各会計決算特別委員会第一分科会速記録第三号

平成十八年十月十八日(水曜日)
第十一委員会室
   午後一時開議
 出席委員 十名
委員長林田  武君
副委員長野上 純子君
副委員長柿沢 未途君
鈴木 隆道君
高倉 良生君
西岡真一郎君
坂本たけし君
鈴木 一光君
古館 和憲君
名取 憲彦君

 欠席委員 なし

 出席説明員
出納長室出納長幸田 昭一君
副出納長関  敏樹君
副出納長牛山 幸彦君
会計制度担当部長細野 友希君
知事本局局長山口 一久君
儀典長多賀 敏行君
次長河島  均君
企画調整部長秋山 俊行君
秘書部長長谷川 均君
政策部長升 貴三男君
調整担当部長角南 国隆君
参事瀧本 裕之君
参事小林  清君
参事鈴木 賢二君
国政広域連携・首都調査担当部長吉田 長生君
自治制度改革推進担当部長川澄 俊文君
参事中村 長年君
東京オリンピック招致本部本部長熊野 順祥君
企画部長宮川  昭君
招致推進部長谷島 明彦君
東京マラソン事業担当部長真田 正義君
参事遠藤 雅彦君
参事梶原  洋君

本日の会議に付した事件
 平成十七年度東京都各会計歳入歳出決算の認定について
 出納長室関係
・平成十七年度東京都一般会計決算(質疑)
 知事本局関係
・平成十七年度東京都一般会計決算(質疑)
 東京オリンピック招致本部関係
・平成十七年度東京都一般会計決算(質疑)

○林田委員長 ただいまから平成十七年度各会計決算特別委員会第一分科会を開会いたします。
 本日から四日間にわたり、本分科会所管局の決算に対する質疑を行っていただきます。
 質疑につきましては、平成十七年度の決算の審査から逸脱しないように行っていただきたいと思いますので、ご協力のほどよろしくお願いいたします。
 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、出納長室、知事本局及び東京オリンピック招致本部関係の決算に対する質疑を行います。よろしくお願いいたします。
 これより出納長室関係に入ります。
 決算の審査を行います。
 平成十七年度東京都一般会計決算中、出納長室所管分を議題といたします。
 本件につきましては既に説明を聴取しておりますので、直ちに質疑を行います。
 発言を願います。

○鈴木(隆)委員 それでは、出納長室関係で質問をさせていただきます。
 出納長室では、資金運用に当たり、平成十四年度の定期性預金のペイオフ解禁以来、預金先金融機関の健全性を評価し、安全性を確認しながら着実に運用を行ってきたものと理解をしております。また、一方で、金融情勢も一時の危機的な段階から変化してきているところでありまして、その点も踏まえて、今回の決算について、何点か端的な質問をさせていただきたいというふうに思います。
 一点目といたしましては、財産収入の収入率は五〇・四%と、決算数値としては低くなっています。何か特別な理由があるならば、お聞かせをいただきたいと思います。

○関副出納長 財産収入は、財政調整基金など八つの基金の運用により生じた預金利子などの収入となっております。この財産収入の平成十七年度予算額は二億八千六百十五万余円でございますが、そのうち財政調整基金の運用による預金利子等が一億九千五百万円となっておりまして、全体の約七割を占めております。
 従来、この財政調整基金の運用につきましては、翌年度当初の歳計現金が不足することに備えるために、五月から年度内の三月までの十カ月の運用を最長として想定していたところでございます。
 しかし、平成十七年度におきましては、法人二税を初めとする都税収入の増加に伴いまして、財政調整基金から借り入れをせずとも、歳計現金で十分確保できることから、運用利回りを向上させるために、五月から翌年三月までではなく、五月から翌年五月まで最大一年間の運用が可能となりました。
 その結果、財政調整基金の運用による預金等の利子の歳入は十八年度となりまして、表面上十七年度の財産収入の収入率は低下することとなりましたが、運用期間が延びましたことから、全体として運用利回りが実質的に向上しているということでございます。

○鈴木(隆)委員 説明で、財産収入の収入率は低下するということに十七年度はなったが、全体としては運用の利回りは実質的には向上しているというような答弁でありますので、それは理解をするところであります。
 また、端的に伺いますが、一方、諸収入の収入率は五四二・二%となっています。歳入予算を実績が上回ることは、こうした運用などについては好ましいことではあるというふうに思いますが、かなり大きな増額要素があったのではないかと推察されます。この点についてお伺いをしたいと思います。

○関副出納長 諸収入は主に歳計現金等の預金利子の収入となっております。平成十七年度の予算額は三千六百万円でございますが、それに対しまして、収入済額は約一億九千五百二十万余円と大幅に増加いたしました。これは歳計現金の平均残高が増加したこと、並びにそれに伴う運用利回りの上昇などによるものでございます。
 まず、歳計現金の平均残高でございますが、法人二税を初めとする都税収入の増加に伴いまして、当初、全体で約二千六百億円を見込んでおりましたが、結果的には約八千七百七十五億円となりました。
 次に、運用利回りでございますが、歳計現金は、その性質上日々の支払いに備えるための支払い準備を確保するため、期間を短く運用してまいりましたが、平成十七年度におきましては、歳計現金の残高が従来より平均的に高い水準で推移いたしましたため、運用期間を延ばすことが可能となりまして、結果的により高い利回りでの運用が可能となりました。
 以上のことから、諸収入の収入率が大幅に向上したということでございます。

○鈴木(隆)委員 今説明を聞いて理解はできるわけでありますが、バブル崩壊後、長期にわたって日本の経済から実際我々が身近で感じる感覚というのは低迷を続けていたというふうに考えても私は過言ではないと思うんですね。
 我が国の景気というのは、今おっしゃったようなところも踏まえ、回復の基調にあるということは確かに数字上はいえると思いますが、実体経済、特に中小企業やその雇用、それから国民の生活面としては依然として厳しいものがあるというのは、恐らく国民の大多数の方の意見ではないかというふうに思います。
 日銀が十月十六日に発表いたしました九月の生活意識に関するアンケート調査によれば、景況感DIが、六月の調査より一二・八ポイント悪化、マイナス一一・〇となり、この景況感DIがマイナスに転じたのは実は昨年の十二月の調査以来九カ月ぶりになっているということがあるわけですね。
 先日の十月十七日の読売の朝刊でありますが、皆さんご存じだと思いますが、九カ月ぶりに、今いったように指数がマイナスになった、日銀への信頼も低下をしているという記事が出ているわけですね。この中で、日銀に対してのことですが、信頼していない理由、組織や職員に誠実なイメージを持っていない、これが五五・二%。前回の調査のときは二五・九%であったものが倍増して、日銀に対しての信頼していない理由の中で、今いった誠実なイメージを持っていないというのが倍増しているというような数値が出ているわけです。もう一方では、二番目としては中立の立場で政策が行われていないというような評価で、四三・八%もあったというようなことが新聞に出ているわけです。そういうようなことが日銀の信頼の低下につながっているというような記事があるわけです。
 そういうものが片一方にあるということも指摘をしていきたいと思いますが、また、一方では、帝国データバンクが同じく十六日に発表いたしました平成十八年度の上半期の企業倒産集計によりますと、法的整理による倒産は全国で四千四百五十七件、前年同期を三百四十四件、八・四%上回っている。ただし、資本金一億円以上の企業の倒産は前年同期を一五・九%下回り、大企業の倒産は減少しているという現状があるわけです。
 このように、生活意識においても、企業倒産においても、輸出など好調な一部大企業と一般国民や中小企業とでは大きな隔たりが生まれているのが実情であるというふうに思います。こうした厳しい都民の状況を踏まえますと、都民の貴重な税金を扱う出納長室の責任は大なるものがあると考えます。
 出納長室が管理する基金、歳計現金を可能な限り効率的に運用していくことが出納長室に課せられた使命、役割だといえると私は思いますが、そこで、お伺いをしたいと思います。
 本年三月の財政委員会において我が党の村上委員から、日本銀行の量的緩和の解除による金利上昇と基金の運用方針についての質問がございました。この国の金融政策の動向、基金などの効率的運用について、最後に、これは出納長に改めて質問をさせていただいて終わりたいと思います。

○幸田出納長 ご案内のとおり、日銀が本年三月に量的緩和政策、そしてその後に、七月でございますが、ゼロ金利政策を解除したわけでございます。代表的な長期金利の指標でございます十年物国債の利回りというのを見てみますと、五月には二%台をつけておる。しかし、九月には一・六%台に下がりまして、ここ最近では一・七%台で推移をしておりますが、昨日の状況でございますと、一時一・八%台という状況になってございます。
 景気の回復が穏やかながらも続くと見れば、中長期的には金利上昇の可能性もあるとはいえ、長期国債の利回りに見られますように、今後の金利動向の先行きは不透明な状況にあるかなというふうに判断をしております。私も、銀行、証券あるいはまたアナリスト、幹部等も含めまして、直接お会いをして、景況あるいは金融状況に関するお考えなりご意見なり分析等なりを、可能な限り節目節目に伺っているところでございますが、米国の金融政策あるいはまた我が国の消費者動向あるいは短観等の動向、また今お話にもございましたように、日銀の追加利上げというものがどうなるか。皆様方、やはり総じて現時点での予測というのが大変難しい局面にあるというふうにいわれております。
 しかし、こうした中でも、これまで以上に景気の動向なり、あるいはまた金融政策の先行きなりを一層注視をいたしまして、効果的な金融商品の選択あるいは運用手法にも工夫を凝らしまして、安全性を最重視した上で、効率的な運営に今後とも努めてまいります。

○野上委員 東京都は、従来の官庁会計制度に複式簿記・発生主義会計を加えた新たな公会計制度を本年度から導入しました。これは我が公明党の公認会計士でもあります東村邦浩議員の提案により導入が決まったものでございます。全国で初めての試みでもあり、これからの自治体運営を効果的、効率的に進めていく上で大変画期的な制度だと考えております。
 そこで、都の公会計制度についての取り組みや今後の方向性などについて、順次質問いたします。
 複式簿記・発生主義会計の導入に関して、財務会計システムの再構築を平成十五年度から平成十七年度にかけて行っておりますが、その経費は幾らかかったのか。
 それから、開発に要した金額を回収できるのは何年後になるのかをお伺いします。
 そして、このシステムの特筆すべき点についてもお伺いしたいと思います。

○細野会計制度担当部長 財務会計システムの再構築は平成十五年度から平成十七年度まで実施いたしました。その開発経費ですが、総額で二十一億五千万円でございます。一方、新システムの運用経費は約八億円でございまして、旧システムの運用経費と比べて、毎年五億円程度の削減となっております。この結果、四年から五年程度で開発経費は回収できる見込みとなっております。
 また、財務会計システムの特筆すべき点でございますが、従来からの入力業務に二、三の新たな情報を追加入力、例えていえば、パソコンのキーを二、三回たたくだけで財務諸表の勘定科目に変換する仕組みとなっております。このため、職員は大きな負担なしに複式簿記・発生主義会計に基づく会計処理を行うことができるとともに、多様な財務諸表を正確かつ迅速に作成することが可能となります。

○野上委員 都の新たな公会計制度を導入する上では、システムの再構築だけでなく、制度面の整備も必要と思います。昨年度、都は公会計制度の基本的なルールである東京都会計基準を発表されておりますが、会計基準は実情に合わせて見直し、改良していくことが必要と考えます。都は既に、公認会計士等で構成される東京都会計基準委員会を設置していると聞いております。
 そこで、この委員会における東京都会計基準の見直しや財務諸表の分析方法の検討状況は、現在どのようになっているのか、伺います。

○細野会計制度担当部長 先生のお話のとおり、会計基準は実情に合わせて見直し、改良していくことが必要であります。このため、都は、公認会計士で構成される東京都会計基準委員会を本年六月二十日に設置しまして、現在まで二回委員会を開催しておりますが、これまで会社法の制定を踏まえた会計基準の見直し等について検討を行っているところでございます。今年度は五回の開催を予定しておりますが、民間の動向などにも適時適切に対応し、都の会計基準をさらによいものにしてまいりたいと考えております。

○野上委員 都の新公会計制度の根幹は、複式簿記・発生主義会計の導入であると考えます。
 ここで確認の意味を込めて伺います。複式簿記・発生主義会計の利点について、再度、簡潔にわかりやすく説明をお願いいたします。

○細野会計制度担当部長 複式簿記・発生主義会計の利点でございますが、従来の官庁会計の方式でございます単式簿記・現金主義会計と比較した場合、現金収支の情報に加えて減価償却費などを含む正確なコスト情報が把握できるという点が挙げられます。
 また、資産や負債などの、いわゆるストック情報も把握が可能となります。単式簿記・現金主義会計では把握、明示することができませんでしたこれらの情報を活用することによって、より効率的、効果的な行政運営の展開が可能となります。そして、都民に対する説明責任の一層の遂行を果たすことにもなると考えております。

○野上委員 よくわかりました。ところで、都としての資産総額やコスト情報を把握する場合に、既に複式簿記・発生主義会計である公営企業会計と一般会計、特別会計を連結する必要があります。
 そこで、公営企業会計と一般会計及び特別会計間の連結財務諸表の作成は実際に可能であるのかどうか、お伺いいたします。

○細野会計制度担当部長 交通局や水道局など公営企業会計で使用する勘定科目と、一般会計及び特別会計で使用する勘定科目には差異が存在しております。例えば固定資産の勘定科目でございますが、一般会計、特別会計においては、地方自治法による財産分類に基づくとともに、道路、橋梁等につきましては、インフラ資産として勘定科目を設定しておりますが、公営企業会計ではこのような勘定科目を設定しておりません。
 連結財務諸表の実現可能性に対するご質問ですが、このような勘定科目の整合等を今後図っていくことが必要となりますが、作成は可能であると考えております。

○野上委員 東京都全体の財務状況をどのように示していくかということも今後引き続いて検討していただきたいと思います。
 さて、ことしの六月ですか、夕張市が財政再建団体の申請を行いましたが、その原因は過剰な投資が主な原因ということで、不適切な会計処理により債務の増大を招いたことも一因であると思います。このことを契機として、地方自治体の財務状況の透明性の確保や外部からのチェック機能の強化の動きが活発化しております。
 そこで、作成される財務諸表についても、その正確性を証明するために、公認会計士等による監査を導入する予定はあるのでしょうか。

○細野会計制度担当部長 財務諸表の正確性の証明ということは重要な課題と認識しております。新しい公会計制度による初めての財務諸表作成となります平成十八年度決算におきましては、東京都会計基準委員会で財務諸表の正確性を確認していただくことを予定しております。今後とも、引き続き外部専門家の目を活用していきたいと考えております。

○野上委員 今のご答弁にありましたが、財務諸表の正確性は説明責任の遂行にも、効率的、効果的な行政運営の展開にも、必要不可欠であると認識しております。正確な財務諸表を作成する基本は、職員が新たな公会計制度や複式簿記・発生主義会計に関する知識を十分に身につけて会計処理を行うことだと考えます。
 そこで、経理担当職員や管理職を対象とした研修会や各局の経理部門に対する個別の説明会など、これまでの実績についてお伺いいたします。

○細野会計制度担当部長 職員に対する研修会や説明会の実績に対するお尋ねでございますが、平成十七年度から十八年度にかけて計画的に実施してきております。
 まず、複式簿記の基礎的な知識を習得させるため、複式簿記説明会をこれまで合計で六回開催しております。
 また、日々の会計処理を行う職員二千二百名に対しては、五十六回に分けて端末操作説明会というものを実施いたしました。局内の指導を行う局の経理部門に対しては、個別に各局を私どもが訪問いたしまして、訪問説明会、これを延べ三十二回ほど実施しております。さらに、管理職を対象とする研修会も十七年度、十八年度と二回実施しております。今後とも、新たな公会計制度が職員の間に着実に定着していくよう、説明会を積極的に行ってまいります。

○野上委員 大変な回数を重ねてご努力をされてきた様子がよくわかります。新たな公会計制度に関する知識や端末操作の研修会を積極的に実施している状況は理解できました。
 しかし、職務上で発生するさまざまな事例に対しては、事前の説明会や研修会ですべて対応できるとは限らないと思います。このような場合に職員を支援していくことも、正確な財務諸表を作成するために必要であると考えます。
 さらに、職員の理解を深めるために、説明会等のテキストや情報を庁内ネットワークを通じて職員の端末に提供すると聞いておりますが、その実施状況についてお伺いいたします。

○細野会計制度担当部長 平成十八年二月より庁内ネットワーク上に複式の手引を公開しております。ここでは実務事例に即した運用マニュアルや説明会、研修会で使用した資料等を掲載しております。情報は随時更新し、正確な会計処理が実施されるよう職員の支援に努めてまいります。

○野上委員 庁内における新公会計制度の普及、定着の取り組みについては理解いたしました。しかし、今地方自治体は、地方分権の推進や住民に対する説明責任を一層果たすとともに、行政運営に当たり経営の視点を確立することが求められております。そのためには全国の自治体が日々の会計処理の段階から複式簿記・発生主義会計を導入する必要があると思います。そのためにも全国でも東京都と同じように会計制度の見直しを図れるよう都のノウハウを提供するなど、他府県等に対して積極的に支援策を講じていくべきと考えますが、最後に、公会計制度改革の全国展開について、出納長の決意を伺って終わります。

○幸田出納長 公会計制度改革の全国展開でございますけれども、この制度導入以降、幾多のお問い合わせをちょうだいしております。そこで、本年七月には全国の自治体や国等を対象といたしまして、都の公会計制度に関します説明会ということで実施をいたしました。都内の区市町村はもとより、全国四十一の道府県あるいは各県市の参加を得まして、百二十九団体でございましたけれども、五百名を超える参加がございました。
 また、この会計制度を知っていただくために、職員がチームを組みまして、入門編からシステムの運用までということで三部構成の解説書を作成いたしまして全国に配布するなど、積極的に情報提供を行ってきております。
 さらに、総務省、財務省あるいはまた全国知事会、他府県など現在まで三十を超える団体等に対しまして、都の新たな会計制度に関します説明を行ってきております。
 これらのことを一つの契機といたしまして、東京都の市長会、二十六市の市長会でございますけれども、ここでは新公会計制度に関します検討会の設置が決まりまして、また特別区におきましても、研究会の設置などが相次いでおります。こうしたことから、都はこのような取り組みに対しましても、積極的に支援をしているところでございます。
 今後とも、個別の自治体に対します支援を含めまして、複式簿記・発生主義会計を全国に発信をし、日本の公会計制度改革に貢献すべく力を尽くしてまいりたいと存じます。

○高倉委員 私は、平成十七年度一般会計決算の中から、公金取扱費の収納手数料に関して何点か質問をさせていただきたいと思います。
 収納手数料は、都民が税金などの公金を金融機関等に支払う際に、都が金融機関等に支払う手数料のことでございます。一方で、都民が公金を支払う方法につきましては、都民の利便性に直接かかわることでございまして、そのあり方につきましては、都民の関心が大変高いところであります。
 そこで、公金の収納方法についてお伺いをしたいと思います。出納長が所管をしております公金収納件数は平成十七年度は一千五百九十四万件となっております。都民がこうした公金を支払うためには、どこに行って支払っているのか、公金の支払い場所としてはどういうところがあるのか、まずそれをお示しをいただきたいと思います。

○細野会計制度担当部長 都民の方が公金をお支払いいただく場所といたしましては、都税事務所などの都の事業所、銀行、信用金庫、信用組合、郵便局などがございます。その他一部の方でございますが、パソコン等を利用して自宅でお支払いしていただくということもやっております。なお、都税につきましては、コンビニエンスストアでの支払いも可能となっております。

○高倉委員 今、場所についてご答弁いただきました。都民が公金を支払う際には現金で支払うほかにさまざまな手段があると思います。どのような方法があるのか。そしてそれはどのくらい使われているのか。平成十七年度の実績ということでお示しをいただきたいと思います。

○細野会計制度担当部長 公金の支払い方法でございますが、出納長所管の平成十七年度の収納件数一千五百九十四万件のうち、銀行や郵便局などの窓口における現金による支払いが一番多く、一千四万件となっております。現金以外の支払い方法としましては、銀行や郵便局などにおける口座振替がございますが、これが五百九十万件となっております。
 なお、出納長室所管ではございませんが、都立病院などにおいてクレジットカードによる支払いが二万件ほどあります。

○高倉委員 最近は決済手段としまして、クレジットカードや電子マネー、そうしたものの広がりが大変目覚ましいものがあると思います。また、最近の新聞報道によりますと、自治体の公金の取り扱いに関しまして、クレジット業界でも統一ルールに取り組み始める。こうしたことを積極的に業界でもって動いているような、そうした報道がなされておりますけれども、この動向についてどのように考えていらっしゃるのか、所見を伺いたいと思います。

○細野会計制度担当部長 これまでも公金収納にクレジットカードを活用してほしいとの提案がクレジット会社から出されることはありましたが、各クレジット会社の個別提案であり、内容もさまざまでありました。報道によれば、今回はクレジット業界が協議会を設立して、統一したルールづくりを目指そうというものでございます。クレジットカードを公金収納に活用するためには、乗り越えなければならない大きな課題があることから、都としては協議会での検討状況を注視していきたいと考えております。

○高倉委員 現在のような社会の動きというものを踏まえますと、東京都としまして、もっとクレジットカードによる収納というものを拡大すべきである、このように考えるわけでありますが、平成十七年度も含めまして、最近のクレジットカード収納の導入状況、これはどうなっているのか、お示しをいただきたいと思います。

○細野会計制度担当部長 都におけるクレジット収納の導入状況でございますが、平成十七年度には第一本庁舎三階にございます都民情報ルーム、そして都立の四病院に導入いたしました。本年度は六月から九月にかけて引き続き都立の七病院に導入しております。また、JRを初め、民間の鉄道会社では既に導入されているところでございますが、交通局では十月二十五日から都営地下鉄窓口で定期券の購入にクレジットカードが利用できるようになる、このように聞いております。

○高倉委員 今のご答弁で、一部ではクレジットカードの導入が進んでいる、このようにも思いますけれども、現金での支払いの大宗を占めております税金の支払いにつきましては、クレジットカードによる収納ということがまだ実現をされていないわけでございますけれども、改めて確認をしたいと思いますが、クレジットの収納の拡大を阻害をしている要因について、どういうふうなことなのか、お答えをいただきたいと思います。

○細野会計制度担当部長 クレジット収納拡大における最大の課題は、収納手数料の問題でございます。銀行などにおける収納手数料は、基本的に一件当たりの定額制となっているのに対して、クレジット収納の場合は、納付金額に一定の料率、一般的には数%といわれておりますが、これを乗じる定率制となっております。
 例えば、十万円の固定資産税を銀行などで納付された場合の収納手数料ですが、納付場所や現金あるいは口座振替といった納付方法によっても異なりますので、これを平成十七年度決算の平均値で見ますと、十八円となります。これに対してこの十万円をクレジットカードで納付された場合、手数料率を仮に一%といたしますと、収納手数料は千円となってしまいます。このようにクレジット収納を導入した場合、収納手数料が大きく膨れ上がるおそれがございます。
 また、銀行などでは都民から納付されて、早ければ翌日に、遅くとも三日後には都の口座に入金されますが、クレジット収納の場合は、一般的に半月から一カ月かかること、クレジット収納を利用する人としない人と負担の公平性の問題があることなど、クレジット収納の拡大に当たりましては、多くの課題があると認識しております。

○高倉委員 今答弁がありましたように、クレジットの収納を大幅に拡大するということについてはさまざまな課題が存在をしているということについては、理解をしているつもりでございますけれども、都民の利便性の向上を図っていく、こうした見地からはぜひともこのクレジットカードによる収納のさらなる拡大というのが、やはり強く求められているのではないかと思います。
 先ほどもクレジット業界での新たな検討の動きがある、このことをちょっと指摘をさせていただきましたけれども、恐らく業界の方でも公金を取り扱うというようなことに当たりましては、従来とはまた違った形で自治体の方にも受け入れていただけるような、そうした工夫も恐らく十分に検討していくのではないかな、そのように思っております。
 こうした動向も視野に置きまして、さらなるクレジット収納の拡大に向けた取り組みをぜひ行っていただきたいと思いますけれども、最後に、出納長のご決意をお伺いしたいと思います。

○幸田出納長 クレジットカード決済方式の導入は、都民生活の変化あるいはまた公金収納の多様化という視点から、都民の利便性の向上に資するものと基本的には考えてございます。しかしながら、クレジットカード決済につきましては、ただいま部長からご答弁申し上げましたように、手数料の割高性ということがございます。また、それに伴いまして、収納コストが増加するなどの課題もある、こうしたことからクレジットカード決済方式については、費用対効果の観点から十分な検証が不可欠と考えてございます。
 現在、お話のように、業界での検討が進められているということでございますので、その検討状況も十分見据えまして、適切に対処してまいりたいと考えております。

○林田委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○林田委員長 異議なしと認め、本件に対する質疑は終了いたしました。
 以上で出納長室関係を終わります。

○林田委員長 これより知事本局関係に入ります。
 決算の審査を行います。
 平成十七年度東京都一般会計決算中、知事本局所管分を議題といたします。
 本件は既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○秋山企画調整部長 要求いただきました資料についてご説明申し上げます。
 お手元にお配りしてございます平成十七年度各会計決算特別委員会第一分科会要求資料をごらんください。
 石原都政になってオール都庁として出したプランの一覧についてでございます。平成十一年四月以降都が発表したプランで各局の主要計画を含むものでございます。名称、所管局、発表時期を記載してございます。
 以上、簡単でございますが、資料の説明とさせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○林田委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含め、これより本件に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○西岡委員 まず最初に、この間、東京自治制度懇談会が設置をされまして、検討が進められてきました東京発自治論について伺わせていただきます。
 中央集権を基本とする国家の基本システムがその役割を終えたにもかかわらず、国は、国と地方との役割分担を示さずに三位一体改革や道州制の議論を進めています。また、国が地方への歳出削減や東京ひとり勝ち論による税収の確保策を展開していることに対するこの間の東京都の取り組みや主張に私は賛同しているところであります。
 一方、私自身は、国と地方との役割を明確にし、地方の特性や自主性に見合った国づくりが進展される道州制そのものは大いに進めていくべきであると考えています。
 さて、この時期に都が独自に、東京発自治論と題して、都市の時代にふさわしい地域主権、地方分権の立場による新たな自治制度論を発信していく意義は大きいと感じております。都の取り組み姿勢や発表される自治論の中身が、全国の自治体や国に発信され、あるべき国づくりが進展される契機となるよう、何点か伺ってまいりたいと思います。
 まず最初に、改めて東京発自治論を発信していく意義について伺います。さらに、東京都としては、この機会に道州制そのものについての見解も打ち出していく考えなのかどうかを伺わせていただきます。

○川澄自治制度改革推進担当部長 これまでの国におけるいわゆる三位一体改革は、国庫補助負担金の削減が先行し、地方への負担の押しつけがなされるなど、数字合わせに終始をし、国と地方の役割分担の明確化などの本質的な議論が行われてきておりません。今必要なのは、国と地方の役割分担を明確にし、国の過剰な関与を排除することにより、地方がみずからの権限と責任によって主体的に地域の課題に取り組んでいく真の地方分権を実現することであり、また、その際には地方が事業を安定的に行うための財源を税源移譲等で措置すべきということであります。
 また、一方で、都市の時代でもある今日、都市の自治や大都市の経営という観点からも地方自治のあり方を考えていかなければなりません。東京発自治論では、現行制度にとらわれることなく、大都市の役割を明確にした上で真の地方分権改革にふさわしい自治制度のあり方を東京から発信していくものであり、広く改革の必要性を訴えていくものでございます。
 道州制につきましては、東京発自治論で、首都圏の広域的課題に対して主体的に対応し得る道州のあり方を明らかにしていく予定ですが、道州制を導入するか否かにかかわらず、まずは国と地方の役割分担を明確化し、国の地方に対する過剰な関与を排除していくことが不可欠であると考えております。

○西岡委員 現行制度にとらわれずに、国と地方の役割分担を明確にして、真の地方分権を実現するあり方を明示して、そして道州制のあり方も明らかにしていくということで私なりに理解いたしました。
 さて、東京発自治論の議論では、都区との関係はよく議論されているように感じます。しかし、市町村との関係も極めて重要であります。議論の中身は、行財政改革実行プログラムに掲げられている建築指導事務や都費負担職員の任命権などの権限移譲、施設移管と支援強化が明記されていますが、残念ながら現時点ではその域を出ていません。東京発自治論においては、都と市町村との関係を今後どのようにしていくお考えなのか、具体的な議論がどの程度進んでいるのかを伺います。

○川澄自治制度改革推進担当部長 東京自治制度懇談会におきましては、国と地方の役割分担の明確化、基礎的自治体と広域的自治体の役割分担、大都市制度のあり方、道州制における広域的自治体のあり方、税財政制度のあり方、それから東京における新たな大都市制度のあり方など、分権の時代にふさわしい自治制度のあり方について議論をしていただいているところでございます。
 基礎的自治体と広域的自治体との役割分担につきましては、国の過剰な関与を排除して、住民に最も身近な基礎的自治体を包括的に住民サービスを提供する総合的な地方行政主体として位置づけるべきであるとの議論がなされております。
 東京発自治論におきましては、こうした議論の趣旨を踏まえまして、広域的自治体から基礎的自治体への権限移譲を積極的に推進することを前提に、適切な役割分担について目指すべき方向をお示ししたいと考えております。

○西岡委員 今の答弁の権限移譲を積極的に推進する前提というところに大いに期待をしていきたいと思っておりますが、ところで、全国的には既に自治体合併が相当進展をしましたが、都内の基礎的自治体の理想的な規模やあり方については、当該自治体の意思によるものとして、具体的な考え方を示されておりません。この間どのような議論が行われてきたのかもあわせて伺わせていただきます。

○川澄自治制度改革推進担当部長 都内の基礎的自治体につきましても、住民に身近な行政は総合的に基礎的自治体が担うべきであるという考え方に変わりはございません。自治の基本が、地域の課題をみずからの判断と責任において解決していくことであるということを踏まえまして、基礎的自治体が自主的、自立的な行財政運営を行うことができる仕組みの構築について議論を行っているところでございます。

○西岡委員 決算年度の平成十七年度中の平成十八年一月には、市長会からの要望があり、市町村の意見を踏まえ計画を策定すること、都と市町村の役割分担の明確化、市町村が最終的に分担する事務と権限、財源を集中させる方策や、現行の財政補完機能の見直し、市町村への法令による関与、規制の縮減、三位一体改革に伴う財政援助制度の創設などが要望されたと聞いております。
 オリンピック関連では、都が急ピッチで先行した感が否めない状況でもありますので、自治論は根幹にかかわる問題でありますから、ぜひとも市町村への作業を丁寧に説明していただきたいと切望させていただきたいと思います。
 次に、東京発自治論は、都が先行している取り組みですが、都内六十二市区町村の考え方も踏まえ、オール東京で打ち出していくことが望ましいと考えております。二十三区とは既に懇談会が持たれておりますが、多摩・島しょ地域の市町村の意向も大変に重要であります。
 最後に、東京発自治論の発表までのスケジュールと市町村との協議の方向性について伺わせていただきます。

○川澄自治制度改革推進担当部長 これまでの東京自治制度懇談会における議論の取りまとめを十一月末を目途に発表する予定でございます。今後、東京自治制度懇談会からいただいた助言、提言を踏まえまして、都の内部で検討を行い、十九年度以降東京発自治論を策定し、発信していく予定でございます。
 市町村からは策定に当たって市町村の意見を踏まえるよう強い要望をいただいているところであり、しっかり意見を伺い、東京発自治論をまとめてまいります。

○西岡委員 都内六十二区市町村がまとまるオール東京の自治論をまとめ上げ、その中身が具現化していく取り組みになるよう強く要望しておきたいと思います。
 次に、オリンピック招致に向けた都市外交について伺わせていただきます。
 東京は、八月三十日に日本国内での候補都市に選定され、今後は三年後の開催都市決定に向け、海外に向けたPR活動が最も重要になります。先月の第三回定例会における我が党の大塚議員の一般質問でも触れましたが、IOC委員への働きかけのみならず、都内に多く所在する在京大使館との交流や海外都市との交流も招致活動にとって極めて有効だと考えます。
 中でも重要なのはアジアへの働きかけだと私は思います。二〇一六年のオリンピックには東京だけでなく、世界のさまざまな地域の都市が立候補の意向を持っていると伝えられています。これから世界の有力都市との厳しい招致合戦を勝ち抜いていくためには、まず身近な地域であるアジアの支持を得ることがかぎになると考えます。ただ、残念なことに、アジアの大都市の一つであり、次回のオリンピック開催都市でもある北京は、決算年度でもあります昨年、平成十七年にアジア大都市ネットワーク21から脱退してしまいました。一方、地下核実験を強行した北朝鮮にも一人の審査員が存在し、またアジアの中にも立候補するのではと名前が挙がっている国もあります。
 私としては、国政の流れやその国の体制によっては当然厳しい対応を求められている現状もありますが、平和を希求するという日本のメッセージを発信させることが大きな理念でありますので、まずは都市外交を進展させ、東京オリンピックを実現するためにも、北京を含めたオールアジアを構築することが重要であると考えております。そして、世界各国から東京への支持を得ていくような取り組みを期待しているところであります。
 初めに、オリンピック招致をにらんだ都市外交の基本的スタンスを伺わせていただきます。

○長谷川秘書部長 都市外交についてでございますけれども、在京大使館や海外都市との交流を進めることは、東京の魅力を海外にアピールし、イメージを向上させるとともに、IOC委員への間接的な働きかけにつながる可能性もあり、招致活動に有効だと考えております。
 三年後のIOC総会でのオリンピック開催都市決定に向けまして、JOCや立ち上げが予定されております東京オリンピック招致委員会とも連携を密にしまして、あらゆる機会を活用して、海外に向けたアピールにつながる都市外交に取り組んでまいります。

○西岡委員 ご答弁ありがとうございました。
 オリンピックを実現する都市外交ということで考えれば、世界審査に勝つためには、今ご答弁にあったような活動ももちろん重要ですし、ロンドンなどとの幅広い協力関係を構築しつつも、やはりオールアジアの構築を目指すことが重要だと考えておりますし、北京が実現した例を見ても、アジアの協力が大きかったと聞いております。アジアの審査員は二十二人、中国、日本、韓国、香港チャイナ、インド、イスラエル、サウジアラビア、クウェート、レバノン、マレーシア、モンゴル、パキスタン、フィリピン、そして北朝鮮、カタール、シンガポール、シリア、タイ、台北ということでございまして、困難な面もあるかもしれませんが、この都市外交を進展しなければならないと思っております。
 そこで、今後のオリンピック招致活動に当たって、具体的にどのように都市外交を進めていこうと考えているのか、伺わせていただきます。

○長谷川秘書部長 来月には都内のすべての在京大使館の大使を招待いたしまして、東京のオリンピックに向けた取り組みやそのプレイベントであります東京マラソンを紹介するとともに、東京の先端技術や環境への取り組み、おもてなしの精神などを実感していただく催しを開催する予定でございます。
 また、政策提携都市であるロンドンや姉妹・友好都市などとの間で、次代を担う若者のスポーツ交流などを活発化することも検討いたしているところでございます。

○西岡委員 この後、オリンピック招致特別委員会も設置もされておりますし、いろいろな場面でこの点については大いに質疑を展開して、よりよい都市外交が行われるように私も頑張ってまいりたいと思っておりますし、当局の皆様にもご尽力をお願いしたいと思っております。また、オールアジアということもぜひ意識をしていただきたいというふうに思います。
 最後に、知事本局への質問は、委員会で私初めてでありますので、執行体制に関しまして、知事本局の役割について伺わせていただきます。基本的な事項かもしれませんが、お許しをいただきたいと思います。
 国政においては、以前より官邸の機能強化が課題となり、細川政権以降、首相補佐制度がいろんな意味で課題となっていることは周知のとおりであります。地方自治体においても、従来のお役所仕事から脱却するために、また住民サービスの観点からも意思決定のスピードアップが求められ、意思決定のスピードアップには長の強いリーダーシップはもちろんでありますけれども、それを補佐する機能も大変重要であります。
 都庁には知事のトップマネジメントを補佐する機能として知事本局が設置をされ、九月一日現在では百八十七名の職員が配置をされ、強いリーダーシップを発揮できているように感じておりますが、それには知事本局の存在があるからだと考えております。
 そこで、改めて知事本局が設置された意義、目的を伺わせていただきます。

○秋山企画調整部長 知事本局でございますけれども、その前身でございます知事本部として平成十三年四月に発足をいたしました。この知事本部は、危機的状況にございました東京を取り巻くさまざまな行政課題に的確に対応し、機動的、戦略的な都政運営を行うことができる執行体制を構築するために、それまでございました政策報道室を再編整備したということでございまして、重要施策の総合調整機能、新規施策の立案機能のさらなる強化を図ったものでございます。
 また、同時に、これまで以上に政策を重視した都政運営を可能とするために、新たに自治制度改革、それから都市外交等に関する事務を所管したという経過となってございます。その後に、平成十六年四月でございますが、都の行財政の基本的な計画や総合調整を初めとするトップマネジメントの補佐機能をより明確にするため、条例上の局として位置づけ、知事本局と改称し、現在に至っております。

○西岡委員 今ご答弁にもありましたように、トップマネジメントを補佐する機能をより強固なものとすることによって、迅速でさらにきめ細やかな施策の展開が可能となると考えられます。例えばディーゼル車排出ガス規制、不正軽油撲滅作戦、青少年・治安対策など知事本局の役割が機能して推進された政策があることは承知をしております。
 一方、私は、都議会での活動が始まって約一年が経過いたしましたけれども、常々感じていることは、都庁には都政の重要課題が縦割りの弊害によって円滑な対応には至っていないと強く感じる場面が多々あるということであります。知事本局の役割は、答弁にもあったように、行政課題に的確に対応し、機動的、戦略的な都政運営を行うことができる執行体制を構築するためであります。すべての課題を対象にするというわけにはいかないと思いますが、都庁の縦割りの弊害をなくして、求められている課題を克服するための重要な役割を果たしていかなければならないと強く感じております。
 そこで、改めて現在の知事本局の執行体制についてどう評価しているのか、伺います。また、縦割りの弊害を改善する取り組みの現状を伺わせていただきたいと思います。

○秋山企画調整部長 ただいま委員よりご指摘のございましたディーゼル車排出ガス規制、これを始めまして、三環状道路整備促進、中小企業向けの債券発行、二〇一六年オリンピック国内候補地の決定などの先駆的な取り組みや主要な事業が実現し、あるいは円滑に推進できているということにつきましては、組織の枠組みを超えて、まさに都庁全体が総合的な力を発揮した成果であるというふうに考えてございます。
 しかしながら、やはりこれもご指摘のとおり、縦割りの弊害というものにつきましては、組織運営に当たりまして、常に点検を行い、戒めなくてはならない事項だという認識をしております。
 そこで、現在、知事、三副知事を初め、都庁の主要幹部で構成する定例協議会を定期的に開催いたしまして、その場で重要な政策などに関して議論することで、全庁的な総合調整を図るなど縦割りの解消に具体的に努めているところでございます。
 今後とも、重要施策を初めとする基本的な計画の策定や事業の企画立案、庁内各局や国、関係機関との調整などのあらゆる場面を通じまして、知事本局が本来持つべきトップマネジメントの補佐機能を十分発揮することによりまして、東京が直面する多くの課題を克服していきたいというふうに考えております。

○西岡委員 ご答弁ありがとうございました。
 都庁の縦割りの弊害は極めて顕著であると私は認識をしております。ぜひとも知事本局の役割をさらに強力に発揮していただきたいと思っております。
 次に、自治体運営のカラーを出すには、当然その首長の強いリーダーシップそのもので、その長の色を出していくことが大切であり、そのためには都庁の知事本局のような組織を持つことが各区市町村にも必要であり、さまざまな執行体制が現在試行錯誤されております。もとより組織のあり方は自治体みずからが考えるべきことではあります。財政力や自治体の規模により温度差はありますが、区市町村にも都庁の組織運営のよいところを学ぶことも大切なのではないかと思っております。
 これは意見になりますけれども、ぜひ何らかの機会をとらえて、これまで知事本局が局として蓄積してきたさまざまなノウハウを伝授していくような、そんな試みもあってもいいのではないか考えています。
 最後に、知事のリーダーシップを発揮させていく執行体制を構築していくためには、トップマネジメントの補佐機能の強化が重要と考えます。局長に見解を伺い、質問を終わらせていただきます。

○山口知事本局長 まさに西岡委員ご指摘のとおり、国におきましても、トップマネジメントを補佐していく機能の組織が試行錯誤しながら検討されていると思いますし、そういう面では、私ども東京都は、国の議院内閣制と異なりまして、長が直接住民の選挙によって選ばれるわけですから、そういう面では住民の意思が行政に反映する仕組みになっているわけでございますが、それを徹底するためには、先ほどお話がありましたように、知事のリーダーシップを支えるトップマネジメントの補佐機能の組織が十分に機能していなければならないというふうに考えております。
 石原都政におきましても、スピードや成果の重視、局を横断した意思決定の迅速化、そして公会計制度などを通じましたコスト意識の徹底など、組織運営に対しまして知事の意思を反映する取り組みをこれまで取り組んでまいりました。
 今後山積する課題は、まさにそういう局の壁を超える、あるいは東京都という組織も超えて、あるいは地域とか企業とかが協力していることが、これからの大都市の中で課題の解決に向かっては必要だと思っております。
 そういうことで、私ども知事本局としましては、重要な施策の方向づけや東京オリンピック招致実現に向けた取り組みなどを通しまして、さまざまな都の政策決定、遂行の場において各局の垣根を超えて、全庁的な視野に立ったトップマネジメントの補佐機能を十分に発揮していきたいと思っております。とりわけ、都議会の協力を初めといたしまして、都民、企業、そういう理解と協力を得ながら戦略的、機能的な組織運営を一層心がけていきたいと思っております。

○野上委員 アジア大都市ネットワーク21についてお伺いいたします。
 予算額が八千百八十七万二千円、支出総額が五千百六十五万五千七百七十六円で、不用額が三千二十一万六千二百二十四円の執行率が六三・一%という事業でございます。これはアジア地域の頭脳と心臓ともいえる首都及び大都市が、技術開発とか環境面、あるいは産業振興など共通の課題に取り組むため、異なる政治的な立場を超えて共同して事業を推進し、その成果をアジア地域の繁栄と発展につなげることを目的とした新たな国際的ネットワークであるということでございます。
 平成十三年十月に第一回総会が東京で開催され、その後デリー、ハノイ、ジャカルタ等々で行われておりますが、アジア大都市ネットワーク21の最近の活動状況について説明していただければと思います。

○中村参事 平成十七年十一月に東京で臨時会議を開催した後、ことしの四月に台北において総会を開催し、都市の情報化を促進し、情報通信技術の積極的な活用を図っていく等を確認した台北宣言を採択いたしました。
 都市間の協力で行う共同事業については、中小型ジェット機の開発促進や危機管理ネットワークなど多くの事業で成果が確認されました。これらの共同事業をさらに一層発展させていくことを都市間で合意いたしました。

○野上委員 今ご説明がありましたが、中小型ジェット旅客機の開発促進の状況について、もう少し詳しく説明していただければと思います。

○中村参事 日本を含むアジアの航空機メーカー、エアライン、商社などが一堂に会する国際会議を毎年開催し、アジアのポテンシャルの高さと航空機開発に向けた意欲の高さを確認してまいりました。
 また、都のこうした取り組みを受け、本来開発の主体となるべき国もようやく重い腰を上げ、平成十五年度からは座席数三十から五十席の小型ジェット機の開発に取り組み始めましたが、最近になって市場規模を考慮し、七十から九十席へ軌道修正し、都の構想に近づいております。
 今後とも、アジア独自の百席前後の旅客機開発の実現を目指し、国や産業界への働きかけを進め、アジア大都市ネットワークを通し、アジアとの連携を強化します。こうした取り組みが販路の拡大にもつながっていくものと考えられます。

○野上委員 もう一つの危機管理ネットワークということなんですけれども、平成十六年十二月にスマトラ沖の地震、そしてその後の津波の発生により多くの人命が失われたり、あるいは私の大好きなバリ島で爆破事故が起こったり、あるいはかなり前ですが、地下鉄サリン事件などの化学テロなどNBCテロなどを含めまして、水害等の自然災害も含めて、多くの、私たちの身近な中で、何が、いつ、どのように起こるかわからない危機的な状況にございます。
 ぜひ、この危機管理ネットワークの進捗状況についてお知らせ願えればと思います。

○中村参事 危機管理会議につきましては、各都市の関心が非常に高く、十一の全会員都市が事業に参加しております。毎年開催する危機管理会議では、各都市が持つ経験やノウハウを積極的に交換しております。またインターネットを活用した連絡網により、各都市の災害発生時に迅速に情報交換を行っております。
 危機管理会議の具体的な内容ですが、今年度はシンガポールで、新たな脅威の中での危機管理をテーマに、各都市におけるテロや核、生物、化学災害対策などの経験やノウハウを交換し、各都市間の連携を一層強化していくことを確認いたしました。

○野上委員 アジア大都市ネットワーク21をさらに発展させるために今後どのようなことを考えているのか、お知らせください。

○中村参事 アジア大都市ネットワーク21はこれまでさまざまな共同事業に取り組み、着実な成果を上げてきましたが、事業開始後五年を経過しており、これまでの成果を踏まえ、共同事業の再評価を行うことがことしの台北総会で決定されました。この再評価を通して、今後ともアジアのアイデンティティーをより強固にするとともに、国際社会におけるアジア地域の重要性を高めるため、全会員都市が協力して共同事業を一層発展させてまいります。
 また、将来のアジアを担う人材の育成や地球温暖化阻止など東京の成果やノウハウを還元し、アジア大都市ネットワークの一層の活性化を図り、東アジアの成熟化を牽引してまいります。

○野上委員 最後になりますけれども、東京といたしましても、このANMC21ですか、アジアン・ネットワーク・オブ・メジャー・シティーズ21ですか、この事務局の業務をしっかりと担うとともに、各都市と協力しながら共同事業をより一層推進していただくよう期待して終わります。

○古館委員 それでは、昨年度から今年度にかけまして都政として非常に大きな問題ともなりました、米軍再編を初めとする米軍基地問題についてお尋ねをしたいと思います。
 最初に、首都東京に存在している米軍基地の所在地、面積、それから米軍人数などの概要をまず聞かせていただきたいと思います。

○鈴木参事 都内にあります米軍基地についてでございますが、都内に所在する米軍基地は八カ所、総面積は約千六百万平方メートル、軍人の数は約三千六百人でございます。
 そのうち主なものを挙げますと、横田飛行場、これは立川、昭島、福生、武蔵村山、羽村の以上五市、それから瑞穂町の五市一町にかけて所在しております。それから多摩サービス補助施設、多摩市と稲城市に所在しております。それと赤坂プレスセンター、これは港区所在ですが、などがございます。

○古館委員 都内には米軍基地が八カ所もある、こういう状況なんですよね。
 それで、米軍再編の中で、これらの基地とか面積、米軍人数、こういうところに変化はあるのでしょうか。

○鈴木参事 米軍再編によりまして、都内では横田飛行場の機能に変更があるとされておりますが、東京防衛施設局は、現在の米軍の人員、規模に大幅な変動が起こることはないと説明しております。

○古館委員 それはそういうことで推移するのかもしれませんけれども、今後、自衛隊との共同ということになる方向ですから、恐らくその分は、米軍ではないですけれどもふえていくのかな、こういうふうに考えています。
 それで、この米軍再編の中で石原都政の米軍基地返還に対するスタンスというのはどうなるのでしょうか。

○鈴木参事 都内に所在する米軍基地につきまして、都民生活の安全を守り、地域のまちづくりを推進するため、整理、縮小、返還の促進を求めることが東京都の基本的立場でございます。この基本的立場に立ちまして、国に対する提案要求の重点事項の一つとして米軍基地対策の推進を掲げ、国に対してその取り組みを求めております。

○古館委員 いつも整理、縮小、返還という方針ということをいうのですよね。今の答弁としてそれはわかりましたけれども、米軍基地の対策の推進というのは、いわゆる米軍基地としての機能はそのままで、今後、自衛隊もこれからは共同して活動する、そのすき間の中で、恐らくこれは民間使用ということだと思うのですけれども、実際に米軍再編に際して、額賀防衛庁長官、当時ですけれども、石原知事に会いましたよね。そのときに、都庁に来た当時の額賀防衛庁長官に対して、知事はのっけから、軍軍共用化はわかったと。これは新聞報道ですね。そういうふうに軍軍共用化というのはもう既にいいよ、これが知事の見解。同意する発言を行うなどの報道がなされました。
 今回の米軍再編はどの程度のスパンで提起されていると東京都の当局としては理解しているのでしょうか。

○鈴木参事 再編実施のための日米のロードマップによりますと、都内では、横田飛行場への航空自衛隊航空総隊司令部及び関連部隊の移転や共同統合運用調整所の設置が挙げられております。この航空自衛隊航空総隊司令部等は、二〇一〇年度、平成二十二年度に移転することとされております。また、隣の神奈川県にあります厚木基地から岩国基地への米空母艦載機の移駐は、二〇一四年度、平成二十六年度までに完了するとされております。

○古館委員 今の答弁はちょっと私の理解と違いまして、米軍再編に伴って航空自衛隊等が横田基地に移転完了する時期のことについてなどが今の答弁でしたね。額賀防衛庁長官がいろいろなところに行って、米軍再編についてどういうふうにいっているかというと、この計画は百年の計画というふうにいってはばからないのですよね。つまり、百年というのは、はっきりいえば、これは永久化であり恒久化なんです。
 ところで、東京都がかかわった軍民共用具体化検討委員会というのがことしの五月一日に立ち上がった、このように聞いておりますけれども、設置目的が、横田基地民間共用化に関する検討の深度化を図るためと、軍民の両立性を確保する立場からの検討だとされております。
 そこでお尋ねですが、この内容についてお示しいただきたいということと、この委員会の任務が、石原知事のいう軍軍民共用化政策、すなわち基地の恒久化を前提としているものではないかと思うのですが、いかがですか。

○瀧本参事 軍民共用具体化検討委員会でございますけれども、委員のお話ございましたように、軍民の今後共用化を進めていく上でのさまざまな課題につきまして、軍民の両立性の確保あるいは施設整備のあり方等につきまして検討をしていくということでございまして、本年の四月に委託を出して、その委託先の方で検討委員会を立ち上げて検討を進めていただいているところでございます。
 石原知事の申します軍民共用化政策でございますけれども、米軍基地に対します都の基本的立場といたしましては、先ほどもご答弁申し上げましたように、整理、縮小、返還、この促進でございますが、横田基地を取り巻く情勢等を勘案いたしますと、直ちに返還がなされるという状況にはないものと考えるところでございまして、そこで、横田基地につきましては、返還までの対策として軍民の共用化について実現を目指していくというものでございます。

○古館委員 さっき額賀元防衛庁長官の話をしましたけれども、百年の計画ということなんですよね。百年ということは、ある意味で永久的に米軍というのは日本にいますよというような状況の中で軍民共用というのは、これはずっとそれを肯定的に認めた上での軍民共用なんですよ。
 それで、知事の選挙公約というのは、聞きますけれども、あくまでも返還ということなんでしょうか。

○瀧本参事 知事の選挙公約でございますけれども、横田基地の返還もしくは民間との共同使用の実現となってございます。

○古館委員 今、知事の公約、ちょっと聞きましたら、一期目しか横田基地問題については公約していないということなんですね。それで、そのときの、今答弁があったのです。このときの知事の選挙公約というのは(発言する者あり)決算、去年からずっと続いているからいっているのですよ。この中で横田返還に対して知事は、横田返還にイエスというふうにいっているのですね。ところが、その行間の中で、横田基地の返還と書いていて、もしくは民間との共同使用を実現しというふうにいっているのです。つまり、返還と一方でいいながら、同じフレーズの中で民間との共同使用と。これは、軍がいることを前提にして民間との共同使用というふうにいっているのですよね。
 だから、これ自体は極めて矛盾しているというふうに私はいわざるを得ないのですけれども、この点については、私どもはやはりきちんと、石原知事が横田返還に対してイエスというふうにいっておきながら、同時にいわゆる軍民共用、こういうふうにいっているのですね。つまり、相反する内容が公約として掲げられている。
 私は、この問題については今回は指摘にとどめておきますけれども、この問題は、いずれにしても知事が(発言する者あり)公約違反、それは当然ですけれども、そこで質問を変えますが、米軍航空機事故の発生についてですが、東京都にある米軍基地に係る航空機事故の状況について、この三年程度で結構ですので、どういう状況だったか、教えていただきたいと思います。

○鈴木参事 東京防衛施設局からの連絡によりますと、平成十六年度以降、都内及び周辺基地が関係いたします米軍の航空機事故等は、北硫黄島での空母艦載機の事故一件、上空からの部品落下と思われる事故三件、エンジントラブル等によります緊急着陸六件、計十件が発生しております。

○古館委員 この三年間だけでそういう大きな事故、これが十件です。三年前の年は集中して五件も発生しているのですね。
 そこで、例えばどういう事故なのか、もうちょっと詳しくお示しいただきたいと思います。

○鈴木参事 事故につきまして、平成十七年度でいいますと、五月に横田飛行場所属のUH1Nヘリコプターが山梨県のスキー場に緊急着陸した例、普天間基地所属のKC130空中給油機が横田基地に着陸後、着陸灯カバーの落下が判明した事故などがございます。

○林田委員長 余り逸脱しないようにお願いします、質問の方。

○古館委員 いずれにしても、都民にとって極めて重大な問題が今こういう形で起こってきているのですよね。(発言する者あり)
 それで、知事本は政策部門なので質問させてもらっていますが、東京都の方針として、多摩サービス補助施設については直ちに返還されるよう必要な措置をとること、こういうふうに方針としてなっていますが、東京都の方針としては、直ちに返還、この方針に変わりはありませんか。

○鈴木参事 多摩サービス補助施設は、市街地に隣接する貴重な緑地であり、広く都民に開放するため、直ちに返還するよう必要な措置をとることを国に対して提案要求しておりまして、方針に変更はございません。

○古館委員 実は、きょうは多摩の方もいらっしゃいますけれども、多摩市と稲城市にかかわってこの多摩サービス補助施設というのがあるのですけれども、とにかく百九十六万平米なんですね。物すごく広大な土地です。今米軍は何をしているかというと、ここでゴルフ場、キャンプ場等のレクリエーション施設というふうになっているのですね。こういうことについて、やはり都民的には、返還について大きな、知事本局がこの問題について旗振りしなかったら、だれがするか。
 この問題についての、返還についての進捗状況はいかがになっているか、お答えいただきたいと思います。

○鈴木参事 多摩サービス補助施設の返還につきましては、平成十一年以降、国に対して直ちに返還するよう、特に施設名を挙げ、強く提案要求を行っております。また、平成十七年三月、昨年三月ですが、外務大臣及び防衛庁長官と米軍再編に関係する知事との意見交換会におきまして、石原知事は、都内遊休施設の返還促進につきまして、個別の施設名を挙げてその促進を求めております。都としては、引き続き粘り強く返還を求めてまいります。

○古館委員 この問題については、やはり重要課題の一つとして東京都も位置づけていますので、これは何らかの形でやはりアクションを起こしてもらいたいし、私どもも引き続きその点では協力をしていきたいと思っています。
 港区の赤坂プレスセンターについてですけれども、これは、都と東京防衛施設局、米軍との三者協定の中身、これについてちょっと詳しくお知らせをいただきたいと思います。

○鈴木参事 赤坂プレスセンターに関係いたします三者協定ですが、東京都、東京防衛施設局、在日米陸軍との間で昭和五十八年八月に締結されたものでございます。その内容は、都市計画街路環状三号線の工事期間中に臨時へリポートを整備すること、及び工事完了後にヘリポートを原状回復するというものでございます。

○古館委員 三者協定では、先ほどいいましたけれども、工事が完了したら原状回復しますよと。ところが、十数年経過しているのに、いまだに原状回復がされていない。
 私は、ここの赤坂プレスセンターの周辺というのは、例の六本木ヒルズであるとか、最近どんどん高層住宅ができてきているのですよね。極めてこれは都心部の状況の中で、我々としてはこの問題を一刻も早く、十数年もたってまだ原状回復していないのですから、きちんとやはり要求をするべきだ。このことを国に対しても、そういう措置を引き続き強く求めてもらいたいと思うのですけれども、改めてちょっと見解をお聞かせいただきたいと思います。

○鈴木参事 都は、三者協定に基づきまして全体の原状回復を求める立場ですが、米軍基地の提供は、日米地位協定及びそれに基づきます日米合同委員会での取り決めによりなされる仕組みがあるため、その実現に当たっては課題もございます。都としては、引き続き国への提案要求など、機会をとらえまして国に強く働きかけてまいります。

○古館委員 これも本当に何度も何度も私どもは質問をするのですが、いつも返ってくる答えというのが同じなんですね。この間の防災訓練のときなんかは、米軍に対してさまざまな形で、軍艦が来たり、いろいろな形でやるわけですけれども、大事なことは、やはりそこの、我が国に既に返しますよというふうに約束しているものまで返さないということについても、これは東京都として、都民ぐるみでも大きな声を上げていく必要がある。
 私は、石原知事の基地問題に対する姿勢というのは、今も明らかにしましたけれども、軍民共用化の方向で一貫して進められているというふうにいわざるを得ません。都民の悲願は基地のない東京の構築なわけであって、その立場からも我々としてはこれからも引き続き質疑もし、また運動も進めていきたい。このことを述べて終わらせていただきます。

○林田委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○林田委員長 異議なしと認め、本件に対する質疑は終了いたしました。
 以上で知事本局関係を終わります。

○林田委員長 これより東京オリンピック招致本部関係に入ります。
 決算の審査を行います。
 平成十七年度東京都一般会計決算中、東京オリンピック招致本部所管分を議題といたします。
 本件につきましては既に説明を聴取しておりますので、直ちに質疑を行います。
 発言を願います。

○鈴木(隆)委員 それでは、私からオリンピック招致に関しましてお伺いをさせていただきたいと思います。
 去る八月三十日に二〇一六年オリンピックの国内候補地が東京に決まりました。この間、都議会オリンピック招致議連の山崎会長を中心に、自民党を初めとする各会派の議員の方々がJOC、各競技団体に対して積極的に働きかけを行ってきたことに深く敬意を表したいと思います。
 昨年九月の石原知事のオリンピック招致発表以来、昨年度は都議会のオリンピック招致議連の発足、招致決議の採択、執行機関のオリンピック招致本部の設置など、着々と招致の足元を固めてまいりました。それらの取り組みが今年度の開催概要計画書の作成やJOC、NFの視察で実を結び、先ほどの八月三十日の選定委員会の投票での成功に至ったものであります。
 今回の招致活動を通じて、私は、都議会議員の方々の人脈の広さや行動力を改めて実感いたしました。こうした議員の力をさらに発揮し、オリンピック招致の成功に向けた盛り上がりを都内のみならず日本国じゅうに広げていくことが必要であります。オリンピック招致本部を初め執行機関も機運の盛り上げに取り組んでおられますが、地域住民や区市町村に対する呼びかけ、働きかけは、私たち都議会議員の得意とするところであります。こうした観点から、区市町村や競技団体に対する働きかけや支援策について、また、これまでの取り組みや今後の取り組みに関して幾つか質問をさせていただきます。
 まず第一に、都内の区市町村について招致決議を行った自治体が最終的に幾つになったのかをお聞かせいただきたいと思います。

○谷島招致推進部長 現時点で、六十二団体中四十九団体が決議を行ってございます。
 内訳は、区が二十三区中十三区、市が二十六市中二十三市、町村においては十三町村すべてが決議を行いました。

○鈴木(隆)委員 私は目黒区の選出でありますが、目黒区議会の招致決議の際には、会派や議会に対するさまざまな働きかけを行いました。区議会によっては全会派一致などの慣習のある中、都議会の各議員の皆様も苦労しながら地元自治体の招致決議をとっていったというのが実情ではないかというふうに思います。また、そうした実態の中、今具体的な数字が示されましたが、大変意味のある貴重な数字ではないかというふうに思います。
 とはいえ、十三の団体が決議をしていないということも事実であります。私は、この十三の団体を決して排除してはいけないというふうに考えます。これらの自治体がIOCへの立候補ファイルの提出に向けて引き続き決議をするよう積極的に働きかけていかなければならないと考えます。そこで、まだ招致決議を得ていない区市町村に対し引き続き決議を求めていくに当たって、都はどのような方策をとっていくのか、見解をお伺いいたします。

○谷島招致推進部長 オリンピックの競技会場や開催計画の内容につきましては、これまでも区長会、市長会、町村会等で節目に応じて説明をしているほか、必要に応じまして地域団体や区議会でも説明をするなど、きめ細かな対応を行ってまいりました。
 今後も、招致決議を行っていない団体を含めまして、計画策定の進捗状況の説明や国際交流の推進、ボランティアの育成、スポーツの振興などオリンピックの開催に向けたさまざまな取り組みに加え、十年後の東京の姿を具体的に示すことなどによりまして、区市町村に対する理解と協力を得てまいります。

○鈴木(隆)委員 都の積極的な取り組みに関しましては期待をいたしますが、私は、区市町村が自覚を持ってオリンピックに関与していくということが必要であるというふうに考えます。ですから、各市町村の議会で例えばオリンピック招致議連を立ち上げるとか、そういうようなことが最も効果があるのではないかというふうに思います。オリンピックによって各自治体の施設がどう変わるかということだけではなくして、スポーツへの機運の高まりや国際交流の推進など、ソフト、ハード両面でのオリンピックの効用を議員としてもきちっと勉強し、そして議員は住民に対し、オリンピックをより住民に身近なものと感じさせていく、そうしたようなよりよい情報の流れができ、また、区市町村だけではなく地域住民の機運も徐々に盛り上がっていくのではないかというふうに思います。また、その機運を高めていく責務も負うべきであるというふうに思います。
 目黒区においては、こうした区議会の動きが実は既にできつつあります。今月の二十七日には、自公民の各会派を中心に目黒区オリンピック招致議員連盟の設立総会が既に予定をされております。都や都議会招致議連からも出席者を仰ぐ予定であります。これは、都内六十二区市町村の中でも初めての試みであり、こうした動きがさらに広まり、都内の全団体で招致議連が立ち上がることを私は期待して、次の質問に移りたいと思います。
 各種団体からの支持表明についてお伺いをいたします。三点目に、各種団体から支持表明は今現在幾つになったのか、数と内訳をお聞かせいただきたいと思います。

○谷島招致推進部長 今現在、五百六十八団体から支持表明を得てございます。
 内訳は、スポーツ文化団体が二百四十七団体、経済産業団体が百六十八団体、医療福祉団体が七十五団体、地域団体が五十六団体、教育団体が二十二団体となってございます。

○鈴木(隆)委員 かなりの数の支持表明が集まったと考えますが、ところで、今の内訳の詳細をお聞きしますと、大部分が業界団体や連合体などの団体レベルからの支持が多いということであります。
 私は、そうした団体はもちろんでありますが、これからは、大小あわせて個別の民間企業からも多くの支持を得る必要があるというふうに思います。今やオリンピックは、国策として単に国家や開催都市が中心に行うイベントではなく、民間企業が盛り上がっていかない限り、成功はあり得ないというふうに思います。オリンピックに向けた機運盛り上げは、官民一体となった大きな運動としていかなければならないのであります。
 さらに、オリンピックの開催、運営に当たっては、民間からの資金が大きな役割を担うというふうに考えます。これから都とJOCが立ち上げようとしていく招致委員会においては、民間企業から、単なるオリンピックへの支持だけではなく、寄附金やマーケティングプログラムについての協力を求め、多くの資金調達をする必要があるのではないかというふうに考えます。
 そこで、今後、民間企業からの支持表明、さらには寄附金等の協力を得るためにどのような働きかけを行っていくのか、具体的な取り組みをお伺いいたします。

○谷島招致推進部長 オリンピック招致を成功させるには、都民、国民の積極的な盛り上げ活動が重要でございます。とりわけ、企業からのスポンサー収入や寄附金などの財政支援に加え、広範な招致イベントへの参加など民間企業に対する期待には極めて大きいものがございます。
 今後、JOCと共同して設立いたします外部招致組織を中心に、民間企業に対する積極的な働きかけを検討してまいります。

○鈴木(隆)委員 答弁いただいたわけでありますが、オリンピック招致を国内全体で盛り上げ、それに加えて招致活動の資金を、できるだけ民間資金を導入し税金を極力投入しないというようなことで考えていく上でも、ぜひ企業からの賛同を広めていただきたいというふうに思います。
 そういう中には実は考え方がいろいろあると思いますが、その辺は、やはり多くの方の意見を聞きながら、ある程度都民、国民のトータライズされた考え方ができていくようなものの中からぜひやっていく必要があるのではないかというふうに思います。
 それから、今までロサンゼルスがオリンピックでやってきたことから踏まえて、いろいろ民間の資金、それから民間企業的な運営をして今のオリンピックが始まってきているわけでありますが、実際にはそれに対して賛否両論があり、環境、それからまた税金投入をしない、そのかわり今いった企業または個人までを含めた幅広い資金をいただいて運営していくということをやったオリンピックも冬季に至ってはあるわけでありますね。そういうことも踏まえて考えていくということが非常に大事だと思いますので、我々は、そうした活動に我々議員も積極的に協力をしていくということで、ここでは言を付しておきたいというふうに思います。
 続いて、競技団体に対する働きかけについて伺います。
 八月の福岡との招致合戦の際、東京は福岡と比べて競技団体とのつながりが弱いということをよく耳にしました。このことはJOCの評価報告書にも触れられております。私が回った幾つかの競技団体の関係者も、福岡市は密接に競技団体に関与し、協議をしていたという声を私の方に届けた団体が幾つかありました。私は、この両者の違いは、国際スポーツ大会を招致した経験がどのくらいあるのかの差によって生じているのではないかというふうに思います。現に福岡では、過去に世界水泳や福岡国際柔道もありますし、またユニバーシアードの大会、ことしもクロスカントリーの世界大会等を実施するなど、多くの国際大会の招致、開催の実績があります。
 そこで、東京都が、福岡市と比べて国際スポーツ大会にこれまで余り関与してこなかった理由についてお伺いをしたいというふうに思います。

○谷島招致推進部長 都はこれまで、決してスポーツ大会を軽視してきたわけではございません。都立施設の使用等に当たりましては、施設使用料の減免などできる限りの支援を行ってまいりました。しかしながら一方で、交通の面、宿泊の面等での利便性を背景に、地方都市のように積極的な招致活動を行わなくても、都内で幾つもの国際大会が開催されてきた、そのような実態もございます。
 今後、国際間の厳しい招致競争を勝ち抜いていくためには、IOC等の国際スポーツ団体の一層の理解と協力を得ることが不可欠との認識のもとに、国際スポーツ大会への支援のあり方について検討してまいります。

○鈴木(隆)委員 考え方はわかりますが、こういう大会に関する考え方というのは、スポーツ大会の実績から、各競技団体とか、東京、福岡は距離的にもいろいろなもので異なるということは私も理解します。ことしは代々木体育館の方で世界バレー、また来年東京体育館で世界フィギュアスケート選手権など、こういうような例を見ても、東京で特に招致活動を行わなくても、ある面でいえば国際大会が開催されるということも事実あるわけでありますね。しかし、これからはオリンピック招致をしていくに当たっては、東京において国際スポーツ大会をさらに積極的に開催をしていく必要があるというふうに考えます。
 先般、有明のコロシアムでAIGのジャパンオープンが行われました。これには世界ナンバーワンのフェデラー選手が来て、そのフェデラー選手が来日することによって、今までにない観客動員数を得たということであります。しかし、当日、皆さん思い起こしていただくとわかりますが、非常な豪雨で、雨が降って実はその予選が開かれない。ですから、有明コロシアムは天井がありますから、中での大会はできたのですが、新聞等で皆さんが見たように、夜中の三時半とか四時までやらざるを得なかった。女子に至っては、実は湘南にある雨天でもできるテニスコートの方へ移って、バスを出して全部移動をして、それも長時間かけてやったというような状況であったということですね。
 こういう大会運営を見ますと、大会運営者からも聞かせてもらったのですが、本当にこれで国際大会を開けるだけのものが今の東京のインフラにあるのかということであります。実際に私もその雨の中でちょっといたわけですが、有明コロシアムは上から雨漏りしますよ。雨漏りしたのをぞうきんでふいているわけですね。それでフェデラーはやっているわけですよ。杉山愛は負けましたけれども。それが現実の今の有明コロシアムですね。鈴木都知事のときにつくって、それからかなり時間がたつわけであります。
 そういうようなものがありますけれども、私は、例えば日本でそういうような大会を開いて、テニス競技会を開いている。または、ほかの東レパンパシフィックという、世界で大体五番目に当たるような女子の大会も開いているわけでありますが、こういうジャパンカップを例えば東京で積極的に、メジャー四大タイトルに続くような五番目のトーナメントに育てようじゃないかというようなことも、実はある意味で、東京オリンピックまたは日本の国内におけるスポーツの位置づけを考える上でも、非常に大きなものになっていくと思うのですね。こういうときにやはりスポーツ全体の、そういう世界の中における東京、それから東京でそういうメジャーな大会を行うというようなことももう一方で考えて、そういうようなものを全部総合トータルして二〇一六年の東京オリンピックに向かうぐらいな考え方があっても私はいいのだというふうに思います。あえてこれは例としていわせていただきますが、そういうことをやっていく上でも、実はアスリートの競技力の向上とか競技団体に対する選手強化の支援などが非常に重要になってくるというふうに思います。
 東京で国際大会を開催すれば、それとは違う意味で、テレビの放映などを通じ、東京がスポーツ大会の開催に積極的な姿を全世界に知らしめることができていくというふうに考えます。東京での国際大会にIOCやIFの関係者が訪問すれば、まさに一石二鳥の有効な招致活動の機運にもなると考えます。現に一九六四年のオリンピックの際には、大会六年前にアジア大会を開催し、東京の大会運営能力をアピールしました。今回のオリンピック招致を成功させるためにも、国際スポーツ大会を積極的に招致することが不可欠であります。
 そこで、国際スポーツ大会の招致推進についての本部長の所見を伺います。

○熊野東京オリンピック招致本部長 前回の東京オリンピックのときもアジア大会を開催したということでございますし、また、他のオリンピック開催の立候補都市を見ても、さまざまな国際大会を招致してアピールをしてございます。これは先生ご指摘のとおり、積極的に国際スポーツ大会を招致して、海外にスポーツ振興に対する熱意を示していく、そういったことがIOCあるいはIFなどの理解と協力を得るための有効な手段である。また、そういったところにIOC委員とかあるいはIFの委員が来て、絶好のコンタクトの機会になる。そういったことが目的であろうというふうに理解しております。
 したがいまして、私どもも、二〇一六年オリンピックの東京招致に当たりまして、国内の競技団体の意向を聞きつつ、今設立準備を進めております招致組織と連携して、国際スポーツ大会の招致に向けて取り組んでまいりたいと思っております。

○鈴木(隆)委員 今答弁いただきましたように、都の考え方はわかりました。きょうは決算ですのでこれ以上はいいませんが、我々として、特にこれから開催されるオリンピック招致特別委員会の場で、オリンピック招致成功に向けた積極的な提案を改めて自民党としてこれから表明をしていきたいというふうに思います。
 以上で質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。

○高倉委員 二〇一六年オリンピックの国内候補都市に東京が決定したことを心から喜びたい、そのように思います。石原都知事を先頭としまして、日夜精力的に努力をしてこられた招致本部の皆さんの取り組みに対しまして、改めて敬意を表するものでございます。
 招致を実現するためには、さらに都民や国民の幅広い支持を得ていくということが必要であると思います。招致本部の事業としまして、招致に向けた機運の醸成ということが挙げられておりますけれども、今回の十七年度一般会計決算におきましては、総務費で東京オリンピック招致準備事務の経費として二千八百五十四万円余が支出をされております。調査委託や基本構想懇談会の開催等に要した費用というふうに説明をされておりますけれども、招致機運の醸成ということにつきましての取り組みをまずお伺いしたいと思います。

○谷島招致推進部長 オリンピック招致を成功させるためには、都民、国民の幅広い支持が必要でございます。適宜適切に機運の盛り上げを図っていくことが重要と考えてございます。
 昨年度は、オリンピック開催計画の策定に向けて東京オリンピック基本構想懇談会を計四回開催し、報告書を公表したほか、テレビや広報紙など都の広報媒体を活用し、オリンピックの東京招致に対する都民の理解と協力を求めたところでございます。

○高倉委員 石原都知事のオリンピック東京招致の正式表明以来、都としてさまざまな取り組みがなされてきたわけであります。私も、住民との対話やさまざまな集会におきまして、あいさつの中で、あらゆるそうした機会を利用しまして、東京へのオリンピック招致に向けた理解と協力を呼びかけてきたつもりでございます。また、都議会といたしましても、平成十七年度の末に当たります本年三月にオリンピックの招致決議を行ったわけであります。
 そしてさらに、充実した東京パラリンピックの開催を求める決議、これも都議会として行ったわけでございます。このパラリンピック決議につきましては、日本パラリンピック支援機構の関係者も大変に喜んでおられましたし、障害者の皆さんも大きな期待を寄せているわけでございます。私ども都議会公明党としましては、二〇一六年オリンピックの東京招致につきましては、パラリンピックとの開催をセットで考え、バリアフリーのまちづくりなど障害者に優しい東京の姿を世界に発信すべきである、このように訴えてきたわけでございます。
 招致機運の盛り上げの中には、障害者の皆さんが期待するパラリンピックの開催ということも大変重要な要素であると思っております。招致機運の醸成という取り組みの中で、その点についての具体策についてお伺いをいたしたいと思います。

○谷島招致推進部長 パラリンピック大会は、オリンピック大会と理念を共有する障害者スポーツの祭典であり、オリンピック大会の二週間後に同じ施設を使って開催するなど、オリンピック大会と密接不可分な関係にございます。そのため、障害者の皆さんが期待する充実したパラリンピック大会に向けた取り組みは、オリンピックを招致するために極めて重要でございます。
 今後は、パラリンピック大会に関する広報、宣伝をオリンピック大会と一体的に展開するとともに、障害者スポーツ団体等の意見も聞きながら国際的な障害者スポーツ大会の誘致を検討するなど、これから設立される外部招致組織と十分に連携し、招致機運の一層の盛り上げを図ってまいります。

○高倉委員 ただいまのご答弁で、国際的な障害者のスポーツ大会の誘致ということについての答弁がございましたけれども、ぜひよろしくお願いをしたいと思っております。
 このパラリンピックの正式種目というのが二十種目あるわけでありますが、陸上競技、水泳、卓球、柔道、パワーリフティング、射撃、自転車、アーチェリー、こういったまさにおなじみの種目がある一方で、車いすテニス、シッティングバレーボール、視覚障害者五人制サッカー、こうしたまさにその種目の名前が障害者のスポーツであるということを連想させるような種目もございます。
 さらに、ボッチャという名前の、都民にももしかすると広くは知られていない、そうした種目も実は正式種目としてパラリンピックにあるわけでございます。このボッチャという競技につきましては、先日、私も実際にみずから体験をしてまいりましたけれども、大変奥の深い競技でありまして、ことしのトリノの冬季オリンピック、ここで日本人が大活躍しましたカーリングという競技がございましたけれども、これに何となくイメージが似ている競技でございます。最初に投げた球を目がけて各チームの選手が球を投げまして、より近づけて得点を競う、こういうような競技でありまして、ヨーロッパでは学校や高齢者施設、スポーツクラブなどで幅広く親しまれている人気スポーツであるというふうに伺っております。我が国でも選手権大会がありまして、また、高齢者のスポーツとしても実際に取り入れられている、このようにお聞きをしております。
 先ほどの答弁で、広報、宣伝についてもオリンピック、パラリンピック一体となって取り組んでいく、そういうお話と、また国際的な障害者スポーツ大会の誘致を検討していく、こういう力強いご答弁をいただきましたけれども、海外では障害者スポーツが民間団体を中心にしまして非常に盛んになっているわけであります。海外都市との競争に当たりましても、こうした取り組みは大変大きなアピールポイントになっていくのではないかと思っております。
 三年後のコペンハーゲンでの勝利を目指しまして、これからいよいよ本格的な国際的な招致レースが始まるわけでありますが、招致を成功させるためにさまざまな取り組みが必要であります。世界の競合都市と戦っていくに当たっての本部長の決意を最後に伺いまして、質問を終わりたいと思います。

○熊野東京オリンピック招致本部長 三年後のコペンハーゲンに向かいまして、まだ各国の立候補都市が出そろっていないのが現状でございまして、まだ敵が見えない、そういう状況にございます。さはさりながら、これまでまだ開催しておりませんアフリカあるいは南アメリカから立候補都市が出てくれば強敵になろうと思っておりますし、また、特に最大のスポンサーでありますアメリカがアトランタ以降まだやっていないというふうなことも考え合わせますと、最大の強敵はアメリカになるのではないかというふうなことも巷間いわれております。
 いずれにいたしましても、オリンピック招致を実現するためには、緻密な大会計画の策定、招致機運の盛り上げ、それから東京として都市の魅力を向上させること、さらには積極的なロビー活動、こういったことが重要になってくると考えております。今後、JOCと連携いたしまして、国の全面的なバックアップを受けつつ、都議会はもとより都民、国民の幅広い協力を得ながら複合的、戦略的に活動を展開いたしまして、全力を挙げてオリンピック、パラリンピックの熾烈な招致レースを勝ち抜いてまいりたいと考えております。

○古館委員 それでは、何点か質問させていただきます。
 最初にまず、昨年の知事の国内招致立候補表明及びその後の経緯について説明をお願いいたします。

○谷島招致推進部長 昨年九月の第三回都議会定例会所信表明におきまして、知事が正式にオリンピック招致を表明いたしました。また、ことし三月には都議会の招致決議をいただき、執行機関と都議会が両輪となってオリンピックの招致に取り組んでまいりました。特に、六月のJOCへの開催概要計画書提出以後、都議会招致議連等の協力も得まして、JOCや競技団体に対してさまざまな招致活動を展開した結果、八月に東京都が国内立候補都市に決定したものでございます。

○古館委員 経過は、今の中で三月には都議会の招致決議ということでしたけれども、私どもは、大型開発との連動という性格も非常に強いということもあって、批判的な見地もずっとこの間とってきていますし、これには加わっていないということを述べさせていただきながら、それで、先ほどの答弁で、昨年の九月の都議会の定例会の所信表明で知事が正式にオリンピック招致を表明したと。私はその後に、これは庁議にもかからない、文字どおりトップダウンの決定ではないかということを、当時はまだ知事本だと思いましたけれども、やりとりをさせていただきました。とにもかくにもオリンピック招致の国内選考では、予想以上の差にはならないという形で福岡市を下した、こういうことだと思います。
 それで、厚い薄いという問題ではないのですけれども、参考までに、これが福岡のいわゆるオリンピック競技の二〇一六年国内立候補都市開催概要計画書なんですね。それで、東京都のがこれなんですよね。(「資料編なんだ」と呼ぶ者あり)違います、これは。資料編じゃないです。(「福岡は資料編」と呼ぶ者あり)だから、資料編ですけれども、資料編と--東京都はこれもないのですから、これしか。それで、そういう形で私どもは、分厚いとか厚くないとかという問題以前に、いわゆる国内選考に向けて取りまとめたこの開催概要計画書、これをまずどのように、変な話ですが、つくったところとして評価をしているか、お聞かせをいただきたいと思います。

○谷島招致推進部長 ただいま先生の方から見せていただきました概要計画書でございますが、もともとJOCの方から、各開催立候補都市に過大な負担をかけないようにということで、百二十ページ以内で作成をしていただきたい、その要請に基づいて、私どもは要約的な部分も含めて凝縮して記載をしたものでございます。
 JOCの国内立候補都市評価委員会報告書では、東京都の計画につきましては、世界的知名度、強い財政基盤、首都機能を生かした計画、四千億円の基金積み立て、選手強化への協力、こういった点を高く評価いただきました。その結果、東京都が国内立候補都市に決定したと認識してございます。

○古館委員 結局、今の答弁ですと、世界的な知名度、これは東京というのは首都ですから。それから、強い財政基盤、これも東京都として最も法人二税なんかが入ってきているところですし、それから、首都機能を生かしたという形でいえば、首都ですので。それで、もう一つは四千億円の基金積み立てと。ですから、ここでいっているのは、ある種客観的な条件といいますか、それと四千億円の基金の積み立てという形で、要するに内容の問題というよりも、そういう東京都が置かれている現状、その中の評価という形が非常に色濃く出ている。
 率直にいいまして、評価委員会から不十分という指摘を受けたのではないかというふうに思います。その点で、どのような点がそのように不十分だと指摘されたのでしょうか。

○谷島招致推進部長 都の開催概要計画は、競技団体など関係者の意見を聴取し、協議を重ねてつくり上げたものでございます。ただ、残念なことでございますが、JOCの国内立候補都市評価委員会報告書では、都の計画に関しまして、メーンスタジアムのリスクマネジメント、選手村の高層棟、各競技団体との連携の機会がこれまで少なかったことなどが課題として挙げられました。
 今後、世界で勝ち抜く計画としていく中で、IOCや国際競技連盟などの意見も参考に、十分な検討を重ねまして、より高い水準の立候補ファイルの作成を目指してまいります。

○古館委員 実は、福岡の計画は、基本的には国際競技連盟の基準をクリアしたもの、こういうふうに聞いています。そういう形でつくられている。一方、東京は、計画についてはさらに国際基準を視野に入れたものへと仕上げることが求められている、このように聞いているのですね。
 それで、率直にいいまして、評価委員会からそういう意味でいわれたということですね。福岡市と比較をすると……(発言する者あり)もちろん福岡の問題、賛成していません。福岡市のものと比較すると、素人の私でも、福岡に記載されていて東京都のものでは記載されていないという事項なども見受けられるのですね。こうしたことを勘案しますと、どうしても東京都の競技概要計画書が修正前提という形でつくられていた、そういう形でいわれても仕方がないのかなというふうに感じます。これは、結果としてJOCや福岡市、そして都民をも欺くことになるのじゃないかと思うのですね。修正がこうしなさいよという形で出てきている。その点についてはいかがですか。

○谷島招致推進部長 都の開催概要計画書は、国内競技団体や関係機関、学識経験者などさまざまな方の意見を幅広く聞きながら、土地等現実の制約の中で精いっぱい作成したものでございます。JOCへの提出時点では最善の計画としてまとめたものでございます。

○古館委員 しかし、結果として、先ほどいわれましたように、例えばメーンスタジアムのリスクマネジメントで三方が海であるとか、あるいは選手村の高層棟、こういうのは考え直してくださいよとか、それから国立競技場という形で二つの問題をどうするかとか、私どもも指摘しましたけれども、臨海部という地盤の問題とか、さまざまな問題があるわけですね。それで、そういう形で私どもは、この問題についても改めて問題点という形で、先ほどもいいましたけれども、どうもこれは修正せざるを得ないし、そういう内容としてつくられている、こういうふうにいわざるを得ないのですね。
 そこで、最後になりますけれども、知事は、東京都はお金が潤沢にあって、打ち出の小づちのように資金が出るように錯覚しているのじゃないかと思うほど、さまざまなパフォーマンスをしました。例えば、知事が国内選考のプレゼンテーションで、場合によっては東京プロパーの資金、つまり毎年一千億円を都が積み立てるわけですが、その基金などを含めて都の財政で賄う、こういうことまで述べているのですね。石原都政のこのような大盤振る舞いというのは、私は決して都民の納得が得られるものではないというふうに思いますが、その点についてはいかがでしょうか。

○谷島招致推進部長 都の財政責任でオリンピックを成功させるとした知事の発言につきましては、立候補都市として当然の責任を明確に述べたものでございます。
 オリンピックの招致、開催に当たりましては、民間の活力、資金などを積極的に導入するとともに、既存の施設を活用するなど効果的で効率的な運営を徹底し、過大な経費をかけない方針としてございます。したがいまして、都民の納得は十分に得られるものと考えてございます。

○古館委員 最後になりますけれども、石原都政になって、新銀行とかワンダーサイトだとか、このオリンピックもそうですけれども、知事のトップダウンで都政にゆがみが生まれているのじゃないかなという懸念を持っています。
 今回のオリンピックで、我が党の試算で八兆円、マスコミでも十兆円というふうに書いていたところもありますけれども、巨額の投資を伴う。ですから、コンパクトといえるものじゃないのですね。
 私も実は札幌に行って、札幌市が当時オリンピックを考えたことがあったのですね、そのことをいろいろ詳細に聞きました。そうしたら、札幌市では市議会が招致決議を上げたのですね。市長はそれを受けて、開催の経費とか試算を綿密に計算して、それを市民に公表しました。それで、市民アンケートなどを行う。市民ぐるみで招致は是か非かという議論を呼び起こしたのですね。結局は、市民の声の中で招致しないということに決まったのですね。私は、これが行政としてのあり方であって、説明責任を果たすことだというふうに考えています。
 大幅な修正が前提ということが明らかにされている計画書だけで招致活動を進めるということを私どもが認めることは、白紙手形を出すというものと同じことであって、認められない。これが私どもの立場であります。

○林田委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○林田委員長 異議なしと認め、本件に対する質疑は終了いたしました。
 以上で東京オリンピック招致本部関係を終わります。
 これをもちまして本日の分科会を閉会いたします。
   午後三時十分散会

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