各会計決算特別委員会速記録第三号

平成十八年十一月八日(水曜日)
第十二委員会室
   午後一時一分開議
 出席委員 三十名
委員長田代ひろし君
副委員長林田  武君
副委員長相川  博君
理事佐藤 広典君
理事高橋かずみ君
理事野上 純子君
理事柿沢 未途君
理事清水ひで子君
理事樺山たかし君
遠藤  守君
鈴木 隆道君
原田 恭子君
高倉 良生君
神林  茂君
宇田川聡史君
尾崎 大介君
伊藤まさき君
たぞえ民夫君
上野 和彦君
吉倉 正美君
野島 善司君
西岡真一郎君
増子 博樹君
坂本たけし君
鈴木 一光君
吉野 利明君
石毛しげる君
古館 和憲君
こいそ 明君
名取 憲彦君

 欠席委員 一名

 出席説明員
出納長幸田 昭一君
教育長中村 正彦君
知事本局長山口 一久君
総務局長大原 正行君
財務局長谷川 健次君
主税局長菅原 秀夫君
生活文化局長渡辺日佐夫君
都市整備局長柿堺  至君
環境局長村山 寛司君
福祉保健局長山内 隆夫君
産業労働局長島田 健一君
建設局長依田 俊治君
港湾局長津島 隆一君
青少年・治安対策本部長舟本  馨君
東京オリンピック招致本部長熊野 順祥君
病院経営本部長大塚 孝一君
中央卸売市場長比留間英人君
選挙管理委員会事務局長梶原 康二君
人事委員会事務局長高橋 道晴君
監査事務局長白石弥生子君
労働委員会事務局長押元  洋君
収用委員会事務局長中田 清己君
議会局長西野 和雄君
警視庁総務部長東川  一君
消防総監関口 和重君

本日の会議に付した事件
 平成十七年度東京都各会計歳入歳出決算の認定について(質疑)
・平成十七年度東京都一般会計決算
・平成十七年度東京都特別区財政調整会計決算
・平成十七年度東京都地方消費税清算会計決算
・平成十七年度東京都小笠原諸島生活再建資金会計決算
・平成十七年度東京都母子福祉貸付資金会計決算
・平成十七年度東京都心身障害者扶養年金会計決算
・平成十七年度東京都中小企業設備導入等資金会計決算
・平成十七年度東京都農業改良資金助成会計決算
・平成十七年度東京都林業・木材産業改善資金助成会計決算
・平成十七年度東京都沿岸漁業改善資金助成会計決算
・平成十七年度東京都と場会計決算
・平成十七年度東京都都営住宅等事業会計決算
・平成十七年度東京都都営住宅等保証金会計決算
・平成十七年度東京都都市開発資金会計決算
・平成十七年度東京都用地会計決算
・平成十七年度東京都公債費会計決算
・平成十七年度東京都多摩ニュータウン事業会計決算
・平成十七年度東京都市街地再開発事業会計決算
・平成十七年度東京都臨海都市基盤整備事業会計決算

○田代委員長 ただいまから平成十七年度各会計決算特別委員会を開会いたします。
 これより決算の審査を行います。
 平成十七年度東京都各会計歳入歳出決算の認定についてを議題といたします。
 本件につきましては既に説明を聴取しております。
 また、去る十月六日から各分科会に依頼してありました局別審査につきましては、お手元配布のとおり、報告書が提出されました。
 朗読は省略いたします。

   〔分科会審査報告書は本号末尾に掲載〕

○田代委員長 これより質疑を行います。
 この際、一言申し上げます。
 質疑に当たりましては、さきにご決定いただきました委員会実施要領等に従いまして運営してまいります。委員の皆様方には、円滑かつ充実した審査が行われますよう、ご協力をお願い申し上げます。
 なお、持ち時間につきましては、終了五分前に振鈴で一点、時間満了時に二点を打ち、お知らせいたします。質疑時間はお守りをお願いいたします。
 次に、理事者に申し上げます。
 答弁に際しましては、質疑の要旨をよく把握し、簡潔明瞭に答弁されるよう、お願いいたします。
 なお、発言の際には、必ず職名を告げ、委員長の許可を得た上で発言されますよう、お願いいたします。
 これより順次発言を許します。
 鈴木隆道委員の発言を許します。

○鈴木(隆)委員 それでは、質疑に入らせていただきます。
 初めに、財政問題についてお伺いをいたします。
 平成十七年度は第二次財政再建推進プランの折り返しの年に当たります。この時点における取り組みの成否が、最終的にプランの目標達成が可能となるかどうか、つまりは財政再建が期待どおりに進展するかどうかの重要な分岐点であったといえます。十七年度決算をこうした観点から見れば、実質収支の黒字転換を果たすとともに、財政の弾力性を示す経常収支比率も、九二・六%から八五・八%へと大きく改善するなど、全体としてプランの取り組みが着実な成果を上げていることがうかがわれます。
 そこでまず、十七年度決算の実績を踏まえた都財政の現状認識についてお伺いをいたします。

○谷川財務局長 都財政は、財政再建推進プランの取り組みが功を奏し、十七年度決算では十六年ぶりに黒字となり、経常収支比率も大幅に改善するなど、プランの目標を一年前倒しで達成することができました。財政再建に一つの区切りをつけることができたわけでございまして、そうした点で十七年度は都財政にとって大きな節目の年になったと認識しております。
 しかしながら、目指すべきところは、決算の黒字化や指標の改善だけではなく、社会状況が変化し、増大することが見込まれる新たな財政需要に対しても積極的に対応できる、強固で弾力的な財政基盤を確立することにあります。その目標に照らせば、現状はあくまで通過点にしかすぎず、十七年度の成果に決して満足することなく、引き続き財政構造改革に取り組む必要があると認識しております。

○鈴木(隆)委員 都は、職員定数の大幅な削減など、国や他の自治体に先んじて財政健全化に取り組んできたものであり、ようやくここに来てその成果が明らかになってきております。しかし、都財政は体力を回復しつつあるものの、いまだ十分に足腰が強化された状態ではありません。都財政の貯金ともいえる基金を例にとれば、今年度末には六千億円台の水準にまで回復する見込みであるとのことでありますが、かつて一兆円を超えた残高が、バブル崩壊後、瞬く間に底をついたことを思えば、到底安心できるレベルではなく、一兆円の確保を目指すべきであります。
 また、減債基金の積み立て不足、多摩ニュータウン事業の欠損金など、隠れ借金についてもここ数年で大幅な圧縮に努めてまいりました。そうした努力が財政健全化に大きく貢献していると考えますが、それでもなお、多額の隠れ借金を抱えているのも事実であります。特に減債基金の積み立て不足は四千三百五十億円が残されており、いまだ財政構造改革の足かせとなっています。
 加えて、今年度より導入された財政指標である実質公債費比率、これは自治体の健全性をはかる新たなバロメーターであり、オリンピック招致などにも大きな影響を及ぼしますが、この指標を算出する際にも、減債基金の積立不足額が数値の悪化要因となってしまうことは、私も先日の分科会で質問をしたところであります。
 今後とも、財政構造改革を続けるに当たっては、足かせとなっている隠れ借金の早期圧縮、とりわけ減債基金積み立て不足の早期圧縮を優先課題とすべきと考えますが、見解をお伺いをいたします。

○谷川財務局長 先ほど、今後の財政運営に当たって、強固で弾力的な財政基盤の構築を目指していくと申し上げましたが、そこで問題となってくるのが基金の残高不足と隠れ借金の存在であります。そのため、ご指摘にもあったように、基金残高の回復と隠れ借金の圧縮に積極的、優先的に取り組む必要があると考えております。中でも減債基金の積み立て不足は実質公債費比率を悪化させるものであり、都財政にとって大きな負担となっております。その早期解消を今後の予算編成の中で具体的目標としていきたいと考えております。

○鈴木(隆)委員 隠れ借金のような過去の負債をできる限り速やかに解消することが、都財政の足腰強化に直結し、ひいては都民生活の将来展望に明るさをもたらしてくれるものだと思います。こうした取り組みを積極的に推進していただきたいと思います。
 さて、あらゆる観点から見て、都財政はいよいよ次なる段階へ歩みを進めるべき時期を迎えているといわざるを得ません。これまでの緊縮財政を基調としたプランの終了後、どのような将来像を描いていくかが問われているということであります。
 そうした状況下、都は、ことし七月、プランにかわる新たな財政運営の方向を示す、今後の財政運営の指針を策定をいたしました。来年度からはこの指針に沿って都財政のかじ取りが行われていくことになります。
 この指針を読みますと、従来の考え方を一新する思い切った取り組みが盛り込まれていることがわかります。量から質へ、短期から中長期へ、そして財務局主導から各局の主体性を重視する体制への転換など、これまでの財政運営に根本的な方向転換を促す内容となっています。
 財政構造改革はいまだその途上にあります。予算編成手法の見直しなど、今回の指針に明らかにした具体的取り組みを決して絵にかいたもちに終わらせることのないよう、一つ一つ着実に実現をしていくことが大切であります。そのためにも我が党は協力を惜しまないところでありますが、何よりも事業を所管する各局の職員が自主的かつ主体的に行動していくことが必要であることをこの際強調をしておきたいと思います。
 そこでお伺いをいたします。都は、財政再建の成果を都民に還元するとともに、さらなる財政構造改革を進めていくことが必要と考えますが、局長の決意のほどを伺います。

○谷川財務局長 バブルの崩壊という荒波をかぶり、財政危機に陥って以降、都議会、都民の皆様のご協力をいただきながら、わき目も振らず財政再建に取り組んできたというのがここ何年かの財政運営だったと思っております。そうした取り組みがようやく実を結び、成果となってあらわれたのが十七年度決算であったと考えております。
 大切なことは、この成果を次の世代に引き継いでいくことであります。そのため、一つには、十年後の東京を見据えながら、東京の都市基盤の確実な整備、環境問題への先駆的な取り組み、福祉、医療の充実など、さまざまな形で都民に還元していく必要があると考えております。
 また、先ほども申し上げた隠れ借金の圧縮や負の遺産の処理など、財政構造改革をさらに加速させることも必要であり、現在編成中の十九年度予算においては、その第一歩としていきたいと考えております。

○鈴木(隆)委員 答弁にもございましたが、しっかりと、今の決意のとおり、着実に進めていただくことを要望しておきたいというふうに思います。
 次に、都にとって非常に重要な問題であります法人二税のいわゆる人口配分論についてお伺いをいたします。
 法人二税は、十七年度都税決算見込み額に占める割合が四五%を超える、都や特別区にとって非常に貴重な財源であります。このうち、法人事業税については、これまで主なものだけでも四回にわたる不合理な分割基準の見直しが行われ、都税収入への影響は、十七年度決算見込み額で八百億円余りの減収、十八年度には、十七年度税制改正の影響が生じるため、二千億円もの減収が見込まれています。
 最近はこれに加え、都の人口一人当たりの税収の集中を指摘し、例えば人口を基準として法人二税の税収を配分してはどうかということまで主張をされてきています。
 しかし、地方の財源は法人二税だけではありません。都は地方交付税を受けておらず、地方譲与税についても譲与制限を受けています。地方税全体に地方交付税と地方譲与税を加えた一般財源の歳入で比較したときに、都に歳入が集中しているといえるのかどうか、お伺いをいたします。

○菅原主税局長 地方税に地方交付税、地方譲与税等を加えましたいわゆる一般財源の歳入額を、人口一人当たりで比較をいたしますと、平成十六年度決算において、全国平均を一〇〇とした場合の指数は、最高の島根県で一五四、最低の埼玉県で七三、東京都は全国平均を若干上回る程度の一一九となっておりまして、都に集中している状況にはございません。

○鈴木(隆)委員 今の答弁にありましたように、一般財源の歳入で比較すれば、決して都に歳入が集中しているわけではないということは明らかであります。地方自治体間の財政力を比較する上で、法人二税の税収だけを取り上げて殊さら問題視することは、何の意味も見出せないということになるというふうに考えます。いまだ根強く主張されている法人二税のいわゆる人口配分論、あるいは地方法人課税そのものを撤廃しようとするような主張については、都は明確に反論をし、阻止すべきと考えますが、所見を伺います。

○菅原主税局長 法人は事業活動を行うため地方自治体からさまざまな行政サービスを受けております。個人と同様、地域の構成員として応分の負担をすべきでございます。
 法人二税の税収を人口基準で再配分いたしますことは、地域で活動しております法人と自治体の行政サービスとの応益関係などに着目して課税するという税制上の根拠を全く無視いたしまして、もはや地方税とは呼べなくなるものでございます。都といたしましては、都税制調査会をも活用いたしまして、税制のあるべき姿を検討するとともに、税収の人口配分論など、不合理な国の財源調整の動きに対しましては、他の大都市とも密接に連携をいたしまして、断固として反対をしてまいります。

○鈴木(隆)委員 年末の与党税制改正大綱をにらみながら、今後とも国の動きを注視し、不合理な主張に決して屈することのないよう、大都市の自治体と力を合わせ、密接に連携しながら、地方法人課税の意義を全く無視した国の動きに反論をし、拒否することを要望して、次の質問に移ります。
 次は、都区のあり方についてお伺いをいたします。
 九月に発表されました平成十七年度東京都区市町村普通会計決算を見ますと、都内の市町村の財政状況は、上向いてはいるものの依然として厳しい状況が続いている一方で、特別区では全体的に改善が見られたとしています。
 そこでまず、特別区の十七年度決算についてどのように評価をしているのかをお伺いいたします。

○大原総務局長 特別区の平成十七年度決算の特徴でございますが、まず、歳入につきましては、特別区民税が都心区を中心に増収となりますとともに、特別区財政調整交付金が増加したことによりまして、一般財源が二十三区全体で対前年度比一千億円を超える大幅な伸びとなったこと、歳出につきましては、生活保護世帯の増加などにより扶助費がふえました一方で、職員数の減少などにより人件費が減となり、また、用地購入費の増などによりまして投資的経費が七年ぶりに増加に転じたこと、さらに財政指標につきましては、一般財源の増加により経常収支比率や公債費比率などが大きく改善をしたこと、最後に、将来にわたる財政負担につきましては、地方債残高が約一千億円減少をし、積立金残高が約一千百億円増加するなど、改善が見られたことが挙げられます。
 これらの結果から見まして、平成十七年度決算における特別区の財政は、総じて良好な状況にあるものと認識をしております。

○鈴木(隆)委員 特別区の財政状況は非常によいことがわかりました。もちろんこの背景には、特別区の行財政改革に向けた不断の努力があり、その点は率直に評価をするものであります。
 しかし、一方で、これだけの財政力を持ちながら、特別区が基礎的自治体として十分な役割を果たしているかについては、私は疑問であると思います。
 例えば、住民に最も身近なサービスである上下水道、これは都が直接公営企業として行っています。
 まちづくりの分野でも、本来市が行う仕事のかなりの部分を都が担っている現実があります。平成十七年度の決算に占める土木費の割合を見ますと、全国の市町村の平均が一五・四%、都内市町村の平均が一二・四%、これに対し特別区の平均は、十七年度は増加したとはいえ、一一・〇%となっています。特別区の区域においても、将来にわたりまちの機能を維持向上するための投資は必要であり、現在の投資水準では十分とはいえない状況にあります。平成十二年の改革により、特別区は基礎的自治体として地域の事務を総合的に担う主体となりました。福祉サービスだけでなく、まちづくりについても、特別区がみずからの責任で、より主体的に取り組んでいくべきであります。
 そのためには都から特別区への事務や権限の移譲が必要でありますが、例えば特例都道の整備や比較的大規模な区画整理事業などのまちづくり事業を見ても、都から事務を円滑に移譲するためには、現在の二十三に分かれた特別区の区域は狭過ぎるように思います。今後、特別区が大都市地域における真の基礎的自治体にふさわしい仕事を担うためには、特別区の再編を行う必要があると考えますが、都の見解を伺います。

○大原総務局長 特別区は、平成十二年の都区制度改革によりまして基礎的自治体に位置づけられ、より広範に地域の事務を担い、みずからの責任で住民サービスを効率的に行っていくことが求められております。
 委員ご指摘の、都から特別区への事務移管をさらに進めるに当たって、各区の区域が狭過ぎないかという視点に加えまして、生活圏、経済圏の広がりや、全国的な市町村合併の進展といった社会経済状況の変化、さらにはより効率的な行政運営の実現という視点からも区域を考える必要があると思います。
 現在の特別区の区域は、昭和二十二年に現在の二十三区となりまして以降、六十年間区割りが変わっておりません。こうしたことを踏まえますと、再編を含めた区域のあり方につきましては、今や根本的に議論をしていく時期に来ているというふうに考えております。

○鈴木(隆)委員 現在、都区のあり方について都区共同で検討が行われていると聞いています。特別区に事務をさらに移譲していくために、特別区の再編もタブー視することなく議論をし、これからの特別区のあるべき姿を積極的に示すことが重要であると考えます。まだ検討は緒についたところだとは思いますが、極めて重大な課題であり、腰を据えて十分な検討を行っていただきたいと思います。
 そこで、今後の検討に当たっての決意を伺って、この質問を終わります。

○大原総務局長 現在の都区を取り巻く状況でございますけれども、東京富裕論を振りかざして東京の財源をねらい撃ちしようとする動きがありますことや、国が特別区の財政状況に強い関心を示していることなど、極めて厳しいものがあるというふうに認識をしております。都と特別区は、こうした状況に対しまして、東京の発展が日本全体の発展を大きく左右するという共通認識を持ち、互いに協力をして、東京の自治のあるべき姿を確立していく必要があると考えております。
 都区のあり方に関する検討会では、これまで五回にわたりまして、地方制度改革と東京の自治、都区の事務配分、特別区の区域のあり方、税財政制度に関しまして踏み込んだ議論を行ってまいりました。今後、各項目についての検討の基本的方向を取りまとめまして、具体的な検討に入ってまいりますが、都区の置かれた厳しい状況を踏まえつつ、東京の発展と都民、区民生活の向上のため、区域の再編を含めた都区のあり方について、誠意を持って特別区と議論を進めてまいります。

○鈴木(隆)委員 次に、昨年度策定されました東京都国民保護計画についてお伺いをいたします。
 東京都国民保護計画は、外国からの武力攻撃や大規模テロなどに対処して、都民の生命、身体及び財産を保護するために策定されたものであります。その特徴としては、世界の大都市でテロが頻発する状況を受けて、大規模テロ等への対処を重視している点であると聞いております。東京は人口や産業が集中することから、テロに対して脆弱な都市であるといえます。
 そこで、東京都国民保護計画における大規模テロ等対処の主な課題は何か、また、都みずからどのような取り組みを行っているかをお伺いいたします。

○大原総務局長 東京都国民保護計画では、突発的に発生する大規模テロに迅速かつ的確に対処するため、平素からの備えを十分行うとともに、発災時の初動対応力を強化することを主な課題としております。都におきましては、計画策定後、平素からの備えといたしまして、危機情報の収集、分析に加え、都庁舎を初め、都が管理する施設等におけるテロの未然防止を目的に、全庁的なテロ等警戒対応基準を新たに制定をいたしました。
 また、初動対応力の強化といたしましては、計画に基づく大規模テロ災害対処訓練の実施ですとか、その成果等を踏まえましたNBC災害対処マニュアルの充実などを図っているところでございます。

○鈴木(隆)委員 テロへの備えとして都施設の警戒態勢を整備していることはわかりましたが、東京にはテロの標的になりやすい民間の大規模集客施設が数多く存在しております。そこで、民間施設の危機管理について都はどのような対策を行っているか、伺います。

○大原総務局長 テロを未然に防ぎ、都民の生命を守るためには、民間施設を含めました危機管理体制の強化が重要でございます。このため、都は、国民保護計画に基づき、本年九月、大規模集客施設の事業者と警察、消防など関係機関で構成する、テロ等の危機に関する事業者連絡会を全国で初めて立ち上げたところでございます。十月には危機管理セミナーを開催し、多くの事業者と危機情報の共有を図りますとともに、民間施設における警戒態勢の強化を働きかけました。
 今後、都は、危機情報の提供はもとより、テロ対処訓練を連携して行うなど、民間事業者の危機対応力の向上を図ってまいります。

○鈴木(隆)委員 都の施設だけではなく、民間施設の危機管理についても、東京都が先駆的に取り組んでいることは高く評価をいたしたいと思います。今後も民間事業者との一層の連携を図ってほしいと思います。
 ところで、北朝鮮はことし七月五日に弾道ミサイルを発射し、十月九日には地下核実験を実施をいたしました。これは、我が国のみならず、北東アジア及び国際社会の平和と安全に対する重大かつ深刻な挑戦であり、断じて許すことはできません。
 我が国政府は、北朝鮮に対して独自の経済制裁を実施することを決定し、十月十四日には国連安全保障理事会が北朝鮮制裁決議を全会一致で採択をいたしました。北朝鮮は六カ国協議への復帰には合意はしたものの、再度の核実験の準備が伝えられるなど、事態は予断を許しません。
 都は、今回の核実験に伴い、都民の生命、安全を守るため、どのような対応を行ったのかをお伺いをいたします。

○大原総務局長 都は、北朝鮮による核実験実施の情報を入手した後、直ちに情報の収集、分析を行う態勢をとり、区市町村に情報を提供いたしました。
 また、全庁的な対策を実施するために、危機管理対策会議を開催し、各局の役割分担を確認しますとともに、放射線量の測定など、原子力災害対策に準じた取り組みを行うことといたしました。
 さらに、北朝鮮への経済制裁に伴い不測の事態も懸念されることから、テロ等警戒対応基準のレベルを引き上げまして、都の施設における警戒態勢を強化いたしました。
 今後とも、あらゆる事態に備え、迅速かつ的確に対処できるよう、危機管理に万全を期してまいります。

○鈴木(隆)委員 今後も万全の態勢で危機管理を強化していくことを要望いたします。
 続いて最後に、振り込め詐欺について質問いたしますが、時間の関係上、一問、二問まとめて質問させていただきたいと思います。
 振り込め詐欺に関する報道を頻繁に目にしますが、先日の新聞記事では、都内の六十歳代の女性が、息子を装った男から、浄水器販売に失敗し会社の金を使い込んだ、監査が入るのですぐ振り込んでと指示され、振り込んでしまったという、おれおれ詐欺の事件がありました。
 これまでも東京都は、敬老の日に、地元や警視庁と連携し、浅草寺において振り込め詐欺撃退キャンペーン等を行うなど、さまざまな取り組みを行っています。
 一問目として、最近の振り込め詐欺の被害状況と、都が行ってきた対策についてお伺いします。
 また、二問目として、新たな手口として、事前に息子や孫を装って携帯電話の番号等を変わったとしてだまし、後日その電話から口実を装って振り込みをさせるなど、悪質な被害がふえていると聞いています。このおれおれ詐欺に対する取り組みと本部長の決意をお伺いして、終わります。

○舟本青少年・治安対策本部長 まず、振り込め詐欺の被害状況とこれまでの対策についてでございますけれども、被害状況につきましては、本年一月から九月までで、被害件数約二千二百件、被害総額約四十二億円でありまして、前年同期に比べそれぞれ増加しております。本年の前半は減少傾向にあったのですが、六月以降増加に転じたものでございます。
 これまで行ってきました対策につきましては、関係機関と連携をとりまして、まず、金融機関等の各事業者にあっては、ATMの引き出し限度額の引き下げや、口座開設、携帯電話契約時における身元確認の厳格化を実施してもらいました。
 都におきましては、警視庁と連携をし、被害抑止のキャンペーンを実施しましたほか、水道料金の検針票や納税通知書の封筒などへの注意喚起文言の記載、高齢者に接する介護事業者等に対する振り込め詐欺防止の研修など、都民により直接的に働きかける抑止対策にこれまで努めてまいりました。
 次に、今後の取り組みについてでございますが、従来多かった交通事故や痴漢の示談金を名目とするものは極端に減少しておりまして、これはこれまでの取り組みが一定の効果があったとは認識はしておりますが、しかしながら、最近は会社の金の使い込みなどを口実とした新たな手口がふえており、振り込み金額につきましても、百万円を超えますと金融機関が大変警戒が強くなるということから、九十八万円を振り込ませるという事例も散見しております。
 おれおれ詐欺の被害者は高齢の女性が圧倒的に多く、老後の蓄えを奪い取る、極めて卑劣な犯罪であります。被害を未然に何としても防ぐことができるよう、今後とも関係機関と連携を強化し、これまでの取り組みに加え、新たな手口に対してもより迅速に都民の方々に直接的に注意喚起ができるよう、振り込め詐欺抑止のための総合的な取り組みを強力に推進してまいります。

○田代委員長 鈴木隆道委員の発言は終わりました。
 柿沢未途理事の発言を許します。

○柿沢委員 まず、いじめの問題についてお伺いいたします。
 このところ、子どもがいじめが原因であるという遺書を残してみずから命を断つという、いわゆるいじめ自殺のニュースが後を絶ちません。ことし十月には、北海道滝川市の教育委員会が、昨年九月に教室で自殺した小学六年の女子児童の自殺を、これを一年たって、いじめ自殺と認めたというケースがありました。また、その後十一日に、福岡の筑前町で中学二年の男子生徒が、いじめが原因です、至って本気ですと書いた遺書を残して自宅の物置でやはりみずから命を断っています。そして、それからまた二週間もたたない十月二十三日には、今度は岐阜県瑞浪市の中学二年生の女子生徒が、やはり自宅で首をつって自殺をするということがございました。
 そして、この連日のようないじめ自殺をめぐる報道の中で明らかに感じられるようになってきたのは、遺族や、さらに国民の、教師や学校、教育委員会、文部科学省に対する大きな不信感ではないかと思います。言葉のいじめで苦しんでいたと遺書にはっきり書いてあるにもかかわらず、自殺の原因に直接結びつくようなことは書かれていなかったと話した教育長のこの発言、ほかにも、あろうことか、からかいやすかったからということで率先していじめのきっかけをつくっていたという元担任教師のニュースもありました。
 また同時に、これだけ深刻な実態が連日のように報道されているにもかかわらず、文部科学省の調査では、これまで七年間、いじめ自殺はずっとゼロと報告をされてきたというような事実も明らかになりました。
 教師は、学校は、また教育委員会、そして文部科学省は、今の現実を本当にわかっているのか、わかろうとしているのか、あるいは、わかっていながら自分たちに都合の悪い事実を押し隠して、隠ぺいしようとしているんじゃないか。多くの人が教育行政の当事者に対してそのような疑いのまなざしを向けている、私にはそのように感じられます。
 このような状況は、教師にとっても、また保護者にとっても、そして何より子どもたちにとってよいものではありません。今のいじめ自殺の問題をある種の契機として沸き起こってきた教育不信、学校不信というものを解消して、教育行政に対して国民、都民の信頼を取り戻すようなメッセージを発信をしていかなければならないというふうに考えております。その観点から何問か伺わせていただきます。
 まず初めに、都内において小中学校におけるいじめの状況というのがどうなっているのかを伺います。十年前と今との比較において、どのような状況になっているか、お答えください。

○中村教育長 都教育委員会は、文部科学省の調査に基づきまして、いじめの発生件数を初め、いじめの態様や発見の端緒、学校の対応などの実態を把握しております。
 お話しの十年前の平成八年度、都内の公立小学校のいじめの発生件数は二千三百七十二件、公立中学校の発生件数は二千百八十九件でありまして、平成十七年度の都内公立小学校のいじめ発生件数は二百八十九件、公立中学校の発生件数は五百九十七件でございます。この十年間、全体として減少傾向を示しております。

○柿沢委員 小学校では二千三百七十二件が十年後に二百八十九件、中学校では二千百八十九件あったのが五百九十七件になっている。小学校では十分の一とはいきませんけれども、そのぐらいに減っている。随分減っているなという印象を持ちますけれども……。
 ところが一方で、最近の報道によりますと、法務省の調査では、この間いじめはむしろ増加しているということをいっています。長勢法務大臣自身が記者会見でそのように話しているという記事に接しました。先ほどのいじめが減っているというご答弁の数字は、この法務省の調査と照らして実態を反映していると思うかどうか、確認させてください。

○中村教育長 文部科学省の調査は全国の小中学校全体を対象としたものでございます。法務省の調査は、各地の法務局など人権擁護機関への相談件数でございまして、調査方法、内容が異なるものでございます。
 文部科学省の調査によりますと、都内の公立小中学校のいじめの発生件数は全体として減少傾向を示しておりますが、平成十七年度は、前年度と比較しますと、中学校ではわずかに増加しております。
 また、個々の事例を見ますと、長期化したり、あるいは再発したりするなど、深刻な事例もございまして、児童生徒の健全育成上の重大な課題であると認識しております。

○柿沢委員 調査の方法が異なるというお話がありました。確かに法務省の調査は調査方法が異なります。だが、これは、いじめに遭ったのに学校が適切に対応してくれなかったということで、生徒や親が法務省に人権侵害を訴えるケースというのが対象になっているわけで、学校が適切に対処をしてくれなかったということで法務局に駆け込むケース、これがふえているということは、むしろやはり深刻な今の実態を反映している部分があるんじゃないかなというふうに思っています。
 さて、では過去十年間の都内の公立小中学校における児童生徒の自殺の件数、そしてその理由について伺いたい。お願いします。

○中村教育長 文部科学省の調査によりますと、過去十年間の都内の公立小中学校の児童生徒の自殺件数は十九件でございます。自殺の理由につきましては、家庭の事情などでありまして、いじめを含む学校問題を原因とするものではございません。

○柿沢委員 同僚議員の方にちょっと資料を配っていただきたいんですけれども、今ご答弁にありましたところ、都内の公立小中学校において、過去十年間においていじめによる自殺はゼロということであります。都内の公立小中学校においてはこれが実態なのであろうというふうに考えたいと思いますけれども、全国的に見ると、遺書が残っているなど、明らかにいじめが原因と考えられるようなケースがあるにもかかわらず、文部科学省の調査で、いじめ自殺はずっとゼロということになってきたわけです。これがまさに、学校は、自分の学校のマイナス評価につながるので、いじめによる自殺を報告しないで隠ぺいしているのではないかというような一部の見方につながっているわけです。そういう可能性も私、なくもないと思いますけれども、しかし、今回調べてみて、私は、この文部科学省の調査の仕方というのが余りよくないんじゃないか、問題があるんじゃないかというふうに感じております。
 国の調査フォーマットというのは、今お配りした資料のとおり、こうなっているんですよね。これは児童生徒の問題行動等生徒指導上の諸問題に関する調査、いわゆる問行調査といわれるもののようですけれども、この中の一項目として、小中学校における自殺の状況というのがありまして、下に理由別の状況が書いてありますけれども、家庭事情、学校問題。学校問題の中に、学業不振、進路問題、教師の叱責、友人との不和、いじめ、その他とあるわけですけれども、これを書き込む学校側は、あるいは教育委員会の側は、これだけ列挙された自殺の理由を一つ選んで選択をする、そして報告をするということが注のところに書いてあります。また、理由が不分明な場合は、その他の欄に記入しなさいということも書いています。
 これはやはりだれでもそうだと思うんですけれども、だれかがみずから命を断った、その原因を断定的に他人が判断するというのは非常に難しいことなんだろうというふうに思います。それを、これだけの列挙されたものの一つを選んで、これだといって記入をして、文部科学省に報告をする、これで間違いなくいじめだといって書けるようなフォーマットになっていないんじゃないかというふうに思います。結果として、いじめかもしれないし、そうでないかもしれないというものがその他に分類をされてしまったり、そういった形で遺書が残されているケースにおいても、いじめではないという報告が文部科学省に上がってしまって、それが結果として、実態に合わない、ここまで七年間のいじめ自殺ゼロというのを生んでいる。そしてこの七年間、文部科学省の把握ではいじめ自殺はありませんでしたということを文部科学省からいうことによって、国民から見れば、本当にわかっているのかな、いじめ自殺を隠ぺいしようとしているんじゃないか、そんなある種の不信感につながってきてしまっているのではないかと思います。
 この調査方法、国がやっているフォーマットですので、都教委としてもこれに従って区市町村教委から報告を上げてもらって、都教委が取りまとめて、文部科学省に報告をしているということだと思いますけれども、このフォーマットでなかなかいじめ自殺の実態というのはつかみにくい。そうであるとすれば、東京都として、都教委として、自殺の原因を、この調査の方法以外にも把握するような調査をしていないのかどうか。
 また、小中学校の自殺に関連して、こういう書き方ではなくて、いじめに関するささいな周辺情報でもあれば、必ず学校が、区市町村教委が書き込んで報告を上げてくるというような、独自のフォーマットをつくって調査を開始するというようなお考えがないかどうか、お伺いをさせていただきたいと思います。

○中村教育長 都教育委員会では、昭和六十一年の二月、都内の区立中学生がいじめにより自殺したという大変痛ましい事件以来、自殺という極めて深刻な事態につきましては、これまでも個別に区市町村教育委員会や学校から詳細な聞き取りを行うなどいたしまして、自殺の原因や背景について把握してきたところでございます。
 今後、文部科学省は、自殺にかかわる調査項目等につきまして検討を加えるという方向だと聞いております。都教育委員会といたしましては、こうした国の動向を踏まえまして、今後とも自殺の原因や背景につきまして的確な把握に努めてまいります。

○柿沢委員 国の方でも、この調査フォーマットに変更を加えるべく、何か有識者会議をつくって検討に着手をするというような、きのう、きょうのニュースだと思いますけれども、そんな報道にも接してはおりますけれども、一方で、この今まさに教育不信や学校不信がこれだけ高まっている状況の中、都教委としてもしっかり現実を把握をしている、また、把握をしようとしているというメッセージを、迅速かつ的確に都民に対して発していくことも大事ではないかというふうに思っております。
 折しもきのうの未明ですけれども、伊吹文部科学大臣あてに、いじめをやめなければ自殺するという趣旨の、小学生か中学生かわかりませんけれども、匿名の手紙が届きました。これに対して都教委として、けさ、緊急アピールというのを出したというふうに聞いております。「いじめを許さず、尊い命を守るために」という中村教育長の名前での緊急アピール、子どもたちへのメッセージで、皆さんの思いを受けとめることは、私たち大人の責任ですということが書いてあります。
 そういう意味では、この問題に対して大変迅速にこうしたメッセージを発信されたことは評価をしたいと思いますし、また、この緊急アピールには、いじめ等問題対策室の電話番号も書いてあるんですけれども、きょうはこの質疑があるので、教育庁の指導部の方に接触をしましたら、このいじめ等問題対策室に対して、この発表と同時に問い合わせやさまざまな電話が殺到していて、この質疑を控えての私の問い合わせの電話も実はつながらなかったというようなことがあったんです。そのぐらいやはりこうした行政側、教育委員会の側から、私たちはあなたたちのことをちゃんと理解しようと努めていますよというメッセージをしっかり発信をしていく、適時適切にやっていくということがいかに大事かということがわかるというふうに思います。このような形でしっかりとこれからも学校が抱える問題に向き合っていっていただきますようにお願いを申し上げて、教育の問題、次に移りたいと思います。
 次は、コミュニティスクールについてです。
 今、国会では教育基本法の改正案が審議をされています。私たち民主党も、対案として、日本国教育基本法案というのを提出しております。私たちの、民主党の教育基本法案、ここで力点が置かれているのは、地域の人たちが学校に参加をするということです。いわゆる地域が学校をつくる、地域主権の考え方です。
 その具現化になるものがこのコミュニティスクールというものだというふうに思っております。コミュニティスクールというのは地域立学校ともいうべきものでありまして、地域の人たちが学校理事会や学校運営協議会をつくって、学校運営の責任ある担い手となる、学校教育の基本方針を決めていくというものであります。今まで、ともすれば教師と生徒だけの閉ざされた空間であった学校が、地域の人たちの目が届いて、地域の人たちの声が反映される、開かれた学校になる、生まれ変わるというふうにいわれています。
 国では、平成十六年度にコミュニティスクールを制度化して、全国ではことし五月現在で五十三校できているというふうに聞きます。
 それでは、都内でコミュニティスクールは今何校できているのか、伺います。

○中村教育長 足立区立の五反野小学校外十一校、合わせて十二校でございます。

○柿沢委員 では、その十二校できている都内のコミュニティスクール、あるいは全国の事例も含めて、コミュニティスクールの今までのところの都教委としての評価というのはどうなっているでしょうか。

○中村教育長 コミュニティスクールにつきましては、学校運営協議会を通じまして、保護者や地域住民が一定の権限と責任を持ちまして学校運営に参画することによって、そのニーズを迅速、的確に学校運営に反映させ、学校、地域、家庭が一体となって、よりよい教育の実現に取り組むことができる一つの仕組みであるというふうに考えております。

○柿沢委員 よりよい教育ができる一つの仕組みというお話がご答弁としてありました。いろいろなコミュニティスクールに関するやりとりをさせていただく中で、もっと高い評価をしていただきたいなという思いがあったんですけれども、私自身は、このコミュニティスクールというのが、先ほど来申し上げてきたいじめの問題や不登校、あるいは不適格教員の問題、あるいは学級崩壊、そうした今の学校が抱えているさまざまな問題を解決する本当に切り札になり得るものだというふうに思っています。
 学校を取り巻く地域の住民が、ただ参加をする、ある意味ではゲストのように入っていくわけではなくて、主体的に学校経営、学校運営の現場に出ていく。そのことによって風通しがよくなり、また地域の人の目が、周囲の人の目が届くようになる。例えば教室の中に担任の先生とは違う、例えば地域の大人の目があるだけでも、子どもたちと担任の先生が向き合う姿勢というのは、それぞれ大きく変化をしてくるのではないかというふうに思っております。
 私は平成十六年度、五反野小学校がコミュニティスクールになってすぐに五反野小学校を見に行きましたけれども、あそこにはすべての教室に校長先生のいすと机が置いてありまして、子どもたちの机といすの列の一番後ろに、子どもたちと全く同じ机といすで校長先生の席というのが全教室にあるんですね。校長先生、三原先生という民間から来られた方ですけれども、不意に教室にふらっとあらわれて授業を見て、子どもたちと一緒に授業に参加をして、そしてまた帰っていくというような形で教室めぐりをしていました。こういう形で目が届いていく。これが例えば地域の大人であってもいいというふうに思うんですけれども、こうしたさまざまな角度からの目が届くことによって、学校においていじめが学校の中で放置されるということもなくなるでしょうし、見て見ぬふりを続けることもできなくなるでしょうし、あろうことか、教師がいじめを助長したりするようなことも絶対許されなくなるというふうに思います。
 こうした観点から、私は将来的には都内の全小中学校に学校理事会や学校運営協議会というものが設置をされて、全小中学校がコミュニティスクールに生まれ変わっていくというのが理想だというふうに思っています。都としても、そうした将来に向けて、ロードマップ、行程表みたいなものをつくって、小中学校の設置主体である区市町村を支援し、促していくべきだというふうに思っておりますけれども、いかがでしょうか。

○中村教育長 コミュニティスクールの指定は、小中学校の設置者であります区市町村教育委員会が、地域の実情を踏まえまして主体的に決定すべきものというふうに考えております。都教育委員会といたしましては、コミュニティスクールとなった学校の取り組み状況につきまして、区市町村教育委員会に情報提供を行ってまいります。

○柿沢委員 今、区市町村が主体的に判断するものだと。これは本当に確かにそのとおりなんですけれども、しかし、残念ながら今までの動きや取り組みを見ていると、区市町村教育委員会は、非常に地域によって、このコミュニティスクールの導入に対して熱心なところと、そうでないところと、大変なばらつきがあるのが現実です。そういう意味で、残念ながらそういう状況の中で、東京都としても積極的な評価をこのコミュニティスクールに対してしていただいて、そして区市町村教育委員会あるいは学校も含めて、コミュニティスクールに生まれ変わるという、そうした流れをぜひつくり出していただきたいというふうに思っております。
 同時に、学校理事会、学校運営協議会に参加をするという形だけではなくて、地域の人たちがさまざまな形で学校現場に参加をするということが、学校をよくして、そして学校教育をよくすることにつながるというふうにも思います。
 三鷹市の市立第四小学校では、保護者や地域の人たちが中心になって、夢育支援ネットワークという教育支援のNPOが立ち上げられています。この夢育支援ネットワークには、保護者や地域の人たち百五十人ぐらいが今メンバーになっているそうですけれども、授業のお手伝いとか、あるいは放課後の居場所づくりなんかにもメンバーの人たちがボランティアで参加をしているということです。何でも職員室の隣にこのNPOのスタッフルームが設置をされていて、そこには張り紙があって、何月何日にこれこれこういう授業をやるので、ボランティア何人が必要ですということが張り出されているんだそうです。それを見て、都合のつくメンバーがボランティアとして授業に参加をするという形になっているそうです。
 例えば家庭科の時間で調理実習をしたときに、先生一人に対して生徒四十人では目が届かないので、危なくて子どもに包丁を持たせられないというようなことがあります。調理実習といっても、先生が野菜を切るのを見せて、あとは何人か生徒の代表にやってもらうということになってしまっているというような話を聞きます。でも、ここでボランティアでお母さんが五人参加をしてくれればどうでしょうか。ボランティアのお母さんが教室内に散らばって、子どもたちに実際に包丁を握らせて料理をさせることができるようになります。包丁を持っていても、それだけの人数が目を届かせていますので、危険性は低くなりますし、しかも、実際に毎日料理をしているお母さんが手ほどきをするわけですから、場合によっては、教員になりたての家庭科の先生よりもお母さんの方がよっぽどうまいということもあるかもしれません。しかも、お母さんはボランティアですから、補助教員をつけるのとは違って、全く人件費がかからない。地域の人たちが参加をすることでよりよい教育ができるまさに好例だというふうに思っております。
 このような形で地域の人たちが教育現場に積極的にかかわることが、教育効果を高める上で大変有効であると考えますけれども、都教委の所見を伺います。

○中村教育長 子どもの安全・安心や基本的な生活習慣の確立を初め、子どもを取り巻く多様な教育課題に的確に対応するためには、お話しのように、学校のみならず地域が持つ教育力を学校内外の教育活動に積極的に取り入れるなど、社会全体で支えていくことが必要であるというふうに考えております。
 現在、お話しの自治体のほかにも、先進的に地域の人材などを積極的に教育活動に取り込んで効果、成果を上げている事例が多くの区市町村に広がってきております。今後、都教育委員会では、学校と地域が連携した活動事例等を積極的に情報提供するとともに、企業、NPO、大学と行政が協働いたしました地域教育推進ネットワーク東京都協議会を活用いたしまして、地域の教育力を活用する取り組みが全都に拡大するよう、区市町村へより一層支援を行ってまいります。

○柿沢委員 一層支援を行っていくという力強い答弁がありました。
 一方で、このコミュニティスクールの導入や、あるいは地域の人たちの学校現場への参加というのは、今まで教育現場を、独占とはいいませんけれども、もっぱら担ってきた教師の皆さん、そうした皆さんにとっては、聖域を侵されるといいますか、そういった面がある。また、今までどおりのやり方が変わっていくわけですから、その煩わしさというのがやはりあるのではないかと思います。そういう意味でいわば面倒くさいということでしょうか、なかなか現場から主体的に、コミュニティスクールに生まれ変わろうじゃないか、そういう機運が出てきにくい状況もあるのではないかというふうに思いますので、成功事例の普及啓発ということがお話としてありましたけれども、ぜひ都教委としても推進する立場で、これからも区市町村を積極的に支援をしていただきたいというふうにお願い申し上げて、次の質問に移ります。
 少子化対策についてです。
 私は、この間の保育所制度に対する都の改革の試みというものについて基本的に評価をしている立場です。東京都は、平成十三年に認証保育所を立ち上げて、さらに平成十八年度からは、返す刀でといってはなんですけれども、認可保育所等に対する都加算補助金を交付金化をして、さらに政策誘導分を導入するなどしています。そうした形での保育所制度の改革というものを東京都が進めてきた、大まかな方向性については私は非常に評価をし、賛同している立場であります。
 認可保育所というのは、残念ながら今までゼロ歳児保育も延長保育も実施率が悪いのに、手厚い都加算補助というのが投入をされてきた。一方、認証保育所を見ると、ゼロ歳児、また十三時間開所というのが開所条件ですから、ゼロ歳児も延長保育も実施率一〇〇%なわけです。なのに国からお金も出ていませんし、今いった都加算補助もゼロで運営をされている。そうしたある種アンバランスな状況になってきたわけです。そもそも私の考えでいえば、保育所の設置者が官か民かというようなことで投入される補助金の額が違ったりすること自体がおかしいのではないかと思っております。
 しかも、その投入される補助金の格差というものが、結果的に利用者の負担する保育料にはね返ってきています。例えば保育料で比較をすれば、認可と認証で約二倍、額にして三万円とか四万円という保育料の格差が開いているという状況になっているわけです。そういう意味で、認可保育所と、あるいは認証保育所その他の保育所と対等な競争条件で、イコールフッティングのもとで、競争、競い合いを行っているというふうにはいえない現状が今もって続いているというふうに思います。
 私は、どのような設置主体であっても同じ競争条件にして、イコールフッティングのもとで競い合いながら、多種多様な保育サービスが供給をされていく、そして利用者はそれぞれのニーズに合ったサービスを主体的に選択をできる、そして認可保育所もその中の選択肢の一つである、そのような考え方が、都のこれまでの保育所制度に対する改革の基本的な考え方だったというふうに理解をしております。
 認証保育所は今月一日現在で、A型、B型を合わせて三百四十八カ所を数えるまでになりました。また、今般制度化された認定こども園の地方裁量型のいわゆるモデルにこの認証保育所制度がなったというふうにもいわれています。そうした形でこの認証保育所というのが大きな成功をおさめている。
 その一方で、先ほど申し上げたような部分においては、都が保育サービスについて、これからの将来どのようにしたいというふうに考えているのか、ある意味では踊り場に差しかかってきて、わからなくなってきているんじゃないかというふうに私は印象として思っています。
 というのも、認証保育所がある意味で非常に意欲的な挑戦であったのは事実ですけれども、実態としての使われ方を見ていると、結果として、認可保育所に入れるまでのつなぎとして利用されている部分が非常に強いのではないかというふうに思うからです。もともとそれは例えばゼロ、一、二に特化していたりとか、そうした形で立ち上げた制度ですので、ある意味ではゼロ、一、二で認可になかなか入ることができない、そうした人たちを受け入れるためにつくられたものであることも否定もしませんし、役割を果たしていることも否定もしませんけれども、しかし、この認証保育所の制度というのは、私の理解でいえば、認可保育所のそういう補完というか、つけ足しというか、垂直分業的な立場にとどまっていてはいけないのであって、むしろ先ほど申し上げたように、認可と認証が対等な条件のもとで競い合っていくことこそ目指していく方向性であるのではないかというふうに思っております。
 そのような観点から、都議会民主党として、私も関係しておりますけれども、これまでの代表質問などで、利用者に直接補助をする保育バウチャーの制度の導入や、一方で、認証保育所と認可保育所の保育料の格差の問題を解消するために、認証保育所の保育料の負担軽減を提案したこともあります。これらも認可と認証をイコールフッティングにして、本来の意味でどちらも選べる環境をつくろうという趣旨で提案してきたものであります。
 そこで、もう基本の基本ですけれども、この部分について都はどのように考えているのか。認可保育所が中心にどんとあって、そこからこぼれた需要を認証保育所やその他の家庭的保育のサービスなんかがカバーをする、落ち穂拾いをする、こういうふうに皆さんが考えておられるのか。あるいは、先ほど私が述べたように、あらゆる保育サービスがあって、その中で選択できる、イコールフッティングにしていくんだというふうに目指すべき方向性を考えているのか、都の基本的な考え方をお伺いしたいと思います。

○山内福祉保健局長 利用者本位の福祉サービスの実現のためには、多様な事業主体の参入や競い合いを促すことが重要でございます。認証保育所制度はこうした考え方を具体化したものでございまして、平成十三年度の制度創設以来、都民から広範な支持を得て、現在三百カ所を超える設置となっております。
 一方で、多様な事業者による対等な条件での競い合いが進むよう、認可保育所を対象とした都加算補助については、見直しを行ったところでございます。
 あわせて、直接契約の導入や保育料の自由な設定など、現行の認可保育所制度の改革を国に提案要求しているところでございます。
 今後ともこうした取り組みを一層進め、質の高い保育サービスを利用者が選択できるよう、仕組みづくりを進めてまいりたいと思っております。

○柿沢委員 今のご答弁で、多様な事業者による対等な条件での競い合いが進むよう、都加算補助の見直しや直接契約の導入、保育料の自由な設定など、この認可保育所制度の改革を国に提案要求をしているというようなお話がありました。まさに私が述べたような方向性が、東京都が目指している将来的な保育サービスにかかわる方向性なんだろうというふうに理解をさせていただきたいというふうに思います。
 次に、家庭的保育についてお伺いをいたします。
 都市における保育のニーズというのはまさにさまざまでありまして、深夜働いている人もいれば、短時間だけスポット的に保育サービスを必要としている人もいる。毎日九時-五時で働いている人ばかりではないのがこの大都市東京の現実でありまして、定型的な福祉施設型では対応できない保育ニーズというものがあるのではないかというふうに思っております。それをカバーするのが、そして柔軟にそうしたさまざまな保育ニーズに対応していけるのが、私はいわゆる家庭的保育といわれるような保育サービスではないかというふうに思っております。この東京では、施設型保育だけではなくて、家庭的保育のニーズがあると思いますけれども、まず、都の認識はどうなっているか、伺います。

○山内福祉保健局長 お話しのとおり、保育サービスには、施設で行われる保育のほか、主として保育者の自宅で子どもを預かる家庭的保育がございます。この家庭的保育には、NPOや個人が独自に自宅で子どもを預かるサービスや、都が補助を行っている家庭福祉員制度などがございます。
 都としては、家庭的な雰囲気のもと、少人数で保育を行う家庭福祉員制度について、多様な保育ニーズにこたえるための有効な施策の一つとして位置づけております。

○柿沢委員 今ご答弁にもありましたが、家庭的保育というと、代表的なのはいわゆる保育ママですね、家庭福祉員。区市町村が実施主体になって、自宅で子どもを預かるサービスをやっています。
 一方、民間でも、自宅で子どもを預かるベビーシッターとかチャイルドマインダーといったようなサービスがあります。やっていることは基本的にこの保育ママと同じことです。
 実は今の法律でいうと、認可保育所でないものはすべて認可外ということになりますので、こうした自宅で子どもを預かる家庭的保育も、突き詰めていうと、認可外保育施設の一つという扱いになってしまうようです。それによって、実はこの家庭的保育の一部のサービスが都の認可外保育施設の指導監督基準の適用を受けているという実態があります。
 この認可外保育施設の指導監督基準というのは、一義的にいうと、ベビーホテルとか、いわゆる無認可保育所といって私たちが思うような、そうした施設型の保育を対象とした指導監督基準ですから、その中には、消火器の設置であるとか非常口などの設置、二方向避難とか、あるいは屋外階段をつけろとか、普通の人が自宅でやっている家庭的保育のサービスの中では、とてもではないけれども用意できないようなものが含まれておりまして、この基準をしゃくし定規に当てはめると、家庭的保育をやっているところはほとんどすべてがこの基準を満たしていない、基準外の不適切な保育施設ということになってしまいます。
 実際に、これはチャイルドマインダーさんですけれども、私が聞いたところだと、こういう形で東京都の認可外保育施設に対する立入調査を受けて、こんなことでは営業を続けさせるわけにはいきませんよというようなことをいわれて、私が見る限り余り問題なさそうに感じたんですけれども、本当に真っ青になったというような話も聞いたことがあります。しかし、そもそも十人、二十人という人数規模のベビーホテルや何かと、例えば一人の保育士さんが自宅で二人の子どもを見ているとかいう家庭的保育とで、規模も違えば、子どもたちに対する目の届き方も全然違うわけですから、同じ構造上の基準を当てはめるというのは非常に無理があるのではないかというふうに私は思います。
 しかも、この認可外保育施設の指導監督基準というのは、区市町村が主体でやっている保育ママ、家庭福祉員の事業には、一部が適用除外を認められています。ほとんど同じ家庭的保育のサービスをやっていながら、区市町村のやっている保育ママはこの基準を満たしていなくてもいいですよ、でも、民間のやっている家庭的保育サービスは認可外の基準そのとおりにやってもらわなきゃ困りますよというのは、これは私、非常に不公平なのではないかというふうに思います。
 こうした不合理といいますか、私からいわせれば不合理ですが、これを解消していくためには、もはや家庭的保育というのを認可外保育施設の一つというような位置づけをするのではなくて、施設型保育とは違ったカテゴリーのものとして独自の位置づけをしっかりとしていく、そして、それにふさわしい基準のあり方や規制のあり方、指導監督のあり方というものを考えていく必要があるのではないかというふうに思います。
 そういう意味で、広域自治体である東京都は、この家庭的保育について、一つの官民問わずのガイドラインというものをつくって、それにのっとって家庭的保育が行われていくように促していくことが必要ではないかというふうに思っているところです。
 こうした観点から、家庭的保育や病児保育を手がける民間団体が集まった日本地域保育協議会というのがありますけれども、この九月、家庭型在宅保育登録についての基準という案をまとめて発表しています。家庭で子どもを預かって保育をするというサービスについて、共通の基準をつくろうという動きです。
 この中には非常に詳細なチェックリストがついていまして、例えば、安全チェック項目では、包丁、はさみ、ナイフ、工具類は子どもの手の届かない安全なところに置いてあるかどうかとか、衛生チェックの項目では、ペットがテーブルの上に上る癖がないかとか、まさに自宅で家庭的保育をやっている現場を踏まえた、なるほどなと思うようなチェック項目が挙げられています。
 こうした形の基準づくりと、またそれによる把握というのを都がして、家庭的保育の質の向上につなげていくことが必要だと考えますけれども、家庭的保育の位置づけと統一した基準、ガイドラインの整備について見解を伺いたいと思います。

○山内福祉保健局長 保育を実施するに当たっては、子どもの安全が十分に確保されていることが最も重要でございます。こうしたことから、都は、認可外保育施設として届け出をすべき対象について、国が利用定員六名以上の事業者としているところを、利用定員一名以上のすべての事業者としているところでございます。
 また、お話しの家庭的保育については、認可外保育施設の中でも、子どもの人数に応じた職員の配置が特に重要と考えていることから、認可外保育施設指導監督基準に基づきまして、安全に重点を置いた指導を実施しているところでございます。
 なお、家庭的保育の一つでございます家庭福祉員については、本基準の一部の適用を除外し、普及拡大に努めているところでございます。

○柿沢委員 ご答弁いただきましたけれども、残念ながら、認可外保育施設の指導監督基準に基づいて安全に重点を置いて指導していくということですから、適用するということが当面変わらないということなのかなというふうに理解をさせていただきました。
 これから家庭的保育は非常に大きく成長していくというか、大きくなっていくカテゴリーだと思っています。いずれ施設型の保育所とは独立した地位を、位置づけを与えなければいけない時期が来ると思いますので、それに向けてぜひ積極的な検討と対応をお願い申し上げておきたいと思います。
 この項目の最後として、ファミリー・サポート・センターの事業についてお伺いをします。
 地域の住民同士が助け合う仕組みとしてファミリー・サポート・センター事業というのがありますが、急な用事で一時的に子どもを預けたいとか、保育園への送り迎えを頼みたいとか、子どもが病気なので一日だけ預かってほしいとか、そういうさまざまなニーズにこたえて、会員となった地域住民同士が助け合うというものです。
 もともと仕事と家庭の両立支援を図るために旧労働省が立ち上げた事業で、仕事をしている母親だけが対象だったようですけれども、現在は子どもを持つすべての家庭に広がっていて、今や地域の子育て支援のためのリソースとして非常に幅広く活用されていて、いわば気軽に使える保育サービスとして本当に受け入れられているというふうに思います。
 先ほどからいっているように、都市の保育ニーズというのはまさに多種多様ですから、必ずしも、月曜から金曜、九時-五時まで働いている人たちばかりではないし、また、そういう人たちだけが保育サービスを必要としているわけではありません。そうした多種多様なニーズに対して、官がやるのではなくて、地域住民の民の力を生かして適切な保育サービスを提供していく。まさにファミリー・サポート・センターというのはこれからの子育て支援において理想的な事業ではないかというふうに私は思っています。
 ファミリー・サポート・センターの実施主体は区市町村です。都内でも多くの区市町村で実施されるようになってきてはいますけれども、この地域住民の助け合いの仕組みを生かして、地域地域の子育て支援機能を一層充実させていくことが必要ではないかと思います。
 そこで、ファミリー・サポート・センター事業は、まさに地域のさまざまなニーズにこたえていくべく、都の子育て支援策と一体となって進めていくべきだと考えますけれども、見解を伺います。

○山内福祉保健局長 ファミリー・サポート・センターは、保育所への送迎や緊急時に預かりなどを行う事業でございまして、都民の切実な子育て支援に対するニーズに積極的に対応し、平成十八年十月現在、四十七区市町村で実施しておるところでございます。
 また、区市町村の子どもと家庭の総合的な相談、支援の拠点となる子ども家庭支援センターとも密接に連携するなど、地域の子育てを支える仕組みとして今後ますます重要な役割を果たすものと考えております。
 今後、都全体の子育て支援に関する取り組みをより一層充実する観点からも、お話しの施策の一体化について積極的に検討してまいります。

○柿沢委員 以下は意見とさせていただきたいと思いますけれども、しかし、このファミリー・サポート・センター事業というのは、ある種の、東京都の局別の縦割りの中でいうと、今までの子育て支援策、福祉保健局がやっている子育て支援策とはちょっと違うところに位置づけられてきた経過があります。
 先ほど申し上げたように、ファミリー・サポート・センター事業というのは旧労働省が立ち上げた事業ですので、その関係から、ファミリー・サポート・センターを都庁でどこが所管をしているかというと、かつては労働経済局、今は産業労働局が所管をしている。ある種の雇用就業支援の一環として産業労働局の所管となってきたわけです。
 しかし一方で、ファミリー・サポート・センターのニーズというのは、むしろ、地域における支え合いの子育て支援サービスというか、そういう形で利用されてきています。
 また一方で、国の省庁再編によって、厚生省と労働省がくっついて厚生労働省という一つの官庁になった。厚生労働行政というのがどう東京都庁で行われているかというと、厚生行政は福祉保健局、労働行政は産業労働局ですから、結果的に、その他のほとんどすべての子育て支援サービスは福祉保健局が所管をしていながら、このファミリー・サポート・センターだけ、ぽつんとといったらあれですけれども、産業労働局の所管で続いてきたわけです。
 こうした形で、施策の一体化というのができない--縦割りというと産業労働局さんのこの事業に対するご努力には申しわけないんですけれども--状況にあった。ぜひこれを一体化させて、子育て支援、子どもをめぐる施策というものは福祉保健局で一体となってやっていくんだという体制を構築していただきたい。これは要望にとどめさせていただきますけれども、そのことを申し上げさせていただいて、次に移りたいと思います。
 次に、東京港臨海道路の二期事業についてのご質問をいたします。
 東京港臨海道路の二期事業として、中央防波堤外側埋立地から江東区の若洲の間、約四・六キロの整備が現在進められています。この事業は国直轄事業でありまして、一部区間を都が受託し、施行していると聞いていますけれども、都ではどの部分を受託施行しているのでしょうか。
 また、十七年度決算の説明では、十四年度から開始したこの事業の十七年度末の事業進捗率、約二〇%ということでありますけれども、この受託部分については具体的にこれまでどのような工事が行われてきたのか、あわせてお伺いをしたいと思います。

○津島港湾局長 都が受託しておりますのは、全体約四・六キロメートルのうち、第三航路横断部の約一・六キロメートルを除く、若洲側と中央防波堤外側地区を合わせました約三キロメートルの箇所でございます。
 都は平成十七年度までに、中央防波堤外側地区におきまして、南北水路横断橋、これは仮称でございますが、この横断橋の橋脚及び橋台の建設や地盤改良工事を行ってきております。

○柿沢委員 東京港臨海道路の、いわゆる大きな橋については国直轄--国直轄なんですけれども国施行ということで、それに附帯する南北水路横断橋というのを都施行で行っているということだと理解します。
 その南北水路横断橋の橋脚部の工事が既に行われたようですけれども、南北水路横断橋の基礎には、ちょっと専門的な話になりますけれども、鋼管矢板井筒工法という工法が採用されています。
 (パネルを示す)この鋼管矢板井筒というのは、こういう大きな鉄のパイプがありまして、これを組み合わせてこういう円形のものをつくっていくわけです。これにモルタルやコンクリートを流し込んで橋脚を形づくっていくという工法です。この工法が橋脚部分の施工方式として採用されたというふうに聞いております。
 土木の専門家の話によれば、類似の施工条件や工事費などを比較した場合には、ケーソン工法、これはコンクリートや鉄でつくった大きな箱を沈める方法ですけれども、こうした方法の採用も考えられるということであります。
 そこで、まず伺いますけれども、なぜこの鋼管矢板井筒工法というのを採用したのか、お伺いさせていただきます。

○津島港湾局長 東京港臨海道路二期事業では、全区間につきまして、基本設計を事業主体である国土交通省が行っております。南北水路横断橋の橋脚部の工法についても、国土交通省が実施した基本設計の中でこれが選定されております。
 選定に際しては、本工事箇所で実施可能な、お話しのケーソン工法などと比較検討の上、最終的に、軟弱地盤などの土質条件から、施工性、経済性にすぐれた鋼管矢板井筒工法が採用されたものと聞いております。

○柿沢委員 ちょっとわかりにくくて申しわけないんですけれども、以後、鋼管矢板井筒工法の技術的な話について確認をしたいと思います。
 先ほども述べたように、土木の専門家に話を聞いて勉強させてもらったところでは、鋼管矢板井筒工法というのは、鋼管矢板というこの鉄のパイプの周りに耳みたいなものがついていて、このリングの部分で鉄の管をつなげていくわけですけれども、この鋼管を真っすぐに、鉛直に地面に打ち込んでいくということが非常に重要で、施工管理における最重要項目になっているというふうに聞いています。
 しかも、鋼管というのはどうつくるかというと、スパイラル鋼管といって、いわゆる鋼板、鉄の板をねじみたいにこういうふうに斜めにらせん状につなぎ合わせて、例えば長さ五十メートルとかいう鉄のくいを、管をつくっていくわけですので、こういうらせん状の溶接の線が鋼管に残るんです。これが結構厄介でして、上からパイプを打ち込んでいくと、それに従ってくるくる鋼管が回ってしまう。それによって真っすぐ打つことが非常に難しいというふうにいわれております。
 しかし、これを見ていただくとわかるように、この鋼管には左右に継ぎ手という耳みたいなものがついていて、ここでひっかけて、こういうふうにして円状にするわけですから、これが回ってしまって真っすぐ打ち込めないというのは、全体の狂いにつながってくるので許されない。それを防ぐために、回転を防ぐためにジグという定規のような固定金具をあてがったり、現場に合わせてさまざまな苦労、工夫をされているそうです。それでも鋼管矢板というのは回転したり傾いたりしてしまうために、これらを極力小さくすることが施工管理の最重要項目となっているということです。
 そこで、この南北水路横断橋のケースで、基礎工事で打ち込んだ鋼管矢板の長さはどのぐらいで、施工業者に対してどの程度の施工管理精度を要求したのか、その結果、最も大きな値は幾らだったのか、伺わせていただきます。

○津島港湾局長 南北水路横断橋の基礎工事に使用した鋼管矢板の長さは約五十メートルでございます。
 橋梁のような重要構造物につきましては、所定の品質を確保するために厳しい施工管理が必要でございます。このため、社団法人日本道路協会の鋼管矢板基礎設計施工便覧などの管理基準に基づき、鋼管矢板の横ずれをあらわす水平変位に対しましては十センチメートル以内になるように、また、鉛直方面からの傾きに対しては五百分の一以下になるように請負者に課しております。
 なお、本工事における水平変位は最大で六・二六センチメートル、傾斜は最大で五百分の一となっており、管理基準値内であることを確認しております。

○柿沢委員 水平変位について、横ずれについては、プラ・マイ十センチ許容限度があったのを六・二六センチでおさまっている。一方で、傾斜については、要求精度である五百分の一ぎりぎりだけれども、満たしているということでした。
 この点についても土木の専門家にお話聞きましたけれども、よくこの施工精度を守れたなというふうに感心しておりました。こうしたことから、非常に難しい工事なんだなということが率直な感想としてあります。
 それでは、皆さんに対する質問の最後として、鋼管矢板の継ぎ手部分のモルタル注入工事についてなんですけれども、これは鋼管矢板の継ぎ手の部分に組み合わせていくわけですけれども、ここの耳の部分は、つながり方としてはこういう形のつながり方をしているわけです。ぐるっと回ってひっかかっている。こうなると、三カ所に空隙というか、すき間の部分ができる。ここにモルタルを注入してつなぎ合わせる。それで強度を高めて、さらに内部への水の入り込みというのを防ぐということになるわけです。だから、ここにモルタルがちゃんと注入をされないと、工事としてうまくいかないということになります。
 この設計上、継ぎ手のすき間の部分にそれぞれ何立方メートルのモルタルが注入されることになっていたのか、そして、設計で指定された注入量がすべて確実に入っていたのかどうか、確認させていただきたいと思います。

○津島港湾局長 南北水路横断橋は二基の橋脚がございまして、この橋脚基礎に百四十四本の鋼管矢板を打設しております。この鋼管矢板の継ぎ手部分に、お話しのようにモルタルを注入しておりますが、これらの継ぎ手全体で、ご指摘の三カ所の空隙部分のうち、両サイドにはそれぞれ七十立方メートルずつ、合わせて百四十立方メートル、中央部に二十三・三立方メートル、合計で百六十三・三立方メートルを注入することとなっております。
 モルタルの注入量につきましては、打設時の注入量の管理と打設後の出来高計測により確実に確認しております。

○柿沢委員 以上、都が施行している南北水路横断橋の橋脚工事についての施工状況の実際を確認させていただきました。
 最初の質問では、第三航路上の海上部、一番大きな、非常に大きな橋ですけれども、ここは国の直轄というご答弁でしたけれども、東京港臨海大橋では、南北水路横断橋と同じ鋼管矢板井筒工法、しかも、大幅なコストダウンにつながる新技術ということで、継ぎ手部分に、しま鋼板という、中にぎざぎざが入っている鋼板、そして、高強度モルタルを入れて継ぎ手の強度を従来よりも大幅にアップしたというしま鋼管継ぎ手というものを採用しております。その結果として、必要となる鋼管矢板の本数を三五%減らすことができた、コストダウンに大幅につながったということが各種の専門誌でも公表されています。
 そこでこの質問をさせていただいたんですけれども、この鋼管矢板井筒工法というのは、真っすぐ、鉛直に打ち込む施工精度というのが非常に重要だというふうにいわれています。今回の都施行の南北水路横断橋でも、五百分の一という施工精度ぎりぎりだったということですけれども、東京港臨海道路の橋の部分について、橋脚の専門家の検討の資料を見させていただいたんですけれども、ここで国がしっかり施工するために要求している精度は、千五百分の一という施工精度になっているというふうに聞きました。
 この千五百分の一という施工精度は、土木の専門家にいわせると、実際上、行うのがほとんど不可能な数値なのではないかというふうに指摘をする方もいらっしゃいまして、ここがうまくいっていないということになると、先ほど申し上げたように、モルタルの注入が下まで行かない、そして強度が上がらない、そしてということにつながっていってしまうわけです。
 ここから先は、国施行の工事ですので、例えば国会での調査等をお願いしなければいけない世界になりますけれども、新工法として採用されたしま鋼管継ぎ手の鋼管矢板井筒工法の工事というものが、本当に当初の計画どおりに施工できているのかどうかということについては、業界内でもいろいろな意見が一部にあるというふうに聞いております。その検討は例えば国会等にお任せはしたいと思いますけれども、きょうは、この工法について都施行の部分で確認をさせていただいた上で、その問題について指摘をさせていただきました。
 残念ながら時間が尽きてしまいましたので、二項目も余してしまいましたけれども、質問を終わらせていただきたいと思います。
 以上です。

○田代委員長 柿沢未途理事の発言は終わりました。
 野上純子理事の発言を許します。

○野上委員 まず最初に、財政問題についてお伺いいたします。
 平成十七年度決算は実に十六年ぶりに実質収支が黒字となり、経常収支比率も八五・八%と、九〇%以下の水準にまで改善しました。これは、内部努力、施策の見直しなどに着実に取り組んで財源不足の解消に努めてきたことが財政の健全化に功を奏し、景気の回復も追い風になり、当初の見込みよりも税収が伸びたものと思っております。
 せっかく増収となったのに、都民のためにお金が使われていないのではないかといったような声が一部から聞こえてきますが、体力が回復してきた今こそ、さらなる体力の増進を図るべきです。
 そこで、十六年度及び十七年度決算において、財政基盤の強化に向け具体的にどのような取り組みを行ったかについてお伺いします。

○谷川財務局長 この間、幸いにも、景気の回復によりまして、都税収入が当初の見込みよりも増収となってきております。都では、こうした機会を都財政の体力を回復する絶好のチャンスととらえ、補正予算などを通じ、ご指摘の財政基盤の強化を優先課題として取り組んでまいりました。
 具体的な取り組みといたしましては大きく二点ございまして、一つは、減債基金の積み立て不足など、隠れ借金を大幅に圧縮したことでございます。十五年度末に一兆円を超えていた隠れ借金は、十七年度末に約八千億円となり、十八年度の取り組みも含めれば六千億円を下回るなど、ピーク時からは半減させることができております。
 もう一つは、基金残高の確保に努めたことでございます。十五年度末には約一千五百億円と、財政規模のわずか二%から三%にまで減少した基金残高は、十七年度末には五千億円を超え、十八年度末には約六千五百億円と、隠れ借金を上回る水準になる見込みであるなど、都の財政基盤は着実に改善を続けていると認識しております。

○野上委員 この二年間における財政基盤の強化に向けた取り組みをお伺いいたしましたが、こうした取り組みは今後も続けていく必要があります。
 都は、ことしの七月に今後の財政運営の指針を策定いたしました。その中においても、強固で弾力的な財政基盤の確立に向けて取り組んでいくことを掲げています。
 そのための具体的な取り組みの一つとして、基金の積極的活用を行っていくとしております。特に都税収入は、景気の変動を受けやすい法人二税が多くを占めております。都税収入はこれまでも大きな増減を繰り返すなど、不安定な構造となっており、最近は堅調に推移しているものの、いずれまた大きく反転することも考慮し、収入減に備えておくことが肝要です。
 そこで、過去の経験を伺いますが、バブル崩壊後、具体的には平成元年度以降の都税収入の変動について、どうだったんでしょうか。

○菅原主税局長 平成元年度以降の都税収入の状況でございますが、平成三年度の四兆八千億円、これを最高にいたしまして、その後三年連続で前年を下回りまして、平成六年度には三兆九千億円となっております。したがいまして、この間には約一兆円の開きがございます。
 その後、四兆円台前半を中心に推移してまいりましたけれども、直近の平成十七年度には、徴税努力に向けたさまざまな創意工夫を凝らしました取り組み、そしてまた近年の景気回復を反映いたしまして、四兆六千億円となっております。

○野上委員 かつて都税収入が三年間で九千億円、約一兆円もの減収となったことを踏まえれば、今の税収増に決して安心することはできないと思います。これまで以上に基金の積み立てを図る必要があります。
 そのためには、先ほどの十七年度決算での取り組みにもあったように、税収が伸びたときこそ積極的に基金に積み立て、税収の変動などのリスクに備えておくべきです。また、積み立ての額についても、多いことにこしたことはありませんが、安定的に都財政を運営していくために、今後基金への積み立てはどれぐらい必要と考えているのか、お伺いいたします。

○谷川財務局長 ご指摘のとおり、不安定な税収の動向に左右されず、将来にわたって必要な都民サービスを安定的に提供していくためには、税収の増減に応じて積極的に基金の積み立てや取り崩しを行うことにより、年度間の財源調整を図っていくことが極めて重要でございます。
 バブル崩壊後の税収激減という事態に直面した際には、最大一兆円を超えていた基金のほとんどを取り崩すことによって何とか財政運営を維持したものでございまして、仮にそうした蓄えがなければ、財政再建団体への転落が現実のものとなり、都民生活を脅かす深刻な事態に陥っていたのではないかと考えております。
 一時は底をついた基金残高も順調に回復してきてございますけれども、現在の積立額では十分に安心できる規模ではなく、過去の経験なども勘案すれば、少なくとも一兆円を超える額が必要であると考えてございます。

○野上委員 一兆円を超える額が必要ということですね。十分な残高を確保し、税収の変動によって都民サービスの低下を招くといったことにつながらないように取り組んでいっていただきたいと思います。
 さて、財政基盤の強化に向けては、今後も引き続き経費の削減に取り組んでいくことが求められます。中でも職員定数の削減を初めとする内部努力は、財政再建推進プランにおける財源確保の柱の一つとして、これまでも厳しい取り組みが行われてきております。
 そこで、第二次財政再建プランにおける内部努力による目標額と確保額についてお伺いいたします。

○谷川財務局長 第二次財政再建推進プランでは、いわゆる内部努力分として一千億円の財源確保を目標としてまいりました。職員定数の削減や各種手当の見直しなどによる給与関係費の削減や、監理団体に対する財政支出の見直しなどによりまして、十六年度から十八年度までの三年間で、目標を超える千百二十八億円を確保したところでございます。

○野上委員 財政再建の過程で、内部努力による財源確保が目標どおりに達成されたことがわかりました。
 内部努力ということでは、やはりことしの七月に行財政改革実行プログラムが出されて、定数削減や監理団体の改革などに引き続き取り組んでいくことが示されています。財政構造改革を進めるに当たっては、今後とも内部努力を行っていくことが欠かせません。むしろ、財政の状況が好転しているときこそ、腰を据えてじっくりと進めていくべきではないかと思います。今後、内部努力を含め、行財政改革を積極的に進めていく方途について伺います。

○大原総務局長 社会構造の変化に的確に対応し、活力ある東京を創造していくためには、不断の行財政改革を推進し、都政の対応力を高めていくことが必要でございます。
 こうした観点から、都は昨年十一月、行財政改革の新たな指針を策定し、この七月には、今後三カ年の具体的な取り組みを明らかにした行財政改革実行プログラムを策定いたしました。
 今後は、本プログラムに基づきまして、平成十九年度から平成二十一年度までの三年間で、都の内部努力として、四千人の職員定数の削減に取り組みますとともに、多様な経営改革手法の活用、監理団体改革や公営企業改革の一層の推進などの取り組みを行い、時代の要請に即した行財政改革に努めてまいります。

○野上委員 高度成長期やバブル期に整備された社会資本や大規模施設が次々と更新期を迎えること、また、少子高齢社会により介護保険や老人医療などの負担増が見込まれること、また、減債基金の積立方式変更に伴う公債費負担の増加など、一歩かじ取りを間違えれば、予測不能な事態へと転がってしまう危険性を含んでおります。社会状況の変化にかかわらず持続可能な財政に取り組んでいくためにも、徹底した内部努力を含め、行財政改革をこれまで以上に積極的に進めていただきたいことを要望いたします。
 次の問題に移ります。
 次は、地方独立行政法人制度について伺います。
 地方独立行政法人制度は、地方公共団体が直接行っている事務事業のうちの試験研究や大学の設置、管理など、地方公共団体とは別の法人を設立し、事務事業を担わせることにより、より効率的、効果的な行政サービスの提供を目指すものであります。
 都においては、この制度を活用し、平成十七年四月に公立大学法人首都大学東京を設立するとともに、都立の四大学を再編統合し、首都大学東京を開学いたしました。
 先ごろ、首都大学東京の初年度の業務実績について、東京都地方独立行政法人評価委員会による評価結果が議会に報告されました。法人設立から一年半たちましたが、首都大学東京は、独立行政法人化したことによって、大学運営、特に経営面においてどのようなメリットがあるのか、伺います。

○大原総務局長 法人化によりまして大学運営における経営と教学の分離を図りまして、経営面では理事長が、教育研究面では学長がそれぞれリーダーシップを発揮し、強力に大学改革を推進していく体制を構築しております。
 経営面では、これまでの官庁会計から企業会計方式に転換をし、複数年度契約による経費節減が図られ、中期計画の範囲内での予算の前倒し執行が可能となるなど、状況の変化に迅速に対応できるようになりました。
 また、損益計算において生じた利益を翌年度に繰り越して活用できる仕組みとなり、これにより弾力的な大学運営が可能となっております。

○野上委員 独立法人化によって弾力的な大学運営が可能になったということですが、平成十七年度の業務実績評価書の財政運営の改善に関する目標という大項目のうち、剰余金の適切な活用による戦略的な事業展開に関する目標というのがあります。これを見ると、年度計画を十分に実施できていないと評価されております。
 法人化初年度の決算においては具体的にどの程度の剰余金が生じたのか、そして、この評価を受けて、法人は今後剰余金の有効な活用と効果的な財政運営にどのように取り組んでいくのか、お伺いいたします。

○大原総務局長 法人化初年度の十七年度の決算では、教員の計画的な採用を初め、複数年度契約や業務コストの抑制などに努めました結果、約二十三億円の剰余金が生じております。
 法人におきましては、評価委員会の指摘を踏まえ、決算で生じた剰余金につきましては、教育研究、社会貢献及びこれらを支える法人運営の充実強化に資する事業に充当し、大学改革を一層推進することとしております。
 また、財政運営面では、部門別決算や四半期決算などの管理会計方式の考え方を取り入れまして、迅速かつ計画的な予算の執行管理を行いますとともに、余裕資金を活用した資金管理を効果的に行うなど、戦略的な財政運営を推進していくこととしております。

○野上委員 経営面における独立行政法人化のメリットについてはいろいろと伺いましたが、大学において重要なことは、いうまでもなく、教育研究の質の向上であります。
 大学の教育研究の主たる担い手は教員でありますが、教員には、教育研究に取り組むだけではなく、研究成果の社会への還元や、それを通した外部資金の獲得にも大きな役割が期待されております。首都大学東京が学生や都民にとって魅力ある大学となるためには、優秀でやる気のある教員を一人でも多く集めることが不可欠です。
 首都大学東京では、教員のやる気を引き出すために、開学に合わせ、教員に任期制、年俸制を導入したと聞いております。それらの制度の運用状況についてお伺いいたします。

○大原総務局長 首都大学東京では、意欲ある教員のステップアップと教育研究の活性化を図りますために、教員に任期制、年俸制を導入いたしました。
 まず、任期制は、教員に原則五年の任期を定めて任用いたしまして、節目ごとに再任の判定を行い、上位職への昇任の契機とするとともに、教育研究の質の維持向上を図り、人材の適切な流動性を確保し、組織の活性化にも資するものとして制度化をいたしました。
 また、年俸制は、教員の給与に職務職責の差異や業績を反映させることができる制度でございまして、今後、教員の業績評価制度を整備し、業績を年俸に的確に反映させることにより、教員のやる気と努力にこたえる制度としてまいりたいと考えております。

○野上委員 独立行政法人化によって運営面や人事面でかなり改善が図られたことは理解できました。
 一方、急激な社会経済情勢の変化とともに、人材に対するニーズも多様化、そして高度化しております。特に大学における人材育成には、都民や地域企業からさまざまな注文や要望が寄せられております。
 首都大学東京には、これらの声に迅速に対応し、広く社会で活躍できる人材の育成に貢献することが求められているのではないかと考えます。人材育成は大学の大きな使命の一つですが、具体的にはどのような取り組みを行っているのか、お伺いいたします。

○大原総務局長 首都大学東京では、都市の抱えるさまざまな課題解決にリーダーシップを発揮できる人材の育成を目指しております。このために、入学者選抜では、ゼミナール入試ですとか、あるいは社会人AO入試など、選抜方法の充実を図り、多様な資質と能力を持つ学生の受け入れを進めております。
 また、学部編成やカリキュラムの面でも、都市問題の解決を図りますために、都市教養学部、都市環境学部などを設置し、都市教養プログラムや基礎ゼミナールといった特色のある教育を実践しております。
 さらに、平成十八年度には、高度な専門知識を持つ技術者を育成するために、実践的なカリキュラムを提供する産業技術大学院大学を開設したところでございまして、今後とも都民ニーズを反映した人材育成に積極的に取り組んでまいります。

○野上委員 今日の大学には、社会で活躍できる人材の育成に加え、大学が有する資源や研究成果を地域社会に還元することも重要な使命となっています。首都大学東京においても、産学公連携センターを設置し、コーディネーターを配置するなどの取り組みが行われていると伺っております。
 しかしながら、十七年度の業務実績評価書を見ると、産学公連携の成果である外部資金の増加に関する目標については、年度計画を十分に実施できていないと評価されています。具体的には、外部資金獲得額が十億円という数値目標を下回ったことが指摘されております。
 そこで、首都大学東京は産学公連携の推進による外部資金の獲得のために今後どのような取り組みをするのか、お伺いいたします。

○大原総務局長 産学公連携の推進は首都大学東京の使命の一つでございまして、大学における研究成果を社会に還元し、地域産業の活性化などに積極的に貢献することが重要でございます。
 法人におきましては、今回の指摘を踏まえまして、国の科学研究費補助金及び競争的研究資金の獲得を一層積極的に進めますとともに、産学公連携センターが主導し、大学のシーズを外部に積極的に提供、PRすることで企業との共同研究や受託研究を推進するなど、産学公連携の取り組みを強化いたしまして外部資金の増加を図ることとしております。

○野上委員 まだまだ初年度だけの成果ではありますが、首都大学東京の取り組み状況をいろいろと伺い、独立行政法人化によって、行政にとっても、また都民にとっても一定のメリットがある大学運営が行われているように思いました。
 首都大学東京が公立大学としての使命を果たし、学生にとって魅力ある大学となるとともに、地域社会や都民に貢献する大学となるよう期待し、次の質問に移ります。
 都営住宅を活用した子育て支援についてお伺いいたします。
 都議会公明党は、子育て支援策として、子育て世帯への期限つき入居制度の導入を推進し、また昨年は、多子世帯向けや期限つき入居制度を推進してきました。成果を上げてきたところでございます。
 昨年十二月には国の運用指針が出され、本年六月には東京都住宅政策審議会の答申も出ており、都営住宅のセーフティーネットとしての役割はますます大きなものとなっております。都営住宅は都民共有の財産であり、真に住宅に困窮する低額所得者に対して公平かつ的確に供給していくことが重要と考えております。
 ことし八月の規則改正で、利用機会の公平を図るため都営住宅の使用承継制度の見直しが行われ、承継の範囲が、高齢者、障害者等への配慮を前提にして、従来、原則として配偶者及び一親等まであったものが、原則配偶者のみとなりました。来年の八月から実施されますが、ぜひとも居住者の不安を取り除くために周知に努めてもらいたいと思います。
 ところで、承継の対象外となり、公募に回る空き家はどの程度と見込まれますでしょうか。

○柿堺都市整備局長 平成十七年度の使用承継の実績は約三千九百件でございます。このうち配偶者への承継が約三千件、例外的に承継を認めることとなる高齢者、障害者、病弱者は約三百件あり、したがって、年間約六百戸の住宅が公募の対象になると見込まれております。

○野上委員 今回の見直しにより約六百戸が新たに公募の対象となるということです。この六百戸というのは公募戸数のうちのどれぐらいの割合になるのか。そのためには、昨年度の都営住宅の公募実績は何戸なんでしょうか。

○柿堺都市整備局長 平成十七年度の公募実績は約六千四百戸でございます。

○野上委員 見直しにより公募に回る六百戸という戸数は、平成十七年度の公募戸数が六千四百戸なので、六千四百分の六百ということで約一〇%に当たるということですね。もちろん、単純にすべての住宅が公募に回るとはいえないのは承知していますが、これだけの数の住宅が公募に回り、それだけ入居の機会がふえることは大変意味のあることだと思っております。
 我が党は子育て支援についてはたびたび主張してきましたが、使用承継制度の見直しによって生み出される空き家については、今後子育てに積極的に活用すべきであると考えておりますが、どうでしょうか。

○柿堺都市整備局長 都営住宅につきましては、約二十六万戸のストックを有効に活用し、真に住宅に困窮する都民に的確に供給していくことが重要と考えております。
 都営住宅における子育て支援につきましては、これまで、ひとり親世帯や十八歳未満の子どもが三人以上いる多子世帯などに対し優先入居を行うとともに、若年ファミリー世帯や多子世帯向けに期限つき入居制度を導入してまいりました。
 使用承継の見直しによって発生する空き家につきましても、東京都住宅政策審議会の答申の趣旨を踏まえ、空き家の広さや間取りなどを勘案しながら、子育て世帯に対する支援の強化に活用する方向で検討してまいります。

○野上委員 都営住宅は都民全体のセーフティーネットとして有効に活用されるべきであり、近年の重要課題である少子化対策に全力で取り組んでいってもらいたいと思います。我が党は子育て支援策について引き続き積極的に提案をしてまいります。
 さて、近年、ドメスチックバイオレンス、DV被害者の問題がクローズアップされております。平成十三年に国は配偶者暴力防止法を制定し、その対応策の充実を図ってきたところでありますが、DV被害者に対する相談件数は、都の配偶者暴力相談支援センターに寄せられた相談件数で見ると、平成十三年度の三千三百三十四件から、平成十七年度には九千七百六十六件と、三倍近くに増加しております。
 都営住宅においてはDV被害者の方々にどのような政策を行ってきたのか、現状をお伺いいたします。

○柿堺都市整備局長 都営住宅におけるDV被害者への対応についてでございますが、都では、DVにより事実上婚姻関係が破綻していることが公的機関の証明により確認できる場合には、ひとり親世帯または単身世帯とみなして、都営住宅への入居者資格を認めております。
 このうちひとり親世帯については、住宅困窮度に応じて入居させるポイント方式や、当選倍率を優遇する抽せん方式の対象としてまいりました。
 そのほか、母子生活支援施設からの転出者などに対しても特別な募集枠により対応するなど、これまで既存の制度を可能な限り活用して柔軟に取り組んできたところでございます。

○野上委員 これまでも対応されてきたことはよくわかるんですけれども、何せ急増している現実があるんです。施策の多くは既存の制度を活用したものであり、DV被害者の増加への対応としては十分とはいえないのではないでしょうか。DV被害者のための制度を設けるべきだと考えますけれども、どうでしょうか。

○柿堺都市整備局長 DV被害者への対応につきましては、ことし六月の東京都住宅政策審議会答申で、住宅に困窮する事情が多様化している現状を踏まえ、優先入居の対象とするなどの検討を行うべきとされております。
 都といたしましては、DV被害者は、さまざまな要因から、市場においてみずから住宅を確保することが困難であると認識しておりまして、現在、提言の趣旨を踏まえて、優先入居について検討を進めているところでございます。

○野上委員 優先度が高まるということですね。ぜひ、DV被害者が入居しやすく、優先度が大幅にアップすることを期待しております。
 次に、あんしん入居制度についてお伺いいたします。
 高齢者の民間賃貸住宅への入居支援策ですが、高齢社会が進展する中、民間賃貸住宅に入居する高齢世帯が増加することが今後も予測されております。その一方で、平成十六年の財団法人日本賃貸住宅管理協会の調査によりますと、民間の賃貸住宅において、家主の約六割が高齢者の入居に消極的であるという結果が出されているんです。その理由は何かというと、病気や事故が心配であるとか、死亡、特に孤独死の不安などが挙げられています。
 そうした中、都ではこれまで、高齢者が民間賃貸住宅に入居しやすいよう、見守りサービスのほか、亡くなった際の葬儀や残存家具の片づけを行うあんしん入居制度により高齢者の入居支援を行ってきております。
 昨年十月には、それまで窓口が財団法人防災・建築まちづくりセンター一カ所しかないことなどから利用者が伸び悩んでおりました、あんしん入居制度への申し込みの取扱窓口を地域の不動産店に拡大したほか、利用料の引き下げを行うなど、制度の改善が図られてきたところです。
 そこで、制度改善が行われて約一年が経過したことから、これまでの取り組みについてお伺いいたします。
 まず、昨年制度を改善してからこれまでのあんしん入居制度の利用実績をお伺いいたします。

○柿堺都市整備局長 あんしん入居制度の利用実績についてでございますが、本年十月末現在で二百一件ございまして、制度改善前と比べて四十件増加しております。

○野上委員 この一年間で四十件利用実績がふえたということです。実績がある程度伸びたのは、これまで一カ所だった窓口を地域の不動産店まで広げて、利用しやすくしたためであると考えられます。
 そこで、これまで一カ所だった取扱窓口を何カ所に拡大したのか、お尋ねいたします。

○柿堺都市整備局長 昨年来、不動産業団体の研修会等の場を通じて制度の普及に努めてまいりました。その結果、本年十月末現在、四百六十五の不動産店が登録されております。

○野上委員 都内の不動産業者の数というのは約二万三千軒と聞いています。登録店の数が四百六十五店ということで、業者数全体から見るとまだまだ少ないですね。今後より利用しやすくしていくためには、身近にある不動産店の登録をさらに促進していくことが重要と考えますが、所見をお伺いいたします。

○柿堺都市整備局長 取扱不動産店の登録の促進についてでございますが、多くの不動産業者に対して制度への理解を深めてもらうため、引き続き説明会を開催するなど、不動産業団体との連携を強化し、登録店の拡大を図ってまいります。

○野上委員 これまでの制度改善の取り組みによって一定の成果はあったものの、あんしん入居制度の利用実績はまだまだ少ないと思います。
 昨年から障害者も利用できる制度になったところです。本制度の利用の拡大を図るためには、障害者団体も含め幅広くPRを図っていくべきと考えますが、所見をお伺いいたします。

○柿堺都市整備局長 あんしん入居制度の周知についてでございますが、この制度は、高齢者や障害者が民間賃貸住宅に安心して入居するための支援制度でございまして、関係者に広く周知を図ることが重要と考えております。
 これまでも、区市町村や社会福祉協議会、居宅介護事業者等を通じて説明会を行ってまいりました。今後は障害者団体等にも説明対象範囲を広げ、制度の普及に努めてまいります。

○野上委員 次に、若年者の就業支援についてお伺いいたします。
 平成十六年七月にオープンした東京しごとセンターは、すべての年齢層を対象に、就業に関するワンストップサービスを提供しております。平成十七年度には約七千七百人が就職したと伺っております。
 先日、しごとセンターを訪問した際にも、各年齢層に応じてきめ細かい対応を行っておりました。また、私が提案いたしました仕事と家庭の両立支援コーナーも設置されていて、感動した次第であります。また、特に若者についてはヤングコーナーを設けてあり、カウンセリングやセミナーなど、さまざまな取り組みについて拝見をいたしました。
 そこで、平成十七年度のしごとセンターにおける若年者向け事業の内容と実績についてお伺いいたします。

○島田産業労働局長 十七年度の若年者向けの事業といたしましては、若者一人一人の適性や希望、職務経験等の状況を踏まえた個別カウンセリング、また、少人数のグループでアドバイザーの助言を受けながら、メンバー相互の情報交換等を通じ就職活動の意欲を高める就職コミュニティを実施いたしました。さらに、企業で営業や製造を初めとした就業体験を行うインターンシップなど、さまざまな職業体験事業等にも取り組みました。
 これらの各種事業を通じまして、二千人を超える若者が就職することができたところであります。

○野上委員 十七年度は各種事業を通じて約二千人の若者が就職できたということですが、特にしごとセンターならではの特色あるグループカウンセリング等の手法を用いた就職コミュニティについては、全二十期、約二百五十人が参加し、その半数以上が就職に結びついているということです。しごとセンターが着実に成果を上げていると評価するものでありますが、都内の若年者の完全失業率は五%を超えております。解決すべき問題が残されていることも事実であります。
 そこで、各種事業を実施した結果見えてきた、若者の就業をめぐる問題点についての認識を伺います。

○島田産業労働局長 しごとセンターを利用する若者の就業をめぐる問題点といたしましては、職業意識やコミュニケーション能力、ビジネスマナーなど、就業に関する基礎的な能力の不足、また、就職活動や就職後のつまずきから自信を失い、積極的な就職活動に踏み出せないなどの傾向が見受けられます。さらに、正社員を希望してもなかなか採用に至らないフリーターにつきましては、職業能力開発を受ける機会が十分に得られず、基礎的事務能力が不足していることも課題であります。
 こうした問題点を解決していくことが若年者の就業に結びつくと考えております。

○野上委員 若者の就業をめぐる問題をこのまま放置していれば、本人にとっても、社会にとっても大きな損失になりかねません。都は、しごとセンターの取り組みを通して見えてきた課題に対応し、若者の就職を進めるため十八年度から展開している新たな事業の内容について伺います。

○島田産業労働局長 若者には、一人一人の状況に応じたカウンセリングや職業能力開発など、きめ細かい就業支援が効果的であります。このため都では、従来の支援策に加えまして、十八年度からしごとセンターにおいて、社会人としての基本的なマナーなどを教え、就職活動に踏み出すための自信をつけさせるワークスタート支援プログラムを開始いたしました。
 また、技術専門校において、正社員を目指すフリーター向けに基礎的事務能力を付与する、夜間に利用できる単位制パソコン科も実施しております。
 今後とも、こうした取り組みの成果等を踏まえ、支援策を充実してまいります。

○野上委員 今お話があったように、しごとセンターを初め、都として、今後とも若者の就業支援を一層充実していただくようにお願いいたします。
 また、高齢者や障害者の就業支援についても引き続き積極的な取り組みをお願いして、次の質問に移ります。
 いじめについてお伺いいたします。
 昭和六十一年二月一日に中野富士見中学校で、いじめによりみずから命を絶つという痛ましい事件がありました。その約十年後、平成六年十一月二十七日には、愛知県でいじめを原因とする自殺が起こりました。
 子どもの間で起きるいじめは真実が見えにくい。多くの場合、被害を受けている子は、家族にもいえず、だれにもいえない苦痛をじっと耐えているのが実態です。いじめによる深刻な実態がある日突然起きるということではありません。いじめが発見され、教師の指導が入るまでに、いじめられる子は何らかのサインを送っています。
 最近、いじめの問題については、いじめによる自殺、また自殺予告の手紙が文部科学省の伊吹大臣あてに届いたり、いじめ自殺の連鎖など、大きな社会問題となっております。
 東京都の実態調査によると、今どのようないじめが多く起こっているのか、また、それに対して都教育委員会はどのような対応を行っているのでしょうか。

○中村教育長 文科省調査によりますと、東京都におけるいじめの態様は、冷やかし、からかい、これが最も多く、次いで、言葉でのおどし、仲間外れの順となっております。
 都教育委員会は、いじめの問題は児童生徒の健全育成上の重大な課題であると認識しておりまして、各学校がいじめへの取り組みを自己点検し、早期発見、早期対応に努める強化月間の実施やスクールカウンセラーの派遣、都教育相談センターにおけるいじめ相談の実施など、いじめの問題を解決するための取り組みの充実を図ってきたところでございます。

○野上委員 東京都では中学校全校にスクールカウンセラーが配置されておりますが、いじめの問題の解決に向けて期待されるスクールカウンセラーのかかわりについて伺いたいと思います。
 私も今、道徳の授業とかをそれぞれの中学校で参観しておりますが、必ず教育相談室、スクールカウンセラーのいらっしゃる部屋を訪ねるようにしております。やはり気づくことなんですが、なかなか不登校とかで悩んでいる子どもの家庭訪問とかには出かけない、相談が来るのを待ちの姿勢で待っているということが多いということを認識しております。積極的にスクールカウンセラーがいじめや不登校などにかかわっていくような制度にしていかなければいけないと思っているのですけれども、その点についてどうでしょうか。

○中村教育長 スクールカウンセラーがいじめの問題の解決に向けましてその役割を十分果たすためには、生徒との信頼関係を一層深めるとともに、教員の相談活動への支援を充実することが重要であるというふうに考えております。
 このため、スクールカウンセラーが生徒と触れ合う機会をふやすとともに、校内研修会等で教員の教育相談技能の向上に努めるなど、いじめの問題の解決に向けた相談活動を充実するよう指導してきたところでございます。
 今後、スクールカウンセラーが、学校や家庭はもとより、地域や関係機関との連携を一層深め、積極的に相談活動を行うよう連絡会などを通して指導してまいります。

○野上委員 小学校の児童や親御さんにも、中学校区のスクールカウンセラーに相談しやすい体制を整えていくことが大事だと思います。本来ならば、小学校にもスクールカウンセラーが導入されるのがいいんでしょうけれども、時間給五千円を超えるということで、予算措置が大変難しいと思いますので、今ある制度をむだにしないように、有効に活用を図っていただきたいと思っております。
 教師自身がいじめに気がつかなかったり、あるいは、教師自身がいじめに加わったり、いじめを助長するような行為をする場合があります。いじめの問題を解決するためには、何よりも教員の資質の向上を図るための研修が必要と考えております。
 その見解と、もう一つは、全庁を挙げてこのいじめ問題について取り組むことが大事であると思いますので、この二点についてまとめてご答弁をお願いします。

○中村教育長 ご指摘のように、教員の資質の向上を図るためには何よりも教員研修の充実が必要でございます。
 現在、東京都教育委員会は、各学校でいじめの早期発見、早期対応等を目指す校内研修を充実するためのチェックシートを配布いたしまして、その活用、推進に努めているところでございます。
 また、教職員研修センターにおきまして、いじめの具体的な事例を取り入れた実践的な研修を実施するなど、研修の充実を図り、教員の資質向上に今後も取り組んでまいります。
 また、いじめの問題を解決するためには、学校と保護者、地域社会が連携することが極めて重要でございます。また、ご指摘のように、生活文化局、病院経営本部、福祉保健局、警視庁、教育庁の相談窓口の担当者が連絡会を定期的に開催するなど、全庁を挙げていじめ等の問題に対応する体制も必要でございます。
 都教育委員会は、保護者や地域の方々がいじめを早期に発見するための新たなチェックリストを作成し、十月二十七日に区市町村教育委員会を通して配布してきたところでございます。
 今後、いじめが疑われるような場合には、速やかに学校や相談窓口に連絡できるようにするなど、学校、家庭、地域社会が一体となった取り組みを推進してまいります。

○田代委員長 野上純子理事の発言は終わりました。
 この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩いたします。
   午後三時十七分休憩

   午後三時三十二分開議

○田代委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
 質疑を続行いたします。
 神林茂委員の発言を許します。

○神林委員 質疑応答時間、二十六分でございます。簡潔で明瞭な答弁をお願いします。
 初めに、福祉保健局について伺います。
 児童福祉法の改正により、平成十七年度から、児童相談所に加えて市区町村も、子どもと家庭に関する相談窓口となりました。先般、厚生労働省が発表したところによりますと、平成十七年度に全国の市町村が受け付けた児童虐待の相談件数は約三万八千件に上り、全国の児童相談所が受けた相談を上回る規模となっています。先ごろ京都で、親の虐待により三歳の子どもが死亡するという痛ましい事件が起きましたが、児童虐待が後を絶たないのが現状です。
 虐待に至った背景には複雑な要素が絡み合っており、対応は容易ではありません。学校、保健所、民生・児童委員など、子どもや家庭にかかわる地域のさまざまな関係機関がネットワークを組み、虐待の早期発見、未然防止に向け取り組むことが非常に重要であると考えます。
 都においては、児童福祉法改正に先駆けて、平成十五年度から、このような地域のネットワークの核となる先駆型子ども家庭支援センターの設置を市区町村に働きかけていると伺っておりますが、児童虐待の早期発見、未然防止に向けて、都は、早期にこの先駆型子ども家庭支援センターの整備を進めるべきであると考えます。都の見解を伺います。

○山内福祉保健局長 お話のように、児童虐待の早期発見、未然防止には、住民に身近な相談窓口であります区市町村の役割が非常に重要でございます。
 こうした考えのもと、都は、区市町村における総合的な相談支援の拠点として、子ども家庭支援センターの設置を進めてまいりました。あわせて、既存のセンターについて、要支援家庭への訪問など、児童虐待への対応力を強化した先駆型子ども家庭支援センターへの転換を促進してまいりました。本年十一月現在、五十四区市町村に子ども家庭支援センターが設置され、そのうち二十九区市町は先駆型となっております。
 都では、平成十九年度までに四十九すべての区市で先駆型の設置を目指しておりまして、未設置区市に対しては、既に先駆型を実施している区市のすぐれた取り組みを紹介することを含めまして、個別の働きかけを今後とも積極的に実施してまいります。

○神林委員 先駆型子ども家庭支援センターの設置促進に向け取り組んできた都の取り組みは、私どもとしても評価に値するものであると考えております。
 しかし、現在の状況を踏まえると、児童虐待防止への取り組みを一層強化し、次代を担う子どもたちが健やかに成長していく環境を整える必要があると考えます。
 そのためには、先駆型子ども家庭支援センターを初めとした地域の相談支援体制の着実な整備を図るとともに、都においても、地域で対応が困難な事例や専門的援助が必要な事例に対応できるような体制を整備すべきと考えますが、都の児童相談所における児童虐待への対応について、現在の状況とその取り組みを伺います。

○山内福祉保健局長 都では、近年急増する児童虐待相談に的確に対応するため、児童相談体制の整備や職員の専門性向上など、児童相談所の機能強化に努めてまいりました。
 具体的には、児童福祉司を平成十三年度の百六名から十八年度には百五十九名に大幅に増員しているほか、各児童相談所に非常勤弁護士を配置いたしまして法的対応力を強化するなど、職員体制の充実を図っているところでございます。また、全国に先駆け、虐待相談に専門的に対応する虐待対策班の設置や、虐待が疑われる傷病に関しまして医師の専門的な所見を得る協力病院制度の構築など、さまざまな取り組みを行ってまいりました。
 今後、都としては、こうした取り組みを一層推進するとともに、福祉、教育、警察の各相談機関を集約化しまして、子どもと家庭を総合的、一体的に支援する拠点として、子ども家庭総合センター、仮称でございますが、これを整備いたしまして、児童虐待に対する専門的機能も一層高めていく所存でございます。

○神林委員 ぜひ今後とも、児童虐待の未然防止、早期発見、早期対応に向けた取り組みを一層強化していただくよう要望いたします。
 次に、高齢者対策について伺います。
 高齢化の進展により、都民の四人に一人は高齢者という超高齢社会が目前に迫っています。現在、認知症の症状を有する高齢者が都内に約二十三万人、そのうち介護や支援を必要とする方が約十六万人いると推計されています。
 認知症は、高齢になれば体が衰えるのと同様に、だれもが発症する可能性のある病気でありますが、予防の取り組みや、早期に発見し適切な支援を行うことが重要であり、認知症高齢者への対応は、これからの高齢者対策における最重要課題でございます。
 こうした認知症高齢者を地域で支える重要なサービスの一つが、グループホームです。グループホームは、少人数で共同生活を送ることにより、家庭的な雰囲気の中で必要なケアを受けることができる住まいであり、認知症の進行の抑制や症状の緩和にも効果が高いことが実証されてきました。
 都は、平成十六年度から認知症高齢者グループホーム緊急整備三カ年事業を実施していますが、これまでの実績と今後の取り組みについて伺います。

○山内福祉保健局長 認知症高齢者グループホームの整備促進を図るため、都は平成十六年度から緊急整備三カ年事業を実施しまして、この結果、三カ年事業の二年目に当たる平成十七年度の整備実績は、目標整備数三千人分を上回る三千四十三人分となっております。
 さらに今年度からは、新たな整備目標といたしまして、平成二十年度までに累計で五千六百人分の整備を目指す新三カ年事業を創設いたしまして、さらなる整備促進に努めております。
 本事業の中で、グループホームへの認知症対応型デイサービスセンターの併設を促進するために、新たに整備費の上積み補助を行いまして、これにより地域における認知症ケアの拠点としての機能強化を図ってまいります。

○神林委員 さて東京都は、本年七月に認知症高齢者を地域で支える東京会議を発足させ、また今月三日から五日までの三日間、ここ都庁を会場に「認知症の人が安心して暮らせるまち・東京を目指して」と題するイベントを盛大に開催しましたが、講演会やシンポジウムには多くの都民が集まるなど、認知症に対する関心の高さが改めてうかがわれました。
 こうした認知症に対する正しい理解の普及を図る取り組みとともに、今後の高齢化の一層の進展を見据え、総合的な認知症対策が必要と考えますが、都の所見を伺います。

○山内福祉保健局長 認知症高齢者の支援に当たりましては、都民や関係者が、認知症による生活上の困難などを正しく理解することが不可欠でございます。
 このため、認知症高齢者を地域で支える東京会議におきまして、都民や生活に密着した事業者の代表にも参画をいただきまして、正しい理解を共有する方策等を検討しているほか、今月から三カ月間にわたりまして、認知症の人が安心して暮らせるまちづくりに向けた全都的なキャンペーンを展開し、多くの都民や関係者が支援にかかわることのできる環境づくりに取り組んでいるところでございます。
 また、認知症高齢者のケアに携わる専門的な人材の育成に加えまして、早期発見から適切な診断や支援につなげられるよう、身近なかかりつけ医を対象に認知症への対応力を向上させる研修を今年度から新たに実施しております。
 今後とも、グループホームなどの基盤整備のほか、こうした普及啓発や人材養成などの取り組みも含めた総合的な認知症対策に取り組んでまいります。

○神林委員 認知症高齢者とその家族が地域の中で心安らかに暮らせるよう、認知症対策にしっかりと取り組んでいただくことを要望しておきます。
 次に、生活文化局について伺います。
 本年一月、耐震改修促進法が改正されました。改正のポイントは、基本方針や計画の策定など国及び都道府県の役割を明確にしたこと、及び学校など特に耐震化の必要性が高い特定建築物に対する指導などが強化されたことであります。
 この法律に基づき、国は基本方針を定め、平成二十七年度までに住宅及び特定建築物の耐震化率を九〇%とする数値目標を設定しました。都においても、今年度内に耐震改修促進計画を策定すると聞いております。学校の耐震化、それも公立学校は当然のこととして、特に都内の私立幼稚園、小中学校、高校の耐震化について伺います。
 命の軽重はないが、我が国の未来を担う子どもたちの安全は最優先されます。同時に、震災時には私立も、校庭、体育館を初め学校施設は地域住民の避難施設となる可能性があり、高い耐震性が求められます。直近における都内の私立学校の耐震化の状況については、平成十八年四月一日現在の文部科学省調査で、小学校は七八・二%、中学校は七六・三%、高等学校は六六・三%、学校法人立の幼稚園は七〇・三%であり、全体で六九・三%となっておりますけれども、この数字を見ても、国の目標である九割にはほど遠い状況でございます。
 都は、毎年一千億円を超える助成を私立学校に対して行い、教育の振興に努めていますが、その学びやそのものが地震時に倒壊の危険があるのでは、安心して子どもたちを通わせることができません。そこで、私立学校の耐震化促進に対する都の取り組み状況とその実績及び成果について伺います。

○渡辺生活文化局長 都では私立学校の耐震化を促進するため、私立学校安全対策促進事業費補助を実施しており、平成十七年度は十八校に対して補助を行い、平成十五年度の事業開始以来、三年間で延べ九十四校に対して補助を行ってきました。
 その結果、全体の耐震化率は、平成十四年十二月一日現在の文部科学省調査の五五・七%から、平成十八年四月一日現在の文部科学省調査では六九・三%に上昇しております。

○神林委員 補助事業により、この間で一〇%以上も耐震化が進んだことは評価します。しかし、私学の振興をうたうならば、まず子どもたちの安全を最優先に確保していかなければなりません。学校の耐震化については、都の耐震改修促進計画に明確に位置づけるとともに、一〇〇%となるまで支援を継続、充実していくことを要望いたします。
 次に、東京都が行っている旅券事務について伺います。
 近年、観光、留学、ビジネスなど、都民が海外渡航する機会が増加しています。北朝鮮との国際的緊張が高まる中、国際テロや密入国の防止は治安対策の重要課題の一つであります。これらの背景には、盗難に遭った旅券が偽造され、不正に使われることが多いと聞いております。また、第三者が他人に成り済まして旅券を申請し、取得する事例も起きているようです。こうした旅券に絡む犯罪は厳重に防止しなければなりません。
 まず、平成十七年度の都の旅券発給数と最近の傾向について伺いたいと思います。あわせて、十七年の旅券法改正により、IC旅券という新型旅券が発行されるようになったと聞いていますが、IC旅券の内容と導入による効果について伺います。

○渡辺生活文化局長 平成十七年度の旅券発給数は、対前年度比六万件増の約五十八万件でございました。さらに十八年度も、四月から九月までの半年間で、対前年同期比で約三五%増の三十八万五千件余と大幅増となっております。これは、近年の景気の回復による海外渡航者の増加に加え、平成七年に導入された十年旅券が切りかえ時期に入ったこと及び本年三月のIC旅券の導入効果などによるものと考えております。
 次に、IC旅券の内容でございますが、これは旅券冊子中央にICチップを搭載したプラスチックカードが組み込まれたものでございまして、ICチップには、氏名、国籍、生年月日等の文字情報のほか、顔画像が記録されております。
 IC旅券の導入により、顔写真を張りかえた旅券を使用しても、ICチップに記録されている情報と照合することにより偽造を見破ることが容易になるものでございます。

○神林委員 IC旅券の導入により、旅券絡みの犯罪抑止につながることを大いに期待したいと思います。
 また、本年の第三回都議会定例会において、島しょ町村への旅券事務の委託について付議され、都議会で承認したところであります。
 改めて聞きますが、委託の内容、そして、委託により島しょ住民にどのようなメリットがあるのかを伺います。また、町村職員が旅券事務を行うようになりますが、不正取得防止のため、都はどのように関与するのかについても伺います。

○渡辺生活文化局長 旅券は、申請と交付の際に本人が窓口に直接出頭しなければならず、旅券課窓口が遠い離島住民にとっては負担が重くなっておりました。そこで、離島という島しょ地域の特殊性を考慮し、今回、申請受理と交付事務を地元町村に委託することとしたものでございます。これにより、住民の方々は、わざわざ都の旅券窓口に来なくても、町村役場で旅券の申請、受け取りができるようになりました。
 また、不正取得の防止につきましては、都が町村職員に対し、不正取得防止策を含め、旅券事務に関する専門研修を実施いたします。
 なお、島しょ地域の場合、大部分の住民は町村職員と面識があり、他人が住民に成り済まして旅券を不正に申請する手口なども起こりにくいという環境にございます。

○神林委員 なるほど、島しょ住民にとっては、町役場で旅券の申請、受領ができて大変便利になるし、町村役場の職員であれば、申請者が本人であることも確認しやすいというメリットがあるわけでございます。
 いずれにしましても、旅券については、都民サービスの向上を図りつつも、不正取得や成り済ましなど旅券犯罪の防止も極めて重要でございます。今後とも、厳正な事業執行に努めてもらいたいと思います。
 次に、教育問題についてですが、昨今のいじめの問題を初めとする青少年をめぐる問題行動や学校教育の問題点などの背景の一つとして、子どもたちに社会のルールやマナーを守ろうとする規範意識や公共心、忍耐力などが低下していることが挙げられます。また、社会の一員としての自覚や責任感も欠如してきています。
 その原因としては、例えば人とのかかわり合いが希薄になったことから、自分が生まれ育った地域や現在住んでいる地域、ひいては日本という国に対する愛着や誇りを持つことができないことが背景にあります。さらに、将来の夢や希望が描けない子どもが増加し、社会への参画意識も希薄となり、自立できない若者がふえていることも見過ごすことのできない深刻な問題です。
 そのため、今後、学校教育においては、家庭、地域社会との連携を図りながら、子どもたちがみずから生活している地域社会を見直し、我が国や日本人のよさについて正しく理解して、郷土や国に対する愛着を深めるための教育を推進することが重要です。また、社会の中で、奉仕体験や勤労体験を通して他の人に共感し、社会の一員としての自覚を高めていく教育を一層推進することも極めて重要であると認識しています。
 そこで、都教育委員会が昨年度から取り組まれている事業の中から、特に日本の伝統・文化理解教育推進事業と奉仕の必修化について伺います。
 まず、日本の伝統・文化理解教育推進事業についてですが、国会で審議されている教育基本法の改正案には、教育の目標として、伝統と文化を尊重し、それらをはぐくんできた我が国と郷土を愛するとともに、他国を尊重し、国際社会の平和と発展に寄与する態度を養うことが明記されています。
 特に国際化の進展が著しいこれからの社会においては、みずからが生活をしている郷土や国の伝統や文化の価値を子どもたちが深く理解し、尊重し、さらに継承発展させる態度の育成を図ることが極めて重要です。そして、そのような伝統や文化がどこの国にもあり、大切にされていることを理解することにより、国際協調の精神が養われていくものと考えます。
 幾ら英語で話すことができたとしても、日本文化について語れなければ、真の国際人としては認めてもらえません。例えば、外国を訪問した際、あるいは外国からの訪問者を招いた折に、歌舞伎など日本文化について紹介ができないようでは、世界の人々から信頼され、尊敬される日本人とはいえないでしょう。
 そこで、日本の伝統・文化理解教育に関して、これまでの取り組みと今後どのように推進していくのか、伺います。

○中村教育長 都教育委員会は、昨年度から、小中学校、都立学校六十校を日本の伝統・文化理解教育推進校として指定するとともに、実践発表会を開催いたしましたり、リーフレットを全公立学校に配布するなどいたしまして、日本の伝統・文化理解教育の振興を図っております。
 また、本年六月には、来年度から実施を予定しております都立学校の学校設定教科科目「日本の伝統・文化」のカリキュラムを開発いたしまして、全都立学校に配布したところでございます。
 今後は、児童生徒の発達段階を踏まえた系統的な指導が必要でありますことから、小中学校における総合的な学習の時間のカリキュラムの開発や教員研修の充実など、新たな取り組みを行いまして、日本の伝統・文化理解教育を一層推進してまいります。

○神林委員 次に、奉仕の必修化について伺います。
 高校生の時期は、社会や自分の将来への関心を高め、学ぶ内容を選択していく大切な時期です。この時期に、日本の将来を担う子どもたちが社会生活の基本的ルールを身につけ、正義感や倫理観を持ち、自分自身とともに他の人を尊重する精神を養っていくことは極めて重要なことです。
 都教育委員会では、来年度からすべての都立高校において奉仕を必修化し、奉仕に関する基礎的、基本的な知識を習得させるとともに、社会の求めに応じて活動し、社会の一員であること及び社会に役立つ喜びを体験的に学ぶことを通して、将来、社会に貢献できる資質を育成していくと伺っています。このことは、高校生が地域社会において社会貢献を行う場をつくるという点で極めて意義深いことであり、我が党としても大きな期待を持っています。
 まず、平成十九年度からの奉仕の必修化に向け、これまでの取り組みについて伺います。

○中村教育長 都教育委員会は、平成十九年度から教科「奉仕」を実施するため、平成十七年度に実践・研究校を指定したところでありまして、その実践事例を全都立学校へ情報提供するとともに、奉仕の授業を行う教員を育成するための研修を実施してまいりました。また、本年七月には奉仕のカリキュラムを策定し、生徒用テキストを作成いたしました。
 都立高校全体が奉仕を実施するためには、都民を初め幅広い分野からの協力を得ることが重要なことから、奉仕の内容がわかるリーフレットを民間企業等にも配布するとともに、本年二月には都民を対象にフォーラムを開催いたしました。
 さらに、地域の支援を受けて奉仕体験の活動場所を確保することが必要であることから、連携先に関する情報を提供するなどして各学校を支援してまいりました。

○神林委員 私は、高校生の奉仕体験活動には大きな可能性があると考えています。既に実践・研究校では、教育実践に大きな成果を上げていると聞いています。
 現在、東京都はオリンピック大会の招致に全力で取り組んでおり、さらに来年二月には東京マラソンを開催します。こうした機会には、高校生が大会運営を支える力として活躍できるのではないかと思います。
 そこで、実践・研究校などの実践活動の成果を生かし、今後、社会貢献活動としての定着をどのように推進していくかについて伺います。

○中村教育長 多くの都立高校生はこれまで、小学生の下校時の安全を確保する活動や森林での下草刈りなど、さまざまな社会貢献活動を実践し、奉仕に対する理解を深めてきております。こうした高校生の活動を一層推進するためには、都民の協力を得まして、体験活動の場の拡大を図っていくことが重要でございます。
 そのため、奉仕必修化に先立ちまして、来春に開催されます第一回東京マラソンにおきましても、都立高校生が教科「奉仕」の理念に即した社会貢献活動を行っていく。こうした機会をとらえまして広く都民の理解を深めるとともに、奉仕の必修化によりまして、社会の一員としての自覚を高める教育を推進してまいります。

○神林委員 大分質疑を飛ばしてまいりまして、ご協力ありがとうございました。
 最後に、答弁があったことについて、私から要望を二点申し上げます。
 第一点ですが、東京マラソンの運営のサポートなどに参加する機会があることを、学校の窓口などを通して生徒諸君に周知していただきたいと思います。より多くの生徒が参加するためには、このことが肝心ではないかと思っております。
 第二点でございますが、参加した生徒が参加したことの意義や喜びを実感し、さらなる奉仕活動に結びつくよう、選手との交流だとかねぎらいの気持ちなどの配慮も検討することをお願いして、私の質問を終わります。

○田代委員長 神林茂委員の発言は終わりました。
 宇田川聡史委員の発言を許します。

○宇田川委員 初めに、中小企業制度融資についてお尋ねをいたします。
 我が国経済は成長軌道に乗りつつありますが、昨今の原油高の影響などによって、都内中小企業の中には、依然として厳しい経営環境に置かれているところが数多くございます。中小企業を適切に支援し、東京の産業活力をさらに高めていく上で、金融面における支援策がますます重要となっております。
 そこでまず、平成十七年度に制度融資について行った主な取り組み内容とその効果についてお伺いをいたします。

○島田産業労働局長 平成十七年度に行いました制度融資の主な改正点でございますが、第三者連帯保証人を原則として不要とするとともに、事業承継を融資の対象とするなど、より使いやすい制度といたしました。
 また、平成十七年十一月からは、小規模企業融資の従業員数要件について、製造業等は二十人以下を三十人以下に、卸、小売、サービス業は五人以下を十人以下にそれぞれ緩和し、融資対象の拡大を図ったことなどにより、小規模企業融資は対前年度比三三%の増加となっております。
 こうした取り組みの効果や資金需要の回復などにより、制度融資の平成十七年度実績は一兆八千三百五十七億円と、対前年度比二割以上増加しております。

○宇田川委員 融資実績の増加は、融資対象の拡大など、これまでの取り組みが結実したものといえます。
 また、我が党の申し入れにこたえていただき、十一月一日から年末年始特別対策として、融資要件の緩和など金融支援強化策を実施したことを評価させていただいております。
 一方、この制度融資は、融資メニューが数多いことから、中小企業にとって、一体どれを利用したら一番有利なのか判断しづらい部分もあると思います。融資要件の緩和などとともに、中小企業にとってよりわかりやすく利用しやすいものとするよう、メニューの再編など、さらなる改善が必要だと考えますが、ご所見をお伺いいたします。

○島田産業労働局長 金融支援の実施に当たりましては、利用者である中小企業の視点に立ち、利用しやすい支援策を構築していくことが重要であると認識しております。こうした考えのもと、制度融資のメニューについては、これまでも再編、統合を行うなど、わかりやすい制度融資の実現に努めてまいりました。
 しかしながら、現在においても多くの融資メニューがあることから、それぞれの融資メニューの一層の充実とともに、融資対象の維持、拡充を図りながら、現在十五あるメニューを九メニュー程度への再編、統合を検討するなど、新年度に向け、一層わかりやすく利用しやすい制度にしてまいります。

○宇田川委員 ぜひ進めていただきたいと思います。
 次に、農林関係の試験研究機関についてお伺いいたします。
 農業、畜産、林業の三試験場は、農林関係の試験研究機関として、時代の移り変わりとともに、その時々の都民ニーズにこたえるべく、さまざまな試験研究を行い、都内における農林業の振興にはなくてはならない役割を果たしてきたと思います。
 都は平成十七年度に、これらの機関を東京都農林総合研究センターに統合いたしまして、財団法人東京都農林水産振興財団に移管するという大規模な見直しを行いました。財団へ移管したことにより、外部人材の活用や、企業を含む多様な団体からの外部資金導入が積極的に行われ、研究力の向上につながったと聞いております。
 財団移管から一年半が経過しておりますが、これまでの成果を具体的に教えていただきたいと思います。

○島田産業労働局長 平成十七年度の財団化を契機といたしまして、外部の人材をセンターの所長に招聘し、そのリーダーシップのもとでさまざまな改革がなされ、研究が加速しております。
 具体的な例を申し上げますと、香りを持たせたシクラメンを開発し、ことしから都内の農家で栽培され、近々出荷の予定であります。
 また、屋上や壁面の緑化に適した、マット状で重量が軽い植物などの栽培技術を開発いたしました。この技術についても、住宅メーカーなどからの引き合いも多く、都内の農家での栽培も開始されております。
 さらに、国の公募型研究や企業からの受託研究の増加などにより、財団化した平成十七年度には、前年度の約二倍の五千万円の外部資金を獲得しております。

○宇田川委員 この見直しにおきましては、複数の試験研究機関が統合されたことによりまして、さまざまな分野の連携が容易になるというメリットが出てきたわけです。本年度からは、都立食品技術センターも農林総合研究センターに組織的に一体化されたことによりまして、連携が可能となる分野もますます広がってきたと考えております。
 こうした体制を生かして、どのように研究に取り組んできているのかをお伺いいたします。

○島田産業労働局長 農業や林業など、それぞれが持つ専門技術や情報を相互に活用した幅広い視野からの研究が可能となっております。
 具体的には、今後の花粉症対策に供給が可能となるよう、農業分野のバイオテクノロジーを林業分野に応用し、花粉の少ない杉苗、これを短期間で増殖する技術の開発に取り組んでおります。また、本年九月に販売を開始いたしました多摩産の東京牛乳についても、おいしさや健康増進など付加価値を高めるための検討も進めております。
 今後とも、さまざまな分野の研究員が一体的に研究を行うことにより、都民や生産者のニーズにこたえる品種や技術の開発に積極的に取り組んでまいります。

○宇田川委員 次に、産業廃棄物の不法投棄対策についてお尋ねをいたします。
 産業廃棄物の不法投棄が、引き続き全国的な問題となっております。東京から排出された産業廃棄物が他県に持ち出され、不法投棄される例も後を絶ちません。こうした不法投棄を防止するためには、排出する事業者、それを処理する事業者、双方に対して多角的な指導が必要であると考えております。
 東京都は、平成十七年第一回定例会において東京都廃棄物条例の改正を行い、多量に産業廃棄物を排出する事業者や処理業者に報告を求め、それをホームページで公表する制度を、全国で初めて平成十七年九月から施行をしております。
 報告・公表制度がどのような効果を上げているのかを明確にしつつ、産業廃棄物の適正処理の徹底のために、この制度を十分に活用していくことが重要であると考えますが、見解を伺います。

○村山環境局長 お話の産業廃棄物に関する報告・公表制度でございますが、この制度を導入したことによりまして、約千二百の排出事業者がどのように廃棄物の減量化に取り組んでいるのか、また処理を委託した廃棄物の状況をどのように確認しているのか、また、約八百の処理業者の施設にそれぞれどれだけの量の産業廃棄物が搬入され、それらがどのように処理されているかなどが、関係者はもとより、都民にも容易にわかるようになったわけでございます。その結果、排出事業者の自覚が促されるとともに、処理業者の処理状況の透明化に大きな効果があったものと認識しております。
 今後、この制度により事業者から得られた情報を分析し、産業廃棄物処理に係る問題点の把握や個々の事業者の立ち入り指導などに十分活用してまいります。

○宇田川委員 次に、処理業者に対する指導についてでございますが、都内の産業廃棄物処理業者は、苦しい経営状況にもかかわらず、まじめに適正処理に取り組んでいるところが数多くございます。
 片や、安い料金で請け負いまして、不適正に処理する悪質業者が一部で存在していることも事実です。不適正な業者に対しては、他県市との連携も図りつつ厳正に対処していくべきと考えます。
 一方で、信頼性の高い優良な処理に頑張っている事業者を適正に評価し、育成することも重要であり、その結果として悪質な業者を淘汰することにつながると思います。
 不法投棄を防止するには、不適正な業者の取り締まりと優良な処理業者の育成という二つの視点から指導を進めるべきだと考えますが、いかがでしょうか。

○村山環境局長 不法投棄防止のためには、処理業者に対する規制監視と優良業者の育成という二つの視点からの対策が重要でございます。
 不適正な業者の取り締まりにつきましては、平成十七年度に四十八件の許可取り消しなど厳正な処分を実施する一方、他県市との連携を深めながら規制監視を強化しております。
 他方、すぐれた処理業者を育成するという観点からは、現在、都独自の産業廃棄物処理業者の評価制度につきまして、実施に向け検討を進めております。この制度は、法令遵守の状況や環境への配慮などにつきまして、処理業者の申し出等に基づき、公正な立場の第三者が客観的に審査し、評価するものでございます。これらを通じまして、廃棄物処理、リサイクルビジネスの健全な発展を促してまいります。

○宇田川委員 処理業者に対する施策とあわせて、産業廃棄物を排出する事業者に対する指導についても強化していく必要があると思います。都内からは大量の産業廃棄物が排出され、その一部が他県で不法投棄されているという現状の中で、排出事業者を厳正に指導することは、東京都が果たすべき重大な責務であります。
 今後は、報告・公表制度を通じ、排出事業者の意識改革を徹底するとともに、さらに踏み込んだ対策が必要であるとも考えます。個々の排出事業者に対する立ち入り指導を新たに展開していくべきだと考えますが、見解をお伺いいたします。

○村山環境局長 廃棄物処理の適正処理の徹底を図る上では、処理業者のみでなく、排出事業者の指導が重要な課題でございます。
 平成二十年度からは、廃棄物処理法に基づきまして、すべての排出事業者を対象に、産業廃棄物を処理業者に委託する場合には、その処理業者の名称や産業廃棄物の種類、量などを都道府県知事に報告することが義務づけられます。
 都といたしましては、この制度の施行に先立ちまして、今後、排出事業者への指導を一層強化していく必要があると考えております。
 とりわけ、建物の解体工事に伴う廃棄物の不法投棄等が多いことから、排出事業者である解体工事業者や解体工事現場への重点的な立ち入りにより、廃棄物の分別や保管の状況、搬出先との契約状況について、法令を遵守した適正な処理を行っているかどうかを検査するなど、不法投棄等の未然防止策を強化してまいります。

○宇田川委員 続きまして、臨海部の広域幹線道路の整備についてお尋ねをいたします。
 豊洲、晴海及び有明北地区などの臨海部は、都市再生緊急整備地域に指定をされ、大規模な低未利用地の土地利用転換などにより、東京の再生に大きく寄与することが期待される地域であります。
 既に豊洲駅周辺では、大型商業施設の建設を初めとして、都市再生に向けての牽引力ともなる大規模プロジェクトが進められております。隣接する豊洲地区や晴海、有明北地区などへ土地利用の転換を誘発させ、面的な広がりへと発展させるためには、都心と臨海部をつなぐ広域幹線道路が重要な役割を果たすと考えます。現在、この地区では、広域幹線道路の早期完成を目指し、大街区方式の土地区画整理事業と街路事業等を組み合わせて整備を進めているところです。
 そこで、臨海部における広域幹線道路の整備状況と、その整備による効果をどのようにお考えなのかを伺います。

○柿堺都市整備局長 晴海通り延伸部など臨海部の広域幹線道路四路線は、都心部と臨海副都心との連携や東京全体の交通ネットワークの強化、また地域交通の円滑化を図る極めて重要な路線であると認識しております。
 本年三月には、晴海通り延伸部の晴海-豊洲間、環状第二号線の豊洲-湾岸道路間、補助三一五号線の豊洲地区内の一部が開通し、「ゆりかもめ」も豊洲まで延伸されました。
 これにより、例えば晴海-国際展示場間の所要時間が、実測の結果、従来の十七分から七分へと半分以下に短縮され、臨海部の交通アクセスが格段に向上いたしました。
 さらに、今月二十四日には、晴海通りの延伸部が、豊洲から湾岸道路を経て有明南地区まで開通の予定でございます。これに伴い、都心部から湾岸道路への接続が大幅に改善されるなど、利便性が向上し、地域のまちづくりに一層寄与することが期待されます。

○宇田川委員 広域幹線道路の整備によって、都心部と臨海副都心とのアクセス時間が大幅に短縮され、利便性が向上するなど、土地利用転換の基盤が整いつつあるということが、ご答弁からよくわかりました。
 さて、世界一コンパクトな大会をコンセプトに掲げ、東京招致を目指しているオリンピックの概要を見ますと、晴海にメーンスタジアム、有明に選手村、築地にメディアセンターなどの主要施設が建設される計画になっております。また、それに先立つ平成二十四年度には、築地の中央卸売市場が、基幹市場としての役割強化や消費と流通の変化に的確に対応するため、豊洲地区へ移転することとなっております。こうしたことから、臨海部の広域幹線道路を早期に整備する必要性は高まる一方です。
 そこで、今申し上げたオリンピックの開催や市場の豊洲移転をも視野に入れた、臨海部の広域幹線道路の今後の取り組みについてお伺いをいたします。

○柿堺都市整備局長 臨海部の広域幹線道路は、豊洲新市場への主要なアクセス道路であるとともに、オリンピック開催に不可欠な路線でございます。
 このため、新市場開設が予定されている平成二十四年度までには、豊洲地区と有明北地区を結ぶ補助第三一五号線及び環状第二号線の晴海-豊洲間の完成を目指すとともに、環状第二号線の築地-晴海間は暫定整備を行い、新市場へのアクセスを確保してまいります。
 また、オリンピック開催の前年に当たる平成二十七年度には、大会運営に重要な役割を担う広域幹線道路四路線をすべて完成させる予定でございます。
 今後とも、地元の理解と協力を得ながら、関係する局と連携し、綿密な工程管理を行うなど、全線開通に向け全力で取り組んでまいります。

○宇田川委員 ぜひ、おっしゃるとおり全力で頑張っていただきたいと思います。
 次に、東京港臨海道路二期事業と、これに関連する臨港道路の整備についてお伺いいたします。
 東京港は、首都圏四千万人の生活と産業を支える一大物流拠点として重要な役割を担っております。貨物量の増大が今後とも見込まれている中、東京港の国際競争力を高めていくためには、これまで以上に輸送スピードを迅速化し、コストの低廉化を図ることが不可欠でございます。このため、円滑な道路交通ネットワークの整備を進めていくことが必要です。
 とりわけ、臨海地域における物流の円滑化に寄与し、首都圏の広域的な交通を受け持つ東京港臨海道路二期事業の促進を図ることが重要だと考えます。
 先ほども発言がございましたが、この事業は、平成十七年度決算説明では進捗率がまだ二〇%ということでありまして、順調に進んでいるのか懸念をしております。今後の整備の見通しについてお伺いをしたいと思います。

○津島港湾局長 東京港臨海道路二期事業は、中央防波堤外側埋立地から若洲までの約四・六キロメートルを、平成十四年度から国の直轄事業として実施しているものでございます。このうち陸上部の約三キロメートルにつきましては、整備促進を図る観点から、都が受託し施行しております。
 現在、国は、第三航路を横断する臨海大橋、これは仮称でございますけれども、この橋脚などの下部工事を施工しており、都では、中央防波堤外側埋立地の南北水路横断橋の下部工事を完了させ、上部のけた製作に取りかかっているところでございます。
 いずれも計画どおり事業が進捗しておりまして、目標の二十二年度の完成に向けて、今後とも国と連携を図りながら着実に事業を推進してまいります。

○宇田川委員 平成二十二年度の完成に向けて着実に整備が進められているというご答弁でございまして、ぜひ進めていただきたいんですけれども、この臨海道路二期事業の整備が及ぼす効果についてのご見解をお伺いいたします。

○津島港湾局長 東京港臨海道路は、東京港と消費地、生産地を結ぶ重要な路線であります。完成の暁には、背後圏への輸送が迅速化するとともに、周辺道路の渋滞緩和や都心部への交通集中の緩和に大きく貢献することとなります。
 具体的には、国道三五七号線、通称湾岸道路と称しておりますが、この交通量が約二割減少するばかりでなく、中央防波堤外側埋立地から新木場までの走行時間も、従来の二十一分が十二分と約半分になるなど、大幅に短縮されます。この短縮により、年間約三百億円の経済効果が見込まれております。

○宇田川委員 東京港臨海道路二期事業は、臨海部の周辺道路の渋滞緩和につながり、東京港の背後圏への輸送が迅速化するなど大きな効果が見込まれるわけでございまして、その重要性について認識を新たにさせていただいたところでございます。
 ところで、この道路は、湾岸道路に接続している新木場-若洲間の臨港道路につながる予定であり、この臨港道路については、都が拡幅工事を進めていると聞いております。一日も早く完成させるべきだと考えているところですが、都の取り組みはどうなっているのかをお伺いいたします。

○津島港湾局長 東京港臨海道路の効果を十分に発揮するためには、臨港道路の新木場若洲線と国道三五七号線を含めた全体の交通機能の円滑化が極めて重要でございます。
 このため、新木場若洲線につきましては、現在、四車線を六車線に拡幅することとし、平成十六年度から事業に着手しており、二期事業と軌を一にして、平成二十二年度の同時完成を目指しております。
 また、国道三五七号線との交差部につきましては、国道の立体化を早期に実現するよう、国に対し強く要望しているところでございます。
 引き続き、これらの事業推進に積極的に取り組み、より一層の港湾物流の円滑化を図ってまいります。

○宇田川委員 ぜひ積極的に進めていただきたいと思います。
 最後に、防災公園の整備についてお伺いをさせていただきます。
 阪神・淡路大震災や新潟県中越地震において、都市公園は、避難場所や県境を越えた救援、復興の活動拠点などとして大きな役割を果たしました。このような防災機能を持つ公園の整備は、災害に強いまちづくりを進めていく上で非常に重要だと考えているところであります。
 東京都地域防災計画においては、環状七号線沿いなどにある十一カ所の都立公園が大規模救出・救助活動拠点候補地として位置づけられております。
 現在、篠崎公園を初めとする都立公園において、防災公園としての整備計画があるようですが、今後どのように進めていくかをお伺いしまして、私の質問を終わります。

○依田建設局長 防災公園は、震災時における避難者の安全確保や救援、復興活動に大きな役割を果たすものでございます。
 都はこれまで、大規模救出・救助活動拠点となる十一の都立公園で、ヘリコプターがより安全に離着陸できる広場の改修や、物資を輸送する大型車両に対応した出入り口の拡幅、避難者が使用する防災トイレの設置などを行ってまいりました。
 このうち、篠崎公園など五カ所の公園では、平成十七年度までに、これら防災関連施設の整備を完了いたしました。残る葛西臨海公園など六カ所の公園においても現在整備を進めており、平成二十一年度までに完了させる予定でございます。
 また、首都圏の基幹的広域防災拠点となる東京臨海広域防災公園については、平成二十年度に暫定利用が可能となるよう、国と連携を図り、整備を進めてまいります。さらに、医療搬送や緊急輸送のためのヘリコプター活動拠点となる大島小松川公園など十五の公園で整備を進めてまいります。
 今後とも、都立公園の防災機能を強化するため、公園区域の拡張や防災関連施設の整備を、地元の区市と協力して積極的に推進してまいります。

○田代委員長 宇田川聡史委員の発言は終わりました。
 清水ひで子理事の発言を許します。

○清水委員 日本共産党を代表して総括質疑を行います。
 二〇〇五年度決算について、我が党は各分科会で、都民の暮らしの現実を踏まえ、どのように都政運営が行われてきたのかを歳入歳出両面にわたって詳細に検討し、都の姿勢をただしてきました。質疑を通じ明らかにされたのは、一般会計の都税収入が、前年に比べ三千四百六十七億円、同年度の当初予算よりも三千四百八十一億円も増収となり、その結果、実質収支で五百四十三億円もの黒字が計上されるなど、全体として都政の現状は、格差と貧困の増大に苦しむ都民の切実な要望にこたえることは可能であったということです。
 そこで、緊急の課題となっている高齢者介護と盲・ろう・養護学校について伺います。
 初めに、特別養護老人ホームの整備について伺います。
 ひとり暮らし高齢者や高齢者のみ世帯が多く、住宅事情が悪い大都市東京の特徴から、特別養護老人ホームを身近な地域に整備することは、都民の切実な要求です。
 そこで、まずお伺いしますが、特別養護老人ホーム整備の重要性についてどう考えているのか、お答えください。

○山内福祉保健局長 特別養護老人ホームは、地域での生活が困難な要介護高齢者の生活の場であり、多様な介護サービス基盤の一つとして整備促進に努めておるところでございます。
 平成十七年度末の整備実績は、目標整備数三万三千七百人分に対しまして三万三千二百六十二人分で、達成率九八・七%となっております。
 現在の整備目標は、保険者である区市町村が推計した利用者数の見込みに基づきまして、第三期介護保険事業支援計画におきまして設定したものでありまして、今後とも、同計画に基づき整備に努めてまいります。

○清水委員 計画どおり着実に整備しているといわれましたけれども、現実にはどうでしょうか。
 まず、このグラフを見ていただきたいと思います。(パネルを示す)青い線が、石原都政が始まった九九年度以降の特養整備費の決算の推移です。九九年度と二〇〇五年度を比べています。九九年度は百七十八億円、二〇〇五年度には四十九億円まで激減しています。九九年のわずか三割、二七%です。施設数にすると、九九年度の整備数が五十カ所に対し、二〇〇五年度は十七カ所です。その一方で、赤い線が特養の入所希望者、待機者は四倍に急増しているではないですか。
 九九年度末の二〇〇〇年三月の特養待機者は九千六百六十四人、それが二〇〇一年の十月の調査で二万五千人を超え、二〇〇五年の調査では、何と四万一千人を超えています。四万一千人のうち、要介護三以上で一年以内に入所したいという、特に緊急性を要する人だけでも七千五百人を超えています。
 お伺いいたしますが、介護保険事業支援計画に基づき整備に努めるといわれていますが、計画そのものが低過ぎるんです。区市町村の推計に基づく計画だといって、いかにも区市町村に責任があるかのような答弁でしたけれども、特養整備費をふやす、新増設する施設数をふやす都としての姿勢を示すことが必要ではないですか。お伺いいたします。

○山内福祉保健局長 特別養護老人ホームにつきましては、介護保険事業支援計画に基づきまして着実に整備を進めております。
 平成十七年度においては、国制度に加え、三階以上の建物に対する高層化加算など、都独自の補助を実施してまいりました。
 また、平成十八年度からは、税源移譲によりまして、定員三十人以上の特別養護老人ホームの整備に対する国の都道府県交付金が廃止されましたけれども、都は引き続き、従来の水準を維持した補助を行っております。
 あわせて、定員三十人未満の地域密着型特別養護老人ホームの整備につきましても、国の市町村交付金に加え、区市町村に対する都独自の補助を実施して整備してきたところでございます。

○清水委員 いろいろいわれましたが、先ほど示したように、特養整備費は、九九年度以降、わずか三割まで激減する一方、入所希望者が四倍にもふえている厳然たる事実が、現実があるんです。その現実を本当にどう打開するのかという本気の姿勢は、今の答弁からは感じることができません。
 しかも、予算で見ても、今年度二〇〇六年度は、二〇〇五年度よりさらに減らされています。来年度予算に向けた福祉保健局の見積もり概要では、さらに大幅削減になっています。その上、特養整備費の用地費助成を、二〇〇八年度着工分をもって廃止するとしているではないですか。とんでもない話です。そんなことをしたら、ますます整備が滞ることは明白です。
 埼玉県では、四年間で特養の定員を一・七倍にふやすという県の積極的姿勢を打ち出し、二〇〇四年度には補正予算まで組みました。支援計画の策定に当たっては、私が直接伺ったんですけれども、難しい地域には県として働きかけを行って、少しでも整備数が引き上がるよう働きかけを行ったそうです。
 今後、国が推進する療養病床の縮小、廃止により、特養の必要性は一層大事になります。八十歳、九十歳の寝たきりのお年寄りを、六十歳、七十歳の娘さんが腰を痛めながら介護している、出かけたり息抜きをするのもままならない、そういう状態で特養の入所を申請しても、三年も四年も待たなければならない。その痛み、苦しみに心を寄せて、少なくとも一年以内に入所したいというような緊急性の高い人が、希望どおり一年以内に入所できる状態が早急に実現できるよう、整備の目標を都として大幅に引き上げ、特養整備費補助を増額することを強く求めておきます。
 もう一つ、解決が急がれているのが、盲・ろう・養護学校の施設の改善です。この問題は、これまでも繰り返し取り上げてきた問題ですが、残念ながら事態の抜本的な改善には至っていない問題です。
 例えば教室が足りなくて、会議室や図工室、木工室を普通教室に転用したり、間仕切りして使っているような状況があります。また、校舎が老朽化して、雨漏りや、ちょっと地震があると校舎の壁に亀裂が生まれてしまったり、体育館のトイレも老朽化している。また、プライバシーも人権も守られていない、そういう状態だ。一刻の放置もできない状態になっていて、各会派が要望を受けていると思いますが、PTAなどからも毎年改善要望が出されているものです。
 教育長に伺いますが、都としてこうした問題にどのように対応してきているのか、お伺いいたします。

○中村教育長 お話の施設整備等につきましては、各学校の要望を聞き取りまして、緊急性や必要性に応じまして計画的に工事等を行っているところでございます。
 今後とも、各学校の状況を把握しながら教育環境の改善を図ってまいります。

○清水委員 それでは、お伺いいたしますけれども、盲・ろう・養護学校の施設整備費は、九九年と二〇〇五年度、それぞれ決算額で幾らだったのか、お伺いいたします。

○中村教育長 盲・ろう・養護学校施設整備費の決算額は、平成十一年度は約六十三億円でありまして、平成十七年度は約十八億円でございます。

○清水委員 先ほどの特養の整備費と同じように、これも三割に減っているというような状態です。これでどうやって改修をしていく、たくさん出されている要望にこたえていくというのですか。
 ところで、ことし、この都庁の超高層ビルの雨漏りがしていることが報道されて大問題になりました。確認したところ、こちらはすぐに予算を確保して補修をやったというふうに伺っています。知事のいる本庁舎は急いでやるけれども、盲・ろう・養護学校はそのまま放置というのはどうしてですか。なぜですか。お伺いいたします。

○中村教育長 施設整備につきましては、学校要望や施設の状況などを総合的に勘案いたしまして、優先順位を決めて計画的に実施してきているところでございます。
 厳しい財政状況ではありますけれども、今後も、学校要望を踏まえつつ教育環境の改善に努めてまいります。

○清水委員 計画的にといわれましたけれども、私、八王子の盲学校に先日伺ったんですが、以前にも、三年前ぐらいにも施設整備のことで伺ったことがあります。そのとき、三年前に伺ったときは、本当に体育館の雨漏りがしているということで、たくさん要望があったんですけれども、なかなか大改修で大変だなと思いながら、ほかの要望を出して、幾つか改修していただきました。
 それで、今回伺ったんですけれども、今回は多少、計画的にということだからやっているんですけれども、しかし校長先生が見せてくださったのは、天井の雨漏りのしみなんですよね。以前は、本当に雨漏りがたくさんしていたときには、バケツを下に置いてそれを防いでいたということなんですね。それを伺ってきました。これが計画的にということなのでしょうか。これ以上先送りできないから、私はいっているんです。やっている、やっているといいますけれども、今の雨漏りの話でいうと、壁の亀裂やコンクリートの中性化を招いて、施設そのものの寿命を縮めかねないものです。そういう中で、雨漏りのしみなども見せていただいたときには、本当に胸が痛みました。
 今年度の依命通達では、建物の維持管理経費について、対前年度比一一〇%までの予算要求を認めるなど、ゼロシーリングの例外として特例的な扱いを行っていくとしています。障害に苦しむ子どもたちの教育環境を改善することこそ、特例扱いとして早急に改善することを求めておきます。
 次に、首都高速道路品川線について伺いますが、二〇〇五年度の事業費は幾らだったのかお伺いいたします。

○依田建設局長 平成十七年度の決算額は約二十五億円でございまして、内訳は中目黒換気所の用地取得費などでございます。

○清水委員 二十五億円ということなんですけれども、先ほど伺いましたら、盲・ろう・養護学校の施設整備費の決算は十八億円だったんですよね。この、今いわれた品川線の二十五億あったら、子どもたちに不自由な思いをさせないで済んだのではないかと思うわけです。
 そこで伺いますが、品川線について、都の道路街路事業として行い、都民の税金を投入する理由は何ですか、お伺いいたします。

○依田建設局長 品川線は、三環状道路のうちの中央環状線をリングとして完成させるものであり、渋滞の大幅な緩和などその効果は極めて高く、一日も早い整備が必要でございます。
 しかし、首都高速道路公団の民営化によりまして、有料道路事業による事業着手は、最速でも平成十八年度以降ということになりまして、都市計画決定から一年以上、何もしない空白期間が生じるという問題がございました。また、品川線のすべてを有料道路事業で整備すると、現行の料金を値上げしない限り、事業着手のめどすら立たない状況でございました。
 こうしたことから、本路線は、都施行の街路事業と新会社施行の有料道路事業との合併施行方式で整備することとして、都は有料道路事業に先駆け、平成十七年度に街路事業に着手したものでございます。

○清水委員 いろいろと理由を挙げられましたけれども、どれも東京都が税金を投じて直接事業でやらなければならないものとは思えません。そもそも、今ご答弁の中で渋滞解消といわれましたけれども、都心部で大規模開発を進めて都心の集中を進めれば、自動車交通はふえるばかりで、道路をつくれば、それをますます加速させるだけなんです。すべてを有料道路事業で整備すると、現行料金を値上げしない限り、事業着手のめどすら立たない状況といわれましたが、そもそも道路建設は受益者負担が原則だったんです。だから、国がガソリン税という形で受益者負担を求めてきたわけです。しかも、自動車専用道路は、利用者が自動車に限定されており、なおのこと一般財源を投入する理由は見当たらないのです。
 さらにいえば、首都高は民営化されて民間企業になったわけですから、事業着手は新会社がみずからの判断で決めることです。それを急ぐから、都が税金を出さなければならなくなるわけです。病院や試験研究機関、公園、文化施設などに採算性を求め、受益者負担だといって三カ年ごとの料金値上げを求めておきながら、首都高だけは不採算だといって、従来方式の五百億円、二・五倍の千二百五十億円の税金を投入することに、都民理解は到底得られません。
 石原知事のもとで、首都高だけでなく、羽田空港の国際化、外環道など、都が急がせることで都税投入となる公共事業がメジロ押しです。国直轄事業負担金も、知事はおかしいといったのに、五百億円の規模に膨らんでいます。これらは、本来都が負担する必要のないものです。オリンピックに連動して、八兆円を超えるインフラ整備の道も開かれようとしています。これでは、幾ら税金があっても足りるわけがありません。
 ここで、こうした石原都政の大型開発優先の都政運営によって都民施策がどう変化したのか、革新都政時代と比較してみました。(パネルを示す)革新都政は、都税収入を五・六倍に伸ばしました。福祉保健費は七・四倍、そして教育費は六倍にふやしました。鈴木都政、青島都政も、福祉関係費、教育費とも都税収入に見合った伸びにとどまっていますが、それぞれ、まあ減らしてはいません。
 ところが、石原都政は、都税収入を一・四倍に二〇〇五年度までにしましたが、福祉保健費は〇・九四倍、下げたわけですね。そして教育費も〇・九一倍になりました。中小企業対策費は、革新都政時代は三倍だったんですけれども、石原都政のもとで〇・六一倍に減らされてしまいました。しかも、革新都政は、第一次オイルショックによる大幅税収減と国の締めつけのもとで実現したわけです。
 私は、今、世界の流れもやはり認識をしていただきたいと思うんです。ヨーロッパでは、経済給付事業は福祉の重要な柱になって、イギリスを初め多くの国が、窓口負担は無料か少額です。高齢者の介護でも、ドイツ、オーストリア、イギリスでは充実をしてきています。スウェーデンは、二〇二五年ごろに緑の福祉国家を実現するという見取り図のもと、年金制度を初めとした福祉、環境施策を着々と進め、国家の持続可能性ランキングで一位にランクいたしました。こういう取り組みが欧州などの流れとなっているわけです。こういうことを、ぜひ都のそれぞれの担当者には認識をしていただきたい。これは、前から私たちが強調しているところなんですよ。これが世界の流れになっている。そういう流れなんです。
 世界の流れから見ても、税収増から見ても、石原都政が行ってきた暮らしや福祉の切り捨てという、自治体本来の役割を投げ捨てる姿勢は改めるべきだというふうに私は思うわけです。十七年度の、二〇〇五年度の決算の状況を見ても、改めてそう実感をいたします。そして、決算質疑を通じて、各分科会などでも要望してきました都民要望にきちんとこたえていただきたいことを強く求めて、質問を終わります。

○田代委員長 清水ひで子理事の発言は終わりました。
 原田恭子委員の発言を許します。

○原田委員 地球の温暖化対策についてお伺いします。
 二〇〇二年に策定された環境基本計画には、二〇一五年までに、熱帯夜の発生を現状の三十日から二十日程度とすると目標を立てていますが、二〇〇五年度までの数年の平均を見ると、三十日前後で推移しており、目標達成は容易なことではないことを物語っていると思います。
 都は、平成十七年度に単年度事業として、環境局は小中学校、教育庁は都立高校、養護学校の校庭の芝生化の試行事業を行いました。この取り組みは、学校という地域の身近なところでの取り組みということもあって、子どもたちの体に優しい環境づくりと、環境教育の一環としても意義ある取り組みだといえます。
 加えて、下水道局、建設局などの連携で行った屋上緑化、壁面緑化、保水性舗装など、ヒートアイランド対策の全体的な取り組み状況について、まず伺います。

○村山環境局長 都におきましては、関係各局で構成する東京都ヒートアイランド対策推進会議を設置いたしまして、平成十五年三月にヒートアイランド対策取り組み方針を策定しております。
 現在、これに基づきまして、各局におきまして、街路樹再生、屋上緑化、壁面緑化や保水性舗装のほか、校庭芝生化のモデル事業などを行ってきております。
 また、昨年度からは、ヒートアイランド対策推進エリアを設定いたしまして、このエリアを中心に関係区や事業者などと連携して取り組みを実施しております。

○原田委員 学校の芝生化に関しては、十分の十の補助条件として、地域との連携が要件に挙げられていますが、地域の人たちの支えでの学校づくりにつながるものと期待しています。
 しかし、これがハードルになるケースもあります。総合学習やクラブ活動などの一環として、生徒自身の取り組みも視野に、さまざまな工夫が可能な制度にしていくことで、さらに広がりができると考えています。よろしくお願いします。
 さて、最近、局地的な豪雨や竜巻による被害が連続し、いつもと違う異常気象を実感している方も多くなりました。想像以上に温暖化は進んでいるようです。
 さきに発表された東京都における二〇〇四年度の温室効果ガス排出量は、原子力発電所の事故の影響を除外すると、一九九〇年度比五・八%増で、ここ数年横ばい傾向にあり、二〇〇〇年度と比較すると二・九%の減となると聞いています。
 東京都は、地球温暖化対策、二酸化炭素削減に向け、この間どのような対策を講じてきたのか、お伺いします。

○村山環境局長 地球温暖化対策につきましては、平成十七年度に環境確保条例を改正いたしまして、業務部門対策としては、地球温暖化対策計画書制度、建築物環境計画書制度を充実いたしました。また、家庭部門対策といたしましては、省エネラベリング制度やマンション環境性能表示制度などを創設するなど、取り組みを強化してきてございます。
 その結果、地球温暖化対策計画書制度を例にとりますと、十七年度計画段階で、二十一年度までの五年間に約七十二万トン、これは八王子市の一般家庭世帯の一年間の排出量に相当するわけでございますが、これを削減するという計画が事業者から提出されております。

○原田委員 建築物環境計画書制度では、一万平米を超える建物が対象ということもあり、さらなる対象範囲の拡大が求められると思います。特に事業系のCO2排出量が伸びています。コンビニ、ファミリーレストラン、量販店などや古い建物への対応も検討の余地があると考えます。ご検討をお願いします。
 次に、リターナブル瓶についてお伺いします。
 容器包装リサイクル法が施行されて、一見、資源が循環しているような錯覚に陥りますが、分別収集、一定の形状にしての保管は、自治体に過剰な負担を強いるとともに、自然負荷が最も少ないリターナブル瓶がどんどん減少していく傾向を生み出しました。
 平成九年には、全国で約四百万トンのリターナブル瓶が使われていましたが、平成十五年には約百九十万トンに減少しています。それぞれの市区町村では有効な取り組みが難しいリターナブル瓶の普及について、多くの事業者を抱える東京都の役割は大変重要だと考えます。
 そこで、このようなリターナブル瓶の評価と課題について、都はどのように認識していらっしゃいますでしょうか、お伺いします。

○村山環境局長 ビール瓶などのリターナブル瓶は、ごみの減量や資源の節約に有効な容器であり、食品宅配サービスで配達ルートを活用した回収、あるいは地域の酒店と事業者団体の連携による試行的な回収など、特定の分野や、あるいは地域では取り組みの事例もあるわけでございますが、近年、ライフスタイルや消費者の嗜好の変化、あるいは流通構造の変化、回収に伴う販売店の負担などといった諸要因によりまして、リターナブル瓶の使用量は全体としては減少しております。
 ペットボトルや缶など、他の容器のリサイクルも進展しているという状況もございまして、リターナブル瓶につきましては、流通構造や回収システムをめぐる状況の変化などを踏まえながら、幅広い観点から十分議論され、検討されるべきものと考えております。

○原田委員 リターナブル瓶の優位性は認められるものの、具体的な事業の展開がなされていないということは残念に思います。
 また、CO2削減効果でいいますと、例えば五〇〇ミリリットルのペットボトルの消費、廃棄したときのCO2排出量は百三十七グラム、リターナブル瓶は六十八グラムと、二倍の削減効果があるという結果も出ております。ごみ減量だけでなく、リターナブル瓶の復活は効果的な温暖化対策といえるのです。
 そこで、学校給食での瓶牛乳の復活を願う者ですが、学校給食においての瓶牛乳が減少した経緯と、リターナブル瓶取り組みへの課題をお伺いします。

○中村教育長 瓶牛乳につきましては、一つには配送や回収の経費がかかること、二つ目が、瓶の破損によります児童生徒への安全面での配慮が必要なこと、それから三つ目には、平成十七年度から、大手の供給メーカーが、コスト削減等を理由に瓶から紙へと生産ラインを変更したことから、供給が減少しているというふうに考えております。
 都教育委員会といたしましては、学校給食におきます牛乳の安定供給を確保するために、瓶から紙への供給状況の変化はやむを得ないというふうに考えております。
 なお、紙パックの牛乳におきましてもリサイクル活動を徹底しておりまして、環境面への配慮を行っているところでございます。

○原田委員 今、食育教育の視点でいうと、食べることは、まさに環境問題も視野に入れて考えていくことが求められています。地球全体の環境を見据えた暮らし方が将来の課題だからです。教育庁が、未来ある子どもたちの給食で瓶牛乳を提供する意義がここにあると思います。市場原理でいうと、利用者がいない不採算部門は廃止される運命です。意義を認めている公は、さまざまな場面で課題を乗り越えて、リターナブル瓶を支え育てていく役割があります。環境局、産業労働局との連携で、教育庁での瓶牛乳の積極的な取り組みを求めるものです。
 次に、河川の水質についてお伺いします。
 多摩市の大栗川、乞田川の大腸菌がふえているという議会の指摘で、多摩市は急遽、大腸菌調査を実施しました。その結果、大腸菌の中でも、ふん便性の大腸菌数値が、大栗川で一万七千個パーミリリットル、乞田川で二万五千個パーミリリットルと高い結果が出ました。
 東京都の河川についてお聞きしたところ、現在、東京都が大腸菌について調査している箇所は四十四カ所あり、ここ数年で上昇傾向はないにしても、大腸菌に関しては、何と四十一カ所が基準をオーバーしているという結果でした。
 そこで、この事態の主な原因をどのように考え、どのような対策が必要と環境局は考えているのでしょうか、お聞かせください。

○村山環境局長 大腸菌自体は、一般には病原性を持たないわけですけれども、汚濁の指標として、生活環境の保全に関する環境基準の項目として使っております。
 下水道の普及に伴いまして、都内の河川の大腸菌の数は、区部、多摩両方とも、ピーク時に比べるとほぼ十分の一のレベルに下がっているわけでございますが、なお多くの地点で環境基準値は超えているという状況にございます。
 その要因にはさまざまなことがございますが、区部においては、大雨のときなどに下水道から汚水が流出する場合があることや、多摩地域の下水道未普及地域におきましては、し尿や生活排水の処理がなお不十分な場合もあると考えられます。
 今後、都といたしましては、雨天時の水質の把握の検討や、下水道未普及地域における大規模浄化施設や浄化槽の指導を一層徹底するとともに、し尿や生活雑排水をあわせて処理する合併浄化槽の普及につきまして、市町村と協力して進めてまいります。

○原田委員 川をめぐる市民の関心は年々高くなっています。パックテストを使っての水質調査、水生動植物の観察、子どもたちとの川遊びなどの活動やイベントに多くの市民が参加しています。
 確かに、河川の水質は、かつてよりきれいになっていることを実感しています。この大腸菌の件に関して、ぜひ基準値をクリアするための努力を惜しまないでいただきたいと思います。
 あわせて、水質を守るためには、市民の環境意識の向上が欠かせません。身近な家庭での下水道への排水も、自然に負担をかけない配慮が必要でしょう。双方向での努力で水質をよくしていきたいものです。
 また、都の実施している調査結果を市区町村に連絡し、市民と情報を共有しながら水質を向上させる対策を考えるべきです。加えて、市区町村や市民団体が調査することに関して東京都も協力すべきと考えますが、この点についてお答えをお聞かせください。

○村山環境局長 都は、毎月、水質調査を実施しておりますが、その調査の速報値を全区市町村に提供するとともに、毎年測定結果を集計、解析し、ホームページでも公表しております。
 また、多摩川水系の本支川の流れる十九の区市から成る多摩川水系水質監視連絡協議会が実施する水質調査に対しては、技術支援をするなど協力をいたしております。
 また、少なからぬ市が、市民団体の行う水質調査などの活動を積極的に支援すると聞いております。
 今後とも、区市町村や住民の理解、協力を得られるよう、私どもとしても水質の向上に努めてまいります。

○原田委員 ぜひ協力体制は進めていただきたいと思います。
 しかし、東京都は、河川における大腸菌は汚濁の指標とはしていますが、多くの問題は下水処理の問題として、新たな視点での調査の必要はなしとしていることは残念です。
 しかし、自然の異変や変化は真摯に受けとめなければならないと思います。自然からのさまざまな警鐘かもしれないのです。この大腸菌に敏感に反応した市民感覚を大切にしながら、市区町村、市民とともに河川の水質向上に取り組んでいただきたいと強く要望して、質問を終わります。

○田代委員長 原田恭子委員の発言は終わりました。
 以上で本日予定いたしました質疑はすべて終了いたしました。
 お諮りいたします。
 平成十七年度東京都各会計歳入歳出決算の認定についてに対する質疑は、これをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○田代委員長 異議なしと認めます。よって、本件に対する質疑は終了いたしました。
 なお、十一月十七日の十二時四十五分から理事会を、また十三時から委員会を本委員会室で開会いたしますので、よろしくお願い申し上げます。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後五時二分散会


平成17年度各会計決算特別委員会 第1分科会審査報告書

 第1分科会で行われた平成17年度東京都一般会計決算等に関する審査の概要を
次のとおり報告する。

  平成18年10月31日
                    平成17年度各会計決算特別委員会
                    第1分科会委員長 林田 武


 平成17年度各会計決算特別委員長  
           田代ひろし 殿


1 本分科会の設置及び審査の経過
(1) 本分科会は、9月27日に設置され、次の案件を審査した。
  ・平成17年度東京都一般会計決算中、知事本局、青少年・治安対策本部、東京オリンピック招致本部、総務局、財務局、主税局、出納長室、選挙管理委員会事務局、人事委員会事務局、監査事務局、収用委員会事務局、議会局、東京消防庁、警視庁所管分
  ・平成17年度東京都特別区財政調整会計決算
  ・平成17年度東京都地方消費税清算会計決算
  ・平成17年度東京都小笠原諸島生活再建資金会計決算
  ・平成17年度東京都用地会計決算
  ・平成17年度東京都公債費会計決算

(2) 本分科会は、次のとおり各所管局ごとに審査し、終了した。
  10月6日(説明聴取・資料要求) 出納長室、財務局、主税局、収用委員会事務局、議会局、東京オリンピック招致本部、総務局
  10月11日(説明聴取・資料要求) 警視庁、東京消防庁、知事本局、青少年・治安対策本部、選挙管理委員会事務局、人事委員会事務局、監査事務局
  10月18日(質疑)        出納長室、知事本局、東京オリンピック招致本部 
  10月23日(質疑)        警視庁、東京消防庁、選挙管理委員会事務局、財務局
  10月25日(質疑)        収用委員会事務局、人事委員会事務局主税局
  10月27日(質疑)        議会局、監査事務局、青少年・治安対策本部、総務局

2 本分科会における質疑の概要
(1) 知事本局所管分
 〔1〕 東京発自治論における都と市町村の位置付けについて
 〔2〕 オリンピック招致をにらんだ都市外交の推進について
 〔3〕 トップマネジメントの補佐機能としての局の役割と執行体制について
 〔4〕 アジア大都市ネットワーク21の活動状況と発展について
 〔5〕 米軍再編を始めとする都内米軍基地問題について

(2) 青少年・治安対策本部所管分
 〔1〕 学校、地域における子どもの安全確保の現状と今後の取組について
 〔2〕 中学生の職場体験の現状と今後の取組について
 〔3〕 フィルタリングサービスによるインターネット上の有害情報対策について
 〔4〕 高齢者及び高校生の交通事故の現状と交通安全確保について

(3) 東京オリンピック招致本部所管分
 〔1〕 区市町村への招致決議の働きかけについて
 〔2〕 民間企業等から支持・協力を得る具体的取組について
 〔3〕 東京における国際スポーツ大会の積極的な招致活動について
 〔4〕 パラリンピック大会と併せた招致気運の醸成の取組について
 〔5〕 国内選考に向けて取りまとめた開催概要計画書の内容について
 〔6〕 都財政とオリンピック大会の開催経費について

(4) 総務局所管分
 〔1〕 都の復興市民組織育成事業の拡充について
 〔2〕 円滑な震災復興のための弁護士や司法書士などの支援について
 〔3〕 第二次都庁改革アクションプランの確実な実施と評価・検証について
 〔4〕 都の人事制度における採用、給与などの在り方について
 〔5〕 首都大学東京に対する都の運営支援と大学の社会貢献について
 〔6〕 帰島後の三宅島の現状と復興への取組について
 〔7〕 多摩リーディングプロジェクトの事業実施の考え方について
 〔8〕 多摩の市町村に対する財政支援について
 〔9〕 公務出張におけるマイレージサービスの取扱いについて
 〔10〕 集中豪雨対策と地域防災計画の見直しに向けた検討について

(5) 財務局所管分
 〔1〕 17年度決算の分析と実質公債費比率の今後の見通しについて
 〔2〕 都有財産の利活用の取組状況と今後の対応について
 〔3〕 都の特別会計の在り方について
 〔4〕 地方自治体の財政指標の見直しと認識について
 〔5〕 第二次財政再建推進プランの取組内容と今後の施策の見直しについて
 〔6〕 黒字決算に伴う地方税財政制度改革の都への影響について
 〔7〕 オリンピック・パラリンピック開催に向けての宝くじの有効活用について
 〔8〕 行政評価制度の意義と対象事業のフォローアップについて
 〔9〕 国直轄事業における地方負担金の在り方について
 〔10〕 17年度決算黒字分の都民還元について

(6) 主税局所管分
 〔1〕 国立大学法人に対する固定資産税の課税について
 〔2〕 不正軽油撲滅に向けた取組と成果について
 〔3〕 様々な徴収努力による徴収率向上に向けた取組について
 〔4〕 債権回収に関する他局への支援について
 〔5〕 第二次財政再建推進プランの税収見通しについて
 〔6〕 法人に対する恒久的減税と個人住民税に係る税制改正について

(7) 出納長室所管分
 〔1〕 基金等の効率的運用について
 〔2〕 新たな公会計制度の取組と今後の方向性について
 〔3〕 公金収納におけるクレジットカード決済方式の導入・活用について

(8) 選挙管理委員会事務局所管分
   質疑なし

(9) 人事委員会事務局所管分
 〔1〕 管理職選考の現状と人材確保について

(10) 監査事務局所管分
   質疑なし

(11) 収用委員会事務局所管分
 〔1〕 圏央道(首都圏中央連絡自動車道)に関する収用手続きについて

(12) 議会局所管分
   質疑なし

(13) 東京消防庁所管分
 〔1〕 防災館(都民防災教育センター)の役割と活用について

(14) 警視庁所管分
   質疑なし


平成17年度各会計決算特別委員会 第2分科会審査報告書

 第2分科会で行われた平成17年度東京都一般会計決算等に関する審査の概要を
次のとおり報告する。

  平成18年10月31日
                    平成17年度各会計決算特別委員会
                    第2分科会委員長 相川 博


 平成17年度各会計決算特別委員長  
            田代ひろし 殿


1 本分科会の設置及び審査の経過
(1) 本分科会は、9月27日に設置され、次の案件を審査した。
  ・平成17年度東京都一般会計決算中、生活文化局、福祉保健局、病院経営本部、教育庁所管分
  ・平成17年度東京都母子福祉貸付資金会計決算
  ・平成17年度東京都心身障害者扶養年金会計決算

(2) 本分科会は、次のとおり各所管局ごとに審査し、終了した。
  10月6日(説明聴取・資料要求) 病院経営本部、福祉保健局
  10月11日(説明聴取・資料要求) 生活文化局、教育庁
  10月18日(質疑)        病院経営本部、福祉保健局
  10月25日(質疑)        生活文化局
  10月27日(質疑)        教育庁

2 本分科会における質疑の概要
(1) 生活文化局所管分
 〔1〕 平成17年度における諸施策の評価及び局の内部努力について
 〔2〕 民間委託などに対するチェック機能について
 〔3〕 私学振興・助成及び育英資金事業について
 〔4〕 専門学校に対する施策の充実について
 〔5〕 消費者行政について
  ア 架空・不当請求などの消費者被害への対応について
  イ 公衆浴場対策に関する不用額など消費生活対策費について
  ウ 多摩消費生活センターの相談機能等について
  エ 消費者基本計画の改定について
 〔6〕 都民に対する効果的な都政広報活動について
 〔7〕 東京オリンピック招致の気運を高める広報活動について
 〔8〕 指定管理者を含めた都の情報公開について
 〔9〕 個人情報の適正管理について
 〔10〕 配偶者暴力対策について
 〔11〕 子ども向け舞台芸術参加・体験プログラム事業について

(2) 福祉保健局所管分
 〔1〕 福祉局と健康局が統合された成果について
 〔2〕 次世代育成・子育て支援策について
  ア 先駆型子ども家庭支援センターの設置について
  イ 病児・病後児保育事業の促進について
  ウ 東京都児童会館の機能移転及び跡地の利用について
 〔3〕 児童福祉施設における措置入所負担金の不納欠損処分について
 〔4〕 生活習慣改善指導推進事業など健康づくり施策の推進について
 〔5〕 生活保護施策について
  ア 就労支援など福祉事務所の機能強化及び窓口対応について
  イ 被保護者自立促進事業について
 〔6〕 終末期医療について
  ア 医療従事者の人材の育成について
  イ 終末期医療に関するガイドラインについて
  ウ 在宅ターミナル・ケアに関する情報提供について
 〔7〕 障害者に対する施策について
  ア 民間移譲された心身障害者生活実習所等の運営について
  イ 精神障害者退院促進支援モデル事業について
  ウ 区市町村障害者就労支援事業について
  エ 都外の知的障害者入所更生施設について

(3) 病院経営本部所管分
 〔1〕 東京都保健医療公社が運営する4病院の未収金対策について
 〔2〕 多摩北部医療センターについて
  ア 東京都保健医療公社へ移管後の医療体制及び経営状況について
  イ 小児初期救急診療事業等の取組について
  ウ 東村山老人ホーム及び東村山ナーシングホームとの連携について
  エ 駐車場料金の利用者負担について
 〔3〕 多摩南部地域病院の小児科の運営について

(4) 教育庁所管分
 〔1〕 国旗・国歌の適正指導について
 〔2〕 公立の中高一貫校の設置意義及び小中一貫校との連携の在り方について
 〔3〕 学力向上調査(テスト)の活用状況及び調査結果の公表について
 〔4〕 都における栄養教諭制度の導入について
 〔5〕 教員の研修時における講師補充体制について
 〔6〕 不登校生徒が入学しやすいチャレンジスクールについて
 〔7〕 都立高校の普通教室の冷房化促進について
 〔8〕 都立砂川高校の学習用コンテンツの活用について
 〔9〕 特別支援教育推進計画について
  ア 盲・ろう・養護学校の設置場所の偏りについて
  イ 寄宿舎の入舎基準の見直しについて
  ウ 都と区市町村の連携による小中学校での特別支援教育の推進について
 〔10〕 公立学校における教員の障害者雇用状況について
 〔11〕 ユース・プラザ施設の管理運営状況及びPFI導入の評価について


平成17年度各会計決算特別委員会 第3分科会審査報告書

 第3分科会で行われた平成17年度東京都一般会計決算等に関する審査の概要を
次のとおり報告する。

  平成18年10月31日
                   平成17年度各会計決算特別委員会
                    第3分科会委員長 東村 邦浩

 平成17年度各会計決算特別委員長
  田代ひろし 殿


1 本分科会の設置及び審査の経過
(1) 本分科会は、9月27日に設置され、次の案件を審査した。
  ・平成17年度東京都一般会計決算中、都市整備局、環境局、産業労働局、建設局、港湾局、労働委員会事務局所管分
  ・平成17年度東京都中小企業設備導入等資金会計決算
  ・平成17年度東京都農業改良資金助成会計決算
  ・平成17年度東京都林業・木材産業改善資金助成会計決算
  ・平成17年度東京都沿岸漁業改善資金助成会計決算
  ・平成17年度東京都と場会計決算
  ・平成17年度東京都都営住宅等事業会計決算
  ・平成17年度東京都都営住宅等保証金会計決算
  ・平成17年度東京都都市開発資金会計決算
  ・平成17年度東京都多摩ニュータウン事業会計決算
  ・平成17年度東京都市街地再開発事業会計決算
  ・平成17年度東京都臨海都市基盤整備事業会計決算

(2) 本分科会は、次のとおり各所管局ごとに審査し、終了した。
  10月6日(説明聴取・資料要求) 中央卸売市場、港湾局、環境局、都市整備局
  10月11日(説明聴取・資料要求) 労働委員会事務局、産業労働局、建設局
  10月18日(質疑)        港湾局、都市整備局
  10月23日(質疑)        中央卸売市場、産業労働局
  10月25日(質疑)        建設局
  10月27日(質疑)        労働委員会事務局、環境局

2 本分科会における質疑の概要
(1) 都市整備局所管分
 〔1〕 都営住宅について
  ア エレベーターの設置促進について
  イ 住民同士の良好なコミュニティ形成について
  ウ 財務局に引き継いだ住宅用地について
 〔2〕 戸建て中古住宅の住宅履歴情報提供について
 〔3〕 都施行による土地区画整理事業について
  ア 意義及び必要性について
  イ 瑞江、篠崎地区等における事業の現状について
 〔4〕 地下街における浸水対策について
 〔5〕 木造住宅密集地域整備促進事業の推進について
 〔6〕 区部周辺部公共交通の取組について
 〔7〕 ICタグ等を活用した実証実験の成果について
 〔8〕 首都高速道路への出資金及び首都高速中央環状品川線の事業者について
 〔9〕 東京外かく環状道路計画の調査費の使途について
 〔10〕 核都市多摩ニュータウンの整備について
 〔11〕 都営柴崎二丁目アパート敷地内における都市計画道路予定地の利用について

(2) 環境局所管分
 〔1〕 ヒートアイランド対策及び地球温暖化対策について
  ア 校庭芝生化補助事業の推進について
  イ 壁面緑化の効果及び普及の取組について
  ウ 都議会議事堂屋上に設置した太陽光発電の効果について
  エ 都庁敷地の緑化策と各局への働きかけ及び他県との共同取組について
  オ メトロス設置による気象観測の復活について
 〔2〕 エネルギー対策について
  ア 再生可能エネルギーの導入促進及び国・他の自治体に先駆けての先導的な取組の推進について
  イ 燃料電池利用の積極的な取組について
 〔3〕 緑の保全地域の管理及び保全策の推進について
 〔4〕 NOx・PM低減装置の開発促進及び事業者負担の軽減について
 〔5〕 特定外来生物による果樹や農作物への被害対策について

(3) 産業労働局所管分
 〔1〕 商店街振興支援の充実について
 〔2〕 団塊世代の活躍の場の確保について
 〔3〕 しごとセンターの多摩地域における展開について
 〔4〕 仕事と家庭の両立支援について
 〔5〕 障害者の就業支援の拡大について
 〔6〕 島しょにおける水産業の振興について
 〔7〕 中小企業におけるISOの認定取得問題について
 〔8〕 中小ガソリン販売業者への対応について
 〔9〕 多摩産材の利用拡大への取組について

(4) 中央卸売市場所管分
 〔1〕 と場の施設整備について

(5) 建設局所管分
 〔1〕 東部低地帯における水害対策及び水門管理システムの役割について
 〔2〕 鉄道関連工事の厳正な契約手続き及び契約情報の公開について
 〔3〕 国直轄事業負担金の在り方について
 〔4〕 電線類地中化事業の推進について
 〔5〕 観光資源としての霊園の活用及び利用者のための環境整備の促進について
 〔6〕 都立公園の用地取得及び整備について
 〔7〕 みちづくり・まちづくりパートナー事業の推進について
 〔8〕 骨格幹線道路及び地域幹線道路整備の在り方について
 〔9〕 都市計画道路の整備促進について
 〔10〕 JR南武線連続立体交差事業の促進について
 〔11〕 小田急小田原線連続立体交差事業の事業主体としての認識について
 〔12〕 稲城大橋有料道路整備の成果と今後の在り方について
 〔13〕 多摩川中流部南側地域の基盤整備の取組について

(6) 港湾局所管分
 〔1〕 東京港の保安対策の強化について
 〔2〕 調布飛行場の有効活用について
 〔3〕 晴海客船ターミナルの客船誘致について
 〔4〕 海岸保全施設の整備促進について
 〔5〕 三宅島の復旧事業及び港湾災害復旧費について

(7) 労働委員会事務局所管分
   質疑なし

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