各会計決算特別委員会第二分科会速記録第五号

平成十八年十月二十七日(金曜日)
第十委員会室
   午後一時一分開議
 出席委員 十名
委員長相川  博君
副委員長高橋かずみ君
副委員長清水ひで子君
遠藤  守君
原田 恭子君
神林  茂君
伊藤まさき君
吉倉 正美君
増子 博樹君
吉野 利明君

 欠席委員 なし

 出席説明員
教育庁教育長中村 正彦君
次長松田 二郎君
理事近藤 精一君
総務部長志賀 敏和君
学務部長山川信一郎君
人事部長松田 芳和君
福利厚生部長橋本 直紀君
指導部長岩佐 哲男君
生涯学習スポーツ部長三田村みどり君
学校経営指導・都立高校改革推進担当部長新井 清博君
人事企画担当部長直原  裕君
国体準備担当部長関口 修一君
参事石原 清志君
参事荒屋 文人君

本日の会議に付した事件
 平成十七年度東京都各会計歳入歳出決算の認定について
教育庁関係
・平成十七年度東京都一般会計決算(質疑)

○相川委員長 ただいまから平成十七年度各会計決算特別委員会第二分科会を開会いたします。
 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、教育庁関係の決算に対する質疑を行います。よろしくお願いいたします。
 これより教育庁関係に入ります。
 決算の審査を行います。
 平成十七年度東京都一般会計決算中、教育庁所管分を議題といたします。
 本件につきましては、既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○志賀総務部長 去る十月十一日の当分科会におきまして要求のございました資料についてご説明申し上げます。
 お手元の十七年度各会計決算特別委員会第二分科会要求資料の目次をお開き願います。ごらんいただきますように、今回要求のございました資料は十二件でございます。
 それでは、一ページをお開き願います。教育庁所管事業の廃止、終了及び見直しについてでございます。
 教育庁の所管事業のうち、平成十七年度をもって廃止、終了及び見直しを行ったものについて、予算額とその内容をお示ししてございます。
 二ページをお開き願います。都立盲・ろう・養護学校施設整備費の推移でございます。
 盲・ろう・養護学校に係る校舎改築等の施設整備費の予算額、決算額、不用額について、過去五年間にわたりお示ししてございます。
 三ページをごらん願います。公立学校教員の年代別退職者数でございます。
 公立の小、中、高、盲・ろう・養護学校における教員の退職者数について、年代別に、過去五年にわたりお示ししてございます。
 四ページをお開き願います。全国の栄養教諭配置状況でございます。
 平成十八年十月四日時点における文部科学省調査により、栄養教諭を配置している道府県とその配置人数をお示ししてございます。
 五ページをごらん願います。都道府県別栄養教諭免許状授与件数でございます。
 認定講習を受講し、必要単位を修得した学校栄養職員に対して授与した免許状の件数について、一種免許状と二種免許状に分けてお示ししてございます。
 六ページをお開き願います。平成十八年度において学級編制の弾力化を実施する道府県の状況についてでございます。
 七ページにかけまして、文部科学省の調査による全国の状況についてお示ししてございます。
 八ページをお開き願います。東京都公立学校の教員採用者数の推移でございます。
 校種別の教員採用者数について、過去五年間にわたりお示ししてございます。
 九ページをごらん願います。東京都公立学校教員の未充足状況でございます。
 過去五年のうちで、教員の未充足が発生した平成十三年度と平成十六年度について、その状況を校種別にお示ししてございます。
 一〇ページをお開き願います。学校施設におけるアスベスト調査の状況でございます。
 区市町村立学校と都立学校の施設におけるアスベストの状況について、文部科学省の調査結果に基づいてお示ししてございます。
 一一ページをごらん願います。学校施設の耐震診断及び耐震化の状況でございます。
 (1)は区市町村立学校について、(2)は都立学校について、それぞれ耐震診断の実施率及び耐震化率を過去三年にわたりお示ししてございます。
 一二ページをお開き願います。都立高等学校中退者数の推移でございます。
 都立高校の中途退学者の人数と退学率について、全日制、定時制の課程ごとに、過去五年間にわたりお示ししてございます。
 一三ページをごらん願います。不登校の児童生徒数及び割合の推移でございます。
 年間三十日以上の欠席をした児童生徒の人数とその割合について、校種別に、過去五年にわたりお示ししてございます。
 以上、簡単ではございますが、要求のありました資料の説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○相川委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めて、これより本件に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○吉野委員 私は、二つのことについてお伺いしたいと思いますが、一つは国旗・国歌について、もう一つは中高一貫校についてということでございます。
 昨今の社会の状況を見ますと、まさに混乱のきわみにあるといわざるを得ないような状況だというふうに思っております。この状況というのは、私は、根本的にはやはり教育からきちっと正していかなければならないのだろうというふうに思っております。社会の混乱というのは、例えば家庭の中あるいは企業においての倫理観の喪失、あるいは学校現場においても、きょうの新聞にもいろいろあちこち全部の紙が扱っているような、必修科目を教えていなかったというふうな、こんなことまで含めて、私は、こういう混乱した社会の中に自分の子どもたちを安心して送り出せない、そんなふうな強い危機感を持っております。
 先般、テレビを見ておりましたら、両手のない猿が必死に子育てをしている、そういう番組がございました。ああいう動物にあっても、親子の情というのか、母親が子どもを育てるという、そうした思いというものがひしひしと伝わってくる場面がありましたけれども、一方、翻って我々人間の社会を見ますと、これほど高度な文明を築いてきた人間社会が、実はそうした本来動物が持っている親子の情みたいなものが失われてしまっている。これは一つには、例えば家庭、家族の帰属意識ですとか、あるいは地域社会への帰属意識、あるいは国家、日本国民としての帰属意識、こうしたものが薄れてきているという結果ではないかというふうにも思っております。何とかしていかなければならない。
 教育の課題というのは本当にたくさんありますから、一つ一つ取り上げていったら大変な時間のかかる大きな課題があるというふうに思っておりますけれども、私は、今回は、決算ということもありますので、根本的な、象徴的な問題として、一つは国旗・国歌についての質問をさせていただきたいと思っております。
 先般出ました、東京地裁の九月二十一日国歌斉唱義務不存在確認等請求事件において、驚くべき不当な判決が出たというふうに思っております。我が党は、平成十八年九月二十二日付で宮崎章幹事長名のコメントを発表しまして、本判決が、学校教育、ひいては青少年の人格形成をゆがめる、歴史に残る不当な判決と考え、強く抗議をしたところであります。
 そもそも学校は、すべての国民にひとしく教育を受けさせるためにあるわけでございまして、それが、担当となった教員によって、国旗・国歌を尊重するという万国共通の常識を教えてもらえない、あろうことか、それに反することを教え込まれるなどということがあってはならないというふうに思っております。だからこそ、全国どこの学校においても一定の水準の教育を受けられるように学習指導要領というものがあるというふうに思っております。
 ところで、都教育委員会が平成十五年十月二十三日付で発出した通達というものは、その学習指導要領に基づく一定の水準の教育を東京の子どもたちが受けられていないという学校の実態があったからこそ、受けられるように出したものだというふうに思います。我が国には国旗・国歌に関する法律があり、法に基づいて定められている学習指導要領が存在し、教員には、子どもたちに国旗・国歌を尊重する態度を育てる責務があります。それを、自分が嫌だとか自由だと勝手なことをいう教員のせいで子どもたちが学ぶことができないなどということは、到底都民が納得できることではないというふうに思います。
 この判決が出ましてから、私も地域の中でいろんな方々から懸念の声を聞いております。教師が自分の思想信条を持つことは、それはそれで憲法によって認められていることですけれども、少なくとも教師として教育の学校現場で子どもたちに指導をというときには、それは思想信条の自由ということではなくて、教師としての責務が優先されるべきだというふうに私は思っております。
 さきの都議会第三回定例会の代表質問で、我が党の質問に対し、教育長は、通達や処分を撤回する考えはない、この判決に対しては、東京高等裁判所に控訴し、都教育委員会として主張の正当性を訴えていくと明確に答弁いたしました。そして、平成十八年九月二十九日、東京高等裁判所に控訴状を提出したということであります。東京高等裁判所に控訴したということは、学校運営の正常化のために、そして公教育本来の目的である健全な子どもの育成のためにも必要かつ適切な判断であり、高く評価したいというふうに思います。
 そこで、確認をいたしますけれども、そもそも、平成十五年十月二十三日付「入学式、卒業式等における国旗掲揚及び国歌斉唱の実施について」の通達を発出せざるを得なかった学校の状況とはどのようなものだったのでしょうか。

○岩佐指導部長 生徒を指導すべき立場の教員が、国歌斉唱時に起立しない、国歌斉唱時に式典会場に入場しないことなどを初め、舞台壇上の三脚に掲揚した国旗を生徒や参列者から確認できない位置にずらしてしまったり、その式典にふさわしくないTシャツや体育着、さらには国旗に斜線を入れたブラウスを着用したりするなど、実に不適切な問題がございました。また、国歌斉唱時に教員が生徒に不起立を促す発言をするなど、学習指導要領の趣旨に照らしまして、実に不適切な指導の実態がございました。

○吉野委員 そのようなひどい状況の中に東京の子どもたちが置かれていたということです。指導を受けていないというより、恣意的で独善的な指導を受けていたようなものであります。今後も、学習指導要領に示されている国旗・国歌の指導を東京の子どもたちも受けることができるようにしていただきたい、これは当たり前のことであり、最低限のことというふうに考えますけれども、都教育委員会の見解を伺います。

○岩佐指導部長 学校における国旗・国歌に関する指導は、学習指導要領に基づき、すべての児童生徒に国旗・国歌の意義を理解させ、それらを尊重する態度を育てるために行っているものでございます。
 今後とも、学習指導要領や通達に基づきまして国旗・国歌の指導が適正に行われるよう各学校を指導し、教育課程の適正化を図り、児童生徒に対しまして、国際社会に生きる日本人としての自覚や資質を育成してまいります。

○吉野委員 私が今お話をしましたような感覚というのは、恐らく大方の都民の方々に理解をしていただけるものだろうというふうに思っておりまして、今後も都教育委員会が、健全な子どもたちの育成のために、学校における国旗・国歌の指導が適正に実施されるよう、毅然とした態度で取り組んでいくことを強く要望しておきます。
 次に、中高一貫教育についてお伺いいたします。
 平成十八年四月に都立の中高一貫教育校が新たに三校開校し、開校校は全部で四校になりました。今後も、平成二十年度には二校、平成二十二年度には四校の開校が予定をされておりまして、都全体で十校の中高一貫教育校が設置されるというふうに聞いております。
 そこで伺いますけれども、都教委が中高一貫教育校を積極的に設置する意義、これはどこにあるのでしょうか。

○新井学校経営指導・都立高校改革推進担当部長 東京都教育委員会が平成十三年度に実施いたしました都立高校に関する都民意識調査におきまして、都全体におきまして少なくとも十校程度、中高一貫教育校が必要であるという回答が半数以上ありました。また、生徒、保護者の学校選択幅を拡大し、公立学校においても中等教育学校を複線化する必要があるという点から、東京都におきましても、中高一貫教育校を設置することとしたものでございます。
 都立の中高一貫教育校では、六年間を通した教養教育を継続的に行うことによりまして、確かな学力と豊かな教養を身につけ、さまざまな場面、分野でリーダーとして人々の信頼を得られるような人間を育成することをねらいとしております。このような学校を全都に均等に配置し、生徒や保護者のニーズにこたえていくことが必要であるとの観点から、積極的に設置を進めているところでございます。

○吉野委員 現在開校している都立の中高一貫教育校四校の設置形態を見ますと、中等教育学校と併設型の高等学校・附属中学校の二種類の学校がそれぞれ二校ずつあります。また、この二形態以外に、連携型もあるというふうに聞いておりますけれども、その違いは何なんでしょうか。

○新井学校経営指導・都立高校改革推進担当部長 まず、中等教育学校でございますが、一つの学校として六年間一体的に中高一貫教育を行いまして、計画的、継続的な指導が可能となるというメリットがあります。高等学校段階に相当する後期課程において、新たな入学者の受け入れは行いません。
 一方、併設型の高等学校・附属中学校でございますが、附属中学校の入学者に対しましては、高等学校入学者選抜を行わずに、同一の設置者により中学校と高等学校を接続するものでございます。中等教育学校とは異なりまして、高等学校段階で、併設する附属中学校以外の進学希望者を入学選抜により受け入れることができます。それによりまして生徒の幅広い交流が可能となり、学校生活の活性化が期待できるなどのメリットがございます。
 また、連携型でございますが、既存の区市町村立の中学校と都立の高等学校が、教育課程の編成であるとか生徒間交流等の連携を深める形で中高一貫教育を実施するものでございます。

○吉野委員 平成二十二年度開校予定の三鷹地区中高一貫六年制学校の基本計画を現在検討しているというふうに聞いておりますけれども、同校の設置形態が中等教育学校となる方向で検討が進んでいるというふうにも伺っております。一方で、三鷹市では、将来、全校で小中一貫校の設置を検討しておりまして、既に実験校が開始をされております。三鷹地区中高一貫六年制学校が中等教育学校になると、地元の三鷹市の児童が三鷹地区中高一貫六年制学校に入学するためには、小学校卒業時点で連携の中学校へは進学しないという選択をせざるを得ないということになります。
 つまり、一方では中高という一貫教育があり、三鷹市では小中という一貫教育を進めている。子どもたちは、小学校部分の六年間を卒業するときに、そのまま小中一貫校として道を歩むのか、あるいは中高一貫の方向へ道を転換するのかという選択をせざるを得ないということになります。これは、ある意味では子どもたちに混乱が発生しかねない。目の前にある、三鷹の中にある現在の都立三鷹高校に、小中一貫という九年間の義務教育を終えた時点で行く道がなくなってしまうのではないか、そんなふうな懸念が表明されております。
 そこで、三鷹市が小中一貫校を推進している以上、都教委として何らかの配慮が必要というふうに考えますけれども、いかがでしょうか。

○新井学校経営指導・都立高校改革推進担当部長 三鷹地区の中高一貫六年制学校の設置形態でございますが、これにつきましては、現在検討中でございます。いずれにいたしましても、地元三鷹市との連携を図ることが重要であるというふうに認識してございます。
 今後、三鷹地区中高一貫六年制学校の設置準備を進めるに当たりまして、三鷹市内の小中一貫校とも十分に情報交換を行うとともに、生徒指導や学校間交流などの面でどのような連携策が可能であるか、検討を進めてまいります。

○伊藤委員 まず、質問に入る前に、ここ数日マスコミをにぎわわせております、公立高校での必修単位の履修漏れの問題について触れたいと思います。
 当初、都立校ではこういった問題はないということでございましたけれども、昨日の夕刊一面に、八王子東高校でも同様の問題があったということが報道をされました。都教委としては、二十四日までにチェックをした、都立ではあり得ないといい切る中での今回の報道でございました。報道の後追いという形で公になったのは本当に残念ですし、遺憾に思います。今後はこういうことがないように対応していただきたいと思います。きょうは質疑をいたしませんけれども、以下、三点要望したいと思います。
 まず第一には、当該高校で問題になってしまった生徒さんに対する配慮であります。ご案内のとおり、受験を控えたこの大切な時期に、また長い時間をとって補習をやらなければいけない、受験に対する影響を最小限に食いとどめていただきたいと思います。
 続いて、真相究明を徹底して急いでいただきたいということでございます。この指導部の方々は、学校の教育現場を経験された方も多くおられると聞いております。その経験を生かして、都教委としては承知をしていないとか、書面で確認しただけで済ませることなく、早急に実態を明らかにしていただきたいと思います。
 そして三点目には、教育のあり方自体を見直す契機にしていただきたいということでございます。建前上、今回の事件は、手続論でいえば、虚偽の報告をした校長の責任となると思います。しかし、きれいごとで、虚偽報告をしたと責めるのは簡単ですけれども、これだけ全国的にいわゆる受験校、進学校といわれる高校で同様の問題が起きているわけでありますから、個々の校長先生なり学校の責任、また教育委員会の監督責任を問うて、それで終わりにしてよい問題とはいえないと思います。
 塩崎官房長官は、この事件を受けて、極めて残念で遺憾、十分な監督ができていなかったなどとコメントされておりますけれども、学習指導要領とは一体何なのか、大学受験と高校で勉強するべき教育の内容との関係を含めた教育のあり方自体を問い直していただきたい、そしてその契機にするべきだと思います。ぜひとも問題をあぶり出して、制度改正が必要であれば国に要望し、そして東京都の権限でできるものは早急に是正をしていただきたい。
 以上三点要望して、質問に移りたいと思います。
 まず、学力向上を図るための調査の改善についてお伺いいたします。
 都は、平成十六年から、学力向上を図るための調査を行っております。児童生徒の学力定着と指導方法の改善充実を目的として行っているということでございます。学習内容の定着度をはかり、授業改善を図るためには、みずからの状況を把握するための客観的な尺度が必要であります。また、全都における位置づけを知ることで、各区市町村による学力向上への取り組みを動機づけることにもなると思います。調査のための調査ではなく、その結果を生かして、常に今までよりもよい授業、そしてわかりやすい授業へと改善をしていくためなわけでありますから、教職員や保護者を含めて情報を共有して、共通の認識を持って取り組むという意味で、実態にふたをするということではなくて、きちんとその情報を開示していただく必要性が高いのかなというふうに思います。
 また、この調査は、全都の公立小中学校生を対象とした大規模な調査でございます。大変な数であり、さまざまなご苦労も多いかと思います。しかし、大変な労力を使ってする調査だからこそ、そのデータの解析、提示方法、より授業改善、学力向上のために使いやすい、わかりやすいものとしていくように常に工夫をしていただきたいという観点から、以下質問をしたいと思います。
 まず、学力調査結果がどのように現場で活用されているのか、お伺いいたします。

○岩佐指導部長 各学校におきましては、調査結果を踏まえまして、教科ごとの指導目標を明確にいたしました授業改善推進プランを作成いたしまして、全教職員の理解のもと、計画的、組織的に授業改善に努めているところでございます。

○伊藤委員 各学校、指導者が授業の改善に生かすために、わかりやすい、使いやすい結果の分析を行っていただきたいというふうに思います。
 十六年、十七年と調査を実施して、それぞれ報告書をまとめて、結果の分析だとか、また指導改善のポイントを示しております。十六年度の報告書を出してみて、現場からの声あるいは授業改善の取り組みの中からいろいろな反省点も出たのではないかと思います。都としては、十七年度報告書はどのような観点から改善を行ったのか、具体的にお示しください。

○岩佐指導部長 平成十七年度の報告書は、問題ごとの児童生徒の誤答をより詳細に分析いたしまして、つまずきを一層明確にするとともに、子どもの学習活動に結びつけた授業改善の具体例を数多く示すなど、報告書の内容の改善充実を図ったところでございます。

○伊藤委員 さらなる改善として、各学校に対しまして、授業改善に活用できるような多面的なデータの提示を図ってほしいとの要望を私たちは伺ってございます。大きく申し上げますと、全体の傾向を数値的につかむためのデータと、個々の生徒の課題をつかむデータ、この両面からの改善が必要だということでございます。具体的な提案も含め、大変細かいことでありますけれども、今後の改善点についてお伺いいたしたいと思います。
 まずは設問に対する達成期待値を示すことでございます。選抜試験とは異なりまして、この調査は学習内容の定着度を調べるものでありますから、基本的には一〇〇%の正答率が前提となるかもしれません。しかし、中には応用的な問題もありますし、同じ正答率でも、例えば基礎、基本の問題についての七割の正答率と、応用的な問題での七割では評価がおのずと異なると思います。目安として、どの程度の正答率を求める問題なのかという数値を正答率とあわせて示すことが必要だと考えます。
 また、平均正答率だけでなく、各教科の領域ごと、各観点ごとの得点分布を示して、生徒全体の傾向がきちんと把握できるようにすること、そして、個々の生徒の弱点を指導者が把握しやすいようにすること、例えば、今は、正解か不正解かと、結果しかわからないわけでありますけれども、答案用紙を生徒に返却すれば、生徒も自分がどのような間違いをしたかわかりますし、指導者も、この生徒はここのところをよく理解していないという、個々の生徒の弱点も把握できます。現場からこのような要望が出てくるということは、調査結果をただ生徒に返すだけでなく、それを活用して弱点の強化をする指導を行いたいという意欲のあらわれだと思います。
 十八年度においてはこのような点について対応をとるべきだと考えますが、いかがでしょうか。

○岩佐指導部長 都教育委員会は、推測による数値基準の弊害を避けるため、推測や仮定による数値基準は設けず、各問ごとに児童生徒の平均正答率を公表しておりまして、達成期待値を使用していないところでございます。
 また、報告書のデータにつきましては、問題ごと、教科ごとの平均正答率を初め、学習指導要領の趣旨に基づきまして、各教科の観点ごと、あるいは領域分野ごとの平均正答率を内容としているものでございます。
 今後とも、得点分布なども含めました調査結果の分析内容、方法を検討いたしまして、授業改善を一層進めていきたいと思っております。

○伊藤委員 ご検討いただくということでございますので、期待をしたいと思います。得点分布を示すことによりまして、平均値だけではあらわせない全体の傾向がわかりやすくなります。平均値を中心として中間層が厚い場合と、高い層と低い層で二極化している場合とでは対応も異なると思います。ぜひ各教科の領域ごと、観点ごとの得点分布を示して、よりわかりやすい、指導に活用しやすいデータの提示を図っていただきたいと思います。
 また、実施時期は、調査の実施が一月で、結果が出るのが六月となっております。随分かかるなという印象でありますけれども、なぜこんなに時間がかかるのか、お伺いいたします。

○岩佐指導部長 本調査は、全都の公立小学校第五学年、公立中学校第二学年の児童生徒約十六万人を対象とした悉皆調査でございまして、データの入力、集計はもとより、結果の分析と検討、報告書の作成など、作業を確実に遺漏なく行うためには、一定程度の時間を要するものでございます。
 平成十七年度は、集計プログラムを開発いたしまして、集計作業の効率化を図るなどの改善を行いました。今後とも効率的に作業を進めまして、正確かつ効果的な調査結果の集計、分析に努めていきたいと思っております。

○伊藤委員 いろいろとご苦労もありましょうが、結果の活用という目的に対して最大限効果を発揮するためには、六月という時期が最適とはいえないと思います。現在ですと、一月に実施した調査結果が六月に返ってくるということですから、小学生だと新六年生になり、中学生は新三年生になって、一学期の半ばを過ぎてしまっております。個々の生徒の学習内容を見直すために生かすことを考えますと、学年が変わる前、年度内のできるだけ早い時期に結果を返せば、先ほど申し上げました多面的なデータの提示ともあわせて、弱点を強化するための指導をすることができます。
 都の学力調査を契機としてこうした取り組みが行われるとすれば、大変歓迎するべきことであります。何よりも生徒のために最も適した時期に結果を返せるようにしていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

○岩佐指導部長 調査結果は六月上旬に返却しておりまして、多くの学校では、保護者も含めて調査結果をもとにした面談等を実施いたしまして、教科別、観点別に課題を示して、児童生徒の学習方法の改善を図っているところでございます。
 都教育委員会は、調査実施の翌日に調査問題とその正答を公開しておりまして、学校は、実施直後に回答用紙の複写を用いて児童生徒を指導しているところでございます。
 今後とも調査結果を速やかに返却し、各学校が一層効果的に活用できるよう、データ全体や個人票を含めまして、返却の方法や時期について検討していきたいと思っております。

○伊藤委員 続きまして、盲・ろう・養護学校の設置と運営についてお聞きしたいと思います。
 近年、我が国では、障害の有無にかかわらず、人格と個性を尊重し、支え合う社会を実現しようとするノーマライゼーションという理念が広がってきております。こうした中で、その理念の実現に向けて学校教育が果たす役割、ひいては東京都の役割は多大なものがあると思います。しかし、その一方で、現場においては、障害の重度重複化や多様化が進んでいて、さまざまな教育ニーズに応じた教育を十分に行うことが難しくなっていると聞いております。
 都も、平成十六年十一月に特別支援教育推進計画を策定しまして、教育環境の整備を推進しております。私も先日、地元の葛飾の盲学校を視察させていただきましたけれども、私なりにもさまざま感じることがございました。以下、教育環境の整備の推進という観点から幾つかお聞きしたいと思います。
 この推進計画の巻末の資料を見ますと、都立盲・ろう・養護配置図、平成十六年度と平成十九年度現在という地図があるわけですけれども、これを見ますと、二十三区のうち、中心地に養護学校がない、周辺区に偏っているなという印象があります。私の地元の葛飾区には、ちなみに四つの学校が既にあるわけでありますが、中には未設置の区もございますけれども、なぜこのような偏りがあるのか、お聞かせください。

○荒屋参事 盲・ろう・養護学校の設置の経緯でございますが、昭和四十二年度に、当時の文部省は、特殊教育推進地区を全国八ブロックに設置しました。都では立川市が指定を受けました。その後、昭和四十四、四十五年度には、都教委独自で特殊教育推進地区を設置し、立川市を中心とした昭島市、国分寺市、国立市、小平市の各市及び杉並区を指定しました。さらに、昭和四十六年度には、南多摩地区の八王子市、町田市、日野市の三市と中野区、新宿区の二区を指定しました。
 これに加えまして、学校の設置条件を考えますと、設置には一定規模の学校用地が必要であること、また、広大な用地取得には財政状況等を考慮する必要があります。これらの条件を満たす土地の取得となりますと、結果的に周辺区に偏ることになったのではないかと考えます。

○伊藤委員 歴史的な経過もあり、根深い問題だと思いますが、子どもたちのことを考えれば、財政的な問題があるからといってこの問題を放置しておけないというふうに思います。
 それでは、現状の対策についてお聞かせいただきたいんですけれども、この推進計画の中で、各市区町村と連携をしてこれから特別支援教育をやっていくんだという理念が書かれておりますけれども、現在、盲・ろう・養護学校がない区ではどのような対応をされているんでしょうか。

○荒屋参事 盲学校、ろう学校では、通学区域を設定しておりません。そのため、盲学校、ろう学校は、全都的なバランスを考慮して設置しております。
 肢体不自由養護学校及び知的障害養護学校では、通学区域を設定しております。通学区域は、児童生徒の住所地の分布やスクールバスの路線を考慮し、決めております。そのため、通学区域は必ずしも各区ごとのブロックにはなっておりません。
 肢体不自由養護学校及び知的障害養護学校の未設置の区の児童生徒は、通学区域内で養護学校を設置している近隣の区に通学することとなります。

○伊藤委員 中野養護学校は知的障害養護学校でありますけれども、特に自閉症の児童生徒を数多く受け入れていて、教室不足がかなり深刻だと伺っております。この推進計画の八一ページを見ますと、知的養護学校の児童生徒数、平成十七年度では五千三百七十九人とありますけれども、平成二十七年度には六千百五十八人になると予想されております。十年間で七百七十九人も増加するということになっております。そういう増加傾向にあることからも、この過密を解消するためには、中心区や未設置区にも設置をするべきでございます。そのためには、都教委は、都教委が所管をする土地だけで検討するのではなくて、例えば区の小中学校で統廃合後の施設の利用が未定の学校施設など、広くその他未利用地や財産も検討対象とするべきだと考えますが、ご所見をお伺いします。

○荒屋参事 教室の過密解消のため、平成十七年度は、中野養護学校の増築工事を初め、合計十一の養護学校において、教室確保のための工事や設計を行ったところであります。
 委員ご提案の、都教委が所管する教育財産だけではなく、幅広く未利用地を視野に入れた対応につきましては、今後検討してまいります。

○伊藤委員 最後に、寄宿舎について質問したいと思います。
 本来、寄宿舎は、通学が困難な児童生徒に対して設置しているとのことでありますけれども、実態としては、学校から帰宅しても地元で溶け込めない障害のある児童生徒がおります。むしろ寄宿舎で友だちと有意義な時間を過ごした方がいいという声もございます。しかし、今後都教委は、寄宿舎を十一舎から最終的には五舎にするという計画であると聞いてございます。こうした実態にも配慮していく必要があると思いますけれども、いかがでしょうか。

○荒屋参事 平成十六年十一月に策定しました東京都特別支援教育推進計画では、現在十一舎ある寄宿舎を五舎にするとしております。現在、寄宿舎の入舎に当たりましては、本来の寄宿舎の設置目的である通学困難な児童生徒に限定するなどの見直しが必要であると考え、入舎基準の改正を検討しているところであります。
 また、障害のある児童生徒の地元地域での受け入れでありますが、平成十七年度に特別支援教育体制・副籍モデル事業を北区、八王子市、調布市、あきる野市の四区市において実施し、居住地の小中学校に副次的な籍を置いて、教科等の共同学習及び学校行事などへの参加、交流を行っております。こうした取り組みを通じて、障害のある児童生徒が地元の商店街や町中で声をかけられたりあいさつをされるようになったと報告が上がっております。
 今後は、こうしたモデル事業における取り組みが各区市町村でも実施されるよう働きかけてまいります。

○吉倉委員 私の方からは、平成十七年度歳入歳出決算書に基づいて、教育庁の社会教育施設であるユース・プラザについて、何点かお尋ねいたします。
 教育庁はこれまで、老朽化の進んだ青年の家を再編整備し、青少年を取り巻く環境の変化やニーズの多様化、高度化に対応可能な新たな青少年社会教育施設として、ユース・プラザを区部と多摩地域にPFI手法により一カ所ずつ設置しております。先日私も、区部ユース・プラザを実際に見てまいりました。広い施設内に、スポーツゾーン、文化ゾーン、宿泊ゾーンあるいはパブリックゾーンが設けられ、文化やスポーツ活動の機会を広く提供できるものと感じたところでございます。
 そこで、この区部ユース・プラザ、多摩地域ユース・プラザについてでありますけれども、ともにPFI事業方式により設置運営され、それぞれ二年半、一年を経過しております。そこで、利用状況を含めた管理運営状況についてお伺いしたいと思います。

○三田村生涯学習スポーツ部長 区部ユース・プラザの利用状況は、例えば年間の宿泊延べ人数で見ますと、平成十六年度が約三万一千人、平成十七年度が約三万七千人でございました。当初事業者が想定した宿泊者数は三万六千五百人であり、開館二年目で目標を達成しております。また、多摩地域ユース・プラザの平成十七年度の宿泊延べ人数は約二万七千人であり、当初事業者が想定した宿泊者数約一万四千九百人を大幅に上回りました。平成十八年度におきましても、両施設とも順調に利用者数を伸ばしており、平成十七年度を上回るものと期待しております。
 その他の管理運営状況につきましては、都教育委員会が毎月実施しております書類による業務確認及び四半期ごとに実施している現地確認におきまして、事業計画どおり適正に管理運営されていることを確認しております。

○吉倉委員 ありがとうございます。
 次に、PFI事業では、事業者は特別目的会社を設立し、都と契約を結ぶわけでありますが、その期間は、区部ユース・プラザが二十年、多摩ユース・プラザが十年となっております。長期にわたるPFI事業の場合、リスク負担に対する懸念も生まれますが、区部、多摩の特別目的会社の経営状況と今後の見通しについてどのように把握しておられるのか、お聞きしたいと思います。

○三田村生涯学習スポーツ部長 施設を管理運営している特別目的会社から提出された平成十七年度の財務書類によりますと、区部では約二千五百万円、多摩では約五千六百万円の当期純利益の黒字となっており、今後の推移を見きわめる必要はございますが、出足としては順調であると考えております。
 リスク負担につきましては、区部については二十年間、多摩については十年間の長期計画でございますが、契約書及び都側と事業者側のリスク分担に従って適正に管理してまいります。

○吉倉委員 順調な出足ということで安心しております。今後とも適正な管理をお願いしたいと思っております。
 次に、事業スキームについてお伺いさせていただきます。
 区部はBOT方式、多摩はRO方式というふうに異なりますけれども、それぞれサービス購入型と独立採算型を合わせた、いわゆるミックス型と呼ばれるPFI事業であります。すなわち、都が支払うサービスの購入対価に加え、事業者の経営努力による利用料金収入によって運営されているというふうにお聞きしております。
 ところで、それぞれのVFMについて見ますと、都が直接実施する場合の財政負担額と、落札者の提案に基づいて実施する場合の財政負担額の削減率は、区部で約六%、多摩で約一一%というふうに聞いております。このように区部と多摩で削減率に大きく差が出るのはなぜなのか、このあたりをお聞きしたいと思います。

○三田村生涯学習スポーツ部長 区部につきましては、事業期間を二十年というかなり長期間とした結果、入札に参加した事業者が一グループのみでございましたが、多摩につきましては、区部事業での経験を踏まえ、事業期間を十年とした結果、五グループという多数の入札参加者を得ました。このことが大きく影響したのではないかというふうに考えております。

○吉倉委員 VFMは、投入した税金に対する公共サービスの価値をあらわすものでありますけれども、このVFMを踏まえて、PFIの導入に関してどのように評価しているのか、お聞きしたいと思います。

○三田村生涯学習スポーツ部長 PFI導入の重要な目的の一つに、低廉かつ良質な公共サービスの提供がございますが、現時点では順調に運営されていると評価しております。
 ユース・プラザ事業につきましては、VFMで示される事業コストの削減効果のほか、宿泊施設の内装など、意匠、デザイン的にも非常によい提案を受けることができたと考えております。また、区部におきましては、民間提案事業として、フットサル施設の導入や、水泳やアーチェリーなどの各種スポーツ教室の開催、レストランにおけるさまざまなメニューの工夫など、また多摩におきましては、立地を生かしたテントサイトや野外炊さん場、ビオトープなどの野外施設の設置を初め、陶芸や料理などさまざまな利用プログラムの開発や、親会社の特性を生かした広報宣伝活動など、PFI事業者の創意工夫が随所に発揮されております。
 これらの施設や事業には、従来型の手法により事業を実施した場合、行政側からはなかなか出てこないアイデアも多数含まれておりまして、PFI事業ならではのメリットであると考えております。
 今後も民間事業者の経営上のノウハウや創意工夫を最大限活用するとともに、利用者サービスの一層の向上を目指して、事業者と緊密に連携しながら、ユース・プラザ事業がPFI事業の成功例となるように努めてまいります。

○吉倉委員 ぜひPFI事業のメリットを生かしていただきまして、成功のモデルとなるよう努めていただきたいというふうに思っております。
 次に、改めて確認をいたしますが、教育庁は、区部、多摩のユース・プラザの設立目的を青少年の自立と社会性の発達を支援するものとして、社会教育事業の推進に努めているわけであります。PFI事業として、都の管理責任のもとで、あくまでも都の事業として実施されていることを評価しておりますが、事業全体の中で、本来の目的である社会教育事業の占める割合が少ないのではないかという印象を実は持ったわけであります。
 委託事業者の判断で社会教育事業の低下を招くことのないよう、質と量の両面からぜひ指導性ある対応をお願いしたいというふうに思っております。見解をお願いいたします。

○三田村生涯学習スポーツ部長 ユース・プラザは、廃止した青年の家にかわる青少年社会教育施設として整備したものであり、社会教育事業の実施は重要なものと考えております。
 平成十七年度は、区部におきましては、親子スポーツ体験や障害者と学ぶスイミングなど六事業、多摩におきましては、ボランティアリーダー養成講座や子育て支援キャンプなど七事業を社会教育事業として実施いたしました。これらの社会教育事業につきましては、企画段階から事業評価まで都教育委員会職員が深くかかわるとともに、事業者側の担当者に対して研修の機会を提供し、質の向上を図るように指導しております。
 今後も、ユース・プラザを活用した社会教育事業につきましては、PFI事業者と協力して一層推進してまいりたいと考えております。

○吉倉委員 終わります。

○清水委員 まず初めに、高校必修履修不足問題について一言申し上げます。
 全国で必修科目の履修不足が明らかになり、多くの生徒、保護者に不安を与えています。当初、都教委は必修科目を間違えるはずはないというようなことが報道されておりますけれども、昨日出されました資料によりますと、八王子東高校の三年生の一部の生徒が倫理の履修をしていなかったことが明らかになったということで、関係者方面に重大な不安を与えています。指導監督責任のある都教委の責任というのは本当に重大だというふうに思います。きちんと責任を明らかにし、生徒や保護者の要望にこたえるようにする必要があると考えています。
 この問題は、全国で起こった多くの学校は進学校と呼ばれる学校です。多くは、表向き履修したように虚偽のカリキュラムをつくっていました。その背景には激しい進学競争があると考えられます。政府・文部科学省の、高校の多様化、再編を進めてきた政策が競争を加熱させ、高校での受験競争の肥大化を生んでいると考えられます。東京都は、この間、高校多様化を進め、その一環として進学重視校を設け、公然と格差をつくってきました。これが各地で過度の受験競争に偏った学校運営を生み出してきていることも明らかだと思います。
 生徒や親の願いは、受験はもちろんだけれども、教育基本法にある人格の完成を目指す教育です。今、国会では教育基本法の改悪が取りざたされています。その内容の中では、数値目標を、達成を競わせる体制をつくろうとしております。事態は一層ひどくなろうとしております。その意味でも、教育基本法改悪は、私は本当に東京の子どもたちにとっても廃案にすべきだと思いますし、大学入試制度の改善も含めて、教育基本法を生かした教育にすることが、今こそ改めて必要だというふうに考えるものです。
 以上、意見を一言申し述べます。
 まず、先ほどもどなたか触れておりましたけれども、二〇〇四年から始まった児童生徒の学力向上を図るための調査ということで、全都一斉学力テストを実施しております。そして、成績を公表しています。この一斉学力テストがもたらしている教育現場や子どもへの影響について、幾つかお伺いしたいと思います。
 まず、十七年度に学力テストに要した経費は幾らか、問題作成はどのようにしているのか、採点はどうしているのか、委託しているのか、委託しているならばその業者はどこなのかということをお伺いしたいと思います。

○岩佐指導部長 平成十七年度の経費につきましては、問題作成、問題及び報告書等印刷、調査集計委託を合わせまして、二千七百三十八万二千三百六十三円でございます。
 問題につきましては、都教育委員会が独自に作成をしておりまして、調査結果の集計処理については、業者委託をしております。
 委託している業者につきましては、平成十五年度は株式会社ケー・デー・シー、平成十六年度は株式会社エンターオン、平成十七年度は多摩測量設計事業協同組合でございます。

○清水委員 まず、今お答えのあった中で、作成された問題のことについて伺いたいと思います。
 第一回目の中学校の国語の問題で、あなたの中学校では、四月に入学してくる小学六年生が希望を持って入学式を迎えられるように、中学校生活を紹介する文章を書くことになりました。あなたがこの文章を書くとしたら、どんな題材を中心に書きますか。次の中から一つ選び、記号で答えなさいということで、アが学校の電話番号、イが部活動、ウが授業、エが学校行事という問題ですよね。それで、ア、学校の電話番号以外は正解だということだそうです。これが国会でも触れられまして、当時、小坂文部科学大臣も、問題として必ずしも適切ではないように思いますが、私は部活動とつけちゃいますねと、回答を選択するのが難しいというふうに答弁したというのを私は聞いております。
 ほかにもあるんですけれども、出された問題の中では、問題がわかりづらいなどの内容があるという現場などからの指摘があったと思いますが、どのように対応してきたのか、お伺いいたします。

○岩佐指導部長 平成十六年度に、前年度に実施した学力向上を図るための調査における関心、意欲、態度を問う問題におきまして、正答が複数あることの出題の意図について質問がございました。このため、都教育委員会は、平成十六年度における区市町村教育委員会の実施担当者対象の説明会におきまして、調査の趣旨や出題の意図について、各学校へ十分周知徹底するよう説明をいたしたところでございます。

○清水委員 そういう適正でない内容の問題があったということを今いわれたわけですけれども、そして改善をしているんだということをいわれましたけれども、問題の核心は、こういう問題で子どもの学力がはかれるのかということなんですよね。
 先ほどから関心、意欲、態度ということをいわれましたけれども、これらの問題がずっと三年間も出ているんですけれども、特に関心、意欲、態度の問題では、子どもたちからも、この問題、どういう意味があるのかなどという声も出されているというふうに聞いています。やはりこうした点で考える必要があるのではないかというふうに思います。
 採点を委託していることについてお伺いいたしますが、この間、都教委は業者テストというものを廃止したではないか、業者テストについて、都教委というのはどのように対応してきたのか、お伺いいたします。

○岩佐指導部長 ただいま、関心、意欲、態度の問題について適正でないというお話がありましたが、これは文科省の方でも複数回答が出る形の調査をしておりまして、私どもは適正な問題だと考えております。
 業者テストにかかわるものでございますが、都教育委員会は、平成五年六月以来、中学校における進路指導に当たっては、業者テストの実施に一切関与しないこと、それから、高等学校に偏差値を提供しないことについて、区市町村教育委員会を通じて各学校を指導しているところでございます。
 都教育委員会が業者テストを禁止しておりますのは、偏差値に依存してきた中学校の進路指導を改善するためでございまして、このことと業者テスト、業者の委託とは別の問題でございます。

○清水委員 別の問題だというふうにいわれますけれども、生徒の採点を業者に任せているという、教育的視点がない採点というのでしょうか、そういう意味では私は別の問題ではないというふうに考えるものです。
 次に、公表について伺います。
 都が中学二年生を対象に今行っている中学生に対するテストについて、区市町村別平均点と順位を発表しました。ある区では、その結果について緊急校長会を開催し、その教育長が、二十三区で何々位だ、何々番だったということを報告し、各校に各教科の取り組みや夏休み中の学習対策を作成して報告するように求めました。そして、一方的にホームページに各学校の成績を掲載し、公表しました。その結果、ある学校の生徒は、先生に、何々区の学校って--自分の学校のある区です、ばかな学校なんでしょう、その中でもうちの学校はばかな学校なんでしょうといってきたといいます。
 自分の区と自分の学校に誇りを持てなくしたという実態が指摘されていますが、公表について、区市に対しどのような指導をしたのか、お伺いいたします。

○岩佐指導部長 学校ごとの平均正答率の公表につきましては、区市町村の教育委員会の権限と責任において判断すべきものと考えております。

○清水委員 調査結果の公表、都自身が行っているんですけれども、結果の公表はどういう教育的な意義やメリットがあると考えてやっているのか、また、公表によってもたらしているデメリットについてどういう認識をしているのか、お伺いいたします。

○岩佐指導部長 都教育委員会が全都及び区市町村別の結果を公表しておりますのは、東京都全体の学力水準の維持向上に努めるとともに、児童生徒の学力の実態を都民に説明する責任があるからでございます。このことにより、区市町村や学校の取り組みへの具体的な支援を行うこともできるということでございます。調査結果の公表をすることによりまして、授業改善への取り組みが各地域で進められております。

○清水委員 私が今紹介したような実態、子どもたちの実態というのがあるんですけれども、そういう問題についてどういうふうに認識しているのか、そのことを私はデメリットというような言葉でいったんですけれども、あなたたちが公表していることが子どもたちにこういう影響を与えているけれども、そのことをどう考えているのかということについてお伺いいたします。

○岩佐指導部長 学力向上を図るための調査は、生徒の生きる力の知的側面である部分をはかるために実施をしているものでございます。
 なお、都の教育委員会におきましては、知的側面だけではなく、思いやりや規範意識等の育成も大事な課題というふうに考えておりまして、道徳教育あるいは特別活動等の教育を通しまして、思いやりや規範意識を持った子どもたちの育成にあわせて努めているところでございます。

○清水委員 こういう子どもたちの実態があることをどう考えているのかということについては、今お答えいただけなかったというふうに思います。
 ある学校では、来年の試験のときは、だれだれは休ませた方がいいなという声も出たといいます。また、あの先生のせいでとか、互いに責め合う関係にもなっていると聞きます。ある学校では、二階の階段と階段の間のところの踊り場というところに学校ごとの教科別平均点が張り出され、ほかの学校では、担任が教室内に張り出しているクラスもあったといいます。点数の低い子のことを、あいつさえいなければなどという子まで出ているといいます。平均点のひとり歩きがもたらす弊害ははかり知れないと思います。
 区市教育委員会の中には、学校ごとの成績を公表し、成績を上げるためには授業時数をふやすということで、土曜補習の強制、夏休みの短縮、朝自習、放課後の勉強内容を教育委員会が指示するなど、東京都が公表を実施したことから、子どもや学校の実態を無視して一方的に進められていることもあると考えます。子どもの声や実態を無視した夏休み短縮などはむしろ逆効果ともいわれています。ある地区では、ある年、一週間短くしたけれども、むしろ結果下がったということも聞いています。各区市、学校や子どもの実態、日々の授業からの実態に合った取り組みになっていないというふうに考えるものです。
 先ほど紹介しました子どもの実態、またこうした各区市の実態などの中でも、これでも公表を続けるというのでしょうか。

○岩佐指導部長 調査結果の公表は、児童生徒一人一人の学力の実態を明らかにいたしまして、都教育委員会が区市町村や学校の取り組みへの具体的な支援を行うものでございまして、今後も公表を継続してまいります。

○清水委員 私が先ほどから子どもの実態と学校の実態などをいっているんですけれども、それについては全くお答えいただけないで、東京都教育委員会が、自分はこうやっているんだ、これからもやるんだということだけを主張されております。
 私は、この間、ある自治体の教育長、責任者にこの問題で話を伺ってきました。その市は、区市は独自に学校の判断で公表しているものですけれども、地域によっての学力差、ある区市での学力差というのは、区市によっては、地域によって学力差もあると。区別、区市別、市別の学力差もあるけれども、区だけの地域によっても、学力差は、これまでも教員の中では、現場の中では認識されていたことだということです。
 これまでも格差というのはあったが、それ以上に経済格差が学力格差につながっていることは歴然としているというふうにおっしゃっていました。そして、経済格差という入り口のところは見ないで結果だけを比較するのはどうか、集団として伸びたことを評価することこそが重要である、テストを実施することは、結果を持つのは、その教育長さんは、必要なこともあるかもしれない、しかし、序列もつけなくてもよいのではないか。また、土曜日の授業くらいは教員のローテーションでやってもよいというようなこともいわれていましたけれども、それでも夏休みはエネルギーを蓄積する時間として必要だというふうにいわれていました。今、地域や家庭に子どもの教育力の環境がない中では、学校が休みも管理することもあり得ることもあるが、そういう場合にも子どもや教員との話し合いで実施するべきだといわれていました。
 学力をいうならば、その教育長がいうには、担任の指導力によってすぐ上がる、人材や人をふやして余裕を持たせ、低かったところを手当てする、そういう人材配置をするべきだというふうにいっておられました。
 この自治体では、新卒が、新しい先生がこの間毎年一割もやめていっていることは初めてだ、間もなく障害児の特別支援教育が始まりますけれども、都は人をつけないで実施しようとしている、手当てをしないで実施したら学級崩壊になるなどといっていました。私は、こういう教育長さんの話をある地域から聞いてきました。
 都教委は具体的な支援を行うというふうにいっていますけれども、そうであるならば、これまで私たちも主張してきたように、三十人学級とか、教員の教育活動を励まし、実現できるための条件整備こそ進めるべきではないですか、どうですか。

○岩佐指導部長 学力向上を図るための調査結果を公表することによりまして、児童生徒の学力の実態が明らかになり、区市町村教育委員会や各学校が児童生徒の学力向上に向けてさまざまな取り組みを進めているところでございます。また、各学校は、授業改善推進プランづくりや校内における研修の活性化などの取り組みを進めております。
 都教育委員会は、こうした区市町村教育委員会や学校の取り組みに対しまして、授業改善研究推進校の設置、授業改善ハンドブックの作成、授業改善研究協議会の開催、特別訪問の実施など、区市町村教育委員会や学校の実践を具体的に支援しているところでございます。

○清水委員 現場が、学校がどういうことを要求しているかということにもきちんと耳を傾けていただかなければ、自分たちがこういうことをやっているからいいんだということだけでなくて、今実際に、それこそ、まあ繰り返しいってきているから、ここでは余りいいたくないけれども、三十人学級なんていうのはもう全国で意義を認めてやっているところで、いろいろあなたたちは議論されるかもしれないけれども、これは本当に必要なことで、教員だって、一人一人の子どもたちの面倒を見たいということを願っているわけですから。校長先生だってそうですよ。いじめ問題だって、本当に心を痛めているところに、実際に役立つ具体的な条件整備を行うことを私は改めて求めておきたいというふうに思います。
 それでは、国が学力調査を行おうということをいっておりますけれども、東京都はどういう方向でいるのか、お伺いいたします。

○岩佐指導部長 平成十九年度から国が実施いたします予定の全国学力・学習状況調査につきましては、その実施に向けて準備しているところでございます。

○清水委員 何で実施するんですか、伺います。

○岩佐指導部長 国の調査は、全国的な義務教育の機会均等とその水準の維持向上の観点から、各地域における児童生徒の学力、学習状況を把握、分析することにより、教育及び教育施策の成果と課題を検証し、その改善を図ることを目的として行うものでございます。東京都の各学校がこの調査を実施することによりまして、みずからの教育の成果と課題を把握し、その改善を図ることができると考えております。

○清水委員 愛知県の犬山市の話を私たちは聞いてきたんですけれども、不参加を表明したというふうに聞いています。本当の学力というのは、こうしたテストで測定できるものではない、子どもの学力評価は、日常の教育活動の中で次の授業に生きるような形で行うべきだ、できた、できないだけで評価すべきでないというふうに述べています。子どもの学力を保障しようとするなら、こうした見解になるはずだと私は思います。
 各マスコミなどでも学力テストに対する批判がされています。教育研究者の方は、テスト、点数、ランキングのみが話題になる傾向、過去の問題練習など学力テスト対策に勉強や授業が充てられる傾向があることを指摘しています。読売新聞の八月二十八日付では、教育評論家の方が、問題点を指摘して改善を求めるのならば、具体的に指摘すればよく、数値で示す必要はない、数値を上げるために、表面的な実践を行おうとする学校が出なければいいがと懸念することが報道されています。
 もうご承知だと思いますけれども、学力世界一の成果を上げているといわれるフィンランドでは、国が行う学力調査はあるけれども、競争に追い立てる全国一斉学力テストなどはなく、学力調査は五%の学校を抽出して実施しているという。そして、結果が余りよくなかった学校には、その学校と連絡をとって、どうすればよいかを検討し、アドバイスを行う。学校予算は、地方の学校や小さな学校、問題のある学校に多く与えるようにしているということです。調査結果がよくなかった学校では、子どもたちの人数を小さくして教えるようにできるために先生をふやすといっています。
 子どもの成長を支えるための改革というのならば、競争をあおるのではなくて、格差のもとで困難な現実を背負っている子どもたちにこそ、また、社会や経済状況の複雑化の中でもがき苦しんでいる子どもたちに勇気と力を与える教育に取り組む改革こそ必要ではないかというふうに思います。
 そういう対策もとらずに、ゆがみをつくり出すだけの国や東京都の学力テストはやめるべきです。そして、テストの成績によって予算を差別するなどということがいわれていますが、一層の教育格差を広げる、そういう方向は行わないことを強く求めます。
 次に、栄養教諭制度についてお伺いいたします。
 学校教育法の改正に伴い、平成十七年四月に、教育に関する資質と栄養に関する専門性をあわせ持つ職員として、栄養教諭制度が創設されました。国が策定した食育基本計画の中で、食育を推進する上で不可欠な教員であって、全都道府県における早期の配置が必要であるとしています。これまでどのくらい配置されてきたのかは、きょうお示しいただいている資料でも出されていますが、都としても食育推進計画を出しています。そういう中で幾つかお伺いいたします。
 まず、東京の子どもたちの食環境についてどのように認識しているのか、お伺いいたします。

○山川学務部長 野菜嫌いな子どもたち、偏食、朝食の欠食、家でひとりぼっちで食事をとる孤食などの問題状況の中で、児童生徒にとって健全な食習慣の形成が重要な課題となっていると認識をしております。

○清水委員 そういうことで、今国でも、私などにいわせれば、やっと重い腰を上げたというふうにいわざるを得ませんし、東京都も、子どもの学力とか道徳心とかいうことだけでなくて、体力とか食べることなどに関心を持ってもらう、またそれが本当に子どもの学力を高める上で重要なことだというふうに認識されるようになったことは、大きな進歩だというふうに思うわけです。私も、ずうっとそのことを自分で思っていましたし、本当に朝ご飯を食べてこない子どもがいれば、その子が午前中授業を受けるのに、どんな気持ちで受けているのかなということをずっと心配しながら、お昼になるのを待っていたわけですけれども、家庭の環境もいろいろある中で、東京都としてもそういう認識を持ってやられるということは、非常に重要なことだというふうに思います。
 それでは、文部科学省が、先ほどもちょっと私触れましたけれども、ここで食育を推進するという中で、栄養教諭制度を制定した理由についてどのように受けとめられているのかをお伺いいたします。

○山川学務部長 文部科学省は、児童生徒の食生活の乱れが深刻化する中で、学校における食に関する指導を充実し、児童生徒が望ましい食習慣を身につけることができるように、今ご指摘のような、新たに栄養教諭制度を創設いたしたというふうに理解しております。
 都教育委員会といたしましても、児童生徒に対する食に関する指導の重要性については、十分認識をしているところでございます。

○清水委員 栄養士さんが各学校にいるところといないところがあるということ、それから県費負担、区市負担ということでいろいろ制度が違うということについては、今までもご説明いただいているところですけれども、栄養士さんがこれまでどういう役割を果たしてきているのか、これまで教員との連携はどういうふうになっていたのか、お伺いいたします。

○山川学務部長 小中学校における学校栄養職員は、給食を、生きた教材となるよう、献立の工夫をすることや、交流給食、親子給食などさまざまな給食形態を通して、食に関する指導を実践しております。
 また、学級活動や総合的な学習の時間、関連教科などにおきまして、教員とのチームティーチングにより、食に関する指導を積極的に行っているところでございます。

○清水委員 そういう栄養士としての専門性の上に、教育の専門性を--資格を取って、そういう人たちが子どもたちの学校における食の教育を進めることが必要だよということを国が進めていて、全国では、ここに示されているのは二十数県になっているかと思いますけれども、私が聞いているところでは、十九年度に配置する予定だということが大体示されているところを合わせると、東京とあと幾つかが十九年度にも決まっていないよという状況だと思うわけですね。
 それで、全国では、ここを見ると一人とか二人とか、そういうところもあります。何十人とかいるところもあります。もちろん、栄養士さんがそれぞれの県で違う状況で配置されていたのだというふうに思うんですけれども、しかし、私、文部科学省のこの問題の担当者に直接お会いをしてきました。それで、栄養教諭制度が、どういう認識のもとで国は配置をされているのでしょうか、全国が実施し始めているのだけれども、そこの成果というものはどういうふうに考えておられますかというようなお話を聞いてきたわけです。
 その中で、必ずしも財政の豊かでない県も含めて、これは本当に大事だと。栄養士が教員の資格を取って、子どもたちの食育を進めるのは本当に大事だということで、まずモデル実施をしてくださいと。一人のところはモデル実施だと思うんですよ。モデル実施をして、そうすれば、どういう効果があるのか、その栄養教諭が果たしている役割が明らかになって、学校との連携も明らかになって、地域との連携も明らかになって、農業者との連携も明らかになって、本当に大きな役割を果たしているんですということで、まずモデル実施をしてもらう。本格的な実施をすぐ始めても、やっているところもあるかもしれませんけれども、まずモデル実施をしていただきたいというようなことをいっておられました。
 十七年度から栄養教諭制度が置けるようになったのかなというふうに思うんですけれども、十七年度の決算だからあれしますけれども、モデル実施も行ってないという理由はどこにあるのでしょうか。

○山川学務部長 平成十七年の七月、食育基本法が施行されたことを踏まえまして、学校における食育推進のあり方を明らかにするために、庁内に公立学校における食育に関する検討委員会を設置いたしまして、食育の目標と基本方針、学校における食育の指導体制、学校、家庭、地域の連携等について幅広く検討を行い、その中で栄養教諭制度についても検討してまいりました。
 すなわち、食育を進める体制のあり方全般についての検討を行ってきているところでございます。

○清水委員 都教委の中には、十分に検討をするものと、すぐに実施するものといろいろあるようですけれども、私は、この問題というのは、本当に子どもたちが深刻なんだから、国がお金をつけるよというふうにいっているわけですから、区市の負担の栄養士さんを都負担でするとかいうようなことについては、すぐにしなくても、少なくとも、都費で配置されている栄養士さんもいるわけですよ。せめてそういう人に栄養教諭になってもらって、食育の専門家として各学校でリードをしてもらう。一般教員の中でも、栄養士の中でも、リーダーとしてやってもらうんだなんということをいわれているようですけれども、私、それも文部科学省に聞いたんですよ、一般教員がするということはどうですかと。栄養士さんがリーダーになってやると都教委はいっているんですけれども、これどうでしょうかというふうに聞いたら、やっぱり栄養教諭と栄養士と、身分の格差をいっているんじゃなくて、専門性として持っている役割というのは本当に違うんですということをいわれていました。
 私は、都として栄養教諭制度を直ちに実施すべきだと、全体とはいえませんけれどもね、全体とはいいませんけれども、ほんのモデルでも実施すべきだと思いますが、どのようにお考えでしょうか。

○山川学務部長 先ほど申し上げました検討委員会の報告書の中でも、栄養教諭制度の導入につきましては、配置基準や費用負担などさまざまの課題があることから、さらに検討を進める必要があるという報告をいただいておりまして、現在、そうした観点に基づいて検討しているところでございます。

○清水委員 もうモデルをやって効果もあるし、給与の問題とか、そういう問題もあるかもしれないけれども、少なくともほかの県に比べて、東京の財政状況はというふうに文部科学省の担当官もちょっと雑談の中でいわれていましたけれども、やはりそういうことから、これも東京都だけが一番後になるというようなことだけは避けていただきたいな、早期に栄養教諭制度を導入するよう求めるものです。
 次に、障害児学校についてお伺いいたします。寄宿舎の問題です。
 二〇〇四年十一月、特別支援教育推進計画を決めて、この中で寄宿舎の統廃合計画を打ち出しています。寄宿舎の存在意義を通学困難な子どもの就学保障に限定し、入舎対象の子どもは少なくなるとして、現在の十一舎を五舎に削減していこうとするものです。
 障害を持つ子どもから成長の場である寄宿舎を取り上げようとするもので、子どもに対する視点を置き去りにした方向であるといわざるを得ません。
 まず、お伺いいたしますが、入舎基準を見直す理由というのは何ですか。

○荒屋参事 現行の寄宿舎の管理運営規則における入舎基準は昭和三十二年に制定されたもので、当時の社会情勢、家庭の養育状況、福祉、医療などのサービス体制の確立等の社会状況から、通学困難以外に家庭の事情と教育上の理由による入舎を認めてきました。
 しかし、社会情勢等の変化に伴い、寄宿舎の入舎の実態が大きく変化していることから、寄宿舎の本来の設置目的である通学困難に限定するなど、抜本的な見直しを行うこととしたものです。

○清水委員 入舎基準を原則として通学困難にするということのようですけれども、そのほかの理由を外しているわけですよね。先ほどのご答弁では、本来の基準によるというふうにご答弁されましたけれども、先ほどご紹介あったように、当初の基準の中には、別に本来のとか、どれがそうでとか、通学が困難でが本来で、教育上が本来でないなんというようなことは、示されていなかったと思うんですよね。
 この間の変化の中で、そちらが本来のというふうにつけられたんじゃないかと思うんですよね。私は、きちんとその当時の管理運営規則を紹介していただきたかったと思うんですけれども、通学困難以外の理由を外した理由というのをどういうふうに考えているのか。それから、それによってその後の対策をどういうふうにとろうとしているのかということについて、お伺いしたいと思います。

○荒屋参事 社会情勢等の変化に伴い、寄宿舎の入舎の実態が大きく変化していることから、寄宿舎の本来の設置目的である通学困難に限定するなどの見直しを行うこととしたものです。家庭の事情については、規則制定時に比べて、家庭の養育状況が改善され、また福祉、医療サービスが充実してきている状況があります。
 一方、福祉的サービスが地域により異なる状況なども踏まえて、当分の間、就学を保障していく観点から、家族に複数の障害児や障害者がいる場合や、保護者が長期の病気や家族の介護等の理由により、通学の付き添いが長期かつ継続的にできない場合などの個々の事情を勘案して入舎を認めてまいります。
 教育上の理由による入舎は、基本的生活習慣の確立や集団生活におけるマナーを身につけることなどの役割を果たしてまいりました。このことは、寄宿舎が設置されている、いないにかかわらず、盲・ろう・養護学校としての重要な指導内容であり、学校における生活指導や宿泊行事などの中で指導を行っていく必要があります。
 今後は、個別指導計画に基づく基本的生活習慣の確立を目指した指導や、校内宿泊学習を継続的、系統的に行ってまいります。

○清水委員 今のご説明の中では、外した場合の対策として、生活指導や宿泊行事の中で指導を行っていくんだというご答弁だったんですけれども、今まで寄宿舎の中で教育的な指導によって培ってきたレベルというものと同じようにされるのならまだしも、今まで寄宿舎で行ってきた教育入舎というのが、親御さんたちにとってはすばらしいものであったから、それにかわることができるんだろうかというのが本当の気持ちだというふうに思うわけです。
 それで、私は、もし教育入舎は認めないというのならば--教育入舎の意義というのは認めるわけですよね。教育入舎の意義というのは認める。今までずうっとやってきたことだし、意義というのは今も否定をしていないとおっしゃるわけだから、それが本当に親御さんたちにかわってもできるんだよというような、納得というものをきちんと示さなければいけないと思うんですよ。これがなくてもできるんだというふうに、親御さんたちに納得できる条件を私は示すべきだと思いますし、それが納得されないのであれば、やっぱり教育入舎というのも認めるべきだと思うんですよね。だって今、満杯なわけではないわけでしょう。希望したいという方には、受け入れることができる条件があるわけですから、それは認めるべきだというふうに思います。
 十七年度の入舎人数と、通学困難を理由としている方、家庭の事情としている方、教育上の理由としている方、それぞれの人数をお伺いいたします。

○荒屋参事 病弱教育の久留米養護学校を除くと、寄宿舎入舎生は二百二十三名です。その内訳は、通学困難が五十七名、家庭の事情が二十九名、教育上の理由が百三十七名です。

○清水委員 百三十七、現在入舎しているわけですよね、教育上の理由と。教育上の理由ということで申請を出しているかもしれないけれども、理由をそれぞれ分けることができないという方もいると思うんですよ。
 私は、少なくとも、現在入舎している人が出されるということに対しては、前に請願か何かで出されたかと思うんですけれども、本当に心配をされているわけですよ。私もそういう親御さんからお話を聞いて、その親御さんが説明をしている間に一人、二人と来られたわけですけれども、涙流しているんですよね。そういう人たちの気持ちになってこたえるのが本当の障害児の教育だというふうに思うわけです。
 それで、一人のお母さんが手紙を書いてこられました。皆さんのところにも行っているのかもしれませんけれども、娘は盲・ろう児です。学校には車で通っていて、通学にかかる時間は二十分ほどですが、その車内では、私の手が離れると自分の顔を強くたたく行為をします。運転中でも手を握っていないと激しくたたきつけます。しかし、通学中にとめようとして、その停車中に後ろを振り返って手をとめようとしたとき、ブレーキが甘くなってしまい、前の車に当たってしまいました。その後はどんなに激しくたたいても、見て見ぬふりをするようにしています。二十分間が恐ろしく長く感じられ、通学することをやめたくなります。家でも私の手をとり、離れてしまうと顔をたたきます。食事の支度、戸を閉めるとき、トイレに行くときなど、すべてにおいて離れることができません。仕方なく手を離すと、すぐたたき始めるからです。娘の顔にはたたき過ぎて出血した跡やはれた跡、そんな我が子の姿を見ているのは本当につらいです。兄弟が遊んでいるときに出る音にさえ、顔をたたいているのではと過敏に反応してしまいます。週二泊寄宿舎に泊まっています。寄宿舎でも同じような状況とは聞いていますが、先生方は交代して娘に付き添い、娘の気持ちを大事にしながら、友達とかかわる時間をできるだけ多くしてくださっています。寄宿舎の中で、時折以前のような笑顔を見せた報告を聞くとほっとします。娘が寄宿舎に泊まっている二泊で私はレスパイトされています。また兄弟にかかわる時間もつくれます。娘が寄宿舎に泊まれなくなるのは本当に困りますというご自分の気持ちを手紙で書かれました。
 私は、やはりこういうところに、障害児を抱えていない家庭には本当に予想のつかないことだと思うんですよね。でも、皆さん本当に最近は、元気に子どもたちと一緒に苦労して頑張ろうというお母さんたちが多くなっているようにも私も実感します。少なくとも、現在入舎している、来年利用できなくなるという親のこういう声に対してどう対応しているのか、お伺いいたします。

○荒屋参事 当面は、家族に複数の障害児がいたり、保護者が長期の病気や家族の介護などの家庭の事情により、通学の付き添いが困難で、かつ長期的、継続的な場合などの個々の事情をよく勘案した上で、入舎を認めるなどの対応をしてまいります。
 今後は、個別指導計画に基づく基本的生活習慣の確立を目指した指導や、校内宿泊学習を継続的、系統的に行ってまいります。

○清水委員 今紹介したような家庭の場合も、ぜひ入舎の対象にしていただきたいというふうに思います。
 以上で質問を終わります。

○相川委員長 この際、議事の都合により、おおむね十分間休憩いたします。
   午後二時四十七分休憩

   午後二時五十九分開議

○相川委員長 休憩前に引き続き分科会を開きます。
 質疑を再開いたします。
 発言を願います。

○原田委員 平成九年に都立高校改革推進計画が策定されています。この計画は十年間の計画ですから、十七年度は、終了年度を見据え、次の改革への課題を探り始める年と私は考えています。
 そこで、私は、今回チャレンジスクールについて質問したいと思います。
 東京都教育委員会は、夜間定時制課程を統合して、五校のチャレンジスクールを設置することとしていますが、この目標に対しての進捗状況をまずお伺いします。

○新井学校経営指導・都立高校改革推進担当部長 チャレンジスクールについてでございますけれども、都立高校改革推進計画の中で五校の設置を計画しておりまして、平成十七年度までに四校を設置してきたところでございます。平成十九年度には、中野地区チャレンジスクールとして稔ヶ丘高校を開設いたしまして、計画どおり五校を開設する予定となってございます。

○原田委員 チャレンジスクールの設置は予定どおり進んでいるということでよろしいかと思いますが、平成十七年度の応募状況を見ますと、チャレンジスクール各校で二倍以上の倍率があるわけです。チャレンジスクール設置の趣旨を踏まえ、不登校傾向などの生徒が入学しやすいように、入学選抜で工夫されていると聞いていますが、そのことについてお尋ねしたいと思います。

○新井学校経営指導・都立高校改革推進担当部長 チャレンジスクールの入学選抜でございますけれども、不登校傾向の生徒が不利にならないように、調査書の提出を求めないほか、学力検査を実施せず、作文と面接を実施いたしまして、学校の設置目的に合った者が入学しやすいように工夫をしております。

○原田委員 この新たな選考方法がチャレンジしてみようという気持ちを喚起させたのではないかと私は思っています。
 そこで、入学した子どもたちの状況をお伺いしたいと思います。平成十七年度における退学率はどれくらいでしょうか。また、卒業生の進路先はどうなっているか、お伺いします。

○新井学校経営指導・都立高校改革推進担当部長 平成十七年度におけます第一学年の生徒の退学率でございますが、夜間定時制課程全体では三二・五%であるのに対しまして、チャレンジスクールでは五%にとどまっております。
 また、卒業できる生徒の比率でございますが、夜間定時制課程もかなり高くなっておりまして、平成十二年度に開校した桐ヶ丘高校の一期生、これは入学者の七五%以上が卒業してございます。
 卒業生の中の進路の決定している者の状況でございますが、定時制課程全体では例年五割に満たないという状況なのに対しまして、平成十七年度のチャレンジスクール卒業生全体では、六割以上の者の進路が決定しているということでございます。

○原田委員 定時制の再編成ということで進んだチャレンジスクールでございますけれども、チャレンジスクールがこのような成果を上げた大きな要因ということでいうと、どんなことが挙げられるのでしょうか、お伺いします。

○新井学校経営指導・都立高校改革推進担当部長 チャレンジスクールでは、単位制、総合学科、昼夜間三部制の特色を生かしまして、不登校傾向にあった生徒も積極的に取り組めるように、多様な選択科目を用意し、体験学習を取り入れまして、社会に出てからもすぐに役に立つ実用的な科目などを設置してございます。
 また、義務教育での学習をいま一度学び直したいという生徒でも対応できるように、国語、数学などの教科では、基礎的な内容を取り扱う科目を設置したり、習熟度別学習を実施するとともに、スクールカウンセラーを配置して心のケアを行うなど、生徒に対してきめ細かな対応を実施しております。
 このような取り組みによりまして、退学者の減少につなげる等の成果を上げているものというふうに考えております。

○原田委員 定時制スクールそのものも、普通校と比べて、人員の配置が厚いというようなこともいわれているんですけれども、とにかく、習熟度別学習もカウンセラーも心のケアもしっかり人をつけて、手厚い対応の結果ということで、こちらも評価したいと思います。
 それで、チャレンジスクール五校というと、すべて二十三区内に設置されているということがございます。今後、チャレンジスクールを多摩地区へ設置するという予定はないのでしょうか。

○新井学校経営指導・都立高校改革推進担当部長 現在、チャレンジスクールを多摩地区に設置するという予定はございません。しかしながら、十三年度に設置いたしましたチャレンジスクールであります世田谷泉高校では、多摩地区の生徒を過半数以上受け入れておりますほか、平成十九年度に開設いたします稔ヶ丘高等学校も、区部北西部に位置しまして、多摩地区の生徒を多数受け入れていくことが想定されてあります。
 また、平成十九年度に開設します八王子拓真高等学校には、二クラス規模のチャレンジ枠を用意しておりまして、これによりまして、多摩地区でチャレンジスクールへの進学を希望している生徒に対応していくことを考えてございます。

○原田委員 前にも述べましたけれども、チャレンジスクールの倍率が二倍以上ということで、半分の生徒が入学できない状況にあるわけです。
 今後、八王子拓真高校にチャレンジ枠というようなお話でしたが、この状況を見ながら、多摩地区にチャレンジ校の設置を検討してほしいと考えます。よろしくお願いします。
 そしてまた、都立高校の役割は何かという問いに対して、いろいろなご意見をお持ちの方があると思いますが、私は、まさに子どもたちに学ぶチャンスを保障していくことだと考えております。一度挫折を味わった子どもたちが力をつけて社会に出ていくとき、挫折を味わわない場合よりももっと力強く生きていけるはずです。将来ある子どもたちの可能性を信じ、学びの場をもっと広げていただきたい、そう考えております。よろしくお願いします。
 次に、東京都公立学校の職員の障害者雇用についてお伺いしたいと思います。
 国も自治体も、障害者雇用促進法に基づき、さまざまな事業者へ障害者雇用率達成の働きかけを行っています。民間企業の雇用率は一・八%、官公庁は二・一%、都道府県教育委員会は二・〇%が義務づけられています。達成できない民間企業にはペナルティーが課せられています。
 全国の教育委員会では、法定雇用率達成に向けて、関係者の懸命な努力が続いているわけですが、そこで、東京都の公立学校の教員における平成十七年度の障害者雇用状況をお伺いします。

○松田人事部長 平成十七年度の東京都公立学校の教員における障害者雇用の状況でございますが、小学校で八十八人、中学校で五十三人、高等学校で六十七人、盲・ろう・養護学校で九十七人となっておりまして、全体で三百五人でございます。

○原田委員 平成十三年度から平成十七年度までの五年間の、教員における障害者雇用率の推移についてお伺いします。

○松田人事部長 障害者雇用率の推移につきましては、平成十三年度〇・八八%でございますが、平成十七年度は一・五一%に上昇をしております。
 なお、事務局職員や学校事務職員を合わせました東京都教育委員会全体の障害者雇用率は、平成十七年度で一・七四%でございまして、全国平均の一・三三%を上回っている状況でございます。

○原田委員 平均より上回っているとはいえ、法定雇用率を大きく下回っているという状況ですが、やっぱり公的機関である教育庁での障害者雇用の取り組みというのは、私は喫緊の課題だと思っております。
 ところで、平成十三年度から平成十七年度までの五年間、教員採用選考における障害のある受験者と採用者の状況はどうであったか、お伺いします。

○松田人事部長 教員採用選考における障害のある受験者と採用者の状況でございますが、平成十三年度から十七年度の五カ年間で、受験者は延べ百十四名、採用者は十四名でございます。

○原田委員 ちなみに、十七年度は二十八人の方が受験して、採用された人はいないというような現状だったようです。教員採用選考において障害のある受験者や採用者が少ない理由は何か、どんな対策を行ってきたか、今後どんな取り組みをしていくのか、その点についてお伺いします。

○松田人事部長 教員の採用選考におきましては、受験資格といたしまして、教員免許状を既に取得している、もしくは取得予定があるということが要件となっております。各大学におきましても、個別のデータはないわけですけれども、障害のある方で教員免許状の取得者は少ないのが実態と聞いております。したがいまして、受験生も少なく、合格して採用に至る教員数も少ない状況となっております。
 東京都教育委員会では、障害者が受験しやすい環境づくりのために、これまでも、障害の程度に応じまして、点字や拡大文字の使用、試験時間の延長、試験会場での手話通訳者の配置、車いすによる受験者への配慮などを行ってまいりました。
 また、本年度は、障害者向けの選考要綱を別途作成いたしまして、受験者へのPRを図ってきたところでございます。
 今後とも、より一層の受験者の拡大を図ってまいりたいと考えております。

○原田委員 より一層の拡大を図るということで期待はしたいんですけれども、まずは徹底したPRだと思います。大学への働きかけはもちろん、高校での進路指導の中で、大学志望者の障害者の選択肢の一つとして、教員になることも基本にしてもらえるような状況をつくっていくことだと思います。そのための対策として、採用時の障害者の雇用枠を設定したり、奨学金の優遇制度なども含めて、何らかの対策をとっていくべきだと考えます。
 養護学校などの学校に通う障害を持った児童や生徒にとっても、教員として活躍している障害者の存在は大変強い感銘を与えるものであり、高校や大学に向けた進路指導にも参考になる事例と考えます。
 また、地域の学校に障害のある先生がいることも、また同じようなことがいえると思いますし、加えて、学校全体のバリアフリーが進み、父母の皆様への何よりの啓発になると考えます。さらなる統合教育を進める契機になるわけですから、障害者の雇用について、さらに積極的な取り組みをお願いします。
 次に、教員の研修についてお伺いしたいと思います。
 平成十七年度に行われた東京都公立学校の教員向け必修研修について、主な研修名と受講者数をまずお伺いします。

○岩佐指導部長 必修研修は、教育公務員特例法などに基づきまして、すべての教員が教職経験に応じて、教員としての使命感や幅広い知見、実践的指導力等を身につけることを目的としている重要な研修でございます。
 平成十七年度に東京都教職員研修センターが実施いたしました主な教諭向けの必修研修といたしましては、初任者研修、都立学校二・三年次授業研究、都立学校四年次授業観察、十年経験者研修がございます。受験者数は、初任者研修が五百五十七名、都立学校二・三年次授業研究が六百三十七名、都立学校四年次授業観察が二百九名、十年経験者研修が七百四十五名でございます。

○原田委員 よく地域に戻りますと、うちの先生はとても研究熱心だから研修が多くて、子どもたちが結構自習する機会が多いんですというようなこともいわれていますが、例えば、これらの研修に対応するために、出席する教員の補充ということでいいますと、どのような状況になっているのでしょうか、お伺いします。

○松田人事部長 都教育委員会は、初任者研修につきまして、初任者が研修へ参加する時間及び指導教員が初任者の授業の観察指導に当たる時間への補充といたしまして、週当たり十時間を上限として、非常勤講師の配置を行っております。
 なお、再雇用職員が配置されている場合は、当該再雇用職員を充てております。
 また、年間を通じて、大学院等への研修、あるいはおおむね一カ月以上にわたる研修につきましては、校内体制の状況を勘案しまして、正規教員の配置や講師時数の措置をしております。
 都教育委員会といたしましては、今後とも、研修の実施状況を把握しまして、適切な対応に努めてまいります。

○原田委員 初任者研修は、講師の派遣などということが保障されているというか、配慮がちゃんとされているわけですけれども、そのほかの必須研修などに人事上の配慮がない理由をお伺いします。

○松田人事部長 研修の日数が短く、講師の措置を行わない場合の対応につきましては、時間割りの組みかえ、再雇用職員や空き時間の教員が対応するなど、学校全体の工夫によりまして対応しております。
 なお、研修の実施に当たりましては、可能な限り長期休業期間中に研修日程を設定するほか、学期中であっても、極力午後に研修の時間を定めるなど、授業等への影響が少なくなるように努めております。

○原田委員 非常勤講師が任用されているというような話がありますが、その非常勤講師、どんな仕組みで支援をしているというふうなことになるのか、お教えください。

○松田人事部長 非常勤講師は、都立学校等に勤務する教員で、常時勤務することを要しない者をいいます。主に、一つの教科の授業時数が常勤の教員が持つべき時間数に満たない場合や、初任者研修対応、常勤の教員が病気等で一時的に欠員になった場合などに任用をしております。

○原田委員 それでは、必修以外の研修というのはどのぐらいの数というか、分量があるのか、ご説明ください。

○岩佐指導部長 必修研修以外の研修といたしましては、職層研修と選択課題研修がございます。職層研修は、主幹任用前研修や都立学校主任研修など、職に必要な能力の開発、向上を目指すものでございます。また、選択課題研修は、教科等研修など、各教員が教職経験に応じたそれぞれの研修計画に基づきまして自己の資質、能力を高めることを目指すものでございます。

○原田委員 今のお話ですけれども、職層研修というのは、管理職の立場の人などが必ず受けなければならない種類の研修のようでございます。そしてまた、選択教科課題研修ということでいいますと、例えば、これから質問しようとします特別支援教育のリーダーの研修とか、また食育リーダーの研修とか、さまざまな研修が入っていて、学校の先生の研修というのは本当に多いなというふうに考えられますし、その研修後はレポート提出などが義務づけられている場合が多くて、先生の質の向上というと本当に父母の皆さんの要望の中に出てくるわけですが、大変忙しい状況をつくっているということが一方ではあるわけです。
 初任者研修以外は、校内の先生の協力で基本的には対応されていますが、その体制も生徒やクラスの状況で先生方の大変な重荷にもなり得るということで、安心して研修に専念できる状況をつくっていくことが、先生にとっても子どもにとっても望ましいというふうに思います。
 そこで、研修日程が学校に通知されるのはいつごろでしょうか。

○岩佐指導部長 各学校が次年度の教育計画を策定する際に参考になるように、前年度末には研修日程を通知しているところでございます。
 平成十八年度の研修日程は、本年二月に各学校等に通知をいたしたところでございます。

○原田委員 大体の研修日程は前年度末に決定されるということでしたが、次の年度にどのような体制をとっていくかということは、どういう日程を選択するかでわかるような仕組みになっているようです。
 非常勤講師の派遣に関しては、さまざまな場合に対応している--病欠の場合とか、常勤の先生が何らかの理由で、ちょっとの期間が欠席になるようなところでも派遣しているというようなこともございます。学校は今多くの課題が山積していて、課題を抱えている先生の忙しさというのは想像を超えるようです。研修の多くの場合は校内の協力で行えるにしても、研修を支える仕組みとして、非常勤講師などを使えるようにすることが私は望ましいと考えております。
 そしてまた、これは最近出た十月二十五日の新聞ですけれども、仕事の過労とストレスでうつ状態になり自殺した新宿区の小学校の先生、初任の女性の先生だということですが、この方はとてもまじめな方で、一生懸命研修をこなして、授業の準備やレポート提出などに追われていたということで、大変忙しい状況で、過労死というような公害認定をご両親が申請したということが報道されています。
 こんな状況があるということも念頭に入れながら、先生の望ましい研修について考えていただきたいと思いますが、また何といっても、ある期間経過した先生の研修年を設定して、十年の研修といっても日程がぱらぱらだから派遣ができないというようなお話もありましたけれども、この年は研修の年にしてクラス担任を外してあげるとか、その年にいろいろな研修をまとめてやってもらう、学校経営に加わらないようにするということも、落ちついて研修に取り組めるような状況ではないかと思いますし、また、何といっても、人としての魅力というのが子どもを引きつける大きな要素ですから、研修内容について今回は触れませんでしたが、海外へのボランティア研修など、先生自身の人間性を高めるような思い切った長時間の研修も考えるときではないかと考えます。
 先生の職場は、先生の創意工夫が生かされ、魅力ある職場にすることがいい人材を確保できるということにつながると思います。ぜひ、この研修のあり方、考えていただきたいと思います。
 次に、特別支援教育についてお伺いします。
 障害のある児童生徒の教育については、一般的には、盲・ろう・養護学校や心身障害児学級において指導するような体制となっていますが、平成十五年度の東京都教育委員会の調査では、小学校、中学校の中にも、軽度発達障害により、学習面や学校生活面などで、個別の配慮や支援が必要な児童生徒が約四・四%在籍しているという実態が明らかになりました。
 平成十九年四月からの学校教育法の一部改正の施行は、このような実態を踏まえ、今まで限られた場での特殊教育から、新たに一人一人の教育的ニーズに応じた支援を行っていく特別支援教育への大きな教育システムの転換とともに、ノーマライゼーション社会の現実を目指した障害に対する意識の転換を図るものであると考えています。
 東京都では、平成十六年度に策定した東京都特別支援教育推進計画に基づき、平成十九年度から全都で特別支援教育が展開されるようになると伺っていますが、この特別支援教育を推進していくには、やはり一人一人の児童生徒の教育的ニーズを的確に把握し、支援計画を策定していくことがキーポイントになるのではないかと考えています。
 既に、盲・ろう・養護学校においては、全校でこのような個別教育支援計画の策定、活用が行われているようですが、小中学校においてはこれから準備を進めているところも多い状況です。まさに、平成十七年度は施行に向けての準備の動きが地域で起きている年、年度といえます。
 そこで、まず、小中学校の通常学級で作成されることになる個別教育支援計画はどのような内容のものであるか、また、小中学校で作成することの意義は何か、お伺いします。

○岩佐指導部長 個別の教育支援計画は、障害のある児童生徒一人一人の障害の状況や程度、また将来の進路希望等に基づきまして、教育、保健医療、福祉、労働などの関係機関が連携いたしまして、具体的な支援の目標や内容、関係機関の役割分担などについての計画を策定するためにつくるものでございます。
 小学校や中学校の通常の学級におきましても、軽度の発達障害などによりまして、学習面や生活面、または人間関係やコミュニケーションの面などで、さまざまな個別の支援を必要としている児童生徒がおります。
 そのような児童生徒に対しましては、盲・ろう・養護学校と同様に、個別の教育支援計画を作成し、本人や保護者に対しまして必要となる支援を計画的に行っていくことが重要でございます。

○原田委員 特別支援教育を推進していく中で、個別の教育支援計画というのは、小中学校においても大変重要だというふうに私も認識しています。しかし、さまざまな障害の実態を的確に把握しなければならないわけですし、また関係機関との連携調整など、個別の教育支援計画を作成するにはかなり専門的な知識や理解が必要だと思います。これを通常学級の担任の先生方が作成するというのは大変難しい困難なことではないかと思います。
 そこで伺いますが、小学校や中学校の所管はもちろん、区市町村教育委員会で平成十九年度から全都で個別支援計画の実施に向けていくということをうたっているわけですけれども、都の教育委員会として市区町村にどんな支援を行っていこうとしているのか、お伺いします。

○岩佐指導部長 小中学校におきまして特別支援教育を推進していくためには、すべての教員が軽度の発達障害等を理解し、適切に指導や支援を行うことが重要でございます。
 そのためには、各学校におきまして、一人一人の児童生徒への具体的な支援内容を検討する校内委員会を設置いたしまして、特別支援教育を推進する中心役となります特別支援教育コーディネーターを指名することが必要でございます。
 都教育委員会としては、平成十六年度から特別支援教育コーディネーターの養成研修を実施いたしまして、区市町村教育委員会と連携し、平成十九年度を目途に、すべての小中学校において、特別支援教育コーディネーターを指名できるように努めているところでございます。

○原田委員 特別支援教育コーディネーターの役割が大変重要なものであると思いますし、この役割は先生の中から指名されるというような構造にもなっています。
 平成十六年度から特別支援コーディネーターの研修を実施しているということですが、研修内容、そしてまたその研修が本当に市区町村の特別支援教育の推進に効果的なものとなっているのか、その点についてもお伺いしたいと思います。

○岩佐指導部長 平成十六年度より東京都教職員研修センターにおいて実施しております特別支援教育コーディネーター養成研修は、各区市教育委員会から一名ずつ推薦されました小中学校の教員を対象としております。
 主な研修の内容は、軽度の発達障害のある児童生徒の指導内容、方法、校内支援体制の役割と機能、個別の教育支援計画の作成と活用、関係機関との連携などの講義や実技が中心でございまして、年間十回、計三十時間の研修となっております。
 また、この研修修了者は、各区市におきまして、特別支援教育コーディネーター研修の講師になるなどいたしまして、各区市におきまして、特別支援教育推進の中核的な役割を担っているところでございます。

○原田委員 各区市町村からの代表が年十回、三十時間の研修を受けて、区市町村に戻って、この研修を各学校の代表者にどのぐらい伝えられるのでしょうか。また、その講習を聞いた人たちが学校に帰って、全校の先生方に伝えるというような仕組みのようですが、どこまできちっと伝わっていくか、まだまだ不確定な要素があると思います。研修を受けた先生の転勤ももちろんあるわけですから、学校の現場としては大変心配な要素になっていると思います。
 また、特別支援コーディネーターは、今再三話がありましたけれども、各学校の教員を指名しているものですが、心身障害学級が設置されている学校ならばノウハウがあるかもしれません。学校によっては教師だけで専門的なところがわからないということが多く、個別の教育支援計画の作成に手間取っているとも聞いています。
 前にも述べましたが、専門家や専門機関の協力や支援が必要不可欠であると思いますが、各学校が専門機関と連携して個別の教育支援を作成することができるような体制が今できているのでしょうか、お伺いします。

○岩佐指導部長 平成十六年度より特別支援教育体制モデル事業を四区市において実施をいたしまして、医療機関や発達心理等を専門とする大学機関、また近隣の盲・ろう・養護学校のコーディネーターなどと連携をいたしまして、各学校に巡回相談を実施したり、専門家を派遣したりするなどして、個別の教育支援計画の作成などへの支援を行って成果を上げているところでございます。
 また、平成十七年度の全都の状況といたしましては、このような巡回相談は五四%、専門家の派遣は二五%の学校で実施されているところでございます。
 今後、モデル事業で成果を上げている事例の報告会を開催したり、リーフレット等で情報提供したりするなどして、すべての区市町村が特別支援教育の体制を構築できるように支援してまいります。

○原田委員 専門家の連携というと、医療関係、大学の研究室等考えられるわけなんですけれども、一人一人の子どもを観察して、診断し、アドバイスなどを行うということなので、ボランティアという範囲を超えていると考えます。この費用については、市区町村の仕事というような見解のようですが、これを含めた都の教育委員会の支援が求められると考えています。
 ところで、この個別教育支援計画については、盲・ろう・養護学校の高等部において、職業教育の充実を図るとともに、将来の就労支援の取り組みとも連動させて、個別移行支援計画として作成していると聞いていますが、この個別移行支援計画の作成の意義と職業教育等の充実の具体的な支援についてお伺いします。

○岩佐指導部長 個別移行支援計画は、小中学部で作成いたしました個別の教育支援計画をもとに、卒業後の社会参加、自立に向けての支援体制を構築するために作成するものでございます。
 この個別移行支援計画に基づきまして、生徒一人一人の卒業後の社会参加、自立に向けまして、企業、労働、福祉等の関係者と合同で支援会議を開催いたしまして、生徒の進路希望の実現に向けた作業学習や現場学習、現場実習の内容の検討を行ったり、卒業後も盲・ろう・養護学校の教員が就労先を巡回いたしまして、雇用の定着に向けた環境調整を行ったりしているところでございます。

○原田委員 軽度発達障害の子どもたちは、普通学校や定時制、先ほど取り上げましたチャレンジスクールなどへの進学を選択する子どもたちも多いと思います。この就労支援という中で、普通学校に進学した子どもたちが入っていないようになっているのは少し問題ではないかと思います。個別支援計画に基づいて、子どもの発達状況を確認しながら進めるという理念に基づいているわけですから、子どもたちの存在もしっかり押さえて、社会参加、自立に向けてフォローする仕組みをぜひ考えていただきたいと思います。
 また、特別支援コーディネーターの研修、特殊教諭免許取得の推進など専門性を高めるということは、計画に位置づけられているわけですが、小中学校における特別支援計画に対応する人の配置などが大変重要だと思います。このままの体制ではなかなかこの特別支援教育を展開し切れない、そのような危惧もするものですが、この点についてご答弁をお願いします。

○荒屋参事 小中学校における特別支援教育のための体制については、基本的には設置者である区市町村において整備をしておりますが、都教育委員会といたしましても、先ほどの答弁にありました特別支援教育体制モデル事業における区市の体制について、情報提供を行っておるところであります。
 また、国に対しましては、従来より、特別支援体制に必要な教員配置等のための財源措置について要望しているところであり、引き続き要望してまいります。

○原田委員 この特別支援教育というのは、子どもたちとしっかり向き合っていこう、特に、障害のある子どもたち一人一人の障害を個性と位置づけてしっかりつき合っていこうというような、まさに教育の質を変えるものであり、手厚い人員配置は不可欠だと思っております。先生と生徒がしっかり向き合える時間を保障していくことが教育委員会の役割だと考えます。
 国の人員配置が間に合わなかったら、都の責任でぜひ人員配置の体制をつくっていただきたいと要望して、質問を終わります。

○遠藤委員 私の方からは、大きく分けて二点お伺いいたします。
 まず最初は、都立高校の教育環境の改善、とりわけ冷房設備の導入についてであります。
 平成十七年度の教育庁の決算説明書、一一七ページに施設整備費とございます。この中には盲・ろう・養護学校の環境改善事業があります。この事業は、盲・ろう・養護学校の普通教室に計画的に冷房施設の設置を進める、こういうものですが、十七年度をもちまして、この事業すべて、盲・ろう・養護学校の普通教室に冷房設備の整備が完了した、こういうことでございます。
 近年の夏の暑さは、皆様方も本当によく体感するとおり、昔の暑さとは全く質が違うわけであります。また期間も大分長いということで、こうした気象状況等々も踏まえて、私の地元の大田区では、ことしの夏から区内のすべての小中学校の普通教室に冷房が入るということになりました。区部を初め、他の県でも、都市部では次々と小中学校については普通教室の冷房化、着実に進んでおるという現状がございます。
 また、一方、高等学校における冷房の普及状況について見ますと、都内の私立高校につきましては、ほぼ一〇〇%に近い状況でありますし、他府県の公立高校においても、都市部を中心にほぼ全国的な動きとなっておりまして、行政の設置以外でも、PTAによる自主設置なども加えて、さまざまな形で普通教室への冷房設備の普及整備が進んでおるわけでございます。
 しかしながら、残念ながら、東京都におきましては、都立高校の普通教室の冷房設備の整備につきましては、これまで極めて限定的でございました。航空機騒音や高速道路、または幹線道路沿いにある学校といった、いわば交通量の交通騒音が高いところ、こうしたところでは学校に整備されておりますけれども、それ以外の約三分の二の学校はほとんど冷房がないという中で、まさしく苦学しているというのが現状であります。
 昨今、夏場の教育活動を取り巻く環境が大きく変わっている中で、都立高校におきましても、普通教室の冷房化、冷房設置に対する生徒や保護者、そして先生方の要望がますます切実な問題となっております。
 先日、教育庁の皆さんにもご協力いただきまして、九月の十五日に、公明党として、公立の中高一貫教育としては四校目となる、ことし四月開校の東京都立桜修館中等教育学校を視察してまいりました。
 校長先生初め教員の皆さんとの懇談の中では、現場の声として、例えば、教員、生徒とも、エアコン設置による地球温暖化は十分懸念しているけれども、我慢にも限界があります、こういった声や、こちらは中高一貫ですので、高校生は何とか工夫をしてしのいでいるけれども、小学校から上がったばかりの中学生は、午後になるとエネルギー切れで放心状態だと。笑い話のようですけれども、高校生は午前中はじっと体を動かさないで体力温存していると。しかし中学生は朝から元気いっぱい授業に臨むので、午後になるともう放心状態。年代の体力の問題いろいろありますけれども、こうした声が聞かれました。また保護者からも、子どもの湿疹が夏場はひどくて大変だ、何とかしてもらいたい、こういう声が学校に寄せられているというご報告をいただきました。
 実は、この視察の前日の夜に、地元の大田区で都立高校の先生をしている方とも偶然出会いまして、そこで、何とか遠藤さん、何とかクーラーお願いしますよと直訴されたわけでございますけれども、この先生の話によれば、ただでさえ、普通の授業をするのも大変な先生方が、この暑さと過労で入院する先生もいたりして、もう死者が出ても決して不思議ではないんですと真剣に語っておられたのが大変印象的でありました。
 我が党は、こうした状況を踏まえて、本年の第一回並びに第二回定例会の中で、高等学校普通教室への冷房施設の早期導入の必要性について提言をいたしておりました。その結果、ことしの四月に、都立高校教育環境改善検討委員会が庁内に発足されて、その検討の資料や議論の様子が詳細に庁のホームページに掲載をされております。
 これを見ますと、さまざまな角度から、都教委が本気になって、都立高校の普通教室への冷房化の検討を含めて、教育環境の改善のあり方について、真剣に前向きに検討していただいているんだなということを心強く思う次第でございます。
 そこで、まず伺います。この検討委員会について、これは六月の第二回定例会でもさまざまな質疑がありましたが、その後の検討状況について、また進捗状況について、まずお伺いいたします。

○山川学務部長 都立高校教育環境改善検討委員会は、平成十八年四月二十四日に第一回を開催いたしまして、都立高校の教育環境改善策について、現在までに五回の検討を重ね、多角的、総合的な見地から調査検討を行っている最中でございます。また、七月の委員会では、夏における学校現場での授業中の実態把握も行ったところでございます。
 これまでの検討の中で、今では都立高校の教室においても空調が必要な状況となっているとの共通理解と、空調設備に当たっては、あわせて学校全体の中で省エネルギー化を図るとともに、効率的な環境対策にも努めていくことが必要との方向性が示されているところでございます。

○遠藤委員 総合的な学校の環境対策、もちろん重要であると思いますが、教室の冷房化は最優先すべき課題だろうと思います。
 先日、教育庁の方より、来年度の主要事業予算見積もりについてご説明をいただきました。この中で、都立学校への空調設備--冷房設備でございますけれども、その導入事業が挙げられ、都立高校もその対象となっていますが、その内容について改めて確認をしたいと思います。

○山川学務部長 教育環境改善対策につきましては、まだ検討委員会で検討中でございますが、教育委員会としては、十九年度の予算要求で、都立高校の普通教室及び食堂の空調設備の整備と、都立高校における省エネルギー化や環境対策について要求しているところでございます。

○遠藤委員 教育庁の皆さん、また検討委員会の皆さんのご尽力に心から敬意を表したいと思います。
 さて、この平成十九年度主要事業予算見積もりの中でも、この空調設備の導入と並行して、都立学校の環境対策事業も挙げられております。とかく冷房設置の計画となると、もう冷房がついて涼しくなったから一丁上がり、終わりと、こういう風潮になりがちですけれども、この検討委員会では、環境問題全般について真正面から取り組んでいくという姿勢が強くうかがわれます。この点についても公明党としても高く評価したいと思います。
 特に、都立学校は、都内の全域に点在してその施設数も多く、さまざまな取り組みの可能性があると考えます。
 こうした観点に立って、今後、この検討委員会でさらに検討していく課題とその見通しについて伺います。

○山川学務部長 今後、検討委員会では、これまでの議論の整理を行うとともに、空調設備の導入後の留意点や費用負担のあり方などについても議論をいただき、年度内に報告書としてまとめていきたいというふうに考えております。
 東京都教育委員会は、この検討委員会の結果を踏まえ、都立高校の教育環境の整備が着実に進められるよう努めてまいります。

○遠藤委員 都立高校の普通教室の冷房設置は、学校関係者が長年待ち望んでいたものです。検討委員会で前向きに議論されることによって、生徒や保護者、そして現場で働く教職員の皆さんの夢がようやく実を結ぼうとしているわけでございます。どうか一日も早く実現されますことを改めて要望して、次の質問に入らせていただきます。
 本年三月の第一回定例会の一般質問で、私は、不登校対策に関連して、ITを使った自宅学習について質問いたしました。本日も、教育現場におけるITの利用促進に関して若干質問をさせていただきます。
 都教育委員会では、平成十四年の十月に策定した都立高校改革推進計画に基づいて、平成十五年度から十七年度までの三カ年、ITを活用した教育推進校として、都立北園高校、府中西高校をそれに指定し、授業革新を行ってきました。
 そして、この二校の実践を踏まえて、ITを活用した教育のあり方や今後に必要な環境整備などについて検証して、その成果を他の都立高校に広めて、ITを活用した教育を推進してきたところであります。
 さらに平成十七年度からは、都立の砂川高校がこのITを活用した教育推進校に指定をされました。平成十七年度の決算説明書、八七ページにある高等学校費の中の管理費の中で、この都立砂川高校における学習用コンテンツ、このコンテンツはウエブサイト上の学習教材、こう訳すのが適切かと思いますけれども、この学習用コンテンツの開発費として一千二百万円の事業費が計上されております。
 砂川高校は、平成十七年四月に、昼夜間定時制課程と通信制課程を併設する単位制高校として開校いたしました。経済社会情勢が著しく変化する中で、生徒みずからの判断で勉強する場所や時間、そして学習内容を自由に選択できることは大変望ましいことと考えますし、通信制課程はその教育を実践できる場であると思っております。
 ところで、この砂川高校では、授業や学習を支援するために、生徒一人一人の学習の進捗状況を、コンピューターを使って確認して指導に生かすというe-ラーニングシステムが導入されておりますし、さらに、さきにも述べましたとおり、学習用コンテンツなどの開発などを行って、生徒の学習に対する興味や関心、そして基礎、基本の確実な定着を図っているようでございます。
 そこで、まず伺います。この砂川高校で開発された学習用コンテンツの数とその活用状況についてご説明いただきたいと思います。

○岩佐指導部長 砂川高校では、平成十六、十七年度の二年間に四十五科目、三千百八十二点の学習コンテンツを開発したところでございます。教員が学習コンテンツの動画や音声を用いて、わかりやすく授業を行ったり、生徒が学習コンテンツを用いまして予習あるいは復習をしたりするなどして活用を図っているところでございます。

○遠藤委員 答弁によりますと、学習用コンテンツ四十五科目、三千百点を超える、このような内容でございます。
 事前にいただきました説明によりますと、このコンテンツの開発には、平成十六年、十七年の二カ年で五十一人の砂川高校の先生方が携わったということであります。このコンテンツは、都の教育活動において私は極めて貴重な財産であろうと思います。この砂川高校の定時制や通信制の生徒さんが利用されるのはもちろんではございますけれども、例えば、学習意欲はあるものの、体や心の状態でどうしても通学できない、こうした子どもさんたちや、また経済、社会的な理由で高校入学を断念された方たちで、一定のゆとりができたからぜひ高校の勉強をやりたい、こう考えている方は、年代を問わず都内にも多数いらっしゃるかと思います。
 他の都立高校への展開はもちろんではございますけれども、将来的にはこうした方々へも広くこのコンテンツを開放して、単位認定をしていくとか、または生涯学習にも応用していくとかということがあってしかるべきだと思います。
 そこで、まず手始めに、砂川高校の先生方が本当に苦心されてつくられた学習用コンテンツを、都内すべての高校生が活用できるようにすべきだと思います。いかがでしょうか。

○岩佐指導部長 都教育委員会は、砂川高校が作成いたしました学習コンテンツを全都の高校生が活用することができるように、環境の構築に努めてまいりたいと思います。

○遠藤委員 明快な答弁ありがとうございます。
 実施に向けては、コンテンツ内容の精査ですとか、またはシステムの整備、またはネットワークの確立など、運用面での課題もたくさんあろうかと思います。ぜひとも、教育庁の英知を結集して、総力を挙げてしていただきたいと思います。
 ちょうど、公会計のシステムが、我が党の議員の提案によりいよいよ始まりました。知事は、このシステム、大変いいものなんで、東京都にとどめないで、欲しいところには全部このノウハウを提供すべきだと、このようにおっしゃられておりました。
 ぜひとも、この学習用コンテンツにつきましても、東京発、できれば全国いろんなところで活用していただけるような内容にするためにも、教育庁の皆さんの英知を改めて結集していただきたいことをお願いし、質問を終わります。ありがとうございました。

○相川委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○相川委員長 異議なしと認め、本件に対する質疑は終了いたしました。
 以上で教育庁関係を終わります。
 以上をもちまして第二分科会における決算の審査は終了いたしました。
 なお、本分科会の審査報告につきましては、分科会委員長において取りまとめの上、委員会委員長に提出いたしますので、ご了承願います。
 これをもちまして第二分科会を閉会いたします。
   午後三時五十七分散会

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