各会計決算特別委員会第二分科会速記録第四号

平成十八年十月二十五日(水曜日)
第十委員会室
   午後一時二分開議
 出席委員 十名
委員長相川  博君
副委員長高橋かずみ君
副委員長清水ひで子君
遠藤  守君
原田 恭子君
神林  茂君
伊藤まさき君
吉倉 正美君
増子 博樹君
吉野 利明君

 欠席委員 なし

 出席説明員
生活文化局局長渡辺日佐夫君
次長荒川  満君
総務部長山本 洋一君
広報広聴部長高西 新子君
都民生活部長和田 正幸君
消費生活部長宮川 雄司君
私学部長新行内孝男君
文化振興部長杉谷 正則君
参事萩原まき子君
参事産形  稔君
参事角田由理子君

本日の会議に付した事件
 平成十七年度東京都各会計歳入歳出決算の認定について
生活文化局関係
・平成十七年度東京都一般会計決算(質疑)

○相川委員長 ただいまから平成十七年度各会計決算特別委員会第二分科会を開会いたします。
 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、生活文化局関係の決算に対する質疑を行います。よろしくお願いいたします。
 これより生活文化局関係に入ります。
 決算の審査を行います。
 平成十七年度東京都一般会計決算中、生活文化局所管分を議題といたします。
 本件につきましては、既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料はお手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○山本総務部長 去る十月十一日の当分科会において要求のございました資料についてご説明申し上げます。
 お手元に配布の平成十七年度各会計決算特別委員会第二分科会要求資料の表紙をおめくり願います。目次に記載のとおり、1、東京ウィメンズプラザの相談件数の推移外四件の資料を記載しております。
 それでは、一ページをお開きください。1、東京ウィメンズプラザの相談件数の推移でございます。
 平成十三年度から平成十七年度までの過去五年間について、一般相談及び特別相談の区分ごとに、ウィメンズプラザに寄せられた相談件数を記載しております。
 二ページをお開きください。2、東京ウィメンズプラザ図書資料室における図書購入経費の決算の推移でございます。
 平成十三年度から平成十七年度までの過去五年間について、ウィメンズプラザにおける図書購入に係る決算額の推移を記載しております。
 三ページをお開き願います。3、消費生活相談件数の推移及び特徴でございます。
 平成十三年度から平成十七年度までの過去五年間について、東京都消費生活総合センター及び各区市町村に寄せられた相談件数の推移並びに各年度において顕著に増加した相談事項をそれぞれ記載しております。
 四ページをお開き願います。都立文化施設等に係る予算及び決算の推移でございます。
 表の左側に記載の施設別に、平成十四年度から平成十八年度までの予算額及び決算額を記載しております。
 五ページをお開き願います。5、文化振興施策に係る予算及び決算の推移でございます。
 表の左側に記載の区分ごとに、平成十四年度から平成十八年度までの予算額及び決算額を、また、備考欄には、当該事業区分に係る主な事業等をそれぞれ記載しております。
 以上、簡単ではございますが、要求資料の説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○相川委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めて、これより本件に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○神林委員 生活文化局のトップでございますので、まず初めに、総括的なことについてお聞きいたします。
 私は決算審査で大事なことは、当然のことながら、単なる計数合わせではなく、当該年度に編成された予算がどのように使われ、そのことによって施策がどう施行され、また、どのような成果を上げることができたのかを評価することが大事だと考えております。さらに、その決算の評価や反省のもとに、翌年度以降の予算編成や施策展開が構築されるべきであります。
 そこで、まず、生活文化局として、平成十七年度の予算編成に当たっては、どのような施策課題があったのか、そして、今回の決算を迎えて、その結果がどのように具体化され、また、十分な成果が得られたのか、伺います。

○山本総務部長 平成十七年度における当局の課題は、十六年度に相談件数が十万件にも及びました架空不当請求による消費者被害への対応、少子化の進展等を踏まえた教育・保育ニーズの充実、さらには、十六年秋に発生した新潟中越地震の教訓を生かした学校の耐震化などが主なものでございました。
 架空不当請求問題については、相談員六名を増員し、専用の相談窓口を設置するなど緊急対策を実施いたしまして、相談件数は大幅な減少に転じたところでございます。
 また、子育て家庭の多様なニーズにこたえるため、私立幼稚園が実施する預かり保育に対する補助単価の大幅な引き上げを行ったほか、私立学校耐震化につきましても、十六年度終了予定であった補助事業を延長いたしまして、十八校の耐震化工事を実施した結果、十七年度末には、預かり保育の実施率は七四・五%から七六・一%に、学校耐震化率も六四・六%から六七・四%にそれぞれ向上したところでございます。

○神林委員 今、るるご説明ありましたけれども、ぜひこの反省を次年度以降の要望に反映させていただきたいと思います。
 生活文化局では、平成十七年度も含め、過去三カ年見ても、十六年度には都民協働部を都民生活部に再編、十七年度に青少年対策及び交通安全対策部門を新たにできた青少年・治安対策本部に移管、十八年度には教育庁から財団法人東京都交響楽団の移管を受けております。これら組織再編は、社会経済状況の変化に的確に対応するとともに、それにより効果、効率的な事務推進がなされなければなりませんし、事業のスクラップ・アンド・ビルドや職員の再配置などによって、組織のスリム化、効率化が図られなくてはなりません。
 本年七月に出された今後の財政運営の指針では、都の財政再建は一つの区切りをつけたとし、今後新たな財政需要に積極的に対応していくためには、ここが大事なところでございますが、内部など各局の主体的な取り組みが必要だとしております。
 そこで、各局が実施する事業の原資は都民の血税なのでございますから、私は内部努力は、財政再建の達成の有無にかかわらず、最少の経費で最大の効果を生むべく、常に取り組むべき課題と考えますが、生活文化局としての取り組み姿勢を伺います。

○山本総務部長 ご指摘のとおり、都民生活にかかわりの深い各種施策を所管しております当局におきましては、社会経済環境の変化に機敏に対応いたしまして、事業、組織の再編を図ってきたところでございます。同時に、事業や人員の見直しも常に行いまして、これまでも旅券発給事務や計量検定所における大型・中型はかりの検査事務の委託化などを実施してきましたほか、十七年度においても支所事務への人材派遣の活用を図ったところであり、今後とも事務事業の効率化に取り組んでまいります。

○神林委員 今もお話ししたとおり、内部努力というのは常にやっていくものだと思いますので、ぜひ引き続きお願いしたいと思います。
 生活文化局では、予算の大半が私学関連の補助金で占められています。こうした外部への補助金や助成金のほか、今後、民間委託や外郭団体への委託が増加していく、いわゆる官から民への流れの中で、一方、公の責務としてチェック機能をどう発揮していくのかがこれからの大きな課題であると考えますが、見解を伺います。

○山本総務部長 ご指摘のとおり、今後民間の活力を積極的に活用していくことは重要でございますが、一方でサービスの低下を招かないよう、あるいは、補助事業が所期の目的を達成できるよう常にチェックし、検証していくことが肝要であると考えております。そのためには、第三者である外部専門家の活用なども図りながら、当局が主体的にチェック機能を果たし、補助・委託事業等の適正かつ効果的な執行を図ってまいります。

○神林委員 それでは、引き続き私学助成についてお伺いいたします。
 私立学校は、創立者の建学の精神に基づく個性豊かな教育活動を実践し、社会の発展に大きく貢献しております。我が国において教育の再生が主要な課題となっている現在、公教育において私学の担う役割はますます重要なものとなっております。
 そのような観点から私学振興について何点か伺いますが、まず、数字として、私立高等学校、中学校、小学校、幼稚園の生徒数、児童数及び公私全体に占める割合を伺います。

○新行内私学部長 都内の私立学校に在籍する児童生徒数とその割合でございますが、平成十七年五月一日現在で申しますと、高等学校で十七万八千七百二十三人、五六・二%、中学校で七万五千九百三十四人、二五・七%、小学校で二万六千五百五十七人、四・六%、幼稚園で十六万三千二百七十四人、九一・〇%となっております。

○神林委員 今お聞きした数字の中でも、高等学校では五割を超え、幼稚園に至っては九割が私学に通っているという現状でございます。社会経済状況が上向いてきたとはいえ、子どもを育てている保護者にとっては私学の教育費の負担感は大きいものがございます。今日、格差を固定させない社会の仕組みづくりが求められている中で、教育分野においても公私選択の自由が確保されることが望ましいが、都は保護者負担を軽減するために助成制度としてどのような施策を講じているか、伺います。

○新行内私学部長 保護者負担を軽減するための助成制度についてのお尋ねでございますが、私立学校に対する基幹的な補助でございます私立学校経常費補助により、児童生徒の修学上の経済的負担の軽減を図りますとともに、この経常費補助を補完するものとして、一定の所得層の保護者を対象とする私立高等学校等特別奨学金補助や、私立幼稚園等園児保護者負担軽減事業費補助等を実施してきまして、効果的な保護者負担軽減が図られるよう努めておるところでございます。

○神林委員 教育条件の維持向上や保護者の負担軽減のため、経常費補助事業を初めとする各種施策を実施していることは評価しておりますけれども、実情を勘案しながら、最大限、今後とも引き続きその拡充、増額を図っていただきたいと存じますので、お願いいたします。
 次に、私学振興に対しては局の予算の九割近くに当たる一千二百億円という経費を投入していますが、その効果をどう認識しているのか。また、これだけ多額の補助金が各学校で適正に執行されているかどうかのチェック体制はどうなっているのか、伺います。

○新行内私学部長 私学助成の効果についてでございますが、都内の私立学校は、公教育の一翼を担うとともに、都民から厚い信頼と高い評価を得ておるところでございます。これは、都内の私立学校が、教育条件の維持向上、修学上の経済的負担の軽減、学校経営の健全性を確保しているからでございまして、東京都の私立学校に対する助成制度がこれらを支えていると考えておるところでございます。
 また、補助金の適正執行の確認に当たりましては、財務諸表の提出を求めますとともに、学校法人の運営にかかわる教員数、生徒数などの基礎数字のヒアリングを実施しまして、加えまして、学校の運営や補助の執行に係る現地調査、指導を年次計画で実施しておるところでございます。
 さらに、監査事務局におきましても、財政援助団体監査等を実施しまして、補助金の適正執行を確保しておるところでございます。

○神林委員 別に私学だけに限ったことではないんですけれども、私ども、例えば元気を出せ商店街でも何でもそうなんですけれども、書類を出すときには、本当に高さにして十センチぐらいの書類の山を書かなければ、なかなか申請ができないというような現場もいろいろ見させていただいております。
 ただ、そういう中で、適正に執行されるかどうかのチェックは、やはり今いったように山のように書類を積み上げて、それが全部書類として成立していればいいという問題じゃないと思っておりまして、むしろやはり現場主義によって、みずから実態調査を行わなければわからないところも大変多いわけですし、また、これはいい方としてはちょっと不適切かもしれませんけれども、抜き打ち調査的な部分も非常に効果があるわけでございます。
 いずれにしても、都民の税金を使って多額の補助を行う以上、適正な使用の確保と、それから、施策効果の把握に十分意を払ってもらいたいと存じますので、お願いいたします。
 引き続き、専門学校についてお伺いいたします。
 専門学校関係については、職業教育を通じて多様な人材を育成している専門学校の役割を、まず生活文化局としてはどうとらえているのか、認識を伺います。あわせて、その生徒数についても伺います。

○新行内私学部長 都内の専門学校は、これまでも、都民の多様なニーズにこたえますとともに、産業構造の変化を初めとして社会の動向に応じた教育を行い、多くの有為な人材を育成しております。また、仕事に対する心構えや知識、技術を教えることによりまして若者の自立を促すなど、職業教育の場として大きな役割を果たしてきておるところでございます。
 なお、生徒数でございますが、都内の私立専修学校専門課程に在学する生徒数は、平成十七年五月一日現在、約十六万九千人でございます。

○神林委員 ただいまご答弁にありましたように、職業教育の場として大きな役割を果たしておられる。しかも、これだけ多くの生徒を有して、また、その就職率は大学、短大よりも高く、かつ、その大半は都内に就職すると聞いております。
 そこで、都が現在行っている専門学校に対する補助制度にはどのようなものがあるか、伺います。

○新行内私学部長 専門学校は大学、短大と並びまして高等教育機関でございまして、その高等教育機関に対する支援というものは、本来、国の役割でございます。したがいまして、東京都では、専門学校に対する新たな助成制度の創設を国に提案しますとともに、都としても、私立専修学校教育設備等整備費補助や、私立専修学校第三者評価促進事業などを実施しておるところでございます。

○神林委員 専門学校に対する支援は一義的には私は国が行うべきであると考えておりますが、都としても、専門学校が果たしている役割を踏まえるならば、国の役割を補完するにとどまらず、専門学校としての何らかの積極的な支援を検討すべきと考えますが、いかがでしょうか。

○新行内私学部長 国際化やイノベーションなど社会構造の変化に即した人材育成など、新たな役割も期待されておりまして、東京における私立専門学校の重要性はますます高まっているものと認識しております。こうした状況を踏まえまして、国に対して専門学校に対する助成を引き続き要望しますとともに、都としての支援のあり方についても検討してまいりたいと思います。

○神林委員 もう皆さんもマスコミや新聞等でご存じだと思いますけれども、国の方でも、安倍首相の政権構想の中で、再チャレンジできる社会の実現を挙げておりますが、都としても、これを踏まえ、専門学校の有する職業教育のノウハウや人材を積極的に活用することにより、相乗効果となるような施策を図るべきと考えますので、お願いしたいと思います。
 次に、育英資金事業についてでありますけれども、各種の補助金による保護者負担の軽減とあわせて、経済的な理由により修学が困難な者に対して必要な学資金の一部を貸し付ける育英資金事業も、修学の意欲のある者の教育を受ける機会を確保する上で大変重要な事業であります。平成十七年度から国の高校奨学金が段階的に地方に移管され、それまで独自に実施してきた東京都育英資金事業と一本化したわけでありますが、制度上の変更について伺います。

○新行内私学部長 東京都育英資金は、平成十四年の条例改正におきまして、貸付対象を学業、成績が良好な者から勉学意欲のある者に改めまして、より広く門戸を開いたところでございます。国の高校奨学金制度には一定の成績要件が設けられていましたが、平成十七年度の移管に当たりましては、平成十四年の条例改正の趣旨を踏まえまして、成績要件のない従来の都制度に一本化したところでございます。
 また、従来の都制度では、学校の所在地はすべて都内に限定してまいりましたが、国からの移管対象である高等学校、専修学校高等課程につきましては、学校所在地要件を外すことによりまして、他県の高校に通う生徒にまで貸付対象を広げたところでございます。

○神林委員 それでは、ちょっと数字的なことでございますけれども、採用人員、貸付人員について、移管前の平成十六年度からの推移、また、平年度化した場合の貸付規模はどのぐらいか、お願いいたします。

○新行内私学部長 都の育英資金の貸与実績についてでございますが、採用者数では、平成十六年度の約八百人から、平成十七年度は千六百人へ、貸与人員総数では、約千九百人から二千八百人へと増加しております。
 また、国からの移管が平年度化する平成十九年度は、貸与人員総数で五千二百人程度の規模を見込んでおるところでございます。

○神林委員 我が国の今後を担う子どもと若者に対する教育の充実は未来への投資であり、今後とも私学助成と奨学金の拡充が必要であるかどうか、最後に見解をお聞きして、私の質問を終わります。

○渡辺生活文化局長 東京の私立学校は、多様化する都民の教育ニーズに対応しながら、公立学校と同様に教育における大変重要な役割を担っていると考えております。このため東京都では、これまでも私学の実態に即した補助のあり方について見直しや充実を図ってまいりました。また、奨学金事業につきましても、教育の機会均等を図ることを目的として実施されておりまして、大変重要な事業であるというぐあいに考えております。
 今後とも、都民要望を踏まえ、都議会のご理解をいただきながら、私学の現状や社会経済状況の変化に対応した私学振興の促進に努めてまいります。

○伊藤委員 私からは、消費者トラブルへの対応についてお聞かせいただきたいと思います。
 消費者を取り巻く環境は、近年大きく変化をしております。規制緩和によりまして、さまざまな業界において新規事業者が進出をし、多様なサービスや商品が出てきております。このような状況は、消費者にとっては、多くの選択肢から自分に合ったものを自由に選べるという利点がある一方で、十分な知識や情報がないと、悪質事業者による架空請求などの被害者になってしまうという負の面もございますし、現に、毎年多くの都民がその被害に遭っております。こうした被害を少なくするために、都のやるべきことは多いと思います。
 平成十七年度の決算説明書の四八ページを見ますと、消費生活相談件数が四万九百八十三件となっております。これは、委員会資料、消費生活相談件数の推移及び特徴の平成十七年度の欄にあるわけですけれども、前年度は三万五千八百三十四件ですから、約五千件以上も増加をしたことになります。
 このようにふえ続ける消費者トラブルに対応するために、都は、先ほど局長のお話にもございましたけれども、平成十六年度末に相談員を六名増員したと聞いておりますが、直接に対応するにも数には限界があると思います。相談員が直接相談を受ける以外に、例えば、音声情報や文字情報などによる消費被害に関するさまざまな情報提供や、ホームページで最新事例やその対処方法を素早く提供するなどの方法が考えられますけれども、実際にはどのようなことが行われているのか、説明をしてください。

○宮川消費生活部長 増大いたします架空不当請求被害に対処するために、先ほど先生のお話にございましたように、平成十七年の三月、平成十六年度末になるわけでございますけれども、六名の相談員を増員をして対応してきております。しかし、それでもなお、日によりましては、長時間電話がふさがっていたり、あるいは、相談受け付けの時間外に緊急に情報を求めてくるというようなケースもあると思われます。
 ご指摘のように、直接の対応にもこうした限界がございますので、これを補完する方法といたしまして、相談の頻度が高い架空不当請求やクーリングオフなどの対処方法につきまして、音声でガイダンスをいたします音声応答サービスも用意をして対応をしております。
 また、ホームページの「東京の消費生活」というものを開設しておりまして、QアンドA形式で相談事例や対応方法について紹介をし、情報提供に努めているところでございます。
 なお、この東京の消費生活につきましては、今年度中にリニューアルを行いまして、最近の相談の傾向を踏まえて、約四百に上る事例に関するデータベース等を整備したネット版の相談コーナーも新設する予定でございます。

○伊藤委員 ホームページを見る方は、どちらかというと若い方が多いと思います。特にこの被害に遭うのは、どちらかというと高齢者が多いんだというふうに思いますので、高齢者の方々にも見やすく、わかりやすいリニューアルをしていただければと思います。
 続きまして、区市町村でも相談業務を行っておりますが、この委員会資料で見ますと、平成十七年度の相談件数は十一万五百四十一件で、前年度に比べて、都とは逆に五万五千件近く減少しております。特徴の欄を見ますと、架空不当請求についての相談が大幅に減少したように読み取れますけれども、区市町村における平成十七年度の減少要因はどうなっておりますでしょうか。

○宮川消費生活部長 区市町村で平成十七年度に受け付けた相談件数十一万五百四十一件のうち、架空不当請求につきましては二万九千百七十件でございます。前年度ございました八万四千百五十四件、そういった数と比べますと、五万四千九百八十四件、約六五%減少をしております。
 一方、架空不当請求を除く相談件数で見ますと、八万一千三百七十一件となりまして、こちらの方は前年度より八百二十四件増加をしております。
 このように、架空不当請求に関する相談の大幅な減少が区市町村の相談件数の大幅減につながっております。

○伊藤委員 区市町村の相談件数が十七年度は十六年度に比べて三分の一近く減少したとはいえ、それでもまだまだ十一万件を超えるというのは、都のセンターの三倍近い、相当な数になると思います。都全域を視野に置きますと、有効な消費被害対策を講じていくには区市町村との強力な連携が欠かせないはずであります。
 相談業務について都と区市町村との連携はどのようになされておりますでしょうか。また、区市町村から都に上がってくる情報が、一部、大変遅いという指摘もございますけれども、この辺はどうでしょうか。

○宮川消費生活部長 悪質な事業者というのは、あの手この手で新手の手口で迫ってくるわけでございますが、悪質化、巧妙化する手口による消費者被害に適切に対応するためには、区市町村の消費生活センター等の相談部門との連携強化というのは極めて重要であると考えております。現在、二十三区と多摩の両地域におきまして、毎月情報連絡会を開催いたしまして、最新の相談事例や手口と被害の傾向などを中心に幅広い情報の共有化を図っております。
 また、都では相談処理に必要な最新情報を収集して、随時、相談実務メモといたしまして取りまとめて、区市町村に発信をいたしております。
 区市町村の相談部門が受け付けた相談事例は、これまでデータを格納したフロッピーディスクを郵送や直接持参をするという方法で都に届けられておったわけですが、平成十八年度からは専用回線を活用したデータの転送をお願いしておりまして、格段のスピードアップが図られております。

○伊藤委員 区市町村の相談部門とさまざまな連携を行っていることはわかりましたけれども、先ほど答弁にもございましたように、悪質事業者の手口は巧妙化して、消費者トラブルがふえているという現状を見ますと、区市町村との情報収集、提供体制の強化がこれからもますます必要になってくると考えます。何か具体的な方策はおありでしょうか。

○宮川消費生活部長 今月十三日に、第十九次の消費生活対策審議会から答申が出ました。その中におきましても、要は、被害を他地域に拡大させないために、ITを活用して、より迅速に、都内や近県の相談担当者が情報を共有する仕組みをつくることが必要といった提言をいただいております。ご指摘の点につきましては重要な課題と私どもも認識をいたしております。
 今後、情報収集、提供体制のさらなる強化に向けまして、区市町村や近県の意見を聞きながら、具体的な方策を確立できるよう、検討を進めていく考えでございます。

○伊藤委員 この決算説明書の四八ページの事業実績の中に、個別事業者調査指導数として百四十八事業者とございます。ここにある調査指導とは、どのような事業者に対して、どのように行っておるんでしょうか、お伺いいたします。

○宮川消費生活部長 消費生活相談の内容などから、事業者が不適正な取引行為をしている、こういう疑いがあると判断した場合に、法律や条例に基づきまして事業者に対し調査を行っております。その調査の結果、不適正な取引行為を行っていることが明らかになった事業者に対しましては、その悪質性の程度に応じて、行政指導、行政処分等を行っております。
 平成十七年度に調査指導を行った百四十八事業者の内訳でございますが、百三十七事業者に対し行政指導、九事業者に対し行政処分、それから、調査を拒否した二事業者に対しまして事業者名の公表を行っております。
 行政処分を行った具体的な事例をちょっと紹介させていただきますと、大学生になったばかりの未成年者に高額な健康食品や化粧品を買わせていた連鎖販売事業者に対しまして、特定商取引法に基づく業務停止命令を出した例がございます。

○伊藤委員 悪質な事業者に厳正に対処するためには、捜査権を持つ警察との連携も必要だと考えますけれども、平成十七年度におきましては、具体的にどのような連携を図ったのか、伺います。

○宮川消費生活部長 不適正取引による消費者被害の拡大の防止を図るため、平成十三年度から、特別機動調査班を設置いたしますとともに、警視庁の協力をいただきまして、併任職員を配置をしております。悪質な事業者に対して行政処分等を行っているところでございます。
 また、消費者被害の拡大防止のため、犯罪性があって、より強力な措置が必要な場合には、警視庁と密接に連絡をとり合い、適切な情報交換を行うなどして、悪質事業者に対し厳正に対処をしております。
 平成十七年度には、四月に、販売目的隠匿、虚偽説明、迷惑勧誘、クーリングオフ妨害等、数々の不適正取引行為に関して改善を指導したんですが、一向に改めない悪質事業者がおりまして、警視庁と密接に連絡をとり合いました結果、強制捜査を受けた代表者が、ことし九月に特定商取引法違反で逮捕され、消費者被害発生の根を断つことができた、こういった事例もございます。

○伊藤委員 悪質事業者に対する指導や処分も重要でございますけれども、消費者自身も、トラブルに巻き込まれないように賢くなっていくことが必要であると思います。そのために消費者教育の強化も必要と考えますが、いかがでしょうか。
 例えば、地域での消費生活リーダー育成のために行われておりますステップアップ講座というものがあるそうですけれども、こうした講座を修了した方々に対して、終わった後もきちんとフォローして、地域での活動支援も行うべきだと思います。
 手元の資料によりますと、このステップアップ事業、平成十六年度には四十五回開かれて、二千百二十五名の受講者数がございます。これは恐らく延べの人数だと思いますけれども、これだけの多くの方が意識を持って勉強されたわけですから、この力を結集すると、より効果が上がるのではないかなというふうに思いますけれども、いかがでしょうか。

○宮川消費生活部長 都では、自立した消費者の育成を目指しまして教育講座を実施しておりますけれども、その中で、地域の消費生活リーダーや行政のパートナーとして活動できる人材育成を目的とした、先生のお話のありましたステップアップ講座、これを実施しております。これは二年間にわたる講座でございまして、前期には体系的な知識を学び、後期には実践的なノウハウを身につける、こういう意味でステップアップ講座というふうにいっておるわけでございますが、この講座修了者に対しましては、毎年、情報交換会を開催し、都や国の消費者行政情報等を提供しているほか、地域での活動機会の拡大を図るため、ホームページで講座修了者の氏名や得意分野を掲載いたしまして、人材情報の提供を行うなど、フォローアップを行っております。
 なお、講座修了者の中には、都の消費生活調査員や消費生活総合センターの実験実習講座の助手を務めるなど、都の行政のパートナーとして活躍している方もおります。今後とも地域での活動支援の強化に向けて、さらなるフォローの充実に努めてまいります。

○伊藤委員 消費者トラブルへの相談対応や悪質事業者に対する調査、指導などについて、さまざまに工夫を行って取り組んでいただいていることがわかりましたけれども、まだやるべきことがあるんじゃないかなというふうに思いますので、来年度の予算に向けて、さらにそこら辺を取り組んでいただいて、より安心して都民が生活できるように努力をしていただくことを要望いたしまして、質問を終わります。

○吉倉委員 平成十七年度歳入歳出決算書に基づいて、生活文化局の都政広報について何点かお尋ねいたします。
 都政を円滑に進めていく上で、都民に対し都の取り組む課題や施策などを的確に情報発信し、都政の諸活動について説明する責任を積極的に果たすとともに、都政への理解と協力を促進することは極めて重要であります。そのため、都民に対する都政広報の役割がますます大きくなっておりますが、一方で、限られた広報関係予算の中で、これまで以上に効果的で効率的な広報活動が求められていることもまた事実であります。
 そこで、決算書によりますと、生活文化局では平成十七年度都政広報に関する支出済額は二十四億九千五百七十二万七千七十七円であり、内訳は、「広報東京都」の発行を初め、新聞、テレビ、ラジオのマスメディアの活用、都庁ホームページなどにより、都政全般の広報活動を行っております。実際に一千二百万人という多くの都民の方々を対象にして都政情報を伝えていくことは、一人一人のライフスタイルや意識も相違することから、大変難しいことだというふうに考えております。商品広告の現場でも、広告が効かなくなったという問題にどう対応すべきか、苦労しているようであります。
 翻って、広告ではなく、都の広報として、都民にどこまで広報メッセージが刺さっているのか、また、都政の課題や施策が的確に理解されて、受け手に何らかの変化があったのかどうか、具体的に検証することが重要であると思っております。
 そこで、効果測定を実施されているとお聞きしておりますが、特に「広報東京都」に加え、テレビ、ラジオの効果測定の測定結果をお示しいただきたいというふうに思います。

○高西広報広聴部長 都政広報につきましては、現在、広報紙として「広報東京都」の発行、これは毎月四百五十五万部でございます。それから、テレビ、ラジオの番組提供、都庁総合ホームページの運用など、さまざまな広報を行っているところでございます。これらの都政広報に関する効果測定につきましては、毎年度、都民を対象に広報広聴活動に関する実態調査というものを実施しております。この調査では、都民の都政情報の主な入手先や内容のわかりやすさなどを総合的に調査し、その結果を広報活動の改善に活用しております。
 平成十七年度の調査によりますと、都政情報の入手手段のトップは「広報東京都」で、高齢者層で七割、女性層で六割の方々によく読まれております。一方、二十代の若者層では一割程度にとどまっているところでございます。また、都提供のテレビやラジオ番組も、高齢者層に多く視聴されております。総じて若者層は都政情報の入手には消極的で、情報が行き届いていないというのが現状でございます。このほかテレビ番組等につきましては、視聴率や視聴者の声などを分析し 番組制作に役立てております。

○吉倉委員 都政広報においては、都の取り組む課題や施策について、それを発信したときに、都民全体の何割が広報を見たことを覚えているかという接触率、また、伝えたいメッセージがどこまで伝わったかという到達率が最も大切であります。今ご答弁にありましたけれども、測定結果にもあらわれているように、高齢者や女性・婦人層に比べ、若者・青年層における広報の接触率、また広報の到達率が極めて低いということが明らかであります。すなわち、若者・青年層には都の伝えたいメッセージが届いていないのではないかというふうに心配もしているわけであります。
 こういう結果を次の広報活動にどういうふうに生かしていくのか、お尋ねをしたいと思います。

○高西広報広聴部長 効果的な広報とするためには、情報を伝える対象者を明確にし、わかりやすい内容で、対象者に最も確実に伝わる広報媒体を選択することが重要でございます。このため、活字よりもビジュアルを好みまして、テレビも深夜に見るという傾向のございます若者層に対しましては、若者向けの情報も大層届けたいものもございますので、平成十七年度には深夜番組へのCM提供を行いました。
 それからまた、今年度からは、新しい番組としまして、若者同士が身近な問題について語り合います「TOKYOマヨカラ!」というタイトルでございますが、そういう番組も開始しております。
 また、次は高齢者層でございますが、読者の中心が高齢者層である「広報東京都」につきましては、十七年度から文字サイズを拡大しました。また、写真、グラフを活用するなど、読みやすく、わかりやすい紙面づくりの工夫をしております。
 今後とも、都民の皆さんのご意見を参考にしながら、さまざまに工夫を凝らし、効果的な広報活動に努めてまいります。

○吉倉委員 ありがとうございます。ぜひ今後とも都民全体に幅広く都政情報が行き届く、そうした利用しやすい都政広報に努めていただきたいというふうに考えております。
 ところで、現在の都政においては、環境対策あるいは安全対策、青少年対策、オリンピック招致など、各局を横断する課題や施策がふえてきております。現在、生活文化局で行う都政全般の広報活動のほか、各局でもそれぞれ所管する事業に関し広報を行っておりますが、都の場合、情報が膨大であることから、都民から見てわかりづらく、また、非効率な広報活動になると懸念されるところもあります。
 そこで、各年度ごとに重点テーマを絞るなど、戦略的な広報展開をすべきと考えますが、ご所見をお伺いいたします。

○高西広報広聴部長 ご指摘のように、これまで複数の局にまたがる重点事業などにつきましても各局が個別に広報活動を行っており、全体としてわかりにくく、また、アピールも弱い面がございました。そのため、平成十七年度より、各局との連携を強化したテーマ広報というものを実施しております。これは、都政のさまざまな施策の中で各局が共通して取り組んでいる重要かつ喫緊の課題をテーマとして選定し、広報するものでございまして、十七年度は、次代を担う人材育成と地球温暖化対策、この二テーマを取り上げております。
 次代を担う人材育成でいいますと、特に若者の仕事探しなどを応援するため、産業労働局の東京しごとセンターや教育庁の青少年リスタートプレイスなど所管が異なる相談窓口につきまして、総合的、トータルにPRしました。具体的には、十七年十一月を中心に、「広報東京都」やテレビ番組で集中的に取り上げましたほか、ポスターやテレビCM、雑誌広告などを実施するとともに、各局では同じポスターデザインを活用したチラシを作成するなど、統一感を持った重層的な広報活動を展開したところでございます。
 今年度も、次代を担う人材育成と、都民を守る安全対策をテーマといたしまして、各局と連携した効果的な広報活動に積極的に取り組んでいるところでございます。

○吉倉委員 今答弁をいただきましたけれども、各局との連携を強化したテーマ広報、この実施は具体的なメディアミックスとして期待できるものというふうに考えております。特に、今後の重点テーマでありますが、東京オリンピックについては、招致本部ともよく連携をとっていただきまして、例えば、知事自身がテレビCMに出演され、都民に直接熱いメッセージを発信していただくなど、都民意識の高揚を図るための広報活動を積極的に行うべきじゃないか、このようにも考えておりますが、見解を伺いたいと思います。

○高西広報広聴部長 東京オリンピック招致に関する広報につきましては、「広報東京都」で特集記事を掲載いたしましたほか、東京都提供のテレビ番組に知事が出演いたしましたり、都庁ホームページで、トップページにございますが、動画により知事が都民に語りかけるなど、メッセージを発信してきております。
 今後とも、事業所管局と連携し、オリンピック招致の機運を高めるための広報を展開してまいります。

○吉倉委員 ありがとうございます。都民一千二百万人を抱える都政広報ですので、限られた財源を有効に活用し、効果的、効率的な広報活動に努めることが最も大事だというふうに考えております。ご説明ありましたテーマ広報の実施などによりまして、都民の目線に立ったわかりやすい都政広報の実現を期待して、質問を終わります。ありがとうございます。

○清水委員 私からは、消費生活対策費についてお伺いいたします。
 四七ページを見ますと、消費生活対策費の執行率が六四・四%となっておりますけれども、この五年間の執行率の推移についてご答弁お願いいたします。

○宮川消費生活部長 五年間の消費生活対策費の執行率についてのお尋ねですが、平成十三年度から申し上げます。平成十三年度は八四・六%、平成十四年度は七五・〇%、平成十五年度は七七・三%、平成十六年度は八一・〇%、そして十七年度が六四・四%、このようになっております。

○清水委員 これまでもそう高くはなかったんですけれども、この十七年度の執行率というのは、それでも非常に低くなっている。ちなみに、十二年度からあるんですけれども、予算は、今のご答弁の比較からすると、十三年度は十九億、十四年度は十八億、十五年度は十五億、十六年度は十三億、そして十七年度は十二億というふうになっていて、そして、支出済額を比べると、十三年度は十六億、十四年度は十三億、十五年度は十一億、十六年度は十億、そして十七年度を見ますと七億八千万ということで、予算も減少、そして支出済額、執行額も減っている。当然執行率が低くなっているんですけれども、それにはどういう理由があるのか。
 この四七ページを見ますと、特に公衆浴場対策と消費生活総合センター、ほかのも低いものもあるんですけれども、この二つで十一億余りになるわけですけれども、この二つの執行状況についてお伺いいたします。公衆浴場対策の不用額の理由についてお伺いいたします。

○宮川消費生活部長 公衆浴場対策の実績の残というのが、この決算説明書の四八ページにも記載がございますけれども、約三億余りの金額になります。
 この理由でございますが、公衆浴場施設の大規模な改築や修繕に要する資金というものがございますけれども、これの利用実績が少なかったということに加えまして、公衆浴場がこれからは都民の健康志向や高齢社会に対応した地域の施設として再生できるよう、事業の再構築を平成十七年度に行ったわけです。この平成十七年度にスタートした健康増進型公衆浴場改築支援事業、これにつきましても、今年度はエントリーする事業者も出てきておるんですが、初年度ということもございまして、二億、三億というような投資にもなりますので、そういった関係もございまして、十七年度中は改築に着手するという事業者が残念ながら出なかったというような事情もございまして、不用額を増加をさせております。
 なお、この公衆浴場対策は、今先生ご指摘のように、消費生活対策費に占める割合が非常に高うございますので、このような不用額の発生が全体の執行率を下げる要因となっております。
 ちなみに、この公衆浴場対策を除きますと、消費生活対策費の執行率は七六・八%というふうになっております。

○清水委員 予算自体が大きくなくて、十二億。大きいとか小さいとか、そういうものではないんですけれども、東京都の予算から見れば、ほかの局だとか、ほかの内容から見れば、ここの部分の予算というのは大きくないと思うんですね。それで、そのうち六五%しか執行されていないというと、十二億のうち四億が、今ご説明あったように残っているということで、本当に大きいと思うんですね。
 それで、理由があるということで、今るるご説明があったんですけれども、十七年度の公衆浴場を取り巻く状況というのは、そうした施設改善、新しい健康増進型の改築をしていくというのももちろん重要なことであったかと思うんですけれども、原油の高騰による対策というものも強く求められていたわけですよね。私たちも公衆浴場に対する原油の高騰による支援策をというようなことで要望を申し上げてきたところですけれども、やはりこうした不用額が出る中では、事業者や都民からどういう支援を求められているのか、支援の内容についてもっと検討してほしかったなというふうに思うわけです。
 このほかにも公衆浴場対策には、生活保護世帯に対する共通入浴券の助成だとか、利用促進事業補助だとか、そうした実際に都民の利用を促進する事業もこの中にはあるわけですよね。そうしたものを大きく伸ばすことも含めて、この不用額というのをもっと有効に使っていただきたかったなというふうに思うわけです。
 それで、来年度のことはここではできませんけれども、この実績が低かったからといって、これをベースに来年度の予算が決められるようなことのないように、今の事情というものがあるわけですから、そういうことを求めておきたいというふうに思います。
 消費生活総合センターの運営に関する不用額については、具体的にどういうことがあるのか、教えていただきたいと思います。

○宮川消費生活部長 お手元の決算説明書の四八ページに不用額等の説明が載ってございますので、ごらんいただきたいと思うんですが、この中で(4)に消費生活総合センターの運営の実績による残というものもございます。このほかに、その上の方の(2)の国庫減三千八百万余円の不用額もございますが、この辺が消費生活総合センターの運営の関係で出てきた残額でございまして、この運営の実績による残につきましては、委託関係を中心に契約の差金が一千百万余円生じたほか、薬剤や器材の購入費などを初め実績減による不用額が生じたものと、もう一つの国庫減の部分でございますけれども、これは消費生活総合センターの運営に関するもののうち、いわゆる情報提供、情報収集のシステムの整備についてのものでございまして、当初、自治体側で設置をするということで計画がなされてきましたけれども、国の事情によりまして、急遽国が直接手当てをする、こういうような執行方法の変更がありました関係で、国庫補助金の生活情報体制整備等交付金、これが廃止されました。事業そのものには全く影響がないわけでございますけれども、歳出予算について三千八百万余円が同様に全額不用額となったというようなものでございます。

○清水委員 その消費生活総合センターに関する経費のうち、多摩消費生活センターに関する経費の執行率というのは九七%で、予算額からすれば大体執行されているというふうなことをお伺いしているのですけれども、それでは、多摩消費生活センターの施設規模と十七年度の活用実績についてお伺いします。

○宮川消費生活部長 多摩消費生活センターは、立川市の曙町にファーレイーストビルというのがございますけれども、そこの二階、三階に位置しております。占有面積は約八百平方メートルございます。その施設の中身でございますけれども、資料コーナー、教室、学習室が全部で六室、実験実習室、商品テスト室などを有しております。
 十七年度の事業実績でございますが、消費生活教育講座を五十五回開講いたしております。また、消費者あるいは消費者団体の自主的な活動場所の提供を八百七十六回実施いたしております。実験実習室の利用も百四回お使いいただいております。このほか展示パネルの作成、貸し出し、そして市町村センターの所長会などの各種会議を開催いたしまして情報提供に努めておりまして、多摩地域の市町村の支援というものを行っております。

○清水委員 この多摩消費生活センターについては、縮小という問題がこの間大きな話題になってきたわけですけれども、かつて多摩地域には消費生活センターが、この場所だけでなくてほかにもあったように記憶しているんですけれども、どのような機能、どこにあったのか、お伺いいたします。

○宮川消費生活部長 多摩地域の消費生活センターについてでございますけれども、これは、まず昭和四十四年に立川支所を開設をいたしまして、その後、昭和四十七年に武蔵野の支所を開設いたしました。ですので、多摩地域におきます都の消費生活センターは二カ所ございました。この二カ所の両支所につきましては、昭和五十九年に多摩西支所、多摩東支所にそれぞれ名称を変更してございます。
 なお、機能についてということでのお尋ねでございますけれども、両支所におきましては、消費生活相談、パネル展示等の展示、啓発、ビデオや図書の貸し出し、消費者教育のための消費者問題講座の開催、商品テスト、消費者の自主的な活動の場所の提供、管内の市町村消費生活センターに対する支援といった機能を有しておりました。
 その後、平成九年に両支所を再編いたしまして、現在の場所に多摩消費生活センターを設置した次第でございます。

○清水委員 現在の場所もたびたび立ち寄ることも多いんですけれども、駅からはそう遠くなく大変便利なところにあるのですが、やはり多摩都民の要望からすると、かつては複数箇所あって、そこに相談の機能もあったということから見ると、部屋はあるものの相談機能はないということで、本当に多摩都民の皆さんからは、相談の機能がどうして多摩地域からなくなってしまったのかという声がこの間強く寄せられております。なぜ相談機能を廃止したのか、お伺いいたします。

○宮川消費生活部長 近年、消費生活相談の内容というものが非常に高度化、複雑化しております。こういった高度化、複雑化した相談に対応するために、非常に専門的な判断というものが重要になってまいります。そのために、相談担当職員を専門分野別にグループ化をして対応する必要が生じてまいっております。
 平成十四年四月に多摩消費生活センターの相談機能を飯田橋の消費生活総合センターに一元化いたしまして、多摩のセンターに配置しておりました相談員八人全員を飯田橋に移して、これに効率的に対応できるような体制を整えたところでございます。
 なお、多摩地域の各市町村における相談業務は、この間充実をしてきておりまして、相談の窓口も、檜原村を除きますと、二十六市三町のすべてに設置をされております。
 また、都民から寄せられます相談の九割以上が電話対応によるという現状からいたしましても、現在の体制をもって十分機能していると、このように考えております。

○清水委員 電話で行うことしかできないような場所であるから電話でするということもあって、しかし、多摩都民の皆さんは、専門的な内容とか、高度的な回答とか、そういうこともありますけれども、やはりまず、話を聞いてほしいということからこういう問題は始まると思うんですよ。
 今、ほかの局なんかでは、区部にあるけれども多摩につくるというようなことを、そういう流れをしているところもあるわけですよね。区部に一カ所しかないから、今度は多摩につくるというようなことで、来年度予算の説明も受けたところもあります。こういう流れからすると、これはまさしく本当に皆さんが必要としていることなのに、逆行してきていたのではないかなというふうに思います。
 私は、やはり市町村の相談体制が充実をしてきたといっても、消費生活条例には、都の責務として、都も行うんだよということをきちんといっているわけですよ。だから、区市町村の相談体制の充実に解消することはできないんですよね。やはりこの多摩地域の住民の相談機能を充実させることを求めておきたいと思います。
 次に、多摩地域に限らず、都民の利便性を向上させることは非常に重要です。先ほど他の委員も触れておりましたけれども、相談件数は架空請求に関する相談件数の減少によって十五万台になっていますけれども、区市町村は減っていますが、都による相談というのは四万一千件にむしろふえているというのが状況です。相談内容も高齢者の相談が多いとなっています。特に高齢者に被害が集中しているというふうな情報もあります。
 しかし、通常の相談の業務というのもされていて、それも多くの方の被害を受け付けているというふうにも聞いております。通常の受付は、平日九時から四時、高齢者一一〇番は九時から四時だということですけれども、また、消費者被害の相談は、携帯などが普及しておりますけれども、働いている人は職場からは相談しづらいという実態がありますし、相談者が落ちついて相談できるために夜間に受け付けてほしいということもありますし、それから金曜日に問題が起きて、土日ともう心配で心配でたまらない、二日間抜けるのはたまらないというような声を聞くときもあります。
 私は、これまでも要望があったかと思いますけれども、平日の夜間や土曜、日曜の開設を、ぜひ相談の受け付けをしていただきたいと思うんです。職員の皆さんに過重労働を望むことではないんですけれども、人員配置などを行ってサービスの充実を進めるべきだと考えますが、いかがですか。

○宮川消費生活部長 現在の消費生活総合センター内におきます、いわゆる相談体制についてちょっと簡単に触れさせていただきまして、その上でちょっとお話しをさせていただきたいのですが、今、先生のお話にもございましたように、架空請求専用相談につきましては、平日の午前九時から午後五時までということで実施をしております。また、一般相談、高齢者相談につきましても、平日の午前九時から始めまして、午後四時までということで、電話や来所による消費生活相談を受け付けております。
 また、架空不当請求の一般的な対応策は需要が非常に多うございまして、いろいろ相談を受けるわけでございますが、こういった対応策やクーリングオフの制度、こういったような情報につきましては、現在も音声ガイダンスで二十四時間対応いたしまして、相談者が適切な行動がとれるようにご案内をしているところでございます。
 さらに、緊急消費者被害情報や消費生活相談事例などを都のホームページへ掲載して、被害防止の対応策としても、いつでも活用できるよう情報提供体制を整えているところでございます。
 なお、仮に土日や平日の夜間に相談員を配置して、相談を受け付けるというようなことを考えた場合なんですが、東京都の消費生活総合センターはそういった問題解決というものに実践的に取り組もうというようなことで、単に相談を伺って他の機関を紹介するとか、そういったことにとどまらないで、相談処理にとって非常に重要な事業者との間のいろんなあっせんであるとか、確認行為も行っております。こうした連絡をとることは、やはり土日や平日の夜間ということになりますと、非常に難しくなるという問題もございまして、十分な検討が必要であるというふうに考えております。
 したがいまして、現在の体制で引き続き対応しているというのが私どもの考え方でございます。

○清水委員 冷たいご答弁だというふうに思いますが、相談者というのは本当にせっぱ詰まって相談される方も多いわけですよ。そうすると、向こうに人がいないと、それを話す気にならないと思うんですよ。人がいて聞いてくれるから話す。こうすればいい、じゃ、ちょっと待って、土日待ってというふうなことも、そこで落ちついて待てるかもしれないけれども、今お話しのあったような対応では不十分だと思いますし、土日に事業者とかに連絡がつかないというのは、それを土日にするんではなくて、土日は相談を受けるというような、少なくとも受け皿をなしにしないで、受け皿を一つでもつくっていただきたいというふうに重ねてお願いをしておきたいと思います。
 最後に、消費者基本計画についてお伺いいたします。
 消費者基本計画というのは、消費生活条例に基づいて十年程度の期間を見通して策定したものというふうに聞いています。策定されたのは九七年ですよね。私もいただいたんですけれども、大変立派なものが出されています。消費者の誕生とか、消費者が不利な立場に置かれている消費者からとか、すばらしい論文がずっとありまして、施策の内容、施策の取り組みをどうやっていくかというようなことが、九七年に策定をされております。
 この計画は、消費生活条例、先ほどご紹介しました四十三条に基づいて策定されておりますが、これを変更しようとするときは消費生活対策審議会に諮問しなければならないという規定になっているようです。計画期間の終了に合わせてもし改定をするというのであれば、十七年の審議会に諮問して、十八年度か十九年度には改定ということになるはずですけれども、昨年度は諮問をされていないのですが、どう考えているんでしょうか、お伺いいたします。

○宮川消費生活部長 社会状況が大変激しく変化をしております。私どものやっております取引等の関係を見ましても、これまでの想像を超える消費者被害が発生をしております。都民の安全を脅かす商品事故等も多く発生をしております。こうした現実に直面している問題への対応にまず力を注いでいくべきであり、現時点で十年スパンの長期計画の改定に取りかかることは、必ずしも現実的ではないんではないかというふうな考え方もございます。
 現に、先日、十月十三日でございますが、審議会の総会の場におきましても意見がございました。消費生活行政のあり方や理念といったテーマについて議論することも、これは非常に大切なんだけれども、特に答申に盛り込まれました施策であるとか、行政が現実に行っている施策、こういった具体的な取り組み報告をもとに現実的な議論をしていくことの方が先決というような意見が出されておりまして、大方の賛意をいただいたところでございます。
 こうしたことから、現時点では基本計画の改定については考えておりません。

○清水委員 これを読まれましたか。これを見ていますよね。だって、これは平成七年の資料ですよ。それから、局のそれぞれの対応するところが、清掃局とか住宅局ならまだいいけれども、労働経済局とか、今ない都の所管との対応というのがいっぱいあるんです。これを都民の前に出しておくのは恥ずかしくないですか。
 私は、抜本的にするかどうかということは、十年先を見越すかどうかということは別にして、今現在の立場に立つというのが、ちょっとそちらの担当者の当然の責務ではないですか。
 これを見ていられますよね。そうした古い組織の名前を使っていることについてはどう考えていますか。

○宮川消費生活部長 確かに十年前といいますか、平成九年に策定をされた計画でございます。内容的に見れば、現在の状況から見れば、組織も含めてかけ離れたものがございます。
 先ほど私がご答弁申し上げたように、とにかく今あることに対してどう対処するか、そしてこういった社会状況、経済状況の変化にどう対応するか、どういうような計画づくりというものが必要なのか、こういったものがまず、今あることにどう取り組むかということの中で、おのずと出てくるのかなというふうに考えております。

○清水委員 今、同じく生活文化局の方では、男女平等の新しい計画を審議会を開いてつくることになっておりますけれども、しかし、実際の対応ということと同時に、きちんとした計画、これはホームページに出ていませんでしたから、引けなかったんですけれども、直接いただいたものだから、そんなに都民の目に触れることはないかもしれませんけれども、普通だったら、こういう問題もホームページに載せて、都民が見れるようにしなければいけないと思うんですよ。私は、やはりそれは大事なんだけれども、こういうところに消費生活行政の今の都の実態があらわれているんだというふうに思います。
 先ほど、現在のところお考えがないといわれましたけれども、早期に改正に着手をしていただきたい。そして、その場合には、都民や団体の意見を聞いて、今までの基本計画は生かしながら、数値目標をもって計画の進捗状況を毎年点検し、公表できるようにするなど、実効あるものにしていただきたいというふうに思います。
 先ほどご紹介しましたように、予算にしても、それから全体の職員の体制はずっと減っています。十四年度が百二十二人の職員だったものが、十七年度には百人、十八年度には九十三人になっております。そして、多摩施設にしても削減してきています。そして、今ご紹介したような計画そのものまでたなざらしにしております。消費者行政をないがしろにしていると私はいわざるを得ません。
 先ほど紹介ありましたように、かつては東京は消費生活条例を制定して、全国に先駆ける形で、消費者の権利を明らかにしながら消費者行政を進めてきました。この中にも、不利な立場に置かれている消費者として、さまざまな施策が展開され、消費者センターも数カ所整備されてまいりました。新たな消費者問題が次々と起こる中で、これ以上に充実が求められているのではないですか。
 少なくとも、先ほどから質問いたしましたように、貴重な予算なので、不用額を出さずに本当に必要なところに使ってほしいということと、多摩消費生活センターの相談機能の復活、夜間、土曜、日曜の相談の実施についてぜひ実現していただきたいことを改めて要望して、質問を終わります。

○原田委員 二点お尋ねしたいと思います。
 まず、情報公開条例の利用状況についてお伺いします。
 行政の持つ情報は市民の共有財産、その公開は市民の知る権利として保障していくことが大きな課題です。
 東京都は、平成十一年の情報公開条例制定により、大幅に利用しやすい条例になったと評価するものですが、情報公開は現実に合わせて絶えず点検しながら広げていく工夫をし、公開への体制を整えていく努力が問われるところです。
 そこで、まず、ここ五年間、情報公開の状況について、開示と決定件数の推移とその内訳についてお伺いします。

○萩原参事 公文書の開示や非開示を決定した件数でございますが、平成十三年度は二千二百四十九件でございましたが、年々伸び続け、平成十七年度におきましては三千四百六十七件となっております。
 また、平成十七年度における決定の内訳でございますが、全部開示が五〇・四%、一部開示が三五・七%、非開示が一・七%、不存在等が一二・二%となっております。

○原田委員 情報公開件数が、請求件数がふえて、開示率など経年で少しずつですが高くなって、非開示率、不存在率も低くなってきたということは、少しずつ公開への体制ができているということで、ひとまずは評価はしたいと思いますが、そこで、より開かれた体制にするための努力をぜひ惜しまないでいただきたいと思います。
 今回は、不存在という決定について、その不存在の内容について少し質問したいと思います。
 この不存在、どのような理由により不存在になっているのか、まずお伺いします。

○萩原参事 不存在の理由でございますけれども、公文書の保存期間が満了したことにより廃棄済みのため、国または区市町村の事務であり、都が文書を保有していないためなどが挙げられております。
 また、貸金業者登録簿など都が保有する名簿に特定の事業者が登載されているかどうかという請求におきまして、登録されていないため不存在決定を行うというようなものもございます。

○原田委員 確かに保存期間が過ぎたものはありますでしょう。文書によって保存期間を制限する表がございますよね。それによって局ごとに整理されているようですが、いただいた資料を見ますと、結構一年未満の保存期間というのが多うございますね。そういう実態もこの不存在にも影響しているのかなとは思いますが、確かに保存期間の過ぎたものがあるということは否めません。もちろん文書そのものが不存在だったということもあるでしょう。それでも、もしかしたら、本当は作成されなければならない文書だったということも、よく点検したら出てくるかもしれません。そのときは内部の書類作成の体制というものが問われてくるのかと思います。また、作成した文書の整理保管が不備だという場合もあって、不服申し立て後、調べたら文書が出てきたという例もあるようです。この不存在の理由というものを分析して、対策を立てていく、このたゆまぬ努力が情報公開を進める大きな力になると考えておりますので、対応を願うものです。
 そこで、もう一つの不存在対策として、窓口に来た方のニーズを的確に把握し、行政文書名の特定などアドバイスを行うことにより文書の不存在が減るのではないかと考えます。東京都の場合、各局に窓口があって、そこで対応するというような体制をとっているようでございますけれども、その意味では請求があったときの受け付け体制や職員の対応というものは、もしかしたら局ごとにまちまちであったりするかもしれません。
 その受け付け体制及び職員の研修についてお伺いします。

○萩原参事 情報公開の請求は、ただいま先生からも述べていただきましたが、各局の情報公開担当事業所管課等において請求の趣旨を確認しながら受け付けているところでございますが、生活文化局におきましても、日常的に請求者へのアドバイス、また、実施機関への指導を行っているところでございます。
 さらに、毎年、各局の情報公開担当の職員を対象といたしまして、情報公開の理念を初め開示請求への対応や、開示、非開示の判断など、情報公開制度の運用についての研修を行っているところでございます。

○原田委員 先ほどもいいましたけれども、これは総務局が管理しているのでしょうか、東京都文書管理規則というものがあって、ここで文書管理が規定されているわけです。これによると、管理体制として、局の庶務主幹課に文書主任を、その他の課に文書取扱主任を置くとされていますね。また、課長はファイル責任者を一人指名することができるというような文言もあります。このファイル責任者は、文書主任や文書取扱主任を補佐し、その文書総合管理システムの記録や文書の収受に関する帳票など記録の管理事務に従事するということが記載されています。
 平成十七年度の情報公開に関する研修の項目をちょっと見せていただきましたけれども、この年度だけなのかどうかわかりませんが、情報公開請求があったときの実務的な流れというのが主なレクチャー項目であったようです。情報公開の持つ今日的な意義、役割、文書作成や保管など文書管理の徹底などに関しての項目が、残念ながら十七年度の研修ではありませんでした。十七年度以前に行われているかもしれませんが、情報公開上必要な研修をぜひ総務局と連携しながら的確に企画し、庁内の情報公開に向けての体制をしっかりつくっていただきたいと思います。よろしくお願いします。
 次は、配偶者などの暴力対策についてお伺いします。
 東京都におけるDV対策の取り組みは、他の自治体に比べ、比較的早い取り組みだったと評価するものです。一九九七年に実態調査が行われ、二〇〇〇年に策定された男女平等参画条例では、家庭内などにおける暴力の防止を明記し、行動計画の重点課題としております。二〇〇一年は配偶者暴力防止法の制定、二〇〇四年の改正を経て、都道府県の基本計画が義務づけられました。二〇〇五年末に東京都配偶者暴力対策計画が策定されています。
 そこで、東京都におけるDV対策について質問したいと思います。
 まず、二〇〇一年度に配偶者暴力防止法が制定され、都においては配偶者暴力相談支援センター機能を整備しましたが、法が制定された二〇〇一年度と昨年度、都に寄せられた配偶者暴力の相談件数について、まずお伺いします。

○産形参事 配偶者暴力に関する相談件数でございますけれども、二〇〇一年度、平成十三年度になりますが、東京ウィメンズプラザが八百九十五件、東京都女性相談センターが二千四百三十九件で、合わせて三千三百三十四件、昨年度は東京ウィメンズプラザが五千五百五十四件、東京都女性相談センターが四千二百十二件で、合わせて九千七百六十六件となっております。

○原田委員 大変大きな増ということで、数を聞いて私もびっくりしているようなところがあります。
 それで、もう一つ、このほかに警察に寄せられている相談件数もかなり多いと聞いております。相談件数が年々増加しているこのDV対策、DVは大変深刻な人権侵害であって、連続した暴力の結果、死亡に至るというような報道もされたりしておりますが、極めてプライベートな場面で展開されるという、そのようなこともございまして、対策の難しさを大変実感するものでございます。
 そこで、都民への、DVはいわゆる犯罪であるという認識を広く理解してもらうためのPRがまず大事だと思いますが、それと同時に、被害者が暴力から逃れるために一時的に避難したり、家を出ることを決意し、その準備をするために一時保護を望むケースが大変多いと聞いております。
 東京都の一時保護の定員数についてお伺いします。

○産形参事 一時保護につきましては福祉保健局の所管ではございますが、その定員数は、東京都女性相談センター本所及び多摩支所合わせて四十五名でございます。

○原田委員 大都市東京のシェルターの数としては、大変少ない数だと思っております。そして、もちろんこのほかに民間のシェルターがあるわけなんですけれども、被害者の実態、相談件数から見て、やっぱりふやしていただきたいと思うところなんですけれども、特にシェルターというのは、公にすると本当のシェルターにならないというのがございまして、民間のシェルターを支援していくというのが、いろんなシェルターづくりの中では効果があるのではないかと思っております。
 このために、民間団体がシェルターをつくる、そんな活動をしている方々への支援というのが大変大事だと思いますが、その支援の充実、朝から晩まで少ない経費でというとなんですけれども、大変頑張っているんですけれども、なかなか一部の熱意ある人たちの運動だけでは広がらないということがございますので、シェルターづくりの支援の充実というのが課題ではないかと思います。これを指摘しておきます。
 ところで、大都市東京というのは多くの人が集まるところということもあって、地方から東京に逃げていらっしゃる方も多いわけです。大都会の持っている騒がしさの中に紛れ込むことで非常に安心してしまうというんですか、隣近所の生活を余り気にしないような暮らしの中に逃れてくるということが、一般的に逃れる場所としては隠れやすいような状況を東京はつくっているわけなんですけれども、他県の人たちが逃げていらして、東京の支援センターに相談してくるケースも多いと思います。
 その中で、東京都は他県から逃れてきた被害者や、他県に住む人の相談に対してどのような対応をしていらっしゃるのか、お伺いします。

○産形参事 配偶者暴力に関します相談は、命にかかわるような緊急を要する場合もございますので、住所地にかかわらず受けております。
 相談内容に応じて必要な対応を行うとともに、継続的な相談や支援が必要な場合などは、本人に確認をとった上で身近な配偶者暴力相談支援センターの紹介なども行っております。

○原田委員 私は、この質問をしたのはなぜかというと、岩手県から逃げてきた方が相談したら、他県だというのでちょっとちゅうちょされたというようなこともあったので、本当に相談窓口の方にもぜひ徹底していただきたいと思います。
 他県からいらした方もきちっと対応に応じているということを聞いて、大変安心しました。
 また、被害者の中には、相談や一時保護所の退所後、自立して生活を営まなければならない人もいらっしゃいます。今までの生活していた基盤を失い、一からやり直さなければならない現実に向かい合うわけなんですけれども、そうした被害者に対して住宅の確保、就労支援など自立支援が重要であると思っております。
 都はどのような取り組みを行っているのでしょうか、お伺いします。

○産形参事 被害者の自立支援は、重要な課題であると認識しております。
 住宅の確保につきましては、都営住宅の入居に際して、子どものいる世帯は母子世帯として扱いまして、倍率の優遇や特別割り当てなどの優先入居を行っており、単身者の場合は、配偶者暴力被害者については六十歳未満であっても入居対象としております。
 就労支援につきましては、東京しごとセンターやハローワークなどとの連携により、職業訓練、就職活動の支援に取り組んでおります。
 都では、引き続き関係機関と連携を図り、配偶者暴力被害者の自立支援に努めてまいります。

○原田委員 被害者の自立が、再び被害者にならないための大変重要な条件だと考えております。多くの被害者が二十代から三十代、大変若い世代という状況を考えると、この後長い人生を自分の足でしっかり立っていく状況をつくっていくことが大事であると思います。特に住宅の確保、就労の道はかなめといえます。相談窓口での対応ですが、一人一人自立までのカルテをつくり、双方で確認しながら進めていくことが大事だと思います。この先ストーカー被害や子どもへの被害に広がらない強い姿勢で、このDV対策を一緒にやるんだという覚悟をさせることが、確実な支援の一歩になると考えております。
 DV対策に当たっては、まず、本人の自立、しっかりした決意が必要であるとともに、被害者の対策とともに加害者対策も大変重要であると考えております。昨年度策定した配偶者暴力対策計画においても、加害者対策検討を政策目標としていらっしゃいます。東京都では加害者再生プログラムを二〇〇四年度に国からの委託事業として実施したと聞いておりますが、その結果、どのような課題が出てきたのでしょうか、お伺いします。

○産形参事 内閣府から委嘱を受け、都では平成十六年度に、加害者六名を対象に十八週にわたりまして加害者更生プログラムを実施いたしました。
 内閣府に対して報告した課題といたしましては、加害者更生プログラムを行う場合の被害者の安全確保と支援体制、プログラム実施機関の位置づけや対象とする加害者の範囲の整理、更生の意思のない加害者に対する誘導方法、また、強制参加させる場合の法制度の整備、専門的なバックアップ体制の構築及び加害者更生に関する専門家の養成確保などでございます。

○原田委員 加害者の多くは加害者の自覚がないともいわれております。それだけにまた暴力を繰り返すケースは大変多いようです。しかし、その有効な方法というのは、なかなか見つからないのが現状のようです。加害者の更生は大きな課題ということで、引き続き検討していただきたいと思います。
 そして、今以上に加害者をふやさないという配偶者などの未然防止の視点が重要であると考えております。未然防止の有効な手段として、学生など若者に向けた啓発が必要ではないかと考えるところですが、東京都はどのような取り組みを行っているのか、お伺いします。

○産形参事 配偶者暴力の未然防止については、配偶者暴力対策基本計画の基本目標に、暴力の未然防止と早期発見の推進を掲げまして、普及啓発事業を実施しているところであります。
 被害者の約二割が結婚前から、また、約四割が結婚一年未満で暴力を受けている、こういう実態を踏まえまして、これまで高校生や大学生などの若者を対象に、男女の対等なパートナーシップを学ぶ講演会を実施したほか、被害者と直接または間接的に接触する医療、福祉、学校などの関係機関職員を対象にデートDVに関する研修会を実施してきております。
 今年度は、デートDVをテーマにした講座を開催することを予定しており、学生等が参加できるよう広く呼びかけていきたいと考えております。

○原田委員 デートDVという新しい視点、新しい課題について取り組んでいらっしゃるということに関しては評価したいと思いますし、これからも未然防止の有効な手段として取り組みを広げていただきたいと思っております。よろしくお願いします。
 さて、DV対策において、今の未然防止を初め相談、一時保護、自立支援などの取り組みを被害者の立場に立って進めていくためには、都の関係はもちろん、民間団体、区市町村との連携が不可欠であると考えております。
 都では、配偶者暴力対策基本計画において配偶者暴力対策のためのネットワーク会議を設置するとしていますが、ネットワーク会議とはどのようなものか。また、いつごろ設置する予定なのか、お伺いします。

○産形参事 配偶者暴力対策ネットワーク会議、仮称でございますけれども、これは現在、都が配偶者暴力対策の連携を図るための会議体として設置しております家庭等における暴力問題対策連絡会議及びDV被害者支援関係機関連絡会を発展的に再編統合し、都における広域連携ネットワークを構築し、関係機関の連携を促進するものでございます。
 基本計画にある配偶者暴力に関する子どものケアプログラムの作成などについて、現在、連絡会議において検討を進めているため、このネットワーク会議の設置は平成十九年度になる予定でございます。

○原田委員 ぜひこのネットワーク会議が機能するようにご努力いただければと思います。
 今後とも被害者の立場に立ったDV対策をお願いして、質問を終わります。

○増子委員 私からは、広報広聴費というくくりの中でお伺いをいたしたいと思います。
 まず、今、情報公開のお話が出ましたけれど、先ほども官から民へという流れの中で委託先へのチェック体制というような話が出ましたけれど、最近も新たな公を構築するという動きがあって、今後さらにアウトソーシングということが進んでいくことは間違いないことだと思っていますし、当然、最少の経費で最大の効果を上げるという行政の使命を考えれば、評価する流れだというふうに思っています。
 その一環として指定管理者制度が導入をされているというふうに思っていますけれど、今の情報公開という観点からいくと、都民の知る権利という観点で若干危惧する点があるかなと思っているんですけれど、例えば単なる委託ですと、仕様書に委託事業の内容を詳細に定めて、事業が終了したら報告書を出してもらうとか、あるいはその成果物を確実に納品をさせるというか、取得するということで、その業務に関する情報を東京都が取得をすることができて、さらには都民が情報公開請求すれば、それらの公文書を開示の対象とすることができるということになっています。
 一方、指定管理者ということでいうと、都の業務を代行するものですし、公の施設を管理する部分については、情報公開の必要性が高いとは思いますけれど、指定管理者が民間企業だったり、あるいはNPOだったりという場合には、従来の情報公開制度をそのまま適用するということはできないことになっているんだというふうに思っています。
 都が直営でやっている事業であれば、さまざまな情報が情報公開制度で知ることができることに比較すると、都民が知るということの範囲が若干狭められているというような感があるのかな、否めないのかなというふうに思っていますが、今後も都において次々と指定管理者制度が導入されていくという中で、それらのアウトソーシングという意味での指定管理者の情報公開の対策についてお伺いをいたしたいと思います。

○萩原参事 公の施設の指定管理者の情報公開につきましては、平成十六年に情報公開条例を改正し、規定を新たに追加したところでございます。
 指定管理者においても、情報公開条例の趣旨にのっとり、当該公の施設の管理に関する情報の公開を行うため、必要な措置を講ずるよう努力義務を課しております。
 また、実施機関は、都の公の施設の指定管理者に対し、情報公開のために必要な措置を講ずるよう、指導に努めるものとしております。
 指定管理者制度導入後におきましても、都民の必要とする情報につきましては、可能な限り情報公開できるよう、各実施機関を通じた指導を働きかけてまいります。

○増子委員 ありがとうございました。
 今お話にもありましたように、情報公開条例が改正をされて、そこに公の施設の指定管理者の規定が追加されているということではあります。しかし、今ご答弁にもあったように、努力義務だということでありますし、あるいはその指導に努める、あるいは働きかける、そういったような内容だというふうに私も認識しておりますので、たとえ指定管理者であっても、その行政の事業を行っていることに、都民から見れば違いがないわけでありますので、直営の場合は半ば強制力を持った情報公開が行われるということと比較すると、やっぱり指定管理者だと努力ということだと、都民の知る権利という意味では少し後退という感じもするのではないかというふうに思っています。
 現在、指定管理者以外にもさまざまな民間との協働という形が進んでいて、例えば今いったような指定管理者もあれば、通常の委託、あるいはPFIだとか、あるいは今準備しています市場化テストのようなものもあって、それぞれがもちろん別な所管で情報公開に取り組むということになっていますし、実は情報公開そのものを規定する法律もそれぞれ違ったりしますよね。市場化テストだと市場化テスト法だ、あるいは以前にも問題になった耐震偽装事件みたいなやつは今度は建築基準法で規定するということでいうと、本当の意味で全体の情報公開、アウトソーシングの情報公開を規定するというものはないというふうに私は心配しています。
 それぞれ所管が違うので、ここでの質問はできないというふうに私は思っていますけれど、担当の部署としては、公の施設の管理運営が適切に行われるように積極的に情報公開に取り組んでいただくように、ここでは要望させていただきたいと思います。
 次に、個人情報保護について伺いたいと思います。
 この平成十七年の四月に個人情報保護法が全面施行されて、都においても改正個人情報条例が施行されたという年であります。しかしながら、最近の話ですけれど、残念なことに東村山老人ホームで個人情報が記録されたパソコン五台がなくなるという盗難事件が発生したということになっています。盗難かどうかはまだ確実じゃないでしょうけれど、盗まれたとされるパソコンには、老人ホームの利用者の方、あるいは退所者の方、合わせて九百八十八人分の個人情報が記録されていたというふうに聞いております。
 改正条例においては、実施機関の職員だけでなくて、受託事業に従事している者についても罰則の対象となるということにされていますけれど、アウトソーシングが進む中で個人情報の管理ということについてますます徹底されていく必要があると思うけれども、ここで若干の不安を感じてしまっています。
 この平成十七年度における東京都の個人情報に関する事故の状況について、委託も含めてお伺いをいたしたいと思います。

○萩原参事 個人情報に関する漏えいや紛失の事故があった場合、速やかに生活文化局に事故報告を提出することとされており、平成十七年度は七件の事故報告がございました。このうち、五件については委託等の事業者が関係をいたしております。
 事故の内容でございますが、個人情報を記録したCD-ROMの紛失、メールの誤送信、収納代行業者による書類の紛失、メールサーバーが侵入され、同サーバーの中の個人情報が不正侵入者に閲覧されたおそれがあったなどでございます。

○増子委員 今、平成十七年度にも七件の事故があって、五件の委託事業者の方でもあったということでして、全部はなかなか新聞に載りませんが、思った以上に結構あるのだなというふうに私も感じました。これだけ個人情報の保護ということが大きな話題になって、かつ都条例も改正されているにもかかわらず、都において昨年度七件も起きているということに大変驚きを感じます。
 東村山の例を見ても、そもそも個人情報保護に対する認識が甘過ぎるのではないかというふうに、正直いってそういうふうに思います。そういわざるを得ないなというふうに思っています。職員一人一人、あるいはまた委託従事者も含めて個人情報保護についての意識改革というものが必要なのではないかと思っていますが、都として適正管理を徹底していく必要があると思いますけれど、いかがでしょうか。

○萩原参事 個人情報の適正管理につきましては、改正した個人情報保護条例施行と同時に出しました通達において、その具体的内容や委託等に伴う措置を定めております。
 委託等に伴う措置といたしましては、委託契約等において契約書等に安全管理、秘密の厳守と個人情報保護について必要な事項を明記し、受託者等に個人情報保護について責務を課し、履行中に監督するということといたしております。
 また、現在、全庁のすべての課におきまして、個人情報保護状況の総点検を実施いたしておりまして、委託も含め個人情報の管理状況や職員に対する指導状況を自己点検しているところでございます。
 今後も定期的に点検を行うほか、職員研修を充実するなどして、個人情報の保護についての意識の向上を図り、個人情報の適正管理を徹底いたしてまいります。

○増子委員 担当の局がさまざまな取り組みを行われているということはよくわかりました。にもかかわらず、いろんな事故が相変わらず起きてしまうという中でいうと、もうまさしくこの意識を本当に徹底させるしかないのかなというふうに感じています。
 これは変な話ですけれど、禁煙だとか、生活習慣病と一緒で、何かよっぽど驚かされないと、また次々起こるんじゃないかなと本当に心配をしています。事故が起きると、本当に取り返しがつきませんし、都民の信頼も大きく損なわれるということになりますので、この個人情報の保護については不断の努力をぜひお願いしたいと思いますし、局長初め管理職の皆さんがこの個人情報の重要性を認識していただいて、この組織の隅々まできちんと浸透させるということが大切だというふうに思いますので、これは職員の皆さんのご努力を期待して、私の質問を終わります。

○遠藤委員 各委員の皆さんからさまざまな視点で質問が出ましたので、私の方からは、子育て世代の代表というか、一員として、やや目線を変えて質問させていただきたいと思います。
 平成十七年度決算のうち、文化や芸術を通じた子どもたちの感性を磨く体験型の事業、こうしたものを東京都として、生活文化局として行っております。この点について何点かお伺いいたします。
 まず、生活文化局では、平成十六年、そして昨年十七年と、子ども向け舞台芸術参加・体験プログラム事業を行っております。これは十六年の新規事業ということで、二年間たったわけでございますが、この二年間、それぞれの事業の状況並びに事業費はどうなっているか、まず基本的なことからお伺いいたします。

○杉谷文化振興部長 子どもたちが体験を通じて芸術文化に親しむことを目的としております子ども向け舞台芸術参加・体験プログラム事業は、学校や児童館などにプロの芸術家が出向きまして、子どもたちとの共演、体験、創作型のワークショップ、吹奏楽などの実技指導などを行うアウトリーチプログラムを実施するとともに、その成果の発表会や鑑賞会を都立文化施設で実施するものでございます。
 平成十六年度は、江戸東京博物館におきまして児童演劇中心のプログラムを、また、東京芸術劇場におきましてはクラシック音楽及び能楽中心のプログラムをそれぞれ実施いたしました。参加人数は、発表会、鑑賞会が五千二百九人、アウトリーチプログラムが六十六回、三千六百八十六人でございました。また、事業費は約三千百万円でございます。
 平成十七年度は、十六年度と同様のプログラムを実施いたしまして、発表会、鑑賞会などが四千五百六十四人、アウトリーチプログラムが八十回、四千三百四十八人でございました。また、事業費は約二千九百万円でございます。

○遠藤委員 今、答弁いただいたとおり、参加者も十六年から十七年、拡大しているということで、事業は長い目で見ないといけませんけれども、当初の目的どおり進んでいるのではないかと思います。
 ところで、この二年間でこの事業、どのような成果が生まれたか。そして、その反面、今後の課題、どのようなものが浮き彫りになったか、お伺いしたいと思います。

○杉谷文化振興部長 まず、成果でございますが、参加者からのアンケートをとったんでございますけれども、そのアンケートによりますと、六歳の娘が金管楽器を吹くことができ感動しましたという結果ですとか、能楽から古典や歴史に興味を抱くようになったと、そういうふうな声が多く寄せられておりますし、子どもたちが芸術家と直接触れ合うことにより、芸術に対する理解が深まり、より親しみを感じたものと考えております。
 十七年度では、十六年度と比較して参加総人数がふえまして、特にアウトリーチにつきましては、回数で十四回、参加人数で六百六十二人上回っておりまして、より多くの子どもたちに芸術家と触れ合う機会を提供できたものと考えております。
 しかし、この事業をさらに充実させていくに当たっては、子どもたちに身近な学校や地域コミュニティを持つ基礎的自治体であります区市町村への周知に取り組んでいく必要があると考えております。そのため、今後とも都と区市町村との連絡会など機会あるごとに周知を図るとともに、区市町村の文化事業の担当者を会場に招待するなどして、子どもたちの身近な場所でかような取り組みが実施されるよう働きかけてまいります。

○遠藤委員 今の答弁にありましたとおり、市区町村との連携、とりわけ市区町村の担当者としっかりコミュニケーションをとって意思の疎通、または周知を図る、これが決め手だという答弁だと思います。
 いうまでもなく、文化と教育というのは濃厚密接な関係があって、そういう観点からいえば、この文化担当者のみならず、教育委員会との連携も大変重要な視点ではないかと思います。
 私もこの質問をする中で事前に資料をちょうだいいたしましたけれども、本当に東京都内多くの会場で、また、多くの小学校、幼稚園、中学校、高校が参加していますけれども、参加している学校にやや偏りがあるという側面も否めないと思います。参加している者は本当にいい取り組みだということで、来年もまた再来年も参加しようと。全く参加していないところは、こういった事業があることも多分知らないという学校や、また市区町村も多いかと思います。ぜひともこの周知、広報活動をしっかり力を入れて取り組んでいただきたいと思います。
 その上で、今お話しいただいたとおり、事業の特徴的な内容であるアウトリーチ活動、すなわち芸術家による地域の訪問ですね、こうした活動の回数や、また参加者が十六年度と比べて十七年度は大きく拡大する、充実してきているという点でありますけれども、このように参加者が多くなるというのは、関心のあらわれであるということで大変結構なことだと思います。
 大変卑近な例で、また、私ごとで恐縮なんですけれども、おとといですか、家に帰りましたら、私の小学校二年になる息子が、ふだん起きていない時間、私が帰ってきたとき、お父さん、お父さん、きょうは僕は学校でパンづくりをやったんだということで、一日かけて小麦から何から、焼くところまで学校の授業の中で行って、つくった物を家に持って帰ってきて、ぜひお父さん食べてくれということですね。女房に聞いてみると、このパンづくりの授業の一週間ぐらい前から、息子はこの話しかしないということで、大人の視点からとると、パンづくりは小さな取り組みのようなんですけれども、子どもにとっては本当に思い出があり、また、将来につながるようなこうした活動だと思うんですね。
 ちょっと次元は異なりますけれども、こうして今いい事業を行っていますので、芸術のジャンルは、クラシックや、または演劇、能だけではありません。今後、ぜひとも子どもたちがさまざまなジャンルの芸術家と触れ合うように、多くの地域で実施できるという面を拡大する一方、指導者の確保は大変難しい部分、ご苦労される部分もあるかと思いますけれども、例えば日舞だとか歌舞伎だとか文楽だとか、こうしたジャンルもあわせて拡大していくべきだと考えますが、見解をお伺いいたします。

○杉谷文化振興部長 まず、実施場所でございますけれども、十八年度は児童演劇中心のプログラムの発表会等を、江戸東京博物館のみではなく、区部及び多摩地域での文化施設でも実施する予定でございます。
 それから、ジャンルの拡大でございますけれども、例えばクラシック音楽中心のプログラムの中に落語などのワークショップをあわせて実施するなど、さまざまなジャンルの芸術家と子どもたちが触れ合うことができるよう努めております。
 今後とも、多様な関心を持つ子どもたちがさまざまなジャンルの芸術家と出会うことができるよう、ご質問の趣旨を踏まえまして、検討してまいります。

○遠藤委員 国におきましては、いみじくも平成十三年十二月におくればせながら芸術文化振興基本法という形で制定をして、国民全体としてこの文化芸術を日本の政策の柱の一つに掲げていこう、取り組んでいこう、こういった大きな動きがあります。
 東京都はこれに先んじた形でリーダー役となって、これまで進めてこられたかと思いますが、東京オリンピックの招致に関連しても、その理念の中に、人と人を結びつける文化の力、また重要性というものをうたい上げております。平成十九年度の局予算の見積もりで今まで話した事業をどのような形で見積もっておられるか、つまびらかに承知しておりませんけれども、大変重要な取り組みでございますので、今後ますます頑張っていただきたいことを要望し、質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。

○相川委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○相川委員長 異議なしと認め、本件に対する質疑は終了いたしました。
 以上で生活文化局関係を終わります。
 これをもちまして本日の分科会を閉会いたします。
   午後三時八分散会

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