各会計決算特別委員会第一分科会速記録第五号

平成十八年十月二十五日(水曜日)
第十一委員会室
   午後一時開議
 出席委員 十名
委員長林田  武君
副委員長野上 純子君
副委員長柿沢 未途君
鈴木 隆道君
高倉 良生君
西岡真一郎君
坂本たけし君
鈴木 一光君
古館 和憲君
名取 憲彦君

 欠席委員 なし

 出席説明員
収用委員会事務局局長中田 清己君
審理担当部長太田雄二郎君
人事委員会事務局局長高橋 道晴君
任用公平部長川村 栄一君
試験室長長谷川 登君
参事堀江 正敏君
主税局局長菅原 秀夫君
総務部長三橋  昇君
税制部長松田 曉史君
参事目黒 克昭君
参事堀内 宣好君
課税部長安田 準一君
資産税部長吉田 裕計君
徴収部長齊藤 吉民君
特別滞納整理担当部長宮下  茂君

本日の会議に付した事件
 平成十七年度東京都各会計歳入歳出決算の認定について
収用委員会事務局関係
・平成十七年度東京都一般会計決算(質疑)
人事委員会事務局関係
・平成十七年度東京都一般会計決算(質疑)
主税局関係
・平成十七年度東京都一般会計決算(質疑)
・平成十七年度東京都地方消費税清算会計決算(質疑)

○林田委員長 ただいまから平成十七年度各会計決算特別委員会第一分科会を開会いたします。
 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、収用委員会事務局、人事委員会事務局及び主税局関係の決算に対する質疑を行います。よろしくお願いいたします。
 これより収用委員会事務局関係に入ります。
 決算の審査を行います。
 平成十七年度東京都一般会計決算中、収用委員会事務局所管分を議題といたします。
 本件につきましては既に説明を聴取しておりますので、直ちに質疑を行います。
 発言を願います。

○野上委員 私は、都における重要な課題である圏央道について伺いたいと思います。
 先日も、都心から半径四十キロから六十キロを環状に経る、この前、ちょっと新聞に出ていたんですけれども、首都圏中央連絡自動車道の早期完成を目指す建設促進会議の総会が都内のホテルで行われたという記事が載っておりました。
 決算説明を拝聴いたしましたけれども、収用委員会にとって大きな決算がこの圏央道ではないかと思います。これまで、あきる野インターチェンジ、また八王子ジャンクションの整備に伴って、大規模なトラスト、反対運動が展開されて、連日のように新聞報道をにぎわしていたことは、皆様の記憶にも新しいと思います。
 このような反対運動によって工事の進捗がおくれ、そのために開通がおくれることは、今後の首都圏全体の交通環境の改善や産業の発展にとって、重要な影響を及ぼすことになります。
 これらの事件については、収用委員会の裁決が出された後、裁決の取り消し訴訟が提起されたと聞いておりますけれども、現在の状況についてお伺いいたします。

○太田審理担当部長 圏央道における最近の訴訟の状況についてのお尋ねでございますが、まず、あきる野インターチェンジ付近のトラスト事件につきましては、平成十四年十一月に、東京地裁において収用裁決の取り消し訴訟が提起され、平成十六年四月に、遺憾ながら収用裁決を取り消す旨の、いわゆる藤山判決が出されたところでございます。
 これに対しまして、東京都収用委員会が控訴いたしまして、本年二月に東京高裁で、収用裁決は適法とする逆転勝訴の判決をいただいたところでございます。
 なお、トラスト側が上告したため、現在は最高裁において係属中でございます。
 次に、八王子ジャンクションに関するトラスト事件についてでございます。
 これにつきましても、平成十六年七月に同様の訴訟が提起されましたが、昨年五月に、収用裁決は適法であるとして、原告の請求を棄却する勝訴判決が出されたところでございます。現在は、原告側が控訴し、東京高裁において審理が行われているところでございます。
 これらの判決によりまして、圏央道における東京都収用委員会の審理手続及び裁決内容が、土地収用法に基づいた適正なものであることが明確に認められたというふうに考えているところでございます。

○野上委員 次に、圏央道、高尾山をめぐる区間の収用手続について伺います。
 ちょうど、これも新聞の記事にも出ていたんですけれども、国土交通省の国道事務所で、この圏央道建設地付近で、環境省のレッドデータブックで絶滅危惧Ⅱ類に指定されているオオタカがことしも繁殖しているのを確認したと発表したと。いろいろ学者の意見が書いてあって、ことしもオオタカが繁殖できる生息環境が維持されていると考えられると結論づけたということが書いてありまして、この地区では、この繁殖確認がずっと十一年間、連続して認められているということなんですね。
 そういう環境との兼ね合いもありまして、今回、収用手続について最高裁、上告審や控訴審で闘っていくわけなんですけれども、敗訴することはないと思いますけれども、関連機関ともよく連携をとりながら、しっかりと対応していただければと思っております。
 これまでの収用裁決により、土地の収用が行われて事業が進捗し、来年の六月には、圏央道と中央高速がつながります。しかし、名実ともに首都圏の環状道路としての機能を発揮するには、日本の大動脈というんですかね、東名高速とつなげなくちゃいけません。今後、二〇一六年のオリンピックを控えて、首都圏における環状道路ネットワークを形成することによって、都内における交通渋滞の緩和や環境の改善に資するだけではなく、多摩における企業誘致、商圏の拡大など、複合的で大きな効果が期待できます。圏央道は、首都圏全体の発展にとって、欠くことのできない重要な事業であります。
 ところが、都内最後の区間となる中央高速から南側、高尾山にかかる部分についてもトラスト運動が展開されて、土地の取得が難航しております。収用手続に今入っておりますが、この区間について、これまでの収用手続の状況についてお伺いいたします。

○太田審理担当部長 高尾山トンネルを南北に挟みました八王子ジャンクションと八王子南インターチェンジの区間に係ります収用手続の状況についてのお尋ねでございます。
 この間につきましては、土地収用法に基づきまして、起業者である国等が、昨年七月、事前説明会を開催した後、また昨年九月に、国土交通大臣に事業の公益性等の判断を求める事業認定の申請を行い、これを受けました国土交通大臣は、昨年十一月に、三日間にわたりまして、利害関係人から幅広く意見を聞く公聴会を開催し、さらに本年二月と三月に、専門家でつくります社会資本整備審議会の意見を聞いた上、本年四月二十一日に事業認定の告示を行ったところでございます。
 その後、本年七月二十六日、二十七日の二日間にわたりまして、土地収用法に基づく起業者の立入調査が行われまして、今月、十月の一日と二日には、土地調書、物件調書の作成のための署名、押印の手続が行われたところでございます。
 また、関係人が百名を超える土地等につきましては、この署名、押印にかわる特例手続である公告縦覧の手続が、今月の二日から一カ月間、八王子市役所で行われているところでございます。
 こうした必要な手続等を経た上で、起業者である国等から、東京都収用委員会に裁決申請が行われることが予想されますが、その時期につきましては、土地収用法によれば、事業認定の告示の日から一年以内に申請がなされなければ、事業認定が失効するという規定がございます。そこで、遅くとも来年の四月中旬、早ければ年内までには申請が行われる可能性があると考えております。

○野上委員 最後に、圏央道の早期の全線開通は、首都圏のみならず日本全体にとっても大変重要であると思います。収用手続は、公共事業推進に不可欠であります。迅速かつ公正に、しかも都民の理解を得ながら、本当は社会基盤の整備に役立てていければいいと思います。
 この前の林試の森の拡張立ち退き訴訟も、断念したという記事が載っておりましたけれども、今後、この圏央道の早期の事件処理に向けた局長の決意をお伺いいたします。

○中田収用委員会事務局長 収用委員会の事件処理に向けました取り組みについてでございますが、ご案内のとおり、収用委員会は独立した行政委員会の一つでございまして、手続の公正を確保することは極めて重要な責務であると考えております。
 その前提の上で、収用委員会が大規模化したり、あるいは複雑化したりする事件を速やかに処理することは、公共事業を円滑に推進するという社会的要請にも合致し、したがいまして、圏央道に限らず、まちづくりにとりまして、収用委員会の果たす役割は大きいものと考えております。
 圏央道につきましても、トラスト運動等、副委員長ご指摘の状況は承知しております。特に今回は、都内最後の区間でもございまして、収用委員会の審理の場におきましても、これまで以上に厳しい状況が予想されます。
 一方、ご案内のとおり、事業認定の透明性の向上と収用裁決手続の合理化等の観点から、平成十三年に土地収用法が大幅に改正されました。今回は、その改正されました土地収用法が事業認定の段階から適用される都として初めてのケースとなるものでございます。このため、申請があった場合は、土地収用法改正の趣旨を踏まえまして、権利者の利益を阻害することなく、審理を円滑かつ迅速に進めることができるよう、事務局としても万全の体制で対応する決意でございます。
 以上でございます。

○林田委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○林田委員長 異議なしと認め、本件に対する質疑は終了いたしました。
 以上で収用委員会事務局関係を終わります。

○林田委員長 これより人事委員会事務局関係に入ります。
 決算の審査を行います。
 平成十七年度東京都一般会計決算中、人事委員会事務局所管分を議題といたします。
 本件につきましては既に説明を聴取しておりますので、直ちに質疑を行います。
 発言を願います。

○高倉委員 私からは、歳出のうちの管理費、各種試験実施に要した経費につきまして、お伺いをしたいと思います。
 団塊の世代の職員の大量退職という時代を迎え、都庁においては、人材の確保や育成に力を注ぎ、組織力を向上させることが急務であると思います。
 この意味におきまして、職員の採用試験や、身体障害者や専門職の採用選考、管理職、主任級職、行政専門職などの昇任選考、転職選考を実施している人事委員会の役割は大変重要であるというふうに考えております。
 特に、管理職選考につきましては、次の時代の都政を担っていく人材を確保していく上で、大変大事な取り組みでございます。この管理職選考につきましては、受験率が全体として低迷を続けておりまして、大きな課題であると思います。
 人事委員会は、平成十五年度、十六年度に、実践的能力の高い人材を確保する観点から、管理職選考の大幅な改正を行われました。そして、十七年度の選考では、特に受験率の低い係長クラスを対象とする種別Bにつきまして、負担軽減のために見直しを行ったところでございます。
 そこでお伺いいたしますけれども、最近の管理職選考の受験率の推移についての認識と、人事委員会として取り組んできた選考の改善といったものが、十七年度の選考実施状況にどのような効果があったとお考えになっているか、ご所見をお伺いしたいと思います。

○川村任用公平部長 管理職選考の受験率の低迷につきましては、昭和六十年代ごろから目立ち始めておりまして、これは長年の課題でございます。とりわけ近年では、有資格者数の減少に伴う受験者数そのものが大幅に低下しておることと相まって、問題がより顕在化しているものと認識しております。
 ご指摘の平成十六年度の改正では、係長クラスを対象とする種別Bの択一試験につきまして、成績が一定水準に達した者に翌年度の受験を免除する仕組みを導入いたしました。これにより、択一試験の免除資格を得た者が、平成十七年度選考に再チャレンジした受験率は九四・五%であり、受験者数の確保に一定の効果があったものと考えております。

○高倉委員 択一の免除者の十七年度の受験率が九四・五%という、今答弁がございました。選考の見直しの部分では効果が見られたということはわかりました。
 しかしながら、係長という都庁の中堅級が受験をする種別Bの受験率については、ここ五、六年、一三%台という低い水準で推移をしております。合格者の絶対数というところでは、この種別Bについては、平成十七年度は八十六名となっておりまして、若い主任クラスを対象とする種別Aが三十八名、課長補佐クラスを対象とする種別Cの六十六名に比べまして、最も多い数字となっております。
 この種別Bの受験層の職員は、都の職務にもかなり精通をしている、そうした皆さんでございまして、まさに次の都政を引っ張っていく重要な存在でございます。この層の受験率が低いということは、都政の将来にとっても、見過ごすことのできない課題であろうと思っております。
 受験資格につきましては、係長歴三年以上、十三年未満、かつ年齢五十歳未満というふうに、受験機会という面ではかなり幅があるということが受験率の低さに影響しているともいえると思います。
 しかしながら、それだけの理由でございますならば、選考の見直しで、かなり改善が期待できるわけでございますけれども、しかしながら、実際には、受験の負担の割には、管理職になっても責任が増すだけでそれが報われないという、こうした現実等々もかなり影響をしているというふうにも見られるのではないかと思います。
 人事委員会では、この種別Bの課題について、新たな選考の見直し策を打ち出しておりますけれども、この層の受験率の低さについてどのようにお考えになっているのか、また、見直しによってどのような効果があるとお考えになっているのか、ご所見をお伺いいたします。

○川村任用公平部長 まず、種別Bの受験率の低迷についてでございますが、人事委員会では、職務に励み、実績を上げた職員が必ずしも積極的に受験していないと認識しております。
 このため、管理職選考に対する職員の意識を把握し、それを管理職選考の今後のあり方の検討資料とすることを目的として、平成十七年に、有資格者を対象としたアンケート調査を実施しております。
 今回の管理職選考制度の改正では、こうした調査結果などを踏まえながら、係長クラスを対象とする種別Bについて、受験資格を拡大するとともに、択一試験を廃止してさらなる受験負担の軽減を図り、よりチャレンジしやすいものといたしました。
 あわせて、人物、実績重視の能力実証を徹底し、仕事で実績を上げている職員が高い評価を得られる仕組みといたしました。今後、改正内容の周知徹底をさらに図っていく所存でございますが、一層の受験促進につながるものと考えております。

○高倉委員 今のご答弁によりますと、人事委員会が考えるこの管理職の選考の改善ということについては、受験資格の拡大、あるいは職務に励んで実績を上げ、職場で評価されている職員が、より挑戦しやすい、そうした制度にしていくといった方向があるようでありますけれども、人物や実績を重視をしていくことは非常に重要なことだと私も思いますし、低迷する受験率など管理職選考の課題を解決していくに当たっての大事な取り組みであろうというふうに思います。
 そうした一方で、やはりこの試験というものは、知識を初めとして管理職に必要な一定の水準といいますか、そうしたものを確保していく仕組みとしての意味もあろうかと思っております。人事委員会では、試験に関する調査研究として、試験結果の分析や検証などを通じて試験内容の向上も図っているようでありますけれども、職員がより挑戦しやすい制度にしていくというそうした方向性と、管理職として必要な質の確保を、この選考を通じてどういうふうに図っていかれるのか、そのことについての人事委員会のご所見をお伺いしたいと思います。

○川村任用公平部長 今回の改正では、種別Bは、各行政分野のエキスパートとして活躍できる管理職と位置づけております。
 このため、種別Bの筆記試験につきましては、行政分野ごとの専門知識の習得に、より一層力を注いでいただくことを目的として、択一試験を廃止して受験負担の軽減を図る一方、専門知識を検証するための記述試験と、総合的な思考力を検証するための論文の二本立てとし、専門性をこれまで以上に検証できる仕組みといたしました。
 また、あわせて、人物、実績をより重視することとしており、これらによりまして、管理職の質の確保を図ることができるものと考えております。

○高倉委員 この受験率の低迷という管理職選考の大きな課題について、人事委員会として大変、一生懸命努力をされているということは、これまでの答弁でよく理解をしたつもりでおりますけれども、やはり試験制度だけの改革で解決することは大変難しいと、そういった側面もあるということを、私も理解をしているつもりであります。
 新たな管理職制度を都庁としてどのように構築をしていくのかという、人事委員会にとどまらない取り組みがこれからも必要であると思っております。
 こうした点も踏まえまして、次の都政を担う人材確保をどう図っていくかについて、人事委員会としての率直なお考えをお聞きしまして、質問を終わりたいと思います。

○川村任用公平部長 人事委員会は、これまで毎年の給与勧告等の機会をとらえて、数次にわたり管理職選考を初めとする今後の人事制度のあり方等について提言してまいりました。
 その具体化策として、昨年からことしにかけて、採用から管理職昇任に至るまでの任用制度について、適材をより確保できるよう職員のライフステージも考慮して、再構築いたしました。今後、任命権者においては、新たな任用制度のもとで人材育成を一層充実させ、都政の変革に積極的に取り組むことができるプロ職人として育成するよう期待しているところでございます。
 また、都の管理職選考制度は、国のキャリアシステムとは異なり、学歴、性別にかかわりなく能力主義の人材登用に寄与してきた、いわば都の内外に誇り得る制度であると考えており、人事委員会といたしましても、今後とも、管理職選考制度をよりよいものとしていくよう、時代の要請に合わせて不断の検証、見直しを行ってまいります。

○林田委員長 発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○林田委員長 異議なしと認め、本件に対する質疑は終了いたしました。
 以上で人事委員会事務局関係を終わります。

○林田委員長 これより主税局関係に入ります。
 決算の審査を行います。
 平成十七年度東京都一般会計決算中、主税局所管分及び平成十七年度東京都地方消費税清算会計決算を一括して議題といたします。
 本件につきましては、既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○三橋総務部長 先般の分科会におきまして要求のございました主税局関係の資料につきまして、ご説明申し上げます。
 恐れ入りますが、お手元の平成十七年度各会計決算特別委員会第一分科会要求資料の一ページをお開きいただきたいと存じます。
 まず、要求資料第1号、都税の当初予算額と決算額の推移についてでございます。
 この表は、都税総額と主要税目の法人二税及び固定資産税、都市計画税の当初予算額と決算額につきまして、平成八年度から十七年度までの十年間の推移をお示ししたものでございます。
 次に、二ページの要求資料第2号、税制改正に伴う都税収入への影響額についてでございます。
 この表は、平成十五年度から十八年度までの個人住民税に係る税制改正の内容と、都税収入への影響額をお示ししたものでございます。
 要求のございました資料に関する説明は以上でございます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○林田委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含め、これより本件に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○鈴木(一)委員 国立大学法人に対する固定資産税の課税について、お伺いいたします。
 きょうの日経新聞、国立大、駅ナカ、外国施設、公平旗印に課税強化というふうな見出しで、東京都の新しい固定資産税の取り組みが報道されておりますが、また、先般、東京大学が、大学の食堂、売店などに固定資産税を課税する東京都の方針に反発していたが、都を提訴するのを見送ったとの報道もありました。
 なぜって聞くまでもないかもしれませんが、固定資産税が国立大学にも課税されるようになったのか、まずお伺いをしたいと思います。

○吉田資産税部長 国立大学は、国立大学法人法の施行により、平成十六年四月一日に国立大学法人となりました。これは、他の独立行政法人と同様に、法人化することによりまして、業務の効率性や質の向上を図ることを目的としたものでございます。
 委員お尋ねの国立大学につきましては、法人化以前の資産は国有財産であるため、地方税法第三百四十八条第一項の、国に対しては固定資産税を課することができないという規定に基づきまして、人的非課税としていたものでございます。
 法人化以後は地方税法が改正され、国立大学法人等の非課税を定めた地方税法第三百四十八条第六項の規定によりまして、国立大学法人等が所有する固定資産に対しては、固定資産税を課することができないとされた一方で、国立大学法人以外の者が使用している場合は非課税対象から除外することとされたものでございます。
 国立大学法人以外の者が使用している例といたしましては、職員宿舎や食堂、売店などの貸付部分が挙げられまして、それらは課税対象となるものでございます。

○鈴木(一)委員 今お話がありましたように、ほかに店舗などで貸付利益が上がっているのですから、これは、固定資産税が課せられるのは当然かというふうに思いますが、その税制改正が実施された十七年度において、主税局がどのように取り組んで、その結果、どの程度の実績が上がったのか、まずお伺いしたいと思います。

○吉田資産税部長 二十三区における国立大学法人数は十一大学ございまして、資産の所在は、千代田、港、文京等十六区に及んでおります。国立大学法人へ移行後、各国立大学法人にご協力をいただきながら調査を実施し、課税対象を把握してまいりました。
 課税対象となったものは、職員宿舎や外部貸し付けの食堂、売店のほか、自動販売機やATM、東京電力の電柱の設置スペースなど、極めて多岐にわたっております。
 このような課税対象の調査、捕捉の結果、平成十七年度で約一億円余の税収を確保したところでございます。

○鈴木(一)委員 今お話にありましたように、東京電力の電柱の設置スペースなどが対象になっているということでありますけれども、本当に細かい物件、複雑多岐にわたって判断が難しいケースがたくさんあろうかと思いますが、具体的にはどのような使用状況の資産が課税対象とされるのか、課税、非課税の取り扱いの基準、線引き、難しい部分があろうかと思いますけれども、その点についてお伺いをしたいと思います。

○吉田資産税部長 課税に当たりましては、実質的な使用状況を把握するため、書類調査や現地調査を綿密に実施しているところでございます。
 また、課税、非課税の判断は、固定資産の使用状況に基づいて行うものでございまして、貸付契約等により当該国立大学法人以外の者が使用しているものは、課税対象となります。
 ただし、他の者が使用する資産であっても、業務委託や臨時的、一時的な使用などの場合のように、国立大学法人の管理支配下に置かれ、大学本来の目的を達成するために使用する場合は非課税となるものでございます。

○鈴木(一)委員 国立大学法人の課税については、資産件数が膨大であるという難しい問題もあるわけでありますけれども、今後の取り組みについてお伺いをしたいと思います。

○吉田資産税部長 国立大学は、一般的に敷地が広く、多数の建物や構築物がございます。また、古い建築物については、課税に必要な図面等の資料類も不備なことがございまして、課税対象の正確な把握が困難な場合がございます。
 また、国立大学法人化後は、資産運用を大学独自の判断でできるようになったこともあり、PFIの活用や企業とのジョイントなど、資産の利用形態も多様化してきております。そのため、資産の使用関係の実態も複雑化してきているということであります。
 こうした状況下ではございますが、国立大学法人にも一層の協力をいただきながら、引き続き綿密な調査を実施し、今後とも適正、公平な課税に努めてまいります。

○鈴木(一)委員 今の答弁にありましたように、資産の利用形態が変化してきている、複雑多岐になってきているということでありますが、しっかり頑張っていただいて、税収をふやしていただきたいというふうに思います。
 また一方、新しいそういった課税、増税というものは、ちょっと間違えると大きな反発、またいろんな社会に影響を及ぼすことが大きいかと思いますし、東京都が先駆けてこのような固定資産税の課税をしてきたわけでありまして、要は、ほかの自治体においても注目をしているでしょうし、全国の自治体のお手本となるような立派な制度をつくっていただくようにお願いをしまして、質問を終わります。

○西岡委員 主税局所管の決算審査ということで、私からは、軽油引取税に関連しまして、不正軽油撲滅作戦に絞って伺ってまいりたいと思います。
 ディーゼル車の燃料として使用される軽油に、脱税を目的として重油をまぜ、軽油と偽り販売される不正軽油が後を絶たず、排気ガスの有毒物質を増加させ、環境に悪い影響を与えることから、東京都では、平成十二年より、東京都が取り組みを強化するため不正軽油撲滅作戦が展開されました。
 私は、平成十七年三月までの八年間、小金井市議会にて活動しておりましたけれども、正直、この問題への十分な認識はありませんでしたが、調査をしていく過程で、極めて重要な課題であるとの認識に至りました。
 また、不正軽油製造に伴い生み出される硫酸ピッチの不法投棄も、大きな環境問題になっているということがわかりました。都は、つくらせない、買わせない、使わせない、撲滅PRという四つの作戦に基づいて、警視庁や国とも連携し、また道府県や全国の市区町村にも呼びかけを行うなどの強力な対策が展開されました。
 ところで、不正軽油がどのような違反で、罰則がどうなっているかについては、軽油引取税について地方税法を見てみますと、軽油を製造するためには、製造などの承認を受ける義務が規定されています。そこでは、軽油を製造する場合や、軽油と軽油以外の油をまぜる場合には知事の承認を受けなければならないと定めておりまして、違反した場合には、五年以下の懲役もしくは五百万円以下の罰金、法人にあっては三億円以下の罰金と規定されており、この不正軽油には予想以上に非常に重たい刑罰が定められております。
 この軽油引取税は、一般的には大変なじみの薄い税金でありますけれども、このように非常に厳しい刑罰が定められているということは、それだけ社会的に重要な税金であるともいえます。
 冒頭述べました不正軽油撲滅作戦の対象となるのが、この軽油引取税であります。平成十七年度の税収は、私の予測よりは多い約五百十四億円でありますが、減収傾向にあるようであります。ここ数年の税収動向はどのようになっているのかを最初に伺わせていただきます。

○安田課税部長 軽油引取税の税収動向についてのお尋ねでございますが、過去五年間を見ますと、平成十四年度の約六百八十九億円をピークに、ご指摘のとおり、ここ数年は減収傾向にございます。その原因としては、ディーゼル車の減少等が考えられます。

○西岡委員 ディーゼル車の減少ということであり、理解できるところであります。
 軽油引取税は、都税収入に占める割合は約一%と小さい税金でありますけれども、収入額が減るということは、財政にとっては痛いことなのかもしれません。しかし、作戦によって、脱税が防止されるとともに環境の改善にも貢献するとなれば、単に税収の増減で評価できるものではない社会的に意義のある事業だと思います。
 作戦が開始されてから、ことしで七年目を迎えます。折しも議事堂一階では、不正軽油撲滅キャンペーンの一環として、専門学校生によるポスターが展示されております。大変優秀な作品ばかりで、私も何度か見せていただきました。
 本年五月には、平成十七年度における取り組み実績をプレス発表いたしましたが、その実績は顕著でありまして、大変なご努力であったものと評価をしたいと思います。
 そこで、不正軽油撲滅作戦について、何点か伺ってまいります。
 不正軽油撲滅作戦の遂行により、具体的にはどのような成果を上げてきたのかを伺います。

○安田課税部長 これまでの具体的な成果についてのご質問ですが、不正軽油撲滅作戦を開始して以来、各自治体及び関係民間団体とも協力し、全庁を挙げて徹底した取り締まりを行ってまいりました。
 具体的には、不正軽油を発見するために、累計で約五万二千四百本の軽油抜き取り調査を実施し、その結果に基づき地道な調査を積み重ねてまいりました。これにより、作戦開始以来、告発や課税処分等の累計は百十四件、告発した脱税税額や課税処分額等の累計は約七十億円となっております。
 このように徹底した取り締まりの結果、路上等での軽油抜き取り調査の混和率は、作戦開始当時は一四%であったものが一%と激減しており、大きな成果であると考えております。

○西岡委員 相当な実績を上げてきたと認識いたします。
 不正軽油の犯則調査では、車での張り込みはもちろん、冬空でも、また夜中でも、地道な調査活動が続くとても過酷な仕事であると聞いております。実は、聞いたお話ですが、都庁の中には、映画にもあったマルサの女ともいえる、すご腕の女性の方々、都庁版マルサの女が多数存在しておりまして、チームプレーで頑張っていただいていると聞きました。公正な都政運営、納税のルールを守るという意味からも、大変なご尽力が続いていると思います。
 いただいた資料、報告書の中に、こんな一節があるのでちょっと紹介したいと思います。
 都のマルサは、基本的に男性中心の組織である。深夜の張り込み、不規則な尾行など内偵調査は忍耐力が要求される体力勝負の調査である。車の中で十時間以上じっと待っても何の成果もない日もあれば、尾行を始めるや否やあっという間にまかれてしまうこともしばしばある。長時間にわたって緊張感が強いられる内偵調査は、必ずしも女性向きの仕事とはいえないかもしれない。それでもアズマ係長--これは仮名ですね--率先して内偵調査を敢行し、不屈の精神と不眠不休でも活動できる体力、そして鍛え抜かれた勘と地道な調査に裏打ちされた情報を武器に、不正軽油業者を追い詰めていくのであるという一節があります。大変なご尽力をいただいていると思います。ご健康に留意されて、ぜひ頑張っていただきたいと思います。
 さて、不正軽油撲滅作戦により着実に成果が上がっているとのことでありますが、混和率が一%に減ったということだけ見れば、作戦も既に終盤であるという印象も受けがちであります。しかし、一%とはいえ、いまだ不正軽油が流通している中で、主税局としては、この一%という数値をどのように評価しているのか、伺わせていただきます。

○安田課税部長 一%という数値についてのお尋ねでございますが、これは、先ほどご説明しましたさまざまな取り組みを実施し、不正軽油を徹底的に取り締まってきた結果であると考えております。しかしながら、委員ご指摘のとおり、不正軽油は相変わらず流通しており、手を緩めれば再びこの数値が上昇する可能性もございます。
 したがいまして、引き続き不正軽油を厳しく取り締まっていく必要があると認識しております。

○西岡委員 ご答弁にもありましたけれども、手を緩めれば数値が上がるということで、依然厳しい取り締まりが必要であるということでありました。ぜひそのスタンスで、継続した対策を要望しておきたいと思います。
 また、不正軽油撲滅作戦の四つの柱のうちの一つでもあるPRにも努めていることから、社会的な認知度もそれなりに上がってきたとは思います。しかし、不正軽油製造者は、各自治体の対応をよく調べ、取り組みの弱い地域に移行していくことが考えられます。自治体間の連携はどのようになっているのか、伺います。
 一方、作戦が開始された当初、平成十二年九月当時、軽油の小売価格は一リットル当たり八十五円前後で推移しておりましたが、年々少しずつ高くなりまして、最近の原油高を反映して、ことしの九月の小売価格は百二十円程度まで上昇しております。このように燃料が高い状況になっているということは、不正軽油を誘発しやすい社会環境になっていると思います。
 例えば、車両の燃料注入口から軽油を入れた後に灯油を注入すれば、燃料として車両を運行することができるということで、脱税という地方税法違反が、だれでも簡単に行われてしまうことになります。このように、不正軽油を取り巻く社会的な環境が大きく変化しております。今後、不正軽油を撲滅するためには、どのように対応していくお考えか、伺わせていただきます。

○安田課税部長 まず、各自治体間の連携についてのご質問でございますが、東京都の提案により、平成十四年度から全国一斉路上軽油抜き取り調査を実施しております。
 また、東日本の各県に働きかけまして、不正軽油の製造等に関する情報を自治体間で共有するとともに、ますます広域化、巧妙化の度を強めております不正軽油事案に関する共同調査体制を確立するため、不正軽油撲滅連絡会議を設置し、現在、二十一都道県が共同して不正軽油の撲滅に取り組んでおります。
 次に、今後の対応についてでございますが、ご指摘のとおり、原油高による燃料の高騰を受けまして、課税対象とならない灯油を軽油に混和し脱税するなど、さまざまなケースが考えられます。そのため、これまで以上に広く都民からも情報を求めるとともに、より迅速な調査に努めるなど、状況の変化に的確に対応していくことが必要であると考えております。

○西岡委員 都が全国を引っ張ってきた取り組みであることがわかりましたが、各都道府県には温度差もあるようでありますので、国とも連携し、全国の自治体へのさらなる撲滅策の拡大に取り組んでいただきたいと要望しておきます。
 次に、重油と軽油の混和に関連してお伺いさせていただきます。
 抜き取り調査や都民情報の収集などによる強力な取り組みを展開してきたということですが、重油と軽油が混和され、不正に販売されていることを考えると、重油を製造販売している元売業者への対応を強化することも極めて重要であると考えられます。元売業者から重油を購入した購入者からの重油の流出ルートへの調査を強化するということであります。
 そこで、元売業者への対応はどのように行われているのか、伺わせていただきます。

○安田課税部長 元売業者への対応についてのお尋ねでございますが、東京都は、全国の自治体に呼びかけまして、共同して元売各社に対しまして、疑義のある最終納入地等に関する情報の把握及び提供を要請いたしました。元売各社の団体である石油連盟は、この要請を踏まえて、平成十六年十二月に、軽油引取税脱税防止ガイドラインを策定いたしました。
 現在、元売各社は、このガイドラインに基づき最終納入地等に関する情報把握に努めまして、必要に応じ都に情報提供を行うなど、ご協力をいただいているところでございます。

○西岡委員 ありがとうございました。
 この件は、大変重要な取り組みであり重要な課題だと思っておりますので、さらなる強化を要望しておきたいと思います。
 作戦が進むにつれて、また成果が上がるに伴って、相手方の手口が悪質化、巧妙化し、一方、行政側はそれに対応した的確な調査を行っていくことは重要であります。社会と環境に対する犯罪である不正軽油を撲滅するためには、作戦をさらに強力に推進していく必要がありますが、最後に、今後どのような取り組み方針を持って不正軽油撲滅作戦を推進していくのか、局長に伺って質問を終わりたいと思います。

○菅原主税局長 不正軽油撲滅作戦の開始以来、庁内の各局を初めといたしまして、民間団体並びに各自治体などからもご協力をいただきまして、不正軽油の撲滅に努めてまいりました。
 その結果、成果は着実にあらわれているというふうに考えておりますけれども、不正軽油は依然として流通をしておりまして、その内容もさらに複雑かつ広域化をしております。委員ご指摘のとおり、社会と環境に対する犯罪である不正軽油を撲滅いたしまして、納税秩序と、そして都民の健康の確保を図ることは、主税局の重要な使命の一つであるというふうに考えております。
 今後とも、都議会の皆様方を初めといたしまして、関係者のご協力も賜りながら、徹底した取り組みを展開してまいりまして、不正軽油の撲滅に邁進してまいります。

○野上委員 私からは、都税の徴収について何点か、お伺いいたします。
 平成十七年度の都税徴収率は、この前出していただきました決算概要の参考資料の2を見ますと、九七・三%で過去最高です。また、純滞納繰越額は四百九十八億円となっております。
 まず、この三年間の徴収率の推移についてと、それから、徴収業務にかかわる職員数の推移についてもご説明願いたいと思います。

○齊藤徴収部長 滞納整理部門では、純滞納繰越額を圧縮し、整理収入の増大を図るため、きめ細やかな納税者対応に努め、効率的、効果的な滞納整理の推進に取り組んでまいりました。
 この三年間の徴収率についてでございますが、平成十五年度は九六・一%、十六年度九六・八%、十七年度九七・三%と、年々向上しております。
 また、純滞納繰越額につきましては、平成十五年度六百六十七億円、十六年度五百六十九億円、十七年度四百九十八億円と、年々圧縮してきております。
 なお、徴収業務にかかわる職員数につきましては、平成十五年度千二百九人、十六年度千百二十二人、十七年度千百十五人となっております。

○野上委員 徴収に携わる職員が毎年減少しているということで、平成十五年から十七年の約二年間で九十四人の徴収員の削減があったにもかかわらず徴収率が向上し、純滞納繰越額が減っているということは、かなり徴税努力の結果だと思っております。
 滞納整理の一般的な流れがどのようになっているのか、自動車税の例でご説明願えればと思います。

○齊藤徴収部長 自動車税につきましては、五月の納期が過ぎると、七月に督促状を送付いたします。督促状で納税されなかった未納者に対しましては、八月以降、その資力を見きわめながら、必要に応じて催告書を複数回送付しており、その内容は段階的に厳しいものとしております。
 この間、もちろん電話や自宅訪問などによる催告も行っていきますが、担税力があると思われるにもかかわらず納税に応じない場合は、納税に対して誠意がないものということで判断をいたしまして、財産調査を行い、最終的には差し押さえ、そして公売と、順次滞納処分を進めていくことになります。

○野上委員 自動車税を納期までに納税しない人は、事前に調べたところでは約三十万人ということです。
 この人たちに催告文書を送付する費用と、催告文書の効果との説明をお願いしたいと思います。
 例えば、今、メール便とか使えば一通六十五円くらいで届きます。普通郵便だと八十円ということなんでしょうけれども、三十万人全員に送ったとしても、一通六十五円としても千九百五十万円という多額な額がかかるのではないかと思っておりますけれども、ご説明をお願いします。

○齊藤徴収部長 ご承知のとおり、自動車税は大量の件数を短期間に集中的に対応しなくてはならないということで、まず第一段階として、文書による催告を行っております。
 昨年度は延べ八十五万通の督促状及び催告書を送付しており、その郵送料は約五千五百万円でございます。
 この間の督促状及び催告書による納付は約二十六万件、納付税額にいたしまして、約九十八億五千万円となっております。

○野上委員 自動車税というのは、わずかな額ではございますけれども、それでも努力によって、催告書を送ることによって二十六万件、約九十八億五千万円が納付されたという効果があるということですね。
 それでもまだ納付をしない人たちは、差し押さえ、公売ということになるわけですが、十六年度、十七年度の二年間で、差し押さえや公売に関して徴収率の向上につながったと思われる主な取り組みについてご説明ください。

○齊藤徴収部長 主税局では、平成七年以来、具体的な目標の設定と的確な進行管理の徹底を図りながら、さまざまな創意工夫を積み重ねた取り組みを行ってまいりました。
 平成十六年度には、高価で有利な売却が期待できるインターネット公売を全国で初めて開始をし、また、平成十七年度には自動車のタイヤを挟み込み運行不能状態にするタイヤロックの導入を行いました。
 インターネット公売もタイヤロックも納税者からの反響が極めて大きく、都税徴収率の向上に結びつくとともに、全国の道府県、市町村においても広く採用されつつあるところでございます。

○野上委員 テレビとかでも有名になりましたインターネット公売、そしてタイヤロックということで、新しい取り組みがなされつつあるということですね。
 ちょっと話がそれますけれども、私は、以前、国民年金を未納の青年が約四〇%にわたるということがありまして、国民年金未納者のうちの九〇%の青年たちに国民年金を払わせるいい方法があるよということで、それは、国民年金を払ってない人には運転免許を申請できないような仕組みにすれば、若者たちは車の免許を持って車に乗っておりますので、年金を払って運転免許を更新できるという、そういう仕組みを国レベルで行ったらどうかというような提案をしたことがあります。だから、そのデメリットによって年金の納付促進につながるという考えです。
 それと同じように、このタイヤロックというのは、自動車の運行を不可能にするというデメリットが納税につながると思うのですのですけれども、その効果について教えてください。

○齊藤徴収部長 催告や納税交渉を繰り返し、極力自主的な納税をお願いしても納税のない場合には、納税秩序の観点から、差し押さえや公売等の強制徴収の手段によりまして、税債権を確保しなければならない、そういった使命を負っております。
 タイヤロックは、文字どおり自動車をその場で運行させない措置を講じる新たな差し押さえ方式でございます。自動車を差し押さえ後、未納者に保管を命じ、都の財産であることを公示した帳票を車体に取りつけるとともに、タイヤロックを装着するものでございます。
 滞納者にとっては、実際に自動車が運行できなくなるということで、タイヤロック装着後、三日以内にほぼ九割の滞納事案が解決に至っているのが現状でございます。

○野上委員 三日以内にほぼ九割の事案が解決するということは、すばらしいことだと思うのですね。それでも、しかし、あと一割の人たちはなかなか払わないということなんですね。
 すべての事案が解決するということもなかなか難しいのではないかと思いますが、最終的に、差し押さえた財産を公売することになると思います。
 主税局は、十六年度から職員の発案でインターネット公売を活用しています。インターネット公売の導入後からこれまでの取り組み状況と成果についてお伺いしたいと思います。
 このインターネット公売に関しては、私はすばらしいアイデアで、それを考えた職員の方に賞を差し上げてもいいんじゃないかなと思っているくらいなんですけれども。

○齊藤徴収部長 主税局では、平成十六年七月に第一回のインターネット公売を開始しまして、現在まで十三回のネット公売を実施してまいりました。
 売却品の見積金額一億一千万円に対しまして売却金額一億五千万円、出品数五百十三点に対し申込者数八千七百九十一人という実績となっております。
 こうした都の高い実績によりまして、全国の自治体にも広がりを見せ、現在では百十五の自治体がインターネット公売を導入しております。インターネット公売は、パソコンがあればいつでも、どこでも、だれでも参加できるという大きなメリットがございます。
 なお、先生が今おっしゃったように、職員表彰というお話がございましたけれども、実は、十六年度の職員提案の中で最優秀賞をいただいております。

○野上委員 全体の予算総額から見ると、一億五千万という金額は少ないものかもしれませんけれども、そうした努力が少しずつ積み重なって大きくなるということで、すばらしい行為だと思っております。
 パソコンの普及は、あらゆる場面でその利便性が発揮されています。しかし、一方では、ITを使いこなせない人がいることも事実であります。
 私も、この前、葛飾区の消防団運営会議の中でも話したのですけれども、いざというときに携帯メールで一斉送信をぱっとすれば、もう全員の消防団員にぱっと情報が伝わって、もしそれが受信できなかった人には、この人には着信がだめでしたよということが本人に返ってくるので、今のように連絡網で団長から副団長からどんどん下に下がっていく、そういう連絡形態では一時間とか二時間とか三時間とかかかってしまうので、ほとんどの方がもう携帯電話を持っているので、そういうメール送信での緊急連絡も考えてもいいんじゃないのというような提案をしたのですけれども、なかなか消防団ぐらいでは高齢者が多いということでメールが使えない、携帯電話は使えるけれどもメールが使えないというようなことをいっておりました。
 それと同じことなんですけれども、このインターネット公売に関しても、例えばパソコンをまだ持っていない人とか、使い方がわからない人とかいると思うのですね。そういった方々も、インターネット公売に参加できるような方策があるんでしょうか。

○齊藤徴収部長 もちろん、パソコンを持っていない人もインターネット公売に参加できるように、公売用のパソコンを主税局に置いてございます。
 そこで公売物件の閲覧から入札まで、職員が操作方法を説明をし、どなたでもネット公売に参加できるような準備を整えております。

○野上委員 インターネット公売の中で、報道によりますと、ちょっとけたが違っていたというようなこともあったと思いますが、今後ともきめ細かな工夫をお願いしたいと思います。
 最後に、さらなる徴収率の向上に向けて、局長の決意をお聞きして終わりたいと思います。

○菅原主税局長 自治体の長年にわたる悲願でございました税源移譲、実現されるわけであります。
 今後、地方分権を確立する上で、さらなる税源移譲を国に求めていくためにも、移譲された税源も含めまして着実に徴収をするということが、極めて重要な課題になるというふうに考えているところであります。
 したがいまして、このような観点から、今後ともさまざまな創意工夫を凝らしながら、局一丸となり、さらなる徴収率の向上に全力を挙げて取り組んでまいります。

○古館委員 それでは、何点か質問させていただきます。
 最初に、〇五年度、平成十七年度は第二次財政再建推進プランの二年目に当たります。それで、この第二次財政再建推進プランで示されたこの年度の税収見通し、これはどのようになっているでしょうか。

○松田税制部長 平成十五年十月に策定されました第二次財政再建推進プランの計画期間は、平成十六年度から平成十八年度まででございますが、この間の都税の見通し額は、各年度ともに三兆七千九百億円となっております。

○古館委員 財政再建推進プランで、十六年度、十七年度、十八年度の三年間は三兆七千九百億円で、それぞれ同額を見積もっているんですよね。
 これは財務局にかかわるものですから、それ以上のことはいいません。どうしてこういう試算になったのかということについては、これは財務局試算ということで、これは財務局が出したものでございますというふうに財務局がいっておりましたので、これ以上の話はいたしませんが、それで、三年間横並びになっているんですね。
 それで〇五年度、平成十七年度の都税収入の決算見込みを見ておりますと、都税収入の決算見込みで四兆五千九百九十六億円というふうに、都税収入の決算で出ているんですね。およそ四兆六千億円ぐらいでしょうかね。
 第二次財政再建推進プランの税収見通しが、先ほどいいましたように、お答えもありましたように、三兆七千九百億円の見通しということであります。
 これは現実には非常に低く見積もられていますので、何とこの年度で、財政再建推進プランとの比較で見ますと、実に八千九十六億円も税収が余計に入ってきた。だから、東京都の計画というのは、あくまでも税収で入ってくるのは、当初三兆七千九百億円入ってくるよということだったんだけれども、実は差し引き八千九十六億円余計に入ってきた、これは本当に大きな乖離になっております。その要因は何でしょうか。

○松田税制部長 第二次財政再建推進プランの見通しにつきましては、今、委員ご指摘のとおり財務局でございますが、その冊子にも書かれております。これによりますと、平成十五年度の予算額をベースといたしまして、これに国の税制改正等、明らかなものの影響額を織り込んだと。一方で、税収の伸びについてはゼロとして試算をされております。
 一方、この間、我が国経済は、平成十五年度の後半以降に、輸出、設備投資の増加に支えられまして回復基調が続き、企業収益は大幅に増加してきたところでございます。
 こうした企業収益の大幅な改善を反映しまして、法人二税が大幅に増収となったことが、ご指摘の乖離の要因と考えられるところでございます。

○古館委員 今、三点ほど挙げました、その要因についてですね。国の税制改正影響額と、明らかにこの影響額を織り込んでいたので、法人二税等の伸びはゼロだと。つまり、企業には減税してあげた、だから伸びは余りないんじゃないか、そういうことも含めて、法人二税等の伸びが、税制改正の影響なんかでもってゼロにしましたということなんだと思うのです。
 もう一つは、しかし、それにもかかわらず企業収益が大幅な改善を見たと。もう一つは、企業収益の改善によって、結果として法人二税が大幅な増収になったということが、今の理由として挙げられたかと思います。
 そこで聞きますけれども、平成十一年度から企業に対してはずっと恒久減税を続けて、連続的にやってきました。それに伴う減税額が、十七年度と恒久減税の総額、一体これでどれぐらい減税になっているのでしょうか、お答えいただきたいと思います。

○松田税制部長 平成十一年度に導入をされました法人に対する恒久的な減税は、我が国の企業が国際社会の中で競争力を発揮できるようにするとの観点から行われたものでございます。
 このうち、法人住民税につきましては、法人税の基本税率が引き下げられたことに伴いまして、法人税額を課税標準とする法人住民税も減税が行われたものでございます。また、法人事業税につきましては、基本税率を一一%から九・六%に引き下げるなどの改正が行われております。
 当初予算ベースで算定をいたしました平成十七年度の法人二税の恒久的な減税に係る減収見込み額は、二千四百三億円でございます。また、平成十一年度から十七年度までの恒久的減税に伴う法人二税の減収額の合計は、一兆三千三百五十四億円でございます。

○古館委員 つまり、企業に対して減税した影響というのは、この年度は減税額二千四百三億円ですよと。
 先ほど私は、平成十一年度から連続して恒久減税やりましたので、それについても答えてほしいということについて、先ほど単年度だと二千四百三億円でしたが、十一年度からの連続的な減税によって、総額は、企業に対する恒久的減税で、何と一兆三千三百五十四億円になると。ですから、それぐらい企業に対しては税をまけてあげて、軽くしてあげているんですよね。
 それで、法人二税が伸びている背景には、いわゆる、よくいう勝ち組と負け組という状況があると考えられます。
 そこでお伺いしますけれども、資本金一億円以下とそれを超える企業について、利益法人、欠損法人、資本金一億円以下とそれを超える企業について、利益を上げた法人、欠損を出した法人、この割合をお聞かせいただきたいと思います。

○松田税制部長 ただいまの利益法人と欠損法人の割合についてのお尋ねでございますが、平成十七年度の法人事業税の所得金額課税法人の申告実績により申し上げますと、資本金一億円以下の法人につきましては、利益法人が三一・一%、欠損法人が六八・九%となっております。資本金が一億円を超える法人につきましては、利益法人が五六・五%、欠損法人が四三・五%でございます。
 なお、この欠損法人につきましては、当該年度は利益が出ていても、繰越欠損金控除によりまして課税所得がゼロとなった法人を含むものでございます。

○古館委員 最後の答弁を勘案したとしても、今の答えでいいますと、一億円以下の資本金の法人が欠損法人となっているのが大体七割ですね。一億円を超える法人で欠損法人になっているのが大体四割とちょっと、ということですから、やはり超大企業になると、大半はこれは利益法人という形になるのだというふうに思うのです。
 だから、結局は、企業に対しては一方で減税をする、しかもその減税の恩恵というのは、資本金が大きくなればなるほど、その企業の減税効果というのは大きなものがあるということも、また、この中で明らかにされていると思います。
 それで、個人住民税にかかわる平成十五年度から平成十七年度税制改正の内容、これは大変高齢者などに対して大きな負担、犠牲になっているものであります。したがって、十五年度から十七年度税制改正の内容と、都税への影響額がどうなっているのか、これについてお答えいただきたいと思います。

○松田税制部長 平成十五年度から平成十七年度までの個人住民税に係ります主な税制改正の内容と、平年度ベースの影響額でございます。
 まず、平成十五年度税制改正におきましては、女性の就業状況の変化等を踏まえまして、専業主婦等に対する配偶者特別控除の上乗せ部分、これが廃止をされまして、その影響額は六十六億円の増でございます。
 平成十六年度税制改正におきましては、世代間等の負担の公平を図る観点から、公的年金等控除の縮減及び老年者控除の廃止が行われまして、その影響額は合計で九十四億円の増でございます。
 平成十七年度税制改正におきましては、同じく世代間等の負担の公平を図る観点から、六十五歳以上の者に係ります非課税措置の廃止が行われまして、その影響額は十一億円の増でございます。
 また、導入当時に比べ経済状況に改善などが見られることから、定率減税が縮減をされておりまして、その影響額が百七十七億円の増となっております。

○古館委員 これで、大変大きな影響という形で、いわゆる高齢者を初めとするところには、全体で、先ほどのいわれた数字を足すと二百三十九億円ほどになりますかね、それで間違いないかな--そうですね。それぐらい一方で増税になっているんですよね。
 それで、私は、実は特別区税でどうなるのかということで、影響額をちょっと調べてもらいました。
 そうしたら、今いわれたのが都税収入の影響額ということで、個人住民税の都税関係でいわれたんですが、それが平成十五年は六十六億円といわれたんですが、特別区税の方でもやはりダブルで影響が及びますので、これが百十四億円ということでお話を伺いました。
 それから、平成十六年度の公的年金控除だとか老年者控除の廃止に伴うお金が、先ほど九十四億円と答弁がありましたが、これが特別区税への影響としては百四億円ということなんですね。
 そして、平成十七年度が、六十五歳以上の者にかかわる非課税措置の廃止とか定率減税の縮減、つまり半分になりましたが、これが先ほどそれぞれ十一億円、百七十七億円という答弁でしたが、これが特別区税では三億円と二百三十九億円ということになるんですね。
 そうすると、全部で足し込みますと、大体八百八億円ぐらいに、私の計算だとなります。ですから、それぐらい高齢者を中心にして、この三年間で、同時にいわせてもらうと、十八年度になるともっと大幅な、定率減税が全部廃止されますから、それから税源移譲という形で、フラット化で一律四%にはね上がりますので、これがまた物すごい大きな、千単位を超えるぐらいの大きな増税になっていきますので、一般庶民、とりわけ高齢者は極めて重い負担になっているのだ。そのもとで、企業は大収益を上げながら減税されて、こういうような仕組みというのがあるんですね。
 ですから、私どもは、このような今の国を初めとする税制の問題については、やはり厳しく苦言を呈しておきたいというふうに思います。
 以上です。

○坂本委員 私からは、歳入の七五%を占める都税の徴収率向上につきまして、何点か伺います。
 月例経済報告によりますと、景気は五十七カ月連続で回復しており、戦後最長のイザナギ景気に並ぶものであるとのことであります。平成十七年度の都税徴収率は九七・三%で、過去最高であるとの説明がありました。
 その一因といたしまして、好調な企業収益による法人二税の大幅な増収が考えられますが、一方におきましては、徴収努力もあるのではないかと思われます。
 そこで、まず、この十年間の徴収率の推移について伺いたいと思います。
 参考資料につきましては、都税の合計の徴収率の推移と個人都民税の徴収率の推移がグラフになっております。五年前、そして十年前と比べまして、主な税目別の徴収率はどのように推移しているのか、まず伺います。

○齊藤徴収部長 主税局では、平成七年度以降、進行管理の徹底を初めとした徴収率の向上に向けた取り組みを行ってまいりました。
 徴収率の推移についてでございますが、都税合計で申し上げますと、十年前の平成七年度は九〇・二%、五年前の十二年度は九四・七%、十七年度は九七・三%となっております。
 これらの各税目別の徴収率の推移についてでございますが、法人二税は、平成七年度九一・九%、十二年度九七・六%、十七年度九八・三%となっております。
 また、固定資産税、都市計画税は、平成七年度九一・六%、十二年度九二・九%、十七年度九七・四%となっております。
 また、自動車税につきましては、平成七年度九一・三%、十二年度九四・八%、十七年度九七・三%となっております。
 さらに、個人都民税につきましては、平成七年度八七・八%、十二年度八八・一%、十七年度九二・九%と推移をしております。

○坂本委員 法人二税や固定資産税につきましては、景気が上向きであれば徴収率も上がるというのは理解できました。
 しかし、都におきましては、平成七年から平成十二年までの五年間でも徴収率が向上していること、すなわち景気が上昇傾向に転じる前から徴収率が向上していることがわかりました。これは、主税局が十年前から地道な努力をしてきた結果だと思います。
 インターネット公売やコンビニ納税の導入など、全体の徴収率向上のための近年の創意工夫につきましては、これまでも何度か話題に上っているので、税目ごとにその取り組みにつきまして説明を願いたいと思います。
 まず、個人都民税についてであります。個人都民税につきましては、区市町村が課税徴収をしていますが、区市町村によってはなかなか整理が進まないところがある中、来年度には税源移譲による住民税率のフラット化が開始されます。
 都におきましても、直接徴収や都職員派遣に取り組んでいるとの説明がございましたが、取り組み状況と成果のご説明を願いたいと思います。

○齊藤徴収部長 個人都民税につきましては、平成十六年度から個人都民税対策室という課レベルの組織を立ち上げまして、都内区市町村への支援を強化し、高額困難事案の直接徴収や、都職員の派遣などに取り組んでまいりました。
 この間、区市町村から七百十七の滞納事案、金額にいたしまして四十六億七千万円を引き継ぎ処理をいたしました。
 また、二十四団体に延べ七十二名の職員を二カ月間派遣し、捜索や滞納処分を行うことで、都のノウハウを提供してまいりました。
 その結果、徴収率は平成十二年度の八八・一%、全国第四十六位から平成十七年度には九二・九%にアップいたしまして、全国十四位にまで向上してまいりました。

○坂本委員 区市町村によりましては、ことしも税制改正で住民からの問い合わせにご苦労があったと聞いております。来年は税率が変わることから、さらに問い合わせが増加することも予想されますので、滞納整理の支援に加えて、住民にわかりやすい説明もお願いしたいと思います。
 次に、自動車税であります。ことし三月の財政委員会で、我が党の桜井議員が途中経過につきまして聞いております。近年の取り組み状況と、平成十七年度の成果を説明願いたいと思います。

○齊藤徴収部長 自動車税については、平成十二年度から納期内納付を積極的にPRをしながら、コンビニエンスストアでの納税や、悪質な滞納者への差し押さえ強化などに努めてきたところでございます。
 そうした中、平成十七年度には新規採用職員による納期内納税キャンペーンや、タイヤロックの導入等を行いました。
 その結果、徴収率は取り組み開始前である平成十一年度の九二・六%、全国第四十五位から、平成十七年度の九七・三%、全国第六位にまで向上してまいりました。

○坂本委員 ただいまのご答弁の中で、タイヤロックという話がございました。都が本格的に取り組んだことから、全国の自治体でも導入を開始したと聞いておりますが、タイヤロック一台の費用はどの程度なのか、また、十七年度のタイヤロックの効果はどの程度だったのかを伺いたいと思います。

○齊藤徴収部長 タイヤロックは、一台当たりの費用ですが、発注の時期によっても異なりますが、一万数千円で可能でございます。
 また、平成十七年度におけるタイヤロックの効果ですが、直接効果としては、四十三回の差し押さえで約一千八百万円の納付あるいは納付誓約がございました。
 そのほか、タイヤロックの報道を見聞きしての自主納付もかなりあったものと、我々としては分析をしております。

○坂本委員 聞くところによりますと、タイヤロックは、当初は外国製のものを導入しておったと聞いております。しかし、都内の企業が改良版を製作開始しまして、全国の多くの団体に販売をしているとのことでありまして、都内の産業振興にも大いに貢献しているということでございます。いずれにしましても、タイヤロックは安価で効果的なものでありまして、さらなる活用をご期待したいと思います。
 このような費用対効果のすぐれた創意工夫に取り組みながらも、今後も地道な徴税努力をお願いしたいと思います。
 最後でございますけれども、高い徴収率を維持することには二つの意味があると考えます。第一には、都税の歳入の根幹であり、これを確保するとともに、第二に、一部の悪質な滞納者についてはこれを看過することなく、公平で公正な社会を実現することであります。
 主税局におきましては、徴収率の現状が好調だからといいましても、悪質な滞納を放置することはないとは思いますけれども、今後、その決意を伺いまして、私の質問を終わります。

○齊藤徴収部長 タイヤロック等の工夫を取り入れていくことは、世の中に対する滞納防止のアピールという面でも大変効果があるものと考えております。
 悪質な滞納を放置することなく、今後とも、こうした創意工夫に努めるとともに、各都税事務所での電話や訪問による納税の催告など、日々の地道な徴税努力をこれまでどおり着実に実行をし、税の公平性の確保と徴収率の向上に向けて努力していく所存でございます。

○鈴木(隆)委員 それでは、私からは、使用料など都税以外の未収金対策について何点かお伺いをいたします。
 主税局では、平成七年度以降、都税滞納圧縮に向けて努力を重ねてきたところでありますが、そこで養われたノウハウを生かし、平成十六年度からは各局と連携して使用料、手数料、貸付金等の債権回収を行ってきているところであります。
 一つの例で、ことしの四月十三日の毎日新聞に「徴税ノウハウ生かす」、「他局の六億円を処理」との記事があります。東京都の育英資金、いわゆる奨学金についての件でありまして、奨学金で強制執行という記事であります。
 ちょっと読みますけれども、都内に住む男性、私立高校で貸与された都の育英資金、六十一万六千円の返済を滞納したということです。返済を求めて再三にわたり催告書を送付し、納付のない場合は法的措置をとると通知した。男性は既に就職し、安定した給与を得ていたが、連絡すらしてこなかった。育英資金に関しては回収手続に際し裁判所の決定が必要。これは私債権ということであります。回収班は、裁判所に支払い督促を申し立てた。男性からの異議はなく、仮執行宣言が確定。それでも納付はないということですね。回収班は、昨年十二月、裁判所に強制執行を申し立てて男性の給与を差し押さえた、という事例であります。
 その後、担当の職員の方、いらっしゃるのかもしれませんが、後味は悪いが、資力がありながら誠意ある対応をとらない滞納者には粛々と手続を進める、そういうふうに新聞記事に載っています。
 まさに大変なご努力をいただいて、そしてまた、こういう方に対して対応しているということであるということがこの記事の内容であるわけでありますが、それは一例として、今読ませていただきました。
 決算説明書を調べてみますと、例えば違法駐車措置料、これはいわゆるレッカー費用でありますが、その未収金は平成十六年度末に約六千六百万円でありました。平成十六年度の途中から主税局で債権回収の一部を引き受け、平成十七年度末には、約四千四百万円まで圧縮をしているそうであります。
 そこで、第一点目といたしまして、昨年度の主税局回収班の実績について説明を願います。

○宮下特別滞納整理担当部長 平成十七年度は、十二局及び警視庁から二十七種類、金額にいたしまして約二十一億五千三百万円の債権を引き受けまして、そのうち約六億七千万円について処理したところでございます。

○鈴木(隆)委員 次に、主税局回収班で他局から引き受ける債権というのは、そのすべてを引き受けているのか、それとも、何か条件をつけて一部を引き受けているのか、お伺いをいたします。

○宮下特別滞納整理担当部長 当然のことながら、各局でも債権回収に取り組んでいるわけでございますが、そうした中で、主税局ではできるだけ困難な案件、例えば古い債権などを中心に引き受けているところでございます。

○鈴木(隆)委員 古いものなど、困難な債権を引き受けているということで、いろいろな苦労があろうかとは思いますが、どうやって、またどのように処理を進めているのか、説明を願います。

○宮下特別滞納整理担当部長 違法駐車措置料など、都税と同じように滞納処分ができる債権、これを公債権と呼んでございますけれども、こうした債権につきましては、催告に応じない場合、速やかに財産を調査いたしまして、場合によっては捜索を行うなどして、滞納処分を進めているところでございます。
 また、先ほど委員からご紹介がありました育英資金など、裁判所の関与を必要とする債権、これは私債権と呼んでございますけれども、こうした債権につきましては、催告に応じない場合、総務局とも協力して裁判所に支払い督促を申し出、さらに納付がない場合には強制執行を申し出るなどの対応をしているところでございます。

○鈴木(隆)委員 なるほど、今の話を聞いてわかる点もあるわけでありますが、都税の徴収のノウハウを活用しているということは非常にわかりました。
 催告に応じない場合も厳しい措置を行うということでありますが、滞納者には、どうしても事情があって滞納している、これを誠意のある人といっていいのかどうか、ちょっと疑問点があるのですが、それなりの理解ができる理由とか、まじめな人柄とか、そういうようなことのある感じの人と、また、冒頭、私が申し上げた新聞記事のような誠意のない人と、二通りあるような気が私はしています。
 誠意のない人に対しては厳しい対応をすべきであると思いますが、一方で、今いった、それなりの人柄でもあるし、誠意は持っているけれども、その中に個人的事情をもって、どうしてもなかなか話し合いに応じられない、しかし、自分としては時間をかけてでも払う、そういう気持ちがあるというような方に関して、やはりそれぞれの事情を酌んでいただいて、誠意ある--誠意あるというとおかしいのですが、細やかな徴税側としての対応をぜひしていただきたいということもあわせて、この場で私は、そちらの方の面もお願いをしておきたいというふうに思います。
 ところで、私は、三月の財政委員会において個人都民税の取り組みについて質問をしたところでございます。
 現在、主税局では個人都民税の徴収率の向上の対策として、一つは、区市町村の滞納事案のうち、困難なものを都に引き継いで処理するという取り組みをしております。また一方では、都内の区市町村に職員を派遣してノウハウの伝授をしています。
 そこで、他局の債権回収を進めていくに当たって、困難事案を引き受けて処理していることは先ほどの答弁でわかりましたが、主税局のノウハウを他局に伝授するといった取り組みは行っているのかどうかをお伺いいたします。

○宮下特別滞納整理担当部長 平成十七年度におきましては、使用料等債権回収の取り組みの一環といたしまして、合計二十五件の研修、事案相談会等を実施するとともに、滞納を発生させない予防的視点から、各局に対して提言を行ったところでございます。

○鈴木(隆)委員 わかりました。主税局の債権回収の取り組みは、各局にとっても力強い応援であります。
 直接回収はもとより、ノウハウの伝授という意味でも、主税局の回収班の今後の活動には、私は今後も大変な期待をしたいというふうに思います。
 この取り組みを参考にして、都庁内でさらに、これは縦割り行政の弊害ともいわれたような、組織の壁を越えたような連携を、主税局が主体になってぜひ進めていただきたいということも要望をして、最後に局長の決意を伺って質問を終わります。

○菅原主税局長 税に限らず負担の公平性の確保、これは都民の方々の信頼を確保するという意味で、都政にとりまして極めて重要な課題でございます。したがいまして、使用料等滞納金の回収に当たりましても、関係各局との一層の連携のもとに、主税局の持つ徴税ノウハウを生かしつつ、きめ細やかな対応にも十分努めまして、全庁的な滞納金の解消に今後とも全力を尽くしてまいります。

○林田委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○林田委員長 異議なしと認め、本件に対する質疑は終了いたしました。
 以上で主税局関係を終わります。
 これをもちまして本日の分科会を閉会いたします。
   午後二時三十六分散会

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