基づいて、野生獣との共生を図りながらも、追い払い、捕獲、駆除を実施して、これまでにも効果的な獣害対策がとられてきたと思います。その後、計画年数の五年が経過して、この決算、十八年度においては、第二次基本計画が策定されたところでありますけれども、この二次の計画と一次との大きな差といったものは、どんなものなんでしょうか。

○産形農林水産部長 第二次獣害対策基本計画、これは平成十八年度から二十二年度までの五カ年を計画期間としております。第一次計画を策定いたしました平成十三年度以降、当初余り被害を及ぼさなかった野生獣によって新たな被害が発生するとともに、ほぼ多摩の山間地域に限られておりました被害が、他の地域にも見られるようになってまいりました。
 そこで、こうした多様な被害に対応するため、獣害防止対策の対象となる野生獣を日本猿、シカのほかに、イノシシ、ハクビシン、アライグマ、台湾猿にも広げるとともに、対象地域を農林業が営まれている都内全域に拡大いたしました。

○石森委員 第二次計画において獣害対策により積極的に取り組む方向が示されたことについては高く評価いたしますけれども、計画がつくられただけでは意味がないわけで、野生獣による被害状況を踏まえて、この計画に基づいて具体的にはどのような事業展開を図っているのか、この辺をお伺いいたします。

○産形農林水産部長 従来は、野生獣を畑に入れないことや近寄らせないことを主眼として、ネットフェンスなどを設置する加害獣侵入防止対策事業、また、猿に電波発信器を装着して、近づいてきた場合に追い払う警戒システム整備事業を実施し、区市町村が行う獣害防止対策を支援してまいりました。
 しかし、効果的に農作物被害を防止するには、侵入防止や追い払いだけでなく、捕獲、駆除も必要なために、平成十八年度から新たに有害鳥獣捕獲支援事業を実施しているところでございます。これらの事業の実施に当たりましては、地域の実情に応じて的確な獣害防止対策が図れるよう、区市町村の要望の把握に努めております。

○石森委員 東京の農業、特に中山間地域の農業を守る、そういう上では、この獣害対策、大変重要な部分でもございますし、また、野生の動物ということもありまして、長期的な取り組み、これも必要かと思います。今後とも区市町村と連携をして、きめ細かな獣害防止対策事業が充実するよう、要望しておきたいというふうに思います。
 続いて、都市農業の振興についてお尋ねをいたします。
 私ども自民党では、都市農業の振興あるいは農地保全を図るために、定期的に農業者、特に若手経営者の皆さんと意見交換会を実施しておりまして、議連の会長には遠藤議員がつかれて、中心的な役割を担っているところでございますけれども、先日開催した会議で最も集中した課題の一つに、都市農地に関する相続税制度、これがございました。先ほども若干の議論がございましたけれども、相続が発生した場合には、相続税納税猶予制度が適用されますが、条件が厳しくて、現在の農業者のうち約半数は営農が困難との調査結果が出ておりますし、農地の保全に向けては早急な制度改正が必要とされております。
 都におきましても、現状認識は十分されていると思いますが、都市農地に関する相続税制度に対しての考え方、そして、これまでの国に対しての働きかけ、これはどういうことをされてきたのか、お聞きをしたいと思います。

○産形農林水産部長 都市農地を保全していくためには、国において、大都市でも農地が存続できる政策への転換と、相続税制度の改善を図ることが必要であると考えております。
 このため、国に対して、市街化区域内農地の相続税制度の改善について、これまでも繰り返し提案を行っております。今年度は、都市農地を積極的に保全していくため、農地と住宅地が共存共栄できる政策への転換及び生産緑地制度と相続税制度の改善措置について、六月に都の重点事項として国に提案要求を行いました。
 今後とも、制度改善を強く国に求めてまいります。

○石森委員 この制度改正については、本当に多くの農業者の願いでもございますので、これは引き続き実現に向けてご努力をお願いしたいと思います。
 また、数年前に農業基本法が改正されて、国に対しては都市農業振興に必要な施策を講じるよう義務づけられたところでありますけれども、依然として都市固有の問題点は数多くありまして、農地の減少や、離農する農業者に歯どめがかからない、そんな状況下にございます。
 そのような現状を踏まえて、都としては、十八年度において、都市農業検討委員会、これは私ども自民党が提案してつくられた委員会でございますけれども、これを設置をして、農地保全のための制度、税制について検討し、ある一定の方向性が示されました。この委員会の報告を受けて、どのような事業展開に結びついたのか、その点をお聞かせいただきたいと思います。

○産形農林水産部長 都市農業検討委員会の報告では、都が取り組むべき施策のあり方として、農業者の意欲的な経営展開への支援、労働力が不足する農家に対する支援、都市農地保全に向けた都民と農業者との連携の推進などの課題が挙げられております。
 これらを踏まえまして、都は、新たに農業者の意欲的な取り組みを引き出すための研修を実施しております。また、労働力不足になった場合でも経営を継続できる農作業受委託の仕組みづくりと、農地と住宅地が共存共栄したまちづくりの実現を図るためのガイドラインの策定に向けた取り組みを現在行っているところでございます。

○石森委員 この委員会には若手農業者の皆さんも出席されて、さまざまな現場の意見が出されておりますが、特に後継者、担い手不足は深刻で、これは他の産業との所得格差が縮まらない限り、解決できないと思います。若い方が将来的に希望の持てる施策展開、これをお願いしたいと思いますが、若手農業者からも、農業は経営である、経営の研修を充実してほしいという声があった、そういうふうに耳にいたしました。新たにチャレンジする若い農業者にとっては、普及指導員の専門的な指導並びに支援は欠かせないところであります。
 農業改良普及センターについては、農業者に技術、経営支援をする機関でありますけれども、特に若手農業者や農業後継者に対し、都としてはどのような取り組みを行っているのか、お聞かせいただきたいと思います。

○産形農林水産部長 農業改良普及センターでは、農業後継者に対しまして、農業技術や経営方法を、講習や普及指導員の個別指導などにより習得できるフレッシュ・アンド・Uターン農業後継者セミナーを実施しております。また、企業的な経営や認定農業者を目指す意欲的な農業者に対しましては、優良な経営を行っている農業者や、農業以外の産業の経営者の事例が研究できる意欲的農業セミナーを平成十八年度から実施しております。
 今後とも、このような取り組みを進めるとともに、農業の試験研究機関等と連携を密にとり、農業者のさまざまなニーズに積極的にこたえてまいります。

○石森委員 農業者の減少というのは、東京だけに限らず、全国的な傾向としてあるわけでありますけれども、遊休農地対策の一つとして、団塊の世代に焦点を当てた農業セミナーを実施している、こういった自治体が実際にふえております。都としても、多様な担い手の育成事業を実施しておりますけれども、定年退職後、相当数の方が農業をしてみたいと望んでいるのではないかと思います。この事業をもっと積極的に進めて、定年退職後の皆さんにしっかり指導されて、そして、実際に遊休地で農業をしてもらうというような、そんな橋渡しまでしっかり東京都ですべきだと思うんですけれども、その辺のご見解をお聞かせいただきたいと思います。

○産形農林水産部長 農業に関心のある都民を新たな担い手として育成するため、援農ボランティア養成講座を開設しておりまして、これまでに千四百六十五名の援農ボランティアを認定しております。また、平成十八年度から、みずから耕作できる技術を持った人材を育成するため、二年間の農業研修を行う都民のための実践農業セミナーを実施し、現在、百二十名の研修生がおります。こうした取り組みで育成した多様な担い手を活用し、農地の遊休化防止と遊休農地の再生利用を図るため、現在、農地と担い手の情報収集に努めているところでございます。
 今後は、農地と担い手のマッチングを積極的に行い、遊休農地の解消に努めてまいります。

○石森委員 ぜひそういった努力をお願いしたいと思いますけれども、農業振興について何点かお聞かせいただきました。都市農業は、新鮮で安全な食の提供、そして、緑地、防災機能といった多面的機能、この重要性については局長も十分ご理解されていると思います。
 東京の農業振興に対する局長の決意を最後にお聞かせいただいて、質問を終わらせていただきたいと思います。

○佐藤産業労働局長 今、委員からもお話がございましたけれども、東京の農業、新鮮で安全な農産物を、都民、また消費者に提供するばかりではなく、農業体験学習の場としても活用されるとか、都民ニーズにこたえて、生活に密着した産業というふうな形になっているかと思います。
 また、その生産基盤であります農地につきましては、緑地、また防災空間などの多面的な機能を持っておりますし、快適で安全な都市環境を担う貴重な役割を担っているというふうに認識をしております。
 このように農業は東京にとって重要な産業でありますけれども、実態を見ますと、先ほどのご質問にもありましたが、相続税制度などを要因といたしまして、市街化区域内の農地が、ここ十年で千四百ヘクタールぐらい減るというような実態、また、農業従事者の四割以上が七十歳を超えているというような高齢化の実態とか、非常に厳しい実態にあるというふうに認識しております。
 そういう意味では、農業を持続的に発展させるものという認識に立ちまして、経営対策、担い手対策、農地保全、そして食の安全・安心、この四つの軸で、今後とも積極的に農業振興を図ってまいりたいと考えております。

○小沢委員 私からは、水辺地域の観光資源化について絞ってお伺いをさせていただきます。
 都は、昨年二月に東京の水辺空間の魅力向上に関する全体構想を策定し、来訪者にも居住者にも魅力的な水辺の都市空間を創造し、東京を魅力あふれる都市とするため取り組みを進めていくとしています。
 かつての江戸は、河川や運河が縦横に張りめぐらされ、まさに水の都と呼ぶにふさわしい水辺の大都市として発展をしてまいりました。河川や運河は、物流の手段として用いられ、日々、日本全国から物資が江戸の中心へと運ばれて、江戸の町の発展に大きく貢献をしてまいりました。この物の流れは人の流れを促しまして、江戸は水辺を中心とした観光客でにぎわう都市となったところであります。
 このため、現在でも多くの歴史的観光資源が、隅田川で結ばれた浅草、向島、両国、そして深川などの地域を中心として広がっております。しかしながら、いっとき、水質の汚染、そしてコンクリートによる護岸の整備などによりまして、都民が水辺に親しむ機会が減ってきておりました。ところが、近年になりまして、親水テラスの整備などが進むなど、水辺に親しむ環境が回復しつつあります。水辺において、地域のNPO等のイベントなどの取り組みが芽生えて、育ちつつあるところであると認識しております。
 そこで、お伺いいたします。こうした地域における自主的な活動を支援し、活性化を図ることが水辺のにぎわいの創出のために重要だと考えますが、都ではどのような支援を行っているのか、お伺いをいたします。

○中尾根観光部長 水辺のにぎわいを創出するためには、水辺を活用したイベントなどの地域の主体的な活動が広範な地域で活発に展開されることが重要でございます。このため都は、平成十八年度、地域が主体的な活動に円滑に取り組めるよう、水辺活用のノウハウや、水辺の活用事例等を掲載した水辺活用ハンドブックを作成し、水辺のイベント等に取り組む団体向けに情報提供を行っております。
 また、取り組み意欲を高め、ネットワーク化を図るため、地域の観光まちづくりの担い手や、地元自治体、学識経験者が参加するシンポジウムを行うなど、情報交換の場を提供しております。

○小沢委員 水辺のイベントの情報発信は、主催者のPRだけでは限界があると思います。実際、私ども、地元の地域で行われるイベントにつきましても、そこに住んでいる住民の方にすら浸透していない、このように感じることが非常に多いところであります。
 そこで、より多くの都民や旅行者が水辺に親しんでもらえるよう、都が積極的に情報発信を支援していくことが重要だと考えますが、これまでの都の取り組みについてお伺いをいたします。

○中尾根観光部長 水辺を活用したイベント等の集客を高めるためには、広く都民や旅行者に対して情報を的確に発信していくことが重要でございます。
 都では、ホームページ、東京水辺イベント情報を開設し、目的別、エリア別に整理して水辺のイベント情報を掲載するほか、リーフレットやポスターを作成するなど、内外に広く情報を発信しております。

○小沢委員 私の地元の墨田区を流れる隅田川周辺には、さまざまな歴史的な観光スポットが存在しております。さらに、二〇一一年には六百十メートルという新タワーの建設が決定しているところでありますが、そしてまた、隅田川のオープンカフェ、また天王洲の水上レストランなど、水辺の景観を楽しむための新たな試みが行われているところです。
 これら水辺周辺の観光資源をより多くの観光者が楽しめるような仕組みとして、水辺の観光ルート、こういったものをつくることが必要と考えておりますが、都ではどのような取り組みを行っておるのか、お伺いをいたします。

○中尾根観光部長 水辺空間に新たな人の流れやにぎわいを創出するためには、広域的な視点から、周辺に点在するさまざまな観光資源を有機的に結びつけ、回遊性を高めていくことが重要でございます。
 このため、平成十八年度、浅草・両国、芝浦・天王洲の二地域について、複数の区にまたがる広域観光マップを作成し、水辺観光のモデルコースを掲載するとともに、水上バスの船着き場や時刻表などの情報を提供しております。
 今後とも、地域や地元自治体と連携を図りながら、水辺の観光ルート開発に取り組んでまいります。

○小沢委員 昨年の三月の一般質問で、私もこの水辺空間の魅力向上について取り上げさせていただきました。そのときに、東京湾における観光資源を結ぶ取り組みとして、観光地をつなぎ、広域的な水辺空間の魅力向上を図ること、そして、地域間を結ぶ魅力ある舟運ネットワークを形成するなど観光拠点間の連携を促していく、さらには、横浜港や東京ディズニーランドリゾート、都県域を越えた新たな舟運ルートの実現に向けた検討を進めていくと、力強い当時の局長からの答弁をいただいたところでありますが、これらを着実に実行していただきたいとともに、これらの諸支援施策を実施するに当たっては、その効果の検証を行っていただきたい、このように思います。そして、歴史的観光資源や新しい観光スポットを結ぶ有機的な取り組みを求めまして、私からの質問とさせていただきます。

○菅委員 それでは私の方からは、障害者の雇用を促進させるための施策についてお尋ねをしていきたいと思います。
 昨年の四月に施行されました障害者自立支援法及び改正障害者雇用促進法によりまして、これまでの障害者施策の体系を抜本的に見直し、地域での生活や就労を進め、自立を支援していくという方向が示されました。
 現在、費用負担のあり方など、改めまして自立支援法の見直しというものが議論されておりますけれども、福祉から就労へという大きな流れは変わらないのではないか、こういうふうに思います。
 こうした中で、東京都では、昨年十二月に公表されました「十年後の東京」において、今後十年間で、東京における障害者雇用の三万人以上の増加を目指すということが打ち出されたわけであります。都においても、できるだけ多くの方が働くことを通じて自立を図れるよう支援を進めていく必要があろうかと、こういうふうに思っております。
 そこでまず、都における障害者の雇用率や就職状況についてお尋ねをしておきたいと思います。

○松本雇用就業部長 平成十八年六月一日現在の直近の調査によりますと、民間企業における障害者雇用率は一・四四%と、前年度から〇・〇四ポイント、着実に改善しておりますが、いまだに法定雇用率を下回っている状況にございます。
 また、都内における障害者の就職件数は、国の調査によりますと、平成十八年度で四千四百二件と、前年度に比べまして一〇・八%増加しております。

○菅委員 今部長さんの答弁によりますと、都内の民間企業においても、障害者雇用への取り組みは進んでいるということでございますけれども、より一層の障害者雇用を進めるためには、「十年後の東京」にも触れておられますように、障害者雇用に対する理解と関心を高めて、企業などの積極的な取り組みを支援することが必要である、こういうふうに思います。
 産労局では、昨年から障害者職域開拓支援事業を開始されました。また、この事業は、起業・創業、業務拡大に伴い、障害者を新たに雇い入れる事業について企業からの提案を募り、そしてまた、障害者雇用のモデルとなるような事業を認定して、その企業の運営を支援するというものであります。このような優良な事例を広く周知することを通じて、民間企業における障害者雇用の取り組みを誘発することを目的とする事業だ、こういうふうに伺っております。
 そこで、障害者職域開拓支援事業のこれまでの実績についてお尋ねをしておきます。また、この事業の成果を今後どのように生かしていくのか、この点についてもあわせてお尋ねをしておきます。

○松本雇用就業部長 障害者職域開拓支援事業につきましては、昨年度、六事業を認定いたしまして、事業の立ち上げに要する経費の補助や経営支援を実施いたしました。ことしの五月には、企業や就労支援機関を対象といたしまして、認定事業の取り組み状況について報告会を開催したところでございます。
 本年度も既に、地域密着型のタイ焼き製造販売事業と精神障害者等の雇用拡大のための配食サービス事業の二事業を認定いたしまして、支援を開始したところでございます。
 認定事業の中にはメディアに取り上げられる事業も出ておりまして、今後とも、これらの取り組みをリーフレット等にまとめて広く企業等へ周知するなど、企業に対する意識啓発に活用してまいります。

○菅委員 障害者雇用の増を達成するためには、雇用の場の拡大に加えて、また職業訓練により障害者の職業能力を高めていくということも大変重要だろう、こういうふうに思います。
 東京都では、東京障害者職業能力開発校や心身障害者職能開発センターにおいて、身体障害者を対象としたCAD製図、パソコン操作、簿記などの訓練や、知的障害者を対象とした倉庫管理や店舗の陳列管理等に関する訓練を実施しているというふうに聞いておりますけれども、より多くの障害者の職業能力の向上を図るためには、今後ともこの機能の一層の充実を図る必要がある、こういうふうに思います。
 そこで、平成十八年度の障害者職業訓練の実績状況をお尋ねしておきたいと思います。また、本年度からは一般職業訓練校での障害者訓練を開始したと聞いておりますけれども、この実施状況についてもあわせてお尋ねをしておきます。

○松本雇用就業部長 東京障害者職業能力開発校では、平成十八年度は、百九十五人の訓練生のうち百三十四人が就職いたしました。また、心身障害者職能開発センターでは四十二人が訓練を受け、そのうち三十七人が就職をいたしました。このほか、企業等を活用した短期の委託訓練も実施しており、十八年度は六百四十五人が訓練を受け、三百十七人が就職しております。
 さらに、ご指摘のように、本年度より、城東職業能力開発センター足立校におきまして、知的障害者を対象とした実務作業科訓練を開始いたしておりまして、現在、十名が訓練を受けております。

○菅委員 ぜひともそのような取り組みは継続していただきたいな、こういうふうに思います。
 十年間で三万人の障害者雇用を上乗せするというためには、これらの既存の取り組みを着実に行うことに加えまして、都庁内の関係部局やハローワーク、区市町村の就労支援機関等と連携を強めながら、あるいはまた経済団体等の協力を得ながら、障害者雇用に関する企業等の理解と関心を高めるとともに、企業の取り組みを後押しするような効果的な支援策を実施していくことが大変必要であろう、こういうふうに思います。
 産労局として、今後、関係機関との連携強化に向けてどのように取り組んでいくのかをお尋ねします。

○松本雇用就業部長 障害者就労の推進に関する関係機関の連携を強化するため、経済団体や企業、障害者就労支援機関等をメンバーとする東京都障害者就労支援協議会を設置し、今月の十二日に第一回の会合を開催したところでございます。今後、企業における雇用の拡大に向けて議論を深めてまいります。
 また、心身障害者職能開発センターにおきましては、国や地域の就労支援機関との連携により、企業合同説明会や雇用啓発セミナー等の事業に取り組んでおりまして、今後とも、同センターの就労支援機能の充実に努めてまいります。

○菅委員 いずれにしましても、十年間で障害者雇用を三万人増加させるということは大変な努力が必要だ、こう思いますし、法制度や国の支援に頼らずに、都としてもさまざまな施策を講じていくことが大変必要だろう、こういうふうに思います。
 都民の期待にこたえていただいて、いわば公約ともいうべき数値目標を確実に達成させるためにも、産労局としても今後ますます施策の充実をお願い申し上げたい、こう思いますし、また、民間企業の努力を後押ししていただくことを要望いたしまして、私の質問を終わります。
 ありがとうございます。

○石川委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○石川委員長 異議なしと認め、本件に対する質疑は終了いたしました。
 以上で産業労働局関係を終わります。

○石川委員長 これより都市整備局関係に入ります。
 初めに、過日の分科会で紹介できませんでした幹部職員について局長から紹介があります。

○只腰都市整備局長 過日の委員会を欠席させていただきました幹部職員をご紹介申し上げます。
 航空政策担当理事の河島均でございます。どうぞよろしくお願い申し上げます。
   〔理事者あいさつ〕

○石川委員長 紹介は終わりました。

○石川委員長 これより決算の審査を行います。
 平成十八年度東京都一般会計決算中、都市整備局所管分、平成十八年度東京都都営住宅等事業会計決算、平成十八年度東京都都営住宅等保証金会計決算、平成十八年度東京都都市開発資金会計決算、平成十八年度東京都多摩ニュータウン事業会計決算及び平成十八年度東京都臨海都市基盤整備事業会計決算を一括して議題といたします。
 本件については、既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○安藤総務部長 十月十日の当分科会で要求のございました資料につきましてご説明申し上げます。
 お手元に配布しております当局の平成十八年度各会計決算特別委員会第三分科会資料の表紙をおめくりいただき、目次をごらんください。
 資料は、1の財務局に引き継ぎを行った都営住宅用地の件数と面積から5のみどり率の項目別内訳までの五件でございます。
 それでは、まず一ページをお開き願います。1の財務局に引き継ぎを行った都営住宅用地の件数と面積でございます。
 過去五年間につきまして、件数及び面積を記載してございます。
 次に、二ページをお開き願います。2の都営住宅建てかえによる型別供給実績でございます。
 過去十年間につきまして、型別の供給内訳を記載してございます。
 続きまして、三ページをごらんください。3の首都高速道路に対する出資金、貸付金の推移でございます。
 過去十年間の首都高速道路の整備に対する出資金、貸付金の金額及び出資率、貸付率の推移をそれぞれ記載してございます。
 次に、四ページをお開き願います。4の平成十八年度東京都の耐震診断、耐震改修助成実績でございます。
 (1)の木造住宅でございますが、都が行う助成事業につきまして、地方公共団体別に耐震診断件数、耐震改修件数を記載してございます。
 五ページをごらんください。(2)のマンションにつきましても同様に記載してございます。
 次に、六ページをお開き願います。5のみどり率の項目別内訳でございます。
 区部と多摩につきまして、項目別にそれぞれみどり率を記載してございます。
 また、参考といたしまして、平成十五年時点の暫定値を記載してございます。
 以上で資料説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○石川委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めて、これより本件に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○菅委員 それでは私の方から、建築確認事務についてちょっとお尋ねいたします。
 建築確認申請、大分停滞しているということが問題になって、私どもも話を聞いておりますけれども、住宅着工統計を見ても、七月分は前年同月比で二三・四%の減少、八月分は四三・三%の減少と大幅な減少となっておりまして、GDPや景気への影響が大変懸念され始めております。
 これは、構造計算書偽装事件の再発防止を目的とした改正建築基準法が六月二十日から施行されたということもございますし、また、その内容であります図面の訂正が敏速にできない、あるいは審査が従来に比べて余りにも厳格になったということ、あるいは構造計算書のダブルチェックにより相当な時間がかかるというようなことが要因になっている、こういうふうに思います。
 十五日には、また横浜市のマンションで新たな偽装事件がございましたけれども、耐震偽装の再発を防止するためには、改正建築基準法の新たな制度を軌道に乗せることが大変必要だということはいうまでもない、こういうふうに思います。
 しかしながら、あつものに懲りてなますを吹くということになっては大変困りまして、設計事務所の団体へのヒアリングや、地元での関係者の話を聞きますと、建築確認申請の事務の停滞によって仕事がなくなってしまったというような切実な声も、実は聞こえてくるわけであります。
 そこで、都は、今回の法改正に対する建築業界の切実な声についてどのような認識を持っておられるのか、まず伺っておきたい、こう思います。

○金子市街地建築部長 今回の建築基準法の改正でございますけれども、これは、耐震偽装事件の再発を防止し、建築物の安全・安心に対する信頼を回復するための必要な措置であるというふうに認識しております。
 しかしながら、国の告示ですとか、あるいは技術基準の明確化がおくれまして、新たな制度について十分な周知ができなかったために、設計者の方々などが的確に対応できずに、確認申請が円滑に進まない状況が生じているものと考えております。
 都に対しましても、建築業界からさまざまな意見が寄せられておりまして、厳しい現実については承知しているところでございます。このような状況が継続することによりまして、建築業界を初めとした社会経済活動や都民生活に支障を来すことのないよう、適切に対応してまいります。

○菅委員 都としても、現場の声に耳をしっかりと傾けていただきまして、建築確認申請事務が停滞しないように現実的な対応を行ってもらえればと、こういうふうに思います。
 改正建築基準法によりますと、今回の問題は基本的には国の問題でございますけれども、都としても積極的に取り組むべきこともあろうか、こういうふうに思います。
 そこで、今回の問題に対して、都としてどのように対応しているのかを伺いたいと思います。

○金子市街地建築部長 都は、建築基準法を運用する立場から、新たな制度について早期に定着を図ることが重要であると認識をしております。
 このため、申請窓口における事前相談を丁寧に行うとともに、区市や関係団体とも連携いたしまして、実務者や審査担当者向けの講習会をきめ細かく開催してきております。既に、七回、延べ千六百人を対象にした説明会を開催しております。今後は、十四回、延べ四千三百人を対象にした説明会を開催する予定となっております。こうした取り組みによりまして、新たな制度が軌道に乗るものと考えております。

○菅委員 今のご答弁で、大変都としてもきめ細かく対応しているということがよくわかりました。今後、改正内容が十分周知されれば、これまで停滞していた建築確認申請も十分スムーズに流れていくのではないかな、こういうふうに思います。
 大変重要なことは、設計者の方がなれてきて、スムーズに申請を出せるようになった後の対応でございまして、審査する側の対応が不十分になり、確認がおりるまでに長時間を要しても大変困るわけでございますから、その点はしっかりと対応していただきたいな、こう思います。
 そこで、最後に確認の意味でもう一つ質問したいと思いますが、今部長さんから答弁がありましたように、周知をされれば、設計者が新しい制度になれてきたら、確認申請の一連の流れは本当にずっと円滑に進んでいくのかどうか、これが心配でありますので、再度この点についてご答弁を願います。

○金子市街地建築部長 法改正の内容が十分に周知されまして、申請する側、審査する側ともに新たな制度について習熟してくれば、建築確認申請の流れは円滑に動いていくものというふうに考えております。
 都といたしましては、みずから速やかな審査に努めることはもとよりといたしまして、都内の建築確認申請の多くは区市や民間の指定確認検査機関が審査していることもありますので、これらの機関に対しまして、運用に関する情報提供や技術的な支援を行いまして、建築確認の審査が円滑に進むよう取り組んでまいります。

○野上委員 私からは、外環ノ2について数点伺わせていただきます。
 一九九八年六月にデンマークのオーフス市で行われた国連欧州経済委員会で、オーフス条約が採択されました。環境に関する情報へのアクセス権、環境問題の意思決定における市民参加及び環境問題に関する司法へのアクセス権の三つの権利において国際的な最低基準を定めたもので、二〇〇一年十月から発効されています。既に二十七カ国が批准しておりまして、欧米諸国では、この条約の要請に沿った国内の法制度が今整えられつつあります。
 現状では、まだ日本はこの条約には批准しておりません。しかしながら、国内においても、公共事業に伴う環境影響判断あるいは環境の政策を決定するに当たっては、まずは初期段階において、住所に関係なく、どこに住んでいるか、あるいは関係しているか関係していないかにかかわらず、広く関心ある市民に情報を提供していくこと、そして政策決定の透明性を確保すること、決定過程の早い段階で、PI会議ですとか市民参加の機会、意見の提出の機会、そういったものを与えて、その結果をできる限り考慮することが必要だと考えます。
 そこで私は、住民との合意形成という観点から、外環ノ2について何点か伺います。
 外環は地下方式の都市計画変更が、決定いたしまして、いよいよ事業実施段階を迎えつつあります。大深度方式は、大深度の地下利用自体、換気、災害時の安全性の確保など、技術的な問題や建設のコストの問題があります。さらには、わき水や地下水などを含めた長期的な、そして広域的な環境への影響もあるという意見もあります。そういったことから、外環本線についても、事業着手までには、住民の皆様と、あるいは関連している区市との協議がまだまだ課題として残っていると考えています。
 一方、外環本線の地上部には、外環ノ2という都市計画道路が、外環本線である高速道路とは別に計画決定されています。この外環ノ2の状況について何点か伺います。
 平成十五年三月十四日、当時の扇国土交通大臣が、外環本線には大深度地下の活用をするべきであると閣議後の記者会見を開きました。それを受けて、当時のもちろん都知事、定例記者会見で石原都知事は、高架で走るというのはちょっと失礼千万な話でね、急ぎますからって、人が飯食ってるちゃぶ台をまたいで家の中通り抜けていくみたいな話だからね、私は、現地を見たときに、これはもう地下しかないなと思いましたよと発言しました。
 外環本線は地下につくるから、地上部には道路をつくらないという認識のもとでの知事の発言だったと私は推測します。あれ、そうなると、外環ノ2というのは知事の頭にはなかったんだろうか。外環ノ2は、高速道路である外環本線と合わせて、約四十年前に都市計画決定されていると聞いています。しかしながら、この知事の定例記者会見で混乱というか混同されていたように、今、外環本線の地下化により、外環ノ2、計画自体なくなっていると考えている住民も多いようです。
 そこで改めて、この外環ノ2の現行の都市計画について伺います。

○遠藤外かく環状道路担当部長 地上部街路、外環ノ2でございますけれども、外環ノ2は、東京の都市計画道路のネットワークの一部といたしまして、三鷹市内の東八道路から練馬区内の目白通りまでの約九キロメートル、これが外環ルート上の地上部分に幅員四十メートルの道路として都市計画決定されているものでございます。
 この計画道路は、昭和四十一年に外環本線と同時に計画決定しておりまして、当時、外環本線と一体となって自動車交通に対処するとともに、地域の利便性や沿線のまちづくりに寄与する道路といたしまして計画決定されたものでございます。

○野上委員 また、外環本線の地下方式への都市計画変更の手続においては、沿線の区市よりいろいろな意見が出ている、要望が都に出ているというふうに聞いています。この中には、外環ノ2についての意見も幾つかあるように聞いています。外環ノ2についてどのような意見が都に出されているのか、伺います。

○遠藤外かく環状道路担当部長 沿線区市の意見でございますけれども、外環本線の都市計画変更の手続中の平成十八年の十月、昨年の十月でございますけれども、外環沿線六区市から、外環計画に関しての共同声明、これが発表されております。その中で、この地上部街路に関しまして、現時点での基本的な考え方、都市計画変更へと至るまでの地元との協議、検討のプロセス、おおよその時期などについて明らかにすべき、このような意見を表明されております。
 また、ことしの一月でございますけれども、外環本線の都市計画変更案に対しまして、関係区市がそれぞれ意見書を提出しておりますけれども、地上部の街路が計画されております三鷹、武蔵野、杉並、練馬の四つの区と市から、その中で地上部街路に係る意見を述べております。
 重立ったものを拾い出しいたしますと、都の責任において適切かつ十分な検討を行うこと、必要性について原点に立ち返ってオープンに議論することが重要である、また、外環本線の事業着手は外環ノ2の方向性が明確になってから行うべき、このようなものでございます。

○野上委員 外環ノ2については、外環本線都市計画変更以前より、地元にお住まいの住民の皆様からもさまざまな意見が寄せられてきたと思います。外環ノ2の扱いは、外環本線の地下化が計画決定するまで待たされていたという印象すらあります。都はこれまで外環ノ2についてどのような取り組みを行ってきたのか、伺います。

○遠藤外かく環状道路担当部長 これまでの取り組みでございますけれども、外環本線に関しまして地元の住民の方々と話し合いを繰り返してまいりましたけれども、その過程で、地上部の街路の扱いについて考えを明らかにすべき、このような意見、要望が寄せられまして、これを受けまして都は、平成十七年一月でございますけれども、一つといたしまして、現在の計画を生かして緑豊かな道路にする、二つ目といたしまして、幅員を縮小して整備をする、三つ目といたしまして、代替機能を確保して計画を廃止する、こうした三つの考え方に整理をいたしまして地元に示してまいりました。

○野上委員 外環本線が地下方式に計画決定されても、外環ノ2の計画線内に土地をお持ちの方々は、外環ノ2の事業がいつから始まるのか、あるいはなくなってしまうのかわからず、困惑しているのではないかと思います。
 外環本線が地下方式に計画決定された現在、外環ノ2について速やかに地元住民にその取り扱いを示す必要があると考えますが、今後の都の外環ノ2に対する取り扱いについて伺います。

○遠藤外かく環状道路担当部長 今後の外環ノ2についての取り扱いでございますけれども、この地上部の街路につきましては、外環本線を地下式に計画変更したことによりまして、東京の都市計画道路のネットワークを構成する通常の都市計画道路の一つ、こういうふうになったわけでございます。しかしながら、基本的な考え方を示す、あるいはデータの提示を求めるといった沿線の区や市の要請に、国や都は、必要性などの検証を行う、こういった回答を行った経緯がございます。
 こうした状況も踏まえまして、都といたしましては、環境、防災、交通ネットワーク、それらの観点を踏まえまして、この道路の必要性や整備のあり方を早期に地元に提示いたしまして、広く都民のご意見をいただいた上で、都としての方針を取りまとめしていきたい、このように考えてございます。

○野上委員 外環ノ2について、外環本線と混同している地元住民の皆さんもまだまだ多いようです。先ほどから繰り返し申し上げますが。
 都は、昨年度、都市基盤調査費として外環にかかわるまちづくりに関する調査、予算額が九百二十四万円、執行率一〇〇%、支出額九百二十四万円、この執行された外環に関するまちづくりに関する調査で、都は調査委託を発注し、外環ノ2の必要に関する資料を作成すると聞いています。
 今答弁された中にもありましたけれども、必要性などの検証あるいは整備のあり方の検証をしているというふうに伺っておりますが、こちらの検証のあり方も一つ、もしかしたら計画ありきの調査であるというふうにとらえられる調査になってしまいがちです。外環ノ2についての住民理解を深めてもらうためにも、必要性あるいは必要でないかということを両面から十分吟味し、委託の成果等を活用して住民と話し合うなど、特段に丁寧な対応が必要だと考えます。都の所見を伺います。

○遠藤外かく環状道路担当部長 今後の住民対応等についてでございますけれども、地上部街路につきましては、これまでのご答弁の中でも申し上げてまいりましたように、いろいろな経緯があるわけでございます。
 まず、この道路の必要性について住民の方々の理解をいただくことが重要だ、このように認識してございます。このため、これまで実施してまいりました調査の成果を活用しながら、現在、課題の分析や機能の代替の可能性等々につきまして検討を行っているところでございまして、早期にこれらを取りまとめいたしまして、地元初め広く都民の方々に意見を聞いてまいりたい、このように考えてございます。

○野上委員 私の地元である練馬区では、西部地域の南北の交通網が脆弱であり、都市基盤に課題を抱えている状況にあることは認識しています。この観点からいうと、外環ノ2が都市計画道路として今後も存在するかどうかということは、非常に住民の皆さんも関心があるところだと思います。
 また、外環ノ2の役割についても、阪神大震災では幅の広い道路が火災時の延焼防止に大きな成果を上げたことから、やはり道路整備の観点からも防災都市づくりを進めていくこと、これは非常に重要であるというふうには認識しています。
 しかしながら、今ご答弁いただいたところでありますが、必要性に関する資料は、もともと作成して、それのための予算をつくるというのではなくて、一方で、住民の皆様の中には外環ノ2による環境への影響の不安というのも大きくあります。農地や雑木林、屋敷林など、緑の保全こそが我がまち練馬、練馬らしい風景をつくっているというふうにもいわれています。
 外環都市計画案では、面積四千強、四千以上ある練馬区のみどりを保護し回復する条例に基づいて、保護樹林のうち、特に必要があるものとして指定を受けた八の釜いこいの森、わき水というのが消失されます。また、周辺の二酸化窒素、一酸化炭素、二酸化硫黄等による大気汚染、騒音の問題は本当に大丈夫なんだろうか、住民の皆さんは、住環境に対する不安のみならず、次世代へ継承しなくてはいけないという思いから、恵み豊かな環境に対しての責任についても考えています。
 そしてもう一つ、関連区の取り組みの中に、杉並区では、杉並区21世紀ビジョン、環境先進都市に向けて取り組んでいます。練馬区も、みどり30推進計画と題して環境まちづくりを進めている。非常に東京都の中でも緑豊か、そして環境に配慮した政策を打ち出している区でもありますので、そういったところに住んでいる住民の皆様、そして自治体との話し合いあるいは調整等はこれから十分行っていただきたいと思います。
 そして、最後になりましたが、都は、外環ノ2の検討に当たっては、その必要性の有無についての具体的な案、具体的なデータを示すとともに、都としての考え方を明らかにし、そして住民と関連の自治体との議論を尽くしていくべきだと考えます。
 以上で私の質問を終わります。

○大松委員 十八年度決算に関連をいたしまして、ICタグを活用したITまちづくりの実証実験について伺います。
 決算書類によりますと、約一億九千万円が支出をされておりますけれども、その主なものは、東京ユビキタス計画の銀座における実証実験であります。ここでいうユビキタスとは、位置情報を発信するICタグや無線マーカーなどを活用いたしまして、いつでも、だれでも、どこでも、その場所に行けば、その場所に関連する情報を入手できるIT環境をまちじゅうにつくろうというものであります。
 既に、十七年度には上野公園などで実験が行われまして、それを踏まえた十八年度の銀座における実験は、実用化に向けまして試金石ともいえる重要な実験でありました。と申しますのも、上野公園とは違いまして、実際の町中で、また地下街やビルなどがある階層的な商業空間で実験を行う先駆的な取り組みになったからでありますが、その内容をまず伺います。

○村尾企画担当部長 実験の内容でございますが、平成十七年度より、東京ユビキタス計画として、ユビキタス技術を活用したまちづくりに取り組んできておりまして、平成十八年度は、東京を代表する繁華街である銀座を舞台に、店舗や観光スポットの案内、まちの歴史の解説など、多言語で情報を提供しました。
 また、地下鉄の運行情報など、刻々と変化する情報をリアルタイムで提供いたしました。その他、ルートナビゲーションなども行いました。
 また、地元銀座の商店会約六十店舗の参画を得まして、地域のニーズを踏まえたシステムの実証実験を行いました。

○大松委員 上野公園での実証実験も好評でありましたけれども、実用化に向けましてはさまざまな課題がありまして、銀座の実験でそれがどう乗り越えられていくのかということが注目をされておりました。
 その一つが、先ほども答弁いただきましたが、コンテンツの多様化であります。
 日本を代表する銀座には店舗や観光スポットが多く、地下鉄、バスなどの交通機関も集中をしているわけでありますので、立体的なまちの空間で、銀座ならではの豊富な商業、観光、交通情報をどう提供できるのかが課題でありましたけれども、先ほど答弁いただきましたように、数多くの店舗情報、そしてきめの細かい移動、交通情報も提供されておりまして、都の努力を高く評価するものでございます。
 二つ目が、位置情報を発信する方法の多様化であります。
 銀座では、ICタグに加えまして、無線や赤外線などを活用いたしました位置情報の発信が行われたわけであります。ICタグでは、端末を数センチぐらいまで、近づけなければならなかったわけでありますけれども、無線マーカーでは、大体十メートルから十五メートル先まで電波が届くようになったわけでありまして、敷設のあり方につきまして、まちの景観とも調和ができるインフラ整備ができるようになったもの、このように評価をするものでございます。
 そして三つ目の課題が、携帯端末にリアルタイムで情報を更新できるのかどうかでございますが、これも先ほど答弁いただきました。
 上野の実験では、あらかじめ端末に書き込まれた情報を中心に提供されていたわけでありますけれども、銀座では、無線LANを活用いたしまして、インターネットから豊富な情報が提供できるようになっておりました。上野公園での実験に比べまして格段に前進をしたわけでありますけれども、都の担当者の並々ならぬ努力のたまものと敬意を表するものでございます。
 その上で、実際のまち中では予想もしないようなさまざまな状況、また難しかった点もあったと思われます。平成十八年度の銀座での取り組みから得られた課題と成果を伺います。

○村尾企画担当部長 実験を通して得られました課題と成果でございますが、銀座地区における課題としまして、実際の町中の実験でしか得られないふくそうする電波状況下でのスムーズな機器の動作環境の難しさ、さらには、実用化に向けたインフラ機器類の法的な位置づけなど、解決すべき課題が洗い出しをされました。
 一方で、成果としましては、一般公開実験の実施を通じまして、先端技術を用いた未来のまちづくりのあり方を提示し、地元やまちを訪れる方々から多くの期待の声が寄せられるとともに、フランスやロシアなど各国のメディアにおかれまして紹介されるなど、東京から国内外へ日本の技術を発信することができたと認識しております。また、地下から地上へのスムーズな移動案内など、階層的な商業空間におけるユビキタス技術の有用性を検証することができたと考えております。

○大松委員 それで、この東京ユビキタス計画の成否は、これは民間がどう参入してくるかということにかかっていることはいうまでもありません。コンテンツの配信、また携帯端末の開発、インフラ整備につきましても、民間の参入なくして成功はあり得ないわけであります。ICタグなどから情報を読み取る携帯電話の開発普及、これなどは大変強く望まれるところであります。
 一方、ことしの六月に六本木で開発いたしましたミッドタウンでは、民間企業が東京都と連携をいたしまして、ユビキタス技術を活用しまして、ミッドタウン内の各所にありますアート情報を提供しております。こうした民間開発事業者の取り組みは、今後のユビキタス社会の実現に向けて大変重要であり、今後もさらに積極的に民間参入を促していくべきと考えますが、所見を伺います。

○村尾企画担当部長 民間参入についてでございますが、ユビキタス社会を実現するためには、機器など技術開発や、ビジネスとして成り立つ魅力ある情報コンテンツの提供など、民間企業の創意工夫と主体的な取り組みに期待するところが大きいと考えております。
 また、ご指摘のように、東京ミッドタウンなど民間の開発事業者がユビキタス技術を活用した都市開発を行う場合、そこを核としてユビキタスのまちづくりが周辺地区へ展開していく可能性が高まるなど、民間開発事業者の積極的な取り組みが極めて効果的だと考えております。
 このため、平成十九年度におきまして、民間企業の技術開発やビジネスとして成り立つ仕組みづくりを支援することとしまして、昨年度整備しました銀座地区の実験環境を民間に開放し、民間企業のアイデアを募った実験を行うことといたしております。これに加えまして、民間の都市開発に際しまして、より快適な都市空間の創造をするようユビキタス技術の導入を働きかけていくなど、取り組みを進めているところでございます。
 こうしたことによりまして、意欲ある民間企業の参入を促すとともに、ユビキタス社会の実現に向けた機運の醸成を図ってまいりたいと考えております。

○大松委員 このユビキタス技術は日本が先進的に取り組んでいる先端技術でありまして、これは商業、観光の振興だけにとどまることなく、車いすの利用者の皆さん方や、そして視覚障害を持っておられる方々にとりましては、安心して一人で出歩けるユニバーサルなまちづくりにも寄与するわけであります。銀座の実験におきましても、トイレ、災害情報、そして自立移動支援情報なども大変きめ細かく提供されましたことは高く評価をさせていただくものでございます。
 将来のまちづくりのあり方を劇的に変えていく可能性を秘めたシステムとして大いに期待されているユビキタス技術でございますけれども、都として、こうした先端技術を活用したまちづくりについてどう考えているのか、所見を伺います。

○村尾企画担当部長 先端技術を活用したまちづくりについてでございますが、東京ユビキタス計画は、最先端のユビキタス技術を活用し、情報や言語、さらには身体的障害の壁を取り払うことによりまして、東京を訪れ、また東京に暮らすすべての人々が安全で快適に移動し、まちを楽しむことを実現しようとするものでございます。
 今後とも、都として主導的に計画推進にかかわり、地元関係者の方々や民間の知恵を生かしながら、さまざまなまちづくりの機会をとらえてユビキタス技術をビルトインしていくことによりまして、世界最先端のユビキタス都市東京を構築していく所存でございます。そのことによりまして、東京の潜在的な魅力を引き出し、世界へ情報を発信し、オリンピック招致を踏まえた東京の国際的プレゼンスを高めてまいりたいと考えております。

○大松委員 私どもは東京オリンピック招致を目指しているわけでありますけれども、このユビキタス技術がオリンピックで活用されるとすれば、来訪者だれもが持っている携帯端末から、いつでも、どこでも、競技情報、また選手情報が入手できるという、大変夢の広がる話になるわけでございます。「十年後の東京」にも、五輪施設の周辺中心に十個のエリアの集中整備が盛り込まれているところでございます。さらなる取り組みを要望いたしまして、質問を終わります。

○松村委員 質問させていただきます。
 石原都政八年目の決算、この間、石原知事は、多くの切実な都民の要望や緊急課題について、財政が厳しいなどと理屈をつけて背を向け続ける一方、知事が最優先で取り組んできたのが、財界、多国籍企業が求める世界都市づくりであり、そのための再開発や三環状道路などのインフラ整備でした。
 都市整備局は、都市づくり全般にかかわる政策の立案、道路や都市再開発事業を行う部門として、本決算を通して幾つかの問題を取り上げ、その逆立ちした都政をただしたいと考えます。
 まず、大型開発優先の都市づくりとして、第一が都市再生による超高層のビルづくりです。
 大企業のための規制緩和を矢継ぎ早に打ち出し、石原都政はまさに弱肉強食の新自由主義をまちづくりに持ち込んだと私は考えざるを得ません。本決算年度中にも、私、ずっとこの間、都市計画審議会委員もやっておりますけれども、都市計画審議会にかけられた案件では、大手町の連鎖型再開発ビルを初め、都市再生緊急整備地域を中心に、超高層ビルの計画が本当に次々と出されるという、まさに異常な事態ともなっております。
 こうした方向が、石原知事が就任した二〇〇〇年以降、今度の第三回定例都議会でも、私ども、本会議でただしましたけれども、二十三区内で建設された百メートル超の超高層ビルは百二十五棟も建設されており、そしてまた、そのことによって、そのビルから発生するCO2、これは百三十万トンにも達しており、まさに、これから世界一の環境などと、「十年後の東京」でもそのことを打ち上げておりますけれども、やっていること自体が逆ではないか。
 同時に、そういうビルからのCO2の排出だけじゃありません。都心にそれだけの超高層ビルを集中することによって、これから触れますけれども、三環状、三環状といっても、都心に通る車を排除するといっても、実際それだけの大きな規模のビルなど、オフィスビルによって都心に車を呼び込んでいる、そのための新たなCO2の増加をまさに見なければならないというふうに思います。
 今世界の国々、都市が共通してやっていることはそういう方向ではなくて、超高層ビルの制限などによって持続可能な社会に取り組んでおります。持続可能な東京という立場に立って都政運営に当たる、とりわけそのことに重要な役割を持つ都市整備局としても、そういう持続可能な都市づくりのまさに先頭に立ってもらいたいというふうに考えますけれども、この点についての考え方を伺いたいと思います。

○野本都市づくり政策部長 東京は、「十年後の東京」が目標とします、国際競争力を高め、快適で利便性の高い都市を実現することが必要であると考えております。
 そのためには、交通渋滞の解消につながる三環状道路の整備や、都市再生緊急整備地域内における拠点開発など、計画的な都市機能の整備更新を図る都市再生が不可欠であると考えております。特に、民間プロジェクトの推進に当たりましては、風の道の確保でありますとか、あるいは緑の回廊づくりなど、環境に十分配慮した都市づくりを誘導してきました。東京をさらに魅力的な都市としていくために、都市再生を積極的に推進してまいります。

○松村委員 今の答弁も、石原知事がいうような、世界の都市間競争に打ち勝つんだとか、国際競争力の高い都市づくり、私は、本当に都民がそういうことを望んでいるのかと。それはまさに、大企業だとか今いう財界とか、そういう強者の論理で都市づくりをやろうとしているということを表明していることだというふうに思います。
 また、それに伴って緑の回廊とかいろいろいっておりますけれども、実際、それにつけ加わる、例えば大手町の森とかいうのもありました。しかし、じゃあそれによってどのぐらいCO2が削減できるのか。それは数字にもならないぐらいの微々たるものなんですよね。圧倒的につくり出しているのは、そういう大きな開発によって、今地球温暖化、温暖化と叫ばれながら、全くそれに逆行したことをつくり出しているというふうにいわざるを得ません。
 今、道路の問題の話も出ましたけれども、都市再生に続いて、第二に指摘しなければならないのは道路のインフラ整備です。
 中央環状品川線、首都高ですね、首都高中央環状品川線を都の事業としてやることを決め、二〇〇六年、平成十八年度は、その前年度より予算を倍以上につけて本格的に始まった年でもあります。またさらに、三十年間、都民の反対で凍結し続けてきた外環道路を、住民や関係自治体との合意形成もないままに、事業化に向けて、二〇〇六年、十八年の三月十六日に都市計画変更の決定を強行した年でもあります。
 大体、三環状、三環状と、大型幹線道路づくりが都政の最重要課題のように石原知事はいっていますが、東京の幹線道路は世界の主要都市と比べても遜色はありません。世界の国々や都市が共通して目指しているのは、道路づくりをやめて、自動車依存型から脱却していくことであります。
 大体、今皆さん方が、道路整備率、幹線道路が少ないというのも、まさに戦後直後からのそういう計画、さらに、それは見直したといっても、バブル期の、そういう右肩上がりの時代に想定した計画なんですよ。しかし、実際にはもう東京の環状道路、見てくださいよ、首都高が張りめぐらされて、そういう全体の状況を見れば、これ以上道路づくりを進めることから脱却しなければならないというふうに思います。
 私も、お隣、韓国のソウル市へ日韓議員交流連盟で行ったときに、清チョン渓ゲ 川チョンをほかの会派の皆さん方とも視察いたしましたけれども、まさに清チョン渓ゲ 川チョンの取り組みというのは、そのことを実証していると。つまり、ソウル市のど真ん中を通る大幹線道路、二階建ての高速道路を廃止して、もとの清チョン渓ゲ 川チョンを、清流を復活した。では、自動車はどこに代替機能としてなったのかということを聞いたら、いや、道路の使い方、人間のというか、考え方を変えなければならない、徹底的に公共交通に振りかえるということで、バスの専用レーンとか、バスをすべて色別に統一して、くまなく幹線道路を走るバス、近距離、遠距離、そして都市内、そしてまたそのバス利用、例えば地下鉄からバスに三十分以内に乗りかえたら、その料金をたしか無料に近い額にするとか、または自家用車の利用も、一人、二人の自家用車利用は徹底的に規制して、夜の十一時以降じゃなければ一人、二人の自動車利用はできないとか、それが市民から支持されて、そういう都市高速道路をなくして自然環境の清流を復活させて、まさにソウル市の奇跡と呼ばれるような事態をつくり出したことに、私はもっと学ぶべきだというふうに思います。
 そこで、三環状道路づくり優先ではなく、東京も、もっと路面電車やバス、そういう公共交通網を復活、充実させ、そして都民のそういう公共交通利用への転換、そのためには、道路としても、もっとバス専用レーンの設置とか、または自転車利用、そういう自転車専用道をつくるとか、また地域地域、今、区市町村でも努力されておりますけれども、コミュニティバスなどをきめ細かに走らせるための都の支援などを行うべきだと考えますけれども、いかがでしょうか。

○升都市基盤部長 三環状道路をやめて、公共交通をもっと重視すべきではないかというご意見だと思いますが、東京における交通政策というものは、鉄道などの公共交通だけではなくて、自由度の高い自動車交通も重要な役割を担ってございます。そういうことから、それぞれの特徴を生かしながら、総合的な交通ネットワークを構築していくことが重要であるというふうに認識しておるところでございます。
 先程お話しのソウルでございますが、ソウルでは、計画延長、大体百六十七キロ程度ありますが、九〇%近く、環状道路がもう整備されておるという交通状況の違いもございます。このため、都においては、自動車交通について、三環状道路を初めとして、おくれている道路整備を引き続き強力に推進したいというふうに考えておるところでございます。
 また、お話の清チョン渓ゲ川チョンにつきましても、環状道路ではなくて、どちらかといえば枝線というか盲腸線のようなものでございまして、清チョン渓ゲ川チョン自体は清流復活を目指したものというふうに認識しておるところでございます。
 また、鉄道などの公共交通につきましても、ネットワークの充実のみならず、駅を中心とした交通結節機能の改善を行っておりまして、今後も、公共交通の質の向上を図り、利用者の利便性を高めていきたいというふうに考えております。
 ソウルのバス専用レーンでございますが、すべての道路につくったわけではございませんで、非常に幅員の広い、当然、委員ごらんになったと思いますが、片側四車線道路のようなところのセンター車線に赤色のバス専用レーンをつくってございましたが、一般の四車線道路では普通の路側を走っておりましたし、そういう意味では、専用レーンをつくったことによって一部渋滞もあったというふうに聞いております。
 まだまだ東京も、そういうことが起こらないように、しっかりと基盤整備を進めていきたいというふうに考えておるところでございます。

○松村委員 ソウルでもパリでもロンドンでもニューヨークでも、これ以上そういう高速道路とか大型道路をつくっても、かえって車を呼び込むということがはっきりして、今、方針転換を行っているというのが、例えばソウル市で挙げたそういう事例なんですよ。例えば今いったソウルではそういう幅員の道路がある、東京はない、だから広げるんだといっても、今までの都市計画道路の失敗とまではいいませんけれども、そういうきちっとしたものが立てられてこなかった。しかし、現に、東京の都内を走る道路の普及といいますか、決して世界の先進都市に比べても劣っていないんですよ。
 もっと道路構造を変えたりとか使い方を変えるとか--それから鉄道、そういう公共交通も大分整備されてきました、大江戸線も含めて。だから、そこにどうそれをうまく組み合わせて、そういう自動車利用の依存から脱却するかという、まさにソウルでいった、人間の道路を使う考え方、これをやはり変えていく。東京だったら都市整備局、そういうところが音頭といいますか、先進的な役割を果たしてやらなければ、これは変わりませんよ。
 皆さん方はそうじゃなくても、ただ道路だとか渋滞率が高いとか、そういう指標を持ち込んで、しかも、その指標も都合のいいところばかり取り込んで、逆に、いろいろな指標では、「十年後の東京」でも、大体、外環つくらなくたって、今の圏央道と首都高速中央環状線でお盆や正月並みにすいすい走ると、実際にその中で国の統計資料を使って、皆さん方、書いているではありませんか。やはりそれは現実に合わせた、世界の先進的なそういう流れの、環境負荷をこれ以上与えないという立場からもとらえ直して、そういう方向に進むべきだと。
 大事なことは、物流だとか、そういう財界、大企業の世界都市間競争に打ち勝ったり、その収益だけに東京都のそういうまちづくりを優先させるのではなくて、まず都民あっての都民だと、都民のためのまちづくりを最優先してやるべきだということを私は主張したいというふうに思います。
 そこで、都市整備局がやるべき都民の緊急課題としても幾つか伺いたいと思います。
 まず、耐震問題を伺います。
 我々が長年繰り返し要望してきた民間住宅への耐震助成制度を、二〇〇六年、平成十八年度に東京都が初めてつくって、まず一歩を踏み出す、そういう取り組みをやりました。これは評価したいというふうに思います。
 しかし、資料でもわかるように、出されたこの資料で、その実績ですよね、四ページ、これが実績が上がっていない。それで、私はより詳しく、決算書でどうなっているのかを見させていただきました。
 都市整備局の決算書の六三ページに、まず木造住宅の耐震化のための助成制度、予算規模が千二百八十件を考えていましたよね。ところが、この実績、ちょっとこれ、私、合わないのですけれども、そのこともお答えいただきたいんですけれども、五百七十三件で不用額が一億一千三百六万六千円、何と執行率が六・四%なんですね。それから、マンションの方を見ますと、これも、この実績、資料から見てもほとんど伸びていない。これについても、これは六八ページにこの決算書で出ているんですけれども、やはり不用額を八億何がし残して、執行率が〇・五%なんですね。非常に驚いておりますけれども、この理由をまず伺います。

○金子市街地建築部長 まず、木造住宅の耐震化助成についてお答えをさせていただきます。
 都の木造住宅の耐震助成制度につきましては、木造住宅密集地域のうち、防災都市づくり推進計画に定められました整備地域を対象に、区と連携して耐震診断及び耐震改修への助成を実施するものでございます。
 十八年度の実績につきましては、制度開始の初年度でございまして、まだ制度が十分に周知されていなかったこと、年度の途中から助成を開始した区もあったことなどが原因と考えられます。
 しかしながら、都の制度創設を契機といたしまして、区における取り組みが急速に進んできております。今年度は整備地域を抱えるすべての区で助成が実施されておりますので、昨年度に比べまして、助成件数は大幅に増加することが見込まれております。

○宇多田参事 マンション耐震診断助成についてでございますが、マンションにおきましては、耐震診断を実施するには多数の区分所有者間の合意形成が必要となります。このため、耐震診断実施の合意を得るまでに相当の時間を要するのが実態でございまして、こうしたことが耐震診断助成の執行率に反映しているものと考えられます。
 なお、制度実施二年目になります今年度は、関係区市への働きかけによりまして、助成件数は、昨年度に比べ大幅に増加することが見込まれております。

○松村委員 それにしても、予算を立てるときには、きちっと見通しや根拠を挙げて積算して、また、実施主体となる区市などと連携や協力、話し合った上で、私は、皆さん方は出しておられるというふうに思うんですよ。それがやはり、木造の方を見ると執行率が六・四%、マンションの方が〇・五%というのは、だって、もともとその事業は、初めての事業だとか制度の初年度だとか、そういうことはわかっていた上じゃないんでしょうかね。
 私はだから、ただ--ただというか、そういうことだけのネックではなくて、耐震改修助成、この対象をごくごく絞っているんですよね。例えば木造の方ですけれども、木造住宅の耐震化のための助成制度、この対象要件が、今もおっしゃったような木造住宅密集地域、ここに木造住宅密集地域の整備地域の地図を私持っておりますけれども、これでいうと、例えば練馬などは、ないんですよね、ほとんど。だから、もちろんゼロです。しかし、実際には、非常に緊急性が高いものとして要望が強いんですよね。
 なぜこの木造、東京都が従来から指定している木密地域のここだけに限った制度なのでしょうか。その趣旨についてお答え願いたいと思います。

○金子市街地建築部長 住宅の耐震化は、自助、共助、公助の原則を踏まえまして、所有者によって行われることが基本であり、都は、公共的な観点から必要がある場合に財政支援を行うこととしております。
 こうした基本的な考え方に基づきまして、耐震化助成につきましては、住宅が倒壊した場合に道路をふさいでしまって、避難や救急、消火活動が妨げられるおそれが高い木造住宅密集地域の整備地域を対象に実施しているものでございます。

○松村委員 個人のそういう住宅にかかわるものについては助成しないけれども、しかし、地震が起きたときに、倒壊したり火災になったりして多くの周辺住民への影響があるから、そういう意義でこういう助成制度をやるんだ、そして、東京都が指定する木密地域に限るということのようですけれども、例えば、練馬でも震災の被害予想が発表されまして、本当に木造密集地域で、それがモデルケースとなって、火災が起きてから十分後、二十分後に火の海となるということが、住民も、そういう想定訓練などを消防庁から見せられて本当にびっくりして、そういう耐震化をやりたいという声もあるわけですよね。だから、同じそういう意義、役割を考えれば、練馬にはそういう地域があって、実際モデルになるようなところがありながら、対象地域になっていないわけですよ。
 だから、この要綱を見ても、対象要件が、一つは木密地域とか、それから前面道路の幅員が六メートル以内とか、いろいろあるわけですよ。もっとこういうのを整備地域を広げるとか、それから対象要件を実態に合ったものに改修すれば、私は、この執行率が当然初年度でも上がり、また、今、区市町でもそういう、二十三区は十九年度には全部、民間の住宅の何らかの耐震助成を、踏み切っておりますから、そういうのと、もっとタイアップしてこの事業を進めるべきではありませんか。
 初年度だったから、こんな執行率が六・四とか〇・五で、次からはもう少し上がるんだというようなことでは、この大事な事業、私は進まないというふうに思いますけれども、制度の趣旨からいっても、そういう対象地域の拡大、使いやすい制度に改善すべきではありませんか。お答えください。

○金子市街地建築部長 木造住宅の耐震化助成制度につきましては、先ほど申し上げたような理由から、木造住宅密集地域の整備地域を対象に、道路の閉塞の防止ということを基本的に考えながら進めているところでございます。まず、こうした地域を対象に重点的に取り組むことが防災対策上重要であると考えておりまして、制度の周知徹底など普及啓発に努めていきたいと考えております。

○松村委員 考え方の根底に、個人のそういう財産というか住宅には補助しないというところが、私は一つのネックになっているというふうに思うんですよ。今の時代の流れというか、そんなこといっていられないというか、例えば国でも二百年住宅なんというのが、最近、ついこの二、三日の新聞をにぎわせましたよね。大体、そういう住宅をつくって耐震をやったりとか長もちさせた方が、取り壊したりする、それに伴うCO2の環境問題から考えても、いろいろな耐震状況を考えても大事だと。
 国や、だって、現に自治体でも、区市ではそういう個人の住宅、財産に対してだって補助しているんでしょう。なぜ東京だけが、そういうのに対しては補助できないんだという考え方にいつまでも立つんですか。もうその考え方を切りかえるべきだというふうに思いますけれども、この点について検討してほしいと思いますけれども、どうでしょうか。

○金子市街地建築部長 都は、個人の財産であっても、避難の安全性を確保するなど公共性の観点から必要な場合には、耐震改修に対する財政支援を行っております。今後とも、こうした考え方に基づいて必要な支援を行ってまいりたいと考えております。

○松村委員 だから、都も必要があれば、今の答弁は行っていくということなんですか。区もそういうふうにやるし、国もそういう考え方に立っているので、その点をもう一回お答えいただきたいのと、それから、まず東京都が、これは何年からでしたかね、木密地域で整備地域を指定しているのはわかります。これは、ただ耐震とかそういうことじゃなくて、もろもろのまちづくりの要素で、その当時から大変な地域を指定したわけですけれども、それが、先ほどいった、例えば練馬の場合だとか、ほかにもっとあるわけですよ、そういう震災とか火災という面を見たら大変な地域が。だから、同じ耐震といっても、東京都の木密指定した地域に限ることなく--まずそこをやるんだということはわかりますよ。そこはいいというのではないんです。しかし、そこをやりながらも、そういう不用額を出して、対象要件が狭いために上がっていないんですよ。
 じゃ、現実に皆さん方が立てた十八年度の予算が、決算で執行率が六・四%から〇・五%というふうになった事態は、本当に今いった、初年度だからそういう周知が足りなかったんだとか、あたかも何か、それをやってもらえる区の方が努力が足りないような、聞き方によってはそう受け取れるんですけれども、そんな総括なんですか。大切な予算ですよ。執行率がそうなったという、これ、ほかのいろいろな事業を見ても、私は異常だと思うから、特にこの点、ただしているんです。
 しかも、従来から都民の要望の強い--ほかの府県では、みんなそういう取り組みをやっているんですよ。東京都がおくれている。ようやくそれを一歩踏み出そうというから評価したけれども、実際やった決算を見たら、こういう執行率だから、いわざるを得ないんですよ、くどいようだけど。これはどういう総括をしたんですか。局長、どうなんですか。

○金子市街地建築部長 先ほども申し上げましたけれども、木造住宅の耐震化の助成事業につきましては、整備地域を対象にして今実施しておりますが、こういった危険性の高い地域を重点的に取り組むことが防災対策上重要であるというふうに考えております。
 先ほど申し上げましたように、制度が始まったばかりで、制度の周知がまだまだ進んでいなかったということもございますので、今後、制度の周知あるいは一般の方々への普及啓発など、力を注いでいきたいというふうに考えております。

○松村委員 とにかく、区市とタイアップして--これは二十三区ですか。そうですね、大体、木造密集地域だから二十三区しか対象にしていませんけれども。でも、いずれにしたって、区も取り組み始めたんですから、そこから物すごいというか、意見が上がっているんですよ。広げてほしいとか、せっかく東京都がそういうのをつくったんだから、もっとやりやすい制度、そういう住民のニーズに合わせてやってほしいという声があるわけですから、ぜひ、執行率を上げるためにも、さらに拡充していくために検討してください。強く要望しておきます。
 次に、バリアフリー化についても伺います。
 まず、鉄道駅に二〇一〇年までにエレベーター、エスカレーターを設置することが義務づけられています。この進捗状況について伺います。

○升都市基盤部長 鉄道駅におけるバリアフリー化の進捗状況でございますが、平成十八年三月三十一日現在、都内においてでございますが、一日当たりの平均的利用者数が五千人以上の鉄道駅、六百六十駅、都内にございます。国の基準を満たすエレベーターまたはエスカレーターなどにより段差が解消されている駅は、五一・七%の三百四十一駅でございます。

○松村委員 あと二年ですか、二年ちょっとで半分近く、進捗が五一・七%とあるわけですけれども、その見通しと、ネックになっているのは何なのか。
 それから、私、また練馬の地元問題で恐縮なんですけれども、練馬区内では、未設置駅は石神井公園と江古田と氷川台の三駅あるんですけれども、この見通しはどのようになっているのか。
 また、これまで以上に何か支援策を考えないと、バリア法にいう二〇一〇年までの達成というのはなかなか困難じゃないかと思うんですけれども、その点についてはどうでしょうか。

○升都市基盤部長 何点かのご質問になりますが、まず、バリアフリー化を進める上でネックになっているのは何かということでございますが、大きな要因としては、やはり物理的な状況といいますか、そこの駅近傍の、例えば地下鉄であれば、なかなか土地が取得できないなどということがございます。
 見通しでございますが、そういう意味からも、鉄道事業者の方で鋭意いろいろ検討を進めているというふうに考えているところでございます。
 それから、練馬区の状況ということでございますが、練馬区内、二十二の駅がございます。その八割以上に当たります十八駅でエレベーターが既に設置済みの状況でございます。
 未整備の駅、四駅ございますが、具体的には、西武池袋線の石神井公園駅、やはり西武池袋線の江古田駅、西武有楽町線になりますが、地下になりますけれども新桜台駅、それから東京地下鉄の有楽町線の氷川台駅の四駅になってございます。
 西武ですが、石神井公園駅でございますが、現在、連続立体交差を実施中でございまして、この中で整備を進めていくということになります。江古田駅でございますが、バリアフリー化を含む駅舎橋上化の事業に既に入っておるところでございます。新桜台駅は、西武鉄道においてエレベーターを設置するということが既に公表されているところでございます。
 また、氷川台駅につきましては、鉄道事業者において検討中というふうに聞いておるところでございます。
 それから、これまで以上に支援策を考えるべきではないかというご質問でございますが、東京都では、地下鉄事業者がバリアフリー設備を設置する場合に、国とあわせて整備費の補助を実施してございます。さらに、国、鉄道事業者、区市町村との共同によりまして、鉄道駅エレベーター等整備事業を実施しておるところでございます。
 今後も、さまざまな補助制度を適切に活用しながら、バリアフリー化の促進を図っていくというふうに考えておるところでございます。

○松村委員 これから本当に進捗率を上げるのは大変だと思いますね。やはり困難な駅というか、物理的な問題とか、いろいろあるということはよく理解できます。ぜひそういう隘路を、本当に東京都の支援もさまざまな角度からやりながら、やっていただきたいというふうに思うんです。
 そこで、今はとにかくワンルートの設置で二〇一〇年までだと。だからつけやすいというのがあって、私、練馬でいろいろ要望を受けて、一緒になって住民と駅というか、鉄道と、お願いしたり交渉したりする点でも、とにかくワンルートをつけたんだからというけれども、つけやすいところというか、実際には、そこに行くには、車いすなんかでは行けないとか渡れないとか、鉄道側も認めているんですよね。そちらの方の利用者が多く、高齢者住宅なんかあるところでも行けない。そちらにつける必要性は本当にわかるんだけれども、とにかくまずワンルートだ、ほかのつけていない駅もあるということで、なかなか要望が実現されない点もあるというふうに思うんです。
 それで、いよいよあと二年、三年でバリアフリー法の期限が切れますから、今からは、ワンルートにとどまらずに、さらに要望の強いところに複数設置するようなことにも踏み出す時期に私は来ているというふうに思うんですけれども、どうでしょうか。そのための都としての考え方や支援も新たに検討していただきたいと思うんですけれども、どうでしょうか。

○升都市基盤部長 期間が迫ってきたから、一ルートにこだわらずに別のルートも、複数ルート確保すべきではないかというお話でございますが、バリアフリー法の基本方針では、お話がございましたように、連続した移動経路を一以上確保するということでございます。
 先ほども申し上げましたように、五十数%という都内平均でございます。このためには、まず、一ルートであっても、すべての駅がバリアフリー化されることが重要であるというふうに考えているところでございます。

○松村委員 エレベーターでは、最後にちょっと都営住宅の設置も伺っておきたいんですけれども、居住者がかなり高齢化が進んでいまして、極めて切実な緊急な課題となっているというふうに思います。この設置状況について伺います。

○荒川参事 都営住宅のエレベーターにつきましては、平成十八年度末現在で、全約二十六万四千戸のうち約十五万七千戸、五九%に設置されている状況でございます。

○松村委員 いろいろな困難なところにありますけれども、私、聞いてみて、ああと思ったのは、例えば、申請して初めて、そこにつけられるかどうか、いろいろ住宅局というかがやって、そして設置していくと。しかし、そのためには、例えば居住者、自治会や、そこの号棟だったら号棟の同意と。しかし、中には、一階に住んでいて、そんなのに、私は必要ないとかいって協力を得られないとか、いろいろな困難な事例が発生しているんですね。
 まず住民のというか、自治会を含めていろいろ努力しているけれども、やっぱりなかなか--じゃ、本当に高齢化している方が一階に移れるかといったら、そういう住宅変更もなかなか今できないですよね。それがまた家に引きこもるような事態も生まれているんです。
 本当に切実なんですけれども、もう少し東京都が積極的に、住宅管理者として、そういう中に入って合意形成を一緒になってやってやるとか、それに取り組む自治会を支援するとか、やっぱり何かないと、居住者がまず意見をまとめて、全員の判こをもらって、申請したところについて初めて調査し、つけられるかつけられないかというのでは、私、これ、事態は本当に緊急性があるだけに、解決していかないというふうに思うんですよ。だから、建てかえてほしいという要望も、たくさん逆に出されているわけですけれども、もうちょっとそういう意味で積極的な対応というのはできないのでしょうか。

○荒川参事 既設の都営住宅のエレベーターの設置に当たりましては、設置後に、全居住者について使用料の値上がりや維持管理のための共益費の発生が伴うため、居住する方々全員の合意を得られた住棟から設置している状況でございます。
 居住者間の合意形成に向けましては、自治会等からの求めがあった場合には、必要に応じて説明を行うなどの対応をしているところでございますけれども、最終的な合意については、自治会が主体となって行うことが基本ではないかというふうに考えているところでございます。

○松村委員 ぜひ設置に向けての努力をお願いしたいというふうに思います。
 今、都営住宅問題に触れましたので、最後に、この都営住宅の問題について二、三聞きたいというふうに思うんですけれども、都営住宅の課題はたくさんあります。承継問題とかいろいろありますけれども、高齢者問題について、私はきょうは幾つか伺いたいんです。
 一つは、高齢化で孤独死がふえている問題は、人としての尊厳をも損ないかねない痛ましい事態であると考えますが、都営住宅での孤独死のここ数年の事態をどのように把握しておられるのか、また、この事態をどのようにとらえているのか、その認識を伺いたいと思います。

○小林都営住宅経営部長 いわゆる孤独死についての明確な定義はございませんが、居住内でだれにもみとられずに亡くなった単身者ということでとらえますと、都営住宅におきましては、平成十六年度から平成十八年度までの二年間で約一割増加し、三百五十七件となっております。この状況につきましては、都営住宅に居住する高齢者の単身世帯が同様の割合で増加していることなどを要因といたしまして生じたものと考えております。
 なお、東京都監察医務院におきまして死亡原因を調べる対象となったひとり暮らしの者を孤独死としてとらえますと、二十三区内の発生件数はやはり年々増加する傾向にございまして、平成十六年から平成十七年度までの一年間で約一割の増加となっております。また、人口割合から見た発生率につきましても、二十三区内、都営住宅ともに約〇・〇六%でございまして、都営住宅だけが特別の状況にあるとは考えておりません。

○松村委員 都営住宅だけが特別な状況じゃないといっても、現にこの決算年度の二〇〇六年、十八年度には三百五十七人でしょう。それから、その前年は三百二十七人、そのさらに前の年は三百十三人と確実にふえてきているんですよね。
 私ここに、十月の事故住宅募集を見ても、発見されるのが一週間とか二週間、そういうのがあるんですけれども、中には一カ月とか二カ月と。一カ月も二カ月も病死しているとか亡くなっているのがわからないでいるという、こういう事態は、都営住宅での孤独死の発生がわずかだということでは、私は本当に管理者責任がどうなのかと。
 もちろん、自治会やいろいろな方が、周りの方々もそれなりに本当に努力しているというふうに思うんですけれども、私は何らかの対応をとるべきではないかというふうに思うんですけれども、そのために、福祉局とも連携し、シルバーピアに配置されている見守り援助員、これはLSAと呼ばれておりますけれども、そういう配置や、もしくはそれにかわる生活支援者や高齢者相談員などの配置を検討すべきではありませんか。どうでしょうか。

○小林都営住宅経営部長 孤独死は、少子高齢化の進展、それから家族形態の変化など、社会全体に深くかかわっておりまして、都営住宅だけではなく、民間住宅も含めた地域全体の問題でありますことから、例えば新宿区で孤独死防止対策連絡会議を設置して取り組んでおりますように、それぞれの地域におきまして、地元自治体により総合的に対応されることが望ましいものと考えております。

○松村委員 ぜひ本当に、先ほどもいいましたけれども、住宅管理者としての責任からいっても、他の局とも連携しながら、まず解決というか、何らかの対応をしていただきたいということを強く要望します。
 都営住宅建てかえによる型別供給について、もう時間がありませんので要望だけにしますけれども、最低居住水準を確保するということで、今までの居住面積が、確かに単身高齢者などがふえておりますが、どんどん低くなっておりまして、実際建てかえ計画が示されると、今まで住んでいたところよりもずっと狭くなって、しかもそのつくり方、大体一DKがつくられたところを見ても、本当にウナギの寝床のような形になっている。実際、住宅局の方々も、その建てかえた一DKがウナギの寝床のような状態になっているということは率直に見ておられるというふうに思うんです。
 それが新しく--今本当に住宅が大変ですからね。都民のたくさん求める方々があり、そういうニーズに合わせたものでもあるという、一方での要望というか、わかりますけれども、しかし、今までそういう住まい方をしていた方々が、そういう本当に細長い狭いところへ行く、そういう建てかえじゃ、一方では、もう耐えがたいとか、何とかしてくれ、そういう声を上げるのも私は本当にわかるんです。
 そういう意味では、ぜひ建てかえ、今建てかえですけれども、本当にそこに住んでいる方々、その地域地域に合わせて、その方々、自治会を初めとする関係者と、どういう建てかえが望ましいかというか、要望があるのかということをよく話し合って、建てかえ計画が進むようにしていただきたい、そういう配慮した取り組みをやってほしい。
 あと、いろいろ誘導居住水準なんか、そういうことはいいません。そういうことを要望しておきたいというふうに思います。
 本当に最後の最後ですけれども、二十三区の議長会が、地域に根差した住まいづくり、地域住民のセーフティーネットとしての機能向上として、質、量ともに兼ね備えた良質な住宅が求められているとして、公営住宅の建設を強く求める意見書が出されております。それは、今のネットカフェ難民だとか、大変な住宅困窮者がいる。もちろん、一方においては都民は、家賃が二百万、三百万円もする、ああいう六本木ヒルズといわれるようなところに入る方もいるかもしれませんけれども、やっぱり多くの大変な住宅の中で、私どもは新規建設、石原知事になってから八年余ストップしておりますけれども、一刻も早く再開してほしいというふうに思いますけれども、最後に、この議長会のこういう要望に対してはどのように受けとめておられるのでしょうか。この点をお聞きして、質問を終わりたいというふうに思います。

○瀬良住宅政策担当部長 都営住宅の新規建設についてのお尋ねでございますけれども、東京都内の住宅の数は、既に世帯数を一割以上上回っております。またさらに、将来の人口減少社会の到来が見込まれていることなどを踏まえまして、都営住宅につきましては、新規に建設を行わずに、ストックを活用して公平かつ的確に供給していくこととしております。

○松村委員 終わろうと思ったんですけれども、今いったのは、私たちは新規建設の再開を望んでいるけれども、こういう今の住宅の切実な要求があるということで、初めてでしょう、恐らく。二十三区議長会が東京都に対して、そういう都営住宅というか、建設を求めるという。これをだからどう受けとめられているんですか、どう認識しているんですかということを聞いたんです。
 それは、議長会の中には新規建設という意味合いも含めているでしょうけれども、そうじゃなくて、だから、どういうふうにこの声にこたえていくのかということを聞いたんです。お答えください。

○瀬良住宅政策担当部長 ただいま委員ご指摘でございました特別区議会議長会の要望書が提出されたこと、あるいはその内容については私どもも承知しておりますけれども、先ほど申し上げましたとおり、東京都内の住宅の数が既に世帯数を一割以上上回っている、さらに将来の人口減少社会の到来が見込まれているという状況は特段の変化がございません。
 そういったことから、都営住宅につきましては、新規の建設を行わずに、ストックを有効活用して公平かつ的確に供給していくというふうに考えております。

○松村委員 本当に今の都内の住宅状況というのは、非常に厳しいものがあります。私は、今財政が厳しいとか、そういう中でのさまざまな課題もありましたけれども、今は財政は好転しているんですから、ぜひ都営住宅の新規再開をすべきだということを強く求めて、終わります。

○石森委員 ようやく残り二人となりましたけれども、私からは、多摩ニュータウンに限りまして何点か質問をしたいと思います。
 この多摩ニュータウン事業につきましては、昭和三十年代の首都圏の深刻な住宅難を背景に、無秩序な乱開発の防止と住宅の大量供給を目的として、昭和四十年に新住宅市街地開発事業として都市計画決定をし、事業着手されました。四市にまたがる約三千ヘクタールを開発区域とする事業でありましたけれども、社会情勢の変化に対応しての事業の再構築によって、東京都施行分については平成十五年度末に、都市機構分についても十七年度末に新住事業は収束を迎えて、現在、都の事業の中心は、宅地の販売、そして活用となっております。今後、多摩ニュータウン事業会計の終了を迎える平成二十三年度に向け、どのように事業を展開していくのか、この辺が注目されるところであります。
 そこで、十八年度についての中心的事業となる宅地販売については順調に進んだのか、まずその辺をお示しいただきたいと思います。

○今井多摩ニュータウン事業担当部長 宅地販売についてでございますが、東京都は、働き、住み、学ぶ、憩うということを基本といたしまして多摩ニュータウンのまちづくりを進めてまいりまして、積極的に宅地販売に努めてまいりました。
 平成十八年度につきましては、予算八十九億円に対しまして、実績は約百十九億円、面積にいたしますと約十四ヘクタール、そのうち八王子市につきましては、約七十八億円、面積にいたしますと約八ヘクタールとなっておりまして、宅地販売は順調に進んでいるというふうに考えております。
 なお、東京都が造成いたしました全宅地は約四百九十ヘクタールでございますが、平成十八年度末の未活用地は約六十八ヘクタールとなっております。

○石森委員 販売については順調に推移しているというようなご答弁でございましたけれども、当初は公的集合住宅を大量に供給することを目的として公社、公団に宅地販売してきたものが、バブル崩壊後、それらの宅地購入が停止されることによって、大きく計画変更せざるを得なかった経緯があります。
 この宅地販売は、地元のまちづくりに大きな影響を与えることになりますから、その販売に当たっては、地元自治体との十分な調整が必要と思います。具体的には、地元自治体との協議、調整はどのようにされているのか、お示しいただきたいと思います。

○今井多摩ニュータウン事業担当部長 都有地の売却に当たりましては、地元自治体と十分協議の上で販売を実施しております。八王子市を具体的な例として申し上げますと、年度当初にすべての分譲予定地をお示しいたしまして、それぞれの宅地の販売に当たりましては、一戸当たりの面積ですとか、あるいは戸数ですとか、そうした公募条件につきまして具体的に協議を行っております。
 今後とも、地元市と密接に協議を進めながら都有地の売却を進めてまいります。

○石森委員 地元自治体とは十分協議しながら売却されているようでありますけれども、民間企業に販売いたしますと、より有効な土地利用を当然図ることになりますから、マンション建設、これが数多く進められることになります。
 閑静な住宅街の隣接地に突如としてマンション計画が持ち上がるといったことがたびたび起こるわけですけれども、このマンション建設に当たっては、地元住民とのトラブル、紛争に発展しないために、地元市との間で協議ルールを設けて事前に調整を実施されておりますけれども、近隣の住民に対しては具体的にどのような協議をして、また、トラブルに対してはどんな対応をされているのか、お聞きをさせていただきたいと思います。

○今井多摩ニュータウン事業担当部長 売却に際しましては、事前に周辺の自治会でございますとか、あるいはマンションの管理組合などに、売り渡す土地の面積でございますとか、用途ですとか、あるいは戸数でありますとか、そうしたことを説明いたしまして、ご理解をいただいた上で公募を開始しているという状況でございます。
 また、近隣の住民の方からご意見が出た場合には、販売に至った経過などを十分に説明するとともに、分譲事業者に対しては、近隣の住民の方に丁寧な説明を行うように強く指導しております。
 今後とも、地元市とも連携をいたしまして、事業者に対する十分な指導に努め、事業を円滑に進めてまいります。

○石森委員 今まで何もなかったところにマンションが建設されれば、環境悪化あるいは変化が生じる、これは当たり前のことでありますけれども、当然その中からは住民クレーム、これが起こり得ると思います。多くは説明不足からトラブルに発展する、そんな事例がかなり多いわけでございますから、事前調整の際にはできる限り地元住民に情報提供をして、そして地元の声を最大限取り入れるような、そんな努力もこれからしていただきたい、そう思います。
 また、多摩ニュータウンは、冒頭お話ししたとおり、行政主導、官主導で進められたまちづくりでありましたけれども、新住宅市街地開発事業が終了して、いよいよこれからは、地元自治体、市民の手によるまちづくりへと大きな転換期を迎えることになります。しかしながら、事業着手から四十年、入居が始まってから三十五年が経過して、時代の変化とともに、さまざまな問題、課題を現状抱えております。
 開発初期の地域では、特に少子高齢化は顕著にあらわれていて、ニュータウンではなくてオールドタウンと呼ばれることがありますが、現状をどのように都としては分析されているのか、お尋ねをしたいと思います。

○瀧本参事 多摩ニュータウンでございますが、ご指摘のとおり、昭和四十六年に諏訪、永山地区において入居が開始されてから、既に三十五年が経過しております。
 このニュータウンの中の各地区においては、開発時期の違いや地域の特性によってまちづくりの課題は異なっておりまして、初期の入居地区では建物の老朽化が進行し、居住者が住宅の建てかえに向けて検討を行っている団地もございます。
 また、多摩ニュータウンの住民につきましては、高齢化率が約一二%であり、都内平均の一九%よりも低い状況にありますが、初期の入居地区では、例えば諏訪、永山地区では約二二%となっているなど、高齢化が進行しております。
 こうした中で、まちづくりにおいては、各地区のそれぞれの状況を踏まえながら、少子高齢化やライフスタイルの変化など、新たな時代の要請にきめ細かくこたえることが必要になっていると存じます。

○石森委員 開発事業後期からは、ベッドタウン解消に向けて、職住近接のまちづくりを目指しての業務施設の誘致を進めてまいりましたが、まだその成果は大きくはあらわれていない現状にあります。
 若い世代の入居へ導くためにも、職と住のバランスのとれた地域づくりは極めて重要だと思われますが、今後、ニュータウン活性化に向けて、都としてはどのようなまちづくりを進めていこうと考えているのか、所見をお伺いして、質問を終わらせていただきます。

○瀧本参事 多摩ニュータウンは、先ほどお話がございましたように、住宅の大量供給を主な目的として開発が始まっております。その後、昭和六十一年の新住宅市街地開発法の改正を契機に、住機能だけでなく多様な機能の立地を図ることとして核都市の位置づけを行い、業務・商業、文化施設の充実など、多様な機能を備えた先導的なまちづくりを推進してまいりました。
 都といたしましては、今後とも、地域経営の主体である地元市や関係機関と連携いたしまして、ニュータウンの整備された都市基盤や豊かな自然を生かして、住機能の更新も図りながら、複合的な都市機能が調和した活気あふれるまちづくりに取り組んでいく所存でございます。

○伊藤委員 まず、地下鉄事業についてお聞かせいただきたいと思います。
 東京メトロは、平成十六年四月に特殊法人であった営団から移行して、将来の完全民営化が決まっており、今後、それに向けたさまざまな取り組みが行われると聞いております。先日、その一環として、平成二十一年度の東京メトロの上場に当たり、国が東京メトロの全株を売却するという報道がございました。
 我が党はかねてより、都内の地下鉄事業は一本化するべきとの主張をしてまいりましたが、今回の東京メトロの上場を機に、具体的に経営統合を進めるべきと考えております。
 地下鉄一本化については、平成十二年度の包括外部監査報告でも、営団地下鉄と都営地下鉄との経営統合についてという提言がなされております。また、平成十八年度の予算委員会では、石原知事も、利用者の利便性の向上のためにも、東京の地下鉄事業は本来一本化すべきだと私はかねがね思っていると答弁もされております。
 さらに、都営地下鉄の経営状況を見ても、大江戸線開業後、平成十八年度に初めて経営黒字を達成するなど、今後はさらに黒字基調が進んでいくものと考えられ、統合の可能性は高まっていくものというふうに思いますし、その機運を高めていかなくてはいけないというふうに考えております。
 そこで、今回の上場を機に、積極的に地下鉄一元化を進めていくべきと考えますが、ご見解を伺います。

○升都市基盤部長 東京に二つの地下鉄があるということは、都民などの国内の利用者ばかりではなく、海外から来訪した外国人の方にとっても、乗り継ぎなどの面でわかりづらいものとなっているというふうに考えております。
 一方で、一元化するに当たっての課題の一つでございます都営地下鉄の経営につきましては、お話のとおり、十八年度に経常黒字を達成したものの、累積損失でございますとか長期債務など、改善すべき状況がまだ残されてございます。このため、両者を今すぐに一本化するというのは難しいと考えております。
 ただ、東京都といたしましては、地下鉄利用者の利便性向上や地下鉄ネットワークの有効活用の観点から、将来に向けて地下鉄一元化を目指すべきだというふうに考えておるところでございます。

○伊藤委員 東京メトロ、昔、営団というふうにいわれたときもそうですし、当然、都営地下鉄も、都民の税金、国民の税金で運営をされてきたわけであります。いかに民営化をしたとしても、その歴史的な経過を踏まえていただいて、まず利用者の利便性というものを第一に考えて一本化をするべきというふうに私も思いますし、東京都はぜひとも中心的な役割を果たしていただきたいと要望しておきたいと思います。
 また、東京メトロは、民営化によりまして、平成二十年六月に予定をしている副都心線の開業を最後に、新規の鉄道路線の整備を行わないこととしており、国の運輸政策審議会答申第十八号に位置づけられた路線整備への影響が懸念をされております。
 手元にその路線図をいただいておりますけれども、非常に多くの路線が指定をされているわけでありますが、その中でも特に、区部東部地域と千葉県北西部とを結び、広域的に首都圏の交通利便性を向上させるものと期待をされる地下鉄八号、十一号については、その実現に対する地元の期待も非常に大きいわけでありますが、こうした状況を踏まえて、都では、この地下鉄八号、十一号線の整備に向けてどのように今後取り組んでいかれるのか、ご所見を伺います。

○升都市基盤部長 地下鉄八号、十一号線の延伸でございますが、今お話がありましたように、運輸政策審議会答申の第十八号の中で、平成二十七年までに整備着手することが適当である路線として位置づけられてございます。
 本路線の実現には、お話のような事業主体の問題がございます。メトロがやらないというお話がございますので、事業主体の問題を初めといたしまして、事業採算性の向上でございますとか多額な事業費の確保など、さまざまな課題がございます。
 東京都といたしましては、本路線の沿線区などで構成される促進協議会に引き続き参画いたしまして、将来の輸送需要の動向などを見据えながら、これらの課題について関係者とともに検討していくというふうに考えてございます。

○伊藤委員 続きまして、空港への鉄道アクセスと連立事業についてお伺いします。
 羽田空港及び成田空港の両空港は、日本の空の玄関として、利用者数、発着便数ともに我が国最大の規模を持つ空港であり、その利用者数も年々増加をしております。平成八年度から平成十七年度における両空港の利用者数は、羽田空港では約一・三倍、成田空港でも約一・二倍に増加しております。とりわけ羽田空港では、二〇一〇年十月の再拡張事業完了後の空港容量は、再拡張前の約一・四倍に増加をいたします。
 こうした空港利用者の増加に対応するためには、空港機能の強化とともに、空港アクセスの利便性向上に向けた取り組みも重要と考えます。海外旅行に行きますと、アメリカなんかは、ちょっとした都市でも空港が複数あって、そして、まちの中心部に、タクシーを使って二十分、三十分ですぐに行けるという空港もたくさんあります。今後の海外の都市と魅力を競っていくという観点からも、こうした取り組みは非常に重要だと考えています。
 そこで、羽田空港及び成田空港へのアクセスの改善に向け、都が現在取り組んでおります京急蒲田駅並びに日暮里駅における鉄道駅総合改善事業の進捗状況についてお伺いします。

○升都市基盤部長 京急蒲田駅並びに日暮里駅でございますが、日暮里駅における鉄道駅総合改善事業の進捗状況でございますが、逼迫する首都圏の航空需要への対応や我が国の国際競争力の回復を図るためには、国際化や容量増といった空港機能の強化とあわせまして、空港アクセスの利便性向上が不可欠でございます。
 このため、都は、地元区や鉄道事業者などと協力しながら、空港への速達性の向上や乗りかえ利便性の確保、駅の混雑緩和などの観点から、京急蒲田駅及び日暮里駅におきまして、鉄道駅総合改善事業による駅改良事業に取り組んでおるところでございます。
 両駅における駅改良事業は、京急蒲田駅でございますが平成二十四年度、日暮里駅では平成二十一年度の完成を目指して事業が進められておるところでございます。
 平成十八年度末時点での進捗率でございますが、事業費ベースで、京急蒲田駅につきましては約四割、同じく日暮里駅では約五割の進捗状況となってございます。

○伊藤委員 また、成田空港へのアクセスとして成田新高速鉄道の整備を進めておりますが、本路線は成田空港と都心を三十分台で結ぶ路線で、空港アクセスが大幅に改善をすると思います。平成二十二年度の開業に向けて、現在精力的に準備を進めていると聞いております。
 その一方で、当該路線の沿線で、私の地元、葛飾区の京成高砂駅周辺においては、あかずの踏切がありまして、成田新高速鉄道の開業によってさらに悪化をするのではないかと、強い懸念が地元ではございます。これは国策でやっている路線でありますので、地元への配慮ということも都としては考えていただきたいというふうに思います。
 そこで、成田新高速鉄道開業への対応として、京成高砂駅付近の踏切対策をどのように考えているのか、お伺いいたします。

○升都市基盤部長 お話の京成高砂駅付近でございますが、この駅付近にはあかずの踏切が二カ所ございまして、成田新高速鉄道開業による遮断時間の増加を防止することは重要であるというふうに認識しておるところでございます。
 このため、都は、京成電鉄、葛飾区と対応を検討してまいりましたが、その結果、京成電鉄が、当面の対策といたしまして、京成金町線の高架化工事を実施することとなりました。この高架化工事につきましては、成田新高速鉄道開業前に完成をさせるということを目指しまして現在実施しておるところでございます。
 また、高架化工事にあわせまして、駅に直結する通路やエレベーターの設置を進めることとしておりまして、都としても必要な支援を行うというふうにしておるところでございます。

○伊藤委員 当面の対策として踏切の対策をしていただいております。大変それはありがたいんですけれども、高砂駅周辺の踏切については地域分断等の元凶でもあることから、高架化などにより抜本的に解消することが地元の悲願であります。
 そこで、京成高砂駅付近の踏切問題の抜本的な解消に向けた今後の取り組みについてお伺いいたします。

○升都市基盤部長 京成高砂駅付近でございますが、東京都、私どもで発表してございます踏切対策基本方針の中で、鉄道立体化の検討対象区間に位置づけてございます。
 都は、地元区が設置いたしました勉強会に参画し、検討しておるところでございますが、道路と鉄道の立体化に当たりましては、京成高砂駅直近にございます車庫の取り扱いなどの課題がございます。これまで、鉄道事業者が車庫の縮小化に向けた検討を行ってきておりまして、今後、こうした検討状況や沿線まちづくりの熟度、関連する道路整備計画などを踏まえながら、引き続き関係機関と検討を深めてまいります。

○伊藤委員 連立事業は、確かに道路の混雑を解消するためにやる事業ですけれども、先ほど答弁の中に、沿線まちづくりの熟度というご答弁もいただきましたけれども、調査の方は建設局でやっておられるそうでありますけれども、やはり、連立に伴っていかにまちづくりを進めていくか、都市基盤の更新、整備を行っていくかという観点が私は一番重要なんだというふうに思います。
 どうしても建設局でやりますと、道路という観点が強くなってしまって、まちづくりという観点が若干薄まってしまうのかなということでもございますので、そこら辺は、ぜひとも縦割り行政にならないように、都市整備局としても、引き続き区と、または京成と連動してやっていただきたいというふうに思いますし、京成の方も、非常に問題となっていた車庫を縮小するということもいい出しているそうでありまして、引き続きこの問題についても、区と連携をして取り組んでいただきたいということを強く要望いたしまして、質問を終わりといたします。

○石川委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○石川委員長 異議なしと認め、本件に対する質疑は終了いたしました。
 以上で都市整備局関係を終わります。
 これをもちまして本日の分科会を閉会いたします。
   午後五時三十三分散会