各会計決算特別委員会第三分科会速記録第四号

平成十八年十月二十三日(月曜日)
第九委員会室
   午後一時一分開議
 出席委員 十名
委員長東村 邦浩君
副委員長佐藤 広典君
副委員長樺山たかし君
宇田川聡史君
尾崎 大介君
たぞえ民夫君
上野 和彦君
野島 善司君
石毛しげる君
こいそ 明君

 欠席委員 なし

 出席説明員
中央卸売市場市場長比留間英人君
管理部長高津 満好君
事業部長荒井  浩君
新市場担当部長大野 精次君
市場政策担当部長大橋 健治君
調整担当部長越智 利春君
新市場建設調整担当部長後藤  正君
参事河村  茂君
産業労働局局長島田 健一君
総務部長野澤 直明君
産業企画担当部長猪熊 純子君
商工部長新田 洋平君
参事安藤 弘志君
金融部長塚田 祐次君
観光部長中尾根明子君
参事米原 亮三君
農林水産部長大村 雅一君
参事秋元 篤司君
雇用就業部長松本 泰之君
参事三森 生野君

本日の会議に付した事件
 平成十七年度東京都各会計歳入歳出決算の認定について
中央卸売市場関係
・平成十七年度東京都と場会計決算(質疑)
産業労働局関係
・平成十七年度東京都一般会計決算(質疑)
・平成十七年度東京都中小企業設備導入等資金会計決算(質疑)
・平成十七年度東京都農業改良資金助成会計決算(質疑)
・平成十七年度東京都林業・木材産業改善資金助成会計決算(質疑)
・平成十七年度東京都沿岸漁業改善資金助成会計決算(質疑)

○東村委員長 ただいまから平成十七年度各会計決算特別委員会第三分科会を開会いたします。
 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、中央卸売市場及び産業労働局関係の決算に対する質疑を行います。よろしくお願いいたします。
 これより中央卸売市場関係に入ります。
 決算の審査を行います。
 平成十七年度東京都と場会計決算を議題といたします。
 本件につきましては、既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○高津管理部長 去る十月六日の当分科会でご要求のありました資料につきまして、お手元に配布いたしております平成十七年度各会計決算特別委員会第三分科会要求資料に基づきましてご説明申し上げます。
 一ページをお開きいただきたいと存じます。牛海綿状脳症(BSE)対策の実施状況についてでございます。
 施設整備や業務改善など、項目別に実施状況を記載してございます。
 特定部位の除去、焼却を行うほか、施設や設備についての改善や作業の見直しを行い、安全・安心な食肉の供給に努めております。
 以上、簡単ではございますが、ご要求のございました資料につきましての説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○東村委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めて、これより本件に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○上野委員 私からは、施設整備について三点ほどお伺いいたします。
 食肉市場を品川に設置された当時の周辺状況というのは、国鉄の貨物ヤードとか、あるいは運河に囲まれている、こういった状況の中で、臭気などの環境対策というのは、今ほど気にすることもなかったと思いますけれども、平成四年に、旧国鉄貨物ヤードの跡地を対象に再開発地区計画が策定されました。これに基づいて品川駅東口地区再開発が実施されまして、それ以降、ご承知のとおり、食肉市場周辺ではオフィスビルあるいはマンションの開発が急速に進んでおります。
 市場が地域と共存し、安定的に事業を行うためには、周囲に及ぼす臭気などの環境負荷を可能な限り低減させていくべきであると考えます。
 そこで、食肉市場としての臭気やじんあいなどの低減対策についてお伺いします。

○越智調整担当部長 臭気対策といたしましては、ハード面では、公衆衛生対策の観点も含めまして、生体搬入車両用洗車場を設置するとともに、係留所におきまして、生体を殺菌効果のある無菌水で洗浄する設備を設置いたしました。
 また、汚水処理の過程で発生いたします臭気に対応するために、平成十年に新たに水処理センターを設置し、生物脱臭装置も付加いたしました。
 ソフト面の対応といたしましては、清潔な生体を出荷するよう出荷者に要請するとともに、場内業者等には、場内の舗装路面だけでなく、各作業場での清掃を徹底するように指導しております。
 じんあい対策といたしましては、大動物Cラインの係留所に、生体の清潔さの保持等とじんあいの拡散防止両面効果のあるミスト発生装置や、羽板を平行に並べたよろい戸状のルーバーを設置いたしました。

○上野委員 次に、以前ですけれども、我が党で食肉市場を視察に行った際のことでございますけれども、カラスが大変多くて驚きました。さまざまな衛生面の対策はしっかりとられているとは思いますけれども、あのようなカラスがいるということは、やっぱりそこにえさがとれる状況にあるから、いるんじゃないかと思います。
 市場内の衛生面や周辺環境の向上を図る上からも、このカラス対策にしっかり取り組むべきであると考えますが、いかがでございますか。

○越智調整担当部長 ハード面の対応といたしましては、平成十三年十二月からカラストラップ二基による捕獲を行っておりまして、今年度からは、年間の捕獲期間を八カ月から十一カ月に延長いたしまして取り組みを強化しております。
 また、えさとなります脂、肉、骨類をカラスから隔離するために、えさ場となりやすい大動物棟や原皮作業所等に侵入防止用のネットやてぐす等を設置しております。
 一方、ソフト面の対応を一層推進するために、今年度は、食肉市場、市場関係業者及び廃棄物処理業者とともに、カラス対策の関係者会議を開催いたしまして、脂、肉、骨類の搬出作業に当たって、コンテナ等へのふたかけ、搬出車両へのシートかけを徹底するとともに、搬出口周辺の路面清掃を適切に行うよう、市場関係者への指導を行っております。
 市場内の衛生を保持し、市場周辺環境の向上を図るために、今後とも引き続きカラス対策を進めてまいります。

○上野委員 この食肉市場がある地域、いわゆる品川駅周辺地域、皆さんもご存じのとおり、今後の東京における位置づけというのは、新幹線駅とか羽田空港直結の利便性、こういう点からも、都市づくりの中では特に重要な場所である、このように考えられている地域であります。今後一層の開発が予定されている、こういう状況でございます。
 平成十七年七月に、国と東京都が共同で、品川駅周辺における今後のまちづくりの進め方についてという中間まとめを発表いたしました。この中身はいろいろありますけれども、大きなポイントとしては、環境モデル都市の創出を目指した、そうした都市づくりということが命題としてあります。
 一方また、この食肉市場周辺には、二〇一六年のオリンピック会場予定地からも近いということから、恐らく海外からのお客さんや報道関係者も集まってくるのではないか、このように予測されておる地域でもございます。こうした点からも、都心にある食肉市場は、さすが環境対策は万全だ、このように評価されるように、今後一層の取り組みをしっかり願うものであります。
 そこで最後に、今後の環境対策への取り組み、この決意を伺い、質問を終わります。

○越智調整担当部長 食肉市場が地域と共存していくためには、地域環境の変化にきめ細やかに対応していくことが大変重要であると認識しております。
 今後は、これまで実施し、強化してきた対策の効果を見きわめつつ、施設整備などのハード面の対策はもちろんのこと、業務方法の改善などソフト面の対策も加えまして、業界の協力も得ながら、必要な環境対策を講じてまいります。

○東村委員長 ほかにご発言はございませんか。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕

○東村委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○東村委員長 異議なしと認め、本件に対する質疑は終了いたしました。
 以上で中央卸売市場関係を終わります。

○東村委員長 これより産業労働局関係に入ります。
 決算の審査を行います。
 平成十七年度東京都一般会計決算中、産業労働局所管分、平成十七年度東京都中小企業設備導入等資金会計決算、平成十七年度東京都農業改良資金助成会計決算、平成十七年度東京都林業・木材産業改善資金助成会計決算及び平成十七年度東京都沿岸漁業改善資金助成会計決算を一括して議題といたします。
 本件につきましては、既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○野澤総務部長 去る十月十一日に当委員会で要求のございました資料につきましてご説明を申し上げます。
 お手元の資料、一ページをお開きください。目次にありますとおり、要求のございました資料は、全部で十項目でございます。
 二ページをお開きください。1、中小企業対策予算、決算の過去十年間の推移でございます。
 平成十七年度の当初予算額は二千九十七億余円、決算額は二千二十一億余円でございます。いずれも平成八年度からおおむね減少傾向にございます。
 次の三ページは、2、都内小売業商店数の推移でございます。
 平成十六年の都内小売業商店数は、総数欄の右端にありますとおり、約十一万四千店でございます。昭和五十七年の約十六万二千店をピークに減少傾向にございます。
 四ページは、3、新・元気を出せ商店街事業の実績でございます。
 中段にございます平成十七年度の状況につきましては、右端の実績欄にありますとおり、イベント、活性化の両事業を合わせて二千二百二十六件、十四億一千五百万余円を交付いたしました。
 また、新たな取り組みの地域連携型モデル商店街事業では、二件、八千三百万余円を交付いたしました。
 五ページは、4、都内の酒小売業、ガソリンスタンドの店舗数の推移でございます。
 平成十六年の酒小売業の店舗数は三千八百六十三店、ガソリンスタンドは千九百七十所で、ともに減少傾向にございます。
 六ページは、5、ISO取得済み事業所数の過去五年間の推移でございます。
 平成十七年度末の都内のISO取得済み事業所数は、国際的な品質管理保証システム規格のISO九〇〇一が五千四百五十四所、環境管理システム規格のISO一四〇〇一が二千五百五十一所と、ともに年々増加しております。
 七ページと八ページは、6、中小企業制度融資の実績と預託額の過去十年間の推移でございます。
 八ページ右端に、平成十七年度の融資実績がございます。下から三段目の合計欄にありますとおり、約十五万五千六百件、一兆八千三百億余円を融資しております。
 九ページと一〇ページは、7、多摩地域観光資源の広報、PRの実績でございます。
 まず、九ページ上段の1、東京観光情報センターにおける情報提供につきましては、都庁、京成上野、羽田空港の三カ所で、パンフレットの配布やポスターの掲示、映像ソフトの放映のほか、市町村のPRコーナー展示を行っております。多摩地域に関連する情報提供は、いずれも年ごとに規模の拡大を図っております。
 2、東京観光案内窓口につきましては平成十六年十一月から開始いたしまして、多摩地域では、京王プラザホテル多摩ほか、十七年度末時点で三十七カ所設置されております。
 3、ウェブサイト「東京の観光」における情報提供につきましては、区市町村おすすめ観光情報ほか、本年十月現在で約八つのコンテンツを制作し、ネット上に公開しております。
 一〇ページの4、市町村が行う事業を補助しているものにつきましては、各市町村が主体的に実施する観光パンフレットの作成など、PR事業に対して支援を行っております。
 一一ページは、8、野生獣による農作物被害と獣害防止対策の状況でございます。
 1、野生獣による農作物被害状況につきましては、対策を講じている成果も見え、被害金額の合計ではおおむね減少傾向にあるところですが、ハクビシンやアライグマなど、新たな被害が拡大している一面もうかがえます。
 2、農作物獣害防止対策事業実績につきましては、加害獣の侵入を防止するための電気さくやネットの設置及び追い払いのための人件費補助など、平成十七年度は一千八百万余円を支出しております。
 一二ページは、9、労働相談情報センターの過去五年間の相談件数、あっせん件数、解決件数でございます。
 下から二段目、平成十七年度の労働相談件数は四万八千八百件弱で、十三年度から徐々に減少していた件数が増加に転じております。
 一三ページは、10、若年労働者の無業者、フリーター、派遣労働者の過去五年間の推移でございます。
 (1)、無業者数の推移につきましては、平成十七年三月卒業で見ますと、右端の合計欄にありますように、東京全体では、卒業者約三十六万人のうち、約四万二千人が進学や就職をしない無業者となっております。
 (2)、フリーター数の推移につきましては、平成十三年の都の集計を見ますと、東京には三十四万人のフリーターが存在しております。
 (3)、派遣労働者数の推移につきましては、平成十五年度まで年々増加する傾向にありましたが、平成十六年度は減少に転じております。平成十六年度の東京の派遣労働者数は、合計で八十六万人弱となっております。
 以上、簡単ではございますが、資料の説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○東村委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めて、これより本件に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○こいそ委員 それでは、質問させていただきたいと思います。
 まず、私の方からは、ISOの関係、そして、都内における中小企業対策の中におきまして、「屋」の商法という、構造的な中で、努力しても経営的な効果が、努力がなかなか効果としてあらわれない。このあたりをちょっとお聞きをさせていただきたいと思います。
 まず、現在の景気回復は、イザナギ景気を超え、確実な情勢といわれておりますけれども、都内中小企業の現実は依然として厳しい状況にあります。
 財務省の法人統計調査によりましても、ことしの四月から六月までの経常利益について、前年同期と比較してみましても、大企業が一七・八%もふえたのとは対照的に、中小企業は六・五%の減少となっているわけでありまして、これは大企業と中小企業の取引において構造的な問題点があるのではないか、こういうあたりから、まず最初にISO関係、そして、東京都のまさに構造的な中で、いわゆる大手と地場といいましょうか、中小企業者の劣悪な経営環境についての質問を、また、その実態を明らかにさせていきたいと思っております。
 そういう中で、まず、マネジメントシステムの国際的な規格のISOの取得問題でありますけれども、一般的にイソ、いわゆるISO、これは環境基準で、趣旨そのものについては結構だと思いますけれども、実際義務づけをされている中小企業者は一体どうなんだということであります。
 ISOの代表的なもので、品質マネジメントの規格であるISO九〇〇〇シリーズ、環境マネジメントシステムのISO一四〇〇〇シリーズがありますが、この認証取得や、また行政、役所からの義務づけ化、大企業の、いわゆる企業間の取引の前提条件として、中小企業に対してISOを取得せざるを得ない状況になっているようでありますけれども、これに対する見解をお聞きしたいと思います。

○新田商工部長 ISOの取得につきましては、いろいろ私ども機会をとらえまして調査を行っておりますが、認定取得の目的としましては、今先生ご指摘ございました、取引先、大企業等からの要請に基づくというものがかなりあるというところが出てございます。

○こいそ委員 要請に基づくということなんでしょうけれども、もっと実態的なものをお聞きしたかったわけでありますが、この取得に当たって、例えば二十人程度の規模、事業者では、百万程度がどうしても必要だと。ISO九〇〇一では百四万円、ISO一四〇〇一では九十八万円、こういう経費が審査登録をする中でかかってしまう。
 また、主にコンサルタントの指導料、これがあるわけでありますけれども、その経費等々について、ヒアリング調査があるわけでありますけれども、百五十万から二百万が相場だといわれるんですね。
 この取得時に当たっても、これだけの経費負担を強いられるということ、これについてはどうでしょうか。

○新田商工部長 今、先生ご指摘のとおり、ISOの取得に当たりましては、審査登録に要する経費、これが従業員数に応じて異なるということで、さまざまな数字が出てまいりますが、例えば二十人規模の事業所では、ISO九〇〇〇、ISO一四〇〇〇、いずれに当たりましても百万円程度かかるということが私どもの聞き取りで明らかになっております。
 また、先生からもご指摘ございました、審査登録を行うに当たり、多くの中小企業が、十カ月程度、コンサルタントからの指導を受けているという実態があるということで、その経費につきましては、先生ご指摘のとおり、私どものヒアリング調査でも百五十万から二百万程度、それが相場ということが明らかになっております。

○こいそ委員 実際、取得時でそれだけの経費負担があるということでありますけれども、それとともに、これは認証取得後にさらに更新をしていかなければなりませんね、三年という話もありますけれども。
 この更新に当たって、六十万から七十万、それぞれ事業所によって違うんでしょうけれども、平均してこれだけの負担がかかってしまう。例えば二日、要するにコンサルから事業所へ来る、そういう人件費、そして、延べ四、五人は張りついていかなければいけない。
 要するに、その経費負担だけではなくて、時間的にも、そしてスタッフとして、大手と同じような対応なんてとてもできるわけじゃないので、このあたり、実情はどのようにとらえられているのかなということをお願いします。

○新田商工部長 毎年行います定期審査というものが取得後必要になってくるということで、この毎年必要になってまいります経費、定期審査にかかります経費、これが十五万から三十万円かかる。それと、先生からもお話ございました三年ごとの更新ということで、この更新審査料、これが、もろもろ入れますと二十万程度必要になってくる。しかも、今、先生からもご指摘ございました、この正規の手数料以外に、企業によりましてはコンサルタント経費がかかるという実態が、私どもいろいろヒアリング等で得てございます。
 また、ISOのマネジメントシステム、これは事業所みずから内部監査を行うことを義務づけておりまして、そのための内部監査員を設置しなければならないなど、人材育成にも時間と費用がかかる、こんな実態が明らかになっております。

○こいそ委員 実態が明らかになっているわけでありますけれども、先ほどの話で、イザナギ景気を超える、大企業にとっては一定の利益というものは確保されている。しかし、一方では、東京の、まさに日本の経済を一番支えている、地域経済も支えている中小、小規模事業者について、取引をする条件として、また役所との取引というのかな、いわゆる入札条件もそうでしょう。こういうことで、これを取得しなきゃいけないんだと。死活問題ですね、これははっきりいって。
 これは所管局はちょっと違うかもしれないけれども、こういうような実態の中で、商工部としては、今後とり得る対応というのはお考えでしょうか。

○新田商工部長 今、先生からご指摘のございました、行政サイドとしての義務づけ、条件づけといったところにつきましては、私ども今、調査中でございますが、現在私ども把握しているところでは、確かにISOの認証取得が有利に働く、入札の際の加算点数に加えられるといったような例も出ていると伺っております。
 なお、産業労働局の局契約分につきましては、そういった加算はないというぐあいに伺っておりまして、今後、そういった契約実態についても、我々商工部として実情把握に努めて、適切な対応をとってまいりたいと考えております。

○こいそ委員 これは中小企業対策といいましょうか、実情をしっかり把握してもらって--その一つなんですね。こういうこともあるということですね、現実。大変苦しんでいる、困っているということもあるわけであって、それをしっかり対応するのが公、行政であり、政治ではないかと思うわけでありますけれども、ぜひよろしくお願いします。
 そのような中で、次へ進めさせていただきますが、ことしの六月の定例会で、六月二十一日の東京都議会本会議において、ガソリンスタンド販売業界への監視強化など、国に対して、ガソリン等の取引に関する意見書が全会一致で可決をいたしました。
 私はかねてから、東京の中小企業の中で、業種、業態それぞれありますけれども、私の身の回りを見ても、一生懸命経営努力しても、先ほど申し上げたように、実際的な経営がなかなか好転していかないというようなことで、それなりにお聞きをしたり、勉強をちょっとさせていただきました。その中の特に顕著な例として、都内にあるガソリンスタンド販売所、地域と共生をして、地域とともに防災上のこともそう、地域の行事にも参加する、とりわけ、こういうガソリンスタンドは、極端にいえば、きょうはあそこ、次はどこだと、道路を通っていても、どんどん廃業されているんですね。こういう状態がある。
 それでちょっと調べてみましたら、東京都内だけではありませんけれども、特に東京都の中で、平成七年度末に二千八百五十カ所あったんですね。それが平成十七年度末では千九百カ所をも下回ってしまった。十年で三割も減少しているということになったわけでありますが、二十八年前のピーク時から比べると五割が減少してしまった。二十三区においては六割も減少してしまっている。このような状況の中、大変厳しい経営環境に置かれているということなんですね。
 私はその中で、中小企業、小規模事業者に対する東京都の本来的な役割、ありよう、そして施策展開、この中には、きょうはあえてこの例を挙げさせていただきたいと思うわけでありますけれども、とりわけ、先ほどからるる申し上げておりますように、構造的な問題がどうもあるようであります。
 特にこの業界においては、さかのぼって九年間で、ガソリン販売シェアを--一方、大手元売という、精製して元売をし、なおかつ、いわゆる子会社をつくって市場に展開している、こういうことなのでありますけれども、ここは三・二倍売り上げを伸ばしている。その勢いのおかげで、今申し上げたように、五年間でも、全国規模でありますけれども、これはまた、数字上で六千百二十軒のガソリンスタンドが廃業に追い込まれてしまった、こういう実情ですね。
 公正な取引が確保され、市場の競争性の結果であるのかどうなのか、私たちは大変これに疑問を持ちまして、大手資本力を背景にして優越的地位の乱用、差別的対価、その乱用や差別についての判断が非常に難しいという現状がある中で、そのような状況は、平ったい言葉でいえば野放し状態、やりたい放題といいますか、大資本の背景に基づいての大きな力が、地元の共存共栄を図ってきた、地域に共生をもって営んできた、こういうところを淘汰し始めているんですね。
 給油市場において二元的仕切り決定方式というのがある。そして事後調整がある。そして、発券店値づけカード。これは三点セットというふうにいわれておりますけれども、このような元売直営のスタンドは、一般特約店、地場と同じような競争基盤に立っていないんですね、初めから。精製する、そして元売を通じて出す、それは事後調整、いわゆる赤字でしたら連結決算処理をする。そして価格的には、例えば地場の方に卸値で出す価格、これと同等か、場合によればもっとひどい安売りを展開するんですね。できちゃうんですね、これははっきりいって。
 そうすると、競争の公平性というのはどこに担保されているか、こういうわけでありますが、このような実情についてどうでしょうか。

○新田商工部長 私ども、いろいろ業界の皆様から実情をお話を伺いましたり、また、私どもとして、国の関係の役所、経済産業省なり公正取引委員会の方といろいろ情報収集、意見交換をして、できる限り状況把握に努めているところでございます。
 そうした中で、私ども、独自に調査をこの春行いまして、六月に取りまとめを行いました中で、都内のガソリンスタンドの実態といたしましても、地場の中小のガソリンスタンドにつきましては、一カ所のスタンドの経営というところが約七六%ということで圧倒的に大きい。二カ所経営しているところ、これが約九%ということで、両方合わせまして、一、二カ所というところが八五%、まさにこうした中小のガソリンスタンドが東京のガソリン供給を支えているというぐあいに考えてございます。
 また、中小の地場のガソリンスタンドさんが、我々の調査の中では、売上高が一年前と比べて低下しているといったところが四四%、直近の決算で経常利益が赤字というところが五八%出ているということで、先生ご指摘のとおり、非常に厳しい実態にあるというぐあいに私ども考えてございます。

○こいそ委員 我が国の独禁法は、先ほども触れましたけれども、不当な差別対価、不当廉売、優越的地位の乱用と、三つの取引を指定し、公正な競争を阻害する一歩手前の、競争を阻害するおそれのある、つまり競争秩序に悪影響を与える取引を禁止している、こういうことがあるわけでありますけれども、これらの見解と、中小企業基本法の七条、四条、中小企業者のためのさまざまな対応が明記されているわけでありますけれども、これについての解釈をお願いします。

○新田商工部長 中小企業基本法の第三条に端的にあらわれているかと思いますが、中小企業基本法の第三条には、国の施策として、中小企業の取引条件の不利を補正すべく過度の競争の防止を図るというぐあいに規定されてございます。そしてまた、第四条におきまして、地方公共団体も国の施策に準じて施策を講じるべきこととされております。
 この精神、これは独占禁止法におきまして、大企業の市場支配力の形成を阻止する、そして不当廉売や差別対価を規制することで大企業の資本力による競争に制限を加える、その優越的地位の乱用を禁止することにより中小企業を擁護する、そういう法律が独占禁止法かと思います。
 まさにこの独占禁止法の精神が中小企業基本法にも反映されており、基本的には、公正取引に関します措置につきましては、公正取引委員会を抱えております国の事務かと思いますが、中小企業基本法第四条にございますように、国に準じた施策を講じる、これが地方公共団体の役割であるというぐあいに認識してございます。

○こいそ委員 認識は当然一致すると思いますけれども、とりわけ、私はこの第四条の、今お話もありましたけれども、地方公共団体が国の施策に準じて施策を講ずべきことが記されている、この点に注目したいと思うんですね。
 しかし、現実としては、私がるる先ほどから申し上げているような状況が極めて明確に、極めて状況として強くなってきている、こういうことがいえるのではないかと思うんですね。ということは、地方公共団体も当然にしてしっかりとした施策を、ここで明記されているわけでありますから、対応策をしっかり打たなきゃいけない、こういうことを思うんですね。
 そういう中で、平成十六年に公正取引委員会によって公表されたガソリンスタンドの流通実態に関する調査の結果から見ても、石油元売会社は、赤字決算に陥るような子会社に対して、決算前に、さっきちょっと触れましたけれども、赤字にならないような事後調整を行っていることが明らかになった。
 そしてさらに、本年二月に施行された東京都の商工部によるガソリンの取引状況等に関する調査の結果からも、卸売価格の決定方法、発券店値づけカードの給油代行手数料の決定方法について、中小ガソリン販売業者が不当な状況に置かれていることが明確に明らかになっているんですね。
 それに基づいて、六月二十一日、本会議において意見書が出されたという経過があると思うんですね。こういう中で、その後、どのように国に対しても、また東京都としての対応策、現状は認識されているでしょうか。
 今いった、現行法の中における東京都の当然そういう役割もある。東京の中小事業者が置かれている状況というものに何とか対応していかなきゃいけない、これが我々都議会の決意でもあったわけでありますから、その後についてどうでしょうか。

○新田商工部長 都議会として、本年六月二十一日に、全国の自治体としては初めてというぐあいに伺っておりますが、国に対しまして、ガソリンスタンド販売の適正化についての意見書を国に出された、これは非常に効果が大きいというぐあいに伺っております。
 私も、この七月に就任してから、早速この問題につきまして国の方の情報収集に努めて、国に対するプッシュをしていく必要があるだろうということで、八月に経済産業省と公正取引委員会の方に伺いまして、現在の状況等について確認するとともに、意見書の趣旨を踏まえた対応方、国の方に要請を行っておるところでございます。
 国の方といたしましては、現在、昨年九月に公正取引委員会が公表しましたフォローアップ調査、その中にいろいろ国としての対応が出てございますが、公正取引委員会としては、今後とも公正かつ自由な競争の促進の観点から、ガソリン流通の動向を注視していくとともに、特に卸売価格算出方法についての特約店への説明など、適切な対応を引き続き要請していくということで、それを国としてしっかりやっていただきたいということでいっておきました。
 また、私ども、都としてとり得るべき方策について、国と連携する中で、国に準じた措置として何かしらできないかというところを今後十分勉強していきたいと思いますし、先生方、また業界の皆様からいろいろ要望を承って対応してまいりたいというぐあいに考えております。

○こいそ委員 いずれにいたしましても、いろんな事実関係が明らかになってきているわけでありますけれども、その中で、要するに精製会社が、先ほどのような元売といいましょうか、三点セットでやってきている。地域社会に生きる、生業を営む地元のいわゆる地場の給油所がどんどん消滅をしている。これは、今、私がいった本当のこの一端、一面でありますけれども、やはりこれでは、やあ要望しますよ、そういう状況は認識はしておりますということだけでは、頼りになる東京都ではないんですね。
 首都東京で、東京は国を変えていくんだ、東京から新しいうねりを起こしていくんだ、こういう決意を私は知事からもお聞きしたことがあるし、さまざまなところでお聞きしたことがある。国が国が国がじゃない。やはり時代に即応した新しい手当てが必要じゃないかということは、私は近ごろ、また特に思うわけであります。
 私だけじゃありませんけれども、私はるる一面的、二面的、いろいろな話をさせていただきましたけれども、その中で、今まで元売が子会社をつくり上げて、いろいろ販売行為を行ってきた。それにはさまざまな、事後調整なり、連結決算なり、不当廉売ではないかと、いろいろあった。
 そういう中で、群を抜いて、そのような中から消費者に利益を提供して得たその財源も、実は地場がどんどんどんどん倒れていくということになってくれば、これは明らかに精製会社、元売の直営店も、もはや自力で経費を上乗せして売る以外ないのではないか、こういうことも予測をされるところでもあるんですね。
 そうなってきたときに、これは消費者ですよ、消費者。一般の生活する中において、今は何か、感じ方としていろいろあるかもしれないけれども、しかし、中長期的に見たら、こういう現象というのが明らかにあらわれてきたのがアメリカなんですね。とりわけ私がるる申し上げたような、極めて類似する行為がアメリカの中で起きてきた。そこで、これはもう消費者の中からもそういう声が出てきたということの中で、現在アメリカでは、七州で、石油元売会社と元売子会社がガソリンを運営することを禁止した、いわゆる分離ですね。精製会社は精製会社の役割があるんじゃないのかと。
 とりわけビール会社は、工場へ行っても直接売ってくれませんね。それから日本酒の酒造元、これだってそうですよ。要するに、そういう仕組みで日本はなってきた。お互いさま、役割がおのずと決まってきて共存共栄策が図られてきた、知恵も働いて。
 ところが、今この業界たるものは、大資本の力、特に外資系といっても過言ではない--まあ外資系も入っているから、あえていわせていただければ。自国では分離法という法律の中で規制されている。これが日本では何の制約もないんですね。それで、ばんばんばんばん地元に、地元というか東京全体ですけれども、地元に進出してきて、地場を実際的に苦しめている。地場をつぶしている、次から次に。強者が弱者をまさに駆逐する、滅ぼす。はっきりいって、これはどんどん減ってきた。先ほど数字をいったから、もうあえていわないけれども。
 ある大手の関係者の方々は、これでもまだ少ないよと。今の約五〇%でちょうど、まあ何とか、いわゆる営業的な部門ではどうなのかと、こんなことも、ある新聞で私は読んだことがある。まだあと五〇つぶすということは、どこが影響を受けてくるかといったら、これはいうまでもないところであります。
 まじめに生業して、まじめに働いて、それでも、大きな壁だか何だかわからぬけれども、そういうもので押しつぶされようとしている中小零細事業者の立場に立って、今こそ東京から日本を変えていくんだ、新しい仕組みづくりを東京から一つ大きく踏み出していくんだ、そういう気概が私はあってもいいんじゃないかと思うんですが、どうでしょうか。

○新田商工部長 今、先生の方からご指摘のございました、アメリカにおきましては分離法、ディボースメント・ローというようでございますが、石油の精製会社--元売会社でございますが--と小売販売とを分離する。それによりまして、元売業者、精製業者によります直営給油所あるいは子会社による給油所の営業を禁止する法令、これが数州、デラウエアとかコネティカット、バージニア、ネバダ、ハワイなどの州において施行されているというぐあいに伺っております。
 私ども、アメリカは、州がいうなれば独立国家、その連邦制ということで、必ずしも日本における都道府県とアメリカの州とが、残念ながら同等の立場にないというところは十分承知しておりますが、先生からも力強いご指摘がございましたが、東京から日本を変えていくということでは、ぜひアメリカの実態、こういったところを私ども十分研究してまいりたいと思います。その中で何ができるかということを真剣に、実情を踏まえた対応を考えていきたいと思っております。
 そういった中で、わずかながら、私どもとして精いっぱいできる限りの取り組みをさせていただく中で、じわりじわりでございますが、周辺県にもこうした取り組みの波及があらわれている。
 また、国におけるこれまでの取り組みが、先生方のご尽力で意見書が出されたということもあり、非常に国の対応も変わってきたというぐあいに認識しておりまして、そういう意味では、こういったことを地道に積み上げていく中で、何とか私ども、東京の存在感を国に対してアピールして変えていきたいというぐあいに考えております。今後ともご指導よろしくお願いしたいと思います。

○こいそ委員 ぜひよろしくお願いしたいと思います。
 そして、もう時間も迫ってまいりましたし、若干過ぎているようでありますから、締めたいと思いますけれども、特に差別対価、いわゆる元売とのお話をさせていただきましたけれども、それとともに、揮発油販売業者の登録もなされていないところが、カード発券、発券店という形で販売ができてしまっている。この問題は極めて巧妙に、なおかつ、まさに地場でまじめに働く方々の生存権を脅かしているといわざるを得ないということなんです、実は。これは大変なことなんです。
 いずれにいたしましても、局長、私が先ほどから申し上げておりますように、これは東京の中小企業者の切実な状況なんですよ。まさに切実な、重い思いとする声なんですね。エネ庁にも公取にも、関係者の方々を含めて東京都も行っていただいていることは私もよくわかっております。しかし、なかなかこの状況というのが好転をする兆しがいま一つ見えてこない。よって、私は、さっき申し上げたような、アメリカの州と、確かに制度的なものがあるかもしらぬけれども、これは一考に値する、検討に値するものではないかと思うんですね。このあたりの検討はぜひしていただきたいと思うんですね。
 それは、要するに共存共栄ですよ。さっきからるる申し上げているけれども、生業して、営んで、何回もいって申しわけないけれども、まじめに働く人が報われない社会なんていったら、こんな社会どうなんですか、これははっきりいって。まじめに働いて、まじめに税金を納めてくれる人が苦しんでいるわけだ。これが一面なんですよ、中小企業者の。
 こういうところこそ、私はもっともっと東京都が果たすべき役割の、当然にして一つではないかと思うわけでありまして、当然私たちも責任があるわけでありますけれども、都として今後とも、今、国にもいっていただいているけれども、きょうはガソリンスタンドに例をとってやらせていただいておりますけれども、販売業者の動向、全体的な動向をきちんと把握していただいて、そして、不当廉売や差別対価、優越的地位の乱用などに対する監視を私はより強化してもらいたい。そして、強く要望するところは、いま一つ実効的効果が上がるような形で対応していただきたいと思うんですね。
 先ほどから申し上げておりますけれども、六月二十一日の意見書、この後の動向というのはさまざまに関心を持たれているわけでありまして、頼りにするのはやはりこの首都東京だということなんです。この首都東京の動きが、全国のそういう声ある声、声なき声の人たちを勇気づけてくるんで、あすの生きる生きがいを与えてくる、そういうことがありますので、ぜひひとつよろしくお願いしたいと思いますが、最後に局長、お願いします。

○島田産業労働局長 私ごとではございますが、私も車に乗りますと、このごろ廃棄されたというガソリンスタンドを多数見かけます。残念ながら、塗装がはげて、ロープが周りに張ってある。さらに、原油高で、きのうもガソリンを入れましたら百三十五円でございました。前回は、たしか百四十五円を超えていたんじゃないかと思います。毎日のようにガソリンの値段が変動している、そういう状況。
 その一方で、私は危機管理監をやっておりましたが、防災対策として、前向きに帰宅困難者のステーションとしてご協力をいただいております。こういった地域の核として、そして皆さんの場として位置づけられているというふうに認識しております。
 先ほどから先生るるお話がありましたので、繰り返しませんが、都も国とのパイプ役として、公正取引委員会、経済産業省へも足を運び、意見交換を求めてまいりました。さらに本年六月、さらなる状況把握ということで、ガソリン取引状況に関する調査も実施し、問題提起をしてまいりました。
 今、東京都がやるべきことは、さらなるガソリン販売業界との情報交換を密にすること、関係省庁との情報交換を行い、より一層の働きかけをしていくこと、さらに、厳しい経営状況の中でご苦労されておられます中小企業の販売事業者の方々に、あらゆる支援スキームを総動員しまして多面的な支援をしていくこと、こういったことであると考えております。
 中小企業をいかに守るか、そして発展させるかが、私ども産業労働局の使命と考えております。産業労働局長として、先ほど先生からご指摘、問題提起がありました点をしっかりと受けとめまして、汗をかいていく所存であります。よろしくお願い申し上げます。

○尾崎委員 本年四月からスギ花粉の発生源対策が始まったわけですが、この事業は、森林所有者との調整から始まり、伐採作業、その後の森林の整備、また、切り出した木材をどう活用していくかといった広範囲に及ぶわけであります。事業を円滑に進めるためには、これらすべてがうまく機能をしなければならないと考えております。花粉対策は長期的な取り組みであり、地元自治体、森林組合、森林所有者、また木製材業者と十分調整を図りながら事業を進めていただきたいと考えております。
 今回は、その中でも、切り出した木材をどう活用していくかについて何点かお伺いをしたいと思います。
 私は六月の第二回定例会でも質問させていただいたんですが、スギ花粉の発生源対策では、十年間で百八十万本の杉、ヒノキを伐採する計画です。
 現在の多摩産材の流通を見ますと、単に木材を供給するだけでは、切り出された木材を有効に活用することが困難な状況だと考えております。実際、この十月から切り出しが始まるわけですし、せっかく税金を投入して木材を切り出すわけでありますから、需要の確保を整備するのは当然必要だと考えております。
 まず、この需要拡大に当たりまして、切り出した多摩産材を本物の多摩産であると認証する制度である多摩産材認証制度について、現状と今後の取り組みについてお伺いいたします。

○大村農林水産部長 現在東京都では、多摩産材認証協議会に対しまして、認証制度の具体的な運用方法などについてアドバイスを行っているところでございます。
 認証協議会への登録事業者数は、本年四月の認証制度発足当初には十九事業者でございましたけれども、九月末現在では四十六事業者に拡大しているところでございます。
 また、本年度の認証材の流通量は、九月末で一千百立方メートル、丸太にして約七千本分となってございますが、先生おっしゃいますように、この秋から、主伐事業の開始によりまして、また伐採が始まりますので、かなり増加する見込みでございます。
 今後も、多摩産材の需要増加が図れるように、認証制度の拡大について支援を続けていきたいというふうに考えてございます。

○尾崎委員 東京都においても、多摩産材利用の率先的取り組みが必要だと思うんですが、都全体での多摩産材の利用の取り組みについてお伺いをいたします。
 今後の多摩産材の利用拡大のためには、東京都だけではなく、民間においての需要拡大が不可欠だと考えております。しかし、都民の多摩産材に対する認知はまだまだ進んでいない状況だと思います。
 そこで、例えば、木材のよさを理解してもらうのに、理屈だけではなく、子どものころに木と親しむという体験も大切ではないかと考えますが、例えば子どもに対しての多摩産材のPRなどは行っているのか、まず所見をお伺いいたします。

○大村農林水産部長 木材への理解を深めるには、子どものころから木に親しみ、関心を持つことが必要であるということを認識してございます。
 このため、平成十七年度から、多摩産材を使用した定置型遊具を設置いたしました保育園などに補助を実施しておりまして、昨年度は二施設に対して補助を行いました。今年度は五施設を予定しているところでございます。
 今後も、子どものころから木への関心を高めまして、また保護者や地域住民に対しても木に接する方策を進めることによりまして、多摩産材の普及を図ってまいりたいというふうに考えてございます。

○尾崎委員 多摩産材の利用は、今お話のあった、単に製材品としての利用だけではなく、エネルギーを初めとしたいろいろな用途が考えられるわけであります。
 私のところの調布市では、木質ペレットストーブの設置に対して補助を始めていたりするんですが、現在、新たなエネルギーとして注目をされております木質バイオマスの活用を東京都でももっと進めるべきと考えますが、現在の木質バイオマスの取り組みの現状と今後の計画についてお伺いいたします。

○大村農林水産部長 低質材や端材のエネルギーなどへの利用につきましては、多摩産材全体の付加価値を高めるために有効な手段であるというふうに考えてございます。
 このため、現在、給湯用ボイラーやストーブ、木材乾燥施設で、木質バイオマスを燃料として使用しているところでございます。
 今後も、木質バイオマスにつきまして普及PRを行いますとともに、さらなる活用の方法についての検討を行ってまいりたいというふうに考えてございます。

○尾崎委員 我が国の歴史を見ますと、有史以来、豊かな自然の中から産出される木材を巧みに生かして、今なお残っている歴史的な建造物など、木の文化とともに日本の文化が築かれたといっても過言ではないと思います。しかし、木材の輸入自由化以降、世界有数の木材輸入国となり、国内で現在使われている木材の八割は外国の輸入材に依存をしているという状況であります。
 ところが、最近の外国産材の価格上昇、また違法伐採による輸入量の減少といった中で、国産材のよさが再び見直されてきております。
 今年度から始まったこの花粉発生源対策事業は、国のとった拡大造林政策というものですけれども、戦後植林をされた成熟した杉、ヒノキ材を伐採し、地域の木材を安定的に供給するという、まさにこれは時流に乗った事業であると考えております。今まで停滞していた森林、林業の活動に新たな活力を与えるものであり、今後もっと推進をしていただくことを要望しまして、次の質問に移りたいと思います。
 次に、二〇〇七年問題ともいわれる、団塊世代の大量退職についてお伺いをいたします。
 全国で約七百万人、首都圏でも百八十三万人の大量退職が見込まれているわけでありますが、この二〇〇七年問題を二つの視点で見ますと、一つは、有意義な第二の人生を過ごしていくのに、どう必要な支援ができるのかどうか。私が二定で質問をさせていただいたのは、先ほどの花粉症対策などに絡め、森林再生や環境保全活動など、さまざまな社会貢献活動に参加する機会を持つことであります。
 もう一つの視点としては、現役時代の経験を生かして新たな仕事にチャレンジすることなどが、今後の意義ある人生を送っていただくために必要と考えております。
 そこで、急速な少子高齢化が進む中で、社会の活力を維持していくためには、団塊世代が長年培ってきた知識や経験を生かして働くことができるような就業支援が必要であると考えております。都としては、就業支援に対してどのように取り組んでいるのか、現状と今後の施策を伺います。

○三森参事 団塊世代の就業支援への取り組みについてでございますが、意欲と能力のある団塊の世代が社会で活躍できるよう、就業支援を行うことは重要であると認識しております。
 このため、東京しごとセンターにおいて、きめ細かな就業相談や職業紹介を行いますとともに、再就職支援セミナーの開催、NPOでの就業などの多様な働き方に関する情報を提供してきております。
 また、高年齢者技術専門校では、おおむね五十歳以上の方を対象といたしまして訓練科目を集中的に展開してまいりまして、再就職に向けたスキルアップへの支援を実施しているところでございます。
 今後とも、団塊世代の方々の就業を促進するため、施策の充実を図ってまいります。

○尾崎委員 戦後の日本経済は、優秀なものづくり技術が支えとなって、大きな進展を遂げてきたと思います。間もなく熟練技能者が大量に退職を迎えることとなり、今ものづくりの現場では、今まで培ってきた技術、技能が失われてしまうのではないかとの危機感を持っております。
 そうした時代状況を背景にして、神奈川県では、本年、かながわものづくり継承塾というのを開設したと聞いておりますが、都では同じような感じで、既に東京ものづくり名工塾というものを実施し、高度な技術や技能の継承を図っていると聞いております。
 このような取り組みの際、例えば熟練技能を持った団塊世代や既に退職している方々を講師として積極的に活用することができれば、雇用の拡大にもつながるだけでなく、世代間交流を通じた取り組みによって、若者の就業意欲の向上にも寄与するものと考えております。
 そこで、この東京ものづくり名工塾の取り組み実績についてお伺いをいたします。

○三森参事 先生お話しの東京ものづくり名工塾は、平成十三年度に大田技術専門校で開設いたしました。それ以来、順次、立川、板橋、江戸川の各技術専門校において拡大してまいりました。
 平成十七年度は四十三名が受講いたしまして、これまでに百七十三名の修了生を送り出しております。
 また、実施に当たりましては、団塊の世代や既に退職しておられます高度熟練技能者を講師といたしまして招きまして、その豊富な知識、経験の継承に努めているところでございます。
 今後とも、こうした取り組みを推進しまして、団塊の世代から青年技術者への技能継承が円滑に行われますよう支援してまいります。

○尾崎委員 今お話のあった、この技術専門学校の活用などはお聞きしたとおりだと思いますが、先ほどお話のあった、例えばNPOだとか技術専門学校だけではなくて、より多方面において、今後もこの団塊世代の活用について一層の充実を要望いたしまして、私の一連の質問を終わります。

○上野委員 私からは、しごとセンターと障害者の就業支援の二つのテーマについて、四点ほどお伺いいたします。
 東京しごとセンター、平成十六年七月に設置されましたが、若者から高齢者に至るまでのあらゆる年齢層の都民を対象として、仕事に関するさまざまなニーズにワンストップで対応することを特徴としているというところでございます。
 さらに、センターでは、きめ細かいカウンセリングによる求職者の能力や適性に応じた仕事の紹介、特に中高年については、カウンセリング、求人開拓から職業紹介まで一貫して民間のノウハウを活用するなど、先駆的な就業支援策を展開しているところでありますが、まず初めに、平成十七年度の東京しごとセンターの利用状況及び新規利用登録について、居住地区別の割合と若年者や女性の割合についてお伺いいたします。

○松本雇用就業部長 まず、平成十七年度の東京しごとセンターの利用状況でございますが、全年齢で延べ七万人を超える方に各種サービスを利用していただき、就業者数は約七千七百人となってございます。
 平成十七年度の新規利用登録者数は全体で約二万人でございまして、居住地区別に見ますと、区部の利用者が全体の五九%、多摩地域の利用者が一六%、他県の利用者が二五%となっております。
 また、新規利用登録者のうち、若年者は全体の三七・一%、女性は全体の四一・四%となってございます。

○上野委員 多摩地域の利用者が全体の一六%ということでございますが、他県の利用者を除いた場合、多摩地域の住民の利用者は約二割になる。区部と多摩地域、これは相対的には多摩地域の住民の利用者が少ない、このように思われます。
 その理由として考えられるのは、やはり多摩地域の住民の方々が飯田橋まで来るというのは、これは時間と交通費が大変にかかる、負担が大きいということが考えられるわけでございますけれども、そういったしごとセンターの多摩地域での展開、このことについては、我が公明党が三定でも要望いたしました。先日、産業労働局のヒアリングの中で、予算要求している、このように聞いたところでございますが、多摩地域の住民の皆様の利便性を向上させるためにも、重ねて本委員会においても要望しておきます。
 続きまして、障害者の就業支援についてお伺いします。
 働く意欲のある障害者が就労の機会を得て、積極的に社会参加できる仕組みをつくり上げていくということは極めて重要でございます。しかし、残念ながら、その点につきましては、いまだ十分とはいえない状況にあります。したがいまして、障害者が働くことを通じてその能力を発揮できるように、東京都が積極的に支援するとともに企業の取り組みを促していく、こういうことが必要ではないか、このように思います。
 新宿区の戸山には、東京しごと財団が運営しております心身障害者職能開発センターがございます。そこでは、重度身体障害者及び中軽度知的障害者を対象に、職業訓練や就職指導を行われているわけでございますが、まず、平成十七年度の職能開発センターの事業実績についてお伺いいたします。

○松本雇用就業部長 平成十七年度の心身障害者職能開発センターの事業実績についてでございますが、同センターでは、身体障害者を対象としたCADオペレータ科やOAスキル科など、知的障害者を対象とした作業適応科などの職業訓練を実施しておりまして、合わせて六十九人が修了し、うち三十九人が就職しております。
 また、企業等を活用した委託訓練につきましては、六百六十人が訓練を実施し、そのうち五百七十五人が修了し、三百四十七人が就職しております。
 さらに、合同企業説明会や企業における職業体験実習、求職者と就業者の交流会などを実施いたしました。このうち、合同企業説明会には三十四企業が参加しまして、出席した二百一人の求職者のうち、五十人の方が就職してございます。

○上野委員 今のご答弁にもありましたように、合同企業説明会において求職者二百一人が参加した。そのうちの五十人の方が就職された。就職率でいくと二五%というわけでありますが、これは土俵が違うので単純比較はできませんけれども、ハローワークでは一二%ですから、職能開発センターの努力に対しては私は高く評価したいと思いますので、今後とも、ぜひともこの取り組みを続けていただきたいと思います。
 さらには、障害者の雇用を今後拡大していくためには、訓練とともに、障害者の就労の場の拡大の取り組みや地域における障害者雇用など、受け皿の確保に向けた取り組みも大変重要でございます。
 そこで、東京都は今年度から、障害者を新たに雇用しようとする事業主などからモデル事業を募集して、障害者の新規雇用創出の支援を行うという障害者職域開拓支援事業を開始されましたが、その実績について、認定された事業の内容も含めてお伺いいたします。

○松本雇用就業部長 今年度から始めました障害者職域開拓支援事業は、創業や業務拡大により障害者を新たに雇用する、ほかの企業のモデルとなる取り組みを募集、選定をいたしまして、経費の助成や経営支援を行うとともに、その成果の普及を図っていくというものでございます。
 第一期の募集では、中古本やCDの出張買い取り事業の拡大を内容とする事業と、パンの製造、販売事業の拡大を内容とする事業の二つの事業を認定し、九月以降支援を開始しているところでございます。
 第二期につきましては、九月に募集を行ったところでございまして、現在、対象事業の選定を行っております。

○上野委員 こうしたいろんな取り組みに加えまして、地味でありますけれども大事なことは、障害を持ちながら働きたいと願う利用者に対して、しごとセンターがワンストップとしての総合相談窓口機能を十分に発揮することが最も重要であると思います。
 例えば、障害をお持ちの方が飯田橋まで行くのも大変です。やっとの思いでセンターに来て相談したら、ここでは詳しいことがわかりませんので、職能開発センターに行ってくださいなんていわれちゃうと、そこでは、はい、わかりましたというかもわかりませんけれども、やっとの思いで飯田橋に来たにもかかわらず、今度は戸山まで行くのかと、これは本当に障害者にとっては大変な負担になるわけですね。
 そういった意味で、もちろん障害の内容や程度、こういったこともさまざまあると思います。すべての方の就職支援をこのしごとセンターが行うということは難しいということは承知しておりますけれども、窓口に訪れた利用者が少しでも不安を解消して、来てよかったなと、次への希望というか、これを持って次のサービスに進めるような適切なコーディネートを行うこともしごとセンターの重要な役割ではないかと思います。
 そこで最後に、働くことに不安を持ちながらしごとセンターを訪れる障害者に向けた窓口機能の充実へのお考えをお伺いいたしまして、私の質問を終わります。

○松本雇用就業部長 障害を持つ方も含め、しごとセンターを訪れるすべての利用者に対しまして、必要とするサービス等の情報を適切に提供することは、しごとセンターの重要な役割でございます。
 これまでしごとセンターでは、障害をお持ちの方に対しまして、総合相談窓口において、障害の状況や希望を伺った上で、必要に応じて就業支援や就職に向けた職業訓練機関の紹介などを行ってまいりました。
 今後とも、関係機関との連携をさらに深めますとともに、窓口職員の研修の充実を図り、一人一人の障害者の状況を十分把握した上で、よりきめ細かな窓口対応に努めてまいります。

○たぞえ委員 十七年度東京都予算は、十八年度と合わせて六千億円規模の都税の増収が見込まれていました。しかし、支援の強化が緊急の課題となっていた中小企業予算は、先ほど説明のとおり十年連続減少になり、制度融資は、預託原資が最高時の六割以下に削減、借りかえ融資の拡充を求める業者の切なる願いも見送りになりました。
 事実、十七年度東京都決算全体で見てみますと、税収については前年度比三千六百五十八億円の増、基金高は前年度比一千四百九十七億円増の九千五百六十六億円、実質収支は五百二十九億円という、そういう年でした。ですから、この増収を生かして、中小企業、商店会の支援こそ東京の再生につながると私は感じています。
 とりわけ産労局の十七年度決算はどうだったかということで、幾つかの主要な事業について伺いたいと思います。
 まず、東京の地域商店街は、地域コミュニティの核として、住民に対して商品、サービスを提供する重要な役割を果たしています。しかし、今、大型店や駅ナカ店舗、チェーン店の展開などで、商店会は厳しい経営環境に立たされています。
 例えば、その中でも小売商店の推移で物語っているのが、きょう資料で出ております生鮮三品業の推移です。平成六年と平成十六年を比べてみても、食肉は三千百三店から千六百九十店、鮮魚は二千四百六十四店から千三百九十三店、果実、野菜は五千百七店から三千六十一店、減少をいたしました。こうした推移は地域の関連商業構造にも大きな変化がもたらされて、小売業全体も、この資料に出ていますように、十三万二千四百五十店から十一万四千二百十三店、約一万八千店の減少という深刻な事態です。だからこそ、東京都がこうした商店街の支援に相当の力を入れないといけないと思います。
 とりわけ商店街支援では、新・元気を出せ商店街事業の中に特定施策推進型商店街事業というものが設定されていますが、この事業の申請は、十八年度十八件、決定数十四件、決定手続は四件という結果です。この事業ではどのような支援が行われてきたのか、まず説明いただきたいと思います。

○新田商工部長 今年度の新規事業でございます特定施策推進型商店街事業は、商店街をまちづくりの核として主体的に位置づけた画期的な事業でございまして、具体的には、防災、環境、安心・安全など、都の特定施策に協力して商店街が実施いたします事業に対しまして助成を行っているところでございます。

○たぞえ委員 この取り組みは、具体的にはどういうことがまち中で展開されているんですか。

○新田商工部長 特定施策推進型商店街事業で支援しております商店街の主な取り組みといたしましては、防災につきましては、例えば老朽化したアーケードの耐震補強工事や撤去といったものがございます。また、安全・安心の分野におきましては、例えば防犯パトロールの拠点としての民間交番の設置といった取り組みがございます。

○たぞえ委員 都内の商店会を歩いてみますと、数十年たって大変危険なアーケードがあるんですが、撤去しようにも莫大なお金がかかる。何とか自前の会費で処理をしたいが、処分費もかかるだけじゃなくて、いかに商店会を光らせるかという点での新しい方策も研究しなきゃいけない。さまざまな苦痛があるわけです。こういう事業について、今説明がありましたような助成制度、これが特定施策推進型商店街事業であります。まちの商店会からは、ぜひこの事業は見直しなどということがないように事業を継続してほしい、このように要望が強く出されておりますので、私からも要望しておきます。
 次に、空き店舗事業でありますが、北区では、十七年度で新規二店舗、継続四店舗、合わせて六店舗実施されてきました。この事業を活用したまちなか工房というところでありますが、手づくり教室やレンタルボックス、物産展などを開催して、区民に大変好評で、この事業によって行われている家賃助成、このおかげだというふうに、こうした工房さんはいっていました。この家賃補助があるからやっていける。
 この制度の一層の充実が必要だと思いますが、都はどのような認識に立っていらっしゃるのでしょうか。

○新田商工部長 本年度でございますが、これまでの支援に加えまして、新たに商店街がつくりますNPO法人や株式会社が空き店舗を活用して行おうとしますさまざまな取り組みに対しまして支援することのできます、新たなスキームでございます商店街パワーアップ基金事業を開始いたしました。このような形で制度の充実を図ったところでございます。

○たぞえ委員 この事業に大きく商店街は期待をしているわけでありますが、問題なのは、期限が三年と短いために、軌道に乗せて、乗っかったと思ったら終了してしまう。だから、初めから怖くて手が出せない、こういう状況にあるわけです。
 確かに営業というのは、初年度、店舗を構えて、顧客を獲得するためのさまざまな営業活動を展開する。他の店よりも、どこよりも魅力ある商品を陳列して販売していく。それまでにやはり二年、三年かかるわけです。まちの中でそれなりの知名を徹底するにも、もっと時間かかる。しかし、この支援事業は三年で打ち切りなんです。期限を四年、五年、こういうふうに延長されれば、こうした店舗を持つ方々は、一層この事業への参加がふえていくと思います。これは要望しておきます。
 また、金銭的な援助だけではなくて、事業的に自立できるような経営支援がないと、補助金が三年間で終わってしまって、再度空き店舗ができるようなことになります。事業開始前、事業実施期間中それぞれの状況に応じたきめ細かなサポート事業を展開していく必要があると思うんですが、どうされますか。

○新田商工部長 商店街によります空き店舗事業への取り組みに対しましては、現場体験などの実践的な研修を行いまして、商店街での開業を支援いたします商店街起業サポートといった事業のほか、経営面のアドバイスをいたします専門家チームの派遣や、経営力の向上を図る商人大学校など、さまざまな支援事業を状況に応じてきめ細やかに展開しているところでございます。

○たぞえ委員 ぜひそれは強力に進めていただきたいと思います。
 次に、水産業の振興です。
 島しょでの水産振興で欠かせないのが農林水産総合センターです。十七年度決算書を見てみますと、運営費は予算現額三億三千二百九十八万円に対して、執行率九二・九%でした。
 八丈水産事業所ですが、ここは水族館がないために、小さなガラスの屋外水槽で魚を観察しています。大波などで観光客が海に行けないときには、大体この人たちはそこに魚を見に来るわけですが、ちっちゃくて、雨ざらしの中で、突風の吹くような時期に、そこを見に来ることも大変、見ても大変。ぜひ建てかえのときに、水族館程度の規模の水槽があれば観光に大きく結びつく、このようにまちからも、住民からも声が出されています。
 この事業所は、ハマトビウオの水揚げ調査ですとか、カツオやキンメダイの資源調査など、漁獲情報の収集や漁場の調査、標識漂流など、技術向上に大変取り組んでおりまして、島しょの水産業には欠かせない施設です。
 私は、現場と、きのうちょっと電話でまたやりとりしたんですが、聞いていて驚きましたのは、アオサという海藻の養殖がこのセンターで確立をしたそうです。これはトコブシのえさになる海藻で、大成果で、栽培が完成したと。また、クドという海藻も養殖をしておりまして、これは実は、人間も食べられれば、トコブシも食べられるという、まさに一石二鳥の、水産業拡大の決め手だというふうにいわれていました。その取り組みはもう目鼻がついたというわけですね。
 ところが、この八丈事業所が築三十四年たちまして、旧耐震基準による建物であるために、改修が大変急がれています。観光客の方が島を訪れて、そして、たまたま天候が不順の場合に、そういう施設に行かれるのが一番無難なわけですが、しかし、海洋地域にある施設は、本土に比べても厳しい環境に立たされていますし、また、築三十四年という状況から見ても、私は、平成二十年度までには、ぜひこれは改築改修できるような耐震補強調査などを計画的に講ずるべきだと思いますが、どのように都としては取り組まれるでしょうか。

○大村農林水産部長 島しょ農林水産総合センター八丈事業所の庁舎につきましては、耐震補強調査の対象建築物となってございます。
 今後、この耐震補強調査が実施されることになれば、その結果を精査して対応してまいりたいというふうに考えてございます。

○たぞえ委員 近年、大島や新島はもとより、近隣の島しょでサメの回遊が大変多く見られて、漁業者にとっては、漁獲物の被害を受けたり、その結果、商品価格が下がるばかりか、水揚げ量の減少、ひいては、釣り人が本土から来たにもかかわらず、釣れた魚がサメに食べられてしまうというような、ジョーズのような被害が続出しています。これは旅館業者にとっても、来島者が減ることで収益にも影響が出ていると指摘されています。
 こういう状況を回避するために、現在実施しているサメ防除対策事業、これはどうしても継続しなきゃいかぬと思いますが、いかがですか。

○大村農林水産部長 島しょ海域におきますサメによる漁業被害対策事業といたしまして、現在、一つ目として被害実態調査、二つ目として、漁業協同組合が行いますサメ防除に対する経費の一部助成を行っているところでございます。
 被害実態調査では、漁業者からの聞き取りによる被害状況の把握や、都の調査指導船による捕獲調査などを行いますとともに、調査をもとにしたサメの出現パターンの解析や効果的な防除方法の検討も進めてございます。
 また、サメの被害防除につきましては、平成十七年度は、伊豆大島、新島、神津島、八丈島の四つの漁協が実施いたしまして、合計百二十八尾を捕獲いたしました。平成十八年度につきましては、三宅島、小笠原島、小笠原母島を加えました七漁協で、引き続きサメ駆除を実施しているところでございます。

○たぞえ委員 十七年度、百二十八匹ですかね、捕獲をしたと。捕獲されない方が多いわけですから、相当な数が回遊しているということになり、これは漁業だけじゃなくて、そうした水域で泳いだり楽しむ方々にとっても、まあサメというのは怖いという印象があるわけですが、しかし、使い方によっては大変有効な材料になると思います。
 この事業で捕獲したサメを原料にして、加工して、地場産物としての特産品に位置づけるということも必要ではないかと思いますが、いかがですか。

○大村農林水産部長 水産資源が減少している中で、捕獲したサメは貴重な水産資源として利用していくことが重要と考えてございます。
 このため、既に平成十七年度から、島しょ農林水産総合センターや、また食品技術センターを中心に、島の特産品としての利用加工技術の開発を進めてございます。具体的には、他の魚とまぜたすり身にしたり、またサメの塩干しなどの加工品の開発、さらにサメの歯を活用した装飾品などの試作などにも取り組んでいるところでございます。

○たぞえ委員 ぜひこれはサメに負けないように頑張ってもらいたいというふうに思います。
 三宅島の漁獲量でありますが、漁業者の高齢化などによって、避難前に比較して大幅に減少されているわけですね。これは人口が全部戻っていないということもありますが、より一層の漁獲の向上を図るために、特に多種多様な魚が大量に漁獲できる、そういう定置網漁業の再開が地元から大変期待されております。
 きのうテレビを見ておりましたら、実はこの定置網漁業が映像で出ていまして、なるほどなと思ったのは、網で海底から引き上げるわけですから、魚が傷つかない。これを生けすに入れてそのまま本土で、よく飲食店で泳いでいる魚が見られますが、魚にとっても安心--最後は食べられちゃうんですが(笑声)見る目も、こうして我が伊豆諸島で捕獲した魚であるということは、大変東京の産業にとっても力強いものだと思うんです。そうした再開が期待されていますが、これへの財政支援についてはいかがでしょうか。

○大村農林水産部長 東京都では、平成十七年二月の帰島に先立つ支援、また、その後の本格的な復旧に向けての支援を行っているところでございます。
 平成十七年の三宅島の魚類の漁獲量でございますけれども、速報値によれば九十七トンということで、避難前の約六六%まで復旧してございまして、順調に回復していると考えてございます。
 今後とも、地元の声を聞きながら、漁獲の向上に向け対応してまいりたいと思っております。

○たぞえ委員 地元の動向というお話がありましたが、これは再開をしてほしいということなんですね。一本釣りじゃなくて、大量にとらなければやっていけないという事態に立っているわけです。
 私も三宅に行ったときに、漁業に携わる方が一本釣りで、何マグロといったかな、角の出ている(「カジキ」と呼ぶ者あり)カジキマグロですか。一匹捕獲すると、大体年間の半分の収入だと。親潮、黒潮のぶつかる地域でとれれば最高、とれなければ二、三カ月は大変な生活になるという話でありましたが、そうした大型の魚をとる以外にも、育て、とり、そして消費をするというその仕組みづくり、流れ方を確立する上でも、ぜひこの定置網漁業についての再開に都として支援をしていただきたいと思います。
 そして同時に、漁業者の生活も毎年厳しいわけでありますが、藻場の形成ですね。それからサザエ、アワビ、こういう増殖事業も行われていますが、新たな事業としてアカハタ放流(発言する者あり)これは「しんぶん赤旗」ではありません。魚のアカハタで、放流が大変期待をされています。
 局がつくったこの冊子、農林水産総合センター要覧、これで見てみましても、アカハタ稚魚の育成、こういうことが小笠原の水産センターでも取り組まれています。
 ぜひこうした新しい事業の推進にも財政支援が欠かせないと思うんですが、都として伊豆諸島に直接責任を負う局としての対応を、見解を伺いたいと思います。

○大村農林水産部長 アカハタについては、小笠原水産センターで人工的な生産技術を開発したところでございまして、既に平成十七年度から、三宅島の災害復興の一環として、年間二万五千尾の稚魚の放流事業を実施してございます。また、神津島村が実施するアカハタ放流事業に対しても、経費の一部助成を進めてございます。

○たぞえ委員 そうした取り組みへの支援をぜひ要望したいと思います。
 先日、マスコミ報道で、マグロの漁獲量が半分に減るというニュースが流れまして、いよいよ中落ちを食べるのは最後かななんという消費者の声がありましたが、なかなか水産分野でも、世界の漁獲量、そしてそれをめぐるさまざまな問題、大変厳しい状況があると思います。
 とって食べるというこれまでの漁業から、育て、そして消費をする、こういう展開をするためにも、食肉、野菜に加えて、鮮魚の確保は欠かせない事態になっていると思います。
 特に、行動プログラムなどで、こういった東京都の施設、特に農林水産総合センター八丈事業所の農林部分は、業務が既に、一部ですか、委託されているというお話も聞いておりますが、都が直営でこうした農林水産分野の事業に積極的な力を発揮していただきたいということをお願いして、終わります。

○宇田川委員 私からも、商店街の振興、商店街に対する助成という点について質問をさせていただきたいと思っております。
 経営技術支援費の支出内訳を拝見いたしますと、新・元気を出せ商店街事業がその大半を占めていることになると思うんですが、地域商業の活性化という項目の執行率が、思ったほど伸びていないのかなと、そういう印象でございます。
 商店街の振興に対して、もっといえば、危機感が募っている商店街の存続という部分に対して、我が党は大きなウエートを置いた施策を提案し続けてきておりますし、全力で支援をしてまいりました。だからこそ、この新・元気を出せ商店街事業の予算を大幅に上積みをしていただく要求も行ってまいりました。加えて、商店街パワーアップ基金など、新規の商店街施策に対しても、もろ手を挙げて賛成をしまして、支援を続けてきているわけです。
 我が党の要求を受けて予算が大きく増額されたことも執行率に影響していることなのかなとも思いますし、先ほど来申し上げています新・元気を出せのようなプロポーザル方式の補助制度では、区市町村それぞれの事情にも影響を受けることでございますから、ある程度は仕方がない部分もあるのかな、そう思っております。
 しかし、その一方で、メニューの多様化を図るなど、商店街にとって広く利用しやすい、活用しやすい制度とすることが求められていることも事実でございます。商店会長さんたちからは、なかなかに敷居が高い制度だな、もう少し現場事情を踏まえた制度にしてほしいと、こういった声も少なくありません。
 十七年度のこうした状況から見て、今年度はより現場主義といいますか、そうした改革の必要があると考えているところです。今年度の都としての具体的な対応について確認させていただくといった意味も含め、改めてお伺いをしたいと思います。

○新田商工部長 委員ご指摘のとおり、新・元気を出せ商店街事業につきましては、商店街が利用しやすく、活性化の効果が高い事業の整備など、一層の改善が利用者の皆様から求められておりました。
 こうしたことから、東京都といたしましては、今年度、防災、環境、安心・安全など、都の緊急かつ重要な特定の施策に協力して商店街が行います事業を支援いたします特定施策推進型商店街事業と、商店街がつくるNPOや会社の設立及び会社等が取り組む商店街活性化事業を支援いたします商店街パワーアップ基金事業の二事業を新たに創設いたしまして、先生方のご支援をいただきながら、メニューの多角化を図ってきたところでございます。
 また、十七年度にスタートいたしました地域連携型モデル商店街事業の対象地域につきまして、昨年度スタートしたわけでございますが、昨年度は二件でございましたが、これを今年度は四件と二倍にふやしてまいりまして、事業の内容の拡充にも努めているところでございます。
 このように新・元気を出せ商店街事業の改善を図ってきておるところでございます。

○宇田川委員 ぜひ現状に沿った形で、利用しやすい事業としていただくようお願いをしておきます。
 先ほど敷居が高いという言葉を使いましたけれども、地元の方々の声を聞いておりますと、さまざまな難点といったら失礼なんですが、指摘を受けております。補助金を申請するだけで、実に多くの時間と労力が必要だと聞きます。
 せんだって、産労局さんのサイト内にあった、これにもありますけれども、特定施策推進型商店街事業の申請書を拝見させていただいたんですが、莫大な量の書類でございまして、それに記入することを自分で考えても、辟易となってしまうかなと。言葉は悪いんですが、ここまで面倒くさいのであれば申請しなくてもいいやと、そんな声もありますし、そうした声が理解できる気がいたします。
 もちろん慎重なる対応が求められているということは重々承知をしておりますし、先ほど申し上げた区市町村との関係があるというのも、少なからずやあるんだろうなと思っております。
 しかしながら、商店街の役員さんたちは、自分のお店の商売を営みながら、なおかつ商店街に対して献身的な働きをしながら、加えて、地域の発展にまで貢献をされている、こうした方々が大変多くいらっしゃるわけです。こんな現状を考えれば、先ほど現場主義といいましたが、そういった声に少しでも耳を傾けて、よりよい制度にしていただきたいと考えております。
 こうした皆さんの声に対して、東京都はどのようなお考えなのかをお聞かせいただければと思います。

○新田商工部長 委員ご指摘のように、商店街の皆様の申請に当たりましては、非常に負担感が強いということについては私どもも承知をしております。また、その一方で、やはりこれも委員ご指摘いただきましたが、補助金交付というのはやはり公金の交付であるということで、私どもとしましても、慎重で精緻、公正な審査をしていかなければいけないというぐあいに、両方の要請をいかに調和させるかということで苦慮し、私どもとして努力しているところでございます。
 こうしたことから、都といたしましては、商店街に可能な限りの負担軽減を図っていただく、そうした観点から、商店街からの申請、これを直接受けますのが、区市町村が一たん受けて、区市町村内の取りまとめを行っていただいております。その区市町村の事務職員、担当の方にうまく商店街とのコミュニケーションをとっていただくということで、できる限り負担感を軽減するということから、区市町村の職員を対象にいたしまして、毎年三回前後の説明会を開催しておりまして、適切な助言が商店街の皆様に対してできるように、私どもとしても区市町村の方にいろいろお願いをして改善を図っているところでございます。
 それとともに、私どもとしましても、区市町村と意見交換を十分にしてございまして、より使いやすい制度へ改善を行ってきているところでございます。
 なかなかそれが目に見えるところになっておりませんが、今後とも、少しでも使いやすいものになるよう、取り組みを私どもとして継続して、意欲ある商店街を全力で東京都として応援してまいりたいと思います。委員ご指摘のとおり、そのような形で頑張ってまいりたいと思っております。

○宇田川委員 商店街は、残念ながら衰退の一途をたどっている。非常に悲しいことでありまして、先ほど生鮮三品という話がありましたけれども、私が思うには、生鮮三品がそろっていないところは商店街じゃない、そういう思いもあります。
 大手スーパーやコンビニなどの共存といった課題もありますし、一方で規制緩和という、失礼ないい方ですが、大変耳ざわりのよい言葉のあおりで、お酒とか米、薬種、薬ですね、それから銭湯、おふろ屋さんなど、数を上げれば切りがないほど、多くの商店の方々が経営困難に陥っておりまして、やむなく店を畳むところも大変多くございます。後継者問題など、商店主自身の事情も相まって、商店街を取り巻く環境は大変厳しいものである。これは残念でなりません。
 そうした中においても、住民のニーズに何とかこたえていこうと懸命に努力を重ねて、それぞれがアイデアを出し合って、さまざまな取り組みを行っているという商店街も数多く存在しております。大手スーパーなどがなかなか商店街に対して協力をしてくれないといった現実の中であっても、商店街でのイベントを通じて、コミュニティの形成ですとか、そうした部分に大きく役立っていたり、地域に献身的に協力している、まさに元気な商店、元気に頑張っているところも数多くあるわけでございます。大変なご苦労をされていると思うんですよ。
 身近な区市町村なんかもそうなんですが、都もこうした現実をしっかりと直視していただいて、商店街の皆さんにとってより使いやすく、なるべく労力がかからないようにしていただいて、その上で、できればより高い効果が上げられる、これが最高なんですが、そうした制度づくりをしていただくために引き続き検討を行っていただきたい、これを切に望んでおります。
 加えて、先ほど、年三回前後説明会を実施されているというお話がありましたけれども、広く全体に知らしめていただくということが大変大事だと思うんです。せっかくこういうすばらしい事業に対しての助成、補助を行っているわけですから、それを知らしめていただきたい、そうした努力も続けていただきたいと思っております。こうした制度や補助の結果、商店街全体に笑顔が広がっていく、活気を持つ、こうした施策をしっかりやっていただくことを期待させていただいて、質問を終わります。

○野島委員 簡単にお伺いしたいと思います。
 子育て支援策ということでございます。
 経済的な支援やあるいは子育て基盤の整備、こんなことで、例えば乳幼児の医療費助成とか、さまざまに取り組まれているわけです。子育て支援といいますと、福祉保健局の課題じゃないか、こういう部分もあろうかというふうに思いますが、産労局所管、こういうことでいきますと、私は、仕事と家庭生活、子育て、これが両立しやすい雇用環境の整備にどう支援をしていくか、どう取り組んでいくか、こんなところに相なろうかというふうに思いますので、そこに絞り込んでお伺いしたいと思います。
 先日、新聞で、厚生労働省方針、来年度から、育児休業中の賃金、雇用保険で最大七割補償、企業負担分半額を助成と、こんなヘッドコピーで記事が載っておりました。雇用保険を活用いたしまして新たな支援方針を固めた、こういうことのようでございます。
 育児休業中の社員に給与を支給する、経済的支援を手厚くした場合に企業に対する助成をする、こういうことで、いわゆる生活費というんですか、そういうものの心配がないように、あるいはしっかりと育休中に育休中ですべき子育てをして、その後再び企業戦士ということで戦力として力を発揮していただくことが、企業にとっても大変重要だし、そこに雇用されている側にとっても安心感がある、こういうことだろうというふうに思ってございます。
 そこで私、最初に、十七年度、仕事と家庭の両立、こういったふうなものを支えるため、東京都としてどのような対策を実施してきたのか、こんなところを冒頭お伺いしたいと思います。

○松本雇用就業部長 両立支援のための対策でございますが、都では、男女雇用平等参画状況調査などを通じまして、仕事と家庭生活の両立支援の取り組み等の把握に努めており、こうした結果を踏まえまして、企業向けのパンフレットの作成やセミナーの実施など、広く普及啓発を行ってまいりました。
 また、急な残業や出張などのときに育児の援助を行うファミリー・サポート・センターの設立を区市町村に促すとともに、助成を行ってきております。この結果、ファミリー・サポート・センターは、平成十七年度、新たに五市に設立され、現在四十七区市町に設立されております。

○野島委員 今、ファミリー・サポート・センターのお話を伺いました。地域の底力、ご存じですかと、こういうことのようです。実は私もよく存じ上げなくて申しわけなかったんですけれども、こういったふうなことで、東久留米にも既に設置されているということで、利用されているようでございます。いわば地域として育児をどうサポートしていけるのか、就労をしっかり心配なくやってもらうために、これは地域の側でどう支えていくか、こういうことだろうと思います。
 一方、こちらには、仕事と家庭の両立に優しい企業を応援します、とうきょう次世代育成サポート企業募集ということで、そういうことに取り組んでいる企業をちゃんとPRしていく、こういうふうなことで、いわばこれは地域、いわばこれは個々の事業主、こういう立場からの支援策だろうというふうに思っております。こんなことをしながら、出産後も働き続けられる、こういうことが私はこれからますます重要になってくるのかなというふうに思っております。
 そこで、こういったふうなことに対する都民ニーズというのは当然あるわけですよね。こういったふうなことで、企業がそれをどうとらえるか。こればかりは、そうやってくれ、やってくれといったって、企業の方だって事業ですから、これはそんなことやっていたら、子育て産業株式会社じゃないんだということになる。本来の仕事をするために、そういう支援をすることによって、本来のその会社の事業が、人も含めて、人材の育成も含めて、雇用の継続も含めてプラスになるということになりませんとならないわけで、そこでは当然、会社の事業主としての負担も出てくるわけですから、その辺でどの程度の認識が、そういったふうな企業あるいは都民にあるのかというふうなところをお伺いしたいと思います。

○松本雇用就業部長 平成十七年度に産業労働局が行いました男女雇用平等参画状況調査では、両立支援について、企業の約三五%が現状の制度で問題がないとする一方で、従業員の七割以上は制度の充実を望んでいるという結果になってございます。
 また、従業員ニーズの高い社内制度を見ますと、短時間勤務は六割を超える企業で実施しておりますが、フレックスタイムの導入や育児に要する経費援助を実施している企業は少ないという調査結果となってございます。

○野島委員 今お伺いしますと、いわば都民のニーズと企業の現状、これには大きなギャップがある、パーセンテージだけでいえばね。
 ちょっと内容を伺いますと、短時間勤務は実施していますよと。それは短時間勤務で当然働いてもらうわけだから、それに対して賃金を払う、これは当然のことですよね。ただ、短時間勤務をすることによって、ほかにどういう波及をしていくかということもあると思いますが、一方、フレックスタイムの導入や育児に要する経費、フレックスタイムは、事業の中でコアの部分を持って社員が勤めてこうなって、そうするとつなぎをどうするんだとか、その辺の労務管理上の問題あるいは業務進行上の問題も出てくると思います。
 育児に要する経費援助を実施しているところは少ない。これはやっぱり、そこまでやるのが企業としての責任なのかというふうなことと、正直なところ、対費用効果が見えにくいだろうというふうに思うんですね。そんなことで少ないのかなと思っておりますが、こういったことに取り組む企業というのが、業績にプラスになっていく、こういうこともあるやに伺っております。大企業を中心に、この両立支援策、こんなことが増加しているというふうにも聞いております。
 特に、さっき団塊の世代の話がありましたけれども、ばたばたやめていっちゃいますからね。正直なところ、猫の手もかりたい、リタイアする世代が多いわけですから。この間、民主党さんは、選挙で犬を借りて選挙をやったそうでありますが、それは置いておきまして、やはりそういう意味で、安心して産み育て、かつ仕事も続けられる、こういうことが私は一番大事だと思うんです。
 かつては寿退社というのがありましたですね。花か何かもらって、結婚されるのでおやめになるという。それから、出産するのでやめますよと、こういうこともありました。しかし、やはりこれからは、さっきいったように、子育てをしながら勤めていくということ、キャリアを継続しながら事業の戦力として働いていく、こういうところが大事だと思うんですね。
 一方、そう理想的なことをいっても、大企業はまだしも、中小企業、東京の産業を支える中小企業にそれほどのことは期待できない、あるいは、やりたくても経営体力がない、こういうことがあるんだと思うんですね。こういったふうなものに対して、都は中小企業に対してどういうふうな支援策を考えていくのか。むしろ積極的にそこをやっていきませんと、私は東京の総じての産業力というのが落ちてきちゃうんじゃないかと、人材の確保という意味からして。そんなふうに思っておりますので、所見をお伺いしたいと思います。

○松本雇用就業部長 都といたしましては、中小企業の両立支援策がさらに充実したものになる必要があると考えております。
 このため、平成十八年七月、両立支援のための行動計画を作成した企業を対象とする、とうきょう次世代育成サポート企業の登録制度を創設いたしました。この制度は、中小企業に対して、金融機関と連携した優遇融資の提供や、都のホームページでの紹介を行うこととしております。
 今後とも、国や企業団体等と連携協力し、とうきょう次世代育成サポート企業の登録を積極的に働きかけて、その取り組みを広く公表し、中小企業の仕事と家庭生活の両立に向けた取り組みを促進してまいります。

○野島委員 さっきのアンケートの都民のニーズと、事業側の実態というようなことをお伺いいたしました。いわば雇用環境整備、こういったものを都民は広く望んでおるということだろうと思います。そのことで出生率が上がっていくのかどうかということはありますが、外国ではそういう取り組みをしているところの出生率が上がっているやにも、そんなデータもあるようでございます。
 一方、この間、読売のちょっとした刻みでインターネットアンケートが出ていましたね。これ以上というのか、経済的支援をもっともっと充実したら、あなたは子どもを産みますか、第二子、第三子を産みますかということに対して、比較的否定的な部分というのはあるんですね。私は、子どもを産み育てるということについての決定的な要因が何かというのはわからないんですよ。基本的には、次世代をどうしていくかという世代継承観が欠如しているんじゃないかなと、そういうふうに私は思っているんですね。それはそれといたしまして、やはり打つべき手は打っていかなきゃいけないだろうというふうに思っております。
 そこで、実は、十月二十一日の日経の首都圏版になるのかな、来年度予算要求という記事がございました。これをずっと読んでいったら、子育て、学校ということで、中小企業の事業所内保育の支援というのが出ているんですね。これは福祉保健局の事業、来年度重点ということのようであります。まだ詳細を把握していないんですが、ところで関心があるからちょっと聞かせてよというふうにお伺いいたしました。
 事業所内保育施設の設置を図っていきたい、こういうことでございます。いわば、さっきいったように、育休の手当をもらって、その後働きに出るときに、地域の認可なり認証保育所に預けますよ、あるいは親御さんがお母さんの役目を果たしてくれて、家庭の中で育てますよと、こういうこともありますね。そういうふうな子育て基盤に、これ、ひとつ大きく寄与していこうということのようでございます。
 国の支援は今でもあるそうなんですよ。二十一世紀職業財団で雇用保険を使っている事業というのはあるそうなんですが、これが実態としては極めてハードルが高いそうなんですね。一人当たりの占有スペースや預かるお子さんの、何人以上だとか、そうしますと、それはむしろ大企業なら可能であると。ただ、大企業の場合に、恐らく東京に住んで、子どもを朝連れてきて、三十分以内で事業所に着いて、さあ施設内の保育所ですよというのはなかなかないと思うのね。病院なんかの福祉施設ではそういうのはありますけどね。
 そうすると、やはり中小企業あたりは、そういったハードルの高さ--むしろ中小企業で地場雇用の高いところなんかはこういう制度でいいと思うんです。ただ、国のを援用しようと思っても、ハードルが高いのでできない。そこに対して、今度は福祉保健局がこういう事業をやっていこうというふうなことのようでございます。まだ予算要求段階なので、よく実態もわからないんですが、私はそういう意味で、きめ細かいそういう施策、こういったものが必要となるというふうに思ってございます。
 さっき申し上げましたように、子育て、出生率の低下が原因が何であるかというのは、恐らくこれだという答えは、皆さん持ち合わせていないと思うんですね。私はこういうふうなこと、先ほどご答弁いただいたさまざまな、いわゆる安心して産み育て、継続してといいましょうか、社会的な職業を通じて男女共同参画社会も実現していくとか、さまざまな要素の中で私は大変重要なことだろうというふうに思ってございます。
 そのことはすなわち、経済的支援だけだったら、子育て段階で乳幼児がただよとか、それはそれで結構なことだと思うんですよ。だけれども、勤める側の人たちが、さっきいったように寿退社だとか、あるいはその次、出産退社だとか、そういうことで人材がそこで欠落していってしまうということは決していいことではないと思うんですね。これから就労人口も減ってくるんでしょう、恐らく。人が少なくなっちゃうわけですから。その中でも東京の経済力をしっかり高めていかなきゃという意味では、大変重要な制度だと思います。
 これからの制度でありますから、これ以上余計なことは申し上げませんが、ぜひそういうこととの、福祉保健局の事業で予算化されるかどうかはこれからだと思うんですけれども、そういうふうな視点も踏まえながら、今日まで取り組んでいただいた、さまざまなこういう雇用環境の整備になお一層ご努力をしていただきたい、こんなことを要望して質問を終わります。ありがとうございました。

○東村委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○東村委員長 異議なしと認め、本件に対する質疑はこれで終了いたしました。
 以上で産業労働局関係を終わります。
 これをもちまして本日の分科会を閉会いたします。
   午後三時七分散会

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